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メガバンク・クライシスは漆黒の黄昏に

#デビルキングワールド #メガバンク

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#デビルキングワールド
#メガバンク


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●尊敬の眼差し
 銀行。
 言わずとしれた経済社会の心臓である。
 数多ある世界の中で、デビルキングワールドにおける銀行は他世界とは一線を画する尊敬を集めるものであった。
 暴力で強引にD(デビル)を預金させ、決して引き出させず、集めたD(デビル)を『デビル株』と呼ばれるギャンブルに突っ込んで全額パーにしてしまうという泣く子も喜ぶ犯罪集団であるからだ。

 一体何を言っているのかわからないと思うが、善悪の逆転した世界であるデビルキングワールドにおいて、『ワル』こそが尊敬と憧れを集めるものなのだ。
 悪徳こそが美徳。
 その言葉の意味するところを猟兵たちは知るだろう。
 そもそも『デビル株』というギャンブルからして謎なのである。一体何をどうすれば、全額失うようなことになるのか。
 全額失うとわかっていても何故、突っ込んでしまうのか。
「なるほど。今月の預金額が目標に達していないと。ふっ……愚かだな。そんなことは我にはわかっている」
 デビルキングワールドのある『銀行』の支店長に就任した『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは意味深なポーズで片目を隠しながら、部下であるデビルたちに告げる。

 王の力が孤独にしたりしないけれど、『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツはオブリビオンである。
 その邪悪な方針は、銀行員たちを震撼させた。
「ならば我が命じよう! 預金は奪って殺す。そして、デビル株はやらない。たった二つだ。この二つで我がメガバンクはデビルキングワールドにおける覇権を取れる」
 どよどよと部下の銀行員たちがざわめく。
 今までは預金は奪えど生命は奪わなかった。
 またデビル株をやることこそが、デビルキングワールドにおける銀行員のステータスなのだ。信用取引とかそんなことしったことではない。

 だが、新たに支店長となった『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツが打ち立てた方針は、電流のように悪魔たちに走った。
 あまりにも極悪な方針。
 今の今まで悪魔たちが取ることのなかったものである。そんなあまりにも恐ろしい方針に悪魔の銀行員たちの膝はガクガク笑い、立っていられずにへたり込む。
 それもそのはずだ。
 預金を奪うだけでなく、殺してしまうなんて。強盗殺人ではないか。
「か、か、か、かっけー!!!! さすが✝漆黒の昏き堕天使✝!!!!」
 今なんか十字架の絵文字見えた気がするが、気のせいであろうか。
 悪魔たちの喝采を受けて、『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは手で制する。
 なんかよくわからない関節の動きでポーズを決め、宣言するのだ。

「聞け! 我がメガバンクこそ、極悪の中の極悪、ダークネス・クライシス! この名を知らぬ者などいないと高らかに宣言んせよ。我らこそが全てのDを掌握せし者であると!」
 その言葉に喝采を送る悪魔たち。
 彼らはまだわかっていない。これより彼らを襲うのは、それらを遥かに凌ぐ華麗なる銀行強盗であることを――。

●銀行強盗で回せ、世界を
「世界が銀行強盗を突き動かすのではなく、銀行強盗が世界を回すのです」
 そう言ったのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
 グリモアベースに集まってきていた猟兵達は首を傾げたことだろう。
 あまりにも何を言っているのか不可解であったからだ。
 唐突、ナイアルテも過労で頭が残念なことになったのだなと、思った者もいたであろう。前から思っていたけれど、ちょっとポンコツな所あるよね、とか思っている者もいたであろう。

 だが、あえて言おう。
 否であると!
「……すいません。言葉が足りておりませんでした。お集まり頂きましてありがとうございます。今回の事件はデビルキングワールドにおける銀行にまつわるものなのです」
 それと銀行強盗にどんな関係があるというのだろう。
 ナイアルテは目出し帽を手に取り、はいどうぞと猟兵たちに手渡していく。
 何故かみかんとか玉ねぎを入れているあみあみとか、ストッキングも紛れていたりしたが、なんだギャグか? と訝しむ猟兵だっていただろう。

「皆さんには、デビルキングワールドで銀行強盗をやっていただきます」
 唐突である。
 え、まさか目出し帽とかあみあみとかストッキングは顔を隠すためのカモフラージュ的なアレという意味で手渡したのだろうか。
 いくらなんでも、それはないわと言う猟兵の言葉にナイアルテは耳まで真っ赤にしながら、しどろもどろに説明を始める。

「え、あっ……その、ですね、あの、ですね……デビルキングワールドは悪徳と美徳が逆転した世界であることは、すでに聞き及んでおられるかと思いますが、銀行と銀行員はとりわけ悪魔たちにとって尊敬と憧れを持って迎えられる職業なのです」
 無理やり預金させ、お金は引き出させず、預かった金でギャンブルに突っ込んでパーにしてしまうからである。
 その『ワル』さに悪魔たちは、とてつもなく魅力を感じているのだ。
 けれど、その銀行の支店長にオブリビオンが就任してしまった。これまで預金をさせ金を奪っても生命を奪うことまではしなかったのだが、方針転換してからは命を奪ってでも金を預金させ、あまつさえは、『デビル株』と呼ばれる謎のギャンブルもしないというのだ。

 その極悪極まりない行いに悪魔の銀行員たちは心酔しているのだ。
「はい、ですので、皆さんには華麗に銀行強盗をして悪魔の皆さんの目を覚まし、ついでにオブリビオン支店長も倒して頂きたいのです」
 ナイアルテの言うことはわかった。
 けれど、銀行強盗は、一朝一夕でできるものではない。銀行強盗には計画が必須である。
「はい、ですので皆さんは皆さんなりの銀行強盗のマストでベターでふぉとじぇにっくな衣装に身を包み、銀行強盗の計画を練ってから銀行強盗して欲しいのです」
 ナイアルテは自分で言っていてものすごい言動をしているなという自覚があった。
 けれど、もはや後には退けない。

 なぜなら、善良な悪魔たちがオブリビオン支店長の魔の手にかかるまで時間がないからだ。
 多少恥ずかしくても仕方ないのだ。耳まで真っ赤にしつつナイアルテは頭を下げるのだ。
「どうか、銀行強盗してください――!」


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はデビルキングワールドにおいて銀行強盗しつつ、オブリビオンをぶっ飛ばすシナリオになります。
 愉快な銀行強盗のはじまりであります。

 シナリオに登場する悪魔たちは猟兵の皆さんに匹敵するユーベルコード使いで強いです。

●第一章
 日常です。
 まずは銀行のある街に赴き、銀行強盗ファッションを見繕いながら、銀行強盗の計画を立てましょう。
 この章で立てた計画を第二章で行うことでボーナスが入る寸法です。
 綿密な計画でなくても大丈夫ですが、あくまで集まってくださった猟兵の皆さんが、この人はこれを、あの人はあれをと個人指定する役割分担ではなく、例えば、銀行の壁を爆破して突入するだとか、変装して金庫番に成り代わるだとか、誰でも成立するものが好ましいでしょう。

●第二章
 集団戦です。
 営業中の銀行に乗り込み、正統派銀行強盗をキメましょう。なんだ正統派銀行強盗ってと思われても仕方ありませんが、即ち『金を奪い、奪った金を持って逃走する』ことを指します。
 悪魔たちは『銀行を破壊し行員を全部やっつけたら勝ち』だと思っているので、皆さんの正統派銀行強盗は斬新に映ることでしょう。

 第一章で立てた計画を実行するのも有効ですが、『コテコテの銀行強盗』をやるとさらに有利になるでしょう。
 もちろん、この章に現れる悪魔の銀行員は戦うこともできますが、皆さんの華麗な銀行強盗姿を見れば、きっとメロメロになって戦闘らしい戦闘も起きないかもしれません。

 もちろん、問答無用でぶっ飛ばしても構いません。

●第三章
 ボス戦です。
 皆さんが銀行から金を奪い、逃走していると『漆黒の昏き堕天使』シュバルツが追いかけてきます。
 怒り心頭であり、これを返り討ちにしましょう。
 また、沿道には多くの悪魔たちが見物に訪れております。彼らは銀行強盗の行く末を見守るために見物しているのですが、彼らをうまく利用すれば、野次馬の悪魔たちは強いのでオブリビオンに思わぬ痛手を与えることも可能でしょう。

 それでは、皆さんの華麗なる銀行強盗によって、デビルキングワールドにおける銀行強盗の概念を覆し、オブリビオンの企みを打ち砕きましょう。
 そうすることによってD(デビル)による『カタストロフ級儀式魔術』の計画を阻止できます。
 皆さんのワルとしての物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 日常 『小悪魔アゲアゲフォトジェニック』

POW   :    ジャラジャラやトゲトゲやドクロの飾りがいっぱいついたパンクでロックな装い

SPD   :    黒革のライダースーツやミニスカなど、シンプルでクールな装い

WIZ   :    イブニングドレスやゴスロリ、高級スーツなど、優雅で気品あふれる装い

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 何事も形から入ることは重要なことである。
 グリモア猟兵が目出し帽やらなんやらを最初に手渡してきたように、服装とはその人の人柄が最初に現れるものであるからだ。
 それは偽ることもできれば、飾ることだってできる。
 ならば、猟兵たちは銀行強盗の計画を練りながら、己の銀行強盗スタイルを示す服装を選ばねばならない。
 幸いにしてデビルキングワールドは今や『ワル』ファッションの最先端である。

 街中をウィンドウショッピングすれば、すぐに目につくだろう。
 その最先端を駆け抜け、さらなる『ワル』のコテコテなファッションを見せつければ見せつけるほどにデビルキングワールドの住人たちである悪魔たちの支持を集めることだろう。
 そうなれば、きっと今後の戦いにも良い影響を齎すに違いない。

 ならば征くしかない。
 このファッションモンスター渦巻くデビルキングワールドに、猟兵の思うコテコテ銀行強盗ファッションを示すために。
 いざ、ファッションモールへ――!
万象・穹
……面白そうね。別世界のテレビのドラマで見たことあるわ。銀行に車ごと突っ込むあれよね。……面白そうね。(無表情ながらめちゃくちゃそわそわしている)

服装は、ボディスーツとかが良いのかしら。……ううん、被り物だけして、下は平凡な方が良いかもしれないわね。

すごいダサそうなTシャツ着ていきましょう。絶対着ないだろうなっていうダサいTシャツ。あれ一度着てみたかったの。被り物は適当に。

私は車で特攻する係で。途中で飛び降りて銀行に突撃する形ね。えっと……車は、そこら辺に置いてある悪魔の車を借りる形で良い?(無垢な瞳)

悪魔たち頑丈なのよね。……ちょっと轢いても問題ないかしら。(無垢な瞳)

(アドリブ等歓迎)



 デビルキングワールドのファッションモールを一人ふらりと歩く猟兵の姿があった。 彼女の名は万象・穹(境界の白鴉・f23857)。
 極端に白い肌と白で統一された服装は、デビルキングワールドにおいても目立つ姿であったことだろうが、彼女は気にした様子もなくショーウィンドウに飾り立てられたマネキンを見つめ、これから立てなければならない銀行強盗の計画に思いを馳せていた。
「……面白そうね。別世界のテレビのドラマで見たことあるわ」
 穹は神たる身であるが、猟兵でもあれば、他世界の文化を知る機会はいくらでもあるだろう。

 あれはUDCアースだったか、それともキマイラフューチャーであったか定かではないが、たしかに彼女は銀行強盗の出てくるドラマを見たことが在ったのだろう。
「銀行に車ごと突っ込むあれよね……面白そうね」
 あまり表情の変わらぬ猟兵である彼女をしても、その表情の奥底から溢れるそわそわ~とした雰囲気を察せられる者にとって、彼女が此処までわかりやすく感情を表に出しているのは珍しいことであったのかもしれない。

 しかし、グリモア猟兵に伝えられたとおり、デビルキングワールドに住まう悪魔たちの善悪観は逆転している。
 それが普通であればこそ、逆にコテコテの銀行強盗にこそ彼らは心酔してくれるのだ。
「……服装は、ボディスーツとかが良いのかしら……ううん、被り物だけして、下は平凡な方が良いかも知れないわね」
 悩んだ末に穹は一つのセレクトショップへと入っていく。
 普段ならば絶対に入ることのない場所ではあるが、こういう機会でないと入ることもないのだろう。

 色々と手にとって見たが、ピンとこない。
 どこかデビルキングワールドの最先端ファッションセンスとずれているのかもしれない。
「なら、絶対普段着ないものを着ましょう」
 手にしたのは、トライバルな文様の入った謎の英字プリントTシャツであった。
 正直に言って、クソダサい。
 センスが中学校二年生で止まってる感じもする、お母さんが買ってきたのをそのまま着用しているような、そんな絶妙にクソダサTシャツを穹は手に取っていた。

 悪魔のアパレル店員も、え、という顔をしている。
 正直に言って似合わない。でも、似合わないって言うのは善意であり、それはそれで悪魔にとってダサいことである。
 なので、悪魔のアパレルはにこやかに笑って、穹からするっと離れていく。
 基本的に良い子な種族の悪魔にとって、何を言っても微妙な雰囲気にしかならぬことを察知したのだろう。
「一度着てみたかったの」

 じゃん。
 クソダサTシャツに身を包んだ美女の出来上がりである。
 だが、悲しいかな。顔が良いので、なんかそれなりの雰囲気に見えてしまうのである!
「計画もどうしよう。私は車で特攻する係で。途中で飛び降りて銀行に突撃する形に……えっと、車は……そこら辺に置いてある悪魔の車を借りる形でいいかな」
 それはいわゆる窃盗というやつであるが、此処は悪徳が美徳の世界である。
 ノープロブレムである!
 あと、無垢な瞳を向けられると、ダメとは言えないやつである。むしろ、そんな無垢な瞳を向けて車をねだるのは、デビルキングワールド的にはむしろ美徳なのかもしれなかった。

「悪魔たち頑丈なのよね」
 ぽつりと穹はつぶやく。
 え、と誰かが振り向いたかも知れない。車を強奪する。車で銀行に突っ込む。悪魔頑丈。
 この事実から導き出される答えは……
「……ちょっと轢いても問題ないかしら」
 かなり怖いこと言っとるー!
 え、えっ?
 え、怖っ。まじでおっしゃられておられる? 轢くの? と此処にツッコミ役がいたのなら、そう言っていただろうが、この場には居ない。
 あるのは穹の無垢なる瞳だけであった。

 きっとやる。
 あの瞳は必ずやると決めたらやる瞳であったと、後に銀行員たちは語るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…銀行強盗…銀行強盗かー…オブリビオンが支店長なら仕方ないね…
…まずは形から…即ち目出し帽…黒づくめの上下…この怪しい姿…どう見ても銀行強盗…
…計画だけど…強盗の華は銃撃ちながら入って動くな手を上げろ…だよね…でも結局通報されて警察に囲まれて立て籠もるまでがお約束の流れ…
…そのあとの脱出のために予め(担当箇所の悪魔達を買収と言いくるめ懐柔して)下水道や銀行の地図を入手…銀行の金庫室から脱出出来るように【我が手に傅く万物の理】で無機物操作して下水に繋がる隠し扉&通路を作っておこう…
…立て籠もった強盗が突如消える…ヨシ…
…あとはぶっ放す用のマシンガンを適当に手に入れて準備完了だな…楽しみだな…



 如何に猟兵であるメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が常人には経験できないであろう経験を積んだ猟兵であろうとも銀行強盗は初めてであったかもしれない。
 そもそも銀行強盗する必要性を感じないのかも知れない。
 ゆえにメンカルにとって形から入ることは重要なことであった。
「……銀行強盗……銀行強盗かー……オブリビオンが支店長なら仕方ないね……」
 グリモア猟兵より聞き及んでいた情報をかいつまんで考えた時、やはりコテコテの銀行強盗がマストであろう。
 メンカルが形から入ったのもまた最善策と言えたかもしれない。

 目出し帽に上下黒尽くめの服装。
 彼女のコーディネートは完璧に不審者であった。どこに突き出しても必ずや両手首にお縄がかかるたぐいの格好になれるであろう。
「……計画だけど……」
 ふむ、とメンカルは考え込む。
 やはり此処は古典的な銀行強盗がいいだろう。
「強盗の華は銃撃ちながら入って、動くな手を上げろ……だよね」
 もはや様式美である。

 だが、メンカルはある可能性に気がついた。
「結局通報されて警察に囲まれて立て籠もるまでがお約束の流れ……」
 どうあがいても八方塞がりになってしまう。
 こうなってしまうと如何に銀行強盗が強大な力を持っていたとしても、さらに強大な国家権力の前に屈するしか無い。
 まあ、デビルキングワールドは悪徳が美徳の世界であるから、捕まることはないだろうが、それでも相手はオブリビオンである。
 ここは脱出も華麗に行っておきたいところである。

 ならば、何をするか。
 それは簡単なことである。脱出のために予め、下水道や銀行の地図を入手しておけばいい。
 それさえ入手できていれば、メンカルのユーベルコードである我が手に傅く万物の理(マテリアル・コントロール)によって無機物を操作して下水に繋がる隠し扉や通路を作ることができる。
「というわけで、ワルらしく担当箇所の悪魔たちを買収しておこう。買収されるなんてワル。とてもワル……」
 メンカルの根回しは完璧である。
 悪魔たちは買収されるというワルな行いをするメンカルにメロメロである。ちょろすぎである。

 それは契約している銀行や会社への背信行為そのものであったが、何度でも言おう。此処は悪徳こそが美徳の世界デビルキングワールドである!
 むしろ、そうすることで喜ばれるまである。
「……立てこもった強盗が突如消える……ヨシ……」
 指差し確認。
 メンカルは己のユーベルコードで作り上げた隠し扉と通路の安全を確保する。

 あとは、とメンカルの手にあったのはぶっ放す用のマシンガンである。
 適当に手に入れていたのだ。
 いや、まあ、買収した悪魔に横流ししてもらっただけであるけれど、そういう横着な態度のほうが悪魔たちにはウケがいいというのもまたオブリビオンにとっては皮肉なものである。
「……楽しみだな……」
 あれ?!
 割とメンカルさんノリノリであった!? 表情があまりかわらなかったので、測りかねていたが、メンカルはノリノリであった。

 むしろ、気がつくべきだったのだ。
 隠し扉と隠し通路。
 そんなの絶対、みんな好きなやつじゃん! と――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルゼ・アール
【WIZ】

銀行強盗ね…
ま、つまり普段どおりの「お仕事」をすれば良いのかしら
UDCアースで培った盗みのテクで、故郷に錦を飾っちゃいましょ

まずは服ね。フォーマルな場にぴったりなドレス、でもちょっと胸元が空いた感じでさり気なく男を悩殺する悪女アピールかしらね
これで銀行に多額のお金を預けてくれる上客と見られるでしょう?

計画は簡単
事前に用意した多額のお金を預けるにあたって、「警備状況を見せて欲しい」と頼んで金庫を見せてもらうの
まさか自分のところに来た上客が盗人だなんて思わないでしょう?
予告状も出して、敢えて警備をわかりやすくするわ

「保有している預金を全額いただきます 怪盗"R"」ってね

(アドリブ等歓迎)



 猟兵とは即ち多世界を渡る者である。
 ゆえに、デビルキングワールド出身の猟兵も少なからず存在している。生まれながらに猟兵としての資質を持つ者は、その力を持って他世界の裏社会を騒がせていたかもしれない。
 そう、ベルゼ・アール(怪盗"R"・f32590)こそがその一人である。
「銀行強盗ね……ま、つまり普段どおりの『お仕事』をすればよいのかしら」
 彼女はUDCアースで活躍する怪盗である。
 培った盗みのテクニックで故郷の錦を飾ろうととするのは、当然の帰結であったかもしれない。

 彼女にとって、それはライフワークに近いものであった。
 用意した予告状はすでに銀行へと届けられている。発見されるのも時間の問題であろう。
「これで上客に見えるでしょう」
 くるりと、彼女は鏡の前で回転してみせる。
 彼女の今の姿はフォーマルな場に相応しいドレス姿であった。その姿はまさに上流階級の貴婦人然としたものであり、彼女の出自や身分を疑う要素はどこにもなかった。

 まずは視覚から相手を騙すことこそが、怪盗の初歩であり、変装を用いた手腕であった。
「まあ、ちょっと胸元が開きすぎかもしれないけれど……」
 それもまた視線誘導の技術である。
 さり気なく男を悩殺する悪女としての雰囲気も必要なのだ。銀行員の悪魔たちに彼女が上客でありなおかつ油断を誘えればいいのだ。

 それに計画も簡単なものである。
 彼女が事前に用意した多額のD(デビル)、即ち金額を預けるにあたって、銀行の軽微状況を見せて欲しいと頼み込めばいい。
 本来であれば、それが通ることはないだろうが、彼女の今の姿は悪魔をも魅了する絶世の美女である。
 ちょっと胸元をちらつかせれば、ちょろいはずであるし、そもそも悪魔とは頼まれたら断らない種族である。
「第一段階はクリアーできるでしょう。なら、あとは簡単よね」

 オブリビオンが支店長を務める銀行であれば、預金した者は殺すのが方針である。けれど、そこにこそオブリビオンの方針の落とし穴がある。
「まさか自分のところに来た上客が盗人だなんて思わないでしょうしね。予告状に気がついていれば、警備の増員だって在り得るでしょうし」
 そうなれば、こちらのものである。
 ベルゼにとって、故郷の錦を飾ることは赤子の手をひねるよりも簡単なものであったかもしれない。

 後は計画通りにことを進めるだけだ。

『保有している預金を全額頂きます――怪盗“R”』

 それが銀行に届けられた予告状である。
 今頃はオブリビオンの支店長が大慌てで対応していることだろう。これにより、他の猟兵達の銀行強盗の計画もすんなりと進むことができるだろう。
 後に残るのは、ベルゼの放った予告状の通りに、預金されているD(デビル)がごっそり奪われた光景だけである。

「さて、『お仕事』を始めましょう」
 翼の悪魔たるベルゼが故郷であるデビルキングワールドに降り立つ。
 彼女の名は、きっとデビルキングワールドに轟くことだろう。
 謎の怪盗“R”として、一躍時の人となるのだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アラギ・アンドレウ
銀行強盗!めっちゃワルだな!!最高ではないか!!!
だが華麗にやるとなればなかなかテクニックが必要そうだな
どうしたものか……

壁とか警備員とか全部どーんってやるのもワルだとは思うが、ここは一つ違ったムーブをしてみようか
一般的な銀行の利用者のフリをしてみるのだ
その時トイレとか鉢植えとかに派手な音や光が出る爆弾を設置して、いざという時に破裂させられるようにしておくのもいいかもしれない
そして何食わぬ顔で待ち合いのベンチに座り、タイミングを見て暴れだすのだ!

だからこう、いかにも一般市民みたいですな格好をしておこう
つまり……サラリーマン風の格好だ!
ド派手なネクタイとかシャツとか着ちゃうぞ!ワルそうだろう!!



「銀行強盗! めっちゃワルだな!! 最高ではないか!!!」
 そんなふうにテンションが天井を突き破りそうになるほど、騒々しく言ったのは、アラギ・アンドレウ(星を見上げる者・f32285)であった。
 彼は赤いの大都会にて生まれた猟兵である。
 普段は占いによって他者をコントロールするというワルなムーブを決めたいと思っている真面目な男なのだが、今回こそは彼の望んだワルなムーブをキメることができるのだと意気込んでいた。

「だが、華麗にやるとなればなかなかテクニックが必要そうだな。どうしたものか……」
 アラギは考え込む。
 根が真面目であるからこそ、色々と考えてしまうのだ。
 真面目に銀行強盗をしようと言うのもなんというか、他世界の人間から見れば、それはどうなのだと思われかねないことである。
 けれど、悪徳こそが美徳の世界、デビルキングワールドにおいては、それこそが美徳なのだ。

 真面目に働け! というのと同じくらい、真面目に銀行強盗しろ! というわけなのである。
 言っていてなんだが、わけわからなくなりそうである。
「壁とか警備員とか全部どーんってやるのもワルだと思うが、ここは一つ違ったムーブをしてみようか」
 アラギは考えた。
 考えに考えた。真面目に、銀行強盗をするために頭を回し、ぴこーん! と頭の上で豆電球が光り輝く。
「そうだ!」

 一般的な銀行の利用者のフリをしてみるのだ。
 堂々と客として訪れ、トイレや鉢植えに派手な音や光が出る爆弾を設置して、他の猟兵達が突入するタイミングで炸裂させてやればいい。
「おお、いいぞ、いいぞ。冴えてるなオレ!」
 アラギはちょっとワクワクしてきていた。
 爆弾が仕掛けられているとも知らずに銀行員たちは仕事をしているだろう。そんな時、自分は何喰わぬ顔で待合のベンチでのんびりしていればいい。

 あとは然るべきタイミングで暴れ出せばいいのだ。
 そうすることで他の猟兵達の計画に乗じてアラギもまた立派な銀行強盗がキメられるというものである。
「だからこう、いかにも一般市民ですみたいな格好をしておこう」
 そう、アラギが導き出したのは、サラリーマン風の格好である。

 それは確かに頷ける変装の仕方であったかもしれない。
 けれど、やはりデビルキングワールド出身の猟兵である。その価値基準やセンスは他世界の者たちからすれば、僅かにずれていたのかもしれない。
「ド派手なネクタイとシャツとか着ちゃうぞ! ワルそうだろう!!」
 確かにワルそうである。
 いや、むしろあれである。

 インテリヤクザである。
 だが、何度も言うが此処はデビルキングワールドである。
 むしろそれがいいのである! ここではそのワルが憧れられ、悪魔たちにとってのクールなヤツの最高峰なのだ。
 したがって何も間違っていない。
「よーし、やるぞー!」
 アラギは気合十分にバッチリコーディネイトを決めたサラリーマン風の格好で、ずんずんと銀行へと進むのであった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

比由井辺・りこ
【SN8】
ここが噂の……!
生まれも育ちもUDC、初めてのワルの本場にウキウキしつつ、小鹿さんと計画を練り練りしましょう。
あ、本体(ヘリ)?まぁ適当に飛ばしておけば問題ないでしょう。
無許可フライトもワル!セーフ!

どうするにせよ、情報は武器です。
こういう時こそヘリ子にお任せ!こういうデータ収集系なら特に。
銀行のネットワークをハッキングして侵入、勤務シフトとか地図とかデータ抜き取っちゃいますよー。
他の方がどう動くにせよ、役には立つでしょう。潜入するなり逃げるなり。

服装どうしましょうねー。今何が流行ってるんでしょう?
あ、この星型サングラス可愛いです!

ふふーん、そういう事なら今回は私も現地行こっかなー♪


森乃宮・小鹿
【SN8】
ボクら怪盗っすから本職ってわけじゃないんすけど
盗む為のノウハウくらいはありますからね

というわけでりこっち!
まずは現地でショッピングっすよ!
銀行周辺の地図を入手して、逃走経路に最適なルートを絞りこみ、実際に歩いて確認!
あとで情報共有したら他の猟兵さんも逃げやすいし
最終的な合流地点を決められたら支店長を倒すのも楽になりそうっす!
……あっこのミニスカお買得っすね、買おっと

本体はともあれデータは収集しとくといいっしょ
りこっちが可愛いとボクらもハッピーっすし!
……え、突入時の服?
目出し帽とか女子のプライドが許さねぇっすから
ゆめカワ系パープルコーデキメつつこのハート型サングラスでもかけるっすよ



 デビルキングワールド。
 それは善悪の逆転した世界である。世にも珍しい世界であることは言うまでもなく、多世界を知る猟兵たちにとっても、これほどまでに価値基準の逆転した世界は戸惑うことも多いことだろう。
「ここが噂の……!」
 けれど、比由井辺・りこ(ぷたー・f31373)はウキウキしていた。
 彼女は電子の悪魔であれど、生まれも育ちもUDCアースである。初めてのワルの本場であるデビルキングワールドに浮足立っていた。

 一方、共に転移してきた森乃宮・小鹿(Bambi・f31388)は落ち着いていた。
「ボクら怪盗っすから本職ってわけじゃないんすけど、盗む為のノウハウくらいはありますからね」
 彼女たちは怪盗なのだ。
 むしろ、銀行強盗とは目的は同じであれど、方向性は真逆であった。
 こっそり盗んでいく怪盗。
 押し入って取って行く強盗。
 けれど、やることは同じである。即ち、D(デビル)を銀行から根こそぎ奪えばいいのだから。

「小鹿さん、計画を練り練りしましょう。本体のヘリを適当に飛ばしておけば問題ないでしょう。無許可フライトもワル! セーフ!」
 りこは完全にピクニック前の小学生くらいのテンションである。
 計画前に熱を出さないといいけれど、と小鹿は思ったかも知れないが、そんなことよりも小鹿にはやらねばならぬミッションがあった。
「そんなことよりもりこっち! まずは――」
 そう、これだけは外せないのだ。
 小鹿にとっても、りこにとってもデビルキングワールドにおいてやらねばならないことがある。

 それは!
「ショッピングっすよ!」
 ばーん!
 え、とりこが訝しむのも無理なからぬことである。まずは情報収集ではないだろうか。
 情報は武器だ。
 それゆえにりこは本体であるヘリ子を飛ばし、データ収集に勤しんでもらっている。
 銀行のネットワークにハッキングし侵入して、勤務シフトや地図とかのデータを抜き取ったりと七面六臂の大活躍中なのである。
 他の猟兵達がどのような計画を立てていても、役に立つであろうし、互いにカバーし合うことだってできる。
 だから情報が必要なのだ。

 けれど小鹿にはやらねばならぬ。
 デビルキングワールドにおける最新モード、流行の最先端ファッションを物色するチャンスなのだ。
「そういうのはトで情報共有したらいいっすよ。ほら、銀行周辺の地図を見れば、逃走経路に最適なルートは絞込めるっす。実際に歩いて確認するのも大切っす」
 ゆえにショッピングである。
 怪しまれぬように、速やかにファッションモールを探索しなければならない。これは急務である。
 えぇ、本当にぃ~? と誰かがツッコミそうなものであるが、生憎と彼女たちを止める者はいない。

「……あっ、このミニスカお買い得っすね、買おっと」
 なんてもう言っている端から小鹿の財布の紐は緩みっぱなしである。
「副騒動しましょうねー。今何が流行ってるんでしょう? あ、この星型サングラス可愛いです!」
 りこもまた女の子である。
 こういうウィンドウショッピングは楽しいものであるし、つい衝動的に買ってしまうことだってあるだろう。
 むしろ、此方のほうが本来の目的であると言えるほどでもある。いや、それはないけれど。

「りこっちが可愛いとボクらもはハッピーっすし! それに突入時の服装に目出し帽とか女子のプライドが許さねぇっすから」
 何気ない小鹿の言葉が遠くのグリモア猟兵のポンコツ具合を加速させたが、それは別の話である。
 ふんふん、とりこは小鹿の話に聞き入り、感心したようにうなずく。
「ふふーん、そういう事なら今回は私も現地に行こっかなー♪」
 そんな風にお互いのファッションをチェックしあい、二人はウキウキで銀行強盗の計画……もといショッピングを楽しむのだ。

「おお、いいっすね! ならボクはゆめカワ系パープルコーデキメつつ、このハート型サングラスでもかけるっすよ!」
 星型とハート型。
 二人の銀行強盗コーデが徐々に決まっていく。
 それはきっと、銀行強盗に襲われた銀行員たちにとって、衝撃的であり、鮮烈なる姿となって記憶に刻まれることだろう。

 それが吉と出るか、凶と出るかは、まだ誰もわからない。
 けれど、二人であればきっと銀行強盗だって、楽勝である。
 だって、可愛いは正義であるのだから――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
アイさんと

銀行強盗といえばボニーアンドクライド。
ファッションも30年代でいきたいよね!ね!

わたしがクライド役で、
アイさんにはドレスを着てもらって……いいよね?(目が怖い)

ワイシャツにネクタイ、
スーツは3つボタンのシングルにハイウエストのズボン!
これでアイさんとカップル成立!

計画はもちろん先人に倣うよ。

わたしが銀行に乗り込んで、アイさんが逃走用の車で待機!
お金を奪ったらあとはひたすら逃げる!

車もこだわりなんだけど、フォードV8とかあるのかな?
なければ【偽装錬金】で作っちゃえばいいか!

わ、アイさん似合いすぎ。かわいすぎるっ。
これはクライドのほうが一目惚れしちゃうね!

お金よりアイさんを奪いたーい♪


アイ・リスパー
理緒さんと

「理緒さん、銀行強盗です!
ここは正統的な銀行強盗として乗り込みましょう!」

私は宇宙世界出身ですが、UDCアースに来てから、伝統的な銀行強盗というものを知りました。
ええ、そうです。

「銀行強盗といえば、レオタード着た三姉妹とか、伝説の怪盗の三世とか、マジックを使うシルクハットとか、そういうのですよね!」

理緒さんと話が噛み合っていない?
そんなことないですよね、理緒さんもハイテンションで何か言ってますし!

「というわけで、やっぱり外せないのは予告状ですよね!
そして変装して銀行に忍び込んで、そこで待ち構える刑事や探偵を煙に巻き、決め台詞を残して姿を消すのです!」

そう、これこそ、正統派の銀行強盗!



 義賊と呼ばれる犯罪者がいる。
 行為は褒められたものではないが、体制への反逆や理不尽に対する痛快なる行いが他者に認められる存在。
 そんな銀行強盗がいつかのどこかの世界にも存在していたことだろう。
 決して褒められたものではない。
 その一点に関しては共通しているのに、何が人を英雄たらしめるのか。

 それは価値基準の相違であったり逆転であったり。
 その時々の状況によって変わるものであろう。
 だから、デビルキングワールドにおいて猟兵達が行う銀行強盗はある意味で、そういった憧れや危険な行いに対するスリルを求める行為と似通っていたのかも知れない。
「理緒さん、銀行強盗です!」
 アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)が熱く語りかける。菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はそのテンションの高い呼びかけに、同じくらいテンション高めでお互い熱弁するのだ。
 わりとノリノリである。
「ここは正統的な銀行強盗として乗り込みましょう!」
 アイは宇宙世界、スペースシップワールド出身の猟兵であるがUDCアースを訪れてから、伝統的な銀行強盗というものを知ったのだ。

「銀行強盗と言えばボニー・アンド・クライド。ファッションも30年代でいきたいよね! ね!」
 理緒の熱のこもった弁と瞳はアイと交錯する。
 が、ちょっとどこかズレていた。
「ええ、そうです。銀行強盗といえば、レオタード着た三姉妹とか、伝説の怪盗の三世とか、マジックを使うシルクハットとか、そういうのですよね!」
「わたしがクライド役で、アイさんはドレス姿でボニー役で……いいよね?」
 もはや熱弁通り越して確定事項である。
 目が若干怖いなとアイは感じたが、素直にうなずくほかなかったし、微妙に話が噛み合ってない気もするが、そんなわけないかと納得していた。

 ハイテンションで語る理緒の姿にちょっと満足していたというのもあるだろう。
「というわけで、やっぱり外せないのは予告状ですよね! そして変装して銀行に忍び込んで、そこで待ち受ける刑事や探偵を煙に巻き、決め台詞を残して姿を消すのです!」
 いや、それはもう怪盗であった強盗ではないような気もするが、まあお金を奪うという点においては共通しているから、細かいことはいいのだ。
 それよりも理緒の瞳がやばい。
 邪魔したら何か冗談ではすまない感じの気迫を感じる。
 すでに衣装を用意しているのだ。手にしていたのはワイシャツにネクタイ、スーツは三つボタンのシングルにハイウエスト。
 そして、アイのためのドレスである。

 もう気分は銀行強盗そのものである。
「なら、計画はもちろん先人に倣おう。わたしが銀行に乗り込んで、アイさんが逃走用の車で待機! お金は奪ったらあとはひたすら逃げる!」
 微妙に話が噛み合ってない様子であるが、出たとこ勝負である。
 銀行強盗とは綿密な計画が必要なものであるが、場当たり的に行うのもまた銀行強盗である。

 ならば、理緒の加熱する銀行強盗熱はさらに高みへと登っていく。
 瞳がユーベルコードに輝き、偽装錬金(ギソウレンキン)によってフォードV8と呼ばれるクラシカルな車両を用意する。
「あの、理緒さん正統派銀行強盗の服装なんですが……」
 やっぱりレオタードでしょうかといいかけたアイに押し付けられたドレス。
 有無を言わさぬ理緒の瞳。
 正直ちょっと目が怖いなって思ったかも知れないが、ドレスを着ないと話が進まない気がしたのでアイはドレスアップする。

 タイトにしまったウェスト。
 ふわりと広がったスカート。編み上げられた髪が項のおくれ毛を見せつける。その姿に理緒のテンションはさらに天井をぶち破ってしまう。
「わ、アイさん似合いすぎる、可愛すぎるっ。これはクライドの方が一目惚れしちゃうね! お金よりアイさんを奪いたーい♪」
 もはやファッションショーである。
 いや、それが正しいファッションモールの楽しみ方であるが、若干目的を見失っているような気もする。

 けれど、いいのだ。
 真面目に不真面目やることが悪徳が美徳の世界デビルキングワールドであるのだから。
 これこそが、デビルキングワールド流ってやつである。
 二人のドレスアップは計画を練り上げるよりも長く、それこそ念入りに行われ、当日を迎えるのであった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルテミシア・アガメムノン
【魔王国】
オブリビオン関係なしにこの世界の銀行は悪の組織ですわよね。
オブリビオンの影響下にある今は極悪になっていますが……
それにしても悪の組織に対する攻撃、銀行強盗って悪なのかしら?
まあ、いいですわ。無辜の悪魔を守るのは魔王の務め。
わたくしの国ではありませんがそれは変わりません。

今回は盟友であるフカヒレさんと協力してことに当たりましょう。
まずは計画立案ですわね。
銀行に見える喫茶店でお茶でもしながら考えましょうか。
え、人質をとって立てこもり?
逃亡用の車を用意させる? ワルですわね!
服装は顔が分からないように動物の被り物を致しましょう!
この後、買いに行きましょうか。


オネスト・ファッション
【魔王国】
毎年お母さんに預けたお年玉が銀行送りにされてるって知った時はだいぶショックだったな…
辛酸を舐めさせられ続けた銀行の野郎に一矢報いる機会があるってなら黙っちゃいられねえぜ!
アルテミシアと喫茶店で銀行が見える席を占領して作戦会議だ!(サングラスをかけて時々チラチラと外して銀行を眺めながら)

強盗って言ったら人質は鉄板だよな!
そこら辺にいる悪魔に協力、いや脅迫して銀行に押し掛けてやるんだ
Dを奪った後の逃走車は向こうから用意させてやればいい。どうだワルいだろ!

そうと決まったら早速買い出しだな!ワクワクしてきたぜ!
動物の被り物なら豚と鼠と狐どれ
が似合うかな?(アルテミシアに合わせてお任せで!)



 銀行と預金は斬っても離せぬ間柄である。
 預けておけば安心であるが、銀行強盗が尊敬を集めるこんな世界であれば、あまりにもD(デビル)の価値はないに等しい。
 あるのはD(デビル)を荒稼ぎしているという『ワル』のバロメーターくらいなものである。
 だからこそ、オネスト・ファッション(見せ掛け以上・f31551)は毎年お母さんに預けたお年玉が銀行送りにされてるって知った時はだいぶショックであった。
 いや、デビルキングワールドの価値観的には、むしろ歓迎されるべきワルな所業であったことだろうが、それとこれとは話が別である。
「辛酸をなめさせられ続けた銀行の野郎に一死報いる機会があるってなら、黙っちゃいられねえぜ!」
 むん! とオネストは気合を入れる。

 そんな彼と対面で座っているのは、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)であった。
 オブリビオン関係なしに、この世界、デビルキングワールドでは世界の銀行は悪の組織である。
 ワルこそ最高。
 ワルこそクール。
 ならばこそ、尊敬を集める場所なのだ。『デビル株』などに手を出し、預金したD(デビル)が泡のように消えていくのは悪魔たちにとってあまりにも、どえれーワルなことなのだ。
「オブリビオンの影響下にある今は極悪になってますが……それにしても悪の組織に対する攻撃、銀行強盗って悪なのかしら?」
 そんなアルテミシアのつぶやきにオネストはうなずく。

「そうだぜ! まー、ある意味ショー的な感じになっちゃうかもしれないよな。見物の悪魔がわんさか来るって話だし」
 サングラスをかけて時々チラチラと外して銀行を眺めるオネストの姿は、入念な下調べをする銀行強盗の眼差しそのものであった。
 盟友である彼の真剣な姿に頼もしさを感じながら、アルテミシアも決意を新たにする。
「無辜の悪魔を護るのは魔王の勤め。わたくしの国ではありませんが、それは代わりません」
「ああ、強盗って言ったら人質は鉄板だよな! そこら辺にいる悪魔に強力……いや、脅迫して銀行に押しかけてやるんだ」
「えっ、立て籠もるおつもりです?」
 しかし、逃走用の車を用意していないとアルテミシアが難色を示す。

 だが、ノープロブレムである。
 オネストはこうするのさ、と笑って喫茶店に注文していたどぎつい色のドリンクをストローで吸い上げる。
「D(デビル)を奪った後の逃走者は向こうから用意させてやればいい。どうだ、ワルいだろう!」
「ワルですわね! ああ、そうそう。服装は顔がわからないように動物の被り物を致しましょう!」
 二人ががっちり手を握り合う。
  
 そう、二人共デビルキングワールド出身の猟兵なのだ。
 ここで悪巧みをするとか、テンションの上がらぬ方がおかしいというものである。喫茶店で銀行強盗の計画を立てているとも知らずに、のんきに預金残高を数えている銀行員たちに一泡も二泡も噴かせてやろうと、二人は計画の大詰めへと至るのだ。
 即ち、銀行強盗ファッションである。

「そうと決まったら早速買い出しだな! ワクワクしてきたぜ!」
 計画は立てた、ならば次に行うのはお揃いの被り物だ。
 二人はすっかり立てた銀行強盗計画にテンションが上がってしまっている。
 動物の被り物、そういうのもあるのかとどこかでグリモア猟兵がくしゃみをしたかもしれない。

 目出し帽とかよりよほどスマートである。
 二人は喫茶店を出ると、早速動物の被り物を探しに出かける。ファッションモールは様々なニーズに応える品揃えである。
 二人が求める動物の被り物だってきっとあることだろう。
「動物の被り物なら豚と鼠と狐……どれが似合うかな?」
 オネストはビジュアル悪魔の四天王らしくあれやこれやと手当たり次第に試していく。
 二人組の銀行強盗であるのならば、被り物と言えど合わせていくのが定番であろう。

「ええ、ではこれに致しましょう!」
 次々と動物の被り物をとっかえひっかえしながら、二人は計画の最終段階である被り物のデザインの決定に、今回最も苦心したのであった。
 果たして二人がかぶる動物の被り物……それは一体なんの動物であったことだろうか――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソナタ・アーティライエ
銀行強盗……銀行強盗……
困りました、どうしたら良いのかさっぱり分かりません

朧気な記憶から、スーツ姿のギャングが銀行を襲っていた映画のワンシーンがかろうじて思い出せる程度……
なので衣装はブラックスーツを

後は少しでも怖がってもらえるようにと、どこか東南アジア風な怪物を模した仮面を購入しますね
に、似合うでしょうか?

実際のやり方については、知っていそうな方に教えて頂けるようお願いしてみますね
ちょうどあそこを歩いている見るからに悪そうな漆黒の堕天使っぽい方なら、きっと詳しくご存知そうなのです

懇切丁寧に教えて頂きありがとうございます
はい、頑張ってきます


アドリブ歓迎です



 善悪の基準が逆転した世界デビルキングワールドにおいて、純真なる者こそ戸惑いを隠せないだろう。
 ワルこそがクールであり、かっこいいこと。
 それが悪徳の法である『デビルキング法』の定めるところであり、真面目で良い子な悪魔たちは真面目に悪事を働くという若干首をかしげるような状態になっている。
「銀行強盗……銀行強盗……」
 ソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)は何度も口に出してみるが、どうにも要領を得ない。

 彼女は純真なるミレナリィドールである。
 そんな彼女にとって銀行強盗というという悪事はやってみようとも考えたことすらない未知なるものであったことだろう。
「困りました、どうしたら良いのかさっぱりわかりません」
 お手上げ状態であった。
 目出し帽を手渡されても、これをどう使っていいのかすらわからないのだ。
 朧気な記憶から、スーツ姿のギャングが銀行を襲っていた映画のワンシーンがかろうじて思い出せる程度である。
 だから、彼女はファッションモールでブラックスーツを手にとって考えていた。

 銀行強盗。
 その言葉の響きだけで怖いと言えば怖いものである。
 怖がらせるような凶悪な出で立ちであればあるほどに悪魔たちは喜ぶ、となればソナタは考えた。
 少しでも怖がってもらえるようにと、目出し帽ではなくどこか東南アジアのテイストを醸し出す怪物の仮面を手にとって、鏡の前で付けてみせる。

 ブラックスーツにソナタの顔である。
 これだけでは確かに美少女ががんばって男装した、という程度にしか見られないだろう。
 けれど、怪物の仮面で可憐なる顔を隠してしまえば、雰囲気が出てくるというものであろう。
「に、似合うでしょうか?」
 ドキドキしながらソナタは鏡の中自分を見やる。
 我ながら、これはかなりの迫力がある。ちょっと夜中に思い出してしまいそうであった。

「こ、これで行ってみましょう……でも、銀行強盗とは、結局何をすればいいのでしょう?」
 姿かたちから入るのはよかったが、肝心の銀行強盗のやり方がわからない。
 そこに偶然に合わせたアパレル店員の堕天使が、その性根が善性であるおせっかいを遺憾なく発揮してくれる。
「銀行強盗と言えば、デビルキングワールドにおける最も尊敬される職業ですよ。カネを奪って、不当にばらまく。道端にD(デビル)をばらまいたり、ヘリの上からばらまくなんていうやり方もありますね」
 ともかく、不当なやり方で銀行を襲って、D(デビル)を巻き上げればいいのだ。
 これまで善性そのものであったソナタに、ワルの流儀を訥々と語る堕天使の言葉は、この世界での悪徳と美徳の逆転を教え込ませるものであった。

 けれど、やはりなんとも理解しきっていないのか、ソナタはありがとうございましたと頭を礼儀正しく下げる。
 悪魔的にはそこは礼も告げずにぶっ飛ばすのが最高にクールであるが、根が善性である彼らにとっては、それさえも些細なことである。
「ああ、それじゃあ、銀行強盗がんばって! ファイトですよ!」
 そんなふうに応援されてしまえば笑顔になってしまう。

 なんともワルに成りきれぬ悪魔たちらしいものであるが、ソナタは気にした様子もなく微笑んで、眩しいまでの笑顔でにっこりと怖い怪物の仮面を持って言うのだ。
「はい、頑張ってきます」
 デビルキングワールドにおいても、ソナタの善性は変わらず、にこやかに銀行へと軽い足取りで向かうのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
銀行強盗か…フッ、ワルの血が騒ぐぜ(?)
ま、どうせやるなら見た目も行動も
キッチリバッチリ決めようじゃないか

とりあえず服装は……元からライダースーツな宇宙服だからいいとして
顔はサングラス付けてヘルメット被れば十分だろう

計画はそうだな……テスタロッサで玄関に突っ込んで
銃を(上に向かって)撃って脅してDを要求
奪うもん奪ったらササッとずらかるシンプルな奴でいこう
逃走経路はEsにナビゲートして貰えば問題ないな

『了解しました…Dの格納はFZで?』
ああ、これで金庫のDを根こそぎ奪ってやれば億万長者って寸法よ
……いや、後でちゃんと返すけどね?

それじゃあ、早速準備にいこうか!

アドリブ歓迎



「銀行強盗か……フッ、ワルの血が騒ぐぜ」
 などと、傍から見たら本当に? と小首をかしげたくなるような様子で、星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)はデビルキングワールドにおける尊敬を集める職業、銀行強盗への意気込みを胸に秘めていた。
「ま、どうせやるなら見た目も行動もキッチリバッチリ決めようじゃないか」
 祐一は形から入る派であった。

 ファッションモールをくぐれば、そこは様々なファッションが溢れる最先端。
 どうせ悪魔たちをメロメロにするのならば、祐一の思いつく限りのワルとしてのクールな姿を見せつけるべきである。
 だからこそ、祐一は妥協しない。
 とりあえず、なんていいながらもしっかりとコテコテ銀行強盗ルックを選ぶのだ。
「ライダースーツな宇宙服はいいとして、顔はやっぱりサングラス付けてヘルメットかぶれば十分だろう」
 これだけでもう怪しい男である。

 間違っても街で出会っても声なんかをかけようとは思えない。
「服装はこれでよし、と。しかし、銀行強盗計画か……」
 どうしたものだろうか。
 やはり定番が良いだろうなと思うが、それだとインパクトに欠ける。ならば、と思いついたのは自身の駆る真紅の二輪バイクだ。
 エネルギー武装接続コネクタもあるから、このテスタロッサ・カスタムで銀行の玄関を突き破って突っ込むのはインパクトがあってなかなかにいいだろう。

「後は、銃を上に撃ってD(デビル)要求……奪うもん奪ったらササっとずらかるシンプルなヤツで行こう」
 疾風のように現れ、迅雷のように奪い去っていく。
 これはワルでなくても憧れるやつではないだろうか。ならば、次に計画しなければならないのは逃走経路であえる。
「Es、目的の銀行からの逃走経路のナビゲートよろしくな。最短経路でよろしく頼むぜ」
『了解しました……D(デビル)の格納はフィールドジッパーで?』
 サポートドローンのAIが確認してくる。
 ああ、と確かに奪ったD(デビル)を持ち去るバックのようなものが必要であった。

「ああ、これで金庫のD(デビル)を根こそぎ奪っってやれば億万長者って寸法よ」
 空間圧縮機能が付いた腕部の装着型デバイスならば、大量のD(デビル)を格納し、持ち運ぶことができる。
 これならば速度を落とすことなく最短距離で逃げ切ることだってできるはずだ。
「……いや、後でちゃんと返すけどね?」
 ほんとほんと、本当だってばと祐一は訂正する。
 別にD(デビル)が欲しくて銀行強盗するわけではない。
 あくまで目的はオブリビオンである支店長の打倒であるのだから。ことが済んだらちゃんと返却するつもりなのだ。

 ちょっと惜しいなと思う気持ちもあるかもしれないが、それはそれである。
 気を取り直すように祐一は、大きく伸びをしてファッションモールへと足を踏み出す。
「それじゃあ、早速準備にいこうか!」
 何か良いサングラスがあればいいが、なんてことを考えながら祐一はデビルキングワールドにおける最先端ファッションが集うモールのあちこちを物色しながら、練った銀行強盗計画を反芻するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『鎧の悪魔』

POW   :    アーマーフォース
【鎧を着た者】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[鎧を着た者]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    アーマーエンハンス
対象の【鎧】に【追加装甲】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[鎧]を自在に操作できる。
WIZ   :    アーマーラビリンス
戦場全体に、【鋼の鎧】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。

イラスト:鋼鉄ヤロウ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 デビルキングワールドにおける銀行強盗は『銀行を破壊し、行員を全部やっつけたら勝ち』というとても雑なルールというか、感覚であった。
 けれど、それではダメなのだ。
 オブリビオンである支店長が掲げた『預金したヤツも殺して、デビル株をやらない』という魅力的な方針を上書きするには、猟兵達の立てた銀行強盗計画が必要なのである。

 それは即ち、『金を奪い、奪った金を持って逃走する』ということ。
 それに加えて猟兵達が立てた一斉銀行襲撃が起これば、銀行はたちまちの内に混乱と熱狂の渦に包み込まれるだろう。

 さあ、これからが銀行強盗の本番である。
 猟兵よ、各々が立てた銀行強盗計画を一斉に実行し、混乱と熱狂の渦にデビルキングワールドを叩き込むのだ――!
メンカル・プルモーサ
よーしやるぞー……
(マシンガンを天井にぶっぱしつつ)銀行強盗だー……全員その場に伏せて手を上げて動くなー…
(悪魔にも通じる術式弾を使った都合で天井が一部落ちたけど気しない)
…客や銀行員をあえて雑に縛った上で銀行員悪魔の一人を適当に捕まえて金庫まで案内させよう…
…金庫は【言の葉を以て岩戸は開く】で開けてしまえば良いから銀行員を睡眠術式で眠らせて金を大きい布袋(中に入れた物の重さが0になる、態々作った)に詰めよう…
…そして今頃ほかの銀行員が雑な縄から抜け出して警察に連絡してるだろうから…この世界の犯人への呼びかけ文句が気になるからそれだけ確認して…
…銀行の周囲が騒ぎになったら隠し通路から脱出だね…



 イッツ・ア・ショータイム。
 それは唐突に引き金を引かれたマシンガンが銀行の天井を盛大にぶっ放され、一分崩落した天井の破片が轟音となって響き渡った音と共に始まった。
「よーしやるぞー……」
 なんて、とてもやる気があるとは思えない平坦な声が銀行に響き渡る。
 銀行の行員である悪魔たちは皆、何が起こったのかを理解できていなかった。
 だって、あまりにも唐突であったからだ。

「銀行強盗だー……全員その場に伏せて手を上げて動くなー……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の声が響き渡り、銀行内はシンと一瞬静まった。
 けれど、それはある意味でデビルキングワールドにおけるエンターテイメントの始まりでも在る。
 銀行強盗はワル。
 即ち超かっこいいことである。

 今のメンカルはいきなり発砲し、天井を崩しただけに飽き足らず客や銀行員を雑に縛り上げた。
 あまりにも雑なものであるから、抜けようと思えばいくらでも抜け出すことはできたであろう。
 客に扮した中に猟兵もいるであろうからというメンカルの配慮でも在った。
 そう、この銀行強盗は一度では終わらないのだ。
 連鎖的に猟兵達が雪崩込んでくる。

 だからこそ、メンカルはわりとウキウキした足取りで銀行員の悪魔の一人を捕まえて、縄でぐるぐる巻にしたままマシンガンの銃口を背中に押し当てる。
「さ、金庫まで案内してもらおうかー……少しでも妙なことをしたら……」
 ずどんだぜ。
 と言わんばかりにメンカルはぐいぐいとマシンガンを銀行員である『鎧の悪魔』に押し付ける。
 その名の通り、鎧の悪魔ゆえに多少の乱暴をしても大丈夫であろうが、弾丸に術式弾を装填しているから、あまり無理をするのは得策ではないと天井をぶっぱした時に彼らも気づいているはずだ。

 まさに流れるようなスマートな強盗である。
「こ、ここだ……だが、金庫の鍵は出張に出ている支店長でないと……!」
「あ、そう。最後の鍵よ、回れ、開け。汝は解錠、汝は開放。魔女が望むは宝殿開く合言葉」
 次の瞬間、メンカルのユーベルコードが輝く。
 言の葉を以て岩戸は開く(オープン・セサミ)と言わんばかりにあっさりと金庫の鍵が解錠される。 
 えぇー!? と鎧の悪魔が驚愕したが、メンカルは容赦なく催眠術式の籠められた弾丸を放って、銀行員を眠らせる。

 その隙にわざわざ作っていた中に入れた物の重さが0になる袋にD(デビル)を雑に詰め込んでいく。
「ま、後は他の猟兵たちもやってくるだろうし……警察にも連絡が行っているかもしれないから……」
 次々と雪崩込んでくる銀行強盗。
 それは他の猟兵達の姿であることをメンカルは知っている。だからこそ、安心して任せていられるのだが、ちょっとだけ気になることがあったのだ。

 それは――。
「警察のものだー! 故郷のお母さんが感涙にむせび泣いているぞー! 立派に銀行強盗するほどワルい子に育ってと! がんばれー! 銀行員全員ぶっ飛ばして、故郷に錦を飾るんだー!」
 そう、警察が銀行強盗に対してどのような呼び文句をするのか気になっていたのだ。
 それを確認するためにメンカルはひょっこり顔を出したのだが、それが期待通りであったのか、それとも期待はずれであったのかは彼女しか知る由もない。
 徐々に野次馬が集まってきて、騒々しい雰囲気になってきたことを確認したメンカルは、事前に計画していた隠し扉と隠し通路からさっそうと逃げ出し、まんまと脱出を決める。

 後は、この奪ったD(デビル)を奪い返さんと追ってくるであろう支店長、オブリビオンをぶっ飛ばすである。
 メンカルはあまりにもスマートな脱出劇ゆえに、デビルキングワールドに置いて、あらたなる銀行強盗のカリスマとしてひっそりと有名になっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

万象・穹
車で銀行の入り口に突っ込むわ。(間髪入れずに)
オーラ防御で車が壊れないようにしておきましょう。

さあ、Dを車に目一杯詰め込むのよ。金庫を開けないというのなら、【封魔奇譚】の神器を解放して、すごい有名な怪盗を喚び出して扉を開けてもらいましょう。

動かないで。私はただお金が欲しいだけなの。(刀の切っ先を突き付けて)

襲いかかってくるようなら『神威羽の波濤』による錯視に似た認識阻害で攻撃を見切るわ。(催眠術)

一応言っておくけど、私はただの尖兵のようなもの、他の猟兵たちが銀行のお金を次から次へと強奪するわ。今のうちに対策でも練っておくのね。
(無表情であるがめちゃくちゃノリノリ)

(アドリブ等歓迎)



 銃声が銀行から響いた後、銀行員も客もみんな仲良く縄で縛られていたが、この騒ぎの先駆けを行った猟兵が金庫の方へと向かった次の瞬間、間髪入れずに銀行の玄関から車が突っ込んできた。
 狙ったかのようなタイミング。
 連鎖するようにオーラの包まれた車は、銀行の入り口を吹き飛ばし、凄まじい音を立ててめり込んでいた。
「さあ、D(デビル)を車に目一杯詰め込むのよ。金庫を開けないというのなら……神器解放『封魔奇譚・告死討魔ノ章』(フウマキタン・コクシトウマノショウ)! すごい有名な怪盗を呼び出して扉をあけてもらうだけだから」
 そう言いながら車から下りてきたのは、万象・穹(境界の白鴉・f23857)であった。

 彼女は車で突っ込んできたというのに、なんでもないかのようにさらりと言ってのけた。
 その言葉に悪魔の銀行員たちはドン引きどころか、尊敬の眼差しさえ向けてくるのだ。
 これがデビルキングワールドである。
 悪徳こそが美徳。
 ワルこそかっけー! というやつである。けれど、銀行員である以上、新たな支店長が打ち出した方針を遵守するのまた、彼ら性根の善性たる悪魔たちであるとも言える。
 先行した猟兵の縛った縄が雑だったため、簡単に解くことができたのだろう。
 けれど、その動きを察知して穹は刀の切っ先を向ける。

「動かないで。私はただお金がほしいだけなの」
 そう、お金欲しいだけで、こんな悪行を簡単にやってのける。そこにしびれてあこがれてしまうのだ。
 ビリビリと電流走ったように銀行員たちは急に心酔してしまう。
 もしも、襲いかかってkるようならば、全身から発せられる光の鴉羽の如きオーラで、彼らの認知に阻害を引き起こし攻撃を見切ろうと考えていたが、その必要はまったくないようであった。

 まるで歯ごたえのない感触であるが、無用な戦いが避けられるのならば、それは喜ぶべきことだろう。
「一応いっておくけど、私はただの尖兵のようなもの。他の猟兵達が銀行のお金を次から次へと強奪するわ」
「次から次に!?」
 なんで嬉しそうなのだろうかと穹は訝しむが、むしろ、悪徳と美徳の逆転した世界であれば、そうか、これって善行というか、良いことというか、喜ぶべきことなのだなと穹は理解する。

 ならば、ここは大見得を切るのが最良であろう。
「ええ、次から次にやってくるわ。今のうちに対策でも練っておくのね。けれど、無駄よ。というか、ほら、さっさとお金を詰めなさい」
 ほらほらと刀の切っ先をずいずい突きつけ穹は銀行員たちに用意したかばんに、伝説の怪盗が鍵開けした金庫の中身を詰めるように伝える。

 流れるようなスピーディな銀行強盗。
 けれど、銀行員たちは穹の見惚れるような無表情でワルな所業を繰り出してくる姿に心酔しきっている。
 まあ、そうでなくても美少女だからね。
 美少女に刀突きつけられるシチュエーションなんて、ワルの業界ではご褒美ですよ。むしろ、穹が若干ノリノリであることも加味しても、悪魔たちは彼女のワルの雰囲気に惚れ込んでしまうのだ。

「あざっす! これでパンパンっす! ありがとうございました!!」
 何故かお礼を言われつつ、穹は己の乗ってきた車に戻る。
 後はUターンして再びやってくるであろう猟兵たちの計画の邪魔にならぬように逃走を開始するだけだ。
 颯爽と街中を車で駆け抜ける穹。
 きっとこの後、逆上したオブリビオンの支店長が来襲するだろうが、この調子であればちょろいであろう。

 むしろ、穹はノリノリで今回の銀行強盗計画が遂行できたことに、無表情ながら喜び、後部座席でジャラジャラなるD(デビル)の音色を聞くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルゼ・アール
すでに始まっているわね
ちなみに私は利用客として潜入中
すでにお金を預ける手続きを済ませているわ

さぁ、始めましょうか、【完全犯罪計画】を
事前の計画通り、銀行強盗が行われていて不安なので警備状況を直接見せてもらうわ
私の預金は無事なのかどうか、をね

この目で金庫にお金が入っていることを確認したら香水型薬剤スプレーから催眠ガスを噴霧
私以外の全員に眠ってもらうわ…着替えのためにね
起きてるのがいたら…拳銃をちらり、と見せておけば脅しになるかしらね?

仕事着の黒のジャンプスーツに着替えて、金庫の中のお金を全て盗む
裏口から脱出、自慢の愛車「Dio Demone」で逃走するわ

全て「計画通り」よ

(アドリブ等歓迎)



 様々な銀行強盗計画を立てた猟兵達の中には、すでに銀行に客として紛れ込んでいる者もいる。
 すでに先行した猟兵達が次々と銀行強盗を成功させていく中、彼女もまた縄に縛られていた。
 そう、ベルゼ・アール(怪盗"R"・f32590)である。
 すでにD(デビル)は銀行に預けられている。事前の計画通りである。しかし、銀行強盗はすでに起こっており、警備体制の不備を突かれても仕方のない状況であった。

 だからこそ、彼女の完全犯罪計画はスタートする。
「お客様! 申し訳ありません。当銀行はまさに銀行強盗に襲われている最中です。どうか危なくない場所まで退避を……」
 そんなふうに銀行員の悪魔たちがやってくるが、ベルゼは意に介さない。
 むしろ、ここぞとばかりに詰め寄るのだ。
「こんな状況では私の預金が無事なのかどうかを直接見せてもらうわ。わかるでしょう? この不安な気持ち」
 そんなふうに大胆なドレス姿の美女に言われてしまっては、銀行員も首を立てに振るしかない。

 仕方がないというように鎧の悪魔である銀行員がベルゼを連れて破られた金庫のまで案内してくれる。 
 さすがは他の猟兵達である。
 今も入り口に車が突入してくる始末である。
 陽動と呼ぶにはあまりにも過激であるが、過激であればあるほどに、デビルキングワールドの悪魔たちは大喜びである。
 むしろ、心酔してしまうまであるのだから、善悪の基準が逆転した世界らしいといえば、らしいものだ。
「ここです。この金庫に先程預金していただいたD(デビル)は……――ぐわっ!?」
 
 金庫が空いた瞬間、ベルゼは香水型の薬剤スプレーを鎧の悪魔に噴射する。
 それは催眠ガスであり、たちまちの内に周囲に充満していく。他に作業をしている銀行員がいようともたちまちに夢の中である。
「私以外は眠ってもらうわ……着替えのためにね?」
 くすりと微笑んでおねむの鎧の悪魔たちが倒れ伏す中、ベルゼは仕事着である黒のジャンプスーツに着替え、金庫の中のD(デビル)を全て頂戴する。
 これが青年誌か少年誌であれば、サービスなシーンが画面いっぱいに公開されたであろうが、残念。
 ぱさりぱさりと落ちる衣擦れの音しかお届けできない。
 まあ、事前に拳銃をちらりと見せられていたら、目をつむるしかないのである。これは仕方ないのだ。
 表現方法の限界なのである。

 力不足を許して欲しい!

 だが、華麗に完全犯罪計画(パーフェクト・ミッション)を遂行したベルゼは止まらない。
 裏口から盗み出した彼女は自慢の愛車であるスポーツカーで力強く走り出す。
 後にはもうベルゼの居た痕跡は一つもない。

 そうこれが、彼女の、いや……『怪盗“R”』の全て『計画通り』なのである。
 届けられた予告状。
 その文章通り、ベルゼは華麗に盗みを働き終えたのだ。
「――全て『計画通り』よ」
 おちゃめにウィンクして、デビルキングワールドの街中をスポーツカーが疾走し、街頭からは彼女に惜しみない声援が飛ぶ。
 後にデビルキングワールドにおいて、彼女を題材としたコミックが発売されることもあるかもしれない。

 それほどの活躍でもって、『怪盗“R”』の名は故郷の錦を飾るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソナタ・アーティライエ
次々と華麗に銀行強盗をきめていく先輩たちの姿に感心しながら、自分も頑張らないとと決意を新たに

まず普通の客を装ってカウンターへ行って……そしたらおもむろに武器を突き付けて「金を出せっ!」と叫ぶ……

って、そんな酷い事を言える訳もなく
困った末にフィンガースナップで【神音の調律者】を起動
客や行員の持ってる武器を操って無言で突きつけ脅す形に
「何をすればいいのか言われずとも分かるだろう」みたいな態度に見えますが
仮面の下の素顔は半泣きです(ごめんなさい
もたつくなら苛立たし気に(聞こえる)靴音コツコツで、さらに武器追加で

最後は連続する銀行強盗の中継にきていた報道ヘリコプターをUCで奪って脱出です


アドリブ歓迎



 猟兵たちは次々と銀行を襲っては、華麗なる手口によってD(デビル)を奪って飛び出していく。
 その逃避行は見事なものであり、銀行強盗が銀行に入ったというだけで沿道には悪魔たちが物見遊山気分で見物に着ていた。
 だが、彼らの知る銀行強盗とは即ち銀行員との戦いであり、全て彼らを打倒した末に銀行強盗は勝利を得るものである。
 そのセオリーを猟兵たちは打ち破り、斬新なものへと昇華させていたのだ。

 ソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)も先行した猟兵……先輩銀行強盗に感心し、自分も続けと駆け出すのだ。
「私もがんばらなければなりませんね!」
 アパレル店員の応援もあったのだ。
 これはがんばらなければならないと、先行した猟兵がぶち破った銀行の入り口から丁寧にお辞儀してから入っていくソナタ。
 普通の客を装っているところがこう、ある意味肝っ玉があるというかなんというか。
  怪物の仮面で覆われたソナタは、対応に出てきた銀行員に武器を突きつけるのだ。

 ……いや。
 そんなひどいことができるわけもない。ついでに『金を出せっ!』という銀行強盗のお決まりの台詞も言えずじまいである。
「……?」
 悪魔の銀行員が何やらわたわたしている怪物仮面のソナタを訝しむ。
 どうしても言えない。
 そんな酷いこと言えない。できない!
 デビルキングワールドの悪魔たちの性根の善性に負けず劣らずのソナタの心根は、心優しいからこそ今回仇となる。

「……――ッ!」
 何か言わなければと思い悩んだ結果、ソナタは指を鳴らしてユーベルコードを発現させる。
 うおっ、何の光!? となるくらいには目くらましになったであろうが、彼女の発動したユーベルコードの真価は目くらましではない。
 神音の調律者(メザメルスベテノコドモタチ)たる彼女が鳴らした音を媒介として周囲に在るもの全てを遠隔操作することができるのだ。
 銀行員が持っていたハルバードをうばって、突きつける。

 無言の怪物仮面の所作はまるで『何をすればいいのか言わずとも解るだろう』と言っているようなものであった。
 少なくとも悪魔の銀行員たちにとっては、そう映ったのだ。
 かなり甘い感じもする。でも仕方ない。だって、悪魔たちは基本的に良い子なのだ。無言でぐいぐいハルバードの柄の部分でぐいぐい必死に押してくるソナタを前にして、彼女の言わんとしていることを察してしまうのだ。
「わ、わかった……! 言う通りする……D(デビル)だな……!?」

 ぱぁ、と怪物仮面の奥で涙目であったソナタの顔が明るくなるのが仮面越しでもわかる。
 なんとも甘いことであるが、しようがない。
 だって武器で脅されてるし、怪物仮面は怖いし。
『御覧ください。銀行に次々と銀行強盗が集結しているという騒ぎを……ってうわー!?』
 そんな猟兵達の引き起こした銀行強盗騒ぎは、遂にはテレビ中継のヘリすらも引き寄せたのだ。
 けれど、そのヘリはこれ幸いとばかりに、ずっしりと重いD(デビル)の詰まったバックを抱えたソナタのユーベルコードによって、強制的に銀行前に着陸させられる。

「って、ひぇっ!? なんか怖い怪物仮面いるー!?」
「……(ごめんなさいごめんなさい)」
 ソナタは声を発するわけにもいかず、やっぱりハルバードの柄でぐいぐい、そして苛立たしげに聞こえる意図しない靴音コツコツでヘリをあっさり奪って、重いD(デビル)をたんまりと奪い仰せた。
「……やりました、できましたよ、私!」
 ソナタは見事な手並みで銀行強盗を成功させた。

 それは偶然が重なり合ったものであったかもしれないけれど、それでもソナタは彼女が思う以上の想定しない極悪さは、デビルキングワールドの悪魔たちから熱狂的な支持を受けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
アイさんと

うふふふふふ……いよいよここからだね!
ダークヒーローの真価を見せちゃうよー♪

こんなかわいいパートナーが待っていてくれるなら、なんだってできる!
「ほんの少しだけ離れることを許してくれよ、ハニー」

と、意気込んで【偽装錬金】で作ったゴツ目のマシンガン(ドラムマガジン)を手に、
銀行に乗り込んでいくよ。

お金を奪ってでてきたら、
アイさんがアイドリングしてくれていた車に乗って急発進。

あ、運転はもちろんわたしがするよ。
こういうのは、画的に男性役がしないとね。
そのかわり、アイさんはしっかり抱き寄せちゃうけど!
「寂しい思いをさせてごめんな」

や、まぁ、がんばってますけど、めいっぱいどきどきなんだけどね!


アイ・リスパー
理緒さんと

「よし、いよいよ銀行強盗の実行ですねっ!
……って、私、なんでドレス姿なんですかーっ!?」(我に返った

けど、なんか理緒さんがノリノリなので、ドレス脱ぎたいとか言い出せず……
そのまま車……フォードなんちゃらの助手席にチョコンと座って、銀行強盗に向かう理緒さんを見送ります。

「……私、なにしに来たんでしたっけ?」

助手席で呟くも、返ってくるのは、銀行の方から響いてくるマシンガンの発射音だけ。

その音がやんだと思ったら、お金の詰まったバッグを持った理緒さんが戻ってきて。

「理緒さん!
無事だったんですね!」

そのまま理緒さんの運転する車が急発進し、私は助手席で悲鳴を上げながら理緒さんに抱きつくのでした。



「よし、いよいよ銀行強盗の実行ですねっ!」
 すでに多くの猟兵達が次々と己の立てた銀行強盗計画を実行し、銀行からD(デビル)を次々と奪い去っていく。
 これはうかうかしていられないと、アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)は、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)と共にフォードV8に乗ってさっそうと銀行強盗するために駆けつけたのだ。

 けれど、ここに来て漸くアイは気がついたのだ。
 今更だけど、彼女の服装のコーディネイトは理緒の見立てである。ドレス姿のアイはたしかにかわいらしい。
「……って、私、なんでドレス姿なんですかーっ!?」
 あまりにも銀行強盗の計画を立てるにハイテンション過ぎて、自身がドレスアップされていることに気が付かなかったのだ。
 そんなことある!? と思わないでもないかもしれないが、そういう時だってある。現に理緒の目が怖い。

「うふふふふ……いよいよここからだね! ダークヒーローの真価を見せちゃうよー♪」
 それに、と理緒の瞳がアイに向けられる。
 フォードV8の社内でぐいっとアイに体を近づけ、耳元にささやくのだ。
「ほんの少しだけ離れることを許してくれよ、ハニー」
 非常に男前な理緒の囁きに、アイは今更ドレス脱ぎたいとか言えずに助手席にチョコンと座って、離れて銀行に向かう理緒を見送るしかないのだ。
 だって仕方ない。
 男装した理緒の姿は男装と言えど、かっこいいのだ。

 でも、アイはアイで懊悩する。
「……私、なにしに来たんでしたっけ?」
 小首をかしげた瞬間、銀行から響いてくるけたたましいマシンガンの銃声だけである。
 一方その頃、理緒は意気込んでユーベルコード、偽装錬金(ギソウレンキン)によって構造を複写したゴツいドラムマガジンを装着されたマシンガンを手に銀行へと乗り込んでいくのだ。
 ものすごい音を立ててマシンガンから放たれる弾丸。

 銀行員である鎧の悪魔たちを盛大にぶっ飛ばしながら、理緒はバックにパンパンに詰め込んだDと共にアイの待つ車へと戻ってくるのだ。
 あまりにも鮮やかであり、途中を端折ってないかと言われたら、ちょっと答えに困るけれど、ここはスピーディな理緒の手並みのおかげというほかない。
「理緒さん! 無事だったんですね!」
 しっかりアイドリングしていたフォードV8の運転席に戻ってきた理緒の無事をアイは確認して安心する。

 だって、あれだけの銃声である。
 心配しないほうが無理というものだ。けれど、理緒は未だ男装の演技というか、ダークヒーローの真価が続いているのだろう。
 非常にキマった顔でアイを抱き寄せて、耳元に囁くのだ。
「寂しい思いをさせてごめんな」
 男前である。
 台詞まで性別が変わったような理緒の言葉にドギマギしつつ、急発進するフォードV8。
 舗装された道路を疾走するスピードはあまりの急発進に身体が座席に押し倒されてしまう。

 けれど、アイはしっかりと理緒にしがみつき、悲鳴を上げる。
 その悲鳴すらも可愛いなぁと思ってしまうところが、今の理緒であったが、内心は別物である。
 そう! や、まぁ、がんばってますけど、めいっぱいドキドキしているんですよ!
 むしろ、此処からは理性との戦いである。

 可愛すぎてドキドキしている場合ではないとわかっているのだけれど、未だ続くよ逃避行。
 此処からはスピード勝負である。
 銀行の支店長であるオブリビオンが激昂し追いかけてくるだろう。
 それに対する対処を考えなければならない。

 ならないのだ。
 ならないのだけれど……。
 やっぱり、あれである。
 そう、『オレの相棒が可愛すぎる件について』というやつである。けれど、アイの悲鳴と共にフォードV8は疾走していく。
 まさに暴走特急そのもの。
 理緒のハンドリングテクニックを以て、走り抜ける後には大量のD(デビル)が転々とばら撒かれていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アラギ・アンドレウ
まずは爆弾を買い込むぞ
といっても購入するのは本格的なものでない
音と光がばーんとなればいいのだから、パーティーグッズとかそのレベルのにしよう
この世界ならきっと色んな所に売ってるだろ!

そしてインテリヤクザスタイルでいざ銀行へ
受付を適当に済ませ、爆弾を色んな所に設置
あとは何食わぬ顔をして、皆の行動に合わせて爆弾をばんばんしていこう

つーか既にめちゃくちゃなことになってないか……?
だが好都合だ、この混乱に乗じて金庫へGO!
そのままUCで金庫を破壊!
白き闇の翼に包まれながら金を奪う!きっとこれはビジュアル的にも映えるぞ!

もし警備員が追いかけてきたら霊符をばら蒔き逃げる
紙幣っぽく見えるからな!
騙されてくれ!



 少し時は遡る。
 猟兵達が各々の銀行強盗計画を立てている頃、アラギ・アンドレウ(星を見上げる者・f32285)はデビルキングワールドの街中で様々な爆弾を買い込んでいた。
 爆弾と言っても、威力を求めたものではなくて、音と光が盛大に鳴り響くものであればよかったのだ。
「まあ、言ってみればパーティグッズとかそのレベルでいいんだよな。いろんなところにあってよかった」
 彼が抱えるのは、言ってしまえば花火のようなものであった。
 爆弾とは程遠いものであったけれど、これで十分なのだ。

 彼はインテリヤクザスタイルをばっちりキメて銀行へと向かう。
 気分はいざ銀行強盗である。
 だが、彼の瞳に映ったのは無残にも入り口を破壊された銀行であり、すでに何人もの猟兵が銀行強盗をした後であった。
「つーか既にめちゃくちゃなことになってないか……?」
 アラギの瞳に映る銀行は惨憺たる状況であった。
 入り口が盛大に壊されているのは、まあいい。いや、よくないけど。
 銀行内部の天井は落ちているし、マシンガンの弾丸が盛大にばら撒かれたのだろう、受付カウンターなんか蓮根かなっていうくらい穴だらけになっているではないか。

 これ全部猟兵がやったんですよねって確認するまでもなくそうである。
 正直、やばい。
 けれど、未だに普通に営業続けようとしているところが悪魔たちらしいといえばらしいのだ。
 何食わぬ顔で銀行に入っていく胆力もすさまじいが、あちらこちらに爆弾を仕掛け、混乱に乗じて凄まじ音と光を炸裂させるのだ。
「わー!? なんだ!? なんだこれ!? 目が、目がー!」
 鎧の悪魔の銀行員と言えど、明滅する視界と煙、そして音にまぎれて金庫へと走っていくアラギを止める術などなかった。

 というか、すでに金庫の鍵は解錠されていたが、そんなこと知らぬアラギはその瞳をユーベルコードに輝かせ、一気に金庫の壁をぶち破ってD(デビル)を大量に奪うのだ。
 ユーベルコードの白き闇の翼と黒き光の翼が背より生え、セイクリッド・ダークネスと呼ばれる所以を知らしめるのだ。
「おっと、やっぱり警備員が来るか。けど、騙して悪いかもしれないが!」
 放つ霊符をばらまきながら、アラギは白と黒の翼を広げ、銀行の天井をぶち破って空へと舞い上がる。

 空のあちらこちらから多数のヘリがやってきている。
「テレビ中継か? こんな時にのんきな……っていうか、そうか! これ、全国ネットに!」
 そう、デビルキングワールドにおいて銀行強盗は、ヒーローショーみたいなものである。
 ワルVSワル。
 そう、どちらがクールにワルさをできるか競い合うようなものだ。

 ならば、霊符を紙幣のようにばら撒きながら飛翔する白と黒の翼を持つアラギの姿はビジュアル的にも映え映えである。
 デビスタグラムとかあったら、大バズリである。
 それくらいに決まったアラギの姿は、中継ヘリのカメラが抑えたため、全国ネットでアラギの雄姿を流しに流し、彼は期せずして一躍有名な堕天使として、デビルキングワールドに知られるようになるのである。

 だが、それも、この場を無事に逃げおおせればの話である。
 出張に出ていた支店長、オブリビオンが激昂して追いかけてくるだろう。ここからはスピード勝負である。
 追いすがるオブリビオンをぶちのめし、アラギは明日のTVスターへと駆け上がるべく、光と闇の翼で空を駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルテミシア・アガメムノン
【魔王国】
さあ、銀行強盗を始めましょうか。どうせするなら楽しむべきですわよね!
オネストさんと狼の被り物をして銀行へ。
まずは人質をとって、銀行員を脅して金を用意しておいた袋に入れさせましょう。さあ、命が惜しければキリキリ動きなさい!
(人質にクロノスの大鎌を突きつけて)
え、人質にヤギの被り物? ほほほ、分かりやすいですわね!
お金を十分奪ったら逃走用の車を要求です。
人質が大切なら用意しますわよね?
車が来たら金を全部入れて逃走です。
人質の皆さんは用済みです。ありがとうございました。ヤギの被り物は記念にどうぞ!
さあ、後はオブリビオンの追跡を待つだけですわね!


オネスト・ファッション
【魔王国】
いよいよ本番だな!気合い入れていくぜ!(狼の被り物を被り言動をコテコテ強盗に)
指定UCを発動し、そこら辺にいる悪魔に[武器改造]を施して物々しくなった拳銃(玩具)を突き付ける
大人しくしろよ、俺が引き金を引いたらテメーの頭がどうなっちまうか分かってるよなぁ?ヒャアッ!

そらっ袋に金をどんどん詰込みな!手間取ってるなら手伝ってやるからよぉ!
並行して人質数人にヤギの被り物を被せて外の警察に見えるよう一列に並ばせる
ヤギちゃん達の解放条件は逃走用の車だ!一番豪華な車を用意しなぁ!

終わったらこんなところに用はねぇぜ!堂々と車に乗り込み逃走だ
じゃあな人質!体に気をつけてなぁ!(縄を解いてリリース)



 一日の内に何組もの銀行強盗が銀行を襲うということは、長いデビルキングワールドの歴史を紐解いても、類を見ない一大イベントであった。
 ある意味で猟兵はデビルキングワールドの歴史に名を連ねることになったのだ。
「今日は一体全体どうしたことなんだ!?」
 銀行員の鎧の悪魔たちは悲鳴を上げていた。
 いや、悲鳴と言っても黄色い悲鳴のたぐいのやつである。若干喜んでいるのが透けて見えるのは、極悪な銀行強盗の振る舞いに心酔しているからである。

 ワルこそがかっこいい。
 ワルこそクール。
 それがデビルキングワールドにおける『デビルキング法』に定められた所である。ゆえに、彼らは性根が善性であるが故に、その遵法精神以上に、ワルに敏感なのだ。
 そして、本日何度目かの銀行強盗が襲来する。
「さあ、銀行強盗を始めましょうか。どうせするなら楽しむべきですわよね!」
「いよいよ本番だな! 気合入れていくぜ!」
 アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)とオネスト・ファッション(見せ掛け以上・f31551)はお揃いの狼の被り物をして、すでに先行した猟兵によってあちこちがボロボロになっている銀行へと押し入ったのだ。

 正直、狼の被り物は怖いと言うよりも不気味であった。
 作り物の瞳がどこを見ているかわからないから。けれど、銀行員とて、鎧の悪魔である。ただ被り物をしただけで、そんな簡単に――。

「おっと、おとなしくしろよ。俺が引き金を引いたらテメーの頭がどうなっちまうかわかってるよなぁ? ヒャアッ!」
 狼の被り物の下でオネストがヒャッハーする。
 正直、何処かコミカルな気がしてしまうのは、毒されている気がしないでもないが、おもちゃの拳銃をそうとは知られぬようにとゴテゴテの物々しい形に改造した銃口を突きつける姿は、あまりにもワルであった。
「は、はいぃ……!」
 鎧の悪魔は、銀行員にあるまじき心酔した顔で銃口を向けられている。
 絵面は最悪である。

 その一方でアルテミシアは次々と偶然居合わせた客の悪魔たちにヤギの被り物をかぶせていく。
 最初は人質にヤギの被り物を!? と驚いていたが、今は……。
「さあ、生命が惜しければキリキリ働きなさい! ほほほ、わかりやすいですわね!」
 大鎌を突きつけ、次々と人質にヤギの被り物をかぶせていくのだ。
 高笑いと相まって、ものすごく悪役です……。
 むしろ、それがいいのだろう。よくわからぬ、デビルキングワールドの価値観……! 価値観が違う……!

「そらっ、袋に金をどんどん積み込みな! 手間取ってるなら手伝ってやるからよぉ!」
 オネストは普通に銀行員に混ざってD(デビル)を袋に詰めるのを手伝っている。やはりどこまでいっても悪魔である。 
 性根が良い子なのだからしかたない。銀行員との間に奇妙な連帯感が生まれながら、ヤギの被り物をかぶせた人質たちを外に集まったやじうま……じゃねーや、警察に見えるように並ばせる。
 なんという極悪非道。
「ヤギちゃんたちの解放条件は逃走用の車だ! 一番豪華な車を用意しなぁ!」
 オネストが狼被り物の下から叫ぶ。
 その様子に、外のやじ……警察は、どれが一番豪華だっけとあたりを見回す。

「人質が大切なら用意しますわよね?」
 アルテミシアが狼被り物の下で微笑む。非常にワルな顔をしているが、被り物で見えないのが残念である。
 ちょっと踏んでいただけませんか! という人が多分出てくるたぐいのワル笑顔であった。
 けれど、それ以上に彼女たちの振る舞いは極上の悪であり、逃走用の車を要求したら、そこらじゅうから自分の車を使って下さい! と声が上がるほどであった。

「あら、よりどりみどりですわね」
 アルテミシアの前にズラッと並んだ豪華な車。
 銀行強盗に使われたとなれば、デビルキングワールドにおいては誉である。むしろ、土下座してでも使って欲しいというものなのだろう。
 アルテミシアは適当にあみだくじで決めた車にD(デビル)のたくさん詰まったかばんを積み込んで、オネストに合図する。

「よし。終わったらこんなところに用はねぇぜ! じゃあな人質! 体に気をつけてなぁ!」
 丁寧にオネストは人質たちの縄を解いてリリース。
 大事だよね、キャッチアンドリリースの心。
 まあ、ワル的にはイマイチ決まりきらないところがあるけれど、それはそれである。アルテミシアとオネストは逃走用によりどりみどりであった車を駆り、デビルキングワールドの街を疾走する。

「さあ、後はオブリビオンの追跡を待つだけですわね!」
 むしろ、猟兵としてはこれからが本番である。
 諸悪の根源、オブリビオン。
 その支店長を打倒しなければならない。そのためには奪ったD(デビル)を餌に自分たちを追いかけさせなければならないのだ。
 だが、何も恐れることはない。

 こちとら、狼である。
 追われるように見せて、その実、狩りの如くオブリビオンを追い詰めているのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
さて、それじゃあ、強盗のお時間と行きますか!

[SPD]
コネクタに接続したBRTで玄関を吹き飛ばし
テスタロッサのエンジン音を鳴らしながら銀行に突入
おらっ新たな強盗のお出ましだ!大人しく有りDを寄越しな!
雷鳴で威嚇しながらサングラスを光らせるのも忘れない

…おっと警備員のお出ましか
近くのお客をひっ捕まえて人質にして動きを止めるぜ
万が一抵抗するなら流星【マヒ攻撃、誘導弾】で無力化して対処な
不必要な暴力を振るうのはワルじゃないからな…

後は金庫にあるDを貰えるだけ貰ってFZに収めたら
Esの示した逃走ルートに従って全速力でトンズラだ
ワルい笑みも浮かべておこう
こいつは(暫く)頂いていくぜ…またな!

アドリブ歓迎



 エンジンの軽快な音がデビルキングワールドの街中に響き渡る。
 それは真紅の二輪バイク、テスタロッサ・カスタムのエンジンの音であり、星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)が奏でる銀行強盗計画の序曲でもあったことだろう。
「さて、それじゃあ、強盗のお時間と行きますか!」
 一気に加速し、テスタロッサ・カスタムを銀行へと突撃させる。
 風を切る音、排気音がけたたましく街頭に響く。
 法定速度なんてあってないようなものである。むしろ、スピード違反などデビルキングワールドでは励行されていいものであろう。

 なにせ善悪の価値基準が真逆であるから。
 テスタロッサ・カスタムのコネクタに接続した大型ビーム砲が熱線を吐き出すように放ち、すでに先行した猟兵によってボロボロの入り口をさらに吹き飛ばす。
 当の銀行にあっては、一日に何組もの銀行強盗が押し入るという満員御礼状態である。
 またか! よりも、やったぜ! という気分のほうが勝るのだろう。
 此処まで来ると次はどんな華麗で斬新な銀行強盗を見せてくれるのだろうかという興味のほうが勝つ。
 いや、銀行員として、それでいいのかという感情がないわけではないが。
「おらっ、新たな強盗のお出ましだ! おとなしく有りD(デビル)をよこしな!」
 轟音を立てて熱線銃が放たれる。
 サングラスが熱線銃の光線に反射してキラリと輝く。

 それ、むしろワルというよりカッコいい方じゃないかなって思わないでもないが、むしろそれでいいのだ。
 ワルとカッコいいが合わさって最強に見える。
「……おっと、警備員のお出ましか」
 すでに一度開放された人質をまた祐一は引き寄せ、熱線銃の銃口を押し付ける。
「……! お客様を盾に! なんて極悪! なんてワル!」
 そこにシビれる。
 そして、憧れる。もはやワンセットのハッピーセットである。ふっ、と祐一が笑った。
 とてもシニカルな笑みを浮かべ、祐一は言うのだ。

「不必要な暴力を振るうのはワルじゃないからな……さあ、わかったのなら、さっさと有りD(デビル)をこれに詰めて寄越しな」
 気に入ったのかな、有りD(デビル)っていう言い回し。
 ぱんぱんに膨らんだD(デビル)を抱えて祐一は人質を開放して、テスタロッサ・カスタムにまたがる。
 すでにサポートドローンのAI、Esが示している逃走ルートは頭の中に入っている。フィールドジッパーに納めたD(デビル)は重さを感じさせない。
 後は全速力でトンズラを決めるだけである。

「こいつは(しばらく)頂いていくぜ……またな!」
 えっ、また来るの!? と僅かにときめきを隠せない銀行員の悪魔たち。
 なんだか間違った方向に導いているような気がしないでもないが、祐一はワルな笑みを浮かべて、エキゾーストパイプを震わせる。
 来たときと同じようにさっそうと赤い残光を残して、テスタロッサ・カスタムと共に祐一は逃走ルートを駆け抜ける。

 後は支店長のオブリビオンをおびき寄せるだけである。
 割と楽勝であった。
 というか、どこか銀行員の悪魔たちが協力的ですらあったのは、祐一の溢れ出るワルとしての魅力があったからかもしれない。
「でもまあ、ワルくない気分だよな。さしたる抵抗もなかったし。ま、安心しなよ。後でちゃんとDは返すから」
 ちょっと惜しい気がしないでもないが、それはおくびにも出せない。

 だってそうだろう。
 せっかく奪ったDを再び銀行に返すだなんて、それは銀行員たちにとっては地獄のような後処理と残業を強いるワルな所業であるのだから。
 ならば、それはデビルキングワールドにおいては、きっとご褒美であろうから――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツ』

POW   :    黒き稲妻の落ちる地に生誕せし『漆黒の昏き堕天使』
【「赦されぬ罪」で染め上げられた堕天使の姿】に変身し、武器「【魂の罪科を刈り取る死神の大鎌】」の威力増強と、【黒き稲妻を放つ力場で構成された光翼と光輪】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    貴様は我が魂を震わせる言霊を放つことが出来るか!
対象への質問と共に、【封印されし邪眼】から【黒き稲妻で構成された邪龍】を召喚する。満足な答えを得るまで、黒き稲妻で構成された邪龍は対象を【魂を焼き尽くす黒き炎雷】で攻撃する。
WIZ   :    汝らの罪を数えよ、我が魂の慟哭を聞くがいい!
自身の【魂の罪科を刈り取る死神の大鎌】から、戦場の仲間が受けた【屈辱】に比例した威力と攻撃範囲の【罪深きものの魂を焼き尽くす黒き稲妻の嵐】を放つ。

イラスト:kae

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレギオ・ギャングースです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の銀行強盗計画は見事なものであった。
 これまでデビルキングワールドにあった『銀行員を全員ぶっ飛ばしたら勝ち!』という銀行強盗の概念をぶち壊す、鮮やかな手並み。
 それはあちらこちらにテレビ中継のヘリや野次馬が沿道に押しかけ、猟兵達の逃走劇を応援してくれている。

 だが、ただ一人だけが心穏ならざる怒りによって、その堕天使の翼を羽ばたかせる。
 そう、『漆黒の昏き堕天使』シュバルツである。
 ワルよりも『中二』なる概念をデビルキングワールドに浸透させる儀式魔術を完遂せんとD(デビル)を悪逆非道なる行いによって奪いまくる計画を立てた

張本人だ。
「我を差し置いてDを奪うか。だが、貴様らの動き、全て視えているぞ。この魔眼から逃れられると思うなよ」
 そんな事を言っているけれど、別に魔眼とかじゃないです。カラコンです。
 あっても邪眼です。どっちも同じじゃんって言うと怒るやつである。
 猟兵達の逃走がわかるのは、空から俯瞰しているだけで、単純に視力がいいからです。

 だが、そんなことは関係ないと言わんばかりに✝『漆黒の昏き堕天使』シュバルツ✝は猟兵を追う。
「我がメガバンク、ダークネス・クライシスの夢を、野望を! 此処で潰えさせてたまるものか。全てのDは我のもの! 貴様らに一片たりとて奪っていいも

のではない! 我が漆黒の黄昏に染まれ、猟兵!」
 その翼を羽ばたかせ、逃走を続ける猟兵へと迫る✝『漆黒の昏き堕天使』シュバルツ✝。
 今、ここに猟兵本来の戦いが幕を上げる。

 沿道に詰めかけた悪魔たちの声援を受け、今此処に正義の……あ、いや違う。ワルの鉄槌を下すのだ――!
万象・穹
……あっちも魔眼持ちなのね。(勘違い)
しかも漆黒で黄昏で堕天使なのね。(追撃)

……そうね。それなら私もそうしましょう。

車から降りてUC発動、神器を解放して天使の姿に変身するわ。(空中戦)
赦されぬ罪……他人のプリンを食べちゃったとかそんな感じかしら。一応戦場に他の悪魔もいるみたいだから注意して戦うけど、巻き込んだらごめんなさい。

飛翔能力についてはこちらの方が勝ってるし、光の鎖で行動を阻害しながら光の槍を放射していきましょう。(神罰・破魔・浄化・乱れ打ち)
……敵の攻撃は飛翔能力で『見切り・オーラ防御』で回避していくわ。

……魔眼持ちなのに使ってこないわね。もしかして温存してるのかしら。(更に追撃)



 どんな逃走劇にも果てはある。
 それは猟兵達が繰り広げる銀行強盗のカーチェイス。警察組織はどっちかというとワルの味方であるので、沿道に詰めかけた野次馬悪魔たちが怪我をしないようにと規制線を張るのでいっぱいいっぱいである。
 ならば、何が猟兵を追うか。
 それは銀行の支店長であるオブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツである。
 彼の堕天使の翼が羽ばたき、魔眼――と言い張っているカラコンの普通に良い視力で持って、万象・穹(境界の白鴉・f23857)の逃走する車を見つける。
「そこか、猟兵! 我が魔眼から逃れられると思うなよ! 事象の水平線まで追いかけてくれよう!」
 ちなみに事象の水平線なんてよくわからん。
 なんか言葉の響きがかっこいいから言ってみただけである。

「……あっちも魔眼持ちなのね」
 うっ!
 穹さんそれはシュヴァルツに効く。本当は魔眼じゃないのである。痛いところを突かれてシュヴァルツはちょっと呻く。いや、呻くのではなく、えっと秘められし力が疼くのだ。
 罪科を刈り取ると言われる大鎌の力を開放し、凄まじい勢いで飛翔するシュヴァルツは一気に穹の乗る車へと迫る。

「しかも漆黒で黄昏で堕天使なのね」
 やめたげてよぉ! それがカッコいいって思っているのに、普通の素のリアクションは年頃の男の子メンタルをガリガリ削るからぁ! 共感性羞恥がぁ!
 となるくらいには始まる前からシュヴァルツはダメージを受けていたが、なんのそのである。
「ならば受けろよ! 我が漆黒の力を! 貴様に受けられるか!」
「……そうね。それなら私もそうしましょう」
 車から下りた穹が見上げる。
 そこにあるのは、堕天使の翼と力を発露し、よくわからん難しいことを言うシュヴァルツの姿であった。

「光神煌翼、その力を示しなさい」
 神器解放『光神煌翼・天壌戦域』(コウジンオウヨク・テンジョウセンイキ)。それこそが穹のユーベルコードである。
 光の槍と光の鎖を操る光翼の天使の姿へと変身した穹は、間一髪の所で大鎌の斬撃を躱し、空へと舞い上がる。
「赦されぬ罪……他人のプリンを食べちゃったとかそんな感じかしら」
 周囲に吹き荒れるは浄化と光の槍の投射。そして光の鎖が、その赦されぬ罪に穢れた体を拘束せんと壮絶なる空中戦を繰り広げる。

 激突する光と闇。
 もはや気分はカタストロフ。穹は周囲にある悪魔たちに被害が及ばぬようにと戦っていたが、飛翔能力は穹が圧倒していた。
 乱れ撃たれる光の槍をふりはらうシュヴァルツもまた善戦してはいるが、圧倒的な旋回性能の前に防戦一方になってしまう。
「……おかしいわね」
 穹は訝しんだ。
 これだけ互いの力が拮抗し、勝負を決めようとはしない。
 魔眼を持っていると豪語していたわけであるから、もしや温存をしているのかと相手の出方を伺っていたのだが、一向に使ってくる気配がないのだ。

 それもそうだろう。
 だって、魔眼持ってないし。あるの邪眼だけだし。
「……魔眼持ちなのに使ってこないわね。もしかして――」
 ぎくぎくぎくぅ!
 シュヴァルツの動きが不自然に止まる。
 これはあれである。思春期特有の男の子のこっ恥ずかしい嘘が暴かれてしまう瞬間である。
 けれど、穹の瞳は純粋であった。
 無邪気で無垢であった。

「――温存しているのかしら?」
 ざっくり言っている。
 疑ってないところがさらに手痛い。シュヴァルツは精神的に心をぽっきり折られて、不自然に空中で止まった。
 その瞬間を逃す穹ではない。放たれた光の槍がシュヴァルツを貫き、彼の身体が失墜していく。

「ぐふっ……闇が、光に負ける、だと……? 馬鹿な……だが、我は諦めぬぞ、このダークネス・クライシスの宿願を果たすまでは……!」
 そんな捨て台詞を吐いて、ふらふらと穹の前から撤退していく。

 ……あっ! あいつまさか、いい感じのわけわからんこと言って、穹の魔眼に対する追求を逃れるつもりである!
 だが、穹は純粋な猟兵である。
 魔眼を開示せずに逃げたことを戦略的撤退とみなしたのだろう。
「深追いするのは禁物ね。けれど、他の猟兵がいる……油断しないことね、魔眼を持つ堕天使、漆黒にして黄昏のシュヴァルツ……」
 あー!
 おやめください、穹さん! それ以上は、あー!
 そんな精神への追撃を決め、穹は失墜するシュヴァルツを無事に退けたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…†漆黒の昏き堕天使†…その魔眼で位置を捕捉した…と言うわけだね…
まるで空から俯瞰して見つけた様な正確さだ…
…となればこのままでは逃げきれるものでは無い…ここで1度迎撃をするか…
…ところで…漆黒だったら黄昏にならなくない…?(素朴な疑問)

(何故か)威力が高い罪深き(ry)稲妻を障壁を多重に張って防御…
…そんなにDを取り返したいなら…【投じられしは空裂く巨岩】を発動…
…半分程は返してあげよう…袋からDを散弾みたいに打ち出してぶつけるよ…
…これで怯んでいるうちに銀行強盗に使ったマシンガンで銃弾を叩き付けよう…
…今更だけど、この世界の堕天使はどういう立ち位置なのだろう…悪魔の一種族なのかな…



 オブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは、猟兵からの精神攻撃に非常に心えぐられていた。
 いや、別に狙ってやったわけではない。
 単純に邪眼のことを魔眼って言い張っていた嘘が取り繕えなくなって、共感性羞恥でこう、あれな感じなっただけである。
 けれど、それでもめげない。
 なぜなら、D(デビル)をたくさん集めてカタストロフをも引き起こす儀式魔術によって、『デビルキング法』のワルという文言を『中二』に塗り替えるためだ。
「そう、我こそがダークネス・クライシスの首領となるのだ! ゆえに、そのD(デビル)は返還してもらおう! 我が魔眼から逃れることなどできんのだ!」

 そんなふうにまた別の逃走する猟兵を襲わんと空より飛来する。
 見つけたのは、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の後ろ姿であった。
 彼女は隠し扉と隠し通路によって銀行から逃走していた猟兵である。
「……✝漆黒の昏き堕天使✝……その魔眼で位置を補足した……というわけだね……」
 ふむ、とメンカルは空より己を追跡するオブリビオン、『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツの姿にうなずく。
 確かにその魔眼は驚異的であった。
 いや、まあ、カラコンでそれっぽいだけで邪眼であるのだが。
 邪眼と魔眼の違いもないような気がするが、どちらにせよ見つけられてしまっている以上、メンカルはこれに対処しなければならない。

「……まるで空から俯瞰して見つけたような正確さだ……」
「ぎくっ!」
 初めて見たよ、自分で『ぎくっ!』って言う奴。
「……ここで一度迎撃をする他ないね……所で……」
 ずっ、と雰囲気が変わる。
 別に変わってないけど、なんか漫画みたいなコマ割りが視えてくる。なんか君のような勘のいいやつは嫌いだよ的な返答が帰ってきそうである。

「……漆黒だったら黄昏にならなくない……?」
 素朴な質問であった。
 けれど、たしかに。多分だけれど、言葉の響きだけでそう名乗っているだけなのだろう。ラグナロクとか、ダークネスとか、そういうルビを振っておきたい年頃なのだ。男の子ならみんな通ってくる道なのだ。
 そっとしておいてあげてほしい。

「……ええい、戯言はそれまでだ! 汝らの罪を数えよ、我が魂の慟哭を聞くがいい!」
 ものすごく切実な想いの籠もった罪科を刈り取る死神の鎌から放たれた罪深き者の魂を焼き尽くす黒き稲妻が迸る。
 それは嵐のようになってメンカルを襲う。
 待って、まだ答え聞いてないとメンカルはさらなる言葉のナイフを突きつけるが、障壁で稲妻を防ぐので手一杯であった。

 凄まじい威力を放つ稲妻に若干圧されている。
 それは彼が受けた精神的辱めのせいであるのだけれど、メンカルはきっとDをそんなに取り返したいのだろうと理解していた。いや、誤解とも言うけれど。
「……半分は還してあげよう――見えざる腕よ、投げろ、放て。汝は剛力、汝は投擲。魔女が望むは大山投じる巨神の手」
 それは、投じられしは空裂く巨岩(タイタンズ・スロウ)のように術式展開されたメンカルが放つ袋から取り出したDを散弾のように空飛ぶシュヴァルツへと投げ放つのだ。

 ただ投げただけでは理解できないほどの強烈な一撃にシュヴァルツは翼を打ち貫かれて、失速していく。
「なんだっ、このただのDだというのに……!」
 それはメンカルのユーベルコードの力である。
 だが、彼女のユーベルコードはそれだけでは終わらない。怯んだところを、ユーベルコードによって強化された術式弾が装填されたマシンガンをぶっ放す。

 悪魔すらも失神させかねない威力をもつ術式弾は狙い過たず、シュヴァルツを空中で大きく体勢を崩させるのだ。
「……今更だけど、この世界の堕天使はどういう立ち位置なのだろう……悪魔のいち種族なのかな……」
 その疑問は尽きないけれど、メンカルは銃口を向けるたびに、ずるいぞ! と建物の影に隠れて離れていくシュヴァルツを見送る。

 もしかして、とメンカルは気がつく。
「そういう年頃……? いわゆる中二病的な……」
 それなら色々納得がいく。
 メンカルは、そっかー……と自分の質問や言葉が彼の痛いところを突きまくっていたことに、微妙な気分になりながら、それでも無事に彼を退け、消耗させたことに満足しつつ、奪ったDの使い道を考えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソナタ・アーティライエ
以下、多分に勘違いが含まれます

罪深きものの魂を焼き尽くす黒き稲妻……
それはまるで正義の鉄槌のよう……
堕ちる事を厭わず自ら闇の世界へと飛び込み
他の悪を狩るもの……それが堕天使なのですね

その秘められた気高き志に感銘を受け
オブリビオンとなって歪んでしまった今の姿に対して涙が堪えられません
救いたいという願いに応え顕現した白翼【光臨】が自身やヘリを守ってくれますが
まるで自分を罰するかのような、反射された攻撃で自ら傷つくシュバルツ様が痛ましく
止めてくださるよう必死に懇願しながら、治癒の香気を届けようとします

去り行く後ろ姿に向かって、あの方の魂が救われますようにと祈りを捧げますね

アドリブ歓迎です



 純粋なる者、慈悲深き者、その瞳に映る堕天使の姿はいたましいものであったことだろう。
 純粋ゆえに疑うことを知らず。
 慈悲深き者ゆえに滅ぼさねばならぬオブリビオンを前にしても、その心は一筋の光を見出すのだ。

 例え、そう、例え、それが多分勘違いの類であったとしてもだ!
 ヘリを奪って闘争を続けていたソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)を追跡した『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは見ただろう。
 彼女の乗るヘリのすべてを包み込む、神気を帯びた白翼の羽根を。
 それは彼の放つ黒き稲妻すらも退け、反射する。
「馬鹿な! 我の稲妻が反射されるだと!? 貴様、まさか……!」
 と言ったものの、シュヴァルツはいまいち思い当たる節がない。
 こんな感じで意味深なことを言っておけば、大体の場合はなんとかなると、これまでの経験則で察しているのだろう。

 けれど、猟兵であるソナタの純真なる心をなめてはいけない。
 彼女は涙すら浮かべかねない慈愛の心でもって、『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツの身の上話を察していた。
 いや、想像していたというのが正しいだろう。
「罪深きものの魂を焼き尽くす黒き稲妻を受けて尚、ヘリを護るか! だが、我は諦めぬ。そのDの所有権は我にあるのだからな!」
「罪深きものの魂を焼き尽くす黒き稲妻……それはまるで正義の鉄槌のよう……」
 え。
 なんて?
 シュヴァルツは目がちょっと点になった。
 いきなりどうしたことだろう。ヘリに乗りながら、こちらを見つめるソナタの純真な瞳が彼の心を射抜く。

 思わず素になってしまうそうであった。
 彼のユーベルコードである黒き稲妻は己の屈辱によって力を増す攻撃である。だというのに、言うに事欠いてソナタは『正義の鉄槌』のようだと感じていたのだ。
 さらに続けてソナタが続ける。
「堕ちることを厭わず、自ら闇の世界へと飛び込み、他の悪を狩るもの……それが堕天使なのですね」
 ちょっとまってまって、と遠くシュヴァルツの声が響くが、ソナタは聞いていない。

 まあ、だって稲妻が迸っていれば、轟音が響き渡るし、何よりソナタはヘリの中である。
 バタバタすごい音しているからね。シュヴァルツの違う違うっていう言葉も届かない。悲しいね。
「その秘められた気高き志に感銘を受けています……シュヴァルツさん、あなたのオブリビオンとなって歪んでしまった今の姿に対して……私はっ」
 涙が堪えられなくなったのだろう、ソナタは涙した。
 それはとても美しい涙であった。宝石に例えるならダイヤモンド。とんでもない値段が付きそうであるが、今はそういう話ではない。

「まるで自分を罰するかのように……っ!」
 それはソナタのユーベルコード、光臨(ハルヲコトホグアマノミツカイ)によって黒い稲妻が反射されているせいであるのだが、その姿すらもソナタには超好意的解釈でもって捉えられているのだ。
 なんて気高き魂! と今にも歌い出しそうである。
 その傷つくシュヴァルツのいたましい姿はあまりにも痛ましいのだ。

 だからこそ、ソナタは言う。
「どうか、どうか、そのように自罰的な行いはやめてください! どうか、私のユーベルコードの治癒の香気を受けて頂きたいのです!」
 そんな懇願も残念ながら交錯しっぱなしである。
 すれちがってばかりである。 
「だからっ、我は違うって、ほんとに! あー! もー!」
 これはまじで話が通じないのではないかと、シュヴァルツは戦慄する。
 このデビルキングワールドにおいて、敵の施しを受けることほどダサいことはない。治癒の香気を拒否しながら、シュヴァルツは這々の体で逃げ出すしかなかった。

 ソナタが奪ったDは諦める。
 そうしなければ、いつまでたってもソナタの勘違いは正されないし、きっとヘリのテレビクルーが映像を通してソナタの弁ばかりを全国ネットで流すだろう。
 そうなってしまえば、もうシュヴァルツはおしまいである。
 けれど、ソナタは懸命に声を届けるのだ。
 まじで最高の絵面である。美少女が涙して敵を説得する。それは美しくもあり、同時に儚げな姿はデビルキングワールドの悪魔たちの善性をギュンギュン刺激するのだ。
「ああっ! シュヴァルツ様、どうして……! あれほどまでに気高き方が何故……!」
 そんなふうにソナタは自分の力不足を痛感しうなだれる。
 けれど、何も心配する必要ないんじゃないかなぁ。

 だって、その優しさは世界を越えても、世界の善悪が逆転していたとしても、きっと届くのだ。
 例え、壮絶な勘違いの果てに流れたとはいえ、ソナタの悲痛な懇願は、全国ネットで流されワルとは別ベクトルでの喝采を受けるのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アラギ・アンドレウ
ふはは!お前も†堕天使†か!
だがオレはデビスタグラムで映えるのが確定しているワルな堕天使
お前のように殺しとかそういう手段は使わないクールな堕天使だ
明日のTVスターとなるべくお前を倒す!!

相手の鎌は仲間が受けた屈辱により威力が増大するのか
ここまでの襲撃によってお前の職場の職員はさぞ辱められただろうな
つまり鎌の威力もとんでもないものに……

なっている訳ないだろうド阿呆!
何故なら銀行の職員はオレ達の活躍に魅了されていたはず
「強盗された、うわーどうしよう」より「あの人達ワルい!素敵!」って気持ちの方が大きいはずだ
だからその鎌を恐れる必要は何もない
屈辱に呑まれ倒れるのは貴様の方だ!
UCで撃ち落としてやる!



 逃走を続ける銀行強盗、すなわち猟兵へと追いつくオブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツ。
 けれど、彼は敗走に次ぐ敗走を重ねていた。
 猟兵を追い詰めることは出来ても、彼らを止めることはできない。それどころか返り討ちにさえあってしまっているのだ。
「クッ、我が圧されているだと……! せっかく集めたD(デビル)によって『ワル』ではなく『中二』こそがクールであると知らしめる計画が……!」
 割としょうもない計画である。
 だが現行の法である『デビルキング法』を改定することができるほどの儀式魔術が行われてしまえば、カタストロフが引き起こされてもおかしくはない。

 そうなればデビルキングワールドは世界の終わりを迎えてしまうだろう。
 それをさせぬと猟兵たちは慣れぬ銀行強盗の計画を立てたのだから。
「ふはは! お前も堕天使か! だがオレは――!」
 シュヴァルツは敗走から立ち直るように別の銀行強盗に狙いを付けて飛翔していたが、消耗している。
 そんな彼の目の前に追われるのではなく立ち塞がる者がいた。
 そう、アラギ・アンドレウ(星を見上げる者・f32285)である!
「デビスタグラムで映えることが確定しているワルな堕天使。お前のように殺しとかそういう手段は使わないクールな堕天使だ」

 仁王立ちして立ち塞がるアラギを前にしてシュヴァルツはたじろぐ。
「デビスタグラムで大バズリだと……! だが、そんな貴様をぶっ飛ばせば、我の方が上だと知らしめられるだろうよ! ゆえに!」
 その罪科を刈り取る大鎌がユーベルコードに輝く。
 それは彼の仲間が受けた屈辱によって威力が強大になっていくユーベルコードである。もちろん、彼の言う仲間とはすなわち銀行員たちである。
 彼らは銀行強盗であり、D(デビル)を不当に奪われた者でもある。それは銀行員として屈辱以外の何物でもないだろう。

 だが、アラギは一歩前に出る。
「フッ! 我の大鎌の力の前にひれ伏すがいい! 我らの屈辱の味を知れ!」
 だが、アラギはそのユーベルコードの輝きを前に臆することはなかった。
 なぜならば!
「なっているわけがないだろうド阿呆!」
 一喝である。
 その言葉を受けて、シュヴァルツは己のユーベルコードが輝いていないことに気がつく。
 そう、少しも威力が上がっていないのだ。

「な、何故だ……! この大鎌の力が何故……!」
「銀行の職員たちはオレ達の活躍に魅了されていたからな。『強盗された、うわーどうしよう』より『あの人達ワルい! 素敵!』って気持ちのほうが大きいだろう!」
 だからこそ、シュヴァルツの大鎌はユーベルコードに輝かない。
 そして、アラギは大鎌を恐れる必要などないのだ。

 逆にアラギの瞳がユーベルコードに輝く。
「空に星が瞬く限り、お前に逃れる術はない! ――屈辱に呑まれ倒れるのは貴様の方だ!」
 瞬くは流星型の魔力弾。
 幾何学模様を描き複雑に飛翔する魔力弾は一斉にシュヴァルツへと解き放たれる。
 どれだけ黒き稲妻で叩き落とそうとも、無数に放たれた魔力弾は全てを裁くことなどできようはずもない。
 力を発揮できないシュヴァルツは徐々に流れ星の檻(ホ・ディアトレコーン・アステール)の中で身動きが取れず、次々と襲いかかる魔力弾に打ちのめされていくのだ。

「これでわかっただろう! バズる奴とバズらない奴の違いってやつがさ! これがクールってものだ! 落ちろよ!」
 ばかなー! と捨て台詞を吐き捨てながら、シュヴァルツが魔力弾に撃たれ、逃げるようにしてアラギの追跡を諦めていく。
 他愛もないことである。
 けれど、アラギは満足げであった。
「明日のTVスターはオレだ……これでオレの占いもバカ売れ! そして相手をコントロールする機会も増える!」
 そうすれば、自分のワルい奴ムーヴも磨きがかかるというものである。

 アラギは不敵に笑いつつ、中継ヘリのカメラに向かって勝利の笑顔でもって応えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
随分と賑やかになってきたな…
そしてついに親玉も登場でクライマックスって所か
それなら最後までフルスロットルと行くぜ

[SPD]
成程、相手の動きが視える魔眼ってやつか
困ったな、俺の眼は少し珍しい銀色って事以外に特徴ねーんだよ
まあ今はサングラスで隠れてるけどね

逃走ルートをテスタロッサで突っ走りながら流星で応戦するぞ
【運転】中だから狙いは付けられないがそこは【誘導弾】でカバーだ
電気【属性攻撃】も付けるぜ

UC等の攻撃を【第六感】で察知して【操縦】して避けながら
相手が【マヒ攻撃で体勢を崩す】のを見計らってUCの一撃を叩き込む

あんたいい翼を持ってたけれど
漆黒を名乗るにはちょいとばかり紫色すぎたぜ!

アドリブ歓迎



 オブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは這々の体で逃げ出し続けていた。
 正直なめていた。
 いや、銀行強盗をなめていたわけであって猟兵をなめていたわけではない。
 けれど、どこか心のどこかで自分がやれる奴であるという自負があったのかもしれない。心を覆う力は、まさしく過去の化身。
 確かに悪魔たちは強いが、オブリビオンである自分の残虐なるワルの所業に心酔していたはずなのだ。
 そうやって支店長まで上り詰めたのだ。

 けれど、けれどだ。
「なんだこの騒ぎは――!?」
 沿道を埋め尽くす悪魔たち。
 彼らは皆一様に銀行強盗である猟兵たちを応援していた。
 あんなワルよりも己のほうがカッコいいはずなのに! 『中二』の方が絶対絶対かっこいいのに!
「随分とにぎやかになってきたな……そしてついに親玉も登場でクライマックスって所か。それなら――」
 真紅の二輪バイクであるテスタロッサ・カスタムを駆り、星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)はデビルキングワールドの街中を疾走する。
 風を切り、エンジンの音を轟かせながら、悪魔たちの声援を受ける。
「最後までフルスロットルと行くぜ!」

 最早それは決め台詞のようなものであった。
「くそぅ、なんだそのかっこい……じゃなくっ! 貴様は我が魂を震わせる言霊を放つことが出来るか!」
 もうすでに震えてるようなものであるが、シュヴァルツは邪眼の封印を解き、漆黒の邪竜を解き放つ。
 稲妻で構成された邪竜の身体は祐一を追うように街中を悠々と飛ぶ。
 アレ、魔眼じゃなかったっけと祐一は訝しむ。
 だって自分で魔眼って言ってたし……相手の動きが視える魔眼って言ってたよな? 言ってた、と祐一は首をかしげる。
「困ったな、俺の眼は少し珍しい銀色って事以外に特徴ねーんだよ。まあ、今はサングラスで隠れてるけどね」

 なにそれ、一番カッコいいやつじゃん!
 カラコンなしに銀色とかなにそれなにそれいいな! というふうにシュヴァルツの心は揺れた。大いに揺れた。
 もう心震えちゃってるし、邪竜なんて、なんで自分が呼ばれたんだろうっていう顔をしている。
 正直ちょっとかわいそうであったが、祐一はサポートAIであるEsが示した逃走ルートを突っ走りながら、熱線銃を撃ち放ち弱体化した邪竜を霧散させる。
「あれ……案外簡単に消えたな……」
 運転中だからこそ、狙いをろくにつけられない。
 けれど、あんなに簡単にあたって霧散するとは思いもしなかった。むしろ、かなり苦戦するだろうなとさえ思っていたのだ。

 けれど、結果はご覧の通りだ。
 シュヴァルツは心震えていた。銀色の瞳って一番カッコいいやつ……! と上空で震えていた。
 持つ者と持たざる者の差に打ちひしがれていた。
「俺からすればアンタの翼のほうが羨ましい気もするんだが……」
 けれど、その言葉は届かない。
 それに、撃つなら今だ。かなり隙だらけである。

 その銀色の瞳がユーベルコードに輝く。
 一瞬の明滅。それは、冬雷(トウライ)の如く。
 放たれた熱線銃の弾丸が『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツの身体を貫く。
「ぐわー!? 銀色の瞳、いい、なぁ……!」
 最後までなんか締まらない話であったが、シュヴァルツは心底羨ましそうな顔を祐一の隠された銀色の瞳へと向ける。

 けれど、祐一は笑っていうのだ。
「あんたいい翼を持ってたけれど、漆黒を名乗るにはちょいとばかり紫色すぎだぜ!」
 あ、そこなんだ!?
 そんなツッコミも虚しく、シュヴァルツは街中へと失墜していく。
 同時に悪魔たちの大喝采を受けて、祐一は少しばかり気恥ずかしい思いをしながら、手を振って応えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
アイさんとわたしの愛の巣への逃避行を邪魔するつもりかな?

そんなことするなら遠慮はしないよ。
いまならまだ謝れば許してあげるけど、どうする?

だいたいあなたには大事なものがたりない!
それは、愛する、パートナー!(アイさんをぐいっと抱き寄せ)

引きこもりには羨ましすぎるのは解るけど、ね。

え?引きこもりのボッチだよね?
違うとは言わせないよ。

言いながら若干涙目。

だいじょぶアイさん。泣いてない。
だって今はアイさんがそばにいるもん!

「アイにぴったりの白い小さな家で、
 2人の子供を育てよう、な(アゴクイ」

まだ邪魔するっていうなら【Nimurud lens】で、
真っ黒にしてあげちゃうよ。
アイさんとの未来を掴み取る!


アイ・リスパー
理緒さんと

「出ましたね、✝『漆黒の昏き堕天使』シュバルツ✝!
ですが、愛する理緒さんと私との仲を引き裂くことはできません!
愛の逃避行、邪魔させませんよっ!」(いつからか逃避行設定になったようだ

【ラプラスの悪魔】を起動!
あらゆるパラメーターを入力して高精度なシミュレーションをおこなうことで、未来予知にも等しい演算を実行です!

「未来が……見えました!
私と理緒さんがマイホームで平和に暮らす未来が!
子供はやっぱりたくさんがいいですよね!」(魂を震わせる言霊

理緒さん、力を合わせて、私達の未来を切り開きましょう!
大丈夫です、いくら理緒さんが引きこもりのぼっちだったとしても、私がずっと支えますから!(ぽっ



 銀行強盗である猟兵たちを追っていたオブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは、度重なる返り討ちに遭っていた。
 放たれた弾丸によって自慢の堕天使の翼は穿たれている。
 失墜した先にはデビルキングワールドの街を疾走するフォードV8。
 その眼前に墜落してきたシュヴァルツを躱し、フォードV8が急停車する。間一髪の所で跳ね飛ばすことはなかったけれど、運転手からしてみれば肝が冷えたことだろう。
 勢いよくドアを開けて出てきたのは、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)であった。
 彼女は怒り心頭である。

 穏やかそうな顔をしているからつい忘れがちになってしまいそうだけれど、彼女と手怒る時は怒るのだ。
 例えば、そう……。
「アイさんとわたしの愛の巣への逃避行を邪魔するつもりかな?」
 えっ。
 そういう理由? と誰もが思ったかも知れないが、此処で下手に口にしてしまうと後が怖い。正直、ちょっと目がぐるぐるしている気がしないでもない。
 そして、助手席のドアも開き、下りてきたアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)がびしりと指を突きつけて言うのだ。
「出ましたね、『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツ! ですが、愛する理緒さんと私の仲を引き裂くことはできません! 愛の逃避行、邪魔させませんよっ!」
 あ、こっちもそうなんだと、街頭の悪魔たちは納得した。

「えぇ……銀行強盗ではなくて?」
 シュヴァルツもあまりのことに素に戻ってしまっている。我とかいう中二ロールも忘れている感さえあった。
「そんなことするなら遠慮はしないよ。今ならまだ謝れば許してあげるけど、どうする? 大体ああたには大事なものがたりない! それは、愛するパートナー!」
 アイをぐいっと抱き寄せて、理緒が宣言する。
 怒涛のラッシュである。
 無論、言葉の。その言葉は凄まじい勢いでシュヴァルツが何か言う前に投げかけられるのだ。
 反論すら許してもらえないフルボッコである。

「引きこもりには羨ましすぎるのは解るけど、ね」
 ふふんと勝ち誇った理緒の態度に流石にシュヴァルツもカチンと来たようだった。
「違うわ! 引きこもりが銀行の支店長にまで上り詰めることなんてできるわけないだろ!」
 ごもっともである。
 思わぬカウンターパンチに理緒がたじろぐ。え、引きこもりのボッチだよね? 違うとは言わせないよ? え、ほんとに違うの? と若干涙目になっているのは、なんというか、こう、その……言葉の泥仕合である。

 だが、そこに割って入るのがアイである。
「大丈夫です、いくら理緒さんが引きこもりのぼっちだったとしても、私がずっと支えますから!」
 ぽっ、と照れるくらいならちょっとやめて欲しい。シュヴァルツはずっと口から砂糖が出そうなのだ。
 けれど、そんなことお構いなしにアイのユーベルコード、ラプラスの悪魔(ラプラス・デモン)によって未来を演算していく。
 いや、戦うことに使ったほうがいいのではないだろうかというのは野暮であるのはわかっているが、確実にろくでもない使い方してないだろうか。

「未来が……視えました! 私と理緒さんがマイホームで平和に暮らす未来が! 子供はやっぱりたくさんがいいですよね!」
 ほんとにそれ視えたのだろうかとシュヴァルツは訝しんだ。
 けれど、彼女たちの瞳には涙はもうない。
 あるのは確かな未来に突き進む意志だけであった。理緒は隣に立つアイの言葉に涙を拭って、アイを再び抱き寄せるのだ。

 そんでもって、顎クイである。流れるような顎クイである。
「アイさんにぴったりの白い小さな家で二人の子供を育てような、な」
 もう置いてけぼりである。二人の世界がすぎる気がしないでもないが、シュヴァルツは空気読んだ。
 読んだ結果が……。

「屈折率、固定……収斂」
 理緒のユーベルコードによる大気を屈折させレンズを生成。収束させた光を放つユーベルコードの輝きが熱線となってシュヴァルツを襲う。
「理緒さん、力を合わせて、私達の未来を切り開きましょう!」
「大丈夫、だって今はアイさんがそばにいるもん!」
 もうこうなってしまうと、銀行強盗というかメロドラマ的なやつである。放たれた熱線がシュヴァルツを焼き、吹き飛ばしていく。

 理緒とアイの二人の世界。
 そこに漆黒の昏き堕天使は必要ないのだ。これからは真っ白なマイホームでの幸せな未来が待っている。
 二人の逃避行は続く。
 そう、人生が続くように、旅路は、航海はこれからも。

 といい具合にしめた所で、シュヴァルツは空の彼方から思いの丈を叫ぶのだ。
「我はボッチじゃない――!!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルテミシア・アガメムノン
【魔王国】
✝『漆黒の昏き堕天使』✝ですか。
そういうお年頃ですのね。(温かい目で)

少し可哀想ですけれどオブリビオンなので是非もありません。
行きますわよ?
『明星の栄光』を発動して超高速機動戦闘を。
さて、このまま終わってもものたりませんわね。
ふふ、ギャラリーの皆さんにも楽しんでもらいましょうか。

「見物している皆さん!わたくし達は銀行強盗!
そしてあの少年は奪われたお金を取り戻そうと頑張る正義の味方です!
さあ、皆さん、わたくし達に協力してください!
多勢に無勢。数こそ力です!
圧倒的な暴力で正義の味方を倒しましょう!
今日からあなた達も銀行強盗の仲間ですわよ!」
と観衆を煽って扇動。攻撃を誘導します。


オネスト・ファッション
【魔王国】
✝漆黒の昏き堕天使✝か…負けられない気がするな、ビジュアルの悪魔的に!
奪い取ったリムジンをノリノリで運転し、中継ヘリに向かって無免許宣言しつつかっ飛ばすぜ!
見てるか持ち主?お前の車最高だぜェ!(法定速度10キロオーバー)
アルテミシアの演説に賛同した野次馬悪魔に【スタイリング・ゴージャス!】を使用し服をゴテゴテ強盗服に改造して回りながらシュヴァルツに啖呵を切るぜ
『中二』か…僕も昔はハマってたから言わせてもらうが、中二は自分だけの概念だからこそ中二なんだろうが!
突き詰めろよ!自分を!僕が手本を見せてやる!
そう言い放ち[悪のカリスマ]溢れるカッコイイポーズを決め、封印されし邪眼に対抗だ!



「『漆黒の昏き堕天使』ですか」
「『漆黒の昏き堕天使』か……」
「そういうお年頃ですのね」
 アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)とオネスト・ファッション(見せ掛け以上・f31551)は熱線の一撃にまっ黒焦げになりながらも体勢を整えて、彼女たちに飛来するオブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツの姿を見て呟いた。
「そういうお年頃ですのね」
 と、アルテミシアは生温い視線を向ける。
 彼女はある一定の理解を示していたが、逆にその温い視線が痛いのだ。年頃の男の子ならば、そっとしておいてほしいのだ。真に理解があるのならば!
 けれどアルテミシアにとってオブリビオンである以上、多少可哀想と思っても是非もないのである。

 逆にオネストは真に理解していたのかもしれない。
「負けられない気がするな、ビジュアルの悪魔的に!」
 オネストは強奪というか献上というか、まあ提供されたリムジンをノリノリで運転し、中継ヘリに向かって呼びかけるのだ。
「見てるか持ち主? お前の車最高だぜェ!」
 ひゅー!
 ぶぉんぶぉん。とちょっと騒音控えめに、ついでに法定速度を10キロばかりオーバーしつつ、無免許運転をアピールする極悪さを中継ヘリのカメラに向かって宣言するのだ。
 うーん、このワル。
 ちょっと世界観とジャンルが違えば、人を奈落の底に落としかねない発現の類であったが、ここはデビルキングワールドだし、ついでにいうとオネストも悪魔である。
 性根が善良なので、やることもちょっとばかり羽目を外しているだけに過ぎない所はご愛嬌である。

 そんなリムジンに並走するのは、ユーベルコードによって無限の魔力を身にまとい、明星の栄光(ルキフェル)のように輝きながら飛ぶアルテミシア。
 彼女は声を張り上げる。
「見物している皆さん! わたくし達は銀行強盗! そしてあの少年は!」
 アルテミシアの言葉に野次馬に来ていた沿道を埋め尽くす悪魔たちが反応する。なんだなんだ? と悪魔たちは興味津々である。
 そうでなくてもヒーローのごとき銀行強盗に声を掛けられては聞かぬ訳にはいくまい。
 ふふ、とアルテミシアは微笑む。
 そう、このままで終わっても物足りないのである。だからこそ、彼女はギャラリーである悪魔たちんにも楽しんでもらおうと妙案をはじき出したのだ。

「……ムッ。我を指差すか! その不遜! 万死に値する!」
 万死! 万死! 万死! みんなこの年頃の男の子はこういう言葉使いたいよね。わかる。
 そんな『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツを指差したアルテミシア。
 彼女が導き出した妙案とは!
「奪われたお金を取り戻そうと頑張る正義の味方です! さあ、皆さん、わたくしたちに協力してください!」
 アルテミシアの言葉に、シュヴァルツは目を剥く。
 ワルを自称し、『中二』こそが最高のものであると信じて疑わぬ自分に、よもやに『正義の味方』というのだ。
 それは信じがたい侮辱であったことだろう。

「ちょ、ちょっと待て! 我はダークネス・クライシスの首領!『漆黒の昏き……って、待て!?」
「多勢に無勢。数こそ力です! 圧倒的な暴力で正義の味方を倒しましょう! 今日からあなた達も銀行強盗の仲間ですわよ!」
 それを遮るようにアルテミシアはギャラリーを煽って先導する。
 まさに魔王。ていうか、女帝。
 そお黄金の輝きに魅せられた悪魔たちが次々と沿道から身を乗り出し、ユーベルコードを放ち始める。

 言うまでもなく、悪魔たちは皆猟兵に匹敵するユーベルコード使いである。
 そんな攻撃にさらされてしまえば、如何に『漆黒の昏き堕天使』と言えど無事ではいられないのだ。
「待て、っ、あー!?」
 さらにそこにオネストのユーベルコードによって、悪魔たちの衣装が、えげつない量の装飾と謎の光沢に包み込まれ、彼らの戦闘力を増加していくのだ。
「着る物が良けりゃ気分もアガるだろ?似合ってるぜ!」
 そんなことを言いながら、悪魔たちの服装を次々とゴテゴテ強盗服に変えていくのだ。
 これこそ、スタイリング・ゴージャス! である!

「『中二』か……僕も昔はハマってたから言わせてもらうが……」
 オネストが悪魔たちのユーベルコードに終われるシュヴァルツを見上げる。
 そう、何を隠そうオネストも嘗ての『中二』である。
 蘇る黒い歴史……正直なかったことにしたい。けれど、それがなければ今の自分もまたないのである。
 だからこそ、オネストは言うのだ。啖呵を切るのだ。

「中二は自分だけの概念だからこそ、中二なんだろうが!」
「――ッ!」
 ちょっとそこで、ハッとするのおかしない? それくらいシュヴァルツは動揺していた。
「突き詰めろよ! 自分を! 僕が手本を見せてやる!」
 オネストは高速で走るリムジンのボンネットの上に立ち、溢れ出る悪のカリスマの如きカッコいいポーズを決める。

 正直、ちょっとよくわかんないなってなった悪魔たちが大半だったかもしれないが、アルテミシアが訳知り顔でいうのだ。
「あのポーズは――ッ!」
 なにィ、知っているのか、アルテミシア!
 なんかどっかの書房から発行されている書物の中に記されている悪のカリスマのポーズ。
 それをアルテミシアは解説してくれる。

 そう、その溢れ出るポーズこそワルのカリスマ!
「うおっ、まぶし!」
 瞬間、そのポーズに見とれたシュヴァルツは悪魔たちとアルテミシアの放ったユーベルコードの集中砲火を受け、爆発四散する。
 それはあっけない幕切れであったけれど、街中から起こる大喝采と共に、猟兵達の銀行強盗計画は幕を閉じる。

 そう、銀行強盗のご利用はご計画的に。それがデビルキングワールドにおける流行りのキャッチフレーズになったかもしれないし、ならなかったかもしれない。
 どちらにせよ、此度の銀行強盗は猟兵達の勝利で幕をおろしたのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月12日


挿絵イラスト