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傾国の音律

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●響
 夜半過ぎ。提灯を下げ、砂利道だというのに小石を蹴飛ばすこともなくひたりひたりと道を歩むのはひとりの侍である。腰に差すは大小一揃い……紋の入った羽織りも併せてみれば、そんじょそこらの下級武士ではないことも一目で判るだろう。
 時節柄夜は冷え込むのだが、寒さなど欠片も感じていないかのようにその侍は道を急ぐ。吐かれる息は白く煙るが、提灯の明かりから逃れれば瞬く間に夜陰に呑みこまれ黒く塗りつぶされる――そう、提灯の明かり以外に何も頼るもののない、夜半の道だ。
 ……鈴、という涼やかな音と共に提灯の火がふっと消えた時、その侍の歩みが止まったことを責められるものは居ないだろう。
「――何奴」
 風は無かった。油も十分。灯が消えた理由を外に求めて誰何の声を上げたその胆力こそ、褒めるべきだろう。

 ――鈴、という涼やかな音がまたひとつ。

 翌朝、件の侍は胴と頭が別たれた姿で見つかったという。

●語
「今回の出撃先はサムライエンパイアになるわ」
 新調した服の袖を鳴らしながらニコラが猟兵たちを呼びとめる。どうやら、ただでさえ決戦で忙しいこの時期にまたどこぞのオブリビオンが騒ぎを起こしたらしい。
「相手は不明。ひとまずの通称は『鈴の辻斬り』というところかしらね?」
 足を止めた猟兵に対し、ニコラが早速説明を開始する。片手に浮かべたグリモアを操作し、投影するのはサムライエンパイアでも一般的なサイズの城下町の地図だ。ふい、と指を振ればその地図にいくつかの赤いバツ印が浮かぶ。
「現時点での被害者数は5名……そのいずれもが、鋭利な何かによって致命傷になる箇所を切断されて死んでいるわ。ここまでなら、単なる辻斬り。それこそエンパイア世界の警察機構にお任せしたいところなのだけれど……」
 ふぅ、とため息をひとつ。そこで言葉を切った理由に勘づいてか、幾名かの猟兵が「ああ」と納得の声を上げた。
「――少なくとも、ニコラの予知に引っ掛かった、ということはこれはオブリビオンの仕業ということよ」
 断定口調。グリモア猟兵としての能力が、この連続辻斬り事件の背後に潜むオブリビオンの存在を告げているらしい。
「現在の手がかりは、全ての事件が夜中に起きている事、そして予知の上ではその全てに『鈴のような音』が付随していることの2点となるわ。手がかりが少なくてごめんなさい――けれど、調べれば確実にオブリビオンへと辿りつけるはずよ」
 健闘を祈るわ、という言葉を付け加え、ニコラは猟兵たちに出撃を促した。


Reyo
 お久しぶりです。戦争は佳境のようですが、少々忙しくて戦争シナリオを出し損ねていたReyoです。
 今回はサムライエンパイアでの辻斬り事件解決を猟兵の皆さまに依頼します。

 現在出ている情報は、ニコラの予知によってもたらされている「鈴の音と共に来る何か」が辻斬りをして回っているということのみ。
 しらみつぶしに怪しい奴を探すか?
 機転を利かせて聞き込みをするか?
 頭を使って目標をおびき出すのか?
 ――この事件に対してどのようなアプローチをするのか、皆さまのプレイングをお待ちします。
 ミステリ仕立て、というわけではありませんが、このような導入の都合上、第2章、第3章については各章開始時に簡単な状況説明が入る形を予定しております。ご了承のうえ、ご参加いただければ幸いです。

 それでは、どうぞよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『真夜中の辻斬り』

POW   :    とりあえず怪しそうな人物を引っ捕らえる

SPD   :    何か情報を知っている人がいないか聞き込みする

WIZ   :    罠や囮などを使って辻斬りを誘い出す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

六代目・松座衛門
「おっかないなぁ、辻斬りなんて」
この辻斬り事件について、町の人たちに聞き込みをする。
被害者全員が立ち寄っている場所、共通の知人がいないかを中心に聞いて回る。

「邪魔するよ…(小声)」
集めた情報をもとに、被害者が立ち寄った場所、共通の知人の家へ、もしなければ、OPで襲われた侍の家へ忍び込み、さらに情報収集。

屋根に登ったり、見回りの注意を逸らす際には「錬成カミヤドリ」で人形の操作板を複製し、足場にしたり、自分から遠くの場所へ飛ばし、音を出すように動かそう。

「何か、手掛かりはあったかい?」
集めた情報は、他の猟兵と共有し、自分も得られた情報から柔軟に行動を変えよう。

【SPD】選択。アドリブ、連携歓迎


シャルル・エルンスト
辻斬りとは物騒だね。人の仕業ならともかく、オブリビオンであるならば、僕らの仕事だ。

【SPD】
事件の情報を求めて、聞き込みに回ろうか。
まあ、真夜中の事件だしねえ。
こっちで目撃者を探すより、死体から分かる情報を求めた方がいいかな?

検死を行った医者もしくは警察機関に詳しい話を聞きに行こうか。

【情報収集】【礼儀作法】を活用。必要に迫られた場合は『天下自在符』も利用。でも、あくまでもお願いする立場で。

死体発見時の状態、状況や他の情報を聞き出して、使われた刃物か犯人像が判明できればいいな。
あとは、鈴のような音か...。

現状集めた情報を整理して【第六感】で違和感を探します。できれば他の猟兵と共有。



●調
 結論から言うと、六代目・松座衛門(とある人形操術の亡霊・f02931)が目論んだ被害者のパーソナリティーに関する調査はほぼ空振りだったと言っていい。何せ、いざ調べてみたところ、あまりにも被害者の特徴がバラバラすぎたのだ。
 5人目の被害者が侍であったことは既にグリモア猟兵から説明を受けて知っていたものの……残る4人についてざっくりと調べただけでも、商人が1人に小物作りを生業とする技能職の者が2人、残る1人は料理人である。
「ただでさえおっかないのに……狙いが判らなすぎる」
 共通の知人もなし。情報整理のために紙に書きだして羅列してみるが――どうにも、しっくりとこない。辻斬りの目的がそれこそ「刀の試し切り」や「鬱憤晴らし」のような場当たりなものならまだしも、とペラペラと紙を捲って考え事に耽るも、まだ情報が足りない。
 と、そんなところに、同じく町内での聞き込みに回っていたもう1人の猟兵が合流した。
「何か手掛かりはあったかい? ……少なくとも、被害者の共通事項は今のところさっぱりだったが」
「多少は、ってところかな」
 それは、5人目の被害者である侍の遺体を検分した者へと話を聞きに行っていたシャルル・エルンスト(人探しの人形師・f10223)である。天下自在符を片手に持っているあたり、結構なところまで踏み込んだ様子が見て取れた。
「事前説明通り、犯行時刻は全て夜中。鋭利な『何か』で首や胴を一閃……侍は首を切られていたみたいだけど」
「というと?」
 シャルルが調べてきたところによると、被害者の5人は切断された箇所に違いがあったようだ。技能職の2人と料理人の併せて3人は致命となる胴への一閃に加えてそれぞれの利き腕をばっさりと。商人は顔面に対して水平に「目」と「口」の高さで2か所切断されていたという。
「……切り方に意味がある、とでもいうのか?」
「判らない、けど――少なくとも何の意味もなくそういう場所を切る必要はないんじゃないかい? ……そっちで調べた個人情報とかとの照らし合わせは何かできる?」
「そうだな、ちょっと待ってくれ」
 書きつけた紙をぺらぺらと捲る……足りない情報は、シャルルの手で補完されたといって問題なかった。
「侍は、どうやら事件の数日前に主から暇を言い渡されていたようだな。商人については、元から目利きと口のうまさに定評あり。料理人についてはこの城下町で5本の指に入る料亭勤めで――技能職の2人も、名工の教えを受けてるっていう意味では有名人」
「……それぞれ、自慢の場所を切られてる、ってことかい? 侍の『首切り』はちょっと意味が違いそうだけど」
「それでも、商人を含む4人については、少しあたるアテが出来そうだ。知人関係に絞って共通点を洗いだしていたが、少しそれを広げてみるとしよう――例えば、客とかな」
「アリだね。その線でもう少し追ってみようか」
 松座衛門の提案にシャルルは首を縦に振る。シャルルの第六感もまた、松座衛門の推理と同様にこの事件の首謀者へと繋がる糸が4人の被害者の客に――それも、侍の仕える相手となるような高位の者にある可能性をひしひしと感じ取っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ナナ・モーリオン
……困るんだよなぁ。
やたらにこっち側の住人を、増やしてもらっちゃ。

細かいことは苦手だし、このまま夜の街に出て行ってみよう。
ボクは『暗視』も利くし。
丁度、鈴も持ってるから……身に着けて歩いてたら、真似っこと思われたり、しないかな。
つられて出てきてくれれば、一番いいんだけど。

『野生の勘』で気配を探りながら、歩き回って誘い出してみるね。
攻撃的な気配を察知したら、いつでも迎え撃てるようにしておかないと。
狼血の輩が、上手く夜に溶け込めるなら、潜ませて守ってもらうね。
それが無理なら……まぁ、頑張って避ける。もしくは『オーラ防御』で弾く。
ボクが先に見つけられたら、何の問題も無いけどね。



●斬
 夜の町。日没から暫くして、22時を過ぎるころには町は眠りへと落ち始める。居酒屋や料亭の類も最後の客を送り出し、翌日の仕込みを終わらせて灯を落とす時間だ。
 その中をナナ・モーリオン(眠れる森の代理人形・f05812)は1人、リンリンと鈴の音を鳴らしながら歩いていた。時折、宵っ張りの酒飲みが彼女の方を怪しげな目で見るが……猟兵ならではの「馴染む」能力の所為で必要以上の注目を惹くことはなかった。
「やたらに『こっち側』の住人を増やされると、困るんだよなぁ」
 鈴の音を伴っての歩みは、いわば挑発である。その音に釣られて何かが出てこないか、という期待がナナの脳裏にはある。ずるり、と時折奇妙な形の影が彼女に追随するが、それはユーベルコードで呼び出された戦士の霊である。夜闇の影に、その戦士たちは程良く溶け込んでいた。
 ――23時。
 ――24時。
 あらかた、城下町を一周し終える頃には、まさに犯行時刻の夜中を迎えていた。
 ここまで、ナナの勘に引っ掛かる気配は何もなく――

 燐、という仄かな甲高い音。その涼やかな音に、一瞬とはいえナナの注意が引っ張られた。
 故に、その一閃に気付いたのは、狼血の戦士がその剣を以て不可視の一撃を迎撃してからであった。

「――今のは!?」
 とはいえ、その一撃に気付いて警戒を引き上げれば……居る。ぼんやりとしているが、非常に親しんだ、けれども朋友とは異なりオブリビオンである「何か」が。
 臨、という涼やかな音色がもう一度。今度は先ほどよりも近く、ぼんやりとした影が刀のような長物を振りかざしてナナへと襲いかかる。狼血の戦士がその一刀を剣で受け、その隙を突くような連携でもって影を一撃で葬り去った。
「……安らかに、だよ。あなたの眠りが2度と妨げられませんように」
 チャリン、という安物の陶器が割れるような音は、影が倒されるとともに。
「方向は……あっちだね」
 細かな距離までは、音が拡散していて計れず。ナナが見据えたその音の先には――夜中になお、その黒い偉容を見せつける城があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

篁・綾
SPD分野で。
被害のあった周辺でまずは人へ【礼儀作法、情報収集、コミュ力】を使って聞き込みを。
【料理】でお団子でも作って持っていきましょう。必要とあればそれらを供する方向で。
「ちょっとお話をお伺いしたいのですが…最近、夜中に変わったものを見たり、
変わった音を聞いたりしたことはありませんでしたか?」


思うような結果が得られなかった場合は、路地に入って餌を撒き、【誘惑、おびき寄せ】で動物を集めて
【動物と話す、コミュ力】を使って聞き込みをしてみましょう。

この子達なら、人とは違う目線の意見も聞けるでしょうし。
何か、いつもと違うものを見てはいないかしら?



●聞
 猟兵たちが事件を調べ始めて数日。夜に繰り出した猟兵は1度オブリビオンのものと思しき襲撃を受けていたが、それ以後、辻斬りが出たと言う話はとんと聞かない。
 そんな中。
「ちょっと、お話を伺いたいのですが――」
「おう、なんだい? ……えらい別嬪さんだな」
 篁・綾(幽世の門に咲く桜・f02755)の着物姿はサムライエンパイアの景色によく馴染んでいた。声をかけられて振り返った町人も何の違和感もなく綾の姿を受け入れている。
「ふふ、お世辞でも嬉しい――それで、お尋ねしたいのは夜中の様子なんですけれど」
「夜中ァ? なんだってまた」
「ちょっと、探し物がありまして……変わったものを見たり、変わった音を聞いたりとかありませんでしたか?」
「ふぅーん……変わったものや音、ねぇ」
 綾の尋ねごとに対し、町人はしばし悩んだ様子を見せるが――その後、首を横に振る。
「いや、すまんが心当たりがない」
「いいえ、どうもありがとう……」
「ああ、物や音じゃあねえが、変わり者の話ならひとつあるぜ?」
「――というと?」
「ああ、うちの町の奉行様なんだがな。去年の夏から、ずーっと風鈴を外さねえんだ」
「……それは確かに、ちょっと変わってるわね」
「だろ? ま、町の統治はきっちりやって下さるから、それくらいなーんてことないがね」
 にっかりと笑う町人の言葉通り、その風鈴以外の奇行は特にないらしい。
(……この城下町に住む人に聞いて回っても、出てくるのは辻斬りの噂か、この「風鈴の奉行」ばかりね)
「良い奉行様なのね。色々とありがとう……御礼に団子はいかが?」
「お、ありがたく頂こう。こちらこそありがとう」
 最後に丁寧に一礼し、御礼として団子を1本渡して話を切り上げる綾。
「それにしても……風鈴、ねぇ」
 事前の説明を思い返し……ふと、綾は辻斬りの現場で鳴るという鈴の音へと思い当たる。
 鈴の音、と説明されはしたが――果たして、それがどのような鈴か、というのはグリモア猟兵の予知にもなかったはずだ。
「ちょっと、皆と情報を照らし合わせないとね」
 綾は聞いた情報を取りまとめながら、他の猟兵たちと合流するべく動き始めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

白斑・物九郎
●POW
いっぺん「風鈴の奉行」周りへ探り入れてみましょっかや
直で訊きに行くでナシにまずはこっそり周りを固めますでよ
何も無かったならソレで良し
鬼か蛇が出たならソレも良し

そこらの建造に適宜うまいこと隠れながら(地形の利用&クライミング)、例の奉行の住まいに勤め先、やっこさんの関わる所を昼夜通して電脳の魔眼と【野生の勘】を組み合わせた監視体制で張り込んでみまさ
サーチドローン・茶斑の三毛に、市井の猫っポい振る舞いをさせつつくだんの「ずっと出てる風鈴」周りとかを通りすがりしな【撮影】させるのもアリっスね

侍でも行商でも夜鷹でも
職も男も女も問わず、勘が疼くような手合いを見掛けた時にゃ、無論【追跡】しますでよ


忍足・鈴女
SPD
鈴の辻斬りねえ…
勘違いされそうで嫌やわあ…

とりあえず現時点で怪しそうな奉行さんには
監視を付けてと…(ユーベルコード使用)

とりあえず夜目の聞きそうな猫ちゃんに【動物と話す】で
怪しい人を確認

しかし、
目利きと口の上手い商人が「口」と「目」を切られ
手が命の職人が「手」を切られ
首を切られた御侍が文字通り「首」を…
これだけ意味深な殺され方をしてるからには
何か意味がありそうやね…

侍、商人、職人、料理人の評判について
侍の上司、町の人から何か詳しい話は聞けへんやろか…
居酒屋で【楽器演奏】でもしながら【情報収集】を
【誘惑】を駆使してお酒を勧めれば隠してる事でもぽろっと…

奉行が怪しい動きをしたら他の猟兵に共有



●見
 ちりん、と忍足・鈴女(最終猫型暗殺兵器・f03727)が爪弾く三味線の棹に付いた鈴が鳴る。3弦で掻き鳴らされるのは居酒屋の雰囲気に合った陽気な旋律。鈴の音は丁度いいアクセントだろう。
「よっ、ねーちゃん良い調子だねぇ」
 ほどよく酒に酔った男が、そんな鈴女に声をかける。見かけない顔、というのもあって好奇心も含む下心がその表情から見えなくもない。
「おおきに――お代の代わりに噂話を教ぇてもらえへんかしら?」
「ああ、流しにとっちゃそういうのも重要か。どういうのがいいんだい?」
「せやねぇ……夜が恐いさかい、辻斬りがおらはる話とか」
 ぺれん、と1弦を弾き、三味線を傍らに立てる鈴女。それを休憩の意と取ってか、噂話を求められた男のほうも徳利を引き寄せて手酌しながらうんうんと首を傾げ始める。
「んー……そうだな、面白い噂が一つあるぞ、それなら」
「へぇ、どないな話で?」
「――辻斬りされたお侍様だがな。結構細かい奴で有名だったんだが」
「……ふむ?」
「――奉行様のコレにな」
 そういって男が立てるのは小指である。
「まぁ、いろいろとご諫言なさったらしい。斬られた理由はともかく、お暇を申し渡されたのもそのせいじゃないか、っていう噂だ」
「あら、まぁ――」
「まぁ、真面目な奉行様だ。きちんとやってるんだから、女の一人や二人、ちょいとした贅沢くらいは許していいんじゃないかと思うんだがなぁ」
 そう言って言葉を締めくくり、ぐいと猪口を傾ける。注がれていた酒は瞬く間に男の喉へ消えた。
「どうだい、お代にゃ足りたかい?」
「せやねぇ……もう一声?」
「はっはっは、じゃあもう1曲くらい聞かせてくれたら、また別の話でどうだい?」
「いけずさんなこと――」
 立てていた三味線を構えなおす鈴女。ちりん、という鈴の音。それに呼ばれるようにして、ふわりと猫の霊が鈴女の背後に現れる。
(――奉行様だけでなく、奉行様の情婦にも注意が必要そうでござるな。というわけで、これを伝えるのは任せたでござるよ)
 鈴女の思念を受け取った猫霊は、ふわりふわりと居酒屋から漂い出て――情報を伝えるべく奉行の監視をしているもう1人の猟兵のもとへと向かうのであった。
「さて、ほなら……もう一曲」
 ぺけろん、ぺけろん。陽気な旋律がまたもや居酒屋を満たしていく。

●監
 ――鈴女が居酒屋で新たな情報を得ていたころ。
「鬼か、蛇か、何がでるやら。どちらが出るも、ソレで良し」
 奉行の屋敷、その近くに陣取った白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は調査行から帰還したサーチドローン・茶斑の三毛の顎を撫でていた。
「ほぉん、なるほどなるほど」
 三毛から情報を受領し、AR的に視覚内へと展開させていく物九郎。彼にしか見えぬ仮想空間に幾枚もの写真が映し出され、物九郎の操作に応じてそれらが宙空を行き来している。
「これが件の風鈴、ねぇ」
 塀に遮られてこの潜伏場所から直接は目視できなかったが、三毛の視界を借りればその画像を見ること自体は他愛なく。物九郎の視覚に映るのは、まるで神社の鐘を小型化したような重厚感を持つ、鋼のように黒い風鈴であった。
 飾る時期も外れていれば、そういった美的センスも外れているのだなぁ、と――飾られている風鈴が1つだけだったのならば、物九郎の勘にもひっかからなかっただろう。
 縁側に1つ、屋敷の四隅に各1、さらには「誰の目にも付かないよう、隠すようにして飾られた」ものまで数えればさらに十数。都合、二十は下らない数のそれらが奉行の屋敷に「居た」のだ。
「鬼や蛇どころか、オブリビオンが出なすったとは」
 数十枚の写真を撮影してきた三毛をうりうりと撫でまわし、指先をついと横へ振ってそれらを閉じる。続いて開くのは、奉行と同居してると思われる女の写真。奉公人や下女といった雰囲気ではなく、かといって妻や娘といった関係性とも思えない。敢えて言葉を当てはめるとするのならば……性別こそ逆だが、ヒモといった様相。
「うーん――こっちぁ、ちょいとわかりませんなぁ」
 などと呟いた所に、ふわりと何かが訪れる。気配はすれども姿なし――何かと思って三毛の目を通して見てみれば、どうやら鈴女が放った猫霊が近くまで来ていたらしい。
「……なるほど、噂になる程度にはお遊びの激しいご様子で」
 猫霊から情報を伝えられ、ふんふんと物九郎は頷く。
「――奉行と情婦、さて、どっちが本命でござぁますかねぇ」
 ともあれ、丁度「鈴の音」が鳴らせそうなオブリビオンは見つけたのだ。それらを一掃すれば――あの風鈴を操っている「本命」が姿を現すことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『彼岸の兜風鈴』

POW   :    風鈴の音が響き渡る
予め【風鈴の音を響かせ続ける 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    風鈴の音が共鳴する
【共鳴振動となる甲高い風鈴の音 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    風鈴の音が死者を呼ぶ
【黄泉の国 】の霊を召喚する。これは【悲鳴】や【武器】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●転/破
 猟兵たちの地道な調査が実を結び、どうやら「鈴の音」の元凶と思われるオブリビオンが発見された。
 確認された限りで、その数は最低でも二十体。
 それを操るは、はたして奉行か、その情婦か……?
 そして5人の被害者たちは、何故あのような殺され方をしなければならなかったのか……?
 謎はまだ多少残るが、なにはともあれオブリビオンは一掃せねばならない。
 猟兵としての力を示す時が来たのだ。
忍足・鈴女
ふむ…流石に奉行の屋敷ともあれば
なんの関係もない警備もいらっしゃるやろし
人知れず…ってスタンスが
お仕事(【暗殺】)してるっぽくてええんやけどなあ…

まず的(敵)の場所を予め潜入で把握している人に確認
射線の通る高い場所をピックアップ(【地形の利用】)

ユーベルコードは
【暗視】【視力】もあるから外さへんえ
各ポイント移動は【クライミング】【ジャンプ】で

攻撃飛んできても見つからんかったら当てられへんやろし
【野生の感】【第六感】で躱していくで

まあ動かん置物ならこれがベストやけど
流石にぱりんぱりん割られてたら動くやろなあ…
ま、それで奉行所外に出てくれるなら(【おびき寄せ】)
他の猟兵と敵が接触したら【援護射撃】


白斑・物九郎
【ワイルドハント】
●POW
屋敷ン中は先立って三毛で軽く探索済ですしな
風鈴を効率良くブチ割って回る為にも、カタギを巻き込まないように気ィ遣っとく為にも、間取り情報なんかを周りの面子と共有しときますでよ

ナナの「狼血の輩」の対多連携は盤石でしょうしな
俺めはそいつらの展開範囲の逆側で、ナナに攻撃を伸ばそうとした輩を順次【野生の勘】で見極めて優先的にブチ殺して回りまさ

――【ヒートドライブ(属性攻撃・炎)】
この左手・左腕でザコ共を殴って薙いで払って掴んで投げてヘシ割って焼き尽くす

炎は周辺大気を派手に呑ませて、取り分けデカイ音を立てるように運用
轟音を撒き散らして連中の風鈴の音を「響かせてやらない」寸法っスよ


ナナ・モーリオン
物九郎(f04631)と

(鈴の音に、石笛の音色が混ざる。周囲にぞわぞわと沸き立つ、何人もの長身の戦士、黒い炎の亡霊たち)

斬ったのは……キミたちじゃ、なさそうだけど。
けど、キミたちも、同罪だよ。
未練を残した魂を送るのも、眠っている魂を呼び起こすのも……死者の国を乱すこと。
みだりにやっちゃ、ダメ。
だから……ボクらが、裁く。行って、狼血の輩たち。

『暗視』が利くから、視界は平気。
あとは、単純。
『追跡』して、囲い込んで、『串刺し』。輩の決定力が足りないなら、足止めに徹しさせて、ボクが呪炎槍を『槍投げ』する。

物九郎、守ってくれるの?ありがとう。
それじゃあ、ボクらもお仕事、頑張らないとね。



●議
「屋敷の間取りは?」
「三毛で軽く探索済みでさぁ」
 夜半前。日中の調査を終えて合流した猟兵たちは、オブリビオンによる辻斬りが起きていた時刻付近を攻め時として集結していた。屋敷の間取りを改めて尋ねたのは鈴女で、答えたのは物九郎だ。
「なら、うちは高所から」
 鈴女が後衛寄りのポジションを申し出れば、他の猟兵は頷いてそれぞれの位置取りを相談し始める
「――対多数連携なら、ナナのユーベルコードが盤石でしょうしな、俺が守りでナナが攻め、先陣は任せるッスよ」
「物九郎、守ってくれるの? それじゃあ、ボクらもお仕事、頑張らないとね」
 その中、元より知己である物九郎とナナが先陣に名乗りを上げた。互いに親しく名を呼ぶ様子に、出来合いの連携で突っ込むよりはと他の猟兵たちも突入順について合意。ここに、屋敷への突入戦が始まる。

●突
 ――ひょう、というのは笛の音。屋敷の真正面で鳴ったそれに釣られるようにして、鈴、鈴、とかすかに屋敷の兜風鈴たちがざわめき始める。
「さぁ、ワイルドハントのお通りでさァ」
 無機物とはいえ、オブリビオン――その意識が笛の音に釣られたところを、逆方面から物九郎が攻め入る。屋敷の塀を無造作に乗り越え、陽炎を纏う左腕の一閃がすぐさま1つの兜風鈴を捉えた。燃え盛る掌に握り込まれ、音律を響かせる暇もなく砕け散る兜風鈴。
「死者の国を、みだりに乱しちゃダメ……だから、行って。狼血の輩たち」
 突然の闖入者に乱れた一瞬の隙を付き、次に突撃の咆哮を上げるのはナナが呼びだした黒炎体の霊たち。ナナの倍はあろうという長身の亡霊たちは一糸乱れぬ動きで屋敷の門を破り、あるいはその付近にひっそりと吊るされていた兜風鈴たちを一刀の元切り捨てた。
「動かん置物ならベストやったんやろうけど――そっち、行かはったで!」
 それらの動きを高い位置から俯瞰し、注意の声を飛ばすのは鈴女だ。事前の打ち合わせ通り、屋敷の両面をまとめて眺められる位置へと陣取っていた鈴女の目線は、いわば猟兵たちの中でレーダーとして働いている。彼女自身も、視認しさえすれば届く鉄針射撃で兜風鈴たちを牽制。猟兵の存在を感じてそれぞれの係留されていた位置から動き出そうとしたのを抑えにかかる。
 そこで――輪、と。機先を制されたかのように見えた兜風鈴たちが一斉に涼やかな音律を放つ。奇妙なまでに反響するその音色は彼らのユーベルコード。屋敷の敷地全体をカバーするような強烈な「共鳴振動斬撃」が猟兵たちの位置取りも関係なく、まとめて薙ぎ払うようにして空間へ染み渡る。
「カタギのこたぁ、無視で?」
 猟兵だけを狙う、というよりはただ応戦の為に無造作に撒き散らかされたであろうその音律。どういう原理か、音が届いた塀の一部や植木の枝といったものがスッパリと切断される。
「なら――遠慮は無用でしょうなァ!」
 鈴女が位置取りを変えて回避運動を取り、ナナが狼血の輩の身を呈した防御で潜り抜けるなか、物九郎はカッと気迫に満ちた短い息を吐き左腕に纏う炎の出力を引き上げて応じる。
 途端に、寸前まで凛と響き渡っていた斬撃音波がぐにゃりと低い音程に歪む――斬撃が伝う空気そのものが物九郎の纏う熱により歪められ、軌跡をズラされ、威力を削がれたのだ。
「ええ反応したはりますなぁ――ほな、そこっ!」
 音律が歪み斬撃が己の元まで届かぬと察した鈴女は回避運動からスムーズに攻撃動作へ移行。宙を舞うことで先の位置では死角となっていた位置にいる兜風鈴目掛けて鉄針を投射。ギィン、という重く鋭い音が告げるのは風鈴を貫き割ったという結果だ。
「――誰に斬れと言われたのか、そこまでは判らないけれど。未練を残した魂を送るのも、眠れる魂を呼び起こすのも、どちらも罪。ボクらが裁くべき、罪だからっ!」
 尚残る風鈴たちの一部を、ナナの叫びに応じた狼血の輩が砕いた。
 奇襲そのものは成功。オブリビオンの反撃を許しつつも、先陣を切った3人の猟兵が開いた活路へと残る猟兵が飛びこむのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

篁・綾
…風鈴の妖?随分いるようね。
…がらくた市でもあったのかしら。

【挑発】【おびき寄せ】を駆使し、【見切り】で自分と相手の動きを見極め、【破魔、範囲攻撃、目潰し、マヒ攻撃、鎧無視攻撃】を使って、
刀2本を桜の花吹雪に変え、UC【桜花征嵐】でまとまった敵を攻撃

相手からの攻撃は【視力、見切り】で見極め、【フェイント、残像、空中戦】、またはUC【桜花絶影】にて回避。
当たった場合は鉄傘で【武器受け】、【オーラ防御、呪詛耐性、激痛耐性】等を駆使し耐える。

ある程度攻撃を加えた後は撹乱を優先、【カウンター】等も加えながら、【敵を盾にする】よう、敵の射線上に別の敵を挟むようにしたりしながら、回避と防御に徹する


六代目・松座衛門
「こいつらが辻斬りの正体? それにしても数が多いな!?」
人形「暁闇」は自分の本体である操作板から出る操作糸「領」で操り、自分は多節棍「双爪丸」を持ち、1人と1体で兜風鈴に対峙する。

基本的には、近くの敵から倒そう。人形で相手からの攻撃を【武器受け】し、自分や他の猟兵を【かばい】つつ、「双爪丸」で反撃。

「そこか! 一ノ型「角砕き」!」
遠距離から攻撃してくる兜風鈴に気づいたら、UC「角砕き」発動! 対象の敵へ人形を跳躍させ、体当たりと右ストレートのコンビネーションを当てよう! また、遠距離攻撃が放たれたら、近くの兜風鈴を操作糸で引き寄せ、【敵を盾にする】。

【POW】選択。アドリブ、連携歓迎



●掃
「風鈴の妖、随分いるようね」
 先陣を切った猟兵たちに続き、乱れた前線へと飛びこむ綾はそう呟きながら愛用の刀「彼岸桜」「明月」をそれぞれ抜き放つ。逆袈裟に切り上げるモーションで兜風鈴を1つ、×の字状に斬り裂きながらユーベルコードの詠唱を唱える。
「ひゅるり、ひゅるり吹く彼岸の風よ――!」
 応じて、綾の愛刀が無数の桜へと姿を変える。轟、という突風の音に押され風鈴たちの反撃音は掻き消され、季節外れの桜吹雪が風鈴たちを八つ裂きにしていく。
「こいつらが辻斬りの正体だとしても、数が多いな!」
 そして、その桜吹雪から逃れた風鈴たちを一体ずつ確実に仕留めていくのは松座衛門だ。周囲から強襲をかけるのが先陣を切った猟兵たちの役割だったとするのならば、今ここに居る猟兵の役割は相手陣地へ突入してのオブリビオン一掃だ。ヤドリガミとしての本体である操作板を通じて連携を取る人形「暁闇」と松座衛門のコンビネーションは、兜風鈴に逃げや防御を許すことなく確実に殲滅を進めていく。
 兜風鈴側も、初手の奇襲も含めれば既に半分以上を撃破されている。焦った様子でまともや、輪、という周辺一帯をまとめて薙ぎ払う音律を響かせるが――
「……種が判っていれば、なんてことない」
 綾の対応は滑らかに。短い詠唱で即座に回避用のユーベルコード「桜花絶影」を起動すれば、音波斬撃が飛ぶ位置を桜の花弁へと変じさせて見事に回避――もとい、斬撃そのものを無効化する形で受け流す。
「共鳴が原理らしいが――それはそれで、やりようがある!」
 松座衛門の反応はより攻撃的であった。
「――そこっ! 行けっ!」
 操作板を通じて暁闇へと命じるのは、音が響く中心付近への高速突撃。角砕きと命名したその技は、暁闇が行うコンビネーションブロウであり――松座衛門の狙い通り、攻撃の起点となる音を響かせていた兜風鈴がその2撃で木っ端微塵に粉砕された。
「あら、今のは……?」
「共鳴、ってことなら、それの元になる音と、それを増幅してる奴らが居る訳で――」
 臨、という響き。全体をまとめて薙ぎ払うことに限界を感じたのか、もやもやとした黒い影――黄泉の霊を召喚し、より直接的な物理戦力として行使する兜風鈴たち。
「戦いながらの説明はキツいが……ともかく、攻撃の起点を潰してるんだ」
「なるほどね――ありがとう、参考になるわ」
 悲鳴を上げながら刀を振るう黄泉霊に対し、綾と松座衛門は防御の構え。鉄傘「薄紅深山」で、あるいは多節棍「双爪丸」で物理的な斬撃を受け止め、そのまま反撃へと移行。兜風鈴本体までは届かずとも、数体の霊がまとめて滅される。
「それじゃあ、基点を狙うのはお願いね」
「役割分担か、引き受けた」
 再びの桜吹雪が兜風鈴たちを襲う。それに抗うようにして斬撃音波を放つも――その起点を見抜いた松座衛門が丁寧に該当する兜風鈴を潰しにかかれば途端に拮抗状態が崩れる。
 手順さえ確立してしまえば、あとは時間の問題。屋敷の敷地へと突入した2人の猟兵がコンビネーションを確立させるころには、兜風鈴たちは1つ残らず物言わぬがらくたへと還されるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『傾国の白仙狐』

POW   :    その精、喰ろうてやろうぞ
【全身】から【魅了の術】を放ち、【幻惑】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    出でよ我が僕、死ぬまで遊んでおやり
【自身に従属する妖狐】の霊を召喚する。これは【剣】や【電撃】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    妾の炎に焼かれて死ぬがよい
レベル×1個の【狐火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御狐・稲見之守です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●狐
 がらり、と。縁側に続く一室の障子が開かれる。そこに居たのは、奉行が最近熱を上げていると噂になっている女である。黒い髪、すらりと鼻筋の通った顔。紺の布地に黄色い縁取りの和服。総じて、男が入れこむには十分な美貌の持ち主だ。
「――まったく。愉しみの最中であったから聞こえぬふりをしておったが。そちら、猟兵か」
 寝乱れている……というにはいささか肌蹴ている所の多い和服。愉しみ、という言葉には恐らく「夜の」という枕詞が付くことだろう。
「……もう少し後になる予定じゃったんだがなぁ。これもまた――いや」
 和服の腰帯を締め直し、素足のままその女――オブリビオンが庭先へと歩み出る。
「ここで貴様らを滅して時間を稼げば良いか」
 鋭い殺意を放つ女。ぽつ、ぽつ、と無数の火の玉が彼女の周囲を取り囲み、その熱に応じるように黒髪が白銀へと変じる。
「おいでなし、猟兵。妾の色香で惑わぬ自信があるのならばのぅ?」
 彼のオブリビオンの名は傾国の白仙狐――放置すれば、この町と言わずいずれこの国そのものが傾くことになるだろう。
ナナ・モーリオン
引き続き、物九郎(f04631)と

ケバい。
……ごほん。
あなたが、みんなを殺ってたの?
困るよ。みんな、やりたいこと、いっぱいあっただろうに。
反省するつもりが無いなら、お仕置き、するよ。
物九郎。食べちゃっていいよ、アレ。

ボクは……我は、モーリオン。
眠るべき魂と共に在る者にして、死の国を乱す輩に鉄槌を下す者。
未練を残す魂に代わり……汝らを討つ者也。

従属する霊は、ひとつ残らず葬る。我が腕、狼爪を以て、呪縛からの解放を。
『呪詛』を込めた『怪力』の一撃に『防御は意味をなさない』。
『串刺し』にして、引き裂く。

霊の攻撃は、呪詛のようなもの。だから、『耐性』はある。
我は……ボクは、そういうモノだから。


白斑・物九郎
【ワイルドハント】
俺めのモザイクは、晴れませんでしたけども――
おたくの国崩しの手際、それはそれで達者でしたでよ

デッドリーナイン、ワイルドドライブ

●POW
敵方の魅了術、要警戒っスね
男にゃ特に効きがイイのかもしれませんしな

肌を見せびらかして来る他、俺めと視線を合わせるだとか衣擦れの音だとか妙な芳香の類だとか
魅了のトリガー足り得そうなそのヘンの事象に【野生の勘】で気ィ付けつつ、ワイルドドライブの力コミでモザイク状の空間をガンガン展開しまさ
(目的:相手が諸々見せびらかし辛く、また相手にこちらを捕捉させ辛くしたい企図)

接近ざま、モザイク空間から出し入れ自在の心を抉る鍵(大)を出し抜けに取り出しブチかます


六代目・松座衛門
「この町の重要人物を亡き者にして、滅ぼすのが目的? とにかく、オブリビオンは狩らせてもらう!」
手にした多節棍「双爪丸」を人形「暁闇」へ組付け【真の姿】、自身は後方から、多くの操作糸で人形を操る戦闘方法へ移行し、白仙狐との戦いに参加する!

立ちはだかる【妖狐の霊】は【破魔】の力を纏った人形の攻撃で排除! 【狐火】は、人形で【武器受け】し、燃えながらも白仙狐へ人形を強引に近づける。

「覚悟! 演目「疾風」!」
場合によっては【狐火】で燃えている人形の手足、副腕となった「双爪丸」を使った怒涛の連続攻撃を白仙狐に浴びせる!

「あんたさえ屠れば、この町はすぐに活気を取り戻すさ!」

アドリブ、連携歓迎。


篁・綾
そう、狐。
…始末をつけなければいけないわね。
黄泉のモノは、黄泉へと返さなければ。

【見切り】で敵の動きを見極め、【破魔、鎧無視攻撃、属性攻撃、マヒ攻撃、目潰し、範囲攻撃】を駆使して配下ごと
月光と狐火と桜吹雪で攻撃するわ。

攻撃に対しては【見切り】で動きを見極め、【フェイント、残像】で回避を試みる。
回避困難な場合は【オーラ防御、呪詛耐性、激痛耐性、武器受け】等で耐える。
可能であれば【鎧砕き、なぎ払い、衝撃波、マヒ攻撃】を駆使し、鉄傘ないし刀による【カウンター】も行う。

「悪意にまみれ、彼岸へと消えし虚ろなる同族よ!!疾く速やかに、再び潰えよ!!」


忍足・鈴女
聞いておきたい事は
・刀使って辻斬り…ってするそうなおぶりびおんでもなさそう
となると主犯はやっぱり唆された奉行はん?
・けったいな殺り方した理由?
侍はなんとなーくわかるけど
他のはそこまで凝る理由ないと思うんやけど

分からへんことは解消せんと
気になってまうのがうちの悪い癖…

戦闘
【凛とした音色】でPOW技を防ぐ
ふふふ…御自慢のお色気も形無しやね…
まあうちの方が魅力的?っていうことなんやろか

SPD技に対してはこちらも鎮魂の鈴で召喚した猫霊による
【呪詛】攻撃で対抗

WIZ技に対しては
【野生の感】で回避しながら接近【怪力】【グラップル】での一撃を
後衛寄りむーぶやったんでええ【だまし打ち】みたいになるかも?



●戦
「事を構える前にひとつ聞いときたいんやけど――」
「冥途の土産かわりかえ?」
「それは、そちら次第――主犯と、けったいな殺り方した理由は?」
 ゆらり。狐火を弄びながら白仙狐はくすりと笑う。まるで判り切ったことを尋ねた鈴女がおかしいとでもいうように。
「――妾の気に喰わんかった。作る飯が口に合わぬ、作る細工が気に入らぬ、ましてや男女の関係に口出しなど。故に、妾が命じた。今貴様らが壊した妾の眷属に」
 次第に笑い声を大きくし、最後はころころと珠のような艶声を響かせる白仙狐。主犯は自分、殺しの理由は自分の意に添わなかったから……なんとも、オブリビオンらしい理由だ。
「……さて、これでよろしいかな?」
「なるほど、おたくの国崩しの手際、それはそれで達者でしたでよ」
「ほう、ならば死ぬ覚悟はできたかえ?」
「ケバい――もとい、反省するつもりが無いなら、お仕置き、するよ」
「……ほざけ!」
 鈴女のあとを継ぐように答えた物九郎とナナの言葉……主にナナの呟きに、先に白仙狐の忍耐が限界を迎えた。これ以上言葉を交わす必要はない、とでもいうように浮遊する狐火たちが一斉に猟兵へと炎の牙を剥く。
「……目的は判った、だから、オブリビオンは狩らせてもらう!」
 不意打ち、とまでは言わずとも機先を制した白仙狐の炎撃に対し、真っ先に反応するのは松座衛門。真の姿を晒した暁闇を全力で吶喊させ、狐火が拡散しきる前にその全てを受け止める防御の構えを見せる。
「小癪なっ――!」
「灰は灰に、塵は塵に――黄泉は黄泉に。駄狐の始末はつけなければいけないね」
 そして防御に出た松座衛門と暁闇の背後、白仙狐の死角から桜吹雪を纏って綾が飛び出る。
「その程度で妾を制したつもりか! 出でよ、我が僕――!」
 狐火を一身に受けたことでやや圧し返される暁闇、さらに召喚された白仙狐の配下が一刀でもって綾を迎撃する。猟兵とオブリビオンの間で激突の火花が散り、初撃は互いに相殺される形となった。
「夜伽を邪魔され、ただでさえ気が立っておるのだ――貴様らの精、その最期の一滴まで喰らうてやろうぞ!」
「そうは問屋がおろしませんさねっ!」
 そこをさらに圧そうとする白仙狐が選ぶは、戦力の半数近くを占める男性猟兵の魅了。ただでさえ肌蹴ていた着物の襟元をさらに左右へと引き、肌から滲む魅了の術でもって男性猟兵を絡め取ろうとするが――間髪いれず、物九郎がモザイク――真の姿を展開して術が通るラインを寸断する。術そのものを無効化するというよりは、その効果が発揮される空間を先んじて制圧するという手法であり――
「デッドリーナイン……ワイルドドライブッ!」
「なっ……!?」
 そのユーベルコードは攻防一体。白仙狐の視界を遮りつつ、さらにはモザイク空間からは物九郎の胸先三寸で攻撃用の大鍵を出し入れできる。今度は配下による迎撃も間に合わず、モザイク空間から飛び出た巨大な鍵が白仙狐の胸元を強かに抉る。
「おのれ、猪口才な――ならばっ!」
 とはいえ、万能のモザイク空間もそれだけで白仙狐を制圧できる程の広さには展開できない。男性猟兵を重点的にカバーする空間配置を見て取って、白仙狐は即座に魅了の対象を切り替える。
「――焦りは禁物どすぇ? そっくらいのこと、うちが考えんとでも?」
 ぺけろん。掻き鳴らされた三味線の音律が、今度は魅了術そのものを分解した。それを放つは鈴女――物九郎が魅了の術を防いだおかげで、彼女には白仙狐の魅了術を解析する時間があったのだ。
「ご自慢のお色気も形無しやね? もしかして――奉行さんも、ユーベルコードなしには落とせへんかったりして?」
「言わせておけば、野良猫がァ!」
「あらあら、恐い、恐い……」
 決まりさえすれば形勢逆転に近い魅了術を完膚無きまでに封殺され、白仙狐の声があからさまに怒気を孕む――そして、怒りは隙を呼ぶ。見逃すほど、猟兵は甘くない。
「死の国を乱す輩に、鉄槌を。未練ある魂に代わり――汝を討つ」
「チィ、やれるもんなら――!」
「ボクは――我はモーリオン。眠るべき魂の守り手。我が一撃に守りが意味を為すと思うな!」
 牙を剥き、もはや人間としての擬態を止めオブリビオンとしての本性を顕す白仙狐に、大狼の霊を宿したナナの爪が振るわれる。白仙狐の配下が咄嗟に防御に割って入るが――ナナの言葉通り、霊的要素の強い彼女の一撃に対し、物理的な防御はほとんど意味を為さない。盾代わりに構えられた剣をスルリと透過し、ナナの爪が配下、その魂魄の本体を捉えた。
「――おやすみなさい、もう、目覚めることがなきよう」
 握撃。白仙狐の使い魔として捕らえられていたその魂が、ナナの手によって解放される。去り際の言葉は、送り手であるナナにだけ届くことだろう。
「下僕はもういない――さぁ、年貢の納め時よ、虚ろなる同族よ」
「ええい、たかが使い魔の1体をやった程度で良い気になるなよ、猟兵!」
 初撃の反動から復帰した綾がそこをさらに追撃。白仙狐も狐火を召喚し応じるが――
「始末をつけると、いったわ……!」
「守りを捨てただと!? 正気か!?」
 鉄傘を開きそれを盾に。連続する炎弾の着弾にそう間をおかず鉄傘が打ち抜かれ、なお数発の狐火が綾の体を焼く。痛みを堪え、苦虫を噛み潰すような表情をしながらも綾は退かず。これ以上の防御は不要とでもいうように、召喚した狐火、月光を収束させ、そこに桜吹雪を加えて一挙に打ち出した。
 ユーベルコード、涅槃迷桜。捨て身の形で放たれたそれは、1度目は防がれたものの、2度目の今は確実に白仙狐を捉えていた。
「ぐっ――力が、抜けて……最初からこれが狙いか、雌狐ェ!」
「雌狐の呼び名は、そのままお返しするわよ――止めは譲るわ」
「今の一撃、見事! 好機、逃がしはせん!」
 渾身の一撃で白仙狐のユーベルコードを封じた綾。初撃とは逆になる形で、今度は綾の後を継いで松座衛門操る暁闇が白仙狐へと肉薄した。
「おのれ、おのれおのれっ!」
「オブリビオン、覚悟! ――演目、疾風! 開演ッ!」
「――おのれぇっ!」
 松座衛門から託された双爪丸を併せ、今の暁闇は四腕の異形。繰り出される怒涛の連打は、単純計算で2本の腕で繰り出す際の2倍の密度。そこへ、人形としてのギミックを余すことなく活用すれば威力は天井知らず。最期に傾国の美貌をとことん醜く歪ませながら悪態を吐き、白仙狐は殴打の一撃ごとにその肉体を骸の海へと還していく。
「――これにて閉幕……!」
 松座衛門が一連の動作を終えるころには、そこにはボロボロになった着物が1枚、残るだけであった。

●幕
 夜半の辻斬りに始まった事件は、夜半の勝負にて決着を見た。
 白仙狐に熱を上げていたのはやはりユーベルコードによる魅了の影響のようで、奉行は何やら荒れた様子の庭に首を傾げながらも以前よりも優れた差配を振るっているという。
 風鈴奉行、などという渾名も屋敷に飾られた兜風鈴たちが居なくなれば次第に忘れられ、町の人々は以前と変わらぬ日々を過ごしている。その日常の裏に、この町を基点に国崩しを企てた狐が居た事などきっと誰も知らないのだろう。
 世は太平にして事も無し――されど過去の残影は未だ絶えず。そう遠くないうちに、この世界は猟兵の助けを必要とすることだろう。
 しかし今回は一件落着、物語の幕は一度ここに降りるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月01日


挿絵イラスト