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猟書家の侵略~剣鬼紅涙之秋

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 結納を届ける日だった。
 それは箪笥、長持から、針箱の類まで取り揃えて「とや」を待ってくれているという、我が道場と同じく賑々しく慌しい空気に包まれた、妹の嫁ぎ先を見る日だった。
「おお、御仁はかの道場の……お名前は聞き及んでおりまする」
「あの厳しい師範が、褒め言葉を口になさる程の腕前だそうで」
 先ず、気爽な笑顔で迎えてくれた取次人を斬った。
 妹が繕ってくれた着物を返り血で汚しつつ、次いで「何事か」と走り来た者を斬った。
 それから己の侵入を阻む者を、刀を止めに来た者を、「狂ったか」と叫ぶ者を切伏せ、血濡れた草履で道場に踏み入り、手練れと思しき者達も次々に斬り捨てた。
「莫迦なッ、此度の婚姻は双方の合意であった筈……ッ」
「道場と道場の結びつきを強め、共にきのたけ藩を支えんが為の……!!」
 刃が骨肉を断つ音を聴きつつ、彼等の言は聢と聞いている。
 そう、彼等は数日後には妹の家族となり、己にとっては兄弟となる道場の門下生達で、今ちょうど刃に掛ける男が、妹の夫となる男だと言うことも、全て、知った上での事だ。
「御仁、正気か!! 刃傷沙汰となれば、そちらの道場も取り潰……グァ、ッ!」
 熱い血潮を浴びつつ、無言を以て「是」を示す。
 とやが嫁ぐ事で結ばれる道場の者を斬れば、己が長く世話になった道場も取り潰され、嫁ぐ先を失ったとやにも明るい未来は無かろう。
『――……嗚呼』

 嗚呼、妹の未来を殺して終った。
 嗚呼、おれが妹を殺して終った。

 全て知った上で振われる刀が、遂に道場の師範を、妹の舅となる男を斬り伏せる。
 数多の命を屠った刀は軈て血の海を作り、あかい水面に「鬼」の姿を映していた。


「猟書家の幹部の一人、『刀狩』の意志を継ぐオブリビオンの新たな動きを捉えた」
 クルセイダーの目論む「江戸幕府の転覆」を実現すべく、此度の敵も堅強な戦力となる者を集めているようだが、其が極めて冷酷な方法であるとは、『刀狩』と戦った事がある者なら知っているだろうと、枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)が白銀の睫を猟兵に向ける。
「連中は素質ある者を狂気に洗脳し、親しい者を殺させる事で闇の淵に引き込むのだが、此度、洗脳された男は『遠夜』(とや)という娘が嫁ぐ先の者を皆殺しにしてしまった」
 夫や舅だけでは無い。
 剣士は悲鳴を聞いて駆け付けた門下生達――いずれ家族や兄弟弟子となる者達を次々と斬り捨てると、悉く殺してしまったところで我に返り、絶望と共に「鬼」と化した。
「そうして元の道場にも帰る事の許されなくなった、謂わば『彷徨える剣鬼』を誘うのが男が手に握る妖刀で、これこそが惨劇を招いた張本人……敵のオブリビオンだ」
 全てが仕組まれた罠。狡猾な策略。
 人の心を自在に操る敵の奸智に脣を結んだ帷は、交睫ひとつ置いて願い出た。
「猟兵である君達には、剣士がクルセイダー側に渡らぬよう、手助けを……具体的には、彼の手からオブリビオンが憑依した刀を落として欲しい」
 先ずは剣鬼と化した妖剣士と戦い、彼を操る刀を切り離す。
 男の手から刀を落とすだけで、彼は正気を取り戻し、此度の首魁が正体を現すのだが、極めて厳しい鍛錬と精神修養を欠かさなかった男が、更に剣鬼と化した今、唯だそれだけの事が、途方もなく大変なのだ。
「君達は剣鬼と刃を交えるだけでも大変と思うが、もし彼を思う心があれば、せめて慰みの声を掛けてやって欲しい」
 心は鎖されているが、声は届く――。
 猟兵の技量が上回るか、或いは説得が成功すれば、剣鬼は刀を手放す事が出来る。
 そして使い手から離れた刀は、憑依を解いて正体を暴くのだが、どうにも厄介な相手だとは帷の表情が示そう。
 脣を滑る言は棘の如く鋭くなって、
「此度の敵は何やらモノに憑依するのが得意らしく、今度は近隣にある城と融合合体し、人型に変形して襲い掛かってくる」
「城に」
「城だ」
 そう、決戦の相手は途轍もなく大きい。
 故に猟兵は、正気を取り戻した剣士と共に、強敵に立ち向かって欲しい、と――全てを言い終えた帷は、ぱちんと弾指してグリモアを喚ぶが、ここで「ああ、そうだ」と科白を付け足し、
「紅涙の剣鬼。彼に実妹は居ないそうだ」
 果してどういう事だろう。
 云って、猟兵を光に包んだ。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、猟書家の幹部の一人『刀狩』の意志を引き継いだオブリビオンの侵攻を食い止める「妖刀残酷伝」シナリオ(難易度:普通)です。

●戦場の情報
 サムライエンパイアの九州地方のどこかにある「きのたけ藩」の城下町。
 第一章できのたけ城下のとある道場(とやの嫁ぎ先である道場、屋根のある板間の室内)、第二章で城の内外に戦場が変わります。

●シナリオ情報(二章構成です)
 第一章『憑き刀』(ボス戦)
 力と引き換えに命を喰らう呪われた刀で、使い手とその周囲に不幸を振り撒きます。
 この刀を剣士の手から落とすと、剣士は正気に返り、幹部が姿を現します。

 ちなみに遠夜(とや)は道場の一人娘で、腕の立つ剣士の男を「あにさま」と呼ぶほど慕っていましたが、道場同士の絆を結ぶ今回の縁談を、お家の為に藩の為に受け容れました。

 第二章『最強無敵究極天魔城』(ボス戦)
 巨大戦闘兵器オブリビオンがきのたけ藩のスギノコ城と融合合体して登場します。
 内部では侍オブリビオン、忍者オブリビオン等が人力で絡繰りをゴリゴリ動かしており、城の内外より攻める事が出来ます(本来、中にいた人々はポイッと排出されるようです)。

●プレイングボーナス『正気に返った妖剣士と共に戰う(第2章)』
 このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
 正気を取り戻した妖剣士は、凄まじい怒りと恨みの力を纏って幹部に襲いかかります。その力は鬼神の如く、決して猟兵に後れは取らないでしょう。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。
 また、このシナリオに導入の文章はございません。オープニング公開後、すぐにプレイングを募集致します。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 ボス戦 『憑き刀』

POW   :    主喰いの武具
戦闘中に食べた【自身を装備している者の寿命】の量と質に応じて【纏っている妖気が増大し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    憑依カミヤドリ
【自身を装備している者の理性を侵食する】事で【装備者は凶悪な妖剣士】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    仮初の使い手
【装備者が戦えなくなると代わりに武人の死霊】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠田抜・ユウナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

水鏡・怜悧(サポート)
詠唱:改変・省略可
人格:アノン
NG:エロ・恋愛
「楽しめそうだ」「美味そうだな」「ヒャハハハハ」
行動優先順は1.NPC含む他者の救助、2.攻撃。ホントは敵を喰う方を優先してェんだけど、ロキが煩せェからな。
UDCを纏って獣人風の格好で戦うぜ。速度と勘を生かして攻撃を避けつつ、接近して爪で切り裂くか噛みついて喰うのが得意だ。UC使った遠距離攻撃もするが、銃はちょっと苦手だ。牽制に使ったりはするけどな。
技術的なヤツとか、善悪論とかは苦手だし、興味もねェ。楽しく殺して喰えれば満足だ。喜怒哀楽は激しい方だが人として生きた経験は短けェからな。価値観とか常識は知らねェよ。まァヤバイときはロキが止めるだろ。


箒星・仄々(サポート)
『(お日様の下で丸くなって微睡んでいる)』
 ケットシーのシンフォニア×マジックナイト、13歳の男です。
 普段の口調は「真面目な猫(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、寝言は「猫である(我輩、キミ、にゃ、にゃん、にゃあ、にょ?)」です。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ジェイソン・スカイフォール(サポート)
おもに「正当防衛」「衛生小隊」を使ってメイン参加者の援護を行います。

▼行動例

「下がってください!」
メイン参加者が不利な状況に登場し、かばう。ボス敵の相手を引き受け、味方が態勢を立て直すための機会をつくる。

「救護します!」
衛生小隊にボス敵の牽制を命じ、その隙に、負傷したメイン参加者を安全圏に撤退させ、応急手当を行う。必要に応じて「生まれながらの光」で治療する。


四軒屋・綴(サポート)
※口調
・語尾に「ッ!」がつきます(重要)
・敵には『貴様ッ!』
・一般人には『貴方』
・『~なのだなッ!』
・身振り手振りを多用します

※台詞例
・「仲間の為ならえんやこらッ! だッ!!」(だんだん《!》が多くなります)
・「良い夜だな、ご令嬢"フロイライン"。」(ルビを《"○○"》の形で振ります)

※行動例
・「なるほどッ! 了解だッ!!」(素直)
・「流石だ○○さんッ!」(サムズアップ)
・「生憎だがな、貴様達は此処が『終点』だッ!!」(それっぽい台詞)

ヒーローであろうとする一方、自分のことをヒーローとは呼ばず、正義を名乗る敵には一層の憎悪を抱く、ヒーローの仮面を被った面倒な奴です。

被弾とか破損とか全然OKです


数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。



「――あの劔士を助けろって?」
 道場の門下生を、師範代を、師範を、何もかも殺してしまった紅涙の劔鬼を倒すで無く「助けろ」とは無茶を言う、と冷艶のテノールが喫驚と溜息を交える。
 聲の主、屍山血河を描く道場に辿り着いた水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)――今は麗瞳を赫々と紫に染めたアノンは、此處に至るより前、「まだ生きるべき命がある」と言ったロキの科白を思い出していた。
「喰う方を優先してェんだけど……あぁ分かった、分かった」
 見れば立派に邪の氣配を漲らせる獲物にて、我が爪で切り裂くか牙で噛み付きたいが、そうして樂しく殺して喰ってしまうとロキが煩い。
 アノンは折角の黒い艶髪をクシャクシャと掻き上げると、そこから狼の耳を生やして、身を低く四つ脚で駆け出し、劔鬼に向かってジグザグに走ッた!
「グルルルゥ……ッ……ガアアァァ!!」
 咆哮するは、【黒き獣の狂撃】――UDCを纏い黒狼と化したアノンは、グンッと鼻頭を突き出して牙を剝くと、膨れ上がる邪氣を優れた嗅覚に捉えつつ、袈裟に振り下される妖刀を鋭爪に彈く!!
 鈞ッという鏗鏘の音が道場に響いて幾許。
 紅の鬼と黒き獣が、至近距離で烱眼を結んだ。

『ッ、貴様等は……!』
 斬撃を阻まれた事に齒切りした劔鬼が、妖刀を握り直して振り被る。
 昏闇の邪氣を纏う銀の刃がアノンへと振り下ろされた、正に刹那、弓張月を描く軌跡に黒影が差し入った。
「おっと、これ以上の殺生はいけませんよ~」
『ッ!!』
 迅速なる機動、俊敏なる身の科(こなし)。
 並ならぬ疾さで鋩を禦いだのは、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)。
 晴朗の蒼穹に羽根帽子を躍らせて斬撃に割り入った翠瞳の黒猫は、宙空で身を捻りつつ「ねこのつめ」こと魔法劔『カッツェンナーゲル』を差し出し、鏘々と火華を散らす。
 愛劔の柄に吊るされた土鈴の輕やかな音色が、掃鬼の誓いを響かせようか。
 箒星の象嵌を刻む護拳に鋩を受け流した仄々は、宙で完全に橫になる体勢になったにも拘らず、『カッツェンバル』の靴底で着地し、血溜りの床に靜かな波紋を打った。
「なにやら訳ありのようですが、武器を落とせば良いとの事。それなら――」
 小さな躯ながら厖大なる魔力を秘める仄々は、其を澎湃と迸發(ほとばし)らせるや、【トリニティ・ブラスト】――風、炎、水の三属性の矢と變え、合計505本を一斉に放ッた!
「さあ、ちょっと派手にいきますよ〜」
 刀で払い落とされても構わない。
 劔鬼の意識を逸らす事が出来れば重畳だ。

 斯くして仄々達が劔鬼を牽制する一方、傷付いた人々の支援に回る者も居る。
 優れた癒しの力を有する、ジェイソン・スカイフォール(界境なきメディック・f05228)が然うだろう。
「お待たせしました、ただちに救護を開始します!」
 惨憺たる屋敷に、凛乎としたテノール・バリトンが澄み渡る。
 彼は屋敷の門前から敷石、其處から道場へと続く血の河を麗瞳に追うと、柳眉を顰めたのも一瞬、指先を真直ぐ伸ばし、ミリタリージャケットの裾を颯爽と飜した。
「総員、救護にあたれ!」
 ジェイソンの命令によって召喚されるは、【衛生小隊】(メディック・プラトゥーン)――救護と戰闘の技術を持つ衛生兵が、彼の指示によって敷地内を駆け走り、被害状況を調査すると同時、負傷者・死傷者を手早く回収していく。
 真紅に染まる惨状にも、ジェイソンの青い瞳は透徹として、
「彼は望まぬ殺生をしてしまいましたが、悲劇の中で万が一にも助かる命があるならば、劔鬼と堕ちた彼を救えるかもしれません」
 其は決して不可能では無い。
 無辜の命を救う爲ならば、如何なる疲労も躊躇わぬと心に決めたジェイソンは、一縷の希望に縋って聖なる光を放出するのだった。

「なるほどッ! 道場の外ではジェイソンさんが救助に当たられているッ!!」
 ならばッ!(ザッ)
 俺が爲すべき事はッ!!(クイッ)
 道場内に敵を留める事だろうッ!!!(ギンッ)
「了解だッ!!」
 ビシッと右手の二本指をよく分からない方向に向け、科白を言い終える度にカッコいいポーズをキメるは、四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)。
 彼はジェイソンが居る方向には絶ッ対に行かせないと、射線で大仰にポーズを取ると、【蒸騎構築】(ジョークアップ)――蒸気機関車を思わせる小豆色の武装を召喚した。
「来たれッ、マイボディッ!」
 電脳魔術にて合体妨害対策用エネルギーフィールドを展開しつつ、具現化プログラムで構築した合体用ボディをガシーンッ! これぞ蒸気機関車系ヒーロー、『勇蒸連結ジョウキング』の雄々しき勇姿ッ!!!
 蒸気状のオーラを渦巻いて現れた綴は、間もなく襲い掛かる劔鬼の妖刀を、超強化した防禦力で受け止め、
「仲間の為ならえんやこらッ! だッ!!」
 真・劔・白・刃・取・り――ッ!!
 斬られても切られても立ち開かろうと、ふしゅうッと気焔を吐くのだった。

 斯くして綴が劔鬼の熾烈な斬撃を受け止める中、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は轉送前に聽いた情報と現況を照合しつつ、一つの解に至ろうとしていた。
 故に佳脣を滑る大瑠璃の聲は、答え合わせをするように滑らかに、
「遠夜(とや)さんは本当の妹じゃないってねぇ」
『――……噤め』
 言を撥ね付けられようと構わない。寧ろ其が答えだ。
 持ち前のコミュ力が物怖じさせまいか、厖大な邪氣を迸發(ほとばし)る敵にも飄々と話し掛けた佳人は、彼が犯した悪行の行動原理を糾し始める。
「どうやら此の國には、恋する人をそうとは言わず、妹と呼ぶ事があるとか」
『……他郷者(よそもの)が知った口を……ッ』
「それでアンタはあにさまと呼び慕ってくれる彼女を、密かに想う心に付け入られた」
『默れッ……!!』
 当を得た糾彈なれば、言葉は罪の意識を生じさせよう。
 狂鬼に迫るは【道説く陽光】(テンモウカイカイソニシテモラサズ)――多喜の言葉で生れた罪悪感は荊棘と變わって、男が殺めた人数、流した血の量を現すかの如く、長く、大きく身を伸ばすと、其は肩口から腕へ、手首へ――軈て妖刀を握る腕全体に絡み、尖針(トゲ)の痛みを疾らせた。
『!! ッッ、貴様……ッ……何をした……!!』
 斯くして劔鬼の狂える斬撃を止めた多喜は、漸う道場へと近付く跫に視線を寄越し、
「――扨て、後は皆に任せようか」
 と、櫻脣の端を持ち上げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

シン・コーエン
刀狩は憑りつかれた娘や猟兵仲間と共に滅ぼしたが、意志を継ぐヤツがいるのか…人の幸せを壊す手合いは許さん!

要は武器を壊すか落とせば良いのだろう。
相手は恐るべき手練れ。
故に第六感と見切りで攻撃を読みつつ、灼星剣にUCと破魔と浄化属性と精神攻撃を宿して武器受け&武器落とし。攻撃の余波は身に纏うオーラ防御で耐える。

その状態で2回攻撃&武器落としで撃ち合い、武具の妖気と魂を削りつつ武具本体にもダメージを刻み込む。相手が回避しようとすれば攻撃時に残像を作り出しつつ灼星剣を振るい、相手の見切りをずらして武具を撃つ。

「お前が妹の人生を壊した。だから、お前が生涯かけて妹の人生を護り通せ!」と剣士に活を入れる。



 前に侍の國を訪れた時は、雨が降っていたろうか。
 かの少女も大切な人を――父母を手にかけて絶望の淵に堕ちたが、斯くも残酷な計略で闇に引き込む者が再び現れるとは假借ならぬと、沸々と義憤が湧き立ってくる。
「猟兵仲間と共に『刀狩』を滅ぼして久しいが、彼奴の意志を継ぐヤツがいるのか……。自軍の戰力を増す爲に、人の幸せや未来を壊す手合いは許さん!」
 佳脣を滑る淸澄のテノール・バリトン。
 聲の主は、シン・コーエン(灼閃・f13886)。
 青々と澄める麗瞳に紅涙の劔鬼を映した騎士は、深紅に輝く愛刀『灼星剣』を抜くや、血の海を蹴って妖氣の塊へと駆けた。
「灼星剣の一閃を以って、あるべき清浄を此處に顕現す――」
『ッッ、ッ!!』
 シンの分身たる光の劔を閃爍と燿わせるは、【灼閃・清浄招】――心眼を明鏡の如く、澄み渡る心境の元で繰り出る斬撃は、邪氣に満ちた妖刀と切り結び、打ち合い、重く鋭い鏗鏘の音を道場に響かせる。
 刹那、劔鬼の鋭鋩を目尻の際に逸らしたシンは、刀でなく彼を睨め据え、
「お前は猟兵でもなくオブリビオンでもないが、鍛錬を積んで極めた腕を侮りはしない」
『――……ッ』
 相手は恐るべき手練れ。
 近付く程に肌膚に触れる闘氣は、今は惨憺たる邪氣に包まれているものの、純然と練磨されたものに間違いないと、研ぎ澄ませた第六感が訴えよう。
 両箇(ふたり)の手中の刃が丁々閃々と光を散らす中、シンは劔鬼の太刀に未来を見、生きるべきだと拇指球を踏み込める。
「お前は妹の嫁ぎ先を失くした。お前が妹の人生を壊した」
『……嗚呼、然うだ……おれが全て奪って終った……!!』
 絶望に染まる斬撃が断ったのは、残像。
 妖刀を振り下ろした劔鬼の右肩へ回り込んだシンは、赫灼とサイキックエナジーを迸發(ほとばし)らせる愛刀に白皙を白ませると、男の手首を斬ッた!!
「だから、お前が生涯かけて妹の人生を護り通せ!」
『ッッ――ッ!!』
 破魔賦活の太刀は肉を斬らず、骨を断たず、内に宿る邪のみを絶つ。
 故に一縷の血滴も繁吹かず、浄化の力を流し込まれた邪は、男の口を借りて絶叫した。『ずぁぁァァアアアッッッ!!』
 血の海に筋を引きながら後退る。
 劔鬼の紅涙に一筋、透明な涙が伝った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪華・風月
わたしに難しいことは分かりませぬ…
故に、ただこの刃にてかの男性を止める…それだけです


雪解雫を抜き、構え
観の眼にて男の動きを観、冷静に対処を【落ち着き、見切り】
攻撃を『受け流し』【武器受け】、ただ彼の目を真っ直ぐに見て問いかけます

刀狩は素質のある者を狂気に洗脳する…そう聞きました
つまり、貴方の中に素質…狂気に陥る要因があった…違いますか?
そして妹君、とわ様ではなくその嫁ぎ先を斬ったこと…彼らに何か理由がある…違いますでしょうか?

無論合ってるかどうかは分かりませぬ…
ですが、それで隙が少しでもあれば…
『カウンター』にてその妖刀を峰にて叩き落とす【武器落とし】



 劔鬼の紅涙に一筋、透明な涙が伝う。
 邪に操られる儘に人を殺め尽くした劔士にも、未だ一抹の心が残っているのだと認めた雪華・風月(若輩侍少女・f22820)は、血の海と化した床に足を進め、堂々正対した。
 凛乎と結ばれた櫻脣は、此処に玻璃の如き佳聲を滑らせ、
「これまでの経緯を知らぬわたしに難しいことは分かりませぬ……。故に、ただこの刃を以て貴方を止める……それだけです」
 青藍の鞘に秘める『雪解雫』を抜き、正眼に構える。
 紅涙の邪眼に睨められる程、心を靜かに――漆黒の佳瞳に玲瓏の光を湛えた若き侍は、ダンッと一氣に踏み込む劔鬼を聢と視つつ、先ずは目尻の際に鋩を流した。
『ッッ、この劔筋を避けるか……!』
 若き乙女もまた精鋭なれば、歴戰を経て培われた『観の眼』が鋭く見極めよう。
 風月は蒼炎を迸る妖刀が、射干玉の黒髪の一房を斬って疾るのを眼路の端に送りつつ、次いで閃く二の太刀を鍔に受け止め、ギチギチと迫合いながら問うた。
「刀狩は素質のある者を狂気に洗脳する……そう聞きました」
 肌膚を灼かんばかり邪氣に近付くほど冷靜に言を紡ぐ。
 其は師にも才を認められた【桜學府流尋問術】――透徹と澄める双眸は真ッ直ぐ劔鬼を見詰め、少女の純真を前に虚欺(うそ)を語ることを憚らせる。
 金絲雀の聲は漸う語尾を持ち上げて、
「つまり、貴方の中に素質……狂気に陥る要因があった……違いますか?」
『ッッ、ッ』
「貴方が妹と呼ぶ、とや様ではなく、その嫁ぎ先を斬ったこと……彼らに何か理由がある……違いますでしょうか?」
『……そのような事は……決して……――ッグゥ!!』
 角逐を挟んで聲を荒げた劔鬼が、虚欺の痛みに吐血する。
 否定する口からは赤黒い血が零れるが、内なる魂は正に圖星を――“狂気に陥る要因”を問われて滂沱するのであろう。赫き邪眼からは涙が流れて紅涙を洗っていく。
『おれは、遠夜を……』
 あにさまと呼んでくれる彼女を、密かに愛していた――。
 決して口に出来ぬ想いを暗赤色の血に代えた劔鬼は、鍔迫合いを緩める。
 此處に一瞬の隙を見た風月は、手首を巻いて鍔を彈くと、その勢いで刀を返し、峰にて妖刀を叩いた!
「……血と流れ出るその想いが、貴方を狙う者に利用されたのかもしれません」
 噫、なんと狡猾で残酷な。
 目下、妖刀より迸る蒼炎を頬に掠めた佳人は、そっと眉根を寄せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
義理の妹や妹分でもまあ妹は妹だし、深くは突っ込まないとして。
各々の関係性等々に違いはあれど、私もいずれ嫁いでいく妹を持つ身。
他人事のようには思えないわね。

大悪魔斬【暁】を構え【怨霊降霊・迷晴往生】発動
この場でたった今鏖殺された者達に呼びかけ、憑依させて能力強化
重ねて霊達へ『刀狩』事件の事情説明と説得を行い、彼らの怨念の矛先を妖刀へ
熾烈に打ち合い、鍔迫り合いに持ち込めたら剣士の手元狙いで「怪力」パンチして刀を弾き飛ばす

あんたが本当に妹とその未来を殺して『終う』か、それは今のあんた次第よ
事の真相は上様……家光公も存じ上げているわ(天下自在符を見せ)
まだ何も終わってないのよ、しゃきっとなさい!



 侍の國では、内なる想いを口にする事を憚り、代わりに「絆」で呼ぶ事がある。
 此の國で育った荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)には、「兄妹」と親しみ慕い合った劔士と遠夜の想いがそれとなく察せられる故に、深く言及する事は止めた。
「――義理の妹や妹分でもまあ妹は妹だし、妹と呼ぶ相手が大切なのは理解るわ」
 各々の関係性等々に違いはあれど、己もいずれ嫁いでいく妹を持つ身。
 妹を想う心は同じく、その強さと深さ故に悪辣なオブリビオンに付け入られたのかと、劔鬼が握る妖刀を眺めたつかさは、涼しげに結んだ櫻脣より小さく溜息を零した。
「……他人事のようには思えないわね」
 言って、大悪魔斬【暁】を構える。
 冱ゆる月光の耀きを帯びる刀身には、床一面に広がる血の海が映ろうか、つかさは鋩を劔鬼に向けた儘、【怨霊降霊・迷晴往生】(レイヴ・レイド)――赫き血溜まりを漂流う魂に呼び掛け、行き場の無い怨念を嚮導(みちび)かんとした。
「無念を抱き迷う魂よ、この場でたった今鏖殺された者達よ……我が元へ集え」
 唐突に殺された憤懣や悲嘆を抱く霊達が、淸澄の聲に結ばれる。
 彷徨える彼等は、凪に立つ澪標の如く立つ佳人に縋ろうか。つかさは漸う集まる霊魂に『刀狩』事件の真相を説明し、劔士が操られて犯行に及んだ――彼もまた被害者なのだと説得する。
「――……然う、全ては仕組まれた罠。真に討つべきは刀の中に居る」
 無念を晴らせ、恨みを雪げ。
 真實を知った魂魄達は次々とつかさに憑依し、その想念を身を以て濾し取った彼女は、強靭な力に變えて浄化していく――幾丈の懸瀑と迸發る闘氣がその大きさを示そう。
 つかさは澎湃と溢るる氣流ごと、劔鬼へと駆け出して、
「あんたが本当に妹とその未来を殺して『終う』か、それは今のあんた次第よ」
『ッッ、ッ……!!』
 丁々と熾烈に打ち合い、三打ちッ、四打ちッ! 血の出る樣な刃音を更に数合。
 閃爍を散らし、鏗鏘を彈き、而して猶も下がらぬ両者が鍔迫り合うと、ギチギチと嚙み合う中で閃いた超筋パンチ(怪力A+)(パワーむげん)が角逐を破ッた!!
『ずァッ!! 力でおれが負ける、だと……ッッ!?』
 撞ッと彈き飛ばされた劔鬼が、血濡れた床に筋を引きながら道場の壁に背を打つ。
 紅涙を流す瞳が再びつかさを見た時には、彼女はかの天下自在符を掲げており――、
「事の真相は上様……家光公も存じ上げているわ」
『なん、と……お上が……豈夫(まさか)そのような……――』
 三つ葉葵に刮目する劔士に、次いで賦活の言が飛ぶ。
「ええ、まだ何も終わってないのよ、しゃきっとなさい!」
 希望が、救済が。
 雷光のたばしるが如く男の身を打った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
きのたけ藩の名を、間も無く再び耳にするとは
手駒にしたくなる程の者が此処に居るのかもしれませんね
刀狩り……倒されても尚、悲劇が止まることはない
それでも彼等を奴等の手に渡す訳にはいかないのです

妖刀の妖気増大を抑制する為、刃に破魔・浄化を付与
敵からの攻撃も武器受けにて刃で受け止める
攻撃は二刀流の2回攻撃、手数を増やして距離を維持
倫太郎の援護から僅かな隙を見て早業の抜刀術『砕風』

利用された事実があろうとも、正気に戻ったとしても
失った命も日常も戻らなくとも、貴方は此処で終わってはならない
失われた多くの命さえ、闇の淵に引き込むのは赦されない
貴方と彼等の命の意味さえも奴等に奪われてなるものか


篝・倫太郎
【華禱】
手駒にしたい強者がいるか……
上がゴタついてる隙を狙ったのかもしれないけどな

それこそ、いつも通り
すべき事をするだけだ

拘束術使用
範囲内なのを確認して鎖での先制攻撃からの拘束
可能な限り動きを阻害するよう
足元や妖刀を振るう腕の狙う

同時に衝撃波を乗せた華焔刀でなぎ払い
衝撃波には破魔と浄化も乗せて
妖刀狙いの部位破壊

敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時は浄化を乗せたオーラ防御で防いで凌ぐ

確実の一撃は夜彦に

ここで終わるのは楽だろうな

でも、それでいいのか?
この状況を作り出した……
あんたのこれまでぶち壊した
そんな奴に良いように使われて本望か?

あんたはすべき事があるだろ?
この状況を作り出した奴を許せるのか



 屋敷の門を赫く染めた血を追って、道場を目指す。
 きのたけ藩の内憂を収めてから半月も経たずして、当の城下に来る事になろうとは、と――奇縁ある藩での事件に、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)の跫は否應にも早まる。
「外樣の強國きのたけ藩には、手駒にしたくなる程の者が多く居るのかもしれません」
「手駒にしたい強者、か……。妙だな、ノビさん達が過る」
 夜彦が紡ぐ疾風を追うは、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)。
 この國を故郷にするであろう面々に加え、藩主のデレッとした顔を思い浮かべた彼は、花萌葱と艶めく髪をクシャリと掻いて言を足し、
「上がゴタついてる隙を狙ったのかもしれないけどな」
 何せお家騒動を解決したばかり、立ち直る途上にある藩だ。
 江戸からの遠さも相俟って、倒幕の橋頭堡にする心算かと、血の匂いを辿る。
 而してこれだけの血量、血臭ならば迷う事もあるまい。
 鼻を衝く樣な血腥さに踏み入れば、屍山血河を描く道場の中央に、妖刀を握る劔鬼が、紅涙を流して佇んでいた。
『…………誰そ』
 これだけの鏖殺をして猶も屠る獲物を求める狂氣――。
 着物を赫黒く染めた鬼と退治した夜彦は、遣る瀬無い感情を「噫」と吐き、
「……刀狩り……倒されても尚、悲劇が止まることはないと」
「あいつは俺達が倒した筈なんだが……この方法が随分と効率が良いらしい」
 親しき者を自らの手で潰えさせる。絶望の淵に堕とす。
 悪辣な手段を用いて闇に引き擦り込もうとする連中は後を絶たぬと、皮肉めいた溜息を零した倫太郎は、劔鬼を見据えた儘、傍らに肘を出した。
 間もなく肘は夜彦のそれと十字を結んで、
「ですが、それでも。私達は彼等を奴等の手に渡す訳にはいかないのです」
「――ああ、然うだ。それこそ、いつも通り爲べき事を爲るだけだ」
 盾として護り、刃として斬る。
 決してオブリビオンの思惑通りにはさせぬと、血濡れた床を踏み締めた不撓の意志が、間もなく爪先を蹴った。

  †

 オブリビオンが戰力に欲しがる男だ、劔士は頗る手強い。
 彼は目には視えぬ筈の【拘束術】――災いを縛る不可視の鎖の神力を辿って薙払うと、二の撃が迫るより速疾く蒼炎の妖氣を放ち、動きの阻害に掛かる倫太郎を拒絶する。
 蓋し其の射程が尋常ならざるとは知るまいか、劔鬼は澎湃と迸る邪氣を切り裂くように飛び込んだ縛鎖に刃を絡げられると、五足程の間を置いてギチギチと相剋した。
 倫太郎は血に滑る床を踏み込めながら言を届けて、
「ここで終わるのは樂だろうな」
『嗚呼、貴様を殺しておれも終りにして仕舞おう。最早、帰る處も無し……――』
「……――それでいいのか?」
 未だ止まらぬ紅涙に問う。
 佳脣を滑るテノール・バリトンは鋭く、深く、楔の如く男の胸に突き刺さろう。
「この状況を作り出した奴を……あんたのこれまでをぶち壊した、あんたが切に想うものを壊させた、そんな奴に良いように使われて本望か?」
 内に秘める想いの強さと弱さに付け入られた。意の儘に操られた。
 而して己と、己が大切に想う者を貶めた悪の巨魁が、駒と引き込まんとしていると――倫太郎の言によって真實に気付き始めた劔鬼が、引き合う縛鎖をぐうらりと揺らす。
「あんたはすべき事があるだろ?」
『ッッ、……おれは…………ッ!』
 刀鋩が亂れたか、夜彦は自我の滲出を見逃さない。
 僅かに隙を見た彼は一陣の風と疾ると、神速の抜刀術【砕風】――愛刀『夜禱』の銀月の如き刀光を暴くや、曇り無き太刀筋に蒼炎を切り裂いたッ!!
(『!! 迅速い――ッッ!!』)
 鬼の剛力でさえも、縛鎖を絡めた儘の妖刀を差し出して刃を止めるのが精一杯。
 冱刃と邪刃が十字を結ぶより疾く刀を返した夜彦は、其處から更に一閃、もう一閃ッ、間隙なき斬撃に劔鬼を押し込んで行く――!
 切り結ぶ閃光は灼爍と、烈しく鏗鏘を彈く中、佳聲は凪の如く穩やかに滑り出て、
「……利用された事實があろうとも、正気に戻ったとしても、そして、失った命も日常も戻らなくとも、貴方は此處で終わってはならない」
『何故だッ……何故、おれは終焉(おわり)がならんのだ……!!』
 嗚呼、鬼に呑まれた男が慟哭している。
 紅涙に塗れた頬を、透明な涙が洗い流していくのを慥かに瞳に映した竜胆の士は、更に破魔の力を強めて一振り、主喰いの邪刃へと振り抜いたッ!
「失われた多くの命さえ、闇の淵に引き込むのは赦されない」
『、ッ――!!』
「貴方と彼等の命の意味さえも、奴等に奪われてなるものか」
 其は残虐と狡智に克つ一閃。
 手数に増して威力を高めた一撃が一際の火華を散らすと、妖刀はぎぃんっと鋭い悲鳴を上げ、戰慄くが如く刀身を波打たせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
…下らねぇ真似しやがる。親しい者を殺させ、闇に引き込む。
――吐き捨てる程、嫌いなやり口だ。

予知の限りじゃ、眼前に現れれば誰でも斬り殺したくなる…そんな感じだ。
魔剣を顕現。切っ先を眼前に突き付けて【挑発】する。
剣士なんだろ?俺と遊ぼうぜ。

何回か刃を交えるぜ。
良い腕だ。そんなクソッタレな刀の世話になるなんざ勿体ねぇ。
アンタは何の為にその腕を磨いた?…人殺しの為か?それとも力を誇示する為か?
跳躍してUC。あえて『受けさせる』。
必要ねぇだろ。んなナマクラ。俺としちゃ、本物のアンタと立ち合ってみたいモンだ。

……血の繋がりはない妹。縁談の為と言うが…遠夜の事を好いていたのか、と。只の勘で確証はねぇがな。



 カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は頗る勘が鋭い。
 血の繋がらぬ娘の、遠夜にとっても道場にとっても大事な縁談を断ってしまったのは、男が彼女を好いていたからか――という推量は、現地に至って確信に變わる。
「……此の國では愛する人をそうとは言わず、妹と呼ぶ事があるのか……そうか」
 秘める戀。故に、邪に付け入られた。
 理解する程に沸々と湧き起こるは、義憤と呼べるような淸い感情では無かろう。
 端整の脣を滑るテノール・バリトンは怖ろしく冷たく荊棘(いばら)を帯びて、
「下らねぇ真似しやがる。――吐き捨てる程、嫌いな遣り口だ」
 親しい者を殺させ、闇に引き込む。
 自ら絆を絶たせて、帰る場所を亡くさせる。
 血溜りの床に立つ男を見れば、成る程、その狂える姿に策の効率の良さが知れようが、劔鬼の頬を不断に流れる紅涙が、カイムの胸を黒々と塗り潰していく。
 蓋し彼は、瞋恚の滾る儘に衝突(ぶつ)ける程、冷靜を欠く男では無い。
 犀利な紫瞳は、眼前に現れれば誰でも斬り殺したくなる程の劔鬼の渇望を眺め見ると、自ら獲物を差し出す樣に『神殺しの魔剣』の鋩を突き付け、小気味良く咲んだ。
「道場一の劔士なんだろ? 俺と遊ぼうぜ」
 黒銀の炎に照らされる端麗の面貌が交戰を誘う。
 狂劔鬼も魔劔が漾わせる渇望(かわき)に惹かれたか、ダンッと血溜りを蹴った男は、妖刀を振り被って丁々閃々と打ち合い、結び合う太刀の狂瀾の如く、逆巻く旋風の如く、カイムと修羅の血戰を繰り広げた。
 熾烈な斬撃を受け取るカイムは、鏘々たる刃の嚙合いに口角を持ち上げ、
「――良い腕だ。そんなクソッタレな刀の世話になるなんざ勿体ねぇ」
『おれが頤使(つか)われていると言うのかッ』
 問われれば、紫瞳に宿る玲瓏の彩が是を示そう。
「アンタは何の爲に劔の腕を磨いた? 人殺しの爲か? それとも力を誇示する爲か?」
『……ッッ……』
 己をあにさまと呼び慕って呉れる遠夜の爲に鍛錬した。
 彼女の家である道場を護り、支える爲に精神修養を極めた。
『おれは……――!』
 聲が震えたか。
 ここに自我の兆しを聢と捉えたカイムは、力強く踵を蹴って大跳躍ッ、空中から重力を乗算した全力の【骸割り】を叩き付けた――ッ!!
 咄嗟に劔鬼が妖刀を水平に構えれば、魔劔と十字を結んだ其が、迸る蒼炎を断たれる。
「必要ねぇだろ。んなナマクラ。俺としちゃ、本物のアンタと立ち合ってみたいモンだ」
 邪氣を別たれた其處からは、紅涙に透明な涙を交える男の面貌が如実に捉えられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
●POW
良くないモノは良くないトコロから付け入る隙を見つけるという
ただ破壊欲求に従っただけなのか
男の底に昏い感情が澱んでいたんじゃないのか
例えば――寄る辺を失う不安、嫉妬

〈冥府の槍〉を構え、自身が持つ[決闘の戦闘知識]を活用し迎え撃つ
攻撃を[怪力で武器受け]しつつ槍の先から妖気を喰らってみるよ
後で喰った分返せたらいいんだがどうかな

操られ戦闘力が増している今、普段の動きと乖離する瞬間がある筈
そこを捉えUC発動
角の直撃は避けつつ目覚めの一撃をくれてやろう
手から離れた妖刀は踏みつけるか蹴って離す

立て
前を向け
生きても死んでも地獄行きなのは解っているだろ
ならば手土産に鬼同士連れ立って化け物退治と行こう



 蒼炎の邪氣が別たれた刹那、劔鬼の面貌が覗く。
 凄撃を受け止めた後は瞬く間に『憑き刀』の妖氣に包まれるも、紅涙を浄う透明な涙を認めた鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)には、その色に心が視えたか判然らない。
(「秘める想いが、邪に堰を切られたか……――」)
 聽けば、此の國では愛を口にせぬ代わり、想い人を「妹」と呼ぶ事があるという。
 渇望(かわき)の形相を見せる劔鬼に正對し、紺青の炎を迸發る『冥府の槍』を構えた彼は、間もなく襲い掛かる邪鋩を穂先に流しつつ、その妖氣を頬に掠めた。
「迷いなく急所を、命を屠りに掛かる……悪鬼羅刹の太刀か」
『ッッ、咽喉を狙った筈だが……我が劔を躱すとは……!!』
 灼ける程の焦熱を敢えて喰らう。
 喰った分は後で返せば良かろうと、チリと疾る痛みを受け取った相馬は、男が元々持つ素質――此度の首魁に目を付けられた卓抜の劔技に「成る程」と吐息を置いた。
 蓋し、幾度と血闘を制した相馬に御せぬ太刀では無い。
 彼は間隙なく斬撃を繰り出す劔鬼を、神速の槍撃に迎えながら言を足し、
「良くないモノは、良くないトコロから付け入る隙を見つけるという」
『この身に“魔が差した”と云うのか……ッ』
「俺達猟兵はオブリビオンと呼んでいる」
 閃爍を散らし、鏗鏘を彈いて、丁々發止を幾合。
 妖刀の邪氣と紺青の炎が烈しく衝突(ぶつ)かり渦を巻く中、相馬は劔鬼が昂ぶるほど冷靜怜悧に、その太刀筋を見極めていく。
「そいつがお前に帰る場所さえ奪う程の破壊欲求を湧き起こさせたのは――お前の底に、昏い感情が澱んでいたんじゃないのか」
『ッ!! ……ッッ……』
「譬えば――寄る辺を失う不安、嫉妬」
 或いは――いや、云うまい。
 邪に操られ戦闘力を増した男に、普段の動きと乖離する瞬間を視た相馬は、妖刀が突きを繰り出した刹那に側面に踏み出すと、【羅燒門】(ラショウモン)――羅刹の剛力で頭を摑み、引き寄せざま金剛石より固い頭突きを一發ッ、目覚めの一撃を呉れて遣ッた!
『ッッ、ぐわぁぁぁああごりらぁぁぁあああ嗚呼嗚呼!!!!!』
 鐘に打たれた樣な、痛烈な一撃を喰らって床に沈む劔鬼。
 目を白黒させて相馬を仰げば、彼はキランッと石角を燿わせながら屹立しており、
「立て。前を向け」
 儼然と伏せられる瞼の下、長い睫の間に覗く金の麗瞳が烱光を帯びる。
「生きても死んでも地獄行きなのは解っているだろ。ならば手土産に鬼同士連れ立って、化け物退治と行こう」
 蓋し紅脣を滑るテノール・バリトンは。
 凪の如く穩やかだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
成就する事なぞ叶わぬ世迷言を引き継ぐ辺り
猟書家も手下も唯の愚か者に過ぎんな
加えて此の下種な遣り口……虫唾が走る

修練を積んだ“型”成ればこそ、効率を極めた動きと流れは読み易い
視線に得物の向き、体捌きに氣の流れ
あらゆる情報を計って起点を見極め、カウンターで攻撃を潰してくれよう
悉くを灼け――漂簒禍解
衝撃波でのフェイントから一気に接敵……一太刀入れば十分だ
血は元より神経電流も氣の流れも焼き付いては動く事も儘なるまい
其の刀との悪縁、絶ち斬ってくれる

操られての蛮行を罪とは問わぬ等と、恐らく誰よりも自身が認められまい
赦される訳はないと自らを裁くのならば、すべき事を誤るな
死ぬだけで償える程、命とは安くはないぞ



 撞ッと、血濡れた床に筋を引いて倒れる劔鬼。
 未だ男の手からは刀が離れず、宛如(まるで)妖氣が彼を絶望の鎖に縛める樣だと――禍々しき刀光を睨め据えた鷲生・嵯泉(烈志・f05845)は、恐ろしく怜悧に云った。
「成就する事なぞ叶わぬ世迷言を引き継ぐ辺り、猟書家も手下も唯の愚か者に過ぎんな」
『なにっ……』
 猟書家『刀狩』の野望は二度も下した嵯泉である。
 親しき者を殺させ、絶望の淵に堕として闇へと誘う方法が、餘程“効率”が良いか――此度も十分な戰士と成った劔鬼を前に、胸奥が黒く塗り潰されていく。
「斯くも下種な遣り口……虫唾が走る」
 漸う烱光を帯び往く隻眼は、侮蔑の色を躊躇わぬ。
 蓋し瞋恚や嚇怒に任せて劔を振るう男では無かろう、嵯泉は上段に構える鬼を見るだに大体の流派を予測すると、災禍の一刃『秋水』を抜き、下段に構えた。
「この男の如何な心の隙を探ったかは問うまい。どれだけ躰を操ろうとも、修練を積んで成った“型”を破る事は難しかろう」
『ッ、ッッ……知った口を……!!』
 ダンッと血溜りを蹴って距離を詰める鬼の一刃に、閃爍をひとつ。
 鈞ッと鏘々の音を散らして擦れ違った嵯泉は、間を置かず踏み込む劔鬼に更に一閃ッ、両箇(ふたり)の眸を焦かんばかり火華を躍らせる。
『クッ……何という、手練れ……!!』
 同じく修練を極めた嵯泉にとって、効率を極めた劔技こそ動きや流れが読み易い。
 丹色に熾ゆる烱瞳は、劔鬼の視線や妖刀の向き、更には体捌きや妖氣の流れ等、諸有る情報を映して攻撃の起点を見極め、卓抜の反射を以てカウンターを衝き入れていく。
 焦れた處に自ずと隙は生れよう。
 目下、『秋水』は赫灼と耀いて獄炎を帯び、嵯泉の麗貌を凄まじい焦熱に白ませながら一氣に肉薄すると、ぞんっと劔鬼の胴を薙いだ――ッ!
「漂簒禍解、悉くを灼け――妖し刀との悪縁、絶ち斬ってくれる」
 其は骨肉を断つ太刀に非ず。
 赫刃の齎す灼熱は、血は元より神経電流も氣の流れも焼き付かせ、動く事も儘ならず、唯だ鋭利く鳴發した男の聲を聽くのみ。
「操られての蛮行を罪とは問わぬ等と、恐らく誰よりも自身が認められまい」
『ッ、ッッ……!』
 冷儼たる科白は蓋し糾彈せず。
「赦される訳はないと己を裁くのならば、すべき事を誤るな。――死ぬだけで償える程、命とは安くはないぞ」
 靜やかなバリトンが鼓膜を震わせる。
 気付けば劔鬼は、横溢(あふ)れる滂沱に紅涙を雪いでいた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

冬薔薇・彬泰
強敵相手に何処迄手元が狂わずいられるか、甚だ疑問ではあるけれども
人の急所を把握するが故、極力其処を狙わぬよう心掛ける事は出来る
剣戟を振いつつ落ち着いて情報を収集
刀を叩き落とすべく狙うはそれを握る腕
上手くいく保証は然程ないけれど
鍔迫り合いに持ち込んだ際、受け流して
得物をその侭落とせぬか試してみよう
…残念ながら騙し討ちの類には慣れっこでね
【散華】で敵を攪乱、瞬間的思考で隙を突く
悪いけれど正々堂々戦う心算はない

貴方にとって、要らぬ世話であるのは承知の上だ
それでも、共に戦う事は出来る
他者を踏み躙る権利等、誰にもない
度し難い蛮行は今直ぐ終止符を打たれるべきだ
――特に、高潔な青年を弄ぶ様な輩を許しはしない



 気高い黒猫婦人は「脚が濡れる」と嫌ったが、男は屍山血河を渡るも慣れたものだ。
 上質な革靴の底に血溜りを踏み締めて現れた冬薔薇・彬泰(鬼の残滓・f30360)は、滂沱に紅涙を雪ぐ劔鬼を硝子越しに見遣ると、石蒜の麗瞳に交睫ひとつ置いて云った。
「……万斛の涕涙を湛えて猶も刀は落ちませぬか」
 吁(ああ)、手ずから刀は放せぬ。
 妖刀が求める儘に殺すしかない、と鬼は應えたか――澎湃と漲る邪氣が彬泰を見るなり血の海を蹴れば、彼は咄嗟に濡羽色の外套を翻し、打刀『赤光』の鞘に邪刃を受け止めた。
 鏘々たる音が響いて幾許、黄昏色が波打てば、鞘は其處から銀雪の刃を暴き、
「僕の腕でどれだけご満足頂けるか……甚だ疑問ではあるけれども」
『おれを渇望(かわき)を慰むと』
 やッてみろ、と振り抜かれる妖刀に銀刃を噛み合せる。
 刃鳴一閃して、二合、三合ッ、劔鬼と化した手練を相手に丁々閃々と打ち合える彬泰も嘗ては征野の血濡れ鬼にて、残滓となった今も變わらぬ劔技が男の狂刃を迎え撃つ。
 時折、硝子越しに冱ゆる鋭眼が過去を暴こう。
 人体の急所を把握する彬泰は、致命傷を與えぬよう斬撃を返し、
「――まだ人であると信じ、人としての死の一撃は避けて」
『ッ、クッッ……この優男の何處にこれだけの力が……!』
 而して優れた技量は一縷と呼吸を亂させぬ。
 鬼の残滓は冷靜怜悧に、劔鬼の構えや太刀筋から「型」を見抜くと、妖刀が振り切った瞬間に間合いを詰めて肉薄ッ! 鍔迫り合いに持ち込む。
『ッッ鍔迫り落とし、からの刀取りか……!!』
 幾度と躰に染み込ませた動きが彬泰の狙いを読み、拇指球を強く踏み込める劔鬼。
 然し丹田を敵懐に押し込めた彼は、鍔を巻き込むでなく、至近に迫った『赤光』の刃で腕を斬り付けると同時、【散華】――脇差『暁紅』をも抜いて血華を躍らせたッ!
「刀を叩き落とすべく、狙うは其を握る腕――」
『な、んだと……ッッ!!』
「……残念ながら騙し討ちの類には慣れっこでね」
 鬼の剛力を緩めるに腱を斬る――正に戰場を生き延びる死活の劔。
 抑も正々堂々劔を交える心算は無かったのだと、血濡れた床に筋を引いて倒れた男は、銀雪の刃と月輪の刃を燿わせた彬泰を仰ぎ見る。
 然れば凪の如きハイ・バリトンが降り落ちて、
「貴方にとって、要らぬ世話とは承知の上だ。……それでも、共に戰う事は出来る」
 他者を踏み躙る権利等、誰にもない。
 度し難い蛮行は今直ぐ終止符を打たれるべきだ、と――丹色の麗瞳が光を湛える。
 赫き玲瓏の彩は滂沱を止めぬ劔士に長い睫を伏せ、
「――特に、高潔な青年を弄ぶ様な輩を許しはしない」
 と、端整の脣を引き結んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)。
『国綱』の一刀で剣士のお相手します。UCは使用不可で。
刀を返して峰で戦うような相手ではないのでそのままです。
しかしなるべく傷をつけない方向で行こうと考えます。

早業の2回攻撃による私の腕前でどこまでできるか…。
まだ未熟ですが威圧しながら戦うことにします。
フェイントで斬りこむタイミングをずらす等工夫をしてみます。
剣士の方の動きは見切りや第六感や野生の勘で対応と対処を。
オブリビオンの刀は武器受けで受けてロベルタさんが落とします。

ロベルタさんと連携を。
この戦いでは彼女の蹴りは有効…ということもありませんね。
私達二人の攻めを軽々と捌いて…すごいです…。


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)。

墨ねーが剣士のにーちゃんの攻撃を受けてくれるからその内に…。
って作戦だったけどこのにーちゃんとんでもない強さだじぇ。
墨ねーとにーちゃんの動きを見切って割り込もうとするけど無理。
二人の独特な動きに合わせるのは今の僕には難しそうだねぃ。

封印を解いてからパフォーマンスを上げて身体能力を上げて対策を。
それから第六感による見切りで二人の動きになんとかついていくよ。
墨ねーが隙を作ってくれるはずだからそれまでは見守っているね。
隙を作ってくれたと思ったらダッシュして【錠前】を刀に叩き込む。
脚に破魔の力と武器受けを付与しておこうかな。後オーラ防御も。



 相手は妖氣を纏う劔鬼と雖も、まだ疆界を越えぬ人間。
 故に猟兵の埒外の能力であるユーベルコードは使わないと決めた浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)は、叔父より譲り受けし『粟田口国綱』を抜く。
 天然木黒呂塗の鞘より現れる乱れ刃文は、靜かに鋩を向けて、
「……私、が……お相手……いたします……」
 果して峰は返さず。
 刀を返して戰う相手では無い、と切揃えの前髪の奥より蘇芳色の睛を覗かせた佳人は、上段に構える劔鬼に對して下段に、腰を落として向き合った。
『――真劔勝負か』
 無手の者、竹刀の者を悉く殺めた鬼が、死闘を求めて血溜りを蹴る。
 渇望きの刃が二尺二寸九分の大刀に結ばれた、その時――ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)は側面より駆け出す心算であったが、初めて一歩を躊躇った。
「う。墨ねーが剣士のにーちゃんを引き付けてくれる内、僕が……って作戦だったけど、このにーちゃん……とんでもない強さだじぇ」
 動きは中々見切れないし、割り込む隙も無い。
 互いに血の海に波紋を打った両者は、妖刀と銀刃を丁々發止と打ち合い、鏘然と火華を散らし、灼然と閃爍を彈き、双方の闘志を狂瀾の如く渦巻かせる。
「……道場一と謳われた……劔の腕……お流石、です……」
『ッッ、其方……その細腕にどれだけの力があると言うのだ……!!』
 クルセイダー陣営に目を付けられたという男の、気魄に溢れる太刀も絶技を極めるが、猛然と繰り出る邪刃に、刃鳴一閃して迎え撃つ墨にも息を呑もう。
 ロベルタは凝乎(じっ)と、チェレステの佳瞳に熾烈な角逐を見守って、
「――二人の独特な動きに合わせるのは、今の僕には難しそうだねぃ」
 と云っても、介入を諦める訳では無い。
 男が上背の高い分、広角度から打付けられる墨が不利を強いられると懸念した少女は、墨ねーが隙を作ってくれる筈だからと、好機に乗じるべく「勘」と「感」を研ぎ澄ませていくのだった。

 己の腕前でどこまで出来るか、確固たる自信は無い。
 然し未熟を理由に手を拱いてはいられない。
『其方を殺し、おれを殺して、全てを終いにしよう……ッ!』
「……いいえ……、まだ……命を……終らせては……いけません……」
 力で勝られるなら速疾さで補おうか、墨は手数を増やして對抗し、繰り出す刃撃に圧を掛けながら、歴戰を経て培った経験則と戰闘勘で劔鬼の太刀筋を見極めていく。
 三打ち、四打ち、幾合と刃を切り結んだ墨は、優れた観察眼で男の劔の「型」に凡その予測をつけると、鈞ッと劔戟の音を響かせて、一たび後退った。
『如何した、それまでかッ!』
「――…………」
 心眼明鏡、刀影は瀲灔と微動して鳴發せず――。
 床一面を埋める血の海が波紋を収めるまで靜默した墨は、深呼吸して幾許、縮地を以て劔鬼の懐へ、つと刀鋩を下段より浮かして侵襲したッ!
 神出鬼没とは正にこの事。
 早瀬を遡上る魚鱗の如き白線、スッと一筋伸びきって胸元深く攻める――ッ!
『ッッ、ッ――!!』
 極めて嚴しい鍛錬を積んだ男の身を動かすは、向かい来る刀身を彈く術。
 血の滲むほど身体に馴染ませた動きが、「型」が、『国綱』の冱刃を払おうとした刹那、一度は眼路を犯した切先が、フワ――と己の体側を捺擦った。
『!! しまっ……』
 誘引(フェイント)と気付くも遅刻い。
 見事、斬撃の角度とタイミングをずらした墨は、逆の肩口から刀を握る腕を斬り付け、疾ッと鮮血が繁吹く最中に、爽涼の風が吹き付けた。

 ――然う、ロベルタである。

「う! 墨ねー、今だよねっ!」
『――ッ!!』
 自身の身体能力を限界まで引き上げた銀髪の少女は、輕やかにポニーテールを躍らせて赫い床を駆け走ると、はつ、はつ、と波紋を打って大跳躍!!
 繊麗の躯は重力を裏切る樣に高く、高く、劔鬼の背丈を優に超えると、ふうわり波打つワンピースの裾より瑞々しい脚を覗かせて、【錠前】(セッラトゥーラ)――鞭撃の如く強靭に撓り、槌撃にも勝る激烈の蹴撃を打ち込んだッ!!
「Schiaccia e apri! 僕の全力だじょ!」
『くッッ……腕が灼ける樣だ……ッ!!』
 咄嗟に受け止めた妖刀がぎゃぁんッと悲鳴を上げたのは、少女の破魔の力に。
 邪氣を祓う凄撃に、蒼炎を迸る妖氣もふつりと途切れる程であったが、ロベルタの蹴りが決定打とはならず――血の海に筋を引いて後退した劔鬼は、まだ刀を握っている。
「私達二人の攻めを軽々と捌いて……すごいです……」
「う! 僕もオーラ全開だったのに、剣士のにーちゃん強いじょ……」
 結んだ佳瞳に喫驚の色を揃える墨とロベルタ。
 蓋し二人は、妖氣に混じる慥かな「生」の気魄に、希望を見出さずには居られなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御桜・八重
剣士さんの心を縛る、妖刀の呪縛を斬る。

遠夜さんのことが、好きだったんだよね。
でも、お家のことも藩のことも大事だったんだよね。
だから気持ちに蓋をして、我慢すればきっと皆が幸せになれると、
信じたんだよね。

でも、好きすぎたんだね。
その抑えきれない気持ちに妖刀が付け込んだ。

怒りも後悔もあるだろうけど、
本当の気持ちを殺さないで。
好きな心も、皆を思う心もきっと本当。
自分の決心を殺さないで。

全力で見切りながら、捨て身で肉薄。
陽刀を突き入れ、思いの丈を刀から剣士の心に流し込む。
「泣いて、いいんだよ」
みっともないほどに、泣きじゃくっても。

呪縛が緩んで心が届いたことを感じたら、
すかさず妖刀に全力の一撃を叩き込む!



 劔鬼の紅涙を雪ぐ透明な涙を見る。
 男の話を聽いた時、若哉(もしや)という想いを過らせた御桜・八重(桜巫女・f23090)は、頬を伝い止まぬ滂沱に今や確信を得ていた。
「――遠夜さんのことが、好きだったんだよね」
『な、にを……――』
「でも、お家のことも藩のことも大事だったんだよね」
 気持ちに蓋をして。己さえ我慢すれば。
 きっと皆が幸せになれると、信じていた――。
 己を「あにさま」と呼び慕い、剰え着物を繕って呉れた遠夜に慥かな想いを抱いていた劔士は、然し其を表には出さぬ代わり、彼女を妹と呼んで大切にしていた。
 決して口にせぬ想いを言の葉に、音に示した佳聲は慈雨の如く穩やかで、万斛の涕涙を湛うる劔鬼をどこまでも優しく慰んでいく。
 青藍の麗瞳を縁取る長い睫は、次いで足許の血溜りへと伏せられ、
「……でも、好きすぎたんだね。その抑えきれない気持ちに、妖刀が付け込んだ」
 底に秘めた想いを探られた。
 隠す程に澱む、戀か愛の樣な情動を利用されたのだ。
 妖刀によって屍山血河の地獄と化した道場の、饐えた血臭に柳葉の眉を顰めた八重は、退魔の一刃『陽刀・桜花爛漫』を構えると、刀光に白皙を照らして云った。
「怒りも後悔もあるだろうけど、本当の気持ちを殺さないで」
 好きな心も、皆を思う心も、きっと本当――。
 自分の決心を殺さないで、と滑り出る淸澄の聲が男を絶望の淵より掬い上げていくが、そうはさせぬと蒼炎の邪氣を迸った妖刀は、劔鬼の渇望(かわき)を煽り、櫻の巫女へと向かわせる。
 果して八重は妖刀の希求(のぞ)み通り血華を許すか――否。
「剣士さんの心を縛る、妖刀の呪縛を斬る――」
 櫻馨る佳人は、爪先を蹴るや凛乎淸冽、陽刀の鋩を瀲灔と魚鱗の如く閃めかせ、闇黒(やみ)を切り裂きながら敵懐へと踏み込む――ッ!
「泣いて、いいんだよ」
 みっともないほどに、泣きじゃくっても。
『ッッ、くッ……!!』
 我が身の創痍も怖れずに踏み込んだ【強制改心刀】は、八重の思いの丈を劔士の心へと流し込み、その澎湃たる破魔の力に、男を縛す蒼炎の呪縛が緩む。
 而して八重はこの瞬間を見逃さず、返す刀にもう一閃ッ!
 今度は妖刀へ全力の一撃を叩き込み、竟に劔士の手より彈き飛ばした――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『最強無敵究極天魔城』

POW   :    最強無敵究極天魔拳
単純で重い【拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    最強無敵究極天魔忍者隊
【城内から忍者軍団】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    最強無敵究極天魔砲
【両肩の砲身】を向けた対象に、【最強無敵究極天魔砲】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠砲撃怪獣・ガンドドンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 劔鬼の手より彈かれた妖刀が、孤を描き宙を躍った後、血濡れた床に鋩を突き立てる。
 己が滂沱に紅涙を拭い去った劔士も、正気を取り戻した瞳にその光景を映そう。
 或いは「聲」を先に聽いたか、
『……フンッ! 見事な着地ィ~!!』
 喋った。
 何なら宙返りして垂直に立った己を褒めもした妖刀……いや、刀に憑依した此度の首魁たるオブリビオンは、身に纏う蒼炎を熾々と燃え上がらせて云った。
『惜しい、實に惜しいッ!! 一騎当千の悪鬼羅刹を、くるせいだあ樣の麾下に致す心算であったが、憎き猟兵どもが水の泡に還して仕舞った!!』
 ギチギチと刃を鳴らして悔しさを示す妖氣。
 暫し齒噛みするように音を立てていた邪は、蒼紫の霧靄となって刀身より抜け出すと、東風に吹かれて晴朗の空を泳ぎ、近隣のすぎのこ城へと運ばれていく。
 地鳴りがしたのはその時だった。
『――フハハハハ、ならば後始末をせねばなるまい!!』
 撞鐘より響く大きな聲に、道場から飛び出て見れば、蒼紫の靄に包まれたすぎのこ城が目下、がしょんがしょんと人型に變形し、むくりと上半身を起こし始める――!!
『……最強無敵究極天魔城……今こそ、立つ!!!』
 漆黒の手がポイポイと摘んで捨てているのは、城内に居た人々だろうか。
 目を凝らせば、大きな手掌から城仕えの武士や重臣達、そして、きのたけ藩の藩主たる日下部少輔次郎野比就(くさかべしょうのじろうのびなり)が零れるのが捉えられよう。
「どわーっ! 城が……立てたばかりの城が、立ち上がる……!!」
「むおーっ! 追い出されて仕舞ったで御座んスー!!」
 城中の者達が次々と排出される中、すぎのこ城には機関部で歯車の樣なものを回す力士オブリビオン、内部を見回る武士オブリビオン、侵入者を排除する忍者オブリビオン集団等で満たされ、異樣な氣配を漂わせている。
「なんというデカさだ……あのような絡繰りが城下町に出ては危うい!」
 或いは、遠夜も――!!
 双眸に光を取り戻した劔士が、妖氣を失った刀を抜いて直ぐに駆け出す。
 その足はオブリビオンと融合合体したすぎのこ城へと向かっている樣だが、彼の腕なら足手纏いにならぬとは、今しがた刃を交えた猟兵なら判明ろう。
「ああ、俺達も行く。彼奴が云う通り、始末を付けようじゃないか」
「必ず元のすぎのこ城へと戻して見せる」
 この國に平和を取り戻す爲に――!
 猟兵達は劔士の後に続き、見上げるばかりの巨影へと向かうのだった。
人形原・九十九
通りがかりに騒がしいと思えば…
あの様な輩が暴れれ続ければ我が人形原家へも被害が及ぶかもしれません
故に、止めさせていただきます

元が巨体であるならばそも個人など気にならないでしょう
近寄り自身の髪を伸ばし関節部へ巻きつけることで捕縛し動きを止めさせて頂きます

砲門も近ければ自身にも被害が及ぶはず…下手に撃つことはできないでしょう?

動きを止めてる間に和人形[爆]にて爆撃し関節部の破壊
集ってくる内部の存在はなぎなたにてなぎ払いましょう

気を見て解除し巻き込まれないように遠くへ
えぇ、九十九に出来ることはこの位、少々の足止め位です
ということで後は他の皆様にお任せ致します



 轟々という地鳴りと、銅鑼より響く大きな聲。
 何より見上げるばかりの巨躯が城下に異變を知らしめよう。
「通りがかりに騒がしいと思えば……城が動き出すとは」
 大地の鳴動と空氣を震わす大音量に、靜かに交じ入る淸澄のソプラノ。
 佳聲の主は、人形原・九十九(ヤドリガミの人形姫・f09881)――道すがら我が視界に影を差し入れた渠魁に漆黒の麗瞳を結んだ少女は、融合合体した城の両脚を見詰めると、翡翆の羽の如く艶やかな黒髪を長く、長く、踝から鼻緒へ、更に伸ばして地を這わせた。
「あの樣な輩が歩き出して暴れ続ければ、我が人形原家へも被害が及ぶかもしれません。――故に、止めさせていただきます」
 人形原家へ害を齎す者は何人たりとも許さない。
 凛乎と巨影に視線を結んだ九十九は、【髪縛り】――幾星霜を経て霊氣を帯びた頭髪を伸ばして合体スギノコ城へ、その足許を脅かさんとする。
「元が巨体であるならば、そも個人など気にならないでしょう」
 見上げる敵は、スッと通った鼻梁が天を向く程の巨城。
 頭頂部から見れば、四尺にも満たぬ九十九は小石の如く小さかろうし、この躯体からは足許で「何」が起きているかも視えまい。
 斯くして死角へと近付いた九十九は、踵関節にグルグルと黒髪を巻き付け、その隙間を固く縛して動きの阻害に掛かった。
『フハハハ、先ずは近くの建物を踏み潰……踏み潰して……踏み潰すんンンン!?』
 膝を動かそうにも、踵が浮かねば移動は叶わぬ。
 可怪しい、と訝しんだ首魁が踵を覗こうとするが、人体と違って易々と傾けまい。
「砲門も近ければ、自身にも被害が及ぶ筈……下手に撃つことはできないでしょう?」
 果して巨邪に人形姫の影は捉えられたろうか――否。
 躯の小ささを活かして足許に隠れた九十九は、此處で繊麗の五指に絲を操り、赤い着物を着た和人形[爆]を密かに関節へ侵入させ、駆動部の破壊に掛かる――!
「決して移動はさせません。この場に居てもらいます」
 異變に気付いた部下オブリビオンが出て来るが、無論、迎撃の用意も出来ている。
 九十九は櫻紋を飾る黒の振袖を翻しながら『なぎなた』を一薙ぎッ! 向かい来る武士オブリビオンの刀を打払うと、爆撃から逃れるように後退していく。
 踵が大きく爆ぜたのは、正にこの時。
「――えぇ、九十九に出来ることはこの位、少々の足止め程度です」
 淸冽の聲は爆風と焦熱に掻き消されるが、少女は猶も慥かな言を紡いで、
「後は他の皆様にお任せ致します」
 ご武運を、と擦れ違う影を見送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイソン・スカイフォール
引き続き「衛生小隊」を指揮して剣士とほかの猟兵を援護。

城からあらわれる忍者軍団に衛生小隊の一斉射撃を浴びせて牽制し、剣士や猟兵たちを邪魔させないようにします。

自身は後方より敵の全貌を観察し、急所・弱点とおぼしき箇所などを考察します。内部で動かしている集団がいるのなら指揮系統があるはず。

剣士と猟兵とで敵内部の指揮系統を乱しながら、急所を破壊していく戦法を提案します。


「われわれも連携しましょう。感情はただ発露するのではなく貴方の力として剣に流し込んでください。できるはずです」

剣士が暴走せぬよう抑えながらも、感情の行き場を示唆します。
ここまでの戦いの傷を「生まれながらの光」で治癒し、送り出します。



 数々の戰場を生き抜いた衛生兵、ジェイソン・スカイフォール(界境なきメディック・f05228)は、地に斃れた命を見捨てなければ、これより流れる血も見逃さない。
 我が目尻を一瞬で過ぎ去らんとする劔士を咄嗟に引き留めた彼は、頭の先から爪先まで真っ赤に染めた惨憺の姿に、決然と云った。
「怒りや恨みで勝てる相手ではありません」
「だが、おれは彼奴にいいように頤使(つか)われた! その屈辱たるや……――ッ」
 聲を荒げた筈の劔士が息を呑む。
 見れば、数多の死傷者の救護に当たったジェイソンも返り血に染まって紅く、赫く――然し金の睫の間に覗く青瞳は湖水の如く澄んだ儘、玲瓏の彩に劔士の焦燥を映していた。
 時に端整の脣を滑るテノール・バリトンは凛乎と、劔士の胸に楔の如く刺さり、
「……われわれも連携しましょう。感情はただ発露するのではなく、貴方の力として剣に流し込んでください。できるはずです」
「感情を力に……刀に流し込む……!」
 貴方なら出来ると、力強く首肯して暴走を抑える。
 而して迷わぬよう、慥かな言に感情の行き場を示唆する。
 血を拭った筋さえ残る白皙が、いや、ジェイソンその人が月白の輝きに満ちたのは、【生まれながらの光】が横溢(あふ)れたからか。劔士の創痍と痛痒、そして疲労感までもが癒しの光に慰められていく。
 劔士の代わりに強い倦怠感を受け取ったジェイソンは、然し翳らず言を足して、
「融合合体したと云っても、内部で動かしている集団がいるのなら、何處かに指揮系統がある筈です……自分は後方より全貌を観察し、構造の把握に務めましょう」
 闇雲に戰うでなく、巨城の心臓部を狙う。
 敵は最強無敵にして究極の城だと豪語しているが、必ずや急所や弱点がある、と――。烱々と燿う青瞳を見た劔士は、ジェイソンに倣って殺氣を闘志へと變えていく。
 これなら送り出せると確信したジェイソンは、先に召喚した【衛生小隊】を再編成し、城を攻め掛かる劔士と猟兵達の支援に、後方から不断の援護射撃を開始した!
「総員、照準を格子窓に、一斉射撃!!」
 間もなく忍者軍団が迎撃に現れるが構わない。
 寧ろ城内から出て来てくれるなら好都合だ。
「忍者軍団が現れる地点や動きを見れば、自ずと指揮系統が視えてくるでしょう」
 其は歴戰を経て培った経験則と戰闘勘、観察の鋭利さが成せる技。
 ジェイソンは自らもアサルトウェポン『Seven Trumpets』に円環状に展開しつつ、後方ならではの広視野から城の内外の戰況の把握に務める傍ら、劔士の本懐が果されん事を、猟兵に武運あらん事を祈るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

春夏秋冬・ちよ(サポート)
風景画が趣味のお節介な旅老猫

優しいお婆ちゃん猫で猟兵としての経験は浅いですが、アルダワの学生としてとても長い間戦い続けた歴戦の戦士です

口調はステシをベースに優しいお婆ちゃんをイメージ

動物と会話して道や情報等を得ます

UCは竜を疑似再現、その力を借りる物
何の竜の力かは状況、やりたい事によって指定を
(例:火竜・刃竜・筋肉竜等々 真面目からネタまで可)

戦闘は素早い身のこなしで回避重視、杖か閉じた傘(又はUC)による鋭い攻撃
所謂蝶のように舞い、蜂のように刺す
得意技はUCで騎乗か飛行してのランスチャージ

一人称追加・おばあちゃん

禁止事項
真の姿の解放(覚醒)
UC『凶夢の魔竜騎士』二種の併用
公序良俗に反する行動



「――あら、豈夫(まさか)お城が立ち上がるなんて」
 長く生きていれば、面白い光景を見るものだと――眼鏡の奥にキラリと光る陽だまりの瞳を細めたのは、春夏秋冬・ちよ(旅する老猫・f19400)。
 頭にちょこんと乗せたボーラーハットが浮く程に、巨城の頂を仰いだお婆ちゃん猫は、いくら絵を描くのが好きと云っても、こんな頓興な城を描く訳にはいかない、と頬笑みをひとつ。次いで手元のステッキをこつんと鳴らす。
 優しげな佳聲は變わらず穩やかに、暖かな東風に運ばれよう。
「元のお城に戻ってもらう――皆さんのお手伝いをしましょう」
 我が旅の伴たるステッキは、少し魔法が通りやすいだけの、何の變哲もない杖。
 然し其は伸びやかな詠唱に魔力を湛えれば、強靭なる竜の力を模して形を變える。
「――術式展開、再現するは竜の牙」
 竜疑似再現術式【抜剣】(サイゲンスルハリュウノキバ)――老猫の一歩を援ける杖は今や強靭なる竜の牙となり、一振りするだに城の破風を大きく切り裂いたッ!
 ズゥゥウン……ッと凄まじい断裂音が響くが、ちよはあえかに咲んで、
「ええ、今のおばあちゃんにはこれ位が丁度いいわ」
 と、柔らく聲を零すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
 人間のパラディン×シーフの女の子です。
 普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「なんて巨きさ……憑依型オブリビオンって、器の大きさに捉われないのね」
 晴朗の穹に聳える邪城に喫驚の聲を零すは、赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)。
 愛らしい桃色ハートのビキニアーマーを纏った佳人は、巨城の狭間や格子窓より零れる蒼紫の邪氣を凛と見据えると、【ヒロイック・ハート】――その胸に宿した平和の心を、劔士や町の人々を護るという強い意志へと溢れさせ、空へと飛び立ッた!!
 繊麗の躯は爪先を蹴るなり風となって、
「私が空で敵の意識を引き付ければ、足許から来る仲間達を守れる筈……!」
 最高時速9,500km/h、マッハ7を優に超える神速で城の回りを飛び回る愛。
 優しさで満ち溢れたオーラを、玲瓏と燿ける光の帯と引いた佳人は、巨大な手の指先をギリギリ掠め、颯爽と脇を潜り抜け、人型の巨城オブリビオンを翻弄に掛かる。
「この巨体が城下町へ行かないように……此處で食い止めないと……!」
 敵は一歩踏み出すだけで大きな被害を齎す事の出来る巨躯。
 彼女は美し金糸の髪を疾風に梳りながら、目尻の際より侵襲する魔手に愛劔『オーバー・ハートブレイク』を一閃ッ! 鈞ッと閃爍を彈いて軌道を逸らすのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サーシャ・ペンローズ(サポート)
 バーチャルキャラクターの電脳魔術士×バトルゲーマー、18歳の女です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、敵には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
エッチな描写もNGです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ラムダ・ツァオ(サポート)
A&Wの遊牧民出の自由人。
見た目からダークエルフと揶揄されることもあるが、当人は特に気にしていない。普段は外套と丸サングラスですっぽりと身体を覆っているが、外套の下はかなり身軽。
なお、見た目は怪しいがわりと気さくな性格。
臨機応変に動くが、完全勝利よりは条件達成を目指す。

行動指針としては以下の3通りが主。
1.囮役としてボスの注意を引き付け、味方の攻撃を当てやすくする。
2.ボスの移動手段→攻撃手段の優先順で奪っていく。
3.仕留められそうな場合は積極的に仕留めに行く。
 (他に仕留めたい人がいればその手助け)

台詞回しや立ち位置などは無理のない範囲でご随意に。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。


セシリア・サヴェージ(サポート)
「私の力が必要なら喜んで手を貸しましょう」
「人々を傷つけるというのであれば、私が斬る」
「護る為ならば、この命惜しくはありません」

◆性質
『暗黒』と呼ばれる闇の力を操る黒騎士。闇を纏った冷たい風貌から誤解されがちですが、人々を護り抜くという強い信念を持っている隠れ熱血漢。味方には礼儀正しく優しく接しますが、敵には一切手加減せず非情です。無茶な行動や自己犠牲も必要と判断すれば躊躇しません。

◆戦闘
『暗黒剣ダークスレイヤー』と共に力任せに暴れます。ダメージや怪我を恐れず、代償を伴うユーベルコードの使用を躊躇しません。非戦闘員が戦場にいる場合は護衛・救出を優先します。


ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)

ヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れて、なるべく負傷を避けつつ戦います。
オブリビオンに止めを刺すためであれば、猟兵としての責任感が勝り、相討ち覚悟で突撃します。
でも負傷やフレンドファイヤ、代償は避けたいお年頃。


響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです



 妖刀から脱した蒼紫の靄――憑依型オブリビオンは、スギノコ城と融合合体・變形して巨城と成ったのみならず、内部で多数の部下オブリビオンを生み出している。
 格子や銃眼より靉靆と立ち昇る邪氣が城内の不穏を示そうか、晴朗の空に翳を差す巨影を前に、支援に集まった猟兵達が速疾くも動き出していた。

「お城の外へ出て迎撃する忍者軍団の他にも、内部には機関部で齒輪車の樣なものを回す力士オブリビオンや、警邏に当たる武士オブリビオンが沢山居るようですね」
 電脳魔術を展開し、巨城をスキャンして内部の状況を伝えるは、サーシャ・ペンローズ(バーチャルキャラクターの電脳魔術士・f26054)。
 愛らしい肉球型のグローブでホログラム式キーボードを叩いた佳人は、人型に變形したならではの弱点を衝き、
「あれだけの巨躯で、視覚は眼部に二つしか設けなかったのが盲点です」
 先ず、人間と同じく足許や背面に死角が生じるのは間違いなかろう。
 高みより広視野を得たようでいて、双肩に備えられた大砲が視界を狭窄に、更に胴部に張り出した本丸が足許を見えなくさせており、付け入る隙は十分にあると視界を割り出すサーシャ。
 彼女は其を示すように【エレクトロレギオン】――合計405体の戰闘用小型兵器を召喚すると、巨城を囲繞(かこ)むように広く等間隔に分布させた。
「巨躯は小さな相手にこそ圧倒的優位を取れますが、これだけ的があっては、たった二つの眼では狙いは定まらないでしょう」
 今、必要なのは数――。
 キーボードに注がれていた麗瞳が、凛と睫を持ち上げた。

「囮役としてボスの注意を引き付ければ良いの? そういうのは得意よ」
 其こそ己の仕事だと、サーシャが提案した策戰の一端を引き受けるはラムダ・ツァオ(影・f00001)。
 繊指にラウンド型のサングラスを持ち上げ、太陽を背に光を彈く巨躯を仰いだ麗人は、我が身をすっぽりと覆う外套をゆうらと揺らした刹那、爪先を蹴って疾る。
 次第に加速して一陣の風となった黒影は、眞直ぐに巨城の足許へ駆け、
『むむっ、不審者発見!! 者共、出合え、出合え!!』
 死角となる足許へ近付くまでは見えるが、寧ろ其が狙いだ。
 陽動なら派手に動いてやろうと、櫻脣にあわい艶笑を浮かべたラムダは、城主の號令で躍り掛かる忍者軍団を烱眼に射ると、神速の機動で竟に“影”を絶った。
『我等、最強無敵にして究極の忍者隊!! 城内へは往かせぬ!!』
『御命頂戴――ッ! ……殺ったか!?』
 無数の手裏劔が投げ入れられるが、引き裂いたのは濡羽の如き外套一枚。
 連中が「可怪しい」と周辺を見渡した時には、ラムダは彼等が渡り来た脚部の屋根瓦へ飛び乗り、輕やかに駆けて踵部へ――移動の要を成す腱部の切断に掛かる!
「刻め」
 蹂躙、【千刃】――!
 手に握る諸刃劔『黒刃』を翳すなり、其の刃を94本複製したラムダは、全てを一点に目掛けて射放し、踵部の絡繰りを寸断した!!

 一方、城内からポイポイと摘み出された藩主や城仕えの者達の護衛に回る者も居る。
 無辜の命の爲に身を捧げる高潔の騎士、セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)が然うだろう。
 佳人は櫻脣に凛冽のコントラルトを滑らせて、
「――仔細は全て把握しました。私の力が必要なら、喜んで手を貸しましょう」
 と、彼等を我が背に隠すや、猛然と巨拳を振り回す邪の前に正對する。
 昏闇のマントに隔てられた人々には視えまいか、蒼紫の邪氣を捉えたセシリアの銀瞳は闘志に呼應して紅く、赫く――黒き鎧に宿る『暗黒』の力を引き出していこう。
 血色を滾らせた烱瞳は、間もなく振り被った巨拳を捉えるや煓々熾々と然えあがり、繊手を翳した瞬間、暗黒が齎す超常の力を波動と化して放射した――!
「人々を傷つけるというのであれば、微塵も容赦はしない」
『むうっ!? ……拳が、振り下ろせない……!!』
 其は【闇の魔力】(ダークフォース)――不可視の動力が今にも振り下ろされる巨拳を宙空で止めると、ギチギチと抗衡しながら角度を操作し、邪の脳天へと落とすッ!!
「暗黒の力を思い知るがいい」
『んがあっ!!!』
 巨大な鐵塊を自ら喰らった巨城は、火花を散らした樣に目を白黒させるしかなかった。

『んんんくく……許せん!! 劔士も猟兵も、全員纏めて骸の海へ突き堕とす!!』
 ぐうらと傾く躯を何とか持ち直し、吃ッと皆々を睥睨する巨邪。
 蓋し睨視するにもこれだけの大人数なれば、眼は二つ、拳も大砲も二つずつの首魁は、的を絞り切れずに大振りな攻撃となるのも当然の話。
 ティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)が付け入るのは其處だ。
「相手が昂ぶるほど冷靜に、粗削りになるほど丁寧に――」
 彼は戰闘以外は若干ポンコツ風味の占い師だが、戰闘についてはそれなりに……いや、猟兵としての稟性を幾分にも發揮しよう。
 普段は水晶玉を撫でる繊指は、胸元からそっと差し伸べられるや【探知妖精の召喚】(タンチキガワリノヨウセイヨビダシ)――探し物へと案内してくれる疑似妖精を指先に寄せ、ひとつ、お願いをした。
 果して、探し物とは――。
「巨城の内部へ潜伏して、機関部への導線を皆に報せて下さい」
 妖精の小さな躯は、此度の相手に非常に有効だ。
 巨躯を動かす絡繰り機構の主軸となる齒輪車、其處へ至る最短の道を割り出せたなら、戰闘は格段に優位となるだろうと読んだティモシーは、音無き繊翅を頬笑みに送った。

 敵の構造を見極める者、重要な機構を破壊せんと探る者。
 その爲に陽動を預る者、盾と立ち開って大勢の命を護る者――。
 戰場には多くの猟兵が其々に役儀を担って巨邪に立ち向かっていたが、ここに至る全ての経緯を聽いた響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)も、凛乎と進み出よう。
「ごきげんよう、皆樣。敵の眼を撹乱するに数が必要とあらば、私も助勢致します」
 紫苑の麗瞳は煌々と、美し花顔は凛冽と。
 眼前の巨影を、人心を玩弄(もてあそ)んだ悪人と認めた凄艶は、白磁の繊指に持てる魔導杖『ルナティック・クリスタ』を一振りすると、月を象った杖柄から、杖先に輝ける青藍のクリスタルまでを白薔薇の葩弁と解き、爽涼の風に躍らせた。
「この薔薇のように綺麗に滅して差し上げますわ」
 白い花片を舞わせた風は、忽ち疾風に、そして【白薔薇の嵐】に――!
 芳しい花馨を連れた繚乱は、然し鋭利に犀利に巨城の外殻を切り刻み、最強の装甲に、無敵の大砲に、そして究極の拳に、悉く裂傷(キズ)を疾らせていく――!
 的を絞らせず、握ろうとも掴めぬ花瓣は、畢に胸部の「無敵」の文字を刻み、
『おいっ、止め、止めろ……! 無敗無双の城に……ぁぁぁああ嗚呼!!』
「隙が生れました。さぁ皆様、よろしくお願いしますわ」
 今こそ畳み掛ける時、と――。
 リズが凛然と細顎を持ち上げた、刹那、颯然たる風が吹き抜けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

月舘・夜彦
【華禱】
城自体が動くとは別の世界の機械のようです
城内にもオブリビオンも多数居るようです
藩主殿達にも協力して貰いましょう

藩主殿達には城から出てきた敵の対応を頼みます
視力にて城内に入れる所を探し、障害物を踏み台にして跳んで入りましょう
あの巨躯相手に正面から向かうのは難しい
ならば私達は内部から破壊していきましょう
足を破壊すれば、進行も遅くなるはず

城内の敵を確認次第、二刀流剣舞『襲嵐』
敵一体を狙い、それを起点として周囲を攻撃
鎧砕きを併せて敵を巻き込むだけでなく内部から破壊
攻撃を受けていない相手には2回攻撃となぎ払いにて追撃

立てたばかりの城を壊すのは申し訳なく思いますが
国も城も人在ってこそ、です


篝・倫太郎
【華禱】
……ここ、エンパイアだよな?
で、あれは刀狩……だよな?
なぁんで、ウチの息子が喜びそうな展開になってンの……

なんて言っても仕方ねぇ
剣士サンよ……
怒りも憎悪も過ぎると毒で飲まれれば凶刃だろうさ
でも、大丈夫だな?
俺らちっとばかし中からぶっ壊してくっから!

LoreleiとHoldaを連動させて中に入れそうな箇所を探す
無い場合は他の猟兵の戦闘で忍連中が出てきた箇所をぶち壊して侵入
この時、出来るだけ脚部に近いとこから侵入する

手をつなぐを代償に始神界帰使用
夜彦の攻撃から逃れた敵を中心に
衝撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀でなぎ払いの範囲攻撃
城そのものにもダメージ入れてく

敵の攻撃はオーラ防御で防いで凌ぐ



 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は目を瞬いた。
 翡翆色に艶めく睫毛をぱちぱちと、宛ら音が出る程に交睫した。
「……ここ、サムライエンパイアだよな? で、あれは『刀狩』……だよな?」
 琥珀色の烱瞳が周囲を一巡りし、次いで視線を上に――立ち上がった巨城を仰ぐ。
 見れば、晴朗の空を劈かんばかり屹立する人型の城が不敵な笑みを浮かべており、
「なぁんで、ウチの息子が喜びそうな展開になってンの……」
 融合合体とか變形とか巨大化とか。
 先程までのシリアスな空気は何處に行ったのかと眉間を押えれば、同じく蒼紫の邪氣を追ってきた月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)も、この頓痴奇な巨邪に烱眼を揃えた。
「城自体が動くとは、宛如(まるで)別世界の機械の樣です」
 同時に聡い耳はゴリゴリゴリゴリ……と嚙み合う齒車の音を拾おうか。
 魔力に満ちた風も無し、若しか城の何處かに駆動の根幹となる心臓部があるのではと、花緑青の麗瞳は湛える光を鋭利く、巨影に隠される内部を見極めんとする。
 丹花の脣は怜悧なテノール・バリトンを滑らせて、
「あの巨躯に正面から向かうのは難しいかと。私達は内部から破壊していきましょう」
「おれも行かせて呉れ! 彼奴にいいように頤使(つか)われた、その恨みを……!」
 ここに聲を挟んだのは、件の劔士。
 嚇怒の聲が同行を訴えれば、倫太郎は打ち震える刀に視線を落して、
「劔士サンよ……怒りも憎悪も過ぎると、毒で飲まれれば凶刃だろうさ」
「、ッ」
「その刀は、もう次の役目を負い始めたと思うぜ」
「――……それは」
 瞋恚や怨恨の儘に破壊するでなく、命を護る刀になって欲しい――。
 劔士には遠夜が居るであろう道場を結ぶ射線に立って貰い、万一にも城が移動を始めた時には、大切な人を守って欲しいと、双眸に宿る玲瓏の彩が訴える。
 夜彦は更に言を足して、
「幸いにして貴殿は腕が立ちます。城内から多数のオブリビオンが出て来た時、藩主殿や城の皆さんのお手伝いをして頂き度――」
「お頼みするで御座んス!!!」
 而して麗瞳が流瞥(ながしめ)を注いだ先で大聲するは、藩主の日下部野比就。
 一連の会話を聽いていた彼は、「城外は任せろ」とばかり抜刀し、次いで多くの武士達や重臣達も藩主に続いて戰闘態勢を取る。
 その誰もが倫太郎や夜彦と面識があれば、彼等は全幅の信頼を寄せて送り出そう。
「俺らちっとばかし中からぶっ壊してくっから!」
「城外の防衛を頼みます。互いに武運のあらんことを」
 二人は奮い立つ侍達の聲援を背に、一陣の風となって疾走った。

 倫太郎が駆け抜け樣、バイザーゴーグル『Lorelei』に城をスキャンし、其と連動した『Holda』を通じて侵入箇所を探る。
 夜彦も優れた視力に構造を探れば、二人の進路は自ずと右脚の爪先へと揃おう。
「出来るだけ脚部に近いとこから侵入しようぜ」
「ええ、足を破壊すれば、城下への侵攻も遅くなる筈です」
 以心伝心、前踵部の石段を駆け上がって内部へと侵入を果した二人は、周囲の構造物を踏み台に颯爽と城内を駆け上がると、膝の辺りへ到達した時分に会敵する。
「矢張り、城内にも多数のオブリビオンが居るようですね」
「異變に気付いて見回りに来たみたいだが、――遅延ェよ」
 既に此方の用意は整っていると、小気味佳く咲む倫太郎の艶髪を梳くは爽涼の疾風――須臾に愛刀『夜禱』と霞瑞刀『嵐』を抜いた夜彦が、僅か一足で敵の間合いに詰め寄り、二刀流剣舞【襲嵐】ッ!! 嵐の如き二筋の斬撃が邪を蹂躙した――!!
『グァァアアアッッ!!』
『刃撃が渦を成して……ッ、逃れ……られぬッッ!!』
 白銀の刃と蒼銀の刃が一人を屠ると、其處を起点に轟ッと渦を巻いて周囲を巻き込み、鮮血を張り付かせた柱も壁も悉く切り刻んで破壊していく。
 縦令(たとえ)二刃の狂瀾から逃れられたとしても、その身は華焔刀『凪』の餌食に、戰闘力を格段に飛躍させた倫太郎からは逃れられまい。
「倫太郎」
「おう」
 阿と云えば吽、とは云ったものだ。
 竜胆の侍が目尻の端を見遣れば、【始神界帰】によってカミの力を降ろした倫太郎が、弓張月と燿ける刀を一薙ぎ、圧倒的衝撃を胴に呉れて敵を吹き飛ばすッ!!
 壁に叩き付けられた狂邪は、元の蒼紫の靄と消える前に接地面を大きく破壊し、移動の要たる「膝」の機能を奪った。
 途端、足場がぐうらと傾くが構わない。
 夜彦と倫太郎は、咄嗟に梁へと跳躍して絡繰の瓦解を見守り、
「立てたばかりの城を壊すのは申し訳なく思いますが、國も城も人在ってこそ、です」
「――なァに、融合を解いて寝て貰えば、被害は少しは収まるさ」
 敵が歩き出す前に、脚を壊滅(つぶ)す。變形を解く。
 破壊された破風の隙間より外を――城外で戰う侍達を眺めた二人は、彼等に真の平和を届けるべく、上へ、上へ、巨城の心臓部へと昇って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
ちょっと待ちなさい。
いいから、そのからっぽの刀、貸しなさい。
――奴にいいようにされて憤ってるのは、貴方だけじゃないのよ。

妖氣を失った刀を芯にして【心魂剣】発動
先程我が身に集めた霊魂達を刀へと移し、霊気を纏う刃としてから劔士へ渡す
ある程度は霊達と意思疎通もできるので、悔いややり残しが無いようにとも伝える
もし心魂剣が劔士にとって「重すぎる」なら代わりの刀を貸し、私が使って戦うつもりだけど、彼ならこの重みから逃げないと信じ託す

敵の拳の一撃には真っ向から拳で立ち向かう
基本的には「怪力」任せの力技で体格差や質量差を捻じ伏せ、目立つことで劔士の立ち回りを支援
本命の一撃は劔士に任せるわ



『フハハ、如何したッ! この巨体に怖れをなしたか!!』
 晴朗の空に聳立する巨城が、足許に集まり来る劔士と猟兵に翳を差す。
 巨拳を揺り動かすだに、ぶぅんぶぅんと東風を切り裂く圧倒的な威容を仰いだ劔士は、洗脳を解いて猶も己を追い詰める邪に、瞋恚を打擲(ぶつ)けるべく踵を蹴った。
「ちょっと待ちなさい」
 荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)が引き留めたのは、正にこの時。
 眼路の端を過ぎんとする影を淸澄の聲に留めた佳人は、赫緋の麗瞳を彼の腰元へ、
「いいから、そのからっぽの刀、貸しなさい」
「これを……? もうこの刀には何の力も宿っていないが……」
「ええ、それでいい。――奴にいいようにされて憤ってるのは、貴方だけじゃないのよ」
 貴方だけじゃない――。
 そう告げられた劔士は、つかさが憤怒しているのかと花顔を窺えば、彼女は内から澎湃と横溢(あふ)れる月白のオーラに、神霊体の如く煌々と輝いているではないか。
 而して櫻脣は凛乎と告げて、
「妖氣を失った刀を芯に……このたび犠牲になった霊魂達を移す」
「!! そんな事が……ッ」
 然う、つかさなら能(でき)る。
 劔士は喫驚に開いた瞳に、彼女より迸る霊光が漸う刀へと移りゆく樣を映そう。
 つかさもまた次第に白光を帯びる刀へと語り掛け、
「貴方達も悔いや遣り残しが無いように――心をひとつになさい」
 淸冽なる佳聲に霊魂達も覚悟したか、己達を貶めた首魁を倒すべく、光は刃金と成りて【心魂剣】(ソウルハート・キャリバー)へ――怨念を断つ冱刃と研ぎ澄まされていく!
 劔士にも其の心と魂の力は伝わろう。
 彼はつかさより刀を受け取るなり、身に染む重さに息を呑んで、
「この劔が貴方にとって『重すぎる』なら、代わりの刀を貸して、私が使うけど」
「おもッ、いや重ッッ……――だが然し、この重みはおれこそ負うべきだ……!」
「ええ、貴方ならこの重みから逃げないと思った」
 信じたからこそ託したと、緋の麗瞳は烱々と劔士の精悍を映して煌めく。
 而して間もなく、巨邪が巨大な鐵拳を振り下ろしに掛かるが、つかさは邪氣を気取るや真ッ向勝負、その軌道に自ら踏み込み拳を合わせ、ずォンッと放射状に波動を打った!
『フハハハんんンンンッ!? 貴様ッ、物理法則を知らんのかッッ!!』
「筋肉は嘘を吐かない。この拮抗が事實よ」
 怪力任せの力技で!!
 体格差も質量差も捻じ伏せる!!
 これぞ埒外の拳威!!!
 想定外の角逐に拳を痺れさせた巨邪は、腕が伸びきった瞬間に閃く刃鳴に戰慄したのも一瞬、須臾に振り抜かれた心魂剣に斬られ、銅鑼より鋭い悲鳴を天に突き上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
まさかあんなモンに変形しやがるとは。(巨体眺めつつ)
ま、好き放題させる気もねぇ。悪いが、城は返して貰うぜ。

よぉ、剣士。アンタ、空を飛んだことは?
UCを発動し、【怪力】で剣士を肩に担いで、跳躍。単純な拳の一撃を【見切り】、腕の部分に着地。ただ拳の一撃は周辺地形を破壊しちまうから、空中で空振りさせる必要があるな。
跳躍後は【挑発】変わりに銃弾でも叩き込むか。絡繰り部分に撃ち込めば無視は出来ねぇだろ。

腕に付いたら一気に走るぜ。遅れずに付いてきな。――何なら頂上まで連れて行ってやろうか?
頭頂部にはあの曰く付きの刀が居るのかい?丁度良かった。剣士がアンタに挨拶があるそうだ。折角だ、連れて来てやったぜ。



『くぅぅううぬわっ!! やりおるな猟兵ッ! やるおるぞ劔士ッ!』
 痛撃を喊ぶ拳を掌に包み、破損した肘部を半身を退いて隠蔽(かく)す巨城。
 宛如(まるで)人間の仕草だと巨影を仰ぎ見たカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は、先ずは長身故に慣れぬ角度を強いられた首を擦って宥めた。
「……まさかあんなモンに變形しやがるとは。憑依型は自由なもんだぜ」
 一歩踏み出すだに大地が鳴動すれば、人々が恐慌に陥るのは必至。
 あの威容を見て戰慄を覚えぬ者は居まい、と俄に恐慌へと陥る城下町に烱瞳を巡らせたカイムは、晴朗の空で不敵な笑みを浮べる邪を吃ッと睨めた。
「――ま、好き放題させる気もねぇ。悪いが、城は返して貰うぜ」
 融合合体を解き、起した身をその儘、元の場所へ寝かせて遣れば佳かろう。
 城は立つものでなし建てるものだと、交睫ひとつして視線を別った麗人は、次いで紫苑の精彩を目尻に寄越し、未だ瞋恚の眼差しを注ぐ劔士に聲を投げた。
「よぉ、凄腕の劔士。アンタ、空を飛んだことは?」
「空!? 鳥であるまいし、その樣なこと尋常の人間では――」
「――よし、それじゃ行こうぜ」
「ッ!! ッ!?」
 喫驚に目を見開いた男の躯がフワ、と浮かぶ。
 見れば、成人男子をも輕々と肩に担いだカイムは、眩い霹靂を帯びていたろうか。
 其は【紫雷を纏う者】(ライトニング・エンハンス)――邪神の力の一端を覚醒させた彼は、タンッと踵を蹴るなり大跳躍ッ! 一氣に首魁の腕部へと飛び乗ッた!!
「拳の一撃は周辺を破壊しちまうから、空中で空振りさせる必要があるだろ」
「のわぁぁ高ぁぁああ嗚呼嗚呼!!!」
「文字通りの鉄面皮に銃彈を呉れて遣る。遅れずに付いてきな」
「おぉぉおお應ぅぅぅうううッッ!!」
 何なら頂上まで連れて行ってやろうか? と艶笑しながら双魔銃を彈くカイム。
 巨拳を振り下ろさせぬよう、絡繰り部分に鐵鉛を沈めながら駆け走った紫雷の撃手は、大きな目玉が我が影を追うのを見つつ、劔士と共に素早く頭頂部へ駆け上がった。
『んなっ! あいつ等め、何處へ行ったのだ……――うぅんむっ!?』
 近ければ近いほど死角が増えると知るカイムは、巨邪が見失ったところで聲を発し、
「劔士がアンタに挨拶があるそうだ。折角だ、連れて来てやったぜ」
 コツン、と靴底でノックされた首魁が目玉を上に向けるが、頭頂部に立った二人の闘志(或いは殺意)だけが感じられる異樣に、冷や汗が流れよう。
「貴様ァッ!」
『あっ、ちょっ、待っっ……いや……――ぁぁぁああああ嗚呼嗚呼!!!』
 比類無き筈の高みを制された巨邪は、旋毛部分にぶすりと刀を刺され、目玉をぐるぐる動かして悶絶した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・コーエン
建てたばかりの城を壊される藩主の心中はいかばかりか。
しかし、このクズに命を心を人生を壊された人々に代わって、仕置きせねば収まらん。
ごめん(と藩主達に詫びつつ、一切遠慮せず修羅の本性を解放する)。

空中浮遊+自身への念動力+ダッシュにより限界突破した速度で敵に接近。
残像による分身を多数生み出して幻惑し、第六感で城や忍者達の攻撃を予測し、見切りで読んで躱しつつ迫る。
敵全てをUCの間合い内(99m以内)に収めれば、劔士や仲間を巻き込まぬ様にUCを使用。

巨大化した灼星剣に炎の属性攻撃を宿し、衝撃波を伴う2回攻撃+鎧無視攻撃(右から左、そしてその逆)による斬撃で、忍者も城もまとめてぶった切る!

ここで死ね!



 シン・コーエン(灼閃・f13886)の透徹と澄める青の麗瞳は、極めて優れるが故に、城より放り出された藩主の目尻に輝くものを見たろう。
(「建てたばかりの城を壊される藩主の心中は如何ばかりか――」)
 その一粒に、日下部野比就の無念を慮る騎士。
 然し彼の聡き聽覚は、突如として現れた巨影に震撼する人々の聲も慥かに拾っており、邪城に結ばれた青瞳が、その玲瓏の彩に烱々と闘志を燈していく。
「このクズに、命を、心を、人生を壊された人々に代わって、仕置きせねば収まらん」
 一人の青年を謀略に掛けた罪を。
 きのたけ藩の人々を、藩主らを蔑ろにした咎を。
 彼等に代わって裁くのが猟兵の役儀だろうと決意したシンは、決然と踏み出で、
「ごめん」
 つと一語、詫びを入れた後は一切遠慮せず、修羅の本性を解放する。
 その嚴然たるテノール・バリトンに引き付けられた野比就らは、彼の背より迸發(ほとばし)る闘志の澎湃たる、煌々と灼輝する殺氣に息を呑もう。
 踵を蹴るなり一氣跳躍ッ、宙を翔る躯を更にサイキックで超加速したシンは、驚くべき速疾さで巨城へ近付き、その眼路に影を過らせる。
『むむっ、我が視界に入ろうとは不遜な! 成敗して呉れるッ!!』
「――笑止」
 須臾、城内より飛び出た忍者軍団が殺めるはシンの残像。
 超速移動で影を生んだシンは、忍者が投げる手裏剣を分身に代わらせつつ、自身は鋭く研ぎ澄ませた「勘」と「感」で次手を予測し、攻撃が届くより先に躱し、往なす。
 振り下ろされる怪腕の脇を抜けた彼は、力強く號んで、
「我が劔よ、我が生命の力を得て更なる進化を遂げ、晴朗の空を穢す敵を滅せよ!」
 而して須臾、手に握れる『灼星剣』は彼のオーラを注がれて燦爛(かがやき)を増し、赫灼と輝く光を、劔身を、大きく巨きくさせていく――!
 征野の戰人にして泥黎の修羅は、今こそ光を横溢させて、
「ここで死ね!」
 閃々と飜くは【灼星乱舞】――半径99m圏内に存在する狂邪の悉くを捕捉したシンは、巨大化した愛刀、我が分身に灼熱の炎を付して放出ッ! 凄まじい衝撃波に蹂躙すると、右から左へと薙ぎ払った凄撃を刀を返して逆に、今度は始点に向かってぶった切った!
『なんっという熱…………ッ、むぅぉおおお嗚乎嗚乎――ッッッ!!』
 忍者を灼滅し、更に巨城の装甲にも斬撃を疾らせたシンは、凍える程冷たく云って、
「――此處で終焉を迎えるのは俺達じゃない」
 白熱に白む麗貌に、鬼神の如き形相を浮かべるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪華・風月
口やかましい妖刀ですね、あの物言いわたしもカチンときました
妖刀には妖刀を…自身の背に背負う大太刀、紅蓮刀を抜き解放!
妖刀の狂気を怒りで抑え込む!【狂気耐性・呪詛耐性】

さぁ、共に行きましょう!かの邪悪な妖刀を許すわけにはいきません!


紅蓮刀の霊力の炎を放ち、忍者軍団を『焼却』!
剣士の方の露払いとして『切り込み』、先へ先へ
融合合体…多分内部に妖刀がいるはず、そこまでの道。雪華・風月が引き受けた!
床に流れる力の方向から妖刀の位置を把握【足場習熟・龍脈使い・情報収集】

妖刀はお願いします、それまで彼を邪魔しないよう来る城内オブリビオンはわたしが!



『ぬぅおおっ!! くるせいだあ樣に楯突く不遜な輩め、まだ抗うかッ!!』
 最強と銘打った自慢のボディに刃疵(キズ)が付いたと喚き散らす巨影。
 物理的な高さを得た今は、妖刀に憑依していた時より更に高慢になったか、彼奴に翻弄された劔士がギリ、と齒嚙みする。
 その瞋恚は雪華・風月(若輩侍少女・f22820)が代わろう。
 櫻脣を滑る金糸雀の聲は凛冽として、
「なんと口聒(やかまし)い。あの物言い……わたしもカチンときました」
 目には目を。齒には齒を。
 而して妖刀には妖刀を以て仕置くが佳かろうと、背に負う大太刀『紅蓮刀』を黒鞘より暴いた風月は、【紅蓮刀解放】――刀身より迸發(ほとばし)る深紅の霊氣を身に宿し、赫々と花顔を照らした。
「妖刀が使い手を蝕むのは承知の上――」
 奥底より湧き起こる狂氣を嚇怒に抑え、漸う浸蝕する呪詛を組み伏せる。
 身に染む痛撃を耐えて幾許、風月はスッと通った鼻梁を眞直ぐ、前を向いて、
「さぁ、共に行きましょう! かの悪辣な邪を許すわけにはいきません!」
「ああ、征こう。彼奴に一太刀も二太刀も呉れて遣ろうぞ」
 烱々と冱ゆる佳瞳を結ぶ。踏み出す一歩を揃える。
 風月と劔士は二筋の疾風となって敵前に向かうと、城内から忍者隊が飛び出して迎撃に掛かるが、最強無敵究極を謳う彼等の凶刃にも二人は怯まない。
「露払いを預ります」
「――頼もう」
 瞥見をひとつ、短く科白を交したのも一瞬。
 ダンッと爪先を蹴った風月は、澎湃と迸發る霊力を赫く、紅く、身ごと劔の如くして、忍者軍団が手裏剣を投げるより速疾く、一閃――ッ! 邪の塊を灼き払った!!
 同時に力強く大地を踏み込めた彼女は、脈々と流るる龍脈より邪の位置を捕捉すると、劔士を嚮導(みちび)く樣に先へ、先へ、中枢目掛けて駆け走る。
 然う、風月は嚇怒しつつも冷靜を手放さず、
「今度は城と融合合体したと……然れば恐らく首魁は内部に居る筈。――そこまでの道。雪華・風月が引き受けた!」
 道を切り開く! 必ず劔士の刃を怨敵に届ける!
 覚悟に満ちた紅の侍は、続々と現れる武者オブリビオンを刃鳴一閃して斬り伏せると、美し白皙を返り血に濡らしながら、其を拭いもせず前に進む。
「終焉の一太刀を置く。その爲に――!」
 目下。
 刃風に煽られた青い絹紐(リボン)が、颯爽と翻った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
●POW
聞き覚えのある悲鳴
〈ヘキサドラゴン〉のモモを成竜体に戻し排出された人々の救助に向かわせる

脚部の動力源を断ち被害を食い止める
妖剣士には忠告を
感情に呑まれ過ぎるなよ、さっきのお前と同じになる

城内の敵を[なぎ払い焼却]しつつ移動
妖剣士の武器に俺の槍から炎を継ぎ火力増強と力に呑まれた時の制止力に
一等大きな歯車に一撃を入れて貰い、そこからUCを流して行く

今回の件、お前自身が自らの行いを赦せないだろうが全てがお前の責任ではないことも確か
俺も上に掛け合ってみるが――交換条件だ
遠夜にお前が付け込まれた「理由」を話せ、出来れば道場の皆にも
傍から見ればくだらない理由でも当人達にはそうでなかったりするからな



 極めて優れた聽覚を持つと“地獄耳”と呼ばれるが、今が然うだ。
 鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)が聞き覚えのある悲鳴に烱眼を結んだ刹那、鞄から吻を覗かせたヘキサドラゴンのモモが、直ぐさま成竜体となって羽搏く。
「のわぁぁああ落ちるで御座んスぅぅうう……――おお、其方はくぅ!! 息災か!!」
「クー!」
 晴朗の空、黒翼に風を裂いて翔けたモモは、その嘴に藩主・日下部野比就を銜えると、次いで重臣や城仕えの武士達を背に乗せ、合体城から摘み出された者達を救った。
 相馬を知る彼等は、眼下に熾々と然えあがる紺青の炎に雄渾を得よう。
「獄吏殿! 中は蒼紫の靄に満ちた齒車の絡繰りだらけで御座んス!」
「……成る程、齒車なら一を毀損せば全が止まる」
 モモの口觜から喊ぶ藩主の聲に從って、黄金色の精彩は巨城へ。
 而してスッと通った鼻筋を邪に向けた儘、相馬は眼路を走り過ぎんとする劔士の焦燥に聲を置いた。
「己の感情を取り戻したのは幸いだが、呑まれ過ぎるなよ。先刻のお前と同じになる」
「、ッ……おれが、また泥黎に堕ちると」
 瞋恚や怨嗟で勝てる相手では無い。
 情動は力として御すべきだと、感情の色なき白皙が示そうか――彼は『冥府の槍』より滾る紺青の炎を劔士の刀へと継ぎ、火力を付すと同時に制禦を與える。
 炎が號ぶほど心靜かに、怜悧に研ぎ澄まされていくのは何故だろう。
 劔士は心眼明鏡の疆地で巨影に向かうと、前踵部の石段を駆け上がって城の内部へ――周囲の構造物や齒車を伝って上に、上に、膝を昇って股関節部へ向かった。
 進路を遮る武者オブリビオンを蹴散らしつつ、絡繰り機構を具に観察していた相馬が、その指先に一等大きな齒車を差せば、「これか」と深呼吸した劔士は青き炎を揺曳かせて一閃ッ、数多に嚙み合う齒輪の要を両断する!!
「やった! ……って、ひとつだけで良いのか?」
「ああ、これで脚部の動力源が断たれた」
 冷儼と告げた相馬は、【神鳴火】(カミナノヒ)――鎖状の呪縛火を其處へ流し込み、主幹と齒を嚙み合せる輪車から順に、樹枝状に被害を拡げる。
 目下、ギシギシと悲鳴を上げた絡繰りを傍らに、端整の脣は科白を零して、
「今回の件、お前自身が自らの行いを赦せないだろうが、全てがお前の責任ではない事も確か。俺も上に掛け合ってみるが――交換条件だ」
 交換条件――。
 一体どんな条件を提示されるかと、息を呑んで次の句を待った劔士は、濡羽色に艶めく睫に縁取られた金瞳が煌々と光を湛えた瞬間、時を止めた。
「遠夜にお前が付け込まれた『理由』を話せ、出来れば道場の皆にも」
「――――ッ」
 理由。其は「想い」だろう。
 劔士は間もなく閃いた爆熱と烈風の中、凛と冱ゆるテノール・バリトンを聽いて、
「傍から見ればくだらない理由でも、当人達にはそうでなかったりするからな」
 噫、嗚呼。
 おれは其の条件を呑まねばならぬ、と――。
 焦熱の触れる劔士の頬に、一筋の涙が伝った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
城と融合した処で的として当たり易くなったに過ぎん
其の愚かさの代償、身を以て知るが良い
しかしああも簡単に憑依されるとは
元の建てられた経緯の影響……否、考えた処で詮無い話か

成りが巨大化した処で、人体を模したならば構造も類似しようもの
ならば狙う場所は動きの要、或いは急所
――蹂刀鏖末、檻と囲め
動きの方向から稼働する関節部位を読み
先んじて刃を叩き込み、行動を潰して呉れる
……態々砲身を向けて寄越すとは親切な事だ
しかし来ると解る攻撃を待つほど暢気では無いし
外れた砲の被害の可能性も見過ごせん
百の刃を束ねて迎撃し、撃ち落としてくれよう

遣り口も借り物なら力も容れ物も借り物
そんな輩に成せる事なぞ何も無い
疾く、潰えろ



『んむっ、なーんか身体の中がムズムズするが……これが勝利の予感かな? フハハ!』
 今や内部で暴れているのは部下のオブリビオンで無し、密かに侵入した猟兵なのだが、これだけ大きなモノに憑依したなら、細部の危機を感じぬのも仕方無かろうか。
 蓋し鷲生・嵯泉(烈志・f05845)は敵の愚策に嗤笑も爲まい。
「……城と融合した処で、的として当たり易くなったに過ぎん」
 最早、蒙昧も極めたかと溜息を置いた彼は、其の愚かさの代償を身を以て知るべし、と冱刀『秋水』の魚鱗の如き閃爍(きらめ)きを暴く。
 この時、スッと通れる鼻梁は眞直ぐ、蒼紫の靄を纏う巨影に向けられていたが、不圖、紅脣を滑る科白は過去の因果を滲ませ、
「然し、ああも簡単に憑依されるとは、元の建てられた経緯の影響もあろうか――」
 云って、傍らで巨城を仰ぐ藩主を一瞥する。
 柘榴にも似た緋の精彩を注がれた日下部野比就は、其の烱々たる耀いに過日の出来事を思い出したか、丸眼鏡を隔てた双眸はショボショボと涕涙を禁じ得ぬ。
「……否、考えた處で詮無い話」
 癒傷の途にあるきのたけ藩の未来は鎖させぬと、藩主より断禍の一念を預った嵯泉は、再び動き出した巨城を止めるべく、颯爽と砕禍の帳を翻した。
 彼は圧倒的巨影にも怯まず、怜悧に冷徹に観察の眼を研ぎ澄ませよう。
「成りが巨大化した処で、人体を模したならば構造も類似しようもの」
 人体には重心があり、機動の要があり、そして急所が在る。
 数多の戰場を潜ったもののふには、其が透けてさえ視えるか、
「――蹂刀鏖末、檻と囲め」
 身体の向きから駆動方向、そして可動範囲から関節部位を見極めた嵯泉は、巨城の動きに被せるように1,040本の冱刃を展開すると、敵が使役する“術式”を斬ッた!
『フハハッ、何をするかと思えば刀を一振りとは笑わせ……――あるぇぇえええ!?』
 認識も出来ず、回避も叶わぬ不可視の刃は、儼然と“現象”を置くのみ。
 関節部の融合を解かれた巨邪は、ピクリとも動かなくなった脚にチッと舌打ちすると、双肩に備えた大筒の砲口を嵯泉へと結んだ。
『惜しいッ! 脚が動けば、くるせいだぁ樣に楯突く者を悉く踏み潰せたものをッ!』
「……態々砲身を向けて寄越すとは親切な事だ」
 然う、嵯泉は「来る」と判別る砲撃を待つほど暢気な男では無い。
 直ぐさま彈道を割り出した彼は、砲撃が逸れても被害は免れぬ、と烱眼を鋭利く細め、不可視の刃を百毎に束ねて迎撃し、着彈するより速疾く撃ち落としたッ!!
『豈夫(まさか)そんな事がッ……――んんおおおぉぉおお嗚乎ッッ!!!』
 而して巻き起こる烈風に梳られた琥珀の髪は、麦秋の耀きを放って、
「遣り口も借り物なら力も容れ物も借り物……そんな輩に成せる事なぞ何も無い」
 故に「疾く、潰えろ」と――。
 掻き上げられる前髪の奥、修羅の如き緋眼の赫灼たるを露わにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

冬薔薇・彬泰
おやおや…斯様な姿、最早滑稽だけれど
巨人…巨城?相手に、如何様に戦うべきか
少々思索を巡らせてみようか

手帖を取り出し、メモを走り書き
敵の挙動、攻撃を余さず確認
パタアンさえ読めてしまえば、強大な一撃だって回避は容易い
手帖の記載をもとに、件の剣士にも助言を与えていこう
何事も焦りは禁物
常に落ち着いて行動を選択しつつ
皆に危険を察知したら声掛けも忘れずに
この身は既に死人だからね
多少骨が折れようと、僕には詮無き事
逃れられぬ危機が迫ろうと身を挺して庇う事は出来る
片手が残れば、刀も振るえる

多少、手荒になってしまったら申し訳ない
…城が壊れたら弁償になるのかな?
今考えるべき事ではない?
ふふ…それは御尤もです、レディ



『――んんおおおぉぉおお嗚乎ッッ!!!』
 己の付近で、其こそ肩口で爆ぜた砲撃に巨躯を揺すられる邪の首魁。
 烈風に耐える姿勢も實に人間(ひと)の樣だと、冬薔薇・彬泰(鬼の残滓・f30360)は吃々とした竊笑を禁じ得なかったろう。
 不覚えず緩む口角を黒手袋に匿した麗人は、硝子越しに巨影を仰ぎ見て、
「斯樣な姿、最早滑稽だけれど。巨人……巨城? 相手に、如何樣に戰うべきか――」
 少々思索を巡らせてみよう、と滑る佳聲が怜悧を帯びる。
 その間に繊指はコヲトの裏を潜って手帖を取り出し、艶やかな紙面を踊り始めた文字は如何なメモを走らせたか。
 伏せた睫の間より覗く石蒜の麗瞳は、赫き精彩を烱々とさせて、
「パタアンさえ読めてしまえば、強大な一撃だって回避は容易い」
 而して流麗に認められるは【演繹】――人型の巨城の挙動から、重心の位置、関節部の可動域、反射速度、視認領域……詳細な洞察によって論理的推論を積み重ねた情報屋は、導き出した結論を、即ち「攻略」を、件の劔士に助言として與えた。
「畢竟、人型を成せば人の域を出ない……かの巨邪の側面に回るが吉、と」
「っっあんた、危な――……ッ!」
 彬泰の“読み”の的確さは、自身が示そう。
 親切にも手帖を見せて圖解した彼は、此方へ目掛けて巨拳が振り下ろされた正に刹那、僅かな躰捌きで直撃を回避し、何をも叩かず巻き起こった風に濡羽の髪を揺らすのみ。
 泰然を崩さぬ麗人は、戰場らしからぬ艶然を置いて、
「この身は既に死人だからね。多少骨が折れようと、僕には詮無き事だけど……、生ける君の身を案じる人も慥かに居るから」
 何事も焦りは禁物。
 劔呑が迫るほど冷靜に、選択を迷わぬよう――と諭せば、劔士も心を鎮めよう。
 彬泰と共に一陣の風を疾った彼は、先ずは巨人の第一の死角たる足許へと潜り込むと、破風を駆け上がって急襲ッ! 二人、脛部側面に強靭なる劔閃を合わせた――ッ!!
『ッッぜぁ嗚呼!! 弁慶の泣き所……痛いに決まってるだろぅおおおお雄雄!!』
 片手が残れば刀も振るえると、一縷の躊躇い無く振り抜かれた刃撃は凄惨至極。
 餘りの激痛に巨城がザンッと膝を付くが、膝蓋も腱も耐えられず、左の脚は石膏の樣に次々と綻び、最早、瓦解を止められぬ――!
 その壮絶な崩壊に幾許か目を瞬いた彬泰は、爆煙を嫌がる『椿姫』に流眄を注いで、
「……城が壊れたら弁償になるのかな?」
 果して迷子探しばかり請け負う探偵に贖える額だろうかと、苦笑すれば。
 艶めく夜の帳で身を飾った貴婦人は、ツンと鼻先を持ち上げて。
「――今考えるべき事ではない? ふふ……それは御尤もです、レディ」
 可笑しみの艶笑をひとつ。
 而して塵埃を被るのは不本意だろうと、『歯車』が彼女を迎えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御桜・八重
このオブリビオン、からかい口調で神経を逆撫でする。
怒りで我を失えば、剣士さんが幾ら手練れとはいえ満身創痍は必然。
彼の危地を見つけたら【桜小路】で城外の仲間の元へ転移するよ。

鬼の様な形相で憤る彼の横っ面を張り、くってかかる。
死に急ぐような戦いなんて、逃げてるだけだよ!

猟書家の陰謀とは言え皆を斬ったのは事実。
周囲が許しても彼は自分を許さないだろう。
本当の戦いは、苦しみは、この戦が終わってから…

だからこそ、今は守りたかったものを、大切な人を思い出して。
皆を護るために、胸を張って戦って…!

仲間が見極めた指揮系統の要には他の猟兵も向かっているはず。
それをマーカーにして剣士さんと転移する。
さ、行こう!



『ぐぁぁあああ……っっ! 然し然し最強無敵究極の城は負けぬぅぅううん!!』
 轟音を喊んで崩れゆく左脚を押さえながら豪語する巨邪。
 右拳は胸部に刻んだ「無敵」の銘を強く叩くと、次いで大仰に見得を切った。
『惜しやッ、阿那(あな)惜しやッ! 斯くなる上は、劔士も猟兵も鏖殺し、骸の海へと沈めた後、從順なる下僕として掬い上げねば氣が済まぬッ!!』
 膝下は既に崩壊し、空洞となり始めた左脚大腿部より侵入を果した御桜・八重(桜巫女・f23090)は、城の内外に響く呶鳴聲(がなりごえ)を劔士と共に聽いたろう。
 柳葉の眉は科白の途中で顰められ、
「……このオブリビオン、からかい口調で神経を逆撫でする」
 長い睫の下、青い佳瞳は隣する劔士の焦燥を映す。
 怒りで我を失えば、幾ら手練れと云っても深傷を負うは必至にて、八重は次々と現れる忍者軍団を形振り構わず斬り伏せる劔士に割って入った。
 退いて呉れッ、と猶も踏み出んとする憤怒の鬼の横ッ面を張り、くってかかる。
「死に急ぐような戰いなんて、逃げてるだけだよ!」
「ああ、然うだ。おれは彼奴を始末した後、死んで詫びる心算(つもり)だ」
 而して強く頭(かぶり)を振る。
「死んだって、終らないよ……!」
 猟書家の陰謀とは言え、劔士が無辜の命を斬ったのは事実。
 仮令(たとえ)お上や双方の道場が許しても、劔士は自分を許さないだろう。
 本当の戰いは、苦しみは、この戰が終わってからなのだと胸をいっぱいにした八重は、透徹の青瞳を泉の如く淸冽と、瞋恚に塗り潰された劔士の眸に訴えた。
「お願い。今こそあなたが本当に守りたかったものを、大切な人を思い出して。そして、皆を護るために、胸を張って戰って……!」
「――……遠夜……」
 命を手放してはならぬと、何より命が喊ぼうか。
 劔士は八重の澄み渡る青の精彩に心を鎮めると、次いで彼女の佳聲に耳を澄まし、
「きっと今頃は、仲間が見極めた指揮系統の要に、他の猟兵も向かっている筈……私達もそれをマーカーに、絡繰りの中枢部に転移しよう!」
「まーかー? それは如何言う……」
「――こういうこと! さ、行こう!」
 云うや、周囲に桜吹雪が舞い立ち、劔士ごと芳しき櫻馨に包む。
 八重が紡いだ【桜小路】によって、メイン動力となる胸部の大齒車へとテレポートした二人は、仲間達と冱撃を合わせ、刃鳴一閃ッ! 巨城を動かす機構を破壊した!!
 八重の陽刀・桜花爛漫と劔士の刀、そして中枢に集められた仲間の拳打刃撃の一切が、今や一点に集まり、一際の閃爍(きら)めきに大いなる衝撃を放つ――ッ!!

『ふぬをあ!! 最強無敵にして究極ッ、無敵の城が……壊れぁぁぁあああ嗚呼!!』

 刻下、胸部に刻んだ「無敵」の銘を破壊され、そこから放射状に爆発する巨邪。
 強く胸を彈かれて背を弓形に反らせた憑依型オブリビオンは、融合合体を解かれると、蒼紫の靄を立ち昇らせて宙空で霧散し、大地に寝転がった城は元の姿へ――スギノコ城に戻った。
 餘りの巨体故に、其と戰う猟兵と劔士の姿は、城下町の多くの人々が見ていたろう。
 城外で戰っていた藩主・日下部野比就も、晴朗なる空に閃く花火に一件落着を見ると、此度の事件に対し、情けを掛けるべきと目元を和らげるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月22日


挿絵イラスト