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人類砦ドンザキア戦記~今こそ反旗を翻せ

#ダークセイヴァー #殺戮者の紋章 #闇の救済者 #ドンザキア

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#闇の救済者
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 ダークセイヴァー世界に、人類によるレジスタンス組織『闇の救済者(ダークセイヴァー)』が誕生してからというもの、各地で大小様々な村や街の人間達の賛同者を取り込み、今では千を超える大型戦闘集団にまで急成長を遂げていた。
 ここ、人類砦ドンザキアも、その旗印として千を超える同志達を抱え、着々と大規模反攻作戦の準備が整いつつあった。
 そして遂に、作戦決行の朝を迎えた。
 ドンザキアのリーダーは、千を超える戦士達に向けて演説を行う。
「我等は、殆どの者がユーベルコードを使えないただの人間だ! しかし、此方の数は敵の十倍にまで膨れ上がった! 更に、我等はダンピール等の他種族とも融和し、優秀な黒騎士や咎人殺しも招集した! かの伝説の『闇の救済者』……猟兵達には及ばずとも、ここの領主を滅ぼすだけの力はあるはずだ! そうだろう、諸君!?」
「「おおおおおおおっ!!」」
 割れんばかりに歓声が砦内に溢れかえる。
「今こそ、反旗を翻す時だ! 半刻後に領主の館へ出立する! 勝利をこの手に!」
「「勝利をこの手にッ!」」
「自由をこの身に!」
「「自由をこの身にッ!」」
 決起集会は大盛況に終わった!
 だが、それを遠巻きから、息を殺して眺める赤頭巾の金髪少女がほくそ笑む。
「うんうん! みんなキラキラしてて気持ち悪~い! 早く鏖殺して、絶望の中で立ち上がるみんなを見てみたいな~っ!」
 双眸をギラギラと輝かせる少女こそ、『殺戮者の紋章』を授けられ、“人族鏖(じんぞくみなごろし)の指令”を受けた、『第五の貴族』直属の刺客オブリビオンであった……。

「ダークセイヴァーで新たな動きがあったよっ! みんな、戦争の時間だよっ!」
 物騒なことを口走る蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)に、グリモアベースへ集まってくれた猟兵達が面食らってしまった。
「あ、ごめんごめんっ! でも、レジスタンス組織『闇の救済者(ダークセイヴァー)』と吸血鬼領主軍団の真っ向勝負が始まるから、戦争と言っても過言じゃないよっ!」
 予知の内容をグリモアから投影しながら、レモンは今回の任務内容について説明を始めた。
「みんなが転送した直後に、直後に領主軍百体とドンザキアの反抗軍千人が激突するよっ! みんなはすぐに戦闘の最前線まで躍り出て、領主軍を次から次へと撃破しまくっちゃってっ! みんなが活躍するたびに、反抗軍は勢いが乗って、ユーベルコードがなくても数の利で戦況を優位に進められるようになるよっ! その勢いのまま、領主の館へ突撃して、この地を支配する吸血鬼を討ち果たしてほしいなっ!」
 遂に、ダークセイヴァーで人類が吸血鬼の支配から脱却する日が迫っているのか。
 実現すれば大きな偉業となるだろう。
 しかし、たとえ領主を討ち取っても任務が終わるわけではないという。
「疲弊しているはずの反乱軍の背後を突いて、『第五の貴族』から派遣された刺客がやってくるよっ! でもこの事をドンザキアのみんなには知らせちゃダメっ! 彼らには、目の前の戦いに集中してほしいからねっ? 知らせちゃうと、最悪、予知の内容が変化しちゃうからっ!」
 つまり、刺客は猟兵達が秘密裏に撃破しなくてはならない。
「領主を撃破後に、あたいが指定した刺客の現れるポイントへ素早く向かってねっ! 刺客は紋章の力で強化されてるけど、みんななら負けないって信じてるっ!」
 レモンは頭上のグリモアを輝かせ、転送の準備を開始する。
「あの暗黒世界の不条理が、ようやくひっくり返せる大チャンス! 頑張ってねっ!」
 いよいよ、反旗を翻す時が来た……!


七転 十五起
 ダークセイヴァー、初期から比べると状況が変化しました。
 遂に人類側がオブリビオン側へ反抗の戦いを挑みます!
 なぎてんはねおきです。

●概要
 第一章は集団戦、大規模な戦争シーンです。
 敵は、百騎超えの超精鋭黒騎馬兵団です。
 怪物馬のスピードと、鍛え上げた黒騎士の卓越した戦闘術が厄介です。
 木柵程度では敵の突進を遮ることは出来ないでしょう。
 猟兵達が最前線で戦い、敵を次々と駆逐する事によって、反抗軍の頼もしい猛者達が続き、いずれは大軍を撃破する事ができるでしょう。

 第二章は、この地を支配する吸血鬼領主の館での戦闘シーンです。
 たった1体で一個師団級の戦力を有する吸血鬼領主ですが、第一章で🔵を多く獲得していれば、その数だけ勢いが乗った反抗軍千人が猟兵達を援護してくれます! 具体的な指示がある場合は、プレイングに明記していただけますよう、お願い致します。

 第三章は、無事に支配から脱却して自由の土地を勝ち取った反抗軍に気付かれないように、忍び寄る敵こと、『殺戮者の紋章』を授けられ、“人族鏖(じんぞくみなごろし)の指令”を受けた、『第五の貴族』直属の刺客との死闘が待っています。もし猟兵達が負ければ、住民は全滅します。

 それでは、皆様の熱い戦闘プレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『闇に誓いし騎士』

POW   :    生ける破城鎚
単純で重い【怪物じみた馬の脚力を載せたランスチャージ】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    屠殺旋風
自身の【兜の奥の邪悪なる瞳】が輝く間、【鈍器として振るわれる巨大な突撃槍】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    闇の恩寵
全身を【漆黒の霞】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

箒星・仄々
正面から吸血鬼さんに立ち向かうとは凄いです
本当にもうすぐこの世界に夜明けがくるのかも知れませんね
及ばずながら力になれるよう精一杯努めます

摩擦抵抗減&風の魔力で高速滑走

槍や蹄を
華麗なドリフトやターンで回避したり
つるっと捌きながらぺろ

お馬さんが転んだ!
馬力と重装のまま勢いよく転んで滑って将棋倒しに

騎士さんにも槍や鎧がすっぽ抜けたり外れたり
立ち上がれなくなってもらいます

刃に炎の魔力付与
輝きで眩ませ瞳を閉じるよう仕向けながら
鎧の隙間や鎧ない部分へ
摩擦0の鋭く速い刺突

闇の傀儡となられたのは拠無い事情があるのでしょうね
お可哀そうに
海へお還しします

終幕
静かな眠りを願い
鎮魂の調べを奏でながら滑走し領主の館へ


麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎

可及的速やかに先陣中央に向かい陣取り
先制UC発動
拠点防御団体行動にて結界防陣「出島」を形成
念動衝撃波ジャストガードオーラ防御等で防ぐ
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで範囲ごと薙ぎ払い吹き飛ばす

敵の突撃初撃を食い止め流れを左右に分断
敵戦力分散を促す

敵陣が崩れた所で遊撃に転じ
残像空中浮遊ダッシュジャンプスライディングで疾駆
剣を回し念動衝撃波串刺しチャージで範囲ごと吹き飛ばす

窮地の仲間は積極的にかばう

一敵に対し複数で掛かれ!
倒れた敵を優先して討て!
恐れるな!恐れを越えてくる敵を、敵は恐れるのだ!
勇気と気合を込めて味方を鼓舞


戦は嫌い
だから戦を潰す
これは八つ当たりよ…!



 暗黒の世界に、とうとう人類側の反撃が始まった。
 人類砦ドンザキアから出陣したおよそ千人の軍勢は、領主の住まう館へ進軍を開始したのだ。
 だが、領主側も対応が素早かった。
 精鋭のオブリビオン騎馬隊、およそ百騎を反抗軍へぶつけてきたのだ。
 両陣営、砦と館の中間地点で睨み合いが始まる。
 今にも一触触発状態の中、猟兵達が転送されてきた。
「正面から吸血鬼さんに立ち向かうとは凄いです。本当にもうすぐこの世界に夜明けがくるのかも知れませんね」
 開口一番に感心する箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、反抗軍のリーダーに素早く掛け合わせてもらい、援軍を申し出た。
「及ばずながら力になれるよう精一杯努めます。共に人類の夜明けを掴みましょう」
「おお、これは心強い! 本物の『闇の救済者』と戦えば、私達は負けません!」
 リーダーは興奮気味に箒星の肉球の手を掴んで上下に振ってみせた。

 早速、箒星は全身の毛をペロペロと舐め始めたかと思えば、数歩下がって助走をつけてから前方へ飛び込んだ。
 一見、自ら地面へ頭から倒れ込んだかに思えた。
 しかし、箒星はペロペロと全身を舐めたことにより、ユーベルコードの効果で摩擦抵抗を限りなくゼロにしているのだ。
 故に、前に飛び込んで地面に接した黒猫は、弾丸の如きスピードで地面を滑走してゆく!
 それを目撃した麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)が驚愕していた。
「嘘でしょ? 猫が地面をすごい勢いで滑ってるっ? あれが噂のツチノコ!?」
 転送直後、一気に戦場を駆け上がろうとしていた麻海だったが、どうやら一番槍は箒星のモノらしい。
 しかし、麻海の当初の目的は変わらない。
「これより人類は! 歴史的快挙を成し遂げる! その功労者は勿論、君達だ!」
「「うおおぉぉーっ!!」」
 反抗軍を鼓舞しながら、急いで箒星の跡を追いかける麻海。
 前線まで躍り出ると、再び驚愕してしまう。
「な、何が起きているの?」
 それは、箒星が騎馬隊の隙間を縫うようにドリフトターンを行うたびに、敵の怪物馬がすてーんっと転んで立ち上がれなくなってしまっていたからだ。
「お馬さんが転んだっ! ぺろっ!」
 風魔法で自身の体を加速させる箒星は、黒騎馬兵の馬脚を擦れ違いざまに舐め去ってゆくだけ。
 たったそれだけで、怪物馬は地面との摩擦抵抗を失い、乗せている黒騎士の重さに踏ん張りが効かなくなって転倒してしまうのだ。
 箒星が最前線を右へ左へ駆け巡る度に、敵の最前線で将棋倒しが発生してゆく。
「あ、此方に突撃してくると危ないですよ? ぺろっ!」
 更に後続から突っ込んできた騎馬兵も同様にすっ転ばせて阿鼻叫喚の様相を作り上げていた。
 麻海は唖然としていたが、頭を横に振って気合を入れ直した。
「黒猫ばかりに戦働きさせるわけにわいかないわ! 雲か霞か、攻めるも受けるも……!」
 自らも敵の最前線へ飛び込んで、すかさずユーベルコードを発動させた。
「浮陣・青雲光霞! 機動浮遊攻防盾『雲霞』を多重複製、これが我が結界防陣『出島』よ!」
 浮遊する円盾が89個複製されると、横長に密集して敵の突撃に備える防壁を形成してみせた。
 これで敵の突撃を食い止めてみせる事に成功した。
「守りは任せなさい! 反抗軍は一旦盾の影に隠れて機会を窺え! わたしが切り込む!」
 滑走滑空機構脚甲『翔風』の推進力で空へ飛び上がった麻海は、背中の偽翼と緑色のオーラの翼を広げて急降下!
 回転剣ストヲムルゥラァの切っ先を突き立てながら、空間を滑り込むように敵の突進に対抗してみせる。
「穿て! 我が機械魔剣!」
 黒騎士の突撃槍が麻海の鎧の肩口を抉る。
 だが、同時に麻海が黒騎士の心臓を貫き、絶命に至らせていた。
「くっ……傷を負ってしまうなんて。わたしもまだまだ精進しなくちゃ……!」
 傷の深さを確かめる。
 鎖骨が折れている。激痛が酷い。だが、まだ戦える!
 なにより、敵を討ち果たした事実が、痛みを凌駕する!
「今だ! 一敵に対し複数で掛かれ! 倒れた敵を優先して討て! 恐れるな! 恐れを越えてくる敵を、敵は恐れるのだ! 勇気が我々の最大の武器と知れ!」
 麻海の大演説により、反抗軍は決死の覚悟で落馬した黒騎士にとどめを刺してゆく。
 その頃、箒星はと言うと?
「闇の傀儡となられたのは拠無い事情があるのでしょうね。お可哀そうに。今、あなた達を骸の海へお還しします」
 カッツェンナーゲル(ねこのつめ)と名付けた鋭い尖端の両刃細身の魔法剣に、炎の魔法を宿して摩擦抵抗ゼロからの超高速の連続刺突を繰り出していた。
 落馬して立ち上がろうとする黒騎士の鎧を貫き、内部から燃やして骸の海へと鎮めてゆく。
 その姿は夜空に掛ける流星か、それとも死兆星か。
 何れにせよ、箒星が敵の突撃を見出し、麻海の盾の陣形がそれを堰き止め、麻海自身と反抗軍が徐々に戦線を押し上げる。
「戦は嫌い。だから戦を潰す」
 黒騎士の首を刎ねた麻海が呟く。
 ――これは、八つ当たりだ、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

枸橘・水織
戦闘
向かってくる騎士達を目にして
こっちがダメージを与えれば与えるほど戦闘力が強化されるんだね…
それなら、取れる手段は…と

まずは指定UC【全力魔法・属性攻撃】の属性を『捕縛』…着弾と同時に粘着質の液体に変わる魔力弾で相手の動き・突進を止める(止めた後も念入りに粘着魔力弾で動きを完全に封じます)【捕縛】

相手を足止めしたら、素早く【魔力溜め+(早業)】
…傷つく程に戦闘力が増すなら…速攻で倒し切ればいいだけだよね…

【二回攻撃】で、今度は騎士達へと指定UCで『土属性』の魔力弾…というより、巨大な岩の塊を雨あられと放ち降らせ、(動きを封じられた)騎士達を無数の岩の塊で圧殺するつもり【重量攻撃】


ナターシャ・フォーサイス
遂に反旗を翻すのですね。
でしたら、使徒として彼らに手を貸さねばなりません。
相対するは哀れな魂、我らが導くべき相手でもあるのですから。

天使達を呼び、彼等へ加護を授けましょう。
群には群を、天使達を向かわせ応じるのです。
天使達と共に【高速詠唱】【全力魔法】【範囲攻撃】【焼却】の聖なる光を以て、騎馬たちを導きましょう。
彼の者たちの力を恐れることはありません。
攻撃を受けても反射し、天使達と光を重ねて力を得る間もなく楽園へ誘うのです。
ドンザキアの方々へ向かうのならば、天使達を壁として、あるいは結界を障壁と成して阻みましょう。

どうか貴方がたへも、楽園の加護のあらんことを。


織座・このみ
●心情
……以前来た時も思いましたがぁ、
この世界は本当に、志半ばで倒れ、それでもなお戦おうとする方々が――そんな霊が、本当にたくさんいらっしゃるんですよねぇ……。
これは、そんな彼らにもようやく迎えた時なんでしょうねぇ


●行動
ユーベルコード:霊軍顕現
を使いますよぅ

最前線で敵を倒すような戦いはできませんがぁ、
代わりに反抗軍の方々へ、援軍をお呼びいたしますねぇ

姉様と二人で鉾先鈴を手に
【祈り】を込めた神楽舞を奉げましてぇ
吸血鬼への反抗を志しながらも生きてこの時を迎えられなかった方々を【降霊】いたしますよぅ


※内心・思考の口調は、プレイング記述の話し言葉と違い、訛り気味
人前では狐面外さない
協力、アドリブ歓迎



 戦端は猟兵側優勢で戦争は開始された。
 その後も、後続の猟兵達が最前線で黒騎馬兵隊を抑え込むべく奮戦する。
 枸橘・水織(オラトリオのウィザード・f11304)は伊達眼鏡越しに、こちらへ向かってくる黒騎馬兵隊を見据えていた。
 騎馬隊は漆黒の霞を纏い、自己強化と生命力吸収の技能を振るって敵を打破せんと突撃してくる。
「こっちがダメージを与えれば与えるほど戦闘力が強化されるんだね……? それなら、取れる手段は……と」
 予知によって敵のユーベルコードの効果を把握していた枸橘は、素早く魔力を練り上げ、ALCHEMY・Rodから粘着魔法弾の弾幕を展開してゆく。
「みおの錬金魔法……相手に合わせて変幻自在だよ。こんな感じにね……?」
 粘着魔法弾はトリモチのように怪物馬の脚に絡み付くと、そのまま前のめりに転倒して騎手が地面に振り落とされてしまう。
「動いちゃダメだよ……?」
 落馬した騎手にも粘着弾を浴びせてゆけば、あっという間に枸橘の目の前の騎馬隊が無力化されていった。
 これにナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)が続く。
「足止め感謝です。遂に反旗を翻した彼らへ、天使の加護を授けましょう」
 ユーベルコード『限定解放:大天使の翼(アンロック・エンジェリックフェザー)』発動!
「理不尽な支配に反旗を翻すというのならば、使徒として彼らに手を貸さねばなりません。相対するは哀れな魂、我らが導くべき相手でもあるのですから」
 とある教団の信奉者であるナターシャは、悪しき存在からの反抗を是と捉えていた。
 ゆえに、ユーベルコードで自身を機械天使に変貌させると、援軍として天使の軍勢を顕現させた。
「群れには群れを、天使達を向かわせ応じるのです。まずは結界を張りましょう」
 呼び出した天使達が、戦場全体に結界を生成する。
 この結界は、自身が敵から受けた攻撃を反射する。結界内の味方は負傷に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得るのだ。
「おお! 力が湧いてくるぞ!」
「敵を斬ったら傷が治った!」
 驚き、喜ぶ反抗軍達に、ナターシャは大いに宣言した。
「彼の者たちの力を恐れることはありません。悪しき敵の攻撃を受けても反射し、敵を斬れば傷が癒えます。全ては天使の加護なのです。私達が天使達と光を重ねることで、敵が力を得る間もなくその存在を楽園へ誘うのです」
 つまり、ナターシャのユーベルコードがあれば、反抗軍はいわゆる疑似的な不死を得ることが出来るのだ。
 これには反抗軍の士気も急上昇し、死を恐れずに騎兵を攻撃し始めた。
 その血気盛んさに満足しながら、ナターシャ自身も聖なる光で突っ込んできた騎馬兵を撃ち抜いていった。
「どうか貴方がたへも、楽園の加護のあらんことを」
 敵も味方も、自身の教義の救済対象と捉えて戦場で祈るナターシャであった。
 そして、狐面を被ったまま闘うという、一際目立つ格好をしている織座・このみ(半身は焔となりて傍らに・f04890)も獅子奮迅の戦働きをしていた。
「……以前来た時も思いましたがぁ、この世界は本当に、志半ばで倒れ、それでもなお戦おうとする方々が――そんな霊が、本当にたくさんいらっしゃるんですよねぇ……。これは、そんな彼らにもようやく迎えた時なんでしょうねぇ?」
 このみの傍らには、地獄の炎身体を形成する瓜二つの少女が寄り添う。
 彼女はこのみの双子の姉『このか』であった。
“2人”は同時に鉾先鈴を振り下ろし、しゃららんと鳴らしてみせた。
 すると、ダークセイヴァーに彷徨う死者の霊――吸血鬼領主に抗って命を落とした人々の霊が、軍勢として戦場に呼び出されたではないか。
「ユーベルコード『霊軍顕現』を使いますよぅ。演舞、奉納………霊軍、顕現!」
 呼び出された幽霊軍隊は、黒騎馬兵隊を見るやいなや、怒り狂って飛びかかってゆく!
 憤怒の暴力は数の力と掛け合わされ、無尽蔵の破壊エネルギーとなって黒騎馬兵達をたちまち蹂躙し始めた。
 その勢いは、ダメージ回復量を遥かに上回り、幽霊軍勢に呑まれた騎馬小隊は、四方八方から攻撃を加えられて跡形もなく粉砕していった。
「最前線で敵を倒すような戦いはできませんがぁ、代わりに反抗軍の方々へ、援軍をお呼びいたしますねぇ」
 神楽舞を披露しながら、顕現させた幽霊軍隊に戦線を押し上げさせていくこのみ。
 3人の猟兵の活躍によって、既に敵前衛部隊は瓦解してしまっている。
 そこへ、トドメの一撃を放たんと枸橘が特大の錬金魔法を発動させた!
「天より降り注ぎ岩の雨……ストーンシャワー!」
 魔力が上空の空を穿つと、空から巨大な岩が雨あられの如く騎馬小隊の上に降り注ぎ始めた!
 騎馬小隊は堪らず後退に転じようとするが、振ってきた大岩に退路を断たれた黒騎馬兵隊は、あっけなく岩の下敷きになってしまうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ローズ・ベルシュタイン
【薔薇園の古城】メンバーで参加
WIZ判定の行動
アドリブ歓迎

■心情
何やら戦争とも言うべき大規模な戦いが起こるのですわね。
早く吸血鬼をこの地から退けられるよう、私達も加勢しましょう。

■行動
風嵐薔薇矢雨(UC)を使用して戦いますわ。
【属性攻撃】で風と樹属性を強化して、
【破魔】の力でUCの薔薇の矢を放ち
敵の痛みを増強させる様にしながら攻撃しますわ。
また、矢も【範囲攻撃】で広範囲に渡って放つ事で
多くの敵を同時に倒していくようにしますわね。

リオンとも協力して戦い、リオンと背中合わせになりつつ戦い
互いの死角をカバーし合う様にしながら戦いますわね。


リオン・ゲーベンアイン
【薔薇園の古城】
さて、ダークセイヴァーにて遂にこんな大きな犯行作戦が始まるんだね!
わたしもワタシもダークセイヴァーにはあまり縁はないけど、この種火を消しちゃいけないよねっ!

そういう訳で、貴様には朽ちてもらう
そう言って『純白』から『透明』へと変わる
ユーベルコード起動。運命神の予知に苛まれるがよい
そうして憑依した運命神の権能による『相手の因果よりも必ず先手を取れる因果を構築する』権能を用いて突撃槍の九連撃を回避
そのまま必ず先手を取れる因果によって得られた『神速』によって戦場を縦横無尽に駆け巡って矢を放つ
それは一見すれば空間から矢が大量に吸血鬼へと降り注いでいるかのような光景に見えるだろう



 戦場に薔薇の芳香が漂う。
 転送されてきたローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)は、リオン・ゲーベンアイン(純白と透明の二つの無垢を司る弓使い・f23867)と共に、この暗黒世界の動乱に身を投じてゆく。
「何やら戦争とも言うべき大規模な戦いが起こるのですわね。早く吸血鬼をこの地から退けられるよう、私達も加勢しましょう、リオン?」
「そうだね、遂にダークセイヴァーでこんな大規模反抗作戦が始まるんだね! わたしもワタシもダークセイヴァーにはあまり縁はないけど、この種火を消しちゃいけないよねっ!」
 一人称が2つあるのは、リオンの中に2つの『無垢なる性格』……天真爛漫ていつも朗らかな『純白』と無口だが感受性の高い『透明』が同居しており、場面ごとに切り替えているのだ。
 ただ多重人格者のような完全に独立した自我ではなく、マインドコントロールの類だと本人談。
 今、ローズへ語り掛けたのが『純白』である。
 だが、遠方から土煙を巻き上げて突撃をしてくる黒騎兵隊を見据えた瞬間、リオンはガラリと口調と在り方を切り替えた。
「……そういう訳で、貴様には朽ちてもらう。ユーベルコード、起動」
 無名の神弓の弦を引き絞り、矢を顕現させて照準を合わせる。
「巫女が告げる時の祝詞。それを形にするは神にして人。両の世界、眼に写すは黄金と化す白紙の未来なり」
 ユーベルコード『神には礼賛を、人には宣託を、眼には運命を(ストライク・ザ・ヴォルヴァ)』――神降ろしの一種であるこの行為で、己の身に宿すは運命神。
 すなわち、未来視の獲得である。
「相手の因果よりも必ず先手を取れる因果を構築。これが運命神の権能の一端。そのまま運命神の予知に苛まれるがよい」
 リオンは数秒後の未来を予測し、立て続けに矢を放ってみせた。
 そしてローズの背を押し、敵の9連ランスチャージを回避するべく真横へ跳んだ。
「位置取り、照準、よし。さあ、射抜かれてしまえ」
 勝利を確信するリオン。
「まるで空間から急に降って湧いたかのように矢の雨が騎馬隊へ殺到してゆきますわね……!」
 背中を預けるローズも、リオンの戦術に驚嘆していた。
 ……だが、突如、リオンの表情が険しくなる。
「新たな未来視を獲得。これは……」
 戸惑うリオン。
 その答えが数秒遅れて現実のものとなる。
 確かに矢は寸分の狂いなく黒騎兵隊に殺到した。
 だが、鈍器として敵が振るう巨大な突撃槍が矢の雨の殆どを打ち払ってしまったのだ。
 その上、大半は騎手が纏う鎧を射抜くことが出来ずに弾かれていた。
 敵の損傷率は、リオンが想定していた当初の2割にも満たず、勢いを増して2人へ切迫してくる。
 これは、単純にリオンの矢の威力不足――猟兵としての技量不足が災いした結果だ。そもそも、リオンと敵のユーベルコードの相性が悪すぎたのも逆風であった。
「申し訳ない。ローズ、直ちに追撃を」
「え……? わ、分かりましたわ!」
 プリンセス・ローズと名付けた緋色の銃身を持つ魔法のハンドガンで応戦していたローズは、相方の失敗をカバーするべく造花の薔薇の花に魔力を込める。
「我が放つはじわりじわりと棘の痛みを与えし薔薇の矢……慄け!」
 瞬間、世界の闇の中に鮮烈な薔薇の赤弁が嵐となって吹き荒れた。
 この『風嵐薔薇矢雨(アメノゴトクフリソソグハトゲヲマトイシバラノヤ)』は、470本もの薔薇の矢を乱れ打ちするユーベルコードだ。
「私のユーベルコードなら、その鎧を貫いてみせますわ」
 茨の棘を矢尻代わりにして、花弁を撒き散らしながら飛来する薔薇の矢雨。
 今度は宣言通り、騎手の鎧を射抜いて落馬させていった。
 馬にも屋は命中し、走行不能になった騎手が地面に投げ出されたりもしていた。
 しかし、急所を免れた騎馬兵が全身を漆黒の霞で覆い、負傷度合いによって戦闘力増強と、生命力吸収能力を獲得してしまう。
「それは想定済みです。ここからが私のユーベルコードの真骨頂です!」
 パチン、と指を鳴らすローズ。
 それを合図に、騎馬兵達に突き刺さった薔薇の矢に変化が現れる。
 黒騎馬兵達の身体が、みるみるうちに茨で覆い尽くされてゆくのだ。
「放った矢には風属性だけではなく、植物の属性魔法も籠めておきましたわ。あなた方の血を吸って、薔薇の矢は根を張り巡らせて苦痛を侵食させてゆきます。同時に破魔の祈りも込めておきましたので、根が心臓に到達すればあなた方は自壊を免れることは出来ません」
 黒い金属鎧の隙間から咲き乱れるバラの花が、騎馬兵達の体力と身体の自由を奪ってゆく。
「防御が硬いのならば、内側から破壊すれば事足りますわね?」
「ワタシも、もっと頑張らないと……」
 撃破ではなく足止めに切り替えて屋を放ち続けるリオンは、ローズの手腕に思わず感服してしまうのだった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カシム・ディーン
機神搭乗
この世界も久しぶりに来た気がしますね
「メルシーは初めてかな?ご主人サマの故郷に近い感じだね」

【戦闘知識・情報収集・視力・医術】
戦場全体の状況確認
敵味方の位置
陣形
敵騎士の致命となりえる位置
己のUCとの戦闘力を冷徹に分析
特に騎士達の戦い方の癖の把握

UC発動
【属性攻撃・迷彩】
己とダイウルゴス全部に光属性付与
光学迷彩で存在を隠し

ダイウルゴス
三体で一騎を襲撃
馬を【捕食】して残りが上の騎士に襲い掛かり【生命力吸収】

機神
【二回攻撃・切断・スナイパー・盗み攻撃・盗み・空中戦】
透明なまま空中を飛び回りながら
念動光弾を乱射しながらリーダーを捕捉
指揮中枢を担う騎士に襲い掛かりハルペーで連続斬撃から槍を強奪


バーン・マーディ
機神搭乗

UC即起動

天より飛来する戦艦と黒騎士達と機神

闇の救済者よ

お前達は…悪である
この世界の秩序
理を破壊する存在

今の世界の在り方を壊す悪だ

故に…

我は祝福しよう
我はバーン・マーディ
悪である

お前達の叛逆
見せて貰った

【オーラ防御】展開
【戦闘知識】
敵の陣形と動きを把握

戦艦
上空より支援砲撃
主に地形を乱し騎馬の動きを止

騎士達
複数で騎士一人に挑み
連携
一人が【武器受け】で受け止めてる所を周囲の騎士が槍による【カウンター・鎧無視攻撃】で仕留
必要時は襲撃を受ける反乱軍の救出や防衛も行う

機神
【怪力・二回攻撃・生命力吸収・吸血・鎧破壊】

巨体自体も利用して馬を切り払
鎧を砕き剣を通して生命吸収

貴様らの法に我らは叛逆せん!



 白銀の機神が、暗黒世界に降臨する。
 突如として光とともに出現した体高5mの機神に、反抗軍はすぐに味方の援軍だと悟った。
「伝説の救済者は、あんな隠し玉まで持っているのか!」
「これなら騎馬兵なんて目じゃないぞ!」
 歓喜の声に包まれながら、界導神機『メルクリウス』の搭乗者であるカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は眼下の戦場を眺めていた。
「この世界も久しぶりに来た気がしますね。随分と状況が良くなっているようで驚きですよ」
「メルシーは初めてかな? ご主人サマの故郷に近い感じだね」
「いや、ここまで荒廃はしてない……か?」
 思い返し、自信なさげにカシムはメルクリウスことメルシーに言葉を返した。
「そんなことよりメルシー? 情報収集が先決です」
「抜かりはないよ♪ 残存兵はおよそ20騎足らず、真一文字の横一列での突撃陣形。敵さん、なりふり構わず玉砕覚悟ってところかな?」
「反抗軍の損害は?」
「それがビックリ! ほとんどゼロだよ! 他の猟兵が頑張ってくれたおかげかも?」
「だったら、僕等も負けてられませんね!」
 すかさずカシムはユーベルコードを発動させた。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……文明を構成せしめし竜の力を示せ……!」
 オーブ形状の竜神兵器『帝竜眼』に魔力を籠めて呼び出したるは、かつてアックス&ウィザーズ上空の浮遊大陸で戦った帝竜ダイウルゴスの破片たる竜達だ。
 元々は1体のオブリビオンと99体のドラゴンの集合体である『ダイウルゴス文明』と名乗る巨大竜であったが、カシムのユーベルコードによって戦闘特化にカスタマイズされた性能へ変化していた。
 呼び出されたのは、オリジナルのダイウルゴスよりも多い103体。
 それを3体ずつ融合させ、さらに3体で一組の部隊として遊撃を開始させた。
「融合竜34体、11組がお前達の相手です。残りの1体は僕に付いてくるのです!」
 11組の融合竜にステルス迷彩フィールドを纏わせ、光学迷彩による透明化を施す。
 メルシーの機体も透明化し、唯一、融合体1体だけをそのまま真っ向から騎兵隊へ向かわせた。
 当然、騎兵隊は目の前から襲ってくる巨大竜のボディプレスを回避しようと左右へ散ってゆく。
 しかし、その行く手を不可視のフィールドを纏った融合竜達が遮る。
 騎兵隊からすれば、見えない壁に激突した上に馬を食い殺されて落馬してしまう大惨事に見舞われることとなる。
 ならば、と騎兵隊は手にした突撃槍を鈍器として振るい、見えない壁を砕きに掛かった。
 一瞬で9連撃を放つ凄まじい猛攻が、不可視の竜の壁に隙間をこじ開ける。
 その隙間を縫って包囲網を脱しようと敵は試みる。
 だが、そのさらに先に、新たな機神が降臨する。
「オブリビオンよ。貴様等はこの世界の法であり、秩序である。故に今日まで民を虐げ、己の利権を幅利かせていた」
 長大な大剣を担いだ赤黒い機神から響く搭乗者の声に、騎兵隊は思わず竦み上がって立ち止まってしまう。
 バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は、相棒の破城神機『マーズ』の視界を反抗軍の方へむけると、同様に言葉を投げかけた。
「聞け、“闇の救済者(ダークセイヴァー)”等よ。お前達は……悪である」
 いきなり悪だと言い渡された反抗軍の面々は、怒りを忘れて面食らってしまった。
 バーンは意に介さず、そのまま己の主張を続けた。
「貴様等はこの世界の秩序、理を破壊する存在。今の世界の在り方を壊す悪だ」
「な、何を言ってやがるんだ!」
「お前、さては領主の仲間か?」
「裏切り者! 猟兵は私達の味方じゃなかったのっ?」
 非難轟々の嵐に、バーンは理解不能とコクピット内で首を傾げていた。
 そこへ1本の通信がバーンへ届く。
 透明になっているメルシーからだ。
『こらーっ! みんな困惑してるじゃーん! もう、マー君もなんとか言ってあげて!』
『……気安く呼ぶな、イカレ駄機神。貴様と交わす言葉などないと知れ――!』
 メルシーと違い、マーズは武人気質で寡黙な性質らしい。
 あと相当メルシーのことが嫌いらしい。
 マーズは念話で、民に誤解を生んでいるので釈明が必要だとバーンへ助言を与えた。
(全く……話はまだ終わってないのだがな……?)
 バーンはここからが話の本旨だといいたげに、罵声を浴びせ続けてくる反抗軍に語り掛けた。
「話はまだ途中である。我は我はバーン・マーディ。あらゆる世界に叛逆する悪である。故に、貴様等を祝福しよう。お前達の叛逆、見せて貰った。その叛逆、まさにこの世界を変える“悪”に相応しい! さあ、共に秩序を打ち砕き、新たな未来を掴み取るのだ!」
 反乱軍は数瞬ほど理解に時間を要したが、つまりバーンが味方だということは理解してくれたようだ。
 ようやくバーンは目の前の敵に集中できると思い立ち、マーズの左手を天に掲げた。
「来たれ我が不滅の騎士団。死して尚我と共に歩む不条理に対する叛逆を望みし騎士達よ。我が城と共に叛逆の狼煙をあげよ!」
 途端、暗黒の雲と空を割って飛来してくる飛行戦艦が登場!
 飛行戦艦の各砲門が地上へ向けられると、一斉に騎馬隊へ向けて爆撃を開始した。
 抉れて爆ぜる大地に巻き込まれまいと、残存騎兵達は再び戦場を駆けてゆく。
 狙うはマーズへの一極集中の9連撃。
 さすがの機神も、一斉に攻撃を浴びればダメージは計り知れない。
 だが、体高5mを誇る機神が何もせずに突撃を受け止めるなんて甘い考えはありえなかった。
「愚かな。我が機神の誇る軍神の剣、その武威を身に受けてみよ!」
 マーズの体高を超える巨大な剣身に炎の闘気が宿る。
 機神が大きく機甲剣を振りかぶると、迫りくる騎兵達を横薙ぎに斬り払う。
 炎の軌跡が目の前を駆け抜けると、一瞬で騎兵達が粉砕されて骸の海へと沈んでいった。
「この斬撃は生ける者の活力を奪う。貴様らの法に、我らは叛逆せん!」
 返す刀で逃げる騎兵達の背中を斬り裂くマーズの剣。
「残りがそっちへ向かったぞ。しかと叛逆の意を見せてみよ」
 バーンの言葉が機神の通信越しにカシムへ届く。
「なんか花を持たせてくれるっぽいですね。では厚意に乗っかって、派手に行きますかね?」
「透明化のまま暗殺だね、ご主人サマ♪」
 メルシーを駆り、エネルギー刃の鎌剣を振るって不可視の斬撃を繰り出すカシム。
 その無慈悲な攻撃は、たちまち残りの騎兵達を一方的に駆逐してゆくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『叡智卿ヴェイン』

POW   :    ご機嫌いかがかな、諸君
対象への質問と共に、【自身の影】から【嘗て被験体にされた亡者たち】を召喚する。満足な答えを得るまで、嘗て被験体にされた亡者たちは対象を【怨嗟の声や呪詛】で攻撃する。
SPD   :    耐えられぬなら泣き叫べ
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【スカルペル】で包囲攻撃する。
WIZ   :    もっと、よく見せてくれ
【敵を掴んで観察する為の拳】【手脚を縫い付ける為の縫合絲】【身体を切り刻む為のスカルペル】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神埜・常盤です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 かくして、領主の放った精鋭部隊は全滅した。
 勢い付いた反抗軍は、そのまま領主の館へ殺到。
 ぐるりと館の全方位を取り囲み、矢を射かけて火を放つ。

「ざまぁみろ! これで領主は袋のネズミ! 逃げ場はないぞ!」
「あとちょっとで私達の自由が手に入る!」

 血気盛んに館への総攻撃を敢行する反抗軍。
 このまま館が落ちるか、と思われた矢先だった。

 ドンッと館の一部が爆発したかと思えば、反抗軍の一角が一瞬で消し飛んだではないか!
 隣にいた同胞達が瞬時にミンチ肉になり、反抗軍は恐怖の声が上がり始めた。

「騒がしい。実に騒がしい日だ」

 燃える館から、一体の吸血鬼が地面へ飛び降りてきた。
 高さ10m程の塔から躊躇なく飛び降りて無傷のこの吸血鬼こそ、この地を長年支配し続けてきたオブリビオン領主の『叡智卿ヴェイン』だ!

「放った精鋭達は何をしていたのだ? よもや負けたとでも? 信じがたいな?」
 訝しがる叡智卿。
 だが、反抗軍の中に猟兵が混じっていることに気が付くと、その考えに納得する。
「なるほど、手引をする者が一緒か。たしかにそれでは分が悪いか」
 しかし、と叡智卿は首を横に振る。
「私は叡智卿ヴェイン。この地で生命の研究を行う探究者である。そして、この地の民は私の被験者であり所有物でありサンプルだ。この程度の反抗、抑えられなくて何だというのだ?」
 白衣の下には、おぞましい数のメスや解剖器具が見え隠れしている。
 そのうちの数本は真新しい血液に塗れており、さっきまで人体実験を行っていたことを窺わせる。
「たとえ猟兵と手を組もうが、私の戦闘力は軍隊一個師団に匹敵する。力なき者は、一瞬で肉塊に変えることが可能だ。さっきのように」
 先程のすさまじい威力の一撃が、反抗軍に動揺を生んでいた。
 だが、ここで勢いを殺してはならない。
 彼らを再び奮い立たせ、援護を得ながら戦わねば、目の前の強大な敵を打倒することは困難だからだ!

「さて、改めて。ご機嫌いかがかな、諸君? 今宵は多くの実験材料が集まりそうだ。私は寛大だ。耐えられぬなら泣き叫べ。さすれば殺さずに生け捕りのまま実験材料にしてやろう。そうでなければ斬り刻んで死ね。ああ、その真っ赤な臓物をもっと、私によく見せておくれ」

 迫る叡智卿を前に、猟兵達は反抗軍を奮起させて共闘することが出来るのか?
 決戦の刻は目前――!
バーン・マーディ
機神搭乗
マーズよ
貴様随分奴に対して辛辣であったな
「はっはっは…嘗て私と愛し合ったヴィナス(神機)に手を出した事もありますからな。手段も最悪でしたしね(神話参照)」

そ、そうか…

【戦闘知識】
敵の動きと癖と戦い方を分析


UC発動
革命軍よ
奴に近づくな
援護射撃を頼む

接近戦を仕掛け襲い掛かる
攻撃は【武器受け・カウンター】で受け止めてからの切り裂きで周囲のスカルペルも迎撃
【オーラ防御】で破壊のオーラを強化

我も少しばかり貴様に興味がある
吸血鬼の血肉はどうなってるかな

【二回攻撃・怪力・鎧破壊・鎧無視攻撃・吸血・生命力吸収】
軍神の剣にオーラを纏わせ切り裂き破壊し
その血を剣を通して啜る
血を吸われる気分はどうだ?


カシム・ディーン
機神搭乗
お前…他の神機に嫌われてるけど何やらかしてるんだ
「大した事してないよ☆マーズ君は…ヴィナスちゃん落とした事かも」
どうやって
「それはねー☆(神話参照」
…お前が昔から馬鹿だったと言う事が分かった

【情報収集・視力・戦闘知識・医術】
観察して肉体構造と戦い方の癖や動きの把握
革命軍の中で狙撃が得意と見た人にも情報共有

お前さー
お医者さんごっこが好きなんですね
僕も嫌いじゃありません

【属性攻撃・迷彩】
光属性を機体に付与して存在隠蔽
周囲に立体映像でデコイ展開

わたぬき発動
【盗み攻撃・二回攻撃・盗み・切断】
ハルペーで刻み彼の内臓(肺や肝臓等)を強奪

これなーんだ?
(目の前で奪った内臓を見せ
正解(そしてぶちっ



 バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は、相棒の破城神機『マーズ』のコクピット内から気になる点を問い掛けた。
「マーズよ。貴様、随分と奴に対して辛辣であったな」
 その言葉に、普段の調子に戻ったマーズが答えた。
「はっはっは……嘗て、私と愛し合った神機ヴィナスに手を出した事もありますからな。手段も最悪でしたしね、例えば――」
 それは、UDCアースに伝わる西洋の神々の愛憎劇によく似た内容だった。

「……て事があったんだよ☆」
「えっぐ! お前……他の神機に嫌われてるけど、やってんなぁ!? むしろ、やらかししかねぇな!?」
 此方は界導神機『メルクリウス』のコクピット内でのやり取り。
「若気の至りでっす☆」
 テヘペロ☆と舌を出すメルシーの雄鶏アバターに、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はうんざりしていた。
「その言動、嫌われて当然ですよ……。ぷっさんとやらに頭を潰されたかどうかに関係なく、お前が昔から馬鹿だったと言う事がよーく分かった!」
「だって、穴があったら棒で埋めたくならない?」
「あー! 数ヶ月前の僕を全力でぶん殴りたい! なんでこいつの封印解いちまったんだ!」
 全力で後悔するも時すでに遅し。
「このイライラは領主に八つ当たりしましょうか」
「ふむ? 随分と巨大な鎧のようだが、意思を持つのか。解剖して構造を確かめてみたいものだ」
 叡智卿ヴェインは、眼鏡越しに紅瞳を知的好奇心で輝かせる。
 これにカシムが苛立ちを言葉に混ぜこんで言い放った。
「お前さー? お医者さんごっこが好きなんですね。僕も嫌いじゃありません。触診とか良いですよね」
「君が何を言っているのか、私には理解不能だ……」
 呆れ返る叡智卿の態度に、更なる苛立ちをカシムは募らせてゆく。
 この会話の隙に、バーンは反抗軍へ警告を発する。
「革命軍よ、奴に近づくな。危険だ。後方での援護射撃を頼む」
「はっ! 分かりました!」
 反抗軍が前線から退くと、周囲に影響が出なくなったことを確認してからバーンはユーベルコード『城壁の破壊者(ソード・オブ・アレース)』を発動させた。
「マーズよ、破壊の神としての力を見せるが良い。今ここに叛逆の刃を突き立てん!!」
 破城神機『マーズ』が万物を分解する破壊のオーラを纏う。
 そのまま暗黒の空へとマッハ9の速度で飛翔!
「来い、吸血鬼。貴様の攻撃を完膚なきまでに打ち払って叛逆してやろう」
「面白い。では、耐えられぬなら泣き叫べ」
 叡智卿の周囲に、突如出現する900本のスカルペルが浮遊する。
 それらは地対空ミサイルめいて射出されると、幾何学模様を描きながらマーズの機体を包囲!
 しかし、マーズの軍神の剣とバーンの十字の障壁が、向かってくるスカルペルを尽く弾き返し、叩き落としてゆく!
「そのような小さき刃でマーズの装甲を破れると思ったら大間違いだ」
「なるほど、これは頑丈だ」
 ならば、と今度はカシムの乗るメルクリウスへ標的を変える。
「そっちは液体金属で構築されているようだが? このスカルペルが刺さるか試してみるか」
「させねーですよ!」
 カシムは魔法で幻像を生み出し、本体は光学迷彩で周囲の景色に溶け込んでゆく。
 デコイとなった幻像は、いくらスカルペルが貫通しても倒れず、次第に叡智卿を取り囲んでみせる。
 そこへ放たれる反抗軍の矢雨!
 逃げ場を失った叡智卿は、甘んじて大量の矢をその身に浴びる他ない。
「おのれ、実験動物風情が、主に噛み付くなど無礼であるぞ?」
 スカルペルの大群を反抗軍へ向けようとするが、それはマーズの大剣で遮られてしまう。
「我も少しばかり貴様に興味がある。吸血鬼の血肉はどうなってるか、がな?」
 巨大な剣で叡智卿を叩き切り、破壊のオーラでその骨肉を爆ぜさせる。
 溢れ出た吸血鬼の血液を、軍神の剣に吸わせながらバーンがほくそ笑む。
「血を吸われる気分はどうだ? 被験者たちの気持ちが少しは理解できただろう?」
「なるほど……これは貴重な体験だ。だが、この程度では私は死なないね」
「そーですか。んじゃ、こっちも容赦なく出来ますね」
 いつの間にかメルクリウスから外へ飛び出していたカシムの手に、どす黒い肉塊が握られていた。
「まさか、それは……」
 叡智卿が喀血する。
「私の、肝臓か?」
「正解!」
 カシムは地面に叡智卿の肝臓を投げ捨て、踏み潰した。
 ユーベルコード『わたぬき』は、筋肉や骨格を無視して、敵の内臓だけを攻撃する凄まじい効果を持つ。
「メルシー、もういいぞ」
「こいつきらーい! 踏み潰しちゃえ!」
 透明化のままのメルシーは、叡智卿を踏み潰すと、容赦なく鎌剣でずたずたに切り裂いてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シホ・エーデルワイス(サポート)
助太刀します!


人柄

普段は物静かで儚げな雰囲気ですが
戦闘時は仲間が活躍しやすい様
積極的に支援します


心情

仲間と力を合わせる事で
どんな困難にも乗り越えられると信じています


基本行動

味方や救助対象が危険に晒されたら身の危険を顧みず庇い
疲労を気にせず治療します

一見自殺行為に見える事もあるかもしれませんが
誰も悲しませたくないと思っており
UCや技能を駆使して生き残ろうとします

またUC【贖罪】により楽には死ねません

ですが
心配させない様
苦しくても明るく振る舞います


戦闘

味方がいれば回復と支援に専念します
攻撃は主に聖銃二丁を使用


戦後
オブリビオンに憎悪等は感じず
悪逆非道な敵でも倒したら
命を頂いた事に弔いの祈りを捧げます


シャーロット・ゴッドチャイルド(サポート)
ダークセイヴァ―の貧しい農村に生まれた聖なる力を宿した女の子です。暗い過去を背負った子ですが、いつも周りに気を使っていて笑顔を絶やしません。

ホーリー・ボルト~光の精霊の力で、光属性の魔法の矢を放ちます。
エレメンタル・ファンタジア~炎の精霊を呼び出し、炎の竜巻を巻き起こす。予想以上の威力のため、制御するのがやっと。
絶望の福音~10秒後の未来を予測する。
生まれながらの光~左の手のひらにある聖痕から他者を癒す。

「私は笑うって決めたの・・・じゃなきゃ、前に進めないもん!」

エロやグロに巻き込まれなければ大体のことは大丈夫です。


枸橘・水織
戦闘
飛翔する何本ものスカルペルに対し指定UC【全力魔法】の応用で対応…視界内の味方に対してアイアンメイデンのようなもの(中に棘とかありません)を作り防御
ヴァンパイアを断罪するより、こっちの方が彼女らしかったりする

自身は【オーラ防御】で全身を魔力で防御しつつ、オラトリオの姿になって空を飛んで回避&ARによる魔力弾で迎撃【見切り・激痛耐性】


その一方で、ヴェインへと苦し紛れ【演技】の命中率無視の魔力弾攻撃【範囲攻撃】
…を、ある程度繰り返したら…

自分の魔力だもの…とっくに補足してるんだからっ!!
指定UC【同上】…ヴェインの周囲に漂う自身の魔力を対象に無数のメスを作り出して襲い掛からせる



 叡智卿ヴェインは、めり込んだ地面の中から這い出てくると、白衣の土埃を払いながら険しい表情を浮かべていた。
「……これが、私の精鋭騎馬隊を退けた猟兵の力か。なるほど、脅威に値すると認識を改めよう」
 スカルペルを構え直すと、眼鏡越しに憤怒の感情を両眼に宿した。
「だが、今度こそ刃の嵐で斬り刻んでくれよう。それこそ逃げ場がない絶望的状況を耐えられぬなら泣き叫べ」
 3人の猟兵を前に、叡智卿は900本のスカルペルの嵐を立て続けに3回発動させた。
 2700本もの鋭利な刃が幾何学模様を描いて戦場を飲み込んでゆく!
「そうは、させないよ……!」
 枸橘・水織(オラトリオのウィザード・f11304)はすかさずユーベルコードで対抗する。
「この戦場一帯の魔力は、みおが捕捉したよ……」
 視界に入れた反抗軍の兵士達を、錬金魔法で生成した鉄の棺桶のような容器にそれぞれを押し込んでゆけば、鋼鉄の外壁がスカルペルの束を食い止めてダメージを受付させない。
「ヴァンパイアを断罪するより、こっちの方がみおらしいんだよ……」
 自身はオラトリオの姿になって空中へ羽ばたき、荒れ狂う刃の竜巻を自身のオーラ障壁とユーベルコード製の大盾を持って弾き返していった。
 だが全てを受け止めることは叶わず、手足の末端に幾度と切り傷を負い始める。
「痛っ……! でも、まだ戦える……!」
 成長する魔導書ことAlchemyGrimoireから魔導弾を放ち、スカルペルと相殺を試み始める枸橘。
「集中……空間を意識して、集中しなくちゃ……」
 枸橘はスカルペルを撃ち落とすたびに、何かを意識しながら戦闘を継続していった。
 彼女の善戦を支えているのは、サポーターとして駆け付けた2人の猟兵だ。
 奇しくも、両名ともダークセイヴァー世界と関わりの深い者達だった。
「助太刀します! ルノ!」
 シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は黒白の二挺精霊銃を空中へ放り投げた。
 それをキャッチしたのは、ユーベルコード『【奏手】精霊を奏でし者ルノリスト(カナデテ・セイレイヲカナデシモノエーデルワイス)』で召喚された機械人形ルノだった。
 ルノは精霊銃を念動力で操ることが出来るのだ。
「精霊と共に鍛えた上げた精霊銃の力! 見せてあげる!」
 ルノは荒れ狂う刃の嵐の中でガン=カタめいたオールレンジショットを披露し始めた。
 飛来してくるスカルペルを尽く銀の弾丸と光の魔法弾で撃ち落とし、踊るように背後から飛んできたスカルペルを回避してみせる。
「ひとまず、この数のスカルペルをどうにかしましょう。反抗軍の皆さんは、鉄の棺桶から出ないで下さいね」
 シホも『聖剣』パッシモンを振るい、舞うようにスカルペルを切り払ってゆく。
 だがシホの背中に幾度と刺さるスカルペル。
 反抗軍を狙うスカルペルを、自らの身体を差し出して遮ったのだ。
 ルノが慌てて、シホへ飛んできたスカルペルを撃ち落とす。
「大丈夫、シホ!?」
「……ええ、問題ありません。この身体は簡単に死ぬことが出来ませんから。それはルノも知っているでしょう?」
 シホは聖痕や生い立ちの影響などで、傷付いてもすぐに肉体が再生する。
 それはもはや聖者の権能を超えた超常の回復力だ。
 手に握る聖剣も、シホの再生能力を底上げしてくれており、たとえ急所を貫かれても、今のシホならすぐに復活するだろう。
 ルノも当然理解はしているが、機械人形とはえ心がある。
「知ってても、シホが傷付くのは嫌だ!」
 ルノは必死に飛んでくるスカルペルを撃ち落とし、時には自分の体を盾にしてシホを庇う。
 そんなコンビの献身ぶりに、真っ赤なドレスを纏った金髪の幼い少女が傘を広げて立ちはだかる。
「互いを庇い合う精神、とても美しいね。私はあなた達をすごいと褒めてあげる」
 赤いドレスの少女ことシャーロット・ゴッドチャイルド(絶望の福音・f23202)は、おもむろにメアリー・アンブレラを開いた。
 殺到してきたスカルペルは、なんと傘に全て弾かれてしまったではないか。
「アリスラビリンスで見付けたこのアーティファクト、そう簡単に壊れたりしないもん」
 途端、シャーロットを中心に魔力が逆巻き、風が荒れ狂い始めた。
「風さん、風さん、私に力を貸して……!」
 ユーベルコード『メアリー・アンブレラ』が発動すると、凄まじい上昇気流に乗ったシャーロットが暗黒の空へと飛翔する。
 そのまま刃の嵐の中へ突っ込んでゆく。
「私は笑うって決めたの……じゃなきゃ、前に進めないもん! こんな危ない嵐の中だって、笑ってみせるよ!」
 傘を空中で振り回せば、猛烈な突風がスカルペルを押し戻して吹き飛ばしてしまった。
 逆に地上で戦況を見守っていた叡智卿の頭上へ大量のスカルペルを振らせて、全身を切り傷だらけにしてゆく。
「ぅぐ……! なんて行儀の悪いリトルレディだろうか。私が少々、躾けてやらねばな?」
「遠慮しておくね! 私ね? 吸血鬼は大っ嫌いだもん!」
 傘を構えたまま、シャーロットは錐揉み急降下突撃を敢行!
 凄まじい風魔法を身に纏わせた突進は、叡智卿を風圧で潰して吹き飛ばしてしまった。
 自分の屋敷の壁に叩きつけられた叡智卿。
 そこに迫るは空駆ける天馬めいたシホの姿!
「スカルペルはほぼ撃ち落としました。そしてこの突風、今なら私も背中の翼であなたに肉薄できます!」
 聖剣を最上段から一気に振り下ろし、叡智卿を袈裟斬りに伏すシホ!
「ぅがああぁぁーっ!?」
 思わぬ追撃に、叡智卿の口から遂に苦悶の悲鳴が飛び出した。
 シホは振り返り、空中へ向かって叫んだ。
「あとはお願いします!」
 すぐさま後方へ離脱するシホ。
 そこへ、大量のスカルペルが飛来してくる!
 叡智卿のものか?
 否! これは枸橘のユーベルコード!
「自分の魔力だもの……とっくに補足してるんだからっ!!」
 空間に漂う魔力で無数のスカルペルを生成させ、飽和火力として壁にめり込む叡智卿へ発射する枸橘。
 シャーロットの風魔法を文字通り追い風にすれば、叡智卿は意趣返しの刃の嵐をその身に浴びるのであった――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ローズ・ベルシュタイン
【薔薇園の古城】メンバーで参加
アドリブ歓迎
WIZ判定の行動

■心情
精鋭部隊を倒せたのは良かったですけど
今度はオブリビオン領主ですか。
手強そうですけど、人々の安泰なる生活の為に、私達も負けるわけには行きませんわ。

■行動
白銀勇霊装(UC)を使用して戦いますわ。
自身の身を甲冑で纏い、武器『夕の憩い』を振い敵を【2回攻撃】で攻撃しますわ。
【マヒ攻撃】も織り交ぜて敵の動きを封じる様にしながら戦い
自身が負傷したらUCの能力の【生命力吸収】で回復しますわ。

敵の拳や縫合絲やスカルペルは、【ダッシュ】で避けたり【見切り】で
回避するように心がけますわね。


リオン・ゲーベンアイン
【薔薇園の古城】
気を取り直して領主戦。
飛翔するスカルペルは【黒き夜衣】を用いてワタシの存在そのものを夜という無形の現象に変容させることで回避。更に展開した夜の視界を味方には視界良好とし、敵には暗闇として性質を組み替える。そのままユーベルコードを起動。ヘリオスの白炎よ、闇の救済者を癒して領主を焼き尽くせ。
そうしてワタシの身体と同じく夜と言う現象そのものとなった弓から放った白炎で味方を治癒し、敵を焼却していく。そこに、ダメ押しとしてある矢を弓に番えて白炎の炎属性としての性質を増幅させていく。
唸れ、フォーミュラたる竜の力司る宝玉の矢よ。白き炎に宿りし破壊と再生の概念を純化させ、闇を焼きつくせ。



「さあ、気を取り直して領主戦だよ」
 リオン・ゲーベンアイン(純白と透明の二つの無垢を司る弓使い・f23867)が天真爛漫に笑いながら弓を構える。
「精鋭部隊を倒せたのは良かったですけど
今度はオブリビオン領主ですか」
 やれやれ、と肩を竦めるのはローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)だ。
「手強そうですけど、人々の安泰なる生活の為に、私達も負けるわけには行きませんわ。ここは白銀勇霊装を使います!」
 ローズはその身にアルヌワブランの薔薇で彩られた甲冑で覆い、自身が敵から受けた負傷に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
「我は纏う薔薇の気高さに等しき極みの鎧!」
 眩い輝きを放ちながら、ローズは夕焼け色の刀身のロングソード『夕の憩い』を振い、叡知卿へ斬りかかっていく。
「はぁぁーっ!」
 裂帛の気合いの声と共に放たれた一撃は、なんと敵の縫合糸で軌道が反らされてしまう。
「もっと、その中身を見せておくれ」
 ローズ目掛けて、スカルぺルが飛び交う。
 更に、叡知卿の拳が彼女の心臓を抉らんと伸ばされる!
 ローズの絶体絶命の危機!
「甘いですわ! リオンさん!」
「了解。喝采の時来たれり。森羅を破壊し再生する聖火は今ここに降誕し、創滅を以て全ての魂を楽園へと導こう」
 己の衣装から溢れる闇で、大量に飛び交うスカルぺルを弾き返しながら、リオンは『人界を理想郷に再世する白き劫火の聖炎主(ストライク・ザ・ヘリオス)』を放つ。
 森羅万象に対する破壊と再生の炎を宿す神弓が瞬いたかと思えば、叡知卿の身体が立て続けに九連続も劫火に貫かれて燃え盛る!
「うぐぁぁあっ!」
 何が起きたか理解できないまま、ローズへの攻撃の手を止めてしまう領主。
 ローズは鎧に刺さったスカルぺルを抜き去ると、負傷による戦闘力増強と生命力吸収の強化を発現させた。
「今度こそ外しません! この一撃に懸けます!」
 ローズの剣の一閃は叡知卿を袈裟斬りに伏し、生命力を吸われて身体の自由を奪ってゆく。
「唸れ、フォーミュラたる竜の力司る宝玉の矢よ。白き炎に宿りし破壊と再生の概念を純化させ、闇を焼きつくせ」
 駄目押しのリオンの一射が領主を射抜けば、完膚なき勝利を二人にもたらすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
さあ夜明けを呼ぶ為の戦いです
精一杯努めますよ

引き続き黒きツチノコの出番のようですね!

UC&風の魔力で加速し
高速高機動で距離をつめます
スカルベルを回避できない場合もつるっと捌きますよ

間合いをつめたら
摩擦0の鋭く速い刃を囮にペロ
メスや解剖器具を落としたり
服が脱げたり
転倒してもらいましょう

逆にペロをフェイントに刺突
というのもありですね

叡智卿
命への尊厳の欠片もお持ちではないのですね
お可哀そうに
海へお還ししましょう

終幕
レジスタンスさんたちの勝利を祝す凱歌を歌い奏で
叡智卿への葬送曲ともします

その後は皆さんの笑顔を目に焼き付け
歓声を背に
こっそりと刺客さんの迎撃ポイントへ
つるーっと向かいます


ナターシャ・フォーサイス
哀れな魂が、生けるものを被検体にするなど、生命に対する冒涜すら感じますが。
使徒としてそれをも赦し、また楽園へ導きましょう。

力を封じるのならば、此方も相応の力を使うのみ。
貴方のそれは全て当たって初めて追加効果が出るのですから、此方は天使達を壁としましょう。
そして、これより此処はまだ見ぬ楽園が一端。
反抗軍の方々へ加護を授け、彼の者へは天使達の加護でその力を封じましょう。
意趣返し、と言う訳ではありませんが、これで立場は逆転でしょうか。

天使達に反抗軍に我々。
これでもまだ、足掻くと言うのですか?
ですが構いません。
何であろうと楽園への道行きへ導くのみ。
どうか貴方へも、楽園の加護のあらんことを。


織座・このみ
●行動
引き続き
ユーベルコード:霊軍顕現
を使いますよぅ

変わらず姉様と二人で鉾先鈴を手に
【祈り】を込めた神楽舞を奉げましてぇ
吸血鬼への反抗を志しながらも生きてこの時を迎えられなかった方々を【降霊】いたしますねぇ

死してなお、敵に抗う、あるいは仲間を護る彼らの姿が、
なによりの【鼓舞】となればいいのですがぁ


※内心・思考の口調は、プレイング記述の話し言葉と違い、訛り気味
人前では狐面外さない
協力、アドリブ歓迎



 勢い付く反抗軍。
 猟兵達の攻撃に、領主の叡知卿は満身創痍だ。
 勝てる。
 反抗軍は、ここで勝利を確信する。
 その為にも、矢を放ち、岩を放り投げ、猟兵達を後方から援護してゆく。
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)はあとひと押しのために、自ら決着を付けるべく前に躍り出た。
「さあ夜明けを呼ぶ為の戦いです
精一杯努めますよ。ここは、引き続き黒きツチノコの出番のようですね!」
 そう言いつつ、全身を舐めて毛繕いを始めた。こうすること自体がユーベルコードであり、摩擦抵抗力を限りなくゼロにしてしまう。
 つまり……。
「なにっ! スカルぺルが刺さらないだとっ?」
 叡知卿が放った大量の刃の嵐が、箒星の体毛をツルツルと滑って通過してしまうのだ。これでは攻撃が無意味だ!
「これが恐怖! 黒いツチノコ伝説の真髄ですよ~!」
 得意気な箒星は、地面を滑走して更に領主を困惑させる。
 狼狽する敵が生んだ絶好の隙に、仲間の猟兵達が畳み掛ける。
「哀れな魂が、生けるものを被検体にするなど、生命に対する冒涜すら感じますが。
使徒としてそれをも赦し、また楽園へ導きましょう」
 ナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)は、召喚した天使達を防壁として領主の攻撃を防いでみせた。
「ぐぅっ! これでは猟兵の力を封じられないではないか!」
「おやおや、どうやら貴方のそれは、全て当たって初めて追加効果が出るのですか。ならば、此方も相応の力を行使するまで」
 ナターシャは織座・このみ(半身は焔となりて傍らに・f04890)に目配せする。
 このみは被った狐面で表情が窺い知れないが、ナターシャの意図を瞬時に読み取ることができた。
「演舞、奉納………霊軍、顕現!」
 領主の館には、それこそ無念を抱いて殺された人々の霊魂が充満している。このみは彼等の霊魂を軍勢として此世に顕現させ、彼等の無念を張らさせるために加勢させた。
「これで此方は五個師団くらいの戦力ですよぅ?」
「叡知卿、貴方は些か研究に没頭しすぎましたね?」
 静かな怒りを語気に込めるナターシャ。
 箒星もまた、叡知卿の在り方を嘆き、言葉を投げ掛ける。
「あなたには命への尊厳の欠片もお持ちではないのですね。それは自らの命すら軽んじていられるのと同義です。お可哀そうに」
「この私が、憐れだと言うのか?」
 叡知卿の問い掛けに、ヌルヌルと肉薄してゆく箒星が答えた。
「ええ、哀れですとも。命を知らないから、腹の中身なんて見たくなるのでは? お辛いでしょう、今、骸の海へお還ししましょう」
「……知った口をきくな!」
 苛立ちながら、領主は箒星をスカルぺルで切り裂き掛かる。だが、摩擦抵抗力ゼロの体毛が刃を尽く滑らせてしまっていた。
「無駄です。今度はあなたの番です。ペロペロペロペロ!」
 箒星が叡知卿の足下を素早く舐めとると、今度は叡知卿がすてーんっと転んで立ち上がれなくなってしまった!
「靴の摩擦抵抗力を限りなくゼロにしました。もう立てませんよ?」
「ならば靴を脱ぐまで……って、靴自体が滑って掴めないだと?」
 叡知卿、完全に詰んだ。
 しかも思いのほか格好悪い姿で。
 これにナターシャとこのみが動いた。
「まだ見ぬ楽園、その一端。仇成すのなら祓いましょう、歩むのならば導きましょう。その名は……『召喚:楽園の加護(サモン・ホーリーライト)』!」
 ナターシャは戦場全域に闇と罪を祓い味方を強化する聖なる光を解き放った!
 この光は天使達の加護を反抗軍とこのみが顕現させた霊軍を強化。なんと、領主のユーベルコードを一切無効にしてしまうという、破格の効果をもたらした。
「皆様、もう何も怖れる事はありません。意趣返し、と言う訳ではありませんが、これで立場は逆転しました。さあ、天使達の加護と共に、攻め込みましょう!」
 ナターシャの号令を皮切りに、無敵となった大軍が領主を蹂躙してゆく!
 このみも、霊軍の無念が領主を攻撃する度に薄らいでゆくのを神楽を舞いながら感じていた。
(死してなお、敵に抗う、あるいは仲間を護る彼らの姿が、なによりの鼓舞となればええとは思うとったんやけど、想像以上やね?)
 反抗軍は今や、霊軍を含めて数万にまで膨れ上がっていた。この数の暴力は、反抗軍の勝利を揺るぎなきものにするには十分な判断材料だ。
 もはや、風前の灯の叡知卿。
 トドメをナターシャが反抗軍から任された。
「天使達に反抗軍に我々。
これでもまだ、足掻くと言うのですか? いえ、もう立つことすら出来ませんでしたね?」
 聖銀の鎖が領主を捕縛すると、その首をナターシャへ差し出す形になった。彼女の手には聖祓銃『ティル・ナ・ノーグ』がしかと握られていた。
「もはや勝敗は決しました。足掻くかどうかは、この期に及んでもう構いません。何であろうと楽園への道行きへ導くのみ」
 銃口を叡知卿の頭に押し付け、短く祈りの言葉を天使達へとナターシャが捧げる。
「どうか貴方へも、楽園の加護のあらんことを」

 ――戦いの終焉の合図は、乾いた一発の銃声と立ち昇る硝煙のみ。

 遅れて、空が震え、大地が割れんばかりの歓声が溢れた。
「遂に! ようやく俺らは自由を手に入れたぞ!」
「この地方は人間達の物だ! もう吸血鬼に怯える日々は終わったんだっ!」
 反抗軍は歌い、泣き、笑いながら、勝利を分かち合い、実感していた。

 その喧騒のなかを、一匹の黒いケットシーがヌルヌルと素早く抜け出してゆく。
 このみも霊軍らが成仏したのを見届けると、黒いヌルヌルを追い掛けていった。
 ナターシャもまた、英雄と称賛される人々に応えつつ、真の敵……『第五の貴族』が差し向けた刺客を人知れず迎え撃つべく、領主館跡地から姿を消したのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『絶望卿』アルマ・アークナイツ』

POW   :    死が貴方を連れ去るまで
【ユーベルコードを強制停止する血鎖の鞭】が命中した対象を爆破し、更に互いを【自身の負傷の全てを相手に転写する呪いの鎖】で繋ぐ。
SPD   :    “とかく一目惚れとは暴力の如く”
自身の【行動時間をレベル倍速化する巨大魔方陣】が輝く間、【超怪力を用いて操る重量レベルtの魔剣】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    鮮血の恋歌
【殺意を戦闘力そのものに変える無数の殺戮剣】を降らせる事で、戦場全体が【全ての者に一時的な不死を与える悪鬼の地獄】と同じ環境に変化する。[全ての者に一時的な不死を与える悪鬼の地獄]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレナ・ヴァレンタインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 かくして、この地を長年支配し続けてきた吸血鬼領主は、人類の反抗によって討ち果たされた。
 その様子を、千里眼めいた視力で遠くから確認する赤頭巾の金髪少女がほくそ笑む。

「うっわ、本当に叡智卿をブッ殺しちゃった~! 猟兵とかいうヤバい奴らの手を借りたとはいえ、反抗軍のみんなは今が幸福の絶頂だよね~? つまり? ここで私が鏖殺虐殺しちゃえば? 一気に絶望へ真っ逆さま! それでも立ち上がろうとするんだろうね? それを早く見たいなぁ! どんな顔で這い上がるんだろう? 歯を食いしばって? 怒号を叫びながら? それとも泣いちゃうかも!?」

 恍惚の表情を浮かべる赤頭巾こと『絶望卿』アルマ・アークナイツ。
 彼女の背中のマントの舌では、『殺戮者の紋章』が蠢いて力を与えていた。
 アルマは絶望から懸命に立ち上がる人間“しか”愛せないが故に、幸せの絶頂の人間を破壊して絶望を世界にばら撒く。それが『絶望卿』と呼ばれる理由だ。

「それじゃ、今日も殺戮剣で愛を謳歌して……って、んんー? 誰かが向かってくる? おっかしいなぁ? まさか私の気配が悟られた? 殺気は完全に遮断してたのに? あれー?」

 首を傾げるアルマ。
 彼女はグリモア猟兵の予知の件を知らないのだ。
 続々と押し寄せてくる猟兵達に、アルマは一変して笑顔に戻った。

「まぁ、別に構わないわ! あいつ等の首を持って反抗軍に掲げれば、より深い絶望が作れるだろうし! よーし、そうと決まったらぶっ殺そーっと!」

 無邪気に巨大な殺戮剣を掲げ、猟兵を迎撃する準備を始めるアルマ。
 今此処に、真の決戦の幕が、人知れず開こうとしていた……!
箒星・仄々
剣呑な刺客さんですね
けれど私たちは勝ちます
夜明けが近いことを第五の貴族へ知らしめましょう

アルマさん
確かに
絶望から立ち上がる姿には胸を打たれますし
その心の強さには敬服します

けれどそのために
わざわざ絶望をもたらそうとは

歪んでしまわれ
それに気づかないとはお可哀そうに
海へお還ししましょう

戦闘
夜明けを誓う、未来への想い込めて
竪琴を奏で
殺戮剣や地形が変じた地獄を魔力へ変換

これにより戦闘力増強や成功率上昇効果を封じ
ないし減じながら
相乗的に魔力を高めていき
緋蒼翠の魔力のうねりを絶望卿へ叩きつけます

終幕
曲はそのままに鎮魂の調べとします
海で穏やかに休まれますように

…さて
それでは祝宴へお邪魔させてもらいましょうか♪



 自由を勝ち取った人類を絶望へ叩き落とそうとする『絶望卿』アルマ・アークナイツ――吸血鬼達の元締めと推察される『第五の貴族』から命を受けた刺客は、身の丈以上の大剣を担いで無邪気に嗤う。
「さーて! どんな奴が来るかなーっ?」
 アルマは両目をギラギラさせながら、猟兵の到着を待ち望む。
 そこへ、黒くてヌルヌルした生き物がドリフトターンで急停止してみせた。
「おっと、怪しい者はありません。私は一介の猫妖精族の魔奏剣士です。あなたとお話がしたくて、ここへ駆けつけて参りました」
 すっくと立ち上がった箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、ユーベルコードを解除し、アルマの前で脱帽すると礼儀正しく一礼してみせた。
 てっきり出会い頭に刃を交えるものだと身構えていたアルマは、箒星の態度に肩透かしを喰らってしまった。
「……それで? 黒猫君、私に話ってなに?」
 ひとまず、相手の出方を窺うべく、アルマは箒星の誘いに乗る事にした。話を聞いてくれると知るや、箒星は翡翠色の両目を大きく開いて短く感嘆符を漏らした。
「おお……お話の機会を設けて下さり、ありがとうございます。大したことではないのです。私はただ、戦う前に、きちんと宣戦布告をしておきたいのですよ~」
 箒星はアルマへ向けて、確固たる信念を言葉にしてぶつけてみせた。
「出会い頭に刃を向けてくるとは、あなたは剣呑な刺客さんですね。けれど私たちは勝ちます。刺客であるあなたを骸の海へお還しすることで、この世界における人類の夜明けが近いことを第五の貴族へ知らしめてみせましょう」
 律儀な宣戦布告は、アルマに動揺を生じさせた。
「待って? なんで私が『第五の貴族』の刺客だってことを知ってるの?」
 箒星はこの問いには答えられない。
 猟兵達の予知の件は秘匿事項である。
 故に、ここで箒星が口を割るわけにはいかないのだ。
「申し訳ありません。その件はお答えできません」
「なによ、それ!」
 アルマが不服そうに声を張る。
 これに箒星は次の追及が来る前に、話の矛先を変える事にした。
「アルマさん、確かに、人々が絶望から立ち上がる姿には誰しも胸を打たれますし、その心の強さには敬服します」
 ですが、と箒星は言葉を継ぐ。
「そのために、わざわざ絶望をもたらそうとは……嘆かわしい事です」
「絶望させなきゃ、立ち上がる姿を見られないよ? それの何処がいけないの?」
 アルマは度しがたいと言わんばかりに顔をしかめた。
 呆れた箒星は首を横に振る。
「歪んでしまわれ、もはやそれに気づかないとは、お可哀そうに。やはり骸の海へお還ししましょう」
 そう告げると、箒星は懐から懐中時計を取り出した。その天辺のボタンを押し込むと、内蔵された蒸気機関が展開され、形状がみるみる内に竪琴へ変化した。
「夜明けを誓う、未来への想い込めて。さあ、楽しい演奏会にしましょう♪」
 奏でるは、アルマへの鎮魂曲。静かな海を想わせる物悲しいメロディーだ。箒星が竪琴の弦を爪弾くと、自身の半径101m以内の無機物が火・水・風……緋蒼翠の魔力へ変換されてゆく。
 対して、アルマは殺意を戦闘力そのものに変える無数の殺戮剣を周囲に降らせ、戦場全体を全ての者に一時的な不死を与える悪鬼の地獄と同じ環境に変化させた。
「安心して! この領域なら私たちは死なないし死ねないわ! だから何度も殺して、あなたの心を丁寧に砕いてあげる! それこそが絶望だもの! あはははは!」
 哄笑と共に、手にした殺戮剣で箒星に斬りかかろうとするアルマ。
 だが、箒星のユーベルコード『トリニティ・シンフォニー』の領域に踏み込んだ瞬間的、殺戮剣は緋蒼翠の魔力と早変りし、アルマの体を苛む。
「きゃあアァっ!? け、剣が、消えちゃったっ?」
「剣は無機物ですからね~。私の展開する領域内では、使わせませんよ」
 その身を炎で焼かれ、氷で壊死され、風で裂かれ、一瞬で満身創痍になるアルマは、ある異変に気が付いた。
「嘘っ? 傷の治りが遅くなってるのっ?」
「ご明察です。私の領域内では、不死性がほぼほぼ無効化されますので。緋蒼翠の魔力で、あなたの殺意を浄化させましたから」
 殺戮剣がアルマのユーベルコードの媒体ならば、それを緋蒼翠の魔力に変換してしまえば箒星は不死性の地獄の影響を受けることはない。完全な作戦勝ちであった。
「だったら、すぐにここから出ちゃえば……」
 領域から脱出を試みるアルマへ、箒星は渦巻く魔力を叩き付けて逃さない。風圧で押し戻され、外へ飛び出すことを阻止されてしまうのだ。
「このあと、私はドンザキアの皆さんとの祝勝会に参加するのです。なので逃がしませんよ?」
「いやぁーァァァッ!」
 鎮魂曲が戦場に流れ続け、風の檻に閉じこれられたアルマは炎と氷の二重苦に攻め立てられたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
機神搭乗

はぁ…愛を謳歌するならエロい事したいのに
絶望希望フェチとかクソみたいな性癖持ちかよ

「ブレないねご主人サマ☆同感だけどね♪」

【情報収集・視力・戦闘知識・医術】
その動きと肉体構造から攻撃の癖と法則を見切る

【属性攻撃・迷彩】
光属性を機体に付与
存在を隠すと同時に周囲に無数の立体映像展開

UC起動
対SPD
【念動力・スナイパー・空中戦】
飛び回りながら念動障壁展開
念動光弾乱射
特に魔法陣も破壊狙
但し…一撃だけ彼女の足首を狙った超小型の弾丸を撃ち
少しでも筋を痛めてくれればいい

可能な限り回避狙うが【武器受け】で致命だけは避け

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
ハルペーでの連続斬撃で切り刻みつつ
魔剣を叩落狙い



 先陣の猟兵が『絶望卿』アルマ・アークナイツを抑えていると、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が界導神機『メルクリウス』に登場してやってきた。
「はぁ……愛を謳歌するならエロい事すればいいのに。お前、絶望フェチとかクソみたいな性癖持ちかよ」
『ブレないね、ご主人サマ☆ でもメルシーも同感だけどね♪』
 コクピット内の雄鶏型3Dホログラムがご立腹していた。
 これにアルマはカシム達をゴミを見るような嫌悪感で見下す。
「はぁ? 何、言っちゃってるの? 人間、ぼーっと生きてるよりも、生死の覚悟を突き付けられた時の生き様……つまり絶望がその人の魅力を引き立ててくれるってこと、すっからかんの頭じゃ理解できないみたいだね~?」
「いや、そういうのいいので。お前は、うん、女の子だからって容赦はしません」
『メルシーも絶望フェチは願い下げだよ☆』
 そう告げると、魔砲『カドゥケウス』をメルシーに身構えさせるカシム。
 対して、アルマは身の丈以上の巨剣を己の怪力で振り回し、体高5mの相手など恐るに足らずと闘志を燃やす。
「ねぇ知ってる? 一目惚れってさ……まるで暴力の如く壮絶なのよ!」
 アルマは周囲に禍々しい魔法陣を空間に描くと、一瞬でメルシーに肉薄して巨剣を最上段に振り上げた。
「あれは行動時間をレベル倍速化する巨大魔方陣なの! それが瞬いた瞬間、恋に落ちるように相手は私に殺されちゃうよ!」
 まさに必殺のユーベルコード!
 一瞬で巨剣を9連続で振るう攻撃は、逃れる術がないだろう。
 ……想定通りならば。
「メルシー☆フラッシュ!」
「グワーッ目がっ!?」
 突然、メルクリウスの機体全体が白銀の光を放ち、アルマの視界を遮った。
 ほんの僅かでも剣を下ろすことを躊躇ったアルマの目の前から、カシムが乗り込んだ機神の姿が消えてなくなっていた。
「ちょっと!? そういうのズルい! どこ行ったの?」
「ここですよ!」
 ドゥッとアルマの背中が轟音とともに爆ぜた。
「ッ!? いつの間に背後へっ?」
 振り返ったアルマだが、そこには機神の影も形もない。
 そして再び背後から砲撃を喰らうアルマ。
 たたらを踏む彼女は、周囲を何かが超高速で駆け回っている事に気が付いた。
「嘘でしょ? なんてスピードなの!?」
 そのスピードはマッハ10を僅かに超えるほどの速度だ。
 オブリビオンでなければ見逃していた。
「メルシー、あくまで彼女の武器と魔法陣だけを破壊しろ」
『ご主人サマは甘いなぁ~? 美少女だからって手加減しないんじゃなかった?』
「……とにかく、致命だけは避けろ。僕はあの巨大な剣を強奪したいだけです」
『ふーん?』
 メルクリウスは知ったような返事をすると、大人しくカシムの操縦に従った。
 超高速の上に、光学迷彩を纏った機神の姿を正確に捉えることは至難の業だ。
 アルマの攻撃は幾度と空振りし、そのたびに自身の寿命を削ってダメージを受けてゆく。
(まぁ、そうなりますよね? 自傷するならともかく、僕達へ9連撃を放てば、いずれ自身への負荷で肉体が持たないでしょうからね)
 カシムがそれを期待していたのか、美少女だから傷つけたくないのか、本心は定かではない。
 だが、敢えての戦闘の引き伸ばしはアルマを自滅へ徐々に追い込んでいった。
「そろそろいいでしょう。メルシー!」
「了解、ご主人サマ!」
 魔砲からビーム鎌剣ハルペーに機神が持ち帰ると、巨剣をアルマの手から弾き返して強奪してみせた。
「って、なにこれ、ちょー重いよ、ご主人サマ!?」
「どんな怪力なんですか……いいからズラかりますよ!」
 こうして、カシム達はアルマを疲弊させた上で、巨剣を強奪することに成功したのだった。

「……剣が奪われちゃったか。ま、ユーベルコードでまだまだ呼び出せるし、いいんだけど?」
 アルマは別の巨剣を天から降らせて空中でキャッチした。
 疲労の色は濃いが、続く猟兵相手に戦意は潰えていなかった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バーン・マーディ
マーズよ
絶望が来るぞ
「ではどうされるので?その絶望に対し」
判っていよう

叛逆だ

【オーラ防御】展開

絶望を齎す女よ
其処まで絶望が好きなら味合わせてやろう

【戦闘知識】でその動きと癖の把握

【運転】で機動力を高め猛攻を仕掛け

対POW
【武器受け】
軍神の剣で受け止め爆発を堪え

マーズよ
覚悟は良いな?
「問題ありませぬ!存分に!」
では…耐えよ!

【怪力・二回攻撃・鎧破壊・鎧無視攻撃】
魔剣と車輪剣で機体内を全霊で破壊!
その呪いを以てそのダメージを敵に転写!!

そして即座にマーズより脱出

UC発動!

魔剣と車輪剣で切り刻み

【生命力吸収・吸血】
そのまま血肉に喰らい付いて血を啜り吐き捨てる

不味い

食われる気分はどうだ?

絶望を楽しめ



「マーズよ、絶望が来るぞ」
 バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は登場している相棒こと破城神機『マーズ』へ告げる。
「いーやーだー! こんなの認めないー!」
 『絶望卿』アルマ・アークナイツは幾度も猟兵達の猛攻に押し込められている。
 これはアルマにとっては初めての体験、異例中の異例。
「またデカブツに乗って! いいわよ! バラバラにしてやるんだから!」
 怒り狂うアルマを相手に、マーズはバーンへ答えた。
「随分と此方へ敵意を向けておりますなぁ。ではどうされるので? その絶望に対し……」
「判っていよう、マーズよ」
 バーンは操縦桿を握る力を込めて、断言した。
「――叛逆だ」
「ええ、仰せのままに」
 マーズは全身を赤熱させ、体の各所から炎を噴き上げた。
 同時に、バーンが持つオーラの壁……十字の障壁がマーズをすっぽり包む。
「聞け、絶望を齎す女よ。其処まで絶望が好きなら、徹底的に味合わせてやろう」
 燃え盛る軍神の剣を構え、目の前の小さな標的へ身構えるマーズ。
 対して、アルマは血鎖の鞭を召喚し、縦横無尽に振り回し始めた。
「いいこと教えてあげる。この血鎖の鞭はね? 捕縛した相手のユーベルコードを強制停止して爆破させるの! 更にね? 爆破した相手を呪いの鎖で互いを縛っちゃう! 私の受けたダメージは、全部相手に転写されちゃうけど!」
「自らの手の内を明かすとは、よほど自信があるのだな?」
 バーンの問いにアルマが勝ち誇った態度で答えた。
「だって、さっきのデカブツよりも、こっちはトロそうなんだもん! 私の鎖から逃れられないし、中で操っているあなたも無事じゃ済まないわ!」
 恐怖を煽るアルマ。
 だが、バーンは溜息混じりに言い放った。
「御託はそれだけか? 早く呪いの鎖とやらでマーズを縛ってみよ。出来るものならな?」
「……はぁ?」
 バーンの態度に、アルマの顔が小刻みに痙攣する。
「……いい度胸じゃない? いいわ、お望み通り爆発させて縛ってあげる!」
 血鎖の鞭が放たれると、バーンの軍神の剣ごと腕を封じる。
「それ、ドーン!」
 マーズの両腕が爆発で破損する!
 途端、今度はマーズの胴体に呪いの鎖が雁字搦めに巻き付き、アルマと連結されてしまった。
「これで私の負傷は全部あなた達に向かう! 私は無敵だー!」
 哄笑するアルマを前に、バーンは至って冷静であった。
「……マーズよ。覚悟は良いな?」
 その問い掛けに、マーズは即答。
「問題ありませぬ! 存分に!」
「その覚悟や善し。では……耐えよ!」
 バーンはマーズのコクピットから脱出しながら、魔剣と車輪剣で機体内を全霊で破壊し始めた!
 途端、アルマが急に苦悶し始める。
「いぃぃぎぃぃいっ!? 体の中が、痛い痛い痛いッ!」
「どうやら、負傷が伝搬するのはお互い様のようだな?」
 バーンは敢えてマーズとアルマへのパスを繋げ、マーズの機体破壊のダメージをアルマへ押し付けたのだ。
 そのせいか、マーズをいくら破壊しても傷ひとつ付かない代わりに、アルマは体内や皮膚に大きな裂傷を刻まれて血反吐を出していた。
「先程、トロそうだと言ってくれたが……この速度なら納得してくれるか?」
 鎖に繋がれていないバーンはユーベルコードの使用が可能だ。
「悪とされたる者達よ。正義という暴力に蹂躙されし者達よ。我はバーン・マーディ。我は今ここに宣言しよう。悪には悪の……正義があると!」
 ユーベルコード『ヴィランズ・ジャスティス』発動!
 全身を禍々しい紅きオーラで覆い、バーンの決して倒れぬ不屈の精神に比例した戦闘力増強が付与され、更にマッハ9近くの亜光速飛行が可能になるのだ。
「嘘っ? また素早くなったっ!」
「鎖が邪魔だ」
 ガキンッと車輪剣で呪いの鎖を断ち切ったあと、一瞬でバーンがアルマとの間合いを詰める。
 そのまま魔剣と車輪剣の二刀流で、アルマを滅多斬りにしてゆく!
「ああァァーッ!?」
 巨剣で防御しようにも、バーンの動きについて来れずに空振りに終わってしまう。
 溢れ出るアルマの鮮血。
 これに即発されたのか、バーンはアルマの背後から首筋に歯を立てて血を啜り始めた。
「いやァァァッ!?」
 未体験の恐怖がアルマを襲う。
 だが、バーンは顔をしかめると、アルマを蹴飛ばして袈裟斬りに伏した。
 そして、口の中の血液を地面に吐き出す。
「……不味い」
「し、失礼ね! 勝手に私の血を啜っておいて!」
「ほざけ。いつも貴様がやっていることだ。……誰かに食われる気分はどうだ?」
 バーンの言葉に苛立ちを更に増すアルマ。
 その態度に、バーンはやれやれと肩を竦めた。
「なんと身勝手な。もう少し、自らの身に降り掛かった絶望を楽しめ、小娘よ」
「私は……他の誰かが絶望しているところを見たいの!」
 アルマはやむを得ず戦略的撤退を開始。
 他の猟兵達は、これを追撃する形に移ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

枸橘・水織
これでやれるところまではやるんだから…
UCを使用【全力魔法】、攻撃力強化で魔力弾の弾数を強化
血鎖の鞭を防ぐために幾つかは自分の周囲を旋回させ、残りは相手へと放つ

相手と呪いの鎖で繋がれたら
(自分の指先を切るなどして、相手の負傷のみか、互いの負傷が互いに転写されるか確認して)

前者なら…
『ABW』で攻撃…というよりは大量の水(実際は泡の中いっぱいに水を込めたもの)を何発も放ち、【結界術+範囲攻撃】で水の中に閉じ込めて溺死
…を狙う

後者なら、まずグラビティハンマーで自分の足(の骨)を砕いて【部位破壊・重量攻撃】歩けなくしてから、上記の行動を実行…両足の痛みは【激痛耐性】でこらえ、翼を使って移動する



 枸橘・水織(オラトリオのウィザード・f11304)は『絶望卿』アルマ・アークナイツの血鎖の鞭を、ユーベルコード『ENERGY・ALCHEMY』の魔法弾幕でぎりぎり凌いでいた。
「速い……! でも、これでやれるところまではやるんだから……」
「どうしたの? 弾数足りてる? いつまでこれを弾き返せるかなぁ?」
 アルマの血鎖の鞭がしなるたびに、盾として温存していた魔法弾が炸裂して跳ね返す。
 だが、それも残り僅かになっていた。
 戦況は一方的になぶられる状態で、枸橘はアルマの攻撃から逃げ続けるしか出来ない。
「攻撃を……攻撃をしないと……」
 焦る枸橘は、ALCHEMY・Rodから錬金魔法を行使し、アルマへ追加の魔法弾を放たんと身構えた。
 だが、その一瞬の動きをアルマが見切っていた。
「ほら、右足がお留守だわ!」
「きゃあっ!?」
 枸橘は鞭で絡め取られた右足が焼け焦げてしまう。。
 更に呪いの鎖が互いを捕縛し、逃げられなくなる。
「足が……いや……みおの、足がぁ……!」
 右足の激痛に、枸橘は絶望してしまう。
 これではもう使い物にならないだろう。
「あら、お気の毒さま? いいわよ、その絶望の顔! それが見たかった!」
 アルマは喜々として枸橘が苦しむさまを恍惚の表情で眺めていた。
 しかし、枸橘はまだ諦めてなかった。
「この鎖……みおのダメージも伝播するはずだよね? だったら……!」
 枸橘は吹っ飛んだ右足の傷口をグラビティハンマーで強打!
「あなたも、右足なくなっちゃえ!」
「えっ……?」
 グチャッと腐った果実が潰れるような音がすると、アルマの右足が骨ごと歪んだ。
 先程の猟兵がやってのけた通り、呪いの鎖で繋がれた相手へ自身のダメージが全て肩代わりされる。
「いやァァァ!? 私の、私の足がァァァ!」
「まだまだだよ……!」
 今度は枸橘自身を水泡で覆い、自らを溺れさせる。
 すると、ダメージの全てがアルマへ押しやられ、空気中で溺死するという珍事を引き起こしてしまう。
「ゴボッ!? アガッ……! げ、限界だわ!」
 堪らずアルマは鎖を解除。
 枸橘は失った右足の代わりに、錬金魔法で義足を急ごしらえし、再び地面に立った。
「解除したね? でもこれ以上は……」
 追撃を躊躇う枸橘。
 何より互いのダメージが酷い。
 そのまま背中の翼で飛び上がり、後退してゆく枸橘。
 やむなく、追撃は他の猟兵達に任せるのであった……。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ローズ・ベルシュタイン
【薔薇園の古城】で参加
WIZ判定の行動
アドリブ歓迎

■心情
絶望を作り出そうとは、何とも悪趣味な少女ですわね。
私達の持つ希望は、そう簡単に砕けたりはしませんわよ。

■戦闘
風が導く薔薇の舞踏(UC)を使用して戦いますわね。
敵に【衝撃波】で疾風を放ち、攻撃しますわね。
疾風が命中したら、そのまま【傷口をえぐる】で追撃、
疾風が回避されたら、降り積もった花弁の上に立ち戦闘力を増し
そこから『プリンセス・ローズ』で敵を【スナイパー】で撃ちますわ。

敵の鮮血の恋歌には、悪鬼の地獄を【浄化】しつつ
一時的な不死の力も【破魔】で打ち消しますわ。


リオン・ゲーベンアイン
【薔薇園の古城】
憐れな少女だ
自分がそうなったらどう感じるかも考えないのか?
そう言いながらUCを起動

『絶望卿』の『殺戮者の紋章』によって強化された戦闘能力、それを代償としてワタシは白騎士の未来属性と黒騎士の過去属性を有した二体のオロチを最初に召喚
続いて水、樹、火、土、光、闇、雷のオロチ七体を召喚
そうしてオロチが召喚されるごとに相対的に弱体化していく『絶望卿』
なまじ、強いから代償系UCの常識に囚われて『代償を敵の戦闘能力に指定し、敵を弱体化させる』という点に思い当たらないか
そうして更に三体のオロチを召喚すると同時に『絶望卿』を弱体化
敵のUCは未来属性と過去属性を用いて因果に干渉し、回避する



 片足を潰され、機動力を著しく失った絶望卿のアルマ。
 そこへ新たな猟兵が追撃してくる。
「絶望を作り出そうとは、何とも悪趣味な少女ですわね?」
 夕日のように赤く輝く髪をなびかせ、ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)が薔薇の精霊の魔法力を宿した銃『プリンセス・ローズ』のグリップを握ったまま飛び込んでくる。
 その隣で、小川の清流の如き藍色のポニーテールを弾ませながらリオン・ゲーベンアイン(純白と透明の二つの無垢を司る弓使い・f23867)が並走する。
「憐れな少女だ。自分がそうなったらどう感じるかも考えないのか?」
 そう語るのは、リオンの中に存在する2つの自我のうちの片方……『透明』だ。
「実際、片足が潰されたみたいだが、あなたは絶望しないのか?」
 リオンの問い掛けにアルマが即答する。
「最終的にあなた達を全員ぶっ殺せば済む話だもの! なんで私が絶望する必要があるのっ?」
「そうか。そもそもあなたとワタシは思考の出発点そのものが掛け離れすぎてるのか。どうりで……」
 言葉が通じないはずだ、と漏らしたリオン。
 弓を引っ込めると、空間に幾重にも魔法陣を描き始めた。
 ローズはリオンのユーベルコードが完成するまでの間、アルマの注意を引くべく前へ出る。
「そちらが絶望する気がないのはよく理解できましたわ。でも、お生憎様です。私達の持つ希望は、そう簡単に砕けたりはしませんわよ?」
 真っ赤なパンプスをカンカンと鳴らした途端、ローズは夕焼け色の薔薇の花弁を乗せた一陣の疾風となってアルマへ突撃!
「薔薇よ、風に乗りて舞い踊りなさい! 『風が導く薔薇の舞踏(ローゼ・ヴィント)』!」
「きゃあっ!?」
 機動力を潰されたアルマは、この素早い攻撃を回避することが出来ない。
 まともにバラの花弁と衝撃波をその身に浴びて、木の葉のように翻りながら吹き飛ばされてしまった。
 しかし、空中で舞っている間に、アルマは殺意を戦闘力そのものに変える無数の殺戮剣を戦場に降らせて、戦場にいる全てのものに一時的な不死を与えた。
「ざんねーん! これで私もあなたも、死ぬことはなくなったわ! これで心ゆくまで刻みまくって、もう辞めてくださいって懇願するまで心を壊してあげるわ!」
 勝ち誇るアルマ。
 一時的な不死の効果からか、負傷した足もいつの間にか元通りだ。
 だがそれでも、ローズは諦めたりはしない。
「本当に不死性を得たのか、少々試して差し上げますわ」
 足元には、風で舞ったバラの花弁が積もる。
 その上に立つローズの戦闘力が強化され、敵を狙撃する集中力に磨きがかかる。
「――そこですわ!」
 緋色の銃の撃鉄が跳ね上がると、銃口から白光とともに銃弾が放たれた。
 その銃弾は、寸分の狂いなくアルマの眉間を穿っていった。
「カハ――ッ!」
 銃撃のショックで白目を剥くアルマ。
 だが、傷はゆっくり治癒してゆき、脳内に減り込んだ弾丸が外へ押し出されてしまった。
「あはははは! 効かないのよ! だって私、今は不死だから!」
 アルマの哄笑に、ローズは顔色ひとつ変えずに断言した。
「なるほど? 本当に死ぬことがないのですね。では、もう時間稼ぎする必要はありません」
「……は?」
 アルマは自分の体の力が抜けてゆくのを感じだ。
「なに……この、得体のしれない虚脱感は……?」
「ワタシが召喚した2体のオロチのせいだ」
 リオンのユーベルコード『七曜を越えて不条理を弾劾する荒御魂は八岐たる大蛇(ストライク・ザ・オロチウィーク)』がようやく発動したのだ。
「あなたが力を吸われるのは、ワタシがユーベルコードで支払った代償のせいだ。その代償は……『敵の戦闘力』。つまりあなたの戦う力を拝借させてもらった」
「なん、ですって……?」
 膝を付くアルマの前には、黒白2体のオロチが鎌首をもたげて見詰めていた。
「無駄な抵抗は止してもらいたい……。この2体は、白が未来予知、黒が過去改竄を司る時空操作の能力を持つ。あなたがこれから何をしようとするかは、全てワタシが手にとるように把握できる」
「知ったことを!」 
 アルマが巨剣を術者のリオンへ投げつけるアルマ。
 だが、それを水、樹、火、土、光、闇、雷の7色のオロチが遮る。
 更に戦闘力を代償として取り上げられたアルマは、疲労感に苛まれて肩で大きく息を吸い始めた。
「なまじ、強いから代償系UCの常識に囚われて『代償を敵の戦闘能力に指定し、敵を弱体化させる』という点に思い当たらないか」
「そんな事、出来て堪るもんか!」
 アルマは空中に生成した巨大魔方陣を出現させると、それを瞬かせて行動速度を倍加させた。
 そのまま殺戮剣を怪力任せに振り回し、リオンの頭上へ殺戮剣9連撃を振り下ろす!
「遅いね! 殺った!」
 完全にリオンの身体の正中線を捉える殺戮剣。
 しかし、リオンは最初から攻撃の軌道を未来予知で読み切っており、過去改竄で『攻撃が当たらない事実』を生み出したのだ。
 結果、リオンはアルマの攻撃を100%回避してみせたのだ。
「未来はすでにワタシの手中。更にオロチを追加……」
「ぅぐ……っ! 身体に力が入らない……!」
 追加で呼び出されたオロチ含め、12体のオロチが一斉にアルマへ襲い掛かる。
 締め上げられ、噛み付かれ、アルマは無防備な状態をローズに晒してしまう。
 もはやユーベルコードを維持する余裕なんてなく、不死性が解除されたことを悟ったローズは、今度こそ緋色の銃の照準をアルマの胸元へ合わせる。
「夕焼けは闇を引き連れますが、いずれ夜が明けて希望の光が世界に満ちるのです。それを邪魔するというのなら、夕焼けの薔薇騎士たるこの私の浄化の銃弾でそれを思い知らしめて差し上げますわ!」
 発砲音が戦場に鳴り響けば、アルマの胸元から鮮血の花弁が噴き上がっていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイ・キャスケット(サポート)
アルダワ魔法学園の生徒であり謎解きや冒険となると首を突っ込まずには居られない

性格は明るくポジティブ
性善説的な考え方が強く非オビリビオン相手であれば甘すぎる慈悲を与えることも
楽しければ悪ノリする部分もあり、またその場のノリに流されやすいことも


一人称はボク
二人称はキミ
三人称は年上は~さん、年下は~くん、~ちゃん

戦闘では『ブランクソード』と高速詠唱を軸にした七色の属性攻撃で敵を翻弄するオールレンジラウンダー
得意な戦法は挑発やフェイントを多用したイヤガラセからの主導権奪取
状況に応じ回復も使い分ける万能型だが、体力は並程度を魔力ブーストで補う

明確な弱点は水中、水上行動を極端に嫌うことである



「私の作った悪鬼の地獄さえ突破するなんて……!」
 絶望卿のアルマは、猟兵達の起点と攻撃力に徐々に押されていく。
 そこへ駆け付けたサポート猟兵、レイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん・f09183)がアルマへ挑んだ。
「キミがこの世界の人類の快挙を絶望に叩き込もうとしているオブリビオンなのかな?」
「だったらどうなの?」
 アルマは天から巨大な殺戮剣を降らせ、再び戦場を地獄へ買えてゆく。
 この地獄の中に存在する者達は、一時的な不死を獲得するため、何度殺されても蘇ってしまう。
 そうやって何度も殺すことで、戦う相手の心を摩耗させて絶望させるのがアルマのやり方だ。
「まずはそのキレイなお顔を真っ二つに割ってあげる!」
 殺戮剣を最上段からレイの顔面へ叩きつけるアルマ。
 だが、それは七色の剣身を吹き上げる、柄だけの魔法剣によって阻まれた。
「そういうの、お断りしてるんで。てか、心を摩耗させるより、フツーに戦って勝ったほうが、心を折るのに手っ取り早くない?」
「うるさい!」
 アルマの次撃も鍔迫り合いで封じられ、両者睨み合いが続く。
 と、っこでレイの身体に虹色の羽衣が出現して纏い出す。
 途端、信じられないほどの膂力でアルマは後ろへ押し返されたのだ。
「ふぅ、ようやく『注目効果(ヘイト・コンバーター)』が発動してくれたか。意識してもしなくても、それはそれでボクの術中ってわけだけど」
 このユーベルコードは、レイが虹色の羽衣を纏っている間、敵意が彼女へ向けられるほどパワーアップするのだ。更に生命力吸収まで可能となる。
「不死だっていうなら、どれだけ生命力を吸い取っても死なないってことだよね? それじゃ、遠慮なく吸い尽くすね!」
 虹色の輝きの剣で斬り伏せられたアルマのほうが音を上げるほど、レイの攻撃は苛烈で凄まじかった……!

成功 🔵​🔵​🔴​

ナターシャ・フォーサイス
貴女が絶望卿なのですね。
使徒として信条は否定しませんが、その愛は愛と呼べぬもの。
そも哀れな魂であるのなら、使徒としてすべきことはひとつ。
故に…貴女もまた、楽園へ導きましょう。

真の姿を解放します。
天使達を呼び、結界を張りましょう。
貴女もまた哀れな魂であるならば、救済されるべきもの。
その力を封じ、誘うのです。
そも、不死を得たならば枷が外れることになるのですから、喜ばしいことではあるのですけどね?
味方へは反射の加護を。
これで、かの愛を受けても倒れることはないでしょう。

力を封じたら、次は紋章ですか。
天使達と共に【高速詠唱】【全力魔法】【焼却】【範囲攻撃】の聖なる光を以て、諸共焼き祓いましょう。


織座・このみ
ようやく悲願を遂げた方々ですよぅ。その邪魔はさせられませんねぇ。

●行動
ユーベルコード:多重降臨・神軍顕現
を使いますよぅ

姉様と二人で鉾先鈴を手に
【祈り】を込めた神楽舞を奉げまして、
皆さまに神霊を降ろして強化させていただきますねぇ
「皆さま、まいりますよぅ」

舞の最中に攻撃されるようでしたら
【野生の感】や【第六感】で舞いながらも避けますよぅ
避けきれないようでしたら【結界術】で防ぎますねぇ



※内心・思考の口調は、プレイング記述の話し言葉と違い、訛り気味
人前では狐面外さない
協力、アドリブ歓迎



 破竹の勢いで絶望卿アルマを攻め立てる猟兵達。
 この勢いに乗って攻勢に出たのは、ナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)と織座・このみ(半身は焔となりて傍らに・f04890)だ。
「貴女が絶望卿なのですね」
 ナターシャがアルマに語り掛ける。
「使徒として、貴女の信条は否定しません。ですが、その愛は愛と呼べぬもの。そも哀れな魂であるのなら、使徒としてすべきことはひとつ」
 聖祓杖『アルカディア』を掲げ、ナターシャは自らの使命を果たすべく宣言した。
「故に……貴女もまた、楽園へ導きましょう」
 途端、その姿が真の姿……天使を模した戦乙女へと変貌を遂げた。
 一方、このみは即座にユーベルコード『多重降臨・神軍顕現』を発動させる。
「ようやく悲願を遂げた方々ですよぅ。その邪魔はさせられませんねぇ。姉様、力を貸して下さいねぇ」
 このみが願った瞬間、炎で身体が構成された双子の姉の『このか』が現れた。
 姿形はよく似ているが、巫女服の矢羽柄の色や狐面の色が違う。
 だが手にした鉾先神楽鈴は全く同じものであった。
「演舞、奉納………神軍――顕現!」
 鈴の音を聞いて共感した者へ、神霊をその身に宿させて戦闘力の底上げを図る2人。
 当然、自身らにも降霊させており、2人が踊る周囲は霊的結界を張り巡らして守りは万全だ。
「ご支援、感謝します……! 私の身に天使が舞い降りてきます……!」
 ナターシャには天使が降霊してきたようで、感涙に目端を濡らしていた。
「さあ、天使達。まだ見ぬ楽園、その一端。我らが同胞を救い誘うため、光を以て導きましょう」
 ユーベルコード『召喚:楽園の祝福(サモン・グレイス)』発動!
 召喚された天使達は、戦場に守護結界を展開する。
「貴女もまた哀れな魂であるならば、救済されるべきもの。その力を封じ、誘うのです」
 その言葉通り、アルマを救済したいとナターシャが願った時から、天使達が味方へ、敵の攻撃に対する反射の加護を授けるのだ。
 更に天使達はアルマへ向けて、敵ユーベルコードを封じ闇祓う聖なる光を照射!
「ううぅっ!? 何よ、眩しいじゃない!」
 全方位から聖光を照射されたアルマは、自身のユーベルコードによる不死性を手放すことになった。
「しまったわ! この光、私のユーベルコードを……っ!?」
「ふふ……っ。そも、不死を得たならば枷が外れることになるのですから、喜ばしいことではあるのですけどね? ですが、今は優先順位がありますので」
「優先順位?」
 アルマが訝しがると、ナターシャはグリモア猟兵の予知で知った情報を突き付けた。
「そのマントの下に、かの『殺戮者の紋章』を宿していられるのでは?」
「なんで、その事を!」
「その狼狽ぶり、やはりそうでしたか」
 ナターシャはたおやかに微笑みながら、聖祓杖をアルマに突き付ける。
「その紋章ごと、聖なる光で悪と闇を焼き払って差し上げましょう」
「ふ……ふざけないでっ!」
 アルマは巨大な殺戮剣を振りかざし、織座姉妹へ飛び掛かった。
「無防備なこっちをまず殺してあげる!」
「無駄ですよぅ?」
 このみは姉とともに奉納神楽を力強く舞い続ける。
 そうすることで、自前の結界の強度が強くなり、更にナターシャの展開した反射結界も出力が上がる。
 一見、何も存在しないように見える空間に殺戮剣が振り下ろされると、アルマの身体が爆ぜるように血を噴き出してしまった。
「ぎゃあああっ!?」
 反射結界の威力は絶大であった。
 斬れば斬られ、殴れば殴られる。
 巨大な殺戮剣で攻撃すれば、その凄まじい自重と膂力がアルマ自身へ跳ね返ってくるのだ。
「がハッ……!? 一体、何が起きたの……!?」
 理解に苦しむアルマへ、このみがナターシャへ合図を送る。
「ささ、今が好機です。まいりますよぅ」
「ええ、決めましょう。天使達、かの者へ救済の聖光があらんことを」
 聖祓杖の先端が眩い光を放ち始めると、これに呼応した天使達も掌から光線を発射!
 全方位を聖光で焼かれるアルマが隠していた『殺戮の紋章』が、背中でもがき苦しむように蠢き始めた。
「駄目……! 今、紋章がなくなったら……私は、使命を全うできなくなる……!」
「もう、貴女は使命を全うしなくていいのです。さあ、楽園はすぐそこに」
 ナターシャの宣言で、天使達は更に加護を強めていくと、光量が更に強くなってゆき、アルマは皮膚が焼かれる苦しみと背中の『紋章』の制御の二重苦を味わうことになった……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シホ・エーデルワイス
移動中
味方を【復世】で癒す

『ルノ』と別行動


私が囮になり
第六感と聞き耳で殺戮剣を見切り
ダンスの様な動きで残像回避か
激痛耐性のオーラで防御
『聖剣』で適時回復し時間稼ぎ


私は…前世の罪を思い出した時
自殺を試みました
でも
【贖罪】が自動発動し死ねなかった

泣き尽した時
死ねないのなら
救いを望む人達の盾になろうと決めました
だから
この程度で私の覚悟は折れません!


紋章の場所を読心術で情報収集し分かったら
『聖笄』で目立たず忍び足で移動していたルノに伝え
マントの下を暗視し追跡誘導弾でスナイパー貫通攻撃してもらう


戦後
負傷した救済者達を【復世】で癒す

今回の戦いは通過点に過ぎません
この先も絶望せず希望を見失わないよう祈ります



 天使達の浄化のあとに、本物の天使(オラトリオ)が戦場に舞い降りた。
「絶望卿アルマさんですね? あなたを止めに参りました」
 純白の両翼を広げて地面へ降り立ったシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は、ゴシックドレスのスカート裾を摘んで一礼してみせた。
 満身創痍のアルマは、突如現れたシホに怪訝な表情を向けた。
「……私も此処まで追い込まれるとは思ってなかったもの。けど、最後まで私は絶望を諦めないわ!」
 殺戮剣を天から降らせ、この場にいる者全てに一時的な不死性を宿した。
「これで私も死ぬことはないわ! どこからでも掛かってきなさいよ!」
 挑発するアルマだが、シホは全くその場から動こうとしなかった。
「アルマさん、少し、お話を聞いてくれませんか?」
「え、話って?」
 シホは両腕を広げ、アルマを受け入れるような姿勢で呼び掛けた。
 だが、アルマはそれを無視してシホの腹へと剣を突き刺す!
「誰が聞くものですか! ほら! 激痛で泣き叫びなさいよ! 内臓を引きずり出されて発狂しなさいよ!」
 アルマの残額な攻撃は、思わず顔を背けたくなるほど凄惨な遣り口だった。
 しかし、シホは全く痛みに顔を歪めるどころか、血濡れた顔で微笑んでみせたではないか!
「げぇ……この女、腹の中かき回されて笑ってるわ……!」
 想定外の反応に、アルマのほうが怖気づいてしまう。
「私はかつて……とある街の人々を救おうとしました。街を蝕む瘴気汚染、人々の安全のためには、汚染者を纏めて“駆除”するほかありませんでした。ですが、それは紛れもない大量殺人行為。私は……磔刑にされて殺されました……前世の、話です」
 ごぷぷ……と水音を立てながら、シホは自身に突き刺さった殺戮剣を抜き取る。
 途端、逆再生映像のごとくシホの傷口がたちまち塞がり、肉体が復元されてゆくのだ。
「そして、様々な要因が奇跡的に折り重なり、私は猟兵として再び此世に蘇りました。暫くは前世の記憶を喪失していましたが、ある任務で全てを思い出しました。その時、私は……死にたいと思ったのです」
 シホは手にした聖剣で、自らの頸動脈を切り裂いてみせた。
 噴出する動脈血がアルマに浴びせられてゆく!
 だが、それも数秒で収まり、気が付けばシホの首の傷は完全に治癒されていた。
「見ましたか? 私は、当時も自殺を図りましたが……ユーベルコードで死ぬことが出来ず、傷は自動で完治してしまうのです。ちょうど、今、あなたがユーベルコードで不死性を獲得しているように」
 ――私は、最初から死ねないのですよ。
 シホの告白に、アルマの顔の血の気が引いてゆく。
「な、なによ、それ? 死なない猟兵? ふざけないで!」
「ふざけてなどいません。最初こそ、貴女の大好きな絶望に囚われていました。ですが、散々泣き尽した時、全てを悟ったのです。何をやっても死ねないのなら、いっそ救いを望む人達の盾になろう、と。そう決めました」
 聖剣パッシモンの自動再生力の後押しもあり、シホの肉体復元力はユーベルコードの効果によって最大限まで引き上げられている。
 これこそが、シホの宿命めいたユーベルコード『【復世】世界記録の復元(フクセイ・アカシックレコードノフクゲン)』である。
「だから、あなたの剣では私は死にません。この程度で、私の覚悟は折れません!」
 シホはユーベルコードを最大出力で解き放てば、負傷した猟兵達をあっという間に治癒・復元していった。オラトリオの身体が聖なる輝きを放ち、照らされた猟兵は再び全快して立ち上がる。
「私のユーベルコードで、猟兵の皆さんも何度だって立ち上がれます。もう、あなたに勝ち目はありません!」
「だったら、脳味噌ごと斬り刻んで思考できなくさせてあげる!」
 アルマはノーガードで殺戮剣を振りかぶってシホへ特攻!
「可愛いお顔をミンチにしちゃおっと!」
 暴風が如き剣の一撃がシホの眼前に迫る!
 だが、あと数センチ……シホの鼻先で殺戮剣の刃が止まった。
『シホばっかり見てると、後ろがガラ空きだよ?』
 アルマの背後へ忍び寄った精霊人形のルノの周囲には、シホ愛用の黒白の二挺拳銃が浮遊していた。
 実は、シホの紫陽花柄のヘアバンドでルノと絶えず連絡を取り合っており、打ち合わせした通りに奇襲をルノは成功させた。
 ルノの能力でシホの二挺拳銃を操作、敵の背後に宿っている『殺戮の紋章』へ狙撃を行ったのだ。
 放たれた銃弾は、寸分の狂いなく『紋章』を貫通し、アルマの心臓にも風穴を開けてみせた。
「――ぁ、……んな、ば……かな……?」
 遂にアルマは力なくその場に崩れ落ちた。
「こ……が、ぜつ、ぼ、ぅ……」
 死にゆく絶望卿は、己の絶望に満足そうな笑みを浮かべたまま事切れたのだった……。

 戦後も、負傷した救済者達を【復世】で癒すシホ。
「そろそろ戻りましょうか。今回の戦いは通過点に過ぎません。この先も絶望せず希望を見失わないよう祈りましょう……」
 シホは胸元で十字を切って、暗黒の空へ聖なる祈りを捧げる。
 今日、人類は地上で自由を勝ち取った。
 この自由を今度は守り抜く責務が生まれる。
 シホの言葉通り、希望を見失わないようにドンザキアの民は奮起しなくてはならないだろう。
 だが、今は勝利の宴を共に愉しむのが先決だ。
 シホは他の猟兵達を治癒し終えると、宴会で盛り上がっているだろう反抗軍のもとへ、文字通り背中の翼で飛んでいったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月19日


挿絵イラスト