● サムライエンパイア 京の都
サムライエンパイアの京の都に、大軍勢が迫っていた。
京の都に襲い来る異形の群れ。『血肉に飢えた黒き殺戮者・禍鬼』と呼ばた鬼たちは、都へと攻め入ろうと奇声を上げながら襲いかかってきた。
「くっ! 来たぞ! 陰陽師は結界を張れ! 武士は守りに専念せよ! 禍鬼どもを攻撃してはならぬ!」
「応!」
武将の声に応じた武士たちが、一斉に盾を手に防衛戦を張る。だが、禍鬼達の猛攻撃に盾は破られ、容赦ない攻撃に晒されていった。
堪りかねたように振りかぶった武士の攻撃に、禍鬼は蜃気楼のように消える。すぐに現れた禍鬼は、ニヤリと笑うとサソリの尾を侍たちに叩きつけた。
結界で威力を軽減され、一撃で死ぬようなことはない。だが無傷ではいられず、負傷した侍たちは徐々に戦線を後退させていく。
どのくらい攻防が続いただろうか。ふいに攻撃をやめた禍鬼は、青白く輝き出す。その姿に、武将は号令を掛けた。
「今だ! 突撃!」
「「「おおー!」」」
武将の号令に呼応した武士たちが、傷ついた身体を引きずりながら一斉に攻撃を仕掛けた。青白い禍鬼達はまるで紙を裂くように次々に消えていくが、攻撃を仕掛けられた禍鬼だけは消えることがない。
やがて、青白い禍鬼達はふいに全て姿を消した。唐突に終わる攻撃に、侍たちは拳を地面に叩きつけた。
「また消え去りよったか禍鬼どもめ!」
「最後に輝きよるあの時よ。あの時に斬ることさえできれば倒すことができるというに、我らでは守るので手一杯。次に来られては我らとて危うい……!」
「ええい忌々しきはあの結界よ! 攻撃を仕掛ければ倒せぬとは厄介極まりないわ!」
悔しそうな武士が天を仰いだ時、再び禍鬼達が現れる。
防戦一方に追いやられた武士達が波状攻撃に耐えきれず、戦線を崩壊させるのにさほど時間は掛からなかった。
●
「皆様! サムライエンパイアで猟書家の動きを予知致しました! 皆様のお力をお貸しくださいませ!」
グリモアベースに現れたアカネ・リアーブルは、集まった猟兵達を見渡すと京の都の地図を広げた。
「京の都に襲い来るのは、大天使ロロサエル。彼は禍鬼というオブリビオンに魔軍将「安倍晴明」を憑装させて手駒としています。安倍晴明は「あらゆる攻撃を無効化する結界」を禍鬼に与えているのです」
それでは倒すことなんてできないじゃないか! 上がる声に、アカネは首を横に振った。
「この憑装にも弱点があるのです。一定期間守った後、青白く光るのです。この時に攻撃をすれば、一撃で倒すことができます。ただし、青白く光る前に攻撃をしてしまうと倒すことができません。皆様は守りに徹し、敵の攻撃を耐え抜き最後に一撃を入れてくださいませ」
京の結界を張っている陰陽師達に協力を仰げば、有利に戦いを進めることができるだろう。また、この戦線を守っている武士たちのダメージも深い。彼らを救護し、奮い立たせれば最後の一撃を加えることができ、多くのオブリビオンを倒すことができるだろう。
「禍鬼達を倒せば、大天使ロロサエルに手が届きます。これ以上の狼藉を許さない為にも、ご助力をお願い致します!」
真剣な表情で猟兵達を見つめたアカネは、グリモアを発動させると猟兵達を戦場へと導いた。
三ノ木咲紀
オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
今回は猟書家戦です。
このシナリオのテーマは「防御と回復」になります。
一定時間ダメージを与えられない禍鬼達の攻撃を耐え、最後に一撃入れれば勝利となります。回復役の方々も、武士や陰陽師の救護や回復をしていただければ立派な戦力となります。
攻撃を入れても倒せはしますが、最後に無傷の禍鬼と戦うことになるので判定は厳しくなります。
プレイングは承認後すぐの受付です。締切りは追ってタグでご連絡します。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『血肉に飢えた黒き殺戮者・禍鬼』
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POW : 伽日良の鐵
【サソリのようにうねる尻尾(毒属性)】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 欲欲欲
【血肉を求める渇望】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ : 鳴神一閃
【全身から生じる紫色に光る霆(麻痺属性)】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カイリ・タチバナ
陰陽師の本場…に来るの、初めてなんだよなぁ。
陰陽師たちの協力取り付けて。
で、なるほど、一定時間耐えろって?守神の本領発揮ってやつだ。
【守神宿り】で増やすは『守神霊符』『守神鏡』『守神勾玉』。
こんだけあれば、周りの武士に行き渡るはず…?とりあえず、配る!
配ったやつには守護結界とオーラ防御つきだからな。陰陽師のと合わせると超絶硬い。
俺様は銛が本体だから、銛に結界お願いして、だ。
攻撃するなって言われたけど、いなすなっては言われてねーし。いなせそうになかったら、人間態の方で受けるけど。
で、所定時間過ぎて光りだしたら、銛で一撃食らわせるってな!
その一撃、別に俺様じゃなくてもいいみたいだしな。
● 銛神の攻防
防衛線が破られようとしていた。
押し寄せる禍鬼はまるで遊んでいるかのように武士たちが構える盾を切り裂き、血肉を浴びては邪悪に微笑んでいる。
まるで猫が獲物を弄ぶような攻撃に、一人の武士がついに倒れた。張られる防御結界を切り裂いた棍棒が武士を叩き潰そうとした瞬間、守神霊符が奔った。
「なるほど、一定時間耐えろって? 守神の本領発揮ってやつだ」
轟! と音を立てて振り下ろされる棍棒が、たった一枚の守神霊符で遮られる。その間に後方へ下がった武士の姿に顔を上げた禍鬼が、ゆらりと身を起こして殺意を漲らせた。邪魔者を探して走らせる視線は、やがて遠方にいるカイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)の姿を捉えると猛然と駆け出した。
その様子を守神鏡越しに見たカイリは、彼我の距離を確認すると素早く次の守神鏡へ視線を走らせた。
複製された守神鏡に映し出されるのは、戦場の状況。それぞれ違う状況を並行して確認したカイリは、守神鏡の間に浮遊させた守神勾玉に守神霊符を翳した。
次の瞬間、吸い込まれるように守神霊符が守神鏡の中に消える。防御に徹する陰陽師の前に現れた守神霊符は、張られた結界の中に入り込むとそれを超強化し蠍の尾を弾く。
予想以上の効果に、カイリは満足そうに笑うと小さく口笛を吹いた。
「陰陽師の本場……に来るの初めてだが、なかなかやるじゃねえか」
同時並行で守護結界を張り、武士達や陰陽師達を守り続けるカイリを、禍鬼が殺戮欲の籠もった目で睨みつけた。守神霊符で殺戮を阻まれ続けた禍鬼達が、血肉を求める渇望を爆発させながらみるみる身体を巨大化させていく。
「欲、欲欲欲!」
「人間の言葉喋れっつーの!」
カイリに向けて四方から振り下ろされる必殺の棍棒が、地面にすり鉢を作る。振り下ろされる棍棒を守神霊符でいなしたカイリは、更に迫る棍棒に本体を顕した。銛の姿になったカイリの脇を、棍棒が過ぎ去り地を抉る。攻撃をいなしたカイリは、青白く光る禍鬼の姿に穂先を翻した。
「集まってくれてありがとよ! お陰で……」
声と同時に銛が翻る。円を描く攻撃に晒された禍鬼は、まるで紙のように切り裂かれると、鬼火となって消えていく。四体の禍鬼を瞬時に切り裂いた銛は、その勢いのままに次々と禍鬼を切り裂き消し去っていった。
「銛の攻撃がしやすいってもんだ!」
おびき寄せられた禍鬼は、カイリの攻撃に青白い光を残し次々に消え去っていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
司・千尋
連携、アドリブ可
面倒な敵だが
全部防いでやるよ
武士や陰陽師達に協力要請
1人じゃ防げなくても協力すれば防げるかもしれない
目的は同じなんだし共闘しようぜ
結界術と細かく分割した鳥威を複数展開し防御
範囲攻撃や2回攻撃等で手数を増やし
オーラ防御を鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
割れてもすぐ次を展開
回避する時間を稼ぐ
間に合わない時は双睛を使用
武士や陰陽師への攻撃は最優先で防ぐ
距離があると鳥威が脆くなるから
なるべく俺の近くに居てくれると助かるぜ
難しければ割れる前に頑張って回避してくれ
青白く光ったら反撃開始だ
近接や投擲等の武器も使いつつ
範囲内の敵全てを『翠色冷光』で攻撃
回避されても弾道をある程度操作して追尾させる
蔵座・国臣
最後の一撃はともかく、耐久と治癒なら私の仕事だな。
優先は回復。味方が避けれぬ状態の攻撃だけ庇うとするか。
私は転移の使える癒者だ!負傷したなら声を上げろ、分かるように知らせ!転移して回復する!四肢の1、2本なら代わりを付けてやるし、拾っておけば後で繋げてやる!と、伝えておく。安心して怪我をしろ。死なせはせん。
遠見や戦況全体を見ている担当がいるなら話を通して、私にも指示を飛ばして貰えるようにしよう。声も出せん程の負傷をする可能性もあるしな。
回復ポーションやスクロールを用いた回復魔法で間に合わん時の為に。指定ユーベルコード以外で2種“戦線緊急治療”と“その場しのぎの機械化手術”を回復に用いる。
大豪傑・麗刃
一応エンパイアの出なので、その危機を見過ごすわけにはいくまい。
敵の攻撃を耐えろとな。自分で言うのも何だが得意分野なのだ。なにせわたしは
ギャグキャラ
だからな!
まず敵集団の目を思い切り引き付ける。陰陽師にはわたしを思い切り目立たせる手段なんか考えてほしいのだ。派手な光や音を放つとか。
さらに大声で大喝し敵をおびき寄せる。きみたちにわたしを傷つける事などできん!嘘だと思うなら試してみたまえ!
でギャグ世界の住人を発動、敵の攻撃を受ける。って本当にやるやつがあるか!死んだらどーする!きみたちには人の心がないのかね!!
時間稼いで相手が青白く光ったら刀二刀流構えて自分で斬るか、武士の皆様に斬っていただくかと。
ハロ・シエラ
倒せない敵を相手に持ち堪える……ダークセイヴァーで普通の人間として戦っていた頃を思い出しますね。
あの時と違って、時間を稼げば勝機がある分楽ですけどね。
さて、この場合は武士の方々には隠れてもらい私が攻撃に打って出るべきでしょう。
今回の目的は敵を【おびき寄せ】て武士の方々を【かばう】事なので、回避と防御に徹します。
巨大化した敵の攻撃を受けるのは厳しいでしょうから、サイズと数の差を活かして【敵を盾にする】ように動き敵が攻撃し辛いようにしたり【軽業】を駆使して回避していく事になるでしょう。
敵が光ったらユーベルコードで敵だけに攻撃を行い、武士の方々が戦いやすいように道を切り開きましょう。
● 守護者と治癒者
戦場に片腕が飛んだ。
振り回された蠍の尾を受けた武士の片腕が、刀を掴んだまま弧を描き宙を舞う。絶叫と共に膝をついた武士に、禍鬼が振り上げた棍棒が迫った。陰陽師の結界が走り、棍棒の動きが鈍る。透明な壁のように立ちふさがった五芒星の結界は、やがて音を立てて破られた。
絶望的な目で棍棒を見上げる武士の目の前に、盾が放たれた。細かく分割された盾は武士に迫る棍棒を受け止めると、圧に抗いギリと鳴った。
「救援に来た! 面倒な敵だが、全部防いでやるよ!」
バイクから飛び降り武士に声を張った司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)は、分割された小型の盾ーー鳥威を連続展開すると禍鬼との隙を作った。
千尋と共に救援に駆けつけた蔵座・国臣(装甲医療騎兵・f07153)は、飛んできた腕を片手に武士へと駆け寄った。
武士の身柄を宇宙バイクの鉄彦に乗せて後方へ下がり、飛ばされた右腕を傷口につけると【その場しのぎの機械化手術(レンタルサイバネティックパーツ)】を放った。
ナノマシンでスキャンし、血管や神経を繋げていく。仮止めにしかならないが、後で治療すれば腕は繋がるだろう。歯を食いしばって激痛に耐える武士をねぎらい肩を叩いた国臣は、立ち上がると大声を張った。
「私は転移の使える癒者だ! 負傷したなら声を上げろ、分かるように知らせろ! 転移して回復する! 四肢の1、2本なら代わりを付けてやるし、拾っておけば後で繋げてやる!」
「……済まぬ! こっちを頼む!」
「脚がもげた陰陽師がいる!」
よく通る声が戦場を走り、絶望的な防戦を繰り広げていた武士や陰陽師達が次々と声を上げる。救いを求める声に鉄彦をテレポートさせたが、その声を聞いていたのは武士や陰陽師達だけではなかった。
救護の到着に凶悪な笑みを浮かべた禍鬼が、テレポートアウトした国臣に紫色の霆を放つ。マヒ属性に動きを止めた国臣に、巨大化した禍鬼の棍棒が迫った。
「国臣!」
状況を把握した千尋が、鳥威を放ち防御を固める。だがテレポートにより離れた国臣に鳥威の防御力は減衰してしまっている。振り下ろされた棍棒に咄嗟に受け身を取った国臣は、走る衝撃に地面に叩きつけられた。辛うじて受け身は取ったが、腕の傷は深い。まずは自分を治療しなければ。回復セットを使用する国臣に、再び棍棒が迫った。
● 道化と軽業
「突然だけれどもここでシリアスブレイカー惨状! 違った参上! 陰陽師の皆様方、よろしくお願いするのであーる! とう!」
叫び声を上げながらカタパルト射出の要領で結界で弾かれた大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)が、面白いポーズのまま矢のように飛び出してきた。
巨大な棍棒を振り上げた禍鬼の脇腹に深々と突き刺さった麗刃は、勢いのまま頭突きをかますと勢いよく場外へと消える。突然の出来事にあっけにとられた国臣は、自身の応急手当を手早く済ませると倒れた武士へ駆け寄った。
「大丈夫か?」
「うう、なんの、これしき……」
「安心して怪我をしろ。死なせはせん」
不敵に笑った国臣は、鉄彦を走らせると次々に要救護者を後方へ下がらせていった。それにつられるように禍鬼達が鉄彦を追いすがる。その様子に、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が駆けた。
隠れているように伝えた武士たちの防御を陰陽師に任せ身軽に戦場を駆けたハロは、リトルフォックスを掲げるとスピリット・オブ・ファイアを纏わる。いくつもの炎がリトルフォックスの周囲に現れ、見る間に数を増やすと禍鬼達の行く手を遮るように解き放った。
突然の炎に足を止めた禍鬼達の前に出たハロは、不敵な笑みを浮かべた。
「あなた達の相手は私。小柄な女の子も倒せないほど、非力なのかしら?」
レイピアを構えるハロに、禍鬼達は凶悪な笑みを浮かべた。禍鬼達が持つ棍棒に比べて、ハロのレイピアは細く脆く見える。殺戮欲を漲らせた禍鬼は、身体を巨大化させるとハロに向けて棍棒を振り下ろした。
「欲欲欲!」
振り下ろされる棍棒をギリギリまで引きつけたハロは、むしろ禍鬼へと向かって地を蹴ると棍棒を踏みつけた。禍鬼の頭上を軽やかに舞うハロを追いかけるように、背後に迫っていた禍鬼が蠍の尾を振り下ろす。渾身の力で突き出された毒の尾は、勢い止まらず禍鬼を貫き通した。
地面に降り立ったハロは、迫る攻撃を回避すると禍鬼の内懐を抜けて地を駆けた。同士討ちを誘いながら駆け抜けたハロは、頭をさすりながら駆け寄る麗刃の隣に立った。
「倒せない敵を相手に持ち堪える……ダークセイヴァーで普通の人間として戦っていた頃を思い出しますね」
「ほう。ダークセイヴァーの出身かね。あの世界も大変だが、麗刃ちゃんも一応エンパイアの出なので、この危機を見過ごすわけにはいかなくてな」
「無論。危機に世界の違いは無いわ。それにあの時と違って、時間を稼げば勝機がある分楽ですしね」
ハロの言葉に、麗刃は深々と頷く。そうこうしている間も敵を引きつけているため、防衛戦を張り直している国臣と千尋の方に向かう禍鬼の数は明らかに減っている。だが、禍鬼達はまだ青白く光らない。攻撃を仕掛けてくる禍鬼達に、麗刃はニンマリ笑った。
「敵の攻撃を耐えろとな。自分で言うのも何だが得意分野なのだ。なにせわたしは
ギャグキャラ
だからな!」
「……その間は何?」
「さあ! 陰陽師よ麗刃ちゃんを輝かせるのだ!」
ハロの冷静なツッコミは華麗にスルーした麗刃は、陰陽師達を振り返ると戦場へ躍り出た。ぶおおーぶおおー! と鳴るほら貝の音色に合わせて、ハロもスピリット・オブ・ファイアを放った。麗刃の周囲を華麗に飛び回る炎は否が応でも目を引き、禍鬼達は足を止めた。
「きみたちにわたしを傷つける事などできん! 嘘だと思うなら試してみたまえ!」
ドヤ顔で仁王立ちする麗刃に、サソリのようにうねる尻尾が放たれた。無差別に襲いかかるサソリの尾は容赦なく麗刃を打ち付け、雑魚吹っ飛びの要領で宙を舞う。頭を地面にめり込ませた麗刃は、ハロに引っこ抜いてもらうとユーベルコードを解除した。
「って本当にやるやつがあるか! 死んだらどーする! きみたちには人の心がないのかね!!」
「人間じゃないからね」
ハロが至極冷静なツッコミを入れた時、禍鬼達の身体が青白く光った。
● 防人の矜持
時は少し遡る。
声を上げた重傷者達を鉄彦に乗せた国臣は、戦場を後退すると防衛線へと駆けた。ユーベルコードは使わずに戦場を駆ける国臣の行く手に、禍鬼の棍棒が迫った。巧みなハンドル捌きで回避した先に飛んできたサソリの尾の前に、鳥威が展開した。
幾重にも重ねた鳥威が、サソリの尾を受け止めるが、距離があり耐久力が弱まってしまう。それを見越した禍鬼は更なる力で攻撃を加えるが、鳥威が壊れる気配は無かった。
「1人じゃ防げなくても協力すれば防げるんだよ。目的は同じなんだから、共闘すれば防衛線は硬くなる!」
叫んだ千尋は、迫る禍鬼の攻撃から国臣達を守るべく鳥威を放った。その一枚一枚には、陰陽師達の符が張られ、鳥威の弱点である遠方での強度不足を補っていた。代わりに結界術の弱点である防衛範囲の狭さは鳥威でカバーされ、倒れた武士達を救護する国臣を確実に守っていた。
やがて全ての要救護者を救助した国臣は、守りを千尋と陰陽師達に任せると治療に入った。
「うう、かたじけない。我らは京の都を守護する一族。なのにこのような体たらく……」
「何を言う。まだ仕事は終わっていない。その様子だと、最後の一撃には参加できるな。耐久と治癒なら私の仕事だが、戦うのは武士の仕事。違うか?」
「……応! その通りよ!」
力強く頷く武士に、国臣は頷き返す。京の都を守る者たちの矜持は、自分たちの手で守ってこそ保たれるというものだった。
「皆もそうだ。私は持てる力を全て使って治療する。だから戦ってくれ。死なない程度にな」
「無論だとも!」
「我らの意地を見せてくれようぞ!」
国臣の檄に生きる意欲を取り戻した防人達に、国臣は引き続き治療を続ける。態勢を立て直した時、禍鬼達の身体が青白く光りだした。
● 反転攻勢
防御に徹していた千尋は、青白く輝き出す禍鬼の姿に鳥威を鋭く解き放った。面ではなく角で斬り裂く攻撃に、禍鬼は次々と切り裂かれては消えていく。これまでのお返しとばかりに攻撃を繰り広げる千尋の隣に立ったハロは、スピリット・オブ・ファイアを禍鬼に放つと後方に控えていた武士達に声を張った。
「さあ、武士の方々! 攻撃の時間です」
「やられっぱなしじゃいられないだろう? 存分に戦ってくれ!」
「「「「「応!!!」」」」」
治療を受け立ち上がった武士達は、一斉に立ち上がると刀を手に禍鬼達に踊りかかった。波のように迫る禍鬼を前にした武士たちは、禍鬼達を鬼気迫る勢いで駆逐していく。
近場の禍鬼達を武士に任せた千尋は、ハロと視線を交わすと二手に分かれた。負傷した武士たちは、戦場の奥まで走ることは不可能。そこは猟兵達の領分だった。
「この雷で、斬り開く!」
詠唱と同時に放たれたハロの無数の雷霆を放つ魔術陣が、禍鬼達を次々と穿つ。連続攻撃に後退した禍鬼は、味方を盾に雷霆を回避すると一目散に逃走を図った。
逃げ出す禍鬼達を追い戦場を駆けた千尋は、手をスッと上げると青い光弾を解き放った。
「消えろ」
冷徹な声と同時に放たれた高威力の青い光弾が、禍鬼達を穿ち、消し去っていく。辛うじて回避した禍鬼が自分から消える直前、光弾が弧を描いた。自然ではあり得ない軌跡を描く光弾は禍鬼達の背中を穿つ。
防御に徹して攻勢に出た千尋達の攻撃は、禍鬼達を一人残らず消し去っていった。
やがて最後の禍鬼が消え、戦場に沈黙が降りる。再生時刻を過ぎても現れない禍鬼の姿に、場に快哉の声が満ちるのだった。
大成功
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第2章 ボス戦
『大天使ロロサエル』
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POW : 月閃乱撃
【日本刀による隙無き連撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 月呪審判
【三日月の如き刃】【朧月の如き羽】【月蝕の如き呪言】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 月焔邪視
【魔眼や呪言】を向けた対象に、【精神や身体の内側から蝕む焔】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠筧・清史郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
● 大天使降臨
快哉の声を上げる武士たちの頭上に、拍手が響いた。
「素晴らしい。あの憑装の禍鬼を倒してしまうとは思ってもみませんでしたよ」
悠然と地上に降り立った大天使ロロサエルは、得物を手に構える武士たちに向けて月閃乱撃を放った。
攻撃が武士たちをなぎ倒す寸前、結界術に守られた猟兵達が割って入り受け止める。その様子に満足そうに笑ったロロサエルは、戦線を立て直す猟兵達に翼を広げた。
「さあ! あなた達の実力を見せてください! 退屈しのぎにはなるでしょう!」
余裕の笑みを崩さないロロサエルに、猟兵達はそれぞれの得物を手に駆け出した。
※
大天使ロロサエルは、憑装をしていないため通常通り攻撃が通ります。
武士たちは攻撃に参加しません。陰陽師は結界で援護してくれますので、手を借りればプレイングボーナスとなります。
プレイングは4月15日(木)8:31~17日(土)23:59まででお願いします。
カイリ・タチバナ
アドリブ連携歓迎。
よっし!てめぇが猟書家のロロサエルってか。
陰陽師には、銛への結界術お願いしとこう。これ、俺様の本体だし。
さぁて、攻撃が陰陽師や武士にいかねぇように、前へ前へ。
守神鏡による浄化と破魔で対抗してみるか。邪眼とかには鏡って聞くし。
まあ、俺様に当たっても、本体無事なら気にしねぇんだけどさ。ヤドリガミだし。
で、俺様に向いているうちに、【七星七縛符】っと。何気に初使用だな、このUC。陰陽師だってのに。
さすがに、長時間は続けられねぇが…陰陽師や武士が無事で、時間を稼げればいい。
俺様が銛でなぎ払うか、他の猟兵が攻撃するか…そうなりゃいいんだからな!
ハロ・シエラ
鬼の次は天使ですか。
ともかくあの剣術の冴え。
こちらも隙は見せられません。
今回は陰陽師の方々の結界術の力を借りる事ができます。
私自身の【オーラ防御】も合わせれば敵の連撃にも臆さず立ち向かえるでしょう。
敵の攻撃に隙はありませんが、その動きを【見切り】エッジ・オブ・サンクチュアリで【武器受け】するくらいは出来るはず。
受けた瞬間【祈り】によって聖なる光でその刃を輝かせ、敵に【目潰し】を仕掛けます。
一瞬でも怯ませられれば【カウンター】の一撃を入れましょう。
レイピアで突くには距離が近すぎても、ユーベルコードを乗せてカップヒルトか護拳で殴りつける事は出来ます。
輝きで【体勢を崩す】事が出来ていれば最上ですね。
司・千尋
連携、アドリブ可
やっと本命のお出ましか…
折角だし盛大に持て成してやるから
遠慮するなよ?
陰陽師達に協力要請
結界での防御を頼んで
俺は攻撃優先で行動しよう
近接や投擲等の武器も使いつつ
宵と暁との波状攻撃で攻撃
死角や敵の攻撃の隙をついたりフェイント等を駆使
範囲攻撃や2回攻撃など手数で補う
攻撃時は味方は巻き込まないようにする
敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
結界術やオーラ防御も鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
回避や防御、相殺する時間を稼ぐ
敵の攻撃の刃、羽、呪言は三種類同時に当たらないように対処しやすい攻撃を集中して防ぐ
間に合わない時は双睛を使用
陰陽師達への攻撃は最優先で防ぐ
● 三連符三連舞
戦場に降り立った大天使は、見惚れるほど妖艶な笑みを浮かべながら手にした侵略蔵書を掲げている。その美貌に眉を顰めたハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は、エッジ・オブ・サンクチュアリを構えると油断なく距離を取った。
「鬼の次は天使ですか。ロロサエルの剣術の冴えは、よく知られていますからね。こちらも隙は見せられません」
「そうだよな。万が一、ってこともあるしな」
同意、と言うように頷いたカイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)は、側に控えていた陰陽師にチラリと目配せをすると本体である銛を手渡した。打ち合わせ通りに頷いた陰陽師は、大切そうに銛を抱えると一目散に駆け出した。
「よっし! これで心配はいらねぇな。てめぇが猟書家のロロサエルってか。存分に相手してやるぜ!」
「ふふ、敵の眼前で得物を手放し防御に回しますか。さしずめ貴方はヤドリガミで、その銛が本体といったところですか」
「だとしたらどうする!」
叫んだカイリは地を蹴ると、ロロサエルに向けて駆け出した。後ろに下がる陰陽師を守るように駆け出したカイリを回避したロロサエルは、翼を広げると朧月の如き羽を陰陽師へと放った。
「さあ、まずはそこの陰陽師を血祭りに上げましょうか!」
「させるかよ!」
必死に逃げる陰陽師に迫る羽の前に、無数の盾が展開した。分割した鳥威を展開した司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)は、澄んだ音を立てながら割れる盾と陰陽師の間に割って入った。
直後に翻る三日月の如き刃を展開した双睛で防いだ千尋は、目前に迫るロロサエルの剣圧に笑みを浮かべた。
隙を見せれば必ずそこを突いてくる。ロロサエルの攻撃を誘導した千尋は、これ以上は決して進ませないといわんばかりの気迫で日本刀を押し留めた。
「やっと本命のお出ましか……。折角だし盛大に持て成してやるから遠慮するなよ? ……宵! 暁!」
千尋の声に応えた二体の人形が、左右から同時に斬りかかる。双睛を蹴り後方に回避したロロサエルを、金色に変化した千尋の瞳が睨みつけた。
「失せろ」
冷徹な声と同時に、宵と暁の動きが加速する。左右から仕掛けられる波状攻撃に、ロロサエルは防戦一方に追い込まれる。人形たちの続けざまの攻撃をいなすロロサエルに、月烏が閃いた。
青白く光る美しい小太刀を手にした千尋が、ロロサエルを斬り裂く。人形たちに気を取られていたロロサエルは、意識の外にいた千尋の攻撃を回避することも受けることもできない。
鋭く踏み込み連撃を繰り出す千尋に、ロロサエルは地面を踏み込むと後方へと飛ぶ。憎々しげに頬を歪めたロロサエルは、魔眼を輝かせると千尋を睨みつけた。
「やりますね人形遣い! 卑小な人形遣いごときが、私を邪魔するなど笑止千万」
「卑小なのはてめぇだ!」
千尋が引きつけている間に後ろに回り込んだカイリが、カウンターの要領で守神霊符を放った。強い呪いが込められた符に動きを止めたロロサエルに、ハロの短剣が閃いた。小柄を活かして斬りつける短剣の輝きにロロサエルは日本刀で応戦するが、陰陽師の結界を纏ったハロには強打を与えられない。
舌打ちするロロサエルは、ユーベルコードの矛先をハロへと向けた。月焔邪視の視線がハロを捕らえる寸前、守神鏡が現れた。勾玉で転送された鏡に映った視線は、対象をハロから自身へと変化させる。
ロロサエル自身と視線が合い、精神や身体の内側から蝕む焔が彼自身を蝕む。喉を押さえ苦しむロロサエルに、カイリは口笛を吹いた。
「邪眼に鏡ってのは本当だな。まあ、例え俺様に当たっても、本体無事だから気にしねぇんだけどさ。ヤドリガミだし。それよりも、後ろがお留守だぜ大天使様よぉ!」
「おのれ、猟兵……!」
「背中がお留守」
カイリに意識が向いた隙を突いたハロは、手にしたエッジ・オブ・サンクチュアリを脇腹に突き出し、深々と突き刺した。死角から仕掛けられた攻撃に反撃のユーベルコードを詠唱しようとするロロサエルに、ハロは続けざまに連撃を仕掛けた。
後方へ下がった陰陽師達との距離を開けさせるように、奥へ奥へと追いやる。日本刀の反撃を陰陽師の結界で防いだハロは、ロロサエルに攻撃させまいと踊るように踏み込み続けた。
ロロサエルの攻撃の冴えはよく知られている。連撃をまともに受けては、猟兵といえどただでは済まない。
ハロの攻撃が緩んだ隙を突き仕掛ける攻撃を、カイリの守神霊符が阻害する。やがて速度が落ちたハロの隙を突いたロロサエルの日本刀が、彼女を切り裂かんと迫った。
咄嗟に出したエッジ・オブ・サンクチュアリで武器受けしたハロは、その瞬間聖なる光を刃に乗せた。
「天使様には似合いの光です」
間近で輝いた光をまともに見たロロサエルが、一瞬怯んで一歩下がる。その隙を突いたハロは、大きく踏み込むとカウンターを叩き込んだ。
振り抜き連撃を止めたハロの攻撃を引き継いだ宵と暁が、それぞれの得物を手に鋭く斬りかかる。
連携攻撃に防戦一方に回ったロロサエルは、苛立ったように日本刀を一振りするとハロに向けて斬りかかった。
「小娘が! 膾にして差し上げましょう!」
「させるかよ!」
間合いを読んでいたカイリは、ロロサエルが月閃乱撃を放つ寸前に守神霊符を放った。守神勾玉で転送させた七星七縛符の乗った守神霊符は、七枚に別れると淡く輝くきロロサエルのユーベルコードを封じる。初めて使う七星七縛符が要求する代償に命を削られる感触を感じたカイリは、眉を顰めると叫んだ。
「さすがに、長時間は続けられねぇ! 頼んだ!」
「よろしい! ならばあなたの命を全て削り尽くすまでです!」
隙なき連続攻撃を放つ態勢に入っていたロロサエルは、発動しないユーベルコードを強引に発動させようと力を込める。それを許す猟兵ではなかった。
「させねえよ!」
隙を突き駆けだ千尋の攻撃が、動きを止めたロロサエルの鳩尾を捉える。勢いのままに振り抜かれた鈍器の一撃に身体をくの字に折ったロロサエルに、ハロのジョウブレイカーが叩き込まれた。
「……覚悟しなさい!」
態勢を崩したロロサエルの首に、掌底が叩き込まれた。身を翻し勢いを存分に乗せたハロの一撃は、衝撃波を伴いロロサエルの延髄を破壊していった。
「が……はっ!」
血を吐き地面に叩きつけられたロロサエルが、首を押さえながら地面を転がる。その姿を見下ろしたハロは、反撃を受けながらも軽傷で済んだ腕を振ると再び身構えた。
「あなたが見下した人間たちの守りと私達の連携が、今の一撃を決めたのです。強敵にも臆さず立ち向かう私達の力、思い知りましたか?」
「大口を叩くものですね小娘風情が……!」
辛うじて回復し、憎々しげな声を上げながらよろりと立ち上がるロロサエルに、猟兵達は再び得物を構えると踊りかかった。
大成功
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大豪傑・麗刃
うーん。第1章は微妙にすべった感があるなあ。第2章はまじめにやったものか。だいたい目の前の相手はどう見てもネタを解さぬ男だ。ギャグやってもすべるだけであろう。
なあ、大腿骨転子部骨折パンタグリュエルくん。
ほれみろ。やっぱり塩対応かボケ殺しではないか。違うなら苦戦以下かボツもやむなし。
きみはほんとうにつまらん男だ。
(伝説の超変態人発動!)
きみへの失望による巨大化と怪力で、今のわたしはキャバリア用の剣と盾(トラックで持ってきた)すら持てる。これは戦闘ではない。蹂躙だ。ぐさ、ではなく、ぷち、だ。
あとは相手の豆鉄砲のようであってほしい連撃を耐久力と盾受けで耐えつつ接近し、必殺の大質量攻撃をくらわすのみ。
● ギャグ VS シリアスの仁義なき戦い
大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は腕を組んだ。
猟兵達の見事な連撃を受けてなお立っているのはさすが猟書家といったところ。頬を伝う赤い筋さえ麗しいという姿は敵ながらあっぱれで。殺気を漲らせ睨みつけてくる視線を受けた麗刃は、すっと腕を上げるとしかっと組んだ。
「うーん。第1章は微妙にすべった感があるなあ。第2章はまじめにやったものか」
仁王立ちしながら考える。第2章はボス戦で、大天使ロロサエルが出てくるというのはトップ画像で予告されているのだ。この大天使様はまだ宿敵主と邂逅してないし。好奇心旺盛なシリアス皮肉で冷笑ドS天使猟書家(褒め言葉)を相方に据えるというのはなかなかに難易度が高い。
だが。ここで真面目にユーベルコードを使って戦術を組んで戦うのは、大豪傑の血が許さない。他の猟兵達は真剣なものだし、サポートを全部呼んで合う人がいるか探してみてもなかなかうまくいかない。ダメ元で一発ネタを投げてみるか。
0コンマ1秒ほどで思考を回転させた麗刃は、顔を上げるとロロサエルを真っ直ぐ見据えた。日本刀のギリギリ射程外で真剣な表情をする麗刃に、ロロサエルは怪訝そうな顔で問いかけた。
「なんです猟兵?」
「きみはどう見てもネタを解さぬ男だ。ギャグやってもすべるだけであろう。なあ、大腿骨転子部骨折パンタグリュエルくん」
「生憎私はそのような名ではありませんよ」
あっさり言い放つロロサエルに、麗刃はこの世の終わりのような深くて重い溜息をついた。
「ほれみろ。やっぱり塩対応ではないか。違うなら苦戦以下かボツもやむなしとも思ったが、まさかこれほどとはな。きみはほんとうにつまらん男だ」
「あなたに好かれようなど、微塵も思ってはおりませんよ猟兵! お望み通りあなたの大腿骨転子部を骨折して差し上げましょう!」
麗刃の問に冷笑で応えたロロサエルは、日本刀を抜刀すると鋭く斬り込んだ。日本刀による隙無き連撃が麗刃を圧殺するように放たれ、殺気を帯びた刀身がまるで壁のように麗刃に襲いかかった。無数の刃はしかし、巨大化した足に受け止められた。
「なに!?」
「いってて。敵の変身が終わるまで攻撃は控えるという不文律も知らないのかねきみは! なおのこと失望した! カモン! EPキャバリアシールドとRXキャバリアソード!」
ギャグを理解しないロロサエルへの怒りと失望を力に変えた麗刃の身体が、みるみるうちに巨大化する。身長5メートルほどにまで巨大化した麗刃は、グリモア猟兵にトラック型ゴーレムで運ばせたキャバリア用の剣と盾を振りかざす。ロロサエルの日本刀の前にキャバリアシールドを立てた麗刃は、そのまま盾を振り切ると一歩前に出た。
「きみへの失望による巨大化と怪力で、今のわたしはキャバリア用の剣と盾すら持てる。これは戦闘ではない。蹂躙だ。ぐさ、ではなく、ぷち、だ」
「例え巨大化したとはいえ、体力は変わらないでしょう! このまま倒し切るのみ!」
「きみは本当につまらない男だ!」
空を飛んで対抗しようとするロロサエルに、麗刃の足が迫る。
相性の悪さを逆手に取った麗刃の5メートルの靴を回避することもできないロロサエルは、そのまま大質量に踏み潰されるのだった。
成功
🔵🔵🔴
クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎
退屈しのぎ?
そんな大口叩けるん、何時までやろね?
(そう言うて、今まで何回撃破されてきたんやろ
記憶リセットされとる?
それとも実は結構脳筋…いやいや
陰陽師達に結界術+鼓舞で保護強化
結界を維持・支援協力してもらう
限界突破+先制攻撃で先手
シールドバッシュと吹き飛ばしで結界内へ入れ弱体化狙う
同時にUC展開
敵UCを封じる
寿命?仙人にそれ言う?
超重力で地に墜ちて、少しは謙虚さ学んでみ?
フェイント+マヒ攻撃+毒使い+破魔+鎧無視攻撃と汎ゆる技能のせ攻撃
敵攻撃は陰陽師達に被害出ぬよう軌跡を見切り
武器受け+盾受け+カウンター+激痛耐性で対処
あーもう、一昨日おいで、って感じや
箒逆さに立てとこか?
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
成功数過多なら却下可
退屈しのぎ、と言ったな
…大した天使サマだな
猟書家ならここで果てろ
飛ばれたら厳しいので、足止めを図るか
陰陽師に結界の維持を頼み、「挑発、殺気」で大天使の気を惹こう
猟書家なら、俺らなんぞ赤子の手をひねるようなものじゃないのか?
その場に足を止めたら「地形の利用、ダッシュ、ジャンプ」で接近
「2回攻撃、鎧無視攻撃、部位破壊」+指定UCで羽根を狙い18連撃(味方斬りなし)
UCを封じられても気にせず斬るのみ
大天使よ、地に墜ちろ!!
刃と羽根は「残像」を囮にしつつ「第六感」で察知し「見切り」で軌道を見極めて回避
呪言は大天使を斬り倒すまで倒れぬとの「覚悟」で耐える
● 大天使を地に堕とし
満身創痍のロロサエルは、よろりと身体を起こすと心底おかしそうな笑い声を上げた。
「くくっ……! まさかここまでやるとは思いませんでしたよ猟兵! 退屈しのぎは終わりです。この辺りで引かせていただきましょうか」
立ち上がったロロサエルは、地を蹴ると空高く飛び立とうと翼を広げる。白い翼が羽ばたき天空へと導こうとした時、その動きが止まった。まるで見えない壁に阻まれるように動きを止めたロロサエルは、わずかな焦りをにじませた声を上げた。
「これは、陰陽師の結界……。小癪な真似を!」
「退屈しのぎ? そんな大口叩けるん、何時までやろね?」
ロロサエルを見上げたクルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は、小馬鹿にするような声と共に薙刀を突きつけた。
上空2メートルほどの高さで滞空したロロサエルは、クルルのーークルルが守る陰陽師達の姿に邪悪な笑みを浮かべた。
「その陰陽師達がこの結界を張っているのですか。このような脆弱な結界など、私のユーベルコードで引き裂いて差し上げましょう」
「退屈しのぎ、と言ったな。……大した天使サマだな。猟書家なら、俺らなんぞ赤子の手をひねるようなものじゃないのか?」
殺気を込めた目でロロサエルを見上げた館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)の声に、ロロサエルはピクリと眉を上げた。敬輔の挑発に慌てたように振り返ったクルルは、指を口元に当てるとロロサエルをチラリと見た。
「それは言わんといて。そんな風に挑発して、うちら今まで何回撃破されてきたんやろ。覚えとらん? 記憶リセットされとる? それとも実は結構脳筋……いやいや」
首を横に振り弱みを見せるクルルに、ロロサエルは結界に突き立てようとしていた日本刀を下げると、二人を見下ろし口の端を歪ませた。
「その手には乗りませんよ猟兵。あなた方は強い。そしてしぶとい。万全の態勢を整えた後に相手して差し上げ……」
呪言を乗せた声が、挑発するクルルに向けられる。精神を蝕む呪言が効果を発揮する寸前、虚空より無数の鎖が放たれた。
「縛り戒め虜囚となさん、時の涯まで、終の戦の果つるまで――」
クルルの召喚に応え虚空より湧き出た超重力波を纏う無数の鎖が、ロロサエルを捕縛する。鎖を引きちぎろうと上空に飛び立つロロサエルは、ぶつかる結界に舌打ちをこぼした。
「この私のユーベルコードを封じるとは。よほど強力なのでしょうね。命を削らずに発現できるとは到底思えません」
「寿命? 仙人にそれ言う?」
呆れたように肩を竦めたクルルは、勢いよく鎖を引く。抵抗していたロロサエルの身体は、超重力に引かれると地上に向けて高度を下げた。
「超重力で地に墜ちて、少しは謙虚さ学んでみ?」
「謙虚? では謙虚に陰陽師を先に倒しましょう!」
叫んだロロサエルは、鎖の巻かれていない翼に力を込めると陰陽師に向けて解き放った。ユーベルコードではない、通常攻撃として放たれた羽は、結界の維持に全力を注ぐ陰陽師に向けて一直線に向かっていく。
ロロサエルの攻撃に、クルルは舌打ちを零すとユーベルコードを解除し羽に向けて駆けた。全力で駆け、陰陽師との間に割って入ったクルルの腕に羽が突き刺さる。
「そう来ると思いましたよ猟兵。それではごきげんよう」
自由を取り戻したロロサエルは、再び空へ舞い上がろうと翼を広げる。その上空に、黒い影が現れた。
● 倒すが先か 倒されるが先か
「逃しはしない!」
攻撃範囲内に降りてきたロロサエルを確認した敬輔は、高度を下げた背中に地を蹴った。勢いよく助走をつけ、跳躍。ロロサエルの背中に飛び乗った敬輔は、黒剣を翼の根本に叩き込んだ。
「二度と空へ逃さない。大天使よ、地に墜ちろ!!」
オブリビオンへの怒りを顕にした敬輔の右目が赤く輝く。闘争心に身を委ねた敬輔は、ロロサエルの翼を黒剣で切り刻み続けた。背後からの六連撃に身を翻したロロサエルは、三日月の如き刃を振り抜いた。放たれるユーベルコードの刃は敬輔を切り裂き、激痛が攻撃力を弱らせる。
だが、それで攻撃を止める敬輔ではなかった。激痛を無視して攻撃を続ける敬輔はロロサエルと同時に地面に着地すると、即座に連続攻撃を再開。その鬼気迫る勢いに、ロロサエルは朧月の如き羽を放った。
「この、死にぞこないが!」
「それだけ羽を失えば、もう二度と空へは戻れないだろう。ここで果てろ!」
羽を回避すれば連撃が途切れると言わんばかりに、敬輔は攻撃をやめない。なにかに取り憑かれたかのように踏み込み繰り出される六連撃は、確実にロロサエルを追い詰めていった。
突き刺さった羽は敬輔の動きを阻害し、剣の冴えを奪っていく。威力を落としながらも一向に戦意を衰えさせない敬輔の連続攻撃に、ロロサエルは恐怖にも似た呪言を放った。
「お前の本能は命を惜しむだろう。攻撃をやめ……」
「あーもう、一昨日おいで、って感じや。箒逆さに立てとこか?」
戦いに集中するロロサエルに、クルルの声が響く。紅緋の貴石が彩る白い手袋が嵌められた手から張られる光花の盾が、ロロサエルを弾き飛ばす。虚を突かれた呪言が中断され、息をつまらせた。
そこに、敬輔の連撃が続いた。味方を斬ることなく続く最後の六連撃に防御姿勢を取ったロロサエルだが、構うことなく剣戟は続く。絶対にここで討ち取る、大天使を斬り倒すまで倒れぬとという執念にも似た覚悟で放たれた攻撃に、ロロサエルはついに膝をついた。
「猟書家ならここで果てろ」
冷酷な宣言。同時に大きく黒剣を振りかぶった敬輔は、袈裟懸けに黒剣を振り抜く。
胸を大きく裂かれたロロサエルは、手についた血を見つめると口元を歪めた。
「ふふ……。幾度も倒されたのは、私の方、でしたね」
「お前が何度でも蘇るなら、何度でも倒してやる。骸の海から蘇り続ける限り、何度でもな!」
「エルフの寿命は長いさかい、なんぼでも相手したるわ」
二人の言葉に、ロロサエルは心底楽しそうに頬を歪めた。
「それは面白い趣向ですね。あなた方の、寿命が尽きるのが先か、私達オブリビオンが全滅するのが先か、勝負と……参りましょうか。ふふふ、ははは、はーっはっはは!」
高笑いを上げるロロサエルの身体が、徐々に崩壊していく。一握の砂となり消えていくロロサエルの姿を、猟兵達は見送る。
消えていくロロサエルの姿に、陰陽師や武士達の喝采の声が響くのだった。
大成功
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