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新星は宙に瞬く

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #ミニスター・ブラック #フォースナイト

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●新星は宙に瞬く
 凄まじい轟音と砲撃の光が、一艇の宇宙船を襲う。強固な護りが敷かれたはずの艦内には、あっという間に歩兵の群れが雪崩れ込む。
 光の武装に身を包む大人達が総じて敵兵に立ち向かったのは、未来を託した子供達に生き延びてもらうため。
 けれど彼らとて光を宿した騎士であり、それが彼らの中に逃げるという選択肢をかき消してしまっていた。

「教官、私達も戦います」
「僕達は教官達の――フォースナイトの教えを受け継いだんだ」

 次々に傷つき倒れた教師達のいのちを守るように、震えながらも光の武装を構える少年少女の目は強く瞬いている。
 しかし、黒鎧の巨躯が鈍く輝いて、幾何学模様を描く無数の魔法弾を放つ。着弾した途端に散ったいくつものいのちを、どの鉱石よりも深く昏い闇色が見ていた。

「その愚直な幼さがお前達の敗因だ」

 ――希望が、潰える瞬間だった。

●流星に誉を懸け
「皆さん、来てくれてありがとうございます。スペースシップワールドで猟書家の事件が発生します」
 鎹・たから(雪氣硝・f01148)が語り始めると、グリモアベースの風景が星屑煌めく宇宙へと移りゆく。
「動き出した幹部の名は『ミニスター・ブラック』。彼はプリンセス・エメラルドの目論む『帝国継承軍の誕生』を実現するため、才能あるこども達をフォースナイトに育て上げる『騎士教練艦』という宇宙船を襲います」
 教練艦はコード名『エスポワール』。希望の名を冠する宙の船は、帝国継承軍の大艦隊によって叩き潰される。
「ミニスター・ブラックは、殺したこども達を闇の戦士として蘇生させ、オブリビオン化させるつもりです――そんなこと、絶対に許せません」
 普段表情を浮かべぬはずの羅刹の娘は、唇を震わせ怒りを露わにしていた。
「教練艦のこども達、そして彼らを育てている教師達は立派なフォースナイトです。皆さんほどの戦力はありませんが、彼らもそれぞれ立派に戦ってくれるでしょう」
 戦場は教練艦内、もしくは宇宙空間となる。フォースナイト達と共に大艦隊の軍勢を蹴散らし、幹部の宇宙船へ乗り込み決戦へと持ち込むことになる。
 雪化粧のグリモアを展開させ、雪と色硝子の瞳がまっすぐに猟兵達を見つめる。
「どうか、皆さんの力で彼らのいのちをすくい、共に戦ってください」
 ――光を宿す彼らは、スペースシップワールドの希望なのだから。


遅咲
 こんにちは、遅咲です。
 オープニングをご覧頂きありがとうございます。

●プレイングボーナス(全章共通)
 教練艦のフォースナイト達と共闘する。

 プレイング受付は4月5日(月)朝8時31分以降から。

 どの章からのご参加もお気軽にどうぞ。
 再送のお手間をおかけすることがあります。
 皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『クローン騎兵』

POW   :    ジェノサイダー
【自身の寿命】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ジェノサイドモード】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    インペリアル・インテリジェンス
【銀河帝国式戦術ドローン】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ブラスターレイン
【熱線銃(ブラスター)】を向けた対象に、【連続射撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

萬・道
ジェノサイドモードか、こいつは厄介だな
だが敵の脅威に応じて威力を増すのが、天師範の技だ
教練艦の通路で物陰に隠れて銃撃をやり過ごしながら、俺もユーベルコード太陽剣をブラスター並の熱線にして援護射撃、フォースナイトたちに助太刀するぞ
単純な銃撃より多少融通が効くから、敵の意表を突いてやろう

俺がここにいる理由か?
星船世界から、神隠しで他世界に飛ばされた種族不明の子供を仲間の所へ送り届けてほしいと頼まれてな

(肩掛けカバンから、ぬいぐるみのようなバディペット「ザ・スタフトゥ」がそっと顔を出し小さな手を伸ばして、念動力で敵兵の武器を取り上げようとする)

おい、隠れていろと言っただろう
仕方ない、一旦立て直すか



 瓦礫の山を盾にして、少年少女は各々の武装で対抗する機を窺う。けれど相手は熱線銃による遠距離攻撃を主としており、近付くことさえかなわない。
「どうしよう、このままじゃ」
「何もしないで死ねるかよ! それに教官を助けられるのは俺達だけなんだぞ!」
 そう返した少年の言葉は震えていた。瓦礫の向こう側で倒れている一人の教師を救うには、タイミングを見計らって此方が接近するほかない。
 熱線攻撃が止んだ瞬間、三人が光の防壁を張った状態で瓦礫の裏から飛び出す。瓦礫の間から一人が光の弓を放ち敵を妨害しようとするも、クローン騎兵達は銃だけが武器ではなかった。
 抜かれたブレードは禍々しく、迷うことなく少年達に襲いかかる。間近に感じる脅威は恐怖として刻み込まれ、実戦経験のない彼らの身体は硬直した。
「みんな逃げて!」
 射手の少女の叫びもむなしく、光の防壁はいとも簡単に破られ、刃が一人のいのちを奪おうとした矢先。
「おっと、子供相手に大人げないな」
 女の声がしたと同時、クローン騎兵の熱線銃よりも太い灼熱の光線が敵の胴を数人纏めて貫く。ずるりとその場に崩れた騎兵の穴の開いた屍に、少年はちいさな悲鳴をもらした。射手の少女が隣を見れば、異様な姿の人間が居る。ヒトの両目がある場所から突き出た掌が此方を視たものだから、少女は思わず其方へ弓を向けた。
「落ち着け、俺はお前達を殺さない。味方だ、味方――猟兵ってわかるか?」
 女の貌が奇抜な仮面であることに気付いて、少女はこくりと頷く。いい子だ、と仮面越しの素顔が笑んだ気がしたかと思えば、それは瓦礫を軽々と飛び越えた。
「ジェノサイドモード、だったか。こいつは厄介だな」
 言葉ではそう言いつつも、萬・道の口ぶりに困った様子はない。再び凄まじい熱線を放出させると、クローン騎兵達めがけて光を浴びせる。今のうちにと前衛に出ていた三人と共に、教師を抱えて瓦礫の裏へと素早く退避した。
「手当ては出来るな? それ以外は俺と一緒にアレを潰すぞ」
 一人が教師に応急処置を施すのを確かめ、女は全員に声をかける。少年少女は頷くものの、その手足が震えているのが見て取れた。ふと、萬道の肩に掛けられたカバンから、ひょこりとぬいぐるみが顔を出す。
「えっ」
「こら、顔を出すんじゃない。全く――お前達を励ましてるつもりらしい」
 よちよちとした手を出して、ぬいぐるみは一生懸命何かを訴えかけている。その姿にくすくすと笑みが広がって、女は彼らから緊張が解けたのを感じた。
「あなたは、どうして此処に」
「俺か? 神隠しで他世界に飛ばされた子供を、仲間の所へ送り届けてほしいと頼まれてな。これはそのついでだ」
 ついでなのだから、お前達が気負う必要はない。そう存外に言い含めて、行くぞ、と奇抜な仮面が号令を出す。極熱の光線が射手の光矢の連射と共にまっすぐに敵陣へと伸びていくと、前衛の三人が萬道と共に瓦礫から駆け出し光の刃を振るう。
 少年少女の受けた脅威に比例して、眩しいほどの陽光が全てを溶かす程の熱をもつ。萬道がすらりと鞭を一振りすれば、熱線は幾重にも枝分かれし騎兵達を穿つ。若きフォースナイト達は熱線の支援を受けながら、各々の武器で確実に敵を各個撃破していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
なんと非常な策でしょうか
絶対に許しません

未来を担う若人たちを守り抜きます

艦内で勇壮な旋律を奏で
ナイトさん達を鼓舞

過去は乗り越えられていくものだと
敵さんに身をもって知っていただきましょう
共闘させて下さい
猫の手をお貸ししますね♪

希望を見出し
未来を信じる気持ちが生まれたら
それはきっと自分や大切な人たちを守る力となるはず
フォースも高まるかも?

旋律は佳境に

迫りくる敵艦の武装や機構
騎兵さんの鎧や銃を魔力へ変換

炎で爆発を起こしたり
水で呼吸を阻害したり
風で吹き飛ばしたりして
艦隊や騎兵を無力化したり倒しながら
幹部船へ

旋律はそのまま
騎兵さん達への鎮魂の調べともします
静かな眠りを

さあ
いよいよ光で闇を駆逐するときです



「なんとか、なんとかしなきゃ……!」
 荒い息を抑えつけ、少年は傷ついた友に肩を貸して走る。別の船との通信は途絶え、応戦する教師達もそう長くはもたない。脱出経路も全て敵陣に知られている。どうすれば、どうしたら。ふいに友が、ちいさな声をあげる。
「……なぁ、俺を置いてけ。お前だけなら、まだ逃げられるかもしれない」
「ふざけんな! そんなことできる訳ないだろ!」
 清廉な魂に宿る確かな友情が、互いに友のいのちを喪う選択を許さなかった。けれど頭の中は不安と恐怖でいっぱいで、涙の膜が張った視界が潤む。行く手を阻むように現れたクローン騎兵達に舌打ちし、無傷の少年は相棒を庇って光の斧を構える。そんな彼らの耳に、うつくしい竪琴の音色が届いた。
「なんだ、これ」
 一体、どこから。艦内中に響き渡る勇壮な旋律は、不思議とパニックに陥っていた心を落ち着かせる。それどころか、勇気すら湧いてくるようで。
「……嫌だ、まだ諦めるもんか! お前も、そうだろ」
「……ああ!」
 傷を負った少年も、相棒から離れて光の長槍を呼びだす。二人の武装は眩しいひかりに満ちていて、隙のない連携はドローン騎兵達の動きを圧倒してみせた。
 ――そんな風に、箒星・仄々が爪弾く拡声機能のついた蒸気機関式の竪琴は、艦内に散らばるフォースナイト達の心を大きく鼓舞していた。
「この想いは、皆さんにきっと届くはずです」
 希望を見出し未来を信じる気持ちが生まれたなら、自分や大切な人を守る力となるはずだから。悪を挫く心が強くなればなるほどフォースも高まり、彼らのいのちを救うことに繋がる。
 非情な策を許せないケットシーは、未来を担う若人達を守り抜いてみせると誓う。竪琴を奏でながら艦内を駆け抜けていると、負傷しぺたりと座り込んだ少女を見つけた。
「大丈夫ですか」
「ね、ねこちゃん……?」
「はい、猫です。あなたの未来は終わっていません、共闘させて下さい」
 猫の手をお貸ししますね、とウィンクを投げて、仄々は此方へと向かってくるクローン騎兵の前に立つ。
「その危ない銃は無くしてしまいましょう」
 竪琴がぽろんと音を鳴らせば、騎兵達の持っていた熱線銃が赤い魔力に変換させる。瞬間的に爆発を引き起こし、お次は鎧を青い魔力に。全身を纏う着脱不可能な鎧が水の渦に変わった以上、彼らの呼吸は苦しくなるばかり。
 しかし、負傷した少女を庇いながら戦う仄々に対し、次々と数を増やして攻め入る騎兵達の勢いは衰えない。何か大きな一撃が必要だと考えを巡らせていた時、
「ねこちゃん、避けて!」
 軽やかな猫の身体が、少女の声を聞いて素早くその場から飛び退く。壮絶な砲撃音がしたかと思えば、光の銃のトリガーを引いた少女が敵の群れを一掃したところだった。
「え……こんなに大きなの、今まで出たことないのに……」
「ナイスショットです♪」
 自分の音楽が彼女にも力を齎しているのを喜ばしく思いながら、彼女と共に艦内を駆ける。道中、次々とフォースナイト達の味方が増えていく度、旋律も佳境に入ってゆく。その音色は、敵であるクローン騎兵達への鎮魂の調べとして、静かな眠りを祈る誠実さがあった。
 宇宙空間に出たとて、やることは変わらない。敵艦の武装を緑の魔力に変えてしまえば、巨大な艦すらあっというまに暴風で吹き飛んでいく。
「さあ、いよいよ光で闇を駆逐するときです」
 共に征く少年少女達へ、仄々は鼓舞をやめることはない。

成功 🔵​🔵​🔴​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)と。
訓練艦内部でフォースナイトの教師達のフォローをしよう。
効果が十分に発揮されるか不明だが扱う魔術は【禍の魔杖】。
自身のパフォーマンスを上昇し全力魔法の範囲攻撃をしよう。
生み出した紅の剣に鎧無視攻撃と貫通攻撃を付与しておこう。
教師達の挙動に合わせる為に私は早業と高速詠唱で対応する。
主な剣の扱い方としては。
教師達の背後守護や攻撃の間隔を埋めるよう剣を展開し補佐。
露の攻撃と子供達が危害を受けないようにするのが目的だな。
注意点としては。
壁や床を貫かないよう繊細な操作と展開の仕方が必要だろう。
電子回路を傷つけてしまったら艦が墜ちてしまう可能性がある。
露にもその旨を伝えておこう。


神坂・露
レーちゃん(f14377)と♪
あたしは『ふぉーすないとの先生』って人達と一緒に戦うわ。
久々に愛剣の片刃の剣とダガーの二刀流でいくわよ~。
先生たちって剣の達人みたいね。あたしの腕じゃ難しいかしら?
ならなら早業とか第六感と野生の勘で先生達の技術についていくわ。
あと【銀の舞】のスピードも上乗せしたらサポートはばっちりね♪
相手の武器が光る刃でも気にせずに何時ものよーに戦うわよ。
だって相手の攻撃を受けずに踊るように避けつつ斬っていくもの。
あ。勿論先生達のフォローをしながら先行して戦っていくわ。
「どうどう? レーちゃん。あたし華麗だった? だった?」
レーちゃんから言われた注意事項を頭にいれつつ戦うわよ。



 大講堂の中に満ちる激しい轟音と乱雑な足音、光の乱射に血肉の匂い。無数のクローン騎兵を迎え撃つ二人のフォースナイトは少年少女を中心に集め、前後を庇いながら光の武装を振るう。二振りの光刃を扱う若い男は敵を切り裂きつつも生徒達に視線を飛ばし、今にも泣きだしそうな彼らに微笑みかけた。
「いいか、落ち着くんだ。先生達はこれ以上、奴らを皆に近寄らせない――僕が行けと言ったら、走れ」
「ええ、その通り。皆さん、武装を解いてはなりませんよ。私達が敵の気を引きつけ次第、すぐにこの場から撤退できるように構えていなさい」
 眼鏡をかけた年配の女は、光でできた鎖鎌の刃を放って敵の首を一気に狩る。これ以上此処で終わりの見えない迎撃を続けていても、生徒達を守りきれる可能性は薄い。二人で一斉に退路を切り拓いて、彼らを送り出す以外。
「でも、教官達は」
「貴方がたを鍛えた私達が倒れるなどとお思いですか? すぐにでも追いつきます」
 教え子達に嘘をついた先輩の女教師に、そうだそうだと後輩の男教師が頷く。彼らの為にいのちを落とす覚悟を決めた時、クローン騎兵の集団の一部が騒がしくなった。
 新手か、と表情を鋭くした男の目に飛び込んできたのは、無数の赤い刃が敵兵達の身体を貫く光景だった。さらに騎兵達の合間を縫うように、銀の影が素早く駆け抜けていく。あっというまに敵の一群を片付けた何者かの姿は、生徒達よりもうんとちいさい二人の少女。
「間に合ったわね♪」
「猟兵だ、あなた達の助力に来た」
 ふにゃりといつもの笑みを浮かべて、神坂・露がぱたぱたと教師達の元へ駆け寄った。シビラ・レーヴェンスが簡潔に自分達の正体と目的を告げれば、女が頷く。
「歓迎します、猟兵の皆さん。状況はご覧の通り、一刻も早く生徒達を逃がさなくてはなりません」
「とはいえ奴らは数が多い。僕達二人が囮になる、この子達の退却のフォローを頼めるか」
 男がそう告げると、露は目を丸くして首を横に振った。
「そんなの、先生もこの子達も危ないわ! それよりもっと簡単でいい方法があるじゃない♪」
「と、いうと?」
 怪訝そうな教師達の問いに、露は手にした片刃の刃とダガーを見せる。シビラが軽いため息をついて、ちょっぴり説明不足な友の代わりに端的に告げる。
「私と露――この彼女、そしてあなた達の四人で敵を一掃してしまえばいい」
「猟兵ってかなり強いのよ。先生達の邪魔になんかならないわ」
 途端、再び講堂の出入口にクローン騎兵が溢れだす。考えてる余裕はないな、と男が笑って斬り込めば、露と女もその後を追う。シビラが生徒達の守りに就き、再び紅に染まる剣の群れをふわりと操る。
 シビラが見えない糸を手繰るように剣を動かす動作はしなやかで、双剣で敵を切り刻む男の背後にまわるクローン騎兵の手足を素早く刺す。赤い刃に貫かれた部位はみるみるうちに動きを止め、鎧の中身が萎むように崩れ落ちていった。
「助かるよ、ちいさな魔法使いさん」
「あなた達は自由に動いてくれて構わない。私達が勝手に合わせる――露、壁や床を壊すな。電子回路を傷つけたら艦が墜ちる可能性もある」
「わかったわ、レーちゃん!」
 光の粒子で出来た鎖鎌を振るった女に接近する敵の数を、露が素早く目視で確かめる。広範囲の敵を一掃できる業物とはいえ、女教師に接近戦は不利だろう。それを補うように露が二振りの刃と共に舞うことで、瞬く間に斬撃の風が吹き荒れる。相手の攻撃を受け流してしまえば、光る刃だろうと熱線銃だろうと怖くない。
「先生たちって剣の達人みたいね、やっぱりあたしの腕じゃ追いつくのは難しいかしら?」
「とんでもない。猟兵の実力をこの目で見ることが出来て光栄ですよ」
 淡々と返す女の言葉に、露はふふ、と笑みをこぼす。露と男が前線で剣を振るい、女が鎖鎌で後方に居る敵を一気になぎ倒す。その合間を埋めるようにシビラが紅の刃を展開することで、敵の行動を阻害する。作戦の相談ひとつ交わしていないのに、しっかりとした布陣が出来ていた。 戦闘中も全体の観察を欠かさなかったシビラが、増援の数が増えなくなったことに気付く。そろそろだ、と三人に呼びかければ、露が真っ先に頷いて。
「先に行くわね、先生達!」
 ぱっと上着を脱ぎ捨てて、赤いストールを靡かせ駆ける。絹織物の下着姿を恥ずかしがることもなく、重ねた速度に乗って騎兵達の合間を縫って走る。二振りの刃が煌めくのと同時、女の鎖鎌が残りの敵の首を平らげていく。
 後から続いた男の二振りの光刃も敵影の中で輝くと、少年少女の護衛に使用されていた紅の剣も全てが攻撃へと転じた。シビラの唇が最期を告げるまじないを唱えれば、騎兵達の鎧の隙間に禍の呪刃が突き刺さる。身動きを封じられた騎兵達に、三人がとどめを刺していくのは簡単だった。
 講堂に集まる敵兵はもう見当たらない。礼を言う教師と生徒達に笑顔を返して、そうだ、と露がシビラに問う。
「どうどう? レーちゃん、あたし華麗だった? だった?」
「人が居るんだ、まず服を着ろ」
 至極真っ当なつめたい返答のシビラと、えぇ、と残念がる露のやり取りがおかしかったのか、男教師はおろか、女教師もやわらかな笑みを浮かべた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

田中・香織
フォースナイトたちの先頭に立って彼らを鼓舞しながら敵に立ち向かうわ。
距離のあるうちは威力のあるアームドフォートの大砲・連射が利く自身の重機関銃を撃ちまくって敵の数を減らしていくわ。
近づかれたら接近戦に強いショットガンや拳銃に切り替えて戦うわ。
先頭に立って名乗りを上げながら派手に暴れることで敵の注目をわざと引きつけるようにして敵の攻撃がフォースナイトたちにできるだけ行かないようにするわ。
もし、やられても戦場の亡霊の効果で復活して敵をなぎ倒すわ。
攻撃力も上がるし、自分が立ち上がるところを見せることで味方の士気もさらに上がるから。

『ヒーローは絶対に負けない!!』



 乱反射する光線と瓦礫の飛び交う長い廊下の惨状に、訓練室に逃げ込んだ三人の少女が震えていた。一人が弱音を吐けば、もう一人が怒った様子でそれを咎める。けれど彼女も、じきにこの場所がクローン騎兵達に見つかることはわかっていた。ふと、黙りこくっていた少女が立ちあがる。武装を呼びだせば、その手に光の粒子が集まり刀が一本握られていた。
「あんた何して」
「……戦う。廊下を突破して、教官達と合流する」
 無茶だよ、と半泣きで縋る友の手を握り返し、刀使いの娘が首を横に振る。
「ボク達は何の為にフォースナイトになったの。此処でただ殺されるのを待つ為じゃない」
 全ては宇宙の平和の為、凶悪な敵に打ち勝つ為、大切な人々を守る為――そう続けた友の姿に、残る二人も口を閉じる。互いの強張った表情を見つめ返して立ち上がると、光の粒子が杖と巨大な槌へと形を変えた。
 訓練室を飛び出した少女達の行く先を、あっという間に大勢の騎兵が阻む。熱線銃相手に近距離武装の二人は苦戦し、杖を振るう少女も一人では対応しきれない。杖を抱えた少女が、再び弱音を吐きかける。
 途端、薄紅色にひかる極太の光線が敵の群れめがけて放たれた。続けて無数の連射音が鳴り響き、バラバラと空の薬莢が床に落ちていく音がする。突然の砲撃と銃撃が瞬時に固まっていた集団を一掃し、少女達はその出所を探す。
「諦めたりなんかしないで! なんたって、あたしが来たんだから!!」
 そう叫んだ声の持ち主は少女達の前まで駆けてきて、大きく巻かれたピンク色の髪を揺らしている。固定砲台と大型の機関銃をまっすぐに敵へと銃口を向けて、田中・香織は少女達に笑いかけた。
「あ、なた、は」
「通りすがりのヒーローよ、それに猟兵」
 全身が愛らしい彩に統一された助っ人の登場に、少女達はぽかんと口を開ける。けれど香織が猟兵と名乗ったことで、すぐに何が起きたか察したらしい。
「あたしと一緒に勝ちましょう、あなた達は絶対に負けない!」
 そう呼びかけた香織に奮い立たされたのか、三人の表情は先程よりもうんと凛々しいものになり、手にする光の武装の輝きも増している。行くわよ、と先駆けた香織を追って、刀と槌の少女が前に出る。
「あたしは香織! あなた達からこの船を守るヒーローよ! さぁさぁ、あたしに倒されたい奴からどんどんかかってきなさい!!」
 大声で名乗りをあげると、香織は手にしたショットガンと拳銃を軽やかに操る。ソフトビニール製の人形にも似たピンクに染まったスタイルは、ひどく敵の目を惹きつけた。熱線銃の標的は香織にのみ向いており、フォースナイト達への意識を逸らす彼女の策にまんまと乗せられている。
 軽やかに攻撃を躱す香織に続いて、刀の少女が刃を一閃。胴体を斬られた仲間に気を取られた騎兵に、槌を振るった少女の強烈な打撃が再起不能にさせる。三人を支援するように、杖の少女が魔法陣を描き光線を解き放った。
 その調子、と言いかけた香織の目に留まったのは、刀の少女の背後を狙う銃口。すぐに彼女を突き飛ばすと、腹部にひどい痛みと熱が奔る。
「猟兵さん!!」
 どさりと倒れた香織に少女達が一斉に駆け寄る。床に広がっていく血だまりに、泣きだしそうな声が響く寸前。香織と瓜二つの人形めいた亡霊が現れ、彼女を穿った敵へと銃弾を叩き込む。
「……平気よ。これくらい、なんってことない!」
 ゆっくり起き上がり、ダン、と足踏みして笑顔で仁王立ちしてみせる姿は、少女達にとってはまさに英雄のようで。
「あたしに任せて――ヒーローは絶対に負けない!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ミニスター・ブラック』

POW   :    マジックブロウ
【魔力を籠めた拳】で攻撃する。[魔力を籠めた拳]に施された【魔力制御】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD   :    追加装甲
自身に【漆黒の機械装甲】をまとい、高速移動と【自律行動するビット】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ボミングレイド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【着弾地点で爆発する魔法弾】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ムルヘルベル・アーキロギアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 教練艦エスポワールの窮地を救った猟兵達は、フォースナイト達と共に敵艦へと雪崩れ込む。クローン騎兵達の大半が倒された中、残っていた者はただ一人。

「よもやここまで乗り込もうとは……光の騎士を侮っていたか。否、我の誤算は猟兵のみ」

 禍々しい黒鎧に身を包んだ魔術士は、夜の帳よりも深い闇色を鈍く輝かせる。赤く燃ゆる眼が、正しき光を宿す騎士達を奮い立たせた猟兵達へと向けられた。

「良かろう。我自ら、お前達――銀河の希望を摘み取るまで」

 宙に瞬くのは、闇か光か。
シビラ・レーヴェンス
露(f19223)と。
相手がおじさんかどうか?そんなことは知らん。興味がない。
…。
一応は釘を刺しておこう。この子なら…露ならやりかねん。
「アレに聞いてきてもいいが、攻撃は受けるなよ? 露」
やれやれ。この子は…。

【凍てつく波動】で周囲ごと相手を凍てつかせてみよう。
初めにパフォーマンスと限界突破で身体機能を上昇させる。
次に範囲攻撃と鎧無視攻撃を加えた全力魔法を高速詠唱で行使。
浮遊兵器にも影響を与えられれば上々だがそう上手くはいくまい。
回避は観察による見切りと第六感や野生の勘で行ってみよう。

多少は艦の回路部分を痛めてしまうだろうが敵艦だし問題はない。


神坂・露
レーちゃん(f14377)と。
全身鎧姿のおじさんがここを襲ったリーダー格の人ね。
…顔をみれないけど人なのかしら?それから…おじさん?

さっきの白い人(クローン騎兵)よりも頑丈そうな作りね。
でもでも多分だけど関節部分って幾分脆いかもしれないわよね?
だから片刃の剣とダガーの二本で腕関節と肩関節を狙ってみるわ。
ついでにふよふよ浮いてる変なの(ビット)も斬ってみよーと思う。

まずは全身鎧さんの動きを見切りながら肩の関節部分を斬ってみる。
このおじさん武器は持ってなさそうだけど十分に注意して接近するわ。
周りに浮いてる変なのが気になるわ。これって武器なのかしら?
浮いてるのは野生の勘とか第六感で回避してみよっと。



 追い込まれたのは己だというのに、ミニスター・ブラックの声色には焦りがひとつも見えない。それどころか表情さえも隠された全身鎧の姿に、神坂・露は小首を傾げる。
「……顔をみれないけど、人なのかしら? それから……おじさん?」
 レーちゃんはどう思う? と問われて、シビラ・レーヴェンスは眉をひそめた。そんなことは知らん、ましてや興味もない。それより一応、釘を刺しておくべき事項が思い当たって。
「アレに聞いてきてもいいが、攻撃は受けるなよ?」
「そんなことしないわ! 先生や生徒さんを襲ったリーダー格だもの!」
 君ならやりかねない、シビラのそんな視線。露はぷく、と頬を膨らませたものの、すぐに表情をゆるやかなものに戻す。
 ふいに光が迸り、少女達のやりとりを断つ。同時にその場から離れた二人が互いに距離を置く原因となったのは、魔術士に付き従う小型のビットだった。十字の機体に光輪を生やした姿は、宙を泳ぐと円盤めいて見える。
 とん、と地を蹴って飛びかかった露が魔術士へと接近すると、彼女を妨害するようにビットが光線を飛ばす。月色の髪が焦げつく寸前で避けきるものの、今度は魔術士が剛腕を振るう。
「レーちゃん、このおじさんとっても動きが速い!」
「お前達のような小娘に手間取る我ではない」
 小娘なんて失礼しちゃう、とバックステップで剛腕をすり抜けた露の対角線上、シビラが魔導書をはらりと捲る。魔術式と化学式を組み合わせたような陣が頁から浮き上がると、それは目に見えぬほどごくちいさな分子や原子に対して波長を送る。
「――その動き、止めさせてもらう」
 歴戦の兵ゆえの第六感か、魔術士は露を追うのをやめて瞬時に魔法陣を呼びだす。シビラめがけて幾何学模様の陣が押し寄せるよりも先に、少女魔術士の術は発動していた。爆発的な冷気が黒鎧に降りかかり、幾何学の陣を一瞬で凍てつかせる。
「その魔法陣は私達に不都合なものだろう、使われては困る」
 ひどく冷淡な口調で告げる少女の幼い金の瞳が、魔術士の鎧に降り積もる冷気と、その背後に飛びかかる友人の姿を捉える。違和感に気付いた魔術士が振り向くも、その動きはどこかぎこちない。
「何……!?」
 シビラの放った冷気が、黒曜よりも昏い宝石の肉体を静かに殺していく。鈍っていく反射神経は、宙から二振りの刃を振り下ろす露の動きに対応できない。
「あなた、全身頑丈そうよね!」
 だから、狙うのはその隙間。左肩の関節部分に刃を捻じ込むように斬りつけて、一気に割く。まずは一本、使い物にならなくなった左腕を右腕で支えた魔術士の顔が歪んだような気がした。
 すかさず小型ビットの群れが露を狙い撃つのを予測し、シビラが再び魔導書を捲る。危なっかしいあの子の背後を支えるのが、親友と慕ってくれる彼女に自分が出来ること。絶対零度の世界に誘うように、氷の飛礫がビットを瞬く間に破壊する。
「ありがとレーちゃん♪ でも艦の回路、だっけ? そういうのって冷たさで壊れないかしら」
「多少は痛めてしまうだろうが、此処は敵艦だ。墜ちても問題ない」
「そっか、レーちゃんすごい!」
 お喋りを続けながら、少女は再び刃を手に駆ける。左肩を狙った直後に右肩は意識されているだろう、ならば次は――高速移動を可能としている脚。親友の冷気でどんどん動きが鈍っている今こそと、露は床をスライディングするように滑走。小柄な身ゆえの低姿勢で、魔術士の視界から消え失せた瞬間、ダガーを捻じ込む。
「これでもう、走ったりさせないんだから!」
 氷の結晶達が光り輝いて、少女達の銀髪が煌いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

田中・香織
いよいよ親玉の出現ね!覚悟なさい!!
フォースナイトたちも後ろにいるので手早く片を付けるために、フルバースト・マキシマムの砲撃で勝負を仕掛けるわ。
わざと近づけさせてフルバースト・マキシマムの一斉射撃を至近距離から叩き込むわ。
向こうは接近戦が得意であたしは中・長距離戦が得意だから一直線に突っ込んでくるはず。
そこを逆に利用させてもらうわ。
西部劇じゃないけど、どちらの攻撃が先に決まるか勝負よ。



 右膝を地面に着きかけたところで、魔術士はぐっと足を踏みしめる。時折零れる宝石の屑は、ひとつも光らず宙に舞っていた。未だ墜ちぬ巨躯を相手に、フォースナイト達の不安げなざわめきが広がる。けれど、そんな彼らを背にして立ちはだかるように、田中・香織はしっかりと魔術士を見据える。
「親玉なんだから、それくらいで倒れる訳ないわよね!」
 そうこなくっちゃ、と不敵な笑みを浮かべた薄紅色に、黒鎧の赤い眼がぎろりと向く。次の標的を見定める視線に怯えることなく、ヒーローは美しい彫刻のなされた拳銃の引き金を引いた。
 途端、魔術士は使い物にならない左腕をあえて晒す。動けずとも、装甲を纏ったままの左腕は盾代わりのように銃弾をはじく。あっさり攻撃を凌がれても、香織の表情はどこ吹く風と言わんばかりに強気なまま。ショットガンと固定砲台を見せつけて、あら、と小首を傾げて笑う。
「どうしたの? まさか、片腕ひとつ取られたらもうおしまいだなんて言わないわよね?」
「――その口、身体ごと捻り潰してやろう」
「あなたに出来るもんならね!」
 少女がそう返すな否や、鈍く大きな地響きと共に魔術士が動く。高速移動を封じられたとて、その一歩は大きい。一直線に香織だけを狙った剛腕の拳が、まっすぐに迫りくる。
(まだ、まだよ――)
 そう自分に言い聞かせて、黒い巨躯から湧き立つ気迫と威圧感を前に踏ん張る。狙うのは、ゼロ距離で撃ち放つ最大火力。闇色に噴き出す魔力が溢れた拳が十分に近付いた瞬間、重い機関銃をぶん回し、固定砲台のスイッチを入れ、ショットガンの引き金を引く。
「――覚悟なさい、これがあたしの全身全霊!!」
 爆発音じみた音と共に、砲撃が唸る。無数の弾倉が空気を揺らす。ショットガンが火を噴いて、それら全てが魔術士の腹部めがけて同時に穿った。
「もひとつおまけ!!」
 拳銃が赤い眼を貫いて、西部劇も顔負けの早撃ち勝負にヒーローが勝った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
引き続き曲を奏でナイトさん達を鼓舞
闇は夜明けに
新しく生まれる光に駆逐されるもの
今がその時です

子供たちも共に戦いましょう
ナイトの教えを受け継いだ方々が
ただ守られるだけの存在であるはずがありません

…無傷では済まないかも知れません
けれど子供たちの覚悟は既に完了している様です
援護し輝きを守ります

魔法陣を魔力の矢で迎撃
その際の魔力の衝撃や閃光、煙は
ブラックさんの感覚&魔力を封じ
ナイトさんらの攻撃の機に繋げます

炎水風の魔力を
ナイトさん方の
燃える正義の心
澄み切った光のごとき意志
気合の鬨の声
と共鳴増強させて矢と為し
矢衾に

終幕
鎮魂の調べ
犠牲者やブラックさんの静かな眠りを願い
続いて銀河に誕生した光の星々を称える曲


火土金水・明
「あなたの最大の誤算は、猟書家になってこの世界に侵攻してきたことですよ。」(フォースナイトさん達の攻撃のタイミングに合わせて、こちらも攻撃します。)
【SPD】で攻撃です。
攻撃方法は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡め【限界突破】した【銀色の旋風】で、『ミニスター・ブラック』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



 黒い宝石の欠片があちこちに舞い散る。片腕と片脚の機能を奪われ腹部に大きな穴を開け、右眼を射抜かれた魔術士が、それでも猟兵とフォースナイト達の前に立っている。嘘だろ、と誰ともなくもらした動揺と不安は、若い騎士達の間にぞわりと伝搬していく。
(――これは、いけない)
 倒れぬ強大な敵を前に震える心がわかって、火土金水・明はそっと周囲を見渡す。自分達はあと少しで魔術士を倒せるとわかっていても、実戦経験のない少年少女達には魔術士が不死身にすら見えている。彼らを奮い立たせるきっかけが欲しい。魔女が言葉を選ぼうとした時、きよらな音色が響いた。
「皆さん、落ち着いて。ブラックさんは決して不死身ではありません」
 竪琴を爪弾いて、箒星・仄々が優しく少年少女に話しかける。彼らの意志が挫かれぬように、彼らの覚悟が揺らいでしまわぬように。愛と勇気を織りあげるように旋律に乗せて、若い心を鼓舞していく。
「闇は夜明けに、新しく生まれる光に駆逐されるもの――今がその時です」
「彼の言う通りです。敵の消耗は激しい、此処に居る全員の力があれば必ず勝利できます」
 ケットシーの言葉に魔女が微笑みを浮かべて後押しすると、少年少女達は頷いた。その表情には覚悟が滲み出ていて、手にした光の武装が眩しいほどにつよく輝いている。
 ナイトの教えを受け継いだ彼らが、守られるだけの存在であるはずがない。彼らが無傷では済まないとしても、仄々はその輝きを守ることを胸に誓う。
「ふ……臆して逃げ出すかと思えば、なおも清廉さが勝るか」
 そう呟くや否や、黒鎧の巨躯が尋常ではない速度で此方へと距離を詰める。同時に夥しい量の魔法陣が、幾何学模様を描いて飛び交う。すかさず仄々が魔法剣を指揮棒に揮って、魔力で編まれた矢を生みだす。遠距離攻撃を得意とする騎士達と同時に一斉放射した攻撃の雨が魔法陣を迎撃すると、閃光が奔る。次いで衝撃と煙が魔術士の視界を奪い、彼の感覚と魔力に干渉したのをきっかけに、明を先頭に近距離武器を手にした騎士達が一気に押し寄せる。
「タイミングを合わせ同時攻撃を。少しでもダメージを与えたら次の方に入れ替わって」
 猟兵の攻撃に比べ、騎士達の一手は弱い。けれど彼らは明の指示のもと、見事な連携を組むことで確実なダメージを与えていく。騎士達に的確な指示を出す明の存在が邪魔とみたのか、魔術士の潰れていない片目が彼女を射抜いた。
「やはり、寄せ集めの隊を相手にするなら将を潰すのが先であろうな……!」
 蟲の羽音めいた振動音が鳴って、小型ビットが明を囲む。間髪入れず円盤から放出された光線が魔女を一気に焼き尽くすのを見て、幾人かの少女が悲鳴をあげた。けれどそこに、彼女の亡骸はない。何、と洩らした魔術士の背後、くすりと笑んだ声がする。
「残念、それは残像です」
 しろがねの剣が美しく輝いて、魔術士の首を掻っ切る。一度目が決まった軽やかな刃は、次にすぱっと勢いよく鎧を纏う右腕を落とした。
「ぐあああッ」
 遂に膝を突きその場に崩れ落ちた巨躯に、明と仄々は彼に最期の瞬間が訪れることがわかった。今です、と明が短く声をかけると、仄々が再び魔力を織りあげる。
 あつい炎を騎士達の燃ゆる正義の心と、きよらな水を澄みきった光のごとき意志と、やわい風を気合の鬨の声と。全てが強く共鳴し、光の矢群として姿を現す。
「これが私達と皆さんの力の全てです! さぁ、共に勝ち取りましょう!!」
 ――僕の、俺の、私の、皆の。
 打撃、斬撃、射撃、砲撃と共に、隙間なくみっちりと揃った矢衾が、魔術士に降り注ぐ。
「あなたの最大の誤算は、猟書家になってこの世界に侵攻してきたことですよ」
 魔女の言葉を耳にした魔術士は、遺った片目で最期にその光を見つめて、自嘲するようにわらった。

 ケットシーの奏でる鎮魂の調べが、主の喪われた帝国継承軍の艦内に響く。
 敵艦を後にし、猟兵達と共に帰還する少年少女達を待っていたのは、教練艦を守護していた教師達。銀河に生まれたまばゆい星々を称える曲が、教練艦エスポワールの生還を祝していた。

 ――この宇宙で、希望の光が潰えることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月24日


挿絵イラスト