ベリーハードの財宝奪取劇
●蝶々は眠らない
陽の昇らない暗夜の世界に月光蝶が舞っていた。
ここは妖精の隠れ里。秘められし財宝を求めて侵入したラウムは、妖精を逃がさぬよう世界を宵闇に染め込んだ。
月光を浴びてにゅるにゅると急速な成長を遂げた植物。名をライフルベリーという。近づくものを察知して実を飛ばす性質から、盗賊達はアジトの獣除けとしてよく使っているそうだ。
「ここでも役に立って頂戴ね。ふふ……じゃあ行きましょう。妖精の財宝も、この私、ラウムにかかれば――」
悪夢の種はばら撒いた。ラウムは瞬く蝶を供として、扇を翻し夜を歩く。
●アックス&ウィザーズ・13thラウンド
「実を飛ばす植物……なんだかとても痛そうです! というわけで今日もまたフェアリーさんが襲われました!」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は連日グリモアベースを訪れている。予知が無くとも、猟兵達の動向を知ることで世界の大まかな動きを掴むことができるからだ。
さて、近頃はアックス&ウィザーズの事件が頻発している。今日もまたロザリアはフェアリーの危機を告げていた。
「今回フェアリーランドに侵入したオブリビオンは『ラウム』という夜闇の盗賊団のボスのようです。ですが、フェアリーランドで行動しているのは彼女一人だけ……何か秘密があるのでしょうか」
盗賊団は何処へ――。しかし一人だというなら、予知により行動を先に押さえられる今がチャンスとも言える。
「とりあえず皆さんにはいつものようにフェアリーランドへ向かっていただきたいのですが、今回の悪夢はライフルベリー群生地となっていまして……近づくと硬いベリーの実を弾丸のように飛ばしてくるようです。注意して進みたいですね!」
群生地を越えた先にラウムがいると思われる。そのため猟兵達は何とかしてこの群生地を越えていかなければならない。
「春は植物が生い茂る季節でもあります! ライフルベリーなんかに負けず、力いっぱいいきましょう!」
沙雪海都
沙雪海都(さゆきかいと)です。
なるべく使用回数の少ないフラグメントとか使っていきたい勢です。
●フラグメント詳細
第1章:冒険『ライフルベリー群生地』
ライフルベリーという、1メートル後半くらいの植物の群生地です。
連射能力は低いですが数が多いのでやっぱりマシンガンレベルになると思います。
第2章:ボス戦『『夜闇の盗賊団のボス『ラウム』』』
こんな衣装で盗賊団のボスなんて無理でしょ……。
さておき、ボスはフェアリーランドの財宝とされる何かを探していますので、奪われないように倒しましょう。
●MSのキャパシティ
のんびりやります。以上!
第1章 冒険
『ライフルベリー群生地』
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POW : ベリーの弾丸を必死にこらえる
SPD : ベリーの弾丸を器用に躱す
WIZ : ベリーの弾丸を理論的に防ぐ
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
李・玉明
アディ姐&ダフ姐(f32190)の姐々ズと一緒に参加なのじゃ!
えっと。アドリブ歓迎? なのじゃ!
「むっふっふー。盗賊退治など、妾たちにかかれば簡単なのじゃ!」
大好きな姐々たちの役に立てると思うと、機嫌がよいのじゃ!
妾はまだ戦えないけど、頑張るのじゃー!
ライフルベリーとやらも自然の一部。妾の美しさにかかれば簡単なのじゃ!
「キラッ! なのじゃ♪」
妾の美しさに見惚れるがよい! と、視線を向けて攻撃をやめさせるのじゃ!
ほんのちょっとだけじゃが、少しの時間があればアディ姐が何とかしてくれるのじゃ!
うむ! もっといっぱい、姐々の役に立てるよう、頑張るのじゃー!
(※痛みに慣れてないので、被弾したら泣きます)
アディリシア・オールドマン
妹のユイミン(f32791)と参加する。
アドリブ歓迎だ。
「ふむ……」『アディ?』「大丈夫だ、わかっている」
ユイミンは初めて鉄火場に足を踏み入れるからな。
姉は妹を守るものだ。不慣れだが、傷つけぬように考えて動かなければならん。
ダフネに身体を委ねると暴れ狂うから、私だけで対処しなければならん。
過保護か? そうだな。
「今は守る時だ」
バシリッサとモロクの防御力を利用して、ベリーの弾丸をすべてこの身に受けるとしよう。
ユイミンが隙を作ってくれるので、刃を鎌に変えたアングルボザで草刈りをして進むぞ。
……ここが宵闇の世界でよかった。日差しの中だと、辛抱たまらんところだった。
『ほら、アディ。次来るよ?』「うむ」
●ベリーハードでニューゲーム
初めての冒険に心躍らせる李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)はフェアリーランドに飛び込むと、場の空気を味わうべく両手をぐぐーっと頭上に伸ばしながら大きく息を吸い込んだ。
少しひんやりとした空気が体の隅々まで巡って、思考が冴え渡る気がした。
「むっふっふー。盗賊退治など、妾たちにかかれば簡単なのじゃ!」
自信満々、胸を張る。そこへ追うようにアディリシア・オールドマン(バーサーカーinバーサーカー・f32190)が落ちてくる。重厚な甲冑をがしゃりと鳴らし、片膝ついて着地した。
「ふむ……」
場慣れしたアディリシアはフェアリーランドに到着すると、周囲の様子を観察していた。飛び込んだ先が即ライフルベリー群生地という可能性もあったが、件の場所はやや遠くに大きく広がっている。
『アディ?』
「大丈夫だ、わかっている」
内なる声に呟いて返答する。声の主、ダフネが気に掛けているのは他ならぬ玉明のことだった。
戦地へ赴くのは今回が初となる。猟兵の力を持っているとは言え、近所の公園にデビューしに行くのとはわけが違う。
今のアディリシアには姉として玉明を守る責務があった。玉明にとって今回の作戦が良き思い出となるように、立ち回りをしっかり考えておかなければならなかった。
獅子は我が子を千尋の谷に落とす、という言葉もあるが、愛情という大義名分で玉明を渦中に放り込むわけにはいかない。それを過保護と嘲る者が居るならば、アディリシアは甘んじてそれを受ける覚悟があった。
「妾も大好きな姐々たちの役に立つからの! よぅし、頑張るのじゃー!」
「頼もしいな。期待している」
アディリシアが言葉をかけると、玉明はにひひと笑っていた。
玉明には寵姫の力がある。だが効力を発揮させるためには、ライフルベリーの射程まで近づかなければならなかった。
「今は……守る時だ」
アディリシアは自らに言い聞かせながら、甲冑に大盾を構えて身を固め、先陣切って群生地に近づいていく。ライフルベリーはアディリシアの接近を察知して茎をくるりと回すと、へたがバネの役割を果たしてぼぽんと固い実を発射した。
実は丸く、大粒の散弾だった。それが一斉に襲ってくるのをアディリシアは一身に受ける。ガンゴンガンと耳元で反響する衝突音がやかましかったが大盾は決して下ろすことなく、射撃が止むのを待っていた。
「今のうちに。キラッ! なのじゃ♪ 妾の美しさに見惚れるがよい!」
玉明はアディリシアの陰に隠れながら、動きを見せるライフルベリーをぐるりと一瞥して魅惑の視線を向けた。すると、視線を受けた端から順にベリーの雨がぴたぴたぴたっと止まっていく。
「アディ姐! 今なのじゃー!」
「よし……ぉぁあっ!!」
アディリシアは赤黒い長剣を鎌の形に変えて、太い茎の根元部分を思い切り薙ぎ払い、ライフルベリーを刈り取っていく。切り離された茎はぱたりと倒れてもう動かない。
群生地に道を拓いて飛び込んでからは時間との勝負だ。玉明の瞳の力もいずれ効果が切れる。挟み撃ちにされる前に群生地の奥へ進まねばならなかった。
『ほら、アディ。次来るよ?』
「うむ」
そしてアディリシアがライフルベリーを刈って進めば、玉明の視線をまだ受けていない新鮮なライフルベリーが顔を出す。追加射撃に対してはアディリシアががっちりと体で受け止め、その隙に玉明が視線をぶつける、という連係プレーで凌いでいた。
「アディ姐! これはどこまで続くのじゃ!?」
「わからない……が、まだまだありそうだ」
「なんと! ではでは、妾はもっといっぱい姐々の役に立てるよう、頑張るのじゃー!」
「無力化は……任せる! はっ!」
アディリシアは鎌を下から斜に振り上げ豪快にライフルベリーを刈り飛ばす。二人がいるのは群生地のおよそ中央部だが、ここまで来たら玉明には目一杯働いてもらうしかなく、アディリシアはそれを短い言葉に託すしかなかった。
尤も、玉明はやる気も気合も十分で、もはや立派な猟兵として立ち回っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
泉・星流
ライフルベリー群生地…の入り口にて…
『GWB』を『つーーーー』…というような感じで群生地の中へ飛ばし、ライフルベリーの反応に…
…話に聞いた通り…だね…
『拠点防御・制圧射撃・弾幕』とか持ってそうな光景を見て、そんな事をつぶやく
行動
防御を固めて一気に突っ切るしかないか…
指定UCを使用【全力魔法】…金属製…もとい、鋼属性の硬質的な箒を創生し【属性攻撃】、自分の周囲を(何重・何層に分けて)旋回させてライフルベリーの実の弾幕を防ぎつつ【念動力・拠点防御・範囲攻撃】、『ハーレー』に乗って群生地を突っ切る【運転・操縦・騎乗・空中戦】
さらに旋回する箒を抜けてきた場合も考え自身に【オーラ防御】
●ぶっ飛ばせ群生地の果てまで
ライフルベリー群生地の前に立った泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)は、ライフルベリーの挙動を確かめるべく魔法の箒を走らせた。弧を薙ぐ軌道で箒を近づけると、ライフルベリーは一斉に箒へ向けて実を発射する。数撃てば当たる理論なのか、それとも箒という的が彼らにとっては小さかったのか。実の大部分は箒の軌道を追いながらも飛び抜けていき、いくつか当たったものがくらくらと箒を揺らした。
「話に聞いた通り……だね……」
戻ってきた箒を左手でキャッチし、納得の感想を漏らす。猟兵が持つ技能に当てはめて考えれば、拠点防御・制圧射撃・弾幕――そんなところか。
ライフルベリーの攻略法として星流が考えたのは防御を固めての一点突破。倒れるほど撃たれる前に一気に突っ切って敵の元まで。スピードとパワーが要求される。
『想像より僕の魔力を得て形を成せ……』
想像するのは空飛ぶ箒だ。金属製、もとい鋼属性を付与した硬質の箒を大量に創造する。魔力は全力で込めて限界まで硬さを極めた箒が出来上がる。
そして星流は『ハーレー』に乗ると、創造した箒を自分の周囲へ何層にも重ねて旋回させた。箒のバリアに包まれたような格好だ。無数の箒に囲まれて外側からはもうほとんど星流が見えない。
「後は、箒を抜けてきた時のことも考えて……」
星流はオーラを纏い、準備完了。エンジン噴かせ、箒達と共に弾丸のように飛び出した。
前を守る箒に反応し、ライフルベリーの射撃が始まった。弾け飛んできた実が箒に打たれ、ライフルベリーへと跳ね返っていく。たまたまぽこんと当たったものもあったが、打ち返された実は威力も弱まりライフルベリーを倒すには至らない。
そして前を行く箒は防御に加えて道を開拓する役目も担っていた。ライフルベリーの茎をべきべきと薙ぎ倒して進路を作り、そこを星流が勢いよく突き抜ける。通過して後ろに回ったライフルベリーも星流が射程にいる限りは弾幕を止めず、護衛の箒達とバチバチやりあっていた。
星流は前方一点のみを集中するように睨みつけながら飛んでいたが、そこへひゅっと脇からライフルベリーの茎が飛んできた。箒で押し曲げられたものが反動で戻ってきたのだ。
箒に打ち据えられながらも耐えてきた猛者だ。星流の至近まで立ち上がってくると、満を持して実を放った。箒の守りの内側だ。星流を守るのは一枚のオーラのみ。
「――っ!」
左肩に押し付けられるような衝撃を覚えた。姿勢が傾きかけたところ、操縦技術で持ちこたえてライフルベリーを背後に見送る。
危ういところだったが集中力を切らすことなく、星流は一直線に進んでいく。爆速で飛ばす星流がライフルベリー群生地を抜けるのはもう間もなく――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『夜闇の盗賊団のボス『ラウム』』』
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POW : 扇一閃
【扇】が命中した対象を切断する。
SPD : 死の乱舞
自身の【瞳】が輝く間、【扇による斬撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 闇夜の盗賊団
レベル×1体の【盗賊】を召喚する。[盗賊]は【盗み】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
イラスト:ひろしお
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ラウラ・クラリモンド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●盗賊は舞う
ラウムは常に華麗な仕事を心掛ける。滅多矢鱈に漁り回るのは美しくない、ということだ。
故に、彼女が「ここだ」と思う場所まで淡々と歩き続けていた。
「この辺りにも……なさそうね」
盗賊団の頭としての直感が宝の有無を告げる。結局のところ、ライフルベリーをばら撒いてから今に至るまで、宝があると感じたところは無かったのであった。
「じゃあ、次――あら、まさか」
何という訳でもなく念のため、と撒いた種が、本当に敵の襲来を告げるとは。
「見つかっては仕方ないわね……では、遊びましょう? 猟兵さん」
アディリシア・オールドマン
妹のユイミン(f32791)との参加を継続する。
アドリブ歓迎だ
「お前がラウムか?」
グリモア猟兵ロザリアから聞いたオブリビオンで相違ないな?
そうか、よし。ならば敵だ。粉砕する。
単騎なら何も考えずに突撃するところだが、ここで理性を失うのは、拙いな。
『怖がれはしないだろうけれど、ユイミンを巻き込んだらダメだもんね』うむ。
ならば、まあ。一緒に、素面で叩き潰すのが最適だろう。『うん。……行くよ!』
「『オルタナティブ・ダブル!」』
「私」と『わたし』が並んで「戦おう」『戦うよ!』
こちらの手は四つ。斧、剣、刀、軽機関銃。
二人で分けて、存分に振るうとしよう。
「当然『ユイミンは守る』うむ」
連続攻撃ごと捻じ伏せる!
李・玉明
姐々ズ(f32190)と一緒じゃ!
アドリブ歓迎なのじゃ!
「お主が悪い盗賊じゃな! 妾と姐々たちが成敗してくれるのじゃー!」
うむ。見目麗しい盗賊頭と聞いていたが、なるほど!
妾の方が美しいのじゃ!(※自尊)
頭に喚ばれてきた盗賊たちよ! 妾にメロメロになってもよいのじゃよ?
それでは妾は妾の役目を果たすのじゃ!
「妾の歌に聞き惚れるのじゃー!」
歌って踊って、姐々たちを応援したり、盗賊たちを釘付けにするのじゃー!
頑張れ、アディ姐ー♪ 頑張れ、ダフ姐ー♪ 悪い奴を吹っ飛ばすのじゃー♪
盗賊たちも、反省するなら許してやるのじゃー♪
姐々たちにボッコボコにされる前に、降伏するのじゃよー♪
(※無邪気に楽しく踊ります)
●背負う者の強さ
「お前がラウムか?」
甲冑から少し籠った声が響く。
「えぇ、そうよ。猟兵にも名が通っているなんて……少し驚きだわ」
「敵情報を掴むことに長けた猟兵がいるのでな」
グリモア猟兵に聞いた通り、目の前にいる踊り子のような褐色肌の女こそが悪夢を引き起こしたオブリビオン。
「お主が悪い盗賊じゃな! 妾と姐々たちが成敗してくれるのじゃー!」
アディリシアの隣では玉明が元気に威嚇する。ここに来るまでの冒険で猟兵の何たるやが少しわかってきたようだ。
「それにしても……むむ」
玉明は改めてラウムをまじまじと見つめる。頭のてっぺんからつま先までざっと二往復すると、ふふん、と口角を上げて、
「妾の方が美しいのじゃ!」
大満足の勝利宣言。横でアディリシアがひっそりと首肯する。ラウムは勝ち誇る玉明の表情を眺めて、ベールの下で薄く笑んだ。
「大人の魅力がわからないようではまだまだね。せっかくだから教えてあげたいところだけど、そうもいかないでしょうし……」
ラウムは扇を水平に構える。金色の瞳が俄かに輝き始めた。
戦いの幕開け――アディリシアが先に察知する。普段なら何も考えることなく突撃するところだが、今は玉明が共にいる。
『理性を失って力を振り回すのは……怖がられはしないだろうけれど、ユイミンを巻き込んだらダメだもんね』
「うむ」
万が一にも玉明が傷つくことがあってはならない。アディリシアとダフネの絶対遵守事項だった。
話は決まった。アディリシアが駆け出していく。ラウムは素面で叩き潰す。それが最適解。
「『オルタナティブ・ダブル!」』
内なる声と重なってアディリシアから別人格となるダフネが生じた。二つに分かれようとも想いは一つ。
「当然――」
『ユイミンは守る!』
「うむ」
「あら、増えるのね……。ならこっちも――団員達、出てらっしゃい」
ラウムが従えるのは闇夜の盗賊団。その団員たる盗賊がラウムの周囲に召喚された。スカーフで顔を隠した軽装の盗賊達は皆、ダガーを手に構えていた。
「ぬぅぅ、盗賊たちを喚んだのじゃな! ならば妾は妾の役目を果たすのじゃ! 頑張れ、アディ姐ー♪ 頑張れ、ダフ姐ー♪ 悪い奴らを吹っ飛ばすのじゃー♪」
盗賊の群れへと飛び込んでいく二つの背中に玉明は目一杯の応援を送る。言葉は調子をつけて歌に変え、両手両足を躍動させて歌に合わせたダンスを披露。チアリーディングよりは少しばかりほんわかと、玉明の雰囲気が現れていた。
アディリシアとダフネの二人にとって、玉明の応援は何よりの活力剤だ。甲冑を着込むアディリシアが力強い踏み込みを見せ、ダフネは軽機関銃を手にして後方からの制圧に動く。
盗賊達は素早くアディリシアを囲んでいく。ダガーが雨のように突き立てられていくが、アディリシアの甲冑は固く刃の侵入を阻む。
ダフネの銃撃が始まった。アディリシアへ近づく者達へ向けて弾幕が張られると、それを嫌ってか盗賊達は一斉にアディリシアから離れ飛び退いていく。アディリシアはダフネが向けた弾幕の後を追って盗賊達を押し込み、斧と剣の異種二刀流で強引に斬り込んだ。円運動の薙ぎ払いが盗賊達を纏めて上下に切断する。
「盗賊たちも妾にメロメロになって動きが鈍っているかのー? 反省するなら許してやるのじゃー♪ 姐々たちにボッコボコにされる前に、降伏するのじゃよー♪」
アディリシアとダフネ、二人の活躍を目の当たりにして玉明は気分が盛り上がり、無邪気に降伏勧告など出していた。言っている傍からアディリシアとダフネが暴れているので、多分降伏宣言は意味を成さないだろう。
「ああもう、使えないわね……」
盗賊達の不甲斐なさにラウムは小さく舌打ちし、自らアディリシアに仕掛けにいった。瞳に輝きがあるうちは扇の攻撃速度が上昇する。
「――む」
盗賊の一団を薙ぎ散らしたアディリシアにラウムが迫り、扇で鋭く斬りつけた。剣で一撃受け止めたが翻ってくる斬撃は速く、斧も使って二刃で守りに入らざるを得なかった。
それでもまだラウムの攻撃は加速する。捌ききれない斬撃が甲冑にガツガツ突き刺さってきた。守りが固い分耐えているが、圧が強くじりじりと後退る展開となる。
「アディ姐ー負けるななのじゃー! 妾がついてるのじゃー♪」
一転、押し戻される戦況にも玉明は変わらず声援を送る。アディリシアが背負うのは何物にも代えがたいもの。後退った足に力を込め、全身で扇を受け止めにいった。
「この程度の軽業……捻じ伏せてくれる!」
斧と剣を高々と振り上げた。扇の連続斬撃が体に直撃するが、アディリシアは衝撃に耐えて弾き返す。
「止まりなさいっ――」
扇は無限の軌道を描くが、アディリシアは微動だにせず、兜の奥の双眸で睨む。
恐怖するか、恐怖せず立ち向かい続けるか――どちらにせよ、ラウムがアディリシアに捕まることには変わりない。
両刃がⅤの字に振り落とされて、ラウムの両肩が裂き散らされる。
「――いやああぁぁぁ!!!」
一撃は重くラウムにのしかかり、風に靡きやすそうな体は軽々と吹き飛ばされた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニクロム・チタノ
うん、出遅れたね
ボクも急がなくちゃね
重力領域を掛けて接近攻撃を仕掛ける、初撃を防がせて金剛輪転ゴルディウスを剣に変えてカウンターだよ!
油断なく、容赦せず行くよ!
反抗の竜チタノの加護と導きを
●チタノカウンター
様々な事件に顔を出すニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は歯噛みしながら駆けていた。
この事件も話には聞いていたのに、出遅れてしまった――と。
並々ならぬ使命感。猟兵の鑑であった。
反抗の妖刀を抜く。同時に金剛輪転ゴルディウスを取った。球形のそれを剣に変え、反抗の竜チタノに祈る。
「反抗の加護と導きを――」
ニクロムは重力場を放っていった。扇を手に向かってくるラウムの足が不意に止まり、かくんと膝が崩れて落ちる。
「く……体が、重い……」
見えざる手で頭から押し潰されている感覚だった。無理に力を入れて跳ね返そうとすると、受けた傷口が開く。
それでも腕の一本くらいは動かすことができるだろう。扇の一撃は強力だ。だからニクロムは二段構えでラウムへと刃を向けた。
妖刀を振り下ろす。刻み込まれた傷口をなぞってくる軌道に、ラウムは扇を片手で振り動かして防御に入った。たかだか扇だが盗賊団のボスが愛用する得物。妖刀を正面から受け止めていた。
それをさらにカウンターするのがニクロムの真の狙いだった。もう一振り、剣を逆側から薙いでいく。それも扇で受けようとすれば妖刀が食い込んでくる。ラウムに防御の術はない。
「あ――ぁあっ!!」
二本の斬撃の跡と交差するように水平な傷がラウムの滑らかな腹部に刻まれ、ラウムは苦悶の声を上げた。
大成功
🔵🔵🔵
泉・星流
…やりづらい相手だな…
戦闘とかの相性とかの話じゃない…相手が落ち着いた雰囲気の女性(しかも目のやり場に困る…性格や容姿がオブリビオンらしかったら、また変わったんだろうが…)
戦闘
基本的に距離を置き、BRを使用しての魔力弾攻撃
【範囲攻撃・乱れ撃ち・弾幕】で相手を牽制して近寄らせないようにする
(近接・扇攻撃前提)
何かしらの遠距離攻撃があれば、【全力魔法+オーラ防御】での魔力の障壁で防御
盗賊団を召喚したら指定UCを使用し、相手を粘着弾で拘束【捕縛・全力魔法・属性攻撃】
ラウムを粘着弾で拘束したら、降参を促す
拒否されたら別のUC『エレメンタル・ブルームマジックフィールド』を使用、傷つける事無く氷漬けにする
●どの道を辿ろうとも
ラウムは手強い。星流は頭を悩ませる。
戦闘の相性はどうだか。それよりもまず先に、ラウムが落ち着いた雰囲気の女性であったことが厄介だった。
見た目や中身が化け物染みていればまた違ったのかもしれない。オブリビオンも多種多様ということだ。
「団員達……もう一度、私を守りなさい!」
ラウムは深手を負い、戦闘を一旦召喚した盗賊に任せて引き下がる。顔を覆うスカーフにダガーというチープな盗賊達が星流の前に立ち塞がってきた。
裏を返せば身軽とも言う盗賊達は素早く星流に近づいてくる。接近戦は彼の戦場ではない。魔法の箒、BroomRodから魔力弾を乱れ撃ち盗賊達を牽制した。
近づいては魔力弾に追い返され飛び退く。盗賊達は一進一退を繰り返していくうちに、ばらけた陣形が次第に纏まりつつあった。
「……よし」
頃合いだ。星流は最後の魔力弾を放つと、箒を垂直に振りかざした。
『壊したり傷つけたりするばかりじゃ無い……こういうのも使えないと駄目だっていうのを教えてあげる』
箒の先から噴水の如く魔力弾が放出された。それは先の物と同じに見えて、その実、殺傷能力を持たない拘束弾。盗賊達に降り注いでべちゃりと体に貼り付き両腕の自由を奪う。
粘液に絡め捕られた盗賊達はバランスを崩して地面に転がり、接着して動けなくなってしまった。
「あなたにも――お見舞いだよ」
箒の先をラウムに向けた。盗賊達が全て無力化され、ラウムは扇一つで立ち向かわなければならなかった。
放射状の魔力弾が箒から迸る。同時にラウムは駆け出していた。魔力弾を全て掻い潜れば勝機があると踏んで、ラウムは自身の身のこなしに賭ける。
左右にステップを踏んで魔力弾を翻弄する。地面にべちゃべちゃと着弾して粘液が広がっていた。役立たずの盗賊達を乗り越えて間合いを詰めながら痛みを必死に殺そうとしていた。
盗賊団のボスらしからぬ乱雑な動き。それだけ我武者羅に突き進んでいた。全ては猟兵を倒すという悲願の為に――。
「……しまっ――!」
ぐるりと迂回して背後から飛んできた魔力弾までは回避することができなかった。背中から腕へと粘液が広がっていく。腕を触れなくなりバランスが保てなくなったところへ上から、横からと魔力弾が殺到し、一気に粘液塗れになった。
縺れた足で地面に突っ伏すように倒れ込む。硬い地面の上で降りかかる声を聞く。
「これで僕達の勝ち……大人しく降参してよ」
「何を……言い出すかと思えば……。猟兵に、降参? するわけ……ないで、しょう……」
ラウムは粘液の中でもがいていた。千切り飛ばせればそのまま星流を斬ってやる、と言わんばかりに首を傾け睨みつける。
降参したとて猟兵達が彼女を見逃せばフェアリーの命が失われる。ならば結局、結末は変わらず交渉には何の意味もない。それはラウムが一番よくわかっていた。
「……そう、なら」
星流は静かに呟く。
『魔牢形成し魔封殲滅せよ……僕の箒達……』
空に氷属性の箒が浮かび上がってきた。箒はラウムの周囲に配置されて結界を成し、一瞬にして彼女の体を氷結させる。
これ以上ラウムが傷つくところは見たくない。そう思い傷は与えず、力のみを封じ込める。
氷の中に閉じ込められたラウムは何かを言いたげに口を大きく開けていたが、氷に入ったヒビは彼女ごと全てを砕いていった。
大成功
🔵🔵🔵