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ふたつの国旗、ひとつの祖国

#クロムキャバリア #アザリア皇国

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#クロムキャバリア
#アザリア皇国


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●補助的作戦
「オウル07よりヴァイパー、バンディット探知。方位0-3-0、高度500、進路2-5-5。現時刻をもって貴隊への電波輻射管制解除する。迎撃せよ」
「オウル04よりスカイシャーク。方位3-0-0よりヴァンパイア! 貴隊を指向している。回避せよ、回避せよ!」
「クロウ01よりランチボックス。敵レーダーサイトへの攻撃完了。全機ウィンチェスター。帰投する」
 アザリア皇国とアザリア連邦共和国。二つのアザリアと呼称される分断国家同士が奪い合うエーゲル島の上空は、レーダー波と爆轟、そして無線に乗せられた数多の声が入り乱れる修羅場と化している。
 先の海戦によってエーゲル島周辺の海上優勢を確保した皇国軍は、同島に対する揚陸作戦を実施するための下準備として、連邦共和国軍戦力の減殺を図るべく航空攻撃を実施しているのだった。
 皇国と連邦共和国、どちらも強力な海洋国家であり、水陸両用作戦についての戦術は熟練の域に達している。さらに付け加えるならば、重要な地域であるエーゲル島の緊要地形は両軍ともに研究し尽くしており、その事実が戦闘の熾烈さに拍車をかけていた。
「オウル02よりマイティ。SAMサイトへの砲撃を要請する。目標座標、0.5.8.5.5。着弾観測はピクシー03が実施する」
 今やエーゲル島の大半をその主砲射程内に収めた皇国艦隊の戦艦群もまたその戦闘に投入されている。オウル02が示した目標座標は、プラントが存在する島の中心付近。細心の注意をもって放たれた主砲弾は、その目標に到達する直前に空中にて四散する。
「――ッ!? ピクシー03よりマイティ、砲撃は目標到達前に迎撃された。迎撃に使用された兵器は不明、いや、待ってくれ、あれは……」
 着弾観測を担当した偵察機のパイロットは、超音速で飛来する砲弾が正確に迎撃された事に驚愕しつつも、迎撃を行ったと思われる地上目標に向かって目を凝らす。パイロットがそれを視界に捉えると同時に、レーダー照射警報が鳴り響く。
「ピクシー03よりオウル02! 周辺空域に退避警報を出してくれ、敵は――」
 パイロットが警告を発し終える前に、無線はホワイトノイズに包まれる。ピクシー03の周辺に存在した皇国軍機の反応が一斉に消失したのは、それとほぼ同一のタイミングであった。

●上陸支援
「状況を説明いたします」
 グリモアベース内のブリーフィングルームにて、奉仕人形ティー・アラベリアは無機質な瞳を猟兵達に向け、同様に無感情な鈴声を響かせる。
 薄暗いブリーフィングルームに投影される三次元地図には、分割国家であるアザリア皇国とアザリア連邦共和国が熾烈な奪い合いを繰り広げている戦場、エーゲル島の詳細な地形図が投影されていた。
 エーゲル島は複数の海底火山の隆起によって形成された、島嶼国家たるアザリア皇国において本土に次ぐ面積を持つ地域である。
「現在、アザリア連邦共和国が占拠するエーゲル島において、陸戦型オブリビオンマシンの存在が確認されております。同島の奪還のため派遣されているアザリア皇国の水陸両用戦隊と協同し、陸戦型オブリビオンマシンを撃破することが今回の依頼となります」
 敵戦力を示す赤い光点は、凡そ一個師団規模。上陸可能な海岸線は勿論、同島に張り巡らされた幹線道路に沿う形で配置されている。どの地点に上陸されたとしても主力を急行させられる戦力配置であった。
「エーゲル島奪還のために実施される作戦は、大きく三つの段階で構成されます。即ち、海岸線における橋頭保の確保及び保持。内陸部への戦果拡張。最重要目標であるプラントの確保でございます。オブリビオンマシンはプラント周辺に展開しているため、接触は作戦最終盤となるでしょう」
 活発な火山活動によって形成された地形は起伏に富み、海岸線の大半は断崖絶壁であるため、エーゲル島奪還のために必要な戦力を揚陸できる地点は限られる。
「第一段階となる海岸線の確保は、既に敵が守りを固めている海岸部への水陸両用強襲となるため、極めて激甚な戦闘が予想されます。現地部隊との協議の結果、我々は皇国軍上陸部隊に対して直接支援及び間接支援を提供する事となりました」
 ティーの言葉と連動するように、三次元地図が上陸予定地点を中心に拡大される。
「まず、直接支援は言葉の通り、強襲を行う皇国軍部隊の直接援護となります。敵は海岸線に極めて強固なトーチカを主体とした防衛線を構築しており、これらの無力化が主目的となります」
 海岸線に構築された防御陣地は大半がアザリア皇国が構築したものを連邦共和国軍が再利用した物であり、敵がエーゲル島を占拠した際に破壊されたものも少なくない。
 エーゲル島占領からさほど時間がたっていない現状、本格的な修理を実施するだけの時間があったとは考えにくく、陣地線の間隙を発見することは不可能ではないとティーは付け加える。
「既にエーゲル島周辺の海上優勢および航空優勢は確保されているため、展開した皇国艦隊からの航空支援及び戦艦の艦砲をはじめとした火力支援を受けることが可能です。特に戦艦の主砲弾が直撃すれば、トーチカであっても破壊することが可能でしょう。しかし、敵もまた後方の砲兵陣地からの支援を受けておりますので、くれぐれもご用心くださいませ」
 ティーはいったん言葉を区切ると、銀の短杖を用いて三次元地図を操作する。中心が海岸線から数十キロほど離れた内陸部へと移り、所々が赤い帯状の光によって強調される。知見のあるものが見れば、それが敵砲兵の展開予測地点であることが推察できるだろう。
「間接支援とは、事前にエーゲル島内に潜伏した特殊部隊と協同した、エーゲル島内部に存在する砲兵陣地、物資集積地点に対しての捜索・破壊工作となります。想定される敵戦力は各地点に展開している歩兵及びキャバリアとなります」
 後方からの阻止砲撃を減殺することによる影響は、熾烈極まる上陸作戦において致命的な影響たり得る。純粋に死傷者の減少を見込めるだけでなく、逆襲に転ずる敵の意図を妨害する効果を見込めるだろうと付け加え、ティーは間接支援に関する説明を締めくくる。
「最後に、本依頼における撃破対象たるオブリビオンマシンについてご説明いたします」
 投影された三次元地図が切り替わり、キャバリアと言うにはあまりにも巨大な機影が映し出される。
 首長竜を装甲化したかのような外観は、人型かつ全高5メートルと言う一般的なキャバリアの常識からは逸脱した物であった。四本足で大地を踏みしめ、大出力のレーザーで周囲を薙ぎ払う様は、キャバリアと言うよりは移動型の要塞を彷彿とさせる。
「航空偵察及びシギントの結果、敵機体は機動殲龍『裁断』と同定されております。その巨体に高性能な捜索、火器管制レーダーを備え、高出力レーザーを主兵装とした極めて強力なオブリビオンマシンです。また、当該オブリビオンマシンがエーゲル島に存在する敵戦力の指揮機能を保持しているとの報告も上がっております。対キャバリア戦闘と言うよりは、攻城戦のような戦いとなるでしょう」
 どこまでも無感動に、しかしその相貌には笑みを張り付けながらティーはブリーフィングを締めくくる。三次元地図の朧げな光をかき消すように、グリモアの輝きが周囲を満たす。
「皆様、良い戦場を。どうかご無事で帰還なされますよう」


あーるぐれい
 ごきげんよう皆さま。あーるぐれいでございます。
 今回のシナリオは、敵国に占拠された領土に対する揚陸作戦を成功に導きつつ、超大型オブリビオンマシンを撃破するシナリオとなります。
 前回のシナリオ「戦闘旗は天祐と共に」からの続き物となっていますが、前回のシナリオの参加有無にかかわらず参加可能なシナリオとなっております。
 味方の陸海空戦力を活用しつつ、ジャイアントキリングを達成しましょう。

●第一章
 「水陸両用強襲を行う皇国軍部隊に対して、直接的な上陸支援を行う」「事前に上陸している特殊部隊と協同して、後方の砲兵陣地や物資集積地点を襲撃する間接支援」という大きく二通りの行動を選択することが可能となっております。
 前者は装甲または機動力と火力が必要となり、後者は隠密行動と迅速な制圧能力が必要となるでしょう。
 どちらかが欠けても作戦遂行は可能ですが、被害状況によっては次章からのボーナスが発生する可能性があります。

●第二章
 第一章の結果によって展開が変動いたします。
 味方の上陸完了後に発起される、敵または味方の攻撃行動に対処する事となるでしょう。

●第三章
 敵巨大オブリビオンマシンの戦闘となります。味方部隊の支援を受けつつ、強大な敵オブリビオンマシンを撃破しましょう。

●プレイング受付期間
 各章とも断章冒頭に記載されている日時からプレイング受付を開始いたします。
 各章にプレイング受付締め切りを設ける場合は、シナリオタグ及びMSページにてご連絡いたします。
 また、プレイングの採用方針や記載方針等についても、同様にMSページをご確認いただければ幸いです。
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第1章 冒険 『友軍部隊の上陸作戦を援護せよ!』

POW   :    重装甲・高火力を活かし、友軍上陸部隊の随伴護衛を担当する

SPD   :    機動力を活かし、別動隊として上陸。友軍の侵攻拠点や侵入路を確保する

WIZ   :    情報収集力・指揮能力を活かし、友軍を安全な上陸地点へと誘導する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●引き裂かれたもの
「この玩具は、思った以上に使えるようだね」
 皇国軍空戦機の群れを瞬く間に撃墜せしめたオブリビオンマシン、その内部に存在する戦闘指揮所に、穏やかな声が響く。
 声の主は、色気のない眼鏡をかけた、老年に差し掛かりつつある男であった。
 理知的な金の瞳で静かにモニタを見つめる様は、先入観なき人間がみれば老教授を思わせる風体である。しかし、瞳と同じ色を持った髪を軍帽に収め、二つの星を持つ襟章が縫い付けられた連邦共和国陸軍の将校服を一分の隙なく着こなすその姿は、彼が老練な軍人であることを示していた。
「海岸陣地の修復はどうだね」
「七割五分といったところです、アーダルベルト閣下。作業用のキャバリアを総動員しておりますが、これ以上の進捗は望めないかと」
 アーダルベルトと呼ばれた老将軍は後方幕僚の返答に頷くと、懐から細巻きを取り出し、年代物の、しかしよく手入れされた真鍮製のオイルライターを使い火をつける。自らの上官が決してそのライター以外の物で自らの細巻きに火をつけることはないと知っている幕僚は、ただ黙して自らの上官の言葉を待つ。
「修復は切り上げてよろしい。脆弱部は地雷を使用して塞ぐ。ルーシェ製の自走地雷があっただろう、それも使ってよろしい」
 エーゲル島を保持し続けるには十分とは言い難い一個師団という戦力で、優勢な皇国軍部隊を迎撃するために練られた戦闘方針。その中では、海岸線の保持は必ずしも必須の目標ではない。海岸線を防衛する部隊に与えられた命令は、敵上陸戦力の減殺と遅滞防御であった。
「火砲の損害はどうか」
「防空部隊は良く働いてくれました。いくらかは叩かれましたが、損耗は想定を下回っております」
「大変結構。20年前と比べれば、幾分かはましというわけだね」
 老将の諧謔に、そのようですと幕僚たちからは笑みがこぼれる。戦闘指揮所に詰めた軍人たちは、かつて皇国軍人としてルーシェ誓約連合の戦闘魔導師団を相手に、絶望的な後退戦闘を行った男女の集まりでもあった。
「本格的な強襲は払暁だろう。当然、事前にコマンドを用いた後方浸透も行ってくる。今のうちに休んでおきたまえ」
 幕僚たちが退出し、一人指揮所に残ったアーダルベルトは、手に持ったオイルライターに目を向ける。
彼にそれを贈った妻と娘は、今や敵国の人間であった。

「中尉、アーダルベルト中尉」
 皇国軍強襲揚陸艦「オーデル」の士官食堂にて、ラウラ・アーダルベルト中尉は野太い声によって思考の海から現実へと引き戻される。
 声のもとに目を向ければ、皇国海兵の軍服を身に纏った彼女の上官、皇国海兵第3師団第2連隊長の姿が視界へと飛び込んでくる。
「れ、連隊長殿!」 
 ほぼ条件反射的に立ち上がった彼女から、型通りの海兵隊式敬礼を受けた連隊長は、苦笑と共に応礼し言葉を続ける。
「緊張しとるようだな」
 思わずはいと正直に答えてしまい、ラウラの白い頬が朱に染まる。その様子を見た連隊長はおかしみを覚えたのか、作りの粗い相貌を崩し大仰に笑う。
「まぁ、初陣は誰だってそうだ。そうやって物思いに耽られるだけ貴官は肝が据わっとるぞ、私なんぞは……いや、やめておこう」
 野戦指揮官という鋳型から鋳造されたような連隊長にも初陣があったのだなと、当然の事を考えながら、ラウラは問う。
「連隊長殿は、初陣をどう乗り越えられたのですか?」
 彼女の問いを予想していたのだろう、そうだなと一つ前置きすると、彼はラウラの対面に腰を下ろす。
「正直に言うと、よく覚えておらん。あの時は指揮官というより戦闘に労力を割かなければならないような状況だったからな。貴官の父君がいなければ、私も北領で死んでいたのは確かだったよ」
 彼の初陣もまた、20年前の戦争であった。彼は、当時の北部領、現在のアザリア連邦共和国本土に奇襲上陸したルーシェ誓約連合との間で繰り広げられた戦闘を戦い抜き、脱出を果たした数少ない軍人のうちの一人である。
「後から振り返ったときの知恵ではあるが、小隊曹長を頼ることだ。あれは憲兵とやり合う趣味さえなければ連隊最先任も務まる男だよ」
 連隊最先任が務まるほどの下士官の意見は、戦場における真理の一種である。兵隊というより匪賊の頭目が似合いそうな顔立ちの、しかし独特の愛嬌のある曹長の顔を思い浮かべながら、ラウラは頷く。
「結局のところ、小隊長の役目は生き残ることだ。そのうえで、部下を掌握し、必要な報告を上げられれば言うことはない」
 それが一番難しいことでもあるがと付け加え、連隊長は立ち上がる。
「30分後に指揮官集合だ。今のうちに、部下を休ませておくといい」
「はっ!ご助言、ありがとうございました」
 とにかくも、生き残る事。確かに、難しいだろうなと、歩き去る連隊長の背を見ながらラウラは思う。
 特に、今回のような作戦においては。
三辻・蒜
キャバリアに乗れない私でも役に立てそうかな
死なない程度に頑張るよ

島内の砲兵陣地襲撃に参加、味方の特殊部隊を支援しようか
火砲は鹵獲した方が良いのかな、部隊と合流したらその辺りは方針確認しておかないとね
私は射撃すると嫌でも目立つから、陽動に利用してくれると良いかも
まずは【羨望の光】で幾らか敵を排除して、私に注意が向いた隙に特殊部隊の人達に動いてもらう感じで
歩兵以外にも陣地防御にキャバリアとか使ってるかもだけど、抵抗するなら排除だね
私の能力がこの世界の兵器にどの程度通用するのかも確かめたいし

特殊部隊の人達がどんな作戦行動を取るのか、直接見れる貴重な機会だよね
良い経験になりそうな、良い戦場かも




 特殊部隊という煌びやかな名称に比して、彼らの任務はどこまでも泥臭く、かつ過酷なものである。特殊潜航艇を使用し、夜陰に乗じてエーゲル島に上陸した皇国海兵特殊作戦部隊が置かれた状況は、まさにその典型であった。
 密生した樹木と膝を隠す程に育った下生えをかき分けながら進む一群の中に、同行を申し出た猟兵、三辻・蒜の姿もある。
 十分な訓練を積んだ屈強な男女ですら難渋する密林の中を、黒の戦闘服に身を包んだ蒜はそのしなやかな体躯を生かして軽やかに進んでいく。顔合わせの際には彼女の若さに面食らっていた特殊部隊員たちでさえも、野生児として育った彼女の身のこなしから尋常ならざるものを感じ取り、部隊斥候と共に先導を任せている。
 不意に、蒜の聴覚に木々や下生えのざわめきとは別種の音を捉える。風に乗り微かに聞こえるは、複数の足音と機械の駆動音。
 蒜は足を止め姿勢を低くすると、支給された小型のインカムを起動する。
「隊長さん、前方から足音と駆動音が聞こえる。足音は複数、駆動音は……おそらく一つ」
「駆動音は護衛のキャバリアだな、情報に合った砲兵陣地だろう。手はず通り襲撃する。歩哨と護衛機を排除した後、火砲を破壊、爾後迅速に離脱する」
 部隊長の応答に蒜は頷き、ホルスターから作りの古い小型の護身用拳銃「LD10」を引き抜く。
「はい、私は目立つから、皆さんはその隙に」
「了解した。……君たちの実力は理解しているが、無理はしないように」
 最後に付け加えられた労りの言葉もまた、彼らの本心なのだろう。短いやり取りの合間に音もなく散開した後方の気配からは、蒜に集まる敵の注目を徹底的に活用できる位置に遷移した兵士の他に、彼女をバックアップできるよう後方に控える兵士の存在もうかがえる。
 蒜は一つ息を吸い、LD10を構えると、最も近い歩哨に向かって引金を絞る。弾丸が装填されていない拳銃からは銃弾の代わりに緑色に輝く熱線が照射され、ほぼ時間差なく兵士の右肩を貫く。
 蒜が放ったレーザーの発射光と撃ち抜かれた兵士の悲鳴を合図に、襲撃が開始された。
 蒜の言の通り目立つ緑色の熱線の射点目掛けて、すぐさま敵兵からの銃撃が殺到する。蒜の周囲では破裂音と共に周囲の小枝がはじけ飛び、擦過音が絶え間なく彼女の脇を掠めていく。
 尋常な兵士であれば完全に動きを制圧され、身動きが取れなくなるほどの射撃を受けながらも、蒜は細かく位置を変え、歩哨を一人また一人と倒していく。
 彼女の後方に控えていた兵士たちが銃撃に参加し、小銃擲弾を放ったタイミングで、蒜たちとは真逆の位置、即ち敵の注意が逸れていた方角から、部隊主力が射撃を開始する。
 意識を蒜いる方向に釘付けにされていた護衛部隊の兵士たちは、ほぼ不意打ちに近しい方向から数個分隊からの斉射を受け、少なくない人数がなぎ倒される。
 制圧射撃の圧力から解放された蒜は、一時的な混乱に陥る護衛部隊の後方に目を向ける。そこには、銃声を検知し急行して来たらしいキャバリアの姿があった。
「キャバリアが来る!」
 彼女がインカムに向けて警告を発すると同時に、特殊部隊指揮官は大きく腕を振り上げ、部隊に突入を命じる。敵兵と渾融してしまえば、対人火器は使えないと踏んだ上の判断であった。
 突入を援護するように、密林の中から携行式の対装甲ミサイルが放たれる。相手がキャバリアであれば正面装甲を貫徹する威力を持つミサイルが白煙と共に突入し、敵キャバリアの左腕部に命中する。
 左腕部を失い、大きくよろめいたキャバリアの隙を蒜は見逃さなかった。反射的にLD10の照準を敵キャバリアに向け、必殺の意思を込めて引き金を絞る。
 LD10の銃口から照射された熱線は、瞬時に敵キャバリアの右脚部へと命中し、その装甲を融解させる。超高温によって破断した装甲と内部のアクチュエーターは自らの自重を支えきれずに潰壊し、片足を失ったキャバリアは倒れるように擱座する。
 続けて放たれた蒜の射撃によって頭部を失ったキャバリアは戦闘力を喪失し、周囲に展開していた敵兵も突入した味方部隊によって制圧される。
「猟兵、よくやってくれた。君は周囲の人員と共に周辺の警戒を頼む。砲の破壊はこちらが受け持とう」
 蒜は自身の姿を認め、駆け寄ってきた部隊長に頷く。
 空を見上げれば、擱座したキャバリアから発せられる炎が、灯火管制によって自然の美しさを取り戻した夜空を焦がしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

安野・穣
(アドリブ連携歓迎)
分かれた国家…いや、分断国家ってことは分かれさせられたの方が正確っすか。
…難儀なもんっすね。奪うも守るもお互いにとっちゃ正当な行いで、しかも元はどちらも同じ国ってんですから。
ま…そう日和る訳にもいかねえっすよね。

【時雨】と<情報収集>で砲兵陣地、物資集積地へのルート検索ついでに道中敵兵の無力化。
間接支援の方で力になりますか。俺も機体もそっち方面が得手なんで。
得た情報は『アズライト』で上陸済みの部隊と共有しましょう。一人で手間取るより複数で取りかかった方が断然速い。

切り替えていくぞ『カサンドラ』。ただでさえ難儀な状況、これ以上オブリビオンマシンに滅茶苦茶にされてたまるか。


メンカル・プルモーサ
●間接支援を選択
……さて、こちらは隠密行動と行くかな……
心理隠密術式【シュレディンガー】を展開…気付かれにくくして忍び込むとしよう…
…まずは陽動だな…物資…特に砲弾の貯蔵庫を見つけて【言の葉を以て岩戸は開く】で鍵を開けて潜入…
…遅発連動術式【クロノス】で火炎術式の印をそこかしこに設置…離れた後に発動するように設定してその場を離れた後に貯蔵庫を爆破しよう…
…騒ぎになったら浮き足立ってる砲兵陣地の1つに接近…
…医療製薬術式【ノーデンス】で睡眠ガスを生成して制圧…
…砲を制御するコンピューターにハッキングを仕掛けて観測システムに侵入…
…観測データをデタラメなものにして砲を事実上使用不能にしてしまうよ…


トリテレイア・ゼロナイン
※間接支援

銀河帝国に占拠された船への潜入作戦で経験は数あれど
やはりこの手の作業は騎士として気が進みませんね

●防具改造で迷彩外套纏いつつ機械妖精放ち●操縦
砲撃陣地捜索、接近
密かに通信の傍受、掌握
戦闘物資、待機機体操縦席への破壊工作等を遂行
(情報収集ハッキング破壊工作)

…この定時報告
私のスピーカー音声の調整で再現すれば陣地陥落の敵の把握を遅らせられる…?

いえ、まずは前線の犠牲を抑える為、為すべきを為しましょう

襲撃開始と同時
通信遮断、各所の破壊工作作動
特殊部隊を庇いつつ歩哨キャバリアに対して推力移動跳躍で肉薄
怪力で振るう剣でフレーム間を両断し撃破
首を落とし指揮所へ放り投げ

大勢は決しました、降伏を




 周囲は静寂と緊張とが支配していた。
 灯火管制によって久方ぶりに自然本来の美しさを取り戻した星空から降り注ぐ光が木々を照らし、木々の揺らめきと共に不規則な影を地上に落としていく。
 常人がみれば、これが大規模上陸を数時間後に控えた紛争地の夜とは思うまい。それ程に静かで、美しい夜であった。
 しかし、アンサーヒューマンである安野・穣と、彼の乗機たるサイキックキャバリア「カサンドラ」は、静謐の影にはしる人間たちの感情を敏感に捉えていた。
 張り詰めるような緊張と、旺盛な戦意、そしてわずかに首を擡げる恐怖。形而下の美しさとは裏腹に、形而上の世界を飛び交う人間たちの感情は、この地が戦場であることを如実に物語っている。
「分かれた国家。いや、分断国家か。……難儀な物っすね」
 生を受けた国を失い、その後身を寄せた大恩ある国さえも失いかけた穣は、カサンドラの内にあって嘆息する。
 彼らが感知する狂気を帯びた執念も、祖国の統一という願いである。光学センサー越しに見える密林の向こう側に潜む「敵軍」にしろ、彼の後方に存在する「友軍」にしろ、もとを正せばルーツを同じくする同胞なのだ。
 やるせない思いを振り切るように、穣は操縦桿を握りなおし、音もなくカサンドラを前進させる。この紛争の結果がどうなるにせよ、彼にオブリビオンマシンの振りまく狂気によって生じる無数の悲劇を看過するつもりはなかった。
 全身を再開して四半刻ほどたった後、カサンドラの念波センサーが自然物ではありえない反応を探知する。周囲を警戒するように動き回る人間大の思念と、コクピット内に存在するパイロット特有のやや籠った思念。
「まずは一つ目」
 赤外線センサーに切り替え、輻射から砲兵陣地であると特定した穣は、事前に配布された地図情報から現在の座標を確認し、後方部隊へと思念による通信を送る。
「カサンドラより本部、座標1.1.3.2.1.6に砲兵陣地を確認。侵入ルートは別途送信。護衛はキャバリア1を含む歩兵1個小隊」
「……本部よりカサンドラ、了解した。制圧のために応援は必要か」
「不要。無力化はこちらでやるっす。あー、ただあくまで無力化なんで、ふんじばる人手と砲を破壊する人手はあとから寄こしてください。こっちはそのまま前進します」
「了解した、一個小隊をそちらに向かわせる。しかし、思念での通信というのは便利だが慣れんな。通信終了」
 頭の中に直接情報が流れ込んでくるのだ、確かに慣れは必要だろうと苦笑しつつ、穣は念話を打ち切る。
 準備を整えた敵勢力圏化に上陸した工作部隊にとって、レーダーや無線といった、電波を発生させるあらゆる機器の使用は命取りになり得る。近代戦において必須の装備であるそれらが発する電波が、周辺に展開しているであろう電子戦部隊によって傍受されれば最後、概略位置を特定され砲弾の雨と即応部隊がやってくるだろう。
 しかし、穣とカサンドラがそのESP能力によって構築した広域ネットワーク「アズライト」は、ルーシェ誓約連合やその仮想敵国であるアルシュリア帝国が配備する対念導戦装備を持たない連邦共和国軍によって探知されることなく、上陸部隊に対して指揮統制基盤を提供することに成功していた。
 作戦的な観点で言えば、穣はアズライトの展開の一事をもって友軍に多大な有利をもたらしたと言っても過言ではない。
「さて、手早く済ませましょうかね」
 気負いのない一言と共にカサンドラから放たれた不可視の治療用プログラムが、歩哨と砲兵陣地に向けて流れ込んでいく。
 本来は医療行為のためのプログラムである「時雨」ではあるが、副産物として任意の対象を昏倒させる効果を持つ。穣が請け負って見せた無力化とは、まさにこのことであった。
 穣が潜伏している地点から近いものから順に、次々と兵士たちが音もなく昏倒していく。
 異常に気が付いたキャバリアパイロットが機体を動かしたのは、すべてが手遅れとなった後であった。奇襲的に陣地を襲った電脳魔術は瞬く間に護衛戦力ごと砲兵陣地に籠る戦力を無力化することに成功する。
「穏便に済ませるにこしたことはないっすよ。特にこんな戦場じゃあね」
 あらゆる意味で静寂の支配下となった陣地を一瞥し、穣は呟く。
 やるせない戦いではあるが、少なくともこの場にはカサンドラの予言を無視する愚者はいない。彼にとってそれが救いであるか否かは、また別であるけれども。


「便利な物もあった物だ、そういえば、こちらにも古代魔法帝国とやらがあったな」
 理知的な相貌に興味の色を湛え、念導波によって作戦領域に展開された指揮管制基盤について独白するはメンカル・プルモーサである。
 高名なガジェット研究家の一族に生まれ、知的好奇心を友とする彼女にとって、現在進行している作戦に使用されている諸技術もまた興味の対象であるのやもしれない。
「……さて、予定通り隠密行動と行こう……」
 無論、研究者であると同時に優秀な猟兵でもある彼女である。目の前の仕事についても手抜かりはない。
 上陸した特殊任務部隊の斥候部隊によって指揮管制基盤上に展開された物資集積地点の座標に単身赴いた彼女は、「心理隠密術式【シュレディンガー】」を発現させ、魔術的な迷彩を自らに施すと、軽やかな身のこなしで侵入を図る。
 シュレディンガーは優秀な隠密術式ではあるものの、対象がこちらの存在に確証を持ってしまえば破られる可能性もある。
 念には念を入れることにこしたことはないと判断したメンカルは、「電子型解析眼鏡【アルゴスの眼】」から齎される情報を自身の経験を基に分析し、歩哨の視線やキャバリアのセンサー範囲の間隙を突く形で警戒線を鮮やかに突破して見せる。
 首尾よく砲弾の集積地点を見つけ出したメンカルは、電子と生体の二重認証が施された鉄柵に歩み寄ると、静かに詠唱を開始する。
「最後の鍵よ、回れ、開け。汝は解錠、汝は開放。魔女が望むは宝殿開く合言葉」
 果たして、彼女の詠唱が完了し呪文が発現すれば、電子錠は複製された解除信号を受けて、生体錠は複製された管理士官の網膜によって開錠される。
「……こなせるものだな。……では、種まきといこう……」
 メンカルは物資集積拠点の最後の防壁を突破すると、砲弾集積地点に「遅発連動術式【クロノス】」を付与した火炎術式を設置していく。
「……こんなものか。あと数か所、仕込むとしよう……」
 同様の要領で危なげなく悪辣な罠を仕掛け終えたメンカルは、念話を部隊本部へとつなげる。
「……本部へ、仕込みは完了。周辺部隊の退避を勧告」
「本部了解。周辺に展開する部隊を後退させる。また、本命の砲兵陣地座標をアズライト上に展開している。起爆後はそちらに向かわれたし」
「……ん、了解」
 指示された砲兵陣地までの移動を完了し、事前に展開していた小隊と合流したメンカルは、クロノスによって遅延させていた火炎術式を一斉に発現させる。
 発現した火炎術式は、瞬間的に数千度の熱量を魔術的に生成し、周辺に存在した砲弾やミサイルの炸薬を誘爆させる。ある程度の間隔をあけて配置されていた砲弾ではあったが、内部から魔術による誘爆など想定されている筈もなく、島内のあちらこちらで一斉に轟音と衝撃が発生することとなる。
 連邦共和国軍からしてみれば、全くの不意をつかれた同時多発的な爆発である。どんなに訓練を重ねた部隊であろうと、一時的な混乱というものは発生する。その隙を逃す猟兵達ではなかった。
「マスクは……皆装着しているね。……いくよ」
 メンカルは「医療製薬術式【ノーデンス】」を発現させ、睡眠ガスを生成すると、風の術式に乗せて砲兵陣地に散布していく。
 非殺傷性の睡眠ガスの影響を受けた兵士達の拘束は合流した部隊に任せ、彼女は砲兵部隊の指揮所へと歩を進める。
「……破壊せずとも、このような無力化の方法もある……」
 指揮所に存在する観測機器にハッキングを仕掛け、砲撃に必要なあらゆる観測データを意味のない物に変えていくメンカル。
 既に航空優勢を失い、着弾観測手段が限定されている連邦共和国軍にとって、指揮所の観測機器が無力化されることは部隊の作戦能力喪失を意味する。
 兵を殺めるにしろ、砲を破壊するにしろ、それは敵の作戦能力を喪失させるという目標を達成するための手段でしかないのだ。それを正しく理解しているメンカルは、最小の労力と犠牲で砲兵陣地の無力化に成功したのであった。


「始まりましたか。……やはりこの手の作業は騎士として気が進みませんね」
 遠雷の如く響く爆音と、それと同時に増加した敵の通信を傍受しつつ、トリテレイアは演算リソースのごく一部を割き、嘆息にも等しい思考を行う。
 歴戦の猟兵にしてウォーマシーンたるトリテレイアの記憶領域に眠る、戦いの記憶。銀河帝国に占拠された不運な船へと潜入し、敵の不意を打ち指揮系統を斬首する工作任務の熾烈さと過酷さ。そして冷酷なまでの合理性によって支配された戦いの記憶。
 常人をはるかに凌駕する思考能力を持つ彼は苦々しい思いを抱きながらも過去の戦闘記録から必要な情報を検索し、速やかに利用できるよう思考の中枢領域へと展開する。
 常に高潔たらんとする騎士としての彼と、作戦目的達成のためにはいかなる手段をも許容する戦闘機械としての彼。その相克に苦悩しつつも、トリテレイアは目の前の目標、即ち犠牲を抑えつつオブリビオンマシンを排除するために最適な方針を選択する。
 常に騎士たらんとするのは難しいものだと理解しつつも、それでもなお理想を追うことを諦めぬ彼は、最初の犠牲で最大の効果を得るべく行動を開始する。
 機体から鋼鉄の妖精たちを展開したトリテレイアは、既に特殊部隊の斥候班や先行した猟兵が特定した物資集積地点や砲兵陣地の座標へと飛翔させ、破壊工作を実行していく。
 静粛性能の重視した妖精達であっても、トリテレイアにかかれば使いようは幾らでもある。
 ある妖精は砲弾に密着して自爆し、その小さな躯体からは想像もつかぬほどの炸薬量によって生じた爆発によって周囲に貯蔵されていた砲弾を一斉に誘爆させることに成功する。
 集積地点で待機状態にあるキャバリアのコクピット内部に侵入した妖精は、その翼から強力な電磁パルスを放出し、精密機器の集合体であるキャバリアのコクピットを使用不能に追い込むことに成功する。
 猟兵達と特殊部隊による襲撃によって一時的な混乱の中にあった連邦共和国軍部隊には、音もなく侵入した妖精たちを食い止める術はなく、トリテレイアは敵味方双方の人的被害を極小に押させつつ、混乱と敵の被害を助長させることに成功しつつあった。
「この無線は、活用できそうですね」
 同時に、展開させた妖精が傍受した敵の無線を利用し、現在の襲撃情報や損害情報の共有を妨害すべく、偽の報告を敵の指揮管制基盤上に流していく。すべては、ウォーマシーンとしての彼が持つ瞬間思考力と、ハッキング能力、そして過去の工作任務で蓄積された戦闘経験から導き出された最善にして悪辣な手段であった。
「本部より騎士殿へ、斥候が高価値目標と接触した。移動中と思しきMLRSが二台、そちらに向かっている。護衛はキャバリア2機。排除を要請する」
「了解いたしました。急行いたしましょう」
 無論、彼の真価は戦士としてのそれである。キャバリアに頼らずとも対キャバリア戦闘を遂行可能である彼は、本部からの要請を承諾し、伏撃を行うべく待機していた一個小隊と合流する。
 お互いにプロであるトリテレイアと特殊部隊員は、最小限の会話で互いの役割を分担すると、移動中のMLRS部隊へと襲撃を開始する。
 整備された道路の両翼から同時に放たれた携行型対キャバリアミサイルは、2機のキャバリアのうち1機のキャバリアに命中し、主兵装である大口径ライフルを保持する腕部ごと破壊することに成功する。
 戦果を確認すると共に敵の正面へと躍り出たトリテレイアは、無傷のキャバリアへと突進する。
 敵襲に迅速に反応して見せたキャバリアのパイロットは、訓練から生じる迅速さをもって迫りくるトリテレイアに照準を合わせ躊躇せず引金を絞る。
 着弾の寸前に制動をかけたトリテレイアは、その勢いを利用して跳躍。棚垂れた徹甲弾の嵐を回避すると同時に、敵キャバリアの懐へと飛び込み、対抗戦兵器コーディングが施された眩い長剣を一息に振り抜く。
 彼の怪力と共に振るわれた剣撃は敵キャバリアの腕部関節部へと正確に命中し、見事切り飛ばすことに成功する。美しい断面を確認する間もなくキャバリアの装甲を踏み台替わりとして再び跳躍したトリテレイアは、返す刀でセンサー類が集中するキャバリアの頭部へと斬撃を加え、東洋の武者さながらにその首を切り落とす。
 同時にもう一方のキャバリアへと追撃のミサイルが命中し、擱座したことを確認したトリテレイアは、切り落としたキャバリアの首をMLRSの前へと放り、勧告する。
「――大勢は決しました、降伏を」
 その後、どのようになったかは記述するまでもない。機械騎士は、また一つ戦闘記録をその記録領域へと保存したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

イザベラ・ラブレス
これほど心踊る戦場もそう多くは無いわね。
それに正面切っての殴り合いは私の得意分野よ。

マイティー・バリーで出撃。
上陸開始と同時に指定UCで強襲部隊を召喚。
戦士諸君、私たちの足跡が友軍の道となるわ。
がっつりチェストかましていくわよ!

強襲部隊の前進を170mm砲,30mm機関砲の援護射撃でサポートしつつ、護りの薄い箇所がないか情報収集を進める。

地雷原?シミャーズのぼっけもんがそんな物で止まる訳ないでしょ!…止まらないわよね?
念のためツァーリ・ラケータを撃ち込んで地形破壊しとくわ。止まるんじゃねぇぞ…。

敵陣地に乗り込んだら強襲部隊と一緒に迎撃施設の破壊。ついでに友軍旗をかかげれば士気も上がるかしらね?




 先行上陸した特殊部隊と猟兵の合同部隊が順調に戦果を挙げ、一定程度の火力を減殺することに成功したと判断した水陸両用戦隊司令部は、隷下部隊に対して強襲開始を下命する。
 曙光が水平線から溢れ、夜の帳を引き裂くと同時に、夜が齎していた静寂もまた、準備砲撃として放たれた戦艦及び巡洋戦艦群から放たれた砲弾によってかき消されていく。
 空気を引き裂きながら飛来する大口径主砲弾が次々に上陸予定地点の海岸へと着弾し、夥しい数の火球が海岸上空で炸裂する。
 対地攻撃用に用意された戦艦の主砲弾は、地上の数メートル上空で炸裂し、膨大な熱量と衝撃波、そして弾殻によって、一発あたり100メートル以上の危害半径に対して死をまき散らしていった。
 夥しい数の砲弾は上陸予定地点の海岸部を満遍なく焼き尽くし、上陸阻止用に敷設された地雷原をその地形ごと啓開していく。
 目の前で炸裂する甚大な火力を前に、訓練と旺盛な戦意によって辛うじて正気を保ち続ける連邦共和国軍の将兵たちであったが、戦艦という暴力の権化によって齎される破壊は、当然彼らに少なからぬ損害を与えていく。
 高度に偽装された退避壕は、一定程度航空偵察による発見を逃れていたが、確率論の女神に嫌われた壕の一つに主砲弾が直撃し、待機していたキャバリア一個中隊が破片すら残さず消滅する。同様の悲劇が海岸防衛線の其処彼処において発生していた。
 準備砲撃に守られる形で進行していた水陸両用キャバリアによる機雷原啓開作業が完了し、啓開水路をキャバリアや歩兵を積載した大型の揚陸艇が疾駆する。
 彼らを護るために実施されていた準備砲撃が終了すると、砲撃を生き抜き退避壕から陣地へと復帰した連邦共和国軍のキャバリアや歩兵が、それぞれの武装のトリガーを引き絞り、一隻でも多くの揚陸艇を撃沈すべく火線を張る。
 必然の結果として、多くの火力が揚陸艇団の先頭へと集中する。他の揚陸艇を大きく引き離す形で疾駆していたその不運な小舟は、火を噴くように集中した火力を一身に浴び、瞬く間に轟沈するかに見えた。
 複数の多目的ミサイルが命中し、火球と化して海中へと没する揚陸艇。しかし、その爆炎の中から一機のキャバリアが射出され、轟音と共に砂浜へと着地する。
「……これほど心踊る戦場もそう多くは無いわね」
 数十メートル程巻き上げられた砂埃が晴れ、エーゲル島への強襲上陸、その一番槍の栄に浴したキャバリアがその姿を現す。
 重厚な正面装甲に描かれた、猛獣の顎を敵陣へと向け、強襲用の重武装を満載したその機体の名は、マイティー・バリー。
 歴戦の猟兵イザベラ・ラブレスが操る重装キャバリアであった。
「正面切っての殴り合いは私の得意分野よ!」
 敵の一番槍を粉砕すべく陣地から放たれた対キャバリア徹甲弾の嵐を、その規格外の正面装甲によって弾き返したイザベラとマイティー・バリーは、ひるむことなく前進し、170mm三連装ガトリングキャノンと二連装30mm重機関砲によって生成される火力の雨によって正面陣地の火線を制圧する。
 マイティー・バリーの常識外れの装甲と火力に驚愕する連邦共和国軍。しかし、彼らを襲う理不尽はこれのみに留まらない。
「戦士諸君、私たちの足跡が友軍の道となるわ。 ――がっつりチェストかましていくわよ!」
「「「応!」」」
 イザベラの呼びかけに応じて虚空より現われ出でたるは、異世界の武者鎧に類似した装飾が施されたキャバリアの群れ。その数91機。たった1機のキャバリアの上陸を許した途端、1個増強装甲連隊規模の戦力が突如として出現したのである。理不尽以外の何物でもない。
「片端からチェストしても良かでごわすな!」
「チェストごっつぁん!」
「「「ごっつぁん!」」」
 付け加えるならば、召喚されたキャバリアは、精強なる戦士を輩出することで知られる「シミャーズ藩国」の戦士たちである。ただでさえ強力である上に猟兵の能力によって強化されている。連邦共和国軍からしてみれば、ただただ理不尽である。
 たとえ討たれるといえども、敵に向かって死すべし。かの国の高名な将軍の言であるかは定かではないが、その言を体現するかの如きキャバリアの一団が、砂浜を蹴り、正面の陣地へと殺到する。
 中世の狂戦士を思わせる大蛮声を発しながら突撃するシミャーズ戦士という理不尽を前に、それでもなお連邦共和国軍人は勇敢であった。
 歩兵と協同したキャバリアと、皇国軍特殊部隊によって襲撃されつつも未だ一定の火力を保持する後方の火砲によって激烈な突撃破砕射撃が実行され、少なくない数のキャバリアが砂浜に斃れる。
 しかし、尋常な国の部隊であれば突撃が瓦解するであろう猛烈な火力を前にしてなお、シミャーズ戦士の突撃は止まらない。
 蛮声と共に発起した突撃は、そのイメージに反して念密に計算されていた物であった。一度の斉射や砲撃によって複数が打ち倒されぬよう各々が絶妙な間隔をあけて進撃する様は、厳しい訓練を経た軍隊のそれである。剽軽なシミャーズ兵は、突撃の狂気と純軍事的な合理性とを両立させた恐るべき戦士であることを、本土から遠く離れたアザリアの戦場においても証明していた。
 熾烈な突撃破砕射撃を物ともせず、ついにシミャーズ戦士団強襲キャバリア部隊の戦闘が正面陣地へと至る。そこから先の光景は筆舌にし難い。無残、ただ無残である。
 戦場全体から見れば、シミャーズ戦士が取り付き、制圧した陣地は広い戦闘正面幅のごくごく一部に過ぎない。損害は、多く見積もっても一個中隊程度であろう。付け加えれば、通常の部隊であれば、衝撃力を完全に喪失している状況である。
 しかし、彼らはシミャーズ戦士であった。後方で冷静に敵陣の分析を行っていたイザベラが、陣地線の脆弱部に掩蔽破壊弾頭搭載した大型多目的誘導弾「ツァーリ・ラケータ」を発射すれば、それを号砲として敵脆弱部へ向けてさらなる突撃を敢行する。
 連邦共和国軍からの熾烈な阻止火力を受け、仲間を対装甲地雷で吹き飛ばされながらも、シミャーズのぼっけもん達は止まらない。
 水陸両用強襲において最も激烈を極める上陸直後の戦闘において、シミャーズ戦士達はその輝かしい戦史に、また一つページを加えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リジューム・レコーズ
◆桐嶋技研
肝心の目標に辿り着くまでが厳しい戦闘になりそうですね
しかしいささかオブリビオンマシンの出現に託けてイェーガーを政治利用されているようにも思えますが、大義名分が揃っている以上何も言えませんか…行くよ、ディナ

水之江博士の命令後ワダツミより出撃します
これだけの防衛線ですから罠が大量に敷設されていると想定するべきですね
砲撃で処理されているとは言え全てとは限らないでしょうし
常時ホバリングし地に足を付けないようにします
もたついてなんていられない!一気にトーチカを潰す!
障害物等の邪魔なものはブレイクドライバーで貫き崩して強行突破します
そしてトーチカを孔壊処刑で外壁ごと抉り崩します


ダビング・レコーズ
◆桐嶋技研
皇国艦隊の支援があるものの、敵側も内陸部より砲撃支援を行える以上優位性を確保出来ているとは言い切れない
沿岸部の侵攻が遅滞すれば時間経過に従い被害が甚大化する
可能な限り迅速に突破しなければ
アークレイズ、これより作戦行動を開始します

水之江博士より出撃命令があるまでワダツミ内で待機
先行して上陸するギムレウス群の後に続いて出撃
上陸後は埋設された地雷を警戒し極低空を維持して移動
ギムレウスを遮蔽物としつつ前進
最優先攻撃目標はトーチカとする
障害となる鉄条網等はルナライトで処理し火線に曝される前に速やかに接近
プラズマグレネードを反映させたサンダーボルトによる砲撃で破壊する


桐嶋・水之江
◆桐嶋技研
別に正規軍と一緒に強襲揚陸してしまっても構わないのよね?
報酬額以上の働きを約束するわ
当然それ相応の増額を請求するけれど

ビーチを掃除して足掛かりを作るわ
水之江キャノンで射線上のものを消し去った後に無誘導ロケットで絨毯砲撃よ
そのままワダツミをビーチに突っ込ませるわ
どこぞのタンカーと違って座礁しても自力復帰できるからお構いなく
人形機兵隊で増やしたギムレウスを陸に上げて制圧開始よ
結構な数が出落ちするでしょうけれど所詮電脳魔術の紛い物だから気にせず使い捨てるわ
このタイミングでダビングとリジュームちゃんに出撃許可を出すわ
そして真っ先にトーチカを皆で集中攻撃よ
ヤバそうな機関砲が置いてありそうだしね




 払暁と共に始まったエーゲル島に対する水陸両用強襲は、時が進むにつれ際限なくその激しさを増しつつある。
 水陸両用キャバリアがこじ開けた啓開水路を無数の揚陸艇が疾駆し、その周囲に大小さまざまな火砲が着弾する。轟音と共に10メートル近い水柱が発生し、幸運に恵まれなかった揚陸艇の進路を海岸から海中へと変更させていく。
 無数に発生する、しかし作戦上は許容される悲劇の数々は上陸予定地点周辺の海水をオイルと血、そして無数の鉄片と肉塊が交じり合うスープへと変貌させつつあった。

 人工的に作られた煉獄と化した海を駆ける揚陸艇に混じり、一隻の揚陸艦が海岸線へと急接近していく。
 白銀の美しい船体で赤く濁った海水を切り裂くその艦の名は、ワダツミ。桐嶋技研が設計、開発を手掛けたワダツミ級強襲揚陸艦のネームシップである。
 本来、揚陸作戦において指揮機能を備えた大型の強襲揚陸艦が直接海岸に着上陸を実施することはない。
 揚陸艦自体が直接火力を浴びる地点に進出させるには高価すぎる目標であることは勿論、高度に発達し威力を増した沿岸防御火器に対して、通常艦の装甲は脆弱に過ぎる故である。
 しかし、スペースシップワールドの技術を用いて建造されたワダツミ級は、かくの如きクロムキャバリアの軍事的常識を超越する艦であった。先端技術を惜しむことなく投じた複合装甲と、船体周囲を覆う高出力のエネルギーバリアは、生半な炸薬量の兵器では貫徹し得ないほどの防御力を彼女に付与していた。
「当然、それ相応の増額を請求するけれど」
 揚陸船団前方に展開し、結果として無数の阻止火力を引きつける形となったワダツミの戦闘指揮所において、艦長たる桐嶋・水之江は機関から生み出されるエネルギーを防御機構に振り分けながら呟く。
 如何にワダツミの個艦防御能力が優れているとは言え、物理法則の軛から逃れ得るものではない。殺意と共に絶え間なく降り注ぐ無数の火砲から艦を護るためには、電脳魔術士としての桐嶋の能力もまた不可欠なものであった。
 火を噴くように海岸から降り注ぐ阻止火力を突破し、積載された多連装ミサイルシステムから面制圧を目的とした無誘導ロケット弾を段階的に発射しながら、ワダツミは赤く染まった砂浜にその巨体を乗り上げる。
 撃破ではなく行動の制圧を目的として放たれた大量のロケット弾はキャバリアと歩兵が籠る前衛陣地周辺へと着弾し、その火力と衝撃波、そして轟音によって敵から一時的に行動の自由を奪う。
「さて、人形劇を始めましょう。ギムレウス、全機上陸開始。敵前衛陣地の火線を制圧なさい」
 一つの行動は、その次の行動を実行するための布石である。敵の阻止火力が大幅に減衰した一時の猶予を逃さぬよう、桐嶋はワダツミのドック式格納庫を解放し砲戦用キャバリアであるギムレウスを次々と上陸させていく。
 小型揚陸艇とは比較にならぬほどの積載能力を持つワダツミから戦場に放たれた無人操縦機の数は92機。アザリアの基準で言えば、師団直轄砲兵が保有する砲戦キャバリア部隊に匹敵するほどの重火力である。
 機巧の魔女の異名を持つ桐嶋によって個別に操られたギムレウスは、ワダツミから放たれた準備砲撃の圧力から解放された陣地線からの火力に晒されながらも、近世の平射砲兵さながらに砲撃準備を整え、近距離の陣地には携行バズーカと機関砲弾を、後方のトーチカや重迫撃砲陣地に対しては肩部にマウントしたカノン砲から放たれる榴弾を撃ち放つ。

 戦闘領域に存在する敵の火力を制圧し、我の前進を援護するという攻撃準備射撃の成功要件をほぼ完全に満たしつつあるギムレウス達の制御を行いながら、桐嶋は艦長席に備え付けられた通信装置を起動させると、出番を待つ僚友たちに声をかける。
「舞台は整えたわ。後は目いっぱい暴れて頂戴」
 彼女の言葉を合図に、ワダツミの格納庫にて待機していた2機のキャバリアが頭部センサーを青く輝かせ、眼前に広がる戦場を見据える。
「――了解。アークレイズ、これより作戦行動を開始します」
「同じく、アークレイズ・ディナ、出撃します!」
 桐嶋技研が戦場に投入する切り札たる2機のキャバリア、アークレイズとアークレイズ・ディナを操るダビング・レコーズとリジューム・レコーズは、それぞれの機体が持つ大出力スラスターから生み出される推力をもって機体を浮遊させ、猛烈な速度で戦場へと躍進する。
 ワダツミのドックから出撃した2機のキャバリアは、左右に分かれ、前衛陣地後方に控える有力な火点、即ちトーチカを無力化すべく行動を開始する。

「決定的な優位を確保しているとは言い切れない以上、可能な限り迅速に突破しなければ」
 着上陸の最序盤においては、後方の艦隊から繰り出される火力は、誤射の危険から限定的となる。桐嶋が制御するギムレウスが発揮する火力も無限ではない以上、自分たちが如何に敵火力を減殺させられるかが被害を抑えるカギとなる。それを理解するダビングとアークレイズに迷いはない。
 細やかな出力制御によって可能となる推力移動を行うことで、足を取られやすい砂浜において自在に回避行動を実現させたダビングは、持ち前の機動力によって敵から放たれる徹甲弾や誘導弾を回避しつつ、時には擱座したギムレウスを盾にして反撃を実施する。
 遅れて上陸しつつある味方部隊からの支援射撃を受けつつ、前衛陣地の右翼を突破したダビングは、全身を阻むために設置された対歩兵用の鉄条網を蹴散らし、対キャバリア用に設置された鋼鉄製の障害物に向けてルナライトを抜き放つ。
 美しい光と共に展開された超高温の刃は、鋼鉄製の障害を飴細工のように切り飛ばす。刃を振り抜くことによって生じる速度の減衰を腰部に搭載された「EPフルクラム」の噴射によって齎される推力によって無効化し、並のキャバリアをはるかに凌駕する速度を維持したまま対艦荷電粒子砲「BS-Sサンダーボルト」を展開する。
 高威力を誇るサンダーボルトの欠点である重量負荷を各部に搭載されたベクタードブースターによる急加速と急制動によって補いながら、ダビングは眼前のトーチカにむけて荷電粒子榴弾を撃ち放つ。
 過たずトーチカ内部に到達し、炸裂した荷電粒子弾は、炸裂地点を中心とした大規模な爆発を発生させる。超高圧化から解放された荷電粒子の波は、その熱量と衝撃波を同心円状に放出し、戦艦の主砲弾の直撃を受けない限り破壊は困難と目されていた頑健なトーチカを内部から崩壊させる。
 ダビングは猛烈な爆風と共に崩壊するトーチカを一瞥すると、次なる目標に向けて機体を翻すのだった。

 ダビングと別れ、敵陣左翼に展開したリジュームとアークレイズ・ディナもまた、推力移動を駆使し砂浜を自在に機動しつつ、敵陣地線後方のトーチカに向けて前進を続けていた。
「これは……肝心の目標に辿り着くまでが厳しい戦闘になりそうですね」
 ギムレウスによる砲撃を受けている状況においてなお、絶え間なく周囲に降り注ぎ続ける砲弾と誘導弾。それらを巧みに回避するリジュームであるが、この執拗な火力と戦意には目を見張るものがある。良質な訓練を受けた師団単位の正規軍が全力を投じる戦場とは、それほどまでに苛烈なものであった。
 見方によっては、エーゲル島を巡る皇国と連邦共和国との紛争は、明確な目的と指揮統制をもって展開する軍事力とオブリビオンマシンが結びつくことの危険性を如実に示す好例と言えるだろう。
「しかし、いささかオブリビオンマシンの出現に託けてイェーガーを政治利用されているようにも思えます」   
 オブリビオンマシンの出現によって生じる紛争を事前に防ぐのではなく、2国間の正規戦が行われている戦場に出現したオブリビオンマシンの排除する。一見似たような依頼ではあるが、両者の意味合いは大きく異なる。
 オブリビオンマシンの排除が一方の軍事的目標の達成に資するものであり、軍事的な目標とは政治目標達成のための手段である以上、猟兵がそれらにかかわる危険性は無視できるものではない。
 この依頼が孕むリスクを正確に理解するリジュームは、戦闘に集中しながらもその疑念を意識せざるを得ずにいた。
「大義名分が揃っている以上何も言えませんか……行くよ、ディナ」
 依頼に潜む危険性を理解しつつも、猟兵としてオブリビオンマシンの排除という使命を果たす事を優先するリジュームは、疑念を振り払うかのようにアークレイズ・ディナを躍進させる。
 機体が持つ攻撃性を表すように鋭角的な機動を描きながら前衛陣地線の左翼を突破したリジューム。回避するまでもない敵弾が電磁障壁を叩き、火花と化して飛散していく。
「もたついてなんていられない! 一気にトーチカを潰す!」
 瞬く間にトーチカに取り付いたリジュームは、アークレイズ・ディナのブースターを最大出力で噴射し、トーチカ上部へと機体を跳躍させる。
 迎撃を行うべく自らに向けられた火線を「RBXS-Bマンティコア」から放たれるプラズマキャノンによって制圧し、トーチカ直上に着地したアークレイズ・ディナは、腕部を大きく振りかぶり「RXブレイクドライバー」を起動する。
 猛烈な力で叩きつけられると同時に激発した対物掘削衝角剣槍から発生する莫大な運動エネルギーは、その悉くがトーチカに向けて解放される。その名を示す通り掘削能力に特化した武装から放たれた衝撃は、強固に構築されたトーチカを撃ち貫き、内部に存在するあらゆるものを粉微塵に粉砕しながら荒れ狂う。
 ついにはトーチカそのものがその衝撃に耐えかね崩落すると同時に、リジュームはアークレイズ・ディナを再び跳躍させ離脱する。
 この紛争がどのような結果を迎えるにしろ、未だ結末には遠い。
 猟兵達が立ち向かうべき脅威は無数に存在していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウィリアム・バークリー
いよいよ揚陸作戦開始ですね。
ぼくは一人静かに、「空中戦」でエーゲル島に侵入します。

現状、皇国側が空海優勢且つ敵軍がトーチカ同様に元皇国軍の施設を転用していると考えれば、攻撃目標は自ずと絞られます。
第一にレーダー施設。
続いて電力供給網。
これらを皇国統治時代の地形図及び航空写真で確認して、頭に入れておきます。

さて、後で怒られる覚悟で。
この島が火山島だというなら話は早いです。噴火させてしまいましょう。
「竜脈使い」で起爆点を選び、そこに「全力魔法」炎の「属性攻撃」のDisasterを大地震として叩き込みます。
大地震と火山噴火で、送電網が地上だろうと地下だろうと寸断されるはず。
ぼくは噴火前に離脱します。




「いよいよ揚陸作戦開始ですね」
 加速度的に激しさを増していく地上戦を見下ろしながら、ウィリアム・バークリーは一人戦場上空を密かに飛行していた。
 近接航空支援機への対応に手いっぱいとなっているらしい連邦共和国軍の防空網を苦もなく突破した彼は、前線から数キロ離れた後方に浸透すると、腹案を実行すべく準備に取り掛かる。
 前線の敵が陣地を頼りに防御をしているのならば、その根元を支えるインフラストラクチャーに打撃を与えてしまえばいい。
 言うは易し、行うは難しの典型のような手段ではあるが、ウィリアムが得意とする属性魔術をもってすれば成功の目は十分にある。
 なにしろ、極めて良質かつ効果的な触媒が、エーゲル島の地下には大量に眠っているのだから。
 ウィリアムは自身の愛剣である魔法剣「スプラッシュ」を手に取り、魔力を流し込む。彼自身の魔力に反応し、剣に刻まれたルーンが輝くと同時に、エーゲル島の地下に存在する龍脈の存在を強く感じることが可能となる。
 ウィリアムの目論見通り、火山島であるエーゲル島の地下は龍脈の宝庫であった。地上から数キロメートルほどの地下に複数存在するマグマ溜まりを中心として、網の目の様な龍脈が島全域を巡っている。
 これだけの龍脈から取り出せる魔力を使えば、島が割れる程の大魔術を行使することも可能だろう。つまるところ、最大の問題は魔術の発現地点と威力の調整であった。
「まぁ、どの道怒られるのは覚悟の上ですが」
 ウィリアムは苦笑しつつ、龍脈とマグマ溜まりの位置関係と、航空偵察で判明しているレーダーや電力供給網の位置とを慎重に照らし合わせ、魔術を打ち込むべき地点を検討する。
 発現させる魔術の威力が低すぎれば、インフラに対して有効な打撃を与えられず、かといって大きすぎれば味方にまで被害を及ぼしてしまう。スプラッシュを握る手に力を籠め、慎重に魔術発現点と威力を調整したウィリアムは、一つ頷くと目を開く。
 最適な発現点と魔力量を見極めた彼は、大きく息を吸い、スプラッシュの切っ先を島へ向け、詠唱を紡ぐ。
 極限まで高めた集中と共に、自らの魔力を龍脈に差し込むように注ぎ込むと、その魔力を介して龍脈を操作し、エーゲル島の地下に眠るマグマの活動を活性化させる。
 結果として発生するは、局所的な火山活動である。火山性地震と共に送電ラインやレーダー施設周辺に火口列が形成され、魔力によって操作された溶岩が猛烈な勢いで噴出していく。
 地上か地下を問わず、火口列周辺の送電線は例外なく寸断され、吹き上がった溶岩によってレーダー施設に詰める人員は退避を余儀なくされるだろう。
「これで、しばらくは混乱してくれるでしょう」
 勢いよく噴出した火山灰を避けるように離脱を開始したウィリアムは、自らの魔術の結果を前に満足げに頷く。
 彼の目論見通り、損傷を受けたインフラは、確実に連邦共和国軍部隊の戦闘効率を低下させたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジェイミィ・ブラッディバック
※アドリブ等歓迎

セラフリーダーより戦闘中の皇国軍各機、これより上陸支援を開始します

空母ヘルメスよりセラフィム・リッパー隊と私が搭乗するTYPE[JM-E]を発艦させます
セラフリーダーよりセラフィム・リッパー各機、状況報告を
「セラフィム1、スタンバイ」
「セラフィム2から12、スタンバイ」
作戦開始です
高度制限に注意してください

WHITE KNIGHTは敵の攻撃の未来予測を
予測結果は随時友軍に共有してください
「了解、データリンク開始。皇国軍艦隊への支援要請も私から行おう」

先行して空襲
友軍の砲撃と連動してトーチカにミサイルを中心とした反復飽和攻撃を行います
対空射撃は未来予測に基づいて推力移動により回避




 猟兵達の支援の下、エーゲル島への上陸に成功しつつある諸部隊を援護すべく、同島周海域を遊弋する皇国海軍の正規空母から近接航空支援用の装備に換装した航空キャバリアが次々と発艦していく。
 面を制圧するための主砲斉発から、地上部隊と観測機による着弾観測を基にした精密射撃に切り替えた戦艦群の砲声が遠雷の様に響く外洋に、ジェイミィ・ブラッディバックが保有するヘルメス級強襲揚陸航空母艦、そのネームシップたるヘルメスもまた存在していた。
 彼女のカタパルトを使用してクロムキャバリアの狭い空へと飛び立つは、ジェイミィ自らが操作するTYPE[JM-E]と、随伴機たる12機のセラフィム・リッパー達。カタパルトの生み出す推進力と共に次々と飛び立った合計13機のキャバリアは、艦隊上空を旋回しながら編隊を形成し、戦場であるエーゲル島へと進路を取る。
「セラフリーダーよりセラフィム・リッパー各機、状況報告を」
 皇国軍艦隊と強襲揚陸戦隊が構築したデータリンクへと接続し、現在の状況を表示させながら、ジェイミィは随伴機の状況を確認する。
「セラフィム1、スタンバイ」
「セラフィム2から12、スタンバイ」
「結構。高度制限には注意してください。 WHITE KNIGHT、攻撃の未来予測をお願いします。予測結果は随時友軍に共有をお願いします」
「了解、データリンク接続良好。皇国軍艦隊への支援要請も私から行おう」
 ジェイミィは随伴機と事象予測AIからの淀みない返答に頷くと、視線をレーダーディスプレイへと向ける。接続したデータリンクとTYPE[JM-E]に搭載された高性能小型レーダー「WMLD-A400 "PROVIDENCE"」が取得した情報が映し出される画面では、上陸に成功した部隊と陣地線に籠る敵部隊が一進一退の攻防を繰り広げている様が如実に見て取れる。
「セラフリーダーより戦闘中の皇国軍各機、これより上陸支援を開始します」
 歴戦の猟兵であるジェイミィの宣言と共に、TYPE[JM-E]を先頭とした13機のキャバリアが、前線へと一斉に突入を開始する。
 猛烈な速度で高度を落としながら、火器管制レーダーがロックオンした対象、キャバリア用の陣地線に身を隠しながら射撃を続けるキャバリアの一群に向け、ミサイルポッド「MMX-2900」から発射された小型ミサイルが殺到する。
 前面投影面積が広いキャバリアに遮蔽を提供する防御陣地は、水平方向に対するキャバリアの防御能力を各段に向上させるが、その最大の利点である機動力を削ぐという欠点が存在する。
 特に、ジェイミィが上空から撃ち放った誘導性能に優れる大量の小型誘導ミサイルに対しての相性は最悪であった。
 上空から連続して降り注ぐミサイルに対しては姿勢を低く保つ以外に防御方法が存在せず、必然的に防御陣地が発揮可能な火力と機動力が減殺されることとなる。これによって陣地線から投射される火力によって制圧されていた部隊に機動の自由が与えられ、陣地への突入や迂回を許す結果となる。
 ジェイミィが操るTYPE[JM-E]からはミサイルが、随伴するセラフィム・リッパー達からは遠隔操作されるクリスタルビットを使用したレーザーが防御陣地に向けて降り注ぎ、周辺の皇国軍上陸部隊の侵攻を大いに助けることとなる。
 また、事象予測AIが皇国軍の戦術データリンク上にもたらす未来予測情報も間接的に多大な支援を与えている。
 地上部隊に対しては、進行路上に存在する敵部隊の情報を提供しすることで損害抑制に成功し、海上からの砲撃を実施している戦艦群に対しては未来予測に基づく弾着位置情報を提供することで効果的な火力支援を実現させることに成功しているのである。
 ジェイミィが提供する近接航空支援と、皇国軍の戦術データリンクと連携したWHITE KNIGHTの未来予測は、確実に友軍の前線を押し上げることに成功したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フランツィスカ・リュッツオウ
◎アドリブ・連携歓迎
さて、自分の装備では隠密戦など望むべくもない。皇国軍の航空戦力と共同し、地上攻撃を行うとしよう。

今回は小回りと柔軟性を重視して生身で出撃。キャバリアは無しだ。
殲禍炎剣に捕捉されない様に注意しつつ、30mm重機関砲で地上部隊を叩く。航空機用の兵装だ、キャバリア相手でも威力は十二分だろうさ。
しかし…我が生まれ故郷ながら、自由に空を飛べぬのはどうにかならんものか。

友軍が危機の際は、緩やかな降下軌道からの長剣による交差斬撃で割って入ろう。一撃離脱こそMe262の華だ…まぁ、そうしないと失速し過ぎて墜ちてしまうのだが。
トーチカ等堅い目標には翼下のR4Mロケット弾で吹き飛ばしてやろう。


シーカ・アネモーン
戦争に加担せよというのか。
まあ、オブリビオンマシンを破壊するための進路と見れば致し方ないか
嫌なものだな。どちらかに与すれば、守るべき味方が生じてしまうというわけだ
彼らは力なき牙ではない……が、見過ごせもしないか
こちらはアンヘル。傭兵だ。海岸線の戦力を可能な限り引き付ける
その間に上陸を急げ
海岸線は断崖が多いという話だったな。空戦機ならば、砲撃も守りも薄い地点を突きやすいはず。そこを見出して、そこから上陸地点へオーバーブーストで奇襲を仕掛ける
ベイツァーセル、及びソードスレイヴを展開。通り抜けがてら、こちらの全武装で攻撃を仕掛ければ、こちらに釣られる連中も居るかもしれないな
ある程度前線が崩せればいい




 猟兵達の支援を得た皇国軍上陸部隊は、戦闘正面のいくつかの地点で連邦共和国軍が構築した前衛陣地を突破し、上陸地点に一定程度の橋頭保を築くことに成功しつつあった。
 しかし、入念に構築された海岸防衛線には前衛陣地の後方にも複線化された陣地とトーチカが配置されており、突破に成功した皇国軍部隊前衛に未だ出血を強要している。
 突出部故に熾烈な攻防が展開されている戦場上空に、空を主戦場とする2人の猟兵が猛烈なスピードと共に侵入する。
 古びたジェット戦闘機から生まれ出で、両脚の大部分を飛行ユニットが占めるレプリカントの戦士フランツィスカ・リュッツオウと、背部に特徴的な大型スラスターを備えた空戦型キャバリア「X-A22 アンヘル」を操るシーカ・アネモーンは、電波輻射管制を保ちながら上陸地点の海岸を迂回し、防空網が薄い断崖部から侵入することで、奇襲的に連邦共和国軍の後方を襲撃することに成功していた。
「オブリビオンマシンを破壊するための進路とは言え、戦争に加担せよとは嫌なものだな」
 敵防空網を突破し、眼下で死闘を繰り広げる部隊を見下ろしながら、シーカは呟く。紛争を抑止するためではなく、既に始まってしまった紛争に出現したオブリビオンマシンを排除するということは、必然的にどちらか一方の陣営に与する事となる。
 その結果が、眼下に広がる正規軍同士の衝突である。オブリビオンマシンを有しない皇国軍にしたところで、決して力のない牙とは言えないが、猟兵としての目的を果たすためには見過ごすことも出来ない。
 シーカは一つ嘆息し、レーダーに火を入れると同時に地上の皇国軍部隊へ通信を送る。
「こちらはアンヘル。傭兵だ。敵戦力を可能な限り此方で引きつける。その間に突破を急げ」
「こちらは、皇国海兵第2師団第3連隊。上空援護機へ、貴機の支援に感謝する。部隊前面に赤色発煙弾を展開する。可能であればその周辺を叩いてくれ!」
「アンヘル了解。フランツィスカ、あなたも問題ないか?」
「無論、問題ない。露払いは自分が務めよう、貴機は後続して敵部隊の拘束を頼む。生憎と、こちらはあまり速度を落とすと失速してしまうからな」

 シーカが短く了解を伝えると、フランツィスカはその脚部の大部分を占めるジェット推進式の飛行ユニットの出力を上げ、猛烈な勢いで急降下を開始する。
 キャバリアのそれとはまったく異なる特徴的な風切り音を響かせながら敵部隊に突入したフランツィスカは、手にしたRMB30mm重機関砲を構え、地上に向けて掃射を実施する。
 強烈な反動を自らの膂力で制御することによって実現する乱暴かつ正確な掃射は、陣地を盾に皇国軍部隊に射撃を実施していた複数のキャバリアの頭上に降り注ぐ。
 30mm機関砲弾は主力戦車のそれとは比べるまでもないキャバリアの上面装甲を容易く貫通し、爆散させた。
 陣地に籠るキャバリアを小隊単位で意味のない鉄塊に変換したフランツィスカは、真に空を支配する殲禍炎剣の探知範囲に踏み込まないよう慎重に高度を上げ、次なる得物を求めて旋回を開始する。
「しかし……我が生まれ故郷ながら、自由に空を飛べぬのはどうにかならんものか」
 戦闘機をルーツに持つ彼女にとって、空とは自らの故郷であった。殲禍炎剣によって制約されたその狭さを嘆きながら、次なる目標を敵部隊後方に存在するトーチカに定めたフランツィスカは、再度急降下を開始するのだった。
 
「なんとも凄まじい機動をするものだ。こちらも仕事にかかるとしよう」
 フランツィスカの近接航空支援に続く形で敵部隊に突入を開始したシーカは、空間位相転換フィールド「ベイツァーセル」を展開し防御を固めつつ、機体背部から小型の浮遊砲台「ソードスレイヴ」を展開し、地上部隊に対する援護を開始する。
 上空からの奇襲を受けた混乱から辛うじて立ち直りつつある敵部隊の散発的な対空射撃をベイツァーセルが発生させた位相フィールドによって防ぎながら、携行火器とソードスレイヴによる一斉射撃をもって敵陣を面で制圧していく。
 敵部隊直上からレーザーとパルスの雨を降らせたシーカとアンヘルは即座に反転し、継続して敵部隊の頭を押さえるべく反復攻撃を開始する。

 シーカが実施する上空からの制圧と、後方のトーチカを狙ったフランツィスカの襲撃によって、地上部隊に投射されていた火力の大部分が減殺され、結果として最小限の損害で突破を図ることに成功する。
 シーカとフランツィスカの支援によって敵陣地線を突破した皇国海兵第2師団第3連隊は、その突破点を維持しつつ、以前味方部隊に対して攻撃を続ける他の防御陣地に対して側面攻撃をかけることに成功しつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

秋月・信子
●SPD

この島の奥地にプラントが、そこを占拠するオブリビオンマシンが居るのですか…
まずは突破口を作りませんと

特殊部隊と行動を共にして事前上陸をし、敵後方の兵站設備を襲撃する陽動作戦を行います
強化スーツ・アサルトバニーのグラビティコントロールを起動
重力軽減により身体を若干浮かび上がり、【忍び足】で足音を消しているかのようにして潜入です
警備兵と鉢合わせしても、ハンドガンによる『早撃ち』と魔弾による【気絶攻撃】で眠って貰います
弾薬庫と思わしき場所を発見できましたら、サプレッサーを装備したショットガンで物理的に【鍵開け】、集積された弾薬や燃料タンクに無線起爆式の爆薬をセットして【破壊工作】に回ります




 皇国軍主力による強襲が開始されて数刻の時間が過ぎた現在であっても、事前に浸透した特殊部隊による破壊工作は継続して実施されていた。
 主力の上陸と同時に解除された電波輻射管制によって後方に存在する砲兵陣地や物資集積地点の位置を把握した彼らは、中隊単位で分散した上で襲撃と離脱を繰り返し、連邦共和国軍の後方を攪乱し続けている。
 バニーのような特徴的な外見を持つミネルヴァ重工製強化スーツ「アサルトバニー」で身を包み、その重力操作機能によって音もなく密林を疾駆する秋月・信子もまた、継続して実施されている特殊作戦に従事する猟兵の一人であった。
 彼女の眼前に存在する大規模な物資集積拠点には、前線に対する補給のため、途切れることなく車両が出入りし続けている。無線を通して耳に入る前線の様子から、大量の弾薬を湯水の如く消費している様は想像に難くない。
「この島のプラントを占拠するオブリビオンマシンを排除するためにも、まずは突破口を作りませんと」
 多くの歩哨とキャバリアが警戒し、常に車両を送り出し続けている拠点に対する破壊工作が成功すれば、連邦共和国軍の前線における大動脈の一つを潰すに等しい効果を上げられるだろう。一つ深呼吸を行い、呼吸を整えた信子は、物資集積拠点に対する潜入を開始する。
 既に日が昇り、多くの歩哨が警戒に当たる拠点を襲撃するには、何よりも速度が重要となるのは言うまでもない。
 信子は、警戒に当たる歩哨の導線を把握し、大部分の監視を潜り抜けると同時に、排除が必要な兵士に対しては非殺傷性の魔弾を用いて昏倒させ、物陰へと放り込んでいく。
 一度だけ発生した複数の歩哨との偶発的な遭遇を、98分の1秒と言う常人では知覚すら困難な速さと正確さで実行された早打ちによって切り抜けた彼女は、大量の弾薬が貯蔵された拠点中央へと至る。
 実に、潜入開始から僅か10分程度の速さであった。如何に猟兵と言えど、適切な装備と経験無しでは成しえない迅速さである。
 手早く特殊なサプレッサー付きのショットガンを構え、電子錠を物理的に破壊した信子は、事前に手渡された爆薬を弾薬類周辺に配置すると、速やかに離脱する。
 拠点から十分に離れ、木陰に身を隠した彼女は、念のため対爆姿勢を取ると遠隔式爆薬の起爆を実行する。
 信子の手によって生じた大規模な物資集積地点での爆発は、数十キロ先の前線にまで響き渡り、後方の混乱に拍車をかける結果となったことは、言うまでもないことであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華
【ガルヴォルン】

上陸か潜入かなら、潜入のほうがやりやすいかな。

借りられるキャバリアは、水陸両用だっけ?

なら、敵の防衛ラインぎりぎりまでは水中を進んで、
その後上陸作戦が始まったら、生身で内部に潜入していこう。

アミシアは、サポートと通信の中継よろしく。
敵がきたらちゃんと逃げるんだよ?

潜入したら、
【第六感】を研ぎ澄ませて【暗視】で周囲を確認しながら、
【迷彩】で【闇に紛れ】つつ、【地形を利用】して進もう。

特殊部隊と連絡が取れたら情報を確認、
取れなかったら通信待ちかな。

砲撃陣地の位置が解ったらそちらに向かって、
【罠】をしかけて【破壊工作】しながらいくね。

弾薬とか吹き飛ばしたら、内部にも被害だせるかな?


菫宮・理緒
【ガルヴォルン】

わたしは上陸の直接支援。

【ネルトリンゲン】を装甲5倍、射程半分。
敵の迎撃は装甲頼りに海岸線に突っ込んで、強制上陸
「ダメージは作戦の想定内だよ!」

上陸成功したら【M.P.M.S】を配置し、
周囲を要塞化して、前線の拠点になろう。
レンジに入った敵は、行動不能にさせてもらっちゃうよ。

解りやすい後方拠点があって。
整備・補給ができる安心感は大きいよね。

「ロートガル了解。
進路クリア、カタパルト圧力臨界。発艦どうぞ!」

それと近づいたほうがスキャンの精度もあがるから、
広域でスキャンをかけて、皇国軍と潜入している味方に、
敵陣の位置情報とかかなり大事だよね。

「現時点では異常なし。進捗、順調だよ!」


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ガルヴォルン】
※愛機『ナインス・ライン』搭乗
※『リリー先生』等別称を好む
※アドリブ歓迎

なんか複雑な事情がある人も居るようで
ま、立場故の離別も戦場の常って奴さ
メアリーズさんは平常運転だねえ♪

孤島が戦場だし19号【タービュランス】着装済
殲禍炎剣に狙われない高度・速度で飛翔しつつ
『直接的な上陸支援』を担当していくかね

(絶対に最高速度は出さないけど)相応の機動力と、
本来の重装甲に防御用衝撃波を合わせたタフネス、
そして大型リニアキャノンを始めとした追加武装…
これらを駆使して、まず理緒さん達へ援護射撃

2人の上陸確認後は反転して軍隊に随行
高速・対潜等各種ミサイルで敵機を堕とすっ
理緒さん、異常はないかなー?


メアリーズ・エリゴス
【ガルヴォルン】

共和国だの皇国だの、興味はないですよ。私はただ破壊(アイ)せれば、それでいいんですよぉ!
きひっ!強襲部隊の上陸支援ですか、好きなだけ壊(アイ)していいってことですねぇぇぇ!
ロートガル向きの任務で嬉しいですよぉ!
ネルトリンゲン、カタパルト発艦許可を。ロートガル出ますよぉぉぉ!

海面スレスレを全身のスラスター吹かして飛ぶように移動ですよ
水陸両用機が上陸する前に、上陸地点を焼き払ってあげますよぉぉぉ!
ロングビームライフルに胸部メガビーム砲とサイコビット。どれも宇宙戦争やってる別世界SSWの技術を用いたビーム兵器ですからねぇ!
陣地ごと上陸予定地点を更地にしてあげますよぉぉ!




 猟兵の支援を得る事により、戦闘正面全域にわたって優勢を確保しつつあった皇国軍諸部隊であったが、局所的にみれば不利な状況に立たされている前線と言うものは存在した。
 苦戦の理由は様々に存在する。配置された部隊が精強であった地点。皇国軍が設置していた防御陣地が完全な状態で保持されていた地点。敵が側面攻撃ための突出部として設定し、優先的な火力支援が実施されていた地点。
 私設軍事組織ガルヴォルンに所属する猟兵達が上陸支援に当たった前線は、不幸にもその全ての要素を兼ね備えた地点であった。
「ま、立場故の別離も戦場の常って奴さ。特にこんな戦場じゃ、それこそ星の数ほどあるだろうさ」
 上陸地点から放たれる無数の火砲を器用に回避しながら、リーゼロッテ・ローデンヴァルトは、愛機たるナインス・ラインのコクピットにあって、特に気負いもなく独白する。分断国家同士の紛争など、外から見れば内戦と変わりない。リーゼロッテの言の通り、肉親にしろ友人にしろ、同種の悲劇は数限りなく存在しているのだろう。
「ええ、ええ。共和国だの皇国だの、興味はないですよ。はただ破壊(アイ)せれば、それでいいんですよぉ!」
 リーゼロッテの独白に反応するように、嬌声をもって無線に応答するは、出撃の瞬間を待ち望むメアリーズ・エリゴスである。ただ、破壊という名の愛を振りまく事のみを望む彼女にとってみれば、戦場において発生する悲哀など考慮に値しない。
 目の前に立ちはだかるもの一切を愛するために、彼女は出撃の時を今や遅しと待ち焦がれる。
「メアリーズさんは平常運転だねえ♪ 理緒さん、陸からの砲火はかなり激しいけど、大丈夫そう?」
「ネルトリンゲンの装甲を増幅して対応しているけど、ちょっと厳しそう。リーゼロッテさん、援護をお願い」
 ミネルヴァ級戦闘空母「ネルトリンゲン」の艦長、菫宮・理緒からの要請を快諾したリーゼロッテは、装着済みの「DA-19:TURBULENCE」を本格的に起動する。
 機体のOSとの互換性が考慮されていない、極めてピーキーな兵装であるタービュランスであるが、その性能は折り紙付きであった。
 優れたアンサーヒューマンであるリーゼロッテは、猛烈な加速を得たナインス・ラインの姿勢制御とタービュランスの制御を並行して実施するという離れ業をこなしながら、機体をネルトリンゲンの前方へと遷移させる。
 タービュランスの能力よって生じた防御用の衝撃波は、ネルトリンゲンへと投射される大小さまざまな火砲の運動エネルギーを減衰させ、彼女の装甲を傷つける火力を著しく低下させることに成功する。
 同時にナインス・ラインに搭載された大型の追加兵装群を、上陸地点に向けて一斉に叩きこむことで、上陸進路を強引に啓開していく。

「進路クリア! メアリーズさん、理緒さん、あとはよろしく♪」
「きひっ! ネルトリンゲン、カタパルト発艦許可を。ロートガル出ますよぉぉぉ!」
 リーゼロッテとナインス・ラインによって齎された時間を利用して、乗機である「ロートガル」の発信準備を整えたメアリーズは、焼き切れる寸前の理性を総動員して艦長である理緒に発信許可を求める。
「ロートガル了解。 進路クリア、カタパルト圧力臨界。発艦どうぞ!」
 かくの如くして、破壊という名の愛の化身たるロートガルは灼熱の戦場へと放たれた。メアリーズの歓喜の声と共にネルトリンゲンのカタパルトから射出されたロートガルのスラスターを器用に操作し、海面ギリギリの高度を保って愛機を飛翔させた彼女は、自機に向かって飛来する対キャバリア徹甲弾をその重厚な装甲によって弾き飛ばしつつ、「BS-B胸部メガビーム砲」の発射トリガーを引き絞る。
 収束モードで放たれた粒子の奔流は、人間が感知できる限界を超えた速度で連邦共和国軍の防御陣地へと着弾し、そこに籠っていたキャバリアと人間を諸共に原子へと分解する。
「ロートガル向きの任務で嬉しいですよぉ! 上陸地点に存在する全てを、壊(アイ)してあげますよぉぉぉ!」
 脳に満ちる多幸感の赴くままに、メアリーズとロートガルは戦場に――少なくとも彼女にとっては真実の――愛を振りまいていく。
 メアリーズがスペースシップワールド由来の超技術によって、戦場に際限のない破壊をもたらしている隙に、理緒は無事にネルトリンゲンを予定地点へ上陸させることに成功する。彼女はすぐさま多目的ミサイルランチャー「M.P.M.S」を周囲へと展開し、既に上陸していた皇国軍部隊の損傷機や負傷兵をネルトリンゲンへと受け入れていく。
 水陸両用強襲実施時において、安全な後方と言う概念は望むべくもない理想である。兵士たちにとっての理想をネルトリンゲンと自らの能力によって作り出した理緒は、上陸部隊に補給と整備を提供し、メアリーズがこじ開けた突破口に向けて部隊を送り出していく。
「理緒さん、異常はないかなー?」
「現時点では異常なし。進捗、順調だよ!」
 リーゼロッテの気遣いに感謝しつつ、理緒はネルトリンゲンに搭載されたセンサー類を機動させ、周辺環境の探査を開始する。
「敵の砲兵陣地は……あった、ここだね」

「向こうはうまくやっているみたいね」
 ネルトリンゲンから発信された砲兵陣地の位置情報を受け取った支倉・錫華は、周辺に展開を終えている特殊部隊と合流し、理緒が突き止めた砲兵陣地へと移動を開始する。
 味方の上陸開始と並行して、水陸両用キャバリアを用いた断崖からの浸透に成功した理緒と特殊部隊員たちは、ネルトリンゲンから齎された位置情報を頼りに深い密林を踏破し、依然として上陸地点への砲撃を続ける大規模な砲兵陣地へと到達する。
 地鳴りと共に次々と砲弾を吐き出し続ける野戦砲の数を見るに、眼前に存在するは師団直轄の砲兵陣地である。突出部である陣地線を援護すべく猛射を続ける陣地を叩けば、味方を脅かす脅威は相当程度軽減するだろう。
 音もなく周囲に散開した特殊部隊の兵士と共に、錫華は襲撃を開始する。
 一斉に開始された小隊単位の斉射に紛れる形で陣地内部に突入した彼女は、極限まで研ぎ澄まされた感覚を頼りに敵の死角から死角へと移動していく。
 砲撃指揮を行う指揮所に手榴弾を数個放り投げた後、手近に存在する牽引砲に支給された高性能爆薬を取り付けた彼女は、侵入時と同様の要領で陣地から離脱し、遠隔操作式の信管を起動させる。
 周囲に存在した砲弾諸共に牽引砲が爆破されたことを確認した錫華と工作部隊は、速やかに離脱し再び密林へと消える。

 連邦共和国軍によって最も強固に防御されていた水際陣地は、4人の猟兵の活躍によって弱体化し、ほどなくして突破されることとなったのであった。 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ユーレア・サーディス
友軍が橋頭堡を確保したあたりで私も上陸する
その頃なら敵も味方もたくさん墜ちているだろう。そっちのほうが都合がいい、私には

味方の陣地で守りを固めて友軍艦隊のデータリンクへのアクセス権限を要求。できれば島内に展開した味方も出来る限り"耳目"にしたい
見えていて、聞こえていればそこは私の戦場だ
人造の悪魔、人の作りたもうた争いの悪魔の戦場だ
可能な限り広範を戦場として、ユーベルコードを起動する

認知した死者はすべて機甲歩兵に
目覚めろ屍兵。隊伍を組んで前進しろ
立ちふさがる敵は撃て。邪魔な陣地は踏み潰せ。物資は奪うか焼き捨てろ
敗れて死んだなら何度でも蘇らせよう
蘇り続ける不死の軍団で敵の心身を削り殺す


ヴィクター・ホリディ
アドリブ連携歓迎

上陸支援とは大仕事だな
元陸軍としては海軍さんの手を煩わさないようにしないとねぇ

■方針
【情報収集/戦闘知識】で地形や敵機情報を確認
情報を上陸部隊、猟兵に伝達してUC使用

火力支援にあわせ、【推力移動/限界突破】で一気に上陸
ミサイル、ショットガンの近遠での【制圧/援護射撃】で敵の動きを制限し
【鼓舞】しながら仲間の上陸と戦闘を支援
トーチカに対しては正確な位置を伝達し火力支援を要請
近場であれば【推力移動】で接近、弾丸をスラッグ弾に切り替え【貫通攻撃】で沈黙させる

「逃げる連中は深追いしなくていい、橋頭堡を確保する事だけ考えろ!
 これで終わりじゃないんだ、無駄に死ぬなよ!」




 全ての戦闘正面において、連邦共和国軍が構築した前衛陣地を突破した皇国軍は、その背後に存在する複線陣地を突破し、海岸に完全な橋頭保を築くべく前進を継続していた。
 激烈を極める水陸両用強襲の現場にあっては、たとえ有利であったとしても攻撃側の消耗は尋常なものではない。
 上陸の第一梯団を務めた皇国海兵第2師団第3連隊及び皇国海兵第3師団第2連隊は、その戦闘力の大半を喪失し、後続の第二梯団へと構成の主役を譲っている。
「まったく、上陸支援とは大仕事だな」
 元陸軍軍人であるヴィクター・ホリディは、上位部隊が悉く壊滅し、作戦目的ではなく生存のために戦わざるを得ない状況に立たされていた複数の小隊を掌握し、歩兵とキャバリアが混成した即席の戦闘団を率いる立場にあった。
「第一、第二小隊は正面の火点に火力を集中しろ! 撃破はできなくてもいい、とにかく火線を張って敵の動きを制圧するんだ。 ミュラー曹長、キャバリア数機を連れてよろしく迂回してくれ、側面から叩く」
 傭兵として部隊を率いた経験を総動員して寄せ集めの部隊を率いるヴィクターであったが、その指揮ぶりは堂に入った物である。彼の周辺に集った兵士たちは、下士官を中心として部隊として戦うための意思を取り戻し、周辺の部隊が攻めあぐねている丘陵上に構築された陣地を攻略すべく奮戦している。
 ヴィクターの命令で実施された2個小隊分の制圧射撃に乗じて、丘陵の側面を迂回することに成功した数機のキャバリアが、弾数の残りわずかとなった肩部ミサイルランチャーから有線ミサイルを一斉発射する。その様を確認した彼は、直卒するキャバリアと歩兵たちに向け、愛機たる重キャバリア「T-55M1C Preces」の外部スピーカーを使用して発破をかける。
「さぁ諸君、楽しい突撃の時間だ。歓声を銃声に、花束を銃火に! 全機続けッ!」
 ヴィクターが操るT-55M1Cを先頭に、即席の機甲部隊が丘陵陣地を奪取すべく突進を開始する。
 推力移動を駆使して迅速に敵陣地に取り付いたヴィクターは、キャバリア用のショットガンで付近の機体を排除すると、後続の機体と共に陣地内部へと躍り込む。
 側面から複数のキャバリアによる火力投射を受け、浮足立った敵の混乱を突く形で発起した突撃は、ごく限定的な損害で成功する。
「逃げる連中は深追いしなくていい、この場を確保する事だけ考えろ! これで終わりじゃないんだ、無駄に死ぬなよ!」
 丘を確保したヴィクターは、優良な視界を生かしてトーチカをはじめとした周辺の敵火点の位置を艦隊へと通報し、着弾観測を実施する。
 そのまま丘を保持しつつ、周囲の監視を続けていた彼の視界に、異様な集団が飛び込んでくる。
 敵の陣地線に正面から接近し、次々となぎ倒されるキャバリアの群れ。しかし、撃破されたキャバリアはあろうことか再び立ち上がり、覚束ない足取りで敵の陣地へと接近していく。 
 倒れても倒れても再び起き上がり、物量をもって連邦共和国軍の陣地線を押しつぶす不死の軍勢。それは、素材が揃ったことを確認し、満を持して上陸したユーレア・サーディスの能力によって編成された「神聖帝国機甲歩兵」であった。
「前へ。ただ前へ。目覚めろ屍兵。隊伍を組んで前進しろ。立ちふさがる敵は撃て。邪魔な陣地は踏み潰せ」
 データリンクを介して響くユーレアの無感情な号令によって呼び覚まされた死者の群れ。
 手を、足を、頭部を、臓物がまろび出るに任せた無数の死者が起き上がり、召喚された亡国の主力キャバリア「エクトス」のコクピットへと身体を収めていく。
 そこには軍人としての誇りも、人間としての尊厳もありはしない。ただ敵を押しつぶすためのリソースとして、戦場に斃れた兵士たちは再び立ち上がる。
 皇国軍が戦場全域に展開するデータリンクで確認できるあらゆる死者は再び立ち上がり、敵を圧殺するためだけの軍勢に変貌する。
 戦術としてのタブーとも言える正面攻撃を命じられた死者の軍勢は、果たしてその物量のみを生かして敵の陣地線を次々と食い破っていく。
 その有様を見た兵士たちの正気が、ただ一つ生者が支払った代償であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チトセ・シロガネ
うわぁ、まるで要塞ダネ。
とりあえずはあの後方で構えてる奴ら(砲兵陣地)を叩き切ればいいンでショ。強襲ならマカセテ!アタシみたいな小回りが利くスカウトのオシゴトネ。

UC【ディヴァイン・テイルズ】を呼び出して騎乗、断崖絶壁を軽業で飛び昇って移動、第六感で火薬のきな臭い香りを探り、砲兵陣地を見つけ次第一気に強襲。主に大砲の砲身を斬撃波でツーピースにして荒らしまわるネ。

次は……あっちカナ。
敵兵からキャバリア反応が2体、犬のような機械に乗ったサムライが陣地に乗り込んでは大砲を破壊していくという報告を傍受しつつ次の陣地へ駆けていく。




 皇国軍本隊の上陸開始から数刻が経過し、曙光が完全に空と陸を照らす時刻となってなお、エーゲル島南西に位置する海岸周辺では鳴りやむことなく砲音が響き続けている。
 際限なく拡大していく戦場音楽の発生源は海岸部だけに留まらない。事前の航空攻撃と猟兵と特殊部隊による破壊工作を受け続けているにもかかわらず、エーゲル島全域にわたって事前構築されている無数の砲兵陣地からは、未だに甚大な火力が皇国軍部隊へと降り注いでいた。
「うわぁ、まるで要塞ダネ」
 サポートAIによって操られる狐型のキャバリア「ディヴァイン・テイルズ」に跨り、特殊部隊をもってすら上陸不可と判断された断崖を軽々と踏破し敵陣後方へと浸透したチトセ・シロガネは、鳴りやむ事なく全周から響き渡る砲声を聞きながら率直な感想を漏らす。
 それは、あながち大げさな比喩でもない。プラントを擁し、アザリア皇国の本土と北部領――現在では連邦共和国側の本土である―――との中間に位置するエーゲル島は、皇国にとっては戦略上の要衝であり、緊要地形にはほぼ例外なく兵器とそれを運用する部隊が配置可能な要塞島とも言える場所であった。
 端的に要約すれば、怪しいところには幾らでも獲物が転がっているのである。人間サイズのキャバリアと言えるチトセにとっては、これ以上ない狩場であった。
「さぁ、オシゴトの時間ネ。とりあえずはあの後方で構えてる奴らを叩き切ればいいンでショ」
 岩場から岩場を伝って、前線を大きく迂回する形で後方に浸透したチトセは、獲物を求める肉食獣よろしく密林を疾駆する。
 猛烈な速さで後方へと流れていく景色を横目に、ディヴァイン・テイルズを跳躍させれば、視界に飛び込んでくるは前線へと砲弾を放り続ける砲兵陣地。
 あまりにも唐突に出現した侵入者を前に呆気にとられる護衛機に狙いを定めたチトセは、愛用のビームカタナを抜刀すると、手慣れた手つきでその頭部にフォトンの刃を叩きこむ。
 果たして、彼女の刃はキャバリアの複合装甲を容易に両断する。哀れな獲物と化したキャバリアの頭部は、破断面を赤く輝かせながら空中へと跳ね飛ばされた。
 チトセは器用にバランスをとりながらディヴァイン・テイルズから跳躍し、空中でヒール型ユニットからフォトンブレードを発振させると、その優美な体躯をくるりと回転させながら光子の刃を振り下ろし、護衛機の両腕を切り落とす。
 斬撃の衝撃を受けて倒れこむキャバリアを踏み台として再度跳躍し、彼女は再びディヴァイン・テイルズの背に身体を預けた。
 わずか数秒で鮮やかに護衛機を無力化して見せたチトセは、そのままの勢いで陣地後方へと突入し、本面である牽引型の野戦砲の砲身に向けてビームカタナを振り下ろし、超高温の刀身と斬撃と共に発生する光波によって両断する。
 人間サイズの身体からはとても想像できないほどの火力をもって、一つ目の砲兵陣地を蹂躙したチトセ。僅か数分にも満たない襲撃によって一個小隊相当の野戦砲を沈黙させると、鋼鉄の乗機と共に再び密林へと姿を消す。
「まずは一つ目。次は……あっちカナ」
 嵐のような襲撃に見舞われた敵兵が、周辺部隊に警告を発する無線を傍受し、楽しげにその相貌を歪めながら、狩人は縦横に密林を駆けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
Pow※直接的な上陸支援に参加
心情:大規模上陸作戦か、提示された報酬も良かったから参加したが…こりゃあ長い1日になりそうだな

手段:「畜生!砲弾で地面を耕すような猛攻だぜ!」
【熟練操縦士】を発動、ヘヴィタイフーンmk:Ⅹで出撃!装備はコング無反動砲に肩の40mmレールガンにミサイルランチャー、予備の弾薬とSMGは増加装甲のハードポイントに引っ掛けおく。
俺は皇国軍部隊の前衛を努める、スパイクシールドを構えて文字通り盾となりながら前進するぜ。

トーチカを射程に収めたら、155mm徹甲榴弾を銃眼に叩き込んでやる。
機関銃陣地や対戦車砲陣地に40mmやミサイルを叩き込んで掃討、確実に潰して橋頭堡を確保するぜ




 数多ある軍事作戦の中でも、攻撃側に最も激甚な消耗を強いる大規模上陸作戦の渦中にあって、重装キャバリア「HL-T10 ヘヴィタイフーンMk.Ⅹ」を操るヴィリー・フランツは、戦力の再編成を実施し前線へと復帰した皇国海兵第3師団第2連隊の将兵たちと共に、隘路上に構築された強固な防御陣地の一角を突破すべく前進を続けていた。
 戦術的な観点から見れば、火力の集中が容易である隘路に構築された有力な陣地など、突破ではなく迂回すべき対象である。
 しかし、彼らの眼前に広がる陣地線に守られた隘路は、エーゲル島内陸部へと侵攻を図る上で、必ず確保しなければならない緊要地形であった。それこそ、どのような犠牲を払ってでも。
「畜生! 砲弾で地面を耕すような猛攻だぜ!」
 ヴィリーは友軍を護るべく、ヘヴィタイフーンMk.Ⅹの重厚な装甲を榴弾の弾殻と火点からの砲火に晒しながらも、常に先頭に立って前進を続ける。
 周囲には敵の重迫と後方の榴弾砲から放たれる突撃破砕射撃が絶え間なく着弾し、Mk.Ⅹの巨体を揺さぶり続ける。
 このままでは埒が明かないと判断したヴィリーは、共に前進を続けている部隊の指揮官に向けて通信回線を開く。
「中隊長さん、意見具申だ。こちらで正面の火点を一時的に制圧する。その隙にアンタの部隊を側面に回して左前方のトーチカを叩いてくれ。右にある方はこちらで何とかする」
 ヴィリーの提案を受けた中隊長、戦死した正規の中隊長から指揮権を継承していたラウラ・アーダルベルト中尉は数秒の思考の後、ヴィリーの提案を受け入れる。
「了解です、猟兵。1個小隊をそちらの援護に付けます、5分持たせてください」
「オーケー、5分だな。やって見せるさ!」
 ヴィリーは不敵な笑みと共に啖呵を切ると、Mk.Ⅹをスラスターを最大出力で噴射し機体を躍進させ、前方の陣地線に向けて射撃を開始する。
 彼の前進と合わせる形でアーダルベルトの命を受けた重迫小隊が射撃を開始し、その着弾に合わる形でヴィリーは敵陣に目掛けてハードポイントに懸下していたミサイルランチャーから対装甲ミサイルを連続して発射する。
 発射されたミサイルは不用意に姿勢を高くしていた数機のキャバリアを爆散させた他、着弾の爆風によって敵の頭を一時的に下げさせ、投射される火力を一時的に減衰させる。
 歴戦の猟兵である彼はその隙を見逃さない。弱まった火線をこじ開ける様に前進を続け、陣地に向けてクロコダイル単装電磁速射砲から徹甲弾を撃ち放ち、敵の火力を制圧し続ける。
 アドレナリンによって極限まで引き伸ばされた5分という時間を、果たして彼は稼ぎ切った。
 後方から重迫と一個小隊分の援護を受けて前進を続けるMk.Ⅹの右前方から、対角線上に位置する左前方のトーチカに向けて複数のミサイルが飛翔煙と共に撃ち放たれ、火点に飛び込んだ数発のミサイルが内部からトーチカを無力化することに成功したのだ。
「よーし、やってくれたな。こちらも反撃開始だぜ!」
 ヴィリーは会心の笑みと共にコングⅡ重無反動砲の安全装置を解除し、射程内に収まった右前方のトーチカに向けて155mm徹甲榴弾を発射する。
 正確な照準と共に発射された3発の徹甲榴弾は、過たずに火点へと飛び込み、炸裂する。炸薬と共に同心円状に飛散した弾殻がトーチカに籠っていた歩兵とキャバリアを諸共に粉砕し、トーチカの火力を無力化することに成功した。
 両翼に配置されたトーチカからの援護を失った防御陣地に、迂回した中隊主力と共に突入したヴィリーは、残敵をなぎ倒し、見事防御陣地の一角を突き崩すことに成功する。
 彼の活躍によって、皇国軍に大量の出血を強要するはずの陣地線は、想定よりはるかに少数の犠牲で突破されることとなったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『アマランサス』

POW   :    BSビームライフル・RSダブルバズーカ
【ビームライフル】か【ダブルバズーカ】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    BXビームソード
【ビームソード】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    一般兵用リミッター解除
【一般兵用の操縦系リミッターを解除する】事で【本来のエース専用高性能クロムキャバリア】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 払暁と共に開始されたエーゲル島に対する水陸両用強襲の結果は、猟兵達と皇国軍にとって、概ね満足のいくものであった。
 猟兵達からの強力な支援を受け、海岸線一帯を数時間にわたり焼き尽くした成果として、皇国軍はエーゲル島への上陸に成功し、海岸部に橋頭保を気付くことに成功していた。
 揚陸の主力となった皇国海兵第2師団及び第3師団の前衛部隊は、水際に築かれた防御陣地群を突破し、海岸部から十数キロ地点にまで進出。それと同時に、内陸部に至る緊要地を確保することに成功したのである。
 揚陸の間接支援に当たった猟兵達の活躍もまた、瞠目すべきものであった。
 彼らは皇国海兵特殊作戦部隊と共同し、夜陰に乗じて連邦共和国軍後方へと浸透。連邦共和国軍側の砲兵戦力を襲撃し、本来であれば上陸してくる皇国軍部隊を焼き払うはずであった火力の相当程度を減殺することに成功している。

 しかし、全てが皇国軍側の思惑通りとも言い難い状況であることもまた事実であった。
 もとより水際での敵撃退は不可能と割り切っていた連邦共和国軍第3親衛装甲師団は、周到に計画された砲兵による阻止射撃と、段階的な陣地線の放棄による遅滞戦闘を実施。上陸部隊に相当程度の出血を強要すると同時に、皇国軍側の主攻正面に向けて、オブリビオンマシンを含む師団主力を集結させるための時間稼ぎを行うことに成功していた。
 その結果として、揚陸戦ゆえに重砲や重装キャバリア等の大火力の揚陸完了に時間を要する皇国軍部隊は、火砲と言えば重迫撃砲程度の、軽装キャバリアと歩兵とを主体とした部隊をもって、連邦共和国軍主力へと相対せざるを得ない状況に立たされたのである。
 第3親衛装甲師団を率いる連邦共和国軍の老将、アーダルベルト中将にとって、かかる状況は軍事的博打の第一段階に勝利したことを意味した。
 重装キャバリアと主力戦車という火力と機動力に富んだ師団主力をもってすれば、皇国軍が築き上げた十数キロの縦深など無きに等しい。皇国軍の前衛部隊を突破すれば、一挙に敵をエーゲル島から叩きだすことが可能になるのだ。
 しかし、逆を言えば、敵前線の突破に失敗すれば優勢な皇国軍2個師団からの逆襲を受けることを意味する。海上優勢と航空優勢、そして少なくない数の砲火力を失った連邦共和国軍にとって、アーダルベルト中将の決断は状況を打開する唯一の手段であると同時に、極めてハイリスクなものであると言えた。


 前線の後方、予備兵力として展開する皇国海兵第3師団第2連隊の連隊本部へと到着した猟兵達は、連隊長直々に状況説明を受ける。
 敵主力は前線全域を圧迫しつつ、数か所に戦力を集中させて突破を図っている様であった。
 皇国軍の戦力は揚陸時に主力となった軽装キャバリアと歩兵が主体であるが、猟兵達の支援によって消耗は比較的軽微に抑えられており、敵が放棄した陣地や応急陣地に立てこもって防御にあたっている。
 また、皇国軍の各部隊は火砲として相当数の重迫撃砲を有しており、煙幕の展開や榴弾によって敵キャバリアの行動を妨害することも可能であるとの事である。
 敵の主攻部分に存在する味方を援護するもよし、前線全域を圧迫する敵を叩くもよし。先の海戦や揚陸支援によって皇国軍からの信頼を勝ち得ている猟兵達の行動に制限はない。
 猟兵達は、守勢に立たされた皇国軍前線部隊と共に、渾身一擲の突破を図る連邦共和国軍主力に立ち向かうのだった。
シル・ウィンディア
敵の数は多いしどうするかな
皇国軍さん達に援護射撃を求めよっか

わたしが出て5秒後に、敵群に向けて一斉射をお願いしますっ!
その混乱の隙に切り込むよっ!
それじゃ、ブルー・リーゼMk-Ⅱ、行きますっ!

高度に注意して上空の衛星から狙われないスピードで移動を開始
【空中機動】で【残像】を生み出しつつ【空中戦】だね

敵陣が見えて射程範囲に入ったら
ランチャー、ホーミングビーム、ツインキャノンでの【一斉発射】!

体勢を崩した相手には【スナイパー】モードのランチャーで撃ちぬくよ

敵の攻撃は【第六感】で殺気を感じて
動きを【見切り】回避だね
回避時は【残像】も生み出して行動

視認したら《指定UC》で一気に接近だねっ!


ウィリアム・バークリー
敵軍は正統な戦闘ドクトリンで進んでくるようですね。それだけに、搦め手で引っかき回すのが難しい。
こういう時は純火力でいきましょう。

敵軍が放棄した簡易陣地を一つ使わせてもらいます。
「全力魔法」氷の「属性攻撃」「衝撃波」「高速詠唱」使用。詠唱中は「目立たない」ように。
スチームエンジン、影朧エンジンを『スプラッシュ』に接続。トリニティ・エンハンス起動、攻撃力強化。Spell Boost。Mode:Final Strike.積層立体魔法陣展開、仮想砲塔伸張。Elemental Cannon 敵軍重キャバリア隊中央に向けて照射!

やはり、真面目にキャバリアを相手取るには、これくらい必要ですよね。


フランツィスカ・リュッツオウ
◎アドリブ連携歓迎
重キャバリアに主力戦車…なるほど、相手方も本腰を入れて来たようだな。
だが、肝心な点を失念しているようだ。戦争と常に上を取った方が勝つのだよ。

1章から引き続き航空戦を続行。ただ、生身のままでは火力が些か心許ない。しかし手数を減らすのも避けたいからな…此処は一人二役でロッテを構成するとしよう。(UC起動)

稼働可能範囲は約4.3キロ。航空機からすれば狭いが仕方あるまい。編成は機体が長機、私が僚機を担う。基本的に一撃離脱戦法を仕掛けつつ、相手の対空射撃や跳躍攻撃は回避に徹する。
こちらに火力が割かれるという事は、その分友軍への圧力が軽減されると言う事。
ならば精々、派手に囮を務めようか。




 連邦共和国軍第3親衛装甲師団による反攻は、概ね順調に進捗していた。
 オブリビオンマシンの影響を受けたアマランサスを中核とし、歩兵部隊に至るまで完全装甲化がなされた親衛装甲師団の主力部隊は、攻勢発起から一刻余りで皇国軍部隊が構築した前線の複数個所を突破し、ただひたすらに前進を続けている。
「速度、装甲、火力、全てを備えた突破とは、敵のドクトリンはひたすらに正統派ですね」
 数分前から周辺の地形を炸薬と弾殻で耕し続けている敵の準備砲撃を手近な退避壕でやり過ごしながら、ウィリアム・バークリーは敵の攻勢を端的に評価する。
 必要な場所に、必要な火力と装甲戦力を投入し、前線の一部分を一挙に突破。爾後後続の部隊によって突破路を拡大しつつ、突破部隊は敵の後方ないしは側面に攻勢をかけ、一挙に突き崩す。
 教本に乗るような典型的な突破行動である。事前の準備が周到な分、生半な搦め手もおそらく通じないだろう。
「なら、こちらも正攻法。純火力でいきましょう」
 攻撃準備射撃が終了した事を確認したウィリアムは、身に纏うアドニスとホワイトミュートに降り積もったほこりを払いながら、陣地へと復帰すると、無線機を手に取り僚友へと呼びかける。正面を見れば、中隊規模のキャバリア「アマランサス」が、味方の防御線を蹂躙すべく移動を開始した様が見て取れた。
「敵部隊、前進を開始しました。2個中隊規模、横隊でまっすぐ突っ込んできます。予想通りですね」
「了解した。手はず通り航空支援を実施する。ブルー・リーゼMk-Ⅱ、準備は良いな?」
「はいっ、いつでも大丈夫だよ!」
「よろしい。自分は敵右翼、貴機は左翼だ。いくぞ」
 厳しい戦況にあっても、熟練の軍人らしく淡々とした態度を崩さないフランツィスカ・リュッツオウ。そして、その問いかけに生来の明るさをもって応じるシル・ウィンディア。
 空を駆る2人の猟兵は山をや丘陵を回り込む形で敵の防空網を迂回し、ウィリアムに相対する敵部隊への攻撃位置に到達しつつあった。

「重迫部隊の皆さん、5秒後に敵に向けて一斉射をお願いします。ブルー・リーゼMk-Ⅱ、行きますっ!」
 シルの要請通り、通信からぴったり5秒後に後方の重迫部隊から一斉に155mm砲弾が敵部隊に向け発射され、対キャバリア用榴弾が敵部隊を包み込むように一斉に炸裂する。
 高い練度を誇る連邦共和国軍部隊は、すぐさま散開し被害の極小化を図る。しかし、その行動はシルの望むところであった。
 散開し、一時的に速度が落ちた敵左翼部隊を捕捉した彼女は、愛機たる精霊機が持つ強力な武装を一斉に発射する。
 リュミエール・イリゼから放たれた七色に輝く誘導ビームの群れは、シルの意思によってそれぞれが複雑な機動を描きながら目標へと飛翔し、その外観の美しさと同等の破壊力をもって敵機体各部に破孔を穿つ。
 同時にブラースク改から連射モードで放たれた魔力の奔流は、命中はせずとも敵機の周辺の地形をその熱量によってガラス化させながら抉り取ることによって、体勢を崩していく。
 ブラースク改の射撃モードを連射から狙撃へと切り替え、体勢を崩した敵を一機一機確実に撃破していくシルとブルー・リーゼMk-Ⅱ。
 対する左翼部隊は散開した隊形を維持しつつ、上空から飛来したブルー・リーゼMk-Ⅱを追い込むように火線を形成していく。
 1秒ごとに激しさを増していく敵の対空射撃。シルはその性能故に常人には扱えぬほどのピーキーさを持つ精霊機を手足の様に操り、空中を舞うように乱数機動を描きながら敵弾を回避していく。
「見えたっ……! 光の精霊よ、我が身と共に!」
 残像が残るほどの高機動によって徐々に敵との距離を詰め、その姿を完全に視認したシルは、練り上げた魔力を解放し、光の精霊を自身と機体とに一体化させる。
 魔術的に光と一体化したブルー・リーゼMk-Ⅱは一瞬で敵部隊の懐へと飛び込むと、星のきらめきを纏う光刃剣エトワールを抜刀し、眩い光と共に一機のアマランサスを鮮やかに両断して見せる。
 あまりの光景に愕然としつつもビームソードを抜刀し、彼女を迎撃せんとする敵部隊。シルとブルー・リーゼMk-Ⅱは、瞬間移動と斬撃を駆使して敵を翻弄しながら、ウィリアムが潜む陣地正面に向けて敵部隊を誘導することに成功しつつあった。

「重キャバリアと主力戦車の合同部隊か。……なるほど、相手方も本腰を入れて来たようだな」
 敵の陣容は、フランツィスカから見ても堂々たるものである。陸上戦力だけ見れば、皇国軍部隊を容易く蹴散らすことができるだろう。
 だか、と、フランツィスカは付け加える。堂々たる地上戦力には、現代戦において最も重要な要素。即ち、空からの援護が欠けているのだ。
「戦争と常に上を取った方が勝つのだよ」
 シルと時間差をつけて敵右翼部隊へと突入したフランツィスカは、彼女の能力によって制御される空戦型キャバリア「Me262R-1 シュヴァルベ」とロッテを形成。火力に優れるMe262R-1を長機とし、自らは僚機を担う形で敵部隊に対して急降下を開始する。
 甲高いエンジン音と共に猛烈なスピードで突入するMe262R-1に対し、敵部隊は随伴する自走対空砲も含めた対空火砲を向ける。
 フランツィスカは迷わず脅威となりそうな火砲に懸下したR4Mロケット弾を撃ち放ち無効化。
 Me262R-1は、その猛烈な速度に対応しきれずいるアマランサスからの放たれる対空射撃を容易く振り切ると、装備した対空兵装を地上へとばらまいていく。
 直撃を受けた不運な機体が次々と爆散する様を一瞥もせず、投下を終えたMe262R-1は一撃離脱の要領を忠実に守り、急速に上昇していく。
 追いすがるようにMe262R-1に銃口を向ける敵機に対して、フランツィスカは30mm機関砲弾を叩きこむ。幸運に恵まれた一部の砲弾がキャバリアの上部装甲を貫通し、Me262R-1の対地攻撃によって生じた敵部隊の混乱に拍車をかけていく。
「上面を狙えば30mmでもやれん事はないか。いや、色気は出さずに行くとしよう」
 急速上昇していく2機の航空機に気を取られた敵右翼に対して、付近の皇国軍部隊から火線が集中する。
 フランツィスカによる堅実かつ周到な反復攻撃と味方地上部隊の攻撃によって、敵右翼もまたウィリアムが設定した射線上に誘導されつつあった。

「こちら、ブルー・リーゼMk-Ⅱ。敵部隊の誘導、成功したよ!」
「シュヴァルベだ。こちらも誘導に成功した。引き続き敵部隊の拘束を図る」
 上空を支配する2人の猟兵に感謝と了解を伝え、ウィリアムは自らの愛剣スプラッシュを抜き放ち、詠唱を最終段階へと移行させる。
「Spell Boost。Mode:Final Strike」
 解放に向けて遮蔽が解かれた魔法陣が、ウィリアムの周囲に一斉に展開する。魔力によって編まれた魔法陣が幾重にも重なり、複雑な立体的文様を形成する様はある種の芸術とも言うべき魅力を孕むと同時に、形而下にすら影響を及ぼすプレッシャーと化して周囲を飲み込む。
「積層立体魔法陣展開、仮想砲塔伸張」
 ウィリアムの命に従い、スプラッシュを中心軸として魔法陣が円柱状に伸張する。彼の身体の内で増幅、圧縮された魔力がスプラッシュへと流れ込み、その刀身を美しく輝かせていく。
 ただならぬ気配を感じ取り、アマランサスのパイロットたちが機体のリミッターを解除した時には、全てが手遅れとなっていた。
「Elemental Power Converge...Release. Elemental Cannon Fire!」
 刀身の輝きが極限に達し、込められた魔力が飽和する直前。ウィリアムは積層立体魔法陣によって形成された仮想砲塔を通して、その魔力を一挙に開放する。
 仮想砲塔によって収束された超高密度の魔力流は、射線上に存在するあらゆる物質を素粒子単位にまで分解しながら直進し、ある点に着弾した瞬間、収束された魔力を拡散させる。
 極限まで圧縮された魔力が拡散することによって生じる衝撃波は、周囲の空間ごと敵部隊を爆砕するに至った。
 
 空を支配するシルとフランツィスカによる敵部隊の誘導。そして、ウィリアムによる大火力の投射によって、前線の一角を突破するはずであった連邦共和国軍の部隊は、文字通り消滅する事となったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

徳川・家光
「僕の羅刹大伽藍は、キャバリア程の機動力はありませんが、ユーベルコードで拵えた為、動力音が発生しません。煙幕を用い、砂塵の幽霊が如き働きを行いまする」

 オブリビオンとの戦いとはいえ、将兵としての采配を国家間戦争で指揮する事は望みません。あくまで一兵卒として、オブリビオンマシンの撃破に専念します。

 上記のように、僕の基本戦闘方法は「隠密」。しかし、敵の武装は遠距離で、こちらは近接。通信機で僕の合図で煙幕弾を放って貰う事にし、崖の出口や軍事施設の門前等の敵マシンに、煙幕からの奇襲を行います。もし遠距離間合いで捕捉されたら、僕の作戦は失敗。大伽藍を捨て、火産霊丸に乗り敵をぎりぎりまで陽動します。


イザベラ・ラブレス
博打勝負と言えども、勝算を見出しての勝負と見るべきね。
だったらそれをご破算にしてやるのが肝要か…。共和国軍には傭兵の奇術に付き合ってもらいましょう。

ここからは慎重に、友軍の支援に回らせてもらうわ。
前線を見渡せる位置まで移動し、マイティー・バリーのコックピットから乗り出してフェイルノートを構える。
取り出しますは魔法の25mm弾。幾つかの敵機に対して腕部への狙撃を行えばあら不思議、火器管制は支配され、味方を撃つではないですか。

博打勝負に出ている以上、この類のミスはかなり響くハズよ。
敵の混乱が確認できたら事前に準備してもらっていた友軍部隊に砲撃を要請、一気に叩き潰してもらいましょう。




 丘陵部に存在する皇国軍の防衛線を突破すべく、楔形の突撃陣形を形成して迫りくる敵前衛部隊の姿は、敵ながら堂々たるものであった。
 深紅の装甲を陽光で輝かせながら、隊形を乱すことなく迫りくるキャバリアの群れは、見る者によってはかつてUDCアースやサムライエンパイアにて勇名を馳せた赤備えを連想する事だろう。
「さぁて、博打勝負といっても、あの様子じゃ向こうさんには十分に勝算があるみたいね。だったらそれをご破算にしてやるのが肝要……と、いっても」
 熾烈な準備砲撃によって半ば土に埋もれた愛機「マイティー・バリー」のコクピットから身を乗り出しつつ、イザベラ・ラブレスは傍らに立つ甲冑姿の男に顔を向け、苦笑を浮かべる。
「サムライって正々堂々なイメージがあったのだけど、意外とえげつないのね」
「古人曰く、武者は犬ともいへ、畜生ともいへ、勝つことが本にて候」
 えげつないと評された男。大鎧「羅刹大伽藍」に身を包んだ徳川・家光は、涼しい顔で答える。故郷たるサムライエンパイアを支配する大将軍たる彼も、この場においては一個の戦闘単位としての武者であると、自らを定義していた。
「……あぁ、確かに納得。嫌いじゃないわ」
 二人の猟兵は、互いにニヤリと口元を歪め、頷き合う。
 生まれも立場も違えど、今この時は目的を同じくする戦士である。意気投合するに至った二人は、それぞれの得物に手をかける。
 統制された暴力の化身たるキャバリアの隊列を前にしてなお、イザベラと家光に些かの動揺もない。
 突撃開始線に差し掛かりつつある敵部隊を見据え、家光は指南役から譲り受けた名刀、大天狗正宗を抜き放つ。
「敵勢は、そろそろ突撃に移る頃合いです。策を実行に移すは今」
「オーケー、共和国軍には傭兵の奇術に付き合ってもらいましょう!」
 イザベラは愛用する対物対空ライフル、フェイルノートに崩壊汚染弾頭を装填すると、一切の間を置かず引金を絞る。
 轟音と共に放たれた25mm弾は、重キャバリアたるアマランサスの装甲を貫徹するには至らず、乾いた音と共に弾かれる。
 しかし、それはイザベラも承知するところであった。次々と打ち放たれ、それぞれ異なる目標に着弾した25mm弾に封入された崩壊汚染弾頭。それは、解読不可能な程高度に暗号化されたコンピューターウィルスを敵機に注入するための弾頭であった。
 着弾部から機体内部へと浸透し、瞬く間に機体の制御中枢を掌握したウィルスは、パイロットからの機体制御を遮断。ついで火器管制系を操作し、装備する火器の砲身を皇国軍陣地ではなく味方部隊へと向ける。
「煙幕弾を!」
 イザベラの射撃が始まると同時に、家光は後方の重迫部隊へと要請を送る。軍を率いる将でもある彼が事前に見切っていた敵部隊の突撃開始線周辺に着弾した煙幕弾は、同士討ちの只中にある敵部隊から視界を奪っていく。
「羅刹大伽藍は、キャバリア程の機動力はありません。しかし、動力音が発生しないこの鎧と煙幕、そしてイザベラさんの攪乱が合わされば、砂塵の幽霊が如き働き働きを成せるは必定」
 煙幕が展開されると同時に滑るように陣地から飛び出し、音もなく敵部隊の懐に入り込むことに成功した家光。剣術無双の誉れ高い柳生宗矩より柳生新陰流の教えを受けた家光にとって、格闘戦の体勢に入っていないキャバリアを叩き切ることなど造作もない。
 アマランサスの関節部に施された複合装甲を、紙の様に引き裂いていく家光。一機、また一機と手足の関節部を両断されたアマランサスは次々と擱座することとなる。
 四半刻も経たぬうちに、イサベラが齎した同士討ちの混乱も相まって敵部隊の足は完全に止まる。戦場において、攻撃側の部隊が足を止めるということがいかに致命的であるかは論ずるまでもないだろう。
「家光、味方の砲撃が来る!」
「――ッ! 承知しました!」
 極限の集中を擁する近接戦闘を実施していた家光に代わり、味方の警報を受け取っていたイザベラが叫ぶと、家光は羅刹大伽藍を大きく跳躍させ、格闘戦の間合いから離脱する。
 大鎧の重量を全く感じさせぬほど俊敏な動きで家光が陣地に復帰すると同時に、味方重迫部隊が放った対キャバリア榴弾が敵部隊の直上で一斉に炸裂する。
 後に残るは、装甲に多数の破孔を負い、意味のない鉄屑と化した敵キャバリアの成れ果てのみであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三辻・蒜
今回も特殊部隊の人達、一緒に戦ってくれるのかな
戦う場所が違っても、お互い生き残りたいね

味方の脅威になる敵の砲兵、重装キャバリアを狙うよ
正面から撃ち合うのは危なそうだし、木々の間を見つからないように進んで側面に回り込む
まずは狙い易い位置の1機に集中して【羨望の光】を撃って無力化
敵の対処が早くなければもう1機狙いたいけど、欲張らない方が良いよね
一旦退却して、また敵の側面に回っての繰り返し
やろうとしてるのはゲリラ戦ってことになるのかな
私みたいな光学兵器持ちの歩兵が潜んでること、敵が怖がって動き難く思ってくれれば大成功だね

こっちと同じような作戦で敵が近付いてきていないか、注意しながら進んでいこう




 揚陸戦が成功裏に終わった現在も尚、三辻・蒜が行動を共にする皇国海兵特殊作戦部隊の任務は終わらない。
 親衛を冠した連邦共和国軍第3親衛装甲師団は、質・量ともに通常編成の装甲師団を凌ぐ規模を誇る。
 配備されるキャバリアや主力戦車が全て高水準の物であることは勿論、歩兵部隊に至るまで全てが装甲化され、キャバリアと主力戦車の機動力に追従可能な自走砲部隊――これには砲戦用キャバリアも含む――を多数保有する、まごう事なき精鋭師団である。
 故に、上陸前に実施された工作任務によって多くの火砲を叩いた現在に至っても、未だ島内には相当数の敵砲兵部隊が存在する。上陸中の特殊作戦部隊課せられた次なる任務は、主に攻勢の主軸となる自走式の砲火力に対する破壊任務であった。
 かかる理由によって、蒜が随伴する部隊は、未だ前線から数キロ離れた原生林の中に潜みながら、前線部隊へと追従する自走砲部隊に対してハラスメントに近い攻撃を加え続けていた。
 キャバリアを持たない部隊であるにもかかわらず、蒜の能力と各小隊員の連携によって、現在までのキャバリア撃破数は6機を数える。
 これらの戦果は、蒜が持つ能力の火力が優れているだけではなく、動物的なまでの探知能力によって事前に敵の移動経路を特定し、用意に襲撃と離脱の計画を立案可能であることが大きな要素を占めている。
 エーゲル島への上陸直後はどこか客人を迎えるようであった部隊員たちの態度も変わり、今や同じ死線を共にした仲間として彼女を遇するようになっていた。
「これは――」
 携行型の対キャバリア誘導弾の弾薬が残り少なくなり、補給のため後方へと移動している最中、蒜の聴覚が微かにキャバリアの移動音を捉える。
 それは、皇国軍の後方領域にある現在位置で聞こえるはずのない、連邦共和国軍の重キャバリアの移動音のに思われた。暫しの逡巡の後、後方をすすむ小隊長へと呼びかける。
「隊長さん、キャバリアの駆動音です。右前方、数は3機。砲兵の護衛機じゃなくて、大きい機体です」
 方角的には味方の物資集積地に近い地点である。もし敵が前線を迂回し、後方に浸透していたとすれば、揚陸物資を待つ必要がある皇国軍にとって深刻な損害になり得る。
「……今、味方への警報を上げた。しかし、物資集積地点の護衛機ではアマランサスを撃破することは厳しいだろう」
 特殊部隊の小隊を率いる彼は、どこまでも合理と必要の奴隷たる軍人である彼は速やかに決断する。
「敵の襲撃開始直前に、敵の背後から襲撃する。護衛機部隊と共同し、敵襲撃部隊を排除する」
 敵が自分達と同じ行動をすることについて危惧していた蒜の意見も、小隊長と同様であった。部隊の斥候として前衛を務めている彼女は、部隊長と短くやり取りすると、同じく斥候を務める3名の部隊員と共に集積地点の脇道へと進出する。
「敵、確認しました。数は3、いつでも動けます」
「よろしい、三辻。隊列中央の機体を狙ってくれ。後方は我々で片づける。最後の一機は護衛機隊に残してやろう。欲張りと叱られてしまうからな」
 蒜は軽く口を歪め、了解を伝えると周囲に展開した部隊員へ頷く。
 手慣れた様子で最後の携行式対キャバリア誘導弾の発射機を担いだ強面の軍曹が親指を上げたことを確認した彼女は、LD10の照準をアマランサスの背部ランチャーへと合わせ、引き金を絞る。
 時間差なく照射された超高熱度の熱線が瞬時にランチャー部分へと照射され、一拍おいて熱線が装甲を貫徹。内部にあった大型の弾頭の炸薬を誘爆させる。
 爆音と共に背部が破裂し、その衝撃によって転倒する敵機に対して、発射された対キャバリア誘導弾が着弾。誘導弾は転倒したことによって露わになった上面装甲を容易く貫通し、装甲内部で炸裂。10秒にも満たぬ間に、一機のキャバリアが無意味な鉄塊と化す。
 後方を進んでいた不幸なキャバリアには、その様に狼狽する暇すら与えられなかった。
 蒜の予測を基に、移動路の左右に展開した兵士から放たれた誘導弾がコクピットを直撃し、僚機と同じ末路を辿る。
 最も撃破に時間がかかったのは、集積地点のキャバリア部隊が対応した戦闘の機体であったことは、蒜と彼女が随行する部隊の練度の高さを如実に物語っていた。
 かくの如き活躍によって、彼女は人知れず、味方の戦線崩壊の危機を救ったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シーカ・アネモーン
ひとまず、揚陸はうまく行ったと見ていいんだな
まあ、乗り込めば今度は地上戦力というところだろうな
使い捨ての傭兵に気遣いは不要。そうでなければ、金をかける理由もあるまい
軍人が義だけで動くとは言わないが、傭兵が動くのは金だけだ。それで十分なはずだろう
補給が完了次第、前線へ向かうぞ
敵前線を担う主な機体は、なるほど、エネルギー兵器主体か
ならばその防備も固めているだろう
ソードスレイヴは温存し、接近戦を仕掛けてみるか
シールドとベイツァーセルで正面の守りを固めつつ上方から急降下を仕掛ける
戦闘機に地面に激突するような機動はとれまい。故に、想定もすまい
あとはライフルで牽制を仕掛けつつ、フェイザーソードで斬る。




 猟兵達の参戦から1時間ほど経過し、各所で敵撃退の方が上がっている現在においても、依然として防衛線全域は危険な状態にあった。
 猟兵が如何に強力な戦力と言えど、皇国軍と連邦共和国軍の戦闘正面幅は十数キロにわたる。未だ、支援を必要とする前線は無数にあった。
 そのような中で、最も高い機動力――即ち、自由に空を征する力――を持つシーカ・アネモーンは、エーゲル島近傍に遊弋する皇国海軍強襲空母「ヘルマン・ミュラー」の艦上に合って、再出撃の準備を整えつつあった。
 先の海戦において、同空母を含む皇国艦隊全体の恩人とも言える猟兵に対しては、艦隊司令長官直々に最優先の補給と整備を言い渡されている。
 その甲斐もあって、シーカの乗機たる「アンヘル」の点検及び再補給は僅か30分程度の時間で完了する事となる。通常の艦載キャバリアのターンアラウンドタイムが最低でも1時間程かかる事に比べれば、驚異的と言ってよい。
 しかし、航空キャバリアのターンアラウンドタイムは何も整備にかかる時間のみではない。パイロットの休養も加味した時間である。
「使い捨ての傭兵に気遣いは不要。そうでなければ、金をかける理由もあるまいに」
 空母の整備長らしき年配の士官から半ば強引に押し付けられた妙に味のいい携行食を口に運びながら、パイロットチェックを終わらせたシーカは、再びアンヘルを灼熱の戦場に向けて飛翔させる。
「仕事場には困らないようだな」
 無線から絶え間なく響き渡る救援要請に耳を傾け、最も状況がひっ迫している――と言うより、ほぼ突破されかけている――戦域に突入したシーカは、レーダーと有視界情報を交互に見やりながら状況を確認する
「なるほど、エネルギー兵器か」
 ならばやりようもあると呟くと、騎兵銃を思わせる短銃身パルスマシンガン、コルセスカの安全装置を解除し、同時に機体に急降下姿勢を取らせる。
 目標は、今まさに陣地に突入を図らんとしているキャバリア一個小隊。急降下によって発生する猛烈な重力に耐えながら敵キャバリアの周辺に向かって高出力電磁パルスの雨を降らせる。
 足元に着弾し、血とオイルによって赤く染色された地面を焦がすパルスの雨と、アンヘルが持つ大型スラスターの特徴的な推進音によって攻撃を察知した敵小隊は、上空に向かってビームライフルを構えると、対空射撃を開始する。
 練度の高さゆえに高い命中力を誇る敵の射撃がベイツァーセルが発生させる空間位相転換フィールドに命中。空間位相転換によって反射角を歪められたビームの奔流が無意味な方位に拡散していく。
 敵の攻撃はあくまで航空攻撃に対する対空射撃に留まっている。その証拠に対空射撃に最適化した姿勢、それ故に近接戦の構えに移行するには隙がありすぎると制を維持している。
 戦闘機に地面に激突するような機動などとれるはずもない。故に、想定する必要すらない。まったく常識的で、理にかなった発想である。
 しかし、その優秀にして不幸な小隊が相対していた相手は、熟練の猟兵であるシーカであった。
 彼女は墜落直前に背部バインダースラスターを逆噴射させ、猛烈な運動エネルギーをその重力負荷を代償として大幅に減衰させる。
「――もらったぞ」
 常人であれば身体が破裂するほどの重力負荷に耐えきった彼女は、構えていた構えていたスヴェルを敵小隊長機に叩きつけ残りの運動エネルギーを殺しきる。
 積層合金盾であるスヴェルは衝突の衝撃によって一部が剥離し、衝突によって生じた衝撃によって発生した熱エネルギーによって半ば融解した敵隊長機と共に鉄片と化す。
 バインダースラスターを継続して噴射し、運動エネルギーのベクトルを降下から上昇へと変換すると、その勢いを利用し機体を翻しながらフェイザーブレイドを抜刀。
 スラスターの噴射角を変更し、半回転しながらフェイザーブレイドを反応の遅い一機のアラマンサスへと叩きつければ、数千度の高温を発生させる刀身は複合装甲を瞬時に気体へと昇華させ、脚部と胴体を両断する。
 わずか数十秒にも満たぬ間に繰り出した一連の攻撃によって、2機の敵機を処理したシーカ。精神的にも物理的にも、敵に機体リミッターを解除する間を与えず、次なる犠牲者へと刃を突き立てることで、彼女は瞬く間に重装キャバリア一個小隊を融解した鉄の塊へと変換することに成功したのだった。
 味方ですら呆然と見守る他ない解体劇を済ませると、シーカは再びアンヘルを空中へと飛翔させる。
 猟兵たる彼女にとって、処理すべき仕事はいたるところに残っているのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

桐嶋・水之江
◆桐嶋技研
中々手こずってるようね
相手もやられっぱなしじゃないということね

じゃあ私達は前線を押してくる敵を追い返そうかしら
ここからギムレウスに乗り換えるわ

また人形機兵隊の出番よ
93機の砲兵兼重装機兵のギムレウスを呼び出すわ
その内10機をダビングのヨルムンガンドの前、左右に各10機を配置して残りは交代要員にするわ
私のギムレウスは勿論安全な後方よ
目印にビームスマートガンを持ってるから宜しく

配置が完了したら合図と同時に前線の敵陣目掛けてカノン砲で一斉砲撃よ
皇国軍の兵隊さんの援護もアテにしましょう

砲撃が終わったらそのままの隊列で前進、ラインを押し上げるわ
ギムレウス自慢のゴリゴリ重装甲と火力の使いどころね


ダビング・レコーズ
◆桐嶋技研
戦線を押すには正面制圧力が不足している
やれるか、ヨルムンガンドならば

ワダツミ甲板に待機中のアームドフォートをコール・ヨルムンガンドにて転送しアークレイズとドッキング
行動する際の高度は地表に接する寸前の極低空を維持
地上戦艦の要領で扱う

水之江博士の砲撃指示に合わせパンドラボックスからスレイプニルを射出
砲撃予定座標へメテオリーテを散布し広域攻撃を行う
砲撃完了後にギムレウス部隊と共に前進する間にもフラッシュフラッドによる砲撃で面制圧を徹底
予測される反撃はEMフィールドとヨルムンガンドの装甲で防御
巨大であるため敵の攻撃が集中する可能性もありますが、その分だけ友軍の被害が抑制されるでしょう


リジューム・レコーズ
◆桐嶋技研
皇国軍の勢いが止まった…でもミスは無い…相手が優秀過ぎただけですか…

ヨルムンガンド?馬鹿な…宇宙なら兎も角こんな所で出したらいい的なのに
わたしとディナは砲撃終了後の突入及び制圧を担当します
幾ら綿密な砲撃とはいえ取りこぼしが無いとは言い切れません

砲撃の後なら敵の隊列は滅茶苦茶になっているか壊滅しているはず
だから各個撃破は簡単
でも一機倒すのにあまり時間を割いてもいられない
イグゼクターの速射で防御体勢を取らせ回避運動が鈍ったところを孔壊処刑
シールドごと抉り貫いて強行破壊してやる!
ただのビームライフルなどEMフィールドがあれば構うまでもない
弾速の遅いバズーカなんてディナなら見てから避けられる


トリテレイア・ゼロナイン
※ロシナンテⅣ搭乗

火砲援護煙幕に乗じ前線へ

やはり敵の陣容は手強い様子
ですが、戦闘艦艇や鎧装騎兵飛び交う故郷で何故フォースナイトが主力足り得るか…
素質無く騎士を名乗り、末席を汚す身として証明する善き機会でもあります

瞬間思考力で射線見切り、地を這う推力移動と踏みつける跳躍織り交ぜた戦闘機動、歩幅一歩程度の最小限の横移動で攻撃躱し重圧かけ前進
自機ハッキング直結操縦で実現するUCによる技量で実現

まごつく敵機を装甲間隙から剣で片端から解体
包囲されれば敵機踏み台に跳躍し翻弄
サブアームのライフル乱れ撃ち武器落としで無力化
純粋な技量『のみ』で敵部隊一掃

所詮は達人の動作の機械的な再現
未だ改善の余地がありますね


チトセ・シロガネ
小狐丸、心眼センサーに切り替えるヨ。視覚映像を出すネ
煙幕の展開と同時に目元を狐のお面のようなセンサーが覆う。サポートAIがアタシの第六感で感じる気配を基に作成した映像が映し出される。

敵の姿を確認後、UC【オービタル・ダンサー】で躍り出て、推力移動で一気に近づき早業で胴体を切断、振るった刃の後に斬撃波の軌跡が走る!

相手もセンサーを切り替え、襲撃者の姿を確認すれば、接近と同時にビームソードを振るわれる。

スロウリィ!機動力に特化したアタシに白兵戦で勝負するなんて1億光年スイートネ。
アタシはそれを軽業によるバク転で回避する。同時にAIが援護。カウンターで腰部に搭載したサブアームがレーザーを乱れ撃つ。




 正規戦、特に市街地ではなく、大軍の運動が容易な地形において戦闘の雌雄を決する重要な要素が火力であることに、疑念を差し挟む者はいないだろう。
 猟兵達の参戦によって前線の一部が持ち直している状況にあるとはいえ、皇国軍諸部隊は未だ火力劣勢下にある。
 敵の主攻である突出部以外の戦場も似たようなものであるらしい。永遠に続くかに思われる準備砲撃の支援を受けた敵部隊が皇国軍部隊を圧迫し、彼らから運動の自由を奪っていた。
「やれるか、ヨルムンガンドならば」
 前線を敵の圧力から解放するためには、一時的にでも大火力をもって制圧する必要がある。そう判断したダビング・レコーズが召喚するは、キャバリア用追加装備「ヨルムンガンド」。
 通常のキャバリアに装備される飛行ユニットなどとは比べ物にならないほど巨大なそれは、さながら陸に上陸した戦艦の如き威容をもって戦場へと出現する。
「相手もやられっぱなしじゃないということね」
 巨大な大蛇に付き従うように展開する93機もの砲戦用キャバリア、ギムレウスを率いる桐嶋・水之江は、ヨルムンガンド前方及び左右にギムレウス部隊の3分の1を配置し、即席の重砲陣地を構築している。彼女は友軍のデータリンクから敵の展開状況を分析し、最も支援効果が発揮される地点を割り出していた。
「ダビング、射撃諸元をそちらに送るわ。一気に押し返すわよ」
 指揮官である桐嶋が操るギムレウスの発砲が、砲撃開始の合図となった。30機の砲戦キャバリアから大口径の対キャバリア榴弾が発射されると同時に、ダビングが操る大蛇もまた咆哮を上げる。
 ヨルムンガンド各部に搭載された発射装置化が解放され、複数の大型マイクロミサイルコンテナ、スレイプニルが白煙を上げながら空中へと発射される。単独で凡そ1個小隊の動きを制圧できるほどの制圧力を発揮するスレイプニルである。複数が一斉に起動された際に発揮される制圧力は恐るべきものとなるだろう。
 桐嶋の指揮の元放たれた大量の大口径榴弾とスレイプニルが、皇国軍防衛線へと圧迫を加える部隊上空にて一斉に炸裂する。
 空を覆うように炸裂した大口径榴弾と、スレイプニルから発射されるマイクロミサイル、メテオリーテに対して、共和国軍部隊は素早く部隊を散開させ、被害の局限化を図る。
 共和国軍部隊の行動は、通常の砲撃に対する対応としては瑕疵の無い物である。砲撃開始から炸裂までの時間を考えれば、彼らの練度は称えられるべきものとすら称してよい。しかし、今回に限っては、ただひたすらに相手が悪かったという他ない。
 ほぼ同時に炸裂した大量の榴弾は、1発当たり40m危害半径に熱と衝撃波、そして弾殻の雨を降らせ、撃破には至らずとも敵機に盾を掲げさせ、足を止めることに成功する。
 足を止めた多数の敵機に対して、スレイプニルから放たれたメテオリーテが迫る。小型ではあるが高い誘導性能を誇るメテオリーテは、敵部隊に随伴する自走式対空砲の迎撃に晒されながらも、複数の敵機へと命中。脆弱部へと被弾した不運な機体を複数爆散させる。
 無論、桐嶋とダビングによって行われる砲撃はこの一度のみで終わるものではない。間を置かずに飛来した第二波の砲撃によって、敵部隊の前進は完全に停止する事となるのであった。


 2人の猟兵によって完全に行動を制圧された敵部隊を完全に撃破すべく、猟兵達が友軍陣地から敵陣へと突入する。
 猟兵の突入を援護するように展開された煙幕を切り裂き、敵陣正面に突入するは「アークレイズ・ディナ」を操るリジューム・レコーズであった。
 見込み通り、ダビングと桐嶋の砲撃によって散開を強要され、相互援護が難しい状態にあったアマランサスにむけ、リジュームはイグゼクターから発射された火力の雨を叩きつける。
 瞬間火力を重視したイグゼクターの弾速から回避は難しいと判断し、シールドを構えるアマランサス。その判断は正しい物であったが、リジュームにとっては好都合なものであった。
 高速弾と共にアークレイズ・ディナを敵機へと急接近させたリジュームは、アマランサスが掲げたシールドに向けてブレイクドライバーを叩きつける。
「シールドごと、抉り尽くしてやるッ!」
 猛烈な速度と共に叩きつけられると同時に激発したブレイクドライバー。発生した莫大な衝撃力は、主力戦車のAPFSDSすら防御可能とされるアマランサスのシールドを容易く貫徹するに留まらない。シールドを貫通し、機体内部へと解放された衝撃波は、機体内部で装甲とフレームを破断させながら直進し、機体を細切れの鉄片へと分解していく。
 結果として出現する光景は、内部から破裂するように崩壊する重キャバリアの姿である。如何に訓練を積んだ軍人といえども、戦慄を感じるに十分な光景であった。
 自身を狙って放たれるビームの奔流を電磁障壁によって受け流しながら、リジュームは次なる得物に向けアークレイズ・ディナをけしかける。
 敵部隊中央部は、今やリジュームが操る恐るべきオブリビオンマシンの草刈り場と化しつつあった。
 
 煙幕と同時に放たれる重迫の援護を受けながら敵部隊左翼に突入するは、トリテレイア・ゼロナインが操る「ロシナンテⅣ」である。
「我が故郷で何故フォースナイトが主力足り得るか、御覧に入れましょう」
 彼の故郷であるスペースシップワールドにおける戦場とは、生命の存在を否定する宇宙空間において、多数の航宙艦と鎧装騎兵が戦場を飛び交う極めて過酷なものである。
 クロムキャバリアの基準としてみれば超兵器が入り乱れる過酷な戦場において、主力の一角を務めるフォースナイト達。彼らの戦闘記録をロードしたトリテレイアは、機体を自らの操作系と直結させ、その絶技をキャバリアを用いて再現せんと試みる。
 煙幕の遮蔽から姿を現したロシナンテⅣを確認した敵部隊から、相次いでビームライフルの射撃が襲い掛かる。実体弾とは比較にならぬほど高速で迫りくるビームの奔流。しかし、ロシナンテⅣの前進は止まらない。
 トリテレイアは機体の足を止めぬまま敵弾の軌道を見切り、機体の体勢をわずかに横に開くことによって回避することに成功する。それはまさに、フォースナイト達が戦場にて振るった絶技の再演であった。
 音もなく敵の懐に入り込んだトリテレイアは、敵がビームソードを抜き放つ隙を与えぬまま実体剣を抜刀し、アマランサスの関節部が存在する重装甲間隙を両断する。
 右足関節を両断され、体勢を崩すアマランサスを、同様の要領で解体してみせたトリテレイア。瞬く間に四肢を切り取られたアマランサスは、爆散することなく無力化されることとなる。
 不運な僚機が解体されていく時間を活用し、彼を囲むように体勢を整えた敵部隊を確認したトリテレイアは、今や無意味な鉄塊と化した敵機を踏み台として跳躍し、敵部隊の直上へと遷移する。
 咄嗟に掲げられた複数のビームライフルを、サブアームから展開した火器によって打ち落とした彼は、続けてワイヤーアンカーを敵機へと打ち込み引き寄せながら自らも接近すると、先程と同じ要領で敵機の関節部へと刃を差し込み解体していく。
 機械騎士によって再現されたフォースナイトの絶技によって、敵右翼部隊もまた解体の憂き目にあいつつあった。

 煙幕と共に敵陣右翼に躍り込んだ猟兵は、キャバリアではなく自らの躯体のみを頼りとするチトセ・シロガネであった。
 超小型のキャバリアと表現しても遜色ないほどの火力と機動力、そして情報処理能力を備える彼女にかかれば、視覚から得られる情報が極端に制限される煙幕下にあってもその行動に制約はない。
 チトセは狐の面を思わせるセンサーで目元を覆う。彼女の第六感によって探知された敵の気配が、サポートAI小狐丸によって解析され、映像として彼女の網膜上に投影されていく。
 煙幕を突っ切るように移動を開始した敵の姿を確認した彼女は、その躯体に宿る推進力を一挙に解放し、猛烈な速度で敵部隊の先頭に位置するキャバリアへと躍りかかる。
 対大型兵器用のビームカタナを抜き放ち、突撃の速度を殺すことなくアマランサスの胴体部へと振り抜かれた数千度の刃は、その複合装甲を一瞬で融解、気化でさせながら両断しする。
 猛烈な速度で振るわれた高温の刃が発生させる熱と衝撃波によって、忽ちのうちに僚機の脚部と胴体とを別離させた襲撃者を赤外線センサーによって発見した敵部隊は、数機にビームライフルの射撃を行うことでチトセの動きを牽制しながらビームソードを抜刀する。
 次なる得物に向けて接近するチトセ。しかし、対する敵機体も素直に獲物の立場に甘んじるつもりはない。手にするビームソードを横薙ぎにし、生身の人間サイズのチトセを蒸発させんとする。
「ハッ、スロウリィ!機動力に特化したアタシに白兵戦で勝負するなんて、1億光年スイートネ」
 生身の人間から見れば壁のように見えるビームソードの斬撃。しかし、チトセの速度と比較すれば止まっているに等しい。
 彼女は唇を歪めながら軽やかに飛び上がると、バク転の要領で高温の斬撃を回避し、くるりと身体をひねりながらサポートAIへと攻撃の指示を与える。
 AIによって操作された腰部サブアームが展開し、搭載されたビーム兵装を敵機に向かって撃ち放す。高出力の熱線は敵機の装甲を貫通し、後部バズーカの弾倉部へと到達。格納されていた砲弾を誘爆させ、また1機のキャバリアを無力化することに成功した。
 キャバリアが同等の相手として戦うにはあまりにも小さいチトセが発揮する大火力と速度によって翻弄されることにより、敵部隊右翼もまた壊乱する事となる。

 桐嶋とダビングが発揮した間接火力と、リジューム、トリテレイア、チトセが発揮した正面火力は、敵部隊の前進を頓挫させると同時にその戦力を著しく減殺させる事に成功したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【ガルヴォルン】

引き続き【ネルトリンゲン】で行動。
ゆっくり前進して、前線との間を詰めつつ圧を圧で返そう。

リリー先生?
「了解。『ナインス・ライン』位置補足。
『アーバレスタ』リフトオフ。射出するね、捕まえて!」

補給等々終わったら、
こちらはみんなが囲まれないように援護しないとね。

戦場の動きを把握しつつ、
リリー先生の状況報告と照らし合わせて、
こちらの戦力が薄くなっているポイントをピックアップ。
みんなに伝えて、敵を押し返していきたいな。

【E.C.M】は
メアリーズさんと錫華さんの攻撃直前にピンポイント放射。

援護射撃といっしょに、行動阻害と連携崩しで、
2人の動きをサポートするね。

侵入、離脱のポイントに弾幕!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ガルヴォルン】
※愛機搭乗継続
※別称を好む
※アドリブ歓迎

『タービュランス』は弾切れ
背部コンテナに格納

いよいよ侵攻開始だけど
フリーの傭兵として前進オンリーは怖いね
背後が総崩れになって猟兵以外壊滅とか
闇医者の『残業』が増えるだけだし

ってわけで【前線全域】の火消しに就くよ
オペ28番【アーバレスタ・ガンナーフォーム】開始

「理緒さん、『アーバレスタ』射出してっ」

飛来する機動砲座を後部から両副腕で抱え込む様に連結
前衛2人に護衛のビットを出したら
討ち漏らしや追撃機を各種砲とミサイルで撃破

飛行による戦況俯瞰もネルトリンゲンと連動して
主に暴走気味のメアリーズさんへ伝えるよ
全く…ウチの患者が世話かけるね、錫華さん


支倉・錫華
【ガルヴォルン】

キャバリアはレンタル。
スピード5倍、装甲半分のチューンでいくね。

別行動からは帰還。

『出撃前チェックオールグリーン。いつでも出られます』
「ありがとアミシア。それじゃいこうか。
プロペラント使い切っていいから、メアリーズさんの前にでるよ」

理緒さんに発艦許可をもらったら、
めいっぱい加速して、最短コースで戦場へ。

プロペラントをパージしたら、
そのまま敵の中へ突撃して速度で引っかき回すよ。

攻撃はアマランサスの足を狙っていこう。

メアリーズさんの攻撃が当たりやすいよう、
機体を擱座させて、相手の動きを止めていこう。

リリー先生には、
「わたしも面倒かけてるからね。気にせずっ」
と、信頼の笑顔で答えるよ


メアリーズ・エリゴス
【ガルヴォルン】

ロングビームライフルを変形させて胸部メガビーム砲に接続して【メガビームキャノン】にしておきますよぉ!
ロートガルのジェネレーターと直結した機体固定の大出力ランチャーで、理論上はフルチャージならSSWの宇宙戦艦も一撃で轟沈せしめる破壊(アイ)の一撃を放てますよぉぉ!

スラスターを吹かして低空と地面スレスレを飛行しながら、メガビームキャノンを連射しますよぉ!
連射モードでも接続前より火力も射程も上がって敵をアウトレンジから撃ちながら一撃離脱の通り魔になりますよぉぉぉ!
生体CPU用薬物をキメてハイテンションで、目標の指示は聞いても破壊(アイ)を振りまくのに夢中になっちゃいますよぉぉぉ!!




 ミネルヴァ級戦闘空母「ネルトリンゲン」を母艦として展開するガルヴォルン部隊の猟兵達は、皇国軍が防御戦闘に当たる戦域全体をカバーする遊撃戦力として、戦域から戦域へとせわしなく飛び回っている。
 揚陸時に展開した前線拠点としての役目を終えたネルトリンゲンは、大気圏内飛翔用に航行モードを変更し、艦長である菫宮・理緒の指揮のもと、戦場上空を飛行するキャバリア母艦として部隊の中核を担っていた。
「出撃前チェックオールグリーン。いつでも出られます」
「ありがとアミシア、それじゃいこうか。菫宮さん、発信許可願います」
 別行動から部隊へと合流した支倉・錫華は、自身のパートナーユニットからの出撃前チェック報告を受け、機体をネルトリンゲンが装備する電磁カタパルトへと移動させる。
 艦長である菫宮の許可を得ると同時に発艦した錫華は、極限まで速度を重視したチューンアップを施した機体が齎す強烈な重力負荷に耐えながら、最短距離で担当戦域を目指す。
「プロペラント使い切っていいから、メアリーズさんの前にでるよ」
 戦闘空域直前でメアリーズ・エリゴスとリーゼロッテ・ローデンヴァルトと合流した錫華は、彼女らと共に3機編隊を形成する。
 編隊の先頭を優れた機動力を持つ錫華が担当し、主火力を担当する「ロートガル」を操るメアリーズが中央、メアリーズのお目付け役兼管制担当のリリーが、「ナインス・ライン」を操り後方を担当する。戦術的な有効性と、主にメアリーズに対する必要性を満たした隊形であった。
「錫華機、合流します。よろしく、リリー先生、メアリーズさん」
「きひっ、きひひ! 錫華さんも破壊(アイ)を振りまきに来たのですねぇ!」
「よろしくね、錫華さん。ウチの患者が世話かけるけど」
「わたしも面倒かけてるからね。気にせずっ」
 いつも通りの様子に苦笑しながら、錫華がリリーとメアリーズに応えると同時に、ネルトリンゲンにて戦域全体を監視している理緒より通信が入る。
「ガルヴォルン隊各機、間もなく交戦予定地域です。侵入方位2-5-0、5秒後にE.C.Mを展開します。みなさん、どうかご無事で」
 ネルトリンゲンから放たれた火力支援と、突入開始に昂ったメアリーズの嬌声が、戦闘開始の合図となった。
 空になった増槽をパージした錫華は、機体を翻し、猛烈な勢いで下降を開始する。
 通常、航空機による地上への射撃は、ミサイル等の誘導兵器を使う以外は大まかな狙いを定めた掃射となるのが常である。しかし、錫華はその常識を超越する。
 殲禍炎剣の制限ギリギリの速度で飛翔しながら、敵部隊を目視で確認した錫華は、アミシアの補助を受けつつ敵機脚部へと照準を合わせ、引き金を絞る。
 錫華から放たれた対キャバリア徹甲弾は、錫華の照準通り敵機の脚部装甲の間隙部へと命中し、内部に存在したアクチュエーターとフレームを破壊。一時的に移動力を奪うことに成功する。
 同様の要領で射程内に入った敵機の脚部を撃ち抜いた錫華機は、敵の自走対空砲の射撃を引きつけながら高度を上げ、離脱軌道に入る。
 錫華機の後を追うように戦域に突入したメアリーズは、生体CPU用の興奮剤を自らに投与し、その快感が導くままに破壊を振りまくべく行動を開始する。
 ロートガルが装備するロングビームライフルを変形させ、胸部メガビーム砲へと接続した彼女は、機動するビーム砲台と化した愛機を巧みに操りながら地表すれすれを飛行させる。
 彼女の眼前には、錫華によって脚部を撃ち抜かれ、身動きのとりなくなった敵機。即ち、愛を振りまくべき目標が胸襟を開いて彼女を迎えている。少なくとも、彼女の主観上の光景はその様なものであった。
「ロングビームライフル、接続完了。エネルギー伝達異常なし。きひっ! 私が、私が! 殺(アイ)してあげますねぇぇぇ!!」
 脳を満たす薬理的な快感のままに放たれたメガビームキャノンの威力は、宇宙空間においては一撃で戦艦を爆散させるほどの大威力を誇る。ロートガルから連続して放たれた超高出力ビームの奔流は、惑星上の大気によって減衰を受けながらも恐るべき威力によって敵機を包み込み、その複合装甲を原子へと変換していく。
 機動力を失った哀れな敵機に逃げ場はない。彼らにできることは、機体から脱出するか、死の奔流をまき散らすメアリーズとロートガルの射線に入らないことを祈る事のみである。
 本能の赴くままに、射程に入った敵に確実な死をもたらす通り魔として反復攻撃を繰り返すメアリーズの後を追う形で戦域に突入したリリーは、ネルトリンゲンと連動して戦況分析を行っている。
 支援が必要な戦域は未だ山ほど存在する。この場における破壊は十分と判断したリリーは、メアリーズの手綱を引くことを決断すると同時に、残敵掃討のためネルトリンゲンへと通信を飛ばす。
「理緒さん、この場はもう十分だと思うわ。『アーバレスタ』射出してっ」 
「了解です。『アーバレスタ』射出。次の戦域までの進路が確定し次第、そちらに回します」
 ネルトリンゲンから射出され、猛スピードで戦場へと到達した大型機動砲座「アーバレスタ」を機体背部に存在する副碗で抱え込むように受け取り、連結したリリーは、メアリーズと錫華の離脱を援護する目的で自立ビットを展開。2機に追いすがるように対空射線を張るアラマンサスや自走対空砲を牽制させる。
「さぁて、お掃除の時間よ」
 機体制御システムから接続完了の報を受けたリリーは、すぐさまアーバレスタに搭載された武装を残敵に向かって斉射する。
 積載された大型砲から発射される大口径徹甲弾が重装甲を誇る敵機の正面装甲を貫徹し、内部にて炸裂。炸薬から生じる爆風と飛び散る弾殻は、敵機体内部に存在するありとあらゆる物を引き裂き、焼き尽くしながら外に向け解放され、敵機を内部から破裂させるような形で爆散させる。
 同時に放たれた大量の誘導ミサイルは、先端部に存在するシーカーの導きに従って未だ前衛2機に射撃を加える自走対空砲に命中。推進剤が齎す推進力によって、比較的薄い対空砲の側面装甲を突き破ったミサイルは、内包する炸薬によって敵車両を吹き飛ばす。
 アーバレスタから火を噴くように投射される火力の雨は、錫華によって足を止められ、メアリーズによって蹂躙された敵部隊の残余を悉く撃破することに成功する。
 追い打ちをかける様にして放たれたネルトリンゲンからの火力支援を利用し、リリーは自らも戦域から離脱する。
「ガルヴォルン各機、次の戦域を指定します。方位0-3-0、距離20、付近を担当する味方部隊が突破されかけている様です」
 後方から戦況を分析する菫宮によって、目標を指示された3機のキャバリアは、次なる戦場に向かって飛翔する。
 確固たる管制を受けた猟兵部隊による支援は、戦況全体に大きな影響を与えることに成功しつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
wiz※連携OK
心情:クソッタレ!最初から逆襲するつもりだったのかよ!?

手段:「親衛って…精鋭部隊かよ!?ツイてねぇな~」
引き続きタイフーンで迎撃、場所は一番突破されたら困るエリアだな。
機体はトーチカの残骸の後ろか、キャバリア用の壕に配置して少しでも被弾面積は減らす、主力戦車のAP弾やアマランサスのビームに備え、増加装甲も新品の複合装甲に交換するか。
これでUC【迎撃態勢完了】で性能の底上げだ、後はシールドを構えて、無反動砲・電磁速射砲・ミサイルポッドを打てば良い。
重迫撃砲には敵機が突撃しないよう眼前へ阻止砲火をしてもらう、抜けて来るなら水平方向への突撃粉砕射撃だな。
頼むぜ中隊長、途中で死ぬなよ


ヴィクター・ホリディ
アドリブ連携歓迎

敵を自軍に引き込み、敵主力が揃う前に大火力をもって潰す…老獪な事だ。
これが成功すれば戦術の教本に掲載されるね、間違いない。
成功すれば、な。

■方針
※前線全域を圧迫する敵を叩く

同道する皇国軍部隊を【鼓舞】し、援護を頼む
【情報収集/戦闘知識】で周囲を確認し、皇国軍へ圧迫する敵に向けての援護砲撃を要請
要請後に敵陣ギリギリまで接近し、【制圧/援護射撃】で周囲を援護、【継戦能力】耐えつつ砲撃を待つ
援護砲撃に紛れて、ユーベルコードを使用し敵陣へ突撃

UCからの【限界突破/推進移動】で敵陣を一気に食い破り
敵機を【弾幕/部位破壊/重量/貫通攻撃】で破壊、あるいは戦闘不能にする


秋月・信子
●SPD

作戦は無事に成功したようですね
今度は本隊との合流と支援のため、私の影に沈めていたキャバリアを召喚して援護を行います
ですが、大破により改修を施したピースメーカーの機動性を持っても、白兵戦に秀でる敵キャバリアと真正面に勝負してしまえば、損傷を免れないでしょう
それならば、陣地から動けない皇国軍の重迫撃砲とは別の砲撃部隊として、原型が野砲の携行型長距離支援砲RSバントラインで友軍への【援護射撃】に回ります
高台においてカメラアイを砲撃用に高倍率にする、もしくは皇国軍の通信を傍受して座標を合わせます
弾薬温存の為に【影の模造品】で砲を複製すれば、、まだ揚陸完了されていない重砲の代替となりましょう




「親衛って…精鋭部隊かよ!? ツイてねぇな~」
 敵軍が残したキャバリア用の塹壕へと愛機たる「ヘヴィタイフーンMk.Ⅹ」を潜ませながら、ヴィリー・フランツはぼやく。
 敵部隊に冠された親衛の名は伊達ではないらしい。事実として、迫りくる部隊が発揮する火力は尋常ではない。後方に存在する重砲から放たれた攻撃準備射撃は永遠に続くかと錯覚するほど執拗に実施され。突撃開始線へと移動を開始しつつある敵キャバリアの隊列も見事なものであった。
「最初から逆襲するつもりだったって事だろ。まったく性格悪いぜ」
「敵を自陣に引き込み、敵主力が揃う前に大火力をもって潰す……老獪な事だ」
 ヴィリーの傍らにあって、同じく機体を潜ませるヴィクター・ホリディもまた、ヴィリーと同意見であるようだった。
「これが成功すれば戦術の教本に掲載されるね、間違いない。……成功すれば、な」
「それを食い止めるのが俺らの仕事ってわけだ」
 共に重装キャバリアを操る猟兵は、防御戦闘においても極めて有効な武装を持つ。同じく陣地に籠る皇国軍と共同すれば、敵の突撃を数度撃退することは十分に可能であると思われた。
 しかし、それには後方の重迫からの援護が不可欠である。事前に設定した突撃破砕線に敵が足を踏み入れつつあることを確認したヴィリーは前方に赤色発煙弾を投げ、ヴィクターがそれに合わせて後方の友軍へと砲撃を要請する。
「Precesより、砲撃支援を要請する。目標座標、1.4.7.8.1.1。赤色発煙弾の前面に放り投げてくれ。後はこちらで何とかする」
「Preces、了解した。射撃計画は既に調整済み。射撃開始は30秒後」
 ヴィクター達が籠る陣地に配分された重迫部隊からの応答の後、異なる通信がヴィクターへと入る。
「Preces、こちらはピースメーカー。こちらからの支援も可能です。赤色発煙弾の前方ですね?」
「ピースメーカー、ご同類の支援はいつでも歓迎だ。派手にやってくれ」
「了解です、Preces。ピースメーカー、通信終わり」

 ヴィクターとヴィリーが籠る陣地線の後方、奇しくもヴィクターが確保した丘陵の上に合って、「ピースメーカー」を操る秋月・信子は砲撃準備を整えつつあった。
 自らの機体の場合、白兵戦よりも間接射撃をもって支援に当たったほうが良いとの判断のもと、前線を見渡せる丘陵上に気体を展開させた信子。自らの能力によって、携行型長距離支援砲であるバントラインを100個近く複製した彼女の周りは、大規模な砲兵陣地のような様相を呈している。
 これだけ集中した砲兵の支援があれば、皇国軍部隊単独でも前線を押し返すことが可能になるだろう。そのような意味において、信子が行った判断はこの上なく正しい物であった。
「座標1.4.7.8.1.1、赤色発煙弾……あった、あれですね」
 コクピットに広げた地図と砲撃用として高倍率に調整したスコープから齎される視覚情報によって目標地点を特定した信子は、自らの思念によって操作可能なバントラインの射角を調整し、砲撃準備を整える。
 敵部隊が目標地点へと侵入したことを確認すると、自らの制御下にあるパントラインの引金を絞り、一斉に砲撃を開始する。
「初弾、発射しました。弾着――」

「――今ッ!」
 無線から聞こえる信子の声と同時に着弾した砲撃は、猛烈な轟音と衝撃波と共に敵部隊を包み込んだ。
 地表付近で炸裂した榴弾は、その爆轟によって周囲の大気を高熱を伴った凶器へと変換し、同時に自らの弾殻を超音速で敵機体の上面装甲へと叩きつける。
 百発近い榴弾によって引き起こされる衝撃は地鳴りとなってヴィリーとヴィクターが籠る陣地を揺さぶるほどであった。
「うおっ!こりゃ凄いな」
 受けられるはずであった重迫による砲撃の数倍の規模で実施された突撃破砕射撃に、ヴィリーは思わず歓声を上げる。
「ああ、これは思った以上に楽ができるかもしれん。援護は任せるぞ」
 同感らしいヴィクターが機体を機体を陣地から躍進させ、爆風に包まれた敵部隊へと突入を開始する。
 機体に装備されたマルチプルスラスターのリミッターを解除することによって得られる莫大な出力は、その重力負荷と引き換えに桁外れの機動性をヴィクターへともたらす。
「さぁ、ここが命の張りどころだッ……!」
 猛烈な加速と共に敵部隊へと突入したヴィクターとPrecesは、敵前衛に小型分割弾頭ミサイルを発射しながら肉薄。ミサイルが直撃し、擱座した機体は無視し一挙に敵部隊内部へと斬り込むと、キャバリア用のショットガンを撃ち放ち、砲撃によって装甲のあちこちに破孔の生じた敵機体を屠っていく。
「ハッ、蓋開けてみりゃ、こっちの方が火力優勢とはね」
 ヴィリーもまた口を歪めながら機体姿勢を高くすると、自らの機体が保有する火力を敵部隊へと叩きつける。
 ヴィクターの後方に回り込む動きを見せた敵小隊に対しては8連装ミサイルポッドから発射されたピラニアミサイルが、その名に違わぬ獰猛さで襲い掛かり、反応の遅れた2機のキャバリアに食らいつくと、たちまちに爆散させる。
 続けざまにコングⅡ重無反動砲から発射された155mm徹甲榴弾がミサイルに気を取られていた敵機側面装甲へと襲い掛かり、生き残った敵機を撃破していく。
 制圧目的で放たれる電磁加速された対キャバリア徹甲弾も、その弾速によって敵キャバリアの機動を制圧することに成功していた。
 ヴィクターとヴィリーによる戦闘に合わせる形で、信子からの砲撃も後方へと延伸していく。3人の猟兵による連携によって、本来攻撃側である筈の敵部隊は徐々に押し込まれつつあった。
「敵が予想以上に脆い。これは、あと一押しで壊乱させられるぞ」
「了解、Preces。悪童を引き連れてそっちに向かう」
 ヴィクターの分析に同意したヴィリーは、同じ陣地に籠る中隊長に向けて通信回線を開く
「中尉、悪だくみがある。一口乗るか?」
「乗りましょう。タイミングはそちらにお任せします」
 どうやら無線の先にいるラウラ・アーダルベルト中尉もまた彼と同様の感想を抱いていたらしい。ヴィリーは了解を伝えると、シールドを掲げながら陣地上に進出し、敵部隊に対して突撃を開始する。
 同時に発起された皇国軍部隊による中隊規模の逆襲によって、信子による砲撃とヴィクターによる攪乱にされされていた敵部隊は遂に壊乱する事となる。
 3人の猟兵による連携は、優勢な敵部隊からの攻撃を防ぎきるだけでなく、それらに逆撃を加え、壊乱させることに成功したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アンネリース・メスナー
アドリブ&絡み歓迎

皇国と共和国に分かれた、事実上の内戦ですか
祖国も何かが違えばそうなっていたかもしれないわね
ですがズィガ帝国は占領解体されて今は傀儡国家のズィガ共和国があるのみ

あれはアマランサスっ!
故国の機体を、国は違えど、よもや共和国を名乗る連中が使うとは!
この動きは、操縦系にリミッターを施した複製機ですわね
ふん、確かにアマランサスの操縦系はピーキーですが、それを一般兵用にマイルドにすれば機体性能を発揮しきれませんわ
操作系を悪化させてでも性能を向上させたラピートに及ぶものではありませんわ、ましてや親衛隊機にはね
仮にリミッターを解除しても、そもそも此方にはリミッターなど最初からないのですから!




 引き裂かれた2つの国家。アザリア皇国とアザリア連邦共和国。その両者が互いに相争う灼熱の戦場にあって、アンネリース・メスナーは眼前に迫る敵機、アマランサスを睨む。
 彼女がその身を預ける愛機もまた、アマランサスであった。その名を、「アマランサス・ラピート」本来は高機動型の機体であるアマランサスに対して、彼女に合わせた調整と装飾を施した専用機である。
 アンネリースが操るアマランサス・ラピートは、第三国に流出した技術によって複製された機体ではなく、彼女の祖国であるズィガ帝国が開発を行った、この戦場における唯一正当な機体であるとも言えた。
「故国の機体を、国は違えど、よもや共和国を名乗る連中が使うとは!」
 アンネリースの祖国は、既にこの世界に存在しない。戦に敗れ、今やその残滓とも呼べぬ傀儡国、ズィガ共和国が残るのみである。
 国は違えど、共和国の国体をもつ国がアマランサスを運用することは、彼女にとって耐えがたいほどの屈辱であった。
「この動き、操縦系にリミッターを施した複製型ですね。醜い追加装甲まで施して……!」
 誰よりも同型機の特質を知る彼女は、敵部隊に向けて愛機を躍進させる。連邦共和国が運用するアラマンサスは、一般兵向けの機体として機動力を割り切り、追加装甲によって防御力を底上げしたモデルである。機動性と出力においては、アンネリースの操るラピートに及ぶべくもない。
 アンネリースは敵部隊から放たれるビームの奔流を巧みな機体制御によって回避し、空中でロングビームライフルを構えると、敵部隊前衛へと打ち放つ。
 彼女の超人的な直感によって予知された回避地点に置かれるように放たれた高出力ビームは、追加装甲を施された敵機の複合装甲を容易く融解し、爆散させる。
 遠距離戦では勝ち目がないことを理解したらしい敵部隊前衛はリミッターを解除しラピートに向けて突撃を開始する。後方の僚機から援護射撃を受けながら2機のアラマンサスが抜刀しながらラピートへと迫る。
「そのような重りを抱えては、機体性能を発揮しきれないでしょう。仮に、リミッターを解除したところで――」
 アンネリースから見れば、その動きは鈍重極まるものであった。性能向上の結果極めてピーキーな機体となったラピートを手足のように操る彼女は、高速で迫りくる2機のうち1機をロングビームライフルで撃ち抜き爆散させると、残り1機を正面から迎え撃つ形で機体を躍進させる。
 衝突寸前で背部ブースターの出力を調整し、軽やかに機体を開くようにして敵の斬撃を回避すると、その余勢を使用してビームソードを抜刀。体勢を崩した敵機を袈裟から叩き切る。
「……ラピートに及ぶものではありませんわ」
 醜い複製品を瞬く間に無力化したアンネリースとラピートは、後方で援護を行っていた残敵を掃討すると、次なる戦域に向けて愛機を飛翔させる。
 どこか祖国の境遇と似たものを感じる国家同士が争うこの戦場には、彼女が破壊すべき醜い複製品が無数に存在しているのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリシア・マクリントック
潜入は失敗しましたがここは挽回したいところですね。扉よ開け!ティターニアアーマー!そしてロボアーマー!シルバーアーマー!さらに合体!ティターニアアーマー・ガンナー!

マリアは前線に同行して皇国軍の方の護衛と、射撃用の観測をお願いします。私は後方から砲撃で援護します!マリアだけを前線に向かわせるのは心苦しいですが……対集団戦を苦手とする以上は私が一人で自衛できる砲兵として立ち回る戦い方がこの場では効果的かと。砲の数は少なくとも火力と精度は十分、変身解除してシュンバーに乗れば陣地転換も容易……砲兵陣地の弱点を補えます。
ある程度データが有れば撃てますから、危険を感じたらマリアも撤退してくださいね。


メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に搭乗)
……ふむ……これは…突破部隊を止めるのが先決だね…
…突破部隊に煙幕弾を展開して貰うと同時にレーダーへのジャミングを仕掛け…
…1度敵軍からのマークを逸らして心理隠密術式【シュレディンガー】を起動…完全に姿を隠すよ…
…そして敵軍へと浸透して【連鎖する戒めの雷】を遅発連動術式【クロノス】により発動タイミングを遅らせて発射…
…発射位置から自機の位置を悟られ無いようにして『重装キャバリア』を縛り上げていくとしよう…
…突破の最中に動きが止まれば狙い撃ちだからね…このままランダムなタイミングで発射される雷鎖で敵の動きを止めながら攪乱していくとしようか


安野・穣
ひとまず揚陸は成功…とはいえタダじゃ通さないあたり、相手も相手でやり手っすね…

消耗は軽微とはいえ軽装キャバリアと歩兵で重装主力を相手にすんのはちと荷が重いっすかね。
まだ本命のオブリビオンマシンも控えてる。ここで徒に戦力を失う訳にもいかねえですし。
となると…今度は攻撃面で助けになりますか。
皇国軍の人は基本防御に専念して欲しいっすが、余裕あれば煙幕展開してもらえると助かるっすね。
視界が悪けりゃあのビームソードも振るい辛くなるでしょうし。
大丈夫っす。あちらからは視えなかろうが、俺と『カサンドラ』なら視えるんで。
『ポイボス』起動、【霹靂】。
<レーザー射撃><スナイパー>で主力を確実に潰してやるっすよ。




 野戦において様々な方から発射される煙幕弾は、攻撃と防御両面において非常に重要な働きを持つ。
 しかし、それはあくまでも敵戦力と戦えるだけの火力を備えた局面に限られるものである。正面火力と砲火力双方が不足する皇国軍部隊には、猟兵による支援が必要であった。
 皇国軍の後方で約6mの大型アーマーに身を包むアリシア・マクリントックは、不足する砲火力を補うに余りある能力を保持した猟兵であった。
 自らの纏うアーマーが集団戦では不向きであると判断して彼女は、複数のアーマー同士を合体させ砲戦形態を取る。相棒であるマリアを前線付近まで進出させることで、独立した着弾観測能力を持つ砲兵としての作戦能力を持つに至った。
 前方に存在する味方陣地線に迫る敵部隊の存在を確認したアリシアは、味方部隊から齎される座標情報をもとに試射を実施。砲数の不足を自らの装備の性能で補った彼女の射撃は、単独で重砲部隊並みの火力投射を実現していた。
 数度にわたって行われた試射の着弾観測結果をマリアから受け取ったアリシアは、全身を続ける敵部隊に対して効力射を開始する。
 正確な観測結果をもとに撃ち放たれた多数の砲弾は敵部隊直上で炸裂し、爆轟と無数の弾殻を敵部隊へと叩きつける。
 存在しないはずの重砲部隊並みの砲撃を受けた敵部隊の足並みは乱れ、進行速度が目に見えて低下する。
 戦果を確認したアリシアはすぐさますぐさまアーマーによる変身を解除し、愛馬たるシュンバーに飛び乗ると、事前に定めていた次の砲撃地点へと移動を開始する。
 重砲並みの火力を持ちながら、高い機動力を発揮する彼女の砲撃によって、前方陣地に迫る敵の速度は、その戦力と共に低下しつつあった。

 アリシアの砲撃によって速度を落とし、上空に注意が向いている隙を突くように、愛機たるキャバリア風搭乗型ガジェット「ツィルニトラ」に騎乗したメンカル・プルモーサは、展開された煙幕と共に敵陣へと侵入する。
「紡がれし迅雷よ、奔れ、縛れ。汝は電光、汝は縛鎖。魔女が望むは魔狼封じる天の枷……」
 心理隠密術式によって敵から向けられる注意を減らしつつ、敵部隊の後背へと浸透した彼女は、ツィルニトラによって増幅した魔力を使用し、「連鎖する戒めの雷」を撃ち放つ。
 遅発連動術式であるクロノスと組み合わせて発動し、時間差を置いて敵機へと襲い掛かった電撃の鎖は、キャバリアの電子部品を焼くと同時に物理的な拘束力を持つ雷鎖となって敵機を拘束し、砲撃によって妨害されていた敵機の前進を完全に停止させる。
「……突破の最中に動きが止まれば狙い撃ちだからね」
 クロノスを組み合わせることで隠密性を担保しながら敵後背に潜み続け、電撃の鎖を放ち続けたメンカルの妨害によって、一機、また一機と拘束されていく敵部隊。四半刻も経たぬうちに、その前進は完全に停止することなった。

 メンカルとアリシアの手によって完全に足を止めた敵部隊に対してとどめを刺す役割を担うは、陣地線上で待機していた安野・穣が操るカサンドラであった。
「まだまだ本命のオブリビオンマシンも控えてる。ここで徒に戦力を失う訳にもいかねえですからね」
 味方部隊に再度煙幕の展開を要請し、敵から投射されるビームライフルの圧力を緩和させる。敵味方双方から視覚的な情報を奪う煙幕ではあるが、彼にとってはその障害は問題とならない。
 自らの遠隔透視能力によって敵の位置を正確に把握した穣は、長剣を思わせるフォルムを持つ長砲身レーザーライフル「ポイボス」を起動させると自らの魔力を純粋なエネルギーへと変換し、引き金を引き絞る。
 カサンドラによって増幅された穣の魔力は、ポイボスの砲身を通して外部へと発射される。
 発射とほぼ同時に敵機へと着弾した高出力レーザーは、煙幕による減衰を物ともせずにアマランサスの複合装甲を貫通。
 瞬間的に超高温まで加熱された装甲と大気による化学反応の結果発生した爆発によって、重装甲を誇るアマランサスの戦闘力はただ一撃をもって喪失する。
 アリシアの砲撃とメンカルがはなった電撃の鎖によって動きを止められ、穣の正確な射撃によって一機一機確実に無力化されていく連邦共和国軍の突破部隊は、それから半刻ほどの時間で攻撃を断念する事となった。
 3人の猟兵による連携は、突破の危機にあった陣地線の一つを、目立つ損害を被ることなく守り切ることに成功したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『機動殲龍『裁断』』

POW   :    大陸溶断機構『裁断』
【超広域レーダーで戦場をスキャンし頭部】から【戦場の全対象に大口径高出力レーザー】を放ち、【戦場を裁断する。外れても大地を割る事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    超広域探査機構『天眼』
【周囲にバリアを展開。探査波を飛ばし何らか】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【LV個の大陸溶断機構『裁断』】から、高命中力の【地形を変える程の大口径高出力レーザー】を飛ばす。
WIZ   :    戦場一掃機構『地均』
レベル分の1秒で【LV回放射状に広がる質量を持ったバリア壁】を発射できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「及ばず、か」
 結論から言えば、第3親衛装甲師団主力によって行われた総反撃は失敗した。
 親衛の名を冠する師団の中でも最も強力な部隊を抽出して編成された突破部隊は、皇国軍上陸部隊が構築した防御陣地の複数個所を突破し、一時は海岸まで後2キロほどの地点まで進出することに成功していた。
 しかし、予備隊を全て投入し尽くすという、悲惨なまでに苛烈な皇国軍の防御戦闘と、猟兵達の参戦によりほぼすべての突出部における攻勢が頓挫。圧迫を加えていた助攻正面においても作戦能力を維持しきれない部隊が目立ち始める。
 そして、ついに突破部隊正面において、重装キャバリアと主力戦車を中心とした強力な皇国軍部隊の出現が報告された。即ち、皇国軍揚陸部隊主力の上陸と戦力化が完了しつつあるのだ。
 第3親衛装甲師団を率いるアーダルベルト中将のもとに、予備部隊がもう1個大隊ほど存在すれば。或いは、猟兵と特殊部隊による破壊工作によって被った師団砲兵の損害がいま少し軽微であれば、結果は違うものとなっていただろう。
「攻勢部隊に対して、後退を命ずる。助攻正面に配分した砲火力を一部抽出し、突出部の後退を支援させたまえ」
 詮のない仮定を振り払うかのように、アーダルベルトは今この時必要な命令を矢継ぎ早に下していく。
「本国からの命令に変更は無いかね」
「同様の命令が繰り返し発信されております」
「結構、ならば我々は未だ義務を果たさねばならない。"裁断"は現地点を保持し、突出部に残された部隊の後退を援護する。機長にはそのように伝えたまえ」
 "第3親衛装甲師団は、現有戦力をもって可能な限りエーゲル島の保持に努めるべし"
 アーダルベルトは自らに課せられた命令を反芻する。
 それは、海軍国として、海上優勢と航空優勢、その双方を失った島の守備隊がどのような末路を辿るかを理解した上で発せられた命令であった。


 皇国軍強襲揚陸艦「オーデル」からその機能をエーゲル島海岸部へと移転させた皇国海兵第3師団の前方指揮所において、戦場の各地に散っていた猟兵達は合流を果たす。
 猟兵達の活躍によって全部隊の揚陸と戦力化が完了した第2師団及び第3師団は、海岸部への突進を図った敵部隊の攻勢を跳ねのけ、後退を続ける敵部隊に対する追撃行動に移行しつつあった。
 今や海上と航空、その双方の優勢が皇国軍の手中にあり、優越な陸上戦力の揚陸までもがなされた以上、連邦共和国軍にとってもこれ以上の交戦は無意味であると言ってよい。
 それでもなお連邦共和国軍が抵抗を続ける理由は、ひとえにオブリビオンマシンため機動殲龍「裁断」の能力故であった。周囲に接近するあらゆる存在を迎撃可能なかの機体が存在する限り、それがどれほど悲劇的な物であっても、連邦共和国軍はエーゲル島保持という命令を果たし続けることができる。
「現在、精神汚染機……諸君が言うところのオブリビオンマシンは、前線から3キロメートル程後方に位置している。敵部隊は全面的な後退を実施しており、その直接指揮を執っている物と推測される」
 張り出された戦況図には、オブリビオンマシンの位置とその兵装の射程距離がプロットされている。
 連邦共和国軍が再構築しつつある前線を包むこむように表示されている射程内に入れば最後、オブリビオンマシンによる大口径かつ高出力のレーザーを使用した正確無比な迎撃が行われる。この迎撃機構を潜り抜けぬ限り、オブリビオンマシンの撃破は不可能と言ってよい。
 そこで、と、説明を行う第3師団長は続ける。
「我々第3師団及び第2師団が保有する砲火力、そして海上に存在する第一機動艦隊の残存火力を、一斉にオブリビオンマシンに向けて投射し、迎撃能力を飽和させる。同時に、両師団主力をもって敵前線を突破。諸君らをオブリビオンマシンの喉元まで送り届ける。どうかあと一息、我々に力を貸していただきたい」
 戦艦と空母を含む1個艦隊と、2個師団分の火力と共に、猟兵は全てを裁断する殲龍へと立ち向かう。
 多くの人血によって赤黒く塗装されたエーゲル島を巡る最後の戦いが、始まろうとしていた。
ヴィリー・フランツ
※連携OK、POW
心情・理由:ようやく本丸か、ここまで来たら猟兵として仕事を全うし、傭兵として金を得る、余計な御託はいらねぇな。

手段:Eインゴットと武装の再装填、機体のシールドと増加装甲はパージ、奴のレーザー出力の前にどれだけ装甲並べても無意味だ、なら少しでも身軽になり回避を優先する。
後はスラスターを全開にし左右への回避運動を取りながら突撃、有効射程内に入り次第【完全被甲弾】を重無反動砲に装填、奴を倒すにはピンポイント攻撃しかねぇ!
先ずは155mmのは連射で装甲にダメージを与え、40mmレールガンに12.7mmリニアSMG、ピラニアミサイルによる一斉射で装甲貫通を試みるぜ!

中尉、死ぬなよ!!


チトセ・シロガネ
相手が質量を持ったバリアなら、アタシの出番ネ!
ジョーカーを切らせてもらうヨ!

UC【アストラル・ブルー】を発動、対消滅バリアを展開し、推力移動で突撃ッ!
バリアの波状攻撃に圧されそうになったらリミッター解除、吸収したエネルギーを推力に回し、バケモノの足元へ。

あんな質量を支えている足ネ、一本斬れば踏ん張りがきかないハズ、第六感がそう囁けばやることは1つ、早業で全エネルギーをBXグリントに回し、斬撃波を纏った刃でその足の関節部の弱点を瞬間思考力で見極め、切断するッ!

リミッター解除の反動で動かない体で突入する他の機体を見つめ一言。
この体じゃ、流石にこれが限界ヨ。次はもう少し“大きな体”が欲しいネ……。


アンネリース・メスナー
アドリブ&絡み歓迎

此処まで劣勢でありながら撤退はしないのね
見事というべきか哀れというべきか。いえ、これもまたオブリビオンマシンだからこそかしらね?
まぁ結果が分かった上で踏み止まる決意には敬意を称しましょう
ですが、その妄執は機体ごと断ち切ってあげますわ

親衛隊用アマランサス・ラピートでも、わたしくの機体だけに搭載されたサイコセンサーが【サイキックオーバーロード】を起こしますわ
ラピートからオーラが立ち昇って、オーラがバリアとなってレーザーもバリア壁も防ぎますわ
そしてビームライフルを捨ててビームサードを抜くと、そのオーラによってビームソードが設計上あり得ない程に巨大化し、それを首目掛けて振り下ろすわ!


ヴィクター・ホリディ
アドリブ連携歓迎

最後の門番は龍…まるで御伽噺だな
さてそれじゃあ諸君、龍退治をはじめようか

■方針
UCを発動、周囲の部隊のセンサーも使って殲龍の【情報収集】を開始
情報収集中は周囲を【鼓舞】しつつ、【戦闘知識/援護射撃/制圧射撃/弾幕】で敵を牽制

情報収集完了後、周囲部隊に援護射撃を要請

「中尉。あの龍の迎撃機構を一瞬でいい、止めてくれ。
 何、その後は竜殺しの槍の出番って訳さ」茶化すように笑ってみせ

援護にあわせ、スラスターで飛びそのまま【覚悟/限界突破/推進移動】で吶喊
ミサイルとショットガンで【弾幕】を張り、弾切れすれば装備をパージ
その速度のまま、ダインスレイフの【重量/貫通攻撃/部位破壊】を叩き込む


メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に搭乗)
…なるほど…大口径のレーザーに近寄ってもバリア壁……これはシンプルながら堅牢と言っても良いね…
…さて…乱戦からの突入になるなら…この機体なら術式を機体規模に拡大できるから…
…心理隠密術式【シュレディンガー】を起動…何処まで誤魔化せるかは未知数だけどこれで接近できるところまで近寄って…
…機動殲『龍』であるならば…【竜屠る英雄の詩】を起動…
…機体の手に持った杖から竜殺しの概念が宿った魔力の刃を形成…
…その刃でバリア壁を切り裂いて殺すよ…そのまま『裁断』へ接近……まずは斬撃を飛ばして大口径のレーザー砲を破壊させて貰おうか…


イザベラ・ラブレス
皇国軍が大盤振る舞いで送り出してくれる以上、応えてやらなきゃ女が廃るってものじゃないの!
大一番、決めさせてもらうわ!

作戦:兵装エネルギー源の破壊
あの規模の破壊兵器を動かすとなると兵装専用のエネルギーユニットを積んでいてもおかしくないわね。
だったらそれを狙わない手は無いわ。

まずは砲撃を加えつつ、飛翔体迎撃時の予備動作を観察しつつ情報収集を行い弱点を探し出す。

貫徹力に長けたツァーリ・ラケータは弾頭を指定UCで炸薬量を増やし攻撃力を向上。こいつで勝負を仕掛ける。

レーダー照射が始まったと同時にミサイルを射出。
攻撃動作に入る以上、迎撃に移れる余裕はないでしょ?
そのままトップアタックを決めさせてもらうわ!


シーカ・アネモーン
この戦いに終止符を打つには、最後の大物を叩かねばならないか
勝敗は決しても、あれは止まらない。馬鹿げた兵器を使うからこんなことになる

しかし、あの大型にアンヘルの武装が通じるかな
いや、やり様はあるはずだ
大型のレーダーに、これは精神波か?
お前を見ているとでも言いたげだな。いいとも、私だけを見ればいい
狙いを定めさせぬよう回り込むように飛びつつ接近する
こちらが移動し続ければ、大口径を貰うことはそうそうないだろうが、攻撃可能な射程まで接近も難しいだろうな
ソードスレイヴを展開
大層なバリア機構を持っているようだが、攻撃中も全方位展開可能なのかな?
これはそう言う相手の為の武装なんだ
手傷程度は与えられる筈だが……




 皇国標準時間16時30分。オブリビオンマシンの撃破を目的とした攻勢は、皇国海軍第1機動艦隊隷下の第1戦隊及び第2戦隊、即ち戦艦と巡洋戦艦群の砲撃をもって開始された。
 3隻の戦艦が装備する長砲身48センチ3連装砲、合計27門の砲門から斉発された対地誘導砲弾の後を追うように、艦隊から一斉発射された亜音速対地巡航ミサイルと、各師団直轄砲兵から放たれた砲弾が大気を引き裂きながら飛翔する。
 連邦共和国軍残余が構築した30kmほどの戦闘正面のうち最も弱体な5kmあまりの範囲。その全縦深に対して実施された準備射撃は、損耗した1個師団に対して投射される鉄量としては甚だ過剰なものであった。
 いかにオブリビオンマシンの戦闘力が強大なものであるとはいえど、師団単位の戦力が正面から衝突する戦場においては、半径の大きな点に等しい。生半な機体であれば、前述の準備射撃の鉄量に押しつぶされていただろう。
 しかし、猟兵と皇国軍が相対する敵手は、機動殲龍「裁断」であった。恐るべき巨体で大地を踏み固め、悠然と頭部を前方に向けた裁断は、その超広域探査機構によって飛来するあらゆる飛翔体を捕捉すると、大出力のレーザーによって空中を薙ぎ払う。
 結果として発生するのは、空を焦がす無数の火球である。裁断に向けて放たれたあらゆる砲弾とミサイルは徐々に裁断へと近づきながらも次々と迎撃され、陽光の支配から逃れつつある空を赤く染めていく。
 それでも、人事を尽くした準備砲撃は、当初の目論見通り裁断の迎撃能力を飽和させることに成功しつつあった。
 2個師団の予備戦力を合同して編成された突破部隊は、艦隊と師団直轄砲兵が実施した猛烈な砲撃に紛れる形で敵防衛線を突破。極めて強大なオブリビオンマシンである裁断の対地迎撃に晒されながらも、その喉元近くにまで迫っている。
 無論、迎撃にまわる裁断にとって、元とも高脅威かつ高価値な目標が猟兵であることに変わりはない。
 迎撃機構の大半が準備砲撃に対する対応に回されているとは言え、未だ裁断には機体を中心に放射状に存在する幾重もの防御フィールドが存在する。相当の質量を持ち、通常のキャバリアが持つ武装程度では突破困難な障壁の群れを破壊すべく、先陣を切る猟兵達の姿があった。

「相手が質量を持ったバリアなら、アタシの出番ネ!」
 前線を突破した皇国軍部隊に先行し、裁断への一番槍を務めるは、人型サイズの躯体にキャバリア並のセンサーと火力を内包した猟兵、チトセ・シロガネであった。
 裁断の巨体から見れば、チトセの躯体は巨象を前にした蟻にも等しい。しかし、目の前の存在が強固な複合装甲をも容易に切断可能な程鋭い牙を持つことを、裁断を操るオペレーター達は認識していた。
 クロムキャバリアとスペースシップワールド。2つの世界が持つ英知が結集した躯体は、咄嗟に向けられた無数の迎撃用レーザーを攪乱し、掻い潜りながら戦場を疾駆する。
 蒼光が如き速度をもって、チトセは瞬く間に一次迎撃線を突破し、裁断を数多の鉄量から守る障壁網へと突入する。彼女は自らの躯体のリミッターを解除し対消滅バリアを展開すると、障壁網を構成する高密度のエネルギーを、エネルギーを捕食する性質を持つ対消滅バリアによって浸食しながら、じりじりと前へ、前へと進んでいく。
 しかし、恐るべきは裁断の誇る障壁網の重厚さであった。チトセの衝撃力によって確実に減衰しつつも、その速度を幾分か減殺することに成功した障壁網は、裁断の近接防御火器に対してチトセへの再照準を行う時間的猶予を与えたのだ。
 裁断前方に配置された無数のレーザー砲門が、恐るべき敵手を粉砕すべく一斉にチトセへと指向する。彼女を撃退するためには、決して過剰な火力ではない。チトセが持つ衝撃力を前にして障壁網を維持するためには、それ程までに緊急的かつ集中した火力が必要であった。
 しかし、それはチトセの後方から接近するもう一人の猟兵に隙を晒すことと同義であった。
「戦場にあって、わたくしとラピートの存在を失念した代償。払って頂きますわ」
 キャバリアの接近を拒絶していた無数のレーザー砲門がチトセへと向けられた事によって生じた一瞬の隙を生かすべく、その優美な機体を躍進させるは、アンネリース・メスナーが操る「アマランサス・ラピート」であった。濃密な火線に生じた細い突破口を迅速かつ繊細な機体操作で突破したアンネリースは、その速度を保ったまま障壁網へと突入する。
「此処まで劣勢でありながら撤退はしないのね。……見事というべきか哀れというべきか」
 あるいは、オブリビオンマシンによる精神汚染が、この異常なほどの戦意を煽っているのか。真実が奈辺にあるにせよ、この場において彼女の為すべきことに変わりはない。
「結果が分かった上で踏み止まる決意には敬意を称しましょう。ですが、その妄執は機体ごと断ち切ってあげますわ」
 アンネリースの戦意に呼応するかのように、彼女の機体のみに搭載された装備であるサイコセンサーから光があふれる。サイコセンサーを通して、自らの思念が物質的な力と化して機体を包み込んだことを確認したアンネリースは、チトセと裁断との間に割り込ませる形で機体を機動させる。
 裁断から無数の近接防御用レーザーが発射されたのは、それとほぼ同時であった。本来チトセを照準していたレーザーは、直前に割り込んだラピートへと着弾する。
 本来なら、一撃でキャバリアを大破に追い込むレーザーの集中射を浴びてなお、ラピートには些かの損傷も存在しなかった。発射とほぼ同時に着弾したかに見えたレーザーは、機体を包んでいたサイキックオーラの干渉を受けその軌道を逸らされ、あらぬ方向へと着弾していたのである。
 アンネリースとラピートの援護によってチトセにもたらされた時間は、彼女が残りの障壁を突破するに十分なものであった。
 裁断が展開する分厚い障壁網と対消滅バリア衝突し、交じり合い、一体化していく。彼女の周囲には吸収を免れ、結合を失ったエネルギーの残滓が拡散し、赤く染まりつつある空を白く照らす。
 ひときわ大きな閃光と共に、裁断を護る最後の障壁が消滅する。その光を引き裂くように、チトセとアンネリースは裁断へと突貫する。
「妄執よ、消え去りなさい!」
 アンネリースは裂帛の闘気と共にビームソードを抜刀する。彼女の意志に感応したサイコセンサーが形而上のエネルギーを形而下へと発現させ、ラピートに設計限界を超えたエネルギー出力を与える。発生した莫大なエネルギーはビーム収束機構を通してビームソードへと伝導し、巨大な刀身となって裁断の頸部へと振り下ろされた。
 その斬撃は、裁断が誇る戦艦並みの装甲厚をもってしても防ぎきれるものではなかった。猛烈な速度と共に振り下ろされた超高温の刃は、瞬く間に分厚い装甲を機体へと昇華させ、頸部に存在するエネルギー伝導路の一部に損傷を与えることに成功した。
「さぁ、ジョーカーを切らせてもらうヨ!」
 アンネリースと同時に攻撃を行うチトセが狙うはただ一点。巨大な裁断を支える脚部、その装甲の弱体部である関節である。
 猛烈な速度で迫る裁断は、チトセから見れば巨大な一枚の壁のようにも見える。脚部と言うよりは巨大なビルのような構造物を光子頭脳によって分析し、第六感の囁きにしたがって跳躍したチトセは対消滅バリアが吸収した全エネルギーを対大型兵器用ビームカタナ、BXグリントへと供給する。
 巨大な要塞が発生させる障壁、そのエネルギーは尋常なものではない。躯体のありとあらゆる個所から発せられる警報を無視し、チトセは自らの全霊をもって見極めた脆弱部に向けて衝撃波を纏った波動の刃を叩きつける。
 果たして、規格外のエネルギーと共に放たれた斬撃は、裁断の脚部関節部の一部に命中し、その装甲を原子レベルで崩壊させていく。綻びが生じた関節はあまりにも巨大な自らの重量に耐えかねる形で破断し、裁断の機動力を大きく損ねることに成功した。
 しかし、その代償もまた大きなものであった。あまりにも莫大なエネルギーをそのしなやかな躯体に伝導させた結果、チトセは一時的に行動不能な状態に陥ることとなる。
 攻撃を終え、チトセを救出し離脱すべく機動を取るラピートと、彼女たちの攻撃によって生じた機会を生かすべく突入する猟兵や皇国軍のキャバリアを見つめ、チトセは嘆息と共に呟く。
「この体じゃ、流石にこれが限界ヨ。次はもう少し“大きな体”が欲しいネ……」


 チトセとアンネリースの攻撃によって障壁網の一部を一時的に失い、決して小さくない損傷を受けた裁断。しかし、その戦闘力はいまだ健在であった。小賢しくも自らに損傷を与えた猟兵を撃滅すべく、機動殲龍は一時的に砲撃の迎撃を中断し、その頭部を自らの巨体直下へと向ける。
 如何に猟兵と言えど、裁断の主兵装である大陸溶断機構から放たれる超高出力レーザーの直撃を受ければひとたまりもない。彼女らを援護すべく急行していた皇国軍部隊の誰もが息をのむ中、救い手は唐突に、誰もが認識せぬ場所から突如として現れた。
 裁断が首をもたげると同時に、その至近へと出現したのは、搭乗型ガジェット「ツィルニトラ」を操るメンカル・プルモーサであった。
「……乱戦からの突入とはいえ、ここまでうまくいったのは二人のおかげだね……」
 彼女は、チトセとアンネリースの攻撃に戦場全ての耳目が集まるタイミングで心理隠密術式を展開。状況を活用することで、存在を確信されぬ限り高度な隠密能力を齎す心理隠密術式の効果を最大化し、決定的なタイミングで極めて優位な位置から攻撃を開始することに成功したのだ。
「……厄討つ譚歌よ、応じよ、宿れ。汝は鏖殺、汝は屠龍。魔女が望むは災厄断ち切る英傑の業……」
 彼女が詠唱を紡ぐは「竜屠る英雄の詩」。竜という概念にまつわるものすべてに致命的な損害を与えるべく考案された概念術式である。如何にキャバリアとはいえ、龍の名を持つ裁断は、この術式の対象となり得るのだ。
 ツィルニトラが装備する杖から発振した魔刃に竜殺しの概念を付与したメンカルは、すぐさま眼前にある裁断の頭部、大陸溶断機構に向けて斬撃を放つ。
 強固な術式によって竜殺しの概念をあたられた魔力の刃はあらゆる物理法則を超越し、機動殲龍の装甲を破断する。ともすれば戦艦のバイタルパート並の装甲によって防御された大陸溶断機構は、メンカルが放ったただ一度の斬撃によって両断され、複数存在した大口径レーザー照射孔のうち一基を使用不能に追い込むことに成功する。
 メンカルは、彼女自身が持つ魔導とそれを生かす才幹によって僚友の危機を救うと同時に、強大なオブリビオンマシンからその主兵装の一部を奪うことに成功したのだった。


 チトセとアンネリースによってこじ開けられ、メンカルによって確固たるものとなった突破口を使用し、さらに戦果を拡張すべく猟兵達は突入を開始する。
 皇国軍主力の揚陸が完了している現状、これ以上の抗戦は時間稼ぎ以上の意味を成さないものであった。付け加えるなら、時間稼ぎが作戦上の意味を持つのは増援が見込める場合に限られる。決して、海と空の支配を失った部隊に命じてよい行動ではない。
「勝敗は決しても、あれは止まらない。……馬鹿げた兵器を使うからこんなことになる」
 ならば、とシーカは地上にて配置につきつつある僚友に対して回線を開く。この戦いに終止符を打つには、眼前に聳える大物を撃破する以外に道はない。
「アンヘルより地上部隊各機へ、これより突入する。大口径砲と防御火器は可能な限りこちらで引きつける。その隙に火力を叩きこんでくれ」
 シーカは一つ息を吸うと、スロットルレバーを操作しエンジン出力を急増させ、機首を巨大な機動殲龍へと向けると、突入を開始する。
 自らに向けて急接近する飛翔体を捉えた裁断は、長大な首を巡らし電波と思念波を併用した捜索レーダーを起動する。レーダー照射警報と共に奇妙な違和感を覚えたシーカが咄嗟的に乱数機動を取ったその瞬間、つい先ほどまでアンヘルが存在した空間に無数の光線が殺到する。
「……レーダーと、精神波か。お前を見ているとでも言いたげだな」
 コクピットを通して見える裁断の巨体を睨みながら、シーカは急制動と不規則機動を組み合わせた高難度かつ高負荷なマニューバを繰り返しつつ、敵の火線を回り込むように旋回する。少なくとも、シーカとアンヘルが敵の注意を引きつけていれば、地上部隊に対する圧力は軽減するのだ。その一点だけをもってしても、彼女が果たす役割は極めて大きなものと言っていい。
「大層なバリア機構も、常に展開している訳ではあるまい。ソードスレイヴ、アクティブ。敵火線の隙間を縫って攻撃しろ」
 果たして、シーカの見立ては的を射た物であった。防御障壁を発生させる戦場一掃機構は、ほぼ全方位に対する障壁展開が可能であるものの、自らが攻撃を行う射線上の障壁は解除せざるを得ない。それを見抜いたシーカは脳波コントロールによって制御可能なソードスレイヴを展開し、敵火線上に存在するレーザー発射孔に射撃を加えていく。
 自らに向かって投射される大小のレーザーを巧みなマニューバによって回避しつつ、敵のレーザー発射孔を的確に破壊していくアンヘルの戦技によって、後続の猟兵達はより多くの火力を裁断に向けて投射することが可能となるのであった。


「最後の門番は龍……まるで御伽噺だな」
 シーカの陽動開始と共に前進を開始した皇国軍部隊を含めた主攻撃部隊の先頭にあって、ヴィクター・ホリディは前方に聳え立つ機動殲龍の威容に怯みもせず言い放つ。
「龍だろうが何だろうが、ここまで来たら猟兵として仕事を全うし、傭兵として金を得る。余計な御託はいらねぇ、シンプルな話さ」「ヘヴィタイフーンMk.Ⅹ」を駆るヴィリー・フランツもまた、現実離れした光景を前にいささかも平静さを欠くことなく応じる。彼の様子は、その言葉通りプロの傭兵そのものと言ってよい。
「空のお仲間と皇国軍が大盤振る舞いで送り出してくれる以上、応えてやらなきゃ女が廃るってものじゃないの!」
 そのように気合を入れて応じるは、極めて強固な装甲と火力を持つ「マイティー・バリー」を操るイザベラ・ラブレスである。三人の猟兵と皇国軍キャバリア部隊。それが、最先鋒に続いて機動殲龍に対する攻撃を実行する部隊の陣容であった。
「さてそれじゃあ諸君、龍退治をはじめようか」
 ヴィクターの号令の元、キャバリアの群れは一斉に行動を開始する。裁断が保有する多数の近接防御火器による被害を最小限にとどめるため散開した猟兵と皇国軍部隊は、裁断の防御火力が乏しい領域を特定すべく、前進と後退を繰り返しながら徐々にその距離を詰めていく。
 裁断の弱点を解析する上で最も大きな役割を果たしたのは、ヴィクターの操る「Preces」と、ミサイルを主兵装とするマイティー・バリーであった。彼らは猟兵と共に行動する皇国軍部隊が収集したセンサー情報を統合・分析し、裁断の保有するレーザー発射孔の位置とその数から防御の薄い地点を特定することに成功したのだ。
「マイティー・バリー、敵火線の弱体部らしき領域を特定した。そちらはどうか」
「Preces、こちらも同意見よ。後2、3個発射孔を潰せば、目論見通りに行くはず」
 イザベラの返答に頷いたヴィクターは、データリンク上に撃破すべきレーザー発射孔をマーキングし、再び通信回線を引く
「ヘヴィタイフーン、ランツェ01。データリンク上に破壊目標を更新した。潰してくれ」
「ヘヴィタイフーン、了解した。悪童と一緒にひと働きして来るぜ」
「ランツェ01、了解。10秒後に中隊重迫から煙幕弾を発射します。それと、ヘヴィタイフーン、悪童はいったいどちらでしょうね」
 ランツェ01、即ちアーダルベルト中尉も、この一日で軽口を叩ける適度には野戦擦れをしたらしい。茶化すように笑いながらヴィクターは続ける。
「何、発射孔さえ潰せれば、その後は竜殺しの槍の出番って訳さ。頼んだぞ」
「了解だ、Preces。行くぜ中尉、死ぬなよ!!」
「中隊全機、間隔を保ちつつ前進! ヘヴィタイフーンを援護する」
 追加装甲をパージし、身軽になったヘヴィタイフーンを先頭として、1個中隊全15機のキャバリアが一斉に前進を開始する。
「奴のレーザー相手に、どれだけ装甲を並べても無意味だからな。小回り重視さ」
 ヴィリーは自らの言葉の通り機体のスラスター出力を最大にし、左右に細かく回避運動を取りながら突撃を開始する。周囲に次々とレーザーが着弾するのを気にも留めず突進し、破壊目標であるレーザー発射孔をコングⅡ重無反動砲の有効射程へと収めると、ためらわず引金を絞る。
 無反動砲から発射された完全被甲弾は過たずにレーザー発射孔へと命中。その名が示す通り極めて高い装甲貫通性能を持つ砲弾は、裁断の分厚い複合装甲を貫徹。発射孔を無防備状態へと追い込む。
 追撃としてヘヴィタイフーンから放たれたピラニアミサイルと、後続の中隊から発射される対装甲ミサイルが直撃し、瞬く間に一か所のレーザー発射孔が破壊されると、残りの発射孔も同様の要領で次々と破壊されていく。
「ヘヴィタイフーンより、Preces、マイティー・バリーへ。全目標の破壊、完了した。上空援護があるうちに後退するぜ。竜殺しの槍とやらを頼む」
「了解だ、ヘヴィタイフーン。マイティー・バリー、準備が整い次第発射してくれ」
「大一番、決めさせてもらうわ!」
 ヴィリー達の活躍によって、舞台は整った。イザベラは軽く舌で唇を濡らすと、炸薬量をさらに増大させる形で特注した掩蔽破壊弾頭、ツァーリ・ラケータを発射する。
 轟音と共に発射されたミサイルの皇帝は、一時的に迎撃火線が消失したエリアを辿って裁断へと直進。数十秒の飛翔の後、裁断の下腹部へと着弾する。
 掩蔽破壊弾頭、即ち数メートル単位のコンクリートによって守られた掩蔽を破壊するために作成された弾頭は、裁断の分厚い装甲の半ばまで到達しその身に宿した莫大な炸薬を開放する。
 燃料気化爆弾並みの爆轟と共に炸裂したツァーリ・ラケータは、戦艦並みの装甲厚を誇る裁断の下腹部装甲に大きな亀裂を発生させ、バイタルパートの一部を損傷させた他、その周辺に存在するレーザー発射孔の悉くを使用不能に追い込むことに成功する。
 あまりの衝撃に大きく仰け反った裁断に対し、最後の一矢たるヴィクターとPrecesが突貫を開始する。
 彼は、スラスターから齎される莫大な推力によって機体を一時的に重力の軛から解放し、推力移動を実現すると、ツァーリ・ラケータが命中し、バイタルパートが損傷した部分に対して自らが保有する全ての火力を投射する。
 複数の猟兵が死力を振り絞って実施した第一次攻撃は、機動殲龍「裁断」という極めて強大なオブリビオンマシンに対し、極めて短期間かつ少数の犠牲で多くの損傷を与えることに成功したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

安野・穣
(アドリブ連携歓迎)
…あくまで抗うつもり、か…
確かにあのオブリビオンマシンの力は圧倒的。俺ら猟兵でも皇国軍の協力あってようやく辿り着けるくらいっすからね。
なのでまあ、共和国側が徹底抗戦すれば皇国側を退かせることも叶うやもしれねえっすね。

…ふざけんな。
こんな代物暴れさせて島を保持できたとして、後に残るのは何だ。
余波で土地を…自分の祖国を荒れ地にしようとも戦い続けるのが義務で命令だと!?

伝わってんだろ、俺の怒りの感情が。
とっとと自慢の溶断機構を出してこいよ…!
【虚空】と<瞬間思考力>で射たせる前に<レーザー射撃>で機構撃ち落として、バリアごと<一斉発射>で穿ってやる!


秋月・信子
●POW&真の姿補正の【リミッター解除】

懐に潜り込むのは容易そうですが、その弱点を補う正確無比な迎撃機構
幸いにも2個師団と1個艦隊の支援で突破可能ですけど、それがなければどうなるかゾッとしますね…

今回は機動力が重要となりますので、デッドウェイトとなる増設装甲板やシールドをパージして可能な限り身軽とさせ、武装もバントラインのみに絞ります
作戦開始時刻になればレッドゾーンまで【限界突破】した【推力移動】で戦線を突破、目標の頭部レーダーの破壊を試みます
目標を捕捉したらバントラインに装填済みの徹甲榴弾を迎撃を考慮して【2回攻撃】した後に陣地転換
着弾と共に『紅蓮の魔弾』による炎で中から焼き切らせてみます




 先行した戦力がこじ開けた突破口を通じて、後続の部隊と猟兵達が機動殲龍へと迫る。
 複数の猟兵達による攻撃を受けながらも、未だ機動殲龍はその威容と戦力を保ち続けている。複数のキャバリアを束ね、重ね合わせてもまだ届かぬほど巨大な脚部で大地を踏み砕きながら、機動殲龍は自らとその射程内に降り注ぎ続けるあらゆる火力を迎撃し続けていた。
 猟兵達の活躍によって機動殲龍に取り付くことが叶った皇国軍部隊と猟兵達は、撃破を目標とするだけでなく、純粋に攻撃を続行するためにも、敵機体が保有する無数の迎撃機構に打撃を与え続けなければならない。さもなくば、逆に押し返されてしまうほどの戦闘力を、機動殲龍は有していた。
「幸いにも2個師団と1個艦隊の支援で突破は果たせましたけれど、それがなければ
と思うとゾッとしますね……」
「俺ら猟兵でも皇国軍の協力あってようやく辿り着けるくらいっすからね、確かに圧倒的って表現が適切かもしれないっす」
 機動殲龍に対する攻撃の第二陣、その最先鋒を務めるは、秋月・信子と安野・穣であった。
 「ピースメーカー」と「カサンドラ」、それぞれの機体を操る二人の猟兵は、投射される熱線を掻い潜りながら、先だって攻撃を加えた猟兵達が啓開した障壁網の合間を縫う形で機動殲龍に接近しすることに成功しつつあった。
 しかし、機動殲龍に近づけば近づくほどに、その迎撃射撃は熾烈さを増していく。損害を与える事が可能となる距離まで接近するには、二人の猟兵としての能力を極限まで発揮する必要があった。
「私が先行して敵の火線を引きつけます。手はず通り、安野さんはその間に迎撃レーザー発射孔を、私は頭部レーダーを狙います」
「……了解っす。任せてください」
 信子は安野の返答に頷くと、操縦桿を握る手に力を込める。増設装甲板やシールドと言ったウェイトを取り払ったピースメーカーなら、やれるはずだ。彼女は呼吸を整えると、小山ほどもある敵に対して突入を開始する。
 接近する新たな敵手を感知した機動殲龍は、無数の大陸溶断機構を展開し、脅威を排除せんとする。周囲の空間を歪める程の熱エネルギーを投射する大陸溶断機構からの直撃を受ければ、如何に猟兵が操る機体と言えどひとたまりもない。
「たしかに、圧倒的でしょうよ。徹底抗戦すれば皇国側を退かせることも叶うやもしれねえっすね」
 自身と僚友に向けられた、まさに圧倒的なまでの火力。穣はそれを阻止すべく、自らに生物の限界を超える程の速度で思考を強制する。
「……ふざけんな。こんな代物暴れさせて島を保持できたとして、後に残るのは何だ」
 機動殲龍が踏み砕き、熱線によって引き裂く大地は、敵にとっても祖国の地であることに変わりはない。それを認識してなお戦い続けようとする敵の在り方に、穣は強い憤りを覚えていた。
 自らの身体にかかる負荷を代償として得た思考能力によって、彼の主観時間は極限まで引き延ばされる。自身の能力と機体の能力によって信子が操るピースメーカーに命中する熱線を放つ大陸溶断機構を特定した穣は、それが放たれる前にポイボスの引金を引き絞る。
 長砲身レーザーライフルから撃ち出された熱線が、次々と大陸溶断機構を撃ち抜き、爆散させていく。コンマ数秒ほどの時間で目標を選定する穣の射撃によって、機動殲龍の周囲には無数の火球が生成されていく。
 人知を超えた速度で繰り広げられる迎撃によって生み出される火球の合間を縫い、信子は機体を躍進させ、携行型長距離支援砲バントラインの有効射程内へと機動殲龍を収めることに成功する。
「――形象、開始。 ――魔弾、装填」
 信子は彼女の能力によって生成された魔弾をバントラインへと装填し、機動殲龍に向け照準を合わせる。狙うはただ一点、機動殲龍が持つ迎撃能力の基幹を成す頭部レーダー機構であった。
 彼女とピースメーカーを迎撃すべく、機動殲龍は機体至近で障壁を形成し、そのエネルギーと質量を持って押しつぶすべく投射する。しかし、信子はそれに構わず照準を固定し、魔弾の発射準備を整える。
「――やらせるかよッ!」
 機動殲龍が放った障壁が、まさにピースメーカを押しつぶそうとしたその瞬間、穣の放った盾型スラスター、ローレルが間一髪で障壁とピースメーカーとの間に割って入り、その衝撃を受け止める。彼は、僚友たる信子の信頼に見事応えて見せたのだった。
 穣が作り出した刹那の時間を利用し、信子は機動殲龍に対して魔弾を発射する。時間差を置いて放たれた二発の魔弾の内、一発は機動殲龍の大口径高出力レーザーによって迎撃されたものの、後続の一発が見事目標である頭部レーダー機構を捉える。
 穣と信子の連携によって放たれ、見事着弾した紅蓮の魔弾は、自らに内包された灼熱によってレーダー機構の一部を融解させ、その機能に少なからぬ障害を与えることに成功する。
 機動殲龍が持つ迎撃機構の根幹を成す部分に損害を与えた二人の戦果は、後に続く部隊と猟兵達に少なからぬ有利を与えることになったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

三辻・蒜
機動殲龍、想像してたよりずっと大きいね
これまでに色々支援も貰ってるし、役に立てると良いんだけど

まず狙いたいのは、妙な障壁を展開してくる発生装置かな
事前に分かれば直ぐに狙うし、分からなくても機体の表面のどこかにあるだろうから、それっぽい箇所を狙ってみる
装甲も丈夫そうだし【羨望の光】を全力で、限界まで照射するよ
発生装置まで障壁を突破できないなら、機体の姿勢を崩させてみようか
爪先とか関節とかに損害を与えられれば、普通には移動できなくなるんじゃないかな
可能なら他の猟兵と火力を集中して突破口を開きたいね

特殊部隊の人達、みんな強いし大丈夫だよね
勝手に死んじゃったら、許さないよ


ユーレア・サーディス
あれがこの島の敵が拠り所にする兵器か。
壊せば勝てる。壊せなければ負ける。私にもわかる、簡単だ。
なら、やることもひとつ。

迫撃砲、重砲、野砲、艦砲、キャバリアの携行砲も。
あらゆる砲声を詠唱とする。砲声が続けば続くほど、敵の迎撃能力が飽和状態であり続けるほど威力を高める捨て身の一撃。
セリオンⅠの封印を解いて蒼く燃える炎の槍を撃ち出す機構に改変する。
威力が高まれば高まるほど機体も、中の私も炎に蝕まれるけど問題ない。
最悪死んでも、勝利のために消費されるのが私の使命なのだから。

偽・蒼火槍、目標敵大型機動兵器。
この島におまえの居場所はない。焼き尽くせ。


フランツィスカ・リュッツオウ
◎連携アドリブ歓迎
島嶼防衛戦、か…何だかシシリー島についての記録が脳裏を過ぎる。ともあれ敵はデカブツだ。キャバリアへと乗り込み航空戦を続行しよう。

友軍の火力支援に乗じて接近。時間稼ぎに乗る心算は無い。機能制約を解除し、稼働時間を犠牲に短期決戦を狙う(真の姿解放+UC発動。装甲を犠牲に移動力を強化)

生憎、ステルスなぞの最新技術とは無縁でな。飽くまでも速度で勝負だ。引き続き一撃離脱戦法に徹し、重機関砲とR4Mを中心に攻撃。減速イコール撃墜と肝に銘じる。

仕掛け時と判断した場合、キャバリア用長剣を抜刀。降下速度を乗せた斬撃にて長い頸部分を狙う。
裁断、か。お返しに斬首戦術をお見せしよう。文字通りにな!


ウィリアム・バークリー
皇国軍の方々に送りだしてもらったこの好機、ふいにするわけにはいきません。
オブリビオンマシンは必ず討滅しましょう。

「空中戦」で最速を出して殱龍に接近します。
レーザーの照射には「見切り」「オーラ防御」で対応して。

抜刀した『スプラッシュ』を軸に「高速詠唱」「全力魔法」で氷の「属性攻撃」を付与して。
長大化した氷剣で、「衝撃波」を伴ったルーンスラッシュの「範囲攻撃」且つ「2回攻撃」。
背面を叩き割ってやりたいですが、無理そうなら脚の一本くらいはもらいますよ。

この機体を沈めれば、レーゲル島奪回が確定的になる。
本来猟兵は特定の国家に肩入れすべきでないと思っていますが、『国家』と対峙するなら必要なんでしょうね。


シル・ウィンディア
な、なによ、このバカでかい機体は…
でも、送り届けてくれた人たちの為にもっ!

広域型の攻撃を持っているなら
【第六感】で殺気を感じて
敵の動きを【見切り】【瞬間思考力】で回避・防御の判断を取るよ
回避は三次元機動での回避(高度には気を付ける)
防御はピンポイントで致命箇所を【オーラ防御】で防ぐね

攻撃はランチャー・ツインキャノン・ホーミングビームの【一斉発射】!
もちろんこれで何とか出来るとは思わないよ

生半可な火力じゃ貫けないなら…
回避・攻撃時から詠唱したこれで
【限界突破】で【魔力溜め】を行って【多重詠唱】で術式を複合させてから【全力魔法】で《指定UC》

限界を超えるよ、リーゼ!
わたし達の全部だ、もってけーっ!




 皇国標準時17時36分、おおよそ一刻にもわたって地形を変えるほどの猛攻を受けてなお、機動殲龍はその戦闘力を保ち続けていた。
 戦場一掃機構という攻防一体の障壁発生装置と、超広域探査機構及び大陸溶断機構による正確無比な迎撃は、猟兵達の攻撃によって徐々にその迎撃範囲を狭めつつも、未だ機動殲龍と周辺の連邦共和国軍部隊を守護し続けている。
「壊せば勝てる。壊せなければ負ける。私にもわかる、簡単だ」
 機動殲龍が齎す規格外の火力は、戦術的にも精神的にも孤立した連邦共和国軍にとって最後の拠り所であった。この戦場において勝利を得るためには、いかなる手段を用いてでも眼前の巨竜を打倒せねばならない。
 今や歴史の砂に埋もれた帝国が生み出した戦闘機械としての側面が、ユーレア・サーディスに自らが成すべきことを教えている。
「ならば、今こそ本懐を果たそう」
 ユーレアが装備するセリオンⅠは、有史以来人類が発達させ続けてきた砲撃と言う事象そのものを体現する概念兵装であった。彼女はセリオンⅠに施された封印――無論、それらには威力を制限するだけではなく、使用する機体とパイロットを保護するためのものも含まれる――を解除すると、その長大な砲身を機動殲龍へと向ける。
 各小隊が装備する軽迫、中隊火力として装備される重迫。大隊以上の部隊が装備する大小の野戦砲から絶え間なく響き渡る発射音と、師団砲兵が運用する多連装ロケットシステムから放たれるミサイルの飛翔音。果ては戦艦が持つ巨砲の咆哮。この戦場に存在し、機動殲龍に向けて放たれる無数の砲声たち。その全てが、セリオンⅠの威力を高めるための詠唱となった。
「偽・蒼火槍、目標敵大型機動兵器」
 戦場に存在するありとあらゆる火砲をその身に宿した砲撃という概念の化身が、ユーレアの号令と共に撃ち放たれる。
「この島におまえの居場所はない。焼き尽くせ」
 主の身体をもその業火で焼き尽くす蒼炎の槍は、周囲の大気を瞬間的に膨張させ、空間そのものが歪んだような視覚的な錯覚を見る者すべてに与えながら機動殲龍へと殺到する。
 機動殲龍を護る無数の障壁網、その一角に着弾した偽・蒼火槍は、物理と神秘双方の力を内包した業火によって障壁網を侵食し、機動殲龍の防壁を侵食していく。彼女が実施した捨て身の砲撃は、より強固に再構築されつつあった防壁の一部を破壊することに成功したのだ。

 ユーレアが自らの機体と身体を犠牲にするほどの超火力によってこじ開けた障壁網の一角から機動殲龍の懐へと飛び込むことに成功した猟兵達は、機動殲龍に損害を与える事は勿論として、後続のためにも障壁網の無力化を試みる必要があった。
 丁度時を同じくして、突入を果たした猟兵達に対して、砲撃の前進観測を務めていた皇国軍特殊部隊から情報が齎される。
 それは、彼女たちが求めてやまなかった機動殲龍が持つ障壁発生装置、戦場一掃機構の配置位置を示すものであった。巨大な機動殲龍の各所に設けられたそれらの一部でも破壊できれば、厄介極まる障壁網の一部を恒久的に無力化することが叶うだろう。
 障壁網の内側に侵入を果たした4人の猟兵達は、それぞれの持つ特性に合わせて即座に役割を分担すると、散開してそれぞれ別方向から機動殲龍へと迫る。

 機体周囲を覆う障壁網の一部を突破されて尚、機動殲龍には頭部に存在する大口径高出力レーザー砲塔と、機体各所に存在する無数のレーザー発射孔、そして即時発生可能な防壁展開機構と言う三重の防御網が存在する。
 それらのうち大口径レーザーとその他のレーザー発射孔に対する陽動を受け持つのは、極めて高い機動力を持つ空戦型キャバリア「Me262R-1 シュヴァルベ」を操るフランツィスカ・リュッツオウと、生身の身でありながら高い空中戦能力を持つウィリアム・バークリーであった。
「島嶼防衛か、シシリー島についての記録が脳裏を過ぎるな。戦史に沿うなら、攻める側にいる事はありがたいが」
「あの機体を沈めれば、エーゲル島の奪還は確実なものとなる。けれど――」
 それは、猟兵が特定の国家に肩入れしすぎることに繋がるのではないか。後に続く言葉を飲み込むウィリアムであったが、その懸念は的を射たものであった。特定の国家がオブリビオンマシンを軍事利用することに対するアンチテーゼとして猟兵が存在するのなら、自分たちはどこまで現地の戦闘に介入することが許されるのか。この場で答えが出る類の物ではないにしても、彼はその問いから目を背けることを良しとはしなかった。
「いずれにせよ、我々は眼前のオブリビオンマシンを討ち果たさねばならない。少年、後ろは任せるぞ」
「ええ、この好機、ふいにするわけにはいきません」
 Me262R-1の機能制約を解除したフランツィスカは、猛烈な速度で機動殲龍へと迫る。
「生憎、ステルスなぞの最新技術とは無縁でな。飽くまでも速度で勝負だ」
 その言葉の通り、減速することなく機動殲龍へと迫るMe262R-1は、その圧倒的な速度をもって自らに撃ち放たれる大口径レーザーを振り切ると、機体に吊架されたR4Mを撃ち放つ。
 独特な噴煙を生成しながら飛翔するR4Mは過たず機動殲龍へと命中し、決して小さくない爆炎と共に巨大な機龍へと損傷を与える。
 高い防空能力を持つ機龍に対してMe262R-1が取り得る戦術は、徹底した一撃離脱である。減速は即ち撃墜を意味する事を知るフランツィスカは、攻撃後即座に機体を翻し、高い重力負荷に耐え得ながら離脱機動を取る。
 Me262R-1の誇る高加速に翻弄されながらも、なお追いすがるように射撃を繰り返す無数のレーザー発射孔。それらを潰すべくMe262R-1の後方からウィリアムが迫る。
 彼は自らに迫るレーザーをキャバリアでは実現不可能な細やかな空中機動で回避しつつ、自らの愛剣であるスプラッシュに氷の魔力を収束させていく。彼の技能によって瞬く間に収束した魔力は、スプラッシュを中心軸とした氷の刃として顕現する。
 彼の身長を優に超える程に長大化した氷剣を振りかぶり、ウィリアムはレーザー発射孔が密集する機動殲龍の背部へと接近すると、迷いなく高密度の魔力と共にスプラッシュを振り下ろす。
 魔力によって生成された衝撃波を共にって振り下ろされた氷結の斬撃は、まず機動殲龍の装甲温度を急激に低下させ、その複合装甲の開破壊応力を極端に低下させる。特にレーザーの投射によって高温になっていた装甲部はその影響を顕著に受け、温度変化のみで破断する装甲部すら存在した。ついで襲い掛かる衝撃波によって、装甲の溶接部を中心とした温度変化に脆い部分が次々と破断し、機動殲龍背部に存在するレーザー発射孔の相当部分を使用不能に追い込むことに成功するのだった。
 ウィリアムの一撃によって弱まった迎撃火力は、フランツィスカに対しても決定的な機会をもたらした。
 相次いで飛来するレーザーの圧力が弱まったことを確認したフランツィスカは、再び機体を翻し、機動殲龍に対する再突入機動を取る。
 迎撃すべくその頭部を巡らせる機動殲龍であったが、Me262R-1はその緩慢な速度を容易に超越する。
「裁断、か」
 懸命に頭部をMe262R-1に指向させようとする機動殲龍を睨みながら、フランツィスカは機体に装備されたキャバリア用長剣を抜刀させ、機体を急降下させる。
「お返しに斬首戦術をお見せしよう。文字通りにな!」
 Me262R-1の推力をのせ、フランツィスカは機動殲龍の頸部装甲に斬撃を叩きつける。莫大な運動エネルギーと共に叩きつけられた斬撃は、機動殲龍の装甲を強引に引き裂き、その内部に存在するエネルギー伝導路の一部を破壊することに成功する。
 既に蓄積していたダメージと、フランツィスカが齎した損傷によって、機動殲龍の頭部大口径レーザーはその機能の過半を失うこととなったのである。

 上空で実施されている陽動と並行し、機動殲龍の懐深くに迫るはシル・ウィンディアと 三辻・蒜であった。
 彼女たちは機動殲龍の脚部及び機体下腹部に存在する戦場一掃機構を破壊すべく、陽動に乗じて接近することに成功しつつあった。
 しかし、機体上面に存在する無数のレーザー砲を除いたとしても、未だ機動殲龍には強力な障壁と機体下部に存在する防御火器が存在する。
 先立っての猟兵達の攻撃によって防御火器の相当数が破壊された現状であっても、その火力は決して侮ることができるものではない。
 差し当っての課題は、防御火器を掻い潜りつつ、いかにして戦場一掃機構そのものを防御する障壁を突破するかであった。
「な、なによ、このバカでかい機体は……」
「機動殲龍、想像してたよりずっと大きいね」
 空中ではなく地上から仰ぎ見る対象としては、小山ほどの大きさもある機動殲龍の巨大さは文字通り圧倒的な迫力をもって敵手を圧する物である。
「でも、送り届けてくれた人たちの為にもっ!」
「うん、これまでに色々支援も貰ってるし、役に立ちたいよね」
 かくの如き圧迫を受けてなお、猟兵たる彼女達は己の使命に対して忠実であった。機動殲龍が持つ防御力が如何に強大であったとしても、打ち破る術は彼女たちの手の中に存在するのだ。
「生半可な火力じゃ貫けないなら……限界を超えるよ、リーゼ!」
 とにかくも、戦場一掃機構を護る障壁を撃ち抜かねばならない。そう判断したシルは愛機である「ブルー・リーゼMk-Ⅱ」を先行させ、敵の防御火器の火線上に切り込みを行う。
 ブルー・リーゼにありったけの魔力を伝導させ、齎される機動力をもって自機に迫るレーザーを回避しつつ、機体が持つあらゆる火力を投射して防御火器の減殺を図る。
 美しい輝きと共にブルー・リーゼから放たれるホーミングレーザーやビームランチャーは、機動殲龍の各所に存在するレーザー発射孔に命中し、一時的にその機能を奪っていく。
 後続する三辻のために防御火力を引きつけ、その一部を撃破しながら、戦場一掃機構を護る障壁付近へと至ったシルは、そこに到達するまでの過程で少しづつ紡いできた詠唱を完結させる。
「わたし達の全部だ、もってけーっ!」
 彼女の意思と共に放たれた大魔術は、火・水・風・土・光・闇というあらゆる属性魔術の基本となる6属性を多層的に複合させた極めて強力な魔力砲撃であった。
 機体と、彼女自身の限界を超越して放たれた魔力の奔流は、幾重にもわたって展開されていた戦場一掃機構を護る障壁を次々と打ち破る。
 猟兵達の度重なる攻撃を受けてなお健在であった戦場一掃機構は、ここに至って初めてその無防備な姿をさらすこととなったのである。
「――逃がさない、許さない」
 即座に障壁の再構築を図らんとした戦場一掃機構の意図を、眩いまでに増幅された緑色の光芒が阻む。それは、遍く生命に対する羨望の光。エーゲル島を巡る一連の戦闘の中で、絶えず死線をくぐり、その先進力を極限まで研ぎ澄ました三辻が放った熱線であった。
 旧型の護身拳銃から放たれたものとは思いもよらぬほどの威力をもって照射された熱線は、障壁による防御を失ってなお堅固な戦場一掃機構周辺の装甲を一瞬で気化させる。金属が気化することによって生じた機体と、熱線によって急激に膨張した大気とが反応し、戦場一掃機構を内部から破砕することに成功したのである。
 照射から一瞬の間をおいて爆発した戦場一掃機構。その様は、機動殲龍に明確な打撃を与えたことを示すだけでなく、機動殲龍に絶対とも言うべき防御を与えていた障壁の一部が恒久的に失われたことを意味するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ガルヴォルン】
※愛機搭乗継続
※別称を好む
※アドリブ歓迎

「…持ち時間は短いよ?」

青いねえ、理緒さん
ま、後々ラウラ中尉に恨まれても面倒だし
敢えて止めないけど…錫華さん、お守り宜しくね

第一手加減できるウドの大木じゃなさそうだし
ああもう、メアリーズさんもアイする気満々
こりゃアタシも出し惜しみは出来ないね

オペ29番【アーバレスタ・ブレイカーフォーム】開始

切り離した『アーバレスタ』がパワーローダーに変形
その胴体へ愛機が再合体、一回り大きくなったら
『全長の3倍のグラビティブレイド』を手中に形成

飛翔しつつ強烈な重力波でビームを弾いたら斬撃
後は火器類と十字形に展開した大型投擲刃で連撃
メアリーズさんもイケるよっ


菫宮・理緒
【ガルヴォルン】

……嫌な予感しかしないね。

ごめんだけど、
『裁断』の中に連れていってもらっていいかな?

わたしも【lanius】で出て、
『裁断』に取りついてハッチから中へ潜入。
端末からルートをはじき出して、指揮所へ向かおう。

アーダルベルトさんを死なせるわけにはいかないから、
全力で説得するよ

「かくて日は沈み 一将功ならずして 万骨は枯る」
とか言いたそうだね。

指揮官としては『責任』をとるのなら
あなたの責任の取り方は『生きること』だからね。

あなたの部下はみんな生きてる。
だからあなたは、彼らのために生きないといけない。
守れるのは、あなただけだからね。

それに、娘さんに教えること、まだたくさんあるでしょう?


支倉・錫華
【ガルヴォルン】

敵の攻撃は引き受けるから、
『裁断』をなんとかしてほしいってことでいいのかな。

それなら取りついての接近戦になるから、
理緒さんを送り届けるのはかまわないよ。

「リリー先生ありがと。できる限りでやってくるよ」

そうなると今回は理緒さんの護衛かな。

キャバリアで『裁断』に取りつくまでは、横について理緒さんの護衛。
キャバリアを降りて内部に入ったら、先導して安全を確保しよう。

中では理緒さんが説得している間に、
【破壊活動】はさせてもらうけどね。

説得できないようなら、
【金鳳風舞】で眠ってもらって連れ出すしかないかな。

『裁断』内の全員が待避したら指揮所を爆破。
やっぱり要塞は内部からの攻略が基本だね。


桐嶋・水之江
◆桐嶋技研
あらあら、とんでもなくでっかいのが湧いて来ちゃったわね
ああいう特大サイズのキャバリアってなんて呼んだらいいのかしらね?キャバリアーマー?

戦術プランは飽和攻撃に紛れての吶喊、懐に入って近接戦闘ね
シンプルでよろしい
でも言うほど易しじゃないわよね
かなり距離があるし、砲撃支援があるとは言えより近いターゲットを優先して狙わないなんて保証も無いし
懐に入るまでの時間は短い方が良いわよね
という訳で私がリジュームちゃん達を虚ろな雷の弩で射出してあげるわ
これで一気に喉元へひとっ飛びよ
ワダツミの甲板にリニアカタパルトを形成してシュート
片手間に艦砲で援護してあげるわ
砲撃は多いに越した事は無いものね


リジューム・レコーズ
◆桐嶋技研
なんて巨大な…でもその大きさが命取りですよ
大丈夫、ディナなら倒せる
水之江博士がワダツミ甲板上に展開するリニアカタパルトより出撃
超高速で突入し大型目標の懐を目指します
攻撃するにしても回避するにしても、距離を開けたままでは目標に狙い撃ちにされるだけでしょう
可能な限り短時間で目標へ接近しないと
接近する途中でスレイプニルを全弾発射しパージ
マイクロミサイルをデコイとして使用します
懐に入り込んだら孔壊処刑で腹部装甲を掘削
空いた穴を起点にそのままブレイクドライバーで内部を抉り続けます
主砲にエネルギーを供給している回路や主要機関があるはず
それもきっと一つや二つじゃない
そこを巻き込んでしまえば!


ダビング・レコーズ
◆桐嶋技研
これが敵側の最終防衛戦略であり単機で戦局を変容させる最大の攻撃手段となっていると
任務内容を確認
アークレイズはこれより該当目標を破壊します

水之江博士のワダツミ甲板上よりソリッドステート形態で出撃
リニアカタパルトで現状可能な最大限の初速まで加速
スレイプニルよりメテオリーテを斉射しミサイルと砲撃に紛れる形で目標へ接近
地形破壊効果は低空を飛行していれば影響は無いでしょう

接近後は腹部と思われる箇所へ潜り込みCIWS等の迎撃機構があればベルリオーズで破壊
リジュームの掘削によって開口された装甲にルナライトを突き刺し月光奔流破を使用
内部に荷電粒子を流し込み主幹機能に致命的な損傷を与える


メアリーズ・エリゴス
【ガルヴォルン】

私としては興味はないですが、好きにしたらいいのでは?
ですが……きひっ!まずは取り付かせる為にあの壊(アイ)し甲斐のあるデカブツを一時的でも黙らせないといけないですねぇぇぇ!

くひっ!戦場に満ちた皆の殺意(アイ)がロートガルに!
T型サイコマテリアルが皆の愛を集めてながら私の愛を増幅し、サイコ・コントロール・システムがオーバーロードを起こして殺意(アイ)の念動力が紅いオーラとして可視化してロートガルから吹き上がる不可解な現象を起こしますよ
オーラがバリアとなって、更にビームアックスソードのビームが巨大化して、胸部メガビーム砲が砲口が溶解する程のあり得ない威力を発揮しちゃいますよぉぉぉ!


トリテレイア・ゼロナイン
最早、機動兵器でなく艦艇か要塞
ならばそれ相応の攻め方と参りましょう

機械馬騎乗し推力移動も合わせ接近
割れた大地の破片踏みつけ跳躍、レーザーをバリアで盾受け突撃
外壁破壊し内部へ突入

遠隔操縦で機械馬は外へ
ハッキング情報収集でCICの位置を割り出しつつ破壊工作
兵装や内部防御隔壁システム作動を妨害

コアマシン争奪の為の艦内白兵戦…この世界の練度は如何程か

警備隊蹴散らし中枢へ

(CIC直結隔壁を怪力大盾連続殴打で凹ませつつ)

守備隊指揮官であらせられますね?
私が隔壁を破る前に
外の猟兵達の手でこの兵器は沈黙することでしょう

退艦の際は丁重な保護をお約束します
これ以上の双方の流血防ぐ為…降伏の選択肢をご考慮願います




 皇国標準時18時05分、エーゲル島を巡る一連の戦闘は最終局面を迎えつつある。
 死力を尽くした猟兵達の猛攻によって、無敵に限りなく近い存在であった機動殲龍「裁断」が発揮する火力と防御力にも、陰りが生じつつあった。
 頸部エネルギー伝導路と頭部レーダーの損傷によって、数多の砲火を防ぎ続けていた大口径レーザーの機能はその有効射程を著しく減退させ、機体各所に存在していた無数のレーザー発射孔もその過半数が沈黙している。
 機動殲龍に発生した損傷のうち、最も致命的であったのは、障壁発生機構である戦場一掃機構のうち一基が破壊された点であろう。猟兵達の接近を困難なものにしていた多層的な障壁網の一角に、恒久的な死角をもたらしたこの損害は、より直接的な損害を与えることを目的とした攻撃の機会を猟兵達に与えることとなった。
 前述の如き損害を受けた結果として、既に機動殲龍は戦術レベル、即ち師団単位での戦場における影響力の過半を喪失していた。しかし、一個の兵器としてみれば、その戦闘力は未だ生半なオブリビオンマシンのそれをはるかに上回る。過半を失ってなお無数に存在するレーザー発射孔と、キャバリアの持つそれとしては未だ規格外の射程を持つ大口径レーザー砲。そして戦艦並みの厚みを誇る装甲は、未だ猟兵以外の戦力でどうこうできる存在ではなかったのである。

「……嫌な予感しかしないね」
 空母ネルトリンゲンの指揮を一時的に委譲し、から自らが設計したクロムキャバリア「lanius」を駆り出撃した菫宮・理緒は、通常のオブリビオンマシンであればとうに撃破されているだろう損害を負ってなお戦い続ける機動殲龍の有様に、言い知れぬ焦燥を憶えていた。
 戦場に飛び交う通信や、捕虜による証言によって連邦共和国軍の指揮官がカール・アーダルベルト中将である事は、既に皇国軍全体の知る所となっている。20年ほど前に発生し、アザリアという国が分割される原因となる戦乱において活躍した、皇国軍内部においても名の知られた指揮官である。
 そのような人物が、ここに至って抵抗を辞めぬ理由は何か。オブリビオンマシンによる影響か、それとも――
「みんな、ごめんだけど、『裁断』の中に連れていってもらっていいかな?」
 理由が奈辺にあるとしても、これ以上の交戦は無意味である。機動殲龍は可能であるとしても、それまでにどれ程の命が失われるか知れたものではない。
「敢えて止めないけど……錫華さん、お守り宜しくね。でも、待ち時間は短いよ?」
 リーゼロッテ・ローデンヴァルトは、理緒の青さに好意と呆れの入り混じった感情を抱きながらも道を切り開くことを請け負って見せる。知り合って短いとはいえ、知己を得た人物の父親を殺して恨まれるのも目覚めが悪い。
「リリー先生ありがと。私も、理緒さんを送り届けるのはかまわないよ」
「私としては興味はないですが、好きにしたらいいのでは?」
 僚友である猟兵、リーゼロッテ・ローデンヴァルト、支倉・錫華、メアリーズ・エリゴスから三者三様の肯定を受け取った理緒のもとに、地上にあって機会をうかがっていた猟兵、トリテレイア・ゼロナインからの通信が届く。
「菫宮様、失礼ながらお話は伺わせていただきました。敵内部に突入するのであればお供いたしましょう」
「……! ありがとうございます、トリテレイアさん。頼りにさせていただきますね」
 機動兵器と言うよりは要塞に近い機動殲龍を打ち倒すためには、外からではなく内側から崩す方が効率が良い。それに、あの規模のキャバリアを爆散させれば、中にいる無数の将兵が犠牲となるだろう。
 騎士としての高潔さと、ウォーマシンとしての冷徹さ、その双方の判断から内部制圧が望ましいと判断したトリテレイアもまた、理緒の一計に乗ることを決断したのだった。
「きひっ! そうと決まれば、まずは取り付かせる為にあの壊(アイ)し甲斐のあるデカブツを一時的でも黙らせないといけないですねぇぇぇ!」
 かくして、戦法は決した。後は道を切り開くのみである。機動殲龍の内部に突入させるためには、まずは未だ機能を残す防御火力を無力化せねばならない。その意味においては、リリーとメアリーズの組み合わせは最上のものであると言えた。
「ああもう、メアリーズさんもアイする気満々。こりゃアタシも出し惜しみは出来ないね」
 リリーは自らの操る無人機、アーバレスタを強化用パワーローダーとして変形させ機体に結合させる。次いで機体の三倍ほどもある大型グラビティブレイドを形成し、一回り大きくなった機体とパワーローダーによって強化された出力を生かして軽々と持ち上げて見せる。
 超重量級の格闘機と化したナインス・ラインをリーゼロッテの操る「ロートガル」に先行して躍進させ、この場にいる猟兵達の先陣を切る。
 新たな敵手を認めた機動殲龍の対応は迅速であった。高速で飛来するナインス・ラインをその射程に捉えると、躊躇なく大陸溶断機構より大口径ビームを撃ち放つ。
 通常のキャバリアであれば一瞬で蒸発するほどの出力を持つビームに対し、リリーはナインス・ラインが掲げるグラビティブレイドを振り下ろす。その名の通り極めて強力な重力場を放つグラビティブレイドと接触した大出力レーザーは、グラビティブレイド自身が持つ質量と周囲に発生する重力場によって両断され、無数のエネルギー流と化して周囲に四散していく。
 見事に大出力のレーザーを切り払って見せたナインス・ラインは、そのままの速度を維持しながら機動殲龍の頭部へと突入し、再びグラビティブレイドを振り下ろす。
 大質量の剣が叩きつけられ、既に損傷を負っていた機動殲龍の頭部レーダーと大口径レーザー砲門は遂にその機能を喪失することとなる。
 斬撃の余勢と共に機体各所に装備された火器と下腕に装備された大型投擲刃によって追撃を与えながら、後続のメアリーズに拍車をかける。
「くひっ! 戦場に満ちた皆の殺意(アイ)がロートガルに!」
 メアリーズの駆るロートガルがナインス・ラインの上を飛び越える様に躍進する。装備されたサイコマテリアルが戦場に存在するあらゆる感情を吸収、増幅することによって、あふれ出したエネルギーがロートガルを包み込むように形而下の世界にあふれ出す。
 それはまさしく、メアリーズが放つ殺意(アイ)の具現化であった。あふれ出す念導エネルギーによって出力が過剰なまでに増幅され、異常なほどに強大化したビームアックスソードが分厚い機動殲龍の装甲板を次々と融解、破断させていく。
「この殺意(アイ)は、遊びではないですよぉぉぉ!」
 天を裂くような嬌声と共に放たれた殺意(アイ)の結晶たる胸部メガビーム砲は、砲門そのものを融解させる程莫大なエネルギーをもって機動殲龍の頭部から背部にかけてを薙ぎ払い、既に機能を失っていた頭部そのものを蒸発させ、背部に残存していたレーザー発射孔を6割ほど消し飛ばすことに成功したのだった。
「防御火器は粗方薙ぎ払ったわね、後は侵入路をどうにかすれば――」
「その役目、こちらで引き受けてあげましょう」
 残った防御火器と障壁の迎撃を受け一時後退したナインス・ラインとロートガルに入れ替わるように、新たな戦力が機動殲龍へと突入する。
 頭部の大口径レーザーを失った巨竜の周囲へと相次いで着弾する艦砲射撃と共に猛烈な速度で戦場に侵入するは、桐嶋・水之江の操るワダツミのリニアカタパルトから射出された2機のキャバリア、即ちリジューム・レコーズの操る「アークレイズ・ディナ」とダビング・レコーズの操る「アークレイズ」であった。
「そちらが厄介な大口径レーザーを片付けてくれたおかげで手間が省けたわ。リジュームちゃん、ダビング、後はよろしくやっちゃいなさい」
 対空防御の主軸となる大口径レーザーを失った機動殲龍に対して2連装メガビーム砲と多連装ミサイルシステムから放たれる対地ミサイルの雨を降らせ、残存する数少ない対空火力を減衰させながら、桐嶋は2人の猟兵に後を託す。
「任務了解。アークレイズはこれより突入任務を援護、爾後該当目標を破壊します」
「同じく、アークレイズ・ディナ。行きますッ!」
 地上すれすれの高度をソリッドステート形態で這うように飛行し、機動殲龍の下方に潜り込んだアークレイズは、スレイプニルからマイクロミサイルの雨を投射し機体下部に存在した迎撃火器を制圧すると、すぐさま機体を通常形態に変形。既に先行した猟兵の攻撃によって脆くなっている個所を特定すると、ベルリオーズの電磁投射機構から放たれる超音速弾によって周辺のレーザー発射孔を無力化する。
 アークレイズが周辺の防御火器を排除すると同時に、入れ変わるようにディナを躍進させたリジュームは、装甲の脆弱部目掛けて機体を突進させ、その腕部に装備された凶悪な対物掘削衝角剣槍、RXブレイクドライバーを突き刺し激発させる。
 度重なる猟兵達の攻撃と、RXブレイクドライバーが発生させる致命的なまでの運動エネルギーは、遂に機動殲龍が誇る重厚な装甲を貫徹し、バイタルパートに達する破孔を生じさせる。
 即座に離脱したリジュームが穿った破孔に向け、ダビングはルナライトが発振させる青月の刃を突き立てる。ルナライトが発生させる超高圧の荷電粒子流は、穿たれた破孔を確固たる侵入孔して拡大させると同時に、機動殲龍内部を走る送電機構を破壊し、残存する戦場一掃機構の悉くを機能停止に追い込むことに成功する。
 桐嶋、リジューム、ダビングという三名の猟兵によって行われた電撃的な襲撃によって、機動殲龍はその最後の盾たる障壁を失ったのである。
「一次目標達成を確認。急ぎ突入を」
「皆様に感謝を。菫宮様、支倉様、私が先行いたします故、背後をお願い致します」
「了解! いこう、理緒さん!」
「はい!」
 かくして、要塞の如きキャバリア、その内部に至る道は拓かれた。
 トリテレイアは自らの愛馬たるロシナンテⅡを自在に操り、破孔付近に存在する機動殲龍が踏み砕いたであろう大地の破片を足場に跳躍させると、空中でロシナンテⅡから跳躍し、機動殲龍内部に突入を果たす。
 ダメージコントロールのため即応したらしい対応班からの銃撃を手にした大型シールで受け流すともう一方の手で長剣を抜き放ち、くるりと刀身を回転させるとその腹で敵兵を打ち据え昏倒させる。
 トリテレイアが続けて後続の対処に当たろうとしたところで、不意に糸が切れたように敵兵が倒れ伏す。後を追うようにキャバリアのコクピットから姿を現した錫華が、彼女の能力である「金鳳風舞」によって音もなく敵兵の意識を奪ったのだ。
「お見事です。敵兵の無力化はお願いしても?」
「ええ、その代わり、前衛はお任せするけど」
「承りましょう」
 手短に白兵戦の役割分担を済ませた錫華とトリテレイア。それに続く理緒は自らが手にする端末で機動殲龍の内部構造を分析し、指揮官がいるであろうCICに至る道を解析する。
「……見つけました。ここからそう遠くはないみたいです」
「ならば、参りましょう。先導はお任せあれ」
 トリテレイアは共有されたCICまでの経路に存在する隔壁や防御兵装をハッキングし、手早く無力化すると、後に続く2人を護るように盾を掲げ悠然と前進するのだった。

 敵兵侵入の方は、程なく艦内全体へと警報の形で通知され、指揮官たるアーダルベルトの知る所となった。
「内部からの破壊工作か、やはり敵にも心得のある者はいるらしい」
 既に機動殲龍はその戦闘力の大半を失い、機能停止に至るまで四半刻もかかるまい。自分に残された最後の責務を果たす時は、刻一刻と近づいている。
 守備隊の物らしい銃声は刻一刻と指揮所に近づき、程なくして途絶える。そしてその時は訪れた。
 指揮所を護る最後の隔壁を破り、侵入してきた敵兵は、彼の予想に反して若い二名の少女と騎士を思わせるウォーマシンであった。
 咄嗟に銃口を向ける幕僚を手で制し、彼は侵入者であり勝者でもある3名の猟兵に対峙する。
「守備隊指揮官であらせられますね?」
 先頭に立つ騎士、トリテレイアの問いに、アーダルベルトは頷く。
「如何にも、私が指揮官のカール・アーダルベルトです」
 部下を護るように一歩前に進み出るアーダルベルトに、理緒は声をかける。
「かくて日は沈み 一将功ならずして 万骨は枯る ……とでも言いたそうですね」
 先頭に立つ少女、理緒の言は、まさにアーダルベルトの心中そのものであった。
「如何にも。私は敗軍の将として、兵士たちへの責任を取らねばならない」
「指揮官としては『責任』をとるのなら、あなたの責任の取り方は『生きること』だからね」
 意外そうに眼を開くアーダルベルトに対し、理緒は言葉を続ける
「あなたの部下はみんな生きてる。 だからあなたは、彼らのために生きないといけない。守れるのは、あなただけだからね」
「死んだ部下ではなく、生き残った者への責任を取れと、君達は言うわけかね」
「これ以上の双方の流血防ぐ為……降伏の選択肢をご考慮願います」
「ええ。それに、娘さんに教えること、まだたくさんあるでしょう?」
 理緒の放った一言に、アーダルベルトは一つ嘆息すると、憑き物を落とすかのように首を振る。
「……なるほど、確かに、君達の言は正しいように聞こえる。 残存部隊の指揮官、全ての責任を負う者として、君たちの提案に応じよう」
 アーダルベルトの一言によって、その場に張り詰めていた空気が霧散する。
 連邦共和国軍残余と皇国軍全部隊に向けて、戦闘停止命令が発せられたのは、それから数分後の事であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月17日


挿絵イラスト