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水平線上のマアダア・ミステリィ

#サクラミラージュ #トンチキ

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#サクラミラージュ
#トンチキ


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●そしてみんないなくなった
「オレには分かったぞ! この船の乗客たちを殺した犯人が!」
「な、なんだって! 本当かね、眼鏡坊主!」
 船長が尋ねると、眼鏡をかけた琵琶法師はびしりと船長に指を突きつけた。

「とぼけるのはもうやめてもらおうか、船長さん。......全部あんたがやったんだろ? そう! 連続殺人鬼『鏖殺船長』の正体はアンタだ!」
「な、なぜ分かった!? 私のトリックは完璧だったはず!」
「簡単なことさ。乗客もクルウもみんな死んだ。オレじゃなきゃ、もうアンタしかいない」
 眼鏡坊主はその辺にたくさん転がっている人々の亡骸へと視線を落とした。もっと早く犯人を特定できていれば……きっとヒントはいくらでもあったはずなのだ。

「どうやら探偵役としてお前を残したのは失敗だったようだな! だが、このゲームの勝者は私だ!」
 その時、船長の姿がカゲロウのように揺らぎ、その姿が銀髪の妖狐へと変わった。
「何!? 台本と違うじゃねーか! 誰だアンタ!?」

 眼鏡坊主……役の俳優は驚いた。そう、実はさっきまでのやりとりは芝居だ。彼らはこの『生贄の羊号』を舞台に『活動写真』を撮っていたのである。周りに転がっている死体も人形か役者達の渾身の演技……であるはずだ。

「よかろう、冥土の土産に教えてやる。我が名は大陰陽師にして犯罪界のナポレオン、『八代目芦屋道満』じゃ。さあ、貴様の死を以てこの喜劇の幕を降ろしてやろう」
 ヒュン。妖狐の放った刀の一閃は痛みを感じさせる暇もなく俳優の頭部を切り落とし、血の花を咲かせた。

●猟兵たちの銀幕デビュー!?
「皆様に活動写真……つまり映画の出演依頼が来ております。クライアントは『影朧救済機関』ですが」
 銀髪のグリモア猟兵、ミネルバは一枚のチラシを取り出した。そこには、豪華な客船をバックに、眼鏡のお坊さん、仮面をつけた謎のマジシャン、全身黒ずくめのマフィア、日本刀を持った怪しい黒い影といった、個性的な人物たちがミステリィっぽい構図で描かれている。

「これはサクラミラージュ世界で現在制作中の活動写真のチラシなのですが、どうやら、この活動写真のロケ地である洋上の豪華客船に一体の影朧が出現するようなのです。わたくしの予知では役者さんも撮影スタッフの方も皆殺しにされておりました」
 凄惨な光景を思い出したのか、ミネルバは目を伏せた。現地の役者やスタッフはストーリーの進行に合わせて一人ずつ殺されていったが、影朧の妖力のせいか、誰も本当に死んでいることに気付かなかったらしい。最後には大量の死体と犯人の影朧だけが残り、悲しい結末となったようだ。

「ですので、現地の対オブリビオン組織である影朧救済機関に連絡して、撮影を延期していただきました。皆様には影朧をおびき寄せる為、役者さんたちの代わりに活動写真を撮っていただきたいのです」
 なかなかの無茶ぶりだった。猟兵の中には国民的スタアやアイドルもいるが、みんながみんな名優揃いというわけではない。

「といっても、今回は映画を撮るフリですので、演技はプロレベルでなくても結構です。
 ただ、あまりに台本と雰囲気が違うと影朧が不審がるかもしれないので、皆様にはいかにも映画で殺されそうなキャラ作りをお願いします」
 撮影自体はするが、全国の劇場で公開されるわけではない。ミネルバはそう補足した。

「撮影が進めば影朧の仕掛けた殺人トリックが牙を剥いてくるでしょう。その際は皆様、ぜひ死んだふりをお願いいたします。監視カメラとかは無いので、罠が発動した後はしばらく死体のフリをしていただければ問題ないかと」
 影朧は猟兵が来る事は想定していない。トラップは全て、人間を死に至らしめる程度のものだ。猟兵ならばなんかかんやで生存することは難しくはないだろう。

「最後にもう一つ。今回撮影した映像はせっかくなので、影朧救済機関が宣伝に利用するようです。囮作戦とはいえ、皆様のご活躍はしっかり映像として現地に残りますので、ご注意を。
 では、よろしくお願いいたします。皆様のお力で影朧の悪趣味な筋書きを書き換えて下さいませ」
 ミネルバは優雅に一礼すると、『豪華客船・生贄の羊号』への転移ゲートを開いた。
 ......結局撮った映像公開するんかい!


大熊猫
 こんにちは。大熊猫です。今回は初のサクラミラージュシナリオです。トンチキです。みんなで迫真の死んだふりをして闇に潜む影朧を表舞台へと引きずりだしましょう!

●一章 
 社交会中の豪華客船内という設定でロケをします。活動写真内でのキャラ設定をプレイングにお書き下さい。
 人手が必要な場合、撮影スタッフが協力してくれます。舞台は豪華客船の上ですが、よっぽど不可能なものでなければカジノやテニスコートなどの特殊設備もプレイングに合わせて用意されます。
 囮捜査なのでシチュエーション自体は自由ですが、「できれば死亡フラグを立てるか、事件に巻き込まれた探偵っぽいアクションをお願いします」と、影朧救済機関から注文が来ています。
 ※撮影場所の客船は本物で、周りは本当に海です。

 例1:鼻もちならない大富豪のおぼっちゃまがメイドに難癖をつけ、ナンパをしているシーン。
 例2:外国に留学していた弁護士志望の青年。台詞は「この船旅が終わったら田舎に帰って結婚するんだ」。
 例3:「この海域にはクラーケンが出る!」と叫んでいる酔っ払いの老人。実はこの船のオーナー。
 例4:船のカジノで連敗し、大金を巻き上げられている青年。実はたまたま招かれた有名な学生探偵。

●一章プレイングボーナス
 ミステリィ的に映える一癖も二癖もあるキャラを演じる。

●二章
 影朧が仕掛けた舞台や小道具に仕掛けた様々な死のトリックが猟兵たちに牙を剥きます。喰らって死んだふりをしましょう。一章に引き続き、人手が必要な場合は撮影スタッフの協力が得られます。合わせプレイングの場合は死因は仲間割れとかでもOKです。

●二章プレイングボーナス(重複します)
 ・劇的に死んだふりをする。
 ・一章で立てた死亡フラグを回収する。
 ・名探偵っぽいアクションをする。

●三章
 『八代目芦屋道満』とのボス戦です。どうやらミステリィの演出に強い拘りがあるようです。

●三章プレイングボーナス
 猟兵を殺そうとしたトリックを暴く。証拠があればなお良し。
 ※トリックをいっぱい暴かれると影朧は敗北を認めて転生します。

●文字数省略用記号
 アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。〒→キャラ崩壊可。

●合わせプレイングについて
 グループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。
 以上です。皆様の名演技をお待ちしております。
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第1章 日常 『絢爛社交界』

POW   :    沢山の参加者に積極的に話しかけ、交流する

SPD   :    華麗なダンスや洗練された所作を披露する

WIZ   :    壁際でひっそりとグラスを傾けつつ、会場を眺める

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四王天・燦
《華組》



同じ陰陽師として道満に付き合う…ってアタシも同じ穴の貉
この状況でシホと駆け落ちごっこしたいもん♪

撮影は二度目だね
今回も綺麗な絵を撮って貰おうぜ

アタシは幼い頃からエーデルワイス邸のメイドなのにお嬢様に惚れている
ザンギャパス大将との政略結婚話を盗み聞きし*、告白と駆け落ちを決行した―という設定

男装の麗人に化け、メイドに扮したシホと乗船出航
追手はもう来まい*

お嬢様…ううん、シホのドレスをトランクに入れているんだ
綺麗だよ、と片膝ついて手を差し伸べ舞踏会場にエスコートする
音楽に合わせダンスを披露
幸せな時間だ

海外で贅沢はできないけど一緒に生きてくれますか?
この逃亡が終わったら結婚しよう*

*フラグ


シホ・エーデルワイス
《華組》


駆け落ちごっこ…以前撮った映画の続きみたいね

ええ
素敵な作品にしましょう


私は華族の箱入り娘にして籠の鳥
大将閣下に嫁ぐ定め
けど
幼馴染で無意識に惹かれていた燦に告白&説得され駆け落ちを決意

燦のメイドに変装させてもらい乗船
ご主人様
上手く行くでしょうか?



もう主従なんて気にしないで
ね?

私のドレス!?持ち出せたの!?
ど、どうでしょう?似合うかしら?

カーテシーで挨拶
よろしくお願いします

燦と楽しく踊り自由を謳歌し思わず涙

大将閣下と踊った時
閣下は私を食べる日が待ち遠しいと零していました*
怖気が走ったけど
お父様の言いつけに背けず我慢しました


贅沢なんていらいない
見知らぬ地でも
私は燦と一緒に生きたい

*フラグ



●楽屋にて~その1
「同じ陰陽師として道満に付き合う……ってアタシも同じ穴の貉。この状況でシホと駆け落ちごっこしたいもん♪」
 四王天・燦はウキウキしていた。今回出現する影朧は平安最強の陰陽師、安倍晴明と覇を競ったとされる芦屋道満に連なる者らしい。同じ陰陽師として八代目芦屋道満は放っておけない……というのもなくはないが、実際にはシホと駆け落ちごっこがしたい、というのが燦の本命の動機であった。
「駆け落ちごっこ……以前撮った映画の続きみたいね」
 メイド服に袖を通しながら、シホ・エーデルワイスは笑った。以前にもシホは燦と一緒に映画を撮った時がある。あの時は、最初は燦の方がメイド服を着ていたっけ。
「撮影は二度目だね。今回も綺麗な絵を撮って貰おうぜ」
「ええ。素敵な作品にしましょう」

●SCENE1:駆け落ちした二人
 船の客室にて。
「ご主人様。上手く行くでしょうか?」
 メイド姿の少女、シホは周囲に人がいないかを確認すると、上目遣いで燦へと尋ねた。
「ああ、もう大丈夫だよ。船は出航した。もう誰も君を追っては来ない」
 タキシイド姿の燦はシホの頭を優しく撫でようとして、慌てて手を引っ込めた。
 燦は今は追手の目を晦ます為男装の麗人となっているが、本来はシホに仕えるメイドなのだ。人目がないこの客室では、従者として彼女に接するべきだと思ったからだ。

「燦。もう主従なんて気にしないで。ね?」
 そんな生真面目な燦に、私は微笑んだ。
 私は華族の箱入り娘にして籠の鳥だった。年頃になれば大将閣下に嫁ぐのだと、幼い時から言い聞かされてきた。
 けど、ある日幼馴染で無意識に惹かれていた燦に想いを打ち明けられ、駆け落ちを決意したのだ。

「そうだね」
 シホの言葉に、アタシも頬を緩めた。シホの可愛いメイド姿に思わずニヤケたから……じゃなかった、アタシは幼い頃からエーデルワイス邸のメイドなのに、お嬢様であるシホに惚れていた。ある日、シホとザンギャパス大将との政略結婚話を盗み聞きしたアタシはいても立ってもいられず、シホに告白し、駆け落ちを決行したのだ。

「まもなく、ダンスパアテイを開催いたします。皆様、ぜひホウルにお集まり下さい……」
 その時、客間の隅に置かれたスピイカアから、アナウンスが流れた。どうやら、パアテイが始まるようだ。

「お嬢様……ううん、シホのドレスをトランクに入れているんだ。一緒に踊ろう」
「私のドレス!? 持ち出せたの!? ど、どうでしょう? 似合うかしら?」
 燦がトランクから鮮やかなドレスを取り出して見せると、シホは目を丸くした。驚きながらも、燦に手伝ってもらい、ドレスへと着替える。
「綺麗だよ」
 そう言って燦は片膝をつき、手を差し伸べ舞踏会場にシホをエスコートした。


「よろしくお願いします」
 シホは片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋は伸ばしたまま一礼をした。西洋式の挨拶、カアテシイだ。
 二人はホールに流れる音楽に合わせ、華麗なダンスを披露する。幸せな時間だ。燦と楽しく踊り、自由を謳歌できる喜びにシホは思わず涙ぐんだ。

 大将閣下と踊った時、閣下は私を食べる日が待ち遠しいと零していました。
 怖気が走ったけど、お父様の言いつけに背けず我慢しました。
 でももう、船は出航しました。あの悍ましい男は私を追っては来ないのです。

 ひとしきり終わった後、二人は夜風に当たる為、甲板に出た。燦はシホの手を取ると、まっすぐに彼女を見た。
「海外で贅沢はできないけど一緒に生きてくれますか? この逃亡が終わったら結婚しよう」
 その言葉に、シホの瞳から熱い雫がこぼれ出る。
「贅沢なんていらない。見知らぬ地でも、私は燦と一緒に生きたい!」
 縋りつくシホを、燦は優しく抱きしめるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
俺達も遂に銀幕デビューだぜ、相棒ッ!
「・・・影朧を誘き出すのが目的だからね?」

役は『怪しい鬼の仮面を持って巫女服を着た腹話術師』
これなら俺が喋っても問題ないし濃いキャラなら存在事態が死亡フラグだしな。


豪華客船の甲板で腹話術ショーを始めるぜ。

紳士淑女の皆様お立ち合いッ!神代桜の腹話術ショーの始まりだぜッ!助手はこの俺、凶津がやるぜッ!
「・・・助手って貴方仮面じゃない?勤まるの?」
おいおい、相棒。俺達、二人三脚で頑張ってきたじゃねえか。
「凶津、仮面だから足無いじゃない。」
一本取られたなこりゃ。にしても一癖有りそうな乗客をチラホラ見かけるぜ。
「この船で一番癖があるの多分貴方だよ。」


【アドリブ歓迎】



●楽屋にて~その2
「俺達も遂に銀幕デビュウだぜ、相棒ッ!」
「……影朧を誘き出すのが目的だからね?」
 ノリノリの神代・凶津に対し、神代・桜は冷静に突っ込みを入れた。彼らは鬼面のヒーローマスクと、依り代の巫女のコンビの漫才師……じゃなかった、猟兵なのだ。冷静な桜に対し、凶津の方は銀幕デビュウできることに喜びを隠せない様子。心なしか、いつもより口角が上がっているような気さえする。

「よし、だいたい決まったな! 行くぜ、相棒ッ!」
「あ、待って」
 役についてスタッフと打ち合わせをした直後、意気揚々と撮影現場に飛んでいく凶津を、桜は慌てて追いかけた。

●SCENE2~怪しすぎる腹話術師
 二人は豪華客船の甲板で腹話術ショーを始めた。
「紳士淑女の皆様お立ち合いッ! 神代桜の腹話術ショウの始まりだぜッ! 助手はこの俺、凶津がやるぜッ!」
 桜が手に持った鬼面から、男の声が滑り出る。仮面に近くに佇む巫女装束の少女は口を閉じ、ぺこりと一礼した。もちろん、口元は閉じたまま全く動いていない。当然だ。鬼面――凶津はトリック抜きで実際に喋っているのだから。
「これなら俺が喋っても問題ないし濃いキャラなら存在事態が死亡フラグだしな」とは凶津本人の弁である。
「すごい! 完璧な腹話術だ!」
「淑女然とした少女とヤンキイのような男の声・口調の使い分け……ミステリアスですな!」
 桜の卓越した腹話術(?)に、観客役の撮影スタッフはお世辞抜きに驚いていた。
「……助手って貴方仮面じゃない? 勤まるの?」
「おいおい、相棒。俺達、二人三脚で頑張ってきたじゃねえか」
「凶津、仮面だから足無いじゃない」
 今度は少女の声と男の声が交互に聞こえた。その卓越した技術と愉快なトークに、観客達は笑いながらパチパチと拍手を送った。
「一本取られたなこりゃ。にしても一癖有りそうな乗客をチラホラ見かけるぜ」
 凶津は桜の腕を引っ張っているかのような動きできょろきょろと、甲板を見回した。確かに奇妙な出で立ちの者がたくさんいるが、人の形すらしていない不思議生物の凶津がそれを言うのか。
「この船で一番癖があるの多分貴方だよ」
 桜は盛大に溜息を吐いた。

「お、あの姉ちゃん色っぽいな。ダンスを申し込んでみるかッ!」
「手も足も無いのにどうやって踊るのよ」
 その後も、二人は軽妙なトークで観客達を大いに沸かせた。目立ちまくりである。

「「どうも、ありがとうございました」」
 パチパチパチパチ!
 凶津を持った桜がぺこりと一礼すると、盛大な拍手が巻き起こったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

支倉・錫華
◎〒
セレーネさんと

セレーネさん、なんとか追いつくって言っていたから、
とりあえず乗船しておいたけど、どうするのかな?

通信?アミシアどうしたの?
え?セレーネさんがストライダーで出た!?
わかった、ありがと

……これは、ブリッジにいってこないとかな。

いやいやいや!?
『どうですか』
じゃないって、ミスランディアも止めようよ!
泳げないのに浮き輪で海とか、プールじゃないから波、あるんだよ?

ブリッジから飛びだすと、

あ、やっぱり流されてる。
セレーネさんを迎えに海に降りて、捕まえてくるね。

ずぶ濡れのセレーネさんにタオルを巻いて、
「お風呂、入ってきた方がいいよ」

えぐえぐしているセレーネさんをお風呂に連れて行くのでした。


セレーネ・ジルコニウム
◎〒
錫華さんと

「いけませんっ、荷造りに手間取って、バカンス用の豪華客船に乗り遅れてしまいましたっ!
こうなったら、ストライダーに送ってもらいましょう!」(台詞

事件の舞台に遅れてきた客。
それは盛大な死亡フラグです!(えっへん

機動戦艦ストライダーの艦長席に座って、クルーに指示を出します。

「というわけで、ストライダー潜水艦モード、急速浮上!
目標は豪華客船です!」

海中から浮上したストライダーのハッチを開け、水着姿で豪華客船に向かいます。
……あ、私、泳げないから浮き輪は手放しませんよ?(死亡フラグ

「ふふ、どうですか、錫華さん。
私のアドバンテージ・アンサーが導き出した最高の演出は!」(波に流されていきながら



●SCENE3~遅れてきた少女とライフセーバー
「セレーネさん、なんとか追いつくって言っていたから、とりあえず乗船しておいたけど、どうするのかな?」
 客室に荷物を置いた支倉・錫華は呟いた。この部屋は二人部屋だが、一緒に乗船する予定だった相方は今はいない。彼女は荷造りに時間がかかってしまい、そのままだと錫華まで遅刻しそうだったので、置いてきたのだ。彼女には何か秘策があるらしい。
 しかし、すでに船はけっこう陸から離れている。どうやって追いかけてくるつもりなのだろうか。ボートでこの船に追いつくのは彼女の体力では難しいだろう。ヘリコプターや小型艇でもチャーターする気なのだろうか。
 ピリリ、ピリリ。
 錫華が冷蔵庫に入っていたドリンクを飲みながら思案していると、ポケットに入れていた携帯端末が無機質なコール音を奏でた。
「通信? アミシアどうしたの? え? セレーネさんがストライダーで出た!? わかった、ありがと」
 錫華は連絡をよこしてきた専属のサポートAIに礼を言うと、通信を切った。
「……これは、ブリッジに行ってこないとかな」


「いけませんっ、荷造りに手間取って、バカンス用の豪華客船に乗り遅れてしまいましたっ! こうなったら、ストライダーに送ってもらいましょう!」
 沖合へと去って行く豪華客船を見送りながら、セレーネ・ジルコニウムは叫んだ。
「事件の舞台に遅れてきた客。それは盛大な死亡フラグです!」
 セレーネは今度はカメラ目線でえっへんと胸を張った。初めての映画撮影で浮かれているのだろうか。
「さあストライダー! 浮上です!」
 彼女がパチンと指を鳴らすと、海面を割って近未来的なデザインの巨大潜水艦が港に浮上した。この戦艦(ふね)こそ、ワダツミ級強襲揚陸艦、『機動戦艦ストライダー』である。
「この戦艦の速度ならすぐ追い付くはずです! 待ってて下さいね、錫華さん!」


「というわけで、ストライダー潜水艦モード、急速浮上! 目標は豪華客船です!」
 場面は変わり、セレーネは機動戦艦ストライダーの艦長席に座って、クルーに指示を出していた。
※潜水艦に乗るシーンは途中でセレーネが転んだので彼女の希望でオフレコになりました。

「イエス・マム! ストライダー! 急速浮上! 全員、衝撃に備えろ!」
 クルーが叫んだ直後、猛烈な衝撃に艦内が震えた。海中を潜航しながら豪華客船に近づいていたストライダーが海面に飛び出したのだ。
「ありがとうございます、皆さん。では私は撮影に行ってきます!」
「大佐! ご武運を! グッズが出たら教えて下さいよ!」
「うむ、行って来るが良い。楽しみにしておるぞ」
 クルーたちや戦艦のAIに見送られ、セレーネはストライダーのハッチを開け、水着姿で豪華客船に向かっていった。そして、彼女の首には動物のイラストがプリントされた可愛らしい浮き輪が引っ掛けられていた。
「あ、私、泳げないから浮き輪は手放しませんよ?」


「ふふ、どうですか、錫華さん。私のアドバンテージ・アンサーが導き出した最高の演出は!」
 アンサー・ヒューマンたるセレーネは浮き輪でぷかぷか浮きながら、豪華客船のブリッジからこちらを覗き込んでいる錫華にドヤ顔で手を振っていた。
「いやいやいや!?『どうですか』じゃないって、ミスランディアも止めようよ! 泳げないのに浮き輪で海とか、プールじゃないから波、あるんだよ?」
 豪華客船の手すりから身を乗り出し、セレーネに全力で突っ込みを入れた。
「あ、やっぱり流されてる」
 案の定、セレーネは沖合の波に揺られ、どんぶらこ、どんぶらこ、と客船とは反対方向に流されていく。
「あれ!? どんどん船から遠ざかっていきます!? はっ! まさかこれが八代目芦屋道満の仕掛けたデストラップ!?」
「いや、たぶん違うと思う! ええい! いつもながら世話の焼ける!」
 錫華はダンッ! と手すりを飛び越え、勢いよく海面へと飛び込んだ。まるで映画のようなダイナミックなアクションシーンだ。映画だけど。
 
「うう、怖かったです……私の完璧な計算が……演出が……。どうしてこんなことに……」
 数分後、危うく二階級特進しそうだったセレーネ大佐を無事救助した錫華は、ずぶ濡れになって泣いているセレーネにタオルを巻いて上げた。これがもし戦争中だったならば、彼女に勲章が授与されていたかもしれない。表彰ものの活躍であった。
「お風呂、入ってきた方がいいよ。潮でベタベタだし。ほら、一緒に行こう」
 錫華はえぐえぐと泣いているセレーネを慰めながら、シャワールームへと連行していったのだった。心温まる友情である。
 だが、映画ではいい奴から先に死ぬのもまたお約束なのだ……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ノインツィヒ・アリスズナンバー

私ちゃんアイドルとして、活動写真乗り込みまーす☆
たまには演技も磨かないとだめだよねー☆てことでミステリアス美女なんて挑戦しちゃったりする。
シーンとしては、名女優として壁際でゆっくりグラスを傾けながら事の顛末を見守る謎の女。
ブームの仕掛人と情熱をもって演技しちゃうね☆

此処の景色もきれいね……それにしても、この中に殺人鬼が紛れ込んでるという噂を耳にしたわ……
もしそうならば、今宵は誰が犠牲になるのでしょうね……
散りゆく者たちに、乾杯。

とまあ、ミステリーならなんか意味ありげな事知ってそうだけど中盤辺りで死にそうなキャラを演じる。
どう?ミステリアスクールな私ちゃんは☆



●楽屋にて~その3のA
「私ちゃんアイドルとして、活動写真乗り込みまーす☆ たまには演技も磨かないとだめだよねー☆」
 ノインツィヒ・アリスズナンバーはカメラ目線で渾身の可愛いポーズを取った。きゃるんっ☆ 
 何を隠そう、ノインツィヒは(弱小)芸能プロダクションに所属する、絶賛売り出し中のアイドルなのだ! 今回の収録は全国公開は予定されていないとはいえ、サクラミラージュの偉い人の目に留まる可能性は十分ある。ならば、全力で演(や)るのみ!
「てことで今回はミステリアス美女に挑戦しますっ☆」
 
●SCENE4~ミステリアスな美女
「此処の景色もきれいね……」
 船のバーの壁際で、赤いナイトドレスを見事に着こなしながら、ノインツィヒはグラスの葡萄ジュースを煽っていた。
「おい、あの人、ノインツィヒじゃないか?」
「まさか、あの大女優がこの船に……?」
「おい。お前、ちょっと声かけてみろよ」
「いやいや、畏れ多いって」
 彼女の周りでは、彼女の気品ある佇まいに当てられた若い男たちがひそひそと噂していた。そう、ノインツィヒは知らぬ者がいないほどの国民的大女優(という設定)なのだ。ノインツィヒは束の間のスタア気分に浮かれる自分を必死に抑え、落ち着きのあるミステリアスな美女を見事に演じていた。
「何やら、騒がしいですな。お邪魔なら、お引き取り願いますが?」
 ノインツィヒが静かにグラスを傾けていると、バーテンダーが気を利かせ、若者たちをつまみ出そうか、と提案した。
「別にいいわ。今はとても気分がいいの。それより何かカクテルをお願い」
「畏まりました。……シンデレラです」
 バーテンダーは未成年に配慮したノンアルコールカクテルを素早く作り、ノインツィヒの前に置いた。ノインツィヒはバーテンダーに礼を言い、窓から見える遠ざかっていく街の夜景を眺めながら、独り言のように呟く。
「此処の景色もきれいね……それにしても、この中に殺人鬼が紛れ込んでるという噂を耳にしたわ……」
 その不穏当な言葉に、バーテンダーは目を丸くした。
「御冗談を……いくらこの船が『生贄の羊号』などと呼ばれていても、本当に人殺しを招いたりはしないでしょう」
「さて、どうかしら」
 冷や汗をかくバーテンダーの反応を愉しむかのように、ノインツィヒはくすりと微笑む。
「もしそうならば、今宵は誰が犠牲になるのでしょうね……散りゆく者たちに、乾杯」
 
●楽屋にて~その3のB
「とまあ、ミステリーならなんか意味ありげな事知ってそうだけど中盤辺りで死にそうなキャラを演じてみたわ! どう? ミステリアスクールな私ちゃんは☆」
「可愛かったよー! ノインちゃーん!」
 パチパチパチパチ!
 ノインツィヒがあざとく横ピースをキメると、彼女のリアルなファンになった撮影スタッフたちの一部が盛大な拍手を送った。
「うし! いい感じ☆ さあ、サインが欲しい人は色紙も持って整列してね☆」
 その反応に満足したノインは、楽屋裏で臨時サイン会を開催するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロット・シフファート

フフフ、ヒーローズアースでは大作映画に二本出演しているこの私。
さくらミラージュでも映画スターとなるとしましょう!

・役のキャラ
『あらあら、大分巻き上げられちゃっているわね?わたくしが少し資金を融通してあげましょうか?』
と、小柄体躯ながら紫のカクテルドレスが似合う妖艶な令嬢を演じるわ。
絡む相手は例4の有名な学生探偵。
巻き上げられている所を資金援助して助けるシーンを撮影するわ

・カット
それにしても本物の学生探偵を俳優に雇うなんて気のいい話じゃない
そう言ってリアルでも有名な学生の猟奇探偵と休憩中に会話。
同じく本物のイギリス貴族としてティータイムを他のスタッフと楽しむわ



●楽屋にて~その4のA
「フフフ、ヒーローズアースでは大作映画に二本出演しているこの私。サクラミラージュでも映画スターとなるとしましょう!」
 何気に映画出演経験豊富なシャルロット・シフファートは、さらなる躍進の野望に心を燃やしていた。今回の映画撮影は一般映画館には配給されない非公式なものだが、影朧救済機関『帝都桜學府』が宣伝に利用すると聞いている。ならば十分だ。人気が出たら正式に活動写真界からオファーが来るかもしれないし。

「次はシャルロットさんです! よろしくお願いします!」
「今行くわ」
 着替えを済ませたシャルロットは、ベテラン女優の風格を醸し出しつつ、撮影へと向かっていった。

●SCENE5~融☆資☆王シャルロット
「フルハウス。そちらは2ペア。また私の勝ちだな」
「ひゃ~! また負けちまったぜ! 有り金全部すっちまったぁ!」
 相手の英国紳士にごっそりとチップをかっさらわれ、青年は頭を抱えた。酒場でギャンブルに興じているこの青年は、実はこの豪華客船にたまたま乗り合わせていた学生探偵である。青年は今の負けで有り金を全て巻き上げられてしまい、このままではルウムサアビスも頼めない有様となってしまった。
「ふむ。そちらは軍資金が尽きたようだね。ではここらでお開きと行こうか」
「待ってくれ! ちょっと金借りてくるから!」
「無理だと思うがね。そもそも、君のような馬の骨がこの豪華客船に乗っていること自体が――」
 立ち去ろうとするエセ紳士に、青年は食い下がったが、エセ紳士は鼻で笑った。だが男の言う通り、見ず知らずの青年に金を貸してくれる都合のいい存在など、そうそういるわけが――。
「あらあら、大分巻き上げられちゃっているわね? わたくしが少し資金を融通してあげましょうか?」
 その時、颯爽と登場したのは、小柄体躯ながら紫のカクテルドレスが似合う妖艶な令嬢、シャルロットであった。シャルロットは青年の脇にドン、と山積みの札束を置いた。
「ありがとう! 助かるぜ! ちっこいねーちゃん!」
「なんだと……! まあいい。その金も私が貰い受けるとしよう。ルウルは先ほどと同じブラックジャックでいいな?」
「ああ。構わねえ。今の俺にはツキが来てるぜ!」
 その時、青年のパトロンになった令嬢が口を挟んだ。
「このカアド、右下の隅に細工がしてあるわね。次は新品を使いなさい」
「……!」

 その後、イカサマを暴かれた紳士は青年にボロ負けし、真っ白に燃え尽きた。

●楽屋にて~その4のB
「それにしても本物の学生探偵を俳優に雇うなんて気のいい話じゃない」
「いやあ、たまに學府でバイトしてるんですが、殺人事件慣れしてるスタッフが欲しいとかでお声がかかりまして。……シャルロットさんは『超弩級戦力』の方なんですね。凄いなあ」
「まあね。というか、貴方殺人事件慣れしてるのね……」
「うむ。彼は死神と呼ばれている猟奇探偵だ。ところで、シャルロットさんは本物の貴族であらせられるのだな。道理で素晴らしい髪型をされているわけだ!」
 エセ紳士役だったイギリス人俳優は、ロイヤルミルクティーを飲みながら笑った。
「まあね。縦ロールは貴族の嗜みなのよ」
 撮影の後は、シャルロットは共演者たちとなごやかに談笑するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・円月


演劇ですかァ。イイですねェ
やるのは初めてですけど、やるからには頑張りますよ

俺が演じるのは……
【お忍びで来ているものの、自尊心が強くて鼻持ちならない、
実は自分が思っているほど売れていない面倒臭いイケメン俳優】
ってヤツにしましょう
スチャっと眼鏡をかけてお忍び変装完了!しているつもりで、実はバレて欲しい感じです

「いやァ、いい客船じゃないかァ?
やっぱりボクにはこれぐらいのモノじゃないとねェ。
おっとキミキミ、飲み物をおくれ。
んんー、キミ可愛いねェ? あとでボクの部屋に来ないかい?
おっと眼鏡がズレてしまった!
(ひそひそ)今ので気づいたかな?ボクは実はあの有名な……
あーっと、じゃァ、またあとでねェ!」



●楽屋にて~その5
「演劇ですかァ。イイですねェ。やるのは初めてですけど、やるからには頑張りますよ」
 東雲・円月は活動写真(映画)を撮るのは今回が初めてである。とはいえ、猟兵として毎度命を賭けている身だ。今更カメラを前にしたくらいで石像のように硬くなるなんてことはない。
「――よし、こんな感じの役で行きましょうか」
 スチャッと伊達眼鏡を装着すると、円月はホウルへと歩いて行った。

●SCENE6~小物感溢れる俳優
「いやァ、いい客船じゃないかァ? やっぱりボクにはこれぐらいのモノじゃないとねェ」
 ホウルでこれ見よがしに感嘆の声を上げているのは、銀髪の美青年だった。名は円月。彼はお忍びでバカンスを楽しんでいる俳優だ。
「おっとキミキミ、飲み物をおくれ」
 円月は気障ったらしいポーズで、偶々その辺を通過していた若い女中に手招きした。
「はい、すぐにお持ちします」
 女中は優雅に一礼すると、高級そうな葡萄ジュウスを運んできた。円月はもったいぶったポーズでドリンクを受け取ると、自身の顎に手を添えたポウズで女中の顔を覗き込んだ。
「んんー、キミ可愛いねェ? あとでボクの部屋に来ないかい?」
「はい?」
 女中はきょとんとした。
「おっと眼鏡がズレてしまった!」
 そこで円月はわざとらしく鼻に指を当て、伊達眼鏡をズラした。自分はこの国では名の知れた名俳優なのだ。若い女性ならば、眼鏡を外せばすぐ自分の正体に気付くことだろう。
「……?」
 女中は「この人は何をしてるんだろう?」、と言わんばかりの顔できょとんとしている。円月は自分の正体に相手が全く気付いていないことなど想像もしていない様子で、声のトオンを落とし、ひそひそと女中に耳打ちする。
「今ので気づいたかな? ボクは実はあの有名な……あーっと、じゃァ、またあとでねェ!」
 円月は侍女にウインクし、足早にその場を去った。資産家っぽい女性が自分を凝視していることに気付いたからだ。
「あれはきっとボクのファンに違いない。ここで嫉妬に狂い、彼女に騒がれては面倒だからね。いやァ、やっぱり眼鏡ぐらいじゃあ、ボクの大物オーラは隠せないかァ」
 その場を離れた円月は髪を掻き上げ、悦に入るのであった。

「まァ、こんな所ですかねェ」
『お忍びで来ているものの、自尊心が強くて鼻持ちならない、実は自分が思っているほど売れていない面倒臭いイケメン俳優』を見事に演じ切った円月は、楽屋で額の汗を拭った。

成功 🔵​🔵​🔴​

鍋島・小百合子


かつどうしゃしん?少し前に英雄の世界の映画?のようなものであるか
それに託けて妖の類が惨劇を引き起こすなれば我が身を貸そうぞ

「ええい!退屈!退屈!退屈じゃ!そこな侍女ども!何か面白いものはあったか!?」
演ずる役は我儘を通す愚かしき令嬢
鹿鳴館の婦女装束(2019年の南瓜行列衣装)に身を包みてはUC「侍女招集陣」で呼び出せし侍女101名と共に役に興ず
羽の扇で仰ぎながら船旅の退屈さに痺れを切らし我儘の限りを尽くさんとする演技を披露
姫時代のじゃじゃ馬ぶりで当たり散らしては手を焼かしてやろうぞ
わらわの我儘に付き合う者以外の侍女達には撮影場所の状況や役者達の様子等を調べさせては報告を促し次な演技に繋げる



●楽屋にて~その6
「かつどうしゃしん? 少し前に英雄の世界の映画? のようなものであるか。それに託けて妖の類が惨劇を引き起こすなれば、我が身を貸そうぞ」
 鍋島・小百合子はスタッフから活動写真についての説明を聞き、ぽんと手を打った。小百合子の故郷には映画はまだ無いが、彼女自身はかつて『ヒーローズ・フォーティナイナーズ』の一人として映画に出演したことがあるのだ。
「ふむ……『死亡ふらぐ』とな。なるほど、報いを受けて死にそうな役回りを演じれば良いのだな? 心得た。わらわに任せるが良い。悪魔の国で悪役を演じたこともある故」
 小百合子は早速ユーベルコードで楽屋に召使を召喚し、演技の打ち合わせを始めた。

●SCENE7~とんでもなく我儘な令嬢
「ええい! 退屈! 退屈! 退屈じゃ! そこな侍女ども! 何か面白いものはあったか!?」
 大きな客室にて、小百合子は居並ぶ数十名の幼い侍女たちを前に、羽の扇で顔を仰ぎながらヒステリックな声を上げていた。彼女が身に纏っているのは、侍女の一年分の給料よりもなお高い価格を誇る純白のバッスル・ドレス。鹿鳴館で下々に見せびらかす為にわざわざ欧米の職人を招き寄せて作らせたものである。
「姫様、どうか気をお静めに!」
 小百合子は船が出てから一時間ほどは機嫌よく景色を眺めたり、船内を視察したりしていたのだが、もう船旅に飽きてしまい、侍女たちに我儘を言い始めたのである。
 ちなみに侍女たちの約半数は、船の中の探索を行っている。招き寄せられたのは百余名だったのだが、いくら何でも数が多すぎたので、半分は船の偵察に回されたのだ。彼女たちの役割は他の乗客たちの様子や、船の様子におかしな変化がないかを観察し、小百合子へと報告する斥候の役割である。

「姫様、お飲み物などいかがです。これなる飲み物は巷で流行中の『たぴおかみるくてい』でございます」
「……粒粒が気持ち悪い! わらわにカエルの卵を飲めと言うか!」
「姫様、ろびいにて読み物を借りてきました。これは生き別れになった姉を探して魔法使いの弟が旅をする物語で……」
「この揺れる船の中で書物を読めと申すか! そなたはわらわを船酔いにしたいのかえ!?」
「ああ、どうすればいいの……」
 小百合子は姫時代のじゃじゃ馬ぶりの再来を思わせる我儘っぷりを披露し、侍女たちを大いに困らせた。これが映画ならば、視聴者達をたっぷり苛立たせた後、あっさり天へと旅立つ役回りに違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

文月・統哉
◎【鈴木レミ(f22429)】と参加

■設定
新進気鋭のミステリィ作家(レミ)と
苦労人な担当編集者(統哉)のコンビで参加
締め切り目前で毎度逃亡を図る作家と、それを追う編集者
行く先々で事件に遭遇するのはお約束
『寧ろ犯人お前らじゃね?』という周囲の思いはさておいて
今日も華麗なへっぽこ推理で事件を解決(迷宮)へと導くぞ!

レミ先生!……はぁ、やっと見つけた
印刷所待たせてるんですからね、さっさと原稿仕上げて下さいよ!

全く、仕事部屋に閉じ込めた筈がいつの間にか抜け出してるし
そのエネルギーこそ原稿に向けてくれたら助かるのに(溜息)
ほら、人の話聞いてるんですか?

今日こそ船室にカンヅメですからね、覚悟して下さいよ!


鈴木・レミ
【文月・統哉(f08510)】と参加

■設定
新進気鋭のミステリィ作家(レミ)と
苦労人な担当編集者(統哉)のコンビで参加
締め切り目前で毎度逃亡を図る作家と、それを追う編集者
行く先々で事件に遭遇するのはお約束
『寧ろ犯人お前らじゃね?』という周囲の思いはさておいて
今日も華麗なへっぽこ推理で事件を解決(迷宮)へと導くぞ!

(甲板にて)
ふっ、夜風がとても良い
このまま空へ飛び立ってしまいそうだ
むしろ飛び立ちたい、この大空を鳥のごとく……!

って統哉クン?!何故ここがわかった!?
いや、いかなキミとて私の自由は阻めないのだ!さらばだっ!

いやぁぁぁぁ私は自由の海に飛び込みたいのぉぉぉぉ!!(引きずられていく)



●SCENE8~逃亡したミステリィ作家とそれを追う編集
 甲板にて――
「ふっ、夜風がとても良い。このまま空へ飛び立ってしまいそうだ」
 鈴木・レミは遠ざかっていく夜の街並みを眺めながら、詩人になっていた。
「むしろ飛び立ちたい、この大空を鳥のごとく……!」
 鳥たちは自由だ。羨ましい。ニャアニャアと鳴いているから、あれはウミネコの群れだろうか。彼らに比べ、自分はなんと不自由であろうか。
 嗚呼、どうか私も連れていってほしい。悲しみも締め切りも無い自由な空へ――。
「レミ先生!……はぁ、やっと見つけた」
「って統哉クン?! 何故ここがわかった!?」
 ぜえぜえと肩で息をしながら甲板へとやってきたのは、レミの担当編集、文月・統哉だった。そう、レミは原稿をほっぽり出し、絶賛国外逃亡中の新進気鋭のミステリィ作家だったのである!
「担当のカンってやつですよ」
 そして何故か、レミが逃亡する度に二人は逃亡先で何らかの事件と遭遇する。大富豪の遺産分配を巡る兄弟の殺人事件とか、徳川の埋蔵金を巡る無人島の大冒険とか。はたまた帝都爆破を狙うテロリストとの大捕り物とか。閑話休題。
「印刷所待たせてるんですからね、さっさと原稿仕上げて下さいよ!」
 逃亡癖のあるレミの担当編集になってしまったのが統哉の運のつきであった。また原稿を落としたらレミともども編集長にぶっ殺される! 統哉も必死なのだ。
「全く、仕事部屋に閉じ込めた筈がいつの間にか抜け出してるし。そのエネルギーこそ原稿に向けてくれたら助かるのに」
 統哉は深く溜息を吐いた。締め切り間際のレミは希代の脱走名人なのだ。どれだけ厳重に閉じ込めたつもりでも、少し目を離すと姿を消している。魔術師や大泥棒も顔負けのイリュージョンである。
「ほら、人の話聞いてるんですか?」
「いや、いかなキミとて私の自由は阻めないのだ! さらばだっ!」
 そう、何者もレミの進撃を阻むことはできない! レミは自由を求めて戦う兵士なのだ! レミは統哉がまばたきした一瞬の隙を突き、甲板の端へと通常の三倍の速度でダッシュした!
 そしてそのまま、ダイナミックに手すりを乗り越え、母なる海へと――。
「あばよ、とっつぁ――」
「逃がしません――!」
 しかし抵抗も空しく、レミは一瞬で自身の背後に移動した統哉に背中をむんずと掴まれ、あえなく捕獲された。
「まさか統哉クン、キミは時をッ!?」
「今日こそ船室にカンヅメですからね、覚悟して下さいよ!」
「いやぁぁぁぁ私は自由の海に飛び込みたいのぉぉぉぉ!!」
レミは泣き叫びながら、統哉にズルズルと客室へと引きずられていった。

(テロップ)
 誰が呼んだか、凸凹迷探偵コンビ統哉&レミ!
『寧ろ犯人お前らじゃね?』という周囲の思いはさておいて、今日も華麗なへっぽこ推理で事件を解決(迷宮)へと導くぞ! 事件編はこの後すぐ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『トップスターはキミだ!』

POW   :    ノリと勢いで熱く演じ切る!

SPD   :    卓越した所作や演技で魅了する。

WIZ   :    繊細な表現を活かし、惹き付ける。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●殺人予告
 ―ーコレガ最期ノ船旅トナル。誰一人トシテ、生キテハ帰レナイ。鏖殺船長
 なんだ、この不気味なメッセージは!?
 ホウルのテーブルの上に血文字で描かれた殺人予告に、猟兵たちは戦慄した。
 実際には撮影スタッフが用意した演出であり、影朧をおびき寄せる為の小芝居である。
 ここからが本番だ。影朧を表舞台に引きずり出す為の、猟兵達の渾身のフラグ回収作業が今始まる!
  
●死の罠
「くくく、いよいよ本番だな……」
 芝居が殺人予告のシーンまで進んだことを把握した影朧はほくそ笑んだ。
 今より、この船は地獄と化す。
 爆発する客室、海まで一直線の落とし穴、壁から突然飛び出る槍に毒ガス、式神の暗殺者……。
 自分でも全部は覚えていないほど、たくさん仕掛けた自慢のトラップがついに役者達に牙を剥くのだ。撮影スタッフには特に恨みはないが、巻き添えになった者には己の運の悪さを呪ってもらおう。
「さあ、殺戮ゲームの始まりだ!」

 MS注:撮影スタッフは安全を確認した部屋に固まって待機しています。不用意には出歩きませんのでご安心を。
神代・凶津
このシーンで『怪しすぎる腹話術師』の本当の正体が明かされる。
その正体は世間を震撼させている『連続殺人鬼』だったのだ!
腹話術ショーは次の獲物を物色していたという伏線。
だが殺人予告で鏖殺船長の存在を認識した桜は、腹話術で使ってた鬼面を被り凶器の妖刀を手に自分の他にいる怪物を狩りに動きだした。
「この船の乗客は私の獲物。」
今、殺人鬼VS殺人鬼の幕が切って落とされる。

って訳で迫りくる式神の暗殺者達を相手に映画映えする戦闘アクションをする。
しかし甲板の端に追い込まれた桜は、遂に攻撃をくらい(結界霊符で密かに防御)海に落とされるのであった。

海に落ちたら水神霊装で船の底に暫く隠れてるんだがな。


【アドリブ歓迎】



●怪しい腹話術師の正体
「鏖殺船長ですって……? まさかこの船に私以外にも殺人鬼が乗っているなんて……」
 自室に戻った桜はぽつりと呟いた。
 腹話術師『桜と凶津』の正体は『鬼面の連続殺人鬼』だ。彼女は腹話術ショーをしながら、次の獲物を物色していたのだ。
「どうする、相棒?」
「決まっているわ。……この船の乗客は私の獲物」
 桜は誰の目に届かぬはずの自室でも、腹話術で鬼面と会話をしていた。そう、凶津とは、桜が生み出した殺人衝動の化身である第二の人格だったのだ!(※映画だけの設定です)
「鏖殺船長を狩るんだな? そうこなくちゃな、相棒ッ!」
 今、殺人鬼VS殺人鬼のB級ホラー映画級の戦いの幕が切って落とされようとしていた。

●鬼面腹話術師の最期!?
 桜が凶津を被り、抜き身の妖刀を持って深夜の船内を徘徊していると、突然、廊下の曲がり角から黒塗りの苦無が飛んできた。
「チッ!」
 桜の体をコントロールしている凶津は妖刀で苦無を斬り払い、来た方向へ駆け戻る。すると、逃げた凶津を追い、半透明な鬼達が追いかけてきた。
「式神……! 鏖殺船長が差し向けた暗殺者だなッ!」
 ノリノリで叫ぶ凶津。実際にはこの式神達の襲撃は桜によってコントロールされており、自作自演なのだが、八代目芦屋道満も陰陽師であるはずなので、式神との交戦ならば違和感を覚えることもないだろう。多分。
 鬼達は小太刀ほどの長さの忍者刀を振りかぶり、凶津を刺し殺さんと執拗に斬撃を加えてきた。
「チッ……! 狭い船内じゃ、長物は不利だな!」
 凶津は式神の斬撃を妖刀でかろうじて弾きながら逃げ続け、非常階段へと滑り込んだ。下からは式神の増援が来ている。ここは上に逃げるしかない。追い詰められた二人は、階段から船の甲板へと出た。
「ここなら気兼ねなく刀は振れるが……クソ、連中、待ち構えてやがったか!」
 甲板には数十体の式神が待ち構えていた。包囲網を保ったまま式神達はじりじりと間合いを詰め、ついに二人は船の端へと追いやられた!
「シャー!」
 一斉に投げつけられる苦無。鬼面の連続殺人鬼は懸命に日本刀で苦無を弾き飛ばすが、全てを防御することは叶わず、何本かの苦無が彼女の巫女装束に突き刺さった。
「くっ……!」
 ドボン。
 バランスを崩した桜は甲板から真っ逆さまに墜落し、冷たい海へと落下したのであった。
「あの傷だ。海に落ちたなら無事では済むまい……」
 式神は標的が海に落ちたことを確認し、撤収していった。


「まあ、こんなモンだな」
「お疲れ様」
 当然、二人は無傷であった。二人は式神の苦無を食らった振りをしていただけで、実際には懐に忍ばせた結界霊符でしっかりガードしていたのである。さらに今、凶津の色は蒼く染まっている。『水神霊装』(スプラッシュフォーム)。水中での適応力を高めるこのモードならば、海底でも周りがよく見えるし、普通に呼吸も出来る。
「よし、これで俺達は死んだことになったはずだ。しばらくこのまま船底に隠れて水族館見学と洒落込むか、相棒ッ!」
「ええ。綺麗な海ね……」
 迫真の演技で(表向き)最初の脱落者となった二人は、海底で魚を眺めながらこの喜劇の終章を待つのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鍋島・小百合子


愚かしき姫を演じながらも侍女達からの情報を集めておいた
皆ご苦労であった
それでは死に急ぐ役はいざ退場しようかの

こ、ここがわらわの死に場所になるじゃと・・・!?
嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃ!まだ育ち盛りの麗しき女子たるわらわがこのような船舶で死ぬなぞ嫌じゃ!
こんなところなどおられるか!わらわは部屋に戻る故侍女共はわらわの身代わりになって死ぬがよい!

部屋まで無事に来れたがただのはったりじゃ(ブシャ)

な、なんじゃ・・・扉を開けようとした瞬間にこの胸に矢が貫いて・・・
入れはしたが
誰もおらぬ・・・誰ぞ助け・・・ろ・・・(パタり)

演技が終わればUC「煙人間変化」を小声で高速詠唱
煙状の人体に変身し、次なる展開まで待つ


東雲・円月

ちょっとこれ。面白くなってきましたねェ。

「こ、こんなメッセージ……冗談じゃァないぞ!
ボクは部屋に帰らせてもらう!
だ、誰もボクの部屋に入るんじゃァないぞ!」

大袈裟に叫んでおいて。
人気イケメン俳優(自称)は疑り深くて気弱ってヤツですね。
トラップは至る所にあるって聞きますし、取り敢えず部屋に戻りましょう。

部屋に入ると、ベッドの上に花束。
怪しすぎる……。
まァ、どこで様子を見ているか解りませんし、引っ掛かりますか。

「あれ、花束だ。
ははーん、さてはさっきホールで熱烈にボクを見ていたファンかな?」

花束を手に取った瞬間、何か引っ張ったような感触が。
あ、これ爆発するヤツだ!
OK,派手に吹っ飛んで倒れましょう!



●休憩室にて
「皆ご苦労であった」
 大広間にて、小百合子は整列した幼い侍女たちに労いの言葉をかけた。
 彼女たちは小百合子がロケをしている間、我儘放題の演技をしている小百合子を宥める役をしてくれたり、船内の情報を集めたりと奔走してくれていたのだ。
「褒美を取らす。受け取るが良い」
 小百合子は侍女たちに一つずつ手渡しで飴を配った。小百合子がいつも懐に忍ばせているおやつの分け前である。
「それでは死に急ぐ役はいざ退場しようかの」
 小百合子は柔らかく微笑んだ。

●ミステリィで単独行動を取る奴はだいたい死ぬ
「こ、ここがわらわの死に場所になるじゃと……!?」
「こ、こんなメッセエジ……冗談じゃァないぞ!」 
 鏖殺船長を名乗る怪人物からの殺人予告に、過敏な反応を見せたのは小百合子と円月の二人であった。この二人は昨日は傲慢な態度を見せていたが、意外とお豆腐メンタル……もとい、繊細なハートの持ち主だったようだ。
「ボ、ボクは部屋に帰らせてもらう!」
 円月はヒステリックに叫ぶと、ホウルから足早に出ていこうとした。
(ちょっとこれ。面白くなってきましたねェ)
 気弱な青年を演じる円月だったが、内心ではけっこう面白がっていた。影朧を釣り出す為に始めた芝居ではあったが、ミステリィの登場人物を演じる他の猟兵を見るのも、自分が癖のあるキャラを演じるのもなかなか楽しいではないか。
「ちょっとスタアさん、みんなと一緒にいないと危ないですよ」
 小百合子に従う侍女の一人が円月に警告した。こういう時、単独行動を取った者が犯人に狙われるのはミステリィの不文律(おやくそく)だからだ。
「うるさいなァ! この中に犯人がいるかもしれないんだろ!? だ、誰もボクの部屋に入るんじゃァないぞ!」
 しかし、円月は聞く耳持たず、自分の部屋に戻ってしまった。
「嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃ! まだ育ち盛りの麗しき女子たるわらわがこのような船舶で死ぬなぞ嫌じゃ! こんなところなどおられるか! わらわも部屋に戻る故、侍女共はわらわの身代わりになって死ぬがよい!」
 円月が去ったすぐ後、小百合子も身勝手なことをわめきながら、ずかずかとホウルから去っていった。果たして、二人の運命やいかに。

●俳優爆殺事件
 円月が自分の部屋に入ると、ベッドの上に血のように赤いバラの花束が置かれていた。
「怪しすぎる……」
 影朧の仕掛けたと思われる、余りにも露骨過ぎるトラップに円月は絶句した。自分はこれに引っかかると思われているのか。自分が影朧にアホだと思われているのは、自分の演技で影朧をしっかり騙せているということなのだが、この場合喜ぶべきか悲しむべきか、円月は複雑な気分になった。
(まァ、どこで様子を見ているか解りませんし、引っ掛かりますか)
 円月はあえて、影朧の思惑に乗ってやることにした。
「あれ、花束だ。ははーん、さてはさっきホールで熱烈にボクを見ていたファンかな?」
 あまりにも白々しい台詞に内心では笑いを堪えつつ、円月は大袈裟な身振りで花束を拾い上げた。花束を手に取った瞬間、円月の手に何か引っ張ったような感触が。
「あ、これ爆発するやつだ」
 その瞬間、花束の内側に仕込まれていた爆殺の呪符がはらりと床に落ちた。次の瞬間、閃光と轟音が迸り、円月の部屋で爆発が起こった。
「がはっ……」
 爆風で壁に叩きつけられた円月は、ばたりと倒れた。

●令嬢密室殺人事件
「な、なんじゃ!?」
 今、確かに船が揺れた。それに、階下で鳴った凄まじい音はなんだ。まるで爆弾でも爆発したかのような……。
 小百合子はビクビクとしながらも、布団を頭から被って昼寝をしようと試みていた。しかし、こんな状況で眠気が訪れるはずもなかった。
 コンコン。
「おや、誰か来たようじゃ」
「小百合子様……」
 ノックの音に反応した小百合子が外の気配を探っていると、聞き覚えのある幼い少女の声がした。
「おお、そなたは侍女の……。誰だったか忘れたが、今開けてやるぞえ」
 侍女の声に、小百合子は安堵した。意地を張って独り部屋に閉じこもってしまったが、今は誰かと共にいたかった。侍女はいっぱいいるから名前は忘れたけど。小百合子は内心小躍りしながら、ドアノブを回し、扉を開けた。
 ブシャ。
 血しぶきが廊下に舞った。小百合子が扉を開けると、そこには誰もいなかった。そして、小百合子の左胸には、毒々しい液体にまみれたボウガンの矢が深々と突き刺さっていた。
「誰もおらぬ……誰ぞ助け……ろ……」
 小百合子は背中から部屋の床へと倒れ込んだ。赤い染みが部屋に広がってゆく。部屋はひとりでにパタンとしまり、鍵がかかった。


(やれやれ、まァこんなモンでしょう)
 生きていた円月は地面に倒れたまま、深呼吸をしていた。円月は爆弾が爆発する瞬間、自ら後ろに飛ぶことで爆弾のダメージを抑えていたのだ。常人ならばそれでも粉々になる威力の爆発だったが、円月の鍛え抜かれた頑強な肉体は、ダイナマイト数本分程度の火力では致命傷にはならない。
(さて、しばらく狸寝入りと行きましょうか)
 円月は血だらけで仰向けになったまま、目を閉じた。


(うむ、うまく行ったの)
 毒矢で刺されて落命したかのように見えた小百合子は、自身の体を煙状に変えることで心臓への攻撃を凌いでいた。
 心臓に矢が刺さって血が出たように見えたのは、懐に入れていた元気の欠片(おやつ)の入れ物に矢が刺さり、仕込んでいた血糊袋が破裂したからである。このまま煙状態で倒れていれば、影朧は自分が死んだと思うはずだ。この状態なら脈も呼吸もないので直接触られでもしないない限りは見破れまい。
「次なる出番まで、このまま休ませてもらおうかの」

 こうして、また二人の乗客が舞台から退場し、船内の不穏な空気はますます色濃くなっていくのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セレーネ・ジルコニウム
錫華さんと

「うう、死ぬかと思いました……
錫華さん、ありがとうございました」

お風呂から出て、ほかほかしながら錫華さんにお礼を言いましょう。
バスローブ姿でホールに行くと……そこには殺人予告が!?

「皆さん、落ち着いてください!
ここは海の上。誰も脱出できません。
すなわち……犯人はこの中にいます!」(びしぃっ

アドバンテージ・アンサーでおこなった推理を披露しましょう。
ぐるりとあたりを見回し……

「手がかりは、この鏖殺船長という名です。
つまり、この中で一番船長っぽい人間が犯人です」

どうですか、私の完璧な推理!
さて、この中で一番船長っぽい人間は……

「え、潜水艦艦長である、この私!?
そんなぁ、助けて、錫華さんっ」


支倉・錫華
セレーネさんと

「無事だったし気にしないで」
と、セレーネさんとほこほこしていたら、

予告状?
鏖殺船長……船長か。と、セレーネさんをちら見したら、
まわりの人が『船長はお前じゃねーか』とのツッコミ。

たしかに。

と、いうことは……
ストライダーも、波に流されたのも、
すべてミスリードへの振りだったってこと!?

「セ、セレーネさんがまさか……!」

いや、ないけど。
思いっきり通常運行だったし。

でもここは、ノっておくのがいいかな?

「セレーネさんに限ってそんなはずない!
疑うなら船倉に閉じ込めて見張っていればいいよ!」(フラグ)

あれ?わたしも?

その後しばらくして……
2人とも船倉で殺されている(フリ)のを発見されるのでした




「うう、死ぬかと思いました……錫華さん、ありがとうございました」
「無事だったし気にしないで」
 一章の段階で何故か勝手に死にかけていたセレーネはお風呂に入ってリフレッシュし、ほかほかした蒸気に包まれていた。その後は錫華と二人で船を探検しつつ、なごやかに談笑した。平和な一時である。だが、その平和も長くは続かなかった……。
「セレーネさん、急いでホオルへ行こう! 何かあったらしい!」
「わかりましたっ! すぐ行きます!」

●炸裂! 迷探偵セレーネ!
『鏖殺船長』を名のる人物からの乗客皆殺しのメッセエジに、ホオルは騒然となっていた。
「皆さん、落ち着いてください! ここは海の上。誰も脱出できません。すなわち……犯人はこの中にいます!」
 セレーネは群衆を前に、びしりと真正面に指を突き付けるポーズを取った。名探偵のポーズだ!
 ざわざわ……ホオルに集まっていた人々はどよめく。まさか、この中に連続殺人鬼にして影朧の鏖殺船長が紛れ込んでいるというのか……? 
(『アドバンテージ・アンサー』発動です! そうここは海の上! すなわち潜水艦乗りである私のホオム!)
 セレーネの灰色の脳細胞が目まぐるしく活動する。セレーネはアンサーヒューマン。その頭脳の回転速度は常人を遥かに凌駕する―!
「手がかりは、この『鏖殺船長』という名です。つまり、この中で一番船長っぽい人間が犯人です!」
 どんっ!
 セレーネは自身満々に薄い胸を反らした。
「どうですか、私の完璧な推理! さて、この中で一番船長っぽい人間は……」
 セレーネはきょろきょろと周囲を見渡すが、黒ひげをたっぷり蓄えたワイルドなおじさんもいなければ、麦わら帽子を被っている少年もいやしなかった。
「船長っぽい人……? まさか……!?」
 どよめく群衆の視線がセレーネの胸元に集中する。正確には、人々は彼女の貧しい胸ではなく彼女が胸に付けている「機動戦艦ストライダー艦長セレーネ」と書かれた名札をガン見していた。
 犯人、あいつじゃね?
「え、潜水艦艦長である、この私!? そんなぁ、助けて、錫華さんっ」
 あたふたと釈明するセレーネ。これがもし探偵や裁判もののゲームだったなら、犯人を追い詰める時の緊迫したメロディが流れていただろう。
 セレーネはそうだ! 錫華さんがいた! と思い出し、彼女に縋るような視線を送ったが――。
「セ、セレーネさんがまさか……!」
 錫華も目を見開き、セレーネを凝視していた。
(と、いうことは……ストライダーでこの船に突撃してきたのも、波に流されたのも、すべてミスリードへの振りだったってこと!?)
 なんということでしょう。あのドジッ子っぷりの裏に、残虐な殺戮衝動を隠していたなんて! セレーネ、恐ろしい子……! 
「錫華さんまでっ!?」
 お友達だと思っていたのに……涙目になるセレーネ。
(いや、ないけど。思いっきり通常運行だったし。でもここは、ノっておくのがいいかな?)
 錫華はやっぱり違うなとすぐ我に返った。とはいえ、せっかく場が盛り上がっているので、ここは流れに乗って死んだふりをしやすいように誘導するとしよう。
「いや、やっぱりセレーネさんに限ってそんなはずない! 疑うなら船倉に閉じ込めて見張っていればいいよ!」
 錫華はセレーネを庇うように前に立つと、群衆に向かって叫んだ。
 そこまで言うのならばと、人々はセレーネと、ついでに錫華も船倉に閉じ込めることにしたのだった。
 そして、その日の深夜――。
「一斉攻撃で最後の駆逐艦を撃破! ふふふ、私の勝利です!」
「く―。セレーネさん海戦ゲーム強いな……あれ、なんか、寒くない?」
「い、言われてみれば……さ、さむっ! 寒いです! ま、マイナス3度!? この船倉、いつの間にこんなに寒く……!?」
「やばい、このままじゃ二人共凍死しちゃうよ!」
「こ、こんな時は『特殊部隊』を呼んで総員で押し蔵まんじゅうを……!」
「待って待って! それは目立ち過ぎる! アミシア、この船の空調を……」
 敵の思わぬ攻撃にあたふたする二人。
「くくく、この寒さなら朝までに確実に凍死するだろう……」
 闇の中で、式神が笑った。
 翌日、錫華の保有するAIのサポートで空調を操作して凍死を回避した二人は、寝転んで死んだふりをしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルロット・シフファート

さて、封神武侠界で手にした『万仙陣』を使いましょうか……

暗くなったラウンジにて一人紅茶を嗜んでいる紫のカクテルドレスを着た令嬢、そこに謎の人影が……

謎の人影「御令嬢、紅茶はお好きで?」
好きよ、貴方は何が好きなのかしら?

と、そこで謎の人影の脳裏に存在しない記憶が

自分の目の前にいる少女は黒ニーソが好きな自分にとって理想の美少女で、今も紫のカクテルドレスのスリットから見える黒ニーソの絶対領域を少女に悟られないよう見に来たのだと

それで、何の用かしら?

「いえ……何でもないですよ」

そう言って人影は去る

その後ろ姿を見て、令嬢は妖しく笑みを浮かべていた――

アレ、これってフラグの回収は?


ノインツィヒ・アリスズナンバー

このシーンはそうだなぁ。
意味ありげな美女を続けて、ブームの仕掛人と情熱を利用してみんなから犯人と思わせる。
けど途中で翌朝、殺人鬼に殺されている被害者だよ☆
ミスリード役はミステリーには必須だよね☆

あらあら。もう犠牲者はこれで何人目かしら。
今度は誰が死んで、誰が生き残るのやら。
例えば、そこの貴方。今日死ぬかもしれないし、もしかしたら運よく生き残って全てを証言できる最後の一人になるかもしれない。
何故そんなことが言えるのかって?
何故なら、私はすべてを知っているから。

まあなんも知らないんだけどね!翌日普通にエントランスで殺されてるよ!!
アルジャーノンエフェクトで演技力を高めつつ、休憩時に倒れてる感じで



●めちゃくちゃ怪しい美女
 乗客たちは再びホウルに集められていた。そう、また乗客の遺体が発見されたのだ。
 俳優が爆死し、令嬢が刺殺された。腹話術師も夕べから行方不明。そして、船倉でも二名の遺体が発見されたという。死屍累々である。
「あらあら。もう犠牲者はこれで何人目かしら。今度は誰が死んで、誰が生き残るのやら」
 大物女優であるノインツィヒはそう言って、愉快そうに笑った。既に何名もの乗客が殺害され、犯人は未だに影も見えないというのに。彼女にとってはこの殺戮も演劇か何かに映っているのだろうか。
「例えば、そこの貴方。今日死ぬかもしれないし、もしかしたら運よく生き残って全てを証言できる最後の一人になるかもしれない」
 ノインツィヒはホウルの隅で佇んでいた紫色のカクテルドレスを着た資産家の令嬢―シャルロットを指差した。
「あら、女優さん、貴方、面白いことを言うわね」
 シャルロットはノインツィヒの方を振り返ると、値踏みするように彼女の顔を見た。この女優は犯人について心当たりでもあるのだろうか?
「何故そんなことが言えるのかって? 何故なら、私はすべてを知っているから」
 ノインツィヒの言葉に、その場にいた者達がざわついた。たちまち、二人に視線が集まる。
「なら、ここで全てを語ってくれないかしら」
 シャルロットは呆れたように言った。
「嫌よ。今話したらゲームが台無しでしょう? 犯人の機嫌を損ねるようなことはしたくないの」
 ノインツィヒはシャルロットの問いかけを鼻で笑う。
「じゃあね、哀れな子羊の皆さん。今夜は誰が殺されるのかしらね。くすくす」
 ノインツィヒは意味ありげに笑いながら、自室へと戻って行った。

●第六の犠牲者?
 ホウルに集まった人々が解散した後、シャルロットは薄暗いラウンジで独り紅茶を楽しんでいた。
「やっぱりダージリンは夏摘みに限るわね……」
 旬の紅茶を飲みつつ、スコーンにはアプリコットジャムを少々。殺人事件が起こった船にいるとは思えない、優雅なティータイムであった。
「あら?」
 シャルロットに、怪しい人影が近づいてきた。それは小奇麗なタキシードに身を包んだ、一部の隙もない紳士だった。ラウンジが薄暗いせいか、顔ははっきりしない。謎の紳士は失礼、と前置きしてシャルロットの隣に座った。
「御令嬢、紅茶はお好きで?」
「好きよ。……貴方は何が好きなのかしら?」
「そうですな、私はやはり……」
 その瞬間、謎の紳士の脳裏に存在しない記憶が流れ込んできた。

 私は幼い頃から黒のニイソックス、略して黒ニイソが大好きだった。あまりにも好きすぎて、若い頃、女子校にこっそり潜入し、盗んできた大量の黒ニイソのコピイをコンビニで取ってしまったほどだ(そして逮捕された)。
 私は八代目芦屋道満様にお仕えする式神なので若い頃とか無かった気がするが、ともかく、私はそういう過去を持っている。

「おお……麗しの黒ニイソ……」
 そして、自分の目の前にいる金髪の少女は黒ニーソが好きな自分にとって理想の美少女である。今も紫のカクテルドレスのスリットから見える黒ニーソの絶対領域を少女に悟られないよう見に来たのだ。 
「それで、何の用かしら?」
「いえ……何でもないですよ」
 地面に這いつくばり、シャルロットの絶対領域をローアングルでひとしきり鑑賞した後、紳士は微笑みを浮かべて去っていった。その後ろ姿を見て、令嬢は妖しく笑みを浮かべていた――。
「宝貝・万仙陣……恐ろしい宝貝ね。あと私の死亡フラグは?」

●真・第六の犠牲者
「あ、死んでる」
 翌日、シャルロットはエントランスでノインツィヒが血だらけで倒れているのを発見した。彼女の背中には、柄に複雑な文様が刻まれた豪華なナイフが三十本ほど突き刺さっている。きっと休憩中に影朧か、その手先に襲われたのだろう。
 実際には背中のナイフは衣装の内側に仕込んでいた札束で防いだのでノーダメージなのだが。
「きっと、知り過ぎたから消されたのね……」
 シャルロットは沈痛な面持ちでかぶりを振った。
(まあ、実際には何も知らないんだけどね!)
 渾身の演技で死んだふりを続けているノインツィヒは、心の中でぺろりと舌を出していた。そして、約一分半で疲れたノインツィヒは、そのまま床に転がったままマジ寝に突入したのである―。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シホ・エーデルワイス
《華組》


以前感じた悍ましい視線に射抜かれ恐怖に震える

腰が抜け燦にお姫様抱っこされる

ど!
どうして大将閣下が!?…私達を追ってきたというの!?


船倉に隠れ
燦…どうして大将閣下は私達を的確に追って来られるのかしら?

突然燦に突き飛ばされたと気付いた時には
燦が宙吊りに!
燦の体が落ちて来た所で大絶叫!

嫌ー!燦ー!どうして燦がー!
燦!
私はここよ
お願い死なないで!私を置いて行かないで!

血で汚れるのも厭わず泣きじゃくりつつ燦の手を握るも助からないと悟る

…待っていて燦
私もすぐに追いつくから

駆け落ちが失敗した時用の毒を飲み燦と手を繋いで目を閉じる

来世こそは結ばれますように

本物の毒にすり替えられても毒耐性で死にません


四王天・燦
《華組》



結婚しよう
言うや生温い風が吹き抜けた
突如の月蝕
犇めく魑魅魍魎
百鬼夜行だ

海面から現れた式神ザンギャパス大将に戦慄
こんな所に居られるか部屋に戻らせてもらう!と喚いてシホを抱いて船内に逃げ込むよ

客室から何か聞こえ耳を聳て…気づけば背後に大将が!
って感じで盗み聞きフラグも回収だぜ

シホの手を引き船倉に隠れるよ
追手はもう来まいと一安心
シホの言葉で気づく…容易く持ち出せたドレスに発信機!?

天井を見ると奴が!
『あぶなーい!』とシホを突き飛ばし、アタシが頭から喰われるぜ
懐刀を突き立て応戦撃退を狙う

シホの足元に落ちるも瀕死だ
襟に血糊や鉄板を仕込んでるよ

ああ暗い
シホの顔が見えないよ…寂しい
弱々しく事切れる



●逢魔ヶ時
「結婚しよう」
 シホの細い体を抱き締め、燦がそう口にするや否や、生温い風が吹き抜けた。
「! 燦、あれを……」
 シホが震えながら空を指差した。そこには、さっきまで煌煌と辺りを照らしていたはずの月がない。いや、正確には満月が、まるで笑う髑髏のように所々黒く染まっていたのだ。なんて不気味な月蝕だろう。
 ぞくりと悪寒が走り、二人が海に視線と落とすと、そこには……。
 ケタケタ。ケタケタ。
 二人を見つめながら笑い声を上げる、数えきれないほどの、バケモノが―。
 昏い海にざわざわと犇めく魑魅魍魎共。正に百鬼夜行である。
「……え」
 その時、シホの全身をさらなる悪寒が走った。以前感じた悍ましい視線に射抜かれたのだ。
「うへへ、シホの匂いだあ」
 海面から現れたのは、でっぷり太った半裸の巨漢の姿をした式神!
「ザンギャパス大将閣下……!」


 実は海面から大量発生した魑魅魍魎達は芦屋道満の使役するものではなく燦が使役する式神達であった。当然、芝居の打ち合わせも既に済ませてある。
「うへへ。儂から逃げられると思うたか、シホよ! 儂を裏切ったことは許せん! 今この場で骨までしゃぶってくれる!」
 ザンギャパス大将の役を任された海坊主は水面からジャンプし、甲板に着地すると、大きく口を開けて笑った。


「こんな所に居られるか! 部屋に戻らせてもらう!」
「待って燦。私、腰が抜けて立てない!」
 燦は腰が抜けて立てなくなったシホをお姫様だっこし、全力疾走した。大急ぎで階段を駆け下りて船の廊下へ出る!

「……先回りされてないか確かめるぜ」 
 燦はもう歩けるようになっていたシホを優しく降ろすと、客室の扉に顔をくっつけ、聞き耳を立てた。
「……大丈夫みたいだぜ」
 燦がシホに微笑みかけると、シホは燦を背後を指差して口をパクパクさせていた。
 そこには、にたりと笑うザンギャパス大将の姿が!
「シホ~! 逃がさんぞぉ!」
「うわっ! もう追ってきたのかよ! このっ!」
 燦は大将に蹴りを入れ、シホの手を取って再び駆け出した。

●逃避行の結末
「ここまでくればもう安心だぜ」
 燦は笑い、まだ震えているシホの髪を優しく撫でた。ここは船倉。二人は度重なる逃走劇の末、ついに船倉にまでやってきていた。
「燦……どうして大将閣下は私達を的確に追って来られるのかしら?」
 燦はシホの言葉ではっとし、シホの胸元に手を突っ込んだ。
「きゃっ!? 燦、な、何を……!?」
 燦の突然の蛮行にシホは顔を赤らめた。燦も頬を染めつつも、一心不乱にシホのドレスの内側をごそごそ漁った。台本だと仕込みは首元だった気がするが、まあこのぐらいのアドリブはいいだろう。
「やっぱりあった! 発信機!」
 燦はシホのドレスの内側から銀色のボタン電池のようなものを取り出すと、ぐしゃりと握りつぶした。
「はっ!?」
 その時、シホが天井を見上げると、そこには天井を突き抜け、ぬっと顔を突き出しているザンギャパスの姿があった。
「わはははは! 儂から逃げられると思うたか!」
 ザンギャパス大将は今度こそシホを食らい尽くさんと、大きく口を開けて降ってきた!
「あぶなーい!」
 燦は咄嗟にシホを突き飛ばした。しかし、燦の半身はザンギャパス大将の口に飲み込まれ、空中へと吊り上げられた。バクリ、とザンギャパスが口を閉じると、金属がひしゃげるような嫌な音がした。
「ぬう!?」
 だが次の瞬間、ザンギャパスの顔の内側から真っすぐな日本刀の刃が突き出した!
「痛い! 痛い! おのれ! 覚えておれ!」
 顔面に深手を負ったザンギャパスの姿がすうっと薄れる。そして、日本刀を持った血まみれの燦がシホの元へと降ってきた。
「きゃああああああああ!」
 シホの絶叫が船倉に響く。
「ああ暗い。シホの顔が見えないよ……寂しい」
 燦は弱々しく呟きながら虚空に手を伸ばすと、ガクリ、と脱力した。
「嫌ー! 燦ー! どうして燦がー! 燦! 私はここよ! お願い死なないで! 私を置いて行かないで!」
 シホは血で汚れるのも厭わず泣きじゃくりつつ、燦の手を握るが、この出血量ではきっと助からないだろう(実際に燦の血は事前に仕込んでいた血糊である)。
「……待っていて燦。私もすぐに追いつくから」
 シホは懐から小さなハアト型の小瓶を取り出した。駆け落ちが失敗した時用の毒だ。シホは瓶の中身が見覚えのない色の物へとすり替えられていたことに一瞬驚いたが、そのまま構わずに口にした。シホは毒には強い耐性があるのだ。
 シホは燦の頬をそっと撫でると、手を繋いで目を閉じた。
「来世こそは結ばれますように」
 こうして、また二人の役者が舞台から退場した……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

文月・統哉
◎【鈴木レミ(f22429)】と

予告状なんて出てますからね
出歩かないのが一番ですよ
しかもこの船室
ドアの鍵が壊れてましてね
外から鍵を掛けてしまったら
内側からは開錠出来ないのだとか
窓も小さな嵌め殺しが2つのみ
これぞ密室!って感じですよね♪
カンヅメ仕事にピッタリだと思いませんか?

めっちゃ笑顔でカンヅメ作戦決行
レミ先生を閉じ込める

逃げ場はありませんからね
確りお仕事して下さいよ♪

扉前で見張っていたら
中から悲鳴が!?
急ぎ鍵を開ければ
その先に転がるレミ先生の死体

慌てて人を呼びに走るも
現場に戻った時には死体消失していたり

逃げられたぁあああ!!

超絶悔しがりつつ
差し入れをつまみ食い
あれ?毒入ってる?
で敢え無く死亡


鈴木・レミ
【文月・統哉(f08510)】と参加

くっ、なんすかこのメッセージ
ここは統哉クンの言う通り出歩かな…あるぇ?!
ちょっと!?執筆に密室はいらないとおも…アッハイ
(笑顔で閉じ込められる図)

まさかの敵は身内という王道パターン
仕方ない、ここは大人しく執筆…なんすかこれ?
(机の上に不自然に置いてあった箱に手を伸ばすと何か飛び出してきた)
ぎゃぁぁぁぁっ?!(ばたっ)

…………ハッ?!
私はいったい?というか?(きょろきょろ)
統哉クンは…いない?これはチャンス?
今のうちに逃げるっすよ!

ふっこれで私の平和は守られ…って統哉クンの悲鳴!?
統哉クン?!
いくら彼が食い意地張っているからってこんなのひどいっすよぉぉぉ!!



●缶詰探偵、死す!?
「くっ、なんすかこのメッセージ」
 ホウルに告知された血のメッセージを見て、レミは「またか」とげんなりした。レミが逃亡すると、いつもこういう事件が起こるのだ。
「殺人予告状なんて出てますからね。出歩かないのが一番ですよ」
「ここは統哉クンの言う通り出歩かな……あるぇ?!」
 レミの担当編集・統哉はにこにこと言うと、そのままレミの首根っこを掴み、有無を言わせず客室へと連行していく。辿り着いたそこは、金庫のように分厚い鋼の扉が付いた物々しい部屋であった。
「この船室……ドアの鍵が壊れてましてね。外から鍵を掛けてしまったら内側からは開錠出来ないのだとか。窓も小さな嵌め殺しが二つのみ。これぞ密室! って感じですよね♪ カンヅメ仕事にピッタリだと思いませんか?」
「ちょっと!? 執筆に密室はいらないとおも……アッハイ」
 笑顔の統哉から何故か殺気を感じ、レミは黙る。原稿を仕上げるまでは、自分はここから出られない運命だと悟ったのだ。
「逃げ場はありませんからね。確りお仕事して下さいよ♪ 俺はお邪魔でしょうから外にいますね♪」
 レミを監禁した統哉は、めっちゃ笑顔で部屋の外へと出ていった。


「まさかの敵は身内という王道パターン……仕方ない、ここは大人しく執筆………」
 もはや脱出は不可能と悟ったレミは、大人しく原稿に取り掛かろうとした。だがその時、机の上に不自然に置かれていた箱に気付いた。
 真っ白に着色された小さな木の箱だった。大きさはショートケーキが入るぐらいか。隙間だらけの構造で、まるで小さな百葉箱のようだった。
「なんすかこれ?」
 レミが箱を手に取ろうとすると、パカンと箱が空き、悍ましい何かが飛び出してきた。それは、八代目芦屋道満が呪殺の念を封じ込めた呪いの箱だったのだ!
「ぎゃぁぁぁぁっ?!」
 レミは悲鳴を上げ、ばたりと倒れた。

「レミ先生!」
 レミの悲鳴を聞いた統哉は大急ぎで鍵を開けた。ドアを開けたその先に転がっていたのは、レミ先生の死体!
「レミ先生! レミ先生! しっかりしてください! 死ぬなら作品を完結させた後にして下さいよ!」
 微妙に酷いことを言いながら、統哉はレミを揺すったが、反応がない。ただのしかばねのようだ。
「屍(うちきり)にしてたまるか! 外傷はないし、心臓麻痺とかならまだ間に合うはずだ! 急いで医者を……!」
 統哉は部屋を飛び出し、人を呼びに行った。

「…………ハッ?! 私はいったい? というか?」
 統哉が部屋からいなくあった後、レミは蘇生した。彼女は確かに芦屋道満の呪いを浴びたが、猟兵であるレミを呪い殺すにはパワーが足りなかったのだ。レミは魂が抜けかかった状態で気絶していただけであった。きょろきょろと周囲を見渡したレミは、部屋の扉が開けっ放しになっていたことに気付いた。
「統哉クンは……いない?これはチャンス? 今のうちに逃げるっすよ!」
 状況を把握したレミはほくそ笑み、ダッシュで缶詰部屋(ろうごく)から脱走した……。


「逃げられたぁあああ!!」
 お医者さん(医師免許持った撮影スタッフ)を連れてきた統哉は絶叫した。まさか、レミが死んだふりをしていたとは!
「くそっ! こうなったら、レミ先生のお昼ご飯用に用意していた『下関トラフグ丼弁当』をつまみ食いしてやる!」
 まんまとレミを取り逃がし、超絶悔しがった統哉は、カバンにこっそり入れていた差し入れ用の弁当をガツガツと食い始めた。だが、食べている途中で呼吸が苦しくなってきた。
「あれ? 毒入ってる? ぐふっ」
 統哉はあえなく、テトロドキシンでくたばったのであった。


「ふっこれで私の平和は守られ……って統哉クンの悲鳴!?」
 嫌な胸騒ぎを感じたレミは、急いで缶詰部屋へと戻った。そこには、ベッドで白い布を顔に被せられている統哉の姿があった。
「残念ですが……」
 検死をしたと思われる医師はかぶりを振った。
「統哉クン?! いくら彼が食い意地張っているからってこんなのひどいっすよぉぉぉ!!」
 レミの慟哭が、船の廊下に響いた……。
※本当はちゃんと医者が蘇生させました。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『八代目『芦屋・道満』』

POW   :    陰陽召鬼『百鬼夜行』
【調伏した魑魅魍魎や妖怪の大群 】を降らせる事で、戦場全体が【百鬼夜行】と同じ環境に変化する。[百鬼夜行]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD   :    陰陽双剣『達人剣術』
いま戦っている対象に有効な【属性や状態異常を引き起こす陰と陽の双剣 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    陰陽極意『八卦迷宮陣』
戦場全体に、【各々の恐怖を見せる白昼夢 】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は四王天・燦です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●八代目芦屋・道満、降臨
「くくく、役者達の殆どが死に絶えた……そろそろ儂の出番じゃな……」
 勝利を確信した影朧はついに潜伏をやめ、灯りの消えたホオルに姿を現した。そこにいたのは、時代がかった装束を纏った美しき獣人の女だった。彼女こそが八代目芦屋・道満。この船で殺戮(未遂)を繰り返していた『鏖殺船長』の正体だ。
 だが彼女が姿を現したその時、パッと照明が灯り、眩いスポットライトが影朧の姿を映し出す!
「何ッ!?」
 振り向いた八代目芦屋・道満が目にしたものは、仕留めたはずの役者達がピンピンして勢揃いしている姿だった!
「お、お前達は!? みな死んだはずッ!?」
『殺した』、とは言わなかったのは、まだ言い逃れができると思っているからか。

 さあ、ついに表舞台に引きずり出されたこの真犯人に引導を渡してやろう。猟兵達の反撃が、今始まる。
神代・凶津
よう、『鏖殺船長』。漸く会えて嬉しいぜぇ。
おいおい、惚けなくていいぜ。
殺人鬼(【注】役の設定です)同士、匂いで分かるだろう?
何故俺が生きてるかって?決まってるだろ。

VS物映画で途中退場した片方が終盤に再登場は当たり前だろッ!

「・・・いえ、これはミステリー物だった筈ですが。」

さあ映画の花形、アクションパートといこうじゃねえかッ!
推理パート?他の猟兵に任せたッ!

雷神霊装でいくぜ、相棒ッ!
「・・・転身ッ!」
引き上げたスピードと反応速度を駆使して妖刀で敵の陰陽双剣の攻撃を見切り受け流し斬り結ぶぜ。
最後にどっちが立っているかなッ!

「・・・VS物だと、最後引き分けって展開が多いような。」


【アドリブ歓迎】



●殺人鬼VS殺人鬼!
「よう、『鏖殺船長』。漸く会えて嬉しいぜぇ」
 鬼面を被った巫女が、八代目芦屋・道満へとフレンドリイに話しかける。
「貴様は腹話術師……! 貴様は海に突き落とされて死んだはず!」
 驚愕に目を見開く影朧。そのリアクションに満足しているのか、腹話術師……否、鬼面の殺人鬼は愉しそうに笑う。
「殺人鬼同士、匂いで分かるだろう? 何故俺が生きてるかって? 決まってるだろ」
 もう芝居を続ける必要は実は無いのだが、ノリノリの凶津はそこで一呼吸置いた。
「VS物映画で途中退場した片方が終盤に再登場は当たり前だろッ!」
 指をびしりと突き付けながら凶津は宣言した。そう、怪獣映画やB級ホラー映画で、倒されたはずの片割れが復活するのはお約束だ! 
「……いえ、これはミステリー物だった筈ですが」
 凶津の本体である桜は冷静に突っ込んだ。
「さあ映画の花形、アクションパートといこうじゃねえかッ! 推理パート? 他の猟兵に任せたッ!」
 凶津は牙を剥き出しにし(いつもの表情とも言う)、手にした妖刀を高々と掲げた!
「……転身ッ!」
 ゴロゴロゴロゴロ!
 凄まじい雷鳴がしたかと思うと、ホオルの天井に穴が開き凶津の体が紫色の稲妻に包まれた。
「落雷、じゃと!? いや、違う!」
 そう、違う! 落雷ではない。稲妻は降ってきたのではなく、凶津の肉体から立ち昇っている!
「『雷神霊装・二ノ型』(スパークフォーム・ツー)! いくぜ、鏖殺船長、いや、八代目芦屋・道満ッ! 最後にどっちが立っているかなッ!」
「おのれ、こうなれば我が剣の錆びとしてくれるわ! 我が陰陽双剣の切れ味を見よ!」
 影朧はどこからか取り出した禍々しい妖気を纏った一対の短剣を抜き、凶津を迎え討つ!
 両者は紫電と黒い閃光を撒き散らしながら、ホオルで激しく切り結んだ。影朧は双剣の手数の多さで凶津を攻め立てるが、雷神の力で速力を強化した凶津は、妖刀一本で影朧の剣戟を凌ぎ切っている! 凶津が雷光の速度で放つ鋭い反撃に、影朧は双剣を以てしても凌ぐのが精一杯だ。二人の剣士は一歩も譲らず、ホオルを駆け回りながら五分以上もの間、斬り結び続けた。
「ええい、これでは埒が明かぬ!」
 影朧は不意に凶津が空けた天井の穴から甲板へと飛び出した。
「逃がすかよッ!」
 間髪入れず、凶津は穴をくぐって影朧を追った。
「かかったな!喰らえ! 我が渾身の一撃を!」
 待ち構えていた影朧は双剣を振り上げ、凶津の首を刎ねんと十字の斬撃を繰り出した!
「おりゃあああああッ!」
 だが、超反応で影朧の斬撃に反応した凶津は、影朧の方へと一気に踏み込み、妖刀で影朧の胴を狙った!
 バチバチバチバチ!
 二人の技は同時に炸裂し、凶津と八代目芦屋・道満は猛烈な勢いで反対側の海へと叩きつけられた。凶津の視界には傷を負った芦屋・道満が式神に回収され、再び船の中へと消えていく姿が見えた。
「ち。引き分けか」
「……VS物だと、最後引き分けって展開が多いような」
 海中へと落下しながらぼやいた凶津へと、桜は再び突っ込みを入れた。

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・円月


推理って言われても……
先ず「俺をイケメン俳優だと思っているのは貴方だけ」なんですよね
その上で俺の部屋にファンからの差し入れを装った
【毒入りのシャンパン】なんて置いて……いやァ、流石にバレバレですよ

え?あァ、そうでした、【爆発する花束】でしたねェ。確かにそうでした
あれェ、おかしいですねェ?
貴方、なんでそれ知ってるんですかァ?(額に指をやりつつ)
いやァ、あんなアホな罠に引っかかると思われてたのが悔しいので、ちょっと仕返しを

さて、茶番はここまで
俺の斧を振り回し過ぎると船がヤバそうなんで
狗神と協力して徒手空拳でお相手します
狗神は常に俺の後ろへ。お互い入れ替わるようにしつつ突破しましょう
行きますよォ!


ノインツィヒ・アリスズナンバー
◎〒
あー良く寝た。そろそろこの惨劇に幕を下ろそうぜ。
このノインちゃんが全てのトリックを暴かせてもらうからね☆

何もないホオルの中心で、豪華なナイフ三十本による私ちゃん殺人事件のトリック……見ての通り、この場所には何もない。だが、どうしてこうも派手に背中に刺さっていたのか。
それは、天井に吊り下げたシャンデリア!
普段見上げることなど無いであろう、煌びやかなシャンデリアにナイフを吊り下げておくことで、一気に落として殺す事が可能だ!
それを予測していた私ちゃんは札束背中に仕込んでガードしてたけどな。
情熱と瞬間思考力でその場を盛り上げつつ、言いくるめするね☆
後は双剣が反応できないほどの暴力でUC発動☆



●名女優とイケメン俳優の名推理
「さあ、儂は戻ってきたぞ。ゲーム再開と行こうじゃないか……」
 犯人は犯行現場に舞い戻る。その法則に従ったのかどうかは定かではないが、一度海に突きとされた八代目芦屋・道満は再びホオルに戻って来た。ホオルにいる役者達、否、猟兵達を皆殺しにしてこの事件を迷宮入りにしなくては……。ひいひいひいひいひいじいちゃんの名に賭けて!

「あー良く寝た。そろそろこの惨劇に幕を下ろそうぜ」
 その時、死んだふりをしていたノインツィヒがむくりと起き上がった。
「き、貴様、生きていたのか!? それだけの数のナイフを背中に刺されて!」
 背中に三十本ものナイフを突き立てられながら平然としている彼女の姿を見て、影朧は驚きの声を上げた。
「ああ、これ? なぁに、簡単なトリックだよ」
 ノインは背中からナイフが突き刺さったたくさんの分厚い札束を取り出すと、ナイフを引っこ抜いて捨て、札束は懐にしまい直した。
「さあ、解答編だよ。このノインちゃんが全てのトリックを暴かせてもらうからね☆」
 ノインはそう宣言し、横ピースでウィンクした。顔の角度は斜め四十五度。一番写真映りがいい角度だ。
「解答編じゃと……? 面白い、ならば聞かせてみよ! 儂がそなたを殺したトリックとやらを! そなたがナイフに襲われた時、そこには誰もいなかったはずじゃ!」
 影朧の問いに対し、ノインは悠然と笑う。
「何もないホオルの中心で、豪華なナイフ三十本による私ちゃん殺人事件のトリック……見ての通り、この場所には何もない。だが、どうしてこうも派手に背中に刺さっていたのか。それは、天井に吊り下げたシャンデリア!」
 ノインツィヒはサイリウムを取り出すと、天井にぶら下がっていたシャンデリアを指し示した!
「何ッ! シャンデリアじゃと!? それがナイフとどう関係がある! バカバカしい!」
 影朧は鼻で笑うが、明らかに動揺していた。ノインツィヒは不敵な笑みを崩さぬまま、推理を続ける。
「普段見上げることなど無いであろう、煌びやかなシャンデリアにナイフを吊り下げておくことで、一気に落として殺す事が可能だ! それを予測していた私ちゃんは札束背中に仕込んでガードしてたけどな。これがナイフ遠隔殺人のトリックだ! どうだ、違うか!」
 影朧に指を突き付けるノインツィヒ。しかし、影朧は即座に反論する。
「そのトリックには穴がある! シャンデリアにナイフを仕掛けたとして、なぜそなたの『背中』にナイフが刺さっていたのじゃ。上から降ってくれば『頭』に刺さるはずじゃ。 これは明らかに矛盾しておるぞ!」
 鬼の首を取ったかのような表情で、八代目芦屋・道満は叫んだ。
「それも説明できるぜ!」
「なんじゃと……!」
 ノインツィヒの自信たっぷりの言葉に、影朧は狼狽した。
「私ちゃんがナイフに襲われた時、真下には五百円玉が落ちていた。だから私ちゃんは屈んでいた! きっとアレが罠のスイッチだったんだろう?」
 そう、ナイフに襲われた時、ノインツィヒは落ちていた五百円玉をガメようとしていた。だから頭ではなく、背中にナイフに刺さったのだ!
 これでチェックメイトだ。八代目芦屋・道満がノインツィヒを襲ったトリックは証明された!
「ぐぬぬ……分かった、ならば認めてやろう! 儂はそなたを殺そうとした! じゃが、他の者を殺したのも儂とは限るまい!? たとえば、そこの男! あいつを殺したのが儂だという証拠などない! 違うというのなら、証拠を示してもらおうか!」
 八代目芦屋・道満はたまたまノインツィヒの隣にいた円月に指を突き付けた。
 
●イケメン俳優の名推理
「分かりました。俺の推理を聞いてもらいましょう」
 円月は一歩前に踏み出し、影朧と向かい合う。化かし合いの始まりだ。
「先ず、『俺をイケメン俳優だと思っているのは貴方だけ』なんですよね。その上で俺の部屋にファンからの差し入れを装った『毒入りのシャンパン』なんて置いて……いやァ、流石にバレバレですよ」
 円月はやれやれ、と大袈裟な身振りで肩を竦めた。
「ふはは! 何を言っておる! そなたの部屋に置かれていたのは、毒入りのシャンパンではなく爆弾入りの花束じゃ! これは明らかに矛盾……あっ!」
 途中まで言いかけ、影朧は口をつぐんだ。
「え? あァ、そうでした、『爆発する花束』でしたねェ。確かにそうでした。あれェ、おかしいですねェ? 貴方、なんでそれ知ってるんですかァ?」
 円月は額に指を当てた。
(いやァ、あんなアホな罠に引っかかると思われてたのが悔しいので、ちょっと仕返しをと思いましたが、見事に引っかかりましたねェ)
「ぐぬぬぬぬ! しまった!」
 悶絶する影朧の姿を見て、ノインは円月に拍手を送る。
「ナイス☆ ここは二人であのセリフを決めちゃおうぜ☆」
「いいですねェ。俺も一度ぐらいは言ってみたかったんですよ」
 円月はノインツィヒと目配せすると、二人で並び、びしりと影朧に指を突き付けてこう言った。
「「犯人は貴方だ。八代目芦屋・道満」」


「さて、茶番はこれまで。暴力(こっち)が俺の本業ですよ! 其は風なり 其は水なり 求に応じ我が手足とせしめんと欲す。『狗神招来』!」
 円月は狗神を呼び寄せた。不可視の狗神と挟むように位置取りし、八代目芦屋・道満を滅多打ちにする!
「さあ、おしおきの時間だ! これが乙女のォ……拳じゃああ!!」
 ノインツィヒの瞳が輝き、ノインツィヒは通常の九倍もの速度で激しいラッシュを繰り出した。八代目芦屋・道満は咄嗟に双剣を抜くが、円月の拳打とノインツィヒの激しいラッシュの同時攻撃は捌き切れず、四本の拳と二本の爪が影朧の全身を貫いていく!
(いた、痛、痛っ! 俺にも当たってるんですが!)
 激しすぎてノインのパンチが円月にもちょっと当たっているが、円月は最後までクールキャラで通したかったので涼しい顔でやせ我慢した。味方も殴らないと寿命が減るユーベルコードなのでどうか広い心で許してあげて欲しい。
「ぐおおおおっ! お、の、れェええええええ!」
 ボウン! 突然、煙幕が発生した。濃い煙がホオルを覆い尽くし、猟兵達は影朧の姿を見失う。八代目芦屋道満は二人の猛攻に耐えかね、一旦身を隠したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルロット・シフファート


現れたわね…
なぜ私が無事かって?
そもそも死んでいないから?
いいえ…もっと根本的な原因があるはずよ
アンタが『八代目『芦屋・道満』』であるなら…こんなミスは起きなかった筈。なのになぜ起こったか?
猟兵が介入してもそれを察知して計画を変更することも出来たのに、何故猟兵の介入自体に気がつけなかったのか…

それは…アンタが『八代目『芦屋・道満』』であるという事そのモノが『嘘の記憶』であったということよ
『八代目『芦屋・道満』』等という影朧はどこにも存在しない

それが真実か【万仙陣】による存在しない記憶なのかはわからない
ただ、その指摘は影朧が転生するに十分であった…



●虚構と現実と
「現れたわね……なぜ私が無事かって? そもそも死んでいないから?」
 逃走した八代目・芦屋道満を発見したシャルロットは影朧と対峙しながら、髪を掻き上げた。ここは船の甲板。二人の他には誰もいない。
「ふふふ。そうであったな。シャルロット・シフファート」
 シャルロットの言葉に八代目芦屋・道満は笑う。シャルロットについては、元々八代目芦屋・道満は死亡を確認していない。ただ、刺客として式神を差し向けただけだ。その式神は明らかに記憶が改竄された状態で戻ってきたので、八代目・芦屋道満もシャルロットが死んでいないことは承知していた。
「式神呪詛が通じぬのならば、儂がこの手で殺してやろう。伏線回収を手伝ってやるぞ」
 呪符を構える邪悪なる陰陽師。シャルロットはチチチ、と指を振った。
「いいえ……もっと根本的な原因があるはずよ。アンタが『八代目『芦屋・道満』であるなら…こんなミスは起きなかった筈。なのになぜ起こったか?」
「ほう?」
 八代目芦屋・道満はシャルロットの不思議な物言いに耳を傾ける。この女は何を語ろうとしているのか……。
「猟兵が介入してもそれを察知して計画を変更することも出来たのに、何故猟兵の介入自体に気がつけなかったのか……それは…アンタが『八代目芦屋・道満』であるという事そのモノが『嘘の記憶』であったということよ」
 シャルロットは静かに語る。目の前にいる影朧は八代目・芦屋道満などではなく、別の何かなのだと。
(さて、この論法……通じるかしら?)
 シャルロットは嘘八百を語りながら、宝貝・『万仙陣』を敷いていた。世界を侵食する時空間と確率に干渉する幻術。これが通じれば、影朧の存在に致命的な綻びを与えることができるはずだ。
 実のところ、目の前にいる影朧がまごうこと無き『八代目・芦屋道満』であることはシャルロットも知っていた。この船に乗っている人物の中に、道満の縁者がいるからだ。だが、シャルロットの保有する宝具、万仙陣は敵に攻撃されたことにすら気付かせず、偽りの記憶を植え付けることを可能とする宝貝。この宝貝によるユーベルコードが通用すれば、影朧を納得させ、転生させることができるかもしれない。
「さあ、思い出してごらんなさい……。自分が本当は誰なのかを」

 その時、影朧の脳裏に存在しない記憶が流れ込んできた。
 通った覚えのない高校や、行く先々でトラブルに巻き込まれる日常。一年あたりの殺人事件の発生率が全国平均の数百倍にも達する平和な街での生活……。そんなハートフルな日常の記憶が八代目・芦屋道満の記憶を満たしていく。
 もしや、儂はあの日本有数の名探偵なのでは!?

「いいや、儂は八代目・芦屋道満じゃ! そこだけは譲れぬ!」
 ぱりぃん。ガラスが砕けるような音と共に、偽りの記憶が砕け散る。
「なんですって!?」
 シャルロットの立っている場所が、船ではないどこかへと変わっていく。

「おや、お嬢さん。またお会いしましたね。相変わらず素敵なニイソだ」
 気が付けば、シャルロットはいつぞやのバーの片隅で佇んでいた。穏やかな態度で話しかけてくるのは、あの時の絶対領域マニアと化した紳士……。
 それが、なんかいっぱいいる。バーテンダーも、他のテーブルの客も、あの変態紳士で埋めつくされていた。
「これは幻術……返し……!?」
 シャルロットは悪夢の迷宮空間から脱出する為、奔走することになるのであった……。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

支倉・錫華
セレーネさんと

セレーネさんはあったかかったけど、
ちょっとあぶなかったな。

せっかくだからわたしも、
「あなたを犯人です」と言っておこうか。

犯人は捕まえるものだけど、
今回は寒かったから、おしおきつきね。

【クィンクェ・ブレード】で壁に縫い付けたら、
とどめはセレーネさんがやる気だからお任せしよう

え? ぜんみさいる?

いやだから「なのです!」じゃなくて!?

アミシア、ミスランディアに連絡っ。
全生命反応にシールド!

わたしはセレーネさんを抱き抱えて庇うけど……

あれ?爆発がこない?
これ、敵のユーベルコード……?

まったく、今回は運良くミサイルが白昼夢になったけど、
沈没してたらどうするの。よくて2人ともおしおきだよ?


セレーネ・ジルコニウム
錫華さんと

「ふっふっふ。ついに尻尾を出しましたね、真犯人!
そのお尻から生えている尻尾がなによりの証拠!
この天才美少女艦長の私の推理の前では隠し事はできませんよ!」

びしぃっ、と真犯人を指差して問い詰めましょう。
さあ、行きますよ、錫華さん。
私設軍事組織ガルヴォルンとして、悪のオブリビオンの暗躍を許すわけにはいきません!

通信機を通して、機動戦艦ストライダーの制御AIに【機動戦艦全力攻撃】の指示を送ります。

「ミスランディア、オブリビオンを撃破するために全ミサイル発射です!」

ふふふ、遅刻したふりをしてストライダーでやってきたのも、すべてはこうしてオブリビオンに対抗するためなのです!(どやあ



●スケープゴート号、海に散る?
「ふっふっふ。ついに尻尾を出しましたね、真犯人! そのお尻から生えている尻尾がなによりの証拠! この天才美少女艦長の私の推理の前では隠し事はできませんよ!」
 セレーネはドヤ顔で八代目芦屋・道満に指を突き付けた。あと、さりげなく自分で美少女って言った。普段クルーにちやほやされているせいか、なかなかの面の顔の厚さである。そのぐらい図太くないと私設軍隊の大佐などやってられないのかもしれないが。
「セレーネさんはあったかかったけど、ちょっとあぶなかったな。こほん。それはさておき、せっかくだからわたしも言っておこうかな。『あなたを犯人です』」
 冤罪事件くさい決め台詞を言い放ち、錫華も影朧へと指を突き付ける。
「ふふ! 貴様らも生きておったか! 凍死したものと思っておったがな!」
 道満もいい加減この展開に慣れてきたのか、すぐに切り返した。

「さあ、行きますよ、錫華さん。私設軍事組織ガルヴォルンとして、悪のオブリビオンの暗躍を許すわけにはいきません!」
「犯人は捕まえるものだけど、今回は寒かったから、おしおき付きね」
 影朧は呪符でも取り出すつもりなのかごそごそと懐を漁っているが、そうはさせるか。先手必勝!
「斬り裂け……! 『クィンクェ・ブレード』!
 錫華は腕を高速で振るい、発生した真空の刃を道満へと叩きつけた。道満は式神を召喚し、真空波を相殺する。だが、一手遅い。錫華はすかさず本命の二刀小太刀を投げつけ、影朧を壁へと縫い留めた。
「くっ!」
 影朧はじたばたと藻掻くが、深々と壁に突き刺さった小太刀はそう簡単には抜けはしない。
「さあ、今だよセレーネさん!」
 とどめはやる気に満ち溢れた彼女にお任せしよう。一仕事終えた錫華がセレーネの方を振り返ると。
「ミスランディア、オブリビオンを撃破するために全ミサイル発射です!」
 セレーネは通信機を使い、今も洋上に待機している機動戦艦ストライダーのAIに攻撃指令を出していた!
「え? ぜんみさいる?」
 口をあんぐりと開ける錫華。
「ふふふ、遅刻したふりをしてストライダーでやってきたのも、すべてはこうしてオブリビオンに対抗するためなのです!」
 渾身のドヤ顔を披露する天才美少女艦長。
「いやだから『なのです』じゃなくて!?」
 ミサイルでの豪華客船への攻撃!? そんなことをしたら、道満だけでなく、猟兵や撮影スタッフも海の藻屑になってしまう。あと、この船の弁償にいくらかかるか分からない!

「アミシア、ミスランディアに連絡っ。全生命反応にシールド!」
「駄目です、間に合いません! ミサイル着弾まであと5秒! 口を半開きにして衝撃に備えて下さい!」
「あかーん!」 
 錫華はセレーネを抱き抱え、床に伏せた……。直後、激しい揺れが何度も船を襲い、スケープゴート号は爆炎に包まれ、影朧と猟兵を乗せて沈没したのであった。
                      
最終結果:失敗










「あれ?」
 そこで錫華は目を覚ました。
「どうした? 儂におしおきするのではなかったか?」
 影朧は口元に手を当ててカラカラと笑っていた。あれ。確か彼女は私が拘束したはずでは……。
「八卦迷宮陣! そなたはこの船が沈没する夢を見たのじゃ」
「幻術……。一杯食わされたか。セレーネさんが船を沈没させようとするなんて、ずいぶんリアルな夢を見せてくれるじゃない」
「フッ……。そこまでは現実じゃ。リアルにヤバそうだったので一度しか使えぬ緊急用の術式で急遽夢に書き換えたのじゃ」
「おい」
 錫華が隣のセレーネを見ると、彼女は「うーん……まさかクルーに内通者が……クーデターだなんて……そんな破廉恥な制服は認めません……」などと、うなされていた。彼女はまだ悪夢の中にいるらしい。
「くっ……八代目芦屋・道満! この勝負預けたよ!」
 このままでは不利と判断した錫華はいきなりマシンガンを抜いて天井へと発砲。シャンデリアを落として影朧を足止めし、セレーネを抱きかかえてその場から離脱した。

「まったく、今回は運良くミサイルが白昼夢になったけど、沈没してたらどうするの。よくて二人ともおしおきだよ?」
「はい、すみません……」
 セレーネは正座させられ、たっぷりと錫華の説教を受けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鍋島・小百合子
WIZ重視


部屋で息絶えたはずのわらわがなぜ生きておるのか驚いておるようじゃな
今から説いてやるとしんぜよう

「残念であったのう?とりっくというやつじゃ」
真犯人の元に姿を見せる前にUC「天騎要塞陣」発動にて召喚した浮遊城砦から天馬武者の軍団を出撃させ命令が出るまで船の周りで待機さす
何事もなかったかのような振る舞いで真犯人にわらわを害そうとした仕掛けを事前に侍女達から集めた情報と殺害現場周辺の状況とで併せて徹底的に問い詰めていく
嫌われ者から死にやすいとはよう言うたものじゃの?
これでも真犯人が逃げるつもりであれば船の周囲で待機させた天馬武者の軍団に攻撃命令を出し、魔槍の一斉投擲で串刺しにしてやろうぞ



●名探偵小百合子
「貴様は……性格の悪い我儘令嬢! そなたも生きておったか!」
 船の甲板で小百合子と出会った八代目芦屋・道満は瞠目した。
「部屋で息絶えたはずのわらわがなぜ生きておるのか驚いておるようじゃな。今から説いてやるとしんぜよう」
 小百合子は薙刀を構えると、自身が死ななかった絡繰りを再演すべく、己の体を貫いた。しかし、血は出ない。なぜならば、小百合子の胴はあの時と同じく、煙になっていたからだ。
「残念であったのう? とりっくというやつじゃ」
「くっ……そんなバカな……」
 一杯食わされたことを理解し、道満の顔が歪む。
「では、現場検証を始めるとしようぞ。そなたがわらわを殺した真犯人であったことを証明してくれる!」
 パチンと小百合子が指を鳴らすと、我儘令嬢に仕えていた幼き侍女たちが姿を現した。
「犯行に使われた矢には、真犯人のものと思しき指紋が残っていました」
「この指紋は、ホオルで採取した貴女の指紋と一致しました!」
「矢が放たれた時、そこには誰もいませんでしたが、これは式神を利用したトリックだと仮定すれば解決可能です」
「八代目芦屋・道満。その名を持つあなたが式神使いでないとは言わせません」
 侍女たちは撮影の合間を縫い、人海戦術で調べ上げた数多の物的証拠・状況証拠を基に芦屋・道満を追い詰めていく。

「見たか。犯人を追い詰める基本は突飛な発想の飛躍ではなく、綿密な現場検証。わらわの侍女たちが発見したこれら全ての事実がそなたが犯人であることを示しておる。わらわはお前を真犯人『鏖殺船長』として告発するぞ、八代目芦屋・道満! 言い逃れができるならしてみるが良い!」
 小百合子はビシリと道満へ指を突き付けた。
「ぐぐっ……! おのれ!」
 確たる証拠を突き付けられた道満は言葉に詰まり、甲板から逃走を図った。海に飛び込み、また行方を晦ますつもりなのだ!
「そうはさせぬぞ! 天馬武者たちよ!」
 だが、それも小百合子の予測の範囲内。小百合子がこの甲板で道満を待ち受けていたのは、天井がない場所が必要だったからだ。
「射撃用意! 撃てッ!」
 小百合子の号令に応え、船の上空で待機させていた浮遊城塞から数多の天馬武者たちが姿を現した。武者たちは影朧を串刺しにせんと槍を一斉に投擲する!
「おのれえええええっ!」
 雨あられと降り注ぐ槍に貫かれ、道満の全身が血に染まっていく。小百合子は口に扇子を当て、高笑いをした。
「嫌われ者から死にやすいとはよう言うたものじゃの?」
「フ……よう言うわ。この狸が……」
 映画では悪役だったが、これだけの手勢を率いる小百合子は紛れもなく名将の器だ。道満は呪詛を吐き、溶けるように姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴木・レミ
◎【文月・統哉(f08510)】と参加

やっと解決編
それじゃ統哉さんを転がして(!)おいて
私は犯人を追い詰めるとするっすかね

犯人と相対したら雰囲気作ってからゆっくりと告げる

ふ、私ことレミちゃんを侮ってもらっては困るっす
この程度の罠など見抜けなくて作家が務まるかー!!
さっき罠になってた箱の裏にあった名前(八代目芦屋道満)を見逃すほど
レミちゃんは甘くないっすよ!
(さりげなく箱投げ八つ当たりアタック)

くっ、逃げた!
統哉さん、そろそろ本番っすよ起きろ起きて!

統哉さんが追い詰めたら
後ろからこっそり【強制改心刀】でばさーっと邪念だけ

転生もいいもんだと思うっすよ
今度は迷惑なしのイベントとかで会いたいっすね


文月・統哉
◎【鈴木レミ(f22429)】と

いよいよ解決編
本業猟奇探偵の腕の見せ所だぜ♪

序盤は死んだフリ
目を閉じUCで推理力UP
レミの合図で覚醒するぜ

道満をわざと逃がし後を追い
逃走経路を分析
不自然に避ける場所見切り
レミと連携
逆にそこへ追い詰める

どうしてその階段を通らないんですか?
いや、通れないんですよね
そこにはまだ未発動の罠があるから
でもそれを知るのは罠を仕掛けた鏖殺船長のみ
気付きましたか?
そう、この逃走劇もまた罠なんです
改めて言いましょう
犯人は貴女だ、八代目芦屋道満!

探偵らしくビシッと指摘
転生促す

満足したかいミステリ好きの影朧さん
転生後は小説家を目指すなんてのもどう?
その時は是非我が出版社に!なんてね♪



●蘇る探偵
「こやつは……」
 激しく傷ついた体を引きずり、休憩室にしばらく身を隠そうとしていた道満は、口から赤い液体を垂れ流して倒れている統哉を発見した。どうやら、自身が殺した役者の殺人現場に来てしまったらしい。
「見つけましたよ、鏖殺船長! 統哉さんの仇!」
「ふ。この男の飼い犬か。そういえばそなたは死んでいなかったのう」
 道満を追ってやってきたのは統哉に軟禁されていた作家のレミだった。
 道満の記憶が正しければ、彼女は式神の呪詛から息を吹き返し、フグの毒に当たって死んだ統哉にすがりついて泣いていたはずだ。
「ふ、私ことレミちゃんを侮ってもらっては困るっす。この程度の罠など見抜けなくて作家が務まるかー!!」
 実際にはしっかり罠を喰らったけど、猟兵で頑丈だったから効かなかっただけなのだが、レミの中ではしっかり罠を見抜いたことになっていたようだ。
 たぶん、「あの描写は語り手の主観が混ざった光景だったんす」、とか言っとけば映画版ではそういう感じに改変しておいてもらえるという算段だろう。んなアホな。
「フン! 鏖殺船長だと? 儂はそんなやつは知らん。初対面じゃ」
 推理ものの様式美として、犯行をすっとぼける道満。すでに殺し合いが始まってはいるが、猟兵が推理劇でこちらに挑んでくるのなら、受けて立つ。それが鏖殺船長・八代目芦屋・道満の誇りであった。
「鏖殺船長、いえ、八代目芦屋・道満! さっき罠になってた箱の裏にあった名前を見逃すほどレミちゃんは甘くないっすよ!」
 レミは呪詛が入っていた箱を力いっぱい道満へと投げつけた。八つ当たり箱投げアタックである。
「チッ! 呪詛返しか!」
 失敗した呪術は呪詛師に返る。道満は投げつけられた空箱を全力で回避した。ミステリィ作家であるレミは呪詛返しが成立する事を知っていて、道満へと空箱を投げつけたに違いない(語り手の主観)。
「くっ、逃げた! 統哉さん、そろそろ本番っすよ起きろ起きて!」
 レミは今も倒れたままの統哉の脇腹に蹴りを入れた。
「いよいよ解決編。本業猟奇探偵の腕の見せ所だぜ♪」
 脇腹をさすりながら、むくりと起き上がる統哉。
 統哉は今、レミの担当編集という偽りの役職を脱ぎ捨て、本職の猟奇探偵へと戻った。死んだふりをしていた間ずっと目を閉じていたので、『猫と推理と着ぐるみと』(ナゾハスベテトケタ)の効果で彼の頭脳は冴えまくりだ!
「二人目……! ここは一旦仕切り直させてもらうぞ!」
 猟兵達との連戦で少なくない傷を負い、ユーベルコードの連発で体力も減ってきている今、二対一は苦しい。道満は廊下へと身を躍らせ、逃走した。
「逃がすものか! あいつが逃げたのはこっちだ!」
 猟奇探偵は影朧の逃走経路を的確に推理・分析し、レミと協力して影朧を袋小路へと追い込んでいった。

「くっ。ここは通れんの」
 道満は階段を通るのは避け、客室へと逃げ込もうとした。
「どうしてその階段を通らないんですか?」
「チッ! もう追ってきおったか」
「いや、通れないんですよね。そこにはまだ未発動の罠があるから。でもそれを知るのは罠を仕掛けた鏖殺船長のみ」
 統哉の言葉に、道満は目を見開く。
「気付きましたか? そう、この逃走劇もまた罠なんです。改めて言いましょう。犯人は貴女だ、八代目芦屋道満!」
「むむむ……!」
 苦しい状況に追い込まれた道満は、言葉に詰まる。
「今っす!」
 統哉が注意を引いている隙に背後に回り込んだレミは、後ろから『強制改心刀』で道満をバッサリと斬った。たちまち、道満の中の邪心――日陰者の陰陽師とは違い、脚光を浴びる役者たちへの妬みが薄れていく!
「ぐうううう! 儂は……」
「転生しなよ。いつまでも恨みの念に囚われてちゃいけない。転生後は小説家を目指すなんてのもどう? その時は是非我が出版社に! なんてね♪」
「転生もいいもんだと思うっすよ。今度は迷惑なしのイベントとかで会いたいっすね」
 統哉とレミは、自主ならぬ転生を促した。幸い、この船のスタッフには桜の精もいる。彼女がそれを望むのならば、転生も可能だ。
「フフ、フハハハ! 考えておこう!」
 道満は高笑いすると、ドロンと姿を消した。

「まだ、最後の心残りがあるみたいですね。……宿縁を断ち切りに行きましたか」
 推理力アップ中の統哉は、道満の行く末を案じ、カメラ目線で遠い目をした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
《華組》



船倉で待つ
来るよ…宿縁を感じるのさ

死体なまま足首を掴みましょ
回しているカメラを目で示すよ
楽しもうや

迷宮陣で見るはシホを失う恐怖
憑依から伝わるシホの息吹を導に白昼夢を知覚するよ
真の姿で稲荷巫女になり真威解放で迷宮陣を上書きしてやる

更に霊装効果で翼を生やしバーニング退魔剣士・燦―降臨!
名乗って決着の術比べを申し込むぜ

稲荷符から狐火を放つ
剣で来たら二刀流で受けて立つ

最大の差はアタシにはシホがいること
愛(と若干の煩悩)のパワーで限界突破し聖属性攻撃の衝撃波をぶっ放ーす!
狐耳の奥が熱いぜ

術比べに満足してもらえたら僥倖
異名は預かるんで転生して取返しに来な
腕を磨いて待ってるぜ

そして二人の旅は続く


シホ・エーデルワイス
《華組》

燦の援護最優先


映画上の筋書き

心中を試みたシホ
けど
死に瀕して秘められた天使の血が覚醒し燦を癒す

この力なら…燦を助けられそう



燦に【霊装】で憑依し翼は出さず気配を消して目立たず待つ

燦が白昼夢を見たら呪詛と狂気耐性のオーラで結界を展開し防御しつつ
手をつなぐ感じで抱擁し慰め落ち着かせる

大丈夫
燦が私を必要とする限り
私は貴女と共に居られます


迷宮を抜けて道満さんに逢えたら映画の観客向けに解説

冷静に考えれば大将クラスの高級将校が単身で動くはずがありません
貴女は大将閣下の依頼で私達を暗殺に来たといった所かしら?

絵的には燦の守護天使の様な感じで
燦が全力を出せるように鼓舞

燦!勝てたら何でも一つ願いを聞きます



●八代目芦屋・道満の最期
 船倉にて。
 式神大将ザンギャパスの牙に斃れた燦と、愛する人を喪い、絶望の余り自ら服毒したシホの遺体は今も横たわったままだった……。
 激しく傷ついた八代目・芦屋道満は逃げ場所を探し、この船倉まで来ていた。

 突然、シホの遺体が発光し始めた。純白の光に包まれたシホの遺体――否、息を吹き返したシホの背から白翼が生え、体が浮き上がった。死に瀕し、秘められた天使の血が覚醒したのだ。
「この力なら……燦を助けられそう」
 立ち上がったシホは燦の頬をそっと撫でた。
「この身は剣、この身は鎧、この身は翼、あなたに祝福を」
 シホの体が薄くなり、燦と重なっていく。燦の体は淡く発光し、活力が戻っていく。

「来るよ……宿縁を感じるのさ」
 カメラが燦の亡骸をアップで映し出す。その時、死体だったはずの燦の目がかっと開かれ、狐耳がピコピコ動いた。

「……陰陽師の気配を感じたが……気のせいか」
 消滅寸前の肉体を引きずり、船倉へとやってきた八代目芦屋・道満は呟いた。彼女が二人の生存に気付かないのは、燦の式神が二人の気配を隠しているからだ。
 影朧はこつん、とつま先で燦の頭をつついてみる。
「……やはり死んでおるか。こやつも狐耳……儂と同じ妖狐だったようじゃが、もはや言葉を交わすことは叶わぬな」
「そうでもないぜ」
「!?」
 その時、燦はがしっと八代目芦屋・道満の足首を掴んだ。そして、船倉の隅に設置された八ミリカメラを目で示す。
「楽しもうや」
『霊装』と化したシホを内に宿した燦は立ち上がり、八代目芦屋・道満と対峙した。シホは目立たぬよう、気配を極力殺している。
「おのれ、死にぞこないめ! ならば儂の手であの世に送ってやろう! 我が秘術、破れるか!」
 道満が空間に描いた五芒星から、赤い閃光が迸る。そして、世界が暗転した。


「ここは……」
 気が付くと、燦は一人荒涼とした大地に立っていた。見上げた空は昏く、太陽が無い。
「ダークセイヴァー?」
「然り」
 声がした方を振り向くと、そこにはかつてシホと共に倒したはずの暗黒騎士が立っていた。その腕には、意識を失い、ぐったりとしたシホが抱かれている。
「これが貴様の希望だろう?」
 暗黒騎士はシホの細い首へと、手にした槍を向ける。
「やめ――」
 ビシャッ。
 鮮血が、燦の顔を染めた。
「希望など、やはり儚きもの。絶望に抱かれて眠るがいい」
 暗黒騎士は小さくなったシホを燦の元へと放り投げ、冷酷に告げた。
「う、うわああああああああっ!!」


「あ……」
 突然シホのいない世界へと突き落とされた燦は放心していた。無防備な燦に対し、暗黒騎士は槍を構える。
「大丈夫……」
 それは、聞き間違えるはずもない声。誰かが優しく燦の手を握った。
「燦が私を必要とする限り私は貴女と共に居られます」
 優しい声と共に暖かなオーラに包まれ、燦は自分を取り戻す。燦が狐火を放つと、暗黒騎士の姿は一撃で消し飛んだ。騎士は幻だったのだ。
「やってくれたな、八代目芦屋道満! よりにもよってシホを殺す幻覚を見せやがるとはな! 危うく飲まれる所だった!」
 怒りと共に燦の全身が眩く輝き、稲荷巫女へと変身を遂げた。
「こんな悪趣味な結界、アタシの術でぶち壊してやる! 符術の極意とくと見よ! 御狐・燦が願い奉る。ここに稲荷神の園を顕現させ給え!」
 燦は霊符を豪雨の如くばら撒いた。ビシリ、ビシリ、と空間に亀裂が入り、世界に神聖な気が溢れ出す!
「『真威解放・四王稲荷符【陽】』(フォーチュンフィールド)!」
 バリィン!
 ガラスの砕けるような音と共に、燦とシホは、現実空間へと帰還した!
「何ィぃいいいいいッ!? 儂の八卦迷宮陣を術で破ったじゃと!?」
「アタシとシホの愛に不可能は無いのさ!」
「終わりです。八代目芦屋・道満。冷静に考えれば大将クラスの高級将校が単身で動くはずがありません。貴女は大将閣下の依頼で私達を暗殺に来たといった所かしら?」
 胸を張る燦の隣で、シホは冷静に映画の視聴者向けの解説を入れた。
 燦は道満に聖なる力を纏った退魔刀を向け、堂々と告げる!
「バーニング退魔剣士・燦―降臨! 八代目芦屋道満! お前に術比べを申し込む!」
「ふふふ、ふははは……! 受けよう! 我が名は八代目芦屋・道満ッ! 道摩法師の血を受け継ぎし、大陰陽師也ッ!」
 互いに名を名乗り、二人の陰陽師が激突する。いよいよ豪華客船スケープゴート号を巡る戦いの最終局面だ。

 道満は呪符をばら撒き、燦を串刺しにせんと氷柱の雨を降らせた。
 燦は空間に満ちた稲荷符から狐火を放ち、その全てを迎撃。さらに氷柱を貫いた狐火が道満の装束を焦がした!
「くっ、おのれ!」
 道満が陰陽の双剣を抜くと、燦も妖精の剣と雷神の刀を抜いた。二人は自在に空中を飛び回りながら、結界空間内で激しく鍔競り合う!
「燦! 勝てたら何でも一つ願いを聞きます」
「マジで!? この勝負、絶対に負けられない!」
 シホの囁きを聞き、燦の腕に愛の力(?)が漲る。力強い一閃に道満は体ごと弾き飛ばされ、片膝をついた。
「ぐうっ……! なぜ儂が押し負ける!?」
「お前とアタシの最大の差はアタシにはシホがいること! これが愛の力だああああああ!」
 狐耳の奥が熱くなるのを感じながら、燦は渾身の力で『神鳴』を振るった。その手には、燦の守護天使になったシホの手が優しく添えられている。
 ザンッ!
 二人の放った聖なる衝撃波は、道満の体の中心を通り抜けていた。
「異名は預かるんで転生して取返しに来な。腕を磨いて待ってるぜ」
「良かろう……再び相見まえた時はこうは行かんぞ、『九代目芦屋・道満』……!」
 どこからともなく巻き起こった桜吹雪が八代目芦屋・道満を包み――影朧は満足そうな笑みを浮かべたまま、虚空に溶けていった。

 かくして、八代目・芦屋道満は転生し、スケープ・ゴート号を舞台とした連続殺人事件は犠牲者を出さぬまま、幕を閉じた。惨劇の予知は覆されたのだ。
 そして、今回収録された猟兵達の映像は編集を経た後に『水平線上のマアダアミステリイ』と銘打たれ、影朧救済機関の宣伝用資料として世に出ることとなるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月26日
宿敵 『八代目『芦屋・道満』』 を撃破!


挿絵イラスト