13
暖和起来の桃湯治

#封神武侠界

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界


0





「春って山菜のシーズンだと思うのですけど、皆さん食べに行きませんか? 温泉もありますよ」
 グリモアベースへとやってきた猟兵たちへキャッチよろしく声を掛け、誘うのは冬原・イロハ(戦場の掃除ねこ・f10327)であった。
「行く先の世界は封神武侠界なのですけど、美味しい山菜料理を食べて、運動して、桃源郷の温泉を楽しみましょう!」
 私、温泉卵にする卵、持って行きますから……! と抱える籠と、その中に入った卵を猟兵たちに見せるイロハ。
 ……今、言葉の間に、大事なことがあったような? 少し考えて立ち止まった猟兵は尋ねた。
「運動って、もしかしてオブリビオン退治とか?」
「あっ、はい。そうです。屍仙女さんが桃源郷を乗っ取ってガンガン霊力強化中なんです。このままだと桃源郷を訪れた仙人さんとか迷い込んだ人が危ないので、撃破をお願いします」
 屍仙女はオブリビオンと化した瑞獣の仙女だ。その下半身は白骨と化して、完全なる美しい姿を取り戻すために霊力を高め、生きるものの生命力を奪い取る恐ろしきオブリビオン。

「屍仙女さんが独り占めしている温泉な桃源郷に向かうためには、そこへ至る道――封神武侠界のとある山の攻略をしなければいけないんです」

 その山はあたたかな霊気に満ちた、緑豊かな山なのだとイロハが説明する。
「山自体が神聖なものなので普段は桃源郷への道もしっかりと閉じられているのですが、それはそれとして、山菜が豊富に採れたりするんです」
 今はふもとの村で山菜料理の大食い大会らしきものが開かれているらしい。
「山の恵みにめっちゃ感謝する大食い勝負&食べ歩き大会ですね」
 山菜の天ぷらや肉巻き、炊き込みご飯。おにぎりと山菜の漬物。
「私のオススメ……というか、私が食べてみたいのは、たらの芽天ぷらを刀削麺に乗っけたやつでしょうか。麺は粗いのですけど、何やら勇ましい食感なのだとか。スープがないのもあって、こちらは味付けを辛めにした山菜と絡めると美味しそうな気がします。あとは――わらび餅や、糖で煮詰めて粒子の粗い砂糖を絡めた山菜の砂糖漬けといった甘い物も良いですね♪」

 山菜を美味しくお腹に入れて、いくらか気の薄まった山へと入れば桃源郷への道が開かれるという仕組みだ。

「一石二鳥でしょうか? いいえ、温泉もありますので、三鳥ですね。屍仙女さんを倒して、平穏の戻った桃源郷の温泉を楽しみましょう」
 桃源郷のあちこちにある温泉は仙人が管理しているものらしい。
 手湯や足湯もある温泉地は、ほんのりと桃の香りも混じっている。
「桃の甘い香りなのかしら? それとも葉っぱの心地良い香りなのかしら? サムライエンパイアやUDCアースの暦の湯みたいで気になりますね」
 桃の湯となれば夏の頃だ。
 桃源郷の果実で喉を潤しながら、ちょっと早い暑気払いの巡りとなるだろう。
「菖蒲湯もあるかもしれませんね。…………ちょっとお話が脱線しちゃいがちでしたけど、まとめると、ふもとの村で山菜を食べて、桃源郷でオブリビオンと戦って、桃源郷の温泉を楽しむ。こんな感じですね」
 温泉卵はあとで持って行きますね。
 あと、後で山菜の砂糖菓子をちょっぴり分けて頂けると凄く嬉しいです。
 ――それなりに自身の願望を伝えながら、猟兵たちを封神武侠界へと送り出すイロハだった。


ねこあじ
 ねこあじです。
 ご飯と戦いと温泉回。
 どこから参加しても大丈夫ですよ。

 時に、再送の可能性や、5月の情勢次第で受付期間が発生&シナリオの進みが一旦停止からの5月末から再開といった可能性があります。
 締切なども、タグやマスターページ、Twitterなどでお知らせしていきますね。
 ドウナルノカ、MSニモワカラナイ。ので。

 ・第一章は山菜料理を楽しむ回。
 色んな料理が楽しめますね。導入文書きますね。

 ・第二章は桃源郷で屍仙女と戦います。
 仙人を追い出してたぶん暦の湯を作っていますね。導入文書きますね。

 ・第三章は桃源郷で温泉を楽しみます。
 手湯、足湯とありますね。導入文書きますね。
 普通の温泉もあります。仙人が客人をもてなす湯着を用意してますので、それを着るなり水着着用の温泉回。なので混浴もいけます。公序良俗を守って健全なる全年齢で楽しんでください。

 第三章は案内した冬原・イロハもやってきます。
 温泉卵を作りながら手湯や足湯などの暦湯を楽しんでいます。
 何かありましたらお声がけくださいね。

 それではよろしくお願いします。
151




第1章 冒険 『大食一本勝負!』

POW   :    勢いに任せ、ひたすら食べまくる

SPD   :    調味料や飲み物で舌を整え、ペースを保つ

WIZ   :    駆け引きを駆使し、他の参加者よりも優位に立つ

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●山菜づくしな本日
「大食い大会に参加したい! という旅の御方はこちらへ~」
「山菜飯のおむすび、どうですか? 葉わさびと行者にんにくの漬物がついてますよ」
「ならこっちの温かいお茶もどうかね? ほっと一息つけるよ~」
 持ち帰り用に山菜の料理は包んでくれるらしい。
 からっとさくさくに揚げた天ぷら。
 唐辛子を効かせた山菜のきんぴら。
 ほろにがな山菜の卵とじ。
 生野菜に付けて食べる山菜味噌。
 山の恵みは感謝の心で。
 村に入った猟兵たちが拱手をして挨拶をすれば、挨拶が返ってきて、あちこちから山菜料理をどうぞと声が掛かる。
「この村の山菜をいただくと、元気が出るんだ」
 旅人の言葉に、村人が嬉しそうに頷いている。
 ――豊かな山なんだ。
 ――言い伝えによれば、仙人が住んでいるのだとか?
 ――おお、桃源郷みたいな山だな。
 猟兵たちが見上げれば、柔らかな新緑の山。
 わらび餅に砂糖漬けといった甘味。
 山菜以外の旬のものもあるようだ。あちらこちらと目移りしてしまいそうな、食べ歩き&大食いの大会を催す村。

 さて、どこから攻めようか。
 ゆっくりと周囲を見回した。
張・西嘉
征殿(f32673)と
美味しい山菜に温泉。そしてオブリビオン退治!
一石二鳥ならぬ一石三鳥と言ったところか?
オブリビオン退治は得にならない?何を言う。
人々を害するものを排除できるのだから『得』であっているだろう?

さぁ、さっそく山菜料理を頂こう。
どれも美味そうだな。
(食べるのが好きなのでもりもり食べる)
ほら、征殿もお茶ばかり飲んでないで…
(そう言って次々とおかずやご飯を置くが箸の進みは遅く)
あまり口には合わんか?
(ふと置いてなかった甘味系を置くともくもくと食べ始めた様子に)
(なるほど甘味が好きなだなと)
…今度仕事終わりに胡麻団子を届けよう。


征・瞬
西嘉(f32676)と
……オブリビオンに桃源郷を占領されているというのに
山菜を食べている場合なのか?
というか、オブリビオンを得に数えてどうする

まぁ君は食べるのが好きなようだしな、楽しむといい
私はお茶だけ頂こ……何故私の分まで持ってくるんだ
揚げ物は重たくないか……?
まぁ漬物や卵とじくらいなら少しは食べるが
そんなに持ってきても食べられるわけないだろう

(次々と持ってこられる食べ物の中に甘味を見つけて)
これは……わらび餅か
……これは食べてもいい(モグモグと積極的に食べて)
山菜の砂糖漬けもあるのか……珍しいな

(無言でしばらく食べていたがハッとして)
そろそろ食べている場合ではないだろう
山へ向かわねば



 山菜が豊富に採れるふもと村には、この時期特有の仕入れがあるのか買い付けに訪れた商人や旅人の姿もあった。
 干して砕いてと加工されたものを売る露店、試食を薦める店の者、村内を歩けば結構な賑やかさだ。
「美味しい山菜に温泉。そしてオブリビオン退治! まさに一石二鳥ならぬ一石三鳥と言ったところだろう」
 張・西嘉(人間の宿星武侠・f32676)の声は明るいものであったが、周囲を見回すその目は用心棒さながら――と言いたいところだが、面白いものを見つければ即座に足を向けている辺り、しっかりと今の雰囲気を楽しんでいる様子。
 対し、少々冷めた目付きで西嘉の言葉に応じるのは征・瞬(氷麗の断罪者・f32673)。
「……オブリビオンに桃源郷を占領されているというのに、山菜を食べている場合なのか? ――というか、オブリビオンを得に数えてどうする」
 何を呑気に、とでも言いたげだ。
 そんな瞬に、ええ? とのんびりと西嘉。
「オブリビオン退治は得にならない? 何を言う。人々を害するものを排除できるのだから『得』であっているだろう?」
 西嘉の言葉を受けて「そうか?」と呟き応じ、今一度考える瞬。
 その間にも西嘉は美味しそうな匂いに惹かれて一軒に向かった。
 熱した鉄鍋に具だくさんな料理の数々。麺生地は直に包丁で削られ鍋に落ちていく。
 じゅわじゅわと音と白煙が立つ様は西嘉の腹を刺激した。
「どれも美味そうだな」
 西嘉の後ろを歩く瞬は肩を竦める。
「――まぁ君は食べるのが好きなようだしな、楽しむといい」
 そう言った瞬は春のお茶を頂くことにした。
 春摘みの茶葉は香りが濃く、深い味わい。
 床几台に座し、まろやかなそれを舌で堪能していると器に盛られた山菜料理を持って西嘉が戻ってくる。
 山の幸を練り込んだタレたっぷりのつくね串、鍋で焦げ目をつけたかやくご飯に汁物を注いだもの、天ぷらにされた山菜は、たら、こしあぶら、たけのこと様々なものがあって歯ごたえのある刀削麺と一緒に。
 到底一人分ではないものが床几台に置かれていた。
「何故私の分まで持ってきたんだ」
「まあまあ。ほら、征殿もお茶ばかり飲んでないで……」
 料理の数々を西嘉が食べて堪能していくのだが、その箸の進みはふと遅くなった。
 瞬を気遣っている様子。
 その視線に気付いた瞬は、ひとつ息を吐き、箸を手に取った。
「あまり口には合わんか?」
「……揚げ物は重たくないか……?」
 そう答えて瞬は漬物と卵とじを。卵はふわふわで味付けは甘めだ。それでいて春の爽やかな香り放つ食材。
 とはいえ、西嘉の持ってきた料理は種類が多い。
「こんなに持ってきても食べられるわけがないだろう」
「俺が食べるから大丈夫だ」
 あっさりと言い放った西嘉に「……そうか」とやや戸惑いの声が出てしまった。この量を一人で食べるのか、と。
 器をある程度空にして、席を立つ西嘉。一度だけ鈍ったものの、基本的に箸の進みは速い。器を店に返して次のものをという動きを瞬は何となく眺めながら、ゆっくりと食べる。
 再び戻ってきた西嘉が持ってきたものの中には――。
「これは……わらび餅か。……これは食べてもいい」
 わらびの根から少量しか採れないわらび粉を使った餅は、独特の食感を提供するために出来立てだ。その色は黒く、きなこを絡めて黄金色に。
 ふるふると柔らかなそれは口のなかでするりと溶けていく。
 山菜の砂糖漬けもいただく瞬。
「こちらは珍しいな」
 山菜独特の苦みを活かしながらも甘く浸らせたもの、炒ったものとあり、どちらも仕上げに絡めた粗砂糖。
 料理とは違って積極的に食していく瞬の様子に、西嘉はひとつ頷いた。
(「なるほど甘味が好きなのだな」)
「……今度仕事終わりにでも、胡麻団子を届けよう」
「――うん? 何か言ったか?」
 いつもならば注意深く状況を判断する瞬が西嘉の言葉を聞き逃している。そのことに苦笑しながらも西嘉は首を振った。
 だがそのやり取りで瞬は我に返ったようだ。
「そろそろ頃合ではないのか。食べている場合ではないだろう。山へ向かわねば」
「そうだな。行くとしようか――と、その前に茶を一杯」
 食後のお茶で喉を潤して。
 西嘉と瞬の二人は山へと入り、桃源郷を目指す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
新緑を眺めながらの食べ歩きとは
何と幸せな時間でしょうか
満喫しますよ~

まずは天ぷらを

揚げたてに塩を一振り
フーフーしながら
サクサクっといただきまーす

新鮮で美味しいです!
苦味は春の恵みですね

イロハさんお勧めの天ぷら乗せの刀削麺も

天ぷら蕎麦やうどんは食べたことがありますが
刀削麺は初めてです

…お!これはいけますね
イロハさんから羨ましがられるかも

山菜味噌を野菜につけて
焼きおにぎりと一緒に
これも美味しいですね

つくしの砂糖菓子とお茶でほっと一息
素朴な甘さで苦味との相性もばっちりです

さすが霊気の満ちるお山だけあって
素晴らしい恵みですね

山並みを眺め
心地よい風を味わいながら
木陰でまったり

心のまま弦を爪弾きます



 若葉から深い茂みへと変化していく緑の匂い。
 くんくんとケットシーの小さなお鼻を動かして、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は自然たっぷりの香りを堪能する。
「新緑を眺めながら――そして食べ歩きとは、幸せ時間の予感ですね♪」
 村へと入れば自然の香りは淘汰され、美味しそうな匂いがあちこちから漂ってくる。穏やかだった仄々の表情が料理の匂いに刺激されてちょっと輝いた。
 鉄鍋と立つ煙、そして音に導かれ辿り着いたのは天ぷらを揚げている一軒だ。
「こんにちは」
 と拱手をすれば挨拶が返される。
「いらっしゃい、小さな旅人さん。揚げたての天ぷらは如何です?」
「是非! いただきたいです~」
 揚げたてを持ちやすいように竹皮で包んでもらい、塩をひとふり。
 纏う油がまだじゅわっと動いている。
 いかにも熱そうなそれに仄々はふうふうと息を吹きかけた。
 食べられるくらい冷まして一口。
 ザクっと、サクサク。
 たらの芽の天ぷらは苦みと甘みが一緒にあって、さらに味を塩が惹き立てている。
「新鮮で美味しいです! この苦みは春の恵みなんですねぇ」
 笑顔になった仄々が言えば、揚げ物をしていたおばちゃんもにっこり。
「ふふふ、そうなんですよ。春の香りがたっぷりなコシアブラもお勧めですよ」
 隣の軒では刀削麺。
 大きな麺生地を、沸いた鍋の中へと包丁で落としていく調理の様子が見学できる。
 汁気たっぷりの器を持って床几台に座った仄々は早速お勧めの刀削麺に向き合った。
「天ぷら蕎麦やうどんは食べたことがありますが、刀削麺は初めてです」
 封神武侠界らしい食べ物なのだろう。
 期待して箸を進めれば、歯ごたえのある麺。刀で削るという名の如く食感はざっくりとしたもので、短いゆで時間故にもちもちと。粗い麺生地はそのぶんスープと絡みやすいようだ。
「……お! これはいけますね。イロハさんから羨ましがられるかも~」
 オススメされたぶん感想を伝えなければ、と仄々。
 食べ歩ける大会ということで、隣の一軒はまた違った料理が。
 新鮮な野菜を器に盛ってもらい、山菜味噌と一緒に。
 山菜おこわの焼きおにぎりを味噌焼きにしたものもあって、香ばしい美味しい匂い。
 山菜を混ぜたつくね串。
 お茶は春摘みの茶葉を使ったもので、香りが立っていて味わい深い。
「どれもこれも、美味しいです♪」
 ケットシーのお腹もぱんぱんだ。お茶でほっと一息つきながら、手にしたのは砂糖菓子。
 つくしのお菓子は摘みやすくて食べやすい。アク抜きはされているがつくし独特の苦みは残っている。
「素朴な甘さで苦味との相性もばっちりですねぇ♪」
 自然由来の甘味は癖になりそうだ。茶殻を使った甘味もオススメされて仄々はゆっくりと味わっていく。
「さすが霊気の満ちるお山だけあって素晴らしい恵みですね」
 山を眺め、ふと感じる薫風はこれから訪れる季節を予感させるもの。
 穏やかな自然と食を満喫した仄々が手にしたのは懐中時計。ボタンを押せばそれは蒸気機関式竪琴となった。
 一弦を爪弾けばゆるゆると始める音奏。
 心のままに紡ぐ音色は穏やかな曲調で。
 爪弾く音楽にのって、どこからか歌声が流れてきた。きっと仲間の猟兵だ。仄々の音が嬉しさに弾んだ。
 音と歌が村人や旅人、山菜の買い付けに来た商人、そして仲間たちの心を楽しませていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾花・ニイヅキ
大食い大会!いっぱい食べて良いんだよね!
いただきます!

そういえば山菜って初めて食べるかも?苦いって聞くけど……。
む、確かに少しだけ苦いのもあるな。でも、美味しい!これが癖になる味ってやつなのかな?
苦いものも美味しく頂けるように作る知識と技術って凄いよな。
あ、もう20個くらいおにぎり食べちゃ駄目かな。

デザートは……わらび餅?
僕が知ってる餅と違ってプルプルだけど……?
ん!これも美味しい!

久々にいっぱい食べられた気がする!
……僕、すぐお腹空いちゃうからお土産のおにぎりや天ぷらもお願いしたいな……。
村の人が大切に作った食べ物をいっぱい食べさせてもらうのはとてもありがたいことだよな。
ごちそうさまでした!


ケイラ・ローク
アドリブ連携OK♪

これが封神世界の挨拶なのねっこんにちは!
(拱手を見様見真似で)
きゃー♪良い香りよ!山菜ってあんまり食べないけど美味しそう~♥
大食いには自信が無いから食べ歩きしようっと
イロハがオススメしてたタラの芽天ぷらがこれね、不思議な苦み~(さくさく)
おひたしなんかも貰ったり~
山菜ご飯のおにぎりも食べるー♪あ!美味しい~コレお土産にも包んで下さいな♥
わらび餅…えっ、わらび餅って山菜を粉にして作るの?初めて知ったわ
…美味しい!ぷるぷる弾力…!帰りにまたよってお土産にしたい♥
キマフューだとコンコンで手に入っちゃうけど本当はどの料理も手作りなのね
風景もご飯もゆったり満喫~
ご機嫌に歌いのんびりする


駒鳥・了
当ッ然!アキで参上!!
あっご挨拶は見よう見まねでちゃんとしてくよ!

山菜ってーと地味なイメージあったんだけど、わらび餅って山菜の仲間?マジで?
スライムみたく山ン中をぽよーんぽよーんと……はさすがにナイか
あったらカワイーんだろーけど!
天ぷらか卵とじで現代人に向いてる華やかな味付けになるんだっけねー
しかしご飯が欲しくなる罠
えっ炊き込みご飯あんの?!
そっかあ、タケノコも一応山菜…か?
天ぷらの衣を剥いだりご飯よりは山菜部分を多めにすると沢山食べられそーだけど
折角の心づくしのお料理にそんなことはナシ!
片端から全部おいしくいただく!
幸せな気持ちだけだったらじゅーぶん優勝の気分だもんねー
あっお茶くださーい!


シリン・カービン
ここが封神武侠界… 豊かな世界のようですね。
物珍し気に屋台や料理を覗きながら歩きます。

森で生きてきた私に山菜は馴染み深いものですが、
ここの料理はいずれも目新しいものばかり。
少しずつ、色々な料理を摘まんでいきます。

「ほお、これは…」
中華風アレンジの蕗味噌は、お酒のアテによさそうです。
他にもいくつかのよさげな料理をチョイス。
「ここで楽しめないのは残念ですが…」
これから一働きあるのですから、お酒は後のお楽しみ。
…お楽しみ。(宴席を横目で)

山菜の砂糖菓子も調達し、イロハへのお土産も準備万端。
買い過ぎた気もしますがポノと分けてもらえばよいでしょう。

腹ごしらえも済みました。
さて、行くとしますか…(ヒック)


木元・杏
ずさっと到着、桃源郷
決して美味しい山菜の香ばしい天ぷら等に誘われた訳では無い、決して

手にはマイお箸とマイお茶碗
ふきのとうに春筍、そして舞茸に、菜の花。あと、ちょっとそこの湖で捕れたキスなるお魚、これらを天ぷらにして…あ、お肉も、お肉の天ぷら…(そわそわ)
天ぷらはお塩、そしてつゆに大根おろしをのせるも良き
白ご飯にのせたら天丼になり、また違う美味しさ
んむ、山菜おこわは爆弾おにぎりにして、3……や、10個程よろしい?

んむ、そちらはよもぎ団子
口に入れたら広がるよもぎの香り……、至福
あの、あの、全てのめにゅうを頂きたい
遠慮がちに村の人達にお願い

山菜の砂糖漬けはお土産にして
あ、山菜おこわのおにぎりも、ぜひ



 桃源郷に通じるという山の、ふもとの村には村人や旅人はもちろん、山菜の買い付けに訪れた商人もいて結構な賑わいだ。
 村を訪れた猟兵たちの元へ風が運んでくるのは、その賑やかさと春山の柔らかな新緑の香り――では無くて、揚げ物や焚きたてのご飯、タレたっぷりの串焼きや地酒といった美味しそうな香りであった。
「ここに集まったわたしたち猟兵は、運命を共にするべきだと思う」
 真顔でシリアスな声を発しながら木元・杏(メイド大戦・f16565)が、偶然行き合った猟兵たちを見回した。
「ウンメイ?」
 大きな瞳をまん丸にして、ケイラ・ローク(トパーズとアメジスト・f18523)はキョトンとした表情に。
「……杏は、一緒に食べようよ、と誘っているのだと思います」
 シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)のフォローなる言葉に「なるほど!」とケイラは笑顔になった。
「一緒に食べたらきっと楽しいし、ご飯ももっと美味しくなりそうっ♪」
「ここから見る限り、色んな山菜料理が用意されているみたいだ。皆で手分けして品々を把握することが出来れば、色んなご飯を楽しめるね」
 彼女たちのやりとりに尾花・ニイヅキ(新月の標・f31104)も笑顔で応じた。
 ――そう。効率的だ、と頷くのは食いしん坊なニイヅキと杏である。
「よっし、そんじゃ食べる場所を決めて皆で持ち寄っちゃう? あ、モチロンそのまま食べ歩いてもおっけーだし」
 ね! と駒鳥・了(Who Killed Cock Robin・f17343)――アキがぱぱっと場をまとめると、少し背を伸ばしたシリンが狩人の目で早速場所を捉えたようだ。
「あそこを借してもらいましょう」
 すらりとした指が差す先には、訪れる客人向けに開かれた卓の一つがあった。


「こんにちは~」
 新しい挨拶があればやってみたくなる。アキの見よう見まねの拱手にケイラが続く。
「これが封神武侠界の挨拶なのねっ、こんにちは!」
 ケイラも見よう見まねで拱手をして一礼すれば、ネコマタの二つ尾がぴょこりと動いた。
「こんな感じかしら?」
「うん、いんじゃない? たっくさん挨拶して慣れてこーよ!」
 アキの言葉に「そうねっ」とケイラは思いっきり頷く。そんな二人のやり取りに微笑みながら村人も挨拶を返してくれた。
「って、これつくねだね。山菜を混ぜてるのかな?」
「はい、色んな山の幸を刻んで混ぜてます」
 ――アキとケイラ、つくねを振舞う一軒のやり取りを耳にしながら杏は魚売りの一軒を目指す。早朝に汽水湖から釣りあげた新鮮な魚を天ぷらにしてもらうためだ。
「豊かな世界のようですね。ここにも、果物がたくさんあります」
「既にここが桃源郷のようにも思えるよね」
 物珍し気に屋台や鉄鍋いっぱいの料理を覗くシリンの隣で、これは何に使う山菜なのだろう、とニイヅキは興味津々だ。
「乾燥させているから茶葉なのかもしれません」
「へえ、そうなんだ。シリンは山菜に詳しそうだね」
 ニイヅキの言葉に、ふむ、とシリンは僅かに考える表情に。
「森で生きてきた私に山菜は馴染み深いもの――ですが、ここの料理はいずれも目新しいものばかりです」
 アックス&ウィザーズと封神武侠界では当然違うものも多く、後半、シリンは穏やかな笑みを浮かべてそう言った。
 と、ここで二人の間に杏がにょきっと生えた。
「ニイヅキ、シリン、デザートも忘れずに」
 真面目な表情だった。戦場に立つ顔ですね、とシリンは思う。
「――大丈夫。忘れてはいないよ」
 確りと頷きを返すニイヅキ。――たぶん、こちらも戦場での表情なのでしょうね、とシリンは思った。


 貰い集めた山菜料理を卓に置いて、皆でいただきます!
「きゃー♪ 良い香りよ! 山菜ってあんまり食べないけど美味しそう~」
 料理の数々にどれから食べようかな、とケイラが悩む。
「そういえば僕は山菜って初めて食べるかも? 苦いって聞くけど……」
 ニイヅキが箸で摘んだのは様々な山菜のかき揚げ。
 薄めの衣は山菜自体の食感を損なわず、それでいてサクっと。
「――、む、確かに少しだけ苦いのもあるな。でも、美味しい!」
「うんうん。イロハがオススメしてた、このタラの芽天ぷらもね、不思議な苦み~♪」
「これが癖になる味ってやつなのかな? 苦いものも美味しく頂けるように作る知識と技術って凄いよな」
 だがまだまだ奥深き味わい方がある。
 杏が卓上で手を伸ばし、ニイヅキとケイラにある物を届ける。
「天ぷらにはお塩。そしてつゆに大根おろしをのせるも良き」
「杏ちゃん、おつゆと大根、みっけたんだー」
「んむ、だしのきいたおつゆ」
 アキの言葉に杏はこくりと頷いた。その手にはマイお箸とマイお茶椀。
「杏ちゃん、隙がないね~。大根おろしチョーダイ♪ あ、こっちのこしあぶら? とタケノコの卵とじもおいしーよ」
 食べる、食べるよ、と杏とニイヅキが口々に呟いた。
「天ぷらか卵とじで現代人に向いてる華やかな味付けになるんだっけねー」
「そうなのですか?」
「うん、卵の方は口当たりやわらかじゃん。って、カービンせんせーはあんかけだ」
「はい。まろやかで美味しいですよ」
 れんげで豆腐の山菜あんかけを食べていたシリンはそのまま山菜がゆへ。
「あっ、いいなぁ、オレちゃんも何かご飯……」
「炊き込みご飯があったりするよっ」
 ずずいっとケイラがおにぎりいっぱいの大皿を中心にずらせば、食べる、食べるよ、とアキと杏とニイヅキ。
「美味しい~♪」
「ほんとー、おいしー」
 ケイラとアキがにこにこと食べて、一方のシリンは中華風アレンジの蕗味噌で季節を堪能していた。
「ほお、これは……」
 苦みがたまらない、ご飯にも合う、野菜にも合う、お肉にも合う、まさしくご飯泥棒である。ということは、当然。
「お酒のアテによさそうですね」
 そう呟いて、ちらっと酒宴の席を見遣る。
「ここで楽しめないのは残念ですが……」
「カービンせんせー、お茶おいしーよー?」
「ええ、ありがとう、アキ」
 応えて差し出されたお茶を受け取るシリン。
「これから一働きあるのですから、お酒は後のお楽しみにしておきます」
「シリンはお酒が好きなの? あたし、さっき『地酒』とやらを見かけたわっ」
「……ケイラ。後で案内を頼みます」
 現地調達。お酒、持って行こう。
 そんな風に三人が話す横で、食いしん坊の二人と言えば黙々と食べ続けていた。
 いや、会話をちゃんと聞いていて、それなりに話に参加している『つもり』の二人だが、チョット今忙しい。
 ふきのとうに春筍、そして舞茸に、菜の花。あと、ちょっとそこの汽水湖のキスなるお魚――杏が一軒一軒を回り、調達してきた食材の数々。これらは天ぷらとなっている。とり天もある。
(「杏」)
(「ニイヅキ」)
 と目と目で会話して、美味しさに心で手と手を取り合っていた。
「んむ、山菜おこわは爆弾おにぎりのこれを、3……や、10個程よろしい?」
「あ、僕は、普通サイズのおにぎりを。もう20個くらい……食べちゃ駄目かな?」
 ……。
 …………ちょっぴり恥じらう乙女の如く、二人が言った。言い方に差はあるが大体同じ量になるだろう。魂の姉妹かな???
「二人ともすごーい、たくさん食べるのね」
 感心したケイラの声がキラキラとしている。
「――ケイラ、甘味をいただきましょう」
「はいはいっ、わらび餅あるよ。めっちゃぷるぷるしてんのこれ!」
 お腹いっぱいになってきた三人が食後の甘味へと移る。
「山菜ってーと地味なイメージあったんだけど、わらび餅って山菜の仲間? マジで?」
 え、マジで??? と、もっかい不思議そうにアキ。
 その名の通り、わらびの根を粉にして作られたここのわらび餅は土色で出来立てだ。
 初めて知ったわ、とアキに頷きを返しながら、わくわくとケイラが口にはむりと。
「……美味しい! ぷるぷる弾力……! ――帰りにまた寄ってお土産にしたいくらい~♪ ほっぺが落ちそうって、こういうことを言うのね」
 きなこと糖蜜を絡めた甘味は絶品であった。
「モチ、口ン中で溶けてくね。ね、これわらびっていうかさ、スライムみたく山ン中をぽよーんぽよーんと……は、さすがにナイ?」
「キマイラフューチャーだとワンチャンあるかも!」
「あるかもなんだー。コンコンコンで出て来たらカワイーんだろーね!」
「カワイイ……? まあ狩りますが」
 ほのぼの? としたアキとケイラの会話に、ぽそりとシリンが呟いた。
「でも、コンコンコンで手に入る料理も、本当は手作りのものなの」
「相変わらず不思議な世界ですが、飢えがないということは良いことです」
 そんな風にのんびりと会話をしながら、ゆっくりと食べていると、様々な料理を食したニイヅキと杏がデザートコースへと入ったようだ。
「ん! これも美味しい!」
 口の中でほろほろと溶けゆくわらび餅にニイヅキは幸せそう。
「んむ、わたしはよもぎ団子」
(「口に入れたら広がるよもぎの香り……至福」)
 頬をぱんぱんにした杏はリスのようになっている。阿吽の呼吸でニイヅキにもシェアされ、そっちもリスのようになっていった。


「あの、あの、全てのめにゅうを頂きたい」
 遠慮がちに村の人たちにお願いをする杏。
 手を組み、キラキラと瞳を輝かせ、わりとガチな踏み込み食力士の魂を少女は持っている様子。とっても美味しかった!! と全身が言っている。
「山菜菓子を忘れないようにしないといけませんね」
 と、シリンが頷き、その横で山菜菓子と山菜おにぎりをゲットする杏。
 風景も満喫するケイラはご機嫌で、どこかで奏でる猟兵の音楽に合わせて歌を披露する。その手には包まれたお土産のおにぎりが。
 アキとニイヅキは春の香り立つお茶を飲み、のんびりとした時間を過ごした。
 様々な山の幸を満喫し、ごちそうさまと猟兵たちが席を立つ。
「腹ごしらえも済みました。さて、行くとしますか……」
 シリンの声はちょっぴりふわふわとしたものに。確りと地酒は貰い受けていた。
 新しく村に運び込まれる、採取したての山菜たち――桃源郷への道はそろそろ開かれる頃だろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

春・蕩華
 おまかせプレイング
『お姉さん、誰かを傷付けたり荒っぽいのは苦手なのよね〜♪』
『それより美味しい物を食べて仲良くしましょ〜♪はい、あーんして〜♪』
『ちゃあんともぐもぐ出来てすごいわ〜♪えらいえらい〜♪』
 温厚で戦いは苦手なお姉さん。相手がオブリビオン・フォーミュラだろうと攻撃せずに全てを料理で解決します。味方へ料理を作って支援。敵へは超絶品料理を振る舞い、平和的解決を望みます。

 【傾世飛天薄羽衣】へ身を包み、【狐火】で料理用の火を確保。【寵姫の虜眼】で【超級食材】と【大量の調理道具】を見つめて虜にし、自分で料理してもらいます。

 UCは指定した物を使用。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「旬のものを頂くのって、元気も出るし、身体にも良いことだし♪ うふふ、どんな山菜と料理があるのかしら? 楽しみね~」
 陽の差す桃花のように艶やかなピンクの瞳、黄金色の狐尾を揺らめかせ春山のふもとへと降り立つ春・蕩華(料理上手な妖狐の超級寵姫お姉さん・ダメ人間製造機・f33007)。
 美味しいものを食べるのは幸せなこと。
 それで食べたひとが笑顔になれば、蕩華もより一層の花開く笑顔になれるし、幸せを共有できる。
 このぽかぽかとした気持ちを皆に感じてもらいたい。
 彼女の愛は人にもオブリビオンにも分け隔てなく。
 そのために常日頃から、自身も美味しいものをたくさん知っておかねばならない。
 一軒一軒、春の山で採れた山菜の束を売る店を覗き、爽やかな香りを楽しむ。
「あっ、わらび♪ 花言葉は不変の愛だったわね。相手を思う優しさがたっぷりの山菜ね。――こちらは山ウドかしら。確か美容効果があったはず~」
「わあ、お姉さん詳しいのね。そうなの、山ウドはお肌つやつやになるんだよ」
 売り子をしていた少女が笑顔で蕩華の言葉に頷いた。
 そこから始まるのは美容トークである。ビタミンたっぷりなタケノコも美肌効果があるし、などなど。
 この付近で自生する植物たちは基本的に霊力を宿している気が、蕩華にはした。
 通りかかるお姉さんたちと心ゆくまで美容トークを繰り広げたあとは、少女と手を振りあって店を離れる。
「……はっ、商売上手な女の子だったわね~♪」
 ついつい、買いこんでしまったわ、と霊力の高そうな食材を寵姫の超級食材と一緒にして。
 別の一軒で振舞われた、こごみ、たらの芽の揚げ物を少し摘んで、山菜の苦みと仄かに混じる甘味を楽しむ。
「わらび餅とくず餅もあるのね~」
 根を粉にした山菜の餅も出来立てだ。ぷるぷるとしたものなのに、口に含めばすっと溶けていく。糖蜜ときなこと、好きな物をかけても美味しい。
「うぅ~ん、至福の食感ね。誰かに振舞いたい気分だわぁ~♪」
 春の皿には苦みを盛れ。
 常にその人の為だけに作った絶品料理を振舞う蕩華はそんなことわざを思い出した。彼女の作る料理の品々は相手の体調や栄養バランスに添ったものばかり。
 世界であなただけのために作った一品を。
 誰かのために、適した食材の知識を深めるのは彼女の生き方のひとつだ。
 きっと今日知ったものも食べたものも、いずれ誰かのための料理となるのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
レク(オブリビオン退治)つきで、
山菜と温泉なんて、なんだか申し訳ない依頼だね!

普通に食べ歩きがいいかなって思うけど、
大食い大会っぽくなちゃいそう(笑)

って、ダメダメ。
今回はいちごさんといっしょなんだから、
はしたないところは見せられないっ。

レディの慎みだよね!

ということで、
いちごさんの前では少なめにしておこう。

わさびおろしそばは必須として、
一品料理は天ぷらとおひたしがいいかな。
これなら、あーん、できるもんね!

「いちごさん、はい、あーん」
今日はわさびは控えめだよ!

わたしにも!?
あ、味とか解らない……!

イロハさんへのお土産は、もちろん山菜の砂糖菓子。
ロシアンでワサビ山菜が入っているのがご愛敬だね!


彩波・いちご
理緒さんと

山菜も温泉も楽しみですね
戦いもありますけど、そこ以外は、2人でのんびり楽しみましょう
…食べ歩きは、しないんです?
折角の美味しい山菜、もっと食べてもいいと思いますよ(くすっ

理緒さんは妙に遠慮しますけど、私はせっかくなので山菜料理のお手本に
色々食べながらレシピを想像しましょう
寮でも作れるかどうか考えつつ

それにしても、わさび料理豊富ですね
わさび丼とか理緒さん好きそう…?

そんなことを考えてたら、不意にあーんと差し出され
つられてパクっと
「あ、これ美味しいですね」
理緒さんにしてはわさび控えめですけど…私に合わせてくれたです?
お返しに私もわさび丼を一口あーんと

お土産に色々持っていきたいですねぇ



「良い景色ですね~」
 冬はとうに過ぎ、春から初夏へと移りゆく山の色は少しずつ明るくそして深みを増していく。
 そんな季節折々の風景を眺め、ほのぼのとした声で彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が言った。
 けれども香りは自然のものではなく、美味しそうなものが漂っている。
「山菜も温泉も楽しみですね。桃源郷へと入れば戦いもあるようですが、それ以外の時間は、二人でのんびりと楽しみましょうね」
「うん。いちごさんと一緒にのんびり、すごく楽しみにしてるんだ」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はにこやかに応じながらもどこかそわそわとしている。
 彼女の視線の先へといちごが目を向ければ、美味しそうな香り漂うものたちが。
 一軒は鉄鍋に揚げ物、一軒は大きな釜が。木蓋から蒸されるご飯の匂い。
「お、おいしそうな香りが……してますね」
「……理緒さん。食べ歩きは、しないんです?」
「し、したいけど、ちょっと待ってね。深呼吸して落ち着くから」
 気を抜けばあれもこれもと手を出してしまいそうだ。理緒は必死に、うずうずとする心を落ち着けている。
 理緒の様子にいちごはくすっと笑みを零した。
「折角の美味しい山菜、たくさん食べてもいいと思いますよ」
「ううっ」
 ぐらんと揺れる理緒の決意。
(「って、ダメダメ。今回はいちごさんといっしょなんだから、はしたないところは見せられないっ」)
 乙女心が待ったをかける。
(「レディの慎みだよね!」)
 ――ある意味地に足ついてなさそうな彼女の様子に、続きくすくすと笑み零しながらいちごが手を引いて誘導する。若干上の空となっている理緒は気付いているのかいないのか、ふわふわとした足取りでついていった。


「蕗味噌ですか――色々なものに合いそうですねぇ」
 野菜にはもちろん、ちょっとした苦みと辛みのある蕗味噌は蒸したものにも合いそうだ。
 いちごは様々な山菜料理を食べていく。
 山菜を刻んでつくねにしたものや、おひたし。
 アク抜きで栄養素が抜けてしまうことが多い山菜は、その工程を控えめに、下処理の少ない天ぷらが最も上手に栄養を摂取できるらしい。
 揚げたての天ぷらはザクッ、サクサクと食感。爽やかな山菜の香りが立つ。
「旬のものは栄養もたっぷりですし、寮の皆さんにも是非食べてもらいたいですね」
 食べながらレシピを店の人に教えてもらったり、考えたりするいちご。
「わさびのおろしそば、おいしい~」
 理緒はわさびを利かせ、辛い大根おろしをのっけたそばを食べて喜びの声。
 わさび葉を巻いたおにぎり、醤油漬け、おひたしといった和え物。
(「ここで振舞われるわさびは、レシピも豊富ですね。わさび丼とか理緒さん好きそうな……?」)
 ほかほかの炊きたてご飯にかつおぶしとすりおろしたわさび。絶品のひとつ。
 魚の漬けを添えたらもっと美味しくなるだろうかといちごが考えていると、その時、ふわりと揚げ物の香りが近付いた。
「いちごさん、はい、あーん」
 ほわっとした微笑みを浮かべて理緒が差し出し促したものを、何の疑いもなく口に入れるいちご。――理緒の笑顔に誘われてしまったのだろう。それが食べ物だと気付いたのは咀嚼し始めた時だった。
「あ、これ美味しいですね」
 食べたのは葉わさび混じりのかき揚げ。
「――理緒さんにしてはわさび控えめですけど……私に合わせてくれたです?」
「えっ、あ、ば、ばれちゃった? 今日はわさびは控えめに、ね」
 理緒は頷き言った。
「では私もお返しに、はい、あーん」
「!? あ、あーん……」
 かつおぶしとわさび、ほかほかごはんを一口サイズにまとめてのあーん。
 頬を染めて咀嚼する理緒であったが、照れてしまって味が分からなくなっている。
「どう? 理緒さん好みで美味しいでしょう?」
「うっ、うん、オイシイ――」
 こくんと喉に通る段階でようやくわさびの味が。そして味の好みを把握されていることに気付き、嬉しいやら恥ずかしいやら。
「い、い、いちごさん……! あっちお土産があるみたいだよ」
 そろそろ御馳走様をして次に行こう、と理緒。
 山菜を束にして商人当てに売っていたり、干菓子、砂糖菓子や加工品と様々なものがある。
「ああ、温泉で摘むものも必要ですしねぇ。色々持っていきましょう」
「うん。あとイロハさんへのお土産にも山菜の砂糖菓子――あ、結構色んな山菜が使われてるね」
 そう言って手に入れたのは、様々な山菜菓子はロシアンゲームにもなりえるものだ。ワサビ山菜が入っていたりするのもご愛敬!
 干し果実ににんにくや塩、黒胡椒を効かせた辛めのグラノーラも寮へのお土産にしたり。
 ふもとの村でのんびりと山菜料理を満喫した二人は桃源郷へと向かう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
【橙翠】

大食い大会?
食いしん坊な自覚はあるけど大食いってわけじゃないんだよねー
まぁアヤネさんなら問題ないか
って…あれ?
まぁまぁ山菜も美味しいですよ
それに少しはお肉を使った料理もあるかもしれないですし
今まで食べたことがない異世界ならではの美味しい料理に出会えるかもしれませんよ
と宥めるながら大食いに挑戦

後半苦しくなるよりは
ペースを保ちつつ食べていった方が良さげ
んんー!このきんぴら美味しい
こっちの大根餅も美味
アヤネさんどうぞ食べてみて下さい

アヤネさん
しょっぱい物中心に食べてる…
アヤネさんアヤネさん
沢山食べるには味の違うものをバランスよく食べるのがいいそうですよ?

アヤネさんの胃ってどうなってるんだろ…


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

ハンバーガーやピザならいくらでも食べられるけど
山菜づくしの大食い大会って…
僕はお肉が食べたいのだけど
悲しげにソヨゴを見遣る

ジャンクフードで育ってきた僕にはヘルシー過ぎて毒なんじゃないだろうか?
つまり食べたことがないわけで

恐る恐る砂糖漬けを食べる
甘い
これはいける
続いて山菜味噌
にがー
あわてて砂糖漬けを口にする
ちょっとずつ
挑戦範囲を広げる

ソヨゴに勧められたものも食べてみる
ふむふむ珍味だネ

天ぷらに塩を多めに振ったものをおかずにおにぎりを食べるパターンが気に入っていつまでも食べ続ける
ソヨゴの意見を取り入れてバランスよく
山菜はヘルシーでいくらでも食べられるネ

えっ?食べ過ぎ?
ソヨゴは案外少食だよネ



 初夏の彩に染まる山景色。
 ふもとの村は旬の山菜の買い付けにきた商人や旅人も訪れているようで結構な賑わいだ。
「アヤネさん、折角だから? 大食い大会に参加してみます? メインは山菜料理みたいですよ」
 ちょいちょい疑問符を挟みながら城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)がアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)の腕を少し引き、声を掛ける。
(「食いしん坊な自覚はあるけど大食いってわけじゃないんだよねー」)
 という自己認識。
 でも、まぁ、アヤネは問題ないだろうという判断だった。
 けれども返ってきたのはどこかしょんぼりとしたアヤネの声だった。
「えっ山菜? ……ハンバーガーやピザならいくらでも食べられるけど……山菜づくしの大食い大会って……」
 僕はお肉が食べたいのだけど――しょんぼりとしたまま続く声。それと同じくアヤネの表情は悲しげだった。
「あれ?? まぁまぁアヤネさん、山菜も美味しいんですよ?」
 それに、と冬青は言葉を続ける。
「少しはお肉を使った料理もあるかもしれないですし。今まで食べたことがない異世界ならではの美味しい料理に出会えるかもしれませんよ」
「――山菜、山の幸、自生の植物をあれこれしたやつ。ジャンクフードで育ってきた僕にはヘルシー過ぎて、却って毒となるんじゃないだろうか?」
 端的に言うと『食べたことがないから食べるの勇気めっちゃいる』なのである。
 ピン! ときた冬青はアヤネの腕に自身の腕を絡めて引っ張った。食わず嫌いとなる前に挑戦、挑戦。
「よし、では旬の物を味わいましょう!」
「ソ、ソヨゴ。僕の話、聞いてる!?」


 食べ歩きも出来るなかであえての挑戦。
 卓を用意されて様々な山菜料理が出されていく大会。ルールは簡単、どんどん食べて皿を空けていけばよい。やってくる料理はランダムなので、二人一組で参加した冬青とアヤネは料理をシェアしていくことにした。
「私はきんぴらから行きますね! あとはおひたしと、コシアブラとタケノコの卵とじを」
「えっと、じゃあ僕は……コレ」
 恐る恐ると砂糖漬けを食べるアヤネ。十分にアク抜きがされた山菜の砂糖漬けは甘い。甘さしかない――否、ちょっとだけ苦みもあったけれど気になるほどではない。
「ん。これはいける。続いては、山菜味噌?」
 やっぱり恐る恐ると、ひとくち。
 すぐにアヤネの表情は大なり小なり(><)みたいになった。にがー。あわてて砂糖漬けを口にしての相殺。
 そんな彼女の様子をニコニコと見守るのは冬青だ。アヤネが挑戦しているのをひっそり応援していて、嬉しそう。
「アヤネさん。きんぴらも、こっちの大根餅も美味しいですよ。ほら、さっきの味噌もちょっとだけつけると――んんー!」
 美味しいっていう表情になる冬青。
「どうぞ、アヤネさんも食べてみて下さい」
 冬青の表情を見て、料理を見て、何かを確認したアヤネがオススメされた料理を少しずつ食べていく。
「……ふむふむ珍味だネ。この丸いのは何だろう?」
「葉わさびで包んだ酢飯でしょうかね」
 そんな風に考察したり確認したりと食べていく二人。


 冬青のお腹がいっぱいになった頃に、アヤネは好みのものを見つけたようだ。
 山菜の天ぷらやかき揚げに塩を多めに振って食べている。それをおかずにして、おにぎりを食べるパターンが気に入ったのだろう。
 サクサクな揚げたて山菜天ぷらと、とり天と、米粒ぎっしりのおこわおにぎりを交互に食べている。
 放っておくと延々と繰り返されそうなターン。
(「アヤネさんってば、しょっぱい物中心に食べてるー……」)
 これ、フライドポテトとかフライドチキン、ライスバーガー感覚では?
「アヤネさん、アヤネさん、たくさん食べるには味の違うものをバランスよく食べるのがいいそうですよ?」
「んむ? バランスよく――うん、わかったよ」
 そう言ってきんぴらに箸を向ける。苦みのない山菜サラダを食べれば、口の中に満ちていた塩気が一掃された。
「ジャンクフードと違って山菜はヘルシーだし、いくらでも食べられるネ」
 だよね? 的な聞き方だった。
「え、でもそろそろ食べ過ぎの域だと思いますよ」
 春茶葉を使った、香り立つお茶を飲みながら冬青。
「えっ? もう? 食べ過ぎ? そうかな?」
 凄く心外っていう表情になるアヤネ。
「――ソヨゴは案外少食だよネ」
「私は普通ですよ。普通」
 答えながら冬青はすらりとしたアヤネの身体――特に胃とお腹辺りを見つめた。
(「アヤネさんの胃ってどうなってるんだろ……」)
 異空間に繋がったりしているのかなトカナントカ、思ってしまう。
 きっと永遠の謎だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神元・眞白
【SPD/割と自由に】シンさん(f13886)と一緒に
久しぶりのお出かけは新しい世界に旅行ですね。
こういうときはその土地のお勧めをもらうのが一番です。
今回は山のお話ですから山菜料理をいただきましょう。

でもこれだけの量、全部回って楽しむのは大変です。
私は少しずつもらって……魅医とシンさんでいっぱい楽しんでもらいましょう。
種類も多いのでいくつかお土産もいいですね。包んでもらえます?
2りともいっぱい食べますから好きなものを見繕いましょう。

もう少ししたら山登りもあるので村の方からお話も聞いておきましょうか。
ちゃんと準備をしてから登ることを考えて……でも今はこの場を楽しまないと。


シン・コーエン
SPD

眞白さん(f00949)と

山菜尽くしの料理から甘味まで沢山あるなあ。
大会で勝つよりも眞白さんと山菜料理を楽しもう。

なので眞白さん、魅医ちゃんと一緒に食べ歩き。
シン個人としては天ぷらや卵とじに興味を持って色々と試してみます。
上品でほろ苦い感じが飽きずに美味しく頂けるなあ♪と楽しむ。

眞白さんの好みの料理は何だろう?
「眞白さんは肉食派?それとも草食派なのかな?」
後者なら山菜は好きそうなので、食べて美味しいと思った料理を勧めます。

🍙頂いたら、次は甘味だ。

この後で戦闘なのだから、今は眞白さんと一緒に料理を楽しもう。
最後に、現地(桃源郷)の情報は村の住民に聞きますよ



 封神武侠界は自然の豊かな世界だ。
 初夏へと向かう山の彩は少しずつ深くなっていく、そんな季節。
 神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)は山から下りてくる霊気豊かな風を受けて微笑んだ。
「久しぶりのお出かけですね。山の幸と、温泉、ちょっとした旅行となりそうな気がします」
「旅行か。それじゃあ現地ならではの郷土料理を楽しむことにしよう。山菜尽くしの料理から甘味まで、たくさんあるみたいだ」
 ほら、とシン・コーエン(灼閃・f13886)が村を示す。
 村の広場で開かれる大会とはまた別に、振舞われた料理を食べ歩いたり、席について食べる場も用意されているようだ。
 一軒は揚げ物、一軒は蒸し物、一軒は甘味と様々な山菜料理を振舞う村人たち。
 何から食べれば良いのか迷ってしまいそう。
「この土地のお勧めをもらうのが一番ですね――魅医も楽しんでね」
 人形-戦術器-『魅医』に声を掛ければ、一瞬きょとんとあどけない表情を見せたあと魅医は頷いた。

 揚げたての山菜の天ぷらは噛めばザクッと、サクサクと。
 苦みがありながらも塩やタレという調味料もあって味を変化させることもできる。
 ピリッとした葉わさび混じりのかき揚げ。
 コシアブラとタケノコの卵とじは、柔らかな卵が苦みを中和していて、あんも追加すればあんかけ卵とじに。
「上品でほろ苦い感じが飽きずに美味しく頂けるなあ♪ 魅医ちゃん、そっちのつくねはどう?」
 シンが声掛けた魅医は、山菜を刻んだつくね串を美味しそうに食べている。
 たくさん食べる二人とは反対に少しずつ食べているのは眞白だ。
「こちらはおにぎりでしょうか――いくつか種類があるのですね」
 お土産に良さそうと思った眞白は、振舞っていた村の者に包んでもらうよう頼んだ。
「葉わさびに包まれた酢飯の握りは香りが爽やかですね」
 山菜の砂糖菓子やたらの茶葉。
 様々なものがあってそれらもお土産に包んでもらう眞白。
 物に対して分け隔てなくやり取りをする眞白の様子に、彼女の好きなもの――好みの料理は何だろう? と、シンはふと思った。
「眞白さんは肉食派? それとも草食派なのかな?」
「――そう、ですね」
 どちらがどう、というわけでもなさそうだ。
「本日は山の幸を頂きに来たのですから、山菜料理を楽しみます」
 眞白の言葉に、それなら! と笑顔になるシン。
「蕗味噌のつくね、美味しかったよ」
 オススメした山菜の一品を食べた眞白がほんのりと表情を綻ばせると、あれもこれもと勧めたくなった。

 わらび根の粉のみで作ったわらび餅の色は土色。ぷるぷるとしたそれは口の中に入れればすっと溶けていく、優しい食感だった。
 糖蜜やきなこと一緒に食べれば、新しい味に出会う。
「うん、これも美味しいなぁ♪」
「シンさん、こちらの葛餅もおすすめですよ」
 シンと眞白、魅医は甘味を頂きながら、山の情報も集めていく。
 曰く、毎年この時期のお山は鳥の訪れが多いのだとか。
 山菜が多く採取され、霊気や神気といったものが食材とともに流れていく。
 桃源郷への道を見出す仙人たちが訪れやすい環境となるのだろう。
「山を登って、鳥を目印にすれば良いのでしょうか?」
「なんとなく気配で無意識のうちに気付いてても、村の人たちは桃源郷のことを認知していないんだな」
 オブリビオンが占領している桃源郷に入るには、少し山を登らなければいけないようだ。
 村で情報を仕入れながら、引き続き、三人は山菜甘味を楽しんでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶/2人】
山菜料理の大食い大会かぁ、春らしくていいね
俺たちも行こうよ、梓っ
梓の服をぐいぐい引っ張って会場へ

まずは山菜の具沢山おにぎり
一口かじる度に細長い山菜がぴょこっと顔を覗かせるのが楽しい
おにぎりってお茶碗によそったご飯よりも
たくさん食べられるから不思議だよね
梓はすっかり料理人目線だなぁ
いつか梓も作ってくれるかな、と楽しみ

次に貰ってきたのは天ぷら
俺、山菜の中でこの丸いやつが好きだな
くるんとした形が可愛らしいじゃない
これ、なんて名前なんだろう?
スマホ取り出して調べてみる
…えーと、わらび?こごみ?ぜんまい?
似たようなのが色々出てきてよく分からない…
村の人に聞いてみたら説明してくれるかな?


乱獅子・梓
【不死蝶】
はしゃぐ綾にはいはいとついていき

山菜も色んな調理法があるんだな…と感心
夕食のメニューの参考になりそうだ(料理男子
綾と一緒に食べ歩きながらメモしていく
詳しい調理法や隠し味なんかも村人に聞いてみよう
気に入ったものは持ち帰りもしたい

見た目の可愛さならふきのとうもなかなかいけてると思うぞ
花のような形のふきのとうの天ぷらを一つ取りパクリ
可愛らしい見た目に反して独特の苦味があるが、これがまた癖になる
酒も欲しくなってくるな…あるか聞いてみるか

おっと、お前たちも欲しいのか?
おねだりしてくる仔竜の焔と零にも天ぷらを食わせてやる
更に自分も食べて、メモして、持ち帰り用も用意してもらって
てんてこまいの忙しさ



 山景色は青々とした移り変わりゆく。山から下りてくる初夏へと向かう風は爽やかなもので、けれども村へと入った途端それは芳しい香りに塗り替えられる。村人たちが振舞う山菜料理の美味しそうな匂い。
「山菜料理の大食い大会かぁ、春らしくていいね」
 どこかからりとした声で言った灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)の服を引っ張って村中を歩く。
「俺たちも行こうよ、梓っ」
 はやく、と。ぐいぐい服を引っ張るしぐさは子供のようで、はいはい、と梓はついていった。
 客人のための卓を構えられた場所もできるが、ここは思いっきり楽しむべきだろう。端から端という勢いで一軒一軒で振舞われる山菜料理を楽しんでいく所存であった。
「蒸しご飯の良い香りがするね」
 拱手をした綾が言えば、そうでしょう、と頷きながら村人が大釜の木蓋を開けた。ふわりと香り立つ炊きこみご飯。
 具だくさんの山菜ごはんをおにぎりにしたものを貰って、いただきます、と早速綾が頬張った。
「んー、おいし。おにぎりってお茶椀によそったご飯よりも、たくさん食べられるから不思議だよね」
「食べてて楽しいもんがあるよな」
 梓も頷き、おにぎりを食べる。おこげのついたものがあれば、何だか当たりをひいた気分。
 一口かじる度に細長い山菜がぴょこっと顔を覗かせるのが楽しくて、綾は一つ二つとおにぎりを食べていく。
「――ん? これは中に味噌が入ってるな」
 梓が食べる二つ目のおにぎりは味噌入りだ。
「ああ、それは蕗味噌ですよ。苦みがあるのですが、味噌の味によって色々味も変わるので」
 焼味噌にしてみました、と村の人。
「へえ。他の料理にも使えそうだな」
 蒸し野菜や炒めものにも合いそう。
 あとは葉わさびで包んだ酢飯など、様々な山菜のレシピを村人から教えてもらう梓。
「梓はすっかり料理人目線だなぁ~」
 いつか作ってくれるのかな、と綾は密かな楽しみを持った。
 次に訪れた一軒では揚げ物を振舞っている。
 色々な山菜を使った天ぷらの盛り合わせ。とり天つきだ。
 纏う衣は薄く、山菜の形も楽しめる。
「色んな山菜が在るけどさ、俺、山菜の中だとこの丸いやつが好きだな」
 そう言った綾が示したのはくるんとした形の山菜。
「鍵? っぽいよね。可愛らしいじゃない」
「見た目の可愛さならふきのとうもなかなかいけてると思うぞ」
 蕾のまま丸く揚げているものもあれば、開いた花のような形で揚げているものもある。後者を持ち、梓がぱくりと食べる。
 ザクッとした最初の食感から始まり、サクサクと。
「可愛らしい見た目に反して独特の苦味のあるが、これがまた癖になるな」
「あっ、お客さん、塩あるよ」
 村人が勧めてくれた塩をふりかければ、また一風違った味。
 かき揚げもあってそれも頂くことにした。
 と、ここで梓の肩や背中に引っ付きながら、時に離れてうろちょろとしていた仔竜の焔と零。梓の髪を引っ張り、乗っている肩をぱしぱしと尾で叩き、おねだりのしぐさ。
「おっと、お前たちも欲しいのか?」
「キュ」
「ガウ!」
 当たり前! とでも言うような仔竜たちの即答に苦笑して、梓がかき揚げを半分に割って与える。
 一方、スマートフォンのアプリを開き、今食べている山菜の詳細を調べる綾。
「……? あれ、似たような形がいくつかあるんだね。……えーと、わらび? こごみ? ぜんまい?」
「う~ん……綾の持ってる天ぷらは何かいかついから、こごみに一票」
「そうだね、少なくともわらびじゃなさそう」
 村人に尋ねてみれば、こごみだと答えが返ってくる。
 正体が分かってすっきりだ。綾もかき揚げを貰って食べる。
「――凄く、スッとするんだけど」
「あ。葉わさび入ってるな、ソレ」
 かき揚げは色んな山菜を混ぜているので、結構ランダムのようだ。人参と玉ねぎの甘みをより感じた。
 おにぎり、かき揚げ、つくねと食べていくと小休止に挟むお茶では満足できない気分になってくる。
「酒も欲しくなってくるな……」
 ぽそりと梓が呟いて、とある一軒に向かった。村を観察していれば男衆の様子が目に入り、あたりを付けていた一軒だ。
 そこでは地酒が振舞われていた。
「あれ? 梓、飲むの?」
「少しな。チョットダケ」
 食べて、聞いたレシピをメモして、目に付いた山菜の束を買い、持ち帰り用の山菜料理も包んでもらって――さらには仔竜たちに食べ物を与え、自由気ままに歩く綾を捕獲し、と梓はてんてこまいの忙しさだった。
 濁りのある辛い酒を一杯。口の中に溜まった塩気が一掃され、息を吐く。
「梓、梓、きんぴらも美味しいよ」
 新たな山菜料理を見つけた綾の声に、はいはい、と再び答えて梓が向かう。
 筍やこしあぶらなどの煮物、卵とじと振舞われている山菜料理を食べていく二人。
 仔竜たちはお腹いっぱいになって満足したのか、梓と綾の肩で休み始めていたり――のんびりと、旬の食材を楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
POW

これは食べまくるしかないでしょう!(キリッ
【大食い】としては食べるっきゃない!
大食い大会があるなら、そこに参加するしか選択肢はないな!
普段はあまり食べ過ぎると周りに引かれるから遠慮しているけど、この時ばかりは【リミッター解除】でいいかな?
「大会」という事は挑戦者は何人も居そうだしね
こういう誰かを傷付けない戦いなら俺も張り切って参加出来るというものだ

【継戦能力】を重視しつつ大食い大会という名の【決闘】に挑もう
お腹が膨れて来たら「はらぺこ」【属性攻撃】を自身へ叩き込み空腹状態へ



 封神武侠界。
 恐らくは霊山と思われる、山のふもとの村では今、盛大に山菜料理の数々が振舞われている。
 豊かな山で育った食材を食べれば英気も養われるというもの。
 どこかシリアスな表情で村へと降り立った鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)が、香ばしい匂いに誘われるようにゆっくりと村内を見回した。
「これは――食べまくるしかないでしょう!」
 キリリとした表情で、声で宣言する。
 ということで大食い大会に参加だ!
「はい、一名様ご案内です!」
 ルールは簡単、出てくる山菜料理を片っ端から食べてコメントをつけていくというもの。
 そのコメントは山菜の売り出しの一言にも採用される――わりと、村が語彙を客人に任せる感たっぷりの催しだった。
 優勝、準優勝、優秀者には「たくさんのコメントありがとう」的な景品もあるようだ。
「兄さん、そんなナリで大食いか? こりゃ負けるわけにはいかねぇな」
 屈強な男がひりょの横に座り、見下ろしてくる。
「俺も負けないよ。お互い、たくさん食べようじゃないか」
 反対側にはおじいさんが座った。
「ふぉふぉふぉ。わしは、隣の隣の村の者じゃがな。ここの山菜を毎年楽しみにしてるんじゃぁ」
 負けぬぞぉとおじいさん。
 参加者と話をしていると、次々と料理が運び込まれ始めた。
 山菜のおにぎりは山のように。炊きこんだものもあれば、麦飯に蕗味噌を具にしたもの。
 天ぷらの衣は薄く、山菜の形や味を活かした揚げたてを。サクサクとした衣と、山菜の食感、そして苦みが味わい深い。
 きんぴら、煮込みには更にハリのあるタケノコも一緒に。
 そんなタケノコとこしあぶらの卵とじは、卵も新鮮なものを使っているのだろう。
「まろやかで優しい味だね」
「ハイ! まろやかで優しい味のお言葉、頂きました!」
 村人が早速とばかりにひりょの感想を復唱した。
「葉わさびの酢飯握りもな、清涼たる清流の如し」
 屈強な男も負けじと感想。
「ははは、こうやって和やかに一緒に食べる大食い大会も楽しいなぁ」
 そう言いながらもひりょの手は止まらない。
 普段は食べ過ぎると周りに引かれるからと遠慮をしているけれど、この時ばかりはリミッター解除。大食いの本領発揮だ。
 この場にいる皆も大食い。ある意味、魂の兄弟みたいなものかもしれない。
 感想言うべしとの規約により口の中をある程度休めていかねばならないが、それが一呼吸となるのか、ペースよく食べていくひりょ。
(「こういう誰かを傷付けない戦いも、良いな」)
 そしてお互いが遠慮なく高め合うことができる――感想の語彙は皆似たようなものだが、料理のおいしさからくるそれは心からの賛辞だし、言う者も聞く者も笑顔になっている。


 ひりょは落ちないペースで食べていく。おじいさんは既にお茶をゆっくり頂き一服している。
「若いのはたくさん食べられて良いのぉ」
「まだまだいけますよー」
 刀削麺を食べるひりょ。もちもちとした食感が魅力的な大きな麺だ。麺というよりはワンタンに近いかもしれない。
 お腹が膨れて来たらはらぺこなる一撃を自身へ叩き込む。それがひりょの継戦能力なる秘術(?)なのだろう。
「まだ食うのか??」
「はい。でも語彙はもう売り切れですけど。わらび餅、口の中ですっと溶けてとても美味しいですね! それまでがもっちもち~なのが不思議なくらい」
 もっちもち~。
 ちょっとリズムを付けた言葉が、そこかしこで上がっていく。
「兄さんは不思議な言葉を使うなぁ」
 屈強な男が、ちょっと楽し気に言った。


 村で行われた大食い大会は、そのお腹のどこにあの量が入るのか、というレベルのひりょが当然優勝となった。景品は山菜のお茶、茶器一式と、今日参加者たちが紡いだ感想の詩歌だった。
「これ、皆さんの美味しいが詰まってる言葉ばかりですね」
 ぽかぽかとしたまさしく暖和起来な単語と詩の数々にひりょが微笑み言う。
 最後はもちろん、皆で御馳走様! と笑顔で拱手をしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【菊】

山菜狩りってしてみたいんだけども
素人が野草とか難しいのかなって
だから採れたて山菜楽しみだ
兄さん山菜大丈夫?
何が好き?
やっぱ天ぷら?
俺たらの芽のが好きだ

苦味!
大人じゃん
俺も山菜のは大丈夫だけどさ

ひとまず炊き込みご飯貰お
あっ旨
出汁がいいなコレ
きゃらぶきとかもいいよな
山菜おこわも食いたい
あれこれ手に

飲み込み
そんなへましねぇし

見て見て兄さんすげぇ!
麺削ってる
かっけぇ
初めて見た
兄さんもあれ出来る?
やってみたいのか
楽しみにしてよっと
たらの芽天ぷら乗っけた奴
それくれ
兄さんも食う?

麺太っ
でかっ
食べ応えあるな
天ぷらも美味い
さくさくともちもちだ

砂糖漬けいいな
一口交換して
麺手渡そうと

初めて来たけど
いいとこだな


砂羽風・きよ
【菊】

山菜狩りも楽しそうだな
意外とやってみたらハマっちまうかもな?

俺も山菜は好きだぜ
煮物に天ぷら、炊き込みご飯最高だよな

俺はそうだな
ふきのとうとか好きだぜ
あの苦みがいいんだよなぁ

俺も炊き込みご飯貰おうかね
お、ほんと旨いな
後でレシピ聞いてみようかと考えていたら

理玖の姿を見てくつりと笑う
はは、理玖。喉詰まらせるなよ?

うおお、スゲーな!
いや、いつかやってみたいと思ってたんだが
まだやったことなくてな
くそ!俺もなんか作りたくなっちまったぜ

んじゃ、理玖それ後でひとくちくれるか?
俺はこっちの山菜のきんぴらと砂糖漬けもらうか

お、ピリッとしてクセになりそう
こっちは甘くてうめぇ
理玖、そっちもひとくちくれるか?

だな



 封神武侠界は豊かな自然に満ちている。
 地面は整えられているが剥き出しの土。コンクリートはもちろんなく、目線を上向ければ遮るもののない空。青く広く、そして初夏へ向かう山は青々と。
 爽やかな風の流れは村へと入れば美味しそうなものへと変化した。陽向・理玖(夏疾風・f22773)が見遣れば、一軒一軒が振舞う山菜料理の数々。
「山菜狩りってやつもしてみたいんだけども、素人が野草とか採取するのって難しそうだなって」
 そう思ってしまう。理玖にしてみればちょっと敷居の高い分野だ。
「だから採れたての山菜料理が食べられるって聞いてさ、楽しみなんだ」
「けど、山菜狩りも楽しそうだな。意外と、やってみたらハマっちまうかもな?」
 理玖の言葉に頷きながら、砂羽風・きよ(タコヤキカレー・f21482)が言った。
「そういえば、兄さんは山菜大丈夫?」
「おー。山菜は好きだぜ。煮物に天ぷら、炊き込みご飯とか最高だよな!」
「俺も天ぷら。たらの芽のが好きだ」
 ということで、早速天ぷらを振舞う一軒へと向かう二人。
 衣を薄く纏い揚げられたたらの芽は、サクッとした食感に結構な食べ応え。
「俺はそうだなー、ふきのとう!」
 結構好きなんだ、と言いながらきよが花のような形のふきのとうの天ぷらを、サクッ。
 揚げたて熱々の天ぷらが美味しい。そして何より、
「この苦みがいいんだよなぁ」
 天ぷらを頬張って、しみじみとしたきよの声。
「苦み! 兄さん大人じゃん」
「そう、実はもう大人なんだよ」
 改めてきよ。二十四歳。
「まあ、俺も山菜の苦みは大丈夫だけどさ」
「理玖。大人の階段はまだたくさんあるからな」
「え、何の話」
 などと若干話が逸れつつ、天ぷらを食べてかき揚げも食べてとしていると他のものも当然欲しくなってくる。
「ひとまず炊き込みご飯貰お」
「お、いいな。俺も炊き込みご飯貰おうかね」
 天ぷらの隣一軒はご飯を振舞う場所だった。十分に蒸らされたお米の良い香り。
「って、あっ、旨! 出汁がいいなコレ」
「ほんと旨いな」
 食べ盛りな二人、村人から振舞われるままにおむすびや葉わさびに包んだ酢飯握りと食べていく。
「きゃらぶき絶品じゃん」
 ふきの煮込みと一緒に食べる山菜おこわ、異なる味が口の中で香ばしく染み染みになっていく。
 あれこれ手にして食べる理玖の姿を見て、きよがくつりと笑った。
「はは、理玖。喉詰まらせるなよ?」
 と言えば理玖の目線だけが即応した。頬張ったものが喉を通り、「そんなへましねぇし」とややぶっきらぼうな答え。――リスがぷいと顔を背けたようなそんな感じに、きよが笑う。


 食べ歩いていると、路上パフォーマンスのように調理をする一軒を見つけた。
「見て見て兄さんすげぇ! 麺削ってる!」
 理玖が駆け寄った先には、村人が短刀で大きな生地を荒削り、鉄鍋へと投入していく姿。
「かっけぇ。初めて見た!」
「うおお、スゲーな!」
 刀削麺はその名の如く。無邪気な少年のように理玖の瞳が輝き、きよを振り返った。
「兄さんもあれ出来る?」
「いや、いつかやってみたいと思ってたんだが、まだやったことなくてな」
 屋台のきよしでやれば、きっと物珍し気にお客さんも楽しんでくれそうな――。
「くそ! 俺もなんか作りたくなっちまったぜ」
 すぱすぱっと削られていく麺生地に、くつくつと煮込む鉄鍋。削る速度も、放っていくペースもすべてが職人技で、そんな村人の動きをじいいっと観察するきよ。
「兄さんのパフォーマンス技、楽しみにしてよっと――あ、おじさん。たらの芽の天ぷら乗っけた奴、それくれ」
「はいよー」
 つゆは少量に、麺はたっぷり。揚げたての天ぷらを乗せて、お好きにどうぞな調味料を示される。
「兄さんも食う?」
「そうだなぁ。んじゃ、理玖、それ後でひとくちくれるか?」
 答えながらきよが、隣の一軒へと。
「俺はこっちの山菜のきんぴらと砂糖漬けもらうから」
「ひとくち交換だな!」
「そうそう」
 きよの食べる山菜のきんぴらは、鷹の爪混じりのピリ辛味。わらびやこごみといったぜんまい系とニンジン、歯ごたえたっぷりのタケノコ。
「ピリッとしてクセになりそうだ。こっちの――砂糖漬けも、甘くてうめぇ」
 真っ白いご飯が欲しくなってくるなぁときよ。
「こっちの麺、太っ。すげぇ、でか」
 食べ応えのある刀削麺。食感もどこかもちもちとしている。ほどよく染みた天ぷらの柔らかな部分と、つゆ少なめに故に多く残るサクサクの部分と麺――共に食べれば美味しさのハーモニー。
「理玖、ホラ砂糖漬け。そっちのもひとくちくれるか?」
「ん」
 食べ物をシェアして、お互いがゲットしていた山菜料理にやっぱり「うまっ」といった声が零れる。
「初めて来たけどいいとこだな」
「だな。旬の食材、豊富そうだよな」
 食べながら村人が言う『お山』を見上げた理玖が呟けば、きよも頷く。
 晋の時代が昔というのは分かるけれども、こうやって見たことのある食材と、その土地なりの食べ物に不思議と時の繋がりが見える。
 桃源郷に繋がるとされるお山で育った山菜は、日々戦いに明け暮れる猟兵たちの心や体を癒していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
この世界にも見知った山菜が沢山あるようですね
沢山食べられるので、食でも春を満喫できそうです
温泉も日頃の疲労を癒すのに良さそうです

倫太郎と手を繋いで巡ります
私は天ぷらを頂きましょう
それから山菜のおむすびと漬物も
天ぷらをおかずに、おむすびも楽しもうかと
ですが……刀削麺というものも気になっておりまして、迷いますね

倫太郎は何にしますか?
卵とじもいいですね
味付けが気になっておりましたが、とても美味しいです
これを参考に今度家でも作ってみましょうか
勿論山菜のおむすびも

持ち帰りは子供達用に包んで貰いましょう
山菜も頂けるのであれば是非に
ふふ、倫太郎が作りたそうにしていたものですから


篝・倫太郎
【華禱】
最近はほら、猟書家関連でバタバタしてたから
喰って運動して温泉でのんびりしようぜ?

いつも通り、手を繋いでのんびり巡る

はは、俺は天ぷらにおにぎりに汁物、かな?
あ!後は卵とじ!
俺、山菜の卵とじ好きなんだよなぁ
夜彦はどう?好き?

おにぎりはお持ち帰り出来るみたいだから
子供達のお土産にしようぜ?

あ!後、山菜って持って帰れる?
調理したのしか持ち帰りしちゃダメ?

天ぷら頬張りつつ、村の人に聞いてみよう

や、ここのには負けるかもだけど、
家でも食べたいって思ってさ

夜彦がにこにこしながら天ぷら頬張ってたから
対抗心出したとかじゃない
なーいーでーすぅ

やった!夜彦の山菜むすび!
俺、夜彦のお手製にぎりが一番好きだもん



 初夏の彩に染まる山景色。山から下りてくる風は爽やかなものであったが、村に入れば途端に美味しそうな香りに変化した。
 ふもとの村は旬の山菜の買い付けにきた商人や旅人も訪れているようで結構な賑わいの様子。
 いつも通りに手を繋ぎ、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)はのんびりとした歩みで村内へと入った。
「最近は猟書家幹部たちの対処で忙しかったからなー。今日はのんびりできるといいな」
 喰って、運動して、温泉でのんびりしようぜ? という倫太郎の言葉に緩く頷きを返す夜彦。
「温泉は良いですね。日頃の疲れを癒すのに良いかと――ですが、まずは食、ですね」
 そう言って一軒一軒の並びを見遣る。商人向けに束で売られている山菜の数々に目を止めて、ほう、と声を零した。
「この世界にも見知った山菜がたくさんあるようですね」
「ほんとだ。てか水場も近くにあるんだな」
 魚がある。と、空いた方の手で魚売りを示す倫太郎。汽水湖が近くにあるようだった。
 一軒では山菜おこわのおむすびを。
 隣の一軒では天ぷらを。
 村人が振舞っている山菜料理――特に天ぷらは揚げたてで、見ているだけでお腹が空いてくる。
 二人は早速食べてみることに。
 花のように開いたふきのとう、たらの芽、こごみと、薄く衣をまとった揚げ物は山菜の苦みも楽しめる一品だった。
 様々な野菜と山菜を混ぜたかき揚げには、一癖つける葉わさびが入っている。
「やっぱ揚げたてって美味いな!」
「そうですね。程よく歯ごたえもありますし」
 サク、ザクといった食感が何だか楽しい。塩をふってちょっぴり味に変化も付けてみたり。
 けれど天ぷらの他に、ごはんも欲しくなってくる。
 振舞われた山菜のおむすびはおこわだったり、蕗味噌が具として入ったものだったり。
「――おや、葉わさびの――酢飯でしょうか? それもありますね」
 葉わさびに包まれた握りもあったり。
「おむすび、ちょっと焦げたトコとか入ってんのも美味いよなぁ。夜彦、次はどれいく?」
 まだまだ食べ盛りな成人組の二人は、天ぷらをおかずに色々とご飯攻めをする様子。
「あとは漬物と――ああ……刀削麺というものも気になっておりまして、迷いますね」
 粗い麺生地を包丁で削って鍋に投入していくパフォーマンスを見て、夜彦が迷いの声。
「はは、俺は次は汁物、かな? あ! 後は卵とじ! 俺、山菜の卵とじ好きなんだよなぁ」
 こしあぶらとタケノコと、結構なんにでも合う卵とじ。色んな味付けやあんかけでバリエーションも豊富だ。
「卵とじもいいですね」
 夜彦が気になっている刀削麺。そして卵とじと攻略していく二人。
 麺はもちもちで、卵の方はまろやかな風味が山菜の苦みを抑えている気がした。
「夜彦どう? これ美味くね? 卵とじ、好き?」
 ぽんぽんと軽快に言葉を放つ倫太郎。その笑顔は無邪気なもので、夜彦は微笑んだ。
「ええ、好きですよ。味付けが気になっておりましたが、とても美味しいです――これを参考に今度家でも作ってみましょうか」
 砂糖で甘くしたり、あんかけにしてみたり。子供たちが喜びそうなレシピを呟けば、それいいな、と倫太郎も頷いた。
 子供たちへの土産にと山菜のおむすびを包んでもらいながら、倫太郎は「あ」と声を上げた。
「おじさん、山菜って持って帰れる?」
 天ぷらを頬張りながら尋ねてみれば、村人から「持って帰れますよ」と答えが返ってくる。
「商人さん向けにはああやって売り物としてまとめていますが、ほら、あっちの一軒では客人向けに山菜を振舞っています。この時期はたくさん自生していますからね」
 こうやって催しを開くレベルで採取できるらしい。
 夜彦は村人が口々に言う「お山」を見上げた。きっと霊山の一種なのだろう。
 というわけで山菜もお持ち帰りだ。ありがと! と村人に礼を言って、土産用のおむすびを貰ったり、色んな山菜を貰ったり。
「良かったですね、倫太郎」
「おう。や、ここのには負けるかもだけど、家でも食べたいって思ってさ。天ぷら、俺が揚げるよ」
 にっこり。
 笑顔といえども何やら含みのある表情に、もう一度、夜彦は彼の名を呼んだ。
「え、だって、夜彦がにこにこしながら天ぷら頬張ってたから――……対抗心出したとかじゃない」
「なるほど。私はてっきり」
「なーいーでーすぅ」
 つん。
 ツンデレみたいなことを言う倫太郎に、思わず夜彦も吹きだしてしまう。
「……こほん……。ならば私は山菜のおむすびを担当しましょうか」
「やった! 夜彦の山菜むすび!」
 にぱっとした笑顔になり、倫太郎は無邪気な声に。
 俺、夜彦のお手製にぎりが一番好きだもん! という、毎時毎分毎秒のデレ。
「ふふ、では天ぷらとおむすびと、卵とじ。家に帰ったら一緒に作りましょうか」
 台所に並んで立って。
 子供たちに振舞って。
 日常のちょっとした約束は、穏やかながらも心弾むものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『屍仙女』

POW   :    白骨仙女
自身の【美しい上半身の肉】を捨て【絡み合う白骨の身体を持つ怪物】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。
SPD   :    雲身变化
自身の身体部位ひとつを【雲】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    宝貝「芭蕉暴嵐撃」
自身が装備する【芭蕉扇】から【暴風】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【窒息】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 霊力の満ちる桃源郷へと至る道。
 村の人たちが言う『お山』は、きっと少し桃源郷と同化していて霊力が至るところで溢れているのかもしれない。
 豊かな山で育った食材を食べれば英気も養われるというもの。
 この世界のエネルギーを分けてもらったかのように感じながら、猟兵たちは山へと入り、登って行く。

 果たして、桃源郷へと入るには?

 曰く、毎年この時期のお山は鳥の訪れが多いのだという情報を、村である猟兵たちが得ていた。
 山菜が多く採取され、霊気や神気といったものが食材とともに流れていくこの時期は、桃源郷への道を見出す仙人や動物が訪れやすい環境となるのだろう。

 しばらく山登りをしていると、ある場所を避けるように鳥たちが飛んでいくのを見つけた。
 枝にとまり、遠巻きに見ているような――そんな感じだ。
 異変を感じた猟兵たちがその場所へと足を踏み入れれば、視界が切り替わった――否、世界そのものといってもいい感覚だ。
 穏やかな空、爽やかな風が吹き、桃の花咲き乱れるなかで微かに別の花の香。
「ここが桃源郷……」
 猟兵が思わずといったように呟く。
 美しいだけでなく、滞在した者の霊力も高めてくれる土地。
 けれども桃源郷は今、この世界にとって仇なるものが占拠していた。

「~♪ 今日はどんな温泉に入りましょうか。よもぎにしようかしら? しょうぶ? それとも、あちこちにあるもも湯? さっぱりハッカのお湯も良いですわね~」

 骨身の四肢を軽やかに動かして、屍仙女が桃源郷を行く。
 だが。
「……あら?」
 オブリビオンと化した瑞獣の仙女はこの桃源郷を独り占めしているが故に、直ぐに侵入者の気配に気付いた。
 飛翔した彼女は、猟兵たちの前に降り立つ。
「迷い子かしら? それとも仙人かしら? まあ良いですわ。サクサクッと殺してしまいましょう。わたくし以外の者は、全てわたくしの糧となるもの。今、息をしているだけでその生命力が無駄になってしまいますもの」
 ね、侵入者さん。
 わたくしのために死んで頂戴ね?
 ――美女なる悪しき仙女は、とても綺麗な笑みを猟兵たちに向けるのだった。
征・瞬
西嘉(f32676)と
結構山を登るんだな
む、私は女子供ではないのだが…
(しかし無下に出来ないので手を取って)
ああ、この辺りから桃源郷に入るようだな

人の世界にいるとはいえ私も仙人だからな
桃源郷を私物化されるのはいい気分ではない
罪人として裁かせてもらおうか

敵の攻撃を【仙術】【オーラ防御】で凍らせて防ぎながら
【高速詠唱】でUC咎力封じを使用
罪人は拘束させてもらう

敵の動きを鈍らせたところを西嘉に委ねよう
君の出番だ、存分に暴れるといい
私物化する罪人には骸に還ってもらおう


張・西嘉
征殿(f32673)と
山道が少々厳しいが征殿は大丈夫か?
あぁ、此処などは足元が悪いな征殿手を。
(手を差し出してしっかりと掴んで)

ん、あれがこの桃源郷を占拠しているオブリビオンのようだな。仙女と言うには禍々しいが相手にとっては不足なし。お相手願おうか。
だが…主に攻撃を向けるのは見逃せんからな。

UC【武侠の生き様】発動

瞬がUCで敵UCを封じるまでは常に【かばう】事ができるように待機【威圧】をこめて敵を見つめ。【武器受け】などで攻撃をいなし。

UCが封じられたところで【怪力】【なぎ払い】で攻撃。



 ――時は少し戻る。

 春を過ぎた陽気はじっとしていれば、ぽかぽかと暖かいものだがいざ動き始めてみると常人であるなら少し汗ばむものとなる。
 けれども難なく山を登って行く猟兵たち――何処か涼しげな様子は褪せぬまま、征・瞬は今まで辿った道程を振り返り、眼下に広がる景色を眺めた。
「結構山を登るんだな」
「――そうだな。しかし、山道が少々厳しいが征殿は大丈夫か?」
 足の止まった瞬に気付き、張・西嘉が声を掛ける。
「ああ、大丈夫だ」
 問題ないとひらり手を振るう瞬であったが、その手を追うように西嘉の手が差し伸べられた。
「この先は足元が悪いようだ。征殿、手を」
「む、私は女子供ではないのだが……」
 だが差し伸べられた手を無下にも出来ない。僅かな逡巡ののち、瞬は西嘉の手を取った。
 ひんやりとした己の手に西嘉の熱が伝わってくる。
 獣道といってもいい場所を進んでいくと、爽やかな風が吹き始めた――含まれる仄かな甘さは桃の香だろうか。
 は、とした様子で瞬は顔を上げた。
「ああ、この辺りから桃源郷に入るようだな」
 少しずつ進み、とある地点で進めた一歩が猟兵を桃源郷へと導いた。
 澄んだ空と、地平に広がる桃色の木々。涼やかな空気が肺へと入り込む。霊力に満ちた地は、訪れたその瞬間から猟兵たちを癒し、そして能力を高めていく。

 その恩恵を授かるのはこの地に入った者すべて。
 専有するオブリビオンが瞬や西嘉たちの存在が気に喰わぬという振舞いをするのも、オブリビオンにとっては道理というもの。
「さあ、さあ、わたくしの糧にしてしまいましょう。あんまり動かないで、さっくり殺られて頂戴な」
 我が強く、理不尽なことをのたまう屍仙女に瞬は呆れたような息を吐く。
「人の世界にいるとはいえ私も仙人だからな――桃源郷を私物化されるのはいい気分ではない」
 氷黎扇を開く瞬。その声と瞳は玲瓏。
「罪人として裁かせてもらおうか」
 そう告げた瞬間、敵がその身を解く。骨身である下半身を毒含む雲へと変化させたのだ。
「征殿!」
 青龍偃月刀を幅広く持った西嘉が滑りこむようにして前へと出た。逆手順手と繰って長柄を振るい、発生する風によって毒雲をなぎ払っていく。
「義侠心を貫かずして武侠は名乗れまい――仙女と言うには禍々しいが相手にとっては不足なし。お相手願おうか」
 西嘉が霧散させた毒雲は霧状となり、瞬が宝貝を扇げば氷粒。ぱらぱらと氷雫が地に降り落ちた。
「なかなかやりますわね。では、これはどうかしら?」
 屍仙女の肉という肉がぼろりと崩れた。滑らかな肌の下は腐敗した肉で、屍仙女が動けばぼろぼろぼとぼとと落ちていく。
 白骨化した身体を頭上に広げる暗雲。敵が芭蕉扇を振るえば落雷が落ちた。
「っ」
 氷の膜を幾重にも張り、雷を弾く瞬。
「罪人は拘束させてもらう」
 同時に咎力封じによって敵の白骨を捕縛した瞬はそのまま氷黎扇を払った。
 散開する力が刹那の氷層を作るなか、その真下を駆け抜けていくのは西嘉だ。
 一時的な拘束を受け、白骨化していた敵の身が再び受肉する。
「君の出番だ、西嘉。存分に暴れるといい」
「しかと承る」
 一気に彼我の距離をつめた西嘉がその前傾姿勢から踏み込んだ片脚へと軸を移した。身を捻り放つは下段からの斬り上げ。
 肉と骨を断つ一刀。長柄を弾けば、刃が返る。続く弧を描くなぎ払いが屍仙女の胴を斬り開いた。
「……まあ、痛い。なんて野蛮な侵入者たちなのでしょう。わたくしの玉のお肌がぼろぼろだわ」
 美しい顔を歪ませ屍肉を落としながら、屍仙女は猟兵を見据えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ケイラ・ローク
アドリブ連携OK

さすが桃源郷、さっきのご飯が美味しかったのもあるけどここの空気は特別ね
息をするだけで生きていけそう…そんな場所と温泉を独り占めはよくないわねっ!しかもめちゃ物騒な考え持ってるし!

あたし、戦いは苦手だけどさっきご飯くれた人たちのために頑張るわよ!

UCは招福行進
見た目は可愛いけどどんな環境でも向かっていく子達よ、あんたの窒息なんてこのコ達には効かない!行け招き猫たち、あいつの芭蕉扇も狙って!
(本体攻撃&牙でボロボロにするか纏わりついて扇振るのを妨害)
時間稼ぎでもいい
あたしはその間に
逃げ足、2回攻撃、乱れ撃ち、スナイパー活用してフラワービームで攻撃よ!
窒息には生命力吸収で耐えて戦うわ


箒星・仄々
桃源郷や温泉を独り占めとは
狭量ではありませんか

一人もいいですが
皆で一緒も楽しいですよ

貴女も蘇り歪まれた御方なのでしょう
お可哀そうに
海へお還し致します

竪琴を爪弾き
音色に織り込んだ魔力で風の繭を纏います
これで窒息を防御です

強い風ですけれども…

桃源郷に吹く
花々の香りを運ぶ風を借り受け
矢として放ちます

正面で暴風を迎え撃ち減弱しながら
側面から風圧を加え
暴風の風力を弱め風向きを逸らします

強い風は厳禁です
花が飛んでしまいますよ

暴風が静まったり凪いだ機に
桃源郷に満ちる陽の気を魔力とした炎の矢
太陽に炙られるのと同じですよ
芭蕉扇ごと仙女さんを炎に包みましょう

終幕
そのまま演奏を鎮魂の調べとします
海で静かな眠りを



 桃源郷へと辿り着いたケイラ・ロークが胸いっぱいに空気を吸えば、ほんのりと爽やかな桃の香。
「さっすが桃源郷、さっきのご飯が美味しかったのもあるけどここの空気は特別ね」
「ええ、ここのおかげなのでしょうね。山菜料理、美味しかったですねぇ」
 箒星・仄々も同じく、霊力に満ちた空気を楽しみながらにこやかに応じた。
 けれども二人の視線は前へと固定されたままだ。景色を存分に楽しむ余裕もなく現われた一体のオブリビオン。
「ここでは息をするだけで生きていけそう……でも、そんな場所と温泉を独り占めはよくないわねっ!」
「え? だってわたくしのものですし?」
 何を言っているの? みたいな感じで屍仙女が答える。
「桃源郷や温泉を独り占めとは、狭量ではありませんか。一人もいいですが皆で一緒も楽しいですよ?」
 のんびりとした仄々の様子に、うーん、と屍仙女も考える。
「楽しませてくれるのならば、別だけれども。そうねぇ、ちょっと遊んでみようかしら?」
 良い声で鳴いてね、ねこちゃんたち。
 そう言って屍仙女が大きな芭蕉扇を振るった。
 発生した暴風が場を駆け抜け、猟兵たちを吹き飛ばす。きゃあ! と地面に伏せるケイラの腕中には仄々の姿。
「わーん、仄々~。話通じなさそうよっ。めちゃ物騒な考え持ってるし!」
「仕方がありませんねぇ。蘇り故に歪まれた御方でお可哀そうだとは思いますが、さっくり海へとお還し致しましょう」
 その一手を。
 窒息しそうなほどに吹き付けてくる暴風に耐えていたケイラを庇うように、カッツェンリートを爪弾く仄々。
 一音、一音が重なるにつれ暴風は和らぎ、仄々とケイラを風の繭が包みこむ。
 ケイラが『外』へと目を向ければ、相変わらずの暴風域。けれども音色に織り込む魔力が幾重の層を紡ぎ、一筋の敵風の侵入すら拒む。
 ここでようやく一息がつけるというもの。
 暴風の影響は屍仙女にも及んでいるようだ――二人の細やかな様子は視認されていない。
「ケイラさん」
「オッケー、ここはあたしに任せてねっ! 戦いは苦手だけど、さっきご飯くれた人たちのために頑張るわよ!」
 招福行進にて召喚されるのはカラフルで可愛い招き猫たち。
「招き猫ちゃんたち、ゴーよ!」
「援護しますね~」
 ポロン、と爪弾かれる竪琴は軽快なテンポの音色に。
 仄々の紡ぐ風の魔力が、屍仙女の暴風を側面から押し込む。圧を掛ければ暴風は仄々の作り出した風と風の通り道を抜けてどんどん縮小していく。
 弱体しゆく暴風域に敵が再び芭蕉扇を振るうも、桃源郷の風を借り受けていた仄々のそれは霊力に満ちたもの。敵風を封じ込め、弾く。
「強い風は厳禁です。花が飛んでしまいますよ」
 屍仙女をたしなめる仄々の声。
 そして彼が奏でる軽快な音楽はまさしく行進曲。ピンクやブルー、ホワイトに三毛にサバトラと、可愛らしい招き猫たちが「にゃあにゃあ」と鳴きながら、弱まった風域を駆け抜け屍仙女へと向かっていく。
「あら、ねこちゃんが増えているわ」
「見た目は可愛いけどどんな環境でも向かっていく子達よ、あんたの窒息させるような風もこのコ達には効かない!」
「ふしゃー!」
「ふにゃあん!」
 招き猫たちがジャンプして屍仙女へと飛びかかる。敵の胴に体当たりしたり、爪を出して腕にしがみついたり。
「ひっ!」
 猫の牙と銭投げに屍仙女が怯んだその瞬間、滑らかな肌が剥がれ、腐敗した下肉が露わになって落ちていく。
「あいつの芭蕉扇も狙って!」
「ちょっと!? おやめなさい!!」
 思わず叫んだ屍仙女がバッと芭蕉扇を高く上げるのだが、腕に飛びついた招き猫たちが駆け上っていく。しゃしゃっと牙で、そして撃ち出された銭で扇を裂いた。
 その機を逃さずに仄々は旋律を僅かに変えた。桃源郷の陽の気を織り上げ、炎の矢を放つ。
 屍仙女へと八方から迫った矢が交差を描き、刹那に陽炎を生じさせた。
「太陽に炙られるのと同じですね――ですが、まだまだっ」
 仄々が告げると同時に、濁る視界を撃ち抜くケイラの強力な光線。
 太陽をたっぷりと浴びたフラワービームが的確に敵を撃ち貫いた。
「光、いっぱい浴びてよねっ」
 直接灼くケイラの光線が屍仙女の肉をぼろぼろにしていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月舘・夜彦
【華禱】
山に良い食材があるのは豊かな水があるからこそ
きっと温泉の質も良いのでしょうね
ですが、楽しむ前に……戦わねばならないようです
生憎、此処で死ぬつもりはございませんので

刃に破魔と浄化を宿して敵へと接近、倫太郎を連携して攻撃
2回攻撃を基本とし、時折なぎ払いを併せて距離を維持

敵の攻撃は視力と見切りにて対処を判断
大振りのものであれば残像にて回避
回避が困難なものであれば武器受けにて防御
いずれも凌いだ後に反撃

負傷は激痛耐性にて耐える
負傷時には刃に生命力吸収にて体力を回復して立て直す

白骨の姿に変身した時には一度納刀
早業の抜刀術『風牙一閃』にて骨を断つ
如何なるものであれ、斬れぬものなし


篝・倫太郎
【華禱】
俺は俺の最愛の為に命賭けても良いとは思ってるけどサ
それだって、一緒に生きるためだから
残しては逝かないって決めてるし
だから、あんたの為ってのはお断りさせて貰う

あ、それはいい?
んじゃ、まぁ、サクサクっと倒しちまおうぜ?

攻撃力強化に篝火使用
詠唱と同時に衝撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀で先制攻撃
ついでに風の神力も乗せて、敵の周辺の障害物等も排除してく
太陽光が届きやすいように

既にダメージの入ってる箇所がある場合はその部分を重点的に攻撃
なんなら部位破壊も乗せて2回攻撃でダメージ蓄積を狙う
陽動も兼ねて敵の意識を向けさせる

敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御で防ぎ
武器受けからのカウンター



 穏やかな空に霊気を纏う山々。桃花が溢れ、草地も人の入りがないせいか、柔らかにのびのびと。
 桃源郷へと入った月舘・夜彦は、猟兵たちにつられるように境界をまたいだ鳥たちが飛びゆくのを見送った。
(「山に良い食材があるのは豊かな水があるからこそ。きっと温泉の質も良いのでしょうね」)
 清らかな霊地にて英気を養う――誰のものでもない地を、専有するオブリビオン。
(「ですが、楽しむ前に……戦わねばならないようです」)
 余地なく敵対は明らかだ。差した夜禱に手を添えて夜彦は鯉口を切る。

「わたくしのために死んで頂戴ね?」

 そうのたまう屍仙女に対し、否なる眼差しを送る夜彦。そのまま観の眼に徹した。
 それなりに真面に向かい合うのは篝・倫太郎である。
「――俺は、俺の最愛のために命賭けても良いとは思ってるけどサ……それだって、一緒に生きるためだから、残しては逝かないって決めてるし」
「倫太郎」
 まともに取り合っているような彼に、夜彦は声を掛ける――が、まあまあという風に倫太郎は手をひらひらとさせた。視線は屍仙女へと固定されたままだ。
「だから、あんたのためってのはお断りさせて貰う」
「それならば二人仲良く果てて頂戴な」
 猟兵たちの頭上を覆い始めた黒雲から耳を劈く雷が落ちる。
 肉を捨て始めた屍仙女へと一気に迫るは夜彦だ。揺らぐ大地への接地は刹那。
 華焔刀を手に倫太郎が篝火の発動へと移行する。
 声紡ぐ祓いと共に振るい払った華焔刀と宿した神風が膜を張るように放たれ、落雷を散らした。そのままもうひと薙ぎを送れば、空を翔けた風の力が黒雲を裂く。
 一方で、風のように駆ける夜彦の露払いとして災魔を砕く風が、敵の瘴気と纏う黒雲を散開させた。
 開いた風の流れに一足一刀の間合いを捉え、継ぎ足による一刀から続く夜彦の斬撃。
 刃に宿る破魔の力は敵の肉骨を容易く削ぎ、一角を斬り崩した。
 滑らかな肌の下は腐肉――視認した夜彦、それを見られた屍仙女が自らの肉を一気に捨てた。顕わになる骨身が芭蕉扇を振るう。
 その時大気が震え、夜彦は身を翻す。
 紡ぐ落雷で夜彦を牽制した屍仙女は翼を広げるように、骨を絡み合わせ肥大した。
「うへぇ。自在な辺り、骨っていうか蛇だな」
 硬そうな敵身に倫太郎が揶揄がてら呟きを零す。
「夜彦」
 一声に十分すぎるほどの言葉が乗る。
 緩やかに敵と彼我の距離を詰め始めた倫太郎は、順手に逆手にと長柄を振るい絶え間なく衝撃波を繰り出した。風を払うには真っ向から。
 倫太郎に合わせ芭蕉扇を動かし相殺を狙っていく屍仙女。
「無駄なあがきだこと――」
「そうかな?」
 屍仙女の声に軽く応えた倫太郎が、一際強く華焔刀を振った。
 圧を伴いながらも風刃のような一閃に屍仙女の意識が、刹那ながらも注がれた。
 対抗する風を敵が放ち、黒雲を揺るがす。降る陽光を一度納められた夜禱の刃が弾く。
 抜刀術・風牙一閃が敵の背後を駆け抜けた。
「我が刃に、斬れぬもの無し」
 翼のように広がり敵を覆う骨の元を断つ夜彦。斬撃に白骨の鎧は瓦解し、陽光に晒される――そこへ倫太郎の神送りなる衝撃波が放たれ、ヒトガタを象る脊柱が無残に砕かれるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

彩波・いちご
理緒さんと

温泉のある寮の管理人としても、温泉の独り占めとか許されません
きっちり取り返します!

…理緒さん、後の温泉が楽しみなのはわかりますけど、今は戦いに集中してくださいね
そう言いながら【異界の顕現】にて六尾の邪神の依代体に変化
爪を鋭く尖らせて、仙女に格闘戦を挑みに行きます
理緒さん、援護お願いです!

変化した白骨を爪で切り裂きながら、理緒さんへの攻撃のタイミングを作りましょう
そんなに温泉を独占したいなら、貴方のための温泉用意しますよっ!
理緒さんに合図を送ると同時にバックステップ
そして理緒さんが源泉ぶっかけてひるませたところに、トドメの爪貫手ををくれてやりましょう

私達は貴方の糧じゃないですからっ!


菫宮・理緒
いちごさんと

あなたが山姥さんだね。
こんな美味しい山菜と温泉を独り占めとか、
うらやm……させないんだから!

温泉も山菜もみんなのものだからね。返してもらうよ!

【LVTP-X3rd-van】を構えて臨戦態勢。
山菜もごちそうになったし、この後はお風呂だし、
ここはがんばっちゃうよー!

……レクだなんて思ってないからね?

36世界温泉巡りのためにも、
いちごさんと、ここでしっかりやっつけちゃおうね!

そんなに桃源郷や温泉が好きならー……!

【虚実置換】で源泉からお湯を引いて、
熱々のところを、頭にかけてあげちゃおう。

あなたのためになんて、死んであげないよ!
わたしは、わたしの大好きなひとのために生きてるんだからね!



 どこかのびやかな雰囲気漂う桃源郷。
 辿り着いた猟兵――菫宮・理緒の前に現れた屍仙女が美しい笑みを向ければ、ぞわりとした悪寒が猟兵たちを襲った。
 理緒が声を掛ける。
「あなたが山姥さんだね。この桃源郷にも美味しい物がたくさんあるはず――なのに、温泉も独り占めとか、うらやm……させないんだから!」
「え、は? さらっと今何か言いましたわね、この娘……」
 山姥って言った。
「温泉も山菜も、もちろんこの桃源郷の果実も。みんなのものだからね。返してもらうよ!」
 彼女の勢いと同じく強く頷くのは彩波・いちごであった。
「ええ、そうです! 温泉のある寮の管理人としても、温泉の独り占めとか許されません」
 常日頃、温泉と寮と、みんなの暮らしの管理をしている彩波・いちごにとって屍仙女の専有は到底ゆるせるものではなかった。
「きっちり取り返しましょう」
 うんっと応じてLVTP-X3rd-vanを構える理緒。
「山菜もごちそうになったし、この後はお風呂だし、ここはがんばっちゃうよー!」
 ……。
 …………。
 ちらっと理緒の方を見遣るいちご。
「……理緒さん、後の温泉が楽しみなのはわかりますけど、今は戦いに集中してくださいね」
「うっ……レクだなんて思ってないからね?」
 なんて軽いやり取りをして、いちごは目を細めた。体内に封じる異界の邪神の力を呼び起こす。
「いあ……いあ……、無限無窮の最奥より夢見る力をこの内に」
 恵みを求める詞を通じ、腕輪を通じ、邪神はいちごを依代に現界した。
 六尾の邪神の依代姿となったいちごが飛躍的に向上した戦闘力によって高く跳躍する。
 振り上げた腕からなぎ払いの攻撃に鋭い爪が加わる一撃は、肉を捨てた屍仙女の白骨を傷付けるのだが同時に敵の再生が始まる。
 接敵から敵自身を刹那の足場に再び跳躍するいちごが四方と跳び回る。
 鋭き爪を持つ十指が開かれていた。
「このっ、ちょこまかと!」
 白骨化している屍仙女の声が、わん、と辺りに響いた。
 いちごの昇雷の如き下段からの斬り上げは跳躍を伴い、次いで滞空を利用した横一文字を描く斬撃へ。
「――そんなに温泉を独占したいのなら、貴方のための温泉を用意しますよっ!」
 鋭い爪攻撃を放ち続けていたいちごが言い、屍仙女を蹴り飛ばすようにして自身も反動による後退へ。着地から一つ、二つと跳び更に後退する。
 タブレット上で素早くタッチを続けていた理緒が、とどめとばかりに指をスライドさせた。
「――何を――……!」
 苛烈な連続攻撃が止み、はっと屍仙女が周囲を見回した。空を覆う熱に気付く。
「あなたのためになんて、死んであげないよ! わたしは、わたしの大好きなひとのために生きてるんだからね! 山姥さん!」
 理緒がそう言った瞬間、虚実置換で運んだ熱々の源泉湯が屍仙女を襲った。
「わ、わたくしは山姥では――あああっ、熱いッ! 熱いぃぃーッ!」
 骨の髄まで熱される源泉の湯に屍仙女がのたうちまわる。敵の纏う雲すらその熱泉に掻き消えた。
「な、生意気な……! 糧でしかない生物のくせに……!」
「いちごさん!」
 理緒の声に即応するいちご。
 駆ければ、落ちた湯で大地がほんのりと熱を持っているのを感じた。
 指一本一本を鍛えた貫主。五指を揃えれば刺突剣のように。
「私達は貴方の糧じゃないですからっ!」
 爛れた顔部――眼窩めがけ爪貫手を放つ。
 強烈な一撃に、ぎゃあぁと白骨の頭に残る髪をふり乱し叫ぶ敵はまさしく山姥の姿そのものであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【菊】

いや少しも悪くねぇだろ
独り占めは良くねぇし

だよなぁ…
ほねほねのおばさんの為には死ねねぇわ

んっ?
おー兄さんの新作?
了解
そんじゃあ腹減らして来ねぇとな!

衝撃波飛ばし残像纏いダッシュで間合い詰めグラップル
屋台から距離取るように拳で殴り吹き飛ばし
後追い蹴り
自分の間合い保ちつつ攻撃
余所見してんじゃねぇよ
俺だって兄さんの技見てぇんだよ!!
空飛ぶ麺は視界の端に映ってるけどぐっと我慢

雲って風で流されるだろ?
UC起動し衝撃波で散らす
飛ばされたら近づけないと思うけど

うっわぁ
美味そうな担々麵出来てる!
兄さん俺にも!

旨っ
でも辛っ
水飲みたい
早く倒そうぜ兄さん
合わせて蹴り

そうだなぁ
運動したし辛い物食べたから汗かいた


砂羽風・きよ
【菊】

…お楽しみのところ悪いが
独り占めしてるなんてよくねぇよな

それに、お前のために死ぬなんてまっぴらごめんだわ

――理玖、すまん
どうしてもこれを作りたいから
その間、守ってくれるか?

帽子を深く被り屋台を設置して
大鍋で水を沸騰させる
そして、刀削麺切を構えて麺を切る、切る切る!

こんな感じか?やべー、楽し過ぎる
っと、すまんすまん
そん代わりにめっちゃ旨い担々麵ご馳走するからよ!

お、おいおい、料理中に攻撃して来るなんて卑怯だぞ?!
きよしののぼり旗を持って、理玖の援護

ほれ、出来上がったぞ!お前も食うか?
食わなかったらその隙に理玖の攻撃と同時に攻撃

結構辛く作ったからな
ふ、これも大人の味だな

あぁ、早く温泉入ろうぜ



 猟兵たちとの戦いを繰り広げていた屍仙女が四肢を雲へと変化させ、離脱していく。
「忌々しい――侵入者たちめ、あとでぶち転がしてあげましょう」
 黒雲を従え、ひとっ飛びすれば新たに出会う二人の猟兵。
「……うふふ、血に満ちた温泉を作ってみるのも良いかしら」
「趣味わる」
 吐き捨てるように陽向・理玖が呟き、うんざりとした様子で砂羽風・きよが言葉を紡ぐ。
「……お楽しみのところ悪いが、独り占めしてるのはよくねぇな。――それに、お前のために死ぬなんてまっぴらごめんだわ」
 きよの言葉に「だよなぁ……」と理玖が頷いた。
「ほねほねのおばさんのためには死ねねぇわ」
「え、は? お、おば……っ!?」
 ピキキンッと屍仙女の表情と声が強張る――余談ではあるが猟兵たちに山姥呼ばわりされたりしてきた屍仙女である。こっちの方面、ちょっと沸点が低くなっていたりする。
 その時、何かをずっと考えていたらしききよが、ばっと理玖の方を向いた。
「――理玖、すまん! どうしてもこれを作りたいからその間、守ってくれるか?」
 これ、と言って帽子を深く被るきよが叩いたのは設置された自身の屋台。差すのはきよしののぼり旗。
 そして彼がやや厳かに手にしたのは大きな麺生地である。ずっしりとした重量級。
「んっ? おー、兄さんの新作?」
 目を瞠る理玖だったが、きよの意図は直ぐに読み取ったようだ。了解、と軽く応じる。
「楽しみ。そんじゃあ腹減らして来ねぇとな!」
 弾いた龍珠をドラゴンドライバーに嵌め、全身を装甲で覆った理玖が疾走した。
 発射された弾丸の如く、瞬発力の高い駆けはあっという間に屍仙女の眼前へと迫る。
「ッ!」
 骨身を露わにしていた敵が芭蕉扇を振るえば、頭上に広がる黒雲から牽制の落雷。
 一瞬の判断でステップを踏み避けた理玖が身を捻り、その剛拳で敵を殴りつけた。屍仙女の白骨が砕かれ、そして再生される。
 敵側面を風のように駆け抜けた理玖は方向転換して屋台から遠ざけるようにさらなる追撃に出た。

 一方、きよ。
 屋台の中で水を沸騰させた大鍋に立ち向かわんと仁王立ち。
「行くぜ!」
 麺生地の乗る板を肩で支えたきよが刀削麺切を構えて生地を切る。
 切る切る!
 弧を描き鍋へと放られていく麺たち。
 切る切る!
 生地に角度がつきはじめ、きよの一瞬の判断が麺を形成していく。
「こんな感じか? やべー、楽し過ぎる……!」
 湯がかれる麺の匂いが辺りに漂い始め、桃源郷に乱入した新たなそれに、敵からの視線が投げられた。
「余所見してんじゃねぇよ。俺だって兄さんの技見てぇんだよ!!」
 硬い白骨と拳の衝突音。
「っと、すまんすまん」
 任せちまって悪いな、ときよが理玖に言う。
「そん代わりにめっちゃ旨い担々麵ご馳走するからよ!」
 俄然やる気が出たのか、途切れ途切れに聞こえた攻防の音が拳を連打するものに変わった。
 それはそれとして、きよの展開する最後の晩餐~屋台飯~は周囲の速度を遅くする。すなわちその分きよの仕上がりも速いわけで――。
「ああ、煩わしや!」
 四肢のひとつを毒雲に変え、広範にダメージを与えようとする屍仙女。
「うっわ、ちょ、料理中に毒とか勘弁! 卑怯だぞ?!」
 きよしののぼり旗をぶんっと振って懸命に毒雲を散らすきよに、加速する理玖。
 彼我の距離とその速度にて一歩。理玖の空をも斬る閃光烈破が敵の一肢であった雲を散らす。
「戦いの最中に何をしているのかしら」
 広がった雲を利用し、屍仙女がずずいっと寄ってきた。
「うっわぁ。美味そうな担々麵出来てるじゃん」
 敵を追ってきた理玖にはいはい、と坦々麺を渡すきよ。
「お前も食うか?」
 きよが一応、とばかりに屍仙女へと尋ねれば、しばしの沈黙ののち屍仙女が「……いただきますわ」と言い放った。
「「食うのか!?」」
 唐突なる二人と一体のお食事タイム。
 辛みを利かせたひき肉やザーサイをのせて。麺と麺の間は真っ赤なスープがあるも少な目に。
 荒々しい刀削麺だからこそ、その麺にも味が染みこんでいる。辛さから逃げられない一品だ。
「旨っ。でも辛っ!」
「結構辛く作ったからなぁ――ふ、これも大人の味だな」
「……まあ、小童が大人の階段をのぼるのに丁度良いのではなくて? ……御馳走様」
「って、お前、食うのはえーな!」
 さっさと席を立った屍仙女に思わずきよがツッコミ。
「ちょっとサクサクッと他の侵入者倒してきますから、満漢全席の用意をしておいて頂戴な」
 そう言い置いて空を翔けていく屍仙女。
「リクエスト……あのおばはん調子に乗ってね?」
「まー、スルーして温泉行こうぜ」
 後は大丈夫だろう、ときよ。
「そうだなぁ……運動したし辛い物食べたから汗かいた」
 理玖が言う。
 この場に留まっていると、戻ってくるかもしれない敵に面倒なことを言われそうだ。
 担々麺を食べ終えた二人はサクッと撤収するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木元・杏
軽やかな足取り
貴女も温泉が好きなの?
わたしも好き
温泉は打ち身、捻挫にも良く効き、疾患にも効果がある
何より…浸かると身も心もあたたかくてほっと安心する、あの瞬間の至福(ほぅ、とひと息)

そんな一時を皆で楽しみを分かち合わず、独り占めしたいご様子
残念ね?

貴女が雲を使うならわたしは【花魂鎮め】
高速移動で間合いを詰め、衝撃波での雲の四散を狙う
再び雲を形成しようとしてもダメ
その前にうさみん☆、地形を利用し岩場をジャンプし屍仙女に近接
そのまま目潰しで視界を奪って?
隙が出来たら大剣にした灯る陽光で叩き斬る

…ね、身体が屍になっても
心まで朽ち果ててはダメ
骸の海でゆっくり休んで、もう一度「あたたかさ」、思い出して



「担々麺もいただきましたし、満漢全席と血の池な温泉作りのためサクサクッと彼らを倒してしまいたいところだけど……」
 三肢となってしまった屍仙女が桃源郷を行く。
 担々麺、満漢全席、そして温泉の言葉に、桃源郷へ入った木元・杏が彼女へと早速声を掛けた。
「貴女も温泉が好きなの? わたしも好き」
 担々麺も、たくさんのごちそうも。
 胸の前で拳を作って、こくんと頷く杏。その動作に伴って抱くうさみん☆の耳が揺れる。
「温泉は打ち身、捻挫にも良く効き、疾患にも効果がある。何より……浸かると身も心もあたたかくてほっと安心する、あの瞬間の至福」
「分かりますわぁ。さらりとした湯も、とろりとした湯も癒されますわよね」
 ほぅ、とやすらぎの一息を吐く杏と屍仙女。
 屍仙女は杏を気に入った様子で芭蕉扇を動かした。扇はざくざくに切れている。猟兵たちと一戦交えたあとなのだろう。
「貴方、少し待っていただければ血の池の温泉に一緒に入ってもよくてよ? 鮮血から少しずつ薄れていく様は綺麗だと思いませんこと?」
「…………」
 目を瞬かせた杏はふるふると首を振った。
「ほっと一息、できない」
「そう――残念ね。ならば死になさい」
 片腕を雲身变化させる屍仙女。その雲は毒混じりのもので、薄らと色がついていた。
 後退のために一歩引いた杏から白銀の花弁が落ちる。陽光を弾き輝くオーラを纏った杏は軽やかなステップを踏んだのち、一気に間合いを詰めた。
 花魂鎮めの走りに放たれる衝撃波が雲を散らしていく。散る桜の花弁の如く白銀のそれが数多に舞い踊り、杏の眸に色が差す。
 腕を振るえば糸に繰られたうさみん☆も周囲の草地を駆け、そして岩場を跳躍した。
 駆け続ける杏の衝撃波にあらゆる角度から圧され、外周へと霧散していく毒雲。
「――少し、貴方がたを見くびっていましたわね……ッ」
 開けた視界に刹那に目が合った。芭蕉扇を持つ腕が雲へと変化するが、勢いついたそれは扇で杏を捉え叩くものだ。
 振りが大きなぶん、隙も多い。
 敵へと真っ直ぐに跳んだうさみん☆が屍仙女の目に拳を放つ。
「!」
 瞬間的に視界を奪われ、扇の一打が空振る。
「……どこに……っ」
 その一瞬で敵の側面を駆け抜けた杏が背後を取った。
 振らば暖陽の彩。花弁の如く舞散る大剣に斬撃を繰り出せば、銀閃が駆け上がる。
「……ね、身体が屍になっても、心まで朽ち果ててはダメ」
 温泉の好きな瑞獣だったのかもしれない。
 きっと生前はある生物たちの長であっただろう彼女。
 守るものを忘れてしまったオブリビオン。
 そんな屍仙女へと優しき少女の心が寄り添う。
「骸の海でゆっくり休んで、もう一度『あたたかさ』、思い出して」
 分かち合う喜びを――願いのせた一撃を受け、何とも言えぬ表情を刹那に見せた屍仙女は杏の前から撤退した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

「はい、そうですか」とやられてやるわけにはいかないかな?
自身の周りに【結界術】による結界を形成、外側を【オーラ防御】で固め結界の破壊を阻止
結界内には十分な空気を充満させる
この空間内なら敵の窒息にもある程度の時間耐えられるはずだ

携帯した飴を媒体に固有結界・黄昏の間を発動
【高速詠唱】+【多重詠唱】で火と風の疑似精霊を同時に瞬時に召喚
風の力で相手に対抗するように【全力魔法】を籠めた竜巻を形成、さらにその竜巻に【破魔】付与の火の力で炎を加える
火炎竜巻で敵の暴風と拮抗させつつ、炎で敵を焼き尽くす!



「――何てこと、何てこと――ああ、忌々しい」
 駆けていく屍仙女の表情が歪む。美しい顔は歩むうちに哀愁を消し、悪辣なるものへと変化していた。
 桃源郷の美しさが癇に障る。
 ここに住まう小動物の足音、虫の羽音。長である瑞獣だった彼女が確かに聞き慣れていたそれらすらも煩わしく感じた。
「……壊してあげましょう」
 芭蕉扇を振るえば、その宝貝の力が発動される。芭蕉暴嵐撃が周囲を駆け巡った。
 草地をなぎ倒す爆風が小さな生物たちをいたぶり始めた、その時。
「はい、そうですか、とやられてやるわけにはいかないかな。そこまでにしてもらうよ」
 暴風の中へと入った鳳凰院・ひりょが告げる。
 自身の結界術を纏い、さらに防壁としてオーラで覆う。空気の層がこの暴風の中での発声を可能にした。
「何を苛立っているのかは分からないけれど、一旦この世界から去れ」
 骸の海へと還れ、と暗に言いながら携帯する飴玉を放った。
 暴風に四方八方へとさらわれる飴たちであったが、その瞬間に疑似精霊が召喚された。
 一つの詠唱を軸に、空気が震え数多の音を放つ多重の詠唱。
「場よ変われ!」
 固有結界・黄昏の間にて火と風の擬似精霊がその端々を結び合った。ぐるんと回る助走から飛躍的に加速し、あっという間に火炎竜巻が形成された。
 中心から起こった竜巻が暴風を掻き消し、唸り、新たな暴風を呼ぶ屍仙女の風に対抗する。
「焼き尽くせ!」
 ひりょの言葉に火炎の竜巻が屍仙女へと迫り、呑みこんだ。
「……――ッ!」
 火炎の風が入り、身の内からも焼き尽くす攻撃。声が失われる。
 これは堪らない、という風に屍仙女はひりょの前から逃げ出すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神元・眞白
【SPD/割と自由に】シンさん(f13886)と一緒に。
美味しいものをいただいて、お土産ももらいましたからまずは麓で一段落。
次は山登りですね。鳥さん達を追いかければ…いいのでしょうか。
見つけるまでは暫くこの山も、桃源郷も楽しみましょう。

せっかくの場所ですから皆さんで楽しめればいいのに、邪魔ものが。
静かにしてもらえればよかったのですが仕方ありません。
楽しむために今しばらくは元の場所に帰ってもらいましょう。

魅医、シンさんのサポートをお願いね。
1人でなんでもしようとしますから、足りない目と腕になってあげて。
都度の回復と視覚の共有。変化した雲は……サンプルに回収できなさそうですね。残念です。


シン・コーエン
眞白さん(f00949)と

このような風光明媚な素晴らしい土地(桃源郷)を独占し、更に他者全ての命を奪おうとは、我儘が過ぎるな。

眞白さんをかばえるよう前に出る。
UC:漆黒の門にて左手をブラックホールに変換し、屍仙女が変異した雲や放たれる暴風を吸い込んで、攻撃無効化。
吸い込み切れない攻撃は右手の灼星剣の武器受けとオーラ防御で防ぐ。

眞白さんへの負担を減らす為にも長期戦は避ける。
ダッシュしつつ残像を多数生み出して幻惑しつつ屍仙女に接近。
灼星剣に太陽光の属性攻撃・破魔を籠め、斬り下げ斬り上げる2回攻撃・貫通攻撃・鎧無視攻撃で屍仙女の防御を破って斬り倒す。

骸の海で「協調」という意味を学んでくるんだな。



 心尽くしの山菜料理をいただき、お土産も貰った神元・眞白とシン・コーエン、そして魅医は麓でひと休みをしたのちに山を登る。
 ある場所で境界をまたいだのか、二人は桃源郷へと辿り着いていた。
「まあ……」
 口数の少ない眞白から感嘆の声が零れる。
 穏やかな空に霊気を纏う山々。桃花が溢れ、草地も人の入りがないせいか、柔らかにのびのびと。
 彼女たちと一緒に入ってきたのだろう、頭上の空で鳥が彼方に向かって飛んでいく。
「しばらく歩いてみようか」
 桃源郷の雰囲気と同調し、どこか穏やかな声でシンが言った。
 そうですね、と眞白が歩めば魅医が前へと出てステップを踏むように歩む。リボンで括った髪が尾のように跳ねた。
 長閑な場所で、のんびりとした散歩。
 春のような陽気のなかで、咲く野の花や桃の花を眺めて。
 英気を養う、とはこのことなのだろう。霊気に満ちた場所は心も身体も癒してくれる。
 ――けれども無粋な乱入が入るのが今の桃源郷だ。戦場を経て、すでに怒り狂っている屍仙女がシンたちの前に現われる。
「また見つけた! 一泡吹かせてやらなければ気が済みませんわ……!」
 は、とシンが呼気を鋭くした。
「このような風光明媚な素晴らしい土地を独占し、更に他者全ての命を奪おうとは、我儘が過ぎるな」
 眞白を庇うように前へ出るシン。
 同時に「苦しむと良いですわ!」と屍仙女が三肢となってしまった一つを毒含む雲に変えた。
 広範に渡って被害が出そうなそれを一瞬で見極めたシンが左掌を向ける。
「全てを引滅する究極の門よ――我が元に来れ」
 左手が変化したブラックホールが毒雲を吸い込んでいく。
 霧散した雲はある程度無事ならば戻るが、吸い込まれてしまえばそれまでだ。敵が驚愕する。
「なっ、何をなさるの……! 返して頂戴」
 カツリ、と屍仙女の二肢が地を打った。
(「静かにしてもらえればよかったのですが仕方ありません」)
 憂いの吐息を落とし、眞白は魅医を呼んだ。
「魅医、シンさんのサポートをお願いね。一人でなんでもしようとしますから、足りない目と腕になってあげて」
 こくん、と頷いた魅医が身を翻して駆ける。
「変化した雲は、毒……サンプルに回収できなさそうですね。残念です……」
 何しろシンがブラックホールへと吸い込んでしまっている。事象の地平の彼方だ。
 彼我の距離を詰めたシンが灼星剣を振るった。斬線に深紅の輝き。
 刹那に低くなった姿勢をばねのように跳ね上げる斬撃は剣筋が強い。斬り上げた刃が直ぐに屍仙女へと振り落とされた。
 軌跡は直線を描き、剣を翻せば鋭角を辿る。
 陽光を宿した剣は屍仙女の傷を癒すことは無い。数々の傷を癒してきたはずその身の変化に愕然とした表情を浮かべて敵が後退する。
「止めて頂戴……!」
 芭蕉扇が振るわれ、シンへと一打。
 すかさず魅医が彼を癒し、故に衝撃と傷を気にすることなくシンは間合いへと一歩踏み込んだ。
「骸の海で『協調』という意味を学んでくるんだな」
 サイキックエナジーの剣が一際深く紅に染まる。
 脆くなり、血を流さぬ白骨を貫いた紅――引き抜くその流れは海へと落ちていく一手。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

灰神楽・綾
【不死蝶】
ある意味オブリビオンらしいオブリビオンだねぇ
おかげで遠慮なく倒せるよ
さーて、温泉の前に一汗かこうか

はいはーい、いい作戦思いついた
UC発動し、ナイフに「風」を透過する性質を与える
ドラゴンたちの隙間を縫うようにして
そのナイフを次々と敵に目掛けて投げつけていくよ
ただのナイフであれば暴風にふっ飛ばされていただろうけど
これなら文字通り風を切って敵のもとへ到達するだろう
特に狙うのは風を起こしている芭蕉扇
ナイフに当たった衝撃で落としてくれればありがたいけど
そうでなくてもこれだけ沢山のナイフが襲ってきたら
呑気にUC使っている場合じゃないでしょ?
ほんの少しでも風が止まる、その瞬間を見逃さない


乱獅子・梓
【不死蝶】
うわぁ、淑やかそうな顔してなんというジャイアニズム…
そうだな、このあと気持ち良く温泉に入る為にも
いっちょやるか!
地酒飲みながら温泉もいいな…なんて妄想でやる気を高めつつ

うげ、あの風は厄介だな…!
まずはまともに暴風を喰らわないように
焔と零を成竜に変身させて
俺と綾の身体を覆って守ってもらう
更にUC発動し、風属性のドラゴンたちを召喚
全員で一斉に羽ばたいて風を起こし
敵の起こす暴風にぶつけて相殺を狙う

しかしこのままじゃあ風に対抗するのが精一杯で
あいつに近付けないな…綾、何かいい作戦頼んだ!

綾によって敵の攻撃の手が緩んだら一斉に突撃だ!
体勢を立て直す暇を与えないくらい
ブレスや体当たりで猛攻撃



 他の桃源郷へと移るべきかしら?
 猟兵たちとの戦闘を重ね、屍仙女がそんなことを呟いた。
「――いいえ、わたくしは長なる身。引くのはそちらね」
 本能が猟兵たちを殺すべきだと湧いていた。
 喰らうべきだと獣の本能が湧いていた。

「……うわぁ、淑やかそうな顔してなんというジャイアニズム……」
 二肢となりながらも芭蕉扇を振るい、桃源郷を荒らすヒステリックな屍仙女を見て、乱獅子・梓がドン引いたように呟いた。
「ある意味オブリビオンらしいオブリビオンだねぇ。おかげで遠慮なく倒せるよ」
 いつも通りの和やかな声に、どこか尖りの雰囲気を含ませながら灰神楽・綾は梓に言う。
 引いたテンションをアゲるのはあまり容易いものではない。そうだな……と梓はしばし思考し頷いた。
「温泉のために。そうだ、このあと気持ち良く温泉に入るためにも、いっちょやるか!」
 暦の湯というのも気になる。
 厄払いや霊気を高める――という話だが、ゆっくりお湯につかりながらおちょこでくいっと行くのも良いだろう。
「その調子。さーて、温泉の前に一汗かこうか」
「とはいえ、あの暴風は厄介だな」
 猟兵を退けるための暴風は、そのまま苛立ちまぎれに桃源郷を襲っている。
 視界が悪くなりあまり見通せないが屍仙女は芭蕉扇を振るい続けているのだろう。交差した風が様々なものを傷付けていた。
 桃源郷は仙人だけでなく、元々住まう小動物や虫たちもいるのだ。瑞獣だった彼女に彼らは無力。
「止めないと――」
 仔ドラゴンの焔と零を肩に乗せて梓が踏み出す。
「焔、零、行くぞ」
「キュー」
「ガウー」
 梓の声に応え、二体はその身を成竜へと変化させた。
「!」
 気付いた屍仙女から扇が振られ新たな突風のち暴風。
「窒息なさい」
 圧の強い風が向かってくるが焔と零が梓と綾の二人を懐に入れるように翼でガードする。自身の頭も屈ませ、翼の中に。
「いいこだ、焔、零」
 梓が褒めればくぐもった竜喉の音。あとは任せておけ、と鼻先を撫で梓は風のドラゴンを召喚する。
「集え、そして思うが侭に舞え!」
 召喚されたのは105体のドラゴンたち――。空が清涼な風に覆われ、場の空気を一転する。
 梓の意に添うドラゴンたちはいっせいに羽撃つ。翼の皮膜が空を撃ち、屍仙女に向かって強い風が発生する。
 敵風は相殺を越えて掻き消されるが、人の身は二体のドラゴンから離れればあっという間に風にさらわれてしまうことだろう。
 風の申し子なる芭蕉扇を持つ故か、雲を纏い耐え切った屍仙女が新たな風を起こそうとしている。
「このままじゃあ、あいつに近付けないな……綾、何かないか?」
「はいはーい、いい作戦思いついた」
 ひらりと手を振り、この機に乗じて動くことにした綾。
「吹き荒ぶ風。オブリビオンの頭上に雷雲、ところにより雷注意って感じかな」
 お天気キャスターのような滑らかな声で戦場を確認する。
「まあ、問題ないね」
 ドラゴンたちの送る風を読み、懐からJack。綾は小型ナイフを投擲した。
 真っ直ぐに飛んだナイフが屍仙女の雲から発生した落雷に落とされるが、光と風にまぎれた二本目、三本目が敵の胴へと到達する。
「ギャあ!?」
 突き刺さったナイフに叫び、屍仙女が扇を振るった。風でナイフを払うものだった。
 だが。
「甘いよね」
 ディメンション・ブレイカーの掛かった綾のナイフは風の影響を受けない。
 『風』を透過する性質を持ったナイフが次々と屍仙女に突き刺さる。
「や、やめて頂戴……――あっ!」
 とうとう芭蕉扇を持つ手首をナイフが貫き、風が止んだ。
「今だっ」
 梓の一声にドラゴンたちが一斉に動いた。風のドラゴンたちがブレスを吐き、敵に逃げ場のない一撃を。
 そして焔と零が突撃していく。
 掬うように零が屍仙女を突きあげ、焔が尾で打ち払えば――敵は戦場外へと叩き飛ばされるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾花・ニイヅキ
【波咲神社】
桃源郷、綺麗だし、占拠したくなる気持ちも分からないでもないが……
お前のようなものが居ては、いつか穢れてしまうだろうな。
だからお前は消えるべきだ。

一部を雲に出来る?逆に言えば一部しか雲に出来ないんだろう?
なら、『属性攻撃(炎)』の『弾幕』を張れば良い。
温泉が好きなら多少熱い方が好みなんじゃないか?お望みならもっと火力を増せるぞ。
熱すぎる?我儘だな。仕方ない、【天翔星】で『属性攻撃(氷)』を浴びせてやる。
急に冷やしたら身体に悪いのは僕でも知ってるからな、結構キツイんじゃないか?

……いっぱい食べて来たはずなんだけど、もうお腹空いてきた。
やっぱりお土産をもっと頼んでおくべきだったかな……。


青梅・仁
【波咲神社】
あー、いくら美人さんでも許されねえことあるって知ってるか?
占拠ってあんま良くねえことだから覚えておけな。

薄荷の湯が好きなのか?ならコイツも喜んで喰らってくれるよな?
薄荷の香りの『ブレス攻撃』で怯ませ、一太刀入れる。
首か顔に傷をつけられりゃ良いが――ま、流石にそれは避けるよな。
ああ、女性の顔を狙ってすまなかった……が、そんな怒っていて良いのか?その隙に顔以外を斬らせて貰うぜ。
『マヒ攻撃』を込めた【妖剣解放】。痺れさせれば次の攻撃は避けにくいだろうからな、追撃させて貰おうか。

え、嬢ちゃんもうお腹空いちゃったの。後でイロハちゃんに温泉卵分けて貰うんでしょ?もうちょっと我慢しなさい。



「こんなにもしてやられてしまうなんて――脆弱な仙人を捕らえ……いえ、この際どんな生き物でもよろしいでしょう」
 喰らってしまいましょう。
 元々は瑞獣であったとされる屍仙女が二肢で地面を蹴れば小さな虫たちの気配。
「この桃源郷の小さな生命を糧としましょう」
 だって、わたくしの土地なのだから。
 雲混じりの片腕が再生されていく。
「そこまでだ!」
 屍仙女の蛮行に待ったをかける猟兵の声――尾花・ニイヅキが駆けてくる。
「それ以上の勝手はゆるさない。この地は綺麗だし、占拠したくなる気持ちも分からないでもないが……お前のようなものが居ては、いつか穢れてしまう」
 生命に満ちた桃源郷は喰い尽くされ、恵みである泉脈も穢れ、淀みは人間の世界にまで影響を及ぼす。そうなれば更にオブリビオンが跋扈する世界となってしまうことだろう。
 そうなる前に手を打たなければならない。
「だからお前は消えるべきだ」
 敵へと鋭く目を向けるニイヅキ。屍仙女は苛立たしげな視線を返した。
「分からない者たちね。ここはわたくしのもの。朽ちれば全てがわたくしの中へ収まった証でしょう?」
「……こいつは話が通じない輩だね」
 ニイヅキを追いかけてきたのか、緩やかな進みで少女の隣に並ぶ青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)。とはいえ一言足すのも性分であるのだろう、仁は屍仙女を見遣った。
「いくら美人さんでも許されねえことあるって知ってるか? 占拠ってあんま良くねえことだから覚えておけな」
「……占拠するまでもありませんわね?」
 だってここは自身のもの。微笑むその表情は好戦的なもの。ニイヅキがぴくりと反応した。
「行こう、仁」
「はいはいっと」
 二人がそう言った瞬間、屍仙女の再生しかけていた腕が再び雷気まじりの黒雲として放たれた。
 広範に薄く広がる雲から、生じた稲妻が二人目掛けて走る。
 人為的なそれの到達点は明らかで回避も可能、と駆けながらニイヅキは流星を敵のいる方へと向けた。狙いはつけない。
「一部を雲に出来る? 逆に言えば一部しか雲に出来ないんだろう?」
 なら、弾幕を張れば良い。
 軽機関銃から次々と炎弾が発射され繋ぐ黒雲を散らしていく。
 雷撃と炎弾が衝突すれば耳を劈く破裂音。何拍かのちに火事場の匂いが漂う。
「……ッ、わたくしの桃源郷に似つかわしくないわね」
「それじゃあ、すっきりしていくかい?」
 屍仙女の言葉に仁がブレスを放った。戦場に満ちる薄荷の香り。龍神の鋭い圧の攻撃は、敵の顔面を狙ったもので屍肉を弾けさせた。
「何をするの!」
 自身で捨てたわけでもない屍肉は戻らないだろう。さらにはニイヅキの炎弾たちに焼き落とされたことを察し、屍仙女が激高する。
 刹那に潰された敵の視界――彼我の距離をつめ、暴れ回る彼女の胴に一太刀を入れる仁。
「ああ、女性の顔を狙ってすまなかった……が、そんな怒っていて良いのか?」
 一足一刀同等なる間合いを捉えた仁が刃を翻し振るう。
 敵骨を傷付ける、怨念纏う斬撃から呪詛と痺れを伴う衝撃波が放たれた。
 ニイヅキの放つ熱量と、仁の痺れをもたらす攻撃に屍仙女が唸る。その声を聞き取ろうとするニイヅキ。
「うん? 熱すぎる? 我儘だな」
 自己解釈。
 ならば、と改めて流星の照準を敵へと合わせた。
「――撃ち抜け!」
 自身の魔力を共鳴させて撃つ天翔星。動きの鈍っていた的へと、名の如く星彩の色を宿す氷弾が翔け撃ち貫いた。
「!!」
「急に冷やしたら身体に悪いのは僕でも知ってるからな、結構キツイんじゃないか?」
 淡々と、それこそ冷徹な声色でニイヅキが言い放てば「覚えてなさい……!」と叫んで屍仙女がその身を震わせ逃げていく。

「ありゃ、行ったか――」
 追おうとした仁であったが追い猟のように動く仲間の姿を見て、止まる。
 屍仙女が骸の海へと還るのもすぐのことだろう。
 一戦の余韻を払うように呼気を吐くニイヅキ。しばし考えたのち、仁を呼ぶ。
 彼女を見れば何やら真剣な表情であった。深刻そうな表情でニイヅキは言葉を続ける。
「……いっぱい食べて来たはずなんだけど、もうお腹空いてきた。やっぱりお土産をもっと頼んでおくべきだったかな……」
 …………。
 視覚と聴覚の情報が一致しない。仁はいつもの日常へと意識を切り替えた。
「え、嬢ちゃんもうお腹空いちゃったの。後でイロハちゃんに温泉卵分けて貰うんでしょ? もうちょっと我慢しなさい」
「イロハ、塩持ってくるかな?」
「まあ、塩くらいなら持ってくるとは思うけど……」
「煮卵……」
 さくっと短時間漬け込んだ煮卵もなかなか美味しそう。
 そうなるとちょっと贅沢にからしも欲しいよね。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

城島・冬青
【橙翠】

迷子でも仙人でもない通りすがりの正義の猟兵です
まぁ別に知らなくていいんですけどね
貴女は私達のことを殺す気満々ですけど今から返り討ちにしちゃいますから

軽口を叩いてますが心は油断してませんので
安心してください
アヤネさん
温泉を独り占めしてる凶暴な仙女はざっくり三枚おろしして蜂の巣にしてやりましょう!

アヤネさんと連携して接近戦をしかける
ダッシュで翻弄するように動き
挟み撃ちで斬りつける
二対一ですみませんね!

(白骨仙女を見て)美に拘ってそうなのに肉体捨てちゃうんだ…
痩せ過ぎは逆に醜いですよ
高い防御力と再生能力に苦戦しつつ
UCのカラスくんと衝撃波で死角から攻撃し
太陽光の当たる日向の方向へと突き飛ばす


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

こういう化生の類いはあまり得意じゃないのだけど
弱点を見つけ出すまで物理で持久戦になるかな

ってソヨゴ
そんなに挑発しなくても相手さんやる気満々だネ

三枚おろしって
アレは食べるところなさそうだネ

慢心している気はするけど口にはしないでおこう
言うだけの実力はあってのこと
危なくなったら僕がフォローすればOK

大鎌を弧を描く袖口からずるりと引き出して構える
接近戦だ
ソヨゴと連携して左右から挟み撃ちにする
相手との距離が離れないようにUCを使用
敵の窒息攻撃にはやや苦しみつつ
芭蕉扇を触手で絡めて動きを止める

怪物に変化したら
ソヨゴとタイミングを合わせて触手で力一杯日向に引き摺り出す



「くっ、また現れましたわね! わたくしの桃源郷を奪おうとする愚か者……!」
 既に何戦かを仲間を繰り広げてきたのだろう、物理的に暗雲を纏い、逆恨みよろしく激高状態となっている屍仙女に出会う猟兵――城島・冬青がむっと眉を顰めた。出会い頭で言いがかりをつけられた気分だ。
「迷子でも仙人でもなく、愚かでもない、通りすがりの正義の猟兵です。まぁ別に知らなくていいんですけどね」
 花髑髏に手を添えて心も体も臨戦態勢だ。正義と人々のために力を行使するヒーローらしく、正々堂々と冬青は仙女に対峙する。
「貴女は私たちのことを殺す気満々みたいですけど、安心してください。今からちゃんと返り討ちにしちゃいますから」
 アヤネ・ラグランジェは彼女を落ち着かせるように、そっと声を掛けた。
「ソヨゴ……そんなに挑発しなくても、相手さんもやる気満々なのだし」 
「アヤネさん! 温泉を独り占めしてる凶暴な仙女はざっくり三枚おろしして蜂の巣にしてやりましょう!」
 オブリビオンに煽られてしまったのだろうか、冬青は殺る気満々といった様子。
「ソヨゴ……売られた喧嘩は買っ」
「いいえ、狩るんです」
 だめだ。止められない。どうにも彼女が慢心している気はするけども――それは口にせず、アヤネは違う言葉を紡ぐ。
「三枚おろしって――アレは食べるところなさそうだネ」
 冬青もそう言うだけの実力はある。
(「危なくなったら僕がフォローすれば万事OKだ」)
 そんな二人へ先制を仕掛けるのは屍仙女だった。
「三枚おろさずとも、分けてあげますわ」
 そう言って自らの屍肉を投げつけてくる。
「うわあ!」
「野蛮過ぎます!」
 冬青が言い、駆ける。瞬発力の高い冬青の駆けはひとっ飛びという言葉そのもので、あっという間に自身の対角の場へ。敵を翻弄するように踵を返す跳躍を。
 アヤネもまた走りながら弧を描くように腕を振れば、次の瞬間にはウロボロスの大鎌を手にしていた。
 観の眼で捉える敵は瑞獣らしくない二肢。片方だけに残る腕が抱く芭蕉扇は裂かれているが、構えたところを見ると宝貝の性能は失われていないようだ。
(「手痛くやられたようだ……こういう化生の類いはあまり得意じゃないのだけど」)
 弱点を見つけ出すまで物理で持久戦になるかな、と予測する。その域への到達を早めるための挟撃に二人は出る。
「二対一ですみませんね!」
 斬撃を放つ冬青の相手をする屍仙女に、ユーベルコードを仕掛けるアヤネ。
「術式起動。かの者の自由を奪え――UDC形式名称・ウロボロス」
 アヤネの影から放たれた異界の触手たちが、屍仙女の二肢と胴へ巻き付き這いあがっていく。
 大鎌の一振りを喰らわせて、アヤネは一歩ぶん後退する。相手との距離を一定に保つ足捌き。
 捨てられる屍肉が芭蕉扇に吹き飛ばされ、刹那の礫として二人を襲った。真っ向からの風に耐えるアヤネ。
 その最中に敵の背後を取った冬青が斬りつけた。
「美に拘ってそうなのに肉体捨てちゃうんだ……痩せ過ぎは逆に醜いですよ。それとも――」
 白骨へ振るった刀が弾かれる。
 傷はつき、蓄積された敵の消耗具合により、癒えるまでの時間はかかるようだが――再生能力自体が活きている。
「血の通わない、屍肉だから。生命に満ちた新鮮なものを欲しているんですか? ――カラスくん、お手伝い!」
 視えないコルヴォを放てば、突進したコルヴォが嘴で骨を穿つ。羽撃ちが芭蕉扇を叩き、屍仙女が怯んだところに触手がその腕を捕らえた。
 ぐっと引き下げれば屍仙女の体勢が崩れる。
「冬青!」
「はいっ」
 アヤネの声に鋭く一瞬腰を落した冬青が花髑髏を斬り上げた。
 一刀に圧が発生して放たれる衝撃波。
 屍仙女の纏う黒雲を霧散させ、壊されていた脊柱部が太陽光に晒された。
「あっ……ぐぁあぁぁぁぁ!!」
 骨の灼ける匂い。
 のたうちまわり、弾かれるように後退した屍仙女が二人の前から姿を消す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シリン・カービン
自然の恵みは必要な者が必要な分だけ享受するもの。
山の幸も温泉も、分不相応の独占は許されない。

「なので狩ります。あなたは私の獲物」
指を突きつけるとUC発動。
高速移動で屍仙女の視界から消えます。

身体を雲に変異させるのなら、風で吹き散らすのが常道。
その先に一つ罠を張るとしましょう。

屍仙女が自身の身体を雲に変えたら、すかさず風の精霊弾を撃ち、
風を渦巻かせて雲を吹き散らします。
繰り返せば、雲はそのうち身体を再生しようと集まるでしょう。
その瞬間を見逃さず、炎の精霊弾を装填、速射。
破裂した炎が瞬時に雲を蒸発させます。

骸の海で頭を冷やしておいでなさい。
分かち合う喜びが理解出来たその時は、一献付き合いましょう。



「どうしてどうしてどうして……ッ」
 何故なの、とかつては瑞獣であった仙女が世界に問う。
 小さな生き物はわたくしを長とした。間違いなく、世界が構成する頂点に仙女はいたのだ。
 四肢の下。眼下の層はすべて彼女のものであったはず。

 追い猟をされたかのような、猟兵たちとの戦闘。
「忌々しい――」
 ただの獣のようにわたくしを狩ろうとするなんて。
 けれども追い猟はいずれ行き場がなくなるもの――屍仙女の前に現れたのは一人のエルフ。精霊猟銃を携えるシリン・カービンであった。
「自然の恵みは必要な者が必要な分だけ享受するもの。山の幸も温泉も、分不相応の独占は許されない」
 あなたがたはそれを越えてしまっている。と、シリン。
 封神武侠界のオブリビオンは殊更その我が強いようにも感じる。
「なので――狩ります。あなたは私の獲物」
 屍仙女の方へと指を突きつけた瞬間、シャドウ・ステップを踏んだシリンの姿が掻き消えた。
「!? どこにッ」
 腹部を雲に変え、広範に雲を放つ屍仙女。毒を喰らったことのある仙女が腹に内包する毒を含ませる。
 敵ユーベルコードの発動を促したシリンが時の精霊の加護を受けながら駆けた。
(「身体を雲に変異させるのなら、風で吹き散らすのが常道」)
 狙いはつけない。ワンステップを省いた射撃はそのぶん速く、風の精霊弾を撃ちこまれた広範の雲が穴をあけた。
 手はそれだけではなかった。
 精霊は風を渦巻かせて、吹き散らしていく。伴って渦を描く雲が霧散していく光景。
「や、やめて……! わたくしはもうこれ以上失うわけには……」
 がくがくと震えながら屍仙女が雲をかき集めていく。元在った場所――存在値の薄くなった腹部に。
 即座に次の精霊弾を装填し、シリンは照準を合わせる。
「――」
 一部を取り戻した腹部分に銀彩。見覚えのあるそれにふと目元を緩めたシリンであったが、その指先は引鉄を弾いた。
 次の瞬間、炎の精霊弾が敵へと撃ちこまれ破裂した。爆発的に盛った炎が瞬時に雲なる屍仙女の胴を蒸発させ、頭部と下半部が離別する。
「あ……あぁ……」
 先に伝った剣筋を描くままに、炎の紅が地に落ちた。
「骸の海で頭を冷やしておいでなさい。分かち合う喜びが理解出来たその時は、一献付き合いましょう」
 瑞獣であった仙女へと、静かにシリンは声掛ける。
 落ち転がった角がブーツのつま先に当たった。
 数多の熱にあぶられてきた骨身はぼろりぼろりと崩れ落ち――屍仙女は骸の海へ還っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『湯煙たなびく温泉郷へようこそ』

POW   :    礼に始まり礼に終わる。温度高めの温泉で我慢比べだ。

SPD   :    礼に始まり礼に終わる。すべての温泉を楽しむのも、一つの礼儀である。

WIZ   :    礼に始まり礼に終わる。管理する人々に感謝をして、ゆったりと楽しもう。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 屍仙女が骸の海へと還っていく。
 どこからか、仲間が奏でているのだろう鎮魂の曲。
 戦闘が発生しざわついた桃源郷の空気が穏やかなものへと戻っていく――。

 人界とここ、桃源郷のある仙界を繋ぐ洞穴を見つけた猟兵たちは、洞穴を通っていつでも二つの界が交流できるように、備えとして地点をマーキングしておいた。これでひと仕事終えたというものだ。
 美味しい物を食べた。運動をした。
 ぐっと伸びをしてやや遠くを見る。さあ、次は――。


 温泉豊かな一帯に訪れると、羽衣人の仙人が猟兵たちを迎えた。
「こんにちは、旅人よ。桃源郷を救ってくれてありがとうね」
 この付近の管理をしているという仙人の少年は飄々とした物言いだ。
「ここは湯治場でもあってね、傷を癒しにくる動物や仙人も訪れる場所なんだ。彼らを避難させてたら締め出しくらっちゃった」
 でも仙術と宝貝を駆使してポポンと元通りさ、と仙人が場を示した。
 木造の建物に檜風呂。露天な岩風呂や切り出し石の風呂など浴槽は様々。
 桃の葉や、桃源郷らしく甘い桃の香が立つ温泉。
 菖蒲や、ゆずの入った温泉。
 よもぎや薄荷の湯と、暦の湯は邪気や厄、そして暑気払いといった効能があるらしい。
「でもまあ好きな温泉に入るといいよ。普通のさらっとした湯もあるし、どろっとした湯もあるし。あ、入浴の際はこっちの湯着を着用してね」
 健康的な混浴可。
 結構、ここ広いから好きな場所に行ってと仙人。
「ご飯は軽食くらいなら、仙術で用意できるよ」
 あとは……、と仙人が周囲を見回す。
 温泉郷に寄せて造られたこの辺りは、桃源郷の景色を楽しみながら足湯や手湯を楽しめる散歩コースもあるらしい。
 綺麗な石を集めて湯の路が造られていて、温泉水が一帯を流れてく。湯気に当たった桃花が濃く香っていた。
 路によって湯の質はやっぱり色々。
 温泉卵も作って楽しめる。
 ――……そういえば、この世界へと案内した猟兵がそろそろ到着する頃だろうか。
 恐らくはたくさんの卵とザルと、塩とかも持ってくる。温泉卵も楽しむのもアリかもしれない。
「のどが渇いたら飲み物あるけど、果実を食べてもいいよ」
 桃源郷の果実はどれも美味しいから、と、仙人が言う。

 さあ、お楽しみの時間だ。
 温泉で癒されるのも良し、散歩をして楽しむのも良し。ゆっくりと過ごそう。
 猟兵たちは思い思いに歩を進めていくのであった。
張・西嘉
瞬殿(f32673)と
桃源郷に温泉と言うのはどこか神秘的だな。
動物達も湯治に訪れると言うのも頷ける。

瞬殿、戦闘やここまで歩いた疲れもあるだろう?
温泉で疲れを取るとしよう。
種類も沢山あるし悩むな…。
そうだな外出先だし足湯がいいか。
薄荷や桃の葉いいが桃源郷ならではの桃の甘い香りと言うのが良いか。
よし、この湯にするか。
桃が俺との思い出に?
そうだな、俺も以前よりも桃が好きになったかもしれんな。

瞬殿、葡萄を頂いたが食べるか?
仙術のおかげかよく冷えている。
ん、そうか?食が進むのは良いことだ。
足湯に浸かりながら冷えた葡萄を食べるとはなんとも贅沢だな。

あぁ、また共に過そう。


征・瞬
西嘉(f32676)と
温泉、とは色々な種類があるものだな
そうだな、外で素肌を晒すのは好きではないから…
足湯なら山道の疲れも癒せそうだ

どの湯に浸かろうか?
ん…甘い匂いの温泉、桃の香か…
此処最近ずっと桃の花を見ているからか
すっかり桃が身近になってしまったな
まぁ西嘉との思い出が深いのが一番の理由なのだが…

足湯を楽しみながら、西嘉が貰ってきた葡萄を食べる
手で掴んで食べやすいしな
うん、この葡萄美味しいな…甘い
今日はなんだか食べてばっかりだった気がするな
君と一緒だとこういう機会も増えそうだ
存外悪くない…。



 楽しんで、と手を振り猟兵たちを送り出した仙人へ手を振り返して、張・西嘉は周囲を見回した。
 その手には仙人から貰った包みがあった。潰さないよう、そっと抱えている。
「桃源郷に温泉と言うのはどこか神秘的だな。動物たちも湯治に訪れると言うのも頷ける」
 源泉から沸く熱と湯気が郷にたなびく。
 それはまるで神秘的な雲間にいるような錯覚も感じて、ほう、と西嘉は息を吐いた。
「温泉、とは色々な種類があるものなのだな」
 軽めな仙人の案内の言葉を思い出しながら征・瞬は路の先を見る。
 季節の湯場には柚子がぷかぷか浮いていたり、菖蒲の葉が浮いていたり。側に寄れば清涼にも色んな香りがあるのだと知れた。
 瞬殿、と改めて西嘉が呼ぶ。
「戦闘やここまで歩いた疲れもあるだろう? 温泉で疲れを取るとしよう」
 見学よろしく観察している瞬に、どうだろうかと西嘉は尋ねた。
「そうだな。だが、外で素肌を晒すのは好きではないから……――足湯なら山道の疲れも癒せそうな気がする」
 考えながら言う瞬に頷きを返す西嘉。
「外出先だし、足湯に賛成だ。湯は薄荷や桃の葉とあるようだが――桃源郷ならではの桃の湯はどうだろうか? 甘い香りがしているらしい」
 ゆっくりと楽しむために、泉質も選んでいきたいところだ。
 他の温泉は地上でも楽しめるもので、桃源郷でしか浸かることのできない桃の湯が気になった。
「ん……甘い匂いの温泉、桃の香か……」
 異もなく瞬は頷いた。
 話し合いながら温泉へと向かっていく。
 桃の湯はあちこちにあるようだ。
「よし、この場所にしよう。瞬殿、そちらの岩場が腰かけやすそうだ」
 ささっと脚元の装備を緩める西嘉に対し、瞬はゆっくりと装備を解いていった。
 整えられた岩に座り、そろりと湯に足先を入れる。
 場所によっては深さもある様子。西嘉はふくらはぎまで、瞬は浮かせるようにまずは足首まで。
 じんわりと脚が温まっていく。
 やはり歩いて疲弊していたのだろう、強張ったものがほぐれていく感覚。思わずといったように、ほっとした息が瞬から零れた。
「此処最近、ずっと桃の花を見ているからか、すっかり桃が身近になってしまったな」
 呟くようなそれに、うん? と西嘉が顔を上げた。
「まぁ西嘉との思い出が深いのが一番の理由なのだが……」
「はは、桃が俺との思い出に? ――だが、そうだな。俺も、以前よりも桃が好きになったかもしれんな」
 重ねた時間とともに、過ごした存在。
 朗らかな笑みで応えた西嘉に、瞬は僅かな微笑みを返す。
 湯の流れにゆるゆると心も解けていくようだ。
 せせらぎが心地良く、時に小鳥の鳴き声が空に渡る。
 温泉に指先で触れ波立てれば、仄かな甘い桃の香り。
「――そうだ、瞬殿、葡萄を頂いたのだが食べるか? 仙術のおかげかよく冷えている」
 西嘉自身は食べるつもりなのだろう。包みを開けば濃紫の粒たち。
「頂こう」
 そう言って瞬は差し出された葡萄を一粒。手で掴んで食べやすいから、という理由で食べようと思った瞬であったが、芳醇な一粒に改めて味わう。
「うん、この葡萄は美味しいな……甘い」
 もう一つ。
 身体が温まってきたのだろう。冷たい葡萄とその果汁が喉を通り落ちていくのが心地良い。
「足湯に浸かりながら冷えた葡萄を食べるとは、なんとも贅沢だな」
 食べる西嘉は楽しそうだ。ちら、と彼の方を見て瞬は言葉を紡ぐ。
「今日はなんだか食べてばっかりだった気がするな」
「ん、そうか? なに、食が進むのは良いことだ」
 食べてこそ色々と動けるようになるというものだ、と武人である西嘉が言う。
「君と一緒だとこういう機会も増えそうだ」
 存外、悪くない――と瞬の表情はどこかゆるやかで。
 そんな彼へからりとした笑みを返す西嘉。
「あぁ、また共に過ごそう」

 穏やかな時を重ねる瞬間を。
 ひとつ、ひとつ。
 これからも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

砂羽風・きよ
【菊】

めっちゃ豪華だな
初めてなのか?そんじゃ、楽しまなきゃだな
俺も久々だから楽しみ

制覇を目標にしつつゆっくり浸かろうぜ
岩風呂はやっぱ最高だな!
あー、いい湯だわぁ
ザルに卵入れて温泉卵でも作るか?

菖蒲いいじゃん入ろうぜ!
こっちもいいなぁ…って理玖?!
はは、ぶん回すな!
菖蒲は肩こりとか疲労回復だった気がする

まぁ、入ったら多少は効くんじゃね?
ふ、理玖らしいな
ちゃんと肩まで浸かれよ?

ん、ほんとだ甘い香りがするな
桃風呂?そんなのもあんのか!
おお、行こうぜ行こうぜ!
理玖につられて速足で

やべぇ、最高に気持ちいい
なんか肌がつるつるになった気がするわ

風呂上がったら冷たい桃でも食うか
後、コーヒー牛乳な
理玖は牛乳か?


陽向・理玖
【菊】

すっげぇ
めっちゃ温泉ある
スパ?テーマパーク?
俺初めてだ
目移りするわー
兄さんどっから行く?
全種制覇出来っかな?
わくわくしながら軽く流し
まずは岩風呂
おー…
めっちゃいい
確かに温泉卵作りてぇ

あっち菖蒲だって
行ってみねぇ?
覗き込み
葉っぱ…
入れば菖蒲の葉ぶんぶん回し
てかどんな効能あるんだ?
沢山あるけどさ
全部入ったら全部効果あるものなんかな?
まぁいいや楽しいから

疲労回復丁度いいじゃん
わ…分かってるよ
慌てて浸かり

何か甘い匂いしねぇ?
桃?桃風呂?
兄さんあっちも行こうぜ
早くと急かし

マジか
兄さんイケメン度上がったんじゃね!?

桃の花見ながら桃風呂とか最高だな
兄さん上がったら俺桃食いたい
喉乾いた
さすが分かってるな



 泉の熱と湯気が雲のようにたなびく桃源郷はどこか神秘的な場所だった。
 しかしそれは距離を置き眺めた景色の話。
 現地へと踏み込めば、数々の岩場と家屋、整えられた湯の路。
「すっげぇ。めっちゃ温泉あるじゃん。スパ? テーマパーク?」
 場所を表現するに的確な言葉を弾きだした陽向・理玖は珍しそうにあちこちと見て回っている。
「おっ、理玖はスパ系初めてなのか? そんじゃ、楽しまなきゃだな。俺も久々だから楽しみ!」
 と、砂羽風・きよ。
 彼らの歩みが向いたのはゆっくり温泉に浸かっていくコースだった。湯着と手拭と、完全な温泉スタイルとなった二人が最初に浸かるのは岩風呂。
 戦闘の名残を洗い落として、温泉へと入れば強張った筋肉がほぐれていく。
「あー…………いい湯だわぁ」
 きよの唸り混じりの第一声。腕を伸ばして脚を伸ばしてと動けば柔らかな湯の流れが身体を癒していく。
 ぱしゃりと、湯の音が心地良い。
「おー……めっちゃいい」
 こてりと理玖が頭を傾ければ、湯につかっていない岩がそこにあり、ひんやりとした感覚。差異が気持ち良い。
 しばらくは言葉なくまったりと過ごす。
「兄さん次どこいくー?」
「んー」
「全種制覇出来っかなー」
「おー……制覇を目標にしつつ、ゆっくり浸かろうぜー」
 わくわくシャキシャキ動いていたさっきとは違って、今は会話も伸び伸びだ。
 ぐるんと体勢を変えてうつ伏せに岩肌にくっつくきよ。
「理玖。ここ、あとで卵持ってまた来ようぜ」
「賛成。確かに温泉卵作りてぇ」
 湯の後の水分補給をしながら、のんびりと過ごせば丁度良く出来上がる事だろう。

「兄さん、あっち菖蒲だって。行ってみねぇ?」
「おっ。菖蒲いいじゃん、入ろうぜ!」
 独特な菖蒲の香りに満ちた湯はいかにも薬湯といった感じであった。
「葉っぱすげー。そのまんま入ってる」
 すらりとした菖蒲の葉を持った理玖が返す返すと眺めたのち、ぶんっと振り回した。
「待て待て、理玖! はは、ぶん回すな!」
「刀っぽくてついつい……てか、これ、どんな効能があるんだろ」
 香りで厄払いという目的が一番強い菖蒲湯。理玖は言葉を続ける。
「……温泉、全部入ったら全部効果あるものなんかな?」
「とりま、菖蒲は肩こりとか疲労回復だった気がするな」
「疲労回復、ちょうどいいじゃん」
「あとは、こどもの日のやつだろ? 風呂ん中の葉っぱで鉢巻するといいってのは聞いたことがあるような……」
 きよの言葉に、ほうほうと頷く理玖。二人は徐に自身の額に葉を巻いてみた。
 とりあえず、やる。それが万年男子というものなのかもしれない。
「理玖。ちゃんと肩まで浸かれよ?」
「わ……分かってるよ」
 慌てて浸かり、その体を沈ませていく理玖だった。

 さて、次の湯。
「あ、待った! 何か甘い匂いしねぇ? なんか桃のような」
 きよを止めた理玖が「こっち」と指を差す。
「え? ん、ほんとだ甘い香りがするな。桃風呂とかあんのか!?」
「兄さん、あっちも行こうぜ」
 ほら、と急かすように言って先行する理玖。
「おお、行こうぜ行こうぜ!」
 速足で理玖についていくきよ。
 桃の湯は桃源郷ならでは。
 桃の葉の湯が爽涼感があるのなら、桃の湯は甘い香りで人を癒す。
 泉質もややとろみがあるもののようだ。
「――待て、理玖。やべぇ」
 桃の湯に浸かってしばらく。
 ハッとしたきよが至極真面目な顔で理玖を呼ぶ。
「最高に気持ちいい……なんか肌がつるつるになった気がするわ」
 お肌つるつるよ。的に。ほら、と腕を湯から上げてきよが言った。そして両頬を擦る。
「マジか。兄さんイケメン度上がったんじゃね!?」
「やば。既にイケメン極めてんのに、更にか……!?」
 ……本日、ここにはツッコミ役がいなかった。
 それはそれとして桃源郷の仙人がオススメする桃の湯は、オススメされるだけあって、温泉に入り続けた故の疲労の回復もしてくれるようだ。
 更にのんびりと浸かっていられる。
「桃の花見ながら桃風呂とか最高だなー」
 ふと理玖が空を見上げれば青い空と間近に桃の花々。
 ひらりと零れ落ちてきた桃の花が湯の上を漂う。
 綺麗だなぁと純粋に思える光景だった。
「兄さん――」
 どこかぼんやりとした様子のまま、今度は理玖がきよを呼んだ。
「ん?」
「上がったら、俺、桃食いたい。喉乾いた」
 いかに癒し効果のある温泉だろうと、失われた体内の水分は戻ってこない。結構真面目に切実。水分補給は大事。
「おお、そだな。風呂上がったら冷たい桃でも食うか。あと、コーヒー牛乳な! …………あ、理玖は牛乳か?」
「さすが兄さん。分かってるな」
 拳を出してみれば、距離はあれどもこつんとぶつけるようなしぐさを同時に。
「よっし、じゃ一時撤収。水分補給いくぞー」
 ざばっときよが上がれば理玖もそれについていく。
 ほかほかと体は芯から温まって、時折肌に触れる風が心地良い。
 平穏な桃源郷を、二人は満喫していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
倫太郎と手を繋いで散歩に行きましょう

桃源郷は世俗を離れた仙郷のことを言うようですが
理想郷も似たような意味合いになるようですね
ふふ……私達にとっては互いが居る場所こそ、ですからね
勿論、同じですよ

いつもと変わらない会話をしながら
いつもとは別の世界を歩いていく

おや、桃ですか
それでは私からも倫太郎に熟したものを一つ
近くに熟した桃を見つけて、彼へと渡す
足湯に浸かりながら一緒に食べましょう?

互いの桃を交換するように受け取って足湯へと向かう
どれも香りが良いもので迷ってしまいます
順番に入っていきましょうか

桃を食べながら、足を湯に浸けて景色と会話を楽しむ
些細な平和だからこそ、極楽なのかもしれないですね


篝・倫太郎
【華禱】
いつも通り手を繋いで
のんびり散歩コースを巡る

桃源郷……理想郷に近いけど
少し意味合いが違うんだっけ?
ま、俺にはあんたが居ればそこが一番の楽天地だからなぁ

へへ、あんたにも『そう』だったら嬉しいデス

同意の言葉を貰えば
無性に嬉しくなる
チョロいもんだよな、俺も

そんな事を想いながら
いい具合に熟した桃を一つもいだら夜彦に差し出して
足湯しながら食べようぜ?

え?あ、うん
ありがとな?

差し出された桃を空いた手で受け取って

気になる泉質があったら
これまたのんびりと足湯と景色を堪能する
足湯のお供はもいできた桃

熱過ぎず、ちょうどいい湯加減の足湯に綺麗な景色
瑞々しい果肉と果汁が甘くて美味い桃

極楽だよなぁ、やっぱりさ



 あたたかな泉の湧く地は熱と湯気がたなびいて、遠くその景色を見れば確かに幻想的なものなのだろう。
 けれどもその地を踏めば確かな現実。
 のんびりと歩んで月舘・夜彦と篝・倫太郎は手を繋いで穏やかな時を共にする。
 何処へ目を向けても満開の桃花。小鳥が音を奏で、枝を伝い行く。
 霊力に満ちた香気が猟兵たちの心身を癒していった。
 どこかふわふわと――それこそ雲のような気配を持つ土地に、倫太郎がふと言う。
「桃源郷……理想郷に近いけど、少し意味合いが違うんだっけ?」
「桃源郷は世俗を離れた仙郷のことを言うようですが、理想郷も似たような意味合いになるようですね」
 言葉紡げば返ってくる穏やかな声。それが嬉しい。倫太郎の頬が緩んだ。
「ま、俺にはあんたが居ればそこが一番の楽天地だからなぁ」
「ふふ……私達にとっては互いが居る場所こそ、ですからね」
 『そう』だったら嬉しいなぁと思いながら告げたことに、同じだという言葉。それがどんなに嬉しいことか――。
(「チョロいもんだよな、俺も」)
 倫太郎はそう思うのだが、それはきっと夜彦とて同じだ。
 心の内を告げることはいつだって告白で、今日もまたそれが叶って微笑み合う。
 いつもと変わらない会話をしながら。
 いつもとは別の世界を歩いていく。
 歩み重ねれば、時は裡へと降り積もる。それはあたたかな雪のようであった。

 散歩をしているとたわわに実る桃を見つけたのでもいでみる。
「足湯しながら食べようぜ?」
 そう言いながら良い具合に熟した桃を倫太郎が差し出せば、おや、と声を零して夜彦も熟した桃を探して一つ。
 桃と桃の交換だ。倫太郎は目を瞬かせた。
「え? あ、うん。ありがとな?」
 桃を渡して、手に入る桃。いやいやこれは夜彦自ら選びもいだ桃なのだ。ずっしり級の瑞々しさが違――いやたぶん大体一緒だけど。
 ツッコミ気質がうずうずと顔を覗かせてくるが我慢した。偉いぞ、俺。
 などという倫太郎の葛藤をよそに、どこの足湯にしましょうかと夜彦はのんびりと辺りを見回しながら彼の手を引いて歩く。
「どれも香りが良いもので迷ってしまいますね」
 温水のせせらぎは柔らかく耳に心地良く、立つ香りは様々。
 清涼にも薄荷や菖蒲、桃の葉と種類があるようだ。
「順番に入っていきましょうか」
「えっ、あ、うん」
 同じことを口にしながら倫太郎が思考の先から帰ってくる。
 足元の装備をほどいて湯に浸せば、村や山での歩きや戦闘と強張っていたものが解れていく。
 泉は湧く湯だまりから路へと流れていって、時折落ちた桃の花が遊ぶように過ぎていった。
 足湯をしているとほかほかと体も温まってきて、時々吹く風が心地良い。
 みずみずしい桃の果肉は甘く、喉を潤す。
 遠く空をいく鳥の声が渡った。
「極楽だよなぁ、やっぱりさ」
 空いた手で後ろ手をついて、緩やかな姿勢となった倫太郎がつま先を揺らし湯で遊ぶ。
「些細な平和だからこそ、極楽なのかもしれないですね」
 夜彦はそう言った。
 戦いに明け暮れる、猟兵の日々。
 だからこそ尊く感じる平穏は、戦いの中で知らず禱るからこそなのかもしれない。
「まー帰ったらまた忙しいだろうしぃ」
 温泉のせいか伸びた声になっている倫太郎に、夜彦の頬が緩む。
「子供たちにお土産を渡して、夕食の支度をして、ですね」
 ある意味戦場だ。
 やっぱ極楽尊いわ、と倫太郎が呟いた。
「…………もうちょいのんびりしてこうぜ」
 そんな会話をしながら笑い合った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
温泉と一口に言っても色々あるんだねぇ
大きい温泉にがっつり全身浸かるのもいいし
足湯をあちこちまわるのも楽しそうだし…
ねぇ梓、どれがいいかなー?

そして桃の香りの温泉に到着
わ、いいにおいだねぇ
桃の香りを纏うだなんて女子力高そうだね
まぁ梓はそうじゃなくても結構女子力高いけど
女子力というかオカン力かな?

ぬくぬくと温泉に浸かりつつ
俺の中で桃といえばやっぱり食べる物なイメージ
これだけ桃の香りに包まれていると
自然と食欲も湧いてくる
ねぇねぇ、あとで何か食べに行こうよ
仙人さんが用意してくれる軽食気になるし
桃源郷の果実も食べてみたいな
あっ、温泉卵作り体験もしてみたいかも
梓お手製の桃のおやつも今度食べたい


乱獅子・梓
【不死蝶】
ふむ、足湯は服を全部脱がなくていいのは手軽だが…
さっきの戦いで汗をかいたんだし
ここはでかい風呂で全身浸かって汗を流したいな

桃の温泉に来れば
温泉らしからぬフルーティーで甘い香り
この温泉にしばらく浸かっていたら
俺たちも全身桃の香りに包まれそうだな…
やかましいぞ(こつんと軽く小突き

桃の香りもいいが、俺はやっぱりこれだな
酒入りのとっくりとおちょこを傍に
(※飲酒NGであればいい感じにマスタリングお願いします)
お前食べることばっかりだな??
しかもさらりと俺に作らせようとしているし
戦いの前にあれだけ山菜料理食っていたのに…
分かった分かった、お前の行きたいところ
全部付き合ってやるから



「温泉と一口に言っても色々あるんだねぇ」
 岩場を組んだり利用したり、あちこちに立つ湯屋を見回しながら灰神楽・綾が言う。路をいく温泉水には、どこからか零れ落ちた桃の花が遊ぶように流れていってほんの少し追い駆けてみたり。
「大きい温泉にがっつり全身浸かるのもいいし、ほら、あそこ湯だまりがあるよ。足湯をあちこちまわるのも楽しそうだよね」
 目移りする、というのはこのことか。入浴の仕方一つとっても泉質は様々あるようで悩みは尽きない。
「ねぇ梓、どれがいいかなー?」
 振り向いて乱獅子・梓へと問えば、仔竜たちを両肩に乗っけた彼の「そうだなぁ」という呟きが返ってくる。
「足湯は服を全部脱がなくていいのは手軽だが……さっきの戦いで汗をかいたんだし、ここはでかい風呂で全身浸かって汗を流したいな」
「じゃあ決まり。早速行こう」
 綾が「あっちのが気になる」と先行すれば、零が肩に飛び乗ってくる。
 湯屋へと入り、着替えて、戦闘の名残を軽く流して。
 ほこほこと湯気が立ち、湧く温泉へと浸かれば強張っていた身体がゆるゆるとほぐれていった。
「おー……」
「わー……」
 ほっと吐く息も、唸りめいたものに。焔がぱしゃぱしゃと温泉内を泳ぐ。
「梓、この温泉、すっごくいいにおいだねぇ」
 ほら、と綾が掬ってみせる湯。ほのかに甘く桃の香りがする湯は桃源郷ならではのもので、効力も高そうだ。
 温泉らしからぬフルーティーな甘い香りだな、と零を頭に乗せた梓が言う。
「しばらく浸かっていたら俺たちも全身桃の香りに包まれそうだな……」
 既に肌がすべすべつやつやとしつつある。
 はは、と綾が緩く笑った。
「桃の香りを纏うだなんて女子力高そうだねぇ。――まぁ梓はそうじゃなくても結構女子力高いけど」
「おい」
「女子力というかオカン力かな?」
「やかましいぞ」
 言葉の止まらぬ綾を軽めにこつんと梓が小突く。
「桃の香りもいいが……俺はやっぱりこれだな」
 と入浴前に備えた盆を引き寄せて、梓が徳利を持った。
 買っておいた地酒がお猪口に注がれる。先程の仙人から貰った辛口のお酒もあるしで梓は少々上機嫌だ。
「俺の中で桃といえば、やっぱり食べる物なイメージかな~」
 愛らしい形に瑞々しい果肉。抵抗なく刃が通る、滑らかな食感の桃を思い浮かべながら綾が言った。
 見上げれば青い空、この地の至る所にある満開の桃の花が目に入って、浸かっている温泉からも桃の香り。
 程よく身体もほかほかとしていて、冷やした桃を食べたい気持ちになってくる。
「ねぇねぇ梓ぁ、あとで何か食べに行こうよ。仙人さんが用意してくれる軽食気になるしー」
 一口サイズの色んな具の点心や、胡麻団子、桃のシャーベットだってあるかもしれない。
 桃源郷ならいわゆるマンゴーやライチ、柘榴といった果実もあるだろう。
「それに温泉卵作り体験もしてみたいし~」
 源泉から湧く湯気で作った温泉卵はほんのちょっぴり塩味がついたりもする不思議なもの。
 きっとあれが温泉の風味というものだ。
「梓お手製の桃のおやつも今度食べたい~」
 やりたいこと、食べたいものを言っていく綾の姿に「ハイハイ」と杯を飲みすすめながら梓が言う。
「だが、お前食べることばっかりだな?? 何気にさらりと俺に作らせようとしているし……」
 戦いの前にあれだけ山菜料理を食ったのになぁ、と梓がいなすのだが綾は諦めない。
「桃ゼリー、桃タルト、桃ムース」
「…………」
「桃まんじゅうとかさぁ」
「いやあれは点心――分かった分かった、お前の行きたいところ、全部付き合ってやるから」
 折れた梓に、やったぁと喜ぶ綾。
「キュー」「ガウ」と焔と零も喜びの声。
 しょうがないな、と呟く梓は柔らかな笑みを浮かべている。
 平穏の戻った二人と二匹の桃源郷ライフはのんびりまったりと。
 まだまだ続くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神元・眞白
【SPD/割と自由に】シンさん(f13886)と一緒に
2人ともお疲れ様。イベントだけならよかったのですが上手くいきませんね。
シンさんも今はその疲れた体を癒すことを考えてくださいね。
...?私は人形の身ですからメンテナンスをすれば大丈夫ですよ?
ちょうど温泉もありますから全部回るのも……時間が足りませんか。
迷うぐらいなら決めてしまって入っていくのも、いいかもしれません。
こういう時ですから……そうですね、一緒に入りましょう。

よくよく考えたら、泳ぐときぐらいですね。こういう恰好は。
普段はあまりお湯にはつかりませんし、いい経験かもしれません。


シン・コーエン
【WIZ】
眞白さん(f00949)と

最初は足湯でもと思っていたが、湯着を着用して健康的な混浴ができるのなら、露天風呂で桃源郷の景色を楽しみつつ、眞白さんとつかるのも良いかなあ。眞白さんはどうかな?
(管理の仙人さんにはお礼を)

(露天温泉にて)「眞白さん、魅医ちゃんお疲れ様。
一緒に山菜料理食べて、オブリビオンと戦って、露天の温泉に入って、今日は密度の濃い一日だなあ。」
自然を感じられる環境での温泉は好きなので、のんびりと。

「温泉が好きな人は多いと思う。眞白さんの知り合いにもいるんじゃないかな。話題にもなるからいい経験だと思うよ。」

最後に温泉を出たら、桃源郷の桃を頂きます。
湯上りの身にはありがたいな。



「温泉……眞白さんはどんなのに入りたい?」
「どんなの、とは」
 管理人を兼ねている仙人の話を聞いて意外と色んな入浴法があるのだと改めて知ったシン・コーエンが神元・眞白へ尋ねれば、淡々とした声が返ってくる。
「うん。最初は足湯でもと思ってたんだけど、湯着を着用して、健康的な混浴ができるのならそれもいいかなって。露天風呂で温まりながら、のんびりと桃源郷の景色を楽しめそうだよ」
「シンさんが疲れているのでしたら、それでも良いかと」
「眞白さんはどうかな?」
 疲れてる? そういうニュアンスとして聞き取った眞白は僅かに首を傾げた。
「……? 私は人形の身ですからメンテナンスをすれば大丈夫ですよ? ちょうど温泉もありますから全部回るのも……――いえ、それに足る時間はありませんね」
「うん。それに、入浴し続けると結構疲れちゃうのが温泉なんだよね」
 シンが言う。癒されるとよく言われる温泉なのに、疲労感も覚えるとは。眞白は一度瞬きをした。
「そうなのですか……」
(「迷うぐらいなら決めてしまって入っていくのも、いいかもしれません」)
 そしてこくりと頷いた。
「こういう時ですから……そうですね、一緒に入りましょう」

 湯着を着用し、軽く戦闘の名残を流し落としての入浴。
 源泉が湧き、程よく湧き水と薄められ、流れていくちゃぷちゃぷとした湯の音は不思議と心地よく落ち着く。
 肩まで浸かれば歩き通しで強張った身体がほぐれていくのが分かった。
「眞白さん、魅医ちゃんお疲れ様。一緒に山菜料理食べて、オブリビオンと戦って、露天の温泉に入って、今日は密度の濃い一日だったなあ」
 ゆるゆると息を吐きながらシンが言って、腕を伸ばす。
「シンさんもお疲れさまでした。もちろん、魅医も」
 と、眞白が言えばシンは微笑み、魅医はにっこりと。
 無邪気に湯を掬っては放しと遊ぶ魅医。
 岩風呂から望む景色は絶景というものだった。
 青い空と、至る所に咲く満開の桃花。遠く、のんびりと飛ぶ鳥の声が渡る。
 温泉の熱と湯気がたなびいて景色を霞ませる時もあるのだが、それは刹那の幻想のようで見ていて楽しいものだった。
「……よくよく考えたら、泳ぐときぐらいですね。こういう恰好は」
 湯着に身を包み、纏わりつく湯を時折指先で掬ってとしていた眞白が呟く。
「そうなんだ」
「はい。普段はあまりお湯にはつかりませんし、いい経験かもしれません」
 人形の交感神経の回路が開いている気がすると真白が言い、シンは微笑む。
「良い経験となるのなら、良かった。温泉が好きな人は多いと思うよ。眞白さんの知り合いにもいるんじゃないかな」
 温泉に行ってきたと言えば話題にもなるしね、とシン。
「そういうものなのですか」
「うん。話の範囲を拡げて、その人が温泉好きな人だったら入浴のコツとかポイントとか話してくれるかも。そうしたら、次は眞白さんも実践してみるとかね」
 そしてここは桃源郷。
 温泉地で食べた美味しいものもきっと話題になるよ、と眞白へシンは言う。
「温泉から上がったら、桃を食べに行こう。さっき仙人さんと少し話したんだけど、冷えた桃を用意してくれているみたい」
「――確かに、今はぽかぽかと、身体の温度調整もし難い程なので、冷たいものは良いかもしれませんね」
「はは、湯上りに瑞々しい桃の果肉。うん、考えていたら食べたくなってきたな」
 そろそろ行こうよ、とシンが声を掛ければ魅医は早速とばかりに上がっていく。
「滑るから気を付けてね、眞白さん」
 差し出されたシンの手へ、自身の手を重ねて眞白が立ち上がる。
 直ぐにその手は離されたが同じ湯の中で温められた自身の手も同じ熱さだった。

 よく冷やされた桃は、滑らかな食感はそのままに。
 甘く、喉を潤しながら落ちていく。
 再び平穏の訪れた桃源郷の温泉と果実を満喫する三人なのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御桜・八重
通くん(f03680)と温泉デート!
一緒に入ろうねー♪(足湯に)

ん、何か言った?
えへへ、レッツゴー!

「へー、湯の路ってお散歩コースなんだ♪」
敷き詰められた玉砂利が足裏に気持ちよい。
「こりゃ疲れも吹っ飛ぶねー♪」

お湯の心地よさと桃の良い香り、
足裏のマッサージ効果にウキウキ気分も最高潮♪
ふんふんクルリと回ったところで、
「わわっ!」
足がツルリと。

キャッチ、されました。
顏が、近い。(硬直)
「だ、大丈夫…」

促されるままに座り、ゴソゴソと桃を取り出す。
「はい、どうぞ…」
ぎこちない空気の中、桃を一口。
「っ! 何これ、すごーいっ」
あまりの美味しさに、全身で通くんにアピール!

さて、緊張感はどこへやら♪


雷陣・通
八重(f23090)と一緒に

混浴じゃなかったのか……

あ、いや何でもない
行こうぜ!
足湯!

「なるほど、これなら色んな湯を渡り歩けるな」
初めて歩く湯の路に感心しつつ、鍛錬に使えないかなと思った頭を振って
「ああ、こう……足つぼが刺激される感じで確かに疲れもどこか行っちゃう感じだ」

桃の香りで気分も落ち着くし、八重と一緒なら……ってぇ!?

「って、あぶねえ」
慌ててキャッチ
「大丈夫か、や……えっ?」

……近い(硬直)

落ち着け……まずは
「け、怪我とか無いか?」
大丈夫なら場所を変えよう

ベンチか何かに腰かけ
八重から桃を頂いて
「食べよっか……」
ぎこちなく一口

「めっちゃ甘っ!」
緊張感も吹っ飛ぶ甘さ
このひと時が続くといいな



 桃源郷はいつもふわふわと、雲のような雰囲気を持つ場所だ。
 路を流れる温水の湯気もたなびいていて。
「通くん、温泉一緒に入ろうねー♪ そのあとは桃も食べようねっ♪」
 うきうきわくわくと、御桜・八重(桜巫女・f23090)の声は楽しそうに弾んでいて、くわえてこの台詞。雷陣・通(ライトニングボーイ・f03680)の心臓が弾む――そりゃもう全力疾走並みに。
 温泉。
 一緒に。
 ハイル。
 心の中で、何故かカタコトで復唱してしまう通。
「お湯の種類いっぱいあるみたいだね。どの足湯にする?」
 あしゆ。
 足湯???
「えっ、あっ、足湯! …………混浴じゃなかったのか……」
 応じた声は、びよんとどこかに飛んだようなものになってしまい、次いでぽそりと呟き。幸い、八重には届かなかったようだ。
「ん、何か言った??」
「あっ、いや何でもない。行こうぜ! 足湯!!」
 ぱたぱたと手を振って『何でもない』を強調し、通は「どこにしようか~」なんて僅かに声を震わせながら言った。なんというか我ながら高低の差が激しい。気分的に。
「わあ、通くん、こっちの湯の路ってお散歩コースになってるよ♪」
 足湯をしながら歩いて行けるコース。石の手摺りもあるし、敷き詰められた玉砂利も滑らないよう工夫されている。
「なるほど、これなら色んな湯を渡り歩けるな」
 裸足になって早速歩いてみる。
 足裏でぎゅっと踏む玉砂利が心地良い。
「あっ、すごいよ。気持ちがいいねぇ。こりゃ疲れも吹っ飛ぶねー♪」
 足踏みをしてにこにこと八重。僅かに弾む彼女に合わせて、八重桜の髪飾りも可愛らしく動く。
「ああ、こう……足つぼが刺激される感じで、確かに疲れもどこか行っちゃう感じだ」
 通は初めて歩く湯の路に感心し、鍛錬に使えないかなと思うのだが、ふとした瞬間に上がる彼女の明るい声にハッとして頭を振った。
(「今は、デート! ちゅう!」)
 男子たるものパートナーに集中せよ、と、ある意味悟りのようなものを開く。
「あ、落ちた桃の花が流れてる。可愛い♪」
 湯の路を歩いていると、どこからか零れ落ちたのだろう桃花が遊ぶように流れていく。
 桃源郷らしい温泉水はほんのり甘い桃の花の香り。湯の温度も心地よく、せせらぎも柔らかで、足裏のマッサージ効果に八重の気分もウキウキと最高潮だ。
 大好きな人もいるし、と通へと振り向き、クルリと回ったところで玉砂利がずれた。

「わわっ!?」
 ツルリと滑――らなかった。

「あっぶね……!」
 倒れそうになったところを通が引き寄せたのだ。
「わ、わ、ありがとう、通くん――」
 ぎゅっとされて顔を上げれば彼の緑の眸に、自身の顔。
「大丈夫か、や……ぇっ?」
 呆然とした表情から驚きの表情となった眸の中の八重、そして通もぎしりと硬直し声がひっくり返った。
 近い。
 そして熱い。
「だ、大丈夫……」
 心臓がひっくり返りそうだ。ようやくの思いで出した八重の声は震えていた。
 何故だろう、全身が脈打っているようで、そして通の鼓動もダイレクトに伝わってくる。
(「ひ、ひぇぇ」)
 ぱあっと頬の染まった八重に、通もまた内心で慌てた。
(「お、ぉぉぉお落ち着け………」)
「け、怪我とか無いか?」
 そう聞けば、声が出ないのか八重がこくこくと頷く。そのしぐさもくすぐったい。
(「たえろ。おちつけ。心頭滅却!」)
「そか。大丈夫なら、えっと、そろそろ上がろう」
 そして場所を変えよう。
「う、うん」
 ぎこちなく離れて、ふらついた八重の手を引いて、近くの床几台へと座らせる。
 はう、と詰まった息を吐いた八重の繋いだままの手が引かれ、通も隣に座って――そこでようやく人心地がついた。
「――あっ、今ので桃、潰れてないかなっ」
 ハッと我に返った八重が懐から桃を出して安堵の息。桃は可愛らしい形のまま。大丈夫そうだ。
「そんなところに入れてたんだ、桃」
「うん。通くん、食べる?」
「食べ……る」
 一瞬、八重の体温を意識してしまったのか、通はぎこちなく応えた。
 産毛をとりしっかりと洗った桃はつるりとしていて、そのまま丸かじりできるものだった。
 ぎこちなく一口食べてみれば甘味が広がる。
「え、うわ、めっちゃ甘っ!」
「っ! ほんとだ! 何これ、すごーいっ♪」
 桃の甘さは皮のすぐ下にあり、皮を剥かなかったぶん、より甘い桃となっていた。それでなくともさすが桃源郷の桃、質が良い。
 滑らかな食感にみずみずしい果肉が喉を潤す。
 足をぱたぱたとさせて、八重は全身で美味しさをアピールする。
 さっきまでの緊張感、ぎこちなさや照れも吹っ飛んで二人とも花咲くような笑顔に。
「桃源郷って他の果実も美味いのかな?」
「きっとそうだよっ♪ 色々食べてみよう、通くん!」
 新たな目的も出来て、まだまだ桃源郷デートは続く。
 行こう! とどちらともなく声を掛けて、手を繋いで。
 華やぐような甘やかな時を一緒に過ごす。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
理緒さんと

ようやくのんびりできそうですね
イロハさんに挨拶に行くついでに食べ歩き
温泉卵をもらって2人で食べましょう…七味はいりませんけどっ

その後は温泉へ
湯浴み着を着て2人で混浴
寮のお風呂ではないので、ちゃんと着ませんと

ここの温泉、寮のとはだいぶん泉質が違いますね
とろとろのお湯が気持ちいいです♪

腕を組んでくる理緒さんに、少し照れつつもぴっとりとくっついて
少しの柔らかさと温かさが心地良いです

…と、理緒さんの口元にあれは…?
気付いたら悪戯心も芽生えて、不意打ち気味にキスを

ふふ、口元にさっきの食べ残しがありましたよ?
キスの味は七味味ですね、なんて

事前に言わなかったのは、キスする口実ですけど(てへぺろ


菫宮・理緒
いちごさんと

イロハさんを見つけて、山菜の砂糖菓子を渡すね。
……ワサビ山菜の件は内緒。

でもでも温泉卵はもらえたら嬉しいな。
七味たっぷりでたべたーい!

お腹も落ち着いたら、いよいよ温泉だね。
桃の香りの温泉だと、またお腹減っちゃいそうだけど!

あ、湯着あるんだ。
そか、混浴だもんね(そこの感覚はマヒしてた)

肌に良い、という温泉に浸かってみたら……。

わぁ、お湯がとろとろ。
いちごさん、寮の温泉とはだいぶ違うね。

言いながら腕を絡めてくっついちゃおう。
当てるものはないけど。ないけど。

はしゃいでいたら、いちごさんからいきなりキス!?

え?え? さっきの七味ついてた?
ほ、ほんと、かな……? 口実、だと、嬉しいけどっ。



「いたいた。イロハさーん」
「こんにちは」
「あっ、理緒さん、いちごさん。お疲れさまです」
 桃源郷の温泉郷を歩く菫宮・理緒と彩波・いちごは探していたケットシーを見つけ、声を掛け手を振った。
 振り返した冬原・イロハが登っていた岩場から飛び降りる。
「はい、これ、お土産の山菜菓子だよ~」
 そう言って理緒が差し出した包みを、「わぁぁ! ありがとうございます!」と目を輝かせながらイロハが受け取った。
「わ、すごい。色んな山菜の砂糖菓子の詰合せなんですね」
「うん、いろいろ入ってるよ~。食べてからのお楽しみだね♪」
 にっこりと理緒。実はワサビ山菜も混じったロシアンルーレットな砂糖菓子たち。形は違えど同じ緑なので、パッと見、違いが分からない。
「はわ、真っ赤な唐辛子っぽいのもある。辛かったり、甘かったりするのでしょうか?」
「ふふふ、食べてからのお楽しみ♪」
 大事なことなので二回言う理緒。そんな彼女の隣でいちごは苦笑する。
 お礼に(?)とイロハが出来立ての温泉卵を差し出した。ほこほこと湯気が立っている。
「殻はこちらに入れてくださいね」
「ありがと~。――あ、調味料もあるんだね。いちごさん、七味いる?」
 理緒がにっこりと笑顔で隣のいちごへと尋ねれば、にっこりと笑顔で彼が首を振る。
「私は素材そのままの味で、いただきますね」
 ぷるるんとした白身にお月様のような黄身。ほんのりと塩の気があるのは温泉の湯気で作ったからだ。
 理緒はといえば、もちろん七味をたっぷり振りかけて食べた。
 温泉卵を食べ終えてイロハと別れて、湯屋へと行く道程でも桃源郷の果実などを食べ歩いたり。
「理緒さん、卵二つもらってたんですね」
「うん。七味がけが美味しくって~」
 うきうきわくわくとした理緒の声は弾んでいた。

「わーい、温泉到着~」
 湯屋に辿り着けば、早速とばかりに理緒が入っていく。
 管理人を兼ねる仙人に湯着を渡されれば、「あ、湯着あるんだ」と理緒。
「そ、そか。混浴だもんね」
「そうですよ、理緒さん。寮のお風呂ではないので、ちゃんと着ませんと」
 慣れた様子で湯着を受け取りながらいちごが言う。
「まあ今は人がいないから、二人でまったりしなよ」
 仙人が言って二人をそれぞれの更衣室へと送り出した。
 一旦別れて着替えて、中で再び合流だ。
 戦闘の名残を落とすように軽く流して、いざ入浴。
 湧く源泉が程よく湧き水と薄められ、流れていく湯の音は心地よく、落ち着くものだった。
「うわぁ、良い香り。桃の花みたいなほんのりとした甘い香りだね」
「そうですね。それにここの温泉は、寮のとはだいぶん泉質が違いますね。桃源郷の泉質というものでしょうか」
「お湯もとろとろだしね。ほら、見て、いちごさん。お肌つやつやになりそう♪」
 袖を捲って理緒が細腕を見せる。
 いちごが触れてみればいつもより滑らかな質感となっている。
「本当ですね」
 微笑んでそう応じれば、ぱっと花咲くように理緒の笑顔が返ってきた。
「えへへー」
 ニコニコと理緒が腕を絡めてくっついてくる。甘えてくる猫のようだ。
「おやおや」
 いちごは少し照れながらも、自分もぴっとりとくっつくように身を寄せた。
 湯が動き流れる柔らかな音。
 遠く、鳥の渡る声が届いてきて、この平穏な時間にいちごは目を瞑った。理緒の――彼女がいつも気にしている風の、少しの柔らかさと温かさが心地良い。
 そっと目を開けば、彼女もまた目を閉じて幸せを感じている最中のよう。
(「……と、理緒さんの口元にあれは……?」)
 染まった頬から少しずつ視線を落としていくと見つけたもの。
 気付いたら悪戯心も芽生えてくるというものだ。
 微笑み、不意打ち気味にキスを落とす。
「――!!」
 思いっきりびっくりした理緒の目がぱっと開き、こちらを見上げてきた。琥珀色の瞳にいちごの姿が映っている――我ながら悪戯っ子の表情になっているな、なんて思って。
「ふふ、口元にさっきの食べ残しがありましたよ?」
「えっ、え? えーーっ?? さっき……さっき!?」
「ふふ。キスの味は七味味ですね、なんて」
「さっきの七味ついてたの!?」
 ひゃあっと自身の顔を覆う理緒。
 顔を真っ赤にして慌てる理緒に、悪戯っ子継続中のいちごがくすくす笑う。
「まあ、事前に言わなかったのは、キスする口実ですけど」
「いっ、いちごさん~~」
 てへぺろ、と可愛らしくウインクもしちゃういちごに、理緒の顔はますます赤くなる。
「うっ、嬉しいけど……嬉しいけどっ」
「ああ、嬉しいんですね。じゃあいつも唇にお残ししておいてくださいね?」
 そう言ってにっこり微笑むいちご。
 それはつまりいつも口実を用意しておいて、と――恥ずかしいやら、嬉しいやら、けれど乙女としての危機も迎えて頷くわけにはははゎゎゎ、と、理緒の心臓が大変なことになってしまうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
【かんにき】
戦闘も終わってひと段落、何とかなって本当に良かった
仙人さんの話だと軽食とか用意出来るという事
何か甘い物でも用意してもらえないか頼んでみよう
今回色々と手配をしてくれたイロハさんに折角だからお礼がしたいな

お土産を入手した所へ杏さんと鉢合わせ
奇遇だね…え、大食い大会の時の、見てたの?(汗
他にも沢山の方々が…中には前に任務先で顔を合わせた事のある方もいるっぽい?
皆に改めて自己紹介
杏さん以外の方ははじめて話すなぁ
杏さんとも先日BBQの際に輪に加えてもらった経緯で交流出来たけれど…
こうして皆さんと話が出来るのはなんか嬉しいな
イロハさんにお土産渡した後は温泉卵食べながら足湯楽しむ
お喋りが楽しい!


木元・杏
【かんにき】
空気を吸い込めば桃の香りと、暖かい湯気の匂い…よもぎの蒸し風呂?
隅っこでよもぎ餅を何個か蒸したい
湧き水を竹筒に入れ、ふと見上げると
む、桃。葡萄に…足元には西瓜!
沢山の美味しいを両手に足湯へGO

あ、アキ
シリンにニイヅキ、仁とひりょもいる
イロハ、おみやの砂糖菓子と山菜おにぎり(はい♪)

ふふ、ニイヅキ、ひりょは大食い仲間で、先程の大会の優勝者
おめでとう、ひりょによもぎ餅ふたつお渡し
皆には一つずつね
あと果物も…シリン、西瓜、西瓜もある!(差し出し

足湯は顔までほかほかして心地好い
仁は足湯お好き?良き和の風情、仁によく似合う

!お芋にプリンに目を輝かせ…
うひゃ!
アキ、足に何やら襲いかかってきた


シリン・カービン
【かんにき】

アキ、お帰りなさい。
それにしても、杏、ニイヅキ、ひりょと
たくさん食べる人がこんなにも…
大食いは本能…真理です。(ウムと頷き)

イロハにはお待ちかねのお土産を。
(山菜の砂糖菓子をドサリ)
…まあ、ポノにも持って行ってあげればいいでしょう。

杏が持ってきた西瓜に、ほおと感嘆。
その他皆の調達してきたものを眺め、
「もう、何でもあるのですね…」

スラリとした脚をお湯に浸せば体もホカホカと。
水と火の精霊がイイ仕事してますね。
麓で仕入れた地酒もイイ感じで、
身体の外と中から温もりを堪能します。

「仁も一献いかがですか?」
盃を傾け合って互いのお酒を楽しみながら、
いいアテがありますよ、と中華風蕗味噌を勧めます。


駒鳥・了
【かんにき】
よし!追いついた!
途中で仕入れたネタのため
地獄蒸し?の釜を探索&交渉!
完成待ちの間に足湯にGO!

イロハちゃんやっほー!
カービンせんせーと杏ちゃんと大会の優勝者さん?
馴れ初めがBBQってらしすぎでしょ!
あとはさっきご一緒した子と保護者さん?
オレちゃんはアキってゆーよ!ヨロシク!

足湯に浸かりながら出てくるモノに喜ぶよ!
短い間によく仕入れたねと感心しつつも遠慮なく
皆が集まったの、美味しいモノの魔力じゃない?
温泉卵もそろそろ出来た?(そわっと眺め

ドクターフィッシュだっけ?
ダイジョブだよ、足の角質を食べてくれるコだよね
あっ釜んトコのおっちゃん、お届けアリガトー!
皆もお芋とプリンどーぞ!


尾花・ニイヅキ
【かんにき】
足湯どころか温泉が初めてなんだ。どんな感じなのかな?
イロハへのお土産、おにぎりだけじゃ……そうだ、仙術で果物のゼリーを作って貰えないか頼んでみよう。

景色を楽しみつつ足湯へ。……やっぱり幻想的な雰囲気。ここを守れて良かった。
イロハ、お疲れ様!……ねえ、もしかして温泉卵だけじゃなくて煮卵も作ってたり、する?

あ、杏!皆もいる!皆、いっぱい美味しいもの持ってきたんだね。
こちらもおにぎりやゼリーをおすそ分け。
ひりょは大会優勝したのか、おめでとう。人は見かけによらないな……。

よもぎ餅や卵を頂いていたら、新たな食べ物の気配を察知。
――お芋!プリン!?豪華……!アキ、僕も貰っていいかな……?


青梅・仁
【かんにき】
一仕事してからの楽しみってのは良いよな!
嬢ちゃんと合流する前に桃の酒とチョコわらび餅を買っといたんだ。あと温泉には牛乳も大事。

景色を楽しんだらイロハちゃんの居る足湯へ。
お疲れさん、温泉卵作りは順調?頑張りすぎてのぼせないよーにね。ほい差し入れ。

ん、杏ちゃん!お友達もいるのね。皆、わらび餅や牛乳、いるかい?
沢山あるから遠慮なくどーぞ。

足湯は温泉よりゆっくり出来るのが良いよな。
似合う?ありがとな、わらび餅追加であげちゃおう。

あー、酒飲みたくなるな……。
お、シリンちゃんも飲んじゃう?そっちの酒も気になってたんだ。
こっちのも飲んでみるかい?
蕗味噌もありがたく頂き、ゆっくり酒を楽しもう。




「アキ、無事に合流できましたね」
 仙人の説明を聞いたあと、それぞれの目的のために散開していく猟兵たち――その中でシリン・カービンが駒鳥・了ことアキを迎えた。
「やっほ、カービンせんせー! お疲れちゃん! んでも、ちょっち足湯の前に色々調達してくんね!」
 桃源郷に到着と同時に何処かへ行こうとするアキをシリンが追っていく。
「調達? アテがあるのですか?」
「うん! たぶんあるよ、きっとあ~る~」
 アキはこの温泉郷で何かを探索しようとしているようだ。興味を持ったシリンはついて行くことにした。

(「戦闘も終わってひと段落、何とかなって本当に良かった」)
 周囲を見回しながら鳳凰院・ひりょは安堵の息を吐く。桃源郷の温泉郷は再びの平穏が訪れて、新たな仙人や動物たちが訪れ始めている。常時居るわけではないのだろうが、趣味で露店を開く者もいて。
 その中にはこの世界へ案内したケットシーが駆けていく姿もあって、ああそうだ、とひりょ。
「今回色々と手配をしてくれたイロハさんにも、折角だから何か差し入れしていこうかな」
「あっ、待って。僕も追加の差し入れを頼もうかなって思ってたんだ」
 一緒に行くよ、とひりょに声を掛けたのは尾花・ニイヅキであった。
 この温泉郷の説明をした仙人が軽食を用意できるということで、早速頼んでみると――。
「いいよ~。軽食っていっても色々あるからね、何がいい?」
 と、やはり仙人の軽い調子の声が返ってくる。
「そうだなぁ、俺は何か甘い物にしようかな。オススメってあります?」
「甘い物……豆腐花(トウファ)とかいいんじゃない? 果実にも合うし、黒蜜にも合うし」
 そう言って仙人がひりょにたくさんの豆腐花を渡した。容器に入ったそれはプリンにも見える。
「僕も、僕も」
 軽く挙手して、次はニイヅキ。
「いいよー、何がいい?」
「果物のゼリー! いけそう?」
「いけるよー。とりあえず桃でしょ」
「あと、ビワとブドウ、ベリー系とか柑橘系も」
「めっちゃ食べるじゃん……」
 ひりょとニイヅキ、仙人がわいわいとやり取りをしている場所から少し離れて青梅・仁が待っていた。
「ひと仕事終えてからのお楽しみってのは良いよなぁ」
 ソコの喧騒をよそに、桃源郷の景色を楽しむ。
 桃源郷はいつもふわふわと雲のような雰囲気を持つ場所だ。
 この辺りの温泉帯の湯気も、きっと遠くから眺めればたなびいていて幻想的な風景であることだろう――。実際訪れると賑やかなことこの上なしだが。

「イロハ、イロハ、よもぎ餅も何個か蒸したい」
 籠に卵を入れていた冬原・イロハの元へ木元・杏が駆け寄ってきて、出したのは綺麗なまんまる緑色のよもぎ餅。
「あっ。杏さん、お疲れさまです。酒まんじゅうとか温めると美味しいですものね~。一緒にやりましょう」
「ふふふ、よもぎ蒸しのお風呂によもぎ餅。よもぎ、かける、よもぎ。きっと美味しくなる」
 よもぎの領域。源泉の蒸気がしゅわしゅわ噴出するところに置いてしばらくすれば、美味しくて温かいよもぎ餅が出来ることだろう。
 満足そうに微笑んだ杏は、辺りを見回して深呼吸。
 ここは桃源郷、美味しい桃がある土地――近くにあった湧き水を竹筒に補充して、ふと見上げると――やっぱり桃!
 そして葡萄! 他にも美味しそうなものがある。
 杏は足湯に挑むために必要な、みずみずしく美味しい物を、ほくほくともいで収穫していく。


 イロハが温泉卵を作っていると「おーい」とアキの声。そしてシリンがやってきた。
「イロハちゃんやっほー!」
「お待ちかねのお土産ですよ」
 と、シリンが山菜の砂糖菓子をドサッと手渡した。
「わあ、ありがとうございます! たっくさんですねぇ」
「四次元なポケットとかいるんじゃない?」
 そう言ったアキに、いえ、これくらいなら~と返していると、新たな来客がやってくる。
「イロハ、お疲れさま!」
「皆さんお疲れさまです~」
「食べたいって言ってたやつ、持ってきたよ」
 ニイヅキが駆け寄ってきて、その後から仁とひりょ。
「お疲れさん、温泉卵作りは順調?」
「はい、順調です」
「頑張りすぎてのぼせないよーにね。ほい差し入れ」
「俺からも」
 ドサッと。仁とひりょから差し入れを受け取りながら「ありがとうございます」とイロハは言った。埋もれる姿を見てアキが楽しげに笑う。
「あはは、めっちゃあるじゃん! やっぱり四次元なポケットいるっしょ?」
「スペースシップワールドに行けば、ケットシー型ロボットに改造してもらえるでしょうかね???」
 お腹をぽんと叩きながらイロハ。
「………まあ、ポノにも持って行ってあげればいいでしょう」
 シリンの助言に「きっと喜びます」とイロハは頷いた。
 そんなやり取りをしていると今度は杏が戻ってきた。両手に色々いっぱい持っている。
「あ、アキ。シリンにニイヅキ、仁とひりょもいる」
 当然、杏からもお土産はあって、たった今収穫したものもシェアされる運命にあり――ひとまず、杏は置いたらごろんと転がりそうなそれをシリンに向かって掲げた。見事な大玉のそれに、ほお、とシリンは感嘆した。
「シリン、西瓜」
「見事な西瓜ですね」
「そう、西瓜!」
 キラキラと瞳を輝かせて言う杏、ちょっと主張が激しい。っていうか――。
 これは、おねがいのまなざし。
「…………捌きますね……」
 察したシリンは精霊猟刀を抜き、切り分け作業へと入るのであった。


「足湯しよ、足湯! そんで自己紹介しつつ仲を深める!」
 アキが靴と靴下を脱いで、素足をお湯へと浸す。湯の路もあれば湯だまりの部分もあってあっちこっちと楽しめるようだ。
 玉砂利が敷かれた場所には石の手摺もあって歩けるようになっている。
「足湯は温泉よりゆっくり出来るのが良いよな」
 仁が自身の尾鰭を湯の中でゆるりと動かしていると、杏が嬉しそうに頷く。温まってきたのかその頬は染まっている。
「ほかほかして心地良い。仁は足湯がお好き? 和の風情、仁によく似合う」
「そう? ありがとな、チョコわらび餅さらにあげちゃおう」
 仁が持ってきたチョコわらび餅と、牛乳。良き良きと頷いていた杏がわぁいと無邪気に両手を上げて喜んだ。
 そんな少女の膝上にはよもぎ餅。皆に配っていって、ひりょには二つ。
「ふたつ?」
「ひりょ、大食い大会の優勝おめでとう。お祝いによもぎ餅はふたつ」
「わ、ありがとうございます、杏さん――……って……え、大食い大会の時の、見てたの?」
「ん、見た」
「うわぁ……なんか恥ずかしいな」
「あの大食い大会優勝したんだ!」
「そうなんだ、おめでとう。見かけによらず、食べるんだね」
 照れたひりょにアキとニイヅキから祝福の声。
「えー、見かけによらずって尾花ちゃんもでしょ」
 そう言ってちらっとアキが視線を送った相手は、ニイヅキ、杏、ひりょである。三人とも見かけによらずタイプ。ニイヅキの保護者っぽい仁へと視線を移せば、仲間に入れてくれるなとばかりに手を振られた。
「たくさん食べる人がこんなにも……大食いは本能……真理です」
 うむ、とシリンが頷いた。
「じゃあ、改めて自己紹介しとこうかな。杏さん以外の方ははじめて話すかも……鳳凰院・ひりょです。杏さんとは先日のバーベキューの際に輪に加えてもらった経緯で、今、なんですけど――」
 同じ戦場で戦ったことがある者もいるのだろう。頷きながらひりょが言った。
「オレちゃんはアキっていうよー。よろしくね! 食べる量は普通だよ」
「え、そういう流れ? 俺は仁。食べる量はたぶん普通だよ」
 アキが続き、仁も自己紹介。
「これ…………どういう流れなのですか。シリン・カービン。主に食糧調達担当です」
 猟師なので。とシリンが一言告げれば、ひりょとニイヅキが尊い人(食卓的な意味の)を見るような輝く視線をシリンに送るのだった。

 大食い三人組が食べるのは、杏とニイヅキが麓の村で調達した山菜おにぎりだ。
 まだ食べるのか、と野暮なことは誰も言わない。
 食べるのである。この三人は。胃が四次元なのだろう。ちょっとずつつまむのはシリンと仁、アキである。
 チョコわらび餅、よもぎ餅。
 西瓜などの杏がソコでゲットした果実を楽しみ、ニイヅキが調達したゼリー各種を楽しみ始めたところで、「あ」とニイヅキが声を上げた。
「そういえばひりょ、僕、豆腐花が気になってるんだけど」
 とーふぁー? とうほう? と口々にその響きが上がる。
「あ、うん。仙人さんがお勧めしてくれたんだけどね?」
 と、ひりょが差し出した豆腐花を興味深げに食べてみる面々。
 杏仁? 違う、これ、似た奴をどこかで食べたことある――。
 ひりょとアキ、杏がハッとした表情になった。
「「「豆乳プリン!」」」
 あまり甘くないあっさり風味。異なるものだが、そんな感じがふんわり。でも豆腐の方が近い。
「昔の甘味って感じだね」
「これくらいがちょうど良いですね」
 と、仁とシリンの感想は淡々としたものだ。ニイヅキは「へえこれが!」といった表情で食べている。
 ハイハイ! とアキが挙手して何かをアピール。
「オレちゃんもプリン調達してきたよ~。ほら、今、まさにあのおっちゃんが持ってこようとしてるやつ!」
 蒸籠を抱えておじちゃんが一人、そして同じく籠を抱えてイロハが歩み寄って来る。
「アキさーん、窯蒸しプリンが出来たそうですよ」
「来た来た! 地獄蒸しのプリン! イロハちゃんも食べてね!」
「とりあえず桃源郷蒸しプリンって改名しよ」
「桃源郷ですしね」
 アキの言葉に、まぁまぁといった口調で大人組の仁とシリンが言った。意外とツッコミ要員からアキが外れがちなので、年長者組が入らざるを得ない状況だ。
 あと温泉卵と、蒸かし芋。
「わあ、いっぱいあるね!」
「たくさん食べる」
 ひりょが喜び、杏も喜び、ニイヅキも喜び――ながら、そっと恥じらう乙女(?)の表情になった。
「……ねえ、イロハ。もしかして温泉卵だけじゃなくて煮卵も作ってたり、する?」
「あっハイ、煮卵風に漬け込んでいたりします。めんつゆと、にんにく生姜のやつもありますよ」
 漬け込み時間は数十分といったところ。けれども味わうには十分な染まり具合の煮卵がそこにあった。
「あと、塩や七味もあります」
 そう言いながらひりょには籠一杯の温泉卵を渡すイロハ。この人たち、これくらいは食べるだろうなっていう予測である。
「こうやって揃うと壮観だね! みんな短い間によく仕入れたなぁ。いんちゃんの豆腐花もおいしーし、いや、ほんと、牛乳まであるし」
「温泉っていったらソレでしょ」
 アキの言葉に「ねえ?」と仁。牛乳、今回不在のコーヒー牛乳、不在のフルーツ牛乳は鉄板である。
「もう、何でもあるのですね……」
 シリンが場を見てそう言えば、アキがにっこりと笑顔になる。
「皆も集まったしさ、美味しいモノの魔力じゃない?」
「あー、酒飲みたくなるな……」
 と、仁。何だかもうすごい場が自由な感じになってきた。
 好きな物を食べて好きなことを呟いて、と、平穏そのものだ。
「あ、飲みますか? では仁に一献」
 そう言ってシリンが――既にもう飲んでいたが――盃を渡して、麓の村で仕入れた辛めの地酒を。
「お、シリンちゃんありがと。そっちの酒も気になってたんだよね」
 俺のはこれね、と出したのは桃の酒だ。
「こっちのも飲んでみるかい?」
「頂きます。――アテはいいのがあるんですよ」
 と、シリンは中華風蕗味噌も差し出して。
 ゆっくりとした飲み合いが始まった。

 ほくほくの蒸かし芋を頬張るひりょとニイヅキ。
「うん、塩が旨味を引きたてるね!」
「はあ、すごくおいしい……」
 たくさん食べる人がいっぱい。ひりょもニイヅキも、そして杏も安心して遠慮なく食べることができる場であった。
 同じく芋を頬張り飲みこんだ杏が「うひゃ!」と声をあげて、ぱしゃっと飛沫を立てて足を上げた。
「ぁ、アキ、足に、何やら襲いかかってきた」
「へ? あれ? ドクターフィッシュだっけ? ダイジョブだよ、足の角質を食べてくれるコだよね」
 ほら、とアキが指差せば小さなお魚さん。
 ややぬるめなお湯に住んでいるらしく、元気に泳いでいた。
「オレちゃんもしよっと! スパみたーい」
「スパ?」
 ゲティ? と温泉が初めてなニイヅキが呟けば、ひりょが説明をする。
「ここ、本当に皆の癒しの場所だったんだね。守れてよかった」
 なるほど、と頷いたニイヅキが改めて感じ入り、笑顔になった。
 至る所にある桃の花は綺麗だし、空気は美味しいし。
「精霊たちも元気です。水と火の精霊がイイ仕事してますね」
 シリンもニイヅキへ、微笑んで言った。
 湯に浸したスラリとした脚も、身もぽかぽか。お酒も身の内から温めてくれる――極楽といった気分だった。

 それぞれが好き好きにのんびり、まったり。
 桃源郷で過ごす時間がゆるやかに過ぎていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
桃源郷でのまったりタイムを
思い切り満喫しましょう

戦闘で汗をかきましたし
まずは桃の香りの露天温泉でのんびりしましょう

お湯でぽかぽか
香りでうっとり
鳥たちの鳴き声も心地よく
目に入る翠も優しくて
体も心も本当に癒されますね~
極楽極楽…というか桃源郷です

ひとしきりまったりしましたら
散歩コースへ

お風呂上がりですし
景色を楽しみながら
ゆったりのんびりと
ぽろろんと弦を爪弾きながらの道行です
鳥さんの鳴き声に合わせますね

足湯手湯も利用させていただきますよ
うーん散歩途中で足湯とか
至れり尽くせりです

イロハさんから温泉卵を分けていただきます
とっても美味しいです!

天ぷら乗せの刀削麺も
つくしのお菓子も
とても美味しかったですよ♪



「わあ、絶景ですね~」
 湯屋へと訪れた箒星・仄々はケットシーサイズに縫製された湯着を着用し、温泉の場へ。
「結構、汗をかいちゃいましたね」
 毛の間がじっとりとしているような。桶で汲む湯で戦闘の名残を洗い流し、ゆっくりと温泉の中へとすすんだ。
 源泉が湧き、湧き水と程よく混ざり合った良い温度。
 ちゃぷちゃぷとした湯音が心地良い。
 たくさん動いて強張った身体もゆるゆるとほぐれていく。
「ごくらく~♪」
 お湯を掬ってほんの少し遊んで。
 桃源郷ならではの桃の湯はほのかに甘い香りでうっとりとする。
 空を見上げれば、近くに満開の桃花。ぽとりと落ちた花が水面で遊び、ゆるやかに流れていく。
 ピィ――と、遠く渡る鳥の声が聴こえて、仄々は耳をはたりと動かした。
 吹く風は温まった体を癒すように。
 目に入る翠も優しくて――はふぅ、と仄々は満足げな息を零す。
「体も心も本当に癒されますね~」
 やっぱり極楽。
「ごくらくごくらく~……というか桃源郷です~」
 ふふりと微笑み。
 ぱしゃりぱしゃりと猫の手で遊びながら即興でごくらくの歌を口ずさむ。

 温泉から上がった後は、風に涼みながら温泉郷の景色を眺めゆっくり歩く。
 相棒のカッツェンリートを手に進むと、平穏が戻った桃源郷には色んな出会い。
 ぬるめのお湯が流れる路には小さなお魚さん。ドクターフィッシュだ。
 湯の路に入って散策も出来るらしい。可愛らしい玉砂利が敷かれていて、石の顔も様々に。
 ぽろろんと弦を爪弾き、気が向くままに仄々は歩みを進める。
 その音楽に惹かれたのか、「仄々さーん」と呼ぶ声。
 この世界へと仄々を送り込んだ冬原・イロハであった。
「仄々さん、お疲れさまです。のんびり過ごせているみたいですね」
「はい~、おかげさまで。イロハさんは温泉卵の仕込みは、どうですか?」
 と、問えば「ばっちりですよ」との答え。
 普通の温泉卵、めんつゆにつけこんだ煮卵風、にんにく生姜の味もアリだ。
 まずは普通の温泉卵から食べてみよう。
 どうぞと差し出された卵の殻をむいて、ぱくり。
 ぷるんとした白身に、半熟の黄身がより一層鮮やかだ。
「とっても美味しいです!」
「よかった! たっくさんあるので、遠慮なくどうぞです~」
 お礼に、と仄々が一曲を披露して。
 ゆったりとした空気の中で話すのは麓の村のこと。
「天ぷらもサクサクでしたし、刀削麺も美味しかったですよ」
「わあ、今度は私も食べてみます」
 仄々の話を聞いて、いいなぁとイロハ。
「つくしのお菓子もとても美味しかったですよ♪」
 身振り手振りの話はとても楽しい。イロハがニコニコと笑顔になる。
 猟兵として旅をして、たくさんの出会いにそれぞれの思い出。
 この桃源郷へと至るための冒険や、戦い。
 少しずつ、一つずつ、仄々のなかで世界への想いが満ちていく。
 彼の爪弾く一音は深みがあってより豊かな、想い溢れるものへ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
【橙翠】

温泉だー!
封神世界の温泉ってどんなのかな
やはり桃源郷ですし
桃が綺麗な温泉がいいな
早速日頃の疲れを癒しましょうね
アヤネさん!

こうしてのんびり2人で温泉に入るのは久々ですね
…しかしアヤネさんは相変わらずプロポーションが良い
…いいなぁ(ぼそ)
あっ、いえ!何でもありませんよあれ?
よく見るとアヤネさん以前よりも色々大きくなったような…?
胸とか背とか
そして私は…全然変わってない?
もう成長止まってる?
う゛ううっ
恥ずかしくなってアヤネさんに背を向け温泉に鼻まで浸かる
わわっ!
何すんですかー!
はぁ?
縮んでません!縮んでませんよ!
だいぶ前から変わってないだけです
…って自分で言っちゃったよー
うわーん!!


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

桃源郷の温泉っていいうと桃の香りがしたりするのかしら

そうだネ久しぶり
でもソヨゴとは何度か温泉に入ってるけど
慣れない
同性とはいえ恋人同士だし
どうしても意識してしまう
相変わらずきれいな肌だな
とさり気なく目の端でチラ見しているのに
どうしてソヨゴは僕をじっと見てるの?
恥ずかしいので体の角度を変えてみたり
えっ?何が?!
色気のある話じゃないだろうけど気になる
ソヨゴもいいと思うよ
と答えてみるけど多分話が噛み合ってない

魔の悪さを誤魔化すためにわざとはしゃいでみる
ソヨゴー
と後ろからじゃれて抱きつく
柔らかくて気持ちいい
照れ隠しに言わなくていい台詞を囁く
ソヨゴちょっと縮んだ?

ゴメンゴメン!
悪気はないんだ



「わーい、温泉だー♪ 桃源郷の温泉ってどんな温泉なんでしょうね? 泉質とか気になりますねっ」
 わくわくうきうきと、湯屋で着替えながらそう言った城島・冬青に「そうだネ」とアヤネ・ラグランジェはちょっぴりぎこちない笑みを浮かべながら頷いた。
「桃源郷の温泉っていうと、桃の香りがしたりするのかしら?」
 黙って何かを考えてしまうよりは喋っていた方がマシ、という風に声はどこか急いている。
 そんなやり取りをしながら更衣室を出れば、柔らかな湯の音が響く露天風呂。
 湯気でほんわりと霞んだ視界だったが、桃源郷の至る所にある満開の桃花は健在で眺めが良い。空と大地が一望できる高台。
「すごーい、眺めがいーい! 甘い香りがしてますよ、この温泉」
「はやくあったまろう、ソヨゴ」
 戦闘の名残を軽く流してから入浴する二人。
 源泉と湧き水と混ざった温泉は程よい温度になっていて、お湯は滑らかだ。冬青が両手で掬えば桃の香が立った。
 ぽとりと零れ落ちた桃の花が遊ぶように流れていく。
 桃源郷ならではの泉質に冬青はにっこり笑顔。
「はー、日頃の疲れが癒されていきますねぇ」
「うん。ほっとする」
 見ればアヤネも寛いでいる様子。
 身体の芯からほぐれていくようなお湯の中で腕を伸ばしている。
「こうしてのんびり二人で温泉に入るのは久々ですねー」
「そうだネ、久しぶりー」
 気持ちの良さに二人、どこか声も伸びている。
 はあぁ~っと吐く息もほっとしたもので。
 けれどもアヤネの方はといえば、僅かな緊張を逃すものも含まれていたり。
(「ソヨゴとは何度か温泉に入ってるけど、慣れない、なぁ」)
 そう思った。悲観的なものではない。真逆のもの。
 いつもキリッとしているアヤネの口端は少し緩んでいて、上気した頬も温かさのせいだけではなく。
 同性とはいえ恋人同士なのだから、どうしても意識してしまうのだ。
(「いけない、いけない――いやいけなくはないのだけど」)
 在り方としてはきっと正しい。ただ無性に、ガッとギュッとしたくなるだけで。
 目の端に映る冬青をちらちらと見ては――照れる。衝動と戦う。
(「相変わらずきれいな肌だな」)
 思いながら、もう一度ちらり――…………鮮やかな琥珀色と目が合った。
 ……。
 …………。
「ソ、ソヨゴ?」
 じいいいっと冬青がこっちを見ていた。その内ちょっとだけ体を傾けて、どこかを覗きこむように――首か! 片手でぱっと隠すアヤネ。
 温泉効果か、よりつやつやになった肌に、二の腕、胸元。
「……いいなぁ」
 ぽそっと冬青は呟いた。
「えっ? 何が?!」
 緊張しっぱなしのアヤネは、冬青の少しの反応も気になって仕方がない。声がひっくり返ったようなものになっても仕方がないのだ。
 ――まあ冬青としては『アヤネさんは相変わらずプロポーションが良い』のいいなぁだったのだが。
「いえ! 何でもありませんよあれ?」
 アヤネの声に、驚かせちゃったかな? と冬青は首を振った。
「…………? そ、ソヨゴもいいと思うよ?」
「え~、そうですか?」
 そう言われて(アヤネは何かは分かってないイイだった)、自身を検める冬青なのだが、うん? 待てよ。的にぴたりと動きを止めた。
(「よく見るとアヤネさん、以前よりも色々大きくなったような……?」)
 胸とか背とか。
 えっ、いつの間に!?
「そ、ソヨゴ???」
(「そして私は……――全然変わってない?」)
 まさかの、もう成長が止まっているかもしれないという可能性に思い至った。
「ソヨゴ! どうしたの!? 戻ってきて!」
「う゛ううっ……」
 アヤネの手が肩に掛かったが、そのまま冬青は背を向けて温泉に鼻まで浸かった。
 気付きから、恥ずかしくなってしまった今の体勢となるまでに結構な百面相を披露した冬青であったが、アヤネとしては心配の限り。
「ソヨゴー」
 と、後ろからじゃれついて抱き着く。
「あっ、やわいーぬくぬくー」
「わわっ! アヤネさん、何するんですかー!」
「えー、ソヨゴを元気付けようと。――ね、ちょっと縮んだ?」
 ぱしゃぱしゃと抵抗する冬青に、照れ混じりな自身を隠しつつアヤネが言えば「はぁ?」とマジな声が返ってきた。
 おっとぉ。
「縮んでません! 決して、イチミリもっ、縮んでませんよ! だいぶ前から変わってないだけですっ――、――……って自分で言っちゃったよー」
 顔を覆う冬青である。自分で自分をちくちく。
「うわーん!!」
「ゴメンゴメン! 悪気はないんだ。ホラ、コトダマってのがあるでしょう? ソヨゴは大きくなーるー」
「……ううっ、私は大きくなる! 伸びる!」
 絶対に。
 覇気をこめて宣言する冬青であった。



 平穏の戻ってきた桃源郷で猟兵たちはまったりと心と体を癒す。
 帰ったらまた忙しい日常。
 いつもの毎日もかけがえのないものだけれど、いつもとは違うひとときをのんびり過ごした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月20日


挿絵イラスト