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どのみち君たちの命はここで終わる

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 ダークセイヴァーの世界の中では、その町は比較的穏やかで、豊かだった。
 町には備蓄もあり、人々はみな温厚。
 だからこそ、近くの村がオブリビオンに焼き滅ぼされたと聞いて、彼らは焼け出された村人を町に受け入れることを決断した。
 空き家を整備し、備蓄の食糧も準備して。
 あとは村人の到来を待つのみ――もうすぐ村人が町へやって来るという時に、幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』は町へ姿を見せる。
 町を満たす蝶は彼らの命を奪うことはなく、命以外のほとんどすべてを奪い取った。

 動くことも出来ず、末端や内臓が腐敗する。
 食事を摂ることは叶わず、栄養が偏り。
 不衛生さを取り払うことも出来ないまま、終わりは迫る。


 ――予知の情報を伝えたタハニ・クルツリンガー(乱暴者は乱舞する・f03635)は、しばらくの間、沈黙した。
「……優先順位で片づけていくしかないんだ」

 現在の町は、疫病が蔓延し不衛生で、人々は生きてはいるが、命が残っているだけという状況だ。
「体力の消耗が酷いんだ――助けることは、諦めてくれ」
 町の人々は、誰一人として、もう助けることは出来ない。
 そして疫病の蔓延したこの町へ、村を燃やされた人々は向かっているのだ。

 村人は村をオブリビオンに燃やされ、着の身着のままで町を目指している。
 目指していた町のそばに人里はない。村人を町へ受け入れなければ、彼らは野垂れ死ぬしかなくなる。
 しかし、今のまま町へ向かえば、町にいるオブリビオンに嬲られた上に疫病に命を落とすことになってしまう。
 町のオブリビオン、幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』は『暗闇の獣』を用いて町を見張り、町を訪れる者は誰であれ倒そうとすることだろう。
 いくら猟兵であっても、幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』と『暗闇の獣』を同時に相手取ることは難しい。
「そこで、皆には『暗闇の獣』が町の警邏をするタイミングで襲撃を仕掛けて欲しいんだ」
 こうすることで『暗闇の獣』と幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』を分断、連戦にこそなるが確実に敵を倒すことが出来る、とタハニは言う。

『暗闇の獣』が警邏をするのは真夜中と決まっているようだ。
 真夜中の市街地で『暗闇の獣』を掃討し、次いで病院を根城にしている幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』を撃破する流れとなるだろう。

 ――暗闇の獣を、幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』を倒しても、町に村人を受け入れることは出来ない、とタハニは語る。
「町には疫病が蔓延している。……原因は、町の人たちだ」
 もっと早くこの事件に気付くことが出来ていれば、町の人々を根気強く癒し、疫病を根絶することは出来たかもしれない。
 しかし、病気を治すだけの体力が、もう町の人々には残っていない。
 彼らの命はここで終わるよりほかないのだ。

「寝たきりで苦しんで、もう死にたいってヤツもいる……そいつの願いを叶えるかは、任せるぜ」
 鈍く、グリモアが輝いた。


遠藤にんし
今回はダークセイヴァーです

第一章は深夜の市街地で集団戦『暗闇の獣』、
第二章は深夜~未明の病院にて幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』との戦闘、
第三章は町の人々を看取り、弔う内容となっております

●特記事項
町の人々は全員疫病に感染しており、数日以内に全員死亡します
緩和ケアを行うことはできますが、その場合も数日以内に全員死亡します
どのようなユーベルコード、【医術】、その他の道具や手技を用いても、疫病を癒すことは出来ません
どのようなことをしても、町の人々は数日以内に死亡します
死期を早めることは可能ですが、遅くすることは出来ません

一人でも町の人が生き残っている場合、町へ訪れた村人は全員疫病にかかり、数か月~1年以内に全員が命を落とします
町の人が全員死亡した後で村人を町に受け入れることで、村人への疫病感染を防ぐことができます
猟兵が疫病にかかることはありません。

皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております
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第1章 集団戦 『暗闇の獣』

POW   :    魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山理・多貫
【アドリブ歓迎/NGなし/他PCとの絡み歓迎】

酷い、状況ですね。
仕方が無い……とはいいません。
私達の力不足を……未熟さを胸に抱きできる限りのことを致しましょう。
――お仕事、開始です。

愛銃のヤタガラスを武器に戦闘開始――。
闇にまぎれて奇襲&ヒット&アウェイ

無表情のまま淡々と
理性的にシステマチックに
最も効率のよいとおもう攻撃方法で敵を減らしていきます。


當良邑・祈
 ダークセイヴァーでの夜は他の世界よりも昏く空気も淀んでいるように感じる。息苦しく感じるのは、この世界の空気のせいか、オブリビオンのせいか、それとも今回の予言のせいか、

 手筈通りに警邏を待つ、すぐには手を出さず、単独で離れた所にいるモノを優先して狙っていく。
 騒ぎが大きくなって乱戦となる前に一匹でも数を減らすために機械脚を使用して暗殺に徹していく。

 暗殺に失敗、また各地で戦闘が開始すれば、霍乱に移行する。ロープを使って市街地の屋根等を駆けながら、手裏剣の投擲で広い範囲、多くの敵にちょっかいをかけて回る。
 こちらの数や位置を誤認させ、注意をそらし、増援や連携を乱していく。

(連携・改変OK)


リーヴァルディ・カーライル
…ん。間に合わない、か…。
気にするな、とは言わない。悔やむな、とも…

だけど、私達次第で救える生命はまだある以上、
ここで足を止めて悔やんでいる時間は無い…。

事前に防具を改造し暗視能力を強化
呪詛の力を溜めて【影絵の兵団】を二重発動(2回攻撃)
第六感に訴え、影兵の存在感を無視できなくなる誘惑の呪いと、
影兵が攻撃を受けた時、自爆して敵の傷口を抉る呪いを付与

…姿が見えなくても、闘いようはある
首領者がどちらか、教えてあげる…

獣が潜んでいそうな場所を見切り、
他の猟兵より先に影兵を向かわせ囮にする
敵を発見したら怪力を瞬発力に変えて敵に接近
大鎌をなぎ払い生命力を吸収して仕留める

…逃げても無駄。決して容赦はしない



 町は広く、丁寧な手入れを受けていたことを思わせる。
 活気がないのは深夜だからではなく、この街で活動する人間が絶えて久しいから……死臭が漂うのも時間の問題と思える町を見て、山理・多貫(吸血猟兵・f02329)は声を漏らす。
「酷い、状況ですね」
 仕方がないとは言えない。
 グリモア猟兵の予知が間に合わなかったことも、猟兵たちに彼らを救う手立てがないことも、すべては未熟さゆえ。
 無表情ながらもそんな思いを胸に抱く多貫を見て、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は過去を刻む大鎌を手に、暗闇の広がる町を見やる。
「気にするな、とは言わない。悔やむな、とも……」
 だけど、とリーヴァルディの言葉は続く。
「私達次第で救える生命はまだある以上、ここで足を止めて悔やんでいる時間は無い……」
 紫の眸は、暗闇の中に潜む獣の影を捉え、機会を伺う。
 ――機会を伺うのは當良邑・祈(サイボーグの化身忍者・f09602)も同じ。
 祈は重苦しさを取り払いたくて空を仰ぐが、どの世界よりも昏く見えて気持ちが澱むものだった。
「私は奇襲を仕掛けます」
 羽手裏剣を手に祈は言うと、町の外れへと向かう。
 警邏の獣たちの息遣いが辺りで聞こえるよう。祈が目を凝らせば警邏の獣が散会するのが見え、奴らがそれぞれに動き出すのを認めてから祈は手裏剣を放つ。
 肉へと食い込む湿った音と共に獣の呻きが上がる。
 手裏剣の軌跡を辿ろうとした獣が祈の姿を認めることが出来なかったのは、その両目に手裏剣が突き立てられたから。
 視力を奪った祈はそのまま命をも奪い取り、機械化された脚部を軋ませ次なる場所へと移動を行う。

「――お仕事、開始です」
 祈と別れてすぐに、多貫は怨念を持つ弾丸を解き放つ。
「……食い破りなさい」
 リーヴァルディの作り出す影絵の兵団は軍勢となり獣どもへ殺到、獣どもは獰猛な唸りと共にそれを迎え入れた。
 兵団そのものは決して強力ではなく、響き渡る咆哮によってあっという間に散る程度のもの。
 しかし。
「ヴゥ――ッ!?」
 獣どもの驚愕は、兵が連鎖的な爆発を引き起こしたことによって。
 リーヴァルディが含ませた呪いのために自爆して獣の肉を裂く。
 傷を受け動きの鈍ったところを多貫が狙撃、命中したかどうかも確かめずに多貫は死線を退いて次の敵に狙いを定め、頭部へ銃口を向けて引金を引く。
 再び退却――その動作に無駄はなく、何の情動も滲まない。
「……姿が見えなくても、闘いようはある。首領者がどちらか、教えてあげる……」
 影兵を警戒してか獣はどこかへ潜んだようで、リーヴァルディの視界には誰もいない町が広がるのみ。
 そんな中でリーヴァルディは影兵を放ち、物陰や暗がりに逃げ込んだ獣を狩り出した。
 爆発しては獣を巻き込む影兵が厄介だと感じてか、獣は影兵を操るリーヴァルディ自身を討とうと血塗られた爪を研ぐ。
 ――だが、結局その爪がリーヴァルディを引き裂くことはない。
 それは影兵が獣を魅了するからであり、多貫、そして祈が闇に紛れて弾丸と手裏剣を叩きつけ、それによって獣が機動力を奪われているからだった。
 効率を重視して攻撃を無差別にばら撒き続ける多貫と祈が戦場を混乱させ、凶悪な爪は狙いを定めきれずに辺りの塀を破壊し、木々を倒すばかり。
「……逃げても無駄」
 背中を向けた獣へと、怪力を瞬発力へ替えてリーヴァルディは迫る。
「決して容赦はしない」
 背中を引き裂かれた獣の未来は、そこで閉ざされた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヴェル・ラルフ
サンディ(f03274)と参加

助け合って生きていく…この世界ではそれすら簡単じゃない
心苦しい決断を迫られそうだけど、今はなにも考えずに、この呑み込めない気持ちをぶつけよう

[目立たない]ように隠れながら[暗視][追跡]で獣を探索

敵を目で捕捉したら【残光一閃】で動きを止める
サンディ、任せたよ

サンディが確実に仕留めたところでUC解除
まだ息があればナイフで確実にとどめをさす
サンディの背中は守らなくちゃね

ここで手こずってられない。
僕らにできることは、一刻も早く…決断を下すこと。一人でも多く、助けるために。


サンディ・ノックス
ヴェル(f05027)と参加

この世界において他人に手を差し伸べるのはとても勇気のいる決断のはず
地力があったって簡単にできることじゃない
そんな人達になんてむごいことを…

彼らを救えないのはわかってる
地獄をもたらしたオブリビオンの生存が許せない、だから戦う


物音を立てないよう細心の注意を払って獣探し
僅かな光があれば【暗視】するのは充分
【第六感】を働かせ獣の位置のアタリをつけられたらいいな

獣を見つけたら武具と一体化
黒基調の全身甲冑姿へ変身、ヴェルが獣の動きを止めるまで息を殺して待つ

動けなくなった獣は攻撃力重視した『解放・宵』で確実に【暗殺】
一撃で仕留められなくても【傷口をえぐ】り内臓を潰せばいけるだろう



 夜と闇に覆われたこの世界において、他者に手を差し伸べるのはどれだけ勇気の要ることだったか。
 簡単ではないはずの決断を下した町の人々は、しかし――ヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は努めてその先を考えるのをやめ、サンディ・ノックス(飲まれた陽だまり・f03274)と共に、静かに町へと這入り込む。
 目立たないように、物音を立てないように。
 申し訳程度の蝋燭があれば暗視には充分。サンディが先導した地点へ行くとそこには獣の姿があり、ヴェルは闘気を獣めがけて投擲。
「サンディ、任せたよ」
 鎖状の闘気が張りつめ、獣の動きを封じる。
 甲冑姿へ変容していたサンディはヴェルの言葉にうなずきを一つ返すと刃を煌かせ、
「さぁ、宴の時間だよ」
 獣の腹に一筋。
 肉の薄い腹はえぐられるとあっという間に臓物を散らし、飛散したそれを踏み潰すことでサンディは獣の命を断ち切った。
 ――鎖が解け、息つく暇もなくヴェルは再び別の獣を捕捉。
 すべきことは同じだ。ヴェルが捕らえ、サンディが殺す――サンディの甲冑を割って中の柔らかな肉体を破壊しようと獣は爪を振り上げるが、ヴェルはサンディの代わりに爪を受け止め、ナイフで脳天を貫いた。
「ヴェル、大丈夫?」
 夕紅の装束を内側から赤黒く汚すしたのは、ヴェル自身の血液。
 決して浅くはない傷を負ったヴェルにサンディは不安げな表情を浮かべるが、ヴェルは夜風にマフラーをなびかせ立ち上がる。
「平気だよ。サンディは怪我はないね?」
 問われてうなずくサンディは、ヴェルの抱く覚悟を感じ取って玉桂の小刀を握る手に力を籠め直す。
 自分の血と、返り血と、相手の臓腑と。
 二人の刃を握る手は血にべたつき、漂う血の臭いは不快感をもたらす。
 受けた傷の痛みが疼こうとも立ち止まるわけにはいかず、背中合わせに二人は死を積み重ねる。
 この町を地獄に変えた敵の生存を拒むために。
 一刻も早く、決断を下すためにも。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ライザー・ヴェロシティ
金さえ貰えるなら俺はそれでいい
……死にてぇ奴から名乗りでな!


使用ユーベルコードは【Storm of Ghis Ghan】
どうせ獣なんぞは名乗れねぇだろ
有無を言わせず風の魔法刃で切り刻むぞ

戦闘スタイルは"属性攻撃"の技能で
風を纏うルーンソードと同じく風を纏う黒剣の二刀流だ


●見えざる狩猟者への対処は
"聞き耳"技能で獣の動く音を聞いて場所を判別
そこにユーベルコードの刃を叩き込む
「足音がうるせぇ、よく聞こえんだろうが」

それと聞き耳の技能で聞こえる住民の声はどんなに小さくても聞いといてやる
例え呻き声だろうがなんだろうが、そん中に情報があるかもしれねぇ……
理由は、それだけだ

アドリブや他の猟兵絡みは歓迎だぜ


ライラック・エアルオウルズ
…割り切る事が出来たら、どんなに良いか
そうは思っても、僕にはどうしてもそれが出来ない
…けど、向き合う事位は出来る筈だから、やるよ

【SPD】(カウンター・騎乗・ダッシュ)

町の人を思えば、吐く息は重くなるけど
『黄金色の心』で召喚した獅子を撫で、
その勇敢さに倣う様にして自身を奮い立たせよう

…獣を相手にするには、獣が一番だろうからね
獅子に騎乗して素早く町中を移動し乍ら、
その背で僕は『花の歌声』での援護をするよ
敵の攻撃や行動を阻害しつつ、
出来る限りに多くの敵の体力を削りたいね

獣が叫ばんとする様子を見て取れば、
獅子を奔らせて首へと思い切り噛み付いて阻害を

悪いけど、静かにしてくれるかい
…皆、寝てるだろうから


ザザ・クライスト
フィラメント・レイヴァス(f09645)と行動

「フラウ・レイヴァス、最初に言っておくことがある」
町の住民は例外なく全員射殺する

「避難してくる連中まで感染させるワケにはいかないだろ?」

そっけなく告げて捜索開始
見つけた住民には他の住民の居場所を聞き出しておく
効率的に進めるぜ
その上で暗闇の獣を仕留める

【POW】戦闘では前衛・盾役

銃撃で「挑発」獣を「おびき寄せ」るぜ
味方猟兵に「援護射撃」して連携する

「クソがッ! 一撃が重いンだよォッ!」

バラライカで受け止めつつ吹っ飛ばされる
咆哮に耐えるが、見えざる狩猟者に腹を派手に刻まれる

「ガハァッ……!!」

もんどりうって激痛に叫ぶ
だが、隙は作った。フラウ、頼んだぜ


月島・彩希
疫病に苦しむ人々を助けられないなんて……
この悔しさと怒りを敵にぶつけさせてもらう!

【獣との戦い】
スピードによる敵の撹乱をしつつ戦闘
【ダッシュ】と雷迅槍(UC)を用いて高速戦闘
雷の魔力で強化した身体能力と【怪力】を用いて槍で敵を【なぎ払い】
短槍を【投擲】して【槍投げ】で敵を【串刺し】にする
敵の行動と攻撃の物音に注意、また持ち前の【野生の感】で感じ取り、【残像】を用いた【フェイント】を交ぜることで行動を読ませないように回避
回避後はすぐさま【カウンター】として攻撃を繰り出す
戦闘中、【戦闘知識】として敵の動きを蓄積することで効率よく行動をしていく
敵は多いけど、油断はせずに1体1体確実に倒していこう


ルキフェル・レガリア
普段は冷静に状況を見極めるが、戦闘になると気分が高揚するタイプ
多少の負傷は【生命力吸収】【吸血】で回復するため高揚すればする程【激痛耐性】で痛みを気にせず突っ込んでいく
(PC的には無意識に)【恐怖を与える】ことで牽制を試みる
【傷口をえぐる】ことで出血を多くし血の刃の糧とする

見えざる狩猟者は厄介だが、何、姿があるうちに【領主の裁定】で捕らえれば問題なかろう。UCが封じられれば何よりだがそれよりもなるべく多くの獣をその場に止めることを優先しよう。
初めは【預言の剣】で、他の猟兵の戦闘の分も含め戦場に血が満ちてきたら【血の刃】(複数UC可ならUCも含む)で獣を切り刻んでやろうではないか。


ゼイル・パックルード
哀れとしかいいうようがないね。まぁ、せめて憂いと恨みが少なくなってから死ねるようにはしてやるよ。
とりあえずこの獣どもから片付けてやる。

【POW】
集団戦だし【怪力】を生かして鉄塊剣で戦う。
単体なら【2回攻撃】、集団で固まってれば【なぎ払い】を遣う。
敵の攻撃はなるべく【見切り】回避する。
敵の攻撃を避け、地形が破壊されたらその【地形の利用】をして懐に入り、ユーベルコードで一気に倒す。
近くで戦うつもりだけど、もし叫びだったり、透明化だったりされたら【第六感】でなんとか察知できればいいね。【武器受け】でなんとかガードくらいはしたいところだぜ。

クソ野郎を倒す前の前哨戦だし、ここで消耗はしたくないね


死之宮・謡
良いねぇ、此奴は強そうだよ、とても強そうだよ。幻想術師ってのも強そうだし此れは当たりかねぇ。

さて、重いの貰うのはやばいよね?きちんと回避してかないと死ぬね。マァ良いか…致命傷以外は掠り傷、死にさえしなきゃ何だって良い。そういや幻想術師って奴はこんなの何処から持ってきてどうやって従えてるんだろうねぇ。気になるねぇ、それが分かればこっちの役にも立ちそうなんだけどな。まぁ良い、ともあれ戦闘開始だ【三重血統装具】展開。


フィラメント・レイヴァス
ザザ(f07677)と行動

「君がそうしたいなら、構わないけど……わたしは外で待っているからね。
…誰かが選ばないといけないことだもの」

【SPD】重視
中衛から拷問傀儡や鋼糸を駆使し戦う

敵の動きのパターンを確認しながら、見切りとカウンターで応戦
重たい一撃はザザが受けてくれるだろうから、その後の大きな隙を突いて【女郎蜘蛛】に襲わせる

見えないからと、得意げになるものではないよ
視覚がなくとも、狩りができる生き物だっている
蜘蛛の巣のように張り巡らせた鋼糸に、見えざる狩猟者が引っかかれば
指先まで振動で伝わってくる
フェイントや騙し討ちと共に
絡新婦の毒とマヒで動きを鈍らせる
「獣の肉だ。…絡新婦、たぁんとお喰べ」


マリス・ステラ
【WIZ】冷静に判断して他の猟兵の支援と回復に努めます

「この街には死が満ちているようです……」

悲しげに目を伏せて暗闇の獣を待ちます
戦闘になれば弓で『援護射撃』
状況に応じて『おびき寄せ』て囮も務めます

「体勢を立て直してください。時間を稼ぎます」

『オーラ防御』と『カウンター』で応戦
見えざる狩猟者には『破魔』の力宿る『視力』と『第六感』を働かせます

「そこにいるのでしょう? 私には視えています」

負傷者には【生まれながらの光】で回復
ただし、重傷者を優先して多少の傷は無視します

「それくらいなら大丈夫です。少しはこらえてください」

味方を叱咤して『鼓舞』、彼らを支えます
いざとなれば同時に回復も辞さない構え


櫻・千代
助けられない、その予知に偽りはないのでしょう。
ですが私の役目は変わりません。
治療を始めましょう。一つでも多くの命を救うために。

戦闘では他の猟兵と協力して戦います。
からくり人形を操り、敵の攻撃から味方を庇う盾としたり、敵を引きつけ攻撃の隙を作るなど、基本はサポートとして立ち回り、
ダメージを受けた味方がいる場合には、【瞬間縫合】で治療を行います。

また【見えざる狩猟者】を警戒し、【絶望の福音】で予測した攻撃から敵の位置を把握し味方へ伝達します。


たとえどのような結末が訪れようと、
私は患者の元へ行かねばなりません。
そのための障害は全て、排除します。


メア・ソゥムヌュクスス
ちりん、ちりんと鐘が鳴る。【夢見の鐘】【催眠術】
甘く、清らかな歌声が響く。【ヒュプノシスドライブ】【歌唱】
ふわり、ふわりと安らぎが香る。【ソゥムヌュクスス】【祈り】
瞳は輝き、月夜を移す【UC:ヒュプノスノヒトミ】

夜を漂う獣達に深い眠りを、穏やかな夢を。

目の前で朽ちてゆく人達を見捨てるのはとても、とても悲しいねー。
無駄だと分かっていても、どうにか、どうにかと願ってしまう事を笑ってもいいよー?

うん、大丈夫、【覚悟】ならあるから、ちゃんと見送るよー。

救えない生命にせめて、安らかな眠り、優しい夢を…。

だから、まずは、この子達をどうにかしないとねー。

※連携、アドリブ大歓迎


西院鬼・織久
【POW】
【心情】
病と言うのは厄介なものです
ですが
病の苦痛もまた我等が怨念の糧となろう
我等は救う者ではない
我等はただ狩るのみ

【行動】
全ての行動を攻撃に繋げ手数を増やす

【戦闘】
「視力」「暗視」で常に周辺の状況把握
不足の事態に備え「第六感」を働かせる
敵の攻撃は「見切り」回避か「武器受け」からのカウンター

「先制攻撃」は「殺意の炎」による「範囲攻撃」
怯んだ敵を「見切り」、「影面」で拘束して「怪力」で引き寄せ
「二回攻撃」で「なぎ払い」「傷口をえぐる」
敵が押し寄せて来るようなら「影面」で拘束した状態で振り回して「なぎ払い」
体勢を崩した敵に「ダッシュ」の勢いを乗せ「串刺し」
「二回攻撃」で「なぎ払い」



「フラウ・レイヴァス、最初に言っておくことがある」
 戦闘に入る前にと、ザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)は告げる。
「町の住民は例外なく全員射殺する。避難してくる連中まで感染させるワケにはいかないだろ?」
 そっけない言葉はフィラメント・レイヴァス(シュピネンゲヴェーベ・f09645)の返事を待たず、ザザはフィラメントの先に立って歩き出した。
「君がそうしたいなら、構わないけど……わたしは外で待っているからね」
 誰かが選ばないといけないことだもの、というフィラメントの言葉に、ザザは返答をしないで近所の家をノック。
「……はい……」
 中から聞こえた声はあまりにも小さい。
 ドアの開く気配はなかったため「開けるぞ」と一声かけてからザザはドアノブに手をかける。途端に汚物の臭いが溢れ出る。
 立つことも出来なくなって垂れ流しになってしまっているのだろう。それでもその者は住民の居所を告げ、それからぐったりと目を閉じた。

 ――家を出て、ザザは獣へ銃を向ける。
 アレスKBN13がけたたましい音を立てて弾丸を撒き散らして獣を引き付ける間、フィラメントはセイレーンのごとき傀儡と共に辺りへ糸を張り巡らせ、鋼糸から伝わる振動に獣の位置を把握。
 鋼糸に伝わる一際大きな揺れの直後、ザザは真正面から爪の一撃を受ける。
「クソがッ! 一撃が重いンだよォッ!」
 バラライカで受け止めながらも吹っ飛ばされる様子に生命の危機を察してかナノマシンが皮膚を硬化、お陰で続く咆哮には耐えられたが、直後に不可視の斬撃が腹を盛大に刻んだ。
「ガハァッ……!!」
 咲き誇る鮮血にもんどりうつザザの口からも血がこぼれる。
 トドメを刺そうと獣はゆっくりとザザへ迫る――だが、禍々しい女郎蜘蛛の傀儡が割って入り、絡糸で獣を封じる。
「獣の肉だ」
 毒を受け麻痺した獣は、欲望を剥き出しに迫る蜘蛛から逃れる術などはひとつも持たない。
「……絡新婦、たぁんとお喰べ」
 毛皮を剥ぎ、新鮮な肉に舌鼓を打つ絡新婦。
 真紅の虹彩を輝かせ、フィラメントは獣の果てるところを見つめていた。

 金の払いさえあるというのなら、ライザー・ヴェロシティ(Sturm Jaeger・f00188)には文句などない。
「……死にてぇ奴から名乗りでな!」
 風の加護が夜の重い空気をかき回す。ライザーの叫びに呼応するように獣どもは呻き、名乗るだけの能はないから無礼にもライザーへと爪を叩きつけようと前脚を持ち上げる。
「狼の牙から逃げられると思わないで……ッ!」
 その爪へと喰らいついたのは、月島・彩希(灰色狼・f12810)の投擲した短槍。
 爪そのものを突き刺すことはなく、槍の切っ先と爪の先端は交わるのみ。
 しかし交わった瞬間に激しく火花が散り、刹那の激痛に獣は硬直したように前脚を引く。彩希はそんな獣へと灰狼の槍を突き立て、一思いに薙ぎ切る。
 彩希の攻撃に無駄はなく、踊る槍は猛然と獣たちを追い込もうとする。
(「疫病に苦しむ人々を助けられないなんて……!」)
 悔しさと怒りを乗せて迸る槍の一撃。
 派手な立ち回りにつられたかのように姿を見せる獣もあるが、獣どもが状況を把握するより早く、西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は闇焔を振るって黒い炎を放つ。
 闇に紛れるかのように黒い炎は盛り、獣の暗い姿をより深い黒へ貶める。
 体を焼かれ、肉の露出した獣は織久めがけて疾駆するが、黒椿がその進撃を押しとどめる。溶けた皮膚の隙間から滴る血が一滴落ちれば、刀身で赤く花開くものがある。
 病の苦痛は怨念の糧と変わるもの――救済のためでなく狩り取るために、織久はその力を振るい続ける。
 ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)の吐息に重いものが混じるのは、町の人々の行く末を思うからこそ。夜風はライラックの体にはとりわけ堪え、使い古しのマフラーに顎を埋めて声を漏らす。
「煉瓦辿る旅の果て、探し物は胸中に」
 喚ばれた獅子の背を撫でると、こんな暗い町においても獅子は勇猛に敵を見据えているのが感じられた。
「……獣を相手にするには、獣が一番だろうからね」
 その勇猛さに己を奮い立たせたライラックは獅子の背に乗り、花の歌声を紡ぐ。
 暗いばかりの周囲が色づいたのはリラの花びらによって。愛らしい花々だというのに獣にはその美しさが解せないのだろう、不用意に地面に叩き落そうとしては傷を負った。
 怪我をし足を引きずる獣の首を狩ったのはルキフェル・レガリア(闇の中を導く明けの明星・f11011)の手にする預言の剣。
 剣を繰るルキフェルの瞳に朝焼けの輝きはなく、辺りに灯る僅かばかりの光も刀身が吸い込むように思えた。血だまりの反射すらも吸い込んで、ルキフェルは流血を欲するかのように佇む。
 増えゆく猟兵らの姿に危機でも覚えたか、獣の姿がかき消える――ライザーは目を閉じて聴覚にのみ集中、旋風と共に何もない場所へ切っ先を向けて。
「足音がうるせぇ、よく聞こえんだろうが」
 風の勢いで叩きつけて黙らせたライザーの耳には、獣でない何者かの声が届いていた。
「……けて」「殺……て」「苦し……、もう、……に……」
 風に乗って聞こえる譫言はどれも苦しげな呼吸に満ちている。
 彼らは生きる限り続く苦しみに今も苛まれているのだ――歯噛みしながらも聞き漏らさないようにするライザーへと獣は咆哮で対抗しようとするが、ライラックの獅子は迅速に獣の元へと奔る。
 咆哮のために大きく息を吸っている最中の獣は、急行する獅子の存在に気付いても手を打つことが出来ない。ライオンは首ごと声帯を引きちぎり、咆哮が夜の静寂を破ることを禁じた。
「悪いけど、静かにしてくれるかい……皆、寝てるだろうから」
 町の人々に野蛮な声を聴かせるわけにはいかないと、ライラックはそのように獅子へ告げる。
 リラの花弁舞う中、バトルドレスの裾を翻して彩希は獣の心臓を串刺しに。
 貫かれた獣の体は力なく垂れさがり、彩希は骸を投げ捨て次の敵へと立ち向かう。
 何体の獣を手に掛けたか、戦いの中で得た情報は彩希の攻撃の精度を高め、攻撃を受けた際の反撃すらも命を奪うほどの威力となっていた。
 敵は多いが有象無象と切って捨てることは出来ない。油断なく、着実な打倒を彩希は果たしていく。
 織久は影面により獣を振り回して薙ぎ、体勢を崩したのを見るやいなや闇撫を手に迫り、地面へ零れた血肉を余すことなく啜る。
 回避も防御も移動すらも。何もかもを攻撃へと転化する織久の猛撃は戦線を切り開き、ルキフェルもまた溢れ出る血液を求めて躍り出る。
「もっと血を流すが良い」
 戦闘が始まってからというもの、ルキフェルの手にする血の刃は鋭さを増す一方。
 戦場に満ちる血の気配にルキフェルの言葉もどこか高揚が感じられる。夜空に星が満ちるかのように藍の双眸は爛々と、自身の体に刻まれた傷すら忘れてルキフェルは死地にて地獄を撒き散らす。
 臆したように獣どもの動きが鈍った隙に戦場へ飛び出た櫻・千代(黒衣の看護婦・f00780)は縫合針をルキフェルへ。
「治療します」
 縫い留めこれ以上の失血を防いだ千代は、己の役割を――ひとつでも多くの命を救うことを――果たすためにも、からくり人形を戦場に立たせる。
 全体重での獣の突撃を受け止めて、からくりの身体が軋む。それでも千代は表情を変えることなく、目の前の敵と相対する。
 たとえどのような結末が待っているのだとしても、千代は患者の元へ行かなくてはならない。
 その歩みをオブリビオンどもが妨害するというのなら、千代自らその妨害を打ち破るのみなのだ。
「目の前で朽ちてゆく人達を見捨てるのはとても、とても悲しいねー」
 ちりん、
 鐘の音を響かせながら、メア・ソゥムヌュクスス(夢見の羊・f00334)は戦場へ降り立つ。
「無駄だと分かっていても、どうにか、どうにかと願ってしまう事を笑ってもいいよー?」
 メアの言葉は歌に乗って。
 呼気にすら含まれるものは眠気を誘うソゥムヌュクスス。
 琥珀色の視線は獣たちの睡魔を掻き立てるものであり、祈りを秘めた歌である。
 救えない生命が望むのは安らかな眠りと優しい夢。
「だから、まずは、この子達をどうにかしないとねー」
 そうよね、と問うかのようなメアの視線に、千代は決然と首肯。
 何があろうともここで倒れるわけにはいかないのだ、と撃滅の意志を新たに、ゼイル・パックルード(火裂・f02162)は鉄塊剣・獄を軽々と振り上げる。
 無骨な鉄塊剣が獣の横っ面をはたくように叩きつけられ、ゴキゴキと骨の砕ける感触がゼイルの手には伝わった。
「クソ野郎を倒す前の前哨戦だし、ここで消耗はしたくないね」
 手抜きをするわけではないが、余計なダメージを受けるわけにはいかないからと近寄る敵を全て叩き、こちらへ攻撃する隙を与えないゼイル。
 顔面の半分を砕かれてなお猟兵への敵意を失わない獣の姿に、死之宮・謡(血の王・情緒不安定の狂戦士・f13193)は思わず唇を吊り上げて。
「良いねぇ、此奴は強そうだよ、とても強そうだよ」
 この獣どもを倒せば幻想術師というものと戦うことになるようだが、それも強そうだ、と謡は待ち遠しさに目を細める。
「さて、」
 呟きと共に謡は横へ飛びのき、獣の叩きつけようとした爪を回避。
 ――勢いを殺すことに成功したお陰で、致命傷とまではいかない。だとしても流れる血の勢いは激しく、千代はすぐさま縫合針で謡の体を刻み、失血を防ぐ。
「他にお怪我は」
「平気だよぉ」
 致命傷以外は掠り傷だから、という言葉を呑み込んで返答する謡。
 マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)は激しい戦場の様子に痛ましそうに眼を伏せ、それでも健気に弓を射る。
 星屑や流星群を思わせる矢は次々に獣の元へ。肉体に、あるいは地面に突き刺さる矢に敵の攻撃の手が鈍ったのを感じ取り、マリスは共に戦う仲間へと言う。
「体勢を立て直してください。時間を稼ぎます」
 破魔の力を秘める青い双眸は、肉体を不可視に変えたはずの獣の居所すら看破。
 引いた矢が虚空を蹴ったかと思えば、不可視のままの獣の肉体を貫いて。
「そこにいるのでしょう? 私には視えています」
 マリスがそうして時間を稼ぐ間に千代は仲間たちへ癒しを施す。
 メアは安らぎの香る歌声で獣を戒め、魔眼に捕らわれたのだという自覚すらないまま獣たちを眠りに堕とす。
「我ガ内ナル大イナル緋キ血潮ヲ見ヨ」
 意識を失墜させる獣たちは、目の前で謡が赤き、紅蓮の、真紅の血潮に己の力を研ぎ澄ますことに気付くことは出来ない。
「そういや幻想術師って奴はこんなの何処から持ってきてどうやって従えてるんだろうねぇ」
 気になるねぇ、と笑いながら、血統の加護を得た謡は獣の肉体を切り開き、熱く鼓動する心臓を躊躇なく握りつぶす。
 猟兵らと獣どもの激しい攻防の果てに、大地はえぐれ木々は歪んでいる。
 ゼイルは隆起した地面を蹴って勢いをつけると獣の懐へ。
 獣はこれ幸いとゼイルの無防備な首筋へ牙を突き立てようとするが、顎へと拳が叩きつけられ。
「一足先に地獄を味わいな!」
 殴打だけでも苛烈だというのに、拳が伴うのは地獄の炎。
 業火は一瞬のうちに獣の姿を燃やし尽くし、赤黒く汚れた白骨を戦場に残すのみ。
 肉の焦げる臭気が漂い、血飛沫で視界はいつだって赤く感じられる。
 暗闇の獣どもを追い詰めることが出来ていると感じるマリスは気づかわしげに仲間の負傷の度合いを確認するが、そのどれもが深刻ではないので攻撃に打って出る。
 聖なる傷跡による癒しを与えるのではなく、呪力を秘めた御札によって獣を討つことを選んだマリス。
 高濃度の呪いに耐えかねた獣は痙攣しながら動きを止め、それでようやく町通りから獣の気配は消滅した。

 ――もっとも、病院には幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』が巣食っている。
 この町を死の町へ変えた怨敵を討つために、猟兵たちは病院へと急ぐ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』』

POW   :    記録■■番:対象は言語能力を失った。
【夢幻の眠りを齎す蝶の幻影 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    記録■■番:対象の肉体は既に原型を留めていない。
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【数多の幻想が囚われた鳥籠 】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    記録〓編集済〓番:〓編集済〓
対象のユーベルコードに対し【幻惑し迷いを齎す蝶の群れ 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鶴飼・百六です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マリス・ステラ
【WIZ】味方の援護と回復に努めて戦います

「数多の蝶の幻影、その美しさは感嘆に値します」

ただし、美しさを認めても、見惚れて攻撃を赦すような油断はしていません
『オーラ防御』は星の輝き、瞬くように受け止めます
星が煌めくなら『カウンター』の流星が敵を撃ちます

弓で『援護射撃』
負傷者には【生まれながらの光】
ただし、軽傷の人は放置して、重傷の人に限定します
緊急性が高いなら複数同時も躊躇わずに実行

「主よ、憐みたまえ」

『破魔』の力宿る声で味方を『鼓舞』して支えます
激しい疲労にも『覚悟』を持って前を向く

「あなたのためにも祈りましょう」

奪うなら、奪われる覚悟をしなければなりません
滅びという名の救済を『祈り』ます


當良邑・祈
あらかじめ聞いていた情報では、相手は蝶の群れを使い街に疫病をもたらしたと、
そう聞いている。

疫病は猟兵には効かぬとしても警戒にするに越したことはない

降魔化身法で強化、自身を甲殻で覆う。

蝶には近づかず、敵には投擲での攻撃を繰りかえす。
できるならば蝶を誘導し引きつける。

焦る必要はない、こいつを早く倒しても助かる命の数は変わらない。

そう言ったのは周囲にか、自身に言い聞かせたのか、

そう思わなければ善良な人々を苦しめ、殺した敵への憎悪、力及ばぬ自身への憤りを抑えられない


(苦戦・連携・改変OK)


リーヴァルディ・カーライル
…ん。幻想術師。あなたに会うのは初めてじゃないけど…
他の者は皆、慈悲をもって死をもたらす運び手だった

…だけど、どうやらお前はそうじゃないみたい
命を玩弄した罪、死をもって償うがいい。オブリビオン

事前に防具を改造して誘惑の呪詛を自身に付与
先に自身を洗脳する事で敵の幻術を防げないか試みる

…お前の手の内は知っている。私に幻術は通じない

戦闘では暗視を頼りに敵の攻撃を見切り、
怪力任せに大鎌をなぎ払うカウンターを狙う
他の猟兵と連携を意識し、第六感が危険を感じたら回避に徹する

【限定解放・血の獄鳥】を発動
生命力を吸収して魔力を溜めた魔法陣の呪いを黒鳥に纏わせ、
敵に突撃させた後、自爆して傷口を抉る2回攻撃を行う


ライザー・ヴェロシティ
「こちとらてめぇが羽虫を使うなんぞ知ってるんだぞ」
「対策しない理由がねぇだろうがよ!」

幻対策で瞳を閉じ
"聞き耳"の技能で敵の位置を把握して戦う

音で敵味方の判別や位置を見極める方法は
味方の心臓の音や幻想野郎が動くときに発生するであろう水の流れの音とかで判断するぞ

声も判断基準にはするが、こっちは信じすぎないようにするぜ
味方の声でも幻影に惑わされてるかもしれねぇからな


使用ユーベルコードは【風刃一旋】
身に纏う暴風を一本の剣へと集中させて一刀両断及び吹き飛ばしを狙う
流体だろうが散っちまえば攻撃は通る!
「風よ、吹き荒べ!」


「どうせお前の命もここで終わる。」
「大人しく死ね。こっちはこの後も一仕事あるんだよ」


櫻・千代
この街を覆う病の原因へ向かいましょう。
全ては患者の治療のために。

からくり人形を盾にしながら街の中を真っ直ぐと、オブリビオンのいる病院へ向かいます。
たとえ道中に街の人たちのどういった姿を見ようとも、心が揺らぐことはなく。

戦闘では、【結紮縛】で敵の持つ鳥籠を絡め取るか、もしくは全身を拘束した上で、からくり人形による斬撃を繰り出します。
また、直接的な攻撃は人形に任せ、自身は敵と常に一定の距離を取るように立ち回ります。
味方がダメージを受けた場合は【瞬間縫合】で治療するなど、
可能な限り味方と協力して戦います。


「治療のため、これより病巣の切除を行います」



 病院の中、パラノロイド・トロイメナイトと相対するリーヴァルディ。
 彼女の脳裏には、かつて戦ったパラノロイド・トロイメナイトたちのことがあった――慈悲をもって死をもたらす運び手たちを思い起こしてから、リーヴァルディは今ここにいるパラノロイド・トロイメナイトへと目を向ける。
「……だけど、どうやらお前はそうじゃないみたい」
 町の人たちのことを思って、リーヴァルディは黒炎を身に纏う。
「命を玩弄した罪、死をもって償うがいい。オブリビオン」
 千代はからくり人形を盾に。
 千代と人形の足元が赤黒く汚れているのは、ここへ来る途中に町の者の反吐を踏んだため。反吐を吐いた者はそれきり動かなかったが、千代は表情を変えず、黒の看護衣から縫合糸を伸ばす。
 パラノロイド・トロイメナイトは黙して語らない。
 何も語らないまま生まれるのは蝶の群れ。
 鱗粉を撒き散らす蝶は絡まるように舞い、解けるように猟兵たちを取り囲む。
「数多の蝶の幻影、その美しさは感嘆に値します」
 美しさは認められるものであっても、見惚れるほどに愚かではない。
 マリスの身に刻まれた聖なる傷跡に疼きが走ったかと思えば、星の輝きが薄暗い辺りへ広がる。
 蝶の揺らめきを瞬くように受け止めた流星が煌めけばパラノロイド・トロイメナイトの体に薄い裂傷が走る。
「警戒にするに越したことはない」
 疫病に猟兵が罹ることはないとはグリモア猟兵の弁だが、それでも祈は妖怪、悪鬼幽鬼の類を呼び寄せて作り出した甲殻で自身を包む。
 体を包み込む護りを受けて祈りの姿勢を解いた祈は、用心深く蝶との距離を取って羽根手裏剣でパラノロイド・トロイメナイトの薄い体を削ぎ落そうとする。
 宙を踊る蝶の姿は依然として幻惑を誘うように。
 しかし、ライザーはそれを見るまいと目を閉ざしている。
「こちとらてめぇが羽虫を使うなんぞ知ってるんだぞ――対策しない理由がねぇだろうがよ!」
 暗闇の中、ライザーが頼ることが出来るのは己の聴覚のみ。
 心音は味方のもの、パラノロイド・トロイメナイトが体を揺するたび聞こえるのは水音。
 あらゆる音を包むかのようにライザーの身を暴風が包んでいる。
 暴風に灰色の髪を嬲られながらもルーンダガーを掲げれば、疾風の魔力は総てその刃へと集約される。
 刃を振りかぶった瞬間解放される疾風は、パラノロイド・トロイメナイトの肉体の中心へ。
「風よ、吹き荒べ!」
 命じる通りに荒れ狂う風は、慣性に身を任せきったパラノロイド・トロイメナイトの体をも散らす。
 しかし散ったはずの流体は不自然に元通りへ。直後、鳥籠が開いたかと思えば不定形の幻想が数多戦場へこぼれ出る。
 後から後からこぼれる幻想はライザーを取り巻いて肉体を崩壊させようとするが、千代は鳥籠を縫合糸で強引に縫い留め、出口へ向かおうとしていた幻想を鳥籠の中から逃がそうとはしない。
 解き放たれた僅かばかりの幻想はリーヴァルディの理性を奪おうと紫の瞳を覗き込むが、リーヴァルディの持つ正気は彼女自身によってとっくに揺るがされた後。
「……お前の手の内は知っている。私に幻術は通じない」
 己へ施した呪詛がリーヴァルディの心臓を支配して離さない。
 焦点の合わない瞳のまま振るわれたグリムリーパーは、果たして蝶の姿を捕えていたのか。
 どうあれ大ぶりの鎌は数多の命を摘み取りながら、リーヴァルディは怪力による刃は幾度も病院の壁をえぐり取りながらパラノロイド・トロイメナイトへと迫る。
 パラノロイド・トロイメナイトへ近づけば、第六感をもってしても避けきれない傷がリーヴァルディを苛む。
 マリスはそんなリーヴァルディへと視線を送りはしたが癒しを施すことはない。代わりに矢を放ち、流れ星を思わせる一発でパラノロイド・トロイメナイトの変容しかかっていた腕のようなものを縫い留めた。
「主よ、憐みたまえ」
 言葉に破魔の力を宿し告げるマリスの青い眸が翳って見えたのは、連戦に疲労を覚えているからなのだろうか。
 それでも覚悟を宿し矢を番えるマリスの姿に鼓舞されて、リーヴァルディは唇に言葉を乗せる。
「呪いを纏い翔べ、血の獄鳥……!」
 病院内へ散った血痕は浮き上がり歪み、呪いを具現。
 魔法陣を纏う黒炎の不死鳥はパラノロイド・トロイメナイトへ突撃し鉤爪と鋭い嘴で敵を突き刺し、反撃の蝶を身に宿すより早く体を炸裂させる。
 飛び散った血肉をものともせず敵の前へ飛び込んだライザーは何度目かの刃を振り上げて、かまいたちのごとき迅速さで幾重もの傷を負わせる。
「どうせお前の命もここで終わる」
 告げる時だけ、薄く赤い瞳を開いて。
「大人しく死ね。こっちはこの後も一仕事あるんだよ」
 再びライザーの視界は黒く閉ざされ、幾度も幾度も斬りつけるライザーの耳に届く言葉がある。
 ――焦る必要はない、こいつを早く倒しても助かる命の数は変わらない――。
 乱戦の中、ライザーはそれが誰の言葉なのか分からない。
 そして分からないのは祈も同じ――そういうことにしておかなければ、憎悪と憤りを抑えられる気がしなくて、祈は流れ落ちる血に銀髪を濡らし、汗のように血飛沫を散らす。
 失血に祈が意識を失う前に千代は祈の体を縫合し、からくり人形をパラノロイド・トロイメナイトの元へ向かわせる。
「治療のため、これより病巣の切除を行います」
「あなたのためにも祈りましょう」
 努めて冷静に告げるマリスからこぼれる聖なる光。
 滅びと言う名の救済を祈り、戦いは続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ゼイル・パックルード
病院に病原体がいるなんて可笑しいね、熱消毒でもしようか。

室内だし敵は一人、サムライブレイドを使って戦う。
【2回攻撃】でその細い身体がを叩き切ってやるよ。
斬るにしろ避けられるにしろ、そこでブレイズフレイムを発動する。これは疫病の意趣返しみたいなもんだ、じわじわと燃えて苦しんで死ねるようにな。

敵の攻撃に対しては【第六感】や【見切り】で警戒するが、避けられなきゃ当たる寸前に【気合い】入れて自分の左手でも刺して眠らないようにするか。
まぁ、そんな甘いものでもないかもしれないし敵のいる方向れ突っ込んで【捨て身の一撃】でもかますか。

他の連中みたいな正義感はないけどな、お前みたいなタイプは嫌いだし苦しんで死ね


ザザ・クライスト
フィラメント・レイヴァス(f09645)と共闘

前衛・盾役として行動
他の猟兵とも連携に努める

「遠慮はいらねェ、たらふく喰らいやがれ!」

銃弾を浴びせて【挑発】、敵を【おびき寄せる】
防御はバラライカで【武器受け】【第六感】【野生の勘】で対応

「なんなんだ、この蝶の群れはよォ!?」

クッソ気味が悪ィ、コイツらが疫病の原因か?
眠気に迷い、集中が乱される。クソッタレ!

「フラウ・レイヴァス、態勢が崩れた時がチャンスだ。見逃すなよ?」

【束縛の鎖】を叩き込んで互いを繋ぐ、逃がしゃしねェ
が、逆に鎖を振り回されて壁に叩きつけられる

「グハッ……!!」

衝撃にふらつきながら鎖は離さねェ

「逃がさねェって言ってンだろォが!」


山理・多貫
【アドリブ歓迎/他の方との絡み歓迎】

……ひどい匂い。
病院とは思えない匂いね。

幻想術師さん、会話はできるのかしら。
なぜこんな勿体無いことをしたのか聞いてみたいところ、ね。


【戦闘】

幻想術師を発見次第移ります。
可能であれば奇襲を。
3種類のダガーを用いて接近戦を仕掛け、マヒ攻撃などのバッドステータスを与えようと。

吸血は……やめとこ。だって貴方病気がうつりそうだもの、ね。

苦戦した場合、ユーベルコード「理性の限界(モスキートモラル)」を使用。
能力向上のかわりに本能による野生的な動きとなります(詳細お任せ)


ライラック・エアルオウルズ
…貴方を倒しても、もう救えないのだとしても
救える人を救う為にも、貴方を倒す事にするよ
それが、僕に出来る最善、…だからね

【WIZ】(時間稼ぎ・だまし討ち・投擲)
今度はしっかりと自身の強い意志を持って、
カンテラで『奇妙な友人』を呼び寄せよう
宜しく頼むよ、と小さく呟き友人を送り出し、
炎とナイフでの遠距離攻撃をすると共に
敵の牽制・妨害をして皆の援護をするよ
…例え、蝶の群れで相殺されても、問題ない

…有難う。貴方は本当に良い友人だ
後は僕が――やってやるさ。

敵が友人の攻撃を相殺する隙を突き、
画筆から黒いインクを敵へと飛ばして
命中したら『■■■』で切断しての攻撃を

時間は戻せなくても、せめて貴方の死を手向けよう


サンディ・ノックス
ヴェル(f05027)と参加

オブリビオンの行為に苛立ち、無我夢中で進むことだけ考えてた
ヴェルの怪我は…俺のせいだ
同じ過ちはするものか。自分が冷静か時折自問して行動

真の姿発現(特徴は真の姿絵参照願います、利き手は右)
武器は大剣に変形させ
先に敵に挑む同業者がいたら彼らに気を取られているうちに【先制攻撃】する
攻撃を【見切り】、隙を探すため、じっくり観察しながら黒剣で攻撃

隙を突き『解放・夜陰』を撃つ
黒い水晶は闇に紛れ【だまし討ち】になるかも
打ち消されたら残念と笑い、剣撃を再開
大がかりな攻撃の前兆に気付いたら大声で注意を促す

迷いをつい最近知った
大切な人達ができて生まれた感覚
だから利用されたら腹立たしいな


ヴェル・ラルフ
サンディ(f03274)と参加

傷を負ったけど、これがサンディだったら僕が冷静でいられなくなっちゃうから
自分では最善だったと思ってる
いつでも【ブレイズフレイム】が出せる状態になったしね

さて、…お前でさえ時間の無駄だよ。
やるべきことがあるんだ。この先に。


真の姿
犬歯がとがり、肌はより白く隈が出て、血に飢えたヴァンパイアそのものへ

【宵いの鈴】を構え、[ダッシュ][早業][フェイント][騙し討ち][串刺し]で隙を与えず攻撃を繰り出す
誰かが背後をとりやすくなるかな

近づきすぎたり、距離を詰められたら【ブレイズフレイム】

僕の煩悶よりも、あの人たちの苦しみの方が遥かに大きい。
その少しでも、ぶつけさせてほしいね。


西院鬼・織久
【POW】
【心情】
病を齎す存在とは。さぞ業と怨念に塗れていよう
その全て、我等が喰らい尽くす
我等が怨念の糧となるがいい

【戦闘】
「視力」「聞き耳」で周辺の状況を常に把握
敵攻撃の前兆を見逃さないよう「第六感」も働かせる

「先制攻撃」は「殺意の炎」による「範囲攻撃」
炎の牽制で無防備ではいられなくさせる
同時に火柱を盾とする事で視界を塞ぎ回り込む
火柱の影から「影面」を使用
命中の爆破と合わせて「ダッシュ」し「二回攻撃」で「串刺し」
「百貌」に「殺意の炎」を伝わせ「傷口をえぐる」
戦いながら敵の武器となるもの、弱点となる個所を「見切り」
物理が通りにくいなら「闇焔」が纏う「殺意の炎」での「鎧無視攻撃」


フィラメント・レイヴァス
ザザ(f07677)と行動

逃げ足、地形の利用、時間稼ぎを使い
鋼糸を張り巡らせ、自分の戦いやすい領域を展開する
不気味な相手だと第六感や見切りで
不審な動きを警戒をしつつ
長期戦を避けた方が言いと判断し
【ブラッド・ガイスト】で傀儡2体を強化させる
わたしの傷が増えた分だけ、傀儡はやる気を出すよ

こういう得体の知れないやつ…嫌なんだけど
だけど…君、わたしとは相性が悪かったみたいだね
「蝶」は蜘蛛の大好物なんだ
よく、巣に引っかかってくれる
儚く美しい魂だからね…

隙は、いつもみたいにザザが派手に動いて作ってね
わたしの血を与えた傀儡達はいつも以上に腹ぺこだけど…
彼らの未来を詰んだお前には、拷問程度の痛みでは生温いよ



 血と汚物は、この院内にどれほどあるのだろうか。
 積もったであろうそれらを除くことが出来る人間ももはやいなくなって久しいのだろう、汚物は腐敗し虫が湧き、院内に染み付いたはずの消毒薬のにおいすらかき消していた。
「……ひどい匂い。病院とは思えない匂いね」
 多貫は無表情ながらも吐き捨てて、その悪臭の中でも悠然と佇むパラノロイド・トロイメナイトへ視線を送る。
「幻想術師さん、会話はできるのかしら。なぜこんな勿体無いことをしたのか聞いてみたいところ、ね」
 言葉はなく、蝶の揺らめきが返ってくるばかり。
 その蝶が夢幻の眠りをもたらそうとするより早く、多貫はポイズンダガー・パーを投擲。申し訳程度に羽織った衣類ごとパラノロイド・トロイメナイトを斬り、流れ出る血を一瞥。
「吸血は……やめとこ。だって貴方病気がうつりそうだもの、ね」
 そんな多貫の言葉に唇を吊り上げたゼイルは、金の瞳に害意を満たし。
「病院に病原体がいるなんて可笑しいね、熱消毒でもしようか」
 サムライブレイド『冥夜』で真正面から一度、振り向きざまに二度と斬撃を重ねる。
 一撃目は外れ、二撃目は融解しているかのような指の一本を付け根から斬り落とす。
 落ちた指が床に触れるより早く、パラノロイド・トロイメナイトの青い体躯を紅蓮の炎が包み込んだ。
 パラノロイド・トロイメナイトを抱きしめる炎はその身体を焼却するには足りないものの、しつこく纏わりついて疫病を浄化しようとするかのよう。
 じわじわと燃え広がる炎を消す手立てをパラノロイド・トロイメナイトは持ち合わせていない。
 その炎をカンテラへ、『奇妙な友人』を読んだライラックは、小さく「宜しく頼むよ」と呟いてから友人をパラノロイド・トロイメナイトへと差し出す。
 宵色のナイフが切り開こうとするたびに蝶がナイフの切っ先へ集い切れ味を鈍らせ、炎に飛び込む蝶の体液が火を消した。
 織久の持つ怨念と殺意は炎へ姿を変え、火柱を噴き上げさせた。
「我等が怨念の糧となるがいい」
 言葉と共に織久はパラノロイド・トロイメナイトへ迫っており、影面による一撃を叩き込む。
 二度にわたって傷を切開した織久は百貌へ殺意の炎を伝わせると赤黒い切っ先で裂傷をえぐる。
 傷痕から飛び立つ蝶の羽ばたきは夢幻へ誘いかける。
 誘われてゼイルは言語能力を奪われかけるが、耐炎ダガーで自身の左手を刺して眠りを堪える。
「お前みたいなタイプは嫌いだし苦しんで死ね」
 甲から滴るものを意にも介さず、ゼイルは炎に呑まれているパラノロイド・トロイメナイトへ刃を突き立てた。
 飛び散る血の粒に多貫の視線は釘付け。たちまち湧き起こる渇望を押さえ込めば、耐えられず理性は限界を迎える。
「……ダメ……」
 呟きひとつ残して本能に意志を明け渡した多貫は地を蹴ってパラノロイド・トロイメナイトの体を両腕で押さえ込んで圧し掛かる。
 呼吸は獲物を狙う肉食獣のごとく研ぎ澄まし。不定形に爪を喰い込ませる多貫を蝶が引きはがした後も、パラノロイド・トロイメナイトの体に獣の爪痕は残されたままだった。
 揺らいで立ち上がろうとするパラノロイド・トロイメナイトをその場に押し止めようと『奇妙な友人』は刺突を繰り出し、床へあお向けに倒れ込むパラノロイド・トロイメナイトを見てライラックは友人へ囁きかける。
「……有難う。貴方は本当に良い友人だ。後は僕が――やってやるさ」
 刃へ群がる蝶はパラノロイド・トロイメナイトへ与えられそうになる斬撃を防ぐが、その隙にライラックは画筆を取り、インクで■■■を切り落とす。
「時間は戻せなくても、せめて貴方の死を手向けよう」
 決然と呟くライラック。
 落下した体の部位は煌めきとなり、その輝きに織久は声を上げる。
「気をつけてください、来ます」
 言葉と共に猟兵らの眼前で、煌めきは蝶の大群へと変貌。
 辺りへ大きく広がった蝶たちは猟兵らへ無差別攻撃を仕掛けようとするが、ザザの自動拳銃は弾幕を張り巡らせる。
「遠慮はいらねェ、たらふく喰らいやがれ!」
 アレスKBN13による連射、バラライカKBN18で気の早い蝶を振り払い、撃って、ザザは蝶の生み出す渦の中へと飛び込んだ。
「なんなんだ、この蝶の群れはよォ!?」
 絶えず羽ばたく蝶の動きはマーブル模様を思わせて眠気に惑わせ、集中が乱されるようなもの。
 それでもザザは歯を食いしばって意識を保ち、フィラメントへと声を張る。
「フラウ・レイヴァス、態勢が崩れた時がチャンスだ。見逃すなよ?」
「もちろんだよ、長期戦は避けた方が良い」
 フィラメントの腕へ走る傷痕は幾条もの血痕を残し、リボンで彩ったかのよう。
 そして流れた血の分だけ傀儡はやる気に満ち溢れ、腹ぺこで剣呑な雰囲気を纏っていた。
「こういう得体の知れないやつ……嫌なんだけど」
 ヒトに似た形をしているのにヒトではなく、獣でもないパラノロイド・トロイメナイトに不快感を隠しきれないフィラメント。
 だけど、相性は悪かったみたいだね、とフィラメントは碧と紅の眼差しでパラノロイド・トロイメナイトを射る。
「『蝶』は蜘蛛の大好物なんだ。よく、巣に引っかかってくれる儚く美しい魂だからね……」
 そしてザザは蝶の翅を破り捨てパラノロイド・トロイメナイトへ一発の弾丸を命中させると、敵と自身を繋ぐ鎖を作り出す。
 鎖に互いを繋げばパラノロイド・トロイメナイトはザザから逃げられず、ザザはパラノロイド・トロイメナイトから逃げられない。
 パラノロイド・トロイメナイトが大きく体を歪曲させると鎖ごとザザの体は持ち上げられて壁へと叩きつけられる。
「グハッ……!!」
 背中と後頭部を襲う強い衝撃にザザの視界が明滅――それでも鎖は離さず、パラノロイド・トロイメナイトの注意がザザへ向けられた瞬間、
「逃がさねェって言ってンだろォが!」
 フィラメントの傀儡が、がら空きの背中へと強襲を仕掛ける。
 フィラメントの血液を得た傀儡は殺戮と捕食のために蠢く。えぐり、肉体を内側からねじ切る傀儡の行いは拷問以上の苦痛を与えるものだが。
「彼らの未来を摘んだお前には、拷問程度の痛みでは生温いよ」
 更なる痛苦を授けるために、フィラメントは傀儡へと血を届ける。
 ――汚臭すら上書きするかのように漂う血の濃厚な臭気はパラノロイド・トロイメナイトが流した血のためであり、戦いの中で猟兵たちが血を流したためでもある。
 夕紅を汚すほどの出血をしたヴェルを思うとサンディは苛立ちを募らせるが、戦いはまだ終わったわけではない。
(「同じ過ちはするものか」)
 自分が冷静かどうか。
 己に問いながら、サンディは黒と赤の甲冑を纏う。
「さて、……お前でさえ時間の無駄だよ。やるべきことがあるんだ。この先に」
 隣に立つヴェルもまた真の姿へと変貌――白さを増した膚には隈が際立ち、血に飢えたヴァンパイアそのものへと変わる。
 尖った犬歯を唇の端から覗かせるヴェルの手には宵いの鈴。咲き誇るかのような光を広げる刃はパラノロイド・トロイメナイトの頭部をスライスするかに見えたが腹部を貫き、サンディは大剣で背後から斬りかかる。
 何度も蝶は放たれていた。サンディは蝶の動きを見切ってパラノロイド・トロイメナイトへ踏み込み、ヴェルは距離を取るために獣から受けた傷口より炎を噴き上げさせ、紅蓮によってパラノロイド・トロイメナイトの接近を許さない。
「僕の煩悶よりも、あの人たちの苦しみの方が遥かに大きい」
 それを少しでもぶつけたくて、火柱は牢獄のようにパラノロイド・トロイメナイトを取り巻いた。
 炎の獄中にいるパラノロイド・トロイメナイトが蝶を作り出す端から燃え尽きていく……サンディの作り出した黒い水晶は闇と煤に紛れて、パラノロイド・トロイメナイトの視界には入らない。
 ――気付かれていれば、打ち消されていたかもしれない。
 しかし気付くことが出来なかったから、百を超える漆黒の水晶はパラノロイド・トロイメナイトの体を余すところなく突き立てる。
 薄い体を貫きつつサンディが思うのは、最近になって知った『迷い』という感情のこと。
 大切な人ができたから生まれた感覚――だからこそ、利用されたら腹立たしくて。
 炎の中、貫かれたパラノロイド・トロイメナイトの体は千々に破れて、
 欠片も残さず、闇へと溶けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『慈悲なき世界に安らぎを』

POW   :    死者を運び、埋葬する。屍肉を狙う獣を追い払う。

SPD   :    棺や墓石の製作。埋葬中の警戒。屍肉を狙う獣を追い払う。

WIZ   :    司祭として死者に祈りを捧げる。屍肉を狙う。獣を追い払う

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 オブリビオンの脅威は町を去った。
 しかし町には深い爪痕が残り、町の人々は虫の息で終わりの時を待っている。

「早く殺して……」
「死にたくない、お願い、死にたくないの……」
「……なんで、こんなことに……」
「最期なら……何か、キレイなものが……見たかったよ」

 終わりを望む者もいれば、拒む者もいる。
 彼らをどうするかは、ここにいる猟兵たちに委ねられていた。
リーヴァルディ・カーライル
(…安らかな眠りのうちに終わる救いが確かにある事も、私は否定しない)
(…だけど、それを決めるのはあなたではないし、私達でもない)

…私は以前、幻想術師にそう言った
だから私は問わなければならない。彼ら自身の意志を…。

…あなたは助からない。奇跡も起きない。
私がしてあげる事は、苦しむことなく殺してあげる事だけ…。
終わりを望むのか、最後まで抗うのか…。
決めるのは、あなた自身の意志よ…。

…病人に一人一人選択してもらう
死を望むなら誘惑の呪詛で眠らせた後、大鎌を振るう
生を望むなら【限定解放・血の聖杯】を使用して去る
…その後、治療を望む猟兵が居れば彼らの場所を教える

…あなたの選択に敬意を。さようなら…。


西院鬼・織久
【POW】
【心情】
死を厭い、己の不運を嘆き、何かを憎む
俺にも理解できます。その上で聞きましょう
苦痛から逃れるための死を選ぶか
一縷の望みにかけて苦しみながら死を待つか
もう一つ、我等が怨念の一部となって敵を恨み続けるか
憎しみを捨てられないならば我等がそれを代行します
あなた方にとどめを刺す俺を憎んでも構いません
さあ、何を選びますか?

【行動】
息がある中で会話が可能な者に上記の質問
選択した者はそれを尊重する
会話が不可能な危篤状態、どれも選べずにいるなら目を閉じさせ一瞬でとどめを刺す
遺体はできるだけ整えて埋葬を手伝う
必要なら獣を「殺意の炎」で追い払う



 ――……安らかな眠りのうちに終わる救いが確かにある事も、私は否定しない――。
 ――……だけど、それを決めるのはあなたではないし、私達でもない――。

 以前、幻想術師へそう告げたのは他ならないリーヴァルディ。
 だからこそ、リーヴァルディは問わねばならなかった。

 一軒の家へ入ると、女性が一人、うずくまっていた。
「……あなたは助からない。奇跡も起きない」
 ベッドから出て動こうとして、そのまま動けなくなったのだろう。硬い床に転げたまま呼吸を荒くする女性へと、リーヴァルディは告げる。
「私がしてあげる事は、苦しむことなく殺してあげる事だけ……」
 終わりを望むのか、最後まで抗うのか。
 リーヴァルディが彼女自身の意志を問うと、彼女は静かに答えた。
「…………殺して、ください」
 その選択に報いるために、リーヴァルディは大鎌を彼女の首へ食い込ませる。
 広がる血の染みにしばらく視線を落としていたリーヴァルディは家を出て、次の家へと。
 ――織久もまた、彼らへ選択を求める。
「苦痛から逃れるための死を選ぶか、一縷の望みにかけて苦しみながら死を待つか。もう一つ、我等が怨念の一部となって敵を恨み続けるか」
 逃避の死を望む者の心臓に黒椿を突き立て、答えを出せないのであれば目を閉じさせて闇焔によって命を絶つ。
「恨みます」
 両親の死肉に囲まれてうずくまっていた少女は、涙も枯れた瞳で織久を見上げる。
「この町をこんなにした蝶も、パパとママを殺した病気も、助けに来るのが遅かったあなたのことも……全部ぜんぶ、恨みます」
「それが、あなたの選択ですね」
 恩讐に満ちた瞳の少女は頷く。
 だから、織久は闇撫に彼女の血を啜らせ、その感情を怨念の糧と変えた。
 ――選択を尊重したいというのは、リーヴァルディと織久の願い。
 生きることを望んだ者にはリーヴァルディの血の聖杯が施され、織久はそういった者には手を下さない。
「……あなたの選択に敬意を」
 血の汚れに、リーヴァルディの鎌はすっかり赤黒くなっている。
 織久は人々から貰い受けた怨念を黒い炎に変え、闇に覆われた町へと僅かな明かりを灯し獣を退ける。
 遺体の血は拭われ、頭髪や衣服は整えた。首や心臓に大穴が開いている以外は眠っているような彼らの肉体に土がかかり、やがて見えなくなっていく。
「さようなら……」
 土の中で眠る彼らへ宛てて、リーヴァルディの言葉が響いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

當良邑・祈
「名前を伺ってもよろしいですか」
碑に刻むため名が必要だった。

「貴方は何をなされていた方ですか」
名前以上のことを残したかった。

「どう育ちましたか」
この暗い世界で助けを差し伸べる彼らの強さを知りたかった。

「どこか行きたいところが在れば運びますよ」
この街の事も知りたかった。

さいごにこうきく
「終わりを求めますか」

一人づつ丁寧に看取り、終わらせる。彼らの生きた意味を繫ぐために。

石に名を刻む
それぞれの家屋から相応しい副葬品を見繕う
望む場所に葬る

全てを明日の礎とする
ここで会った人々もオブリビオンも


ライザー・ヴェロシティ
どんな小せぇ声でも聞き逃すつもりはない
皆殺しだ

「お邪魔する」
「……オブリビオン共は始末した」
「待たせて悪かった
次はあんたたちの番だ」


「何か依頼はあるか?」
死を望む奴には要望を聞こう
金さえ貰えるなら可能な限り要望に応えるぞ

それと住民の家は掃除する
今後難民が利用する事もあるだろうし
最期くらい綺麗に逝きてぇだろ


「悪いがこれも仕事なんでな、恨んでくれて構わない」
「地獄で待っていてくれ」
死を拒む、当然だ
何もいう事はねぇ
俺は戦士、仕事なら殺すだけ
……だが、俺に嬲る趣味はねぇ
これ以上苦しむ前にその命を頂くぞ



アドリブや他との絡みは歓迎だ

「っは、粋なこって」

「……飲むか?
素面でやってられんだろう、こんな事はよ」


ゼイル・パックルード
戦闘外の殺しはそんな好きでも無いけどね。他の奴と比べたら痛める胸も持っていない
だから、死にたくないと願うヤツは俺が殺すか
苦しみながら生きることを諦めずによく足掻いたよ
それでも、どうにもならないことばかりさ

見ず知らずの誰かのために、未来のために死ぬなんて綺麗事が過ぎる。全員が納得できるわけがない
せいぜい恨んでくれていいぜ。恨めば少しは恐怖もマシになるかもな
せめて苦しませずに早業で殺すさ
…ガキはさすがに気絶とかさせてから殺すけどな、恨むなんてできるかもわからねぇし

神様なんていやしない、居たとしてもとんでもないクソ野郎さ。
誰かのために生きたこいつらは苦しみ死んで、俺のような人でなしが生きて笑ってる。


マリス・ステラ
【WIZ】苦しむ人たちを導きます

「主よ、憐れみたまえ」

生者と死者を問わずに『祈り』を捧げます

苦痛に悲鳴をあげる人たちには【生まれながらの光】
死に震える人たちには『手をつないで』『鼓舞』しましょう
溢れる不浄は、彼らから零れ落ちた命の欠片

「大丈夫です。あの頃に還りましょう」

語りかけて『破魔』の力宿る声と星の輝きで浄化します
それは癒しではなく死出の手向け
苦痛を取り除くが、命の灯火も同時に失わせる
太陽でも月でもない、星が流れるように命を運ぶ
疲労に目眩すら覚えても微笑みは決して絶やさない
彼らを不安がらせないように、安らかな眠りに抱かれるように
全身から放たれる輝きは命の煌めき、星の道標

「魂の救済を」


山理・多貫
【POW/アレンジ歓迎/他の方との絡み歓迎】

……ごめんなさいね。
もう助けられないみたいなの。

だから……いいよね?


自分好みの小さな男の子を捜し吸血により安楽死させます。
これは人助けだという言い訳を自分に言い聞かせながら。
その後は遺体をそっと運び埋葬し、足早に立ち去ります。


………病気のせいかちょっと変な味した、な…。


ザザ・クライスト
フィラメント・レイヴァス(f09645)と行動

【POW】生者には死を、全てを火葬する

「フラウ・レイヴァス、足のほうを頼む」

死体を遺体収納袋を詰めてから荷台に載せて火葬場へ運ぶ
死因を考えるとそのまま埋葬はできねェ
汚れと臭いはどうにもならんが、コイツらはもう自分じゃ歩けないンだから仕方ねェだろ

黙々と作業するかたわら、瀕死の住民を射殺する
外道とそしりを受けても反応しない

「フラウには迷惑をかけた。借りだな」

オレたち猟兵なんてこんなモンだとしても
寄ってくる獣を追い払い、死体が焼けるのを待ちながらタバコに火を点ける

「手向けだ」

たゆたう紫煙を見上げて呟く
隣を見て独りじゃないコトに改めて借りだなと内心で思った


ヴェル・ラルフ
サンディ(f03274)と参加

僕にできることはなんだろう

やることは決まってるか
その瞬間までに、心の整理をつけなくちゃね
大丈夫、自分を見失ったりしない

サンディと一緒に1軒ずつ訪問
死を望む人も、生きることを願う人も
火力を最大限に上げて【ブレイズフレイム】で灰塵へ
一瞬で、苦しまぬように

彼らに向ける感情は、憐憫じゃない
だから涙は流さない
慰めの言葉も要らない
ただ、敬愛と感謝を込めて
…あなた方の想いが、僕をあなた方のところまで導いてくれた

こんな大切な感情を、教えてくれてありがとう

全てが終わってからサンディに
「サンディ、隣にいてくれてありがとう。
僕に人の心は救えないけど、想いを繋いでいくことはできるかな」


サンディ・ノックス
町の人を手にかける覚悟はできている
ううん、俺はこの仕事をするために今回依頼を受けたんだ
こんなの、できる人間がやるべきだろうって


ヴェル(f05027)と共に建物を1軒ずつ訪問
次に病人の把握漏れがないよう町中の生き残りも探す

望みにできるだけ寄り添った終わりを与えようと思う
早く楽になりたい人は一突きで殺す
本当は声をかけたいけどそれで未練を持ったら残酷だから

死の恐怖に怯える人へは
殺しに来たとも希望を与えることも言わない
ただ手をとり安心させる言葉をかけて僅かでも恐怖を和らげたい


全て終わってからヴェルへ
「ただ苦しい経験をさせてしまっただけかもしれないけど…
一緒に来てくれてありがとうって、今は言わせて」


ライラック・エアルオウルズ
…貴方達を救えない事が、僕は本当に辛い
だから、貴方達のせめてもの救いになる様に
僕は何だって、やるよ そう、決めたからね

【POW】(医術・手を繋ぐ)

死者には出来る限りにしっかりとした埋葬を、
…終わりを望む人が居るのならその通りにしよう
せめて、最期には美しい光景をと願って
『花の歌声』で終わらせてあげたいけど、
其れが難しいのならナイフを使って
医術の知識を手繰り極力苦しまない様な部位を、
躊躇わない様に――、一思いに。

看取る時には、手を握り優しく声掛けを
…本当に、今まで良く頑張ったね。
おやすみなさい。願わくば、優しい夢を。

それと、可能なら受け入れる村人にも伝えたい
…どうか、この日を忘れずに居て欲しいな


フィラメント・レイヴァス
ザザ(f07677)と行動

【SPD】

力仕事は苦手なんだけどなあ
そうも言ってられないよね
ザザと協力して遺体を運ぶ

瀕死の人への対応は君に任せよう
君は仕事をした、それだけだからね
それに、こういう言い方は嫌かもしれないけど
君の武器は、適していた
わたしの糸や傀儡では……遺体が綺麗に残らないから

埋葬する間、周囲の警戒と獣を追い払う罠でもかけておこう
君って、戦ってる時もそうだけど
自分のこと、もうちょっと労わってもいいと思うんだけどね
まあ、そういう性分なら仕方ないけど

元凶は片付けた
それだけでは、この村人の無念は晴らせはしないけど
わたし達にしか、出来ないことだったんだから
……これで、よかったと思うしかないよ


櫻・千代
死にたくないと懇願する声を聴き、
死なせてくれと救いを求める声を聴き、
けれども心は揺らがない。
私のやるべきことは、初めから変わらないのですから。

それでは、治療を行いましょう。
新たな患者を生まぬために、病は滅ぼさねばなりません。

患者一人ひとりに、苦痛を和らげる緩和ケアを施し、
清潔な布で身体を拭いていきます。

「生命の火よ、灯れ」
そうして最期に、優しく手を握り、ランタンを掲げれば、
彼らの生命力をゆっくりと吸いとって
ランタンの煌きは増していく。

患者の最期を看取り、記録に残したら、
また別の患者へ同じように繰り返しましょう。

最期の一人を看取った後は、鐘を鳴らして猟兵たちへ知らせる合図とします。


メア・ソゥムヌュクスス
大丈夫、大丈夫だよ。
安心して、怖くないよ。
側に居てあげるから。
……うん、おやすみなさい、また、

明日。


手を繫ぎ、優しく声を掛ける。子守唄を歌う【手を繋ぐ】【優しさ】【歌唱】【催眠術】
夕暮れを写す瞳を輝かせ、眠りを誘う。【眠り誘う月夜の魔眼】
どれだけ願っても救えない命があるのなら、最期に苦しまないように、安息に満ちた夢を見せよう。

せめて最期は優しい夢の中で、安らかに。
これがこの人たちにとっての救いとなる事を祈ろう。
嘘も涙も全て我慢するよ。

街の人の名前、聴いて覚えて、お墓に刻むよ。誰一人、無名の墓標が無いように【学習力】



 絶え間なく全身を襲う痛みは、どれほど続いているのだろうか。
「アアアッ、あ、ああああ、ああアアあ!」
 壮年の男性は巨躯を痙攣させ、叫びの途中で咳き込んでは血を吐く。
「主よ、憐れみたまえ」
 そんな彼へとマリスは祈りを捧げ、聖なる光によって痛みを取り除く。
 痛みがなくなって彼の表情は安らかになった……かと思えば、迫りくる死を意識したのだろうか、精悍な顔立ちには恐怖の色が滲んだ。
 そんな彼の手をマリスが、もう片方の手をメアが取る。
「大丈夫、大丈夫だよ」
 微笑と共にメアの唇に上るのは、どこか懐かしい子守歌。
「安心して、怖くないよ。側に居てあげるから」
「……いて、くれるのか……?」
 うなずくメアの瞳は夕暮れを映して輝いて。
「……うん、おやすみなさい」
 また、明日。
 メアの言葉に安心したように男性は目を閉ざして、二度と覚めることのない眠りの中に落ちていく。
 優しい夢でも見ているかのように安らかな表情の男性に、マリスとメアは改めて祈りを。
 嘘も涙も我慢して、メアは彼の名前を忘れないよう脳裏に刻んだ。
 猟兵たちは家々を巡り、人々を訪ねては言葉を交わす。
 ――死なせてくれと死にたくないの二つの言葉が響いても、千代の心は動かない。
「それでは、治療を行いましょう」
 やるべきことは初めから変わらない。
 新たな患者を生まぬために、病を滅ぼさなければならない。
 だから、千代に出来ることは終末期医療――緩和ケアだけ。
 あらゆる痛みを取り除き、受容の道のりを共に辿る。清潔な布で身体を拭いて、千代に出来ることはそれで終わる。
「生命の火よ、灯れ」
 最期は優しく手を握って。
 千代のもう片方の手には青白い火を灯すランタン『ウィルオウィスプ』がある。
 ランタンの炎は揺れたかと思えば、患者の生命力を静かに吸い取り――受け取った命の分だけ、煌きを増していく。
 家の窓に輝きが映るのを認めた祈は別の家へ。そこにいる女性がゆっくり振り向いて、祈は口を開いた。
「名前を伺ってもよろしいですか」
 祈は、問いかける。
「貴方は何をなされていた方ですか」
 名前があり、暮らしがあったはずのこの人のことを。
「どう育ちましたか」
 この暗い世界で、他者に手を差し伸べる強さを持ったこの人のことを。
「どこか行きたいところが在れば運びますよ」
 この人が育った町のことも、知りたくて。
 祈は、問いかける。
 腐臭が穏やかになったと祈は感じた。空気が綺麗ですねと言いたくなって、亡骸が燃やされ/埋葬され、死臭が薄れているからだと気付いたので沈黙を守った。
 丁寧に、長い時間をかけて整えられた広い道を通って、祈はさいごに問いかける。
「終わりを求めますか」
 その答えは――、



「僕にできることはなんだろう」
 家々を訪問する猟兵たちを見て、ヴェルはそう呟く。
 少しばかりの沈黙があった――やることは決まっていて、その瞬間までに心の整理をつけなければいけなかった。
「大丈夫、自分を見失ったりしない」
「町の人を手にかける覚悟はできている」
 サンディはそう言ってから、違う、とかぶりを振る。
 この仕事をするために今回グリモア猟兵の依頼を受けたのだ――こんなこと、出来る人間がやるべきことなのだから。
 それぞれの思いを胸に、二人は建物をひとつひとつ訪ねる。
「助けてくれるの……? なんでもいい、どうなってもいいから、この痛いのと苦しいのをなんとかして……!」
 懇願に報いるように、ヴェルの体を引き裂く炎は女性の体を一瞬で灰に還す。
「……殺して、ください」
 絶望を滲ませて呟く男性を、サンディは暗夜の剣でひと突きに。
 掛けたい言葉はいくつも浮かんだが、それで彼らが未練を持つことがあれば残酷だから、二人は何も語らない。
 涙を流すこともなく、慰めの言葉もなく、眼差しに宿るのは憐憫ではなく敬愛と感謝。
(「……あなた方の想いが、僕をあなた方のところまで導いてくれた」)
 紅蓮が人影を呑み込んで命を奪うのを見つめながら、ヴェルは思う。
(「こんな大切な感情を、教えてくれてありがとう」)
 死の恐怖に怯える者にサンディは寄り添って、安心させるための言葉だけを紡ぐ。
 殺しに来たとは言わない。かといって、希望を与えることも言わない。
 少しでも恐怖がなくなればと、血に濡れた手を隠して、サンディは言葉を交わしていた。



「大丈夫です。あの頃に還りましょう」
 破魔の力宿る声で、マリスは何度も震える手を取る。
 星の輝きは彼らを癒すためでなく死出の手向けのために。
 痛みと同時に命の灯火すらも失わせる光は幾条も流れ、そのたびマリスの体力は奪われ、眩暈に襲われる。
 ――それでも、微笑みを絶やしはせず、何度も命の煌めきを全身から放つ。
 そのおかげで彼らは不安を覚えることなく、安らかな眠りに抱かれるように命を終えることができた。
 ……終わりを望む人々の言葉に、ライラックはうなずいてその通りのものをもたらす。
 ライラックが魔導書『STARRY』を開けば、書物はリラの花びらへ変わった。
「──どうか届きますように」
 降り注ぐ花びらは、甘く優しい香りを携えて彼らの人生を閉ざした。
「……本当に、今まで良く頑張ったね。おやすみなさい。願わくば、優しい夢を」
 手を握り、優しく声を掛けてライラックは彼らの旅路を見送る。
 しかし、すべての人が花びらの恩恵を受けられたわけではない。花びらが落ちてなお命が終わらない者に対して、ライラックはナイフを抜く。
(「貴方達のせめてもの救いになる様に、僕は何だって、やるよ」)
 救えないことへの痛苦を抱くライラックはそう決めて、彼らの肉体へ刃先を沈める。
 医術の知識のお陰で、どこを切れば彼らの苦しみが薄いかは分かっていたから。
 躊躇いはなく、一思いに。
 ライラックの手の中で、またひとつ命が消えていく。
「死者には出来る限りにしっかりとした埋葬を、約束するよ」
 もはや届かない言葉をかけて、ライラックは瞼を閉じさせると亡骸を抱いて立ち上がる。
「……私は、向こうの家を見てくるわ」
 多貫は言って、埋葬のため街はずれへ向かうライラックとは別の方向へ。
 別の家へ入った多貫が真っ先に目に留めたのは、キッチンから伸びる脚。
 脚の持ち主である女性は既に事切れており、キッチンの戸棚は隅から隅までひっくり返したような痕跡がある。
「おねえさん……誰?」
 キッチンの様子を検分していた多貫の背後から聞こえた声は、か弱い。
 振り向けば、そこにいたのは濃紺のパジャマを着た少年。碧眼は倒れた女性と同じ色で、この二人が親子であることが分かる。
「助けに、来てくれたの?」
「……ごめんなさいね。もう助けられないみたいなの」
 幼いながらも整った顔立ちの少年へと答えながら、多貫はそっと歩み寄る。
「だから……いいよね?」
 体力がないためか少年は多貫を払いのけない。
 多貫は膝をついて少年の首筋へ、牙を突き立てた。
 少年の首から溢れた血は多貫の舌の上へ、そして多貫の喉を通る。
 存分に血を吸う多貫――急激な失血に少年の体温が下がるたび、多貫の体は熱を帯び、力を増していくのが分かる。
 飲んで、飲んで、飲んで。傷口に溜まった血も名残惜しく舐め取って、多貫はようやく少年から体を離した。
 力の抜けた少年の体はボロボロのマントで隠すようにして、多貫は猟兵たちに見つからないようにこっそりと、埋葬のために外へ出る。
「…………病気のせいかちょっと変な味した、な……」
 呟く多貫はライザーがいることに気付いて、ギクリと足を止める。
「この辺りは、全員終わったか」
「そう、ですね……終わり、ました」
 そうか、と呟くライザーは場所を移し、耳を澄ませる。
 どんな小さな声であっても、聞き逃すつもりはなかった――皆殺しのために、それは必要なことだった。
 ――耳に届いた囁き声を辿ってライザーはひとつのドアを叩いて、ライザーは家の中へ入る。
「お邪魔する。……オブリビオン共は始末した」
 そこにいたのは、年老いた夫婦。
「待たせて悪かった。次はあんたたちの番だ」
「やはりこの病は、治るものではないのだな」
 嵐の精霊属性を持つ剣を一目見て、夫婦は溜息をつく。
「何か依頼はあるか?」
「……では、少しばかり、話を聞いてはくれないか」
 老いた夫婦が語るのは、これまでの人生の軌跡。
 苦労続きだった暮らし、どうにか落ち着いたこの町での穏やかな日々――蝶が来るまで続いた、平和のことを語る。
 部屋を整えながらライザーはそれらを聞き届け、話が終わると、夫婦は静かに告げる。
「これで、話は終わりだ……ひと思いに、逝かせてくれ」
 整然とした部屋の中、ライザーは剣を抜いて、彼らへ向け。
「悪いがこれも仕事なんでな、恨んでくれて構わない」
「ああ……仕方がないとは分かっていても、君が憎いよ」
 死を拒むのは当然のこと。
 そしてライザーは戦士として、仕事なら殺すだけのことだ。
「地獄で待っていてくれ」
 嬲りたくはないから、一息に。
 突き入れた剣は即座に彼らを絶命させ、苦悶の表情を浮かべさせる間もなかった。
 ――倒れ込んだ彼らを抱え上げるライザーの耳に届いたのは悲鳴。
「死にたくない、死にたくない……!」
 浮かぶ感情は恐怖だろうか。しかし、恐怖を覚えているらしい彼らへ、ゼイルは耐炎ダガーを手に近寄る。
「苦しみながら生きることを諦めずによく足掻いたよ。それでも、どうにもならないことばかりさ」
「嫌、来ないで、いやぁっ……!」
 悲鳴が途切れたのは、ダガーが命を奪ったから。
「お前……!」
 怒りに顔を赤く染める者もいたが、ゼイルは言葉ごと命を断ち切る。
 ――彼らを殺さなければならないのは、ここを訪れる村人たちにまで危害が加わらないようにするため。
 見ず知らずの誰かのために、未来のために死ぬなんて綺麗事を誰もが納得できるわけではないだろう。
「せいぜい恨んでくれていいぜ。恨めば少しは恐怖もマシになるかもな」
「パパはどこ――?」
 子どもは後頭部をミッシュマッシュソードの柄で打って気絶させてから殺し、恨みを引き受けながらゼイルは死を振りまく。
(「神様なんていやしない」)
 誰かを助けたいと望み、それでも苦しみもがいて死に逝く彼らを見つめるゼイルの胸には、そんな思いが去来する。
 病に侵され体力を奪われているなりに抵抗しようとする者もいたが、彼らの抵抗は猟兵であるゼイルに傷をつけることなど出来ない。
 一方的な殺人を果たすゼイルは傷ひとつないまま、これからも笑って生きていけるというのに。
「――もしも神様が居たとしてもとんでもないクソ野郎さ」
 胸を痛めることもなく、かといって喜びもなく。
 ゼイルはまたひとつ命を切り取った。

 積み上がる遺体の山を収納袋に詰め、ザザは頭の方を持ち上げる。
「フラウ・レイヴァス、足のほうを頼む」
「力仕事は苦手なんだけどなあ……そうも言ってられないよね」
 フィラメントは足の方を持ち上げて、二人は協力して荷台へ。
「死因を考えるとそのまま埋葬は、」
 横目に何かを捉えたらしいザザはアレスKBN13を構えて、
「できねェ」
 撃った。
「汚れと臭いはどうにもならんが、コイツらはもう自分じゃ歩けないンだから仕方ねェだろ」
 射殺された人間を持ち上げて、これも遺体収納袋へ。
「……人殺し、なんてこと……!」
 淡々とした様子に怒りでも覚えたのか、押し殺したような怒りと共に、よろめきながら姿を見せる者がいた。
「外道め……! お前たちを、許」
 ザザは撃ち殺して、まだ温かい収納袋をフィラメントと共に持ち上げる。
「フラウには迷惑をかけた。借りだな」
「君は仕事をした、それだけだからね」
 それに、と呟くフィラメントが思い起こすのは、絡新婦のこと。
「こういう言い方は嫌かもしれないけど。君の武器は、適していた」
 フィラメントの用いる糸や傀儡では、遺体を損傷してしまう。
 弾丸ひとつで終わる方が、きっと痛みもなくて綺麗だから、とフィラメント。
 ――遺体が立てる炎を見上げて、ザザは煙草に火を点ける。
「君って、戦ってる時もそうだけど」 
 フィラメントは獣を追い払うための罠を仕掛けながら、そう口を開いた。
「自分のこと、もうちょっと労わってもいいと思うんだけどね……まあ、そういう性分なら仕方ないけど」
 その言葉に返答はせず、ザザは紫煙を揺蕩わせ。
「手向けだ」
 ザザの隣にいるのはフィラメント。
(「借りだな」)
 改めて思いながら、ザザは煙草の香りに目を細める。

 元凶となったオブリビオンはもういない。
 それだけでこの町の無念を晴らすことは出来なくても、それは猟兵たちにしか出来ないこと。
 ――これで良かったと、思うほかないのだろう。

 千代は鐘の音を響かせることで、この町に生者が誰一人としていないことを告げる。
「っは、粋なこって」
 空に響き渡る鐘にライザーはどこか自嘲的な呟きを漏らす。
 素面でいるにはあまりにも空気は重い。酩酊して、血の臭いも分からなくなってしまいたくなるほどに。
「ただ苦しい経験をさせてしまっただけかもしれないけど……一緒に来てくれてありがとうって、今は言わせて」
「サンディ、隣にいてくれてありがとう。僕に人の心は救えないけど、想いを繋いでいくことはできるかな」
 鐘の音を聞きながら、サンディとヴェルはそう言葉を交わし。
 祈は一人一人の名前を、その生い立ちを思い出しながら、彼らの名を石へ彫る。
「無名の墓標は、無いわね」
 祈のそば、メアは安堵して呟きながら、墓碑を刻む。
 副葬品、葬る場所は祈が聞き出していた。祈は彼らを望む場所へと還していく。

 ――やがて町を訪れる村人たちは、町に誰一人として人間がいないことに気が付くが、ライラックは彼らにここでの出来事を伝える。
「……どうか、この日を忘れずに居て欲しいな」

 ここで会った人々も、オブリビオンも。
 全ては明日の礎となるべきものなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月12日


挿絵イラスト