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果たせぬ金緑石の願い

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #チーフメイド・アレキサンドライト #エルフ

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●宝石の遺したねがいごと
 エルフの森にある聖なる木。天上界への鍵になるであろう、世界樹の分け木。
 それこそが異世界から来訪した、彼の女が望んだもの。
 願い事を叶えると言うそのドラゴンが拾ったのは、そんな想いのひとかけら。

 果たせなかったその望み、ぼくが叶えてあげよう――。

●炎の虎と、流星の竜
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に、梟別・玲頼(風詠の琥珀・f28577)は軽く肩を竦めて告げた。
「……またエルフの森が燃やされる」
 またかよ、と言う声が聞こえるのも無理は無い。報告によると、既に通算三十回はエルフの森が燃やされている……らしい。あの世界温暖化させる気か。
 首謀者である猟書家幹部が撃破されたにも関わらず、その遺志を継ぐオブリビオンによって、その目的である世界樹の分け株を狙う輩が尽きない――と言う事なのだが。
「今回の敵は炎の精霊を率いてやって来るぜ。存在するだけで冬枯れした草木なんかは一溜まりもねぇな」
 虎の様な姿をした精霊達は森を焼き尽くし、その上で燃え残るであろう世界樹の分け株を炙り出そうとするだろうが。
「地元のエルフに協力仰ぐとかしてさ。水辺に誘い込むなり、地の利はあるだろうし」
 幸い、事情を説明すればエルフ達はすんなりと理解してくれるので話は早い。森自体もエルフの魔力により迷いの森となっているので、敵を誘き寄せたりしやすい状況でもある。
「炎の精霊を退けたら、願いを叶えるというドラゴン――のオブリビオンが現れる」
 本来は人々の願いを叶える流星を操る吉兆の存在だったと言うが、今はオブリビオンの悪しき願いを受け叶える厄介な存在。そいつがどうもあのチーフメイドの願いを拾ってしまったが為に起こした行動らしい。
「森もエルフ達もがっつり守って来てくれ。頼んだぜ?」
 玲頼はそう告げ、転移の光を描いて猟兵達を導くのだった。


天宮朱那
 天宮です。
 上様がエルフの森燃やしすぎと言うので数えたら思いの外多かった。うわぉ。
 4月期集計に向けてのゆっくり運営予定。

 猟書家シナリオです。プレイングボーナスは「エルフ達と協力し、共に戦う」
 到着段階で森は精霊の襲撃で燃え始めてます。

 一章は集団戦。炎の精霊なので木々に触れるだけで燃えそう。その代わり水属性や地属性に弱いです。エルフ達の協力を得て、有利な地形に誘き寄せる事は可能。何せ迷いの森なので。早く倒せば被害も抑えられます。
 二章はボス戦。猟書家幹部の遺志を受けたドラゴンとのバトル。
 エルフ達は主に弓矢などの狩猟道具を用いた援護はしてくれますが、戦力としては大きく期待は出来ません。

 複数合わせは迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載を。最大3人組まで。
 技能の『』【】等のカッコ書きは不要。技能名の羅列は描写がシンプルになります。

 公開と同時にプレイングは受付開始。
 マスターページやTwitterなどでも随時告知をしますので宜しくお願いします。
 適度に人数集まったら〆切目安の告知予定。
 使えそうだったらサポートもお願いするかもです。
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第1章 集団戦 『炎の精霊』

POW   :    炎の身体
【燃え盛る身体】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に炎の傷跡が刻まれ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    空駆け
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    火喰い
予め【炎や高熱を吸収する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。

イラスト:白狼印けい

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 森の中を獣が駆け抜ける。
 それはその身に焔を纏い、触れたもの全てを焼き尽くす炎の化身。
『ゥギャァァォォンッ!!』
 猛虎の形をした荒ぶりし精霊は、悪意をもその身に宿し、森を征く。

 全ては竜の為、望み叶えるが為。
 その望みとは――世界樹の分け樹、聖なる樹を燻し出す事なのだ。
ルフトフェール・ルミナ
きみ、エルフの森を燃やし尽くすつもりなんだね。
退けといっても、退かないのだろうね?
きみの炎、さも嬉しそうに踊っているよ。

エルフの皆に、泉や川など水場を教えてもらい、そこで戦おうと思うよ。
僕は、魔術『大いなる冬』で炎の精霊の周囲に氷嵐を起こして、動きを止める。
氷嵐が行動阻害やパワーダウンに繋がれば、なお良いのだけど……。
攻撃は、基本、他の攻撃寄りの猟兵の人達に任せようと思う。
僕一人ならば地属性の魔術で対抗するね。地から伸びた槍……地槍の術で、その場に縫い付けてみたい。移動を封じて延焼を少しは抑えられるかも?
防御面は、一応服に耐火術を仕込んでる。あとは仕掛けられたら魔法盾で弾き返しを狙うよ。



 森の中を炎が駆ける。
 冬枯れした草木に燃え盛る身が触れれば、そこから火の手があがる。
 獰猛で荒々しい気性を持つ炎の精霊達は猛虎の姿を象り、悪しき意思によって緑を紅く染めんと吼え続ける。
「きみたち、エルフの森を燃やし尽くすつもりなんだね」
『ガアァァッ!!』
 糸の様な目を更に細め、ルフトフェール・ルミナ(空を駆ける風・f08308)が問いかけながら炎虎の前に現れれば、それに対する返答は一つの咆吼のみだ。
「退けといっても、退かないのだろうね? ――きみの炎、さも嬉しそうに踊っているよ」
 そう、ルフトフェールの目にはまるで炎虎達は暴れる事へ歓喜を覚えるかの様に、その揺れる炎は躍り昂ぶって見えた。
「――おっと」
 炎の爪がルフトフェールに向かって繰り出されるのを大きく身を退いて回避する。幸い相手の動きは大雑把で読みやすい。楽しそうだね、と呟いたのは皮肉もあるだろうか。
「さぁこっちにおいで、ノロマな虎くん達」
『グオォォ!!』
 炎虎からわざと距離を離し、逃げる様に見せかけて軽く挑発してやればホイホイついてくる。精霊の類は難しい思考とは無縁。たまに飛んでくる火球や炎の爪は魔法盾を展開して弾く。服に炎が触れても自身が炎上しないように耐火の術は施してある。
「さて、頃合いかな……?」
 茂みを突っ切り抜ければ炎虎達もそれに続き――そして明らかに精霊達に怯えの色が浮かぶ。そこは森の中に湧く泉であったのだから。
『ギギャアァっ!!』
「――三度の冬を経し世の吹雪、この世に阻めるものはなし」
 引き返そうとする炎虎達を突然の吹雪が襲う。大いなる冬の息吹が精霊達を捉え、炎すらも凍らせてそれらを大地に留める。
「さぁ、今のうちだよ!」
「「はい!!」」
 周囲に潜んでいたエルフ達が一斉に現れ、手にした木桶に入った水を炎虎にぶっかけて行けば氷の束縛は力を増し、逆に炎が徐々に小さく消えていく。
『ギギャアアァッ!!』
「ひっ!?」
「はいはい、あまり暴れないでねぇ」
 暴れる悪い子には追い打ちとばかりに地槍の術を放れば、大地よりタケノコのように伸びた槍が炎虎の真下からその腹部を貫いて完全にその場に縫い付けた。
「今のうちにやっつけちゃおう」
「ありがとうございます……!」
 エルフ達は感謝の言葉述べると、ルフトフェールも改めて彼らに礼を告げる。
「お礼を言うのは僕の方だよ。この場所を教えてくれただけじゃなく、消火にも携わって貰えるなんてね」
「炎の精霊ならば、水をこうしてかけるのが効果的ですから」
 しかしそれもルフトフェールの誘導と、動きを止める術があってこそ。
 残る炎虎を消火消滅させながら、森で燻る炎も完全に鎮火させるべく、彼らは水桶を手に駆け回るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シル・ウィンディア
人の故郷をほいほい簡単に燃やしに来るなーっ!
お帰りいただきますっ!

まずは、燃えている森をどうにかしないと…
右手で風精杖を構えて、水の属性攻撃の魔力誘導弾で消火活動
しつつ、腰部精霊電磁砲にも水属性を付与して
炎の精霊を攻撃だね

気を惹けたら、エルフさんたちに水辺やせめて木の少ないところへ誘導してもらうように立ち回り
攻撃は電磁砲と杖の誘導弾(水属性)の一斉発射で牽制攻撃

誘導出来たら…
ここからが本番だねっ!

空中機動で飛んでの空中戦
武器は光刃剣と精霊剣の二刀流に変更だね
水の属性を付与して切りかかるよ

敵の攻撃は第六感を信じ見切り回避

囲まれたら高速詠唱でエレメンタル・シューターっ!
木々に気を付けて撃つよ



 余りにも何度も燃やされるエルフの森に激おこなエルフの猟兵もまた多かった。
「人の故郷をほいほい簡単に燃やしに来るなーっ!」
 シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)もそんな猟兵エルフの一人。彼女は炎に包まれていく木々を見て険しい表情を浮かべていた。
 まずは燃えゆく森をどうにかせねば、と。右手に構えた風精杖を振り翳して水の魔力を解き放つ。魔力誘導弾として次々と炎は水によって打ち消され、木々は半焼前に消火されていく。
『ウガアァァ!!』
 そんな彼女の存在に気が付いたのか。虎の形をした炎の精霊達が牙を剥いてシルの方に集まってきた。
「森を燃やす不届き者にはお帰りいただきますっ!」
 腰に備えた精霊電磁砲の砲口を敵の炎虎に向けてぶっ放つ。その魔力砲弾もまた水の力を帯びたもの。炎の精霊を貫けば攻撃を受けたそれの火の勢いが弱まって行くのが見てとれた。
『グルル……』
『キシャアアァ!!』
「ほらほら、こっちだよっ!!」
 森の奥に誘導するシル。その先には先導してくれる地元のエルフ達が見える。
 ほいほいと付いてくる炎の精霊達。時々飛んでくる攻撃は電磁砲と杖から放つ誘導弾での水属性魔力を一斉発射する事で相殺しつつ牽制、を幾度か繰り返す。地元の同朋達まで敵の攻撃に晒す訳には行かない。
 やがて、突然森から抜けて開けた場所に辿り着く。
 流れる小川と広がる河原。そのせせらぎの音色に、追ってきた炎虎はビクッとその身を震わせたかに見えた。
(「ここからが本番だねっ!」)
 明らかに水に怯えた様にも見える炎虎。その隙にとシルはその身を浮かび上がらせながら一気に炎達に向けて斬りかかる。その両手の得物は、既に光刃剣と精霊剣の二振りに持ち替えてあった。
 付与する水の力は水辺を前に更に高まる。精霊剣を振り上げれば、水面より巻き上がった水がそのまま炎の精霊に刃となって突き刺さった。
『フゥゥッ……』
『ガアゥゥッ!!』
 次々に倒されていく炎虎。残る数匹は覚悟を決めたか捨て身でシルの四方を取り囲む様に布陣し、一気に彼女に向かって飛びかかるも――
「――我が声に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!」
 既にシルの詠唱は完了済み! 水の魔力弾は幾何学模様を空中に描き、逆に炎の虎を取り囲みながらもその身を貫き消滅させていく。
「この調子でどんどん行くよ!」
「おーっ!」
 地元のエルフに声をかければ気合いの入った返答。エルフの一人として、この森を守り抜くと心に誓うシルなのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
相手も諦めないね~
だからボクも何度だって守るよ!
だれかの故郷とても大切なモノだからね
とりあえず迷ったネコが暴れる前にエルフのみんなには相手を泉があるところまで誘導してもらいたいんです
そこをボクが飛び出して泉に相手を誘いこみます
そこに重力力場を張って泉から出られなくします
そうすれば奴らたちまち自滅します。
こんな綺麗な森を
住んでるヒト達の大切な故郷を
平気で踏みにじる奴らに情けはかけないよ!


豊水・晶
もうエルフの森って、その存在自体が可燃物みたいな感じになって来てますよね。

🔥エルフの森🔥

オブリビオン側もこれだけ燃やして見つからないのであれば方法を変えれば良いのに。まあ、こちらとしては侵攻方法が絞られるので、対処もしやすくて良いのですが。それにしても、良く燃えますよねぇ。

周囲は燃えていますし、敵も炎なので水を流してどちらも一緒に鎮火しましょうか。
延焼部分と敵を一緒に閉じ込めるように結界術を使用します。その後指定UC発動、範囲攻撃で一網打尽です。
アドリブや絡みなどは自由にしていただいて大丈夫です。



「もうエルフの森って、その存在自体が可燃物みたいな感じになって来てますよね……」
 豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)がぼそっと呟いた感想は、間違いは無いのだが余りにも酷いものだった。エルフ達泣いちゃう。
「相手も諦めないね~、それにしても」
 肩を竦めてニクロム・チタノ(反抗者・f32208)も呆れ顔でぼやけば、晶はその通りだと首を縦に振った。
「オブリビオン側も……これだけ燃やして見つからないのであれば、方法を変えれば良いのに」
 仰る通り――なのだが。問題はこの作戦を立案したどこぞのメイドが冥土……即ち骸の海に沈んで浮かび上がって来れなくなった以上、遺志を継ぐオブリビオンはその作戦を継続するしか無いのだろう、恐らく。
「こちらとしては侵攻方法が絞られるので対処もしやすくて良いのですが」
「ボクは何度だって守るよ! だれかの故郷――とても大切なモノだからね!」
 気合いたっぷりのニクロム。晶も同意しつつ、周囲を見渡しながら言う。
「それにしてもまぁ、良く燃えますよねぇ」
 そう、燃えているのである。既に彼女達の周囲の森は炎の精霊によって絶賛焼かれている最中なのである。
「まずはどちらも一緒に鎮火しましょうか」
 瑞玻璃剣を掲げれば、その水晶の如き刀身が纏いし水が溢れ出す。水に馴染み深き竜神である晶のその神威によって喚び出されるは激流たる水。
『ギャアァァォォッ!!??』
 水は敵精霊の身を象る炎を全て飲み込んでいく。そして木々を焼き尽くさんと燃える炎を消していく。敵を閉じ込める様に展開した結界の中に溢れる水は、木々の高い枝に延焼していた炎までも確実に鎮火していく。
 一帯がすっかり鎮火されれば晶が喚び出した水流も消え失せ、少々焦げた木々の森が残る。彼女の術に地元のエルフ達は感心しながらも警戒を怠らずに周囲を見回していれば。
「北西から更に群れが来てるぞ!」
 エルフ達の声が聞こえてくる。その言葉にニクロムは眉を潜め、近くにいたエルフの青年に声をかけた。
「とりあえず迷ったネコが暴れる前に――」
 その要請は、相手を泉のある場所に誘導すること。
「確か向こうに大きな泉があるな」
「じゃあ、そこに……!」
 エルフ達は声を上げて伝達し、その間にもニクロムは現地に向かって案内されるまま駆けだした。迎え撃つよりも出向いて倒した方が森の被害は間違い無く減るだろうから。
 弓矢に射かけられつつも暴れて炎を噴き出しながら駆ける炎虎。その先にニクロムは姿を見せ、そして叫ぶ。
「ほら、こっちだよ!」
『ウガァァッ!!』
 彼女に向かって襲いかかろうとする炎虎。だが、彼らは気付かない。
 ニクロムが飛び出した茂みの先には、泉が存在していたと言う事に。
 バシャァン!と水飛沫が上がる。ジュウッ!と炎が水に触れて消えゆく音が響く。
「逃がさないよ」
 重力の力場が炎の逃亡を阻止する。その燃える炎の一欠片すら彼女は逃がさない。
「こんな綺麗な森を、住んでるヒト達の大切な故郷を――」
 炎はあっと言う間に水の中に溶けて消えていくのを睨み付けながら、ニクロムはその重力を操る力を決して緩めない。
「平気で踏みにじる奴らに情けはかけないよ!」
 ジュッ……! 指先ほどの炎となった精霊達も、とうとう泉から脱出する事も叶わずに消え失せ、骸の海に再び戻っていったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エンティ・シェア
ルクアス(f31387)と

私を囮に使おうだなんていい度胸だね
まぁいいよ。乗ってあげる。その代わり、上手くおやりよ
ミスったら君の陛下にチクるから

ライオンライドで彼らと同じ目線で駆けてもらおうか
この獣、私はうまく扱えないから、「俺」に代わろう
ルクアスと話す時だけは私が応対するよ

エルフの連中には隠れてもらって、その位置まで誘き寄せる
数を率いていけりゃいいけど…まぁ我が身の安全第一で
対応できる数で行く
飛びついてくるなら、獣奏器で殴り飛ばす
音が鳴るから、見えなくても距離感ぐらい掴めるだろ

雨が降って、敵が弱ってくれるなら
加勢がてら、視界不良のエルフ向けにまた音を立てようか
敵はここだと、鳴らして、叩きつける


ルクアス・サラザール
エンティ(f00526)と

冬枯れの木立なら、雨が降れば地面を濡らすのも容易でしょう
シェイプ・オブ・ウォーターで雨を
炎も熱も、洗い流してやりますよ
その上で、エンティを囮にエルフの方々が配置している場所へ誘き寄せ
まさか炎の精霊が、深海に適応しているなどとは言いますまい
俺は得意なので、剣を片手に切り込みます
沢山いるなら弓矢での攻撃を頼りにしたい所
どうぞ俺の事は構わずに存分に放ってください
そういうのを掻い潜るのは得意ですよ。勇者ですから(謎の自信

あ、エンティが食われようが焼かれようが俺の知ったこっちゃないです
存分に役目を果たしてください
ほら、俺はいたいけな後輩なので
少しのミスくらいカバーしてくださいよ



 エルフの森に放たれし炎。あちらこちらで火の手があがるも、あちらこちらで消し止められていくのは立ち上る煙の色で良く解る。
 そしてこの周辺の木々が炎に包まれるのを前に、二人の男が軽く肩竦めた。
「エルフも災難だ。守護となる聖なる木が敵を呼び寄せる事になるだなんて」
「――冬枯れの木立なら、雨が降れば地面を濡らすのも容易でしょう」
 エンティ・シェア(欠片・f00526)の皮肉めいた呟きに耳を貸す事も無く、ルクアス・サラザール(忠臣ソーダ・f31387)はその手をすっと掲げる。
 サァッと森に降り注ぐは、ソーダ水の雨。
「へぇ……」
「炎も熱も、洗い流してやりますよ」
 ルクアスの言う通り、木々を燃やす炎は消えうせ、枝葉に邪魔されないまま雨粒は地面に落ちて周囲の環境を深海の如きものに変化させていく。
 集落から案内されてきたエルフの青年達も雨を降らせる術は初めて見たのか感心して声を上げ、空を見上げる様子が見てとれた。
「さて、エンティ。この辺りには件の炎虎もいないようですし。ちょっと行って誘き寄せて来てはいただけませんか」
「ほぉ……私を囮に使おうだなんていい度胸だね」
 腕を組んだまま、笑顔を向けたまま、エンティは軽く首を傾げた。その反応にルクアスもまた、わざとらしく肩を竦めて問う。
「別にイヤなら良いのですけど、ね?」
「まぁいいよ。乗ってあげる。その代わり、上手くおやりよ」
 ククッとエンティは含み笑いを見せ、そして一言付け足した。
「ミスったら君の陛下にチクるから」
「それはご親切にどうも」
 行ってらっしゃい、とルクアスは剣を抜いて戦いに備えながら返す。
 さて、とエンティは背を向けて一歩、二歩と未だ炎の香りがする方角に足を運び、そして立ち止まる。
「ったく――実際に囮になるのは俺なんだけどな」
 鬱陶しい前髪を掻き上げ、別人となったエンティはぼやいた。
 "私"から"俺"へ。荒事なんてものは得意な者に丸投げするに限る。
 だが文句を言うのは後。"俺"となったエンティは喚び出した黄金の獅子に跨がると、一気に森の向こうに駆け出す。何せこの獣は"私"の言う事は利かないのだ。

「まさか炎の精霊が、深海に適応しているなどとは――言いますまい」
 隠れ潜んでいるエルフ達を前に、ルクアスはそう告げる。
 エルフの狩人達はそこそこの人数が共に志願して付いてきてくれた。流石に猛獣相手に狩りをした事は無いと言うも、勇敢な者ばかりだ。
「ほら来ました。各位準備をお願いしますね」
 見ると先頭に黄金の獅子、そして後ろよりそれを追う幾匹もの朱き虎が向こうよりやってくる。
『ガオォォン!!』
「く、飛びついてくるなって!」
 襲いかかる炎の精霊に向けてエンティが杖を振るえば、しゃらんと音が鳴り響く。
 雨で視界不良であったとしても、この音がエルフ達の包囲網までの距離を示してくれる。
 エンティと獅子が駆け抜ける。その後を追って駆ける炎虎に、放たれた矢が雨霰と降り注ぎ、そこを掻い潜るルクアスの剣が滑る様に躍る様に喉笛を斬り裂いた。
『ッギャァッ!!?』
 ――どうぞ俺の事は構わずに。一瞬遠慮したエルフ達も、勇者だからと言うルクアスの謎の自負に押されて矢を射かけたのだが。成る程確かに聞こえるのは虎の悲鳴のみ。
 雨はまだ止まず。エルフに向かって襲いかかろうとする精霊も、エンティが騎乗する獅子がその爪で押さえ込み、彼の手にする杖がその射るべき場所を示せば幾本もの矢が虎を仕留めた。
 視界不良の混戦の中、鈴の音が響き、多くの矢が飛び交い、剣が止めを刺し続け。
 やがて雨が上がる。敵を殲滅させれば戦場は平穏な森に戻るのだった。

「流石に思ったよりも数が多かったかな。"俺"も肝を冷やしていたよ。あの虎達に食われて焼かれるのではないだろうかってね」
 "私"に戻ったエンティが口にした言葉、半分は冗談だが半分は事実。身体には軽い傷と火傷が少々。易々と死ぬつもりは無いけれども、全く無傷では済まない……と思わざるを得なかったのだから。
「ああ、エンティが食われようが焼かれようが俺の知ったこっちゃないです」
 存分に役目さえ果たしてくれればそれで良い。手をひらひら振って、からから笑って応えたルクアス。エンティはふふっと笑みを崩さないまま、そう、と一言だけ。
「"私"で良かったね。胸倉を掴んで殴られずに済んだのだから」
「ほら、俺はいたいけな後輩なのですし。少しのミスくらいカバーして――」
「少し、ならね?」
 次は無いよと微笑み告げるエンティ。頷き微笑むルクアス。
 その様子を見ていたエルフ達は後に語るのだ。迂闊に近づけない空気をこの二人より感じてならなかった、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『アストラム』

POW   :    ヴォーテクス・サテライト
【オブリビオンの願いを叶えたい】という願いを【自身を利用するオブリビオン】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
SPD   :    星辰集中
【睡眠】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
WIZ   :    ダスク・ティアーズ
【流れ星の群れ】を降らせる事で、戦場全体が【夢か悪夢】と同じ環境に変化する。[夢か悪夢]に適応した者の行動成功率が上昇する。

イラスト:音七香

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はピウ・アーヌストイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 炎の精霊が消え失せ、木々に放たれた炎は消える。
 一旦脅威は消えたかに見えたが――休む暇無く、次の脅威は姿を見せる。

 かつての彼は、願い叶える流れ星を操る存在。
 人々の願いを叶える吉兆の象徴。
 しかし過去と化し、堕ちた流星となった彼は。
 オブリビオンの悪しき願いを叶える凶兆の象徴。

 ――ぼくが、かなえてあげる。

 アレキサンドランドの、猟書家幹部の願い。
 エルフの森を焼き尽くそう。
 世界樹に連なる聖なる木を見つけ出し、天上界へと……!

 その願いが滑稽かどうかは解らぬ。
 だが間違い無いことはただ一つ。

 ――ぼくが見つけてあげる。
 ――――この森をもやして、せいなる木をさがしてあげる。

 星図を翼に浮かべたこの竜が、間違い無くこの森に危害を加える存在であること。
 アレキサンドライトの遺志を継ぐものなのだと言う事だ。
ルクアス・サラザール
エンティ(f00526)と

雰囲気どころか姿まで変わりましたか
面白い人ですね
ええ、貴方が先ほど受けた傷も勿論加算されます
ちゃんと先を見据えた囮依頼だったわけで…
あ、えぇ…?

さすがに傷を増やしてもらう気はなかったのですが
顔色も変えないとは、耐性がお強いようで
あぁ、ここまでお膳立てされたなら、勇者として努めねば
ブレイブソードで、攻撃を
エルフの皆様には身の安全を確保しつつ、遠巻きに射かけてもらいましょう
彼の姿を見せるのは…少々、気が引けます

何って…引いてるんです
自傷なんて、俺にはできませんから
…心配くらいは、してるんですよ、これでも
仕方がないので俺が手当でもしてあげましょう
お任せ下さい、勇者の嗜みです


エンティ・シェア
勇者さん(f31387)と

僕に、任せるんです?
エンティ、貴方彼と喋るのが面倒になりましたね
まぁ、いいですけど
僕の真の姿に化けて、鋒を構えて
貴方の技は、仲間の負傷が威力を増すのでしょう?
なら、丁度いい

告白を発動させた状態で
己の手を、足を、首を、鋒で切りつけます
視線は敵を捉えたまま
僕の傷を、倍にして与えます
僕が死なない程度に加減しますよ。ちゃんと
いい具合に力が溜まったなら、貴方も加勢してください

眠っている間に、安らかに逝けたらいいですね
でも、生憎とこの技、初使用でして
どの程度切れば死ぬか、分からないんですよね
ですので、申し訳ありません
どうぞ苦しんで、死んでください

…何ですか。その顔
…それは、どうも



 星の翼持つ竜の出現。こいつが黒幕だね、とエンティ・シェアは小さく呟き、そしてちらっと横に立つ男――ルクアス・サラザールを見て、一瞬思考を巡らせたかと思いきや。その表情をぱたりと替えそして大きく息を吐く。
「僕に、任せるんです?」
 ――エンティ、貴方彼と喋るのが面倒になりましたね? まぁ、いいですけど。
 目の前の男に聞かれない様に、"僕"は己の奥に引っ込んだ"私"にそう呟き。
 そしてその姿も赤髪が色を失って銀髪に、透き通った碧眼も濁った赤黒い瞳にと色を変えていく。
「雰囲気どころか姿まで変わりましたか――面白い人ですね」
「……どうも」
 それを見ていたルクアスが感心する様に呟くと、"僕"に文字通り身も心も変化したエンティは小さく応えた。そして己の得物であるナイフを手に取りながらこう尋ねる。
「貴方の技は、仲間の負傷が威力を増すのでしょう?」
「ええ、貴方が先ほど受けた傷も勿論加算されます。ちゃんと先を見据えた上での囮依頼だったわけで……」
「なら、丁度いい」
「あ、えぇ……?」
 余りにもあっさりした反応にルクアスは拍子抜けするしかなかった。せめて恨み言の一つや二つ聞かせてくれる事を期待していたのに。
 何か釈然としない思いを抱きつつも。彼はエンティは件の竜の前に立つ。

 ――なんでじゃまするの?
 ――ぼくは、しんじゃたあの女の人のねがいをかなえるだけなのに

 無垢な瞳を向けながら、星辰の力持つ竜はそう首を傾げた。
 そこにあるのはただの無邪気な悪でしかない。
「じゃあ、僕の願いも聞いてくれますか? それは――」
 エンティは手にした鋒の刃を自分に向け、そして何の躊躇いも無く己の太股に突き立てた。痛みに表情一つ変える事も無く、二度三度と彼は己の身を傷つける。
「あなたに死んでいただくことです」
 手を、足を、首を。視線はアストラムを捉えたまま離さずに。
 するとエンティが自傷した箇所から鱗が裂け、血が溢れ滲み出て、竜は堪らず悲鳴を上げる。
「さすがに傷を増やしてもらう気はなかったのですが」
 ルクアスは半分呆れた表情でエンティのその様子を見ていた。自傷によって相手の同じ箇所にダメージを与える力。呪いか何かの様だと思いつつ、その顔色すら変えずに黙々と自分を傷つけるエンティの姿に何を言えば良いか解らなかった。
「――耐性がお強いようで。しかしうっかり倒れたりしませんよね、あなた自身が」
「僕が死なない程度に加減しますよ。ちゃんと」
 ざくざくと食材でも切る様に応え、そして思い出した様に首傾げて問う。
「いい具合に力が溜まったなら、貴方も加勢してください」
「あぁ、ここまでお膳立てされたなら……勇者として努めねば」
 ルクアスは勇者の剣を携えて前に出る。
「勇者ルクアス、出る! エルフの皆々様は私の攻撃に合わせて矢を射かけられよ!」
 後方で待機しているエルフ達の意識を自分と敵に向ける様に彼は叫ぶ。勇者としての矜持を見せ、彼らにも勇気を与え――自傷を披露するエンティの姿が彼らの目に止まらぬ様に。
「生憎とこの技、初使用でして。どの程度切れば死ぬか、分からないんですよね」
 相変わらず、自分を斬り付ける事で相手をも切り刻むエンティは無表情に淡々とこんな恐ろしい事を口にする。
「ですので、申し訳ありません。どうぞ苦しんで、死んでください」
「その前にあなたが死にそうですし、カタ付けますよ私が」
 勇者が駆ける。その剣に帯びた力は仲間が受けた――今回は半分以上は本人自身で付けた――負傷の分を返すが如き、光の斬撃!
 一閃――エンティが帯びたダメージの総計に匹敵する威力が乗った刃が竜の身を斬り裂いた。
『――ギギャアアァァっッ!!?』
 アストラムは悲鳴を上げ、その翼を広げると彼らから逃げるように飛び立って行った。
「退きますか――まぁ良いでしょう。猟兵は他にもいますからね」
 剣を収め、ルクアスは改めてエンティを一瞥し。そしてわざとらしく肩を落として溜息をついてみせた。
「……何ですか、その顔」
「何って……引いてるんです。自傷なんて、俺には出来ませんから」
 そこまで言うと、ルクアスはつかつかと相手に近づき、ぼそっと小さく呟いた。
「……心配くらいは、してるんですよ、これでも」
「今、なんて?」
 聞き取れずに問うエンティに対し、ルクアスが告げた言葉は先とは違うもの。
「仕方がないので俺が手当でもしてあげましょう」
「……それは、どうも」
「お任せ下さい、勇者の嗜みです」
 素直では無い勇者は無茶をする仲間に対し、小さく微笑みを見せたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

豊水・晶
はぁ~。
何でもかんでも願いを聞き届けるなど言語道断。ただの都合の良い道具ですよ、これでは。
数多出てくる願いの全てを叶えていては、必ず矛盾が生じ、世界が壊れてしまいます。だから我々願いを叶えると言われる存在というのは、願ったものの願いが成就するように手助けを主とするのです。あくまで叶えるのは自分自身。願いを確実に叶える存在は、世界にあってはならないのです。だから、貴方にはここでもう一度堕ちて貰います。世界のために骸の海へ還りなさい。
指定UC発動 二回攻撃 神罰 切断を載せて攻撃します。
アドリブや絡みなどは自由にしていただいて大丈夫です。



 ――ねがいをかなえないと――あのひとのねがいを……

 猟兵達の攻撃を受け、その美しい鱗が傷付こうとも、星辰の竜はうわごとの様に心の声を伝えてくる。
「はぁ~……いや、これは……」
 そんな竜の思いに対し、豊水・晶は酷く呆れ果てた表情と共に大きな溜息吐き出した。
「――何でもかんでも願いを聞き届けるなど言語道断。ただの都合の良い道具ですよ、これでは」
 そんな晶は目の前のオブリビオンと同じく竜の眷属。竜神「豊泉晶場水分神」として人々の信仰をその身に集めてきた存在。
 だからこそ解るのだ、彼が全ての願い事を叶えようとする行いの危うさを。
 人々の数だけ望みがあり、願いと言うものが存在する。数多出てくる願いの全てを叶えていては、必ず矛盾が生じ……やがて世界が壊れてしまう。
「だから我々願いを叶えると言われる存在というのは、願ったものの願いが成就するように手助けを主とするのです」
 あくまでも叶えるのは自分自身。願いを叶える為の努力を惜しまぬ者に、神は助力を、加護を惜しまない。
 そうしてひとは強く生き、成長してきたのを晶は知っている。
 逆に全てが願うだけで叶うようになれば、他力本願が当たり前になれば、人々は努力する事すら忘れるだろう。成長する手立てをも失い、堕落の道を進むだけになるだろう。

「願いを確実に叶える存在は、世界にあってはならないのです」
 それはどの世界でも同じ。かつて、人々の願いを聞き届けてきた竜神は、悪しき願いをも叶える愚かな竜に厳しい視線を向けるのだ。
「だから、貴方にはここでもう一度堕ちて貰います」
 白龍が宙に舞う。その姿は実に神々しいものであったと森のエルフ達は後に語る。
 晶の手にした瑞玻璃剣が煌めき、彼女は超高速でアストラムに接近し、すれ違いざまに相手の身を立て続けに斬り裂いた。
『ギギャアァァッ!!?』
「世界のために――骸の海へ還りなさい」
 それこそが、堕ちた異界の竜へ手向けし竜神である女の――願い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シル・ウィンディア
綺麗なドラゴンだけど…
でも、森を焼くなら止めさせてもらうよ
みんなの笑顔の為にもね

さぁ、行きましょうかっ!

光刃剣と精霊剣を二刀流に構えて…
空を飛んでドラゴンへ向かっていくよ
すれ違いざまに、フェイントを交えた斬撃を繰り出していくけど
それだけで倒せないのは知っている

わたしの夢は…
この森を守り切って、この森の人たちを笑顔にすることだからっ!

だから、森を燃やす夢はお断りするね
仮に、世界樹を見つけるのが世界の為だとしても…
それで笑顔がなくなるなら、そんなの知ったことじゃないっ!

会話しつつも攻撃の手は緩めないけど…
本命は、魔力を限界まで溜めたエレメンタルスラッシュ!
わたしの全力もってけーっ!



 ――もりを、やかなくちゃ――
 ――――せいなるきを、みつけて、てんじょうかいへ――

 その羽ばたきすらも力を失いつつ、星辰の翼を有するドラゴン「アストラム」はその場の存在全てに聞こえるような心の声を発していた。
 元々は純粋無垢な存在だったのだろう。人々の願いを叶えることが彼の存在意義だったのだろう。過去の存在と成り果てて尚、その翼の皮膜に描かれた星図は美しく映える。
「綺麗なドラゴン、だけど……」
 シル・ウィンディアは歪んでしまった竜を見つめる。今、この竜が叶えようとしている願い事は悪しき願い。聖なる木を見つけ出す願い、その為にしようとした事は……。
「森を焼くなら、止めさせてもらうよ。みんなの笑顔の為にも、ね……!」
 エルフの同朋が住まうこの森。彼らの為にもシルは戦う!
「さぁ、行きましょうかっ!!」
 少女は両手に愛剣を携えて宙を駆ける。空を舞うドラゴンに向かって真っ直ぐ向かえば向こうもつぶらな瞳をシルに向けながらもその大きな爪を振るう。
 しかしシルの軌道は突如逸れ。フェイントで爪撃を空振りさせた所で剣撃をその胴体に繰り出していく。
『ギャアァッ!!』
 竜が悲鳴を上げる。手応えは充分。しかしそれだけで倒せない――シルはそれを把握していた。

 ――いたい、いたい――じゃま、しないで――!

 アストラムが天に吼えると流れ星の群れが降り注ぐ。夢や悪夢と同じ環境に場を変化させるその力は、彼が拾った願い事――この森を願いに応じて燃やそうと炎を噴き出させる。
「そうは、させない!」
 そんな夢は、悪夢は叶えさせるものかとシルは大きく叫ぶ。
「わたしの夢は……!」
 彼女の切なる強き願いが、アレキサンドライトの遺した悪しき願いを掻き消すように。
「この森を守り切って、この森の人たちを笑顔にすることだからっ!」
『――――!!』
 流星の光が変化する。悪しき炎噴き上げたそれは、白く優しく光り輝き、既に焼け焦げた森を元の通りに再生していくように見えた。

 ――きみのねがいのほうが、あのひとのねがいより、つよいの――?

「そうだよ。だから、森を燃やす夢はお断りするね」
 仮に、世界樹を見つけるのが世界の為だとしても、そこに住まうエルフが住処を失う結果になるのなら、それで笑顔が無くなるなら――そんなの知ったことじゃないっ!
「世界を司る精霊たちよ」
 左右に構えた剣を真正面で重ねれば、束ねた魔力と共に一つの大きな光のつるぎとなる。四大元素の力を限界まで籠め、シルは力強く地面を蹴ってアストラムに斬り付けた!

「わたしの全力――もってけぇーーっっ!!!」

 光が爆ぜるように、シルの放った精霊剣の斬撃がアストラムを捉え。
 真っ二つに斬り裂いた先、竜はそのまま星の輝きと共に散り姿失い消滅していき――骸の海に還っていったのだった。

「お陰で森は救われました」
 エルフの戦士達が猟兵達に礼を述べる。森の延焼も消し止められ、回復魔法を使えば焦げた木々も恐らく蘇るだろうと言う話に、シルは胸撫で下ろす。
「余所の同朋の森も同様に襲われたと聞くが……ふむ、聖なる木が目的とな」
 杖をついた長老が髭を撫でながら小さく頷き、そして告げた。
「もし聖なる木の力が今後必要ならば、我々は協力を惜しまぬ。いつでも言うて下され」
「長老様、ありがとうございますっ!」
 シルはその言葉に嬉しそうに笑み、そして森の皆の表情を見れば。
 そこには素敵な笑顔が沢山広がっていたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月12日


挿絵イラスト