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まどろむ邪龍にたゆたう睡蓮

#封神武侠界 #仙界 #お花見 #睡蓮 #受付開始4/15(木)朝8:30~

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#封神武侠界
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#受付開始4/15(木)朝8:30~


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●春の夢のような
 まさに春爛漫。
 澄んだ池に花が咲き乱れ、水面に揺らぐ波とそよ風が心地よく刺激する。
 そこは誰もが想う“桃源郷”らしい光景だった。
 しかし、その地で午睡を堪能しているのは仙界人ではない。

 とぐろを巻いた悪しき龍は瘴気を発し、広がる邪悪な気配に、風雅な景色は汚染されようとしていた。

●午睡を貪るモノ
「皆さん、封神武侠界での活動には慣れましたか? どうも地場の相性が良いのか、また事件が起きる様子を視ましてねぇ……今度は《仙界》に行って頂きますよ」
 仙界――封神武侠界の各地にある“洞穴”から繋がる桃源郷、あるいは仙境と呼ばれる地。
 前置きをすませ、李・蘭玲(老巧なる狂拳・f07136)は事件の話を始める。
「その洞穴のひとつが“睡蓮(スイレン)”の咲く池に繋がっています。今の時分、早咲きの睡蓮が咲き乱れ、息抜きには良い場所でしょうねぇ……ですが」
 そのほとりを、オブリビオンが占領してしまった。
「これではオブリビオンの邪気に当てられ、水辺の草花は枯れ尽くすでしょう。放置しておく理由はありません」
 美しい景色を奪還するため、蘭玲は協力を要請する。

「今回の目的は“占領された池の周辺を奪還する”こと。実にシンプルな内容ですが、オブリビオンもすでに対策済みです。まずはオブリビオンが発生させた『結界』を突破してください」
 結界は“仙術”と呼ばれる、東洋魔術のひとつで出来ている。
「仙術とは、生物や自然界に発生する《精気》を利用した術式です。なので、仕掛けがあると思うんですよねぇ……例えば結界を維持する要石や、強化する術符や紋様ですね」
 精気を循環させるため《触媒を使う》ことが多いのだと。
 ただし獣除けと違い、その性能は“敵を退ける”ための強力なもの。
「強引に突破しようとすれば消耗するでしょう、交戦前には避けてほしいですねぇ」
 よほど体力に自信がある者でない限り、強行突破はオススメしない。
 とぼけた顔に蘭玲は困り眉を作った。

 転移できるのは洞穴の手前まで。
 障壁はドーム状に広がり、上空からの侵入も許さないという。
「結界を破ってオブリビオンを倒せば、あとは帰るだけ……ですが、せっかく仙界の美景が眺められるのです。睡蓮を眺めつつ一杯楽しんだり、池で釣りをしたり、景色を写真や絵にしてもバチは当たらないでしょう」
 時期は早いが、今は花見のシーズン。
 仕事終わりの楽しみも待っていると、蘭玲は強調するように言った。


木乃
 木乃です!
 今回は封神武侠界の仙界からお送りいたします。

『第一章:冒険』
 オブリビオンの発生させた結界を解除してください。
 強行突破できなくはないようですが、のちの戦闘に影響するでしょう。

『第二章:ボス戦』
 池のほとりを占拠している邪龍オブリビオンとの対決です。

『第三章:日常』
 桃源郷でお花見! ですが、桜ではなく早咲きの睡蓮が待っています。
 一人で物思いにふけるもよし。
 絵画や写真を楽しむもよし。
 自然と戯れるもいいですし、ピクニック気分で過ごしていただければ嬉しいです!

 以上です、それでは皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 冒険 『邪悪なる結界』

POW   :    気合いで身体を動かし、結界の効果範囲を抜け出す

SPD   :    結界を構成する陣や物品を破壊し、術の効力を弱める

WIZ   :    仙術や魔術で結界の干渉に対抗する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●龍の垂れ絹
 降り注ぐ暖かい陽射しを遮るように、禍々しい結界のドームは広がっていた。
 周りに視線を巡らせると、精気をつかって展開しているためか、周囲の野草はしおれ始めている
 新緑で染まっているはずの木々にも枯れ葉が目立ち、野生の動物すら結界を避けるように生活しているようだ。

 我が物顔で鎮座している、結界の主はこの中。
 解除できるなら、先に結界を解いてしまったほうが良いだろう。
馬県・義透
【外邨家】
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』のほほん唯一忍者
一人称:私
蛍嘉は双子妹で呼び捨て
生前の名前:外邨義紘(よしつな)

まあねぇ、別件で桃源郷いったんですけど、ちょっと蛍嘉の意見も聞きたくなって。

仙術ですから、こちらも仙術を使いつつ。地縛鎖さして、力の集中点探しましょう。
え、ああ。試したらできました、仙術と道術。たぶん、蛍嘉もそのうちできますよー。
…そう、来る前に話した事、それが合っていれば。
さて、要見つけたら、さっさと壊しましょう。不利になり続ける理由なんて、ないんですからー。

※こちらのステシ誕生日は、『故郷壊滅日』で『命日』になっています


外邨・蛍嘉
【外邨家】
『疾き者』とは双子。
今回、兄である義紘にだけに用事があるので、わざと『義紘 』と呼び捨てにする。
武器:藤色蛇の目傘

珍しいねぇ、義紘がそういうこと言うの。

で、結界か。どうしよう?
…って、いつの間に仙術身につけてるのさ、義紘!?
道術もなんだ…って来る前…「私たちの母親(双子出生時に、いろいろあって亡くなってる)の故郷はここで、母は『羽衣人』だったのではないか」だね?
たしかに、神隠し被害者で、父に見せてもらった形見は羽衣だったけど…。
うん、でも、「試したらできた」にはならないんじゃないかな…義紘…。

ああ、要の破壊は任せておくれ。私も働かなきゃね。

※こちらのステシ誕生日が、双子の誕生日です



 よく似た雰囲気の、初老の男女。
 二人は“嫌な気”を放つ結界を観察するように見上げた。
「別件で桃源郷へ行ったんですけど、ちょっと蛍嘉の意見も聞きたくなって」
「珍しいねぇ、義紘がそういうこと言うの」
 男――馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の言葉に、
 女――外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)はやや驚いた面持ちになる。
 他人行儀なやりとりののち、蛍嘉はほうと一息。
「……で、結界か。どうしよう?」
 蛍嘉の相談に義透は顎をひと撫でして、取りだしたのは地縛鎖。
「仙術ですから、こちらも仙術を」
 と、鎖の端を地面に刺し、竜脈をつたって力の集中点を探り始める。

 なんでもないことのように義透は話しているが、蛍嘉にとっては寝耳に水の話。
「いつの間に仙術なんて身につけたのさ、義紘!?」
「え、ああ。試したらできました」
 義透は慌てた様子もなく「たぶん、蛍嘉もそのうちできますよー」肩を揺らして笑っていた。
「ささ、力の強い場所が把握できましたし、確かめにいきますか」
 あっけにとられている妹も気に留めない義透は歩きだし、その背を蛍嘉はそそくさと追いかける。

 すこし離れた場所にあるのか、到着まで時間がかかりそうな予感がして、義透が話を振った。
「蛍嘉はここに来る前に話したこと、覚えていますか?」
「……『私たちの母親の故郷はここで、《羽衣人》だったのではないか』だね?」
 いま亡き母は、生前《自分は神隠しに遭ってここにいる》と話していたらしい。
 父が“母の形見”として見せてくれた遺品が《羽衣》であったこともよく覚えている。
 だが、
(「……うん、でも、『試したらできた』にはならないんじゃないかな、義紘……」)
 腑に落ちない蛍嘉には謎が深まる一方だった。

 しばし歩いてから義透の足がピタと止まる。
 目の前には頭ひとつ分くらいの石が、結界と密着するように放置されていた。
「あれですね。あの石の周りだけ枯れ草が妙に多いですし」
「全く。陰気な気配がここまで飛んできてるよ……これじゃ動物だって怖がるわね」
「さっさと壊しましょうか」
 さてと義透が得物をたぐり寄せるより早く、蛍嘉が前に出る。
 藤色の蛇の目傘をするりと両手に携え、
「私も働かなきゃ、ね!」
 傘の先で石の表面を撫でる……否、両断せしめたのだ。
 鏡面のごとく、あざやかな切り口をさらして、要石のひとつが崩れる。
 貯めていた精気が溢れたからか、二人は重苦しい空気がやわらぐ気配を感じとった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

遥・瞬雷
WIZで判定。連携、アドリブ歓迎。

酷い有り様だねぇ。
世の陰陽の調和を保つのが仙道の務め。一働きさせて貰おうかな。

まずは状況を見極めようか。
宝貝「八卦盤」を取り出し【情報収集】。結界の術式を読み解く。
……なるほど。汎用的な防御じゃなく、対象を「己の敵」に限定する事で強度を増し、防御特化でありながら敵を消耗させる攻撃性も持たせた、ってとこかな。よく出来てる。
だけど、仙術といえど…いや、仙術だからこそ何でもありじゃない。強力にする為にはどこかに弱点がなけりゃいけない。

八卦盤を更に読み、結界の要になっている要所や触媒を探る。
さて、解除といこうか。【破魔】の仙術を編み上げ突破を計るよ。



 遥・瞬雷(瞬雷女仙・f32937)は眉を寄せた。
「酷い有り様だねぇ」
 辺りに生息する草は茶ばみ、花もうなだれている。
 外部への影響は度外視しているのか、空気もどことなく濁っているように思う。
 森羅万象、世の陰陽の調和を保つのが仙道の勤めと、瞬雷は一呼吸。
「まずは状況を見極めようか、なにごとも理解することが大切だからね」
 さっそく宝貝『八卦盤』を手に、結界の術式を読み解きにかかる。

 膨大な量で組み立てられた術式を慎重に読みとり、瞬雷は結界の構成を理解した。
「……なるほど。汎用的な防御じゃなく、対象を『己の敵』に限定することで強度を増し、防御特化でありながら敵を消耗させる攻撃性を持たせた、ってことこかな」
 なかなかよく出来ている、瞬雷は素直に感心した。
「だけど、仙術といえど……いや、仙術だからこそ“なんでもあり”じゃない」
 外から取りこむにも限度があり、強化するにも仕掛けが必要になるもの。
 触媒の配置を特定しようと、瞬雷は『八卦盤』のくみ取る情報を更に読みこんでいく。

 解読を済ませた瞬雷が向かった先には、一本の木。
 まだまだ伸びしろのある若い木にも関わらず、樹皮は老木のごときひび割れていた。
『八卦盤』を通して瞬雷が木を視ると、この木自体を触媒に利用しているようだ。
「さて、解除といこうか」
 木に植えつけられた邪術に対し、断ち切るための仙術を編みこみ、同様に木の内側へ送りこむ。
 ――その変化はみるみると現れた。
 亀裂の走っていた樹皮はポロポロと剥がれ、みずみずしい、なめらかなものに変わったのだ。
「よし、破魔の術はしっかり効いたね。もう大丈夫そうだし他も見てこようか」
 子供をあやすように幹を撫で、瞬雷は次の結界破りへと動く。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『古龍髄厳』

POW   :    古龍炎
【龍の炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【音もなく燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    髄厳の裁き
対象への質問と共に、【虚空】から【黒雲】を召喚する。満足な答えを得るまで、黒雲は対象を【落雷】で攻撃する。
WIZ   :    古龍天舞
自身の【龍気が全身を覆う状態】になり、【鱗が攻撃を弾く】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●起き抜けし古龍
 要石や触媒をいくつも解いていくと、結界はシャボンの玉のようにはじけて消えた。
 塞がれていた道が開け、結界の中心部へ移動するとそこには不機嫌そうに身を起こす龍の姿。
『……うぬらか、結界を勝手に破った愚か者は』
 地を這うように低く唸る声をもらし、龍はとぐろを巻く下体をほどき、
『気分よく寝入っていたところ邪魔するとは、よほど痛い目をみたいようだな』
 黒雲が邪龍を覆うように、火炎が口元から細く伸びた。
 荒々しく息巻く邪龍は猟兵たちをねめつける。
『よかろう! 我が直々に冥府へ放りこんでくれるわッ!!』
遥・瞬雷
お休みの処を申し訳ないねぇ。
陰の気をばら蒔いたりしてなければ、ゆっくり眠ってて貰って構わなかったんだけどね。こんな有り様じゃ、そうもいかないよ。

さて、龍と戦うにはこちらも地面に立ってちゃ不利だね。おいで、觔斗。
雲に乗って【空中機動】。空へと舞い上がる。
あの龍気が厄介だね。半端な攻撃は鱗で弾かれる。
巨体の周囲を飛び回り、背後の死角に回ったら【功夫】で鍛えた【軽業】で宙返りして龍の背に乗り、符を貼り付ける。
【禁術】を使う。その龍気、封じさせて貰うよ。
捕縛したら再び空へ舞い上がり雷公鞭をかざす。
【仙術】による雷の【属性攻撃】。木行を以て雷の雨と為す、降れ!

せっかくの桃源郷、解放して楽しませて貰うよ。


ノエル・クラヴリー(サポート)
ブラックタールのフォースナイト×シンフォニア、20歳の女です。
口調は(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)

戦闘になると塩対応になり、故郷のうたを歌いながら相手に斬りかかります。時には星天魔術と時間魔術や使役している鷹を駆使して戦います。

罵倒などはしませんが、睨み付けたり冷ややかな言葉をかけるなどします。仲間に対しては温和な女性として友好的に接します。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。連携OKです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


雛里・かすみ(サポート)
 バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
 普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「お休みの処を申し訳ないねぇ。陰の気をばら蒔いたりしてなければ、ゆっくり眠っててもらって構わなかったんだけどね」
 おおげさに両手を広げ《この惨状は無視できない》と主張する瞬雷に、邪龍は憎々しいと眉根を寄せた。
『フン、道士の言葉なんぞ信用できるか! 我を封神台に封印した事実を忘れたとは言わせないぞ!』
「報いを受けただけでしょう、因果応報というものです」
 冷ややかな視線を向けるノエル・クラヴリー(溢れ流るる星空・f29197)は深い溜め息をこぼし、魔神の大斧を軽やかに持ち直す。
 独りよがりな主張を続ける古龍に、雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)がビシッと指先を突きつけた。
「ここには色んな生き物が暮らしてるのよ、しかも精気を利用して占領なんて……あなたこそ痛い目をみる覚悟はできてるわよね?」
『小娘どもが喧々とほざきおって、やれるものならやってみるがいい!』

 龍気をまとい飛んでいく龍を追い、後光を背負ったかすみが飛翔。
 瞬雷もキン斗雲に飛び乗り、上空へと舞い上がる。
 ひとり地上に残る形となったノエルだが、動揺した様子はない……それもそのはず。
「さあ、お行きなさい」
 一羽の鷹を召喚すると、それに五感を共有して送りだし、ノエルは鷹の目を通して邪龍との戦闘へ向かう。
 すでに最前線では、かすみが拳法じみた動作で攻勢に打って出ていた。
「空なら有利だと思わないことねっ」
 噴き出す炎をかわして横っ面に一撃。
『っ、の! しゃらくさい奴が!』
「今度は封神台に封じられるだけじゃすまないんだから!」
長い胴体に連撃を叩きこみ、体力を削るかすみからすこし離れた位置。瞬雷が様子を窺っていた。
(「あの龍気が厄介だね、半端な攻撃は鱗ではじいて凌ぐか」)
 今のままでは、飛び乗っても振り落とされかねない。
 そこへ一羽――ノエルの鷹が追い越していく。
(「この地に生きる生物たちの故郷を奪う……それだけは、絶対にさせません!」)
 かすみに注目している隙に、鷹は懐へ潜りこんでから眼前に割り込む。
『む!?』
 視界を塞ぐ形で飛びこみ、ノエルは鷹の爪で片目を穿つ。
 眼球は当然、鱗に覆われていない――片目を潰され、邪龍の苦悶する叫びが辺りに響いた。
「これなら!」
 悶絶するオブリビオンの背めがけ、宙返りして乗り移る。
 瞬雷はすかさず符を取りだし、
「その龍気、封じさせてもらうよ――妖を禁ずれば、即ち動くこと能わず!」
 禁術を発動!
 不可視の鎖で縛られたように、邪龍は一気に高度を落としていく。
 墜落する龍に地上のノエルが駆けだした。
「ドッカーンといくよ!」
 邪龍に肉薄し、かすみは最高速度を乗せた正拳突きで、墜落する邪龍を地べたに叩きつける。
 ズシィ……ン!
 地響きをものともせず、落下地点のすぐそばまで来ていたノエルが一気に踏みこむ!
「――……♪」
 夜明けを思わす繊細で、どこか憂いのある歌声を口ずさみ、舞うように放たれたノエルの戦斧は蛇腹に深く食らいつく。
『こ、のっ、ちょうしに、乗るなよォ……!』
 片目から血の涙を流し、邪龍は火炎を広範囲に放ち始めた。
 いまだ上空に残る瞬雷は被害を防ごうと、雷公鞭を天に掲げる。
「木行を以て雷の雨と為す、降れ!」
 薄曇りの空に不釣り合いの、視界がしらむほどに強烈な雷光が邪龍めがけて降り注ぐ。
 天を裂くイナズマに邪龍は痙攣するしかできなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

馬県・義透
【外邨家】
『疾き者』のまま。
武器:漆黒風
他人格から借りた武器:黒燭炎と黒曜山(槍形態)

不法占領してたのは、そちらでしょうにー。
ああ、蛍嘉、『兵(つわもの)』ですね、わかりましたー。

呼び出す弓足軽と、私自身は龍屠属性で攻撃しましょうかー。漆黒風を投擲ですねー。
ついでに、借りた武器二種を投擲して、避雷針にしてー。

質問って、何来るんでしょうかねー?
まあ、邪魔したのは私たちですよー。冥府からは帰って来た存在なのでー。負けませんよー。
炎は…蛍嘉と兵たち含め結界張って、結界についたら破棄。早業で結界張り直しましょうかねー?

あ、私たちは双子なので、同士打ちとかしませんよー。
…やるなら生前にやってる。


外邨・蛍嘉
【外邨家】
武器:藤流し

本当だよ。あんたの場所じゃないだろう?
さーて、私たちの飛行相手への攻撃は…。義紘、『兵(つわもの)』でいこう。

属性は龍鎮属性にして。あんたに特攻だね。
私も龍鎮属性での藤流し投擲してるよ。

本当に何聞かれるだろう?
私たちは冥府からの帰還者で、送り返されるわけにはいかないんだよね!
炎対策は…義紘の方が何枚か上手だからね、負担かけるなぁ。
でも、結界を二重にしておけば、幾分か楽になるはず。

共闘するようになったのは、(生前は戦場が違ったため)猟兵になってからだけど。
そう、同士打ちはしない。意図してないにせよ、義紘の立場(外邨の血残し+鬼宿し)奪い続けた私がいうもんじゃないけどさ。



「不法に占領してたのは、そちらでしょうにー」
「本当だよ。あんたの場所じゃないだろう?」
 かんしゃくを起こした邪龍に、義透と蛍嘉は呆れかえった視線を向けている。
 片目が潰されようと、手心を加えるつもりは一切ない。
「義紘、『兵(つわもの)』でいこう」
 藤色の棒手裏剣を指の股で握りこみ、蛍嘉は90人以上もの歩き巫女を呼び出す。
「ああ、蛍嘉、『兵(つわもの)』ですね」
 ゆるゆるとした調子で承諾し、義透も陣笠を目深く被った足軽兵を呼び寄せる。

 痛みに慣れ始めたらしい、隻眼の龍はかぶりを振って浮遊し……どうやら高高度への飛行はできないようだ。
「おイタが過ぎたね、だが仕置きは終わっちゃいないよ!」
 歩き巫女と弓足軽は矢を番え、一斉に弓弦を手放す。
 曲線をえがいて飛び去る矢――それは、まさに雨あられのごとく。
 降り注ぐ矢雨の中、邪龍のまわりを黒雲が覆っていく。
「おやー? これと、ついでにこれも投げておきますかー」
 義透は避雷針代わりにと得物を広範囲に放ち、地面や樹の太い枝に食いこませる。

『問おう――我の生業を妨げ、うぬらになんの“益”があるのだ?』
黒雲がゴロゴロと遠雷に似た音を漏らす中、邪龍は双子に問うた。

 躍起になるほどの理由はあるまい。
 必死になるほどの動機はあるまい。

 そうまでする必要性がないのに、どんな利益や得があるというのか?
「まあ、邪魔したのは事実ですよねー。けど、あなたの生もとっくに終わっていますよねー?」
 避雷針に落ちるイナズマをかわし、義透は返答とともに反射光が浮かぶ棒手裏剣を放つ。
 オブリビオンとは骸の海より来たる、過去の異形。
 “生業”など、とうに終わりを迎えている。反論を重ねて言い含めた。
「益ね……しいて言うなら“風評被害の阻止”か。冥府からの帰還者にしてみれば、蘇って悪さするヤツが居たら迷惑するんだよね!」
 蛍嘉の龍鎮めの属性を帯びた棒手裏剣は戦意を殺ぎ、
 龍屠の属性をまとう義透の棒手裏剣が、傷口に深く抉りこむ。
「そういうことなのでー、冥府にはあなたが行ってくださいねー」
 勢いを増す巫女と足軽の支援攻撃に乗じ、義透と蛍嘉は一気に踏みだす。
 鱗もまばらに、たてがみも血で湿気た邪龍めがけて、同時にトドメの一撃を擲つ。
 二本の手裏剣は潰えた眼を捉え、刀身が根深く喰らいついた。
『ぐぅぅあああああああああああぁぁぁぁぁぁあああああ……――!!!』

 激痛に耐えきれずあげた絶叫が、邪龍の最期の言葉となった。
 邪龍の喪失とともに、空を隠していた薄曇りは晴れ、春の暖かな陽射しが差しこむ。
 ……邪気の祓われた園に、ようやく元の景色が戻ってきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『桃源郷花見日和』

POW   :    酒や料理を木の下に持ち込み、宴を始める

SPD   :    小舟で川を下りながら花見を楽しむ

WIZ   :    美しい風景を絵や詩に残す

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ぷかり、ぷかりと揺れる水花
 睡蓮池は雑木林を抜けた先にあった。
 蓮に似た大きな葉っぱと小さな水草に囲まれ、白や桃色の房が慎ましく花ひらいている。

 その美しく、神秘的な見た目に“水の女神”とも呼ばれる睡蓮。
 気まぐれな女神のいたずらか、仙境という特殊な環境の影響か。
 時季よりも早くに開花して、水面に浮かぶ姿は静かに見守っていてくれることだろう。

 物思いに耽けてもいい。
 花を眺めて一献たしなむのもいい。
 ある画家のように絵にしたり、写真に収めてもいい。

 帰還するまでのわずかな時間、“水の女神”といかように過ごそうか?
馬県・義透
【外邨家】

取り戻せてよかったですねー。
そういえば、実家で管理してた大池に鬼蓮ありましたねー、懐かしい。
ここの睡蓮も綺麗ですよねー。

…そう、最後の決め手が、『生前の私を(自死からすら)守っていた、母が命と引き換えにした風属性の加護』、その気配がここ(桃源郷)とそっくりなんですよねー。
まあ、故郷滅ぼしたオブリビオンには、さすがに敵いませんでしたけどねー。私、最初の死者ですし。

んー?ああ、なるほど。私が仙術をすぐ使えたの、そういうことですかー。可能性としては、一番あり得るかとー。
私がいるから、内部の三人も使えるんでしょうし。今の外見の大元は、私ですしねー。

※死亡順
義紘→義弟(蛍嘉夫)→甥→姪孫→蛍嘉


外邨・蛍嘉
【外邨家】

そう、よかったよ!
ところでうちにも鬼蓮、あったよね?咲く年と咲かない年があったけど。
綺麗で、美しいよ。

で、義紘。私にも意見が聞きたくなったってのは、つまり『外側から、母の残した風属性加護を見てた私』の意見ってこと。
そうだね、とても似てる。同じって言っていい。
うんまあ、オブリビオン相手はね…被害が外邨だけで済めばよかったものを。

でね、仮説なんだけど。義紘がわりとすぐに仙術使えるようになったの、加護の影響じゃないかい?50年もあったんだよ?
魂に刻み込まれてても不思議じゃないさ。
生前の義紘は最期まで、空っぽの器だったんだから。


蛍嘉の死後、オブリビオンは外邨家の敷地より外に出て、故郷壊滅。



「取り戻せてよかったですねー」
 池のほとりに腰をおろし、兄妹は水入らずの時間。
「そういえばうちにも鬼蓮、あったよね、咲く年と咲かない年があったけど」
「ああ、そういえば。実家で管理していた大池にありましたねー」
 蛍嘉の話に「懐かしい」と、義透は古い記憶をたぐり寄せる。
 鬼蓮のような濃い紫色はないが、それでも、
「ここの睡蓮も綺麗ですよねー」
「そうだね……綺麗で、美しいよ」
 蓮の葉からアマガエルが飛びこみ、パシャリと波紋が広がる様子を二人して眺める。

 そんな穏やかな時間に蛍嘉はかしこまった態度で義透のほうを見た。
「で、義紘。私にも意見を聞きたくなったってのは、つまり『世界の外側から、母の残した風の加護を見ていた私』の意見ってこと?」
 邪龍と戦うより少し前に出た話題を蛍嘉は掘り返し、アゴをなでる義透も神妙な面持ちに。
「……そう、最期の決め手が、『生前の私を守っていた、母が命と引き換えにした風の加護』で。その気配が、こことそっくりなんですよねー」
 自害しようという己からすら守った加護。
 あのとき感じたチカラと、ここ桃源郷の雰囲気はよく似ている。
 その意見に蛍嘉も頷く。
「そうだね、とても似ている。同じって言っていい」
「まあそれでも、故郷を滅ぼしたオブリビオンにはさすがに敵いませんでしたけどねー」 
「うんまあ、オブリビオン相手はね……被害もうちだけで済めばよかったけど」
 思い返すたび、苦々しい記憶もついてくる。
 さっぱりとした態度の義紘に比べ、蛍嘉は気まずそうに視線を落とす。

 気まずさを振り払うように、蛍嘉は話題を変えることにした。
「でね、仮説なんだけど。義紘がすぐに仙術を使えるようになったの、これも加護の影響じゃないかい?」
 加護自体の影響は50年も受けていたのだ。
 それが魂に刻まれていても不思議じゃない。
 蛍嘉の仮説に義透は「ああ、なるほど」と感心した声をあげる。
「私が仙術をすぐに使えた可能性としては、一番あり得るかとー」 
「それに生前の義紘は、空っぽの器だったんだから」
 含みのある蛍嘉の言葉に、当の義透は肩を揺らして笑う。
「空っぽだった私だから、他の三人も顕在できるんでしょう。今の外見の大元は、私ですしねー」
 結果として、悪いことばかりではない。
 大らかに笑う兄と、兄の横顔を見つめる妹の心境。
 推し量るにはあまりにも時間が足りなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

遥・瞬雷
どうにか終わったみたいだねぇ。

年寄り臭い仕草で肩を叩いて疲れをほぐす。それほど疲れた訳じゃないけど、老齢の身体だった頃の癖はなかなか抜けないね。

觔斗雲に寝そべって、水面の水煙の様に池の上をたゆたう。
さて、帰還までもう暫く。一献傾けてから帰ろうか。
瓢箪の宝貝「千洞獄」を取り出す。
杯を取り出し、腕を伸ばして池の水を瓢箪に汲み取る。
中身を混ぜる様にゆっくり回す。…そろそろかな。
瓢箪を傾けると、仄かに睡蓮の香りのする酒が杯に注がれる。【仙術】による【薬品調合】の応用。仙人の嗜みさ。

桃源郷の風景を眺めながら、睡蓮の仙酒を楽しむよ。
陰陽の調和も保たれ、世は並べて事も無し。これからもこうありたいものだね。



 キン斗雲に寝そべりつつ、瞬雷は睡蓮池の上をゆったりたゆたう。
「どうにか終わったねぇ」
 肩を叩いて疲れをほぐす仕草は、どことなく年寄り臭い。
 それほど疲れている訳ではないものの、老いた時分のクセはなかなか抜けないものだ。
「さて、帰還までもうしばらく……折角もらった時間だし、一献傾けて帰ろうか」
 どっこいしょと一息ついて、瞬雷は千洞獄――瓢箪の宝具をとりだす。

 瓢箪で池の水を汲み取り、ゆっくり回しながら杯も用意して、
「……そろそろかな」
 具合はどうかと、杯にすこし注いでみると、ほのかに睡蓮の香りが浮かぶ仙酒のできあがり。
「うんうん、いい香りだ」
 酒気を十分に味わってから、瞬雷は杯を口元へ運ぶ。
 華のある味わいはスッキリしたもので、けれど喉越しはしっかり熱さを感じさせる。
 酒のできばえに満足しつつ、瞬雷は周りに目を向けた。
「酒の肴に桃源郷の景色。うーん、なかなか贅沢な時間だね」
 風にさらさら、木々が口ずさみ。
 どこかで小鳥のさえずる声も聞こえてくる。
「……陰陽の調和は保たれ、世は並べて事も無し」
 これからもこうありたいものだ。
 ひとり微笑を浮かべ、瞬雷はもう一献と瓢箪を傾けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月19日


挿絵イラスト