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お花見は龍退治のあとで

#封神武侠界 #お花見

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#お花見


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 薄い雲は空に浮かび、柔らかな日差しが降り注ぎ、優しいそよ風が草木を揺らす。
 さわさわ、さわさわ。
 満開の桜が風に揺れ、花びらが舞い踊ると水面に淡い彩りがひとつ、ふたつ。
 ああ、ここはなんてのどかであたたかな場所なんだ。
 そっと耳をすませば優しい音が聞こえてくるーー、

 グルオォアアアアア……!!

 つんざく咆哮は優しい音を踏み潰し、あたたかな空間を引き裂いた。


「皆さん、お花見に行きませんか?」
 色とりどりの花が咲き始めたグリモアベースの一角で上里・あかり(あかりを照らすもの・f06738)は猟兵達に声をかけた。
「お花見?」
「はい、お花見です」
 にこりと笑うあかりだが、彼女が話すには封神武侠界には美しい花々が咲き誇る桃源郷があるらしい。
 桃の花だけではなく桜も咲いており、お花見にぴったりな場所があるそうだ。
「私お花見をしたことがないんです。なので皆さんと一緒にお花見を楽しみたいと思ってお誘いしました!」
 見ればあかりは重箱を包んでいるだろう風呂敷をいくつか持っていた。
 きっとその中にはお弁当やお菓子がたくさん入っているのだろう。
「いくいく、お花見行くよ」
「たまにはのんびりしたいね」
「いい1日にしよう!」
 言葉をかわす猟兵達を前にあかりは嬉しそうにして荷物を持ち直す。
 いくつかの風呂敷にーー、武器。
 お花見とは無縁そうな荷物を目にした猟兵達の視線に気づいたのだろう。あかりは少しばかり申し訳なさそうな顔をする。
「……あ、はい。お花見の前にオブリビオン退治もするので戦う用意をお願いします」
 お花見前にひと仕事、という訳か。

 どこからかタンポポの綿毛がふわりと飛んでくる中、あかりはひと仕事について説明をはじめた。
「桃源郷は美しいだけでなく、滞在した者の霊力も高めてくれるという凄い土地らしいのです」
 そんな場所をオブリビオンが乗っ取ってしまった、という。
 放っておけば、桃源郷を乗っ取ったオブリビオンはどんどん強化されてしまう。それだけは絶対に阻止しなければいけない。
「なので皆さん、オブリビオンを倒してお花見をしましょう」
 ぐっと拳を握るあかりの背には既に封神武侠界の世界が広がっていた。

「皆さんなら大丈夫です! オブリビオンを倒して楽しい1日にしましょうね!」
 こうして猟兵達は桃源郷へと足を踏み入れるのだった。


カンナミユ
 お花見がしたい。
 カンナミユです。
 オブリビオンを倒してお花見をしませんか?

 各章の断章をご確認の上、プレイングをお願いします。

 それではよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『まやかしの桃源郷』

POW   :    強い意志をもって気合いで切り抜ける

SPD   :    取り込まれる前に足早に切り抜ける

WIZ   :    知恵を絞って切り抜ける

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 優しい風にはらりと花びらが舞い落ちる。
 桃の花に囲まれた道をしばらく進んでいくと、急に開けた場所へとたどり着いた。
「ようこそ皆様、桃源郷へようこそ」
 突然の声に振り向けば、後ろに美しい仙女がいるではないか。
 おかしい。自分達以外の気配は全くなかった筈なのに、何故。
「お待ちしておりました」
「ささ、皆様の為におもてなしの料理を用意しています」
「美味しいお茶やお菓子もありますよ」
 前を見れば誰もいなかった筈なのに、仙女が三人も立っている。
 桃の花に囲まれた広い場所の真ん中には大きなテーブルが設置されており、美味しそうな料理がこれでもかと並んでいた。
 ほかほかと湯気が立ち上ぼり、美味しそうないいにおいがふわりと鼻腔をくすぐってくる。
 なんて美味しそうなんだ。
「何をしておる! 早く食べないと冷めてしまうぞ?」
「おや、お気に召しませんか? 大丈夫です、必要とするものは何でも用意できますよ」
 年老いた仙人や若い仙人がテーブルの前で猟兵達を手招いてくる。
「さあ」
「お腹が空いているでしょ?」
「食べましょう」
「この桃源郷で」
 仙女達の囁きにぐうとお腹が鳴りだした。
 空腹にならないようにちゃんと食べてきたというのにーー。
「早くこちらへ」
「早くせんかい!」
「さあ早く」
 仙人達も声をかけてくる。
「「「「さあ」」」」
 ざあっ。
 不気味に桃の花が揺れ、はらはらと花びらが舞い踊った。

====================
※1章のプレイングについて
 1章は妨害のために作られたまやかしの桃源郷の突破をします。
 色とりどりの花が咲き誇り、美しい仙女達や仙人達が美味しい料理のおもてなしで皆さんをこの場所に留めようとします。
 ちゃんとごはんを食べてお腹は空かない筈なのに、何故だか急に食べたくなってしまいます。
 空腹、エネルギー切れ等とにかく今すぐ何かを食べたい、補給したい欲求にかられますが、全て罠です。
 誘惑を振り切ろうとしても仙人や仙女達が皆さんをあれやこれやと言葉巧みに理由をつけて引き留めようとしますが、これもまやかしの罠でしかありません。
 まやかしの罠を突破できるよう、頑張ってください!
====================
遥・瞬雷
「ご歓待痛み入ります、師兄方々。
有り難く頂戴したいのは山々なれど、私めには邪悪討伐の大任有り。
飲食に興じ為遅らば師父への面目が立ちませぬ。然すれば…」

等と拱手と共にお断りの言葉を述べる。
…様子がおかしいねぇ。如何に享楽的な仙人でも、ここまで話が通じないものでもないんだけど。
懐からこっそり宝貝「八卦盤」を取り出し周囲の魔力仙術の流れを調べる。【仙術】【情報収集】。
…これは、幻術の類いかな?陣に取り込まれてるのかねぇ。

おいで、觔斗。
「觔斗雲」を召喚、飛び乗って【空中機動】。
「せっかくのご饗応、実に失礼なれど御辞退させて頂きます。然らば。」
一礼し、妨害を回避しつつ全速で飛び去り目的地へ向かうよ。


六道銭・千里
おおぅ、まやかしとはいえ中々に綺麗な光景やな…
ほんじゃあ、本物を楽しむためにさっさとここは進むとしようか

異界で食事をとってはいけない…まぁ古来から有名な話よな
こういった誘惑もまぁようある話で…


自身の目を千里眼に切り替え真実を見通す【見切り】
相手の思考を読み【読心術】甘言を『受け流し』て手持ち無沙汰に冥銭を指で弾いて音を楽しみ、のらりくらりと先へ先へ【落ち着き】
道を塞がれるようなら、先を見通し上手く回避して…


まぁ、偽りとはいえ、先にどんなもんか体験すんのは楽しかったわ
本物はこれよりもええ光景やろうってな
ほんなら、さいならってな



「ようこそ桃源郷へ」
「お待ちしておりましたよ」
 はらはらと花びらが舞う桃の間を抜けた遥・瞬雷(瞬雷女仙・f32937)を出迎えたのは美しい仙女達だった。
 確かに見れば、桃の花に囲まれた広い場所の真ん中には大きなテーブルが設置されており、美味しそうな料理がこれでもかと並んでいる。
 見える料理はどれも美味しそうなものばかり。桃の香りと共に食欲をそそるいい匂いがふわりと鼻孔をくすぐってくる。
「さあ、宴の用意は整っていますよ」
 後ろからの声に振り向くと一緒に来たはずの仲間達の姿はなく、代わりに仙女が優しい笑みを浮かべて立っているではないか。
 おかしい、仲間達は一体どこへ――。
「ご歓待痛み入ります、師兄方々。有り難く頂戴したいのは山々なれど、私めには邪悪討伐の大任有り。飲食に興じ為遅らば師父への面目が立ちませぬ。然すれば……」
「何をしておる! 早く食べないと冷めてしまうぞ?」
「おや、お気に召しませんか? 大丈夫です、必要とするものは何でも用意できますよ」
 拱手と共にお断りの言葉を述べる遥の言葉などお構いなしに年老いた仙人や若い仙人がテーブルの前で瞬雷を手招き、仙女達も行きましょうとテーブルへと勧めてくる。
(「……様子がおかしいねぇ。如何に享楽的な仙人でも、ここまで話が通じないものでもないんだけど」)
 拒否を許さない、強引にも思える仙人仙女達にはてと瞬雷は思案を巡らせ、懐からこっそり宝貝を取り出した。
「どうかしましたか?」
「皆さんがお待ちですよ」
「これ、待たせるでないぞ!」
 仙人仙女達の声を耳にしつつ宝貝を操る瞬雷だが若輩者と自覚するも仙人の一人。ここが異様な空間だという事は周囲の魔力仙術の流れを調べればすぐに分かった。
(「……これは、幻術の類いかな? 陣に取り込まれてるのかねぇ」)
 恐らくこの先へ進ませたくないモノが張ったものなのだろう。
 ――倒さねばならぬ、モノ。
「おいで、觔斗」
 主の声に応えた觔斗雲がふわんと現れ、瞬雷は仙人仙女達へと向き直る。
「せっかくのご饗応、実に失礼なれど御辞退させて頂きます。然らば」
 丁寧な一礼を終えるとさっと觔斗雲に乗り、引き留める声をかける余裕さえ与えず全力で飛び去った。
 ただ引き留めるだけの存在なのだろう。実力行使の妨害もなく瞬雷はまやかしの桃を超えていき、倒すべきモノがいる場所へと向かっていった。

「おおぅ、まやかしとはいえ中々に綺麗な光景やな……」
 桃の木々の間を縫って進む六道銭・千里(あの世への水先案内人・f05038)だが、ふと足を止め見上げると雲のようなものが飛んでいくのが見えた。そして視線を戻すと仲間達の姿が無い事にも気付く。
 一緒に進んでいた仲間がいないという事は罠か術によってばらばらになってしまったという事だろうが――。
 まあ、何とかなるだろう。
「ほんじゃあ、本物を楽しむためにさっさとここは進むとしようか」
 見上げた空から視線を戻した千里は再び歩き出した。肩や髪に落ちる花びらを払いながら進むと開けた場所へとやってくる。
 何もない、桃に囲まれた広い場所。
「桃源郷へようこそ」
 突然の声に振り向けば、後ろに美しい仙女がいるではないか。
「お待ちしておりました」
「ささ、皆様の為におもてなしの料理を用意しています」
「美味しいお茶やお菓子もありますよ」
 その声に視線を戻せば、今度は仙女が三人も千里の前に立っている。
 誰もいなかった場所に仙女が現れ、いつの間にか大きなテーブルが設置されており、美味しそうな料理がこれでもかと並んでいる。
 どの料理も美味しそうで、鼻孔をくすぐるいいにおいに思わずお腹が空いてくる。
「異界で食事をとってはいけない……まぁ古来から有名な話よな。こういった誘惑もまぁようある話で……」
「どうかしましたか?」
 口にする千里の言葉に反応した仙女になんでもないとさらりと返すと、テーブルの前にいつの間にか立っている仙人達が声をかけてきた。
「何をしておる! 早く食べないと冷めてしまうぞ?」
「おや、お気に召しませんか? 大丈夫です、必要とするものは何でも用意できますよ」
 手招きながらの誘いにひらひら手を振り一歩踏み出すと、そのままテーブルを横目に更に歩く。引き留める声に耳を貸さず、手持ち無沙汰に冥銭を指で弾く。
 かちん、ちゃりん。
「どうかしましたか?」
「さあ、こちらへ」
 ちゃり、ちゃらり。
「何をしておる!」
「早くこちらへ」
 じゃら、
「「「「さあ」」」」
 ――じゃりん。
 立ちはだかる桃へと足を踏み出すと、ぶつかる感覚はなくするりと歩は進んだ。
「まぁ、偽りとはいえ、先にどんなもんか体験すんのは楽しかったわ。本物はこれよりもええ光景やろうってな」
 千里は振り返らない。
 千里眼を用いて視た真実はこの場に引き留めようとするモノどもを消し去り、甘言は響く冥銭が打ち消した。
 あとはもう、進むだけ。
「ほんなら、さいならってな」
 一陣の風がざっと吹き荒れ、それでも振り返らず千里は向かうべき場所へと歩き続けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロラン・ヒュッテンブレナー
【ファランビー】なの

噂通り、桃の花がいっぱいだね
自然がいっぱいで明るくて、いいところなの

ん?なんだか、すごく、甘い匂いが…(狼の嗅覚【聞き耳】)
道の先の開けた所から?

わわ、ここが、桃源郷?
あっちのお料理もおいしそう…
でも、なにか違和感が?【第六感】

うぅ、匂いで、頭がぼーっとなるの…
呼ばれてる?(ふらふら)

あ、えと、ごめんね
匂いがきつくて、頭が回らないの…
(申し訳なさそうに手を引かれて急いで抜けようとする)
えと、なんとか、出口を探すの(【情報収集】【学習力】)

※UC発動
お、おねえちゃん、分析、お願いなの
うん、うん、ありがと

ハロちゃん、チェリカちゃん、あっち、あっちに向かって(【地形の利用】)


ハロ・シエラ
【ファランビー】、と言う事でまずはこの場を切り抜けなければなりませんね。
確かに綺麗な所ですが油断は……ほんとです、とても良い香りが。
それに見るからに素晴らしいお料理……なるほど、チェリカさんのお陰で気付きました。
どうやら罠のようですね。
ならばここは【落ち着き】をもって誘惑に負けず進むのみ……ロ、ロランさん?大丈夫ですか?
どうやらここは私とチェリカさんが【気合い】を入れなければならないようですね。
ロランさんを中心に並び、三人で手を繋ぎましょう。
私とチェリカさんの空いている手からはビームやチェリカ砲を放ち、その炸裂音で匂いや呼び声を軽減します。
後はただ、ロランさんの導きに従って駆け抜けるのみです!


チェリカ・ロンド
【ファランビー】!!
わぁ、ホントきれいなところね!ダークセイヴァーとはえらい違いだわ。
あらロラン、どうしたの?甘い匂い?……ホントだ。

うわ、すごいわ!ごちそうがたくさん!えっ、食べていいの!?
……いやでもなんか、胡散臭いわね……。妙にお腹が空くのも不自然だわ!
うう、我慢よみんな!普段お芋とかしか食べれない世界出身なんだから、こんな腹ペコどうってことないでしょ!

よーし、ハロ、蹴散らすわよ!アンタたち、そこをどきなさい!
仙人だろうが仙女だろうが、邪魔をするなら【チェリカ砲】でふっとばしちゃうんだから!
だ、大丈夫よ、どうせ幻でしょ!たぶん!

みんなで手をつないで、ロランの声を頼りに一気に駆け抜けるわ!



「噂通り、桃の花がいっぱいだね。自然がいっぱいで明るくて、いいところなの」
 柔らかい風に髪を揺らしながらロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)が見上げると、明るい空と淡い桃の花が視界いっぱいに広がっている。
「わぁ、ホントきれいなところね! ダークセイヴァーとはえらい違いだわ」
 はらはらと花びらが舞い降る桃園を歩くチェリカ・ロンド(聖なる光のバーゲンセール・f05395)達だが、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)の瞳は注意深く周囲を警戒していた。
 グリモアベースで誘いを受けた仲間達も転送された筈なのだが、誰一人としてその姿を見ていない。
 ――嫌な予感がするのだ、とても。
「ずはこの場を切り抜けなければなりませんね。確かに綺麗な所ですが油断は……」
 帽子の位置を直しハロは3人で桃園を歩き続けるが――、
「あらロラン、どうしたの?」
 ロランの鼻がひくんと動いたのをチェリカは見逃さなかった。
「ん? なんだか、すごく、甘い匂いが……」
「甘い匂い? ……ホントだ」
「ほんとです、とても良い香りが」
 くんくんと甘い匂いを探るロランにつられてチェリカとハロもにおいを探れば、どこからともなく甘い匂いが漂ってくる。
 さてこの匂いはどこから来るの?
「道の先の開けた所から?」
 くんくんと匂いを辿るロランに二人もついていけば、桃園の間を通る道の先がぽっかり開いているではないか。
「ようこそ桃源郷へ」
「お待ちしておりましたよ」
 開けた場所では仙女達が3人を出迎えた。
 桃園に囲まれた広い場所の真ん中には大きなテーブルがあり、沢山の料理が並んでいる。甘い匂いの正体はテーブルに並ぶデザートやフルーツからのようだ。
「わわ、ここが、桃源郷? あっちのお料理もおいしそう……」
「ここに並んでいるのはほんの一部です。どの料理も好きなだけ食べてくださいね」
 ロランの傍に立つ仙女が優しい笑みでお肉が盛られた大皿や餃子に春巻き、肉まんなどがこれでもかと乗った大皿を持ってくると、何故だか急にお腹が空いてくる。
 くるる……。
 誰かのお腹が空腹の音を響かせた。
「うわ、すごいわ! ごちそうがたくさん! えっ、食べていいの!?」
「見るからに素晴らしいお料理……」
「もちろんじゃ! お主達も早く食べるがよい」
「皆で宴を楽しもうではありませんか」
 いつの間にかテーブルの前では仙人達がチェリカとハロを手招いてくる。
 テーブルに並ぶ料理はどれもできたでほかほか。ふんわり湯気が立ち上り、冷めてしまえばその美味しさも半減するに違いない。温かなそれらでお腹を満たしたい欲求に駆られてしまうし、甘く美味しいデザート達も今すぐ食べてしまいたい。
 でも――何かがおかしい。
「……いやでもなんか、胡散臭いわね……。妙にお腹が空くのも不自然だわ!」
「なるほど、チェリカさんのお陰で気付きました。どうやら罠のようですね」
 何か違和感を感じたらしきロランがぴたりと止まるのを目に確信したチェリカは後ずさり、ハロもテーブルから離れていく。
「おや、どうかしましたか?」
「お気に召さないようでしたら別の料理を用意しますよ」
 来訪者達の突然の行動にも仙女は笑顔を崩さない。
「これ、料理が冷めてしまうぞ!」
「さあこちらへいらっしゃい」
「早く食べましょう」
 仙人仙女達が浮かべるにこやかな笑顔もきっと罠なのだろう。
 ここは落ち着きをもって誘惑に負けず進むのみだが。
「……ロ、ロランさん? 大丈夫ですか?」
 離れようとするハロとは対照的にロランはふらふらと匂いに引き寄せられていく。
「うぅ、匂いで、頭がぼーっとなるの……」
「うう、我慢よみんな! 普段お芋とかしか食べれない世界出身なんだから、こんな腹ペコどうってことないでしょ!」
 ぐうぐう鳴るお腹に負けじと声を上げ、チェリカも呼びかけるがまるで料理に呼ばれているかのようにロランはふらふらとテーブルへと向かっていく。
 これはまずい。
「どうやらここは私とチェリカさんが気合いを入れなければならないようですね」
「よーし、ハロ、蹴散らすわよ! アンタたち、そこをどきなさい!」
 チェリカとハロはこくんと頷きあい、引き寄せられていくロランの左右の手をそれぞれ繋いでテーブル、そして仙人仙女達から離れて距離をとる。
「あ、えと、ごめんね。匂いがきつくて、頭が回らないの……」
 手をつなぐ二人へロランは申し訳なさそうに謝るけれど、これくらいなんて事はない。
「仙人だろうが仙女だろうが、邪魔をするならチェリカ砲でふっとばしちゃうんだから!」
 空いた手をばっと前に出すとチェリカと同じようにハロもまた手を前――料理が並ぶテーブルへと向け、
「チェ、リ、カ、砲ぅぅぅぅッ!」
「あの光をイメージして……行っけぇぇぇ!」
 ドゴオオオオオォォォォォン!!!!!
 聖なる光を無理矢理破壊の力に変えた魔法はテーブルを粉々にし、そこへ無敵の大口径エネルギービームが大皿に盛られた沢山の料理達を打ち消していく。
 仙人や仙女達がこちらへ言葉を向けているが、つんざく炸裂音にかき消されてしまい聞くことは叶わない。
 おいしそうな料理が二人の攻撃で見るも無残な――いや、なにも残らず消えていく。
「だ、大丈夫よ、どうせ幻でしょ! たぶん!」
 本物の訳がない。幻だ、絶対に幻。
 二人の攻撃は桃園を大きく揺らし、広場全体が黒煙と土煙に隠されてしまう。
 しばらくして視界が晴れ、結論としてはチェリカの言葉通りテーブルも、大皿も、美味しそうな料理達、そして仙人や仙女達も幻だった。
「お、おねえちゃん、分析、お願いなの」
 手を繋いだままのロランはそっと囁き、
「うん、うん、ありがと。ハロちゃん、チェリカちゃん、あっち、あっちに向かって」
 いつの間にかできていた新たな道へと瞳を向けた。
 あの道の先こそが、まやかしの出口。
「行くわよ、ハロ、ロラン!」
「後はただ、ロランさんの導きに従って駆け抜けるのみです!」
 手を繋ぎ、3人は出口へ向かい駆けだしていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

サギリ・スズノネ
アイグレーさんと!(f20814)

アイグレーさんもですか!?
じ、実はサギリも……何ならご飯おかわりもしたのに……!

くう!とっても手ごわい罠なのですよ!
でもーサギリ達も負けないのです!空腹に打ち勝って見せるのですよ!

合点なのです、お背中失礼するのです!
もちもちでつるつるな、とても素敵な触り心地……!
柏餅……桜餅……はっ!違うのです!

オオカミなアイグレーさんの背中に乗って、サギリも【UC】を使うのですよ!
浄化の力を込めた光の桜吹雪でちょっとでも空腹から意識を反らすのです!
乗りながら
「アイグレーさんファイトなのです!」
「これが終わったら、二人で美味しいもの食べに行こうなのですよ!」
と鼓舞するのです!


アイグレー・ブルー
サギリ殿(f14676)と

(ぐーきゅるるる……)サギリ殿の前でお恥ずかしい……!
な、何故かわたくしお腹が空いてきました。朝ごはんはちゃんと食べましたのに

なんと!こんなに綺麗なお花で、こんなに美味しそうなご馳走でもこれは罠なのですね?

こうなったら【使用UC】でオオカミに変身し、一気に駆け抜けるであります……!さぁサギリ殿、わたくしに乗ってくださいませ!共に誘惑の届かない場所まで参りましょう!!
ダッシュと運搬で安全にお運びしますよ!

サギリ殿ぉわたくしだめかもしれないですますぅ……雲が桃まんに見えてまいりました…

ふわー……!サギリ殿の応援がわたくしを駆り立てます……が、がんばるでありますよー!



「桃源郷へようこそ」
「お待ちしておりましたよ」
 柔らかな笑みを向ける仙女達はサギリ・スズノネ(鈴を鳴らして願いましょう・f14676)とアイグレー・ブルー(星の煌めきを身に宿す・f20814)を温かく出迎えた。
 突然やってきた二人を前にした仙女達だが、まるで招待していたかのように驚きもせずむしろ招き入れようとさえしているよう。
「さあ宴の用意はできていますよ」
「二人ともさっさとこっちへ来んか!」
 広場の真ん中で二人を待つ仙人達の声にいサギリとアイグレーははっとして見渡すが、一緒に転送され共に進んできた仲間達がいつの間にかいなくなっていた。一体どこではぐれてしまったのだろう。
 きょろきょろと仲間達の姿を探そうとすると――、
 ぐーきゅるるる……。
 聞こえる音にちらと見れば、アイグレーが恥ずかしそうにお腹を押さえていた。
「サギリ殿の前でお恥ずかしい……!」
 音の正体はアイグレーのお腹が鳴った音。あまり大きな音ではなかったのだけど、サギリの耳にそれはしっかりと聞こえてしまった。
「な、何故かわたくしお腹が空いてきました。朝ごはんはちゃんと食べましたのに」
「アイグレーさんもですか!? じ、実はサギリも……何ならご飯おかわりもしたのに……!」
 腹が減っては戦はできぬ。しっかりご飯を食べてきたのに何故だか取ってもお腹が空いてくる。
 くるる、きゅるる。
「あら、お腹が空いているのですね」
「早くこちらへいらっしゃい」
「美味しい料理を沢山召し上がってくださいね」
 鼻孔をくすぐるいいにおいには空腹状態の二人にはとてもとてもつらいものだった。
 テーブルには蒸しあがったばかりの大きな肉まんに温かなスープ。お肉やお魚が乗せられた大皿がこれでもかと並んでおり、瑞々しい果物もずらり。喉を潤すお茶も用意されている。
 ああ、とっても美味しそう!
「くう! とっても手ごわい罠なのですよ! でもーサギリ達も負けないのです!」
 ぐぐっと拳を握るサギリの言葉にはっとなったアイグレーだが、緑の瞳で料理をじーっと見つめ、
「なんと! こんなに綺麗なお花で、こんなに美味しそうなご馳走でもこれは罠なのですね?」
「空腹に打ち勝って見せるのですよ!」
 こくりと頷くサギリを目にぐぐっと拳を握りしめた。
「おや、この料理はお嫌いですかな?」
「何か食べたいものがあれば言って下さい。すぐに用意できますよ」
「ほれ早くこっちへ来い! ワシらを待たせるでないぞ」
 料理の前で手招く仙人、そしてサギリとアイグレーをテーブルへとすすめる仙女達からは攻撃をしてくる気配はない。だが、そう簡単にここから立ち去らせてくれそうにはない。
 さてどうするか――閃いた。
「こうなったらでオオカミに変身し、一気に駆け抜けるであります……!」
 取り出した瓶から可愛い飴を手に取りぱくり。するとアイグレーの身体はあっという間に星影模様のオオカミへと早変わり。
「さぁサギリ殿、わたくしに乗ってくださいませ! 共に誘惑の届かない場所まで参りましょう!!」
「合点なのです、お背中失礼するのです!」
 乗りやすいよう背を低くし、サギリが背に乗ったのを確認したアイグレーはだんと地を蹴り料理が並ぶテーブルを横切った。
 いい香りが二人を引き留めようとするも、オオカミはそれを振り払い桃園の中をただひたすらに走り続けた。
「ダッシュと運搬で安全にお運びしますよ!」
 まるで吹雪のよう舞い散る花びらの嵐の中をオオカミは風のように駆け抜ける。
 まやかしの誘惑はどうにか振り切った。だが、空腹だけはどうにもならなかった。
「もちもちでつるつるな、とても素敵な触り心地……! 柏餅……桜餅……はっ! 違うのです!」
「サギリ殿ぉわたくしだめかもしれないですますぅ……雲が桃まんに見えてまいりました……」
 まやかしの空腹はいつまでたっても収まらず、二人のお腹はぐうぐうなってばかり。このままではお腹が空きすぎてアイグレーが力尽きてしまいそう。
「アイグレーさんファイトなのです!」
 背に乗り鼓舞するサギリは空を見上げ、
「ここから先は夜の果て。さあ、暗闇を照らしましょう!」
 その一声と共に桃の花びらに陽光で出来た桜吹雪が重なった。
 重なるそれは浄化の力を込めた光の桜吹雪。これがあればまやかしの力も薄まり空腹から意識も逸らせるだろう。
「これが終わったら、二人で美味しいもの食べに行こうなのですよ!」
「ふわー……! サギリ殿の応援がわたくしを駆り立てます……が、がんばるでありますよー!」
 だあんっ!
 巨大な倒木を飛び越え、二人はまやかしから抜け出すべく桃園を駆け抜けていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルカ・クルオーレ
【桔梗の旅宿】

うん、景色は綺麗……ではあるよね。
この状況は、僕を誑かそうって事かな。
見た目の美しさには意味が無いし、君達からは偽りの匂いがする。
たった今まで何もなかったという違和感を消せない限りは、引っかかることは無いと思うんだよねえ。
空腹にも耐性はあるし、誘惑は効かないよ。そういう感情は持ち合わせてないんでね。
先を急いでるんだ、折角の誘いだけどまた今度にさせてもらおうか。
さあ、出口は向こうかな。

基本振り切って立ち去る方向で。
シャルがオーラ防御かけてくれてるし、離れないように気を付けながら移動するよ。
他の皆とも声を掛け合う様にして、変なものには耳を貸さないようにね。


藤長・和正
【桔梗の旅宿】
呼び方は名前+くん
一人称はカタカナでワシ

新しく見つかった世界でも花は綺麗だのー
そんな世界でのお花見、ワシも楽しみじゃ
それとなく周りを情報収集で警戒

おお、ピチピチギャルの仙女のもてなしか?
しかしそれはまやかし、そこまでうまい話があるはずもないでな
きっと誘惑に負けて食うと豚にでもされてしまうやつじゃよ
そう都合のいい『桃源郷』はないな
ワシは空腹耐性で耐えよう

フム、シャルくんはオーラ防御してくれるなら助かるの
みんなでそこに入ろう、持つべきものは仲間
お互い声を掛け合って常に警戒


清川・シャル
【桔梗の旅宿】
名前にさん付けで呼びます

お花見お花見〜!楽しみですね!
私この季節大好きなんですよ!緑が息吹く感じがとても好きで!
それにはまず乗り越えなきゃ行けないものがあるんですね。みんなで居れば怖くないと思います!GO!

全力魔法でオーラ防御の魔法壁を展開します。
声と匂いの誘惑を軽減する試みです。皆も入れるくらいにしようと思ってます。
そのままダッシュで地形の利用もしながら誘惑を突っ切ります。
お誘いは、結構です〜ってナンパ断るテンションで行きますね。

情報収集もして、迷子防止に目的地辺りが分かり次第、ぐーちゃん零でそちら方面に信号弾でも撃っておきましょう
目印になるといいのですが。


硲・葎
【桔梗の旅宿】
呼び方は名前+さんづけ
わあ、お花見!
こうなったら全力で楽しもうかな!
さて、と。この誘惑は負けないようにしないとね。
まずは格物致知の情報収集で最短ルートを探しつつ、わかり次第シャルちゃんに共有。
信号弾を撃ってもらう目安になるように。
頑張って誘惑に負けないようにしよう。
オーラ防御はシャルちゃんがしてくれるから、私は
みんなが誘惑されそうになったら、言いくるめを使ってかばおうかな。
あとははぐれないように視力であたりを見回しつつ、声を掛けあったりしよう。
「やだなあ、私たちもっといい食べ物とかあるから
お姉さん達に構ってるヒマないんだ、ごっめーん♪」
ダッシュと地形の利用を使って駆け抜けよう。


嘉村銀・華瑠真
【桔梗の旅宿】
ほぅ、饗しか。悪いが先を急いでいる。用が終われば受けてやるとも。
(それでも引き留めようとするなら、無視して皆に付いて行く
初手で全て打ち倒せば面倒がないと思うのだが…まぁいい。楽に進めるなら構わんさ
(仙女や仙人の言葉は無視し、空腹を感じても無視していく
…フン。……オレを誘惑するか。今ここで貴様等を消し炭にしてやっても構わんのだぞ?
(誘惑されたら、ジャックナイフで自らの腿を突き刺し振りほどく

それ以外はお任せ。基本的に有用なスキルも無いので皆に付いて行くだけになる。



 グリモアベースから転送され、仲間達は桃に囲まれた道を歩いていた。
「新しく見つかった世界でも花は綺麗だのー。そんな世界でのお花見、ワシも楽しみじゃ」
「うん、景色は綺麗……ではあるよね」
 藤長・和正藤長・和正(海闊天空・f23663)が見上げれば、はらはらと桃の花びらが舞い降りてくる。後に続くルカ・クルオーレ(Falce vestita di nero・f18732)もまた花びらの中をくぐりながら周囲を見渡していた。
 穏やかな気候、穏やかな風。桃園に囲まれたあたたかなこの場所はルカが言うように、とても綺麗ではある。
「お花見お花見~! 楽しみですね! 私この季節大好きなんですよ! 緑が息吹く感じがとても好きで!」
 目前をはらりと舞う花びらの一つが清川・シャル(夢探し鬼・f01440)の肩にとまり、ひとつ、またひとつと淡い色どりが加わっていく。
 はらりと舞う花びらは硲・葎(流星の旋律・f01013)のポニーテールへも落ち、
「わあ、お花見! こうなったら全力で楽しもうかな!」
 情報端末を使って最短ルートを探してみるが、端末をいくら操作しても最短ルートどころかGPSさえも反応しなかった。
「何か分かったのか?」
 結果は芳しくないようで嘉村銀・華瑠真(四象天儀・f33026)が問うも葎は肩をすくめてみせるだけ。
 和正とルカも周囲を見るが、どこまでも桃の木が並んでおり――いや、それ以外のものは何一つ視界に入ってこない。地形の隆起さえもない。
 不気味とも感じとれる、なんとも奇妙な空間。
「みんなで居れば怖くないと思います! GO!」
 そんな空間でもシャルは気にせず進んでいく。道があるのなら、その道を歩けばいい。この先に罠があろうとも、一人ではない。みんなでいれば怖くない。
 その後を葎が追い、周囲を警戒しつつ華瑠真とルカ、和正も続いて歩き出す。
 どれほど歩いたのだろう。木々の間を縫うように通る道を進んでいくが、いくら進んでも目に映るのは同じ景色ばかり。
 ――と、
「あれはなんだ」
 代り映えしない道の先。華瑠真が指さす先を見ると、どうやら開けた場所があるようだ。
 相変わらず葎の端末に反応はない。
「この状況は、僕を誑かそうって事かな」
 ぽつりと口にするルカの言は恐らく間違いはないだろう。
 あれは恐らく罠だ。猟兵として数多の戦いを潜り抜けた経験と勘がそう告げている。
 みんなでいれば怖くない。
 はぐれないよう注意しつつ仲間達は進んでいくと、開けた場所へとたどり着いた。
 そこには何もなく、ただただ広い場所があるだけだが――、
「皆様、桃源郷へようこそ」
 背後からの声。
 突然の声に振り向けば、後ろに美しい仙女がいるではないか。自分達以外の気配は全くなかった筈なのに。
 それだけではない。前を見れば誰もいなかった筈なのに、仙女が三人も立っている。
「お待ちしておりました」
「ささ、皆様の為におもてなしの料理を用意しています」
「美味しいお茶やお菓子もありますよ」
 桃に囲まれた広い場所の真ん中には大きなテーブルが設置されており、美味しそうな料理がこれでもかと並んでいた。
 蒸しあがったばかりのシュウマイや点心からはほかほかと湯気が立ち上ぼり、豪快な肉料理からは食欲をそそるいいにおいが鼻腔をくすぐってくる。
 デザート類も充実していた。果物から手の込んだ甘味までどれもこれも美味しそうなものばかりがずらりと揃っており、満たされている筈なのに急に空腹感が襲ってくる。
「何をしておる! 早く食べないと冷めてしまうぞ?」
「おや、お気に召しませんか? 大丈夫です、必要とするものは何でも用意できますよ」
 年老いた仙人や若い仙人がテーブルの前で猟兵達を手招いてくる。
「おお、ピチピチギャルの仙女のもてなしか?」
 だが、正和な仙人達よりも仙女達のもてなしの方が良いようだった。にこやかな笑みの仙女達を見つめるが、その奥にあるものをしっかり見通していた。
「しかしそれはまやかし、そこまでうまい話があるはずもないでな」
 きっと誘惑に負けて食うと豚にでもされてしまうやつじゃと看破する。
「そう都合のいい『桃源郷』はないな」
「見た目の美しさには意味が無いし、君達からは偽りの匂いがする。たった今まで何もなかったという違和感を消せない限りは、引っかかることは無いと思うんだよねえ」
 妙な違和感にルカもまたそれがまやかしであることを察し、
「やだなあ、私たちもっといい食べ物とかあるから。お姉さん達に構ってるヒマないんだ、ごっめーん♪」
「ほぅ、饗しか。悪いが先を急いでいる。用が終われば受けてやるとも」
 ダッシュで駆け抜ける葎の後を華瑠真も追った。
「せっかく用意したというのに」
「もったいないな、君たちの為に全て用意したのだがね」
「一口も口にせんとはけしからんぞ!」
 仙人仙女達がいくら言葉をかけようとも、取り付く島もない。
「結構です~っ」
「先を急いでるんだ、折角の誘いだけどまた今度にさせてもらおうか」
 全力魔法でオーラ防御の魔法壁を展開させたシャルも聞く耳持たずといった体でダッシュでその場から走り去り、防御の効果から外れないように注意しルカもまた、仲間達に続いていった。
 展開された魔法壁に守られつつ、仲間達は仙人達の誘惑を振り切り進んでいく。聞こえる声に耳を貸さず、空腹も耐えきった。
 あとはひたすら進むだけだが、その歩を緩めてちらりとみれば、仙人仙女達が追いかけてくる気配はなかった。
 追ってこないという事は一安心という事だろうか。
 何かあれば打ち倒すつもりであったし、消し炭にしてやっても構わなかった。己を傷つけてでも誘惑を打ち払うという気概さえ持っていた華瑠真であったが、楽に進めるのならばそれに越したことはない。
 戦いはこの桃園の先に必ずあるのだから。
 仙人達の誘惑はなんとか振り切ることができたが、GPSの反応は相変わらず。
「大丈夫です! この道を進んでいけばきっと出口に辿り着きます!」
「仙人達と鉢合わせしなければいいけれどねぇ」
 進んでいくシャルの背を目に呟くルカだが、今はこの道だけが頼りである。
「まあなんとかなるじゃろ」
「再びオレ達を誘惑するようならば、その時はそれ相応の報いを受けるだけだ」
 和正と華瑠真もそれぞれ口にし、
 ――ドゴオオオオオォォォォォン!!!!!
 どこか遠くで爆発するような音がした。
 何事かと全員は警戒するが、如何せんその音はかなり遠くからのもの。こちらに敵意を向けるものでもないように思えた。
 もしかすると同じようにまやかしの中で仲間達が抜け出そうとしているのかもしれない。
 しばらく歩いていると、ようやく端末がかすかな反応を示しだす。
「うん? やっぱりこの道は出口に繋がっているみたいだね♪」
 出口と思しき道を示した端末を手に葎も進んでいく。
 みんなでいれば怖くない。
 5人は桃の間の道を進み、出口へと向かっていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

城島・冬青
【橙翠】

初めて訪れる新しい世界
夢と希望に胸を躍らせるはずが今の私は食べ物の誘惑と戦っています…

アヤネさん
私が誘惑に負けそうになった時は思いっきり引っ叩いて下さい
う。やはりそう言いますか

ぐぐぐ…テーブルに置かれたほかほかの点心が
私を…呼んでいる
だめ、だめだって冬青(自分で自分をビンタしようとする)
うううー、アヤネさんんん
こうなったらこの場を逃げるしか!
今は先を急ぎますので!!
お腹すいてないです!(大嘘)
料理を見ないふりをしてアヤネさんと桃源郷を小走りで進み続ける

あ、そうだ
気休めにしかなりませんが
コレでも口に入れましょう
取り出したのはお気に入りのクランチキャンディ
これナッツが沢山で美味しいんですよ


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

知り合いに香港人がいるしちょっとは参考になるかと思ったけど
世界が違いすぎるネ

へえ
いいんじゃない?何だか急にお腹がすいてきたし御相伴に預かろうか?
なーんてネ
嘘だよ
無視して行こうか
ってソヨゴ?!
僕が君を叩くわけないじゃない!

困ったな食いしん坊さんめ
ソヨゴが顔を叩こうとするのを
ぎゅっと抱きしめて止める
ほら目をつぶって
一緒に行こう
手を繋いでその場から立ち去ろう

キャンディーか
さすがソヨゴ用意がいいネ

ぽりぽり齧りながら歩く
仙人たちに向かって
君たちも食べるかい?
嘘だよ
舌をぺろり
君らのよりソヨゴのキャンディーは百倍甘いネ



「知り合いに香港人がいるしちょっとは参考になるかと思ったけど、世界が違いすぎるネ」
 登園の道を縫い歩くアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)と共に初めて訪れる新しい世界。
「うぐぐ……」
 夢と希望に胸を躍らせるはずの城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)は現在、食べ物の誘惑と戦っていた。
「どうしたんじゃ? ほれ早く座らんかい」
「冷めてしまいますよ? さあ早くこちらへ」
 年老いた仙人と若い仙人が手招く先には美味しそうな料理がずらりと並んでいた。
 さっきまでアヤネと冬青は二人で桃園の中の道を歩いていたのだが、いつの間にか開けた場所へとやってきており、これまたいつの間にか仙人と仙女達から料理が用意されたテーブルへと誘われていたのだ。
 ふわりと湯気が立ち上る点心にぷりぷりのエビが美味しそうなエビのチリソース炒め。八宝菜や酢豚のいい匂いが鼻孔をくすぐるとその隣には口直しによさそうなサラダが並び、炒飯や春巻き、餃子も様々な種類が用意されている。
 もちろんデザートだってばっちりだ。胡麻団子に杏仁豆腐、麻花、月餅にマーラーカオ。どれもこれも美味しそうなものばかり。
「宴の準備は整っています、どうぞいらっしゃい」
「おやお気に召しませんか? でしたら他の料理も用意しますよ」
「こちらへ早く、さあどうぞ」
 アヤネと冬青の前に立つ仙女達も二人を宴の席へと勧めてくる。
 空腹など微塵にも感じていなかった二人だが、食欲をそそるにおいに何故だか急にお腹が空いてきてしまう。どれもこれも美味しそうで一口、いや全て食べてしまいたい程の空腹感が二人を襲ってきたのだ。
「へえ、いいんじゃない? 何だか急にお腹がすいてきたし御相伴に預かろうか?」
 そう言うアヤネだが、だがこれが罠だという事は重々承知。
「なーんてネ、嘘だよ。無視して行こうか……ってソヨゴ?!」
「アヤネさん、私が誘惑に負けそうになった時は思いっきり引っ叩いて下さい」
 隣に立つ冬青は誘惑に敗北寸前だった。
「僕が君を叩くわけないじゃない!」
「う。やはりそう言いますか」
 そんなやり取りしつつも風が優しくそよぐと花びらが降り注ぎ、食欲をそそるにおいもまたこちらへとやってくる。
 あれは罠、絶対に食べてはいけない。食べてはいけない。分かっていても抗えないあのにおい。
 ああなんてお美味しそう!
「ぐぐぐ……テーブルに置かれたほかほかの点心が私を……呼んでいる。だめ、だめだって冬青」
「困ったな食いしん坊さんめ」
 振り払おうと己の頬を叩こうとする大切な人をアヤネはそっと抱きしめ、そして。
「ほら目をつぶって、一緒に行こう」
「うううー、アヤネさんんん」
 ぎゅっと瞳を閉じれば美味しい匂いは残れど大切なぬくもりが冬青を優しく包み込む。
 あたたかで、優しいぬくもり。
「今は先を急ぎますので!! お腹すいてないです!」
 とはいってもぐうぐうとお腹は鳴るし、喉もとても乾いている。
 繋ぐ手の温かさと共に冬青はすべての誘惑を振り切った。
 背後から聞こえる声に耳を貸さず、ただアヤネの息遣いを、自分に向けられる言葉だけを聞き、まやかしを背に小走りで走り抜けた。
 どれほど進んだのだろう。少しだけかもしれないし、沢山進んだのかもしれない。ただ、呼び戻そうとする声が聞こえてこない事だけは確かだった。
 だが相変わらずお腹は空腹を訴えてくる。
「あ、そうだ。気休めにしかなりませんがコレでも口に入れましょう」
 そう言って取り出したキャンディを冬青はアヤネへと手渡した。お気に入りのそれはナッツが入ったクランチキャンディ。
「キャンディーか、さすがソヨゴ用意がいいネ」
「これナッツが沢山で美味しいんですよ」
 受け取るソヨゴは口に入れ、ぽりぽり齧りながら再び歩き出す。
 そよぐ風が木々を揺らし、さわさわと優しい音とどこか遠くの爆破音を聞きながら二人は出口へと続いているであろう道をただただ歩く。
 ちらと見ればアヤネの頬がちょこんと膨らんでおり、そこには冬青お気に入りのクランチキャンディがあるのだろう。
 ぽりぽり、ぼりぼりと齧る音を耳に冬青も一口。口の中にキャンディの甘さとナッツの香ばしさが広がってくる。
 ――と。
「君たちも食べるかい?」
 ふいにアヤネは振り返ってみせた。
 冬青も振り返ると、進み続け見えなくなったはずのあの宴が見えた。ぼんやりと人の姿も見えてくると、思わずお腹がぐうと鳴ってしまう。
 すると、嘘だよと大切な人は隣で舌をぺろりと出し、
「君らのよりソヨゴのキャンディーは百倍甘いネ」
 二人の瞳はかちりと合い、手をつなぐアヤネと冬青は目指すべき出口へ向かい歩き出した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『古龍髄厳』

POW   :    古龍炎
【龍の炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【音もなく燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    髄厳の裁き
対象への質問と共に、【虚空】から【黒雲】を召喚する。満足な答えを得るまで、黒雲は対象を【落雷】で攻撃する。
WIZ   :    古龍天舞
自身の【龍気が全身を覆う状態】になり、【鱗が攻撃を弾く】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ざざ、ざ……ざああああああああああっ!!
 桃園に突如、嵐が吹き荒れる。
 目を開けることもできない風にぎゅっと目をつむり、ごうごうと鳴る風音だけがすべてとなるが、しばらくしてそれもぴたりと止んだ。
 そっと閉じた瞼を開けば、桃園――まやかしの桃源郷は消えていた。
 目の前には数多の桃が美しい花を咲かせ、小川からはさらさらと穏やかな音が聞こえてくる。
 ああ、ここが本物の桃源郷なのか。
 安堵するのもつかの間。

 ずん。

 地面が大きく揺れ、

 ずずん。

 振り返ればオブリビオン――古龍の姿がそこにある。
 この美しい桃源郷を乗っ取ったオブリビオンは猟兵達の姿を見るや否や牙を剥きだし、こちらを威嚇するように睨みつけてきた。

 グルオアァアアアアアアアアアアア……!!!!!

 胴を打つほどの咆哮が響き渡り、オブリビオンは己に害なす猟兵達を倒すべく襲い掛かるのだった。


====================
※2章のプレイングについて
 2章は滞在した者の霊力も高めてくれるという桃源郷を乗っ取ったオブリビオンとの戦いになります。
 周囲に桃の花が咲いている以外は戦闘の妨げになるものは特にありません。
 お花見をすべく全力でオブリビオンを倒しちゃいましょう!
====================
遥・瞬雷
陰と陽の調和を保つのが仙人の務め。ましてや桃源郷を荒らす邪龍とあってはもはや退治するしかないよねぇ。
觔斗雲で空を飛びながら龍と対峙する。この地の気を喰らって強化してるのかな。だったらこちらも本気でいかないとね。
UCで頭と腕を三倍に増やした姿に変じるよ。
四本に増やした七星剣と雷公鞭、五剋符を六本の手に構える。
あの巨体だ、迂闊に近寄るのは危険だね。左の顔が【高速詠唱】し雷を放ち牽制して接近する。「木行を以て雷の矢と為す、穿て!」
龍の炎は右の顔が水行の符を放ち【破魔】の【仙術】で打ち消す。「水行を以て火行を剋す!」
間合いを詰め【功夫】で鍛えた剣術で斬り裂くよ。手早く片付けて酒宴を楽しませて貰おうか。


春・蕩華
 おまかせプレイング
『お姉さん、誰かを傷付けたり荒っぽいのは苦手なのよね〜♪』
『それより美味しい物を食べて仲良くしましょ〜♪はい、あーんして〜♪』
『ちゃあんともぐもぐ出来てすごいわ〜♪えらいえらい〜♪』
 温厚で戦いは苦手なお姉さん。相手がオブリビオン・フォーミュラだろうと攻撃せずに全てを料理で解決します。味方へ料理を作って支援。敵へは超絶品料理を振る舞い、平和的解決を望みます。

 拱手を忘れず行い【傾世飛天薄羽衣】で空中浮遊。【狐火】で料理用の火を確保。【寵姫の虜眼】で【超級食材】と【大量の調理道具】を見つめて虜にし、自分で料理してもらいます。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


六道銭・千里
おーおー、綺麗な桃源郷に龍とはまたミスマッチやな…
龍は竜と違って神聖な存在…まぁオブリビオンには関係のない話やな
ほんじゃあ、邪龍退治と洒落込もうか


銭貫文棒をもって前へ『ダッシュ』、吐かれた炎は回避し躱しきれなさそうなら冥銭の結界【結界術・盾受け・オーラ防御】で『受け流し』
指弾にて届く距離に近づいたら口元を結界で封じ【捕縛】一時的な阻害を

銭貫文棒で棒高跳びの要領で勢いを付けて跳び上がり
眼前にて霊符の大判屠舞【一斉発射】
流石にこの距離やと大分痛いよな?


サギリ・スズノネ
アイグレーさんと!(f20814)

アイグレーさん!アイグレーさん!
あいつ、すげーでけーのですよ!龍なのです!
ハッ蒲焼き!炊き立てご飯がほしくなるのです……!

目には目を火には火をなのです!
火ノ神楽で出した炎の鈴に火炎耐性と破魔の力を込めて、その幾つかを敵の炎にぶつけて相殺するのです!

アイグレーさん、格好良いのです!
よーし、おまかせくださいなのです!
アイグレーさんの攻撃に合わせて炎の鈴を合体し、龍に向かってぶつけます!
ぶつけたら炎はそのまま延焼させて継続ダメージを与えるのです!

はいなのです、アイグレーさん!
食べ物の恨みはー強いのです!アイグレーさんとサギリ二人分のー恨みをくらいやがれなのです!


アイグレー・ブルー
サギリ殿(f14676)と

わたくしあのように長い龍は初めて見ました。大きいですねえ
蒲焼き……はっ違いますよ、今のは違うであります!

炎を広げず桃を守る為、逃げも隠れもせず堂々と立ち向かいます

サギリ殿が術を唱えている間、オーラ防御でかばい守ります…!
準備が出来ましたら道を開ける先駆けとなるであります
龍の炎を【使用UC】でわたくしの髪をドーム状の盾にしジャストガードですっ
そのまま空中浮遊からのシールドバッシュで接近、そのまま頭突きか体当たりのように龍の口の方まで突っ込み炎を受け流すであります…!なんだか中華鍋の様ですね?
今です!サギリ殿っ

食べ物の恨みは根強く恐ろしいのでありますっ!ね、サギリ殿?



 ず、ん!
 地は揺れ空気さえも震わすオブリビオンを見上げるサギリとアイグレー。
 ちりんと鈴を揺らしながらも金の瞳はその姿をじいっと見据え、
「アイグレーさん! アイグレーさん! あいつ、すげーでけーのですよ! 龍なのです!」
「わたくしあのように長い龍は初めて見ました。大きいですねえ」
 初めて見た龍の長さにアイグレーも頷いた。
 あんなに大きくてながーいオブリビオン。まやかしの空腹感は消えたけど、あんなに大きな敵を見ているとなんだかお腹が……。
「ハッ蒲焼き! 炊き立てご飯がほしくなるのです……!」
「蒲焼き……はっ違いますよ、今のは違うであります!」
 ついほかほかの蒲焼を連想してしまうサギリとアイグレーであったが、オブリビオンは既に敵意と殺意を向けている。
 オ、ォオ……グアアアアアア!!
 咆哮と共にその巨体が地から離れ浮き上がると同時に燃え盛る炎が襲い掛かってくる。
「……っ!」
「サギリ殿!」
 燃え盛る炎は容赦なく襲い掛かる中、サギリを守るようにしアイグレーは立ちはだかった。
 炎は音もなく身体をちりちりとあぶるが、防御するアイグレーは耐えきった。
「大丈夫ですかサギリ殿」
 ちらと見ればサギリは全くの無傷。ほっとするのもつかの間、今度こそはとオブリビオンは再び炎を放ちだす。
 先ほどより大きなオーラを展開させて新たな炎へとアイグレーは立ち向かう中でサギリは閃いた。
「目には目を火には火をなのです!」
 火ノ神楽で出した炎の鈴に火炎耐性と破魔の力を込めて、その幾つかを敵の炎にぶつけて相殺すればいいのだ。
「サギリ殿も桃の花も守ってみせます!」
「アイグレーさん、格好良いのです! よーし、おまかせくださいなのです!」
 ぐっと拳を握り神楽を舞うべく息を整え、
「お姉さんもお手伝いしちゃうわよ~♪」
 後方からの声にはっとすれば、たゆんと大きな胸を揺らして春・蕩華(料理上手な妖狐の超級寵姫お姉さん・ダメ人間製造機・f33007)がやってきた。
「お姉さん、誰かを傷付けたり荒っぽいのは苦手なのよね~♪」
 ぴこんと狐耳を動かし近づいてくる新たな敵をぎろりと睨むオブリビオンだが、攻撃の手をを緩めることはなかった。ぐるると低い呻きを向けられても臆する事なく進んでいく。
 蕩華めがけて放たれる炎の前にアイグレーが立ちはだって守り通し、
「守ってくれてありがとう~♪ 助かったわ~♪」
 優しい笑みで礼を言い、龍へ忘れず拱手を向けると魅力的な体はふわんと舞い上がっていく。
 ぐる……グルル……。
 刺されんばかりの鋭い視線を受けるが蕩華は全く気にしなかった。ふわりふわりと浮遊し続け、龍に近い高さまで上ったところでぽんぽんと狐火が灯ると、ここからが料理上手な超級寵姫の腕の見せ所。
「あらあら~♪ お腹を空かせているみたいね~♪ それなら~、お姉さんにまかせて~♡」
 ピンクの瞳でオブリビオンを虜にすると、狐火がぼうっと大きくなり調理がはじまる。
 様々な食材が動き出し、調理道具も自ずから調理をはじめ、完成するのは超級料理の数々。
「美味しい物を食べて仲良くしましょ~♪ はい、あーんして~♪」
 大きな口へと完成した料理を蕩華の手により口にするオブリビオン。
「ちゃあんともぐもぐ出来てすごいわ~♪ えらいえらい~♪」
 おいしそうに食べる様子に蕩華は思わず笑顔になると、お料理タイムの間に仲間達はとっておきの準備が完了していた。
 ――しゃん。
 鈴が、鳴る。
「頑張ってね~♪」
「了解であります!」
 蕩華にアイグレーは頷くと、迫る紅蓮を前に自らの髪の毛を想像の力で硬くして殻のようして攻撃から仲間達を守った。襲い掛かる炎はアイグレーの守りの力によって熱さえも感じない。
 煌めきがちりばめられた髪が殻のように丸くなった姿はまるでプラネタリウム――星雲のゆりかごだ。
 炎を受けたままでサギリと共に宙を跳ぶとオブリビオンまで一直線に突進していく。
「なんだか中華鍋の様ですね? 今です! サギリ殿っ」
「はいなのです、アイグレーさん!」
 しゃんと鈴が鳴り、しゃんしゃんと炎の鈴も鳴り、
「食べ物の恨みは根強く恐ろしいのでありますっ! ね、サギリ殿?」
「食べ物の恨みはー強いのです! アイグレーさんとサギリ二人分のー恨みをくらいやがれなのです!」
 ぐおおぉおっ!
 古龍めがけて突っ込んでいったアイグレーの突進とサギリが放つ金色の鈴の形をした炎。二人の攻撃を避けることができなかったオブリビオンは燃え盛る炎に包まれてしまう。
 グギャァアオオオオオオオオオオオオオォォオオ……!!
 強烈な一撃に声を上げて反撃をするもアイグレーの守りがあれば大丈夫。
「アイグレーさん、もう一度行きますよ!」
 再びの攻撃はかなり効いたのだろう。じたばたと宙でのたうち回る様子を目にする蕩華だが、まやかしから抜け出した新たな猟兵達の気配に気が付いた。
「おーおー、綺麗な桃源郷に龍とはまたミスマッチやな……」
 猟兵達の攻撃で包まれていた炎も暴れている間に消えていく様子を千里はしっかりと見ていた。
 咲き誇る桃に美しい風景、そして暴れるオブリビオン。なんとまあミスマッチな事か。
「龍は竜と違って神聖な存在……まぁオブリビオンには関係のない話やな。ほんじゃあ、邪龍退治と洒落込もうか」
 冥銭を連ねた棍を手に見上げると、自分と同じようにまやかしを抜けてきたであろう觔斗雲がすいと雲の尾を引いて上空を飛んでいる。
 先行した仲間達の攻撃も効いているようだし、更にダメージを与えるチャンスとなるだろう。
「炎の攻撃に気を付けてね~♪」
 地上からの声を耳に觔斗雲に乗った瞬雷が見れば、対峙するオブリビオンは地上の仲間達へ攻撃を仕掛けようとしていた。
 瞳は鋭く、鋭い爪は今にでも切り裂こうとこちらに向いている。
「陰と陽の調和を保つのが仙人の務め。ましてや桃源郷を荒らす邪龍とあってはもはや退治するしかないよねぇ」
 ぐる、ぐるる……。
 低い呻きを聞きよく見ると、チラチラと炎の瞬きも見える。あの炎が牙を剥くのは間もなくだろう。
「この地の気を喰らって強化してるのかな。だったらこちらも本気でいかないとね」
 グルオオオオオオオオオォォォォオオオオオオ!!!!!
「変じ幻ぜよ三面六臂!」
 咆哮と共に放たれる炎を見上げ、走り抜ける千里が見たのは覚醒し神仙となった瞬雷の姿。三つの顔と三対の腕を持つ姿となりオブリビオンと距離をとっている。
 ――と、
「っと!」
 見上げた先から炎が放たれ、千里はその攻撃の間を縫い駆ける。
 襲い掛かる炎は一つだけではい。地を焼く炎を飛び越え、胴を狙ってきた炎をさっと躱し、頭上に迫る炎はぢりと髪を焦がしてしまうが、それでも千里は古龍めがけて走りぬいた。
「殺す気満々やな」
 オブリビオンへの距離を縮めようと迫れば迫る程、攻撃の勢いは増してくる。攻撃を受けないよう上手く躱し続けているが、それもそろそろ厳しくなってきた。
 躱し切れない数多の攻撃を冥銭の結界を使って受け流している頃、上空の瞬雷も攻撃を受けていた。
 ごうごうと放たれる炎を觔斗雲を駆使して回避しているが。このままでは近づくのも容易ではない。
「あの巨体だ、迂闊に近寄るのは危険だね」
 四本に増やした七星剣と雷公鞭、五剋符を六本の手に構え瞬雷は思案し、
「木行を以て雷の矢と為す、穿て!」
 グオァアッ!
 三つある顔の一つ、左の顔の詠唱に雷が放たれると古龍は予期していなかったのか声を上げ、動きが一瞬鈍くなった。チャンスを逃すまいと接近するとふたたび炎が迫ってくるが、対策はしっかり考えてある。
「水行を以て火行を剋す!」
 右の顔が水行の符を放ちつと破魔の仙術で襲い掛かる炎を打ち消した。
 猟兵達へと襲い掛かる炎を仙術で打ち消していくと、千里に襲い掛かる炎もその数を大幅に減らし、これはチャンスと一気に距離を詰めていく。
「この距離なら届くやろ?」
 指弾で口元を結界で封じ、攻撃できない今が勝負。地を蹴る勢いを増して全力で駆け抜け、
 だあんっ!!!
「――く、っ!!」
 銭貫文棒で棒高跳びの要領で勢いを付けて跳び上がり、放り上がった千里の身体は古龍の眼前。ちらと見れば觔斗雲に乗った瞬雷もこちらへ迫っていた。
 ならばここでとっておきを。
「大盤振る舞いや! 全部あの世に持って逝け!」
 ざざ、ざざざざざああっ!!!
 放たれた硬貨の霊符は数え切れぬほどの正に大盤振る舞い。これほどの量の攻撃を一度に受けてはひとたまりもないだろう。
 そこに畳みかけられるのは、功夫で鍛えた剣の閃き。
「手早く片付けて酒宴を楽しませて貰おうか」
 ざんっ!
 ギャアアァァァアアアアアア!!!!!
 四本に増やした七星剣と雷公鞭、五剋符すべてが重なり古龍の身体を抉り裂き、辺り一面に断末魔に近い悲鳴が響き渡る。
「流石にこの距離やと大分痛いよな?」
 霊符をおまけで大量に放つ千里と切り裂く瞬雷の目にこの戦いに加勢するであろう新たな仲間達の姿が見えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ディアナ・ロドクルーン
【桔梗の旅宿】

名前+さん呼び

ああ、やっと追いついた

みんなとお花見を…と思ったら早速おでましね
手早く片して花を愛でに行きましょう
ふふ、蛇酒、味はともかく良いかもね
そうそう、シャルさんの言う様にさっさと終わらせてお花見しましょうね

こんな素敵な場所にいつまでも居させるわけにはいかないわ
無粋な輩はさっさと消えなさい

UC「死者の宴」で相手のUCを封じ
仲間が敵の気をひいた隙を付いて、攻撃を仕掛ける
龍を切りつけばその傷を抉ってさらなる痛みを与えようか?
はたまた腕、足を狙い切り刻んでいこうか

いずれにせよ手を抜く気は一切ない

ははっ…!
酷薄な感情が隠しきれずに艶然と、嗤った―

敵の攻撃は第六感、見切りで回避を試みる


清川・シャル
【桔梗の旅宿】名前にさん付けで呼びます
真の姿は鬼神也。赤目になって角が伸びます。

おでましですね。でっかいのは好きです、叩きやすくて。
さっさと終わらせてお花見しましょうね!

全力魔法でブリザードを起こします。
動きを封じる目的もあります。
火炎耐性で耐えて炎同士がぶつかって酸素無くなってきたら仕掛けようと思います
炎対策が出来たら、そーちゃんを持ってダッシュで走ります。
UC起動です。
棘が食いこんだら、そーちゃんをチェーンソーモードにします。結構効くでしょう?

敵からの攻撃には武器受けと激痛耐性で備えます。
防御に、魔法の多重障壁も展開したりします。仲間との連携を大切にして周りを見ながら動きますね。


硲・葎
【桔梗の旅宿】
呼び方は名前+さんづけ
真の姿は手足機械化、髪の色が緑から黄色のグラデ
シャルちゃん(f01440)のみちゃんづけ
わー、おっきい。
これは倒しがいがありそうで。
敵の炎は衝撃波で打ち返して回避。
弾き返せないものは見切りと火炎耐性で避けるか耐えるね。
嘉村銀さんのUCの炎を衝撃波で敵の方にいくようにサポートするよ。
ダッシュして残像を作りながらできる限りおびき寄せを試みよう。
味方の攻撃の邪魔にならないように、サポートを
する方向で。
スキが見えたら、UCを発動して捨て身の一撃を。
「咲き誇れ!彼岸花!!」


嘉村銀・華瑠真
【桔梗の旅宿】
こいつをブチのめせばいいのか?シンプルだ、悪くない。
さっさと終わらせて蛇酒にでもしてやろう。飲めたもんじゃないだろうがな
(悪目立ちで挑発しつつ、UCを展開して炎龍を出して威嚇する
ほぅ…お互い似たような技を使うか。ならば、どちらが上か分からせてやろう!
(炎龍を桃の木の間にくぐらせて死角から攻撃を加えていく
どこを見ている?相手はオレだけではないぞ?
(意識を自分へ向けさせ、仲間が攻撃しやすいよう誘導
消し炭にしてやろう!
(UCの炎は敵だけを燃やし、桃の木に延焼させない

アドリブ歓迎


ルカ・クルオーレ
【桔梗の旅宿】
基本名前呼び捨て
真の姿は穏やかさが消えて態度や喋り方等偉そうな感じになります。

ようやく出てきたか。
古き龍にしては桃源郷には似合わない禍々しさ、早めに退場してもらうしかないな。
霊力を高めるための場所なら猶更好き勝手させるわけにはいかないだろう。

Lama di distruzione
頭、足、胴体…出来るだけ致命的な場所を全力で破壊する。
まあ、どこに当たろうが最終的には全て壊してしまうのだから問題は無い。
最前で戦う。なぎ払い、衝撃波で叩き落し、無理なら多少の傷を負ってでも味方への攻撃は全て防ぐ。女性が多いからな、傷をつけるわけにはいかない者は庇うのも務めだな。


藤長・和正
【桔梗の旅宿】
呼び方は名前+くん
真の姿を現し一人称は俺

ついに現れたねぇ、敵のでっかいの
俺たちとしても腕が鳴る
蛇酒?
悪くないかもだけど不味そうじゃあないかい?
(ふふっと笑い)
どれどれどうしたのかな?
デカい図体がご自慢なんだろう、かかってきなよと「挑発」
敵の注意を散らせる

UC【鸞翔鳳集】を発動させるよ
「怪力」を唸らせ「グラップル」で攻撃だ
「戦闘知識」で辺りを警戒しつつ
隙がありそうなら「2回攻撃」するし
敵攻撃は「盾受け」「激痛耐性」で耐えようねぇ
仲間と連携しつつ攻撃を繰り出す



 まやかしもすっかり晴れてしまうと目の前には本物の桃源郷が広がっていた。
「ああ、やっと追いついた」
 まやかしから抜けた先で仲間達と合流できたディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)はほっとした表情で皆へ声をかける。
 ようやくの合流なのだから会話の一つでもしたいところだが、今はまだその時ではないようだ。近から戦いの音が聞こえてくる。炎を吐く龍と対峙する者たちだ。
 炎を吐いている巨大な龍はこの桃源郷を己がものにしようとしているオブリビオンであり、戦っているのは先にまやかしを抜けた猟兵達だろう。
「ついに現れたねぇ、敵のでっかいの。俺たちとしても腕が鳴る」
「わー、おっきい。これは倒しがいがありそうで」
 なんとも大きな敵を目に和正と葎は言葉を交わし、
「みんなとお花見を……と思ったら早速おでましね。手早く片して花を愛でに行きましょう」
「おでましですね。でっかいのは好きです、叩きやすくて。さっさと終わらせてお花見しましょうね!」
 仲間達と戦うオブリビオンを目に言うディアナにシャルも頷いた。
「そうそう、シャルさんの言う様にさっさと終わらせてお花見しましょうね」
「こいつをブチのめせばいいのか? シンプルだ、悪くない。さっさと終わらせて蛇酒にでもしてやろう。飲めたもんじゃないだろうがな」
「ふふ、蛇酒、味はともかく良いかもね」
 華瑠真の言葉にディアナの脳裏に浮かぶのは巨大な瓶に詰められた蛇酒。
 皆で倒した古龍が酒で満たされた瓶の中でちゃぷちゃぷと揺れているが――、
「蛇酒? 悪くないかもだけど不味そうじゃあないかい?」
 ふふっと笑つ和正の横ではルカが得物を手に倒すべき敵へと向かい始めている。
「ようやく出てきたか」
 赤の双眸が見据える先では武器を使って飛び上がった猟兵と雲に乗った猟兵がそれぞれ一撃をオブリビオンへと放っていた。
 二人の攻撃を避けることができなかったオブリビオンはまともに受け、大きくよろめいている。
 ギャアアァァァアアアアアア!!!!!
「古き龍にしては桃源郷には似合わない禍々しさ、早めに退場してもらうしかないな。霊力を高めるための場所なら猶更好き勝手させるわけにはいかないだろう」
 断末魔に近い悲鳴が響き渡る中、桃源郷を守る為、そしてお花見を楽しむ為にルカは仲間達と進みだす。
 花びらが舞う中を一気に駆け抜け距離を縮めると、オブリビオンは新たな敵が現れた事にすぐ気が付いたようだ。
「どれどれどうしたのかな? デカい図体がご自慢なんだろう、かかってきなよ」
 グルオオオオオオオオオォォォォオオオオオオ!!!!
 今まで受けてきた攻撃に加えて和正の挑発もあってか怒りをあらわにした怒号が轟くと同時に数え切れぬ炎がこちらへ放たれた。
「シャルちゃん!」
 衝撃波で弾く葎に頷くシャルはブリザードで襲い掛かる炎を凍らせ、最前に躍り出たルカは構えた大鎌を振るって薙ぎ払い、
「そっちにも行ったわ」
 炎の間を縫う雷を躱したディアナの声に華瑠真はひとつ、またひとつと炎を超えていった。
「よほど蛇酒になりたくないようだな」
 とんと地を蹴り飛び避けながらぽつりと呟きながら見据える左右異なる双眸は倒すべき敵を見据えるが、オブリビオンの攻撃に容赦はなかった。先ほどの炎だけでは足りないと悟った龍はこれでもかと新たな炎を猟兵達へと放ちだしたのだ。
 まるで雨のように降り注ぐ巨大な炎。
 見上げれば絶望するだろうその炎の雨も対峙するのは数多の戦いを潜り抜けてきた猟兵達である。誰一人としてその瞳の揺れはなく、それぞれが成すべき事を把握していた。
 オオ、オ……グルオオオオォォオオオオオオオ……!!!!!
 胴を打つ鈍重な怒号が轟き雷と炎の最前。ぶおんとルカの刃が空を断ち切った。
 己に襲い掛かる炎を断ち、仲間へと降る炎を薙ぎ払い、衝撃波を放って叩き落す。だが、それも全ては叶わない。
「……っ」
「ルカくん!」
「大丈夫ですか!」
 肌を焼く熱に眉が寄り、和正とシャルが声を上げたがそれでもルカは引かなかった。武器を手に踏みとどまってみせる。
 覚悟は決めていた。多少の傷を負ってでも味方への攻撃は全て防ぐと。
「女性が多いからな、傷をつけるわけにはいかない者は庇うのも務めだな」
 得物を構えなおす背を目に四象を司る神器を操る悪魔はそのうちの一つを展開させる。
 四象の一つ――すなわち炎。
「ほぅ……お互い似たような技を使うか。ならば、どちらが上か分からせてやろう! 四象神器、火象展開! 炎龍よ、全てを焼き尽くし灰燼の海にせよ!」
 放たれた炎龍は大きくうねり、桃の木々の間を縫い駆け抜ける。桃の美しさを一切損なわないよう細心の注意を払った炎は蒼白となってオブリビオンへと放たれる。
 当然、オブリビオンは突然現れた存在に意識が向き唸り交じりの攻撃を放つが、
「どこを見ている? 相手はオレだけではないぞ?」
 にいと口角を上げた悪魔の姿を目にするオブリビオンだが、鳳凰のオーラを纏った和正の存在に全く気付けなかった。
「好きなようにはやらせんよ」
 どず、ん!
 鈍重な一撃を叩き込み、
「隙だらけだねぇ」
 みしりとさらに叩き込む。
 グルオオォオ……!
「よそ見をしているから俺の攻撃に気付けないんだよ」
 更に攻撃を繰り出す和正の後を蒼白の炎が追った。それは華瑠真の攻撃だけではない。葎が衝撃波を使ったのだ。
 ダッシュして残像を作りながらできる限りおびき寄せを試みる葎の作戦は功を成したようで、オブリビオンは残像を追い攻撃を放ちだす。
 鬼神となったシャルの姿が見えてきた。炎対策はバッチリ完了。桜色の金棒をしっかり持って全力ダッシュ。
 距離を一気に縮ませ敵の胴へと棍棒がずどむと食い込み、蒼の瞳がぎらりと輝き、
「地獄へWelcome」
 ぎゃりりりりりりりり……!!!
「咲き誇れ! 彼岸花!!」
 チェーンソーモードとなった金棒は食い込んだ肉を抉り裂くと、真なる姿となったサイボーグの赤い刃がさらに深く切り裂いていく。
 ギャアアアアアアッ!!
「結構効くでしょう?」
 重なる攻撃に悲鳴が上がり、ちらりと葎へ視線を向けたシャルは二人で更に敵の身を抉り裂いたがそれでもオブリビオンは攻撃の意思を失わなかった。
 びたんと尾が地を叩き、雄叫びを上げて炎と雷を再び放ちだした。
「まだやる気ですか?」
 そーちゃんを手に降り注ぐ炎を見上げるシャルであったが、
「こんな素敵な場所にいつまでも居させるわけにはいかないわ。無粋な輩はさっさと消えなさい」
 聞こえてくるディアナの声に目を見張った。
「陽の明を忌み嫌う者よ、今宵は貴殿らの宴となろう。首なき影が物を謂う。亡き者達を纏わせて、歌えや踊れや慄けや 惡しき者を今ここに」
 黄昏を彷徨う亡霊が嘆き、宵闇に満ちる怨霊が怒り、暁に響き渡る亡者が叫ぶ。
 放たれたそれらによって炎はふつりと消えたのだ。
「龍を切りつけばその傷を抉ってさらなる痛みを与えようか? はたまた腕、足を狙い切り刻んでいこうか」
 研ぎ澄まされた殺意は手を抜く気は一切なく、確実に倒すべき敵へと向けられる。
 攻撃の手段は封じている。あとはもう――、
「ははっ……!」
 酷薄な感情が隠しきれずに艶然と、嗤った――。
 ずん、ず、ずず……。
 重なる攻撃を受け、オブリビオンは大きくよろめいた。
 いくら桃源郷に留まり力を得ようとも、受けたダメージが大きすぎる。
「さっさと終わらせよう」
 炎龍の蒼炎が敵の身を焼き焦がし、大鎌の刃がぎらりと光りを放つ。
「……お前の全てを破壊してやるよ」
 赤い宝石が血のような光を放ち――、
 ざ、ん!
 一閃は致命的な場所を全力で破壊する。頭、足、胴体……そう、分かる限り全ての致命的な場所を全力で。
 アア……アアァァグアアアアアア!!!!!
「まあ、どこに当たろうが最終的には全て壊してしまうのだから問題は無い」
 断末魔など気にはしない。ぶんと空を切りルカの大鎌は更に破壊する。
 仲間達の攻撃によってかなりのダメージを与えたようだ。オブリビオンは体のあちこちから血を流し、今にも倒れそうである。
 だが、まだ戦いを止める気配はない。
 そして、響く断末魔を聞いたのか、まやかしから抜け出した猟兵達がこちらへと近づいてきていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ロラン・ヒュッテンブレナー
古龍退治も【ファランビー】!

大きいね
帝竜の時と、同じなの
でも、あの時よりはこわくないね
あの時より、ぼくたちは強いはずなの
ぼくたちなら勝てるよ

ハロちゃん、チェリカちゃん
防御は任せて
ぼくの家の魔術で、守るから思う様に戦って

チェリカちゃんを背中に庇う位置で、【高速詠唱】しながら、自分の魔力の【封印を解く】の
【地形を利用】して、不動の姿勢を取ったら、魔術展開
ヒュッテンブレナー式【結界術】で、守るの!

チェリカちゃんはぼく自身で、
二つの盾結界でハロちゃんを守るよ
盾はハロちゃんを【追跡】しながら炎を【誘導弾】の様に弾くの
二人は、絶対に傷付けさせないの
ぼくへの攻撃は【オーラ防御】

これがぼくたちの得意の連携なの


ハロ・シエラ
敵は大きいですが、ここからが【ファランビー】の本領発揮です。

まずはユーベルコードで私も飛行し、敵に【空中戦】を仕掛けます。
追い付けないと困るので、なるべく【先制攻撃】して注意を引き、敵を私の方に【おびき寄せ】る様にしたいですね。
鱗に弾かれても、【存在感】を増す為に光や雷の【属性攻撃】で戦います。
動けないロランさんから離すように動きましょう。
そのロランさんの守りの術のお陰で被弾は怖くありませんが、なるべく回避して敵をイラつかせます。
後は機を見て敵の目の前に飛び出し、噛み付きなり火を吐くなり口を開く攻撃を誘い出せれば……後はチェリカさんの一撃が鱗の無いであろう口の中を撃ち抜いてくれるでしょう。


チェリカ・ロンド
【ファランビー】!!

龍かぁ……アックス&ウィザーズの戦争以来だわ。あの時も苦戦したけど、三人で勝てたんだもの。今回も絶対勝てるわ!

ロラン、守りは任せたわよ!ハロ、引きつけお願い!
私の大好きな親友たち。不安に思うことなんか、一つもないわ!

私は私の役割を果たす――!

【真の姿】、超聖者に覚醒!光【属性攻撃】の力を【力溜め】しまくって、光気を高めに高めるわ!
龍の攻撃は怖いけど、大丈夫!大好きな友達を信じてるわ!
ロランの守りの中、ハロが作ってくれた敵の隙……!大きく開けられた龍の口!この瞬間が私の出番!

覚悟しなさい古龍髄厳!これが私の【全力魔法】ッ!
はぁぁぁぁッ!【超チェリカ砲】ぅぅぅぅッ!!!


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

ソヨゴ
あれは鰻じゃなくて龍だネ
お腹空き過ぎなのでは?

え?食べるの?
でもソヨゴは本気だ
今まで巨大イカなどのオブリビオン達を料理してきた経歴があるだけに

ウナジューというのは食べたことがないけど

料理に関しては全面的にソヨゴを信用しつつ
まずはこいつをやっつけようか

大物相手ならSilverBullet
重いケースを地面に下ろし
数秒でライフルを組み立てる
ソヨゴ前は任せた

電脳ゴーグルをスコープにリンク
敵の炎攻撃のタイミングを事前に察知してソヨゴに知らせる
回避能力は厄介だけどそれなら鱗のない箇所に撃ち込めばいい
敵が口を開ける瞬間を狙って狙撃する

ソヨゴ
僕らの世界に戻ったらうなぎをご馳走するから
と頭を撫でる


城島・冬青
【橙翠】

アヤネさん見て下さい
向こうからウナギがやって来ましたよ
鰻重は食べたことあります?
美味しいんですよ
捌いて蒲焼にしますね

え、アレ龍なんですか!
超お腹空いてるのでウナギに見えます
まぁこの際どっちでもいいか
捌きます

愛刀の花髑髏と不死蝶を抜き二刀流の構え
UCを発動し空をかっ飛びます
高速飛行でウナギ…じゃなかった龍の周りを素早く飛びながら死角から斬りつける
龍の炎はギリギリまで引きつけてから
ダッシュと残像で回避するか
衝撃波で薙ぎ払う
悪いけど当たりませんよーだ
アヤネさんと息を合わせて攻撃
龍を捌いていく

でもよく考えると龍の身ってきっと蛇に近いよね
…やはり食べるのは無しで
ウナギ、どっかに落ちてないかな?



 アア……アアァァグアアアアアア!!!!!
 響き渡る断末魔はチェリカとハロ、ロランの3人の耳にしっかり届いた。
 何もない状態であんな声が響く筈はない。恐らく先にまやかしから抜け出した仲間達が戦っているのだろう。
 声のするほうへと向かっていくと、巨大な古龍と戦う仲間達の姿が見えた。何人もの猟兵と戦ったのだろう。その体は数え切れぬほどの傷が走り、血がにじんでいる。
「大きいね。帝竜の時と、同じなの」
 受けたダメージの痛みか大きくのけぞる古龍の姿を目にするハロの脳裏に蘇るのは、あの戦い。
 でも、あの時と今とは違う。
「龍かぁ……アックス&ウィザーズの戦争以来だわ。あの時も苦戦したけど、三人で勝てたんだもの。今回も絶対勝てるわ!」
「あの時より、ぼくたちは強いはずなの。ぼくたちなら勝てるよ」
 力強いチェリカの声にこくりとハロも頷いた。
 そう、あれからいくつもの戦いを重ねて強くなった。どんな相手だろうとも負ける訳がない。
 優しい風が吹く桃源郷を走り仲間達の元へ到着するとオブリビオンの体のあちこちは傷つき血が流れ、痛みにびたんと大きな尾を地面へと叩きつけた。
 そして威嚇するように呻き、大きな叫び声を上げる。
 オオオオオオオォォォォオオオオオオ……!!!!!
 傷つきそれでも戦う意思を失わない咆哮はびりびりと胴を打つ。一瞬でも怯んでしまえばそこで負けてしまうだろう。
 ――いや、3人ならば絶対に大丈夫。
「ハロちゃん、チェリカちゃん、防御は任せて。ぼくの家の魔術で、守るから思う様に戦って」
「ロラン、守りは任せたわよ! ハロ、引きつけお願い! 私の大好きな親友たち。不安に思うことなんか、一つもないわ!」
 決意を重ねた二人の声を背にロランはだっと地を駆け、
「封印を解きます……この剣は、痛いですよ!」
 ばさりっ。
 軽鎧から生えた翼をはばたかせ、体は宙へと舞い上がった。
 オブリビオンへの注意を引きつける親友を目にするチェリカだが、すうと深呼吸をひとつし――真なるものへと姿を変える。
 ごうと大きな輝きを纏い超聖者へと覚醒すると、とっておきの一撃の為に光気を高めに高めていく。
「私は私の役割を果たす――!」
 光気は即座に高まる訳ではない。整え、高め、蓄積していく。
 グルオオオアァァアアァァアァ!!!
 見上げると空から炎がいくつも降り注いだ。いつもなら容易に回避できるそれであるが、今は光気を高めている最中である。動く訳にはけにはいかないのだ。
「龍の攻撃は怖いけど、大丈夫! 大好きな友達を信じてるわ!」
「うん、まかせて」
 迫る炎から瞳を逸らさず見上げ続けるチェリカを庇うようにして立つロランはぎゅっと拳を握りしめ、己の魔力の封印を解き放った。
「双璧の陣、砕けぬ盾は踊る。我が心の鳴るまま、駆けて守る。ヒュッテンブレナー式防御結界、展開」
 紡がれた言葉と共に放たれる二つの盾結界は上空にあるハロを追って炎から守り、チェリカに襲う炎は両手を広げたロランが己の体で受け止めたのだ。
「っ、く」
「ロラン!」
 小さな呻きを上げる親友へとチェリカは声をかけるが、耐えきった。
「二人は、絶対に傷付けさせないの」
 ハロへの攻撃はあの盾結界が守り、チェリカへの攻撃はロランが守る。
 上空からロランが守った様子を目撃したハロはほっと安堵し、瞳を倒すべき敵へと向けるとおびき寄せるべく行動に移った。古龍の視界に入るよう上空を飛び、光や雷の攻撃を立て続けに繰り出していく。
 だが、幾重も攻撃を重ねても強固な鱗が弾いてしまう。
「まだまだです」
 もちろん弾かれる事は計算済み。要は攻撃し続ける事によって自分の存在感を増す事ができればいいのだ。
 動けないロランから古龍を離すように動いていると、咆哮と共に炎か吐き出された。盾結界の守りもあり被弾は怖くないが――、
「僕達も手伝うよ」
 アヤネが冬青と共にまやかしから抜けて駆けてくる。
 空腹のまやかしからようやく抜け出せたというのに、オブリビオンを見上げる冬青のお腹がぐうぐうと何かを訴えてきた。
「アヤネさん見て下さい、向こうからウナギがやって来ましたよ。鰻重は食べたことあります? 美味しいんですよ、捌いて蒲焼にしますね」
「ソヨゴ、あれは鰻じゃなくて龍だネ。お腹空き過ぎなのでは?」
 アヤネの指摘はごもっとも。確かに鰻に見えるかもしれないけれど、あれは正真正銘の古龍、ヒトに害なすオブリビオンである。
 だが、それが古龍だろうと何であろうと、冬青はお腹がめっちゃ空いていた。
「え、アレ龍なんですか! 超お腹空いてるのでウナギに見えます。まぁこの際どっちでもいいか、捌きます」
「え? 食べるの?」
 炎がこちらへと近づいてくる中でアヤネは見るが、冬青は本気だった。琥珀の目には古龍を捌いて食べる気満々の決意が宿っている。
 今まで巨大イカなどのオブリビオン達を料理してきた経歴があるだけに、その本気度が伺える。
「ウナジューというのは食べたことがないけど……ってソヨゴ!」
「攻撃に気を付けてください!」
 上空にある仲間――ハロからの声にはっとなり声を上げるアヤネが見上げた空には数多の炎がこちらへと向かってきているではないか。
 咆哮と共に襲い掛かる数え切れぬほどの炎。
「ソヨゴ!」
 ぎゅっと手を繋いで迫る炎を二人は躱し、大きく飛び越え潜り抜ける。地面にぶつかった炎は音もなく燃え広がり、避けたアヤネと冬青の肌をじりじりとあぶる。
 雨のように炎は絶え間なく降り注ぐが――ふと、その数を大きく減らした。
「アヤネさん」
 冬青の声にアヤネも見ると離れたところで守られ力をためているチェリカの姿が見え、上空では古龍を引きつけるように動くハロの姿があった。攻撃がこちらに向かなくなったのは引きつける仲間の行動があったからか。
 あの古龍に攻撃を叩き込むなら、あそこを狙うしかないだろう。
 数舜の思案。重いケースを地面に下ろすとばちんと開き、中から取り出したそれらを組み立てるのに時間はかからなかった。
「ソヨゴ前は任せた」
「音速で駆け抜けますよ!」
 黒蘭の花弁が空に舞い、愛刀と脇差を構えた冬青は宙を舞う。
 上空では古龍を引きつけ戦う仲間の姿があった。宙を駆ける二人の瞳はかちりと合い、互いがなすべきことを一瞬で悟るとそれぞれが行動に出る。
 おいしそうなウナギ……いや古龍の周りを素早く駆け抜け二振りの刃で死角から斬りつけた。
 グルオォォオッ!!!
 突然の攻撃に吼える古龍は攻撃した存在を探そうとするが、目の前をちらちらと動く人影が気になってついそちらへと向いてしまう。するとできた隙をついて更に冬青はざくりとざぐんと抉り切り裂いていく。
 雄叫びが上がり、炎が飛ぶ。
 スコープにリンクした超高度コンピューター内臓ゴーグルからは攻撃の軌道予測が表示される。この予測ならソヨゴでも問題ないだろうけど。
「ソヨゴ、気を付けて」
「ありがとうアヤネさん」
 アヤネの声に頷く冬青の身体は残像を残して大きく飛んだ。
「悪いけど当たりませんよーだ」
 一つ飛び、二つ飛び、三つ目は衝撃波で薙ぎ払う。
 すると、離れたところで力を貯めていた超聖者の輝きがひときわ大きくなった。まばゆい輝きに合図を悟ったのだろう。共に空で戦っていたハロがなにやら動きを変えたのだ。
 力を溜めていたチェリカや守るロランから遠ざけるよう動いていたが、まるで狙わせるようにな動きをしている。
「僕も手伝うよ」
 その行動の目的が何であるかに気付くのに時間はかからなかった。
「UDC形式名称【ウロボロス】術式起動。かの者の自由を奪え」
 アヤネから放たれた複数の蛇に似た異界の触手が伸びると古龍の身体に幾重にも巻き付き動きを封じると、もがきながらも目前で目立つように動くハロへと大きく唸り威嚇する。そして噛みつこうと大きく口を開いた。
 ――今だ。
「ロランの守りの中、ハロが作ってくれた敵の隙……! 大きく開けられた龍の口! この瞬間が私の出番!」
 高めに高めた力を解き放つのは、まさに今。
 チェリカとアヤネが狙い定めた一点は、鱗に覆われていない無防備な――口の中。

「覚悟しなさい古龍髄厳! これが私の全力魔法ッ! はぁぁぁぁッ! 超チェリカ砲ぅぅぅぅッ!!!」
 極大の聖なる光と対UDCライフルの一撃が狙い定めた一点へと吸い込まれると、冬青の刃が閃き――、
 ギャアアアアアアアァアアアアアアァァァァァァアアアアアア!!!!!!!
 それはすべてを震わせる、命のともしびが消えゆく断末魔。
 数多の攻撃を受けたオブリビオンの身体は宙から地へと落ち、ずずんと大きな地響きを起こす。
「でもよく考えると龍の身ってきっと蛇に近いよね。……やはり食べるのは無しで」
 アヤネ必殺の一撃に合わせて龍を捌いた冬青はようやく古龍でご飯をあきらめたようだ。
「ウナギ、どっかに落ちてないかな?」
「ソヨゴ、僕らの世界に戻ったらうなぎをご馳走するから」
 優しく頭を撫でなるアヤネが見た先では、共に戦った仲間達がオブリビオンが消えゆく瞬間を見守っていた。
「ロラン、ハロ、ありがとう」
 身を挺して攻撃から守ってくれたロラン、そして敵から注意を逸らすべく戦ったハロ。
 大好きな親友たちへと礼を言うチェリカもまた、皆と共にその光景を見つめたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『桃源郷花見日和』

POW   :    酒や料理を木の下に持ち込み、宴を始める

SPD   :    小舟で川を下りながら花見を楽しむ

WIZ   :    美しい風景を絵や詩に残す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ギャアアアアアアアァアアアアアアァァァァァァアアアアアア!!!!!!!
 命のともしびが今まさに消えようとしている。
 響く断末魔は地を震わせ、立つものの胴に打つほどであった。だがそれも程なくして弱まり、徐々に小さくなっていき――ふつりと消えた。
 数多の攻撃を受けたオブリビオンの身体は限界を迎えたようで、宙から地へと落ちるとずずんと大きな地響きを起こす。
 するとどこからかざあっと大きな風が吹き荒れ、オブリビオンの姿は桃の花びらのかたまりとなって風に舞い上がり、消えていった。
 戦いの音は消え、静かで優しい音が流れ出す。
 それは、さらさら流れる小川のせせらぎ。
 それは、さわさわ揺れる木々の囁き。
 そんな音に紛れ、猟兵達を花見に誘ったグリモア猟兵がお弁当などの荷物を持ってこちらにやって来る。

 戦いは終わった。
 あとはのんびりした時間を桃源郷で過ごそうではないか。

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※3章のプレイングについて
 戦いも無事に終わり、3章では桃源郷でお花見を行います。
 仲間でわいわい楽しむのもいいですし、一人でじっくり過ごすのもいいですね。大切な人と語り合ったりするのもいいかもしれません。
 桃源郷でのんびり楽しいお花見時間を過ごしましょう。
 戦って体を動かしていますし、お昼を食べたり甘いものを食べたりしてはいかがでしょうか?
 上里・あかり(あかりを照らすもの・f06738)がお弁当やお菓子、飲み物をたくさん用意していますので、持参していない場合はあかり持参のお弁当やお菓子をどうぞ。
 あかりへのお声がけは特に不要です。気にせずお花見を楽しんでください。

※プレイングの再送について
 3章は成功数が少ない為、リプレイは一斉公開を予定しています。
 その為、執筆状況によってはプレイングの再送をお願いする場合がありますのであらかじめご了承ください。
 
 プレイングは4月30(金)8:30から受付します。

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チェリカ・ロンド
【ファランビー】!!

やっと遊べるわね!今日はこのためにがんぱったんだから!
あ、服買うのいいわね!私もチャイナ服?っての着てみたいわ!ロランとハロが選んでくれた、この明るい青のにしようかな?お花の柄も素敵で、ちょっと大人っぽくない?ふふ、ハロのチャイナもロランの道士服も、とてもかわいいわよ!
ん?カンフー?こうかしら、ほあたー!(片足上げてカンフーにありそうなポーズ)
足のとこにスリットがあるから、動きやすいわね!

三人で封神武侠界の景色が楽しめるところに移動。すごーい!これが桃源郷……まるでお花の海みたい!
ロランのじいやとマリアさんが用意してくれた料理もいただきながら、すっかり世界に夢中になるわ!


ロラン・ヒュッテンブレナー
【ファランビー】のお花見なの

大変だったけど、ゆっくりできそうだね?
ねぇ、この世界のお洋服に着替えて、気分転換しない?
できたら買って帰りたいの
選ぶの楽しみだね

二人に選んでもらった陰陽刺繍の浅葱色した道士服(尻尾穴完備)に着替えるね
なんだか、こっちの魔術師の服って不思議な感じ(しっぽゆらゆら)
ハロちゃん、桃のお花の妖精みたいなの
チェ、チェリカちゃん!元気一杯だけど、その…(はらはらどきどき)

じぃやとマリア(無口な執事とメイドNPC)が、
眺めのいい場所で、封神武侠界のご飯を用意して待っててくれるの
お花見、楽しも?

きれいな景色、おいしいごはん、いつもと違う服
それに、大好きな友だちと一緒
すてきな日なの


ハロ・シエラ
【ファランビー】の連携は今回も上手く行きました。
お花見でも上手く連携して楽しんでしまいましょう。

なるほど、着替え……良いですね、皆で選んで見ますか。
ロランさんはこの世界の魔術師……道士でしたか、そう言う服装、良さそうですよね。
とてもイメージに合っています。
チェリカさんはチャイナドレス……青系の服を着たチェリカさんは新鮮ですね。
功夫とか出来そうな感じです、それっぽいポーズとか……そんな感じです、かっこいいですね!
折角ですし、私もチャイナドレスで……ピンクですか?
着慣れないですが桃の花のようで綺麗です、ありがとうございます!

後は美しいお花の下、美味しいお料理を皆で頂くだけ……ええ、最高の日ですね!



 巨大な敵をみんなで倒して一件落着、めでたしめでたし。
 さて、オブリビオンを倒した後はお楽しみの自由時間。
「やっと遊べるわね! 今日はこのためにがんばったんだから!」
「大変だったけど、ゆっくりできそうだね?」
 よう役の時間にチェリカは戦いで流れた汗をぬぐっていると、猟兵達は思い思いに行動しはじめていた。
 お花見の場所探しに移動する仲間達を見送るロランだが、ふと脳裏に仙人仙女達が着ていたあの服がふわんと蘇った。
 まやかしではあったけど、美しい桃の中でゆったりとした鮮やかな色を纏った仙女達や仙人達。
「ねぇ、この世界のお洋服に着替えて、気分転換しない? できたら買って帰りたいの」
 ぽつりとこぼれた提案はチェリカとハロの心の好奇心をほんのり刺激する。
「あ、服買うのいいわね! 私もチャイナ服? っての着てみたいわ!」
「なるほど、着替え……良いですね、皆で選んで見ますか」
 顔を見合わせ言葉を交わすチェリカとハロを見るロランも思わずにっこりしてしまう。
 聞いてみると近くにお店があるらしく、そこなら気に入る服も手に入るだろう。
「選ぶの楽しみだね」
 柔らかな風に髪を揺らし、ロランは二人と一緒にお店へ続く道へと歩き出した。
 のどかな道を歩く事しばし。到着したお店は衣料品からお茶やお菓子など様々なものを取り扱っていた。
 服も同様で、可愛らしいものから動きやすいものまで種類や色も豊富で選ぶのも苦労してしまいそうなほど。
 そんなお店の一角でどれが似合うかと三人はあれやこれやと手に取り悩みに悩み、
「ロランとハロが選んでくれた、この明るい青のにしようかな? お花の柄も素敵で、ちょっと大人っぽくない?」
「折角ですし、私もチャイナドレスで……ピンクですか?」
 選んでくれた一着を手にしたチェリカとハロが試着室へ入り、ロランも選んでもらった服を手に試着室へ入って試着タイム。微かな衣擦れの音に小さな声が幾度か混ざり、程なくして着替えは完了。三人は同じタイミングで試着室から姿を出した。
「なんだか、こっちの魔術師の服って不思議な感じ」
 ロランが選んでもらったのは陰陽刺繍の浅葱色した道士服。くるりと回って二人へ見せるその服は尻尾が窮屈にならないように工夫されている。
 ゆらゆら尻尾を揺らすロランの横ではチャイナドレスのハロが道士服を見つめている。
「ロランさんはこの世界の魔術師……道士でしたか、そう言う服装、良さそうですよね。とてもイメージに合っています」
「ハロちゃん、桃のお花の妖精みたいなの」
 感想を言い合うハロとロラン。
 みんなでそれぞれ選んだ服というだけあってサイズもちょうどいいし、色もいい。とても似合っていた。
「ふふ、ハロのチャイナもロランの道士服も、とてもかわいいわよ!」
「着慣れないですが桃の花のようで綺麗です、ありがとうございます!」
 ロランとチェリカからの感想にハロは少しばかり頬を染める。
 ゆらりと尻尾を揺らすロランの前では選んだチャイナ服に身を包んだチェリカが元気いっぱいな姿で立っていた。
 スリットが入った、花柄が素敵なちょっと大人っぽいチャイナドレス。
「チェリカさんはチャイナドレス……青系の服を着たチェリカさんは新鮮ですね。功夫とか出来そうな感じです、それっぽいポーズとか……」
 いつもとは違う新鮮な色合いを纏うチェリカを目にしたハロはぽつりと口にし、聞いたチェリカは『それっぽいポーズ』をびしっと決める。
「ん? カンフー? こうかしら、ほあたー!」
 どういうポーズがそれっぽいのか分からないチェリカは片足を上げ、カンフーにありそうなポーズをとってみせた。
 すらりと伸びる足は天へ向き、よくわからないけど、それっぽい。
「そんな感じです、かっこいいですね!」
「足のとこにスリットがあるから、動きやすいわね!」
 ハロの声を耳に片足を上げたまま、足を動かすチェリカ。
 機敏に動く足がスリットからのぞき見えると、なんだかちょっとドキドキしてしまいそう。
「チェ、チェリカちゃん! 元気一杯だけど、その……」
 動きやすいその恰好を目にするロランの心ははらはらどきどき。
 皆で選んだ服は今日の思い出になるだろう。
 買い物を済ませた三人は来た道を戻ってロランの執事とメイドが待つ場所に辿り着くと、そこからの眺めに思わずチェリカの口から感嘆の声が上がる。
「すごーい! これが桃源郷……まるでお花の海みたい!」
 どこまでも続く桃は途切れることなく、まるで桃の海のよう。
「お花見、楽しも?」
 にこりと笑顔のロラン達を迎えた執事とメイドはさっそく食事の用意に取り掛かる。
 執事とメイド――じいやとマリアが三人の為に用意していたのは、ここ封神武侠界の料理。温かなスープにほかほか点心。炒め物から蒸し料理、デザートもずらり。
 沢山並ぶ料理はどれも手の込んだものなのは見ただけで察する事ができた。
 取り分けられた料理をチェリカは点心をぱくり。
「美味しい!」
 口の中いっぱいに広がるジューシーな味に思わずもう一口。
 ロランとハロも料理を口にし、取り分けてもらった料理はあっという間になくなっていく。美味しい料理を食べ、飲み物で喉を潤し桃を愛でる。
「素敵な一日ね」
 広がる桃の海を眺めたチェリカがぽつり。
 きれいな景色、おいしいごはん、いつもと違う服。
 それに、大好きな友だちと一緒。
「すてきな日なの」
「……ええ、最高の日ですね!」
 言葉を交わすロランとハロもチェリカと一緒に桃の海をのんびり眺めた。
 さわさわと風がそよぎ、桃の海はさざめき花びらが舞う。
 素敵な、すてきな、最高な日。
 三人はしばらくその風景を眺めていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

清川・シャル
【桔梗の旅宿】名前にさん付けで呼びます

花見ですやったあ!
お花見るの好きなんですよ。春が一番好き。
大きな木の下にでもレジャーシート敷きましょうよ!

お料理も遠慮なくいただきま〜す!
私唐揚げが好きなんです。美味しい美味しい。
戦闘でひと仕事終えてからの花見は最高ですね!
えっ和正さんお誕生日ですって?
おめでとうのクラッカーを袖から出しましょうか!パーン!
ふふ、おめでたいですね!

あ、写真私も撮ります〜!袖に一眼レフ入れてあるんです。いつでも撮れるように。
花見の様子も…みんな笑って〜!
自撮りもしますよ、SNSアップ用です。盛れたらいいな。
穏やかな時間もいいものですよね。


硲・葎
【桔梗の旅宿】
呼び方は名前+さんづけ
シャルちゃん(f01440)のみちゃん
「はー、終わったー!」
ああ、疲れた疲れた。
とりあえず、お花見弁当を食べつつ、
藤長さんのお誕生日が近いってことで、あかりさんに
ケーキはないか聞いてみよう。
「せっかくだし、お誕生日のケーキ、みんなで
食べたいもんね!誕生日おめでとう!良い1年に
なりますように!」
いつからか1人じゃなくて、みんなで楽しめるようになった誕生日を心から祝いつつ、桃を見て。
またあの人とも来れたらいいな!と写真を
撮っておこう!スマホを取り出して風景を!
あ、みんなでも撮る!?
シャルちゃんのカメラに笑顔を向けよう!
「はい、チーズ!」


藤長・和正
【桔梗の旅宿】
やることやったし花見だゾイ
桃の花言葉は『チャーミング』『気立ての良さ』と聞く
気立ての良い仲間に囲まれて楽しくやってきたのう
場所はホレ、桃の木の木陰なんてええんではないか?

ワシの誕生日を祝ってくれるんか
(クラッカーを頭に浴びて)
照れるがとても嬉しいぞ
もうワシも『あらさー』で、いい年じゃが
いくつになってもこういうことは嬉しい

乾杯だけなら酒飲んでもええんか?
なら酒の匂いとかが苦手な子にも平気なように
薄くてフルーティーな桃のお酒に留めておくな

美味い食べ物もつまみつつ春を満喫
いい仲間に囲まれて幸せだ

どうれ、ワシも花の写真を撮るか
(拙い手付きでスマホをいじりながら撮る)


ディアナ・ロドクルーン
【桔梗の旅宿】

まあ、素敵な桃の花が。桜とはまた違った風情があってとても素敵ね

ねえ、どこに場所を取りましょう
川の傍?それとも木陰がある方が良いかしら

ふふ、今月は藤長さんのお誕生日があるのよね
此処でみんなでお祝いしちゃいましょう

お誕生日おめでとうございます、藤長さん
実りある一年になりますようお祈りいたします
こうしてみんなでお祝いできる事、とても嬉しく思うわ


さあ、たくさん動いたしお腹もすいたでしょう
お弁当を頂きましょう、何か食べたいものはありますか?
お皿に取り分けますよ

花の写真を撮るのですか?なら、現像したら是非一枚くださいな
今日の素敵な思い出ですね
(みんなで映る写真。にっこりカメラに向かって笑んだ


ルカ・クルオーレ
【桔梗の旅宿】

よし、余計なものの片付けも終わったし花見だねえ。
出来れば大きめの桃木側に場所取りたいかなあ、分かりやすいしね。
ちょっと早いけど、和正の誕生日が近いからお祝いしちゃおう。

おめでとう、この一年も皆で楽しく過ごせたら良いねえ。
乾杯分くらいは良いかな、希望者にだけお酒貰おうか…折角だから桃のを。
後は適当に食べ物摘まんだり、寝転がったり。花見のお弁当ってどんなものが入ってるんだろうね?  
あんまりこういうふうに集まってわいわいする経験は無いから、楽しいけど不思議な感じ。
こういう事するって思ってなかったからなあ。
ああ、写真か。ここならどう撮ったって綺麗だよねえ。



 やっとの事で戦いは終わった。
「はー、終わったー!」
「花見ですやったあ!」
 大きく腕を伸ばした葎の傍ではシャルが武器をしまうと皆の元へと向かっていった。
 疲れた。とにかく疲れた。
 疲労感を感じているのは他の猟兵達も同じだが、今回ここへやってきたのはお花見を楽しむ為である。オブリビオンを倒した仲間達はお花見を楽しむべく、それぞれ移動し始めていた。
「やることやったし花見だゾイ」
 平和になった桃源郷を見渡した和正は言い、
「よし、余計なものの片付けも終わったし花見だねえ。出来れば大きめの桃木側に場所取りたいかなあ、分かりやすいしね」
「お花見るの好きなんですよ。春が一番好き。大きな木の下にでもレジャーシート敷きましょうよ!」
 良さそうな場所を探すルカと一緒にシャルもぐるりと周囲を見渡した。
 ここは美しい桃が咲き並ぶ桃源郷。どこを見ても桃が綺麗な花を咲いており、場所を選ぶのも一苦労しそう。
「まあ、素敵な桃の花が。桜とはまた違った風情があってとても素敵ね。ねえ、どこに場所を取りましょう。川の傍? それとも木陰がある方が良いかしら」
 風に揺れる髪を押さえながらディアナも探すが、桃に囲まれながらも桃源郷を一望できる丘もあるし、豊かな河沿いに咲く桃も美しい。
「桃の花言葉は『チャーミング』『気立ての良さ』と聞く。気立ての良い仲間に囲まれて楽しくやってきたのう」
 和正も皆と探していたが、ふと視界の先にちょうど花見に最適な場所があるではないか。
「場所はホレ、桃の木の木陰なんてええんではないか?」
 指さし示す先には大きな桃の木があり、綺麗な花を咲かせている。大きな桃の下には程よい木陰もできており、花見をするにはもってこいだ。
「あの場所でお花見しましょう!」
 シャルは葎と一緒に桃の木まで一気に走って大きなレジャーシートをばさりと広げると、お花見場所の出来上がり。
「ちょっと早いけど、和正の誕生日が近いからお祝いしちゃおう」
 お弁当と飲み物を並べてお手拭きを全員に配っていたディアナだが、ルカの言葉にそれを思い出したようだ。
「ふふ、今月は藤長さんのお誕生日があるのよね。此処でみんなでお祝いしちゃいましょう」
「えっ和正さんお誕生日ですって?」
 微笑むディアナを傍にシャルはごそごそと袖に手を入れて出し――パーン! と乾いた音を響かせる。
「ふふ、おめでたいですね!」
「ワシの誕生日を祝ってくれるんか、照れるがとても嬉しいぞ」
 シャルが鳴らしたクラッカーから飛び出た紙を頭にのせたままの和正は恥ずかしさと照れを混ぜた顔。
 幾度も鳴るクラッカーの音からふと視線を逸らすと、葎がケーキを持っている。お弁当とは別に受け取った大きな箱から取り出したケーキた和正の前へずいと差し出される。
「せっかくだし、お誕生日のケーキ、みんなで食べたいもんね!」
「もうワシも『あらさー』で、いい年じゃが、いくつになってもこういうことは嬉しい」
 葎が見せるケーキを前にする和正はほんのり笑みを浮かべ、
「お誕生日おめでとうございます、藤長さん。実りある一年になりますようお祈りいたします」
「おめでとう、この一年も皆で楽しく過ごせたら良いねえ」
 ディアナとルカへも頷き応えた。
 せかくの誕生日のお祝いなのだから、まずは乾杯で祝福を。
「乾杯だけなら酒飲んでもええんか? なら酒の匂いとかが苦手な子にも平気なように薄くてフルーティーな桃のお酒に留めておくな」
「乾杯分くらいは良いかな、希望者にだけお酒貰おうか……折角だから桃のを」
 和正とルカはお酒を受け取り、
「こうしてみんなでお祝いできる事、とても嬉しく思うわ」
 はにかむディアナもコップを受け取り、全員で和正の誕生日を祝う乾杯の声が大きく上がる。
 嬉しそうに和正はコップに注がれた酒を口にすると、皆もそれぞれ口にする。その皆の顔はどれも明るいものばかり。
「誕生日おめでとう! 良い1年になりますように!」
 皆と一緒に葎もこくりと一口。
 いつからか1人じゃなくて、みんなで楽しめるようになった誕生日。新たなる一年を迎える和正を心から祝いつつ桃を見れば、はらはら花びらが舞い降りる。
 誕生日を祝ったあとは待ちに待ったお弁当。
「花見のお弁当ってどんなものが入ってるんだろうね?」
 ずらりと並んだお弁当を興味深く眺めるルカだが、ディアナが蓋を開けるとお重一つ一つに沢山のおかずが入っていた。
「さあ、たくさん動いたしお腹もすいたでしょう。お弁当を頂きましょう、何か食べたいものはありますか? お皿に取り分けますよ」
 唐揚げにタコさんウインナー、エビフライにハンバーグ。厚焼き玉子に煮物、サラダにお漬物。皆で沢山食べられるように色々な種類のおかずが入っていた。もちろんデザートも用意されている。
「お料理も遠慮なくいただきま~す!」
 おかずを取り分けてもらったお皿をシャルは嬉しそうに受け取った。
「私唐揚げが好きなんです。美味しい美味しい。戦闘でひと仕事終えてからの花見は最高ですね!」
 好きなおかずがたくさん載ったお皿を見つめ、まずは唐揚げをぱくり。しっかり味付けされたそれは冷めても柔らかく、とても美味しかった。口直しに飲み物を飲んで、おかずをぱくり。
 ときおり優しい風がそよぐ桃の木の下で、あたたかな春を感じながら皆で食べるお弁当はとても美味しい。
 そよぐ風の音、揺れる花の音、鳥達のさえずり。
「清川さん、おかわりいりますか?」
「お願いします、ディアナさん」
「ワシにも頼む」
 ささやかな音を聞きながら言葉を交わし、皆でお弁当を味わうひと時だが、おいしそうにぱくぱく食べるシャルと一緒に葎もお弁当をぱくり。
「うん、美味しい」
「いい仲間に囲まれて幸せだ」
 美味い食べ物もつまみつつ春を満喫する和正を眺めるルカも適当に食べ物を摘まんだり、寝転がったり。
 あまりこういうふうに集まってわいわいする経験が無いルカにとってこのお花見は、楽しいけど不思議な感じであった。
「こういう事するって思ってなかったからなあ」
 寝転がり瞳を閉じれば、弾む仲間達の声とうららかな春の音が聞こえてくる。つい先ほどまで全員で力を合わせて戦っていたなどとは思えない、平和そのものの音。
 そんな音たちに耳を傾けていると、ふいにカシャリとシャッターを切る音が聞こえた。何の音かとシャッター音のする方を見ると、葎が周囲の風景をスマホで撮影していた。
「ああ、写真か。ここならどう撮ったって綺麗だよねえ」
「またあの人とも来れたらいいな! って思って」
 目の前の風景を画面に収め、カシャリ、カリャリとシャッターを切る。その度に美しい桃源郷はのスマホの中に記憶されていく。
 そんな姿に納得したルカの視界にはおもむろにスマホを取り出した和正の姿が見え、
「どうれ、ワシも花の写真を撮るか」
「花の写真を撮るのですか? なら、現像したら是非一枚くださいな」
 拙い手付きでスマホをいじりながら撮る様子にディアナは皆へ声をかける。
「あ、写真私も撮ります~! 袖に一眼レフ入れてあるんです。いつでも撮れるように」
 袖からカメラを取り出すシャルも皆と一緒に綺麗な風景を前にシャッターを切りだすと、
「あ、みんなでも撮る!?」
 葎の提案にシャルはカメラを皆に向けた。
 寝転がっていたルカも体を起こし、はらりと桃が舞う中で和正とディアナも記念撮影の準備。
「花見の様子も……みんな笑って~!」
「シャルちゃんのカメラに笑顔を向けよう! はい、チーズ!」
 ぱしゃり!
「今日の素敵な思い出ですね」
 カメラへにっこり笑むディアナ。
 綺麗な風景と一緒に写る笑顔の仲間達。この一枚は皆とのとっておきの記念になるだろう。
 皆と一緒に撮影した後は桃の花やおいしいお弁当と一緒にぱしゃりと自撮り撮影。もちろんSNSへのアップ用。
「盛れたらいいな」
 自撮り写真を撮影しながらふと皆を見れば、どの顔もいい顔ばかり。
「穏やかな時間もいいものですよね」
 にこりと笑顔でシャルは再びシャッターをぱしゃりと切った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

遥・瞬雷
やれやれ、何とかなったようだねぇ。
よっこいしょ、と年寄りじみた仕草で桃の木の下に腰をおろす。さて、一仕事終えた事だし、暫くのんびりさせて貰おうか。

舞落ちる桃の花びらを眺めつつ、懐から瓢箪の宝貝「千洞獄を取り出す。
ぽん、と軽く瓢箪の底を一つ叩くと、舞う花びらが軽やかなつむじ風と共に吸い込まれる。
くるりくるりとゆっくり瓢箪を回し揺らす。…そろそろかな。
懐から取り出した杯に瓢箪を傾けると、桃の香りの仙酒が注がれる。ちょっとした【仙術】…仙人のたしなみさ。
桃源郷の景色を楽しみながら、桃の仙酒を味わう。うん、いい出来だね。
世は並べて事もなし。これからもこうありたいものだよ。


六道銭・千里
いやぁ~終わった終わった…ほんじゃあ待ちに待った花見といこうか

美しい景色を楽しみながら美味い弁当をつまみのんびりと
そんでまぁ短時間でどんだけ効果があるかは兎も角、滞在した者の霊力も高めてくれるってのも魅力的やな

次の戦争…カクリヨやとしたらUDC…うちのお隣さんの世界
ほんなら…ちと、気合い入れて頑張らんとなぁ…
おう、あかりの方も楽しんどるか?


嘉村銀・華瑠真
ふぅ…
(川下りする小舟に1人だけ乗り、空を見上げる
綺麗だな…
(ポツリと呟く。物心ついてから今まで、このように空を見上げたことはあったろうか
…オレは思ったより生き急いでいたのかもしれんな…
(思い出すのは今までの悪事と、それの応報
……あのハゲさえ来なければ…いや、詮無いことか
(マントの内側から銃を取り出してエングレービングに掘られた文字を読む
「周到な準備が勝利を招く」か…。お前はそれでオレに勝ったのか…?
(思い出すのは「あの日」のこと。たった1人で魔王城を焼き落としたハゲと、それを迎え撃つ自身
あの程度で死ぬとは思えん…だが、もう会うこともないのだろうな
(オレが悪に堕ちない限りは…そう心のなかで呟き



 見上げた空はどこまでも青く澄み渡っている。
 親しい人と歩く者、仲間達で決めた場所へと向かう者。古龍退治で協力し合った仲間達は誘われたきっかけであるお花見を楽しむべく移動をはじめていた。
「いやぁ~終わった終わった……ほんじゃあ待ちに待った花見といこうか」
 移動する仲間達の背を見送った千里ものんびり過ごせる場所を見つけてゆっくり腰を下ろす。
 桃の花が咲きほこり、戦いや争いとは無縁の美しい風景が見渡す限りどこまでも続いている。時折、優しい風がそよそよと千里の髪を揺らし、桃の花びらがふわりと落ちてくる。
「まぁ短時間でどんだけ効果があるかは兎も角、滞在した者の霊力も高めてくれるってのも魅力的やな」
 ぱくりと弁当を口にする千里は陰陽師の一族の長男。のんびり花見を楽しむ短いひと時でもそれを感じつつ、まずは喉を潤すお茶を一杯。
 戦いや戦争などとからは縁遠く、今回のような事が起きなければここは本当に平和な場所だ。
 お茶を飲み干し、弁当を口にし、桃源郷を眺めながらも千里の内は小さな一石によってさざ波が広がりだしていく。
「次の戦争……カクリヨやとしたらUDC……うちのお隣さんの世界」
 箸を止めてつぶやく千里の心にあるのは大きな戦い。
 大祓百鬼夜行――UDCアースの破壊を目論む究極妖怪との戦いだ。
 この戦いに打ち勝たねばUDCアースは破壊され、狭間に浮かぶカクリヨファンタズムも滅びる事となるだろう。
 それだけは絶対にあってはならない。千里もその戦いに身を投じる事となるだろう。
「ほんなら……ちと、気合い入れて頑張らんとなぁ……」
 ――だが、今だけは。このひと時だけは。
 ざあっと木々が揺れ桃がはらはらと舞い降りる。
「おう、あかりの方も楽しんどるか?」
 聞こえる足音に見れば、お茶菓子を持ったグリモア猟兵はにこりとはにかみ、つられて千里も優しい顔になる。
 どこからかパンと乾いた音が聞こえたが、戦いの気配はない。気にせず千里はお茶をこくりと口にした。

 乾いた音は瞬雷の耳にも届いている。
 だがそれは小さな音であったし、殺意も敵意も感じない。
「やれやれ、何とかなったようだねぇ」
 兎にも角にもオブリビオン退治は一件落着。手ごろな場所を見つけた瞬雷はよっこいしょ、と年寄りじみた仕草で桃の木の下へと腰をおろす。
 一人静かに耳をすませば、どこか遠くで鳥がさえずり、さわさわと桃の枝が風に揺れる優しい音が耳に入って来る。聞こえてくるのは穏やかで平和な音ばかりだ。
「さて、一仕事終えた事だし、暫くのんびりさせて貰おうか」
 舞落ちる桃の花びらを眺めつつ、懐から取り出したのは瓢箪――宝貝『千洞獄』。
 手にした瓢箪の底をぽん、と軽く一つ叩けば、風に舞う花びらが軽やかなつむじ風と共にひゅるひゅると吸い込まれていく。
 まるで魔法か手品を見ているかのような不思議な光景であるが、これこそ瞬雷女仙の成せる技。
 花びらが吸い込まれた瓢箪をくるりくるりとゆっくり回し揺らす。ちゃぷちゃぷ揺れる水音が内から聞こえ、更に揺らす。
「……そろそろかな」
 頃合いを見計らって手を止め、懐から取り出した杯に瓢箪を傾けるとふわりと桃の香りが広がり、仙酒がとくとく注がれた。
 ちょっとした仙術であるが、これも仙人のたしなみである。
 杯からふわりと広がる桃の香りを楽しんでから、まずは一口。
「うん、いい出来だね」
 仙酒と桃の香りが口の中で混ざり広がった。飲みやすいそれをもう一口飲めば、おいしい酒はするんと喉を通っていく。
 ゆっくり味わうように飲みながら漆黒の瞳が見渡すのはどこまでも続く美しい風景。
 桃園が広がり、豊かな河が流れ、鳥達はさえずり飛んでいく。
 空になった杯へ仙酒を注ぎ、しばらく桃源郷を眺めていた瞬雷だが、ふとそよいだ風で花びらが一つふわりと仙酒に舞い降りたのを目に留めた。
 なんとまあ戦いとは無縁で平和なのだろう。
「世は並べて事もなし。これからもこうありたいものだよ」
 戦乱を生き抜いた女傑は広がる景色を楽しみながら、のんびり酒を味わうのだった。

 ちゃぷり。
 流れる水が小舟にぶつかり、ちゃぷりちゃぷりと華瑠真の耳にそれは届く。
 ちゃぷり、ちゃぷり。
 涼やかな水音に耳を傾け、ふうと息をつき空を見上げれば雲一つない青空が視界いっぱいに広がっている。
「綺麗だな……」
 ポツリと呟き見上げる瞳に、一羽の鳥がすいと映り込む。仲間だろうか、他の鳥達と合流すると一緒に桃園の中へすいと消えていった。
 さえずり歌う鳥達の声は響き渡り、どこからか薄い千切れ雲が流れてきては、消えていく。
 見上げる、というだけのこの時間。だが、物心ついてから今まで、このように空を見上げたことはあったろうか。
 ――いいや、
「……オレは思ったより生き急いでいたのかもしれんな……」
 柔らかい風が黒髪を揺らす中で瞳を閉じて振り返れば、思い出されるのは今までの悪事と、それの応報。
 手に入れた神器、大都市の北部を牛耳る日々そして。
「……あのハゲさえ来なければ……いや、詮無いことか」
 そんな音を耳にマントの内側へ手を入れ、閉じた瞼をすうと開いて取り出した銃に掘られた文字へと瞳を向けた。
 エングレービングに掘られた文字。
「『周到な準備が勝利を招く』か……。お前はそれでオレに勝ったのか……?」
 『あの日』の事はとはまるで昨日の出来事のように脳裏に蘇る。
 たった1人で魔王城を焼き落としたハゲと、それを迎え撃つ自身。
 対峙したあの瞬間、あの瞳――あの、一撃。
「あの程度で死ぬとは思えん……だが、もう会うこともないのだろうな」
 ざあっと風が凪ぎ、どこからか桃の花がはらはら舞い踊る。
 だが。
 だが、もし万が一にもだ。あう事があるのならば。
 ――オレが悪に堕ちない限りは……。
 どこかでぱんと空砲のような音が鳴る。
 心地よい風に身を任せ、四象の悪魔は小舟と共に川を流れゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アイグレー・ブルー
サギリ殿(f14676)と

ふふっ。みなさんと一緒に退治できてよかったでありますねー
封神武侠界に来たのですから飲茶でお花見をしましょう…!

(どこからか蒸籠やお茶セット)
蒸籠を開ければ小籠包に桃まんにごま団子…!
サギリ殿はどれが好きですか?わたくしは小籠包をいただきます。スープが美味しいであります

わたくし中国茶をお淹れいたしますね
最初の一杯は茶葉の汚れを器を温めたりする為に別の器に捨てるのです…慎重に……人にお出しするのは初めてですのでどきどきです
はいっサギリ殿!さっぱりして料理と合いますよ!

ま、またアイグレーと一緒にこうやって冒険したり遊びに行ったりしてくれますか?
……!とても嬉しいであります!


サギリ・スズノネ
アイグレーさんと!(f20814)

なかなか強い蒲焼きだったのです!
動いたから本当にお腹すいてきたのですよー
アイグレーさんお花見してーご飯食べようなのです!

わあい飲茶!サギリ、初めてなのです!
えっと……サギリ、桃まん食べてみたいのです!
桃みたいでー、とっても美味しそうなのですよー
アイグレーさんの小籠包も美味しそうなのです!

アイグレーさん、すげーのです!勉強になるのです!頂きますなのです!
……わあ!美味しいのです、アイグレーさん!
アイグレーさんの気持ちも籠っているのです!

もちろんなのですよ!
冒険に行ったりー、遊びにいったりー、ご飯を食べたり!
サギリもっともっとアイグレーさんと一緒に遊びたいのです!



 優しい風がさわりとそよぎ、サギリとアイグレーの間を抜けていく。
「なかなか強い蒲焼きだったのです!」
「ふふっ。みなさんと一緒に退治できてよかったでありますねー」
 桃の木の間を歩きながらの二人の話題は先ほどまで戦っていたあの蒲焼――オブリビオン。
 あんなに大きな敵を二人で皆と力を合わせて退治した。一件落着、めでたしめでたし。
 いくつか教えてもらったお花見場所のひとつに到着すると、まやかしではなく本当の空腹感に思わずお腹が鳴ってしまいそう。
「動いたからー本当にお腹すいてきたのですよー。アイグレーさんお花見してーご飯食べようなのです!」
「封神武侠界に来たのですから飲茶でお花見をしましょう……!」
 にっこり微笑むアイグレーはどこからか取り出した蒸籠やお茶セットを食べやすい位置に並べると、蒸籠からは蒸しあがったばかりのほかほか湯気がふんわり上り、とっても美味しそうないい匂いも漂ってくる。
「わあい飲茶! サギリ、初めてなのです!」
 並ぶそれらに目を輝かせたサギリを目にアイグレーが蒸籠を開ければ、大きな湯気の塊がふわんと二人の間に広がった。
 湯気は消え、重ねられた蒸籠には熱々ジューシーな肉汁が入った小籠包に、淡いピンクと可愛らしい形が魅力的の桃まん、それにまんまるもっちりごま団子がそれぞれの段に並んでいる。どれもほかほかでとっても美味しそう。
「サギリ殿はどれが好きですか? わたくしは小籠包をいただきます。スープが美味しいであります」
「桃まん! サギリ桃まん食べてみたいのです! 桃みたいでー、とっても美味しそうなのですよー」
 アイグレーから受け取った桃まんからは温かな湯気がふわりと立ち上り、ぱくりと食べれば甘い味が口いっぱいに広がった。戦い疲れた体にこの甘さはちょうどいい。
 一口、また一口と桃まんを味わうサギリだが、アイグレーが食べている小籠包も美味しそう。
「アイグレーさんの小籠包も美味しそうなのです!」
「中にスープが入っているのでそのまま食べてしまうと、口の中をやけどしてしまうであります。レンゲにのせて、こうやって食べるといいであります」
 レンゲにちょこんとのせた小籠包の皮に箸で少し穴を開けると、美味しそうなスープがとろりとあふれ出す。あつあつなそれを少し冷ましてから味わい、そして小籠包もぱくり。
 アイグレーの食べ方を見ながらサギリもぱくり。
「わたくし中国茶をお淹れいたしますね」
 おいしそうに食べるサギリの幸せな顔に思わずアイグレーもにっこり笑顔で中国茶を淹れる準備に取り掛かりはじめた。
 茶器に沸騰したお湯を入れ、十分に温まったらお湯を捨てて茶葉を入れる。すると温まった茶器からふわんと香りが広がってくる。広がるお茶の香り楽しみながらアイグレーは沸騰したお湯を注ぎ、
「最初の一杯は茶葉の汚れを器を温めたりする為に別の器に捨てるのです……慎重に……」
 感じる視線にふと見れば、サギリが一連の様子をじっと見つめていた。
「これは『洗茶』というであります、サギリ殿」
 説明しながら一杯目のお茶をさっと捨てて、再びお湯を注ぐ。
 抽出に時間はそれほどかからない。二人分の茶器にお茶を注げば完成だが、人に出しするのは初めてのアイグレーは緊張にどきどきだ。
「はいっサギリ殿! さっぱりして料理と合いますよ!」
「アイグレーさん、すげーのです! 勉強になるのです! 頂きますなのです!」
 アイグレーから茶杯を受け取ったサギリは綺麗な色をしたお茶を見つめ、それからこくりと一口。
 さっぱりとしたお茶はちょうどいい温度で飲みやすく、口の中をリフレッシュさせるには十分だった。
「……わあ! 美味しいのです、アイグレーさん! アイグレーさんの気持ちも籠っているのです!」
 嬉しい反応にアイグレーも茶杯を手にすると、はらりと桃の花が舞い降りる。
 はらり、はらり。
 優しい風がそよぎ、見上げれば雲一つない空が広がり、桃園の中でサギリとアイグレーはささやかなひと時を過ごす。
「ま、またアイグレーと一緒にこうやって冒険したり遊びに行ったりしてくれますか?」
 お茶を飲み終え、空になった茶杯を手にアイグレーはそっと問う。ちりばめられたキラキラが日の光に瞬き、風にサギリの鈴がちりんと揺れ、
「もちろんなのですよ! 冒険に行ったりー、遊びにいったりー、ご飯を食べたり! サギリ、もっともっとアイグレーさんと一緒に遊びたいのです!」
「……! とても嬉しいであります!」
 ふわりと咲いた二つの笑顔。
 あたたかな空の下でサギリとアイグレーは時間いっぱいまで楽しい時間を桃源郷で過ごすのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
なるほどこれが風光明媚というものだネ
桃の花をこれだけ一度に見たのは僕は初めてだ

うん僕も些か空腹を感じてる
ではまず腹ごしらえをしようか
いつも?
言われてみればソヨゴはいつも食欲優先な気はする
それは口にはせず
笑って
大丈夫いつもの君らしくて僕は安心できるよ

用意してもらえるのならありがたくいただきます
ソヨゴそのあたりは帰ったらご馳走するよ
ふむ中華風の食べ物を選んでみようか
ちまきが気に入ってもぐもぐ食べる
大きめの肉が入っているところが僕好みでいいネ

糖葫芦って初めて聞いた
甘いのかしら?
僕にもちょっと分けて

一心地ついたらタピオカミルクティーを飲みながら
花見をしよう
桜と似てるけど色々な種類があるみたいネ


城島・冬青
【橙翠】

お腹空いたぁ
ずっと空腹で駆け抜けたり走ったりしてたんですよ
桃の花は綺麗だけど…だけど…
今の私は花より団子です
…アヤネさん
いつも花より団子とか思ってません?
そんなことないんですってば

あかりさんがご飯を用意してくれてる?
やったー!
ご馳走になりましょう
流石にウナギやファーストフードはないと思いますが…

ちまきや月餅がありますね
美味しそう!
ん?これはもしや糖葫芦?
えへへ、食べてみたかったんです
これはサンザシの実を砂糖でコーティングにしたものです
こうしてみると林檎飴に見えますね
テレビで見たことがあるだけで食べたことはないんですが
どれどれ…(ぱくり)
んん!飴の甘さとシャキシャキした果実が絶妙ですぅ〜



 戦いは終わり、改めて周囲を見渡せばどこまでも続く桃の花はまるで広がる海のようだった。
「なるほどこれが風光明媚というものだネ。桃の花をこれだけ一度に見たのは僕は初めてだ」
「お腹空いたぁ。ずっと空腹で駆け抜けたり走ったりしてたんですよ」
 桃の大海を眺めるアヤネだが、冬青は広がる景色を眺めるよりも空腹がによる食欲の方が勝っていた。
「桃の花は綺麗だけど……だけど……今の私は花より団子です」
「うん僕も些か空腹を感じてる。ではまず腹ごしらえをしようか」
 訴えに頷きアヤネは眺める瞳を冬青へと向け、手を取り二人でお弁当を受け取りに向かう。
「……アヤネさん、いつも花より団子とか思ってません?」
「いつも?」
 桃の間を歩きながらふと問われ、
 ――言われてみればソヨゴはいつも食欲優先な気はする。
「そんなことないんですってば」
 言葉に出さない反応を見透かされたのか思わずどきりとしてしまうけど、それはほんの一瞬。
「大丈夫いつもの君らしくて僕は安心できるよ」
 笑って二人は手を繋いで歩く。
 皆と同じように受け取ったお弁当はずしりと重く、お花見の為にたくさん用意されていたようだ。
「流石にウナギやファーストフードはないと思いますが……」
「ソヨゴそのあたりは帰ったらご馳走するよ」
 はにかみ二人はお弁当を持って教えてもらったお花見場所に到着すると、レジャーシートを広げて腰を下ろした。
 直射日光を遮る大きな桃の木の下から眺める景色は素晴らしく美しい。正に風光明媚な景色である。
 美しい景色を二人はしばらく眺めていたが、おしぼりで手を拭き、お弁当の蓋を開ける。中華風のおかずが入っているというお重の中には美味しそうなお料理がぎっしりと詰まっていた。
「ちまきや月餅がありますね、美味しそう!」
 目をきらきら輝かせる冬青を目にアヤネはちまきを取ると、包みを広げて美味しそうなそれをぱくり。
 味付けされたもち米のもちもちした触感とお肉の味が口の中で広がっていく。
「大きめの肉が入っているところが僕好みでいいネ」
 あっという間に食べてしまったアヤネはお重からちまきをもう一つ取る。タコ糸をほどいて竹皮を開き、大きなお肉がごろごろ入ったちまきを新たにぱくり。
「ん? これはもしや糖葫芦? えへへ、食べてみたかったんです」
 もぐもぐ味わうアヤネだが、その声に見ると冬青はお重の中から真っ赤でつやつやしたものを取り出していた。
「糖葫芦って初めて聞いた。甘いのかしら?」
 棒に刺さった真っ赤な団子に水あめをけたかのような、不思議なそれは一体なんだろう。
「これはサンザシの実を砂糖でコーティングにしたものです。こうしてみると林檎飴に見えますね」
 疑問に首を傾げるアヤネは見るが、どうやら冬青も初めて実物を見たようだ。コーティングされたサンザシが刺さった棒を手にしげしげと見つめ、
「テレビで見たことがあるだけで食べたことはないんですが、どれどれ……」
 ぱくり。ぱりぱり、もぐもぐ。
 コーティングされた砂糖が飴みたいに口の中で砕けるとサンザシと一緒に甘みが広がっていく。
「んん! 飴の甘さとシャキシャキした果実が絶妙ですぅ~」
「僕にもちょっと分けて」
 興味津々のアヤネへとサンザシは向けられ――ぱくり。
 ぱりぱり、ぱりぱり、もぐもぐ。
 味わっていると冬青がこちらをじいっと見つめている。美味しそうに食べるアヤネを見つめて自分もぱくり。
 砕ける音と味わう音を聞きながら、美味しいお弁当を食べて飲み物を口にし、他愛のない会話を交わす。
 心地よい風を受けながらこくりとお茶を一口。
 耳をすませば桃の花が揺れる音が聞こえてくる。
 さわやかな音を耳にお弁当も食べ終え、一心地ついたところで二人はのんびりお花見を楽しむことに。
「桜と似てるけど色々な種類があるみたいネ」
 タピオカミルクティーを飲みながら眺める海は同じ桃だというのに様々な色どりを見せている。
 濃いピンクに淡いピンクや白、紅。見上げる桃は薄紅だ。
「いいですね、お花見」
「そうだネ、ソヨゴ」
 はらはら舞う桃の下、二人は鮮やかな海を見つめるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年05月06日


挿絵イラスト