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恐怖!暗黒殺人麻雀拳!?

#封神武侠界

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#封神武侠界


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 封神武侠界は人界、とある街の拳術道場。質実剛健で知られ、遠くの街からも弟子入りや交流試合の人足が絶えることはないと言われる場所。しかし今や道場の門下生たちは床に倒れ伏し、それを見下すように、小柄ながらもよく引き締まった体をした老人が引き連れた部下とともに呵呵大笑し、周囲には麻雀牌が散らばっていた。
「グワッハッハ! 貧弱貧弱ゥ! この街1番の拳術道場もこんなものか!? その程度ではこの儂の麻雀拳には太刀打ちできぬぞ!」
「むう、アレがかの麻雀拳だというのか……!?」
「知っているのか、リーヂァン!」
 門下生仲間からの問いかけに1人の青年が頷いて解説するところによれば、曰く麻雀拳とは、自然法則すら支配すると言われる雀鬼の豪運を闘いに利用するべく編み出された闘法なのだという。
 麻雀を打つことによって運気を高め精神を統一し、そこから繰り出される最高の一撃は天地の理すら砕く力を持つと言われている。
「だが、アイツの打牌は麻雀なんてモンじゃあなかったぜ! 上家も下家も関係なく、己の手元でキレーな役を作ろうとしているだけの独りよがりだ!」
「うむ、やはり拳術の途中に麻雀を打つというのは本来非常に難しいらしく、先ほど言ったような剛拳はあくまで理想。実際の麻雀拳は稽古の前後に麻雀を打って心を安らげ交流を深める程度の流派だと聞いていたのだが……」
「グワッハッハ! それは人界の理に縛られた貧弱な麻雀拳よ! 開祖たるこの儂が蘇った今、麻雀拳は更なる高みへ至った――そう、暗黒殺人麻雀拳へとな!」
『暗黒殺人麻雀拳……!?』
 道場を襲った卑劣なる襲撃者! 暗黒殺人麻雀拳とは如何なる拳法なのか! 果たして門下生たちは暗黒殺人麻雀拳の一党を撃退することができるのだろうか!?


「にーみぇんはおはお! みんな、事件だよっ!」
 中華風の衣装を纏ったウェンディ・ロックビルが、見様見真似の拱手で集った猟兵たちを出迎える。
「今回向かってもらうのは封神武侠界。その中でも人界の方の、とある街の道場です!」
 どうやらその道場が、オブリビオンとして蘇った過去の武人と、彼の率いる弟子によって道場破りにあってしまうらしい。
「残念だけど、その道場にはユーベルコードを使える拳法家さんはいないみたいでねー? このままだと全滅しちゃうかもしれないんだって!」
 故に助けにいってほしいのだという。猟兵たちが助けに向かえば、道場の者たちも無事に逃げることができるらしい。
「それで、肝心の敵さんなんだけど、敵さんは『暗黒殺人麻雀拳』っていうのを使うそうです! チェスボクシングみたいだねぇ」
 麻雀と拳法を組み合わせた独自の武術。ユーベルコード使いでない普通の拳法家たちでは、そもそも麻雀の形に持ち込むことができず一方的な戦いになってしまったが、猟兵たちであれば、麻雀においても拳法においても、十分勝ち目があるだろう。
「麻雀によって運気を高めて、パンチの威力をアップ! ってことだからー、麻雀と拳法のコンボを崩せば、きっと戦いが有利に運べると思います!」
 勿論、一人で立ち向かう必要もない。麻雀担当と直接戦闘担当に分かれたりするのも、大いに有効だろう。
「油断しちゃダメだけど、みんなならきっと勝てるはず! がんばってね! じぁよう!」


月光盗夜
 好きな役は七対子、月光盗夜です。中華ネタにはあまり詳しくはないのですが、雀鬼と聞いてワクワクしてしまった結果ついシナリオが出てしまいました。なお、麻雀にはさほど詳しいわけではありません。

●特殊ルールについて
 本シナリオでは敵が全章を通じて「暗黒殺人麻雀拳」の使い手となります。みなさんは、【麻雀で対抗】【直接戦闘】の二つの方法で敵と戦うことができます。
①麻雀で対抗
 麻雀で麻雀拳士たちを打ち負かすことで運気を弱め、敵を弱体化させます。この際、高度な駆け引きを行うガチ麻雀をやるもよし、ド派手な異能力麻雀をやるもよし、自由なプレイングを送っていただいて構いません。勿論ユーベルコードの使用もOKです。
②直接戦闘
 読んで字の如くです。道場は広く、思う存分戦うことができるでしょう。かんふーあくしょん!

 ①、②両方行うことも勿論可能ですが、描写の関係から、プレイングにおいてはどちらかにある程度比重を傾けた方が、リプレイでかっこよく描写されやすいかもしれません。

●プレイングについて
◇受付期間
 各章開始時の翌朝8:30から、翌々日の23:59までの受付を予定しています。各章の初めに改めて受付期間を掲載予定です。
 なるべく再送いただくことなくリプレイ執筆をしていければと思います。
◇略式記号
 アドリブ、連携描写などを多用する傾向にあります。
 アドリブは大丈夫だけど知らない人との連携描写は苦手だよ、という場合は「▲」を、アドリブも連携描写もなるべく少なめで、という場合は「×」を、【プレイング冒頭に】お書き添えください。
 なお、アドリブ連携大歓迎、という場合は「◎」を書いて頂いても構いませんが、そもそも記載のない場合は原則アドリブや連携多めになりますので、記載しなくても問題ありません。
◇合わせプレイングについて
 お二人での合わせプレイングをお送りいただく場合は、プレイング冒頭にお相手様の呼び方とIDを記載頂くようお願いいたします。(例:「太郎くん(fxxxxx)と同行します」)
 また、グループでお越しになる際は、プレイング冒頭にグループ名を【】で囲っての記述をお願いいたします。
 なお、どちらの場合もなるべくタイミングを揃えて送信いただけると、迷子の危険性が減るかと思います。

 長々と失礼いたしました。それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『道場破り』

POW   :    向かってくる弟子達をちぎっては投げる

SPD   :    弟子達の妨害を掻い潜り、道場主のもとを目指す

WIZ   :    弟子達を説得し、道場主の支配から解放する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ほう……? 人界の拳法家は歯応えがないと思っていたら、なかなか気骨のありそうな者どもがいるではないか」
 道場に勢いよく突入した猟兵達の姿を見て、小柄な老人が髭を揺らしながら鋭い眼光を向ける。
「儂を満足させるに足る実力者か、見極めさせてもらおうぞ! やってしまぇい!」
 開祖の号令一下、彼に付き従う麻雀拳士達が猟兵に向かって襲いかかる! オブリビオンではない一般人達のようだが、どうやら力に魅入られているようだ。なんとかして彼らを凌がねばならない!

【受付期間:2021/03/26 08:31 〜 2021/03/27 23:59】
プレゼナ・ハイデッカー

【麻雀で対抗】
実力伯仲すればする程、運が勝敗を決する可能性は高まる。
成程、故に運気を高める行いは理に適っていると言えましょう。
然らば、お相手仕ります。

とはいえ猟兵としての初任務、且つ私は麻雀がそこまで得意ではない。
ですので、一つ搦め手を使わせて頂くとしましょう。
ゲームの進行に合わせ、逢魔秘儀・心意憑臨を使用。随時対戦相手の意識を操作し、此方へ有利なように打ち筋を操作します。
立直した相手の待ち牌の確認、此方の待ち牌を振り込ませる、必要そうな牌を捨てさせフリテンに追い込む、等々。
以て勝利を得たら、後は格闘にて打ち倒すのみ。オブリビオンでないなら加減は致しましょう。


玉ノ井・狐狛


よう、ちょいと遊んでくれよ

道場破りに来るくらいだ、自信はあんだろ?
なぁに、サマなんざ狙っちゃいねぇよ
道具はそっちで用意してもらっていいぜ
(向こうが小細工しないかどうかにゃ気をつけておくが)

まぁ、ほかの企みがないとは言ってないんだけどな
(彼我が卓についたらUC)

そんなに騒ぐなよ、負けなきゃいいだけの話さ
あァ、それとも――“暗黒殺人麻雀拳”ってのは、名前だけのお遊びかぃ?

……と言いつつ、実際のところ、煽って脅して、相手の冷静さを奪うのが狙いだ
そこまでやったら、あとはふつうに打つ
他猟兵と同卓なら、そっちが失点しないように注意するくらいだな

運気のついでに体力も削っちまったほうが、手っ取り早いだろ?



「我ら暗黒殺人麻雀拳門下、天通眼のシンとチー!」
「麻雀と拳法、二重のコンビネーションにより敵を砕く!」
「「さあ、かかって来るものはいないのか!」」
 声を揃えて名乗りを上げる、兄弟らしき二人の拳法家。
「よう、それじゃァちょいとアタシと遊んでくれよ。道場破りに来るくらいだ、自信はあんだろ?」
 そんな彼らに蓮っ葉な口調で呼びかけるのは、撲克牌――トランプを模したアクセサリーが印象的な和装の女、玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)である。屈強な男二人にも物怖じすることなく、彼らの傍の雀卓の前の椅子に腰を下ろして足を組む。
「ほう、小柄な女がよく吠える! いいだろう。その勝負、受けて立つ!」
「待て兄者、勝負は望むところだが、この女が欺騙を働くかもしれんぞ」
「おいおい、警戒は結構だけどよぅ、サマなんざ狙っちゃいねぇよ。道具はそっちで用意してもらっていいぜ」
 勝負に気を逸らせる兄を弟が一言制するも、狐狛本人から呆れた様子で肩を竦められれば、然程言い募るようなこともなく卓に着いた。形の上で諫めこそしたものの、彼も腕を見せる機会に飢えていたのであろう。
「このままだと2対1の形になるな」
「そちらが一人とて容赦はせんぞ」
「「覚悟はできていような」」
 牌を混ぜ、卓の準備を整えながら狐狛に挑発的に声をかける拳法家たち。だが、挑発された女はといえば、愉快そうに小さく声を漏らす。
「かまわないさ。それに、なんだ。――ほかの企みがないとは言ってないぜぃ?」
「……何ッ」
 にたり、と彼女が笑うと同時、雀卓の周囲を濃厚な妖気が包み込む。瞬間、兄弟は確信する。この雀卓が、戦場と命を懸けた戦場となったことに。
 ――“遊狂死亡遊戯”。
 デスゲームの名を冠する、狐狛のユーベルコードである。冠名の通り、敵対者と自身の間でゲームを行っている間しか発動できない、あまりにも限定的な呪いだ。だが、それだけに効果は絶大。以降、このゲームでの得失点は、生命力のやりとりに直結する。説明がなくとも、この結界めいた呪いに巻き込まれた瞬間に、二人はそれを確信した。
「……く、だが、有利なのはこちら。己の首を絞める結果にならねばいいがな!」
「ああ、我ら兄弟の連携を貴様の冥途への土産にしてくれよう!」
「では、その勝負。私がお供させていただきましょう」
 そういって新たに席に着いたのは。聖職者を思わせる清廉な雰囲気を持ちながらも豊満な体付きを隠そうともしていない、特徴的な衣装に身を包んだ女。プレゼナ・ハイデッカー(ロストエクシード・フェアリーテイル・f32851)であった。
「へェ、いいのかい? 見ての通りの卓だぜ」
「構いません。勝負事は……少し危険なくらいが面白いものでしょう?」
 ユーベルコードによる結界に気付きながらも卓に着いた彼女を面白がるような狐狛の言葉に、プレゼナはどこか色気を感じさせる笑みで頷くのであった。


 そこからの勝負展開は、序盤は拳法家兄弟に有利に運んでいるように見えた。連携技を謳うだけあり、時に互いの捨て牌を利用し、時に互いの鳴きを利用することで場の流れを自在に操る、剛柔兼ね備えた打ち筋は見ものですらあった。
「そこの女――貴様、麻雀に長けているというわけではないな!」
「妖狐の女が巧みに助太刀しているとはいえ、そのぎこちない打ち筋は隠し切れんぞ!」
 勝ち誇ったような顔で言う彼らであったが、対峙する狐狛とプレゼナは、結界の作用によって幽かに蒼褪めながらも、泰然自若とした態度を崩さなかった。
「やれやれ、まだ勝負も始まったばっかだってのに、ぎゃあぎゃあうるさいぜ」
「確かに、私は麻雀がそこまで得意ではありません。ですが――」


「くくく、随分と顔が蒼白くなってきたようだな。この一打で冥途に送ってやろう!」
 対局に異変が起きたのは、突然であった。弟の打牌に、兄が悲鳴のような声を上げたのだ。
「まて、弟よ! その牌は――!」
「ええ、ロンです」
 染いっそあからさまなまでの危険牌。早々にプレゼナが染め手を構えたことを察した二人は、この局は流すことに徹する。言葉を交わさずとも当然のように意思疎通できていたはずだった。
「いや、これは俺の意志では……!」
「気づいていなかったようですね。当然です、気付かないようにしていましたから」
 戸惑う弟の顔を見て、くすり、とプレゼナが小さく笑う。これこそは、既に知る者のいない“逢魔”が一人たる彼女の秘技、“心意憑臨”である。
「まさか貴様、俺の心に……!」
「はい。実は、ずっと前から。……立直したのになかなか和了できなかったこととか、ありませんでしたか?」
 穏やかな笑みのプレゼナに、しかし兄弟は背筋が怖気が走ったのを感じる。
「それは確かに……。だが、弟がそのような露骨な悪手を取ったならば、俺が気づけぬはずが……はっ!」
「……ようやく気付いたみたいだなぁ? いやあ、ククッ。大変だったぜ、アタシの口八丁にだまくらかされた“仕方ない悪手”、いくつあった?」
 肩を竦めて見せる狐狛であったが、その表情は満足げであった。表情、打ち筋、口車。イカサマなど使わずとも、勝負師たる彼女にとって、他人の心を誘導する事など容易かった。そう、プレゼナによる意識操作を、“仕方ない”と思わせることすらも。
「それでは……対局を続けましょうか?」
「さァて、次は誰の心が、どうやって操られちまうのか。請うご期待ってもんだ」
 それから決着が着くまでは、然程の時間を必要としなかった。


「くっ……よもや我ら兄弟が敗北するとは」
「だが、我らが暗黒殺人麻雀拳は卓上のみにて勝敗が決まるに非ず」
「「ここを凌ぎ、連荘に――!?」」
 大敗した兄弟が、しかし決着はまだ着いていないと席を立ち臨戦態勢を取る。対局中の失点により生命力を奪われていることを感じさせないほどの堂に入った構えであったが、直後、彼らの顔が驚愕に固まった。
「実力伯仲すればする程、運が勝敗を決する可能性は高まる。成程、故に運気を高める行いは理に適っていると言えましょう」
「ま、今回ばかりは、運気のついでにちょいと体力も削らせてもらったけどな」
 何せその方が手っ取り早い、と呟く狐狛の笑い声が響く中、穏やかそうな印象を裏切る軽やかな身のこなしでプレゼナが跳躍し、彼らの背後に回り込んだのである。
「私も、こちらには自信がありますので。ご安心を、暫く眠っていてもらうだけです」
 “芸術的なほどに綺麗な”延髄への手刀が命中し、二人の拳法家は崩れ落ちるのであった。
「ご苦労さん。さあて、次に待ち構えているのはどんな奴やら……ってな」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

堆沙坑・娘娘
拱手にて礼。礼は済ませたので早速【貫通攻撃】。麻雀台を破壊。
そして自己紹介。私は堆沙坑娘娘。この名を恐れぬのならばかかって来なさい。

それでも向かってくるのであれば門下生たちを相手にします。力に魅入られていようが武術家は武術家。戦う気概がある者の相手をしないのは失礼というものです。
但し、門下生たちに向けるパイルバンカー攻撃は貫くのではなく当てる程度に留め、攻撃を当てた敵の体は闘気の炸裂によって吹き飛ぶように操作します。今はまだ悪漢と呼ぶほどではない人たちを殺すつもりはありません。

私の力は見極めましたか、道場主。
ならば次はあなたが私に見極められる番です。
良き糧となってくれることを期待しています。


アニカ・エドフェルト
麻雀は、よくわかりません、から、あまり、運気は、削れなさそう、ですが…(むしろぼこぼこにされて逆に削られそう、こちらは描写なしでもOK)
直接戦闘なら、まだ勝ち目、あるかも、です。

さて…。どういう、戦い方、してくるか、ちょっと見たい、ですし、先手は、どうぞ、です。(《死闘天使》狙い)
まぁ、わたしは軽いので、一発で、壁まで、吹き飛ばされちゃい、ますが。
その度に、何度も立ち上がって、何度も、いろいろな技を、受けてみたりして…
後は、強化分で、耐えきれるかの、勝負、ですっ。

ふむふむ…。十分に、見させて、もらいました。ありがとう、ございました、これは、ほんのお礼、ですっ
(強化された攻撃力で一撃KO狙い)



「そこな小娘、この道場に踏み入ったからには、戦いの覚悟はできているのだろうな!」
 血気盛んな門下生たちが、小柄な少女の周囲を取り囲む。自分よりはるかに大柄な男たちに囲まれても、戸惑う様子もなく、少女は涼やかな顔で右拳を左手で包み込み礼をする。その立ち姿は堂に入っていながらも、どこか浮世離れした神秘性を感じさせた。
「……律義なことだ。だが、それで手加減をするようなことはないぞ!」
 力に魅入られたりとはいえど、敵も武人。拱手には拱手で返礼する。そして挨拶も済みいざ実践と、卓に着こうとした門下生たち。だが、その刹那。突然、轟音が鳴り響く。
「何ッ!?」
 男たちが驚くのも無理はない。彼らが今着こうとしていた卓が、一瞬にして何かに掘削されたかのような大穴を開けていたのだから。
 それは、一瞬の出来事であった。門下生たちが拱手の形に拳を組み、礼をする。その一瞬の間に女は大仰な機械を腕に装着。そして、神速の踏み込みとともに繰り出される流れるような拳打で、その機械によって麻雀卓を破壊せしめたのである。
 大型の工具を思わせる、少女の細腕が纏うには武骨ですらある機械。大杭の形を成した闘気を炸裂させるそのパーツこそは――そう。パイルバンカーである。
「……私は堆沙坑娘娘。この名を恐れぬのならばかかって来なさい」
 堆沙坑・娘娘(f32856)。可憐な少女の体躯でありながら、数十年老いることなく、ただ武骨なパイルバンカーをもって武勇伝を響かせ続ける、誰が呼んだか、パイルバンカー神仙拳伝承者。
「ほう、貴様がかの堆沙坑娘娘か!相手にとって不足はなし……!」
 人々に畏れられるその名も、どうやら力に酔った男たちには闘志をあおる結果にしかならなかったらしい。麻雀がなくとも、よく鍛えられた拳が娘娘に向かって襲い来る。
「その意気やよし。向かってくるならば正面から相手取りましょう。ですが……」
 それは、まるで演武のような攻防であった。パイルを覆うホルダー部で拳を受け止めると、そのまま己の拳を繰り出すことで受け流す。そして、相手の脇腹を掠めるようにパイルを添える。
「ですが、まだまだです」
 衝撃。闘気の炸裂によって、男は吹き飛んだ。吹き飛ばされた男はそのまま気絶。一歩間違えれば相手の命を奪いかねない、このような無骨な武器で見事に手加減をして見せる、娘娘の卓越した技巧が現れた攻防である。


「麻雀は、よくわかりません、から、直接勝負に、なりそうで、一安心、でしょうか」
 娘娘が攻防を繰り広げる横で少し戸惑ったように首を傾げるのは、彼女よりもなお小柄な――というより、幼い印象を与える少女。アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)である。
 生い立ちと文化差もあり、麻雀のような遊びを経験したことのない彼女としては、どうしたものかと悩ましい所であったため、娘娘による雀卓破壊で麻雀をせずに済んだのは一安心でありながらも、なんだかずるをしているような気分で少しだけ申し訳ない、と、そんな心境であろうか。
「俺の相手は貴様か……。幼子といえど容赦はせんぞ!」
「構わない、です。どこからでも、どうぞ、です」
 暗黒殺人麻雀拳伝承者は、戦場に出た以上、アニカのように幼い相手でも手加減はない。人体を破壊する剛拳が迫る。その拳圧に少女の矮躯は軽々と壁まで吹き飛ばされてしまうが――門下生の顔は不満げである。
「俺の拳……躱して見せるとは! ああは言ったが、幼いとみて侮ったか!」
 その言葉を証明するように、アニカが叩きつけられた壁から立ち上がるが、その体には擦り傷のような小さな怪我は多くついているものの、大きな損傷は殆どない。拳打の命中する瞬間、当たり所をずらすことで消耗を抑えたのである。
「だが、このようなことは2度はないぞ……!」
 剛脚一足、壁際のアニカに近寄る拳士。流れるような連撃が繰り出される。拳、蹴り上げ、肘うち、踏みつけ。
「ぬう……これだけの連撃を受けても、まだ立ち上がるか!」
 冷や汗を浮かべる男の視線の先では、ゆらり、とアニカが立ち上がった所であった。一撃一撃の被害は軽減していると言えど、幼子が少なからぬ傷を負いながら立ち上がってくるのは、力に眩んだ男の目を開かせるだけのものがあったのだろうか。
「ふむふむ……。十分に、見させて、もらいました」
 満足げに頷いて、小さく微笑むアニカ。その特殊な生い立ちから、格闘戦への忌避感が薄い彼女にとって、この程度の傷は日常茶飯事であったのだ。
 そして、相手の戦法を存分に確かめたのならば、今度は彼女の反撃の番である。
「ありがとう、ございました、これは、ほんのお礼、ですっ」
「なっ、速……!」
 振り回される、足技一閃。掴みと蹴り技をもって、ダークセイヴァーの闘技場に死闘天使の名で知られた彼女の脚撃は、一撃で男の意識を刈り取った。

「私の力は見極めましたか、道場主。ならば次はあなたが私に見極められる番です」
 傷を負ったアニカの手を取り掬い上げながら、娘娘が道場の奥に向かって声をかけるように呟く。
「良き糧となってくれることを期待しています」
「わたしも、まだまだ、がんばり、ます!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リチャード・チェイス
◎【悪巧み大三元】①
麻雀、マジヤン。アルマジロ&ヤンバルクイナの略である。
マジヤンは複数のアルマジロ役と1人のヤンバルクイナ役で行われる。
公式ルールでは1人のクヌンヘッヘ役も加えられる。
競技開始1分、ヤンには目隠しをし、アルは任意の場所に隠れる。
その間クヌンヘッヘにはハッハハッウンする権利が与えられる。
この時ムランガしてはならない(この複雑さが日常遊ばれる場合にクヌンヘッヘ役が省略される理由である)
制限時間内にヤンが全てのアルを見つけ出せばヤンの、見つけられなければアルの勝利となる。
クヌンヘッヘはハッハハッウンの結果により、カンかチーが選べる。


ティアー・ロード
◎【悪巧み大三元】①

一般の乙女を傷つける訳にもいかん
ここは麻雀とやらで勝負だ!

絵柄を合わせればいいのだろう?何とかなるさ

【麻雀】
牌は念動力で操作するよ
「国士無双」
「国士無双」
「国士無双」

「ん?ああ、すまない
この役気に入ってるんだ」
覚えやすくてね

使用UCは『刻印「刀光剣影」』
牌は武器だし手元にあるからね
これが役が作るって事さ
適宜作ってすり替えるよ

【ツッコミは任せた】
無策にすり替えれば当然バレるだろう
だが、注意を逸らす事に関してあの二人以上の畜生はいない
敵がマジヤンに対してツッコミしたり、曾場八野くんに煽られている隙にすり替えよう
「君、慣れないとツッコミし続ける事になるぞ?……
お、天和。国士無双」


曾場八野・熊五郎
◎【悪巧み大三元】①
マジヤン1局目、親ヤン熊五郎
熊五郎はマジヤンの名手である。犬なので隠れても匂いでバレるので『追跡』

「さあ、次はお主がヤンでごわす。ムランガに気を付けて、爆発するでごわ」
拳士に目隠ししてメダルを貼り、牌の匂いを覚えてリチャードと自分に良い役を回せるようにする。

1分後
「え、麻雀中になにやってるの頭ハッハハウンなの?」

イカサマとマジヤンで煽る
「テンホーテンホーまたテンホー」
「ねえねえ牌も持てない犬に負けるってどんな気持ち?今からでもマジヤンに戻す?」

良い感じにキレたところで悪巧みが一斉にロンできるようにする
麻雀マジヤンに連敗した運気の低下+ここぞのファンブル効果でひどい事になる



 ――麻雀とは元来、マジヤンの訛ったものである。マジヤンとは何か。無論、言うまでもない。アルマジロ&ヤンバルクイナの略称だ。
 ――その名の通り、マジヤンは複数のアルマジロ役と、1人のヤンバルクイナ役で行われる。
 ――競技開始から一分間、ヤンバルクイナは目隠しをし、アルマジロは各々任意の場所に隠れる。
「ふがふがふが……んー、ここでごわす!」
「今明らかに鼻で探しただろう! それはアリなのか!?」
 ――この一分の間、クヌンヘッヘにはハッハハッウンする権利が与えられる。
「さあ、次はお主がヤンでごわす。ムランガに気を付けて、爆発するでごわ」
「勝手に目隠しを巻くな! 何を貼った! 何を爆発させる気だ!」
 ――この複雑さが日常遊ばれる場合にクヌンヘッヘ役が省略される理由である。
 ――一分経過後、ヤンバルクイナはアルマジロの捜索を始め、制限時間内にヤンバルクイナが全てのアルマジロを見つけ出せばヤンバルクイナの、一人でも隠れ切ることができればアルマジロの勝利となる。
「ええい、よくわからん、わかりたくもないが、つまりは躱猫猫と同じだろう。直ぐに捉えておれの最強を証明してや……」
「……え、麻雀中になにやってるの頭ハッハハウンなの?」
 ――以上。『それっぽい語り口で押し切れば、相手に存在しない遊びをさせられるのではないか』説。お相手は、リチャード・チェイスであった。
「貴様らああああああああ!」
「……君、律義だねえ。美少女じゃないから応援はしないけど」

 それは、地獄であった。

 様々な世界でその悪名を轟かせるとある猟兵一派。その一員である彼らは、今日も今日とて絶好調であった。麻雀卓に着いたかと思えば、リチャード・チェイス(四月鹿・f03687)の無駄によく通る無駄に説得力のある美声で延々と存在もしない競技について語り始める。曾場八野・熊五郎(ロードオブ首輪・f24420)も嬉々としてそれに合わせて動き回るものだから、つい流されて門下生たちもそれに合わせて隠れん坊に付き合うような素振りを見せてしまったのが運の尽き。急にドライな顔になった熊五郎に際限なく煽られる運命が待っていたのである。
「ええい、ちゃんとした麻雀をできるのならばこちらのものだ! 覚悟しておけ!」 
「あ、国士無双」
 門下生は崩れ落ちた。

「国士無双」
「……連続!?」
「国士無双」
「ありえん!」
「国士無双」
「い、イカサマをするにしても……もっと幅を広げてくれええええ!」
 相手がトぶまで終わらないのではないかと思えるほどの、国士無双攻勢。無論、ティアー・ロード(ヒーローマスクのグールドライバー・f00536)がそれほどの豪運の持ち主――というわけではない。『刀光剣影』、己の武器を複製する、彼女のユーベルコードである。
「ここは戦場。となれば雀牌は武器、だろう? 国士無双は……ほら、覚えやすいじゃないか」
 なんのことはない、複製した雀牌を、己の本来の配牌とすり替えていたのである。当然、すり替えなどイカサマの定番中の定番。無策にやっても通じるはず等なかったが――。
「ねえねえ牌も持てない犬に負けるってどんな気持ち? どんな気持ちでごわ?」
「今からでもマジヤンに戻すというのならば、それも構わないのである」
「……いやあ、注意を逸らす事に関してあの二人以上の畜生はいないってものだ」
 なにせ、犬と鹿。文字通りの畜生であるがゆえに。等と言っては、他の多くの犬と鹿に怒られることだろう。というかむしろ、片方は鹿ですらない。

「ええい、だが、まだだ! まだ勝負はついて……」
 さて、対局もいよいよ佳境。乾坤一擲、攻めの打牌をしようとしたところで――。
「「「ロン」」」
 三重奏であった。リチャードによる惑乱、ティアーによる仕込み、そして極めつけは、ここでその正体を現す、熊五郎のユーベルコードの恐るべき効果。目隠しをした際に張り付けた、狂運のメダル。
 “ファンブルブルドッグ”。さながら、最高潮を迎える瞬間に致命的な失敗を起こすような、いっそ芸術的なまでの悪運をもたらすそのメダルの効果が、麻雀に大敗したことによる運気の低下との相乗効果を生み――。

 それは美しい、大爆発を起こした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

夢幻・天魔
◎(厨二ならなんでも)

フッ……そうか、貴様があの『暗黒殺人麻雀拳』の使い手か……(知ったかぶり)
失伝したはずの拳法が蘇る……オブリビオンならば不思議は無いということか……

ククク……いいだろう
今こそ我が『神聖救世麻雀拳』を見せるべき時が来たようだな……
あれはそう……15番目の世界だったか
絶対防御穴熊拳と表裏一体オセロ拳を打ち倒すために編み出した技、喰らうがいい!
(当然拳法含めて全て妄想設定→異世界で取った杵柄発動)

先ずは小手調べだ……
『シャイニングイリュージョン』!
(白をカンすると、なぜか麻雀牌が眩く光る。そして敵が怯んだ隙に弟子達へ攻撃する)

フッ……雑魚め
やはり奥義を出すまでも無かったな……



「フッ……そうか、貴様らがあの『暗黒殺人麻雀拳』の使い手か……失伝したはずの拳法が蘇るとはな」
「ほう、貴様、我らが流派を知っているか」
「ならば、相手どって不足なし!」
 自分たちの流派を知っているということに自尊心を満たされたか、満足げな顔で構えを取る男たち。だが、彼らの前に立つ細身の青年は、実の所、大したことを知ってなどいない。知ったかぶりである。だって――そう言った方が、カッコいいから!
「ククク……いいだろう。今こそ我が『神聖救世麻雀拳』を見せるべき時が来たようだな……」
 構えを取る門下生たちに対抗するように、雀卓を挟んでこちらも何某かの構えを取る夢幻・天魔(千の設定を持つ男・f00720)。だが。曲がりなりにも流派としての修行を積んだ彼らとは違って、天魔の構えは完全我流である。当然だ、なにせ彼の頭の中に存在しない拳法なのだから。
「あれはそう……15番目の世界だったか。絶対防御穴熊拳と表裏一体オセロ拳を打ち倒すために編み出した技、喰らうがいい!」
 だが、その存在しないはずの拳法の構えは堂に入っており、彼の顔には自信が満ちている。そう。彼、夢幻・天魔は、その余りにも高い妄想強度によって、現実すらを改変するほどの厨二病患者であった。
「面白い、ならばその技、見せてみよ!」
「いいだろう。先ずは小手調べだ……。『シャイニングイリュージョン』!」
 自身の自摸牌を確認して不敵に笑うと、天魔は鋭い音を響かせながら、白牌を開示し、カンを宣言した。その刹那、眩い光が周囲を包み込む。
「何の光――ぐはっ」
 そして、光が晴れたとき。雀卓の周囲で立っているのは、天魔だけであった。光に目が眩んだ敵を、鋭い拳打で次々と気絶させていったのだ。
 天魔の拳法の構えは、見た目こそカッコいいが、実際に戦おうと思うと無理があるだろう。だが、それでいいのだ。カッコいいということは、妄想がはかどるということ。そして、こと彼の場合において、妄想がはかどるというのは、強いということに他ならない。

「フッ……雑魚め。やはり奥義を出すまでも無かったな……」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『僵尸兵士』

POW   :    僵尸兵器
【生前に愛用していた武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    僵尸鏡体
【硬質化した肉体】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、硬質化した肉体から何度でも発動できる。
WIZ   :    僵尸連携陣
敵より【仲間の数が多い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ほう、未だ武の秘奥にこそ辿り着いていないといえど、我が門下生を打ち破るとは、なかなか侮れぬようだ」
 門下生たちを、それも大部分は手加減したうえで打ち倒した猟兵たちの姿に、暗黒殺人麻雀拳開祖たる老人は、驚いたように目を丸くする。
「だが、暗黒殺人麻雀拳の真髄はこれからよ! ゆけい、僵尸拳士たちよ!」
 その号令を受けて、物も言わず壁の傍で佇んでいた部下たちが動き出す。その血色は悪く、しかし不気味な手強さを感じさせる。そう、彼らこそは間違いなく、死して尚生き続ける屍。僵尸であった。
「暗黒殺人麻雀拳はただの殺人拳に非ず! 死してこそ、真髄に近づくからこその暗黒拳よ! 故に――この僵尸拳たちこそが、真の暗黒殺人麻雀拳の使い手! お主たちに太刀打ちできるか!?」
【受付期間:2021/04/01 08:31 〜 2021/04/02 23:59】
檜・つのん

麻雀拳!?
牌を暴力に利用するなーーー!(麻雀牌を投げつけ攻撃)
……これは攻撃用の牌だから問題ないのだ!わはは!
正々堂々、麻雀で勝負だよ!

――3対1なんて聞いてないのデス……
こんなの勝てる訳ないじゃないデスカ……
こ、こうなったら「グッドナイス・ブレイヴァー」!
視聴者のみんなー!
つのんにちょっとだけ運気を分けて!(撮影動画から敵の手を見て教えろの意)
む!何だか急に読みが冴えわたってきたよ♪
僵尸がどんなに多くても、皆の応援があればつのんは負けないのだ☆



「さあさあ、最初に死にたい者は誰だ? もたもたしていても、我が配下たちの麻雀拳の餌食になることは変わらんぞ!」
 勝ち誇ったような麻雀拳開祖の高笑いに合わせるように、僵尸兵たちが緩慢にすら見える仕草でその指に麻雀牌を挟んでいく。まさか、中国武術の技のひとつとして知られる指弾のごとく、指で挟んだ牌を打ち出して攻撃しようというのだろうか。
「牌を! 暴力に! 利用するな――っ!!」
 だが、牌が射出されることを警戒した猟兵たちが身構えた直後。猟兵たちの側から投げつけられた物体が僵尸兵に直撃し、ふらついた拍子に牌を取り落してしまった。
 檜・つのん(自称・麻雀精霊・f32767)が投げつけ、僵尸兵の頭を打ち付けた後、反動で高らかに宙を舞う小さな弾丸。羽ばたく様に回転する白地に刻印された緑の鳳凰。まぎれもなく一索、つまりは雀牌であった。
「……こほん。これは攻撃用の牌だから問題ないのだ! わはは!」
 敵から、あるいは味方からも白い目で見られているような気がしたのか、誤魔化すように小さく咳払いをした後、空笑いをしてみせるつのん。気を取り直して、僵尸兵たちにびしっと指を突き付けるのであった。
「正々堂々、麻雀で勝負だよ!」
 つのんが雀卓につけば、それに倣うように敵も雀卓を囲む。ここに、対局が始まった――!

「……カ、ン」
「えーっ!」

「……ロ、ン」
「きゃーっ!」

「役……満……」
「ぎゃーっ!!」

 麻雀精霊つのんは、窮地に陥っていた。おかしい。確かに自分はポンコ、もとい少しおっちょこちょいと言われるようなこともあるけれどこれでも麻雀専門のバトルゲーマー。
 実の所、彼女の見立てはさほど間違っていなかった。僵尸兵一人一人は高くとも彼女と同程度の棋力しか持たない。十分勝ち目があったはずである。
「3対1なんて、聞いてないのデス……」
 誤算があったとすれば、そう。麻雀は4人で行うものであり、彼女が仲間の先陣を切った以上、他の面子は当然、敵ばかりになるという当然の帰結を忘れていたことである。
「どうしたどうした、先程までの威勢のよさは!」
 開祖が煽るような言葉を投げかけ、自我の薄そうな僵尸兵たちもどこか勝ち誇った雰囲気を見せているような気がしてくる。だが、そんな中でも、つのんは勝利を諦めていなかった!
「まだまだ……、デス!」
 後1回。例えどんな安い役であろうと振り込んだ瞬間敗北が決定する。そんな状況で、つのんは敵の待ち牌を見通しているかのように紙一重の回避を続けていた。
「むむむ! 何だか急に読みが冴えわたってきたよ♪」
 紙一重の回避で結局流局までもつれこませたかと思えば、今度は次の曲において、余りにも細い待ちを見事振り込ませることに成功した。まるで牌が見えているかのように。

「みんなー、応援ありがとー! 僵尸がどんなに多くても、皆の応援があればつのんは負けないのだ☆」
 僵尸たちを打倒したつのんは、勝利の立役者――撮影用ドローンに向かってピースをしてみせる。そう、ドローンを通して敵の手牌を撮影し、ネット配信の視聴者による応援の声を通しての情報を受信する。ポンコツとはいえ、いや、あるいはポンコツだからこそ愛される、電子の麻雀精霊ならではのイカサマ“ゴースティング”であった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

プレゼナ・ハイデッカー

【麻雀で対抗】
死を越えて悟りを得る、そのような事もありましょうが…
彼らは果たして、その領域まで至れているのでしょうかね?

とはいえ、純粋な麻雀の技術では大きな差をつけられていることでしょう。
故に、此度も小細工を行わせて頂くとします。
逢魔秘儀・祖霊召喚にて呼び出した霊を介して他家の手牌を確認。
以て、振り込まぬよう…或いは振り込みを誘うように此方の手牌を調整。
それで敵の調子に狂いが生じたところで一気に攻勢に出るとしましょう。

麻雀の決着がついた後は、格闘にて打ち倒しに参ります。


アニカ・エドフェルト
十分に、見させてもらった、とは、言いました、けど…
暗黒殺人麻雀拳、なのに、麻雀を、やってないのは、全部、見させてもらったとは、言えません、ね。
なので、今回は、【麻雀で対抗】、します。

ルールとかは、なんか、〈学習ノート〉に、浮かび上がって、来ましたし、それを、見ながらなので、ゆっくりに、なりそう、ですが…
(相手の妨害はUCとかで吸収)
あ、それですね、ロン、ですっ
これ、どのくらい、強いの、でしょう?
(わくわくしてる。そこそこ強いかも?)

…さて、ビギナーズラック(他連携あれば相方の技頼みも)、とはいえ、麻雀で、勝てたなら、あとは、負ける要素、ありません、ねっ(直接戦闘でさらっとぼこぼこに)



(死を越えて悟りを得る、そのような事もありましょうが……)
 他の猟兵たちに続いて雀卓に着きながら、死して蘇った僵尸拳士は強い、という麻雀拳開祖の弁について暫し思索を巡らせるプレゼナ・ハイデッカー。あるいは、既に“終わってしまった世界”の出身である彼女なれば、境界を踏み越えることで得られる強さに対して思う所もあるのだろうか。
「……さて、彼らは果たして、その領域まで至れているのでしょうかね?」
「わからない、です、けど……相手の、力をしっかり、確かめる、なら、麻雀の、強さも、見せてもらわないと、いけません、ね」
 プレゼナの言葉を受けて、同じ卓にアニカ・エドフェルトが着く。先程は戦況もあって麻雀をやることができなかったので、少し消化不良だったのである。
「ん。おや……ええと、あなた、ルールは大丈夫そうですか?」
「はい、学習ノートに、ルールやコツとかも、浮かび上がって、来ましたから」
 オラトリオの、それも聖者というアニカの気配に一瞬悩ましそうな顔をしたするプレゼナ。聖職者めいた格好をしていても、悪魔という種族ゆえか、神聖な雰囲気は苦手なのである。しかし相手が幼い少女ということもあってか、共闘する仲間として心配する言葉をかける。 
 あるいは、麻雀が苦手なら自分に任せろ、という意味で同卓を穏便に避けようという気持ちが多少あったのかもしれないが。ともあれ、呼びかけられたアニスはといえば、やる気満々、といった様子で、小脇に抱えたノートを掲げて見せた。勉強熱心な彼女愛用の勉強ノート。いつの間にか知らない知識が勝手に書き込まれている事もある不思議なノートである。
「グワッハッハ! 女子供、それも麻雀を始めたてであろうと容赦するなよ? お前たちの力、見せ付けてやれい!」

 開祖が悠々と勝ち誇った声を上げたのは、別に間違った行為ではなかっただろう。プレゼナは先の一戦で剛毅な勝負度胸を示したと言えど、牌の読みや自摸運そのものはまだまだ初心者。アニカに至っては事あるごとに学習ノートを確認しているがゆえに、打牌のひとつひとつにゆっくりと時間がかかり、手の動きもおぼつかない。
「ツ、モ……」
 だが、何ゆえか攻めきれない。
「……ロン」
 細かく上がることこそできているが、二人を脅かせるほどの点数は確保できない。
(何故だ、配牌の運は十分。運気を味方に付ける麻雀拳の使い手たるこやつらならば……!)
 開祖が怪訝そうな顔をし始めた、そんな時。
「あ、えと、それですね、ロン、ですっ」
 少女の可憐な声が、静かに響いた。
「な、なにっ!?」
「これ、どのくらい、強いの、でしょう?」
「ええと、混一色、一気通貫、自風牌……でしょうか」
 二人でマニュアルを覗き込むようにしながら、役を確認していくプレゼナとアニカ。しめて5翻の満貫手。直撃したと言えど致命傷にはならなかったが、仮にも麻雀拳門下を名乗る者であれば、絶対振り込んではならないと言えるほど読みやすい手のはずであった。
「先程は、私がサポートしてもらいましたから、今度は私の番かと。少し小細工はさせてもらいましたけど、ね?」
「何――まさか!」
「えへへ、ビギナーズッラックと、お姉さんのおかげ、ですね!」
 そう。それは、プレゼナが密やかに発動していたユーベルコード、祖霊召喚によるものであった。実体を持たないが故に発見されづらい霊体によってアニカと敵の手牌を確認し、被害は減らし、ダメージは増やす様に場を操る。先程共闘した猟兵のように、経験と勝負勘のみでそれを行うことこそできないが、ユーベルコードを駆使することによって、プレゼナは今、この戦場を支配していた。
 そして、これによって場の運気は一気に傾く。元々ビギナーズラックでこそあるが、高い運気を宿していたアニカが高い手を上がったことによって、運気が吸い寄せられたのだ。アニカとプレゼナによる対局前半とは打って変わっての猛攻によって、僵尸拳士たちが敗北するまではそう時間はかからなかった。

「今度は、たっぷりみせて、もらいました! 麻雀、楽しいです、ね!」
「ええ、満足のいく試合運びができました。そして、麻雀での勝負がついたなら――後は、」
「「負けるはずが、ないですね」」
 徒手空拳を得意とする二人が、敵を華麗に叩きのめすまで、そう時間はかからなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

堆沙坑・娘娘
麻雀が上手そうな面構えと格好には見えませんが…どうせ麻雀に付き合う気のない私には関係ありませんか。

神速の踏み込みから放つパイルバンカーの撃ち込みを、今度こそ何の手加減もなく敵の体に叩き込む【貫通攻撃】。そして十重に集中させた闘気を炸裂させ、その躰を跡形もなく消し飛ばすぐらいの気持ちで爆発させます。

敵からの攻撃は攻撃力を重視したと思わしき攻撃は小柄な体を活かして避けるように努め、命中率、攻撃回数重視の攻撃は多少は受けたとしても自分からの攻撃を優先。

死して真髄に近づくのであれば死体が弾けた先にはどのような真理が見えるのでしょうか。
無学な私にご教授願いたいですね。肉塊が喋られるのならば、ですが。



「麻雀が上手そうな面構えと格好には見えませんが……どうせ麻雀に付き合う気のない私には関係ありませんか」
 雀卓に着いていく猟兵たちを脇目に、自分の側にいる僵尸拳士たちを見据えながら、堆沙坑・娘娘は静かに肩を竦めた。
 なかなか卓に着かない娘娘に席へ着く様に促そうとしたのだろうか、僵尸が先に卓に着こうとする。戦況が動いたのは、その直後、瞬きをする間もない一瞬の事だった。
 空気を切り裂くような音が響き、娘娘が消えた。いや、消えたのではない。一瞬一足にして僵尸の側へと踏み込んだのだ。見返せば、彼女が先程いた場所から今いる場所まで、黒く焦げたような擦過痕が床についていることがわかるだろう。勿論、その足跡を今から追っていたようでは、この直後に起きたことを視界に移すなど望むべくもないが。
「貫く」
 掛け声とも言えないような小さな声とともに、娘娘は左腕を僵尸に向かって突き出した。娘娘の高い功夫と、機構による推進力によって打ち出された細い杭が僵尸の体を貫いた瞬間に、細い杭を構成していた十重二十重にと練りこまれた闘気が炸裂する。
 衝撃により天井が落ち、煙が舞った。煙が晴れたとき、僵尸拳士は肉片すら残っていなかった。

 それ以降は、娘娘の独壇場であった。致命傷になりうる麻雀道具を駆使した攻撃だけは、圧倒的な身のこなしで回避する一方、僵尸拳士がスピードを高めた連携で翻弄しようとしても、多少の傷なら気にするまいと無視してただ撃破を優先する。
 オブリビオン相手なら容赦の必要はあるまいと、その無骨なパイルバンカーに秘められた圧倒的な火力が周辺の敵を掃討するまで、長い時間はかからなかった。
「死して真髄に近づくのであれば死体が弾けた先にはどのような真理が見えるのでしょうか。無学な私にご教授願いたいですね。肉塊が喋られるのならば、ですが」

 返事はない。当然だ。自分が肉片にした者たちが言葉を発することなどないと、彼女が一番よく知っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢幻・天魔
ふん。不死とはいえ、たかが僵尸如きか……
俺に対抗するならば、せめて真祖の吸血鬼程度は用意しろと言いたいところだな

数に頼るならば……それ以上の数を用意すれば良いだけのこと
『時空超越夢幻転生陣』!!
(80人以上の天魔の分身を召喚。その全てが我流の拳法を極めているという厨二設定を付与する)

ククク……これで貴様達の『僵尸連携陣』は封じたぞ
さあ、我らが至高の技を受けてみろ!
(多種多様な拳法を使う分身達と僵尸を蹂躙する)

喰らえ……!
『包囲略奪囲碁拳!』
『鬼ごっこ追跡拳!』
『かくれんぼ暗殺拳!』
『振り飛車分身拳!』
『ブラックジャック二十一連撃拳!』
『花札こいこい拳!』
その他色々なんでもどうぞ



「ふん。不死とはいえ、たかが僵尸如きか……」
 時にひとりで、時に仲間たちとともに、僵尸拳士と戦いを繰り広げる猟兵。夢幻・天魔もまた、自我持たぬ僵尸たちに包囲されていた。その数は10人は軽く越えるだろうか。3対1で天魔を取り囲み、仮に第一陣が返り討ちにあったとしても次、更に次と対局を始めることが可能な人数である。
「俺に対抗するならば、せめて真祖の吸血鬼程度は用意しろと言いたいところだな」
 だが、天魔は自分こそが最強であるとでもいうかのような不敵な笑みを浮かべたままであった。しかし感情のない僵尸兵は敵の不審な様子を前にしても動きを止めるようなことはなく、淡々と戦いを始めようとする。
「数に頼るならば……それ以上の数を用意すれば良いだけのこと。さあ、最強無敵の一欠片達よ……平行世界より此処へ降臨せよ!」
 その僵尸たちを制するように天魔が大きく手を広げると、もう片手は顔の前に掲げ、高らかに宣言する。
「『時空超越夢幻転生陣』!!」
 緻密で繊細な魔法陣がいくつも天魔の周囲に生み出されると、そのひとつひとつから、天魔と瓜二つの分身が現れる。強いて違いといえば、僵尸兵が麻雀道具を手にしているように、数多の天魔たちは時に碁石を、時には名札を、様々な道具を持って現れたことくらいだろうか。
「クックック……。ここに呼び出したのは数多の平行世界の我が分身。一人一人がその世界で我流の拳法を極めた猛者たちだ」
 勝ち誇る天魔の声に合わせるかのように、分身たちがそれぞれ僵尸たちと対峙するように卓に着く。だが、そこで行われるのは麻雀ではない。時に立直をクイーンが蹂躙し、時に穴熊に一気通貫が穴を開ける。卓上遊戯の異種格闘技戦の様相を呈していた。
「遊戯の腕も、無論格闘技の腕も貴様たち以上! さあ……喰らえ!」
 時に、香車を思わせる当身で。時に、キャスリングを思わせる幻惑的な歩法で。時に、こいこいの如く、繋げれば繋がるだけ威力の増していく連撃で。卓上の様子に呼応するように、次々と僵尸たちが撃破されていく。
 無論、このような奇矯な光景が数多の世界で行われているわけではない。これは、敵対する麻雀拳士たちにインスピレーションを受けた天魔の妄想の産物である。そのはずである。たぶん。
「互角以上の駒が揃えば、当然人数が多い方が勝る。僵尸連携陣……敗れたり!」
 ばっ、とどこから取り出したのか、いかにも軍師といった風情の羽扇を広げて、天魔は高らかに笑うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リチャード・チェイス
◎【悪巧み大三元】②
マジヤンの続きと行きたいが……ランチの時間である。
(ナプキンを付けて雀卓に座れば、そこは優雅なランチタイム)

本日のメニュー
・新鮮なトマトのカプレーゼ
・鹿肉のロースト赤ワインソース
・焼きたてバターロール
・レモンシャーベット
・コーヒー

やはり1日の活力はコーヒーによってもたらされる。
しかし熊五郎よ、食事中にはしたない言葉を使うものではないのである。
優雅に(僵尸に吹き飛ばされるコーヒー)……貴様、万死(キョンシー)に値するのである。

(奮闘する悪巧み大三元。しかし、どこを向いても敵敵敵。物量の前に彼らの悪巧みは潰えてしまうのか。
それとも逆転の一手を導き出すのか。次回、「悪巧み死す」)


ティアー・ロード
◎【悪巧み大三元】②
流石に死体と卓を囲む気はせんな
……ふむ、死して真髄に近づく?
「なら、手伝ってあげよう」

【集団戦】
今回はリーダーとギークは新年度で忙しくてね
ほら、二人ともまだ若い……クラス替えとか初日が大事だろう?

という訳で手が足りん
「実は私はカードのほうが好きでね」
使用UCは【サモニング・ガイスト】!
カードから[炎の戦乙女]を召喚して一緒に戦うよ
彼女は火葬向きだ
ああ、私自身も真の姿になって死体共を殴りこむね

「さぁ、ヒーロータイムだ!」

「チェイス?……今手が足りないんだが?」
「まったく猫の手でも借りたいな!っと」

「ッチ、消耗は避けられんか……
ヴァルキュリア、火力を上げろ!一気に火葬するぞ!」


曾場八野・熊五郎
◎【悪巧み大三元】②
「あ、ちょっと待って。今ランチ中でごわす出直してきて」
雀卓の上に弁当を広げてくつろいでる

「んん?ちょっと失礼……うわクッサ。食欲なくすからもっと清潔にした方がいいでごわすよ?」
腐臭に気づいて消臭スプレーを僵尸に吹きかける

【集団戦】
「火葬でごわすか。なら任せるでごわす、厳かな式にしてやるでごわ」
真の姿になり、正義の炎で『破魔』の力を強化する

「おおお面よ、自分ごと火葬にしろとは天晴な覚悟でごわす。お望み通りにしてやるでごわ」
砲身(鮭)をティアーに向けてUCをチャージする『砲撃・破魔』

「犬の手で悪いでごわすが受け取るでごわわわわ……」
発射後ぬとねが区別できないアホ犬になる



「やれやれ、流石に死体と卓を囲む気はせんな」
 己の土俵へと招くべく雀卓に着こうとする僵尸兵たちであったが、独自の美学を持つティアー・ロードは、己の本体である仮面の横から垂れる飾り紐を鞭のようにしならせてその誘いを拒絶する。
「ほう、死を越えて真髄へと近づいた我が門弟たちに恐れをなしたか?」
「……ふむ、死して真髄に近づく?」
 そんなティアーであったが、開祖の挑発的な言葉にぴくり、とその動きを止める。
「なら、手伝ってあげようじゃないか」
「面白い、口だけではないこと、見せてみよ!」
 傲慢なれど、開祖も武人ということか。強者の気配に好戦的に口元を歪め、僵尸拳士たちをけしかけるのであった。

「などと言って見せたはいいものの……流石に手が足りないな!」
 布槍術の如く、僵尸拳士たちの繰り出す麻雀拳を飾り紐で華麗に凌ぐティアーであったが、戦況はどうにも押され気味であった。
手が足りない、というのも、彼女がヒーローマスク故に腕を持たないから、といった話ではない。普段彼女がつるんでいる猟兵チーム、気心の知れた仲間二人が今回の戦場には来ていないが故だ。
「リーダーもギークもまだ若い。年長者としては新年度に戦場に連れ出すというのもね」
 あの二人がそんなナイーブなタチかはさておき、などと嘯いて、ティアーは2枚のカードを取り出した。
「実は私は麻雀よりカードの方が好きでね? 出でよ、麗しき炎の戦乙女たちよ!」
 カードが光り輝き、炎の槍を構えた戦乙女の幻影が召喚されていく。そして、光と逆巻く炎の中に一瞬姿を晦ませた純白の仮面は直後、しなやかな体を持つ少女に装着された状態で躍り出た。これこそは、“涙の支配者”ティアー・ロードの真の姿である。
「さぁ、ヒーロータイムだ!」
 こうして自身と幻霊、そして頼りになる2人の仲間とともに、反撃が始まる!

「…………さぁ、ヒーロータイムだ!!」
 ――――反撃が始まる!!

「チェイス? ……今手が足りないんだが?」
「静かにしたまえ。ランチの時間である」
「あ、ちょっと待って。今ランチ中でごわす出直してきて」
 助太刀に来ない仲間たちを不審に思ってティアーが隣に視線をやれば、そこには、腹立たしいことにこなれた仕草でナプキンを膝にかける紳士然とした鹿(シャーマンズゴースト)と、首元によだれかけのようにしてナプキンを提げる犬の姿があった。

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 ※番組の途中ですが、ここからは『リチャード・チェイスの優雅なる食卓』をお送りいたします。
 まずは前菜。フィレンツェ産の高級トマトは酸味が少なく深い甘み。スライスしただけでまるでデザートのように食べ進められてしまう美味しさです。ともに盛り付けられた水牛のミルクから作られたモッツァレラチーズも、弾力のある歯ごたえと、濃厚な味わいでアクセントを加えます。
 甘みのある前菜で口を整えたなら、今日の主食は狩られたばかりの新鮮な鹿肉。オリーブオイルとバターで表面を焼いた後、じっくりと炙られた肉にはバターの味わいがしみ込みます。味付けは勿論、赤ワインソース。ほんの少し混ぜられたチョコレートの香ばしさが深みのある味わいの決め手です。
 焼きたてほかほかふんわりとちぎれるバターロールは、食欲を更に活発にさせる逸品。時にはこっそり、鉄板に残ったソースを拭って食べるのも悪くありません。
 濃厚なメインディッシュを間食したなら、お口直しにはレモンシャーベット。メレンゲが混ぜ込まれていることによるふんわりとした食感が口の中でとろけ、さっぱりとしたレモンの風味によって、主菜の濃厚な残り香を自然と口内に馴染ませていきます。
 そして食後には勿論、ホットコーヒー。贅沢な食事のひとときを締めくくる、この熱く濃厚な一杯こそが、リチャード・チェイスに1日の活力をもたらすのです。
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 かくして、いつの間にやら雀卓の上に広げられた豪華なランチを食べ終えると、リチャードはゆっくりとコーヒーカップを傾け、熊五郎は普段に増して大きくなったお腹を満足げに撫でるのでした。
 めでたしめでたし。いや違う。目的はさておき、雀卓についていることで麻雀相手と思われたのか、僵尸たちが彼らの着く卓を囲むようにやって来た。だが、これに待ったをかけるのが熊五郎である。
「んん?ちょっと失礼……うわクッサ。食欲なくすからもっと清潔にした方がいいでごわすよ?」
 くんかくんか、と鼻をひくつかせると、呆れたような視線で僵尸たちを睨め付け、どこからか取り出した消臭スプレーをこれでもかと吹き付けたのだ。
「熊五郎よ、食事中にはしたない言葉を使うものではないのである。優雅に――」
 ぶしゃあ。ティアーと戦う僵尸拳士から飛んできた流れ点棒が、コーヒーカップを吹き飛ばしたのだ。
「……貴様」
 静かな声が響く。シャーマンズゴースト特有の仮面然とした表情からは感情をうかがい知ることはできず、その声色も至っていつも通りの無駄によく通る静かな語り口であった。
 キョンシー
「万死に値するのである」
 だが。コーヒーの時間を邪魔されたのは、かなり怒っているようであった。
「やれやれ、ともかくやる気になったのなら良かった! 速い所彼らには土の下にお帰り願おう!」
「火葬でごわすか。なら任せるでごわす、厳かな式にしてやるでごわ!」
 ランチの一時を邪魔された怒りで熊五郎が猛る。その気合に呼応したように、法衣然とした羽織や破魔の刀が装備されていく。この姿こそは、正義の炎燃え盛る、熊五郎の真の姿であった。本当に正義か?

「ッチ、消耗は避けられんか……。まったく猫の手でも借りたいな! っと」
 ティアーが舌打ちするように、命を持たないがゆえに高いタフネスを持ち、その上数も多いとなれば、苦戦するのも無理からぬことだったであろう。
「ヴァルキュリア、火力を上げろ! 一気に火葬するぞ!」

 ――奮闘する悪巧み大三元。しかし、どこを向いても敵敵敵。物量の前に彼らの悪巧みは潰えてしまうのか。それとも逆転の一手を導き出すのか。次回、『悪巧み死す』!

 なおこの後、最大限まで蓄積された破魔の力が熊五郎によって放たれ、ティアーに直撃したことによってだろうか。破魔の力を得た炎の戦乙女が縦横無尽に炎を広げ僵尸たちは撃退されるも、ティアーたち3人も黒焦げになってその場に倒れ伏すことになるのは秘密である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

玉ノ井・狐狛


死に近づいた分だけ有利っつうなら、さっきと同じ手はうまくない
ちょっと脅したくらいじゃビビってくれそうにねぇし

しょうがない、まじめにやるか

僵尸――つまり動屍体とひとくちに言っても、世界・流派・手法によって色々と変わってくる
たとえば“元の自我がどのくらい残ってるか”、とかな

ざっと見た感じ、こいつらはけっこう“生前”の癖が残ってるタイプだ
遊びながら手筋・闘牌を観察、ゲーム上の判断基準を見切る

大方がわかったら仕掛けだ
やつらの隙を狙ってリスクをとる
――ほら、死に近づくと調子が出てくるって話だろ?

殺人麻雀拳はともかく、タマを賭けた博打には覚えがあってなァ

(試合後、開祖に)
見物は充分だろ、そろそろ混ざれよ



 強大な敵との集団戦ということもあってか、激しい戦闘音の鳴り響く道場内にあって、張り詰めた雰囲気で満たされる一角があった。
 3人の僵尸と対峙する玉ノ井・狐狛の着く雀卓を中心とした領域である。多勢に無勢で蹂躙されているが故、激しい戦闘に至らないのだろうか。否、逆である。
 1人で3人相手に互角以上にせめぎ合っているからこそ、緊張が張り詰め続けているのだ。

 しかし、狐狛が先程見せた戦術は麻雀を介しての生命力奪取に、口車を用いての心理操作。だが、暗黒殺人麻雀拳の使い手は、死に近づけば近づくほど真髄に近づく。同じ戦い方では、自分の首を絞める羽目になっただろう。
 ならば、如何にして狐狛はこの優勢を作り出したのか。未だ使っていなかった新たなるユーベルコードだろうか。
「やれやれ。しょうがない、まじめにやるか」
 そう。“真面目に麻雀を打つ”。それだけである。それだけで狐狛には十分だったのだ。

「リー、チ……」
「おおっと、待ちな。そいつでロン。安手だが上がりだ」
 劣勢を覆すべく、じっくり練り上げた破壊力の高い手を叩きつけようとした僵尸拳士。だが、その大振りな攻撃はあっさりと躱されてしまう。
「…、…!?」
「ワケが分からないって言いたげだな、顔に出てるぜ、“顔”に」
 半ば以上覆われ、そもそも一度死んでいることによって極めて表情筋の変化が薄い僵尸を前にして、狐狛はニヤニヤと笑みを浮かべる。
(対面は大きい役を狙いたがる。特に手を染めがちで、字牌も多少のリスクを背負ってでも役牌を狙う傾向が強い。それだけわかってりゃ、いつ、どう仕掛けてくるかは読める)
(上家は鳴き志向。早上がりを好み、親番や親番の直前ではそれが顕著。そのために特急券を狙いに行きやすいからたまに対面とカチあう。下家がわかりづらかったが、こいつはサポート志向だな。他所が欲しがってそうな牌を積極的に出していく)
 玉ノ井・狐狛は、流浪の代理賭博師として裏社会で名を上げた女である。そして、陰陽道を始め、様々な呪術の知識を齧った女である。彼女にかかれば、僵尸拳士たちが随分色濃く“生前”の癖を残しているタイプの動屍体であると見抜くのも、更にはその癖をもとに、一人一人の打ち筋を見切っていくのも、容易いことであった。

「そういうわけでな。……ほらよ」
 激しい点差こそ開いていないものの、全員がぺースを乱され、場の空気は完全に狐狛が支配していた。だが……そんな中で狐狛が切ったのは、あからさまな危険牌。明らかに対面の染めている索子。更には上家の狙いやすいドラ牌。こんな牌を切って無事でいられるはずがない。そんな牌であった。だが――。
「「「……!!」」」
 なんと幸運なことだろうか。感情がないはずの僵尸たちは、悔しそうにその牌を見送るのみであった。
「……クク。賭けは……アタシの勝ちだな。ツモだ」
 そして、一巡し狐狛がツモってきたのは、文句なしの上がり牌。数え役満によって根こそぎ点を奪い取ったのであった。これこそは、彼女のユーベルコード。あえて危険牌を切る制約を課すことで、高額アガリを引きこむ恐るべき力。
「――ほら、死に近づくと調子が出てくるって話だろ? 殺人麻雀拳はともかく、タマを賭けた博打には覚えがあってなァ」
 “死中に活を求める”、まさにこの対局にうってつけの業であった。

「見物は充分だろ、そろそろ混ざれよ」
 運気を失った拳士たちを捻じ伏せるのは、狐狛であっても難しくはなく。彼女は道場の最奥を見据えて、くい、と指で手招きをするのであった。
「グワッハッハ! 見事、見事なり! その力、存分に見せてもらった! 約束通り、この儂が相手をしてやろう!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『死者英傑』

POW   :    無尽槍兵団
レベル×1体の【精鋭僵尸槍兵】を召喚する。[精鋭僵尸槍兵]は【突】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    戦場の覇者
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【方天画戟】の威力と攻撃回数が3倍になる。
WIZ   :    孤影再起
全身を【己を英傑たらしめる闘気】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「グワッハッハ! さあ、誰からでもかかってくるがいい! 暗黒殺人麻雀拳の真の恐ろしさ、お主たちに思い知らせてくれよう!」
 傲慢とも言える笑い声で、麻雀拳開祖、死より蘇った英傑が雀卓の前に仁王立ちしていた。先ほどまでの門弟たちと違い、今度は自分が猟兵たちに取り囲まれることになろうというのに、まったく気負う様子もない。そこにあるのはただ、自身の拳法への圧倒的な自信だけであった。
 或いは、その傲慢さに脚を掬われることもあるだろう。だが、圧倒的強敵であることは間違いない。猟兵たちよ、心して挑め!
【受付期間:2021/04/11 08:31 〜 2021/04/12 23:59】
 ※現在諸事情によりリプレイ執筆に遅れが生じております。完成し次第順次速やかに返却していく予定ですので、プレイング失効時にお心変わりのないようでしたらそのまま再送をいただけますと幸いです。
 ※なお、なるべく多くの方のプレイングを採用できるよう努力いたしますが、再送いただきましたプレイング全てについてリプレイをお約束できるわけではない点のみご了承ください。
アニカ・エドフェルト
(可能であれば△)

さて、この世界の戦闘も、麻雀も、少しは味わうこと、出来ましたし、
後は、最後の総仕上げ、ですっ

とはいえ、開祖さん相手には、麻雀は、ぼこぼこに、されちゃいそう、ですね。(こっちの描写は簡潔でOK)
大分、不利な状況での、戦闘に、なっちゃいますが…
やれるだけのことは、やります。

運が、ないならば、リズムを、取られるわけには、行きません、ね。
UCで、ヒット&アウェイで、一方的に、出来るように、試みます、が…
こう、徐々に、壁際に、追いやられて、絶体絶命に…
ここから、巻き返せるかは、“運”次第、ですねっ
(負けても体力が削れればそれでよし)

(全体成功なら個人敗北可です)



 アニカ・エドフェルトの敗北は当然の事であった。なにせ、今日初めて麻雀に触れたばかり。彼女本人はいたって素直で読みみ合いが得意という性質でもない。それに加えて、門弟たちとの戦いにおいては絡め手で己を支えてくれた仲間の助けもなく、敵の首魁と戦ったのだから。
「ぬるい、ぬるいわ! 我が力見せ付けるには圧倒的に足りぬ!」
 不満げな顔で開祖が雀卓に拳を叩きつけると、豆腐でも叩いたかのように固い雀卓があっさりと潰れる。雀卓を介した衝撃波が、そして砕けた雀卓の破片や飛び散る牌が少女を襲うと、彼女はその場に倒れこむ。
「肩慣らしにもならなかったが……ええい、まだまだ強者はいる。どれ、次は……む!?」
 だが、雀卓が砕けた拍子に宙に散った点棒を無造作に握るとトドメと言わんばかりに放り投げ、次の敵を探さんとした開祖の顔は、直後、驚愕に歪むことになる。

 そう、彼女が敗れたのは、麻雀だけの話である。そして、この場における勝敗は、麻雀によってではなく、ただ純粋にオブリビオンを撃退するか、否か。
「わたしは、まだ……」
 ――アニカ・エドフェルトは、まだ、負けていない。

 それからの攻防は、瞬きをする間もないようなものであった。自分に向かって投じられた点棒をアニカが弾き返すが、古き英傑がその丸太のような腕を一振りすれば、軽々と点棒は飛び散ってしまう。だが、投じた点棒を目くらましとするようにいつの間にか懐に潜り込んでいたアニカが、華奢ながらも全体重を乗せた飛び蹴りを放つ。足元に大きな衝撃を受けたオブリビオンは体勢を崩すも、即座に彼女に掴み掛り動きを止めようとする。だが、それを待つはずもない。蹴りの衝撃を利用するようにして跳び、そのまま彼女がオラトリオたる証、純白の翼を利用して姿勢を制御。敵の攻撃を掻い潜るように至近距離を高速飛行すると、今度は人体の構造上絶対の隙となる、背中に飛翔の速度を乗せた蹴りを叩きこんだ。

 巨体の格闘家を、小兵が高速戦闘による撹乱で翻弄する。それは理想的ともいえる試合運びであったが、いかんせん、オブリビオンのタフネス、そしてパワーは圧倒的であった。当たらなければいい、と言わんばかりにヒット&アウェイの高速戦闘を行ったアニカであったが、ここに来て、不運なことに飛び散っていた雀卓の残骸に足を取られ、体勢を崩してしまう。そう、麻雀戦により敵に運気が流れた結果が、ここに来て現れたのだ。
 一度体勢を崩せば、後は開祖の重く鋭い一撃を受け、軽々と吹き飛ばされるのみ。
「侮ったことを謝罪しよう。お主は我が暗黒殺人麻雀拳の力を見せ付けるに相応しい相手であった! だが、勝ったのはこの儂よ! グワッハッハ!」
「やれる。だけの、ことは、やりました。……でも、やっぱり、少しだけ、悔しいかも、ですけど」
 己の力を振り絞って軽くない手傷を負わせたことは満足しながらも、しかし、呵々大笑する英傑に少しばかり悔しさの色を滲ませて、少女格闘家はその場に倒れ伏すのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

檜・つのん

麻雀を殺人の道具にするなんて許せないよ!
麻雀で奪っていいのは有り金だけなんだ☆
お金を置いてとっとと封神台に還るのだ!

君の牌も殺人拳の道具にされて泣いているじゃないか……
つのんは(自称)麻雀精霊だから分かるのだ
そんな悪党に牌は決して微笑まないと!
牌は友達♪「バトルキャラクターズ」!
麻雀牌のキャラクターを召喚するよ
みんなで合体して役をつくってちょうだい!
五五 六七八 六七八 六七八 555
ツモ、タンヤオ!
これが本物の麻雀だよ!
さぁお金を払うのだー♪
え?これはタンヤオじゃなく四暗刻?
……こ、今回はまけといてやったのだ、わははは!



 やはり、暗黒殺人麻雀拳の打倒のためには、まずは麻雀を攻略する必要がある。そこで立ち上がったのが彼女であった。
「麻雀を殺人の道具にするなんて許せないよ! 麻雀で奪っていいのは有り金だけなんだ☆」
 そう、自称麻雀精霊、檜・つのんその人である。
「お金を置いてとっとと封神台に還るのだ!」
「グワッハッハ! 麻雀の精霊を名乗るとは。面白い! つまりお主を倒せば、儂は麻雀そのものを従えたということだ!」

 さて、かくして意気揚々と対局に望んだつのんであったがご存知の通り彼女は麻雀精霊を名乗ってはいるものの、麻雀の腕前はへっぽこと言って差し支えない。そんな彼女も、恐るべきオブリビオンとの大一番を前にすれば隠された力で大活躍――。
「ぐ、ぐぬぬデス……!」
「フン、麻雀精霊と聞いて意気込んでみれば、随分な拍子抜けよのう!」
 などということもなく、大苦戦であった。そもそも、麻雀の腕前では彼に大きく劣るはずの門弟僵尸たちに苦戦していたのだから、その師範たる英傑に挑めばこうなるのも無理からぬことであろう。
「や、やれやれ……。本気を見たいようデスね……」
 だが、ここで諦めるつのんではなかった。何せ、今日の敵はオブリビオン。普段の賭け麻雀で散々痛い目を合わされている仇敵たちとは違い、思う存分ユーベルコードを使っていい相手なのである!
「牌の声を聞いてごらん。君の牌も殺人拳の道具にされて泣いているじゃないか」
 先ほどまで涙声になっていたのは彼女自身であるが。そんなことは重要ではないのだ。三暗刻で自分の点棒をごっそり奪っていったばかりの上がり牌を指して諭す様に語るつのん。
「つのんは麻雀精霊だから分かるのだ。そんな悪党に牌は決して微笑まないと! 教えてあげるよ――牌は友達♪」
 ぱちん、とつのんが指を鳴らせば、それを合図として、小さな電子精霊たちが続々と雀卓の上に現れる。四角い胴体に直接手が生え、愛嬌のある顔が描かれたようなそのキャラクターたちは――そう、麻雀牌をデフォルメしたような姿をしていた。
 一人一人に一筒や一萬の書かれた麻雀牌型のキャラクターが大量に召喚される。同時に呼び出せる数は現在の彼女で最大60体ほどといったところ。このままでは一の牌が大量に存在するだけだが――。
「さあ、みんなで合体して役をつくってちょうだい!」
 その号令とともに、筒子どうし、萬子どうしの精霊たちが合体していき、合体した精霊たちが次々とつのんの前に整列していく。
 整列が完了したとき、彼女は高らかに指をかかげて、アガリを告げた。
「――ツモ!」

│二│三│四│二│三│四│二│三│四│5│5│5│伍│|伍| 
│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│筒│筒│筒│萬│|萬|
「   タ   ン   ヤ   オ   !」

 ――麻雀は原則、得点計算は自己申告が大前提。例えアガリ役を安く間違えたとしても、よっぽど優しい同卓者が気付いて助言でもしてくれない限り、救済はない。例え、四暗刻をタンヤオと間違えたとしても。
 だが、彼女が確かに役をアガり、暗黒殺人麻雀拳開祖にダメージを与えたことには違いがないのだ。その得点に数万点の差があるとしても!

成功 🔵​🔵​🔴​

プレゼナ・ハイデッカー
成程、これは相当の強者ですね。武術においても、麻雀においても。
――ですが。ここまでの戦いで見えましたよ。暗黒殺人麻雀拳の弱点。

まずは麻雀で勝負を。敢えて危険牌を積極的に放り込み、敵が和了ろうとする瞬間を狙います。
そして和了らんとした処を狙い――雀卓をひっくり返します。

これが、暗黒殺人麻雀拳の弱点。
――そもそも「相手が麻雀に応じてくれなければ真価を発揮できない」。
故にこそ、現在伝わっている通り、仲間との間で麻雀を打つ程度のものへと変化していったのでしょう。

後は純粋な格闘勝負。
敵の拳を【受け流し】、【カウンター】にて奥義「燕」を撃ち込みます。



(成程、これは相当の強者ですね。武術においても、麻雀においても)
 同じ格闘家として、英傑の放つ闘気から、そして先んじて拳を交えた仲間たちの戦いから、相手の力量を過不足なく読み取ったプレゼナ・ハイデッカー。彼女の頬を、うっすらと冷や汗が走る。
「――ですが。ここまでの戦いで見えましたよ。暗黒殺人麻雀拳の弱点」
 だが、彼女の表情に恐れはなく、敵を見据えて小さく呟くと、仲間を退けた敵の待つ雀卓へと足を踏み出した。

 卓を囲むのはプレゼナと麻雀拳開祖、そして彼によって呼び出された僵尸兵が2体。しかし、こと拳を交える段に至ればともかく、麻雀の段階では配下と共謀して相手を嵌めようとするような敵ではないらしく、実質4人は対等に戦っていた。
「ほう、なかなか冷静な打牌、それでいていざという時の勝負度胸もある。筋がいいな。だが――」
 麻雀に不慣れであるとは思わせないほど、プレゼナは善戦していた。数合わせとはいえ十分な脅威になり得る僵尸たちをものともせずに、開祖に喰らいつく。
 だが、1対1と呼べる状況でなお、開祖の腕は圧倒的であった。
「悲しいかな、付け焼き刃の腕では儂には勝てん!」
 プレゼナが牌を河に捨てた直後、対面の英傑が動いた。プレゼナがその時切ったのは、鳴きや捨て牌によって順子の芽が潰えている牌。かなり安全に見えるが、開祖の捨て牌からは刻子の可能性が否定しきれない、警戒して然るべき牌。順子を優先して考えがちな、初心者の陥りやすい危険な打牌。
「ロ……」
 当然、ここで開祖が動く。このロンによってプレゼナの点棒に大ダメージが与えられると同時に、牌を雀卓に叩きつける衝撃によって攻撃を行い、そこから拳打に繋がる一手、そのはずであった。
「はぁっ!」
 だが、それを見てからでは到底間に合わない。敵が動くよりずっと前から準備していたとしか読めない速さで、プレゼナが反応する。両手を雀卓につき、拳法でよく鍛えられたその両腕で卓の端に力をかけ、僅かに浮いた脚に己の足を挟み込む。押し下げる腕と、跳ね上げる足。上下からかけられた力によって、雀卓は綺麗に一回転――そう、卓袱台返しならぬ、雀卓返しである。

「ほう、貴様――!」
 開祖が驚愕に目を見開く。勝負が決まる要の一瞬。その貴重な瞬間に勝負が強制中断されたことにより、極限まで練り上げられていた開祖の運気は霧散してしまった。
「ええ、これが、暗黒殺人麻雀拳の弱点」
 ――“相手が麻雀に応じてくれなければ真価を発揮できない”。これを証明するために、プレゼナはあえて、自身の不慣れさを逆手に取った危険な打牌で開祖を誘ったのである。
「故にこそ、現在伝わっている通り、仲間との間で麻雀を打つ程度のものへと変化していったのでしょう」

 そこからは、純粋な格闘勝負であった。最高潮に高まった運気で敵を粉砕するという真価を発揮できないと言えど、ひとつの拳法の開祖に至るまでに練り上げられた格闘技はプレゼナの練達を上回る。おまけに、麻雀においては数合わせと化していた僵尸兵も今度は追従して拳技を繰り出すとあれば、反撃にもなかなか転じられない。見た目に反して意外にも頑丈なプレゼナの霊衣にも傷がつき、普段にも増して煽情的な姿になりかねない所であった。
「存外に楽しませてもらった! この一撃にて、引導を渡してくれよう!」
(実力で劣り、数でも不利。ならばどうするか。――先ほどと同じ、ですね)
 渾身の拳打を、美しい純白の籠手で受け流す。勿論、その衝撃を完全に受け流すことはできず、傷を負ってしまうが、僅かに隙が生み出せれば十分であった。
「この一撃にて、砕け散りなさい!」
 攻撃に渾身の力を込めた、最大の隙。その瞬間に、最大のカウンターを決める。それこそが彼女の狙いだったのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リチャード・チェイス
◎【夢幻悪巧み】
――彼の者は伝説であった(荒野を進む人影のカット)
――悪を嗅ぎ分ける仮面に己が狂気を隠し(ティアーを拾うカット)
――退魔の霊獣と心を通わせ(熊五郎と戯れるカット)
――使用者の周りを滞空する、実体を持たないサイキックエナジーの光輪です(鹿が嘶く)
――今、世界の命運と共に(敵と人影が相対する)

敵の圧倒的物量の前に崩れ落ちるチーム悪巧み。
だが、そこに現れる希望……託される力、思い、正義。
(3人からサイキック的エナジー牌が放たれ天魔に集まる)

天元突破! 国士無双! 焼肉定食!
これが、夢幻にして無限! その名は、夢幻・天魔!
(第37話『死せる悪巧み、生ける天魔を走らす』)


ティアー・ロード
◎【夢幻悪巧み】②
「……」
へんじがない
ただのかめんのようだ……

【再起】
っく、酷い目にあった……(二章参照)
サイキックエナジーの節約で
真の姿から仮面に戻って地に伏せてるよ

「せめて生身のボディがあれば……」
機会を見て開祖に再度挑も……う?
……ん、誰かに拾われたか?

【降臨】
協力[夢幻・天魔(千の設定を持つ男・f00720)]
「……どこかで見た顔だな」
残念だが、贅沢は言えないか
「……いいだろう!手が足りたならばあとはアガるのみ!
真なる国士無双の時間だ!」
留め紐を腕へ巻き付けて装着
【刻印「真正真銘」】を使用!
私の意識と全能力を費やし、装着者のポテンシャルを解放するよ!
「さぁ、闇(厨二病)堕ちタイムだ!」


夢幻・天魔
◎【夢幻悪巧み】

フッ、我が『神聖救世麻雀拳』の奥義にて葬ってやろう
(千点棒の剣を手に、麻雀しながら戦闘を仕掛けるも、反撃を受けて苦戦)

ククク……調子に乗るのもそこまでだ
この剣はつまりリーチ!
そして……今ここに(悪巧み大三元の協力で)役は完成した!
『国士大三元無双!!』

『異世界での最強にして無敵なる伝説的な俺』が発動し
他のメンバーのユーベルコードとなんかいい感じに合体
光輝く最強無敵の無双モード突入

フハハハハハハ!!
これこそが我が最終奥義!
神聖なる輝きの前に、滅び去るがいい!
(その必殺技は炸裂する閃光、浄化……そして大爆発)

この地はここに、救世された……
(最後になんか格好付けたポーズを取る)


曾場八野・熊五郎
◎【夢幻悪巧み】
「ヘッヘッヘ……」(そこら辺の雀卓にマーキングする)
知恵をぶっ放したのでアホ犬になっている

賢くない動物になってるので僵尸兵から逃げ回ったり点棒を隠したり落ちてるティアーに砂かけたりする

「ゥウーン?バウッアウッ!」
合流した夢幻・天魔(f00720)の匂い嗅いだり顔を舐めまわす

「アウーン!」
UCを発動し、なんかいい感じに力を合わせるアレで天魔と畜生合体する

合体したことで生じた天魔の精神世界的なところから天満に力を貸す
(戦いながら餌食べて食べかすをこぼしたり、マーキングしたり換毛期で毛をまき散らしたりする)

戦闘後に分離する
「……はっ、我輩は一体何を?」



 ――麻雀拳の弱点は、麻雀によって運気を高めることが拳法の威力に直結しているため、まず麻雀において優勢に立たねば真価をはっきできないこと。ならば。
 ここに、相手のペースを乱すことにかけては天下無敵の者たちがいる。

「ゥー?」
「…………」
 へんじがない。ただのかめんのようだ……。

「ヘッヘッヘ……。ァウッ! ガウアゥッ!」
 追いかける僵尸兵から逃げ回り、ついでに雀卓にマーキングをするわ、転がってる燃えカスのような仮面に砂をかけるわ好き放題する馬鹿犬。

「私の伝説を聞きたいか。では、語るのである」
シャーマンズゴースト
 鹿。

 だが、そんな相手のペースを乱すことにかけては天下無敵の者たちは、今現在絶賛窮地に陥っていた!


「貴様らの脅威は十分にわかった。間が抜けているように見えて、その無軌道な戦い方が連鎖し爆発力を産む」
 門弟たちとの戦いを経て、チーム・悪巧みと称される彼ら3人(?)を脅威であると認識している暗黒殺人麻雀拳開祖は、故に彼らへの警戒は怠っていなかった。配下の僵尸兵を呼び出し、人の壁を作り出す。
 彼らがそれぞれ麻雀をきちんと相手をするとは考えづらいため、僵尸兵たちも完全な力は発揮しきれないが、それならば純粋なる戦闘力で圧殺すればいい。英傑は十分な分析を行い、適切な判断を下したと言えるだろう。
 だがそこに、先程までは彼らと連携していなかった、新たな要素が加われば。

 ――彼の者は伝説であった。

(せめて生身のボディがあれば……)
 真の姿である仮面の美少女の姿を解き、一部が焼けこげた姿で地面に力なく臥せっている純白の仮面、ティアー・ロード。遠巻きに取り囲みつつ、時々つついたりして様子を伺ってくる僵尸兵たちをどう蹴散らしたものかと思索するが、先程の戦いでサイキックエナジーをかなり消耗してしまった以上、1人で立ち向かうのは難しかった。
「フッ――苦戦しているようだな」
「君は……どこかで見た顔だな」
 そんな仮面を拾い上げる赤髪の青年。夢幻・天魔、幾度か戦場を共にした男だ。美少女じゃないから顔ははっきり覚えてないけどたぶんそう。
「ククッ、戦えるボディが欲しいのだろう? 俺は異世界にて意志ある仮面とともに数多の戦場を駆け抜けた経験があるぞ」
「できれば麗しき乙女に拾ってほしかったのだが……贅沢は言えないか」
 本音半分軽口半分のそんなことを言えるのは、僅かながら余裕が出てきたゆえだろうか。
「……いいだろう! 手が足りたならばあとはアガるのみ! 真なる国士無双の時間だ!」
 天魔が仮面を装着すれば、ティアーの声が高らかに響き、留め紐が天魔の腕に巻き付く。

 ――悪を嗅ぎ分ける仮面に己が狂気を隠し。

「ァウ、ワフッ、ワンワン!」
 己の知性を大小とする大技を放ったことで、賢い動物ならぬ賢くない動物と化したがゆえか、追いかけてくる僵尸兵たちのことを遊んでくれる親切な人たちだと思って楽し気に駆けまわる馬鹿犬。もとい曾場八野・熊五郎。
 すっかり警戒心をなくした彼は、このままだと自ずから僵尸兵たちの元に飛び込み、ボコボコにやられてしまうかもしれない。
「やれやれ、酷い有様だな。……いや、いつもの事か?」
「ほう、奴が貴様の同胞か。なるほど、知性を封印されてしまった聖獣にまた出会うこととなるとはな」
 だが、そこにやって来たのが天魔である。僵尸兵の元に駆けだそうとする熊五郎の前に彼が立ちふさがると、熊五郎は彼のもとに飛びついた。
「ゥウーン? バウッアウッ!」
「ふむ……? まさか貴様、かつて異世界で俺とともに戦った奴の相棒、その生まれ変わりだとでも……いや、そんなはずはない、か」
 仲間であるティアーの気配に反応したのか、あるいはなにかしら天魔に気に入る要素があったのか。熊五郎は嬉々として天魔に顔をこすりつけるわ、鼻をこすりつけてにおいを熱心に嗅ぐわ、顔を舐めまわすわやりたいほうだいである。
「貴様が奴の生まれ変わりでないとしても、ここで協力することに否やはあるまい。いくぞ、聖獣よ!」
「アウーン!」
 天魔が本人の考える一番格好いいポーズとともに勧誘の言葉をかければ、熊五郎は嬉々としてその背中に飛びついた。

 ――退魔の霊獣と心を通わせ。

「ここに最後のパーツがある、そうだな?」
「うむ、正直何がどうなってこなっているのかは私にもわからないが、このわけのわからなさは間違いなくヤツだ」
「ハフハフ、バウッ!」
 そこにあったのは、眩いまでの輝き。僵尸兵も近づくのを恐れるように遠巻きに取り囲むその光の渦に向かって、しかし天魔は怖れることなく歩みを進める。
「いいだろう。ならば俺とともに来い、光の中より来る漆黒の霊鹿よ!」
 天魔が光の渦の中心に向かって腕を差し出しながら呼べば、どこからか響いた鹿の嘶きとともに、光の渦は光輪となって天魔の周囲を旋回し始めた。

 ――リングスラッシャー:使用者の周りを滞空する、実体を持たないサイキックエナジーの光輪です。

「ほう、まさか新たなる仲間の助けを借りて、再び合流して見せるとはな」
「ククッ、覚えておくといい。窮地には謎の暗黒騎士が現れその危機を救うもの。そう、俺のことだ」
 どこか面白がるような開祖の前に立ち向かい、自身に満ち溢れた勝気な表情を浮かべる天魔。
「グワッハッハ! よく吠える。だが、そんな口は我が猛攻を凌ぎ切ってから言って見せるのだな!」

 ――今、世界の命運と共に。

 だが、彼らが合流したということは、悪巧み一行を分散させるために散らばっていた僵尸兵たちもこの場に集うということ。開祖はさらに僵尸兵を呼び出し、更には己自身も配下に交じって攻撃を放つ。集ったとは言え四人の力がバラバラでは、この数の力に打ち勝つことはできない。
「ククク……調子に乗るのもそこまでだ。お前たち、準備はいいか?」
「いいだろう、さぁ、闇堕ちタイムだ! コードセレクト、ザ・ワン!」
「アオーン!」
 呼びかけとともに、仮面の赤い瞳が、犬とその背に負われた鮭が光り輝き、そして周囲を旋回する光輪が、鹿の幻影を形作り瞬く。光り輝くサイキックエナジーが天魔へと流れ込んでいくのだ。

 ――敵の圧倒的物量の前に崩れ落ちるチーム悪巧み。だが、そこに現れる希望……託される力、思い、正義。

「今ここに役は完成した! ゆくぞ!」
『国士大三元無双!!』
 天魔とティアー。そして何故か熊五郎とリチャードの声を重なって全員でそう叫ぶ。

 ――天元突破! 国士無双! 焼肉定食! これが、夢幻にして無限! 

 眩いまでの光が薄まると、そこに立っていたのは異様な、しかし或いは見方によっては神々しくも見える、ひとつの体に合身した猟兵たちであった。
 ただ被っただけでなく、完全に装着者と一体化した純白の仮面は、サイキックエナジーの放射によってその細部に至るまで刻まれた血喰刻印を紅く輝かせる。
 犬は背に負われたまま天魔の体に張り付き、さながら猛獣の毛皮を被って戦う古代の戦士が如き様相に。そして、鮭はといえば天魔の剣と融合し強靭なる剣と化した。
 そして、光の中から現れた影の大鹿は、異形の戦士をその背に乗せて駆け出していく。

 ――その名は、夢幻・天魔!

「フハハハハハハ! これこそが我が最終奥義! 神聖なる輝きの前に、滅び去るがいい!」
 鹿に騎乗した戦士が、突進のままに大剣(鮭)一閃。そして、それを合図とするように、光輪が、念動力が、一斉にオブリビオンを襲う。猛攻はたがいに衝撃を重ね合い、最終的に一か所に集中した強大なエネルギーは――。
 爆発を生む。

「この地はここに、救世された……」
 爆発を背に、格好つけたポーズを取る。天魔。その周囲には、彼と分離した仲間たちが疲労困憊といった様子で倒れ伏しているのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

玉ノ井・狐狛


やっとその気になったかい、開祖様よぅ

そんだけ自信があるなら、どうだい、ひとつ特殊ルールでも
なに、説明は一言で終わらァ――「打ちながら闘う」
聞くところによれば、もともとそういう技なんだろ、麻雀拳って?
▻挑発

牌の保持と操作をUCでこなしつつ、►纏女で直接戦闘
忙しいのは間違いねぇが、そこの互いに条件は同じだ
▻早業▻瞬間思考力

ま、開祖様がミスしたりはしないだろう
さっきアタシが言ったとおり、本来はこういう武術なんだろうし――

――そもそもこれは、囮なのさ

麻雀と戦闘で張り合ってる……と装いながら、隙を見て、使われてない卓から牌をちょろまかす
▻見切り▻盗み

ここまでサマをやらなかったのは、ここで嵌めるためだぜ



「ぐっ……してやられた! 練り上げた運気も霧散したか、また力を溜めなおさねば……!」
「へぇ、やる気じゃねえの、開祖様よぅ」
 爆炎から辛くも生還したオブリビオンだったが、麻雀によって運気を高め、その運気を戦いに活用するという戦法は破られてしまった。運気というのはもとより流動的な者。相手にペースを掴まれては、溜め込んだ運気も簡単に霧散してしまう。
 ゆえに、開祖が再度運気を招くために麻雀を試みようとするのは当然で、玉ノ井・狐狛がその瞬間を狙うのも当然であった。
「フン、丁度いい。お主を糧に体勢を立て直すとしよう! お主も勝負師なら否やはあるまい!」
「せっかちだなァ。受けて立つのは結構だが、そんだけ自信があるなら、どうだい、ひとつ特殊ルールでも」
 配下との戦いで、狐狛が麻雀を無視して戦う性質ではないと見た英傑は、卓に着く様に促す。だが、それを制止するように狐狛はぴんと指を立てた。
「言って見せよ。ルールとやらごと喰らってくれようぞ」
「なに、説明は一言で終わらァ――“打ちながら闘う”。それだけサ」
 に、と好戦的な笑みを浮かべて狐狛がいうと、ごう、突風が吹いた。いや、違う。そう感じさせるほど、オブリビオンの闘気が爆発的に増加したのだ。
「――ほう、面白い。麻雀拳の真髄、理解したうえでの事であろうな」
「承知の上さ。麻雀と拳法、交互に順番なんてお行儀いい形じゃなく、もともとそういう技なんだろ、麻雀拳ってのは?」
 闘気を纏ったまま、静かに問いかける言葉を涼やかに受け流して、狐狛は飄々と頷いて見せた。
「いいだろう。分かったうえでの言ならば――その誘い、死して後悔しないことよ!」
 今度は錯覚ではない。衝撃波をを伴って、轟音と共に切られた牌が雀卓を打つ。麻雀のための一挙一動自体をも、敵との戦いに組み込む。これが開祖の唱える真の麻雀拳の第一歩である。
 無論、それで終わるわけではない。次に己の自摸が来るまでの間をただ待つなど愚の骨頂。雀卓越しに鋭い連撃を放ち、時に大きく跳躍して蹴撃を放つ。これだけの超高速の攻撃を行ってなお、律義に己の自摸の際には立ち位置に戻っている。いや、麻雀をしているという形を貫くためには、それも必須なのかもしれない。
 高速の拳戟を繰り出しながらも、冷静に打牌を考え、相手の攻撃をさばきながらも、あくまで麻雀のために立ち位置すらも縛られる。これだけ高度な技巧が求められるとなれば、時代を経るにつれ廃れていくのも当然というものだ。
 これだけの高速での攻防の中、麻雀に集中しすぎては戦闘で不利になり、麻雀を疎かにすれば運気を奪われて結局負けに繋がる。麻雀拳開祖たる男は、己の生前にすらついてこれるものの少なかった麻雀拳の真髄の前に、眼前の女の敗北を確信していた。だが――。
「驚いてるねェ、悪くないぜ、もっとそのツラ、見せてくんな」
 恐るべきことに、狐狛は開祖の猛攻を凌いでいた。受け太刀に攻撃に、縦横無尽に振るわれるのは刀が攻撃を捌く。『纏女』の名を持つその刀は、刃渡二尺七寸という打刀としてはかなり長い刀身を持ちながらも、その取り回しの悪さなど感じさせないような速く鋭い動きでオブリビオンの豪拳を凌いでいた。
 だが、流石に片手で振るっては凌ぎ切れない剛力、ならばどうやって麻雀を打っているのか。それは、念動力の為せる業であった。妖狐持ち前の神通力で、念ずるのみで牌を動かす。とはいえ、念動力の名の通り、念じる必要がある以上、思考をそちらにも割く必要性が生じるわけで、格闘戦に麻雀にさらには念動力と、複数の思考を同時に処理する神業は、勝負師としての経験で鍛えられた彼女の高速思考力あってのものであった。
「良く凌いでる。思わず儂も昂る程だが……それだけでは勝てぬぞ!」
 麻雀拳の真髄と撃ち合える相手がいることに興奮しながらも、それでも勝ちへの確信は揺るがないというように告げる。
「おうとも。アンタがミスする事なんて鼻から期待していないぜ。だってこれは――」

 ――そもそもこれは、囮なのさ。
 囁くような声に驚愕の色を浮かべた開祖が、状況を把握しようと一瞬硬直した。だが、もう遅い。
「残念、ツモだ。……なんてな?」
 数え役満。だが、それだけの手牌を悠長に整えるのを、麻雀拳開祖が見逃していたはずがない。ならば、考える可能性は一つ。
「お主、謀ったな――!」
「なんだ、アタシが豪運で掴み取ったとは思っちゃくれないのかい? ま、その通りだけどな」
 普通の麻雀ではなく、打ちながら戦うことを提案した時点で、既に種は撒かれていたのだ。普通の麻雀であれば、当然敵の目は卓上に集中する。そんな中でイカサマをすることは困難だ。だが、戦っている最中なら。心身に負担のかかる高速戦闘なのはオブリビオンとて同じだ。そこに、イカサマの隙が生まれる。あるいは、麻雀拳の真髄を見せる相手がいたことへの昂揚。あるいは、蓄積された疲労。そういった原因もあったのかもしれない。
「――ここまでサマをやらなかったのは、ここで嵌めるためだぜ」
 ともあれ、結果として残ったのは、数え役満を完成されたことで、完全に運気がオブリビオンの元から離れていったという事実だけである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

堆沙坑・娘娘
好きなだけ運気を高めるがいい。
暗黒も、運気も、天地の理でさえも…私のパイルバンカーは、その全てを貫く。
否、貫けなくてはならない…故に、勝負。

全ての闘気をパイルバンカーに。そして雀卓ごと貫く【貫通攻撃】。

雷霆の如く踏み込み、貫く。

この道場で利用できるものなんて雀卓ぐらいのものでしょう。
それごと貫きます。
そして私が麻雀に付き合わない行動を取ることなんて、これまでの流れから相手は分かりきってるでしょうから、私は私にできる最速の技で挑みます。武器や鎧で防いできたとしても纏めて貫いてみせます。

暗黒殺人麻雀拳…確かにこの身に刻み込み、私の血肉としました。

いずれ黄泉にて再戦願います…では、再见。



「……フン、お主が儂の最後の敵か」
「運気を奪われ、重い傷を負い。そしてなお、この威容ですか」
 満身創痍となった雀鬼は、その巨体で雀卓を前に仁王立ちし、精神統一するかのように静かに卓に向き合っていた。ともすれば清廉ささえ感じさせるようなその姿に、流派は違えど同じく拳法を極めんとする堆沙坑・娘娘は、尊敬とも呼べる感情を抱いた。
 だが、尊敬を抱いたとしても、いや、抱いたからこそ、乗り越えねばならない。全てを貫く、それこそがパイルバンカーの道ゆえに。

「パイルバンカー神仙拳伝承者、堆沙坑娘娘」
「名などとうにない。麻雀拳、開祖」
 片や点棒と牌を手に、片やパイルバンカーと一体化した手で、拱手を交わす。それが、開戦の狼煙であった。麻雀拳開祖が繰り出すのは高速の打牌。配下の僵尸兵も壊滅し、娘娘も付き合わない以上、それは麻雀というよりは半ば一人遊びめいた光景であったが、麻雀拳にとって運気を高める一種の儀式と化している工程を踏んだ以上、娘娘は不戦敗とみなされ、麻雀拳開祖の元には運気が集い、高まっていく。
 勿論、娘娘が麻雀に付き合わないことも、英傑にとっては想定の内である。麻雀を打ちながら、点棒で、牌で、時に拳圧で、娘娘に攻撃を行う。
 だが、娘娘は避けない。勿論、手傷を負うことをよしとしているわけではない。だが、己の大振りな得物では迎撃には不向き。そして、回避運動などを行うよりも、その足を向けるべき場所を彼女は理解していた。

 パイルバンカーとは何か。そう、打ち、貫き、砕くものだ。ただ一点に、ただ高速で、破砕する。それがパイルバンカーなのだ。
 敵の攻撃を浴び、血を流しながらも、瞳はただ敵を見据え、その全身に気を巡らせる。その集中が最高潮までに高まった時――。

 そこに、雷霆が迸った。

 瞬きよりもなお早く。雷としか思えないほどの高速で、瞬時に敵に肉薄し。肉薄したことに気付いたと思ったときには、既に杭は打たれている。
 ただ一点を貫くことに費やされたパイルバンカーの穿孔力の前では、あらゆる護りは役割を為さない。練り上げられた筋肉も、進路上の雀卓も、そして、蓄えられた運気さえも。足を滑らせる、打ちどころを漏らす、本来起き得たあらゆる不運を、正面突破で捻じ伏せて。
 放たれた杭は、オブリビオンを貫いた。

「暗黒殺人麻雀拳…確かにこの身に刻み込み、私の血肉としました」
「グワッ、ハッ……ハ。見事、いや見事。おしむらくは……麻雀拳、極めるに至らなんだこと、のみ、か……」
 崩れ落ち、ゆっくりと封神台へとその姿を消しつつある英傑に、娘娘は再び、先程よりも幾分畏まった拱手を向けた。
「パイルバンカー神仙拳、その名、確かに覚えた、ぞ……」
「いずれ黄泉にて再戦願います…では、再见」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月24日


挿絵イラスト