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永遠の祭囃子

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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●轟く太鼓の音
 妖怪の集う集落に、突如として音が鳴り響く。
 どぅん、どぅんというその音は、まるでお祭りのときに遠くから聞こえる太鼓の音に似ていて、どこか懐かしさを覚えるその鼓動にはいつしか多数の妖怪が惹かれていた。
 そうして妖怪が集まったその場所には、誰が用意したのだろうか。巨大な縁日が出来上がっていた。
 射的に型抜き、イカ焼きやかき氷などの屋台は誰がやっているのだろうか。薄っすらと、おぼろげにしか視認できないその姿を誰も確かめようとはしていなかった。
 数え切れない屋台で構成されたその縁日は、まるで迷宮のように複雑な模様を描き、その太鼓の響きは会場を訪れたものにいつかの思い出を掘り起こさせる。
「ああ、あれは娘の晴れ舞台だ」
「楽しかった……あのときは、本当に楽しかったんだ」
「そんな、母さん……!」
 さあ、永遠の祭囃子をはじめましょう。

●祭りへの出陣
「どうやら、カクリヨファンタズムで奇妙な反応が現れそうだよ」
 グリモアベースでオブリビオンの確認を告げるのは、鷹のような翼を持ったグリモア猟兵の少女、アーラ・カエルム(郷愁想起のバード・f29801)だった。
「奇妙っていうのはね、たしかにオブリビオンの予兆はあるんだけど、直接的な危害みたいなのはなさそうなんだ。ただ、一箇所気になるところがあってね」
 そう言うと、アーラは黒板のようなものを引っ張り出してカクリヨファンタズムの地図を描き、問題となる場所を示す。
「この集落……まあ、詳しい場所はどうせテレポートで近くまでは飛ばせるから覚えなくていいんだけど。とにかくこの集落が突然お祭り会場になってるんだ」
 お祭り会場。どこか気の抜けた表現に、君たちは訝しむかもしれない。
「結論から言えば、このお祭り会場がオブリビオンなんだけどね。この縁日に誘い込まれた妖怪のみんなが、ぼうっとしてたり、うわ言のように昔のことを呟いてばかりいるんだ」
 カクリヨファンタズムでは思い出が重要な要素となっているとはいえ、妖怪たちが一斉に思い出に浸るのは奇妙かもしれない。
「お祭り会場がオブリビオンだから、気が抜けるかもしれないけれど気をつけて。どうやらこの縁日はまるで迷宮みたいに入り組んでいて、奥に行くほど記憶や心を揺すぶってくるみたいだから」
 それと、と言葉を足す。
「できれば、途中で見かけた妖怪には声をかけて助けて欲しいんだ。思い出は大切だけど、前を向かなきゃ先に進めないから」
 そう言って、アーラは君たちを縁日の迷宮へと送り出した。

●縁日の奥で
 それは、悪意なき暴威。ただ、己の純粋な好奇心と欲望に従って動く赤子に等しい存在。
 しかし、それはまごうことなき脅威でもある。なぜなら、その赤子はあまりにも巨大なのだから。
「あ そ ぼ。あ そ ぼ」


天平
 はじめまして、天平と申します。
 お祭り、いいですよね。私は人混みが苦手なのであまり行きませんが、自宅まで聞こえる太鼓の音は結構好きです。

●章構成は次のとおりとなっています。
 1章:冒険『とおりゃんせ、とおりゃんせ』
 プレイングボーナス:縁日で思い出にふけっている妖怪に声をかけてあげてください。
 2章:集団戦『ケサランパサラン』
 プレイングボーナス:断章で解説予定です。
 3章:ボス戦『無邪気』
 プレイングボーナス:2章と同じものがプレイングボーナスとなります。

 縁日が舞台ですが、遊びすぎるとオブリビオンに飲み込まれるかもしれません。お気をつけを。
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第1章 冒険 『とおりゃんせ、とおりゃんせ』

POW   :    過去の記憶に惑う。

SPD   :    忘れた感情に揺れる。

WIZ   :    誰かの幻が浮かぶ。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

政木・朱鞠
う~ん…今のところは無害だけど、このままエスカレートして行けば人的被害が出ちゃうかもね…。
まだ確証はないけど、この事象の元凶になっている骸魂には迷子をなだめる様に進めていかないと純粋な思いが歪みを抱えたまま暴走して、世界終焉のトリガーになる可能性があるよね。
不粋かもしれないけど「楽しげに話し姿につい話しかけてしまった」という体で術中にある人達に自分の思い出話を語る様に干渉するよ。

WIZで行動
とりあえず感覚共有した『忍法・繰り飯綱』を放ち【追跡】や【情報収集】で周辺の情報を出来るだけ集めておきたいかな。
もしかすると、途中で郷愁に目を奪われてしまう可能性が有るから注意しないとね。

アドリブ連帯歓迎



「急急如律令。さあ、探ってきなさい、狐たち」
 異常の地として現れた縁日の舞台に降り立った政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は、自らの魂を子狐の姿に似た霊魂として周囲に放つ。
 魂の存在ゆえに朧げで、小さな体躯だから目立たない。オブリビオンの影響で意識が虚ろとなっている妖怪たちはおろか、核となっている骸魂にも気づかれることはない。
 そうして朱鞠が用いたユーベルコード『忍法・繰り飯綱』は、思惑通りに周囲の地形、屋台の構成、巻き込まれた妖怪たちの分布状況を正確に伝えてくれた。
 これならば、あとに続く猟兵たちもこの縁日の迷宮に迷わされることはないだろう。
「さて、この様子だと差し迫った脅威はまだ近くにはいないけど……もう少し先には暴れている骸魂がいるようね」
 朱鞠が発見したのは、ケサランパサランと呼ばれる骸魂。祭り舞台を作り出したであろう巨大な骸魂とは異なり、小さく弱い存在だ。しかし、数が多い。
「きっと、この縁日の術に飲み込まれた妖怪たちね……このまま放っておくと、まだ大丈夫な人もきっとああなっちゃうから、楽しんでいるところを無粋かもしれないけど、現実に戻ってもらわないと」
 朱鞠は、奥に進みながらもすれ違う妖怪たちに声をかけていく。
「随分楽しそうだけど、なにかいいことでもあったのかしら?」
「兄ちゃん、お祭り楽しいね……あっ」
 朱鞠に声をかけられた子供の鬼は、虚空に伸ばしていた左手を引っ込める。うわ言の内容から、おそらく兄との思い出にふけっていたのだろう。
「お兄さんが、どうしたの?」
「ここは……そっか、兄ちゃんはもういないんだ」
「大丈夫?」
 心配そうに声をかけるが、残念そうな口ぶりとは裏腹にその子鬼は明るい様子だ。
「ううん。もう、兄ちゃんとのお別れは済ませたから。後ろばかり向いてちゃ兄ちゃんに笑われるからね。気づかせてくれてありがとう、お姉ちゃん!」
 正気に戻った子鬼は、朱鞠に手を振りながら縁日の外へと帰っていった。
「なるほどね、楽しかった過去に囚えてしまうのは厄介そうね」
 自分も気をつけなければ。そう決意し、縁日の迷宮を進み続ける。
 複雑な模様を描く迷宮と言えど、既に飯綱によって全貌は明らかとなっている。ならば、あとは先程のように術に囚われた妖怪を助けながら歩けばいいだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ
ひとまず差し迫った危険はないみたいだけど…そのままにはしておけないね

現地の妖怪の皆さんにしても、楽しかった思い出に浸りたい時もあるのだろうけれど…思い出に囚われちゃ進めなくなっちゃうしね

道中で見かけた妖怪さん達には話し掛けてみよう
【コミュ力】を活かしながら相手の妖怪さんに思い出を話してもらうといいのかな
こういうのは人に聞いてもらうと気持ちの整理がついたりする事もあるし
俺に出来る事は、誰かに寄り添い支える事くらいだから
【優しさ】【慰め】【心配り】俺の誰かを癒したいという思いを込めて、生まれながらの光で少しは妖怪さん達の気持ちを癒やしながら、前へ進む後押しをする事が出来たらいいな



 縁日の迷宮を歩く鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は、この祭りに集められた妖怪の様子に思うところがあったようだ。
(楽しそう……だけど、どこか寂しそうだな)
 なぜそう思ったのか、それに確たる根拠はない。しかし、思い出にふける妖怪たちの姿にはどことなく哀愁をまとっているように見えたのだ。
 それはきっと、ひりょ自身育ての親を失いながらも、周囲の人々に助けられたことで培った優しさゆえのものだろう。
 だから、彼は声をかける。辛い時、街の人に助けてもらったように、今度は自分が寄り添うために。
「君、ちょっといいかな?」
 思い立つとあとは躊躇なく、綿菓子を食べている狐耳の少年妖怪に声をかけていた。
「なあに、お兄さん」
 狐の少年は、たしかに受け答えはしているがその様子はどこか虚ろだった。
「気のせいだったら悪いんだけど、ちょっと君の様子が悲しそうに見えたからね。少し、話を聞かせてくれないかな?」
「う、うん。あのね、お母さんが……」
 ひりょは持ち前のコミュニケーション能力で、少年の話を聞く。
 曰く、今よりももっと幼い頃、少年の母は亡くなってしまったそうで、しかし今はもう立ち直っていたはずだったらしい。
「でも、この綿あめを食べてたらなんだか、昔のことを思い出しちゃって……」
「そっか、辛かったと思うけど、強いんだな」
「そう、なのかな?」
「ああ。お母さんとの思い出は大切だと思うけど、そこから立ち直れた君は強いよ」
「ありがとう、お兄さん」
 ひりょの言葉は確かに少年の心に届いたようで、話し終えた頃にはもう悲しそうな様子は見えない。
 ひりょの誠実な態度は、たしかに他者の心を癒やす力を持っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​


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※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
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リステル・クローズエデン(サポート)
なにかを探すならば、
情報収集、第六感、世界知識、失せ物探しをもちいる。

移動は、大体必要な行動はできるはず。
迷彩や目立たないで潜むことも可能。

ユーベルコードは、基本使わないが。
使う必要があるならば使用。

基本。援護、サポートですので、
目立たないように、ですが、
その時の目的達成のための最善手をとろうとします。

なお、コメディタッチのシナリオの場合も。
基本的には、空気を読まず、まともに行動します。
(ツッコミもしません。)
ただ、まともがまともとは限りませんが。

あとは、お任せですね。



口調 (僕、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)



 あちらこちらで聞こえる妖怪たちの懐かしげな、そしておぼろげな声に、リステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)はつと目を伏せる。己自身の思い出せる過去を持たないリステルにとって、そこに籠もる感情は図り知れぬもの混じりだった。
 とは言え、彼らを放置しておくわけにもいかない。できる事をできる限りやり遂げようと心得て、彼女は金魚すくいのビニール袋をぶら下げたまま立ち尽くしている少女の背中に声をかける。
「ねえ、あなた」
「わたし?」
 振り返った彼女の顔は、雪原のように真っ白だった。目鼻のない少女の『顔立ち』に目を丸くし、すぐに何でもないような表情を作って、リステルは彼女と頭の高さを合わせるように腰をかがめる。
「はい。何だか、随分寂しそうな背中でしたので……どなたか、探していたり?」
「ううん、違うの。探してたわけじゃなくてね、あのね」
 お友達がいたの。だけどもう会えないって分かってたの。遠い遠いところに行っちゃったから。たどたどしく続けられる言葉に時折頷きを返しつつ、リステルは思案する。
(「恐らくは、失った誰かとの、幸せな記憶……なんでしょうか」)
 記憶の主にとって、それは紛れもなく愛すべきものなのだろう。大切にすべきものなのだろう。けれどそれが、かれらをこの危険な祭りに飲み込む為の『餌』とされてしまっているのなら。
「……大切なお友達なんですね」
 確かめるように呟けば、少女はこくりと頷いた。
「きっと、お友達もそう思っていますよ。きっと、ね」
 それだけ言い残し、リステルは立ち上がる。お祭り会場の中心部は、もうすぐそこだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『ケサランパサラン』

POW   :    もふもふ体当たり
【もふもふの体での】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【仲間】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    ふわふわ膨らむ
全身を【ふわふわ膨らませて一回り大きな姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    ふよふよ漂う
【ふわふわの体で誘うようにふよふよ漂う姿】を披露した指定の全対象に【ケサランパサランを追いかけたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

藍原・蒼夜(サポート)
 人間の學徒兵×力持ち、18歳の女です。
 普段の口調は「おっとり系(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 偉い人には「敬語(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

のんびり、おっとりした性格で、多少天然ボケな面もあります。
武器は主に退魔刀を使用して戦います。
好きな物は、可愛いぬいぐるみ、綺麗な花、静かな場所。
趣味は小説等の読書。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 ふわり、ふわりと白いものが祭りの薄闇に浮かび上がる。よく見ればつぶらな瞳でこちらを見つめているそれこそが妖怪『ケサランパサラン』が骸魂に飲まれた成れの果てだと見抜いて、藍原・蒼夜(蒼き宝刀・f23131)は自らの頬に手を添えた。
「あらあら、それじゃああなたたちが皆に幸せな記憶を見せていたの?」
 彼らは元々『しあわせを運ぶ』とうたわれる存在だ。故にその力が骸魂によって歪められ、この空間に踏み込んだ者を幸福な記憶に捕らえてしまっているのかもしれない――そんな風に予測を立てつつ、蒼夜は退魔刀をすらりと引き抜いた。
 刃の輝きを前に、ケサランパサランがぱちりと瞬く。瞬間、周囲の妖気が濃さを増した。猟兵の精神すらも侵食せんとする妖気は、やがてひとつの感情へと形を変えて――。
「……あら、まあ」
 ぽかんとして、けれど決して剣は手放さないまま、蒼夜は呟く。ひどく充実したような、それでいて何かが決定的に欠けて渇いているような、懐かしさと寂しさのない交ぜになった思いと、それを掻き立てるいつかの記憶。まるでそれらに浸るかのように瞼を下ろした彼女は、けれど次の瞬間蒼く煌く双眸を真正面へと向けて。
「……ごめんなさいねぇ。とても、とっても素敵な思い出を見せてもらったけれど、でも」
 それだけでは、いけないわよね? と。
 囁くような言葉と共に、蒼い月を刻んだ刃が真一文字の軌跡を描いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

グリュック・ケー(サポート)
「なんかよく分かんないけど、よろしくなっ」
ノリのいい兄ちゃん。旅が好きでふらふら出歩いている割には呼べば現れる。ひとりも好きだが大勢も好き。楽しそうなことには顔を突っ込みたがる。汚れ役も引き受けられる基本的にいい人。
プリンと睡眠が大好きで常にプリンを持ち歩き、少しでも時間が空けば夢の中へ。寝起きはいいほうだが寝つきがかなり良い。
普段から顔を隠しているが、「見せて」と言われれば普通に見せる。
好戦的というわけではないが、必要であれば躊躇わない。
ユーベルコードも普通に使う。正面から戦うよりかは罠をかけるほうが好き。



「……はっ!?」
 突然だが、グリュック・ケー(なんか黒い・f32968)は正気に返った。じゃあ先ほどまではどうだったのかと言えば……。
「……なんでおれ、『わーいケサランパサランだー』ってなってたんだ……?」
 まあ、そうなっていた。この妖怪、ふよふよ漂う様子を目撃した者をなんやかんやで虜にしてしまうという、状況次第でものすごく厄介なユーベルコードを使えるのだが、その直撃を受けてしまった結果、一時的にこのふわふわ軍団と平和(?)な追いかけっこを繰り広げることになったのだ……というのが、傍から見た場合のこれまでのあらすじなのだが。
「……て言うか他にも、なんか色々見えてた気がする……」
 過去に行き合った楽しい人々の記憶が胸の底に浮かんでは泡のように消えるが、そのどれとも違うような、どれかではあるような。何とももどかしい、胸を掻きむしりたくなるような感覚に、グリュックはやれやれと大袈裟に肩をすくめる。
「ねー、キミたちさ。もし本当に、おれにも幸せな思い出ってやつを見せてくれるんなら――」
 そこで言葉を切り、しばらく視線をふらりゆらりと漂わせて、彼は手の中でナイフをくるりと回した。
「……やっぱ、やーめた」
 まるでその言葉が合図であったかのように、空中でいくつもの罠が弾け、骸魂を煙に包んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)



「ふぅん、誰かさんとの幸せだった思い出ね」
 関節を鳴らすような仕草で首を回し、グレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)は皺の寄った口の端を上げる。
「掘り起こせるもんなら掘り起こしてみな。こちとら本当のババアなんだよ」
 とうに薄れ、色褪せ切った記憶だ。今更そのようなものに翻弄されることもあるまい――そう笑って構えたグレナディンだったが、目の前をケサランパサランがふわりと横切り、こちらを見た瞬間、僅かながら目を瞠ることになった。
「……へぇ、面白いじゃないかい」
 妖気の蘇らせる思い出は思いのほか鮮やかで、感傷的で、それこそあの時舌の上を転がっていた安酒の味さえくっきりとしている。
 身を委ねてしまえば楽だ。さりとて完全に囚われるわけには行かない。最もまともに身動きが取れる丁度のラインを冷静に見極めて、グレナディンは道中の屋台で買ったカップ酒の蓋を開けた。勢いよく中身を飲み下せば、記憶の中のそれとは違う辛味と苦味が喉に触れる。肩越しに放り捨てた空き瓶は、見事にゴミ箱の口へと吸い込まれた。
 漂うケサランパサランたちをじっと見据え、自身のサイキックエナジーを練り上げながら、グレナディンは更に不敵に笑う。
「かかって来な、妖怪ども。もっとも、指先一本分で十分だがね」

成功 🔵​🔵​🔴​

アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPDの方がクリアしやすいと判断したら、そちらを使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使う形です。
主に銃撃UCやヴァリアブル~を使う雰囲気です。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
他人の事は気にしない素振りを見せますが、基本、不器用なので、どう接したらいいのかわからない感じです。
ですが、合せるところは合せたり、守ってあげたりしています。
特に女性は家族の事もあり、守ってあげたい意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。



「……これは」
 凛と整った面立ちを僅かに歪め、アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)は首を振る。祭りの中心部である櫓に近づけば近づくほど、その感覚は強くなっていた。
 心の内で姉妹に呼びかければ、あの日と同じように声が、笑顔が返る感覚がある。そこへ手を伸ばしたくなる衝動を抑えようとした瞬間、アスの真正面にもふんと何かがぶつかる感触があった。
「妖怪か……!」
 たたらを踏み、後退しながら二丁の銃を構えれば、ケサランパサランたちは撃ち抜けるものならそうしてみろと言わんばかりに上下左右へふわりふわりと動き回ってみせた。
「……」
 温かな毛玉がぶつかった瞬間、確かに思い出の感覚もまた濃さを増していた。もう少しだけ、もう少しだけそれを手放さずにいたいと思ってしまったところで、誰もそれを責めることはできないだろう。だが。
「……違うな。そこに浸って足を止めていても、俺たちは」
 それだけでは、未来に再び巡り合うことなどできはしない。ただ今この時は、この弾丸を届けるべきところへ届けるため、アスは姉妹に想いを馳せる。
「……力を、貸してくれ」
 トリガーに掛けた指に、温かな細い手の感触をふたつ覚えたのは――幻覚に違いない。

成功 🔵​🔵​🔴​

トゥルリラ・トゥラリラ(サポート)
 堕天使の四天王×殺人鬼、17歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、キミ、なの、よ、なのね、なのよね?)」、戦闘中は狂える殺人鬼「私、相手の名前、呼び捨て、なの、よ、なのね、なのよね?」です。

性格は明るく無邪気ですが、殺人や殺戮は遊びとして認識している危険人物です。
【地の魔王】と呼ばれる魔王に仕えていて、その魔王に心酔しています。
実は語尾がおかしい事を気にしています。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「……?」
 櫓の方から何か聞こえた気がして、トゥルリラ・トゥラリラ(鏖殺の堕天使・f31459)は首を傾げた。そろりと踏み出し、そちらへ近づこうとしてみれば、ケサランパサランたちが行かせまいと寄り集まってくる、けれど。
「あ そ ぼ」
「!」
 微かに、けれど確かに声が聞こえた。不気味にこだまする、奇妙に幼子じみたたどたどしい声だ。恐らくは、この『祭り』を作り出した元凶の。あそぼ、あそぼ、と途切れ途切れに聞こえてくる声に、トゥルリラはしばし俯き、肩を震わせて――そして、笑顔で言い放った。
「……勿論! 勿論なのね! うん、うん、遊びましょ!」
 そう、彼女はこう見えて魔界の魔王に仕える堕天使のひとり。記憶はないけれど無邪気で明るく、遊ぶことが大好きで――そして彼女の言う『遊び』の中には、凄絶な命の取り合いすらも含まれる。
 だからこそ、恐るべき邪悪さを孕んだ声にも臆することなくそう答え、そうしてトゥルリラは片手を掲げる。
「じゃあ私、すぐにそっちまで駆け付けるのね! と、いう訳で……ここはサパッと鏖殺していくのね!」
 声に導かれ、戦場に幾つもの髑髏柱が伸び上がる。少女の声の明るさとは裏腹に魔王然としたおどろおどろしいフォルムのそれは、恐ろしい怨嗟の声で呪詛を紡ぎ、たちまちケサランパサランの動きを鈍らせていく。そうなれば最早、彼らなどトゥルリラにとっては動かない的でしかない。
 ――そして、無邪気な笑い声が暗い空に響いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

千束・桜花(サポート)
戦いとあらばユーベルコヲド使いの出番です!
人々を守る将校として立ち向かいましょう!
私の剣は人を生かすための剣、人命第一で戦います!
そのためならば、多少の負傷は仕方ないでしょう!
私が道を作れば、誰かが活かしてくれるはず!
クロムキャバリアへ向かうときは専用のキャバリアにてこの剣術を再現します!
敵の数があまりに多いときは……光線銃を使いましょうか!

天下無双の(新人)将校、千束・桜花、いきます!



「……少し、祖国を思い出しますね」
 カクリヨファンタズムのお祭り会場に立ちながら、千束・桜花(浪漫櫻の咲く頃に・f22716)はぽつりと独り言ちた。単に屋台通りや街並みの様子に似通う部分がある、というだけの話ではない。誰かの存在を求め、或いは誰かの懐かしく、甘くもほろ苦い過去を揺り起こす敵のありようは、どことなく彼女がこれまで學徒兵として相対してきた影朧のことを思い起こさせた。
「……いいえ、いいえ。感傷に浸っているだけではいけませんね」
 無論それこそが、この濃密な妖気の中で身動きを取る最善の手段だということは桜花とて理解している。だからこそ、過去を想うことはやめないまま、けれどひとの未来を守護する将校として、彼女は凛と声を張る。
「天下無双の将校、千束・桜花! いざ、あなた方を鎮めてみせましょう!」
 瞬間、まるでその声から花が開いたかのように、桜吹雪が溢れ出す。己の名と同じその花を纏いながら、少女将校は地を蹴り、駆ける。腰の大ぶりな退魔刀に手をかけ、引き抜き、振り抜けば、まるで撫でるような感触と共にケサランパサランたちが霧消していく。 光線銃を抜くまでもなく、既に敵の数は他の猟兵の奮戦で減らされている。なれば今己の成すべきことは、その道を最後まで開き切ることだと心得て、桜花は踊るように身体を反転させて。
「これで――終わりです!」
 円弧を描くような刃の軌跡が、そうして最後のケサランパサランを斬り払う。刃を収め、奇妙に高く巨大な櫓を見上げて、桜花は呟いた。
「……そして、ここから……ですね」

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『無邪気』

POW   :    あ そ ぶ
レベル×1tまでの対象の【身体や建造物など】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    ど こ か な
【生物を見つけること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【恐怖を与え動きを封じる視線】で攻撃する。
WIZ   :    あ れ が い い
攻撃が命中した対象に【強い興味】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【自身から発生した複数体の分身】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は霞末・遵です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バルタン・ノーヴェ(サポート)
「ご安心くだサーイ! ワタシが来マシタ!」
ご用命あらば即参上! アドリブ連携歓迎デース!

普段の口調:片言口調で(ワタシ、アナタ、デス、マス、デスネ、デショーカ? デース!)
得意な技能:【一斉発射・焼却・武器受け・残像・カウンター・受け流し】

各種武装の中から、ボスに適切なものを選択して用いてくだサーイ!
刀も銃器も、内蔵兵器や換装式ウェポンも、何でもOKデス!

アタック重視でもディフェンス重視でも対応可能デース!
斬り込み、爆撃、弾幕を張ったり、パリィ盾したり、臨機応変に立ち回りマース!

どのユーベルコードを使用しても問題はありマセーン!
オブリビオンを倒して、ミッションクリアのために力をお貸ししマース!



「き た」
「き た」
「だ れ か き た」
 きゃらきゃらと笑い声が上がったかと思えば、『それ』は高い櫓の上から真っ逆さまに猟兵の前へと落ちてきた。まるで巨大な蛙のようにべちゃりと音を立てて着地したそれは、黒々とした顔でまた笑う。
「あ そ ぼ あ そ ぼ」
「……? 子供、デスカ?」
 首を傾げ、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は一瞬後になってはっと自身の頬を叩いた。違う。違う。確かにあれは子供のようななりと声をしている。だが――。
(「……危ないところデシタ。一瞬、あれが本当に小さい子に見えテ……」)
 無論、眼前のそれがそんな無垢な存在である筈がない――否、無邪気な存在ではあるのだ。唯、無邪気故に加減を知らず、残虐で、傲慢なだけ。
「……何にせよ、こんなひどいお祭りはノーサンキューデース! 子供は寝る時間デスヨ!」
「い や だ」
「ま だ ね な い」
 掴みかかってこようとする黒い手をかわし、地面を転がりながら火器のトリガーを引けば、火花と共に黒々とした瘴気が散る。すかさず立ち上がり、コンバットメイド服の裾を翻して、バルタンはその身に内蔵していた火炎放射器のノズルを敵へと向けた。
「六式武装展開、炎の番!」
 吐き出された炎は粘液のように黒い影へと纏いつき、その魂を焦がしていく。子供の泣き叫ぶような絶叫に軽く顔をしかめて、バルタンは呟いた。
「オーゥ……どうにも、嫌な相手デース」

成功 🔵​🔵​🔴​

轟木・黒夢(サポート)
『私の出番?それじゃ全力で行くわよ。』
 強化人間のヴィジランテ×バトルゲーマー、18歳の女です。
 普段の口調は「素っ気ない(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「それなりに丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで、あまり感情の起伏は無いです。
戦闘では、格闘技メインで戦い、籠手状の武器を使う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「……」
 妖気の呼び起こす感情を振り払うように首を横に振り、轟木・黒夢(モノクローム・f18038)は平素以上に淡々とした声音で呟いた。
「……行くわよ」
 どこか硬さをもったその声を、黒い幼子が気に留めることはない。新たな遊び相手――或いは玩具が訪れたことに狂喜し、それはねっとりとしたタールのような目で黒夢をじっと見た。
「あ た ら し い ひ と」
「み つ け た」
「つ ぎ は き み」
「……!」
 肉体が芯から冷えるような感覚に、黒夢は思わず息を呑む。間違いなく、これは生物としての本能的な恐怖だ。理性ではなく身体の方が、『これは危険な存在だ』と全力で叫んでいる。
「……怖がってなんて、あげない」
 目を閉じてなお、あの視線がこちらに絡みつくのがわかる。ならば敢えてと、黒夢は大切な記憶を目の奥でなぞった。寂しい。会いたい。隣に居たい。決して声には出さず、ただそんな思いが己の中に僅かでもあることだけを確かめて、幾分軽くなった腕を動かしてみる――大丈夫、やれる。
 瞼を下ろしたまま、そうして黒夢は走り出す。見ずともこれほどの気配があれば、どこへ走ればいいかなど嫌でもわかる。伸ばされる指を蹴飛ばし、反動を使って跳び、敵の眼前へ。そうして繰り出した渾身の拳が、黒い幼子の眼をひとつずぶりと貫いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?



「う……わぁ」
 暴れ回る黒い子供を前に、筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)は眼鏡の奥で黒い目を眇めた。
「……早く終わらせたいところだね。その為には……」
 恐らく相手は、幼子以上の知能と感性を持ち合わせていない。ならばと熱線銃を抜き、トオルはそれを敵の目の前の地面目掛けて撃ち放つ。
「それ……!」
「……?」
「ぴ か ぴ か」
「な に こ れ」
「ほ し い !」
 目論見通りだ。熱線銃に強い興味を示し、一直線に突進してくる黒い幼子を、トオルは敢えて真正面から待ち構える。目の前の光景に、恐怖を覚えないわけではない。妖気で身体が動かないわけでもない。ただ一度だけ眼鏡の弦に指先で触れて、少年は幼子の振り下ろす腕の方へと自らの腕を突き出した。
「……!」
 ねじ切られるような痛みは、幼子本体のもたらすそれだけではない。ユーベルコードで生み出された分身たちもまた、トオルの銃を奪い取り、ついでに元の持ち主でも遊ぶべく、次々に腕を伸ばしてきているのだ。呻き、けれど瞳を強く見開いて、トオルは幼子を睨みつける。――かれらは既に、『かかっている』。
「光よ我が願いを叶えたまえ。聖なる力、邪なる者を封じる力をここに」
「……!?」
 トオルの眼鏡から放たれた光が、幼子の目をまともに射抜く。それは、見た者の精神を惑わせる催眠の光。光に飲まれ、一時的ながらその動きを止めた赤子の腕を振りほどきつつ、トオルは続く猟兵に視線を向けた。――隙は作った、と。

成功 🔵​🔵​🔴​

カツミ・イセ(サポート)
「僕の神様は言ったよ。郷に入りては郷に従えと」
「僕に出来ることだからね」

神様に作られたミレナリィドール、勝ち気で大人びた僕娘。イメージは水。
口癖が「僕の神様は言ったよ」
『偽装皮膚』の影響で、球体関節が普通の関節に見えるよ。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。加護で治るから、大怪我しようと厭わず積極的に行動するよ。
遠距離は『水流燕刃刀』を伸ばすよ。
近接戦では『偽装皮膚』を水のような刃にして、咄嗟の一撃を放つことがあるよ。このときは球体関節が見えるんだ。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしないよ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないんだ。
あとはおまかせするから、よろしくね!



 涼やかに煌く蛇腹刀が未だ動けぬ黒い幼子の二の腕に絡みつき、その身を構成する瘴気を抉り取る。まるで蒸発するように瘴気が削れていくさまを目に映しながら、カツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)は微笑みを消すことなく呟いた。
「僕の神様は言ったよ。どんなに綺麗で素敵なものだって、丁度いい重さというものがあるんだ」
 大切に大切にしすぎれば、時にそれは重荷や枷となる。想いであれ、思い出であれ、或いはそうでない他のものであれ、だ。――そうして救われない誰かが生まれてしまうというのなら、それはカツミにとって看過しがたいことだ。
「だからね、このお祭りにも終わりは必要なんだ。寂しいと思うかもしれないけれど」
「な ん で」
「本当に寂しいのは、終わりのないお祭りの方だよ」
 催眠の束縛を振り切った幼子が、カツミへと掴みかかってくる。それを避けもせず、幼子の巨大な指を己の左肩に食い込ませたまま、神様の子機を名乗る人形は首を振ってみせた。
「なんでも、そういうもの」
 自由な右手で差し出した波濤王笏から、竜の如き鉄砲水が溢れ出す。カツミの左腕を掴んだまま吹き飛ばされるようにして押し流されていく幼子は、理解できないというように声を荒げた。
「も っ と あ そ ぶ ん だ」

成功 🔵​🔵​🔴​

春夏秋冬・ちよ(サポート)
風景画が趣味のお節介な旅老猫

優しいお婆ちゃん猫で猟兵としての経験は浅いですが、アルダワの学生としてとても長い間戦い続けた歴戦の戦士です

口調はステシをベースに優しいお婆ちゃんをイメージ

動物と会話して道や情報等を得ます

UCは竜を疑似再現、その力を借りる物
何の竜の力かは状況、やりたい事によって指定を
(例:火竜・刃竜・筋肉竜等々 真面目からネタまで可)

戦闘は素早い身のこなしで回避重視、杖か閉じた傘(又はUC)による鋭い攻撃
所謂蝶のように舞い、蜂のように刺す
得意技はUCで騎乗か飛行してのランスチャージ

一人称追加・おばあちゃん

禁止事項
真の姿の解放(覚醒)
UC『凶夢の魔竜騎士』二種の併用
公序良俗に反する行動



 或いはこの幼子も、そんな懐かしく思える『誰か』が欲しいのだろうか。
 何とはなしにふとそんなことを考えて、春夏秋冬・ちよ(旅する老猫・f19400)はゆるりと首を振った。
「いけないわね」
 こういう幼子に大人がしてやるべきことは、良くないことは良くないとして止めてやること。手にした傘の先端を地に付け、持ち手を指先でとんと叩いて、ちよは柔らかな声でひとつの魔法を紡ぐ。
「術式展開、再現するは竜の牙」
 瞬間、傘を中心に光が走った。けれどそれも一瞬のこと、次の瞬間には光は晴れ、ただちよの手にしている傘だけが、薄い光を纏ったひとつの『剣』と化していた。
「ひ か っ た !」
「き ら き ら !」
 幼子の突進を、ちよは跳躍ひとつでかわし切る。さながら大型の蝶が舞うような優美な軽やかさで、そのまま彼女はステップを踏み、反撃へと転じる。
「あまりおいたをしてはダメよ。楽しくなりたいときに、誰かを痛くさせてはいけないの」
 踏み込みと同時に体重を乗せて突き出した傘剣が、巨大な掌を易々と刺し貫く。ぎゃあ、と甲高い声を上げ、幼子は地面にのたうち回った。いたい、いたいと喚く子を見上げたまま、油断なくちよは次の構えを取る。
「……そうよ。ぶったりしたら、みんな痛いの」

成功 🔵​🔵​🔴​

羽堤・夏(サポート)
あたしは夏!防人の夏!
度胸根性、向日葵娘ってな!
火力とステゴロがメインのオラトリオだ

特技は【庇う】こと!
あたしはタフだからな、盾になるのも防ぐのもどんとこいだ!
あとは…ユーベルコード【夏姉ちゃん属性チェンジ】で、状況に合わせて姿を変えることができるぞ!
パワーが必要なら炎を操る真っ赤な猛火の姿に、速度が必要なら氷を操る青い吹雪の姿に変身だ。

…それでも足りない?
なら…必殺【アライズサンシャイン】!
夏姉ちゃんの、怒りの鉄拳食らいやがれ!
もしもの時は【解き放て、内なる焔】で自爆もできるぞ!

あたしは基本的に公序良俗ってのに反することはしない
あと…正直下品なのはちょっと…



「ああん……? 何かと思えば、欲しがりのチビッ子かよ」
 いよいよ見境なく暴れ始めた敵を前に、羽堤・夏(防人たる向日葵娘・f19610)は拳を打ち合わせる。
「上等だ! その妄執、衝動、この夏姉ちゃんがぶっ飛ばしてやる!」
 脳裏をよぎるのは、家族と共に暮らしていたあの日々。泣きたくなるほどに懐かしい光景を瞼の裏に、胸の奥に感じながら、夏は翼で空を打つ。幼子の頭上まで飛翔し、真上から見下ろせば、潰れていない片目でこちらをべったりと見上げる幼子と目が合った。
「あ そ ぼ」
「ああ。お姉ちゃんが遊んでやる」
 大丈夫だ。姉ちゃんこれでもタフなんだぜ?
 ――そんな風ににっと笑ってみせれば、たちまち黒い幼子はよたよたと重い頭を振って立ち上がり、両手で夏を捕らえようと腕を伸ばす。
 恐らく、『大事に掴まれて』しまえば痛いでは済まないだろう。だが、何故かそうしてやりたいと夏には思えた。黒々とした十指が迫ってくる。羽ばたき、握り潰されないよう空間をギリギリで確保しながら、夏は微かに口元で笑った。
「なあ、チビッ子……いや、デカッ子か? まあいいや」
 充分遊べたか? とそう問えば、ううん、と答えが返る。際限がないな、とやはり短く笑って、夏は幼子の手の間で腕を組んだ。
「結構、苦しかったろ」
 その満たされぬ欲望も、無邪気な悪意も、ここで終わりにしよう。そうして、彼女は己の全身から『太陽』を解き放つ。
「さ、――これで、終い、だっ!!」
 煌々と燃えるような輝きが、黒い幼子の両掌の隙間から溢れ出す。太陽の火は幼子の指を、顔を、やがては全てを焼き尽くし、その根源たる残虐な好奇心すらも飲み込んで消えていく。
 そして静けさを取り戻した幽世の夜空にひとつ、小さな流星が落ちていった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年07月09日


挿絵イラスト