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もふもふマンション探索記

#デビルキングワールド

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#デビルキングワールド


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 デビルキングワールド、マンションダンジョンの一つで正に今家賃取り立ての攻防戦が始まっていた。
「家賃払いなさーい……へっくしょ!」
「ぼ、ボス……いったん下がりましょう、このままではボスの命が!」
 マンションの前でメガホンを手に叫ぶ悪魔とその配下らしいギャング悪魔。よく見れば前に進もうとするボスを配下が必死に止めている。マンションの窓は全開に開けられているが、応答の気配はない。暫くマンション前での攻防は続き、やがて勝った配下がボスを引きずって一時退散していった。
「今回も勝ったわね」
「アタイが言ったとおりだろ? このままココを乗っ取っちまおうぜ」
 開け放された窓の一つからそっと外を覗き見ながらこそこそと話し合う女性悪魔達。
 一方、取り立てを失敗したマンションオーナー悪魔は離れた位置からマンションを見ながら渋い顔で腕を組む。
「このままでは一切取り立てが出来なくなるな……ぐしっ」
「大丈夫っすかボス……畜生、あいつら……!」

「デビルキングワールドでな、困った事になってるらしいのじゃ」
 サーラ・ビアンコ(La fanciulla del gatto・f27059)が集まった猟兵達を見上げながら話し始める。
「マンションダンジョンの家賃の取り立てが上手く行ってないらしくてのう」
 聞けばとあるマンションにて、取り立てに向かったギャングやオーナー達が悉く撃退されてしまっているとの事。そのマンションは1階がアスレチック的な迷路に改造されており、更に。
「猫が沢山いるらしいのじゃ」
 何が問題なのだろう、と首を傾げる猟兵達。
「オーナー達は重度の猫アレルギーだそうなのじゃ」
「それは悪だな」
 そのため、アスレチック程度の迷路ですら通り抜ける事が出来ないのだそうだ。
「猫たちを避けながら、アスレチックを抜けて上の階へ向かうとじゃな、奥様悪魔軍団が待ち構えているらしいのじゃ」
 ホウキや包丁、改造掃除機等で武装した魔界主婦の皆さん(猫好き)を退ければボスの登場らしい。
「ボスは爆弾使いのくノ一だそうなのじゃ」
「全員キャラ濃いなおい」
 ボスを倒せば、諦めて皆家賃も払うようになるだろう。猫は減らないけど。
「まあ、家賃さえ貰えれば猫に関しては文句は無いそうなのじゃ。頑張って解決してきて欲しいのじゃ」
 サーラはぱたりと尻尾を揺らし、グリモアを起動すると猟兵達を送り出すのだった。


真空。
 猫可愛い。真空。です。
 今回はデビルキングワールドでマンションダンジョンを攻略して頂きます。
 一章:冒険。
 その辺をうろうろしている猫を構いつつアスレチックを抜けて下さい。レベルはジップラインやネットがある位のレベルだと思って頂ければ。
 二章:集団戦。
 魔界主婦の皆さんを退けて下さい。日頃の鬱憤を叩きつけてきますのでまあまあ強力です。
 三章:ボス戦。
 ボンバーくノ一・メルヴィが待ち構えています。ひたすら爆弾を投げてきますが、多分主婦の皆さんの方が強い可能性。

 公開された時点から受付開始となります。

 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称も)とID】のご記入お願い致します。
 あまり大人数だと難しいです、すみません……。

 皆様の参加、心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『立体迷宮』

POW   :    段差や奈落の向こう側まで味方をぶん投げる

SPD   :    ジャンプ力もしくは何らかの飛行能力で段差や奈落を越える

WIZ   :    マッピングを行い、迷路の構造を把握する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 天井から垂れ下がるロープ、曲がりくねりながら揺れるネット。
 1フロアを丸々使ってアスレチックが設置されている。そして渡り板の上やネットの中で寝たり毛繕いしている猫達。
 どこか緩い空気の迷路を駆け抜けろ。
御園・桜花
「それは…うちのおネコさまを越えて逝け、ということですね。なんて過酷な戦いでしょう…」
ゴクリと唾を飲む

煮干しを入れた袋と密閉出来る袋に入れた木天蓼と何本ものねこじゃらしを入れてパンパンに膨らんだ小型リュックを背負って参加

真面目に体力勝負しているように見せかけて、実は飛行している

「全てのおネコさまと交遊すれば、おのずと道が拓けるはずですっ」←おネコさまが移動することを考えていない
途中から迷路探索よりおネコさま探索にシフトしより迷子風味に

あちこちに酔っ払った猫の集団を産み出しつつ猫じゃらし振り回し右往左往

多分周囲に誰もいなくなるまで猫と触れあってから、聞き耳して人の物音のする方へすっ飛んでいく



 とあるマンションダンジョンの入り口でシリアスな表情で佇む一人の女性。
「ここが、お話のあったマンションダンジョンですね」
 煮干しを入れた袋と密閉出来る袋に入れた木天蓼と、何本ものねこじゃらしを入れてパンパンに膨らんだ準備万端整った感の凄い小型リュックを背負った、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)だ。桜花は先程の話を思い返し……眉を寄せて目の前の建物を見上げる。
「……うちのおネコさまを越えて逝け、ということですね。なんて過酷な戦いでしょう…」
 翠玉の瞳に決意を宿し、ゴクリと唾を飲むと一歩踏み出す。入口の辺りにはまだ猫はうろうろしていないようで、玄関を抜けると直に繋がっているアスレチックエリアを柱の陰からそっと覗き込めば。
「天国……」
 そう、そこは猫の天国。彼方此方に転がる、または歩き回る毛艶の整った猫達。見え難いが壁際には餌やらトイレやら必要アイテムが揃えられ、猫達が住人に大事にされている様子が窺える。
「全てのおネコさまと交遊すれば、おのずと道が拓けるはずですっ」
 リュックからねこじゃらしを取り出し両手に装備、ポケットに煮干しや木天蓼を詰め込みいつでもばらまけるようにすれば突撃の用意は完了。
「我は精霊、桜花精。呼び覚まされし力もて、我らが敵を討ち滅ぼさん……いや、敵じゃないですね。おネコさま達を愛でるのです」
 はらはらと桜の花びらを散らしながらそっと地面から数センチ浮き上がった桜花は軽く飛ぶというアドバンテージを得た状態でアスレチックへと挑み始める。
「ふふ……ふふふふ、おネコさまが沢山。幸せ」
 ネットを登り、ねこじゃらしを揺らして猫を誘い煮干しで釣り、ご機嫌なおネコさまを撫でてはにんまりと笑みを浮かべ。キャットウォーク等に上って寄ってこない仔が居れば、木天蓼を使って集めごろごろと転がるさまを眺め。その内に上階への道を探すよりも、愛でていない猫を探してアスレチックの中を行ったり来たり。
「長毛も短毛も大きい仔も小さい仔も等しく可愛らしい……っ」
 気が付けばあちこちに木天蓼で酔っ払った猫溜まりが完成。それを眺めるだけでも瞬く間に時間が過ぎそうではあるが、ここに来てようやく本来の目的を思い出した桜花。
「そろそろ上に向かわないと駄目ですね……」
 聞き耳を立てれば、奥の方から微かな話声が届く。ふわりと飛び上がり、時々はアスレチックの一部を手掛かりにしながらそちらへと向かえば目立たない場所に上方への階段を発見。
「じゃ、行きますか」
 桜花は地面に降り立つとゆっくり階段を上がっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーネスト・シートン
猫アレルギー持ちは大変ですね。
まぁ、現代科学なら、ある程度は抑えることが出来るんですけどね。
この世界じゃ、望めることではなさそうですね。

とまぁ、出身地UDCアースじゃないですし、ここの世界が悪いこと推奨なら、やらざるをえないっていうか。
猫ちゃんは猫缶やスティック餌で釣って、迷宮の外に誘導しておきますか。
そして、猫の数が減った迷宮は、軽く抜けていきますか。
それにしても、猫ちゃん、可愛い。モフモフしてみよう。

おっと、そうじゃなくって。アスレチックですね。
見てみると、軽めなので、大助かりですよ。
SA○UKEじゃなくて、よかったですよ。

後は、次の方向に向かいますか。



「猫アレルギー持ちは大変ですね。まぁ、現代科学なら、ある程度は抑えることが出来るんですけどね」
 マンションダンジョンの1階フロアの入り口に立ち、腕を組んでアスレチックと猫達を眺めるアーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)。
「この世界じゃ、望めることではなさそうですね……仕方ないですが」
 科学の進んだ世界でも悪化すれば抑え込めない場合もありますし、と肩を竦めてフロアへと踏み込んでいく。広めの空間にみっちりとネットや棒やロープが並べられ、壁上方にはキャットウォーク。猫にとっては非常に過ごしやすく整えられた部屋の中を自由に猫達が歩き回っている。
「まぁ、出身地UDCアースじゃないですし、ここの世界が悪いこと推奨なら、やらざるをえないっていうか」
 入り口近くに予め持ってきていた猫缶やおやつを並べ、ポケットから出したち〇ーる的なものを手に持つと香りを振りまき猫達を集める。集まってきた仔達を見つめる眼鏡の奥の目は優しく、迷宮から出すのもあくまで被害を与えないため。膝をついて〇ゅーるを差し出せば、最初は警戒していた猫もじわじわと近付き……逆らえない美味しさに夢中で食べ始める。
「アスレチックの意味を無くすんだから悪い事ですよねこれは。それにしても、猫ちゃん、可愛い。モフモフしてみよう」
 空いている手を伸ばして、ちゅー〇に夢中な猫の身体にそっと触れる。温かくふかふかの毛、しなやかで柔らかな感触。そのうちにご飯に満足した猫達が我も我もと集まり始め、アーネストはすっかり足元を埋められて撫での催促を受け続ける。
「おや、手が足りない位ですね……はい、満足したらどいていて下さいね」
 あちらを撫でればこちら、順番に手を動かして。そのうちにご飯で満腹、撫でられて幸せな猫達があちこちでころころとお昼寝タイムへ突入。アスレチックの中は次第に静かになっていく。
「いやあ、幸せ……おっと、そうじゃなくって。アスレチックですね」
 アーネストは立ち上がると改めて抜けなければならない道を確認する。ネットのトンネルへと手をかけると、ひょいと飛び上がりするすると潜り抜け。次の平均台は親切にも頭上に下がっているロープを支えに渡っていく。
「うん、軽めでですね、助かりました。SA○UKEじゃなくて、よかったですよ」
 進んで行けば奥の角に階段を発見、アーネストは次の試練へと向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤・美雨
オブリビオンなら片っ端から殴ればいいけど
猫は殴れないよ、かわいいもん……
どうやって抜けようかな?

とりあえず進み出したら……ああ、もふもふがいっぱい
よしよし、みんな遊んであげよう
撫でてあげたり、服の袖をおもちゃにして暫く猫と戯れる
猫達が満足したらきっと別のところに遊びに行くだろう
その間に通り抜けちゃおっか

マンションも普通には進まなくていいかな
ロープを怪力で掴んで、ショートカットしたりする
アクロバッティックに進む最中でも猫がいっぱいごろごろしてるね
うう、かわいい
もっと遊びたいけど、それは事件が解決してからだね

オーナーも猫アレルギーだなんて難儀だね
この子達も無事に暮らせるようになるといいんだけど……



 アスレチックフロア内、入り口近くでしゃがみ込んで膝に肘をつき、ころころとじゃれ合う猫を眺めている少女。
「オブリビオンなら片っ端から殴ればいいけど猫は殴れないよ、かわいいもん……どうやって抜けようかな?」
 紅を引いた大きな瞳を困惑したように瞬かせ、こてりと首を傾げる藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)。とりあえず進むかとすらりと長い足を踏み出せば、丁度退屈していたのか構われたい猫達が集まりあっという間に足元に猫のじゅうたんが出来上がる。
「……ああ、もふもふがいっぱい。よしよし、みんな遊んであげよう」
 物を避けて一寸開けた場所を探して。長く作られた服の袖を大きく揺らして猫をじゃらし、跳ね回る気の無さげな子は袖ごと手を伸ばしてそっと柔らかく温かな毛並みを堪能。暫く構い続ければ、満足した仔から離れていきその辺でお昼寝を始めたり、ネットを潜って何処かへ消えて行ったり。
「うんうん、満足してくれたね、私も満足だよ。先に進むとしようか」
 ネットのトンネルは入り口辺りを掴み、力を入れて身体を持ち上げ一気に前へ進む。平均台は上のロープを持って揺らし、渡る事無く飛び越えて。美雨は自身の怪力を頼りにアスレチックを素早く通り抜けていく。
「ああ、そこにもここにも猫がごろごろ……可愛いなあ。あ、あの子はさっき遊んで無いかも」
 移動の最中にも思わず近くにいる猫達へと視線が向かう。もう一度足を止めようか、と一瞬心が傾くもダメダメ、と首を振って。
「仕事中だもんね。解決したら遊ばせて貰おう。うん、そうしよう」
 最後に手掛かりのついた大きな壁を軽々と越えれば、端の方に階段が現れる。
「到着っと」
 汚れているわけではないが何となくぱたぱたと服と手を払い、じゃあ行こうかと進みかけて一度振り返る。
「オーナーも猫アレルギーだなんて難儀だね。この子達も無事に暮らせるようになるといいんだけど……」
 猫達に罪があるわけではない。今後も穏やかに過ごせるならそれが一番良いんだけれども、と思いながら。
「そのためにもお家賃、だね。回収さえできれば文句はない筈」
 頑張るぞ、と気合を入れ直して次の階へ。上がっていくと次の階は照明が消されているようで階段の半ばから薄暗い。美雨は足元に注意しながらゆっくりと進んで行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『魔界主婦の皆さん』

POW   :    ウチの家に限って…
【家事育児を手伝わない旦那への不満】【我が子の将来の進学進路についての不安】【老後の生活、ご近所さんとの悪魔関係の心配】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    私達だって暴れたい!ミートゥー!
【自身と同じ境遇に不満を持つ魔界主婦】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[自身と同じ境遇に不満を持つ魔界主婦]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    社会を革命する力を
【自分達の身の回りの社会を今すぐよくしたい】という願いを【魔界SNSを利用する悪魔の皆さん】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 2階フロアへと上がった猟兵達。そこは窓が塞がれているのか薄暗く、上階へと上がる道は見えない。
 前に進もうとしたその時、カっと照明が灯される。
 煌々とついた明かりの下、立っていたのは。
「猫ちゃん達に勝てないからって、助っ人とはねえ」
「まあ、誰が来た所で」
「家賃は払わないからねっ!」
 箒や麺棒や包丁を構えた魔界主婦の方々が道を塞いでいた。箒はともかくとして、後ろの二つは殺意が高すぎる気がするが。
藤・美雨
奥様方も大変なのは分かるけど
家賃の滞納はダメだよ
このマンションをオブリビオンが支配したとして、それが猫達の幸せになるとも思えない
猫達を本当に幸せにしたいなら……家賃を払ってマンションの環境良くしていった方がいいんじゃないかい?

これだけ生活感のある奥様が揃っているってことは、廊下も色々なものが置いてあると思うんだよね
傘とか鉢植えとか回覧板とか、なんかそういうの
それをどんどん掴んで投げて利用しつつ立ち回る
奥様方をどんどん分断して、囲まれないようにしていこう

孤立した相手から暗器で奇襲をかけていくよ
刃物で武器を持つ手を切り裂いてやる
利き手を攻撃するのは申し訳ないけど
悪魔だからきっとすぐ治るよね、うん!



 元は住居だったのか仕切りや柱を挟みつつ開けたフロアの中、立ちはだかる魔界主婦の皆様を前に、藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)は腰に手を当てて肩を竦める。
「奥様方も大変なのは分かるけど家賃の滞納はダメだよ」
 呆れたように声をかけるが奥様方は聞く耳を持たない様子で。
「アンタみたいな若い子にはわからないでしょうけどねえ、大変なのよ!」
「そうよ、今時子供の教育にも猫ちゃん達にもどれ位かかると思ってんの」
 返された言葉にむ、と眉を寄せる美雨。
「このマンションをオブリビオンが支配したとして、それが猫達の幸せになるとも思えない。猫達を本当に幸せにしたいなら……家賃を払ってマンションの環境良くしていった方がいいんじゃないかい?」
 重ねた美雨の言葉に、僅かにざわつく奥様方。暫し頭を寄せるとこそこそと何か話し合って、再び向き直る。
「それでも、家賃は払えないのっ! 邪魔するなら出て行ってもらうよっ!!」
 それぞれ手にした武器を構えて突進してくる主婦の皆様に、美雨も戦うしかないかと覚悟を決め、素早く周囲を確認すると除けた物を積んであるらしき窓際へと走る。
「ある物は使わせてもらうね!」
 置きっぱなしになっていただろう枯れた草の植わった植木鉢やら、古臭い子供用の砂遊びバケツやらを手に取ると、向かってくる奥様方へと投げつける。
「よ、っと。これもこれも……あ、これも良いねえ」
 下の方に行くにつれ次第に自転車やベビーカー等大きいものも入ってくるが、持ち前の怪力で全く気にする事なくぶんぶんと投げつける美雨に奥様方もひるんで近付く事が出来ず、逆に押されているようだ。
「さあさあ踊れ、しっちゃかめっちゃかにね!」
 美雨も只投げているわけではなく、それぞれを分断するように自身が囲まれないように少しずつ位置を変え、好機と見るや一気に走りこみ袖の中から鋭いナイフを取り出すと、包丁などの危険物を持つ人の手をざっくりと斬りつけ、箒等の武器の人は短い棍を取り出すと叩いて落とさせる。
「痛っ!」
「ごめんね、でもそれ使われると困るんだよ」
 分断した間を縫うように、軽やかに動き回る美雨。魔界主婦の皆様の間をくるくると舞う様に動く様は軽やかに美しい。
「利き手を攻撃するのは申し訳ないけど悪魔だからきっとすぐ治るよね、うん!」
「治るのは早いけど痛いのは痛いんだからね!」
 自分に言い聞かせるような言葉に思わず入ったツッコミ。もっともな言い分にごめんね、と手を合わせたりしつつも美雨は奥様方を無力化していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレア・フォースフェンサー(サポート)
なるほどのう。
おぬしが言わんとすることも分からぬではない。
じゃが、だからと言って、今を生きる者達を虐げてよいということにはならぬであろう。
過去の者がしでかしたことは過去の者がただすのが道理じゃ。
わしが骸の海に還してやるゆえ、覚悟するがよい。

――とかそんな感じで相手の立場や主張を一旦受け止めながらも、最終的には斬ります。

遠間の際には《光弓》を、それ以外のときには《光剣》を用います。
敵の攻撃を見切って躱し、また、UCの力を込めた《光剣》で捌きながら間合いを詰め、両断するのが基本的な戦い方です。
なお、敵が複数いるときなど、広範囲の状況を確認する必要がある場合には、周囲に《光珠》を展開します。



「いい加減帰って頂戴! いくら来られても払わないものは払わないんだからね!」
「そんなお金無いってわかるでしょ、子育てに介護に色々大変なんだから!」
 思い思いの武器を手にじりじりと詰め寄る魔界主婦の皆様。殺気さえも感じるその一群を前にクレア・フォースフェンサー(UDCのエージェント・f09175)はまず歩み寄るような言葉を投げかける。
「なるほどのう。おぬしらが言わんとすることも分からぬではない」
 頷くクレアの姿にそうでしょと盛り上がる主婦の皆様。しかし続くクレアの台詞は。
「じゃが、だからと言って、他の者達を虐げて良いということにはならぬであろう。決まりごとは守らねばならぬ」
 ルールはルール、家賃は払わねばならない。真っ直ぐにそう告げるクレアに、主婦の皆様の殺気が増す。
「だから、出ないものは出ないの!」
「過ちは正さねばならぬな」
 ぶつかり合う言葉、高まる緊張感。張り詰めた空気はクレアが一歩踏み出すと同時破られる。
 本人の色彩に似た淡い金色の光が抜き放たれる。室内用に普段よりは短めに形成された剣は白い衣装を染め髪や瞳と合わせて、閉め切られた屋内においてはクレアという存在を光り輝やかせ、その凛とした美しさは立ち向かう主婦の皆様の士気を僅かに挫く。
「では、ゆくぞ」
 奥様方の中にクレアの動きを捉えられた者はいなかっただろう。気が付いた時には手にした武器を斬り壊され、柄を叩き込まれて意識を失う。
 あっという間に数人が無力化され、警戒度合いを強める魔界主婦の皆様。長い獲物を持つ奥様が前に立ち、仲間を庇うようにクレアを威嚇する。
「何今の!?」
「いくら固まっても無駄じゃな、さあ、続けようか」
 抜いた剣を構えたまま、クレアはにやりと笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アーネスト・シートン
住人の方たちですね。まぁ、今回に関しては、無力化でどうにかするしかないですね。
ただ、それなり以上の力は持っていそうなので、下手に手加減は出来ないって所で。
まぁ、文句は、あのニンジャに言ってくださいね。

てなわけで、眠らせるだけだと、後が宜しくなさそうなので、今回は、こっちで。
わたくし、普通の人間の身体ですから、下手な攻撃を受けるわけには行きませんし。
ってことで、身体を鼬の獣人に変化させておきますよ。
攻撃が来たら、一時的に鼬になって攻撃をすり抜けさせていただきますよ。
そして、背後に回ったら、獣人に戻って爪で叩き伏せておきますよ。

「今回、用があるのは、あなた達じゃないので、これで失礼しますね」



 続いてフロアに踏み込んだのはアーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)。長めの黒髪に頭脳派な雰囲気を漂わせる眼鏡の奥の瞳。穏やかそうな見た目に奥様方は軽く押し返せると踏んだのか一気に攻め寄ってくる。
「帰ってオーナー達に家賃は取れなかったと伝えなさい!」
「そうよ、じゃなければ下の階にもっと猫増やしてあいつら入れなくしちゃうんだから!」
 家賃を払わない、という点において一致団結した奥様方の勢いは凄まじく、アーネストは思わず数歩後退った。唯、その目は確りと襲い来る集団の動きを捉え、一番被害の少なそうな位置へとさり気無く身体を移動させてはいるのだけれど。
「住人の方たちですね。まぁ、今回に関しては、無力化でどうにかするしかないですね……ただ、それなり以上の力は持っていそうなので、下手に手加減は出来ないって所で」
 上段から振り下ろされる箒を躱し、後方から投げつけられた包丁を身体を屈めてさっと避けると、くいっと眼鏡を上げる。
「――まぁ、文句は、あのニンジャに言ってくださいね」
 呟くと同時、主婦の皆様の眼前からアーネストの姿が消える。動物変身:鼬で身体を変化させ、迫りくる攻撃を避けたのだ。
「わたくし、普通の人間の身体ですから、下手な攻撃を受けるわけにはいかないんですよねえ」
 囲みを抜け、背後に回ると今度は鼬獣人の姿へと。鋭い爪で武器を引っ掛け払い除け、バランスを崩したものから叩き伏せてしまう。
「一寸、変身したわよ!」
「いつの間に背後に!? ああもう、ちっちゃいから追いきれないわ!」
 再び攻撃を喰らいそうになれば鼬へと身体を戻し、足元を駆け抜ける。そしてまた獣人に変化すると手近な主婦の方を無力化。鼬へと変化すると分かってはいても、小さい身体は障害物などを使って隠れられてしまえば見つけるのは難しい。右往左往する奥様方に対し、効率的に数を減らしていくアーネスト。
 そして、奥の上階への階段が見えるくらいにまで集団が数を減らせば、鼬に変化したまま壁等を使い一気に奥へと進んで行く。一段目に足をかけたところで元の姿へと戻るアーネスト。
「今回、用があるのは、あなた達じゃないので、これで失礼しますね」
 軽く会釈を向けると、そのまま足早に階段を駆け上っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「一般の主婦の方?それは、困りました…」
「流血失神、はまずいですよね?」
「これなら怪我をなさっていても寝ている間に治りますから。でも…もう一手間、かけるべきでしょうか」

制圧射撃で足止めしUC「桜の癒し」
主婦達を眠らせる
起きてもすぐに追ってこられないよう、ズボンやスカートを脱がせて遠くに放りなげ、パンツ一丁にして隅に寄せておく

「ごめんなさい、起きたらスカートやズボンを探して私達のことは忘れてくださいね…」
目をそらしながら謝りつつ、上の階目指す
「…これで痴女の仲間入りしちゃったらどうしましょう」
第六感でなるべく主婦に会わないルートを選択しつつこっそり移動して行く



 猟兵達の活躍により大分数を減らした奥様方のスキを突くように、このフロアへ御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)が現れる。勘が働いたのか向こうにはまだ発見されていないようだ。
「あの人達一般の主婦の方ですよね?それは、困りました……」
 柱の陰に隠れ、相手の出方を確認すると、最初よりも人数が減ったせいか何組かに分かれてフロアの中を巡回している。このままここにいればいずれは見つかるだろう。
「流血失神、はまずいですよね?」
 相手は悪魔とはいえ一般人、しかも女性。無茶をさせるのは桜花としては好きではない。暫く考え、ある作戦を思いつく。
「これなら怪我をなさっていても寝ている間に治りますから。でも…もう一手間、かけるべきでしょうか」
 様子を確認し、向こうが一旦情報交換にか集まったところで行動を開始する。
「あ、まだいたわね!」
「さっさと帰りなさい、何人やられても負けないんだから!」
 堂々と姿を現し、声を上げて向かってくる奥様方の足元を狙って軽機関銃での制圧射撃、怯んで動きが止まった隙に胸の前に掲げた手の中に生み出した桜の花びらを、フロア全体を染める様に舞わせていく。
 ――桜の癒し。花びらが触れた魔界主婦の皆様は、その場に頽れる様に眠りについていく。ついでに脱落して隅の方にいた魔界主婦の皆様が負っていた怪我も、ゆっくりと治っていくようだ。
「うん、起きそうにないですね」
 眠った内の一人に近付き、顔の前で手を振ってみたり等して様子を見る。全く起きる気配が無いようならば桜花は徐に――相手の服へと手を伸ばした。
 起きても追ってこられないよう、ズボンやスカートを脱がせて階段から下のフロアへぽいぽいと放り投げてしまう。パンツ一丁にしてから一か所に纏め、すぐには動けないようにお互いの身体が邪魔になるような感じで微妙に重ねて積み上げる。ついでに武器も回収すると見えない位置へと纏めて片付けた。
「ごめんなさい、起きたらスカートやズボンを探して私達のことは忘れてくださいね……」
 安らかに眠る姿から目をそらしながら謝りつつ、静かに奥の階段へと向かう桜花。
「……これで痴女の仲間入りしちゃったらどうしましょう」
 一度目を閉じると何も起きませんようにと祈り、階段を昇って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ボンバーくノ一・メルヴィ』

POW   :    拉げつぶれろ!軟弱者ぉぉっ!
単純で重い【重力崩壊爆弾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ロシアンブルーフラッシュ
【全身から広範囲にわたる破壊光線】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    真・分身の術
【レベル×人数の分身】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠朱雀門・瑠香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 次の階へと向かう猟兵達。上がった先はどうやら普通の住居のようだ。
 さらに上へ、上へ――何段も階段をのぼり、着いた先は屋上。扉を開けると金網で囲まれた其処に、一人の女性が大量の爆弾と共に待ち構えていた。
「よくここまで来たね、アタイが相手だよ! ……ぅわ、危ない」
 叫んだ拍子に手に持っていた爆弾を落としかけるボンバーくノ一・メルヴィ。
 色々な意味でこのマンションダンジョン大丈夫だろうか。
御園・桜花
「ボンバーさん…爆乳だからでしょうか。確かにポロリもありそうです」
布地の少ない衣装をまじまじ眺め

手をポンと叩き
「なるほど。爆乳に目が行って、お手元を見ておりませんでした」

「建物を爆破してしまえば、貴女も住むところを失ってしまうと思いますけれど。雨風吹き込む壁のない荒屋をご所望です?」
首傾げ

「分身しようが、範囲攻撃の中に踏み込んでしまえば、躱しようがないでしょう?」
UC「桜吹雪」使用し本体も分身も区別なく範囲内に入ったものを切り刻む

「力業で説得してしまいましたけれど…家賃を払って大家と店子で仲良く、とは行かなかったのでしょうか。猫の聖地として名を馳せそうでしたのに」
猫じゃらし振りつつ目を逸らす



 御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は仁王立ちで爆弾を構えるメルヴィをじっと見つめる。正確には身体の一部分を。
「ボンバーさん…爆乳だからでしょうか。確かにポロリもありそうです」
 動き回るには聊か危険な雰囲気の漂う布地の少ない衣装をまじまじ眺めていれば、視線に気づいたメルヴィが爆弾を振りかざし脅すように桜花を睨む。
「おい、アンタこれ見えないの?」
 言われて暫く考え、手をポンと叩く桜花。
「なるほど。爆乳に目が行って、お手元を見ておりませんでした」
「ふざけんなあぁっ!?」
 叫ぶメルヴィを他所に、桜花はおっとりと首を傾げて周囲を見回す。
「建物を爆破してしまえば、貴女も住むところを失ってしまうと思いますけれど。雨風吹き込む壁のない荒屋をご所望です?」
 確かに持っている爆弾を全て爆発させれば、建物も無事で済みそうには無いのだが。
「あぁ? 対策取って無いわけないでしょ!」
 どうやら床などには多少強化が施してあるらしい。無駄に丁寧な仕事っぷりである。
「とにかく、行くよ! 真・分身の術」
 片手で素早く何らかの印を結ぶメルヴィ。すると、その身体が幾重にも重なる様に増え、実体を持つとばらばらに動き出す。
「ほら、アンタなんか吹き飛ばしちゃうんだから!」
「まあ、そんな事させると思いますか? ――ほころび届け、桜よ桜」
 対する桜花も手に持っていた銀盆を小脇に挟み、祈るように手を胸の前に組む。ふわりと桃色の光が揺れ、桜の花びらが一枚、一人のメルヴィの目の前に落ちる。つぎのしゅんかん、一気に屋上を包むように桜吹雪が渦を巻いた。それはメルヴィ達の身体にまとわりつき、払い落とそうとしてもいつの間にか服を、肌を切り刻む。
「な、なんだコレっ!? 痛っ、離れろこの」
「分身しようが、範囲攻撃の中に踏み込んでしまえば、躱しようがないでしょう?」
 持っていた銀盆は桜吹雪の一部に姿を変えたため、ぱっと見無防備に立っているように見える桜花へ焦ったように問いかけるメルヴィ達。やがて分身はダメージの蓄積により姿を消し、後には主に服がぼろぼろになった本体だけが呆然と立ち尽くす。
「力業で説得してしまいましたけれど…家賃を払って大家と店子で仲良く、とは行かなかったのでしょうか。猫の聖地として名を馳せそうでしたのに」
 持って来ていた荷物の中からいつの間にか取り出した、猫じゃらし振りつつ目を逸らす桜花。
「おい、説得って!? そんなのされた記憶ないんですけど!?」
 悲鳴を上げるメルヴィを他所に、桜花は頬に手を当て、小さくため息をついた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーネスト・シートン
ようやく、オブリビオンのもとに来られましたね。
猫ちゃんを罠に用いるように住民に唆したのは、あなたですか?
これ、状況次第では猫ちゃんに危険が生じるかも知れなかったのですよ。
オーナーが猫アレルギーであることを知っていたのも、要因ですか?

それはともかくとして、爆弾を危うく落としかける…欲に言う間抜け(グーフ)ですか?
まぁ、どのみち、あなたがオブリビオンである以上、倒さなくてはいけませんし。
幸いにして、人型。
なら、この手が通じますね。
貘さん、お願いします。
彼女に眠りを。

寝たなら、後は、倒すのみ。
魔界の者なら、トドメは滅竜銃のほうが最適ですね。
永遠にお休み。



「ようやく、オブリビオンのもとに来られましたね」
 厳しい顔でメルヴィを睨みつけるアーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)。
「猫ちゃんを罠に用いるように住民に唆したのは、あなたですか?これ、状況次第では猫ちゃんに危険が生じるかも知れなかったのですよ。オーナーが猫アレルギーであることを知っていたのも、要因ですか?」
 声を荒げることは無く、しかし畳みかける様に問い詰めるアーネストに対し、メルヴィは鼻で笑うと肩を大きく竦める。
「唆した? 何言ってるんだい、アタイは猫が大好きなココの住民たちに癒しを提供してあげただけじゃないか。【たまたま】オーナーやらがアレルギーだっただけさ、ただの偶然だよ」
 にやにやと笑いながら偶然であると言い逃れるメルヴィ。その表情が言葉の内容は真実でないと語っているのも同然だが。
「成程、貴女の言い分は分かりました。……それはともかくとして、爆弾を危うく落としかける――俗に言う間抜け(グーフ)ですか?」
「はぁ!? しっ、失礼な事言うわねアンタ!! ……おっと」
 アーネストの挑発に怒りの表情で詰め寄ろうとするメルヴィだが、手を振った拍子に再び爆弾を取りこぼしそうになって慌てて持ち直し、素知らぬ顔で火をつけるためのライターを取り出した。
「間違い無いようですね。まぁ、どのみち、あなたがオブリビオンである以上、倒さなくてはいけませんので落としてくれても良かったんですが」
 眼鏡の奥の目を細めるアーネスト。喋り続けながらも何かを呼ぶように手を招き、それに応える様に彼の横に小さな影が召喚される。
「彼に眠らせてもらいますか……貘さんお願いします、彼女に目覚めの無い眠りを」
 アーネストにとっては幸いな事に目の前に立つメルヴィは人型。ならば、眠らせてしまえば無力化できるだろうと呼び出したのは夢への案内人。
 貘がメルヴィをじっと見て首を振ると、その身体から眠りの波動が放たれる。波動は慌てて火をつけようとしたメルヴィを包み込み、即座に眠りへと引き込んで。
「……う……ちく、しょう……後ちょっと、だったの、に……」
 爆弾を抱えたままその場に崩れ落ちるメルヴィ、すぐに小さく規則正しい寝息が聞こえ始め。暫くメルヴィの様子を観察していたアーネストだが、起きないと確信すれば大股に歩み寄り、腰のホルスターから滅竜銃ドラゴンブレイカーを抜き取り、メルヴィへと突きつける。
「永遠にお休み」
 静かなアーネストの言葉と共に、数発の銃声が鳴り響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤・美雨
ほんとに爆弾使いのくノ一だ
実在したんだ……

驚きもそこそこに戦闘開始だ
気をつけなきゃいけないのはやっぱり爆弾かな?
爆発するのはオブリビオンだけで充分なんだよ!

持参した『お弁当』でエネルギーを補給
そのまま刻印を起動して身体を殺戮捕食態に
準備が出来たらあとはひたすら突っ込めー!!

ダッシュで敵の周囲を駆け回り、少しずつ距離を詰める
爆弾をぶん投げられたら……限界突破して跳躍だ!
金網の方や崩壊した床らへんに着地しそうになっても大丈夫
怪力で壁や床の縁を掴んで飛び上がり、すぐに屋上へと復帰するよ

そのまま距離を詰めきれたらこっちの番!
捕食態に変えた拳に怪力を乗せて、相手を思い切りぶっ飛ばす!
猫を悪用した罰だよ!



「痛たた……ああもう、うざったいったら」
 身体を掃いながら起き上がるメルヴィ。その様子をし越し離れたところから、感心したように見ているのは。
「ほんとに爆弾使いのくノ一だ、実在したんだ……」
 目を見開いて指をさす藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)。
「一寸アンタ、他人に指を向けるって失礼じゃない?」
「え、でも……」
 指をさしたまま美雨の目線がメルヴィを上から下へとなぞる。
「そんな恰好で、本当にいると思ってなかったから」
「馬鹿にすんじゃないよ小娘!!!」
 片手に持った爆弾を振り上げて叫ぶメルヴィ。投げつけてきそうな様子に、美雨は僅かに下がり警戒しつつ呟いた。
「気をつけなきゃいけないのはやっぱり爆弾かな?爆発するのはオブリビオンだけで充分なんだよ」
 目線を逸らさないまま手でポケットを探る、取り出したのは血液で満たされた輸血パック。口に咥えると歯で噛み切り一気に中身を飲み干していく。
「は!? 血!? アンタ何してんのってか、駄目なヤツじゃんこれでも喰らいなっ!」
 焦った様子のメルヴィから投げつけられた爆弾を、パックを咥えたままくるりと回って蹴り返す美雨。返された爆弾はメルヴィの間近で爆発し、爆風と強化されているとはいえ多少砕けた瓦礫を撒き散らす。
「え、ちょ……痛、痛っ!?」
 露出の高い衣装、熱風と瓦礫のつぶて。オブリビオンと言えども痛いものは痛い。そして、そうこうしている間に飲み終わったパックを投げ捨てた美雨の身体にも変化が起こった。どくり、と脈を打たないはずの身体が振動する。体内に刻まれた刻印が起動し、殺戮捕食態へと身体を作り替えていく。灰色の瞳が、凶暴な色を宿しぎらりと光り。
「行っくよー!!」
 掛け声がかかると同時、美雨の姿が消える。凄まじいスピードでダッシュ、周囲を回りながら少しずつ距離を詰めていく。手当たり次第に投げつけられる爆弾も飛び上がって躱し、爆風に煽られてバランスを崩しかけても、手がかりを掴んで身体を引っ張りすぐに立て直す。
 爆弾を構えたメルヴィが位置を把握出来ず困惑する間に、姿勢を低くして一気に懐に入る位にまで距離を詰めた美雨。袖の中で拳を握りこむと、上目遣いにちらりとメルヴィの顔を見上げ――次の瞬間全力で叩きこんだ。
「う、ああああっっ!!!」
 吹っ飛び、金網に叩きつけられるメルヴィ。ゆっくりと体を起こした美雨が、真っ赤な紅を引いた口で嗤う。
「猫を悪用した罰だよ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレア・フォースフェンサー
おぬしが今件の首魁たるオブリビオンか
骸の海から蘇り行っていることが、マンションへの不法侵入に家賃踏み倒しの唆しとは、なんとも情けないことじゃのう
いや、ひょっとすると、このマンションを足掛かりに何か大きなことでも成そうと考えておったのかの
じゃが、その企みも今日で仕舞とさせてもらうぞ

さて、問題はあの爆弾じゃな
既にあやつは満身創痍。ここで自暴自棄になって一度に爆破されてはかなわぬ
光剣で紐を斬った後、光珠の結界で爆弾を包み込み、上空にでも置いておくとしよう

さて、おぬしには、あの奥様方に対する見せしめになってもらわねばならぬ
少々痛い思いをするが覚悟せよ
忍者を名乗る者が表に出てきたことが間違いじゃったな



 金網を破壊しながらも抜け出し、再び立ち上がるメルヴィ。手に持った爆弾も投げまくったため余り残っていない。
「最悪……あああ、何なんだよあの猟兵とか言うやつらはっ」
 苛立つメルヴィだが、落ち着く暇も無く新たな猟兵が前に進み出る。
「おぬしが今件の首魁たるオブリビオンか」
 クレア・フォースフェンサー(UDCのエージェント・f09175)は既に光の剣を抜き、臨戦態勢でメルヴィを見据えていた。
「骸の海から蘇り行っていることが、マンションへの不法侵入に家賃踏み倒しの唆しとは、なんとも情けないことじゃのう。いや、ひょっとすると、このマンションを足掛かりに何か大きなことでも成そうと考えておったのかの」
 クレアの言葉に顔を顰めるメルヴィ。
「また邪魔しに来たか……ああ、その通りだよってアタイが言ったらどうするんだい?」
「決まっておる。その企みも今日で仕舞とさせてもらうさ」
 じりじりと下がるメルヴィ。クレアの手の剣を見てあまり近寄らせてはまずいと思っているのだろう、もしくは次の攻撃の為か。そんな様子を見ながら、僅かに首を傾げるクレア。
「さて、問題はあの爆弾じゃな」
 先んじた猟兵達によって既にぼろぼろになっているメルヴィ。ここで自暴自棄になって一度に爆破でもされたら、いくら頑丈な建物とはいえ危険だろうしこちらにも被害が出るだろう。
「よし、あれから片付けるか」
 一歩踏み出すと同時、腰を落として光剣を片手で横薙ぎに振るう――一輝く刃が伸び、メルヴィを掠めつつ爆弾を下げている紐だけを切り落とした。ごとん、と音を立てて転がる爆弾をもう片方の手で持つ光珠から放たれた結界の光が包み込み、上空へと攫ってしまう。
「はぁ!? ちょっと、何してくれんのさっ!?」
「案ずるな、もうお前にあれは必要ないでな。片付けさせてもらっただけじゃ」
 舌打ちしながら別の武器を探すメルヴィだったが、クレアの方が早い。
「さて、おぬしには、あの奥様方に対する見せしめになってもらわねばならぬ。少々痛い思いをするが覚悟せよ」
 クレアはその場から動くことなく、刃に己の力を籠める。先程の爆弾を切り落とした時よりも遥かに力も輝きも増した刃がメルヴィを襲い、クレアの力――還送機能Ⅰが悲鳴を上げる間も渡さずその身体を破壊しつくした。
「忍者を名乗る者が表に出てきたことが間違いじゃったな」
 忍びは闇に潜んでこそ、とメルヴィが立っていた場所を見ながら剣を収めるクレアだった。
 
 こうして、マンションダンジョンの危機は去った。
 メルヴィの最期を説かれた住民たちは家賃の取り立てに大人しく応じたという。
 ちなみに、猫達は家賃の支払いを拒まないことを条件にそのまま1階のフロアを住居とする事を認めてもらえたそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月30日


挿絵イラスト