猟書家~ちゃん様がお花見といったらお花見
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エルフたちが部外者の侵入をやんわりと断ろうとしたところ。
「お花見用の桜がないってどういうことなのじゃ!」
ベルちゃん様はそうおっしゃられた。
お花見目当ての御一行、我侭王女『ベルベット』と『にゃんこ魔道師』。
「桜がなければ森を焼けばいいじゃない! ワンコが鳴いて灰を撒けば枯れ木に花が咲くのじゃ! 昔読んだ絵本にそう書いてあったし! ベルちゃん様命令! 行くのじゃワンコたち!」
猫です。
「ワンコたち!」
にゃ、にゃーん。
「ワンコにならないと桜と一緒に焼くわよ!」
わ、わかりましたわん。
にゃんこたちは、力なく『わん』と鳴きながら武器を構える。仕方ないのでエルフたちも迎撃のために武器を取る。
桜も犬もない!
緑ばかりの森に、エルフとにゃんこたちの心の叫びが虚しく木霊した――。
●
「桜が無くてもお花見し放題。そう、この『どこでもお花見製造機』ならね」
フェアリーのグリモア傭兵ネミ・ミミーニーズ(f00595)お手製の謎ガジェットはひとまず無視して、猟書家事件のお話を進めよう。
様々な世界に侵攻する『猟書家』たち。
アックス&ウィザーズにて、幹部の1人『チーフメイド・アレキサンドライト』は討たれた。
しかし猟書家はエルフの森侵略を諦めたわけではない。
「そんなわけで新たな脅威がエルフの森に迫っているわけですが――」
ネミは、一応資料を広げる。
敵の計画はアレキサンドライトが先導していた時と同様。エルフの森を焼き『世界樹イルミンスール』から株分けされた『聖なる木』を探すということに変わりはない。
「新しくやってきたベルベットお姫様はお花見がしたいらしくて……。でもお花見が出来ないので森を焼きます」
敵の目的と行動は何であれ、猟兵たちの仕事は変わりない。
「先陣を切って攻め込んできてるのは『にゃんこ魔道師』たちね。諸事情により犬の真似をしていますワン」
このにゃんこたちは、ベルベット王女の命令により犬の真似をしながらエルフの森に火を放とうとしている。
にゃんこたちは森を狙うより、犬の真似をする方を優先するらしい。なんでって言われましても変な全裸天使よりベルちゃん様の方がエライしカワイイのでそういうもんなんです。
にゃんこたちを退けたなら、ベルちゃん様こと『我侭王女『ベルベット』』がやってくる。お花見装備で。
「なんかわがままな女の子らしいです。具体的には猟書家の作戦よりお花見優先。まあ花のない森に来てしまったのでこのままだとお花見出来ずに森を滅ぼすわけですが」
ベルベットはお花見が出来ない腹いせで、森を焼いているだけらしい。お花見させてあげれば、満足してなんとかなるかもしれない。満足させるためには、この森にない桜の花の用意が必要ではあるのだが――。
「だいたいそんなところかしら? あ、森にはエルフの人たちがいるのでいろいろ頼めるわ。弓や魔法での援護攻撃から軽食の準備まで」
謎のガジェットから桜の花を撒き散らしつつ、ネミは猟兵たちを送り出した。
背腹かえる
プレイングボーナス(全章共通)……エルフ達と協力し、共に戦う。
●ご挨拶
背腹かえるです、よろしくお願いします。
これは幹部シナリオです。このシナリオは2フラグメントで完結し、「猟書家の侵略」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
アックス&ウィザーズ猟書家戦。フラグメントは集団戦、ボス戦。
第1章、集団戦『にゃんこ魔道師』。
魔法を扱うにゃんこです。
諸事情によりわんと鳴きます。
第2章、ボス戦『我侭王女『ベルベット』』。
チーフメイド・アレキサンドライトの作戦を引き継いだお姫様です。
我侭な女の子で今回はお花見がしたいらしいです。
1章、2章共に森を守るエルフの弓兵隊に協力を要請できます。
エルフと協力できると今後の展開に影響があるかもしれないらしいです。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『にゃんこ魔道師』
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POW : 消失魔法~インヴィジブル~
自身と自身の装備、【幻蝶の群れが包み込む魔法攻撃を受けた】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD : 混乱魔法~パニック・パウダー~
【幻覚を見せ互いを攻撃させる幻蝶の鱗粉】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 相殺魔法~キャンセル・コード~
対象のユーベルコードに対し【反属性の盾となる幻蝶の群れ】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「犬! 犬ってどうすればいいにゃわん!」
にゃんこ魔道師はわんわん喚いていた。
そして、それを迎え撃つエルフたちも困惑していた。何しろ、二足歩行できるはずの猫が4つ足でわんわん言っているのである。
試しに矢を射かけてみたところ、口でキャッチされた上に丁寧に射手の元に矢を返された。あの猫はなかなか利口な犬に違いない。
……、戦線は完全に膠着している。こちらからの攻め手は決め手にならず。敵はというと、火を放とうとすればいつでも出来そうなものだが……。とにかく膠着していた。
というか、幻覚の魔法使えるならそれで犬になればいいんじゃないの?
「ダメにゃ! あ、ダメわん! そーいういい加減な仕事じゃベルちゃん様に怒られるわん!」
語尾に『わん』つけてるだけみたいですけどそういうのはいいんですか?
「にゃわ~ん……」
……、……。
先ほどから、完全に膠着してしまっている。
誰でもいいから早く助けてくれ――ッ!
鏑木・桜子
わんわん鳴くにゃんこ…?ちょっと可愛いですけど…悪さはいけません!本当のわんこ系キマイラの力を見せて差し上げます!
とはいえ消える魔法が厄介ですね…。
でもこのにゃんこたち…動くものに咄嗟に反応しちゃうんじゃないでしょうか?
エルフさん達に頼んで取り敢えず弓矢による斉射で援護してもらいましょう。
飽和射撃で炙り出せるならよし身体が反応して透明魔法を解除してしまったなら尚良しです。
ここから先はわたしのブシドーです。
わんこ?なにゃんこ…さん達を剣刃一閃の居合斬りで懲らしめてあげます!
「わんわん鳴くにゃんこ……?」
鏑木・桜子(キマイラの力持ち・f33029)は、首をかしげる。
にゃんとわんの入り混じった鳴き声を響かせながら、にゃんこたちがエルフたちと言い争っている。
かわいい。自分も一緒に遊んだりしても大丈夫そうなゆるふわ具合である。
「ちょっと可愛いですけど……悪さはいけません! 本当のわんこ系キマイラの力を見せて差し上げます!」
猟兵として、そして本当のわんことして。にゃんこたちと戦う決意を固める桜子。そのの頭で、狼の耳がピコピコ揺れていた。
「とはいえ――」
「にゃ、猟兵にゃ! 違ったワン! 猟兵ワン!」
猟兵の接近に気付き、にゃんこたちに緊張が走る。ゆるゆるだった空気を一旦引き締めて、魔法の蝶で姿を消す。
「――消える魔法が厄介ですね……」
蝶の群れが飛んでいるため、にゃんこたちのおおよその位置は見当がつく。とはいえ、姿の見えない相手に接近戦を挑むのは危険。
桜子は消えたにゃんこへの対策を考える。
にゃんこたちはわんこで……、姿を消して……。
でもこのにゃんこたち……動くものに咄嗟に反応しちゃうんじゃないでしょうか?
エルフたちとのやり取りを見る限り、にゃんこたちは何かを飛ばせばキャッチしに来てしまうはず……。
そうと決まれば話は早い。
桜子の要請を受け、後方からエルフたちが一斉に矢を放つ。
その矢に向かって、にゃんこが飛んだ。条件反射で魔法の蝶の間合いから飛び出してしまった。桜子やエルフたちの目には、飛び出してきたにゃんこの姿がはっきりと映った。
にゃんこは空中で矢をキャッチし、桜子の前に着地する。誇らしげな顔で、口に咥えた矢を差し出す。
「にゃ! ……ハッ! ワン!」
「いい子ですね。……でも!」
【剣刃一閃】。大きなサムライブレイドが軽やかに舞う。
「わ、わにゃーん!?」
居合の直撃を受けたにゃんこが光となって、消える。
「わふ!? 見えちゃってるにゃ!? また隠れるにゃ!?」
1匹やられてしまったところで。残りのにゃんこたちが慌てて魔法の蝶の元へと引き返し。その姿が再び見えなくなるが――。
「消えたけど……、見えていますよ?」
よほど慌てているのか、先ほど受け止めて咥えたままの矢が見えてしまっている。姿は消えているのに、その動きは一目瞭然だ。
四つ足で突撃してくるにゃんこに合わせ、桜子はサムライブレイドを低く構える。
「わんこ? なにゃんこ……さん達を剣刃一閃の居合斬りで懲らしめてあげます!」
ブシドーの精神が、わんこなにゃんこを薙ぎ払う!
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレイング、汝が為したいように為すがよい。
ふんふんふーん♪と鼻唄混じりに夜桜の広がる領域を展開する。
ま、透明になったところで私の領域内なら場所は丸裸よ♪
隠れたつもりになってるわんにゃんこ達を一匹づつ結界術で異界に連れ込んで化術肉体改造で私の好みの姿に変えて、じっくりことこと料理して美味しく捕食するわよ♡
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)が、エルフの森に踏み込んだ時。
周囲の景色は一転した。暖かい春の陽気に包まれた森から、月明かりに照らされた夜桜へ。
アリスのユーベルコード、【不可思議なる真なる『夜』の領域】の影響だ。妖しく広がる香りとメロディーにはどれだけの危険が潜んでいることか――。
「急に何が起こったにゃわん!?」
「よくわからないにゃ!? とにかく隠れてやり過ごすにゃわん!?」
にゃんこたちは幻覚で姿を消す。だがアリスの『領域』にいる限り、アリスの理の中にいる限り、些細な誤魔化しなど通用しない。にゃんこたちが透明なことを逆に利用し、1匹ずつアリスの領域に引きずり込む。
「わたしの領域の中なら居場所も考えていることも丸裸よ♪」
そして、本当の“理”に捕らえるための罠をにゃんこに突きつける。
「あなた、わんこになりたいのよね?」
どこからとなく聞こえてくる妖しい質問。
「わんこになるにゃわん!」
にゃんこは素直に答えてしまう。
「正直者のあなたには、立派なわんこになれる首輪をあげるわね♡」
「にゃわーん♪」
アリスからの首輪を受け取ってしまったにゃんこが、別の姿へと変化してゆく。にゃんこは変化した自分の姿を見て、疑問を浮かべる。
「にゃ? これ犬にゃ?」
動物的な意味で?
「犬よ」
専門用語で。
1匹目の犠牲者が『犬』になってしまった。残りのにゃんこたちに緊張が走る。
「妖しい質問が来てもゼッタイに答えてはいけないにゃ!?」
あの攻撃を防ぐには、攻撃者の質問に答えなければいいはずだ。そう考えにゃんこたちは身構える。
「さ、次にわたしのわんこになりたい子は誰かしら?」
「ノーわんこにゃ! 自分は聖なる木を探しに来ただけにゃ!」
すっかり忘れてたけど犬になるより大事な任務があった。この質問をやり過ごして早く本来の目的を――。
「なるほど立派な聖なる木をお探しで」
迂闊なことを口走ったにゃんこが、『立派な聖なる木の似合う姿』に変わってしまう。
「お花見にゃ! お花見しにきたにゃ!!」
「なるほどお花が見たいのね。それじゃあ1名様ご案内よ♪」
お花見ってそういう――。
「変な意味じゃないのにゃ! 春なのにゃ!」
「もちろん春よ♡」
まんまダメです。
「にゃーん!?」
「にゃーん♡」
にゃんにゃんがにゃんにゃんされちゃう!
質問に答えてしまう限り、どう答えてもエゲツないかろくでもないかいやらしい目に遭うのだが。
にゃんこたちは、アリスのルールの中で真面目にじっくりことこと美味しくいただかれてしまったという――。
大成功
🔵🔵🔵
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK
えー、ねこ?いぬ?
……んー、犬っぽい怪物とかになら変身させられるけど、要る?
要るようだったら、【化変妖血】で猫たちを犬っぽい怪物に変異させるよ。
クー・シーとかブラックドッグとかそのへん。
後は、吠え方も教えようか?
犬の遠吠えは魔除けの力があるから、たまに戦いに使うんで教えられるけど。
……で、戦う?
やるならまあ、自分の体も【化変妖血】で強化して古竜の戦斧で戦おうか。
古竜の戦斧ならあたしのユーベルコードの強化も弱体化できるしね。
幻蝶は斧を振り回して衝撃波でなぎ払おうか。
衝撃波はユーベルコード関係ないか相殺もされないし。
エルフの人たちには倒しきれなかった蝶を矢で撃ち落としてもらおう。
「えー、ねこ? いぬ?」
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は、犬の真似をするにゃんこたちを見て疑問を口にする。
にゃんこたちの努力は微笑ましい。その可愛さなら一定の支持も得られるだろう。でも、それは決して犬ではない。
「えー、ねこ? いぬ?」
改めてにゃんこたちに疑問をぶつける。
「犬にゃわん!」
「どう見てもねこだよ?」
「心は犬にゃわん!」
精いっぱい考えた犬っぽい動作でアピールするにゃんこたち。
「……んー」
心意気は立派。でもやっていることは語尾に『わん』とつけたくらい。どうにも犬っぽくない。
そこで、ペトニアロトゥシカはにゃんこたちに提案する。
「犬っぽい怪物とかになら変身させられるけど、要る?」
「変身、にゃわん……?」
にゃんこたちが顔を見合わせる。
「罠かにゃ?」
集まったにゃんこたちは猟兵の姿をチラっと見て、またにゃんこの輪に戻る。
「あれ何の動物にゃ? 信じて平気にゃ?」
「大丈夫にゃ、あれは嘘をつかない目にゃ」
左右で色の違うペトニアロトゥシカの目を見て、信頼に値すると判断したらしい。しばらくひそひそと相談した後、にゃんこたちは元気に答えた。
「犬に変身するにゃわん!」
「うん。それじゃあ力をあげるよ」
ペトニアロトゥシカがにゃんこたちに血を振りまく。【化変妖血】の影響で、にゃんこの姿がみるみる変化してゆく。
にゃんこは緑の毛並みの犬に、あるいは黒い毛並みに。どのにゃんこだったものも、かなりの大型の犬の怪異へと変化した。
姿こそ完璧な犬になったにゃんこたち。しかし不慣れな4つ足の身体でうろうろしつつ、にゃ~という情けない声をあげている。
「後は、吠え方も教えようか?」
「ぅにゃ~」
「そうじゃなくて、お腹のそこから――」
ペトニアロトゥシカによる遠吠え講座。戦いのに利用可能な魔除けの遠吠えが、エルフの森に木霊する。
1時間程度の魔犬講座が終わる頃には、にゃんこたちは皆立派な犬になっていた。
「ゥゥゥゥ……、ワオーーーン!」
魔力を乗せた遠吠えが、エルフの森に響く。
あとで聞いたところによると。にゃんこだったものたちの遠吠えは、森の隅々まで響き渡り。はるか遠くのエルフの村を震え上がらせていたという。
「……で、戦う?」
一応聞いてみるペトニアロトゥシカ。
「ベルちゃん様ー。犬になったにゃ! 本物の犬にゃー」
犬になったにゃんこたちがどこかに走り去ってゆく。戦闘は――、なさそうだ。
「……んー」
まだ油断すると猫に戻ってしまうにゃんこたちの後ろ姿を見送るペトニアロトゥシカ。
ユーベルコードの効果時間も気になるところだが……。細かいところはまた後で考えればいいかな?
大成功
🔵🔵🔵
クロエ・アスティン
まったく!なんてわがままなお姫様でありますか!
こんなにかわいいニャンコをワンって鳴かせるなんて!
とは言え、かわいくてもオブリビオンであります。きちんと退治するでありますよ!
エルフの皆様にも弓矢で援護射撃をしてもらいなら、自分は【戦乙女の鎧】を纏って突撃するであります!
鎧に込められた「破魔」の力と「毒耐性」で鱗粉の効果をカットして戦槌を振り回してにゃんこ達とふっとばしていくであります!
※アドリブや連携も大歓迎
「まったく! なんてわがままなお姫様でありますか!」
クロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)は、怒りに燃えていた。
「こんなにかわいいニャンコをワンって鳴かせるなんて!」
「にゃんこじゃないにゃ! 犬にゃわん!」
にゃんこたちは犬であることを必死でアピールする。
主人の命令に忠実ながら、まったく犬になりきれていないにゃんこたちの努力が痛々しい。
だが、目の前にいるのはかわいいにゃんこだとしても、ボスの命令に踊らされているだけとしても。相手はオブリビオン。
「きちんと退治するでありますよ!」
戦槌を握る手に力がこもり、クロエは使命に燃える。
「戦女神様、自分に力をお貸しください!」
クロエは祈りを捧げ、【戦乙女の鎧】の力を解放する。輝きの中から、人体の急所のみを覆う軽装の鎧が現れる。聖鎧を纏ったクロエが先陣となり、エルフたちの弓の斉射を背負って突撃する。
「負けないにゃわん! にゃわーん!」
にゃんこの遠吠えと共に、不思議な光を纏う蝶が散開する。まずは両陣営の遠距離攻撃、エルフの放った矢とにゃんこの幻蝶が空中で交わる。
敵に向かって飛んでいたはずの矢が急に方向を変え、クロエやエルフたちに襲い掛かる。それを見たエルフたちの隊列が乱れ、攻撃は中断されてしまう。守りが崩れたところに、巨大な犬の魔獣が――。
「皆様、惑わされないでください!」
クロエの鎧から破魔の輝きが放たれる。眩い光がエルフの森を照らすと、エルフの矢を拾って投げ返しているにゃんこたちの姿がはっきりと見えてしまう。
「にゃ!? わ、悪いわんこじゃ――みゃ!?」
何とか誤魔化そうとしたにゃんこに、クロエの戦槌による神罰が下る。
「怪しい術とかわいさで人々を惑わすニャンコは許しません!」
「にゃんこ違うにゃ! 犬にゃわ――」
「嘘つきも許しません!」
戦槌のフルスイング! にゃんこが森の外まで飛んで吹っ飛んだ。
「ま、不味いにゃ!? 逃げるにゃ!」
「逃がしませんよ!」
逃げようとしたにゃんこの尻尾が、エルフの鋭い矢で地面に縫い付けられる。動けなくなったにゃんこが、カサカサとその場で懸命に草を蹴る。
「にゃ!? 縦はダメにゃ!? みゃー!?」
轟音と共に地面が陥没し。ペラペラにゃんこの出来上がりである。
「さあ! 邪悪な姫から聖なる森を守るのであります!」
戦槌の戦乙女に続き、エルフたちが鬨の声を上げる。
聖戦の熱気が、エルフの森からオブリビオンを駆逐していった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『我侭王女『ベルベット』』
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POW : ベルちゃん様コレクション
いま戦っている対象に有効な【非常に珍しいマジックアイテム】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD : ベルちゃん様は魔法も凄い!
【無詠唱で何もない空間】から【膨大な魔力の込められた魔弾】を放ち、【与えたダメージ】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : みんなの魔力はベルちゃん様のもの♪
戦闘力のない【ベルベットに囚われた祖国の亡霊達】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【消耗した魔力を亡霊達から吸い上げること】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ティエル・ティエリエル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「何してるのじゃおまえたちー!!」
お花見用のお菓子が入ったバスケットが、地面に叩きつけられた。
「犬にはなれたと」
こくこく。
「桜は?」
ふるふるふる……。
「お花見の準備は?」
ふるふるふる……。
森から逃げ帰ってきたにゃんこたちの報告を聞いて、我侭王女『ベルベット』は叫んだ。
「何で言う通りに出来ないんじゃ! 絵本に書いてあったことじゃぞ! 子供でも出来ることじゃ!」
ベルちゃん様は自分の理論を振りかざして、にゃんこたちを叱りつける。
その様子を、ベルちゃん様直属の黒猫が涼しい顔で眺めている。
「ええい仕方ない。このベルちゃん様が直々に、あの飾り気のない森をお花見日和にしてやるのじゃ」
腕組みをして鼻を鳴らす。使い魔の黒猫が、ベルちゃん様の肩に飛び乗る。
……そして、そのまま。誰も動かず、沈黙が流れる。
「何をしておる! ベルちゃん様の出陣じゃぞ! 盛大に祝うのじゃ!」
思い出したように、にゃんこたちは紙吹雪とハンドベルで偉大なる王女の出陣を祝福する。
そんな賑やかな雰囲気と共に、エルフの森に新たな脅威がやってきたのだ――。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
桜並木の結界術を展開してベルちゃん様をお花見に誘い奉仕で甲斐甲斐しくお世話しましょ♪
料理には物事をうまく処理するという意味もある。つまり、ベルちゃん様を満足させる方向も料理なら、こっそり破壊の衝動を情熱の炎で弱火じっくりコトコト煮詰めて私への恋心に変換するのも料理の範疇よ♪
ふふ、私への有効なマジックアイテムなら双頭の玩具でしょうね、使い方を教えてあげながらねっとりとベルちゃん様を捕食して味わうわ☆
さぁ、ベルちゃん様。私と“なかよし”になりましょ♡
その過程でベルちゃん様に私の情熱をエネルギー充填し、化術肉体改造で私の眷属に作り変えるわ♡コレが私の料理よ♪
ベルちゃん様がエルフの森に踏み込む。
その瞬間。
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)は森の風景をベルちゃん様のためのお花見会場へと書き換える。
突然現れた桜並木の真ん中に、ベルちゃん様専用の可愛らしい椅子とテーブルが用意されている。
「おお、お花見の準備。出来ているではないか」
ベルちゃん様が満足そうに、鼻を鳴らす。
「ささ、こちらへどうぞ」
アリスはベルちゃん様を特等席へと案内する。ベルちゃん様は上機嫌で席に着く。そのまま美味しい料理の到着を待つ――のだが、待てども待てども料理は来ないしお花見が始まる様子もない。
「料理が来ないようじゃが?」
「お気づきになられましたか」
満を持して。ケイオト魔少女は本日の料理、ユーベルコード【大黒天】の発動と説明に入る。
「料理には物事をうまく処理するという意味もある。つまり、ベルちゃん様を満足さ――」
「説明が長いのじゃ! 要は料理はないのじゃな!」
「いえいえ、料理ならあなたの目の前に」
アリスはテーブルの上に乗って、わたしを召し上がれ、のポーズで誘う。
「ええい! ベルちゃん様を愚弄しおって! 成敗してくれる!」
ベルちゃん様は一度座った椅子を蹴り飛ばし、戦闘用のベルちゃん様コレクションに手を伸ばす。
「ふふ、私への有効なマジックアイテムなら双頭の玩具でしょうね」
「そーとーのおもちゃ? あった気がするのじゃ」
ベルちゃん様は、とあるアイテムを取り出す。そうそう、この『頭が2つついている猫じゃらし』。猫の手足が多い日も安心、のアイテムらしい。本当にこんなものがここで有効なのか?
とりあえず猟兵の目の前で猫じゃらしを揺らしてみる。猟兵は、猫じゃらしの動きに釣られてゆらゆら身体を揺らす。そのまま虚ろな目で猫じゃらしを見つめ続け――。
いつの間にか2人に増えたアリスが双頭の猫じゃらしに同時に飛びついた。
「なんじゃこれ!? どうなっておるのじゃ!?」
「ざんねーん♪ マジックアイテムを正しく使えなかったベルちゃん様は捕食されてしまいます☆」
2人に増えたアリスが、ベルちゃん様を両側から包み込む。
「さぁ、ベルちゃん様。私と“なかよし”になりましょ♡」
「くっつくな! 不敬なのじゃー!」
「でも誘ったのはベルちゃん様よ♪」
「五月蝿ーい! 離れるのじゃー!」
馴れ馴れしくべたべたしてくる2人のアリス。ベルちゃん様は無理やり引き剥がそうとする。
「いやーん。無理やり引き剥がされたらベルちゃん様の服が破れちゃう♡」
「きゃー!?」
アリスの棒読みな台詞と、ベルちゃん様の絹を裂くような悲鳴。そして、実際に絹が破ける音がしたあたりで――。
使い魔の黒猫がベルちゃん様の救援に入ったという。
大成功
🔵🔵🔵
鏑木・桜子
にゃんこさんは気まぐれなのでわんこの格好をさせてもわんこみたいには働いてはくれませんよ!残念でしたね!
そして、ちゃん様さんの企みもここで終わりです!
ブシドーとは死ぬことと見つけたり。
死合とは刹那の如き一瞬の命のやり取り!
相手はわたしの闘い方に合わせたアイテムを出してしまうのでなおさら、一瞬で接近戦に持ち込み一気に撃破してしまいましょう。
仮にアイテムを出されたら使い方を理解する前にアイテムを【剣刃一閃】で一気に破壊します。
桜もエルフの森もあなたの好きにはさせません!
ちゃん様さんのわがままも悪事もここで終わりです!
「にゃんこさんは気まぐれなのでわんこの格好をさせてもわんこみたいには働いてはくれませんよ! 残念でしたね!」
鏑木・桜子(キマイラの力持ち・f33029)は、ついに現れたベルちゃん様をビシッと指差す。
「本当じゃ! あのにゃんこ共め! まったく役に立たなかったのじゃ!」
ご機嫌ナナメのベルちゃん様の遥か後方で、にゃんこたちが縮こまっている。
「そして、ちゃん様さんの企みもここで終わりです!」
「終わってないのじゃ! 絶対お花見するのじゃ! 変な森は全部焼いて桜の森にするのじゃー!!」
ベルちゃん様は叫びながら炎の魔法をばら撒く。居合からの一閃で炎を掻き消し、桜子も戦闘態勢に入る。
「ブシドーとは死ぬことと見つけたり」
桜子は刀を構え直し、精神を研ぎ澄ます。
「死合とは刹那の如き一瞬の命のやり取り!」
再び目を見開いた桜子。飛び交う魔法を紙一重で躱し、ベルちゃん様へと迫る。
「そうじゃ! 花は散るから美しいのじゃ! 桜の代わりにお前を散らせてお花見してやるのじゃ!」
ブシドーの構えを取った者に、普通の魔法は通じない。ベルちゃん様は一旦下がり、秘密のコレクションに手を伸ばす。
「ふふふ、ブシドーを討ち取るにはこれじゃー!」
ベルちゃん様は高らかと、マジックアイテムを掲げる。
「あ、あれは!」
桜子は叫ぶ。あれはそう――。
「決闘で偉いブシドーを討ち取ったという伝説の武器、『物干し竿』じゃ!」
なかなか長大な桜子の大太刀「桜花絢爛」、それよりも更に長い木の棒。桜子が間合いを詰めようにも、武器で負けてはいては圧倒的に不利。
「この対ブシドーステッキでけちょんけちょんにしてやるのじゃ!」
自慢のコレクションを掲げるベルちゃん様の顔が輝いている!
ピンチ――、かと思われたが。ベルちゃん様は相変わらず遠距離から魔法を使ってくるつもりらしい。
「使い方を理解する前なら!」
桜子は当初の作戦通り、一気に踏み込む。
「遅いのじゃ!」
ベルちゃん様が物干し竿を振り回す。するとどこからとなく現れた洗濯物が、桜子目掛けて飛んでくる。しかし、魔法の洗濯物でも桜子のブシドーソウルを止めることは出来ない!
「桜もエルフの森もあなたの好きにはさせません!」
桜子は洗濯物を斬り捨て、そのまま更に踏み込んだ。ベルちゃん様は物干し竿で防御の魔法を発動しようとする。魔法が発動するより早く、桜子のサムライブレイドが物干し竿を真っ二つにする。
「それは魔法の杖ではなく、刀です!」
「な、なんじゃとー!?」
使い方を知ったところで、既に獲物は半分。ベルちゃん様ピンチ!
「ちゃん様さんのわがままも悪事もここで終わりです!」
最後の1歩を踏み込み、【剣刃一閃】を放つ!
静かな森を、神速の斬撃が両断した――。
大成功
🔵🔵🔵
火土金水・明
クロ「にゃんこさん達をこき使うとは、絶対に許すわけにはいかないにゃ。」明「そうですね、お仕置きしましょうか。」(エルフの弓兵隊さん達とタイミングを合わせて攻撃を始めます。)
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【破魔】と【継続ダメージ】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『我侭王女『ベルベット』』と召喚された亡霊達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
「にゃんこさん達をこき使うとは、絶対に許すわけにはいかないにゃ」
「そうですね、お仕置きしましょうか」
使い魔の黒猫『クロ』と話しているのは、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)。
猫を連れた魔法使いという意味では、明もベルちゃん様も同じ立場であったかもしれない。だが2人は猟兵とオブリビオン。やっていることも、実際の立場も真逆といえよう。
クロが、ベルちゃん様の肩の上にいる黒猫を威嚇する。あちらの黒猫は主によく似たドヤ顔で、クロを見下ろす。そして、ベルちゃん様に頬を摺り寄せる。
「なんじゃ? 急にどうしたのじゃ甘えん坊め」
ベルちゃん様は急に甘えてきた黒猫を撫でる。
「他猫をこき使っておいて自分は主人と惚気かにゃ!」
黒猫はクロの言葉には応えず、代わりに「にゃ~」と長い鳴き声を上げる。すると、ベルちゃん様の周囲に虚ろな影が出現する。
「さあ、ベルちゃん様の魔法を見せてやるのじゃ!」
ベルちゃん様の魔法の詠唱に合わせ、黒猫が跳ねる。亡霊たちが苦悶の声をあげ、ベルちゃん様の魔力が高まる。
「にゃんこさんたちだけでなく、今度は元国民ですか」
「ハーッハッハーー! なのじゃ!」
絶好調のベルちゃん様が、周囲に炎の魔法をばら撒く。
「魔力が上がっても、狙いを定めない攻撃ならば――」
ベルちゃん様の無差別攻撃に対し、明は距離を取る。
「まてー! 逃がさんのじゃー!」
背中を向けた猟兵に、ベルちゃん様は攻撃を集中させる。向かってくる炎の弾丸を、氷の矢で迎え撃つ明。
「ええーい! パワーが足りんのじゃ! もっとじゃ!」
ベルちゃんが亡霊たちから更に魔力を吸い上げる。亡霊たちの怨嗟が、ベルちゃん様の手の中で巨大な煉獄となってエルフの森を襲う。
明も全力の【コキュートス・ブリザード】で応じる。1つの火球に、いくつもの氷の矢が飲み込まれ、消えてゆく。それでも、炎の勢いは止まらない。このままでは押し込まれてしまう流れだが――。
「今です」
明の合図。前方での攻撃に集中していたベルちゃん様の背後から、エルフたちの矢が放たれる。
「ななななんじゃ!?」
「攻撃はそれだけではありませんよ」
体勢を崩したベルちゃん様の足元に、黒い影が忍び寄る。
怒りに燃えるクロの爪が、にゃんこの敵に突き刺さる――。
大成功
🔵🔵🔵
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK
オブリビオンにも世知辛い縦社会はあるんだねえ。
まあそれはそれとして、森を焼くのは止めないと。
さて、とりあえず桜の花があってお花見ができればいいんだよね。
んー……桜の花びらって塩漬けにして食べる事もあるし、
【豊穣樹海】ならギリギリ食料扱いで桜の咲いてる樹を出せるかなあ。
ちょっと植物成分多めの姿に変身して、やるだけやってみようか。
桜で大人しくなってくれればそれで良し、
戦うようなら桃とか除霊に使えそうな植物出して亡霊を浄化して、
後は適当に殴って対処しよう。
終わったらあたしも野営道具広げて花見でもしようかねえ。
「オブリビオンにも世知辛い縦社会はあるんだねえ」
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は、にゃんことベルちゃん様を見て小さく息を吐く。
にゃんこたちはペトニアロトゥシカのユーベルコードの力で、犬になった。でもベルちゃん様の侵攻、もとい我侭は止まらず。こうして相対すこととなってしまった。
「まあそれはそれとして、森を焼くのは止めないと」
「さて、とりあえず桜の花があってお花見ができればいいんだよね」
ペトニアロトゥシカはのんびりとした口調で、今回の騒動の発端となった人物に声をかける。
「そうじゃ! お花見じゃ! お花見するのじゃ!」
それなら、ベルちゃん様のお花見願望を叶えてやろう。ペトニアロトゥシカは習得しているユーベルコードの中から、お花見に転用出来そうなものを思案する。
「ちょっと植物成分多めの姿に変身して、やるだけやってみようか」
選んだユーベルコードは【豊穣樹海】。樹海を生み出す力を制御して桜の木のみを呼び出し、エルフの森を上書きする。緑の森を覆い隠すよう小さな花が咲く枝を伸ばし、出口の分からぬ桜色の壁が出来上がる。
「おおー……」
ベルちゃん様の口から感嘆の息が漏れる。一度投げ捨てて潰れてしまったお花見用のバスケットを拾い直し、自らを包む桜の森を見上げる。このまま平和にお花見が始まるかと思ったその時――。
「なんか違う! 違うのじゃ! 桜の木はもっとまっすぐ!」
唐突に、ベルちゃん様の我侭が発動してしまった。
「桜の木はこういうものだよ?」
「知らんのじゃ! まっすぐがいいのじゃー!」
この桜は、ベルちゃん様の想像していたものと違うらしい。迷宮としての役割を残していた桜を修正してゆく。
「こんな感じ?」
「違うのじゃー! まっすぐ! もっとまっすぐー!」
「それじゃあ不自然だよ?」
「知らんのじゃー! ベルちゃん様の桜がいいのじゃー!」
これじゃ竹みたいだなー、とは口に出さず。ペトニアロトゥシカは言われた通り真っ直ぐ伸ばしてゆく。
その後もベルちゃん様のご意見を取り入れ、不可思議な桜の迷宮を組み上げてる。自分の思い描く理想の風景を、きちんと説明できないベルちゃん様。それに合わせて桜並木を造る作業はなかなか根気のいる作業だ。
「うむ! これじゃ! これなのじゃ!」
「これなんだ」
紆余曲折の後、ようやくベルちゃん様の理想のお花見会場が完成する。
「ぼんやりしている場合じゃないぞ! お花見じゃ! お花見するのじゃ! みんな賑やかにするのじゃ! あとお前も来るのじゃ! ベルちゃん様の隣の特等席じゃ!」
ペトニアロトゥシカはベルちゃん様の隣に座り、ベルちゃん様お手製のパンケーキでお花見を始める。
2人の周囲に、お花見のためだけにベルちゃん様に囚われた祖国の亡霊達が呼び出される。ペトニアロトゥシカは先程の作業を思い出す。彼等はいつもこの調子のベルちゃん様に振り回されていたのだろうか。
ともあれ、今はのんびりお花見するとしようか。
彼女がオブリビオンとしての、本来の目的を思い出すまで――。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
さっきはごめんなさいね、と読心術で読み取ったベルちゃん様の望むお花見会場を結界術で再度展開するわ。料理ももちろん準備万端よ☆蜂蜜をふんだんに使った甘ーいスイーツもね♪
で、茹で蛙の慣用句のごとく給仕する過程で少しづつスキンシップを増やし、拒絶するタイミングを逃させたまま口移しで食べさせ合いできるレベルまでベルちゃん様を調理し、魅了する意味で魂を略奪するわ♡勿論、黒猫ちゃんも萌え擬人男の娘化させて同じように調理するわよ♪
実は蜂蜜スイーツは媚薬効果も含んでるので食べれば食べる程に効果覿面よ♡
ま、私の食事は快楽エナジーだから調理する食材も方法も特殊なのよね☆
「さっきはごめんなさいね」
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)が戻ってきた。
今度こそ、ベルちゃん様のお花見に参加するために。いや、ベルちゃん様のお花見に乗じて、なんやかんややって快楽エナジーを貪るために。
今度は読心術から入り、ベルちゃん様の望むものを慎重に探る。
見えたのは、ベルちゃん様の思い描くお花見風景。
とりあえず、花に囲まれて飲み食いしていれば満足?
……いや、違う。
ベルちゃん様の頭の中にあるのは、1つの完成した風景。
この光景……、この光景でなければだめなのか。
アリスは読み取ったベルちゃん様の思考を元に、自身の行動を合わせる。
料理は事前に作り、バスケットの中へ。アクションを起こすのは、お花見会場より少し離れたところから――。
「ベルちゃん様、待たせてごめんね。一緒にお花見に行きましょう」
「うむ、行くのじゃ! お花見するのじゃ!」
2人の少女が並んで歩く。ベルちゃん様はこの上なく機嫌がいい。
和やかな移動シーンを演出すること数分、ベルちゃん様ご一行はお花見会場に到着する。桜の舞う中に準備された椅子とテーブルにつき、それぞれのバスケットからお菓子を取り出す。いよいよお花見のスタートだ。
「ささ、ベルちゃん様。あーん♪」
「あーん♪」
蜂蜜たっぷりのパンケーキ、フォークで一切れ、ベルちゃん様のお口に運ぶ。
「んむ! 甘いの! ささ、今日はお花見じゃ、お主も食べるのじゃ!」
何気ない一言のはずだった。だが、更なるスキンシップを狙うアリスの目が妖しく光る。
「それでは遠慮なく――」
アリスもパンケーキを口に含む。そのまま飲み込まず、パンケーキを咥えたままベルちゃん様に顔を近づける。
「な、なんじゃ……?」
「んー♡」
ベルちゃん様は気付いていない。アリスに盛られた不可思議な熱の毒。熱に導かれ、ベルちゃん様はアリスの口移しパンケーキを頂いてしまう。
「なんか変な感じがするのじゃ……」
「それはきっとお花見が盛り上がってきたからね♪ ささ、新しいお友達もいるわよ☆」
いつの間にか、黒い猫耳を付けた男の子がお花見に参加している。
「あれ? 誰じゃ?」
「誰じゃなんてひどいじゃない。最初からいたでしょう、ベルちゃん様の肩の上に」
アリスはベルちゃん様の肩に指を置く。そこから指先を、首筋へ、唇へ――。
……いけるか?
アリスは今一度ベルちゃん様の思考を探る。
最初にあったはずのお花見風景はぼやけ、今は甘いお菓子のことしか考えられていない様子。
お花見風景に参加させてもらえていなかった黒猫は、既にアリスの手に堕ちている。
それでは改めて――。
「なかよくスキンシップしましょ♡」
大成功
🔵🔵🔵
クロエ・アスティン
我儘な王女様にお仕置きであります!
ベルちゃん様がコレクションを取り出そうとしたら盾を構えたまま「ダッシュ」して「シールドバッシュ」であります!
アイテムなんて使わせないでありますよ!
そのままもつれるように倒れ込んでベルちゃん様を捕まえたら、膝の上に乗せてお尻ペンペンの準備であります!
エルフさん達に謝るでありますとぺしーんぺしーんとお尻が真っ赤になるまで叩きます!
反省が見られなければ最終手段……【ほーむらんであります!】を使って全力の一撃をお見舞です!
※アドリブや連携も大歓迎
「ハッ、変なお花見の夢を見ていた気がするのじゃ」
悪い夢にうなされていたベルちゃん様が目覚める。目覚めた場所は、お花見出来ないエルフの森。
そして、森を守るように構えるのは、クロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)。
「もう仲間のにゃんこもいません! 大人しく諦めるのであります!」
「いやじゃ! ベルちゃん様1人になってもお花見はするのじゃ!」
神官戦士の勧告にも、ベルちゃん様はまったく引き下がる素振りを見せない。
「1人になったらお花見も何もないでありますよ!」
「五月蝿ーい! ベルちゃん様はゼッタイなのじゃ! やるったらやるのじゃー!」
完全に言うことを聞かないお子様モードに入ったベルちゃん様。泣いて叫びつつ、コレクションをごそごそ漁る。
「アイテムなんて使わせないでありますよ!」
クロエは盾を前にして突撃。大きな盾で小さな体を覆い、魔法の反撃を許さない。
「これじゃー! ……ってわー!?」
のんきにアイテムを漁っていたベルちゃん様に、クロエが盾ごと体当たりする。2人がもつれ合いながら草の上を転がる。
こうなってしまえば、体力がお子様なベルちゃん様はひとたまりもない。クロエはベルちゃん様を押さえつけ、お尻ペンペンの構えを取る。
「反省するのです! エルフさんたちに謝るであります!」
「ベルちゃん様は王者なのじゃー! いちばんえらいのじゃー! 反省なんかしないのじゃー!」
反省の色が見えないベルちゃん様に、平手の一発。
「痛いのじゃー! ぎゃくたいなのじゃー!」
「ごめんなさいしないならもっとであります!」
ぺしーんぺしーんと、いい音が響き渡る。
ベルちゃん様のお尻が真っ赤に腫れあがったところで、クロエは手を止める。
「最後のチャンスです。反省しますか? ごめんなさいするでありますか?」
神官戦士からの、最後の慈悲。
「やだー! ベルちゃん様がいちばんなのじゃー!」
やはり、お尻ぺんぺん程度で反省してくれるほど我侭王女は甘くない。ならば、仕方ない!
「反省が見られなければ最終手段……」
クロエはベルちゃん様を解放する。空いた両手で、『戦女神様の戦鎚』を構える。
まずは、戦槌で空の向こうを指す。
「な、なんじゃ……?」
それから、お尻に触れる程度の軽い予備動作。
「ヒッ!」
「ほーむらんであります! 桜のある森までお届けです! 存分にお花見するであります!」
ユーベルコード【ほーむらんであります!】、クロエの全力のフルスイング!
「おーはーなーみーー……」
エルフの森に、ベルちゃん様の悲鳴と乾いた打撃音が響く。打球は大きく伸び、空の彼方で小さな星となる。
場外ホームランを決めた猟兵に、観客たちから拍手が沸き起こったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵