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銀河帝国攻略戦⑤~帝国戦艦強襲

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 慌ただしく猟兵達が行き交うグリモアベース内。ヘロドトスの戦いを皮切りに始まった銀河帝国の侵攻を迎え撃つべく、何十何百もの猟兵がスペースシップワールドへと旅立っていく。

 その一角に集まった猟兵達を前に、カカリーン・ノプスは作戦の説明を始めた。
「今回皆様に向かって頂くのは、こちらの宇宙戦艦の内部となります」
 カカリーンが手を広げると空中にモニターが浮かび上がる。そこに映し出されるのは銀河帝国が所有する戦艦の外観に、内部の簡単な見取り図、そして戦艦の向かう航路だ。その航路の先には戦艦よりも一回り小さな宇宙船を示すマークが点滅していた。
「銀河帝国の戦艦は、こちらの宇宙船に攻撃を加える模様です。皆様は戦艦内部にいるオブリビオンを殲滅し、宇宙船を救助して下さい。その後に、ミディアさんによって、救出した宇宙船に『ワープドライブ』を適用。今回の戦いの解放軍に加わって頂くことになります」
 ミディア――ヘロドトスの戦いにおいて救出されたフォースナイトの女性だ。彼女の持つ特殊なユーベルコードによって宇宙船はワープ航法を得る事が可能となった。この力が今回の戦いの鍵であることは言うまでもない。
 救助に向かう宇宙船は既に解放軍への参加の意思を固めている。銀河帝国の攻撃を阻止し、猟兵達に協力してくれる解放軍の戦力を高めること。それこそが今ここへ集まっている猟兵達の目的となる。

 続いてモニターに表れたのは丸みを帯びたフォルムの戦闘機の群れだ。これが今回向かう戦艦内部の自衛戦力であるとカカリーンは語った。
 本来は船外活動や宇宙空間での戦いを想定した機体であるようだが、船内用に開発されたこれらはいくらか小型化が為された無人機であるようだ。とはいえその戦力は本物。密室空間を自在に飛び回る機動力に加え、強力な機銃を搭載、厄介なことにその数も多い。戦闘には十分な警戒が必要だろう。
 油断は禁物ですよ、とカカリーンが言葉を結んだ。

 船内の戦力を無力化した後は、動力部に攻撃を加える等して敵戦艦自体を破壊。グリモアベースに帰還することとなる。大規模作戦はまだ始まったばかり。次なる戦いへと赴く猟兵もいることだろう。
 説明を終えると、カカリーンの手にしたグリモアが光を放つ。向かうはスペースシップワールド。激化する戦争のその只中だ。


来海循
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 お世話になっております。来海循です。
 上記にもありますが今回は戦争シナリオ、その内の集団戦闘を担当するシナリオとなります。
 通常のシナリオでも同じことが言えますが、今回はまさに、皆様の一戦一戦が戦局に影響を与えていきます。
 銀河皇帝打倒のため、皆様がんばっていきましょう。

 ※オブリビオン撃破後は戦艦の破壊が必要となります。プレイングに記載する必要はありませんが、その際に何かしたい行動(ユーベルコードで爆破等)があれば、記載して頂ければ採用できるかもしれません。
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第1章 集団戦 『デルタ・ファイター』

POW   :    増援要請
自身が戦闘で瀕死になると【増援飛行隊 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    帝国軍の栄光のために!
【制御不能の高速航行モード 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    対宙銃撃
レベル×5本の【貫通 】属性の【機銃弾】を放つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

死之宮・謡
アハハ、戦闘だぁ強襲だぁ。壊そうか殺そうか?幾ら壊しても良いんだろう?

さて、取り合えず突っ込むか…作戦考えるのなんて抑向いてないしね?まぁ誰かの作戦に乗るのは構わないんだけど私は何時も取り合えず突撃してから考えるよね?この戦争はまだまだ序盤も序盤…行き掛けの駄賃に壊しまくろうか。

さぁさぁパーティの始まりだ!【裏世界の七血人】召喚!破壊の宴の始まりだぁ。


サラ・ノアール
まったく、帝国がどれほどのものよ?
全部蹴散らしてやるんだから!

チェーンウィップに繋げたアサルトメイスを振り回しながら「なぎ払い」「範囲攻撃」を駆使して飛び回る無人機を叩きおとすわ。
「ダッシュ」「逃げ足」「衝撃波」で動き回るって敵の攻撃を避けるつもりよ。

他の猟兵に「コミュ力」で呼び掛け、時間稼ぎしてもらえるなら「全力魔法」でのユーベルコードによる破壊を狙うわ!

戦艦に対しても全力のユーベルコードを使うわね。

アドリブ大歓迎よ!


ベラドンナ・ベルティネッリ
【共闘・アドリブ歓迎】
小型無人機ね……厄介だけど、やりようはあるわ。

【早業】【クイックドロウ】【死の風(モルテ・ヴェント)】で鋼糸を素早く飛ばして、翼を狙って斬撃を飛ばすわ。

平行して【罠使い】で糸を張り巡らせておいて、ユーベルコードで加速したら誘い込んで引っ掛けるわね。


アンナ・フランツウェイ
解放軍に参加しようとしている人達を見捨てる訳には行かない。それを阻む敵は打ち砕く。

先制攻撃でデルタ・ファイターが動き出す前に接近を試み、敵の攻撃は見切りで回避しつつ接近。

接近できたら鎧砕きを使ってデルタ・ファイターの動力源目がけ、断罪剣・ラストブラッドを突き立てる。突き刺したら傷口をえぐるを使い、そのまま動力源を破壊しながら剣を引き抜く。

増援要請を使用してきたら、私も断罪式・彼岸花を使用。処刑道具を大量展開して、増援飛行隊を潰そう。


トリテレイア・ゼロナイン
銀河帝国…記憶はありませんがかつての同胞とも言える相手との大規模作戦、宿縁じみたものを感じます
ですが力なき人々を守るため、宇宙を駆ける騎士として立ち塞がりましょう

戦艦内部で小型戦闘機と戦うとは…ドローンのようなものでしょうか?
通路内の壁面や床を「踏みつけ」てジャンプしたり、天井に隠し腕を引っかけてワイヤーで巻き取とることで移動したりする三次元的な動きで翻弄します

移動の最中にも「スナイパー」技能を使った格納銃での攻撃、接近したら「怪力」で振るう剣と盾の「鎧砕き」で破壊します
機銃弾は着弾点をセンサーで「見切り」「武器受け」で逸らして対応

戦艦への破壊工作を行う味方を「かばい」支援します


二條・心春
規模の大きな戦いですが、だからこそ一人一人が頑張ることが重要なんですね。私の力は微々たるものですが、協力させてもらいます。

今回は【召喚:蛇竜】を使って、ワームさんに協力してもらいましょう。私が槍を使って雷の「属性攻撃」を使って鈍らせたり、「衝撃波」で「吹き飛ばし」たりした敵を、まとめて締め上げてもらいます。
私は一人ではありません。一緒に頑張ろうね。
敵の攻撃は「第六感」とか「武器受け」で防ぎましょう。今回はワームさんが主役なので、余裕があれば彼への攻撃も防げるといいな。


イモータル・ボンバー
※読み易さ重視の為に普通の言葉で書いてますが、キャラは基本的に胡散臭いカタカナ言葉で喋ります。

【POW】
ヒャッハァ! 敵の戦艦を爆破だって?
いいねぇ。爆発は芸術だ。派手にやろうじゃないか!

敵の戦闘機は瀕死になると増援を呼ぶようだが、そんな暇は与えねぇ。
オレの【捨て身の一撃】で、瀕死なんて過程を吹っ飛ばして爆破してやるよ!

勿論、戦艦を爆破すんのも任せてくれていいぜ。
この爆弾には、見た目以上に大量の爆薬が詰まってるんだ。
こんな戦艦、最ッ高ッに芸術的爆発で散らしてやるぜ!

「ヒャッハァ! 派手ニ……爆ァァァゼェェェロォォォヤァァァァーーーーーー!!!!!」

(アドリブ、絡み歓迎です)


リィン・エンペリウス
紅玉(f03420)と一緒に参加するよ。

戦争に勝つためにもこの船を落としちゃわないとね。紅玉、頑張っていこうか!
戦闘が開始する前に、ボクはライオンライドで、SPD自慢のライオンくんを呼びだそうか。呼び出したライオンくんに【騎乗】して集団戦に挑むよ。

戦闘が始まったら紅玉の支援を信じて攻撃に集中するよ。
密室空間の独自の死角や、近くにある物など【地形の利用】や【残像】による【見切り】を使って敵の攻撃を回避しながら近づこうか。
敵に近づいて、攻撃出来そうなタイミングが出来たらボクの自慢の包丁とライオンくんの【2回攻撃】で敵を攻撃するよ
もしどうしても攻撃が当たっちゃいそうになったら【野生の勘】で緊急回避!


神久・紅玉
リンさん(f01308)と一緒に戦いますよ
私たちの戦い1つ1つが戦場を左右するそう考えると、責任重大です
でも、ばっちり勝利に導くのです

ユーベルコード『変幻自在の乗り物』を使って戦いましょう。
『トイピース』を組み合わせて高速移動可能なバイクを作成。
相手の無差別攻撃の対象になるように速度を調整するのです。

避けた時に攻撃が味方に飛ばない位置に行くように上手に軌道を調整。
『コミュ力』を活用してしっかりと声を掛け合って連携するのです
リンさんの動く時に合わせて、思い切り誘導。
バッチリ決めるタイミングでは最高速度のバイクを乗り捨てて、狙いを完全に誘導するのです!

アドリブ・掛け合い・改変等々大歓迎なのですよ!



 銀河帝国戦艦の内部へと転送された猟兵達。船内の通路を進んでいけば、予知されていた帝国の無人戦闘機『デルタ・ファイター』が数体、警戒に当たっていた。

 先陣を切ったのはサラ・ノアールだ。素早く駆けだした彼女が鎖鞭に繋がったメイスを振り上げ、敵の背面から力強く叩きつける。突然の襲撃に他の機体も反応を見せたが、それらが持つ機銃がサラに向けられるよりも早く、次の一撃がデルタ・ファイター達を襲った。サラが伸ばした鎖に手を伸ばして掴めば、その先に繋がれたメイスの軌道が変わる。死角から打ち込まれた重い一撃が戦闘機の飛行能力を奪う。
「まったく、銀河帝国がどれほどのものよ? 全部まとめて蹴散らしてやるんだから!」 素早い身のこなしで瞬く間に数体の敵機を撃墜したサラが声を上げる。奥へ進むべく再び駆け出すと、騒ぎを聞きつけた増援部隊が編成を組んで飛来する。
「おっと、来たわね! それなら……これで、大盤振る舞いよ!」
 鞭状の鎖を回転させ、サラは己が力を高めていく。敵を見据えてその鞭を振るうと同時、輝きと共に放たれたエネルギーの奔流が敵の一隊を飲み込んでいった。
 一編隊は退けたものの、次から次へと新たな敵機が現れる。代わりにと前に出る仲間に前衛を任せ、サラは一つ呼吸を整えた。戦いはまだこれから。頼もしい仲間へと声を掛けながら、サラは明るい笑みを浮かべ敵陣へと駆け込んだ。

「アハハハハ……壊ソウカ、殺ソウカァ? 幾ラ壊シテモ良インダロウ?」
 狂気じみた危険な笑い声を上げながら、先頭で突っ込んでいくのは死之宮・謡だ。作戦も何もなく破壊の衝動のままに剣を振るう彼女が通った後に残るのは、無残に壊された戦闘機の残骸ばかりだ。
 そんな謡の傍らに続く男の姿があった。その名はイモータル・ボンバー。爆弾を抱え陽気な声を張る彼の姿は、謡とは違った意味で戦場を楽しんでいるようだった。
「ヒャッハァ! イイネ! 派手ニヤッテヤロウジャナイカ!」
 彼もまた、どこか危険な雰囲気を漂わせながら、何処より取り出した爆弾を投げつけては敵軍を爆破していく。爆煙の最中に敵の機銃攻撃がイモータルを襲うが、元より爆風に身を晒すその身体はダメージをものともせずに突き進んで行く。舞い上がる粉塵を隠れ蓑に接近すると、煙の中から伸ばした逞しい腕が、デルタ・ファイターの機体をむんずと捕まえた。
「オ前達ハ仲間ヲ呼ンデイルヨウダガ……オレハソンナ暇ハ与エネエ!」
 掴まれた機体の中心にエネルギーが宿る。攻撃も、回避も、仲間に信号を送ることさえ叶わないまま、機体中に圧倒的な熱量が迸った。
「爆ゼロヤァァ!!」
 零距離での爆破。先程まで戦闘機だった残骸は、木っ端微塵に弾け飛んだ。

「ウッ……! 血……血カ……」
 不意に謡が床に手を付き、うずくまる。デルタ・ファイターの攻撃を受けたらしいその体には、決して小さくはない傷が生じていた。しかし謡は戦線を下がることなく、むしろ床に零れた血液に手を添えると、禍々しい魔力を籠めて解き放った。
「ハハ……! サァサァ、闇ノ住人ヨ我ガ友ヨ。破壊ノ宴ノ始マリダ……!」
 呼び出された『裏世界の七血人』は、各々に武器を構える七人の殺戮者の影だ。ある者は炎を纏った剣を振るい、またある者は冷気を携えた弓矢を放つ。襲い来る幾多もの攻撃を受け、機銃の狙いを乱したデルタ・ファイターの元に謡の剣が伸び――
「壊レチャエ」
 また一つ、瓦礫の山が築かれた。

 先行する仲間の派手な行軍に、アンナ・フランツウェイはやれやれと息を吐いた。しかしながら騒ぎに釣られて敵が集まってくるのならば好都合。自分達へと狙いを定める敵機体を目にし、アンナは断罪剣・ラストブラッドを構える。
「解放軍の人達を見捨てる訳にはいかない。それを阻むなら……私が打ち砕く!」
 錆び付いた物々しい剣を携え、アンナは素早く駆け出した。向かう正面から鋭い銃撃が繰り出されるが、アンナとて数々の相手を『処刑』してきた実力者。冷静に射線を読み切って接近すれば、そこはもう彼女の間合いだ。
 装甲を砕く勢いで断罪剣を突き立てる。刃が機体の中央に深々と突き刺さると、アンナはそのまま機体を床へと叩きつけた。
「やあああ!」
 太刀筋に沿うように亀裂が走り、デルタ・ファイターのボディが割れる。断罪剣が引き抜かれると同時に、機体は鈍い音を立てて活動を停止した。

 ふと背後に気配を感じアンナが振り返る。周囲には駆けつけたデルタ・ファイターの増援部隊が銃口を向けていた。撃ち出される機銃の斉射。だがその弾丸が突き刺さる前に、アンナの耳に届いたのは甲高い金属音だった。
 仰々しい騎士鎧を纏い、身を覆うほどの大盾を手にしたトリテレイア・ゼロナインがその前に立ち塞がっていたのだ。
「銀河帝国……。記憶はありませんが、かつての同胞とも言えるのかもしれません。……ですが」
 トリテレイア自身もまた、冷たい金属のボディを持つウォーマシンだ。帝国軍兵器との戦いは、彼に宿った心に僅かな感傷を生じさせる。しかし。
「力無き人々を守るため、宇宙を駆ける騎士として、貴方達を討ちます」
 力強い言葉と共に、体内に仕込んだ銃器を展開する。騎士兜から突き出された機銃からは無数の銃弾が放たれ、正面を飛ぶデルタ・ファイターへと叩き込まれた。
「そう、私だって……負けてられないんだ!」
 トリテレイアに庇われつつも、アンナは周囲一帯に自身の能力を張り巡らせていた。発動させた『断罪式・彼岸花』を起動させると、床から幾つものアイアンメイデンが現れて周囲の敵を飲み込んでいく。棘付きの棺の中に囚われたデルタ・ファイター達は、もはや機能停止を待つ他に術は無い。
 これを好機と見たトリテレイアは、長剣を手にして駆け出した。アイアンメイデンを踏み台に飛び跳ね、高所を飛行していた敵機体を斬り伏せる。しかしその隙を、残る機体が機銃で狙う。空中で無防備となった態勢に狙いを定め、正確無比な銃撃が吐き出された。
 しかしトリテレイアの策はその上を行く。腰部の機構からワイヤー制御の『隠し腕』を発射すると、その腕で天井の部品を掴む。ワイヤーを自在に巻き取り、空中で軌道を見事に制御する。銃撃を躱したトリテレイアは、反撃とばかりに壁を蹴って向きを変え、ワイヤーにぶら下がった勢いのままに敵の元へと向かう。大盾を構えたままに突進すれば、その質量をもって敵機体を押し潰したのだった。

「す、すごい……! でも私だって……!」
 仲間の活躍に、槍を構えた二條・心春は息を飲む。元々平凡な生活を送っていた心春にとって、今回のような大規模な戦いは初めてだ。しかし今は彼女もまた猟兵の一人。解放軍を目指す人々を救うため、戦う覚悟を決めてここまで来たのだ。
「私の力は微々たるものですが、協力させてもらいます。……ワームさん!」
 心春の呼びかけに応じて、翼の生えた蛇のような姿をした竜、蛇竜『ワーム』が召喚される。心春はワームの頭を一撫ですると、迫りくるデルタ・ファイターを見据えた。
「ワームさん、行って!」
 心春の意のままに、蛇竜が敵へと向かう。鞭のような体をしならせて機体に巻き付き、毒を孕んだ鋭い牙をその装甲へと突き刺す。蛇竜に続いて心春もまた手にした槍を振るう。雷の力を帯びさせた刃を蛇竜が抑える敵に突き立てれば、外部と内部からの衝撃で敵の機能を沈黙させる。蛇竜との息の合った連携で、一体、また一体と敵の数を減らしていく。
 しかし空を飛ぶ蛇竜は機銃達の恰好の標的だ。はためく翼を狙い、何重もの銃撃が吐き出された。しかし、咄嗟にその前に躍り出た心春が槍を回転させて盾を作る。頼れる戦友を守るため、身を挺して庇う姿は勇敢そのものだ。
 回転させて勢い付いた槍を振り抜くと、その勢いが衝撃波となって敵へと襲い掛かった。衝撃自体に破壊力は無かったものの、隙を作るには十分。音も無く近づいた蛇竜が機体を締め上げると、デルタ・ファイターの武装が音を立てて崩れていった。

 猟兵達の活躍によって、群れを成して襲い来るデルタ・ファイターの数も減りつつある。
 散開し、広い通路を進んでいたリィン・エンペリウスと神久・紅玉は、更なる敵の一軍と対峙していた。
「わわ、敵さんがたくさんですね。こっちも責任重大です」
 変幻自在の玩具のかけらを組み合わせて作成した二輪バイクに跨り、船内を駆ける紅玉がスピードを上げる。
「よーし、やっちゃおうか!」
 召喚した雄々しい黄金の獅子、『ライオンくん』に騎乗したリィンが元気な声で応える。ライオンくんの頭を軽く叩いて合図を送ると、獅子もまた駆けるスピードを上げて敵陣へと突進した。
 駆け抜ける二人に対し、デルタ・ファイター達もまたその形態を変えていく。標的の速度に対抗するべく高速飛行形態を取った戦闘機の群れが少女達に追い縋る。
 しかしながら二人には作戦があった。紅玉の狙いは初めから敵の誘導。バイクのアクセルを力いっぱい入れ、更に加速して戦艦内を疾走する。デルタ・ファイターらも速度を上げて追いかけるが、徐々にその距離は引き離されていく。
 その隙に、ややスピードを緩めて背後から迫るライオンくんとリィンが襲い掛かった。自慢の包丁で斬りかかり、墜落した機体をライオンくんが体重を乗せ踏み付ける。時に猛々しく吠え声を上げて襲い掛かり、時に通路に身を隠し紅玉の作る隙を待つ。騎乗したリィンと、その巧みな指示によって戦場を駆ける獅子は、一体化した一つの獣のように、自在に戦場を暴れ回った。

 ハイスピードな戦いを繰り広げる彼女らに徐々に対応するように、生き残った敵たちが更にその速度を上げていく。自律能力すらも捨てて全エネルギーを加速に費やした機体が、機銃の照準に紅玉の背中を捉える。
 機銃が火を噴くかと思われた瞬間、デルタ・ファイターの機体がバラバラに崩れ落ちた。固い装甲がなめらかな切断面を以て分断され、一瞬の内に床へと転がる。機能が完全に停止する直前にその視覚センサが捉えたのは、ごく細い鋼糸で出来たトラップだ。
「素早くても、所詮は無人機……厄介だけどやりようはあるわね」
 指先から鋼糸を伸ばしたベラドンナ・ベルティネッリが気だるげに小さく呟く。彼女が通路中に張り巡らせていた強靭な鋼糸による無数の罠は、速度を上げて二人の少女達を追う機体達を次々と絡め取り、落としていく。ベラドンナの姿を認めた機体が、急旋回して彼女の元へと向かう。その体を撃ち抜くべく機銃を構えるが――
「……遅いわ」
 目にも止まらぬ速さでその腕が振り上げられる。次の瞬間には、機銃はあらぬ方向へ向けて撃ち出されていた。ベラドンナが鋼糸を繋ぐ指先に力を籠めて腕を振り下ろせば、一瞬の緊張の後に糸が緩む。数秒後、彼女の周囲に飛行する機体は、もう存在しなかった。

 背後に迫っていた敵の気配が消えたことを察した紅玉は、傍らを走るリィンに目配せをして語り掛ける。残る敵は前方に残る機体のみだ。
 機銃の射線上にわざと飛び込んだ紅玉は、最後のフルスロットルを仕掛ける。弾丸の雨を追い抜き、デルタ・ファイターの脇を走り抜ける。
「リンさん、今です!」
 銃口が紅玉を追いかけて振り向きかけた瞬間。
「おりゃあ~~!」
 ライオンさんから飛び出したリィンが包丁を突き立てる、深々と刺さった刃を抜き取リつつ、機体を踏み付けて再び跳躍。空中で華麗に回転したリィンが着地すると同時、最後のデルタ・ファイターが爆散した。



 自衛戦力を失った帝国戦艦を猟兵達が無力化するのに、そう時間はかからなかった。
 船内には操縦や通信を行うクローン兵達も乗り込んではいたが、身軽さや隠密性に自信のあるサラやベラドンナ、ワームさんらが操舵室に忍び込めば、瞬く間に制圧は完了された。

 作戦の最後の仕上げ、戦艦自体の破壊に名乗りを上げたのはサラとイモータルだ。エンジンルームへと足を踏み入れた二人は、最高の火力を出すべく力を高める。
「これが全力! 出し惜しみはナシよ!」
「派手ニィ……! 爆ァァァゼェェェロォォォヤァァァァーーーー!!!」
 イモータルが打ち込んだ最高の爆弾に、サラの本体である鎖から放たれる膨大なエネルギーが注ぎ込まれる。轟音と共に起きた大爆発は、ほどなくしてこの船を宇宙の塵へと変えることだろう。
 巻き込まれないようにと転送を急ぐ二人を、ワイヤー付きの腕が掴んだ。トリテレイアの隠し腕を仲間達が引っ張り上げれば、そこはもうグリモアベースの中。転送された先で無事に戦艦の破壊を確認した猟兵達は、この作戦の勝利を分かちあった。

 しばらくして、救助された宇宙船に向かったミディアによって、『ワープドライブ』が施された。ワープ航法により解放軍に加わった宇宙船は、猟兵達を支える力となってくれることだろう
 一つの船を救った猟兵達は、また新たな戦いへと気持ちを切り替える。銀河皇帝との戦いは、まだ始まったばかりだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月06日


挿絵イラスト