強張る瞼の裏で湯浴みを(作者 地属性
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#サクラミラージュ  #断章投下後よりプレイング受付 


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#サクラミラージュ
#断章投下後よりプレイング受付


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●終着は花弁浮かぶ湯船へと
「帝都に影朧が現れた。諸君の協力が不可欠だ!」
 キリッとした眼差しの奥に、0と1の羅列を浮かべる少女、嘸口・知星(清澄への誘い水・f22024)は、頭を下げる。ブリーフィングに集まった猟兵たちに礼を述べると、サクラミラージュで起きる事件について説明を始めた。
「まずは影朧というオブリビオンについて解説する必要があろう。さぞ混乱することだろうしな。これらはこの世界特有の、傷つきながら生まれ出ずる『弱いオブリビオン』なのだが……」
 幻朧桜に誘われたオブリビオン、影朧は傷つき虐げられた者達の「過去」から生まれ、荒ぶる魂と肉体を鎮めた後、転生の時を待つ。
 今回争乱の火種となるのは、中でもとりわけ弱い、傷ついた影朧なのだ。
 無論、弱いからと放置していれば、やがては世界を乱すほつれになりかねない。戦闘に浄化、双方をこなし、一刻も早い事態の収拾が望ましい。
「影朧と時を過ごし、穏やかな流れの中で魂を救済する。あなたたちにしか成し遂げられないだろう。改めて、協力をお願いしたい」

 『炎狐ホタビ』という巫女姿の影朧が今回のターゲットである。
 「浄化」ということに殊更に執着心を抱いた彼女は、人の往来の激しい帝都のまっ只中に現れ、手当たり次第に人々を浄化し始めるだろう。穢れや美に対して敏感である彼女は、「ユーベルコヲド使い」である猟兵たちを見つければ、一般人より優先して襲いかかってくる。
「協力者の現地人にはあらかじめ話をつけてあるため、一般人の避難誘導に意識を向ける必要はない。……手負の獣こそ恐ろしいという。油断して石化させられないことだ」
 封印術で外界から遮断させてしまうことに長けている。一対一の状況を避けて協力して事にあたれば優位に戦闘を進めることができるだろう。ちなみに会話も行うことができる。うまく口車に乗せれば、攻撃や場所を誘導するのも難しくない。

 戦闘が終わってすぐに『炎狐ホタビ』は消え失せるわけではない。彼女は逃走を試みるだろう。
 ――最も、逃げる、というほどのスピード感はないはずである。むしろゆっくりと目的地に移動する、非常に緩慢でのんびりとした徒行であろう。
「ちなみにホタビによって封印された者たちは彼女が放っておかないだろう」
 戦闘の結果次第ではあるが、健在、負傷問わず、猟兵はホタビの足先を妨げず、同行することを推奨する。消えかけの存在であるとはいえ、影朧は影朧。消える一瞬まで見届けることが責任ともいえる。
 生きる希望を失えば、影朧は無念のまま消滅してしまう。その後転生を果たせるかは絶望的だ。
「肝要なのはコミュニケーション! ついて来いと言えば同行するくらいの理性は持ち合わせている。どうにか連れ添ってあげてほしい」

 あと、入浴の準備を忘れないように、と知星は意外なことを述べた。目を丸くする猟兵に、知星は端的に理由を説明する。
「傷だらけで転生を待ちたくない。せめて穢れた血を拭い去りたい、ということなのだろうな」
 辿り着くのは、夜櫻温泉郷。
 桜が舞い散る絶景を眺めながら、入浴を楽しむことができる施設である。性別や種族ごとに別れた大浴場の他、混浴や個室、家族風呂も完備する大温泉だ。薬湯も水風呂、酒風呂に泥風呂まである。
 炎で身を焼くのではなく、湯水で磨き上げたい、そんなささやかな願望(しゅうちゃく)を叶えるために、影朧はここに辿り着く。猟兵たちもここでは存分に日々の疲れを癒やし、己を労ってほしい。気の置けない仲間と楽しむのも良いだろう。

「逆上せることほど恐ろしいことはない。しかし、どれだけ辛い過去が具現化すれば、ここまで弱く生まれるのだろうな」
 放っておけば自然に消滅するような弱い存在、そしてそれを補って余りある執念。
「では気をつけて行ってきてくれ。さぞ輝かしい勝利の栄光があなたたちに齎されるだろう!」
 しかし、心の強さならば猟兵たちも負けてはいない。確信に満ちた眼差しで、旅立つ背中を見送るのであった。


地属性
 こちらまでお目通しくださりありがとうございます。
 改めましてMSの地属性と申します。
 以下はこの依頼のざっくりとした補足をして参ります。
 今回は桜花舞う世界でオブリビオンと戦闘、その後交流していただきます。ポロリもある……かも。

 この依頼はシリアス一部お察しとなっております。
 クールに切り抜けるもよし、ピンチプレイングを演出するもよし。仮に演出上ひどい目に合ったとしても、🔵は得られますしストーリーもつつがなく進行します。思いついた方はプレイングにどうぞ。
 基本的に集まったプレイング次第でどうとでも転がる仕様になっています。途中章からのご参加も歓迎です。

 続いて、シナリオ、世界観の特色の補足をば。
 まず「桜の精」種族の猟兵の参加有無は成功率に影響しません。
 また、「影朧の転生」という概念は広く一般化しており、一般人に説明すれば協力は得られます。執着を満たせば影朧は勝手に消滅するので、トドメを刺す必要はありません。

 では皆様の熱を帯びたプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『炎狐ホタビ』

POW ●炎幻自在・晶化
対象の攻撃を軽減する【囮の罠型式神を設置。対象の肉体は徐々に石】に変身しつつ、【対象は囮を優先し、囮の罠型式神が壊れるま】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD ●炎戯・魂魄奉納
【内に秘めるべき攻撃対象への庇護欲の爆発】を籠めた【接触対象を結晶化、または内部に吸収する炎】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【肉体を炎結晶に封印。対象の美を保ちつつ心】のみを攻撃する。
WIZ ●蒐集物ヲ愛デル
【炎の妖結晶に封じた、コレクシヨンを愛でる】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ジズルズィーク・ジグルリズリィです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――ドンっ……!

「あ痛っ」
「と、ごめんよ嬢ちゃん」

 雑踏にて、膝から力が抜ける。ふらつく足取りから己の生命力が尽きかけていることを実感する。
 眩い宝石の輝きが一筋。閉じかけた瞳が桜を捉えて、落涙を抑えきれなかった。

「私は……」

 友もいない。家族もいない。ただ手元には、傍には、眩い命の、燃焼する輝きがあった。
 おそらく今の自分の輝きは消えかけの細々とした光に違いない。

「美しく清らかに、せめて消える一瞬は……っ!」

 綺麗にありたい。
 ただ、清めたいという願いが、ひとりの影朧を前に進ませる。尾と耳を隠し、牙を研いで、己の歩みを阻む全てを誅せんがために――!
ミニョン・サフィール
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】

まずは【カーテンコール】で空を泳ぐ人魚の種族になって、ホタビを自分に引き付けます

人気のないところまで誘い出したら反撃しますけど……
【炎戯・魂魄奉納】を受けて浄化されながら体が結晶化していき……そして肉体を完全に炎結晶に封印されて心と体(穢れを大量に出されて)を浄化されるとホタビのコレクションとにされてしまいそうです

浄化されても徹底的に浄化されてしまいそうです


「随分と見せつけてくれるじゃない」

 くいと顎に手を当て、疼くまる彼の視線を無理やり上へ、己へと向けさせる。
 人通りを避けた裏路地にて、宙舞う美しい尾ひれを見つけて駆け寄ったのも束の間、誘い出したのは自身より遥かに幼い男の子ではないか。傷ついた体をおして迫ったかいがあるというもの。

「ん、んん……」
「な、なんですか……」
「綺麗ね。本当に、食べちゃいたいくらい」
「ひ……ッ」

 狐というよりも、獲物を睨む猛禽の眼差しを向けながら、その庇護欲を今にも爆発させん勢いで体を撫でさする。これで怪我や負傷の苦しみを少しでも和らげられるなら、とミニョン・サフィール(魔法怪盗サファイア・f32433)は《怪盗参上(カーテンコール)》で変身し、彼女を誘き寄せたことを早くも後悔しつつあった。
 手負の獣ほど恐ろしいものはない。

「反撃を……あれ……?」
「気に入ったわ。私のコレクションに加えてあげる!」
「そんなっ、ボクの、ボクの手が……ああっ?!」

 ミニョンの後ろ手に縛られたような姿勢、そこを炎で炙られると、接触部が煌めいてみるみるうちに鉱物の結晶のような姿に変じていく。
 生きながらに肉体を作りかえられていく恐怖。頬を伝う汗を、美に目敏い炎狐ホタビは見逃さなかった。

「ねー見える? というか見てよね。私のそばに浮かぶ、この炎の数々。ただの狐火じゃないの。全部が生きた人魂……生命の輝きをそのまま封じ込めた私の大切な、命よりも大切なものを蒐集物よ」
「あ、ああ……っ!」
「くんくん」

 恐怖に怯え、泳ぐ視線。生命力は恐怖に晒されてこそ滾るというもの。ツンと匂い立つ汗の香りも、衣装の中で酸味漂わせる黄色いゆまりも、恐れという彼が搾り出した感情表現の一つ。なんて汚らわしい。綺麗な顔をして、こんなにも可憐な衣装に身を包んで、スタイリッシュな変身をして、それでいてこんなにも醜悪な香りを漂わせられるものなのか。
 しかし、それでも愛そう。目一杯の愛を与えて、味わって、そう、まずは味わうことが必要だ。

「うんっ……うん、ふふっ! ビビって漏れちゃったひっどーいにおい!」
「ううっ……ひぐっ」
「はぁ……涙と鼻水で顔もぐちゃぐちゃ! 台無しなのに、なんて綺麗なの! もったいない、一滴残らず、私のものにしてあげるんだから。私の中で汚いもの全部、浄化してあげるわっ」
「やだぁ……舐めないで……ボクは……うぁッ……!」

 体を存分に弄られて、時折衣装越しにもわかる隆起を摩られては、さしものミニョンも身悶えることしかできない。
 浄化と称されて炎で炙られ続ければ、熱を帯びて発汗するだけでなく、断続的に与えられる刺激と危機感でツンと鼻をつく臭いが立ち込める。濡れて滲みのできたところはホタビが両手で擦り上げて、さらに手触りで弱点目掛けて熱を加えるのだ。
 生きながら結晶化していく、そして浄化される感覚、生殺しに近い。

「いい加減認めたらどお? どのみちこの匂いごとコレクションになるんだもの。それとも、そういう負の感情もまとめて浄化してあげようかなっ」
「やだっ、やだあっ」
「いいこと思いついた。どうしても脱ぐ気がないっていうなら、ここからも焼いてあげる」

 舌、出して。と端的な言葉で脅迫するホタビ。傷ついた体を歪んだ庇護欲で発散することで、紛らわせている実情。抵抗するよりも従った方が彼女のためにはなる。……ミニョン自身そうわかっていても、体が自然と抵抗してしまうのは無理からぬというものだ。見ず知らずの存在に舌を突き出して差し出すなど、弱点をみすみす差し出しているのに等しい。ただでさえ自由を奪われ、一方的に弄ばれているというのに。

「(このままじゃボク……本当におかしくなってしまう……!)」
「それにしても酷い穢れ、今までどんな経験をしてきたらこぉんなに蓄積できるものなの? 上澄みだけで鼻がおかしくなりそう。ねぇぼく、そもそも歳はいくつ? 泣いてちゃわからないんだけど」
「ひっ……ぐすっ」
「あぁごめんね。ずーっと舌摘んでたから。うん。それじゃあバイバイ!」

 舌を限界まで伸ばして指の腹で押さえたり摘んだりして弄んでやる。目を白黒させ、鼻をすすって許しを乞う彼を、ホタビはついに浄化し尽くすことを決めた。ミニョンの体を炎が包み込み、やがて生きながらに結晶に封じ込めてしまう。気泡のように穢れが絶えず浮き出てはそれすらも閉じ込めて、充満した澱みが濃縮していく。
 そんな生き地獄に彼を閉じ込めて、ホタビは満足そうに笑った。弱った肉体も、多少なりとも回復したようだ。やはり、愛。愛さえあれば、多少のバッドコンディションは無視できる!

「随分と変わった子だったけれど、なんだろう。……まぁ私のコレクションに加えるなら、ふふっ、悪くないわ!」

 やがて人魂サイズに縮めた結晶炎をまた一つ、近くに浮かべながら、再び人通りの多いところへと歩み出していく。彼女の邁進は終わらない。魂の終着点にたどり着くまで、狂った庇護欲は加速していく一方であった――。
成功 🔵🔵🔴

テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

うぅむ…何ともかわいそうなのですよ…
ちゃんと転生できるようにサポートしてあげたいですねっ!

ともあれ石化には石化で対抗!【メデューサの矢】でこちらも石化を狙っていきましょうか!
例え石化されるのは覚悟の上…というかいつものことなのでっ!
(石化フラグについてはお任せします)


「あなたの技は見切っています! なぜなら初対面じゃありませんからね」
「また変なのが出た……どうあっても私のことを邪魔したいってわけ?」

 桜散る美しい帝都に、Vサインのよく似合う美麗なうさ耳がピョコンと立ち上る。テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)、その名を隠すこともなく、さらには煩悩を隠すこともなく、同じく煩悩塗れのホタビの前に立ちはだかる。欲望は混ざり合って加速する。両者の間に吹く風は一触即発の雰囲気を漂わせて不穏だ。まさしく、出会ってはいけない二人……と思いきや、その口ぶりにはいささか感じるものがあったようで。

「えっもしかして、他の『私』に会ってるの?」
「さてさてどうでしょう。知りたければ、力尽くで聞き出してみては?」
「いらっ」

 こんな安い挑発をしては、ボクは敵の反撃に遭って無残な姿を晒してしまうかもしれない! と、着々とフラグを積み上げることも忘れずに、にへらと口元緩く受けて立つテフラ。被虐の欲望を前面に出した口ぶり。でもある意味で効果的だ。なにせ相手は「いらっ」と口に出している。
 手傷を負った影朧と聞いて、少し期待はずれ感を予感していたが。並々ならぬ闘志は体から漏れ出るようで、腐ってもオブリビオンということか。ならば話は早い。勝負を早いとこ済ませて己の欲望を満たしつつ、ホタビの余力を削ぎ落とす!

「(うぅむ…何ともかわいそうなのですよ…ちゃんと転生できるようにサポートしてあげたいですねっ! もちろん体を張って! むふふ)」
「な、なによ……笑っちゃって」
「先手必勝です! 《メデューサの矢(アロー・オブ・ペトラファクション)》!」

 宣言とともに、吹く風がにわかに向きを変えた。嵐の予感、それもとびきりの強風であおられる。
 ビュンビュンと風を切り、凄まじい勢いで矢の雨を射出する。慌てて屋根の上まで飛び退ったホタビが目の当たりにしたのは、命中した建造物や花弁、果ては野良猫までがカチンコチンの石と化している様子である。どうやら「石化」の属性を孕んだ呪術らしい。乾いた唇をぺろりと舐めた。
 石化する技を持つものはそれほど多くはなく、ましてや対面するとなってはなかなか稀有な事例だ。もしかしたら美的観念を共有できるかもしれない。共に語らう同輩がほしい。苦しみを慰めてくれる共感者がほしい。すでに捨て去ったはずのそんな淡い期待が、つい油断めいてホタビの口から漏れ出す。

「もしかして同族ってやつかしらね」
「いいえ。その逆ですよ」
「……逆?」
「なんでもありませんとも! まだまだいきますよ!」

 逆。逆とはなんだろうか。石化ではなく、石化からの解放者ということか。あるいは石化させたその後に目的があるのか。
 なんとも微妙な答えだが、そのいかにも、なわざとらしい態度は、彼の気質の表れか。
 そうこうしているうちに矢の雨が再び放たれた。今度はさらに本数が多い。威力も見るからにひとしおで、属性の強さが否応なしに感じられる。しかしものは考えようでもある。掠めればたちまちに石化する呪い属性、厄介ではあるがそれ自体に殺傷能力があるわけではない。さては、動きを封じて他の者と連携するつもりか、と高所から身を屈めて周囲を窺うが、どうやらテフラは単独で動いている様子。
 油断か、はたまたこれもまたいつもの「フラグ」なのか。

「私はここよっ!」

 残念ながら答えは後者であった。
 バッ! と、宙から懐へ飛び込んでくる狐の影。
 無論、それを見過ごすテフラではないその影目掛けて矢を放ち、対象を矢ダルマのハリネズミ状態にしてみせた。勝負あり、と確信したのも束の間。

「なんですって!」
「なーんてねっ。私の勝ち! いやなんでちょっと嬉しそうなのっ?!」

 攻撃の対象となった式神……すなわち、囮が、反撃に転じ、刺さった矢を放出したのだ! 反転した矢がテフラに突き立ち、みるみるうちに彼は微動だしない石へと変じていく。勝利を確信していたためかその手はピースのまま、なんとも無様な姿で固まりつつあった。質問の答えは、勝った! と思ったので……なのだが、石化して強張る舌根ではまともに口を動かすことすら碌にできない。
 石化したい者、石化されたい者。
 なるほど。たしかに同族というよりはむしろ真逆の、相容れない存在だといえるのかもしれない。期待通りというか、期待外れというか。扱う属性は同じだという矛盾が、勝負の結果を示してなお重く現実にのしかかる。

「あ……ああ、固まって……しまいますぅ……ウ゛ッ゛」
「変な声! 私の力と自分の呪力のせいで、あちこちから石化しちゃってるのね。喉の奥から体内から、全身まであとどのくらいかしら。お気の毒様、出来上がったら灯籠にでもしてあげるケド、最期に何か言い残すことはある?」
「……」

 物言わぬ石像となったテフラに答えるすべなどあるはずもなく。
 決着はついたものの、ホタビには過量の疲労感が残された。足取りはひたすらに重く鈍い。彼女の受難は、まだ続く……。
成功 🔵🔵🔴

多都美・和
ましろさんと

わかったにゅ、ましろさま。
ましろさまはこんなときでも優しいですにゅ!

あ、でも、手負いの獣は危険がいっぱいなのにゅ、
気をつけ……って、間に合わなかったにゅー!?

ああ、ましろさま、
なんて美味し、いえアブない姿になってるにゅ。

わたしたちはいっしょに温泉に入りにきたんだにゅ。
独り占めしたいのはわかるけど、それはわたしの役だにゅ!
と、【肉球ビーム】で相手を骨抜きにするにゅ。

「わかったらましろさまを解放するにゅ」

ましろさまは解放されたけど、全裸はそのまま……。

見ちゃダメなのにゅ。これは和ちゃんのなのにゅ!

と、肉球でましろさまの胸を包み、
尻尾はアブないところに貼り付けるように押しつけて隠すにゅ。


高千穂・ましろ
和ちゃんと

「消えかけの影朧ですか。
ここはひと思いに浄化してあげましょう」

魔法少女として影朧を浄化する決意を固め、サポートメイドの和ちゃんと一緒に影朧に立ち向かおうとし……

「受けてください、私の魔法……
って、きゃあっ!?」
『ああっ、魔法を撃とうとしたましろに炎の一撃が命中して、魔法少女服を燃やし尽くし……
全裸にされたまま結晶に封印されてしまったにゃ!
これだと帝都の人々にましろの全裸が大公開だにゃ!』

なんとか結晶からは解放されましたけど、私……全裸のままでっ!?

「あっ、和ちゃん、そこはだめぇっ!」
『和の肉球がましろの胸を揉んで……しっぽが下半身を愛撫して、ましろから熱い吐息が漏れてるにゃ!』


 屋根の上から炎狐ホタビの同行を観察する影が二つ、否三つ――!

「消えかけの影朧ですか。ここはひと思いに浄化してあげましょう。私のサポートをお願いしますね」

 いつにも増してキリッとした眼差し、赤いリボンが眩しい魔法少女服に身を包み、使命感に燃えるのは高千穂・ましろ(黒猫ノワールと契約した魔法少女・f29622)である。視線は油断なくホタビの背中を追い、人渦の中や物陰等忙しなく進む彼女を完璧に捉えていた。
 ターゲットの視認に夢中な、ある意味で無防備な彼女を見上げるのが、黒猫『ノワール』である。いわゆる使い魔にあたる生物で、旺盛な欲望を持つましろのアドバイザーである。そのオッドアイが見つめる先は神秘か、はたまた花園か。
 両手足を地につけ、その視線の先を共にしげしげ覗き込んでいるのは多都美・和(メイド系家猫・f32985)。時折りくしくしと肌を掻きながら、いかにも興味が散乱しがちな猫っぽい仕草で、ましろの秘すべき部分をしっかりと見ている。

「わかったにゅ、ましろさま。ましろさまはこんなときでも優しいですにゅ! 尊敬しますにゅ」
「そ、そうですか? 魔法少女ですから!」

 えっへんと胸を張るましろと、それを見遣るローアングラーの雄雌猫たち。
 そんなやりとりは、件のターゲットホタビにも筒抜けだったようで……。

「ん、んんー? な、なによあなたたち!」
「正義の魔法少女、参上です! その悪事見過ごせません」
「お風呂入りたいだけなんだケド……」
「問答無用です。受けてください、私の魔法……!」

 必殺の《エクスプロージョン》の予備動作に移るましろ。当たればどんな外敵も灰塵に帰す超高威力魔法だ。一気に体力を焼き尽くして、主導権を握ったその後説得で無力化する。当初予定立てていたましろのパーフェクトな作戦だ。和ももろ手をあげて賛成していた。もっとも、和はましろが何を言い出そうと賛成してしまうのだが……。
 閑話休題。ともあれ、魔法が放たれる直前のことである。

『ましろ! 周囲への被害を考えると、どうかと思うにゃ』
「えっええ!? いや、そこは背に腹はかえられぬと言いますか……」
『そんなこと言い出したら魔法少女失格だにゃ! ここは別の技で攻めるにゃ』
「そんなこと急に言われても……って、きゃあっ!?」

 魔法陣を燻らせてわたわたと慌てふためくのも束の間、反撃の炎にまかれてさらに大慌てのましろ。防御能力に優れた魔法少女服とはいえ、がっつりと炙られてしまえば自慢の防ぎも形なしだ。「ましろさま!」と五指の隙間からがっつり、剥かれていくましろの姿を視認している和、危機感などあったものではない。結果として、炎に焼かれていくうちにみるみる生まれたままの姿に変じ、あろうことかそのまま封印されていくましろが現出した。
 大爆発で街ごと吹き飛ばした方が、まだ周囲へのインパクトは少なかったかもしれない。募る羞恥心が彼女を熱らせ、興奮させていく。
 世間様に徐々に露わになっていく二の腕、腹部、太もも……段々とポージングでは庇いきれなくなり、やがて透明な鉱物のフィルター一枚で、標本のように己の肢体を曝け出してしまうましろ。ノワールは口角が上がることを抑えられない。

「どうにゃましろ、今の気分は」
「はあぁ……ひンッ、見ないでくださいぃ……」
「ああ、ましろさま、なんて美味し、いえアブない姿になってるにゅ。ここは和ちゃんに任せるにゅ。とりあえずお前さんはあっちいくにゅ、んんーっ《肉球ビーム》ッ!!」

 ぷににんぷににん! となんとも気の抜けた音を発しながら、肉球エフェクトを散らして光弾が放たれる。「なんなのよっ」と困惑の声を上げ術を解除しながら、ふらふらと何処かへと立ち去っていくホタビ。おそらく光弾の感触に骨抜きにされてしまったのだろう。
 さて、和にとってのメインディッシュは、主であるましろをおいて他にいない。それ以外は全て瑣末ごとだ。主人への奉仕! それこそが史上の命題であり、今まさに主人は困り果てている。

 ――ぴとっ……するするする……!

「あっ、和ちゃん、そこはだめぇっ!」
「遠慮することはないんにゅ!」

 さわさわと撫でるような手つきで胸に擦り付き、さらには尻尾までもをふとまたの間に聳えるワイヤーブリッジのように弧を描いて貼り付ける。時折りなぞるように擦って嬌声を引き出すことも忘れない。
 呼気が荒くなり熱っぽさを帯びて、切なげに内股を擦り合わせるくらいにまでじっくり愛撫を続けていく。しゅにしゅに……と、やがて紫の蛍光色めいた色彩の尾に、粘ついた音が混ざり始めて、ぶるぶるましろは肩を震わせて。

「ああ、ぁ……だめぇ切なすぎます……」
「ましろさま、しっかりするにゅ♪」
「ちがっ、介抱が足りないわけじゃ……」

 もはや影朧そっちのけの乱痴気騒ぎ。落ち着かせようとしてボルテージはどんどん上がっていく。流石にざわつき始めた観衆に見届けられながら、二人、否三人は束の間の悦楽に酔いしれるのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

四王天・燦
転生を望むなら導くのが勤めだ
懐に隠した同じであり異でもあるホタビを封じた琥珀を一撫で
お前さんはどうする?アタシは一緒に世界を見ていきたいけど、ね

どこ行くんだい御同輩
橋の欄干に腰かけて呼び止めようか
全くなんつーツラしてるんだ

結晶を愛でるならそれで良し
その間にアタシもダッシュで距離を詰める
石化や封印術を受ける覚悟は上等…仕留めきられる前にアタシのやりたいことを為せば勝ちだ!

呪詛耐性でホタビの妖術を跳ね除けながらグラップルで抱き着くぜ
そんでフォックスファイア・零式でアタシの生命力を少し分けてあげるんだ
風呂入る前に顔色良くしろってんだ
優しさをもってホタビを慰めるよう努めるぜ

なあ、逝く前にデヱトしようや


アルマ・リナレス
同じ炎使いだから…ってワケじゃないけれど…なんか放っておけないわね。
でも手加減は出来ないわ。
喰らいなさい!
自分の衣服も消し飛んでしまうほどの業火(ユーベルコード)で炎狐を抑え込む。
正面から目立つ囮となって他の仲間達の力を借りるわ。
まずは戦力を削がないと…!
今は同情してはいけない…同情してはいけない…!
隙を見せずに制圧を…!

戦闘後
炎よりも身体を癒したい…か…わかる気がするわ…。
いらっしゃい。
貴女の望みを叶えてあげる…。

アドリブ・他PC絡み歓迎
冷徹ぶる割には非情に徹し切れない系


 ――よろよろ……どさっ!

「つゥ……ッ゛!」

 もうダメ、指一本たりとも動かせない。
 歩くのでさえ億劫な状態だったにも関わらず、ここに来ての連戦。技を連続で使っていけばこうなることは目に見えていた。今はこうして欄干に体を預けて、乱れた呼吸を整えることしかできない。立ち上がるのだってしばらく時間がかかるだろう。
 ここまで消耗させられたのは、アイツのせいだ。

『炎よりも身体を癒したい…か…わかる気がするわ…』

 別れ際、そんなことを言ってたっけ。
 戦いの中もずっと甘い言葉をかけ続けていた彼女。
 アルマ・リナレス(ダンピールのブレイズキャリバー・f23863)と名乗った彼女は、出会い次第、気遣う素振りを見せてきた。

「なんて……美しい炎を使うの。でも、それじゃ体まで焦げちゃう!」
「あなたも心配する余裕はあるってわけね。お生憎様、私の地獄の炎は、私にだって制御は難しいの」

 ホタビの炎はあくまで封印術式の一。それに対してアルマは、己の内から解き放たれる、言い換えれば己自身に封印された炎を放って立ち回ってみせた。ひたすらに紅く、熱く、純粋な炎。まるで自分の血潮を燃料にしているのではないかと見紛う、澄んだ赫灼。自分が下等な昆虫であったとしたら、その光に引き寄せられ、そのまま焼かれていたであろう。
 思い返す頭まで沸騰して、時系列がめちゃくちゃだ。
 それだけに閉じた瞼に映る、記憶を駆けるアルマの炎は鮮烈だった。
 何より。

「喰らいなさい!」
「あ……が、ぐ……ッ!」

 焼け爛れた己の指先を見て、ホタビは失笑を漏らす。
 奴は冷徹に、加減なしの火力をぶつけてきたと思えば、その次の瞬間には――。

「……さあ、覚悟はいい?」
「はぁ……あ、熱……ぐうゥ……」
「私の勝ちってことでいいのよね」

 慈しみ。彼女は笑っていた。
 覚悟を問うて、蹲るところに寄り添って、傍らに座り込むようにして。燃え滓として僅かに残った上着すらも震える狐の肩に乗せながら、近づいてきた。
 殺される。死にたくない。醜く朽ち果てたくない。悪寒と恐怖がこびり付いたように呼び起こされる。そんな気持ちを感じ取ったのか、柔和にも見える笑顔を浮かべていたアルマ。その立ち振る舞いからは普段はクールで精悍で、周囲を焚き付ける魅力的な人物なのだと容易に想像できる。そんな彼女が他人を「助ける」ために浮かべた笑顔の破壊力。
 ……筆舌に尽くし難い。

「いらっしゃい。貴女の望みを叶えてあげる…」
「……ッ」
「どうしたの?」
「私はまだ……負けてないっ」
「さっきの質問の答えってこと? 強情なのもいい加減にしなさいよ」
「教えてあげるっ、私の望みはね、あなたみたいなのを全部倒して、こんな身も心も浄化して……それでッ」

 ――差し伸べられた手に、炎を放ってしまった。
 今では激しい後悔が燃え上がって、なかなか鎮火しそうにない。咄嗟の判断だった。手を取ってしまえば、己の美学を否定してしまったような気がして、それがたまらなく悔しかった。弩級戦力、あれほどの器を見せられて、魅せられた。火力も申し分なく、立ち振る舞いには余裕が表れていて、敵であっても手を伸ばして。
 激しい自己嫌悪が身を焦がす。なんてことだ。本当に醜いのは自分自身じゃないか。淀んで燻んだ、消えかけの炎。金の髪は乱れ、装束は血塗られ、履き物は千切れて何処かへ行ってしまった。尾は萎れて、肌も爛れている。瞳の奥まで濁ってしまいそうだ。
 でも、本当に醜いのは、心。弱りきった心が、ちっぽけなプライドを守るために、アルマの差し伸ばした手を払い除け、命からがら逃げ出す悪手を取った。後悔しても、もう遅い。

「今からでも、遅くは……うぅん」

 足に力が入らない。
 だらんと伸ばした筋が棒になってしまったかのようだ。首まで脱力してしまって、もう一度でも目を閉じてしまえば、深い眠りに落ちていくことは容易に想像できた。もう立ち上がって、謝りに行くこともできないのか。消えゆく前に、心残りがもう一つできてしまった。耐えられない。自分で自分の首を絞めては、世話ないじゃないか。
 もう、眠ってしまおう。肌を撫でる桜吹雪は今が心地よい……。

「全くなんつーツラしてるんだ」

 橋の縁から、ふわり肌を撫でる感触が降りてきた。
 これは、尾だ。美しい毛並みの、銀の尾。

「同族……ッ?!」

 さっとホタビの顔から血の気が引き、ないはずの余力が振り絞られる。全く今日はなんて厄日だ。おちおち眠りにつくことさえできはしないだなんて。せめてゆっくりお湯に浸かるくらいの、猶予はもらえないだろうか。
 ホタビの気づかなかったアルマの狙い。それは、連携にある。他の猟兵と協力し、影朧を追い詰める。その決め手となる人物が、後詰の彼女である――!

「炎戯――!」
「よっと」

 ばすんっと、紙風船が破裂したような音を立てて、ホタビの散らした炎が霧消する。振り払った手のひらは傷一つついていない。呆気に取られる間抜けな様相をよそに、妖狐の女性は当然といった顔で見下ろす。やがて、視線の高さの差異が気に食わなかったのか、ひらりと橋に降り立つと、尻をつけて座り込むホタビに、跨るように組みついた。
 人通りのないところに逃げ込んでいたとはいえ、なんて大胆な同族なんだろう。さしものホタビも赤面してしまう。

「しばらくじっとしてな」
「う……なに……?」
「アタシの生命力を分けてやってんだ」

 お前に生命力を分けてやるの、初めてじゃないしな、とあっけらかんと笑っている。
 耳元に囁く声が、鈴みたいに心地いい。

「燦でいいぜ」
「燦……なんか不思議な響き」

 四王天・燦(月夜の翼・f04448)は六尾の稲荷巫女であり、この世界に活動拠点を作っている。その名も……。

「……変な偶然もあったものね。信じられない」
「いや……予想できた答えでは、あるんだが」

 ふふ! んっ、ふふふふッ――

 燦の懐が熱を帯びて、びくりと背筋を震わせた。お前が喋ると本当にややこしくなるから……と宥めれば、やっとこさ懐炉程度の熱量に落ち着くが、自分の弱った姿は不興どころかむしろ滑稽と、腹を抱えて笑っているかのようだ。ネタばらしをすると、燦の持つレッドアンバーには、同じであり異でもあるホタビが封じられている。
 あるいは、この弱りきった己自身をも吸収して我が物とすれば、なんて悪巧みも……。

 こらっ。そんな悪いコトするわけないってわかってるでしょ。友達なんだから――

「ほぉ、じゃあアタシのすることにも、目をつぶってくれるよな」
「体が軽い……嘘みたい、こんな炎があるなんて」
「ホタビの炎の使い方も、面白いけどな。ほら、風呂入る前に顔色良くしろってんだ」
「んっ……」

 頬に当てられた手が冷たくて心地いい。肩から回された手の感触も嫌いじゃないが、こうして顔を触れられると、なんだか頬擦りしているようで悪い気はしないのだ。燻る炭のような匂いだって、燦に堪能されるなら嫌悪感など微塵も湧かない。
 そりゃあ、もっと唆る香りのやつだっているからな、と燦の言葉尻は何かを濁すかのようだが。

「なあ、逝く前にデヱトしようや」

 耳に莫大な熱量の籠った音が届けられる。
 答えを逡巡するような素振りを見せた口には、マグマのような昂りをねじ込んで無理やりこじ開け、頷くまでたっぷりねっとりと味わい尽くして。光輝燦然、快楽にスパークしたホタビの瞳がとろん蕩けて。

「ふむっ……ちゅくっ、ちゅ、れる……ちゅぷっ……!」
「ちゅむっ、ちゅるっ……ふんむううううっ……!?」
「ぷは……な、いいだろ」

 桜でも見に行こうか、と思案していた矢先に訪れたこの依頼。燦は自然、大胆で情熱的になってしまう。死化粧は己で施してやらなければ、友達に示しがつかないではないか。そして、紅潮した頬、上気した息遣い、ぱたぱたと忙しない耳、好意が沸騰した瞳……燃える友情に焦がすことに代わる化粧はない。
 何度でも恋させてみせよう。

「お前の弱点はさ、もう全部知ってるんだぜ」

 柄にもない気障ったらしい言い回しでも、今は構わない。消えかけの炎を燃え上がらせるには、燃料が必要だ。唇同士に銀の糸の橋が掛かって、やがてぷつんと切れた時、ホタビの理性もまた――決壊した。

「こんな世界、丸ごと浄化しちゃえって思ってた……ねぇ、永遠に美しいものってあると思う?」

 ……彼女の本質は、どれだけ弱り切ってたところでどうも変わらないものらしい。猟兵の連携が、ついに影朧を降参させ、転生への一歩を踏み出させた。

 さぁ、デートを始めよう。
 穏やかな陽気と万年桜が、行く先を照らしている。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第2章 冒険 『はかない影朧、町を歩く』

POW何か事件があった場合は、壁になって影朧を守る
SPD先回りして町の人々に協力を要請するなど、移動が円滑に行えるように工夫する
WIZ影朧と楽しい会話をするなどして、影朧に生きる希望を持ち続けさせる
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「なんだ……あれ?」
「桜學府の人呼んだ方がいいんじゃない?」

 ざわめく風に混じって、不穏当なやり取りが混じえ聞こえてくる。
 すでに温度を失った「見せかけ」の炎とはいえ、傍目には放火しているようにしか見えない。
 それに狐耳に尾っぽ、人目につく姿の巫女少女である。

「私を……連れて行ってよ」

 猟兵たちにそう言葉を絞り出すと、返事も待たずに彼女は人中を歩む。彼女は止まらない。ならば……せめて騒ぎを少しでも小さく、できる最善を尽くし、ホタビが「鎮火」してしまうのを防がなければ……!
四王天・燦
妹みてえな娘なんだ
アタシを信じてそっとして欲しい
野次馬に言って漆式を発動
炎の鳥居くぐりて紅狐様を呼ぶぜ

ホタビ後ろに乗りな
歩く体力温存した分、寄道しても良いかい?
露店で買い食いするも良し
アタシ達の拠点の社がある杜にも寄っていこう
綺麗な杜だろ

永遠に美しいものはあるか、だったね
放っておいて美しいものはないってのがアタシの答えだ

魂魄封印然り石化術然り
命を分け愛を注がなきゃ精神が摩耗し魂が歪む
魂が歪めば、保護していても器―肉体が時の果てに朽ちてしまう
この杜も放っておけば藪に早変わり…同じだね

ホタビも魂の限界を察してるんじゃないかな
零式で応急処置が精一杯だった

頭を撫でるよ
魂の輝きが穢れないよう願いを込めて


「うわあああっ?!」
「なっ、なんだなんだぁあ?!」

 有象無象の群衆に割って入るように、巨躯が現出する。
 それが紅蓮の「狐」であったとしても、周囲は狼かさもなくば虎か何かと勘違いしたに違いない。人間は己よりも大きなものが目の前に現れるとたちまち沈黙する。物理的なサイズでも、心理的なサイズでも。突然現出した鳥居を潜ってきたそれを、神の使いかなにかと勘違いしたのだろうか。逃げ出すものこそいないものの、跪いたり手を合わせたり、思い思いのリアクションを返している。

「悪いな。アタシを信じてそっとして欲しい!」
「へっ、ははっ」
「ははあっ」
「よしよし。ホタビ後ろに乗りな」
「う、うん。わかったわ」

 おずおずと、しかしそのわりには大胆に密着する。背中に押し当てられる感触と、爆ぜる火の粉のような香ばしい匂いに、燦はどきり胸を高鳴らせる。この距離感は、血縁……まるで妹のような、無遠慮さと照れの入り混じった感覚で奇妙だ。でも決して不快感はない。
 それは燦の背に体を預けるホタビも同じだったのだろう。ぎゅうとしがみつくその力はか細いながらも信頼に満ちており、やがて大きな背と尾に身を寄せるようにして、目を閉じる。疲労した体に限界が近いのか、深い深い眠りへと落ちていった――。

 ――……ぴとっ!

「ひゃっ?!」
「よく寝てたな」

 唇に涎が垂れてないか、ごしごしと擦るホタビを、燦は苦笑しながら見つめる。ほれ、と手渡すのはラムネの瓶。近場の露店で売っていた炭酸の甘味だ。美しい青色の容器に閉じ込められた、透徹した液体とビー玉が、隔絶された美を感じさせる。
 串に刺された焼き油揚げを食べながら、そこらの露店で買ってきたんだ、いるかいと話しかける。ここは燦の拠点である杜だ。石段の下では露店が開かれており、こうしてたまに売り上げに貢献しているというわけである。ホタビもまた舌鼓を打っている。目を輝かせて頬張る姿は、いかにも愛らしい。

「何ココ。綺麗なところね」
「ああ、綺麗な杜だろ」

 桜が常に舞い散る幻想的な風景が、雄大な杜を彩っている。石灯籠の炎の輝きが絶えず盛って揺らめき、目印になるとともにこの場を「芸術」として完成させていた。その瞬きはまるで蛍のようで。

「まるで杜そのものが生きてるみたいね」
「生きた輝きは石にも炎にもできない、お前が言ったんだぜ?」
「じゃあやっぱり、永遠の美しさなんてないのかな」
「……放っておいて美しいものはないってのがアタシの答えだ」

 立ち上がって箒をかけ始めた燦は、背中越しにこともなくそう答える。それが先のホタビからの問いかけの答えだと気づくのに、時は要さなかった。
 掃除の手つきは小慣れている。おそらく、時折来ては荒れ果てないように手をかけているのだろう。テキパキとした振る舞いはルーティンワークのようだ。
 この杜も放っておけば藪に早変わり…同じだね、そう言い放つ彼女の表情は、桜吹雪に隠れて見えない。よろめく体を押し上げようとして、燦は制止する。

「手伝ってあげようか?」
「いいから座ってろって」

 それでも無理に立ちあがろうとして、つんのめって頭から石段に突っ込むホタビ。その様子があまりに滑稽で吹き出してしまった。鼻を赤くして涙目のホタビは抗議したげだ。
 強気な口調だが、肉体は鉛のように重くなっているはず。おそらくこうして現世にとどまっているだけで奇跡に近い。命を分け愛を注がなきゃ精神が摩耗し魂が歪む。魂が歪めば、保護していても器―肉体が時の果てに朽ちてしまう。
 魂魄封印然り石化術然り、だ。ゆえに、片時も手入れを怠ってはならない。懐に仕舞い込んだ琥珀を、燦は片時も忘れたことがないように。
 紅蓮の大狐と戯れていたホタビは、スローで緩慢な動作で立ち上がると、境内を彷徨い始めた。

「何だ? 気になることでもあったか?」
「ううん。ありがとね」
「だから何が」
「言ってなかった気がしたから。ここのことも、ここに連れてきてくれたことも」
「お前……」

 彼女は実に今曖昧な状態になっている。
 傷ついた弱い影朧特有の現象なのか、はたまたホタビにのみ起きている事象なのか。
 この場にいる誰もそれを判断できはしない。
 あるいは、「零式」の影響か。分け与えられた生命力が、ただの過去である彼女に何かしらの変化をもたらしたのか。
 しかし、変化するということは、衰退することと同義である。彼女の魂には限界があり、それをすでに超えてしまっている。

「(……零式で応急処置が精一杯だった)」

 力不足を悔やむでもなく、ただ認めるしかない。
 こればかりは不可逆的で回避できない結果である。すでに毛髪が一部白化するまで分け与えたにも関わらず、できたのは彼女の想いを果たさせてやる時間を用意してやっただけだ。

「あーあ、未練がたくさんできちゃった」
「それは……」
「いいのよ! 無理なお願いなのはわかってるし、駄々をこねるのは美しくないでしょ。他の……世界? まあ広い範囲で見聞したり、綺麗なものを集めたり、そういうのは他の私に任せることにする。癪だけどねっ」
「そうか。そうだな」
「でも……ね」

 もしかしたら私、転生するかもしれないよ。その時は、影朧じゃなくて、もっと綺麗でキラキラした存在になれるかもしれないし!
 彼女はあまりに大胆な、途轍もない大望を口にしてみせた。影朧が転生を認識して、しかも生まれ変わったらの話までしている。とりわけ異常な事態であることは、燦も理解していた。影朧は生きている限り、世を乱す存在である。世のことわりにして、絶対のルールである。
 しかし、嗚呼。なるほど、顔色が明るい。夢を口にする者の表情はこれほど眩しく見えるものなのか。桜吹雪の中でも煌々として見失いそうにない。夢は夢、それはあくまでイフの話。驚いたように明々と熱を帯びるレッドアンバーもまた、友情を紡いだ一部。今はまだ、匿い続けることをよしとしよう。友情はいくら紡いでも、罪にはならない。
 では目の前の彼女の、応援をしてもよいものだろうか? 難しい。こういう時はお茶を濁すに限る。

「そろそろ目的地に向かわないか?」
「うん! 温泉、行きましょ。湯浴みしながらのお花見なんて、ゼータクじゃない?」
「ああ。あー、でも待てよ、その前に……」
「あっ……!」

 やがてどちらともなく、手を伸ばし絡めあい、清涼で爽やかな味わいの口づけを交わす。飲みかけのラムネ瓶が倒れて、花弁の絨毯ができた石畳みに、滲みを作っていく。言葉はいらない。
 別れの時が近づいているのを感じ取っているから、燦が頭を撫でる腕は、密かに震えていた。
大成功 🔵🔵🔵

多都美・和
ましろさまと

ノワール……その作戦、どこからでてきたにゅ……。

と、いちおう言ってはみるけど、
和ちゃん的には影でガッツポーズにゅ。

まずはましろさまとのキスから……。
ましろさまの抑えた声、ぞくぞくするにゅ。

わたしは胸にゅ? 解ったにゅ!
「温泉に着くまでに、中の悪いものを出しておかないとにゅ」
と、言って、肉球で胸を包み込んでいくにゅ。

ってましろさま? 尻尾は……!

かくん、と一瞬フリーズすると、ご奉仕モードに切り替わって、
肉球がうねうねとうごいてホタビさんの先端を飲み込み。

見えかけていたましろさまの胸も、同じように刺激しながら、
「温泉まではイったらだめにゅ」
って、2人に囁いちゃうのにゅ。


高千穂・ましろ
和さんと

「どうしましょう、このままではホタビさんが消えてしまいます」
『ましろ、和、ここはボクにいい考えがあるにゃ!
ホタビの身体に熱を取り戻させるのにゃ!
……性的な意味で!』
「えええっ!?」

で、ですが、他に考えが浮かばないので仕方ありません。

『まず、ましろと和でお互いにキスをするのにゃ!』
「ふぁっ」

そんな……
大通りでこんなこと……

『続いて、和はホタビの胸を揉んで……心臓マッサージをするのにゃ!
さらに、ましろは和の尻尾のスイッチを押すのにゃ』
「和ちゃんの目が妖しく光ってませんっ!?
って、ひゃんっ、和ちゃんっ!?」
『ご奉仕モードの和、ナイスなのにゃ!
ホタビはそのまま、ましろの股間を責めるのにゃ!』


 よろめいたホタビが壁に頭を打つようにもたれかかった。魘された様子は常軌を逸しており危機感を募らせる。彼女が消えかけているのは誰の目から見ても一目瞭然であった。群衆のざわめきもひときわ大きくなる。
 そこにノワールが頭に電球を浮かべて、名案を思いついた、と口にする。

『ましろ、和、ここはボクにいい考えがあるにゃ!
ホタビの身体に熱を取り戻させるのにゃ!
……性的な意味で!』

 目が点である。
 たっぷり二十秒くらいを沈黙で満たしたのち、ましろは苦しげに反論する。周囲の公序良俗を口にしてみたりするが、何よりましろ自身が他のアイデアを全く思いつかなかったこと、和が反論に積極的ではなかったこともありこともなく押し切られてしまう。こういう時の「いい考え」は必ずしもいいとは言えない場合も多いのだが、人命優先。オトナの知恵袋であるノワールの言葉に従うとしよう。

 ――……ちゅっ、ちゅ……!

「れろっ……あむ。ちゅるるる……どうしたにゅ」
「あ……っ。ちゅう……和ちゃ……んっ」

 『まず、ましろと和でお互いにキスをするのにゃ!』というありがたいアドバイスに従って、内心ノリノリの和は、ましろの背に慣れた手つきで腕を回すと、体を密着させて唇を啄む。当然、群衆は驚くだろう。もはや影朧など目に入らない。バツが悪そうに視線を外し立ち去るもの、逆に眼福だと視線を向けるもの。あるいはこれこそ影朧の影響だと怯えるもの。反応は千差万別である。
 声を抑えようと、曲がりなりにも抵抗してみせるましろの紅潮した表情が、和の嗜虐心を刺激する。どうやって声を出させようか。唇の端を舌でねぶり、割開かせて歯茎を舐め上げて舌を絡める。羞恥心を募らせる意味でわざと大きな音を立てて舌を吸った。

「ぢゅるるる! ぷは。ましろしゃまぁ、あまくてとろけそうだにゅ」
「ふああっ……やぁ……だっめ、ですよぉ……っ!」

 くねくねと切なげに腰を揺らし、より深いところで繋がりたい一心で口づけを交わす。やがて下心のある群衆しか周囲にいなくなった頃合いで、次なる指示が下される。『続いて、和はホタビの胸を揉んで……心臓マッサージをするのにゃ! さらに、ましろは和の尻尾のスイッチを押すのにゃ』と、理性のタガが外れてなければ首を傾げそうな指令。
 和はホタビを抱え上げると、ましろは前に立ってホタビを前後で挟む体勢をとる。こうでもしなければ彼女は膝から崩れ落ちてしまうだろう。紅の瞳には涙を浮かべて、抵抗の意志なくされるがまま。

 ――……もみゅ……もにゅん……!

「ちょっと何してん……んっ?! くふぅん?!」
「もしかして感じてるにゅ。意外と胸があるにゅ? ましろさまに分けてあげたいにゅ」
「和ちゃん!?」
「ほら、ましろさまも、ここから悪いものが搾られてくるのをじっくりみるにゅ」

 装束をはだけさせられ、両肩が外気に当たってすーすーと心許ない。桜桃目掛けて肉球がふにゃふにゃと絡みつく様は、指で弄くるよりも遥かに扇情的だ。疲弊して敏感になった感覚によく響くのか、指を咥えて目をギュッと閉じて、なんとか声を漏らさんと、耐えるホタビ。
 その意地らしい様子に和は、なんとか声を出させようと腐心する。

「この赤いぽっちがほら、ほらぐにぃんと……どこまで伸びるかにゅ」
「んッヒ……ちょっといい加減にぃ」
「温泉に着くまでに、中の悪いものを出しておかないとにゅ」
「あ、ああ、あぁあ……っ」

 ――ぽちっ!

「ってましろさま? 尻尾は……!」
「えっ。だって……ノワールぅ! 和ちゃんの目が妖しく光ってませんっ!? って、ひゃんっ、和ちゃんっ!?」

 かくん、と一瞬首を折り、やがて目覚めるは屋内用「ご奉仕」モード。
 左手でましろを、右手でホタビを、その十全に動く肉球で房を弄りながら、さらに深い深い絶頂の高みへと押し上げようとする。組みついていたましろももちろん逃れることができず、いいように快楽を甘受するしかできない。

 ――ふにふに……くちゅッ! くりくり……!

「ああっ、和ちゃん……だめ、こんな、人前でぇっ」
「ひあっ?! もう、おかえしよっ」
「ホタビさんまでっ?! んぁああっ?!」

 自由な方の手が、なんとか押しのけようと伸びて、ちょうどましろの股座に到達する。すでにじんわりと、下着越しに湿り気を帯びたそこは、ホタビの指をなんなく咥え込むと、ぐじゅと湿った音を響かせた。おお……と響く群衆の声も三人には届かず、まぐわいはますますヒートアップしていく。耳元で火照った声を聞かされれば、まるでそれが自分の喘ぎ声みたいに錯覚してしまう。

「ましろさま。ほら、温泉まではイったらだめにゅ。またキスで塞ぐかにゅ」
「そんな……こんなの、おかしくなってしまいますよっ……!」
「おかしくなっちゃえにゅ」

 ――ぎゅううううう……! ビククッ!!

 肉球による頂点への刺激責め、さらには、布越しではあるもののホタビの的確な手淫による切なさ、ましろはガクガクと腰を震わせ、あられもない表情を群衆に晒している。このまま気絶してしまえばどれほど楽だろうか。しかし、今は向けられる奇異の視線さえも心地よく感じてしまうほどに、ましろの興奮は最高潮に達していた。
 それでも魔法少女の矜持からか、絶頂に至ることはできていない。

『それでいいにゃ。ここで堪えきれなかったら、魔法少女失格にゃ!』

 蓄積した快楽を発散するのは、目的地にたどり着いてからでも遅くはない。むしろ溜め込んだ分だけ、爆発力も大きくなる。
 快楽の爆炎でホタビを包み込んでやれば、現世にもその分止まることができるだろう。何より、しおらしく喘ぐ姿の、なんと美しいことか。ノワールの目には、快楽という化粧に美しく彩られる三人の姿がはっきりと映っていた。もっとも、意図せずして得た成果のような気もするが……結果オーライだ!

『体も火照って作戦大成功だにゃ! このまま温泉へレッツゴーにゃ』
「は、はいぃ……」

 三人がもつれあうようにして歩み始めると、モーセが波を割ったように道が開かれる。ぞろぞろとついてくる群衆の視線を背に感じながら、彼女たちは目的地へと向かった。切望の果ては、近い……!
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第3章 日常 『夜櫻温泉郷』

POW熱い湯でも関係ない。じっくりと、入って温まろう
SPD効率のいい入り方で、じっくりと疲れをとろう。
WIZ人目を気にせず、のんびりと入ろう。
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――夜櫻温泉郷。

 浸かったものの体を解し、心を癒し、魂を清める場所。
 せっかくの機会だ。微温湯に沈むなどもったいない。消えかけの炎を見送るには、むしろ目一杯楽しまなければ失礼というもの。

 湯船に浮かんだ桜花弁は……まだ一つ。
 今宵は、いくつが揺蕩うだろうか。
アルタ・ユーザック(サポート)
ダンピールの16歳女性です。
ユーベルコードを使える場面では『吸血鬼には触れられない(アルタニハコウカガナイヨウダ)』を使用し、自身へのダメージをなくしたうえで依頼遂行のために行動します。
一人称は「わたし」(ひらがな)です。口調は「~だわ」や「~だな」の様なものではなく、「○○…。」の様に…で終わり語尾に何もつけない口数少な目のクールタイプの話し方です。
服装・体型・容姿・持ち物などは、ステータスシートの参照お願いします。

上記内容以外は全てアドリブなどOKです。
よろしくお願いします。


テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

わたしが石化している間に何とか温泉に辿り着いたようですね…
大丈夫です!次はきっと…
今はゆっくり温泉に浸かりましょう♪

にゃ~ん♪(【癒しの鳴き声】)


「わたしが石化している間に何とか温泉に辿り着いたようですね…」
「訂正…。連れてきたのは、わたし……」

 やっと一息つける、と口ぶりとは裏腹に涼しい顔なのはアルタ・ユーザック(クール系隠密魔刀士・f26092)。
 石化したテフラの救出に裏から当たっていた彼女は、こうして目的地である夜櫻温泉郷にたどり着いたというわけである。アルタもここまでの道のりで多少なりとも汗をかいたわけだし、帰還前に流していくのも悪くないと思っていた。
 もちろんテフラの治癒が完了することを見届けてからだが。

「大丈夫ですとも。次はきっと、石化なんかに負けません……」
「そう…」
「というわけでさっそく訓練します。彼処までついてきてもらえます?」

 言っておくけど連れて行くだけで、一緒に入りませんと前もって断っておいた上で、嫌な予感をひしひしと感じながら、アルタはテフラをとある湯に運んだ。石化の余韻でまだ満足に動けない彼を湯船に沈めたら、それこそ何が起こるか想像つかない。ここは液体ではなく液体と固体の間くらいのところに浸かってもらうのが賢明だろう。

「というわけで泥風呂です」
「不穏…」

 何かあったらすぐに声をあげてください、と、アルタは任務完了とばかりにその場をそそくさ後にした。
 残されたテフラは強張った体を温い泥の中に沈めてご満悦だ。お湯に粒子の細かい泥が混ざっていて、泥の濁り湯といった様相である。たいていの場合、泥風呂は清潔さを保つために個人風呂になっており入浴のたびに湯を張り替える必要がある。そのやや人を選ぶ見た目とは裏腹に、実は非常にデリケートな湯種なのだ。
 ミネラルがたっぷりで、保湿や美肌にも効果があるという。疲労回復にまで効くそうで、石化の後遺症もここに浸かっていれば癒てくることだろう。それに、極めて石化に近い状況を人為的に作り出している。もしかすれば耐性もつくかもしれない。

「そろそろ量を調節して……あれ?」

 蛇口がない。いや水道ではないから泥が止まらないのは仕方ないにしても、湯水で量を調節しなければ泥だらけで大変なことになってしまう。粘性も高いし浮力だって働かない。
 どうやら故障していた湯船を選んでしまったらしい。
 足を持ち上げようとしても泥が絡み付いて持ち上がらない。

「にゃ……にゃガボゴボ」

 助けを呼んだりユーベルコードを使おうにも、パニックになってしまって声が出せないのと、泥を強かに口に入れてしまったせいでとても息苦しい。

「あれ……なんでわたし、体ががが……」

 強張った体には石化は進行する。泥の中で治癒できたとしても、それはまず泥濘の中で体が完全に固まった後の話だ。つまり、治すにはふたたびまた石化しなければならない。耐性をつけようなどとは、さらにお門違いの話である。
 重くなった泥に耐えられず、ついには頭の先まですっぽり泥に沈んでしまった。時間的に人気もないタイミングを選んでしまったせいで、完全に沈み込んだ姿勢では発見もされないだろう。ましてや泥の中で完全に動きが止まっているテフラがいるとは夢にも思うまい。
 誰とも戦うことなくフラグ回収を完遂してしまうというのは、一級建築士のなせる技、なのかもしれないが。ともあれ、泥の湯船の中でピースをしながら、息苦しさと悶えの内に、意識を落としていった……。

 こうして、石化の悪化したテフラが泥像となり発見されたのは、翌朝の出来事になるのだが、それはまた別の話……。

 一方その頃――。

 貸し切り状態となった露天風呂にて。

「極楽…」

 石縁に首を預け、目を閉じ、ゆっくりと身体を温めているアルタ。最近は無性に肩が凝り固まってしまって、それが癒える温泉に浸かれるのは望外の歓びだ。手で湯を掬うと、花弁がふわりと薫りを漂わせて、リラックスできる。
 こういった甘い香りを嗅いでいると、ついつい想起してしまうのが、桜餅だ。
 いっそそういうものを持ち込んで、湯船の中で食べてしまおうか。期待に胸が高鳴って、そして、すんでのところで思いとどまった。

「むしろ、出てから……。餡蜜…饅頭…」

 そうそう温泉卵も忘れられない。熱いお茶を飲みながら、桜夜と月を見るのも悪くない。その時は甘味を頬張って……と、閉じた瞳の裏には夢が広がる。多忙な魔刀士にひとときの安らぎを。天も、そんな少しの贅沢は、見逃してくれることだろう。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

四王天・燦
蛇鱗の左胸・下腹部をホタビに晒すよ
魔物娘を宿す証だ

ごめんな、連れていけない
魂喰いに耐えきれないしホタビには夢があるから

湿っぽくってすまね
切り替えてホタビを洗うぜ

恋人の美味しい油揚げボルシチ
雪女の琥珀、魂魄封印の更なる可能性
ホタビを妹のように想うこと―いっぱいお喋りする
実は貧乳なのを憐れむのやめれ

顔を洗い涙を誤魔化すよ
旅立つ前にフォックスファイアの熱で乾かすぜ
綺麗な尻尾にブラシを入れなきゃね

未練は必ず果たす
アタシ『達』の約束だ
夢を叶えろ、綺麗なホタビに会う日を楽しみにしているぜ

見送ってからボロ泣きだ
親友、これからも世界の綺麗なものを見なきゃなんねーな
アタシが子を授かるならあの子なのかもしれないね


「もう、その話いつまで続けるのっ?」

 頭部を泡だらけにしたホタビは、我慢ならないといった様子で燦へと向き直った。
 話題とは、ずばり恋バナである。無理もあるまい。燦という月夜の翼は比翼連理。かけがえのない恋人の話題は、どうしたって切り離すことができない。仮にそのことを取り上げなかったとしたら翼をもがれたように話は飛躍することなく失速してしまうだろう。燦は泡濡れの指で頰を掻く。

「気に障ったか?」
「あっべ、別に……その、ぼるしちみ? ってやつ、食べたいなと思ったから。もう食べられないと思ったら無性にお腹が減っただけなんだから。……でも本当にあるのよね。その、赤い汁ものだなんて」
「ボルシチ、な」

 彼女はそれだけ言うと、バツが悪そうにまた正面へ向き直った。なされるがまま、気持ちよさそうに洗われている。手櫛で頭部を揉んでやると、幾分か機嫌も元通りの様子である。まるでジェットコースターのように感情の浮き沈みが激しい。
 向き直るその最中、表情には少しばかりの嫉妬心が滲んでいることは、燦は気づけただろうか。幼心。「過去」ならざる、微妙な心境であった。

「今度は私が洗ってあげる」
「じゃあ頼むわ」
「任せなさい。望むところよ」

 互いに向きを変えて、泡立てた布を持つ。ホタビに今更恥じらいがないように、燦もなされるがままで身を預けた。石鹸の香りが鼻腔をくすぐる。

「ははは、はは、くすぐったいぜ」
「ふふ、ふふふっ! お返しよっそれそれ」
「こらちょっと、まじめにやれって」

 まるでアタシの妹みたいだ、と言うと、何それあなた姉妹いるの? と返す。家族構成の話に花を咲かせた。
 家族の思い出話は色褪せない。共に見た風景、時間は昨日のように思い出されるし、何ものにも変えられないものだ。血縁というのはそれだけ強い。燦にとって妹みたい、というのは、それだけ強い信頼の証でもあった。

 体を洗い清めたのち、ゆっくりと湯船に浸かる。半透明な薬湯がじんわりと体の内に浸透する。貸切の家族風呂だ、周囲を気にする必要もない。五感を共有できそうなくらいにぴったり身を寄せ合い、見る。爛漫に咲き乱れる花々が夜空を彩っている。花弁同士がすり寄って甘い香りを漂わせていた。
 時間はすでにとっぷりと暮れた夜。
 お盆に徳利を乗せて浮かべながら、燦は上機嫌に鼻歌まで歌っている。今ならどんな質問にも答えられそうだ。

「これ、目の錯覚? 何よ、その胸にお腹……」
「ああ、これはだな」
「ちっさ」
「そっちかよ……なんだその憐れみの視線」

 今更隠すことでもない。蛇鱗……魂喰いの証だ。妖狐にも普通には表れない、彼女の軌跡を刻んだもの。息を呑むホタビ。指でつーと触れ、その眼差しは輝いていて。

「その身体、綺麗ね」
「わかるのか?」
「ん。まぁ私の『炎戯』と同じくらいね!」
「……教わったけどな、ソレ」
「なぁんですって?!」

 苦笑し、ひとしきり笑い合った後で、一拍置いて。希望を持たせるようなことを言ってはならない。燦は決心して、はっきりと告げる。その言葉を聞き届けるまでホタビは何も言い出しはしない。取り乱したりもしなければ、みっともなく食いついたりもしない。ただただ、少しでも会話を続けようと、懸命なだけだ。そしてそれはお互い様でもある。

「ごめんな、連れていけない」
「そう……」
「意地悪しようってわけじゃない。魂喰いに耐えきれないしホタビには夢があるから」
「……」
「ホタビ……」

 ふと、ぴちょんと、波紋が湯船に広がる。
 湯船から上がるのだろうか。黙したまま彼女は、立ち上がり胸を撫で下ろす仕草をした。白い霧のような湯気が晴れていく。一糸纏わぬ裸身。月だけが二人を見ている。ホタビの今、頭先から足の指、尾の一本に至るまで何も恥じる要素はない。普段通りの自信に溢れた赤い瞳と笑みを晒して、俯く燦を見下ろしていた。よく聞いて、とホタビは微笑む。

「私の姿……せいぜい二十歳にもならないくらい? 仮に二十年、二十年なんだから。今の私はその期間、友達に出会えなかったイフ、だから醜く弱りきってた――」
「お前」

 よく、聞いて、と、再度言う。
 こんなに弱ってた私を、最期に連れてきてくれてありがとう。

「でも――今度は夢ができて、綺麗になれて、十年どころか百年だって待てそうよ。遠い過去でも未来にでも、転生して夢を果たすのよ。んんー……だから、ぐすっ、うええぇえぇ……」

 湯船の塩味が増していく。嗚咽が波紋の水音に紛れて消えて、奏でる中に悲壮さが混じった。

「ひぐっ……ぐすっ、うぇえええん……ううぅう……! 私は消えないっ、消えてなんかやるもんかっ」

 ああ。駄目だ。駄目だ駄目だ。手を伸ばしてはいけない。声をかけてはいけない。彼女は美しさを求めていた。望んでいた。だから、野暮なことはできない。これ以上に美しい別れなどないだろうに。妹みたいな女の子との、別離。その一幕。だから、弁えなければ。

 それでも。なんでだ、アタシ。

 耐えられず、顔を上げたそこには、湯気と、落ちた花弁と、微かな炎の残り香、残光が在った。

「あ……」

 まだだんまりする気かしら。ねぇ、何か声をかけてあげるべきではなくって――?

 湯船に浮いたお盆の上には、空の徳利の他に、琥珀が転がっていた。ブルーアンバーとレッドアンバー。まるで会話するように匂い立つ蒼が、炎のように揺らめく紅に偶然ぶつかって、奏でる。

 これは親友である私の特権なの。今慰めたら、私があいつの代わりになっちゃう――!
 何を勝手に燃えているのですか。それは嫉妬心でしょう――?
 何もわかっていないのねっ――!

 燦は泣かなかった。ホタビの前では。
 燦は震えていた。そして堪えていた。絡めあった指先の感触だけが残っていて、慟哭する。声までもが震えていた。しかし、それは独白などではない。決して。

「聞こえてるよな。なあ? ホタビ、夢を叶えろ、綺麗なホタビに会う日を楽しみにしているぜ」

 嗚咽と号泣に混じった声が、夜闇に溶けていく。立ち上がる。遥か彼方に浮かぶ月には手は届かない。彼女は光となって還っていったのだ。だから、届かない。届くのは、言葉だけだ。
 お盆の上から琥珀を掻き抱くようにして手に取ると、ぼろぼろと涙しながら声をかけ続ける。琥珀の上に涙の膜ができて濡らしていく。まるで雨。

「これからだぜ。見せてねえものが山ほどある。出会ってない娘たちだって大勢。――親友、これからも世界の綺麗なものを見なきゃなんねーな」

 返事をするように、一つ強く煌めいて。
 拭った顔色には後悔も未練ももう消えていた。自然な動作で、琥珀を鼻先に持っていく。ツンとする匂いに、陽だまりのような温もり。……ああ、少しのぼせてしまうかもしれないけれど、そうだ。まずは花見を続けよう。酒もなくなってしまったし、話続きで小腹も空いてきた。今の湯船はひとりで使うには寂しすぎる。人目につかないここでなら、と別の考えが浮かんでは消えて。まずは油揚げでも齧りながら、ゆっくり夜のことを考えようか。朝まではまだ長い。

 ……出会いは綺麗で、別れもまた時には美しい。
 目を背けなかった。燃やした魂の果てを見た。それを封じることも軽んじることもしなかった。紅の大狐の夜鳴きが響き渡る。長い旅路の終着の、その先で、また新たな、綺麗な出会いが見れますように、と。

 涙よ乾け、と願いを込めて狐火を宙へ浮かべる。小さな火が集まって、大輪の花となる。これは繋がりの焔。家族の、血の繋がりは、魂で絡まっていて解けず、容易にバラバラになどなりはしないのだから。

 ――この世界に瞬く星が、一つ増えて。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年04月30日
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