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隧道を這い出て来るモノ

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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●失踪事件
 クロムキャバリア世界 エルデナント共和国カルノパ州サノカティラ市。
 国内屈指の人口を誇る経済都市として知られる同市は、現在ある問題を抱えていた。
『続きまして連日お伝えしている連続失踪事件についてのニュースです。』
 サノカティラ市連続失踪事件。始まりは2週間前、民間の資源リサイクル業者が馴染みのホームレス達が来ない事を不審に思い同市警察に相談。ホームレスが根城にしていたと思われる高架下の荒らされた状況からホームレス狩りに遭い、住処を移したと結論付けられた。
 事態が動いたのはそれから5日後、市郊外の廃工場で集会に参加していた不良少年グループが謎の失踪を遂げた事が全国的に報道されたのだ。グループリーダーの恋人からの通報で集会場所となった郊外の廃工場を市警察が捜索を行った結果、ホームレスの時と同じく現場は酷く荒らされ、一部では争った跡も見受けられた。
 市民の――それも未成年の失踪ということもあり警察は公開捜査を決定。事態の早期解決を目指す事を宣言した。
『次のニュースです。地下鉄構内の異臭に関して、市交通局はガス漏れの可能性があるとし、全面的な緊急点検を行うことを発表しました。これにより市内を走る地下鉄各線は本日終電以降の運転を取り止め……。』

●地下迷宮への招待
「クロムキャバリア世界、エルデナント共和国の司法省から同国サノカティラ市で発生してる失踪事件絡みで仕事の依頼が来てるわよ。」
 イザベラ・ラブレス(デカい銃を持つ女・f30419)はそう切り出すと、依頼内容の説明を始めた。
「同市で発生した連続失踪事件について、捜索任務にあたっている部隊が消息を絶ったので可及的速やかにこの部隊の安否を確認、場合によっては撤退を支援してほしい――っていうのが表向きの依頼内容ね。」
 そう言うとイザベラは、猟兵達の目の前に設置されたモニターに路線図や古い写真の画像を表示させる。猟兵達は画像内の読み取れる文字などから、それらはまだ共和国が王政下、『旧体制』時代のサノカティラ市街の物であることを理解した。
「サノカティラ市はかつてキャバリアの生産プラントを有していた軍事都市として知られていたわ。しかし度重なる事故によりプラントは凍結封印されて放棄、港湾機能に目をつけた企業連合が入植した後に経済都市として生まれ変わったという歴史があるの。」
 そのプラントで生産されていたのはエヴォルグシリーズ――所謂「生体キャバリア」と呼ばれる種類であった。
「このキャバリアは有機物の摂取によりエネルギー補給が可能なの。…まぁここまで言えば失踪者の末路がどうなるかってのは皆まで言う必要はないわよね?このプラントの再稼働にいち早く気づいた司法省もその点を危惧していたらしくプラントを破壊するために独自に施設座標の調査を開始。だけどそれが間に合わず市民に被害が出てしまい、やむなく『市警察による公開捜査』に乗り出したって経緯があるみたいね。」
 共和国司法省がこのプラントを処理したい理由は共和国陸軍内部の若手将校グループの不審な動きを警戒してのものであった。『官民連携によるさらなる経済発展』を掲げる現政府は企業寄りの政策をすすめる反面、福祉を信頼ある企業に委託する方針を取り、一部の識者から企業の傀儡と揶揄されていた。
 しかし、それでも企業が「一線を越えない」様に努めてきた結果が国民所得の増加、貧富差の縮小として数字で現れ、政府に対して好意的な世論が形成されていたのだ。
 これに対して件の将校グループは政府を「国家理念を忘れた企業の犬」と痛烈に批判。さらに将兵に向けてのアジ演説など、問題行動により軍上層部による処罰を受けるが、未だにその反政府思想の芽は潰えていないという現状であり、下手に力を持たせないためにも件のプラントは破壊せざるを得ないというのが司法省の判断であった。
「これらの理由から本依頼の主目標は当該施設の完全破壊。副目標として捜索隊および失踪者の救出となるわ。…ここまではいいわね?じゃあ続けて仕事の進め方についての説明に入るわよ。」
 イザベラがそう言うとモニター内の画像がすべて閉じられ、新たに地下鉄の見取り図が表示された。
「転送されたらまず現地協力者の誘導で地下鉄構内に進入、プラント施設へと繋がる通路の捜索ね。現在地下鉄は交通局がガス漏れ点検って事で鉄道運行はストップ、民間人の立ち入りも遮断しているから遭遇戦が発生しても対処はしやすいと思うわ。ただ、閉所で行動しているってことを意識して限度は守ってね?」
 地下鉄トンネル内は高さ10メートル、幅20メートル。保守点検用の作業キャバリアを動かす分には問題ないが、高機動戦闘は勿論、高威力の爆薬などを用いれば崩落に巻き込まれる可能性があるだろう。さらに廃線区画は余計に脆くなっていたり水没している箇所もあるらしい。戦闘はなるべく避けた方がよさそうだ。
「そしてプラントへの道、これは件の生体キャバリアが無理矢理こじ開けた横穴とかね。これを見つけたら中へ進入。到着地を捜索してプラント施設の破壊と捜索隊を救助出来たら任務成功よ。また施設が稼働している以上、警備システムがこちらを侵入者と認識して攻撃を仕掛けてくるだろうから、以降の戦闘は各自の判断に任せるわ。ここまでで何か質問は?……無いわね。ではGood hunting Jaeger.(猟兵諸君、良い狩りを)」


マーシャル後藤
 ナンバリング新作よりもアウトブレイクの新作が出てほしい。
 どうも、マーシャル後藤です。
 カクリヨ戦争期間中ですがマイペースにクロムキャバリア世界でゾンビは出ないけどバイオなハザードっぽいシナリオをやっていこうと思います。
 封印されたはずの施設から這い出てきた生体キャバリアが地上に溢れ出る前にプラントを破壊してしまいましょう。
 また同市を舞台とした過去シナリオに登場したNPCが出てきますが、事前知識が無くとも問題ございません。

●シナリオ構成について
 第一章は冒険で、地下鉄トンネル内を探索します。生体キャバリアが開けたと思しき横穴を見つけましょう。
 基本的に戦闘は発生しませんが、猟兵達は敵である生体キャバリアの気配を至る所から感じる事が出来るでしょう。また、周囲を探してみると被害者や捜索隊の痕跡などが見つかるかもしれません。
 第二章はプラント施設の運搬通路内で生体キャバリア相手の集団戦となります。
 地下鉄トンネルよりも空間的なゆとりはありますが、それでも閉所となるため、高威力兵器の使用はご慎重に。しかしこれは敵にも同じことが当て嵌まります。上手く環境を利用し、最深部を目指しましょう。
 第三章はプラント本拠地でのボス戦となります。施設警備システムを搭載したオブリビオンマシン化キャバリアを撃破し、プラント施設を安全に破壊しましょう。

 その他情報については各章の断章にてご確認下さい。

●プレイングボーナスについて
 本シナリオでは第一章、第二章で「捜索隊の痕跡を探す事」でボーナスが発生します。
 また第二章、第三章では閉所での戦闘である事を留意しているプレイングにはボーナスが発生します。

●プレイング募集について
 第一章は断章追加後から募集開始となります。
 また受け付け締め切りや、第二章以降の募集開始、再送受付開始等についてはタグにてお知らせします。

 それでは皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 冒険 『地下進撃』

POW   :    多少の損害は無視して強行突破

SPD   :    最短ルートを突き進む

WIZ   :    状況を推理、考察しながら慎重に進軍する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●サノカティラ市警庁舎 3階廊下
「ウィリアム!ウィリアム待ってくれ!」
「いいや待てませんね本部長!捜索隊からの連絡が途絶えて8時間ですよ!?何かあったに違いない、すぐ州軍に応援を要請するべきです!じゃなきゃ俺一人でやりますよ!」
 失踪事件捜査本部から飛び出すように出ていったウィリアム・ハム警部補は、その後ろから宥めに来たロビンソン警視に指を突き立てながら事態の深刻さを訴えた。
「交通局の局長も言っていた様に我々が考えている以上に地下鉄構造が複雑なんだ、管轄の彼らでさえ廃線区画を含む全てを把握するのに2日は必要だと言っている訳だし。」
「じゃあ定期連絡が無くなった理由は?」
「…機材トラブルか何かだろう。彼らは市警きっての精鋭達だ、無理をするとは思えん。」
「全く話になりませんぜ本部長。とにかく、市長でも州知事でもいいから話を通してありったけの武器と物資を持ち込んで徹底的に捜索すべきです!刑事の勘がこのヤマは港の時以上にヤバいって言ってんですよ!」
 先に起こった港湾襲撃事件を引き合いに出したウィリアムの言葉に生え際が後退した頭を掻きながらロビンソンは溜め息を付く。
 ――ロビンソンはよくポーカーで良くない手が出来ると頭を掻く癖がある。ふとそんな事をウィリアムは思い出した。
「…何か隠してます?」
「それは私から説明しよう、ハム警部補。」
 ロビンソン警視の様子を不審がったウィリアムを背後から呼びかけたのは一人の男であった。
 警視であるロビンソンよりも上等なスーツを着こなし、眼鏡の奥から蛇を思わせる眼を覗かせるその男の名前はトーマス・ハリガン。共和国司法省長官として知られる男であった。
「長官!なぜ貴方がここに!?」
「市警の手に負えない事態となっていると我々が判断したからだよロビンソン君。」
 驚くロビンソンの疑問に食い気味に答えるとハリントンはウィリアムへと向き直った。
「ハム警部補。まず結論だが、これは司法が主導権を握らなければならない案件だ。軍の介入は容認できん。勿論州政府の介入もだ。」
「なっ……。」
 絶句するウィリアム。しかしハリガンは彼の前で人差し指を立て、言葉をつづけた。
「そこで、だ。司法省は本件の早期解決に猟兵の力を借りる事を決定した。そして猟兵からはこの仕事を受けるとの返事が返ってきた。」
 猟兵。その実力を先の事件で目の当たりにしていたウィリアムは長官の口から出た助っ人の名前に更に絶句。
「…そりゃ、凄い。…マジですか。」
 しかし何とか言葉を紡いだ。
「大マジだよ。で、警部補。君は先の港湾襲撃事件で猟兵との接点を作った実績がある。長官としてその実績を鑑み、本件における猟兵達の世話役を君に任せる。警部補に昇進してから初の大仕事だ。悪くない話だろう?」
 頑張りたまえよ、そう言ってウィリアムの肩を叩いたハリガンはロビンソンを連れて捜査本部へと向かう。一方のウィリアムは余りの話しの大きさに、ただそこに立ち尽くすしかなかった。

●4時間後 サノカティラ市郊外 市営地下鉄地上整備場
「…で、俺がここにいるって訳だ。という事でよろしくな。」
 クロムキャバリア世界に転送された猟兵達を待っていたのは防弾ベストにカービンライフルという出で立ちのウィリアム・ハム警部補であった。
「そちら側でも把握している通り、市警の捜索隊からの連絡が途絶えて12時間以上が経過している。上はメンツもあってか大事にしたくないらしくてな。俺ら警官も構内に一般人が入らないように警備すること位しか出来ない状態だ。…まぁあんたらが出張る程なんだ。警察の手に負えないヤベぇのが地下にいるってのは理解しているつもりさ。」
 自らの無力さに肩を落とすウィリアム。猟兵達はその様子から彼がプラントの事や生体キャバリアの事について知らされていないという事に気が付く。
「とにかく今は1秒でも惜しい状況だ。準備ができ次第向こうのトンネルから地下鉄道網内に進入してくれ。俺の方でも出来る限り情報面でサポートするつもりだ。」
 何かあったら無線で連絡してくれ。ウィリアムはそう言い、トンネル脇の建物へと駆け込んだ。
 直後、トンネルを封鎖していた鉄扉が繰り返される作業アナウンスと共に開放される。入り口付近は通電しているようで通路灯が一定間隔で設置されおり、進入直後から暗闇に悩まされるという事はないだろう。
 しかし、この向こうのそのまた奥にオブリビオンマシンが待ち構えている。それを知っている猟兵達にはその灯りが獲物を誘導する罠の様に見えてならなかった。
●Welcome To The Tunnel
 換気ファンの駆動音、照明安定器の振動音、滲み出た水滴の垂れる音。猟兵達はその無機質なセッションと共に無人のトンネルを行く。
 暫くは一本道であったが、その先は幾つもの分岐、さらに作業員用のメンテナンス通路が待ち受けていた。
 果たしてどれが正解の道か、それともすべての道が正解に通じているのか。
リリウム・マーセナリー
※アドリブ・連携歓迎

閉所での戦闘な上、私の専用機は定期的なメンテナンス中。久々に『MC-65ワイバーン』(中量級量産機、両肩にシールド(イメージは甲冑)、パーソナルカラー(白)塗装)での出撃と行きましょう。
――こんな事件、放っておく事なんてできませんからね。

「此方『白百合』。状況を開始します」
いつもなら機体名をコールサインにしますが、今回は私の所有とはいえ量産機。二つ名をそのまま利用しましょうか。

幸い、共通規格なので、専用機からレーダーユニットは拝借して換装済。【索敵】及び捜索に確りと注力しながら先に進みます。レーダーに反応があれば友軍に情報を共有し、捜索効率を上げていきます。




「此方『白百合』。状況を開始します」
 リリウム・マーセナリー(白百合の傭兵/ホワイトアウト・f29990)は中量級量産型キャバリアMC-65『ワイバーン』に搭乗し探索を開始した。専用機のメンテナンス中という理由でのチョイスであったが、近中距離戦適正に加え、双肩に担ぐ盾の防御力は機動力を必要としない閉所での戦闘において真価を発揮することだろう。
 更に狙撃補助用のレーダーユニットを稼働させることにより動体目標に対する正面索敵能力を向上させる。闇を見通す眼を得た白百合の傭兵は慎重に、しかし迅速に隧道を征く。
 暫く進むと分岐点があらわれた。道は2つ。ひとつは上り気味に傾斜がついた直線。もうひとつは下り気味に傾斜のついた左曲がりの線路である。
「ハム警部補、こちら白百合です。応答願います。」
『聞こえてるぞ白百合。どうした?』
 目的のプラントは地下鉄構造のさらに地下に存在する。そう考えれば左曲がりのトンネルを進むべきであったが、リリウムは2つの道がそれぞれどこへ続いているのかをウィリアムに確認する。
『ちょっと待ってくれ…あぁこれだな。まず上りの方は4年くらい前に開通した郊外住宅地から伸びてる通勤通学用のワンマン列車専用路線だ。通ってるトンネルの中じゃ新品同然だな。そして下りの方は中心街の環状線に出るトンネルだ。こっちは3、40年くらい…俺がガキの頃にはもう走ってたから相当年季が入ってるはずだ。』
「なるほど…。」
 確かにウィリアムの言うとおり、上りの方はコンクリートの質感も新しく、敷かれたレールも摩耗は見られるが枕木は下りのもの見比べれば劣化は少なく、しばらくは交換の必要もなさそうである。
 しかし、だからこそ「それ」はリリウムの目に不自然に映ったのだ。
「警部補、もう一つ確認を。地下鉄トンネル内の通路灯ですが近々メンテナンスが入るなどの情報はありますか?」
 リリウムは一定間隔で灯る通路灯が、妙に間隔が広がっている区間があることに気が付いた。
『交通局のメンテナンス予定か。…秋の一斉点検までは暫くはないみたいだ。』
「わかりました。気になる点がありましたので白百合はこれからワンマン列車専用路線の捜索に入ります。」
『了解だ白百合、くれぐれも気をつけてくれ。』
 通路灯の僅かな違和感。しかし偶然の故障と見過ごすには余りにも不自然な隙間。
 リリウムは警戒の為ライフルを構えレーダーの反応に注意しながら進む。動体反応はない。
「やっぱり…」
 暗くなってる地点へと辿り着き、暗視装置を起動させると暗闇の中に破損した通路灯が浮かび上がる。その表面には粘液のようなものが付着しており、そのすぐ側にはこれまた闇に紛れるように横穴が開いていた太い支柱の影にちょうど収まり、日々の業務で線路を往来する車掌でさえも気がつけない死角の中にそれは存在した。
「最寄り駅までは800メートルも無い…よく被害が出ませんでしたね。」
 これがもし通勤通学時間帯に件の生体キャバリアが湧き出し、地下鉄の利用客を狙っていたら。そして構内から市街へと這い出ていたら。被害の大きさは計り知れないものとなったであろう。
――一刻も早く解決しなくては。地上のウィリアムと地下鉄内の猟兵たちに横穴の一つを見つけた事を共有した白百合の傭兵は、決意を新たにし更なる暗闇に身を投じるのであった。

●発見:横穴A
 生体キャバリアが出入りに用いていると思しき穴。暗がりに形成されているため暗視装置などを用いずに見つけることは困難を極めるだろう。
「白百合」が発見したその穴は地表に近いトンネル内に作られたものであり、比例してその坑道の長さも最長であった。
 ほぼ垂直の坑道が形成されている事から生体キャバリアの四肢は壁面を移動できる機能を備えていることが想定される。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティー・アラベリア
奉仕人形ティー・アラベリア、ご用命に従い参上いたしました
随分と興味深いものが徘徊しているご様子
蟲が背や首筋を這い回るような視線と気配、嫌いではございませんよ♪

さて、地図上に描かれている通路の他にも諸々抜け道があるようですね
ここは物量で行きましょう、斥候妖精と索敵にも使用できる対人同化妖精を放ち、分岐をしらみつぶしにいたします
妖精達が見つけた脇道の情報や敵の痕跡を地図データ上に更新しつつ、指揮通信機構で他の猟兵の皆様にも共有致しましょう
どのような状態になっていたとしても、被害者の方がいらっしゃいましたらその情報も地図上にプロット致しませんとね
安全が確保され次第、回収する必要があるでしょうから




「…おや、随分と興味深いものが徘徊しているご様子。蟲が背や首筋を這い回るような視線と気配、嫌いではございませんよ♪」
ティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)は、暗闇の中に潜む何かに気が付いたのか嬉々とした様子で愉しむようにトンネルを進んでいた。
 その様子は見た目も相まって白うさぎを追ってきた、かの童話の主人公の少女のようでもあったが、童話と違う点と言えばこの先に不思議の国はない事、そして彼自身が見た目通りの華奢ではなく、その気になればヴォーパルソード無しにジャバウォックを倒すことも叶うであろう猟兵である事だ。
「それでは早速仕事に取り掛かりましょう。」
 ティーは視線への注意をそらさず斥候妖精を召喚、更に非装甲目標の索敵に特化した対人同化妖精を精製しその場に展開した。
「この手の捜索ではマッピングは基本。人海戦術で徹底的に暴いてしまいましょう♪」
 その無機質な指をパチンと鳴らすと妖精たちはすぐさま行動を開始した。妖精たちはその膨大な物量に物を言わせ、分岐と言う分岐から、キャバリアや人が入れないような隙間という隙間まで隈なく入り込んだ。
「~♪」
 そしてティーは妖精達が収集してくる情報を次々と精査しては地図データを更新し、他猟兵との間に構築した通信網を介して共有を進めている。それも鼻歌交じりで。
「…おや?」
 マッピング作業を進めるティーの動きがふと止まった。彼と五感を直接共有する斥候妖精が何かを見つけたようである。
「パンフレット…これも遺留品でしょうか…?」
 妖精が拾ったものは一見しただけではゴミと何ら変わりのないような一枚のパンフレットであった。しかしそれを開いてみると、そこには油性ペンで書いたと思しき図や文字列がびっしりと書き込まれていた。
「上り坂を300メートル、フェンス横に隙間あり、隠れ場所あり……これはもしや脱出計画でしょうか。」
 それらを読み上げるティーは一つの仮説にたどり着くと、パンフレットの発見現場の最寄駅を検索し、その駅を起点にパンフレットの脱出手順に当て嵌まるルートを逆算で割り出すことにした。
 周辺の路線や作業用通路のうち、条件に当て嵌まるものは5本。マッピング作業中の妖精の3割ほどをこの5本のルートの捜索に当てた所、その内のひとつが大きな穴へとぶち当たった。
「この場所は廃線区画内のようですね。先に同化妖精を向かわせて周囲の安全を確保することにしましょう。」
 穴の位置を地図データに登録したティーは改めてパンフレットを見つけた地点の斥候妖精の視界を借りて周囲を見渡した。しかし、その視界の届く範囲内には他に「気になる様なもの」は見つからなかった。
 
●発見:資源リサイクル会社のパンフレット
 サノカティラ市内に拠点を置く資源リサイクル会社が発行している三つ折りのパンフレット。所在地と電話番号の箇所が油性ペンで大きく囲われており、年季の入った透明の防水袋に入れられた状態で発見された。
 見開きには地下からの脱出手順が書きなぐられており、一連の事件の最初期に失踪したと思われるホームレスの一人が持ち歩いていたものと思われるが、彼らの消息を知る者は今現在も現れていない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーレア・サーディス
生体キャバリア、か。
嫌いだ、私はあれが。
だから壊す。餌なんてやるものか。

万一の際の即応のためにエクトスに騎乗して地下鉄構内に進入する。
ヴォールク部隊は1/3を後方で連絡線の確保に当て、残りは先行して目標の捜索。
たとえキャバリアが出入りできない、人間用のものであっても発見した分岐にはツーマンセルのヴォールクを進入させて調査させる。

生存者を見つけたなら、後衛からさらに二人ずつ割いて四体のヴォールクに護衛させ外へ。
道中で「何人で来て」「何人が逃げ延びたか」知る限りの情報を聞かせてもらおう。

捜索、撤退中のヴォールクは敵性機体に襲撃された場合、最大限の火力で応戦しつつ本隊に合流するように。


黒木・摩那
この地下鉄網のどこかに生体オブリビオンがいるということですね。
行方不明者の捜索に尽力させていただきます。

キャバリア『エクアトゥール』に搭乗します。
地下鉄網はスマートグラス『ガリレオ』でマッピングしながら進みます。

周囲の捜索はエクアトゥールのセンサーで行いつつも、自分も【第六感】で相手の気配を探ります。
生体オブリビオンは小さくは無いでしょうから、地面の踏み跡や壁の擦過痕などで来た方向は推測できそうですし、捜索隊も自らの来た方向のマーキングはしているでしょうから、それをたどっていきます。




 猟兵達による地下鉄内の捜索が続く中、突如銃声が響いた。
『ヴォールク22よりヴォールク・リーダー、敵性機体から襲撃を受けた。これより戦闘に入る。』
「ヴォールク・リーダー了解。ヴォールク22は後退しつつ反撃を行い安全を確保せよ。地下鉄内捜索中の全ユニットへ、ヴォールク22の付近にいる隊員はこれを掩護しろ。」
 「ヴォールク・リーダー」と名乗ったユーレア・サーディス(人造の悪魔の神器遣い・f31798)は彼女が呼び出した重装偵察兵の幻霊に新たな指示を下すと自らもエクトスにて彼らの元へと向かう。
「今の銃声は?」
「私が展開した偵察部隊が接敵したらしい。」
「オーケー。私も援護するわ。」
 そこに付近で捜索を続けていた猟兵、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)も銃声を聞きつけ、乗機「エクアトゥール」とともに合流。彼女が収集したマップデータがユーレアに共有され、襲撃地点までの最短距離が導き出された。

「ヴォールク22、状況は?」
 二人が辿り着いたときには既に戦闘は終わっており、援護に駆けつけた部隊員が周囲に残敵が残っていないかを調べている最中であった。
 曰く、生体キャバリアはヴォールク22の反撃にも平然とし優位を保っていたが、暫くするとユーレアと摩那の接近に気づいたかの様に途端に撤退したとの事だった。
「聞く限りだと迎撃に出てきた、と言うより待ち伏せ、奇襲を仕掛けてきたように思えるわね。」
「エヴォルグシリーズの中には有機物の補給で半永久的に活動できる機体がある。」
 兵器、闘争の概念を司る人造の悪魔。即ち人が造り出した武器兵器のエキスパート。ユーレアは淡々とした口調で生体キャバリアの特徴を語る。
「つまり、活動の為に狩りも行うと?」
「その認識は正しい。私たちが相手をするのはキャバリアサイズの猛獣。対人戦闘以上に慎重になった方がいい。」
 ――なるほど。ユーレアの言葉に頷いた摩那はスマートグラス『ガリレオ』の熱感センサーを起動させ痕跡を辿ろうと試みるが、その痕跡はものの見事にかき消されていた。
「本当にキャバリアが疑わしいほどの知能…。だけど全ての痕跡を消せるわけじゃない。」
 摩那はガリレオが備える複数のセンサーを並列させ、地面や周囲の壁面に視線を配る。すると彼女の視界にガリレオが何かを捉え、それを摩那の視界内に可視化する。
「浮遊型であればお手上げだけど、足を使う以上これは隠せる訳ないか。」
 ガリレオが捉えたのは、足跡であった。敷石の積り方の僅かな差異、壁面に付着した僅かな粘液の形状から特定のパターンを抽出し、ヴォールク襲撃時の起点から撤退路を導き出したのだ。
「足跡は一機分。四足歩行で壁面や天井に張り付くタイプ、そして張り付いて素早く移動する以上、キャバリアの統一規格よりは小型で軽量、体高はあっても3メートルくらいってところかしら。」
 今日の科学捜査において、足跡からその持ち主の性別、身長、体重、歩法に至るまでを調べ上げる事は容易である。しかしそれは幾つもの検証や実験を経て判明するものであり、それを摩那はガリレオの力を用いたとはいえ、僅かな情報からその全貌を推測できたのはやはり歴戦の猟兵だからこそ成せる業であろう。
「四足歩行で小柄な生体キャバリア。それ条件に当て嵌まるやつはたった一つだけだ。あとこれを向こうで見つけた。」
 そう言って摩那に近づいてきたユーレアが手に持っていたものはケミカルライト、俗にサイリウムと呼ばれる照明器具であった。
「恐らく捜索隊が持ち込んだものだ。恐らくこの線路沿いに進んでいる。」
 生体キャバリアの待ち伏せ、襲撃地点の付近にあった捜索隊の痕跡。二人の脳裏に最悪の光景が広がる。
「…この先に進まなければいけないみたいね。それも出来る限り早く。」
「同意だ。これ以上奴らに餌なんてやるものか。」
 二人の猟兵はトンネルの先を決意を秘めた眼で睨む。この先に生体キャバリア、そして元凶たるプラントが待ち構えている。猟兵達にはその確信があった。摩那は付近を探索中の他猟兵にマップデータを共有すると、ユーレアは捜索に向かわせていたヴォールクを彼女の下に集結させるとトンネルの先へと進むのであった。
 
●発見:足跡
 生体キャバリアの襲撃現場で猟兵が発見したもの。その形状から小型の四足歩行タイプで爬虫類に近しい行動を可能とする機種と推定される。また、単独で行動している事から哨戒の役割を担っている個体であった可能性が高い。

●発見:ケミカルライト
 エルデナント共和国の民間企業フリーダムトーチ社製の科学照明器具。同国の陸海軍、司法当局に納品されている。発光時間は12時間。外殻は強化プラスチック製で、底部を叩き付ける事で発光させることができる。猟兵が発見した時には未だほのかに発光していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノエル・カンナビス
有機物の摂取が可能であることと、それを実行することの
間には大きな差がありますね。何が間違ったのでしょう。
単なる飢餓であれば、それはそれで優先度の設定ミスでは。

いわば「バグ」というところですか。
では虫退治に行きましょう。

無人のエイストラをリモートで先行させ、
私はコンバットキャリアに乗って後方を進みます。

エイストラと私は無線リンクで繋がっていますから、
収集した情報はリアルタイムで私に伝わります。
統合センサーシステムをフル稼働させて周囲を探索し、
生存者がいれば無線通報の後、キャリアに収容して前進。
危険な状態ならキャリアだけ自律運転で逆走・帰還させます。

――遺体や遺品については後回しですね。


リコ・エンブラエル
●POW

地下トンネルの中から漂ってくる生臭さが、まるで大口を開けたバケモノの口に見えてしまうな
鬼と出るか蛇が出るか、地獄の底へ行くとしよう

俺のようなテレビウムにとってはギアはキャバリアのようなものだが、大柄な成人男性程度の全高であればトンネル内を苦にせず行動可能だろう
トンネル内をギアの胴体部にあるライトをハイビームで照らし出し、捜索隊と悪ガキらの痕跡を探しながら奥へと進んでいく
キャバリアのような索敵力はないが、別角度の視点ならではの発見があるかもしれない

もし捜索隊を含めた救護者が瓦礫で身動きが取れないのであれば、ギアを『ヘビーアームド・ウェポナイズ』で出力を増し、瓦礫を持ち上げて救助にあたろう




 猟兵達の手により次第に暴かれるサノカティラ市地下の巨大地下鉄網。無計画、無法図上等を地で征ったとしか思えぬ路線の数々は、資本主義の暴走と言われても否定できず、既に交通局が把握している地下鉄網の合計総距離を超えていた。
 そして猟兵達は間違いなく、そして正しくこの地下鉄の名を騙る迷宮の深淵へと近づいていた。

「おっと、これは…。」
「どうかしたのか?」
ノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)とリコ・エンブラエル(鉄騎乗りの水先案内人・f23815)は生存者を探すため、他猟兵達がまだ手を付けていない箇所を重点的に捜索していた。
「崩落みたいです。一旦引き返しましょう。」
 先行させたキャバリア「エイストラ」がノエルが搭乗するコンバットキャリアへと転送したデータには、トンネルを封鎖するかのように山積みになった瓦礫の存在が示されていた。
「いや、それよりも退かすのが早い。」
 引き返す事を提案するノエルに対して、リコは寧ろこのまま進むべきだと、火を入れたパワードギアを唸らせ、瓦礫を取り除き始めた。
 彼の身長を含めて人間の成人男性ほどの小柄さではあったが、その出力は作業用機械をベースにしているだけあり強力で、巨大なコンクリート片を軽々と持ち上げる怪力を披露してみせた。
「…この手に限る。」
「えぇ…。」
 リコの文字通りのパワープレイに唖然とするノエル。エイストラは勿論、世の中のキャバリアにも確かにマニピュレーターは基本パーツとして備わっている。しかしそれらは兵装の取り扱いなどの為に精密に調整されており、リコのパワードギアのような作業はそれこそ土木作業用キャバリアの出番である。
 しかしながらそれを指をくわえて見ているわけにもいかず、ノエルもエイストラのパーツ疲労に気を付けながら慎重に撤去作業を手伝うのであった。

「それにしても件のキャバリアは何故民間人を攫ったのでしょうか?」
「うん?」
 ノエルは撤去作業の手を休めずリコに訊ねてみた。
「そりゃあ…腹が減ってるからか?」
「あぁいえ、そういう事ではなくてですね。これがオブリビオンマシンの影響によるものであれば直接地上に侵攻してきてもおかしくないのに、何故こんな回りくどい方法をとっているのかって。」
 ノエルの疑問は真っ当なものであった。この世界に限らずオブリビオンとして蘇った存在は世界を滅ぼすための行動を起こすという事は猟兵の間で知られている。
 しかし今のところ地上の被害と言えば失踪事件の被害者となった市民と消息を絶った捜索隊のみであり、これが世界を滅ぼす凶行かと言われると確かに疑問であった。
「ブリーフィングを聞いた限りでは恐らくオブリビオンマシンはプラントを掌握してるはず。ならばその生産力に任せて攻めて来た方がまだ自然ではないかと。」
「ふーむ。何か策略あっての動きかどうか、か…。ますますこのトンネルが大口を開けたバケモノとしか想えなくなってくるな。」
 事情を知っているからこそ見えてくる疑問。そしてその疑問の答えを見出せぬ事から来る気味の悪さをリコは感じた。しかしいくら頭を悩ませても目の前の瓦礫は退いてくれない。なので一先ずは頭以上に手を動かすことに専念した。

「よし、これでキャバリアでも通れるように…んん?」
 パワードギアの怪力により最後の大塊を取り除いたリコは瓦礫の山の向こうに見えたものに目を疑った。
 瓦礫の山の向こうにあったもの。それは一機のキャバリアの姿であった。
「こいつは…警察のキャバリアか?脚部が破損して動けなくなったってところか。コックピットは無人、争った形跡が無い当たりパイロットは自力で降りたみたいだな。」
「すると捜索隊の生存者が…!」
「あぁ、こいつは幸先の良い話だ。とにかくまずは地上の警部補に報告だな。」
 ノエルはすぐさまコンバットキャリアに積まれた無線からウィリアムへとキャバリアの発見とパイロットが脱出していることを伝えた。すると無線の向こうでウィリアムが歓喜の声を上げた。
「マジか!あのヤロー生きてるんだな…!あっ済まない、つい感極まっちまった。そのキャバリアは間違いなく俺の同期の乗機だ。しかし脱出しなきゃならん状況か…。さっき別の猟兵から遭遇戦の報告が上がってきている。そっちも十分気を付けてくれ。」
「分かりました警部補、引き続き捜索を進めます。通信終了。」
 ウィリアムとの通信を終えたノエルはリコの誘導を受けてエイストラとコンバットキャリアを瓦礫の向こう側へと移動させた。
 瓦礫の山の向こうはまた未知の領域。しかし生存者がいる可能性がある以上、ここで歩みを止めるわけにはいかなかった。

●発見:擱座した市警のキャバリア
 共和国警察正式採用モデルの量産型キャバリア『ワイアット』。先のサノカティラ市港湾施設襲撃事件後に司法省がメーカーに捻じ込んで開発させた最新の共和国製キャバリアである。猟兵が発見したこの機体は至る所に攻撃を受けた形跡があり、脚部油圧系の損傷がとどめとなった様である。パイロットは機密保護の処理を行ったうえで脱出しており、瓦礫の山についてもこのパイロットが兵装や資材を用いて工作したものと考えられる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カグヤ・アルトニウス
○地底を飛ぶ銀の影

アドリブ歓迎

(機体)
ホワイト・レクイエム

(UC)
対象:ホワイト・レクイエム
効果:「地中潜航能力」を付与する

要するに「人食いプラント」ですか…
放置すると上の市街地まで殲滅しかねないので対処には賛成ですね

(行動)
潜航すれば閉所は問題ないですが…
さすがに潜航中は物質を突き抜けるので戦闘はできませんし、視野が悪いのでレーダーやソナー頼みの行動になりますので慎重に行動します

基本的には地図の範囲外の場所を移動するので方向の調整の為に時折、配線ダクト内部の配線に直接アクセスして【ハッキング】で鉄道の監視システムを通して痕跡探しをし、必要に応じCavallをテレポートで差し向けて確認します


カーバンクル・スカルン
あっちもこっちも行方不明騒動で大変ですなぁ……ハム警部補には全く関係ないから口には出さないけどさ。

一般人が2日以上かかる距離をいちいち歩いてられっかよ。線路沿いに車輪を置いて、乗って……【出発しんこー!】 とりあえず、まずはプラント施設の近くの駅周辺を探索すればいいんだっけ?

救難信号を出す間もなく消えた、ってことは何かしらのジャミング装置があるか、そのスイッチを押す前に意識を刈られたか、うっかり充電を忘れた程度しか思いつかないのよね。

で、最初のと最後のはまずあり得ない。一応精鋭と呼ばれる方々がそんな状況で引き返さないわけがない。

となると、中々面倒な相手かもなぁ……まあ、やれるだけやるがね。




「あっちもこっちも行方不明騒動で大変ですなぁ……ハム警部補には全く関係ないから口には出さないけどさ。まぁそれは兎も角、線路が敷いてある以上これを利用しない手はないでしょ!」
 カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)はそう言うと鉄製の車輪を取り出し、線路上に設置する。ガタつきもなく、まるで専用に誂えられたかの如きその車輪をレールの上に数度転がし満足すると彼女は満足げな顔を浮かべ、
「しゅっぱーつ、進行ー!」
 元気な声と共に車輪に飛び乗りトンネルを進み始めた。線路を利用しているだけあってその速度は今トンネルに潜っている猟兵の中でも群を抜いており、正に快速特急といった動きを見せていた。
「せーんろはフフフーンフーン、フーンフンフンフーン♪」

 カーバンクルが線路を行く一方で、ある猟兵は「地中を」行っていた。
「ここは駅…ですかね?地図には無い場所の様ですが。」
 カグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)は乗機ホワイト・レクイエムごと周囲の空間を操作することで非破壊の地中潜航能力を獲得、地図と各種センサーを用いて怪しい箇所をピンポイントに潰し回っていた。
 今彼が浮上したその場所はレーダーに反応せず、しかしてソナーが空間がある事を示した場所であった。
「ますます怪しい。これは徹底して探った方が良さそうだ…」
「おや!そこに居るキャバリアはご同業さんかい!?」
 するとそこに車輪に乗ったカーバンクルが通りかかり、足で車輪にブレーキをかける。車輪の扱いに長けているだけあってか彼女を載せた車輪はカグヤのすぐ横にピタリと止まった。そして当然ではあるが、彼女の靴の裏からはブレーキ摩擦による煙が出ている。 
「え、車輪!?車輪何で!?」
「まぁまぁ、それは置いておいて。ここに何かあるの?」
 カグヤはカーバンクルにこの駅の不審な点を伝える。カーバンクルはそれを聞いて一つの応えに辿りついた。
「なるほど、もしかしたら旧体制時代の遺構かもね。というかそれ以外には考えられないかも。」
「つまりプラントを管理していた軍の施設…」
「まぁ少なくともプラントはここにはなさそうだね。生体キャバリアってのもいないし。」
 二人は周囲をライトで照らしながら調査を続ける。すると壁面に路線図を見つけた。
「現在地は…第二宿舎。やはりここは旧体制時代の軍用路線内らしいですね。」
「それとついでに面白いものを発見だ。見てみなよ。」
 カーバンクルは詰め所らしき部屋の机に置かれていた書類を一読するとカグヤに手渡した。
「キャバリアの起動試験報告書…仮にこのスペック通りだとしたら想像以上に厄介な機体みたいですね。」
「まぁでも敵を知る事が出来ただけでも御の字ってものよ。…で、あと何駅先に行けばプラントに着くんだっけ?」
 敵の情報を知り得た二人の猟兵は、改めて路線図を確認すると再びトンネルを進み始めた。

●発見:生体キャバリア起動試験報告書
 猟兵が旧体制時代の施設内で発見した書類。封筒には陸軍技術開発局の紋章が印刷されている。
 報告書では生体キャバリアの遠隔操作に失敗し、何人もの負傷者が発生したことが記されている。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
理緒さんと

「生体キャバリアの生産プラントですか、厄介ですね……
理緒さん、サポートよろしくおねがいしますね」

キャバリアでの戦闘が難しい地下鉄構内での探索ということならば、小回りが効く機動戦車オベイロンの出番です。
戦車に搭乗して地下探索といきましょう。

地下の探索は【チューリングの神託機械】で万能コンピュータにアクセスして情報処理能力を向上させ、オベイロンのセンサーから得られた情報を精査。
プラントや行方不明になった捜索隊の手がかりがないか調べましょう。

手がかりを見つけたら理緒さんに連絡します。

「理緒さん、座標を送りますので詳細調査をお願いします。
敵がいるかもしれないので、注意してくださいね」


菫宮・理緒
【アイさんと】

目標は、横穴ってことだけど、
行方不明の人や捜索隊の人の手がかりも……。
ひょっとしたら形見とかになっちゃうかもだけど、
見つかったらしっかり調べていきたいな。

わたしは【lanius】でトンネル内へ入って、
力仕事や雑用系を担当するよ。

瓦礫とか障害とか合ったら【Winch】や【mist sprayer】で排除しつつ、
アイさんのセンサーに引っかかったものを調べていくね。

必要なら、キャバリアから降りたりしながら、
先に中に入った人たちの手がかりとか、
キャバリア痕とか見つけたいな。

人のほうの手がかりものとかだと、
気持ちのいいことにはなってなさそうだけど、
だからこそ、持ち帰らないといけないしね




猟兵達から次々と横穴、プラント施設への通路、遺留品などの発見報告が上がる。
 進入に適さない小型の横穴は塞がれ、回収物は一か所に集積、猟兵によってウィリアムの下へと届けられた。

「理緒さん、この先に通路をふさぐ障害物を検知しました。障害物の排除をお願いします。」
「オーケー、そっちに向かうね。」
 アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)と菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は横穴を捜索する傍ら、遺留品を回収していた。集積の為に都度トンネル内を往復する必要が出る為、他の猟兵よりも捜索の進みが遅れるが、彼女たちのような縁の下の力持ちがいるからこそ、彼ら彼女らもまた心置きなく捜索を進める事が出来た。
 理緒は愛機「lanius」でアイの下にたどり着くと、彼女が搭乗する機動戦車「オベイロン」の前照灯が通路をふさぐ障害物、もとい隔壁を照らしているのに気が付いた。
「…アイさんアイさん。これって開けて大丈夫なヤツ何ですか?どう見ても訳あって封鎖されてるかの様にしか見えないんですが…。」
 理緒の懸念は当然のものであった。隔壁とは漏出を食い止める為の装置である。それが降ろされているということはやはりそれ相応の理由があるからと見るのは正しいのである。
「そこはご心配なく。どうやらこの隔壁が閉まったのはつい最近の様子。しかも外部からアクセスされた履歴があるみたいです。」
 アイはlaniusにデータリンクを繋ぐと付近のコンピューター解析結果を送る。確かにこの12時間以内に何者かが操作をした形跡が記録されていた。
「そしてこの壁面の傷の具合、何かが執拗に隔壁を攻撃していたみたいです。この奥の何かを追っていたのでしょう。そして薬莢などが落ちていない事からレーザーによる攻撃が加えられたのは明白。であれば追っていたのは警察のキャバリアや隊員ではない事は確実です。」
 まるで探偵のように推理を披露するアイ。彼女の言う通り、捜索隊を構成する市警察側の装備にはレーザー兵装は存在せず、チェーンガンなどの実弾砲が主武装となっていた。
「凄いですアイさん!まるでホームズみたいです!」
「初歩的な推理ですよ理緒さん。それにここの通路を確保する事ができれは救助者の撤退が容易になるかもしれません。」
「わかりました!」
 懸念が解消されれば後は実行あるのみである。アイが隔壁の脆弱部を精査し、理緒がその箇所に狙いをつけ高圧散水機mist sprayerから高圧水流を浴びせかければ数分とかからずに穴を穿つ。
 蟻の穴から堤も崩れる、穴が開いてしまえば後はパワープレイあるのみである。laniusが穴にアームを突っ込み、持ち前の馬力で穴を広げればキャバリア一機が通るには十分な穴へと転じた。
「後はここから生存者を逃がす事ができれば大団円ですね!」
「それとプラントとオブリビオンマシンの破壊もお忘れなくですよ理緒さん。」
 こうして互いを知る二人の猟兵は見事な知と力のコンビネーションを見せつけ深淵への道を切り拓き、その最奥を目指すのであった。

●発見:隔壁
 廃線区画の線路に設置された防災装置。分厚いコンクリート製のそれは並の火力で抜くことは困難を極めるだろう。それ程までに守るべきもの、もしくは溢れ出させてはならない物があるゆえに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『エヴォルグ量産機』

POW   :    ヴォイドレーザー
【口内から無作為に分岐するレーザー】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    リボルティックスピア
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【自身から分離した触腕】で包囲攻撃する。
WIZ   :    EATエンジン
自身の【エネルギー補給機能を起動。自身】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[エネルギー補給機能を起動。自身]から何度でも発動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●今昔キャバリア物語

「その昔…まだクロムキャバリア世界中が情報のやり取りを行うことができた時代ね。世界の覇権を握るべく大国同士の戦争が起きたの。」

 それはとても酷い戦争であった。ありとあらゆる戦力が投入された総力戦。更に大国は自陣営の中小国家へも参戦を働きかけ、遂には史上最大規模の世界大戦へと発展した。

「戦争に用いられた火薬量、資産はもはや天文学的数字。でもそれ以上に浪費されたのが人命だった。」

 軍人も市民も、老若男女が関係なく多くの人命が浪費され失われた。次第に武器兵器の担い手が減り、継戦力を失った小国から次々と降伏を受け入れ始め、大国の世論ですらも反戦の機運が高まっていった。

「だけど大国はそれでも戦争を続けたかった。そこで無人兵器の投入が決定したの。いわゆるドローン戦争ってやつね。」

 しかし後退のネジが外れた大国は自国の兵器の無人化、更にはジャミング対策として戦況判断に優れたAIの搭載を決定した。それらを最前線へと投入すると目覚ましい程の戦果を齎し、軍部はもちろん反戦ムードに包まれた市民の間にも継戦支持の機運が舞い戻った。

「何せ家族が徴兵される不安から解放されたわけだし、国家も戦場で自国民の血を流さないっていう最高の政治的パフォーマンスを披露する事ができたからね。あとは一気団結して行け行けゴーゴーってやつよ。」

 こうして既存の兵器がドローン化する中、敵を出し抜いてやろうという思惑から新型兵器の開発も進み、その一つとして件の生体キャバリアが産まれたのであった。

「軍隊にとって補給線の確保は重要。だけど生体キャバリアはその常識を覆してしまった。何せ有機物ならなんでもエネルギーとして摂取できるのだから。しかも位置情報データを用いて部隊をコントロールすればイナゴの大群の如く敵地を食らいつくすってんだからけしかけられた側は溜まったものじゃなかったでしょうね…。」

 物理的にも精神的にも敵軍を追い詰める悪魔の兵器生体キャバリア、その戦術的価値を認めた大国はこれを敵国首都侵攻の急先鋒として大量配備、長らく続いた戦争に終止符を打つべく作戦決行を決めた。

「だけどそこで憎き殲禍炎剣が世界中の衛星通信網をぶち壊し始めた。更に運が悪いことに生体キャバリア達には命令が中途半端なまま送られてしまい、それがバグを発生させ暴走。あろう事か自国内の有機物を片っ端からの食い始めたの。」

こうしてとある大国は生体キャバリアと共に歴史から姿を消した。もう一方の大国はと言うと、憎き敵の呆気ない最期に戦争の終結を宣言。前線の軍隊は暴走した生体キャバリアの侵入を阻止すべく国境防衛戦へと移行し、戦争史において並ぶ者の無いキャバリア撃破スコアを記録する事となった。

「以上が生体キャバリアに関する昔話よ。それにしてもエルデナント共和国はどうしてこんな兵器の生産プラントを持っていたのかしらね?」


●トンネルを抜けると、またトンネル。

 猟兵達は各々が見つけたルートから地下深くへと潜っていくと全員が同じ空間へと達した。猟兵の一人が見つけた見取り図によればそこは陸軍直轄の車両基地であり、その更に奥には施設の中枢、プラント施設へと続く貨物運搬トンネルが通っている事が判明した。
『――こちらサノカティラ市警のシェリル・ホプキンス警部。この無線を聞いているものがいたら応答してくれ。』
 すると猟兵達の通信機が女性の声を受信した。地上のウィリアムとの通信用に使用していた周波数と同じものを使用している事から警察官であることは間違いない。恐らく捜索隊の一人だろう。猟兵は彼女へと応答した。
『あぁ助かった!…改めてこちらはホプキンスだ。地下鉄内を捜索中に襲撃を受けた。』
 彼女いわく生体キャバリアの襲撃を受けたことで捜索隊は壊滅。僅かな生き残りとともにこの陸軍施設へと辿り着き、外部との通信を試みていたのだという。
『こちらは何とかヤツらをやり過ごせているが、いつまで持つか分からない。それ以上にアレをこのまま野放しにはできん。猟兵、すまないがヤツらを排除して欲しい。』
 彼女を含む生存者はプラント施設付近の通信施設内に籠城しているらしい。生存者を助けるにしてもプラントを破壊するにしても、どちらにせよまずは貨物運搬トンネルを抜ける他はない。
 そしてそのトンネル内からは捕食者の気配がこれでもかと言う程に溢れ出していた。

 避けては通れぬ、激戦の予感だ。
 猟兵は各々の得物を握る手に力を込め、トンネルへと踏み入った。
リリウム・マーセナリー
※アドリブ・連携歓迎

「これは、無視して先には行けませんね」
仮に無視して先に進めるのだとしても、モノがモノです。放置した時に何かがあってはダメですから。

「こちら『白百合』、敵キャバリアと交戦開始」

引き続き【索敵】を密に、接敵する際には遮蔽物(環境耐性,地形耐性,瞬間思考力,選択UC)や両肩のシールド(盾受け)で攻撃をやり過ごし、アサルトライフルで反撃。
友軍の状況によっては、此方が攻撃を引き付ける囮をやる事も考慮にいれます。(集団戦術)

――幸い、今回持ってきた機体は愛機よりも頑丈で、修理費も安いですからね。

いつもよりも少し、無理や無茶、してみましょうか。


カグヤ・アルトニウス
○生体キャバリアを駆除せよ

まあ、こんな所で炸裂系兵器は危険ですから、「毒物」で自滅を狙います

アドリブ歓迎

機体:ホワイト・レクイエム

(UC)
対象:ソードオブビクトリー用吸着性ゴム弾
効果:接触した大型生体を石化

通路を遮蔽にして移動し、レーダーによる【索敵】とCavallに【迷彩】を施して先行させた【偵察】を併せて行います
生体キャバリアを発見し、交戦距離に入ったら隠れてトゥインクル・スターのゲートを生体キャバリア包囲する様に展開してエネルギー砲で攻撃、その隙にソードオブビクトリーでUCを施したゴム弾を打ち込んで「食べさせ」ます
後は追撃すれば砕け散るでしょうね…吸着性ゴム弾にしたのは跳弾対策ですね


ノエル・カンナビス
(エイストラ搭乗、武装はライフル・ブレイド・キャノンx2)

背景の推測は色々出来ますけれども……。

目の前に敵がいるなら、それが現実です。今は対応しなければ。
集結している時に殲滅しておかないと。分散されては厄介です。

生存者の救助も急務とは言え、適性を考えるに、私は排除役。

地下都市生まれの私は、いわゆる地底人です。
地下施設には慣れていますので、閉所でも高速戦闘は出来ますし、
索敵機能だって最新鋭。逃げ隠れしようと楽々捉えます。

索敵/スナイパー/先制攻撃/鎧無視攻撃/貫通攻撃で討ち漏らしが
ないように撃破しつつ前進、集団にはキャノンの範囲攻撃を。
迎撃は第六感/見切り/操縦/ダッシュ/推力移動で回避します。




 その戦闘は幾つもの光の出現から始まった。
 各種センサーが敵反応を示す光点。猟兵達の後方に回られはしなかったものの、その進むべき道の先を埋め尽くすそれは一つの巨大な環形動物の如く蠢き、そして猟兵達へと牙をむいた。

「こちら『白百合』、敵キャバリアと交戦を開始。」
 集団先頭を行くリリウムはワイバーンのセンサーが敵の襲撃を知らせると同時にアサルトライフルの引き金を引いた。銃口から発射される無数の銃弾が接近してくる生体キャバリアの四肢を、胴体を、捕食せんと広げた大口を次々と穿つ。
 退路を後続に塞がれ、逃れる術を失い銃弾を浴びせられ周囲に体液と肉片をぶちまけ次々と積み上げるは生体キャバリアの骸の山。しかしそれを踏みしだき猟兵達に迫るのもまた生体キャバリアである。そしてそれは正面以外からも迫っていた。
「何っ!?」
 突然のしかかる様な上部からの衝撃を受けるリリウム。コックピット内に響くアラートが頭部と双肩部に異常な負荷が掛かっている事を知らせていた。
 負荷の正体は索敵を避けるかのように天井に張り付いて接近してきた個体の奇襲であった。
 生体キャバリアののっぺりとした白面に横一文字の亀裂が入ったかと思うとその奥に隠された針山の如き牙がワイバーンに食らいつく。ワイバーンが懸架する二つの盾が牙を防ぐが、その表面は確実に削り取られていく。
 さらに生体キャバリアが暴れる事で射撃照準がずれる。ウェイトにおいてはワイバーンに分があるとは言えこのままであれば体勢を崩されるのは時間の問題だ。
 すぐにでも追い払いたいという念が沸くが、眼前に迫る生体キャバリアの迎撃を中断すれば群れに呑まれるは必定。万事休す、リリウムの脳裏にその言葉がよぎった時だった。

「白百合へ、体勢そのまま。」
 リリウムがその通信を受け取った直後、後方からイオンを帯びたプラズマの塊が迫り生体キャバリアを灼いた。ノエルが駆るエイストラの援護射撃だ。
「援護ありがとうございます、助かりました!」
 リリウムはアラートが鳴り止むと同時にノエルへと謝意を伝え、再び進撃を開始した。
「…火力ではこちら側が勝っているとはいえ多勢に無勢は変わらず。」
 頭からつま先まで最新鋭の装備で固められたエイストラのコックピットでノエルは呟く。確かに猟兵達の歩みは快進撃とは言い辛い。確実に前進しているが、その歩みはまさに牛歩と言ったところだろう。
「白百合、援護を頼む。敵に対して広範囲殲滅攻撃を行う。」
「…!了解しました!」
 広範囲殲滅と言う単語に驚くリリウムであったが、エイストラの保有する装備を確認するとポジションを入れ替える様にワイバーンをエイストラの背後へと後退させる。
 敵正面に陣取りプラズマライフルを構えるエイストラ。
「Eバンク・リリース、インクリーズ」
 ノエルがコンソールを操作し貯蔵済みエネルギーをライフルへと充填する。過充填状態になるまでエイストラは迎撃手段が無くなり無防備となり、当然その隙をついて生体キャバリアがエイストラへと飛び掛かってくる。しかし攻撃は届かない。後方のワイバーンが正確無比の射撃を浴びせるからだ。
 ライフルの砲身が放電を開始する。充填限界を迎えた合図だ。ノエルは敵集団のど真ん中に狙いを定め引き金を引き絞る。
 次の瞬間、一条のプラズマ光が放たれた。
 Eバンク丸ごと一つのエネルギーが込められた一撃がトンネル内を明るく照らす。射線上の敵を灰に還し、その周りの敵を吹き飛ばす。
 十秒か、それとも数十秒か。エイストラのプラズマライフルから光の奔流が途絶える頃には猟兵達の前に群がっていた生体キャバリアが軒並み消滅していた。
「こちらエイストラ、敵先頭集団の殲滅に成功した。前線を上げるなら今のうちだ!」

「ようやく私たちの側に有利な状況が整ってきましたね。とはいってもまだ戦いは序盤。足場固めはしっかりとしておかねば。ホワイト・レクイエム、出ます!」
 エイストラが切り開いた道をカグヤは突き進む。予め先行させたCavallから送られた情報によれば生体キャバリアの後続は既にこちらへと向かってきている。接敵する前にどれだけ進められるか、そして前線維持のために十分な橋頭保を築くことができるかが勝負の分け目。つまり迅速な対応が求められる局面にあった。
 幸いにもホワイト・レクイエムは高機動機、足の速さは問題にならない。
「問題は如何にして前線を確保するか。」
 探索を進めてきた地下鉄トンネル内と違い軍事施設の一部としてのトンネルである。非常時にはシェルターとしても耐えられる構造であると考えれば多少乱暴に動こうが問題にはならないだろう。
「だからといって安易に炸裂兵器を手に取るのは愚の極み。」
 敵集団を効率よく狩るのであれば炸薬に頼りたくなるのは当然である。しかし軍用トンネルと言えど、やはり老朽化による崩落の可能性がある以上、カグヤは別の手段を模索するほかなかった。
――このキャバリアは有機物の摂取によりエネルギー補給が可能なの。
 ふとブリーフィングで聞いた言葉がカグヤの脳裏をよぎった。生体キャバリアの習性。市民を襲って捕食しているとはいえ、数十人程度で腹が膨れるとは考えられない。まだまだ食い足りないはずだ。
「…ここは敵の長所を利用するとしましょう。」
 カグヤがいの一番に最前線に躍り出て、統合兵装”ソードオブビクトリー”の仮想砲身を展開、迎撃態勢が整ったのは接敵の正に直前であった。
 白銀の機体に迫る生体キャバリアに揃って大口を開けて進撃を続ける。正にカグヤの思い描いた理想の状況である。
「それではたらふく喰らってもらいましょうか。」
 召喚された砲の一つ一つが生体キャバリアの口腔へと向けられ、斉射が始まる。発射されたのはレーザーでもビームでも、鉛玉でもない。「有機素材」であるゴム樹脂製の弾頭であった。
 キャバリア用の方に用いられるサイズだけあり非殺傷とは言い難いが、当然キャバリアに向けて放ったところで威力はたかが知れている。故にカグヤは毒を盛る事にした。
 一斉に放たれた弾丸は生体キャバリアの口腔を通じ体内へと飲み込まれていく。飲み込まれた有機性の弾丸はエンジンの炉内へと至りエネルギーに変換される、その筈であった。
 弾丸を食った生体キャバリアたちはカグヤに飛び掛かる直前に動きを止めた。動力炉の急停止が原因であった。しかしその急停止は如何にして起きたのか?
 弾丸は変換される直前にその真の効力を発揮したのだ。石化の効能。カグヤの半径100メートル内という状況においてのみ発現する効果を持つ弾丸であったが、それと知らず飲み込み、しかもカグヤに飛び掛かるとあれば末路は一つである。
 積み重なる生体キャバリア状の石像の山。気が付けばバリケードに出来る程度の高さが確保された。
「こちらホワイト・レクイエム、全猟兵へ。橋頭保を確保しました。各々到着次第迎撃できるよう準備をお願いします。」
 トンネル内の戦い、その最序盤戦は間違いなく猟兵の優勢に終わった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

カーバンクル・スカルン
有機物を食べるんだっけ? なら宝石の体の私は守備範囲外だね残念でしたー!

とりあえず金槌ぶん回しながら堂々と突撃しつつ、飛びかかって来た命知らずを蹴り飛ばして車輪と合体させる!

そして質量を増したそれを勢いよく転がしてストライク狙いといかせていただきまっしょー!

……さて。通信を切りましてと。本当に今の相手はホプキンスさんなのかね。私は彼女のことなんて知らんし、もし相手が食った相手の記憶や声色を再現できる奴だったとしたら……まあ、その時は私が時間稼ぎの盾になりますかね。

で、なんでこんな工場を持ってたか、って疑問だけど簡単な理由でしょ。他国の主戦武装を研究しないバカはいない、ってオチだろうさ。




「オラオラオラオラオラオラオラオラぁッ!」
 怒涛のオラオラ節を響かせ進撃する一人の猟兵の姿があった。
 手には金槌、お供は車輪。
『大丈夫?あの大群が相手だよ?』と声をかけられるも。
「問題ないねぇ、宝石(クリスタリアン)だから!」と見栄を切る。
 彼女の進撃を止められるのは最早天上天下に唯一人。
 カーバンクル・スカルン、その当人だけであった。

「と、言うわけでだね!大船に乗ったつもりで騎兵隊の到着を待ってなよ!」
『頼もしいな猟兵。それではこちらももう少し踏ん張ってみるとよう。』
 運搬トンネルへと突入する前にシェリルと二、三言交わし無線を切ったカーバンクルは深くため息を佩いた。
「まぁー何ともキナ臭い、というかお約束というか。…今のだって本当にホプキンスさんなのかすら確信が持てないんだよなぁ…。」
 彼女は先の港湾襲撃事件でオブリビオンマシン撃破に携わった猟兵であり、袖振り合う程度ではあったがシェリルとは面識があった。
 しかし面識があるとは言え声だけで彼女が真に無事であるかを判断できるかと言えば、答えは否であった。
「…やだなぁー。例のキャバリアが声帯を真似て誘き出そうとしてるとか、そういう展開嫌すぎるなぁー…。」
 カーバンクルの脳裏をよぎるのは古今東西のホラージャンルの創作物でよくある犠牲者に成り替わる怪物の姿であった。
 クロムキャバリア世界には様々な規格外キャバリアが存在する。そして生体キャバリアはそのジャンルが正に規格外の範疇にある。
 更に相手取るは亡国が戦争末期に心血を注いだ狂気の産物、贋物(フィクション)の出来事だからと、どうして一笑に付せられようか。

「どちらにせよプラントを潰すにはこのトンネルを進まなきゃだからね。最悪の展開になってないことをっ、祈るしかっ、ないっ!」
 救出できるなら救出したい、しかし悩んで足踏みしていればそれすら叶わなくなる。今はただこの道を進むのみ。
 レール上で車輪を転がし、それを追う様に走るカーバンクルは気合いを入れるとハンマーの必中距離に入った生体キャバリアを次々と車輪へと叩き付ける。車輪へと吹き飛ばされた個体は車輪の拷問仕掛けに次々と捕縛され、接地すると同時に挽き潰されながら車輪の速度と質量を増す役目を与えられる。
 そしてカーバンクル特製の車輪もただ転がり挽き潰すだけが能という訳ではない。やはりこれも拷問仕掛けと言うべき針山が至る所から突き出し、古代のチャリオットが如く、レール外の生体キャバリアを突き刺し、抉り、吹き飛ばした。
 後に残るは生体キャバリアの肉片と樹脂製の骨格、そして体液である。余りにも全年齢向きとは言い難いハンバーガーヒルならぬハンバーガロードめいた惨状の完成だ。
 そしてこの後、他の猟兵達も同じような事をするのだが、彼女のそれは正に群を抜いていたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーレア・サーディス
これだから生体キャバリアは嫌いだ。数ばかり多くて食い殺すことしかしない。
人間はご飯じゃない。それを忘れた被造物は滅ぼされなければいけない。

あまり大火力を投射するとトンネルが崩れる可能性がある。
得意じゃないが白兵戦で丁寧に始末していこう。
ベイバロンの刀身を細く薄く、極東の刀の形に出力。閉所密集戦で振り回すならこの形がいい。
エクトスの再生力頼みで捨て身同然の突撃を敢行する。
私が斃れても誰かが後を引き継ぐ。問題ない。
――帝国陸軍空戦剣術 重月……改め、神聖帝国式 偽・白銀月。
サクラの国の千年の剣、お前たちには勿体ないが。

それから破壊した死骸は持てるだけ持っていく。
それにはまだ使いでがある。




 猟兵達の猛攻により切り拓かれた道を征くもまた猟兵達であった。
 同じ目的のために集まった彼らの胸中に抱かれる感情は十人十色、様々であろうがその中でも「彼女」が抱くそれは人一倍のものがあった。
 
「これだから生体キャバリアは嫌いだ。数ばかり多くて食い殺すことしかしない。」
 ユーレアは表情に出さずも、その言葉の節々からは確かな怒りを顕にしていた。同じく兵器として生み出され、しかし担い手の国家を失い久しく、ただ一人の少女としての在り方を持つ彼女ならではの想い。
 人が人を殺す、ヒトと言う知的生命体が生まれ、連綿と歴史を築き上げる中で行い続けた同族殺しの呪いであり、また特権である。武器、兵器と呼ばれるそれらは殺しを効率よく助け、そして時には敵に対してある種の人道的配慮を与える「道具」でしかない。
 故に道具が人を殺すなど、あってはならぬことである。
「人間はお前たちのご飯じゃない。それを忘れた被造物は滅ぼされなければいけない。…まずは私が切り拓く」
 兵器の在り方を言葉でなく、その存在全てを以て理解する彼女だからこその決意。
 歪んだ条理を正しく、あるべき姿へと戻すべく乗機エクトスに一振りの刀を携えさせると生体キャバリアの群れへと真っ向から突っ込んだ。
 対する生体キャバリアは一斉に口腔内のレーザー射出口を煌めかせた。拡散レーザーという性質上、今日の一般的なレーザー兵器に比べその射程は劣るが、トンネルと言う密閉空間、そしてエクトスが真正面から向かってくるという状況がその弱点を消し、さらに数の暴力ともいえる一斉同時発射による迎撃である。いかに高性能機と言え無傷ですむ筈もない。
 しかしユーリアは、そのリスクを承知の上で一歩、また一歩とレールを踏み抜かんが如き踏み込み足で、また疾風の如き足捌きによって生体キャバリアとの間合いを確実に詰める。
 最早それはキャバリアの動きではなく、キャバリア大の人間。人機一体の境地ともいうべき高速機動であった。
 容赦なく生体キャバリアのレーザーがエクトスの装甲を灼き抉る。亡国の再生装甲技術を有しているとはいえ、その再生速度にも限度がある。レーザーがエクトスを穿つが先か、穿たれる前にペイパロンの刃が届くか。チキンレースにも似た状況となるが、それでもユーリアは前進を止めない。例え自らが斃れようとも背後には他の猟兵達がいる。自らが成せずとも後続の誰かが果たせば良い。それが自らを一兵卒と定義づけての最適解。それがあるからこそユーレアはビビらず、死地を征ける。
 レーザーの猛攻に耐えかねたエクタスの装甲が次々と弾け飛ぶ。一部は意図的に集中に狙われたのかフレームが剥き出しになるまで執拗にやられていた。
「だけどまだ動く。戦闘に支障は無い。」
 ユーレアはチキンレースに勝ったのだ。四肢健在、視界良好、戦意未だ喪失せず。そしてエクトスはペイパロンを構える。

――帝国陸軍空戦剣術 重月……改め、神聖帝国式 偽・白銀月。

 そこからは正に鏖殺であった。ユーレアが剣閃を走らせる度に生体キャバリアの頭部が、四肢が、ごそりと落ちる。青竹のように頭部から尾にかけて真っ二つに斬られたものも転がる。挙句に微塵に切り刻まれ、最早それがどのような姿であったかすら見分けがつかなくなるもの迄あった。
「サクラの国の千年の剣、お前たちには勿体ないが。」
 そしてユーレアが血振りを――刀身を荷電粒子が奔るペイパロンには必要のない動作ではあるが――する背後では、
「急いでるから、今回は特別だ。」
 最後まで斬られたことに気づかなかった数十の生体キャバリアがぼとぼとと音を立てながらその身体を崩し、機能を停止しさせていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティー・アラベリア
ボクを打ち倒そうとする敵は数あれど、捕食しようとする敵と戦うのは初めての経験でございます
――とても、とても昂ってしまいますね♪

閉所ですので、今回は趣味と実益を兼ねた白兵戦で参りましょう
主役は97式と偃月杖、そして白兵戦支援妖精と浸透自爆妖精でございます
数は大量にいるでしょうから、小回りの利く躯体を生かして敵集団内部に突入し、解体作業に従事致します♪
散弾で肉を削り飛ばし動きを鈍らせ、偃月杖で首や胴を叩き切ります
死角の敵は白兵戦支援妖精で迎撃し、合間に敵の体内に浸透させた自爆妖精を炸裂させ内部から破裂させてしまいましょう
鋼鉄の敵とは違って、華やかな絵面になるでしょうね
きっと、とっても楽しいですよ☆




 おぞましき攻勢を続ける生体キャバリアを前に、彼は昂りを隠せずにいた。
「ボクを打ち倒そうとする敵は数あれど、捕食しようとする敵と戦うのは初めての経験でございますね♪」
 闘争と捕食は決してイコールで結び付けられるものではない。前者は対峙した者達が確たる殺意、相手を害する意思を以て行う行為。一方で後者は純粋な生理現象、そしてそこに殺意が介在する余地はない。
 そして「弱肉強食」という言葉があるように、捕食とは強者の特権である。

 しかし、しかしである。
 生体キャバリアの群れが鉄砲水の如く迫りくるこの状況下、それを真正面から見つめ、どこか艶めいた笑みを浮かべる人形の少年は猟兵である。
 左右の手に持つは魔法の要たる魔杖が二つ。そしてその顔には目を輝かせる年相応の子供らしい、満面の笑顔が浮かんでいた。
「それでは楽しい楽しい白兵戦と参りましょう♪」
 その瞬間、両者間の「捕食者と被捕食者」という関係性は壊れた。
 まず初めにティーの姿が消え、その次に生体キャバリアの四肢が爆ぜた。続けて胴が、頭部が跳んだ。そしてその時すでに彼は生体キャバリアの群れのど真ん中に陣取っていた。
「あれあれ?ボクはここですよ?」
 生体キャバリアの体液を滴らせる重厚な刀身を生やした魔杖を大きく振りかぶるティーの挑発するような声に反応する生体キャバリア。彼の存在を感知するや否や反射的に食いつこうと大口を開けたが最後、その口が閉じられることは二度となかった。開けられた口に叩き込まれた偃月刀がめりめりと音を立て肉を裂き、骨を砕き、魚を二枚におろすように様に尾までを切り裂いたからである。切り口から飛沫上がる体液が僅かな光源に照らし出され何とも言えぬ輝きを放つ。そしてその只中でくるくると踊るように刃を走らせ魔力由来の散弾を撃ち放つその可憐な姿は――周囲の肉片に目を瞑れば、という但し書きはつくが、――ある種のメルヘン文学の世界から飛び出てきたようでもあった。
 事前に展開させていた白兵戦支援妖精もまた主に負けぬ働きを見せた。必要以上に敵を寄せ付けぬ様に組まれた方陣はティーの歩みに合わせて動き、陣の内は彼の狩場と化す。
 そこで漸く学習したのか、生体キャバリア達は彼を避け始めた。動物の在り様を模倣したAIが、彼を天敵であると判断したのだ。

「これまた鋼鉄のキャバリアとの戦いではお目にかかれない光景ですねぇ。でもこれにてフィナーレです☆」
 ティーはやや残念そうな声を上げ、掲げた指をぱちりと鳴らす。それを皮切りに彼が展開し、感知される事無く生体キャバリアとの同化を果たしていた浸透自爆妖精が次々と爆ぜる。当然、潜伏先の生体キャバリアを道連れにして。
 肉片を飛び散らす大輪の乱れ咲く中、その少年人形は変わらず笑みを浮かべ礼儀正しい一礼をするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋由良・インテグラ
運び屋が来ましたよ。引き取り荷は警部さんでいいのかな?
まずは保護対象の確保ね。無線を使ってくれてるなら傍受して位置情報を探れるんじゃないかな。ただ惜しむらくは私にその技術がないことね。
最悪虱潰しに探すことになるか……

キャバリア【インフィニティ/B16A】に搭乗し生体キャバリアを撃破しながら進む。
さすがに爆発物は使えないし【TTB】を装填したRSマークスマンとアームブレイドで戦っていくしかないか。
よく狙って外さないように。……高い弾丸だからね。

ちょっと位ならサルヴォ使ってもいいかな……いやいやダメだよね。崩落したら困るし。
弾代で足が出そうだなぁ……仕方ないか。

※アドリブ連携歓迎


黒木・摩那
トンネルの先には救出者がいるとわかったら、やりがいもUPするというものです。
一刻も早く歩を進めたいところですが、トンネルの中は生体キャバリアの巣窟っぽいです。
ここは押して通りましょう。

引き続き、キャバリア『エクアトゥール』に搭乗します。
『エール・ノワール』を展開して、両肩のシールドからビームソードを出します。
敵が現れたら、シールドで【受け流し】つつ、【シールドバッシュ】で突撃。
【敵を盾にする】しながら、自身を回転させることでソードで【なぎ払い】ます。

混戦に持ち込み、敵が集まってきたところでUC【風舞雷花】を発動。一網打尽にします。


リコ・エンブラエル
●SPD
遭遇せずにプラントへ辿り着きたいところであるが、こうも殺気に満ち溢れていれば到底無理であろう
有機体であれば殺す、無機体であれば壊すだけだ
トンネル内の殲滅は後続に任せ、こちらは追撃してくる生体キャバリアの駆逐にあたろう

幸いにギアはホバーを併用したローラー【ダッシュ】で足が速い
トンネルへ潜る前に調達していた対キャバリアライフルで【挑発】を行った上で、囮となり数体ほどこちらに引きつけよう

問題は、こいつらをどう始末するかだ
火力を加減せねばトンネル崩落の危機があるが、『刹那の機転』でトンネル内の物を利用しよう
高圧ボンベなり高圧電源ケーブルなりを利用して、弾の消耗を抑えて一網打尽と行きたいところだ




 ようやく道半ば、しかし相変わらず生体キャバリアは猟兵達に襲い掛かってくる。しかし猟兵達もまた歩みを止めない。このパンドラの箱めいた絶望の戦場、その向こうで抵抗を続ける者達を助け出さんと。

「トンネルの先には救出者がいるとわかったら、やりがいもUPするというものですねっ!」
「同感っ、だなっ!」
「とは言え敵の数がっ!多過ぎっ!」
 トンネル内をスリーマンセルで進む摩那、リコ、そして秋由良・インテグラ(トランスポーター・f33280)は四方八方から飛び掛かる生体キャバリアを撃退しながらの遅々とした進撃を強いられていた。
 三者ともに機動力が売りの機体を駆るもの同士、思うように進めないこの状況は冷静さを失わせるほどではないにしても、やはり如何ともし難い感情を抱かずにはいられなかった。
「単騎駆けしたところで後続と寸断されれば各個撃破……歯がゆいな。」
 閉所での戦闘とは異なるが、バトリング選手として限られた空間内での戦闘に精通するリコは改めて強行突破のリスクの高さを感じ、しかし突破口を見出すべく周囲の観察を続ける。生体キャバリアの群れの奥に見えるのは照明灯、配菅、圧縮タンク、送風ファン、そして空の貨物車であった。
「貨物車……ん、貨物車!?」
「貨物車ってあのコンテナとか運ぶ荷台の?」
 リコが目を付けた貨物車はレール上に放置されており脱輪した様子もなく、動力があれば動かせそうな状態であった。
「あぁ、あれの重量なら生体キャバリアどもを挽き潰しながら移動できるトーチカ代わりに使えるかもしれん……。問題はどうやって確保するかって所だが。」
 問題はやはり生体キャバリアである。貨物車は現状群れの中にあり、まずはその周囲の個体だけでも排除せねば確保は困難であろう。
「流石にあの中に突っ込んだら対処しきれない自信はありますね……」
「何か一網打尽に出来る兵装があればいいんだがな……」
 摩那とリコはウーンと悩み、互いの機体を見比べ、そしてその視線は秋由良のチューンドキャバリア「インフィニティ/B16A」へと向いた。

「「「あっ……!」」」
 ――あるじゃん、一網打尽にできそうなヤツ。
 恐らくだが、三人はそんな感じのニュアンスの感想を抱いたであろう。

「良いのね!?本当にサルヴォ撃つよ!?」
「大丈夫、上手くいけば綺麗に道が開けるはずだ!エール・ノワール、そっちの準備は!」
「いつでも行けますよ!」
 三人の猟兵による貨物車奪取作戦が始まろうとしていた。
「ホーミングサルヴォミサイル、1番から4番発射!」
 まず先陣を切ったのは秋由良。インフィニの両肩部に設置されたラックから4本のミサイルが飛び出す。
 崩落の危険性がある閉所での戦闘故と使う事もないだろうと秋由良は思っていたが、これが貨物車への道を切り開く最大のカギとなったのだ。
 ミサイルは生体キャバリア、ではなく貨物車周辺のリコが目をつけていた圧縮タンクと配管に着弾。前者の誘爆と後者の破損による漏電が一帯の生体キャバリアを吹き飛ばし、さらに天上の送風ファンの落下により蹴散らされ、群れを一時的に無力化する。
「今だ!車両に飛び乗れ!」
 リコの掛け声に続き秋由良と摩那が貨物車に飛び乗り、リコは貨物車の後部に張り付く。
「励起。昇圧、帯電を確認。敵味方識別良し……散開!」
 摩那が詠唱を開始するとエール・ノワールの周囲を帯電して煌々と光を放つ花びらが舞い始めた。そこにサルヴォミサイルの初撃により無力化されていた生体キャバリアが復活し襲い掛かるが、今度は花びらから放出される高電圧の電流により次々と焼かれる。
「後はこいつを動かすだけだっ……!」
 そして貨物車の後部に張り付いたリコがパワードギアの脚部ローラーを回転させ始める。
 その力強いトルクとホバーの推進力によりキャバリア二機を載せた貨物車がゆっくりと動き出し、次第に速度を上げ始め、速度が乗ってきた事を確認したリコは器用にも貨物車の上に飛び乗る事に成功した。
 今ここに即席の移動トーチカが完成した。車上の三人の猟兵が生体キャバリアを次々と撃破し、その死骸を貨物車が挽き潰す。
「まぁブレーキは無いが速度については生体キャバリアを轢いてくうちに下がってくるだろう。」
「ってことはこのまま数減らしは続行ですね。」
「つまり私達の戦いはこれからだってヤツかぁ。……結局弾代で足出そうだなぁ。」
 三人の猟兵は無事窮地を乗り越えたが、この後には救助者の保護、オブリビオンマシンの撃破、プラントの破壊とまだまだやる事が残っている。
 今は生体キャバリアを殲滅しながらの暫しの休息。次なる戦いに備えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
アイさんと

まだ生き残ってる人がいた! よかったよー!
ここはしっかり助け出さないとだね。

敵は無人機って事だし、
暴走してるっぽいし、遠慮はいらないよね。

わたしは【モーフィング換装】で防御5倍、射程1/2でいこう。
アイさんと情報共有して、敵の動きや攻撃を予測。
「アイさんのオベイロンとペアリング……コネクトグリーン」

わたしは防御力を生かして『動く盾』になろう。

敵キャバリアの攻撃を装甲で受けつつ、
【mist sprayer】で霧を発生させて目くらまし。
アイさんの攻撃をフォローするよ。

わざと攻撃を受けて敵の位置を補足したら、
わたしが受けて、アイさんが攻撃の連携で倒していこう。
2人ならなにも怖くない、ね!


アイ・リスパー
理緒さんと

「生体キャバリアですか。
そのような危険な存在、このトンネルから外に出すわけにはいきませんね!
オベイロン、パワードスーツ形態に変形です!」

【強化外装】によりオベイロンを戦車からパワードスーツに変形させて身にまといます。
パワードスーツならば、キャバリアほどの出力は出なくても、生体キャバリアに対抗できるはずです!

「オベイロン、理緒さんのキャバリアと情報リンクを確立。
連携して敵を倒しますよ!」

ヴォイドレーザーの軌道を予測し、理緒さんと情報共有します。
防御アップした理緒さんの機体の後ろで敵の攻撃をやり過ごし、攻撃がやんだところで『プラズマブレード』の一撃を叩き込みましょう!




 銃砲撃で耕し、車輪で轢き、剣撃で刻み、車両で抉じ開けた。
 生体キャバリアの巣窟は猟兵達の手により暴かれ、その最奥まであと一歩という距離まで猟兵達の進撃は至っていた。
 しかしここで遂に生体キャバリアの攻勢に変化が起きる。猛威的な殲滅速度を誇る猟兵達を天敵と認識したためか、これまでの数任せの迎撃から打って変わり統率の取れた、まるで軍隊の様な動きをするようになっていた。
 絶え間ないレーザー照射が猟兵達を出迎える。蟻の子一匹を通さない、触れるモノの一切を灼かんとする光の防壁である。
 しかしそれは、これが敵の最終防衛ラインである事を意味していた。

「ここを突破すれば警部さんの所まで辿りつける……!アイさん、攻撃は任せたよ!」
「わかりました、理緒さん、前衛はお任せします!」
 理緒とアイはこの防壁を突破するべく行動を開始した。
 まず理緒の操縦するlaniusがその姿を変形させる。最低限のセンサー以外の露出を無くし、正面装甲の体積を増強させたその姿は「攻撃が最大の防御」であるのならばその逆、「防御が最大の攻撃」と言わんが如きものであった。そしてその防御力は確かに迫るレーザーを物ともせず、「動く盾」としてその本領を発揮していた。
「よし、これなら……!mist sprayer始動!」
 続けて理緒は隔壁破壊に使用した散水機から大量の水を噴霧させる。これは敵の索敵能力を低下させる狙いで行っていたのだが、実はそれ以上の効果があった。レーザーはまっすぐ進む性質上、その進路上の物体をレーザーの熱量で破壊しなければならず、それにより威力の減衰が発生する。ましてや軍事施設の隔壁を破壊するような水量から生じる霧中である。生体キャバリアの拡散レーザーは今まさに霧の防壁に阻まれ、そして飲み込まれようとしていた。
「アイさん、レーザーが止んだよ!」
「了解です、それでは反撃(ペイバック)と行きましょう!」
 理緒の呼び声にオベイロンをパワードスーツ形態に変形させたアイが応える。その手にプラズマソードを構え、霧の中へと飛び込み、それに理緒が続いた。
「敵の布陣は理緒さんからのデータリンクで把握済み。視界ゼロでも関係ありません!」
 その言葉通り、霧中でアイが斬りかかればそこには確かな手応えがあった。この閉所で生体キャバリアは防衛ラインを敷いたことにより思う様に動くことが出来ず、レーザーを封じられた今肉壁として果てるほかに選択肢が無かった。
「これなら……!理緒さん、後続の味方にもデータリンクを展開して突入を促してください!この機に生体キャバリアを一気に殲滅しましょう!」
「了解!」
 ここで生体キャバリアを一機でも逃がせばプラントを破壊できたとしても事件の完全解決には至らない。ここで畳み掛けるのが正解であると判断したアイの提案を受けた理緒はすぐさま他猟兵達とのデータリンクを開き、情報を共有。霧中への突入を要請した。
 そこからは猟兵達の一方的な攻勢の開始である。そこかしこで斬撃打撃音が鳴り響き、最後には破壊された生体キャバリアの残骸の山が出来上がっていた。


●最奥、到着
『こちらホプキンス。猟兵、部屋の外から敵の気配が無くなった。一体何が起きてるんだ?』
 生体キャバリアとの戦闘を終えた猟兵達にむけてシェリルから通信が入る。そこで猟兵は生体キャバリアを全滅させた事を伝えた。
『あの数を全滅だって!?……いや本当に大したもんだ。兎に角こちらは皆無事だ。部屋の外にこちらの目印になるようにケミカルライトを設置しておく。大丈夫だとは思うが最後まで気を抜かないでくれ。』
 シェリルが応答する間。彼女の背後では他の生存者が歓喜や驚きの声を上げていた。ようやく彼女たちに安堵が訪れたのである。
 しかし猟兵達はまだ安堵できない事を知っている。この最奥にこそ撃破すべきオブリビオンマシンが居座り、そして全ての元凶であるプラントが鎮座しているのだ。
 シェリルに言われるまでもなかった事であったが、猟兵達は油断することなく合流地点へと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『エヴォルグ壱號機『Swollen』』

POW   :    負荷強化式『Swollen』
自身が操縦する【キャバリアが損傷時に負荷強化を開始。機体】の【損傷を瞬時かつ無限に修復と強化する】と【同時に使用数に応じ巨大化しサイズと戦闘力】を増強する。
SPD   :    圧縮解放式『Violence』
自身の【肥大した機体を極限まで絞り圧縮。3本の腕】から、戦場の仲間が受けた【か自身の負荷に応じた速度密度誇る、凝縮度】に比例した威力と攻撃範囲の【連撃を放つ。攻撃後5mの通常態に戻り熱風】を放つ。
WIZ   :    負荷最適解『muscular』
【負荷が掛かる事に負荷に適応した体】に変身する。変身の度に自身の【防御値、攻撃力値、状態異常耐性値、速度値】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●発見:捜索隊の撮影記録
 サノカティラ市警の捜索隊が軍事施設の最奥を撮影した映像データ。撮影者は捜索隊隊長のA・フォーク警視正(殉職による二階級特進)。同行者はK・ユー警部補。映像データは捜索隊の共用データベースにアップロードされていた。

【懐中電灯を片手に暗闇を進む撮影者】
「クソッ何だこの匂いは……。」
「警部、ちょっとこれを見てください。」
【声をかけられ振り向く撮影者。ユー警部補が照らす壁面には施設の見取り図らしきものが掛けられていた。】
「兵器生産プラント……?なんだこれは、こんなの聞いてないぞ?」
「いや、そっちじゃなくて。そのプラントやらを抜けた先に……ほら、これエレベーターシャフトじゃないですか?もしかしたらこいつで地上まで出られるかもしれない。」
「ふむ、だが距離があるな。……よし、私が調べてくる。動くようならそのままエレベーターを使用して応援を呼んでこよう。」
「えっ!?そしたら、その……自分達はここで待つって事ですか?」
「負傷者も居る以上速さが重要だ。彼らを連れてはあのバケモノたちの餌食になりかねん。警部補、君は通信センターに戻りホプキンス警部らに状況を伝達、後に防衛指揮にあたれ。」
「……了解です。まぁ月並みな言葉ですが、お気をつけて。」
【不服そうに来た道を戻るユー警部補。撮影者はさらに奥へと進む。】

(中略)

【蒸気が立ち込める区画を進む撮影者。呼吸が荒くなる様子が録音されている。】
「ハァッ、ハァッ……さっきから匂いがキツい……。それにクソ暑ぃ」
【悪態をついてから5分後、前方にエレベーターの搬入扉を見つけ駆け出す撮影者。】
「はっ、ハハッ。ようやくこんな所からオサラバできる…!コンソールは……こいつか!」
【壁面に取り付けられたパネルを操作する撮影者。直後、警報が鳴り響く】
『無断侵入者を検知しました。速やかに退去してください。』
「はぁっ!?おい畜生、どうなってる!」
『退去しない場合は保安目的による実力行使を開始します。』
【アサルトライフルを構え周囲を警戒する撮影者。前方に動く人型を捉える。】
『登録の無い人員を確認。並びに未登録火器の所持を確認。非常事態プロトコルによる実力排除を開始します。』
「あぁ畜生よせやめろ来るなぁあああ!――っあ"あ”あ”!う”あぁあ”あ”!」
【撮影者の悲鳴と鳴り響く発砲音。マズルフラッシュの向こうから迫る異形。カメラが破損したせいか映像が途切れ、音声のみが記録される。】
――シグナルアウト。

●生存者、確認。
 通信施設内に立て籠もっていたシェリル・ホプキンス警部を含む生存者と合流を果たした猟兵達。
 施設周辺には彼女たちが撃破したであろう数機の生体キャバリアが転がっていた。聞けばブービートラップや、持ち込んだ装備や施設に保管されていた火器で防御線を構築し、何とか耐えていたのだという。
「それにしても本当に危なかった。貴方達が来てくれなきゃ皆くたばってただろう。本当にありがとう。」
 シェリルが猟兵に感謝の言葉を伝えると、他の生存者も次々と感謝の言葉を口にする。彼らの大半はサノカティラ市警の捜索隊であったが、行方不明となっていた市民らしき人々もそこにはいた。
 だが猟兵達の仕事はまだ終わっていない。猟兵は自分たちの仕事がプラントの破壊であることを伝えると表情を曇らせた。
「あぁ、そのプラント区画の事なんだが、どうにも厄介なのが居座っているらしい……。」
 そういうとシェリルは猟兵達に一つの映像データを提供した。映像の最後にほんのわずかに映り込んだ異形は間違いなくオブリビオンマシン。猟兵達が狩るべき存在である。
 そして撮影者であるフォーク警部が発見したエレベーター。あれが起動できるようになれば生存者たちをこの場からすぐに避難させる事ができるだろう。
「あの最後の様子、恐らくフォーク警部は無事じゃないだろう……。キャバリアが無い以上、私にはどうすることも出来ない。済まないがあのバケモノをどうにかしてくれないか?」

●決戦 プラント区画
 通信施設に生存者達を残し、プラント区画へと突入する傭兵たち。
 そこはこれまでのトンネルと比べるまでもなく広い空間で、そしてサウナであるかのような熱気に包まれた場所であった。熱気の正体は区画の中央に鎮座するプラント、その排熱である。
 そしてツンと鼻を突く臭気に猟兵は気づき、それが映像の中のフォーク警部が悪態をついていたものだと理解する。その原因を探してみると、不完全な姿で横たわる生体キャバリアの骸があり、それが臭気を放っているのだと悟った。
 防衛用の生体キャバリアを吐き出し続けていたツケが回ったのであろうか、プラントは稼働を停止しているようである。これを破壊すれば司法省からの依頼は完遂されるだろう。しかし、世の中何事もそう容易く事は運ばないものである。
『侵入者発見。強力な未登録武装の所持を確認。排除を開始します。』
 機械音声と共に現れたのは生体キャバリア『Swollen』。二足歩行という範疇には収まっているものの、やはりその体表を覆う生体パーツの数々が、それが尋常のキャバリアではない事を物語っていた。
『保安部隊への応援を要請……保安部隊のシグナルを確認できません。当機が安全に作業を行うため当区画に繋がる通路を封鎖します。非戦闘員の方の当区画での業務継続はお勧めしません。速やかに避難してください。』
 Swollenのアナウンスに続き、猟兵達が通ってきた通路への隔壁が閉鎖される。退路が絶たれた。
 もはや生き残る道はSwollen――オブリビオンマシンを撃破すること以外には無い。
 大都市の地下の、その最奥で最後の戦いが始まろうとしていた。
 
ノエル・カンナビス
(エイストラ搭乗、武装はライフル・ブレイド・キャノンx2)

有機材を多用し、直結リンクでキャバリアの肉体を持つ。
傭兵として戦い、敵兵を斃し、そのお金でご飯を食べる。
私は、エヴォルグ量産機と同じものです。

あの子たちは不完全な命令を受け、それでも必死に従いました。
私には何の命令もなく、自分で依頼を選んでいます。
どちらが正義で、どちらが幸福なのでしょう。

いずれにしても。

「――あなたには責任を取ってもらいます」

鎧無視攻撃/キャノンと貫通攻撃/ライフルの一斉発射/
2回攻撃/継戦能力で真っ向殴り合います。
あなたは生体なんでしょう?
キャノンで蒸し焼きにされ、ライフルで中枢を焼かれ、
その超高熱に耐えられますか?




『交戦、開始します。』
 侵入者を目の前にSwollenは双肩からだらりと伸びる触手の先端を硬質化させる。ガラスの如き光沢を放つそれは、しかし振るえば触れるもの全てをを切り裂く鉾であり、決して見掛け倒しなどでは無い。百戦錬磨の猟兵達をしても、Swollenは間違いなく強敵と認識せざるを得ないオブリビオンマシンであった。
 だが、またそれを真正面から迎え撃たんとする猟兵の姿も。
「エイストラ、攻撃を開始します。」
 ノエルは二門の肩部プラズマキャノン、そしてプラズマライフルを構えSwollenを照準に捉える。その威力はトンネルの侵攻作戦において実証済みだ。
「……良い兵隊は指揮官を選べません。それでも『あの子』たちは不完全な命令に、最後の瞬間まで従いました。」
 当然のことではあるが、猟兵も含め大半のキャバリア乗りにキャバリアの心を理解することはできない。ノエルもまたその一人である。しかし彼女はこの一連の戦いを通し、己の生き様――レプリカントに生まれ、肉体を「増設」し、戦い、斃し、勝利と共に報酬を得て、そして糧を得る生活が、これまで屠ってきた量産機もまた同じサイクルの中にあった事を実感した。
 違いは傭兵か、それとも兵隊か。そして猟兵か、オブリビオンマシンの末端か。
 そしてノエルは生き残り、量産機たちは死守命令の下に全滅した。
「いずれにしても、――あなたにはその責任を取ってもらいます。」
 トリガーを引くと同時に高熱エネルギーの奔流がSwollenを消し飛ばさんと直撃する。
『前面装甲に重大な損傷が発生。修復を開始します。』
 対するSwollenはその場で自己修復を開始、生体パーツ内の自己増殖細胞が急激に活性化、焼き尽くされ炭化した装甲を押しのけるように盛り上がってくる。
「再生能力っ…!」
 Swollenの取った行動に思わず悪態を漏らすノエル。流石は本命のオブリビオンマシン、プラズマが焼き尽くす速さを上回る再生能力でエイストラの攻撃を耐え凌いでみせた。
『交戦目標の脅威度を再計算……。対応可能な戦術プランでの迎撃を開始します。』
 修復された生体装甲が瞬時に盛り上がり、交戦開始時よりもその巨躯をさらに大きく、力強いものへと変えていた。そして両腕の触手を振り上げエイストラへと襲い掛かる。
「くっ……だったら直接中枢を叩くまでっ!」
 ノエルはエネルギー残量の無くなったライフルを投棄し、その場でエイストラの前腕部に組み込まれたビームブレイドを起動させSwollenへと突撃する。直後、巨怪の触腕の一撃目がエイストラが立っていた地点を深く抉り抜いた。
 続くSwollenの二撃目、高速の突撃で仕掛けてきたエイストラに反応し軌道を急激に変え、背後から穿たんと迫る。
 しかしそこはキャバリア乗りとして培った戦士の勘の賜物と言うべきか。咄嗟にプラズマキャノンをパージし触手と激突させ、その切っ先を明後日の咆哮へと逸らさせる。そしてキャノンをパージしたことにより機体が軽くなったエイストラはさらにスピードを上げSwollenへと迫る。迎撃の三手目は届かない。巨体故広くなった懐へとエイストラが辿りつき、その光剣と化した腕を胴体に突き立てる。
「E.A、ディスチャージ……脅威の再生力ですが、直接中枢を焼かれても役に立ちますかね?」
 エイストラの腕(アーム)から直接伝わる手応え、ブレイドの切っ先が中枢へと達した事を理解したノエルはすかさずエイストラの保有する電力をブレイドに出力し雷撃を放つ。コアを焼き、それでも余りあるエネルギーは盛り上げられた肉壁や焼き貫き、背面から雷を生やす形と成る。
『コアユニットに深刻なダメージ発生。サブコアによる臨時管制を開始します。』
 エイストラから飛び退くSwollen、その胸部に大穴を開けているが、それも次第に再生する肉に飲まれていく。しかしその再生速度はプラズマに灼かれた時よりも幾分かゆっくりであった。
 不死身の怪物が敗れぬ道理はない。
 巨躯の怪物は確実に少なくないダメージを受けていたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋由良・インテグラ
救助者を確保。あとは連れて帰るだけ。……なんだけどかなり厄介そうなのが出てきたわね。

どんなキャバリア相手でもやることは大体一緒。キャバリアである限りコックピットなり制御中枢がある。そこを叩けば勝機は見えるわ。
中枢を物理的な破壊かハックによる電気的な破壊か……私はもちろん物理ね。
おそらく弱点となる箇所は守るようにプログラミングされているか他より硬くなっているハズ。【E•T-M•Pマニューバ】でそこを見切らせてもらうわ。頭をフル回転させてね。

救助者を無事に連れ帰ることが仕事なの。あのキャバリアとプラントはただの障害。
……よし行こうインフィニティ。

※アドリブ連携歓迎


カーバンクル・スカルン
まぁ相手の数からすればこれだけ生存者がいるってのも御の字か。

あとはここをめちゃくちゃに壊して逃げ出すだけ。……でーもーねー、その前にアンタを壊さなきゃいけないと。

【置酒高会】を発動して敵キャバリアをまずは拘束。質問内容は「このプラントが作られた経緯」。どれだけ頭空っぽだろうとエルデナント共和国が作ったのか別の国が作ったかぐらいは言えんだろ、アンタの所属先ぞ?

言えようと言えまいと檻の中に放たれたワニがアンタの凝縮されたお肉に齧り付いて離れないんだけどな! その間に私はハッキングでもしてプラント自体に何か情報が残ってないか探りつつ暴走プログラムを忍ばせとくか。




「救助対象は確保、あとは一緒に帰って大団円……て訳には行かないかぁ。」
「猟兵稼業、そうは問屋が卸さないってね。それにこれ程のプラント、ただ破壊するだけじゃ芸がない。ここはボーナス報酬もゲットして行こうか!」
「にしても……うわー、もう傷修復しちゃってるよ。弾数もつかなぁ。」
 秋由良とカーバンクルの二人は目の前でボコボコと音を立てて体躯を修復するSwollenの様子を伺っていた。
『メインコアユニットの修復完了。権限を切り替えます。』
「げぇっ!?コアも修復できちゃうの!?」
「本当に何でもアリだねぇ……。これは再生できなくなるまで消耗させるのが近道かな?」
 これもまた亡国の恐るべき技術力の賜物とでもいうのか。二人の猟兵の戦いが始まった。

『敵性キャバリアの接近を確認、ただちに迎撃します。』
「簡単にやられはしないさ……よし行こうインフィニティ。」
 Swollenの前に立ったのは秋由良の駆る白きキャバリア、インフィニティ。大型機関砲を構えて対峙する。
「サブコアっていうのが何処にあるのかは分からないけど、弱点が一つから二つに増えたってだけ。だったら纏めて吹き飛ばす。」
 先手を取ったのは秋由良。大口径砲がけたたましい爆音を響かせ砲弾を吐き出しSwollenの肉体を削り飛ばす。
『脅威度判明、圧縮解放式による一掃を開始します。』
 肉体を削り飛ばされながらSwollenはその身体を圧縮、そして両肩の触腕、背部の巨腕を振り上げる。
『圧縮解放式、実行し――』
「そうは行かないよっとぉ!」
 Swollenが攻撃に入ろうとしたその時、カーバンクルの掛け声とともにカタリナの車輪と名付けられた巨大車輪がSwollenの脚部を襲う。背部の巨腕、それは自己修復と肥大化を繰り返すSwollenの巨躯を支える、言わばバランサーの役割を担っていた。つまりこの圧縮解放式を使っている状態と言うのはSwollenにとっては非常に不安定であり、この間は連撃を繰り出すことで発生する遠心力を頼りに歩行制御が行われるという仕組みであった。
 そんな状態で脚部なぞに攻撃を喰らえば結果は瞭然、転倒である。
「さぁここからは楽しい尋問(インタビュー)タイムだ!洗いざらい吐いてもらおうか!」
 カーバンクルがそう言うと転倒したSwollenの周囲から檻がせり上がり、さらに彼女の足元からは檻を見下ろすような高台がせりあがる。
「それじゃあ質問!『このプラントが作られた経緯について!』答えるなら『その子たち』に喰われる前にお願いね!」
 Swollenの周囲にカーバンクルが「その子」と呼ぶ機械仕掛けのワニが5体現れる。しかし、これに対して攻撃を行うかと思われていたSwollenであったが……。
『質問内容を把握しました。戦闘一時中断、データアーカイブを検索します。……データアーカイブに1件、当施設の設立について詳しく解説した陸軍広報局のプロモーションビデオがありますが視聴なさいますか?』
「え、何それ気になる。…じゃなくて!とりあえずその内容を要約してくれればOK!」
 敵の意外にも素直な反応に思わず目を丸くするカーバンクル。しかし非常時と言う事もあり、簡潔に纏める様に注文を入れた。
『かしこまりました。……当施設「サノカティラ軍港地下プラント研究所」はエルデナント王国陸軍技術開発局が諸外国のキャバリア技術の研究、対抗兵器の開発を目的に全国に設置した研究機関の一つです。当施設では現在各国で配備が進められている生体キャバリアの基礎研究を行っており、プラントは同盟国から貸与された物が使用されています。』
「現在?…あぁなるほど。PVが作られた当時の話しか。旧体制って話だから陸軍の組織自体も別物だったのね……。ここに来るまでにその陸軍技術開発局が生体キャバリアの制御に難儀しているってレポートを見たけど、それはここの閉鎖に関わってるの?」
『検索中……。当施設の閉鎖に関するデータは見つかりませんでした。』
「……事故の隠蔽?すると誰にも知られずに歴史の闇に葬られたって感じか……。あとPVってデータとかで貰えるの?」
『データベースに保管されている資料の譲渡には当施設責任者三名の認可が必要となります。申し訳ございませんがお渡しできません。他に質問がないようでしたら応答を終了させていただきます。
「あー、うん。もう大丈夫。」
『――それでは戦闘を再開します。』
 ワニに齧られながらも最後まで無機質かつ事務的に答えたSwollenは周囲の檻をワニごと熱風で吹き飛ばしカーバンクルに接近する。
「PVはマニアとかいれば高く売れそうだったのになぁー。ちょっと残念。……秋由良さん、とどめをお願い!」
「了解。ミサイル5番から12番発射!」
 カーバンクルの合図に合わせインフィニティが残りのミサイルを全弾Swollenへと叩き込む。対するSwollenもこれに気が付き触腕を叩きつけ迎撃を図る。
「そうすると思った……本命は、こっち!」
 それを待ってたと言わんばかりに秋由良は両腕に仕込まれたブレイドを展開しSwollenへと突っ込み、その刃を突き立てる。
「再生の様子はしっかり観察させてもらったからね。コアの周辺だけ修復が早くなってるんでしょ?」
 秋由良の推測は当たりだった。Swollenの動きが一時的に止まる。メインコアユニットとサブコアユニットへの同時攻撃。そしてブレイドを引き抜けばサブコアがその先端に突き刺さったままである。
『エラー、エラー。サブコアαが機能を停止しました。戦闘終了後のメンテナンスを要請します。』
「やっぱりあと何個かあるよねっ……!後は他の猟兵さん達に任せるよっ!」
「……よし。こっちもやる事やったし、撤収撤収!」
 すぐさま懐から飛び退いた秋由良。そしてプラントの影から何か細工をしていたカーバンクルが合流し後方へと下がる。
 二人はオブリビオンマシンに着実にダメージを与え、更に情報を抜き取った。
 そしてこの情報が猟兵とこの国に今後何をもたらすのか。今は誰にもわからないが、しかし少なくとも今回の事件の真相究明の手がかりとなるだろう。

●発見:プラントの稼働ログ
 猟兵が発見したログデータ。最初期の稼働時期は半年前。施設長クラスの権限を有するゲストアカウントのログイン履歴が残っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カグヤ・アルトニウス
○生物災害

アドリブ・連携歓迎

ここまで見てきて感じた実態は…間違いなく「生物災害」で、放置すれば確実に上の市街地が壊滅するので確実に解決したい所です

(キャバリア)
ホワイト・レクイエム

(行動)
今回は…大量破壊兵器は論外ですし、石化も脅威度か高い故に対策を取られてそうなので一撃離脱で行きます

【第六感】で隙を見てトゥインクル・スターに格納してあった重対艦剣をゲートから敵直上に射出、テレポートで追いついて反転しつつ【マヒ攻撃】付の【斬撃波】を放って足止め
さらに加速してUCで凍結させつつ唐竹割に、さらに【二回攻撃】の返す刃で【鎧無視攻撃】・【切断】で追撃して離脱します

これで、時間は稼げそうですかね…




「あれでまだ戦力を残していると言うのですか…。であればやる事は一つ…!」
 カグヤ駆るホワイト・レクイエムがSwollenの眼前に躍り出る。しかしその得物は無手、徒手空拳であった。故にSwollenはホワイト・レクイエムの脅威度を測りかねていた。
『…超近接戦闘型キャバリアと認定、脅威度は――』
「マルミアドワーズッ!」
 それを隙と見切ったカグヤは兵装転移システムを起動、Swollen直上へゲートを設置し対艦刀を呼び寄せ刀が自重でSwollenを突き刺さんとせまる。
『…識別修正、対象をサイキックキャバリアと認定、迎撃プランを再構築します。』
 しかしそれをSwollenは肥大化させた触手で受け止める。その強靭さもさる事ながら、不意打ちに対する迎撃能力もまた超一流の域にあった。
「ならばこれならっ…!」
 手の内を読まれる前に畳み掛ける、カグヤは対艦刀が掴まれたと判断すると同時にホワイト・レクイエムごとSwollenの頭上、対艦刀の柄に手がかかる位置へとテレポートを行う。対するSwollenもテレポートの起こりを察知すると同時に迎撃のために触腕を繰り出す。
「ふんっ!」
刀の柄に手が届くと同時にその体躯をしならせ反動をつけるホワイト・レクイエム、てこの原理によりキャバリアの重量が乗った対艦刀がSwollenの拘束から解き放たれ、続けざまに追撃の斬撃を放つ。
 斬撃は確かにSwollenに放たれ直撃、しかし超接近戦下という状況から繰り出されていたSwollenの一撃もまたホワイト・レクイエムのコックピットユニットを叩く。二合目は両者痛み分けに終わった。
 カグヤは損傷を気に留めながらもすぐさまその場から後退、三合目は再び両者の睨み合い、仕切り直しから始まった。
 カグヤは身の丈以上の対艦刀を大上段に振り上げた守りを捨てた一撃必殺の構え、対するSwollenは触腕を正面にうねらせ刀を絡め取り後の先を狙っているかの如き守りの構え。互いが互いの対となる構えを取った事で硬直状態がしばらく続くかと思われた中、真っ先に動いたのはカグヤであった。
「やあああっ!」
 だっ、と踏み込み触腕ごと唐竹割りの一撃に伏さんと覇気と共に放たれた大上段。これをSwollenは待っていたと言わんばかりに触腕繰り出し迎撃する。
 対艦刀と硬質化した触腕の「先端同士」がぶつかり火花を散らす。カグヤは刀を振り下ろす瞬間、自らに念動による制動を掛け本来飛び込む筈であった場所から数歩下がった位置から攻撃を放ったのである。要するにズラしたのである。
 早ければ空振り、遅れれば捕まる。ベスト・オブ・ベストのタイミングで放たれた斬撃はSwollenの触腕に捕まることなく、振り下ろされる。
 そしてカグヤは振り下ろし前屈気味になった姿勢から、いつの間にか冷気を纏った対艦刀の返す刀によるかち上げをホワイト・レクイエムの二の太刀とし、Swollenの鉄壁の構えを崩す。対艦刀という得物を持つ姿から放たれたそれはかの大剣豪、佐々木小次郎が得意としたと言われる「燕返し」の秘技の再演であった。
「――獲った!」
 手元で順手に構え直し、無防備を晒すSwollenめがけて放たれた止めの斬撃は、一刀両断までと言わなかったものの確かにぶれることなく深々と巨体を抉り、斬り裂いたのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
理緒さんと

「これが全ての元凶ですね、いきましょう、理緒さん!」

パワードスーツ形態のオベイロンを装着したまま、敵と交戦開始です。
ロケットランチャーと大型荷電粒子砲を放って攻撃しますが……。

「なっ!?
変身して巨大化し、防御、攻撃、速度が上昇しました!?
きゃああっ」

攻撃の直撃を受けたパワードスーツ。
キャバリアより小型の機体の装甲では耐えきれず、コックピットにアラームが鳴り響きます。

『アイ、本機を捨てて脱出を』
「そうは……いきませんっ!
オベイロン、装甲パージ!」

武装や装甲をパージし【高機動型強化外装】モードへ移行。

「理緒さん、協力して敵を倒しましょうっ!」

動きの止まった敵に武装を叩き込んでいきます。


リリウム・マーセナリー
※アドリブ・連携歓迎

「――これは、なかなかに……」
おぞましい、とは口に出しませんが何はともあれ仕留める他ありません。

基本的には『ワイバーン』の両肩部シールド(盾受け)で耐えつつ、アサルトライフルで友軍の【援護射撃】に徹します。どのような存在であれ、弱点は必ずある筈です。なんとか、その弱みを探し出せれば良いのですが、さて。

何はともあれ、攻撃を受ける位置ですから機体の損傷については厭わず、使い潰すつもりで事にあたります。量産機でパーツも潤沢ですからね、こういう使い方をしてこそというものです。


菫宮・理緒
アイさんと

うん。もう退路もなし、だもんね。
なら倒すしか帰る術はないってことだね!

アイさんの言葉に覚悟を決めていっしょに突撃(マスターズ・オーダー)

え?加速した!?

吹き飛ぶアイさんに青ざめるけど、無事なことを確認したら、ぷっちん。
【限界突破】しそうなくらいめいっぱいの【操縦】で、
相手に接近して電磁警棒を叩き込むよ。

「アイさんをこんなところに閉じこもらせるわけにはいかないんだよ!」

【Swollen】も生体キャバリアってことなら
【Magne Truncheon】の電磁攻撃で神経系を【マヒ】させられるはず。
動きを止められれば攻撃を当てやすいよね!

動きが止まったら、アイさんと連携して攻撃していくね!




『高速修復機能の実行に必要なエネルギーが確保できません。省エネ低速モードに切り替えます。』
 猟兵達が全身を灼き、肉を削り、骨を断ち、臓腑を抉ろうとも伝説のノスフェラトゥの如く蘇るSwollen。確かにダメージは蓄積されているが、厄介な自己修復は未だ健在である。

「ならばここで一気に決めます!理緒さん!」
「わかったよアイさん!」
 しかし敵が弱りつつあると確信したアイと理緒が突撃を仕掛ける。
 パワードスーツを装着するアイはロケットランチャーを起動、さらに身の丈以上の長砲身を誇る荷電粒子砲を構え持てる最大火力を放つ。先にロケットを放つことで荷電粒子と炸薬の詰まった弾頭の初撃が同時にSwollenへと直撃、さらに後続のロケット弾頭が次々と爆ぜ爆炎を生じさせる。
 艦砲クラスの砲撃とロケットランチャーのつるべ撃ち。過剰に過ぎる火力投射により、誰もが勝負あったと悟った。
『敵強化外骨格兵の脅威度を識別。優先的に排除します。』
「なっ!?」 
 しかし爆風で巻き上げられた塵の向こうからあの機械的な声が響き、そして現れた。
 その半身は粉々に吹き飛んでいるというのに、未だその脅威に衰えは見えない。そしてそれはその場の猟兵全てに隙を生じさせてしまう。
「きゃあああっ!」
「アイさん!?」
 いの一番に狙われたのは攻撃の主力と認定されたアイであった。突如襲来するはSwollenのタックル。軽量級キャバリアに足りるかどうかの重量のパワードアーマーがその衝撃力に耐えきれるはずもなく、5メートル以上の距離を吹き飛ばされる。
 辛うじて大破は免れたものの、その光景はパートナーである理緒の精神を掻き乱すには十分過ぎる物であった。
「アイさん!?無事ですかアイさんっ!?」
 必死の呼びかけに対して応答は無い。理緒の全身から血の気が引き、考え得る中で最悪のモノが脳内をよぎる。
「っ!」
 しかし理緒もまたアイの安否を気遣う余裕を許されていない。直ぐ側まで接戦するSwollenの次なる一撃。
 すんでの所で回避するも、その動きは極めて危ういと言わざるを得なかった。

「くっ、動きが速すぎてコアが……!」
 リリウムは半壊したSwollenの表面から顔をのぞかせるいくつかのコアユニットを照準内に捉えようとするが、その不規則な戦闘機動に妨害されトリガーを引けずにいた。
 この状況をもどかしいと思う間もSwollenは確実に自己修復を続け一つまた一つとコアを肉の内へと埋め戻していく。
「ここは一か八か、打って出ます…!」
 リリウム駆るドラグーンが交戦中のlaniusとSwollenの間へと割り込む。
 構えるアサルトライフルの銃口の先にはいくつかあるサブコアユニットの一つ。
 突然の乱入に対応ができないか急停止するSwollen。
 勝負の女神はリリウムに微笑んだ。誰もがそう思い、リリウムもまたトリガーを引く。
 しかし、またしてもやはりSwollenの反撃である。二本の触腕を繰り出しドラグーンの排除を試みる。触腕はドラグーンの両肩に取り付けられたシールドに直撃、その反動で銃口がずれサブコアユニットを撃ち抜くことはかなわず周囲の肉を抉るに留まる。
 さらにシールドへの異常な衝撃がそのままドラグーンの両腕をもぎ取らんばかりに襲いかかる。
 機体管制システムは機体保護を優先しシールドをパージ。そのまま壁に叩きつけられた二枚の盾は飴細工のようにひしゃげ、脅威の怪力が襲い掛かってきたことを物語っていた。そしてドラグーンのコックピット内も両腕に過負荷がかかった事によるアラートが鳴り響く。
「射撃精度低下っ……!一旦下がります!」
 Swollenの全身から吹き出す熱波から逃れる様に飛び退くドラグーンの中でリリウムは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

『…イ!…アイ…!』
Swollenに吹き飛ばされ混濁した意識の中、アイは自らの名を呼ぶ声を聞いた。
「オ、ベイロン……。」
『良かった、気がついたようですね。』
 声の主はオベイロンの自律AIであった。HUDにはオベイロンの損傷箇所、アイのバイタルサインが表示されていた。
『装甲の5割が破損、フレームは無事ですが一撃でも攻撃を受ければ本機からの脱出が困難になります。今のうちに脱出を…!』
「里緒さんは……?」
アイの質問にオベイロンは外部カメラからの映像をディスプレイに投影する。そこにはSwollen相手に紙一重の回避を続けるlaniusが映し出されていた。その手には電磁警棒が握られているが猛攻を前に防戦を強いられているように見える。
「理緒さんを助けないと…っ!」
『いけません。アイ、本機から脱出を。』
 オベイロンの言は正しい。管制AIである以上パイロットの保護は最優先事項であり、アイの生存確率を高めると言う意味においても理論的な正当性があった。
 だが人には、人としての「情」を知るものであるからこそ、「正しくなくて良い時」と言うものが存在する。
「オベイロン、装甲パージ!高機動型強化外装モードに移行!」
『アイ!?』
 アイはオベイロンから強制的に管制システムの一部を奪い、手動でパワードスーツの機能を切り替える。
 最早用済みの装甲が次々と弾け飛び、その下に隠されていたフレームが剥き出しになっていく。更に衝撃で破損した兵装の代わりにレーザーガトリングとミサイルランチャーが格納部から現れた。
「理緒さんをあのままにして良い訳がない!オベイロン、敵攻撃パターンの解析、回避コースを示して!」

 その時――アイが吹き飛ばされた時、理緒の中で「何か」が弾けた。
 それからアイを傷つけたSwollenに対する怒りに任せての攻防を繰り返すが、冷静さを欠いてしまえばいくら猟兵であろうと――当然例外は居るだろうが、本領を発揮することはできない。寧ろ悪化の一途を辿るだけだ。
 現に理緒は追いつめられていた。得物は電磁警棒のみ。対するSwollenは鋭利な触腕に加え高耐久力、高機動力を併せ持つ強敵である。
「アイさんを…アイさんをこんなところに閉じこもらせるわけにはいかないんだよっ!」
 laniusのコックピットで叫ぶ理緒の声には怒り、そして焦りの色が混じっていた。逆手に構えた警棒を振りかぶり、Swollenへと吶喊を仕掛ける。
 速さで言えばほぼ互角、しかし此処まで躱し捌き続けてきた実績からやや理緒に分があるか。触腕の連撃を掻い潜りメインコアの埋まる胴体へと一撃を叩き込まんと肉薄していく。
 だがそこで大きな見落としに気が付く。Swollenの背部、三本目の「剛腕」の存在。
「――しまっ……!」
 反射的にSwollenの頭上に目をやれば三本指の拳が固められ、ハンマーの如く振り下ろさんとばかりに持ち上がっていた。
 胆が冷える。助からないのでは。アイが吹き飛ばされた時以上の動揺に完全に動きが止まってしまう理緒。脳裏を走馬燈が過ぎり…過ぎりそうになったその時だ。
「させませんっ!」
 騎兵隊の如く襲来したミサイルの猛攻がSwollenを襲い、理緒の耳に聞き慣れたパートナーの声が届いた。
「アイさん!無事だったんですねっ!」
「理緒さん、ご心配をおかけしました!ここから巻き返しましょう!」
「……っ!はいっ!」
 時間にしては僅かであったが、理緒の声色には生き別れた友との再会を果たしたかの様な喜びが顕れ、アイもまた決意を新たに闘志を秘めた声で理緒を鼓舞した。
 調子を取り戻した理緒は先ほどとは打って変わったかのような機敏な動きでSwollenが攻撃を仕掛けるよりも速い高機動によりその懐へと到達した。そしてやぁっと理緒の気合いの籠った声と共に電磁警棒がSwollenへと突き刺さり、高圧電流がSwollenの行動を阻害する。
「アイさん、今です!」
 警棒をそのままに理緒が飛び退くと、ガトリングを構えたオベイロンがSwollenに向き合い、そのトリガーを引いた。
 絶え間ないレーザーはSwollenの生体パーツを灼き貫き、その修復速度を遂に上回る。
 生体装甲の内を曝け出すSwollen、ガトリングのエネルギー残量をフルに使い切ると、猟兵達の目の前に再びコアユニットが現れた。
「とどめを刺すまではいけませんでしたが……リリウムさん、後はお任せします。」
「お任せされました。……絶対外さない。外してやるものか。」
 先の戦闘にて腕部を損傷したドラグーンはその身をプラントの上へと移動させていた。発想の転換である。腕が思うように動かせないのなら、動かす必要のない位置に移動すればいい。リリウムはこの限られた戦場において依託射撃ができる位置を見つけ出したのだった。
 固定した腕が構えるアサルトライフルの銃口と、Swollenの剥き出しになったコアを結ぶ一本の線を阻むモノは無し。
「お返しです。」
 短い声と共にアサルトライフルの銃口から発射された幾つもの弾丸が、曝け出された怪物の急所を貫いた。
『サブコアΔ、及びλの停止を確認。機体ステータスを更新……更新完了、戦闘継続に支障はありません。』
 しかし、それでもまだ怪物は止まらない。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

リコ・エンブラエル
●POW

生存者の確保は完了
先程遭遇した生体キャバリアら生み出した母体は骸となっていたのは良いが、まさかオブリビオンマシンとは別だったとはな
とは言え、このまま放置していてはろくな事にならんだろう

近づくにしても、触手のような腕もそうだが背中から生えた副腕が厄介だな掌は概ね人間サイズ、丁度ギアを一掴みしそうな大きさだが、それなら丁度いい
背後を取ろうと【挑発】し、鷲掴みしようと仕向けようではないか
上手く掛かれば挙動を【見切り】、指先を掴んだら『ヘビーアームド・ウェポナイズ』で指先を掴んだらエンジン全開で重心を崩そう
倒したらUCで修復される前に予備燃料タンクをパージし、信号拳銃で着火し、一気に【焼却】だ




「ぬぅ…こいつは想像以上に厄介だな。」
 バドリング選手、即ちロボット格闘技という分野のエキスパート。
 一線を退いたとは言え、ファイターとして超一流の技術と経験を有するリコはSwollenに対して攻めあぐねていた。
 体格、タフネス、パワー。どれを取って見比べてもその差は大人と子供。もっと厳しく見れば巨象と蟻程の隔たりが存在した。
 しかし、大物食い(ジャイアントキリング)という言葉があるように活路を見出せばどれだけ相手より劣っていようと勝利を掴む事が出来る。
 そしてリコは大物食いの身近な世界に身を置いていた存在であり、当人もまたこの場所で大物食いを成さんと準備を開始していた。
「触腕も大概だが、一番厄介なのは三本目の腕だな。打撃、掴み、さらには機体制御の要ときてる。」
 ――しかしだからこそ「三本目の腕」を狙うのだ。
 Swollenの得物の中で最も特異とも言うべきフォルムの三本目の腕。確かに触腕に比べれば関節も、指のような器官もある。正に「陸上生物らしい」フォルムであった。
「さぁ、そこを通してもらおうか!」
 リコのパワードギアがSwollenに真正面から突っ込むように駆け出す。これにSwollenは触腕を伸ばし迎撃してくるが、軽量級キャバリア以上に小回りの利くパワードギアは巧みな足捌きで次々と攻撃を掻い潜ってみせる。そしてSwollenの懐まで潜り込んでしまうと触腕による攻撃の勢いが弱まった。
「先端の物騒なものも此処まで潜られてしまえば無用の長物ってな。……さて、問題はここからだな。」
 自ら虎穴に飛びこんだも等しいリコに一休みを入れる猶予はない。チャンスはたった一度きり。それを逃せば死を免れないだろう。
 Swollenは触腕の死角へと潜り込んできたリコを排除すべく、遂に三本目の腕を振り上げ、薙ぎ下すように振り抜いた。その軌道を例えるならボクシングのフックに近いだろうか。人ひとりを掴みあげてしまいそうな巨腕がリコへと迫っていた。
「そいつを待っていた!」
 しかしリコはそれが来ることを予想していた。巨腕の先端の、しっかりと開かれた指の先。それがリコの狙いであった。
 パワードギアと巨腕が触れる、正に間一髪のタイミングを見計らい、ギアの足先を軸に回転して掴みを躱し、逆にその指を「獲」る。
「後は投げられるかどうか、ぶっつけ本番だ!」
 リコはギアの出力をフルスロットルまで解放し、Swollenの指を掴んだまま捩じり上げて背負うような姿勢をとった。
 かなり変則的ではあったが、それは間違いなく「一本背負い」の姿勢、つまりリコはキャバリア相手に柔道技を仕掛けているのである。
 ギアのパワーに技自体のスピード、さらにSwollenの攻撃の勢いが最も乗ったタイミングで仕掛けた事、この三要素の一致は正に神がかりとしか言いようのない格闘芸術を生み出した。
「どっせえぇぇい!」
 リコの掛け声とともに、Swollenは宙を舞ったのだ。跳躍や爆薬などによる吹き飛ばしではなく、まさに超実戦的な「一本背負い」の一撃によって。

 Swollenの対空時間は2,3秒にも満たぬごく短時間ではあったが、搭載AIが想定外の情報を処理しきれずにフリーズを起こすには十分すぎる時間であった。
 なればこそ巨体は受け身をとれるはずもなく、地面に打ち付けられる様に落下し、暫し動きを止めた。
「バトリングならここでレフェリーが止めに入るんだろうが、これは試合じゃないんでね。ゴング代わりにこいつでも食らいな。」
 そしてリコはギアに取り付けられていたジェリカンをSwollenに向けブン投げると、懐から取り出した信号拳銃でそれを撃ち抜いた。
 ジェリカンに積めるものと言えば当然燃料であり、そんなものに照明弾と言えど大口径で発火性の弾頭を撃ち込めばどうなるか。
 Swollenは全身を火に包まれた。そして生体パーツを再生する間を与えぬように焼き焦がす熱は確実にコアを損傷させるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒木・摩那
今回のオブリビオンマシンは厄介です。
攻撃は強いし、防御も固くてすぐに回復するとあっては手がいくらあっても足りません。

しかし、探知だけは五感頼りのようです。
ここは目潰しして攻撃を加え続けて自壊を狙います。

キャバリア『エクアトゥール』で攻撃します。
施設内に転がるキャバリアの残骸や備品などをUC【胡蝶天翔】で黒蝶に変換。
敵機の顔に張り付かせることで、五感を封じます。
その間に『エール・ノワール』のビームソードで敵機を【なぎ払い】ます。

攻撃を加えると身長が大きくなるということは天井まで達するのも時間の問題。
そうなれば、いくら素早くとも攻撃にも制約が出るはず。
そこに【重量攻撃】を込めた一撃を加えます。




 摩耶のエクアトゥールの両腕のバインダーがけたたましく唸りSwollenめがけて弾丸を浴びせかける。対してSwollenは持ち前の耐久力で全弾を受け止め、触腕をしならせてはエクアトゥールへと反撃を繰り出す。そしてエクアトゥールがそれを避ける。
「このままじゃよくて千日手、悪くてジリ貧っ……ですね!」
 我慢比べとなれば圧倒的耐久力と修復能力を有するSwollenが優勢になるのも時間の問題だ。そこで摩耶は勝負に出る事にした。
「天に漂いし精霊よ。物に宿りて我に従え。姿さずけよ。」
 Swollenから十分に距離を取った摩耶は詠唱を開始した。すると周囲に飛散したキャバリア用装甲や施設内資材から蝶の群れが現れ、一斉にSwollenへと群がる。
 Swollenは蝶の群れに対して触腕を繰り出すが当然ながら効果は無い。蝶の軽い身体が剛撃の勢いを逃がしてしまうのだ。
 蝶の群れは霧散されてもまた群れを形成し、そしてSwollenの白い面を覆った。
『視覚センサーへの妨害を確認、代替索敵方法を設定します。』
 目隠しをされたSwollenはその瞬間、あらゆる攻撃行動を中断した。自軍部隊へのフレンドリファイヤーを防止するためのセーフティが作動したのだ。
「好機到来!エール・ノワール起動!」
 そして計は成ったと確信し飛び出した摩耶は舌なめずりをすると、エクアトゥールの肩シールドからサイキックエナジーを放出し、翼を形成する。それは翼であり刃であった。
「敵がサンドバック状態になってくれている今、一気に叩かせてもらいます!」
 摩耶はエクアトゥールのブースター出力を最大限まで上げると翼でSwollenを切りつけるように何度も何度も反復攻撃を仕掛ける。しかしどれもSwollenに致命傷を与えるような一撃ではなかった。むしろ逆にSwollenの体積と戦闘能力を増大させてしまう悪手である。
『振動センサーによる索敵方法を設定、迎撃を再開します。』
 そしてSwollenもまた攻撃を再開した。エクアトゥールが移動するたびに発生する空気の対流の差異を利用した先読みの一撃が摩耶を襲う。
「うおっとぉ!?これは想定外でしたね……。ですが、こちらの仕掛けは既に終わっています。」
 正に皮一枚の所での咄嗟の回避に冷や汗をかく摩耶。だが確かに彼女の言う通り、Swollenは既に罠にはめられていたのだった。
 Swollenがさらに追撃するべく触腕を振るおうとする。しかし、その先端が壁や資材にぶつかり、正確な攻撃をエクアトゥールへと行えないのだ。
「幾ら身体を大きくできると言ってもやはり限度ってものがありますよ!…じゃあ、本来の性能を活かせぬまま沈んでもらいましょうか!」
 空振りの一撃を潜って巨大化したSwollenの懐へと辿りついた摩耶はエクアトゥールの拳にサイキックパワーを集中させ、メインコアユニットが埋まっている箇所を渾身の一撃で撃ち抜いてみせた。
 そして込められたサイキックパワーがメインコアユニットから全身へと流れるパイプ内を逆流。身体中に残存するサブコアへと流れ込み、次々と機能不全を発生させた。
『サイキックエネルギーによる深刻な問題が発生しました。至急、メンテナンスを行ってください。』
 Swollenが機体の異常を警告する。しかし、それに応える者は誰一人現れなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーレア・サーディス
終わるべき時に終われなかったもの。
生体キャバリアは嫌いだが、お前と同じモノだ、私も。
なら、お前を終わらせてやるのは私達であるべきだ。

死んだ量産型エヴォルグと、その犠牲者には手を貸してもらう。
神聖帝国機甲歩兵。お前と同じ、大昔の戦争で終わっておくべきだった私達。
何度殺されても終われない私達が、お前を殺しきって終わらせてやる。
全機で飽和攻撃。お前が攻撃手段に対応するならば、セリオンの砲種をその度に変化させよう。お前の反撃で"死んだ"ものはその死骸から再びエクトスにしてやろう。
お前がこの閉鎖空間に耐えきれなくなるまで、あるいは自身を支えきれなくなるまで。責任を持って何度でも、何百度でも殺してやる。


ティー・アラベリア
施設の忠実な保安員と言うような風体でございますね
出会い方が違えば、出来のいい道具同士、良いお友達になれたかもしれませんのに、とっても残念です
……言っておきますが本心ですよ
お互い、結構気が合いそうだと思いませんか?

さて、損傷が大きくなればなるほど強大化するその能力は些か厄介ですね
いつもなら大火力をもって一気に焼き払うところですが、ここは魔術的に対処いたしましょう
その大きな腕を、脚を、胴体を、"最初からなかったこと"にして差し上げます
最初から存在しないものを、どうやって損傷させることが出来ましょうか

共に主を失った道具のよしみでございます
その最期を、幾許かの同情と哀悼をもって見送って差し上げましょう




『機体損傷…深刻なレベルに達しています。作業遂行が困難…。警備司令部に応援要請…回線不通を確認。信号発信を継続しつつ、戦闘を続行します。』
 驚異の再生力と幾つものコアを有する生体キャバリアSwollen。オブリビオンマシン打倒の為集った猟兵達の猛攻をもってしても、未だこの怪物を斃し切るには至ってはいない。
 だがしかし、その「不死身の怪物」の不死性にも綻びが見えていた。

「ふぅむ……これまでの様子を見る限り、彼は暴走キャバリアと言うよりは業務に忠実な保安員と言った風体でございますね。」
「だが奴の全うすべき仕事はもう無い。奴は終わるべき時に終われなかった。今を生きる者達にとっては不要な亡霊だ。」
「それもそうですね……。出来のいい道具同士、良いお友達になれたかもしれませんのに、とっても残念です。」
ユーレア・サーディスとティー・アラベリア。「人の造りしモノ」という存在である二人は、その同類ともいえるSwollenにそれぞれが思う所があった。
「友達?……本気で言ってるのか?」
「はい、本心ですよ。彼とボク、結構気が合いそうだと思いませんか?」
 にこりと微笑むティーと正面のSwollenをエクトスのカメラを通し見比べて、ふむと小首をかしげるユーレア。
「…すまない、私にはよくわからない。」
「構いませんよ、ユーレア様。これはボクの趣味の様なものですので。それに、お仕事中に私事(プライベート)を持ち込むのはご奉仕人形失格ですしね☆」
「なるほど。」
 そういう考え方もあるのかと納得するユーレアと、肩をすくめてみせるティー。途中からどこかぽわっとした会話の流れになっていたが、まだ戦いの只中。ここからは改めて猟兵としてSwollenへと向き合うのであった。


「お前の最後の相手は『私達』だ。」
 Swollenの目の前に立ち塞がったのはユーレア駆るエクトス、そしてその背後に隊列を成す亡国の機甲歩兵――エクセルキトゥスの一団であった。
『敵集団規模……大隊規模。所属情報を検索……1件該当あり、神聖帝国軍と推定。』
「そうだ。生まれた時、場所は違えど、お前も私達も大昔の戦争で終わるべきだった存在。だがお互いに終われなかった。」
 国滅び、本来の存在意義を失った者同士。しかしユーレアは猟兵として新たな使命を得た。
 だが一方のSwollenは、今も尚無き軍隊、無き国家に忠誠を尽くさんとするその姿は――そうあれと造られたと言え、余りにも虚しく、そして滑稽であった。
「だから私達が、何度殺されようが殺しきれない神聖帝国機甲歩兵がお前を殺し尽くしてみせる。……全機攻撃開始。」
 だからこれは慈悲なのだ。ユーレアの号令と共にエクセルキトゥス達が動き出す。
 その動きは号令が無いにも関わらず、一糸乱れぬ統制のとれた動きであり、各機がその手に持つ概念兵器セリオンの銃口が一斉にSwollenへと向けられ火を噴いた。
 さながら戦列歩兵による一斉射撃の如き制圧力である。Swollenは第一射の直撃でよろけると、すぐさま砲火の中に隠れてしまった。
「続けて第二、第三射。飽和攻撃だ。反撃の隙を与えるな。」
 言葉少なに装甲歩兵を指揮するユーレア。それに合わせて次々と砲撃がSwollenに向けて放たれた。轟く砲声は空気を揺らし、砲撃の余波はSwollenの周辺を破壊し尽くす。
『ダメージ蓄積、許容限界を超えます。作業続行の為、緊急リミッターを解除します。』
 砲火の向こうから無機質なアナウンスが鳴り響き、触腕が最前列のエクセルキトゥスを薙ぎ払った。そして、それと同時にSwollenがユーレアの前にその姿を晒す。
 最早それはキャバリアとは呼ぶことすらできぬ「肉塊」であった。度重なる猟兵の攻撃に晒され基礎フレームが疲労、さらに生体装甲の修復にともなう細胞増殖がフレームを圧迫した結果による自己崩壊。肥大化した上半身が脚部を飲み込んだ末の姿であった。唯一の面影は先端の鋭利な触腕が二本と白い面のみ。
 そして殆ど動けなくなった身になりながらも、侵入者を排除すべくエクセルキトゥスを屠り続けるのであった。
「……それでもまだ動くか。いいだろう、ならば死ぬまで何度も何度も殺し続けるだけだ。装甲歩兵、前へ。」
 エクセルキトゥスがその数を半分以上減らすとユーレアはすぐさま兵員の補充を開始した。屠られたエクセルキトゥス、プラント周辺に野ざらしにされたエヴォルグ量産型の骸、それが新たなエクセルキトゥスの素体となる。これが神聖帝国装甲歩兵の不死性を生み出す手品の種であった。
「まだトンネルの中にも量産型の骸はごまんとあるぞ。そしてお前が耐えきれなくなるまで私達も付き合ってやる。」
 ――何度も何度も何度も、何百度、那由他の果てにたどり着こうとも。それが私の責任だ。
 Swollenの「道具」としての在り方を取り戻してやるために。ユーレアと彼女が率いる不死の軍団は怪物の不死性が尽き果てるまで灼き続けたのであった。


「……貴方はとても立派に務めを果たしましたね。」
 もはやSwollenには猟兵達を排除する力など残されていなかった。残るのは際限なく肥大化した肉塊と、力なく痙攣を続ける触腕のみ。
 ティーはその触腕の一つをそっと持ち上げると、天使のような微笑みを浮かべ優しく撫でた。
「ボクたちは猟兵で、貴方はオブリビオンマシン。こうなる事は理解していただけに、本当にこうした形での出会いと別れになってしまう事が残念でなりません。」
 ――だからこれは、せめてもの餞(はなむけ)。ティーは一本の短杖を取り出し、そしてSwollenの触腕を杖でとんと叩いた。
 すると叩いた箇所から触腕は崩壊を始める。崩壊は触腕から肉塊へと侵食し、Swollenを無へと還していく。
「貴方の存在そのものの因果律を崩壊させました。もうこれで修復される事はないでしょう。」
 それは単純な破壊では無かった。「最初からなかった事にする。」即ち、世界から「存在した」という事実を消し去る因果の改竄である。
「ですが、貴方と同じく主を失った道具のよしみとして、ボクは貴方を忘れません。えぇ、決して忘れません。」

 精霊信仰の中には、人に長く使い続けられた道具には魂が宿るという信仰がある。サムライエンパイアでは特に百年の年月を経て魂を得たものを「ヤドリガミ」と呼び、今日の猟兵の中にもそうした者達が多く存在している。
 では、はたして主無き道具達に魂は宿るのだろうか。その答えは正しく「神のみぞ知る」ところである。
 猟兵であり奉仕人形である彼は、消えゆくオブリビオンマシンを人間が愛しく思うものにそうするかのように、ただ同情と哀悼の念を込めて崩壊してゆく様を見送るのであった。

こうしてオブリビオンマシン「Swollen」は、文字通り「跡形もなく」消滅したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●ミッション・コンプリート

 猟兵達がオブリビオンマシン「Swollen」を撃破するとプラント区画内に設けられたエレベーターが起動し始めた。どうやらオブリビオンマシンに内蔵されていた保安システムが沈黙したことでロックが解除されたらしい。
 猟兵達はプラントを徹底的に破壊すると、通信施設に待機させていた生存者たちを集め、エレベーターに乗り込み地上を目指した。そして地上へとたどり着くと警察無線による通信が入る。発信者は操車場で待機していたウィリアムだった。
「おぉやっと繋がった!途中からいくら呼びかけても応答がないから胆が冷えたぜ……。で、あんたらは今どこにいるんだ?」
 猟兵達はあたりを見回すが、わかる事と言えばそこが地下への進入を開始した操車場ではないという事だけだった。そこで無線機を地元民であるシェリルへと渡し、生存者の世話をするように応援の要請を伝えるのであった。
「惜しむべくはやはり死傷者が出ちまったって事だが……あんたらは今回もしっかり仕事をしてくれてんだ。気にする事は無ぇ。本当にありがとな。」
 ウィリアムは感謝の言葉を伝えると操車場からの撤収の為猟兵との通信を切った。するとそれに合わせてもう一本の通信が入った。その発信者は自らをトーマス・ハリガン、つまりエルデナント共和国司法長官であると名乗った。
「直接話すのはこれが初めてだな猟兵諸君。では早速本題に入ろう。先ほどサノカティラ市内に配備しているこちらのエージェントから地下の高エネルギー体反応が消失したとの報告と、君たちが地上へと戻ってきたとの報告が入った。つまり依頼を完遂したと考えて良いのかな?」
 どうやら司法省は司法省で監視を続けていたようだ。
 ハリガンの問いに対し猟兵は受けた依頼を間違いなく完遂したと告げた。あわせて地下を蠢いていたモノの正体についても。
「…なるほど。やはり旧体制時代の置き土産、か。これはカバーストーリーの練り直しが必要そうだな。とにかく一から十までやってもらった事感謝するよ。本来であれば表彰状や勲章を贈るべきなのだろうが軍の反動分子を刺激しかねんし表立って謝意を伝える事は出来ないが……だが君たちはそれだけのことをやってくれた。本当に感謝してるよ。」
 最後にハリガンは報酬をグリモア猟兵を通じて渡すと猟兵達に伝えると通信を終了した。

 こうしてサノカティラ市を恐怖に陥れていた事件は終結した。しかしそれが後々エルデナント共和国に降りかかる試練の始まりとなる事をこの時猟兵達を含めて、まだ誰も知る由は無かった。

最終結果:成功

完成日:2021年06月13日


挿絵イラスト