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王女の我侭が王国を滅ぼす

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #激流のリヴェンタ #ドワーフ

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●ドワーフの洞窟王国
「ここが、メルスラルじゃの!」
 洞窟の中に、一人の少女が足を踏み入れる。
 入り口からは想像もできないが、眼下には広大な地下都市が広がっている。
 石造りの建築物は精巧に出来ており、優れた技術に支えられていることがひと目で分かった。

 ここは、世界中にある「ドワーフの洞窟王国」の一つ、メルスラル。
 ドワーフはかつて他種族と交流せず、この地のように洞窟だけを棲家とし、優れた鍛冶や石工の技術を秘匿していたという。
 そして今でも多くのドワーフが生活を続けている。

「『激流のリヴェンタ』どのはこの地まではたどり着かなかったようじゃ。だがこのベルちゃん様がやってきたからには、必ず『ヴァルギリオス碑文』を見つけてみせる!」
 少女の名は我侭王女『ベルベット』。
 猟書家「激流のリヴェンタ」の意志を継ぎ、はるばるこの王国へやってきたのだ。
「征け! 暗殺妖精どもよ! 洪水に乗じてドワーフたちを皆殺しにするのじゃ!」
「承知しました、ベルベット様」
 シュノーケルと水中メガネを装備した「暗殺妖精」部隊がベルベットの命令で都市へ向かって飛び立つ。
 それと同時に、洞窟の入口から大量の水が流れ込み、地下都市に押し寄せ始めた。

●グリモアベース
「お疲れさまです。これまでの皆様の活躍により、アックス&ウィザーズへの猟書家たちの侵攻はかなり抑えられてきたようです」
 クロノ・ライム(お菓子に目がないクレリック・f15759)が猟兵たちに声をかける。
 猟書家が世界を侵略してきていることを表す骸の月。
 アックス&ウィザーズの月は随分明るくなったとはいえ、まだ黒い影は残っている。
 世界を平和にするにはもう少しだけ時間がかかるだろう。
「とにかく、今は彼らの起こす事件を一つ一つ解決していくしかなさそうです」

 今回クロノが予知したのは、ドワーフの洞窟王国・メルスラルに起こる事件だ。
「『激流のリヴェンタ』は撃破されましたが、その意志を継ぐオブリビオンが現れました。彼女……ベルベットはメルスラルを水没させ、ヴァルギリオス碑文を手に入れようとしています」
 かつて猟兵たちの来訪より遥かな昔、数千人の勇者が生前の「帝竜ヴァルギリオス」と戦い、群竜大陸の「勇者の墓標」で相打ちになるまでの戦いを綴ったと言われる碑文である。
 猟書家たちはその碑文を研究することで、天上界への到達に一歩近づけると考えているようだ。
 もちろんそれは阻止しなければいけないし、何よりも、大勢のドワーフたちが犠牲となる前に救わねばならない。

「という訳で皆様にはまず、洪水が押し寄せるメルスラルへ飛んで、ベルベットが放った手下たちを倒していただきたいです」
 ベルベットの配下、「暗殺妖精」部隊は隠密に秀でている上、洪水の影響を受けない装備も完備している。
「隠密に対抗するには、現地のドワーフさん達と協力するのがいいでしょう。彼らの知識があれば、洪水の中でも安全に戦える場所などが分かるはずです」
 暗殺妖精を倒せば、今回の事件の首謀者、ベルベットも姿を表すはずだ。
「それではよろしくお願いします……大丈夫。扉を開いてもすぐに水が流れてくるような所ではないはずです」
 クロノのグリモアの力により、メルスラルへ繋がる扉が現れた。


青猫格子
 こんにちは、青猫格子です。
 今回はA&Wの猟書家シナリオです。
 ドワーフの洞窟王国・メルスラルを水没させようとするオブリビオンを倒してください。

 第1章は「暗殺妖精」との集団戦。
 妖精たちは洪水が押し寄せてくるメルスラルで混乱に乗じて住人を暗殺しようとしています。
 ドワーフたちと協力しながらオブリビオンを倒してください。
 第2章は「我侭王女『ベルベット』」とのボス戦となります。
 プレイングボーナス(全章共通)は「ドワーフ職人達の洞窟知識を借りる、あるいは勇猛なドワーフ戦士達と共に戦う」です。

 第1章はOP公開後に導入部を公開します。その後プレイング受付を開始いたします。
 以降のシナリオ進行についてはマスターページとタグをご覧いただければと思います。
 それでは、ご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『暗殺妖精』

POW   :    スキルオーバーリミット「妖精暗殺術」
【気配を猟兵に感じさせない状態】に変形し、自身の【暗殺実行後の生存率】を代償に、自身の【「暗殺」の技能レベル】を強化する。
SPD   :    暗殺技能・魔法罠即席設計
いま戦っている対象に有効な【魔法で作成したトラップ】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    暗殺技能・虚構群衆召喚
戦闘力のない、レベル×1体の【二乗の数までの現地人・生物を模したデコイ】を召喚する。応援や助言、技能「【群衆偽装】」を使った支援をしてくれる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●メルスラル中心部
 ドワーフの洞窟王国・メルスラル。
 中心部には荘厳な建築物が並んでいるが、外見に対して街中はそれほど賑わっていない。
 かつては大勢のドワーフが住み、工芸品や武器を生産する職人街を中心に栄えていたらしい。
 しかし現在は多くの職人が腕を磨くためなど様々な理由で国の外へ出て行き、昔より賑わいは落ち着いたようだ。
「ありゃ、地震かのう。何か聞こえないか?」
 職人街でいつも通り金属製品の修理をしていた一人のドワーフが顔を上げる。
 通りの他のドワーフたちも異変に気づいており、気のせいではなさそうだ。

 ゴゴゴゴ……。
「洞窟の一部が崩壊したのではないか? しかし、なぜ……」
「まて、あれを見ろ!」
 ついにドワーフたちは気づいた。津波のような水が街に迫ってきていることに。
 ドワーフたちが大騒ぎになる中、街中に密かにベルベットの配下が侵入してきたことに気づいている者はまだいなかった。
朔・來
水攻めをしようなどとは最悪じゃな。
しかも都市の孤立では無く水没と民の鏖殺が目的なのじゃろ? そのような外道を相手に、全く以て手加減してやる必要性を感じぬな。怒りしか湧かぬわ。阿呆めが。

とりあえず洪水からの民の保護じゃ。
八岐大蛇が一、高嶺よ、その力を見せてやるがよい。
宝貝「花ノ蜷局」により、大蛇が彩り美しい岩石を次々と生み出し、水の押し寄せてくる方面、それからドワーフ職人達から地下都市の地形を教わって水の通り道になりそうなところに一気に積み上げる。即席の岩壁――堤防のようなものじゃな。

むろん、高嶺の放つ岩は、洪水から民を守るのみならず、敵を判別して攻撃するでの。打ち砕かれ、絶望して消えよ。



 水が押し寄せる地下都市。
 その上空をふわふわと飛翔する一つの影があった。
「……水攻めをしようなどとは、最悪じゃな」
 彼女は朔・來(花紅柳緑・f32970)。普段は唯一の楽しみである食事以外には大概のことに関心を示さない。
 しかし、今まさに目の前で多くの民が水に沈められようとしているとなれば話が変わる。
「このような外道な相手には、怒りしかわかぬわ」
 來はメルスラルの中心部に急いで向かうことにした。

 街の中心部では、子供や老人などが避難を始めていた。
 残ったドワーフたちが土嚢を積み上げていたが、どう見ても押し寄せる水を防ぐ規模には達していない。
 そこへ、飛んできた來がふわり、と降り立つ。
「あ、あんたは一体?」
 近くにいたドワーフたちがいきなり現れた彼女に驚く。
「誰でも良かろう。まずは洪水をどうにかせねばならないじゃろ?」
 來がそう言ってドワーフたちに微笑みかける。少女のようにも歳を重ねたようにも思わせるその雰囲気は、この世の存在に思えずドワーフたちは静まり返る。

 來が街の中でひらり、と舞い上がる。
「大きな岩で水を抑えるとしたら、何処が最適かの?」
「岩? それなら街の入口だが、どうやって……?」
「まあ見ておるが良い」
 來は八岐の多節鞭『八岐大蛇』を取り出し、分岐頭の一つ『高嶺』を街の入口に向ける。
 鞭を向けた先から、様々な彩りの岩石が出現し、入り口に落下していく。
「なんだ、あの岩は?」
「それにしても、綺麗な岩だ。こんな時じゃなかったら彫刻に使いたいもんだ」
 ドワーフたちが驚いている間に、岩石が積み重なり、入り口を完全に埋め尽くした。
 これで、街の中心部にはしばらく水が入ってくることはないだろう。

「も、もうだめだ……」
 入り口の周辺にいたドワーフたちが何人か倒れる。否、それは住民に変装した暗殺妖精だった。
 絶望の表情を浮かべた妖精たちはそのまま水に飲み込まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベリザリオ・ルナセルウス(サポート)
人々を救う事や未来を蝕む者を倒す事は責務ですが、オブリビオンにも救いが訪れる事を願ってやみません
オブリビオンが救われる世になれば大切な織久も安らげるかもしれませんから

救助活動や傷の治療は得意です。体の傷を癒し、心の傷も音楽によって癒しましょう
失せ物探しや動物も対象にできる情報収集で探索・調査も行えます。鈴蘭の嵐で花弁の流れや光の屈折率を変えてのカモフラージュの見破りもお任せください

仲間と連携しての戦いこそ私の真価が発揮できます
味方を鼓舞し、援護する事で敵を挑発して引き付け、味方を守る
より強力、広範囲の攻撃なら無敵要塞で庇います
剣と盾で攻撃を防ぎ、敵の武器を払い、味方が攻撃できる隙を作りましょう


アラン・スミシー(サポート)
基本突然現れて仕事を終えたら去っていく人物です。

基本的に【乱戦】か【銃撃戦】での援護がメインとなります。
他の猟兵の手の足りない所に現れては銃で攻撃し、気を引いたり足止めをしたり敵の頭数を減らしたりします。

説得や交渉等が必要ならなんか良い感じの言葉を言います。
例:君の正義は分かった。しかしその正義は君を救ったかい?

ユーベルコードのセリフを参照し、MSの言って欲しい都合の良い言葉をアレンジしてやってください。
大体無意味に格好いいこと言ってます、割と適当に。

状況次第では不意打ちとかもするかもしれません。適当にお使い下さい。



 入口が塞がれたので一気に地下都市が水に飲み込まれる危険はなくなった。
 しかし、水は徐々に浸水してくる。
 ドワーフたちは大事な荷物を持って、急いで高い場所へと避難していた。

「どうしよう、家が流されたら……」
 高台に避難していたドワーフの家族。その中の少年が街を見下ろしながらつぶやく。
 親は大丈夫だと励ましたいが、実際どうなるかわからないので何も言えなかった。

「大丈夫、私達が必ず、メルスラルを救います」
 家族の前にベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)が現れた。
 高台に集まったドワーフたちの中にいた怪我人を治療していたのだ。
「あなた達の力で助かっていますが、このままでは……」
 ドワーフの母親が赤子を抱えながら心配そうに言った。
「まあ心配するのは分かるが、信じてくれないか?」
 物陰に隠れていたアラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)が姿を現す。

「アラン君? 君が来たということは……」
 ドワーフたちに優しく接していたベリザリオの表情が変わる。
「ああ、敵がここに紛れ込んでいるぞ」
 アランは敵の暗殺妖精たちを追って高台にたどり着いたのだ。
 避難所には二人の他はドワーフたちしかいないように見える。巧妙に変装しているのだろう。

「では、こうしましょう」
 ベリザリオが竪琴を取り出し演奏する。優しい音色は、突然の事態によって消耗していたドワーフたちの心に沁み入った。
 中には音楽を聴いて涙を流す者もいる。
「どういうことだ?」
 アランが不思議そうに演奏を聞いていると、ベリザリオは演奏を続けたまま解説する。
「これはメルスラルに古くから伝わる音楽です。故郷の危機に陥っている皆さんを励ましたくて演奏しました。それから……」
 ベリザリオが目を閉じ、竪琴を鳴らすと旋律が光の矢となって岩陰に飛んでいく。
「ぐ……何故見破った!!」
 光の矢で撃ち抜かれたドワーフの中から暗殺妖精が姿を現す。
「もう一つの理由は変装した敵を見破るためです。どんなに音楽に興味がない人であろうと、全く心を動かさないわけがない。それでドワーフを模したデコイを見分けたのです」
 ベリザリオの矢がドワーフたちに紛れ込んでいた偽のドワーフに次々と飛ぶ。

「おっと、逃がしはしないよ!」
 アランが追撃するように、暗殺妖精たちに向かって銃で攻撃する。
 それと同時に、高台全体を透明なガラスの迷宮で覆う。これによって妖精たちの逃げ道が塞がれた。
「皆、迷宮の壁から出ないようにしてくれ」
 避難していたドワーフたちは、迷宮によって妖精たちから攻撃を受けない場所に隔離される。
「仕方ない……まずはお前たちを排除する!」
 妖精たちは隠れるのをやめ、ベリザリオとアランへ向かってくる。
 しかし、隠密という利点を捨てた妖精たちは二人の敵ではない。
 二人の連携により、瞬く間に妖精たちはすべて倒されたのであった。

「もうここは大丈夫そうだな。私は他の所の敵を探しに行くよ」
 敵がいなくなったことを確認したアランは、別の場所へ向かうことにする。
 ドワーフたちの治療を終えたベリザリオも付いていくことにした。
「あ、あの、おじさんたち……」
 去ろうとしているアランたちに、先ほどのドワーフの少年が声をかける。
「俺、信じてるから。絶対、メルスラルを救ってくれよ!」
「ああ、もちろんさ」
「任せてください」
 アランとベリザリオは笑顔で応じ、次の戦いへと向かうのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミラリア・レリクストゥラ(サポート)
やや戦いの不得手なクリスタリアンの旅人です。唄を得意とし、必要であれば口だけではなく全身を震動させ発声します。また、ユーベルコードとして唄う場合は様々なサポートをします。
性格としておっとりしている所はあるものの、尊厳を卑劣に踏みにじる行為を見ると許せないと憤怒します。
ビーストマスター適性はかなり限定的で、『地母の恵み』で活性化した大地の恩恵を求め集まったものと一時的な協力関係が築かれます。
食事も呼吸も不要で、大地の放射エネルギーを糧とします。このためスペースシップワールドには適性がありながら苦手意識が強く、近寄りたがりません。

『お祝いですね!一曲唄わせてください!』
『あら?お困りでしょうか…』



 高い場所へと避難したドワーフたちの中に、落ち込んでいる青年がいた。
 彼は、写本を作成する職人であった。避難の直前、頼まれていた本がようやく完成する所だったが、きっと今は水の中に沈みつつあるだろう。
「大丈夫ですか。何かあったのですか?」
 避難所にテントを建てていたミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)が、青年のことに気がついて声をかけた。
「いえ、心配させてすみません。実は……」
 青年が申し訳無さそうにしながら、少しずつ事情を語り始める……。

「そうなのですね。せっかくの本が……」
 ミラリアは青年が本を置いて避難しなければならなかったことを知り心を痛めた。
 きっと彼だけでなく、大勢の者が大切なものを置いて避難しなければならなかったのだろう。
「なんて卑劣な行為なのでしょう……!」
 ミラリアは憤り、必ずメルスラルを危機から救わねばと思った。
 しかし、たとえ敵を倒しても、帰ってこないものもあるだろう。

「……今は、私にはこれくらいしか出来ませんが、どうか聴いてください」
 そこで、彼女は歌い始める。
「♪ さあ道を往っけ♪ 笑い声上っげ♪ そよ風を 胸に受け 今はっしっりだそーう♪」
 暗い気分を吹き飛ばすような、明るい曲調の歌。「世界は果てなく面白い(ワールド・イズ・ライフ)」
 彼女の声が響き渡ると、ドワーフたちは自然と体が動き出すような気がしてきた。
「うん、そうだな。今は落ち込んでも何にもならない。楽しく踊って気を強く持とうじゃないか!」
 いつの間にか、周りのドワーフたちは腕を組んで輪になって踊り始める。
 ミラリアも楽しそうに歌いながら、ドワーフたちの周りをくるくると踊った。

(……困ったな。これでは暗殺を遂行できない)
 実は、既にドワーフたちの中に紛れ込んでいた暗殺妖精たち。
 変装したまま両腕を掴まれ、無理矢理踊らされ続けていた。
 ミラリアが知ってか知らずか、住人たちが狙われるのを防いでいたのは運命の悪戯なのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニクロム・チタノ
もう始まってるね?
でもこんなに洪水が出てるとまともに戦えないよ
そこのドワーフさん、洪水がこないところ教えてください
まだ戦ってるドワーフさん達がいるね
妹達姉様方力を貸して
妹達はドワーフさん達に加勢して
姉様方は高いところから重力波で攻撃して
ボクは敵が混乱してるところを斬り込むよ
ボク達姉妹は同じように創られたからボクを見分けるのはこの混戦じゃ難しいハズ
これより反抗を開始する
どうか反抗の竜チタノの加護と導きを



 遠くから武器の音がする。
 どうやら、戦士のドワーフたちと敵が戦っているようだ。
「もう始まってるね?」
 メルスラルにたどりついたニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は、街中で戦いが起きている事を察し、すぐにドワーフたちを救出するための行動を開始した。
「そこのドワーフさん、水が来ない所で、街を見渡せるところはありませんか?」
 街の入口を塞ぐ岩を補修していたドワーフの一人に声をかける。
「なんじゃ? そうだな……広場の鐘の塔がいいかもな」
 ドワーフが街の中心に建つ鐘の塔を指す。周りに大きな建物がなく、見晴らしが良さそうだ。
「ありがとうございます」
 ニクロムは急いで街の中心の広場へと向かいながら、能力を発動させる。
「妹達姉様方力を貸して」
 周囲に現れたのはニクロムと同じように造られた戦闘用2966ナンバーズ。
 妹達は周囲に散開し、姉達は塔へと登っていく。

「おーい、そっちに侵入者が行ったぞー!」
 街中を警備していたドワーフ戦士に、注意を呼びかける仲間の声が聞こえる。
「困ったな。相手は俊敏だから……うわああ!」
 暗殺妖精が密かに設置していた魔法の罠を踏んでしまった。光り輝く魔法陣に縛り付けられて動けなくなってしまう。
 相手が罠にかかったと見るや、周囲に隠れていた暗殺妖精たちが姿を現し、戦士を狙って近づいてくる。

 もうだめだ、と戦士が覚悟を決めたとき、街中に塔の鐘が鳴り響いた。
 住民の多くが避難して、鐘を鳴らす者はいないはずだ。
 戦士が地面に縛り付けられたまま、なんとか顔を上げて様子を窺うと、塔を中心に空間を歪ませる波が発せられていた。そして空中でのバランスを保てなくなった妖精たちが地面に落下していく。

「これより、反抗を開始する!」
 2966ナンバーズの妹達が妖精を発見し、攻撃を開始する。
 ニクロムもその集団の中に紛れ込んでいたが、混乱している妖精たちには見分けがつかない。
 彼女の様子を見てドワーフ戦士たちも立ち上がり、一気に反撃に出るのであった。

 猟兵たちとドワーフたちが力を合わせたことで、街にいた暗殺妖精は全て倒された。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『我侭王女『ベルベット』』

POW   :    ベルちゃん様コレクション
いま戦っている対象に有効な【非常に珍しいマジックアイテム】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD   :    ベルちゃん様は魔法も凄い!
【無詠唱で何もない空間】から【膨大な魔力の込められた魔弾】を放ち、【与えたダメージ】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    みんなの魔力はベルちゃん様のもの♪
戦闘力のない【ベルベットに囚われた祖国の亡霊達】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【消耗した魔力を亡霊達から吸い上げること】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はティエル・ティエリエルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●我侭王女、動く
「ええい、妖精たちは何をしておる!」
 妖精たちがドワーフを暗殺するのを待っていたベルベット。
 だが、いくら待っても任務が終わった報告は来ない。
 しびれを切らして街の中心部へ向かうと、妖精の姿はなく洪水も予想ほどの規模ではない。

 そこでベルベットはようやく、猟兵たちが侵攻の邪魔をしているのだと気づいた。
「まあいいじゃろう。ならば、ベルちゃん様が自らこの国を滅ぼし、『ヴァルギリオス碑文』を手に入れてみせよう!」
 少女はふはは、としばらく笑った後、魔法で街を破壊し始めた。
 街は猟兵やドワーフたちの築いた防壁で浸水を防いでいたが、破壊されてしまえば今度こそ沈んでしまうだろう。
鏑木・桜子
わたしより小さいのに随分えらそ…も、もとい強そうな王女様ですね…。
強力な魔法やアイテムを持ってるようですが…いささか落ち着きがなさそう…でしょうか?
まずはこちらを油断させつつ魔法に集中させないように魔法を撃つ瞬間を狙って襲撃し反撃してきたらたまらず逃げるふりをして油断させましょう。
この時得意な大太刀は使わず周囲の岩などを怪力で持ち上げては投げて攻撃します。
こちらをとるに足らない存在と認識するかウザいからさっさと処分しようとするかして相手が隙を見せた瞬間、一気に接近して居合抜きから剣刃一閃で相手を攻撃します。



 ベルベットが好き放題街を破壊するが、ドワーフ達は避難してしまったので止められる者がいない。
「ふはは、愉快じゃのう!」
 広場に飾ってあった何やら由来のありそうな石像の土台に魔法を放つ。
 ヴァルギリオス碑文でないとはいえ、何かの手がかりになりそうなのに……など細かいことは考えていない。
 土台を破壊された石像が地響きを立て倒れそうになるが、途中で動きが止まる。
「わたしより小さいのに随分えらそ……も、もとい強そうな王女様ですね……」
「む、誰じゃ? 邪魔をしおって」
 石像を支えていたのは鏑木・桜子(キマイラの力持ち・f33029)。

「わたしは『ブシドー』を体現する者として、あなたを許しません! 覚悟しなさい」
 普段は気弱な桜子だが、オブリビオンを前にしたときは一歩も引かない姿勢だ。
 なお、ブシドーがどういうものかは解っていないらしい。
「いいじゃろう。ベルちゃん様のコレクションの力を思い知るが良い!」
 ベルベットは余裕の表情のまま、自らのコレクションを呼び出す。
 現れたのはカラフルな傘であった。
「うーん? これは、武器として使え、ということじゃな!」
 ベルベットは一人で納得すると、傘を振り回しながら桜子へ向かってきた。

「……危ない!」
 桜子は敵が油断する瞬間を狙うため、一旦逃げようとする。
 近くにあった大きな瓦礫を持ち上げ、思い切り投げつけた。
「そんなもの……な、なんじゃああっ!!」
 ベルベットが傘で瓦礫を叩き落とそうとしたら、取っ手と本体が分離してしまった。
 実はこのアイテム、武器ではなく「盾」であり、開いて使えば大きな岩さえ防げるが、閉じたままでは本来の力は発揮できなかったのだ。

「今です!」
 動揺しているベルベットを見た桜子が一気に接近する。
「運命さえも味方につける……それが、ブシドーです!!」
 大太刀で一閃。ベルベットは傘で防ごうとするが、その傘ごと斬りつけられた。
「きゃああっ!」
 斬られたベルベットは街から弾き飛ばされ、洪水の水の中へ落下し流されていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
せっかくみんなの造った防壁を壊さないで欲しいよ
反抗をこの身に
チタノヤタテは八つの最強の盾を持つ
壊れた箇所に盾を埋め込んで残りの盾を防御に回そう
敵を倒すのも大事だけどこのままじゃドワーフの国も危ない、大丈夫猟兵はボクだけじゃない
体力と気力が続く限りボクも絶えるからみんな頼んだよ
みんなに反抗の竜チタノの加護と導きを



「はぁはぁ……やっと戻ってこれた、のじゃ……」
 ベルベットが街の周りに築かれた防壁を登り、一息ついて着地する。
「この壁が邪魔なのじゃ。さっさと壊してしまおう」
「そうはさせないよ」
 ニクロム・チタノが壁の前に立ち、ベルベットを阻む。

「せっかくみんなの造った防壁を壊さないで」
「指図をするな! ベルちゃん様は王女なのじゃぞ。お前も街もまとめて壊してやる」
 ベルベットが怒りの表情でニクロムを睨みつけると、何もない空間から巨大な魔力が複数出現する。
 魔力は弾となりニクロムと壁をまとめて破壊する勢いで飛んできた。
「わはは、これだけ巨大な魔力なら防げまい!」

「この姿を見ても、そう言えるかな」
 ニクロムの反抗の印が光り、姿を変えていく。
 守護竜チタノヤタテの姿と化した彼女は八つの盾を手にしていた。
「……反抗をこの身に」
 まさに、ベルベットの破壊に対して反抗するため、彼女は盾を掲げて魔力弾を防いだ。
 複数飛んできた弾も、八つの盾を分散させることで全て止めたのである。
「そんな! ベルちゃん様のすごい魔法を止めるなんて!」
「最強の盾だからね」
 ニクロムが壊れかけていた防壁に盾を埋め込んで護りを万全とする。
 ところが、彼女はその場から動けない。
「ふん、破壊は止められても動きを封じる効果は出ているようじゃ。それではベルちゃん様を倒せないぞ!」
 ニクロムが動かない事に気づいたベルベットが調子よく笑う。

「構わない。敵を倒すだけが戦いじゃないよ」
 ニクロムは覚悟を決めた表情で答えた。この姿を維持するのに体力と気力を相当消耗していた。
 それでも、メルスラルの破壊を防ぐためにはこの方法しかないと判断したのだ。
 それに盾はこの状態でも動かせたので問題ない。
「大丈夫、猟兵はボクだけじゃない」
 他の猟兵たちが戦う間、街を守ると決めた彼女は微笑んだ。

(みんなに反抗の竜チタノの加護と導きを)
 彼女の祈りにより、盾の守護の力が増していく。
 ベルベットはその後も魔法で街を破壊しようとするが、盾により次々防がれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
 人間のパラディン×シーフの女の子です。
 普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


櫟・陽里(サポート)
『操縦が上手いは最高の誉め言葉!』

乗り物が活躍できる場と
レースとサーキットが得意分野
相棒バイク以外も乗りこなしてみせる
配達系依頼もお待ちしてまーす

走りこそが俺の武器!
マシン性能・路面や周辺・相手の動きなど幅広い情報収集
それを扱う集中力・傭兵の経験・判断速度
乗り物と操縦者の総合力で戦う

シールド展開バイクで体当たり吹き飛ばし
補修ワイヤーは補助武器
バイクは機動力のある盾にもなる
壊れたらほら、直すついでに新パーツ試せるし!

明るく話しやすい先輩タイプ
補助仕事もドンと来い
乗り物が無い戦場では手数が少ない
普通の拳銃射撃や誘導、挑発など小技を利かせるしかなくテヘペロしてる

過去は過去に還すべき、その辺割と無慈悲



 ドワーフたちの洞窟王国メルスラル。
 洪水の危機とベルベットたちの侵攻により危機に陥ったが、猟兵とドワーフたちの協力により耐えていた。
 彼らの抵抗により街の破壊が進まないベルベットは苛ついていた。
「皆してベルちゃん様の邪魔をしおって。王女が国を滅ぼして何が悪いんじゃ」
「そんなの、悪いに決まってるわ!」
 ドワーフたちの避難を手伝い、街へ戻ってきた赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)が彼女の前に現れる。
「平和な日常のほうが楽しいのは王女でも同じでしょう。なぜ多くの人を悲しませるの?」
 純真な愛にはベルベットの行為は受け入れ難かった。

「ふん、他人が悲しもうが知ったことではない」
 ベルベットはそんな彼女の気持ちなど知らず、ただ邪魔するものを排除しようとする。
「さあ、来い! 今度こそベルちゃん様コレクションの力を発揮してみせるぞ」
 彼女の前に現れたのは大砲のようなマジックアイテムだ。
「今回は解りやすくていいな。よし、これで猟兵もろとも街を破壊してやる!」
 ベルベットが大砲に魔力を込めると、魔弾と同じ力が増幅され、ビームのように一気に噴射する。

「……絶対に街は破壊させない!」
 愛はハート形の盾を掲げ、飛んできた魔弾を真正面から受け止めた。
 盾は魔力を受け止めると、四方八方に分散させ威力を弱めて街を守った。

 分散した魔力は流星のように街の中に飛び散っていく。
「おっと、危ない危ない」
 櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)は降ってきた魔力を避けながら一輪バイクで街を駆け抜ける。
 その姿は流星群の中を駆け抜ける宇宙のライダーに見えたかもしれない。
 実際には地下都市の中で降り注ぐ魔弾を避けているのだが。
「目標が見えてきたな」
 街中を走り抜け、広場で戦っているベルベットと愛の姿を確認する陽里。
「いくぞ相棒!」
 バイクに向かって呟いた彼は、ベルベットに向かって一直線に走り出す。

「ははは……護るのが精一杯のようじゃな。いつまで持つかな」
 ベルベットはまだ魔弾を大砲から発射し続けている。
 愛は一歩も引くことなく防ぎ続けていたが、防御している間は動くことが出来ない。
「このままでは……この音は!」
 反撃のタイミングを窺っていた愛は、ベルベットの遥か後方からエンジン音が近づいてくることに気づいた。
「この俺が来たからにはもう大丈夫だぜ!」
 陽里がバイクに乗ったままベルベットに勢いよく体当たりする。
「うわあーっ!!」
 弾かれるベルベット。同時に陽里はバイクを飛び降りて、拳銃で大砲を破壊した。

「ああっ、貴重なコレクションをよくも……!」
 起き上がったベルベットは怒りながら、陽里に向けて魔弾を発射する。
「どうじゃ! 大砲が無くなっても魔法は使えるんじゃぞ!」
「陽里さんは私が護るわ!」
 愛が陽里の元に駆け寄り、再び盾でベルベットの攻撃を防ぐ。

「助けに来たつもりだったが、助けられたのはこっちもだったな。いいぜ、これで心置きなく戦えるってわけだ」
 陽里は戦術ドローンを出し、拳銃との同時攻撃でベルベットに一気に攻撃を仕掛ける。
 激しい銃撃により爆発が起きて、広場は煙に包まれた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

朔・來
うーむ、面倒な娘っ子じゃのう。何がちゃん様じゃ。可愛くないにも程があろう。王女を名乗りたいなら、それ相応のレディになれるよう精進するが良いぞ。

さて、折角じゃ、「傾国」を見せてやろう。
そちと違うて、妖艶な美しさと知力を以て国を動かす美女ぞ。まあ、大蛇じゃが。吾が手から迸り出ておぬしにしなやかに食らい付く様は美しかろう。
宝貝「艶ノ蜷局」――愛い奴であろ?
八岐大蛇を単なる多節鞭と思うて呉れるなよ。仙女たる來の一部じゃ。
水中から顔を上げたおぬしが吸い込むは毒霧。佳い香りじゃろ? 堪能せい。
ん? ユーベルコード? そのようなもの、そちに使えるとも思えぬがのう。試してみても構わぬが……ほれ、使えぬじゃろ?



 爆風が消えた後、傷ついたベルベットはまだかろうじて立ち上がれた。
「むむ……だいぶ痛かったのじゃ。でも、ベルちゃん様に負けの二文字はない!」
「何がちゃん様じゃ。可愛くないにも程があろう」
 建物の影から朔・來が姿を現した。

「引き際を見極められないのも王女としてはどうかと思うがのう」
 來が哀れな者を見るような顔をする。
 ベルベットはそれが気に入らなかったようで、ぴょんぴょん跳ねて騒ぎ立てる。
「うるさいうるさい! ベルちゃん様のものはベルちゃん様のもの、みんなのものもベルちゃん様のもの。それが王女なのじゃ!」
 すると、彼女たちの周りに亡霊たちが現れる。
(おお、我らが王女、ベルベット様……)
 亡霊たちは彼女が滅ぼしたという祖国の国民たちだった。
「お前たちに命令じゃ! このベルちゃん様に力を与え、猟兵たちとこの国を一気に滅ぼすのじゃー!」

「こやつに使われる霊たちも哀れじゃのう。ではこうするか」
 來が八岐大蛇を取り出し、ベルベットへ向ける。
 すると、空中に女性の姿が現れる。
「これが『傾国』じゃ。そちと違うて、妖艶な美しさと知力を以て国を動かす美女ぞ」
「な、そんなもの出してもベルちゃん様は……!?」
 ベルベットは美女と目が合う。美女は笑みを浮かべるばかりだが、ベルベットは睨まれた獲物のように動けなくなってしまう。

 するり、と美女がベルベットにまとわりつく。しかし次の瞬間美女の姿は大蛇になっていた。
「なんじゃ、これは……動けない……!」
 大蛇の口から佳い香りの毒霧が噴き出してくる。ベルベットは危険を感じて亡霊たちに命令した。
「だ、誰か早く助けるのじゃ……!」
 しかし、亡霊たちは動かない。
(ベルベット様、もうおやめください……)
 亡霊たちの反抗、ではなく実際は來の力によってベルベットのユーベルコードが封じられた結果である。
 しかし彼女にとっては同じだった。
「もう、我侭言わないから、誰か……助け……」
 言い終わらぬうちに彼女は意識を失い、その場に倒れた。

 ベルベットが倒れると同時に、亡霊たちは姿を消した。
「王女に見捨てられた亡者たちの気持ちがわかったかのう。まあ、無理かもしれぬな」
 來が一人で感慨に耽っていると、避難していたドワーフたちが戻ってくる。
「洪水が止まったから戻ってきたんだ。あんたたちのお陰だな。ありがとう」
 街は水浸しになってしまったが、働き者のドワーフたちが作業すればいずれは元に戻るだろう。

「さあ、作業はあとにして、まずは街を取り戻したお祝いをしようじゃないか」
 と、いつの間にか広場は祝いの宴の準備が始まっている。
 無事だった酒や料理が広場に集められ、すでに一部では宴会騒ぎになっていた。
「あんたたちもよかったら参加してくれよな!」
 こうして、メルスラルの危機は去り、しばらくドワーフたちの陽気な宴が続いたそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月20日


挿絵イラスト