神の力を受け継ぐ者たち
「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「ヒーローズアースを侵略する猟書家の1人『ダークメナス』が、ヒーロー達に宿った『滅びし神の力』を回収し、超生物スナークを誕生させる計画を進めています」
幾多の世界にまたがって侵略を行う謎の勢力『猟書家』。中でもヒーローズアースの侵略に関わる幹部は、ミストレス・バンダースナッチの主導する『超生物スナークの創造』を様々な方法で実現させようとしている。人々の恐怖やトラウマ、異文明のテクノロジーなど、あらゆるものを利用して「スナーク」と称する存在を作り上げようとする彼らが、今回目をつけたのが『滅びし神の力』だ。
「遡ること20年以上前。1999年のヒーローズアースでは『ジャスティス・ウォー』と呼ばれる、史上最大級のヒーローとヴィランの戦争がありました」
善悪の決戦とも呼ばれるこの戦いでは、神と呼ばれる超存在も地球の中心から参戦し、多くの善神、邪神が滅び去った。だが実は、その際に神々の戦場となった地には、神の力が残されていたのだ。
「この『滅びし神の力』の影響により、同地では現在でもヒーローやヴィランが生まれやすい、一種のパワースポットとなっています。猟書家の狙いはこうした神々の力を集め、オブリビオン化させることで、超生物スナークを誕生させることのようです」
では具体的にどうやって神の力を集めようというのか。その方法は単純――奪うのだ、力を宿すヒーローから。当然ながらその際に被害にあうヒーローの生命は考慮されない。
「事件が起きるのはイギリスのとある地方都市。ここで活動している『ブラックドッグス』というヒーローチームが、猟書家配下のオブリビオンの襲撃を受けます」
ブラックドッグスはジャスティス・ウォー終結後に誕生した比較的若い世代のヒーローで構成されたチームだ。本人達も気付いてはいないが、彼らがユーベルコードに覚醒したのは『滅びし神の力』の影響による。敵は彼らを殺害することでその力を奪うつもりだ。
「襲撃を実行するのは『スペクター』。諜報・暗殺・拷問・潜入のプロフェッショナルである彼女達は、ヒーロー達が別行動を取っているタイミングに奇襲を仕掛けてきます」
このままではブラックドッグスのヒーロー達は、連携を取れず各個撃破されてしまう。
神の力が猟書家の手に渡るのもそうだが、前途あるヒーローの命をみすみす奪わせるわけにはいかないだろう。
「皆様は大至急現地に向かい、襲撃を受けたブラックドッグスの救援をお願いします」
ブラックドッグスは現地では実力も実績もそれなりにあるチームだが、1対1でオブリビオンに対抗できるほどではない。しかし現地の地理に詳しいため、味方につければ何かと有利に立ち回れるだろう。
「別行動しているチームメンバーの合流を促すほか、土地勘を活かして罠を張るような事もできるでしょう。最初の奇襲さえ防げれば、彼らも十分に戦力として期待できます」
襲撃者のスペクターは暗殺以外の戦闘力も低くはなく、特に暗所での戦いになれば厄介な存在である。犠牲者を出さないためにも、上手く現地のヒーローと連携していきたい。
「襲撃から一定時間が経過すれば、配下が回収した神の力を受け取るために、幹部であるダークメナス本人が現れます」
その時点で神の力を奪えていなければ、ダークメナスは自らの手でヒーロー達を殺し、神の力を奪おうとするだろう。幹部猟書家となっている彼女の正体は、かつて滅んだはずの強大な邪神の一柱。実力は並大抵のヴィランとは比較にならない。
「その出自ゆえにでしょうか、ダークメナスはこの土地で散った『滅びし神』を召喚する能力を持っています。二柱の神を同時に相手にするのは猟兵でも骨が折れるでしょう」
しかし、この召喚された神は同じ『滅びし神』の力を宿すブラックドッグスのメンバーがいれば相殺することができる。ゆえに、彼らをいかにして守り抜き、共に戦うかが勝利のカギとなるだろう。
「今回の事件も含め、ヒーローズアースの猟書家の目的はスナークの名の元に恐怖を集める事にあります。その目論見を挫くためにも、確実に事件を阻止していきましょう」
機会があれば現地のヒーローに猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員を名乗っておくのもいいだろう。スナークという名を恐怖の代名詞でなく、別の概念で塗り替える計画だ。
いずれにせよ最優先はヒーローチームの人命保護と、『滅びし神の力』の略奪の阻止。どうか頼みますと一礼すると、リミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、道を開いた。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回の依頼はヒーローズアースにて、『滅びし神の力』から超生物スナークの創造を企む幹部猟書家、ダークメナスの計画を阻止するのが目的です。
一章は神の力を宿すヒーローチームを襲撃する『スペクター』との集団戦です。
敵はヒーローが単独行動している時を狙ってきます。先んじて合流し暗殺を阻止、あるいは罠を仕掛けるなどしてその企みを挫きましょう。
二章は事件の首謀者である『ダークメナス』との決戦です。
強大な邪神の一柱である彼女は自身のユーベルコードに加え、土地から『滅びし神』を召喚して戦わせます。しかしこの召喚は同じ神の力を持つヒーローがその場にいれば相殺できるので、一章と同じく連携が重要になるでしょう。
本シナリオは二章構成となり、全章共通で下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。
プレイングボーナス……ヒーローチームと共に戦う、もしくは猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る。
ヒーローチーム『ブラックドッグス』は、1999年のジャスティス・ウォー以降に誕生した、十代から二十代前半の若い世代のヒーローによるチームです。
実力は猟兵やオブリビオンに並ぶものではありませんが、いわゆるご当地ヒーロー的な地域密着型の活動をしているため、現地の地理に詳しいです。
また、彼らに宿る『滅びし神の力』は本シナリオの重要なカギを握ります。前述のとおり上手く連携することが成功に繋がるでしょう。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『スペクター』
|
POW : 無音致命の一撃
【その時の状況に最適な暗器】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 不可視化マント
自身に【生命力で駆動する姿を隠せる透明化マント】をまとい、高速移動と【自身の気配を掻き消す超音波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 無法の手管
技能名「【恐怖を与える・傷口をえぐる・恫喝・殺気】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
イラスト:黒江モノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
大町・詩乃
ジャスティス・ウォーの残滓ですか。
(日本にて善神側で参戦した過去を暫し思い返し)
ヒーローを生み出す効能があるとは、あの凄惨な戦いにも決着をつける以外の意味が有ったのですね。
では助けに行きましょう。
第六感と失せ物探しで襲撃を受けているヒーローさんを探し、幸運にも発見。
「私もヒーローの1人としてブラックドッグスさんに助太刀します!」と、オーラ防御を纏った天耀鏡の盾受けでヒーローさんをかばい、念動力・範囲攻撃でスペクター達の動きを抑えつつ、響月を吹奏してUC発動。
UCと音の属性攻撃・全力魔法でまとめて倒す。
助けたヒーローさんに「他の方も助けに行きましょう。」と申し出て土地勘のあるヒーローさんと行動。
「ジャスティス・ウォーの残滓ですか」
予知にあった地方都市を訪れた大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)は、どこか物憂げな表情で呟く。かつてこの世界で起こった善悪の二大決戦が残した爪痕――それは日本にて善神側で参戦していた彼女にとっても他人事ではなかった。
「ヒーローを生み出す効能があるとは、あの凄惨な戦いにも決着をつける以外の意味が有ったのですね」
当時の事を暫し思い出し、散っていった者達に想いを馳せる。数え切れないほどの同族やヒーローがあの戦いで散っていった。だが彼らの遺志と力は後世に受け継がれ、新たなヒーローを生み、この世界を守り続けていたのだ。
「では助けに行きましょう」
生来の第六感と失せ物探しの技を頼りに、襲撃を受けているヒーローを捜索する詩乃。
特に当てがあるわけでは無かったが、女神の幸運の為せる技か、彼女はたまたま襲撃の起こる現場に出くわすことができた。
「くっ、なんだお前は……?!」
ヒーローらしいコスチュームに身を包んだ若者が、黒装束を纏った女達と戦っている。
戦況はヒーローが劣勢だ。数的な不利に加えて、気配を絶ったまま音もなく忍び寄り、人間離れした素早さで暗器を振るう女達の動きに、まるで対応しきれていない。
「危ない!」
このままでは彼が生命を落とすと判断した詩乃は、一声叫びながら戦いに割り込んだ。
彼女の周囲に浮かぶヒヒイロカネ製の神鏡「天耀鏡」は、神気のオーラを纏うことで鋼にも勝る超硬の盾となり、暗殺者の女――スペクターの【無音致命の一撃】を防いだ。
「貴女は……?」
「私もヒーローの1人としてブラックドッグスさんに助太刀します!」
危ういところを庇われ目を丸くするヒーローに、手短に味方だと示す名乗りを上げる。
その美しくも優しい神気の輝きは、紛れもなく善き神のもの。何よりこの世界での猟兵の活動はメディア等を通じて広く周知されている。疑いが挟まれる余地は皆無だった。
「……邪魔をするな」
あと一歩のところで暗殺を阻止されたスペクター達は、表情こそ変わらなかったものの声に不快感を露わにした。黒装束の袖口から新たな暗器を取り出し、襲いかかってくる。
「そいつを殺すのを止めるなら、まずは貴様からだ」
「させません!」
再び【無音致命の一撃】を放たれる前に、詩乃は念動力で敵集団の動きを抑えつける。
見えざる意思の力が物理的な作用となって迫るスペクター達を押し返す。その隙に彼女は龍笛「響月」を取り出すと【帰幽奉告】を奏で始めた。
「この曲は貴方達の葬送の奏で。音に包まれて安らかに眠りなさい」
戦場に響く龍笛の音色は、美しくもどこか物悲しさをはらみ、聞き手の心を揺さぶる。
それは肉体ではなく、魂と精神を直接攻撃するユーベルコード。葬送の奏でに包まれたオブリビオンは、まるで全身の力が抜けたようにがくりとその場に膝を突いた。
「なん、だ、この音は……っ」
陶然とした様子で声を震わせながら、魂を浄化されたスペクター達は消え去っていく。
その光景を見ていたヒーローは「凄い……」と、初めて目の当たりにした猟兵の力に、ただただ感服するのだった。
「他の方も助けに行きましょう」
「あ……はいっ!」
吹奏を終えて詩乃がそう申し出ると、若きヒーローははっとしながらこくこく頷いた。
この町にいるヒーローは彼一人ではない。滅びし神の力を宿した「ブラックドッグス」のメンバー全員が敵の標的になっている。だとすれば彼の仲間も襲撃を受けているはず。
「他のやつらと連絡を取ってみます。こっちです!」
通信機を片手に駆け出す若者の足に迷いはない。この町の構造に熟知している証拠だ。
案内は土地勘のある彼に任せて、詩乃も走り出す。滅びし同族の力を受け継いだ彼らの生命を守るために。
大成功
🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
「裏切りの猟兵家『カビパン』今のうちに暗殺すれば楽になる」
「奴はウィルオーグ様の弟子であり師匠だとか」
「嘘に決まってるだろう。各員配置についたな…いたぞ、次の合図で一気に」
「!?こっちを睨みつけているぞ。歴戦将校の佇まい…鋭い眼光とこのプレッシャー。まさか殺気に全て気づいているのか!」
カビパンサイド
(ヒーローズアースは初だからワクワクするな)
「…まず左のやつ(お店の用事)から潰さねばな。次はすぐさま上を始末する。これが効率的だ。右と正面先が片付いたら…その時に合わせて残りはじっくりと味わって遊んでやろう」
「「に、逃げろー!嬲殺しにされるぞ!?」」
「ん?」
戦わずして敵を退けたカビパンであった。
「……ここが情報にあった場所か」
どこか古めいた風情を感じさせる町並みの一角で、瀟洒な軍服姿の女がぽつりと呟く。
カビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)はこの町で活動するヒーローを猟書家から守るため――のついでに、個人的な野暮用を済ますために来ていた。
「ここと、ここと、あとここもか。行く所が多いな」
観光者向けのガイドマップを片手に、どのルートで行くのが一番効率的か考える。旅団「悩み聞くカレー屋」店主の表情はすこぶる真剣だが、実のところ大した用事ではない。
だが。猟書家そっちのけで私用を優先する彼女を、静かに付け狙う者達がいた。そんな目立ちやすい格好で猟兵が歩き回っていれば、敵に目をつけられるのも当然のことだ。
「あれが裏切りの猟書家『カビパン』か」
誰にも気付かれぬよう物陰に潜みながら、気配を消して尾行を行う「スペクター」達。彼女らは猟兵であるカビパンを裏切り者と呼び、何故だか強く警戒している様子だった。
ここヒーローズアースにおいて、猟兵はヒーローとして広く一般にも周知され、尊敬を集める存在である。メディア等の露出も多く、個々人の情報が出回る割合も小さくない。
「まさかこんなところで噂の女に出くわすとは……」
こと猟書家は複数の世界を股にかけて活動するオブリビオン勢力であり、猟兵に関する情報収集も怠ってはいないだろう。だが集めた情報が正しいとは限らない。様々な世界でカビパンが吹聴してきた「自分は猟書家だ」というネタを、彼女らは真に受けていた。
「今のうちに暗殺すれば楽になる」
「奴はウィルオーグ様の弟子であり師匠だとか」
「嘘に決まってるだろう」
何重にも又聞きされ錯綜した情報の真贋を求める術は無い。だが滅びし神の力を集める作戦中に噂の人物がやって来れば、何か重大な目的あっての事と勘ぐるのも無理はない。
本来のターゲットを殺す前に、まずは邪魔になりそうな奴から始末する。スペクター達は音もなくカビパンの周りを取り囲み、抜け出る隙間のない包囲網を敷く。
「各員配置についたな……いたぞ、次の合図で一気に」
「!? 待て、こっちを睨みつけているぞ」
が、まさに暗殺を仕掛けようとしたその時、彼女らの一人が驚いた声で警告を発する。
隠密は完璧だったはず。自分達はプロだ、ターゲットに発見されるような落ち度は見せていない――にも関わらず、カビパンの視線はじっと彼女達のほうを向いていた。
「……まず左のやつから潰さねばな」
常在戦場と言うべき立ち居振る舞いで、厳かに呟くカビパン。お店の用事の話である。
内心では(ヒーローズアースは初だからワクワクするな)とか考えているが、初対面の者はまず彼女の外面に騙され、重度の貧乏性かつ面倒くさがり屋な本性には気付けない。
「次はすぐさま上を始末する。これが効率的だ」
軍服のよく似合う凛々しい姿で、すうっと視線を動かす。実際にはただ町並みを見ているだけでも、周囲を固めていたスペクター達からは尾行がバレているように見えたのだ。
「歴戦将校の佇まい……鋭い眼光とこのプレッシャー。まさか殺気に全て気づいているのか!」
カビパンサイドの呑気さとは真逆に、猟書家サイドでは緊張が走る。完全に包囲されているはずなのに、あの余裕、あの風格。もしやこの状況は全て向こうの思惑通りであり、自分達はすでに術中に嵌まっているのでは――そんな疑心暗鬼がスペクター達に広まる。
「右と正面先が片付いたら……その時に合わせて残りはじっくりと味わって遊んでやろう」
それを後押しするようなカビパンの独り言。繰り返しになるがお店の用事の話である。
だが、聞きようによっては罠にかけた獲物をなぶるかのようなその発言は、マックスになった警戒心を破裂させるのに十分だった。
「「に、逃げろー! 嬲殺しにされるぞ!?」」
コイツには手を出すべきじゃない。恐怖に駆られたスペクターは、本来の任務すら忘れて一目散に逃げ出した。正体不明の敵の底知れぬ(ように感じる)存在感に負けたのだ。
「ん?」
そんな事など露知らぬカビパンは、騒がしいけど何かあったのかと首を傾げるばかり。
情報の錯綜と誤解と勘違いによるものとはいえ、戦わずして敵を退けたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
単独行動しているヒーローを守る為に接触。
※可愛らしい女性メンバーがいれば女性メンバーに接触
猟兵組織「秘密結社スナーク」のフレミアと名乗り、守りに来たと事情を説明。
一般人を巻き込まない様に人気の少なく、障害物の少ない広い場所(公園等)を聞いて移動。
到着後、周囲の空間に【念動力】と【サイコキネシス】による不可視の網を球状に展開。
範囲内に侵入した瞬間に【サイコキネシス】で感知・捕縛し、【魅了の魔眼・快】【誘惑、催眠術】で魅了するわ♪
経験の差ね♪
スペクターは眷属の子にもいるし、悪いけど、貴女達みたいに姿を消したりする相手とは色々戦ってるのよね。
「ちょっといいかしら? 貴女、この町のヒーローよね」
「え? ええ、そうですけど」
単独で町のパトロールをしていた1人のヒーローに、紅いドレス姿の娘が声をかける。
彼女――フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は、この町にいる「ブラックドッグ」のヒーローに危機を伝える為に来たのだ。その最初に声をかけた相手が、可愛らしい女性メンバーなあたりに趣味も出ているが。
「わたしは猟兵組織『秘密結社スナーク』のフレミア。貴女を守りに来たわ」
「猟兵の? それは一体、どういう……」
驚く女性に事情を説明しながら、フレミアは彼女を連れて移動する。もしここで戦えばいらぬ犠牲や被害が増える恐れがある、猟書家は一般人の安否など気にもしないだろう。
「一般人を巻き込まない様に人気の少なく、障害物の少ない広い場所はないかしら」
「そうですね、この時間帯なら……あの公園なら誰もいないかな」
土地勘のあるヒーローの情報を頼りに、戦闘に適した場所に移動してきたフレミア達。
普段は子どもや親で賑わう所なのだろうが、都合のいい事に今は誰もいない。到着後、フレミアはすぐに周囲の空間に念動力と【サイコキネシス】による不可視の網を張った。
「さあ、いつでも来なさい」
球状に展開されたサイキックエナジーの力場は、内部に侵入した者を感知するセンサーとなる。たとえ死角から敵が襲って来ようとも、この布陣ならば絶対に見逃しはしない。
「―――そこね」
「ッ?!」
フレミアが微笑みながら指差した先。暗器を片手に【無音致命の一撃】を仕掛けようとしていたスペクターが、びくりと肩を震わせ硬直する。完全に音も気配も断っていたにも関わらず接近のタイミングを完璧に察知され、さぞや驚いたことだろう。
「くっ、気付かれるとは。だが……!」
それでも彼女らは強引にヒーローに攻撃を仕掛けようとするが、サイコキネシスの網は敵を感知するだけでなく、そのまま敵を捕縛する罠にもなる。気が付かぬまま飛び込んでしまったスペクター達は、もはやフレミアの手のひらの上も同然だった。
「う、動けない……?!」
「経験の差ね♪」
見えない何かに身体を掴まれ、暗器を振るおうにも指先ひとつ動かせない。奇妙な格好で宙に固定された暗殺者達に、フレミアは悪戯っぽく、無邪気で妖艶な笑みを浮かべた。
「スペクターは眷属の子にもいるし、悪いけど、貴女達みたいに姿を消したりする相手とは色々戦ってるのよね」
この手の輩は不意打ちにさえ対処できれば怖くはない。こう開けた場所では得意の隠密や暗殺術も活かせないだろう。まさに強敵・難敵との戦闘経験がもたらした勝利だった。
「わたしの僕になりなさい……あなた達はもう、わたしのトリコ♪」
「ぅ……や、やめ……ぁ……!」
仕上げにとフレミアは【魅了の魔眼・快】と催眠術を使って、捕らえたスペクター達を虜にする。相手もわずかに抵抗する素振りは見せたものの、魅了の魔力がもたらす強烈な快楽には逆らえず――ほどなくして彼女らは皆、吸血姫の新たなる眷属となった。
「す、すごい……」
一部始終を見ていたヒーローの女性は、一合も交えることなく敵集団を無力化した手腕に感服する。この世界では最高峰のヒーローとして、人々の尊敬を集める猟兵。その実力の程をフレミアは遺憾なく示してみせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
ぼくは猟兵組織「秘密結社スナーク」のアリス。キミが暗殺者に狙われると聞いて、助太刀に来たよ。
エレクトロレギオンを各所に設置。敵が近づいたらところで自爆させるよ。
これで信じてもらえた?他のメンバーとの合流ルートを立てて。たぶん、キミたちの方が土地勘があるはずだから。
合流ルートを聞いたらエレクトロレギオンを移動させ。進行ルートの確保と追っ手の妨害をさせるよ。
「ねえキミ、ブラックドッグスのヒーローだよね?」
「うん? そうだけど、何か用かなお嬢ちゃん?」
滅びし神の力を宿す「ブラックドッグス」のメンバーを見つけたアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は、にこにこ無邪気な笑顔で話しかける。どうやら猟書家の配下が襲ってくる前に、先んじて接触することが出来たようだ。
「ぼくは猟兵組織『秘密結社スナーク』のアリス。キミが暗殺者に狙われると聞いて、助太刀に来たよ」
「え……キミが?」
まだ年端も行かない幼い見た目の少女にそう言われても、すぐにはピンと来ないのか、若いヒーローは首を傾げている。猟兵に齢は関係ないとはいえ、あまりに唐突な話だし、信じられないのも無理はないか。
「ほら、もう来てるよ」
だがアリスがそう言った瞬間、彼女達の付近で爆発音が起こる。事前に各所に設置しておいた【エレクトロレギオン】が、敵の接近に反応して自爆したのだ。まだ実感の湧いていなかったヒーローも、これにはハッとした様子で表情を引き締める。
「い、今のは……!」
「これで信じてもらえた?」
爆発の中からゆらりと現れたのは、外套を焦がした黒装束の女暗殺者――スペクター。
今のでダメージは受けたようだが重傷ではない。とは言え向こうからすれば接近を察知され、暗殺の企みがバレてしまったのは大きな痛手だろう。目隠しで覆われた顔からも、憎々しげな感情が伝わってくる。
「他のメンバーとの合流ルートを立てて。たぶん、キミたちの方が土地勘があるはずだから」
「わ、分かった! こっちだ、ついて来てくれ!」
敵が体勢を立て直す前に、アリスとヒーローは走り出した。戦闘力は猟兵に劣るもののブラックドッグスはこの町で長く活動してきたヒーローチームだ。一般人は知らないような裏道にも熟知しているし、いざという時の合流の手はずも決めてある。
「みんなの所にも、あの暗殺者が来てるのか?」
「そっちには他の猟兵が向かっているはずだよ」
仲間の安否を気にするヒーローを安心させつつ、合流先までのルートを聞いたアリスはエレクトロレギオンを移動させる。刺客を倒すよりも、味方との合流を優先する判断だ。
「ッ、邪魔だ……!」
逃すまいと追いすがるスペクター達の前に、すっと立ちはだかるエレクトロレギオン。
耐久力に難はあるものの大量召喚が可能なそれは、進行ルートの確保と追手の妨害にはもってこいだ。先ほどの自爆を見れば、敵も迂闊にゴリ押すこともできまい。
「どけと言っている……!」
【無法の手管】を駆使して恫喝しても、機械兵器は恐怖を抱かないし殺気も感じない。絶妙に噛み合わない相性の軍勢に攻めあぐねるうちに、アリス達はどんどん離れていく。
「上手くいってるみたいだね」
十分に距離を引き離したところで、アリスは遠隔操作でレギオンを起爆。置いていかれたスペクター達を爆発が襲い、甲高い悲鳴と断末魔が爆音に混じって遠くから聞こえた。
「「きゃぁぁぁぁーーーーっ!!!?」」
何人倒せたかは不明だが、これでさらに時間を稼げるだろう。合流地点はすぐそこだ。
かくして護衛対象のヒーローに傷一つ付けることなく、アリスは彼を無事に仲間の元に送り届けたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
フン、平和になった世界に再度侵略とはな
現実でも、悪の組織と言うのは大分しつこいらしい
まずはブラックドッグスのメンバーと合流
他のメンバーとの合流地点を聞いたら護衛代わりにデゼス・ポアをメンバーに付け、私は装備銃器で敵を倒していき、合流地点までの道を切り開いていく
私達は「秘密結社スナーク」
世界の希望と安寧を目指すために戦っている組織の一員さ
では行こうか
敵の攻撃が激化してきたらUCを発動
メンバーを狙うスペクター達をデゼス・ポアの刃で優先して倒していき、さらに私自身もデゼス・ポアと連携を取って討ち漏らしを銃撃で排除していく
さぁ、立ち上がろう
君達もまた、この世界に輝く希望の光なのだから
「フン、平和になった世界に再度侵略とはな」
幾度もの大きな戦いを経て、ようやく平和になったと思われていたヒーローズアース。そこに侵略を仕掛けてきた猟書家のやり口に、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は憮然とした気持ちで鼻を鳴らす。
「現実でも、悪の組織と言うのは大分しつこいらしい」
無論、自分達が来たからには好き勝手にさせるつもりは無い。平和の礎になった善神達の為にも、滅びし神の力を宿すヒーロー達を守るために、彼女は颯爽と町を駆けていく。
「くっ、何なんだこいつら……!」
キリカがブラックドッグスのメンバーを発見した時、彼は既に猟書家と交戦中だった。
神の力を回収する為に、幹部が遣わした「スペクター」。恐るべき暗殺者である彼女達の奇襲に、ヒーローは何とか耐えているものの防戦一方の様子だった。
「やらせるものか」
即座にキリカは自動小銃と機関拳銃を構え、フルオート射撃でスペクターを攻撃する。
聖なる箴言と秘術により強化された弾幕は、悪しきオブリビオンには特に脅威となる。慌てて敵が射線から飛び退いた隙に、キリカはヒーローとの合流を果たす。
「私達は『秘密結社スナーク』。世界の希望と安寧を目指すために戦っている組織の一員さ」
「あ、あなたが噂の……!」
手短に自己紹介すると、危ういところを助けられたブラックドッグスのメンバーは目をキラキラと輝かせた。この世界における猟兵は世界を救った偉大なヒーローで有名人だ。猟書家の計画を挫くために考えられた架空の組織「スナーク」の名も広まりつつある。
「ここは危険だ。まずは君達の仲間と合流しよう」
「はいっ。でも、まだあいつらが……」
頼もしそうにキリカを見つつも、若きヒーローは不安を隠せない。銃撃によって一時は退けられたスペクター達はすぐにまた集まってきて、ヒーロー達の合流を阻もうとする。チームの連携力を警戒しているからこそ、彼女らは各個撃破という策を取ったのだから。
「心配はいらない。では行こうか」
【無音致命の一撃】の構えを取るスペクター達に対し、キリカは【苦痛の嵐】を発動。
ふわりと宙に浮かんだ呪いの人形「デゼス・ポア」が、躯体より錆びた刃を放射する。
「嗤え、デゼス・ポア。貴様に出会った不運な者達を」
幼子のようにも老婆のようにも聞こえる不気味な笑い声と共に、錆刃が敵を切り刻む。
それは次元すら切り裂いてあらゆる場所から現れ、一度狙った獲物を決して逃さない。若きヒーローを襲おうとしたスペクターは、逆に自らが苦痛に悶えることになった。
「ぐあぁっ?!!」
激しい痛みに敵が怯んだ隙を突いて、キリカが再び銃のトリガーを引く。浴びせられた銃弾は今度こそターゲットに致命傷を負わせ、断末魔の叫びが真夜中の町に響き渡った。
敵の襲撃を一旦退けると、デゼス・ポアはふわりと浮かんだままヒーローの傍に護衛として付き、キリカは弾倉をリロードしながら声をかける。
「さぁ、立ち上がろう。君達もまた、この世界に輝く希望の光なのだから」
「は……はいっ!」
尊敬する猟兵の戦いぶりを目の前で見られたうえに励ましの言葉までかけて貰い、彼のテンションは鰻登りになる。若さゆえの純粋さは、荒削りながらも将来性を感じさせた。
平和を脅かす敵が新たに現れても、それを阻止する新たなヒーローの芽も現れている。それを実感しながらキリカは合流地点に向けて走りだし、道を切り開いていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
ミラ達と参加…。
【影竜進化】でミラ達を影竜に進化させ、自身の影の中に潜航して貰い、探知術式【情報収集、呪詛、高速詠唱】でブラックドッグスのヒーローと接触…。
暗殺を狙ってる敵にこちらが警戒してる事を悟られない様にできる限り自然且つ密かに情報を伝え、土地勘のあるヒーローの案内で人気の少なく死角の多い路地裏方面へ徐々に移動…。
角を曲がる等して一瞬、敵の視線から外れた瞬間にミラ達に自身とヒーローを影に取り込んでもらい、逆に影の中で待ち伏せ…。
敵がこちらを見失って慌てているところを逆に影から奇襲を掛けて仕留めるよ…。
影に踏み込んだ敵の足先だけを影に取り込んで固定し、動きを封じたりとか…。
「我が家族たる竜達…闇の衣を纏いて仮初の進化を得よ……」
闇に紛れて忍び寄る敵の魔の手。隠密と暗殺に長けた猟書家からの刺客を迎撃すべく、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は一緒に暮らす三匹の仔竜を【呪法・影竜進化】で強化する。
「お願いみんな、わたしに力を貸して……」
少女の呪力と願いに応えて、一時的な進化を遂げた仔竜達は、彼女の影の中にとぷんと潜り込む。影を自在に操り、同化・潜航能力を持つ影竜は、暗殺者の迎撃に最適だろう。
「あなたは……ブラックドックスのヒーローだよね……」
「ん? そうだけど、もしかしてファンの人?」
竜達を影に潜ませたまま、璃奈は単独行動中のヒーローとの接触を図る。暗殺者が来る前に発見できたのは、得意の呪術による探知術式の成果だ。璃奈とさほど年格好も変わらないように見えるその娘は、ヒーローらしい快活な笑顔で応じる。
「動揺しないで聞いて……あなた達を狙っている敵がいる……」
「えっ……それって、ヴィランが?」
ヒーローに出会った一般人を装って、小声で密かに情報を伝える。暗殺を狙っている敵にこちらが警戒している事を悟られたくない。できる限り自然に振る舞うように言うと、少女は一瞬驚いたものの、すぐに元通りの笑顔になった。
「ここには観光で来て……ブラックドッグスの活躍は、前から聞いてた……」
「そうなんだ! じゃあ、この町の案内してあげるよ!」
和気あいあいとした雰囲気のまま、璃奈とヒーローは町内を歩き回る。傍目には観光者とそのガイドのように見せかけながら、実際には土地勘のあるヒーローの案内で、人気の少なく死角の多い路地裏方面へと徐々に移動していく。
「ターゲットが人混みから離れた」
「一緒にいるのは女ひとり。チャンスだ。行くぞ」
その様子を影から尾けていたのは、黒装束を纏うスペクター達。何も知らない彼女らは標的を暗殺する好機がやってきたと思い込み、音もなく距離を詰めていく。二人の少女が路地裏の角を曲がると、一気に仕掛けようと暗器を抜き放ち――。
「――なッ?!」
その直後に暗殺者達は標的を見失う。ほんの一瞬視線が外れた間に、璃奈とヒーローの姿は角の向こうから消えていたのだ。尾行に気付かれていたとしても、振り切るほどの隙は無かったはず。狐につままれたように唖然とするスペクター達。
(敵は完全にこっちを見失ってるね……)
(ほんとだ……すごいね、このユーベルコード……)
では璃奈達は一体どこに姿を消したのか。答えは影の中にあった。影竜化した仔竜達の力を借りて、彼女らは路地裏の影に身を潜ませていたのだ。影に潜む事を信条とする暗殺者も、まさか標的が本当に影と同化する能力持ちだったとは思いもよらなかっただろう。
「ど、どこへ行った……?!」
自分達がすぐ傍にいるとも知らず、敵はこちらを見失って慌てている。璃奈とヒーローはそこで逆に奇襲を掛けた。影から颯爽と飛び出した少女達が、敵の死角から切り込む。
「仕留めるよ……」
「うん!」
「なぁッ?!」
襲う側から襲われる側に。立場の逆転したスペクター達はあっけないくらい脆かった。
不意打ちの初撃で半数が倒され、残った半数は慌てて後退しようとするが――まだ潜伏していた影竜達が、影に踏み込んだ彼女らの足元だけを、影に取り込んで固定する。
「あ、足が……ぎゃぁっ?!!」
泥沼に嵌まったように動きを封じられたスペクターを、魔剣の巫女が斬り捨てる。僅か十数秒のうちに、彼女らを狙っていた敵は壊滅していた。返り血すら浴びることなく剣を収める璃奈を見て、ヒーローの少女はほうと感心したように息を吐いた。
「話には聞いてたけど、猟兵ってやっぱり凄いなあ……」
「オブリビオンとの戦いなら慣れてるからね……」
ともあれこれで最初の襲撃は片付けた。あとは幹部がやって来る前に味方と合流する。
少女達は仲間と連絡を取りつつ、合流ポイントに向かって路地裏を駆け出すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
予知を聞いて人気の無い路地裏で襲撃を受けている
ブラックドッグスのメンバーの救出に向かうよ
女神降臨を使用し
高所からガトリングガンでスペクターを攻撃
襲撃に割って入ろう
秘密結社スナークが助けに来たと名乗ろうか
色々小っ恥ずかしいけどヒーローっぽく
振舞った方が味方とわかりやすいだろうし
アースクライシス2019の頃は
この恰好で戦ったりメディアに写ったりする事が多かったから
相手が知ってたら儲けものだしね
派手な射撃でスペクターの注意を惹き
ブラックドッグスが立て直す時間を稼ごう
合流したら逃げつつ話を聞き
ビルの合間の回避しにくい場所へ誘い込もう
誘い込んだら範囲攻撃でダメージを与えて
使い魔の石化攻撃でとどめをさそう
「予知で聞いたのはこの辺りだったかな」
グリモアの導きを頼りにして、路地裏を歩くのは佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)。人気もなく、隠れ潜める暗所や死角が幾らでもある、暗殺にはもってこいのスポットだ。
そこで彼女が聞いたのは、刃が掠れるような金属音と微かな悲鳴。襲撃が既に始まっている事を悟ると、【女神降臨】を発動してブラックドッグスのメンバーの救出に向かう。
「小っ恥ずかしいけど、我慢我慢」
自身と融合した邪神の権能で夜闇の衣を生成し、可憐なドレスを身に纏う。融合の影響で少女の体に変化しているとはいえ、元男性としては若干抵抗のある格好だ。だがこれも人命救助の為と思えば恥ずかしがっている暇はない、今は暗殺者を退けるのが最優先だ。
「くっ……これ、ヤバいかも……」
一方、単独行動中のところを狙われたヒーローは、スペクター達の奇襲に防戦一方だ。
ただでさえ多対一の不利な状況に加えて、敵はこうした路地裏での戦いに慣れている。【無法の手管】を駆使して女暗殺者は標的を追い詰め、その生命を奪い取ろうと――。
「させないよ」
「――……!」
その時、上からけたたましい発砲声と共に銃弾の雨が降り注ぐ。飛び退いたスペクター達が見上げた先にいたのは、携行型ガトリングガンを構えた金髪の少女。どうやら間に合ったみたいだねと呟く晶であった。
「秘密結社スナークが助けに来たよ」
この名乗りにも色々小っ恥ずかしさを感じつつも、ヒーローらしく堂々と振る舞う晶。
そうした方が救出対象にも味方と分かりやすいだろうし、2年前に起こったアースクライシス2019の頃は、この姿で戦ったりメディアに写る機会も多かった。
「あ、あなたは……!」
どうやら向こうも当時の報道で彼女のことを見ていたらしい。オブリビオンによる世界の危機を救った偉大なヒーロー、猟兵と実際に会えた驚きと感動から目を輝かせている。
「もう大丈夫だよ。一緒に戦おう」
「はい!」
晶がガトリングの派手な射撃でスペクターの注意を引いている内に、ブラックドッグスのメンバーが体勢を立て直す。奇襲では遅れを取ったものの、仲間との連携に慣れている彼は晶のサポートに回り、敵を押し返していく。
「君はこの町について詳しいよね。話を聞きたいんだけど」
「勿論です! 何でも聞いて下さい!」
無事合流を果たした晶は、邪神の力で弾丸を生成することで絶え間なく銃撃を続けながら話を聞く。そして求めていた情報を得ると、今度は彼と一緒に路地裏から逃げ始めた。
「待てっ!」
逃げるヒーローと追いかける暗殺者。晶達が向かったのは高いビルが立ち並ぶ合間の、細い一本道だった。上方からの射線が通り、かつ回避するのも難しい、絶好のポイント。
まんまとスペクター達を誘い込んだところで晶は再び銃撃を仕掛け、さらに石化の魔法を操る妖精型の使い魔をけしかけた。
「掛かったね」
「しまった……ッ?!」
逃げ場のない場所で弾幕の範囲攻撃に晒されたスペクター達は、悲鳴を上げて倒れる。
僅かに生き残った者も使い魔の魔法により石に変えられ、後には蜂の巣になった骸と、物言わぬ石像だけが残されるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朝沼・狭霧
【風月華】アドリブ歓迎
【心情】ヒーローだってたまには助けて貰えたら
きっと嬉しいんじゃないかしら?
フィーナちゃんと一緒だから
今日は歌で戦ってみましょうか
二人でセッション楽しみです
UCヒュプノヴォイス使用、優しい歌声で敵に語り掛けます
罪を犯した貴方達も、ゆっくり眠っていいんです
そう…ゆっくりと
倒れるときぐらいは穏やかに…
眠った敵の対処ははこの地の
ヒーローたちに任せます
とどめを刺すか、拘束するかこの世界の住人の彼らに任せるのが適任でしょう
「ヒーローの皆さん、頑張ってください、ね」
流し目のウィンクで彼らに声援を送ります
戦闘が終わったら、フィーナちゃんとハイタッチ
次章のシナリオもサービスサービスですよ♪
フィーナ・シェフィールド
【風月華】アドリブ歓迎です♪
滅びし神の力…悪いことに使われないよう、絶対阻止しなくっちゃ!
今日は狭霧せんせーとセッションです。
スペクターがどこに隠れて襲撃してくるか分かりませんから、向こうから出てきてもらいましょう♪
『あふれる願いを、奏であわせて…♪』
シュッツエンゲルで防御しつつ、【この広い世界で、出逢えた理由を】を演奏。
近くで聴きたいと強く思えるよう、優しく誘うように、狭霧さんの歌声とのハーモニーを戦場いっぱいに届けます。
戦い終えたら、狭霧さんとハイタッチ。
とは言え、戦いはこれで終わりではありません。ヒーローたちを励ますようにアンコールの演奏を続けつつ、首謀者に備えて士気を高めておきますね。
「滅びし神の力……悪いことに使われないよう、絶対阻止しなくっちゃ!」
猟書家達の思い通りにはさせまいと、意気込みを見せるのはフィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)。今回の依頼には命を賭して善の為に戦った神々の尊厳と、その力を受け継いだ若きヒーロー達の命がかかっている。
「ヒーローだってたまには助けて貰えたら、きっと嬉しいんじゃないかしら?」
そう語るのは朝沼・狭霧(サギリ先生・f03862)。いつもは誰かを助けるために頑張るのがヒーローなら、ヒーローが困っている時は誰が助けるのだろう。彼らを救えるのは猟兵を置いて他にはいない。
「フィーナちゃんと一緒だから、今日は歌で戦ってみましょうか」
「そうですね。今日は狭霧せんせーとセッションです」
予知のあった都市にやって来た狭霧とフィーナは、それぞれ楽器とマイクを用意する。
この二人はどちらも音を力に変えるサウンドソルジャー。猟書家ダークメナスが送り込んだ刺客を、歌と音楽のパワーで撃退しようと言うのだ。
「スペクターがどこに隠れて襲撃してくるか分かりませんから、向こうから出てきてもらいましょう♪」
「ええ、二人でセッション楽しみです」
音がよく届きそうな開けた場所を選び、軽く音合わせとマイクチェックを行ってから、二人はにこりと微笑みあう。単に力として扱うだけでなく、彼女らは音楽が好きである。心から音を愛する心なくして、それがユーベルコードの粋に達する事は難しいのだから。
『あふれる願いを、奏であわせて……♪』
キーボードとギターを一体化させたオリジナルデバイス「インストルメント」を演奏しながら、フィーナが歌うのは【この広い世界で、出逢えた理由を】。近くで聴きたいと強く思えるよう、優しく誘うように、伸びやかで魅力的な歌声が町に響く。
「♪~」
メインを担当するフィーナに合わせ、狭霧もマイク型詠唱兵器「テンペストクィーン」を片手に歌いだす。教師として音楽を教えている彼女の歌唱は技術として巧みなのは勿論だが、それ以上にみんなと楽しく歌いたいという想いが声に現れていた。
「なんだ、この歌は?」
「すっごくキレイ……!」
町いっぱいに届いた二人の歌声のハーモニーに惹かれて、周りに人影が集まってくる。
そこにはこの町で活動するヒーロー「ブラックドッグス」のメンバーや、猟書家の刺客「スペクター」もいる。音楽の力は種族を問わず、あらゆる者の心を震わせるのだ。
「私達のセッションにようこそ」
「どうか最後まで聞いていってください♪」
集まってきた観客に笑顔でアピールしながら、楽しそうに歌い続ける狭霧とフィーナ。
何のつもりだと困惑しながらも、歌声から耳を放せないスペクター達。無言のまま暫し聞き惚れているうちに、彼女らはふと異変に気付く。
「なんだ……? 意識が、遠く……」
まるで真綿に包まれるような、不快ではないが抗えない倦怠感がずしりとのしかかる。
それはセッションに合わせて狭霧が使用する【ヒュプノヴォイス】の効果。彼女の歌声には聞き手を眠りに誘い、安らかで満たされた睡眠をもたらす力があるのだ。
「罪を犯した貴方達も、ゆっくり眠っていいんです。そう……ゆっくりと」
しっとりとした曲調に変化したフィーナの演奏に合わせて、優しい歌声で敵に語り掛ける狭霧。それはまるで子守唄かレクイエムのように、罪深き者を深い眠りへと誘い込む。
「くっ……やめろ……その歌を……!」
異常を察したスペクターは、歌の魅力と睡魔に抗いながら【無法の手管】で恫喝する。
しかし殺気立った聴衆に襲い掛かられても、二人のセッションに乱れはない。フィーナは歌と演奏を続けながらマルチドローンプレート「シュッツエンゲル」を空中に配置し、バリアを展開して敵の攻撃を防ぐ。
「演奏中はお静かに、ですよ」
「倒れるときぐらいは穏やかに……」
「ぅ……やめ……」
セッションを続けるにつれ二人のテンションは高まり、歌はより美しさを増していく。
敵意を漲らせていたスペクター達も、やがて毒気を抜かれたように静かになり――最後は糸が切れたようにぱたりと倒れ込み、すうすうと寝息を立てだした。
「作戦成功ですね」
「はい♪」
歌で集まった全ての敵を無力化したところで、二人は顔を見合わせてハイタッチする。
同時に周囲からはヒーローや一般人の観客から割れんばかりの拍手と喝采が起こった。ユーベルコードの効果を抜きにしても、二人の歌はこれだけ多くの人を感動させたのだ。
「素晴らしい演奏だった!」
「アンコール! アンコール!」
人々の声に笑顔で応えつつ、二人は眠った敵の対処をこの地のヒーロー達に任せることにする。とどめを刺すか、拘束するか、この世界の住人の彼らに任せるのが適任だろう。
「ヒーローの皆さん、頑張ってください、ね」
「は、はいっ!」
狭霧が流し目のウィンクで声援を送ると、若いヒーロー達は真っ赤になって答えつつ、眠ったままのスペクターを連行していった。不意を突かれるような事態にならなければ、もし目が覚めたとしても問題はないはずだ。
「とは言え、戦いはこれで終わりではありません」
「次回もサービスサービスですよ♪」
敵の刺客を退けても、まだ彼女らを送り込んだ首謀者が残っている。より危険な戦いが待ち受けているヒーロー達を励ますように、フィーナと狭霧はアンコール演奏を続ける。
各地で猟兵に助けられ、無事に合流を果たしたブラックドックスのメンバーも、美しい歌と演奏に心を癒やされ、猟書家ダークメナスとの戦いに備えて士気を高めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
北条・優希斗
アド・連○
滅びし神の使徒が、お前達スペクター、か…
情報収集+第六感+戦闘知識+先制攻撃+UC
先ず此で直近に襲われるヒーローを探し出す
そのヒーローに猟兵組織『秘密結社スナーク』の一員であると伝えて援護を要請
協力態勢を整え、地形の利用+騙し討ち+見切りで敵を待ち伏せし
待ち伏せた敵が透明化する数秒前の光景を見切り
先んじて先制攻撃+早業+ダッシュ+地形の利用+戦闘知識+ジャンプ+残像で肉薄
消えるよりも先に2回攻撃+範囲攻撃+薙ぎ払い+属性攻撃:蒼穹で撃破
倒しきれなければオーラ防御
…悪いな
お前達に恨みはないが
今、お前達にヒーロー達を殺させるわけにはいかないんだ
それで、お前達の『主』に俺が憎まれようともな
「先ず此で襲われるヒーローを探し出さないとな」
予知にあった地方都市を訪れた北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)は、スマートフォンを片手に町の地図を検索し、ヒーロー達が襲撃を受けそうな場所を情報収集する。
刺客の目的はヒーローを殺害して神の力を回収する事。ヒーロー達を各個撃破するためにぎを起こしたくないはず――最終的には第六感でピンときた場所を選んで現地に赴く。
「君が『ブラックドックス』かい? 俺は猟兵組織『秘密結社スナーク』の者だ」
「スナーク……お噂は聞いたことがあります! 実在したんだ!」
無事襲撃を受ける前に発見できたヒーローに、優希斗は自身の所属を伝える。猟書家の企みを阻止せんとする猟兵達の活動により、秘密結社スナークという架空の組織の噂は、順調に広まってきているようだ。
「君達を狙っている敵がいる。迎え撃つためにも協力してほしい」
「もちろんです! お役に立てる事なら何でも言って下さい!」
英雄である猟兵の力になれるのならばと、若きヒーローはすぐさま彼の要請に応じた。
協力体制を整えたら、次は敵を待ち伏せするのに適した場所を探す。この町に密着して活動する『ブラックドックス』のヒーローは、土地勘なら他所の誰にも負けない。人気がなく民間人を巻き込む心配のない、なおかつ戦うのに都合のいい所を幾つも知っていた。
「ここならどうですか?」
「ああ、いいね」
待ち伏せポイントを決定すると、優希斗はヒーローに目立ちやすい場所に立って貰い、自身は【剣王の瞳】を発動して待機する。蒼穹の色に輝く瞳は、異界の『英雄』の証だ。 暗殺者の奇襲がいつ来るのか。彼にはそれを予期する大きなアドバンテージがあった。
「悪いな。この蒼穹の瞳なら未来を読める……!」
「――……!」
音もなくヒーローの背後に忍び寄る刺客に、魔刀「蒼月・零式」を抜いて斬り掛かる。
気配は完全に断っていたにも関わらず、完璧なタイミングでの迎撃を受けたスペクターは、目を見開きながら飛び退いた。
「滅びし神の使徒が、お前達スペクター、か……」
初手の奇襲を未来視の力で阻止した優希斗は、改めて刺客である黒装束の女達を見る。
暗殺や隠密のプロフェッショナルにして、猟書家「ダークメナス」が神の力を回収するために送り込んだ配下。個の実力では猟兵の方が勝るが、退くつもりはまだ無いようだ。
「……猟兵、お前に用はない。私達のターゲットはそちらのヒーローだ」
あくまで命令を優先という事か、彼女達は冷たい口調で呟きながら【不可視化マント】を起動する。この外套は透明化によって姿を隠せるだけでなく、超音波を発して着用者の気配をかき消す効果もある。ここまで接近されるまで気付けなかった最大の理由である。
「……悪いな」
だが優希斗は【剣王の瞳】で敵が透明化する数秒前の光景を見切り、先んじて動いた。
鍛錬と実戦によって磨かれた瞬発力と、機先を制する技術。疾風の如きスピードで敵と肉迫した彼は、消えられるよりも先に魔刀を振るった。
「お前達に恨みはないが。今、お前達にヒーロー達を殺させるわけにはいかないんだ」
蒼穹の力を込めた斬撃が一拍の間に二度、敵集団をなぎ払う。姿を消す前の最も無防備なタイミングを狙われたスペクター達は、避ける間もなく彼に切り伏せられた。
「きゃぁぁっ!!?」
甲高い悲鳴と共に血飛沫が上がり、透明なマントが赤く染まる。路地裏にばたりと倒れ伏したスペクター達は、二度と起き上がることなく骸の海に還る。反撃を危惧して防御の態勢も整えていたものの、終わってみればそれすら必要のない、優希斗の瞬殺であった。
「これで、お前達の『主』に俺が憎まれようともな」
計画を妨害することで、敵の恨みを買うのは必定。それが邪神だろうと恐れはしない。ヒーローから自分に敵意が向くのなら、むしろ好都合だと言わんばかりに――剣王の青年は返り血を浴びた刀を拭い、次の敵の出現に備えるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ダークメナス』
|
POW : 我、失われし汝等の盟主なり
全身を【盟主の威光 】で覆い、自身の【同志達が奪ってきた神or不死の怪物の力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 我は盟主として、同志達の無念を晴らそうぞ
自身に【神々の時代の頃より得てきた同志達の無念 】をまとい、高速移動と【六枚羽根より滅びを齎す衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 我が同志達の怨念、晴らさずにいられようか
自身が【同志達が殺された事への憎悪 】を感じると、レベル×1体の【神々の時代より存在する古代遺産】が召喚される。神々の時代より存在する古代遺産は同志達が殺された事への憎悪 を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:塒ひぷの
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠エリス・シルフィード」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「我が計画を妨げるのは汝等か」
スペクターの襲撃を阻止し、ヒーローチーム『ブラックドックス』を救出した猟兵達。
バラバラになっていたメンバーが無事合流を果たした丁度その時、天空から響く厳かな声と共に、"それ"は姿を現した。
「よもや猟兵如きに神力の回収を阻まれていたとは。実に不甲斐ない駒共だ」
その身を覆う異形の甲殻、六枚の羽、そして宙に佇むだけで発せられる強大な威圧感。
彼女こそが猟書家にして滅び去りしいにしえの邪神、『ダークメナス』に他ならない。
配下が集めた神の力を回収する為にやって来た彼女は、猟兵達の妨害によりまだ1人も回収が進んでいない事態にいたくご立腹の様子だ。
「致し方なし。かくなる上は我が手ずから汝等の力を刈り取ろう」
ダークメナスがすっと手をかざすと、地面から莫大な光のオーラがあふれ出し、巨大な人型のシルエットを形作る。それは22年前の『ジャスティス・ウォー』の最中、この地で倒れた『滅びし神』の力を具現化させたものだ。
「我が同志達の怨念と力の欠片を束ね、我は神をも越える超存在を創造せん。誰にも邪魔はさせぬ」
死した神々の力を掌握する絶大なる力は、まさに滅びし邪神の盟主と呼ぶに相応しい。
だが、対抗する手段はある。ここまで猟兵達が守り抜いてきた『ブラックドックス』のヒーローに宿る神の力は、敵が召喚した『滅びし神』の力を相殺する切り札となる。
「あれが、邪神……すごい力を感じる……!」
「だけど、負けない……私達だってヒーローだ!」
この町と人々を守るために、猟兵達と共に立ち向かう事を決意するブラックドッグス。
猟兵とヒーローによる共同戦線。猟書家にして復活せし邪神の計画を阻止する戦いは、いよいよクライマックスを迎えた。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
フン、スペクター(亡霊)の次はゴースト(お化け)か
ダークメナスと言う大層な名前ではなく、ホラーハウスに改名したらどうだ?
UCを発動
自分も強化して敵を迎え撃つ
高速移動する敵を追いかけて鉤爪で切り裂き
滅びを齎す衝撃波を纏った呪詛で無効化
滅びし神は無視してダークメナスのみを狙う
私の背中は預けてある…
この世界を守る、頼もしいヒーローにな
後ろに何が控えていようと彼らがいれば問題はない
心から信頼してるからこそ、私は身命を賭して戦いに臨む事が出来る
目の前の敵に集中して、命が擦り切れる直前まで攻撃を叩き込んでいく
「不甲斐ない駒共」か…
フッ、不甲斐ないのは駒ではなく指し手であるお前だったようだな
「フン、スペクター(亡霊)の次はゴースト(お化け)か」
ついに現れた幹部猟書家を前に、不敵な笑みを浮かべるのはキリカ。相手が神だろうと恐れはない、逆に挑発的な態度を取って向こうの注意をヒーローから自身に引きつける。
「ダークメナスと言う大層な名前ではなく、ホラーハウスに改名したらどうだ?」
「不敬な。神の力、思い知るがいい」
神らしくプライドの高いダークメナスは、怒りを声に滲ませながら六枚羽根を広げる。
同時に身に纏うのは同志達の無念。神々の時代の頃より得てきた『滅びし神』の力こそ彼女の最大の武器であった。
「狂乱の声を上げろ、デゼス・ポア。貴様の喰らった苦痛と憤怒、呪詛の言葉を全て私に宿せ」
キリカは負けじと【呪詛の獣】を発動。呪いの人形が喰ってきたオブリビオンの残滓を纏うことで、自身を強化して敵を迎え撃つ。人形のドレスのようなフリルとオペラマスクを装着し、両手に巨大で鋭い鉤爪を備えたその姿は、デゼス・ポアとの一体化のようだ。
「我は盟主として、同志達の無念を晴らそうぞ」
高速移動しながら羽根を振動させて、滅びをもたらす衝撃波を放射するダークメナス。だが呪詛の獣と化したキリカもそれと同等の速さで追随し、身に纏った呪詛で攻撃を無効にする。そして反撃に振るう鉤爪は、神の装甲であろうと引き裂き、爪痕を刻む。
「小癪な……」
獰猛な肉食獣のように自身を付け狙うキリカに、ダークメナスは警戒を強めたようだ。
それに反応して彼女が召喚した『滅びし神』が動き出す。この地で倒れた神々の残滓を束ねた幻のようなものだが、それでも絶大な力を持つ。もし猟書家との挟撃を受ければ、猟兵とて危ういだろうが――。
「私の背中は預けてある……この世界を守る、頼もしいヒーローにな」
キリカに不安はなく、その言葉に偽りもなかった。「危ない!」と叫びながら助太刀に入ったのはブラックドッグスのヒーロー達。神の力を受け継いだ彼らのユーベルコードが『滅びし神』を相殺する。
「後ろに何が控えていようと彼らがいれば問題はない」
たとえ実力は猟兵やオブリビオンに劣ろうと、世界を守る為に戦う彼らの志は本物だ。
心から信頼しているからこそ、キリカは身命を賭して戦いに臨む事が出来る。呪詛の獣となった反動がもたらす代償――オブリビオンの残滓に蝕まれる苦痛にも耐えられる。
「そちらの神は任せた。私はこいつを倒す」
「はい! 任されました!」
『滅びし神』の相手をヒーローに預け、キリカは目の前の敵に集中して、命が擦り切れる直前まで攻撃を叩き込んでいく。嵐の如き勢いで繰り出される鉤爪の連撃が、悪しき神の全身を引き裂いた。
「『不甲斐ない駒共』か……フッ、不甲斐ないのは駒ではなく指し手であるお前だったようだな」
「クッ……!!!」
ダークメナスの表情は変化に乏しい。だがキリカの発言に屈辱と怒りを覚えたようだ。
優秀な駒であるスペクターをみすみす失った彼女とは違い、キリカとブラックドッグスは誰一人として欠けることなく、連携して敵を押し込んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
「やめておきましょう、貴方たちじゃ勝てないわ」
「大丈夫、私達と猟兵の貴女の力が合わされば…」
何か噛み合っていない。まさか、私に戦わせる気でいるんじゃないでしょうね?そう言おうと思った時、ヒーローの一人が叫んだ。
「ま、まさか我々だけ戦えと!」
信じられないと言った表情で目をまるくしているヒーロー達。
「まぁ止めないから。好きにしたら」
「ほ、本気で言っているのですか?」
「ふぅ…仕方ない。あたくしのギャグで奴が爆笑して動けない間に攻撃しなさい」
滅びしギャグ(死語)を掌握する絶大なるカビパンのUCにより、世界がカビパンワールド化した。とても憎悪なんて感じられる雰囲気ではなくなったダークメナスは困惑した。
「この調子ならいける! 俺達も行こう!」
「ええ!」
猟兵とヒーローが連携すれば、強大な悪神にも立ち向かえる。その事実を目の当たりにした『ブラックドッグス』のメンバーは気合を入れて、自分達も戦線に加わろうとする。
「やめておきましょう、貴方たちじゃ勝てないわ」
が、そんな彼らのやる気に水を差すのはカビパン。この町に来たのは別の用事と観光が主で、敵の配下を撃退したのも結果論だった彼女。どうもこの戦闘には消極的っぽいが、そんな慎重な発言で若きヒーローのやる気を止めることはできなかった。
「大丈夫、私達と猟兵の貴女の力が合わされば……!」
キラキラと輝く若人達の眼差しを見て、カビパンは「うん?」と首を傾げた。何か話が噛み合っていない気がする。どうして彼らはさも当然のように、私を戦力の勘定に含めているのだろう。ボケとツッコミとハリセンとカレーうどん作るくらいしかできないのに。
(まさか、私に戦わせる気でいるんじゃないでしょうね?)
そう言おうと思った時、ヒーローの一人が出かかった言葉を遮った。間が良いのだか悪いのだか分からない彼は、信じられないといった面持ちでカビパンを見つめながら叫ぶ。
「ま、まさか我々だけ戦えと!」
「「ええっ?!」」
まさかといった表情で、それを聞いた他のヒーロー達も目を丸くする。べつにそこまで言うつもりは無かったのだが――とカビパンは思ったが、あえてこの流れに乗ってみる。
「まぁ止めないから。好きにしたら」
「ほ、本気で言っているのですか?」
概ねいつでも彼女は本気かつボケである。梯子を外されたように困惑するヒーロー達。
いくら彼らが『滅びし神』の力を操る敵と相性がいいとはいえ、独力でオブリビオンに立ち向かうには実力不足だ。それは本人達も自覚しているらしく、踏ん切りがつかない。
「ふぅ……仕方ない。あたくしのギャグで奴が爆笑して動けない間に攻撃しなさい」
それまでの威勢はどこへやら、萎縮してしまったヒーロー達に、カビパンはやれやれと言わんばかりに助け舟を出した。そして他の猟兵やヒーローと戦っているダークメナスに近付くと、ナウなヤングにバカウケ(と本人は思っている)渾身のギャグをぶちかます。
「いやぁ、クマったクマった。屋根はやーねー」
「――……????」
一瞬、その場の空気が凍りついたような気がした。もちろん笑う者は誰もいなかった。
滅びしギャグ(死語)を掌握する、絶大なる【ハリセンで叩かずにはいられない女】のユーベルコードにより、戦場はギャグが支配するカビパンワールドに塗り替えられた。
「なんだこの……気の抜けるような感覚は……」
困惑するダークメナス。カビパンのギャグにより辺りには弛緩した空気が漂っている。
彼女は殺された同志達の無念を纏い、怨念や憎悪を力とする。だがこの環境ではとても憎悪なんて感じられる雰囲気ではないだろう。穴の空いた風船のように力が萎んでいく。
「い、今だー!」
「しまっ……!」
同じく困惑しつつも、ブラックドッグスのヒーローはこのチャンスを見逃さなかった。
隙だらけになったダークメナスと滅びし神に、渾身のユーベルコードが叩き込まれる。ひどいオチのようにも思えるが、これで敵が受けたダメージはギャグでなく本物だった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
ダークメナスちゃん、キミの敗因は最初から全力で排除しに来なかったことだよ。
ブラックドックスのみんな、キミたちなら、『滅びし神』の力を相殺できるはずだよ。力を貸して。
古代遺産の攻撃はオーラバリアで受けながら解析して、分解するよ。
それじゃあ、お返し。方向だけ変えて、憎悪の主を攻撃する!
「ダークメナスちゃん、キミの敗因は最初から全力で排除しに来なかったことだよ」
今さらやって来ても勝敗はもう決まっていると、アリスは自信たっぷりは表情で語る。
敵の犯した最大のミスは、ブラックドッグスから『滅びし神』の力を奪うのに失敗し、合流を許してしまった事。集まった若きヒーロー達に、情報妖精の少女は呼びかける。
「ブラックドックスのみんな、キミたちなら、『滅びし神』の力を相殺できるはずだよ。力を貸して」
「「もちろんです!」」
愛する町と、この世界を守るために、ヒーローが戦わない理由はない。救けられた恩を返すのは今だとばかりに、彼らは蘇りし『滅びし神』と猟書家ダークメナスと対峙する。
「矮小なる者共が、神であるこの我に逆らうか」
そんな猟兵とヒーロー達を睥睨するダークメナスの声色が、怒りと憎悪で低められる。
かの悪伸を衝き動かすのは、同志達が殺された事への憎悪。物怖じしない人間達の姿にかつての感情を呼び覚まされたか、殺意の高まりを肌で感じる。
「我が同志達の怨念、晴らさずにいられようか」
厳かにそう告げると同時に、奇妙な形状をした機械の群れが現れる。それは神々の時代より存在する古代遺産であり、神に仇なす者を追跡・攻撃する恐るべき殺戮兵器だった。
「征け!」
ダークメナスの憎悪に導かれて、古代遺産と滅びし神は猟兵とヒーローに襲いかかる。
ブラックドッグスのメンバーは身構えるが、その前に電脳ゴーグルを被ったアリスが飛び出し、オーラによるバリアを張って古代遺産の攻撃を受け止めた。
「キミたちは『滅びし神』に集中して」
数が多い古代遺産の相手は、こちらで一手に引き受ける。この場にいる誰よりも彼女の容姿は幼いが、猟兵として多くの事件を解決してきたその背中は、頼もしく感じられた。
「頼みます!」
アリスのオーラバリアに守られながら、若きヒーロー達は滅びし神に攻撃を仕掛ける。
彼らの放つユーベルコードは、この地で倒れた神から受け継がれたもの。同じルーツの力とぶつかれば互いに相殺しあい、滅びし神の力を無効化できる。
『――……!』
今を生きるヒーローの猛攻を浴びて、巨大な神の姿が揺らぐ。力こそ強大であっても、その存在は幻のように朧げだ。被弾するたびにみるみる存在感が衰えているのが分かる。
「その調子だよ」
「おのれ……!」
ヒーローの勇戦を笑顔で応援するアリスと、激しい憎しみを露わにするダークメナス。
今からでも神の力を回収せんと古代遺産の群れがヒーロー抹殺のために動くが、オーラの壁がそれを許さない。そうして味方を守りながら、アリスは笑顔のままぽつりと一言。
「それ、理解したよ」
その瞬間――何百体といた古代遺産の群れは情報の粒子として分解され、かき消える。
敵のユーベルコードを解析・理解して借用する【情報解析】。神々の時代の遺産を解析するのはさすがの彼女でも手間がかかったが、一度理解を終えればもうこちらのものだ。
「それじゃあ、お返し」
アリスは一度分解した古代遺産を再構成し、方向だけを変えて憎悪の主を攻撃させる。
恐るべき神代の兵器は、神に仇なす者ではなく神自身を屠るものとなった。意思も感情も持たぬ機械の群れが、新たな主人の命令のままにかつての主人に襲いかかる。
「なん、だと……ぐあぁっ!!!?」
思わぬ造反を受けたダークメナスは絶叫し、装甲の破片と血飛沫が辺りに飛び散った。
アリスが最初に告げた通りに、既に敗因の定まった悪神は徐々に追い詰められていく。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
真の姿で。
「神として、人々の命と未来を邪神から守ります!」
ブラックドックスをかばうように前に出る。
「援護お願いしますね♪」と彼らに笑顔を。
敵攻撃は結界術による防御壁とオーラ防御を纏って巨大化した天耀鏡による盾受けで防ぎつつ、天候操作で雨を降らして発動条件を満たし、UC使用。
『攻撃を止め、跪きなさい』
相手も邪神の盟主なれば、一方的にやられはしない筈。
故に即座に、多重詠唱による光と雷の属性攻撃・全力魔法・神罰・破魔・浄化・除霊・高速詠唱にて、怨念を鎮め邪神と遺産を砕く極大の光輝く雷を天空に生み出し、スナイパー・貫通攻撃・範囲攻撃でダークメナス中心に古代遺産を巻き込むように撃ち降ろし、浄化消滅する。
「神として、人々の命と未来を邪神から守ります!」
戦巫女の姿から真の姿へと変わり、詩乃は――女神アシカビヒメは高らかに宣言する。
かつての大戦で善神の一員として戦った時のように、ブラックドッグスをかばうように前に出て。悪しき神には鋭い視線を向ける一方で、彼らに対しては笑顔を見せる。
「援護お願いしますね♪」
「「は……はいっ!」」
優しげな女神の微笑みに若きヒーロー達は思わず見惚れ、そして彼女の期待に背くまいと勇ましく応じる。神々と比べれば幼く非力な命でも、未来の為に戦う想いは劣らない。
「神ともあろうものが、そのような矮小な者共との情にほだされたか」
ダークメナスからすれば、人の側に与したアシカビヒメの行いは裏切りに他ならない。
その怒りと憎悪に導かれて、召喚されるのは神々の時代の遺産。【我が同志達の怨念、晴らさずにいられようか】と、物言わぬ機械の群れが悪伸の牙となりて襲いかかる。
「防御はお任せください」
詩乃は自分とヒーロー達の周りに結界術による防御壁を張り、さらにオーラを纏わせて巨大化させた天耀鏡を盾としてかざす。彼女もまた神代より生きる存在なれば、同時代の遺産に遅れは取らない。二重の守りは古代遺産の攻撃をがっちりとガードしていた。
「我が同志よ、裏切り者に鉄槌を!」
「そうはさせないっ!」
滅びし神にダークメナスが追撃を命じれば、ブラックドッグスのメンバーが迎撃する。
根本を同じくする力の衝突は相殺を引き起こし、滅びし神の攻撃は無効となる。その間に詩乃は自らの権能で天候を操り、戦場に雨を降らせ始める。
「干天の慈雨を以って私はこの地を治めましょう。従う者には恵みを、抗う者には滅びを、それがこの地の定めとなる」
植物を潤す慈雨が降り注ぐ地、其は即ちアシカビヒメの神域なり。【神域創造】によりこの場における絶対支配権を獲得した彼女は、神威を感じさせる佇まいで厳かに告げる。
『攻撃を止め、跪きなさい』
極めて端的かつ曲解のしようがない"命令"は、詩乃が敵と見做した全てに作用した。
古代遺産の群れはピタリと動きを止め、頭を垂れるように地べたに伏せる。神域の力を借りた言霊の強制力は、同じ神であるダークメナスにさえ膝を折らせかけるほどだった。
「馬鹿な……!」
悪神の中でも高位の一柱に属する自分が、よもや他の神の言葉に支配されかかるなど。
プライドの高さと怒りが屈しかけた心身を奮い立たせ、絶対であるはずの支配に抗う。凄まじい気迫と神気――だが詩乃とてこれで終わりだと思っていたわけではない。
(相手も邪神の盟主なれば、一方的にやられはしない筈)
故に詩乃は即座に詠唱を紡ぎあげ、雨雲に覆われた天空に神罰と破魔の力を生み出す。
それは怨念を鎮め、邪神と遺産を砕く、極大なる光り輝く雷。数多の神話体系において神の怒りと裁きの象徴とされる雷霆を、彼女は悪しき神の頭上目掛けて撃ち降ろした。
『滅びよ!』
「―――……!!!!」
鼓膜が破けるような雷鳴が轟き渡り、雷光が戦場を白く染める。巻き込まれた古代遺産は跡形もなく浄化され、直撃を受けたダークメナスもまた大きなダメージを負っていた。
善き神と、悪しき神。此の地で再び行われた善悪の激突は、善き側に天秤を傾かせた。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
猟兵如きとは言ってくれるわね。
この世界のオブリビオンフューラーや数多の世界で神だって数多く葬って来たわ。
強大だろうと今更邪神に臆したりしないわ!
【吸血姫の契り】でヒーロー達と自身の力を大幅に強化。
【吸血】でブラックドックスの持つ神の力を少し分けて貰い、ブラックドックスと連携して戦闘。
多属性の魔力弾【属性攻撃、高速・多重詠唱、誘導弾、弾幕、全力魔法】と自身は主にダークメナス側に注力しつつ、大威力の魔力砲撃でヒーロー達を援護し、ダークメナスと滅びし神の力を抑えて戦闘。
ヒーロー達の力を集めた【力溜め、限界突破】【神槍グングニル】を滅びの神ごとダークメナスに叩きつけてあげるわ!
「おのれ……猟兵如きが……!」
「猟兵如きとは言ってくれるわね」
神の威光にひれ伏さず、あまつさえ反抗を続ける猟兵達に、怒り心頭のダークメナス。
そんな彼女の傲慢を鼻で笑い、フレミアは魔槍「ドラグ・グングニル」を突きつける。
「この世界のオブリビオンフューラーや数多の世界で神だって数多く葬って来たわ。強大だろうと今更邪神に臆したりしないわ!」
世界を脅かすオブリビオンとあらば、神であろうと討ち果たすのが猟兵だ。ましてや、今回は共に戦う現地のヒーローもいる。悪しき神に伏して屈する理由など皆無であった。
「貴女達、少し力を分けて貰えるかしら? その代わりにわたしの力を与えるわ」
「私達の力でお役に立てるのなら、喜んで!」
フレミアが声をかけると、彼女に救けられた女性を筆頭にヒーロー達が口々に応える。
迷いのない返答に吸血姫は微笑むと、彼女達の首筋に唇を寄せる。ブラックドッグスが持つ『滅びし神の力』を吸血によって取り込み、同時に【吸血姫の契り】を交わす為に。
「フレミア・レイブラッドが血の契約を交わします。汝等、我が剣となるならば、吸血姫の名において我が力を与えましょう」
血によって結ばれた契約は、交わした者達を一時的に吸血鬼化させ、魔力や身体能力を大幅に強化する。更にフレミアも彼女らから受け取った神の力と魔力の相互作用によって強化され、滅びし神に対抗する手段を得た。
「さあ、行くわよ!」
「「はいっ!」」
魔槍を手に突撃するフレミアに、紅く染まった瞳を輝かせ追走するブラックドッグス。
彼女達の身体からあふれ出す神気は、召喚された『滅びし神』の力を抑え、悪神の盟主たるダークメナスをも萎縮させる。この展開は敵も予想外だった事だろう。
「矮小なる者共が、神の力の残滓を手に入れた程度でいい気になりおって……!」
怒りに身を震わせながら、ダークメナスは眩き神の威光で全身を覆う。それは同志達が奪ってきた神や不死の怪物の力を顕したものであり、悪神の盟主としての証でもあった。
「貴女の相手はわたしよ」
威光を顕現させたダークメナスこそ、この戦闘における最大の脅威。フレミアは彼女に注力して戦うことに決め、彼女が召喚した滅びし神の相手はブラックドッグスに任せる。
いかに相手の神力が強大でも、今は自分にも神の力がある。それと生来の魔力を弾丸として撃ち出せば、敵は六枚羽根を震わせて身を躱そうとするが――。
「逃さないわ」
「ぐぅ、っ!」
誘導性能も付与された魔力弾は軌道を変えて標的を追い、ダメージを蓄積させていく。
同時に、弾丸に籠めた神の力がダークメナスの力と相殺しあい、悪神の威光が弱まる。このまま被弾が重なれば、いずれはユーベルコードを維持できなくなるだろう。
「こいつの相手は私達が!」
一方のブラックドッグスは滅びし神との激闘を繰り広げている。本来の力は神のほうが圧倒的に上だが、彼女達には神力を相殺する力と、血の盟約により与えられた力がある。
全身から湧き上がりはち切れんばかりのパワーを、目前の敵に惜しみなく叩きつける。初めての吸血鬼化にやや振り回されている感もあるが、その攻勢は圧倒的であった。
「いい調子よ、貴女達」
フレミアもダークメナスとの戦いの隙に、大威力の魔力砲撃でヒーロー達を援護する。
巨大な魔力塊が直撃し、滅びし神が仰け反ったところにヒーロー達の追撃が決まり――悪しき神々はいずれも劣勢に追いやられていく。
「今よ!」
チャンスを逃さずにフレミアはドラグ・グングニルを掲げ、ヒーロー達の力を集める。
盟約により相互強化された魔力と神力。その全てを束ね、限界を超えて一点に圧縮し、真紅の輝きを放つ巨大な槍を形成する。
「全てを滅ぼせ、神殺しの槍……。消し飛びなさい……! 神槍グングニル!!」
渾身の力で投げ放たれた神殺しの槍は、滅びし神ごとダークメナスに叩きつけられた。
その瞬間、着弾点を中心として絶大な魔力が爆発を起こし、二柱の神々を吹き飛ばす。
「ぐがああぁぁああぁぁぁぁぁっ!!!!!?!」
滅びし神は勿論、ダークメナスがその一投から受けたダメージは甚大なものであった。
砕けた装甲の内側から血が溢れ、盟主の神威の輝きも色褪せる。神力を束ねた神槍は、彼女にとって相性最悪の威力だったようだ。
大成功
🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
その猟兵とヒーローに今から貴女は倒されるんだよ…。
みんな、力を貸して…!
【九尾化・魔剣の媛神】封印解放…!
ブラックドックスにわたしの九尾に触れて貰って、尾を通してみんなの力をわたしに注いで貰って力を貸してもらうよ…。
無限の終焉の魔剣に【呪詛】と注いで貰った「滅びの神の力」を付与…。
一斉斉射で敵を侵食し、敵の滅びの神の力を相殺…。
更に滅びの神の力を付与した呪力の縛鎖【呪詛、高速詠唱】でそれぞれ捕縛し、神の力を注ぎ込み続けて貰う事で敵の力を無力化するよ…。
いかに強大だろうと、ただヒトを傷つける事しかできない神なんてわたし達は絶対に負けない…。
ヒトを傷つける事しかできない神が神を名乗るな…!
「おのれ、おのれおのれ……ッ、猟兵とヒーロー風情が、この我を……!」
「その猟兵とヒーローに今から貴女は倒されるんだよ……」
予想だにしなかった深手を受け、ダークメナスが怒りと屈辱に打ち震えながら叫ぶと、静かな、そして毅然とした声音で璃奈が告げる。命と未来を守りたいという強い想いと、死せる神から受け継いだ力。一つ一つは小さくとも、束ねれば悪神にも負けはしない。
「みんな、力を貸して……!」
「「もちろんです!」」
そんな彼女の意気に応えて、ブラックドッグスのヒーロー達がぐっと拳を握りしめる。
守りたいもの、立ち向かわねばならない敵は皆同じ。まっすぐで心地のよい闘志の熱を感じながら、魔剣の巫女は【九尾化・魔剣の媛神】の封印を解く。
「我が眼前に立ち塞がる全ての敵に悉く滅びと終焉を……封印解放……!」
解き放たれる莫大な呪力。顕現する無限の魔剣。その中心で媛神へと変身した璃奈は、九本に増えた自分の尻尾を、ゆらゆらとブラックドッグスのメンバーに差し出して言う。
「わたしの九尾に触れて、みんなの力をわたしに注いで……」
「こう、ですか?」
若きヒーローはそっと妖狐の尾に触れ、力を注ぐ感覚をイメージする。すると彼らの中に宿る『滅びし神の力』が璃奈へと流れ込んでいき、呪力の放出がさらに勢いを増した。
「ありがとう……これなら、いけるよ……」
璃奈は顕現させた無限の魔剣に、ヒーロー達から受け取った滅びし神の力を付与する。
終焉の呪詛を帯びた剣に神力が加わることで、それらは恐るべき神殺しの魔剣となり。目前に立ちはだかるダークメナスと『滅びし神』目掛けて一斉に放たれる。
「くっ……定命の者が、こうまで神の力を操れるとは……!?」
二柱の神は本能的な危機感を抱いて咄嗟に身を翻すが、無数に及ぶ魔剣の斉射の全てを避けきれるものではない。突き刺さった刃は呪力で標的を侵食しながら、付与された神力によって滅びし神の力を相殺する。オブリビオンの悪神にとっては大敵と言える武器だ。
「これがわたし達を侮った報い……」
さらに璃奈は呪文を唱え、剣と同じように滅びし神の力を付与した呪力の縛鎖を作る。
それは魔剣の斉射を受けて怯んだ悪神達に絡みつき、神の力を注ぎ込む。捕縛と同時に敵の力を継続的に無力化する、神封じの縛鎖だ。
「ええいっ、こんなものに、我が!!」
ダークメナスは刺さった魔剣を引き抜きながら必死にもがくが、呪鎖の拘束はなかなか解けない。神力の残滓から召喚された滅びし神に至っては、既に消滅間際の有様だった。
「いかに強大だろうと、ただヒトを傷つける事しかできない神なんてわたし達は絶対に負けない……」
動けない神々を前にして、璃奈は妖刀・九尾乃神太刀を突きつける。表情の変化にこそ乏しいものの、その瞳には怒りの炎が燃えている。オブリビオンの侵攻により家族と故郷を失った彼女は、人を傷つける悪しき存在には人一倍敏感であった。
「ヒトを傷つける事しかできない神が神を名乗るな……!」
怒りのままに振るわれた一閃が、ダークメナスを斬り伏せる。神太刀に宿る力は超常の存在が持つ不死性や再生力を封じる――まさに、人に仇なす悪神を断つ、神殺しの太刀。
縛鎖に囚われたままの悪神の口から悲鳴が上がり、血飛沫が妖刀の刃を赤く濡らした。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロット・シフファート
邪神には邪神をぶつけるのみよ
そう言って世界体現兵装、『三の王笏』と同じくUDCアースの邪神
その中でもレッドアラートを宣言されている『外なる邪神』の色彩…それをデチューンさせて浸食能力に特化させた者を使役する
気をつけなさい?
これは秘密結社スナークの中でも特に取り扱いに気をつけ無ければ無いモノ
実際に色彩に触れた古代遺産は憎悪すら忘却して発狂、その狂気がダークメナスにも伝わっているわ
敵のucは攻略。次はアンタ達よ
そう言ってヒロアスの世界体現兵装に切り替える
神の力を完全に引き出すマントを私も含めブラックドッグスに装着させて強化
その引き出した神の力を用いて協撃するわ
「邪神には邪神をぶつけるのみよ」
そう言って悪神ダークメナスと滅びし神との戦いに加わったのは、シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)。数多の世界を股にかけ、邪神と呼ばれる存在とも多数対峙してきた彼女は、自らのユーベルコードを介してその力を具現化する。
「我は魔術師にして簒奪者。征服者の王笏を黄泉返りの禁呪を用い、ここにその王権を我が手の中にしよう」
【魔術師は黄泉返りを用いて王笏を簒奪する】。かつてグリードオーシャンを支配した『王笏』カルロス・グリードのように、世界に応じた兵装を具現化する力を彼女は得る。
今回のシャルロットが体現するのは『三の王笏』と同じくUDCアースの邪神――その中でも最優先対処事項(レッド・アラート)を宣言されている脅威存在、『外なる邪神』の色彩だった。
「何をするつもりかは知らぬが……我が同志達の怨念、晴らさずにいられようか」
不可思議な色彩を手元に宿したシャルロットに、ダークメナスは敵意と憎悪を向ける。
すると神代より存在する古代遺産の群れが召喚され、神に仇なす者へ攻撃を開始する。その追跡能力と攻撃力は侮れるものではないが――しかし彼女は動じなかった。
「気をつけなさい? これは秘密結社スナークの中でも特に取り扱いに気をつけ無ければ無いモノ」
扱いを誤れば我が身を滅ぼしかねない危険性故に、デチューンを施したうえで侵食能力に特化させた『外なる邪神』の世界体現兵装。その色彩が押し寄せる敵を照らし出すと、即座に古代遺産に異変が生じ始めた。
『ギ。ギギギ、ギギギギギ――……』
異様な機械音を上げて、不可思議な色彩を放ちながら蠢き膨れ上がっていく古代遺産。
色彩と呼ばれるその正体は『外なる邪神』の肉片であり、人間、動植物、自然環境――この世の全てを"発狂"させ、自らの肉体に作り変えてしまう。
「ぐぅッ……なんだ、何をした、貴様?!」
意思を持たぬ機械すら発狂させる、恐るべき権能に触れた古代遺産はことごとく発狂。
その狂気は使役者であるダークメナスにも伝わり、神たる彼女の精神さえ蝕んでいく。
「敵のユーベルコードは攻略。次はアンタ達よ」
「は、はいっ?!」
悪神が狂気に苦しんでいる間に、シャルロットはブラックドッグスのメンバーを見る。
彼女の戦いぶりを呆気に取られて見ていたヒーロー達は、急に声をかけられて驚いたようだが、戦いに協力しろと言うなら断る理由はない。
「これを着なさい。神の力を完全に引き出してくれるわ」
そう言ってシャルロットはマントの形状をしたヒーローズアースの世界体現兵装に装備を切り替え、自分とブラックドッグスに装着させて強化する。かつて此の地で滅んだ神のパワー。それを100%発揮できれば、あんな悪神ごとき恐るるに足らずだ。
「なにこれ、すごい力が湧いてくる……!」
「感心するのは後。協撃するわよ」
「わ、わかりましたっ!」
神の力を引き出されたヒーローとシャルロットは、一丸となって敵に攻撃を仕掛ける。
今だに外なる邪神の狂気に蝕まれ続けるダークメナスに、対応できる余裕はなかった。
「神には、神を……この我が、名も知らぬような神に遅れを取るだと……!」
異界の神と滅びし神の力に翻弄された悪神は、憎々しげに呻きながら吹き飛ばされる。
いかに悪神の盟主とて完全不滅の存在ではない。身体的にも精神的にも、ダークメナスは窮地に立たされつつあった。
大成功
🔵🔵🔵
朝沼・狭霧
【風月華】アドリブ歓迎
【心情】ブラックドッグスのみんなー
勝って帰って美味しいご飯を食べましょー!おー!
フィーナちゃん、セッションのアンコールです
最高の舞台を魅せてあげましょう
UCサウンド・オブ・パワーを使用
人知れず正義の為に戦うヒーローの魂の歌を歌い
ブラックドッグス達を鼓舞
英雄は誰も褒めてくれないかもしれない
勝てる補償など無いのかもしれない
でもここに正義はあります
貴方の正義が、ここにあるんです!
ヒーローの皆に手を振りつつ
みんなー今日は一緒に戦ってくれてありがとうー
また一緒に歌いましょうね
よくわからない神きどりなんて今日の引き立て役にしてやります
げしげしっ(華麗に踊りながら足蹴にしようとしつつ)
フィーナ・シェフィールド
【風月華】アドリブ歓迎です
ふふ、アンコールのナンバーはもう決まってますよ。
ヒーローたちへの応援歌、届け!戦場の彼方まで!
シュッツエンゲルを展開してオーラの結界を形成しつつ、インストルメントを構えて演奏スタートです。
「魔を祓い、傷つきし者を癒す。響け、聖なる旋律!」
【交響詩『天秤の女神』】を演奏、破魔と慈愛の歌を戦場に響かせます。
邪神の魂を浄化し、傷ついたヒーローたちを癒して戦う力を湧きあがらせて。
「みんな、自分の力を信じて!あなたたちはヒーローです!」
正義の女神の天秤は、正義のヒーローたちに祝福を与えることでしょう。
セッションの最後には、大きく手を振ってヒーローの勝利を称えますね♪
「ブラックドッグスのみんなー。 勝って帰って美味しいご飯を食べましょー! おー!」
「「おおおーーーっ!!!!」」
優勢に立つヒーロー達をさらに奮い立たせるように、明るく楽しげに檄を飛ばす狭霧。
世界を救った英雄である猟兵と共に、強大な悪神に立ち向かう。危険ではあるが、このシチュエーションに燃えないヒーローはいまい。必ず勝つんだという気迫が漲っている。
「フィーナちゃん、セッションのアンコールです」
「ふふ、アンコールのナンバーはもう決まってますよ」
再びテンペストクイーンを握る狭霧に微笑み、フィーナがインストルメントを構える。
相手が猟書家だろうが滅びし神だろうが、彼女達にとって最大の武器はやはり音楽だ。シュッツエンゲルが展開したオーラの結界の中で、二人は意気揚々と歌い出した。
「最高の舞台を魅せてあげましょう」
「ヒーローたちへの応援歌、届け! 戦場の彼方まで!」
フィーナが歌い演奏するのは【交響詩『天秤の女神』】。悪しき魂に響く破魔の旋律、疲れ傷ついた身体と心を癒やす慈愛の旋律がハーモニーを作り上げ、戦場に響き渡った。
「魔を祓い、傷つきし者を癒す。響け、聖なる旋律!」
インストルメントの音色に合わせて奏でる癒やしの歌は、激戦で傷ついたヒーロー達にもう一度戦う力を湧き上がらせる。さらに破魔の旋律が邪神ダークメナスの魂を浄化し、肉体ではなく魂魄そのものに伝わるダメージをもたらした。
「ぐぅっ……なんだ、この不快な歌は……!」
このまま浄化されてなるものかと、ダークメナスは神々の時代の古代遺産を召喚する。
現代では見られない奇妙なフォルムをした機械群は、召喚者が憎しみを感じた対象――即ちステージで演奏する二人の歌姫に、同じく召喚された『滅びし神』と共に殺到する。
「やらせるかっ!」
だが、そこに立ちはだかるのはブラックドッグスのヒーロー達。音楽の力で気力も充実した彼らは、相手が古代遺産だろうと神だろうと臆することなく立ち向かう。彼らに宿る『滅びし神の力』が、同種の力を相殺することで敵の侵攻を押し留めた。
「英雄は誰も褒めてくれないかもしれない。勝てる補償など無いのかもしれない。でもここに正義はあります」
勇戦するブラックドッグスを鼓舞せんと、狭霧は【サウンド・オブ・パワー】を使用。
人知れず正義の為に戦うヒーローの魂の歌を高らかに歌い、奏で、そして力強く叫ぶ。
「貴方の正義が、ここにあるんです!」
彼女の歌に共感した者達は、魂の奥底にある熱を――ヒーローの正義の躍動を感じた。
それは戦いにおいて、あと一歩を踏み込む力になる。あと一息を押し切る気力になる。ささやかな効果のように見えても、それが戦闘に及ぼす影響は大きかった。
「みんな、自分の力を信じて! あなたたちはヒーローです!」
狭霧の熱唱に呼応するように、フィーナも演奏のテンションを上げて、エールを送る。
正義を司りし女神ユースティティアの天秤は、正義のヒーローに祝福を与えるだろう。傷つくことを恐れず、自分よりも強大な敵に立ち向かう、高潔で勇敢な彼らに。
「「うおおおおおおーーーっ!!!」」
鬨の声を上げてブラックドッグスは『滅びし神』と古代遺産を撃退し、ダークメナスに突撃を仕掛ける。よもや猟兵でもない普通のヒーローに、配下を突破されるとは思ってもいなかったのだろう。明らかに敵が動揺するさまがフィーナと狭霧には見えた。
「よくわからない神きどりなんて今日の引き立て役にしてやります」
進撃するヒーロー達に合わせて、狭霧がひらりとステージから飛び上がる。オラトリオの翼で華麗に空を舞い、風と戯れるように踊りながら、狼狽するダークメナスを足蹴に。
「えいえいっ」
「ぐっ! 貴様……!」
げしげしと踏みつけられたダークメナスは怒りのままに反撃しようとするが、その隙を突いてブラックドッグスのメンバーが吶喊。全身全霊を籠めたユーベルコードの数々が、悪しき神に叩きつけられた。
「ぐああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!?」
滅びし神より受け継ぎ、正義の魂によって磨き上げられたブラックドッグスのパワー。
かつてダークメナスを打ちのめしたのも、きっと彼らのような者達だったのだろう――耳をつんざくような絶叫を上げて、悪神達の盟主は地に墜ちる。
「みんなー今日は一緒に戦ってくれてありがとうー。また一緒に歌いましょうね」
大きな戦果を上げたヒーローの皆に向けて、狭霧が空からひらひらと大きく手を振る。
後方にいるフィーナもまた、笑顔で大きく手を振ってヒーローの健闘と勝利を称えた。
「いつかまた、絶対に! 次も最高のセッションにしましょう!」
風月華のコンビによるセッションは、かくして最高潮の盛り上がりのまま幕を閉じる。
そして。猟書家に属する悪しき神との戦いも、そろそろ幕引きの時が迫りつつあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
北条・優希斗
連・アド○
そうだな
アンタの計画の邪魔をするのは俺達の役割さ
ブラックドックスの皆には、ダークメナスよりも
滅びし神の相殺に力を注いで欲しいと依頼
これで貴様と殺り合える
後は俺達の力で何処までやれるかか
先制攻撃+UC
亡霊達を召喚、共に古代遺産へ対処
まあ、アンタは俺達を憎悪するまでもない様だから
幾らでも付け入る隙はあるな
蒼月・月下美人抜刀
ダッシュ+地形の利用+軽業+見切り+残像+第六感で肉薄
2回攻撃+属性攻撃:蒼穹+早業+鎧無視攻撃+串刺し+早業+薙ぎ払い+切断+範囲攻撃で敵が倒れるまで双刀を亡霊達と共に浴びせる
…生憎だが
貴様の様な影に後れを取る程、俺達も甘くない
故に貴様の憎悪を裁く罪は、俺達が受けよう
「そうだな。アンタの計画の邪魔をするのは俺達の役割さ」
いにしえの時代より蘇った悪しき神々にも怯まず、毅然とした態度で優希斗は告げる。
猟書家ダークメナスと、滅びし神。この二柱を同時に相手取るのはさすがに骨が折れるかもしれないが、今は頼もしい仲間が大勢いる。
「ブラックドックスの皆には、ダークメナスよりも滅びし神の相殺に力を注いで欲しい」
「分かりました!」
若きヒーロー達は持てるユーベルコード力を振り絞って、滅びし神を押さえにかかる。
彼らが宿す力もまた滅びし神から受け継がれたもの。同種の力が競り合うことで相殺が発生し、敵の滅びし神の動きが止まった。
「これで貴様と殺り合える。後は俺達の力で何処までやれるかか」
ブラックドッグスが滅びし神を相殺している間に、優希斗はダークメナスと対峙する。
先手を取って発動するのは【闇技・罪業蒼贖舞】。贖罪の願いを胸に抱いた儘に骸の海で眠る魂を、蒼穹の精霊船に乗せて召喚する。
「罪に溺れし亡霊達よ。汝等の想いと罪を、我が下に」
「我が同志達の怨念、晴らさずにいられようか」
対するダークメナスもユーベルコードを発動、神代より存在する古代遺産を召喚する。
それらは悪神の怨念と憎悪を指針として、敵を追跡・攻撃する自律兵器。現状において標的となるのは、猟書家としての計画を妨げる猟兵とヒーローに他ならない。
「まあ、アンタは俺達を憎悪するまでもない様だから、幾らでも付け入る隙はあるな」
数百体の遺産群を前にしても、優希斗の態度は揺らがず。蒼月・零式と月下美人を抜刀すると、彼が喚んだ亡霊達も装備した魔剣・魔刃・妖刀を一斉に構えた。
「行くぞ」
先陣を切って駆け出した妖剣士の青年は、風のように敵陣に肉薄すると双刀を振るう。
蒼と白銀の斬光が古代遺産の群れを薙ぎ払い、真っ二つに切断する。驚くべきはその切れ味と、涼しげな顔でそれを為した使い手の技量であろう。
「……生憎だが。貴様の様な影に後れを取る程、俺達も甘くない」
優希斗の切り込みに続き、精霊船より上陸した亡霊達も隊列を組んで敵に斬り掛かる。
彼らが振るう魔剣や妖刀も、やや劣りはするが立派な業物だ。数の力と連携で古代遺産を撃破し、悪神までの道を文字通りに切り開いていく。
「故に貴様の憎悪を裁く罪は、俺達が受けよう」
亡霊達が開いた道を優希斗が駆ける。背筋が凍るような殺気や憎悪を浴びせられても、臆することなく前へ、先へ――双刀の間合いへと踏み込み、渾身の連撃を敵に浴びせる。
「貴様……ぐあぁぁぁ……ッ!!!!!」
妖剣士と亡霊達から数え切れぬ程の斬閃の嵐を浴びせられ、ダークメナスが絶叫する。
揺るぎのない覚悟と意志によって研ぎ澄まされた刃は、不死なる悪神をも切り伏せる。優希斗と仲間達はそれを証明してみせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
ようやく元凶のお出ましか
今更過去の残滓に平和を乱させる訳にはいかないし
ブラックドックスと協力して立ち向かうよ
強大な邪神か
実際強いんだろうけど
猟兵にとって神自体は珍しくないからね
落ち着いて対処しよう
古代遺産の攻撃はガトリングガンで迎撃したり
神気で時間を停めたりして防御
ブラックドックスを狙われないよう
側にいて護りながら戦おう
念の為に使い魔を護衛につけておくよ
召喚された神の力を相殺して貰わないとね
召喚された神の方が片付いたら
ガトリングガンで攻撃しつつ隙をみてUCを使用
飽和攻撃をおみまいするよ
神の力は強大かもしれないけれど
人間の力も弱いままじゃないんだよ
技術は進化し続けているのを感じてくれると嬉しいね
「ようやく元凶のお出ましか」
刺客を退け、ヒーロー達を救出し、ついに現れた幹部猟書家を見やりながら晶は呟く。
蘇りし邪神ダークメナス。自らと同じ『滅びし神』の力を集め、神をも超える超存在を創造せんとするかの者の野望は、他ならぬ猟兵とヒーローの手で挫かれようとしていた。
「今更過去の残滓に平和を乱させる訳にはいかないしね」
「そのとおりですっ! やりましょう!」
彼女の言葉に勇ましく応えるのはブラックドッグスのメンバー達。助けられた恩を返すために、何より人々を守るために、彼らは猟兵と協力して邪悪なヴィランに立ち向かう。
「強大な邪神か。実際強いんだろうけど、猟兵にとって神自体は珍しくないからね」
UDCアースやダークセイヴァー等、神と呼ばれるオブリビオンとは戦闘経験もあるし、猟兵にも神はいる。何より晶の人生は、ある一柱の邪神と融合してしまったことで大きく変わってしまった。そう考えれば邪神との戦いは「いつものこと」ですらある。
「落ち着いて対処しよう」
「「はいっ!!」」
応ずるヒーロー達の様子を見ながら、携行型ガトリングガンのトリガーを引く。放たれた銃弾の嵐に射抜かれたのは、ダークメナスの力で召喚された神代の古代遺産の群れだ。
「まだ終わらぬ……我はもう、二度と滅びぬ……!」
不滅の妄執と憎悪を糧に、戦いを続けるダークメナス。彼女の意志に呼応して古代遺産は進撃し、猟兵とヒーローを殺戮せんとする。無機質なる脅威からブラックドッグスの皆を護るために、晶は彼らの側にいるようにして戦う。
「君達には召喚された神の力を相殺して貰わないとね」
「ええ。必ず止めてみせます!」
念のために使い魔を護衛につけておき、自身はガトリングで古代遺産の迎撃。その間にヒーロー達はダークメナスが召喚した『滅びし神』の対処に全力であたる。彼らに宿った滅びし神の力は、同種の力を相殺する。それこそがこの戦いを勝利に導く切り札だ。
「やらせるか……ッ!」
「それは僕の台詞だよ」
猟書家側にとっても『滅びし神』は最大の戦力である。みすみす無力化させるものかとヒーロー達に攻撃の矛先を向けるが、すかさず晶は神気のオーラで時間を一時的に停め、古代遺産や悪神の攻勢を押し止める。
「この町は、私達が守るんだ……ッ!!!」
そしてブラックドッグスのメンバーが一丸となり攻撃を仕掛ける。彼らの放つ全身全霊のユーベルコードは、悪しき意思により喚起された『滅びし神』を直撃し――今度こそ、完全に現世から消滅させた。
「馬鹿な!!」
神の力を宿すとはいえ、人間が滅びし神に打ち勝った事実にダークメナスは動揺する。
その隙を逃さず晶は反撃に転じ、ガトリングで攻撃しつつユーベルコードを起動した。
「神の力は強大かもしれないけれど、人間の力も弱いままじゃないんだよ」
神話時代から幾星霜の年月を経て、現在の地球を生きる人類は日々成長を重ねている。
それはヒーロー達が見せた想いの力であり、あるいは科学やテクノロジーの力である。彼女が呼び寄せるのは後者の結晶たる【試製火力支援無人航空機】だ。
「技術は進化し続けているのを感じてくれると嬉しいね」
晶がすました顔で告げるのと同時、雲を切り裂いて飛来した航空機は1000を超える小型ミサイルを一斉発射。幾何学模様を描き複雑に飛翔して、目標に飽和攻撃を仕掛ける。
「こんなものに……我が!!」
ダークメナスは六枚羽根を震わせて回避機動を取るが、ミサイル群は蛇のように噴煙をたなびかせながら目標を追尾し――着弾と同時に、凄まじい爆発を都市上空で起こした。
「我が野望が……こんな、ところで……ッ!!!」
花火のように大きく咲いた爆炎に呑まれ、ダークメナスは断末魔を上げて消え去った。
超存在スナークを創造せんとする猟書家の企みはかくして挫かれ――勝利の喜びに湧くブラックドッグスのヒーロー達の歓声が、抜けるような青空に響き渡った。
オブリビオンの魔の手から若きヒーローを救い、『滅びし神』を再び滅ぼした猟兵達。
英雄たる彼らにまた1つ新たな活躍のページが記され、その名は多くの者に憧れと共に刻まれることになったのだった。
大成功
🔵🔵🔵