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銀河帝国攻略戦⑤~合流を阻む敵を迎撃せよ!

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 グリモアベース。いつも猟兵の合流地点として使われる場所。
 その場所は現在、沢山の猟兵たちがひしめき合っていた。
 それぞれグリモア猟兵の元へ行き、真剣にその予知内容を聞いている。
 いつもよりもどこか緊張があり、そして慌ただしく、そしてどこか殺伐としている。
 細い細い糸が、ぴんとこの空間全体に張っているようだった。
 それはこの妖精も同じで、彼女はどこか緊張した面持ちで、今回集まってくれた猟兵たちを見渡す。
「皆さん、ご存知かとは思いますが現在銀河帝国攻略戦が行われております。」
 そう切り出したのはファータ・カンタータ(遥か彼方の花びら・f02060)。
 集まった猟兵たちを前に、彼女は胸の前できゅっと自身の手を握っていた。
 震えているのだろうか。猟兵の一人がそれに気付いたが敢えて言わず、彼女の説明に耳を傾ける。
「率直に、事実だけお伝えすると、銀河帝国の戦力規模はかなり大きく、このままでは不利です。」
 いくら猟兵たちが優秀であろうと、このまま戦っていてはジリ貧になっていくことは目に見えていた。
 では、そうならないためにはどうすればいいのか。答えは明確である。
「こちらの戦力を拡大するために、『解放軍』へ一つでも多くの宇宙船を合流させる。これは地道であり、ですが確実な攻略法です。」
 時間稼ぎであれ、心理的効果であれ、数は力。
 まだミディアの手によりワープドライブが装着されていない宇宙船は多々あった。
 これらがにワープドライブが装着され、戦力として機能させることが出来れば戦況もまた変わってくるだろう。
 だが当たり前ながら、銀河帝国がそれらを黙ってみているはずがなかった。
「私が予知したのは、一機の宇宙船が『解放軍』へ向かう途中、突如出現した大量のオブリビオンを乗せた戦艦によって破壊されてしまうモノです。」
 大量のオブリビオン――つまり集団戦か。
「敵の内容は……ごめんなさい、ちょっと詳細まではわからなかったのですが、おそらく一体一体の強さはそこまででもないはずです。少なくとも、皆さんにとっては。」
 しかし、それらは一機の宇宙船を容易く破壊できてしまうほどの戦力だ。油断はしないで欲しいという彼女。
 転送先は敵戦艦の内部だという。
 なるべく大技を駆使し、迅速に戦艦内にいるオブリビオンを撃破、そして最終的に戦艦を破壊して欲しいとのことだった。
「戦闘終了後、戦艦の破壊方法については皆さんにお任せします。おそらくコアマシンを壊せば、しばらくしないうちに戦艦は破壊できますので……。」
 一通り説明し終えると、ファータは長く細く息を吐く。
「……もし、戦況的に撃破が厳しいと判断しましたら、絶対に無理をせず帰ってきてくださいね。こんなことを言ってはいけないのかもしれませんが……私は、私個人は、皆さんがいなくなってしまうほうが辛いですので……。」
 言った後、彼女は首を振り「今の発言は忘れてください。」と言って頭を下げた。
 そして凛と顔を上げると、敵戦艦へとつながるゲートを開いていく。
 この先は、敵の海。猟兵たちは気を引き締めるとその中へと入っていった。


苗木 葉菜
 こんにちは。はじめましての人は初めまして。苗木です。
 リプレイ執筆は遅いほうかもしれません。すみません。
 普段は全採用をモットーにしていますが、今回の戦争はシナリオの成功本数が重要なため、成功度に達したらある程度のプレイングはお返ししてしまいます。
 先着順ではありませんので、送れるときに送って頂けたらと思います。
 どうかご理解とご了承をお願いいたします。

 プレイングを書く際余裕がある人はマスターページを見てからプレイングを書いて頂けると嬉しいです。
 ご同行者様がいらっしゃる場合はなるべく冒頭に【わかりやすい表記で】お願いいたします。
 今回敵の数は指定してませんが、皆さん思い思いに無双して頂ければ。
 最後に戦艦破壊の描写があると大変嬉しいです。ない場合は適当に発破します。
 それではどうか皆さん、お気をつけて。
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第1章 集団戦 『ふていけいせいめいたい』

POW   :    のびーるんるん
自身の肉体を【完全な球体】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
SPD   :    ぽよんぽよんぽよんっ
予め【身体をぽよんぽよんと弾ませる】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ   :    れっつぶんれーつ
レベル×1体の、【おなか】に1と刻印された戦闘用【ふていけいせいめいたい】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが戦場へ入りまず目に入ったのは、黒。
 たくさんの黒が、ぷるぷるした黒が蠢きあっていた。
 フロアを埋め尽くすほどの数。
 いくら一体の戦力が大した事ないとしても、この数が宇宙船に雪崩れ込もうものならひとたまりもないだろう。
 先にコアマシンを叩く作戦を考えた猟兵もいたが、そこへと続く扉ははるか遠くに見えた。
 よく見ると細胞分裂のように増えていくのも確認が出来る。
 一体でも取り逃しがいれば、再びこのフロアを埋め尽くしてしまうだろう。
 奴らが増えるよりも早く、撃破しなければならない。
 黒い海を破壊する戦いが始まろうとしていた。
シン・ドレッドノート
快盗・紅の影、解放軍の自由への願いに応え、此処に参上。
♡♥、ソロ・連携どちらもOK!

「燃えあがれ、ロード・スカーレット!」
『閃光の紅彗星』を発動しノーブル・スカーレットを分離・変形、服の上に外部装甲のように装着してパワーアップ。ウィングを展開、『天翔ける紅彗星』で一気に敵戦艦の中枢を目指します。

「ターゲット・マルチロック、目標を乱れ撃つ!」
敵発見後は『乱舞する弾丸の嵐』で右手の真紅熱線銃、左手の精霊石の銃を複製、全方位に展開。怪盗の単眼鏡でロックオンした全目標に一斉射撃を行います。

コアマシンに到着後は、全ての銃口を一点にロックオン、コアを貫くように狙撃して破壊、速やかに仲間を連れて脱出します。


江戸川・律
スライム?系なのか…
まぁいいや俺ができる攻撃で
殲滅戦に向いてるのは【コレ】しかないからな
火傷したくなかったらさっさと散れ!!逃がすつもりはないけどな!!

懐から大量のルーン文字を刻んだカードを取り出せば
ばっと宙にばらまき
起動コマンドを口にすれば
真っ赤に燃える125発の火球が宙に舞い
右手に持った万年筆を指揮棒に様に振れば
思いのままに動き始めます。

さぁ行くぜ!!

【ペンは剣よりも強し】の先読みを併用し
早業+先制攻撃+戦闘知識+属性攻撃+念動力+全力魔力+誘導弾
を組み合わせ火力でゴリ押しで攻め立てます

アドリブ共闘大歓迎です

個別に念動力で操ることも可能な為
仲間の攻撃の援護にも使用します


ダビング・レコーズ
【アドリブ歓迎・連携希望】
任務了解です
システム、戦闘モードに移行
これより作戦行動を開始します

不定形生命体を確認
敵反応、極めて多数
効率を重視した殲滅が必要と判断

敵密集地点へ対し高火力兵装による砲撃を試行します
ユーベルコード、マイクロ・プラズマ・リアクターを発動しプラズマ・バスターに接続
最大出力の照射を以って射線上を含む目標地点の敵群を掃討します
残存した小規模の敵群にはプラズマ・ライフルおよびプラズマ・ブレードで個別に処理します

敵群殲滅を確認後、コアマシンにプラズマ・バスターでの直接攻撃を実行
破壊確認後は予め待機させておいたSF-2エウロスに騎乗し脱出します


夕闇霧・空音
【共闘・アドリブ歓迎】
(な、なんだかかわいい…天音が喜びそうな生き物ね…)
…って、余計なことを考えている場合じゃなかったわ。
増えて増えて困るならまとめて撃破が重要ね。

広範囲を氷結させるユーベルコードを放てば
おそらく分裂を止められるかもしれないわね…
とりあえず敵が一番集まっている場所に向けて
フリーズゼロを放つことにするわ。

「2回攻撃 2」の能力を使用して
残っているてきにむけても同様の攻撃を仕掛け、
できる限り数を減らしておきたいわね。


ガイ・レックウ
【POW) で判定
「なんだこれは・・・・?」

すこし疑問に思いつつも【範囲攻撃】の技能を使った銃撃を浴びせつつドラゴンランスで【串刺し】にしていくぜ
【怪力】による【なぎ払い】などで数をとにかく減らしていき、ある程度まとまったら、ユーベルコード【紅蓮開放『ヴリトラ』】の炎で焼き尽くしてやるぜ


花巻・里香
大技ね、残念ながら傍目には地味だけれども私にとっての必殺を狙っていきましょうか。
風景に擬態(変装)したサイキックエナジーで出来た糸をあたりに張り巡らせて誘惑補強に【魅惑の外装人形】のフェロモンを放ち、ぽよん達を糸へ誘き寄せるわね。
例え距離が離れていて効果が薄くでも対象を自由に操る魅了を切欠に誘き寄せましょ。
そうして糸に触れたぽよん達をだまし討ち如く抵抗する間もなく纏めて【蟲惑の小部屋】へ送るわ。
小さな花に擬態した幼虫達、たんと召し上がれ。
どんなに数が増えても恐怖を与え喰らい尽くしてあげなさい。
糸の中から脱出してきたのなら距離を詰めて魅惑の外装人形による完全魅了、糸の中へ帰還命令下すわ。
♡♥▽▲


筒石・トオル
【WIZ】
数が増える前に叩いた方がいいみたいだね。
目に付くものから熱線銃で【先制攻撃】【スナイパー】【範囲攻撃】で撃ち抜いて行く。回避しようとするのを【見切り】【第六感】で察知して確実に倒していきたい。
「てか、これってGみたい…」
黒くて一匹見つけたら二十匹は居るっていうアレ。これは弾むけど飛んで向かって来ないだけまだマシかな。
攻撃が追いつかず、わらわらと増えるようならUCを使用して範囲内の敵を殲滅する。
念の為【情報収集】で敵の分裂やら合体やらの行動から、何か(習性や行動パターンなど)読み取れないかな?情報は少しでもあった方がいいし。

※アドリブ歓迎


オークティス・ルーヴェルト
(POW)で一気に攻メテ、エネミーの伸縮性ヲ使っテ鎮圧デース。
UC:Trance-Foam.sysを使っテ、覚醒後敵に思いっきリ武器をたたき込ミマース。
もし敵の反動デ飛ばされたら壁面を蹴っテワンモア。さらに繰り返シマース。
一応世界キキ?らしいデスシ、寿命はマァ、仕方ナキカナ。
♡♥▽▲


国木田・光星
【他猟兵との連携を希望】

女の子に心配させるのはいい男とは言えねぇよな。
うっし、一丁頑張ってくるとすっか。

さて、戦闘は露払いと賑やかしで動こう。UCも大盤振る舞いだ。
【七ツ星】を吹きドラゴンマンティスとメガネウラを使い、カマキリに騎乗。
他の連中の攻撃の邪魔にならねぇように支援攻撃+囮として動かす。
俺自身は後衛から『援護射撃』をしつつ徐々に戦線を上げていくぜ。

慣れてねぇ宇宙での戦いだ。
怪我した奴には【風に舞う宝石の輝き】、光の蝶で傷を癒す。
どんなに怪我しても俺がサポートしてやる、後ろは任せろ。

撃退できたら船のコアの破壊だな。
…まぁ、普通に棒切れ探して叩き壊すとしようか。

さて、少しは役に立てたかね。


初神・ザラメ
♥COMPs. in da house
はー? なにこの数
マトモになんか相手してらんねーわ、めんどくせ

※数には数とばかりにユーベルコード『COMPs.』を展開
敵の攻勢次第で適宜COMPs.を補充しつつ
自分の手(得物)の届く範囲の敵を排除しつつ
そのあいだに自身は戦艦内部のシステムにハッキング(鍵開け)
敵の数的優位を抑え、なお且つ味方が有利となるよう
"隔壁"や"ドア"などを操作して、敵の群れの分断工作を試みます

★Gonna Blow Up
だいたい掃除が終わったら仕上げだ
フネのコントロール奪って他のフネにブッコます
それか自壊装置で\ボーン/
ごとヤっちまえば敵がちょい残ってても関係ねーしな
ギヒャヒャ!



「女の子に心配させるのはいい男とは言えねぇよな。」
 先ほど頭を下げた少女に対してか、そう呟くのは国木田・光星(三番星・f07200)。
 一丁頑張ってくるとするか、という彼に、仲間の猟兵は頷く。
 こつん。
 床を踏む音がフロアに響いた。音が響くのは、目の前の瑞々しいそれが多数存在しているのもあるのだろうか。
 黒々とした沢山の『ふていけいせいめいたい』がひしめく中、降り立った猟兵たち。
「なんだこれ、スライム系……なのか?」
 それらを見渡す江戸川・律(摩天楼の探求者・f03475)はぽよぽよのそれらを訝しげに言った。
 これに有効な攻撃は果たして何なのか。
 彼が考えてる最中、物凄い速さで一機のウォーマシンが横を通り過ぎる。
 “それ”は、今この瞬間をまるで待ち侘びていたように動いた。
 ダビング・レコーズ(RS‐01・f12341)。
 以前大きな損傷を負い記憶メモリを破損してしまった彼が、自己の名前以外に覚えていることは、一つの命令。それは、
【銀河帝国を、排除せよ。】
「システム、戦闘モードに移行。これより殲滅作戦を開始します。」
 彼の目が、ぼんやりと赤みを帯びる。
 その赤い光が敵影をとらえると、彼の頭からぴぴぴっと電子音が鳴り響いた。
「敵反応、極めて多数。」
 構えるのは自身の兵装であるプラズマ・バスター。そしてそこに搭載されたのは小型補助動力炉。
「効率を重視した殲滅が必要と判断――敵密集地点へ対し高火力兵装による砲撃を試行します。」
 大口径かつ高出力なそれにエネルギーが集まり光り輝く、次の瞬間。
 一瞬だけ光ったフロアに耳を塞ぎたくなるような爆発音が響いた。それは敵を吹き飛ばし、壁や天井にぽよんぽよんと跳ね返って行く。
「……すごいな。」
 ひゅうっと口笛を吹く律。しかし敵は思ったよりも有効打は与えらえなかったようだ。その多くはまだ存命している様子で、こちらにぽよぽよと近づいて来る。
 相手に対し有効な攻撃を考えていた彼だが、先ほどのダビングを見て自分が出来る最大の攻撃をすればいいという結論に至ったようだ。
 殲滅戦に向いてるのはコレくらいかなと懐から取り出したのは沢山のカード。
 そこには大量のルーン文字が描かれていた。
「火傷したくなかったらさっさと散れ!!」
 そう言いながらカードをばら撒く律。
 重力がない空間でふわぁっと漂うそれらは、煌々と輝き始めた。
 さっさと散れとは言ったが――逃がすつもりがあるとは一言も言っていない。
「力ある文字よ! オレの敵を焼き払え!!」
 にやりと笑った彼と共にカードから現れたのは、たくさんの火の玉。百二十五個にも及ぶその火の玉は彼の近くをゆらゆらと蠢く。まるで命令を待っているかのように。
「さあ、いくぜ!」
 律は己の本体である万年筆をくるくると回し持ち直すと、まるでオーケストラの指揮をするが如く振るった。
 右へ、左へ、移動する火の玉は矢となり敵を容赦なく貫いていく。
 ぷるんと震えながら崩れていくふていけいせいめいたい。
「物理的攻撃が有効と判断。バスターモードからブレードモードに移行します。」
 ダビングはそれを見るなり自身のメインウェポンをプラズマ・ブレードに切り替える。
 そして黒い塊へと突撃すると、次々と敵を薙ぎ払って行った。
 近くの敵はダビングが、中距離は律が対応していく。
 遠目では新たに増える敵が見えた。
「はー? なにこの数。マトモになんか相手してらんねーわ、めんどくせ。」
 その増殖速度を見てため息をついたのは初神・ザラメ(@thuglife-zl・f02625)。
 そういう割には、どこかその挙動はリズムを刻むように身体を動かしている。
 鼻歌交じりの彼女の傍らにはポータブルスピーカーである【))WILD:BUNCH((】がゴキゲンな音楽を鳴らしていた。
「You can run, but you can't hide!!」
 そう言うと同時に発動したのはユーベルコード“COMPs.(コンピーズ)”
 こんな格好と態度の彼女だが、このスペースシップワールドの助けになりたいという気持ちがあって今ここにいる。
「Hey. COMPs. is in da house, yo!」
 現れたのは、小さな恐竜型ドローン。その数八十五体。
 目には目を歯には歯を、数には数を。
 ふていけいせいめいたいよりは少ないものの、程ほどの強さを持つそれは敵と衝突し、戦っていく。 
 しかし、思ったよりも敵の増える速度が、早い。
 疲労が見え更に殲滅速度が落ちればこちらが不利かもしれないが――猟兵は彼女たちだけではない。
「快盗・紅の影、解放軍の自由への願いに応え、此処に参上。」
 フロアに突如降り立った輝く炎。その輝きは熱く、そして巨大で、近くにいるだけでじりじりと熱気を感じた。
 それはユーベルコード“閃光の紅彗星(ロード・スカーレット)”を使用し、自身のスペースバイクと合体したたシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)で、兵装を施した彼はウイングを展開し、律とダビングが切り開いた道を奔り抜けていく。
 しかしそれも長くは持たない。増え続ける黒に狭まる道。シンはそれを掻い潜りロアの中心部に辿り着くと、ウィングを切り替え両手を広げた。
 広げられた右手には粒子砲である真紅熱線銃(スカーレット・ブラスター)、左手には精霊石の銃が構えられる。
 が、それをすぐ放つことはしなかった。
 迫る黒の海。
「ターゲット、マルチロック!」
 シンの号令と共にぶわっと複製される二丁の銃。それらは全方位に照準を定める。
「――目標を乱れ打つ!」
 “乱舞する弾丸の嵐(ハンドレット・ガンズ)”。
 一時はふていけいせいめいたいに埋もれそうになったシンだったが、敵は彼から吹き飛ぶようにはじかれていった。今彼の周りにはそれらの残骸しか転がっていない。
 銃が当たったそれは床に溶けそして消えていく。
「露払いはもうやられちまったし、賑やかしといきますか。」
 中心部はシンに任せつつ、そう言って蟲笛【七つ星】を手にしたのは光星だ。
 どこかザラメの鳴らしている音楽に合わせるように響き渡る軽やかな笛の音色。
 ノリのいい音楽に間延びする笛がミスマッチかと思いきや、やけに小気味のいい音楽へと変わった。
 そして笛の音により召喚されたのはオオカレエダカマキリの霊。ユーベルコード“大地を穿つ深緑の双斧(ドラゴンマンティス)”によるものだ。
 同時に“古き蒼き空の覇者(メガネウラ)”でメガネウロプシス・ペルミアーナの霊も召喚すると、それは囮として群れの中へと突っ込ませていく。
 囮と言ってもなかなかの強さだ。鋭い牙や翅の衝撃波である程度の敵をなぎ倒していくのがみえた。
 しかしこのフロア、想像以上に広大な広さである。離れた周囲にはふていけいせいめいたいが蠢いていた。
 中にはぶるぶると震え、近くのものとくっつこうとしているものも見える。
 そんな敵の額を、一筋の熱線が貫いた。
 ひとつ、またひとつ。派手さはないものの、確実に減っていく敵。
 シンが熱線の発生源に目を向ける。と、そこには筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)がいた。
 トオルは目を猫のようにすうっと細めると、自身が装備している熱線銃の引き金を引く。
 どうやら動きの少ない敵を狙っているようだ。
 他の猟兵たちに紛れ戦場を良く観察していた彼は、敵のユーベルコードの予兆を把握しつつあった。
 分裂をする前、敵は動きを止める。ぶるぶる震えだすと、他の敵とくっつく。
 その情報をもとに淡々と狙撃をこなしていった。
「てか、これってGみたい……。」
 これは弾むけど飛んで向かって来ないだけまだマシか。とぼやきながらまたひとつ引き金を引いた。
「その狙撃、俺も加勢するぜ。」
 カマキリに騎乗した光星がトオルの指示に従い、イレイザーレーザーでそれを手伝っていく。
 予兆を狙って地道に敵を討つにしても、二人では限度がある。増え続ける敵に猟兵たちは少なからず焦りを感じていた、その時。
「増えて増えて困るならまとめて撃破が重要ね。」
 静かで凛とした声が戦場に響く。
「私のユーベルコードなら、おそらく分裂を止められるかもしれないわ……。」
 その声の主は夕闇霧・空音(サイボーグの咎人殺し・f00424)。
 ぷるぷる。ぷるる、ぷるん。
 彼女はどこか可愛らしく動く敵を見て、これを見た妹が喜ぶのではないかと想いを馳せる。
 が、それも一瞬。戦闘へと気持ちを切り替えると、他の猟兵たちがいないところへ、つまり敵の最も密集している場所へと進んでいった。
 進んでいく最中、変形していく両の腕。
「八寒地獄を今この両腕に…封印開放! フリーズゼロ、発射!」
 空音は発射光から放たれる絶対零度の光線を出しながらくるりと回転すると、さらに駆け、もう一度ユーベルコードである“フリーズゼロ”を発射する。
 二回攻撃が終わったそこは、氷像が立ち並んでいた。
 ふていけいせいめいたいだった氷は、そのままぴしりとひび割れ、崩れ落ちていく氷像もある。
 しかしフロア全体にまでは届かなかった攻撃。隅の方に寄っていた個体は健在な様子がわかった。
 それを確認しつつも、動かなくなったかちんこちんの黒い玉を訝しげに見つめる男性が一人。
「なんだこれは……?」
 氷となった敵に確実にトドメを刺していくのはガイ・レックウ(流浪の剣士・f01997)で、彼がドラゴンランスを一突きすれば、黒氷の串団子が出来上がった。
 いつ氷から復活するかわからないそれを破壊するのは重要ではあるが、視界の隅に蠢く黒はいやでも目に付く。
「私も手伝いマース!」
 ガイ一人では氷像の破壊が手に余ると判断したのか、自身のバトルアックス『聖斧:B.T.A』を大きく振りかぶりながら出てきたのはオークティス・ルーヴェルト(仮)もふみの求道者・f06321)だ。
 範囲攻撃に長けている、槍と斧。双方の掃討によって、残る氷像は少なくなってきていた。
「ここを任せていいか。俺は残りを倒しに行く。」
 オークティスにそう言い、部屋の隅へ駆けようとするガイだったが、敵の挙動に違和感を覚え立ち止まる。
 隅でまばらになり分裂しようとしていた敵たちが何故か集まりつつあった。
 いつの間に集まったのだろう。
「気を付けて、合体するかも。」
 トオルがそう注意を促すが、その気配はないようだ。これには彼も眉をひそめ敵を注視した、するとその群れの傍らに、きらきらとピンクに輝く宝石が佇んでいるのがわかった。
 それはクリスタリアンである花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)で、ユーベルコード“魅惑の外装人形(アウタードール)”で自身にドレスのような外装人形を纏わせ、強化された状態だ。
 しゃなり、しゃなりと指先の動き一つまでもが美しい彼女に、魅了されるが如く集まるふていけいせいめいたい達。
 彼女のユーベルコードは外装人形を纏わせフェロモンを放つことで、相手を操る効力があった。
 その距離は膨大で、なんとその射程、このフロアすべての敵が対象となる。
 だが離れている敵には効果が薄いようで、集まり切っていないぷよぷよはどこか抵抗するように動きを鈍くしていた。
「――そちらの敵、任せてもいいかしら?」
 美しく微笑む里香。ガイは頷くと、無駄のない動きでそれらを切り捨てていく。
 そして切り捨てられたそれがぼたぼたと床へ落ちるのと同時に、里香の糸が展開された。
 一瞬の出来事。まとまった黒は抵抗する間もなく糸に縛られたかとおもうと、ふっとその場から消える。
「コ、コレは…!?」
「私の“蟲惑の小部屋(コワクノコベヤ)”へ送ったわ。」
 その部屋の中には、小さな花に擬態した幼虫たちが待ち受けていて、瞬く間に対象を喰らい尽くすとのことだ。
「私たちの蟲たちがぽよん達を喰らい尽くすか、奴らが増える方が先か、見物ね。」
 里香のお陰で一瞬だけでも敵が掃討された空間が生まれる。
「Weldone,コッチもハッキング終わったしいつでもコアマシンへいけるんじゃねー。早いとこヤッちまおうぜ。キヒャッ!」
 その隙を見逃すはずもなく、コアマシンへ扉を解除したのはザラメ。
 いや、彼女はその前から敵陣を掻い潜り、ずっとロックの解除に専念していたのだ。
 そして彼女の近くにいるのは律とダビング。先行していた彼らは、解除に専念している彼女をふていけいせいめいたいの群れからずっと警護をしていたのだ。
「里香さんのユーベルコードを潜り抜けてまた敵が出てくるかもしれません。三人はコアマシンを壊しに!」
「任された!」
 シンの指示に律が返事を返すと、三人は駆けていく。そしてしばらくしないうちに、ぴくりと里香の眉が動いた。
「意外にしぶといのね……。また私の“魅惑の外装人形”で……っ!?」
 ずも、ずもも、ずももももも。
 目の前の光景に目を見開く里香。彼女の作り出した小部屋から帰還したふていけいせいめいたいは、今まで見ていたそれとは比べ物にならないほど巨大になっていた。
「か、かわ……いや、なにこの大きさ……!?」
 横幅はオリジナルの数十倍、高さは天井にまで届きそうなほどだ。おそらく生き残りが合体することにより小部屋を切り抜けたのだろうが、一体何体分の敵が融合したのだろう。その大きさに圧倒される空音。
「おいおい、冗談じゃねえ。」
 そう言ってガイは刀を構える。そこに纏っているのは紅蓮の炎。
「我が刀に封じられし、炎よ!! 紅蓮の竜となりて、すべてを焼き尽くせ!!」
 ガイのユーベルコード“紅蓮開放『ヴリトラ』”。ガイの刀から発せられた炎は竜となり、まるで咆哮を上げるような大口を開けるとそのまま巨大化したふていけいせいめいたいに突っ込む。
 やがてそれはただの炎となり敵を燃やすが、いかんせん規模が違いすぎる。里香のフェロモンにより動きは鈍くなっているものの、その足は猟兵たちを踏み潰そうと振り上げていた。
「――させない。」
 その足を貫く熱線。トオルの射撃に、光星が召喚していたメガネウロプシス・ペルミアーナの霊が突撃する。が、撃破までには至らない。
 一体どうすればこの巨体を倒せるのか。フロアに残された猟兵たちは考える。
「っ、コアマシンが破壊されるまで、時間を稼ぐしかなさそうね!」
 そう言いながら臨戦態勢に入る空音。しかしそんな彼女の進路を阻むように手をやったのは、オークティスだ。
「ソノ必要はありまセーン。」
 彼はそういうとぐっと床を踏み込む。力む身体からはふわっ、もこっ、とした体毛に包まれていった。
「“Trance-Foam.sys(トランスフォーム・ドット・シス)”を使っテ、一気に攻めマース!」
 もふもふに覆われながらそういう彼だったが、その表情はどこか余裕がないように見える。
 無理もない、彼のもっふもふなユーベルコードはその見た目とは裏腹に、毎秒寿命が削れるのだから。
 しかしスペースシップワールド、一つの世界の危機となれば、それくらいいいだろうと彼は笑った。
 オークティスはそのまま踏み込んだ床を一気に蹴る。船内が少しだけ傾いたような気がした。
 豪速で飛び込んだそれは自身の武器である斧を振りかぶり、振り下ろそうとする。しかしその最中ふていけいせいめいたいが振り上げた腕によって跳ね返されてしまった。
「ムム、予測の範囲内デース! ワンモア!」
 しかしオークティスは体制を整えると、天井を蹴り再び敵へと突撃する。
 彼の攻撃を全力でサポートする猟兵たち。
 元々里香のフェロモンによって動きの鈍い敵だったが、空音の攻撃により足元は凍り、移動は完全に止まる。
 振り上げられた腕はトオルの狙撃、シンの乱れ打ちにより脆くなっていき、さらにはガイの刀で切り落とされた。
 斧を振りかざす彼の周りに飛ぶのは光の蝶。それは光星のもので、先ほど跳ね返された時に受けたダメージを瞬く間に直してく。
「後ろは俺たちにまかせろ!」
 そう叫ぶ光星に答えるように、雄々しく叫ぶオークティス。
 彼の渾身の一撃はふていけいせいめいたいの脳天を直撃した。
 落ちるように切り込んだその勢いは留まることを知らずそのまま貫通した先の床にまで届き、びしりとひび割れる。
 大きく切断されたふていけいせいめいたいは、凍った足を崩しながら地に伏した。
 しんと静まり返るフロア。これで倒した敵はすべてだ。
 勝利を喜ぶ間もなく、フロアには爆音が響く。
 この音には聞き覚えがあった。開幕にダビングが放ったプラズマ・バスターのエネルギー砲だろう。
 精密機械であるコアマシンが至近距離であれを喰らったら、恐らく一溜りもない。
 案の定このフロア全体が赤く点滅し始めた。
『コアマシン破損、コアマシン破損、この船は三分後に消滅いたします。コアマシン破損、コアマシン破損――。』
 アナウンスが流れる中、帰ってきた三人。
「ねーねー他のフネにブッコますのダメ?」
「あ、当たり前だろ! そもそも操縦できるかわからないんだし!」
 なにやらザラメと律が揉めているようだが、任務は無事果たせたようだ。
「コアマシン破壊、完了。これより脱出行動に移行します。」
 そんな二人のやり取りに構うこともなく淡々と脱出作業に移るダビング。
 聞けばどうやら外に自身の小型戦闘機を待機させてあるらしい。
「状況確認、乗車人数十名。定員オーバーです。」
 しかしさすがにこの人数を乗せるのは厳しいようだ。猟兵たちは元々極薄かつ透明で、防具の上から着用できる高性能宇宙服を着用しているので、宇宙に放り出されても問題はないが、爆発に巻き込まれては元も子もない。
 時間もないため移動しながら話す猟兵たち。爆発前に転移してもらうのも手だが、戦艦が破壊されたのを確認しておきたいという意見もあった。
「……例えばの話だが、ダビングの戦闘機に捕まって移動するのはどうだろうか?」
「牽引は可能です。」
 マジかよ。と誰かが言う。
「なりふり構ってられないわね! いきましょう!」
 即座に小型戦闘機【SF-2エウロス】に乗り込むダビング。そしてその主砲や機体にそれぞれ捕まる。
 文字に起こせばシンプルだが実際の図は物凄いことになっているだろう。
 走り出すSF-2エウロス。その動きはどこかゆっくりにも見えるが、確実に戦艦から離れていっていた。
 空気の震えないこの空間で、大きな音はしない。
 見えたのは内部に含まれた空気によって起こったのだろう、真っ赤な爆発。
「キヒヒ、これ、UDCアースかサムライエンパイアで言う『たーまやー』ってヤツ?」
「うーん、違う気がするけどそんなもんかもな。」
 それを見送る猟兵たち。
 これで宇宙船は無事『解放軍』と合流できるだろう。
 その規模は小さな、小さな戦力かもしれない。
 だが各地で行われているそれが積み重なれば、やがて膨大な戦力になっていく。
 まだ銀河帝国攻略戦は、始まったばかりだ。
 猟兵たちは気を引き締めなおすと、グリモアベースへと帰っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト