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ザ・クラブフォビア

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #ドクター・ハデス #バロックメイカー

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●恐怖の蟹料理
 薄暗い地下室のような場所で、手術台に拘束されている少女が一人。彼女は酷く衰弱しており、度重なる虐待によって、身も心も限界に近いことは容易に想像できた。
「ひぃ……ひぃ……。お、お願い……もう止め……っ!」
 懇願する少女の顔に、突如として浴びせられる磯臭い液体。次の瞬間、彼女は途端に震え出し、やがて激しく暴れながら叫び出した。
「あ……ぁぁぁぁっ! 熱い! 痛い!!」
 液体を浴びた個所が赤く腫れ、果ては発疹まで生じている。呼吸が乱れ、視界が歪む。そんな彼女に追い討ちをかけるかの如く、白衣の男は更に口の中へ針のない極太の注射器をねじ込んだ。
「た、助けて……誰か……ふぐぅっ!?」
 口の中に練り物のような何かが注がれる度に、少女の身体が痙攣の度合いを強めて行く。顔面は蒼白となり、脂汗が全身から噴き出し、咽頭の痒みと凄まじい吐き気が絶え間なく襲い掛かってくる。
「ん……ぐ……がはっ!!」
 ついには耐え切れず、少女は口から注がれたものを吐き出した。血圧が急激に低下し、もはや意識どころか命さえ失われんとするばかりだったが……白衣の男が少女の身体に薬を注射すると、ギリギリのところで症状が治まった。
「ぁぁ……はぁ……はぁ……」
 腫れ上がった両目に涙を浮かべながら、少女は改めて白衣の男の方を見た。しかし、そんな彼女の気持ちなど知ることもなく、男は薄笑いを浮かべながら、少女の傍らに現れたカニのような姿の怪物を眺めつつ笑っていた。
「ほぅ……先程までに比べれば、随分と強力なバロックレギオンを生み出せるようになったようだな」
 だが、この程度では、まだ足りない。今度はもっと強力な個体を創造してみせろと、男は再びカニの臭いがする液体や練り物を用意して。
「それにしても、君は本当に素晴らしい逸材だよ。なにしろ、こうしてカニやエビを無理やりに食べさせるだけで、苦しみ悶えて恐怖を感じてくれるのだから!」
 ドクター・ハデス。狂気の科学者による少女への拷問は、まだ始まったばかりだった。

●狂える医師の晩餐会
「アリスラビリンスで猟書家の動きが察知された。すまないが、猟書家の撃破と捕らわれた少女の救出を依頼したい」
 その日、グリモアベースにて猟兵達の前に現れたのは、ぶっきらぼうな雰囲気を纏った長身の男だった。
 霧崎・紫苑(機械仕掛けの闇医者・f32327)。全身を黒尽くめのコートに包み、右手が完全に機械化されたサイボーグ。その外見からは想像できないが、彼も一応は医者である。
「行動が確認された猟書家はドクター・ハデス。バロックメイカーを捕らえ、拷問を繰り返すことで、強力なバロックレギオンを生み出させようと企んでいる男だ」
 既に何度か猟兵によって撃退されているようだが、懲りずに同じことを繰り返しているらしい。なお、今回のドクター・ハデスによる拷問だが……カニの汁を顔に浴びせたり、カニの肉が含まれた練り物を強引に食べさせたりするようだ。
「勘の鋭い者は、もう気付いているだろう? 今回、ドクター・ハデスに捕まっている少女……名前は佐々崎・美緒(ささざき・みお)というのだが、彼女は甲殻類に対してアレルギーを持っている。アリスラビリンスに迷い込んだ際に、アリスナイトではなくバロックメイカーとして覚醒してしまったようだな」
 そんな少女に、無理やりカニやらエビやらを食べさせればどうなるか。答えは簡単。重度のアナフィラキシーショックに襲われて、放っておけば命が危うい。
 もっとも、ドクター・ハデスにとってはバロックレギオンを誕生させることが目的だ。そのため、命を失う寸前のところで中和剤を注射され……しかし、休むことも許されないまま、再びカニ汁を浴びせられ、カニの身を強引に食べさせられているようだ。
「アレルギー症状は人によって程度が異なるとはいえ、アナフィラキシーショックの苦しさは想像を絶するものがあるからな。ましてや、相手がアレルギーだと分かった上で食材を強引に食べさせるなど、完全に殺人行為だ」
 今から行けば、バロックレギオンの少女が殺されてしまう前に、彼女を助け出すことも可能だろう。現場は薄暗い廃病院の地下室。ドクター・ハデスのところに辿り着くまでには、今までの拷問で誕生したバロックレギオン達が、こちらに襲い掛かってくるようだが。
「ドクター・ハデスが誕生させたバロックレギオンは、全て人間の頭が生えた甲殻類の姿をしている。どうも、単にアレルギーなだけでなく、それに関するトラウマも少女の中にはあるようだが……」
 どちらにせよ、ドクター・ハデスのやり方は、同じ医師として許せない。彼の魔の手からバロックレギオンの少女を救い出すために力を貸して欲しいと、紫苑は何かのアンプルを取り出して猟兵達に手渡した。
「これは俺が調合した、甲殻類アレルギーの中和剤だ。副作用の類はないから、いざとなったら、これで彼女の苦しみを和らげてやってくれ」
 狂った医者の非道なる行い。それを止めるべく、紫苑は猟兵達に全てを託し、彼らをアリスラビリンスの廃病院へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 このシナリオは、猟書家シナリオになります。
 集団戦→ボス戦の二部構成で完結するシナリオなので、参加される方はご注意ください。

●第一章
 バロックレギオンの群れを薙ぎ倒しつつ、少女の捕まっている地下室まで向かいましょう。
 バロックレギオンは、人間の頭をしたカニやエビのような姿をしています。
 戦闘の際、目の前にはいなくとも、少女に呼びかけるような行動をすると、良い効果があるかもしれません。

●猟書家幹部『ドクター・ハデス』との戦いになります。
 ここでも、バロックメイカーの少女に声掛けをして恐怖心を和らげたり、トラウマの原因を取り除いたりすると、それだけ戦いでも有利になります。

●佐々崎・美緒(バロックメイカー)
 アリスラビリンスに迷い込み、バロックメイカーとして覚醒してしまった少女です。
 甲殻類アレルギーを持っており、カニやエビの汁が肌に触れただけでもアレルギー症状が起きてしまいます。
 加えて、それに伴う過去のトラウマもあるようですが、それ以外の記憶は殆ど思い出せていません。
 放っておくと覚醒とショック症状の繰り返しで命が危ないですが、事前に猟兵達に配布されているアンプルを使えば、とりあえず命の危機は回避できます。
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第1章 冒険 『バロックレギオンと過去のトラウマ』

POW   :    バロックレギオンの攻撃を正面から受け止め、その過去のトラウマごと、バロックレギオンを殴り倒す

SPD   :    バロックメイカーのトラウマのヒントとなるような物を探しながら、バロックレギオンと戦う

WIZ   :    バロックレギオンの外見や言動、戦い方などから、過去のトラウマが何か推理しながら戦う

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フレミア・レイブラッド
拷問ってだけで陰険だけど、やり方がアレルギーを刺激してって陰湿過ぎね…。やられる方は命の危機だしシャレになってはいないのだけど…。

こんなモノを生み出す為に罪も無い子が酷い目に会わされるなんて…さっさと助け出さないと!

【ブラッディ・フォール】で「魔物娘の帝国」の「妖血の蛇女帝」の力を使用(下半身が蛇になり、同様の服装と槍を装備)

【血の魔宴・我が血より産まれよ愛おしき娘達よ】で自身の真祖の血を代償にラミアやハーピィ、ドラゴンやデュラハン等々、多種多様な魔物娘の軍勢を生み出し、レギオン達の排除とハデスまでのルート確保を指示。
軍勢を率いて一気に侵攻するわ!

すぐに助けるわ!だから、もう少しだけ頑張って!



●メインディッシュは人面蟹?
 拷問。その二文字だけで、それを行う人間の程度が知れる下劣な行為。
 傷つけるのが肉体か、それとも精神であるかは問題ではない。ましてや、アレルギーを刺激して心身共に苦しめるという行いに、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は怒りを隠しきれなかった。
「拷問ってだけで陰険だけど、やり方がアレルギーを刺激してって陰湿過ぎね……」
 アレルギーは、単なる好き嫌いなどではない。場合によっては、アレルギー反応が出る食品を少しでも口にしたが最後、命に関わる可能性もあるのだ。
 見れば、廃病院の奥からは、ぞろぞろと化け物が這い出して来ていた。それらは全て、カニやエビの身体を持ち、しかし頭部は人間という異形の存在だった。
「ゥゥゥ……食ぇぇぇぇっ!!」
「残すな……残すなぁぁぁぁっ!!」
 焦点の定まらない瞳と、だらしなく涎の垂れた口。意味不明な言葉を叫びながら、バロックレギオン達はフレミアに、自らの肉体をちぎっては強引に食べさせようと突撃して来る。
「こんなモノを生み出す為に、罪も無い子が酷い目に会わされるなんて……。さっさと助け出さないと!」
 申し訳ないが、ゲテモノ食の趣味はない。そんなに食べて欲しければ、お望み通り、欠片も残さず魔物達の餌食にしてやろう。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 かつて戦ったオブリビオンの姿と能力を借りる技。それにより、フレミアの肉体は瞬く間に下半身が蛇となる。魔物娘の帝国を牛耳っていた、妖血の蛇女帝そのものの姿に。
「我が血より産まれよ愛おしき娘達よ、彼の者達を須く食らい尽くせ!」
 自らの血を代償に、彼女もまた異形の怪物を呼び出した。ラミア、ハーピィ、ドラゴンにデュラハン……それら全てが魔物少女の姿をしているが、見た目の可愛らしさに騙されてはいけない。
「わぁ、カニだよ! カニ!」
「エビもいるよ! 美味しそう♪」
 自身を食らうことを強要する甲殻類の化け物達に、魔物娘の軍勢は一斉に突撃を開始する。これには、さすがのバロックレギオンも堪らない。数の差という利を失ったばかりか、自分達の肉体を再生させる速度以上の速さで、手も足も貪り食われてしまうのだから。
「ひ、ひぃぃぃぃっ!!」
「あ……ぁぁ……」
 最初に食えと言ったのはそちらだろう。だから、残さず食い尽すまで。魔物娘達による蹂躙を横目に、フレミアは廃病院の地下へと続く階段を見つけ、ドクター・ハデスの待つ地下室へと足を急がせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

川村・育代
あたしは子どもたちの幸せのために作られた身(教育支援用バーチャルキャラクター)だから、こういう相手は本気で頭にくるのよ。
ボコボコにして骸の海に叩き込んでやらないと腹の虫が治まらないわ。
幽霊海賊団と共に突撃をかけて敵の囲いを突破するわ。
もちろん、あたしも跳び縄で相手を引き寄せて盾に使ったり魔法少女のステッキで殴ったり蹴り飛ばすわ。
呪詛を込めたステッキや蹴りでカウンター気味に攻撃するから見た目より痛いわよ。



●教育的指導?
 アレルゲンを強制摂取させ、その苦痛から化け物を生み出す。
 あまりに非人道的な行いに、川村・育代(模範的児童・f28016)は普段の様子からは想像もできない程、その内に怒りを秘めていた。
 育代は本来、子ども達の幸せのために作られた、教育支援用のバーチャルキャラクターだ。そんな彼女が猟兵として、実体を持った存在になれたのは、様々な負のエネルギーを吸収し、それをなんとかしたいと思ったからに他ならない。
 教育支援に携わる以上、彼女の関わる子ども達は、それぞれに悩みを抱えていた。いじめが原因で不登校になった者や、闘病生活を続けている者も数多い。
 そんな子ども達を見て来たからこそ、ドクター・ハデスのやり方は、育代にとって許し難いものだった。
「うぅぅ……食ぇぇぇ! 残さず食ぇぇぇっ!!」
 カニやエビの怪物が、自分の腕や脚を捥いで、それを食わせんと育代に襲い掛かる。正直、不気味なだけで強そうには見えないが、数が多いのは面倒だ。
 突破に時間をかけられない以上、数には数で対抗するしかなかった。幽霊船を呼び出して、船に乗っている海賊達を嗾けることで、一気に突破する作戦だ。
「うぉぉぉぉっ!」
「突撃だぁぁぁっ!!」
 勇猛果敢な海賊達は、相手が怪物であろうとも怯むことはない。おまけに彼らは幽霊なので、単純な物理攻撃では倒せない。
「おりゃぁぁぁ……って、ありゃ?」
「なんだ、こいつら? カニだけに固ぇぞ!?」
 もっとも、敵はカニやエビの化け物なので、海賊達の持っている剣や銃では、一撃で致命傷を与えられないのも、また事実。瞬く間に混戦となってしまうものの、隙を突いて走り抜けるだけならできそうだ。
「悪いけど、あなた達の相手をしている暇はないのよ!」
 敵と敵の間を縫うようにして、育代は化け物の群がる戦場を駆け抜けた。途中、捕まりそうになるものの、そこはすかさず別の敵を引っ張り寄せて同士討ちさせる。それでも邪魔する者に対しては、魔法のステッキで殴り飛ばした上で、豪快に回し蹴りを食らわせてやった。
「……っ! やっぱり固いわね。でも……」
 本当の苦痛は、これからだ。攻撃を跳ね返されにも関わらず、育代は全く動じない。なぜなら、彼女の攻撃は決して単なる打撃などではないのだから。
「おぉ……あばばばば……」
 突然、育代に殴られたり蹴られたりした化け物達が、一斉に泡を吹いて倒れ始めた。彼女の食らわせた打撃には、相手を内から蝕むための、強力な呪詛が込められていたのだ。
「見た目で判断すると、痛い目に遭うわよ? さあ、分かったら道を開けなさい!」
 怯える化け物達を尻目に、育代は廃病院の奥へと駆け出して行く。そのまま地下に続く階段を下りれば、ドクター・ハデスは目と鼻の先だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐那・千之助(サポート)
「手が要るか?」
入り用ならば、なんなりと。

ダークセイヴァー出身のダンピール
困った人を放っておけない
いつも人への敬意と好意を以て接する
よく言えばお人好し。たまに騙されていることは秘密。
可愛い動物や甘いものに懐柔されやすい

戦闘は前衛、盾役向き。治療も可能。
焔(他の属性は使えない)を黒剣に宿し斬り込んだり、遠くの敵でも焔を飛ばして燃やしたり。
負傷は吸血や生命力吸収で持ち堪える

平和主義なので戦わずに済む敵なら平和的解決
かわいい敵は抱いてもふりたい
想い人がいるので色仕掛けは効かない

物語に合わせて諸々お気軽に、どうぞご自由に。
よき手助けができれば嬉しいです。


スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
 妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


紫洲川・珠璃(サポート)
キャラの雰囲気は落ち着いたお姉さんの感じです
口数はどちらかというと少なく物静か

戦闘は果敢に攻め入り、
速度を生かした撹乱を主として手数重視の攻撃で戦います。
足は止めず常に動き回り、奇策より正攻法を好みます。
武器は主に一振りの刀(虚鐵)を両手持ちで使い、まれに脇差として所持している二本目を抜きます。
弓は事前に必要性がわかっていれば持ち込みますが、持っていないことも多く歯噛みすることも

ユーベルコードは基本は以下の順で制御しやすいので利用しますが
状況に応じて適切なものを利用します。

【使いやすい】⇔【使いづらい】
炎狐=妖剣解放<黒狐召喚<神狐召喚



●路払い、蟹払い
 廃病院の奥より、続々と湧き出てくるバロックレギオン。人面蟹や人面海老といった怪物達は、その戦闘力こそ低いものの、数だけは多いのが厄介だ。
 これを放置しておけば、いつまで経っても地下室への道が開けない。強引に突破できないわけではないが、ドクター・ハデスの下に辿り着くまでに、こちらが疲弊してしまっては元も子もない。
 やはり、数には数で対抗するしかないだろう。敵の群れを前にして、助力を頼まれ馳せ参じた紫洲川・珠璃(夜を追う者・f00262)は、何も言わずに刀を抜いて斬り込んだ。
「邪魔をするなら……容赦はしないわ」
 己の身体の一部を食わせんがために、形振り構わず突っ込んで来る蟹の怪物。問答無用で斬り捨てようとするが……やはり、蟹だけに胴体は堅い。
「思ったより刃が通らないわね? だったら……!」
 敵の弱点は、丸出しの頭だ。人面部分に突きを食らわせて、まずは一体を軽く討伐。その隙をついて、彼女の後ろから人面海老が襲い掛かるも、それは燃える黒剣の一撃によって、半ば強引に薙ぎ払われた。
「多勢に無勢なようじゃのぅ。手が要るか?」
 海老を退けたのは佐那・千之助(火輪・f00454)だった。困った者を見捨てられない性格が、彼をこの地に呼んだのだろうか。そして、助力に馳せ参じたのは、彼だけに非ず。
「こちらは任せて下さい。この力を以て、天地の嵐を征しましょう」
 そう言って、千之助の後ろに立つスピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)が弓に矢を番えれば、彼女の手の中で弓が城さえも穿つ究極の形態へと変化する。
「さあ、これを受けられますか?」
 その場にしっかりと足を据えて立ち、スピネルは番えた矢を宙に放った。それは寸分狂わずにバロックレギオンの頭部を射抜き、抵抗さえ許さず消滅させて行く。
「まだまだ! どんどん行きますよ!」
 立て続けに矢を放つスピネルだったが、それらは全て百発百中の精度で敵の眉間を貫いて行った。移動速度を代償に、矢の命中率と連射速度を上げているのだ。
「なるほど、矢か。ならば……こちらも、協力させてもらうとしようか」
 同じく、千之助も火矢を放ち、バロックレギオン達の弱点である頭部を狙い撃った。こちらはスピネルの矢ほどの命中率を持たないが、その代わりに軌道を自在に操作できるため、殆ど外すことはない。
(「私も、弓を持っていれば、少しは役に立てたかもしれいわね……」)
 そんな中、二人の活躍を眺める珠璃は、この場に弓を持ってこなかったことを後悔して歯噛みした。
 このまま黙って見ているのは、自分としても本意ではない。しかし、得物である太刀では、単に振るったところで効果は期待できず。刺突に限って使うにしても、あまりに効率が悪過ぎる。
 こうなったら、自分も切り札を使うしかないだろう。覚悟を決め、珠璃はついに真の力を解放する。自分に流れる、九つの尾を持った最上級妖狐としての神通力を。
「我、此処に喚び現したるは、神威の一片! 今一時なれど、其の力、我が身に宿さん!!」
 瞬間、珠璃の姿が白銀に輝く狐となり、彼女の身体から放たれる銀の狐火が、次々にバロックレギオン達を焼いて行く。
「ぐぇぇぇぇ……」
「あ、熱い……熱ぃぃぃ……」
 断末魔の悲鳴を上げ、苦痛より生み出されし怪物達は、虚無の海へと沈んで消えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

レーヴァ・アークルージュ
趣味が悪すぎるね。

そう言って災魔十邪炎剣『ホープ・バーナー』を用いた『純粋な力を完全制御し、そのエネルギーを放つ』魔王『レオ・ドミヌス』の災魔属性にガイオウガの力と熱量を宿して莫大な熱量でバロックレギオンを薙ぎ払っていく。

そうしてバロックレギオンを薙ぎ払ったあとは『心象世界を観測し、その傷を観て癒やす』力を有した『オルクス・ラリクマ』の災魔属性によって美緒ちゃんの傷を見る。

こちらはお行儀は良くないけど、トラウマを解消しないとこのアリスラビリンスでは生き残れないからね。
終わった後、美緒ちゃんがどんな道を選ぶにせよトラウマは解消させないとね…



●過去の悪夢
 アレルゲンの強制摂取により生み出されし怪物が、自らを食えと迫り来る様。
 何も知らない者が見れば、下らないB級ホラーのワンシーンと見紛ったかもしれない。だが、だからこそレーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)は、そんなやり方を好むドクター・ハデスが許せなかった。
「趣味が悪すぎるね」
 他者の痛みや苦しみを糧に何かを生み出そうという時点で間違っている。それ以上は何も言うことはないとばかりに、レーヴァは焔の形状をした刃を持つ剣に、禁忌の力を降臨させる。
「灼滅の光輝を一度は退けた常闇の炎産霊よ。灼して滅され帝なる竜へと転輪した汝を、我らは篝を灯す種火にしよう」
 災魔十邪炎剣ホープ・バーナー。それに宿りしは、『純粋な力を完全制御し、そのエネルギーを放つ』という魔王『レオ・ドミヌス』の持つ災魔の属性。
 それに加え、帝竜であるガイオウガの力と熱量をまで加えて一振りすれば、有象無象のバロックレギオンなど敵ではない。
「ひぎぃぃぃっ!」
 ほんの一薙ぎで、人面の蟹や海老といった化け物達は、物言わぬ消し炭となって動かなくなる。茹で蟹であれば、まだマシな方だ。中には完全に炭化してしまい、もはや原型を留めていないものも多かった。
「さて、これで邪魔者は消え去ったね。後は……」
 このまま地下室に向かっても良いが、その前にやることがある。バロックレギオンを生み出している大元、美緒のトラウマとなった事象を探ることだ。
 他人の心象世界を無断で観測するのは気が進まないが、このアリスラビリンスでは、トラウマを解消しないと生き残れないからね。ここは単なるメルヘンの世界に非ず。心象世界を映し出す、心の迷宮と呼んでも過言ではないわけで。
 様々な記憶が流れては消えて行く中、レーヴァが見たのは学校の給食で甲殻類が入った食品が出された際に、それを無理やりに食べさせられている様だった。
(「いじめ……いや、違うね。これは……」)
 強引に食べさせているのは、クラスメイト達ではない。美緒の担任である女教師。彼女が給食を残すことを良しとせず、いかなる理由があれど強引に食べさせようとしているのだ。
 アレルギーなど、単なる我儘。食べれば慣れて治るというのが彼女の主張だったが、これにはレーヴァも辟易した。
 冗談じゃない。こんな前時代的な教師が、まだこの時代に存在したのか。仮に、この一件で彼女が免職されていたとしても、食べたら死ぬかもしれない食品を強引に食べさせられるという恐怖は、恐らくは当時小学生であった美緒にとって、筆舌に尽くし難い苦痛だったのだ。
(「なるほどね。ドクター・ハデスとやらも相当なクズだけど、この女教師も許せないね」)
 己のエゴで子どもに毒を食らわせる。そんな人間も許せないが、今、この場にいない者を糾弾したところで始まらない。
 重要なのは、美緒がいかにしてトラウマを解消できるかどうか。体質的に、今後も甲殻類を摂取することはできないのだろうが、せめて心に刻まれた傷だけでも塞いでやらなければ。
 そのためには、まず美緒をドクター・ハデスの下から解放する必要がある。己の成すべきことを心に決めて、レーヴァは廃病院の地下室へと続く階段を下って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ドクター・ハデス』

POW   :    行け、我が創造せし怪物よ!
無敵の【人造生命体】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    我がしもべに加えてやろう、光栄に思うがいい!
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【即席で改造し、意思なきしもべ】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    進化し続けること、其れこそが我が天才たる所以!
【工具】が命中した対象を治療し、肉体改造によって一時的に戦闘力を増強する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アイ・リスパーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●その挟みは悪魔の音を鳴らす
 バロックレギオンを薙ぎ倒し、地下室へと向かった猟兵達。薄暗い廊下を進んで行くと、埃の積もった手術室の中で、白衣を纏った男が待っていた。
「おやおや、これはこれは……。どうやら、今度も猟兵が、我が研究を阻みに現れたようだね」
 ドクター・ハデス。人々の恐怖を利用して世界を征服せんと企む狂気の科学者は、その手に持ったフラスコの中に入っている、カニの汁を拘束台の上で縛られている少女に降り掛ける。その瞬間、少女の身体が痙攣を起こし、悲鳴と同時に無数の人面蟹が呼び出された。
「どうだい、素晴らしいとは思わないかね? たったこれだけで、彼女は無限にバロックレギオンを呼び出すことができる。ああ、心配しなくても大丈夫だ。ショック症状で死ぬ前に、こちらで治療を施しているからね」
 そう言って、ドクター・ハデスは少女の腕に、何らかの薬品を注射した。だが、直ぐに気を取り直して一匹の海老を取り出すと、その殻を剥いて少女の口に押し込んだ。
「んぐぅ!? あ……ごほっ……!」
 再び痙攣を始める少女。甲殻類アレルギーの美緒からすれば、これは何度も殺されては蘇生され、再び殺されることを繰り返しているに等しい。
「さて、これだけ集まれば、戦力としては十分だろう。君達にも、私の研究の素晴らしさを、その身を以て体験していただこうか!」
 多数のバロックレギオンを従えて、ドクター・ハデスが狂った笑みを浮かべながら叫ぶ。彼の野望を阻止するためにも、暴走するバロックレギオン共々に、狂える科学者を撃破するのだ!

======================================
●ドクター・ハデスの攻撃手段
 美緒の生み出したバロックレギオンを改造したり、それをベースに自ら新しい怪物を創造したりして攻撃して来ます。
 バロックレギオンの見た目は人面蟹や人面海老ですが、サイズや戦闘力がアップしています。
 美緒を安心させることができれば、その分だけ戦闘力が低下して行き、戦いを有利に運ぶことが可能となります。
レーヴァ・アークルージュ
そんなにバロックメイカーがほしいなら…バロックメイカーのジェネシス・エイトを充てがわせてあげる
いでよ、善なるは異聞八代創世(ジェネシス・エイト)
バロックメイカーのジェネシス・エイト。それは嘗て軍の精神科医として人の心を救う為に探求した者
権能は【狂気なる人の業】を感じた時、【人の業を弾劾し是正する救助部隊】を召喚する
中和剤と精神ケアはお願いね

アイツへの攻撃は私自身がするよ…そう言ってフォーミュラ級の出力の炎属性魔術を行使する

このUCは異聞のジェネシス・エイト首魁となるUCでもある
つまり、クライング・ジェネシスと同じ位階へと私は至る!
そう言って炎を解き放ちドクターを焼き払っていく



●無限の可能性
 バロックメイカーを虐待し、無数のバロックレギオンを生み出させることで、それを糧に無敵の怪物を創造せんとするドクター・ハデス。
 その所業は、正に人の皮を被った獣そのものだ。しかし、それは裏を返せば、彼が決して一人だけでは、無敵の怪物を創造できないことを意味してもいる。
 天才を名乗ってはいるが、所詮ドクター・ハデスの創造力などその程度。他人の褌を借りなければ、自力では満足な兵卒さえ生み出せない。
 そうまでしてバロックメイカーを求めるのであれば、こちらも強力なバロックメイカーで対抗してやろう。傲慢なドクターに向け、レーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)は自らの『創造力』を武器に、究極の8人を召喚する。
「我が手に集え、異聞の創世司りし八代の英雄よ。刮目せよ、我は汝らに万有創造の業火を賜す。その業火を以て、善なる異聞を灯すが良い」
 次の瞬間、焔を伴い現れたのは、8人の精神科医だった。だが、姿形こそドクター・ハデスと同じ医師でありながら、その性質は正反対。
「ほぅ……これは興味深い能力だ。是非とも、その身体を解剖して調べたいところだね」
 レーヴァが呼び出した精神科医達を見ても、ドクター・ハデスは微動だにしなかった。自分の方が、医師としては優秀であるという考えからだろうか。
 もっとも、それはあくまで見た目からの判断に過ぎない。そして、彼らの持つ特性は、なにも攻撃に特化したものではない。
「中和剤と精神ケアはお願いね。アイツへの攻撃は私自身がするから」
 それだけ言って、レーヴァは精神科医達を、美緒の下へと向かわせた。そうはさせまいと、ドクター・ハデスが蟹の怪物を操り守りを固めるが、その程度はレーヴァとて織り込み済みだ。
「……言ったよね。私が相手をするって……」
 軽く、腕を一振りしただけで、紅蓮の炎が迸り、バロックレギオン達を焼き払った。その隙に、精神科医達を中心とした救助部隊が、美緒の下へと到達する。
 気が付けば、いつの間にか医師達の周りには、美緒を助けるための救助部隊が集まっていた。それこそが、精神科医のジェネシス・エイトが持つ権能。狂気なる人の業を感じた時、人の業を弾劾し是正する救助部隊を召喚するという、ドクター・ハデスへのカウンターとも呼べる能力だ。
「くっ……! だが、まだだ! まだ、我が敗北したわけではない!」
 それでも諦めず、ドクター・ハデスは今までに美緒を虐待することで生み出したバロックレギオンの姿を元に、新たな怪物を創造せんとする。それは文字通り『無敵』の生命体。故に、どのような攻撃を受けようとも、決して敗北などしない……はずだったのだが。
「な、なんだこれは!? こんなポンコツが、無敵の生命体だと!?」
 一番最初に驚いたのは、他でもないドクター・ハデスだった。なんと、彼の召喚した生命体は、御世辞にも無敵とは程遠い、踏み付ければ潰せる程度の大きさしかない蟹だったのだから。
「残念ね。所詮、アンタの創造力なんて、その程度ってこと」
「ぐぅ……貴様、いったい何をした! 我は天才だ! その創造力が、貴様のような小娘に劣るなど……!!」
 どうあっても、現実を認めないドクター・ハデス。ならば、種明かしをしてやろうと、レーヴァは不敵な笑みを浮かべ。
「……そんなに知りたければ、教えてあげる。さっきのジェネシス・エイト……あれ、そっちの戦闘力を代償に作ったものだから」
 代償を伴わない術式など存在しない。しかし、その代償を全て敵に押し付けることができるのであれば、実質的なデメリットはないも同然だ。
 はっきり言って、これは殆ど反則に近い技だった。だが、それでも構わない。ドクター・ハデスのような外道相手には、そもそもルールなど守る必要もないのだから。
「このユーベルコードは、私が異聞のジェネシス・エイト首魁となるUCでもある……。つまり、クライング・ジェネシスと同じ位階へと私は至る!」
 いよいよ本気を出したレーヴァが、全身から凄まじい炎を放った。その勢いに押されただけで、ドクター・ハデスの呼び出した矮小な蟹は、情けなく吹き飛ばされて焼きガニと化した。
「き、貴様がオブリビオン・フォーミュラと同質の存在だと!? そ、そんな馬鹿な……あ、あり得ない!!」
 熱風に焼かれながらも、最後の抵抗を試みるドクター・ハデス。しかし、戦闘力の大半をレーヴァのユーベルコードによって奪われていた彼には、彼女の炎を防ぐ術などない。
 これで終わりだ。地獄の業火に身を焼かれ、終わりなき苦痛の中で永遠にもがけ。
 今度は手加減など一切しない。正真正銘、本気の獄炎を正面から浴びせられ、ドクター・ハデスの肉体は、全身が焔に包まれて炎上した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

川村・育代
マジカル・チェンジでピンク色の魔法少女に変身して叩きのめすわ。
バロックレギオンや怪物が邪魔するようならまとめて相手してあげる。
この姿になれば呪詛の出力も物理的なパワーも上がるからさらに痛いわよ。
真正面からボコボコにするわ。
今まで手下をけしかけるだけだったから直に殴られるのは初めてでしょ。
ねぇ、初めての痛みの感想はいかがかしら?
トラウマの原因ってアレルギーに無理解な人にエビやら蟹を無理矢理食べさせられたのかしら?
もし、そうならトラウマの原因になった人が強烈なアレルギーになるようにフルパワーの呪詛をプレゼントしてあげるわ。
大人でものたうち回るというアナフィラキシーショックを味合わせてあげるわ。



●可愛く素敵に呪います
 焼け焦げた白衣の残骸を振り払い、立ち上がったドクター・ハデス。だが、彼の眷族たる怪物は、美緒の生み出したバロックレギオン共々、全て焼き焦がされていた。
「おのれ、やってくれたな! だが……まだだ!! まだ、我は負けたわけではない!!」
 それでも諦めず、ドクター・ハデスは力を振るった。彼が軽く指を鳴らせば、それだけで倒れていた怪物やバロックレギオン達が蘇り、更に醜悪な姿となって、一斉に動き出し始めた。
「ウグ……ァァァ……」
「ギ……ギ……」
 もはや、人語でさえない呻き声を上げながら、怪物達は獲物を求めて狂い出す。複数の蟹や海老が合体したかの如き不気味な姿。意思なき魔獣の群れと化した存在だったが、それを前にしても、川村・育代(模範的児童・f28016)は怯まなかった。
「それが切り札? だったら、まとめて相手してあげる」
 今さら、敵の見た目だけで驚くようなことはない。魔法少女のステッキを構え、育代は真に戦うための姿へと変わる。
「いくわよ! マジカル・チェンジ!!」
 瞬間、育代の姿はピンク色の服を着た魔法少女に変身した。
 その目的に応じて、彼女は3つの姿を使い分ける。愛らしい色合いとは裏腹に、ピンクの姿は純粋なまでの戦闘特化。
「フハハハハ! それがどうした! その程度の貧弱な想像力で、我の眷族を下せると思ったか?」
 もっとも、見た目の変化のみで判断したのか、ドクター・ハデスは自身の勝利を確信して疑わなかった。
 改造され、意思を奪われた怪物達は、生前よりも醜悪な見た目だが、純粋な戦闘力では一歩劣る。それでも、今の育代を倒すのであれば、何の問題もないと……そう、考えたのかもしれないが。
「悪いけど、こんな化け物に用はないの」
 たった一発、育代が殴り飛ばしただけで、怪物はドクター・ハデスの方へと吹っ飛んだ。ここに来るまでは、美緒の生み出したバロックレギオンの甲殻さえ破ることができなかったのに、今の育代のパワーは変身前とは比べ物にならない程に上昇している。
「なっ……! ば、馬鹿な!? その小さな身体の、どこにそんなパワーが!?」
 驚愕するドクター・ハデスだったが、気が付いた時には、もう遅い。哀れ、自分の作り出した怪物の下敷きになり、そのまま動けなくなってしまった。
「くっ……! は、早く抜け出さねば……うごっ!?」
 続けて、情け容赦なく振り下ろされる育代のステッキ。純粋なパワーだけでなく、呪いの力も上乗せしているので、見た目以上に凄まじく痛い!
「今まで手下をけしかけるだけだったから直に殴られるのは初めてでしょ。ねぇ、初めての痛みの感想はいかがかしら?」
「おのれ……小娘風情が……」
 歯噛みしながら睨みつけるドクター・ハデスだったが、眷族を使って戦わせることしかできない彼では、こうなってしまうと何もできなかった。後はただ、ひたすら一方的に殴られるしかない。堪らず、自分の上に圧し掛かっている化け物を、半ば捨て身で育代へ嗾けると、その隙に身体を引き摺りながら逃げ出した。
(「そういえば……トラウマの原因って、アレルギーに無理解な人にエビやら蟹を無理矢理食べさせられたからかしら?」)
 殴るだけ殴ったところで、ふと育代は考えた。
 甲殻類に対する美緒のトラウマ。それの原因となった者がいるのであれば、そいつにも呪いをかけてやろうと。
 もっとも、美緒の生まれた世界がどこなのか分からず、世界の壁を超えて呪いを発動できるかも怪しいところではあったので、これはあくまで『おまじない』程度のものであるが。
 どちらにせよ、悪のドクターは真正面から殴り倒せた。それだけでも、育代の怒りを鎮めるのには、かなりの役に立ったはずである。

成功 🔵​🔵​🔴​

フルム・サーブル(サポート)
余裕があるときや敵に憐れみを感じる場合は基本通りの穏やかな口調
余裕がなかったり、敵がえげつなくて怒りを感じるような場合は
「敵には」の口調です

でもあまりキャラぶれは気にしないので
公序良俗に反しない限りは好きに扱ってください

技能は【力溜め】【怪力】【グラップル】【シールドバッシュ】【カウンター】など
セットされているもの(サバイバル等の事情でばらつきがあります)
を活用し、小さい体で戦場を飛び回りながら
優雅(自称)な戦いをします
どうみてもそのスタイルは脳筋です

武器は鍵(バトルアックス)や杖(バールのようなもの)をメインに使いますが
選択されたユーベルコードによっては拳一つでの戦いも可能です


久瀬・了介(サポート)
「オブリビオンは殺す。必ず殺す」

オブリビオンへの復讐の為に甦った不死の怪物。そこにオブリビオンがいるならただ殺すのみ。

生前は職業軍人。デッドマンとして強化された身体能力と、軍隊で身に付けた戦闘術を基本に戦う。

軍人としての矜恃は失われていない為、敵の撃破より民間人の安全と平和を最優先として行動する。復讐鬼ではあるが狂戦士ではない。非戦闘時や交渉時は実直で礼儀正しく他人に接する。

基本戦術は「ハンドキャノン」での射撃。敵の数が多い場合はフルオート射撃での範囲攻撃。
敵の能力に応じて【死点撃ち】【犬神】【連鎖する呪い】で射撃を強化する。
その他、状況に最適なUCを選択して使用。


セシリア・サヴェージ(サポート)
「私の力が必要なら喜んで手を貸しましょう」
「人々を傷つけるというのであれば、私が斬る」
「護る為ならば、この命惜しくはありません」

◆性質
『暗黒』と呼ばれる闇の力を操る黒騎士。闇を纏った冷たい風貌から誤解されがちですが、人々を護り抜くという強い信念を持っている隠れ熱血漢。味方には礼儀正しく優しく接しますが、敵には一切手加減せず非情です。無茶な行動や自己犠牲も必要と判断すれば躊躇しません。

◆戦闘
『暗黒剣ダークスレイヤー』と共に力任せに暴れます。ダメージや怪我を恐れず、代償を伴うユーベルコードの使用を躊躇しません。非戦闘員が戦場にいる場合は護衛・救出を優先します。



●必殺必死
 バロックメイカーを拷問することで、無敵のバロックレギオンを創造させ、その力を我がものとする非道な計画。しかし、頼みの綱のレギオンが、そして自ら呼び出した怪物さえもが悉く破れてしまったことで、ドクター・ハデスは早くも窮地に追い込まれていた。
 このままでは、遠からず自分の方が先に倒されてしまうだろう。体勢を立て直すべく、逃走すら考えるドクター・ハデスだったが、それを許すほど猟兵達は甘くない。
「……殺す。オブリビオンは必ず殺す……」
「ぐはっ! ど、どこからの攻撃だ!?」
 いきなり後ろから撃たれ、ドクター・ハデスの身体が大きく吹き飛んだ。これだけの衝撃、とても小型拳銃の類とは思えない。戦車の装甲をも穿つマグナム弾か、あるいは狙撃用のライフル弾でも撃ち込まれたか。
「目標を確認した。もはや、語ることは何もない」
 久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)。オブリビオンに対する憎悪のみで、生死の理さえ乗り越えた復讐鬼が、そこにいた。
「伏兵か……。だが、たった一人で何ができる!」
 それでも、未だ負けを認めないドクター・ハデスではあったが、伏兵が了介だけしかいないと判断するのは、少しばかり尚早だ。
「お前か? 女の子を拷問して、化け物を作るための道具にしている科学者ってのは?」
 質問と同時に飛んで来たのは拳。しかも、ただの拳ではない。
「ごはぁっ!!」
 凄まじい威力の鉄拳を食らい、ドクター・ハデスの身体が回転しながら宙を舞う。そのまま冷たい床に叩き付けられたところで、彼の眼鏡もまた吹き飛び、片方のレンズが木っ端微塵に砕け散った。
「な、なんと原始的な暴力だ! 我をこのような目に遭わせるなど……」
 慌てて眼鏡を拾い、新手の姿を確認すべく、ドクター・ハデスは周囲の様子を窺った。が、しかし、いくら探しても、敵の姿が見当たらない。先程の威力からして、あれだけの打撃を繰り出せるのは、間違いなく屈強な大男だと思ったのだが。
「どうした? 俺はここだぜ!」
「うごっ! な、なんだと!?」
 再び吹っ飛ばされるドクター・ハデス。見れば、目の前に浮いているのは、身長30cm程の妖精だ。もっとも、その妖精こそが彼を散々に殴り飛ばした、フルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)に他ならなかったのだが。
「その体格で、ここまでのパワーが出せるだと? なんと非常識な存在だ!」
 驚嘆するドクター・ハデスだったが、フルムからすれば、いつも通りに戦ったまでのこと。身体のサイズが、勝敗を決するのに必ずしも絶対的な要因ではない。常識破りで型破な戦い方こそ、猟兵の十八番とも呼べるもの。
「先程から、舐めた真似をしてくれるな! もう容赦はせん! 行け、我が眷族よ!」
 散々に撃たれ、殴られ、自棄になったのだろうか。ありったけの怪物を召喚し、果ては周囲に転がっている死体さえも蘇生させ、ドクター・ハデスはそれらを了介やフルムへと向かわせた。当然、急ごしらえの戦力で彼らに敵うはずなどなく、次々に始末されてしまうのだが。
「フハハハハ! 時間稼ぎは、これで十分! さあ、ここからは我の時間だ!」
 多少、倒されることは、元より承知の上だったのだろう。その隙に、ドクター・ハデスは自らの身体に改造手術を施すと、これまでの戦いで負った負傷さえも瞬時に回復させてみせたのだ。
「さあ、これだけの数に加え、我の攻撃を受け止めることができるかな?」
 右手を巨大なノコギリに改造したドクター・ハデスが、残る怪物と共に襲い掛かる。しかし、振り下ろされた凶暴な刃は、果たしてフルムや了介の肉に食らいつくことはなく。
「……そうそう、好きにはさせませんよ」
 代わりに割って入ったのは、漆黒の鎧を身に纏った女騎士。巨大なノコギリが鎧を穿ち、その内に守られた肉に食らいついていたが、それでも彼女は何ら気にすることなくドクター・ハデスの腕を払い除けた。
「なんだと!? 我の攻撃を自らの身を以て受けとめるとは!?」
「護る為ならば、この命惜しくはありません」
 流れ落ちる鮮血を物ともせず、セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)は言い放った。
 目的のためであれば、自らを犠牲にすることさえも厭わない。そんな彼女の信念は、それだけでドクター・ハデスを怯ませるには、十分過ぎるものだった。
「人々を傷つけるというのであれば、私が斬る」
 返す刃で、改造されたドクター・ハデスの右腕を斬り落とす。これで相手は必殺の武器を失った。再び改造しようにも、それまでの時間を稼ぐことは、この状況では不可能だ。
「動けぬ体に残された瞳で真の恐怖を味わうがいい!」
 続けて、左手より放った暗黒の冷気で、セシリアはドクター・ハデスだけでなく、周囲の怪物達でさえも凍らせる。これでもう、邪魔する者は何もいない。この機会を待っていたとばかりに、まずはフラムが鍵の形をした戦斧を地面に叩き付け。
「こいつで吹っ飛べ! おりゃぁぁぁっ!!」
 小柄な体格からは想像もできない程の超パワー。堅い地下室の床が砕け散り、同時に凍らされた怪物達の身体さえも粉砕し。
「……全て、殺す」
 残った敵は、了介がありったけの銃弾を撃ち込むことで、綺麗に掃討してしまった。怒れる猟兵達の猛攻を前にしては、いかにのドクター・ハデスといえど、逃げ出すことは困難だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フレミア・レイブラッド
貴方の悪趣味でくだらない研究に付き合ってる暇はないのよ。
その子は返して貰うわ!

敵が美緒に甲殻類を押し付けようとした瞬間に美緒と敵の間に【念動力】の障壁を展開。

【ブラッディ・フォール】で「好機:撃破=闇の一点」の「ダークポイント」の力を使用(ダークポイントの服装と銃器を装備)
【ダーク・リボルバーズ】を発動。
高速で駆け抜けつつ、ハデスと数多の怪物に無数のリボルバーから全方位・超連射+物質透過で敵の甲殻や防御を透過し直接弾丸を叩き込んで攻撃。
怪物達を殲滅し、ハデスに超連射で弾丸を全身に叩き込み、炎の魔力砲撃【属性攻撃、全力魔法、砲撃】で焼き尽くすわ

よく頑張ったわね、すぐ助けるからもう少し待ってね



●獄炎の裁き
 全身を撃たれ、殴られ、焼かれ、そして凍らされたドクター・ハデス。度重なる戦闘により、既に彼は半死半生の深手を負っていた
 だが、それでも死なないのがオブリビオン。片腕さえも失っていたが、割れた眼鏡の奥で輝く瞳は、未だに狂気の光を失ってはいない。
「はぁ……はぁ……。やってくれたな、猟兵どもめ……」
 こうなれば、最後の手段として、究極の怪物を誕生させてやろう。その結果、被験者が死のうと知ったことではない。そんな狂ったエゴを剥き出しにして、ドクター・ハデスは未だ動けない美緒に迫る。
「こうなれば、もう容赦はせん! 致死量を超えたカニを食わせて、最強の怪物を誕生させてくれる!」
 左手で大量の蟹肉を掴み、ドクター・ハデスはその塊を、強引に美緒の口に押し込もうとした。
 冗談じゃない。今までの拷問で疲弊している身体に、あんな量の蟹をブチ込まれたら絶対に助からない。
 もはや、自分の命運もここまでか。恐怖と絶望は諦めを呼び、美緒の瞳から光が消える。自分はここで終わるのだと……そう、考えて疑わない美緒だったが、果たしてドクター・ハデスの手にした蟹は、美緒の口に入ることはなく。
「フハハハハ! これで終わりだ……ぐぅっ!?」
 突然、何らかの見えない力によって、ドクター・ハデスの手から蟹が叩き落とされた。否、この場合は、吹き飛ばされたといった方が正しいだろう。
「貴方の悪趣味でくだらない研究に付き合ってる暇はないのよ。その子は返して貰うわ!」
 念の障壁で蟹を弾き飛ばしたフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)が、ドクター・ハデスに高々と告げる。普段の高貴で優雅な印象は成りを潜め、今の彼女は怒りと義憤の感情を剥き出しにしていた。
「おのれ、猟兵め! あくまで、我の邪魔をするか……」
 歯噛みするドクター・ハデスだったが、今の彼には、フレミアと正面から戦うだけの力もなかった。それこそ、フレミアの武器である紅い槍で貫けば、それだけで命を奪えそうなものだったが。
「貴方は楽に死なせないわよ。骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 悪辣な所業を後悔させるためには、オーバーキルも厭わない。かつて、ヒーローズアースにて顕現した悪の銃神の力を身に纏い、フレミアは多数の浮遊するリボルバーにて、ドクター・ハデスを包囲する。
「その銃で、我をハチの巣にするつもりか? だが……これならば、攻撃できまい!」
「え……きゃぁっ!!」
 だが、それでも往生際悪く、ドクター・ハデスは美緒を手術台から引っぺがすと、なんと自らの盾にした。
「フハハハ! さあ、攻撃できるものなら、やってみるがいい! その時は、この娘も死ぬことになるがなあ!」
 どこまでも悪辣。どこまでも卑劣。狂った科学者の本性は、人の皮を被った悪魔そのもの。
 もっとも、そんな状況であっても、フレミアは不敵な笑みを浮かべてリボルバーを散開させる。この程度の逆境、今まで何度も跳ね除けてきた。いや、この男に関しては、最初から予見していたのかもしれない。
「苦し紛れに人質作戦? そういうの、死亡フラグになるってことを教えてあげるわ」
 捕われている美緒に構わず、フレミアは散開したリボルバーを使って一斉射撃! 当然、ドクター・ハデスは美緒を盾に自らの身を守ろうとするが……しかし、何故か銃弾は美緒の身体を通りぬけ、ドクター・ハデスだけを貫いた。
「ぐはっ!? な、なんだと! そんな馬鹿な!?」
 敵対する者だけを貫く銃弾。そんな都合のよい代物が……存在するのである。
 悪の銃神、ダークポイント。彼の者が放つ銃弾は、使い手の意思によって物質を自在に透過する。故に、美緒の肉体だけを透過して、ドクター・ハデスだけにダメージを与えることも可能なのだ。
「だから言ったでしょう? 貴方のような外道が考えそうなことなんて、こっちは全てお見通しなのよ」
 全身をハチの巣にされ、もはや自力で立っていることさえ難しくなったドクター・ハデスの下へ、フレミアは目にも止まらぬ速度で接近した。そのまま、美緒を強引に奪い取ると、彼女をそっと床に降ろして改めてドクター・ハデスに向き直り。
「よく頑張ったわね、すぐ助けるからもう少し待ってね」
 そう、美緒に告げながら、止めの炎弾を狂った科学者にお見舞いした。全身全霊、内に秘めたる全ての魔力を込めた獄炎弾。その威力は、今まで彼女が操っていたリボルバーの弾の比ではない。
「ぐぁぁぁぁっ!」
 燃え盛る炎に包まれて、ドクター・ハデスの身体が溶けて行く。想像を絶する程の高温に晒され、全身の水分が急速に沸騰した結果、それが一斉に噴き出したのだ。
「お……ご……あが……」
 最後は、満足な言葉さえ発することのできないまま、ドクター・ハデスは文字通り黒い染みとなって消滅した。体中から噴き出した水分は一瞬にして気化し、それは肉や骨もまた同様だ。
 後に残されたのは、人の形をした焼け跡のみ。己の目的のためであれば、どれだけ人を傷つけ、苦しめようと構わない。そんな狂気に憑かれた科学者には、実に相応しい末路だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月24日


挿絵イラスト