金色は貪婪に輝く
●天空城
空飛ぶ巨岩群はアックス&ウィザーズ世界において、かつて戦乱に明け暮れていた古代帝国が、魔力の暴走により天空に放逐された御伽噺を実証するかのようであった。
宙に浮かぶ巨岩を渡り歩いていった先に、その天空城は存在していた。
そうした天空城は、猟兵たちにとっては『群竜大陸』へと至る道標であったが、冒険者たちにとっては違う。
彼らにとっての天空城とは、すなわち財宝の在り処である。
しかし、天空城へと至ることのできる冒険者のパーティはそう多いものではない。
それは結局の所、猟兵に迫るほどの実力がなければ、近づくことすら困難であるからだ。
「漸く俺達も此処まで来たな。天空城! 嘗ての古代帝国の残滓……此処になら、俺達の求める財宝だって必ずあるだろう」
そう冒険者の独りである人間のバーバリアンの男性が拳を握る。
彼にとってこれは長い道のりであった。他の長命種と違って人間の人生は長いとは言えるものではなかった。
だからこそ、彼は冒険という波乱万丈なる人生を選んだのだ。
そんな彼をたしなめるようにエルフのシーフとドワーフのパラディンが言う。
「確かにそのとおりだが、まだ宝を手に入れたわけではない。気を引き締めて行こう」
「ええ、例え財宝の在り処にたどり着いたのだとしても、スタートラインに立ったに過ぎないのですから」
彼らは猟兵ほどではないが手練の冒険者であった。
三人で数多の冒険をくぐり抜け、数々の成功を築き上げてきたのだ。
その成功の秘訣は深追いしないということである。貪欲さとは正反対であるが、そうすることによって彼らは危なげなく、けれど確実に実力を伸ばしてきただから――。
●財宝妖精ブラクテ
「へぇ。ただの冒険者の中にもやる連中がいるものなんだね。意外だったよ」
小さなフェアリーが宙を舞う。
彼女の名は『財宝妖精ブラクテ』、猟書家と呼ばれる存在であり、オブリビオンである。
彼女はこの天空城へと挑んできた冒険者達をずっと見ていた。
どうせ天空城に仕掛けられた罠によって直ぐに自滅するだろうと見物がてら、見ていたのだ。
けれど、彼女の予想に反して冒険者達は罠を次々と突破し、財宝の在り処までたどり着いてしまったのだ。
「なんだ、面白くないな。冒険者が罠に掛かって死ぬ所を見てみたかったのに。財宝はそれからでもゆっくりって思っていたけれど、当てが外れてしまったな」
残念とも思わず、彼女は配下オブリビオンである亡霊の『兵士』たちに冒険者達を抹殺せんと指示を出す。
元より、この天空城の財宝は自分のものだ。
別に所有権があるわけではない。けれど、彼女の目に入った財宝は全て自分のモノにしなければ気がすまないのだ。
そういう性分なのだ。我慢できないのだ。本当であれば、冒険者達が手に入れた財宝の一部だって即座に奪い返したい。
けれど、焦ることはないのだ。
ここは空に浮かぶ天空城。
どこにも逃げ場など無い。ゆっくりと、じっくりと包囲網を狭めていけばいい。自分はその間に、この天空城に眠る財宝の全てを根こそぎ奪うのだ。
「肝心の『輝石の欠片』がなかったら、仕方ないけど……ここの財宝はぜーんぶ、私のものさ!」
爛々と輝く瞳。
それは黄金装飾の兜の中からでも解るほどに輝きを放ち、財宝妖精ブラクテのどうしようもないほどに貪婪なる欲望を示すのだった――。
●進め、天空城ダンジョン
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はアックス&ウィザーズにおける事件です」
彼女が告げるのは猟書家の存在が予見される事件の概要である。
猟書家。
それは世界を侵略しようとする強大なオブリビオンだ。
「今回現れたのは『財宝妖精ブラクテ』。彼女はアックス&ウィザーズに存在する『天空城』に現れ、そこに眠る財宝を根こそぎ奪おうとしています。彼女が何を探しているのかはわかりませんが、その中にきっと『大天使ブラキエル』の目論む『天上界への到達』に必要なものがあるのかもしれません」
だが、ナイアルテが不足の事態を伝える。
それは、猟兵たちにとっては足を引っ張る情報であったかもしれないが、ナイアルテにとってはそうではなかったようだ。
「その天空城に冒険者のパーティが居合わせてしまったのです。彼らは財宝の一部を手に入れており、『財宝妖精ブラクテ』は、それさえも奪おうと配下オブリビオンを天空城に放っているのです」
冒険者達は『財宝妖精ブラクテ』の存在と危険性に気が付き、なんとか隠れてやり過ごそうとしていたのだが、配下オブリビオンに発見されてしまっているのだという。
「彼らは天空城に至ることのできるほどの実力を持つ冒険者パーティでありますが、オブリビオンに勝つことはできないでしょう。ですので、彼らを救い出して頂きたいのです」
多数のオブリビオンの『兵士』たちに取り囲まれている冒険者パーティは三人。
人間のバーバリアンの男性。ドワーフのパラディンの男性。エルフのシーフの女性。
この三人を救い出し、また彼らと協力して欲しいのだという。
「彼らは、天空城の罠を解除し、内部構造に詳しくなっているのです。彼らの協力があれば、猟書家とて容易に追い込むことは可能でしょう」
まずは、冒険者達を抹殺しようとしている配下オブリビオンを打倒する。そして、しびれを切らした猟書家『財宝妖精ブラクテ』を冒険者の協力を得て打倒しなければならない。
「皆さんならば、きっと彼らを救い、猟書家を打倒していただけると信じております。どうか、よろしくお願いいたします」
ナイアルテは再び頭を下げ、猟兵たちを送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はアックス&ウィザーズにおける猟書家との戦いになります。猟書家『財宝妖精ブラクテ』は、天空城に存在する全ての財宝を己のモノにしようとしています。
その財宝の中に『大天使ブラキエル』の目的である『天上界への到達』に必要なものがあるのかもしれません。
それを阻止するため猟書家『財宝妖精ブラクテ』を打倒、そして居合わせた冒険者達を救うシナリオになります。
※このシナリオは二章構成のシナリオです。
●第一章
集団戦です。
猟書家『財宝妖精ブラクテ』が天空城で探索をしていた冒険者パーティを抹殺し、彼らが入手した一部の財宝を奪うために放った配下オブリビオンである『兵士』たちとの戦いになります。
何らかの手段で冒険者たちを素早く発見し、合流することができれば護るにせよ共に戦うにせよ、有利となるでしょう。
●第二章
ボス戦です。
『財宝妖精ブラクテ』は、すでに天空城の財宝の殆どを手中に収めているため、非常に強力な存在です。
ですが、冒険者達は、この天空城の内部構造を把握しており、水に満たされた部屋や、マグマが流れるパイプ、落下する天井や、落とし穴。通路を入れ替えるスイッチなど、罠を知り尽くしています。
彼らの助力をうまく活用することができれば、強力な猟書家と言えど、その力を十全に発揮することはできないでしょう。
※プレイングボーナス(全章共通)……冒険者達と協力する。
それでは、全ての財宝を欲する貪欲なる『財宝妖精ブラクテ』を打倒し、戦いに巻き込まれた冒険者パーティを救う、皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『兵士』
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POW : ハードスラッシュ
【剣による攻撃】が命中した対象を切断する。
SPD : ペネトレイト
【槍】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : 無慈悲の乱雨
【10秒間の集中】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【雨の如く降り注ぐ矢】で攻撃する。
イラスト:楠木なっく
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
天空城へと挑んだ冒険者パーティは、たしかに腕の立つ者達であったのだろう。
そうでなければ、そもそも天空城へと至る事はできず、最初からこの災難に見舞われることはなかった。
そう、彼らにとって天空城の罠は手強いものばかりであったけれど、踏破出来ないものではなかったのだ。問題は、それではない。
「な、なんだ……あの、ちっこいのは……! 本当にフェアリーなのか……!?」
ドワーフのパラディンが呻く。
それは歴戦の冒険者である彼をしても、絶対に関わってはならないと本能が告げるほどの強大なる存在であった。
あれに関わって生きては折れないだろう。
今、彼が生きているのは運がよかったのもあるが、仲間のエルフのシーフが罠を発動させてくれたからだ。
同時に人間のバーバリアンである彼の機転も大きかった。
「わからない……けれど、ダメだ。俺達ではアレに絶対敵わない……!」
人間のバーバリアンは冒険野郎であったが、たしかに猟書家『財宝妖精ブラクテ』との間にある彼我の戦力差を正確に読み取っていた。
彼らがこれまで生き残ってこれたのは、この生存に対する本能の高さであろう。
エルフのシーフが籠城するように罠のない安全地帯へと誘導してくれたからこそ、生命が繋げている。
「同感です。ですが、ここも直に見つかってしまう……敵の数は多く、周囲には罠だらけ……万事休すという所でしょうか」
笑えないな、と人間のバーバリアンとドワーフのパラディンが苦虫を潰したような顔をする。
彼らはまだ諦めていなかった。
どうにかして生存への道筋を見つけようとしていた。
これまでも何度も窮地に陥るたびに仲間で助け合ってきたのだ。
今回も、と思っていたけれど、この状況ではそれは望みが薄い。誰か一人でも、と互いを思う気持ちすらあったのだ。
「いや、それでも俺達はパーティだ。全員で生き残ろう。諦めなければ――」
そう言葉がつぶやかれた瞬間、安全地帯の広間の扉を突き破って入り込んでくるオブリビオンの『兵士』たちの姿があった。
「くそっ、もうやってきやがったか……!」
「どこまでやれるかわからんが、それでもやってやろうではないか!」
「ええ! 来ますよ!」
彼らの命運は此処までなのか。
けれど、いつだってそうだけれど、オブリビオンの影があるところには、必ず彼らがやってくる。
そう、影があるのならば光があるように、彼らにとっての希望足り得る猟兵が――!
ラリー・マーレイ
天空城か。普通の冒険として挑んでみたかったな。
ともあれ冒険者同士、困ってる時は助け合わないとね。援護に向かおう。
【術具強化】使用。「見知の書物」の効果範囲を拡大する。
迷宮内の地図を脳内に映し、生命反応を探査。彼等の居場所を探ろう。
居場所と、そこまでの道順を探り向かう。
「守りの指輪」「空の杖」の能力も強化増幅。防御障壁による【オーラ防御】【結界術】で攻撃を防ぎ、風の【属性攻撃】で敵を【なぎ払い】ながら、出来るだけ迅速に冒険者達と合流しよう。
合流出来たら、魔術師として後方支援を担当し敵を撃退しよう。風で前衛への攻撃を反らしつつ遠距離の敵を攻撃。臨時だけどバランスの良いパーティになるんじゃないかな。
天空城、それはアックス&ウィザーズ世界に生きる冒険者にとっては伝説であった。
そもそも『群竜大陸』ですら、その存在が噂される程度にしか過ぎず、天空城と関連があるとさえもわかっていなかったのだ。
だからこそ、冒険者は夢見る。
その見果てぬ夢の先を見てみたいと、己の心に浮かぶ冒険心に従って、道なき道を征くのだ。
「天空城か。普通の冒険として挑んでみたかったな」
ラリー・マーレイ(冒険者・f15107)は、転移によって天空城へと至る空に浮かぶ巨岩群をショートカットして今、そこに在る。
それは緊急を要するからであって、冒険のためではない。
そういった意味ではラリーは天空城に至ったとは言い難いものであろう。
「ともあれ冒険者同士、困ってる時は助け合わないとね。援護に向かおう――増幅術式、展開!」
その瞳がユーベルコードに輝く。
一瞬の光の後に彼の装備するアイテムの全てが強化されていく。
それこそが、術具強化(ハイエンチャント)。
彼の操るユーベルコードの力である。
その手に在るのは『見知の書物』――ラリーの脳内に周辺の地形、すなわち天空城におけるマッピングを開くのだ。
その効果範囲はユーベルコードによって拡大され、天空城に在る生命の位置まで割り当てるのだ。
「……視えた。そこだな」
ラリーは一気に駆け出す。
手にしたのは精霊の宿った杖。大気を操る力を持つ空の杖は、彼の身体を跳ね上げさせ、天空城の中を駆け抜けるのだ。
途中、猟兵家『財宝妖精ブラクテ』配下のオブリビオン『兵士』たちがいたとしても問題にもならなかった。
『兵士』たちが密集しているということは、その先に苦戦を強いられている冒険者のパーティが存在しているということだ。
オーラの力と結界術、そしてユーベルコードによって強化されたラリーはまるで弾丸のようであり、『兵士』たちの反撃さえ赦さぬ暴風を伴ってパーティが立て籠もる安全地帯へとたどり着くのだ。
「な、なんだ――!?」
「人、いや……冒険者なのか!?」
自分たち以外にも天空城に挑む者がいるとは思わなかったのだろう、ラリーの姿を認め、冒険者たちが驚く。
しかし、ラリーは冒険者三人を見つめうなずく。
彼らのパーティには後衛が不足している。ならば、ラリーは己自身が魔術師として後衛を担当すればいい。
「臨時であるけれど、協力したい。この場を切り抜けよう」
「わ、わかった……けど、君は……!」
確かに唐突に現れたラリーのことを信用はできないかもしれない。
けれど、ラリーは頭を振る。
細かいことは、この窮地を抜けてからだと言わんばかりであった。
風の魔術が炸裂し、『兵士』たちを薙ぎ払っていく。
オブリビオンから加えられる攻撃は、波状攻撃のように数に頼ったものであったが、あちらの攻撃がこちらに届かなければいいのだ。
下手な消耗を避けるべく、ラリーは風によって攻撃を逸しつつ、返す刃で『兵士』たちを吹き飛ばすのだ。
「冒険者は、困っている時は助け合いだろう?」
ラリーは師に教わったことを実践しているだけだ。
けれど、それでいいのだ。
それだけで人は信じることができる。冒険者パーティの三人とラリー。
彼らの臨時パーティは、なかなかにバランスのよく機能し、『兵士』たちの攻撃を躱しつつ、各個撃破していく。
「ありがとう、ええと……」
エルフのシーフが名前を聞いていないことに気がついて、ラリーに尋ねる。
戦いの最中であっても、そういうやり取りは必要でったのかもしれない。
だから、ラリーは短く応えるのだ。
誰かと共に戦えること。
それが冒険者パーティにとって必要なこと。ならば、ラリーは応えるのだ。
「ラリー・マーレイ。まずは一歩ずつ行こう」
その言葉と共にラリーと冒険者たちは果敢にオブリビオン『兵士』たちを退け続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
久瀬・了介
例え未踏の地だろうと迷宮の奥底だろうと、そこに怨敵がいるなら殺す。
城内を進んで行く。片手に「ハンドキャノン」、片手に蛮刀化させた「怨念武器」を持ち、兵士達を撃破。敵のUCは準備時間がかかる。【早業】での【先制攻撃】を仕掛け攻撃を許さない。
複雑な上に罠も仕掛けられた迷宮内を彷徨いながらでは効率が悪いか。件の冒険者達と合流すべきだ。
【墓場の主】で悪霊の群れを召喚。この迷宮を踏破する者達がいた筈だ。解除された罠や戦闘の痕跡を探せ。
悪霊と五感を共有し迷宮を突破。罠は悪霊に同化させ操り無効化。
「猟兵の団から派遣されてきた者だ。作戦目的は貴方達の支援。協力する」
軍人らしく挨拶し、力を合わせ敵を打ち倒そう。
久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)という猟兵の名を知る者は、彼が如何なる存在であるかを知るだろう。
彼はすでに死せる者であり、死を超越した者である。
不死の体現者であるデッドマンにして悪霊。
その身を焦がすのはオブリビオンへの憎悪である。その憎悪とも言うべき魂の衝動を受けてヴォルテックエンジンは魂の衝動を膨大な電流に変換し、彼の身体を突き動かす。
そう、例え未踏の地であろうと迷宮の奥底だろうと、そこに怨敵であるオブリビオンがいるのならば殺す。
ただそれだけなのだ。
今回だってそうだ。
例え、巨岩群が宙に浮かぶ天空城であろうとも、彼にとって問題はそこではない。 そこにオブリビオンがいるかいないかだけである。
無造作に場内を進んでいく。
それは罠だらけの天空城に置いては自殺行為であったかもしれないが、彼とて生命の埒外にある猟兵である。
「―――殺す」
ただ、そのためだけに己は在るのだと言わんばかりに迸る怨念を物質化させ、蛮刀へと形を変える。
怨念武器は出会うオブリビオンの『兵士』を見敵必殺によって次々と霧散させていく。
呪帯弾を装填された大型拳銃を息をつく暇もない速度で引き抜き、撃ち貫いていくのだ。
「……複雑な上に仕掛けられた迷宮内を彷徨いながらでは効率が悪いか。件の冒険者と合流すべきだな……――来い」
短く了介のユーベルコードが輝き、物体や人間に取り憑いて操る悪霊の群れを召喚する。
デッドマンである墓場の主(ハカバノアルジ)に相応しい使い魔というわけだ。
「この迷宮を踏破する者たちが居たはずだ。解除された罠や戦闘の痕跡を探せ」
そう命じた瞬間、了介の五感に訴えるものがあった。
それは安全地帯で先行した猟兵と共に戦う冒険者たちの姿であった。
「……なるほどな。すでに助けは間に合っているが、それも時間の問題……数は多い……」
ならば、と了介は駆け出す。
何も変わっていない。
彼がやらなければならないことと、やるべきことは何も変わらない。
どれだけ猟兵が駆けつけようとも、オブリビオンは殺す。
殺して、殺して、殺し尽くさねばならない。
己の怨敵、それがオブリビオンであればこそ、全てを滅ぼすまで了介は死んでも死にきれない。
安全地帯を取り囲むオブリビオン『兵士』たちが放つ弓矢を躱し、了介は肉薄する。
手にした怨霊武器を振るい、『兵士』たちを膾切りにしていく。
その手並みは圧倒的であった。
「猟兵の団から派遣されてきた者だ。作戦目的は貴方達の支援。協力する」
その言葉はあまりにも杓子定規であったけれど、彼の生前の職業を考えれば、妥当なものであったことだろう。
軍人然とした立ち振舞に、冒険者たちは驚く。
彼らにとって軍人とは、自分たちを助けにくるような存在ではなかったからだ。
「――……助かる。まだ敵の数は多いんだ……それに、もっと危険な奴がいる!」
「そいつに手を出してはならん。あれは、正真正銘、化け物だ」
人間のバーバリアンとドワーフのパラディンが口を開く。
助けに来てくれたことはありがたいが、猟書家『財宝妖精ブラクテ』の存在は別格である。
ここに留まっていては危険だと彼らは言っているのだろう。
けれど、了介は頭を振る。
その必要はないと。
まさにその化け物と呼ばれるオブリビオンこそが了介の仇である。直接的な仇ではないだろう。
そんなことは些細なことなのだ。
「問題ない。『それ』は俺が討つ。俺は、依然軍人だ。だからこそ、貴方達を護る。それが俺の責務だ」
そして、矜持でも在る。
だからこそ、了介は戦い続ける。
あの日すべてを奪われたもの、その全てを怨敵によって贖うその日まで戦い続けるのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
天空城、ね。空中楼閣の類に落ちぶれているけれど、かつては栄華を誇ったんでしょうね。
それじゃ、状況開始しましょ、アヤメ。
「式神使い」「偵察」で黒鴉召喚。多数の式をもって、天空城の内外を把握し尽くす。冒険者の一団とまずは合流しないとね。
アヤメ、罠の解除は任せて大丈夫? 何なら『鎧装豪腕』を先行させて、わざと引っかかりながら進ませることも出来るけど。
冒険者と合流出来たら、コミュ力で同類だって伝えるわ。
「オーラ防御」の「結界術」で冒険者たちを守り、炎の「属性攻撃」で兵士たちを「範囲攻撃」の「除霊」。
どこにでも、こういう不遇な霊は現れる。放っておいても立ち消えるけど、猟書家の下僕になっているなら話は別。
嘗て在りし古代帝国の残滓。
それが天空城であると説明されても頷けるほどの光景が目の前に広がっている。
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)にとってさして珍しいものではなかったのかもしれない。
「天空城、ね。空中楼閣のタグ位に落ちぶれているけれど、かつては栄華を誇ったんでしょうね」
名残とも言うべき姿。
それは宙に浮かぶ巨岩群が織りなす景色と相まって、伝説の領域を出なかった古代帝国の像を結ぶには十分な証拠と成り得ただろう。
けれど、ゆかりは別に冒険に来たわけでもなければ、観光に来たわけでもない。
式神のアヤメと共に転移したゆかりは天空城内に直接入り込む。
彼女のユーベルコード、黒鴉召喚(コクアショウカン)によって召喚されたカラスに似た鳥形の式神が天空城の中を飛ぶ。
多数の式をもって天空城の内外を把握しつくすのだ。
とにもかくにもまずは冒険者のパーティと合流しなければならない。
先行した猟兵達がすでに冒険者たちを救ってはいるが、今だ数で勝るオブリビオンの『兵士』たちの数は圧倒的である。
「どこにいるかわからない猟書家の姿が視えないのも気になるけれど……状況開始しましょ、アヤメ」
「はい、罠はおまかせください」
アヤメと共に罠を解除し、五感を共有した鳥形の式神が次々と情報を送り込んでくる。
「何なら『鎧装豪腕』を先行させて、わざと引っかかりながら進ませることもできるけど」
「だから、大丈夫ですってば。そんなに心配しなくても」
そんなやりとりをしながらゆかりたちは天空城の中を進む。
罠は一度解除しても再び元に戻るのか、冒険者の中にいるエルフのシーフの腕は確かなようだった。
アヤメもまたクノイチであるが、彼らが手練であることを証明するには十分なものであった。
「これならしばらくは持ちそうね」
ゆかりは冒険者たちが立てこもっていた安全地帯を取り囲むオブリビオンの『兵士』たちの姿を認める。
炎を宿した薙刀と式神のアヤメとの連携によって囲いを突破し、ゆかりは安全地帯で未だ闘っている冒険者たちと対面を果たすのだ。
「次はなんだ――!?」
ドワーフのパラディンが呻く。
それもそのはずだろう。オブリビオンの『兵士』たちの数は一向に減らず、そして次から次に起こる闖入者、いや、援軍の姿に面食らっているのだろう。
「味方……? この結界術は一体……」
「俺達を守ってくれているのか……?」
エルフのシーフと人間のバーバリアンがゆかりの姿を認め、己達の体を包む守りの力に驚くのだ。
ゆかりは、その姿を見てそのとおりだというように薙刀を振るい、オブリビオンの『兵士』たちを祓うようになぎ倒していく。
「ええ、もちろん。ご同類ってことで一つよろしく頼むわ。それにしても、どこにでも、こういう不遇な霊は現れる。放って置いても立ち消えるけど……」
ゆかりは冒険者たちと合流し、彼らを救うべく奮戦していく。
エルフのクノイチであるアヤメの協力もあって、数で押し切られることはない。
けれど、それでもゆかりは猟書家『財宝妖精ブラクテ』の下僕と成り果てた『兵士』たちの弓を躱しながら走る。
彼らを放置しておけば、必ずアックス&ウィザーズ世界に外を為すだろう。
漸くの思いで帝竜たちからオブリビオンの脅威を取り除いた世界なのだ。それを再び混乱に追いやることは許してはおけない。
「さあ、やるわよ、アヤメ――!」
ゆかりは、薙刀を構え直し、どこかで此方を見ているであろう『財宝妖精ブラクテ』の姿を式神を使って探しながら、オブリビオン『兵士』たちを霧散させていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
クルル・ハンドゥーレ
アドリブ・連携歓迎
ん、やっぱり天空城の眺めは圧巻やねえ
ここは血湧き肉踊る冒険!浪漫!ゆう舞台であってほしいなあ……てな個人的見解にて、猟書家にはご退場願おか
キャバリアが立ち回れない広さなら本体は虚空に
ドローンで偵察情報収集
城内構造と状況把握し冒険者や他猟兵と合流
冒険者は敵視界に入らぬ位置にいてもらう
援軍追加や、よろしゅうね?
WIZ
迷彩+ダッシュで敵が私のUC射程内に入る位置まで接近
先制攻撃で集中が必要な敵UCに先んじる
敵の視界を塞ぐように破魔をのせたUCの蝶を舞わせ攻撃
敵攻撃には冒険者が敵攻撃範囲外なら見切り・武器受け・盾受け、範囲内なら見切らず武器盾受けで対処
シーフ…ん、クールで格好ええなあ
空が近い。
それは己の立つ位置が変わったせいでもあるのだろう。けれど、それ以上に見下ろす下界とも言うべき大地の広がる光景は、クルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)にとって如何なるものであっただろうか。
暁。そして黄昏。
それに魅せられた彼女にとっても、天空城より見下ろす大地は圧倒されるものがあったのかもしれない。
漏れ出た言葉は吐息のようであった。
「ん、やっぱり天空城の眺めは圧巻やねえ」
彼女はキャバリアと共に天空城へと転移してきていたが、キャバリアのサイズでは天空城の中は些か手狭であろう。
5m級戦術兵器であるキャバリアの持ち味を生かすには、此処は狭すぎた。
虚空へと消えるサイキックキャバリアを見送ってクルルは天空城へと向き直る。
「ここは血湧き肉躍る冒険! 浪漫! ゆう舞台であって欲しいかなあ……」
それは彼女自身の個人的見解である。
けれど、そこに猟書家の存在は不必要である。
クルルはドローンを飛ばし、天空城の内部を偵察させる。天空城の中の構造を把握し、城内での戦闘の様子を知らなければならない。
「……やっぱり、他の猟兵さんもいてはるんやな。なら……」
クルルは単身天空城へと挑む。
確かに多彩な罠が仕掛けられているが、ドローンによって状況と内部の構造を把握しているのだ。
しくじることはない。
もっとも警戒すべきことは、オブリビオン『兵士』の攻撃だけだ。
彼女は華麗に走り抜ける。
罠の発動も気にした様子もなく、ドローンから得た情報を元に罠を躱していくだのだ。それはまさに疾風のようであった。
「またか……! 今度は一体!?」
人間のバーバリアンがオブリビオン『兵士』たちを吹き飛ばしながら、安全地帯に飛び込んでくる銀炎の翅脈持つ蝶を見た。
それはクルルのユーベルコードであった。
「来たれ、来たれ 、ソラの涯より――援軍追加や、よろしゅうね?」
その言葉で漸く冒険者達は知る。
己達の他にこんなにも多くの者たちが天空城へと至っていたのかを。そして、彼女たちが自分たちよりも遥かに技量に優れた存在であるかを。
幾何学模様を複雑に描きながら銀炎の蝶が飛ぶ。
それは飛来するオブリビオン『兵士』たちの放つ弓矢の尽くを撃ち落としていく。
破魔の力を載せた銀炎の蝶が『兵士』たちの視界を塞いでいく。それは次々と『兵士』たちの身体すらも燃やす眩い銀炎となっていく。
「危ないわっ、貴方もエルフ……?」
エルフのシーフがクルルに飛来した弓矢の一つをナイフで切り落とす。
同族のクルルを見て、彼女は少しばかり安心したようである。クルルは、そんな彼女に礼を告げて、再び銀炎の蝶を舞わす。
クールで格好ええなあ、と小さくつぶやく。
けれど、それは銀炎が見せる胡蝶之夢(コチョウノユメ)に消えていく。『兵士』たちの攻勢はまだまだ続く。
だからこそ、クルルは己の持つ力を持って、冒険者達を救う。
「風の吹くままに彷徨っているだけやから……ご同族やけれど、少しの間よろしゅうね」
クルルは笑う。
それは気まぐれな風のようであり、けれど炎のような苛烈さでもって、オブリビオンたちを霧散させていく。
いつかきっと、彼女たちの冒険譚を聞く機会だってあるだろう。
それを楽しみにしつつ、クルルは銀炎が散る天空城にて舞を舞うように、ひらり、ひらりと刃を振るうのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルテミシア・アガメムノン
せっかく様々な世界に行けるようになったのですから、色々な場所を見てみたいですわね。天空城? いいでしょう。今回はそこにしましょうか。
(公務の合間の息抜きに異世界の冒険へ)
あら、彼等がグリモア猟兵さんが仰っていた冒険者達ですわね。
「ご機嫌様、皆さん。ご迷惑でなければ助力したいと思いますけれどよろしいかしら?」
敵powucに関しては十秒の集中時間は与えません。『黄金女帝の威』を発動して滅びの波動で兵士たちを葬り去ります。それと同時に冒険者たちの負傷あるいは疲労は癒しの波動で治癒しましょう。
猟兵になった者が最初に思うことはなんであろうか。
猟兵になったという実感。それは数多ある世界、異世界と呼ぶに相応しい己が育った環境とは全く異なる文化、自然、人を知ることであろう。
特にデビルキングワールドより出る猟兵であるアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)にとって、善悪の価値基準以上に、アックス&ウィザーズ世界に広がる光景は、驚きに値するものであったのかもしれない。
「せっかく様々な世界に行けるようになったのですから、いろいろな場所を見てみたいですわね」
彼女のその欲求は正しいものであったことだろう。
デビルキングワールドの制覇を目指す女帝にして魔王国の王、黄金の光輪と三対六枚の翼を持つ金色に輝く姿は、このアックス&ウィザーズ世界においても、威光を一切失うことはなかったことであろう。
「天空城? というところがあるとは伺っておりましたが……」
宙に浮かぶ巨岩群。
そして、その巨岩群をたどる先に在る天空に浮かぶ城。
それはデビルキングワールドにもない光景であったことだろう。その光景に驚き、喜ぶことあれど、今は公務の合間である。
彼女は猟兵でありながら公人でもある。
猟兵としての使命は知れど、女帝でもあるからこそ、このような息抜きは必要なのだろう。この戦いを息抜きと呼べるだけの実力が彼女にはあるのだ。
「異世界の冒険……それは浪漫というに相応しいものですわね」
転移した後、彼女は天空城の内装を見回す。
己の魔王国における位城の参考になるのではないかと思っていたが、どこもかしこも罠だらけである。
しかしながら、この罠を突破した冒険者のパーティが窮地にさらされているというのであれば、それを助けるは猟兵の使命。
安全地帯にて、彼らは猟兵たちと共に襲い来る波のようなオブリビオン『兵士』たちの猛攻を凌いでいた。
『兵士』たちが放つ弓矢は雨のように降り注ぎ、数を減らしていても尚圧倒的な物量で彼らを疲弊させていくのだ。
「あら、彼らがグリモア猟兵さんがおっしゃっていた冒険者達ですわね」
アルテミシアは黄金の輝きを放ちながら、その姿を晒す。
それは新手の敵と思うには、あまりにも神々しい輝きであったことだろう。
「敵、じゃないなよな……」
「ああ、同じ金ピカだが、あのフェアリーとは似ても似つかぬ」
人間のバーバリアンとドワーフのパラディンが頷き合う。彼らが警戒しているのは同じ金色を放つ存在であっても、サイズが違うのだ。
「ご機嫌よう、皆さん。ご迷惑でなければ助力したいと思いますけれど、よろしいかしら?」
だが、その言葉はユーベルコードの輝きによって事後承諾となっていた。
彼女が起きている間、彼女の周囲には滅びの波動がオブリビオン『兵士』たちに降り注ぐのだ。
これこそが、黄金女帝の威(アスタルテ)。
「こ、これは……傷が消えていく? でも、敵は霧散してくなんて……!」
その凄まじきユーベルコードの輝きを前にエルフのシーフが呻く。
冒険者と言われても信じることはできない。まさに神か悪魔かの仕業としか思えぬほどの圧倒的な威光を見せつけるアルテミシアを見上げることしか出来ない。
「味方には慈悲を。敵には破滅を。わたくしの輝きは、そういうものです。ですから、皆さんは気兼ねなく」
微笑む姿は、己に恭順を示すものには慈悲を。しかして、反抗を示すものには破滅を与える女帝と呼ぶにふさわしい。
アルテミシアは、ただ其処に在るというだけで敵を滅ぼし、オブリビオン『兵士』たちを次々と霧散させ、安全地帯に雪崩込んできていたオブリビオン『兵士』たちの群れを吹き飛ばす勢いで打倒せしめていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
こういう時は人海戦術ですの
神域から使い魔達を召喚しますわ
皆様よろしくお願いしますの
まあ実際助かるからね
3人組になって冒険者の痕跡を探して貰うよ
僕もイヤホンで戦闘音に注意しつつ
冒険者を探そう
見つけたら彼らをかばいつつ
ガトリングガンで兵士達を倒していこう
近くの敵を倒しつつ
使い魔達に簡易なバリケードと拒馬を作って貰い
冒険者達を匿うよ
そこに篭って射撃で攻撃
剣は近付かなければ攻撃できないからね
使い魔は念動力で金属塊を射出して攻撃するよ
その間に冒険者達には休憩して体勢を立て直して貰おう
晶達が注意を引き付けている間に
他の場所を探索していた使い魔達を集合させますの
タイミングを図って側面や後方から突撃させますの
猟兵と冒険者たちの活躍によってオブリビオン『兵士』たちの数は徐々に数を減らしている。
けれど、安全地帯に迫るオブリビオン『兵士』たちは未だ、その数を誇っている。
冒険者たちもいつ消耗仕切ってしまうかわからぬ状況にあって、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)の身の内に存在する邪神が提案する。
「こういう時は人海戦術ですの」
ユーベルコードに輝く瞳が、神域より召喚するのは、式神白金竜複製模造群体(ファミリア・プラチナコピー・レプリカ・レギオン)であった。
使い魔は希少金属の属性を持ち、百に近いほどの数でもって一気にオブリビオン『兵士』たちを押し返していく。
天空城へと転移してきた晶は、三人の冒険者達に邪神の分霊と共に頭を下げる。
「皆様、よろしくおねがいしますの」
「まあ実際助かるからね。ここまであの子たちがいなかったら、迅速にたどり着けなかったし」
そう、これまでの天空城の内部を行く道中、呼び出した使い魔たちは三人一組になって冒険者たちの痕跡を探し当てたのだ。
晶は戦闘の音を集音し、戦いが今起こっている場所を探し当てたのだ。
「君たちは……! 援軍か、助かる!」
人間のバーバリアンがこれまで猟兵達が己たちを助けてくれたことから、次々と訪れる援軍を信頼しきっていた。
持ちつ持たれつが基本の冒険者たちの中にあって、その誠実さがきっとこれまで彼らを助けてきたのだろう。
「さあ、みんな。よろしく頼むよ」
晶の言葉に使い魔達が次々と簡易的であるがバリケードと拒馬を築きあげていく。
それは希少金属の属性を持つがゆえに、オブリビオン『兵士』たちの剣であっても、刃を通さぬほどの頑強なるバリケードとなって弾くのだ。
「これは、希少金属か……!」
ドワーフのパラディンが呻く。
希少金属の使い魔達がバリケードを築く様子を見て驚愕している。それもそのはずだろう。
これだけの希少金属があれば、どれだけのことができるかわからない。ドワーフにとっては垂涎の代物であったことだろう。
「あげることはできないけれどね。さあ、ここに籠もって体を休めておいて。後は僕等に任せて」
晶は一気にガトリングガンの斉射でオブリビオン『兵士』たちを薙ぎ払っていく。
自慢の剣もバリケードに阻まれてしまえば、その威力を発揮することなどできようはずもない。
さらに使い魔たちが念動力で金属塊を打ち出して、正面に注意を引きつける。
「そろそろ敵も打ち止めだろうね。ならっ」
晶の指示に従って他の場所を探索していた使い魔達が一斉に集合してくる。邪神の分霊の号令によって、使い魔たちは一斉に安全地帯を取り囲んでいたオブリビオン『兵士』たちを挟撃する形で金属塊とガトリングガンの弾丸で霧散させていく。
それはこれまで先行した猟兵たちと冒険者達の活躍があればこそだ。
層の薄くなった敵は、使い魔達の打ち出す金属塊の前に為すすべもなく砕け散っていく。
「これで全部おしまいですの。さあ、次は――」
「ああ、どこかでアイツが見ているはずだ、あの金色に輝くフェアリーが! アイツは化け物だ。君たちでも勝てるか……!」
わからないと人間のバーバリアンが言う。
確かに彼の言う通りであったかもしれない。強力なオブリビオン、猟書家『財宝妖精ブラクテ』。
その力は言うまでもなく猟兵単体よりも遥かに上だ。
けれど、晶は告げる。
例え、どれだけ強大な敵であったとしても、と。
「君たちはこの天空城の内部構造にはもう随分と詳しいんだろう? 解除してきた罠も今は復元されている……それをうまく使ってどうにか有利な状況にできないかな?」
晶はうなだれる冒険者達へと手を差し伸べる。
彼らは無力なんかではない。
むしろ、助けてほしいと願う心に応えることのできる者達であると知るからこそ、晶は手を伸ばすのだ。
「……やってみるしか、ないよな」
「ああ、頼んだよ!」
晶は彼らの瞳に宿った意志を見て、決意を新たにする。
彼らを生きて地上に返す。彼らはきっとこれからもオブリビオンさえ邪魔しなければ、大成していく存在のはずだ。
そな彼らを護ることこそ、自分たちの使命なのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『財宝妖精ブラクテ』
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POW : 財宝の竜<グランツ>
自身からレベルm半径内の無機物を【合体させ、巨大な財宝竜】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD : 収集欲<ベギーアデ>
【財宝】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[財宝]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ : 竜の眼<アオゲ>
【【竜眼の宝珠】の呪詛】によって、自身の装備する【3秒以上視続けた財宝】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
イラスト:なかみね
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ナミル・タグイール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「あれー? なんだ、まだ全滅していなんだね」
猟書家『財宝妖精ブラクテ』は全滅させられたオブリビオン『兵士』たちの姿を見て、その小さくも燦然と輝く黄金の光を伴って猟兵達の前に姿を顕す。
彼女にとって、この戦いは財宝を得るための戦いでしかなく、オブリビオン『兵士』たちは配下であっても使い捨てでしかなかったのだ。
「まあ、でもいっか。こうして財宝はほとんど私のモノだし。ほら、見てよ。こんなに一杯あったんだ」
朗らかに笑う小さなフェアリーの身体を取り囲むのは、宙に浮かぶ大量の財宝であった。
それはこの天空城に存在してた財宝であり、彼女はそれを狙ってやってきた猟書家であったのだ。
けれど、と彼女は眉根を寄せる。
肝心なものが手に入っていないのだと。
「君たち――」
そう言って指差した先にあったのは、冒険者達であった。
彼らを指差し、『財宝妖精ブラクテ』は言う。
「君たち、持ってるよね? この天空城の財宝の中で一番大切なのをさ。『輝石の欠片』をさ。それも頂戴。くれないって言うのなら、わかるよね?」
おぞましき独占欲。
それが力の奔流となって迸る。猟兵たちは己たちとオブリビオンの戦いに冒険者達を巻き込ませぬためにと安全地帯を後にする。
けれど、それで『財宝妖精ブラクテ』が諦めるわけがない。
当然のように追ってくる。
「やっぱり、アイツ、これを狙っているのか……!」
人間のバーバリアンが呻く。
その手にあるのは『輝石の欠片』。それがどんな意味を齎すのかは未だわからない。けれど、それを『財宝妖精ブラクテ』が狙い、オブリビオン事態が『天上界へと至る鍵』とみなしていることは間違いない。
ならば、猟兵達がやることは一つだ。かの『財宝妖精ブラクテ』を打倒し、冒険者達を護る。
「確かに、アイツは化け物だ。けれど、俺達だって伊達にこの天空城を踏破したわけじゃない。きっと罠を使えば、アイツとの戦いにだって……罠の作動は任せてくれ! 罠は……」
「水の満たされた部屋、マグマの流れるパイプ、落下する天井に落とし穴。通路を入れ替えるスイッチ……色々あるわ!」
「ああ、作動のタイミングを指示してくれさえすれば!」
冒険者達が矢継ぎ早に段取りを組んでくれる。
彼らの知識と機転があれば、『財宝妖精ブラクテ』と言えど、猟兵を相手にするのは荷が重くなるだろう。
そこに付け入る隙がある。
猟兵たちは、彼らから罠の存在を聞き、どのように戦術を組み立てていくだろうか――。
アルテミシア・アガメムノン
まあ、強欲ですこと!
褒めてあげたいところですがここは魔界ではありません。
持ち主なき財物を集めるのは構いませんが、冒険者さん達の物まで欲しがるのはいけませんわよ。
『明星の栄光』を発動。
超音速の飛行移動で翻弄して罠に嵌めます。
(アルテミシアが通り過ぎた後にそれを追う敵に罠が炸裂する感じで)
マグマや落下天井で損耗させた後、渾身の魔法の一撃で敵powucの財宝竜ごと財宝妖精を吹き飛ばしましょう。
冒険者さん達、良い仕事をしてくれましたわね。
今後、必要となるであろう輝石の欠片、こも戦いの後、相場以上の価格を提示して買い取りたいですわね。
世界が異なれば世俗も風習も異なるものである。
猟兵となったデビルキングワールドの者は、それを知る者である。例え、デビルキングワールドが悪徳こそが美徳の世界であったとしても、猟書家『財宝妖精ブラクテ』の強欲は認められるものではなかった。
「まあ、強欲ですこと!」
アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は『財宝妖精ブラクテ』が冒険者たちの持つ『輝石の欠片』、天空城に存在していた財宝すらも奪わんとしている。
「だって、金ぴかなものは全部私のものにしなくてはならないのよ。私は私が欲するものを全て手に入れるために生きているのだから」
彼女の周囲にあった多くの財宝が組み上がって、巨大な竜へと姿を変貌させる。
その顎はすべてを飲み込み、あらゆる物を奪わんとする強大なる欲望を示すかのようであった。
デビルキングワールドでは、その強欲さこそが、最大の美徳であったことだろう。
「褒めてあげたいところですが、ここは魔界ではありません。持ち主なき財宝を集めるのは構いませんが、冒険者さん達のものまで欲しがるのはいけませんわよ」
アルテミシアの瞳がユーベルコードに輝く。
すでに冒険者たちとの段取りを終え、彼らを逃し『財宝妖精ブラクテ』と対峙するアルテミシア。
彼女の体を覆うのは無限の魔力から生み出されれう光り輝くオーラであった。
明星の栄光(ルキフェル)とでも言うべき姿。
その威光を流星のように走らせ、財宝から生み出された竜の顎を翻弄するように飛行する。
「そんなに早く飛び回ったって! このグランツからは逃れ慣れないよ!」
『財宝妖精ブラクテ』が叫ぶ。
それに呼応するように凄まじい速度で彼女と共に、アルテミシアを追うのだ。
彼女は財宝を求める。
例え、それがたった一つの欠片にすぎないのだとしても、それを負わざるを得ない。それだけの業を持ち得るオブリビオンであるのだろう。
それを憐れとは思わぬし、けれど、素晴らしいと褒めそやすこともない。
アルテミシアは一気に通路を駆け抜ける。
「ええ、逃れられないでしょうね。けれど――」
次の瞬間、アルテミシアの飛ぶすぐ後ろの通路、その天井からマグマがパイプから溢れ出し、財宝の竜であるグランツの頭部を溶かすのだ。
さらに吊り天井が真っ逆さまに『財宝妖精ブラクテ』へと落ち、その巨体とフェアリーの身体を押さえつけるのだ。
「あああっ! 私の財宝が! 溶けるっ! なんてことをしてくれたの!!」
その怒りはわからないでもない。
けれど、誰かの何かを奪おうとするのならば、己の手にある財宝もまた奪われるかもしれないという可能性を知るべきであったのだ。
「冒険者さん達、良い仕事をしてくれましたわね」
アルテミシアは黄金のオーラに包まれながら、微笑む。
けれど、その微笑みとは対象的に握りしめられた拳から放たれる渾身の魔法の一撃は、生易しいものではなかった。
黄金の閃光が、『財宝妖精ブラクテ』の持つ黄金の輝きよりも眩く輝き、その魔法の一撃を財宝の竜ごと小さな身体を吹き飛ばすのだ。
「あっ、あああー!? 私のお宝が! 金ピカがぁ!」
盛大に吹き飛ばされた財宝を追手、『財宝妖精ブラクテ』がぼろぼろになりながら飛ぶ。
それは己の生命よりも財宝に囲まれることを選んだと言っても過言ではなかったし、事実そのとおりであったことだろう。
その業突く張りな性格が生み出す行為を見つめながら、アルテミシアはため息をつく。
デビルキングワールドにおいては確かに褒められた独占欲であるが。
けれど、それでもオブリビオンである以上歓迎はできるものではない。
「さて、今後必要となるであろう輝石の欠片。この戦いの後、相場以上の価格を提示して買取たくありますわね」
まあ、それもこの戦いを切り抜けた後の話である。
その後の交渉次第では、彼らから譲り受けることもできるだろう。
アルテミシアは冒険者たちに累が及ぶことのないように『財宝妖精ブラクテ』が吹き飛ばされた先へと急ぐ。
まだまだ戦いは始まったばかりだ。
彼女は、少しばかり『財宝妖精ブラクテ』の強欲さを見習うべきかしらと、思いながらも頭を振る。
身を滅ぼすほどの強欲は、例え悪徳こそが美徳であったとしても、滅びを齎す。
それは彼女の統べる魔王国の住人たちには必要のない滅びであったのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
光り物が好きな猟書家か。それこそカラスと同じね。あたしの式神にしてあげようか?
「降霊」執金剛神降臨。
執金剛神様の「怪力」で、財宝竜を抑える。これで、金剛杵で首を抉ってもらえば、大人しくなるかしらね?
アヤメは財宝妖精の牽制を。
冒険者さん、マグマのパイプをお願い。その吹き出した溶岩を媒介に、不動明王火界咒を飛ばす。
焼き払ってあげるわ、財宝妖精。
財宝竜だけに頼りすぎ。
待たせたわね、アヤメ。ここからは一緒に戦う。
アヤメを後衛に下げて、あたしが薙刀の「衝撃波」「なぎ払い」で財宝妖精の体力を削っていく。アヤメは苦無の投擲攻撃をお願いね。
財宝に惑わされる程度の知能しかないんじゃ、オブリビオンとしても二流よ。
猟兵の攻撃によって砕けて散っていった財宝の竜『グランツ』。
それを手繰るは猟書家『財宝妖精ブラクテ』である。彼女は凄まじい一撃によって吹き飛ばされていった財宝を追いかけ、冒険者達から離れるように通路を後戻っていっていた。
けれど、財宝を再び集め終わった彼女は、舞い戻る。
それは強欲と呼ぶにはあまりにも執念深いものであり、財宝の一欠片とて誰にも渡さぬという貪婪そのものであった。
「もうっ! 全部の金ピカは一つ残らず私のものだっていったでしょう! 無駄な足掻きをしないでほしいね!」
再び集めた財宝を組み上げて再構成される財宝の竜。
その巨大さは言うまでもないが、猟兵と冒険者の連携によって溶かされた財宝は使い物にならず、徐々にその威容を小さくしていっていた。
グランツと呼ばれる竜の頭部に小さなフェアリーの身体を立たせ、『財宝妖精ブラクテ』は指差す。
「だから、その『輝石の欠片』も頂くよ!」
一気に駆け抜ける財宝の竜。
それを阻むのは再び猟兵である。
「光り物が好きな猟書家か。それこそカラスと同じね。あたしの式神にしてあげようか?」
「御免こうむるね!」
そんなやり取りをしながら、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)はユーベルコードに瞳を輝かせる。
自身の身長の二倍はあろうかという甲冑と金剛杵で武装した執金剛神降臨(シュウコンゴウシンコウリン)が財宝の竜を押さえつける。
その巨大なる者同士が激突する衝撃は天空城を揺らす。
「その首えぐればおとなしくなるかしらね?」
けれど、悶えるようにして財宝の竜がのたうち回る。それを怪力によって抑え込みながら、ゆかりは己の手にした薙刀を振るい、その首を両断するのだ。
「あー! また! ……なんて、いうわけないでしょ! ただ切られただけじゃあね!」
『財宝妖精ブラクテ』が笑う。
そう、複数の財宝によって構成された財宝の竜は、例え断ち切られたとしてもそこから再び再構成されるのだ。
おおよそ無尽蔵。
けれど、ゆかりは笑った。
「なら、溶かせばいいんでしょ。さっきの猟兵がマグマで溶かした財宝は再構成には使えないようだし!」
再構成の一瞬の隙をついて、ゆかりは冒険者たちに合図を出す。
そう、なんのために執金剛神によって財宝の竜をこの場に抑え続けたと思っているのだ。
「あ、あー! まさか、あのパイプ……! だめだめ! 早く退かなきゃ……あー!!!」
マグマが噴出するパイプ。
けれど、『財宝妖精ブラクテ』には防ぐ手立てなどない。噴き出した溶岩を媒介にした炎が飛び、財宝の竜へと降り注ぎ、その体を焼くのだ。
「焼き払ってあげるわ、財宝妖精。財宝竜だえに頼りすぎ」
ゆかりは、そのままの勢いで執金剛神に動きを伝え、財宝竜をナギたのすのだ。
「またせたわね、アヤメ。ここからは一緒よ」
フェアリーである『財宝妖精ブラクテ』を打倒しなければ、この戦いは終わらない。ゆかりは式神であるアヤメと共に掛けだす。
「ずっこい! そんな二対一だなんてさ!」
『財宝妖精ブラクテ』が逃げ回る。
クナイが飛び、薙刀の衝撃波が飛ぶ中、必死で財宝をかき集めていく。
「まだそんなことやる体力が残っているのね! けど、財宝に惑わされる程度の知能しかないんじゃ、オブリビオンとしても二流よ」
「そんなことないもの! 財宝の価値を知らぬ無知のほうが私にとっては、最も唾棄すべきことだよ!」
ゆかりとアヤメの攻撃によって『財宝妖精ブラクテ』は徐々に追い込まれていく。
だが、まだ油断はならない。
例え、財宝が散り散りになったとしても、『財宝妖精ブラクテ』はどこからか財宝を集めてくるだろう。
その小さな体に秘めた強大な力は侮ることはできない。
それを今までの戦いで思い知っているからこそ、ゆかりは油断なく薙刀の一閃をその小さな体に叩き込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
久瀬・了介
オブリビオンは殺す。必ず殺す。手段は選ばない。罠だろうと何だろうと利用する。
冒険者達に、広範囲に飛び出す槍衾で侵入者を串刺しにする類いの罠の位置を教わる。巨大な財宝竜の動きを制限出来る様、狭い通路が望ましい。そこに誘導する。
集団戦闘は連携が命。軍隊と冒険者、分野は違うが彼等もプロフェッショナルだ。信頼しタイミングを任せる。
【死点撃ち】を使う。罠にかかった敵が体勢を崩した瞬間を狙い、急所と思わしき脳天に弾丸を叩き込む。
冒険者達の命も財宝も、貴様の手には何一つ渡さない。ここで朽ち果てろ。
飛び散った財宝竜の欠片、すなわち、この天空城に在りし財宝たちをかき集めながら猟兵の攻撃を躱す小さな身体があった。
フェアリーと呼ばれる種族と同じ体躯。
けれど、秘めた力は強大なオブリビオンと同じであり、猟書家『財宝妖精ブラクテ』と呼ばれる彼女にとってキラキラ光る財宝こそが唯一無二のものであった。
「ひどいことばかりする! 私はただ金ピカキラキラを独り占めにしたいだけなのにさ」
再び組み上げられた財宝竜『グランツ』が咆哮するように巨大な顎を広げる。
マグマの熱によって溶かされた財宝は使い物にならなくなっているせいか、当初よりも、財宝竜の大きさは縮小されているようであった。
けれど、それでもまだ油断はできない。
完全に打倒するまで攻撃の手を緩めることはしない。
そう、必ず殺す。手段は選ばない。あらゆるモノ全てを、罠だろうがなんだろうと利用してでも必ず殺してみせる。
それが、久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)のヴォルテックエンジンの炉心を燃やす魂の衝動そのものであった。
「知るか、そんな事情など。お前は殺す。オブリビオンは殺す。必ずだ」
了介は財宝竜『グランツ』の前に現れる。
手にした大型拳銃でもって注意を引きつつ、そして冒険者たちと共に『財宝妖精ブラクテ』の視線を釘付けにするのだ。
「ああ! そこにいたんだね! 早く、『輝石の欠片』をちょうだいよ! そうしないと生命まで奪い取っちゃうことになるよ」
それでもいいよね、と『財宝妖精ブラクテ』が財宝竜の顎をもたげさせる。
もはや問答など必要ない。
一気呵成に攻め立てるように迫る財宝竜。
その大きく広がった顎が冒険者たちを呑み込まんとする。
けれど、それに割って入ったのは了介であった。
「いくぞ……集団戦闘は連携が命だ。分野は違えど、俺も君たちもプロフェッショナルだ。タイミングは任せる」
それは了介の不器用な信頼であったことだろう。
互いに何かのエキスパートである。ならばこそ、信頼することができる。例え、僅かな時間しか共に戦っていないのだとしても、了介にとってはそれで十分であった。
「ああ、わかった。こっちは任せておいてくれ……死ぬなよ」
そんなふうに冒険者達が声を掛けてくる。
ああ、と思う。
死ぬな、という言葉。それは皮肉にもすでにデッドマンである己にとっては意味のない言葉であったかも知れない。
けれど、了介にとって、それは彼らからの信頼の証であった。
「なら、それに応えないとな」
短く呟いた。それは思いがけない言葉であったかもしれないけれど。
了介は財宝竜をひきつけ、狭い道へとひきつけていく。誘導された財宝竜の顎が全てを噛み砕かんとガチガチと音を立てるが、了介には恐怖などなかった。
あるのは怒りだけだ。
憎悪と言ってもいい。オブリビオンに対する憎悪。それが膨れ上がった時、瞬間、そこに吊り天井が落ちてくる。
それこそが、この天空城に張り巡らされた罠の一つである。冒険者達が罠を作動させたのだ。
棘のついた天井が財宝竜を押さえつけ、その体勢を崩すのだ。
「朽果れ」
放たれるは大型拳銃の撃鉄が打ち出した弾丸。
急所を見抜いた一撃。
財宝竜が財宝によって攻勢されるのならば、その核となる財宝があるはずだった。
ならば、その核を打ち砕けば、財宝竜は一瞬の内に砕けて散るだろう。
「死点撃ち(シテンウチ)……在るだろう、お前にも」
放たれた弾丸が核の財宝を打ち砕き、財宝竜の身体を維持できなくさせる。砕けるようにして飛び散る財宝に『財宝妖精ブラクテ』は叫んだ。
「私の金ピカが! なんてことを――」
するのだと、叫びそうになったところに了介の持つ大型拳銃の銃口が狙いをつけていた。
「冒険者たちの命も財宝も、貴様の手にには何一つ渡さない」
その瞳にあったのは、殺意だけであった。
理由も、目的も関係ない。どれだけ『財宝妖精ブラクテ』が言葉を紡ごうが、了介には届かない。
目の前にいるのは、オブリビオンを殺すためだけに存在する者。
怨念と憎悪によって形作られた悪霊である。
「ここで朽ち果てろ」
轟音と共に放たれた弾丸が、『財宝妖精ブラクテ』の体に吸い込まれるようにして打ち込まれ、その小さな体を一瞬の内に吹き飛ばしていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
クルル・ハンドゥーレ
アドリブ・連携歓迎
キラキラ大好き…
やっぱり生前(?)は烏やったんとちゃう?
烏からフェアリーに進化したんかーすごーい(棒読み)
冒険者に各罠の位置を教えて貰う
合図したら発動よろしゅう
知識と連携でどつき倒す番や!
WIZ
先制攻撃で先手
土砂崩れの罠と目潰し、見続けるのを困難に
敵装備キラキラを消す他の罠(宝石を変質させる酸・熱湯を浴びせる、細工を凹ませる岩石礫)へ吹き飛ばしで誘導
キラキラしてへんやん、ガラクタ装備して変!と言いくるめ
見る・装備変更に集中できぬようフェイントしつつUCの炎とドローンで眼前と背後から攻撃
毒使いとマヒ攻撃もオマケや、骸の海にちゃっちゃと帰り!
冒険者達の収支が合うよう財宝集め手伝う
竜の眼『アウゲ』が輝く。
それは猟書家『財宝妖精ブラクテ』が持つ財宝の一つである。竜の眼球のような宝珠が輝き、ユーベルコードを発動させる。
「ああ、もう! 私の財宝をふっとばしてばかりで」
彼女にとって財宝とは己の執着そのものである。
オブリビオンとして、過去の化身として存在するのはひとえに財宝を収集したいという願いからだ。
そこにあったのは、天上界に至るという目的はすでに形骸化した欲望の権化でしかない。
「キラキラ大好き……やっぱり生前は鳥やったんとちゃう?」
その言葉は、吹き飛ばされた財宝を集めようと輝く竜の眼『アウゲ』を操る『財宝妖精ブラクテ』に投げかけられた。
「誰よ、あんた。私は前からずっとこうよ」
「鳥からフェアリーに進化したんかーすごーい」
そう棒読みの台詞を告げ、挑発するようにクルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は駆け出す。
すでに冒険者たちとの段取りは済んでいる。
例え強大なオブリビオンであったとしても、知識と連携でどつき倒す番だと意気込んでいた。
彼女が冒険者たちから教えられた罠はは二つ。
一つは――。
「待ちなさいよ! 人のことを散々に言っていて逃げるつもり!?」
フェアリーの羽が羽ばたきクルルを追う。
財宝を操り、彼女の背中へと打ち込まんとするユーベルコードの輝きは凄まじいものであった。
だが、そんな『財宝妖精ブラクテ』は何も見えていなかった。怒りで視野が狭まっていたとも言える。
本当に彼女に必要だったのは、ユーベルコードではなく、冷静さであったのだろうが、それも最早遅きに失する。
クルルは冒険者からの合図を受けて、通路を横っ飛びに走る。
瞬間、作動した罠が土砂崩れとなって盛大な石の礫と共に『財宝妖精ブラクテ』へと迫るのだ。
それは宝珠である竜の眼『アウゲ』へと叩きつけられ、さらにそこに強酸と熱湯を浴びせかける罠が発動し、彼女を襲うのだ。
「キラキラしてへんやん、ガラクタ装備して変やねぇ!」
クルルの言い回しは変わらない。
これは挑発だ。『財宝妖精ブラクテ』に冷静になられては困るのだ。彼我の戦力の差は開いている。
それは猟兵単体とオブリビオン単体では、どうあがいても勝ることはないのだ。
けれど、クルルは知っている。
猟兵の戦いは常につないでいく戦いである。クルルが今できることは、『財宝妖精ブラクテ』を挑発し、彼女を取り巻く財宝を少しでも減らすことだ。
「そんなことない! 私の財宝を台無しにして!」
『財宝妖精ブラクテ』が叫ぶ。
けれど、クルルはもう何も恐れることなどなかった。
「詠え、惑え、舞い踊れ――虚ろ月炎に呑まれかし」
放たれる歪なぎんいろの炎が、天空城の中を駆け抜ける。さらにドローンを飛ばし、クルルは『財宝妖精ブラクテ』を挟撃するのだ。
まさに幻月夜行(ゲンゲツヤコウ)。
相対する存在にとって、夜空に浮かぶ月こそが幻のような、歪なぎんいろの炎が『財宝妖精ブラクテ』を取り囲み、その体を焼くのだ。
「この、炎は――!」
薙刀を構えて、クルルが銀色の炎から飛び出す。
彼女は忙しいのだ。
助けた冒険者たち、彼ら三人の冒険、その収支が合うようにこの天空城の財宝を集めなければならない。
もちろん、過去の化身である『財宝妖精ブラクテ』には必要ないものだ。
「私はずっとずっと金ピカを、財宝を集め続けるんだから!」
「本当に鳥みたいやねぇ……けど、それは今を生きる人達に必要なものであって、あんたに必要なものやないんやから!」
放たれる薄紅と白花が咲き乱れる柄を持つ薙刀の白刃が、フェアリーの体をもつ『財宝妖精ブラクテ』の体を捉え、その体へと言えぬ傷を与える。
「骸の海にちゃっちゃと帰り――!」
その言葉とともにクルルは斬撃の一撃と共に『財宝妖精ブラクテ』を吹き飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ラリー・マーレイ
まともに戦ったら苦戦する相手だけど、そういう窮地を知恵と協力で突破するのが冒険ってものだよな。
ちょっと楽しいね。それどころじゃないけど。
さて、行ってみようか。冒険者の皆さんに、金属製の棘が突き刺さるタイプの罠の位置を聞いて、そこまで敵を誘導しよう。無事帰れたら、酒場で今回の冒険の話を聞かせて下さいね。
上手く敵を罠に掛けられたら、逃れられない内に【高速詠唱】で【火花の呪文】を放つ。
三方向から敵に収束する電撃による【属性攻撃】【誘導弾】。刺さった罠の金属が雷を引き寄せ命中させる。
UCの効果を封じ弱体化させた隙を突いて「空の杖」を振るい、【衝撃波】で追撃を行うよ。
薙刀の一撃が猟書家『財宝妖精ブラクテ』の体へと癒えぬ傷を刻み込む。
多くの財宝に囲まれていた彼女にとって、己自身の体に与えられる傷は容易に致命傷に成り得ただろう。
だが、手にした財宝の力によって、未だ彼女は存在し続けていた。
過去の化身として、己の欲望そのものを満たすために世界を壊すことも厭わぬ邪悪。
その独占欲の権化、貪欲なる彼女の欲望こそが、彼女自身の力の源であったことだろう。
「まともに戦ったら苦戦する相手だけど――」
だけど、そういう窮地を知恵と強力で突破するのが冒険ってものだよな、とラリー・マーレイ(冒険者・f15107)は小さく呟いた。
すでに彼は冒険者パーティとの段取りを済ませている。
金属の棘が突き刺さるタイプの罠の位置と作動を頼んでいる。だが、問題はあるのだ。
一つは、『財宝妖精ブラクテ』を、その場所まで誘導しなければならないということ。
それは危険を伴うだろう。
今や多くの財宝を失いつつ在る『財宝妖精ブラクテ』にとって、財宝とは一つでも多く欲しいものであったことだろう。
だからこそ、ラリーは手負いの獣じみた欲望を漲らせる『財宝妖精ブラクテ』を甘くは見ていない。
けれど、それでも。
「ちょっと楽しいね。それどころじゃないけど」
「何が楽しいっていうのよ。私は全然楽しくはないんだけれど!」
ラリーは『財宝妖精ブラクテ』を誘導するために、あえて姿を晒し天空城の内部を走る。
無事に帰れたのならば、冒険者たちに今回の冒険の話を聞かせてほしいと、ラリーは願っていた。
彼らは快く承諾してくれた。
彼らを無事に帰すことがラリーにとっての今の最大の目的だ。
「逃げてばかりで! どうせまた罠か何かで私を――!」
読まれている。
ならば、とラリーはユーベルコードを詠唱する。
「ミームエイン・ラーイ・ターザンメ!」
放たれる火花の呪文(ライトニング)。
それは天から降り注ぐ落雷、地面から吹き上がる放電、そしてラリーの指先から放たれる雷撃を『財宝妖精ブラクテ』へと放つのだ。
その雷撃は彼女の体へとあたり、彼女の力の源である財宝を操るユーベルコードを封じるのだ。
けれど全てが命中しなければ、それを為すことはできない。
だからこそ、罠のある通路へと誘導したのだ。
「この程度の、雷撃で!」
『財宝妖精ブラクテ』が叫ぶ。彼女の体はフェアリーのものだ。小さな体躯であればこそ、ラリーの攻撃は当てにくいものであった。
だが、そこに冒険者達が作動させた罠が遅しかかる。
天井、壁、そして床から無数の金属の棘が『財宝妖精ブラクテ』へと襲いかかる。
それは『財宝妖精ブラクテ』にとって予想外のものであったことだろう。
「このために、っ、わざわざ金属のやつを――!」
「そうだ。三方向からの雷撃をお前に収束させるため!」
放たれた三つの雷撃の全てが『財宝妖精ブラクテ』へと打ち込まれる。
それは彼女の体を焼き、そしてユーベルコードを封じる。
彼女の強みは集めた財宝による攻撃だ。その力を封じられた今、あるのはフェアリーという体格を不利とする存在だけだ。
ラリーは手にした空の杖を振るい、凄まじい衝撃波を彼女へと叩きつける。
「その体では耐えられないだろう! お前は此処にいてはいけない存在なんだ。冒険の邪魔をするな――」
吹き荒れる精霊の力が『財宝妖精ブラクテ』の体をしたたかに打ち据える。
「ぐ、はっ――!」
どれだけ強大な存在であっても、ラリーは倒し方を知っている。
自分だけでは為せないことであったとしても、協力してくれる者たちがいる。
それを知っているからこそ、ラリーは戦えるのだ。
「知恵と協力があれば、お前だって倒してみせる」
ラリーはそれを今証明してみせたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
さて、首謀者が出てきたね
冒険者達と協力して倒すよ
巨大な竜といっても城の中だし
鉑帝竜で相手できそうかな
貴金属の塊でもあるから注意を惹けるかな
お宝として持っていかれないように
使い魔の念動力で確り制御するよ
鉑帝竜のガトリングガンや尻尾で攻撃し
こちらに注意を引き付けよう
その間に冒険者達には罠の準備に行って貰おう
使い魔を補助につけて不慮の事態に備えておこう
準備が整ったらグランツを落とし穴近くに誘導し
足が穴の上に来たら作動させて貰おう
足が嵌って動けないうちに兵器創造を使用
鉑帝竜の鱗をメタルハリケーンとして射出
グランツとブラクテを攻撃するよ
一応貴金属だから好きなだけ持ってって良いよ
まあ、形が保ててたらだけど
財宝を吹き飛ばされ、自身もまた猟兵達の攻撃によって傷付けられた猟書家『財宝妖精ブラクテ』。
その小さな体躯であったとしても、身に秘めた力は強大そのもの。
未だ存在しているということは、その力が健在であるということだ。
多くの財宝を溶かされ、吹き飛ばされた彼女であったが、財宝によって構成された竜、財宝竜『グランツ』は黄金の輝きを放ち続けていた。
「せっかくの財宝だったのに、一つ残らず私のものになるはずだったのに!」
喪われてしまった財宝は数しれず。
けれど、それでもなお冒険者達が持つ『輝石の欠片』を求める貪欲さは、欲望のままに振る舞うオブリビオンらしいとも言えた。
「さて、首謀者が出てきたね……」
巨大な財宝竜の姿を見上げ、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は呟いた。
けれど、何も臆する必要はない。
確かに竜は力の象徴であろう。けれど、竜であるのならば。
「こちらにだってあるんだ。さぁて、でかいの一発いってみようか」
式神白金竜複製模造体で召喚した使い魔の飛竜型超硬装甲のオブリビオンマシンが晶の背後で咆哮する。
それは試製竜騎『鉑帝竜』。そのプラチナの輝きは、光り物が好きな『財宝妖精ブラクテ』の注意をひくのに申し分ないものであったことだろう。
「なにそれ! なにそれ! そんなにいっぱいキラキラしているなんて!」
目の色が変わる。
彼女はこれまで猟兵達によって追い込まれていたにも関わらず、その瞳を輝かせる。晶を倒して、あの希少金属ばかりで構成されたオブリビオンマシンを奪おうと考えているのだろう。
もはや、晶の駆るオブリビオンマシン事態が『財宝妖精ブラクテ』にとっては財宝そのものであった。
「やっぱり興味を持ったね。それじゃあ、頼んだよ、みんな」
晶はガトリングガンを撃ち放ち、『財宝妖精ブラクテ』の興味をこちらに一身に引きつける。
そうすることによって冒険者達が罠の作動の準備にかかる時間を稼げるのだ。使い魔たちを補助に付けているおかげで不測の事態にも対処できるだろう。
じりじりと後退していく鉑帝竜。
黄金の輝き放つ財宝竜『グランツ』との戦力の差はそうないはずだ。
けれど、それでも『財宝妖精ブラクテ』の持つ欲望の大きさは計り知れない。財宝を求め、全てを己のものにしなければ気がすまないほどの強欲が、その力を増しているのだとしたら、それは凄まじい力であると言わざるを得ないだろう。
「もっと、もっと欲しいの。金ピカも、お宝も、価値のあるものも。ぜんぶ、ぜんぶ私のものにしたいの!」
その欲望は小さな体躯には似合わないものであった。
けれど、その欲望故にあらゆるものを略奪する。ときには命だって奪うだろう。それは許されないことだ。
晶と鉑帝竜は飛び退る。
『グランツ』から放たれた財宝が空中で無防備な機体を打ち据えるが、問題はなかった。
何故今このタイミングで飛んだのかを、『財宝妖精ブラクテ』は知らないし、考えもしなかった。
『そこ』に何があるのかなんて考えもしなかったのだ。
「それを、寄越せ――!?」
瞬間、『グランツ』の身体が床に沈む。
否、抜けた床の穴へと巨体がはまり込んでしまう。それは落とし穴であった。人間のサイズであれば、絶対に助からないであろう穴。
けれど、巨大な竜の身体であれば嵌って抜け出せぬ程度のもの。
「兵装創造(オルタナティブ・ウェポン)――! 欲に目がくらんで足元がお留守になっているから――!」
晶のユーベルコードが機体装甲である鱗を嵐のように射出し、黄金の財宝竜と『財宝妖精ブラクテ』を強かに撃つ。
それは欲にまみれたが故に、他を顧みない『財宝妖精ブラクテ』の最期というには、あまりにもあっけない幕切れであった。
「一応貴金属だから好きなだけ持ってって良いよ。まあ、形が保てたらだけど……」
それが冥土の土産になるのかはわからない。
けれど、骸の海へと『財宝妖精ブラクテ』を叩き還し、晶は戦いの終結を告げる。
冒険者達が大丈夫だろうかと顔を出す。
彼らにとって、今回の冒険は散々なものであっただろうけれど、それでも彼らは生きている。それだけでも儲けものであったのかもしれない。
今回の事件の中心、猟書家が求めた『輝石の欠片』。
それが一体何を意味するのかはわからない。
けれど、彼らはそれを猟兵たちに託す。自分たちが持っていても、換金する以外に使いみちがないのだからと。
「だから、これが人の役に立つのなら、君たちが持っていてくれたほうがいい」
そう言って彼らは輝く『輝石の欠片』を手渡す。
それはもしかしたのならば、暗き道行きを照らす道標になるのかもしれないのだった――。
大成功
🔵🔵🔵