7
春が来るまで眠らせて

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #レプ・ス・カム #フェアリー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ
🔒
#猟書家の侵攻
🔒
#猟書家
🔒
#レプ・ス・カム
🔒
#フェアリー


0




●春眠暁を覚えず
「はぁ~……もうやってらんない」
「あの、もしもーし?」
「うっさいなぁ、あたしは春が来るまでここで寝てるのよ。冬眠よ冬眠」
「あ、それなら私春ですよー? 花の魔法とか使えますよー?」
「やかましいわ! やる気が起きないうちは春とは言わないの! あー……お腹減った。そんじゃ使い魔ちゃん、ピザ買ってきて。お持ち帰り半額」
「だ、だめです! 私の許可がないと例え使い魔一匹たりとここから出られないんです!」
「じゃああんたが買ってきてよ。チーズめっちゃ乗ってるやつね」
「この人無茶苦茶すぎですぅ~!」

●春じゃなくてもやる気がなければ眠い
「という事件が起きています。猟書家の事件です」
 ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)を装備した花園・桃姫がそう告げる。
「場所はアックス&ウィザーズ。猟書家レプ・ス・カムの遺志を継いだオブリビオンが、彼女がやっていたようにフェアリーランドを不法占拠し、そこを悪夢の世界に変えてしまったそうです」
 最初に現れた26人のうちの一人であるレプ・ス・カム。フェアリーを狙った彼女自身は既に倒されたが、やはり多くのオブリビオンがその遺志を継ぎ、あるいは後釜を狙い同じ活動を続けている。
「今回は『『桜花祝杖』ケラスス』という杖が人の形を取ったオブリビオンが事件を起こしています」
 話を聞く限り、どうやらフェアリーランドを乗っ取り我が物顔で昼寝を……。
「あ、先に喋ってた方が被害者です」
 そっちか。
「彼女は冒険者なのですが、直前の冒険が失敗と言うかぬか喜びと言うか、まあちょっと不本意な結果に終わってしまったらしく、それでフェアリーランドに籠ってふて寝していたらしいのですが、そこに運悪くケラススが乗り込んできてしまったようで」
 不運なのは果たしてどっちだったのか。
「さっき言った通りケラススはこの世界を悪夢に変えてしまっているのですが、どういう悪夢かと言いますと……巨乳冒険の悪夢で」
 お前は何を言っているんだ。
「このフェアリーさんは貧乳なのを大変気にしているらしく、その悪夢として『巨乳冒険者募集』『巨乳モンスターの討伐』『巨乳商人の護衛』などなど巨乳絡みの冒険ばかり張り出される冒険者の店に世界を変えられてしまったそうです」
 なおケラススの名誉のために言っておくと、これは対象の意識に猟書家パワーが反応することで自動生成されたものであり、彼女が意図的に作り上げたものではない。……何で敵の名誉を守る必要があるんですか(正論)。
「なのでまず皆さんにはこの酒場で依頼を受けて片っ端から巨乳依頼を潰していって欲しいのです。悪夢の世界なだけあって普通の依頼とは異なり、依頼を受けると討伐依頼なら即ボス戦だったり、街探索ならいきなり怪しい人が店内に大量に現れたりします。店主なりお客なりに話を聞けば依頼は即受けられるので、好きな人に声をかけてください」
 ちなみに当然というかなんというか、客も店員も悪夢産NPCは全員巨乳女性である。
「全ての依頼を片しきったら店の二階でふて寝しているフェアリーと困っているケラススのいる部屋の扉が開きます。ここに乗り込んでケラススを倒してください」
 彼女は一応猟書家後継としての使命感があるため、困っていようと説得は通じない。戦って倒すしか手段はないだろう。
「ちなみに、この世界はフェアリーの悪夢が元になっているので、彼女に楽しいことを考えてやる気を出してもらえば世界全体が揺らぎ、ケラススの力もそれによって低下しますし、あわよくば加勢もしてくれるかもしれません。冒険依頼を受ける段階でも時折様子は見ていたりするので、色々アピールしてみるのもよろしいかと」
 貧乳を称える、巨乳は敵じゃないと分からせる、冒険者心をくすぐってみるなど自分に合わせて色々やってみるのがいいだろう。
「こんな調子ではありますが猟書家活動を看過することは出来ません。どうか皆様、フェアリーランドを解放してきてください」
 そう言ってミルケンは、猟兵たちを悪夢化したフェアリーランドへと送り出すのであった。
「……ところで、アックス&ウィザーズの猟書家ってアカリの担当じゃないんですか? まさか救出対象がピザ食べて寝ようとしてるから私が呼ばれたとかないですよね? 私そんなことしてませんよ!?」
 別に誰が何の担当とか厳密に決まってるわけでなし、むしろ敵に金色要素がなく桃色要素ありなため彼女の方が適任な気もするのだが、それを指摘する者は誰もいないままに桃姫は被害妄想に取りつかれわめき続けるのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。もうすぐ春ですね。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス(全章共通)……フェアリーに楽しいことを考えてもらう』

 第一章では色々な巨乳依頼を酒場で受けて解決してもらいます。どんな依頼をどう解決するかはご自由に。悪夢なだけあり依頼を受けると同時にクライマックスシーンとなり、ボス戦や容疑者探し、トラップ回避が始まります。悪い巨乳をぶちのめすも正しい巨乳を見せつけるもよし。もちろん貧乳への愛を叫ぶのもあり。酒場の方との交流も自由ですが、クリア後には消えてしまうゲームのNPC的な存在です。逆に依頼人や店員を悪者設定にした依頼に挑んでもOKです。その場合あえて依頼を失敗し巨乳もいいことばかりじゃない、的なネガティブ解決でもOK。

 第二章では『『桜花祝杖』ケラスス』とのボス戦です。ここではよりダイレクトにフェアリーに声をかけ、彼女にやる気を出させることができます。気持ちが上がってくれば戦闘にも協力してくれるので、是非元気づけてあげてください。

 以下、フェアリー詳細。

 プリン フェアリーのウィザード×シンフォニア(23)。
 本来元気よく快活な性格だが、直前の冒険(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=31141 読まなくても支障なし)で入手したお宝がぬか喜びの品だったため大分ふて腐れ気味。冒険者としては凄腕で、攻撃魔法と回復の魔曲を扱える。ただし【フェアリーランド】だけは使えない(そもそも戦場がその中のため)。なんだかんだ根は冒険者なので、未知だの宝だの栄光だのに最後は釣られる。パーティは現在一時解散中で各々傷心を癒しているとかなんとか。

 無事シナリオをクリアすれば、一本の「輝く鍵」が残されます。何に使うか分かりませんが、取っておいて損はないでしょう。

 最後に、分かると思いますがコミカル依頼です。とりあえず救出対象が死なないようにさえしておけばまあ大体何しても大丈夫なんじゃないでしょうか。

 それでは、目の覚めるプレイングをお待ちしています。
138




第1章 冒険 『冒険者集う依頼酒場』

POW   :    店主に話を聞いてみる

SPD   :    客に話を聞いてみる

WIZ   :    周囲の様子を観察してみる

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 グリモア猟兵によって転移されたフェアリーランドの中。そこはまさにファンタジー世界の冒険者の酒場、と言わんばかりの活気あふれる場所であった。
 だが、よく見てみればその場にいるのは店員、冒険者、依頼人の全てが巨乳女性。さらには壁に貼ってある依頼も『巨乳モンスター退治』『巨乳犯罪集団の調査』『巨乳キャラバンの護衛』など無理矢理巨乳を噛ませたような依頼ばかり。
 何しろここは貧乳に悩むフェアリーが見せられた悪夢の世界。事あるごとに乳がぶっこまれてくるのも致し方なきことなのだ。
 もちろん普通の依頼ではない。受けると同時にクライマックスシーン直行の超特急展開だ。
 悪夢に変えられたとはいえここは救出対象たるフェアリーの世界。ここで起きたことは二階に閉じこもっている彼女にも何らかの形で伝わり、その心に何かを呼び掛けることがきっとできるだろう。
 さあ、様々な形で巨乳を倒し、あるいは恐れを解き、ふて寝中のフェアリーに冒険心を取り戻させるのだ!
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
(酒場に並ぶ依頼を見て)
うわぁ、本当に巨乳依頼ばっかだね
とりあえず適当なのをクリアすればいいんじゃないかな?

(クエスト:巨乳美女で溢れるビーチに現れた巨乳ザメの大群!戦え冒険者!)
いくらサメが空飛んだり砂に潜ったり雪山に現れたり宇宙に行ったり首が生えたり悪魔合体したりしても、まだそこまでのニーズはないからね!?
ツッコミと共にウィーリィくんと一緒に熱線銃の【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で空飛ぶ巨乳ザメを撃ち落とし、【ワールド・タイフーン】で一網打尽だよ!

もう巨乳はこりごりだよー!(アイリスアウト)


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
A&Wは俺の生まれ育った世界だ。
酒場のシステムとかは勝手がわかるから俺に任せな。
(張り出されている巨乳依頼を見て)
違う! こんなの俺の知ってるA&Wじゃない!

ともあれ依頼を受けない事には話にならないので手頃なのを受ける。
(選んだのは巨乳鮫退治。敵は巨乳を揺さぶりながら宙を舞い襲いかかる鮫どもだ!)
ツッコミはシャーリーに任せ、ビーチの女性客(巨乳)の避難誘導をしながら【飢龍炎牙】で巨乳鮫どもを次々と撃破していく。

わかったか? 胸の大きさなんてもはや無関係なんだからな!?
(半ギレ気味にフェアリーに呼びかけつつ)



 フェアリーランドを改造された悪夢の世界。元となったフェアリーがアックス&ウィザーズの冒険者なこともあり、その世界は冒険者の酒場を模したような世界となっていた。木造の広い店内にいくつものテーブルが並び、その一つ一つに剣を携えた戦士や杖を持った魔法使いがついて酒をあおったり依頼人と話をしたりしている。
 一見すればどこが悪夢なのか分からないようなその場所に、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)とウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)の二人がまるで新たな冒険者かのように現れた。
「A&Wは俺の生まれ育った世界だ。酒場のシステムとかは勝手がわかるから俺に任せな」
 この世界の本来の主と同様アックス&ウィザーズ出身であるウィーリィが、勝手知ったる自分の世界とばかりに遠慮なく壁の依頼掲示板に目を走らせる。が。
「違う! こんなの俺の知ってるA&Wじゃない!」
 その依頼内容を見るにつけ叫ぶウィーリィ。何事かとシャーリーも彼の横から掲示板を覗き込む。
「うわぁ、本当に巨乳依頼ばっかだね」
 事前に聞いていたことではあったが、依頼の内容はとにかく巨乳、巨乳、巨乳。敵も巨乳、依頼人も巨乳、向かう先も巨乳とそこまでやる必要があるのかというくらいに巨乳尽くし。偏見とかでは済まないこの状況を見れば、地元民なら絶叫の一つもしたくなろうというものだろう。
 幸いにしてこちらはアックス&ウィザーズ出身ではないシャーリーは、若干引きはしているもののそれなりに冷静に状況に対応できている。
「とりあえず適当なのをクリアすればいいんじゃないかな?」
 そう言ってシャーリーが依頼書の一つを指さすと、突然風景が揺らぎ、二人は酒場とは全く違う場所へ放り出された。
 二人が放り出されたのは、ある意味ほんの少し前まで飽きる程見た光景。まるでグリードオーシャンを彷彿とさせる白い砂浜。もちろん海水浴客は全員水着から溢れんばかりの巨乳爆乳だらけ。
 そしてその女性たちを、大口を開けて大量の鮫が追い回していた。
 そしてこの世界の例に漏れず、その鮫もまた、巨乳であった。
「え……どんなの受けたんだ!?」
「えーと、『クエスト:巨乳美女で溢れるビーチに現れた巨乳ザメの大群! 戦え冒険者!』っていうの」
 たった一文字、巨乳ザメではなく巨大ザメでさえあれば割とありそうな依頼なのにその一文字のせいで何もかもが台無しである。そしてその巨乳ザメは、集団で宙を舞いながら巨乳美女たちを延々追い回している。
「すげぇな、鮫……」
「いくらサメが空飛んだり砂に潜ったり雪山に現れたり宇宙に行ったり首が生えたり悪魔合体したりしても、まだそこまでのニーズはないからね!?」
 なんだか巨乳よりとんでもないことを散々しているような気もするがどうなのだろうか。あるいは彼女(?)たちこそが鮫業界の新ジャンルのパイオニアなのかもしれない。
 ともあれ、ツッコミをシャーリーに任せつつ、ウィーリィは巨乳美女たちを避難誘導しながら飛翔する巨乳ザメの前に立ちはだかる。
「喰らい尽くせ、炎の顎!」
 【飢龍炎牙】の炎が鮫をあぶり、空中でのたうつように舞い脅させていく。もちろんそのたびに鮫の巨乳はぶるんぶるん揺れている。
「さぁ、世界サメ大戦の勃発だよ! まともな鮫を見せてあげる!」
 それに重ねるように、シャーリーも【ワールド・タイフーン】で鮫型のエネルギーの刃を叩きつけ、程よく焼けた鮫をそのまま手ごろなサイズにカットした。さらに続く後続の鮫も熱線銃を素早く連射し焼き鮫に変えていく。
 オブリビオンの力が入っているとはいえ元は非猟兵の作ったフェアリーランド。そこにいるクリーチャーもそれ相応の力しかないのか、鮫たちは割とあっさり乳を揺らしながら墜落し、胸を突き出した状態で倒れぴくぴくと痙攣している。
 人間がやればもしかしたらセクシーなスタイルかもしれないが、乳のついた鮫がやった所で出てくるのはせいぜい謎の笑いくらいだ。
「わかったか? 胸の大きさなんてもはや無関係なんだからな!?」
 そのスタイルを指さし、キレ気味に恐らくどこかで見ているのだろうフェアリーに呼びかけるウィーリィ。
 シャーリーも何か言おうとするが、そこにエネルギー鮫にいい感じに跳ね飛ばされた巨乳ザメが運悪く振ってきた。もちろん最もバランスが悪く重い乳から墜落し、その爆乳の下敷きになるシャーリー。
 そしてもぞもぞと体を動かし、その乳の下から何とか顔だけ出して。
「もう巨乳はこりごりだよー!」
 フェアリーに送る映像をアイリスアウトで締めくくるかの如く、天に向かって叫ぶのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
ああ、あのパーティの方ですかぁ。
その節はご愁傷様でしたぁ。

ということで、店主さんに『依頼』を尋ねたわけですが。
『儀式として「衣装(=巨乳サイズ)」を着用し、動物数頭分の肉を食べる』というものが有りましたので、此方を。
『本来複数名で行う儀式』『直前に食中毒等で担当者が壊滅』とのことですが、【豊饒限界】を使い[大食い]を強化すれば一人でも問題無いですぅ。

そして「衣装」に着替えたわけですが。
ええ、私の様なサイズで『ゆったりしたワンピース系の服』を着ると、かなり肥って見えるのですよねぇ。
更に、食事でお腹が膨れても、一定ラインを超えるまで胸が邪魔で見えないという問題が(遠い目)。



「ああ、あのパーティの方ですかぁ。その節はご愁傷様でしたぁ」
 今回の事件の被害者となったフェアリーの話を聞き、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が何かを思い出すようにそう言った。るこるは彼女がふて寝する原因となった冒険に関わったこともあり、こういった悪夢の世界が作られる理由にも思い当たる部分が多分にあった。
 なればこそ解決の道は見つけやすかろうと酒場の店主(もちろん爆乳)に依頼を尋ねると、とっておきの依頼として一つの話を紹介された。
「えぇと、『儀式として「衣装」を着用し、動物数頭分の肉を食べる』ですかぁ。私にぴったりですし、お受けしますねぇ」
 そう言って受領の意思を示すと、突如景色が揺らぎ、依頼の場と思しき屋外へとるこるは一瞬にして放り出されていた。
 目の前には食膳を模した祭壇のようなものがあり、その上には大量の肉が用意されている。流石に生ではないが、丁寧に料理されているわけではなく、大ぶりに切ったものをただ焼いただけ、という感じのいかにも儀式用と言った感じの巨大な焼肉である。
 そしてるこる自身の服も、いつの間にか別の衣装に変えられていた。
「なるほどこれが儀式用の衣装ですかぁ」
 それはシンプルな白いワンピース……と言うより物凄く丈の長いシャツのような貫頭衣と言った感じの衣装であった。
 そして周囲には儀式の巫女(当然巨乳)が多く侍り、よく分からない呪文や祈りを唱えつつ肉を切り出してるこるの前に持ってくる。
「そう言えば、なぜこういった儀式を部外者に頼んだので?」
 悪夢の世界の依頼に整合性を求めるのもおかしな話と思いつつ、その巫女に聞いてみるるこる。
「本来10人くらいでやる儀式なのですが、直前に食中毒等で担当者が壊滅したせいで悪評が立ち誰も来てくれなくなったのです」
 なんだか妙に生々しい理由を説明しつつ、前に肉の盛られた皿を置く巫女。その量は切りだされたとはいえ相当なものだ。
「大いなる豊饒の女神、《楽園の地》の豊かなる恵みと力をお貸しくださいませ」
 その肉を前に、【豊乳女神の加護・豊饒現界】を発動。大食い技能を強化してるこるは肉にかぶりついた。
 その味は焼いただけとシンプルながら割と良い味であり、悪夢の世界の割にいい肉を使っている感がある。その味のこともあり、相当な森であったその皿をあっという間にるこるは平らげるが、皿が空くと同時に即座に次の肉がその前に運ばれてきた。
 そしてそれもまた食べていくるこる。彼女の事満腹にはまだまだ程遠いが、それでも自分の腹が服の下でどんどん膨れ上がっていくのを感じていた。
「ええ、私の様なサイズで『ゆったりしたワンピース系の服』を着ると、かなり肥って見えるのですよねぇ」
 そう、現実には乳袋なんてものはなく、服は最も出っ張った部分に合わせて真っ直ぐ下に降りていくので傍目にはウェストもそこにあるように見えてしまうのだ。
「更に、食事でお腹が膨れても、一定ラインを超えるまで胸が邪魔で見えないという問題が」
 遠い目をしてさらに付け加えるるこる。彼女くらいのサイズになってしまうと、舌に目を向けても見えるのは自分の胸ばかり。もしそれを超えて見えるようになれば、それはもう取り返しのつかないレベルのとんでもない大きさということ。あるいはそれを隠すためのこの衣装なのかもしれない。膨れ上がっているのがよく見えるよう裸で……と言われないだけまだマシかもしれないが、どちらにせよ終わって脱いだ後が恐ろしい。
 フェアリーに聞こえるよう口に出してその不安を言いつつ、るこるは大量の肉を食べ続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
【恋華荘】
(私もどちらかと言えば巨乳の方が好きですが…)
ここは貧乳だって素晴らしいと、語りましょうとも!

巨乳な悪人退治の依頼を受け、貧乳を煽ってくる悪人に啖呵を切ります

「貧乳、いいじゃないですか。素晴らしいじゃないですか」
「手のひらで全て覆える小ぶりなサイズ、触れるとわずかな膨らみがぷにっとして、揉むには足りなくても撫でると確かに柔らかくて…」
…言い慣れないので、なんか変な事を口にしてる気もしますがっ

って、褒めてるはずなのに理緒さんの目が死んでます!?

依頼終わらせてフェアリーの元へ
理緒さんがヤる気だ…(汗

最後までお付き合いしましょう、ええ

…私はどんな胸でも、理緒さんが好きですよ?(ぽそっ


菫宮・理緒
【恋華荘】

わぁきょにゅうぱらだいすだよ。
いちごさんやったね。

いらいもきょにゅうばっかりだー。
よーし、わたしがんばっちゃうぞー。

「え?え?いちごさんが貧乳愛を!?l

いちごさんの巨乳好きは解っているから、
依頼のためってわかってるけど、嬉し……。

「って、えと、その、うん」

いちごさんが熱く語るほどに、目の光は消えていって……。
泣いてないよ?

「ふぇありーさん、いらい、もうないのかな?」
巨乳を思いきりしばきたい。

いっしょにいこうよ。
ひんぬーのもつちょうぱわーをおみせするよ?

と、そんなことをいいながら、
最後に真っ赤になりながらこそっと耳打ち。

どんな胸でも愛してくれる人もいるしね。

と、いちごさんをチラ見します



 次に酒場にやってきたのは【恋華荘】の二人。入るなり二人は巨乳だらけの店内を見回しそれぞれに表情を作る。
「わぁきょにゅうぱらだいすだよ。いちごさんやったね」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はこの上なく乾いた表情、全く抑揚のない棒読みでそう告げた。その目は何の感情も窺えぬほどに凍り付いている。
「ここは貧乳だって素晴らしいと、語りましょうとも!」
 彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)はその声にかぶせるように、大声で堂々と宣言した。巨乳だらけの場所で命知らずな……とも思えるが、そこは夢の世界、具体的に対象を絞って行動しない限り周囲から絡んでくることはないらしく、彼に注目する者はだれもいない。
 むしろ隣にいる理緒が一番驚いているくらいであった。
「え? え? いちごさんが貧乳愛を!?」
 彼の巨乳愛を知る理緒はその発言に目を丸くする。もっともいちご自身の方はというと。
(私もどちらかと言えば巨乳の方が好きですが…)
 こんなことを内心では思っていたのではあるが。
 ともあれ、何かしら依頼を受けなくては始まらない。壁に貼ってある依頼の中から、悪人退治の依頼をとるいちご。するとやはり聞いていた通り周囲の景色が歪み、敵のアジトらしき所へと一瞬で場面が転換された。
 二人の目の前にいるのは、あちこちはみ出したセクシー衣装に身を包んだ……むしろ包んでいない部分の方が多いくらいの、いかにも悪の女幹部と言った感じの女性。言うまでもなく巨乳である。
 その巨乳悪女に向かって、いちごが啖呵を切る。
「貧乳、いいじゃないですか。素晴らしいじゃないですか」
 その声は一見熱く、でもどこか固く。
「手のひらで全て覆える小ぶりなサイズ、触れるとわずかな膨らみがぷにっとして、揉むには足りなくても撫でると確かに柔らかくて……」
 言い慣れていないのでやはりたどたどしい。その割に妙に詳細な気もするが、その辺りはまあ色々とあるのかもしれない。そしてやっぱり、このセリフを聞いて一番うろたえているのは理緒である。
(いちごさんの巨乳好きは解っているから、依頼のためってわかってるけど、嬉し……)
 そう思いながら彼を見ると、語るほどに目の光はどんどん消えていき、自身の目の端にも何か光るものが。
「って、えと、その、うん」
 泣いてない。泣いてなんかいないのだ。いちごはいちごで彼女の目が死んでいることを察してしまっているが、ここは厳しい悪夢の世界。感傷に浸っている暇はとりあえずない。
 なので早々に戦いを終わらせるべく、さくっと巨乳悪女を処理する二人。さして描写することもなく、悪女はあっさりとしばきたおされた。
 そしてフェアリーの籠る酒場に再び戻ってきた二人。戻るや否や理緒は再び掲示板の方へ大股で歩いていき、依頼に目を走らせた。
「ふぇありーさん、いらい、もうないのかな?」
 そう言いながらまた一枚の依頼書を壁からとる。そうすると再び周囲の景色が変わり、今度は荒野の中巨乳の狼獣人が二人を取り囲んでいた。
 今度はいちごが貧乳愛を語る間もなく、理緒によって一瞬で全滅させられる巨乳狼たち。
 そしてまた酒場に戻り、掲示板を見る理緒。
「いっしょにいこうよ。ひんぬーのもつちょうぱわーをおみせするよ?」
 今度は何処かで見ているだろうフェアリーに向かいそう語り掛ける理緒。まだ完全に起き上がる気になれないのか、あるいは曲がりなりにも猟書家後継者の影響下にある以上自由に動けないのか、彼女自身が出てくる様子はないがその言葉はきっと伝わっているはず。
「理緒さんがヤる気だ……」
 彼女の様子を見て汗を垂らすいちごの耳に、理緒がそっと唇を近づけて一言。
「どんな胸でも愛してくれる人もいるしね」
 真っ赤になりながらのその言葉に、いちごも相手には聞こえないような小声でつぶやく。
「……私はどんな胸でも、理緒さんが好きですよ?」
 突如として酒場に発生しだした甘い空気。春が来るまで寝ていると宣言したあのフェアリーはこの春でも起きてくる気になるのだろうか、などと突っ込む者はここには誰もいない。
「最後までお付き合いしましょう、ええ」
 こちらははっきり聞こえるよう宣言し、フェアリーの元へ向かうべく二人は依頼を潰すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
妖精さん、大切なのは大きさではありません
形とか色艶、何よりも自分に似合っているかどうかなのです
考えてみてください
ドワーフのひげもじゃのムキムキおじさまが巨乳だったとしても
それが賛美されると思いますか

そう、たとえば目の前にいるこのおじさまのような人がです
……まさか盗賊退治の依頼がこんなボスだとは思いませんでしたが
あまりブルンブルンさせながら襲ってこられても
胸が大きすぎて斧も振るいづらそうですね
胸の反動で動きも制約されていますし
視界が遮られて足元も見えないでしょう
私が範囲攻撃で張り巡らせた鎖に足を取られてひっくり返ったところを
鎖で打ち据えて退治完了です

これが自分に似合わない巨乳を持った者の末路です



「妖精さん、大切なのは大きさではありません」
 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)が語りかける。
「形とか色艶、何よりも自分に似合っているかどうかなのです」
 どこかで己を見ているはずのフェアリーに届くように、声高らかに語り続ける。
「考えてみてください。ドワーフのひげもじゃのムキムキおじさまが巨乳だったとしても、それが賛美されると思いますか」
 乳とは決して無条件で賛美されるものではない。状況によって、あるいは食いあわせによっては無価値どころかむしろマイナスになることさえ十分にあり得ることなのだ。
 魅夜の言葉はフェアリーの心に届くであろうか。あるいは言葉だけではありえない仮定だと届かないかもしれない。だが、もしそれが言葉だけではないとしたら。
「そう、たとえば目の前にいるこのおじさまのような人がです」
 その実物は、今まさに魅夜の目の前にあった。身長は魅夜よりずっと低いながら、筋骨隆々としたその体はまさに肉の要塞。掘りが深い顔立ちに険しい目つき。長く蓄えられた髭はまさにドワーフという言葉をそのまま形にしたかのごとき風貌。
 そしてその胸には、たわわに実った見事なる爆乳が二つぶら下がっていた。
「……まさか盗賊退治の依頼がこんなボスだとは思いませんでしたが」
 魅夜が酒場で受けたのは巨乳盗賊退治。大方よくいるセクシー盗賊あたりが相手になるのだろうという予想を見事に裏切り、現れたのは見事な雄っぱいを蓄えた支部好みドワーフ。そう言えばグリモア猟兵は確かに『店にいるのは巨乳女性ばかり』とは言っていたが、店以外については一言も言っていなかった。
 だがこんなろくでもない巨乳が来てくれたのはある種好都合。戦闘開始とともに襲い掛かってくるその姿に、魅夜は強烈な違和感と同時に現実的な無駄を感じ取る。
「あまりブルンブルンさせながら襲ってこられても胸が大きすぎて斧も振るいづらそうですね」
 巨乳ファイターが良くやるように激しく胸を揺らしながらおじさまが切りかかってくるが、ドワーフ故に短い腕の動きが人間以上に大きい胸に邪魔され思う存分武器が振るえない。
 それを僅かな動きだけで躱し、さらに魅夜は敵を観察する。
「胸の反動で動きも制約されていますし、視界が遮られて足元も見えないでしょう」
 もう一度斧を振り上げるドワーフを前に、魅夜はすっと手に持った鎖をひっぱる。それは地面に張り巡らせておいた鎖と繋がり持ち上げ、下の見えないドワーフの足を簡単にさらった。
 そのまま見事に転倒するドワーフ。受け身も取り損ねたか巨大な胸から地面に突っ込み、この上なく痛そうである。
 そのままバランス悪く立ち上がるのに苦戦するドワーフを、魅夜はまるで何でもないことのように鎖で打ち据え、あっという間に討伐を完了した。見た目の衝撃こそすさまじくとも、その喜劇的インパクトをはぎ取られれば不都合しかない無意味な巨乳の現実がそこにはあった。
「これが自分に似合わない巨乳を持った者の末路です」
 冒険者とはロマンと現実をすり合わせてこその職。それを知っているはずのフェアリーにこの現実はきっと届くことだろう。
 魅夜は彼女を現実に引き戻すべく、揺らぐ周囲の風景に合わせ酒場へと戻るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ミラー、ジェイクと行動
アドリブOK

ああ、あの時のね。
まあとにかく、やることは変わらないわけよね。
冒険者の店、たしかに見渡す限り女、しかも胸が大きい人ばかり。
依頼者だけならいいけど、店側も襲ってくるなんてこともありうるかも。
騙し討ちするために入れ替わったとかでありえそうだしね。
四人だけなのは、なんも残さずに消えたからと。
まあそれは置いといてこいつらサキュバスとかだったら色々とあれね。
やるしかないけど、数が多いわ。
「いいところに来たわ!」


アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ミラー、ジェイクと行動
アドリブOK

あの時のか。まあ期待が大きい分、落胆もか。
とにかく今は事態の解決が先になる。
依頼をこなしていけばいいのであれば、討伐系を探せれば。
「この依頼、討伐系なのだが対象が書いてないな」
聞いてみようとすれば向こうから来るか。
なんとか迎え撃てればいいが、数が多いな。獣の盟約を抜き、迎え撃つ。
店内での乱戦となれば長いのより短いのがいいだろう。
(見せつけてくる上に押し付けまで)
確かに悪夢だ。集中できん。
「ホークか!」
飛び込んできたのが彼ならなんとかなるかもしれん。


藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ミラー、ジェイクと行動
アドリブOK

前に一緒になった冒険者さん達の一人なんですね。
ならなんとかして助けないと。
依頼を受けて解決すれば道が開けると。
でも標的が書かれていないと動くことができませんし。
「こうなるんですね!」
有終の刻を取り出して応戦しましょう。
数が多いですね。少しでも油断したら抑え込まれそう。
押され始めてる。もう少し手があれば。
飛び込んできた人、その手に持ってる刀ってまさか。


ベアトリス・ミラー
※アリス、エルーゼ、華澄、ジェイクと行動
アドリブOK

あの時の冒険者の一人がここに。他の人も気になるところですが今は。
この状態から解放するにはまず依頼からでしょうか。
見かけたら声をかけてみるのもいいかと。
冒険で得たものもあると思いますし、振り返るのもありかと。
依頼は罠で私達をはめる為に置いたと。なら対処するしかありませんね。
願望の刃で応戦しましょう。しかし温存しておく必要もあるのは事実。
とは言え、室内での戦闘と数押しでは見えてますね。
九死に一生を得るとは言え、なぜ彼の刀を持ってるのか。
雰囲気が異なる上に言葉も違う……探りを入れてみなければ。


ジェイク・リー
フードとマスクで目以外を隠し、護星の戦衣と呼ばれる戦装束姿で窓から飛び込んでくる。
カリーナを取り出し、動きを先読みして撃つ。
閻羅刀に切り替えて斬り捨てる。
「……ホークと、呼ばれている」
過去に関する一切の記憶はなく、何があったのかはジョウが説明する。
「グリコンという死した世界の機械船の調査中に彼だけが剥ぎ取られて俺が主人格として行動……デッキで戻ったがこの状態に」
中で見たものは赤紫色の光の線を持つ暗い植物、異形の怪物、呑まれた乗組員。
「……デッキにはこの銃と所有者だった者が吊るされていた」
それ以上先の事は言わず、目的に戻る。
「かつての私を知っているのなら、会ってみたいんだ」



 とうとう依頼もなくなってきた冒険者の酒場。ここの主である者が閉じこもっているという二階を見て、藤宮・華澄(戦医師・f17614)が呟いた。
「前に一緒になった冒険者さん達の一人なんですね。ならなんとかして助けないと」
 フェアリーが心を閉ざしふて腐れることになった一件、それで一度関わり合いになったのだから、もう一度助けに行くのに何らためらいもないと彼女は張り切ってこの悪夢の中に臨んでいた。
「あの時のか。まあ期待が大きい分、落胆もか」
「ああ、あの時のね」
 それに対しアリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)とエルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)も分かったように相槌を打つ。
 彼女たちもまた件のフェアリーが閉じこもることとなった冒険に同行しており、その経緯と理由を実際に見知っている者であった。
「あの時の冒険者の一人がここに。他の人も気になるところですが今は」
 そしてベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)も、やはりまた彼女たちと一緒にその冒険に関わった者である。一度猟兵やオブリビオンと関わった者は、何故だか再度そう言った事件に巻き込まれやすくなる傾向がある。それ故その時フェアリーと組んでいた他のメンバーの同行も気になるところだが、だからと言って優先順位を間違える彼女ではない。
「この状態から解放するにはまず依頼からでしょうか」
 今までも多くの猟兵が、この酒場から巨乳依頼を受けては解決していった。もし彼女の顔が見られたら声をかけてみようとも思ったが、残念ながら彼女はこの酒場の二階に籠りっきりだ。顔を見るのは全ての依頼を片し、扉が開かれてからの事となるだろう。
「まあとにかく、やることは変わらないわけよね。冒険者の店、たしかに見渡す限り女、しかも胸が大きい人ばかり」
 いざ依頼を、と思うが、エルーゼはその前に店内にいる人間たちの様子に改めて驚く。話には聞いていたが、その場にいる全員が巨乳女性ばかりだ。しかもなぜかエルーゼたちをちらちらと見てきている気すらする。ただまあここは悪夢の世界なのだ。多少のことは気にしたら負けと、エルーゼは仲間と共に依頼に目を走らせた。
 それと共に掲示板を見ていたアリスが、一枚の依頼書を手に取る。
「この依頼、討伐系なのだが対象が書いてないな」
 今まで討伐系の依頼に赴いた猟兵は多かったが、それらはいずれも以来の段階でモンスターや盗賊などざっくりした敵の種類が書かれていた。だが、今アリスの手にした依頼書には『標的の討伐』とあまりにも抽象的なことしか書かれていない。
「依頼を受ければ道は開けるということですが……何も起きませんね」
 普通ならこんな依頼だれも受けはしないだろう。だが、ここは普通の冒険酒場ではない。とりあえず話を聞こうとアリスが依頼書を手に店主の方へ向かおうとすると、なんと店の中にいた客や店員が一斉に立ち上がり、武器を構えて彼女たちを取り囲んだ。
「こうなるんですね!」
 華澄がそう叫び、ライフル『有終の刻』を構える。何も起きていなかったわけではなく、戦闘場所はここ、客や店員もいつの間にか敵に入れ替わっていたのだ。
「依頼は罠で私達をはめる為に置いたと。なら対処するしかありませんね」
 ベアトリスがなるほどと言うように頷く。冒険者として名を上げる程、あらぬ嫉妬や逆恨みを買ってしまうのはある種の宿命。猟兵でない冒険者としては凄腕だというあのフェアリーも、もしかしたらこのような経験があるのかもしれない。
「なんとか迎え撃てればいいが、数が多いな」
「こいつらサキュバスとかだったら色々とあれね」
 一斉に迫ってくる襲撃者たち。勿論全員巨乳であり、それらが激しく揺れている。サキュバスも普通に存在し得るアックス&ウィザーズなら、エルーゼの予想も有り得ることかもしれない。
 ともあれ、ここが早速始まったクライマックスシーンだ。アリスとエルーゼはそれぞれにリーチの短い武器を用意し室内戦に備えるが、やはり敵の人海戦術の前に集団相手の接近戦にならざるを得ない。
「確かに悪夢だ。集中できん」
 敵はその巨乳を見せつけてくるうえに押し付けまで行ってくる。アリス自身彼女たちに負けないほどの巨乳ではあるのだが、色々と特殊な事情を抱えている彼女はこういった状況には特に弱いものがあった。
「数が多いですね。少しでも油断したら抑え込まれそう」
 飛び道具を主体とする華澄は、この状況に特に苦戦気味である。普段は後方支援を得意としているのだが、全方位から囲まれてしまえば後方も何もない。差し当たっては最も近いものから打ち倒してはいくものの、そうすれば真後ろから迫られることになり振り返る手間も出てしまう。
「温存はしておきたいのですが……」
 ベアトリスも『願望の刃』を持って応戦するが、この後に猟書家後継者との戦いが控えていることを考えれば消耗は避けたい所。さりとてここでやられてしまえば元も子もない。思いきれぬ攻撃は、倒される事こそないが敵を蹴散らすには至らず何とか拮抗を保つに留まっていた。
 このままでは、そう全員が思った時、窓を破り一つの人影が飛び込んできた。
 フードとマスクで目以外を隠し、『護星の戦衣』と呼ばれる戦装束姿の男。
「その手に持ってる刀ってまさか」
 華澄にとって見慣れぬ男が持つその剣は、よく知る男が持っていた魔剣。
 その男の名はジェイク・リー(過去を失くした戦士・f24231)。いや。
「……ホークと、呼ばれている」
 男は言葉少なにそう自己紹介した。その姿に、ベアトリスは助かったという安堵以上に彼に対する疑念を抱く。
(雰囲気が異なる上に言葉も違う……探りを入れてみなければ)
 ベアトリスの疑惑の視線。まるでそれに対する答えを述べるかのように、ホークと名乗った男の体からもう一人の男が分離するように現れた。
 その外見は、まさしくジェイク・リーそのもの。だが、それとは別の男であることはベアトリスにも察せた。
「ジョウさん?」
「グリコンという死した世界の機械船の調査中に彼だけが剥ぎ取られて俺が主人格として行動……デッキで戻ったがこの状態に」
 平たく言えば、冒険中に彼の存在を見つけるとともにジェイクは人格として行方不明になってしまった。今はジョウが主人格として行動している状態だということだ。彼が中で見たものは赤紫色の光の線を持つ暗い植物、異形の怪物、呑まれた乗組員。おおよそ素敵な眺めとは言い難い風景であった。
「……デッキにはこの銃と所有者だった者が吊るされていた」
 その説明に、華澄は暗い顔をしベアトリスも僅かに表情を曇らせる。一難去ってまた一難とは言うが、彼もどこまで過去に振り回されればいいのか。それでも、いずれまた戻ってきてくれることを信じて。
「ホークか!」
「いいところに来たわ!」
 一方でアリスとエルーゼは、純粋に彼の加勢を喜んでいる。ジェイクを心配していないわけではない。むしろ彼を信じるが故に、今この状況を脱する手が増えたことを喜んでいるのだ。彼が帰ってきても自分たちが倒れたのでは話にならない。その声に応えるかの如く、ホークはライフル『カリーナ』を襲ってくる敵に向けて発射した。
 向かってくる敵の先に弾丸を置くように射撃し、敵は次々とその弾に当たり倒れていく。だがレバーアクション故に生じる隙は大きく、その間を縫って一部の敵はホークへと辿り着いた。
 それに対しては、魔剣『閻羅刀』に持ち替え無造作に切り捨てるホーク。戦神と縁あるその剣、かの戦神はこの剣を彼が振るうことに何を思うのか。だが、今はそれを話している時ではない。
「あと少しね、私も少しはやらないと」
「ああ、任せきりではな」
 味方を得たとはいえ彼に頼り切っては立つ瀬がない。エルーゼとアリスもまた、室内戦に合わせたコンパクトな踊りやより無駄のない攻撃で敵を打ち倒していく。
 そしてそこからできた隙間を縫って華澄は射撃を繰り返し、ベアトリスもまた戦況を見極め、必要な部分にのみ攻撃を繰り出して温存を図りつつ戦った。
 結果として、その苛烈な攻撃の前に巨乳軍団は瞬く間に打ち倒されて行った。後には倒れたイスやテーブル、割れた酒瓶やグラスなど、いかにも乱闘の後という酒場だけが残されていた。
 店員役であった敵が打ち倒されたことで酒場の悪夢も打ち払われたということか、いつの間にか掲示板から依頼書は全て消え失せており、本物の店員や客が戻ってくる様子もない。あるいは、これが最後だから罠の依頼が出現したのか。
「かつての私を知っているのなら、会ってみたいんだ」
 誰に対しての言葉か、あるいはその中には例の依頼でジェイクと出会っているあのフェアリーも含まれているのか。
 そう言って上階を見上げるホークの目線の先で、ずっと閉ざされていた二階の扉がゆっくりと開くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『桜花祝杖』ケラスス』

POW   :    桜風障壁~スプリング・ゲイル~
技能名「【オーラ防御、吹き飛ばし 】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD   :    春眠桜華~スリープ・フィールド~
【レベル分間持続する桜吹雪 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
WIZ   :    祝散華~スカッタード・ブラッサム~
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【レベル 】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。

イラスト:ひろしお

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの戦いと呼びかけによって、ついに開かれた酒場の二階の扉。その扉の向こうでは、冒険者のフェアリー、プリンとオブリビオンの『桜花祝杖』ケラススが向かい合っていた。
「そろそろやる気だしてくださいよぉ、じゃないと私あなたを絶望させられないじゃないですかぁ」
「人が凹んでるところに勝手に来たのはあんたでしょーが。まあでも、そろそろ起きてもいいかな? やっぱ人が自分のために頑張ってくれてるのって嬉しいし、あとなんか乳がでかくても色々問題はあるげだし」
 そう言ってベッドの上で体を起こしているプリン。どうやら猟兵の努力の結果徐々に希望とやる気を取り戻し始めたらしい。
「うぅぅ、やっぱりレプ・ス・カム様は偉大でした。こんな人たちばっかり相手にしてたなんて……もう猟書家目指すの諦めようかな……」
「あんたも大変ねぇ。まあピザ食べなさいピザ」
「買ってきたの私じゃないですかぁ~!」
 結局買ってきたのか。そしてレプ・ス・カムも別にこんなのばっかり相手にしてたわけではないはずである。多分。
 差し向かいで40センチ級のピザを取り分けて食べていた二人だが、扉が開き誰かが入って来たのに気付くと揃ってそちらを見る。
「あれ? この扉だけは絶対私以外開けられないようにきつく封印しておいたはずなんですけど……まさか!?」
 ケラススは慌てた表情でプリンを見る。ふざけた言動に惑わされていたが、そもそも徐々に前向きになってきているのはよろしくない兆候だ。彼女にやる気を出して欲しいのは、その先にある絶望に沈ませ、それによって『天上界への鍵』を浮かび上がらせたいからに他ならないのだ。
「仕方ありません。こうなれば実力行使します。希望を与えたこの人たちを倒せば、いくら能天気な貴女でも絶望してくれるでしょう……レプ・ス・カム様、お力を!」
 己の本体である杖を掲げ、部屋の中に花吹雪を散らせるケラスス。その背後には、着衣巨乳ウサギことレプ・ス・カムの力の一端が重なっているようにも見える。例え口では負けていても、本気の戦いになればプリンなどは一捻りだろう。実際、その力を見たプリンは今まで振り回していた相手との真の実力差に青ざめ始めている。
 だが、猟兵の力があれば、彼女を守るどころか希望をさらに膨らませ、共に戦うことさえもできるはず。
 さあ、ケラススを倒しフェアリーとフェアリーランドに本当の春を呼び込むのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
プリンさん、お久しぶりですぅ。
お邪魔させていただいておりますぅ。

まず、以前は所持していなかった『FMS』を見せ「まだ世界には色々な宝物が有る」「何処かにお探しの品も有る可能性が高い」と告げ気を引きましょう。

【耀衣舞】を使用、各『祭器』に加え、先程頂いた『肉』のカロリーも回し、更に『胸への反動』も許容して『光の結界』を強化し『光速の突撃』を行いますねぇ。
[オーラ防御]に対しても、これだけの強化に加え[結界術]で『光の結界』を『衝角』状に変化させ一点を貫けば対処可能でしょうし、お恥ずかしながら『消費前の肉』と『反動による胸の重量』が加わる分、簡単には「吹き飛び」ませんので。



 それまでの振り回される態度から一転、猟書家後継に相応しい力を振るい始めたケラスス。その力の向ける先はこのフェアリーランドの主ではなく、彼女に希望をもたらした存在である猟兵だ。その一番手は、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
「プリンさん、お久しぶりですぅ。お邪魔させていただいておりますぅ」
 るこるは円盤『FMS』を展開し、室内に舞う桜の花びらをかき分けながらプリンに駆け寄った。自分に挨拶してきた相手の顔……ではなく胸をじっと見てから、プリンはやがて思い当たったように手を打つ。
「ああ! あの時の体当たりする人の飛ぶ方!」
 なんだか微妙な覚え方だが、実際それで合っているのだから仕方がない。何しろ『大きい人』や『大きくなった人』だとあの場にいた女性全員が該当してしまうのだ。そしてその覚え方もだが、プリンの目は今るこるが展開しているFMSに向いていた。
「これは前回ご一緒した後手に入れたものです。まだ世界には誰も知らない宝が多くありますし、お探しの品もきっとどこかにあるかと」
 彼女が本質的に冒険者だということは分かっているのだ。まだ見ぬ宝があることを示し、自身の欲するものもどこかにあるという希望を抱かせる。元より当てにならない細い糸を手繰り寄せ宝を掴むのが冒険者というものなのだ。前回は少しがっかり度が高すぎてふて腐れてしまったが、元より外れや徒労に離れているはず。それを超えて冒険が好きだから、凄腕と呼ばれるまで冒険者を続けてきたのだ。
 るこるのその予想は辺り、プリンは興味深そうにFMSをじっと見ている。
 だが、それはケラススにとっては好ましい話ではなかった。
「あまり元気になられ過ぎても困るのです。吹き荒れろ、春の嵐! スプリング・ゲイル!」
 ケラススが杖を一振りすると、花びら交じりの突風が室内に吹き荒れた。その風はFMSに集中して当たり、バリアを張るそれを一気に押し込んで吹き飛ばしていく。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて舞を捧げましょう」
 そのFMSの前に、【豊乳女神の加護・耀衣舞】を発動しながらるこるが舞い出た。そのまま光となり、ケラススへ体当たりをかけるるこる。
「壁になれ、春の日差し!」
 自身の前にも光を集め、オーラの防御とするケラスス。二つの光がぶつかり合い、眩く辺りを照らす。その防壁に対しるこるは結界の力を集め破ろうとするが、ケラススも猟書家の跡を継がんとするオブリビオン。そのレベルは高く、張られたオーラはこの上なく頑丈であった。
「なら、お恥ずかしながら……!」
 この守りを破るにはさらなる力が必要と、るこるは体形強化での体当たりを敢行。さらには追加のエネルギーも自らに供給した。そのエネルギーの元、それは先に大量に摂取した『肉』であった。
 肉のエネルギーが胸に回り、その大きさが一機に膨れ上がる。その重量はすさまじく、本来物理の世界の戦いではないはずなのに、その質量を持ってケラススの展開するオーラすら強引に突き破った。
「うわやっぱでか!」
「ひええ、なんなんですかこれぇぇぇぇ!?」
 慌てて暴風を巻き起こすケラススだが、この圧倒的な重量は彼女の吹き飛ばし能力をもってしても押し返すことは出来ない。そのまま巨大化した胸の突進を受け、ケラススは壁まで吹き飛ばされ叩きつけられた。
「ひゃぶぅっ!?」
「ねー、巨乳って怖いでしょー?」
 悪夢の世界で散々巨乳のヤバさを見せつけられたプリンの言葉。ケラススは倒れ込みながらも内心でそれに賛同するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
レプ・ス・カムもたいがい駄目な子でしたが
あなたはたぶんそれに輪をかけて悪に向いていませんね……

その桜吹雪も浴びねばいいだけの単純な話です
早業によって我が鎖を舞わせ、衝撃波を発生させて竜巻を起こし
桜吹雪を吹き散らしてしまいましょう
仮に多少花が掛かったとしても
私のアイテム・王女の涙は睡眠攻撃に対し強い抵抗を示すもの
これによって切り抜けて間合いを詰めユーベルコードを発動します

果てなき影の中へ沈みなさい
どうです、希望の先にあった絶望とやらに自分が囚われる気分は?
ふふ、言ったでしょう、あなたは悪に向いていないと
ええ、悪霊であるこの私に比べればね

あ、あなたの分のピザは私と妖精さんがいただきますのでご安心を



 実力はともかくとして、懸命に努力しながらも他人のフリーダムな言動に真面目に付き合っては振り回されるケラスス。そんな彼女の姿を見て、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)がしみじみと呟いた。
「レプ・ス・カムもたいがい駄目な子でしたが、あなたはたぶんそれに輪をかけて悪に向いていませんね……」
 猟書家の中でも明るい性格、かつ必要なこととは言えギリギリまで対象の殺害をしないよう注意していたレプ・ス・カム。とりわけ冷酷、残忍な手段をとりがちなアリスラビリンスやスペースシップワールドの猟書家たちと比べればある意味穏健派とも言えた彼女だが、その後継を目指すケラススは一々攻撃対象の話を聞いては真面目に対応すると、オブリビオンとしてどうなのかというくらいに誠実すぎる性格であった。
 だがそれでも、その誠実さ故に彼女は戦おうとする。
「大人しく眠っていてください! 春眠暁を覚えず、スリープ・フィールド!」
 掛け声と共に待った桜の花びらが、部屋中を満たす。その花びらが僅かに触れただけでプリンは今までそうしていたようにその場に昏倒、魅夜も強烈な眠気に襲われるが、手の鎖を握りしめ意識を強く保つ。
「その桜吹雪も浴びねばいいだけの単純な話です」
 素早く鎖を舞わせ、その衝撃で小規模な竜巻を巻き起こす。それは周囲から花びらを散らせ、一気に魅夜の意識を明瞭にした。
 だが、花びらはユーベルコードで作られたもの。破壊されることはなく、高架が消えるまでもどんなに短く見積もっても一時間以上はかかる。その間鎖を振り回し続けられるかと言えば、首を横に振らざるを得ないだろう。それ故に、積極的に攻めていく必要がある。
「私のアイテム・王女の涙は睡眠攻撃に対し強い抵抗を示すもの」
 古代の美術品である髪飾りを握りしめ、さらに意識を強く保つ魅夜。そこに備わる呪詛への耐性と、敵の攻撃の中を突っ切る覚悟が魅夜に進む力を与える。
 相手は魔法主体に遠距離戦を得手とする相手。詰め寄られれば脆いはずと言う直感に従い間合いを詰め、繰り出すのは最後の一撃。
「墜ちゆけ、沈め、奈落の底より深き場所、虚無の果てへと溺れゆけ」
 伸びた影の中から出でる、影の中へと引き込む鎖。それがケラススの体に絡みつき、その身を下へと引っ張りこんでいく。
「な、何を……負けません、眠ってください!」
 花びらを放ち、強引にでも魅夜を眠らせようとするケラスス。
「果てなき影の中へ沈みなさい。どうです、希望の先にあった絶望とやらに自分が囚われる気分は?」
 その眠気に耐え、魅夜もケラススを闇の中へと引き込まんとする。先に沈むは眠りの沼か、無の影か。互いの力が相手を戒め、技の底へと引っ張り合う。
「うぐっ……あ、あぁぁぁっ……!」
 地力は決して低くない。だが、耐性のある装備を一つ持ったその差によって、先にケラススの体が影の中へ沈んでいく。既に体半ばまで飲み込まれながら上を見上げるケラススを、魅夜は微笑みながら見下ろした。
「ふふ、言ったでしょう、あなたは悪に向いていないと。ええ、悪霊であるこの私に比べればね」
 春の魔法使いであるケラススが穏やかな春眠を齎すなら、悪霊である自分がもたらすのは底知れぬ絶望。
 その最後の一押しとして、魅夜は卓上に置かれたピザに目をやる。
「あ、あなたの分のピザは私と妖精さんがいただきますのでご安心を」
 一切れ持ち上げて口に運ぶ魅夜。買ってきたのは自分なのに、その抗議の声すらあげられず、ケラススは影の中に沈んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
(部屋の様子を見て)
えっと、その…大変だったみたいだね
(同情の眼差しでケルススを労わる)

じゃなくって!
こっちが救出対象!(びっ、とプリンを指差して)
あっちは敵!(びっ、とケラススを指差して)
で、いいんだよね!?

指差し確認したらプリンちゃんと協力して敵をやっつける!
「あいつにガンガン攻撃魔法を打ちまくって!」
ボクも【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】でウィーリィくんと一緒に時間差でひたすら手数の多い攻撃を浴びせて、それらを抵抗や回避に成功させることで敵の代償を消耗させて、レベルを使い切ったところで【ワールド・タイフーン】で包囲攻撃!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
熱々のピザは確かに旨いけど食べすぎると脂とチーズで胃がもたれがちだから、時間があれば酒場の厨房借りて熱いスープでも作ってこようか?

……まぁ、敵が目の前にいるんだからそんな時間なんてないか。
そんな訳でシャーリーと一緒にケラススに立ち向かう。
「悪いんだけど、あんたも手伝ってもらえないか?」
プリンにも協力を要請。

シャーリーの射撃とプリンの攻撃魔法とタイミングを『ずらし』、【厨火三昧】の炎で一個ずつ波状攻撃を仕掛ける。
当然ケラススのUCで全部回避されるだろうけど、そうする事でケラススに自分のレベルを消費させて削っていき、それが尽きたところで【厨火三昧】の炎を全部叩き込む。



 決死の状況からどうにか這い出してきたケラスス。だが、その時すでに室内には二人の猟兵がいた。
「熱々のピザは確かに旨いけど食べすぎると脂とチーズで胃がもたれがちだから、時間があれば酒場の厨房借りて熱いスープでも作ってこようか?」
 ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はプリンに向けてそう提案する。酒場にもう人はいなくなってしまったが、設備などはそのまま残っているはずなのでその道の専門家である彼なら利用することは容易いだろう。その提案に、プリンは喜んで首を縦に振る。
 一方で涙目で床に膝をつくケラススを、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が部屋の惨状を見ながら出迎えた。
「えっと、その……大変だったみたいだね」
 道場のまなざしでケラススを見るシャーリー。その幼い外見で無茶な悪夢の世界を作らされ、奔放すぎるそこの主に好き勝手振り回されるその様子は涙なしには見られない哀れさを湛えていた。
「じゃなくって!」
 思わずこのまま彼女を労ってしまいそうな自分を大声のセルフツッコミで止め。
「こっちが救出対象!」
 びっ、とプリンを指差して。
「あっちは敵!」
 びっ、とケラススを指差して。
「で、いいんだよね!?」
 最後にちょっと自信なさげに声だし確認。
「あ、はい……私の方が猟書家志望者です……」
 わざわざ律義に答えるケラスス。もしかしたらここで嘘を言えば流されてくれたのかもしれないが、そこをきちんと答えてしまうのがまた彼女らしさなのだろう。
 ともあれ指さし確認で討伐対象も確かめた。ここからは戦闘の時間だ。
「……まぁ、敵が目の前にいるんだからそんな時間なんてないか」
 スープを振舞うのは後の事と、ウィーリィもケラススに向き直る。
「悪いんだけど、あんたも手伝ってもらえないか?」
 ウィーリィの言葉に、プリンもベッドから浮き上がり前に出る。
「よーし、それじゃリハビリ代わりにやっちゃおっか!」
「はうぅ、ピザ買ってきてあげたじゃないですかぁ~!」
 恩を仇で返すような感じだが、そもそも先に攻めてきたのはケラススの方なわけで。ともあれ戦闘開始と、まずはシャーリーが前に出た。
「あいつにガンガン攻撃魔法を打ちまくって!」
 その声と共に、シャーリーは自身の熱線銃『シューティングスター』を素早く連続で撃ちかける。その声に応じるように、プリンも手に魔力を溜め、それをミサイルのように連続で発射した。
「私に万能の力を! スカッタード・ブラッサム!」
 杖を振り上げ呪文を唱えると、桃色の光が彼女を包む。その光に導かれるようにケラススは軽やかに動き、連続で撃ちかけられる弾丸と魔法を、歴戦の猟兵すら及ばぬほどの動きで全て躱しきった。
「えぇぇぇ、何それ!?」
 魔法使いという肩書を裏切るようなその動きに、プリンが抗議の声を出す。だが一方でシャーリーはまるですべて分かっていたとでもいうように、一切表情を変えていない。
 そして攻撃がいったん止みケラススが足を落ち着けたところで、即座にウィーリィが前に出た。
「極めた火工は、原初の火さえも従える!」
 間髪入れず放たれた【厨火三昧】の炎がケラススを襲う。だが、それに対しケラススは杖を振り上げ、仰ぐように思い切り振り下ろした。
「吹き消せ春風!」
 その声に呼ばれるように突風が巻き起こり、ユーベルコードであるその炎すら一吹きで鎮火させた。
 しかし、杖を下ろしたところで今度はまたシャーリーが彼女に向けて銃を乱れ撃つ。
「うぅぅ、まだまだっ……!」
 それを今度は桃色のオーラを展開して届くのを防ぐが、それが消えたところで今度はプリンが光の矢を投げつける。そしてそれを弾き飛ばせばウィーリィが大包丁で切りかかってと、息つく間もなく、かといって決して同時にかかることはなく三人はケラススを攻めたてる。
「う、く……ふあっ!?」
 それらを全て躱しきってきたケラススだが、ある瞬間についに体勢を崩し、さらに魔法的な防御も消え失せる。
「どうやら使い切ったみたいだな!」
「こんなにかかるなんて本当に強かったみたいだね!」
 ここまでケラススが回避に用いてきたスカッタード・ブラッサムは、自身のレベルを犠牲にあらゆる行動を成功させるもの。その為二人はプリンも交え、何度となく回避を繰り返さねばならないよう回数重視での絶え間ない攻撃をかけていったのだ。
 ケラススの思いのほかの実力に時間こそかかったが、その策は辺りケラススのレベルもついに底をついた。
 そしてこうなれば回数ではなく威力を重視するとき。
「もう一度、全部の炎よ、燃え上がれ!」
「さぁ、世界サメ大戦の勃発だよ!」
 今までは分割していた102の炎を一纏めにした巨大火柱がケラススを燃やし、1000を超える鮫の軍団がそこに食らいついた。一応プリンも攻撃魔法で援護しているが、高レベル猟兵二人の攻撃の前にはおまけ程度だ。
「きゃああああ!!」
 ケラススの絶叫が響き渡り、その前で二人はハイタッチ。ついでに揺れるシャーリーの胸。
 その姿に、プリンの中でも強さと冒険、そして最も求める宝への希望が再び湧きあがり始めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

死絡・送
アドリブOK共闘OK
「深くはツッコまん」
人間色々事情はある、取り敢えず猟兵としてオブリビオンを倒そうと行動する。
ノーブルバットの姿でロボから降りて宿へ侵入。
「どうも、オブリビオンさんノーブルバットです」
 と挨拶をしてから錨型の武器ノーブルアンカーで戦う。
アンカーを壁に突き刺して吹き飛ばしに耐えつつ
「色々哀れだと思うが容赦はしない」と見た目幼女の敵にも
第二の武器ワールドライトブレードによる貫通攻撃で全力で挑む。
最後はユーベルコード、光子魚雷一万発発射!!を使用する。
 



 色々と苦労しているオブリビオン、ケラススとなんだかんだ彼女を振り回す冒険者、プリン。そして作り出された巨乳悪夢の世界。これを前にして思う所は色々あろうが、果たしてどう対処するのが正しいのか。
「深くはツッコまん」
 死絡・送(ノーブルバット・f00528)のその姿勢こそが、ある意味最も賢明と言えるかもしれない。人間色々事情はある。その辺りに他人が無暗に踏み行ってはいけないのだ。ただビジネスライクに、猟兵としてオブリビオンを倒すべく行動する。機械的な対応こそが時に最も優しくなることも人生には往々にしてあるのだ。
 また今回の戦場は酒場を模した悪夢の一室。しかも救出対象は現在判明している全種族中最も小さいフェアリーである。最近は専らロボットに乗って戦っていた送だが、今回ばかりは色々と相性が悪すぎる。と言うわけでロボットから降り、久しぶりにノーブルバットのスーツ姿を最初から出して送は戦場入りした。
「どうも、オブリビオンさんノーブルバットです」
 まずは挨拶。挨拶は大事だ。特に相手は真面目で礼儀正しい(見た目は)幼い少女である。いきなり殴り掛かるのはよろしくない。
「あ、ご丁寧にありがとうございます。ケラススと申します。猟書家候補生です」
 ぺこりと頭を下げて返事をするケラスス。そして挨拶が済んだので攻撃の時間だ。送は錨型の武器『ノーブルアンカー』を取り出し、一直線に射出した。
「なんの!」
 ケラススも杖を軸にし跳びあがり、飛来する錨を避ける。錨は命中することなく壁に直撃し、大穴を開けつつその中にめり込んだ。
「それではこちらも……吹き荒れろ、春風!」
 そのまま杖を一振りすると、室内とは思えぬほどの突風が送を直撃。まるで踏ん張りがきかないほどの勢いでその体を後ろに吹き飛ばした。
「来ると思ったぞ!」
 だが、送は慌てない。ノーブルアンカーの柄の部分を固く握りしめ、そこに全体重を預ける。そこから伸びた鎖がぴんと伸び切るが、その逆端は深く壁に食い込んでおりそう簡単には抜けそうもない。もとよりノーブルアンカーは攻撃に用いたのではない。敵の吹き飛ばし攻撃を耐えるため、壁に向かってわざと外して撃ったのだ。
「それでもいつまで持ちますか!」
 構わず風を強めるケラスス。確かに、このままではいずれ体力がつき、吹き飛ばされて壁に叩きつけられてしまうことだろう。その前に自分からも攻めかからなければいけないが、ケラススは風と同時に陽光を模したオーラによる強靭なバリアも張っている。生半な攻撃では突破することは難しかろう。
「ぐ……子供だと思ったが、なかなかやる……」
 力ずくでアンカーの鎖を手繰り寄せ、少しずつケラススに近づいていく送。
「駄目です、こないでください!」
 ケラススもさらに強力な風で送を近づけさせまいとする。そのせめぎ合いはしばし続くが、やがて手を伸ばせば届きそうな場所まで送がたどり着いた。
「色々哀れだと思うが容赦はしない」
 もう片方の手でフォースセイバー『ワールドライトブレード』を突き出す送。だがそれを、ケラススは光のオーラを集めてはじき返した。
「届かせません!」
「そうはどうかな……!」
 そして始まる、次なるせめぎ合い。先とは違い両者その場から動くことはないが、剣とオーラが触れ合ったところからはエネルギーの火花が散り、春の日差しと言うには眩しすぎる閃光があたり中に飛び散る。
 ユーベルコードで強化されたケラススのオーラの耐久性は並ではなく、送の力をもってしても切り裂くことはとてもできそうにない。それでもあきらめずに突き出し続けた剣の切っ先が、やがてほんの僅か、オーラを裂いてその中へと刀身を通した。
「そのくらいでは……!」
 だが、そこでオーラに止められ刀身はケラススの体に届かない。ここまでの攻防で送の体力ももう限界だ。
「もう無理でしょう、諦めてください!」
「そうだな、こいつで最後だ……全てを光に変えて消す!! 光子魚雷、射て~~~~~~~っ!!」
 その最後の体力を振り絞り、送は【光子魚雷一万発発射!!】を放つ。狙いは、ほんの僅か空いたケラススのオーラの穴だ。
 魚雷はその穴に連続で叩きつけられ、光のオーラを揺るがせる。あるいはただ無策に全面に撃ったのなら、これさえ防がれてしまったかもしれない。だが、暴風に耐え、力を振り絞って開けたほんの小さな穴。その極僅かな綻びに魚雷の力は集中し、そこからケラススのオーラに一気に日々を入れた。
「あ、ああああああっ!?」
 まるでガラスのように、光のオーラが砕け散っていくのを見て悲鳴を上げるケラスス。そしてその悲鳴さえ飲み込むように、残る魚雷がケラススの体に叩きつけられた。
「きゃあああああっ!」
 高い悲鳴を上げ光の中吹き飛ばされるケラスス。ようやく止んだ暴風の中、送は息を整え、光に飲まれる小さな姿にせめぎ合いの勝利を確信するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩波・いちご
【恋華荘】
…私は何とコメントすればいいんですかねぇ…(遠い目)

私そんなに惑ってたりしませんよぅ
…いくら大きい方が好きだからって、理緒さんが一緒にいるのに、他の巨乳になんか、そんな……
大きい方が好きですけど、行きずりの巨乳よりは理緒さんのちっぱいの方がいいですっ
…って、私何言ってるんでしょうね…?

まぁ、とにかく戦闘は真面目にやりましょうか、ええ
【異界の邪剣】を抜いて、理緒さんの援護を受けつつ、剣を振るって追い詰めていきましょう
巨乳好きな嗜好と共にって、それだと私も倒されませんかねっ!?
と疑問は尽きませんが…理緒さんが焼いたタイミングを狙って、オーラ防御ごと切り裂いてあげますっ

倒されませんっ!


菫宮・理緒
【恋華荘】

本領発揮っていうか、
かぶってた猫を脱ぎ捨てたね。

っていうか、巨乳巨乳って言ってたけど、
あなたもこちら側じゃないかー!

あ、だから巨乳悪夢なのか。

自虐が過ぎる気もするけど
無い物ねだりな気持ちはわかるよ(こく)

でも、いちごさんを巨乳で惑わせた罪は許されないけどね!
……わたしに見せつけた罪も許しませんが!

春の精らしく桜っぽいかっこしてるし、
【Nimrud lens】で焼いちゃえばいいかな。

ケラススさんをある程度焼いたら、
延焼する前に火は消すね。

とどめはいちごさんに任せるよ!

いちごさんのかっこいいとこ見せて欲しいな。
巨乳好きな嗜好とともに、春を倒しちゃえ-!

いちごさん、やっぱり倒されるの!?



 例え相手に振り回され困惑しおどおどと気弱に見せていても、いざ戦闘となれば強力な魔法を駆使し高い実力をいかんなく発揮するケラスス。その戦いぶりに、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は彼女の本当の姿を見てとっていた。
「本領発揮っていうか、かぶってた猫を脱ぎ捨てたね」
 当人は最初から真剣ではあっただろうが、本気で戦う意思を見せてからの強さは猟書家の跡目を襲う者に恥じないレベルの物。だが、それ以上に注目すべきは。
「っていうか、巨乳巨乳って言ってたけど、あなたもこちら側じゃないかー! ……あ、だから巨乳悪夢なのか。自虐が過ぎる気もするけど、無い物ねだりな気持ちはわかるよ」
 ケラススの体型はまさに外見年齢相応。理緒やプリンとタメを張れるレベルのなだらかな姿態である。最もこの悪夢はあくまで自動生成されたものであり、ケラススが選んで作ったわけではない。むしろ最後の一言はプリンの方にささり、またしてもベッドの上に倒れ込んでいたりもする。
「わ、私じゃないです……あとあんまりその人を苛めないであげてください。前向きになられてもだめですけどまた寝られちゃっても困るんです」
 なぜか攻撃対象のフォローに入っているケラスス。つくづく他人に振り回されやすい性格らしい。
「……私は何とコメントすればいいんですかねぇ……」
 一連の流れを見て、彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が遠い目をする。まあ最終的には戦うことにはなるはずなのだが、どこでそこに踏み切ればいいのかがどうにも測りかねる。
「でも、いちごさんを巨乳で惑わせた罪は許されないけどね! ……わたしに見せつけた罪も許しませんが!」
「私そんなに惑ってたりしませんよぅ……いくら大きい方が好きだからって、理緒さんが一緒にいるのに、他の巨乳になんか、そんな……大きい方が好きですけど、行きずりの巨乳よりは理緒さんのちっぱいの方がいいですっ……って、私何言ってるんでしょうね……?」
 そして理緒の宣言に、いちごもついにそちら側へ。急に舞い上がる桃色の空気にプリンはもうピザを食べ始めている。ケラススも食べたそうにしているが、なまじ戦闘態勢に入ってしまったばかりにそうもいかない。つくづく損な性分である。
「まぁ、とにかく戦闘は真面目にやりましょうか、ええ」
 それでも戦うことは忘れていなかったいちごが、【異界の邪剣】を抜く。それに合わせ、理緒も自身の周囲の大気を揺らがせ形を作り始めた。
「させません! 空気よ、動け!」
 戦いが始まったことで、こちらも真面目に魔法を使うケラスス。揺らいだ大気を風を送って乱すが、理緒の前にある空気の凝縮だけは吹き飛ばされずその場に残ったままだ。
「春の精らしく桜っぽいかっこしてるし、【Nimrud lens】で焼いちゃえばいいかな」
 その空気……大気のレンズに光が集まり、熱線となって風を貫いてケラススへと襲い掛かった。光は風に影響されることなく真っすぐ届き、ケラススの桃色の服に焦げ穴を穿つ。
「あ、熱っ!? 風でダメなら、光です!」
 光のオーラで熱線を遮り身を守るケラスス。これによってそれ以上の熱線が届くことは防いだが、一度服についた火は理緒が意識的に延焼させられるため中々消すことができない。
 さらにその炎の対処に追われている所に、いちごが剣を構え切りかかった。ユーベルコードで作られた異形の剣はケラススの厚いオーラをも切り裂き、その幼い体を露にする。
「うぅぅっ……!」
 杖を構えて斬撃を受け止めるが、その小さい体では衝撃を受け止めるには力が弱く、一太刀ごとに後退って追い詰められていくケラスス。
 そうして何度かの切りつけで壁に背が着いたところで、理緒がケラススを取り巻いていた炎を消した。
「とどめはいちごさんに任せるよ! いちごさんのかっこいいとこ見せて欲しいな。巨乳好きな嗜好とともに、春を倒しちゃえ-!」
「巨乳好きな嗜好と共にって、それだと私も倒されませんかねっ!?」
 疑問は尽きないが、それでも彼女の声援にこたえたいという思いは確か。その思いを込めた大上段からの振り下ろしが、オーラ諸共ケラススを切り裂いた。
「うあああああっ!」
 深く切り裂かれ、壁にもたれ倒れ込むケラスス。何度目かのダウンで、これならもうしばらくは立ちあがれまい。
「いちごさん、やっぱり倒されるの!?」
「倒されませんっ!」
 それ故に、この夫婦漫才へのツッコミもしばらくは放たれなくなるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ミラー、ホークと行動
アドリブOK

ミラーと華澄説得のためにクロタが代理で戦闘。
「つまらぬ事に巻き込むか」
ホークへの興味はあるためか手を貸す。
「次の手を読めるのか」
相手の攻撃が来ると教えられれば属性攻撃で風を起こして対処する。
「ヨル・クロビス……ウォーロックであるお前なら何が起きたか分かっているのだろ?」
赤い光剣を形成しながら聞く。ウォーロック、宇宙の理、神秘主義や神学、魔術に精通していると踏んで問う。
「あれを見たのか?」


アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ミラー、ホークと行動
アドリブOK

同様にエイルが代理戦闘を行う。
「一応、私も聞いておきたい」
事情を聴きつつも戦闘も行い、第六感で危険を察知して伝える。
「なぜかは知らないけど、前より冴える」
刀を形成しつつ、二人のやり取りに耳を傾ける。
「ウォーロックは自然や宇宙と精通している。でも例外もある」
ダッシュで間合いを詰めては斬りつけて離れる。
「生と死、その答えにたどり着いたものは未だにいない」


藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ミラー、ホークと行動
アドリブOK

ラヴェンツァが代理で戦闘に参加。
アシストしつつ、ヨルと行動。
「援護はこちらで」
オーラ防御と結界術で防護しながら被害が出ないようにする。
「あなたの素顔……ありえないとしか」
ヨルの素顔を見て驚愕する。
1000年前にロボット技術はないはずだが目の前にいる。
だが今はそれ以上に気になることが。
「いったい、何が起きたのですか?」


ベアトリス・ミラー
※アリス、エルーゼ、華澄、ホークと行動
アドリブOK

呼び出した兵士に戦わせる。
うち一体は戦乙女の様な姿に変異しているが気づいていない。
見切りと結界術で対処しつつ隙を作り出すために行動。
時折、意思疎通じみた様な行動で集団戦術を取ったりする。
剣や槍を振い、本体を探るなど情報収集すら行う。
連携して追い詰め、隙をカバーしたりする。


ホーク・スターゲイザー
ヨルを呼び出す。容姿はヘルメットを取り、黒に星座が描かれたローブ姿。
無機質な青い光を宿す目、金属で出来たそれは人型ロボットで人と変わらぬ構造で口もある。
ホークにプリンを任せて浮かび上がって前に出る。
両腕からの放電や闇属性の魔力を凝縮したボム等を繰り出す。
「ああ、知ってはいるが確信はない」
グリコン内で起きた事は分かっているが、整理が追いつかない状況。
「……いや」
クロタの問いにも否定するが見てはいた。
「今はグリコン内で起きた事よりホークをどうするかだ」
力を無くした以上、前の様に戦うのは難しいと付け足す。



 傷ついたケラススの前に次に立つ者。それは今までとは比べ物にならないほどの大集団であった。女性揃いの軍隊を初め、様々な武装や能力を持った者たち。
 だが、その中に純粋な猟兵はほとんどいない。そこにいる者のほとんどが、猟兵の召喚系ユーベルコードによって呼び出された者たちであった。
「つまらぬ事に巻き込むか」
 吐き捨てるように言うのは、エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)に呼び出された邪神クロタ。邪神の名の通り傲慢にして奔放な存在であり、正義感や使命感で行動するようなことは決してない。だが一方で興味を持てば他者への協力自体を拒絶はしない。
 その彼女が見るのは、黒に星座が描かれたローブ姿の男。無機質な青い光を宿す目、金属で出来た体は人型ロボットで人と変わらぬ構造をし、喋るための口もある。ジェイク・リー……否、ホーク・スターゲイザー(過去を持たぬ戦士・f32751)が召喚した機械の魔術師、ヨルだ。
 実力の不安かプリンの護衛に専念するホークに代わり、彼が前に出てケラススとの対峙を任されているが、その挙動には自身でも分からぬ謎も多い。
「一応、私も聞いておきたい」
 こちらはあくまで冷静に、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)が呼び出したエイルが言葉を添える。彼女の精神性はアリス本人にも近く、極端に場を乱す行動はせず、一方で過剰に冷徹、秘密主義ということもない。
 何を語ってくれるか、その期待を込めて彼を見るが、ここは敵前であり戦場。ケラススが如何に気弱な存在とはいえ、敵が目の前で話し合うのを黙って見過ごすわけはない。
「何人いても風は吹きます! スプリング・ゲイル!」
 杖を一振り、部屋全体を包むほどの暴風を巻き起こし、その場にいる者を吹き飛ばさんとする。強烈な突風が全員を襲い、会話している場合ではないほどの状況に一瞬で追いやった。
 その突風を、盾になるように一列に並んだ兵士たちが遮った。ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)の呼び出した【クイーン・フォース】の一団である。彼女たちは今までベアトリスの指示に従って動いていたが、今回はベアトリスは傍にはついていない。その代わりに兵士たちを率いているのは、戦乙女のような恰好をした隊長格の如き兵士だ。
 言葉こそ発しないが彼女の指揮の元、兵士たちは己の持つ無敵性を活かして盾になり、暴風に乱されず反撃の準備を整える時間を味方に与えた。
「援護はこちらで」
 その守りの後ろから防御強化を試みるのは、藤宮・華澄(戦医師・f17614)が召喚した蒼き旅人ラヴェンツァ。ラヴェンツァはオーラと結界を後ろから広げることで防衛線を上げ、風を押し返しつつケラススへ向かうための道を作っていく。
 だが、そうしながらも彼女の顔は固い。
「あなたの素顔……ありえないとしか」
 それは機械が動くことそのものではない。動いて喋る機械などウォーマシンを初め種族単位で存在はする。だがそれは機械が命を持てるほどに技術の進んだスペースシップワールドだからこそ。自身の知る情報が間違っていなければ、彼の生まれは到底過去の話のはず。
 そしてそれ以上に気にかかることは。
「いったい、何が起きたのですか?」
 主語のない問い。だが、その意図するところはクロタも察していた。
「ヨル・クロビス……ウォーロックであるお前なら何が起きたか分かっているのだろ?」
「ああ、知ってはいるが確信はない」
 彼がグリコンと呼ぶ地で起きたことを知っているも、確信はない故に確かなことは言えない。
「……いや」
 知ってはいるが見ていた。だが、それを語れるほどに整理はついてない。
「今はグリコン内で起きた事よりホークをどうするかだ」
 ジェイクとして得た力をすべて失い、新たな猟兵と成り果てたホーク。今はプリンの護衛に回っているが、単純な実力はともかく場数の問題まで考えれば彼の方が守られる側になってもおかしくないほどだ。
 力を無くした以上、前の様に戦うのは難しい。そう付け足し、今はこの戦いを凌ぐことが最優先だと敵に注視するヨル。
 それに従うよう、エイルが守りの先へ出て、ケラススへと切りかかった。ケラススは杖を振るいそれを防ぐが、やはり小さな体格故に力は弱いのか、その都度ぐらぐらと体を揺らす。
「なぜかは知らないけど、前より冴える」
 技だけでなく、勘さえも。その勘が、ケラススが眠りの花びらを巻くことを告げる。
「春が過ぎるまで寝ててください、スリープ・フィールド!」
 ケラススが杖を振り下ろすと同時に、エイルがそのことを警告する。それに従い、クロタが風の属性をぶつけ花びらを周囲に飛散させた。
「次の手を読めるのか」
 意外そうに言うが、エイルはそれには答えず別の事を考える。
「ウォーロックは自然や宇宙と精通している。でも例外もある」
 機械の体は宇宙はともかく自然とは相反しそうなもの。ウィザードであるプリンに聞けば何かわかるか、だが彼女も所詮非猟兵の身。多くは期待できまい。
「生と死、その答えにたどり着いたものは未だにいない」
 自然には死なぬ神や死してなお動くデッドマン。世界を渡るほどに生と死の境と定義は曖昧になっていく。その答えにたどり着けるのか。あるいはそもそも答えなどあるのか。
 眠りの花びらを踏み越え、ヨルがケラススに両手を差し出す。そこから放たれるのは、強力な放電と闇属性の固めた爆弾。それは機械が放つ科学的な攻撃にも、魔法使いが唱える強力な魔法にも見える、ある意味彼にこそふさわしい攻撃。
 それに合わせて踏み込むのが兵士たちのリーダー格である戦乙女。剣をケラススの持つ杖に打ち付け、そここそが敵の本体だとまるで周囲に知らしめるかのごとく攻める。
 隙を作り、仲間に攻め込むよう促すその動きに、クロタとエイルも呼応して攻める。赤き光剣と刀がケラススの杖に打ち込まれ、そこに傷を刻む。
「くぅぅっ……」
 傷ついているのは武器なのに、明らかに苦悶の声を漏らすケラスス。さらに反撃の風とか弁を放つが、ラヴェンツァの張った結界がそれを防ぐ。
「俺は……」
 プリンをかばうように立ちながら、仲間たちの戦いをただ見守るホーク。その胸に何があるのか。そして召喚主たちは今何を話し合っているのか。それはまだ、誰にも分からない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
SPD

こんな幼い子が
レプ・ス・カム様の意志を継いだのね……
辛い思いをしたでしょう

守護霊の【ドーピング】と『猟書六重奏・狩人の章』で超強化!
眠らされそうになっても自分の左腕を噛み
媚毒の【呪詛】で愛欲【気合い】を滾らせて眠気を吹き飛ばす

未来予知で次の行動もお見通し。
狼と化した私の影が【ダッシュ・不意打ち】で
彼女のスカートを捲って妨害♥

紫炎に見せかけた雷の【属性攻撃】を
呪印の力で圧縮し【槍投げ・マヒ攻撃】
杖で防御しても感電するわ

もう無理しなくていいんだよ?
"私"は此処に居る。キミもこっちにおいで♥

レプ・ス・カム様の面影を見せつつ
【誘惑・催眠術】付きの巧みな話術で篭絡し【慰め・生命力吸収】



「うぅ……レプ・ス・カム様……」
 何度も敗れ、それでも猟書家の跡目を継がんと立ち上がるケラスス。その姿を、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は慈しむように見た。
「こんな幼い子がレプ・ス・カム様の意志を継いだのね……辛い思いをしたでしょう」
 正確には、レプ・ス・カムの跡を継いだのは彼女だけではない。猟書家が倒れるたび、多くのオブリビオンがその後継として活動を始めている。その意図は様々で、成り代わらんとする野心や力の渇望、自己顕示、中には特別な意思などなくただオブリビオンとしての活動の一つとして行っているだけの者もいる。
 その中では、彼女は猟書家になることを志望する野心が該当するだろう。そしてその原動力は何かしらのレプ・ス・カムへの好意、あるいは敬意だろうか。お世辞にも世界レベルの破壊活動には向いていなさそうな彼女がこの役目を継ぐに至るまで、如何な経緯をたどったのか。
「レプ・ス・カム様の望みは私が果たすのです! 出来たら起こしてあげますから……眠っててください!」
 だが、それがどうであれ、彼女のすべきことは変わらない。杖を振るい、眠気を齎す花弁を撒き散らせるケラスス。その花弁がドゥルールを取り巻くと同時に彼女を強烈な眠気が襲う。ドゥルールは遠くなっていく意識の中、自身の左腕を自身の胸の前へと持ちあげた。
「連なる愛の鎖の中に数多の恋物語を束ね、不変不朽の美と無限無窮の力を今此処に!!」
 ドゥルールは死霊術を用いオブリビオンの力を身に宿す。それによってドゥルールの胸……乳房が横に裂け、牙の生えた口となって自身の左腕に噛みついた。牙が深く突き刺さり血が流れ出るが、その激痛とそれを耐える気合い、そして自らにその傷口から流し込む媚毒の呪いが彼女の意識を無理矢理覚醒させた。
「な、何やってるんですか……早く寝てください!」
 それは相手を倒すためか、それとも回復効果を齎すためか。さらに花弁の量を増し、無理矢理にでも相手を眠らせようとするケラスス。だがドゥルールはそれを読んでいたかのように、自身の影を狼の形に変え相手の足元に走らせた。
「召喚ですか……!」
 ならばとオーラを展開。強化こそされてはいないが、元々実力は高いのだ。少なくとも致命的な攻撃は避けられるだろう。実際、狼はそのオーラを食い破ることは出来なかった。できたのはただ、ケラススの衣服を巻き上げる……つまり、スカートをめくることだけ。
「ふええええっ!?」
 突然のセクハラに慌てるケラスス。自傷をしてまで眠気に耐えたと思ったらふざけたようなスカートめくり。相手の意図が読めずにいるケラススは慎重に相手の次の出方を窺うが、それに応えるようにドゥルールの両手から紫の炎が立ち上った。
「貴様の全てを愛に変えてやる……なんてね」
 作ったような尊大な口調と共に放たれる炎。見ての通り樹木の属性を持つケラススは炎が苦手である。それ故、撃たれた時の対策は常に考えてあった。
「吹き飛ばして!」
 こちらも強化こそされていないものの、強烈な突風を巻き起こし炎を吹き消さんとするケラスス。人一人くらい軽く吹き飛ばせそうな風が巻き起こるが、炎は消えるどころか揺らぐことすらせず風を貫通。ケラススの杖に当たり黒雷に変わって彼女の体を駆け巡った。
「あにゃあああああ!?」
 奇声を上げ全身を痺れさせるケラスス。あの相手は何なのか。やってくることに一貫性がなく、使う能力も方向性が読めない。魔法の様でもあるが、自分の知る原理でもない……
 ケラススが理解できないのも無理はない。今ドゥルールが用いているのは、アックス&ウィザーズの存在ではない者の力。アルダワ魔法学園の乳房の口に未来予知に偽りの紫炎。キマイラフューチャーの素顔なき影。そしてそれらを高速で打ち出すアリスラビリンスの機甲の翼。如何に実力を秘めているとはいえ、本職ではないケラススは異世界の猟書家の力までは知らなかった。
 そして【猟書六重奏・狩人の章】の最後の一節が始まる。ドゥルールの姿が揺らぎ、別の少女の姿が重なった。
「もう無理しなくていいんだよ? "私"は此処に居る。キミもこっちにおいで♥」
 明るい声に溌溂とした表情、服の下からでも存在を主張する豊かな胸。
「レプ・ス・カム様……!?」
 ケラススの慕う猟書家レプ・ス・カム。既に亡き存在であり、本物であるはずがない。だが、弁舌こそを最大の武器とした彼女言葉が、ケラススの心を奪っていく。
「ここまで追ってきてくれて嬉しいよ。ウサギの役目として君を導こう」
 手を伸ばすレプ・ス・カム。その言葉はなぜかどこまでも魅力的で、彼女が既に死んでいるということすら忘れそうになる。
 そしてその手がケラススの伸ばした指に触れた瞬間、そこから猟書家としての力と、春の魔力が流れ出していく。
「レプ・ス・カム様……私を……!」
 ここまでの戦いで疲弊しきっていたケラススは、慕うものの名を呼びながら花弁となって消えた。
 レプ・ス・カムはユーベルコードを解いてドゥルールの姿に戻る。催眠と誘惑術で見せた幻であったが、どこかで一緒に慣れたら。そう思いながら、ドゥルールは一片だけ桜を拾い、その場を後にした。

 ケラススが消え、フェアリーランドからも悪夢は消え失せた。同時に人がいなくなったはずの酒場に突然にぎやかさが戻る。
「んー、やっぱこういうのがいいよね!」
 ベッドから抜け出したプリンがそこへ向かうと、そこには老若男女、年齢も種族も体形も様々な冒険者たちが依頼を求め集まる酒場となっていた。もちろんこれもまたフェアリーランドの内部の存在だが、これこそが冒険者プリンが本当に臨んでいた世界。
「まー寝るだけ寝たし、そろそろ外に出てみるかな! とりあえずー……ま、残りはあげるよ」
 酒場の隅、桜色の花が飾られた場所に残ったピザを置き、プリンは酒場の扉を開け、フェアリーランドの外、すっかり春めいた空気の中へと出ていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年03月28日


挿絵イラスト