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Witch Lord War~閃火

#ダークセイヴァー #殺戮者の紋章 #闇の救済者 #魔女領主戦争

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#闇の救済者
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●終焉の兆し
 へぇ、と。興味の欠けた声が響く。
 配下からの報告を受けた女が、窓から見える光景に、ふ、と笑みをこぼして。
「今は、そんなことになってるんだね」
 この土地は、繁栄とも縁がないが、衰退までもしなかったと思っていたけれど、そんなに不満があったのかと女は笑う。
「仕方がない話かな。収めているのが、私のような魔女なのだから」
 沢山の恐れを見た。沢山の怒りを見た。
 ここ暫くは、上手くやれていたと思っていたのに。
「――そうだね、ここで、終わらせてあげよう」
 闇の救済者を名乗る彼らは、きっとこの地の『諸悪の根源』を打ち滅ぼして、次の悪へと立ち向かう。
 そうして、悲しいかな、殺されてしまうのだろうから。
 それは、あまりに哀れだから。
「痛くないよう、上手にできるかな」
 優しく笑った女の言葉を命令として受け止めて、有翼の娘達が飛び立っていった。

●それでも救いたかった
 闇の救済者達――通称ダークセイヴァー――が立ち上がる時が来た。
 猟兵の庇護や人類砦の増加もあって、勢力を増していた彼らは、ついに複数の組織が一丸となって大々的な反抗作戦を行うことを決めたのだ。
「勇ましい事だ。この行動は、彼らの希望となるだろう」
 エンティ・シェア(欠片・f00526)は、緩やかに語る。
 闇の救済者達の勢力は、ユーベルコード使いこそ殆どいないが、とにかく数が多い。
 さらにはダンピール等多種族との融和、優秀な黒騎士や咎人殺しも集結しており、戦闘集団としては優れたものになりつつあると言う。
「彼らの勢いに火をつけることができれば、地方の小領主くらいなら落とせるだろうね」
 そう、告げて。だがね、とかすかに視線を落とす。
 見据えた手元の真白な魔導書をめくり、そうして、一枚を千切った。
「彼らが相対しようとしている領地は、ほど近い位置に別の領地が存在してしまっている。このまま挑めば、増援による挟撃で返り討ちになりかねない」
 ならば猟兵達が先んじてどちらかを倒してしまえばよいのか?
 いいや、それは不可能だ。敵の数はあまりに膨大で、いかに猟兵が一騎当千と言えど、潰しきる事は出来ない。
「だからね、初めから隊を二つに分けて、二拠点同時に落とすことを提案するよ」
 びりり、と千切った紙を二枚に破り、一枚をひらり、いずこかへと向けて笑む。
 幸いにも、同じ予知を視た同僚がいる。
 あちらの領地はあちらに任せて、こちらの領地はこちらで対処することができるのだ。
「私が請け負うのは、『碧き魔女』を名乗る女領主の元だ」
 この地は決して圧制などの憂き目には遭っていない。それでも領民は、彼女を恐れている。
 時折、領地のどこかが何かに抉られたように消えてなくなるのだ。
 それが領主の抑えきれない魔力が暴走したものだと、領民達は知っている。
 いつ、その矛先が自分達に向けられるかと、恐れている。
「領主もそれを理解しているから、普段は表に出てこようとはしない。けれど、けれどね。彼女は、優しいから――」
 自身の領地を脅かす存在すらも、弱く守るべき存在だと理解して、『救おう』とする。
 同調する領民達も、皆、等しく――なかったことにしてしまうだろう。
 己の力では、もう、守るだけでは救えないのだから。
「……闇の救済者達は、二つに分けても戦力としては十分。彼らだけではその判断に不安があったようだが、そこに猟兵が先導として加わるならば、遂行に問題はないよ」
 きっと、勝利を収めることができるだろう。
 ――領主相手だけならば。
「我々は、知っているね。第五の貴族という存在を。これほどの規模の作戦を、彼らが看過するはずがない」
 必ず、勝利に沸いた心を潰しに現れる。
 闇の救済者達も、領主が守りたかった領民も、全て、全て殺しつくすために。
 猟兵達の一番の大仕事は、闇の救済者達が灯らせた反攻の篝火を、消させないこと。
「返り討ちにしておやり」
 人々の歓喜に、水など差させてやるまいよ。
 頼まれてくれるかい。そう締めくくって、エンティはグリモアを煌かせた。


里音
 ダークセイヴァーでの冒険です。
 集団、ボス、ボスの戦闘三段構え。
 今回はタテガミMSと合同ですよ!ひゅー!

 ==========
 このシナリオはタテガミMSとの合同シナリオです。
 同じ時間に進行しているため、両方のシナリオに参加することはできません。
 両MS同時進行のため、各章プレイング受付前に準備期間を設けます。
 その上で、受付期間は短め、成功人数に達しない場合はサポートさんのお力も借りての進行となります。
 各章の受付期間は各シナリオのタグでご確認ください。
 ==========

●第一章
 配下の大軍勢との戦闘です。
 闇の救済者達を奮起させるために猟兵が先陣を切る、補助する、指示する等、お好きに行動してください。
 彼らの死傷率などはシナリオの成否に関わりませんが、被害は少なければ少ないほど良いでしょう。

●第二章
 闇の救済者達が配下の軍勢と引き続き戦闘している間に、領主を討ち果たしましょう。
 彼らは領主には敵いませんが、猟兵が領主と戦う上で邪魔が入らないよう尽力してくれます。
 領主が故意に闇の救済者達を狙うことはありませんが、巻き込むことも厭いません。被害を抑えることを望むなら、注意が必要です。

●第三章
 第五の貴族直属の配下とのボス戦です。
 猟兵が負ければ、領地にいる人間は全滅します。心してかかりましょう。

 第一章の受付は【4/3~4/4一杯】です。ロスタイムは発生する予定ですが、受付期間以降の採用はお約束できません。
 第二章、第三章の冒頭に断章を挟みます。受付期間と併せてご確認ください。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ハルピュイア』

POW   :    アエロー
【爪】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    オーキュペテー
自身に【仲間の怨念】をまとい、高速移動と【羽ばたきによる衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ケライノー
レベル×5本の【毒】属性の【黒い羽】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天道・あや
よっしゃ!それじゃー、希望の導火線を潰させない為にも行きますか……!

救済者達よーし!猟兵よーし!あたしよし!いざ!突撃ーー!!

先陣は任された!レガリアスを稼働させて【ダッシュ】で敵陣に……突っ込む!うおー!

突っ込んだら敵を【挑発】、そして敵の注意をあたしに向けさせる!【存在感、おびき寄せ】

これで少しは救済者さん達の負担も減るはず……!

敵の爪攻撃を【見切り】避け、そして腕や脚を掴んで地面へと叩きつける!【グラップル】

ある程度そんな感じで戦ったら、戦場の中心に移動!UCを発動して一気に敵を倒す……!【楽器演奏、歌唱】

歌う曲は救済者さん達の未来と希望、そして夢への道を応援する歌!すなわち勝利BGM!


エグゼ・シナバーローズ
先陣を切るぜ
乱暴な手を使うつもりだからな
出遅れたら他のヤツ巻き込む可能性が出てきて使えなくなっちまう

UCエレメンタル・ファンタジア、炎の竜巻を敵のど真ん中に全力でぶっ放す!
相手は空を飛ぶ者、竜巻で飛びにくくなるだろーし炎で構成されているというオマケつき
進路に大穴開けてやるぜ!

全力でぶっ放すのは1回
最初は暴走しても敵を巻き込むだけで済むだろーが
乱戦になったらそうはいかねーからな
2回目以降は制御できる範囲の炎の竜巻で
進路の敵や苦戦中の闇の救済者達の相手を焼いて進んでいくぜ

敵からの飛来物に気付いたら咄嗟に大地の魔法で壁を作る
けど四方八方から飛んでくるな
炎で焼いて問題ないか確認して、以降は焼いて対処だ




 集まった者達は、その戦端が開かれる瞬間を、緊張した面持ちで待ち構えていた。
 此度の反抗は、最早戦争の域。どれだけ綿密に打ち合わせ、その覚悟を決めても、不安が全くないわけではなかった。
 けれど、それを確かに払いのける声が、響いたのだ。
「救済者達よーし! 猟兵よーし! あたしよし!」
 指さし確認の後、腕まくりをするような所作でぐるりと肩を一つ回して、天道・あや(目指すぜ!皆の夢未来への道照らす一番星!・f12190)は集団の最先端で笑顔を咲かせる。
(それじゃー、希望の導火線を潰させない為にも行きますか……!)
 気合は十分。覚悟も十分。緊張感は昂ぶりに置き換えられて、自身のパフォーマンスをより研ぎ澄まさせるのみ。
 ぐっ、と作った拳を突き上げて、あやは、叫ぶ。
「いざ! 突撃ーー!!」
 声に、空気をびりびりと震わせる雄たけびが重なった。
 その熱量に身を震わせたエグゼ・シナバーローズ(4色使いの転校生・f10628)だが、同時に口元が勝手に笑みを作るあたり、これは武者震いという奴なのだろうと理解する。
 進むべき瞬間。駆けだす集団の切っ先に立つようにして、エグゼは全力を込めた魔法を、叩きつけた。
「ちょっと乱暴な手になるからな、巻き込まれてくれるなよ!」
 生み出したのは、炎の竜巻。炎属性を込めた竜巻は、制御する気など端からないような、強烈な攻撃だ。
 最初の最初、敵だけが群がる集団のど真ん中へ向けて、大きく風穴を開けるためのある意味一撃必殺。
 ごぅ、と激しく燃え盛りながら敵陣を荒らしに荒らす竜巻の大暴走を間近で見ながら、あやは自身の足に備えたレガリアスシューズを稼働させ、真っすぐ敵陣へと突っ込んでいった。
 竜巻に右往左往しているハルピュイアに一つ飛び蹴りを食らわせて、夜の世界でだって華やかに映えるその姿を、堂々と晒す。
「さぁ、かかっておいで! それとも一発目から怖気づいた?」
 自身の力を信じて疑わない。そんな顔で、敵の意識を集めるあや。
 多勢相手の挑発が危険なことは重々承知の上で、埒外たる己が存在感を発揮しておびき寄せることで、少しでも闇の救済者達の負担を減らすために。
 目論見通り釣られてくれた数体が、一斉にあやへと襲い掛かる。
 鋭い爪を振りかざし、羽ばたきと共に突っ込んでくるハルピュイア。冷静に見極め、寸でのところで躱すと、突き出された腕をそのまま掴み取り地面へご案内。
 掴んでは叩きつけ、ついでに圧縮された大気の力を爆ぜさせて蹴り上げながら、徐々に敵陣の中心へと駆けていく。
 無論、それは一人きりの突貫ではない。彼女の気概に心打たれ、その背を守るのだと奮起し後を追う闇の救済者達の剣が、囲い込まれそうになるあやを幾度も守った。
「ありがとう! よっし、次行くぞー!」
 快活な声に、幾つもの声が応えて。ハルピュイアの群れを、蹴散らしていく。
「あっちは随分食い込んでるか……」
 一度目の全力魔法がようやく落ち着いて消失したのを見計らい、エグゼはその場の戦況を確かめた。
 あやが突っ切っていった場所は、彼女が敵を意図的に引き付けていることもあって、随分な混戦だ。
 一方で、闇の救済者達だけでの応戦も、決して後れを取ってはいない。
 ならば、その勢いを増すために。
「ちゃんと今度は制御できる規模だから――」
 安心してくれよな、と声をかけつつ放つ、炎の竜巻。
 言葉通りそれは先ほどよりも随分と規模の劣るものではあるが、エグゼの手で制御しきれる分、混戦の最中でも的確にハルピュイアだけを焼き払っていった。
 それ以上に、巻き起こる風が、有翼の身であるハルピュイアの行動を抑制してもいた。優位を取れる位置に飛び上がれない彼女達は、地上での戦闘を余儀なくされ、忌々し気に表情を歪めている。
 だが、それを振り払うように、高く、力強く飛びあがったハルピュイアの羽ばたきと共に、黒い羽が放たれた。
「おっと、そういうのは要らないんだよ!」
 闇の救済者達を守るように、地面からせりあがる土の壁。
 遮蔽物を得て羽をやり過ごした彼らがすかさず反撃の剣を振るえば、また一体、敵が切り伏せられた。
(しっかし四方八方からくるな……)
 正面から放たれればやり過ごせる。しかし、自分達は突き進む者。壁で覆うわけにもいかないのだ。
 ――ならば、焼き払えばいいのでは?
 試しに先ほど放たれたものを燃やしてみれば、毒属性とはいえ、気化するとかそういう不都合はなさそうで。に、と笑みを浮かべたエグゼは、新たに炎の盾を得て、勢いよく駆けていく。
 その耳に、旋律が、届く。
「あたしの歌を、此処に居る皆に……いや、世界に……いや!! 未来まで届けたい!」
 ――だから、いっくよーー!!
 七色の輝きを通して響くあやの声が歌い上げるのは、常世の世界で抗う闇の救済者達の未来を、希望を、そして夢への道を応援する歌。
 自らの明日を取り戻すために立ち上がった彼らの覚悟に同調したその歌声は、戦場を震わせた。
 これは、勝利BGMだ。そんな願いを込めた歌が響けは、あやの周りを包囲せんとしていたハルピュイア達は次々と穿たれ、倒れていく。
「さぁ、こんなもんじゃないよ!」
「まだまだ、突き進んでやるぜ!」
 駆ける足は、決して、止まらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
世界を解放する為の戦い、怖いけど頑張ります。

敵の大軍は上空から襲って来そうですね。
数が多い上に、上空を抑えられると厳しいので迎撃に力を入れます。

周囲の闇の救済者の皆さんをかばえるよう、上空に向けて結界術による防御結界を展開。
その上でUC発動。
1000本近い流水剣の複製に蒼炎の属性攻撃を付与して空に舞わせ、敵を次々と撃墜します。
落ちてきた敵は闇の救済者の皆さんで止めを刺すようお願いします。

敵がばらけている内はUCで各個撃破すれば良いのですが、密集隊形で突撃すると厄介なので、固まりそうになったら多重詠唱による風と炎の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃・吹き飛ばしで纏めて焼き斬って、散らします!


箒星・仄々
いよいよこの世界にも
文字通り夜明けが間近
そう感じます

その希望の輝きを
より確固としたものにしたいです

指笛を吹いて
影からランさんを召喚して騎乗

先陣として空から向かいます

竪琴で勇ましき曲を奏で
闇の救済者さん達を勇気づけながら
旋律で練り上げた魔力で矢

風の魔力が生んだ突風が
炎の魔力で焔風となり
黒い羽根を吹き飛ばし焼き払います

その光と熱、風を目眩ましとして
後続の魔力の矢が
ハルピュイアさんたちを射ち落します

万が一
救済者さんたちに毒にやられた方がおられたら
曲に毒耐性の魔力も織り込んで奏でます

終幕
引き続き曲を奏で鼓舞しながら
それをハルピュイアさん方への鎮魂の調べともします
静かな眠りを




 これが、鬨の声というものだろうか。震えるような心地に浸り、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、ぴん、と帽子を跳ね上げて、真っすぐに前を見据える。
「いよいよこの世界にも文字通り夜明けが間近。そう感じます」
「世界を解放する為の戦い、怖いけど頑張ります」
 頷き、わずかに震えていた手をきゅっと握りしめたリューイン・ランサード(竜の雛・f13950)もまた、その視線は前だけを見ている。
 闇の救済者達の命運は、この世界でオブリビオンに抗う者の希望の篝火となるのだ。
 今は燃え盛る炎の明かりしかないこの世界に、本当の夜明けを取り戻すための、大きな大きな一歩。
 その希望の輝きを、より確固としたものにするために、負けるわけには、いかない。
「僕は上を抑えます」
 敵の数は多い。その上、空を飛べる者の集団だ。敵に上空を抑えられるより早く、こちらが空を制すため、リューインは上空へ結界術による防御結界を展開する。
 盤石とは言えなくてもいい。それが上空からの一方的な襲撃を妨げれば、闇の救済者達の勢いを後押しするのだ。
 結界を見上げ、ふむ、と一つ呟いた仄々は、口元に指を添え、ぴゅぃ、と指笛を鳴らす。
 呼び出され、影からするりと姿を現したのは、全長五メートルもの目旗魚。くりっとしたアーモンドアイを見つめ、ひょいとその背に跨れば、小柄な猫の妖精である仄々の視界も、ぐん、と高くなる。
「さあ、行きますよランさん」
 あの盾を、盤石なものにするために。
 上がった視界を、更に上へ。人々の頭上を飛び越えて飛んだ魚に、闇の救済者達の視線も自然と引き付けられるが、お任せあれと言うように向けたウインクで、彼らの目標は違わず前へと戻っていく。
 見届け、手にした竪琴で奏でるのは、進む彼らを勇気づける勇ましい旋律。
 上空から響く音色に奮い立つ勇気は、リューインにもあった。
 それにいる仄々を落とそうとしてか、それとも当初の懸念通り空からの攻撃を仕掛けるためか。次々と飛び上がるハルピュイア達を見据え、流水の剣を召喚していく。
「流水の剣よ、此処に集いて万物を斬り刻む奔流と化し、あらゆる存在を押し流せ!」
 清水のごとき清冽な蒼い光を放つ刃の数は、夥しいほど。そしてその全てが、蒼炎の力を付与されていた。
 飛翔するそれらが描くのは、複雑な幾何学模様。それは荒れた海が生み出す水のうねりのように、予測の利かない軌道。
 殺到すれば、流水剣の名に違わず敵を飲み込む奔流と化し、炎を伴って、ハルピュイア達を撃墜していく。
 止めを刺す必要なんてない。地に落としてしまえば、そこには剣の数と違わぬくらいの戦士達が待ち構えているのだから。
 すい、すいと上空を泳ぎながら、その光景を見つめていた仄々は、リューインが放つ剣の波に紛れるように放たれる黒い羽を見つける。
「させませんよ!」
 そのために、仄々は空へと飛んだのだ。
 奏でる曲は、ただの激励にあらず。魔力を練り上げる旋律によって、幾つもの矢が仄々の周囲に生み出される。
「さあ、ちょっと派手にいきますよ~」
 炎と風の力を伴ったそれは、互いの属性に干渉しあうようにして炎を煽る風となり、黒い羽を焼き払う。
 巻き上がる炎が放つ光と熱は、対峙する者の視界を眩ませる役割も果たし。遮るように手をかざすハルピュイアを、後続の矢が打ち据え、落としていった。
「あちら、押されています!」
「わかりました、加勢します!」
 空からと地上から、二つの目線で戦場を見据え、互いに声を掛け合いながらの継戦。
 リューインは、押されている箇所に集まりつつあるハルピュイアを散らすべく、詠唱を重ねた。
 選ぶ属性は風と炎。全力を込めて叩きつけるその魔法は、仄々が羽を蹴散らしたのと同じように、燃え盛る火炎となってハルピュイア達を吹き飛ばし、焼き斬っていく。
 ふと、その耳が捉えた上空からの旋律が、どこか穏やかな気配を纏い始めたことに気付く。
 奏でる曲は変わらずとも、その音色には受けた毒を少しでも和らげられるような力が込められていて。
 勢いづく闇の救済者達は、次々とハルピュイアを打倒していく。
(――戦いが、終わったなら……)
 抗い進む者には、鼓舞を。
 そして、討たれ倒れる者には、慰撫を。
 望まず朽ちる全ての魂に、静かな眠りを送る曲を、奏でられたなら。
 そう在れるような優しい夜明けであることを願いながら、仄々は竪琴を爪弾くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…まさか領主の軍勢相手に優位を取れるまで、
闇の救済者の勢力が大きくなる日が来るなんてね…

…だけどまだ道半ば。この世界の希望を、こんな処で終わらせる訳にはいかないわ

UCを発動し全ての魔刃に浄化の魔力を溜め魔剣化し、
敵の毒属性攻撃を耐毒のオーラで防御するよう武器改造を施す

…その魔剣があれば空を飛べるし毒も防げる
敵に頭を抑えられる前に打って出る。百人ほど、私の後に続いて

過去の戦闘知識を基に敵の動きを暗視して見切り、
魔剣を救済者達に与え自身も魔剣を手に空中機動の集団戦術で敵陣に切り込み、
黒羽を受け流し魔剣をなぎ払う早業のカウンターで敵を切断する

…常に複数で敵に対処を。敵の頭上を取る事を意識して




 まさか、こんな日が来ようとは。リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の胸の内は、複雑だった。
 領主の軍勢相手に優位を取れるまで、闇の救済者の勢力が大きくなるなど、そう簡単なことではないと思っていた。
 攻め込まれるのを抑え込むのが関の山。あるいはそれさえ敵わずに見せしめのように殺されることだって、いくらでもあっただろう。
 長きにわたる、幾つもの犠牲の上でようやく掴んだこの瞬間。沸くほどの歓喜はなくとも、喜ばしいと思う感情は、確かにある。
 だからこそ、剣を取るのだ。
「……この世界の希望を、こんな処で終わらせる訳にはいかないわ」
 まだ、道半ば。このまま、力強く燃えていくはずの篝火を、決して、消させなどしない。
 痛いほどの緊張感を肌に感じながら、リーヴァルディはすらり、魔力の結晶で出来た刃を、形成する。
「……この刀身に力を与えよ」
 リーヴァルディの声に応えるように、魔刃が、煌く。
 その刹那、刃には魔法を増幅する能力が備わり、同時にふわり、浮き上がった。
 百を超える刃達に与えられたのは、浄化の魔力。
 敵が用いる毒に耐えうるオーラでの防御を行うように改造された武器を、リーヴァルディは闇の救済者達へ、貸与した。
「……その魔剣があれば空を飛べるし毒も防げる。敵に頭を抑えられる前に打って出る。百人ほど、私の後に続いて」
「はい!」
 自らその剣に手を伸ばし、リーヴァルディへと続く戦士達を引き連れて、彼女は戦場へ身を躍らせる。
 魔剣と化した結晶の刃を手に空へと駆けあがれば、有翼のハルピュイア達は負けじと自らの翼を羽ばたかせ。
 すかさず撃ち込まれる毒を孕んだ黒い羽は、闇に紛れながら、鋭い矢のごとくこちらへと迫った。
 けれど、常世の世界が有する暗がりなど、この世界でヴァンパイアを借り続けてきたリーヴァルディにとってはないも同然。
 くるりと身を翻して矢を受け流すと、鋭く薙ぎ払う一閃で、切り伏せた。
 落ちていく敵には目もくれず、眼差しは次へ、次へと移り、その視線が狙うものを、魔剣が確かに打ち据えていく。
 空中戦には慣れのない闇の救済者達は、リーヴァルディほど軽やかに立ち回ることができないが、毒を恐れる必要がなくなった分、積極的に攻勢に出られると、頭上から地上の仲間を助けて回っていた。
「……常に複数で敵に対処を。敵の頭上を取る事を意識して」
「了解です!」
 突出は厳禁。囲まれれば、翼のある彼女達に空中での機動力はきっと敵わない。
 闇の救済者達へ助言を重ねながら、リーヴァルディは敵の群れが蔓延るその先に立つ屋敷へ、ちらと視線を向ける。
「……すぐにでも、攻め落としてあげるわ」
 ――貴方は、それを望んでいるのでしょう。
 問いかける声は、今はまだ、届かない。
 今は、ただ。その視線を妨げるように飛びかかってきたハルピュイアの攻撃をいなし、地へと落とし続けるのみだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

柊・はとり
もう一方の領主が気にはなるが…
俺は『断頭台の魔女』を直視できなかった
彼女の事はよく知ってるが
あんな事をする人じゃなかった

他人の空似だ…
あぁクソ
何でこんな事になっちまったんだ

とはいえ知らん顔も性に合わない
あっちは知り合いに任せたし
割り切って『碧き魔女』の討伐に加わる

被害を抑えるには敵を減らすのが確実だ
目が醒めるような力で先陣を切り拓く
UC【第三の殺人】十三階段峠…
篝火が見たけりゃ実際に見せてやる

羽根攻撃を炎+氷の属性攻撃で凌ぎながら
偽神兵器のなぎ払いで広範囲の敵を纏めて切断
倒しきれない敵は凍らせ救済者達に処理を頼む
油断せず当たってくれ

光になろうと必死な俺も
魔女は救うべき存在と見んのかよ
…下らねえ




 あまりに近くに存在する二つの領地、その、片割れ。
 自身が目指すのは『碧き魔女』の元だけれど、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)の意識は、こちらよりも、もう一方に向いていた。
 気になる。そう、気になって仕方がない。
 だってはとりは、もう一方の領主を、よく知っていたのだ。
 でも――。
(あんな事をする人じゃなかった)
 直視なんてできなかった。処刑台の袂で、胴と頭の分かたれた死体を見て笑うような彼女を。
 それが、自分の知る彼女だと、思いたくなかった。
(他人の空似だ……あぁクソ、何でこんな事になっちまったんだ)
 言い聞かせようとも、複雑な胸中をぬぐいきるには至らず。どうしても、どうしても心が乱れてしまう。
 知らん顔など、していられるような性分ではないのだ。
 深呼吸を繰り返して、はとりは顔を上げる。割り切るしかない。今は、ただ、託した知り合いが、骸の海へと還る姿を見届けてくれることを、願うだけ。
 そうして、いつかの対峙に、心を備えるだけ。
 幾度目かに大きく吸った息を、ゆっくりと吐きだして。
 敵の群れを、見据える。
 集団と集団のぶつかり合いとなれば、少数で挑むよりも不測の事態が生じやすいもの。
 囲まれる。流れ弾を食らう。死角が増える。それによる被害を抑えるには、簡単なこと。敵の数を減らせばよい。
 そのためにも、はとりは自らが先陣を切り拓く。
「――篝火が見たけりゃ実際に見せてやる」
 た、と駆けたはとりの軌跡に、蒼い炎が揺らめいた。
 それは燃え盛るというにはあまりに冷たい、殺気を伴った炎。掠めるようにすれ違ったハルピュイアが、たちまちの内に凍り付く程に、その炎は冷たく棚引いて。
 理不尽なまでの暴力で、その場を制圧せんと、迸る。
 目が醒めるような力に、闇の救済者達は続いた。
 彼らの攻勢に押されながらも、毒を持つ黒い羽で牽制してくるハルピュイア達へ、命を蝕む魔剣を掲げたはとりは迫る。
 飛び交う羽を炎と氷の属性を持つ攻撃で凌ぎ、それらを放つ元凶を、断つのだ。
 凍てつくような氷の大剣で、言葉通り切断すると同時に、倒しきれない敵を凍らせながら、はとりは負傷者の代わりに前へと出てきた闇の救済者達へ声をかける。
「凍っているだけだから、油断せず当たってくれ」
「はいっ!」
 処理を任せ、見据えた前へ向かって、また、駆ける。
 その先に待つ『碧き魔女』は、この大規模な戦闘に至った闇の救済者達も、その勝利を望む領民も、皆等しく、守るべきで救うべきだと考えているという。
 その集団の切っ先に立ち、常世の世界では眩しすぎるくらいの光になろうと必死なはとりもまた、彼女にとっての救うべき存在だというのだろうか。
「……下らねぇ」
 死んでも死なず、死に続けているこの身を、どのようにして救うというのだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
常に奪われるだけの立場だった彼らが
ついに取り戻す立場へと回った
それもただの蛮勇ではなく、確かな戦う力を付けて
素直に嬉しいことだよね

あの殺意増し増しで向かってくる大群を
ひたすらお片付けすれば良いんだよね?
慈悲などいらない、ただ殺し合うだけのお仕事
俺にぴったりだ
それじゃあ行ってきまーす
梓の返事も聞かずにUC発動し
飛翔能力で一気に敵の群れに飛び込み先陣を切る

高速で縦横無尽に飛び回りながら
両手のDuoで目につく敵を次々となぎ払い(範囲攻撃
敵からの攻撃は紅い蝶に肩代わりさせて
攻撃の手を休めずひたすら斬り込んでいく
それに、傷を負えば負うほど俺の力は増していく
攻撃は最大の防御ってね


乱獅子・梓
【不死蝶】
この世界を見兼ねて家を飛び出した幼い俺
あの頃に思い描いていたものが
ただの夢物語ではなくなったんだなとひしひしと感じる
おっと、感慨に浸るにはまだ早いな

あっ、おい!待っ……
勝手に飛び出して行った綾に頭を抱えつつ
…まぁあいつなら何とかなるだろう
これも一種の信頼
俺は俺の仕事をしよう

UC発動し、水属性と雷属性のドラゴンを半数ずつ召喚
まずは水のドラゴンが広範囲のブレス攻撃を浴びせ
続いて雷のドラゴンのブレス攻撃で感電死させる
かろうじて生き残っても雷によるマヒ攻撃でろくに動けないはず
奴らのトドメは闇の救済者たちに任せよう
「自分たちの手で仕留めた」という実感が
全体の士気を高めていくことだろう




 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は、幼い頃からこの世界の惨状を知っていた。
 空は暗いもので、人々は希望もなく俯いてばかり。
 それが当たり前のことではなく、理不尽なことであるのだと気が付いてしまった時には、家を飛び出していた。
「あの頃に思い描いていたものが、ただの夢物語ではなくなったんだな……」
 感慨に満ちた声に、うん、と答えるのは灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)。
 ここに集った人々は、皆前を見ている。勝利を掴み取ることを、誓っている。
 常に奪われるだけだった立場の彼らが、ついに取り戻す立場へと回ったのだ。
 それも、ただの蛮勇ではない。確かな、幾つもの理不尽を耐え、不条理を乗り越えて、戦う力を得て。
「素直に嬉しいことだよね」
 それでも、思いに耽るにはまだ早い。それは勝利を掴んだ後に、突き上げた拳を取り合う手のひらに変えてからすればいい。
 それよりも、今は。殺意増し増しで迫ってくる大群をどうにかするのが先だ。
 どうにか、と言ったって、綾のすることは決まっている。ひたすらお片付けをするだけだ。
 慈悲などいらない、ただ殺し合うだけの簡単なお仕事。実に、己にぴったりだと綾は口角を上げて。
「それじゃあ行ってきまーす」
 ひらり、戦場へと身を投じた綾は、紅い蝶の群れを纏っていた。
 翼のように群れる蝶が、ゆるり、羽ばたくようにうごめいて。背に負う綾の一歩が地を蹴った瞬間、ユーベルコードの発動で得た飛行能力が、綾の身を戦場のど真ん中へ一気に運ぶ。
「あっ、おい! 待っ……」
 当然、梓の制止なんて聞こえちゃいない。
 一方的に出立を告げて飛び出していった綾に、大きくため息を吐いた梓は、一度だけ頭を掻く。
「……まぁあいつなら何とかなるだろう」
 心配が全くないかと言えば、そんなこともないけれど。なんだかんだ言ってちゃんとこなして戻ってくるのが綾だ。
 やきもきしているこちらの気持ちなど知らぬ顔で、ただいまと呑気に笑ってくれることだろう。
 そう思える程度には、信頼しているのだ。
 だから、梓は梓のやるべきことを。
「集え、そして思うが侭に舞え!」
 呼び出すドラゴンは、半分が水属性、残り半分が雷属性を持っている。
 まずは数の力で広範囲に及ぶ水のブレスで敵を押し流し、足止めを。爪を向けてくる隙など与えない。
 立ち上がろうとすれば、すかさず雷のブレスを吐きつけ、水を浴びたハルピュイア達を感電させていく。
 先に駆けた綾の事は一応気にかけているけれど、彼の事だ、避けられないわけもないし、そもそも避けずとも問題ないよう、手を打っている。
 周囲に纏った、紅い蝶。彼らは綾が受けた攻撃をすべて肩代わりし、その分、綾の『負傷』に比例した戦闘力を与える存在だ。
 敵からの攻撃も、なんならドラゴン達のブレスも、全て、綾を強化する。
「ほら、休んでる場合じゃないでしょう?」
 痺れて動けぬものを飛び越し、いまだ元気に爪を掲げて襲い掛かってくるハルピュイアを、左右の手に持った大鎌で薙ぎ払う。
 動けない者は、放っておいていい。後に続く闇の救済者達が、きちんと止めを刺してくれるから。
 そうする事で、自らの手で仕留めたという実感が湧き、士気の向上にも繋がるだろう……とは、梓の弁だが。
 だから、綾は元気な敵を屠るだけ。そちらの方が効率的だし、なにより、楽しいし。
 思いがけず鋭く振りぬかれた爪が胸元を抉ろうと、ひらりと舞う蝶が請け負ってくれるから、休む必要なんてない。
「攻撃は最大の防御ってね」
「……って顔してるなぁ……」
 ドラゴン達が戦線を押し上げていくのを追い、目視できた綾の様子を窺った梓は、楽しそうで何よりと肩を竦める。
 必死の顔で剣を振るう闇の救済者達にとっても、己の傷を顧みず突き進む綾の姿は、頼もしく映るだろう。
 命賭しても。その志は素晴らしいものだが、出来るなら、命は大事にしてもらいたい。
 ともに喜び合う顔は、多い方がいいに決まっているのだから。
「さぁ、攻め続けるぞ!」
 猟兵達が、それぞれの力で闇の救済者達を伴い、突き進んでいく。
 そうして、ついには拓くのだ。
 この地を収める魔女領主――碧き魔女へと続く道を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『先代『碧き魔女』メアリ・クロード』

POW   :    パーフェクトグラビティ
単純で重い【重力魔法】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    トライスペル・ファンタジア
【詠唱短縮のため、連続した3つの魔法】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    世界終焉の日
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カスミ・アナスタシアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●閃火
 前へ、前へ。ハルピュイア達を討ち果たし、突き進んだ集団は、ついに領主の館へとたどり着いた。
 館を守る者達も、彼らの怒涛の勢いを止めるには至らない。
 なだれ込むようにして、彼らは領主――『先代『碧き魔女』メアリ・クロード』の前へと立つ。
「――ようこそ。歓迎するよ」
 剣を交える音が響き、配下たるハルピュイアの断末魔や闇の救済者達の悲鳴や怒号が聞こえる中、メアリは穏やかに微笑んだ。
 理性的で、優しい雰囲気の女性。
 だけれど、手にした杖をくるりと回せば、その先端に収束される魔力は、尋常ではない力を有していることを理解せざるを得ない。
「どうやら私は、領主という存在には向いていなかったようだ」
 次々と色を変え、属性を変える魔力は、常ならばメアリが扱いやすいように制御して使われるのだろう。
 ――それでも、制御しきれない魔法が、この領地を脅かしてきたのだけれど。
 しかし今、彼女は、それをする必要がないと認識している。
 何もかも終わらせるために、何もかもを、壊すつもりでいる。
 このまま戦えば、猟兵と領主との対峙に横やりが入らぬよう、ハルピュイア達を止めてくれている闇の救済者達を巻き込むのは必至だろう。
 それでも、彼らは退くとは言わない。猟兵達に託すことしかできない分、己が打てる手を、打ち続けるのだ。
 そんな彼らを見て、見守るような瞳で、メアリは笑う。
「君達の閃火は、一瞬で潰えるのか。それとも、常世を照らす煌きへと昇華されるのか」
 悲嘆も悲哀もなく、どこまでも優しく微笑う。
「見届けてあげよう。碧き魔女の名の元に!」
エグゼ・シナバーローズ
ちょっと言わせてくれ
領主に向いてなかったって卑下すんな
アンタはアンタなりにやってきたんだろ?
この反逆は、時代だ
アンタのせいじゃない

――ここに来る前グリモア猟兵に聞いた
彼女は優しいと
優しさの結果、破壊という結論を出しているとはいえ俺はその優しさを否定したくねーんだ
あと余計な感情だが、彼女の持つ力の強さに憧憬を抱いた
これだけの力がありながら暴走の数が数える程度なら充分やってきたと思う

俺の一番得意な風属性魔法で勝負、精霊のみちしるべに込めて撃つ
UCスプライト・ジョイントはこれが命中して初めて発動する
頼むぜ風精霊

狙うのは俺にしろ
アンタならできるだろ!
見境ない攻撃ではなく、煩い俺を狙うくらい簡単なはずだ


天道・あや
貴女がどんな思いでこの辺りを管理、皆を見てたか

あたしは知らないから何とも言えないけど


でも一つだけあたしから言えることが…ある!

羽ばたく権利は誰にでもある!そして羽ばたく翼を折る権利はナッシング!


だからあたしはこの人達の翼を折ろうとする貴女の邪魔をさせて貰うぜ


希望よし、未来よし。夢よし!

いざ勝負!



グリモアさんの話から察するに広範囲で威力の高い魔法を使う


なら救済者さん達との距離を離す!【挑発】して【ダッシュ】で魔女を【おびき寄せ】



魔女が魔法を発動したら




避けずに受け止め耐える!




これが貴女の思いってわけね!



でも!あたしの


皆の思いの方が重い!


これがあたし達の思いだ!【ジャンプ、情熱、鎧砕き、属性攻撃雷】


リューイン・ランサード
貴女は悪人ではないようですね。
しかし、吸血鬼陣営の一員として人々を支配する側に変わりありません。
お互い譲れぬものの為、いきます!(小声で)怖いけど。

相手のUCや魔法攻撃は第六感で予測し、自身の翼で館内を飛んでの空中戦・見切りで回避し、仙術で生み出した分身で幻惑して対応。
攻撃の余波はオーラ防御で耐える。

多重詠唱による光と炎の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃で派手に反撃。
相手のUCや魔法には太刀打ちできないけれど、それは囮。

スナイパー・視力でメアリさんの位置を捉え、更なる攻撃に移ろうとするメアリさんをUC:次元刀による不可視の刃で首を刎ねます。

お望み通り貴女を越えて進みます。
どうか安らかに。


箒星・仄々
慈愛に満ちた
心優しいお方ですね

けれど
命の営みを信頼することができない
命が紡ぐ未来を信じることができないのですね

人はずっと守られるべき弱者でしょうか
信じて手を離さないと
いつまでも独り立ちできないのですよ

人の可能性を信じられないとはお可哀そうに

竪琴を爪弾き魔力を練り上げて
館や周囲の地形を魔力へ変換し
その魔力で魔女さんの魔法を打ち消したり
暴走を抑え込みます
闇の救済者さん達を守ります

そのまま自然現象≒無機物を魔力へ変換
相乗的に魔力を高めて
三属性の魔力の奔流で魔女さんを倒します

終幕
魔女さんへ鎮魂の調べ
領主のお務めお疲れ様でした
領民さんたちはきっと大丈夫です
海で静かな眠りを

刺客さんの登場に備えて警戒します


柊・はとり
何もかも壊すだと…ふざけるな
その諦観した態度も気に入らない
俺も力の加減が苦手分野でな
だがあんたとは違う
どれだけ傷つこうがこの力は守る為に奮う

【第四の殺人】を使用
救済者達の命を守る為に攻撃は極力避けず
属性攻撃で氷の壁を作り軽減しながら受ける
UC効果によるカウンターを狙うが
この後貴族戦が控えている事は考慮

学習力で敵の手の内を記憶
事前動作や詠唱から次に来る攻撃を見切り
瞬間思考力で常に最善手を考える
必要以上の消耗を避けつつ加速を狙う

俺の攻撃速度が敵を上回ったら反撃開始
超高速のなぎ払いを叩きこみ
一瞬で致命傷を与える

独り善がりなんだよ
本当に壊れたいのは
救ってほしいのは
…あんたじゃないのか

望むなら助けてやる


リーヴァルディ・カーライル
…避ければ彼らに被害が出る、か。なら、この手で往くわ

事前に"写し身の呪詛"の残像を自身に被せて、
前章で倒した敵の怨念を大鎌に降霊して眼前で高速回転を行い、
敵UCを回転により生じた呪詛のオーラで防御して受け流しUCを発動

…ならば、その両の眼を見開いてとくと見るがいい

お前を討ち果たし、この世界の闇を切り裂く吸血鬼狩りの業を…

"写し身の呪詛"の残像からコピーした敵UCを乱れ撃ちするカウンターを行い、
その隙に自身は闘争心を絶ち存在感を消して死角から切り込み、
限界を突破して魔力を溜めた大鎌を怪力任せになぎ払い、
同時に闇属性攻撃の斬撃波を放ち敵を切断する

…もっとも、私の姿を見ることができたら…の話だけどね


乱獅子・梓
【不死蝶】
この世界の領主なんざ高圧的で傲慢な奴らばかりだが
この魔女はそういうイメージとはだいぶ違うように感じる
それこそ話せば通じるような…そんな雰囲気すらある
だが、こいつのやろうとしていることは
全てを終わらせること…つまり皆殺しだ
どうあっても相容れない存在なのだろう

UCで様々な属性のドラゴンたちを召喚
戦場での動きやすさを重視して小型の形状
ミニドラゴンたちがちょこまかと飛び回りながら
敵にタックルを喰らわせて魔法の軌道をズラしたり
敵の魔法に対してブレス攻撃をぶつけて相殺したり
メインアタッカーの綾をサポートしていくぞ
いくら連続で魔法を使えても
100匹を超えるドラゴンの妨害には対処しきれないだろう?


灰神楽・綾
【不死蝶】
そう、ためらう必要なんて無いよ梓
彼女のやろうとしていることは結局は
他のヴァンパイアたちと同じさ
「殺す」ことが「救う」ことだなんて
そんなことを言うオブリビオンは過去にもいっぱい居た
何が救いかなんて赤の他人に決められる筋合いは無いのにね

自分の手を斬りつけUC発動
敵の魔法攻撃をジャンプやスライディングで躱し
時には梓のドラゴンたちのサポートを受けながら
真っ直ぐに敵へと向かっていく

魔法はお手の物のようだけど接近戦はどうかな?
射程圏内に入れば詠唱なんてする暇は与えない
Emperorによる超高速の、それでいて重い一撃をぶつける

続きは骸の海から見届けてくれるといい
君が「救おう」とした人々の歩みを




 魔女領主――かつて『碧き魔女』と呼ばれた女性、メアリ・クロードの朗々とした言葉に、相対した猟兵達はそれぞれの印象を抱いたことだろう。
 同情、憐れみ、憤り……あるいは、無関心。
「ちょっと言わせてくれ」
 幾つもの感情がないまぜになったような空気感。その緊張の中にエグゼ・シナバーローズは声を投じる。
 向けられた視線は、正面から合わせてみても、異質さも異様さも感じない。
「領主に向いてなかったって卑下すんな、アンタはアンタなりにやってきたんだろ?」
 領民達は、怯えていたかもしれない。それでも、守るつもりでその座に就いた事は間違いがないのだろう。
 いま、こうして目の前に反逆者たる存在が集結しているけれど、それだって、言ってしまえば時代の表れだ。
 『オブリビオンの領主』に対して、人々が抗う意思を表した。
「アンタのせいじゃない」
「私のせいさ」
 領主等言う座に収まらず、お隣の処刑台の魔女を退ける……例えば同族殺しなどと言われているような存在にでもなっていた方が、よほど向いていたかもしれない。
 自嘲じみた言葉でも、声音にそれは感じられなくて。
 箒星・仄々は、じっ、と見上げていた瞳をゆるり伏せて、しみじみ、呟く。
「慈愛に満ちた、心優しいお方ですね。けれど……命の営みを信頼することができない。命が紡ぐ未来を信じることができないのですね」
 揺れる杖の先に乗せられた魔力は、まだ放たれる様子がない。言葉を聞く耳を持つ様子のメアリに、仄々は伏せた視線を再び向けた。
「人はずっと守られるべき弱者でしょうか。信じて手を離さないと、いつまでも独り立ちできないのですよ」
 人の可能性を信じられないとはお可哀そうに。
 それは、憐れむというよりは、悼むという方がしっくりくるような言葉だった。
 そんな仄々の言葉に、あぁ、なるほど、と。リューイン・ランサードはどこか納得したような頷きをこぼす。
「貴女は悪人ではないようですね。しかし、彼女の言うように、人を弱者と見ていたから……支配する側になってしまったのですね」
 そうなってしまっては、最早、人と対峙するしかないことを、理解していただろうに。
 どうしても、どうしても、彼らの強さを信じることができなかったのだろう。
「お互い譲れぬものの為、いきます!」
「そう、それでいい。おいで」
 ……本音としては、怖いという気持ちが無くはないリューインだけれど。
 互いの主張が交わることなどないのは、初めから分かっていた。
 ならば、躊躇などしていられない。ここでメアリを打倒しなければ、共に駆けてきた闇の救済者達すらも危険にさらしてしまうのだから。
 うん、うん。思い思いの声を、それに応えるメアリの言葉を。一つ一つ頷き聞いて、天道・あやは一歩を踏み出した。
「貴女がどんな思いでこの辺りを管理、皆を見てたか、あたしは知らないから何とも言えないけど……でも一つだけあたしから言えることが……ある!」
 ぱっ、と。広げられた掌が示すのは、今なおハルピュイア達と戦い続ける闇の救済者達。
 必死に駆け抜けてきた彼らの願いが、望みが、今ここに、結実しようとしている。
「羽ばたく権利は誰にでもある! そして羽ばたく翼を折る権利はナッシング! だからあたしはこの人達の翼を折ろうとする貴女の邪魔をさせて貰うぜ」
 希望よし、未来よし。夢よし!
 ――いざ勝負!
 挑む声に、ふ、と。メアリはかすかに笑って。杖の先から、魔法を放った。
 放たれたのは雷だ。落雷のように猟兵達を狙い落ちたかと思えば、拡散するように周囲へと走り出すそれは、詠唱を短縮され高速化した魔法。
 ほとんど無差別にばら撒かれたような雷を躱せば、闇の救済者達に被害が出る。直感的にそれを感じたリーヴァルディ・カーライルは、わずかに瞳を細めて、自身の眼前にで、大鎌を高速で回転させる。
 ここへたどり着くまでに討ち倒してきたハルピュイア達の思念を帯びた大鎌は、呪詛を帯び、どこか禍々しさを過らせるオーラでリーヴァルディを護った。
 バチィ! 雷が音を立てて弾かれると同時、リーヴァルディの姿が、二重にブレて見える。
「……魔力同調。返礼よ、受け取りなさい」
 自身に重ねた己の写し身が、受け止めた魔法を写し取る。
 写し身の呪詛が放つのは、全く同じ雷の魔法。
 乱れ討つ雷を躱しながら、へぇ、と口角を上げたメアリへ、柊・はとりが詰める。
 その身には、焼け焦げた跡が見られたけれど、雷を直接身に受けたような損傷ではない。
 軽減された。見て取って、メアリは即座に身を翻し、吹きすさぶ風に礫を乗せた暴風をはとりへと向ける。
 その発動までの速度をしっかりと確かめるように意識しながら、はとりは己の身を氷の壁で守り、透き通った塊の隙間から、メアリを睨み据えた。
「何もかも壊すだと……ふざけるな」
「ふざけてなどいないさ。私なりの最良だ」
「何が最良だ。その諦観した態度も気に入らない」
 メアリは領主の立場についても何もせず、ただ引きこもっていただけ。
 恐れられる者であると諦めて、傷つけたくはないと嘯いて、その挙句に、身勝手に手放そうとしているのだ。
 それも、大勢を巻き込むような形で。
「俺も力の加減が苦手分野でな。だがあんたとは違う。どれだけ傷つこうがこの力は守る為に奮う」
「あぁ、それでいい。それが、君の選択ならば」
 チッ、と。はとりから思わず舌打ちが零れたのは、メアリがいっそ清々しい顔をしているせいだろう。
 憤りを誰よりも露わにしているはとりとは対照的に、灰神楽・綾は柔らかな表情でメアリを見据える。
 手にした斧は、綾の赤い血が塗りこめられて、それ故に己の一部であるかのように、軽い。
「魔法はお手の物のようだけど接近戦はどうかな?」
「得意ではないね。少し離れさせてもらおうか」
 言いながら、回した杖の先を足元へ向けて、先ほどと同じ暴風を放つ。
 ぶわ、と巻き上げられた風に乗って、飛び上がるメアリを見上げ、乱獅子・梓は少しだけ苦い顔をする。
 ――ためらう必要なんてないよ梓。
 綾は、梓にそう声をかけてきた。
 ダークセイヴァーのオブリビオンには……こと、領主などと呼ばれる立場の存在には、高圧的で傲慢な存在が多いと思っていたが、この魔女領主はどうだ。
 話せば通じてしまうのではないか。何なら共闘だって望めてしまうのではないか。対峙した瞬間は、そんな雰囲気すらあった。
 だが、実際に言葉を交わす場面を目の当たりにして、痛感した。
 メアリ・クロードは、やはり、オブリビオンなのだと。
 彼女のやろうとしていることは他のヴァンパイアと同じだと、綾はそうも言っていた。
 そうなのだろう。何故なら彼女は『救う』と謳って、皆殺しを敢行しようとしているのだから。
 ――何が救いかなんて赤の他人に決められる筋合いは無いのにね。
 微笑んだ綾のその言葉が、梓に最後の決断をさせたのだ。
「どうあっても相容れない存在か……分かってたさ、分かってたとも!」
 苦々しさを、一声で全部吐き出して。梓は召喚した様々な属性を持つ小さなドラゴン達を見渡す。
 猟兵を狙いながらも、闇の救済者をも巻き込む威力で放たれる魔法へ、ブレス攻撃で相殺を試みる小さな姿。綾が前線へ駆けるためのサポートに励む姿。
 一つ一つを素早く確かめて、梓は指示を重ねていく。
「よし、隙を見て突撃してやれ。深追いは駄目だ。魔法の軌道をずらすだけでいいぞ」
 いかに高速で連続した魔法を放とうとも、百匹を超えるドラゴンに対処は出来まい。
 見守る眼差しに信を込める梓に、ドラゴン同様、竪琴を爪弾き魔力を練りながら魔法での相殺を試みていた仄々は微笑みかける。
「可愛いドラゴンさん達ですね」
 どこか微笑まし気な台詞に、梓はふと笑みを湛えて。
「自慢の仲間達だ」
 そう、胸を張った。


 領主の館と言うのは広い空間があるものだ。
 そう思いながら天井の間際を飛び回っていたリューインは、轟音と共に巻き上がった夥しいまでの水流を持つ竜巻に天井がぶち抜かれるのを見て、うわぁ、と小さな声を上げる。
「飛びやすくはなりましたけど……!」
 仙術で生み出した分身の幾つかは、濁流に飲み込まれて消失した。
 雨のように降る水滴に濡れた羽を震わせながら飛び回るリューインの足元で、同じように羽をばさばさと振るったエグゼが叫ぶ。
「狙うのは俺にしろ、アンタならできるだろ! 見境ない攻撃ではなく、煩い俺を狙うくらい簡単なはずだ」
 その言葉は相手を挑発するようで、どことなく、願うような言葉でもあった。
 メアリは優しいのだと、グリモア猟兵が言っていた。
 破壊という結論を出したとはいえ、その優しさは偽りではなく、彼女なりの誠実さなのだと、エグゼは信じている。方向性が著しく異なっただけで、優しさそのものを否定はしたくないとも、思っていた。
 だから、巻き込むような強引な技ではなく、自分を、狙ってほしかった。
「簡単だとも。でも、君を中心に周囲を払う方が、もっと簡単なんだよ」
 何せ制御をする必要がないからね、と。
 言いながらメアリが繰り出すのは、炎。高い壁のように聳え、降るように襲い掛かってくるそれは、炎の大波。
 その威力に、どうしても、エグゼは憧憬を拭えない。
 これだけの力があって、制御しきれなかったことが数えるほどだなんて。つい先ほど、ハルピュイアの集団に対して制御を放り投げて暴走させたばかりのエグゼからすれば、充分すぎる。
「遠慮なしとは厄介だね。挑発にも乗ってこないから、闇の救済者達と引き離すのは難しいし」
「目的が皆殺しなら、そうなるだろうな」
 迫る熱に滴る汗をぬぐったあやに、はとりが吐き捨てるように言う。
 それでも、あやは笑顔を崩さない。迫る炎に真正面から対峙し、真っすぐ、突っ込んでいく。
「あたし達の想いをぶつけるなら、あの人の思いも受け止める!」
 後ろは任せた! 言い切って駆けるあやに、目を真ん丸にしていた仄々だが、竪琴を爪弾く指を止めずに、力強い旋律を奏でていく。
「さあ、楽しい演奏会にしましょう♪」
 圧倒的な力を見せつけられたって、絶望になんか浸らせない。
 守ると決めた。そのために、仄々は周囲の無機物を次々と水の魔力へと変え、炎に立ち向かう水の壁を紡ぎあげていく。
「梓、何匹か貸して」
「お、前も行く気か……!」
 勿論、と頷いた綾が『Emperor』手に見据えるは、炎の向こう。
 決め時な気がするんだよねと呟く綾に、梓は今日一番の苦い顔をしてから、水属性のミニドラゴンを数匹、押し付けた。
 ありがとうと残して駆けた綾を、ドラゴン達はきっとサポートしてくれるだろう。
 向かう背を見送り、仄々をサポートすべく残りのドラゴンを向かわせる梓。
 ごうと音を立てて炎と水がぶつかり合うのを足元に見据えたリューインは、もうもうと上がる水蒸気の中、氷の壁を纏ったはとりと、リーヴァルディが駆け抜けていくのを、確かに見た。
 だからこそ、続く。
 エグゼもまた、いつまでも歯がゆい思いを抱えてなどいられないと、羽を一つ打ち鳴らし、己の銃弾が届くその場所まで、駆けていった。
「頼むぜ風精霊」
 自身を構築するよすがを、その手で強く握りしめて。


 メアリの『思い』は、強烈だった。
 振りかざされた杖が軽く振り下ろされるのに合わせて叩きつけられる重力派を、あやは一心に受け止め、痛感する。
「これが貴女の思いってわけね……!」
 全身が軋み、折れてしまいそうになる。
 けれど、それを耐えて耐えて、耐え抜いて。あやは、高々と跳んだ。
「でも! あたしの、皆の思いの方が重い!」
 ぐ、と握りしめた拳が、振りかぶられて。
「これがあたし達の思いだ!」
 跳躍からの急降下。思いという名の威力を乗せた拳を叩きこんだのは、メアリの眼前、半歩手前。
 けれどその一撃が、メアリの足元を崩し、わずか、その体勢を崩させた。
「ほら、やっぱり決め時だ」
 すかさず駆け込んだ綾の斧槍が、見た目の重量感からは全く想像できない速度で振りぬかれる。
 近接戦は苦手なんでしょう、と微笑む綾から逃れようと翳された杖へ、ぴゅっ、と飛ばされる水鉄砲のようなブレス。
「続きは骸の海から見届けてくれるといい。君が「救おう」とした人々の歩みを」
 魔法を撃ち損ねたメアリに深々と穿たれる斧。
 苦悶の表情を浮かべたメアリは、視界の端から迫る銃弾を、弾き損ねた。
 銃弾自体はただの弾のようだったけれど、エグゼが放つそれは、風の精霊を――エグゼが一番得意とする精霊術を、付与するもの。
 精霊が与えてくる攻撃は、付き纏うようにメアリを追う。強い風に飛び退った魔女の帽子。開けた眼前に、いつの間にか、刃が迫っている。
「……その両の眼を見開いてとくと見るがいい。お前を討ち果たし、この世界の闇を切り裂く吸血鬼狩りの業を……」
 限界を突破し、蓄積した魔力を伴った大鎌を、リーヴァルディは力任せに薙ぎ払う。
「……もっとも、私の姿を見ることができたら……の話だけどね」
 胴を切断せんとした一閃は、杖を握るメアリの腕を吹き飛ばすに留まったけれど、メアリは未だ、その攻撃を加えてきたリーヴァルディの存在を、視認できていない。
 死角から迫る敵へと対処できないほど、追い詰められているのだ。
「独り善がりなんだよ」
 冷めた声。それは、憤りをぶつけてきたのと同じ声。
 輝く氷の大剣を掲げ、はとりは刃を閃かせる。
 使用者に莫大な負担を強いる大剣は、それゆえか、はとりが心身に負う傷に同調するように、速度を増し、鋭さを増していく。
 回避に専念するメアリだが、繰り出され続ける斬撃をすべて交わすことは出来ず。ついに捉えられた右足が、ばすん、と切り飛ばされた。
 がくん、と膝をついたメアリに、はとりはこぼす。
「本当に壊れたいのは、救ってほしいのは……あんたじゃないのか」
 その言葉に、メアリが目を剥いたのは一瞬。
 すぐに、彼女は微笑んだ。
「望むなら助けてやる」
「ああ、そうしてくれ」
 瞳を伏せたメアリに、はとりはちらと、上空を見上げる。
 こくり、頷いて。リューインは真っ直ぐにメアリを見つめて、真っすぐ、手刀を振り下ろした。
 それは不可視の斬撃を与える次元の断裂を生んで。メアリ・クロードの首を、刎ね飛ばした。
「お望み通り貴女を越えて進みます。どうか安らかに」
 その瞬間、炎と水のせめぎあいが終結し、ざぶん、と大きく揺れた波が燃えた周囲を洗い流し、元の無機物に戻っていく。
 領主を討ち果たした。その事実が、歓喜となって闇の救済者達に広がっていく。
 歓声は、すぐさま雄たけびとなって響き渡り。始まりの瞬間とは異なって希望に包まれた空気の震えに、梓は肩の荷が下りたように、大きく息を吐き出していた。
 喜びの渦の中、とてて、仄々は歩み進んで。
 血の名残さえ残さずに消え果たメアリが伏したその場所で、鎮魂の音色を奏でる。
「領主のお務めお疲れ様でした。領民さんたちはきっと大丈夫です。海で静かな眠りを」
 歓喜に紛れる、ささやかな音だけれど。せめてもの慰めになったなら、それもまた『救い』なのだろう――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『断罪者『エリアル』』

POW   :    彼らはどうすれば助けられると思う?
対象への質問と共に、【自身の愉悦の記憶】から【惨たらしく殺された犠牲者の霊】を召喚する。満足な答えを得るまで、惨たらしく殺された犠牲者の霊は対象を【怨嗟の呪い】で攻撃する。
SPD   :    断罪者の嗜み
自身の身体部位ひとつを【拷問器具】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    救われなかった者達
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【引きちぎられた誰かの手足】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エンティ・シェアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●閃火を遮らんとする者
 沸き起こった歓声に、更に呼応するような声が重なった。
 あちらの領主も討伐されたのだ。誰しもがそう直感し、歓喜は勢いを増して木霊する。
 二つの領主は共に討ち果たされた。その事実に、闇の救済者達は実感を得、達成感に満たされたことだろう。
 もう、この地で怯えて暮らす必要はない。姿を見せない魔女領主を恐る恐る窺う必要は、なくなったのだ。
 成し遂げた反撃は確かに希望の先駆けとなっただろう。
 手を取り合って喜び合うその姿を、猟兵達は眺めていた。
 遠く、彼らに悟られぬ場所から。
「――楽しそうだね」
 必ず訪れると分かっていたその存在を、迎えるために。
 第五の貴族直属の配下。それは、そう言った存在だ。
 ――『断罪者』エリアル。
 自らをそう称する青年は、楽し気な様子で猟兵達を眺め見る。
「ボクも混ぜてよ。いいだろう、ボクもあんな風に楽しみたいんだ」
 にこ、と親し気な調子でかけられる声は、柔らかで、穏やかで、どこまでも底冷えする愉悦に満ちていて。
 魔女領主に従っていたハルピュイア達でさえ、彼に近づこうとしなかった。
 彼女達は、恐らく知っているのだ。エリアルにとって、生きとし生ける全ての命が、等しく――玩具である事を。
「いいよね、嬉しそうに笑う声。楽しそうに歌う声。でもさぁ、やっぱりそういう幸せな声の後に響く悲鳴が、一番いいと思うんだ」
 誰でもいいよ。抱きしめ合って喜び合う衆人の真ん中で、首を一つ刎ねてやろう。
 何でもいいよ。ぎらついた怒りの眼差しも、恐怖に絶望する瞳も、抉ればみんなおんなじだ。
 屈強な男がいい? 孤高な女がいい? 勇敢な少年がいい? どれでもいいよ。皆、面白そうだ。
「まずは君達かな。精々いい声で啼いておくれよ」
 猟兵の断末魔なんて、この地に響かせる絶望の序曲にはぴったりじゃないか!
天道・あや
ラスボス…いや、隠しボスって感じ?しかもこれまたヤバそうな気配MAXなのが出てきたなあ

でも領主さん、メアリさんよりは…うん、恐くないし、強さを感じナッシング

それじゃアンコールの一曲行きますか!

希望よし!未来よし!夢よし!

ミュージック、スタート!

さっきの戦いでこの辺りの足場は完全に覚えた…!足場習熟

真の姿を解放してダッシュで室内を駆けながら、挑発し敵の注意を引き付ける!挑発、おびき寄せ

あたしの歌で良ければいくらでも聴かせてあげるよ?


うわ、何そのスプラッターな攻撃。見切りながら、救済者さん達が喰らわないようガード!グラップル

次はこっちの番。UCで救えなかった人達の成仏!&相手の耳が聴こえなくする!




 そこに立つ姿を見ただけならば、彼は普通の青年だった。
 少なくとも、魔女領主であったメアリ・クロードよりは、余程、威圧的な感じがしない。
 だが、天道・あやが感じるこの青年の気配は、とにかく『ヤバそう』だった。
 恐くはない。強さも感じない。それなのに、ヤバそうなのだ。
 それはきっと、理性的で穏やかなメアリと相対したせい。彼女にはあった理性的な部分が、この青年からは、一切感じられないせい。
「ラスボス……いや、隠しボスって感じ?」
 穏やかな狂気とは、よく言ったもの。どこか張り詰めたような空気を感じるのは、きっと、それゆえか。
 しかし、あやはそれを跳ね飛ばすように、ぱん、と自身の掌を打った。
「それじゃアンコールの一曲行きますか!」
 晴れやかな声を、青年――断罪者を自称するエリアルは楽し気に聞き、あやの姿を眺めている。
 そちらから仕掛ける気がないのなら、遠慮なく、こちらから行くまでだ。
「希望よし! 未来よし! 夢よし! ミュージック、スタート!」
 ここまでの戦いで、この場所に関しては把握できた。ステップを踏む足も、一段と軽やかだ。
 リズムに乗るあやが、その真の姿を解放したのは、エリアルにも見て取れたのだろう。先ほどまでよりも、ずっと、動きがいい。
 けれど、エリアルはおかしげに笑うだけ。
「希望に未来に、夢かぁ……いいねぇ、好きだよ、ボクも。それをぐっちゃぐちゃにするのはね」
 けらけらと愉快気に笑って、エリアルは戯れに手を伸ばす。
 捕らえるようでいて、捕まえる気の感じられない攻撃を大きく躱し、あやはくるり、マイクを回してしっかりと握った。
「あたしの歌で良ければいくらでも聴かせてあげるよ?」
「ボクはお前の悲鳴がいいな」
 微笑みと同時に、エリアルはあやへ向けて何かを――手足を、飛ばした。
 幾何学模様を描きながら飛ぶそれは、意志を持った何かの類ではなく、ただの、本当にただの、手と足。
 胴体から引きちぎられた無残な傷口から、だらりと力なく生える血の気の絶えた手足達が、次々に、あやへと襲い掛かる。
「うわ、何そのスプラッターな攻撃」
 露骨に嫌悪を示すだけでも、エリアルは楽しげな顔をする。
 趣味の悪さを自覚して嗾けるとはいい性格をしているものだと胸中だけで吐き捨てて、あやは迫る手足を見極め回避し、時には掴んで放り捨てる。
 避けきれないものに肌を引っ掻かれたりもするが、こちらに攻撃が向いているならオールオッケーだ。
 闇の救済者達の方へ戯れに向かう事のないよう、あやはしっかりと敵を見据え、踊る。
 そうして、羽ばたくようにあふれ出した音符を、世界へ解き放った。
 攻撃とは異なる音符が散っていくのを見届けたエリアルの耳に、きん、と届く、マイクのハウリング。
『どもー! あたしの名前はあや! 天道あや!』
 高らかに呼びかけるあやの声は、音符を通じて、ここにはいない闇の救済者達へも届く。
『突然だけど、皆ー! 皆の夢や目標、未来を教えて! あたし! 皆の道を照らしたいの! だからお願い!』
 自分達を勝利へと導いた立役者たる猟兵の声。その声に促されて、誰も彼もが、口々に叫ぶ。
 世界に、夜明けを。
 希望の一助を掴んだとはいえ、この世界ではあまりに荒唐無稽な願いは、あやの手で実現しきる事は敵わなかった。
 けれど、救われなかった者達の無念には届くだろう。幾多の犠牲にも折れず、立ち上がり続けてきた人々の、願いの声は。
「満場一致の大歓声、聞こえてる?」
「は……煩わしいくらいにね」
 忌々しげに呟いて、エリアルは断ち切るように再び手足を嗾けた。
 願う輩の末路を、突き付けるように。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
この勝利を無に帰させて堪るものですか
命と未来を守り抜きます
第五さんに夜明けが近いことを知らしめましょう


摩擦抵抗0で高速滑走
敵攻撃を華麗なドリフトやターンで回避
当たってもつるっと器具から脱出

摩擦0の鋭く速い刺突で攻撃

更にその刺突を囮とし
懐に潜り込みぺろして摩擦抵抗操作
転倒したり
器具の作動不良を誘います

心底、歪んだ心根のお方ですね
それも骸の海から還った故

そして既に
ご自身の歪みを感じるお心も
失くしてお出でで痛々しいです
お可哀そうに
元へ戻してあげられませんが
せめて海へお還ししましょう

終幕
救済者さん方の勝利を祝す曲を奏で
殺戮者さんへの鎮魂の調べともします
静かな眠りを

それでは祝賀会へ参りましょう♪




 人類の反撃。その劇的な勝利を無に帰させるわけにはいかない。
 箒星・仄々は強い決意と共にエリアルの前に立つ。
「命と未来を守り抜きます。第五さんに夜明けが近いことを知らしめましょう」
 この世界にもこれだけの希望があるのだと、分からせてくれよう。
 見据える眼差しに返されるのは、愉し気な笑み。すらりと伸ばした手を、錆びつきざらついた刃に変えて、エリアルはそれを、仄々へと突き付けた。
「無駄だと分かってて、人はどうして夢を見るんだろうね」
「無駄ではありません!」
 噛みつくような声に、返されるのは嘲り。それから、振りかざされる刃。
 錆びた刃は所々刃こぼれして、いかにも切れ味が悪そうで……だからこそ、長く苦痛を与えるものなのだろう。
 殺すことよりも甚振る事を重視した武器に眉をひそめながらも、仄々は真っ向から立ち向かう。
 しゅっ、と小さな体躯を活かして相手の足元へと潜り込むと、まるで氷の上を滑るように、きゅるる、回転しながらすり抜けて。
 地上では想像できない動きで、相手を翻弄する。
 それを成しえたのは、全身をぺろぺろ舐めて毛づくろいすることで摩擦抵抗を極限まで減らすユーベルコード。
 今の仄々は、例え武器を叩きつけられても、ちょっと軸をずらしてやるだけで、武器の方からつるんと避けてくれる。
 ――もっとも、大変よく切れる刃であるならばともかく、ざらついた得物相手では、ささやかな擦り傷などは、残されてしまうのだけれど。
「ちょこまかと……」
「逃げるのがお好みでないなら、これでも如何ですか?」
 振りぬかれた刃をちょんっと押しのけて、エリアルの眼前に細身の魔法剣による刺突をお見舞いする。
 空気抵抗すらないに等しい仄々の攻撃は素早く、エリアルは頬を掠める感覚に、思わず舌打ちした。
 だが、それは囮だ。
 仄々の真の目的は、エリアルの懐に入り込むこと。自身の摩擦を減らした毛づくろいを、彼にもお見舞いしてやった。
「くそ、何を……!」
 攻撃を受ける前に離脱した仄々を追おうと足を踏みしめたエリアルは、踏ん張りがきかずその場に崩れ落ちる。
 思いがけず膝をついた事実に驚愕したように目を剥いたエリアルに、ぴょん、と跳ねた仄々が刃を突き付けた。
「立ち上がるのも難しいご様子ですね?」
「なる、ほど? お前もコレでうろちょろしてたってわけ」
 自身の状況に理解が及んだエリアルは、腕を転じていた拷問器具の形状を銃器に変える。
 動くのに慣れるまでは、飛び道具だ。
「安心しなよ。急所は外してあげるからさ」
「――心底、歪んだ心根のお方ですね」
 殺すことよりも苦しめることを優先するなど、強者と言う立場故の傲慢か。いいや、苦しめて殺すのが、彼の嗜好なのだろう。
 それは、エリアルが骸の海から還った故か。それとも、生来の物か。
 定かではないが、そんなエリアルを、仄々はただ、可哀そうだと感じた。
「ご自身の歪みを感じるお心も失くしてお出でで痛々しいです」
 その哀れみは、どんな挑発よりもエリアルの神経を逆なでする。
「元へ戻してあげられませんが、せめて海へお還ししましょう」
「ボクを哀れむなんて、罪深いクソ猫め」
 苦しんで死ね、と放たれる幾つもの銃弾を躱しながら、仄々はクソ猫だなんてと頬を膨らませかけ、けれどすぐに心を落ち着かせる。
 祝賀会で奏でるのは、憤りとは無縁の、優しい勝利と鎮魂の曲でなくては、ならないのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…お前が楽しむ時間なんて訪れる事は無い
何故ならお前は此処で朽ち果てるのだから

敵UCで召喚された霊達に向け"呪宝珠弾"を乱れ撃ち、
彼らを縛る術を切断し敵を呪詛で攻撃させるカウンターを行う

…死者が甦る事は無い。彼らが真実、救われる事も…
…だけど、その無念を晴らし魂を慰める事ならできるわ

UCを発動し眼前に展開した暴走魔法陣に大鎌を突き立て武器改造
大鎌を取り込み限界を突破して魔力を溜めた黒炎鳥を放ち、
空中機動の早業で犠牲者達の霊を降霊して吸収しながら敵に切り込み、
黒炎のオーラで防御を無視して敵を焼き尽くす闇属性攻撃を放つ

…貴方達の怨嗟を余さず纏めて叩き返してあげる
さあ、精々いい声で啼きなさい、断罪者




 このダークセイヴァーの支配者層に蔓延るヴァンパイアと言う存在は、どいつもこいつも、変わらないものだ。
 重々理解していたからこそ、リーヴァルディ・カーライルは冷めた心地で、闖入者を見据える。
「……お前が楽しむ時間なんて訪れる事は無い。何故ならお前は此処で朽ち果てるのだから」
「ははっ、それは面白いね。やってみなよ、猟兵」
 大口叩いて、できなかったら、こいつらの一員になるだけだよ。
 愉し気に笑うエリアルの周囲を飛翔する、血の気のない手足達。
 幾何学模様を描きながらリーヴァルディへと迫りくるそれらへ、彼女は銃を突きつけ、乱射した。
 放つのは、敵の召喚作用に割り込む呪宝珠を加工した弾丸。それを受けた手足達は、エリアルの支配から離れたように、リーヴァルディを襲う他の手足達から彼女を守る。
「へぇ?」
 面白いね、と。エリアルは興味深げに呟いた。
 弾丸を受けた手足達は、エリアルへの攻撃へと転じようとしているようにも見えるが、いかんせん、呼び出された――ばら撒かれたという方が正しそうだ――手足の数が多く、たどり着くには至らない。
「なんだかそうしてると、体にくっついてる時になすすべなく藻掻いてた姿を思い出すねぇ」
 滑稽だと言わんばかりに笑うエリアルだが、挑発じみた言葉に、リーヴァルディは耳を貸すことをしない。
 ただ淡々と、己のなすべきことを、果たすのみ。
「……死者が甦る事は無い。彼らが真実、救われる事も……」
 苦しんで死んでいった事実は、何をしたって覆らない。
 けれど。
「――その無念を晴らし魂を慰める事ならできるわ」
 そう、目の前の、生者を甚振り死者を冒涜する存在を、駆逐したならば。
 彼らの代わりに、誰かがそれを果たしたならば、ささやかであれ、慰めにはなる。
「本当に?」
「……信じて果たす。それだけよ」
 戯言はもういいかしら。初めから聞いてあげる気なんてなかったのだけれど。
 構えた大鎌をそのままに、リーヴァルディは呼吸を整え、短く唱える。
「……限定解放。呪いを纏い翔べ、血の獄鳥……!」
 呼ぶ声に応じて、現れたのは黒炎の獄鳥。リーヴァルディの身に刻まれた呪いを具現化した鳥と同時に、その呪いを極限まで増幅させる血の魔法陣が、眼前に描かれた。
 大鎌をその陣に突き立てれば、大鎌は溶けるように魔法陣に吸い込まれ、獄鳥と一体化する。
 溢れんばかりの魔力は、それが限界を突破している証。切り裂くような翼を手に入れた獄鳥が嘶くような声を上げれば、黒炎が、迸った。
 後は、託すだけ。自身が戦えなくなる上に、傷を負う事も出来ないこの技は、それ以前に、限界を超えるこの技は、リーヴァルディにとっての切り札だ。
 辺りを飛び交う手足を焼き尽くすほどのオーラを放ちながら真っ直ぐにエリアルへと飛ぶ鳥に、彼は思わず後ずさった。
 手足ごときで防御できるようなものではない。生身で受け止めるには些か強烈だ。
 リーヴァルディを直接叩けば消し去れるだろうことは予期できても、支配を離れた手足達のせいで、ままならない。
「厄介だねぇ」
「……貴方達の怨嗟を余さず纏めて叩き返してあげる」
 エリアルに一矢報いたい怨嗟は、有り余る事だろう。それらを纏えば、黒炎はまた一層、強くなる。
 ――さあ、精々いい声で啼きなさい、断罪者。

成功 🔵​🔵​🔴​

エグゼ・シナバーローズ
嫌なモン思い出させるな…
いや、コイツはコイツ
脳裏に浮かんだ過去の出来事に気を取られている場合じゃねえ
余計なことを考えていたらやられる

腰のガンホルダーから精霊のみちしるべを抜く
毎日のようにカスタマイズしている俺の日常の代名詞で
俺と精霊達の絆でもあるモンだ
これを手にすれば冷静になれる
しっかり敵に狙いを定めて…UCスプライト・ロード発動!
炎精霊の力を借りて属性魔法をブチ込んでやる!

冷静になってなきゃ敵の攻撃にも余計なこと考えてただろうな
頭冷えててもこの手足は誰のモンだったんだ、外道がって思うし
腹は立つけどこれらも炎の属性魔法で焦がして落とす
いや、それより楽しげに操ってる本人の顔にUCブチ込んでやるか




 断罪者を自称するエリアルという青年は、どこまでも性根の歪んだ存在だ。
 それを如実に感じるからこそ、エグゼ・シナバーローズは脳裏に浮かんでしまう嫌な記憶に、苦虫を噛み潰したような心地になる。
(いや、コイツはコイツ――)
 比較してはいけない。過去の出来事はその当事者だけで共有されるべきであって、今は、関係ない。
 そんなものを持ち出して下手な先入観や憤慨を覚えてしまっては、足元を掬われてしまうだろうから。
 ふるり、首を振って、腰のガンホルダーに手を伸ばす。
 より精霊が喜ぶようにと毎日のようにカスタマイズしている銃は、精霊術を極めんとするエグゼの日常そのものだ。
 自分が得た知識、感じた思い、全てを活かして作り上げたそれは、精霊達との絆を象徴するものでもある。
 握りしめれば、冷静になれた。目の前の敵が、自分にとってどんな敵であるかを、はっきりと認識できる。
 これは、沢山の人の希望を踏みにじる敵。敬意すら抱いた領主が守りたかったものさえも壊す存在。
 だから――倒すのだ。
「やぁ、覚悟は決まったかい?」
 やれやれと肩を竦めながら、エリアルは問いかけてくる。
 一思いに仕掛けてこないのは、まだ、こちらを見下しているからだろう。
 好きなだけ侮ればいい。その油断が命取りになるのだと教え込んでやるだけだ。
「自然の代行者たちよ、我が敵を貫け!」
 向ける銃口は精霊のみちしるべ。
 装填される弾丸に、炎の精霊が力を宿す。
 しっかりと狙い済ました銃から放たれた、赤々と燃える弾丸が空気を鋭く裂いて、エリアルへと飛んで――。
「へぇ、やるね」
 高い命中精度を付与した弾丸は、エリアルの肩口に燃える痕を残す。
 躱しきれないとは思わなかったなと笑うその顔は、焦り一つ見せてはいない。それでも、通用することを知れただけで、エグゼの気持ちはまた少し、冷静に冴えた。
 ――そうでなければ、衝動的に連射していたかもしれない。
 視界一杯に浮遊する、誰の物とも知れない手足を見た瞬間に。
(この手足は誰のモンだったんだ、外道が)
 問うても、どうせこの手合いはそう言った『些事』を覚えてなどいないのだろう。
 ……いや、こいつなら、嬉々として語るかもしれないとエグゼは思う。その内容の真偽は判別できずとも、こちらの神経を逆撫でしてくるような話を、つらつらと語る様は容易に想像できたのだ。
 腹は、立つ。こんな奴に虐げられ、犠牲となってきた人々がどれほどいるのだろうかと思えば、感情が沸く。
 けれど、情動に任せて喚いたり暴れたりはしない。
 犠牲者の骸から目を背けることも、しない。
 飛翔する手足達の軌道をしっかりと読み、躱しながら、エグゼは再びエリアルへと狙いを定める。
 迫りくるそれを、エリアルは周囲の手を掴んで盾代わりにして防ぐけれど、そちらがそうして躱すなら、何度でも何度でも、お見舞いしてやるだけだ。
「あの腹立つ顔面に、一発ブチ込んでやろうぜ」
 囁きかければ、精霊が応じてくれたような、気がして。炎で焼け焦げた手足をいっそ一矢報いて来いと言わんばかりに掴んで投げ返しながら、エグゼは銃口を、向ける。
 幾何学模様の隙間を縫って、青白い手を焼き焦がしながら飛ぶ弾丸。
 それが、わずかに瞠目するエリアルの眼前で爆ぜたのを、エグゼは確かに、見届けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リューイン・ランサード
相手は強くて怖い。
けど相手のUC(引きちぎられた誰かの手足)を見た瞬間、怒りが勝った。

翼で空を飛び、上空から光の属性攻撃をしようと見せかけて相手の注意を引き、相手のUCを結界術による防御壁やビームシールド盾受けで防いだり、空中戦・第六感・見切りを駆使して躱し続けた結果、最後に逃げ場無く包囲攻撃を受ける。
相手が勝利を確信した瞬間、UCを解放して相殺し、全ての手足を発生前に戻す。

相手が状況を掴む前に、仙術で分身をばら撒いて幻惑しつつ、限界突破した空中戦能力で急降下し、エーテルソードに雷の属性攻撃を籠めての怪力・鎧無視攻撃・2回攻撃で斬り下げ、次の瞬間、斬り下げる!

「悲鳴を上げるのはお前の方だ!」




 あぁ、嫌だ嫌だ。なんだってこんな面倒な輩を相手しなければならないんだ。
 悠々としていた表情に、苛立ちと焦りが見え始めていた。
 それは同時に、敵が本気で殺しにかかってくることを示してもいるようで。リューイン・ランサードは、自身の身の丈に合う敵ではないのではないかと、恐怖を覚えた。
 けれど、それは一瞬の事だった。
 敵が――エリアルが自身の周囲に呼び寄せた物を見て、リューインは怒りに目を剥く。
 幾つもの腕。幾つもの足。誰かから引きちぎられた、そう、無理やり引きちぎられた、無残な死体。
 そんなものを目の当たりにして引き下がれるわけが、無かった。
 怒りをあらわにしたリューインの翼が強く羽ばたき、その身を上空へと運ぶのを、エリアルは視線だけで見上げる。
「こんなことが、許されていいわけがない!」
「あはっ、素晴らしい正義感だねぇ!」
 リューインの手元で光属性の魔法が煌くのを見て、どこまでも清いことだと笑ったエリアルは、手足を差し向けた。
 地上から上空へ向けられる手は、まるで苦痛に藻掻く人々が天へと救いを求めるような、地獄絵図さながらで。
 リューインは、ぎりと唇を噛みしめると、エリアルに向けて放つかと思われた光で、身を守る盾を作り、追いすがるような手足達を、弾いた。
 ばさりと翼を打ち鳴らし、上空を飛び交いながら、あらゆる方向から迫る手足を躱し、受け流し、逃げ惑うような姿を、エリアルは愉し気に眺める。
「どうしたの? お優しいお兄さん。可哀想なその手を受け入れてあげなよ」
 そうしてお前の翼も引きちぎられてしまえとあざける声に、きっ、と睨む眼差しだけを向けて、リューインはひたすら躱し続ける。
 けれどそれがいつまでも続くわけもなく。打開策なく飛び続けた背に、手がしがみついた。
 一つ通れば、次々と。無数の手足に囲まれて、一斉に嬲られるリューイン。
 群がった手足がはければ、ぼろぼろになったドラゴニアンが地に落ちてくるだけ。
 ――そう、思わせるまでが、リューインの策だった。
「世界に遍在するマナよ、時の流れを遡り穏やかなる過去を再現せよ」
 与えられた傷が、痛みが、引いていく。
 時間に干渉し、過去へと引き戻す力が、エリアルの技がリューインに与えたあらゆる事象を、打ち消して。
 最後に、リューインを包囲し攻撃を仕掛けてきた手足が、ふっ、と、音もなく掻き消えた。
「――は?」
 想定外の事態に、エリアルが瞠目する。
 その視界には、確かに健在で宙に佇むリューインが居て……その姿が、増えて。
 視線が泳いだ。分身や幻術の類だと理解は出来ても、状況を把握しきれない脳では、どれが本物かを判別しきれない。
 対処が遅れた、その隙をついて、リューインは一気に降下する。
 手にした剣は深い夜を映し出したかのような刀身。その刃に雷の属性を込めて、強く、強く、握りしめた。
「悲鳴を上げるのはお前の方だ!」
 吼えるような声と共に、刃を振りぬく。一度ではぬるいと言わんばかりに、二度、刃は閃き、エリアルを深く切り裂いた。
「ぐ、ぅ……!」
 迸る血飛沫を挟んで、愉悦の消えた苛立ちと、怒りという名の激情とが、睨み合って。
 振るわれる刃と、それを跳ねのける手足とが、再び、ぶつかりあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

柊・はとり
ちッ…マジで来やがった
とびきり嫌な感じの奴が

闇に希望を見出だした奴らを
…あの女が護ろうとした奴らを
いったいどんな罪に問える
あんたを仲間外れにした罪か?
そりゃ自業自得だ

殺人犯にも色々いるが
あんたみたいな外道は同族にも疎まれるし
最期は決まって録な死に方をしない

それでも『断罪者』を名乗るなら
当然自分も裁かれる覚悟できてんだろうな!
【第二の殺人】

こいつの罪状は…見ての通りだな
剣の氷属性攻撃で飛翔する腕を凍らせ
極力避けながら敵の元へ
一秒たりとも無駄に出来ないんでね

笑って逝きやがったあの女の代わりに
地形が変わる程度の斬撃を叩き込んでやる
手加減は苦手って言ったろ
これでいいかよ…メアリ
あんたならこうしただろ…




 第五の貴族直属の配下と言う存在が本当に来るとは。疑うわけではなかったが、来てほしくはなかったというのが柊・はとりの本音だろう。
 しかも、その相手がとびきり嫌な感じの奴だとくれば、自然、眉根も寄るし舌打ちも零れる。
 もっとも、その相手――エリアルはこちらへの侮りが過ぎたか、逆に痛い目を味わわされているようだ。
 そのさまをせせら笑ってやることは至極簡単だけれど、それでは、彼と同じだから。
「闇に希望を見出だした奴らを……あの女が護ろうとした奴らを、いったいどんな罪に問える」
 私情を抑えて、呟くように問う。
 答えなんて、求めていない。どうせ、問う度に答えの変わるような、適当な言葉しか帰ってこないだろうから。
「あんたを仲間外れにした罪か? そりゃ自業自得だ」
 だから、こちらから適当な言葉をつけ足してやって、今度こそ、笑ってやった。
 はとりのその皮肉気な言葉に、口の中から血を吐き捨てて拭ったエリアルもまた、歪に笑う。
「もういいよなんでも。そもそも生きてることが罪なんだよ、人類とか言う連中はさぁ!」
 だからこんな目に遭ったって仕方のないことだろうと言わんばかりに、無数の手足が飛び交う。
 もう、何度も見た。何度も見て、その度に犠牲になった人々の数に歯噛みした。
 殺人犯にも色々いるものだ。快楽で人を殺すような輩とも、はとりは勿論遭遇したことがある。
 理由も手段も千差万別。綺麗に整えて陳列すれば博覧会が開けるくらいに。
 しかし、これだけは言える。
「あんたみたいな外道は同族にも疎まれるし、最期は決まって録な死に方をしない」
 苦しめることを好むなら、相応に苦痛を返される。
 果たしてこの男は、それを理解しているとでもいうのだろうか。
「それでも『断罪者』を名乗るなら、当然自分も裁かれる覚悟できてんだろうな!」
 自らを『断罪者』と称する青年へ。はとりは勇気と覚悟で以て、その罪を告発する。
 エリアルの罪など問うまでもない。誰もが、見て悟れるほどの証拠を辺りに飛び交わせているのだから。
 だから重要なのはそこではない。その告発によって、はとりは一時的に、自身の全ての能力を六倍にまで引き上げた。
 剣を振るい、はとりは駆ける。この技は時間制限があるのだ。昏睡状態に陥る前に事を終わらせるには、一秒たりとも無駄には出来ない。
 迫る手足を凍らせ、幾何学模様の隙間を掻い潜り、時には、やむなく切り伏せて。
 距離を詰める度に遠ざかろうとする姿と、それを追う足とでは、はとりの方が、速かった。
「悪いが手加減は苦手だ。今は、特にな」
 氷を纏う刃が、エリアルの腕を刎ね飛ばす。引きちぎられた誰か程の痛みを与えることはできないけれど、腕の一本で終わらせる気は、無い。
 彼の足元に滴る血が、その足をもつれさせて。大きく、上段に構えたはとりの刃を躱せぬ隙を、生み出した。
 叩きつけるのは、地面を抉り、地形を変えるほどに力を込めた斬撃。
 それは、自壊を望み、笑って逝ったかつての魔女領主に代わる、『断罪』の一撃だ。
「これでいいかよ……メアリ」
 あんたならこうしただろ……。
 自らの領地を、領民を、同族とはいえ脅かす存在を、彼女はきっと許さなかっただろうから――なんて、都合のいい幻想だろうか。
 けれど、はとりはそう信じるから。迷わず、執行した。
 斬り伏せられた死体が、やがて消えていくのを見届けると同時。はとりの意識は、技の反動によってふつりと途切れる。
 倒れ込むような衝撃を感じなかったのは、意識の消失のせいだろうか。
 おやすみなさいと聞こえたように感じたのは、これもまた、都合のいい幻想だろうか。
 かくして、革命の閃火は、途切れることなく燃え盛った。いつかは世界を照らす篝火とならんと、強く、明るく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月22日


挿絵イラスト