燃やせ闘志! 打ち砕け巨悪の野望!
●
「ついにこの時が来たようだね」
分厚い本をぱたんと閉じ、青年はぽつりと口にする。
長机に本を置いた青年はマントを揺らしながら本棚の間をかつこつと歩く。その姿は何の変哲もないものではあるが、その正体はヒトの敵。
かつこつ、こつん。
足音が止まり、青年が立つ場所から見下ろすと、怪人達がずらりと並んでおり、青年からの命令が下されるのを今か今かと待ち望んでいた。
ばっ!
大きくマントを閃かせ、青年はぐっと拳を握り命令を発する。
「怪人達よ、イベント会場へ向かいキマイラ達からプラス感情をすべて奪ってくるんだ。一人も残さず全員の感情を僕のコレクションにする為、そして世界征服の為に!」
うおおおおおおぉぉぉぉおおおおおお!!!!
野郎どもの雄々しい雄叫びが基地内に響き渡る。
その様子を見下ろしながら青年――リブロ・テイカーはにいと不敵な笑みを浮かべ、怪人達が出ていく様子を見送るのだった。
●
「ホワイトデーって企業の陰謀って聞いたんだが、本当か?」
集まった猟兵達を前に海老名・轟(轟く流星・f13159)は唐突に言い出した。
あまりの唐突な言動に猟兵達が聞けばこのオッサン、なにやら殺気立った野郎どもから聞いたらしいが諸説あるに違いない。
それはさておき。
「リブロ・テイカーが悪の組織『イビルアーカイブ』の首領となって『アーカイブ怪人』に改造した配下を使い、キマイラ達を狙う事が分かった。キマイラ達を守りアーカイブ怪人とリブロ・テイカーを倒してほしい」
資料を広げながらの言葉は真面目で真摯なもの。頷く猟兵隊を目に轟は詳細な説明をし始める。
轟の説明によれば改造されたアーカイブ怪人は音楽イベントやお祭りなどの会場に現れ、喜びや楽しみなどのプラス感情を吸い取り、奪い去っていく。そしてプラスの感情を完全に奪われたキマイラ達は、その場で動けなくなってしまうという。
今回現れるのは『ホワイトデー・ラブ×2感謝デー』というイベント。猟兵達が向かわねばキマイラ達はプラス感情をすべて奪われ、あっという間に怪人の餌食となってしまうだろう。
「キマイラ達のプラス感情が完全に奪われなければいいって訳か」
「そうだな。現場はイベントに呼ばれたサウンドソルジャー達がいるから協力があれば、キマイラ達のプラスの感情が尽きないよう場を盛り上げる事もことも可能なはずだ」
猟兵へと答える轟によればアーカイブ怪人は頭が本になったような姿をしており、この本を開いて維持することで『感情エネルギー』を奪い取り強化されていく。
この性質を利用して『感情エネルギー』を許容量以上に溢れさせることができれば集めすぎた感情が爆発し、アーカイブ怪人へ大きなダメージを与えられるとの事だ。
で、改造された怪人なのだが――。
「改造されたのはマグロ怪人ツーナーなのか……」
「マグロ頭の怪人の頭が本になっちゃったのか」
「マグロ怪人のアイデンティティであるマグロ頭が本になっちゃったらマグロ怪人じゃなくなっちゃうじゃん」
とかなんとか猟兵達は言葉を交わすが、改造された時点でもうマグロ怪人ではなくアーカイブ怪人である。
「今からだと怪人達が襲撃するタイミングの転送になっちまうな。襲い掛かる怪人の前に現れる訳だからお前達はピンチに登場するヒーローって訳だな」
そう言いながら轟はグリモアキューブを展開させる。
「とりあえずビシッとキメてバシッと倒して来い! 頼んだぞ!」
こうして猟兵達は襲い掛かる怪人、そしてリブロ・テイカーを倒すべくイベント会場へと向かうのだった。
カンナミユ
しっとの炎を燃やす皆様こんにちは、カンナミユです。
ホワイトデーも企業の陰謀の匂いがしませんか?
それはともかく猟書家の野望を打ち砕く為には皆様の力が必要です!
今回のシナリオにはプレイングボーナスがあります。
プレイングボーナス(全章共通)……サウンドソルジャーに応援される(賑やかですが戦力はゼロです)。
それではよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『マグロ怪人ツーナー』
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POW : 止められない止まれない
【食べられるという恐怖心から無限のスタミナ】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD : そんなことより助けて欲しい
レベル分の1秒で【腕を振り払うことで自らに噛み付いてる猫】を発射できる。
WIZ : 水を得たお魚
【水鉄砲】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を水浸しにし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:くずもちルー
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
イベント会場では可愛らしいアイドル達がラブソングを歌っていた。
耳を傾ける恋人達はプレゼントを贈ったり愛をささやきあったりと雰囲気バッチリ。
よく見れば告白するタイミングを計っている男の子もいる。ああ、なんてほのぼのする光景だろう。
「みんなー、ありがとー!」
にこにこ手を振るアイドル達にお客さんも手を振り返す。
「いい曲だったね」
「うん、私達みたいなラブラブな曲だったね」
などと見つめあうカップルがいたり、
「な、なあ……」
「なあに?」
「あ、あ……あの、その……」
「なになに~?」
もじもじする男の子の前に女の子が興味津々でじっと見つめ返してくる。
「……くっ」
「リア充がッ……!」
もちろんエレキギターをぎりぎり握りしめるボルテージ高めのバンドマンもいる訳だが、ご安心ください。彼らはプロの音楽マン。
ホワイトデーのラブラブイベントに呼ばれた以上は披露する予定の曲はイベントにふさわしい恋のデスメタルである。
様々な感情渦巻く会場内だが――、
「ギョギョギョギョギョー!!!」
魚っぽい奇声を上げる怪人が押し寄せてきた。
「サカナの怪人?」
「いやあれ本の怪人じゃね?」
「本? 魚?」
「わけわからん」
謎の怪人の襲撃に会場の人々は疑問の渦に包まれるが敵は待ってくれない。
「「「ギョギョギョー!!!」」」
奇声と共にばさりばさりと頭の本を開くと感情エネルギーを吸収し始めるのだった。
====================
※1章のプレイングについて(いただいたプレイングによってはアドリブ過多になります)
1章はイベント会場に現れたアーカイブ怪人との戦いになります。
接触タイミングは今まさにキマイラ達が襲われるピンチの瞬間、ヒーロー登場といった具合の接触になります。
アーカイブ怪人は頭が本になっており、この本を開いて維持することで『感情エネルギー』を奪い取り強化されていきま。
厄介な能力ですが、これを利用して『感情エネルギー』を許容量以上に溢れさせることができれば集めすぎた感情が爆発し、アーカイブ怪人へ大きなダメージを与えられます。
これを利用する手はありませんね!
会場にはイベントに呼ばれたバンドマンやアイドル達サウンドソルジャーがいますので様々な思いのたけや意気込み、熱意を伝えて力になってもらっちゃいましょう!
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エル・クーゴー
●プラズマジェットで来た(推力移動)
躯体番号L-95、怪人の出現を捕捉しました
マグロ怪人……
本マグロ怪人……?
強敵と判断されます
当機は『ドール』
当機に『感情』はありません――
(みたいなMCでしれっと入りつつ、サンソルの人へうちのサーチドローン・マネギを伝令に送る)
(「感情を理解しようとする機械仕掛けの心」みたいなエモめのテクノポップをリクエスト、場をノせよう)
貴方は、ココロを識っているのですか――?
(みたいな、感情無だからこそエモく響く問い掛けとかしちゃう)
・併せて『万象改竄:電脳天球儀(ハッキング)』発動
・怪人の頭の本へ周辺環境から汲み上げた情報量をDoS攻撃ばりに送付、パンクを早めてやろう
ビスマス・テルマール
わたしの思いの丈ですか、それならやはりコレですね。皆さんにこの曲と歌詞をお願いし応援受けつつ
元々魚怪人ですし
思い出して貰う為にも
●POW:歌詞含む
ナメロナメロナメローウ♪
あかみーしろみーあおさかなー♪
ナメロナメロナメローウ♪
みそしおしょーゆこーうじ♪
そざいーとちょうみりょーで
むげんーのかのーせいー♪
カニーやホタテやーエビわすれーるな♪
と……こんな歌に乗せて
UCで『早業』で攻撃力重視で
代わる代わる
鯵のなめろうビームダガー
↓
秋刀魚のなめろうビーム刀
↓
金目鯛のなめろうビームハリセン
↓
蟹のなめろうビームハサミと
作り変え『第六感&見切り』で回避し『怪力&なぎ払い&切り込み』を
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
会場内へと押し寄せたアーカイブ怪人達はばさりばさりと頭の本を開きだした。
突然現れた謎の怪人にキマイラ達は何事かと驚きを隠せないでいたが、怪人達はさっさと作戦を開始する。適度な距離を保つとお次は謎のポージング。
「さーて、お前達の感情エネルギーは頂くギョギョー!」
「ギョギョ! 覚悟するギョー!」
「「「ギョギョギョギョー!!!」」」
「? く、くるしい……」
「だ、誰か助けてー!」
ギュインギュインと妙な吸引音と共にイベントに来ていたキマイラ達はエネルギーを吸われたか、よろよろと倒れこんでしまった。
このままでは悪の怪人の目論見通りになってしまう!
「躯体番号L-95、怪人の出現を捕捉しました」
「ど、どこにいる! 誰だギョ?!」
突然の声に怪人達はきょろきょろと周囲を見渡すも、人影はない――いや、やってきた。
「プラズマジェットで来た」
倒れるキマイラ達をかばうようにエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)がすいっと立ち塞がった。
「なにものだギョ!」
「敢えて名乗るなら、通りすがりのなめろう猟兵ですっ!」
ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)はびしっとポーズをきめ、エルは敵の分析に取りかかる。
立ち塞がるのはマグロ怪人が改造されたアーカイブ怪人。マグロな頭が本になった怪人であるが……。
「マグロ怪人……本マグロ怪人……? 強敵と判断されます」
「気を引き締めて戦わないといけませんね!」
解析結果に拳を握って気合を入れビスマスとは対照的にエルの表情は変わらず無を映したまま。
「当機は『ドール』、当機に『感情』はありません――」
感情のないエルの無機質な声の後ろを太った猫がぱたぱたと翼を羽ばたかせて飛んでいくとビスマスのメモも受け取り、サウンドソルジャーの皆様の元へと運んでいく。
「オッケー! 任せてちょうだいっ♪」
「テクノにポップ、演歌からメタルまでなんでもござれだぜー!!」
受け取ったそれをアイドル達やパンク野郎、着物マッチョがそれぞれ担当を決めてアーティスト全員で曲を披露してくれるようだ。
「あの怪人はわたし達に任せてください」
倒れていたキマイラ達をエルが立たせ、ビスマスは恐怖を和らげるように優しく声をかけて避難を促すと、会場はサウンドソルジャー達と猟兵、そして怪人だけ。
「邪魔をするとはなんという命知らずギョ」
「ここに来たことを後悔させてやるギョギョギョ!」
とかなんとか怪人達が言っているが、なんか怪人達に猫が噛り付いている。体に染みついたマグロの匂いに猫達が引き寄せられたのであろうか。
「「「「「ギョギョギョギョギョー!!!」」」」
「エルさん!」
噛り付かれたままの怪人達がエルめがけて突っ込んできた。ものすごい速さにビスマスの応援も間に合うかどうか。
焦りを隠せないビスマスの声。だがエルの口からは変わらず感情のない声が発せられた。
「貴方は、ココロを識っているのですか――?」
希薄な自我、無の表情。ミレナリィドールがリクエストしたテクノポップに歌声が絡まり会場を包み込む。
感情を理解しようとする機械仕掛けの心はアドリブとアレンジされ、避難している人々の心にもじんと響いていく。
そんな中、怪人の突進をすいと飛び越え、ひらりと躱し、
「事象改変率、ユーベルコード認証ラインをマーク」
音楽の海の間を泳いだハッキングを怪人達へとエルは差し向けた。
アーカイブ怪人は頭の本を開いて維持することで『感情エネルギー』を奪い取り強化されていくが、許容量以上に溢れさせることができれば集めすぎた感情が爆発し、アーカイブ怪人へ大きなダメージを与えられる。
この情報を利用してエルは周辺環境から汲み上げた情報量をDoS攻撃ばりに送付してパンクを早めてやろうというのだ。
本を開いたまま猫に齧られた怪人をばしっと払うと、テクノポップにキュートな可愛らしい曲調が重なっていく。
「このメロディーは……」
お次はビスマスがリクエストした思いの丈――アーカイブ怪人に元々は魚怪人であった事を思い出して貰う為の歌。
「「「覚悟するギョー!!!」」」
「生成開始(ビルド・オン)っ! なめろうビームウェポンっ!」
襲い掛かる怪人軍団を前にしてもビスマスは怯まず前へと進んでいった。
『ナメロナメロナメローウ♪
あかみーしろみーあおさかなー♪』
可愛い声を背に鯵のなめろうビームダガーが怪人達の背後を狙い、
『ナメロナメロナメローウ♪
みそしおしょーゆこーうじ♪』
秋刀魚のなめろうビーム刀がヒップホップと共に襲い掛かる攻撃を一つ、二つと打ち払い、
『そざいーとちょうみりょーで
むげんーのかのーせいー♪
カニーやホタテやーエビわすれーるな♪』
ビシバシバシバシッ!
メタルパンクの中を金目鯛のなめろうビームハリセンが豪快に怪人達をテンポよくしばき倒す!
わああああああああっっ!!!
ノリにノった攻撃に怪人達はきりもみ回転で吹っ飛んでいったが、エルの解析どおりなかなか手ごわい相手である。
作り変えた蟹のなめろうビームハサミを駆使して攻撃してもノリにノった人々から感情エネルギーを吸収し続けるアーカイブ怪人に致命傷を与える事ができないでいたのだ。
「ガンバレー!」
「二人とも負けるなー!」
声援を受けつつ戦い続けるが、怪人達はエネルギーを吸収し続けており、このままでは強化され続け押し負けてしまいそうだ。
「ギョ? どうしたどうした?」
「もうおしまいかギョ~?」
音楽と声援の中、エネルギーを吸収しながらの怪人はエルとビスマスをぐるりと取り囲む。
「このままでは……」
ビスマスの表情に焦りの色がちらりと浮かんだその時――!
「これでおしまいです」
どおぉん!!!
エルの一言と共に一体の怪人の頭が爆発した。
どん! どごん! どどどどどどどどど……!!!
一体の爆発が爆発を呼び、怪人達が一斉に爆発していく。エネルギーを吸収とハッキングで送り込まれた情報が許容量をオーバーしたのだ。
「これで第一波は凌げましたね」
歓声とミュージックを背に手を振り応えるビスマスのそばを戻ってきたぽっちゃりマネギがふよふよ通って持ち主の元へ。
これでキマイラ達を守る事が出来たが、まだまだ戦いは続きそうである。
二人はそれぞれ次の戦いに向けて準備をはじめるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
白斑・物九郎
●WIZ
本マグロ怪人とか聞いて来たんですけども
ンだよ頭が本になってるだけじゃニャーですか!(キレ顔)
王を謀った罪ですわ
テメエら全員、直々に処してやりまさァ
オラッBGM!(エレキギター持ちの人なんかを指差し一括)
・【怪力】でブン回す魔鍵を武器に、怪人らをボコ殴りにしに行く(暴力+蹂躙+なぎ払い)
・曲のリクエストは、デスメタルくらいの激しめのやつ
・怪人をただただボコボコにしに行ってるだけでも、BGMさえあれば絵になる
・なんなら【野生の勘】が冴えて撃破効率も回避率も上がる気がする
・人、それを「処刑用BGM」と呼ぶ!
・あと「戦力ゼロ」っていう触れ込みの周囲の応援を【♯ワイルドハント】で戦力に転化させる
ゲニウス・サガレン
プラスの感情とは何か?
それは意欲的に生きたいという前向きingな気持ち(断定)
では、この場にある感情を整理しよう
一、俺も(私も)次は頑張ろう!→プラス!
二、ホワイトデーに嫉妬している人を見て、良かった俺だけじゃない→うーん、多分プラス!
三、くっそっ〇ね!カップルども!→これをどうしよう?音楽でマイナスの感情を忘れてもらうのが良い!(断定)
結論
単純なリズムを皆で合わせる、これこそが誰でもできる簡単かつ根源的な盛り上がりだと思う
要するに太鼓で、ドンドン!します!
さあ、ロックユー!とか、マグロご期待ください!的な感じでリズムに乗ろう!
UC「眠れる力を呼び起こせ」で盛り上がりサポート
「うわー!」
「誰か助けて―!」
敵の襲来に逃げ惑うキマイラ達とは逆方向、敵の方へと猟団長――白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は悠々歩く。
「本マグロ怪人とか聞いて来たんですけども。ンだよ頭が本になってるだけじゃニャーですか!」
悠々歩き、そしてキレた。
本のマグロ怪人。つまりは本マグロ怪人。最高じゃないですか本マグロ。
だが悲しいかな目の前にいるのは頭が本になったマグロ怪人。唯一のマグロ要素が本になっているじゃないですか。
これはひどい。
「王を謀った罪ですわ。テメエら全員、直々に処してやりまさァ」
バキバキ指を鳴らす物九郎の視線にちらりとバンドマンが飛び込んでくる。
「オラッBGM!」
ビシッと指さし声を張れば、返って来るのはエレキのいななき。
「リクエストあるかー!」
「激しめの頼んまさァ、デスメタルくらいの激しめのやつ」
モザイク空間から巨大な魔鍵を掴みだしつつのリクエストにバンドマン達はやる気満々。
そんな中、ゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)は本マグロ怪人違うアーカイブ怪人が奪おうとしているプラス感情について考えていた。
プラスの感情とは何か?
それは意欲的に生きたいという前向きingな気持ちに違いない。そう断定しよう。
ではさらに、この場にある感情を整理しよう。
「きゃっ」
様々な感情を整理するその横で可愛い女の子がつまづいた。咄嗟に手を差し伸べようとしたが――、
「大丈夫?」
「うんっ、大丈夫だよ♪」
女の子は超イケメン彼氏の手を取り逃げていく。
「――――」
虚無の目でそれを追うと、同志の気配を察して閃いた!
一、俺も(私も)次は頑張ろう! →プラス!
二、ホワイトデーに嫉妬している人を見て、良かった俺だけじゃない→うーん、多分プラス!
三、くっそっ〇ね! カップルども! →これをどうしよう? 音楽でマイナスの感情を忘れてもらうのが良い!
ここまで閃いたならやる事はただ一つ!
通行の妨げになるアーカイブ怪人をボコりつつ、ゲニウスはしっかりとした足取りで進みゆく。
放浪し続ける男よ、一体どこへ行こうというのだ。
「ギョギョ!」
「くらえギョー!」
びゅびゅっと連続で発射される水鉄砲の射線上を物九郎の身体は軽々と超えた。
「てめぇ、こんなもんっすか!」
くるっと一回転から綺麗に着地し、身体を低くし地を駆ける。そのまま敵へめがけて一直線。
「オラッ!」
ぶおんっ!
「「「ギョギョギョー!!」」」
「もういっちょ!」
ばきっ!!
「「「ギョー!!」」」
ブン回す魔鍵は容赦なく怪人達を薙ぎ払った。運よくそれを回避できたヤツもいたので、それはそれでブン殴る。
ぐぐっと拳を握りしめ、パンチ一発ブチかませ!
「本マグロ怪人はどこっすか!」
「ギョァー!!」
ただひたすらボコボコにしまくる戦闘だってBGMが付けばそれだけで十分絵になるし、野生の勘も冴えて撃破効率も回避率も爆上がり。
そう、これはまさに――、
「人、それを『処刑用BGM』と呼ぶ!」
どどんっ!
爆上げデスメタルに重厚な一打が重なり、辺り一面に響き渡った。
「単純なリズムを皆で合わせる、これこそが誰でもできる簡単かつ根源的な盛り上がりだと思う」
要するに太鼓で、ドンドン!
いい笑顔にねじり鉢巻き。イベントに参加していた和太鼓チームとおそろいになったゲニウスもやる気満々。皆で叩きますよ。ええ、太鼓をね。
「拝謁を許す。俺めのコトは猟団長と呼べ」
物九郎の戦いは茶斑の三毛猫ドローンがチカチカ右目を光らせしっかり皆へ大配信。
「「「「猟団長-!!!」」」」
バンドマンから避難したお客さんまで一斉に声を上げての大応援に物九郎も気合十分。駆ける勢いで攻撃を跳ね避けジャンプし、薙ぎ払う!
「そっち任せたっすよ!」
ドンドコドコドコぼこぼこぼこぼこぼこ!!!
いい笑顔のゲニウスは向かってくる怪人を片っ端から太鼓を叩くが如くマグロ怪人へとバチを向けた。
「マグロ、ご期待ください」
めっちゃいい笑顔と共に容赦ない苛烈な連打。つと一筋の汗が流れ落ち、
「これで、最後っすよ!!!」
ず、だあんっ!!
「「「ギョギョギョー!!!!」」」
渾身の一撃が最後の怪人達を薙ぎ払った。
わあーっ!!
ギャラリーの歓声を背に立つ物九郎とゲニウスだが、感じるただならぬ気配に振り返った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『リブロ・テイカー』
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POW : 君もこういうものに感動するのかな?
【本に記録していた“プラス感情を生んだ物”】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 君のものも記録しよう。それじゃあ貰うね?
自身が装備する【プラス感情を奪う羽ペン】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : これが僕の力、僕のコレクション
見えない【記録済みのプラス感情】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
イラスト:菱伊
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ルル・ミール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
さして大きくない声は上から聞こえてきた。
「僕のコレクション集めは失敗みたいだね」
その声は広場の真ん中にある時計台の上から降ってくる。突然の声に見上げれば、そこにはさっきまではいなかったのにいつの間にかヒトがいるではないか。
――いや、ヒトならざるモノがいる。
「せっかくアーカイブ怪人達にプラス感情を奪ってこさせようとしていたのに、まさか君達がいるとは思っていなかったよ。とんだ邪魔が入ったものだ」
一歩足を前に出し、ヒトならざる存在リブロ・テイカーはすうと歩を進め、そのままゆっくり降りてくる。マントは揺れず、重力を感じないその速度に周囲はこの男がただならない存在だと悟るとごくりを息をのむ。
逃げるか? いや、ここには悪を討つヒーロー達がいるではないか。
「邪魔は排除すればいい、それだけだ」
リブロ・テイカーはにいと不敵な笑みを浮かべると手にする本を広げて猟兵達へと歩み寄る。
「せっかくだ、君達の感情もコレクションに加えよう。すぐには倒されないでくれよ? 猟兵の諸君」
すうと手を伸ばすと羽ペンは宙を舞い、猟書家は猟兵達へと攻撃の刃を向けるのだった。
====================
※2章のプレイングについて(いただいたプレイングによってはアドリブ過多になります)
2章はアーカイブ怪人を使い『感情エネルギー』を奪い取ろうとした張本人であるリブロ・テイカーとの戦いになります。
会場には1章に引き続きイベントに呼ばれたバンドマンやアイドル達サウンドソルジャーがいますので力になってもらっちゃいましょう!
もちろん避難しているイベント参加者さんも皆さんを応援してくれますよ!
1章に参加された方で、引き続き2章でも同じリクエスト曲を演奏希望の場合はプレイングの冒頭に♪を付けてください。
曲の変更やアレンジ、歌詞の追加などありましたらプレイングに記入をお願いします。
====================
ビスマス・テルマール
♪(但し今回は歌詞を山菜、南瓜や茄子やハワイアンなめろうにアレンジ)
此方に標的がずれたのは幸いですけど……そう容易く事は運ばせませんっ!
●POW
『激痛耐性&オーラ防御』で備え
『空中戦&推力移動』で駆け抜け攻撃を『第六感』で『見切り』『瞬間思考力』で反応し『残像』で回避し撹乱
『早業』でUCを攻撃力重視で発動生成
ワラビのなめろうビームロッド
↓
茄子のなめろうビームショーテル
↓
南瓜のなめろうビームアックス
の順に『早業』で生成しつつ
『怪力』で『切り込み&2回攻撃&属性攻撃(熱)&鎧無視攻撃』を込め叩き込み
締めは、ハワイアンなめろうビームフォートを生成し『一斉発射』の『砲撃』を
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
エル・クーゴー
♪
●POW
最終撃破目標を目視で捕捉しました
これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します
この星を飛び交う感情
それは、この星の今を生きる者達だけのものです
・周辺風景を取り込み生成する迷彩を己の体表に塗布(撮影+情報収集+迷彩)
・クリアな曲調にノッて、宙にスッと溶け入るようにその姿を消す――
・そんなわけで「指定した対象を攻撃する」敵コードを相手に「視覚出来なければ指定出来まい」という弱点指摘を実施
・以上の実証を以って【狩猟の魔眼と砂嵐の王】を発動
・敵能力の封印成立次第、180秒間いっぱい、姿をステルスさせたままの状態からアームドフォートより【誘導弾】の【一斉発射】を畳み掛け【蹂躙】せん
ゲニウス・サガレン
※絡み・ネタ大歓迎+太鼓続行
む、なんだか感情どろどろするよりも(ドン!
しれっとさわやか系のイケメン幹部が来たな……!(ドドン!
「嫉妬」はね、誰かを怨むだけじゃないんだ(ドン!
自分ももっとできるはずなのに!という、成長への叱咤でもあるんだ(ドン!
自分らしくあるために、悪いがプラスもマイナスもあげないよ(カッ!
ご期待下さい!(ドドン!
アイテム「C式ガジェット」&UC「ガジェットショータイム」(カッ!
タコ型のガジェットを変形!(ドン!
マグロ怪人ツーナーに変身だ!(ドン!
行動開始(ドン!
リブロに突進し、彼の行動を邪魔するんだ!
アイテム「フライング・シュリンプ」が援護する!(ドン!
フルコンボだー(ドン!
ドンドコドンドコドコドコドコドコ――ドドン!
わああああっ!!!
ずらりと並ぶ太鼓の息の合った連打が会場内に轟き、気合の一発に周囲からは大きな歓声が沸き上がった。
「む、なんだか感情どろどろするよりも」
ドン!
「しれっとさわやか系のイケメン幹部が来たな……!」
ドドン!!
流れる汗もそのままに、ゲニウスは現れたイケメン――猟書家リブロ・テイカーへと瞳を向けた。
迫力ある太鼓にアイドルやバンドの演奏も猟兵達を鼓舞する為にと披露されているが、歓声と演奏の中にあるリブロ・テイカーにとってそれらはすべて収集すべきものでしかない。
「これは素晴らしい。これほどの感情は是非とも僕のコレクションに加えたいね」
時計台の上に立つリブロ・テイカーは重力を感じないようにすうと着地する。
絶え間なく沸き上がる収集すべきエネルギー。だが、それをするには邪魔がひとつ。
「会場のみなさんはわたし達が守ります!」
ビシッと言い放つビスマスにどどんと太鼓の一鳴が重なり、素敵な演奏をしてくれたバンド達も再び演奏をし始めると、その音楽にテクノボップも重なっていく。
二つの音楽が互いを尊重しあう不思議で素敵なミュージックの完成だ。
「面白い」
にこりとしたまま猟書家は手にする本のページをパラパラめくり、
「君もこういうものに感動するのかな?」
「おっと!」
本から飛び出した目覚まし時計の爆発をビスマスはオーラで耐えた。
可愛いハサミにもこもこクマさん。ほかにも様々なものがビスマスめがけて襲い掛かるが、すっと躱してジャンプで飛び避け、飛行し回避し続けた。
「ほらほら、まだいくよ」
猟書家の攻撃は止まらない。今まで戦ってきた経験と勘を駆使してはいるが、なぜ攻撃は自分にだけ向くのか――。
「あっ」
絶え間ない攻撃の間を駆け抜けビスマスは思い出した。
攻撃が繰り出される直前にエルが辺風景を取り込み生成する迷彩を己の体表に塗布し、クリアな曲調にノりながら宙にスッと溶け入るようにその姿を消していたではないか。
(「『指定した対象を攻撃する』敵コードを相手に『視覚出来なければ指定出来まい』という弱点は予想通りです」)
エルの予想は見事的中していた。ならばビスマスが取るべき行動は一つ。
「此方に標的がずれたのは幸いですけど……そう容易く事は運ばせませんっ!」
これ見よがしに声を張り上げ、ステージからの楽に耳を傾け目立つように駆け回った。
「簡単に倒すのも面白くないからね。でもこれならどうかな?」
「負けません! 生成開始(ビルド・オン)っ! なめろうビームウェポンっ!」
勢いを増す攻撃を打ち払って少しでもエルの存在を思い出させぬようかく乱し続ける。
そんな戦う背を押すのは新たななめろうソング。
『ナメロナメロナメローウ♪
わーらびミズーふきのとうー♪』
これでもかと降り注ぐ攻撃をワラビのなめろうビームロッドで打ち弾き、
『ナメロナメロナメローウ♪
なすーオクラーかぼちゃー♪』
新たに生成した茄子のなめろうビームショーテルを駆使してリブロ・テイカーまで一気に肉薄すると、南瓜のなめろうビームアックスへ持ち替え一気に振り下ろす!
「おっと危ない」
「まだです!」
ぶんと大きく空を振るわせる一撃を交わされるが、これで終わりではない。
『そざいーとちょうみりょーで
むげんーのかのーせいー♪
バナナとアボカドでハワイアンー♪』
「……なに?」
ハワイアンなめろうビームフォートで一斉発射!
聞きなれない一品に一瞬の驚くリブロ・テイカーは開いた本から色々なものを放って相殺させると、大小の爆発が空に散らばり、
「最終撃破目標を目視で捕捉しました。これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します」
ノリノリのテクノボップの中を好機と見たエルはその門をよび出した。
――ENGAGE>“ワイルドハント”
ゴ、ゴゴゴ……。
「門? これは一体……」
ずおんっ!
何もない場所に巨大な門が現れた。
重厚な音を響かせ扉が開くとこの場所にないはずの砂嵐が吹き荒れ、あの人が門から飛び出した。
ぶおんっ!
巨大な魔鍵を携え、その勢いを殺さず猟書家めがけて鈍重な攻撃を繰り出された。
「っ……厄介だね、これは」
さすがにこれは予想外だったのだろう。猟兵へと向けられていた攻撃は門から現れた攻撃を止められてしまったブロ・テイカーからは苦い声がぽつりと漏れる。
がづん、がん、がぢんと打ち合う鈍い音がテクノポップに重なるが、時間に限りがある。
攻め時は、今。
「L95式アームドフォート展開」
装着する携行型固定砲台を展開させ、ビスマスと魔鍵からの攻撃によって能力を封じられた猟書家の動きが一瞬止まり――、
「誘導弾を一斉発射、目標を蹂躙します」
ドドドドドドドドド……!!!!
「な、なんだ?」
攻撃を受けていたブロ・テイカーはその瞬間を目にすることができなかった。ただ、数多のミサイルが自分めがけて牙を剥いている事だけは分かった。
上空へと高々と打ち上がったそれは綺麗な弧を描く。青い空で踊るそれ――誘導は恐ろしい速さで仲間の間を抜け、
ズドドドドガガガガガ……!!!
響き渡る盛大な爆発と爆音。己の攻撃で相殺できないブロ・テイカーはまともにくらってしまったようだ。ごほごほとせき込みながら黒煙の間からその姿を見せたが、まだ終わらせるわけにはいかない。
「第2射用意――発射」
ドドド……!
再びの発射。
視界の悪い場所に加えてステルスされた状態からの発射。加えて絶え間なく受ける攻撃にあってはそれを交わすのは至難、いや不可能であった。
「残り時間まであと30秒」
能力を封じていられる時間は限られている。その間に一発でも多くの攻撃を叩きつけなければ。
ステルス状態を維持したまま、更に攻撃を続ける。
「くっ、厄介だな。どこから攻撃されているのか全く分からないよ」
苦々しい声などお構いなしに誘導弾を猟書家へと打ち続けた。能力を封印できる時間いっぱい、攻撃を避けられないうちに少しでもダメージを与えなければ。
標的めがけ数え切れぬ誘導弾は放たれ続け、
3、2、1――0。
ドコドコドコドコドドドドドドドド――ドドドン!!!
「うん……? しまった!」
ズドゴゴゴゴーン!!!
封じられていた能力は戻り、誘導弾を相殺しようとしたリブロ・テイカーは突然の太鼓の連打に意識がそれてしまい、結果として全弾喰らってしまった。
大小さまざまな和太鼓が並ぶど真ん中。ばちを両手にビシッとポーズを決めた演奏メンバーとゲニウスにひときわ大きな拍手が送られる。
裂帛と共に再びメンバー達は周囲を震わすほどの一打を放ち、一糸乱れぬ豪快な演奏は始まった。
「『嫉妬』はね、誰かを怨むだけじゃないんだ」
ドン!
「自分ももっとできるはずなのに! という、成長への叱咤でもあるんだ」
ドン!
「自分らしくあるために、悪いがプラスもマイナスもあげないよ」
カッ!
血沸き肉躍る激しい連打からの高い一打でステージはしんと静まり返り、
「ご期待下さい!」
どん! どどん!! ぱぱーん!!
わああああああああっっ!!!
タイミングを計ったスタッフさんが打ち上げた花火が打ちあがると大歓声が会場を震わせる。
迫力満点の演奏は観客からイベントに参加するバンドメンバーの心をも揺さぶった。
心。
――そう、このイベントの趣旨に対してしっとの炎を燃やす者の心にさえもそれは届いたのだ。
「なるほどね、君達によって生み出される感情エネルギーはとても素晴らしい。これは何が何でも僕のコレクションに加えよう」
リブロ・テイカーの周りには沢山の羽ペンが複製されるとそれぞれがまるで意思を持つかのように動き出す。
「君のものも記録しよう。それじゃあ貰うね?」
「うわっなんかこっちに来た!」
「きゃあっ!」
羽ペンの数は多い。エネルギーを奪うべく動き出したそれを見たバンドマンが声を上げたがご安心ください。
「『C式ガジェット』&『ガジェットショータイム』!」
カッとなる一打を合図に魔導蒸気機械が飛び出すと、ゲニウスの声に合わせてその姿を変えだした。
「タコ型のガジェットを変形!」
ドン!
「マグロ怪人ツーナーに変身だ!」
ドン!
なんという事でしょう! タコのガジェットがマグロ怪人へと早変わり!
「行動開始! リブロに突進し、彼の行動を邪魔するんだ!」
ドンと打ち鳴らした一打と共に変形したガジェットは猟書家めがけて一直線! あ、それだと羽ペン攻撃は大丈夫ですか?
「こっちにも攻撃お願いします!」
ビスマスと姿を隠したエルから戦いながらの誘導に頷きながら取り出したのは羽の生えたエビ。
「『フライング・シュリンプ』が援護する!」
「エビが、飛んでいる……?」
ゲニウスの援護にはさすがのリブロ・テイカーも驚きを隠せなかったようだ。エビの大群が現れると主の声に応え一斉に飛び掛かっていったのだ。
ドンドコドコドコ、ドンドコドコドコ!
激しい太鼓のリズムにバンドやアイドル達の演奏が重なり羽ペンはあっという間に倒され、ガジェット達は猟書家へと肉薄し、
「フルコンボだー」
どん!
「っ、ぐ……!!」
気合十分の攻撃を受けたリブロ・テイカーは大きくよろめいた。
「あなたの好きにはさせません」
ビスマスは言い放ち、継続するであろう戦いにエルは武器を構え姿を隠したままその様子を注視している。
「なかなかだね、でもこれで僕を倒せると思っているの?」
3人の攻撃を受け、それでもリブロ・テイカーは膝を折る事無く立ち続けているが。
だが、あともう一押し。もう一押しで倒せる筈。
その証拠に体のあちこちは傷つき、腕からは紅の一筋が流れているではないか。
猟兵達は更なる攻撃へと身構えるのだった。
大成功
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青原・理仁(サポート)
人間
年齢 17歳 男
黒い瞳 金髪
口調 男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)
性格面:
やさぐれ、ぶっきらぼう
積極的な人助けはしないが、見捨てきれずに手を貸してしまう
戦闘:
武器は使わず、殴る・蹴る・投げるなど、技能「グラップル」「怪力」を生かしつつ徒手空拳で戦う
構え方は古武術風
雷属性への適性があり、魔力やら気やらを雷撃に変換し、放出したり徒手空拳の際に纏わせたりします
阿紫花・スミコ(サポート)
アルダワ魔法学園の生徒。暗い過去を持ちつつも性格は明るい。自信家で挑発的な一面がある。力があれば何をしてもいいというようなダークセイバーの領主達を心底嫌っている。機械系に強く様々な世界の機械知識を広く持ち自作ガジェットの研究・開発を行っている。
からくり人形「ダグザ」:巨大な棍棒で敵を粉砕する。
精霊銃「アヴェンジングフレイム」:黄金に輝くリボルバー。弾丸には炎が宿る。
ワイヤーギア:射出したワイヤーを引っかけ、巻き取りと、蒸気噴出で推進力を得る。
「力があれば何をしてもいいって思ってるんだろう?…お前が奪われる立場でも同じことが言えるかな!」
(エロやグロに巻き込まれなければどんな展開でも大丈夫です)
様々な音楽が入り乱れ、戦いが続く中に阿紫花・スミコ(ガジェットガール・f02237)は猟書家の前へとやってきた。
「やあこんにちは、君は僕のコレクションに加わりに来たのかな」
「まさか」
きっぱり即答のスミコがすっと目の前に立たせるのはからくり人形。
「キマイラ達の感情を奪おうなんてボクは絶対に許さない!」
「許さない、ね。許さないならどうするつもりかな」
戦いで受けたダメージが大きいのか、リブロ・テイカーは余裕ある声音であるが服のあちこちが裂け血でにじんでいる。
そんな彼が持つ本は触れてもいないのにぱらぱらと頁がめくられ、そこから飛びだす様々なものがスミコめがけて襲い掛かった。猟書家の攻撃は多く、避けようとスミコは会場内を駆け抜けるが全てを交わすのは難しいだろう。
「ほらほら、どうするのかな?」
「……っ、ダグザ!」
ケルト神話の神の名を冠したからくり人形は声に応え、巨大な棍棒をぶんと振るっていくつかまとめて叩き潰すともう一振りで打ち壊した。
スミコもたんと地を蹴り、黄金に輝くリボルバーを取り出し引き金を引くと同時に炎を宿した弾丸が放って撃ち抜いていく。
「それだけかい?」
「これからが勝負だよ!」
ページはめくられ、攻撃の数は増える。それでもスミコは戦い続け――、
「おぉりゃあっ!」
ごっ!
不意を突いた攻撃をリブロ・テイカーはまともにくらって吹っ飛んだ。
椅子やテーブル、カラフルなベンチを巻き込むほどの一撃を叩きつけたのは青原・理仁(青天の雷霆・f03611)。グリモアベースで偶然話しかけられたグリモア猟兵からの頼みでここにやってきたのだ。
「まさか……いきなり殴られる……なん、てね……」
「これで終わらないぜ」
ぎちっと拳を握ると同時に距離を縮め、再びの殴打。さすがに真正面からの攻撃は躱されてしまったが、続く蹴りからの連撃は防ごうとしたが受けてしまった。
攻撃はかなり効いたのだろう。余裕のある顔に焦りが浮かび始めていた。
「じゃあ反撃させてもらうよ?」
頬を伝う血をぐいと拭い、本はぱらぱら頁をめくる。新たな攻撃はスミコから理仁へとその標的を変えるも、それを拳が打ち払い、鋭い脚激が蹴り跳ねた。
「余裕だな」
がんと蹴り飛ばし、次を大きく躱す。そこへすかさずスミコが援護。
「ボクが撃ち落とす!」
スミコの精霊銃が襲い掛かる攻撃を撃ち落とし、猟書家へと肉薄する理仁が一撃、また一撃と攻撃を叩きつけると確実にダメージを与えていく。
――と、敵の動きにほんの少し変化が見えた。
「…………」
理仁にはそれが分かった。
逃げるつもりか。
「逃がすわけねぇだろ」
「……っ!」
敵を逃さぬ一撃は迎撃雷電陣。戦場となったこの場所に展開されたそれに捕らわれたリブロ・テイカーは慌てて脱出を試みる。
出口は一つしかない。
「力があれば何をしてもいいって思ってるんだろう? ……お前が奪われる立場でも同じことが言えるかな!」
ようやく脱出できたリブロ・テイカーの前に立ちはだかるのはからくり人形とスミコ。
「これでもくらえ!!」
ど、がごんっ!!
「っぐ、ぁあっ……!」
ダグザから打ち下ろされる鈍重な一撃はリブロ・テイカーへと叩きつけられた。
「まさか……こんなところで……倒されるなんて、ね……」
ごぶりと血を吐き猟書家はがくりと膝をつく。二人の攻撃は致命傷になったようで、その服は血にまみれ足元に紅の池を作っていく。
「残念だな……」
ぽつりと小さな言葉を残し、力尽きたリブロ・テイカーは本といっしょに消えてしまった。
「終わったね」
「そうだな」
全力を尽くして戦ってくれた猟兵達へ送る賞賛と感謝の中でスミコと理仁は言葉を交わす。
ぱん、ぱぱーん。
ひときわ大きな音楽が流れ、花火が打ちあがる。猟兵達は上空に咲く色とりどりの花を見上げた。
こうして戦いは終わり、猟兵達は戻るべき場所へと戻っていくのだった。
成功
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