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繁栄の聖歌

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●聖歌の導き
 ようこそおいでくださいました。
 ここはあなた方の幸福と繁栄を約束する聖地。
 老いを知らず、病を知らず。
 苦しみも、哀しみもない、不可侵の領域。
 恐れることはありません。
 ただその身を委ねるだけで良いのです。
 もう陽の当たらぬ暮らしに耐える必要はありません。
 私が、その全てを救ってさしあげましょう。

●聖歌の噂
 ダークセイヴァーの、小さな村。
 過酷な労働を繰り返し、いくら畑を耕しても満足に作物も実らない。ただ緩やかに滅びへ向かう日々。
 人々の希望は、とうの昔に途絶えていた。
 それでも子を成し、世代を繋いでいくのは、どこかに救いの手を差し伸べる者が現れるかもしれないという、奇跡を信じる気持ちがまだ残っていたからだろう。
 そんな村に、ある時から噂が流れた。
 西の森へ行けば、ビロードを弾いたような美しい歌声が聞こえる。
 この声に従い、誘われるままに進めば、天のみ使いが現れ、楽園へと至ることができると。
 狩りや山菜採りに出かけた者が、ここしばらく帰ってきていない。彼らは、楽園へと誘われたのだ。

●グリモアベースにて
「あぁんっ、みんな、よ・う・こ・そ」
 うふん、と息を漏らしながらウィンクする彼女――いや、この間違いは早々に訂正すべきだ。彼、井筒・大和は体をくねくねとさせながらモニターに地図を表示した。
 こんな様子だが、彼も一応はグリモア猟兵。事件を予知する能力がある以上、猟兵を集めて状況を説明する義務があるわけだが……。一部の猟兵は、背中に冷たいものが走る感覚を覚えたことだろう。
「今回のお仕事で向かうのは、ダークセイヴァーよんっ。小っちゃい村なんだけどね、この西を見てくれるかしらん?」
 村自体は、大和が言うように大きくない。家屋の数は三十を少々超えるといったところ。いくらか畑があるようだが、土地が痩せていることが土の色からすぐに分かる。
 その西側には、広大な森が広がっていた。この集落がそのまま二桁は入ろうかという規模だ。
「それでね、この森に入ると、歌が聞こえるらしいのよぉ~。んもうとっても綺麗で可愛らしい女の子の声らしくてね? あぁ~んっ、どんな歌なのかしらぁ~」
 勘の良い猟兵ならばここで見当がついただろう。
 大和が予知した、ということは、この歌はオブリビオンの仕業である、ということだ。つまり、歌が原因で事件が起きる、あるいは既に起きている、と。
「それでねそれでね、どうも歌に誘われて森の奥へ入った村人さんがぁ、戻ってこなくなっちゃうらしいのよぉ~。でもでも、村人達の中には歌のことを知っている人もいるみたい。きっと、歌の誘惑を振り切って、返ってきた人がいるんだわぁ」
 彼に説明できることはここまで。予知した内容は以上だ。
「聞き込みをしてもいいし、すぐ森へ入ってもいいんだけど、最終的にはどこかにオブリビオンがいるはずよん。それじゃあ、頑張ってネ!」


数巴トオイ
数巴トオイです。
ギャグというか、コメディばかり出していましたが、たまにはシリアスにダークセイヴァーです。
歌には不思議な魅力がありますよね。物語を乗せて歌われることも多く、「これは私に向けて歌われているのでは」と思ってしまうようなものも。
今回は正しくその例です。
過酷な環境が、苦しい思いが、神を生み出した、なんて説もあるくらいです。
ともかく、村人達を元の生活に戻すため、まずは森の踏破を目指してみてください。
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第1章 冒険 『誘う歌声』

POW   :    歌声の主を探し、森をくまなく探索する。広範囲だが何か痕跡が見つかるかも知れない。

SPD   :    聞こえてきた歌声をたどり、森を最短距離で突っ切り探索する。急げ!

WIZ   :    村人への聞き込みや地図、風向きから歌声の正体や位置を割り出す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カリオン・リヴィエール
シンフォニアの性で歌声と聞くと気になりますね。真っ直ぐに森の中…と行きたいところですが、まずは村人からの情報を集めます。小さな村でも酒場はあるでしょうか?とにかく、人の集まる場所で聞き込みです。過酷な環境のこと、癒しも必要でしょうからUCでも使いましょうか。もしかしたら、それによって、帰ってきた村人が分かるかもしれませんよね。

「君だな、運の良かった村人とは。ちょっと話を聞かせてくれないか?」


阿紫花・スミコ
「調査は足で・・・ってね。」

森には入り、歌声、村人達の痕跡を探りながら、森の中を探索する。
移動時には、ワイヤーギヤ(フック付きワイヤーを発射するガジェット)で、周囲の木々にフックをかけ、その巻き取りとギヤから発する蒸気の力を推進力に変えて、森の中を移動する。
(聞き耳、追跡、情報収集)

時折、サーマルスキャナ(熱分布を表示するガジェット)で周囲の熱源を感知。熱源があれば注意する。(緊急時にはからくり人形で攻撃)
(暗視、視力、情報収集)



●聖歌への返歌
 転移先についての情報は、ともかく西の森へ行くと歌が聞こえ、その誘いに乗ると楽園へ導かれる、というものだけだった。
 早速現場へ踏み込むことも一つの手段であり、それを実践する者の姿もあるようだ。
 一方で、万全を期すためにまずは情報収集から取り組む、という考えももちろんありえるわけで。
「想像以上に廃れ――疲弊している様子だな」
 カリオン・リヴィエール(f13723)も、情報収集に取り掛かる一人だ。
 集落ならば、人が集まるような場所の一つくらいはあるだろうと思っていた。例えば酒場だとか、集会所だとか。しかしそういったものは見当たらない。誰もが、その日を生きるだけで精一杯なのだ。
 村人達の様子は、力なく鍬を振るったり、壁にもたれて座り込んだり。
 これは彼女の表現したように、廃れているというよりは疲弊している。夢も希望も失った、絶望の里だ。終わりのない労働の先に、見えるものなどない。
 だからこそ。聖歌なるものが希望へ導こうというのならば、それに縋る者が現れることも無理のない話だった。
 カリオンは考えを巡らせる。
 このまま聞き込みをしても、悪戯に村民を惑わせるだけではないのだろうか。情報は欲しいが、様々な会話が飛び交う、多少なりとも活気のある場でなければ成果は薄いだろう。ならば、逆に情報を持つ者を呼び出すことはできないものだろうか。
 だから。カリオンは歌うことにした。
 聖歌に人々が惑わされるのならば、歌によって心を揺さぶることができるかもしれない。
 歌詞は即興。
 導くような優しい声の主は誰。そう問いかけるような、それでいて心安らぐような、そんな歌だった。
 往来の人々は足を止め、その声に聞き入る。
 歌が終わる頃には、一人の青年がその場に残った。
「君だな、運の良かった村人とは。ちょっと話を聞かせてくれないか?」

●森を往く
 情報を得るより先に森へ踏み込んだ阿紫花・スミコ(f02237)は、まさに村でカリオンが情報を集めている歌そのものを聞いていた。

 森へいらっしゃい
  もっと奥へいらっしゃい
   さぁ、その足を前へ出して

  悲しくて苦しいのはもう終わり
 歩く辛さももう終わり

   私の元へといらっしゃい
 もう枯れた泪を嘆くこともないの
  あなたが来るのを待っています――

「調査は足で……ってね。情報は本当だったみたいだし、ひとまずはこの歌を辿ればいいかな」
 サーマルスキャナで熱源がないか探るスミコ。異常なものは検知されず、村人どころかオブリビオンもいないようだった。少なくとも、周囲には。
 今度はワイヤーギアを放ち、歌声の聞こえる方の木へと突き刺す。このワイヤーが巻き戻る力と、持ち手についた蒸気噴射装置によって、まるでムササビのように次の木へ移った。
 これを繰り返し、徒歩よりもずっと早い速度でどんどん森の奥へと進んでゆく。
「歌はずっと聞こえるけど、特に変わったところはなさ……あれ?」
 ワイヤーを巻き取り、木の陰に身を潜めるスミコ。サーマルスキャナを装着していることを確認しつつ、少しだけ顔を出してこの先の様子を探る。
 ちらほらと、赤く映るものがある。全貌は見えないが、それだけこの先の木に隠れてしまっているということ。距離はまだまだありそうだ。
 そしてサーマルスキャナが検知したものは、どうやら人間ではないようだ。
「やっぱりいたね、オブリビオン。さて、誰かが追いつくのを待つべきかな?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

導かれた村人の安否が気になりますね。無事を『祈り』たいです。
森へはホワイトパスを使用し、5感を強化して西へ進みます。
導かれた村人の痕跡を『情報収集』しつつ『追跡』したいですね。
もし聖歌が聞えましたら、それに乗るのも一興。
村人の元まで導いてくれるかもしれませんから。


自分を救いたいという声を否定できる人は少ないでしょう。
ましてやそれが希望の無い地ならば尚更です。
私自身、偽りと理解しつつも魅力的に聴こえる時があるほどです。
しかしそれでも安易な希望は否定し、辛くとも現実を直視しなければいけません。
村人自身を取り巻く環境を変えられるのは村人自身でしかないのですから。
村人を取り戻しましょう。


イデア・ファンタジア
『生命賛火』の炎を合体、身に纏うことで身体能力を強化して、森の中を強引に突っ切るよ。
邪魔な障害物はジャンプでひとっ飛び!擦り傷なんて一瞬で治るし気にしない!
ある程度進むたびに、『聖域』の出入り口になる扉をその辺の木に描くわ。予め村にも描いておいたから、『聖域』経由で行き来出来るの。
これでちょくちょく新しい情報が無いか確認できるし、他の人の移動手段にもなるね。
んん、あの赤いのは?強化した視力で何か分からないかな?



●痕跡
 村人は、聖歌に導かれて森の奥へと消えたとのこと。
 ならば彼らがどういったルートを辿ったのか、その痕跡を探ることで見えるものがあるのではないかとアリウム・ウォーグレイヴ(f01429)は考えた。
 五感を強化するユーベルコード【ホワイトパス】により、情報源を探る彼。だが、例えば足跡であるとか、そういったものは特に見当たらない。森には枯葉が多く、痕跡が残りにくいのだ。
 そうなれば、手がかりは一つ。森の奥から聞こえるという、聖歌だ。
「自分を救いたいという声を否定できる人は少ないでしょう。ましてやそれが希望の無い地ならば尚更です。その気持ちは私にも理解できますが……」
 しばらく進むと、確かに歌が聞こえる。
 楽園へと導く歌が。
 限界まで追い込まれ、そこに救いの手を差し伸べられた者の反応は、縋るか、もしくは拒絶。少なくとも、現状を打破したいと考える者ならば、この導きに従うのだろう。
「辛くとも現実を直視しなければいけません。村人自身を取り巻く環境を変えられるのは村人自身でしかないのですから」
 ただ救いを待つのではない。己を救うことができるのは、己を置いて他にない。
 これといった手がかりが見つけられたわけではないが、アリウムはそんな決意を胸に先を急いだ。

●森焔
 一方で。この森を猛烈な勢いで走る炎があった。【夢想呪法『生命賛火』】でその肉体を強化したイデア・ファンタジア(f04404)だ。
 少し進むと、幹の太い木に扉の絵を描き、また進む。
 この扉は、彼女のユーベルコード【夢想呪法『聖域』】によるもの。描いた扉同士を別空間に繋ぎ、自由な出入りを可能とするものだ。
 既に村にもこの扉を描いてきた彼女。もし村に戻る必要が生じた際には役立つことだろう。
 ……万が一、この森に潜む可能性が高いオブリビオンが扉に触れた場合、村が直接攻め込まれる可能性もあるわけだが。
「んん? あれは……」
 どれくらい進んだだろうか。
 森の奥で何かが動く気配を察知したイデア。
 木の陰に身を潜め、注意深く様子を観察する。
「やっぱり、動いてるね。もしかして、あれがオブリビオン? よく見えないなぁ」
 もう一度炎で身を包み、視力を向上させようとするイデアだが、やめた。
 森の中で炎を発するのは、目立ちすぎる。もしもあれがオブリビオンならば、一人で多数の敵に気づかれる恐れがあるわけだ。そうなってからでは遅い。
「とにかく、誰かに知らせなきゃ。聖域を使えば誰かと合流できるかな」

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

シエロ・シーカー
さて、歌声の主の正体を探りに行こうか…。

歌声を聴きながら森の中を突き進む
点灯夫の棒(先端に火をつけた長い棒(エレメンタルロッド))を光源として持ち、周りに気を付けながら【ダッシュ】で探索
聞こえてくる歌声がだんだんと大きくなってきたら近くに居るだろうと見て、その場で待機し様子を見る
その時、歌声の主にこちらの存在を知らせないように光源を消して【目立たない】ようにする



●揺らめく灯火
 シエロ・シーカー(f03217)はエレメンタルロッドの先端に火をつけ、これを光源として森を駆けていた。
 聞こえてくる歌を辿れば、オブリビオンに行きつく。それは間違いない。しかし、どこから聞こえてくるのか、どこまで辿れば良いのか、この判断は非常に難しいところだ。
「さて、どっちへ行けばいいかね。歌声の主の正体……そう簡単には姿は見せないか」
 とはいえ、歌は森の奥へと導いている。逆らわず、そのまま進めばいずれは何かしら発見できることだろう。
 走る、走る。一つでも手がかりを得るため、シエロが走る。
 疲弊しきった村人に踏破できる距離のはずだ。仰天するほど遠くまで行く、なんてことはないだろう。
 そんな折。歌声が大きく聞こえだした辺りで、動く影のようなものを見つけたシエロは灯火を消して身を潜める。
「何かいるな。……って、なんだよ」
 半身を乗り出すようにして確認してみると、オブリビオンではない。ただの猪に似た生物だった。
 こんな世界の森にも、一応食用に堪え得る生物も生息しているのだろう。恐らく村人の一部は、こうした獣を狩って食しているのだろう。
 村で見た畑だけでは限界がある。とはいえ、そう数が多いわけでもなさそうだ。
 この時点で収穫はゼロ。と、シエロは嘆息する。
 しかし歌が導く先へは確実に近づいている。
 再びロッドに灯りを灯したシエロは、歌の導きに従って駆け出した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

カリオン・リヴィエール
話を聞きました。何が見えたのかも。
それだけ分かれば、後は森に突っ込むのみです。足場の悪い道はお手の物ですので、先達達に追いつきます!


ヴォルフ・クライト
「森の歌…でも妖精の悪戯程度なら平和なのにね」

行動:
まず村で村人から情報を聞き込み、歌の聞こえた場所と方向と時間帯を調査。

森の中に入った後は、聞き込みをした情報を基にして村人から『歌が聞こえた』という情報の多かった場所や方向に範囲を絞って調査を行う。
歌の聞こえた方向に目指し、同時に周辺の動植物の状況にも気を向ける。
その際に何かしら気づいた事があれば、メモに場所と村からの位置を記載記録。
歌の発信源を特定もしくは接近した時は、相手の様子を確かめた上で接触するかどうかを判断する。

なお、情報収集・調査・歌い手との接触問わず、帰還時はライオンライドを使用し、時間ギリギリまで森の中での調査を行う。



●労働者の哀愁歌
 村では調査を続行する者の姿があった。
 カリオン・リヴィエール(f13723)は、自らの歌で炙り出した森からの帰還者に話を伺う。
 森はどんなところか、歌はどこから聞こえるか、どういった内容なのか、歌に導かれた者はどこへ行ったのか。一つでも多くの情報を得るために、カリオンは可能な限り細かく聞きだすことにした。
「その話、俺も聞かせてもらって構わないですか?」
「ああ、どうせなら情報共有は早い方が良い」
 そこに合流したヴォルフ・クライト(f03355)は、メモを取り出す。
 頷きを以て返答したカリオンは、帰還者への質問を始めた。
 そして得られた回答をまとめると、次のようになる。

 まず、森は極稀に獣が現れ、運が良ければ山菜も採れる。決して豊かとは言えないが、食料に困った折には重宝されているようだ。
 歌は森へ踏み込んで真っ直ぐ奥へ向かい、大人の足で五分程度進んだところから聞こえだすとのことだ。
 内容はまるで甘やかすようなもので、その歌に従えば苦しみを取り除いてくれるという。歌に従って行った者達はいずれも若い世代が多いとのことだ。

「歌っている人物がどこにいるかは?」
「そこまでは分からない」
 カリオンの最後の質問。
 回答をヴォルフが書き留める。
 これ以上村で得られる情報はなさそうだ。
「ひとまず、進むべき方角は限定できました。先に行ったメンバーも、何かを発見しているかもしれません」
「では、行こうか」
 情報を提供してくれた男に短く礼を述べ、二人は西へと向かう。
 まずは他の猟兵に追いつくことが先決だ。

●西の森に響く歌
 情報の通り、森へ入って間もなく、歌が聞こえてきた。最初はか細く消え入りそうな声だったが、ヴォルフの割り出した方角へ進むほどに、声は大きくなっていく。
 人が通った跡もある。村人のものなのか、先に進んだ猟兵のものなのか、判別はつかないが、ヴォルフはひとまずこれを記録した。
「早いところ追いつきましょう。この足跡と歌声を辿れば」
「いや、ちょっと待ってください。この木は……」
 先を急ぐカリオンを制止し、ヴォルフが一本の木を調べる。
 割れた木の皮に、何かが挟まっているのを見つけたのだ。指を差し込んで、取り出してみる。
「青い羽……。カリオン、この森に鳥は?」
「見ていないですね」
 それは、ぼんやりと青い光を放つ羽だった。
 そして、この森に獣がいるとの情報はあっても、鳥の姿は確認されていない。
 ということは、つまり。
「いけない、急ぎますよ! 乗ってください!」
 ユーベルコード【ライオンライド】で黄金のライオンを召喚するヴォルフ。
 そうだ。森に鳥がいないのならば、この羽の持ち主は……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リサ・ムーンリッド
かわいい女の子と聞いて。
幽霊の正体見たり枯れ尾花…かもしれないが、まあそれはそれ。それに単純に興味もある

●探索【SPD】
歌声のする方を探しながら探索。

歌か…音媒介に何かしら神秘の力を伝えているのか、はたまた音そのものにサブリミナル効果のような精神操作の効能があるのかどちらなのだろう。私も犠牲にならないよう一応注意はしておこう。
そして言語は何が使われて歌詞はどんな意味が込められているのだろう。もし自作なら製作者に解説を聞きたい、ワクワクするね。

ICレコーダーと集音器で録音しながら進むよ。
持ち込みが難しいものは【レプリカクラフト】で作ろう。
集音器はパラボラ面のあるタイプだと音の方向がわかりやすいね


ファランス・ゲヘナ
【心境】
「行方不明者の安否が心配だナ。」
しかし、歌はやはり楽しく合唱できるものがいいナ。
笑い声が似合う歌がこの世界に響く日は来るのカ…いや来させるだナ。
【行動】
UC:大軍団を発動。
分身を使って『情報収集』森をくまなく捜索する。
おもわず熊も鳴くぐらいの大探索ダ。ここは笑うところダ。
草の根を分けてでも手がかりを探し出ス。でも本当に草の根を分けなくてもいいゾ。
目がいいからな『視力』と『暗視』で森の暗さも気にならなイ。
『第六感』に引っかかる怪しいものも見逃さなイ。



●集音調査
「ふむ、確かに歌が聞こえるな。実に興味深い」
 森に踏み込み、聞こえてくるという歌を実感したリサ・ムーンリッド(f09977)は、調査と研究のためにとICレコーダーを取り出した。
 録音、再生をすれば、何か分かるかもしれないと踏んでのことだ。半分くらいは好奇心だが。
 己の耳を頼りに、歌の聞こえる方向へマイクを向ける。そして録音ボタンを押した。
「おーーーっ! 広い森だゾ! 大探索ダ!!」
 原型を持たないブラックタール、ファランス・ゲヘナ(f03011)が元気良くはしゃぎまわる。
 もちろん、ICレコーダーの録音にこの声も入ってしまうわけで。
「静かにしないか! 調査ができないだろう。大人しくしなければ、解剖するぞ」
「ひっ!」
 思わず怒声を上げたリサは一つ嘆息してから、聞こえてくる歌が一節終わるまで録音。そして再生を始めた。
 興味本位でファランスも寄ってくる。
 最初に聞こえてきたのは、ファランスが上げる歓声。そしてリサの叱責する声。
 その後には……何も録音されていなかった。
 二人の声がバッチリ収められているのだから、機械の故障ではない。となると、この歌声は物理的な音なのではなく、もっと特殊な環境で発せられるものだと結論づけられた。少なくとも、人間が歌っているものではない。
「なるほど、何も録音できていないか。これはますます……」
「えっ、録音、できてるゾ? 歌じゃないけどサ」
 ファランスの指摘。
 慌てて巻き戻し、もう一度聞いてみる。
 最初はやはり二人の声に掻き消えているが、それが途切れて、よく耳を済ませる。すると微かな音が、確かに録音されていた。
 風の音でもなければ、木々のざわめきでもない。
「何か、蹄で土を踏みしめるような、獣の歩く音だ。馬でもいるのだろうか?」
「いるみたいだゾ! あっちの木の向こう側に、翼のある青い馬が見えたゾ。一瞬だったケド」
「何故それを先に言わない!」
 さらりと重要なことを告げるファランス。
 驚いたリサはICレコーダーをしまい、急いで駆け出す。
 ただの馬ならばともかく、翼があって、しかも青いとなれば答えは決まったようなものだ。
「それがオブリビオンだ! 何をしている、早くついて来るんだ!」
「ヤッター! オレってば大発見ダ!!」
 二人はオブリビオンの気配を追って、さらに森の奥へと向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『首無しの天馬』

POW   :    突進
【高速移動】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【突進】で攻撃する。
SPD   :    幽鬼の馬車
自身の身長の2倍の【馬車】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
WIZ   :    飛翔
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●森の天馬
 村の西に広がる森。
 調査に赴いた猟兵らが見つけたのは、首のない翼を持った青白い馬だった。
 森を彷徨うように歩くオブリビオンが泣き声を上げることはない。
 しかしこの天馬は、猟兵らを認めると己から攻めかかることなく、森の奥へ奥へと導くように進んでゆく。
 当然、オブリビオンなのだから討伐する必要はある。だが、手がかりにもなりうる。
 彼らの導く先に待ち受けるものとは、一体何なのだろうか。
ファランス・ゲヘナ
【心境】
「さテ、こいつは今回の事件に関係があるのカ?」
通りすがりのオブリビオンだったというオチじゃねーと良いんだがナ。

【行動】
まずは様子見だナ。
一定の距離をとったままこっそり後をつけル。
天馬の行動を『暗視』と『視力』で要観察して『情報収集』すル

【戦闘】
結局は戦闘カ…。
懐から【∞ロ-ロ】を取り出し攻撃力を強化。
ダブルヘッドハンマーを取り出シ、『怪力』『鎧砕き』の一撃で天馬の躰に向かって振り下ろすナ。『なぎ払い』で巻き込める個体は巻き込むゾ。

突進攻撃は『第六感』を頼りに『分身』が生れるスピードで『見切り』回避。
当たらなければどうということもなイ。


阿紫花・スミコ
「おでましか!」

黄金に輝く精霊銃「アヴェンジングフレイム」を抜き放つと、腰のワイヤーに手をかけた。フック付きワイヤーを木々にかけて、巻き取り空中へ。蒸気を噴出して、動きに変化をつけながら、敵の突進をとにかく回避だ。(スリーディメンジョンモビリティ)
隙があれば、アヴェンジングフレイムの炎を帯びた弾丸をお見舞いする。

「機動力の勝負でボクも負けるわけにはいかないんだよ!」

(属性攻撃、援護射撃、空中戦、ダッシュ、ジャンプ、フェイント、見切り)


カリオン・リヴィエール
敢えて、本当の敵までの案内役となってもらいましょうか。ある程度まで進んだら、ユーベルコードを使用します。
もしも、戦いになるようなら、見えた未来が役にたつかも知れません!
共闘大歓迎です!


ヴォルフ・クライト
『アレが、どうやって歌っていたか気になるところではありますが…』

行動:
前回の捜索時に敵の手掛かりを発見した場所付近に到着後は、敵の奇襲・上空からの攻撃に警戒しながら行動。

戦闘:
戦闘開始と同時に【リザレクト・オブリビオン】を使用。
【死霊蛇竜】を敵まで飛ばして戦わせる。
敵の羽根や胴体の動きに警戒して地上から注視し、戦場全体の動きを見てながら、【死霊蛇竜】への指示を行う。
敵が不審な動きを見せた時は直ぐに次の動きを止めるべく攻撃。
敵の動きを完全に止めるまでは容赦せず、攻撃を継続させる。



他参加者との連携:歓迎


リサ・ムーンリッド
この馬誘ってるな…エロい脚しやがって…。
脚は置いといて、攻勢が鈍いのはなぜだろうか?意図はわからないが…。

とりあえず追いかけながら弱らせてはおくか。ただホイホイついていって別の大物の腹の中とか沼にハメられるとかは勘弁願いたいから警戒しつつだけれども。
とりあえずどう弱らせていくかだな…。

あの首も触ってみたいがそこは機会があれば。
●戦闘
周辺の地形や森の枝葉に注意を払いつつ【超小型の炭素荷電粒子銃】などの通常攻撃や他のユーベルコード【マジック・ボウ】や【初歩的な魔法】で味方の援護射撃や追撃を。
気付いたことや妨害するべきものがあれば【パラライズ・ボム】で妨害だ、フック付きワイヤーも使えるかな?


シエロ・シーカー
…?何処へ向かっているんだ?…行ってみるか。

行動
森の奥へと進むオブリビオンの様子を見ながら【追跡】してみる
奥に何かがあるのだろうか?それとも…罠?
付いて行った先で何かを見つけた後に戦闘開始
「案内どうも。」

戦闘
近くに居る敵には点灯夫の棒で【力溜め】て殴って【吹き飛ばし】てから【早業】で僕の身体に封印されている鎖の【封印を解く】
封印解いたら、UC『縛鎖』

攻撃されたら【激痛耐性】で持ち堪えてみる

※誰かと共闘可


アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

ようやく見つけた手掛かり、ここで逃すわけにはいきません。
罠の危険性もありますが、ここは他の猟兵と協力しながら『追跡』するしかありませんね。
元凶の元まで案内してもらえる事を『祈り』ましょう。
こちらへの攻撃を確認できた場合、迎え撃ちます。

追跡中はホワイトパスを使用し、不意打ちや罠に気を付けます。
またホワイトナイトを利用し、不審な点はないか周辺の『情報収集』も並行して行います。
森の中は敵の領域。油断はしません。
戦闘の際にはホワイトファングの『属性攻撃』にて動きを妨害しながら動きます。
隙があれば『槍投げ』で『串刺し』をし、空に逃げぬ様に地に縫い留めるのも良いかもしれませんね。



●天魔の導き
「おでましか!」
 サーマルスキャナーに赤く映った影がオブリビオンだと気づいた阿紫花・スミコ(f02237)は、すぐに攻めかかる姿勢を取る。
 相手がオブリビオンならば、のさばらせておく理由はない。
 ここで討伐してしまう必要があるだろう。
「ちょっと待ってください。様子が変ですよ」
 彼女の行動に待ったをかけたのは、合流したアリウム・ウォーグレイヴ(f01429)だ。
 よく見れば、天馬は派手に暴れ回っている様子もなく、ただゆっくりと、森の奥へ向けて歩くだけ。
 いや、そう見せているだけなのかもしれない。
「アレが、どうやって歌っていたか気になるところではありますが……」
「いや、よく聞け。歌声はもっと遠くから響いてくる。つまりこの馬、誘ってるな……エロい脚しやがって」
 ヴォルフ・クライト(f03355)の漏らした呟きに、リサ・ムーンリッド(f09977)が冷静(さを欠いたかのよう)な指摘を入れる。
 つまり、このオブリビオンすらもまるで歌に導かれているかのように見えるのだ。
「エロい脚は分からないケド、こいつは今回の事件に関係があるのカ?」
 通りすがりのオブリビオンかもしれない。だとしても十分討伐対象となるわけだが、ファランス・ゲヘナ(f03011)の疑問も間違っているとは言いきれない。
 しかし。
 グリモア猟兵の予知した土地で本件と関係ないオブリビオンが存在することは考えにくい。仮にそうだとしたら、既に彼らとは別の依頼を受けた猟兵がいるはずだった。
 そうでない、ということは、この天魔は今回の事件に何らかの形で関与しているはずだ。
「……行ってみるか。どこかへ向かっているのかもしれない」
「ええ、案内役になってもらいましょう」
 シエロ・シーカー(f03217)の提案にカリオン・リヴィエール(f13723)が乗る。
 猟兵の方針は決まった。
 幸いにして、オブリビオンは彼ら猟兵に気づいている様子はない。まずはオブリビオンの追跡。どこへ向かっているかを見届ける。
 当然、罠の可能性もある。しかし焦って天馬に襲い掛かり、それで本命の歌声の主に気取られ、歌が止んでしまえば手がかりが潰えることとなるのだ。ならば、やはりこっそりと追跡するのが良いだろう。

●辿り着く先
「オー!」
 ファランスが思わず歓声を漏らした。
 天馬を追跡する内、森のあちこちに散っていたのであろう別の天馬が合流し、群を形成するようになっていた。そして森の中ではあるが、視界が開けた場所へと辿り着く。
 そこには、これまでの陰気臭い森とも、活力を失った村とも違う光景が広がっていた。
 整備された畑。作物は丸々と実り、小川が流れ、まるでオアシスのような、栄えた集落がそこにあった。
 歌は、この集落から聞こえているようだった。
「あれを見てください。もしかして……」
「もしかしなくても、そうだろうな」
 ヴォルフが指さした先。そこには、複数の若い男性が笑顔で鍬を振るい、畑を耕す姿があった。
 これまでの情報を総合して判断したリサは、小声で肯定。
 彼らは恐らく、森へ消えた村民だ。
 嬉しそうに、楽しそうに畑を耕す男達だったが。
「あっ」
 猟兵の誰かが声を上げそうになり、慌てて口元を手で押さえた。
 働いていた男の一人が、笑顔を顔面に張り付けたままその場に倒れたのだ。
 集落へ辿り着いた天馬がその男の元へ寄る。すると周囲の男達が、倒れた男をオブリビオンの背に乗せた。そして天馬は、男を乗せたまま集落の奥へと消えてゆく。
「まさか、オブリビオンと人間が共存している?」
 アリウムの目から見ても、理解の追いつかないことだった。
 通常であれば、人はオブリビオンを恐れ、またオブリビオンは人を襲う。だというのに、そういった様子は一切見られなかった。
 まだだ。まだ出て行くには早い。
 もう少し様子を見ていると、奥へ運ばれていった男が天魔を引き連れて戻って来た。あの、笑顔のまま。
 その間は十分にも満たない。
 そして彼はまた鍬を持ち、畑を耕していく。
「自然に回復するにしては早すぎるね。それに、何だか全員が同じ顔で笑っていて、気味が悪いよ」
「これも恐らく、オブリビオンによるものだろうな」
 頭上に疑問符を浮かべるスミコ。
 カリオンが推測を述べる。
 この状況を見て、仮説を立てるとしたら。
 まず、ここに集まった村民達はオブリビオンによって強制的に労働をさせられているということ。さらに精神操作を受けている可能性もある。だから限界を超えて働き、その結果倒れたとしても何らかの力で治療を施され、すぐに労働力として復帰させられている。
 恐らく、集落の奥にはボスがいる。天馬は、それに使役される使い魔といったところか。

●激突、青き天馬
「案内どうも」
 いずれにせよ、この天馬を討伐しないことには先へ進むことができない。
 シエロは呟くと同時に集落へ踏み込み、手近なオブリビオンを点灯夫の棒で殴りつけた。
 さらに【縛鎖】で無数の鎖を放ち、天馬の動きを封じる。
「戦いは力だよ兄貴ィ!」
 その隙を狙って飛び出したファランスは【天眼通】を発動。角ばったメガネを装着することにより、その攻撃力は倍増。
 ダブルヘッドハンマーを思い切り振り上げ、鎖に縛られた天馬を粉砕する。
「突進が来るぞ!」
「機動力の勝負でボクも負けるわけにはいかないんだよ!」
 カリオンが【絶望の福音】で見た未来から、敵の攻撃を告げる。
 応えたスミコはワイヤーを射出、さらに持ち手の蒸気を噴射して飛び上がった。数瞬の後、彼女が元いた位置を天馬が猛烈な勢いで通過してゆく。
 飛び上がりながらアヴェンジングフレイムを抜いた彼女は、土産とばかりに天馬の背へ炎を纏った弾丸を打ち込んだ。
 それは天馬の全身を包み、火だるまの様相を呈する。
「そんなに熱いですか? それならば、冷やしてあげましょう」
 指先を天馬に向けたアリウムが告げる。そこから放たれたのは、氷の魔力を帯びた弾丸だ。
 炎に包まれた天馬が、今度は凍り付く。
「終わりです!」
 ヴォルフが、氷像と化したオブリビオンへ死霊蛇竜を召喚して突撃させる。
 天馬は砕け散り、氷の欠片として消えた。
「……妙だ」
 戦闘が繰り広げられる中、リサは違和感を覚えていた。
 これまでの天馬の動きは、猟兵を敢えてこの集落へ誘いこんだようにも見える。だとしたら、いったいどのような目的があったのか?
 罠にしては、敵の本丸まで誘い込んだようなものだ。そこまで踏み込ませる罠などあるのか?
「おいリサ! ぼーっとしてると危ないゾ!!」
 ファランスが声を上げる。
 ハッとしたリサは、眼前に天馬が迫ってきているのを見た。反射的に【パラライズ・ボム】を投げつける。
 フラスコの中に入っていた液体が、オブリビオンを痺れさせて動きを止める。
 その隙にシエロやアリウムがオブリビオンに駆け寄り、確実にトドメを刺してゆく。

 猟兵が強かったからなのか、それともリサが感じたように、何か敵の策なのか。
 天馬は強敵と言えるような強さではなかった。ほとんど猟兵に被害はなく、オブリビオンの数はあっという間に半数以上を潰すことができた。

 そんな時だ。
 彼女が、彼らの前に姿を現したのは。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『繁栄の代行者・ラグナソピア』

POW   :    繁栄の時、来たれり
【周囲を鼓舞し能力を引き出す声援】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
SPD   :    栄耀の時、来たれり
【正】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【光輪】から、高命中力の【限界を超えて能力を引き出す光】を飛ばす。
WIZ   :    最盛の時、来たれり
【死亡させた人々】の霊を召喚する。これは【自身が創造した肉体】や【他者に憑依する事】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリーヴァルディ・カーライルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●繁栄の代行者
「はい、皆様、そこまでです。天馬さん達も、もう良いですよ。さぁさぁ、下がってくださいな」
 集落の奥から現れたのは、清廉な雰囲気を持つ少女だった。
 美しく澄んだ声。歌声の主に相違なかった。
「猟兵の皆様、ようこそ、繁栄の村へ。手荒な歓迎をしてしまいまして申し訳ありませんでした」
 オブリビオン――にしては、少々様子がおかしい。
 妙に好意的に見える。
「皆様はご覧になられましたよね。この村へ移住なさった方々の、幸せに労働される姿を。凡そ、ようやく辛く苦しい暮らしから解放されたこの村人達を連れ戻しにいらっしゃったのでしょう? 残念ですが、この方々はそれを望んではいません」
 周囲を見回す。
 先ほどまで畑を耕していた村民達は、鍬や鎌といった農耕具を武器に見立てて構え、猟兵らを睨みつけている。
 彼らの感情が手に取るように分かる。これは敵意だ。
「こちらの様子をお見せしたくて、天馬さん達に皆様をここまで案内していただきました。さぁ、貴方達が連れ戻そうとした彼らが、元の村へ帰ることを拒んでいる以上、お引渡しすることはお断りいたします。どうぞお引き取りください」
 あぁ。そこまで言って、繁栄の代行者である彼女は付け加える。
「もしも皆様の方からこの村に移住なさりたいということでしたら、喜んで受け入れましょう。さぁ、どうなさいます?」
 村民達は、彼女を守るように立ち塞がっている。
 彼らの行動は、仮説の通り精神操作によるものなのか?
 それとも……。
 救助対象でもある彼ら村民を無視してオブリビオンを攻撃することは不可能に近い。
 後ろに下がった天馬がこれ以上手を出してくる様子もない。
 かといって、下手に戦ってしまえば、村民を傷つける可能性もある。
 どうする。どうする……?
阿紫花・スミコ
相手に今のところ戦意がない以上、無闇に戦端を開く訳にもいかないかな。
まずは気になったことを確かめよう。

「この村人たちに害がないかどうか確かめたい。しばらく様子を見てもいいかい?」

・あの倒れた男の身に何があったのか
・村人たちの不自然な笑顔の秘密

を確かめたい。
交渉は理論的に。(コミュ力、言いくるめ)
調査は隠密に。(情報収集、学習力、聞き耳、暗視、追跡、撮影)

緊急時のために精霊銃をガンハイダー(迷彩化ガンベルト)で隠蔽しておく。

村に不信な点があれば、それを暴く。戦端を開くにはある程度の大義名分は欲しい。


ヴォルフ・クライト
『なるほどね…作戦としては悪くはない』

村民達に対して:
村民達の言動と表情と目や呼吸を見ながら交渉。
まず、『繁栄の村にどうして住むつもりになったか?』『以前の村にどんな不満があったのか?』といった当たり障りのない質問をしながら少女に操られているかどうかの見極めを行う。
操られているなら、村民の意識を奪う事を目的としてユーベルコードは使用せずに体術で村民達を昏倒させる。

戦闘:
少女を倒すべく敵と判断すると同時に【ライオンライド】を召喚し、少女の側まで一気に接近する。
ライオンライドで騎乗した状態のまま、敵の相当完了まで容赦なく徹底的に攻撃を行う。



他参加者との連携:歓迎



●村民の真実
 目の前にオブリビオンの頭がいる。倒すべき敵を前に、しかし救い出すべき村民達が立ち塞がる。
 そのまま手を出せば、村民を傷つけることになるだろう。
 繁栄の代行者の提案は、撤退か、降伏か。
「なるほどね……作戦としては悪くはない」
 ヴォルフ・クライト(f03355)はそう吐き捨てた。
 これでは猟兵には易々と手を出せない。わざわざ集落に招き入れたのも、この状況を作り出し、部外者をさっさと帰らせようという意図が見える。
 何とか村民の壁を掻い潜ってオブリビオンだけを攻撃できないものか、と考える猟兵もいただろうが、それを制するように声を上げたのは阿紫花・スミコ(f02237)だった。
「この村人たちに害がないかどうか確かめたい。しばらく様子を見てもいいかい?」
 状況が状況だ。このまま引き下がるにしろ、戦うにしろ、ハッキリさせておかなくてはならないことがある。
 周囲の承諾を得たスミコは、村民へ質問を投げかけることにした。会話の中で何か得られるものがあるかもしれない。
 この状況を打破する手立ても。
「えっと、さっき、そこで倒れた人がいたよね。あの人、すぐに復活したけど、何があったの?」
 農具を構える村民の中に、スミコの指摘した人物はいた。
 労働中に倒れた。恐らく、体力の限界だったのであろう。人間であれば、回復まで数日を要するはずだ。
「繁栄の代行者様のおかげだ。その歌声を聞くだけで、力が湧いてくる。何度疲弊して倒れても、すぐにまた働くことができる。素晴らしいことじゃないか!」
「休みなく労働したいから、この集落に移住したのですか?」
 回答に間髪入れずヴォルフが疑問を挟む。
 まるで働くためにここに住み着いたかのようだ。しかし、労働ならば元の村でもできたことだろう。
 あの狭い村に、死ぬほど働きたいという者が何人もいたとは思えない。ざっと見まわすだけでも、この集落への移住者は十人はいる。
「ここは、働いた分だけ作物が実る! 働いた分だけ豊かになる! 働いて働いて、ちゃんと成果が出ることがこんなに嬉しいだなんて、俺らは知らなかったんだ」
 そう叫んだ村民の言葉には、真実味が宿っていた。嘘を言っているわけでも、言わされているわけでもなさそうだ。
 あの張り付いたような笑顔も、遊園地へ連れていってもらった子供のように、限界を超えて遊び回るように、彼らの充足感、そして倒れてもすぐに動けるという安心感がそうさせていたように見える。
「と、いうことは……」
「精神操作じゃ、ない。この村民達は、本心でここにいたいと思っているようですね。それならば、仕方ありません」
 凡そ知っておくべき情報は引き出せた。
 そう判断したヴォルフは地を蹴り、手近な村民に当身を食らわせた。
 急なことだったからか。村民はそのまま目を回して昏倒する。
 傷をつけずに無力化するしか、ない。

 そこに至るまでのやり取りを、繁栄の代位後者はニコニコと笑みを浮かべて傍観していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リサ・ムーンリッド
解せぬな。徒歩でもそう遠くない場所に移住しておいて元の住処と交流を持たないというのは。
これは私の知る人の社会性に当てはまらない。
この豊かな土地も、特に隠されてもなさそうなのに情報がなかったのも解せぬ。
幻影を疑ってみよう。恐らく私達は既に踏み込んでしまっている。

違和感への探究心>超えられない壁>かわいい、なので冷静。

よし、敵のメンタルを掘ってみよう。

さてさて、繁栄の代行者どの。貴方の心を見せてもらいたい。イデアよ、彼の者の記憶を提示せよ!
【イデアの模倣】を利用(イデア論のイデア界へ接続する技)。
トラウマの一つでも掘り出せたら良いね。
【使い方次第のキューピット的な弓矢】も機会があれば


アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

我々猟兵では創造し得ない楽園を構築できたのなら驚嘆の域です。
しかし何か違和感があります。
一旦退いて外から村を監視するか、それとも……。
彼女、ラグナソピアは村への移住を勧めています。これを利用しましょう。
外より内に入り『情報収集』する方が隙を見つけやすいはず。
『礼儀作法』を駆使し、恭順の意志を示しましょう。
もし敵が私達猟兵に敵意や害意を与えてくる時はホワイトブレスで迎え撃ちます。
村人へは本人と断定するまでは手加減し、元凶の主には殲滅するまで油断しません。
ホワイトパスや『第六感』で警戒しつつ、不意打ちには気を付けます。
また他の猟兵と協力し、孤立する事の無いよう気を付けたいですね。



●実在性証明
 猟兵が動き出したことで、村民達の警戒はさらに厳となった。
 もう一歩でも近づいてみろ、遠慮なく殺すぞ、と言わんばかり。その表情には確かな殺気が宿っていた。
 彼らにとっては、世界が救われることよりも、今が幸福である方が遥かに大事なのだろう。
(解せぬな。徒歩でもそう遠くない場所に移住しておいて元の住処と交流を持たないというのは。これは私の知る人の社会性に当てはまらない……いや、だからこそ、なのか?)
 リサ・ムーンリッド(f09977)は考察する。
 確かに、村からの距離は半日とかからない。森の奥であるから迷いやすくはあるが、互いに連絡を取る手段はいくらでもあっただろう。
 これだけ豊かな土地があるのならば、元の村でも何か情報を掴んでいてもおかしくはない。
 しかし、逆に考えれば。もしこの肥沃な土地の情報を開けっぴろげにしてしまえば、村だけの問題ではなく、周囲の集落と争いに発展する可能性もある。
 だから独占しようとしたのかもしれない。
「少し待ってください。私は、この村に移住しますよ。そちらから誘っていただいたのですから、異存はありませんよね」
 驚くべきことに、アリウム・ウォーグレイヴ(f01429)はオブリビオンの言に乗った。両手を挙げ、敵意がないことをアピールする。
「本当によろしいのですか? ……では、天馬に案内させます。どうぞごゆっくり、村を見て回ってください。きっと気に入りますよ」
 さらに。繁栄の代行者は快諾した。
 二匹の首なし天馬がアリウムの左右につき、村の奥へと誘ってゆく。
 当然、アリウムは礼の限りを尽くして恭順の意を示しているが、本気ではないだろう。恐らくオブリビオンもそのことを見抜いているに違いない。
 だというのに、この余裕は、何だ?
「さて、繁栄の代行者どの。貴方の心を見せてもらいたい。イデアよ、彼の者の記憶を提示せよ!」
 まだ納得のできないリサは、【イデアの模倣】を発動。それは敵の真実在を証明するユーベルコード。
 天上界から見た、オブリビオンの正体を映す鏡だ。
 そうして再現された、オブリビオンの狙いは……。
「やはりか。ろくでもないな」
 リサはそう結論付ける。
 そこに現れたのは、痩せこけて地を這うように死んでゆく人々の姿。
 オブリビオンの狙いは、村民を限界まで使い潰し、己の欲のために使役し、最後には廃棄するというものだ。
「諸君、見たまえ! これは、諸君らの遠くない未来の姿だ!」

 一方で、村の奥へ案内されたアリウムも一つの結論を出していた。
 いくつかの建造物も見られる。食料の備蓄された蔵があったが、それ以外の建物はもぬけの殻。人の死体もなかった。
 ということは。あの農具を構えた村民達は、偽者ではなく、本物。
 そして、先ほどの猟兵らによる問いかけから、彼らは精神操作を受けたのではなく、純粋に自らの心で行動しているのだ。
「こうやって、揺さぶるつもりでしたか。私達には、手出しができないと。……ですが」
 ユーベルコード【ホワイトブレス】で天馬を凍りつかせ、アリウムは仲間と合流すべく走る。
 裏が取れた。
 伝えなくては。そして、考えなくては。
 彼ら村民達を傷つけず、オブリビオンだけを倒し、何もかも元通りにする方法を。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カリオン・リヴィエール
村人の無事を図りつつ…ですか。どれだけ敵意を表していても、気味の悪いものを見たら多少は怯むのではないでしょうか。
ということで、真の姿を解放します。黒い靄のようなあやふやな輪郭の異形に変わります。ユーベルコードも使用します。村人を傷つけずに敵の急所を狙います。


シエロ・シーカー
…じゃあ、僕は全てにおいて『お断りします』。

まず、村人達をどうにかしようか
歌声の主が歌で村人達をここへ誘ったならこちらも歌で誘ってみよう
【歌唱】で【催眠術】を
女声より低く男声より高い…そんな歌声で
もし効果がない場合は手荒な真似をしたくはないが…手刀で【気絶攻撃】

村人達の次は歌声の主
予め、僕の身体に封印されている鎖の【封印を解く】
そして、【目立たない】ように【忍び足】で背後に回ってみる
背後に回れたらUC『縛鎖』を発動

※誰かと共闘可



●繁栄への追悼歌
 情報を総合してみると、この村民達はやはり自らの意志でこの集落に帰化しようとしている。また彼らが偽物である可能性も低く、如何にして村民らを傷つけずにオブリビオンを倒すか、ということに焦点を置かねばならないだろう。
 つまり、人質を取られたも同然。先ほど、彼らは自らの末路を見せつけられたが、全員がそれを天から信じたわけでもない。
 繁栄の代行者が余裕を見せていたのも、この厄介な状況によるものだろう。
 やはり撤退か、降伏か。
「じゃあ、僕は全てにおいて、お断りします」
 そう言ってのけたのはシエロ・シーカー(f03217)だ。
 オブリビオンに提示された選択肢も、村民達の選択も、何一つとして受け入れるつもりはない。
 むしろ、選択肢はこちらが提示する。そして選択させる。
 彼ら村民達は、人質ではあるものの精神操作を受けていない。突破口はそこにある。
 シエロは、女性にしては低く、男性には高い不思議な響きで歌い始めた。
 それは、催眠効果を有する歌声。これを聞かせれば、オブリビオンはともかく一般人くらいならば多少精神を操作することもできよう。
「やめろ!」
「その歌を歌うな!」
 このままでは精神を蝕まれ、折角手にした繁栄の集落を失うと直感したのであろう。村民達は悲しく叫ぶ。
「それは厄介ですね。おやめいただきますよ」
 仕入れた奴隷が操作されることは、オブリビオンとしても面白くない。
 繁栄の代行者がシエロへと手を向ける。
 が、そこに立ち塞がる者があった。
「こっちは通行止めだ」
 黒い靄のような異形。それは真の姿を解放したカリオン・リヴィエール(f13723)だ。
 これを見て怯んだのはオブリビオンだけではない。
「あ、うぁ……っ!」
 シエロの歌に意識が混濁した村民達もだ。通常であれば決して目にすることがないものを前にして狼狽える彼ら。最早農具を握ることすらも忘れている。
 このチャンスを逃すわけにはいかない。
 歌を紡ぎながら、シエロが【縛鎖】を発動。放った鎖でオブリビオンの動きを封じる。
 続いてカリオンが【古の殺戮者】の霊を召喚。短剣を構えたそれが、難なく村民らをすり抜けて、身動きの取れないオブリビオンに突出。
 短剣は、繁栄の代行者の胸に深々と突き刺さった。

●その後
 オブリビオンの消滅は、集落の消滅も意味していた。
 それまで畑に実っていた作物は一瞬にして枯れ、蔵に貯蔵されていた食料も腐ってしまった。
 全ては、オブリビオンの見せた幻想だったのだ。そこには繁栄も幸福もない。一夜の夢に過ぎなかった。
 救出した村民から、礼の言葉はなかった。
 幸せな夢ほど、覚めて後味の悪いものはないのだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日
宿敵 『繁栄の代行者・ラグナソピア』 を撃破!


挿絵イラスト