●持ち込まれた災厄
クロムキャバリアにある小国家の一つ『シグマ連邦』。人口の8割をロボットヘッドやレプリカントが占める、ロボットたちの国だ。
今、シグマ連邦の首都を、一台の黒塗りの高級車が走っていた。
「わぁ、ここがシグマ連邦の首都ですね! 建物がすごく高いですっ!」
「姫様、危険ですので車の窓から身を乗り出さないでください!」
高層ビル群の間を縫うように伸びるハイウェイを走る車から、楽しそうな声が響く。
物珍しそうに周囲を見回す金髪碧眼の少女は、ネティシア・グランティア。シグマ連邦と同盟関係にある『神聖王国グランティア』の王女である。
「だって、グランティア王都の街並みと全然違うんですもの」
ネティシアの言葉も無理はない。
中世ヨーロッパ風の街並みが広がるグランティア王都とは対象的に、シグマ連邦の首都には高層ビルが整然と並んでいる。機械技術に長けたロボット種族の国ならではの風景だった。
「観光気分もいいですが、今回の訪問の目的を忘れないでください」
「ええ、分かってます。シグマ連邦の議員の皆さんとの外交交渉と――」
ネティシアは、車の中に厳重に固定された金属の箱に目を向けて続ける。
「――この暴走したキャバリアの破片の解析の依頼、ですね」
その金属の箱には、先にグランティア王国で起こったキャバリア暴走事件の際に回収された破片が収められているのだった。
――解析のためシグマ連邦の研究所に持ち込まれたオブリビオンマシンの破片が開発中のキャバリアを乗っ取り、大規模な洗脳事件を起こすことになろうとは、この時は知るよしもなかった。
●グリモアベース
「みんな、集まってくれて感謝する。俺にクロムキャバリアで発生するオブリビオンマシン事件の神託が下された。すぐに事件解決に向かってほしい」
グリモアベースで猟兵たちに予知の説明をおこなうのは、ロボットヘッドのエクス・カリバーン(聖剣勇者エクス・カリバーン・f30075)だ。
カリバーンが石版を取り出して掲げると、そこから眩いばかりの光が放たれ、空中に映像が浮かび上がる。
「事件が起こるのは、クロムキャバリアにあるシグマ連邦というロボットの国だ」
上空からの俯瞰映像として映し出されたのは、近未来風の高層ビル群が立ち並ぶ街並みだった。
レプリカントやロボットヘッドが人口の大半を占めるロボットの国というだけあり、科学技術の進歩は目覚ましいようだ。
「今、この国を隣国のグランティア王国の王女が訪れているのだが――彼女が持ち込んだオブリビオンマシンの破片によって、シグマ連邦で開発中だった2機のキャバリアが汚染されてオブリビオンマシンになってしまった」
2機のオブリビオンマシンは、軍の将校である双子の姉妹、キャスティナ・フレイム少佐とルクス・フレイム少佐を洗脳。さらにキャバリア部隊も洗脳して支配下に置いたという。
「オブリビオンマシンによって洗脳されたキャバリア部隊は、ネティシア姫がいる迎賓館を襲撃するようだ。迎賓館では、シグマ連邦の議員たちがネティシア王女の歓迎式典をおこなっている」
時刻は夜。
反乱部隊は、ネティシア姫の歓迎パーティーが開かれている迎賓館を襲撃して、ネティシア姫およびシグマ連邦の議員たちを抹殺しようとしている。
「当然、迎賓館にはシグマ連邦の正規軍や、グランティア王国親衛隊のキャバリアが配置され、警備に当たっているが――」
彼らだけでは双子の姉妹が乗る2機のオブリビオンマシンにかなわず、悲劇が起こってしまう。
また、敵オブリビオンマシンが2機というのが厄介だ。猟兵たちが片方のオブリビオンマシンを止めても、もう1機のオブリビオンマシンの襲撃を止めることができない。
「そこで、今回は同じ神託を受けたグリモア猟兵のルンバ・ダイソンと協力して、事件解決に当たろうと思う」
敵が2機なら、猟兵たちも2部隊に分かれればいい。
猟兵たちは、グランティア王国親衛隊に協力するか、シグマ連邦正規軍に協力するかを選ぶことができる。
「今回、俺が担当するのは、グランティア王国親衛隊側への転送だ。シグマ連邦正規軍に協力してくれる猟兵はルンバに転送してもらってほしい」
グランティア王国親衛隊のキャバリア部隊は、襲撃してくる敵スナイパー部隊を妨害すべく、迎賓館の近くにあるレーダー施設の制圧を目指す。
「夜間任務になるので、周囲が暗いことを活かすと有利になるかもしれないな。だが、レーダー施設には警備装置やトラップが仕掛けられているだろうことに注意してくれ。それから、警備兵はもちろんのこと、スナイパー機が残って警備しているかもしれない」
レーダー施設を制圧、もしくは破壊できれば、夜陰に乗じてシグマ連邦正規軍を狙撃しているスナイパー機の目を潰すことができる。そうなればシグマ連邦正規軍もスナイパー部隊との交戦が楽になる。
また、シグマ連邦正規軍がスナイパー部隊の注意を引いてくれれば、それだけレーダー施設の防備が手薄になるだろう。
「スナイパー機の狙撃を防ぎきったら迎撃に打って出ることになるが、その時にはグランティア王国親衛隊とシグマ連邦正規軍のどちらに協力するか、再度選んでもらうことになる」
引き続きグランティア王国親衛隊とともに行動しても良いし、シグマ連邦正規軍に協力してもいい。
「とにかく、まずは迎賓館のネティシア王女とシグマ連邦の議員たちを守り切ることが第一だ。王女と議員たちに何かあったら、国家の崩壊や二国間の大規模な戦争にも繋がりかねない。どうか、国の平和を守って欲しい」
クロムキャバリア出身のロボットヘッドであるカリバーンは、自身が出撃できない無力さに拳を強く握りしめながら、猟兵たちに頭を下げようとし――二頭身なのでバランスを崩して転びそうになるのだった。
高天原御雷
オープニングをご覧いただき、どうもありがとうございます。高天原御雷です。
本シナリオは、大熊猫MSの「ツイン・ディザスター・Σ」との連動シナリオになります。シナリオの展開は「ツイン・ディザスター・Σ」と相互に影響を与え合います。
高天原の担当はグランティア王国ルート(双子の妹のルクス・フレイムとの戦い)となります。
連動シナリオ特有のルールを設けていますので、どうぞご一読ください。
また、ルート分岐が可能なため、各章の詳細は断章で説明します。
●重複参加不可
対となるシナリオ「ツイン・ディザスター・Σ」とは同じ戦場を扱うシナリオの為、重複参加は出来ません。一章G、二章Σ、三章Gみたいな参加方法はOKです。敵の得意な射程距離がハッキリ分かれているので、章ごとに戦いやすい方の敵をお選び下さい。
●プレイングボーナス
各章、「ツイン・ディザスター・Σ」に連動したプレイングボーナスが発生します。
詳細は各章で記述します。
●キャバリアについて
キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。グランティア王国親衛隊から借りても、シグマ連邦正規軍から借りても、どちらでもOKです。
なお、ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
●文字数省略用記号
アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。
●プレイング採用について
「ツイン・ディザスター・Σ」と章移行のスピードを合わせる必要があります為、参加者多数の場合は採用人数を絞らせて頂く可能性がございます。予めご了承下さい。二章以降の継続参加者は優先的に採用いたします。
※途中で連動先に移った、移ってきた場合も継続参加者としてカウントされます。
以上、どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『電波塔を無力化せよ』
|
POW : ●『物理的に破壊する』
SPD : ●『主要システムだけを狙う』
WIZ : ●『ハッキングなどで、逆に掌握する』
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
暗闇に浮かび上がる巨大な電波塔。
高層ビル群の立ち並ぶシグマ連邦の首都中心部においても、それは一際高くそびえ立っている。
この電波塔こそ、首都の防衛のために用意されたレーダー施設の象徴にして、今は皮肉にもフレイム姉妹率いる反乱部隊の目としてシグマ連邦正規軍を苦しめる存在だ。
レーダー施設により集められた市街地の状況は、逐一、反乱部隊のスナイパー機に送られている。暗闇の中でも反乱部隊のスナイパー機がシグマ連邦正規軍を正確に狙い撃てるのは、そのためであった。
さらにレーダー施設から発されるジャミング電波によって、シグマ連邦正規軍、グランティア王国親衛隊ともに索敵が行えない状況だ。
「市街地で敵スナイパー部隊と交戦中のシグマ連邦正規軍を援護するためにも、我々はこのレーダー施設を速やかに制圧、もしくは破壊する!」
電波塔を見上げる位置に停止させたキャバリアから、グランティア王国親衛隊長が部下の親衛隊員と、協力を申し出てくれた猟兵たちに大声で呼びかけた。
「レーダー施設はキャバリアの駐屯基地も兼ねているとのことだ! 反乱部隊のキャバリアが警備についている可能性もある!」
当然、軍事施設である以上、侵入者対策の仕掛けや警備装置などもあることだろう。
それらを突破し、レーダー施設の制圧、破壊などを行う必要がある。
施設のコンピュータは外部とは切り離されたネットワーク上にある上、ジャミングによって遠隔アクセスもできないが、レーダー施設内に入れば内部ネットワークに直接アクセスすることはできる。
また、暗闇を活かした潜入方法や、警備装置などにみつからないようにする行動は、作戦を有利に運ぶことになるだろう。
「それでは、シグマ連邦正規軍がスナイパー機の注意を引きつけてくれることを期待し――任務開始!」
親衛隊長の言葉とともに、レーダー施設制圧作戦が開始されたのだった。
●マスターより
本シナリオは「ツイン・ディザスター・Σ」と相互に影響を与え合います。
具体的には、本章でレーダー施設の制圧・破壊が進むほど、「ツイン・ディザスター・Σ」1章の展開が有利になります。
本章には、以下のプレイングボーナス条件があります。
条件を満たすプレイングにはプレイングボーナスが入ります。
・夜間の暗闇を活かした行動をおこなう
・隠密行動をおこなう
また、「ツイン・ディザスター・Σ」1章で敵スナイパー機の注意を引きつけるほど、本章のプレイングボーナスが増加します。(判定時にリアルタイムで反映)
秋山・軍犬
◎
この世界では割とキャバリアに乗ってるけど
実は生身でもキャバリアと戦えるんで
今回は生身で隠密行動しまっす
秘水「ふっふっふ…」
じゃーん、こんな事もあろうかと
このテンタクルスマン開発者である【指定UC】の
メカニック技能で機械的な探知のあれこれを
精霊的な力で誤魔化す
精霊式ステルス装備を用意しておきましたよ!
軍犬「よし!」
という訳で自前の暗視を活かし暗闇に紛れ
猛獣とかを美味しく狩る時の要領で
気配を消し、野生の勘で危険を避けつつ
戦闘行為も必要最低限にして電波塔を攻略します
電波塔を今後の戦略に利用したいので
可能なら破壊ではなく施設の掌握を
目指します
機械やネットワークの技術的なアレコレは
秘水ちゃんにお任せ!
神代・セシル
◎
前回も含めて、ネティシア姫様の運があまりよくないですね。
キャバリアを乗りませんが、パイロットスーツ「赤月」を着用。
夜は私たち吸血鬼の専門ですから、生身で潜入します。
警備キャバリアがあれば、ルートを見切り、行動を推測します。
視力を発揮。警備装置などを探し、闇魔法を放ち妨害します。
念のために、エアリニスは遠距離でスナイパーとしていつでも発砲できる状態で待機させます。
精密機械苦手ですので、システムを見つけたら魔力通信でエアリニスに連絡します。手伝を求めるために少しだけ挑発してみます。
「古代魔法帝国のキャバリアにとって、ここのシステム実は玩具みたいなものではないですか?」
●レーダー施設制圧ミッション1
シグマ連邦の首都中心部に位置する巨大な電波塔。それは首都防衛の要となるレーダー施設の象徴であり――今は反乱軍によって占拠され、シグマ連邦正規軍を苦しめる存在となっていた。
周囲に建ち並ぶ高層ビル街には、遠方からの発砲音や爆発音が木霊する。
こうしている間にも、シグマ連邦正規軍とそれに協力する猟兵たちが反乱軍のスナイパー部隊と交戦しているのだ。
「早くレーダー施設を制圧して、ネティシア姫を助けないといけません」
夜闇の中、モノクルをかけた紅い双眸を光らせるのは、パイロットスーツ姿の少女、神代・セシル(夜を日に継ぐ・f28562)である。吸血鬼である彼女にとっては、夜は心強い味方だった。
「このまま生身の方が潜入しやすいので、エアリニスはここでいつでもフォローできるように待機していてください」
『うむ、心得た。ネティシアの運が悪いのは今回に始まったことではないが、どうか汝が助けてやってほしい』
セシルと契約した、心持つサイキックキャバリアであるエアリニス――元々、グランティア王国のキャバリア格納庫で眠っていたもの――が、建物の間に姿を隠しながらセシルに告げた。
「生身で潜入するなら、自分たちも一緒に行くっす」
セシルに声をかけたのは、ミリタリールックに身を包んだキマイラである秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)だ。その肩には軍犬によって召喚された身長20cm程度の水精霊、秘水・クティがちょこんと乗っている。
クティは正確には水精霊の亜種である触手の精霊であり、そのスカートの中からは無数のタコのような触手が伸びているのであるが――ここでは深く触れないことにしよう。
「自分、これでもフードファイターっすから、生身でもキャバリアくらいとは戦えるっす。それに、機械なら秘水ちゃんが得意っす」
「ふっふっふ、センサーなどの機械類ならお任せください。こんなこともあろうかと、触手精霊機神テンタクルスマンを開発した技術を元に、精霊式ステルス装置を用意してきましたよ!」
うにょんうにょんと伸びる触手アンテナから精霊的な力を発するステルス装置を掲げ、クティが胸を張る。
「私は精密機械は苦手なので、軍犬先輩、クティ先輩、どうぞよろしくお願いします」
ぺこり、とセシルがお辞儀をし、即席の潜入チームが組まれたのだった。
●
「軍犬先輩、クティ先輩、前方の建物に監視カメラです」
視力の良さを活かしてセシルが監視カメラを発見し、軍犬とクティに報告する。
「任せてください。精霊式ステルス装置起動!」
「よし、今のうちに気づかれないように進むっすよ」
クティのステルス装置から生えた触手から、みょんみょんみょんと謎電波が放出されて監視カメラを無効化した隙に、軍犬が狩りの要領で気配を消しつつ、目立たないルートを選んで施設内を進んでいく。
目指すは、レーダー施設の中枢部だ。
「できれば、このレーダー施設は今後利用したいので、中枢部は掌握しておきたいっすね」
「わかりました。ならば、あそこを突破しないといけませんね、先輩」
暗闇を見通す軍犬とセシルの瞳には、施設を巡回警備するキャバリアの姿が映っていた。
キャバリアが手に持つは狙撃用のスナイパーライフル。市街地でシグマ連邦正規軍と交戦しているのと同型の機体に違いなかった。
「どうやら、全部隊が市街地に向かったんじゃなくて、一部はレーダー施設の防備に残されてるみたいっすね……」
「クティ先輩、あのキャバリアの視界を誤魔化すことはできますか?」
セシルの問いに、しかしクティは首を横に振る。
「この精霊式ステルス装置でも、さすがにキャバリアのセンサーまでは誤魔化せないんです」
クティの答えに、セシルが考え込む素振りをみせる。
スナイパータイプのキャバリアが警備しているのは、身を隠す場所のない開けた広場だった。ここを迂回していては、施設の掌握に時間がかかり、それだけシグマ連邦正規軍や猟兵たちに危険が及ぶことになる。
「――わかりました、クティ先輩。私に考えがあります」
セシルは瞳に決意の光を灯らせ、軍犬とクティに告げた。
●
「――――!」
愛用の魔導書を取り出したセシルが詠唱するのは、文字として書き表せない発音の魔法の呪文だ。
セシルの呪文によって、警備キャバリアの頭部カメラアイを漆黒の暗闇が包み込んだ。
「セシルさん、まだです。頭部の側面にもサブカメラがあります」
「わかりました、クティ先輩。―――!」
クティの触手が指し示した先に、さらに暗闇が生み出される。
『な、なんだ!? カメラの故障か!?』
突如として機体のカメラが機能しなくなったことに、キャバリアパイロットが混乱の声を上げる。
だが、まさかこれが、密かにレーダー施設に潜入した猟兵の魔法によるものだなどとは夢にも思わない。
――ここでそれに気づいて、警備本部に連絡をしていれば、この後の展開も変わったかもしれないのに。
「エアリニス、お願いします」
『承知した』
セシルからの精神感応による通信を受けた魔神エアリニスが、氷属性の魔法の矢を解き放った。
レーダー施設の外の狙撃ポイントから放たれた正確な一撃。強力な魔力のこもった一撃が警備キャバリアに命中すると、その全身を凍りつかせて氷の棺に閉じ込めていく。
瞬く間に、その場にはキャバリアの氷像が出来上がっていた。
「お見事です、セシルさん。機体の回路系もまとめて凍ってますから、通信することもできないでしょう。あ、キャバリアのコックピットにいるパイロットは、この程度では凍死しませんから、朝になって氷が溶ける頃には脱出できるでしょう」
ペタペタと触手でキャバリアの氷像を触り、クティが感心したような声を上げる。
警備キャバリアを沈黙させた一向は、キャバリアの氷像が守護していた施設に入っていった。
●
「これは……この施設の管理コンピューターっすか?」
「正確には、その一部、ですね。どうやらこの施設は、こういう事態に備えて、管理コンピュータを複数に分けて独立させているようです」
建物の中心にある制御ルームに鎮座する巨大なコンピュータのコンソールを叩きながら、クティが判断を告げた。
「それで、クティ先輩。コンピュータの掌握は……」
「かなり強固なセキュリティで守られています。このままでは、掌握する前に気づかれる可能性も……」
両手の指と、下半身の無数の触手を使って、もの凄い速度でコンソールを叩くクティが、苦々しげな表情で呟く。
「秘水ちゃん、なんとかならないんすか!?」
「せめて、私以外にもう一人、ハッキングできる人がいれば……」
クティは仲間たちに目を向けつつ答える。
だが、そこにいるのはフードファイターと吸血鬼。
戦闘はともかく、機械の扱いに長けているとは思えなかった。
「機械を扱える人――? それなら!」
「心当たりがあるっすか!?」
軍犬の言葉に、セシルはこくりと頷く。
だが、その瞳は逡巡に揺れていた。
「けれど、こういうことに素直に力を貸してくれるかは――」
「迷っている暇はないっす! 今は誰の力でも借りられるなら借りる時っす!」
「――わかりました。頼んでみましょう」
セシルは、再び精神感応によって、サイキックキャバリアたる魔神エアリニスと通信をおこなう。
「エアリニス、ここの管理コンピュータの掌握を手伝ってくださ――」
『断る。管理コンピュータなど、誇り高き魔神たる我が手を下すようなものではない。汝らだけで何とかするのだな』
セシルが言い終える前に返ってくる、エアリニスの思念。それは強い拒絶の意思を含んでいた。
エアリニスに頼んでおいたスナイパーとしての働きは、すでに果たしてもらっている。これ以上の要求を無理に聞かせることはできない。
だが、俯きかけたセシルに向かって、軍犬の叱咤激励が飛ぶ。
「諦めちゃダメっすよ! 自分たちの行動に、シグマ連邦正規軍や仲間たちの未来がかかってるんすから!」
「はっ、そうですね、軍犬先輩。正規軍や猟兵の皆さん、そしてネティシア姫のためにも、諦めるわけにはいきません」
セシルの瞳に、再び強い意志の光が灯る。
「エアリニス、古代魔法帝国の遺産であるあなたでも、ここのシステムの掌握は難しいのですか?」
『ほう……、汝、面白いことを問うな。この程度のシステム、技術体系が違うとはいえ、我にとっては玩具のようなもの』
「なら――その力、見せてください!」
セシルの思念に込められた強い感情。
それを感じ取ったエアリニスは、しばしの沈黙の後、思念を返してきた。
『――よかろう。今回は汝の思惑に乗せられてやろう』
●
「軍犬さん、まずいです、ハッキングがシステムに感知されました。次々と攻性防壁プログラムが送られてきて……このままでは、精霊式ハッキングシステムが逆に乗っ取られます!」
制御ルームにクティの悲鳴のような声が響く。
『ほう、精霊式か。それならば我とも相性が良いな』
「って、サブシステムが自動的に立ち上がって、攻性防壁プログラムを逆に撃退していってます!? こ、これなら!」
クティとエアリニスによって操作された精霊式ハッキングシステム。
オペレータが二人になったことで真価を発揮しだしたシステムは、管理コンピューターの防壁を突破し、その制御を次々と奪っていく。
――そして、コンソールに『コンプリート』の文字が表示され。
「やりました、全体の一部とはいえ、管理コンピュータの掌握に成功しました!」
「よくやったっす! 秘水ちゃん!」
喜びあうクティと軍犬。
その光景を眺めながら、セシルは――。
「ありがとうございます、エアリニス」
頑固な魔神に聞かれないよう、エアリニスとの精神感応を切ってから、小さく呟いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
◎
クリスマスは多忙で赴けませんでしたが、かの王国とは縁(えにし)あり
姫や親衛隊の方々の苦難を祓う為、騎士として助力したいものです
UC纏いレーダー施設へ潜入
擬態機能で風景や闇に溶けこみ、時に吸盤で天井や壁を移動
セキュリティやスナイパー機の索敵、警備の巡回をマルチセンサーでの赤外線探知や移動時の振動、音声探知●暗視での●情報収集で●見切り回避
制御区画へ忍び込み●怪力騙し討ちで職員を昏倒させ制圧
自己●ハッキングで自身のスピーカー音声を調整
職員の声を真似て定時報告を誤魔化しつつ●ハッキングで施設の掌握進め他猟兵の行動補助
…銀河帝国との戦いで経験あるとはいえ
やはり後ろ暗い作業は騎士として気が進みません…
雛菊・璃奈
◎
姫様を殺させなんてしない…!
レーダー施設なら、わたしの仔竜達に任せて…。
影の中を探知できるレーダーなんて存在しないしね…。
【影竜進化】で家族であるミラ達を影竜に進化させ、UC(と仔竜(UCで進化して影竜))の影への潜航能力でみんなを影竜の影に潜航させて夜闇に紛れて侵入…。
影から影へ次々と移り渡りながら進み、戦闘不可避の状況のみ、影から出て戦闘…。
黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い、早業】で吹き飛ばしたり、凶太刀と神太刀の二刀で警備部隊や敵スナイパー機の関節や装甲の隙間を縫う様に破壊して撃破して進むよ…。
影竜達も影を操って影の中に敵機を沈めて固定したり、竜の牙や爪、ブレスで支援…。
●レーダー施設制圧ミッション2
「――というわけで、クリスマス料理おいしかった……。ね、ミラ、クリュウ、アイ」
「多忙でクリスマスには赴けなかったのですが、それは楽しそうで何より。私は食事はできませんが、姫のサンタ姿は拝見したかったところです」
巫女装束を着た魔剣の巫女である雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)が、3匹の仔竜とともに参加したグランティア王国のクリスマスの出来事を語る。
それを聞くのは白銀のボディを持つウォーマシンであるトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)だ。
「かの王国とは縁(えにし)があります。姫や親衛隊の方々の苦難を祓う為、今回も騎士として助力します」
「うん。姫様を殺させなんてしない……!」
トリテレイアの言葉に、璃奈も頷きつつ静かながら決意のこもった声音で返した。
普段は騎士剣に盾という騎士然とした装備をしているトリテレイアだが、今日は、その身を漆黒の外套で覆っていた。特殊潜入工作用試作型隠蔽外套――エクステンションパーツ・スキッドコートだ。外套の裾からは、潜入工作用の無数の触手状ワイヤーが覗いている。触手を伸ばしたシルエットは、まるでイカを思わせた。
「静粛性や擬態性に優れた、ウォーマシン用の最新鋭特殊装備なのですが……。騎士らしくないのが欠点ですね」
「大丈夫、似合ってると思う……。あ、ミラ、クリュウ、アイ。あれはイカじゃないから食べようとしちゃダメ」
璃奈は、呪法・影竜進化によって影竜の姿に成長した3匹の竜――トリテレイアを見て涎を垂らしている――にステイを命じる。
「――この生物的な印象、なんとかならないか検討の余地がありそうですね」
身の危険を感じたトリテレイアは、特殊装備のデザイン面の再検討を考えるのだった。
●
「それにしても、潜入工作という後ろ暗い作業は騎士として気が進みませんね……」
レーダー施設を前にして、トリテレイアが逡巡しながら呟いた。
正々堂々と騎士道に則って戦うことを理想とするトリテレイアは、目的のためには手段を選ばないという自身の電子頭脳に刻み込まれた行動原理との狭間で懊悩する。
「けど、姫様を守るために戦ってる正規軍や猟兵の皆を助けるのも大事な仕事……」
市街地から聞こえてくる爆音や閃光に銀色の瞳を向けた璃奈が決然とした表情で言葉を発する。
璃奈の抑揚の少ない声からでも、大事なネティシア姫を守り切るという強い決意が感じられた。
「……そう、ですね。雛菊様のおっしゃる通りです。私も自分ができる役割を果たしましょう」
緑色のカメラアイに強き輝きを取り戻した機械の騎士が力強く頷き、二人はレーダー施設へと潜入を開始した。
「監視カメラですね。ステルスモード、起動」
トリテレイアが外套の擬態機能を発動させ、通路の壁と一体化する。
監視カメラは風景に溶け込んだ機械の騎士の姿を認識することができない。無事に監視カメラの前を突破するトリテレイア。
「次は赤外線センサーですか」
トリテレイアのマルチセンサーが、通路に張り巡らされた不可視の赤い線を捉える。
その線の一本にでも触れようものなら、周囲に警報が鳴り響くことだろう。
「ここはこの機能の出番ですね」
外套の下から無数の触手を伸ばしたトリテレイアは、触手についている吸盤を天井に貼り付けると、自身の重量級の身体を持ち上げた。
そのまま、クモが這うかのように触手を操り、天井スレスレや壁面を移動して赤外線センサーを避けていく。
「この装備、潜入には最適ですね。……見た目はともかく」
「ん……、無事、突破できた……?」
トリテレイアが監視カメラと赤外線ゾーンを突破した先では、影を操る影竜たちと一緒に影に潜航して進んでいた璃奈が、影の中から姿をあらわすところだった。
●
「雛菊様、前方から微かな振動音です。――パターン解析完了、警備のキャバリアのものと思われます」
トリテレイアのマルチセンサーが警備キャバリアの接近を捉え、璃奈に警告する。
前方に広がるのは、キャバリアが自由に動けるほどの広い空間だ。警戒のためか煌々とした灯りに照らされており、身を隠す場所や影が存在しなかった。
「影がない広い空間……。避けるのは難しいかも……」
「ですが、ここを避けては施設掌握に時間がかかり、シグマ連邦正規軍の被害が大きくなってしまいます。仕方ありません、隠蔽外套をパージして強引に……」
トリテレイアが外套のパージスイッチに手をかけ――それを璃奈が制する。
「あなたの力は、この先でも必要になる……。だから、ここはわたしに任せて……。行くよ、ミラ、クリュウ、アイ……!」
すでに視認できる距離まで近づいてきていたスナイパータイプのキャバリアに向かって、薙刀状の呪槍・黒桜を構えて飛び出していく璃奈。
その接近を感知したキャバリアが巨大なアサルトライフルの銃口を璃奈に向けた。
アサルトライフルの引き金が引かれる直前――。
「そうはさせませんっ!」
トリテレイアの触手の先端から発射された墨が、キャバリアのメインカメラに命中し、その視界を奪った。
狙いの狂ったキャバリアの銃撃は、璃奈の数メートル隣の地面を穿つ。
「いまっ……!」
大きく跳躍した璃奈は、黒桜に込められた呪力を解き放つ。
黒い花びらの形をした呪力が吹き荒れ、スナイパータイプのキャバリアを吹き飛ばした。
だが、その一撃ではキャバリアの装甲を破壊することはできない。
体勢を立て直したキャバリアは、メインカメラからサブカメラに切り替えてアサルトライフルを構え直し、璃奈を再びターゲットしようとするが――。
そのアンダーフレームが影――キャバリア自身が作り出したもの――に引きずり込まれ、足首から下が固定される。影竜たちの影を操る能力である。
下半身の自由を失った状態では、銀髪をなびかせながら駆け回る璃奈を照準に入れることができない。
璃奈は、妖刀・九尾乃凶太刀と妖刀・九尾乃神太刀を抜き放ち、音の速さをも超えるスピードで二刀を振るう。
関節や装甲の隙間を正確に狙った斬撃。
それは確実にキャバリアの動きを鈍らせていく。
「ミラ、クリュウ、アイ……!」
そこに、3匹の影竜たちが爪や牙で攻撃をしかけ――。
トドメの影のブレスでキャバリアを停止させた。
「警報は……鳴ってない……?」
「ご安心を。ハッキングで、あのキャバリアからの緊急信号は妨害しておきました」
こうして、密かに警備キャバリアを無力化した二人は、先を急ぐのだった。
●
「ここが……レーダー施設の中枢……」
「正確には、その一つのようですね。どうやら分散型の制御システムを導入している模様です」
目指す制御区画に到達した璃奈とトリテレイア。
その管理コンピュータ制御室では、複数人の技術職員たちが雑談に興じていた。
どうやら、まだ猟兵たちの侵入作戦には気づかれていないようだ。
「ここにある管理コンピュータを掌握できれば、レーダー施設の機能を弱体化させることができるんだね……」
「ええ、コンピュータに関してでしたら、私にお任せください」
トリテレイアは隠蔽外套のステルス機能を起動すると、音もなく職員たちの背後に回り込み、怪力を活かした一撃で職員を昏倒させていった。
「あとは、このコンピュータにログインしてハッキングするだけです」
コンソールにコネクタを接続したトリテレイアは、128桁のパスワード認証を一瞬で解除する。
そして、続いてコンピュータに生体認証画面が表示された。
「指紋認証、虹彩認証、音声認証……?」
「生体認証は職員が生きていないと解除できませんから、基本的とはいえ有効なセキュリティです。ですが……」
トリテレイアは気絶した職員を引きずってきて、認証装置に指を当てて指紋認証を解除する。
同様に目を開かせて虹彩認証もクリアした。
「けど、音声はどうするの……? 気絶してたらしゃべれないと思うけど……」
「そのあたりはご心配なく」
トリテレイアは、自身のスピーカーから出力される音声を調整。先程、雑談していた職員たちの声音に出力をあわせた。
「あー、テステス。これでいかがでしょうか?」
「すごい……。さっきの人の声そっくり……」
こうして声紋認証も突破したトリテレイアは、レーダー施設の一区画の制御を掌握した。
「これで、シグマ連邦正規軍や協力している猟兵たちも多少は有利になることでしょう」
「うん、姫様のためにも、皆、頑張って……」
市街地の方に目を向け、仲間の奮闘を願う二人だった。
「……ところで、職員の声のままだと違和感あるね……」
「おっと失礼、音声を戻し忘れておりました」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
◎
事前
電波塔の構造と主要な施設
無力化する為に壊すべき部分を確認
機神搭乗
隠密ですか
僕ら向きですね
「何時ものアンブッシュだねご主人サマ!」(鶏立体映像
【属性攻撃・迷彩】
光・水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠蔽
更に迷彩で他のセンサーにも掛らぬよう熱源センサーも誤魔化す
【情報収集・視力・戦闘知識・念動力】
暗視センサーや赤外線センサーも利用
更に念動フィールドを展開し周囲分析
電波塔の構造と仕掛けや警報装置の捕捉
可能な限り掛からぬように突破を試
罠等の装置は可能な限り無力化
敵スナイパーと交戦時はわたぬきで機体の動力炉を強奪
さて…
機器の伝達回路等
後で交換すれば直るが現時点では修復が絶望的な程度に破壊
●レーダー施設制圧ミッション3
「なるほど、施設の構造は――と」
レーダー施設を見下ろすように建つビルの屋上で、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が漆黒のマントをなびかせて呟いた。
眼下に広がるは、電波塔を中心に広がる広大な軍事施設。
無数に存在する建物に素早く目を走らせたカシムは、その配置を頭に叩き込んだ。
「建物を眺めるだけで、施設を無力化するために壊すべき部分を見抜くとは、さすが天才魔術盗賊を名乗るだけはあるね、ご主人サマ♪」
「……事実だが、なんか言い方がひっかかるぞ、メルシー」
虚空に突如現れてカシムに声をかけてきたのは、鶏の立体映像だ。カシムがクロムキャバリアで偶然手に入れたサイキックキャバリア、界導神機『メルクリウス』に宿る意識である。
「ともかく、隠密活動なら僕ら向きの任務です。メルシー、機体を出せ」
「了解、いつものアンブッシュだね、ご主人サマ!」
立体映像の鶏の言葉とともに、空中に巨大な水銀のような塊――賢者の石が出現した。
その表面が波打ち、ぐにゃりと形を変えたかと思うと、見る見るうちに全高5メートルほどの人型となる。――これこそが、界導神機『メルクリウス』だ。
カシムが乗り込んだメルクリウスは、ビルの屋上から音もなく跳躍し、暗闇に包まれたレーダー施設に向かっていった。
●
レーダー施設はシグマ連邦の首都の中心に位置する首都防衛の要である。
首都防衛のキャバリア部隊が駐屯できるほどの広さを持つ軍事設備であり、当然、そのセキュリティは強固だ。
「死角のないように配置された監視カメラはもちろんのこと、熱源センサーや振動センサーも完備ですか――。さすがは、科学技術が発達したシグマ連邦ですね」
「唯一の救いは、思ったほど警備キャバリアがいないことだね」
メルシーの言うように、レーダー施設を守るキャバリアの数は想定よりも少ない。
もしも、ここに大量のキャバリアが哨戒警備についていたら、基地への潜入すら難しかったことだろう。
「これも、市街地で敵と交戦してくれているシグマ連邦正規軍や猟兵の皆さんが敵の注意を引きつけてくれているからですね」
カシムは、機体のカメラを轟音と閃光の渦巻く市街地へと向けた。
「敵が留守の間にお宝を奪う火事場泥棒――ご主人サマらしいよね☆」
「うるせえぞ、メルシーっ!!」
そんなやりとりをしつつ、カシムの駆るメルクリウスはレーダー施設の中を進んでいく。
キャバリアの歩行によって生じるはずの振動は、水銀化させた機体の脚部ダンパーで吸収することで無音の潜入を実現していた。
「メルシー、迷彩機能起動。監視カメラを誤魔化しますよ」
「了解、ご主人サマ♪」
周囲の景色に溶け込むように姿を消すメルクリウス。
これにより、施設の各所に配置されている監視カメラは、全高5メートルにもなるキャバリアが潜入してきていることに気づかなくなる。
メルクリウスは、暗視センサーに赤外線センサー、念動フィールドを展開し、周囲の様子を探っていく。
そのセンサーを操るメルシーが、前方に張り巡らされた対キャバリア用の熱源センサーを捉えた。
「前方に熱源センサー群を感知したよ、ご主人サマ」
「熱は、通常のキャバリアにとっては隠すことができないものですからね。施設の警備には最適のセンサーです。――ですが、このメルクリウスを普通のキャバリアと同じだと思ってもらっては困りますね。メルシー、水のルーン展開。機体から発生する熱を隠蔽だ」
「ラジャったよ、ご主人サマ♪」
カシムの指示で、メルシーがメルクリウスに水のルーンの加護を展開する。
水の膜を機体表面に張り巡らせたメルクリウスは、熱を外部に一切漏らさない。
これこそ、賢者の石たるメルクリウスと、魔術盗賊であるカシムのコンビだからこそできる芸当だ。
「熱源センサー群、こちらに反応なし。無事に突破だよ、ご主人サマ」
「まあ、当然だな」
こうして、メルクリウスは施設の最深部へと潜入を果たしたのだった。
●
「さて、僕の見立てでは、この建物に大事なものがあるはずです……」
「お宝の在り処を嗅ぎ分ける盗賊の勘ってやつだね、ご主人サマ」
カシムの乗るメルクリウスは、レーダー施設の中の建物のひとつ――事前にカシムが目星を付けていたビルの前に辿り着いた。
だが、そのビルの前には、アサルトライフルを持ったキャバリアが警備に付いている。メインウェポンのスナイパーライフルを背中に背負っていることからも、あれが反乱軍のキャバリアに違いなかった。
「キャバリアが警備についてるけど、どうするの、ご主人サマ」
「あの建物だけ警備がついているということは、それだけ重要な施設ということです。当然、やることはひとつ――お宝をいただくだけですよ」
その言葉と共に、カシムはメルクリウスの迷彩を解除。メルクリウスを高速で敵キャバリアに接近させる。
駆けてくるメルクリウスを見て、警備のキャバリアが慌ててアサルトライフルを構え引き金を引くが――。
「遅いですね!」
地面を蹴ったメルクリウスの機体が、乱射されるアサルトライフルの銃弾をひらりと飛び越え、敵機の背後に着地する。
「万物の根源よ。メルクリウスの手に全てを奪う力を示せ」
メルクリウスの右手が光に包まれ――。
振り向くと同時に、敵キャバリアの背中に右腕を突き刺し、その動力炉を貫いた。
動力炉を貫かれたキャバリアは、コックピットを巻き込んで大爆発を起こす――かと思われたが。
「魔術盗賊たるもの、そのようなスマートではない盗み方はしませんよ」
カシムの得意技の『わたぬき』によって、敵キャバリアの動力炉を『盗み取った』メルクリウス。
――その右手には、キャバリアの動力炉が握られていた。
動力炉を失い機能停止した警備キャバリアを放置し、カシムはビルに侵入する。
そして、電子機器の重要なパーツをいくつか奪い取っていく。
「これで、レーダー施設のこの区画はしばらくは機能停止することでしょう」
後で部品交換をおこなえば修理可能だが、敵部隊とシグマ連邦正規軍が交戦している間に復旧させることはできないだろう。
「あとは、味方を信じて待つだけですね」
カシムは真剣な瞳で市街地を見つめた。
「ところで、そのポケットに入っている宝石は何かな、ご主人サマ?」
「盗賊としては、忍び込んだ以上、手ぶらでは帰れません。メルシーも金目のものを探知しろ」
カシムたちは、しばらくビル内を物色するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
◎
妹が向こうで頑張るみたいだし
わたしも頑張らないとね
ブルー・リーゼ、出るよっ!
●機動・回避
【推力移動】で高度に注意しつつ【空中戦】で突入
【第六感】で敵意を感じて
敵機の動きや攻撃を【見切り】
【瞬間思考力】で最適な回避や【オーラ防御】
●攻撃
初撃から【魔力溜め】を行った《指定UC》で敵施設を【全力魔法】の【貫通攻撃】
派手にいこっかっ!
以降は
ホーミングビームの【誘導弾】を【一斉発射】しつつ
【多重詠唱】で【魔力溜め】をしたビームランチャーのバーストモードで攻撃
その後はホーミングビームとビームランチャーで連射攻撃
接近した敵機はビームセイバーで攻撃
武装・腕部・脚部を狙って【切断】
攻撃はコクピットを避けるよ
●レーダー施設制圧ミッション4
「……双子の敵だね。妹が向こうで頑張るみたいだし、私も頑張らないとね。ブルー・リーゼ、出るよっ!」
白と青を基調とした装甲色のサイキックキャバリア、精霊機『ブルー・リーゼ』に乗ったシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)が、市街地の方へとチラリと視線を向けた。
高層ビルの合間から聞こえてくる轟音に、眩い閃光。
あれは反乱部隊のキャバリアが撃墜されたのか、それとも――。
嫌な想像が脳裏をよぎるが、シルは頭を振ってその思考を追い出した。
「そうならないように、わたしはわたしができることを精一杯やるね。最初から全開でいこう、ブルー・リーゼ!」
背中のスラスターを展開して飛翔したブルー・リーゼは、レーダー施設を見下ろせる位置で空中に静止した。
眼下の施設は、いまだグランティア王国親衛隊の接近に気づいていないようで、滞空警戒は疎かだ。
「シグマ連邦正規軍やあっちの猟兵たちの動きで、こちらに注意が向いていない今がチャンスだね」
ブルー・リーゼのコックピットの中でシルは全身の魔力を高めると、得意の複合属性魔法の詠唱を開始する。
それは、火、水、風、土の4属性を収束して放つ大型砲撃魔法エレメンタル・ブラストの詠唱だ。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ――」
――否。それはエレメンタル・ブラストの詠唱ではない。本来ならここで終わるはずの詠唱に、さらなる続きが存在した。
「――暁と宵を告げる光と闇よ……。六芒に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!」
火、水、風、土に、さらに光と闇の属性を追加した6属性複合収束魔法、ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラストの魔法詠唱が完成する。
レーダー施設を見下ろすブルー・リーゼの正面に、6色の光で構成される六芒星魔法陣が展開。そこにシルの強大な魔力が増幅・蓄積されていく。
「いっけえええっ、ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト!」
直線状に発射された6色混合の魔力砲が、地上の施設を薙ぎ払い瓦礫に変えていった。
●
シルの魔法攻撃により、施設は蜂の巣を突いたかのような混乱につつまれる。
「グランティア王国親衛隊、今だ、突撃開始!」
その機に乗じ、レーダー施設への突入の機会を伺っていた親衛隊のキャバリアたちも、施設の制圧に動き出した。
「よーし、あとは、わたしも援護だねっ」
大魔法を放ち肩で息をしながらも、シルは出撃してきた敵キャバリア部隊を見下ろしながら、施設上空へとブルー・リーゼを飛翔させた。
「敵はスナイパーライフル装備……。だけど、簡単には当たらないよっ!」
迎撃に出てきた敵キャバリアは、装備したスナイパーライフルを構え、上空を飛び回るブルー・リーゼを地上から狙撃してくる。
だが、スナイパーの敵意を感じ取って攻撃を見切り、最適な回避行動をとるシルには、攻撃を当てることができない。
掠りそうになる銃弾も、オーラで強化されたブルー・リーゼの装甲で弾かれるだけだ。
「お返しに……リュミエール・イリゼ、発射!」
シルはブルー・リーゼから、虹色の光を放つビーム砲を放つ。
全方位に発射可能なビームは、シルの意志に従い、敵キャバリアのみを撃ち抜いていく。
スナイパーライフルを持つ腕を撃ち抜かれ銃を取り落したり、脚部を撃たれて身動きが取れなくなっていくキャバリアたち。
「さらに、ブラースク、チャージ開始」
ブルー・リーゼが右手に持つビームランチャー『ブラースク』を構えると、その銃口に強烈な光が集中していく。
魔力を溜めて一気に解き放つ、ブラースクの必殺の一撃、バーストモードだ。
「コックピットは外して……」
狙いを付けて引き金を引いたビームランチャーの一撃は、コックピットを避けて敵キャバリア上半身のオーバーフレームだけを消し飛ばした。
「このまま、突入部隊の援護にまわるねっ」
ブルー・リーゼはホーミングビームとビームランチャーで、味方を狙撃しようとしているスナイパー機を上空から攻撃する。
接近戦で親衛隊機を攻撃しようとするキャバリアには、左手に持ったビームセイバー『エトワール』による一撃で腕や脚を斬り裂いていく。
「助かりました、おかげで我らグランティア王国親衛隊に大きな被害を出さず、設備の一部を制圧できました」
親衛隊長が深々と礼をして、シルに感謝の言葉を送る。
シルの活躍がなければ、突入した親衛隊機には大きな被害がでたことだろう。
「けど、まだ戦いはこれからだよね……」
妹が戦う市街地の方を見るシル。
再びレーダー施設上空に飛び立つと、親衛隊機の援護を続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
彩波・いちご
【理緒さんと】
別所で戦ってる錫華さんとオリガさんのためにも、こちらも成功させないとですね
いつものように理緒さんのセレステに同乗させてもらいます
毎度ですけど、ここの操縦席は狭くて、理緒さんとの距離も近いです
…でも、さすがに慣れました、よね?(少し赤面)
それはともかく、今は静音モードですから静かに静かに…
敵を発見したら、理緒さんがジャミングと攻撃を開始するので
私はセレステを守るべく【異界の守り】で防御結界を張ります
理緒さん、攻撃は全て私の結界が受け止めますから、全力で攻撃しちゃってくださいっ
…ダメージはカットできても、さすがに揺れまではどうしようもないので
理緒さんとますます近くなったりもしますがっ
菫宮・理緒
こっちが成功すれば、
オリガさんや錫ちゃんもちょっと安心かな?
【リオ・セレステ】は静音モードで行動。
いちごさんと乗るのもそろそろ……慣れない!
ま、まぁ、嬉しいからいいとして、
距離を詰めたら、
ナイトビジョンとサーマルセンサーで状況を確認。
敵防衛隊を確認しよう。
「あれは夜戦仕様の部隊とスナイパー機、かな?」
なら!
こちらはナイトビジョンをカット。
照明弾を打ち上げて、
敵の目を一時的にマヒさせ、混乱に乗じて突撃するよ。
【E.C.M】の効果範囲内に入ったら、全力でジャミング。
レーダーの機能を潰したら、念のため【一斉射撃】で破壊。
な、なんだかいちごさんが近いけど、
これは不可抗力。不可抗力だから!(ぷしゅー)
●レーダー施設制圧ミッション5
猟兵の攻撃に乗じてレーダー施設への突入を開始したグランティア王国親衛隊。
対してレーダー施設からは、反乱軍のスナイパータイプの警備キャバリアが迎撃にあらわれていた。
「あれ? なんか想定よりも敵の数が少ないね?」
6つのタイヤがついた青空の色をした装甲車『リオ・セレステ』の操縦席で、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)が呟いた。理緒の視線の先にあるモニタには、夜間用高感度カメラと熱センサーによって周囲の状況が映し出されている。
「それだけ、市街地へ向かった敵が多いのかもしれませんね。錫華さんとオリガさん、無事だといいですけど……」
一人乗りのはずのリオ・セレステの操縦席内から、もうひとりの声が上がった。
青い髪をした妖狐の男の娘、彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)である。その声に緊張の色が混ざっているのは、敵キャバリアとの戦闘を目前しているからか、それとも一人乗りの装甲車の操縦席で理緒と身体を密着させるように並んで座っているからか――。
――理緒の髪から香るシャンプーの匂いに頬を赤らめている様子を見るに、どうやら後者のようだった。
「す、錫ちゃんやオリガさんのためにも、こっちの作戦を成功させないとね!」
いちごと同じく――いや、それ以上に、ガチガチに緊張している理緒。想い人と狭い空間で一緒という状況に嬉しくもあり恥ずかしくもあり、という乙女心を押し隠してリオ・セレステを発進させようとし――。
「ああっ、理緒さん、ギアがバックに入ったままですよっ!?」
「はわわわーっ!?」
全速後退した装甲車がビルに激突し、操縦席を激しい衝撃が襲う。
「いたた……。理緒さん、大丈夫です……か?」
とっさに理緒をかばったいちごは、その手に感じる微かな柔らかさに首をかしげながら、二度三度と手のひらを開閉し――。
「い、いちごさん、どこ触ってるのかなっ!?」
なだらかな胸を揉まれる理緒が、顔を真っ赤にするのだった。
●
「こほん、と、とにかく、静音モードで行動するね」
派手にビルの壁をぶち抜いておいて今さら意味があるかは分からないが、理緒は装甲車の静音モードを起動。モニタに映る外部の様子を確認しつつ、レーダー施設の敷地内へと突入していく。
施設内には、反乱軍のスナイパータイプのキャバリアが装備するアサルトライフルやスナイパーライフルの銃弾が飛び交っていた。
グランティア王国親衛隊のキャバリアは敵の弾幕を前になかなか前に進めない状況だ。物陰から機体を出した瞬間に蜂の巣にされるのが目に見えている。
「味方が苦戦してるね。いちごさん、援護に入るよ! 舌かまないでね!」
「ええ、わかりました。サポートは任せてください、理緒さん」
理緒の力強い言葉にいちごが頷くと、リオ・セレステは急加速し、戦場の中心へと躍り出た。スナイパータイプのキャバリアたちのセンサーアイが一斉に装甲車に向けられる。
キャバリアたちのアサルトライフルが火を吹き、リオ・セレステを撃ち抜こうとしたその時――。
「理緒さんを傷つけさせはしませんっ」
いちごが展開した異界の守りによる防御結界が装甲車を包み込み、迫りくる銃弾を弾き返していく。
銃弾が車体を叩く衝撃は伝わってくるものの、それが装甲を傷つけることはできない。
「ありがと、いちごさんっ!」
激しく揺れる装甲車の中、理緒は操縦席のコンソールを操作すると、車体のカメラをオフにした。ぼんやりと車内を照らし出していたモニタが消え、周囲が暗闇に包まれる。
真っ暗な車内で狭いシートに並んで座る理緒といちご。視界が封じられたことで、接触している互いの体温や、聞こえてくる吐息にどうしても意識が向いてしまう。
さらに、いま、敵の銃弾によって装甲車は激しい揺れにさらされている。狭い操縦席の中でいちごの身体を固定していたシートベルトが外れてしまい――。
なにがどうなったのか、シートに座る理緒の正面から、いちごが理緒の顔の横に両手をつく体勢――いわゆる壁ドンの体勢になっていた。
いちごの目の前に理緒の整った顔が迫り、艶めかしい唇に視線が吸い寄せられる。
「あわわっ、ご、ごめんなさいっ、理緒さんっ」
「だだだ、だいじょぶっ! ふ、不可抗力だもんねっ!」
理緒は顔から真っ赤な湯気を上げて、目をぐるぐるさせながらも、手探りでコンソールを操作した。
それは、車体に装着されたミサイルランチャーの発射スイッチだ。リオ・セレステに装備されたミサイルランチャーから、一発のミサイルが発射される。
飛翔してくるミサイルに気づいたスナイパータイプのキャバリアたち。
当然、みすみす着弾を許すはずがない。キャバリアたちは手にしたアサルトライフルから一斉に対空射撃をおこない、暗闇に包まれた空に火線が伸びる。それはミサイルを上空で撃ち落とし――。
「残念でした♪」
理緒が不敵な笑みを浮かべると同時。周囲に眩いばかりの閃光が満ち、まるで昼間のような明るさになる。リオ・セレステから発射された多目的ミサイルは、弾頭が照明閃光弾に換装されていたのだ。
高感度カメラとサーマルセンサーを全開にしていた反乱軍のキャバリアたちは、照明閃光弾によってその目を一時的にマヒさせられることになった。
だが、理緒にとっては、この一瞬の隙があれば十分だ。
「E.C.M起動っ!」
理緒はリオ・セレステから妨害電波を放ち、敵キャバリアのセンサー類を無効化していく。
完全に視界を奪われたスナイパーたちがアサルトライフルを明後日の方向に乱射するが、そんなものが当たるはずもない。
「今だよっ、親衛隊の皆さんっ!」
「承知っ!」
理緒の声に、グランティア王国親衛隊長が肉声で答える。
「全軍、突撃っ!」
シグマ連邦ほどには科学技術が発展していないグランティア王国。そのため、グランティア王国のキャバリアは電子的なカメラだけでなく、肉眼でも外部を確認できる構造になっていた。
今はそれが幸いし、グランティア王国親衛隊のキャバリア部隊は、ジャミングの中でもなんとか動くことが可能だった。
親衛隊機は、隊長の機体を先頭に、手に持った剣で反乱軍のスナイパータイプのキャバリアに斬りかかっていく。
「どうやら、無事にすみそうですね」
いちごは、その様子をモニタで眺め、安堵の息をつき――。
「そそそ、それで、いちごさんっ、そろそろどいてくれないかなっ!?」
「それがですね、なんかシートベルトが絡まっちゃって動けなくて……」
「そ、そんなぁ~」
さっきからずっと、いちごに壁ドンをされている体勢になっている理緒の思考回路はショート寸前だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天星・雲雀
「神聖王国の御姫様が来ているんですね、御変わりなく元気しているでしょうか?」
襲撃が終わってないということは御姫様は、今のところは無事なはずですよね。無事に御姫様が母国に帰れるようにがんばります!
「目標はレーダー設備のシステム掌握です。絶無、惜しみない協力を要請します。可能な限りの光学迷彩と疑似環境音で、迷彩モード特化にしてください。光と風の力でやれますよね」
義眼の暗視と絶無の精霊回路拡張による三次元の繊細な索敵で、真っ暗闇の中でもへっちゃらです!
【行動】隠密潜行。施設ではUCの操り糸を介してシステム全般と罠をハックします。
さも正常に機能してる様に装いつつ、其の実こてんぱんに無力化してあげます。
津上・未有
◎
ふん、我としてはこそこそとした隠密行動など性に合わないのだがな…
それで作戦がおじゃんになっても馬鹿らしい。慎重に動くとするか
夜間の暗闇を活かし【闇に紛れる】状態で行動するぞ
キャバリアに乗っての隠密行動は流石に難しいからな
我にはハッキングの技術なんかはない
そういうのは他の連中に任せる
だから…我が行うのはレーダー施設の物理的な制圧
そのために、邪魔者や警備装置をこっそり排除する
UC【神をも灼き尽くす魔王の焔】で全て灼き尽くしてやろう…!
そうすれば、システムをハッキングしてくれるであろう他の猟兵も動きやすくなるだろうしな
●レーダー施設制圧ミッション6
グランティア王国親衛隊がレーダー施設に突入し、警備のキャバリア部隊と激しい攻防戦を繰り広げる様子を、施設の近くの高層ビルの屋上から見下ろす人影があった。
まるで闇に溶け込むかのような髪に鴉の羽を思わせる色の瞳――つまりは普通の黒髪黒目だが――を眼下に向ける少女は、津上・未有(自称真の魔王・f10638)だ。
魔王の御衣と呼ばれる豪華な縫製の漆黒の服――普通の店で買ったただのゴスロリ風の服――を夜風になびかせる未有は、特に意味もなく右目の前に手をかざしながら呟いた。
「ふん、我が本気を出せばこんなレーダー施設ごとき、敵部隊ごと灰燼に帰させるのも容易なのだが……。それでは施設の再利用ができなくなるな」
もう一方の手を、大仰な仕草でなんかカッコいい感じに突き出しながら、未有は言葉を続ける。
「我としては、こそこそした隠密行動など性に合わないのだが、ここは施設の制圧をおこなうとしよう。すでに市街地方面からの戦闘音も聞こえなくなっているから、どうやらシグマ連邦正規軍の方は一足先に決着がついたようだしな」
くくく、と不敵な笑みを浮かべた魔王は、高層ビルの屋上で施設に背を向けると、特に意味もなくのぼった高層ビルの屋上から一階に降りるために、エレベーターに向かい下向きのボタンを押す。
「フハハハ! 出迎えご苦労!」
ボタンを押して開いたエレベーターに向かって、階段で上り下りしなくて済んだことに感謝の言葉を投げかける未有だった。
「神聖王国の御姫様が来ているんですね。御変わりなく元気しているでしょうか?」
暗闇に包まれたレーダー施設を前にして、フリルの付いた和風の給仕服を着た妖狐の天星・雲雀(妖狐のシャーマン・f27361)が、グランティア王国のネティシア姫がいる迎賓館の方に視線を向けた。
雲雀の左目に装着された真紅の義眼が、その機械の絡繰りを起動させる。まるで望遠鏡を使ったかのように遠くのものが拡大表示され暗闇をも見通すが、高層ビルに阻まれ迎賓館を目視することはかなわない。
「けれど、市街地での戦闘音がやんだということは、御姫様は無事なはずですよね。無事に御姫様が母国に帰れるようにがんばります! 絶無!」
気合をいれつつ、雲雀は虚空に向かって声をかける。
そこに生まれるのは巨大な嵐だ。吹き荒れる暴風の中心にそれは姿をあらわした。炎と風と光の力を宿すサイキックキャバリア、絶無である。
雲雀は絶無に乗り込むと、その意思ある魔神に告げた。
「絶無、惜しみない協力を要請します。目標はレーダー施設のシステム掌握です」
絶無は迷彩モードを起動すると、レーダー施設内へと向かっていった。
●
「フハハハ! それでは魔王たる我の制圧方法を見せるとしよう!」
漆黒の衣装で夜闇に紛れながらレーダー施設を進んでいく未有。
その顔には自信に満ちた笑みが浮かんでいた。
「我にはハッキングの技術など――ない!」
きっぱりと言い切る魔王様。
だが、その言葉に続いて、施設制圧のための秘策が語られる。
「ゆえに――我がおこなうはレーダー施設の物理的な制圧!」
未有の左手から漆黒の獄炎が生み出される。
それこそ、未有の最強の攻撃の一つであった。
「くくく、我が炎で全てを灼き尽くしてやろう……! 受けよ、神をも灼き尽くす魔王の焔(ダークネスフェニックス)!」
まるで漆黒の不死鳥のように飛翔した闇属性の獄炎が、未有の前に立ちふさがったスナイパータイプの警備キャバリアを包み込んでいく。
そのまま、超高熱の炎によりキャバリアが爆発するかと思った直前――。
「おっと、派手な爆発で敵が集まってくるのもまずいか」
パチン、と未有が指を鳴らすと、キャバリアを包み込んでいた炎が一瞬で消え去った。
それを満足げに見つめた未有は、ひとつ頷くと、レーダー施設の奥へ向かって歩を進める。
「フハハハ! では、このまま奥へと進むとしようか!」
「どうやら、ここで戦闘があったようですね」
光と風を操って不可視の姿になった絶無に乗った雲雀が呟いた。
雲雀の義眼と絶無の精霊回廊拡張による索敵で見つけたのは、丸焦げになったキャバリアの残骸だ。コックピットハッチが開いていることから、パイロットは脱出したようだ。
「周囲にある監視カメラやセンサー類も燃やし尽くされています。これだけのことができるのは仲間の猟兵でしょうか?」
なんにせよ、隠密行動をしている雲雀にとっては、警備キャバリアやセンサー類が無効化されているのはありがたいことだ。
雲雀は絶無に向かって語りかける。
「それでは、自分たちは施設の奥に向かい、システムをハッキングしましょう」
絶無は、迷彩モードのまま施設の奥へと進んでいくのだった。
●
レーダー施設の中央に建つ巨大な電波塔。シグマ連邦首都に建ち並ぶ高層ビル街の中でも一際高い建造物だ。これこそ、シグマ連邦を長年外敵の攻撃から守ってきた守りの要である。
その真下に建つビルこそ、レーダー施設の中枢にして施設全体を管理するコンピュータが設置された中央司令部だ。
「グランティア王国親衛隊による撹乱のおかげでここまで潜入できたが――」
未有は、中央司令部の前に鎮座するキャバリアに目を向ける。
それは一般の警備用キャバリアと異なり、頑丈な装甲が追加されたカスタム機だった。
「動きは鈍重そうだが、我のダークネスフェニックスにも耐える装甲を持っているな。仕方ない、これを使うしかないようだ」
すらり、と『魔王剣ベルセルガ―』と名付けられた禍々しい外見の普通の剣を引き抜き構えた未有は、物陰から飛び出し、カスタム機に斬りかかっていった。
突然現れた未有をセンサーに捉えたカスタムキャバリアは、驚きながらも手に持ったアサルトライフルを構え、接近してくる少女に向けた。対キャバリア用の銃弾を発射するアサルトライフルだ。その弾丸が命中したら、人間など跡形もなく吹き飛ぶことだろう。
アサルトライフルが未有をロックオンし、その引き金が引かれ――。
――突如、アサルトライフルの銃身がバラバラに斬り裂かれた。
突然武器を失って困惑するキャバリアの後方に、雲雀が乗る絶無が光学迷彩を解除して姿をあらわした。
その両手からは、光の粒子でできた操り糸がアサルトライフルの銃身があった場所まで伸びている。
「どうやら間に合ったみたいですね」
絶無の手から伸びる光の糸を操ってアサルトライフルをバラバラにした雲雀が安堵の息をついた。
「どうやら助けられたようだな、礼を言おう」
「ここは協力して敵を倒しましょう!」
未有と雲雀は頷きあうと、敵キャバリアを挟撃するように攻撃を開始する。
「確実に仕留める!」
雲雀の乗る絶無から再び光の糸が伸び、キャバリアの全身に絡みついた。
全身に巻き付き、ギリリと装甲に食い込んでいく光の糸。
――だが、キャバリアの厚い装甲を斬り裂くには至らない。
「絶無、もっとパワーを出せないのですか!?」
焦る雲雀の声が響くが、すでに絶無のエネルギーはすべて光の糸に注ぎ込まれている。これ以上の破壊力を生み出すことはできない。
だが、そこに不敵な声が響き渡った。
「フハハハ! 出力が足りないなら簡単なこと! ――我の力を上乗せするまでだ!」
未有の右手に生じるは闇の獄炎――ダークネスフェニックスだ。
まるで地上に出現した小さな太陽のごとき火球を、未有は解き放った。
「全てを消し飛ばせ、我が暗黒の焔!」
カスタムキャバリアに巻き付く光の糸に闇の獄炎が触れると同時――その両者が融合し、闇色に輝く焔の糸となった。
闇焔の糸が放つ高熱は、カスタムキャバリアの堅牢な装甲を蒸発させながら灼き斬っていき――その機体のコックピット部分以外をバラバラに切断したのだった。
●
「警備は排除したので、あとは任せるとしようか」
「はい、ここからは自分が」
絶無から降りた雲雀が、建物内の中央コンピュータに光の糸でアクセスする。糸を通して中央コンピュータの制御を乗っ取っていき、システムを掌握していく。
「これで、他の猟兵たちが制圧したコンピュータと合わせて、レーダー施設の制圧完了です。レーダー機能、復旧します」
雲雀と未有の目の前に、復旧したレーダーの画面が表示される。
その画面には、無数の赤い光点――反乱軍をあらわす光が映っていた。
「正面から向かってきている赤い光の群れは、反乱軍の本体か」
「――待ってください、そうすると、迎賓館の後方から高速で向かってきているこっちの反応は!?」
迎賓館を挟撃するように襲撃してくる敵部隊を捉えた二人は、急ぎグランティア王国親衛隊とシグマ連邦正規軍に連絡をおこなうのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『60式量産型キャバリア『ユニコーン』』
|
POW : 密集狙撃陣形【ファランクス・シフト】
【防衛戦線を死守すべく敵を狙撃する仲間 】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[防衛戦線を死守すべく敵を狙撃する仲間 ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 武器切替即掃射【スイッチ・バースト】
【RS-AL-059 アサルトライフル 】から【弾幕】を放ち、【その威圧効果】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 虚空からの一刺し【ユニコーン・チャージ】
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【RS-SL-058 スナイパーライフル 】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●反乱軍の攻勢
「レーダー施設、制圧完了との報告です!」
部下からの連絡を受けたグランティア王国親衛隊長は、キャバリアの操縦席で息をつく。
市街地でのシグマ連邦正規軍の戦闘も終わったと報告が入ってきた。これでネティシア姫やシグマ連邦の政府高官がいる迎賓館も安泰だろう。
だが、続いての報告に、親衛隊長は古傷だらけの顔をしかめた。
「レーダー施設を制圧した猟兵からの報告です! 迎賓館に向かって接近する多数の敵影を発見したとのこと! 前方から接近する地上部隊と、迎賓館後方から回り込んでくる空中部隊を捕捉しています!!」
「ちっ、レーダー施設の制圧とスナイパー部隊での牽制は、本隊と奇襲部隊の動きを察知させないための陽動か!」
反乱軍の狙いを悟った親衛隊長は、慌ててシグマ連邦正規軍の隊長に連絡を取るのだった。
●
「というわけで、反乱軍は迎賓館を二方面から挟撃するつもりのようだ」
ブリーフィングを開始したグランティア王国親衛隊長が、周辺地図の上に敵部隊を示す赤色のマーカーを乗せながら説明を始めた。
迎賓館を中心とした地図の上には、2つの凸型のマーカーが置かれている。
「片方は、正面から迫る敵地上部隊。レーダー施設を占拠していたスナイパータイプのキャバリアで構成される部隊だ。このまま放置すれば、スナイパーライフルの射程に入り次第、迎賓館が一斉攻撃に晒されるだろう」
迎賓館前方から迫る敵本隊のマーカーを移動させ、一定距離のところで赤線を引く親衛隊長。敵の狙撃射程であるその地点が阻止限界点となる。
「もう一方が、迎賓館の後方から奇襲をかけてきている空中部隊。エリート専用機で構成された特殊部隊とのことだ。こちらも放置することはできない」
親衛隊長は2つ目のマーカーを動かして迎賓館に重ねる。そうなってはネティシア姫とシグマ連邦高官は無事ではすまないだろう。
「そこで、我らは地上部隊の迎撃と奇襲部隊からの防衛の2つの部隊に分かれることになった」
親衛隊長が2つの青色のマーカーを取り出した。
味方部隊を示すそのマーカーを、敵地上部隊の前方と、迎賓館の後方とに置いていく。
「我々グランティア王国親衛隊は、敵地上部隊のスナイパータイプのキャバリアの迎撃に向かう。我らにご協力いただける猟兵の方々は、ご同行いただけると心強い」
スナイパータイプの60式量産型キャバリア『ユニコーン』の部隊とは、遮蔽物のない平原での衝突となる。身を隠す場所がない戦場で、長射程を誇る『ユニコーン』といかに渡り合うかがポイントになるだろう。また、敵の目的である迎賓館を狙撃される距離まで到達されないようにすることも重要だ。
「シグマ王国正規軍は、迎賓館で敵特殊部隊から姫やシグマ連邦の要人を守ります。彼らの方に向かっていただける方々は、そちらに合流願います」
後顧の憂いがなくなれば、グランティア王国親衛隊もスナイパー部隊との戦いに集中することができる。逆に、こちらの戦場を突破されたらシグマ連邦正規軍が背後から撃たれることになってしまうだろう。
猟兵たちは、どちらの部隊に協力しても構わない。力を合わせて敵部隊を退けるのだ。
――ネティシア姫やシグマ連邦高官たちの命運は猟兵たちの手に託された。
●マスターより
2章は、Gルート、Σルートともに集団戦となります。
ルート分岐方式なので、1章でどちらのルートにいたかは関係なく、好きなルートに参加いただくことができます。(3章も同様)
どちらのルートとも、2章からの参加も大歓迎です。
グランティア王国ルート(Gルート)では、市街地やレーダー施設を占拠していたスナイパータイプのキャバリア部隊の本隊との戦いになります。
遮蔽物のない平原で、長射程のスナイパーキャバリアと有利に戦う方法を工夫したプレイングにはプレイングボーナスが入ります。また、迎賓館狙撃可能な距離まで敵キャバリアを近づけさせないようなプレイングにもプレイングボーナスが入ります。
さらにΣルートで敵が撃破されるに従い、後顧の憂いがなくなるので、プレイングボーナスが加算されます。
一方、Gルートで敵を撃破するとそれだけ迎賓館が狙われるリスクが減り、シグマ連邦正規軍が戦いに集中できるようになるため、Σルートのプレイングボーナスが加算されます。
●
「隊長、敵スナイパーキャバリア『ユニコーン』の狙撃阻止ラインに親衛隊部隊の展開を完了しました!」
「了解した。この防衛ラインを抜けられたら、姫様がいる迎賓館が狙撃される。各機、絶対に敵を通すなよ!」
親衛隊のキャバリアからの報告を受け、グランティア王国親衛隊長は機体の望遠モニタで前方を映し出す。
そこには、遮蔽物のない平原を密集狙撃陣形を組んで進軍してくるスナイパー部隊の姿があった。
もし、レーダー施設や市街地戦を速やかに制圧できていなかったら、この敵の接近に気づくのが遅れ、敵が狙撃に適した場所に布陣してからの戦闘となったことだろう。
遮蔽物に身を隠した状態のスナイパー部隊がいかに厄介かは、シグマ連邦正規軍の隊長から話を聞いたばかりだ。そうならずに済んだことに安堵しつつも、親衛隊長は表情を引き締める。平原でのスナイパーとの戦いも、決して簡単なわけではないのだ。
「我々は敵を突破させないため、身体を張って食い止める。敵の迎撃は猟兵の皆さんを信頼するしかない……」
スナイパーライフルを防ぐためのキャバリア用大盾を構えつつ、親衛隊長は出撃していく猟兵たちを見守るのだった。
シル・ウィンディア
隠れて狙撃されるんじゃないから、まだいいかな?
…高機動戦に持ち込むっ!
【推力移動】の【空中戦】で速度と高度に注意して接近を優先だね
【残像】を生み出しての攪乱とジグザグ・バレルロールなどを駆使した回避機動で動くよ
敵攻撃は【第六感】で殺気を感じて…
【瞬間思考力】で【第六感】に従って動くね
移動しつつ【魔力溜め】したランチャーで【スナイパー】も試みるよ
バーストモードならスナイパーライフルにも対抗できる
中距離になったら
ホーミングビームの【誘導弾】と連射モードのランチャーの【一斉発射】
UCの射程に入ったら【高速詠唱】の《指定UC》で一気に薙ぎ払うっ!
近接に入ったらセイバーでコックピット避けて【切断】!
雛菊・璃奈
施設の制圧に陽動…反乱軍は随分徹底してるね…。
でも、姫様に手は出させない…。必ず守ってみせるよ…
『目覚めよ、厄災の神…解放、ディザスター・ゼロ…!』
(空間を割り、呪装機神を召喚)
【九尾化・魔剣の巫女媛】封印解放…!
ディザスター・ゼロを呼び出して搭乗し、自身の封印を解放…。
敵がスナイパーならそれを逆手に取るまでだよ…UCの力で魔剣の力を強化し、放たれた攻撃を全てアンサラーで反射【呪詛、オーラ防御、武器受け、カウンター】…。
敵の攻撃を逆に利用して敵を牽制・撃破…。
後は無限の魔剣を展開して一斉射撃を行いつつ敵に高速接近…。
ゼロによる凶太刀と神太刀による二刀で制圧するよ…
ここから先は一歩も通さない…!
カシム・ディーン
今度はスナイパーとの戦闘か
やれやれ…面倒くさいですね
「それじゃ逃げちゃう?」
それもいいですが…ちょいとばかりやる事はやりましょう
【属性攻撃・迷彩】
水光属性付与
機体の存在を隠蔽し
【視力・情報収集・戦闘知識】
スナイパーの位置の捕捉
【空中戦・武器受け・念動力】
捕捉され狙われた時は念動フィールドを展開し空中を飛び回りながら回避かハルペーで受け止め
敵陣を射程範囲に収めれば
さて…こういう場合は…こうでしたか
ターゲットマルチロック
急所と動力炉は外して
武装と足だな
「一気に無力化いっちゃおうかー♪」
UC発動
【属性攻撃・スナイパー】で四肢や武装を狙い破壊
基本コックピットや動力炉等誘爆の危険がある場所は避け不殺徹底
●ユニコーン部隊迎撃1
白と青を基調とした流線型の装甲を持つサイキックキャバリア、精霊機『ブルー・リーゼ』に搭乗したシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)が、コックピットの中で声を上げる。
「わ、かなり敵キャバリアの数が多いね」
殲禍炎剣のターゲットにならない程度の高度で背面スラスターを展開して飛翔するブルー・リーゼ。眼下には迎賓館に向かって侵攻してくる反乱軍のキャバリア『ユニコーン』の密集陣形が見て取れた。ユニコーンの部隊が進軍してきているのは、迎賓館へと続く平原だ。
「けど、隠れて狙撃されるんじゃないから、まだいいかな?」
遮蔽物のない平原を進んでくるユニコーン部隊。それに対し、シルはブルー・リーゼのスラスターを全開にして突撃していく。
「こっちは空から、高機動戦に持ち込むよっ!」
白と青で彩られた一条の流星が、ユニコーン部隊に向かって飛翔していった。
「今度はスナイパーとの戦闘か」
平原に立ち、地平線の向こうに視線をむけて呟くのは魔術盗賊を名乗る茶髪の少年、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)だ。魔術盗賊を名乗るだけあり、カシムの視力は人並み外れている。その視界には密集陣形を組んで行軍してくるスナイパーキャバリア、ユニコーンたちの姿が映っていた。
「やれやれ……面倒くさいですね」
「それじゃ逃げちゃう?」
思わずこぼれたカシムの声に応えたのは鶏の立体映像。サイキックキャバリア、界導神機『メルクリウス』の意思そのものだ。
メリクリウスの問いに、カシムは少し考え込み――。
「逃げるのもいいですが……ちょいとばかり、やることはやりましょう。メルシー、実体化を!」
「了解だよ、ご主人サマ♪」
カシムの眼前に現れるのは、水銀の塊のような賢者の石。それの形が見る見るうちに変わると、サイキックキャバリアの形となる。
現れたメルクリウスに乗り込み、カシムは操縦席のモニタに表示されたユニコーンの機影と、それが向かう迎賓館の建物に目を向けた。
「こっそり迎賓館を襲撃しようとしている敵軍には、少しばかり痛い目にあってもらいましょう。――相手の目を欺きこっそり目的を達するのは盗賊の領分。僕の目の前で盗賊行為を許すわけにはいきませんからね」
「ご主人サマってば、素直じゃないんだから」
水と光の属性の魔術で光学迷彩を展開しステルスモードになったメルクリウスは、敵の位置を探りつつ、敵陣に向かっていく。
「レーダー施設を制圧して、市街戦での陽動で防衛部隊の目を引きつけている隙に本隊と奇襲部隊での挟撃……反乱軍は随分徹底しているね……」
反乱軍のスナイパー部隊が迫ってきている方角に銀色の瞳を向け、白い巫女装束を身に着けた銀髪の妖狐、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)が静かに呟いた。
敵の狙いであるネティシア姫の姿を思い浮かべながら、璃奈は瞳に決意の色を宿らせる。
「例えどんな手を使ってこようとも、絶対に姫様には手は出させない……。姫様は絶対に守ってみせるよ……。目覚めよ、厄災の神……解放、ディザスター・ゼロ……!」
決意の言葉とともに、璃奈は虚空に向かって告げる。
呼びかけに応えるように空間が割れると、そこから一体のサイキックキャバリアが姿を現した。呪装機神ディザスター・ゼロ――璃奈だけが呼び出し操れる封印された機体である。
ディザスター・ゼロに乗り込んだ璃奈は、さらに自身の魔剣の巫女としての封印を解く。
「我らに仇成す全ての敵に悉く滅びと終焉を……封印解放……!」
その身に莫大な呪力を纏い九尾の妖狐の姿となった璃奈。その呪力はディザスター・ゼロに共有され、機体を呪力で満たしていく。
「待ってて、姫様……」
ディザスター・ゼロは機体から呪力を放出すると、敵陣に向かって飛翔していった。
●
「ブルー・リーゼ、行くよっ!」
機体の推力を全開にしたシルが、高速でユニコーン部隊に向かって飛翔していく。それは、まるで撃ち落としてくれと言わんばかりの突撃に見えた。
姿を隠す場所がない空中から接近してくるブルー・リーゼを見て、ユニコーンたちがスナイパーライフルによる対空迎撃をおこなう。
「ブルー・リーゼに簡単に当てられると――思わないでねっ!」
対空迎撃の火線がブルー・リーゼを捉えたかと思った瞬間――青色と白色の機体が空に溶け込むかのように消え去った。
――否、ブルー・リーゼの高速でのジグザグ機動にユニコーンたちのカメラアイの性能が追いつかず、モニタに機体の残像が映っているのだ。
「その程度の対空攻撃では、わたしのブルー・リーゼは止められないよっ!」
高速機動で目まぐるしく変化する視界の中、シルは瞬間的な思考能力を発揮し、冷静にトリガーを引いた。飛翔するブルー・リーゼから放たれるのは、ビームランチャー『ブラースク』から放たれる魔力エネルギー弾だ。限界まで魔力チャージされたバーストモードの一撃がユニコーンに命中。頭部を吹き飛ばされたユニコーンが沈黙する。
だが、バーストモードの一撃を放つために一瞬動きが止まったブルー・リーゼを、ユニコーンたちは見逃さなかった。スナイパーライフルの照準がブルー・リーゼの機体を捉える。『虚空からの一刺し』――ユニコーン・チャージの異名を取る『RS-SL-058スナイパーライフル』による絶対必中の一撃だ。
この一撃が放たれれば、いかにブルー・リーゼの機動力でも回避することは困難だろう。
無数のユニコーンがスナイパーライフルを構え――。
突如、カシムの乗るメルクリウスが光学迷彩を解除して姿を現した。
ブルー・リーゼが敵の注意を引いている間に、メルクリウスは光学迷彩モードで敵部隊に接近していたのだ。
「メルシー、敵の情報は?」
「モニタに映すね、ご主人サマ。狙撃状態の機体、全機射程圏内だよ」
カシムが乗るメルクリウスのモニタに、ブルー・リーゼを狙って狙撃体勢に入ったユニコーンたちが映し出された。
「さて……こういう場合は……こうでしたか。ターゲットマルチロック! 急所と動力炉は外して、武装と足を中心に狙ってください」
「了解だよっ!」
カシムの指示で、モニタに映し出されたユニコーン部隊の映像の上に赤いロックオンマークが無数に表示されていく。
それは、メルクリウスの周囲に浮かぶ500本以上の炎属性の魔法の矢がロックオンされた証だった。
「ウィザード・ミサイル、一斉発射!」
「一気に無力化いっちゃおうかー♪」
降り注ぐ魔法の矢。ユニコーンのスナイパーライフルを貫き。四肢を破壊し。頭部を吹き飛ばしていく。
「狙撃体勢に入ってた敵機、全機無力化を確認したよ、ご主人サマ♪」
ブルー・リーゼが再び高機動戦に入ったのを見て、カシムが頷く。
だが、今の一撃で無力化できたのは敵部隊のごく一部だ。ブルー・リーゼに続いて現れたメルクリウスという新たな敵に、ユニコーン部隊がスナイパーライフルを向けて『虚空からの一刺し』の狙撃体勢に入った。
「ご主人サマ、狙われてるよっ! さっきの、もう一発、早くっ!」
「そう言われても、そんなにホイホイ連発できるもんじゃねぇっ! それより念動フィールドで防げっ!」
「あんなに一度に撃たれたら、念動フィールドじゃ防ぎきれないよ、ご主人サマっ!」
慌てふためきながらも、せめて念動フィールドを張ったメルクリウスに、無数の『虚空からの一刺し』の銃弾が迫りくる。
――ユニコーン部隊が放った銃弾が命中する直前。メルクリウスの前に、璃奈が乗るディザスター・ゼロが飛び込んできた。
「敵が狙撃してくるなら、それを逆手に取るだけ……」
璃奈が呟くと、九尾化の能力によりディザスター・ゼロの手元に魔剣アンサラーが顕現する。それは敵の攻撃を反射する魔力が込められた魔剣だ。
迫ってきていた『虚空からの一刺し』が、すべて射手自身に反射され、機体に手傷を負わせていく。攻撃を反射されたユニコーンたちは、その一撃を自身の銃や四肢に受け、動きを止めていった。
「……いくよ、ディザスター・ゼロ……」
ディザスター・ゼロの手元に顕現するは、璃奈の愛刀たる妖刀・九尾乃凶太刀と妖刀・九尾乃神太刀。二刀を構えた呪装機神ディザスター・ゼロは、妖刀の力で神速を得て戦場を疾駆していく。
高速で迫るディザスター・ゼロ。狙撃しても攻撃が反射されると分かったユニコーン部隊はアサルトライフルを乱射してそれを迎撃するが――。
「その程度で迎撃のつもり……?」
妖刀の力で神速を得たディザスター・ゼロは、アサルトライフルの弾幕を軽々とかわす。
鉛玉は虚空を貫くだけだ。
「それなら、こっちも……」
九尾化の能力によってディザスター・ゼロの周囲に無数の魔剣を顕現させる璃奈。呪装機神の周囲に浮かぶキャバリアサイズの魔剣たちは圧倒的な威圧感を放っている。
「魔剣のみんな、お願い……」
璃奈が魔剣たちに呼びかけると、それらは一斉に敵キャバリア部隊に向かって飛翔。その機体を貫いていった。
すかさず、二刀を構えたディザスター・ゼロが崩壊した防衛ラインへと突入し、キャバリアを両断していく。
「ここからは一歩も通さない……」
決意のこもった璃奈の声が静かに響く。
「ご主人サマ、今だよっ!」
「ええ、こっちも行きますよっ!」
カシムの乗るメルクリウスも、念動フィールドを展開しながら空中を飛び回り、敵の射撃を回避しながら接近する。
命中しそうになったアサルトライフルの銃弾は、念動フィールドで防ぎ、またメリクリウスが抜き放った鎌剣ハルペーで受け止めていく。
「ハルペーは相手を冥府に送る剣ですが……ここはオブリビオンマシンだけを骸の海に還しましょう」
カシムはユニコーンのコックピットや動力炉を避け、ハルペーで機体のみを無力化していった。
「地上の方が混乱してるねっ、こっちもいくよーっ!」
ブルー・リーゼをバレルロールさせながら敵部隊の対空攻撃を回避して接近していくシル。
その機体の周囲に虹色の光が浮かび上がった。
ホーミングビーム砲『リュミエール・イリゼ』による全周囲射撃がユニコーン部隊に向けて放たれる。
さらに、ビームランチャー『ブラースク』からも連射モードで魔力弾をばら撒いた。
その一斉攻撃を受けたユニコーン部隊が沈黙していく。
「これで、いっきに決めるよっ! 精霊達よ、我が声に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!」
紡がれるのは、エレメンタル・シューターの呪文。火水風土の4属性の複合による魔力弾が1000個近く生成され、ブルー・リーゼから放たれた。
幾何学模様を描きながら複雑に飛翔する魔力弾は、味方を避けて敵のみを貫いていき、多数の敵を無力化することに成功するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
秋山・軍犬
◎
さて、レーダー施設を制圧した訳だし
一章でこちらを苦しめてきたジャミング機能を
今度は敵部隊に使用して、敵部隊の照準とか
モニターとか、その他諸々を狂わせられんすかね?
そこんとこどうなん?、秘水ちゃん
秘水「ふむ、精霊の力とレーダ施設の設備があれば
…試してみましょう」
軍犬「頼んだで」
自分は空戦機動力に長けたキャバリア【スカイⅠ】の
速度と強度を【指定UC】でブーストして出撃
超速度で攻撃を回避しつつ速攻で間合いを詰めて
敵部隊を攪乱・無力化する作戦で
姫さんのいる迎賓館に、悠長に
照準を合わさせたりはさせんっすよ
戦闘力増強系UCによる単純な速度と強さの
恐ろしさを知るがよい
(覇気+空中戦+早業+見切り)
●ユニコーン部隊迎撃2
猟兵たちの活躍によって制圧されたレーダー施設。
破壊も辞さない想定での制圧作戦だったが、レーダー施設を再稼働可能な形に保ったまま制御を取り戻すことに成功していた。
その最大の成果が、敵本隊と奇襲部隊の早期発見であり、敵の真の狙い――迎賓館の攻撃に気付くことができたのである。
だがここに、その成果だけでは飽き足らない考えを持つものがいた。
ミリタリールックに身を包んだキマイラの秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)が、水精霊の亜種である触手の精霊、秘水・クティ(触手農家令嬢)に呼びかける。
「秘水ちゃん。さっき敵はレーダー施設のジャミング機能を使って、シグマ連邦正規軍を妨害してきてたっすけど、これ使えないっすかね?」
「施設のジャミング機能は生きているので、使えそうですよ、軍犬さん」
メカニックの知識に長けたクティが制御コンピュータとジャミング装置を調べながら頷いた。
シグマ連邦の正規軍の機体を苦しめたというなら、同じシグマ連邦の機体であるユニコーンにもジャミングが有効なはずだ。
「それじゃ、援護は頼んだっすよ。自分はキャバリア・スカイⅠで出るっす!」
「ジャミング機能が使えるといっても、レーダー施設が万全じゃない以上、あまり長時間は使用できません。それに、範囲も限られますから気をつけてくださいね……」
緑色の迷彩服の背を向けてキャバリア・スカイⅠに搭乗する軍犬の後ろ姿を、クティは両手と触手を組んで無事を祈りつつ見送るのだった。
「スカイⅠ、秋山軍犬、発進するっす!」
●
軍犬が乗るのは、神聖王国グランティアの最新鋭試作型キャバリアだ。
正式名称を試作型飛空騎兵スカイⅠというこの機体は、飛行機のようなオーバーフレームにより空中を飛行することができる最新鋭機だった。
「こちら、スカイⅠ。敵軍の近くまで接近したっす」
『了解です、軍犬さん。こちらのレーダーで捉えた敵の情報を転送します』
クティによって操作されたレーダー施設のコンピュータから、軍犬のスカイⅠに敵部隊の情報が送られてくる。スカイⅠのコックピットに赤い光点として表示されたそれは、ユニコーン部隊の機影だ。
スカイⅠのコックピットからも敵キャバリア部隊を目視できるようになったところで、軍犬はレーダー施設のクティに通信を送る。
「それじゃ、秘水ちゃん。自分はスカイⅠで突撃するっすから、援護よろしくっす!」
『任せてください、軍犬さん。3、2、1……ジャミング装置起動!』
その通信と同時に、スカイⅠのモニタにノイズが走り何も映らなくなった。
レーダー施設から発された強力なジャミング電波が、スカイⅠのセンサーを無効化したのだ。
「けど、センサーが使えなくなったのは自分だけじゃないっすよ!」
軍犬が、スカイⅠのコックピットから地上のキャバリア部隊を目視しながら叫ぶ。
軍犬の言う通り、ジャミングの効果は敵ユニコーン部隊にも影響を与えていた。
突如として機体のセンサやカメラが沈黙したせいで、進軍していたユニコーンたちは混乱に陥り、足を止めている。
それを見逃す軍犬ではない。
軍犬は、スカイⅠを高速機動させると、上空から機銃を一斉掃射する。
「今度は逆に一方的に狙撃される気分はどうっすか!?」
機銃によって機体の手足や頭部を破壊され、動きを止めていくユニコーンたち。
どこから敵に撃たれているか分からぬまま、密集陣形を組んで防衛戦線を張ろうとするユニコーン部隊だが、それはこの状況では完全に悪手だった。
「一箇所にまとまってくれるなら好都合っす! 行くっすよ、スカイⅠ! フルコースモード限界突破ッ! ……フルコースッ!! ……ゴオォォルデンッ!!!」
スカイⅠの機体が黄金色のオーラに包まれたかと思うと、その機体はユニコーン部隊の密集陣形に向かって突撃していく。これこそ、フードファイターである軍犬のフードスペシャリテ・フルコースゴールデンの力をキャバリアが纏った状態だ。
「さあ、速度と強さを強化されたスカイⅠ・フルコースモードの力、思い知るっす!」
軍犬のフードファイターとしての矜持を戦闘力に変換した黄金のキャバリアは、機体から伸びた腕に黄金の光を集め――。
光り輝く拳で密集したユニコーンたちをぶち抜いたのだった。
『軍犬さん、ご無事ですかっ!?』
ユニコーン部隊を無力化したのと同時に、スカイⅠの通信が回復した。
クティの操作するレーダー施設に限界が来たのだ。
「大丈夫っす。姫さんのいる迎賓館に照準を付けようとしていたスナイパーたちは倒したっす」
『良かったです。軍犬さん、ジャミングの援護なしだと、それ以上は危険です。グランティア王国親衛隊のところまで誘導しますので、そちらに合流してください』
「了解っす」
軍犬が操縦するスカイⅠは、ユニコーン部隊の残骸を残し、彼方の空へと飛翔していった。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
※ロシナンテⅣ搭乗 背部コンテナをUC追加ユニットに換装
迎賓館の狙撃可能地帯へ抜かせはしません
親衛隊の皆様、ご協力願います
UCで更に向上した●推力移動で突撃
銃弾を●盾受けで防御しつつミサイル全弾発射
命中は期待してなどいません
煙幕弾頭の●目潰しで敵センサーの切り替え完了前に敵部隊へ肉薄
折角の四肢、白兵戦で活かさねば損でしょう!
●シールドバッシュで潰し、敵機体●踏みつけ蹴り飛ばしと同時に離脱
サブアームのライフル乱れ撃ちスナイパー射撃で他の敵の銃を潰しつつ
センサーの●情報収集で射線の『点』と『面』●見切り、●操縦技量で機体の挙動を制御し無駄弾を誘発
近接攻撃で破壊
敵部隊に混乱齎し親衛隊の突撃に繋げます
津上・未有
ククク…いくぞ、祭火神機『ウェスタ』!
神機シリーズたる貴様の力を見せつけるのだっ!
おっと…心配するなウェスタよ
穏やかな性格たるお前が戦いを望まぬことはわかっている。…我も戦いは好きではない
だからこそ、我らはこの醜い戦いを止めるために戦わねばならんのだ!
さあいくぞ!お前の力は戦いを鎮めるための力だっ!
発動せよUC【祭火神機の威光】!
この神気は長距離だろうと問題ではない…
スナイパーキャバリアどもよ、竈の女神の神気の前にひれ伏すがいいっ!
よし、これで奴らの攻撃力は落ちた!
後はウェスタの【属性攻撃】で追撃だ!炎弾をくらうがいい!
神代・セシル
◎
事前に味方に様々な甘い物を配ります。
スナイパーのキャバリアに勝つ方法は、彼らより射撃距離が長いと良いです。
エアリニスのスナイパーライフルに超長距離スナイパー用銃身を付けます。
「エアリニス、自律浮遊兵装とスナイパーライフルによる攻撃はおまかせします」
スナイパーにとって、【速度】はとても重要な事ですので。
UCを発動します。私は生身でキャバリアを対抗するつもりはありせんので、出来るだけ味方を支援します。
「皆様、甘い物を楽しむ時間です」
空を飛んで、敵の火力を引きつけます。
闇の魔法を使って敵を妨害します。特にセンサー、索敵装置などを狙います。
「姫様のところ…迎賓館に近づけさせません」
●ユニコーン部隊迎撃3
ネティシア姫とシグマ連邦の高官がいる迎賓館に迫る反乱軍の地上部隊は、迎撃に出た猟兵たちによって数を減らしつつあった。
だが、密集形態で進軍してくるユニコーン部隊はジリジリと前進し、迎賓館をスナイパーライフルの射程圏内に捉える位置に近づいてきている。
それを迎え撃つのは、グランティア王国の親衛隊キャバリアたちだ。
中世の騎士風の剣と盾を構えたキャバリアたちは、敵を狙撃ポイントに到達させないように、陣形を整えて待ち構える。
「迎賓館を奇襲してきた敵キャバリアは、シグマ連邦正規軍とそれに協力する猟兵たちが迎撃してくれているという報告が入った! 良いか、我らグランティア王国親衛隊、その身を賭してでも敵を迎賓館に――姫に近づけさせんぞ!」
先頭に立つキャバリアから、グランティア王国親衛隊長の檄が飛ぶ。
――両軍の激突の刻は間近に迫っていた。
●
そんな緊迫感漂うグランティア王国軍陣地に、周囲を和ませる声が響いた。
「皆様、どうもご苦労さまです。戦いに備えて、甘いものはいかがですか?」
お気に入りのモノクルを右目にかけた、吸血鬼の神代・セシル(三千寵愛在一身・f28562)だ。先の戦場でのマジックナイトとしての凛々しさはどこへやら。今はその素足で人々を魅了する寵姫となって、グランティア王国親衛隊のメンバーにお菓子を配っていた。
絶世の美貌を持つ美少女から配られるお菓子に親衛隊員たちから歓声があがる。そう、こうして人々を熱狂させるからこそ、森羅万象を籠絡する寵姫は傾国の美女と呼ばれるのだ。
「落ち着かんか!」
そこに響いたのは、顔に無数の古傷を持つ親衛隊長の一喝だった。
セシルの魅力に陥落寸前の部下たちを見て、親衛隊長は困ったものだと肩をすくめた。
そう。今は敵本隊との激突の直前。セシルとゆっくり交流している暇などあろうはずがない。
「――ゆえに、セシルちゃんの足についたチョコを舐めるのは、上官であるこの俺が先だあっ!」
セシルの足元に這いつくばった親衛隊長のオッサンこそ、もっともセシルの魅力にメロメロになっていたのだった。
「はい、あなたもお菓子をどうぞ」
「フハハハ! この我に貢物とは、殊勝な心がけだ! どうもありがとうございます」
傲岸不遜な態度でお菓子を受け取った津上・未有(自称真の魔王・f10638)は、セシルに向かって丁寧に礼を言いつつ鷹揚に頷いた。
未有はセシルにもらったお菓子を大事そうに懐にしまうと地面に視線を向ける。そこには巨大な魔法陣が描かれていた。――なお、描かれている図形が適当なのは未有だけの秘密である。
未有は身にまとったゴスロリドレスを風になびかせながら、右腕を魔法陣に向けてまっすぐ突き出すと呪文(適当)を唱え始めた。
「火神の名を冠する祭火神機『ウェスタ』よ、今こそ我が前に現れ、その力を示すのだ!」
大地に描かれた魔法陣に火線が走り、炎の柱が立ち上る。灼熱の火炎の中から姿を現したサイキックキャバリアこそ、炎を司る機神、祭火神機『ウェスタ』であった。
ウェスタに乗り込んだ未有は、優しげな声で機神に語りかける。
「心配するな、ウェスタよ。竈の女神ヘスティアに由来する力を持つお前が戦いを望まぬことはわかっている」
未有はウェスタの出力を高めながら、大きく頷く。
意思を持つ機神たるウェスタは、その神格――家庭を守護する竈の神――ゆえに、優しい心を持っている。そのため、争いは好まない性格だった。
「この我も争いは好かぬ」
黒い瞳に憂いを帯びた光を浮かべる未有。
それは、魔王を名乗る彼女には相応しくないかのような言葉で――。
「――なにしろ、この世界のすべてのものは、全世界の頂点に君臨する魔王たる我のものになるのだからな! 将来自分のものになるものを、争いで壊したらもったいないであろう!」
訂正。未有の口からこぼれたのは、まさに魔王らしい言葉だった。
未有は自信満々にウェスタに告げる。
「だからこそ、我らはこの醜い戦いを止めるために戦わねばならんのだ! さあいくぞ! お前の力は相手を傷つけるためではない。相手を鎮めるためにあるのだ!」
未有の言葉に、人々の守護神たるウェスタはその機体を反乱軍の方に向けていった。
「スナイパーのキャバリアに勝つには、相手より長い射程距離が必要です」
セシルは、喚び出したサイキックキャバリア、エアリニスにスナイパーライフルを装備させ、さらに長距離狙撃用の銃身を装着させた。
さらに、エアリニスの周囲には自律型の浮遊兵装が浮かんでいる。魔法射撃ができるウィング・システムだ。
「エアリニス、遠距離攻撃はおまかせします」
『うむ、心得た』
自我を持つ魔神が、セシルの言葉に応えて射撃体勢につく。
「あ、これも渡しておきます」
『なんだ、これは?』
手渡されたキャバリア用オイル(甘口)を見て、疑問の声を上げるエアリニスだった。
「整備班の皆様、換装のご協力、どうもありがとうございます」
剣と盾を装備した四本腕の騎士型キャバリア・ロシナンテⅣに搭乗したトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が外部スピーカーから告げた。
ウォーマシンの騎士たるトリテレイアを大型化したかのようなロシナンテⅣ。操縦者との違いは、そのサイズと4本ある腕、そして背中の追加ユニットだ。
通常時、追加コンテナが装着されているそこには、グランティア王国の整備班の協力で『誘導兵装装備型突撃強化ユニット』――エクステンションパーツ・タイプ・マイクロミサイルが装着されていた。大量のミサイルが発射可能なミサイルランチャーと、それに一体化した強襲用スラスターユニットである。
「迎賓館を狙撃させるわけにはいきません」
ロシナンテⅣの外部カメラとセンサーをリンクし、反乱軍の部隊を見つめるトリテレイア。
その時、不意にコックピットがコンコンとノックされた。
「はて、どなたでしょうか? 整備班の方が工具でも忘れられましたか?」
首を傾げながら電子頭脳で最も有り得そうな可能性を演算するトリテレイアは、ひとまずコックピットハッチを解放した。
そこに立っていたのは、猟兵仲間のセシルだった。それを見てトリテレイアの電子頭脳が一瞬演算を放棄する。それは、どんな計算でも予想し得ない相手だったからだ。
「神代様? 一体、何の用で……」
困惑するトリテレイアに、セシルは取り出したオイル缶(甘口)を手渡すと告げた。
「トリテレイア先輩、戦い、がんばってください」
にっこりと笑顔を浮かべたセシルは、そのまま空中を浮遊し飛び去っていった。
●
密集陣形を組んだユニコーン部隊が、グランティア王国親衛隊の防衛ラインをアサルトライフルの射程におさめた。
ユニコーン部隊が一斉にアサルトライフルを構えるのと、グランティア王国親衛隊長が突撃の号令をかけるのは同時だった。アサルトライフルの降り注ぐ戦場を、盾を構えたグランティア王国親衛隊機が突撃していく。
――本来であれば、グランティア王国親衛隊の決死の突撃はアサルトライフルの弾幕に阻まれ、ユニコーン部隊に届く前に蜂の巣にされていたことだろう。
だが、その運命を覆すために遣わされたのが猟兵たちだ。
「皆さん、お菓子を食べてくださいっ!」
戦場にセシルからの通信が届く。
通常であれば、意味のわからない言葉。だが、寵姫として親衛隊の心を掴むことに成功したセシルの言葉を疑う者は誰もいなかった。
「一同! セシルちゃんにもらったお菓子をありがたく食べるようにっ!」
親衛隊長が通信に割り込むと、率先してクッキーや飴玉を食べ始めた。
それを確認したセシルが、『Do u have a Sweet Tooth?』の呪文を詠唱する。
戦場で甘いものを楽しんでいない対象すべての行動速度を5分の1にする効果をもつ魔法だ。
戦場にいるグランティア王国側の仲間は、全員、セシルから手渡された甘いものを楽しんでいる。
――つまり、この呪文の対象になるのはユニコーン部隊のみということだ。
ユニコーン部隊に比べて5倍の速度で動けるようになったグランティア王国親衛隊は、俊敏な動きでアサルトライフルの軌道を避け、ユニコーン部隊へと突撃を開始した。
「姫様のところ……迎賓館には近づけさせません」
強い決意をもったセシルは、闇の魔法を放ってユニコーン部隊のセンサーや索敵装置を無力化していく。
「エアリニス、今です!」
『承知!』
自律行動するエアリニス――甘口のオイルを飲んだから速度低下の影響を受けていない――が、スナイパーライフルを構えると、ユニコーンを次々と貫いていく。
さらに、自律浮遊砲台からの一斉射撃で敵陣に穴を空けた。
「ククク、時を操るとはなかなかやるな。よし、お前のことは、これからクロノスと呼ぶことにしよう」
「いえ、私はセシルです……」
お菓子をかじりながら通信を送ってきた未有が、相対速度5倍で祭火神機ウェスタを操る。
敵の動きは5分の1の速度。これならば攻撃を外すことはない。
「フハハハ! クロノスの援護を受けたウェスタの威光の前にひれ伏すがいい!」
ウェスタの機体が神々しい神気に包まれ、それがユニコーン部隊へと放たれた。
争いを嫌う女神の力は、ユニコーン部隊が持つ武器の威力を落としていく。
「さあ、後は我が左腕に封じられし邪炎竜の獄炎、受けるがいい!」
左手を前方へとかざした未有は、特に邪炎竜とか関係なく、ウェスタの炎の神気で炎弾を形成。それをユニコーン部隊へと撃ち出していく。
速度が落ちた敵部隊はその攻撃に対抗することができず、次々と無力化されていった。
「では、親衛隊の皆様、共に参りましょう!」
ロシナンテⅣに搭乗したトリテレイアが、背部追加スラスターを全開にし、全力で突撃を開始する。
「我らも続けっ!」
親衛隊長の号令とともに突撃していくのは、グランティア王国親衛隊だ。
相対速度5倍で突撃する親衛隊は、見る見るうちにユニコーン部隊との距離を詰めていく。
だが、それ以上に突出しているのは、スラスターユニットで加速しているトリテレイアだ。生身の人間がパイロットでは耐えられないほどの加速度を生じさせるスラスターでも、機械の騎士であるトリテレイアには問題ない。
ユニコーン部隊が放ったアサルトライフルの銃弾を盾で弾き返しつつ、背部追加ユニットから大量のマイクロミサイルを発射。煙幕弾頭による煙幕で視界を塞ぐ。
視界を塞がれたユニコーンのパイロットたちは、外部カメラを赤外線センサーに切り替えようとするが、5分の1の速度では間に合わない。
「――いまです!」
撃ち尽くしたミサイルコンテナをパージし、デッドウェイトをなくしたロシナンテⅣは、さらなる加速を実現する。
そして、ユニコーン部隊の中心に突入し、敵機に接近戦を挑んでいく。
「折角の四肢です。白兵戦で生かさねば損でしょう!」
右手に構えたシールドを振るい、敵機の上半身を吹き飛ばす。
ユニコーンの頭部を踏みつけてセンサー類を無力化し、その勢いで距離を取る。
左右サブアームの機銃を連射し、物陰に隠れようとしていた機体を撃ち抜く。
着地と同時に振り向き、左手で抜いた騎士剣の一撃でユニコーンの胴体を両断――。
――トリテレイアの駆るロシナンテⅣは一瞬のうちに敵陣中央を混乱に陥れた。
「さあ、親衛隊の皆様、今です!」
トリテレイアによって混乱した敵陣にグランティア王国親衛隊がなだれ込んでいった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
彩波・いちご
【ガルヴォルン】
※変わらず理緒さんのセレステに同乗中
理緒さんがタイミングを見計らっている間は、セレステの中で息をひそめて
味方への連絡に奔走してましょう
…って、え、もう時間!?
狭い車内の中で身を乗り出して通信を担当していた私
突然の照明弾に目がくらみ、バランスを崩してセレステの固いシートの上に崩れ落ちて……あれ、柔らかい…?
あわわ、理緒さんの上でしたー!?
真っ赤になりつつも、思考停止した理緒さんの代わりに
私が味方の援護射撃をっ
【異界の魔弾】を味方機体のいない方向から顕現させ放つことで敵の撹乱しつつ、弾幕を集中させて撃破していきましょう
…え、私まだ理緒さんの上でした?
ご、ごめんなさーい!?
菫宮・理緒
【ガルヴォルン】
本体はこっちか。
しっかりした指揮官がいるっぽいね。
でも相手が悪かったね。
なんたってここには、いちごさんとわたしがいるんだから!
【セレステ】の【M.P.M.S】から。
攻性照明弾を発射して、ナイトビジョンを潰そう。
味方にはタイミングをコールして、
巻き込まれないよう注意を促しておくね。
ナイトビジョンを潰したら【E.C.M】全開でジャミング。
相手のセンサー系も全部潰しちゃおう。
「これでも潜んでいられるかな?」
って、いちごさん!?
あの、そこ、座席じゃないから……(真っ赤)
眩しいとか、タイミング解ってたよね?
いくらセレステが高性能でも、
いちごさんとスナイパーの両方の相手は無理だよー!
●ユニコーン部隊迎撃4
夜闇の中、ついに激突した反乱軍ユニコーン部隊とグランティア王国親衛隊。
戦いはグランティア王国親衛隊がユニコーン部隊に対して接近戦をおこなうという乱戦模様になっていた。
「これが敵の本隊だね。けど運が悪かったね。わたしといちごさんで一気につぶしちゃうよー」
「はい、味方部隊への連絡は私に任せておいてください」
戦場近くで光学迷彩を起動し闇に身を潜めているのは、電子戦装備特化型の戦闘艦、リオ・セレステ。地上にいる今は、六輪の装甲車になっていた。
一人乗りの狭い装甲車内でシートに腰掛けて機器のオペレーションをしているのは、ホロキーボードを展開し、右目のウェアラブルディスプレイに情報を表示させている菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)だ。その服装は電子戦闘用にチューニングされたヴィクトリアンメイド服である。
その理緒と共にリオ・セレステに乗っているのは、青髪の妖狐の少女――に見える少年、彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)である。いちごは――理緒に向き合うようにシートに片手を突き、理緒の顔に自分の顔を近づけるような体勢――いわゆる壁ドンの体勢になっていた。
「ちょっと、いちごさん、いつまでその体勢でいるのー!?」
「ご、ごめんなさーいっ、なんか絡まったシートベルトが解けなくってー!」
と、実はさっきのレーダー施設からずっと同じ体勢を取っている二人だった。
さらに、絡まったシートベルトを外そうともがくうち、いちごの右手と理緒の左手がシートベルトで固く結ばってしまっていた。
この状態だと、いちごが自分の体重を支えるのに使えるのは、理緒の顔のすぐ横に突いた左手一本のみ。さっきからずっと片手で体重を支えているので、いちごの左手はプルプルと震えていた。
「ちょっとちょっと、いちごさんっ、顔が近いよーっ!?」
「だっ、だいじょうぶですっ、なんとか耐えてみせます……!」
少女のように整ったいちごの顔が……唇が近づいてきて、理緒は真っ赤になって頭から湯気をだしていた。
さらに、左手はいちごの右手と恋人繋ぎの状態で固定されてしまっており、狭い車内と相まって、理緒の鼓動を早めていく。
それはいちごの方も同様だ。先程から顔が近づくたび、理緒が恥ずかしがって横を向くので、白く細い首筋が目の前に飛び込んでくるのだ。ドキドキする鼓動をなんとか抑えようと深呼吸し――理緒から香るいい匂いにますますドキドキするという悪循環を繰り返していた。
「と、とにかく、いちごさんは味方への通信と敵への攻撃をお願い。わたしは敵の妨害をするね」
「分かりました。こちら、リオ・セレステです。グランティア王国親衛隊、聞こえますか?」
『こちら、グランティア王国親衛隊長だ。通信良好!』
スピーカーから聞こえてきた親衛隊長――顔が古傷だらけの男性――の声に、理緒といちごは互いに頷き――。
「いたっ!?」
「いたた……理緒さん、大丈夫ですかっ!?」
お互いのおでこをぶつけて涙目になっていた。
「3、2、1、今ですっ!」
「リオ・セレステ、M.P.M.Sから攻性照明弾、発射!」
リオ・セレステの多目的ミサイルランチャーから放たれた照明弾は、周囲を明るく照らし出し、敵の高感度カメラを無効化していく。
「それだけじゃないよっ! E.C.M、起動っ!」
さらに理緒が右手のホロキーボードを操作すると、車体に搭載された電波妨害装置からのジャミングにより、周囲の敵キャバリアの電子機器が動作不能になった。
「今だよ、いちごさんっ!」
「はいっ、任せてくださいっ! ふんぐるいふんぐるい……、解き放つはこの世の理を外れし異界の銃器、我が敵を撃ち貫け!」
いちごが異界から召喚したのは、無数の銃弾や砲弾だ。
リオ・セレステの車外に現れた弾丸は、ジャミングによって動けなくなったキャバリアを撃ち抜き、戦闘不能にしていく。
「さあ、いちごさん、次いくよっ」
次の標的を射撃できる場所に向かおうと、理緒がリオ・セレステを前進させた瞬間――。
車体が段差に乗り上げ、車内が大きく揺れた。
その揺れに耐えかねて、いちごが思わず左手の場所を動かしてしまい。
「ふえっ?」
理緒の困惑の声と同時にいちごの手に伝わるのは、なだらかながら、柔らかな膨らみの感触。
そう、衝撃によって、いちごの手は理緒の胸を揉んでいたのだった。
「ど、どこ触ってるのかな、いちごさんっ」
「ご、ごめんなさーいっ!?」
狭い車内に賑やかな声が響きわったった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
◎
ミレア・ソリティス、緊急任務を受諾しました。
これより参戦します
【コード・レギオン:γ】を使用。察知されにくい隠密仕様の「ミレア」を転送し、隠密機は『ジャミングミサイル』『ペインレス・セイバー』を装備。
こちらの「私」は『インパクトランス』『シールドブースター』を装備し、ブースター、バリアフィールド(オーラ防御)を起動。
隠密機がミサイルを放ち敵機周辺で起爆させジャミング粒子を散布後、「私」がバリア展開しつつ高速突撃を仕掛け、敵の意識を誘導しつつ敵機四肢の直接破壊を。
隠密機はその隙に対象へと忍び寄りセイバーで攻撃と同時にナノマシンを敵機に侵食させ、ハッキングによるセンサー類の機能不全を狙います。
天星・雲雀
◎
ユニコーンて、シグマ連邦軍と戦ってた機体ですよね?まだこれだけ戦力を待機させてたんですね。
スナイパーは、見晴らしが良く姿を隠せる場所に陣取ってこその狙撃手です。それが歩いてくるとは、滑稽ですね。来る方角さえわかっていれば、みすみす通したりはしません。
【行動】[絶無]の精霊回路拡張と[義眼]の望遠機能で敵陣系と編成規模を索敵
UC獅子の座流星弾で、物陰に隠れた敵も漏らさず撃ち抜いていきます。
「オトモ!その付近に居ます。くまなく探し出して、1機も見落さない様にしてください!攻撃箇所は、敵機の狙撃銃と動力を優先的に!」
遠距離戦の環境も想定済みです。有効行動を狙うほど選択肢は狭まり、読みやすいんです。
●ユニコーン部隊迎撃5
迎賓館の方角からは、すでに戦闘音が聞こえなくなっていた。どうやらシグマ連邦正規軍と猟兵たちによって奇襲部隊は全滅したようだ。
一方、地上部隊を迎撃するグランティア王国親衛隊も、敵部隊との混戦に突入。戦いは最終局面を迎えつつあった。
「この地上部隊のユニコーンって、市街地でシグマ連邦軍と戦ってた機体ですよね? まだこれだけ戦力を待機させていたのは驚きですが、それもここまでです!」
炎と風と光を操る魔神たる絶無のコックピットで、天星・雲雀(妖狐のシャーマン・f27361)が暗視モニタに映るユニコーン部隊に赤い義眼を向けた。
敵はグランティア王国親衛隊の相手が手一杯で、平原で完全に足を止めている状態だ。
「スナイパーは見晴らしがよく姿を隠せる場所に陣取ってこその狙撃手です。それが親衛隊との接近戦の乱戦状態とは滑稽ですね。動きの止まったスナイパーなど、みすみす見逃したりはしません。狙い打ちますよ、絶無!」
一筋の傷が走る左頬を緩めるように雲雀が不敵な笑みを浮かべ、愛機へと声をかける。
敵地上部隊から距離の離れた場所に陣取った絶無。
絶無の精霊回路と自身の義眼を接続した雲雀は、望遠機能によって敵軍の詳細な位置を把握していく。
「遠距離戦も想定済みです。遠くから狙撃するのがあなたたちだけの特権だと思わないでくださいね」
雲雀は、絶無の周囲に無数の狐火『オトモ』たちを召喚していく。
喚び出された『オトモ』たちは、ただの狐火ではない。その身体に『光速超重力推進装置』を装着した高速戦闘仕様になっていた。
「獅子の座流星弾に撃ち抜けぬもの無し!」
絶無から放たれた狐火『オトモ』たちが、ユニコーン部隊へと超高速で飛翔する。
その『オトモ』の一体が、今まさにグランティア王国親衛隊の機体を撃ち抜こうとアサルトライフルを構えていたユニコーンに命中。ライフルを爆発させ、さらに四肢を貫いて行動不能にする。
「オトモたち! 敵機をくまなく探し出して、1機も見落とさないようにしてください! 武器や手足を優先的に狙って、敵の戦闘力を奪っていきますよ!」
雲雀の指示に従い、総数100にも届きそうなくらいの狐火たちが、ユニコーン部隊を撃ち抜いていく。
乱戦の最中に狙い撃たれた狙撃手たちは、なすすべなく撃破されていった。
敵の射程外からの一斉攻撃による制圧――それは皮肉にも、ユニコーンたちの最も得意とする戦術なのだった。
だが、ユニコーン部隊もただ狙撃されるだけではない。
狐火が飛んできた方角から狙撃地点を割り出し、狙撃手たる絶無をメインカメラに捉えた。
反撃の『虚空からの一刺し』――ユニコーン・チャージを発射すべく、装備したRS-SL-058スナイパーライフルを構える。
『オトモ』たちを放った直後で隙だらけの絶無のコックピットを撃ち抜こうと、ユニコーンたちはスナイパーライフルのトリガーに手をかけ――。
――突然、周囲で爆発したミサイルから散布されたジャミング粒子により、狙撃対象を見失ってしまった。
「ミレア・ソリティス、緊急任務を受諾しました。これより参戦します」
ジャミング粒子を搭載したミサイルを放ったのは、ウォーマシンのミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)――その複製体たる3型兵装機だ。
各種戦況に応じた兵装を装備した複製体を作成し、一機で戦場の制圧を可能にする自律兵器――その試験体として開発されたウォーマシンのミレア。だが、彼女が起動した時には、その研究施設は廃墟と化していたため、自律兵器の開発がどこまで完成したかは闇の中だ。『ミレア・ソリティス』という名前も、廃墟で拾ったIDカードに記されていたものという以上の意味を持たない。
だが、ミレアがやるべきことははっきりしていた。
それは目の前の敵――オブリビオンマシン、ユニコーンの部隊を撃破することだ。
「3型兵装の私は、そのまま敵機の撹乱をおこなってください」
「了解しました、2型兵装の私。こちらは、このまま撹乱を続けます」
再びジャミングミサイルを放つ隠密用の3型兵装を装備したミレア。機械のセンサー類を狂わせるジャミング粒子によって、ユニコーンたちの目を奪っていく。
そこに、AR-02突撃専用シールドブースターを全開にして加速した近接戦闘用の2型兵装のミレアが突撃する。
右手に構えるは腕部装備型の大型突撃槍――LC-01インパクトランスだ。
突撃してくる2型兵装のミレアを迎撃しようとユニコーンがアサルトライフルの弾幕をばら撒くが、その程度の威力ではミレアの持つ大型盾と、AR-00アーマーユニットが展開するバリアフィールドを破ることはできない。
ユニコーンに高速突撃したミレアは、敵の腕にランスを突き刺すと、トリガーを引いた。
直後、ユニコーンの腕が爆散する。インパクトランスの先端から放たれた砲撃が、ユニコーンの装甲内部で爆発し、相手の腕部を破壊したのだ。
「キャバリアの装甲でこの一撃を防げるとは思わないでください」
2型兵装のミレアは、混乱した戦場を縦横無尽に高速で駆け抜けつつ、次々とユニコーンの手足を破壊していった。
「2型兵装の私が派手に動けば、それだけ私の任務を遂行しやすくなります」
ユニコーン部隊の注意が突撃槍を持った2型兵装ミレアに集まっている隙を突いて、隠密装備の3型兵装ミレアは物陰から物陰へと音もなく移動していた。
ジャミング粒子散布下、さらに2型兵装が暴れまわっている戦場で、3型兵装ミレアの動きに気付くユニコーンはいない。
「直接攻撃だけが脅威ではないこと、教えてあげましょう」
ジャミングミサイルを撃ち尽くしたミサイルポッドをパージして身軽になった3型兵装ミレアは、内蔵式の実体刃、SS-03ペインレス・セイバーを構えた。
狙うはこちらに気づいていないユニコーンだ。背後から敵機に忍び寄った3型兵装ミレアは高く跳躍すると、その腕の刃でユニコーンの頭部を斬りつける。
周囲に、金属と金属が衝突する甲高い音が鳴り響いた。
突然の不意打ちによろめくユニコーン。
だが、いくら装甲の薄い頭部とはいえ、相手はキャバリア。小型のペインレス・セイバーでは頭部を破壊するには至らない。
獲物を見つけたとばかりに、ユニコーンは手にしたアサルトライフルを3型兵装ミレアへと向ける。頑丈な盾とバリアフィールドによって守られた2型兵装ミレアと違い、隠密装備の3型兵装ミレアでは、対キャバリア用の銃弾を防ぐことはできないだろう。
至近距離から3型兵装ミレアに銃口を突きつけたユニコーンは、勝利を確信するかのように赤いセンサーアイを光らせて引き金を引いた。
――引いたつもりだった。
だが、ユニコーンの指はまるで硬直したかのように、ピクリとも動かない。
いや、指だけではない。頭部を斬りつけられたユニコーンは、その全身を完全に動かすことができなくなっていた。
「あなたの機体に、ナノマシンを注入させていただきました。あなたの回路はすでに完全に侵蝕されています。じきに機体制御用のOSも――いえ、もうOSも完全に沈黙したようですね」
パイロットの制御を受け付けなくなった機体にはもう興味はないとばかりに、3型兵装のミレアは次の獲物を求めて戦場を駆ける。
「このペインレス・セイバーは、キャバリアを斬る刃ではありません。キャバリアに取り憑いたオブリビオン・マシンの邪悪な意思のみを斬る刃です」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に忍び…胸が目立ちすぎて忍べないとかそんなことないもん!!(お約束
そう、クノイチはいつでもどこでも現れるのです遅れてごめんなさい!!
というわけでいきますよー!
かもんっ!『ファントムシリカ』!
踏み込まれる前に押し返します!
エンジェライトスラスター始動!
シリカ!一気に距離を詰めますよー!
超高速による正面突破です!
相手からの攻撃は
前面にセラフィナイトスピアの斥力バリア展開
スラスター推力の勢いで弾きます
懐に飛び込めばこっちのもの!
「手数こそ正義!参ります!」
セラフィナイトスピアでの手数重視【疾風怒濤】で!
密集してるならそれを突き崩すまでです!
※アドリブ連携OK
●ユニコーン部隊迎撃6
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に忍び……胸が目立ちすぎて忍べないとか、そんなことないもん!!」
いつもの前口上と共に戦場に現れたのは、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)。露出の多いクノイチ衣装で大きな胸を強調した少女だ。
サージェは、虚空に向かって叫ぶ。
「というわけで、いきますよー! かもんっ! 『ファントムシリカ』!」
「お待たせ。お姉ちゃんっ」
呼びかけに応じて召喚されたのは、女性型のサイキックキャバリアのファントムシリカだ。
ファントムシリカに宿る魂であるシリカが白い猫又のアバター姿でサージェの肩にちょこんと乗る。
「ちょっと出遅れてしまいましたが、行きましょう、シリカ」
「りょーかいっ、お姉ちゃん! クノイチはどこにでも現れることを教えてあげないとねっ!」
淡い紫色と白色を基調とした装甲のファントムシリカに乗り込んだサージェは、シリカの言葉に頷きつつ、キャバリアで戦場に飛び込んでいった。
反乱軍地上部隊とグランティア王国親衛隊の激戦も、猟兵たちの活躍により趨勢が決まろうとしていた。
狙撃装備が主体のユニコーンに対し、グランティア王国親衛隊の騎士型キャバリアは剣と盾を装備した近接用の機体だ。近接戦の乱戦になれば、どちらが有利かは火を見るより明らかだ。
次々と撃破されていくユニコーンたち。
――だが、残されたユニコーンが密集狙撃陣形ファランクス・シフトで防衛戦線を築き始めた。
密集したユニコーンたちの前衛がアサルトライフルでグランティア王国親衛隊を牽制。その後ろに陣取ったユニコーンが狙撃ライフルで狙い撃ってくるという二段構えの陣形だ。
「隊長、敵の射撃のため、前に出られません!」
「くっ、狙撃を受けました……! ですが、まだたかがメインカメラをやられただけです!」
対狙撃用の大盾を構えつつ、ユニコーンたちに接近しようとするグランティア王国親衛隊の機体だが、敵の密集陣形の強固な防御に攻めあぐねていた。
「まずいな……。身を隠す遮蔽物がある場所ならともかく、この平原で密集陣形から狙撃されては、近づくこともままならん。かくなる上は私が犠牲になってでも……」
一際大きな盾を持った親衛隊長の機体が、状況を打開しようと前に出ようとした瞬間――。
戦場を一陣の風が駆け抜けた。
「お待たせしました、クノイチと頼れるキャバリア、一丁あがりっ!」
「その機体、サージェ殿か! 助かる!」
颯爽と現れ敵陣に向かっていくファントムシリカを見て、親衛隊長の声が上がる。
その通信を聞きながら、サージェはファントムシリカのスラスターを全開にした。
「私が敵陣に飛び込んで連携を崩しますから、皆さんはその隙に突撃を! シリカ、一気に距離を詰めますよー!」
「はーいっ、一気にいっくよーっ!」
ファントムシリカの背面に装着されたエンジェライトスラスターが展開され、天使の羽のような形状となる。天使の輪のように輝く光帯から光の粒子を撒き散らしつつ、ファントムシリカが加速した。
飛び込んでくる天使のような機体に向けて、ファランクス・シフトを組んだユニコーン部隊からアサルトライフルの弾丸が飛んでくる。
「その程度の鉛玉がクノイチに当たると思ったら大間違いですっ!」
サージェは騎兵槍型の武器セラフィナイトスピアを構えたファントムシリカを超高速で真正面から突っ込ませ――スピアから発生させた斥力バリアで弾幕を弾いていく。
「ちょっとシリカ。弾幕くらいクノイチらしく、すり抜けられないの?」
「無茶言わないでよ、お姉ちゃんー! 今のだって、エンジェライトスラスターの動力をセラフィナイトスピアのバリアに回して、ギリギリ防いだんだからっ!」
無茶振りする姉に、シリカが抗議の声を上げる。
「まあ、それなら、忍法すり抜けの術(物理)ってことで! とにかく相手の懐に飛び込めばこっちのもの!」
アサルトライフルの弾幕を弾き、超高速突撃によりスナイパーライフルの狙いを付けさせなかったファントムシリカは、ファランクス・シフトをとるユニコーン部隊の前衛に思いっきりセラフィナイトスピアを突き刺した。
「手数こそ正義! まだまだ参りますよっ!」
串刺しにされて沈黙したユニコーンから槍を引き抜き、疾風怒濤の勢いで次々と連続刺突を繰り出していくファントムシリカ。
迎撃用密集陣形を組んでいたことが仇となって、ユニコーン部隊は連続攻撃のいい的になっていた。味方への誤射を恐れて、高速で飛び回るファントムシリカを狙い撃つこともできず、次々と機体が沈黙させられていく。
「さあ、親衛隊の皆さん、いまですっ!」
「承知っ! 全軍、敵本隊に突撃っ!」
グランティア王国親衛隊のキャバリアたちが、防衛戦線の崩壊したユニコーン部隊に突撃して近接攻撃で相手を仕留めていく。
「私も負けませんよっ!」
サージェが駆るファントムシリカも、戦場を飛び回り、セラフィナイトスピアで敵を倒していき――。
敵地上部隊が壊滅するのに、それほど時間はかからなかった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『狂月神機『ディアーナ』』
|
POW : BSサテライトキャノン『三ツ星への愛』
【月面発電施設からの次元エネルギーチャージ】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【大規模戦略級ビーム砲撃】で攻撃する。
SPD : 報いの女神『猟犬の鹿狩り』
自身が装備する【FXRソードビット&FSBレーザービット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 対情報戦術機構『月の女神』
自身の【全身】から【月光の如く揺らめく光】を放出し、戦場内全ての【正気・理性・判断力】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「テラ・ウィンディア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「迎賓館を襲撃してきたプロトガーゴイル部隊は、シグマ連邦正規軍と猟兵たちによって殲滅を確認!」
「敵本隊のユニコーン部隊を撃破したグランティア王国親衛隊と猟兵たちも迎賓館に帰還しました!」
シグマ連邦迎賓館に、次々と連絡が入ってくる。
迎賓館の地下シェルターでその報告を聞いた連邦高官たちが、安堵の息をついた。
「この度は、我が連邦内の反乱で御身を危険に晒してしまい、お詫びのしようもありません、ネティシア姫」
「いいえ、私の方こそ申し訳ありません。あれは私が持ち込んだサンプルが原因の可能性もあります」
互いに謝罪しあっているのは、シグマ連邦の国家元首であるロボットヘッドのフレデリック・アシモフと、グランティア王国の王女、ネティシア・グランティアだ。
シグマ連邦正規軍やグランティア王国親衛隊、それに猟兵たちが敵と戦っているのに、国を率いる自分が避難することなどできないと主張していたフレデリックとネティシアだが、その頑固さを知る周囲の者たちによって、半ば強引に迎賓館の地下シェルターに監禁されていたのだ。
「ともかく、反乱軍が鎮圧されたとなれば、すぐに撃退した正規軍と猟兵の皆さんにお礼を言わねばならんな」
「ええ、私も親衛隊と協力してくださった猟兵の方々に感謝の言葉を伝えてきますね」
フレデリックとネティシアは頷きあうと、地下シェルターを出ていこうとし――。
――突如鳴り響いたサイレンに足を止めた。
『レーダーに2つの反応! 猛スピードで迎賓館に向かっています! この識別コードは、研究所から強奪された開発中のキャバリアっ!?』
レーダー施設からの緊急通信を聞き、フレデリックとネティシアは真剣な表情で駆け出した。
●
「――部下たちは全滅したようだな」
「まったくもー、わたしのおもちゃたちをこわしちゃうなんてひどーい」
研究所から強奪された2機の試作型キャバリア。迎賓館に向かって飛翔する機体の中で、二人のパイロットが通信していた。
今回の反乱の首謀者であるレプリカントの双子の姉妹、キャスティナ・フレイムとルクス・フレイムだ。
「そう言うな、ルクス。猟兵相手は流石に分が悪かったということだ。だが、彼らの遺志は無駄にはしない。私たち姉妹で我々の理想であるロボットだけの世界を作ろう」
「そーだね、キャスティナおねーちゃん! わたしたちの理想がえらいひとたちにはわからないんだよね! そんなえらいひとは、しゅくせーしちゃおう!」
「ああ! 進化した人類である我々こそが世界を導くのだ!」
瞳に冷徹な光を宿すキャスティナが操縦するのは、近接戦闘に特化したキャバリア、『ヒューグリーム決戦の悪魔』。
一方、あどけない表情を浮かべるルクスは、遠距離専用の機体、狂月神機『ディアーナ』を操る。
互いに弱点を補い合うべく開発された最新鋭機は、まさに比翼連理。
「行くぞルクス」
「うん、おねーちゃん!」
2機の機体は抜群のコンビネーションで迎賓館へと迫っていた。
●
「どうやら、敵の首魁が現れたようだな! ここは私自ら指揮をとるとしよう! 行くぞ諸君、今こそ『連邦合体グレートΣ』に合体だ!」
シグマ連邦の国家元首であるフレデリックは、他の議員たちとスーパー合体することにより、シグマ連邦の技術の粋を集めたキャバリア『連邦合体グレートΣ』に合体した。シグマ連邦正規軍の前で両手を組んで威風堂々と立つその姿は、まさにシグマ連邦の守護神だ。
「ゆくぞ、シグマ連邦正規軍の諸君! 敵の近接機は、我らシグマ連邦が相手をするとしよう!」
フレデリックは、キャスティナ少佐の乗るヒューグリーム決戦の悪魔に視線を向けて、力強く叫んだ。
「フレデリック国家元首が戦場に立つのでしたら、私も神聖機グランティアで出るしかないですねっ!」
神聖王国グランティアの王家の象徴たるキャバリア、神聖機グランティアに搭乗したネティシア姫。
操縦席の中から聞こえてくる少女の弾んだ声を聞いて、グランティア王国親衛隊長は頭を抱えていた。
ネティシアは神聖機の長剣を引き抜き、居並ぶ親衛隊機に指示を出す。
「敵近接機はシグマ連邦の皆さんにお任せし、私たちは後衛を叩きます! 神聖機グランティアに続いてください!」
ネティシアの駆る神聖機グランティアは親衛隊を率いて、ディアーナ目指して駆け出していった。
●ルクス・フレイム
「ふーん、わたしとおねーちゃんを引きはなす作戦みたいだねー。けど、わたしだけでもつよいことを見せてあげるよっ! あの王女さまの乗ったキャバリアをこわせば、おねーちゃんもほめてくれるよねっ!」
狂月神機『ディアーナ』に乗ったルクス・フレイムは市街地に陣取り、迫りくる神聖機グランティアとグランティア王国親衛隊を見つめ、不敵な笑みを浮かべるのだった。
●マスターより
こちらはネティシア姫率いるグランティア王国親衛隊とともに、敵エースパイロットのルクス・フレイム少佐と戦うパートになります。
Σルートのフレデリック率いるシグマ連邦正規軍がキャスティナ・フレイムと戦っている隙に、双子の妹、ルクス・フレイムの乗るディアーナを撃破する作戦です。
戦場は高層ビルが建ち並ぶ市街地ですが、住民の避難は済んでいるので、建物等の被害は気にしなくて大丈夫です。
なお、3章では(呼ばれてもいないのに)ネティシア姫が神聖機グランティアに乗って参戦しています。
グランティア王国親衛隊の皆さんが身体を張って守りますが、ネティシア姫を守りながら戦うプレイングにはプレイングボーナスが付与されます。
また、市街地の建物をうまく利用したり、夜間の暗闇を利用するプレイングにもプレイングボーナスが付与されます。
Σルートでキャスティナがダメージを受けていくと(成功度が増えると)、ルクスが動揺するためプレイングボーナスが増加します。
彩波・いちご
【ガルヴォルン】
※いまだ体勢そのまま。つまりいちごの手も…
…すみません、体勢たてなおしてる余裕なさそうで…せめて手はどけたいのですがっ
などと困っていたら、理緒さんが守っている間に攻撃を受け持つことに
…でも100秒?
時間を区切るという事は、時間超えると反動来る系なのでは…?
無茶をしてるのではないかと心配になりますが…信頼には応えないと
…無茶の分は後でお説教ですよ?
姫の移動に合わせ、こちらが囮になるようにセレステを移動してもらい
理緒さんの術とタイミングを合わせて【異界の魔弾】
異界より出現させた大量の徹甲弾を浴びせましょう
…理緒さんの限界が来る前に終わらせないと
片手で理緒さんを抱きながら攻撃続けます
菫宮・理緒
【ガルヴォルン】
今のわたしたちの状態とセレステでは、
相手のビットは躱しきれないかも!?
わわっ、ちょっとぴんちっ!
いちごさん、100秒なら完全に攻撃を防げるから、
その間に攻撃をお願いしたいな。
「Set the timer to 100seconds」
タイマーをセットしたら、
いちごさんとタイミングをあわせて【偽りの丘】を発動。
相手のビットに合わせて『偽物のビット』をぶつけて、
攻撃を相殺していくよ。
104秒になったら生命力が尽きるっぽいけど、そこは内緒。
いちごさんの腕の中だから、なってもいいかな?
なんて、いちごさんの手が動いているうちは、だいじょぶ。
信じてる、よー♪
心臓のほうは保たないかもだけど!
●
迎賓館の方向から聞こえた轟音。
――それは、オブリビオンマシン『ヒューグリーム決戦の悪魔』を骸の海に還した一撃によるものだった。
「キャスティナおねーちゃんっ!?」
白銀の装甲を持つオブリビオンマシン、狂月神機『ディアーナ』のコックピットで、反乱を起こした双子の姉妹の妹、ルクス・フレイムが悲鳴のような声を上げる。
反応の消えた『ヒューグリーム決戦の悪魔』。まさか姉のキャスティナが猟兵たちによって救出されたなどとは夢にも思わない少女は、オブリビオンマシンにより増大させられた憎しみの心を、猟兵たち――そしてグランティア王国王女ネティシア・グランティアに向ける。
「おねーちゃんのかたき、とらせてもらうんだから、ネティシア王女!」
その咆哮を聞いたネティシア姫は搭乗する神聖機グランティアの操縦席で動じることなくグランティア王国親衛隊に指示を出した。
「グランティア王国親衛隊、シグマ連邦正規軍に負けないよう、敵機体を撃破します! 私に続いてください!」
「姫、先行なさらないでください! 親衛隊、姫に続けっ!」
闇夜に沈むシグマ連邦首都の市街地を、剣を抜いた神聖機グランティアを先頭に、グランティア王国親衛隊長が率いる親衛隊のキャバリアたちが駆ける。目指すは、白銀のオブリビオンマシン、ディアーナだ。
――こうして、もう一つの戦場の戦いも幕を開けたのだった。
●100秒の戦い
「きゃははは、ネティシア王女、鹿のように逃げまわってもらうよっ!」
ディアーナのコックピットからルクス・フレイムの声が響くと同時に、白銀の機体の各所から無数の光点が飛び出した。
「敵機から無数のエネルギー反応です!」
「あれは……ソードビットとレーザービット!? 各機、防御態勢!」
飛来する無数のビット。
それに対して神聖機グランティアに乗るネティシアが反応し、親衛隊長が防御の指示を出す。
親衛隊のキャバリアたちは盾を構えてビットの攻撃を防ごうとするが――。
「そんな盾で、わたしのビットをふせげるとおもわないでよねっ!」
ルクスの思念波に従って動くビットたちは、神聖機グランティアや親衛隊機が構えた盾の死角に回り込み、その機体を撃ち抜こうと突進してきた。
ソードビットが機体を貫き、レーザービットから放たれたレーザーが機体を灼き切ろうとした瞬間――。
「姫様、助けに来たよっ! Set the timer to 100seconds!」
空色の六輪装甲車『リオ・セレステ』に乗った菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の声がオープンチャンネルの通信で響き渡った。それと同時に理緒は手元のホロキーボードを操作し、100秒間のタイマーをセット。リオ・セレステの車内に『100』の数字が浮かび上がった。
「理緒さん、この100秒のタイマーは一体?」
「ん、100秒なら、わたしが敵の攻撃を完全に防ぐから、いちごさんにはその間に攻撃をお願いする、ねー」
訝しむのは、一人乗りのリオ・セレステに同乗するもう一人の猟兵、青色の髪をした妖狐の男の娘、彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)だ。
――ちなみに、ずっと激しく振動する狭い車内で揉みくちゃにされてきた二人。今の体勢はまるでツイスターゲームを繰り広げたかのような形になっていた。シートベルトで二人の身体が縛り上げられて密着し、理緒の両脚の間にいちごの右脚が割り込んでいる。さらには、いちごの右手が理緒のなだらかな左胸の膨らみを揉んでいた。二人の顔も息がかかるくらいに接近しており、言葉を発するだけで相手の吐息を感じられるくらいの距離にある。
「100秒って時間を区切るということは、時間を超えると反動が来る系統のものなのでは……? 理緒さん、無茶だけはしないでくださいね……?」
間近にある黒髪の少女の顔を覗き込みつつ、いちごは大事にしたい相手の身体を心配する。
だが、少女は満面の笑みを浮かべて言葉を返す。
「あはは、いちごさんがついてればだいじょぶ。いくよっ、偽りの丘!」
理緒が発動したのは、戦場全体に自身の心象風景を展開する結界だ。夜間の市街地だった戦場が、突如、夕暮れ時の丘へと書き換わる。
それは、ディアーナや神聖機グランティア、グランティア王国親衛隊の周囲の景色をも塗り替えていった。
「これは……猟兵の方が援護に来てくださったのですね!」
突如発生した不可思議な現象に、ネティシア姫が喜びの声をあげた。
だが、姫や親衛隊は、今まさにディアーナのビットに襲われているところだ。戦場にルクスからの通信が響く。
「どうやらネティシア王女をたすけにきたみたいだけど、おそかったね! これで……おわりだよっ!」
ソードビットが、レーザービットが、神聖機グランティアと親衛隊のキャバリアたちを貫こうとして――。
「偽物が本物に劣るとは――限らないよっ」
理緒の言葉とともに虚空から現れるは、無数のソードビットとレーザービット――その偽物だ。
神聖機グランティアを貫こうとしていたソードビットと、理緒が生み出した偽物のソードビットが正面から衝突し、互いに弾き飛ばされる。親衛隊のキャバリアを灼こうとしていたレーザーを、偽物のレーザービットから放たれたレーザーが相殺して打ち消す。
そんな『本物』と『偽物』の激突が、戦場の至るところで発生していた。
「そんなっ!? わたしの攻撃をかんぜんに打ち消すなんて……!? そんなこと、できるわけがっ!?」
通信を介して聞こえてくるルクスの動揺した声。
自慢の武器を完全に模倣され、打ち消されるなど、誰が想像できただろうか。
「さすがに、驚いてるみたい、だねー。いちごさん、今だよっ!」
敵に隙ができたところで、理緒はいちごに攻撃の指示を出し――内心で舌をだす。
(まあ、103秒経ったら、わたしの命が尽きるっぽいから、ちょっとくらいチートな威力は許してほしいかな。あ、これは、いちごさんが心配するから内緒♪)
一方のいちごも、理緒の大規模結界を見て確信していた。
(――これだけの大規模結界、やはり反動なしでは使えないはず。理緒さんの限界が来る前に終わらせますっ!)
右手で理緒の心臓の鼓動を確認しながら、いちごは自身の内に封じられた邪神の力を引き出していく。
「ふんぐるいふんぐるい……、解き放つはこの世の理を外れし異界の銃器、我が敵を撃ち貫け!」
リオ・セレステの周囲に召喚されるは『異界の魔弾』。この世の理を外れた異界から生成した無数の弾丸だ。
異界の炎で形作られた榴弾、異界の生命体で形作られた銃弾、異界の物質で形作られた散弾などが魔法陣から実体化し、その照準をディアーナへと向けた。
「棒立ちになっていると、当ててくれと言っているようなものですよっ!」
カウントダウンが進む理緒のタイマーを視界の端に収めつつ、いちごは魔弾を解き放った――。
●
――リオ・セレステの車内に浮かぶタイマーが残り20秒を示した。
「くっ、さすがはオブリビオンマシン! 異界の魔弾だけでは決め手に欠けますか!?」
「いちごさん、まだ――だいじょぶ。もっと攻撃を!」
理緒の言葉に、いちごがさらに魔弾を召喚、解き放っていく。
――タイマー、残り10秒。
「理緒さん、そろそろ結界の解除を!」
「ん、さすがに、そろそろ――って、あれは!?」
理緒の視線の先。リオ・セレステの車内モニターに映るのは、ネティシア姫を狙う無数のビットの群れだった。
いちごの魔弾によって装甲の表面を傷つけられながらも、平静さを取り戻したルクスが集結させたビットたちだ。
「ちょーっとおどろいちゃったけど、攻撃をふせぐだけのニセモノなら、全力でうちくだくだけだよっ! ネティシア王女、これでおしまいだよっ!」
ルクスの言葉とともに、大量のビットが神聖機グランティアに向かって放たれた。
「そうはさせないよっ! ネティシア姫は傷つけさせないんだからっ!」
理緒は、すかさず敵と同数の偽物のビットを生成し、それを相殺していく。
結界内の夕日の丘に響き渡る、ソードビット同士が衝突して砕け散る金属音。さらには、レーザービットの閃光が結界内を光条で満たす。
これならば敵の攻撃からネティシア姫を守りきれる――そう思った刹那。
「理緒さんっ!」
切羽詰まったような、いちごの声によって、偽物を操ることに集中していた理緒の意識が現実に引き戻された。
――リオ・セレステの車内に表示されたタイマーは、残り、5秒、4秒、3秒……。
「理緒さん、すぐに結界の解除を!」
「けど、今解除しちゃったら、ネティシア姫がっ! あと少しっ――!」
ぎりっ、と歯を噛み締め、決意に満ちた表情で理緒が力を振り絞る。
理緒が命を賭けていることに気づいているいちごは、強引にでも理緒の結界を止めようとして――思いとどまった。
(理緒さんが命を賭けているなら――私にできることはっ!)
いちごは『異界の魔弾』を「神聖機グランティアの周囲」に出現させた。
「この魔弾は、好きな場所に召喚できるのです。そして、ここから発射すれば――!」
解き放たれた魔弾は、神聖機グランティアに向かってきているビット群を撃ち落としていき――。
ついには、すべてのビット群を撃退することに成功したのだった。
●
「やりましたね、理緒さんっ!」
いちごが、理緒に向かって笑顔を向け――その表情が凍りついた。
いちごの目の前には、さっきまで元気に戦っていたはずの理緒が静かに目を閉じていた。その身体はぴくりとも動かない。
「ま、まさかっ!?」
慌ててタイマーに目を向けるいちご。そこに表示されていた数字は――。
――残り0秒。
赤い色で示された0の文字に、いちごは愕然とする。
それは、結界の使用制限時間を過ぎてしまい、理緒の命の灯火が消えたことを意味する数字だった。
「そんなっ!? こんなことなら、強引にでも理緒さんを止めるべきでした……」
いちごの瞳から零れた雫が、理緒の頬にぽたりと当たった、その瞬間。
――とくん。
理緒の左胸に当てられた、いちごの右掌に、かすかな鼓動が感じられた。
「理緒さんっ!?」
「……あはは、いちごさんに胸を触られてたら、おちおち心臓止まってられない、ねー」
恥ずかしげに答える理緒がホロキーボードを操作すると、タイマーの表示が切り替わり――。
――そこには、マイナス2秒という数字が表示されていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
共闘
未有(f10638)
…そういえば何度か交戦機会がありましたが叶いませんでしたね?
「少しだけ切ないけどね…ディアーナちゃんも狂気に侵されちゃったんだ…」
ん…?あれは…微妙にお前に似てなくね?
「…!ウェスタちゃんだー!ウェスタちゃん生き残ってたんだ!!」(嬉しそな反応の神機
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の動きから攻撃の癖と動作…過去のディアーナのデータと差異を照合
ルクスの戦い方等のデータを調べる
【属性攻撃・迷彩】
あのサテライトがヤバそうですね
光属性付与
光学迷彩で存在を隠す
【念動力・武器受け】
必要時はグランティアを庇って念動障壁展開しハルペーで迎撃
UC発動
【二回攻撃・切断・盗み】
斬撃猛攻武装強奪
神代・セシル
◎
「ネティシア姫様、また会いましたね。」
今度こそ、ネティシア姫様をちゃんと守ります。
「というわけでエアリニス、私の代わりに姫様の側に彼女を守ってください」
変化魔法を使ってエアリニスにキャバリア用シールド発生器を渡します。
敵のUCに対して、【Starlit Shield】を最大出力させ、恒星の光のような眩しい光を用いて月光を対抗します。
【夜光雲】を乗って空を疾走。市街地の中ルクスさんの位置と動きを把握し、仲間に伝えてします。
避難済みなんですが、できるだけ被害を減らしたいです。
チャンスを狙ってユベールコードを発動。
「そのまま、止めてください」
私の命令を対抗する間に、隙もあると思います。
「今です」
夢幻・天魔
ククク……シグマ連邦だけでなく、グランティア王国にも俺の活躍は見せつけるべきだろう
(共闘するなら姫の方が良いと言う理由もある)
遠距離特化の機体か……ならば、接近戦に持ち込むだけのこと
行くぞ……『Azazel』!
(キャバリアで飛行して突撃、思いっきり姿を晒してる。たぶん敵の注意を引いて、姫の安全には繋がるかと)
フハハハハ!
如何なる攻撃も、全力を出した(封印を解く3、リミッター解除2)Azazelの纏うダークオーラを貫くことなどは出来ん!
(『異世界での最強にして無敵なる伝説的な俺』を発動、無敵の闇のオーラを想像して敵のサテライトキャノンを防御する)
貴様との戦いも、俺の伝説の1つに加えてやろう!
セツナ・フィアネーヴ
◎
正直、ネティシア姫の力量を疑う訳じゃないんだが……
アリシア『そういうのを越えた謎の不安感がありますよね……』
……姫様も近接戦狙いなら、早めに敵を抑えた方がいいだろうな
ケラヴノスに乗り、天候変化で嵐と雷鳴を呼びつつ接近を図る。
嵐は視界そのものの妨害と、風雨と雷を盾としての僅かでも攻撃減衰狙いだ
接近したら様々な『災禍の武器』(剣・槍など、形状は適当)を生じさせ、投擲する。
…といっても狙いは攻撃じゃない。周辺の無機物に突き立ったこれらの災禍の武器を核に、無機物を仮の器とし【限定解放・災禍の巨神】!!
各種天災の力を帯びた仮初の巨神達と、
この『雷霆の鋼機』……竜神機ケラヴノスの雷雨で、奴を抑え込むぞ!
秋山・軍犬
いや、加減したから君の部下生きとるで?
犠牲になったのは…姫さんのせいで
痛くなった自分達の胃だよ!
まあ、姫さんは後で説教するとして
カムヒア! 秘水ちゃん&【指定UC】!
巨体を生かして姫達を守りつつ敵に対処するっすよ!
秘水「了解! 前回(セイクリッド・キャバリア2章)と
違って軍犬さんも搭乗するので【指定UC】の
本領を発揮…こんな事も出来ます!
精霊秘装・テンタクルスミラージュ!」
【精霊秘装・テンタクルスミラージュ】※UCではありません
並みの探知能力では看破できない
強度の幻影分身をを無数に生み出す
テンタクルスマンの邪神を討つ力の一端
幻影には水と触手の力の応用のアレコレで
受けた攻撃を減衰させる能力がある
鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
POW
鳳凰院ひりょ、遅れたけどこれより助太刀します!
こっちへ合流しようとした際に因縁めいた機体と交戦になって時間を取られてしまった…
その分を取り返すよ、テネブラエ!
相手も『ルクス』という名を持っているのか…妙な偶然だ
ルクス・テネブラエに搭乗し行動
【迷彩】でより【闇に紛れる】ように処理、【目立たない】様に処理を施し敵の視認を阻害する
念の為【念動力】で可変型ビームシールドを神聖機グランティアの元へ移動させシールドを展開、姫を敵の攻撃より守る
【忍び足】で敵機との間合いを詰め、勝負に出る際は【ダッシュ】で肉薄、テネブラエソードでの灰燼一閃を【継続ダメージ】を付与しつつ【貫通攻撃】叩き込む
シル・ウィンディア
◎
近接と砲撃のコンビネーション機か…
近接のほうは妹が行くから、わたしはこっちだねっ!
砲撃なら…
わたしも負けないからっ!
【オーラ防御】に闇の【属性攻撃】を付与して
夜間迷彩っぽく機体を覆うよ
・対UC
判断力とか理性を狂わせるならね…
自分の【第六感】を信じるだけ
惑わされずに、自分を信じて
考えるな、感じるんだ…
敵の射撃武装に注意しつつ
【推力移動】と【空中機動】で飛んで【空中戦】でビームランチャーを撃つよ
【残像】を生み出しての攪乱機動を行いつつ
本命は、【多重詠唱】でオーラ防御と並行して詠唱したもの
【限界突破】で【魔力溜め】した【全力魔法】の《指定UC》
ブルー・リーゼ、限界を超えて…撃ち放つよっ!
津上・未有
共闘
カシム(f12217)
ん?ウェスタを呼ぶ声が…誰だ?
『あれはメルクリウス…私と同じ神機シリーズの一つです』
ほう、そうなのか…
…!?ウェスタ、お前喋れたのか!?
『ええ。…後、今回の私たちの敵…ディアーナも神機シリーズです』
敵も神機シリーズなの!?まるで神機シリーズのバーゲンセールだな…
ま、まあいいや!折角だからそのメルクリウスと上手く連携して戦うぞ!
『はい、我が主』
我らはメルクリウスのサポートだ!
遠距離から【神をも灼き尽くす魔王の焔】を放ち、敵を焼き尽くすっ!
…ウェスタ、お前の焔は暴力のためのものではないことは重々承知だが…
『わかっています。全ては戦いを終わらせるために…!』
雛菊・璃奈
◎
姫様、あまり無茶しないで…姫様が怪我したらミラ達も悲しむから…
※ミラ達が姫のコクピットに入り込んで心配そうに護衛
引き続きゼロに搭乗して戦闘…。
【九尾化・天照】封印解放…!
今のわたしに光学兵器は効かないよ…。
天照の力は光の操作(支配)と光速化…。
ゼロやグランティアへの敵機のビームを偏向させ、逆に敵本体やビットへ撃ち返し…。
更に周囲の光を集束し、レーザーとして撃ち放つ事で反撃・牽制…。
姫や親衛隊のみんなに援護射撃をお願いしつつ、ゼロを光速化して凶太刀と神太刀の二刀でビットを切り払い、キャノンを破壊して大火力を封じ、超高速で敵機の四肢をバラバラにして戦闘不能まで追い込むよ…
姫は絶対にやらせない…
トリテレイア・ゼロナイン
※Ⅳ搭乗
(親衛隊長と同じく頭抱え)
いえ、敵の狙いが国家首脳陣ならば…
ネティシア様、指定ポイントへの移動を
道中の護衛はお任せを
通常出力キャノンからかばいつつ
サブアームのライフル乱れ撃ちスナイパー射撃で砲撃牽制
建築物で射線遮られ、此方は壁面●踏みつけ推力移動三次元接近機動可能な場所へ
打開の為に周囲を消し飛ばす…読めていました
UCを自機体に反映
発射体勢取る敵へ急速接近
ロボットの国を作る…ですか
プラント生まれの無垢なる貴方達へ
戦を願われ造られたウォーマシンからの忠告を
砲身蹴り飛ばし砲撃を空へ
力で全て為す…その果ては月は愚か星をも失う破滅です
その道示す狂気の機体…破壊させて頂く!
近接攻撃で切り刻み
●サテライトキャノンの脅威
「敵の攻撃はしのぎました! 全軍、突撃です!」
「姫! ですから前にでないでください! 各員続け!」
神聖機グランティアに乗るネティシア姫が朗々と告げながら、ルクス・フレイムが乗る狂月神機『ディアーナ』に突撃していく。
それを追いかけるグランティア王国親衛隊長が親衛隊のキャバリアたちに指示を出す。
それを迎え撃つルクスは余裕の表情だ。
「ふぅん、たかがビットの第一波をしのいだていどで、いいきにならないでよねっ! こうなったら、このディアーナのさいきょーの攻撃をくらわせてあげるっ!」
自身の機体の全高と同じくらいの長さのある大型ライフルをガシャン、と構えるディアーナ。
夜空に輝く月の光を反射させ、銀色の装甲が眩しく輝いたかのような錯覚を与える。
――いや、それは錯覚ではない。
「月が……みえたよっ! サテライトキャノン、チャージ!」
クロムキャバリア世界の月面に存在する発電施設。そこから送られてきたエネルギーがディアーナの装甲に反射し、まるで装甲が光り輝いているかのように見せているのだ。
ディアーナのコックピット内で、BSサテライトキャノン『三ツ星への愛』のエネルギー充填率の表示が刻一刻と増えていく。
――エネルギー充填率、10%。
●
「ネティシア様、敵の狙いは国家首脳陣です。そのような中、御自ら陣頭に立たれるのは危険かと。護衛いたしますので、指定ポイントまでの移動を」
ディアーナに向かって突撃しようとするネティシアの元に馳せ参じ、護衛役を買ってでたのはトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)だ。ウォーマシンの騎士である自身の巨大版ともいうべきロシナンテⅣに搭乗した彼は、機体に巨大な盾を構えさせ、さらに両肩に装着したサブアームにライフルを持たせ、万全の護衛体勢をとっていた。
まさに姫を守る騎士たる堂々とした姿のトリテレイアの言葉に、グランティア王国親衛隊長もうんうんと首を縦に振っている。
「トリテレイアさん、ご心配どうもありがとうございます。ですが、私でしたら大丈夫です。神聖機グランティアも乗りこなしてみせます!」
――エネルギー充填率、20%。
「いやいや、そういうことじゃないっす! 姫さんのせいで、自分や親衛隊長さんの胃に大ダメージっすよ!」
何故か自信満々なネティシア姫の言葉に鋭いツッコミを入れたのは、ミリタリールックに身を包んだフードファイターのキマイラ、秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)だ。
軍犬は先程まで乗っていたキャバリアを降り、今は別の機体(?)に乗っていた。それこそが、水精霊の亜種である触手の精霊、秘水・クティが作り出した、搭乗型触手精霊機神『テンタクルスマン』である。
「まあ、姫さんの説教は後でゆっくりするとして、ここはテンタクルスマンの巨体を活かして姫たちを守りつつ敵に対処するっすよ、秘水ちゃん」
「了解です、軍犬さん!」
下半身の触手と両手を使ってテンタクルスマンを操縦しつつクティが答えた。
――エネルギー充填率、30%。
「正直、ネティシア姫の力量を疑うわけじゃないんだが……」
『そういうのを越えた謎の不安感がありますよね……』
ネティシア姫と猟兵たちのやり取りを遠目に見ながら会話をしているのは、雷鳴と嵐の力を操る雷霆の鋼機『竜神機ケラヴノス』に乗った人派ドラゴニアンの少女、セツナ・フィアネーヴ(災禍貫く竜槍・f26235)と、彼女の友である光と雷の精霊アリシアだ。
神聖機グランティアはグランティア王国の王家伝来のキャバリアということで性能面に不安はない。
それを操縦するネティシア姫も、通常のパイロット以上の実力はあると見える。
――だが、それでも不安感を払拭できずにいた。
「……姫様を危険に晒さないためにも、早めに敵を抑えた方がいいだろうな」
『そうですね。敵もお姫様を狙ってくるでしょうし』
嫌な予感を覚えつつ、セツナとアリシアは頷きあった。
――エネルギー充填率、40%。
「これは……光と風の精霊反応に……水の精霊……とはちょっと違うか?」
光と闇の疑似精霊の加護を受けたキャバリア、ルクス・テネブラエのコックピットのモニターに表示された精霊反応に首をかしげたのは、鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)だ。
「まあ、ともかく、鳳凰院ひりょ、遅れたけどこれより助太刀します!」
片翼に天使の翼、もう片翼に悪魔の翼をもったルクス・テネブラエが、ネティシア姫の乗る神聖機グランティアと親衛隊の前に着地する。
「グランティア王国親衛隊の皆さんに合流しようとしたら、因縁のある機体と交戦になって時間を取られてしまいました」
「いえ、姫のいる迎賓館を急襲した部隊を迎撃してくださったとのこと。お礼を言わせていただきたい」
親衛隊長は、ひりょに丁寧に礼を述べる。スナイパー部隊の迎撃に出たグランティア王国親衛隊は、姫を迎賓館に残したまま戦っていたのだ。姫を託したシグマ連邦正規軍と猟兵たちには、感謝してもしきれないという感情がその眼差しから見て取れた。
「合流が遅れた分は、このルクス・テネブラエとともに取り返しますよ! ――あ、敵もルクスという名前なんでしたね。偶然ですね」
ひりょのその言葉に、堂々とした声が割って入る。
「ククク、ルクス・テネブラエ――光と闇か。その天使と悪魔を合わせ持った姿に、先程の迎賓館での戦いで見せてもらったその力。見間違えようもない! お前こそ我が永遠のライバル!」
声の主は、真紅の髪に漆黒の瞳を持ち、右腕に包帯を巻いた青年、夢幻・天魔(千の設定を持つ男・f00720)であった。
「ククク、数多の世界を救い、また滅ぼしてきたこの俺の前に、再び立ちふさがるか。だが何度転生しようとも、俺とお前の道は交わらないようだな!」
ビシィッという音が聞こえてきそうなポーズとともに、ひりょに語りかける天魔。
だが、今回の任務が初対面なひりょは、首をかしげる一方だ。
無理もない。天魔の言葉は厨二病ゆえの妄言なのだから、そのような事実は一切ございません。
「えーと、ごめん、俺は鳳凰院ひりょ。誰かと間違えて――」
「ククク、やはりな! 鳳凰院! この夢幻天魔のライバルに相応しい名だ! やはり俺の邪眼に狂いはなかったな!」
「えー……」
厨二病ゆえの狂いまくった瞳で、ひりょを見つめる天魔。そして困惑の表情を隠せないひりょ。
――だが、そこにさらなる運命のイタズラが巻き起こる。
「フハハハハ! 救世と破壊を司りし赤の戦士よ! 前世の戦いで魔王たる我を相打ちに持ち込んだその実力、今世でも健在かな?」
「その声は――! 久しいな、魔王よ!」
全世界の頂点に君臨する最強の魔王――という脳内設定を持つ、ゴスロリ風ドレスを着た黒髪の少女、津上・未有(自称真の魔王・f10638)が二人の会話を聞いていて、話に割り込んできたのだ。
未有は、意味もなく右手を高く突き上げたポーズを取ると、その手を大げさに横に振るう。
「赤の戦士――今世では夢幻天魔といったか。我の今世の仮の名は津上未有! 前世ではそこの鳳凰院とともに我の世界征服を邪魔してくれたが、今世ではどうなのかな?」
「ククク、さあな。今世で俺が世界を救うか、それとも滅ぼすかは――これからの人類の努力次第、といったところか」
(うわぁ、前世とか世界を救うとか、凄い話してるなぁ)
「フハハハハ、面白い回答だな、夢幻天魔よ! ならば、そこの勇者、鳳凰院と手を組むかは、まだ決まっていないということかな?」
「フッ……、それは鳳凰院の返答次第だな」
(えっ、あれ? 俺、なんか会話に巻き込まれてる!?)
「ならば問おう、鳳凰院よ! 魔王たる我の部下になれば、世界の半分をくれてやろう!」
「鳳凰院、魔王の諫言になど乗るんじゃないぞ。お前は――この究極の戦士、夢幻天魔のライバルなのだからな!」
(ええー、なんか、さっき、ともに魔王を倒した仲とかいってなかったっけ!? ライバルなのかどっちなの!?)
「ほう、ならば、どうやら我が真の力を見せるしかないようだな! さあ、いでよ、祭火神機『ウェスタ』よ!」
「ククク、ならば、俺も世界を滅ぼしかねん災機を喚ぶしかないようだな! 我が右腕の封印を一時的に解除! 現われよ、災機『Azazel』!」
(あの包帯、怪我してたわけじゃなかったのー!?)
「ほう、前世と変わらぬその漆黒の機体、忘れもせんぞ! ……えーと、あざ……なんでしたっけ?」
(忘れてるー!?)
「Azazelだ。ククク、魔王未有の機体こそ、前世で戦った時のままだな。懐かしい」
「フハハハハ! どうだ、この間手に入れたばかりのウェスタの勇姿!」
(って、手に入れたばっかりなのに、なんで前世からの機体なの!?)
「はぁ、なんか、どっと疲れたような気がする……」
「どうした、鳳凰院? 戦いの前にバテるとは、それでも俺のライバルか?」
「うむ。どうやら鳳凰院は、まだ勇者としての資質に目覚めていないようだな」
ツッコミ疲れをしたひりょに、無茶振りを続ける天魔と未有の厨二病コンビだった。
――エネルギー充填率、80%。
「狂月神機『ディアーナ』ですか。そういえば、何度か交戦機会がありましたが、叶いませんでしたね」
『同じ神機シリーズとして、少しだけ切ないけどね……。ディアーナちゃんも狂気に侵されちゃったんだ』
「神機シリーズ」と呼ばれる機体の一体、界導神機『メルクリウス』に乗ったカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が、メルクリウスの意志と会話していた。
その視線の先には、メルクリウスと似たデザインの機体、狂月神機『ディアーナ』の姿がある。
背中に背負った光輪に、機体前面に浮かび上がる文字。その姿は、まさに同一のデザイナーによってデザインされたかのごとく似通っていた。
「メルシー、ディアーナの過去のデータはわかるか?」
『うん、ご主人サマ♪ ディアーナちゃんの武装データから癖まで、ぜーんぶ教えてあげるねっ! あ、けど、スリーサイズだけは、ひ・み・つ♪』
メルクリウスのメインモニタに、ディアーナの戦闘データが表示されていく。
そこに目を通し、カシムが呟く。
「ディアーナの基本回避パターンからのズレを見れば、パイロットの癖はわかりますね……。それと武装データ……。あのサテライトはヤバそうです」
「って、ご主人サマ、あれ見て!」
メルクリウスの言葉に視線を上げたカシム。
その視界の先には、天魔と言い争いながら召喚された、未有の祭火神機『ウェスタ』の姿があった。
「あの機体……微妙にお前に似てなくね?」
「ウェスタちゃんだー! ウェスタちゃん、生き残ってたんだ!」
カシムの言葉にメルクリウスが嬉しそうに答えた。
――エネルギー充填率、90%。
「フハハハハ、やるな、夢幻天魔に鳳凰院よ! この我をポーカーで負かすとはな! だが、次の神経衰弱なら我に自信が……ん? なんかウェスタを呼ぶ声が……誰だ?」
『私の中に3人入ってトランプしないで欲しいのですが……あれはメルクリウス……私と同じ神機シリーズの一つです』
未有の問いかけに、祭火神機『ウェスタ』――その意志が返事をする。
その答えに、未有と――あと、なぜか天魔が驚愕の声を上げた。
「ほう、そうなのか……って、ウェスタ、お前喋れたのか!?」
「なにっ!? 神機シリーズだとっ!? 俺の災機と対をなす神機シリーズ、まだ生き残りがいたとは……!」
『ええ、あと、敵のディアーナも神機シリーズの一体です』
ウェスタによって明かされた衝撃の事実。
突如現れたウェスタ以外の二機の神機の存在に、未有は思わず素に戻って声を上げる。
「敵も神機シリーズなの!? まるで神機のバーゲンセールですね……。ま、まあいいや! 折角だから、そのメルクリウスと上手く連携して戦いましょう!」
『はい、我が主』
未有の言葉に、ウェスタが力強く答えた。
――エネルギー充填率、100%。
●
「きゃはははっ、エネルギーチャージかんりょうっ! いっけーっ!」
狂月神機『ディアーナ』のコックピットに表示されたエネルギー充填率が120%となると同時に、ルクスはBSサテライトキャノン『三ツ星への愛』の引き金を引いた。
外部から供給された莫大なエネルギーを発射する大規模戦略級ビーム砲撃。街一つ消し飛ばすことすら可能な超兵器が、ディアーナの前方に展開するグランティア王国軍――ネティシア姫が乗る神聖機グランティアや親衛隊、そしてそれに協力する猟兵たちに向かって迫る。
『ご主人サマ! 高エネルギー反応! ディアーナちゃんのサテライトキャノンです!』
「やっぱりサテライトキャノンで来たかっ」
サテライトキャノンの発射をいち早く察知したのは、ディアーナの情報分析をおこなっていたメルクリウスだ。
カシムは、ディアーナから迫る高エネルギー反応の予測進路を味方に送る。
「状況打開のために周囲を消し飛ばす……読めていました。皆様、予定通りに」
サテライトキャノンによる攻撃を読んでいたトリテレイアは、事前に砲撃を防ぎやすい場所に神聖機グランティアを誘導し、親衛隊機や猟兵たちの機体を配置していた。
トリテレイアの乗るロシナンテⅣは大型シールドでネティシア姫を守るのが役割だ。神聖機グランティアの前で盾を構え、敵の攻撃を見据える。
「頼みます、皆様……。もしもの時は、姫は私がこの身に代えても守ります」
ロシナンテⅣは、大型の盾を強く握りしめた。
「敵の全力攻撃……これを防ぎきればカウンターのチャンスだ! いくぞ、アリシア!」
『ええ、ケラヴノスの力を解放します……』
竜神機ケラヴノスに乗ったセツナは、その機体に秘められた雷鳴と嵐の力を解放する。
激しく咆哮するケラヴノス。それに呼応するように上空に暗雲が立ち込め、周囲に激しい風雨が吹き荒れ、雷鳴が轟く。
それは、ビーム兵器であるサテライトキャノンの威力を減衰させるためのカーテンだ。
空気中の水分によってビームは減衰され、わずかながらでも威力は落ちる。
激しく吹き荒れる風雨を斬り裂くように進んでくるサテライトキャノン。
だが、その威力は分厚い嵐によって、明らかに弱まっていた。
「秘水ちゃん、自分たちもいくっすよ! この嵐というビックウェーブに乗るっす!」
「任せてください、軍犬さん! 以前と違って軍犬さんもこのテンタクルスマンに乗っているので、本領を発揮できます!」
嵐の中、腕を組んで仁王立ちするテンタクルスマン。その姿が無数に分身していく。
――いや、正確には分身ではない。あくまで空気中の水分を操作して生み出した幻影だ。
「これこそ、精霊秘装・テンタクルスミラージュです!」
生み出された幻影は、水精霊であるクティが水を操り作って出したもの。
すなわち、ケラヴノスが喚び出した嵐の中――水が空気中に豊富に含まれている――で、もっとも効果的に力を発揮する。
「このテンタクルスミラージュは、水による吸収と屈折によって、ビーム兵器の攻撃を減衰させることができるのです!」
「というわけで、どんどん壁にするっすよ!」
無数に生み出されたテンタクルスマンの幻影が、サテライトキャノンの威力を減衰させていく。
――だが、サテライトキャノンの威力は、まだ衰えきっていない。
グランティア王国軍に迫るサテライトキャノン。
そこに立ちはだかったのは、天魔が乗る漆黒のキャバリアAzazelだ。
悪魔のようなフォルムの機体は、いま、闇色のオーラに覆われていた。
「フハハハハ! 如何なる攻撃も、全力を出したAzazelの纏うダークオーラを貫くことは出来ん!」
Azazelのコックピットで右腕の包帯を解いた天魔が、何かに耐えるように右腕を抑えながら叫ぶ。
なお、包帯を解いた意味は特にないので、何かに耐えているっぽい仕草にも、特に意味はない。
だが、天魔の想像力への影響は絶大だった。
『異世界での最強にして無敵なる伝説的な俺』によって無敵の自分を想像した天魔。その想像は包帯や仕草の影響で強化され、まさに無敵の闇のオーラとなって、サテライトキャノンの砲撃を正面から受け止めていた。
だが、じり、じり、とAzazelの機体がサテライトキャノンに押されていく。
「天魔さん、これを使って!」
そこに、ひりょが乗るルクス・テネブラエから何かが投げ渡された。
キャバリア用の光学盾である『可変型ビームシールド』だ。
「鳳凰院!? これは……」
「サテライトキャノンの高出力の前では、あまり役にたたないかもしれないけれど……」
街一つを消しされるほどの威力を持つサテライトキャノン。
いくら風雨によって減衰させたとはいえ、シールド一枚でどうにかなるものではない――はずだった。
「ククク、まさか、この俺が鳳凰院の持つ伝説の光の盾を使う日が来ようとはな! これがあればどんな攻撃も効かん!」
「え……、いや、それ、普通のビームシールド……」
ひりょの呟きなど聞かず、天魔はビームシールドを展開する。
『異世界での最強にして無敵なる伝説的な俺』の効果を受けたビームシールドは、本来の最大出力を遥かに越えた出力を発揮し、グランティア王国軍の前面全体を覆うほどの障壁を形成した。
――サテライトキャノンとビームシールドが拮抗する。
そこに、カシムからの通信が届く。
「メルクリウスのデータを元に、ディアーナのサテライトキャノンの分析完了です!」
『ウェスタちゃん、おねがい!』
未有の乗るウェスタに、メルクリウスからサテライトキャノンの分析結果が送られてくる。
それを見て、ウェスタが静かに未有に告げた。
『炎を司る私なら、ディアーナの攻撃を相殺可能です、我が主』
「ならばゆくぞ、ウェスタよ!」
未有は、ウェスタの右手に闇属性の獄炎を生み出すと、それをサテライトキャノンに向けて解き放つ。
放たれたのは『神をも灼き尽くす魔王の焔』――ダークネスフェニックスだ。
だが、ただのダークネスフェニックスではない。
ディアーナのサテライトキャノンと逆位相のエネルギーを込めた暗黒の焔だった。
「さあ、全てを消し飛ばせ、我が暗黒の焔!」
ダークネスフェニックスとサテライトキャノンが激突し――。
周囲に激しい爆炎が巻き起こった。
「ご無事ですか、姫様!」
「ええ、なんとか……」
大盾で神聖機グランティアをかばったトリテレイアが、ネティシア姫の声を聞き安堵する。
そして、改めて周囲を見回した。
「こ、これは――!?」
ダークネスフェニックスと激突したサテライトキャノンは、グランティア王国軍を避けるように2つに割れ、市街地に大きな爪痕を刻んでいた。特に分かれた片側は電波塔に直撃し、その上半分を消滅させている。
だが、グランティア王国親衛隊や猟兵たちには被害は出ていなかった。
「さあ、ここからが反撃の開始です」
トリテレイアが力強く呟いた。
●
「そんなっ、わたしのディアーナのサテライトキャノンがっ!?」
相殺されたサテライトキャノンを見て、ディアーナに乗るルクスが狼狽した声をあげた。
サテライトキャノンは一撃必殺の大技。
まさか、それを防がれるとは思ってもいなかったのだ。
「な、なら、もう一発……!」
サテライトキャノンを再チャージしはじめたディアーナだが、そんな猶予を与える猟兵たちではなかった。
「もう一発など、撃たせはしない!」
生み出した嵐に紛れてディアーナに接近したのは、竜神機ケラヴノス。
セツナの指示に合わせ、『災禍の武器』と呼ばれる剣や槍などを生み出して投擲していく。
「へへーん、そんな攻撃、あたらないよーだ」
余裕をもってそれをかわすディアーナ。
だが、それはセツナの想定通りだった。
「短時間なら、制御しきってみせる……っ!! 来い、災いの巨神よ!!」
『限定解放・災禍の巨神』によって、地面に突き立った『災禍の武器』が天災の力を帯びた仮初の巨神へと姿を変えていく。
その巨神たちはディアーナの機体に取り付くと、その身体を抑え込みにかかった。
「くっ、なによ、こいつらっ! はなしなさいっ!」
「そうはいかないっ! やれっ、ケラヴノス!」
抵抗するディアーナに対しケラヴノスは激しい雷雨を浴びせかけ、敵の動きを封じていく。
「秘水ちゃん、自分たちもいくっすよ!」
「了解です、軍犬さん!」
軍犬とクティが乗るテンタクルスマンも、もがくディアーナに向けて触手を放つ。
触手によって全身を絡め取られたディアーナ。
災禍の巨神や雷雨に加えて、触手による拘束を受けたら、さすがのディアーナでも簡単に脱出することは不可能だった。
「ロボットの国を作る……ですか。プラント生まれの無垢なる貴方達へ戦を願われ作られたウォーマシンから忠告を」
トリテレイアは、ディアーナに乗るルクスに通信を送りつつ、『戦機の時間』を起動する。
それは、ロシナンテⅣの反応速度を極限まで高め、動作速度が10倍になるというものだ。
10倍に引き伸ばされた時間の中を駆け抜けたロシナンテⅣがディアーナの元へとたどり着く。
「力で全てを為す……その果ては月はおろか星をも失う破滅です」
自身の生まれた星々の世界――人の住める星のなくなった世界に想いを馳せつつ、トリテレイアはロシナンテⅣを操った。
「その道示す狂気の機体……破壊させて頂く!」
機体の足がディアーナの持つサテライトキャノンを蹴り上げた。
そこに飛び込んできたのは、カシムの乗るメルクリウスだ。
「加速装置起動……メルクリウス……お前の力を見せてみろ……!」
『任せて、ご主人サマ!』
神速戦闘機構『速足で駆ける者』――ブーツオブヘルメースによって高速飛翔したメルクリウス。それがさらに限界を越えた速度にまで超加速する。
遠距離射撃してきたディアーナとの距離を一瞬で詰めたメルクリウスは、ロシナンテⅣが蹴り上げたサテライトキャノンの銃身に、さらにハルペーによる連続斬撃を加えた。
連続する激しい衝撃に、ついにディアーナが銃を手放し、サテライトキャノンが空中に放り出される。
「ククク、さあ、反撃の時間だ」
Azazelに乗る天魔がにやりと笑い、身にまとったマントを脱ぎ捨てた。
それは天魔の身体から溢れ出す魔力を無理やり封じているマント――という設定だ。
「封印を解いた俺の力は、封印時の十倍以上だ!」
『異世界での最強にして無敵なる伝説的な俺』の効果が跳ね上がり、Azazelを覆う闇のオーラが強化され――そのまま高速でディアーナが放り出したサテライトキャノンに向かって突撃していく。
「フハハハ! 天魔よ、今回だけは我も力を貸そう!」
そこに響くは、ウェスタに乗る未有の声。
未有はダークネスフェニックスをウェスタの右手に生み出すと、それを天魔のAzazelに向かって解き放った。
闇の獄炎が闇のオーラと一体化し、Azazelの機体を漆黒の焔が包み込んだ。
「タイミングをあわせていくよ、天魔さん!」
飛翔するAzazelに合わせるように、ひりょの乗るルクス・テネブラエがサテライトキャノンに向かって疾駆する。
その手に構えるのは闇のエネルギーを纏わせたキャバリア用日本刀のテネブラエソード。
「行くぞ、鳳凰院!」
「了解! 全力全開! 一撃必殺っ! 喰らえっ!」
空中のサテライトキャノンに向かって飛び込んでいく二機のキャバリア。
ダークネスフェニックスをその身にまとって突撃するAzazel。
それと交錯するように、闇をまとった日本刀で灰燼一閃を放つルクス・テネブラエ。
――二体のキャバリアの同時攻撃により、ディアーナの主兵装であるサテライトキャノンは粉々に粉砕されたのだった。
●月の女神の幻惑
「くっ、よくも、わたしのサテライトキャノンの攻撃をっ!」
神聖機グランティアと親衛隊のキャバリアたち、それらを一気に殲滅するはずの大規模戦略級ビーム砲撃を猟兵たちによって防がれ、ルクスはディアーナのコックピットで苛立ちを隠せずにいた。それは、まるで自分が得意とするゲームで負けて悔しがる子供のよう。
「なら、ディアーナのこの機能で!」
ルクスが起動したのは、狂月神機『ディアーナ』に搭載された対情報戦術機構『月の女神』。機体から月光のような光を放ち、相手の情報処理能力に異常をもたらす機構である。
本来、光――電磁波であるジャミング電波を放ち、キャバリアなどの情報処理を妨害する機構だったものだが、オブリビオンマシンになったことで、機械に限らず、生物にまで効果をもたらすようになった恐るべき兵装だ。
「この光はっ!?」
「姫、キャバリアの計器がすべて異常な値を示しています! これでは戦いどころか、移動すら――!」
『月の女神』の光を浴びて、ネティシア姫や親衛隊長の驚きの声があがった。
キャバリアの操縦席に表示されたセンサーデータが、デタラメな数値を示している。
「通信が妨害されているため状況が把握できませんが、親衛隊の全機が同じ状況の模様!」
通信ができないため、親衛隊長が大声を張り上げ、ネティシア姫に状況を伝えた。
「ふふん、どーかな、ディアーナの月光は。うごけないまま、ビットのえじきにしてあげるっ!」
ディアーナから無数のソードビットとレーザービットが射出され、動けない神聖機グランティアや親衛隊のキャバリアたちに狙いを定める。
放たれたレーザーが一直線に標的に向かい――。
――突如、レーザーが偏向し、明後日の方向の地面へと突き刺さった。
「あなたは!」
「姫様、あまり無茶しないで……。姫様が怪我したら、ミラたちも悲しむから……」
ディアーナのレーザービットたちと神聖機グランティアとの間に割って入った呪装機神ディザスター・ゼロに乗るのは、銀髪妖狐――否、今は『九尾化・天照』によって金髪金毛の九尾の妖狐になっている魔剣の巫女、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)だ。
ディザスター・ゼロのコックピットから、3匹の仔竜、ミラ、クリュウ、アイが翼を羽ばたかせ、神聖機グランティアのコックピットへと入っていく。
「私を守ってくれるのですか?」
ネティシア姫の問いかけに、仔竜たちは、きゅう、と可愛らしく返事をした。
「わたしのディアーナの月光の中で、なぜうごけるの!? それに、レーザービットたちまで!」
突如現れたディザスター・ゼロを見て、ルクスが苛立たしげに叫ぶ。
だが、天照の力を身にまとった璃奈はそれに冷静に答えを返した。
「天照が司るのは太陽……。月光は太陽には効かないというだけのこと……。それに、この姿が得意なのは光の操作……。今のわたしに光学兵器は効かないよ……」
ディザスター・ゼロの周囲の空間がぐにゃりと歪む。
それこそ、先のレーザー攻撃を偏向させた光の操作だ。
「見せてあげる……。天照の力を……」
ディザスター・ゼロの周囲の光が収束し、無数の光条となって撃ち出された。
それはビットたちに命中し、爆発を巻き起こす。
「姫様は絶対にやらせない……」
●
「璃奈さんが来てくださったのです、私たちも援護を……!」
3匹の仔竜に見守られるネティシア姫は、必死に神聖機グランティアを動かそうとする。しかし、ディアーナの月光の影響下にある神聖機グランティアを始め、グランティア王国親衛隊のキャバリアたちは動くことができないでいた。
そこに少女の声が響き渡った。右目にモノクルをかけた吸血鬼、神代・セシル(夜を日に继ぐ・f28562)の声だ。
「ネティシア姫様、また会いましたね」
「セシルさん!?」
キャバリア戦の戦場に『夜光雲』という空を飛ぶ雲に乗って生身で現れたセシルを見て、ネティシア姫が驚きの声をあげた。
「エアリニス、私の代わりに姫様のそばで彼女を守ってください」
『心得た』
セシルの言葉に応じるのは、白い装甲を持ったサイキックキャバリアのエアリニスだ。
セシルの魔法によってキャバリアサイズに巨大化したシールド発生機『Starlit Shield』を構えたエアリニスは、その出力を全開にして起動させる。
指輪型のシールド発生機から眩い閃光が放たれて戦場を満たしていく――。
「神聖機グランティアが……動きます!」
「おお、我らの機体も動きますぞ、姫!」
月光によって動きを封じられていた神聖機グランティアと親衛隊のキャバリアたちが、その自由を取り戻し、乱れた隊列を整える。そして各々、武器を構えて猟兵たちを支援しようとディアーナへと向き直った。
「なんでっ!? わたしのディアーナの月光は無敵なのにっ!」
「月光なら、恒星の光で打ち消せます。――そう、昼間に月が見えないのと同じように」
狂月神機『ディアーナ』のコックピットで叫ぶルクスに、セシルが応じる。
シールド発生機『Starlit Shield』は、恒星ケラエノの力を源としてシールド力場を発生させる指輪だ。そこから放たれた光は、月光の光に惑わされたネティシア姫たちの迷いを照らし導く、まさに恒星の如き存在になったのだ。
「私は、このまま上空から敵の位置を捕捉して情報共有します。エアリニス、姫様のことは任せます」
『うむ。我の全力をもって守るとしよう』
エアリニスに信頼の眼差しを向けたセシルは、『夜光雲』に乗ったまま上空へとあがっていった。
●
「おねーちゃんのかたきをとるため……ディアーナ、ちからをかして!」
ディアーナのコックピットに乗るルクスが機体に――オブリビオンマシンに願う。
その願いに応じるかのように、ディアーナの前面に浮かび上がる神機の証、『狂』の文字が激しく輝き、狂気をもららす月の光が操縦者――ルクスを蝕んでいく。
「きゃははは、ちから、ちからをかんじるよっ! 敵の動きもぜんぶみえるっ!」
ディアーナのコックピットから、正気を失った少女の声が響き渡った。
「なんですか、この光の強さは……」
「姫、これ以上近づいては、エアリニス殿のバリアの中でも月光を抑えきれません!」
強まった月光の前に、神聖機グランティアと親衛隊キャバリアたちの足が止まる。
再び行動不能になったグランティア王国軍に対し、ディアーナから無数のビットが放たれた。
「いけないっ、ディザスター・ゼロ! 光の操作を……」
「きゃはははっ、こんどは全方向からのいっせい攻撃だよっ! キャバリア一機でまもりきれるっ!?」
ルクスの言葉とともに、ソードビットとレーザービットが360度全方位からグランティア王国軍を包囲した。
あらゆる方向から、グランティア王国軍を――神聖機グランティアを狙うビットたち。
「くっ、偏向防御が無理ならっ……」
ディザスター・ゼロを駆る璃奈は、妖刀・九尾乃凶太刀と妖刀・九尾乃神太刀を機体の両手で抜き放ち、機体を光速近くまで加速させた。
凶太刀で親衛隊機を貫こうとしていたソードビットを斬り払い、即座に光速で移動。神聖機グランティアを狙うレーザービットを神太刀で真っ二つにするが――。
「数が……多いっ……」
ディザスター・ゼロが光速で動けたとしても、敵のビットが放つレーザーも同じ光速だ。一度発射されてしまったら、それを防ぐ手立てはない。
「きゃはははっ、ディアーナ、わたしに未来をみせてっ!」
「しまった……、これはフェイント……」
神聖機グランティアを狙っていたレーザービットの群れを連続で薙ぎ払ったディザスター・ゼロ。二刀を振り切った姿勢の機体の中で璃奈の目に映ったのは、親衛隊のキャバリアたちに向かう無数のソードビットと、砲口を向けるレーザービットだった。
「全攻撃を迎撃する最適経路は……!」
ディザスター・ゼロに問いかける璃奈だが、返ってくる解は無情にも「不可能」というものだった。
たとえ光速で動いたとしても、すべての攻撃を防ぎ切ることはできない。
「なら、せめて少しでも多くの人たちを――」
ディザスター・ゼロを光速加速させようとした、その時――。
――虚空から放たれた光条が、ビットたちを次々と撃ち落としていった。
●
「そんなっ!? わたしのビットたちがっ! ……いったい、だれっ!?」
ディアーナに乗るルクスの声が響いた。
それに答えるように現れたのは、闇色のオーラで迷彩のごとく闇夜に紛れていた精霊機『ブルー・リーゼ』だ。シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)の乗る白と青の流線型の機体。その手に持ったビームランチャーから魔力光の残滓が闇夜に溶けていく。
「あなたの双子のお姉さんは、わたしの双子の妹がやっつけたみたいだから……今度はわたしがあなたをやっつける番だねっ!」
高機動力を活かして飛翔するブルー・リーゼの中で、シルが気合の声をあげた。
「あなたの妹が、キャスティナおねーちゃんをっ!? ゆるせないっ! いけっ、ビットっ!」
地獄の底から響くような声音で、ルクスがビットに指示を出す。
その悪意の波動に従い、無数のソードビットがブルー・リーゼに向かって飛び、レーザービットたちが砲口を向けた。
――だが。
「砲撃なら……わたしも負けないからっ!」
残像が残るほどの高速機動でソードビットの突撃を回避したブルー・リーゼは、ビームランチャー『ブラースク』の砲身をレーザービットに向け、引き金を引いた。
その銃口に魔法陣が描かれたかと思うと、魔力の銃弾が生み出され、次々とレーザービットを射抜いていく。
「そんな……!? ディアーナの月光をうけてるはずなのにっ!?」
強化された月の光の中を自在に翔ぶブルー・リーゼを見て、ルクスが驚愕の声をあげた。
この月光の中では、特殊な能力や防御方法を持たない限り、正常にキャバリアを動かすことはできないはずだ。
――月光の中を自在に翔び、ビットを撃ち落としていくブルー・リーゼ。そのコックピットの中で、シルは両目を瞑ったまま呟いた。
「キャバリアの計器が狂わされるなら――自分の直感を信じるだけ。惑わされずに自分を信じて」
外部センサーやモニターすら当てにならない状況の中、シルは自身の経験と勘のみを頼りにブルー・リーゼを操る。
その研ぎ澄まされた感覚は、ルクスの放つ悪意の波動を敏感に感じ取っていた。
「考えるな、感じるんだ……。そこっ!」
黒い思念の渦巻く空間に向けビームランチャーを放つと、そこにあったレーザービットが爆散した。
●
「もうゆるさないっ! ディアーナ、わたしに未来をみせてっ!」
璃奈のディザスター・ゼロと、シルのブルー・リーゼに翻弄されたルクスは、ディアーナの狂気の力を最大限に引き出そうとする。
パイロットの正気、理性、判断力――そして生命力を吸い取り、オブリビオンマシンは対情報戦術機構『月の女神』を全力稼働させる。
「だめですっ! シグマ連邦からいただいた資料によれば、そのシステムは未完成……! これ以上使用したら、パイロットの命が……!」
神聖機グランティアのコックピットでネティシア姫が叫んだ。
その声に答えたのは、『夜光雲』に乗って上空からナビゲートをしていたセシルだ。
「敵とはいえ、なるべく被害は減らしたいです。狂月神機『ディアーナ』、その機械を止めてください」
セシルの『敵パイロットを守りたい』という気持ちのこもった視線がディアーナを貫いた瞬間。オブリビオンマシンの動きが一瞬止まった。
『Arbitrator』というセシルの視線魔術により、オブリビオンマシンの無意識に働きかけたのだ。
「拒絶……できますか?」
セシルの言葉に抵抗し、その呪縛から逃れるオブリビオンマシン。
だが、そのために要した一瞬の隙は致命的だ。
「皆さん、今です」
「……行くよ、ディザスター・ゼロ……!」
凶太刀と神太刀の二刀を構えたディザスター・ゼロが光速でディアーナへと肉薄すると、その二刀を大きく振りかぶり、超高速連撃でディアーナの四肢に斬りつけていく。
オブリビオンマシンの白銀の装甲に、呪力を帯びた妖刀が激突する金属音が響き――ついに左腕をその根本から切断した。
「きゃあああっ」
機体の腕を斬り落とされた激しい衝撃に、ルクスが大きな悲鳴をあげた。
ディアーナの動きが、ほんの一瞬だけ停止する。
「ここ……!」
璃奈はディザスター・ゼロの二刀をディアーナのコックピットハッチに向かって振り下ろす。
それは、綺麗にハッチのみを斬り裂き、パイロットであるルクスの姿をあらわにさせた。
「なっ、なにをっ!?」
ルクスはディザスター・ゼロの手によって強引にコックピットから引きずり出され、困惑の声をあげるが――。
「いまだよ……」
ディザスター・ゼロはルクスを掴んだまま、オブリビオンマシンから距離を取った。
「まかせてっ!」
ディザスター・ゼロがディアーナと戦っている間、呪文の詠唱を続けていたシルが、璃奈の声に答える。
呪文を多重詠唱し、限界を超えるまで魔力チャージをおこなった『ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト』は、詠唱時間に応じて無限に威力があがる特性を最大まで発揮していた。
ブルー・リーゼの周囲に火・水・風・土・光・闇の6属性の魔法陣が浮かび上がった。
●究極の一撃
――否。それだけではない。
ブルー・リーゼの周囲に浮かぶ6つの魔法陣に、さらなる魔力が流れ込んできた。
「アリシア、ケラヴノスとともに力を貸してくれ」
『ええ、任せてください』
セツナが、アリシアの光の精霊力と、竜神機ケラヴノスの嵐の力で、光と風の魔法陣にエネルギーを供給する。
「それなら、自分は秘水ちゃんの水属性の力っす!」
「しょうがないですね、手伝ってあげましょう」
軍犬が水精霊――その亜種であるクティに頼み、水属性の魔法陣に魔力を流し込んだ。
「光と闇の力なら、俺にも任せて!」
ひりょが、ルクス・テネブラエの光と闇の疑似精霊の力を、魔法陣に接続し――。
「鳳凰院だけにいい格好はさせんぞ。俺の闇のオーラの方が強力だということを示してやろう」
「フハハハハ! ここは我の出番のようだな! 二人とも、魔王たる我の力を見よ! そして驚愕するがいい!」
天魔のAzazelが闇の魔法陣をオーラで強化し、未有のウェスタが放ったダークネスフェニックスが炎と闇の魔法陣にエネルギーを与えていく。
「エアリニス、Starlit Shield出力最大です」
『承知』
セシルがエアリニスに指示し、恒星の如き輝きを光の魔法陣に吸収させ。
「ディザスター・ゼロ、わたしたちも……」
璃奈も天照の力で光を操作し、光の魔法陣の輝きを強める。
「姫、少々、皆様のやる気がオーバーキル気味のようです。念の為、私の後ろに」
「ああ、これ、味方も巻き込まれるやつだな。メルシー、念動障壁全開だ」
この一撃の破壊力を冷静に計算したトリテレイアがロシナンテⅣのシールドの後ろにネティシア姫の乗る神聖機グランティアをかばい、カシムもメルクリウスの念動障壁を全開にして親衛隊たちを守る。
●
「いくよっ、ブルー・リーゼ! 限界を越えた究極の一撃――撃ち放つよっ!」
シル一人で放つ時の十倍を軽く超える超強力なエネルギーが魔法陣から供給され、6属性の魔力が融合し解き放たれた。
――それは、まるで大地を穿つ一撃。
眩いばかりの光を放つ極光がオブリビオンマシン狂月神機『ディアーナ』を包み込み――恒星のエネルギーにも匹敵する莫大な破壊力によって、その機体を塵も残さず蒸発させた。
たとえどれだけ強力な再生能力を持つオブリビオンマシンであろうとも、問答無用で骸の海に還すだけの破壊力だった。
「どうやら、オブリビオンマシンは完全消滅したようですね」
爆発によって生じた巨大なクレーターの縁。
崩れた瓦礫の下から姿を見せた神聖機グランティアの操縦席の中で、ネティシア姫は安堵の息をついたのだった。
●エピローグ
「皆様、今回はたすけていただき、どうもありがとうございました」
「私からもお礼申し上げる」
猟兵たちに向かって、グランティア王国王女、ネティシア・グランティアと、シグマ連邦議会議長フレデリック・アシモフが揃って礼を述べる。
猟兵たちの活躍により、反乱を起こしたフレイム姉妹は無事に捕縛された。
二人は事件時の記憶が曖昧だという供述をしており、シグマ連邦の調査が待たれるところだという。
――オブリビオンマシンの脅威を認識できないクロムキャバリアの住人にとっては、このような不思議な反乱事件は日常茶飯事だ。そのうち、事件自体、迷宮入りということで片付けられてしまうことだろう。
だが、猟兵達によって大きな危機が回避されたのは事実だ。
「皆様のおかげで、グランティア王国とシグマ連邦は改めて友好を深めることができました。これからも、両国の素晴らしい点を尊重しあいながら、ともに歩んでいけることでしょう」
「うむ。我らシグマ連邦も、科学技術を活かしグランティア王国に全面的に協力しましょう」
こうして、2つの国の間に起こるはずだった悲劇は猟兵達によって解決され、新たな未来が開けたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵