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閉ざし、開き、閉ざされて。

#UDCアース

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#UDCアース


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 校舎が橙色に染まってゆく。窓から見えるまばらに開く桜の花弁も、元々そうであったかの様にオレンジ色に彩られている。
 新学期の初日。大半の生徒は既に帰宅していた。もしかしたら友人と道草を食いながら明日からの事を話しているのかもしれない。
 どうにせよ、校舎に残っている生徒の数は少ない。
 残っているのは…。
(実伊里みたいにこんな初日から委員会か部活で長々集まる事になってしまった子か、それを待っているわたしみたいなのですか…。)
 待っていなくてもいいとは言われたけれど。
 そう言った申し訳なさそうな顔を思い出すと、帰る時にも謝られそうで少し申し訳なくなる。
 人の気配が空気の微かな振動程度にしか感じ取れない静かな廊下で、外を眺めながらそんな事を考えていると風に乗ってきたのか話し声が聞こえてきた。
 微かで途切れ途切れで、けれど『儀式』と言う単語が耳に入ってきた瞬間、わたしの脳と耳はその会話に意識を集中させ始めた。
「あーオカ研。その話私も聞いたわ。今度は何だっけ。」
「確か…UFO召喚の儀式って聞いたな。」
「UFOってオカルトなの?」
「知らね。でも線香とか魔法陣とか用意してるって聞いて俺も意味わかんなくなった。」
「どういう組み合わせ? でもま、学校始まって初日で活動しだすとかすごい意欲ね~。」
 そんな他愛のない会話だった。うん、まあ、内容は違えどよく聞く話。
(…っ。)
 けれど頭にじんわりとしびれる様な痛みが拡がり、同じようにゆっくりと引いていく。
 最近何かを忘れているような、思い出そうとするような、そんな感覚と共に頭痛がする。
(寝不足とか食生活……ではないです。)
 直感はそう告げている。けれど、同様に探らない方が良いとも告げている。
 その内収まるだろうかと考えていると、遠くの方から廊下をかける音が聞こえてくる。
 バタバタと急いでいるシューズの音。
 音が響いてくる方向へ顔を向けていると、廊下の角から勢いよく実伊里が飛び出してきた。
「ちーちゃん…先に帰っていいって言ったのに…。」
 少し涙目の目で肩で息をつきながら言う。
「好きで待っていたんです。さ、終わったのなら帰りますよ。」
 自分の荷物を手に取りながら促す。
 何時も通り、二人で。/じわりといたみがひろがる。
 二人? /じくじくといたみがうむ。
「ちーちゃん?」/し…わ……あ………ように。
「ちーちゃん!」/すくいにきました。
 世界がぐらりと揺れる。
 十八時の時間と共に、黄昏がやってきた。


「んえぁーーー。」
 酔っ払いが酔っぱらいながら何か思い出そうとするように唸っている。
「なんかなーんか…覚えてるような? そうでないような?」
 一頻り記憶をちゃぶ台返しした後放棄したのか唸るのをやめた。
「学校でUDCが召喚されるよー。」
 で?
「でー、倒してきてー。」
 …。
「あ、え、えーっと完全な偶然の召喚みたいで邪教徒とかは関わってないよぉ。
 いくつかの要因が重なっちゃったんだねー。
 だからー止められたら止めてきてほしいなー。
 止められなくてもー、召喚を中途半端に出来れば倒しやすいだろうしー。
 えーっと、あそうだ。今回は事件が起きる前に送れるから。
 送られたらとっくに召喚されてましたとかじゃないから。」
 短かったが要は、召喚の原因探しと妨害。召喚されれば倒せ。それだけらしい。
「じゃ、いってくれるかなー?」


みしおりおしみ
 UDCでーす。
 探索パート頑張る。

 第一章は冒険:オープニングの前半部分は、情報として聞いている等で構いません。
 第二章:集団戦。
 第三章:ボス戦。

 久々のリプレイ書きですが頑張ります。
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第1章 冒険 『UDC召喚阻止』

POW   :    UDCの発生原因となりそうなものを取り除く

SPD   :    校内をくまなく調べ、怪しげな物品や痕跡がないか探す

WIZ   :    生徒達に聞き込みを行い、UDCの出現条件を推理する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 空はまだ青を残し、日が地平線に触れるには間がある。
 白い校舎の中からは生徒の声がするものの、日中と比べてしまえばそれは静かと言っていい物であった。
 終業の鐘が鳴ってからは時は経ち、校門から出てくる生徒は一人出てきては間隔があき、また一人出てくれば間隔があき…とその様な景色。
 事件はまだ起きてはいない。けれど時間は膨大ではない。

※時間軸としてオープニングより少し前の時間帯です。
片桐・公明
【SPD】
事前に学校周辺の情報を収集して下準備を行う
収集する情報は周辺の地理情報と歴史
そして風水を中心としたオカルト関係

学校に入ったらまっすぐオカルト研究会の部室に向かい調査する
書籍やメモ用紙等、会員がやろうとしている行為の足跡が分かるものは全て記憶する
人がいれば可能な限り穏便に聞き取り調査をするが場合によっては武力の行使も辞さない
ただし一般人相手なので負傷させないように留意する

終始真剣に活動する
(絡み、アドリブ歓迎です)



「とりあえずこんなものかしらね。」
 片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は端末を指で操作しながら呟く。
 グリモア猟兵は今回の事件は偶然によって起こると言っていた。
 それはその偶然を引き起こす要因一つがずれてしまえば、それだけで違う結果や何も起こらないと言う結果を引き起こすと言う事であり、そして…
(ずらしたところで関係のない要因もあって、なにより幾つの要因によって引き起こされる偶然なのかもわかってない…。)
 だから、情報が必要。
 まだUDCが召喚されていないとはいえ余るほどの時間がある訳ではない。
 考え付く可能性全てを探っていく余裕はない。
 だから絞る。地理とそれに連なる風水。そして歴史。
 片桐は端末に表示される簡易な地図を参考に、自らの足で学校周辺を早足で歩きまわりその目で調べてきたのだ。
 その行動は今回のオカルトを風水から見る為の調査であると同時に、もしもUDCが学校の外へ逃げた場合の備えでもあった。
 万が一であれ、もしもの想定はしておくべきなのだから。
 それに小さな地域の噂や言い伝え、怪談は拡まるほどの物でない限りネットで調べるのは至難だ。
 容易なのは、その地域の知っている人に聞く事。
 時間がない中でその人物を見つける事が難しい? だからそれはあくまで地理情報を調べるついでの調査に位置付ける。
 運があればもしかしたら何か聞けるかもしれない。その位で。
 そして片桐は幸運であった。なんとなく道で出会った人に声をかけ、その話術、物腰、雰囲気、その醸し出す空気によってか幾人かの人々からそういった話を聞きだすことに成功していた。
 とは言えそれ等は、昔ここいらでも口裂け女が流行って大変だったや初詣はむこっさにある神社だ、だの言ってしまえばありふれた話や世間話程度のものだった。
 ただ一つ確かなのは、UFOに類する話は全くでなかったと言う事だ。
 その中には帰りがけの学生も居たが首を傾げていた。
「集められた情報はこんなもの。それとも集まった情報がこんなもの…なのかしら。」
 なんら特別な物も、繋がるような話も無い。だからこその『偶然』であるのか、それとも学外は関係ないのか。
 考えながらも片桐の足は迷いなく学校へと歩みを進めていた。
 外の情報がどうあれオカルト研究会の物が関わっているのだろうから。
 学校に着き、中に入る前に周囲を一周する。
 ……一周。
(地図でも思ったけれどかなり広い。本棟と体育棟が一つずつ。プールに…あれは弓道場? それと少し古い棟が一つ。部室見つけるの時間かかるかしら。)
 けれどオカルト研究会の場所はすぐに判明した。
 校舎に入りまだ残っている手近な生徒に聞いてみれば「あー、オカ研? なら旧校舎じゃん? 今日あいつらなんかそわそわしてたじゃん? 教室は旧2-6じゃん。何かするのかな? ま、楽しい事ならいいけどね! じゃーねー!」
 なんとも軽く簡単に教えてもらえた。
(部外者にそんな簡単に教えてこの学校大丈夫かしら…。)
 返答の勢いとあっけなさに少し呆れるがすぐに切り替えて古い棟へと足を向けた。
 旧校舎は本校舎…新しい校舎同様白い壁であったのだろうが年季が入り黒く薄汚れていた。少し軋む音を発する扉を開き中に入ると閑散とした空気が肌に着いた。
 昇降口の正面の階段を上り二階へ。そして視線を上げ学年プレートへ目をやる。
(二年。この階だけど…。)
 廊下の先に視線を投げる。教室の並びからしてその先にある教室が件の教室。
 けれど、人の気配がない。
「部員は居ない…みたいね。」
 居ないなら居ないで資料を探るのが容易になる。
 人を気にすることなく歩みを進め、教室の扉を躊躇いなく開く。
 開けられたカーテン。中心辺りに集められた幾つかの机と椅子。そして机の上には部員のカバンが放置されていた。
 少し漁って片桐が抱いた感想としては、オカルト研究会と聞いて想像していた様なおどろおどろしい?アイテムがないなーと言ったところであった。
 あっても本屋で売っているオカルト本や占い本といったもの程度であった。
 そして黒板。そこには…

『無事新学期を迎えた記念! 初儀式!
 屋上だぞ忘れるなよー
    各自持参したものは屋上に行ってからお披露目だからな 』

 と、いった物であった。
 オカルト研究会が儀式?を行う場所は屋上。
 片桐はそれを他の猟兵へと共有した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

化野・花鵺
「学校の怪談…学校…せぇふくパラダイス、ひゃっほぉ!」
雑な理解で飛び込んだ

「んふふ…せぇふくいいよねぇ、サイコーだよねぇ」
「今回はぁ、呼んだコと願ったコが別っぽいしぃ、ならコレだよねぇ」
UCでこの学校の制服と新聞部の腕章着用
足りない小物は化術で追加

「今年はオカ研が頑張ってるからぁ、うちも負けられないって思ってぇ。あなたの中の十大事件、大特集中なのぉ」
召喚場所に比較的近い場所の強い願いだろうと校舎内から聞き込み開始
野生の勘で相手を選び誘惑で効率よく話を聞く
「最近聞いた事件とか気になる学校の怪談でもいいよぉ」
「ありがとぉ。採用されたらお礼するねぇ」笑顔で手を振る

「ヌシの望みは…最愛と逢うことかの」



「学校の怪談…学校…せぇふくパラダイス、ひゃっほぉ!」
 何か可笑しな言葉が発せられたがこれが例のオカルト部であろうか。
 ……現役の学生がそんな言葉を叫ぶのもそれはそれで問題ではあるが、それを叫んだのは一人の猟兵であった。
 化野・花鵺(制服フェチの妖狐・f25740)。
 彼女は制服に執着、もとい狂っていた。言うなれば制服Lover。
 元々は制服を着た猟兵に助けられ、その姿への憧憬だったらしいのだがどうしてこうなったのだろうか。
 この依頼に飛び込んだ理由すら第一声の通り学校=制服いっぱいと言う煩悩っぷり。
 大丈夫だろうか?
「んふふ…せぇふくいいよねぇ、サイコーだよねぇ」
 物陰から学生を覗き、くるりくるりと尾を揺らしながら身悶えるその姿は………、大丈夫だろうか…。
 化野は気を落ち着かせるように大きく息を吸って吐き、吸って吐き。
 そうして見た目上落ち着きを取り戻す。その瞳は相変わらずであるが。
「今回はぁ、呼んだコと願ったコが別っぽいしぃ、ならコレだよねぇ」
 きらきらきらしゅぴらららーん。化野の纏う制服が光り輝き形を変えてゆく!
「世界ぃ!せぇふく!」
 その声と共に光が弾けそこには………制服を纏う化野が立っていた!
 大丈夫ちゃんと変身している。元の制服から今視線の先に居る生徒と同じ制服に。
 そして化野はいそいそと『新聞部』と書かれた腕章に腕を通しピンで留めると情報収集を開始した。
「すみませ~ん。今年はオカ研が頑張ってるからぁ、うちも負けられないって思ってぇ。あなたの中の十大事件、大特集中なのぉ」
「……俺?」
 声をかけられた男子生徒が周りを見回しながら振り返る。
「はいー、そぉですよぉ。最近聞いた事件とか気になる学校の怪談でもいいよぉ」
 言の葉にそっと力を混ぜながら知りたい問いを投げかける。
「重大事件。たった今知らない美少女に話しかけられた事。あ、ちょっと!」
 化野は言おうとしている事を理解した瞬間には回れ右し、次の学生を探しに向かっていた。
「冗談! 冗談だって! 冗談じゃないけどジョークジョーク!」
 追い縋ってきてとても煩い。
「あるから聞いて! 話せる事あるから聞いて!」
 少し面倒そうに男子生徒を振り返る。
 化野の勘は少なくともこの男子生徒を選んだのだから早々に話させるための演技だ。距離を置きたくなった事は嘘ではないが。
「二度目はぁ、ないからねぇ?」
 そう言うと男子生徒は苦笑いしながら話し始める。
「OKOK。で、重大事件か学校の怪談だっけ?」
 新聞部の腕章に一瞬視線を動かしてから続ける。
「そーだなー。重大っつうか俺が忘れられない事件なんだけど、去年の夏ぐらいに真夜中に真っ赤な夕焼けを見たんだ。友達に話しても夢とか何だ誰も信じなかったけどな。でもあの魅せられるような緋は未だに記憶に残ってるんだ。
 場所は向こうのでかい橋が架かってる川の方だよ。俺が見たのはその一度きりだけどな。これが一つ目。
 二つ目はー…不謹慎だし記事にできないだろうけど、秋にこの町で起きた行方不明事件だな。一夜で5人。5人の関係性は不明で別件なのか同じ事件なのかわからず未だに解決はされてない。で、ここから噂なんだがこの学校の生徒が関わっているとか。
 で、気になる学校の怪談かー。俺は特に聞いたことがないな。まぁそれこそオカ研があるならそこに聞いた方が早いだろうしな。ま、そんなもんだ。」
 以上のようだ。校内情報ないじゃんと心の中で思いつつ、
「ありがとぉ。採用されたらお礼するねぇ。」
 そう言い残したったか手を振って離れていった。
 そして化野は二人目、三人目と話を聞いて考えていた。
 怪談については実際一人目が言った通り花子さんや動く人体模型などよくある話ばかりであり、なんなら七つ以上あった。
 ペンを回しながら、目を細める。
 ……………。
(パラダイスって言えるほどぉ、せぇふくと出会えなかったの…)

成功 🔵​🔵​🔴​

九重・灯
人格は「わたし」です。
UC【幼心の魔法】。自分の姿を周りの生徒から浮いてしまわない程度に調整して潜入します。
『化術』

手帳を開いて確認する
やはり、あの二人は以前保護した子達ですね。(シナリオ:固く、固く、目を閉ざして。)
あの時、彼女たちの日常に大きな歪みが生まれてしまった。それが邪神召喚の要因の一つとなってもおかしくない

後を付けます。二人が別れて行動するなら「ちーちゃん」の方を優先。彼女は……

余計な事を、考えてしまいますね
狂気は狂気を生む。彼女たちの精神を守るためにも、記憶処理は必要な事です……

異変があれば可能なら休める場所に連れて行き、外部からの影響を抑える結界を張ります
『結界術5、浄化3』


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

さて、偶然が絡んだ事件……ねぇ。
あまり手を入れると、
逆にそれが引き金になりそうで怖いね。
ここは穏便に、でも物怖じせずに調べますかね、っと。

そもそも『情報収集』してる先陣がいてくれるのは有難いよ、
アタシは学校周りの「意志」の流れを探るとするかねぇ。
フリーライターっぽい服装に『変装』して、
学校周囲で下校途中の生徒を捕まえて新作スイーツとか
春先に合った話題を『コミュ力』交えて盛り上がる。
そうして話し込む間にテレパスの網を学校内へ広げ、
校内の思考の痕跡を探るよ。
鬼が出るか、邪が出るか……
本当は出て欲しくはないけれど予知が予知だからね、
思考の横槍で穏便に済ませたいもんだよ。



 九重・灯(多重人格者の探索者・f17073)は無表情に窓の外を眺める少女に見覚えがあった。
 予知を聞いた時から引っ掛かってはいた。
 確か…、と手帳を確認しその時の写真を認め確信した。
(やはり、あの以前保護した子ですね…。)
 ならば、予知で出てきたもう一人もあの時の子であろう。
(あの時、彼女たちの日常に大きな歪みが生まれてしまっています。そして、今回も予知の一部になっている…。要因の一つでもおかしくありません。)
 そう思い、九重はその身を【幼心の魔法】で学生の時の姿に変え、手帳を…本を読みながら人を待っているふりをしながら監視する事に決めた。

同時刻:
「さて、偶然が絡んだ事件……ねぇ。」
 数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は学校の外で嘆息していた。
「あまり手を入れると、逆にそれが引き金になりそうで怖いね。」
 ある意味不発弾を見ている気分になる。解除するべきなのだろうが触れて爆発するのも怖い。とはいえ…
「ここは穏便に、でも物怖じせずに調べますかね、っと。」
 自分はそれを処理する猟兵なのだから、挑戦しなくては。
 それはそれとして、フリーライター風の変装はしてきたが、既に他の猟兵が調べた情報が幾つか手元にあり、ならばどうするべきか、どう自分の力を活用するか考える。
(先陣のおかげで噂とかは重要度が低いって分かったのは有難いよ。)
 それを追う必要がなくなった。
 なら、情報ではなく意志の流れ。思考を追う事に決めた。
 引き金となる深層心理、大穴で意識に介在する邪神かもしれない。
「そうと決まれば行動開始だねぇ。」
 意志の流れを探るためのテレパシーリンクもぱっと広がるものではない。
 一人と繋げてそこから繋げる様に二人三人とリンクさせていき網の様に拡げていかなければいけない。事前準備である。
 ちょうどライター風の恰好なのだからと、隠れスイーツやおすすめスイーツの取材と称し生徒に話しかけ話題を膨らませながらテレパスの網を広げていく。
 とは言え時間も時間。町が橙の色に染まってゆく時間。
 少しすれば生徒たちは「帰らないと」とそう言って帰っていく。
 何人かそう取材しながら網を広げていけば、意志のリンクは校内にまで十分な範囲広がっていっていた。
 意志と思考の監視。もしも起こる『偶然』がテレパスによる思考の横槍で済ませられるのであればそれが一番穏便だ…とそう思いながら流れる意識を読んでいく。
 思考の多くは『暗くなる前に帰らないと』とそういった物だった。
 まるで夜が追ってくるように暗くなり始めるこの時間に、急き立てられる様に足を速める人々。
 暗くなる前に。暗くなる前に家へ。夜に追いつかれない様に。夜と昼の境目を怖がるように。
 数宮はそう言った思考を脇にどけ、儀式を行うであろうオカ研の部員の思考を探す。
『「なんでこいつ「数珠「魔法陣マット「線香「髑髏キーホルダー「タロット「手鏡三枚「白い羽根「持ってきたんだ?」」」「まいっか!」』
 そんなエンジョイ思考を見つけて苦笑いが顔に拡がった。
 そして暫く楽し気な意識がさざめき、そして儀式が始まったようではあるが、
『新学期もよろしくぅ』や『今年も仲良く!』などと言ったUFO召喚とは名ばかりの仲良し活動と分かる思考であった。
 数宮は毒気を抜かれ表情が緩む、けれどすぐに表情を引き締めた。
『いつもより……ひどい頭痛…。』
 校内の少女の一人。偶然か、それとも儀式の影響かそんな思考が流れてくる。
 そしてそのこと以上に。
(なっ…。)
 意志の流れを観測していたからわかった。
 唐突に、数多の…それでいて一つの意志が学校に収束しつつあった。
 霧の様に不定形な、世界が朧げな意思を持ったような不可思議な意思。
(こいつが…!)
 邪神。規模からて学校は飲まれる。
 横槍を入れるならおそらく今が最後のチャンス。
(藪をつついて出てくるのは……どの道出るのは鬼が出るか、邪が出るかだよねぇ。どの道出るなら当たって砕けろだよねぇ!)
 オカ研の思考に妨害をかけ、儀式?が止まる。
 同時、18時の鐘が鳴る。
 不定形の意志が確固たるUDCとして成るのと同時に“流星が降ってきた”。
 正確には数宮にはそう見えた。肉眼では見えない意識の網の上で、強力な意識が降ってきた。
 それは流星の様に、そして水に飛び込む様にUDCの作る世界の膜を突き破り、儀式が止まったオカ研の輪の中心を通り、真っ直ぐに少女に“邪神”が墜ちてゆく。
 反射的に、それに向け意志の横槍を入れた。
『すくいに……。』


少し時間を遡り:九重
 監視して少し経つも特に異変は無い。
 対象が人を待っている以上、九重もその人を待つ状態になるのも道理である。
 そして、そんな手持無沙汰な状態であり、手元にある手帳に書かれた事を思い返せば無意味な思考も生まれるというものだ。
 外を眺める彼女が一瞬顔を顰めた。
 おそらく、自分は彼女が起こす頭痛の理由を知っている。
 それが今回の事件に関係がるのかはともかく…。
(彼女は…。)
 同情か憐憫か。
(余計な事を、考えてしまいますね。)
 急いたような足音が聞こえてきてもう一人の少女が現れると彼女に声をかける。
(狂気は狂気を生む。彼女たちの精神を守るためにも、記憶処理は必要な事です…)
 それが大切な記憶であろうと、言えば誹りを受ける事であろうと、それは間違った行いではないと、そう考える。
 少なくとも、それのおかげで今普通の日常を送っている。
 作った日常なのだから、それがそれ以上『元の日常』から離れる事は防がなければいけない。
 そして、彼女が頭を押さえ始めた。
 九重が近づこうと一歩踏み出した刹那、世界が異界へと反転した。
 景色は何も変わらないと言うのに、漂う空気がどろりと背筋を撫でる。
 地平線に触れる夕焼けがこちらを見ているかの様な寒気を覚える。
 そして“それ”を直感的に察知した瞬間、九重の足は駆け、少女達に走りよると急増の結界を作り出した。
 見えない何かが彼女に触れそうになるのを間際で阻止するも、急造で即席。
「…っ。」
 九重が覚悟を決めようとした時、それは一瞬で霧散していった。
 意識が散った。その言葉のままの様に。
(大丈夫…でしょうか。)
 はっきり言って危機一髪であったろうが、気を抜かずに周囲に気をやり警戒する。
 そして何かがまた現れない事を確認すると、少しだけ気を抜いた。
 少女達に目をやれば、感覚的に周囲が異常であると理解しているのか無表情ながら不安げな瞳と泣き顔であった。
(とりあえず、安全な場所を探さないとでしょうか…。)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『黄昏』

POW   :    【常時発動UC】逢魔ヶ時
自身の【黄昏時が進み、その終わりに自身が消える事】を代償に、【影から、影の犬などの有象無象が現れ、それ】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【影の姿に応じた攻撃方法と無限湧きの数の力】で戦う。
SPD   :    【常時発動UC】誰そ彼時
【破壊されても一瞬でも視線を外す、瞬きを】【した瞬間に元通りに修復されている理。】【他者から干渉を受けない強固な時間の流れ】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    【常時発動UC】黄昏時
小さな【懐古などの物思いにより自らの心の内】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【黄昏の世界で、黄昏時の終わりを向かえる事】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 茜色に染まる世界。
 先ほどまで肌寒いながらも日常で、平穏で、当たり前な空気であったと言うのに、今では校内の空気は恐ろしい害意に満ちていた。
 そこかしこから、影の中から覗かれているような感覚。
 とりあえず、校舎から出られるか確認してみれば出る事は出来たが、学校の外に出る事は出来なかった。
 …敵は現状この空間そのもの。幸運な事に邪神はその姿を今はまだ見せていない。
 とりあえず今は乗り切ろう。
 二人の少女と、異変を感じてか屋上から声が聞こえてくる。おそらくその二組のみがこの現象に呑まれた一般人であろう。
 救いは邪神ではなく猟兵なのだ。


特殊裁定:UDCのUCは常時発動しており、
1.影から影でできた雑魚が無限に出てきて襲ってきます。範囲は校内全て。
2.UDCその物の討伐は実質できません。
3.UDCは時間経過。太陽が沈み切ると自動で消失(討伐)されます。およそ1時間。
その様な特殊ルールの為、猟兵様方は御自由なUCをお使いください。

現状:
・猟兵が校内(黄昏)に入る事は出来ても外に出る事は出来ません。
(一般人が新たに入る事はありません)
・黄昏内の一般人はOPの少女二人(本校舎一階廊下)とオカ研のメンバー
(本校舎屋上)のみです。それ以外の教職員などは巻き込まれていません。
・猟兵様方が校内校外どちらに居るかはお任せします。
片桐・公明
【SPD】
UCを使用し回避と解析に徹する

校舎の廊下で戦闘を行う
周囲にあるもの、校舎の扉や消火器など利用できるものは全部利用していく
回避しながらも隙は見逃さず攻撃していく。
「無限湧きの敵って、しんどいわね。」
「この手ごたえは七大海嘯の『鮫牙』を思い出すわね。」

屋上の要救助者は認識しているが救助にはいかない
「もともと私は防衛戦とか護衛とかは苦手なのよねぇ。」(頬をかきながらバツの悪そうに)
「ま、私以外のお人よしが助けるでしょう。来ているみたいだし、」

(絡み、アドリブ歓迎です。)


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

この感覚……夕方って事は、
また「コレ」かよ!
都合三度目だけれど、ある意味今までで一番ヤバいパターンじゃねぇか!

この状況になったら一刻を争う、
まずは一気に屋上のオカ研のコ達を目指して
校内を『ダッシュ』で駆け上る!
さっきまで巡らせていたテレパスで他の猟兵とも連絡を取り、
即席の【超感覚網】を練り上げるよ。
そうして繋いだテレパスの声で生徒たちを『鼓舞』して、
怯えて動けないようにはさせない。

なるべくその二組とアタシらが合流できるように誘導しつつ、
道中の影の獣たちは電撃の『属性攻撃』で散らしていくよ。
とにかく生徒のコ達への攻撃を防ぐよう専守防衛、
逢魔が時よ、早く過ぎやがれ……!


化野・花鵺
「あぁん、始まっちゃったぁ」
窓の外を見た狐、ぼやいた

「誰かぁ!居ないのぉ?」
校内の要救助者探して教室を覗いて走り回っていた狐、1階の2人に遭遇した

「私は新聞部の取材だったんだけどぉ、2人は何してたのぉ?部活ぅ?」
「屋上にオカ研も居たっぽいしぃ、下からだと外に出られないみたいぃ。合流して救助してもらおぉ」
狐、偽高校生を貫いた

「うちは神道だからぁ、こういうのは少し得意ぃ」
『狐の呪詛』は2人に気づかれないよう使用
野生の勘でなるべく安全そうなルート選び破魔乗せ衝撃波で敵を弾きながらオカ研との合流目指す

「お腹減ると気分がよれちゃうからぁ、オヤツ食べて元気になろぉ」
狐、ジャーキーと霊薬皆に勧め自分も食べた


九重・灯
人格が「オレ」に替わる。
場所は少女二人の居る、本校舎一階廊下だ
化術での変装も面倒だから止める

こりゃあ空間ごと隔離されたって感じか?
二人を守りながら時間を稼ぐ。影になるようなモノが多い教室よりも廊下の真ん中の方がまだ安全かもなあ

適当な場所で、周囲にカゲツムギのワイヤーで紡いだ網を蜘蛛の巣のように張り巡らせる
『ロープワーク6、武器改造3』

UC【朱の王】。刃を腕に押し当て、血を代償にカゲツムギの網に魔炎を纏わせる。炎の網の結界みたいなモンだ
『属性攻撃15、結界術5』

「心配いらねえよ。そっちのアンタは苦しそうにしているソイツの手でも握ってやりな」
周囲や自分たちの影にも警戒しながら、二人の様子も見ておく



 視界の中に一本の曲線が描かれている。波打つように刻々と形を変えるそれに、刀の刃を添え滑らせる。
 歩法も態勢も、一部の無駄も無く体が動作する。
 前へ、前へ。黄昏に照らされる廊下の中で、影から溢れ出すように現れた黒い群れを刈り尽す。
 減速する事も、下がる事も、倒し損ねる事も無く、ただの一工程で、一度の進撃で廊下の端から端まで溢れていた影の小鬼が黒い靄となって消えていった。
 旧校舎二階の廊下、それを為した片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は、けれど溜息をついた。
「無限湧きの敵って、しんどいわね。」
 廊下を振り返れば今さっき、影から頭を出し初めた物も纏めて倒しつくしたと言うのに既に影から体を出した個体が見て取れた。
「この手ごたえは七大海嘯の『鮫牙』を思い出すわね。」
 あれもまた無敵であり、時間稼ぎを求められた。
 とはいえ、脅威度としてはよほどこちらの方が低くはあるが。
 片桐一人であれば、低くはあったが…。
(屋上…。)
 要救助者がいる。この異界化に巻き込まれていないなんて希望的観測は叶わないようで、オカ研は本校舎の屋上にいるらしい。
 片桐は階段を飛び降りる…がその足を本校舎へは向けない。
「もともと私は防衛戦とか護衛とかは苦手なのよねぇ。」
 そう誰かに言い訳する様に呟く間も、片桐は移動を続けながら片端から影の有象無象を黒い靄と化させながら進み続ける。
 それは遊撃であり陽動。
 片桐はこの学校の規模を地図で見て、さらに歩いて一回りしたから体感的に把握している。
 この異界化がその敷地内全てであり、その中に存在する影全てから影共が現れているのなら、要救助者の周囲だけを片付けているだけではその内雪崩の様に押し込まれるかもしれない。
(ま、適材適所よね。それに…。)
「私以外のお人よしが助けるでしょう。来ているみたいだし、」
 行く必要がない。とそう確信させる声が頭の中に響いているんだから。

本校舎:
「この感覚……夕方って事は、また『コレ』かよ!」
 数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)はそれを知っていた。
 都合三度目。けれどその顔には経験がある故の落ち着きではなく、焦りが浮かんでいた。
「ある意味今までで一番ヤバいパターンじゃねぇか!」
 一般人が離れた場所に二組。一人ではフォローしきれない。
(だから…、)
 数宮はテレパスを猟兵とも繋げ、位置を“視る”と同時に勢いよく駆けだす。
 二人の少女の近くに居る猟兵へ向けテレパスで『その先に女の子二人いるから頼む!』と用件だけを伝え、自分は階段を飛ぶように駆け上っていく。
 それほど時間を要さないと言うのに階段の踊り場がもどかしい。
 一息に屋上まで真っ直ぐに行ければ…とそう思わせるほどに、影の出現は速かった。
「邪魔ァ!」
 数宮がその言葉を行動で示すように腕を振るえば稲妻が走り、前を塞いでいた影の人が散って消えていく。
 階段を上ると言う構造上、上を取られていてはどうしても平地以上に進み辛くなる。
 なにより焦らせるのが、テレパスから伝わる声と恐怖。
 それがすでに屋上に影が出現している事実を突き付けてくる。
「『あたしがっ!』」
 鼓舞する様にテレパスの上でも、口に出しても、叫ぶ。
 力を込め稲妻を放ち影を蹴散らせば、その靄を体で散らすように突き進む。
「『絶対にぃ!』」
 階段の上に屋上への扉が見えた。
 考えない。直感的に助走を付け勢いよく跳ぶ。
 着地地点の影を稲妻で消し飛ばし勢いのまま再度扉へと跳び、蹴り開ける。
 その先、視界に映ったのはオカ研は中央に集まり、二人ほど三和土や杖?の様なもので影を近づけまいとしていたのか、けれどそれを影に掴まれている状況だった。
「『助ける!』」
 それは小さなかみなり。放電などではなく一直線に奔り、影を貫くと共に空気を切り裂く音を二度響かせた。
 オカ研はただの新学期記念のイベントから突然の異常、考えを纏める暇もない窮地、そして救助。全員が混乱に混乱を重ねたからか、何を言えばいいのかどう行動すればいいのか判断がつかず、数宮を信じて良いのかも分からず猜疑半分の目で見ていた。
 数宮は再び湧こうとする影を潰しながら、それを見てする事は一つ。
『しゃんとする!』
 テレパスでもって、背中を叩く様に精神を直接叩く。
「「は、ひゃい!」」
 現実の背筋が伸びた。そこに、
「『あたしは君達を助けに来たんだよ。下の階にも君達みたいに巻き込まれた子がいて、あたしの仲間が助けてるから合流したいんだけど、動けるかい?』」
 テレパスも混ぜて、誠心誠意の感情を伝える。
 オカ研は視線を交差させ、そして頷くと「わかりました。」と了解した。
「よし、じゃあ移動するよ!」
 数宮は早速オカ研を伴い移動を始める。急ぐ必要はなくなったから安全第一ではあるが。

本校舎一階:時は戻り:
「あぁん、始まっちゃったぁ。」
 化野・花鵺(制服フェチの妖狐・f25740)は変化した空気を察してか窓の外を見て残念そうにぼやいた。
 御ふざけ出来る時間が過ぎてしまった。
 とりあえず近くの教室を開けて、
「誰かぁ!居ないのひゃあ!」
 要救助者探しをしようと思ったら、唐突に頭の中に大声が響いて驚いて声を上げてしまった。
『その先に女の子二人いるから頼む!』
「えぇ。なにぃ…神通力ぃ?」
 化野は驚きで耳を伏せながらも、なんとなく方向も伝わってきたのでそちらに走っていく。
 道中、影から犬の頭が湧き出しているのを目にし、化野のただ一言…
「控えよ。」
 そう口にし眼を鋭く細め破魔の衝撃波、霊威か神通力のような物を発せばぼろぼろとそれは崩れ消えていった。
 霊威を飛ばしながら少し進めば二人の少女と…一人の猟兵が目に入った。

(こりゃあ空間ごと隔離されたって感じか?)
 九重・灯(多重人格者の探索者・f17073)の人格は世界が異界へと変わると同時に荒事担当へと変わっていた。
「ひゃっ…。」
 驚いたような声がした。見れば泣き顔…実伊里が驚いた様にこちらを見つめている。
(あぁ、まぁ化術の変装を目の前で解けば驚くか。)
 面倒で変装を解いたがどうしようかと九重が思っていると、ちーちゃんと呼ばれていた少女がまだ少し不調なようだが、実伊里を守る様に少し前に出てきていた。
 それを見て少しだけ眉を上げ、息を吐き言った。
「心配いらねえよ。そっちのアンタは苦しそうにしているソイツの手でも握ってやりな」
 九重はそう言いながらぶっきら棒に手を振りながら視線をそらし…逸らしながら影から形成したワイヤー、カゲツムギで影から頭を出した存在を音も無く縊り切る。
(あー、影になるようなモノが多い教室よりも廊下の真ん中の方がまだ安全かもなあ…。)
 そんな事を考えていると、実伊里がちーちゃんに耳打ちし、すると肩の力が抜けるのが視界の端に映った。
 その時、きゅっとシューズが廊下を鳴らす音がした。
 九重がそちらに顔を向ければ、少女達と同じ制服の少女…とは言え九重の目からすれば明らかに猟兵であり化野が立っていた。
(あー……あの人猟兵だぁ。そして制服二人ぃ!)
 化野は九重と少女達に素早く視線を行き来させると、猟兵として動くか学生として動くか瞬時に考えそして回答を導き出す。
「やっと人いたぁー。花鵺は新聞部の取材だったんだけどぉ、2人は何してたのぉ?部活ぅ?」
「え…。」
 化野は偽学生を貫いてちーちゃんに抱き着いた。少女はその距離の詰め方に驚きながらも、状況が状況であるから仕方ない?と思ってなのか宥める為か頭を撫でている。
「あ、そうだぁ。声がしてぇ、屋上にオカ研も居たっぽいしぃ、とりあえず合流してみよぉ?」
 思いついた様に化野が提案する。
 守る対象が分かれている必要はなし。化野も九重も数宮のテレパス【超感覚網】で上の状況をなんとなく理解している為、合流を目指すという意見で落ち着いた。
「なんか空気が変だし…。うん、人がいるなら合流したい…。」
 猟兵ほどではないにしろ、なんとなく以上であることは感じ取れるのか少女達もそれに賛同した。
「じゃあしゅっぱーつぅ。」
 そんな気の抜けた化野の声と共に一同は歩き出し、九重はカゲツムギで右の影から顔を出した物を、化野は霊威で左の影から顔を出していた物をそれぞれを少女達に気づかれる事無く葬った。
 

2階:合流
 2階にて数宮・九重・化野が合流してからは黄昏の経過を待つ事は容易い事となった。
 それと言うのも一つは九重の結界、カゲツムギに朱の王の魔炎を纏わせた物を影と言う影の上に網の様に走らせたもの。
 二つ目は窓の外から飛来しようとする鳥型の影を、化野の管狐が外で観測し数宮がテレパスの網で化野に共有、学生たちの視界に入る前に素知らぬ顔で霊威で迎撃。
 また、学生たちに走る由も無いが、本校舎以外の影たちは度々辻斬りついでに通過し存在感を放つ片桐につられてもいた。
 そんな安全空間の形成により、時間が経つにつれ学生たちの緊張も取れていき、オカ研の一部は九重の結界に興味を持ち注連縄の一種だと説明されたり、上では何があって姐さんがかっこよかっただとか、化野がジャーキーと霊薬をお菓子として出したりと静かにだが活気づいた。
 そして刻々と時は過ぎ、夕陽が完全に地平の下へと隠れると同時に罅割れる音が響く。見えている景色が、世界が罅割れ、崩れ落ちていく。
 それが落ち切った後には一見何も変わらないように見えるが、けれどどこか体に伸し掛かっていた重圧が消えたように感じた。
 何より教職員が動く気配がする。
 異界は崩れ、現実へと帰ってきた。
 猟兵が学生達を促すと足早に帰り支度をし帰路についてゆく。
 これで無事めでたしめでたし。



 いいや、猟兵たちには最後の仕事がある。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ノーズワンコスモス09』

POW   :    無気力なる果ての夢
【千切れた自らの羽 】を降らせる事で、戦場全体が【全て満ち足りた理想の世界】と同じ環境に変化する。[全て満ち足りた理想の世界]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD   :    全き善なる光
【記憶に刻まれた傷と経験を癒し消す優しい光】【身体に刻まれた傷と鍛錬を癒し消す柔和な光】【心に刻まれた傷と戦意を癒し消す暖かい光】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    願いは叶う、何度でも
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【集めた誰かの成し遂げたいとするエネルギー】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は奇鳥・カイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 黄昏が喪った空の下、屋上の上。
 足早に校門から出ていく生徒たちに視線を向ける白い少女がいた。
“すくいに きました”
“けれど”

“ふあんが ありました”

“ぎしきは みらいへのいのり きたい わたしはひつようありません”


“ゆうやけは すくいではありません”

“ゆうやけは きょうい すくいがひつようでした 
 けれど ひつようありませんでした
 すくいは あなたたちでした”


“なくした たいせつな きおくがありました”

“たいせつな たいせつなきおく けれどそれはどうじに とてもふかいきず
 わたしには わかりません すくいは どうすれば すくわなければ いけません”

“   ” “   ” “   ”

“わたしは ひつようですか?”
“すくいは ひつようですか?”
“すくいが必要ないのなら”
“どうか どうか”
“しょうめいください わたしをけして”
“はくちのすくいとなるまえに”


MSの敵UCイメージ
果ての夢:必中、自分が願う、望む、夢想する夢の世界に囚われます。
     もしもと望んだ世界。もしかしたらと願った日常。
善なる光:コスモスが発する後光イメージ。瞼の上からであっても視認で発生。
     光の知覚が命中判定。
願いはかなう:攻撃と言うよりも、攻撃を逸らすなどの防御方面での使用。
       願いを越えて。

※一般人などは気にかけなくて構いません。
 2章の学生は帰宅させた等。
 シナリオ外で記憶処理などUDCが頑張ります
化野・花鵺
「…ヘンなのぉ」
狐、鼻にシワを寄せて苛々と足を踏み鳴らした

「消えても良いなどと抜かす救いに誰が縋ろうか、このうつけ。ヌシが消えるは救いが不要だったからではない。ヌシが半端者だったゆえよ。救う救うと嘯くなら、全てを捨てても救うて見せよ!」
「狐の呪詛」使用し不幸の連続プレゼント
敵が避けようとするのを野生の勘で察知して衝撃波で押し込む
「妾は欲しいせぇふくを手にするためなら、トルソーなどいくら壊しても気にはせぬ。ヌシが救えぬはヌシが救わぬからじゃ、うつけめ」

「妾は自らの望みに邁進せぬものは好かぬ。邁進したとて叶わぬ望みが数多あるというに。半端で何事かなせるなど、思い上がりも甚だしかろ」
狐、嘯いた



「…ヘンなのぉ」
 化野・花鵺(制服フェチの妖狐・f25740)はコスモスが発したその言葉に苛立ちを覚えたのかだんだんと足を踏み鳴らす。
 その様子をコスモスは静か眺めていた。言葉を促すように。
「消えても良いなどと抜かす救いに誰が縋ろうか、このうつけ。」
 発されたその口調には遊びがなくなっていた。
「ヌシが消えるは救いが不要だったからではない。ヌシが半端者だったゆえよ。救う救うと嘯くなら、全てを捨てても救うて見せよ!」
 そう叫ぶと同時に竹筒の栓を抜けば管狐が飛び出す。
 管狐は重さを感じさせない動きで右へ左へと移動を交えながらコスモスへと接近し、跳びかかる。
“すべてをすてて すくう”
 けれどそれはコスモスの直前で不自然な軌道の変化を起こし、脇を通り過ぎて行った。
「さよう。妾は欲しいせぇふくを手にするためなら、トルソーなどいくら壊しても気にはせぬ。ヌシが救えぬはヌシが救わぬからじゃ、うつけめ。」
 化野はそう言いながらも目を眇め、その様子から考える。
(あれが願いを叶える力。が、召喚…と言うより集めた願いが少ない故、そう回数もこなせぬであろう。)
 そんな長期決戦はご免であるが、と算段を付けているとコスモスの様子がどこか変わる。燐光が強く発される。
“すべてをすくえ わたしがすくわないからすくえない”
“それは すくいが わたしが ひつよう という こと”
“すくいがひつようなのなら すくいましょう” 
“ええ ええ すべてを すくいが すくい………”
 そこまで声が発されたところで声が途切れる。
“いいえ いいえ ふこうをもたらすすくいはひつようですか?”
“けれど ひつようと こわれるのなら すくいましょう わたしのすくいで”
 どこかふわふわと気体の様であった声に芯が宿る。
「ましな声じゃな。妾は自らの望みに邁進せぬものは好かぬ。邁進したとて叶わぬ望みが数多あるというに。」
 化野がその声を聞き笑った時、唐突に強く風が吹いた。
 そして不幸にも巻き上げられた、オカ研が置いて行った魔法陣が描かれた布が舞い上がり、コスモスの顔を覆った。
“わ”
 魔法陣の布に、管狐の噛み傷。コスモスを狙っては願いによって逸らされる。
 これは魔法陣の布に起きた不慮の事故。場合によってはただ飛んでいっただけの、すなわち偶然。
「半端で何事かなせるなど、思い上がりも甚だしかろ。ゆえにこの望みを引き当てたのは、妾が半端でない証拠ぞ。」
 願いを叶えるとは言え、不幸を被って叶えられるか? 嘯くだけ狐は嘯けば、衝撃波を叩きこんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

アンタ……自分自身に惑っているのか?
その力に、使命感に。
だからアタシにこの世界を見せるのか。
準がいる日常を。オブリビオンなんて知らない、
ごくありふれた退屈な毎日を。
けれどもな、結局それは「夢」なんだ。
オブリビオンという存在がある限り、アタシは猟兵で。
そしたら平凡な日常になんて居られない。
コスモス、この世界がアンタによって齎されたものなら、
猟兵であるアタシがいる時点で、矛盾しかないんだよ。

我が身の証のドッグタグを「鍵」にして、
アタシはアタシの世界のドアを開ける。
そして抜け出したら、今度はコスモス。
アンタを【理塞ぐ鍵】で閉じ込める。

骸の海への道行は、他のヒトに任せるよ。


片桐・公明
【POW】
羽は容易に避けることができる
が…

気づけば一軒家の玄関に立っていた
武器は無くなっている
家からは香ばしい匂いがする
(今夜はカレーね)
ダイニングに向かえば
食卓で新聞を読んでいる父と
料理をしている母がいた
母がこちらに気付き挨拶しようとする

「違うわ」女性が挨拶する前に断言する公明
「これは私の家庭ではない」
『でも夢想したことはあるんだろう?』内の闇が嘯く
(ニヤついているのが腹立たしいわね)
「その通りよ。だけどね、」
怪訝な顔をする女性にUCを使用して頭部を蹴り飛ばす
続けて驚愕している男性も同様に蹴り飛ばす

「私の両親は、こんなに弱くはないわ」
「あまり私たちを舐めないでよね」
(絡み、アドリブ歓迎です)


九重・灯
猟兵にならなかったら。
わたしは「わたし」しかいなくて。騒がしいもう一人の自分なんて存在しない。家族に怖がられることもなくて、穏やかで平和にすごすことができた。
以前は、そんな日々に戻りたいと思っていた
「だけど、もういいんです」

このまま進み続けると決めた。積み重ねた全てで「わたしたち」だから、無かった事になんてできない
「この幸せな夢を拒絶します」

UC【呪装変転】。攻撃力×5、装甲半減
詠唱拳銃を両手でしっかりと構える

やはり、あなたが来ましたか
どうすれば彼女を救えるのか、わたしにも分かりません。記憶を封じる事で取り繕う事しかできません

だけど
「わたしやあなたが思っていたよりも、あの子達は強いようですよ」



白:
 手に握る工具に力を込める。
 オイルの臭いが鼻を刺す。
 なんとなく、懐かしいと感じた。
 昨日も似た様な事してたからかね。と少しだけ苦笑する。
 立ち上がり、背を伸ばして外を見ればもう日が暮れていた。
 おやっさんが集中し過ぎて時間が経つのを忘れちまう、とか言ってたのを昔は笑っていたけれどもう笑えないねぇと自虐しながら、なんとなく嬉しく思った。
 そのとき、背後から存在を知らせる様に金属を叩く音がした。
 振り返れば そこに 本見準が 準が 壁際に 座って 笑っていた。
「……準。」
 名前を読んだ瞬間数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)の心を理由もわからない寂寥が埋め尽くした。
 やっと気づいた? おやっさんが呆れてたよ。
「あ、ああ。そうだね。すぐ片付けないと…。」
 数宮が慌てて工具を片付けようと身を屈めた瞬間、首元からチェーンに繋がった小さな金属板が滑り出てきた。
「なにこれ。ドックタグってやつ?」
 手に取ればそれは 知らない/知っている 物。
 刻まれている名前は自分の名前。
 どうしたの? と掛けてきた準の声がどこか遠くに聞こえた。

“あなたのこうふくは どっち?”

「アンタ……自分自身に惑っているのか? その力に、使命感に。だからアタシに
この世界を見せるのか?」
 準が居る。オブリビオンなんて知らない。ごくありふれた、退屈な/もう手に入らない 毎日を。
「わざわざ選ばせてさ。」
 多喜の猟兵としての証を握り締めて。
「ああ、結局これは『夢』なんだ。」
 準を送ったのは自分で。
「オブリビオンという存在がある限り、アタシは猟兵で。そしたら平凡な日常になんて居られない。」
 決意を忘れていないのなら。
「コスモス、この世界がアンタによって齎されたものなら、猟兵であるアタシがいる時点で、矛盾しかないんだよ。」
 ただ一方的な幸福な願いを、救いの願いを押し付けているのなら、矛盾しかない。
 数宮がドックタグを、猟兵としての己を真っ直ぐに前へ差し向ければ、目の前の景色がはらはらと崩れ零れていく。
 景色が消える最後の瞬間、誰かに背中を叩かれた気がした。

昼:
 茜色がさす時間。
 片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)はいつの間にか家の玄関の前まで辿り着いていた。
 疲れていたかと二度頬を叩いてから玄関の扉を開けた。
 と、開いた瞬間溢れる様に鼻に香る香辛料の匂い。
(あ、今夜はカレーね。)
 ただいまと言いながら、靴を脱ぎダイニングに向かうその顔には無意識に笑顔が浮かんでいた。
 顔を覗かせれば、そこには新聞を読みながら夕食を待つ父と、鍋の中のカレーをかきまぜる母の後ろ姿。
 普通の、一般的な、日常。
 母が片桐に気づいてお帰りと、
「違うわ。」
 片桐が言葉を遮り言い放つ。
 困惑し、怪訝な表情で手を止めたその母の前へ、一足。
 一拍の間に片桐はテーブルの上に降り立ちそして母の側に移動し、足を振り上げ蹴り抜く。
「これは私の家庭ではない。」
 その勢いのまま回転しステップを踏む様に動き、驚愕し何もできないでいる父も同様に蹴撃する。
「私の両親は、こんなに弱くはないわ」
 本当の両親であれば、対応できないはずがない。
 先ほど使った舞闘術は母から叩き込まれた術なのだから。
 こんな一瞬ともいえる間に制圧なんてされるはず…。
『でも、夢想したことはあるんだろう?』
 自らの内の闇が、まるで肩に寄りかかり耳元で囁くように嘲笑う。
 日常を、強さの無い普通を。
(ニヤついているのが腹立たしいわね。)
 舌打ちしたその理由がただその声音にだけなのか、それともその内容についてもなのか。
 ともかく、
「あまり私たちを舐めないでよね。」
 この世界は生きるには弱すぎる。

夢:
 ぱらぱらぱらと景色が変わる。
 まるで紙芝居の様に、映画のフィルムの様に光景が映り変わっていく。
 主観と客観が混ざり合った様なそれは夢見心地で。
「猟兵にならなかったら。」
 おおよそ一年分だろうか。映り替わる光景がその程度進んだであろうかと言うタイミングで九重・灯(多重人格者の探索者・f17073)は呟いた。
 九重が、
 奇妙な鏡に触れる事も無く。
 わたしは「わたし」しかおらず。
 家族にも怖がられることがなく。
 UDCにも関わる事がなかった世界。
 もしかしたら大学に通ったりしたのだろうか。
 そんなもしもが現実感から遠い。
 無くしすぎて、色々と持ちすぎて、そんな穏やかで平和なもしもが想像できない。
 けれど、そんな日々に戻りたいと思っていた。
 以前は。
「だけど、もういいんです。」
 もしかしたら諦めにも聞こえる決意。
 事実、諦めなのかもしれない。
 けれど、でも。
「このまま進み続けると決めた。積み重ねた全てで『わたしたち』だから、無かった事になんてできない。」
 今のわたしだから救えた人がいた。
 今のわたしだから救える人がいる。
 だから、
「この幸せな夢を拒絶します。」
 九重は真っ直ぐ、詠唱拳銃を両手でしっかりと構えた。

現実:
 三人の前に白い少女が立っていた。
 三人は夢から覚めた事に惑う事も、たたらを踏む事も無くしっかりと踏みしめていた。
「骸の海への道行は任せるよ。」
 数宮は既に【理塞ぐ鍵】を発動しており、コスモスは夢想の否定と言うテレパスの檻が実体化し行動を阻み、UCを阻害していた。
 それじゃと拳銃を構える片桐を、九重が少しだけと制止しコスモスに声をかける。
「どうすれば彼女を救えるのか、わたしにも分かりません。記憶を封じる事で取り繕う事しかできません。」
 けれど、
「わたしやあなたが思っていたよりも、あの子達は強いようですよ。」
 現状を、相手を信じる事も、良いのかもしれない。
 綺麗事か、欺瞞かもしれなくても。
 返答は、ただ“そう”とそれだけでコスモスは瞳を閉じた。
 それを見て、九重は片桐に頷き共に拳銃を構える。
 銃声が響き、救いの必要を否定する。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月21日


挿絵イラスト