銀河帝国攻略戦④~星猫と掲げる友の旗
●ねこねこ号
宇宙船、ねこねこ号。
その船は、人々と猫が寄り添うように暮らす小さな宇宙船だった。
「我々は解放軍に協力するぞ!」
気炎を巻く人々が船は解放軍に合流するため移動中だった。しかし、銀河帝国も黙っていない。合流を阻止すべく刺客が放たれていた。
●守るための戦い
「来てくださってありがとうございます」
グリモアベースの一室でアルトワイン・ディネリンド(真昼の月・f00189)がぺこりと頭を下げた。
「実は、このたび恐ろしい予知を見たのです。
皆さまはわたしよりもずっと世界情勢におくわしいと思うのですが、今スペースシップワールドでは戦争が起きています。
その戦争では現在、銀河帝国と戦う気持ちをもつ勇気ある人々がミディアさまと解放の旗のもとへと集まりつつあります。小さな宇宙船ねこねこ号も、そのひとつなのです」
アルトワインは猟兵たちに困ったように視線を向けた。
「でも……、ミディアさまに助力を申し出ようと移動中の小さな宇宙船ねこねこ号に危機が迫っているのです。
宇宙船に帝国の刺客が単身、乗り込み、コアマシンルームに迫っています。人々は防衛しようとしていますが、相手はオブリビオンですもの」
アルトワインは真っ直ぐに猟兵の目を見て、一生懸命に話す。
「ねこねこ号の人々と、猫さんをたすけてほしいのです。わたしは皆さまをミディアさまの乗る宇宙船に転移します。ミディアさまと共に宇宙船でワープして現場に駆け付け、コアマシンルームの前に猟兵の皆さまにて防衛線を築いて、お守り頂く作戦になります」
アルトワインは自由帳を取り出すとページを一枚めくった。
「ええと、これが敵さんです」
示されたページには、クレヨンで描かれた敵さんの絵が描いてある。
あまり上手ではなかった。
「スペースシップワールドの命運と人々と猫さんの明日がかかっている大切な戦いとなります。
でも、どうかお怪我をなさいませんよう……ご無事でお戻りくださいませ。
お気をつけて、いってらっしゃいませ」
アルトワインは神妙な面持ちで頭を深く下げた。
remo
おはようございます。remoです。
初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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キャラクター様の個性を発揮する機会になれば、幸いでございます。
第1章 ボス戦
『餓狼無道』
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POW : ライクアヒュドラ
自身の身体部位ひとつを【ドラゴン】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD : キリングイカロス
【高速演算による正確な未来予測】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【急所を撃ち抜くレーザー】で攻撃する。
WIZ : デウス・エクス・マキナ
見えない【遠隔操作型ナノマシン】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「エクサ・カラーヌド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
峰谷・恵
「出し惜しむ状況でも相手でも無いか」
血統覚醒でヴァンパイアの力を引き出し戦う。
敵のキリングイカロスが正確な未来予測で急所を撃ち抜いてくることを逆手に取り、血統覚醒で強化したダークミストシールドで急所をかばった体勢でヴァンパイアの力を乗せたMCフォートの弾幕で攻撃し続け(リロードの隙は熱線銃連射で埋める)、絶え間ない遠距離攻撃で圧力をかけ続け敵の攻撃をデウス・エクス・マキナに限定、あとは4重防具(オーラ防御)で防ぎながら敵が隙を見せたらアームドフォートの砲撃(鎧無視攻撃、鎧砕き、誘導弾、2回攻撃)を叩き込む。
「骸の海に還れトカゲ」
コゼー・カッツェンバッハ
猫のみなさんのピンチとあらば、このコゼー、駆けつけないわけにはいかないでありますよ!
ほかにも猟兵どのがいれば、ぜひ連携したいであります。
しかし、おっかない見た目の敵でありますなぁ…まずは相手の戦力がどれくらいなのか、見定めさせていただきますよ。
素早く動き回って、隙を見て剣で斬りつけていくであります!
もし敵の強力な攻撃が誰かに当たりそうになったら、UCを発動して盾となりますよ。宇宙船の中であれば、ボクを避けて攻撃を当てるのはきっと難しいはずであります!
海月・びいどろ
ねこねこ号の危機と、聞いて
…あの仔猫の故郷だもの、頑張るよ
たくさんの海月の機械兵士を喚び出して
ふわふわ、ゆらゆら。
迷彩を纏わせたなら、フェイントを仕掛けて、敵のいちげきひっさつを避けていこう
隙をついて、海月のマヒ攻撃で動きを鈍くするよ
動きを封じられたら、囲んでしまって
海月の手足で、ぎゅっとね
……ほら、つかまえた
みんなでいっしょにに攻撃してしまおう
他の猟兵たちとも、協力するね
コアマシンルームは背中にまもって
もしもミディアや、ねこたち、船の中の人に危険が及ぶ時には
しっかりとかばうから
みんな、元気で会えるように
…負けないよ
明智・珠稀
ふ、ふふ。
愛らしいねこにゃんを脅かし不埒な帝国軍ですね…
この明智たまにゃん、ねこねこ号とねこねこにゃんを守りぬいてみせましょう…!
■戦闘
防衛戦を築くために
「それぞれのねこにゃんを守るのでさ…!」
とUC【行け!たまちゃん人形】を発動。それぞれに【かばう】ように指示
「身を呈してでもお護りするのです…!」
自身は妖刀を構えボスへ。
オーラシールドで身を護りつつ【武器受け】
また【2回攻撃】【吹き飛ばし】で防衛戦から離れさせる。
その上で【残像】出る程にスピードを出し回り込み、妖刀で【気絶攻撃】しつつ
「さぁ、どんなお味がするのでしょう…!」
敵の首筋めがけ【吸血】&【生命力吸収】
※アドリブ、絡み大歓迎です!
アリス・フェアリィハート
アドリブや他の方との絡みも歓迎です
解放軍に協力を申し出て下さいました
ねこねこ号の方々やねこさん達が危ないです…
私達で護らなきゃ…!
味方の猟兵さんの方々とも
協力、連携して
帝国の刺客さんと戦闘に
『貴方が…帝国の刺客さんの…「餓狼無道」さん…まるで、ドラゴンさんみたいな…恐ろしいお姿です…』
手にした剣『ヴォーパルソード』での剣技を駆使し戦闘
レーザーやナノマシンには
【技能】の『第六感』を働かせて攻撃をある程度読み、
剣での『なぎ払い』や『衝撃波』で
ナノマシンを斬り払ったり
遠距離攻撃します
『勇気ある、ねこねこ号の皆さんやねこさん達の為にも…貴方を倒します!』
また
負傷した味方は
シンフォニック・キュアで回復
イヴ・クロノサージュ
宇宙戦艦サウザンド号を救出した後
当艦にも遺失技術であったワープドライブが設置されました
それにより、ねこねこ号宙域近くにワープします
▼サポート
急速接近する敵艦有!
くっ、乗り込まれてるわ…!
★ねこねこ号の状況は…?
ブリッチ
武器庫&食糧庫
機関室
猟兵さんに戦況をお伝えします
(クロユニの広域サポートでねこねこ号内部の状況がわかる)
技能:情報収集、世界知識、救助活動
▼保護
こちら、宇宙戦艦クロユニ
解放軍入りの皆さんを保護します!
…あら、可愛い猫ちゃん
――って、和んでる場合じゃない!
▼主砲発射
ボスを撃破後
主(餓狼無道)を失った
敵の戦艦が逃げようとするので主砲UCを放つ
技能:全力魔法、属性攻撃⇒重力、吹き飛ばし
ヴィリヤ・カヤラ
猫可愛いよね!
宇宙船の人には猫も一緒に
敵から見えないように気を付けて貰わないとだね。
戦闘時は連携重視。
敵の動きをよく見て仲間に対する
死角からの攻撃に気付けたら声掛けするね。
遠距離攻撃に気付きにくそうだから、
動かせそうな物があれば注意するね。
連携に繋げられるようにジャッジメント・クルセイドと
氷晶を使って攻撃と敵の足止めが出来るように頑張るね!
牽制なら黒剣の宵闇も使えそうだから、
剣と見せかけて蛇腹剣に変形させて攻撃も混ぜていくね。
アドリブ、他の方との絡みは歓迎
エルト・アルバーシュ
ね、猫……可愛いですね。旅行だったら動画にアップして……
えっ、仕事なんですか!? が、がんばります(ぷるぷる)
【ゴットスピードライド】でバイクを変形させてから戦います。
普段の速度よりす、すごく早いですけど【騎乗】と【野生の勘】でなんとかしてみます。
……あんまり戦うの得意じゃないんですよね、なりたてなんで……。
でもでも、皆さんの力に少しでもなれるなら。
レーザー攻撃ですか!?それは困ります俺にはどうしようも
(そこら辺は見かねた精霊さんが魔法の障壁なんかである程度助けてくれる)
※アドリブ、絡み可です。新人猟兵感ましましで。
緋神・美麗
まさかこんな天国みたいなスペースシップがあるなんて。帝国なんかに絶対潰させないわよ!
「この船は絶対に落とさせないわよ!私はそのためにここに居るんだから」
遠距離戦はプレシジョン・ハイメガキャノン、近距離戦はライトニングセイバーで斬り結んでオールラウンドに立ち回る
【先制攻撃】などの技能をフル活用してボスを打倒する
戦闘が終わって余裕があれば猫と戯れます
「戦争が終わったらまた遊びに来たいわね。」
ゲンジロウ・ヨハンソン
大変!猫ちゃんは急な環境変化が起こると、ハゲたり自傷をしてしまうんじゃ!
戦闘後のことを考え猫ちゃんに【料理】技能で鶏ささみと魚の切り身を用意しておくぞぃ!
○戦闘
猫ちゃんを守り抜くという【覚悟】でUCを発動!BGMと巨大な身体で敵を【挑発】!
敵の攻撃には【盾受け】と【激痛耐性】をぶつける!
猫ちゃんや一般人が戦いに巻き込まれそうなら【捨て身の一撃】で割り込み
【かばう】【救助活動】で全力防衛じゃ!
攻撃は猫ちゃんを驚かせんよう静かに【怪力】を使った関節技を主に使おう。
●ライクアヒュドラにはヘッドロックの【鎧砕き】で竜頭を砕く!
極めつけは【手をつなぐ】からの【怪力】で壁や床に叩きつける【2回攻撃】じゃ!
満月・双葉
攻撃は第六感や野生の勘も利用し見切り、見切れぬものは盾受けや武器受け、オーラ防御で受ける
戦場を把握し地形の利用で効率的に殲滅します
忍び足で目立たぬ動きを心がけ、利用できる死角は利用し、残像を見せる早業で騙し討ちする
多彩な攻撃で次を予測させず翻弄する
桜姫でなぎ払い、吹き飛ばす
スナイパーですので銃で遠くから打てますし零距離射撃も得意です
御札の呪詛で恐怖を与えたり、催眠術で自傷させたり目潰ししたり
大根で鎧砕きし更に傷口を抉ったり
馬の置物を投擲して気絶攻撃を放ったり
仕上げは美しく、ユーベルコードで焼き討ちしてしまいましょう。
エリカ・ブランシュ
(アドリブ等歓迎)
解放軍に参加してくれる勇士の人達を見捨てるわけにはいかないわね!
ここが護りの見せ所!きっちり護ってみせようじゃない!
(頑張って護りきれたらネコに会えたりしないかしら?)
戦闘の時はアタシはサポートに回るわね。
コアマシンルームの前に立って、Aigisを展開。
あとは【オーラ防御】と【拠点防衛】を駆使してコアマシンルームへの攻撃は絶対に阻止してみせるわ!
アタシがコアマシンルームを護っている間に、他の猟兵の仲間が少しでも攻撃に専念出来ればありがたいわね。
「アタシが来たからにはこの船も、この船の人達やネコ達にも傷一つつけさせないんだからー!」
佐之上・権左衛門
(アドリブ・絡み歓迎)なんか気の抜けた名前だけど、協力してくれるのなら助けない道理もなく。
と言うわけで部外者はとっととお帰りください、と言わんばかりにUC 【揺らめく人型の何か】で問答無用でぶっ飛ばす。
その後は皆でフルボッコかね?
愛用の斧で【2回攻撃・毒使い・鎧砕き・怪力】を使って後退散願おう。
回避は【第六感・残像・空中戦】でなんとか頑張ってみる。
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(共闘可)
かつて守り抜いた猫たちのためにも、そしてこれから先
ねこねこ号と一緒に戦うためにも
「ボク達も『ねこねこ号』の力になるよ!」
フィオ姉ちゃんと防衛線に入り餓狼無道を殲滅する
【行動】()内は技能
「帝国軍の好きなんかさせないよ!」
(先制攻撃)で餓狼無道にクラロ・デ・ルーナを放つ
すぐさま(ダッシュ)距離をとりつつ、
フィオ姉ちゃんのUC発動を見て聖箒を構えなおす
「ボクの今持っている全ての力を!」
(高速詠唱×全力魔法)でカラミダド・メテオーロを叩きつける
フィオ姉の叱責に我に返り戦闘態勢を維持する
「アルトワインさん『ルナ』達は元気にしているよ!」
だから絶対に負けられない
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(他猟兵と連携可)
※口調若干変更
「とにかく急がないと」
フォルセティと『ねこねこ号』へ急行
■作戦
フォルセティが高速先制攻撃を仕掛けたところで
UCを相殺しカウンターで全力攻撃を仕掛ける
■行動
「私に対する未来予測は追いつかないみたいね」
弟の先制攻撃でキリングイカロスを誘導させ
アイギスの盾を展開して無効化する
(技能:高速詠唱)
オートフォーカスで餓狼無道をロックオンしながら
フォルセティのUC発動後、間髪入れずに
技能:高速詠唱でアイオロスの刃を2回攻撃にして切り刻む
「フォルセティ、最後まで油断したらダメよ」
敵が動かなくなるまでは気を抜かない
マシューの仲間の為にも負けられない
目面・真
待たせたな。禍々しい爬虫類の相手は我等に任せるがイイ。
ねこねこ号の諸君の覇気には感謝する。が、キミ達には解放軍に参加する人々を増やして欲しいね。増援の要請は、この戦争を続けるために重要だ。ヨロシク頼む。
(クレヨン絵を見て一言)なんだ、タダのバケモノか。
とは言え、結構厄介な攻撃のようだね。遠距離攻撃も出来るようだし。
場所柄、あんまり撃ち合いをしたくはナイね。近接からの抜刀術で確実に弱らせたいところだ。
残像と先制攻撃で一太刀浴びせてやろう。距離が足りなければフェイントとダッシュで強引に間合いに飛び込んでやるさ。
この距離でトカゲの頭で攻撃してくるのは織り込み済み。掻い潜って必殺の剣刃一閃で勝負だ。
テン・オクトー
ねこねこ号!?そんな名前を聞いてはいてもたってもいられない。同胞(気分は)の猫さんそして人々を助けなくては!転送後はまず周りを確認。もし暗くても【暗視】で不自由はしないはず。仲間と共にコアマシンルームへ。
刺客を視認したら
あれが対象の刺客かなあ?(アルトワインさんの絵を思い出しつつ悩む)刺客は単身で乗り込んでると聞いているし、なんとなく絵の色味とかが似てる?似てない?ん〜?(凄く凄く悩む)、、ボク達を襲ってくるから敵には間違いないね。うん!
WIS
刺客や遠隔操作ナノマシンが防御線に近づいてきたらUCで相手の動きを妨害。【竜巻】効果で吹っ飛んじゃえ〜!可能なら【鉤爪】で叩き落とす!
連携アドリブ歓迎
●始
ねこねこ号の防衛に駆けつけた猟兵は15名いた。
目面・真(たてよみマジメちゃん・f02854)はサムライエンパイアとスペースシップワールドを主な活動拠点とする猟兵だ。
彼は嘗て別の名を持っていたが、宇宙戦争に身を投じた際に名を捨て、True Face=目面・真と名乗るようになった。そして、スペースノイドの終わりなき戦いに立ち向かうと誓い戦い続けている。
峰谷・恵(神葬騎・f03180)は実験により生まれた陰と陽、聖と邪が混濁した猟兵である。
「出し惜しむ状況でも相手でも無いか」
吸血ゾンビの力は嫌いだけど、と言いながら恵は黒の瞳を深紅へと変えていた。彼女はヴァンパイアは耽美趣味なだけのゾンビと嫌悪しているのだが、今は作戦のために血統を覚醒させ、ヴァンパイアへと変じている。代償として寿命を削る大技である。
コゼー・カッツェンバッハ(もふもふの大盾・f06648)は有名な猫の一族、カッツェンバッハ家当主の三男である。纏う貴族服はXXLサイズにしてふわふわに手入れされた艶のある毛並み、血統書付きのおぼっちゃまなのだ。
「猫のみなさんのピンチとあらば、このコゼー、駆けつけないわけにはいかないでありますよ!」
カッツェンバッハ家の家紋が刻まれた重量のある長剣をらくらく振り、コゼーは周囲の猟兵に協力を申し出る。
海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)は人を模した電子のこどもだ。ヒトの思考を分からないこともあるこどもは、だが今、周囲の猟兵たちと同じことを想い、同じ戦いに臨んでいた。
びいどろは先日、この宇宙船で余った子ねこを貰って飼っていた。
「……あの仔猫の故郷だもの、頑張るよ」
呟く。ねこねこ号のクルーたちや猫たちの姿が思い出し、決意を固めて。
「みんな、元気で会えるように……負けないよ」
闇の呪詛が篭められた外套に身を包み、刀身が紫に輝く妖刀『閃天紫花』を手にした優艶にして妖艶な明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)は蠱惑的に笑む。
「ふ、ふふ。
愛らしいねこにゃんを脅かし不埒な帝国軍ですね……。
この明智たまにゃん、ねこねこ号とねこねこにゃんを守りぬいてみせましょう……!」
空色のピナフォアドレスを纏う御伽話に出て来るかのような少女はアリス・フェアリィハート(猟兵の国のアリス・f01939)。由緒正しきフェアリィハート家の息女にして優しくも芯の強い天然お姫様だ。
「解放軍に協力を申し出て下さいましたねこねこ号の方々やねこさん達が危ないです……、私達で護らなきゃ……!」
アリスの手にするヴォーパルソードは空色の光焔を纏い白銀に輝く。
イヴ・クロノサージュ(《機械天使》花と自然を愛する機械人形・f02113)は先の戦いにて別の宇宙船『サウザンド』号を救い、経験と力を得ていた。戦いを経て成長したイヴはねこねこ号を救うために戦闘宙域近くに来ていた。
花を愛するミレナリィドールの少女は自身も清廉なる花めいた容貌である。その面差しを焦りの色に染め、イヴはねこねこ号へと急ぐ。
「急速接近する敵艦有! くっ、乗り込まれてるわ……!」
ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)は見聞を広めるため故郷を出たケーキ好きの猟兵だ。父は軍人であった。彼女は軍人ではないが、父の影響を受け軍服を着用している。どこかマイペースなダンピールは各戦場を飛び回り戦い続けている仲間へと笑みを浮かべ軽口を叩く。
「寝不足は良くないよ? 血が不味くなるからね」
ライダースーツ姿の黒き虎キマイラは温厚なエルト・アルバーシュ(精霊と旅するバイク乗り・f13986)だ。猟兵仕事には未だ慣れない。
「ね、猫……可愛いですね。旅行だったら動画にアップして……
えっ、仕事なんですか!? が、がんばります」
敵のユーベルコード情報が味方から齎されると、エルトは困ったように耳を垂れた。
「レーザー攻撃ですか!? それは困ります俺にはどうしようも」
セーラー服姿の緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)は細く小柄でしなやかな、けれど正義感の強い少女だ。猫をそっと抱きかかえ、撫でている。大人しい猫は少し眠そうにしていた。ふわりとした毛の奥からやわらかさと温かさがじわりと伝わる。
(「まさかこんな天国みたいなスペースシップがあるなんて。帝国なんかに絶対潰させないわよ!」)
戦場傭兵のゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)はDIYナイトヘルムを脇に抱え鶏ささみと魚の切り身を猫に振舞っていた。
「大変! 猫ちゃんは急な環境変化が起こると、ハゲたり自傷をしてしまうんじゃ!」
それは大変、と周囲の猟兵たちも案ずる表情をした。
DIYナイトヘルムを被ると歴戦を思わせる凄みが増す。口調も雰囲気が変わった。
「猫は俺たちが守り抜く!」
周囲の猟兵たちは真剣な面持ちで頷いた。
満月・双葉(星のカケラ・f01681)は芸術家がキャンバスいっぱいに夢を描いたような極光めいた翼をもつ才媛だ。魔眼殺しである銀縁眼鏡の奥で瞳が真剣な色を宿している。彼女は先日ねこねこ号で黒ねこを引き取っていた。その手には大根と馬の置物が握られ。
「ん?」
仲間が少し不思議そうな顔をした。
エリカ・ブランシュ(寂しさに揺れる白い花・f11942)は『護る』ことに重点を置く猟兵だ。彼女は上流階級育ちでプライドが高く、負けず嫌いだ。そして、努力家だ。他者の感情に共感することのできる感性豊かな一面もある。
彼女は、人々や仲間を護るためにここにいる。
トレンチコートに身を包んだ佐之上・権左衛門(トレンチコートのバーバリアン・f00239)が立っていた。煙草を美味そうにくわえ、ぼりぼりと頭を掻く姿はしかし隙がない。経験豊富な戦場傭兵だった。
「なんか気の抜けた名前だけど、協力してくれるのなら助けない道理もないな」
フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)とフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)は姉弟だ。
姉はフォレストキャットのマシュー、弟は三毛のルナをこのねこねこ号から引き取ったことがある。
「マシューの仲間の為にも負けられない!」
フォルセティも頷いた。
「うん。絶対に負けられない!」
「ねこねこ号!?」
同胞の危機に駆けつけたテン・オクトー(気弱な小さき猛獣・f03824)は猟兵に目覚めたのを機に故郷を出て世界を渡り歩く灰色毛のケットシーだ。爽やかな冬の碧空のような瞳がキラキラと輝いている。
彼らの背中には、ミディアとねこねこ号のクルーたちがいた。そして、たくさんの猫がいた。その数は46匹だ。
●集
時間は少し遡る。
不安そうにしている人々と猫の前に猟兵たちが続々と到着してきた。
「こちら、宇宙戦艦クロユニ。解放軍入りの皆さんを保護します!」
イヴが事情を人々に説明していた。自分たちは助けにきた猟兵なのだ、と告げると人々は歓声をあげた。味方勢力となる人々を安心させるべく言葉をかけ、イヴはふと猫に目を奪われる。
にゃあー。
にゃあー?
みゃあ!
ふわふわの毛並みをした小さな猫がたくさんいた。
「……あら、可愛い猫ちゃん。皆さん、猫ちゃんは元気です――って、和んでる場合じゃない!」
味方へと思わず猫の状況を伝えつつ、イヴは艦内の状況を猟兵へ伝える役割を担当した。
「解放軍に参加してくれる勇士の人達を見捨てるわけにはいかないわね!
ここが護りの見せ所! きっちり護ってみせようじゃない!」
エリカは苺のような愛らしい瞳をパチリとウインクしてみせた。
「アタシはサポートに回るわね」
そう言うと同様にサポートを担当するイヴにも連携を申し出るのであった。
「待たせたな。禍々しい爬虫類の相手は我等に任せるがイイ」
真がねこねこ号のメンバーへと声をかけた。
「ねこねこ号の諸君の覇気には感謝する。
が、キミ達には解放軍に参加する人々を増やして欲しいね。
増援の要請は、この戦争を続けるために重要だ。ヨロシク頼む」
スペースシップワールドの戦いは、猟兵のみならず一般兵の同志の力も必要な総力戦となるのだ。
「とにかく急がないと」
フィオリナとフォルセティが防衛線に入る。
「ボク達も『ねこねこ号』の力になるよ!」
クルーから声が飛んできた。
「今日もねーちゃんと来たのか、すまんが頼りにしているぞ!」
「猫は元気にやってるか?」
うん、とフォルセティは頷いた。
「『ルナ』達は元気にしているよ!」
だから絶対に負けられない、とフォルセティは聖なる箒を握る手に力を籠めた。そんな弟の隣で姉もまた銀翼杖セラファイトを握りしめる。
虎耳をぺたりと伏せ、エルトは軽く身を震わせながらも宇宙バイクを変形させる。
「普段の速度よりす、すごく早いですけど」
跨りながらも震えは続いていた。
「……あんまり戦うの得意じゃないんですよね、なりたてなんで……。
でもでも、皆さんの力に少しでもなれるなら」
エルトは味方をひとりひとり見た。頼もしい仲間たちだ。そして、猫たちと集まっていた人々を見た。
(「これが、猟兵の仕事。人々の未来、銀河の命運がかかってるんだ」)
ぐっと奥歯を噛み、エルトは再び前を見た。もう震えは止まっている。
猟兵たちはコアルーム前の通路に防衛線を敷く。
そして、敵が姿を現した。その敵、餓狼無道は全身に星粒をまぶしたように煌めきの粉を纏っていた。二足歩行にフーデッドローブ姿は人型に違いが、フードの奥に見える顔、そして背にある皮膜の翼と尾は爬虫類めいていた。
「あれが対象の刺客かなあ?」
テンは事前に見た絵を思い出した。悩む。
「刺客は単身で乗り込んでると聞いているし、なんとなく絵の色味とかが似てる? 似てない? ん〜?」
テンはウンウンと悩んでいる。
「フム」
真も目の前の敵を見て脳内で事前に見た絵と照らし合わせた。絵を見た時はタダのバケモノだと思ったが、こうして目の前にすると絵はお世辞にも匠ではなかったものの、バケモノという一点においては間違いなく共通していた。
「あれが敵だ。間違いナイ」
真が保証するとテンはスッキリした表情になった。
「ボク達を襲ってくるから敵には間違いないね。うん!」
「結構厄介な攻撃のようだね。遠距離攻撃も出来るようだし」
油断はするまい、と真は気を引き締める。後方には一般人と猫がいた。
(「あんまり撃ち合いをしたくはナイね」)
鯉口を緩めるのは愛刀『義光』。幾多の戦場を共にし、敵と切結んできた相棒だ。
敵を見つめる彼にあるのは風のない静かな夜湖のような純粋で静謐な戦意のみ。
「貴様らは猟兵か! くっ、読まれていたとは」
忌々し気に言うと敵が防衛を突破しようと戦意を高め、敵は床を蹴る。
「氷よ射抜け」
透き通った氷の刃、氷晶がヴィリヤによって放たれ敵を足止めした。
「ええい!」
敵は羽を羽ばたかせ、身を捩る。パキ、と音がして氷が砕ける。次いで高精度のレザーを猟兵の防衛陣と放った。
コゼーが味方の前に立ちふさがり、叫ぶ。
「我はコゼー・カッツェンバッハ!」
その声は誇り高き血を感じさせる堂々たる声であった。
「我は森羅万象の盾となる者なり。天よ、我に守りの力を」
声と共にコゼーは巨大な彫像となり味方へのレーザーを全て弾いた。
短く礼を言い、その影から珠稀が躍り出た。一息に接敵し妖刀で狂奔する敵の横っ面を薙ぎ払った。鋭く体表を裂き、珠稀は反撃される前に機敏に距離を取る。その瞳は愉し気な色で敵に語りかけていた。これは戯れであると。
入れ替わるように真が強引ともいえる挙動で弾丸めいて距離を詰め、間合いに飛び込む。敵が竜頭を仕向けてくるのは承知の上だ。真は敵の竜頭を掻い潜り、刀を一閃させる。敵の胴に横一直線の筋が走り、浅くはない傷から血が流れた。
後方でエリカはコアマシンルームの前に立ち、『MagicCode・Aigis』を発動させる。
守護の魔法が篭められたドレスの裾がふわりと舞い、同種の魔力が篭められた盾が淡く光輝いた。頭に頂いたティアラは高貴な輝きを放つ。
「アタシが来たからにはこの船も、この船の人達やネコ達にも傷一つつけさせないんだからー!」
全身を魔法による防御形態に変えたエリカは最終防衛線となり、味方が回避した結果飛んできた全ての流れ弾を受け止め続ける。
只管護り続ける。
それは、決して花のある役割では、ない。しかし縁の下の力もちとは正にこのことで、彼女がいるからこそ味方は前線で戦い続けることができるのだ。
その背中は後ろから見つめる人々の目には神々しく、救いの光そのもののように思えた。
●戦
敵は傷を抑え、怒りに震えた。そしてユーベルコードを発動しようとする。
「帝国軍の好きなんかさせないよ!」
フォルセティは機先を制し短く詠唱を完成させ、同時に後ろへと下がる。その前方に姉が展開した光り輝くアイギスの盾が展開されており、敵の反撃は届くことがない。
「放て」
短い詠唱は、しかし恐るべき高エネルギーの波となった。クラロ・デ・ルーナ
の閃光と衝撃が最初の1分を猟兵たちが有利に運ぶ足掛かりとなる。
弟の先制が成功することを疑っていなかった姉は追撃を準備していた。VF-1オートフォーカスは瞬時に敵をロックオンしている。
「バラバラにしてあげるわ。切り裂け、風神の刃よ!」
姉が杖を高く掲げて術式を完成させると高速回転する真空の刃が現れた。フォルセティは姉の魔法が発動したのを見て聖箒を構え直す。
「悠久に揺蕩う無限の星屑よ」
詠唱は速い。漆黒の紅炎が箒に導かれるようにぐるりと光集まった。
その視線の先ではフィオリナのアイオロスの刃は高練度で生成され連続の刃となり敵を切り刻む。フォルセティは詠唱を完成させた。
「ボクの今持っている全ての力を!」
聖箒ソル・アトゥースを厳かに敵に向ければ、高精度かつ全力のカラミダド・メテオーロが敵に注がれ敵の強靭な体皮が焦げ落ち、肉を出した。
「やった……!」
先手を取った連携は鮮やかに決まった。フォルセティが喜びに瞳を輝かせる。敵は反撃とばかりに尾を揮う。美麗がライトニングセイバーでそれを受け止めていた。
「あ、ありがとう!」
「フォルセティ、最後まで油断したらダメよ」
敵が動かなくなるまでは気を抜かない、と姉は弟に警戒を呼び掛ける。
姉の叱責に我に返りフォルセティは戦闘体勢を維持する。
「おのれ!」
怒る敵は不可視のナノマシンを放ち猟兵たちを狙う。
銃撃戦はカバーが命だ。恵は砲撃で弾幕を張り味方を援護した。身体を巡る神殺しの力は時折掠める敵の攻撃の威力を削いでくれる。
「ナノマシン、たくさん……」
危険、と呟くと、びいどろは指を宙に滑らせると電子の画面が現れた。
びいどろはたくさんの海月の機械兵士を喚び出す。ふわふわ、ゆらゆらとしている海月の機械兵士に迷彩を纏わせるとナノマシンを排除させる。
アリスは第六感に従い横に転がる。一瞬後をレーザーが通り過ぎていった。
アリスは目を閉じた。視覚に頼らず第六感を研ぎ澄ませれば、不可視のナノマシンが『視えた』。
「そこですっ」
アリスはヴォーパルソードを閃かせ、ナノマシンを両断した。
「ご先祖様、力をお借りします」
テンは自分と瓜二つのケットシー姿の古代の魔導師の霊を召喚した。スペースシップワールドの民が夢見る地球のような青い瞳が遥か遠くをも見通すような深い色をしている。
魔導師は竜巻を起こしてナノマシンを吹き飛ばした。さらに、と鉤爪を披露すれば、すでにボロボロになっていた敵の羽が原型を留められず崩れ落ちた。
「しつけの悪い尾っぽですね……ふふ」
珠稀が駆け寄り、尾に傷を加える。不可視のナノマシンにより後方の猫に危険が及ぶことを危惧した珠稀は次いでユーベルコードを発動させた。
珠稀を模した絡繰り人形が1体、また1体と出現した。
「それぞれのねこにゃんを守るのです……!」
それぞれに猫を庇うよう命じると珠稀自身は妖刀を携え敵の懐へと駆ける。
「さぁ、私ともっともっともっと戯れましょう……! 愛に包まれてください、ふふ……!」
「くッ!」
敵がレーザーを放つも珠稀はオーラで緩和し、肉薄する。星藍のマントが優雅に舞い、大胆な踏み込みに合わせて妖刀が新月の弧を描く。血しぶきをあげさせながらも息をつかせる間も与えず連撃を繰り出せば敵が後方へと押されて戦線が上がる。熱を孕んだ雪白の肌が軽く紅潮し、ダンピールは囁く。
「さぁ、どんなお味がするのでしょう……!」
凄絶に笑みながら回り込む速度は残像さえも残り、無防備な敵の首筋より珠稀は血と生気を啜る。
「ク、アァッ」
敵は死に物狂いで身を捩り、至近距離からレーザーを放った。
「おっと」
血に濡れた唇を舐めながら珠稀が回避し、距離を取る。殺意を漲らせ、敵はレーザーを乱射しながらそれを追おうとし。
「僕だって戦うんだ!」
宇宙バイクがそれを遮った。
「なっ」
壁を走り迫る宇宙バイク。操るのはエルトだ。エルトが決死の覚悟で突っ込むと敵は慌ててバイクを避けた。レーザーが止む。
「貴方が……帝国の刺客さんの……「餓狼無道」さん……まるで、ドラゴンさんみたいな……恐ろしいお姿です……」
息を呑みながらもアリスはひるまず踏み込んだ。羽が舞うが如く軽やかに躍動する少女の周囲で白銀の空の軌跡が斬撃により敵のローブを切り裂き、胸元へ血の花を咲かせる。
踏み込めば光のヴェールが幻想めいて揺れる。
ヴィリヤの月灯りを宿したような金の瞳は敵の動きを注視していた。
「気を付けて! 狙われている!」
味方に声をかける。
敵の尾が奮われていた。アリスは軽やかに後ろへ跳び、避けた。
振るわれた尾へと真は刀を迸らせ、傷を負わせた。
「バトルアーマーモード!超爆装屋台、コード【IZAKAYA:げんちゃん】!!」
ユーベルコードを発動するとゲンジロウは超未来変形屋台バイクと合体し、2倍の身長のロボへと変身した。
BGMが流れる。
人々の平和 守るのさ
世界の危機に 駆けつけるのさ
家を守るぜ 森を守るぜ かわいいあの子の平和を守るぜ
爆装屋台だ! ゲンチャンダー!
ガンバレマケルナゲンチャンダー!
戦え! 俺らのゲンチャンダー!
戦闘後は トカゲ料理を喰わせてやるぜ
「今日のBGMは特別バージョンだ」
渋く言い捨ててゲンジロウは敵を挑発する。敵はギラリとゲンジロウを睨み、丸太のような腕を振り上げた。がっしりとゲンジロウがそれを掴む。
その隙にと双葉は父に貰った御札を放つ。大切な御札だ。御札が触れれば敵は恐怖を覚え身を竦ませた。あわせて催眠術をかければ、敵は錯乱した様子で爪で自らの負った胸元の傷を掻きむしる。双葉はさらに大根を持ち出して傷口を抉る。
「大根?」
アリスが目を瞠っていた。
双葉は素早く離脱しながら懐から馬の置物も投擲した。
「それは武器なの?」
ヴィリヤが思わず問う。双葉はコクリと頷いた。
「部外者には退場願おうか」
権左衛門が言いながら目を細めた。個性豊かな味方は戦場では光そのもののようだった。太陽のように温かく、頼もしい。もちろん、彼自身もまたその1人だ。
「む、ここからでは届かんか。なら奥の手を使わせて貰おうか」
権左衛門はユーベルコードを発動する。
揺らめく影は人型に見える。だが、人ではない。得体のしれない何かが放たれて敵を吹き飛ばした。
「この船は絶対に落とさせないわよ! 私はそのためにここに居るんだから」
美麗が言いながら追撃をする。
「穿心、一点集中で狙い穿つ!」
美麗が指先を向けるとサイキックエナジーがバチバチと雷球を形成し、高精度で放たれ、敵の羽を焼いた。苦悶の表情を浮かべ、敵が呻いた。羽はもう使えないだろう。
だが、猟兵たちも細かな傷を少しずつ負っていた。アリスは息を吸い、歌を歌う。少し迷った後でアリスはすでに流れていたゲンジロウのBGMをなぞり、BGMに乗って一緒に歌うことにした。
戦場に花が咲いたかのように愛らしい声で、熱い歌詞の歌が響き渡る。負傷した者の傷が癒えていく。特にゲンジロウには効果が覿面であったのは言うまでもない。
「纏めて始末してしまえば」
正気を取り戻し、敵は吠えるように言うとレーザーを放った。高速演算は精度を高め、視界にいる全ての猟兵の心臓を狙い迸る。
レーザーがエルトを襲うが、傍にいた精霊が魔法の障壁を用意してエルトを守っていた。しかし、エルト本人は気付いていない。
権左衛門は壁を蹴り第六感のまま獣のような動きでレーザーを避けていた。
双葉も第六感と野生の勘に導かれるまま身を捩り、攻撃を避ける。が、レーザーが隙間を埋めるほどに放たれれば、
(「避けられないっ!?」)
危機を感じた。ひやりと背を焦りの汗が伝う。
と、間に割り込み庇う巨躯があった。
「ぁ」
双葉は庇ってくれた相手へと眼鏡越しに感謝の目を向ける。
「ありがとう、ございます」
ゲンジロウがDIYシールドガントレットで攻撃を受け止めていた。跳ねたレーザーが兜に当たり亀裂を入れている。亀裂の隙間から温かな目が見えた。
「おうよ」
無事でよかったと、その瞳が語っている。
「急所を狙うとわかっているなら」
恵は敵の攻撃精度を逆手に取り、血統覚醒で強化したダークミストシールドで急所をかばった体勢でマシンキャノン仕様のアームドフォートの弾幕を張る。リロードの隙は熱線銃連射で埋めた。
絶え間なく遠距離からの弾幕を張り続け圧をかければ徐々に敵は圧されていく。
「しかし、おっかない見た目の敵でありますなぁ……まずは相手の戦力がどれくらいなのか、見定めさせていただきますよ」
コゼーは機敏にレーザーを掻い潜り、剣刃を敵に届けた。円月を描く斬撃に敵の右肩から血花が咲く。
双葉は目立たぬ動きを心がけていた。戦場では敵味方が死戦を繰り広げている。味方が攻撃している隙を狙い双葉は死角からの攻撃を心がける。
軽やかな踏み込み、果敢に斬り込む。手には『桜姫』があった。敵が剣刃を受け止めようと尾を揮うが、斬る刹那に赤黒い大鎌へ変形させれば敵は不意をつかれて尾ごと切り落とされた。激昂した敵が至近からレーザーを揮うが、すでにそこは虚空。素早く回り込んだ双葉は大鎌を叩き付け、敵を吹き飛ばした。
海月の機械兵士が吹き飛んだ敵を囲む。海月の手足がぎゅっと掴み、動きを完全に封じてしまった。
「……ほら、つかまえた」
びいどろが目を細める。
ゲンジロウは束縛された敵に接近すると両腕をがっしりと掴む。怪力をもって敵を壁へと叩き付け、さらに流れるような挙動で床へ叩きつけた。
後方から遠く猫の声が響いていた。
にゃー
みゃあ~
ゲンジロウは猫を守るという熱い意志により静かに闘気を高めた。そして、猫を驚かせないように倒れた敵に静かに関節をきめていく。
足掻く敵は尾をばたつかせ、尾先を竜頭に変じてゲンジロウを食い破ろうとする。
「させないよ」
ヴィリヤは宵闇の名を冠する黒剣で敵の尾を受け止めた。敵が尾を竜へと変じればヴィリヤもまた剣を鞭状の蛇腹剣へと変化させ竜の牙をへし折った。
「助かったぜ」
ゲンジロウは竜頭を脇に抱えて締め上げた。ヘッドロックだ。怪力が竜頭を締め上げ、ついにはぐしゃりと砕く。
「皆さん、」
イヴが報告する。
「皆さん、他の区画は無事です。その敵さえ倒せばこの船は護れます」
言いながらイヴは宇宙船の外にひそかに敵艦が隠れていないか探していた。この敵を乗せてきた敵艦がいるのでは、と踏んだのである。
「さて、フルボッコしても構わんか?」
舌なめずりをするように言いながら権左衛門がギガントアクスを手に――すでに振り下ろしている。サイボーグの彼は筋肉も機械化している。その恐るべき膂力にて連続の刃が揮われれば左右の腕が切り取られ血しぶきをあげた。
ヴィリヤが指先を向けると光が天より迸る。神々しい光は天からの裁きのごとく敵を貫いた。
仕上げは美しく、と双葉はユーベルコードを発動する。
「美しい物には毒がある、よ」
眼鏡に手をかけてチラリと敵を睥睨する。生命力を吸収する虹色の炎が燃え上がった。炎はゆらりと薔薇の形を作る。
恵もアームドフォートの砲撃を叩きこんだ。
「骸の海に還れトカゲ」
「エルトどの、一緒に攻撃するであります」
コゼーがにこやかにエルトを誘い、共に攻撃を加えた。
真は敵の竜頭を掻い潜り、刀を一閃させる。
畳みかけられた連続の技により敵は絶命し、骸の海へと還っていった。
付近に潜んでいた敵の戦艦が逃げていく。イブは敵艦を発見していた。
「―――最大出力、クロノトロンブラスト発射!!」
イヴは主砲、《重力波砲撃》クロノトロン=ブラストを発した。圧倒的な質量の重力砲が敵戦艦を貫く。砲撃が通過し、消えたのち一拍の静寂があった。そして次の瞬間、ブワッと敵艦は赤き光を放ち自らが放つ光に呑まれるように爆散した。
「敵艦、撃沈」
報せは端的に齎された。
●猫
にゃあー
みゃーあ
にゃあ!
猫たちが鳴いていた。
猟兵たちは猫に囲まれ、ねこねこ号の人々と会話していた。この戦いにより、ねこねこ号は解放軍の仲間となったのだ。
「この旗の隣に、解放軍の旗を掲げましょう」
ねこねこ号のねこ印の旗を誇らしげに掲げながら、船長が言った。
「ええ。私たちは共に同じ未来を目指し、道を切り開く……世界を解放する戦友です」
人々が笑顔で拍手する。
「よかった」
美麗は猫をもう一度抱き上げる。抱き上げたぬくもりは、戦闘前と変わらない。猫は戦いがあったことさえ知らない。この小さな温もりを守ることができたのだ。美麗は笑顔を浮かべた。
「戦争が終わったらまた遊びに来たいわね」
周囲から同意の声があがった。
見ると、仲間たちも思い思いに猫を撫で、抱き上げている。
「あら」
イヴが足元に擦り寄ってきた猫を抱き上げる。
エルトが動画を撮っている。
「この動画、あとで投稿しようかな」
呟く声は明るい。
「ねこさんの動画、見たいです」
言いながらアリスは猫じゃらしで猫と遊んでいた。
「可愛いよね!」
ヴィリヤがニコニコと猫を撫でていた。
エリカのスカートの裾に猫が遠慮がちに足を触れる。エリカは春花が咲きこぼれるかのようにふわりとほほ笑んだ。
「ふ、ふふ」
珠稀は猫を膝に乗せていた。猫はすやすやと穏やかな寝息をたてて膝に体温をつたえる。
びいどろは猫と海月を遊ばせていた。猫を引き取り、飼ってはいるが小さな生き物にはやはりまだ慣れない。
コゼーは尻尾を揺らしていた。子猫たちがその尻尾にじゃれている。
恵がそれを微笑まし気に見ている。
ゲンジロウは再び猫にご飯を振舞っていた。皿を一列に並べると猫が皿に沿い一列に並ぶ。ふ、と息をつき、彼は目を細めた。
双葉は猫じゃらしを手に猫と遊んでいた。表情は変わらないが、猫たちはそんな双葉の優しい気配を感じて懐いていた。
権左衛門は足元に寄ってきた数匹の猫を不器用に順に撫でていた。
「なんか寄ってきちまったな」
と、そんなことをぼやきながら。
フォルセティとフィオリナは並んで猫と遊んでいた。
「フィオ姉ちゃん、あんまり触ると帰ってからルナとマシューが嫉妬するかも」
「仲間の匂いだけど、どうかしら」
真は猫に纏わりつかれて少し戸惑っていた。
「遊んであげたらいいんだよ」
テンがくすくすと笑った。
「こうすればイイのか」
ネズミのおもちゃを放てば、猫たちが喜んでじゃれる。
にゃあ。
にゃあ~♪
やわらかな毛並みの猫たちは何にも縛られることなくのびのびとしていた。
猟兵たちは猫に囲まれ、笑い合う。
彼らは守り切ったのだ。
●結
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年02月05日
宿敵
『餓狼無道』
を撃破!
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