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鉄血戦記~ASSAULT WAVES

#クロムキャバリア #トリアイナ

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#クロムキャバリア
#トリアイナ


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●作戦開始前
「まさか、奴らのアジトが国外ではなく国内だったとはな」
 ゴンゴンと鳴り響くスクリュー音の振動と波に揺られる中、『トリアイナ』海軍に所属する強襲揚陸艦のドッグ式格納庫に収容されたCavaria Landing Air Craft…通称CLACと呼称されるキャバリア四機分を輸送可能な揚陸ホバー艇に、量産型キャバリア『ピースメーカー』が積載されている。そのコクピット内でパイロット達が小隊通信による会話を行っていた。

「聞き伝手の話だと、領海内の警備を取り仕切る保安部の重役共に多額の賄賂を送ってたそうだ。内部監査でソイツが明るみになって、今まで甘い汁を吸ってきた連中は逮捕。芋づる式に居場所も露見されたって事さ」
 様々な国との交易を行う海洋貿易国である『トリアイナ』と『マリーン・ユニオン』。両国の交易海路において、運搬する貨物を奪う海賊被害が後を絶たなかった。散発的とは言えその被害は無視できるものではなく、両国は血眼になって周囲の無人島と行った場所を重点的に海賊らの根城を捜索してきたが今まで発見できずに居た。しかし、企業体国家であるトリアイナ本社内に不審な資金の流れがあると密かに動いていた査察部により、事態は急転することになったのだ。
 それは国境に近い半島にある大戦中に破壊し尽くされて遺棄された筈の廃プラント港であったのだが、海賊たちはその機能を復活させていたと言うものだ。当然ながら国境海域を警備する艦艇は見過ごす筈がないのだが、海賊活動で得た多額の利益を以って重役や艦長に賄賂を送っていた事が発覚。その重大な不祥事は外部に報じられることもなく『何時ものように』社内処理される筈であるが、いつの世も人の口に戸は立てられぬものだ。

「ただ、マリーン・ユニオンはトリアイナの大口取引先だ。どんなに箝口令を布こうが、この俺の耳に入ったかのように相手方にも何れ話が伝わるのも時間の問題さ。お前ならどうする? 俺ならこうするね。半分だけ事実を伝え、残り半分は作り話にするってな」
 彼が言うにはこうだ。何れ情報が漏洩するならば、同じく被害を被ったマリーン・ユニオンに海賊の根城を国内で発見したと打診し、海賊討伐の共同戦線を持ちかけると言うものだ。だが、賄賂を貰っていて見て見ぬ振りをしていたという重大な事実を伝えず、警備の手薄な個所を潜り抜けられていたと改竄されてだ。
 尤も、この両国の共同作戦において多大な被害が出ると予測されるのは、半島に上陸して海賊の手により要塞化された港を襲撃する部隊である。その役割をトリアイナが担うことで、例え真実が明るみになったとしても血の代償で支払ったとして関係を崩さない為の保険となる訳であるが、その流される血はトリアイナの者が流すことはない。

「道理でいつもよりギャラが奮発されてたのは、ケツ持ちの他に口止め料も込みって訳かい。それならもうちっと吹っ掛けてやりてぇよな」
「そう愚痴るなよ。トリアイナの首が回らなくなりゃ、俺達『ヘキサ』の連中も困る事になるし、同盟関係による経済支援を受けても未だ内戦の傷跡は深い。戦うことしか能の無い俺達に出来るのは、金持ち連中の代わりに血を流すことぐらいしかないだろ?」
「ああ、分かった。お前達の言い分は分かったが、そろそろ作戦予定時刻だ。『撃鉄を起こす』為に各機は報告」
 次第に熱を帯び始めてきた隊員らの愚痴話だったが、それは隊長機により部下達へ点呼を促す形でお喋りの時間は終わりだと告げられた。

「チェッ。ルフス機、異常なし」
「ウィリディス機、問題なし」
「カエルラ機、船のデッキが開かなくなりゃバントラインで何時でもぶち抜けるよ」
「そうならない事を願うばかりだ。こちらキュクロプス隊アルブム班。当小隊の撃鉄の準備は完了した」
 各小隊の報告が終わると強襲揚陸艦最後尾のウェルドッグのハッチが開放され、眼前には目指す半島が水平線より頭を覗かせている。各キャバリアを載せたCLACは滑るように注水が終えたスロープを降り、上陸ポイントに向け出航するのであった。


●グリモアベースにて
「羅針盤戦争の疲れがまだある中、お集まり頂きありがとうございます」
 シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)は集まった猟兵達に深々と一礼をし、先月を通してまた激戦を潜り抜けた彼らをねぎらいの言葉を送った。ただ、猟兵らを集めたのはその為ではない。予知によってオブリビオンの新たな活動を察知した為だ。

「海洋貿易国家トリアイナ、同じくクロムキャバリアの海洋国家であるマリーン・ユニオン。この交易路において海賊による積まれた物資や乗員の身代金要求といった貨物船襲撃が多発し、両国共に頭を悩ませていました。ですが、トリアイナ側により自国内の国境沿いにある戦乱の傷跡が深く残る廃プラント港を根城にしていると判明され、両国は連合艦隊を編成し海賊討伐に踏み切りました」
 今までは他国や公海上の島々を根城にしていたものと思われていたが、まさに灯台下暗しと言ったところである。本来であれば今まで見過ごしてきたトリアイナで海賊討伐をするのべきであるが、戦乱に渦巻くクロムキャバリアの情勢を鑑みれば経済的に成功しているとは言え、消耗品と言っても過言ではないキャバリアパイロットを隣国の傭兵国家『ヘキサ』に頼らざるを得ない慢性的な人材不足の国情としてはそんな余裕などない。
 そこでトリアイナが強襲揚陸艦を以って虎の子の機械化混成部隊である海兵隊を海賊の基地施設より後方に上陸させる強襲作戦を、マリーン・ユニオンは海上から上陸部隊への砲撃支援並びに海域封鎖を行う半島ならではの立地を生かした陸と海の挟撃作戦が展開されることとなった。本来であれば万全に万全を喫した二国の軍事力の前に、軍人崩れやならず者の集まりである海賊らは成すすべもなく討伐されるだろう。
 だがしかし、そうならないのが予知されたのだ。そう、オブリビオンマシンの存在だ。

「今までは頭目は一機のみでありましたが、今回は二機の存在が確認されています。陸上機と水陸両用機のオブリビオンマシン。どうやらお互いに海上と海中からの船舶襲撃を分担して行っていたらしく、その連携は息の合った物です。我々猟兵が作戦前に転送して事前に倒すにもしろ、一騎当千の戦力であるオブリビオンマシンを二機同時に相手すればこちらも多大な犠牲を払われるのは必定」
 ですが、とシグルドは続ける。

「幸いにも両国も陸と海からの作戦を展開しています。これに乗じ、二機のオブリビオンマシンをうまく分断させ撃破すれば問題なしです。転送は一つのポイントにしか出来ませんが、奇遇にも同じ予知をしましたグリモア猟兵の協力を得られました。私がトリアイナの上陸部隊を、あちらがマリーン・ユニオンの艦隊を担当する運びとなります。猟兵による作戦参加の手助けに就きましては、お互いに国々の関係者へ話を通していますのでご心配なく」
 ただ、両軍の歩調をうまく合わせなければどちらかに作戦の支障を来す事態になるであることを添えて説明を締め括られた。

「彼らを逃せばここでの活動は潮時見て、何処の地でまた海賊行為を行うでしょう。両国以外の国へと被害を広げない為にも、作戦の成功を祈ります」
 そうしてシグルドは、猟兵たちを作戦準備中であるトリアイナの軍港へと転送するのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 日中の気温が10度を超える日が多くなり、北国にも春の萌しが訪れました。
 まだ山から吹き下りる風が冷たいですが、そろそろ春の味覚である山菜が芽吹くのが待ち遠しいですね。

●シナリオ概要
 クロムキャバリアの新フレームより、同じ戦場内にて月城祐一MSがお送りするシナリオ『鉄血戦記~波濤を越えて』との合わせシナリオとなります。
 小国家が互いに軍を展開する共同作戦。
 猟兵たちは両軍の支援を行いつつ、それぞれで待ち構える強大なオブリビオンマシンを撃破して作戦を成功へと導きましょう。

●戦場の情報
 第一章目は冒険フレームとなります。
 こちら側のスタートは作戦準備中の段階ですので、共に強襲揚陸艦へ乗船するなり密かに半島内へ潜入して上陸地点で海岸堡を確保するなり可能です、
 母艦である強襲揚陸艦から別働隊として発進した、トリアイナ海兵隊に所属するキャバリアや戦闘車両などで編成された機械化混成部隊『キュクロプス隊』を乗せたCLAC揚陸ホバー艇群。作戦遂行には彼らの力が必要となる為、部隊に随伴しながら上陸作戦を援護して進軍させる流れとなります。
 上陸さえすれば敵の背後を突く事になりますので、その際に敵基地の観測所やミサイル発射器の破壊、後方のかく乱でその存在を明らかにすれば、敵は浮足立ってユニオン艦隊への攻撃の手が緩んで有利に働くかもしれません。

 第二章目は『集団戦』フレームとなります。
 敵基地内へ進行しての戦闘となり、月城祐一MSの一章目で損傷を免れた艦隊による援護射撃が行われます。その結果は冒頭での断章内でお知らせ致します。

 第三章目は『ボス戦』フレームとなります。
 海賊を率いるオブリビオンマシンの片割れとの戦闘です。
 二章と三章共に、状況が進展した際に逐次情報の開示を行いますので、こちらもご了承ください。

 また今回のレンタルキャバリアは『ピースメーカー海兵隊仕様』となります。
 強襲性を高める為、機体の軽量化によって機動性と運動性が強化され、盾は取り回しを考慮した小型な物でシールド先端部による打撃が可能です。
 武器のハンディマシンガンも取り回しの良いカービンモデルになっている他、携行型長距離支援砲『バントライン』やバックパック換装式の低圧ショルダーキャノンなども選択可能です。

 それでは、浅春の寒さに負けない皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『友軍部隊の上陸作戦を援護せよ!』

POW   :    重装甲・高火力を活かし、友軍上陸部隊の随伴護衛を担当する

SPD   :    機動力を活かし、別動隊として上陸。友軍の侵攻拠点や侵入路を確保する

WIZ   :    情報収集力・指揮能力を活かし、友軍を安全な上陸地点へと誘導する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 トロイエ級強襲揚陸艦一番艦『トロイエ』、二番艦『テウセル』、三番艦『ダルダニア』、四番艦『イリオス』。合計四艦からなるトリアイナ艦隊より複数のCLACが漲水されたウェルドッグより発進されたと同時に、甲高く唸っているタービン音を掻き消すかのような劈く音が空を切り裂いた。
 それは亜音速で飛来するミサイル群で、先遣上陸隊を載せたCLACの頭上を通り過ぎていった。向かった方角は友軍のマリーン・ユニオン艦隊が配置されている海域だ。

「廃港が要塞化されているとはいえ、いくらなんでもこの量は冗談すぎやしないかい?」
「襲撃された輸送船の積荷に輸出用の軍用品が多数あったとチェックされている。それらをブラックマーケットに全て流さず、根城が露見された為の防衛手段として取っておいたのだろう。ルフス、進行方向の金属反応は確認できたか?」
 小隊長機からの問いに、CLACの前方を強化センサー型モノアイで観測を継続させながら僚機が返答をした。

「ええ、ばっちし機雷原が見つけましたとも。浮遊させず海の中に隠す係維機雷なのが、またいやらしいと来たもんだ」
 これも恐らく奪い取った物だろう。問題はこれらが船底に突起が接触すると爆発する単純なものか、それとも音響センサーで感知したり艦艇が航行することにより発生する負水圧を感知して起爆するスマート機雷か。流石にそれまでは引き上げてみなければ判別が付かない。

「ホバー揚陸艇なら触雷の危険性はないだろうが、万が一もありえる。海賊共の鳴子には手を出さずに迂回するぞ」
「隊長、それでは上陸予定時刻より時間が……」
「沈むよりはマシだ。このCLACは輸送力が特化されている反面、迎撃用の武装は搭載されていない。俺たちの上陸が失敗すれば、今陽動として矢面に立っているユニオンの連中と後続の同胞に顔向けは出来ん」
 これは第一波だ。各CLACの母艦であるそれぞれの強襲揚陸艦では、第二陣、第三陣となる上陸部隊が、先遣隊を載せたCLACが無事送り届けて戻ってくるのを待ちわびている。

「まぁ、連中も自ら仕掛けた機雷で身動きが取れなくなるバカな真似はしないだろ。抜け穴を見つけ出せば、そこから突っ切れるかもしれませんぜ」
「そうなれば責任は重大だな、ルフス。しっかり目を見開きながら見つけろよ」
 へいへいと軽口を叩きながらも、彼は各小隊の観測手が捉えた情報とデータリンクを行いつつ観測を継続させる。

「ウィリディス、カエルラ。ここから港を狙えるか?」
「隊長、無茶言わないで下さいよ。距離は十分ですが、ただでさえ不安定な揚陸ホバー艇の振動で照準がブレにブレています。反動を抑えられる低圧ショルダーキャノンなら兎も角、カエルラのバントラインでは衝撃で横転する恐れがあります」
「こいつ、言いやがったな? こういうのは構え方と踏ん張り方でどうにかなるもんさ」
「分かった、分かった。上陸したら二人はユニオンへの支援砲撃を港へぶち込んで、いい気になっている海賊共に一泡を吹かせろ。それまではハンディマシンガンで流れ弾のミサイルを迎撃だ」
 今まで共に死地を潜り抜けてきたから、それとも戦場に身を置いた時間が長い事からの慣れか。各員は冗談めかしつつそれぞれの任務に当たる。一癖も二癖もある部下を纏め上げるアルブムはキュクロプス隊の各小隊長に、そして上陸作戦に随行する猟兵らに向け連絡無線を行うのであった。
シル・ウィンディア
大掛かりな作戦だね
…よしっ!いくよっ!
シル・ウィンディア、ブルー・リーゼ、行きますっ!!

背部の大型スラスターを吹かして【推力移動】の【空中戦】で最大戦速に持っていくね
速度重視、停まらずにゴーだねっ!
高度には十分注意するね

拠点が見えたら…
【魔力溜め】でチャージしたビームランチャーで
敵レーダー施設っぽいものを【スナイパー】で狙撃

その後は接近しつつ、ホーミングビームの【誘導弾】を【一斉発射】でばら撒いていくね
中距離になったら、ビームランチャーも連射モードのして
ホーミングビームと同時発射で派手に行くよっ!

敵の攻撃は【残像】を生み出した機動力で攪乱回避

大型ミサイル施設は
【高速詠唱】の《指定UC》で攻撃



「大掛かりな作戦だね。まるで映画みたい」
 シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は強襲揚陸艦の甲板上から、艦艇の船尾から次々と発進されて列を成すCLAC群を一望していた。彼女が今乗艦しているトロイエ級強襲揚陸艦は、船内のドッグ式格納庫の他に全通飛行甲板も兼ね備えるヘリコプター揚陸艦としての機能も有している。平時の際は平面である事を利用して、コンテナを積んだりドッグには格納しきれない物資を積載して運搬する武装輸送艦として任に就いているそうであるが、いざ有事になると攻撃用ヘリコプターや兵員輸送用ヘリコプターでひしめき合っている有様だ。
 しかし、これらはCLACと共に行動を起こさない。海賊達の根城に対空警戒及び対水上捜索レーダーがある恐れがあるからだ。それらに捉えられれば成すすべもなく対空兵器の餌食となり、また海面スレスレで飛行してレーダーを掻い潜ったとしても目視されて狙い落とされるのが関の山だ。故に上陸部隊とマリーン・ユニオンの艦隊により、それらが無力化するまではこうしてエンジンを唸らせながらすぐ発艦できるよう待機しているという訳である。

「…よしっ! いくよっ! シル・ウィンディア、ブルー・リーゼ、行きますっ!!」
 甲板上から両手に持ったライトスティックで誘導指示を送るマーシャラーにより発艦指示が伝達されると、シルは愛機であるブルー・リーゼの操縦桿を強く握りしめた。コクピットに管制所より送信されるシグナル色が赤から青に変わると同時に背部の大型スラスターを蒸すと同時に、強烈なGが小柄である彼女の身体に重く押しかかってくる。飛行型キャバリアを発艦させるための蒸気カタパルトにより漏れた熱せられた蒸気が、スラスター排気偏向板と呼ばれるスラスター炎から後方作業員を守る甲板からせり出した板によりカタパルトを包み込む中、その先に居るブルー・リーゼは更に加速を強める。
 発艦による瞬間的なGより脱したシルは高度を下げて切った風が海面にぶつかり合い波しぶきを立たせる中、海岸線を目指すCLACとは別の方角……海賊たちの拠点である港に向け進行した。

「ブラースク、チャージ確認。スナイパーモード起動。これで何時でも狙い撃てるね」
 シルの考えはこうだ。上陸部隊を満載にしたCLACの最高速度は約50ノット、時速に換算すると約90km/sである。だが、ブルー・リーゼはそれよりも速い。暴走衛星「殲禍炎剣ホーリー・グレイル」による感知を避けるために全速力を発揮できないが、彼らよりも早く半島に到達することが出来る。そして、彼女の頭上では雲霞の群れの如く、海賊らが放っているミサイルが通過している。ならば、ブルー・リーゼの速力を以って上陸部隊よりも先行し、攻撃に晒されているマリーン・ユニオン並びにCLACの驚異となる物を破壊及び排除しちゃえと。幸い、彼女に向かいミサイルが誘導されてこないのは、水面スレスレで飛行することでレーダーに捉えられていないということであろう。
 程なくして狙撃モードとなったブルー・リーゼのカメラアイが海賊の施設内を捉えた。一際高い建物の上でくるくると回っている網のような物がレーダーであろうが、その下で立ち昇る発射煙にはSSM、地対艦ミサイルが次弾装填を行っているのだろうか?

「まずはレーダーを潰して、相手の目を奪わないとね」
 ビームランチャー『ブラースク』の照準をレーダーに合わせると、シルを介して魔力をエネルギーに変換された光弾が機体よりも疾く放たれ、その残光が海面を照らした。レーダーは基部より撃ち抜かれ、残された残骸が土台を喪ったことで地面へと落下してくのが見える。これにより海賊たちは突如何が起きたのか混乱するだろう。その追い打ちをかけるよう、発射炎が光る地点と発射煙が昇る場所をロックオンして矢継ぎ早に追撃を開始した。

「炎よ、水よ、風よ、土よ…。我が手に集いて、障害を撃ち抜けっ!」
 虹色の光を放つ全周囲攻撃型ホーミングビーム砲『リュミエール・イリゼ』。それにシルのUCにより四代元素の属性が付与されたものが、彼女の思考を解しながら狙い定めた複数のポイントに向かい撃たれる。程なくして着弾地点より爆発が起こり、その衝撃波がブルー・リーゼにまで伝わるとコクピット内を震わせた。
 ここまですれば、海賊はブルー・リーゼの存在を認知するだろう。そうなれば、当然行ってくるのは……。

「……来たっ! 機銃座群による十字砲火! ブルー・リーゼ、緊急回避だよっ!!」
 時折光っているのは観測用の曳光弾であろうか。港内に設置された多銃身機関砲から水道のホースから流される水のように放たれる銃弾がブルー・リーゼを追い、また予想進路の先を目掛けた各所からの対空砲火だ。ハリネズミさながらの機銃群に予想よりも激しい抵抗を受け、シルは機体を疾走らせながら反撃の糸口を探るが既に彼女の作戦は達成できている。海賊らにとっては拠点を襲撃してきた者であろうが、シルにとってはそれが目的ではなく手段だからだ。
 この襲撃によって、海賊たちは洋上への艦隊を捉える目であるレーダーが喪われた。加えて今や、彼らの注意は目の前の脅威である彼女自身に注力されている。これにより、上陸部隊のCLACを感づかれる危険も低くなったという訳だ。

「問題は、何時まで持ちこたえられるかな…っと!」
 無数とも言える機銃群より放たれる銃撃の嵐を持ち前の機動力による攪乱回避で掻い潜りつつ、連射モードに切り替えたブラースクでシルは反撃を行うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンネリース・メスナー
アドリブ&絡み歓迎

こういう任務は海兵隊や特務隊の仕事で、親衛隊の仕事ではありませんわ
と、文句を言っても今の身分では意味はありませんわね
アマランサスでも強襲はマリーネ型の領分ですが、ラピート型でもやれなくはないはずですわ、特に親衛隊のこの白いラピートならば

揚陸ホバー艇の上で、シールドを構えながらロングビームライフルでの狙撃を試みますわ
足元が不安定ですが、この程度は補正できずに何が親衛隊ですか
さて、どれが上陸の障害となるか……
……っ!此方を狙っていますわね!
その殺気っ、わたくしを狙おうなど不遜ですわ!
わたくしを狙った不幸を呪いなさい!撃たれる前に、先読みして先手を取って狙撃しますわ!


ティノ・ミラーリア
この世界の事情にはまだ疎いけど…敵を倒す、それだけははっきりしていてわかりやすいね。

この世界は初めてなのでレンタルキャバリアを使用。
事前に操作など基本の把握はしているけれど揚陸艦へ乗船した状態で最終チェック。
部隊とは少し離れた状態で上陸し、『バントライン』での砲撃とUCでの支援を主に行動。
猟兵としてアドバンテージがあるといえ、実戦でプロの動きを見て学べるのはいい機会だ。

戦闘を開始したら≪支配の鎖≫を発動して戦闘を支援。
敵機の足元など影の中からキャバリア用の拘束を放って無力化していく。

【アドリブ・連携可】



 まるで爆竹の破裂音、もしくはチェーンソ-の刃を回転させたかのように途切れることのない機関砲の筒音が港の内外に響く。そんな中、大気から小刻みに伝播する音の波を掻き分けるかのように、キャバリア一機分を載せる程の揚陸ホバー挺が二艇横並びになりながら沿岸を目指していた。この揚陸ホバー艇は、目下上陸地点を目指しているキュクロプス隊のキャバリア小隊を載せている物の小型版で、キャバリア一機分の積載量にまで落としたものだ。
 その反面、小回りや機動性には優れ、速度も同一エンジンを使っている分こちらの方が疾い。この様な特性からか、大部隊や大量の物資を輸送するものではなく少数精鋭の特殊部隊に用いられている。それぞれには、白と紫を基調として儀礼用と思わせる金装飾が施されたキャバリアに乗するアンネリース・メスナー(元エリート親衛隊・f32593)、陸戦用ピクセルデザインのデジタル迷彩が施されたピースメーカー・マリーンにはティノ・ミラーリア(夜闇を伴い・f01828)が乗り込んでいる。

「こういう任務は海兵隊や特務隊の仕事で、親衛隊の仕事ではありませんわ」
 どこか不満気味なアンネリースが零した小言を無線用マイクが捉え、それが周波数チャンネルを合わせているティノの耳に入る。

「そんなものなの? 僕はこの世界の事情にはまだ疎いけど…敵を倒す。それだけははっきりしていてわかりやすいと思うけど」
「ええ、それぞれに役割というものがありますわ。と、文句を言っても今の身分では意味はありませんわね」
 このクロムキャバリアの世界に足を踏み入れるのは初めてであったティノであったが、ダンピールとしてヴァンパイアの城で過ごしてきた知見からアンネリースのキャバリアを見る限りではそのような要職に就いていたのだろうと伺えた。
 彼が乗っているこのピースメーカーは特長が無いのが特徴を体現化させた設計思想であり、目立った短所はないが際立った長所もないとも評されている。良くも悪くもバランス型で不得手は無いが専科も無いとは言うものの、操作性は良く訓練を受けていないパイロット候補にも扱いやすく、そして何より頑丈で信頼性は厚い。彼がトリアイナの軍港で事前に操作を教わている際、その悪戦苦闘する姿を見てどう思ったのかは今となっては知らないが、アンネリースが助け舟を出して色々とアドバイスを送った。その縁で今では難なく動かせるようになったが、『実戦でプロの動きを見て学べるのはいい機会』として、今こうして行動を共にしている。

「アマランサスでも強襲はマリーネ型の領分ですが、ラピート型でもやれなくはないはずですわ。特に親衛隊のこの白いラピートならば……」
 そう呟きながら、アンネリースは自身のキャバリア『アマランサス・ラピート』の盾を構え、大型のロングビームライフルの銃口を港の方角へと向けさせた。非実弾装備でないにしろ足元が不安定であるには変わりなく、些細な揺れが着弾を狂わす中での狙撃だ。

「足元が不安定ですが、この程度は補正できずに何が親衛隊ですか。さて、どれが上陸の障害となるか……」
 アンネリースはそうブツブツ零しながらも狙撃モードで拡大された港湾設備の中に潜む獲物を物色していたが、ティノには自身にはとても出来ないことを実践しようととしている彼女は頼もしく思えた。しかし、それは突如として起こった。

「……っ! 此方を狙っていますわね!」
 ティノには一体何が起こったか分からなかったが、港で何かチカっと光った次の瞬間に揚陸ホバー挺の後方で水柱が上がって遅れながら理解した。こちらが狙撃されていると。

「僕も応戦しなきゃ…」
「いいえ、あなたは先に向かってください。ここは、わたくしが引き受けますわ」
 そう促すのも無理はなく、彼が手にしているのはバントラインと呼ばれる元は歩兵用の野戦砲をキャバリア用火器に現地改修したのが始まりと謂われるものだ。扱いに習熟しているなら兎も角、実戦経験が乏しいティノが撃てばその反動でバランスを崩して揚陸ホバー艇ごと横転させかねないとの判断であった。

「……わかった。無茶はしないでね」
「ええ、そちらこそですわ」
 こうしてアンネリースは囮として、ティノは上陸地点を目指しての二手に別れる。先行したティノに攻撃を向けられないよう、アンネリースは威嚇射撃を行って狙撃している者の注意を引き付けながらも殺気を感じようと意識を研ぎ澄ます。

「このちょこまかと……その殺気っ、わたくしを狙おうなど不遜ですわ!」
 相手も手練たもので、一箇所に留まらず場所を変えながら攻撃を行ってきている。この攻撃は恐らくキャバリアによるものだろう。断続的に立ち上がる水しぶきを浴びながら、彼女は敵の位置を探り続けていた。

「予定されたポイントとは違うけど……状況が状況だ。仕方ないね」
 ティノを載せた揚陸ホバー挺が海岸線に接岸すると、自動的に船首を形成する板が前方に倒れてそのまま渡し板となる。彼がピースメーカーを降ろすと、自動プログラムにより揚陸ホバー挺が母艦で待つ次の登場者の元へ帰還していく。それを見た彼自身はもう引き返せないと感じつつも、陸地ならば先程のように横転して海に落ちてしまう危険性が無いとして機体を砲撃モードに切り替えさせた。
 スイッチを押すと、ヘルメットのバイザーに海賊たちの根城である元廃プラント港の地図が表示される。これは地図を呼び起こしているのではなく、頭上で飛んでいる射弾観測用ステルスUAV『コラクス』から送信されている物だ。空の色と同化しながら低速で悠々と翔ぶワタリガラスと連動させることにより、初めて戦場に投入された新兵でも百戦錬磨の熟練兵のような砲撃を可能とするシステムらしく、バントラインの砲身を少しずらせば地図上に表記されている着弾予測地点も動いている。
 そして、このシステムの真骨頂は『敵の動き』も可視化されるものだ。何か絶えず表示されているのは、先程こちらを狙撃してきたものであろう。これに標準を合わせてトリガーを引けば、そのポイントに目掛けて砲弾が着弾するだろう。しかし、砲弾はすぐに着弾するものではない。火薬の発射音に砲弾が風を切る音。それらを向こうも捉えて回避する可能性は高いと見て、ティノはある搦め手を行った。

「もうなにも、勝手にはさせない…」
 彼にとって、相手の場所さえ分かればそれでいいのだ。

「…? 相手の動きが止まりましたわね。この念は……戸惑い?」
 先程まで行われていた狙撃がぷつりと止まり、アンネリースは疑念を覚えた。果たして敵の新たな誘いか、それとも何か異変が起きたのか。だがサイキッカーとして、相手の不測な事態に巻き込まれたかして慌てふためいている思考は読み取れている。今は好機と見て問題ないはずだ。

「ですが、姿が暴露しているのには変わりありませんわね。わたくしを狙った不幸を呪いなさい!」
 アンネリースがトリガーを引けばビームの残光で海面を照らし出され、正確無比の射撃はジェネレーターを直撃させたのか照準器越しに爆発を観測できた。その直後、周囲に何かが着弾したことで彼女は理解した。先に上陸したティノによる支援砲火であろう。そして、先程急に敵機が止まったのも彼の仕業で、恐らくはUCで機体を停止させたのだろう。

「まったく、わたくしだけでも倒せる相手でしたのに……。ですが、後でお礼だけは申しておきますわ」
 果たしてプライドが高く素直にお礼が言えるかは定かではないであろうが、アンネリースはティノが到着したポイントを目指す。その途中でようやく本隊を載せた揚陸ホバー艇も追いついたらしく、その一団が前方のビーチに到着していた。複数のキャバリア小隊や戦闘車両が次々と降りて進軍する中、傭兵の海兵隊風情に親衛隊であるわたくしが遅れることがあってなりませんわ、と何かと競うように上陸を急ぐのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

支倉・錫華
【いちごさんと】

海賊のアジト潰しってことになるのかな。

上陸作戦ってことだけど、わたしたちは囮の色が濃いね。
「とりあえずキャバリアは貸してもらえるんだよね?」

借りた機体には【フレキシブル・スラスター】を装着。
チューニングは装甲5倍、攻撃力を半分にしていこう。

作戦発動後は、海岸まで海面ギリギリを移動して、上陸。
海岸堡の確保を最優先でいこう。

アミシア、ジャミング最大出力。
2機分、海岸まで保てばいいからね。

武装は【天磐】と【FdP CMPR-X3】を散弾モードで持っていくよ。
敵がこちらに気付いたら、散弾をばらまいて足止め。

向こうの攻撃は厚くした装甲と盾で防いで、
海岸堡ができるまで位置を確保しよう。


彩波・いちご
【錫華さんと】
私達はあくまでも支援のような感じですね
錫華さんと同じキャバリアを借りていきましょう
…普段の私のキャバリアは召喚で異界から呼び出す巨神ですし、それでは目立ちすぎますものね

武装やセッティングは錫華さんに倣って
操縦面は…一般的なキャバリアの扱いは慣れてませんが、『コネクトテンタクルス』で電子頭脳と直結し、操作のラグをなくします

錫華さん、後をついていきますから、私の事は気にせず進んでください

錫華機に続いて海面ギリギリを移動し、上陸
散弾をばらまき援護して、敵を足止めして橋頭保を確保しましょう

敵の攻撃は装甲で受けつつも、今後のために操縦の練習も兼ねて、できるだけ避けるようにしておきますか



「海賊のアジト潰しってことになるのかな」
「私達はあくまでも支援のような感じですね」
 同じく上陸主力部隊のキュクロプス隊よりも先行していた支倉・錫華(Gambenero・f29951)ならびに彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)の両名は、上陸ポイントで役目を果たしたを増設燃料タンクをパージさせ、砂地を衝撃を和らげるクッションとさせながら着陸した。
 機体はキュクロプス隊の海兵隊仕様のピースメーカー・マリーンであるが、拡張性の高さから転送の際に錫華が搬入したアクチュエーターと呼ばれる強化モーターユニットとフレキシブル・スラスターによるキャバリアの空間戦闘用動力装置を増設され、併せて軽量化された装甲が心ともなく思えたのかEPフルアーマーによる増設装甲板も追加されている。これにより重量が増したが機動性は翼のようなスラスターと強化された駆動系により確保され、現に強襲揚陸艦のカタパルトから射出されてここまで飛行して上陸を果たしたのだ。ただ急拵えの現地改修であるため、予めインプットされていて改造前の状態で最適化された攻撃パターンの最適化が間に合わず、こちらに関してはぶっつけ本番の調整となろう。

「アミシア、いちごさんの機体と更新プログラムを同調させながらジャミング最大出力。ニ機分、お願いね」
「…普段の私のキャバリアを召喚できれば手を煩わせず済めたかもしれませんが……異界から呼び出す巨神ですし、それでは目立ちすぎますものね。錫華さん、後をついていきますから、私の事は気にせず進んでください」
 二人に課せられた役目は、現在揚陸ホバー艇でこのポイントに向かっている上陸部隊の本隊を無事上陸させることであり、それを敵方に悟られることなく必然的に隠密性が求められる。それがマリーン・ユニオン側で陽動とすれば問題なかったのであろうが、こちらでは今はまだその時ではない。彼女、いや彼としてはそんな事で一般的なキャバリアの扱いに慣れていないが、その点に関してはいちごに潜むUDCによるあらゆる機械に浸蝕し接続できる細い触手が神経と電子頭脳の操作系統を同調させることにより思考制御で操作ラグを抑えているので特に問題はないであろう。

「いちごさん、もう暫くの辛抱ですから……アミシア、何? ……えっ、敵性反応!?」
 ため息混じりのいちごを諭していた錫華へ、突如パートナーユニットのアミシアから知らせが入る。その内容は海の反対側、つまりは半島側からに接近する物の反応があったというものだ。仮にそれが仲間であるならば識別シグナルで判別が付くのであるが、こちらにはその反応はまったく表示されていない。状況的に敵と見るのが自然的な流れだろう。何せ問答無用に発砲されれば、何らかの要因で識別シグナルが故障してしまった味方という僅かな可能性も否応なく確信へと変わる。

「アミシア、各小隊長に入電。上陸地点で遭遇した敵と交戦中、識別反応はAI制御による警備用キャバリア。いちごさん、不慣れでしょうが気をつけてください!」
 咄嗟の判断でまだ操作に不慣れないちご機の盾になりながらも、錫華はこちらの方が使い慣れているからと持参したFdP CMPR-X3による反撃を行った。敵地に上陸する以上は敵機との交戦も予想されており、装填済みのカートリッジには散弾が納められている。木々ごと薙ぎ払うかのような散弾の塊は、それらに隠れていた物の残骸を暴き出した。どうやらアンダーフレームに対人対キャバリア用機関砲を施した物らしく、オーバーフレームがない構造故に身を屈めながら隠蔽されていたのであろう。無駄なエネルギー消費を抑えるためにスリープモードであったのが、こちらの反応を認識したか先程のジャミングによる妨害電波を感知して一斉に起動したか。何れにせよ、これらを殲滅しなければ奥には進めそうもないまでの軍勢であるのは確かである。

「次から次へと……きりがないですね」
 いちごもどこかぎこちない動きながらも、今後の操縦練習も兼ねて可能な限り敵の攻撃を避けながら錫華と同様の装備で応戦する。幸いであろうか、アンダーフレームのみである為に制御装置が納められている元コクピットブロックはひと目で分かり、そこを破壊さえすれば彼らは程なくして機能停止する。だが、問題は多勢に無勢か。仲間の残骸を乗り越えながら、死を恐れない人工の知性が次から次へと押し寄せてくるのだ。当初はこちらが戦いを有利に進めていたが、次第に追い詰められ海岸へと追いやられつつあった。

「いちごさん、これが最後のカートリッジです」
「ありがとうございます。ですが、これが尽きたら奥の手を…使わざるを得ませんね」
 止めどなく押し寄せる無人機の群れ前に、既に携帯していた予備カートリッジも尽きようかとしている。これが尽きれば後は白兵戦が頼りとなろう。だが、いちご自身は自身のキャバリアを召喚すれば、この状況を切り抜けれるという自信がある。こちらの存在を敵方に知られるかもしれないが、最悪の事態だけは避けられるだろう。彼がそう覚悟したその時、二人以外の声が無線を介して機体に入ったのであった。

『どうやら間に合ったみたいだな。ここからは俺たちに任せてくれ』
 後方より火砲の雷鳴が鳴り響くと、無人機の群れが砂礫とともに四方へ吹き飛んだ。二人が振り向くと、キュクロプス隊の各小隊を載せた揚陸ホバー艇の一団が肉眼で見える距離でこちらに向かってきている。それぞれの小隊による支援砲火で無人機は撃退され、砂浜に接岸した揚陸ホバー艇のハッチが開けば雪崩込むかのようにキュクロプス隊のピースメーカーらが上陸する。

『各小隊の砲撃支援機は射弾観測機コラクスと同期し、港の対空対艦装備群をピンポイントに破壊しろ。それ以外はこのガラクタ共の始末だ。遅れるな!』
 各小隊を纏める指揮官機の指示の下、マリーン・ユニオン艦隊への支援砲撃ならびに目の前の障害の排除に取り掛かる。数には数というべきか、今まで錫華といちごを追い詰めていた無人機との形勢は逆転しつつある。

『先行しての上陸地点確保、敵の足止めをありがとうございました。ここは我々が食い止めます。その間に補給を済ませてください』
 キャバリア部隊により海岸が確保されたのを確認されると、各車両が運搬された揚陸ホバー艇のハッチが開く。そこからは制圧要員である歩兵を乗せた装甲車や各補給物資が積載された輸送車両などが次々と降りてくる。その中には二人が使用していたFdP CMPR-X3用の予備弾薬もあり、これにより心置きなく再び戦闘を続行できる。

「いえ、こちらこそ助けてくださりありがとうございます。錫華さん、私たちも負けてられませんよ。早く補給を済まして急ぎましょう!」
 もし私たちがこの場に居なければ、もしくは先行上陸していなければ、もしかしたらこの部隊はこの無人機の奇襲に遭って甚大な被害を受けていたかもしれない。補給支援車両による補給を受けながら、錫華の脳裏にそのような可能性がよぎる。だが、それもどこか自信がついたかのように張り切ってみせるいちごの声に霧散した。

「ええ、そうですね。私たちも彼らに負けてはいないと示してあげましょう」
 僅かながらの休息を終え、二機のピースメーカーは再び立ち上がる。フレキシブル・スラスターがバインダーを展開し格納されていたバーニアを点火させると、意気揚々に二人を乗せたキャバリアは友軍の支援を行うべく、銃撃戦が繰り広げられる最前線へと突貫するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アレクシア・アークライト
あっちは海賊を倒す。
こっちはオブリビオンマシンを倒す。
互いの目的達成のために互いを利用しましょうってことね。

敵のレーダーは、仲間が既に無力化してくれている。
念動力で飛行して一気に近付いて敵を潰して……ってよくよく考えたら、ここにいるのはただの海賊なのか、それともオブリビオンマシンの影響を受けてそうなった人達なのかは分からないけど、どっちにしろ只の人よね。
面倒だけど、潰すのは却下。まずは無力化を狙うべきね。

力場で周囲の空間に干渉して隠匿するとともに、銃弾等を防御しながら砦に接近。
UCとして「精神感応」を使用。砦内部の海賊達を気絶させた後、念動力で衣服ごと縛り上げていく。

UC指定:気絶攻撃



『クソッタレがッ! 対空砲がまるで狙撃されているように砲撃されてやがる!!』
 苛立ちを隠そうとせず、男は激情に駆られるままにテーブルに拳を振り落とした。海賊たちが根城にしている元廃プラント港には、地上の設備と地下の設備のふたつがある。プラントというこの世界において物資を生産する自動工場には、自他国にとっても戦略価値があり争奪される危険に絶えず晒されている。そういったものから、大抵は地上か地下のどちらかにプラントから排出される物資の生成工場や加工場があり、またプラントを防衛する為の基地も何れかに存在している。ここもその例に漏れず、それらが地下に収まって地上施設は船舶に運び出すための貯蔵施設となっていた。
 海賊らはそれらを略奪した物資やブラックマーケットを介してキャバリアマフィアや各武装勢力に売り払ったことで得られた資材を以って、この廃港を再び軍港として砦として築き上げてきた。だがそれも、トリアイナとマリーン・ユニオンの連合軍によって風前の灯火となりつつある。

『あの金の亡者共が捕まった後、保険で取り込んでいた奴ら聞いた話が違うじゃねぇか』
 実のところ、海賊たちには両軍の作戦は内通者により筒抜け状態であった。作戦開始まで暫くの猶予があり逃げ出すことも彼らの選択として視野にあったが、ここでのシノギもこれで終りとなるのであれば返り討ちにして組織の箔をつけてやろうというツートップの提案で満場一致となったわけである。現に事前からかき集めてきた対艦ミサイル、廃キャバリアを再生利用した背後の防御陣は確かに機能した。が、何らかの手により、その事前に備えていたものが尽く打ち破られることとなった。

『だが、まだ終わっちゃいねぇ。砦の機能は終わっちまったが、俺たちにはまだキャバリアがある。それにまだ頭はやる気のままだ。俺たちはあの片らを信じて、今までここまでのし上がれてきた。まだだ、まだ終わっちゃいねぇ……。頭たちに付いていけばどうにかなる』
「なるほど。だから、ここまで入念に準備されてたの。ここにいるのはただの海賊なのか、それともオブリビオンマシンの影響を受けてそうなった人達なのかは分からないけど、どっちにしろ只の人よね」
 突然密室内に聞こえた女の声に、海賊たちがぎょっとして周囲を見渡す。部屋の中には彼らしかおらず、砲撃の振動で揺らされながら天井から塵が落ちてくるだけだ。一人は天井の通気口に目を送ったが、そこは人が通れる程の大きさもなく、それに声は確かに部屋の中から聞こえたものだ。

「面倒だけど、潰すのは却下。まずは無力化を狙うべきね。あっちは海賊を倒す。こっちはオブリビオンマシンを倒す……互いの目的達成のために互いを利用しましょうってことね」
『だだ、誰だッ! 姿を見せやがれぃ!!』
 彼らは極限状態の中で狼狽しながらも互いに背を向け合い、各々の銃を壁へと突きつけながら声の主を威嚇する。

「そう? じゃあ、本気で行くわよ。大人しくなさい」
 声の主、アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)がそう告げると、力場で周囲の空間を干渉して隠匿していた姿を現す。とても他人に話したら、大げさな与太話か酒に寄って見た夢であると笑い飛ばされるような現実を前に、海賊の男共はアレクシア目掛けて一斉に銃弾を放った。
 だが、それも彼女に届くことなく、目の前で銃弾が宙に浮いたかのように弾道が減衰して止まる。それらがピタリと止まった次の瞬間、バラバラと音を鳴らしながら床に落ちると、彼らは再び絶叫しながら銃撃を繰り返した。

「いい加減、無駄だと諦めなさい」
 アレクシアは男達に掌を向けると、一人、また一人と壁に打ち付けて気絶させていく。最後の仕上げに彼らが纒っている衣類を、念動力を以って縛り上げれば完了だ。

「道理で、海賊の討伐も併せて港を奪取したいって訳ね」
 たかだか海賊討伐であれば、なにもこのように手の混んだ敵に奪われた拠点奪取じみた真似などせず、例えば戦艦に匹敵する火力を以って港ごと破壊すれば良いだけであることに彼女は薄々感づいていた。その裏を取る中、一つの噂話を聞き入れる。とあるキャバリア小隊による小隊無線を力場で干渉して盗み聞きした噂話だ。
 それが事実であるならば、先程の海賊たちが話していた内容と照らし合わせれば様々な合点が付くものだ。仮にトリアイナが預かり知らぬ内に港を不法占拠させていたと主張するならば、国の威信を掛けてそれを奪取せねばならない。ただし、トリアイナは元々極秘裏にこの一件を闇に葬るつもりであったが、その中で恐らく港の何らかの手段を以って破壊する計画があったはずだ。しかし、商人とは常に先々の利益を見据え、それが例え大きな出費になろうとも多大な利益をもたらす見通しがあれば、それ最優先するもの。例えばこの海賊たちが復活させた廃プラント港の再利用である。
 今まで彼らが手を付けずに放逐していたのは、単純に『損した分を補う利益』がないからである。少なからず、汚職により甘い汁を吸っていた一部の人間を除けばトリアイナも被害者となる訳だが、その損害をどう補填するかも議論の一つとなり、そうなれば自然に『海賊たちが手塩にかけて復活させた自国領土内の港を頂戴する』という案も出よう。辺境の国境沿いとは言え、そこは海防の要所として機能でき、何なら同じく被害を被ったマリーン・ユニオンの寄港地として供出することも可能だ。どう転んでも港を奪い取れさえずれば、自国に利益に結び付けられるというものが、アレクシアが導き出した仮説となる。尤も、これも彼女が集めた憶測の域を出ないもので、真の目的はトリアイナの運営委員会の胸の内であろうが。

「オブリビオンマシンも恐ろしいけど、真に恐ろしきは人間の欲望、かしらね」
 だが、彼女の任務は、この世界を戦乱の混沌に誘うオブリビオンマシンの破壊のみである。恐らく作戦二段階目の発動までは、もう暫くしたら開始されるであろう。それまでは出来る限り構成員の捕縛をしなきゃね、と一呼吸整える。室内に響いた銃撃の音を聞きつけた海賊たちが集まるのを感じつつも、通路に繋がるドアを開いて砦内部の制圧を継続するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ゼーウォッグ』

POW   :    水冷式胴部連装大型ビーム砲
【水冷式胴部連装大型ビーム砲 】で攻撃する。[水冷式胴部連装大型ビーム砲 ]に施された【出力リミッター】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD   :    腕部連装ビーム砲
【腕部連装ビーム砲 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【ビーム】で攻撃する。
WIZ   :    頭部水陸両用ミサイル発射管
【水陸両用ミサイル 】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【位置情報】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。

イラスト:猫家式ぱな子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「後方警戒隊より連絡。港に続く主要路の閉塞を全て完了した」
「了解した。引き続き監視を継続せよ。ネズミ一匹も逃すなよ」
 猟兵たちの活躍により強襲揚陸艦より発進した全てのCLAC、それに運ばれ上陸した『キュクロプス隊』はその後二手に分かれた。ひとつは港がある半島から大陸に出るための道路に警戒線を張った機械化歩兵部隊。もし海賊の構成員が港を捨てて逃げようとしても、張り巡らされた網に掛かり程なく取り押さえられるであろう。
 もうひとつは、港を襲撃するキャバリア部隊と制圧要員である歩兵隊、そして猟兵だ。港から距離を置いた地点で待機をし、港を一望できる場所で観測する斥候から得られた情報をマリーン・ユニオンの艦隊旗艦に暗号化された通信無線で送信を行っていた。
 内容はと言うと、現在残存している各種ミサイル発射台やキャバリアの有無や攻撃目標となり得る地上設備についてだ。空からは晴れ渡る青空と一体化したように溶け込むステルスUAV『コラクス』から映し出される映像はマリーン・ユニオン側にも送信されているが、弾着観測を主任務とする本機から得られる情報は限られている。何せ上空から地上を見下ろしているだけなのだから、それがどのような物かはAIにより判別されても最終的には人がそれを判断する。

「しっかし、作戦指示書の『可能な限り港湾設備の損害を抑る』とか分かりやすいこと。奴らを始末した後は、ここをしっかり再活用する気が満々じゃねぇか」
「仕方あるまい。手もつけられない程に荒れた港をここまで復活されたのだ。これまで被ってきた被害額の帳尻合わせとしては、勿怪の幸いなのだろう」
 キュクロプス隊には要塞化された廃プラント港を拠点とする海賊の退治の他に、この港を奪い取る密命を受けている。ただ単に海賊殲滅をするのであれば、もっと損害の少ない方法がいくらでもあった筈だ。とは言え、彼らは雇われた身だ。これがどう再活用されるかまでは関与の範囲外である。そして、入電を終えて少し間を挟んでそれは開始された。

「おっ始まったねぇ。かぁー、こいつはまた派手にやるもんだ」
 いくつもの風切り音と共に飛来してきたのは、止め処ない砲弾の嵐だった。駆逐艦による速射砲の一斉射。戦艦や巡洋艦に搭載された砲より口径は小さいものの、陸上火力としては野戦砲に匹敵するもので射程も十数キロに及ぶ。どこかの誰かが『大砲は戦場の神』という言葉を残したが、本来は対艦用であろう敵艦の装甲を貫通した後に炸裂する遅発性徹甲榴弾が目標に命中して爆ぜる度にそれを雄弁に物語っていた。

「敵が泡を食っている混乱に乗じて殴り込むぞ。続けッ!」
 隊全体を纏める指揮官機の号令の元、命知らずの海兵隊が乗り込むピースメーカー・マリーンが基地内に雪崩込む。強襲用に機体の軽量化によって強化された機動性と運動性が果敢なく発揮され、各小隊と猟兵は海賊の根城へ深く侵入を果たす。

「隊長、敵キャバリアを確認しました。こいつぁゼーウォッグだ。こいつもミサイルで艦隊に攻撃してやがったか」
 出会い頭に遭遇した水陸両用キャバリア『ゼーウォッグ』。ウォッグタイプのバリエーションとして開発された本機は水陸両用としながらも、潜航性はウォッグよりも乏しく水中戦が可能な陸上機としての性格が強い。その反面、砲撃支援機として火力が増強されており、陸上戦では射撃装備に乏しいウォッグのバックアップを担当する運用がなされている。

(ということは、だ)
 そのモノアイを左腕に装備したシールドの先端部で叩きつけ、体勢を崩したところでハンディマシンガンで追い打ちを掛け沈黙させる。部下の報告を受けたアルブムに一つの懸念が生まれた。それは共同運用されるはずのウォッグの存在が確認されていないからだ。
 そして、それらを指揮統率する指揮官型ウォッグタイプ、それと……。

「『赤鷲』の存在は確認できたか?」
「いいえ、まだ確認できていません」
 その報告を聞くと彼はその存在だけを知らしめながらも多くの船舶、それらを護衛していたキャバリアを沈めてきた奴は、艦砲射撃の巻き添えとはならんだろうと結論づけた。 他の小隊から入電が入る。ゼーウォッグらは、この元廃港の地下ドックに通じると思わしき場所より出撃をしているらしい。どうやら敵は全ての戦力を使い切らずに温存していたということか。まるで、この上陸作戦が敵上に知られていたかのように。

「ルフス、ウィリディス、カエルラ。敵の挑発を受けても深追いはするな。どうやら、敵は地下から湧いているらしい」
「了解。水陸両用機なら、水の中で頼みの綱になる音響センサーで耳が良いはずだ。息を潜めながら隠れるにはもってこいか」
「はっ。それならいっちょ派手に暴れて、針が落ちた音も聞き逃さない耳をバカにしちまってもいいだろうさ」
 友軍による支援砲撃を掻い潜る中での硝煙弾雨の戦いが、今幕を開けるのであった。
シル・ウィンディア
ブルー・リーゼは空戦型だからなぁ…
陸上に出ているならやりようはあるか

行くよ、リーゼ!

【推力移動】で高速機動しつつ【空中戦】で空に飛ぶよ
ホーミングビームの【一斉発射】で牽制しつつ
【魔力溜め】でチャージしたビームランチャーで一体ずつ【スナイパー】で【貫通攻撃】
攻撃時は、コックピットは避けるね

敵攻撃は
【第六感】を信じて
動きを【見切り】【瞬間思考力】で最適な回避・【オーラ防御】を行うよ
回避は【残像】も生み出して回避だね

接敵したら
ビームセイバーで敵機の腕部や武装を【切断】していくよ

遠方の敵は連射モードのランチャーとホーミングビームで攻撃

囲まれたら
【高速詠唱】で《指定UC》
【誘導弾】で敵の致命箇所を避ける



「ブルー・リーゼは空戦型だからなぁ…陸上に出ているならやりようはあるか」
 シルはセンサーから得られる情報とステルス偵察UAVより送られてくるデジタル処理された基地の航空映像とにらめっこをしながら、この高機動の砲撃型かつ空戦型キャバリアであるブルー・リーゼでどう攻めるか考えあぐねていた。
 全長5メートル程のキャバリアによる支援砲撃、戦艦までとは言わないがキャバリア火力をを遥かに上回る駆逐艦からの艦砲射撃により、地上の表立った対空防衛網は壊滅状態となった。しかし、地上設備はそれらの弾薬備蓄用の倉庫や船舶に積む物資や略奪した物資の保管庫らしく、敵の根城やキャバリアの格納庫はバンカー化した地下設備にあるとなれば話は別だ。基地上空から丸見えとなっていても、散乱した瓦礫の中から敵キャバリアは何処から地上へと出ている。熱源反応を感知しても、今現在敵味方が入り乱れ、洋上から放たれるマリーン・ユニオンからの支援射撃は未だ続いており、どれが味方か敵か判別できない有様だ。

「考えてもしょうがないね。行くよ、リーゼ!」
 そうなれば、後は現地に乗り込んで自らの目で確かめるしか術がないものである。シルは時折掠める砲弾の重厚な風切り音とその衝撃で揺れるコクピットの中、ブルー・リーゼで後方より降り注ぐ弾雨を縫うように地上へ降下する。そんな中、彼女とその愛機の姿をモノアイで捉えたゼーウォッグがこちらに向かってミサイルを放ってきた。
 彼らからすれば、このブルー・リーゼは洋上攻撃の要であったレーダーを破壊した存在そのものだ。その怨嗟を晴らすかのように、機体に搭載されている全てのミサイルを一斉射したとて何ら不思議ではないが、流石に前門に虎後門に狼ならぬだ。敵機によるミサイル攻撃に、味方の支援砲火の板挟みとなったが、先程の諺は前門に虎を防ぎ後門に狼を進むとも言う。一つの災いを逃れても別の災いに遭う例えだが、この場合は獲物である彼女はたまたま居合わせただけで、復讐を滾らせた虎である海賊へ獲物に向かって疾走る飢えた狼である砲弾をけしかける事になるであろうが。

「リーゼ、ミサイルを迎撃だよ。その爆炎を煙幕代わりにして、敵の目を封じるよ!」
 シルの意思、そして機体へ流れる魔力を通して、ブルー・リーゼからUC『エレメンタル・シューター』が放たれる。精霊の力による幾何学模様を描き複雑に飛翔する火水風土の四大元素が複合され、綺羅びやかな光を放つ無数の魔力弾がぜーウォッグのミサイル群を迎撃する。上空に広がる爆炎がゼーウォッグの上空を覆い、パイロットがモノアイを熱源センサーに切り替えるも、火の精霊の残り火が熱源操作を妨げる中、何かが煙の中からこちらへと突き抜ける。地面に深く突き刺さると炸裂するそれは、艦砲射撃による駆逐艦の徹甲榴弾であった。その炸裂と叩きつける礫がゼーウォッグに襲いかかり、身を護ろうと態勢を崩しながら防御行動をする中、それを狙ったかのようにブルー・リーゼが再び姿を現した。

「オブリビオンマシンに操られているのか、それとも本当に悪い人か分からないけど…。コクピットを外して無力化さるよ、リーゼ」
 突如姿を見せたブルー・リーゼにゼーウォッグは腕部の二連装ビーム砲を向けるも、機動性とスピードに勝るブルー・リーゼが腕部をビームセイバーで切り落とす。それに戸惑ったか動きが鈍くなった隙を突き、片腕も切り落とすとその勢いのまま敵機を蹴り倒す。残された装備は胴体の水冷式胴部連装大型ビーム砲のみだが、こうなってしまえば立ち上がることもままならず上空に放つしか無い。おまけにまた何時砲弾が落ちてくるかわからないと来て、流石の荒くれ者の海賊とて気が気でなくなったのか機体を放棄してコクピットから逃げる様をシルは確認する。

「このまま一気にやるよ、リーゼ!」
 休む暇もなくどこからともなく放たれた攻撃を第六感で感じるまま機体を推進させることで躱し、簡易的に照準を合わせてチャージしたビームランチャー『ブラースク』で反撃をする。光の大玉はゼーウォッグの半身を削ぎ落として再び行動不能に持ち込み、これでスコアは二機目だ。貯めた魔力をすべて使い切ったブラースクを連射モードに切り替えるべく、ホーミングビームで瓦礫を盾にするゼーウォッグらを牽制するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アレクシア・アークライト
あ、うん
なんて言うか、随分と独特なデザインのキャバリアね
どっかの水泳部もあんな感じだった気がするし、水陸両用の機械って突き詰めていくとああいうデザインになるのかしら

さて、それはさておき
あれらは、ただのキャバリア
中に乗っているのもただの人
闇雲に破壊できないのはさっきと同じ
敵は殺しに掛かってくるのにこっちは殺しちゃいけないっていうんだから、まったく不公平よね

敵が数で押してくるなら、ただの烏合の衆にしてあげる
UCとして「電子操作(エレクトロキネシス)」を使用
通信やレーダーを妨害して敵の連携を断ち、混乱に乗じて接近
キャバリアの電子回路に干渉して無力化していくわ

UC指定:ジャミング、ハッキング



「なんて言うか、随分と独特なデザインのキャバリアね」
 艦砲射撃の衝撃で揺れる地下施設から地上へ出たアレクシア。瓦礫に身を屈めながら望むのは、モノアイをしきりに動かして周囲の索敵を行っているゼーウォッグだ。

「どっかの水泳部もあんな感じだった気がするし、水陸両用の機械って突き詰めていくとああいうデザインになるのかしら」
 UDCアースでシリーズ化されているロボットアニメに登場する同じ水陸両用機のロボットらを、ネット上では一纏めで『水泳部』と称されていることを彼女はふと思い出す。ゼーウォッグは頭部や首が見当たらず、まるで砲弾状の円錐に手足を生やしたという構造である。量産機ならではの生産性も含まれているのであろうが、とてもではないが泳ぎが得意とも思えず、ウォッグが完全耐水された電子機器だとすればゼーウォッグは生活耐水性を確保した電子機器と言ったところであろう。

「さて、それはさておき…あれらは、ただのキャバリア。中に乗っているのもただの人。闇雲に破壊できないのはさっきと同じ……敵は殺しに掛かってくるのにこっちは殺しちゃいけないっていうんだから、まったく不公平よね」
 これもどこかで効き覚えた知識だが、悪人に人権はないという言葉がアレクシアの脳内をよぎる。この場合は海賊に人権はないであろうが、他世界ならともかくこの世界ではオブリビオンマシンが周囲の人々を闘争に駆り立てさせ、破壊の赴くまま思考を狂わせる。仮に彼らは元々善人であり、オブリビオンマシンから放たれる邪気にあてられた可能性も無きにしもあらずだ。その点に関しては、超能力者である彼女自身もはっきりとした確証を得られていない。
 しかしながら、長年に渡り海賊行為を行ってきたというのであれば、あとは当事者国同士の司法に委ねるのが最善であろうとアレクシアは考え直した。トリアイナに渡れば口封じのために問答無用で銃殺刑にでも処されるかもしれないが、マリーン・ユニオンであれば刑に服す可能性もあろう。どこの国に捕らえられるかは彼らの運次第であろうが、これが最も穏便な方法だろうと彼女は行動に移す。

『……うん? どうした、故障か?』
 ゼーウォッグで敵キャバリアを探索していた海賊の目の前で突如モニターの画像が乱れ始め、彼は首を傾げながら調整ボタンを押すが一向に乱れるばかりだ。仲間に異常を伝えようとしても、無線回線は激しいノイズと雑音で隔絶されている。そしてぷつりと外部映像が途切れると、今度は電気系統全てがシャットダウンを起こした。突然起きた異常事態に彼は慌てふためくが、ハッチも沈黙したままで開くことはなかった。

「まずは、ひとつめね」
 種明かしをすれば、これはアレクシアの超能力と力場による電子操作…エレクトロキネシスというものである。周囲の電磁気的を操って変化を生じさせる超能力により、ゼーウォッグの電子機器に干渉したという訳だ。彼女が触れたと同時に電気を作り出すジェネレーターの回路を焼き切った為、これは今やただのガラクタに過ぎない。念の為に力場でバランスを崩して倒しておけば、交戦して破壊されたかのように見えるだろう。最後の仕上げで、パニック状態に陥りながらも緊急用の手動脱出レバーか何かで脱出したパイロットを気絶させ、安全な場所にふん縛ればひとまず問題ないであろう。

「さ、この調子でビシバシ行くわよ」
 エレクトロキネシスの効果を確かめた彼女は、手をかざすと目を瞑り念じる。アレクシアを起点に周囲へ徐々に広がる力場が、点在するゼーウォッグらに異常を引き起こしつつあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩波・いちご
【錫華さんと】
港湾施設の損害を抑えたい
敵は地下ドックから来る
…なら、錫華さんのアイデアいいかもしれませんね
私も行きますよ
私は生身の方が本職ですしね

錫華さんに続く形で換気口から潜入
周囲を偵察しつつ隠密行動
『コネクトテンタクルス』を使って扉の鍵を開け、電子機器はハッキングし、破壊工作を進めていきましょう

稼働してるゼーウォッグには【異界の魔弾】を機体内…コクピット内に放ち、静かにパイロットを(殺さないようにしつつ)無力化

最後は爆弾を設置して脱出

脱出のタイミングが遅く、爆風に巻き込まれてしまい
気付いたら錫華さんと絡まるように倒れ…
手が妙に柔らかいものを揉み揉みと…って胸ですかっ
ごめんなさいー!?


支倉・錫華
【いちごさんと】

地下ドックってことは、換気口とかあるはずだよね。
生身ならいけるんじゃないかな。

「いちごさん、地下に降りて掻き回してくるね」
いちごさんに連絡したら、
いっしょに来てくれることになったっぽい?

「アミシア港湾地図でナビよろしく。
敵が来たら、戦わなくていいから逃げちゃって」

ナビに従って地下に侵入したら、
【迷彩】【闇に紛れる】【暗視】で隠密行動。

ドックに着いたら【金鳳風舞】を使って、中にいる人を眠らせて、
ゲートや通信装置をメインに【破壊工作】していこうかな。

仕掛け終わって帰り道、
続く爆発に、よしっ、と思っていたら、
爆風でいちごさんと通路に絡まるように転がって、
「これが有名なトラブる……」



「隊長、奴らの連携が鈍っています」
「こちらも確認している。こちらも通信系統に若干ノイズが入るが、電子干渉の類いで相手は前後不覚に陥っているようだ。この機を逃すな」
 先程の猟兵により、海賊勢力のゼーウォッグらは電子機器類の不調により足並みを乱し始める。この隙を逃さまいとキュクロプス隊の各小隊が攻勢を強める中、そこから外れた倉庫と思わしき建物の中へ、いちごと錫華が狩る二機のピースメーカー・マリーンが侵入する。洋上からの支援砲火による被害を免れるべく掩体替わりとし、ふたりはキャバリアのハッチを開けると周囲を捜索しだした。

「地下ドックってことは、換気口とかあるはずだよね。生身ならいけるんじゃないかな」
 事の始まりは錫華の提案である。地下空間があるのであれば、当然としてそこで活動する人間らには新鮮な空気が必要となる。だが、当然ながらキャバリアが出入りできるような通路を通ろうとすれば、敵による激しい抵抗が予想されるのは容易い。人間用通路も考えたが、こちらも戦闘員と出くわす危険性をはらんでいる。では、侵入するにはどうするか。その答えは通気用の換気口で、雨風が入らない建物内にあると睨んだふたりはめぼしい建屋で見事それを見つけ出したのであった。

「私も行きますよ。私は生身の方が本職ですしね」
「いちごさんと一緒なら頼もしいね。アミシア、港湾地図でナビよろしく。敵が来たら、戦わなくていいから逃げちゃって」
 本来であれば彼女単身で地下に降りて掻き回すつもりであったが、いちごの希望もあってふたり一緒に侵入する手はずとなった。大の大人は厳しくとも、女子供であれば人一人分入れるような換気口の蓋をこじ開けると、錫華はキャバリア内で待機するサポートAI『アミシア』へ指示を送る。彼女はモノアイを点滅させながら応じ、いってきますと手を振って通気孔の中へと消えていく主人の姿を見送ると、ふたりが通った経路をマッピングしながら送信し始める。

「思ったより窮屈だね……。いちごさん、はぐれないでね?」
「は、はい……」
 先程の張り切った様子から一転して、どこか語気が低いのに首を傾げながら錫華は先へと進む。一方いちごとはと言うと、目のやり場に困っていた。目線を真っ直ぐにすれば、その視線の先には錫華のスカートが否応なく視界へ入る。腰をかがめ、四つん這いになりながら動けばスカートは誘っているかのように揺れ、そこから錫華の肌の色と着ている服の布地とは別の色がちらっと見えてしまう。この女性と見間違われる容姿としても、中身は年頃の男である。目線を下げて錫華の脚先を目印に進もうとした矢先、頭が何か左右に割れた柔らかい物にぶつかった。

「はわっ!? す、錫華さん、どうかしました!?」
「いちごさん、しーっ。こーこ、ビンゴだよ」
 取り乱すいちごを落ち着かせながら錫華は通気用の蓋を静かに開けると、狭い空間から地下ドックの通路へと出た。ふたりの目の前には、鉄格子状の扉と木箱やコンテナが積み上げられたがあり、その先からはキャバリアの駆動音や男たちの怒声が響き渡っている。どうやらここが、地下のキャバリア格納庫らしい。目の前に積まれたものは備蓄された弾薬や燃料類であろうか。

「ここに重要な部屋が集中していそうだね。いちごさん、手分けして行動しよう」
「はい、分かりました。お任せください」
 とは言え、猟兵とは言え流石にふたりだけでは多勢に無勢で、派手に行動は出来ない。なので、いちごは自身の身体より這い出るコネクトテンタクルスで電子ロックを解除にかかる。それを見届けながらいちごにある物を渡すと、錫華はよぉしと心の中で張り切って息を潜めながら通路の先へと進む。
 領主の影として闇の仕事を引き受け、出奔した今は習い覚えた技を駆使するフリーの騎士兼諜報員である錫華。アンサーヒューマンとして造られた身体そのものが天性のエージェントでもあり、目をこらせば明かり少なくとも夜目も利く。足音を消しながらとある部屋を覗くと、巨大な潜水艦が浮かんでいる空間が広がっている。ここが潜水艦ドックなのであろう。

「よしよし、しばらく眠っててね」
 淀んだ潮のにおいが溜まり無風である空間の中に、突如としてふわりとした風が舞い起きる。違和感を覚えた海賊の作業員達が周囲を見渡すと、次々と気絶し倒れていく。
 UC『金鳳風舞』。錫華の衣装に仕込んだオキナグサの毒の成分を、空気を循環させる為の送風機を利用してドック内に行き渡らせたのだ。全ての作業員が眠ったのを確認し、彼女は動き出す。ドックのゲート開閉装置や通信装置、手当たり次第目についたものに時限爆弾を設置してタイマーを起動させる。爆破までの時間は、先程の侵入に要した時間を逆算して設定した。時間としては十分間に合うはずだろう。

「あとはいちごさんも、うまくやってくれればいいんだけど…」
 出口に繋がる通気孔に戻ると、いちごは彼女の帰りを待っていた。こちらも目の前の火気厳禁な物資に時限爆弾を仕掛けた訳である。途中、補給しに来たゼーウォッグと鉢合わせしたようだが、UCにより無力化し、こちらも首尾は上々なようだ。

「残り時間はもうわずかです。錫華さん、早く脱出しましょう!」
 まだ時間は十分あるのにと不思議がる錫華だったが、早く脱出するべきであるのには変わりない事実である。アミシアより送られるナビゲーションにより、二人は迷うことなく来た道を戻っていく。
 そして、出口の光が見えた時……それは起きた。

「え…もう爆発!? 早すぎじゃ……」
「もしかして……私、なにか、しちゃいましたか?」
 あとになって分かることだが、錫華がいちごに時限爆弾を渡した際、起爆までの時間を同じ設定で手渡していた。問題はここからで、同じ時間で設定したとしても仕掛けるタイミングがずれればどうなるか。その答えは、今まさに起きているコレなのである。
 弾薬庫に仕掛けた時限爆弾に誘爆した爆風が通気孔を吹き抜け、ふたりを一気に出口にまで押し上げる。そして、次なる揺れと爆発音は錫華が仕掛けたものであろうか。

「これが有名なトラブる……」
「……へっ!? はわぁ!! ご、ごご、ごめんなさいー!?」
 爆発の衝撃で吹き飛ばされたふたりは、瞬間的に意識が飛んでいた。気がつけば互いに絡み合い、くんずほぐれつな体勢でいた。具体的に言えば、いちごが錫華を押し倒したかのようにふくよかな膨らみに手を乗せた形で、手が妙に柔らかいものを感じて意識を戻すとそれを確認するように揉み揉みとしていたと。
 意識がまだ戻りきらない錫華、ラッキースケベな状況に慌てふためくいちご。
 そんなふたりへ『おかえりなさい』と、どこかゆうべはお楽しみでしたねとでも言うような含みをもたせながら、アミシアはモノアイ越しに2人の姿を記録に収めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アンネリース・メスナー
アドリブ&絡み歓迎

ゼーウォッグ、確か水陸両用の上陸支援機でしたわね
砲撃支援機が前衛もなしに現れるなど、侮っているのですか?
舐められたものですわね!

超直感でビーム砲を避けて、背部と脚部のスラスターを吹かして敵の懐に飛び込んでナイトソードをたたっ斬りますわ!
そうして倒した敵機を盾にして、ロングビームライフルで他の敵機を狙い撃ちますわ!
チッ、湾口設備の損害を抑えるなどと、敵の方が容赦なく撃ってくるではありませんか!
流石は上陸地点制圧も想定した火力ですわね
これで設備に被害を出さないとするなら、仕方ありませんわ
スラスター推力で飛び上がって、上空から避けながらロングビームライフルで順次撃ち抜いていきますわ



「ゼーウォッグ、確か水陸両用の上陸支援機でしたわね。砲撃支援機が前衛もなしに現れるなど、侮っているのですか?」
 モニターに映し出されるゼーウォッグの残骸に、アンネリースは自らが知るゼーウォッグの情報を思い起こす。ウォッグシリーズを始めとする水陸両用キャバリアの一角で、彼女が示しているように前衛となる水陸両用機の後方砲撃支援用として開発されたキャバリアだ。砲撃用に内蔵装備と汎用性を捨てた両腕のビーム砲が格闘戦に不向きであると、その特異な姿が物語っている。

「舐められたものですわね!」
 プライド高いアンネリースにとって、自らの高機動型エース専用機『アマランサス・ラピート』に不釣り合いな物で挑んできたのには苛立ちを覚えずにいられなかった。とは言え、いくら機動性では格下であるとしても、侮ってはならない相手に変わりない。何故ならば砲撃戦に特化させただけあって、その火力は下手な高級機よりも遥かに上なのだ。
 友軍のキュクロプス隊キャバリア、彼らとの交戦で被弾したピースメーカー・マリーンの残骸を見ると、大きく抉られて端々が溶断されたビーム跡がまさにそれだ。内部よりハッチが開けられた空っぽのコクピット、パイロットは脱出に成功したのだろうか。
 ふと彼女の脳裏に首都防衛戦で部下達が散っていった様がよぎってしまうが、今は感傷に浸る時ではない。身体に突きつけられた刃のような敵意を感じ取った彼女は、すぐさま背部と脚部のスラスターを吹かし、その場から離脱する。そして入れ替わるかのように、何処からゼーウォッグの胴部から放たれた連装大型ビーム砲が残骸を四散させた。

──気を引かせての囮、でしたのね。下賤な海賊ふぜいが。
 ギリっと歯噛みしながら、高機動機ならではの急加速によるGに堪えつつ、彼女は機体を疾走らせた。場所は既にわかっている。それにあのビーム砲の運用は水中での水冷式を前提にしており、陸上でも発射は可能であるが空冷放熱では連射が効かず、無理に撃とうとすれば機体が爆破する可能性もある。

「そこですわ!」
 アンネリースはスラスターの向きを変えて、機体を上昇させた。瓦礫を越えた眼下にはゼーウォッグが一機、その周囲に数機。再びスラスターの向きを逆向きに変動させると、アマランサス・ラピートを急降下させ、事前に抜いていたナイトソードで袈裟懸けする。
 ゼーウォッグの機体構造を知る彼女は、既のところでコクピット部を反らした。その目的はオブリビオンマシンに操られている可能性もあるというのもあるが、海賊の同胞が乗る機体を盾にするという選択によるものであった。彼女の思惑通り、両腕の腕部ビーム砲を構えた状態で膠着していたが、アンネリースはふと違和感を覚える。仲間が盾にされて動揺しているというより、別の何かに動揺しているような、そんなぼんやりとした意思が伝わってくるのだ。

「何やらよくわかりませんが、チャンスに変わりありませんわ!」
 どうであれ、相手が動揺しているのには変わりない。敵機を盾としながらロングビームライフルを放ち、次々と狙い撃ちして無力化していく。周囲のゼーウォッグが活動を停止したのを確認すると、盾としていた半壊した敵機を突き放す。

「これで、スコアは……ッ!?」
 撃破した敵機の数を数える中、アンネリースにふとある事が脳裏をよぎる。
 先程盾にしたゼーウォッグがもしも自身であれば、だ。勿論、元エリート親衛隊である自身の技量ではそんなヘマを到底しないが、仮に自身がそういった場合にはどのように事態から脱するかのシミュレートは心得てはいる。
 しかし、今回は違った。投降を余儀なくされ、海賊達がゲラゲラと下卑た笑い声をあげながら無様な自分の姿を見下げ、そして……。
 彼女を現実に引き戻したのは、地下から響く激しい揺れと突き上げるような衝撃であった。時間にして数秒、あのゾクリとするような感覚は何だったのであろうか。モニターのバイタルチェックが心拍数の急上昇を告げているのを確認すると、大きく深呼吸をして落ち着きを取り戻している最中、再び敵機からの攻撃が何処からか行われてきた。

「……流石は上陸地点制圧も想定した火力ですわね。これで設備に被害を出さないとするなら、仕方ありませんわ」
 再び平然とした落ち着きを取り戻した彼女は、アマランサス・ラピートをスラスター推力で飛び上がらせる。そして、ゼーウォッグの対空砲火を上空から避けながら、照準を合わせたロングビームライフルで順次撃ち抜いていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティノ・ミラーリア
上陸は無事成功…後は陣地変換をしつつ、継続して砲撃支援…かな

基地内は入り組んでいて屋内も含まれているからUAVだけでは不足。
ということで≪眷属の召喚≫を発動し、小さな目を増やすことで支援システムでは得られない情報を収集していこう。
眷属は味方に先行する形で動きを探り主に敵機識別と伏兵警戒をすることで、地上に展開した敵を片付けるまで火力支援と索敵で協力する。

地上が片付いたらメインは地下になるんだろうか?
そうなった場合、支援砲撃は不可能になるので砲は手放して適当な武器に持ち替え。
銃は生身でも使ったことがあるから、今までの操作の延長でなんとか使えるだろう。

【アドリブ・連携可】



「上陸は無事成功…後は陣地変換をしつつ、継続して砲撃支援…かな」
 緊急を要して別の地点より上陸したティノは、その後無事に本隊と合流して、今もバントラインによる援護砲撃を敢行している。何度かこの巨砲を撃っていく内にコツも掴めたようで、今は立射による砲撃も何時しか様となっていた。
 しかし、同時に不満も生じる。ステルスUAV『コラクス』から得られる航空映像は確かに砲台や地上施設などの動かない目標を狙うには最適であったが、キャバリアのように絶えず動き熱源反応で捕捉する目標に関しては不向きであるというものだ。高度を下げて低空飛行を行えば、それらの目標も鮮明に観測できるようになるであろう。しかし、如何に風景と同化して視認しにくくなっているとは言え音や熱を遮ることは出来ず、キャバリアに搭載された複合センサーで捕捉されてしまう。プログラムで常に太陽を背にしようとその周りを飛んでいるのも、熱源探知式対空ミサイルの脅威から本機を守る為のものであろう。

「おまけに、基地内は入り組んでいて屋内も含まれているからね」
 更には遠方より友軍のマリーン・ユニオン艦隊による駆逐艦の艦砲射撃も加えられ、理路整然とした建物が崩れて瓦礫が散乱している。流石にステルスUAVと言えども、それらに隠れている目標を捉える事は至難の技だ。そうなればと、ティノは自身が乗るピースメーカー・マリーンの影へ意識を集中させた。

「空に地に、満ちろ眷属…」
 平面だった影にぽこぽこと気泡のような物が浮かび上がり、それらが切り離れて一斉に空へと飛び立った。キィキィという鳴き声はコウモリのそのもので、これらはヴァンパイアの血を引くダンピールである彼の眷属である。蜘蛛の子を散らすかのように四方八方へ飛んだ彼らは、基地内をくまなく縦横無尽に飛び交う。そのコウモリに気づいた者も居ただろうか、この戦いで基地内外に住み着いたコウモリが絶え間ない銃砲音に驚き、慌てふためきながら逃げているのであろうと誰も気には留めなかった。
 それが功を奏して、眷属と感覚を共有化した彼の元へ様々な情報が送られてくる。これらを元に、ティノは近くに居あわせていたキュクロプス隊の小隊へ通信を送る。

「気をつけてください。そこの建物越しに敵機が数機隠れています」
 突然の知らせで半信半疑だった小隊員であったが、猟兵であるティノの忠言を受け入れ回り込むように展開をする。答えはビンゴで、待ち伏せをしていたはずのゼーウォッグが背後を突かれ、瞬く間に鎮圧されていく。

「本当だ、隠れていやがった。もしかして、エスパーか何かか?」
「ええ、そんなところです」
 クロムキャバリア内において猟兵という超越した存在は知られつつあるが、それはUCによるものであるという事実はあまり知られていない。ティノははみかみながらも、彼が言っているように感が良いとだけ伝え、再び眷属が伝えた情報を元にバントラインによる支援砲撃を行った。

「これで撃ち切り、ですね」
 バントラインもキャバリアが携行できる大口径高火力の装備故に、銃弾とは違い装弾数は少ない。長い砲身を掴んで棍棒代わりにもできそうではあるが、流石に借り物である装備を無碍に扱えない。名残惜しみながら丁寧にその場に置くと、短い間であった相棒と別れを告げながら携行していたハンディマシンガンに装備を持ち変える。
 これで装備は、銃身が切り詰められたハンディマシンガンに非実体剣のプラズマソード、白兵戦も可能な盾となった。このまま地下に乗り込んで制圧を行うのであれば、長い砲身で閉所での取り回しが仇となるバントラインよりもこちらの方が有利であろう。

「銃は生身でも使ったことがあるから、今までの操作の延長でなんとか使えるだろう」
 そう呟きながら、感覚を確かめるように何も居ない場所に構え、トリガースイッチを押し切らずに指だけを添える。つい先程まで辿々しかった操作もだいぶこなれて来ている実感を確かめながら、眷属の声に耳を傾けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テラ・ウィンディア
シルもここで戦ってるのか!
ならばおれも出陣しないとな!

さて…地獄も地上も天国も渡り統べるのがお前だよなヘカテ
なら…地上へと引きずり出そうかっ

【戦闘知識・空中機動】
敵が隠れ砲撃を加えるのに適した場所を上空を飛び回りながら捕捉
UC発動
全機
地上へと降りて敵の捕捉
【見切り・第六感・残像・盾受け】
敵の攻撃は飛び回り回避しながら避け切れないのは盾で受け止め

【二回攻撃・早業・串刺し】
剣での切り裂きから高速で槍に切り替えての刺突
遠距離はガンドライドを展開
【弾幕・遊撃】でミサイルを破壊と共に撃破を狙う
基本不殺徹底
海賊とは言えもしかすると単純に狂気に侵されてるだけかもだしな
判断は他の人に任せるぞ



 海賊討伐の戦局は、刻々とトリアイナとマリーン・ユニオン連合軍、ならびに猟兵へと傾いていく。キュクロプス隊のキャバリア部隊が戦端を開いて敵キャバリアの脅威が喪失した地点へ、後続の車内に歩兵を乗せることができる装甲戦闘車両が停車する。ターレットを回しながら周囲に潜む歩兵火力に警戒しつつ、乗車していた施設内を完全制圧する機械化歩兵が展開している。こうなればこの要塞化された港の陥落も時間の問題であろうが、未だに敵キャバリア部隊は健在で港全域に展開していたのが一箇所に集結しつつある。
 こちらの包囲網に押されている他に、彼らが集結している地点には煙のような物が立ち昇っている。先程の地下から響く爆発音とその衝撃から察すると、恐らくそこに地下ドックへ続く搬入路があるのだろう。だが、キュクロプス隊のキャバリア部隊の損害も顕著であり、何時しか戦線は膠着状態に陥りつつあった。

「くそったれが。奴らを追い込んだのは良いが、集まってハリネズミのようになっていやがる」
「雨水を貯めた貯水池を利用してビーム兵器の冷却効率を上げてると来たか。おまけに出力も上げて、残骸や建物に隠れていても貫通してくると来やがる。随分前に送った砲撃支援が待ち遠しいぜ」
 そうぼやくキュクロプス隊員の周辺には、鉄筋コンクリート製の建物に大きく穿たれた穴とピースメーカー・マリーンの残骸が大破して横たわっている。幸いにも搭乗していたパイロットは脱出に成功したが、下手に動いてはこの二の舞になるのは必定である。その活路を切り開く為、マリーン・ユニオン艦隊からの艦砲射撃を待っている訳であるが、どうやらあちら側も水陸両用キャバリアの襲撃が起きていると無線で聞き及んでいる。
 ともなれば、海賊たちは何かの時間稼ぎをしているという事かもしれない。地下ドックを活用した水陸両用機の発進路があると言うならば、その母艦となる潜水艦がある可能性もありうる。

「おい、あれは何だ?」
 キュクロプス隊のパイロットに焦りの色が見え始めてきた中、隣り合う仲間の無線を聞くとピースメーカー・マリーンはモノアイを上空に向ける。ぼんやりとだが、空間が歪んでいるような気配がする。

「新手の敵か?」
 上空にも警戒し始めようとする中、それは現れた。

「シルもここで戦ってるのか! ならばおれも出陣しないとな!」
 グリモアによる転送ゲートより出撃したのは、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が『ヘカテイア』と呼ぶ機神だった。

「撃つのは待て。識別ビーコン反応は猟兵のものだ……味方だ」
 小隊長機が所属不明機の出現に銃口を向けている僚機へその旨を伝えるが、テラは彼らの動向を気にもせずに二卵性双子の姉が乗るキャバリアを探そうと索敵する。しかし、彼女の存在はキュクロプス隊の他に海賊も視認している。地上から上空へ向けた対空砲火が、彼女をヘカティアへと襲いかかる。

「ちょ、おいおい!? 来て早々、手荒い歓迎じゃねぇかよ!」
 連装ビームの直撃を既のところでシールドで防御し、機体の装甲を拡散されたビームの熱で焼かせながらテラは回避行動に移る。その最中、彼女は何処から撃ってきているかを確認すると、覚悟を決めた顔持ちになって操縦桿を握り締めた。

「さて…地獄も地上も天国も渡り統べるのがお前だよなヘカテ。なら…地上へと引きずり出そうかっ」
 彼女の問いに応えるよう、ヘカテイアのツインアイが強く発光させた。

「あっちがバンバン撃って弾幕を張ってるなら、おれも倍返しの弾幕を張ってやろうじゃねぇか。ウィザードモード…起動! 我招くは嵐の夜! 冥府へ導く魔女達の群れよ! 今こそ狩りの時間だ! 存分にその力を示せっ!!!」
 テラの叫びと共にUCが発動し、切り離されたへカティアの小型浮遊自走砲台群が残像を描きながら海賊の防衛線へと向かわせる。それらは何時しか複製されたかのような質量を持った残像となり、ゼーウォッグのセンサーを惑わしながら砲撃を行った。そして、炸裂する爆炎で彼らの攻撃が緩んだ隙を逃さまいと、テラもへカティアを地上へと急降下させた。

「おらおらおらぁ! さっきはよくもやってくれたな!!」
 未だ衰えない爆炎の残り火からへカティアが姿を見せ、ゼーウォッグは腕の連装ビーム砲を向けさせる。だが、抵抗も虚しくキャバリア用サイズとなった彼女の愛剣『グランディア』が蛇腹状の腕を斬り落とし、目にも留まらぬ速さでそれを槍に変えると敵機を串刺しとする。勿論のことながら、槍の一撃はコクピット部は反らしている。キャバリアの血と心臓とも言えるエネルギーインゴットで満ちたジェネレーターを貫き、ゼーウォッグの電力供給を断って無力化させたのだ。
 機体の加速を緩めることなくそのまま推進することで槍の穂先を引き抜き、狙った獲物に再びそれを突き刺す。その鮮やかな手捌きには無駄がなく、その様子を伺っていたキュクロプス隊も思わず見とれるものであった。

「この機を逃すな。猟兵の援護を行うぞ」
 だが、彼らとてただただ見ているだけではない。突如現れた天からの使者が、膠着しつつあった戦局を切り拓いたのだ。まだ機体から脱出していない海賊の身柄確保は後続の機動歩兵に任せ、スラスターを点火して彼らも戦いの渦中に身を投じる。

「ん? この煙が出てる入り口は何だ?」
 立ち塞がるゼーウォッグを次々と屠るテラだったが、それらを突破した先に内部で火災が起きているかのように燻るキャバリアが通れる地下通路を見つけ出した。だが、それこそが地下ドックへと続く経路であるのを彼は知るよしもなく、それを守ろうと抵抗するゼーウォッグの殲滅に意識を集中させた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『アマランサス・ラピート』

POW   :    BSロングビームライフル
【一瞬の隙も見逃さない正確な狙いの銃口】を向けた対象に、【高出力高収束のロングビームライフル】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    BXビームソード
【スラスターを全開に吹かすこと】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【高速機動で間合いを詰めてビームソード】で攻撃する。
WIZ   :    RS-Sマイクロミサイルポッド
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【肩部マイクロミサイルポッド】から【正確にロックオンされたマイクロミサイル】を放つ。

イラスト:御崎ゆずるは

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はルイン・トゥーガンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『…こうもトントンと計画を狂わせられるとはねぇ。癪に触るね、まったく』
 その女盛りを迎えた容姿と女帝を思わせる風格からどこか妖艶さを漂わせる女性が紅色のパイロットスーツを着込み、ブルネットの髪をかき上げながら愚痴を零す。
 彼女の名は『マリー・マシュヴァー』。この荒くれ者である海賊たちを纏め上げる女傑であり、『赤鷲』の二つ名を持つ海賊の首魁だ。
 運命共同体として関係を保ち続けているトリアイナの内通者より、彼女の元にはこの海賊討伐の情報は既に知られていた。仮にも作戦決行の事前に根城としていた半島から脱出しようとしても、この大所帯を移動させるとなればその動向は知られるものである。となれば、ブラックマーケットで仕入れたキャバリアを格納できる大型潜水艦で逃走を図る計画となったが、この場合においてはマリーン・ユニオン側の駆逐艦艦隊、トリアイナ側の強襲揚陸艦から発艦する対潜ヘリによる潜水艦の驚異となる対潜哨戒の爆雷がネックとなった。
 それらの憂いを払うべく、彼女とその片腕である『灰鯱』は敢えて彼らの作戦をそのまま利用する事を選択した。対艦ミサイルと主力であるウォッグ隊による駆逐艦隊への波状攻撃。潜水艦による脱出を察知されないよう、この要塞の制圧部隊であるキュクロプス隊をわざと招き入れた。あとは適当に抵抗しつつ、ゼーウォッグを乗り捨てた部下たちを潜水艦に乗り込ませ、脱出経路を確保したハイウォッグで指揮する『灰鯱』とウォッグを回収するという流れであった。

『完璧だった計画がこうもあっさり挫かれるとはね。あたしもヤキが回ったのかねぇ…』
 まずは対艦ミサイルの目であった対空レーダーの喪失、ここから計画の歯車は狂い始めた。その過失を修正しようと躍起になったが、まさか地下ドックに侵入を許しての破壊工作と来たものだ。これにより備蓄していた弾薬、更には地下ドックの潜水艦用ゲートを操作する端末が破壊された。潜水艦自体は沈没を免れたものの、この損傷具合から潜水する事は不可能となった。応急修理しようとも、その時間を稼ぐキャバリアも火の海へと沈んだ。つまり、彼女はこれ以上打つ手もなく手詰まりとなったのだ。
 こうなれば投降をと考えたが、お互いに甘い汁を吸い合ってきた後ろ盾はとうに失われている。捕まったら最後、形だけの判決ありきの裁判に掛けられた後に処刑されるのが関の山だ。それならば、まだ生き残れる可能性が僅かながらありえる陸上路からの脱出に彼女は賭けるしかなかった。

『だがねぇ、あたしを舐めて貰っては困るよぉ? まだコイツが残ってるからね』
 ヘルメットを被り終えると、この火災により焼死体となった部下たちの亡骸を越え、彼女は炎の中を進む。その先にはパイロットスーツと同じ色の愛機……盾にはシンボルである鷲のエンブレムが描かれたオブリビオンマシン『アマランサス・ラピート』が、主の帰還を待ち望むようにコクピットハッチを開けながら佇んでいた。

 ──しかしだ。こうも出鱈目に暴れる相手となりゃ、フィロメーセを殺った奴ら…猟兵って奴かい? そうなれば厄介だねぇ。
 ブラックマーケットの商売仲であり商売敵、キャバリア・マフィア『シルバーファミリー』。この半島を越えた先にある蒼き死の荒野『ミド・バール』に守られた小国家『ミドの町』。この地に眠る市場では高値で取引させるレアメタル鉱床を目当てに、暴虐の元で支配し牛耳っていた『フィロメーセ・マッサリーニ』。あのいけ好かない伊達男気取りな顔を、否応なく彼女は思い出してしまう。
 彼の訃報を聞いた時は商売敵が消えたことで清々としたが、まさかそれを倒したという猟兵なる特異な存在がこちらにもやってくるとは想定外にも程がある。あの男がくたばった時に逃げ出しておけばと後悔するも、今までブラックマーケットにて出会ったどこぞの国から横流しされた少数生産の高機動という触れ込みのキャバリアと共に、数々の死線を潜り抜けてきた彼女だ。運命は自らの手で切り開くものだと自身に言い聞かせながら、コクピットのパネルを操作して愛機を起動させる。


「これより、ニゲル隊は敵地下施設内への強行偵察を実行する」
「了解。敵が何を仕掛けているか分からない。十分に注意せよ」
 未だ煙が充満する地下ドックへの入り口へ、キュクロプス隊のキャバリア一個小隊が突入する。如何なる罠が仕掛けられているか分からない中、彼らは慎重にモノアイで周囲を索敵しながら進む。だが、突然コクピット内に警報が鳴り始める。前方からキャバリア反応が感知されたのだ。
 彼らは応戦しようと態勢を整えようとするが、相手のスピードが早かった。数機のピースメーカー・マリーンの胴体をビームで射抜かれ、爆破四散する仲間の姿に注意が逸れた残機にビームサーベルが薙ぎ払われる。
 瞬く間に4機のキャバリアが破壊された爆発を突っ切り、アマランサス・ラピートはその血に塗られたような赤いシルエットを白日の元に晒し出した。

『なんだいなんだい。歯ごたえもない連中だねぇ。この程度で、この赤鷲のマリー様の首を取れるとでも思ってるのかい? 随分と舐められたものさね!』
 スラスターを吹かし、高く上空に飛翔したマリーが照準を合わせ、更にひとつふたつとスコアを重ねていく。

『この程度相手なら、フョーノヴもくたばっては居なそうさね。お互いうまく逃げ遂せて顔を合わせたら、また酒坏を交わしたいものだね』
 しかし、彼女は本能的に理解していた。これが猟兵という存在ではないということを。機体に棲み着いた悪魔が、操縦桿を経由して彼らの存在をマリーに伝達させる。
 彼女は無意識の中でそれを聞き取ると、カメラアイを猟兵へと向けるのであった。
シル・ウィンディア
機動力はわたしのリーゼも負けないよっ!

【推力移動】での【空中機動】で【空中戦】を挑むよ
高度には注意してと…

最初は射撃戦
チャージショットは隙が多いから
ホーミングビームの【誘導弾】を【一斉発射】して
回避したところを【スナイパー】でのビームランチャーで撃ち抜くよ

敵ミサイルはランチャーを連射モードにして撃ち落としていくね
迎撃しつつ敵の動きには注意を払い
殺気や気配を【第六感】で感じて
【瞬間思考力】でノータイムでの判断
回避・【オーラ防御】を最適で選ぶよ

近接になったら
ビームセイバーでの敵腕部等の【切断】を狙う

機動力特化なら…
ダークネスっ!力を貸してっ!
【高速詠唱】の《指定UC》で機動力と攻撃力アップだねっ!



「機動力はわたしのリーゼも負けないよっ!」
 突如地下より現れたキャバリア、アマランサス・ラピート。機体のシールドに描かれた鷲をあしらわれた紋章により、おそらくこれが『赤鷲』と呼ばれていたオブリビオンマシンなのだろう。悪魔のマシンの圧倒的な力、そしてそれを操縦する海賊の首魁により、このままではキュクロプス隊のキャバリア部隊が壊滅に陥るのは時間の問題だろう。
 だが、両者の運命は猟兵の介入で歯車は変えられた。これ以上の殺戮という名の狼藉を止めるべく、シルは白銀の軌跡を描きながらブルー・リーゼのビームランチャーをオブリビオンマシンへと狙い撃つ。

『ふん、どうやら楽しめそうな相手が居たようだね』
 マリーは機体がロックオンされた事を知らせる警告音を聞き流しながら、ブルーリーゼをカメラアイで捕捉する。シルがトリガーを引くと、魔力エネルギーの塊であるビームが放たれたが、アマランサス・ラピートはスラスターの向きを急変動することで攻撃を既のところで躱してみせる。それと同時に、お返しとばかりに両肩に設置されたミサイルポッドよりマイクロミサイルを数発放つ。

「リーゼ、ランチャーを連射モードに変えて撃ち落とすよ」
 こちらもロックオンされているのを告げる警告音が鳴り響くコクピットの中、シルは先程狙撃に使用したランチャーを連射モードに切り替えさせた。このミサイルはただのミサイルではない。オブリビオン化したマシンオブリビオンマシンの力を宿すものだ。下手に回避をしようとも何処までも追いかけてくるのであれば、いっそのこと撃ち落としてしまえば良い。瞬時に判断するまで、およそゼロコンマ数秒。魔力で操縦する特性上、彼女の思考はすぐさまブルー・リーゼへと伝達される。

『おやおや、随分と思い切りが良いね。だけど、やらせてもらうよぉ?』
 マリー自身はこの攻撃に期待を寄せていない。何故ならば、これは囮だ。本命の攻撃はマイクロミサイルではなく、BXビームソードによる斬撃である。このミサイルへ気を取られている隙を逃さまいと、彼女はスラスターを全開に絞り高速機動で間合いを詰めようとする。

「やっぱり、そう来たね」
 だが、それをシルは薄々感づいていた。本気でミサイルにてブルー・リーゼを仕留めるのであれば、ミサイルの数が少なすぎる。そして、ミサイルの軌道もわざと注意を反らすかのようなものだ。彼女の意識の大半はミサイル迎撃に割かれいているが、ブルー・リーゼとは彼女から流れる魔力で繋がり合っているため、機体のセンサーから得られる情報が肌で感じるかのように五感だけではなく第六感で掴めれる。ならば、敵の手に乗ってみようとシルはミサイルの軌道を砲身で追いながらランチャーを小刻みに連射する。

『ほぅら、頂きさ!』
 だが、予想に反してオブリビオンマシンの加速力が上回っていた。ミサイルもまだ一発分を撃ち落とし残している。それならば、このミサイルを逆に利用しようと、シルはUCを発動する。

「ダークネスっ! 力を貸してっ!」
 彼女の身体を、魔力を通して、ブルー・リーゼが黒きオーラに包まれる。それを視たマリーは、そんなこけおどしなどと気にも止めようとしなかったが、突如視界が爆炎で遮られた。星の輝きの如く光る光刃剣、BXビームセイバー『エトワール』。UC『エレメンタルドライブ・ダークネス』により闇の精霊の魔力が斬撃波となり、マイクロミサイルの炸薬を誘爆させたのだ。

「これは、お返しだよ!」
 更にもう一振り、シルはオブリビオンマシンが居た方向へエトワールを振るう。マリーは何か仕掛けてくるという直感で回避行動に移るが、それも間に合わずに闇の魔力の斬撃波が機体の装甲を切り裂く。

『ちぃっ! スラスターのエネルギーバイプスをやられたか!』
 スラスター部の損傷で、出力はだんだんと衰えていく。この状態での空中戦は分が悪いと判断したマリーは、地上へ着陸すべく急下降する。

「逃さないよ!」
 手応えを感じていたが、目隠し代わりの爆炎から抜けたオブリビオンマシンが今も健在であるのを確認したシルも追跡するべく、ブルー・リーゼの軌道修正を行うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンネリース・メスナー
アドリブ&絡み歓迎

あの機体はアマランサス・ラピートっ!
海賊風情がっ!故国の機体をっ!盾のエンブレムも親衛隊のエンブレムに似て不愉快ですわ!
いいですわ、海賊にはラピートは過ぎた機体だと、わたくしが直々に教えてあげますわ!
わたくしのラピートは親衛隊仕様の色と装飾されていますわ、まぁ装飾は血筋からより豪華になっていますが
サイコセンサーなど専用の調整もされてますが基本的には通常のラピートと大差ありません
つまり、どちらがよりラピートの性能を引き出せるかが勝敗を分けますわ!

正確な射撃ですわね!伊達にラピートに乗っていないといことですか
ですが、その鮮烈な意思が乗った攻撃は逆に読みやすいですわ!
お返しですわ!



「あの機体はアマランサス・ラピートっ!」
 突如地下から上空へと躍り出て、太陽を背に浮かび上がったシルエットをアンネリースは食い入るようカメラアイで追った。上空での猟兵との戦闘で降下してきた機体を拡大する。正しくそれは彼女が乗る専用機、ズィガ帝国が生んだ高機動型エース専用機アマランサス・ラピートそのものだ。

「海賊風情がっ! 故国の機体をっ!」
 これで先程の戦闘において、敵を前にしながらもゼーウォッグが戸惑いの動きを見せた理由が氷解した。彼女が乗るこのアマランス・ラピートは、機体の随所に親衛隊首都防衛部隊として、また軍高官と皇族との娘という血筋から政治的な意図として威厳漂う装飾が施されてはいるが、大まかな形はそれと変わりない。多少の差はあれど、海賊たちは首魁が愛機とするオブリビオンマシンと同型機を前にして一瞬だが撃つのを躊躇ったのであろう。

「それに、盾のエンブレムも親衛隊のエンブレムに似て不愉快ですわ!」
 彼女の記憶には、本来のアマランサス・ラピートには鷲のエンブレムなど描かれていない。だが、それはアンネリースが嘗て所属していた親衛隊のエンブレムであったドクロを鷲掴みしてる鷲に似ているものだった。それがかえって彼女の高貴な出自から生まれるプライドに火をつけ、故国の威厳を海賊という下賤な存在に汚された怒りがふつふつと沸いてくる。

 ──いいですわ。海賊にはラピートは過ぎた機体だと、わたくしが直々に教えてあげますわ!

『ちぃ! バランサーが少しイカれちまったようだね……うん、あれは?』
 地上へと降下する直前、損傷箇所を確認しながらオブリビオンマシンを持ち直そうマリーは何かが急接近しようとしているのに気づく。機体を地面に滑らすようスラスター制御を保ちつつ、急旋回するとモニターにはアンネリース専用機であるアマランサス・ラピートが映し出された。

『へぇ、コイツと同じ機体って訳かい。それに、狙ってくださいと言わんばかりな派手な装飾さね……そうかいそうかい。お前もコイツを返り討ちにしたいってのかい。じゃあ、派手に行こうじゃないか』
 オブリビオンマシンとしては、生産された国を滅亡に導きたかったのだろう。だが、それは叶わずに帝国の占領と解体という混乱期に、国家という枠組みを超えてクロムキャバリア内で暗躍する大型犯罪組織連合であるシンジケートの手で闇ルートに流れされた。紆余曲折を経て、それがこのマリー・マシュヴァーの手に渡り、海賊のフラグシップ機として日の目を見ることとなった訳である。
 オブリビオンマシンは公海を荒らし、数々の船舶を海の藻屑として沈め、トリアイナないしマリーン・ユニオンを破滅に導くべく暗躍してきたが、それも不本意ながら猟兵の介入により失敗に終わろうとしている。だが今、帝国の生き残り、皇族の血筋を引く一粒種であろうアンネリースを前にしてオブリビオンマシンは歓喜した。この世に生を受けた本来の目的が達成できる千載一遇のチャンスなのである。彼女を殺せと、帝国の血筋をここで絶てと、マリーの無意識下に囁きかける。

『それに、このあたしと同じ機体に乗ってるのが癪に触るね。落ちなッ!』
 マリーがトリガーを引くと、高出力高収束に調整されたロングビームライフルが眩い光を数発放った。

 ──サイコセンサーなど専用の調整もされてますが基本的には通常のラピートと大差ありません。つまり、どちらがよりラピートの性能を引き出せるかが勝敗を分けますわ!
 アンネリースの見立てでは、海賊と言えどもアマランス・ラピートの操縦に関しては熟達していると見受けた。こちらは親衛隊機であり、祖父である皇帝の孫という事で様々最新鋭の機能を有してはいる。だが、最後にはパイロットが如何に機体の性能を引き出すかに掛かっているのは、彼女自身も重々承知である。
 初撃が機体を掠める。だが、それは囮だ。敢えて流れ弾を撃つことで、回避行動を行わせる初歩的なテクニックだ。そして、次弾は回避行動を取って避ける事を前提とした手である。初弾に気を取られた新米パイロットならば容易く引っかかるが、彼女にとってはそれも知っている手だ。しかし、最後の一撃はそれも見越した手であり、アマランス・ラピートがどう動けるか知っている上での本命である。
 それを何故彼女は、光の速度で疾走るビームの軌跡を読めるのか?
 厳密に言えば、目で追っているのではない。直感で感じているのだ。銃口越しから心に刺さるかのような、オブリビオンマシンから溢れる怨嗟の念を。

「正確な射撃ですわね! 伊達にラピートに乗っていないといことですか」
 それならば、敵の手に乗った上でこちらも相手の不意を突くだけである。次弾も避け、未来予知染みた超直感で最後の本命の望む。しかし、如何に動こうがアマランス・ラピートの機動ではこの方向にしか制動できない。だが、アンネマリーは臆することなく銃口をオブリビオンマシンへと向け、ロングビームライフルのトリガーを絞った。

『くっ!? なんだい、まぐれ当たりかい?』
 突如として空間がまばゆい閃光に覆われた。マリーが撃ったロングビームライフルとアンネマリーが撃ったロングビームライフルのビームが直撃しあい、互いに反発して弾けあったのだ。通常であれば偶然の産物であろうが、彼女の猟兵としての能力であるUCがそれを可能としたのだ。
 超直感による最適なタイミングと狙いの一撃は、機体ではなくビームに狙い撃たれた。奇しくも運命の悪戯で相まみえた2機の同型機だったが、多少な相違点を除けば同じ機能と諸元を持つこととなる。それは装備も同様で、同じ出力と軌道を描くロングビームライフルであったのが幸いしたのだ。

「わたくしを見縊らないことね。お返しですわ!」
 畳み掛けるようにアンネマリーは、光の壁で隠れた先のオブリビオンマシンへと次弾を放った。ビームはマリーが乗るアマランス・ラピートの肩部に据えられたマイクロミサイルポッドを撃ち貫き、誘爆したミサイルでそれらは爆発音と共に弾け飛んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華
【いちごさんと】

なんとか意識をはっきりさせて、キャバリアに乗り込んだら、

『錫華。ドックから高エネルギー反応体が離脱中。
出力からみてキュクロプス隊のものではありません』

「IFFもレッドだね。これが『赤鷲』ってやつかな?」

機体の移動力を5倍にして、追撃。
射程は削られるけど足止めなんとかなるよね。

赤鷲からのミサイルは、機体の機動とアミシアに頼ろう。
「ジャミング任せたっ」

赤鷲に追いついたら、
スラスターを狙って【天磐】で【シールドバッシュ】
足を鈍らせたらスピードで翻弄して足止めしよう。

あれがいちごさんのキャバリアかぁ。
なんだか生き物っぽいね。

それに大技が来る感じかな?
アミシア、タイミング合わせて引くよ。


彩波・いちご
【錫華さんと】
と、とりあえずとらぶるはありましたが、役割は果たせましたし
本命が出てきましたね
「錫華さん、どうします?」
まぁ、ここまで来たらやることはひとつですか
【異界の巨神】を召喚しましょう

錫華さんが機動力を上げて接近戦で翻弄してくれるのならば、呼び出す巨神には遠距離での高火力な武装を顕現させましょう
「錫華さん、敵の足止めをお願いします。カウントダウン後に、でっかいの撃ちますから、タイミング合わせて避けてくださいね」
顕現させたのは、高出力な粒子ビーム砲のような兵装…に見えるナニカ
錫華さんとアミシアにカウントを共有
距離を詰められないよう保ちつつ狙いを定め
敵機のバイタルパートを狙って…シュート!


テラ・ウィンディア
………ああ
(この人は命を懸けて戦ってる…きっとオブビリオンマシンさえねじ伏せてる
…残念だよ
あんたは猟兵になれたかもしれないのにな

【戦闘知識】
敵の戦い方と構造
その動きを見据え

【見切り・第六感・残像・空中機動】
高速で飛び回り動きを止めずに激突し
【遊撃・弾幕】
ガンドライドを展開し弾幕を張って敵のミサイルや攻撃の迎撃を試みる

流石に正確だなっ
だが手が無い訳じゃないんだぞっ

【二回攻撃・串刺し・早業】
此方からも距離を詰めて高速で斬撃から槍に切り替えての刺突

接近戦はおれも得意だぞっ!

そしてブラックホールキャノンを向けて
マイクロブラックホールの一撃を叩き込む
【重量攻撃】で破壊力増強!

この世界は…凄いな


アレクシア・アークライト
あのマリーとかいうパイロット
オブリビオンに操られているようには見えないわね

もっともそれは、今はそう見えるってだけのこと
本当のことは分からないし、これからあのオブリビオンが周りにどんな影響を与えるかは分からない
大人しくしている今の内に完全に破壊させてもらうわ

力場でキャバリアに干渉し、構造と強度を把握
魔血玉――もとい、サイ・リミッターを解除して力を解放
ハッチを強引に抉じ開け、マリーを引きずりだす

彼女の処罰はこの世界の人達に任せるわ
色々と訊きたいこともあるでしょうしね

力が及びそうなら、そのままキャバリアを完全に叩き潰すことを狙う
難しいならその動きを抑制し、仲間の攻撃をサポート

UC指定:リミッター解除



『錫華。ドックから高エネルギー反応体が離脱中。出力からみてキュクロプス隊のものではありません』
「IFFもレッドだね。これが『赤鷲』ってやつかな?」
 もつれ合ってから半刻ほどが経ち、軽い脳震とう状態であった錫華がいちごの懸命な応急手当によってキャバリアの操縦に支障が出ない範疇まで意識を回復した。何やらも仕分けなさそうに視線を泳がせるいちごに彼女は不思議がっていたが、アミシアからの不穏な知らせによって頭の片隅にへと追いやられてしまう。

「と、とりあえずとらぶるはありましたが、役割は果たせましたし、本命が出てきましたね。錫華さん、どうします?」
「そうだね……。いちごさん、キャバリアの召喚にはどれほど掛かる?」
「えぇっと……異界の巨神を召喚するためには意識を集中させなきゃいけませんので、お時間は多少掛かります」
 しゅんと申し訳無さそうな顔をさせるいちごの姿に、キャバリアのモノアイ越しから錫華はいじらしくも微笑ましく思いながらもコンソールに指を走らせる。

「じゃあ、わたしとアミシアが先行して相手の気を引いているうちに、いちごさんは支援よろしくね。アミシア、幾つか装甲をパージして機体を軽くするよ」
『了解しました。いちごさん、ご武運を』
 ボルトが炸裂する軽快な音と共に、増設された装甲板が軽く宙を泳いだ後に地面に落ちると、今度は重厚な音を響かせる。それらがあった後には、姿勢制御用の補助スラスターや可動域を広げたスラスターがそれぞれ姿を覗かせている。これにより機動性が向上されたが、先ほどとはバランスが異なっている。その点はアミシアに修正を頼むこととして、機体を滑らせながら彼女は反応があった地点へと急行した。

「……よぉし。ふんぐるいふんぐるい…、星海の彼方より顕現する神の器を今此処に!」
 その姿を見届けたいちごは、大きく深呼吸をすると意気込んだ。そして、自らのUCの詠唱を始め、異界の巨神をクロムキャバリア内に顕現させる祈りを捧げ始めたのだった。


 ──この人は命を懸けて戦ってる…きっとオブビリオンマシンさえねじ伏せてる。…残念だよ、あんたは猟兵になれたかもしれないのにな。
 テラは双子の姉であり、同じ戦場内に居る猟兵を見つけだした。しかし、それはオビリビオンマシンとの激闘の最中であり、今は再会の喜びを分かち合う時でないと後回しにしようと思ったのと同時に、彼女の感受性が捉えたオブリビオンマシンのパイロットに憐れみの念を抱いた。
 ならず者やあらくれ者がひしめき合う海賊を、女だてらながらもそのカリスマ性で纏め上げていたマリー・マシュヴァーという名の烈女。恐らく彼女は根っからの悪人であり、幾つもの大罪を犯した者であろうが、オブリビオンマシンがパイロットを破滅の道へと至らす狂気に侵食されきっていない。それは単にオブリビオンマシンと目的を共にしているのもあるかもしれないが、その素質は敢えてオブリビオンマシンを愛機としている猟兵に通じるものがあった。もしかしたら、道を違わねば彼女は猟兵として覚醒していたかもしれない。
 紙一重の差だったとは言え、犯罪者と言えども更正という希望は残されている。テラはそれに賭けようと、アマランサス・ラピートの追跡を開始させた。

『なんてこったい、残弾に余裕がある方をやられてしまったようだね』
 赤鷲ことマリー・マシュヴァーは苦々しい顔持ちの中、舌打ちする。不思議なことにミサイルポッドひとつを吹き飛ばす爆発の中、機体そのものにはそれほど深刻なダメージは入らなかったようだ。既のところで、彼女が操作する前よりも早くオブリビオンマシンが被弾した肩部コンテナを切り離したのが功を奏した。
 まるで機体が爆散したかのような誘爆が良い囮となり、その隙に反撃するべくスラスターで後方へと逃れようとする。だが、センサーが彼女に機体が接近中であるとの知らせを鳴り響かせた。

『相手はカスタムタイプかい。しゃらくさいね、挨拶代わりのこれでも喰らいな!』
 アマランサス・ラピートは機体のバランスを保つべく、残存する全てのミサイルを撃ち切るとそれらをパージさせる。彼女が視認した増設された装甲板が特徴的なピースメーカー・マリーンのカスタムタイプ、錫華が駆る機体は迫りくるミサイルに臆することなく進んでいく。

「ジャミング任せたっ」
 錫華はサポートAI『アミシア』へ機体の補助スラスターの制動と増設されたジャミング装置の操作を託しながら、より加速を強めていく。正確にロックオンされたミサイルは強烈な電磁障害を前にして軌道が逸れ、機体を捉えたと誤認した虚に互いが衝突しあって爆発する。だが、時間差で放たれたミサイルには以前と錫華のキャバリアをロックオンしつつ、その姿を追っている。

「流石に正確だなっ。だが手が無い訳じゃないんだぞっ」
 突如共通回線から声が響いたと思いきや、天から砲撃が降り注いで残存するミサイルを撃ち落とされる。テラが駆る三界神機『ヘカテイア』、その砲台群であるRS-F『ガンドライド』による援護射撃だ。
 その姿にマリーはやるじゃないかと零しながらも、その機体に乗っているのは猟兵だと感づくと、ヘカティアに向けてロングレンジビームライフルを銃口を向けようとする。しかし、間髪入れずにキャバリア用ファンクションシールド『天磐』をオブリビオンマシンへと突き当てた。その反動で放たれたビームは大きく射線を逸れて、大気に減衰されながら虚へと消えてい。いくら強力な火器とは言え、銃身が長ければそれが仇となり、組み付いてしまえばそうやすやすと撃たれはしまい。

『くっ、この!』
 コクピットに衝撃が伝わる中、マリーは機体を取り直しながらも反撃に転じようと距離を取ろうとする。それに錫華は追従しながらもう一撃繰り出そうとしたとき、マリーはビームサーベルを抜き切らせて、盾の一部を削ぎ落とす。これで形成は逆転したと思えた矢先、それは現れた。

「錫華さん、おまたせしました!」
「あれがいちごさんのキャバリアかぁ。なんだか生き物っぽいね」
 いちごが召喚した異界の巨神。邪神の眷属が変じたキャバリアであり、生物的なその姿はこの世界においてジャイアントキャバリアと分類される生体系キャバリアであった。しかしあくまでもそれは見た目だけであり、脳無き巨人とは違って意思を宿していた。それを表すかのように、巨神は咆哮を上げた。

「錫華さん、敵の足止めをお願いします。カウントダウン後に、でっかいの撃ちますから、タイミング合わせて避けてくださいね」
 異界の巨神の身体に所々に垂れたチューブが鎌首をもたげるようにうねらせながら、その筒先をオブリビオンマシンへと向ける。

『あのバケモノキャバリアから高エネルギー反応を計測したってことは、アレはビーム砲か何かって訳かい』
 マリーの見立て通り、それは高出力な粒子ビーム砲のような兵装…に見えるナニカであった。形はどうであれ厄介極まりないのには変わりはしないだろう。だが、動きは緩慢な上にチャージには時間を要するらしく、それまでにそれらを斬り落としてしまえば問題ない。機体をいちごへ向けようとした時、牽制の為の銃弾がオブリビオンマシンへと放たれた。

「アミシア、いちごさんから送られてくるカウントを同期。大技に合わせるよ」
「おいおい、ちょっと待てよ。その前にパイロットの救出が先だろ!?」
「では、その役目を私が果たしましょう」
 悪人にかける情けなど無いとばかりにパイロットごとオブリビオンマシンを消滅させようとするいちごと錫華、それに真っ向抗議するテラ。とは言え、救出しようにもパイロットしての力量、追い詰められた獣のように鬼気迫る生存本能だ。パイロットのみを救出するとしても、こちらへの被害は甚大なものと容易く予想される。
 だが、突如として姿を現し、両者の間に入ったアレクシアの意見は両方であった。

「あのマリーとかいうパイロット、オブリビオンに操られているようには見えないわね。もっともそれは、今はそう見えるってだけのこと。本当のことは分からないし、これからあのオブリビオンが周りにどんな影響を与えるかは分からない。大人しくしている今の内に完全に破壊させてもらうわ」
 ポキリと拳を鳴らして、彼女はやるきそのものだ。こうなってしまえば、アレクシアを止める術などない。だが、これですべての意見が一致した。パイロットを救出し、オブリビオンマシンを滅すると。

『何をうだうだしてるんだい? やらないなら、こっちからやらせて貰うよ!』
「まずは機体の動きを封じてください。緩慢になったところで取り付くわ」
「任された! 接近戦はおれも得意だぞっ!」
「アミシア、予定変更。いちごさんの援護をしつつ、パイロットの救出をするよ」
 アマランサス・ラピートは二機のキャバリアとの白兵戦にBXビームソードを抜いて、非実体の光剣を展開させる。だが、振るわれた斬撃はヘカティアの星刃剣『グランディア』によって切り払われた。互いが反発した反動で体勢を崩したのをテラは見逃さず、形態を剣から槍へと変えて追撃を行う。それに合わせて、錫華はスラスター部を焦点に絞りながら溶断されたシールドの断面で殴りつける。
 四肢を、噴射口に損傷を与えられて動きが鈍り、周囲への注意が散漫になったのを見計らい、アレクシアは力場の反発を利用した跳躍でコクピットハッチに取り付くと、静かに手を当てて意識を集中させた。

「本気で行くわよ」
 生じた力場によって、ハッチはいとも容易くメキメキと歪みながら剥がれ落ちる。その先には、信じられないものを見たようなマリーが顔を引きつらせながらも、護身用の拳銃を取り出して構えていた。だが、何度も撃たれた銃弾は力場の重力に宙を静止し、既に弾が入っていない事を開放されたスライドが示す中で、マリーは何度も何度も拳銃を引き金を引いている。

「少しの間だけど、眠って頂戴ね」
 当身程度の力場をアレクシアは彼女に当てると、気絶したマリーをコクピットから引きずり出し、それを抱えながら地上へと降り立つ。
 しかし、オブリビオンマシンはパイロットを喪いながらも止まることはない。最後の抵抗に機体の崩壊を承知の上で動こうとした時、いちごからの連絡が届いた。

「皆さん、おまたせしました! 何時でも発射可能な状態です!!」
「了解よ。アミシア、アレクシアさんとオブリビオンマシンのパイロットを手に移して緊急離脱するわよ」
「止めを指すなら、オレもやるぜ!」
 二人を手にしたピースメーカー・マリーンが離脱する中、へカティアはブラックホールキャノンを展開させながら上空へと舞い上がる。そして、展開されたと同時に超重力のマイクロブラックホールによる一撃と、後方から降り注ぐ無数の粒子ビームがオブリビオンマシンに襲いかかった。
 圧潰しながらも粒子ビームによって蒸発され、赤鷲の異名で呼ばれていたオブリビオンマシン『アマランサス・ラピート』はクロムキャバリアから消滅した。

 その後マリーはキュクロプス隊の車両に乗せられて、何処へと消えていった。彼女の処遇はどうなるかは誰にも分からないが、歴史の表舞台からは消えるであろう。
 しかし、これだけは誰もが見た。彼女の片腕であり、姐と慕っていた弟分のフョーノヴが自決の道を選んで自爆したと告げられた時、泣き崩れたマリー・マシュヴァーの姿を。
 彼女もフォーノブ同様に戦いに破れたが、自身は生き残ってしまった哀しみの海に沈んだ。慟哭は潮風に乗り、はるか彼方の海へと届くようであったと、当作戦にあたった上陸部隊の生き残りは語るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年04月04日


挿絵イラスト