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暴かれた森の行く末は

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #チーフメイド・アレキサンドライト #エルフ

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●森焼くはエルフと双頭成す者
「ようやく見つけましたよ……こんなところでは、さぞ人も来ず平穏に暮らしていたことでしょうね」
 ハイドレンジアが訪れたのは辺鄙も辺鄙。人一人が通れるかどうかという山道を登っては下りて。そうして一山、二山と越えた先に突如現れる森は、断崖絶壁に囲まれながらも新緑を存分に湛えていた。
 眼下に広がる森のどこかに世界樹より株分けされた聖なる木が存在する。外側から見るだけでは見分けがつかないが、あぶり出す策は用意していた。
 ハイドレンジアが連れるのは妖精の空兵団。人は容易に征けぬ山道。しかし翅を持つ彼らであれば、ハイドレンジアと共に山を越えるなど造作もないこと。
 そして通常であればマスケット銃を持つところ、ハイドレンジアが従える軍勢はさらに強力な固定砲を備えていた。
 その火力、まさに火力を以って森を焼き払う。聖なる木はその神性故に焼かれることはないが、それこそが弱点。焼かれぬからこそ、あぶり出される。
「皆さん、遠慮はいりません。たとえエルフが出てこようと、諸共焼き払ってください」
 ハイドレンジアは空兵団を送り出す。それは、小さき者の下克上――。

●アックス&ウィザーズ・9thラウンド
「もう何度目かわかりませんけど、エルフの森が燃やされようとしています!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)にとってはまだ視ぬ悪夢だったが、一時は殊更に聞き及んだ話だった。
 エルフの森の焼尽作戦。その予知が、ついにロザリアにも訪れた。
「『アックス&ウィザーズ』での事件になります! エルフの森が燃やされるのを止めに行きましょう、というお話になるのですが、どうしてそんなことが起こるのかというのを簡単にご説明しますね!」
 ロザリアは『ぐりもあのーと』をぱらぱらとめくり、メモした内容を読み上げる。
「実は、エルフの森にはどこかに一本だけ、『世界樹イルミンスール』から株分けされた『聖なる木』というものが存在しているんです! 敵の狙いはその木なのですが、それがどれだかわからないので森全体を燃やして見つけ出そうとしているわけですね!」
 聖なる木は燃えることがない。そのため、森を全て焼き払った後にぽつんと残った一本が聖なる木、ということになる。
 また、エルフを焼き殺すことでオブリビオンとして蘇生させる、という副次的な目的も存在する。一石二鳥とはまさにこのことか。
 だが、そんなことは当然許してはいけない。
「これから皆さんをエルフの森まで送りますので、エルフさん達と協力して敵を撃退してください! 敵は妖精の空兵団と、それを指揮する『紫陽細剣』――ハイドレンジアと言うそうです! エルフさん達は皆さんが来たことで状況をすぐに理解してくれますので、協力を取り付けるのは簡単かと思います!」
 エルフの森は聖なる木の存在のために、他種族にとっては迷いの森の状態になっている。だがエルフの導きがあれば、襲ってくる軍勢のみが迷い、猟兵達は自由に遊撃できる、といった状況も作り出せることだろう。
「ちなみに、皆さんが向かう森にある『聖なる木』は『プリムビュート』と言うそうですよ! 皆で力を合わせてプリムビュートとエルフさん達を守りましょう!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 エルフの森焼きはじめました。

●フラグメント詳細
 第1章:集団戦『謎の空兵』
 エルフの森に妖精が焼きにやってくるって……熱いっすね(物理的な意味で)
 エルフ達は弓矢を使った攻撃や、森の効果を利用して敵を攪乱する、といったことができるようです。
 空兵の装備はマスケット銃の他にアームドフォートを備えています。爆破魔法使う時とかに威力発揮しそうですね。

 第2章:ボス戦『『紫陽細剣』ハイドレンジア』
 うーん美人。
 剣による攻撃の精度をユーベルコードで底上げするタイプの敵という感じですね。

●MSのキャパシティ
 合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
 でも複数採用リプレイとかは気まぐれで書いたりするのでソロ希望の方は明記しておいてください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『謎の空兵』

POW   :    妖精の奮闘
敵を【爆破魔法】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
SPD   :    妖精の早撃ち
見えない【マスケット銃の弾丸】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    小さいからと甘く見るな!
【敵合計レベル×5の謎の精兵(妖精)】の霊を召喚する。これは【マスケット銃を使った弾丸】や【魔法】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

何度かエルフの森行ってますけれど、本当に意志を継ぐとは厄介ですねー。
誰かの故郷を滅ぼさせてたまるか。

エルフの方には、導きをお願いしますねー。
あ、防護結界施しておきますねー。迷彩機能もつけときましょう。

小さいからといって、見逃すはずはないでしょう?
風属性攻撃のついた漆黒風を、指定UCにて急所狙いで投擲。人体構造一緒なんですから、急所もねー。
一投一投、居場所変えてますよー。

攻撃は見えないとはいえ、必ずこちらに来るのです。
で、あれば…私には四天霊障による結界術で弾けますね。エルフの方には、すでに施してますしー。



●森の隠密
 エルフにはいくらか縁を持つ馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。今日もまた襲撃の予知を受け、エルフの森を訪れていた。
「何度かエルフの森には来てますけど、本当に意志を継ぐとは厄介ですねー」
 森を焼き払い聖なる木を見つけ出す。その大胆な暴挙を編み出した者はもういないが、意志を継ぐオブリビオン達によって同様の事件は続いていた。
 エルフの森、それはエルフの故郷である。故郷を失った過去を持つ義透――正確に言えば、彼を構成する『同居人達』にとっては到底見過ごせるはずもなく。
 並々ならぬ決意を秘めて、森の中に足を踏み入れていた。
 猟兵の訪れを感じ、二人の男のエルフが姿を見せる。
「あなたは……ということは、この森に災いが降りかかろうとしている、ということですね?」
「察しが良くて助かりますよー。こちらで敵を待ち受けますので、導きをお願いしますねー。……あ、防護結界施しておきますねー。迷彩機能もつけときましょう」
「ありがとうございます。導きはお任せください。お前は他の者に伝達を」
 義透の導き手として名乗り出た男は同行者を集落に走らせ、義透へはエルフの加護を授ける。義透の体に何かが作用した感覚はなかったが、森の内部がよりクリアに見通せるようになった気がした。
 義透が張り巡らせた半透明の結界は迷彩効果により景色と同化し、義透以外の者には位置を把握できなくなった。エルフや猟兵の攻撃は通り抜け、オブリビオンの攻撃は防ぐ。半透膜のような存在だ。
「そろそろでしょうかねー」
 義透は棒手裏剣『漆黒風』を指に挟んで取る。そうして少し待つと、森の中に羽虫の群れのような集団が入り込んできた。
「この辺りから焼いていくであります!」
 空兵達だ。備えた固定砲を辺り一面に向けて、早速森を焼き払おうとしている。
 だが、義透の存在には気づいていない。木陰から身を乗り出した義透は手首のスナップを利かせて棒手裏剣を疾く走らせた。
 的は小さい。しかし義透に気付かず無防備な姿を晒している相手に攻撃を外すことなどあろうか。
「ぐあ……!」
「がっ……て、き……」
 棒手裏剣はおよそ掌に乗る程度のサイズだが、相手が妖精となれば体を大きく穿つ黒鉄の杭だ。胸に「巨大な」杭を打ち込まれた空兵達は重さに引かれてひゅんと地面に落ちていく。
「敵襲! 敵襲!」
 残る空兵達は棒手裏剣の飛んできた方向を警戒し、マスケット銃を取る。隊列を広げて敵を捜索するが、そこは迷いの森。どちらを見ても樹木が鬱蒼と生えているだけで、振り返ればいつの間にか出口を見失ってしまっていた。
(迷ってますねー、あれは)
 遠く木陰に身を隠す義透には、空兵団が同じ場所をぐるぐると回っている様が見て取れた。しかし彼らは必死に森の中を突き進んでいるつもりなのだろう。義透を探すために。
 結界があるからと言って義透に油断はない。棒手裏剣の出所を悟られぬよう、一投ごとに森を巡り場所を変えた。
 動く義透に対し、空兵団はわざわざ背中を見せてくれる。棒手裏剣を取り再度投擲すると、今度は首の裏にずぶっと刺さり、頭がぷらんと傾いた妖精達が落ちる。
「なっ……後ろか! 撃て! 撃てー!!」
 前にいると思いきや後ろに。森を自由に動ける存在か、それとも敵は複数か。だが考察している暇はなく、空兵団は強引に反撃に回らざるを得なかった。
 木々の間を狙ってバパン、バポンとマスケット銃が火を噴いた。構えてから銃撃までの動作は熟達した技術を持つが、不可視の弾丸はこれまた不可視の壁に阻まれた。
「なんだ――ぎゃあ!」
「右だ、右――ぐえぇ」
「右だと!? こっちは左……んげっ!?」
 見えない。ただ見えぬまま、迷い、棒手裏剣の餌食になる。
 森の神の怒りにでも触れたか――空兵団に静かに広がる恐怖は確実に調和を乱す。
(導きのあるなしでこうも違うとは……エルフの方々には本当に感謝ですねー)
 水を得た魚のように義透は森を掌握し、空兵団の戦力を削っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
こんな綺麗な森を燃やすなんて許せないね!
という訳で、エルフの皆さん案内よろしくお願い。
相手はまだ気づいていないみたいだし不意を突こうかな?
エルフの皆さん弓矢で援護お願いします。
ボクは重力を掛けて相手の動きを止めます。
さすがにこの重力の中じゃあ動けないでしょう?
矢を避けて高度を下げて来たとこに妖刀を食らわせてあげる!
さあ、これより反抗を開始する!
どうかチタノの加護と導きを



●踊れや踊れ
 エメラルド、ペリドット、アレキサンドライト――まるで宝石箱の中にいるようだ。森に包まれたニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は真上を見上げてくるくる回り、自然光と新緑が織り成す万華鏡を楽しんでいた。
「こんな綺麗な森を燃やすなんて許せないね!」
 だからこそ、森を焼き払おうとするオブリビオン達には怒りを露にする。この森はエルフ達が手塩に掛けて育てた神秘だ。外からふらっと現れた連中にむざむざ壊されてなるものか、と意気込んでいた。
「という訳で、エルフの皆さん案内よろしくお願いします! 敵を一緒にやっつけましょう!」
「わかりました! 微力ながら、支援させていただきます!」
 集落から駆けつけた弓の狙撃小隊。その隊長と思しき女性がニクロムの導き手となった。エルフの加護を授け、ニクロムの視界を明るく照らす。森は形を変えていないはずなのに、不思議とよく見通せるようになった。
 ニクロムはエルフ達と協同して索敵を開始する。すると程なく、森に迷い込んだと思われる空兵の一団を発見した。
「……いました。こちらにはまだ気づいていないようです」
 観察していると、あっちへふらふら、こっちへふらふらと落ち着かない。森の魔力に惑わされた彼らには何が見えているのか。少なくとも、じりじりと接近を始めたニクロムとエルフ達のことは見えていないようだった。
「ボクが重力をかけて相手の動きを止めます。そこへ皆さんが矢を射掛けて、高度を下げてきたらボクがこの妖刀でズバッと」
 エルフ達と綿密に作戦を練るニクロム。各々の役目、動きの流れが明確で、エルフ達はすぐに頷いた。
 ニクロムは先行して仕掛けに入る。エルフ達は少し空間を取って弓を引き、矢を斜に立てた。
「さあ、これより反抗を開始する! どうかチタノの加護と導きを――」
 俯き気味に祈りを捧げたニクロムは、すぐさまキッと空を見上げた。深部への侵入は諦めたか、固定砲を構え始めた空兵達へ向けて、
「反抗の竜チタノよ……降り立て!」
 ボウン、と固定砲が火を噴いたまさにその瞬間に、水晶の涙が森に降り注ぎ火を抑え込んでいた。固定砲を掲げた腕が強力な重力場を受けて強制的に下を向かされる。
「ぐおっ……体が、急に重く……」
「何なの、この、水晶……敵が、近くに……?」
 空兵達は超重力に逆らってその場に留まるのが精一杯。少しでも気を抜けば地面に急降下だ。広げた翅も鉄板で扇いでいるかのように動きが硬く、敵の存在は悟ってもそれを探せる状況ではなかった。
「今です!」
 ニクロムが後方のエルフ達に号令を出すと、一斉に矢が空高く放たれた。矢は放物線の最高点目指してぐんぐん上がっていく。
 森の魔力は飛来する矢の存在をも隠す。空兵達は森という暗闇の中から突如矢が吐き出されたように見えていた。
「ぐわっ!!」
「いやぁっ!!」
 矢は妖精という小さな的を寸分違わず撃ち抜いていた。体のど真ん中に矢が刺さった空兵達は、勢いに負けてそのまま矢と共にどこかへ飛んで消えていく。
「ぐっ……敵襲! 地上からだ! 高度を下げろ!」
 矢は角度がつけられなければ飛距離が出ない。空兵達の判断はその一瞬で言えば正しかったが、もちろんそれはニクロムの掌の上。
 空兵達が下りてくるのを確認すると、低く身を屈めていたニクロムは地面を噛む爪先に力を込めて一気に飛び出した。大股で森を駆け抜け、瞬時に空兵の集団へと飛び込んでいく。
「敵かくに――ぐあぁぁ!!」
 手近なところから一体、二体、三体と妖刀を素早く薙ぎ払って斬り落としていく。遠い間合いから撃つことができる矢と違い、接近戦となればニクロムの存在もまた空兵達に気付かれる。
 速度勝負だ。敵が反撃してくるまでに、どれだけの数を狩れるか。
「単騎で来たか! 小さいからと……甘く、見るなぁ!!」
 丁度十体目を斬り飛ばしたところで、まだ遠くにいた空兵がもわっとした奇妙な浮遊体を召喚した。それはぐにゃぐにゃふわふわ形を変えて妖精の姿となる。
 妖精の霊だった。それは霊ゆえか重力場の影響を受けないようで、マスケット銃を構え発砲してきた。森を切り裂き抜けてくる弾丸にニクロムは刃を立てて、カカカンと受け弾く。
「危ない……でも、今のボクは――止められません!」
 空兵を斬りながら加速していたニクロムはいよいよトップスピードに乗った。妖精の幽霊が二射目を放つ前にぎゅんと真下に潜り込むと、跳び上がるような斬り上げで幽霊諸共空兵を真っ二つ。綺麗に半分に分かれた空兵は、それぞれ左右に開いて分かれ、落ちていく。
「――っと、もう一暴れといきましょう!」
 空兵の一団を突っ切ったニクロムは、まだ残る空兵達を狩るべく反転して妖刀を踊らせる。満足に動けぬ空兵達はただ刃の露となり、散っていくだけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティファーナ・テイル
「エルフさん!ボクが前に出て引き受けるから後方はお願いね!」

『ガディスプリンセス・レディース』で従属神群を召喚して妖精軍の射線を防いだり見付けて各個撃破して行きます。
『スカイステッパー』でSPDを上げつつ『がディスプリンセス・セイクリッド』で♥ビーム/弾を撃ちます。
敵の攻撃は『神代世界の天空神』で空間飛翔して避けて敵のUCを『天空神ノ威光・黄昏』で封印/弱体化をさせます。
『ジェットストリーム・ラヴハート』でSPDを強化し『ガディスプリンセス・グラップルストライカー』で討ち漏らすの無い様に確実に撃破して行きます!
『セクシィアップ・ガディスプリンセス』の♥ビーム攻撃で逃がさず倒して行きます!



●神速飛翔
「エルフさん! ボクが前に出て引き受けるから後方はお願いね!」
「任された。本隊はこれより貴殿の援護に入る!」
 少々堅物なエルフの弓兵達に背を預けたティファーナ・テイル(ケトゥアルコワトゥル神のスカイダンサー・f24123)は小さな体で森の木々をすり抜けていく。頭上を見れば火砲を放たんとする妖精の空兵団が一つ、二つ。
「レディースの能力(チカラ)を今こそ見せる刻だよ!」
 ティファーナは空兵団に向けて高く手を突き上げた。掲げた掌は彼らを捕えんとする意思の表れ。周囲に浮かんだ螺旋の小風に包まれて召喚されたのは、妖精達と同じ大きさの従属神群だ。三又の槍と円い盾を手に空へと飛んで戦いを仕掛ける。
「こちらにも敵か……!」
 ティファーナによる横槍が入ったところで空兵達は火砲を一旦収める。そしてマスケット銃を取ったかと思うと、乾いた破裂音が多重に轟いた。
 妖精達の早撃ち。弾丸の出所を隠し不意の一射を狙っていたが、レディースもまた盾を素早く前面に掲げることで弾丸を防ぐ。射線が遮られたところでティファーナが宙を駆け上がり、空兵団の上部を取った。
「神様は寵愛と懲罰を!」
 銃口のように突き出した人差し指の先にハートのリングが現れる。空兵達のお株を奪う空中射撃。流れ落ちるハートは空兵達が構えるマスケット銃を輪投げの標的に見立てて飛び込んだ。
「ぅぐぇっ!」
 キュッと窄まったハートの頂点が妖精のシャープな顎のラインをするんと抜けて、喉元にクリーンヒット。潰れた声を上げて空兵達が撃ち落とされていく。
「誰か、あいつを止めろ!」
 勢いづきかけたティファーナに後方から怒声が掛かる。振り向けばまた別の空兵団が一列に並んでマスケット銃を構えていた。
 早撃ちが先か、ティファーナが先か。コンマ数秒を争う展開――そこに割り込んできたのは地上から放たれたエルフの矢だった。
「ごぁっ!?」
「ぎゃぁ!!」
 胴体にずむと突き刺さる矢は妖精の体には重く、マスケット銃を空に向けてひゅぅんと落下する。ティファーナの背中は必ず守る――有言実行の弓兵達だ。
 機はティファーナに齎された。空間を飛翔し空兵に近いエルフの元へと転移すると、
「天空神の庇護と加護と祝福の威光に黄昏る」
 翼を広げて威厳を誇示したティファーナは眩い輝きを放った。天空神の加護を受けた後光を浴び、空兵達の動きが浮き上がるように鮮明に見えてくる。
 弾丸を吐き出すマスケット銃は、空砲かと思うくらいに的を外していた。ティファーナはさらに飛翔力を高めるべく正義の友情の姿へと変身し、一気に間合いを詰める。
「必殺――超神武闘拳!」
 空兵達の頭上で旋回して速度を上げたティファーナは流星の如く懐へ飛び込み、左の拳を振り回した。マスケットを構えた腕の奥へ絡むように突き刺さった拳で空兵を引きずると、二段、三段と他の空兵達を巻き込み全てを殴りつけた。
 折れ曲がる翅。鏡餅状態の空兵の塊が大地に突き下ろされた。振動と土煙の中に小さな穴が開く。
「一体も……逃さないよ!」
 ティファーナはまだ変身を残していた。今度は豪華絢爛、欲情を煽るその姿。手で作るハート形はティファーナの鼓動に合わせて波動を飛ばし、空兵達へと襲い掛かる。
 レディースの突撃をかわし、エルフの目を盗み飛んでいた空兵達をハートの脈動が捕まえた。肉体という盾を貫通して波動が心臓に辿り着くと、空兵達は時を止めたようにピタリと固まり、瞳を虚ろにして落ちていく。
 落ちた妖精の数など数える暇もなかったが、ティファーナの索敵に引っかかった空兵団は悉く潰えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久瀬・了介(サポート)
「オブリビオンは殺す。必ず殺す」

オブリビオンへの復讐の為に甦った不死の怪物。そこにオブリビオンがいるならただ殺すのみ。

生前は職業軍人。デッドマンとして強化された身体能力と、軍隊で身に付けた戦闘術を基本に戦う。

軍人としての矜恃は失われていない為、敵の撃破より民間人の安全と平和を最優先として行動する。復讐鬼ではあるが狂戦士ではない。非戦闘時や交渉時は実直で礼儀正しく他人に接する。

基本戦術は「ハンドキャノン」での射撃。敵の数が多い場合はフルオート射撃での範囲攻撃。
敵の能力に応じて【死点撃ち】【犬神】【連鎖する呪い】で射撃を強化する。
その他、状況に最適なUCを選択して使用。



●美しくも骸の民
 オブリビオンに貴賎無し。外見が大きかろうが小さかろうが、可愛かろうが醜かろうが、それがオブリビオンであるという事実一つあれば、久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)の標的となる。
 弓兵のエルフに、敵となる空兵達はマスケット銃を持つ。狙撃戦なら了介の舞台。ハンドキャノンを構えて木の根元に潜み、待つ。
「こちらだ! 増援を!」
 空兵達の動きも慌ただしくなっていた。猟兵達がエルフと協力しながら森の中で暴れ回っている。森を燃やすよりも自らに降りかかる火の粉を払うほうが先決となっていた。
 空兵達は集団を成して森への侵攻を図る。しかしエルフの導きが無いため進路を取るにも一苦労しているようだった。
「オブリビオンは……殺す。必ず殺す」
 暗示のように呟くと、了介は木陰から身を乗り出して銃口を空へ向けた。銃把に繋いだ弾帯を地面まで垂らして空域への絨毯射撃。弾丸装填から発射までフルオートのため、了介はただ照準を合わせるだけでいい。
 宙に描かれる弾痕はもはや線だった。点と点を結ぶように、妖精達は弾痕で繋がれていた。
「ぅあぁっ!!」
「下よ――ぃやぁっ!!」
 一体ずつ、などと大事に扱う意味もない。十体、二十体と物量に任せて了介はひたすら撃ち続けた。
「くそっ! 精兵の霊魂よ、ここに!!」
 さらに森の外から侵入してきた空兵が事態を察知し、妖精霊を呼び出す。物量には物量で対抗するしかない。それぞれがマスケット銃を構え、銃弾の飛んでくる先を狙っていた。
『動くな』
 了介は銃口を左右に振りながら、カバーできない範囲を呪いの言霊で補う。首と腕がそっぽを向いた状態だったが、了介の射撃は正確だった。
「引き金が……引けん!?」
 言霊を食らった空兵達は指一本さえ動かず、まるで釘の刺された標本のように宙で固まっていた。そこへ自動射撃が追いつくと、一線上で纏めて撃ち抜いた。
 今度は本当に弾丸で体の真ん中を貫通する。穴が開いた空兵達がひょろひょろと落下していくのを了介は見ていない。
 次、次、次のオブリビオンを――了介は敵を求め続けた。

 そして弾帯が尽き、一切の銃撃音が消えた時、空兵団もまた一掃されていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『紫陽細剣』ハイドレンジア』

POW   :    祝散華~スカッタード・ブラッサム~
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【レベル 】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
SPD   :    装飾花~オルナメンタル・フラワーズ~
レベル×1体の、【柄の花びら 】に1と刻印された戦闘用【の自身の分身たる装飾花】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    赤色変化~シフト・レッド~
【猟兵の取得🔴を自身のレベルに転写する 】事で【赤紫陽形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●踊る紫陽花
「森は……燃えませんか。仕方のない子達です」
 送り出した空兵は、誰一人として帰ってこなかった。エルフの森からは火の手も上がらず、ただぎゃあぎゃあと叫び声だけが聞こえてくる。
 叱って済むなら大いに叱る。問題は、空兵達がもうここには存在していないということだ。
 彼らは過去へと還り、次の生を待っている。だがハイドレンジアがそれを待つわけにはいかない。
 一本ずつ自らの剣で切り倒していくか――それでも本懐は果たせるだろう。
 だがその前に排除しなければならない。この森に生ける者達を。
馬県・義透
なるほど、此度の意志を継いだオブリビオンは、あなたでしたかー。
まあいいです。倒すのみですからー。
森を燃やさせるわけ、ないじゃないですかー。
早業の結界術で、エルフの皆を守りましてー。秘密の話を。

さて、花には花を。こちらは鬼蓮ですねー。ふふ、鈍化呪詛つきですー。
私に近づくなら、この花の範囲に入らざるを得ないんですよねー。
防御面は、内部三人がオーラ防御+結界術してますのでねー。

その形態、厄介ですけれど。長くはもちませんよねー。
寿命を削るってのは、オブリビオンも猟兵も、変わらぬものですよね。
同じことできるのでわかります。

ああ、疲れて止まると…エルフの皆さんからの援護射撃、きますからね?



●命の時を刻む
「なるほど、此度の意志を継いだオブリビオンは、あなたでしたかー」
 猟書家の意思は広く伝播している。何度か同様の事件を経験している義透には尤もな反応と言えた。
「猟兵……ようやく合点がいきました。確かに荷が重かったようですね、あの子達には」
「そうですよー、森を燃やさせるわけ、ないじゃないですかー」
 ハイドレンジアが会話に乗ってくるのは都合がよかった。義透は牽制しつつ早業で結界術を敷く。エルフ達は射掛ける時を待っている。彼らに流れ弾が飛んでいかぬよう、結界は強固に張られていた。
「……では、猟兵も纏めて倒して、この森を滅ぼしていくことにしましょう」
「させませんよー。これからあなたを倒すんですからー」
 互いの意思は明確だった。ハイドレンジアは髪色を赤紫に染めて、細い足に詰め込んだ推進力を爆発させる。
『これは『鬼』である私が、至った場所』
 接近戦を選ぶなら好都合、と義透は握り込んだ棒手裏剣を手放した。それは地面に落下する過程でひらり、薄紫の鬼蓮の花びらへと変化すると、義透を中心にして渦を作り、周囲に「領域」を成す。
「花には花を……さて、こちらに入ってこれますか?」
「この程度の花びら如きで、私を止めようなどと……」
 突如現れた花びらにも構わずハイドレンジアは突っ込んでくる。全てを回避することは不可能。ならば斬り捨てるのみ、と細剣を躍らせた。
 星を描くような太刀筋が薄い花びらを断っていく。欠片となった花びらが舞い落ちる中、ハイドレンジアは細剣の閃きに翳りが出始めているのに気付く。
 思い通りに体が動いていない。もっと速く、と心が急くほどハイドレンジアの動きは鈍っていく。
「この花びらに……うぐ、何か、細工を……?」
「ふふ、鈍化の呪詛を染み込ませてありますからねー。花びらを斬れば斬るほど、あなたの体に染みついていきますよー」
 義透はカラクリを自ら暴いていく。それは、気づいてももう遅い、という通告だった。花びらは一転、退避を試みるハイドレンジアに宿主を変えて取り憑くように渦巻いた。
「っく、離れな――さいっ!」
 細剣で斬って活路を開こうにも、渦はすぐに修復してしまう。そしてハイドレンジアの動きが鈍くなり、さらに脱出が困難になるという悪循環。
 花びらは徐々に包囲を狭め、ちりっ、とハイドレンジアの衣服に触れた。スカート部分にあしらわれた花びらが少しずつ裂け始め、二の腕や胴などの衣の薄い部分は、守られるべき肌にまで到達していた。
「あぁっ! んくぅ……!」
 花びらの渦に襲われて、ハイドレンジアの体が右へ左へと揺れていた。一つ一つの威力は小さくとも、何十という花びらが波のように殺到すれば、細身のハイドレンジアを揺り動かすことも可能なのだ。
 そしてハイドレンジアには懸念がもう一つ。速度を上げる赤紫陽形態は自身の寿命を代償とする。早い話、使い続ければ寿命が摩耗され死に至るのだ。
 砂時計の砂が落ちていくように、少しずつ、だが確実に代償は体の中に溜まっていく。そこから来る疲労感も減速の一因となっていた。
 機を確実に捉えなければならない――重圧が、焦りがのしかかる。
「寿命を削るというのは、老い先が短くなるのとはちょっと違うんですよねー。同じことできるのでわかりますよ」
 こんな時に下らない皮肉など――ハイドレンジアは苦虫を噛み潰したように表情を歪める。
 行きつく先が死であれば、その可能性が少しでも低くなる方へ賭けなければ――。
「ああ、疲れて止まると……エルフの皆さんからの援護射撃、きますからね?」
 言うが早く、遠く木陰に潜んだエルフ達は弓の構えに入っていた。動かぬならそこが好機。びぃん、と二方向から射出された矢は義透の両脇をひゅっと抜けて花びらの中へ。
「くっ――あぅっ!」
 一射は細剣で斬り弾いたが、もう一射までは間に合わず左肩にぶすんと突き刺さる。矢の勢いに負けて半身仰け反ったところが花びらの舞の中で。
「いやあぁぁっ!!」
 花びら達に手玉にされて、ハイドレンジアの体はあらゆる方向から刻まれた。刀傷のような裂孔に塗れながら、押し出されるように脱出したハイドレンジアは細剣を地面に突き立てて体を支える。
「ね? 言った通りでしょう?」
「えぇ、本当に……腹が立ちますね、猟兵というのは……!」
 目尻を吊り上げるハイドレンジアの眉間にはきつく皺が寄っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久瀬・了介
死人とは言え、民間人の日常と財産を守るのが軍人の使命。エルフ達と、彼等の森への攻撃を見逃す訳には行くない。
何より、貴様がオブリビオンである以上理由は必要ない。必ず殺す。

奴は分身を使うか。銃火器で撃ち落とすには数が多い。
ならば【雷霆】発動。全身を電界で覆い、身体速度を加速させる。
オブリビオンへの【呪詛】を体内の「ヴォルテックエンジン」で高圧電流に変換。UCの効果で放電し、分身を電撃で焼き払う。【属性攻撃】【範囲攻撃】。

「怨念武器」だ。幽体を物質化させ軍刀に変える。
【ダッシュ】し一気に間合いを詰め斬りつける。敵が剣で受けたら加速された【早業】で死角を突き【2回攻撃】。雷の速度の斬撃で斬り伏せよう。



●敗因はオブリビオン
 禁断の技術により蘇った死者。それがデッドマンだ。
 一度死した者ならば第二の生を前に厭世的な感情を抱くか――それは人に依るところだが、了介は軍人であり、軍人とは民間人の日常と財産を守るのが使命。
 エルフの森はエルフ達の財産だ。聖なる木もまた然り。であれば森の破壊を企む者の手から守るのは当然。それがオブリビオンなら最早疑いの余地はない。
 殺す。音にしてたった三つの使命だった。
「オルナ……メンタル! いきなさい!」
 ハイドレンジアは支えにしていた剣を抜くと高く頭上に掲げ、細剣の輝きの下に自身の分身体を作り出す。手にした細剣にはそれぞれ数字の1が刻印され本体との見分けはつくが、実体であることに変わりはない。
 先の妖精達のように弾丸一発で落とせるほど脆くもないだろう。銃火器で全てを相手取るのは分が悪そうに見えて、了介は一旦武器を収める。
 その様子を見て分身達はさらに勢いづいた。しかし、今の了介の行動を降伏宣言と取るならそれこそ頭の中が花畑。了介の体の表面にはぱりっと電撃が弾けていた。
『発雷』
 電撃は了介の周囲に吹き荒れて嵐となる。分身体達は強烈な電界にぶち当たって止まっていた。
 ところで、デッドマンとは衝動を魂の中で燃え滾らせて生き永らえている。殺すとは、衝動であり執念であり、存在意義でもあった。それを呪詛へと作り替えた後に体内の動力装置、ヴォルテックエンジンへと投入することで了介は莫大な高圧電流を生み出すのだ。
 生じた電界に引き寄せられるように了介は高速で分身体の群れに飛び込みながら電撃を扇状に放射した。立ち止まった分身体の細剣が避雷針となって電撃を吸い込むと、その身を一瞬で焼き焦がしていく。
 電撃が空気中を走る雷音だけがやかましかった。焦げた分身体達は声を発することもなく、どさどさと倒れていく。
「これでも……だめ、ですか……!」
 群れの最後尾にいた本体にまでは電撃が及んでいないところを見ると、分身体達は確かに「避雷針」としての役目は果たしていた。しかし、そんなことはハイドレンジアの望まぬところ。やむなく自ら躍り出る。
 了介は斬り合いを選んでいた。怨念武器を軍刀の形に変えると雷の速度をさらに加速させた。間合いを計る間もなく詰め寄られたことでハイドレンジアは目を見開く。
 了介は下方からの薙ぎの一撃を放つ。ハイドレンジアは細剣で応じたが、速度とタイミングで凌駕した了介の軍刀が思い切り細剣を弾き上げた。
 ハイドレンジアの体が起き上がったところへ了介は逆に体を落とし、ハイドレンジアの死角となる背後へ抜けると、細かい傷が交差する背中へ二度、早業の斬撃を繰り出した。
「はっ――ぐぅっ!!」
 まるで×印の焼き鏝を押し付けられているような熱さと痛みが背中に走り、ハイドレンジアは押し出されるように仰け反って、続けてのめり体が泳ぐ。細剣でざく、ざくと二度地面を突いて、ようやく体勢の崩れを直した。
「っく……はぁ……はぁっ……」
 細剣を軸に態を入れ替えて追撃を警戒していたハイドレンジアだったが、意思に反して崩れる膝に四苦八苦しているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティファーナ・テイル
SPDで判定
*アドリブ歓迎

「プリムビュートとエルフさん、余裕が無さそうだから本当に警戒して機会を狙ってね!」
『スカイステッパー』で高速飛翔しながら縦横無尽に動き回り『ガディスプリンセス・レディース』で従属神群を召喚し♥ビーム/弾で『がディスプリンセス・セイクリッド』の攻撃を繰り出し、『神代世界の天空神』で敵の攻撃を空間飛翔して避け敵のUCを『天空神ノ威光・黄昏』で封印/弱体化させます!
『ガディスプリンセス・アクティブ』と『ガディスプリンセス・グラップルストライカー』で拳/髪の毛/蛇尾脚で多彩に攻撃を仕掛け『ヴァイストン・ヴァビロン』と『ジェットストリーム・ラヴハート』で命中率と効果を強化を!



●閃け超神武闘
「プリムビュートとエルフさん、余裕が無さそうだから本当に警戒して機会を狙ってね!」
 猟兵達の援護に当たるエルフに声を掛けて、ティファーナは飛び出していた。妖精達とも対等に渡り合える空中機動はハイドレンジアとの戦いでも効果を発揮する。
「ぐ……オルナメンタル・フラワーズ!」
 縦横無尽に跳ばれては狙いが定まらない。そのまま後手を引くよりは、とハイドレンジアは再び分身体を作り出した。
 数が増えれば捕獲の網が広がる。どこかのタイミングで一撃、ティファーナを捕らえることができれば、と数多の目を光らせるが、
「従属神群(レディース)、お願い!」
 数には数で対抗だ。妖精サイズの従属神群が分身体を迎え撃たんと空中から飛び出していく。
 剣戟がそこかしこで発生していた。従属神群が持つ剣は当然小さいが、分身体達の細剣をしっかり受け止め弾き返す。
 戦力拮抗。ならばその主たるティファーナとハイドレンジアの実力が物を言う。
『神様は寵愛と懲罰を!』
 ティファーナが胸元で作ったハートの輪から白桃色のビームが飛び出した。雲間から光が差し込むように地上のハイドレンジアへと下りていく。
 ハイドレンジアの細剣捌きは鮮やかだ。ビームに対し垂直に細剣を傾けると、真芯を捉えて正面から受け止めていた。眼前で光が迸りティファーナの姿が白く霞むが、決して目は逸らさない。
「……はあぁっ!」
 そしてついにビームは切り裂かれる。白霧となって拡散した光の先へ――ハイドレンジアは飛び立った。
 細剣を握り締める手に力が籠った。千載一遇と言っていいチャンス。必ず物にしなければ――意気込みは、光と共に霧散する。
 ティファーナがそこに居ないのだ。
 機動力は空間を越えるまでに至っていた。光で二人が分かたれた瞬間、ティファーナは従属神群の導きでハイドレンジアの背後へと飛翔していた。
 後光は差すものではない、放つもの――ティファーナが放つ光は戦場を満たし、従属神群と戦っていた分身体を影のように消し去っていく。
 宙に飛び出したハイドレンジアに反転し、迎撃するだけの力はなかった。ティファーナの蛇尾脚がぐるんと振り回されると、ハイドレンジアの細い胴は瞬く間に締め上げられた。
「やあああぁぁっ!!」
 ハイドレンジアに掴みかかった勢いのまま、ティファーナはぐるぐるんと自身の体ごと回転を始めて落下する。回転は加速し、そのまま地上へ――。
「いやあぁぁ――がふっ!!」
 ローリングボディプレス――などと命名されそうな、全身運動を使った叩きつけ攻撃が炸裂した。ジェットコースターに乗ったまま地面に直撃したような恐怖と衝撃でハイドレンジアの意識は一瞬ぷつりと途切れ、それを激痛が強引に引き戻して血混じりの唾液が花開くのを見せつけられた。
 ハイドレンジアは体がゴムまりのようにぽーんと軽くなるのを感じた。細剣もまるでどこかへ消えてしまったかのように重さを感じない。一時の宇宙遊泳のようだった。
 それがまた、衝撃と痛覚によって現実に戻される。背中から地面に墜落したハイドレンジアは首がぐにゃりと曲がりながら後転して、ようやく世界一周の旅から解放された。
「ぐ……っつ……」
 うつ伏せに倒れ、見えぬまま真横に伸びた右手の指先をかりかりと動かすと、固い物が触れた。細剣はまだあるようだ。しかしハイドレンジアのダメージは甚大で、すぐさま立ち上がれるものではなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
相手はかなり強そうだね
厄介だね、ボク正面衝突はあんまり得意じゃないからな~
まずは隠れて様子を伺って隙を見て重力を掛けよう!
さすがにいつも通り剣は振るえないでしょう?
後は相手が慣れてしまう前に決着を着けることが出来れば・・・
これよりこの侵略者に反抗を開始する!
どうかチタノの加護と導きを



●時は来た
 隙を突く、というのは大事なことだ。
 例えば、敵が強大過ぎて正面から立ち向かえない時。力量差をひっくり返すには、相手の予想を超えた動きで攪乱する、といったことが考えられる。
 猟兵とは、往々にしてそのような敵と相対せねばならない存在だ。尻尾を巻いて逃げ出してしまえば途端に世界が崩壊する、それほど重大な局面にぶつかることだってある。
 猟書家の存在は世界崩壊の序章。逃げ出してなどいられない。
 ニクロムは冷静だった。ハイドレンジアの得物は細剣。正面切っての近接戦闘が予想される。それはニクロムにとっては不得手の部類の戦いだ。
 戦場に於いて、自ら不得手に飛び込む意味はない。命が懸かっているのだ。我武者羅に自分の有利な状況を掴みに行ったって誰も咎めやしない。
 だからニクロムは戦いの幕開けを仲間の猟兵に任せ、エルフ達と共に木陰に隠れていた。自分の力を発揮する時がいずれ来ると信じて。

 流石と言うべき猟兵達の猛攻だった。ハイドレンジアは地に這いつくばるように伏せている。体が言うことを聞かず立ち上がれないようだ。仕掛けるなら今しかない、と覚悟を決めて飛び出した。
「どうか……チタノの加護と導きを! 反抗の加護を、ここに!」
「ぁが……ぁああっ!!」
 ニクロムが放った重力領域がハイドレンジアの体をメキメキと押し潰していた。もはや虫の息だった肉体だ。少し圧をかけるだけで肉は千切れ、骨が砕ける。
「やあああぁぁぁっっ!!!」
 ニクロムは振り絞るように全力を出していた。ここで仕留めなければ反撃を受け切る自信が無い。声を張り、気合という靄を掴むよりも曖昧なものに頼って、重力領域を支配し続けた。
 細剣を取って立ち上がりさえすればハイドレンジアの勝ちだった。だが、重力領域の中で体を持ち上げられない。もう駄目だ、と肉体は白旗を振っている。ごりっ、とまた足の方で骨が潰れる音がした。
「ぁ……くぅぅうああぁっ!!」
 無理も通らない。通すための力、全てを逆転させる術もないわけではなかったが、それを発動するには弱体という代償を払わなければならなかった。
 それはできない。ハイドレンジアの体力、精神力はもう一ミリも削ることができなかった。そうでなくとも、今もこうして重力で削られているのだ。
 反撃の火はもう、起こらない。
「りょ、うへ、い……おぼえ……て……」
 遺恨が次なるその身に宿っているかどうか、それはわからない。
 おそらく、ハイドレンジアは最後の言葉を残しきれなかっただろう。わずかに動いていた右手がべたんと地面に貼り付くと同時に全身は空気の抜けた浮き輪のように潰れ、紫色の砂粒になって世界から過去の海へと還っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月14日


挿絵イラスト