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幽世急行特別便

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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 古い駅だ。
 錆びたレール、ひび割れたホーム、埃の張り付いた窓口。このカクリヨファンタズムのとある場所にそういった無用の駅達が集められた場所があった。
 そしてその中心となるホームのベンチの上に力のない人形がぽつんと一つ座らされていた。ここに何故置かれているのかは分からない。誰かが寂しかろうと置いたのか、或いは待ち人の体とするために置いたのか。どちらにせよ知る由もない、少なくとも此処にこれを置いた者はもうしばらく来ていないのは確かだ。
 その一人ぼっちの人形は静かに今日も佇んでいる、はずだった。はずだったというのはこの錆びた線路の上に列車が走ってきたからだ。
『終点ー。かくりよー、かくりよー』
 木製のスピーカーからはひび割れたアナウンスが流れ込み、停車した列車は扉を開ける。そこからは見えない何かが降り、そしてその度に人形の目に光が宿る。……列車は新たな乗客を迎えるために再び発車し駅を離れていく。そして人形の目に光が満ちた時、この地を離れるのだろう。


「カクリヨファンタズムに『駅』があるんだ」
 リアナ・トラヴェリア(ドラゴニアンの黒騎士・f04463)はそう切り出した。
「『駅』と言っても迷宮なんだけどね。今までは静かだったんだけど、そこの中心に置いてあった人形に失われた魂を呼び寄せる力があって……何かの拍子に『駅』に魂、つまりオブリビオンである骸魂のかけらを集めるために列車を走らせるようになっちゃったんだ」
 そして人形に骸魂が溢れる程に貯まりきった時、ここの列車は人形を他の妖怪の元へと運んで骸魂を託そうとするするだろう。まるで郵便配達員のように。
「そうなると骸魂に取り憑かれた妖怪が一気に増えて大変な事になっちゃう。そうさせない為にこの人形を破壊してほしいんだ」
 そのためにはひっきりなしに来る列車を超えなければならない、天井も低く飛んで行くのも難しいだろう。
「人形を破壊したら、線路の上を歩いて還って行く魂たちを見送って上げて。もうここにいてはいけない人達だから。……多分いつかはみんな行く道だからね」
 リアナはそこまで言うと猟兵達を送り出す。
「それじゃ皆頑張ってきてね、行ってらっしゃい!」


西灰三
いつもお世話になっています。
西灰三です。
……たまにはしんみりしたものも書くんです。たまには。

今回はカクリヨファンタズムの依頼をお送りします。
詳しい内容はオープニングの通り。
第三章は日常です。もしリアナに用があれば適当にプレイングにて声がけして下さい。(無論なければ出ません)

それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『妖怪ターミナルを越えて』

POW   :    パワープレイで押し通る

SPD   :    テクニカルプレーで切り抜ける

WIZ   :    頭脳プレイで解決する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴォルフガング・ディーツェ
列車に異界へ連れ去られてしまう怪談は世界を跨いで多いものだが、実物に遭えるとはね

物見遊山の傍ら、解決してみるとしようか
天井が低く列車の往来もあるなら…ふむ、素直に乗車するかダイヤを見極めるがやりやすいかな?
プラットホームから見物がてらしばし列車を観察
年代はどうかな、やはり古い機体なのだろうか

運行感覚が掴めたら轢かれない様に注意しながら線路を歩こう

途中で列車が来てしまったら【指定UC】で跳躍し電車の上に
高度情報体を用いた「ハッキング」で物理法則に干渉し、風速を緩め振り落とされないように

乗り込むしかないなら話は簡単だ、シートに悠々と腰掛けて堪能しよう
最後は力押し
襲われるなら鞭を閃かせ撃退しよう




 四方から吹かれる風は通り過ぎゆく列車が巻き起こすもの。揺れる髪を抑えようとヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)が手を頭上に上げれば、指先からも軽い振動を受け取る。見上げれば別のレールとホームが視界を塞いでいた。
「なるほど」
 天井が低いとはグリモア猟兵が言っていた事ではあるけれどこういうことかと、軽く肩を竦める。走る列車の上を踏むくらいに興じようとは思ってはいたがそれも難しそうだ。ともあれそれはそれとして物見遊山を続けることとする。
「列車に異界へ連れ去られてしまう怪談は世界を跨いで多いものだが、実物に遭えるとはね」
 線路の上を通り過ぎていく列車はUDCアースでは古いと思われるものが多い、多いというのは恐らくという意味でだが。
「失われた機体、か」
 古いとは言っても程度に違いはある。恐らくここに来るのは博物館での余生を迎えられなかった物ばかりなのだろう。
「その割にはよく働くな、……さて」
 その車両も無限に続いていく訳ではない。彼は時間を見極めながら車間を見極めて隣のホームへと宙を駆けて飛び移る。それを繰り返し、失われた列車とその中に乗る魂達の姿に

成功 🔵​🔵​🔴​

甘恋・周宜
わー、なんとか駅とかに行けちゃう電車?
あっは、乗らない手はないよねぇ

いいね、ちょーそれっぽい駅じゃない?写真撮っちゃお(スマホでパシャパシャ撮りつつ)
駅がぐっちゃぐちゃに配置されてる……って言うよりかは寄せ集められてるって感じ?
電車の合間をぬって、UCでジャンプしつつ駅から駅にふらふらと見物気分で歩いてみよっか
人形の所に連れてってくれる電車がどれか分かればいいんだけど、さてさて
歩いてみても埒が明かないようなら電車に乗っちゃおう、メインだよ、メイン
どんな景色が見えるのか楽しみだよねぇ、この世のものじゃないものが見れると楽しいんだけど、どうかな?
そういえば乗ってる人……幽霊?オレにも見えるかなー




「わー、なんとか駅とかに行けちゃう電車?」
 甘恋・周宜(Danse macabre・f33079)はスマートフォンのカメラをこの駅の墓場に向けてシャッターを切り続けている。
「いいね、ちょーそれっぽい駅じゃない?」
 ぐっちゃぐちゃに駅が集められているこの場所は、乱雑に詰め込まれたようなおもちゃ箱にも似て。行き交う列車の間を飛び越えて周宜はひょひょいとホームを渡っていく。よく見れば足元もばらつきがあり、雑草が生えているものもあれば黄色い視覚○○○誘導用のブロックが剥がれかけているものもある。
「……おっと」
 足元だけではなく列車も見なければと周宜は頭を巡らせる。どこかに魂を運んでいる列車があるはずだ。それはきっと人形の元へと通じているはずだ。そんな事を思いながら走り抜けていく列車の窓を見ていると、一つ目の人影と目が合った。……多分おぼろげだが、きっと一つ目だったはずだ。
「あっは、乗らない手はないよねぇ」
 とは言うものの走る列車に飛び乗るのは朝のSNSの話題になるようなものだ。彼はこの列車の最後尾めがけて飛び込み、そして跳ね、走る列車の手すりに手をかけた。なんか最近こんな映画を見たような気もするので少し楽しい。ともかくいつもと違う横向きの棒を飛び越えて彼は足場へと乗り移る。
「さてさて、どんな景色が見えるのかな?」
 扉を開けて車両の中へと足を踏み入れた彼を待っていたのは、朧気な人や妖怪の形だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
「隔り世ですか…中々面白い場所ですね。エンパイアより仙界に近しい空気を感じます」
初めてだが懐かしそうな目で見回す
「マガツヒ(禍ツ霊)…いえ、この世界では骸魂、でしたか。道を壊せば、漏れだし滞留したヒの多くが、彼の方の居る方へ流れることでしょう。案内はそれで充分です」

「行けぃ、黄巾力士!全ての列車を、線路を、破壊できるだけ破壊し尽くせ!彼の方が力を取り込むのを、可能な限り邪魔してやれ!」
空の列車が壊れれば骸魂集めが遅くなる
骸魂が乗った列車が壊れれば、人形が力をつけるのが遅くなる
溢れた骸魂の跡をつければ人形に辿り着く
巨大化した黄巾力士に無差別攻撃で列車と線路を蹂躙させ骸魂の流れる方角を追いかける




「隔り世ですか……中々面白い場所ですね。エンパイアより仙界に近しい空気を感じます」
 鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は興味深げに、あるいは懐かしげにこの迷宮の気配を感じ取っていた。この異空間の作りは結界術を得意とする者の仙洞にも似ていた、もっとも計算されたものというよりは乱雑に引き寄せたものが自然とそうなるような場所のようだが。ここを走る列車も物理的なものと術の中間のようなものなのだろう。
「マガツヒ(禍ツ霊)……いえ、この世界では骸魂、でしたか。道を壊せば、漏れだし滞留したヒの多くが、彼の方の居る方へ流れることでしょう。案内はそれで充分です」
 そして聞くところによるとこの場所を作っている核があるという、それが引き寄せているのならやることは単純だ。
「行けぃ、黄巾力士!全ての列車を、線路を、破壊できるだけ破壊し尽くせ!彼の方が力を取り込むのを、可能な限り邪魔してやれ!」
 人形宝貝戦車・黄巾力士をけしかけて破壊活動を行う冬季。仙人とは言えど割合物理に訴えかける荒っぽいやり方で辺りを破壊していく。意外と脳筋なのかもしれない。
「ハハハハ!」
 高笑いをしながら周りに目配せをする仙人は列車の亀裂から這い出てくる骸魂を見逃さない。彼等はぞろぞろと歩きながらある方向へと進んでいく。恐らくその先にここの核となる人形があるのだろう。
「私の読み通りですね、追いましょう」
 何故か再生していく車両を破壊しながら彼は骸魂の後を追うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『虚ろな人形』

POW   :    おれは誰?
【真紅の瞳】に覚醒して【過去に飲み込んだ妖怪】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    わたしは誰?
自身の身体部位ひとつを【過去に飲み込んだ妖怪】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    ぼくは誰?
対象の攻撃を軽減する【過去に飲み込んだ妖怪】に変身しつつ、【攻撃力を上昇させた武器】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は桜雨・カイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


無限にも思われた鉄とコンクリートの迷宮を巡り抜けたその最奥。青いガスライトの灯台の下のベンチに一体の人形が上を向いて座っていた。
「………」
 その開けっ放しの口からは多くの音が漏れ出していた。それは雄叫びであり、嗚咽であり、歌であり、鳴き声でもあった。独り言でもあるし、鼾でもあるし、黄色い声も含んでいた。……あらゆる妖怪や人の口から出す音がただ雑に同時に混ざり切ることなく垂れ流されていた。
 猟兵達がその姿を認めるとその人形もまた彼等を認めたらしく、不格好に体を揺らしながら近づいてくる。ここに来たのならば魂に違いないと、ならば自分の中に押し込めて体を与えねばと。とっくに自身が元の役目を負えぬ事すら気づけ無い程に壊れた人形は、ゆらりゆらりとにじり寄ってくる。
鳴上・冬季
「なるほど、貴様は形代か」
「大祓の形代も、流し雛も。厄や穢れをその身に移し浄化されるがその役目。界を越えても役目を守るか。貴様の作り主は、さぞや鼻が高かろう」
「貴様が溜め込んだ穢れを、全て吐き出せ。そして…役目を全うしたと、胸を張って作り主の下に逝くが良い」
他仙の作った出来の良い宝貝を見るような目で尊大に人形を眺め嘯く

人形が厄や穢れを溜め込む代わりに骸魂を溜め込んだと理解したので、人形が憑依させた全ての骸魂を殲滅すれば浄化可能だろうと考えた
そのため延々と継続ダメージを与え続ける青天の霹靂を選択した
「庇え、黄巾力士」
本人は陣を使用しながら仁王立ちで睥睨
敵の攻撃は全て黄巾力士にオーラ防御で庇わせる




「なるほど、貴様は形代か」
 ぐらぐらと上半身を揺らしながらこちらに近づいてくる人形に鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は興味深げに顎を撫でながら目を細めている。
「大祓の形代も、流し雛も。厄や穢れをその身に移し浄化されるがその役目。界を越えても役目を守るか。貴様の作り主は、さぞや鼻が高かろう」
 彼の目にはその存在が一種の宝貝に見えている。おそらくあながち間違いではない、どのような世で作られたものとは言え、機能を長く残し続ける事自体には彼は敬意を払う者だ。だからこそ、ただ過去に囚われすぎたそれの活動を止めんとする。
「貴様が溜め込んだ穢れを、全て吐き出せ。そして……役目を全うしたと、胸を張って作り主の下に逝くが良い」
 冬季は二本の指を揃えて人形を中心に陣を描く。それが自身を破壊する為の行為と察知した人形は一本足の妖怪となり、手にした槌で彼を叩き潰そうとする。
「庇え、黄巾力士」
 しかしそれが振り下ろされる直前に、命じられた黄巾力士が両腕を交差させ一撃を防ぐ。それと同時に陣は完全に結ばれる。
「……八卦天雷陣・青天の霹靂。その身に蓄えたものと共に果てるがいい」
 豪雨の様に降り注ぐ雷が槌を通して人形の体を焼く、同時にその熱で生じた罅から骸魂が漏れ出していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナリリス・シュヴァリエ(サポート)
何かお困りですか? 私は旅の聖剣使いです
誰かの力になりたい、そんな思いから猟兵活動をしています
私で良ければ力になりましょう。

お人好しな性格で、並みいる敵を聖剣でなぎ払い、罠やトラブルは体当たりで乗り越えていく
そんな突撃隊長的なキャラクターです。

あとはお任せで、よろしくおねがいします。


ケルスティン・フレデリクション(サポート)
人や動物を傷つけたり、道具にしたりする敵には殺意高め。
ひとは、オブリビオンのどうぐじゃないし、きずつけられるためにいきてるんじゃないもん
だから、助けなきゃ!


一人称 わたし
二人称 名前を呼び捨て

口調は幼く
言い切る形や「〜なの」「〜よ」言葉尻を伸ばすことも多い

基本的には皆のお手伝い役
戦闘や情報収集、その他言われた事を行います。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ナイツ・ディン(サポート)
「ディロ、行くぞ!」
『竜たる我が力を見るがいい!』

ナイツは「」、一人称俺、冷静でありつつ好奇心旺盛
ディロ(竜槍/紅竜)は『』、一人称我、不遜な暴れん坊
ローア(竜槍/蒼竜)も『』、一人称私、丁寧な保護者

小柄な妖精種を生かして飛びながら(空中戦)ヒットアンドアウェイ、回避(見切り、第六感、盾受け、武器受け)してから弱点(鎧無視攻撃)を竜槍で突いたり薙ぎ払ったりカウンターが基本。場合によっては弓の援護射撃も有り。

UCは適宜使っていくぞ。
「暴れ倒してやるぞ、ディロ!」

援護よりも押せ押せ、アタッカー気質。変身系UCを使った場合は激痛耐性、火炎耐性、、氷結耐性でゴリ押すことも多い。




「お人形さん……?」
 他の猟兵が拓いた道を通って応援に来た内の一人、ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)が相手の姿に疑問符を付ける。何故ならば今のその姿は赤い瞳をした大蛇の姿をしていたのだから。
「よくわかりませんが、少なくともあれが良くないものだとは分かります」
「そうだな、形の変わる敵なんて珍しくも無いぜ」
 ルナリリス・シュヴァリエ(サキュバスの剣姫・f25397)とナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)がそれぞれに武器を構える。グリモア猟兵がこの駅の迷宮に彼等を誘ったのはこれを倒すためだろう。
「来る! 暴れ倒してやるぞ、ディロ!」
「行きましょう!」
 ナイツの小さな体から発せられる勢いと、ルナリリスの運命すら捻じ曲げそうな力が大蛇と衝突する。
「って、かってえ!」
『これは魂を固めた装甲のようだな』
 たった今弾かれたナイツの槍からそんな声が聞こえてくる。恐らくこの大蛇の姿の奥に本体がある。
「さいしょはこんなふうになるつもりじゃなかったよね……」
 ケルスティンは誰かを、魂を道具とする道具の成れの果てに複雑な表情を向ける。その人形の前でルナリリスがジリジリと大蛇を押し留めている。しかし人形に蓄えられた魂の集積が彼女の超自然力を超えんとする。
「くっ、ですが! ……あっ」
 不意に後ろに引いた大蛇によってバランスを崩された彼女は次の瞬間に丸呑みされてしまう。
「マジか……!」
『気を抜かないで、次はこっちよ!』
 ローアが指摘するよりも速く大蛇の大質量の尾が縦に振り下ろされてナイツを押し潰そうと迫る。
「きらめき、まもって!」
 しかしその強烈な一撃を押し留めたのはケルスティンだった。彼女の広げた光の盾は簡単には砕けない、ましてやこんな寂しい相手ならここで止めなければならない。それがきっとこの人形と、ここに置いた人の助けになると信じて。
「ディロ、仕事だ!」
 そして彼女が作ってくれた隙を無為にするナイツではない。ディロを槍投げのように放つとそれは赤龍となって大蛇の体へと激しくぶつかる。それと同時に大蛇の喉元が裂け、中からちょっとあちこち溶かされかけたルナリリスが飛び出してくる。それでも剣を手放していないのは流石というところか。
「危うく消化されるところでした……」
 とは彼女の弁。しかし彼女が命懸けで切り開いた大きな傷口は格好の弱点を相手に作り出したことになる。ディロはそこにめがけて大きく息を吸い込む。
『雑魚が、弾けろ!』
 ディロの放った炎のブレスが大蛇を内側から焼き、その身を焼き崩していく。そしてその中から現れたのはひび割れた人形だった。それを認めたケルスティンが小さな精霊銃を抜く。
「それがほんとうのあなたなのね」
 薄い魂らしきものが体から流れていくのを見る限り、大蛇の体はそれを防ぐための蓋のようなものでもあったのかも知れない。ケルスティンはぎゅっと銃のグリップを握りしめた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

甘恋・周宜
アドリブ連携OK

駄目だよ、キミに魂はあげられないからね
(ポールを出して、爪先を軽く地面に打ち付けて刃を出して)

オレのダンス、しっかりみてきなよ!
手にしたポールを地面に突き刺し、ポールダンスよろしく回転しながら蹴りを入れたり、ポールを人形に突き刺したりと攻撃

観客がキミ一人なのが勿体無いくらいだよねぇ

UCのジャンプも駆使しつつ、敵の攻撃を避けたり踵を打ち鳴らして炎をぶつける

あー、これもう燃やしちゃっても良くない? 大抵のものは燃やしたら解決するんだけど!
だめ?仕方ない、炎控え目でいくとしよっか!
(アクロバティックな蹴り技とポールの突き刺しで攻撃を繰り返し)

ねぇキミ、駅でずっと誰を待ってたの?




 手を伸ばし甘恋・周宜(Danse macabre・f33079)に近づいてくる人形に対し、彼は首を横に振る。
「駄目だよ、キミに魂はあげられないからね」
 念じて現れた金属棒を握り、爪先を床へ打ち付けてブーツの仕込み刃を出す。それはこの人形の虚ろな眼窩に最後の記憶となるパフォーマンスを魅せるため。
「オレのダンス、しっかりみてきなよ!」
 駆け出した周宜の動きを捕らえるべく人形の頭部は白いワニのものとなり、その大口で彼を喰らおうとする。
「させないよ!」
 手にしたポールを真一文字に突き出して迫る牙を押し留めて自分の代わりに噛ませると、それを支柱にしてくるりと回転し人形の横脇に飛び降りる。
「観客がキミ一人なのが勿体無いくらいだよねぇ」
 着地した姿勢から足を振り上げ靴の刃を人形の背に突き立てる。このまま燃やしてもいいかと思ったものの、それなりに思いの詰まったものではありそうなので思いとどまる。もっとも結果として破壊する事には代わりはないのでさほど結果は変わらないだろうが。
「……そろそろかな」
 これまでの猟兵の攻撃と人形自体の無理な変化で負担の掛かっていた相手の体から、割れるような音が小刻みに連続して響いてくる。おそらく程なくして人形は機能を止めるだろう。そうなる前に返事が無いであろう問いを彼は投げかける。
「ねぇキミ、駅でずっと誰を待ってたの?」
 しかしただの壊れかけの人形がそれに答えることはなく、次の瞬間には完全に壊れてしまうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『夜行』

POW   :    力いっぱい先頭で楽しむ

SPD   :    賑やかな中ほどで楽しむ

WIZ   :    最後尾でゆるゆると楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 人形が完全に壊れると、そこから残っていた魂たちがふらふらと這い出てくる。それは人形の残骸から離れる程に朧気ながら妖怪や人の形を取り、ホームから線路へとゆっくりと降りていく。その姿はどこか継ぎ接ぎにも見えて、それでいて自らのいるべき場所へ自らの力で行こうとしているようだった。
 線路に降りた彼等はゆっくりと、そして着実に躯の海へ続く鉄路を進んでいく。それは最後の旅路であった。それを見送る猟兵達は果たして何を思うのだろうか。
鳴上・冬季
「ふむ…死出の旅路か」
腕を組んで見送る

「我らは仙、大禍なくば死にもせぬ。あの葬列に加わらずに済むよう、修行を重ね不老不死を得たモノ。封神でもされぬ限り、2度とあの葬列に加わることはない。既に道を違えたゆえ、わかりたいとは思わぬ。わかるようでは仙に非ず」

「転生を重ね仙骨を育て、漸く仙へと辿り着いたのだ。2度とあの葬列には加わらぬ。帰るぞ、黄巾力士。既にここには用がない」
壊れた人形の消滅した場所を一瞥しマントを翻して去る


甘恋・周宜
ん-、終わった終わった、いい汗掻いちゃったねぇ
(伸びをして、電車がもうこないのなら魂が歩いて行く線路のホームの縁に座って、足をぶらぶらさせながら魂が向かう方向を見ている)
あの先に骸の海があるのかな、ついてったらオレも死んじゃうよねぇ
さすがにそれはできないかなー
(立ち上がって、ホームの白い線を踏みながら霊達が歩いて行く方向に向かう)
ああでも、いずれオレも過去になるのなら、いつかはそこに辿り着くのかもねぇ
(ホームの端っこ、白い線が途切れた場所で立ち止まってスマホを構えて)
ふふ、いいショット頂き
(線路の見えぬ向こう側の風景と、様々な魂の後ろ姿を写真に収めた)
それじゃ、ばいばい。良い旅を。



●清と濁
「ん-、終わった終わった、いい汗掻いちゃったねぇ」
 ぐいと背を伸ばしてホームの縁に腰掛けて足を揺らす甘恋・周宜(Danse macabre・f33079)。生温い風でも汗を多少は乾かしていく。彼の視線の先にはレールの上をゆっくりと歩いていく魂たちの行列が続いていた。
「あの先に骸の海があるのかな、ついてったらオレも死んじゃうよねぇ」
「ふむ……死出の旅路か」
「うわぁっ!? ……びっくりした」
 いつの間にやら周宜の背後に鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)の黒く長細い影が現れていた。腕を拱く彼は静かに彼等の行く末を眺めていた。
「アンタもあれが気になんの?」
「我ら仙にとってはあれは最早縁遠いものだ」
「あー、不老不死ってヤツ?」
「貴様こそあれに興味を引かれていたではないか」
「ジョーダン、流石にそれはできないかなー」
 言いつつも彼は立ち上がりホームの褪せた白い線を踏みながら彼等を追う。
「ああでも、いずれオレも過去になるのなら、いつかはそこに辿り着くのかもねぇ。アンタは?」
「我らは仙、大禍なくば死にもせぬ。あの葬列に加わらずに済むよう、修行を重ね不老不死を得たモノ。封神でもされぬ限り、二度とあの葬列に加わることはない。既に道を違えたゆえ、わかりたいとは思わぬ。わかるようでは仙に非ず」
 立ち止まった冬季はゆっくり遠ざかっていく周宜の背にそう言い切る。
「転生を重ね仙骨を育て、漸く仙へと辿り着いたのだ。2度とあの葬列には加わらぬ。帰るぞ、黄巾力士。既にここには用がない」
 外套を翻し黄巾力士を連れこの場から去る冬季。その去り際の彼の眼差しの先には先程絶えた人形の辺りに向けられていた。
「ま、オレは仙人じゃ無いからね」
 遂にホームの端に辿り着いた周宜はスマホを横に構え、合成されたシャッター音が鳴り響く。レンズが切り取ったのは線路の向こうの定かではない空間と、そこに向かう種々の魂の後ろ姿。
「ふふ、いいショット頂き」
 撮れた画像をその場で確認し微笑んでから、彼は顔を上げる。
「それじゃ、ばいばい。良い旅を」
 周宜は彼等を見送りながら転送されていく。そして残るのは静かな彼等の旅だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御堂・伽藍
歩みゆく魂たちの背中をじっと見送り

あのひとたちはゆく
自ら逝くべき海へ
わたしたちがいくべきところへ
我等が逝くべきだった水底へ

いまはそこへいけない
運命は我等を留める
かこをかこへとどめる
過去を海へ押し還す

そのままそのまま
おゆきなさい
水底で眠るが良い
時の海の底で

さようなら
さようなら
御然らば
御然らば

いつかわたしたちもそこへ
何時か我等も水底へ

またあいましょう
何れ其時に

思い思いの手を
去りゆく魂の背中に
そっと振る
最後の魂が逝くまでずっと…




 ふっと、人形の座っていたベンチに数枚の手のひらが置かれ、その持ち主の腰も降ろされる。剥げた塗料は粉の様に落ち、覗いた灰色の板は必要以上にたわんでいる。……御堂・伽藍(がらんどう・f33020)はそんな風にして現れ、レールの上を行く彼等をじっと見ている。

 あのひとたちはゆく
 自ら逝くべき海へ
 わたしたちがいくべきところへ
 我等が逝くべきだった水底へ

 がらんどうの中であるいはがらんどうの様な駅の墓場の中で四行詩が次々と生じて、そして流れていく。

 いまはそこへいけない
 運命は我等を留める
 かこをかこへとどめる
 過去を海へ押し還す

 ぽつぽつと泡のように生まれるその詩はゆくもの達に投げかけられて。波紋の様に広がり、そして収まっていく。

 そのままそのまま
 おゆきなさい
 水底で眠るが良い
 時の海の底で

 レールという川を伝いゆく彼等に子守唄のように。そこに激しさはなく只々静寂が広まっていく。

 さようなら
 さようなら
 御然らば
 御然らば

 いつかわたしたちもそこへ
 何時か我等も水底へ

 詩が終わると同時に彼等の最後尾が見えてくる。彼等に向けて伽藍は小さく別れの言葉を投げかける。
「またあいましょう、何れ其時に」
 自らの六腕をそっと振り彼女は去りゆくものたちに手を送り出す。その姿が完全に見えなくなるまで、ずっと、ずっと。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月26日
宿敵 『虚ろな人形』 を撃破!


挿絵イラスト