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財宝の竜のち妖精、時々冒険者

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #財宝妖精ブラクテ #天空城 #冒険者

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「何だか財宝の種類が増えてると思わない?」
 浮遊する天空城を調査していた冒険者・ユラギが、ふと仲間に呟きを零した。
「あ、ユラギもそう思う? 見たことのない、端材みたいな金属の山がいつの間にか出来てるよね」
 ある日。空飛ぶ巨岩群が出現し、おとぎ話で聞いたことのある城が発見されてからというものの、近くの街では冒険者たちへの調査依頼が殺到した。
 昨日も冒険、今日も冒険、明日も冒険。
 冒険者パーティの一組『エレ・ケット』たちが学者の作成した地図を手に周囲を見回した時、仲間のシーフが慌てたように駆けてくる。物が散乱する場で音を立てずに近寄ってくるその様子に、何かが起きたことを察した。
 ――大変、大変! モンスターが現われたわっ。
 声をひそめての報告。
 ――……まずいわね。ここから出入口まで距離があるわ。
 ウィザードのユラギ、クレリックのミンリィ、シーフのアカツキと、三人の女性冒険者たちが早速相談を始める。
 巨大な柱が幾つも建つ、神殿のような建造物が階層を造る天空城。

 だが彼女たちの脱出は失敗に終わる。
 三人が持ち帰る財宝をも狙う、財宝妖精ブラクテが三人を襲撃したからだった。


 集まった猟兵たちに、ポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)が冒険依頼の説明を始める。
「皆さんには今回、アックス&ウィザーズの天空城へと向かってほしいのだけど、群竜大陸へ至る途中に数多の天空城を発見したことは覚えているかしら?」
 まだ二年は経っていないが、それくらい前の話。
 大陸を見つける途中に発見されたクラウドオベリスクを破壊したあと、古代帝国の魔力の暴走で天空に放逐されたとされる城が現われた。おとぎ話としてあったものが、現実に甦ったのだ。
「その時の天空城の一つなんだけど、そこに各世界に侵略中の猟書家幹部が現われるのよね。狙いは、天空城の財宝みたい。――根こそぎ持って行こうとしているあたり、財宝のなかに天上界への手掛かりがあるのかも知れないわね」

 現在、城の中にはオブリビオンと三人の冒険者がいる。
 冒険者たちの特徴を話したあと、ポノは「出来れば彼女たちも助けてあげて」と言った。
 ギルドの調査部隊の一員なので、城の要所には詳しい。
「城の罠への誘導だったり、皆さんの助けにはなると思う。幹部である財宝妖精ブラクテが今回の敵よ。ブラクテは探索のためにオブリビオンを放っているわ」
 配下のオブリビオンを倒しながら冒険者たちとの合流または共闘が、猟兵たちの最初の動きとなるだろう。
「城は神殿を重ねたような造りなんだけど、中の構造が複雑なのよね。縦横が乱れているというか……これも、かつて戦乱に明け暮れていた古代帝国の暴走によるものなんだろうけど」
 幸い、冒険者たちの開拓・調査が進んでいるおかげで移動はしやすくなっているようだ。
 放たれたオブリビオンは武具の財宝竜。
「これは名前の通り、武具系の財宝が集まったオブリビオンなの。核は剣だったり、盾だったり、何かの武器や防具よ。今回の敵、撃破したら骸の海に還らない部分が落とされるのよね。たぶん天空城で集めた武器防具だと思うのだけど、相当な魔力が溜められているから、興味があれば気に入ったものをゲットするのもアリかも」
 戦闘の音を聞きつけた冒険者たちが駆け寄ってくるかもしれない。
 冒険者たちはあまり強くはないが、ジョブを活用した戦法を取ってくれるだろう。

「配下のオブリビオンを倒せば、ブラクテが現われるわ。この幹部を倒すと、不思議な力を放つ『輝石の欠片』が手に入るの。これが何なのかは、詳しくはまだ分からないのだけど、天上界への手がかりかもしれないから回収をお願いね」
 それじゃあ、よろしくね。
 ポノはそう言って、猟兵たちを天空城へと送り出すのだった。


ねこあじ
 ねこあじです。
 2章構成の猟書家幹部戦(アックス&ウィザーズ)シナリオとなります。

 プレイングボーナスは「冒険者たちと協力する」こととなります。

 第1章は集団戦。
 武具の財宝竜を撃破すれば『武器防具』や『装飾アイテム』をドロップするので、プレイングで指定してくださればと思ってます。MSにお任せしてもOKです!
 アイテムの申請はセルフサービスな、フレーバー要素となります。ご了承くださいませ~。

 第2章はボス戦。
 財宝妖精ブラクテとの戦いになります。
 フェアリーの姿ですが、魔力は高いようです。

 プレイング送信はいつでもどうぞ。
 締切は追ってのお知らせとなります。シナリオ上部のタグ、マスターページ、Twitterに日付は記載します。
 サポートさんも採用するかもな感じです。
 それではよろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『武具の財宝竜』

POW   :    黄金の鎧
全身を【黄金に輝くオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD   :    貫く宝槍
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【体】から【貫徹力の高い突進攻撃】を放つ。
WIZ   :    恐怖の兜
【恐怖の兜】に【視線】を向けた対象に、【逃げ出したくなる恐怖や嫌悪を与える呪詛】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ハロ・シエラ
なるほど、まるで芸術品ですね。
ですがオブリビオンで、かつ武具の集合体となれば戦いの化身の様な物。
相応の対応をしましょう。

敵は負傷によって強くなる様子。
まずは敵の攻撃をエッジ・オブ・サンクチュアリで【受け流し】たり【軽業】で回避したりして様子を見ましょう。
その間に敵の核となる武具を【見切り】レイピアで軽く傷をつけ、ユーベルコードで爆破しましょう。
これなら少しずつ攻めるよりも敵の戦闘力を上げずに倒せるでしょう。
敵は複数なので、手袋からのバリアで邪魔な敵を【吹き飛ばし】たりしてなるべく一体ずつ相手出来る様にしましょう。
冒険者の方々には、援護射撃や罠の位置を教えて貰う事で協力して頂けると嬉しいですね。



 カシャン、カシャン。
 ガシャリ、ガシャリ。
 人の住んでいない天空城で空虚な音が反響している。大きな柱の陰へと潜み、様子を窺うハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が宝具で形成された竜たちを観察していた。
 機を得るには先ず知ること。
 宝石の竜、二足の竜、低空に飛行している竜。核となりそうな宝具を中心に魔力であちこちと動く武具たち。
 反響する音は竜たちの動く音だった。
(「なるほど、まるで芸術品ですね」)
 敵を目前にし、納得した様子でハロはひとつ頷いた。
 ですが……、と続くのは戦いを前にした兵士の思考。
 あれが武具の集合体となれば油断のならないものだ。
(「言わば戦いの化身のような物」)
 故に相応の対応は然り。
 黄金に輝く竜は傷の多い武具を纏っていて動きが違う。
 敵の違いを確認したハロは短剣の柄を握り、鞘から抜けば現われるのは輝く刃。エッジ・オブ・サンクチュアリ。
 柱の陰から、初めの一歩をたんっと勢いづけてハロは駆け出した。
 一番近い通りかかる敵一体に自身の姿を視認させれば、金属音を立てて相手は反応する。馬面を胴にした、小回りの利く甲冑で形成された竜が鉄槍を構え向かってくる。
 ハロは竜の動きに注視し、相手の風を裂くような刺突攻撃に身体を捻り避けた。その際、敵の長柄へ剣身を刹那に当て、全身をばねのように使って弾くように押し流す。
 ガシャン!
 受け流しにより鉄槍が大きく振られ、がら空きになった竜の間合い。
 ぐるりと回った長柄が馬胴を跳ねさせ、僅かにその先が見えた。
 ステップを踏み、一度引いたハロが再び前へと一歩。
 後足で跳ねるように。その瞬発と加重が前に出た片脚の軸となる。後は上半身とリトルフォックスをその勢いに乗せるだけ。
 鉄槍を振ろうとする敵の動きに合わせて放たれた鋭いレイピアが、敵の核であろう小盾を傷付けた瞬間、妖狐の霊力と炎の力が膨れ上がり武具の財宝竜を内部から爆破した。
 弾け飛び、柱や床とぶつかる高らかな金属音。
 敵が傷付き、その力が増強するというのなら、初手から核を狙い定めた撃破。
 ハロが取った行動は武具の財宝竜を相手にした最適なものだ。
 他方から襲いかかってくる敵の一撃を受け流す最中にも、油断なく敵を観察するハロ。攻めに転じた彼女の、繰り出すレイピア攻撃は的確に竜を形成する核を傷付ける。
「ちょっとあなた、大丈夫!?」
 戦っていると駆け寄ってくる冒険者、ウィザードのユラギ。
 敵を見据えたまま「大丈夫です」とハロは応じる。
「援護をお願いします。なるべく、敵を傷つけないように足止めを」
 そう告げれば「わかったわ」と答えたユラギが魔法を発動させた。
 すると地面が一部砕け、ガッシャン!! と転がる竜。
 武具はバラバラに散じたが、それは魔力で繋がっているようで中心の『核』へと移動をしていく。
 即座にその中心となる武具を刺し貫くハロ。
「こんな感じで大丈夫?」
 ユラギの言葉に、レイピアと短剣を再び構えながらハロは頷きを返した。
「適切な支援です。この調子で敵を倒していきましょう」
 竜たちの向上しやすい戦闘力を抑え、繰り出す一撃は必殺となるものに。
 ハロの組んだ見事な作戦により、敵は一体、また一体とその数を減らしていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
天上界への手がかりを渡すわけにはいきません
冒険者さん達をお助けし
オブリビオンさんを海へお還しします

UC&風の魔力
空気抵抗を減じて宙に浮かんで移動

♪エレ・ケットはどーこかな?
♪あっちかな?こっちかな?

弦を爪弾き歌い合流を目指します
歌を聞きつけ
此方へ向かって来て下さるかも?

突進攻撃を
疾風の高機動で回避したり
つるっと捌きながら
財宝竜さんをぺろ
元の武具へとバラバラに

或いは召喚したランさん(同じく摩擦抵抗減)の突撃で
やっぱりバラバラに

合流できたら
失礼をばして三人をぺろ
これで多少の攻撃は大丈夫です

私が囮となり
その機に三人の合体UC
炎と光と風の刃でしょうか
私も助太刀を

終幕
鎮魂の調べ

アイテムはお任せ
楽しみ~



 大きく横になった柱は架け橋のようでもあった。
 降り立ち、自身の上腕を舐めながら箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は周囲を見回した。
(「ここではどんな古代帝国が築かれていたのでしょうね」)
 城内を詳しく調べれば、浪漫溢れる古代の品々も見つかるのだろうが、今は城内の財宝を奪っているオブリビオンたちを倒すのが先決だ。仄々はひとつ頷き、高く、跳躍した。
 魔力を発揮すれば、風の力が仄々の身体を覆う。
 風を纏い、かつ自身の背後側の空気抵抗を減らした仄々は空気の圧力を下面に掛け、刹那に空を翔けた。
 推進力は纏う風任せ。
 カッツェンリートを構え、弦を弾けば軽やかな一音。
 柱から柱へ。ふわり飛ぶ仄々は緩やかなステップを踏むように音を奏でた。
「~♪ エレ・ケットはどーこかな? ♪♪ あっちかな?こっちかな? ♪」
 カシャン、カシャン。
 ガシャン、ガシャン。と、空虚な城内に武具の音を鳴らすオブリビオンとは別に、楽しそうな音楽。
 音に惹かれた武具の財宝竜がカシャリ、ガシャリと新たな財宝を取り込みその身を伸ばす。
 鎧がわりの馬面が開かれて鉄槍を頭に突進してくる竜へ、咄嗟に手を翳した仄々から風の圧が放たれた。
 ばん! と風が弾け、伸びあがった財宝竜の態勢を崩し、自身は跳ねるように空へ。
 一瞬ばらばらになったかと思われた財宝竜が、核を光らせて纏う武具を呼ぶ。繋がった糸を引いたが如く武具たちが集束していった。
 その瞬間、下方から放たれたダガーが敵の核を傷付け、財宝竜は瓦解した。
「おおい、君、大丈夫?」
 シーフの冒険者、アカツキが仄々へと声掛ける。
「あっ、シーフさん、私は大丈夫ですよ」
 風を解放し、ゆっくりと降下しながら仄々が応えた。
 そちらこそ、大丈夫ですか? と問えば頷きが返ってくる。
「仲間の皆さんはどうされたのです?」
「リーダーは助けに来てくれた冒険者の援護に向かったわ。ミンリィ……クレリックは上」
 クレリックは戦場を俯瞰しながら適宜の援護を飛ばしているらしい。
 猟兵たちが天空城に駆けつけたこともあり、冒険者たちは状況をそれなりに把握しているようだ。
 アカツキの回避力を高めるために、彼女をユーベルコードの力で毛づくろいしたあと仄々は目旗魚のランさんと共に再び敵へと向かっていった。
 ランさんが突撃していけば、盾を構える竜。だが既に摩擦抵抗を極限にまで減らしていた彼女はその身を傷つけることなく敵を衝撃でふっ飛ばした。
 ガシャン!
 足元の安定感がないものを狙い、ランさんが翔ける。
 突進してきた敵に両手を当て、跳び箱の要領で回避する仄々がつるんと敵の上を滑り降りていく。
 その時、クレリックの光が空から落ちてきた。
 目くらましの光のなか、敵に乗った仄々が風圧を仕掛ければ踏み倒されたが如く地面に叩きつけられる財宝竜。
「アカツキさん、今です!」
 ガシャン! とばらばらになった武具から飛んで後退した仄々の声に、応じ放たれるダガー。
 風属性のダガーが露わになった敵の核を傷付け、武具の財宝竜を解体する。
「やりましたね!」
 降下しながら仄々がシーフとハイタッチすれば、仄々の体はまたふわんと浮遊した。
 風を繰り、方向転換。
 城の床には取り込んだばかりなのだろう、様々な武具が落ちている。
「おや、これは?」
 丸い脇当だったが、仄々が持てば小盾の大きさだ。紋章が打刻されている。
「それは水竜をモチーフにした紋章ですね。装飾部には氷陣の羅列……水と氷の加護があるようです」
 高所から降りてきたクレリックのミンリィが言い、紋章に触れれば水の盾が現われた。
 仄々が指先で触れれば、パリッと指先が凍る。
「わあ、すごいです」
 小盾を持って魔力を籠めればパンッと水の盾が大きく張られた。カウンターと共に使えば、敵をふっ飛ばし、更に張り付く氷で怯ませることができるかもしれない。用途は様々だ。
 敵が武具の力を発露できなかったことに安堵した。
「まだ、たくさんの財宝が眠っているんですよ、この天空城」
 にこにことしたミンリィに、仄々はこくりと頷いた。
「では、これからも無事に探索ができるように、ちゃんと敵を倒していかねばなりませんね」
 カシャン、カシャン。
 武具の擦れる音はまだ城内で反響している。
 戦いの音もあちこちから。きっと仲間の猟兵たちが戦っているのだ。
 仄々の言葉に確りと頷き、エレ・ケットの二人が立ち上がる。仄々も再び空中へ。
 次なる敵へと三人は向かっていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
以前の天空城の戦いは猟兵が攻め手だったけど今回は守り手か
奇妙な縁だがエレ・ケットも財宝も守るぞ

エレ・ケットと合流して財宝を狙う敵達との戦いは避けられない、
でもオレも協力して撃破すると元気付ける為にも漢らしく約束するぜ
(オレは女だけど)
オレが来たからには想定外の敵も倒して依頼達成間違いなしだぜ!

城の罠に詳しそうなアカツキに竜の足止めが出来そうな罠の場所を教えて貰って
オレが財宝を持っている振りをして竜達を罠まで誘導するぜ
こんなに小さくても金貨数十枚分、持って帰るぞ!
竜達を罠にかけたら負傷で強くなるオーラを発動させない為に
移動できない間に超極級拍手でそれぞれ一撃で仕留めていくぜ
オレの筋肉が財宝だ!



 古代帝国の遺産となった天空城。
 空に浮かぶ城を攻略したかつてを思い出し、グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は初めて訪れたこの城を駆ける。
 大きな柱が立ち、そして行く手を阻むように柱が横たわるこの城は一種の迷路のよう。それでも縄梯子や人を引き上げるための仕掛けが施されている辺り、日々の探索が進んでいる城なのだなと彼女は感じた。
「財宝が散らばっているね」
 シーフのアカツキが同行する道程で小さな財宝を拾い集めていく。煌びやかなもの、実用的なものと、財宝という言葉で一括りにしているがグァーネッツォの手に集まる種は様々だ。
「これなんて何かの絡繰りの一部っぽいぞ」
「うん、そういった謎のものを解明していくのも楽しいのよね」
 グァーネッツォが拾ったばかりの財宝は、歯車の形に虹色の線が入っている。それを掲げて見せればアカツキが頷き応えた。
「これだけ集めれば良い感じかな」
 グァーネッツォが呟けば、アカツキは心配そうな目で見てくる。
「ね、グァーネッツォ、本当に良いの?」
 危険だよ? と。
「大丈夫。任せてくれ! この城に侵入した、財宝を狙う敵達との戦いは避けられない。一緒に協力して撃破しよう!」
 アカツキの心配を吹き飛ばすように、グァーネッツォが笑顔で彼女を元気付けた。
「オレが来たからには、想定外の敵も倒して依頼達成間違いなしだぜ!」
 ドワーフの少女の快活な様子にアカツキも安心したのか微笑みを見せる。
「うん――うん! よろしくねっ、私も頑張るわ!」


 作戦決行。
 カシャン、カシャン。
 ガシャリ、ガシャリ。
 人の住んでいない天空城で空虚な音が反響しているばかりだった城に、カシャカシャ、カシャッと新たな音。
 音の鳴りやすい財宝を抱え、タタタッとグァーネッツォが駆けていく。
 ガシャン!
 音と、古代帝国の技術が集結した宝の匂いに導かれ、武具の財宝竜たちがグァーネッツォに反応し寄ってくる。
「いいぞ、こっちに来い!」
 ガシャガシャガシャッ! 馬面の竜、甲冑と短剣が自在に動く竜、魔石を纏う竜と様々な武具の財宝竜が彼女を追う。
 縦横の囲われた場所に出たグァーネッツォは色付きのタイルを見つけて、アカツキに教えられた通りに踏み込んだ。
 ここは逃走を防ぐための進路のひとつ。
 彼女が踏んだタイルとその直線上にあるもう一つの仕掛けをアカツキが発動させれば、光条が床から壁、天井へと駆けた。
 そのまま駆け抜けたグァーネッツォが振り返れば、虚空に光の陣が現われ敵の行く手を阻む。
 持っていた歯車たちが虹色に耀き始め少し重くなった。周囲の落ちていた財宝も城の魔力に反応して輝きだした――既に取り込んでいたのだろう、竜の纏う財宝も一部に輝き。
 城の財宝を護るため、仕掛けられていた罠は重力に作用し財宝を重くするもの。
 光に阻まれ、取り込んだものは重くなりと、竜たちの動きは明らかに鈍っていた。
「これこそ触れずに攻撃するバーバリアンの奥義だ!」
 接敵したグァーネッツォが両手を叩けば、超極級拍手が衝撃波を起こり、風圧が竜を叩いた。僅かに出来た隙間に鋭風が入りこむ。
 パン! ともう一度拍手を送れば、次なる衝撃波でその集まりを内外から掛かる圧で瓦解させた。
 一撃必殺。
 リズミカルに手を打ち鳴らせば次々と武具の竜たちがその身を崩し、倒されていく。
「すごい、すごいわ、グァーネッツォ!」
 アカツキの歓声に、グァーネッツォは笑顔で応えた。
 猟兵の力、バーバリアンとしての力、溢れんばかりの力強い生命力は彼女が会得したかけがえのない宝だ。
 そう、グァーネッツォが持つ財宝は筋肉。そして状況に順応する機転。
「よし、撃破! アカツキ、この調子で次の敵も罠にかけて倒していこう!」
「おー!」
 拳を振り上げ、意気揚々と二人は城内を駆け出していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
財宝を求めての冒険だし、
今回は、剣、盾、護符の冒険者バージョンで行っちゃうね。

『エレ・ケット』さんたちのパーティだと前衛さんが足りなさそうだし、
合流したら、わたしは前に出て攻撃役かな。

できればパーティ戦で財宝竜とは戦いたいけど、
先に出会っちゃったら、なるべく派手に戦って、こちらを見つけてもらおう。
地図とかも持っているみたいだし、竜を倒せれば脱出はできそうだしね。

戦闘は【不可測演算】で敵の攻撃を予測。
盾と纏った風で攻撃を受け流しつつ、カウンターと真空波で削っていこう。
みんなが来てくれたら、とどめは竜の核(宝珠)に剣をつきたてたいけどね。

財宝は……なにをドロップするかは、MSさまにお任せしたいです


アイグレー・ブルー
アドリブ歓迎(ドロップの品お任せ)

不思議な建造物であります…!神殿というブロックを適当に重ねたかのような感じもいたしますね……(巨人殿が積んだのかもですねぇ…)
さぁ冒険者の方々と合流して一緒に調査いたしましょうか。わ、わたくし怖くないでありますーわかる所までご案内してください…!


財宝竜との戦闘、なんだか目がちかちかするであります…
冒険者御一行には物理盾の方がいらっしゃらない様子、戦闘中はお守りいたしますのでユラギ殿ミンリィ殿からは後方からの援護をお願いしたいであります……!
髪を硬化してのUC発動、皆様の盾となり攻撃を受け流しシールドバッシュ。回復する前に槍で隙間を突いての鎧無視攻撃です!


クララ・リンドヴァル
※アドリブ連携OK
天空城にも、だいぶ冒険者の手が入りましたね
まずは彼等と合流しましょう
敵と鉢合わせしないよう、静かに先を目指します

道中《天涯の書版》に手を翳し、魔法陣を展開
たどたどしい手つきで【失せ物探し】技能を試しましょう
もしかすると生命感知や魔力感知機能があるかも(使うの初めて

冒険者さんと合流後は敵と戦闘に入ります
『エレ・ケット』は中後衛寄りの編成でしょうか?
ならば、UCで呼んだ蜘蛛に、前衛で攻撃役を務めて貰いましょう
自分は前衛で盾役。敵の視線を回復役のミンリィさんから遮るように動き
敵UCを【呪詛耐性】を頼みに引き受けます
物理攻撃は《奴僕》で応戦します

ドロップアイテムは狙えればお任せします



「冒険にはパーティがつきものだよね。わたしたちもパーティを組んでみない?」
 天空城に訪れた猟兵たち――菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の誘いに、一瞬キョトンとしたアイグレー・ブルー(星の煌めきを身に宿す・f20814)とクララ・リンドヴァル(白魔女・f17817)。
「良いですね……!」
 アイグレーが笑顔になれば身体の星光がキラキラと。
「――エレ・ケットさんたちと同じように、パーティですか。楽しそうですね」
 ほんわりと笑みを浮かべながらクララが緩やかに頷いた。
「冒険者たちとの合流を目指しながら、敵と鉢合わせしないように進んでみましょう」
「地図はユラギさんたちが持っているみたいだけど、一応マッピングもしていこうかな」
 急場しのぎだけどね、と理緒。
「わくわくといたしますね。わたくしも、マッピングのお手伝いをしてみたいであります」
 弾みそうな声を抑えて言ったアイグレーが進み始める。
 声を潜めて、周囲の気配を窺って、物音を立てないように。
 柱は縦にそびえたつもの、そして横になったものは架け橋になっている箇所もあり、城内は何だか迷路のようになっていた。
 何処からかやってきた風が吹き抜けていく。
 新たな階層に入ったのだろうか。がらりと造りが変化した。
「不思議な建造物であります……! 神殿というブロックを適当に重ねたかのような感じもいたしますね……」
 巨人殿が積んだりしていたのでしょうか?
 アイグレーの言葉や想像に、クララがぱっと顔を上げて頷いた。
「その考察、楽しそうです。……この城はどんな文明が築かれていたのでしょうね」
 そう言って天涯の書版に手を翳せば魔法陣が浮かび上がる。
「わあ、タブレットパソコンみたいだね」
「ぱそこん……は、詳しくはないのですが、以前天空城で手に入れた書板なのです」
 使うのは初めてなのですが、とクララ。類感の魔法陣は何かを感知するだろうか。
 理緒が興味津々と書板を見て、凄いですねぇと呟いたアイグレーが何かに気付く。
「クララ殿、魔法陣の端っこの色が変化されています」
「――……あっ、何かを見つけたようですね」
 天涯の書版は生命力を感知しているようだ。範囲も確かめなければならない。
 色の変化した部分に触れれば、光が飛んでいく。
 クララは書板を見ながら皆を追うように歩き、その前にアイグレー。理緒が先頭だ。
「あっ、発見。クレリックのミンリィさんかな?」
 理緒が上を見上げれば、光が教えたのかミンリィは既に猟兵たちに気付いていた。手を振り合う。
「良かった。救援に来てくれたのね!」
 ユラギも柱の陰から現れて、三人と合流する。
 聞けば、シーフのアカツキは罠を掛ける猟兵の援護を。ユラギとミンリィもまた先に来た猟兵と共に戦っていたようだ。
「でも戦いの音を聞きつけたモンスターが徐々に集まり始めているのよね。力を貸してくれる?」
 ユラギの言葉に「もちろんであります!」とアイグレーが応じた。むんっと拳を作って気合も添えて。
「エレ・ケットの皆さんには物理・盾の方がいらっしゃらない様子。盾の役割はお任せを。戦闘中はわたくしがお守りいたします……!」
「それじゃあ、わたしが前に出ようかな?」
 風竜の加護を受けた短剣・バゼラードを手にした理緒。同じ風竜の加護を受けた小盾もあり、前衛仕様だ。
「ならば、私はユーベルコードの力で理緒さんの援護や、他面から攻撃していきますね」
 と、クララ。クレリックのミンリィは高所で位置取りをしていて、自身はそちらの守りへ向かうことにした。
「よし。エレ・ケットとのパーティ戦、開始だね!」
 理緒に応じて皆が小さくえいえいおーと両手を動かして、五人はそれぞれに動き始める。


 広い天空城内に散開していた武具の財宝竜たちが集まってくる。
 その動線を狙い、攻撃を仕掛ける単独戦の猟兵たちはアカツキの知らせを受け、少しずつ後退するように敵の布陣を誘導していった。

 ガシャガシャッ!
 組まれた武具が擦れ合って音が鳴る。
『核』が形成していると思われる武具の財宝竜たちは、胴の馬面をぐるりと回すものであったり、尖角な鉱石を鎧としていたり、剣と柄で形成されていたりと様々だ。
「祖父母に劣れる父母、さらに劣れる汝らを産めり」
 クララの召喚に応じ、現われゆく蜘蛛たち。
「汝ら遠からずして、より劣悪なる子孫を儲けん――」
 召喚された蜘蛛たちが八本の脚を音無く動かして円陣を組み、または散開していく。
 柱を上った蜘蛛が降下するとともに眼下の財宝竜へと糸を吐いた。
 何体かの財宝竜が恐怖の兜を前面にし、呪詛を仕掛けてくるのだがそれらを引き受けるのはクララだ。
「視線を向けないようにしてください」
 そう告げてミンリィを背に庇い、絶え間なく襲ってくる『恐怖』に耐える。
 とん、とクララの背にミンリィの背が触れた。鼓舞するかのように癒しの光がクララを覆い、次は違う猟兵へ。
 守りに徹するクララの代わりに前へと出た不可視の「何か」が一撃を放てば、財宝竜が叩き飛ばされた。
 落ちていく財宝竜を迎え撃つのはアイグレーだ。
「皆さまをお護りする――わたくしだけの-プラネタリア-」
 ブラックタールとしての本領発揮。拡がる夜空のように、刹那に広げた自身の髪を硬化する。
 星雲を模した防御殻が落下する財宝竜を弾き、その衝撃で露わになった核を見つけたアイグレーはすかさず槍で突いた。
「ユラギ殿っ」
「任せてっ」
 風の魔法が放たれると同時、そのまま瓦解する竜をなぎ払ったアイグレー。ひとつひとつの武具を突風に乗せ周囲への牽制とする。
 護る意志を貫くグレイブ。カルサイトの穂先が次敵へと向けられた。
 一方。
 虹色の魔力を纏い飛翔する財宝竜が鉄槍を露わにし、理緒へと突進していく。
 だが既に不可測演算により敵の動きを見切っていた理緒が腕を振れば、装着する風竜の鏡盾が風を撃ち出し、敵の穂先と長柄を打った。
 飛翔している、そして貫徹力の高い突進攻撃だったために、敵の動きは大きく逸れて地面に叩きつけられる結果となる。
 ガシャン! と瞬間的に散開した武具が核へと寄せられていく。それらを止めるのは蜘蛛たちの噛みつきや糸。
「ありがとう!」
 蜘蛛たちに礼を言いながら、バゼラードを核に突き立てる理緒。切っ先と真空の刃が核を割り砕いた。
 そのまま剣を振れば発生する真空波。
 集団の敵に向かう数多の牽制と鋭い一撃。包囲されやすい状況下で、猟兵たちの取った戦法は理に適ったものだ。
 一体、また一体と敵を撃破していく。


「……全部、撃破できましたか……」
 天空城の持っている空虚な静けさが再び訪れ、財宝竜を倒し切ったことに安堵の息を吐くクララ。
「皆さま、無事で良かったであります!」
 猟兵たちとシーフのアカツキが合流してきて、アイグレーが笑顔で皆を迎える。
 財宝竜たちを形成していた武具は骸の海へと還っていったものもあるが、一部が残り散乱している。武骨な武具の下に繊細なものが見え隠れしていた。
「虹色の線が入った歯車だね。何に使うんだろう……?」
 指で摘んで翳してみる理緒。薄い金属のような小さな歯車に虹の幾何学模様。
「集めて、ブローチにしたら可愛くなりそうであります……!」
 はいっ、とアイグレーも拾った歯車を理緒に渡す。
「確かに、三つくらいを合わせれば可愛いブローチになりそう」
 受け取り、きゅっと歯車を握った理緒が――消える。
「り、理緒殿!?」
「……? わ、光学迷彩の術でも発動したのかな?」
 隠密に良さそうだね、と理緒はのんびり応えた。
「古代帝国時代のものでしょうかね」
 装飾品にも魔力が宿っていることを確認したクララが、宝石花の腕輪を手に取った。
 金属輪の部分はシンプルだ。装着すればひんやりとしている。
「夏場に良さそうな……」
 そして魔力を流してみれば、地面には氷の花々が。
「わあ、何てお可愛らしい……!」
 アイグレーが瞳を輝かせて氷の花に触れる。
「アイグレーさん、これも可愛いよ」
 と、理緒の差し出した手から、ひらりを舞い寄ってくる宝石の蝶。虹を翅に映した蝶がアイグレーの髪に止まる。彼女の夜空色の身体に差し込む蝶からの光。ルナ・レインボーは柔らかで、敵の殺意を削ぎそうなもの。
「思いのほか、可愛いアイテムをドロップしていったのね」
 エレ・ケットの三人も使えそうなアイテムを拾っていく。


 冒険者と猟兵たち――猟兵は油断なく、周囲を見回した。財宝竜を使役していた存在がいることを知っているから。
 その時、集まっていた彼らへと声を掛ける者が現われる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『財宝妖精ブラクテ』

POW   :    財宝の竜<グランツ>
自身からレベルm半径内の無機物を【合体させ、巨大な財宝竜】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD   :    収集欲<ベギーアデ>
【財宝】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[財宝]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    竜の眼<アオゲ>
【【竜眼の宝珠】の呪詛】によって、自身の装備する【3秒以上視続けた財宝】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「大天使様が天上界へと到達するため、ありとあらゆる天空城の財宝を手に入れるのが我等の役目――」
 小さな身体に黄金の鎧を纏う、財宝妖精ブラクテが猟兵たちの前に現れた。
「我等は略奪者、貴方がたも略奪者。けれども目的の明らかな我等が城中の財宝を手に入れるのが必定。そうは思わなくて?」
 配下の竜が残した財宝がカタカタと動き、ブラクテの元へと集まっていく。
 そこへ待ったをかけるのはエレ・ケットの三人だ。
 動き始めた鉱石甲冑を留めながらブラクテへと話しかける。
「ちょ、ちょっとちょっと、根こそぎ持って行こうだなんて何て強欲な奴なの!?」
「このへん、元々は寂れた土地だったんだけど、この天空城のおかげで近くの街も栄えたし、まだまだ発展途中なの!」
「研究材料を奪わないで!」
 城の財宝といっても様々だ。
 謎の古代帝国。財宝の配置には意味あるものもあり、エレ・ケットの三人や他の冒険者、研究者と多くの者が調査に入る城は整然としていた。
 確かに、と猟兵たちは頷く。
 荒らされた天空城もあるが、このようにきちんとスポンサーのついた探索の手が入っている城もある。
 調査の進みが水の泡となるのはいただけない。
 現在の数多の天空城の防衛は、後々に猟兵たちの戦いに影響する分岐点だ。

 そして、輝石の欠片。
 恐らくは既に、ブラクテが気付かない内にブラクテ自身の手に渡っている。
 天上界攻略の鍵となるかもしれない輝石の欠片を持ち去られてしまうわけにはいかない。
 ――その時、金属の擦れる音が大きく波打つように連なった。
「邪魔をするのなら――冒険者、そして猟兵は死あるのみ」
 ブラクラの魔力が鎖を操り、再びの竜を――今度は大きな蛇竜を造り上げる。

 刹那に目を合わせた猟兵たちは、それぞれが一撃を叩きこむために動き始めた。
ハロ・シエラ
敵自身は小さいですが、どうやら色々と操るようですね。
あの竜以外まで色々と使われては堪りません。
視る事が必要なのであれば、まずはそちらから邪魔しましょう。

まずブローチに祈りを捧げ、光の【属性攻撃】を発動させて【目潰し】を行います。
これだけ金ぴかだらけなのです、きっと眩しく輝いてくれるでしょう。
私は目を閉じていても【第六感】で大まかに状況を把握できます。
敵の目が眩んでいる隙にユーベルコードで非常に豪華な財宝の幻を作り、敵の目をそちらに【おびき寄せ】ます。
幻を幾ら視続けても操る事はできないはず。
後は蛇竜を【スライディング】や【軽業】ですり抜け、敵に接近して【鎧無視攻撃】で一突き浴びせましょう。


菫宮・理緒
天上界のこともあるんだけど、
探索と略奪の区別もつかない相手に、大事なものを渡すのはちょっとね。

ここまで来る間に見てきたけど、
『輝石の欠片』だけでなく、この天空城が古代帝国の遺跡という大切な宝物だしね。
略奪するだけの方には、ご退場願おう。

相手の戦力を削ぐことにもなりそうだし、まずは財宝の保護からかな。
【虚実置換】で財宝竜の残していった財宝を、一時的に消去。
これ以上傷つけたり、『ブラクテ』が使ったりできないようにしよう。

それができたら、わたしもバゼラードで真空波を飛ばして援護するね。
相手の攻撃は、鏡盾と護印の力を借りて防いでいくよ。

金属製とはいえ蛇はちょっと苦手。
できれば『ブラクテ』狙いでいこう。


箒星・仄々
なるほど
天空城そのものが
価値のある存在となっているのですね

輝石の欠片含め
財宝をお渡しする訳にはいかないようです
海へとお還りいただきましょう

エレ・ケットさん達には
財宝を戦場から引き離すことを依頼
財宝が少なくなる分
妖精さんの力が削がれますから

竪琴奏で
財宝を魔力へ変換

破魔を込めた旋律で呪詛を減弱阻害し
操作された財宝も魔力へ変えて取り込みます

緋蒼翠の三色の魔力の渦で妖精さんを翻弄し
きりきり舞いさせます

妖精さんの力が弱まったり
隙が生まれた時には
黄金の鎧や竜眼の宝珠も魔力へ変換し
畳みかけます

終幕
欠片を回収後
妖精さんの安らかを願う鎮魂の調べを奏でます

次には
エレ・ケットさん達と勝利を称える歌曲も



「あの財宝妖精自身は小さな姿ですが、どうやら色々と操るようですね」
 油断なきハロ・シエラの赤き瞳が財宝妖精・ブラクテを見据えた。
 水晶のブローチに指先を添えれば内包された輝きが露わになる。
「あの竜以外まで色々と使われては堪りません。まずはそちらから邪魔しましょう」
「うん……! あんなのを何体も作られたら、って思うとぞっとしちゃうな」
 金属製とはいえ蛇が苦手な菫宮・理緒が彼女の言葉に同意した。
「輝石の欠片含め、これ以上財宝をお渡しする訳にもいきませんし、取り返しましょう!」
 箒星・仄々の声に、三人が一気に動く。
 ハロが絆のブローチへ祈りを捧げれば幾条もの光が走り、磨かれた財宝、金の財宝が光を反射すれば辺りは眩い世界に覆われた。
「おおお、金! 銀! 白金の色よ!! 素晴らしきかな、この輝き!」
 我が身も輝きを受け、更に視界も白金に染まり、ブラクテは大喜びだ。
「今です。こちらを持って下がってください……!」
 仄々がエレ・ケットの三人に攻撃力の高そうな大剣、精霊弓、魔法の杖や宝珠を持たせ一旦の退避を促した。
「この状況、得意分野だよね~」
 遮光プログラムをOracle Linkに構成し、ゴーグル越しに理緒の視界はクリアとなる。
 大きな財宝の山を視界に収めれば、反応した脳波がレタッチ・アンド・ペースト。
 起動したユーベルコードが一時的にこの戦場から財宝を消去していく。
 虚実置換の番狂わせ。理緒の動きに合わせて、光の裏でリトルフォックスから幻術を放つハロは、まやかしの財宝の山を作り上げていった。目を閉じながら顕現させたのは、更に光り輝く金銀財宝の山。
「美しいものは目が潰れてしまうのね! すごいわ、眩しいわ! ……はあ、うっとり……」
 輝きが写しとなっても目の眩んだブラクテは相変わらず大歓喜状態で光の中を飛び回っている。格好つけていた口調も剥がれ落ちている状態だ。
(「良い調子ですね。――財宝が少なくなる分、妖精さんの力が削がれますから」)
 帽子を目深に被り光を避けていた仄々が動くのは、場の輝きが収束していく瞬間であった。
 ブラクテがふらふらと、ハロの作り上げた幻の財宝――輝きは失われず、とてもキラキラだ――に近寄っていく。何だか猟兵の存在が頭からすっぽ抜けてしまったような動きだ。ストライクゾーンを見事捉えた初手だったと言えよう。
「さあ、楽しい演奏会にしましょう♪」
 カッツェンリートを奏で、残った財宝へ魔力で働きかけた仄々が、火水風の力へと変換させた。
 弦を一気にかき鳴らせば緋蒼翠の色として顕現した魔力が渦を描き、蛇竜の胴部から下を呑みこんだ。
 ガシャン! と金属音を鳴らして蛇竜の頭部が三色の魔力を払おうとするのだが、その瞬間を狙い仄々が弦を強く弾いた。
 起こったのは竜巻だ。蛇竜の頭部を下から突き上げるように呑みこみ、空中で瓦解する。
「!? あっ、我が財の蛇竜が!」
 おのれ、と瞬時に新たな配下を作り上げようとするブラクテであったが、彼女が視たのはハロの作り上げた金銀財宝の山であった。幻は当然動かない。
 視界広く、高度を保つブラクテが何故と呟いた。
 視える財宝が動かない。他のものは――そう見回すのだが、元々あった財宝は既に理緒が一時的な消去という形で遠ざけている。あるのは、無い現実。そして渦巻く新たな魔力は、蛇竜から再び個々となった財宝が落下の最中に変換されたもの。仄々だ。
「隙ありっ。探索と略奪の区別もつかない相手に、大事なものを渡すのはちょっと、ね!」
 理緒の横薙いだ風竜のバゼラードが、ブラクテに向かって真空波を放った。
 猟兵たちがここに来るまでに見て、そして知ったことは。
 過去から、今、そして未来へと進む時間の中に在り続ける天空城そのものが、価値のある存在だということ。
「海へとお還りいただきましょう」
 その確かな一手を。高い魔力を持つブラクテに、仄々が彩なる魔力をぶつければ混沌と化す。
 荒雲のように渦巻く魔力たちを頭上にハロが駆け抜けた。
 理緒の縦横に振るい放つ真空波と仄々のトリニティ・シンフォニーによって傷付き、誘導の降下を余儀なくされたブラクテへとハロは一気に彼我の距離を詰める。
「ヒッ!?」
 翅を動かすブラクテであったが、既に必中の間合い。
 強く踏み込んでからの軽快な跳躍。ハロの鋭いレイピアの一撃が財宝妖精を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


  

 この戦場にあるほとんどの財宝が猟兵たちの手により一時撤去されてしまった。
 強い攻撃を受け、一度、立て直すべく財宝のある場所へと移動するか否かをブラクテは考える。
 だが長いものとなるであろう自身の動線は、猟兵に比べれば明らかに不利だ。
 どう動くべきか。
 財宝を引き寄せるためなのか、ブラクテは僅かな後退を見せた。
グァーネッツォ・リトゥルスムィス
最初に天空城が出現した時は大騒ぎだったけど
今は復興や研究の為にもなれていたのか、それは知らなかった
大好きなこの世界の邪魔はさせないぞ!

エレ・ケットに他に財宝が多くありそうな場所を教えて貰って
ブラクテに合体される前にオレは先に『大隼との友情飛翔』で先回りするぞ
大空だけでなく狭い隙間を高速で通るのも隼の得意分野だ、任せてくれ!

竜になっていても冒険者や人々にとって大事な財宝を傷付ける訳にはいかない
竜そのものは攻撃せず躱しつつ、エレ・ケットが辿り着いたら
ブラクテを吹き飛ばして敵の操作できる射程から退けるぜ
解除された財宝の落下防止はエレ・ケットを信じてオレは戦闘に専念するぞ

輝石の欠片だけは譲って貰うぜ


アイグレー・ブルー
わたくし達、ずっと天空城というお宝の中にいたのですね。ここで皆様が研究して得た知識もまた新たな宝になると……素晴らしいであります

皆様が作ってくださったこの隙を逃さないようにしないとですね
正直ブラクテ殿はもう散々かもしれませんがここはご退場願いましょう……!


ブラクテ殿の所に再び宝を集めるわけにはいきません。浮遊し、空中戦で更に追い詰めていきます。
エレ・ケットの皆様にも案内と援護をお願いしながら進み罠へ誘導出来たら良いのですが…
攻め手はオーラ防御で守り、チャンスを狙いランスチャージで一気に突貫いたします
【使用UC】で包み込むように攻撃し、新たなお宝を近付けさせないようにいたしましょう……!


クララ・リンドヴァル
※アドリブ連携OK
……あら? 周りが片付いてますね。
他の猟兵さんが呼び込んだチャンス、最大限に活用したいですよね。

というわけで敵を巻き込むように、物理結界魔法ビブロラビリンスを発動。
これで後退を妨害出来ますね。

その後思い切って冒険者さんと踏み込みます。
各自出来る事を自由にやって頂くスタンスで。
でも離れないでくださいね。
この迷宮、出入りできるのは私だけですから。
使い魔の蜘蛛を離して、私とは違う方向を索敵させます。

先を目指しながらも、壁向こうの気配や物音に気を配ります。
上手く敵を察知出来たら、落雷など迷宮の影響を受けにくい攻撃手段で奇襲をかけます。
出会い頭の戦闘は高速詠唱を用いた攻撃で対応します。



 財宝のある方へと向かう小さな姿。
 財宝妖精・ブラクテは姿かたちこそ相応の大きさであったが、その存在は大きな脅威である。
 素早く後退して態勢を立て直そうとするブラクテの姿をいち早く捉え、先回りした大隼が旋回し敵の行く手を塞ぐ。
(「最初に天空城が出現した時は大騒ぎだったけど、今は復興や研究の為にもなれているのか」)
 略奪された城もあっただろう、研究に尽くされている城もあるだろう。
 アックス&ウィザーズ世界の時間は少しずつ未来へと進み変化している。
(「大好きなこの世界の邪魔はさせないぞ!」)
 大隼を通し、猛禽類の瞳で敵を見据えたグァーネッツォ・リトゥルスムィスが改めて決意する。
「何だ、この鳥は!」
 邪魔だ! と飛翔するブラクテを煽るように、大隼の幻影を纏うグァーネッツォが飛び回っていた。
「冒険者や人々にとって大事な財宝を、この城を、傷付けるわけにはいかない!」
「その通りです――陣地を構築します。私に続いてください!」
 小さな声をいつもより少し大きく――クララ・リンドヴァルの声が場に渡り、戦場が変化する。
 物理結界魔法の発動。
 高い棚にぎっしりと詰まった本。時に本棚備わる梯子もある、戦術級開架図書防衛機構・書架大迷宮をクララが作り上げた。
「!」
 眼前に突如現われた本棚を避けるブラクテであったが、今や戦場は――書架の世界。
「わ、わ、すごいであります……!」
 目を瞠り世界を仰ぐアイグレー・ブルーに、本棚の上で一時その翼を休めるグァーネッツォが場を俯瞰する。敵を迷宮に閉じこめたということは、猟兵たちの身も迷宮の中ということで。
「迷っちゃいそう……!」
 エレ・ケットのアカツキが呟き、クララが応じる。
「あまり『私たち』から離れないでくださいね。この迷宮に出入りできるのは私だけですから」
 そう言って使い魔である蜘蛛に案内と索敵の役割を振り、迷宮内に放つ。
「行きましょう」
「はい!」
 先へ進むクララに続くアイグレー。上を見ればグァーネッツォが猟兵たちの様子を窺いながら飛び立った。どうやら天から案内役を受けてくれるようだ。


「……っ! 何だと言うのだこの本の迷宮は!」
 彷徨うブラクテは、竜眼の宝珠の呪詛を使って自身の持つオーブを放つのだが視界は狭い。遠隔操作のできない場所での索敵は困難を極め、天に上がろうとすれば大隼が行く手を遮る。まさに八方ふさがりといったところだった。
「グァーネッツォ殿、ここはお任せを」
 天から降ってくるアイグレーの声。
 その時、書架大迷宮の天は星の耀く夜空のように――ここが戦場でなければ満天のプラネタリウムでランプを泳がせ、本の探求を楽しめる世界だっただろう――飛来する夜の礫がブラクテを襲う。
 一手から更なる一手、猟兵たちが追い詰め作り上げた敵の隙を逃すわけにはいかない。
 幾何学模様を描き飛翔するアイグレーがその身を拡げ、飛礫を放っていた。
 夜の帳に紛れ大隼を纏うグァーネッツォが敵を羽撃ち、クララが魔法陣を描き落雷を撃った。
 ドン! ドンッ! と地を揺るがしながらも、鋭利な角を描き縦に落ちる雷が黄金を纏うブラクテを感電させる。
 急降下するグァーネッツォが星を纏い、敵へと迫った。
「今だ!」
 周囲の夜空を『放つ』グァーネッツォ。
 加速し流星の如く翔けた星が財宝妖精・ブラクテを貫いた。
「――わたくし達、ずっと天空城というお宝の中にいたのですね。ここで皆様が研究して得た知識もまた新たな宝になると……素晴らしいであります」
 だからこそ守らねばならぬもの。
 アイグレーに貫かれたブラクテの身が解け、彼女の纏う黄金も煌びやかな翅も骸の海へと還っていく。
「おっと、これが輝石の欠片か」
 ひらりと旋回したグァーネッツォが落下する輝石の欠片を回収した。
 書架大迷宮の世界に敵の散光を削ぐ月虹蝶々たちが舞い、アイグレーの星光がゆるやかに降下してくる。
「すごい、綺麗――」
 エレ・ケットたちの声。
 広がる幻想的なその光景にクララもまた緩く、微笑んだ。


「助けてくれてありがとうね!」
 ユラギが猟兵たちへとお礼を言い、ぺこりと一礼した。
「でもあんたたちが持ち帰る財宝はそれだけで良いの?」
 アカツキが猟兵たちの手にする財宝を一瞥した。財宝というにはささやかなものだろうか。敵がドロップしたアイテム、その一つに輝石の欠片。
「ああ、十分だよ。オレたちにはコレが必要なんだ!」
 にぱっと花咲くような笑みと共にグァーネッツォが答える。
「それに、わたくしはたくさんの財宝を見せていただきました」
 アイグレーが穏やかに微笑み、辺りをぐるりと見回した。
 そこかしこに探索の痕跡。天空城そのものが財宝なのだ。
「これからの調査と、結果が楽しみです」
 探究する人々の心もまた宝となりえるものだろう。クララは頑張ってください、とエレ・ケットたちへ頷いてみせた。
 天空城と、周囲を取り巻く岩場の浮遊の魔力も少しずつ解明され、この世界で応用されていくのかもしれない。
「調査を具体的にこなすのは学者さんたちだけど、そうだね、安全確保も大事だし」
「探索、頑張るわね」
 どこか楽しそうに言う冒険者に、猟兵たちの心も弾むよう。

 それじゃあね!
 と、手を振ってお別れだ。
 天上界への手がかりとなるかもしれない輝石の欠片を猟兵たちは手に入れた。
 不思議な力を放つこの欠片は、猟兵たちをどんな世界へ、どんな戦いへと導くのだろうか。
 それはまだ分からない。
 けれども眠っていた天空城が明かされて、時間を進め始めたように。
 輝石の欠片もまた、猟兵たちの歩みと共にその時間を進め始める――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月23日


挿絵イラスト