ツイン・ディザスター・Σ
●クロムキャバリア・シグマ連邦
「キャスティナ少佐、応答しろ! その機体の出撃許可は降りていない! さっさと降りるんだ! 聞こえないのか!」
シグマ連邦軍基地のキャバリア整備ドッグで大佐が怒鳴っていた。
士官であるキャスティナ・フレイム少佐が突然やってきて、整備士たちの制止を振り切り、勝手に開発中のキャバリアに乗り込んだのだ。
幼い容姿とクールな性格のギャップ(しかも双子)から、軍のアイドル的存在の彼女だったが、さすがにこれはおイタでは済まされない。
「落ち着いて下さい大佐、どのみちあの子にあれを動かすことはできないはずです」
近くにいた整備士が殴られた頬をさすりながら大佐に言った。
それもそうだ。そもそも、あれは隣国グランティアと共同開発していた最高機密の実験機だ。テストパイロットですらない彼女が動かそうとした所で、機体を立ち上がらせることすらできないだろう。
しかしーー。
「パイロットの認証を確認。ご命令をどうぞ」
整備士達の予想を裏切り、無機質なAIの声がドックに響いた。
キャスティナは機体を立ち上がらせ、マニュピレーターを振るい、機体を固定していたフックを強引に外し、素早く出撃準備を整えていく。
「馬鹿な、なぜ動く!?」
「いけません、大佐、伏せて!」
ドガァッ!
次の瞬間、大音響と共に強烈な発光と爆風がドッグ内で炸裂した。とっさに伏せていなければ二人共恐らく即死だっただろう。大佐はすぐに身を起こし、新型機のコックピットに収まったキャスティナに機関銃を向けた。
「無駄だ、大佐。そんなものではこのキャバリアには傷一つ付けられない」
「キャスティナ少佐! これは軍への明確な反逆行為だぞ! 何故だ......!?」
「真実に目覚めたのさ。私はルクスと共に世界を変える。この機体は頂いていくぞ! ハハハハハ!」
「世界を変えるだと!? お前は――いや、お前達姉妹は何をするつもりなのだ!?」
「すぐに分かるさ。じゃあな、大佐。ハハハハハ!」
高笑いと共に、キャスティナは夜の闇へと消えていった。
●
「機体の奪取は成功した。そっちはどうだ、ルクス? そうか、良かった。なら現地で落ち合おう」
妹との通信を繋いだキャスティナは、今も成すべきことを語りかけてくるマシンの声に頷きながら、静かに呟く。
「ああ、分かっている。私達は人間を滅ぼし、ロボットだけの世界を作ろう。手始めに隣国の王女を殺す。この国に人間の治める同盟国など必要ない」
●グリモアベース
「クロムキャバリアでオブリビオン・マシンによる事件が発生した。すぐに現地に向かってほしい」
パンダ型ウォーマシンのルンバは手をぶんぶんと振り、グリモアベースを行き交う猟兵達を呼び集めた。
クロムキャバリアは「キャバリア」と呼ばれる人型決戦兵器が席巻している戦乱の世界だ。
クロムキャバリアでは、オブリビオンも人ではなくキャバリアとして顕現するケースが大多数である。そして、オブリビオン・マシンとなったキャバリアはパイロットとなる人間を狂わせ、世界を過去で浸食する為に行動を起こす。
「今回事件が起こっているのは、『シグマ連邦』という名の国だ。その国の双子の将校がオブリビオン・マシンに洗脳され、シグマ連邦の同盟国『神聖王国グランティア』の王女が滞在している迎賓館を襲撃しようとしている。厄介なことに、姉妹揃ってエースパイロットだ」
そう、今回の事件の首謀者は双子なのだ。二人はシグマ連邦とグランティアの二国間で共同開発されていた一対の高性能キャバリアを奪い、同じくマシンに洗脳された部下達を従え、迎賓館に向かって猛スピードで暴走しているという。
「二人を止めるべく、シグマ連邦の正規軍とグランティア軍は協力している。君たちには、シグマ連邦正規軍と協力し、双子の姉キャスティナの率いる部隊を撃破してもらいたい」
今回の事件は強力なオブリビオンが二体いるせいか、ルンバ以外にも、エクス・カリバーンという名のグリモア猟兵が同じ予知を見ていた。
そこで、猟兵もシグマ連邦チームとグランティアチームの二部隊に分け、臨機応変に事件に対応する手筈なのだ。グリモア猟兵二人の協議の結果、ルンバはシグマ連邦軍に協力する方向に決まった。
「シグマ連邦軍は現在、市街地で敵のスナイパー部隊と交戦中だ。夜間なのだが、敵の正確な射撃にシグマ連邦軍は手を焼いている。
ちなみにグランティア軍の方は敵のレーダー施設となってしまった電波塔を奪還すべく行動している」
スナイパー部隊の注意をうまく引きつけることができれば、その分電波塔の奪還はしやすくなる。逆に、電波塔を素早く奪還することができれば、スナイパー部隊の戦闘力は大きく落ちる。この二面作戦はどちら側に行くにせよ、シグマ連邦とグランティア軍の両軍に影響を与えることになるだろう。
「説明は以上だ。準備ができた人から転移を始める。対スナイパー部隊班はこちらで。電波塔奪還に協力してくれる猟兵はカリバーンの方に合流してくれ。
迎賓館に辿り着く前に双子を撃破しないととんでもないことになる。君たちが頼りだ。では、よろしく頼むぞ」
そう言って、ルンバはペコリと頭を下げた。
大熊猫
これは、僕らが求めたシナリオフレームだ!
こんにちは。大熊猫です。今回は初のクロムキャバリア依頼にして、高天原御雷MSのシナリオ「ツイン・ディザスター・G」との連動シナリオとなります。
連動ならではの特殊ルールがちょいちょいありますので、どうぞ一読をお願いいたします。
こちらではロボット国家「シグマ連邦」との共闘を主に扱います。
また、本シナリオは「ツイン・ディザスター・G」と相互に影響を与え合います。
●重複参加不可
対となるシナリオ「我らが作る秩序・G」とは同じ戦場を扱うシナリオの為、重複参加は出来ません。一章Σ、二章G、三章Σみたいな参加方法はOKです。敵の得意な射程距離がハッキリ分かれているので、章ごとに戦いやすい方の敵をお選び下さい。
●シグマ連邦について
国民の大半がレプリカントとロボットヘッドとなるロボットの国です。科学力は高く、舞台となる都市には高層ビルが立ち並んでいます。
人口はあまり多くはない為、軍隊も少数精鋭主義です(それでも一人一人は猟兵よりは弱いです)。
●シグマ連邦正規軍キャバリア「ホワイト・リンクス」
レプリカント用にチューンナップされた量産型キャバリアです。パイロットの好みに合わせて装備を換装できる汎用性がウリの機体です。レンタルもできます。
●一章について
闇夜に紛れ、シグマ連邦正規軍の進軍を妨害しているスナイパー部隊との戦いです。フラグメントの三択は参考程度に。舞台は市街地となります。
また、スナイパー部隊の注意を強く引きつけたり、敵の撃破数が多くなるほど、「ツイン・ディザスター・G」一章の展開が有利になります。
●一章プレイングボーナス
・夜間戦闘に適した行動を取る。
・スナイパー部隊の注意を引きつける。
●文字数省略用記号
アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。
●合わせプレイングについて
グループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。3名以上の場合はどなたか合計人数をご記載頂けると助かります。
●プレイング採用について
参加者多数の場合は採用人数を絞らせて頂く可能性がございます。予めご了承下さい。二章以降の継続参加者は優先的に採用いたします。
※途中で連動先に移った、移ってきた場合も継続参加者としてカウントされます。
以上です。皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『狙撃されている!』
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POW : ●『己が囮になる』:自分が躍り出ることで敵の射撃を引き付ける。
SPD : ●『相手を仕留める』:敵の元へ急行したり、カウンタースナイプを決めたりする。
WIZ : ●『居場所を突き止める』:レーダーや魔法などで、狙撃手の位置を突き止める。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●スナイパー・ユニコーン
轟く銃声。砲撃を受けて軋むビル。逃げ惑う人々。
平和だった街は突然、キャバリア達が戦いを繰り広げる戦場と化した。
突如乱心したキャスティナ少佐及びルクス少佐に従うオブリビオン・マシンの部隊が都市のシンボルだった電波塔を制圧し、シグマ連邦軍と交戦しているのだ。
ドウッ!
キャバリア『ユニコーン』の発砲音が響くごとに、シグマ連邦正規軍のキャバリアが一機、また一機と倒れていく。制圧したレーダー施設から強力なサポートを受けている敵のスナイパー部隊の戦力の前に、シグマ連邦軍は為す術もなく蹂躙されていた。
「あのビルの上にも一機確認! ダメです、見失いました! 敵は一発ごとに移動しています!」
「くそっ! 狂ってやがる癖に戦術の基本はしっかり守ってやがる。向こうだけレーダー使い放題じゃ分が悪すぎるぜ! このままじゃ……」
このままでは、双子は迎賓館に到着してしまう。シグマ連邦軍の将校が、グランティアと共同開発した機体でグランティアの王女と自国の政府高官を虐殺するーー。 その結果がどうなるかなど、想像したくもなかった。
「時間が無え。早くこいつらを倒さねえと……!」
夢幻・天魔
◎【超絶厨二病:好き勝手やっちゃって下さい】
ククク……スナイパーの注意を引けということか……
しかし、俺が全て倒してしまっても構わないのだろう?
来い! 『Azazel』!
(虚空より出現したキャバリアに乗り込んで出撃)
フッ、その程度の腕で、この俺の操るAzazelに当てられるものか!
かつて第八の世界にて
千の敵の総攻撃を潜り抜けて指揮官を討った(※妄想です)
この俺の操縦技術を見せてやろう!
(戦場の中央に堂々と出て行き目立つ。『無双設定撃』発動して回避:多分多少は被弾します)
フハハハハハ!
そこだな! 切り刻んでやろう!
(射線から位置を判断、巨大化させた魔剣を手にしたキャバリアで、スナイパーへ突撃)
●堕天使降臨
「俺が出てやろう」
シグマ連邦軍の背後から悠然と姿を現したのは、魔王のような不吉な衣装を纏った男だった。名を夢幻・天魔。「千の設定を持つ男」である。
「来い! 『Azazel』!」
天魔は両手を大きく広げ、愛機へと呼びかけた。直後、空間が黒く軋み、虚空に空いた穴から悪魔のような禍々しいシルエットのキャバリアが姿を現す。
「久しいな。Azazel。数百年振りか?」
膝をついて両手を差し出し、主を迎え入れる機体に対し、天魔は親し気に語りかけた。ちなみに以前乗ったのは一週間ちょっと前だ。先刻の挨拶はその方がカッコイイからという理由で口にした妄想設定である。
天魔を乗せたAzazelは軽々とビルを飛び越え、シグマ連邦軍の前へと降り立った。
「おお、来てくれたか! 我々は今スナイパー部隊の攻撃を受けている! レーダー施設が破壊されるまでの間、なんとか持ちこたえてくれ!」
連邦軍の士官は建物の影に身を隠しながら、天魔に状況を説明した。
「ククク……スナイパーの注意を引けということか……。しかし、俺が全て倒してしまっても構わないのだろう?」
ゲームかアニメで聞いたような台詞と共に、天魔はマシンを駆動させる。天魔の機体は道路のど真ん中を、ガシャガシャと激しい音を立てて駆けていく。
「新たなキャバリアが出現! シグマ連邦軍の機体ではない! 『猟兵』の機体だ!」
「撃て! 誰もここから先には行かせるな!」
Azazelの接近に気付いたスナイパーたちは即座に出現したキャバリアに向けて発砲した。
超音速で放たれた弾丸は対キャバリア用の大口径ライフル弾。対戦車ライフルすらも遥かに凌駕する威力を持つ凶弾は、半端なキャバリアならば一撃でバラバラに吹き飛ばす程の威力を持つ。巨大な盾でも無ければ防ぎ切ることは困難だ。
だが、防御ができないならば回避すればいい。Azazelは翼のようなパーツを広げると、一瞬にして高層ビルの上まで飛翔し、迫り来るライフル弾を回避した。
『無双設定撃(カスタマイズマウンティング)! フッ、その程度の腕で、この俺の操るAzazelに当てられるものか!』
Azazelは今、天魔の妄想力(ユーベルコード)により、大幅に機動力が強化されている。天魔は相手の性質に合わせ、都合のいい妄想設定を引っ張り出すことで相性を有利に変化させることができるのだ。
「かつて第八の世界にて千の敵の総攻撃を潜り抜けて指揮官を討ったこの俺の操縦技術を見せてやろう!」
天魔は事実無根の戦果を語りながら、悪魔のような翼と両腕を広げ悠然と空の真ん中でポーズを取った。
当然、スナイパーたちは即座に天魔の機体を捕捉し、今度こそ撃ち落さんと狙撃する。本来なら単に隙を晒しているだけだが、今回は囮役なのでなかなかの良手である。天魔は全神経を集中し、機体の運動性能にものを言わせてライフル弾の嵐を回避しまくった。が。
「はぐっ」
さすがに調子に乗り過ぎたのか、一発もらってしまった。なんとか貫通はしていないが、撃たれた衝撃でコックピットが激しく揺れ、天魔は舌を噛んだ。
しかし、天魔は直前の数秒の記憶を即座に黒歴史(なかったこと)にし、撃たれた方向をギロリと睨み付けた。
「フハハハハハ! そこだな! 切り刻んでやろう!
清々しいまでの大ボラを吹きながら、天魔はスナイパーに向かって飛翔した。
間合いに踏み込んだ瞬間、魔力でAzazelの剣を巨大化させ、渾身の力で振りかぶる!
「け、剣だとぉ!? 野郎! 撃ち落としてやる!」
「褒めてやろう! Azazelに傷を付けたのは親以外では貴様が初めてだ! これが褒美だッ!」
「キャ、キャスティナ少佐ぁー!」
Azazelの魔剣が『ユニコーン』の肩口から腰までを通り抜け、稲妻と共に機体は爆散した。
「殺しはしない。親友との約束だからな」
天魔は緊急ポッドでパイロットが脱出したのを確認すると、物憂げに呟いたのだった。
成功
🔵🔵🔴
鳳凰院・ひりょ
◎
POW
キャバリア『ルクス・テネブラエ』に搭乗
よし、相手の注意を引きつければいいんだね!任されました。
【暗視】モードで【索敵】しその位置を把握
機体周囲に【迷彩】施した【オーラ防御】展開、【目立たない】よう【闇に紛れる】ように移動
相手を攻撃可能な位置まで来たら戦闘開始!
【大声】で敵を挑発し【結界術】で機体の防御を高めつつルクスビーム砲の拡散誘導モードで攻撃、【誘導弾】で相手の動きを阻害しつつ【切り込み】テネブラエソードで【決闘】、灰燼一閃を叩き込む
その後もヒット&アウェイを心掛けつつ【継戦能力】を維持しながら敵の注意を引きつけ続ける
敵を倒す事も大事だが、囮役としての大立ち回りを意識する
●闇色の誘い
「スナイパー部隊、現在も戦闘を継続中! 徹底抗戦の構えです!」
「電波塔さえ奪還できればレーダーで敵の数と位置を割り出せる! それまでなんとか持ち堪えろ!」
シグマ連邦軍の士官が味方の士気を維持しようと大声を張り上げていた。シグマ連邦はロボットの国だとは言うが、心を持ったロボットは人間とあまり変わらないのかもしれない。
「よし、相手の注意を引きつければいいんだね! 任されました」
友軍との通信を終え、鳳凰院・ひりょはコックピットの中で胸を叩く。
彼が駆るキャバリアの名は『ルクス・テネブラエ』。天使と悪魔の翼を片翼ずつ持つ異形のサイキックキャバリアだ。光と闇、相反する精霊の力をその身に宿す巨人は、戦に歓喜するかのように両翼を広げた。
暗視モード起動。機体のオーラ色を夜間迷彩色に変更。相手はスナイパー部隊だ。こちらの射程に入るギリギリまでは気配を隠して接近する。
「索敵、開始」
都市の闇に紛れ、ルクス・テネブラエは飛び立った。
「――見つけた」
高層ビルの屋上に陣取っている『ユニコーン』をナイトビジョンで捉えたひりょは夜間迷彩を解くと、外部スピーカーの音量を最大にして叫んだ。
「俺が相手だ! 俺はここにいるぞ!」
宣戦布告と同時にアスファルトを蹴って跳躍し、高層ビルの壁にしがみつく。そのまま重力に逆らい、機体のパワーにものを言わせて垂直にビルを駆け上がった。
「敵機、出現! 交戦します!」
ひりょの接近に気付いた敵機は慌てて仲間に通信を送り、スナイパーライフルを構えた。
照準、発砲。真下に向かって放たれた銃弾は吸い込まれるようにひりょの機体に真っすぐ飛んだが、命中する直前に不可視の力場に弾かれ、あらぬ方向へと飛んでいった。
「そこだ! ルクスビーム砲、発射!」
ひりょは機体の肩部に装備されたルクスビーム砲を拡散モードで発射した。誘導弾が弾け、蛇のように曲射しながら鉄機を襲う。スナイパーは咄嗟にライフルを盾にして防御するが、誘導弾のつるべ撃ちに晒されたRS-SL-058の銃身は数秒で溶解してしまった。
「全力全開! 一撃必殺っ、喰らえっ!」
屋上に到達したひりょは闇色の刃を湛えるキャバリア用の刀、『テネブラエソード』を抜き、一気に間合いを詰める。『灰燼一閃』。踏み込みと同時に放たれた居合切りは見事にスナイパーの機体を胴斬りにしていた。コックピットは胸部にあるので、パイロットは無事だろう。ひりょは切り離した敵機の下半身を持ち上げ、ビルの下へと放り投げた。高層ビルから地上へと叩き墜とされた金属の塊はぐしゃぐしゃに砕け、物凄い音がした。
ドウドウドウ!
一息つく暇もなく、ひりょに向かって四方からライフル弾が殺到する。ひりょはルクス・テネブラエの翼を広げて急加速した。敵が反応する前に刀を振り上げ、敵機の頭部を切り落として無力化した。
「至急応援を! また一機やられてるぞ!」
首尾は上々だ。派手に立ち回った甲斐あって敵部隊はこちらに注目しつつある。敵の通信を傍受したひりょは、再び不可視の力場、正体は結界術――を展開しながら、今度はビルから飛び降りた。着地の衝撃は結界で相殺。着地した瞬間を狙って弾丸が飛んできたが、それも結界で軌道を逸らした。そのままビルの陰へと素早く移動し、敵の様子を伺う。
近くにいたスナイパー達は地上に降り、ひりょを仕留めんと追撃してきた。全員を仕留める必要はない。今の任務は電波塔奪還の為の時間稼ぎだからだ。
ひりょは被弾しないことを最優先にしつつも時折反撃し、敵部隊の注意を引き続けた。
成功
🔵🔵🔴
テラ・ウィンディア
…双子の敵か
シルも向こうで頑張るなら…おれも気張らないとなっ!
いくぞヘカテっ!
【属性攻撃】
炎属性を機体に付与
超音波センサーも駆使して周囲の敵の捕捉
炎を纏い敢えて存在を目立たせる
お前達の倒すべき敵は此処にいるぞ!
【見切り・第六感・残像・盾受け】
敵の攻撃は即座に察知し残像を残し回避しながら盾でも受け
攻撃位置からスナイパーの位置を捕捉
教えてやる
物量に対するは…物量だ!
UC起動
全機
散開しスナイパーを狙い襲い掛かる
接近し【串刺し・早業・二回攻撃】による剣と槍による蹂躙
遠距離にはガンドライドによる【レーザー射撃・遊撃】による破壊
全機コックピットは避けて不殺徹底
徹底して敵の数を減らし派手に立ち回る
●魔女達の騎行
「……双子の敵か。シルも向こうで頑張るなら……おれも気張らないとなっ! いくぞヘカテっ!」
キャバリアに乗ったまま転移してきたテラ・ウィンディアは、機体の全身に焔を灯らせた。
テラには今回暴れている敵のリーダー格と同じく、双子の姉妹がおり、彼女は電波塔の奪還作戦の方に協力している。テラは姉たちが密かに電波塔に接近できるよう、スナイパー部隊の注意を惹きつける役割だ。
銀色の巨人が纏った赤い焔が、夜の街を照らし出す。ビルからビルへと飛び移りながら夜の街を駆けていると、すぐにスナイパー部隊が彼女を撃ち落とさんと攻撃を仕掛けてきた。
「来たな!」
だが、驚異的な第六感で約1キロ先の敵の殺気を感知したテラは、残像を残すほどの速度で跳躍して弾丸を回避した。外れた弾丸はビルに直撃し、屋上にあった看板を粉々に吹き飛ばした。
「お前達の倒すべき敵は此処にいるぞ!」
道路に着地したテラは機体から上空へと炎を噴き上げ、スナイパー達に己の存在を誇示する。テラの挑発に乗ったスナイパー達は、テラを撃ち落とさんと躍起になって銃撃を繰り返してきた。
ダンダンダンダン!
大砲のような威力の対キャバリア弾を盾で弾き、幻惑するようなサイドステップで射撃を回避しながら、テラは超音波センサーを駆使してスナイパーの正確な位置を探っていく。幸い、向こうはテラへの攻撃に意識が向いており、移動がおろそかになっている。今なら反撃することはそう難しくはない。テラは付近で一番高い高層ビルの上に着地すると、勝負に出た。
「教えてやる。物量に対するは……物量だ! ウィザードモード……起動! 我招くは嵐の夜! 冥府へ導く魔女達の群れよ! 今こそ狩りの時間だ! 存分にその力を示せっ!!!」
その瞬間、機体から魔力の赫光が迸り、ヘカテイアは百二機のキャバリア兵団に増殖した!
「隊長! 敵の反応がいきなり増えました! 増援の数は推定百機です!」
「そんなバカな話があるか! デコイに決まっているだろ! さっさと本体を倒せ!」
狼狽する部下を隊長が怒鳴りつけたが、その予測は誤りだった。増えた分のヘカテイアはテラの魔力によって複製されたコピーだ。模造品ではあるが、量産機とは一線を画する性能の分身達である。
「魔女達の騎行『ガンドライド』(アラシノヨル)! 全機、散開!」
囮だからこそ派手にやる。高層ビルの上から戦場を見下ろし、テラは銀色の兵団を念力でコントロールしてスナイパー達に攻撃を仕掛けた。三百門の浮遊砲台が輝き、敵が隠れている遮蔽物を吹き飛ばし、スナイパー達を剥き出しにしていく。
「くそっ! デコイじゃねえぞ! 全部本物のキャバリアだ! クソッたれ!」
毒づきながらライフルを発砲し、スナイパーはヘカテイアの複製機を撃墜した。しかし、数体倒したところですぐ後ろには新たな複製機が迫っている。
赤い剣が閃き、『ユニコーン』は一撃で両脚を切断された。コックピットを狙った方がてっとり早いのだが、テラには相手の命を気遣う余裕があった。
「クソッ! 数が多すぎる……! ぐわああ!」
スナイパー達は剣と槍で武装したヘカテイアの軍団に運動系統を破壊され、次々と沈黙していった。
大成功
🔵🔵🔵
支倉・錫華
オリガさんと
市街でのカウンタースナイプか。
ここはオリガさんの射撃に大いに期待しちゃおうかな。
借りた【ホワイト・リンクス】は、
チューニングで装甲5倍、移動力半分にしていこう。
「アミシア、こっちは囮ね。
敵のマズルフラッシュを捉えたら、データをオリガさんに送って」
索敵とデータホスティングをお願いしちゃったし、
機体はわたしが制御しないとね。腕の見せ所かな。
わざと道の真ん中あたりを移動して、
敵スナイパーに撃たせて、位置を捉えていこう。
相手の攻撃は装甲強化した機体と【天磐】で受けていくね。
スナイパーが警戒しだしたら【索敵】でスキャン。
位置を特定したら【FdP CMPR-X3】で【スナイプ】していこう。
オリガ・ピスクノヴァ
【錫華さんと】
さてさて、予備の機体はありますでしょうか?
あ、完動品じゃなくてもいいですよ
私が【修理再生】しておきますから♪
錫華さんと私の分2機分リペアーして機体のチューニングを
私のは砲戦仕様にカスタマイズしておきましょうか
それでは錫華さん、前衛と索敵お願いしますね?
私はその間にスナイプに適した場所を確保しておきます
闇夜に紛れて戦場を見渡せる高所をとり、錫華さんの所のアミシアとデータリンク
私の脳に直接索敵データを送ってもらいましょう
さぁ、錫華さん御行動で敵がいぶり出されてきたら、私の出番です
狙撃仕様にチューンしたホワイトリンクスのスナイパーライフルの狙いを定め
的確に急所を撃ち抜いてあげましょう♪
●バディ・ミッション
「さてさて、予備の機体はありますでしょうか?」
「ホワイト・リンクスだっけ? 重装甲仕様と、砲撃戦仕様のやつを一機ずつ借りたいんだけど」
シグマ連邦軍の前線基地にやってきたオリガ・ピスクノヴァと支倉・錫華。二人はフリーランスのキャバリア乗りだ。愛機は持っておらず、機体は量産機を現地調達する派である。
「すまない、今殆どの機体が既に出撃していて……無傷のものは一機しか残ってないのだ」
連邦軍の士官は申し訳なさそうに言った。
「あ、完動品じゃなくてもいいですよ。私が修理再生しておきますから♪」
ピンクの看護兵は、にこにこと中破したホワイト・リンクスを指差した。その機体は片腕が付け根からもげている。恐らく敵兵の攻撃を受け、撤退してきた機体なのだろう。
「いいのか? それならなんとか二機用意できるが……ええと、重装甲型と砲撃戦型だったな。換装用のパーツも全部渡すから、好きに使ってくれ」
「ありがと。よし、急ごう、オリガさん!」
錫華の私物のホバーキャリアに借りた機体を積み込み、早速二人は突貫工事でリペアとチューンナップを施していく。
「準備完了です。参りましょう、錫華さん」
「市街でのカウンタースナイプか。ここはオリガさんの射撃に大いに期待しちゃおうかな」
●ファッティ・キャット
ガシャン、ガシャン。スナイパー部隊が潜む街のど真ん中を、臆さずに錫華の機体が闊歩する。きょろきょろと首を振り、素人くさい動きで索敵をしているが、これでは撃ってくれと言っているようなものだ。
「アミシア、こっちは囮ね。敵のマズルフラッシュを捉えたら、データをオリガさんに送って」
サポートAI(借りた機体に付属していたものではなく、元から錫華のパートナーだ)にバックアップを任せる錫華。今回の彼女の役割は囮だ。素人くさい動きも、もちろん敵の狙撃を誘う演技である。
「敵の増援の出現を確認。なんだありゃ。ダルマか? 排除を開始する」
ドウッ!
道のど真ん中に出現した錫華の機体にスナイパーは、高層ビルの上から狙撃を行った。撃った瞬間、狙撃兵は確かな手ごたえを感じた。一瞬遅れ、対キャバリア用の大口径ライフル弾は錫華の機体のコックピットに直撃した。
これで機体は大破。コックピットを貫通した弾丸はエンジンタンクを撃ち抜き爆破炎上――しなかった。なんと弾丸は錫華機の装甲に弾き返されてしまったのである。
「何!?」
それもそのはず、錫華は機体の装甲の厚さを通常の五倍にまで増やしていたのだ。その結果、機体の重さは通常ならば動くはずがないほどの重量となっていたが、そこは歴戦の猟兵。ユーベルコードでエンジンにも手を加え、通常の半分程度の速力での移動を可能としていた。無茶なチューニングの代償として『山猫』(リンクス)の名を持つ元の機体とはかけ離れたフォルムとなっていたが、些細なことだろう。
「くそ、なんて装甲だ! ならこいつを食らえ!」
続いて錫華に向かって飛来したのは、巨大な誘導ロケット弾であった。対キャバリア用に大型化されたロケットランチャーでの狙撃。さすがに直撃すれば錫華の機体も無傷ではいられまい。
だが、超音速で飛来するライフル弾と比べれば、ロケット弾は遥かに遅かった。錫華はファンクションシールドを構え、ロケット弾の爆熱と破片から機体を完全に防御した。
「索敵とデータホスティングをお願いしちゃったし、機体はわたしが制御しないとね。腕の見せ所かな」
サポートAIのアミシアは今裏方の作業に大忙しだ。機体のコントロールは錫華の独力でこなすしかない。錫華はずんぐりした機体を器用に操り、盾や遮蔽物を利用して降り注ぐ爆炎や砲弾を凌ぐ。錫華は己の機体を囮にして敵機の位置を炙り出しながら、街を進んでいった。
「こっちも反撃できることをお忘れなく」
こちらの射程内でのろのろとリロードをしている機体を見つけたアミシアは、錫華にデータを送信した。すぐさま錫華は多目的ライフル「FdP CMPR-X3」を構え、発砲。榴弾砲の直撃を受けた敵機は機体の両腕を失い、撤退を余儀なくされた。
●サイレント・キリング
「錫華さんはうまくやってくれていますね♪」
錫華が派手に立ち回っている背後で、オリガ機がこっそりと狙撃に適した位置を確保していた。この街で電波塔の次に高い建物である高層ビルの屋上だ。「先客」が既にいるかと警戒もしたが、既に他の猟兵に排除されていたのか、戦いの痕跡が残るのみだった。
「さて、始めましょうか」
錫華のサポートAIであるアミシアから脳に直接索敵データを受け取り、敵の位置を捕捉。長大な長さを持つ大口径スナイパーライフル「RSロングレンジライフル改」を両手で構える。その片腕はホワイト・リンクスのものではなく、ストックしていた別の機体の腕を補修したものとなっていたが、オリガ機の手つきはそういったちぐはぐさを一切感じさせない見事なものだった。
オリガは発見した敵の背中に銃を向け、照準、発砲。錫華を追い立てるのに夢中でこちらには全く気付いていなかった敵は背中の制御系を一撃で破壊され、沈黙した。
「この調子でどんどん行きましょう♪」
制御系、頭部メインカメラ、機体の両腕、両脚――。看護服姿の死神は、闇夜に紛れて無音の狙撃で敵の急所を撃ち抜き、次々と敵機を機能停止に追い込んでいった。
オリガの『修理再生』で限界を超える性能を発揮し、無音での長距離狙撃が可能となったホワイトリンクスは、まさに魔弾の射手だ。
「おっと、それは撃たせません」
馬鹿でかいロケット砲で錫華を撃とうとしていた機体をアミシアの通報で発見したオリガは、すぐさま照準を切り替え、そちらに向かって発砲した。直撃。腕ごと銃をもぎ取られ、右往左往している敵機にすぐに二射目を放つ。背中に背負ったバックパックを爆発させられ、炎上した機体からパイロットが脱出していくのが見えた。
「クソッ! どうなってやがる! 次々と味方がやられてやがるぞ!」
囮の錫華に気を取られ、伏兵の存在に気付いていないスナイパー達の焦燥が戦場に伝播していく。
狙撃役のオリガと囮役の錫華の二人の名コンビは、スナイパー部隊に甚大な被害を与えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『プロトタイプガーゴイル』
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POW : トライデント・チャージ
【通常の3倍の速度で突撃し、ビーム三叉槍】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 悪魔のマシン
自身の【パイロット強化システムのコア】が輝く間、【反応速度が超絶強化された機体】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : イービル・アイ
【脳波コントロール】によって、自身の装備する【6基の目玉型ビームビット】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●強襲部隊
「電波塔の制圧を確認! レーダー、復旧したそうです!」
「よし、残存戦力の位置を確認した! 総員、グランティア軍と協力して残存戦力をーー」
シグマ連邦軍の指揮官が号令を発しようとしたその時、グランティア軍から緊急通信が入った。
「こちら、グランティア軍の親衛隊長シン! レーダーに新たな機影を確認! 機体認識コード、『プロトタイプガーゴイル』! キャスティナ少佐直属の強襲部隊と思われる! こちらはユニコーンの増援部隊の対処に当たる! あの蝙蝠共はそちらでなんとかしてくれ!」
その一報を聞き、シグマ連邦軍の士官は歯ぎしりした。確かに、肉眼でも黒いキャバリアの群れが物凄いスピードで飛んでくるのが見える。
「くそっ! あのエリート部隊か! なんてスピードだ! 真っ直ぐ迎賓館に突っ込んで来やがるぞ!」
プロトガーゴイルは量産機『ガーゴイル』の試作モデルだ。その性能の高さと引き換えに、あまりにパイロットへの負担が高すぎる為、シグマ連邦軍でも極少数のエリートのみが使用を許可されているという『悪魔のマシン』である。
「シグマ連邦軍各員に告ぐ! 全力で迎賓館をガードしろ! 猟兵諸君、我々に協力してくれる者はプロトタイプガーゴイル達を迎撃してくれ! 頼んだぞ!」
迎賓館にいるグランティア王女と連邦政府高官の命運は、猟兵たちの手に委ねられた。
●マスターより
2章は、Σルート、Gルートともに集団戦となります。
ルート分岐方式なので、1章でどちらのルートにいたかは関係なく、好きなルートに参加いただくことができます。(3章も同様)
どちらのルートとも、2章からの参加も大歓迎です。
シグマ連邦軍ルート(Σルート)では、引き続き市街地にて、迎賓館を狙って強襲してきたプロトタイプガーゴイルの部隊を迎撃する戦いとなります。
迎賓館を守ることを考慮したプレイングや、敵の空中からの攻撃に対応するプレイングにはプレイングボーナスが付きます。
さらに、Gルートで敵が撃破されるに従い、軍による迎賓館の防御体制が厚くなるので、プレイングボーナスが加算されます。
夢幻・天魔
◎【厨二なら何でもOK】
フッ……空でこのAzazelの相手をしようとは……何と愚かな……!
(スナイパー相手は飽きたらしい)
飛行ユニット『拡散する悪夢』にて
かつて異世界にて空の王として君臨した(※妄想です)Azazelの力、見せてやろう!
『災厄は其処に存在るだけで』を使用し
敵を萎縮させつつ先陣を切って突っ込んでいく
防衛の事など頭にない
フハハハハハ! どうした! 自慢の目玉も止まって見えるぞ!
(脳波コントロールなら、心を振るわせたり感情操作で影響が出るのでは?)
雑魚は消えろ!
やはり指揮官でなければ、楽しめなさそうだな……
●堕天使VS悪魔
「フッ……空でこのAzazelの相手をしようとは……何と愚かな……!」
天魔はノリノリで空を仰ぎ、飛来する新たな敵達を見つめた。スナイパー相手は飽きたらしい。
「かつて異世界にて空の王として君臨したAzazelの力、見せてやろう!」
背中に取り付られた飛行ユニット『拡散する悪夢』(ナイトメアウイング)を展開し、天魔はAzazelを飛翔させた。このユニットこそAzazelを空の王たらしめる最速の飛行ユニットであった。もっとも、『空の王』も『最速』も天魔の自己申告なのだが。
とはいえ、Azazelはオブリビオン・マシンである。世界を破壊する意志を持ち、パイロットを破滅に誘う凶暴さは本物だ。
――全てを破壊しろ。戦乱を招け。過去で世界を埋め尽くせ。
Azazelは常に、パイロットである天魔に破壊の意志を囁くのだ。
「フハハハハ! 破壊を望むかAzazel! それでこそ、我が乗騎! 我が玉座だ! 魔王の転生体であるこの俺にふさわしい!」
しかし、末期的なレベルで厨二病を発症している天魔はマシンの破壊の誘惑を意に介さず、かっこいいBGMを聞いているようなノリで受け流していた。
『フハハハハ!! 我が『Azazel』の威容に、恐れ戦くがいい!!』
夜空を飛翔し、互いを視認できる距離まで接近した天魔は機体の両掌を天へと向け、翼を広げてAzazelを咆哮させた。その姿はさながら、造物主の命に背き天界より追放された堕天使――。
(キャバリア用)の鏡の前で何度も練習した、とっておきの決めポーズだった。
「な、なんだ、あれは!?」
「悪魔だ……!」
「美しい……」
目撃者に畏怖と恐怖、そして畏敬の念を与える『災厄は其処に存在るだけで(アザゼルハザード)』の影響を受けた敵パイロット達の戦意が衰えていく。
「フハハハハ! 墜ちろ、雑兵共! この空の王Azazelの恐怖をその身に焼きつけながらな!」
天魔は敵が怯んだ隙を見逃さず、先陣を切って突撃していく。己に酔う彼は迎賓館のことなどすっかり忘れていたが、まあいいだろう。
漆黒の機体を禍々しきオーラで染め、堕天使は悪魔たちと対峙した。ユニコーンを両断した剣を抜き、敵機へと剣を振りかぶる。
「まずは一機! そして次は貴様だ!」
腰から敵を真っ二つにしたAzazelは次の獲物へとカメラアイを向けた。
「うおおおおっ!」
Azazelの襲撃を受けたガーゴイルは手にしていたビーム・トライデントでAzazelの剣を受け止めた。実体剣とビーム刃の接触で激しく火花が散る中、天魔は思い切り剣を振り抜き、ガーゴイルを体ごと弾き飛ばした。
「ほう、よくぞ堪えた! 少しは心得があるようだな! だがその程度ではこの俺には勝てんぞ!」
Azazelは襲い掛かってくるガーゴイル達のビーム・トライデントと剣で激しく斬り結ぶ。だが、「自身は強大無比、古今無双、天下無敵のスーパーエースパイロットである」と強く信じている天魔の気迫に押され、弱気になっているガーゴイル達は完全に呑まれていた。
「ゆ、ゆけ! 『イービル・アイ』!」
大きく後退したプロトタイプガーゴイル達は、一斉にビームビットを発射し、天魔に包囲攻撃を仕掛けた。悪魔の目玉のような赤いビーム・ビットは不規則な軌道で飛び、全方位から天魔に破壊光線の洗礼を浴びせる。
だが、脳波によってコントロールされているビーム・ビットはパイロット達の天魔への怯えを如実に反映させており、その動きは極めて読みやすいものだった。
「フハハハハハ! どうした! 自慢の目玉も止まって見えるぞ!」
天魔はAzazelの剣でビット達を切り払うと、急加速してガーゴイルの懐に飛び込み、驚愕で硬直しているガーゴイルの翼を切り落とした。陣形を整え直す暇も与えず、天魔は次々とガーゴイル達を地上へと墜としていく。
Azazelは地上に落下して爆散していくガーゴイルたちをバックに、再び堕天使を彷彿とさせる決めポーズ(別バージョン)を取った。
「雑魚は消えろ! やはり指揮官でなければ、楽しめなさそうだな……」
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
なんでも歓迎◎
【POW】で判定
「キャバリアが完成しての初の実戦だが…こちとらそれ以外の戦場の場数はふんでるんでな!!焼き尽くしてやる!!」
右手に【RXP-00『特式機甲斬艦刀・業火』】を、左手に【RS-P『試製電磁機関砲1型』を装備した自身の搭乗機【特空機1型『スターインパルス』】のコクピットでひとり呟くと背面ブースターで大きくジャンプするぜ!!
【戦闘知識】で動きを【見切り】、回避する。
できない場合は【武器受け】と【オーラ防御】で防ぎ、左のパルスマシンガンによる【制圧射撃】と右の刀による【鎧砕き】で攻撃
相手の動きが乱れたらユーベルコード【獄・紅蓮解放『ヴリトラ・ファンタズム』】で焼き尽くす
鳳凰院・ひりょ
◎
相手はガーゴイルのプロトタイプか!
ガーゴイルは前に戦った事がある、その時は量産機に搭乗して戦ったが苦戦した、あのさらに上位版となると…っ!
防衛衝動を発動させ分身達の半分には迎賓館の防衛に回ってもらおう
俺本人はルクス・テネブラエに搭乗し、分身達はテネブラエの複製体へ搭乗してもらおう
ておこう
迎賓館防衛組は機体の周りを【オーラ防御】で固めて防御力を上昇させ、ルクスビーム砲の【一斉発射】で弾幕を張ってもらい敵を迎賓館へ近付けさせないようにしてもらう
俺と共にガーゴイル撃破する組は【空中浮遊】し【空中戦】
ロボットチョコを【念動力】で操作し敵へぶつける
チョコで身動きを封じた所をテネブラエソードで撃破!
●初陣
夜の市街地を、鉄の巨人が駆けていた。特空機1型『スターインパルス』。ガイ・レックウが駆るクロムキャバリアだ。奇しくも、ガイの機体もプロトタイプガーゴイルと同じく、空中戦と高機動戦闘を重視した実験機であった。
「キャバリアが完成しての初の実戦だが……こちとらそれ以外の戦場の場数はふんでるんでな!! 焼き尽くしてやる!!」
ガイ・レックウはコックピットで独り呟くと、背面ブースターを稼働させて大きく機体を跳躍させた。
ビルの上に着地したガイの機体のスマートなシルエットを月光が照らし出す。その姿を捉え、何機かのガーゴイルが急降下してきた。
「敵機、発見。排除開始」
一つ目の悪魔のような姿をした敵キャバリアはビーム・トライデントを構え、通常時の三倍もの速度で突っ込んできた。
「来やがったな……!」
ガイは左手に装備した電磁機関砲を構え、超高速で空から迫り来る敵機に照準を合わせる。トリガーを引いた瞬間、高出力パルスマシンガンが凄まじい騒音と共に火を吹き、夜空に蒼い光球が大量にばら撒かれた。ガーゴイル達は慌てて旋回し、雷の洗礼を回避したが、運悪く直撃を受け、翼をもぎ取られたプロトガーゴイルの一機が黒煙を吐き、機体のコントロールを失って墜落していった。
「よし」
まずは一機撃破だ。ガイはブースターの出力を最大にし、プロトガーゴイルの群れへと飛びこんだ。すれ違い様に右手で超合金製の日本刀を一閃。反応が間に合わなかったガーゴイルは一刀両断され、上半身だけとなって回転しながら墜落した。
すぐさま三機のガーゴイル達がガイへと殺到してきた。ガイはブースターを緊急噴出させ、正面から突っ込んできたガーゴイルの槍の一撃を回避。カウンターの斬撃でガーゴイルの肩部装甲を切り裂いた。しかしそこにさらに二機のガーゴイルが左右から通常の三倍の速度で突撃を仕掛けてきた。
ガイは左側の機体をパルスマシンガンの制圧射撃で牽制しつつ、右のガーゴイルのビーム・トライデントをオーラを籠めた紅の斬艦刀で弾く。すかさず槍を弾かれて態勢を崩したガーゴイルに向けて一閃し、頭部を斬り飛ばした。
「――チッ!」
ドウン!
その瞬間、ガイ機のコックピットが激しく揺れた。生き残っていた二機が後ろと側面から攻撃を仕掛けてきたのだ。咄嗟にオーラで機体を覆いダメージは最小限に抑えたが。
「やるじゃねえか」
三対一だったとはいえ、猟兵である自分に一太刀入れるとは。エリート部隊だというのは伊達ではないらしい。
その時、さらに三機のガーゴイルがガイの周囲に出現した。合計五機となったプロトタイプガーゴイル達は赤いモノアイを輝かせ、一斉にビームトライデントの穂先をガイへと向ける。
「今度は五対一かよ!」
ガイが一か八か、ユーベルコードで纏めて敵を焼き払おうと、コックピットに持ち込んだ妖刀に手をかけた時――。
一機のガーゴイルがビーム砲に貫かれ、墜落した。ガーゴイルを砲撃した白と黒の翼を持ったキャバリアがふわりと浮遊し、ガイの隣に立ったかと思うと、外部スピーカーから青年の声がした。
「俺も猟兵です。助太刀します」
●再戦
ガイがプロトガーゴイル達と交戦を開始する数分前。
「相手はガーゴイルのプロトタイプか!」
迎賓館の屋根の上に立ったひりょは、高速接近してくるプロトタイプガーゴイル達を見据えて唸った。
ひりょはまだ新米パイロットだった頃、とある飛行船の防衛任務で量産モデルの『ガーゴイル』と戦ったことがある。その際はまだ専用機『ルクス・テネブラエ』には搭乗しておらず、現地調達の量産機で応戦したのだが、連中の高速機動や連携攻撃にはずいぶんと手を焼いた。
「あれの上位モデル……!」
まさしく悪魔のようだったガーゴイル達への恐怖がありありとひりょの脳裏に蘇った。だが、今は怯えている場合ではない。ひりょは首をぶんぶんと振ると、ユーベルコードを発動した。
「迎撃せよ、我が分身」
ひりょの感じた恐怖心に反応し、ルクス・テネブラエごと無数のひりょの分身が召喚された。ひりょはコピーの内の約半数を迎賓館の周辺に残し、プロトガーゴイル達を遊撃すべくふわりと空へ浮かび上がった。
ビュンビュンビュン!
プロトガーゴイル達は一斉にビーム・ビットを解き放ち、赤いビームの雨がひりょ達へと襲い掛かる。
「量産機には無かった武装だな! だが!」
ひりょと分身達は一箇所に固まり、幾重にも発生させたオーラの防壁でビームを防御した。数が多く、軌道も変則的とはいえ、一発一発の威力はそこまでではない。ならば複数機分のオーラなら十分防御出来る。そして敵機のビームが途絶えた瞬間、ひりょは反撃に転じた。
「行けっ! ロボットチョコ!」
一斉にキャバリアサイズのチョコレートを放ち、ガーゴイルへと叩きつける。ロケットパンチ。変形・合体・分離。サイコキネシスで操作された変幻自在のチョコレートたちは、ガーゴイル達を包囲し、ピンボールのように上下左右に弾き飛ばしていく。
「よし、トドメは剣で――ん?」
その時、ひりょの視界の端にガーゴイルの集団相手に奮戦している一機のクロムキャバリアの姿が見えた。
「分身達よ、行くぞ! あっちに加勢する!」
●共闘
「俺も猟兵です。助太刀します」
「ありがとよ! 助かるぜ」
互いの背中を庇うように位置取りしながら、ガイとひりょはプロトガーゴイル達と対峙した。
「奴らの体勢さえ崩せればまとめて焼き払えるんだが……」
「分かりました。俺が注意を惹きつけます。散開!」
ひりょは随伴してきた分身達に無線通信を送り、ガーゴイル達を包囲するよう指示を出した。
「ロボットチョコ、発射!」
分身とロボットチョコはガーゴイル達に突っ込んで行き、空中戦を挑んだ。ロボットチョコはビーム・トライデントで串刺しにされ、一瞬でどろりと溶解したが、攻撃の隙を突き、ルクス・テネブラエの分身達がガーゴイル達に組み付いた。
「今です! 俺の分身ごとやって下さい!」
通信機に向かってひりょが叫んだ。
「この機は逃さん! 我が刀に封じられし、獄炎竜の魂よ!! 荒ぶる紅蓮の炎となりて、すべてを灰燼と化せ!!」
詠唱と共にガイの妖刀から禍々しい邪気が放たれ、紅の斬艦刀へと流れ込んでいく!
「獄・紅蓮開放『ヴリトラ・ファンタズム』!」
瞬間、爆炎が広がる。九頭竜を模した獄炎はルクス・テネブラエの複製機ごとガーゴイル達を呑み込み、まとめて黒焦げにした。
「一応手加減はしといたぜ。パイロットスーツさえちゃんと着てりゃ中身は無事なはずだ。ま、初陣にしちゃ上出来かな。ありがとよ、先輩」
キン、とガイは妖刀を鞘に納めた。ユーベルコードの使用も問題なしだ。鍛えればこの機体はさらに強力な武器となってくれるだろう。
「なら、俺の分身も無事かな……」
分身とはいえ、生きているに越したことはない。ひりょは安堵の溜息をついた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
テラ・ウィンディア
◎
シルはどうやらしっかりと役割をこなしているんだな
ならおれも負ける訳にはいかない!
スピード勝負か
良いぜ
おれもそういうのは嫌いじゃない
なぁヘカテ!
【戦闘知識】
機体の動きと癖と陣形の把握
【属性攻撃】
炎属性を機体と武器に付与
UC起動
敵の猛攻は
【リミッター解除・見切り・第六感・残像・空中戦・盾受け】
高速で飛び回り残像を残しながら回避
避け切れない場合は盾で受け止めて受け流し
敵の目玉ビットはガンドライドによる【遊撃・弾幕】で迎撃
【二回攻撃・早業・串刺し】
剣による連続斬撃から槍に切り替えての串刺し
遠距離の敵はブラックホールキャノン召喚
【重量攻撃・砲撃】による重力波砲による迎撃
基本コックピットは外して不殺徹底
●グラビティ
電波塔が無事に制圧されたと聞き、テラは安堵した。
「シルはどうやらしっかりと役割をこなしているんだな。ならおれも負ける訳にはいかない!」
テラとシルの戦いはまだ終わってはいない。むしろ、ここから先が本番だ。未だ姿を見せていない双子の将校が現れるまで、なんとしてもこの迎賓館を守り抜かねばならない。夜空に舞う悪魔のような姿のキャバリア達を捉えたテラはヘカテを急上昇させた。
「猟兵の接近を確認した。排除する」
すると、一機のプロトタイプガーゴイルがビーム・トライデントを構え、猛スピードでテラへと突撃してきた!
「スピード勝負か。良いぜ。おれもそういうのは嫌いじゃない。なぁヘカテ!」
テラは機体とマニュピレーターに握られた紅の剣に焔を纏わせ、敵のチャージを迎撃せんと精神を集中した。
「うおおおおおっ!」
雄叫びを上げながら、ガーゴイルが一直線に突っ込んでくる。
「ユーベルコード起動! グランディアよ…全ての存在がもつ原初の力よ。我が身に宿り力と成せ……! グラビティフィールド……展開!」
超重力のフィールドを纏ったテラは残像だけを残し、槍が命中する直前にガーゴイルの前から消え去った。だが。
「なにっ!」
テラが逃げた方向へとガーゴイルは急速に方向転換し、突撃の軌道を修正してなおも迫ってくる!
「ついて来たか! ならっ!」
テラは激突の瞬間に機体の剣を盾に変形させ、敵の槍を受け止めた。運動エネルギーを吸収され、静止したガーゴイルに向けてすさかず一閃。超重力を上乗せした一撃で翼をズタズタにされたガーゴイルはコントロールを失って墜落・爆散した。
だが、プロトガーゴイルは一機ではない。近くにいたガーゴイル達がモノアイを爛々と輝かせ、三機同時にビームビットで包囲攻撃を仕掛けてきた。
「甘いぞ! その程度の攻撃でっ!」
テラは機体のリミッターを解除し、限界を超えた高速機動で十八基のビームビットの弾幕をすり抜けた。
「これで二機目っ!」
すれ違い様にアンダーフレームを切り裂き、機体を両断する。さらに剣を槍へと変形させ、紅の槍でプロトガーゴイルに近接戦を挑む。ビットのコントロールに集中していたプロトガーゴイルは反応が間に合わず、テラはそのコックピットに焔の槍を――。
「おっと、いけねっ」
ピタリと刃を止めたテラは、突き刺すのはやめて超重力踵落としでガーゴイルの頭部を叩き潰した。……コックピットは狙わない。オブリビオンに洗脳されたパイロットに罪はないからだ。テラはビーム砲の乱射の如き凄まじい速度で突きを繰り出し、ガーゴイル達の四肢や翼を刺し貫いていった。槍にも超重力が付加されている為、高速連射にも関わらずその一撃一撃は凄まじく重い。
「ちっ! あっちにも!」
レーダーを見ると、テラとの交戦を避けたガーゴイルの群れがグランティア軍の方に向かっていた。迎賓館の防御が予想外に厚かったので、せめてグランティア軍にちょっかいをかけようという腹だろう。
「あっちにはシルがっ……! 行かせるかっ!」
テラは姉の身を案じ、巨大なキャノン砲を虚空から召喚した。BSブラックホールキャノン『プルートーの炎』。テラの奥の手である砲撃戦用の巨大兵装だ。
「グラビティ・キャノン! 発射!」
プルートーの炎から空間が軋むほどの超重力の波動が迸る。テラはキャノン砲を薙ぎ払うように動かし、ガーゴイル達を纏めて地上へと叩き墜とした。
「ふう。なんとかなったな」
まだ熱の残るキャノンを虚空へと送還した後、テラはコックピットの中で汗をぬぐうのであった。
大成功
🔵🔵🔵
セツナ・フィアネーヴ
◎
あそこの姫様とは少なからず縁があるし、少し遅れたが私も手伝わせてもらう……!
竜神機ケラヴノスに搭乗、迎賓館より少し距離を取る位置に陣取る。
たとえ機械であろうと、飛んでいるのならば鳥などと同じ……はず。
迎賓館とあいつらの間に《天候操作/吹き飛ばし/マヒ攻撃》の雷を伴う大嵐であいつらの足を止め……「足」?足を止める、でいいのか?(アリシア『いやそれ気にしてる場合じゃないですよ!』)
地へ降りて来るのなら上からのケラヴノスの力による雷と、そして…アリシア、頼む!!
ア『任せてください!どれだけ速くても「見える」ならこの光から逃がしませんよ………さあ、これが、わたしの本気です!【天雷の精霊光】!!』
●雷霆の鋼機
迎賓館の背後に、一機のプロトガーゴイルが迫っていた。猟兵達と部隊の激闘の最中、地上に降りて秘かに市街地を迂回してきたのだ。
「よし、誰もまだ気づいていない……」
あと僅かでビーム・ビットの射程圏だ。迎賓館をモノアイで捉えたプロトガーゴイルの胸部コアが輝いたその時。突然、スコールのような激しい雨が降り注ぎ、プロトガーゴイルの視界を遮った。
「雨……?」
明らかに自然現象ではない雨だった。それにいつの間にか強風まで吹いている。これではまるで嵐だ。連邦正規軍の攻撃か? 天候操作を可能にするような大規模な兵器など自分は知らないが――。
プロトタイプガーゴイルのパイロットがふと空を見上げた時、ソラが光り、蒼い雷が機体を貫いた。
「何!? うわああーーッ!」
ジジーッ!
内部のメカを灼かれたガーゴイルは黒焦げになって機能停止した。
「ふう」
嵐の中心には、竜人を模した漆黒のキャバリアが浮かんでいた。コックピットの中で、セツナ・フィアネーヴは安堵の溜息をつく。
「なんとか間に合ったようですね!」
キャバリアのコックピットに同乗している精霊アリシアが嬉しそうに言った。
「ああ」
強風に揺れる機体を制御しながら、刹那は相槌を打つ。セツナは以前救援作戦に参加したネティシア姫がまた危機に陥っていると聞き、大急ぎで戦場に駆け付けてきたのだ。
突然嵐が起こったのもセツナ達の仕業である。『雷鳴と嵐の巨神』であるケラヴノスには、天候操作の力が秘められている。
「あそこの姫様とは少なからず縁があるし、少し遅れたが私も手伝わせてもらう……!」
セツナは嵐の中心を自身から迎賓館へと移し、暴風の障壁を作り上げた。たとえ機械であろうと、飛んでいるのならば鳥などと同じはず。この暴風ではまともに飛行することはできないはずだ。
「よし。これであいつらの足を止め……『足』? 足を止める、でいいのか?」
セツナはそこがちょっと気になった。生真面目な性分なのだ。
「いやそれ気にしてる場合じゃないですよ!」
アリシアは思わず突っ込みを入れた。
●
「見つけたぞ……! プロトタイプガーゴイルが三機! 下だ!」
『竜神機ケラヴノス』に搭乗し、迎賓館より少し距離を取る位置に陣取っていたセツナは、地上を走行している敵を発見した。大嵐のせいで飛行を封じられたプロトタイプガーゴイルたちはやむを得ず、陸路で迎賓館へと向かっていたのだ。
高速飛行でガーゴイル達に接近したセツナは、上空から敵に槍を向けた。
「……アリシア、行けるか?」
「ええ、任せてください。……さっきからずっとチャージしてたので!」
ケラヴノスの槍の穂先に雷気が迸る。上空に出現したケラヴノスに気付いたプロトガーゴイル達は急いで『悪魔のマシン』モードを起動し、高速走行で距離を取ろうとしたが、上空にいるセツナ達にはガーゴイルの姿がしっかりと視認できていた。
パリパリパリパリ……。
「地上にいるならケラヴノスの力による雷と、そして……アリシア、頼む!!」
「どれだけ速くても『見える』ならこの光から逃がしませんよ………さあ、これが、わたしの本気です! 『天雷の精霊光』((ヘヴンズ・ブラスト))!!』
轟音と共に空を真っ二つに引き裂かんばかりの雷霆が放たれ、プロトガーゴイル達をまとめて飲み込んだ。
大成功
🔵🔵🔵
オリガ・ピスクノヴァ
【ガルヴォルン】
※前回から修理再生したホワイトリンクス借りっぱなし
敵は空飛ぶ機械獣…でなくてキャバリアですか
私自身は地上戦の方が得意ですし
錫華さんがアミシアの補助で跳ぶようですし、地上からの狙撃に専念しますか
錫華さん、存分にやってくださいな
こちらは【オーバーフレーム換装】さらに砲撃戦に特化した機体にして射程を強化
狙い撃つぜ!…です♪
跳んだ錫華機に近付こうとする敵機の翼やスラスターを中心に狙撃
特に側面や背面から来る機体を撃ち落としていきましょう
こちらの対空砲火に気付いた期待が向かってきます?
それもいいカモですよ
「カモというか…まるで七面鳥撃ちですね。撃墜スコアどれだけ伸ばせるかしら?」(くすっ
支倉・錫華
【ガルヴォルン】
ホバー的な飛行はできるけど、
さすがに飛行しながらの戦闘だと、
『ガーゴイル』のほうに地の利があるかな。
「アミシア【スネイル・レーザー】【対空戦闘】モード。
【FdP CMPR-X3】も対空榴弾でお願い。」
『了解。錫華。
行動予測データをオリガ機とリンク。
スラスターの出力コントロール引き受けます』
「助かる。任せたっ」
さすがアミシア、わたしが何したいか解ってるね。
深呼吸ひとつしてから、スラスターを噴かして
『ガーゴイル』部隊に向かってジャンプ。
「飛べないと思った? 残念」
敵に向かってレーザーと榴弾をバラまいたら地上に戻るよ。
「1度目は奇襲。2度目からは狙って迎撃、ってね」
●デビル・ハント
「敵は空飛ぶ機械獣……でなくてキャバリアですか」
「ホバー的な飛行はできるけど、さすがに飛行しながらの戦闘だと、『ガーゴイル』のほうに地の利があるかな」
一旦合流したオリガと錫華は、増援部隊の対処について緊急会議をしていた。キャバリアは基本的には陸戦兵器だ。オーソドックスな量産機であるホワイト・リンクスも空中で長時間飛行を続けられるような兵装は積んでいない。相手が空中戦に特化した機体であるならば、戦い方を工夫する必要があった。
「アミシア、スネイル・レーザー・対空戦闘モード。FdP CMPR-X3(多目的ライフル)も対空榴弾でお願い。」
「了解。錫華。行動予測データをオリガ機とリンク。スラスターの出力コントロール引き受けます」
「助かる。任せたっ」
サポートAIのアミシアはマスターの意図を瞬時に汲み取り、てきぱきと準備を整えた。指示していないオリガ機とのデータリンクもすぐやってのけるあたり、正に阿吽の呼吸だ。
「さすがアミシア、わたしが何したいか解ってるね」
「私自身は地上戦の方が得意ですし、錫華さんがアミシアの補助で跳ぶようですし、地上からの狙撃に専念しますか」
二人の作戦が決まった直後、アミシアは警告を発した。
「こちらに高速接近する機影を確認。プロトタイプガーゴイルが八機です」
「錫華さん、存分にやってくださいな」
「おいでなすったね! 行くよ、アミシア!」
錫華はすう、と深呼吸すると、スラスターを噴かせ、バッタの如き凄まじい勢いで跳躍した。本来ホワイトリンクスには不可能な動きだが、アミシアが機体の限界を見極め、エンジンが自壊しないギリギリの範囲で出力をコントロールしてくれているのだ。
「なんだ!?」
「飛べないと思った? 残念」
ビーム・トライデントを繰り出す暇もなかった。錫華はカタツムリ型の弾倉を持つレーザーマシンガンを零距離で発砲し、プロトガーゴイルのメインカメラを破壊した。スラスターを全力で噴かせ、一瞬だけ滞空。右手でレーザーマシンガン、左手でアサルトライフルを乱射し、残りの七機にも攻撃を仕掛けていく。
「あそこにいるぞ! 落下中を狙え!」
レーザーと榴弾の爆風が乱舞する中、ガーゴイルはビーム翼による機動力を活かし、錫華へと一直線に飛んできた。一時的にリミッターを解除し、通常の三倍の速度で突撃。両手が銃で塞がっている錫華にはビーム・トライデントを防御する術はない。
ドゥン!
「!?」
その時、地上から青白く輝く砲弾が高速で飛来し、ガーゴイルを直撃した。狙撃を受けたガーゴイルは何が起こったかも分からぬまま吹き飛び、ビルに激突して機能停止した。
「狙い撃つぜ!……です♪」
オリガはコックピットの中でウインクした。オリガの機体は今、キャノンフレームへと換装を終え、砲撃戦特化仕様となっている。今しがたガーゴイルを砲撃した攻撃も、機体の両肩にマウントされたレールキャノンによるものだ。
二門のレールキャノン、手持ち武器のRSロングレンジライフル改、そして胸部ビーム砲。換装前の約五倍の火力を実現したオリガ機は、落下中の錫華機の側面や背面から迫る機体のスラスターや翼を器用に狙い、次々と撃ち落としていく。攻撃を意識したガーゴイルは、オリガにとってはカモ以外の何物でもなかった。
「よっ……と」
無事に着地した錫華は商業施設の屋上に陣取り、両手の銃を構える。さっきの乱射で敵はこちらを意識しているはずだ。
「一度目は奇襲。二度目からは狙って迎撃、ってね」
悪魔の群れが錫華へと迫る。再びレーザーと榴弾が火を吹き、悪魔の断末魔が戦場に響いた。
「――あら、気づかれちゃいました?」
オリガは錫華ではなく、こちらに向かって突っ込んでくるガーゴイルを認め、瞬時に照準を切り替えた。スナイパーライフルのトリガーを引き、翼の付け根をぶち抜く。翼を失ったガーゴイルは制御を失い、きりもみ回転して墜落した。
「それもいいカモですよ」
砲撃音。狙撃音。ビームの発射音。オリガの機体が不吉な音を奏でるたび、悪魔は一機ずつ確実に地上に墜ちていく。高速飛行で敵に接近しての白兵戦を想定しているガーゴイルでは、砲撃戦特化のオリガとは些か相性が悪いのだ。――アミシアによる正確無比な行動予測と、それに対応できるオリガの射撃精度があってこその話ではあるが。
「カモというか……まるで七面鳥撃ちですね。撃墜スコアどれだけ伸ばせるかしら?」
残りの弾丸の数を横目で確認しながら、美しき狩人はくすりと笑った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ヒューグリーム決戦の悪魔』
|
POW : 近接攻撃
【爪等の近接攻撃やSOEXCS起動中の突進】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : SFE最大出力・SOEXCS起動
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【装甲】から【炉心安定の為に余剰エネルギー】を放つ。
WIZ : ピコマシン内在モルトアーマー制限解除
【装甲内のピコマシン】を使用する事で、【ピコマシン制御アンテナ】を生やした、自身の身長の3倍の【姿】に変身する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ライアン・フルスタンド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「迎賓館を襲撃してきたプロトガーゴイル部隊は、シグマ連邦正規軍と猟兵たちによって殲滅を確認!」
「敵本隊のユニコーン部隊を撃破したグランティア王国親衛隊と猟兵たちも迎賓館に帰還しました!」
シグマ連邦迎賓館に、次々と連絡が入ってくる。
迎賓館の地下シェルターでその報告を聞いた連邦高官たちが、安堵の息をついた。
「この度は、我が連邦内の反乱で御身を危険に晒してしまい、お詫びのしようもありません、ネティシア姫」
「いいえ、私の方こそ申し訳ありません。あれは私が持ち込んだサンプルが原因の可能性もあります」
互いに謝罪しあっているのは、シグマ連邦の国家元首であるロボットヘッドのフレデリック・アシモフと、グランティア王国の王女、ネティシア・グランティアだ。
シグマ連邦正規軍やグランティア王国親衛隊、それに猟兵たちが敵と戦っているのに、国を率いる自分が避難することなどできないと主張していたフレデリックとネティシアだが、その頑固さを知る周囲の者たちによって、半ば強引に迎賓館の地下シェルターに監禁されていたのだ。
「ともかく、反乱軍が鎮圧されたとなれば、すぐに撃退した正規軍と猟兵の皆さんにお礼を言わねばならんな」
「ええ、私も親衛隊と協力してくださった猟兵の方々に感謝の言葉を伝えてきますね」
フレデリックとネティシアは頷きあうと、地下シェルターを出ていこうとし――。
――突如鳴り響いたサイレンに足を止めた。
『レーダーに二つの反応! 猛スピードで迎賓館に向かっています! この識別コードは、研究所から強奪された開発中のキャバリアっ!?』
レーダー施設からの緊急通信を聞き、フレデリックとネティシアは真剣な表情で駆け出した。
●
「――部下たちは全滅したようだな」
「まったくもー、わたしのおもちゃたちをこわしちゃうなんてひどーい」
研究所から強奪された二機の試作型キャバリア。迎賓館に向かって飛翔する機体の中で、二人のパイロットが通信していた。
今回の反乱の首謀者であるレプリカントの双子の姉妹、キャスティナ・フレイムとルクス・フレイムだ。
「そう言うな、ルクス。猟兵相手は流石に分が悪かったということだ。だが、彼らの遺志は無駄にはしない。私たち姉妹で我々の理想であるロボットだけの世界を作ろう」
「そーだね、キャスティナおねーちゃん! わたしたちの理想がえらいひとたちにはわからないんだよね! そんなえらいひとは、しゅくせーしちゃおう!」
「ああ! 進化した人類である我々こそが世界を導くのだ!」
瞳に冷徹な光を宿すキャスティナが操縦するのは、近接戦闘に特化したキャバリア、『ヒューグリーム決戦の悪魔』。
一方、あどけない表情を浮かべるルクスは、遠距離専用の機体、狂月神機『ディアーナ』を操る。
互いに弱点を補い合うべく開発された最新鋭機は、まさに比翼連理。
「行くぞルクス」
「うん、おねーちゃん!」
二機の機体は抜群のコンビネーションで迎賓館へと迫っていた。
●
「どうやら、敵の首魁が現れたようだな! ここは私自ら指揮をとるとしよう! 行くぞ諸君、今こそ『連邦合体グレートΣ』に合体だ!」
シグマ連邦の国家元首であるフレデリックは、他の議員たちとスーパー合体することにより、シグマ連邦の技術の粋を集めたキャバリア『連邦合体グレートΣ』に合体した。シグマ連邦正規軍の前で両手を組んで威風堂々と立つその姿は、まさにシグマ連邦の守護神だ。
「ゆくぞ、シグマ連邦正規軍の諸君! 敵の近接機は、我らシグマ連邦が相手をするとしよう!」
フレデリックは、キャスティナ少佐の乗るヒューグリーム決戦の悪魔に視線を向けて、力強く叫んだ。
「フレデリック国家元首が戦場に立つのでしたら、私も神聖機グランティアで出るしかないですねっ!」
神聖王国グランティアの王家の象徴たるキャバリア、神聖機グランティアに搭乗したネティシア姫。
操縦席の中から聞こえてくる少女の弾んだ声を聞いて、グランティア王国親衛隊長は頭を抱えていた。
ネティシアは神聖機の長剣を引き抜き、居並ぶ親衛隊機に指示を出す。
「敵近接機はシグマ連邦の皆さんにお任せし、私たちは後衛を叩きます! 神聖機グランティアに続いてください!」
ネティシアの駆る神聖機グランティアは親衛隊を率いて、ディアーナ目指して駆け出していった。
●キャスティナ・フレイム
「いたぞ、あそこだ! フレデリック議長には手出しさせんぞ!」
二機のホワイト・リンクス達がパルスマシンガンを乱射しながら、ヒューグリーム決戦の悪魔へと突撃した。
「その程度か!」
「何ッ!?」
しかし、悪魔は陽炎のようにゆらめき、その場から消えた。瞬間移動じみた速さでホワイト・リンクス達の背後に再出現すると、悪魔は両手の鉤爪を振り下ろし、二機まとめてバラバラに引き裂いた。
「いかん! お前たちは下がれ!」
巨大剣を構えながら、グレートΣとなったフレデリックが叫んだ。
一般兵を瞬殺したキャスティナは機体を飛翔させ、抹殺対象を頭上から見下ろす。
「ーー次はお前だ、フレデリック」
紫色の悪魔は月光を背に浴びながら、ゆらりと構えを取った。
●MSより
三章では、シグマ連邦の最高権力者であるフレデリック・アシモフ議長及び連邦議会議員(議長も議員もみんなロボットヘッドです)が参戦しています。機体は連邦合体グレートΣ。全員で一機の大型キャバリアをコントロールしています。
グレートΣを守るプレイングにはプレイングボーナスが付きます。
また、市街地の建物をうまく利用したり、夜間の暗闇を利用するプレイングにもプレイングボーナスが付与されます。
Gルートでルクスがダメージを受けていくと(成功度が増えると)、キャスティナが動揺するためプレイングボーナスが増加します。
オリガ・ピスクノヴァ
【ガルヴォルン】
※相変わらずホワイトリンクスをレンタル中
指揮官が出てきたのなら、それを討ってしまえばいいだけですのにねぇ
私達が向こう側の傭兵なら、手柄が自分から出てきてくれて万々歳なのですが、守らないといけないのは…別料金ですわね
ともかく、指揮官が巻き込まれる前に、私達で先行して片づけましょう
フレームのセッティングはアサルト形態に
錫華さんの援護を受けつつ私は敵機に突撃していきましょう
装備したミサイルを放ち、マシンガンを乱射しながらローラーダッシュで突撃
錫華さんが足止めした隙をついて懐に入り込み
アームパンチ一閃で装甲を叩き割り
そして離脱しながら、そこめがけて火器フル乱射
これが私の【突撃戦法】です
支倉・錫華
【ガルヴォルン】
なんでこう前線に出てきたがる偉い人が多いのかな。
指揮官が前線に出てくるのは、罰ゲームフラグだよ?
ほら、前線はわたしたちに任せて後方で指揮執って。
相手は近接特化みたいだから、足止め役はわたしかな。
「オリガさん、足止めるから、よろしく!」
借りてるホワイト・リンクスは、
装甲5倍、攻撃回数半分のチューンで『悪魔』を止めよう。
ま、隙さえあれば攻撃もするけどね。
【天磐】で相手の攻撃を受け止めたら【ワイヤーハーケン】を使うね。
「アミシア、絡め取るよ。バランス補正お願い!」
ワイヤーを『悪魔』に絡めて、動きを止めて、
オリガさんに撃ち抜いてもらおう。
コクピット以外になら、当たってもいいからね。
●ガルヴォルン・リンクス
「次はお前だ、フレデリック」
キャスティナはそう宣言し、背中の翼状のスラスターを広げた。だがキャスティナが急降下しようとした瞬間、夥しい数のミサイルがキャスティナの進路を塞ぐような軌道で殺到した。
「チッ!」
その場で躱し切るのは不可能と見たキャスティナは、市街地の上空を不規則な軌道で飛び回り、ミサイルの雨を躱し切った。
「あそこか!」
キャスティナはミサイルを発射した機体を捕捉し、首をぐりんと向けた。敵はホワイト・リンクスだ。
だが、キャスティナ機がそちらに気を取られた隙を狙い、今度は反対側からレーザーが雨あられと飛んできた。反対側にも、もう一機ホワイト・リンクスがいる。
「この程度でッ!」
キャスティナは吠え、機体の周囲にエネルギー・シールドを転換し、高速回転してレーザー・マシンガンを弾き切った。しかし、攻撃が途絶えたかと思ったのも束の間、左右から二機がグレート・Σの前へと飛びこんできた。
「お前達は正規軍のパイロットじゃないな。ゲテモノめ」
防御フィールドとレーザーとの衝突で発生した白い蒸気を噴き上げながら、キャスティナは悪態を吐いた。
オリガと錫華の機体は二機ともホワイト・リンクスだが、どちらも無茶苦茶なチューンナップが施されている。元の機体とはほとんど別物といっていいほどだ。
グレートΣの前で合流した二機は、レーザーと砲弾の弾幕を張り、ヒューグリーム決戦の悪魔の接近を阻む。
「なんでこう前線に出てきたがる偉い人が多いのかな。指揮官が前線に出てくるのは、罰ゲームフラグだよ?」
レーザーを撃っている方の機体の外部スピーカーから、錫華の呆れた声が聞こえた。
「指揮官が出てきたのなら、それを討ってしまえばいいだけですのにねぇ。私達が向こう側の傭兵なら、手柄が自分から出てきてくれて万々歳なのですが、守らないといけないのは……別料金ですわね」
もう片方の機体に乗っているオリガも呆れ声だ。
VIPは大人しくすっこんでろ。プロの諜報員と看護兵の意見は厳しかった。
「ご助力感謝する。し、しかし、だな……合体とか、大将同士の直接対決にはロマンがあると思わんかね?」
グレートΣをコントロールしているフレデリックはしどろもどろになりながら二人に反論した。
「ない。いい的じゃん」
「ありません。だいたい、高官同士で合体してどうするのです。まとめてやられたいのですか?」
錫華とオリガはフレデリックの主張を一蹴した。
「ぐむう……ネティシア王女は理解を示してくれたのに……」
「ほら、前線はわたしたちに任せて後方で指揮執って」
「ボーナスは弾んで下さいね♪」
(無駄にでかい)グレートΣは二人に追い払われるようにすごすごと引っ込んでいった。
「逃がすか!」
「オリガさん、足止めるから、援護よろしく!」
相手はどうやら近接戦闘に特化した機体のようだ。足止めには白兵戦仕様の錫華の機体が適している。錫華は片刃の剣『歌仙』とファンクションシールド『天磐』を抜くと、勢いよくヒューグリーム決戦の悪魔へと突っ込んだ。
「私に白兵戦を挑むか! 面白い!」
キャスティナの機体は獣のように前傾の姿勢を取り、跳躍して錫華を迎え撃った。機体の重量を活かし、叩きつけるように爪を振るう。錫華は盾でクロー攻撃を受け止めると、剣を振り上げ、頭部を狙った。だが、キャスティナの機体は鉤爪で容易く剣を払いのけ、空いた手で錫華を狙う。錫華はその一撃をユーベルコードで強化された機体の手甲で受け流した。二機は互いの位置を入れ替えながら激しく切り結ぶ。
「さて、私も」
空になったミサイルランチャーや砲撃戦仕様の重装備をパージし、オリガの機体は突撃戦仕様の『アサルト形態』へとチェンジした。
「参ります♪」
オリガはマシンガンを乱射しながら、脚部の車輪を利用したダッシュでヒューグリーム決戦の悪魔へと突撃し、横合いから拳を機体の脇腹へと叩き込んだ。
バキン! オリガ機の渾身のパンチが直撃し、ヒューグリーム決戦の腹部の装甲が割れた。オリガはさらに蹴りを入れ、その反動を利用して再びを距離を取った。キャスティナは反射的にオリガ機を追おうとするが、錫華が即座に盾で殴りつけてそれを阻んだ。
「このッ……!」
「今だ!」
キャスティナの反撃を盾で受け止めた瞬間、錫華は剣を手放し、盾の裏からワイヤーガンのトリガーを引いた。飛び出したワイヤーは、オリガが露出させたヒューグリーム決戦の悪魔の肩へとしっかり突き刺さった。
「何!?」
「アミシア、絡め取るよ。バランス補正お願い!」
「了解!」
錫華は機体のスラスターを全開にして飛び上がると、ぐるぐるとキャスティナの周囲を超高速で旋回した。ワイヤーガンから出ているワイヤーはみるみるうちにヒューグリーム決戦の悪魔へと絡まっていく。錫華は仕上げとばかりにシールドで機体を弾き飛ばし、ビルに引っ掛けて吊り上げた。
「くそっ! こんなものっ……!」
キャスティナは機体のパワーを全開にし、ワイヤーを振りほどこうと試みる。だが、キャバリア三機分の重量をも吊り上げる特製ワイヤーを数秒で振りほどくことは叶わなかった。
「オリガさんッ!」
「これで仕留めますわ! これが私の『突撃戦法』です!」
オリガはここぞとばかりに、装甲の隙間目掛けて両手のマシンガンと機体胸部のビーム砲を乱射した。手持ちの火器の全弾発射。銃身が焼け付き、エネルギーが空になるまで、撃ちまくる!
「う、うおおおおおおッ!!」
ガラガラガラガラッ!
銃火器の洗礼を浴びたヒューグリーム決戦の悪魔は、ビルの倒壊に巻き込まれ、瓦礫の下へと消えていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
◎
【POW】で判定
「鋼のからだだろうとお前も戦う意志と守りたいという思いがあるから戦うんだろうが……そこは俺と同じはずだろうが!!」
叫びながら機体を飛翔させ、【制圧射撃】による牽制をしグレートΣから気注意をそらす。
【拠点防御】のスキルでグレートΣを守るための動きをしつつ、【戦闘知識】で整理した市街地の情報をもとに建物で射線を切りながら牽制していくぜ
【オーラ防御】で防御を固め、相手の動きを【見切り】ながら、相手との距離がつまってきたら、牽制しながらブースト全開で突進。
「目を覚ますまでぶん殴ってやるぜ!!」
相手の攻撃を【武器受け】しユーベルコード【ドラゴニック・オーバーエンド】を発動してぶん殴る!
●激戦
「や、やったのか?」
ビルの倒壊の直後、まだその辺にいたグレートΣがビルの陰からひょっこり顔を出した。
「まだだっ!」
「何ッ!?」
瓦礫の下から飛び出したヒューグリーム決戦の悪魔は、稲妻めいた速度でグレートΣを強襲した。フレデリックは慌ててバルカン砲を発射したが、キャスティナはエネルギーフィールドで銃弾を弾き返し、フレデリックの頭部目掛けてクローを振り上げた。
「もらった!」
「させるかぁあああああ!」
その瞬間、上空から電磁徹甲弾の雨が降り注ぎ、ヒューグリーム決戦の悪魔を上から殴りつけた。キャスティナの機体はバランスを崩し、地上へと落下していった。
「クソッ! よくも邪魔を……!」
「流石に頑丈だな!」
間一髪グレートΣのガードに成功したガイはすさかず斬艦刀を抜き、起き上がってきた敵機へと斬りかかった。キャスティナは超人的な反応速度を以てクローで燃える刀を受け止め、ガイの『スターインパルス』と鍔競り合う。
「人間がっ……! 私達の邪魔をするな!」
キャスティナは大きく機体の腕を振り、スターインパルスごと刀を後方へと吹き飛ばした。ガイは左手でパルスガンを乱射しつつ、機体を上昇させながらキャスティナへと叫ぶ。
「鋼の体だろうとお前も戦う意志と守りたいという思いがあるから戦うんだろうが……そこは俺と同じはずだろうが!!」
キャスティナは空中に逃げたガイを追い、翼を広げて突っ込んできた。だが、それこそがガイの狙いだ。まずはキャスティナをグレートΣから引き離す。ガイは背後に向かってパルスガンを発砲しながら、スラスターを全開で吹かせ、キャスティナの注意を引いた。
「おのれ! このヒューグリーム決戦の悪魔から逃げ切れると思うなよ!」
キャスティナはスラスターを全開にし、ガイとの距離を詰めて来る。自慢するだけあり、このオブリビオン・マシンは途轍もなく速い。しかし、ガイのスターインパルスとて、高機動戦闘を想定して組み上げられた機体だ。そう易々とは捕まらない。ガイは敵のクローを刀で受け止めるたび、反動を利用して加速し、再び距離を取る。ガイは市街地の中を何度も曲がりながら飛行し、キャスティナの射線を切り続けた。
「ちょこまかとっ……! いつまで逃げ回るつもりだ!」
キャスティナが何度目かの曲がり角を曲がったその時だった。
「かかったな!」
曲がり角で待ち構えていたガイはオーラを全開で纏い、今度はキャスティナに向かって最大速度で突進した!
「何ッ!?」
この突撃はキャスティナにとって予想外の攻撃だった。スターインパルスと正面衝突したヒューグリーム決戦の悪魔は、一瞬強烈な衝撃で電子機器に異常が生じ、静止した。それは一秒にも満たぬ刹那であったが、ガイにはそれで充分だった。
「目を覚ますまでぶん殴ってやるぜ!! 燃えよ! 灼熱の炎! 猛れ! 漆黒の雷! 全てを……砕けぇ!!」
ガイの闘志に呼応し、スターインパルスの両の拳が紅蓮の炎と漆黒の雷に包まれる。解き放たれしユーベルコードの名は――。
『ドラゴニック・オ-バーエンド!』
ガイの拳のラッシュと共に放たれた炎と黒い雷の龍は連続で大爆発を起こし、ヒューグリーム決戦の悪魔を吹き飛ばした。
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
私たちも出ますよー!
かもんっ!『ファントムシリカ』!
高機動の近接型とか!
Pシリカの操者的にも見逃すわけにはいきませんね!
エンジェライトスラスター起動!
外れてもいいからヒューグリームに突撃です!
注意をこちらに引いたら市街地に着陸
闇に紛れるのはクノイチの専売特許ですよ!
ミニシリカ、今の内に索敵ソナーとジャマー撒いて!
建物の影から不意打ちで!
その際にファントムクォーツユニット使用
さて、どれが本物でしょうか!?
躊躇ったその一瞬、いただきです!
「強き一撃は悪魔をも砕く! 参ります!」
ヒューグリームの近接攻撃に
フローライトダガーによる攻撃力重視の【疾風怒濤】で
真っ向から勝負です!
※アドリブ連携OK
テラ・ウィンディア
そうか
お前等双子なのか
ならば…おれとシルの双子で引導を渡すのが道理だよな?
【属性攻撃】
炎を機体と武器に付与
【戦闘知識】
キャスティナの戦いの記録を確認
更に今の動きと癖の分析
【見切り・第六感・残像・空中機動・盾受け】
高速で飛び回りながらもグレートΣに意識を持たせないように常に猛攻を仕掛けつつ反撃や攻撃は飛び回り回避
おれも近接は好きだがそれだけだと負けそうだな
だから…色々やっちゃうぞ!
UC発動
【遊撃・弾幕】
ガンドライド展開
銃撃で行動範囲を限定させ
【二回攻撃・早業・串刺し】
超高速で剣による連続斬撃から槍に切り替えて連続付きから串刺し
【重量攻撃・砲撃】
重力を纏った踵落としからブラックホールキャノン!!!
ミレア・ソリティス
◎
敵は高速近接戦型かつ微細機械制御技術搭載機。
既に友軍、それも重要人物が交戦中。
……了解しました。ミレア・ソリティス、これより支援に入ります
まずは独立稼働防衛砲台ユニット『ヴィントシュティレ』を転送、誘導弾弾幕を展開させつつ、バリア展開し友軍機の盾として庇わせます
同時に、直撃に寄らず起爆と同時に散布されるジャミング効果狙いの『ジャミングミサイル』を発射します
その後UC【コード・モルフェウス:LD】を起動。
周辺領域へとハッキングを行い、周辺領域の半電脳領域化を実行、
その後内部の「事象」つまり敵の構造体や敵認識、敵攻撃軌道へ干渉しての妨害と、友軍に生じた損傷を「書き換え」修復補填を行います
●最終決戦(Σ)
「くそっ! やってくれる……!」
爆炎の中から姿を現したヒューグリーム決戦の悪魔は、もはやゾンビのような有様だった。装甲のあちこちが剥がれ落ち、内部のメカが露出している。機体が限界を迎えるまでは恐らくあと一押しだ。
「まだ止まってない! トドメを刺すんだ!」
シグマ連邦軍のキャバリア達はマシンガンを一斉に放ち、ヒューグリーム決戦の悪魔へと集中砲火を浴びせた。
「愚か者め! 猟兵ならいざ知らず、貴様ら如きに私が討てるものか!」
ヒューグリーム決戦の悪魔は巨大な光球を身に纏った。
「いかん、総員、退避――!」
「遅い! みんな蒸発してしまえ!」
キャスティナの叫びと共に、破壊のエネルギーがシグマ連邦軍へと放たれ、連邦軍の一般兵達は壊滅――しなかった。
「間に合ったようですね」
キャスティナの攻撃を受け止めたのは、ミレア・ソリティスの独立稼働防衛砲台ユニット『ヴィントシュティレ』のバリアだった。
彼女はユニコーン部隊の掃討作戦の後、シグマ連邦軍側に合流しに来たのだ。
「敵は高速近接戦型かつ微細機械制御技術搭載機。既に友軍、それも重要人物が交戦中。……了解しました。ミレア・ソリティス、これより支援に入ります」
ミレアはヴィントシュティレから誘導弾を雨あられと放つ。爆撃に晒され、キャスティナの視界が土煙に包まれた。さらにミレアはジャミング・ミサイルを放ち、ヒューグリーム決戦の悪魔のレーダーの機能も削ぎ落しにかかる。
「おのれっ……! 邪魔をするならまずは貴様から始末してくれる!」
ヒューグリーム決戦の悪魔の全身が赤く輝く。
「なんだ……!? 機体が大きくなっていく……」
連邦兵達の間にどよめきが走る。目の錯覚などではなく、装甲内のピコマシンを励起させたヒューグリーム決戦の悪魔は実際に三倍ほどのサイズまで巨大化していた。
「コード・モルフェウス、アクティブ。半電脳領域を限定構築。領域内対象への直接干渉を開始します」
しかしミレアは慌てることなく冷静にユーベルコードを発動した。
「なんだ!?」
すると、みるみるうちに敵機が縮み、元の大きさへと戻ってしまった。ミレアは周辺領域へとハッキングを行い、周辺領域の半電脳領域化することで、空間内の敵のユーベルコードを無効化したのだ。思った通り、敵の変身能力とミレアのユーベルコードは相性が良かった。
「さらに、友軍に生じた損傷を『書き換え』、修復補填を行います」
ここはすでにミレアの領域。シグマ連邦軍の機体の損傷すらも動画の逆回しのように治癒していった。
●
「私たちも出ますよー! かもんっ! 『ファントムシリカ』!」
ミレアと一緒にこちらに移動してきたサージェ・ライトが叫ぶと、彼女の操る機体、『ファントムシリカ』も主の呼び声に応えて再出現した。
「高機動の近接型とか! Pシリカの操者的にも見逃すわけにはいきませんね!」
「いよいよ決戦だね、お姉ちゃん! 宝石三姉妹の力で撃破だよ!」
「了解。大姉、小姉。はしゃぎ過ぎないように」
サージェのキャバリアに宿る魂シリカも、サポートAIのミニシリカもやる気だ。ここはこちらも姉妹の絆を見せつけてやらねば!
「エンジェライトスラスター起動!」
白い光の尾を引き、翼状のスラスターを展開したサージェはヒューグリーム決戦の悪魔へと突撃した。
「くそっ! 新手か!」
キャスティナは激突寸前で身を躱した。サージェは通り過ぎた勢いのまま、一旦市街地に着地する。そのまま全力疾走し、夜の闇に紛れて消えた。
「闇に紛れるのはクノイチの専売特許ですよ! ミニシリカ、今の内に索敵ソナーとジャマー撒いて!」
「了解」
サージェの機体はジャミングに注力した。ミレアとの二重の妨害により、サージェの気配はキャスティナ機のレーダーから完全に消失した。
「どこに消えた!」
キャスティナは上空からレーダーでサージェの行方を探すが、レーダーは沈黙するのみだ。
「……そこだっ!」
キャスティナの背後から何かが飛んで来る気配に反応し、振り向くが――。
「何だと!?」
飛び出してきたファントムシリカはなんと数十体に増殖していた。
「ファントムクォーツユニット! さて、どれが本物でしょうか!?」
●
「そうか。お前等双子なのか。ならば……おれとシルの双子で引導を渡すのが道理だよな?」
ヘカテイアのコックピットの中で、テラは静かに呟いた。相手が双子だというのならば自分も黙ってはいられない。
テラはサージェが戦っている間、必死にシグマ連邦軍のデータベースを漁り、キャスティナ・フレイム少佐の過去の戦闘記録を調べていた。記録を検索しながらも戦いの様子を観察し、キャスティナの癖や過去と今の動きの違いを分析していく。
「よし! そろそろおれも出るぞ!」
機は熟した。テラはヘカテイアの剣に焔を纏わせ、ヒューグリーム決戦の悪魔へと斬りかかった!
「くっ!」
だが、背後からの一撃だったにも関わらず、キャスティナはテラの初撃をクローで弾き返した。
「次から次へと……! 墜ちろ!」
一瞬でテラの視界から消えたキャスティナはテラの背後に再出現し、両腕のクローを振るう。
「やるな! けどっ!」
ヘカテイアとヒューグリーム決戦の悪魔は剣と爪で激しく打ち合いを開始する。
だが、接近戦ではキャスティナの方に分があるようだ。ヒューグリーム決戦の悪魔はセラのヘカテイアと、サージェのファントムシリアの二人がかりの攻撃を機動力と両手のクローで凌いでいた。
「むむむ、機体の性能は向こうの方が上ですか!」
サージェが唸る。
「おれも近接は好きだが、それだけだと負けそうだな。だから…色々やっちゃうぞ!」
その瞬間、ヘカテイアの背中から三基の浮遊砲台が飛び出した。
三つの砲台は檻を作るようにビームを連射し、キャスティナの機動を制限する。生じた隙を突き、テラはヘカテイアの剣を槍へと変形させ、猛烈な勢いで刺突を連打した。
ガガガガガガ!
捌き切れなかった刺突がヒューグリーム決戦の悪魔の装甲を抉っていく。
「ぐあああああ! まだだ!」
だが、まだキャスティナの眼は死んでいない。キャスティナは奥の手のローキックを放ち、ヘカテイアの体勢を崩そうとした。
だが、テラは未来予知の如き勘の良さで機体をジャンプさせ、下段蹴りを躱した。
「なっ……!」
「そう来ると思った」
テラは事前のデータ収集で、キャスティナが劣勢になった時蹴りを打つ癖を見つけていたのだ。
ヒュン。
テラのカウンターの一刺しがヒューグリーム決戦の悪魔の右腕を付け根から吹き飛ばした。
「いただきです! 強き一撃は悪魔をも砕く! 参ります!」
その瞬間、疾風怒濤の勢いでファントムシリカのフローライトダガーが唸り、ヒューグリーム決戦の悪魔のコアを切り裂いた。
「あれ? 私は一体何を……」
その時、コックピットから幼い少女の声が聞こえた。たぶん、これが本来のキャスティナなのだろう。
「良かった! キャスティナ、正気に戻ったのか!」
セラは安堵の溜息をついた。
「待ってください! まだ終わっていないみたいです!」
ビービービービー。
けたたましいアラート音と共に、ヒューグリーム決戦の悪魔が明滅し始めた。
機体が激しく損傷したことでパイロットは正気を取り戻したが、オブリビオン・マシンの破壊の意志はまだ死んでいない!
「あいつ、自爆する気か!」
「まずい! キャスティナさんは助けないと!」
●
ビカビカと明滅するヒューグリーム決戦の悪魔。その時、市街地を駆け抜け、一人の猟兵がヒューグリーム決戦の悪魔の前へと現れた!
ドゥッ!
「この人は私が安全な場所までお連れします。早くオブリビオンにトドメを」
ブラスターランチャーでコックピットのハッチをこじ開けたミレアは、キャスティナを担ぎ、全力で遠ざかっていった。
「……!」
なおも諦めていないのか、ヒューグリーム決戦の悪魔は無理やり起き上がろうとしている。
「しつこいやつだな! これでも食らえ!」
テラは高重力を纏った踵落としをオブリビオン・マシンへと叩き込み、頭部を吹き飛ばした。
『リミッター解除……グラビティリアクターフルドライブ……!』
テラは猛スピードで空へと舞い上がり、重力砲を構えた。
「ブラックホールキャノン……起動……! とっておきだ! たっぷり味わえー!』
ドウッ!
次の瞬間、超重力の砲弾がヒューグリーム決戦の悪魔を飲み込み、忌まわしきオブリビオン・マシンの片割れはついに塵となったのだった。
大成功
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