「ヤッ!」
「ハッ!」
「ヤッ!」
「ハッ!」
クリスタリアンの若者たちの声が響き渡る。
漿船『カーク=レザット』はかつて星々の存在した時代以前より継がれる古の文化の残滓を今のスペースシップワールドに受け継ぐクリスタルシップであり、流派クリスタ流の宇宙忍法を現代に伝える宇宙忍者船である。
彼らはかつて銀河帝国との戦いの折にも抵抗勢力のひとつとして活躍した練達の戦士たちでもあり、そしてこの漿船カーク=レザットもまた数多の戦乱を潜り抜けて来た歴戦のスペースシップであった。
スペースシノビ装束に身を包んだクリスタリアンの若者たちは、船内に作り出された修練場において、厳しい宇宙忍者修行の日々を送っている。現在は、活動を活発化させた猟書家との戦いに備えた鍛錬が続いていた。
「ソレマデー!」
師範役である上忍・アイオライ蔵が修行の終了を告げる。
「センセイ」
「ウム」
船の宇宙忍者たちを束ねる長、虎眼大老は重々しく頷いた。
「皆、今日の鍛錬もよく頑張った。……だが、油断はならぬ。我らの敵となったクリスタリアンの裏切者、プリンセス・エメラルド……彼奴めは今もこの世界を狙っているのじゃ」
虎眼大老は漿船の天蓋部の先に広がるスペースシップワールドの宙を仰ぐ。
「近頃、この船からのテレパスが騒がしくなってきておる。……皆の者、気を引き締めよ。敵襲が近いのやもしてぬ」
「ハイ、センセイ」
大老の言葉に、クリスタリアンの若者たちが一斉に頷いた。
「では行けい。なお、本日は3組の宿泊予約が入っておる。宇宙忍者ショーは第4班が担当じゃ。こちらもぬかりなくこなすのじゃぞ」
「御意に」
――なお、カーク=レザットは宇宙忍者の隠れ里としての役割をもっているのと同時に、受け継いだその文化を絶やさぬための広報活動として外部からの客を受け入れる観光スペースシップとしての役目も果たしているのだ。宇宙忍者体験アトラクションのほか宇宙忍者屋敷への宿泊プランや宇宙忍者食堂など様々な内容が用意されている。
かくして修練を終えて解散した彼らは、引き続き業務へと移ってゆくのであった。
「――ということで、猟書家案件だ。敵が来るぞ」
イリス・シキモリ(f13325)は無表情に告げた。
「今回お前たちが行くのは漿船カーク=レザット。……ああ、クリスタルシップだ。プリンセス・エメラルド配下の猟書家がこの船を狙っていることがわかった」
イリスは手元の端末を操作し、画面に映像を映し出す。
――漿船『カーク=レザット』。
クリスタリアンが太古より使用している旧式の移民船、漿船のひとつだ。カーク=レザットはその中でも古代から受け継がれている宇宙忍者の文化を現代スペースシップワールドに伝える宇宙忍者たちの船としても名が知られている。
「クリスタルシップには『転送装置』という、クリスタリアンの間のみで用いられる長距離空間跳躍の手段が搭載されている。敵はそれを利用してこの船に乗り込み、人々を皆殺しにした上で船そのものを奪うつもりだ」
イリスは表情一つ変えぬままに説明を続ける。
「だが、幸いなことに敵の襲撃までは多少の猶予がある。お前たちは先手を打って船に乗り込み、現地の人々とコンタクトを取れ。うまくやれば手を貸してくれるはずだ。そうなれば猟書家との戦いも有利に運ぶことができるだろう」
ここで一度言葉を切り、イリスは一度頷いた。
「……では、お前たちのやるべきことを整理する。ひとつ。漿船に乗り込み、現地の人々とコンタクトをとり、協力体制を確立する。ふたつ。漿船に敵が乗り込んでくるので、船の人々と力をあわせて迎え撃ち、撃滅する」
やるべきことは以上だ。
そこまで言い終えると、イリスは一度静かに猟兵たちの姿を見渡した。
「他に質問はないな。では、行ってこい」
そうして最後に確認を取り、かくして猟兵たちは現場へと向かうのであった。
無限宇宙人 カノー星人
ごきげんよう、イェーガー。お世話になっております。カノー星人です。
新世界は一旦置いといて猟書家案件です。よろしくお願いします。
☆このシナリオはプレイングボーナス要項があります。ご確認ください。
プレイングボーナス(全章共通)……クリスタリアンや漿船の協力を仰ぐ。
第1章 日常
『古代文明船の一日』
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POW : 普段口にしない食べ物を体験する
SPD : 普段入れない遺跡を体験する
WIZ : 普段目にしない儀式を体験する
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「宇宙忍者船カーク=レザットへようこそ」
力強くも厳かなミンチョ体(スペースシップワールドでは失われて久しい古代文字の一種である)で『宇宙忍者め里』『よう乙そ』『ゴウランガ』などの文字が刻まれたエントリー・ゲートでスペースシノビ装束に身を包んだ受付忍者の若者が、旅行客や猟兵たちを案内する。
『当船では、古代スペースシップワールドより連綿と受け継がれてきたクリスタ流宇宙忍者の歴史を、アグレッシブかつエキサイティングな忍者体験コンテンツでお楽しみいただくことが可能です』
カーク=レザットの忍者パンフレットに書かれた記述である。
ここではアスレチック形式の宇宙忍者修行体験(ゼログラビティニンジャ機動訓練や光子シュリケン投射訓練、宇宙忍者カラテ特訓など)や忍者任務チャレンジ(高得点者は免許皆伝の忍者儀式をうけることができる)、宇宙忍者屋敷といった古代宇宙忍者遺跡の見学、宇宙忍者携行食や宇宙忍者修行食提供を行う宇宙忍者食堂の利用といった宇宙忍者体験コンテンツを楽しむことができるのだ。
だが、ただそれを楽しむだけではいけない。
数多の修羅場を潜り抜けた猟兵たちであれば気付くだろう。船内を包む空気の中に、刺々しい警戒心が微かに混ざっていることに。
そう、この船のクリスタリアンたちは間違いなく本物の宇宙忍者なのだ。彼らは既に敵の襲撃を予見し、備えているのである。
猟兵たちよ。君たちはシンプルに宇宙忍者体験コンテンツを楽しんでもよいが、敵の襲撃に備えることも忘れてはならない。
上野・修介
※アド、絡み歓迎
「すごいな、これは」
この世界がスペースシップワールドと呼ばれる前から存在する忍術。
気の遠くなるような過去から、絶やすことなく現在に受け継がれたということは驚嘆に値する。
しかも形骸化せず、観光地としての体裁を保ちながらも、いつ来るやもしれない敵に対して警戒を怠っていない。
「手練れだな」
それだけに助力を請うなら、こちらも相応に力を見せるのが礼儀だろう。
忍者任務チャレンジで可能な限り高得点を出して実力を示し、代表的な立場の人間に目通りを願う。
「どうも、猟兵の上野・修介と申します。率直に、この船は狙われて居ます。どうかご助力を。」
あと挨拶は大事だろう。モノリスにもそう刻まれているとか。
鈴桜・雪風
実の所、まだ起きていない事件を待ち構えて防ぐのは余り得手ではないのですが
一つの船全体の未来がかかっているとなればそうも言って居られませんね
忍者任務チャンレンジに挑んで自身の力を宇宙忍者達に示しつつ
世間話の体で、バトラー・サファイアの襲撃についてどこまで察しているか探りを入れましょう
「壁走りに暗号、アンブッシュ回避とカラテ。観光地にしてはなかなか手ごわいですが……わたくしにもメンツがありますので。ヤーッ!」
「ご存知ですか?蒼石のクリスタリアンが歴史ある船を襲撃する事件が度々起こっているそうです。偶々居合わせた猟兵が撃退に成功しているようですが」
後は感触を見ながら猟兵を頼るよう話を持っていく方向で
宇宙忍者体験用レンタルスペースシノビ装束に袖を通し、上野・修介(f13887)はカーク=レザットの船内へと足を踏み出した。
カーク=レザットの船内は生活ブロック・文化保全ブロック・宇宙忍者施設ブロックの三つに分かれており、修介は現在、宇宙忍者施設ブロックにいる。
修介はUDCアースやヒーローズアースなどの文明世界に存在するドーム施設を思い出した。宇宙忍者施設ブロックは修介の尺度で理解しやすい単位に置き換えれば、UDCアースの日本首都にある大型ドーム施設15個分の内部容積をもつ。
宇宙忍者施設ブロックはいわゆる体験型テーマパーク施設に似たつくりとなっていた。古代スペースシップワールドに存在した宇宙忍者惑星トガクシー星の宇宙忍者の里を再現した施設となっているのだ。その様相に、修介はいわゆる『忍者村』を想起する。
しかし、修介はそうした娯楽施設とは明確に異なる空気を察する。施設内を行き来する宇宙忍者スタッフの立ち居振る舞いは、多くの修羅場を潜り抜けてきた猟兵の修介の目をもってしても隙のないものであるように見えたし、恐らく手を出せば即座に対応されるだろう。
「すごいな、これは」
驚嘆に値する、と修介は思う。
文化とは些細なことで失われるものだ。しかし、銀河規模の大戦と星々の消滅という出来事を乗り越えて、クリスタ流宇宙忍術は現代スペースシップワールドに伝わっている。
こうした観光地化も文化保全のための努力のひとつなのだろう。しかもそうした上でも商業に傾倒し形骸化することなく、観光地としての体裁を保ちながらも宇宙忍道を絶やすことなくその技を磨き続け、敵に対する警戒も怠っていない。
「手練れだな」
「ええ。それだけにわたくしたち自身が警戒される可能性もあるでしょう」
女性用レンタルスペースシノビ装束に身を包み、たおやかな所作で鈴桜・雪風(f25900)は修介の横に並んだ。
「はい。助力を乞うなら、こちらも相応に実力を示すのが必要……いえ、礼儀だと思います」
「同感ですわね」
雪風は頷く。
雪風もまた修介と同じく多くの戦いを切り抜けてきた歴戦の猟兵の一人だ。彼女もまた、この宇宙忍者の里の者たちと協力体制を整えるためには実力を示す必要があると考えていた。
「では、参りましょう」
「はい」
かくして2人は向かったのは、宇宙忍者施設の中でも一番の目玉である忍者任務チャレンジであった。
忍者任務チャレンジの申し込みを済ませた2人は、施設の前で受付忍者から説明を受ける。
『帝国要塞に挑め』……。戦時中の銀河帝国要塞を模した施設の中に用意された様々な罠や敵の兵士役の宇宙忍者たちの妨害を掻い潜り、密書を盗み出すという内容である。
「難易度は……」
「最大レベルで」
「よろしくお願い致しますわ」
力を示すには、やはり最高難易度で挑むほかない。2人は短く受付忍者へと伝えると、ゲートを通過して任務チャレンジへと足を踏み入れた。
『3.2.1.Ready……Ninja!』
電子音声アナウンスが任務の開始を告げる。修介と雪風の挑戦が始まった。
忍者任務チャレンジはいくつかの関門から構成されている。
まずはゼログラビティエリアを巧みに機動して要塞外壁から侵入口を目指す『壁走りの術』。続く内部では外部の者に理解できぬよう巧みに暗号で隠された要塞内部図を読み解く『暗号解読』……。更に施設内を哨戒する兵士たちを躱して密書の間へと辿り着く『隠密の術』。そして最後に待ち受けるのは密書を守る帝国忍者との模擬戦、『カラテアーツ・チャレンジ』。
以上の計4つである。
「これは……なるほど、観光地のアトラクションとしてはなかなかですわね」
「ええ……手ごわい!」
いずれの関門も難関であった。手練れの猟兵である2人をもってしても易々と突破はできない難度だ。だが、そこは彼らも歴戦の戦士である。修介は持ち前の体術の巧みさで、雪風は探偵としての冴え渡る頭脳を利用して次々に関門をクリアしてゆく!
――しかし、彼らがもっとも苦戦したのは最終関門であるカラテアーツ・チャレンジであった。
「……どうも、挑戦者の方。本任務の最終関門を務めさせていただくアイオライ蔵です」
2人を迎えたのは上忍、アイオライ蔵――。現在のカーク=レザットの忍頭を務めるハイランク宇宙忍者である。
「どうも、アイオライ蔵さん。猟兵の上野・修介と申します」
「同じく鈴桜・雪風ですわ」
相対する2人は挨拶を交わしあう。宇宙忍者もまた武の道を歩むものたちであり、“道”である以上は互いに礼を尽くしあう奥ゆかしさが不可欠とされているのだ。挨拶は宇宙忍者にとっても実際重要な行為なのである。この重要さは古代文明の礎となったニンジャモノリスにも刻まれている。
「ここまでたどり着いた方々は久しぶりです。……では、こちらも礼を尽くしましょう」
「……来ますわ!」
「ええ!」
先手を打って仕掛けたのはアイオライ蔵であった。素早くも巧みな体捌きで猟兵たちへと一気に距離を詰める――瞬間、その姿が消失!カクレミアーツ!クリスタリアンが本来持ち合わせるクリスタライズの応用だ!
「ヤッ!」
「シッ!」
襲ッ!鋭い拳打が修介に浴びせられる!しかし、修介はその殺気を気取って身を反らし回避運動!巧みな体捌きですぐさまカウンターの回し蹴りを叩き込む。アイオライ蔵は反動で跳び退りながら態勢を立て直した!
「流石――!」
「……わたくしどもにもメンツがありますので!」
だが更に側面!非致死性スタンショックニンジャソードをかざしながら、雪風がアイオライ蔵へと迫る!
「ヤーッ!」
「ヌウウーッ!」
だがアイオライ蔵は辛くもこれを回避――しかしその瞬間!
「はあッ!!」
「ムウッ!?」
姿勢を低くしたタックル!一気に間合いを詰めた修介がアイオライ蔵に身体ごとぶつかり、その勢いで押し倒したのだ。雪風がそこにニンジャソードを尽きつける。
「これで決着……でよろしいでしょうか?」
「ええ……見事です」
かくして、2人は見事忍者任務チャレンジを成功させるのであった。
――だが、彼らにとって本題はここからなのだ!
「……ところでアイオライ蔵さん。ご存知ですか?蒼石のクリスタリアンが歴史ある船を襲撃する事件が度々起こっているそうです」
そう。猟書家の襲撃に対抗するための協力体制の確立。それこそが本来の彼らの目的である。雪風が切り出した。
「聞き及んでおります。我々も警戒していましたが――」
「……でしたら、話は早い」
頷くアイオライ蔵に、修介は向き合った。
「率直に、この船は狙われて居ます。どうかご助力を」
そして、本題へと繋ぐ。
「やはり、そうでしたか」
「ええ、わたくしたちはそのために参りましたの」
「はい。お力添えいただければ心強いです」
「……」
僅かな逡巡。一拍の間を置いて。
「わかりました。免許皆伝の忍者儀式もあることです。長に取り次ぎましょう」
アイオライ蔵は、頷いた。
――かくして猟兵たちは、カーク=レザットの宇宙忍者たちとの協力体制に向けてその第一歩を踏み出したのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
津崎・要明
初任務の連絡が来た
この日の為に心血注いで組み上げたマシンはなんか
ちょ〜ん、て感じだ。
どうした事だ。もっとグバっとギュルっとするはずだったのに。
…ま、最初だしこんなもんか。
せめてカッコいい名前をと
『アースオリジン伝説』の発明王ダ井だるス様…の子息、
烏賊るスから借名して「烏賊るスドライヴ」にしようとしたら
「それ落ちる」と言われた。ネタバレ罰金な。
あれ、あのシュリケン体験やってみてー!
「これ、体験できます?」尋ねつつ、
(さーせん、UDCの方から来てます)っとOK?
趣味と実益、これサイコー!
報酬出たらシュリケン実装しよっと。
【プログラムド・ジェノサイド】で、シュリケン的当てを楽しむ
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
皆殺しの上に船内乗っ取りか…
フン、そのような蛮行を見過ごすわけにはいかんな
まずは現地のニンジャ達に協力を要請しようか
他の観光客には気付かれぬよう密やかに連絡を繋げ、連絡が付いたら許可を取りUCを発動
迷彩処理を施したドローン達を漿船やその周辺に放ち、スタッフだけでは手が回らない場所を重点として情報収集を行い、敵の襲撃に備える
自分はマッキナ・シトロンに送られるドローン達の情報を分析しながら、宇宙忍者修行体験を行おうか
ゼログラビティニンジャ起動訓練には軽業や空中戦の技能
光子シュリケン投射訓練にはスナイパーや乱れ撃ち技能を駆使して参加しよう
フッ、戦闘前の準備運動には丁度良いかもしれんな
「いやー、運がよかった。頼れる先輩がいるってんなら心強い!」
津崎・要明(f32793)は陽気に声をあげた。
「そうか。お前は今回が初任務だったな」
要明の先を歩くキリカ・リクサール(f03333)は、既に多くの戦場を渡り歩いてきた猟兵の一人だ。スペースシップワールドにおける任務もこれが初めてではない。
キリカはここへと赴く際、彼女のホームであるUDCアースに拠点を持つ猟兵の協力組織のコネクションから、猟兵としての活動を開始して日の浅い要明への同行を依頼されたのだ。いわば新人の引率である。
「そうなんだよ。でさ、この日の為に心血注いで組み上げたマシンなんかもあったんだけど……こう、なんか、『ちょ~ん』、て感じでさ……」
「そうか」
「そうなんだよ!どうした事だ!って感じ!もっとグバっとギュルっとするはずだったのに……いや、でもね。せめてカッコいい名前をと思って!『烏賊るスドライヴ』ってつけようと思ったんだよ。知ってる?『アースオリジン伝説』の。でもそしたら仲間が「それ落ちる」なんつーからまた考え直しで……」
「なるほど、戦闘用ガジェットの調整がうまくいっていないということか。ならば解決に一番近いのは、同系統の技術を用いる猟兵の技や装備を見ることだろう。参考になるようなら、あとで私の装備を見せてやってもいい」
「やったぜ渡りに船!」
――閑話休題。
会話を交わしながらも、キリカの視線は油断なく周囲に巡らされていた。
2人は現在、カーク=レザットの宇宙忍者施設ブロックを進んでいた。無論、船内の宇宙忍者たちとコンタクトをとり、協力体制を確立するためである。
「……しかし、悪辣な」
「敵の目的?」
キリカはグリモア猟兵から伝えられた今回の作戦内容を思い返す。
この漿船に搭載された、クリスタリアンのみが使えるという超長距離空間跳躍技術。その入手のために敵はこの船の人々の抹殺を目論んでいるというのだ。
「そうだ。皆殺しの上に船の乗っ取り……わかりやすい悪逆にも程があるというものだ」
「まったくだね。そんなひでーことさせるワケにいかねー!」
「ああ。そのような蛮行を見過ごすわけにはいかん。そのために我々がここに来たのだ。……行くぞ、そろそろだ」
「ウス」
そして、2人が向かった先は――宇宙忍者修行体験施設の中であった。
「ようこそおいでになりました。こちらは宇宙忍者修行体験エリアとなっております。お客様はどちらのコースを――」
「あ、さーせん。俺らUDCの方から……」
「『アマ』・『ガワ』だ」
入り口で案内を行う受付忍者のもとを訪れたキリカは、ここで宇宙忍者符丁を伝える。
『アマ』・『ガワ』とは、古代スペースシップワールドの宇宙忍者たちの間で使われていた代表的な忍者合言葉だ。
猟兵の支援組織を通じて事前に連絡をとっていたキリカが、自分たちが猟書家の撃退のために訪れた猟兵であることを伝えるために用いたのである。
「……伺っております。どうぞこちらへ」
符丁を聞いた受付忍者の眼光が細まり、2人を別室へと案内する――。
「あなた方が連絡のあった猟兵の方々ですね」
人工培養バイオイグサ製スペースタタミを布く一室へと通された2人は、かくしてカーク=レザットの上役と面会した。
彼らを出迎えたのは猫目斎――。このカーク=レザットの宇宙忍者たちの中でも古参に数えられる実力者である。その風貌は小太りの老人といった風情で、宇宙七福神のアカシック布袋を想起される好々爺然としたクリスタリアンであった。
猫目斎へと相対し、2人は早速本題を切り出す。
「そうそう。悪い奴がこの船を狙ってるっていうからさ」
「ああ。既に組織を通してメッセージを伝えたとおりだ。我々は貴船及びその住民の安全を守るために助力を惜しまない」
そのためにも、船内での行動についてある程度の権限と許可を――。キリカは奥ゆかしく頭を下げながら猫目斎へと求めた。
「ええ、お話はうかがっております……。猟兵の方々は以前の銀河帝国との戦いにおいてそのお力を振るってくださった、いわば我々スペースシップワールドの住人にとっては大恩ある方々。それがしかもわたくしどもを護るためにまた力を貸して下さるというのなら、断る理由もありますまい」
猫目斎が微笑んだ。
「長には私から話を通しておきましょう。どうぞ、存分にお力を振るってください」
「寛大な措置に感謝する」
「よろしく頼むよ、おっちゃん」
――思いのほか、すんなりと話は進んだ。2人は最後に猫目斎と握手を交わし、そして施設の外へと足を踏み出す。
「では、次のステップに移るとしよう」
「……っていうと?」
「許可も得たことだからな。先手を打って監視網を構築する」
【シアン・ド・シャッス】。――ここでキリカはあらかじめ用意していたドローン機体の群れを放つ。いずれも迷彩を施した仕様だ。
「おお、すっげえ!」
目の前で展開されるマシンの挙動に、メカニックの血が騒ぐ。飛び立つドローンたちを見送りながら、要明は喝采した。
「これで随時情報収集を行い、敵の襲撃に備える。……あとは、敵が来るまで備えるぞ」
「了解了解!……んじゃ、それまで忍者修行体験いこーぜ、先輩!俺あれ、あの、シュリケン体験やってみてー!」
「宇宙忍者修行体験か。……フッ、戦闘前の準備運動には丁度良いかもしれんな」
「そうそう。忍者修行ならこれからの戦いにも実際役立つかもしれないしね!趣味と実益、これサイコー!」
かくして――カーク=レザットの宇宙忍者との協力体制を結んだキリカと要明は、敵の襲撃に備えてその態勢を整えるのである。
必ずや敵を撃退し、この船を守ってみせる。――宇宙忍者修行体験に挑みながら、2人はあらためてその決意を確固たるものとしたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
結構、楽しそうな宇宙船ですねぇ。
何とかやってみますぅ。
まずは、アトラクションを楽しみましょうかぁ。
【夢鏡】を発動し『身体能力』を強化、『任務チャレンジ』等の『アスレチック系のアトラクション』を中心に参加させて頂きますねぇ。
その途中、既に何らかの方法で見張られている可能性を警戒し、案内の方に『手紙』を渡し「お話したいことが有る」と伝えますぅ。
その後『宇宙忍者食堂』でお食事を頂きつつ、『雑談』のフリをして協力を申し出ますぅ。
警戒はされるでしょうが「此方が『猟兵』で有ること」を伝えた上で『船にいる間、監視して貰う』条件を此方から申し出れば、受け入れては頂けるのではないかとぉ。
神咲・七十
忍者ってどこの世界にでもいるのですね・・・
(それともどこかから伝わって流行ったのでしょうか?)
お仕事もありますが仲良くなるのと力をつけるの一石二鳥な修行体験と任務チャレンジをしてみましょうか(免許皆伝の儀式がどのような物かも気になりますし)(お菓子もぐもぐ)
(修行体験をしてから任務チャレンジを行っていき、免許皆伝を目指していきます)
なんだか皆さんぴりぴりした雰囲気がありますね
何かありそうなのですか?
(忍者先輩候補さん達にもそれとなく猟書家の襲撃のことを聞いて回って、以前に似た内容を経験したこととそれに協力したいということを伝えて)
「ここが宇宙忍者のスペースシップですかぁ……」
「……忍者ってどこの世界にでもいるのですね……」
夢ヶ枝・るこる(f10980)。並びに神咲・七十(f21248)の2人の猟兵もまた、ここカーク=レザットへと到着していた。
2人は宇宙忍者施設の中を進みながら、敵との戦闘に備えた実地調査を兼ねて内部の構造や間取りを確認していく。
「そうですねぇ。忍者と言えばサムライエンパイア、みたいなイメージですけどぉ……」
「それとも……どこかから伝わって流行ったのでしょうか?」
意外かもしれないが、ニンジャという戦闘技術概念は驚くほど多くのワールドに類似した流派が存在している。UDCアースの現代忍者やヒーローズアースのニンジャヒーロー、カクリヨの忍妖・忍鬼にグリードオーシャンの海棲忍者。クロムキャバリアの機動忍者兵器。そして封神武侠界の仙忍など、その存在は驚くほど多岐にわたる。
話を戻そう。
「……それでは、修行体験といきましょうか」
「そうですねぇ。忍者訓練も結構楽しそうですし……何とかやってみますぅ」
2人が決めた方針は、宇宙忍者修行体験や忍者任務チャレンジへの参加を通してカーク=レザットの人々とコンタクトをとることであった。
まず2人は宇宙忍者修行体験へと挑戦する。
手始めに挑んだのはゼログラビティニンジャ機動訓練である。これは施設内に作られた無重力エリアにおいて、貸与されるニンジャガジェットと自らの体術を駆使して用意された障害を突破する訓練だ。
その次に待ち受けるのは光子シュリケン投射訓練となる。手にもって投擲する・腕部装着型のシュリケンランチャーを用いる・念動力によって思念波シュリケンを構築して撃ち放つなど、挑戦者の適性や希望に応じた様々な形式のシュリケン訓練を行うことができる。
そして宇宙忍者修行体験の中でも最も人気が高いのが、現役の宇宙忍者が指導を行う宇宙忍者カラテ特訓であった。
2人は見事にこの訓練メニューをこなしてみせたのである。
本物の宇宙忍者が運営している都合、その内容は濃密であり観光地のアトラクションとは思えぬ難度の部分もあったが、既に多くの戦いを経験した猟兵である彼女たちにとっては不可能な難しさではなかった。
更に彼女たちは続けて宇宙忍者任務チャレンジにも挑んだのである。結果は上々。『壁走りの術』『暗号解読』『隠密の術』『カラテアーツ・チャレンジ』。用意された関門を、2人はいずれも高水準の好記録で突破し、最終的には免許皆伝の忍者儀式を許される高得点を記録していた。
そして――
「観光地のアトラクションにしては、なかなかハードな内容でしたね……」
「けっこう本格的でしたねぇ……」
修行と任務を終え、2人は小休止をとっていた。宇宙忍者施設内に点在する忍者ドリンクスタンドで購入したホジチャー・ティードリンクと銘菓マキビシ・アラレをつまみながら、彼女たちは息をつく。
「とはいえ、目的の半分は果たせましたからね」
ぱり、と小気味よい音をたてて、七十はマキビシ・アラレを噛み砕く。星砂糖の甘味と仄かな塩味がほどよく混ざり合いながら広がり、七十の味蕾を愉しませながらその疲労を回復させた。
「ですねぇ。挑戦した甲斐はあったと思いますぅ」
ず、と音をたててるこるがホジチャー・ティードリンクをひと啜り。温かな宇宙茶の味わいがるこるの疲労を癒す。
2人は修行体験に挑むかたわら、アトラクションのスタッフや施設内の案内の任を任されるスタッフ忍者たちとコンタクトを取っていたのだ。猟兵としての実力を発揮し、宇宙忍者訓練や忍者任務において一般観光客では不可能な高得点を叩き出した彼女たちは当然スタッフである忍者たちからの称賛を浴び、彼らと重要な情報伝達を行うことに成功していた。
るこるは手紙という形で案内忍者へとメッセージを託したのである。それは協力の申し出であった。メッセージは忍者たちを通して代表である虎眼大老へと届けられ、これもまたカーク=レザットの宇宙忍者たちと猟兵たちとの協力体制を固める一助となる。
「そうですね。こちらも手ごたえがありました」
その一方で、七十は主に現場の忍者職員たちとの積極的な交流を試みていた。いつ来るとも知れぬ敵の襲撃に備えて緊張気味の様子を見せる忍者に声をかけながら、自身が猟兵であることや、以前にもこうした襲撃を防いだ経験があることを明かし、その上で忍者たちを安心させるように助力の手を惜しまぬことを伝えていたのである。
猟兵であるということは、銀河帝国を討ち破った記憶も新しいこのスペースシップワールドにおいてはそれだけで既に信頼に足る理由となる。それだけに、七十が協力の意志を見せたことはカーク=レザットの宇宙忍者たちにとっても福音であったと言えただろう。話をきいた彼らは、一様に好意的な反応を示していた。
「それではぁ、休憩もしたことですし、そろそろ行きましょうかぁ」
こくりと音を立ててるこるは最後のひと口を飲み下す。空になったカップをトラッシュボックスへと片付けてから、るこるはドリンクスタンドの席を立った。
彼女たちはこれから免許皆伝の忍者儀式に出席する手筈となっているのだ。そこで2人は他の猟兵たちとも共に宇宙忍者たちの頭領を務める虎眼大老とのニンジャブリーフィングを行う予定なのである。
「わかりました。甘いものの補充もできたことですしね。本格的に仕事に取り掛かるとしましょう」
そして、それに続くように七十もまた席を立つ。
かくして2人は敵の襲撃に備えるべくしてニンジャブリーフィングへと臨む。
ここで協力体制を盤石なものにしておけば、この後の戦いについても有利に進めることができるはずだ。
しかしてその一方で――猟書家バトラー・サファイアとの戦いの時は、刻一刻と近づきつつあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『バトラー・サファイア』
|
POW : ナイブスストーム
【サファイアでできた無数の暗器】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : アカンプリッシュメント・オブ・アサシン
レベル分の1秒で【麻酔針】を発射できる。
WIZ : サファイア・フラッシュ
【サファイアの肌】から【蒼く眩い閃光】を放ち、【目を眩ませること】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:白菜ポンズ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠エリル・メアリアル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「久方ぶりね、カーク=レザット。それに……ライ蔵!」
「ヤアッ!!」
閃光!青白く閃いた刃は上忍・アイオライ蔵の放ったジェムストーン・クナイダガーである!しかし、サファイアは鋭い蹴りで迎え撃つ。ガィンッ!弧を描くように放たれた蹴り脚は襲い来るクナイダガーを撃ち落とした。
ざ、ッ!一拍遅れてサファイアの前に姿を見せるのは上忍・アイオライ蔵である。
「……お久しぶりです、サファイア。アイオライ蔵です」
アイオライ蔵は相対したバトラー・サファイアへと素早くオジギし、しめやかに挨拶を向けた。
「ええ、久しぶりね、ライ蔵。またこの船に来ることになるとは思ってもみませんでした」
サファイアもまた奥ゆかしくオジギを返す。そしてすぐさま戦闘態勢へと移り、その手の中に輝くダガーナイフを握った。アイオライ蔵へと向かい合う。
「……真の忍術皆伝にまで至った貴女が、何故このようなことを」
「知れたことです。私はフォーミュラたるプリンセス・エメラルドの配下。主のために忠義を捧げ、この命を尽くすことこそが私の名誉」
「その命令であれば、かつての同胞を手にかけることにも躊躇いはない、ということですか」
「然り。……退きなさいライ蔵。あなたでは私に勝つことはできません。いいえ、虎眼大老ですら今の私には太刀打ちできないでしょう」
構えるバトラー・サファイアの身体から、陽炎めいた闘気が立ち登る。その身に蓄えた膨大なユーベルコード出力は、彼女がオブリビオンの中でも特に上位の実力者であり、いかに修行を積んだ宇宙忍者でも打ち勝つことは不可能であることを何よりも雄弁に物語っていた。
「そういうわけにはいきません。たとえ力及ばずとも、クリスタ流の名にかけてあなたを止めます。……行くぞ、皆の者!」
「はっ!」
アイオライ蔵の号令に従って、船内の忍者たちが一斉に動き出す。一般観光客を避難させる者、アイオライ蔵のもとへと向かう者。今、カーク=レザットの宇宙忍者たちは一丸となって侵略者に対抗しようとしていた!
「愚かです」
だが、バトラー・サファイアは嘲笑う。
……たとえこの船の宇宙忍者が全員かかってきても、勝てると知っているのだ。
かくして。
漿船カーク=レザットの宇宙忍者施設ブロックにおいて、戦いの火蓋は切って落とされるのである。
津崎・要明
ハイ、お客様ご到着〜
ニンジャ相手にスピード勝負?ないわ〜
のんびりとマシンにバトルデータ記録の指示を出す
出番は有りそうもない
俺の演算ではこうだ。
1 攻撃を仕掛ける 敵の攻撃を誘発 ムダに被害拡大=迷惑
2 攻撃を仕掛ける 瞬殺される 俺=床のシミ 掃除する人カワイソウ
いずれにしろ【プログラムド・ジ・エンド】だろ?
ああ、でも…
チクショー!やっぱ黙って見てらんねーわ!!
動けば撹乱くらいにはなるだろう
気づかれないくらいに相手の行動範囲を狭めるには…
全力【バウンドモード】からの「零射」、か
先輩、後は頼んます
骨は拾ってくださいよ。いや、「任せておけ」じゃ…もっとこう…
ってそもそも俺、骨ないんだっけ?
キリカ・リクサール
かつての同門を潰しに来るか…
フン、過去の亡霊が己の過去を殺しに来るとは笑える話だな
エギーユ・アメティストで攻撃
先端の紫水晶で敵の攻撃を払い落としつつ、宙に浮かせたデゼス・ポアの放つ刃と連携を取るように攻撃
間断なく攻撃を続ければ敵を釘付けにする
なるほど、言うだけはあって中々の凄腕だが
忍びの神髄を忘れているようだな
敵がこちらに向けてUCを発動したら周囲に潜ませた宇宙忍者達に合図
光子シュリケンを一斉に放たせ奇襲攪乱を行う
同時に自分もUCを発動
武器をナガクニに持ち替えて封印を解き、麻酔針を叩き落して一太刀で切り捨てる
忍びが敵陣に単身乗り込んだ時点で既に結末は決まっていた
そのまま、骸の海に屍を晒すがいい
交錯!闇を渡るように刃が飛び交い、そして激しく火花を散らしてぶつかり合う!
「少しはやるようになりましたね、ライ蔵!」
「ムウ……ッ!」
ザァ、ッ!ギンッ!アイオライ蔵の放つジェムストーン・クナイダガーへと、バトラー・サファイアは銀のナイフを寸分たがわぬ精度で放ち迎撃する。
否、ただ迎撃するのみでは終わらない、虚空を蹴るように巧みな挙動で体捌きしたバトラー・サファイアは素早く跳び出し、アイオライ蔵へと一気に間合いを詰める!
「ですが、その程度で――イヤァッ!」
「グワッ!」
瞬天!アイオライ蔵が追撃を繰り出すよりも速く、間合いを詰めたバトラー・サファイアはゼロ距離からの寸勁めいた強烈な打撃を叩き込む。その凄まじい威力に吹き飛ばされたアイオライ蔵の躯体が、ニンジャティースタンドの店舗に叩きつけられた。
「ひえーッ……!とんでもねーな、アレ」
凄まじい威力。強力な力と鋭い切れ味をもつその技に、津崎・要明(f32793)は畏怖すらおぼえた。
「なるほど……あの動き。あの鋭いワザマエ。……あの猟書家もまた、宇宙忍者の修行を積んだクリスタリアンということか」
その一方で、キリカ・リクサール(f03333)は冷徹に分析する。――バトラー・サファイアの繰り出した攻撃の動作は、この漿船の宇宙忍者たちの体捌きの癖に似た部分があるとキリカは気づいたのだ。
「かつての同門を潰しに来るか……」
「うえーっ!あれもニンジャってことかよ!ないわ~!」
要明はは悲鳴めいた声をあげながら物陰に身を隠す。
――怖気づいた、というわけではない。彼なりに慎重な分析を行った結果だ。
「どうする?」
「どうっつっても……」
水を向けたキリカの視線に、要明は緩く首を横に振った。
「1。攻撃を仕掛ける。→敵の攻撃を誘発。ムダに被害拡大で迷惑。
2。攻撃を仕掛ける。→瞬殺される。俺=床のシミ。掃除する人カワイソウ。……いずれにしろ、【プログラムド・ジ・エンド】だろ?」
――負けるに決まっている。足手まといにしかならない。
それは単純な諦観や悲観ではなく、彼なりに慎重かつ冷静に検討を重ねた結果の解答だったのである。
「つまり?」
「つまり――出番はありそうにない、ってこと」
「わかった」
その言葉に、キリカは緩く首を振った。
「それならそれで構わない。なら見ていろ。確かに最悪の場合に備えた後詰めも必要だ。お前は万が一私が奴にやられた時に救援を呼ぶ仕事を果たせ。いいな」
「……了解」
要明に言い聞かせたキリカは、その手に得物を携える。
そして、振り返ることなく宇宙忍者たちの戦場へと向けて走りだした。
「はッ!!」
「ム、ッ!」
エギーユ・アメティスト!閃く紫水晶の煌めきが、ほんの一瞬バトラー・サファイアの視界を遮った。
「何者!」
しかしてバトラー・サファイアもまた厳しい宇宙忍者修行を経た一流の戦士である。その輝きに惑わされることなく、閃く暗器で迎撃する。だが、その瞬間に生じる隙こそがキリカの狙いだ。生まれた間隙へと向かい、キリカは切り込んでゆく。
「――フン、過去の亡霊が己の過去を殺しに来るとは笑える話だな」
「貴様、猟兵ですか!」
交錯!交錯!交錯!攻め込んだキリカは更に指先を繰り、紫水晶の刃を放つ。剣豪同士が激しく切り結ぶように乱れ舞う鞭撃とそれを迎え撃つ刃の乱舞!卓越した腕前を持つ戦士同士でしか生み出せぬ技の応酬が、2人の間に嵐を巻き起こした!
「なるほど、言うだけはあって中々の凄腕だ」
「フン……猟兵ごときが舐めた口を。私の業前がこの程度だとは思わないことです。ギアを上げていきますよッ!」
だが、次の瞬間である!互角の応酬であったかのように見えたその戦いの趨勢が傾きを見せる。押したのは――バトラー・サファイアだ!
「くッ……さすがに幹部級といったところか!だが……デゼス・ポア!」
『……』
しかし続けざま、キリカは次なる一手を打つ!
デゼス・ポア!刃を携えた絡繰り仕掛けの戦闘人形!キリカはこれに命じることで更に死角からバトラー・サファイアへと攻め寄せたのだ。
「なめるなァッ!」
――猛撃!バトラー・サファイアの卓越した戦闘技術が唸る!
更にギアを上げたサファイアの激しい体術は、キリカの更なる攻め手をもってしてもこれに対応し、その上をゆく!
「……、ッ!」
強いであろうとは予測していた。しかし――これも宇宙忍術皆伝の戦闘技術か!バトラー・サファイアの巧みかつ激しく力強い格闘戦技術は、キリカがこれまでに対峙してきたオブリビオンの中でも上位に数えていい凄まじさであった。
「このまま押し切って差し上げましょう!」
じりじりと押されているのがわかる。このままでは均衡を崩されるのも時間の問題か――しかし、キリカが危機感を覚えたその時!
「うおおおおおおおおおおッ!チクショーッ!」
「なに……ッ!?」
ぼぉん、ッ!
跳ね回る黒塊!見ようによってはコメディ・ジャンルのカートゥーンのようなその物体が突如横合いから飛び込み、そして、バトラー・サファイアに激突したのである!
「やっぱ黙って見てらんねーわ!!」
それは――要明である!【バウンドボディ】によって跳ね回る身体に変化した要明が、バトラー・サファイアへと奇襲を仕掛けたのだ!
「こいつ――ッ!ブラックタール……汚らわしい黒泥風情がアッ!!」
態勢を崩されたバトラー・サファイアが、激昂の声を叫ぶ!
「先輩、後は頼んます!骨は拾ってくださいよ!!」
跳ねる要明の躯体!軌道の読めないその動きに困惑するバトラー・サファイア!
「フン。やればできるじゃないか。……いいだろう、骨は拾ってやる。こちらも次の手を打たせてもらおう!」
「いや、『任せておけ』じゃ――もっとこう――!!」
一方、そこに生じた隙を見逃すことなくキリカは口の端に笑みを浮かべる。抜き放つのはナガクニの刃。鞘から覗く白刃があやしく輝く!
「今が好機だ!ゆくぞ、お前達!」
「「「応ッ!!」」」
ここで合図を送るキリカへと、無数の声が返った!それは彼女の指示で潜んでいた、クリスタ流の宇宙忍者たちである!
「……伏兵!」
「今更気づいても遅い。忍びの神髄を忘れていたようだな!」
瞬間!宇宙忍者たちは一斉に光子シュリケンを投げ放ったのである!輝く刃は宙を駆け抜け、バトラー・サファイアへと押し寄せる!
「こんなものでぇッ!」
迎撃!しかしてバトラー・サファイアはそれを巧みに迎え撃つ!力強くも鋭い蹴り足!ユーベルコード出力を伴うその技は光子シュリケンを叩き落とし――
「そこだ」
――その瞬間。生じた一拍の隙に突き込んだキリカの刃に、その身を貫かれた。
「ごフ……ッ!」
苦悶!
双眸を見開いたバトラー・サファイアが、ぎりと歯噛みしながら振り返る。
「忍びが敵陣に単身乗り込んだ時点で既に結末は決まっていた。……そのまま、骸の海に屍を晒すがいい」
【影打・國喰】。――短刀・鹿島永国に封ぜられた邪な魂が吼えるようにうごめく。そこに纏う黒い気配が、バトラー・サファイアの身体へと喰らいついた。
「な……ッ、めるなァッ!!」
だがその瞬間――バトラー・サファイアの傷口が爆ぜる!
バトラー・サファイアは、自らの一部を自壊させることでその傷に突き立つ刃から逃れたのだ。
「おのれ、猟兵……!このままでは済みませんよ!」
だが、それは決して軽い代償ではない。負わされた傷の屈辱に歯噛みしながら、バトラー・サファイアは交戦距離から逃れてゆく。
「あっ、逃げる気かよ!」
「なら追うぞ。このまま逃すわけにはいかない」
キリカは要明の背中を叩き、追撃戦への移行を促した。要明はキリカへと頷くと、逃れ行くバトラー・サファイアを追って走り出す。
――かくして、カーク=レザット船内における猟書家との戦いは始まったのである!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
それは『イレギュラー』が無ければ、ですねぇ?
忍者さん達に『地理情報』と、相手の[範囲攻撃]に巻込まれない様『遠距離からの支援』を願いましょう。
『FRS』『FSS』を展開し『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FMS』のバリアで全周を覆い、攻撃に備えますねぇ。
サファイアさんがどの様な『暗器』を用いても、文字通り『全方位』を囲っている以上、必ず私より先にバリアに当たりますぅ。
それに合わせ【誅剪】を発動、『相手の攻撃(=暗器全て)』及び『攻撃者』を遡り[カウンター]で[切断]、更に『FRS』『FSS』の[砲撃]で追撃しましょう。
後は『FMS』で身を守りつつ繰返し、確実に叩きますねぇ。
鈴桜・雪風
単騎で船一隻を制圧しようするだけはありますね
あの者、かなりの使い手です
「こちらも本気でかからねば勝てませんね。いざ!」
あの身軽さと飛び道具
自由に動き回らせてはやっかいです
ここは多少強引でも剣の間合いに捉えて相手の選択肢を狭めてしまいましょう
飛来する暗器の群れは傘で打ち払い、一歩で間合いに踏み込み仕込み刀を抜刀します
――まぁ、躱しますよね
当てるよりも近づくことを優先しましたので
そして振った後の隙があれば麻酔針を打ち込むことも容易いと
「ンアッー麻痺毒!……等と言うと思います?」
ああ、これですか?ここのお土産屋で売っていた解毒丸薬(きなこ味)です
「一瞬の動揺。わたくしが貴女を斬るには十分ですよ」
上野・修介
※連携、アド歓迎
「やはり、執事とかメイドって忍術必須なんだろうか」
――閑話休題
事前にアイオライ蔵さんに依頼して稽古を付けてもらい、忍者の動きに慣れておく。
宇宙忍者達には敵の攻撃に巻き込まれないように下ってもらう。
「推して参る」
――為すべきを定め、心を水鏡に
調息、脱力、敵を『観』据える。
敵の体格・得物・構え・視線・殺気から間合いと呼吸を量る。
敵が暗記を飛ばしてきたら、UCによる震脚を用いて床面を捲りあげて盾とする。
またその盾を拳で砕いて弾き飛ばして目眩ましとし、間合いを詰める。
懐に飛び込む勢いをそのままに一撃。
そこから拳を密着させた状態から再度UCを用いて勁を生み出し、全関節の螺旋に乗せて透す。
「はああッ!」
「そォォれェィ!」
交錯!爆ぜ散る火花!空中で激しくぶつかり合うのは、バトラー・サファイアとクリスタ流忍者頭領・虎眼大老である!
「この程度ですか、大老!宇宙忍者の名が、笑わせる!」
「悪魔に魂を売り渡し、オブリビオンへと堕したお主が忍道を語るか!」
凄まじいカラテの応酬!銀河刑法にも記される通り、卓越した格闘能力をもつ者の拳は法的に凶器であると認定されるほどに危険極まりない威力をもっている。互いに武具そのものである肉体をもって本気での殺し合いをしているのだ。その激しさは語るべくもないだろう。
「はあああッ!」
「ヌウウーッ!!」
しかして、その戦いを制したのはバトラー・サファイアであった!鋭くも重い手刀の一撃によって半身にひびを刻まれた大老が、シップの内壁へとしたたかに打ち付けられたのだ!
「……これでクリスタ流忍術も終わりです。もはやこの私に忍びの業でかなう宇宙忍者はいません。……あとは、この船を制圧するのみ」
勝ち誇るバトラー・サファイア。その手に握った銀の刃を掲げ、そしてせせら笑う。
「それは『イレギュラー』が無ければ、ですねぇ?」
だが――それを遮ったのは、迸った閃光である!
「ちッ、猟兵ですか!」
バトラー・サファイアは咄嗟に飛び退いてその光を躱す!見上げた先に浮かぶのは――夢ヶ枝・るこる(f10980)の姿であった。
るこるは忍者大凧めいてその両腕・両足に浮遊能力をもつ武具を纏い、そうして得た浮力によって空中を機動していたのである。続けざまにコントロールするビット兵器FRSより、るこるは再びバトラー・サファイアへとビーム砲撃を浴びせかける!
「大丈夫ですか」
一方、鈴桜・雪風(f25900)は虎眼大老を助け起こす。
「ウム……。かたじけない」
雪風に支えられた大老の視線の先では、バトラー・サファイアとるこるの戦いが繰り広げられている。
空中をふわりと浮かびながら機動するるこると、それを追うバトラー・サファイア。忍者施設エリアの建造物を足場がわりにしながらアクロバティックでかつ華麗な動作で舞うように宙を駆け、バトラー・サファイアはるこるへと追いすがる。
放つ銀閃。虚空を駆ける暗器の群れがるこるを襲う。るこるは展開した障壁でこれを防ぐが、続けざまに襲い来る刃!【ナイブスストーム】!膨大なユーベルコード出力を内包したサファイアの暗器はバリアを削り、貫き、本体であるるこるを切り裂かんと攻め寄せる!
「あの者、かなりの使い手ですね」
「……ウム。かつてこの船で修練を積んだ宇宙忍者の中でも、最強の一人といってよかろう」
「それが今やオブリビオンに仕える執事、か」
上野・修介(f13887)はため息を吐く。見惚れるような技の冴え。バトラー・サファイアのその体術を見るに、鍛錬マニアともいえる修行者である修介をもってしても、彼女が厳しい修練によって研鑽を重ねてきたことは想像に難くない。
しかし――。
「やはり、執事とかメイドって忍術必須なんだろうか」
「……そういうものですの?」
実際、バトラーやメイドといった貴人に仕える立場の人間は、護身術・護衛術として体術を修めた者も少なくはない。
忍術は、そうした護衛業の人間が習得するには最適な武術のひとつとされているのだ。身を隠す術は貴人が舞台に立つ際などに重宝する。
――ここで話を本題に戻そう。
「……ともかく、こちらも本気でかからねば勝てませんね」
「はい。出し惜しみなく行きましょう」
「いざ!」
「……推して参る」
大老を戦域から退避させた2人は、あらためて戦場を駆けた!
「ハアアアッ!」
「そうは、させませんよぉ!」
一方、戦場ではバトラー・サファイアとるこるの激しい撃ち合いが繰り広げられていた。
生成される蒼玉の刃は凄まじく強大なユーベルコード出力を伴ってるこるへと殺到する。しかしてるこるも臆することなくその攻め手を受け止め、反撃の手を打っていた。
「真剣の加護を――!」
【加護・誅剪】。るこるが励起するユーベルコードが、その身に神性の力を降ろす。そこから形成されるのはユーベルコード出力が作り上げる無数の刃だ。
「小賢しいッ!」
だが、バトラー・サファイアもまた一歩も退くことなくその技を振るう!火花を散らして激しく打ち合う刃と刃!繰り広げられる一進一退の攻防!――しかし!
「そこです、ッ!」
「なに、ッ!」
側面ッ!風切りの音と共に襲来する仕込み傘の刃!閃く白刃は雪風の抜刀術!
「貴様、ッ!」
だが、バトラー・サファイアは化け物じみた反射速度で咄嗟に後退り、その斬閃を逃れる!
「――躱しましたか!」
「その程度のアンブッシュ、見切れぬとでも思いましたか!」
跳躍!回避機動から瞬間的に地面を蹴立てて跳んだバトラー・サファイアがその身を回転させながら垂直方向に舞い上がる。それと同時に激しく投げ放つ刃の群れ!生成した暗器が猟兵たちに襲い来る!
「く、っ……!」
「この私に手向かったことを後悔させてあげましょう!」
雪風は僅かに後退しながら飛来する暗器を叩き落とす。しかし、バトラー・サファイアはそこに生じた隙を逃さなかった。武具を振り抜いたその瞬間に、バトラー・サファイアは雪風との間合いを一気に詰める!
「イヤアッ!」
「ンアッー麻痺毒!!」
瞬間!撃ち放つ一撃が雪風の躯体を捉えた!交錯の刹那、雪風へと叩き込まれたバトラー・サファイアの手に握られていたのは致命的な忍者麻痺毒を塗布した忍者麻酔針である!宇宙エレファントも2秒で失神する宇宙毒物に雪風が悲鳴をあげて倒れる!
「……」
――修介は、その姿を仰ぎながら短く息を吐いた。
調息。修介は呼吸を整えながら、身体から無駄な力を抜いて緩やかに構えを取る。
――為すべきを定め、心を水鏡に。
只管に敵の姿を捉え、そして『観』据え、バトラー・サファイアの放つ殺気から彼我の距離を、間合いを、敵の呼吸を、そしてその力量を推し量る。
「――スゥー……――フンッ!」
震脚。修介は激しくその足を床面へと打ち付けた。その衝撃にカーク=レザットが揺れた。捲れ上がる床面が壁のように立ち上がる!
そして修介は飛び出した。爆発的な加速で一気に前進し、バトラー・サファイアとの距離を詰める!
「……何ですか、今度は!」
「どうも。……上野・修介です。バトラー・サファイア、俺とも手合わせ願おう」
バトラー・サファイアは振り返る。
雪風を仕留めたことでその心の中に僅かな慢心が生じたのだ。そうして生まれた微かな隙が、修介の接近を許した。
「――シッ!」
零距離ッ!拳の間合いへと至った修介が、加速の勢いを乗せた拳打を浴びせかける!
「ちィ、ッ……!」
衝撃!バトラー・サファイアは咄嗟に両腕で身体を庇う!叩き込まれた拳の重さにバトラー・サファイアの躯体が軋んだ。
「ですが……この程度でッ!」
しかし、バトラー・サファイアはすぐさま反撃に打って出た。素早く身体を捻り、鋭い蹴り足を修介へと撃ち放つ。
「はあッ!」
「なに、ッ!」
だが、修介はそれを見事な体捌きで躱した!――修介はこの交錯を予見し、襲撃に備えて予め上忍・アイオライ蔵との稽古を積んでいたのだ。
バトラー・サファイアの繰る体術がここカーク=レザットのクリスタ流忍術をルーツとする形である以上、宇宙忍者の動きと共通する部分は多い。修介は上忍との稽古によって、その癖を事前に掴んでいたのである!
「呼――ッ」
そして、追撃!修介は激しく息を吐き出しながら、その全身に力を満たした。再び震脚の動作!もう一度、漿船が揺らぐ!
「【――砕く】」
そして、力は螺旋を描く。
全身で練り上げた“力”を、拳の先の一点へと収束させ、放つ。即ち、発剄の所作である。
「ぎ、ッ――!」
カウンターめいて叩き込まれた一撃に、バトラー・サファイアの躯体が悲鳴をあげた。
その全身を貫くように、極めて致命的な衝撃が襲ったのだ。その身体にはとうとうひびが入った。
「お、のれ……ッ!」
「逃がしませんよぉ」
その退路を塞ぐように、上方に浮かぶるこるが砲撃を加える。逃れるように跳ね飛んだバトラー・サファイアに、焦燥が生まれつつあった。
「――やぁッ!」
「なに……ッ!?」
刹那。
閃いた白刃が、バトラー・サファイアへと襲い掛かった。意識外からの一撃。戸惑うバトラー・サファイアはその身に刃を浴びる!
「馬鹿な――私の麻痺毒で倒れた筈」
「本当に仕留めたと思いましたか?」
バトラー・サファイアが振り返るその先――そこに立っていたのは、雪風である!
「何故……!」
「どうして動けるか、ですか?……ここのお土産屋で売っていた解毒丸薬です」
そう――雪風は先の交錯で麻痺毒を浴びて戦闘不能に陥ったように見えていたが、それはそうと見せかけたに過ぎなかったのである。
敵が毒を用いてくることは想像に難くはなかった。であるが故に、雪風は予め備えることでそれを逆手に取ったのだ。
「してやられた、というわけですか……!」
「焦りましたわね、バトラー・サファイア。……一瞬の動揺。わたくしが貴女を斬るには十分ですよ」
そして、再び刃が閃く。
【桜純流剣術『鈴鳴』】。その手に携えた剣が、桜色の光を纏いながら跳ね上がる。
「一刀を以て全てを断つ、その覚悟で九撃――」
桜吹雪が舞い散るように、斬閃の嵐が激しくバトラー・サファイアへ襲い掛かる!
「これ即ち必殺なれば」
「ぐあ……ッ!」
そして――その全身に致命的な傷を刻まれながら、バトラー・サファイアが倒れた。
「これで、おしまいですよぉ!」
とどめの一撃、ッ!見下ろすバトラー・サファイアの躯体へと、るこるが火砲を集中させたのである。迸る閃光!収束するエネルギーが叩き込まれ、そして爆発する!
「……暗闇に、かがやく碧ぞ、うるわしく…………さらばです」
立ち上る炎の中、プリンセス・エメラルドを讃える辞世のハイクとともにバトラー・サファイアは激しく爆発四散!その魂は骸の海へと還ったのであった!
「……終わりましたわね」
バトラー・サファイアの消滅を見届けて、雪風は短く息を吐いた。
「はい。俺達の勝ちです」
「おつかれさまでしたぁ」
修介とるこるが緩く首を振る。それと同時に、勝利を見届けた宇宙忍者たちが戦場となった宇宙忍者施設エリアへと進み出し、原状復帰のための作業を開始する。
その中には、かつての同胞の滅びを悼むように天蓋を仰ぎ見る宇宙忍者たちの姿もあった。
――かくして。
漿船・カーク=レザットを襲ったバトラー・サファイアの脅威は猟兵たちの手によって除かれ、猟書家たちの侵略は阻まれたのである。
大成功
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