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猟書家戦 竜殺しのうさぎと双子の機械人形

#アルダワ魔法学園 #猟書家の侵攻 #猟書家 #ドクター・パラケルスス #ミレナリィドール #マイ宿敵 #竜殺しのジーク・ラビット

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#竜殺しのジーク・ラビット


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●アルダワ世界 北方帝国
「ギヒヒヒ! まずは第一段階は成功といったところか」
 霧があふれる洋館の中、笑い声を上げるウサ耳の青年。彼の名前は『竜殺しのジーク・ラビット』、竜殺しに執着するオブリビオンだ。彼の側には高価な宝石と融合した『災魔の卵』が白い霧を吐き出し続けている。
「あとはこいつらを機械化させちまえば軍団の出来上がりってか? そうしたら竜神山脈にでも乗り込んじまうか?」
 霧を吸って昏睡してしまったのか、ジーク・ラビットのそばにはこの洋館の住人らしき貴族や使用人達が倒れている。
「うっし! 唸れ『竜殺し』!!」
 彼が手にしたチェーンソー剣が起動し高速回転すると、チェーンソーの鋸刃が飛び散り、周囲の人々や部屋の調度品に突き刺さる。そして、刃が潜り込むとそこから機械化し、蒸気機械の獣へと姿を変える。
「さあ、目を覚ませ俺の蒸気獣ども! まずは近くにいる奴らを集めて来い!」
 そう言って蒸気獣達を放とうとし、そこであることに気づいて命令を追加する。
「おっと、この中でまだ動いている奴がいたら優先的に捕まえろ。無理ならぶっ殺しても構わねえ。いつ猟兵とかが湧いて出てくるかわからねえし」
 そして、部屋の窓から外を見る。
「それにこれだけ大きな屋敷だ。ミレナリィドールの一人や二人を雇っているかもしれねえしな」

「あいつ、ご主人様に何てことを!」
「姉さん、落ち着いて」
 屋敷の外、敷地の庭に身を隠して部屋の中の様子を伺っていたのはメイド服に身を包んだ二人のミレナリィドールの少女。顔つきが似ているので姉妹だろうか。
「あのムカつく顔、吹っ飛ばしてやる! ステビア、やるよ!」
「だから落ち着いてリチル姉さん」
 スカートの中から蒸気ライフルを取り出して狙撃に入ろうとする姉を嗜める妹。
「相手はここまで侵入するのを許してしまったような災魔よ。私達がダースでかかっても敵わない」
「だったらボク達はこのまま黙って見てろって……」
 姉の言葉に、妹は更なる提案をする。
「転校生……アルダワ迷宮の大魔王を倒したと言われる彼らなら、もしかすれば」
「んー、つまりは……その転校生に助けを求めに行けばいいのかな?」
 そこまで話は進めば、やることは決まる。機械人形の姉妹は屋敷の外へと向かうのだった。

●グリモアベース
「……そんな訳で……猟書家幹部を引き継いだ……オブリビオンを倒してきて欲しいの」
 アルダワ世界で起きている状況を簡単に説明したグリモア猟兵の中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)はそう言って話を締め括る。
「……ドクター・パラケルスス……アルダワの……主に北方帝国で活動していた猟書家……知っているかしら?」
 ミスター・グースの目論む『魔導蒸気文明の災魔化』、その実現の手段として、この世界の住人を災魔化させた宝石で眠らせ、機械化手術を行おうとしていたのが猟書家『ドクターパラケルスス』だ。
「……その後を引き継いだのが……『竜殺しのジーク・ラビット』……竜を滅ぼすことに執着しているオブリビオンよ。……持ってる武器が……割と厄介ね」
 手に持っているチェーンソー剣は寿命の消費に応じて出鱈目な能力を解放するだけでなく、その歯が潜り込んだ相手を蒸気獣のような機械生物に変える能力があるという。
「……敵は昏睡させた人々をその能力で……蒸気獣に変えているわ。……このままだと……街の住人全員が機械化されるのも時間の問題」
 街には昏睡した人々を集めようとして、すでに機械化されてしまった蒸気獣が放たれている。人々を眠らせる霧の中、それらを掻い潜って敵の元へ辿り着くのはなかなか難しい。
「……けど……昏睡の霧は……機械人形であるミレナリィドールには通用しないみたいで……難を逃れた姉妹がいるらしいの」
 ジーク・ラビットが陣取っている貴族の館で働いているメイドだという。
「……彼女達なら……街の地理や屋敷の構造に詳しいから……助けになるはず。……協力すれば……スムーズにことが運べるかも」
 ミレナリィドールの姉妹は行動派な姉のリチルと冷静沈着な妹のステビアと言うらしい。
「……向こうも……雇い主の貴族を助けたいから……快く協力をしてくれるはず。……後は……頼んだわ」
 そう言うと裕美は準備のできた猟兵達を現地へと送るのだった。


麦門冬
 こんにちは、マスターの麦門冬(むぎとふゆ)です。今回は猟書家の仕事を引き継いだオブリビオンを撃破してもらいます。
 第1章では、街の霧や機械化された住人達をかいくぐってオブリビオンの元まで向かってもらい、昏睡の霧を出している『災魔化された宝石』を破壊してもらいます。破壊の描写は断章あたりで行います。第2章ではオブリビオンを倒します。
 なお、このシナリオでは以下の行動を行うとプレイングボーナスが得られます。

 プレイングボーナス(全章共通)……隠れているミレナリィドールの助力を得る。

 ミレナリィドール達は特に探すプレイングを入れなくても、見つけて合流できるものとして構いません。また、彼女達をあえてデータ化するのであれば「レベル5、ユーベルコード未所持」くらいの強さなので、戦闘支援はある程度可能ですが、彼女達単体ではオブリビオンどころか蒸気獣相手でも厳しいと思ってください。

 以下、補足事項です。

●災魔化された宝石
 この街の貴族の館にある宝飾品に『災魔の卵』が融合して、人々を昏睡させるガスを出すようになりました。ミレナリィドールなど一部の機械系種族には効き目がないようです。耐久力のある猟兵であれば昏睡に耐えられるかもしれませんが、対策はしておいた方がいいでしょう。

●竜殺しのジーク・ラビット
 竜を滅ぼすことに執着しているオブリビオンですが、そこまで至った経緯については不明です。猟兵相手であれば、竜であろうとなかろうと平等に殺しにかかってくれるので、安心してください。

●蒸気獣
 ジーク・ラビットによって機械化されてしまったこの街の住人達や屋敷にあった調度品などです。ジーク・ラビットを倒せば元に戻ります。戦闘などをして、大破、大怪我をさせてしまった場合でも、生きていれば、シナリオ終了後に回復能力を持った猟兵が治療したものとします。

●リチル
 ミレナリィドール姉妹の姉。貴族の館でメイドをしている。直感で動く行動派タイプでスレンダー美人。得意武器は蒸気ライフル。割と残念な感じがあるが、明るくて初対面とも仲良くなれるタイプ。

●ステビア
 ミレナリィドール姉妹の妹。姉と一緒にメイドをしている。冷静に考えてから動く慎重派タイプでグラマラス美人。得意武器は蒸気ガトリングガン。よく姉のフォローに回っている。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『襲いかかる蒸気獣』

POW   :    力ずくで破壊して押し通る!

SPD   :    見つからないようにやり過ごす!

WIZ   :    相手の行動パターンや状況を考えた作戦を立てる!

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ジーク・エヴァン
竜殺し、か
同じように竜を狩ることに執着してたり、名前も似てるからか、あまり良い気持ちがしないな
同じ竜殺しを目的とする者として、そいつが人々を苦しめてるのなら絶対に止めなくちゃな

人形みたいな姉妹に出会えたら助けに来たことを伝えて協力しよう

【竜盾の軍勢】を発動
俺や姉妹、他の猟兵の周りに数枚ずつ守るように展開し、彼女達を守ろう
傷一つ付けさせないぞ

姉妹達には盾の裏から攻撃してもらおう
俺も鉛の銃を撃って手足に錘を撃ち込んだり(重量攻撃・属性攻撃・制圧射撃)、何枚か盾を操って重量で動けないよう抑え込もう
姿は変わってもあの姉妹にとっては大切な人々に変わりはない
出来ればあまり傷つけたくないな

連携・アドリブ ○



●もう一人のジーク
「竜殺し、か」
 そう呟いたのは、まだ顔にあどけなさが残る少年、ジーク・エヴァン(竜に故郷を滅ぼされた少年・f27128)だ。そして今回の敵、ジーク・ラビットの情報を思い出し、顔を顰める。
(同じように竜を狩ることに執着してたり、名前も似てるからか、あまり良い気持ちがしないな)
 そんな表情を隠すかのように『対毒マスク』を顔に装着し、昏睡の霧に対策をする。
「同じ竜殺しを目的とする者として、そいつが人々を苦しめてるのなら絶対に止めなくちゃな」
 そして街の中を駆けて行くのだった。

「ああもうしつこい! しつこいと嫌われるよって言ったの覚えてないのかな」
「記憶どころか理性が残っているかわからないのですから、そのようなことを言っても無理でしょう」
 街中でそのような会話をしつつ蒸気機械の獣、蒸気獣から逃げているのはミレナリィドールのメイド姉妹、リチルとステビアだ。それぞれが手にしている蒸気ライフルと蒸気ガトリングガンで牽制射撃をしながら相手を追い払おうとしているが、ジリジリと差は詰められている。
「これはもう無理っぽい……ステビア、ここはボクに任せて先に……」
「それ、言いたいだけですよね?」
 蒸気獣が二人に肉薄しようとしたその時、姉妹と蒸気獣の間に無数の盾が降り注ぎ、間を塞ぐ。
「助けに来た」
 その言葉と共に、現れたのはジークだ。
「ヒュー! なんてタイミングの良いところに助けが。これは仕えるべきご主事様が決まってなかったら惚れて付いていってしまうかもだね!」
「往々にして、危機的状況下で芽生えた恋は長続きしないと言われますが」
「ステビアはノリ悪いなあ」
「まあ、無事なのはいい事だ。俺はこの街を救いに来た猟兵……こっちでは転校生だったな。良ければ協力して欲しい」
 軽口を叩き合う姉妹が大した怪我をしていない様子を確認すると、協力を要請する。
「転校生! まさに渡りに船だよ!」
「その噂はこちらに届いていますから、頼もしい限りです。幸い、元凶の位置はこちらで掴んでいますので、案内します」
 ジークの申し出を快く受けた姉妹は反転すると、蒸気獣達に向き直る。
「事件の元凶は私達が働いている屋敷に陣取っていますから、そこを目指しましょう」
「分かった! 二人は傷一つ付けさせないぞ」
 そう言うとジークは【竜盾の軍勢】で呼び出していた『竜眼の盾』の複製体を操り、自分や姉妹達の周囲に展開させる。
「おお、動く盾! っていうか、もう壁に近いよねコレ」
 蒸気獣達の攻撃を防ぐ盾に感心する姉のリチル。
「おかげで、攻撃に回ることができます」
 盾と盾の隙間から、敵の足元目掛けて銃弾をばら撒く妹のステビア。
「俺も攻撃に加勢するよ。姿は変わっても二人にとっては大切な人々に変わりはないだろ」
 そう言うとジークは古めかしい小銃『鉛の銃』を取り出すと、蒸気獣に向かって発砲する。すると、着弾箇所を強い力で押さえつけられたかのように蒸気獣の体が沈み、動けなくなる。
「出来ればあまり傷つけたくないからな」
 鉛の銃に宿る地の精霊の力は超重力を起こし、相手の動きを押さえる力がある。ジーク・エヴァンの手に入れた力は『人々と平和な未来を護る』ためのもの。同じ名前でもジーク・ラビットのように無闇に人々を傷つける力ではないのだ。
「ありがとう! みんなを倒さなくて済むのはありがたいよ!」
「恩にきます。屋敷はあっちです」
 蒸気獣を押さえつつ、一団は目的地へと向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

UDCアース出身
技能の世界知識でほかの世界のこともわかるかも
あとボクが持ってる技能で
使えるのは…
情報収集、コミュ力、時間稼ぎ、救助活動、学習力、暗視、聞き耳あたりかな?
それに勇気と覚悟と気合い!

このあたりの技能を使って調べられることは調べたいし

もし力仕事とかで必要ならトリニティエンハンスやストロンゲストモードなどのパワーアップ系UCも使うよ

今日はここの世界か…どの世界も、ボクたちがちょっとずつ良くしていければいいね

アドリブ絡み歓迎


諏訪野・啓太郎(サポート)
『唯のろくでなしの旅烏ですよ。』
 スペースノイドのスターライダー×電脳魔術士、29歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、負傷した仲間には「元気に(俺、~くん、~さん、だね、だよ、~かい?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


トゥルリラ・トゥラリラ(サポート)
 堕天使の四天王×殺人鬼、17歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、キミ、なの、よ、なのね、なのよね?)」、戦闘中は狂える殺人鬼「私、相手の名前、呼び捨て、なの、よ、なのね、なのよね?」です。

性格は明るく無邪気ですが、殺人や殺戮は遊びとして認識している危険人物です。
【地の魔王】と呼ばれる魔王に仕えていて、その魔王に心酔しています。
実は語尾がおかしい事を気にしています。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


東海林・馨(サポート)
冒険では元職がフードファイターのため、フィールドワークを大切にします。珍しい植物、珍しい食材が居たら研究対象とします。もちろん味も!
種族が人狼のため音や匂いを探ることで冒険に役立てるようとします。
基本、見た目では判断しません。それまでの行動とたまに感じる第六感とを天秤をかけます。(これを降りてくると呼んでます)
斥候や探索の依頼があれば真っ先に名乗り出ます。
その他はお任せです。


アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」

楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気であり、根本が人でない故に残酷

神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も一応遵守しようとするが、それはそれとして楽しそう、面白そうで物事を判断し、それを優先して行動する

バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ

戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、捕食等の野性味溢れる攻撃スタイル
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる



●道を切り拓け
 ジーク・ラビットの命令によってミレナリィドールの姉妹を狙う蒸気獣達。今のところは猟兵の盾によって守られており無事だが、未だにジーク・ラビットの居座る屋敷には到達できていない。
「うう〜、もどかしい……」
「ですが、地道に進んで行くしかありませんね」
「なら、さっさと終わらせてやるさ」
 そんな姉妹の会話に新たに追いついてきた猟兵がそう声をかける。
「貴方も転校生ですか?」
「そんな大層なもんじゃない。唯のろくでなしの旅烏ですよ」
 そうそっけなく答えたのは宇宙バイクに乗った猟兵、諏訪野・啓太郎(さすらいのライダー・f20403)だ。
「こう、霧を出されると眠くてたまらないからな。俺が奴らをおび寄せるから、その間に進め」
 そう言って自身の宇宙バイクを【ゴッドスピードライド】で強化する。これにスターライダーの騎乗技術が加われば、追いつけるものもなかなかいないだろう。
「なら、俺にも手伝わせてくれ。誘き寄せるのにちょうどいいユーベルコードがある」
 名乗り出たのは人狼の青年、東海林・馨(探索する者・f33122)だ。
「本来ならつるむのは好きじゃないが、ここは効率重視だ。後ろに乗れ」
「俺もこれが終わったらこの街に珍しい食材とかないか見て回りたいしな」
 馨の申し出に啓太郎が応え、宇宙バイクの後部座席に薫が乗り込む。
「それじゃ、飛ばすぜ」
 そしてエンジンを吹かせると、そのまま蒸気獣の群れへと突っ込む。
「わ! このままだとぶつか……」
 その勢いにミレナリィドールの姉の方のリチルが思わず声を上げたが、次の瞬間、今度は妹のステビアが声を上げる。
「跳ねたっ!?」
 啓太郎の巧みなハンドル捌きで宇宙バイクは飛び跳ね、蒸気獣の上を飛び越してゆく。
「狼は深く深く追い詰める……もっとも今回は追いかけられる側だが」
 そして飛び越える際、馨が座席から身を乗り出しそれぞれの指先に圧縮していた霊気を撃ち出す。撃ち出された霊気は蒸気獣達の肌に当たり、弾ける。
「さあ、この攻撃を受けたらお前達の霊気は俺に吸われ続けてゆく。冷気が吸い尽くされたらお前達は機械化から解放されるか? もっとも、今は俺が何を言っているか分からないかもしれないが」
 ユーベルコード【九陰】は自身の霊気を当てた対象と自分を透明な糸で結び、そこから霊気を吸い取り続けるユーベルコードだ。本来ならもっと威力がある攻撃ではあるが、今回は誘き寄せることを念頭にしているため、威力よりも打ち出す数を重視している。
 相手も馨が自身に不利益な状態を引き起こしたことを自覚したらしく、宇宙バイクを追いかけ始め、攻撃を受けていない蒸気獣も釣られて追いかけ始める。
「後は任せたぜ」
 啓太郎と馨を乗せたバイクは追いかける敵の陰に隠れて見えなくなっていったのだった。

「後はボク達に任せてください」
 釣られていった蒸気獣達を見送った後、先陣を切って進行方向の安全を確認しているのはサイボーグの少年、百地・モユル(ももも・f03218)だ。
(今日はアルダワの世界か……大魔王がいなくなっても危険はまだまだあるから、ボクたちがちょっとずつ良くしていければいいな)
 などと思っていると、
「いましたね」
「こっちにもいたのね」
 モユルが敵を発見するとともに、同じくユーベルコード【大事な共犯者】で暗殺者を召喚して哨戒にあたらせていた哨戒にあたらせていたトゥルリラ・トゥラリラ(鏖殺の堕天使・f31459)からも声が上がる。仲間達が引きつけていたとはいえ、まだ敵は残っている。
「どうしますか? 迂回できそうな道を案内しましょうか?」
 猟兵達の話を聞き、ステビアが提案するが、
「このまま進も。そっちの方が楽しくなりそうだし」
 そう意見したのは2mを超えるバイオモンスターの少女、アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)。
「それがいいのね。数もさっきほどじゃないし、すぐ終わらせられるのね」
 トゥルリラもその意見に同調し、『殺戮大鉈』を鞘から抜く。
「蒸気獣ですが、元は人間の可能性もありますし、できるだけ手荒なことはしないように気をつけましょう」
 助けられる相手であれば、見過ごすわけにはいかないのでモユルは念の為にと、そう声をかけたのだが、
「え?」
「え?」
 トゥルリラとアウルはその辺りのことを気にせず撃破するつもりだったらしい。
「ちょ……ちょっと待ってください。あの中にはリチルさんやステビアさんの知っている人が混ざっているかもしれないんですよ!? 後で怪我が治せるかもしれないですけど、やりすぎてしまったら……」
「でも、さっさとやっつけてバラバラにしちゃった方が楽だし楽しいのね」
「わたしも思いっきりやっつけちゃった方が楽しいかな」
「楽しいってそんな……」
 堕天使と怪物。普通の人間とは違う倫理観で動いている二人にモユルは頭を悩ます。
「リチルさん、ステビアさん。貴方達から意見はないですか?」
「……すみません。こちらとしては事件の解決をお願いしている身なので口を挟むわけには」
「ボクもステビアに同意見かな……。事件の解決が最優先だから、蒸気獣になったみんなをどうにかできないなら、諦めるしかないかなって」
 姉妹の意見に表情を曇らせるモユルだったが、
「じゃあ、元人間の蒸気獣はモユルくんが何とかして、そうじゃないのはわたし達がバラバラにするとかじゃダメなの?」
 その様子に、ふとアウルが提案する。
「え、蒸気獣で元人間かどうか見分けがつくんですか?」
「多分、何とかなるかも」
 のんびりした口調で怪物の少女は頷くのだった。

「それじゃ、行くよ」
 目的地を遮るように徘徊していた蒸気獣へ向けて、黄金色の雫を放つ。これこそがアウルの体表に自制する植物から幻覚作用のある蜜を放つユーベルコード【魅了・蠱惑坩堝】だ。
 蜜を浴びた蒸気獣達はふらつき始めるが、その度合いには個体差があるようだ。
「あれとあれが、多分元人間だよ」
「分かりました。リミッター解除……今、助けます!」
 特にふらついている蒸気獣をアウルが指差し、モユルが【ストロンゲストモード・オーバードライブ】で自身を強化すると、それらを力尽くで捕獲する。
「全てが終わるまで大人しくしてくださいね」
 そして水の精霊魔術で凍らせて動けないようにする。
「元人間と、元々無生物ので幻覚への耐性に違いがあったってことなのね。面白い使い方なの」
 その様子を納得しつつも大鉈で幻覚があまりかかっていない蒸気獣を叩き潰すトゥルリラ。
「そう言うことだよ。これで安心してやっつけられるね」
 アウルも自身の爪で蒸気獣を引き裂いてゆく。倒す相手を分担することで、立ち塞がった蒸気獣は全て倒され、
「ボク達が働いてる屋敷はもうすぐだよ」
 目的地まで後もうすぐのところまで迫るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
竜なんて美味しい肉の一種類って程度で大層なもんじゃないだろ

美少女ドール姉妹…お助けせねばならないでござるね!
流体金属生命体と拙者の身体をガッチャンコ!メタルマン!金属ボデーに催眠ガスが効く訳がないのでスキップしながらでも余裕で突破できるでござるね
大通りをガッションガッション練り歩けば第一美少女姉妹発見!ハァイ調子いい?味方だから撃たんといて!

拙者前衛ね!道中蒸気獣を見かけたら遠慮なく近づいて文字通りの鉄拳で黙らせとけばいいでござるね
物理は効かないので安心して殴りにいけますぞ、顎狙え顎!
どうよ姉妹達、拙者をマスコット的な感じでかわいがってくれてもいいでござるよガッションション



●進撃のメタル黒髭
(竜なんて美味しい肉の一種類って程度で大層なもんじゃないだろ)
 竜殺しに執着するオブリビオンに対し、そのような思考を巡らすエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)だったが、
「美少女ドール姉妹……お助けせねばならないでござるね!」
 ガッションガッションとミレナリィドール姉妹のリチルとステビアの元へと向かうのだった。
 何故足音がガッションガッションとなっているかというと、街に立ち込める昏睡の霧に対抗するため、ユーベルコード【Innovator】でオウガメタル『Spitfire』と融合して金属生命体と化したからである。
「金属ボデーに催眠ガスが効く訳がないのでスキップしながらでも余裕で突破できるでござるね。そんな訳で第一美少女姉妹発見でござるよ! ハァイ調子いい?」
「新しい敵!? とりあえず死ねェ!」
 エドゥアルトは猟兵達によって屋敷の前まで到達したメイド姉妹にフレンドリーに話しかけるも、その容姿は金属生命体と融合中のメタルおっさん。警戒されるどころか、いきなり姉のリチルの蒸気ライフルで撃たれたのだった。無傷ではあったが。
「ぬふぅ! 正確無比な一撃が拙者の急所を襲う! このメタルボディを手に入れる前の貧弱な坊やだった頃なら危なかったでござるよ。でも味方だから撃たんといて!」
「え、嘘、味方!? いかにも敵っぽい感じのフォルムでこちらも撃たねば無作法というものと思うくらいだったのに!」
 などと驚かれつつも、他の猟兵達の説明もあり、何とか誤解は解ける。
「う〜、ごめんなさい」
「姉が迷惑をかけました。……姉さん、例え見るからに怪しい相手でもいきなり攻撃はダメです。もし敵だったとしてもどんな得体の知れない攻撃を繰り出すか分かりませんしね」
「味方と分かってくれれば拙者的にはオッケーでござるよ。てか、妹ちゃんもさりげなく拙者をディスってないでござるか?」
「……気のせいです」
「ともあれ拙者前衛ね! 道中蒸気獣を見かけたら遠慮なく近づいて文字通りの鉄拳で黙らせとけばいいでござるね」
「ええ、私たちも援護しますので、それでお願いします。先ほど見せていただいた防御力からしてもそれが適正かと」
「屋敷の中、相手のいる場所の目星もついてる。案内ならボク達に任せて!」
 そしていよいよジーク・ラビットが根城にしている屋敷へと突入する猟兵達。
「物理は効かないので安心して殴りにいけますぞ、顎狙え顎!」
 流体金属の特性で蒸気獣の攻撃を無効化しながらも金属の拳て相手を殴りつけ無力化させてゆくエドゥアルト。急所を的確に狙って倒しているので、不要な破壊を避けて、後で治療する時も負担は少ないかもしれない。
「すごい、あっという間に部屋までもうすぐだ」
 屋敷内の侵攻も順調に進み、オブリビオンがいると思しき部屋まで後少しだ。その手際に感心する
「どうよ姉妹達、拙者をマスコット的な感じでかわいがってくれてもいいでござるよガッションション」
 そして露骨に自分をアピールしてくるエドゥアルト。だが、
「いえ、結構です」
「ごめんね、ご主人様から勝手にマスコットを飼っちゃいけないって言われてるから」
 姉妹達からはそれぞれ断られてしまうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『竜殺しのジーク・ラビット』

POW   :    竜頭落とし
【チェーンソー剣『竜神殺し』】で攻撃する。[チェーンソー剣『竜神殺し』]に施された【絶対命中】【絶対切断】【射程無視】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD   :    ルナティックテンペスト
【縦横無尽に斬り抜けると共に、支配下の武器】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    絶対ドラゴン殺す兵器
命中した【『竜神殺し』の刃の一部が生物及び無生物】の【中に潜り込み、ジーク・ラビット】が【自由に操れる対竜殺戮ガジェット】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠中村・裕美です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


● 竜殺しのジーク・ラビット
「ああ? 騒がしいな。もう嗅ぎつけて来やがったか? 猟兵の奴らが」
 貴族の屋敷の一室、多くの捉えた人間を収容できそうなホールに陣取っていたオブリビオン『竜殺しのジーク・ラビット』は耳をピクリと動かし、部屋に控えさせていた蒸気獣達を戦闘態勢に入らせる。
「ボス戦の時間だ! コラァ!!」
「!?」
 メタリックカラーな猟兵が扉を蹴破り、それを筆頭に猟兵達が雪崩れ込む。
「テメェら、あいつらを叩き潰せ!」
 その動き対応して蒸気獣に命令を下すジーク・ラビット。だが、蒸気獣の攻撃を猟兵達は受け、凌いでいる。
「なかなかやるじゃねえか。だが……動きが丸聞こえなんだよ!」
 ジーク・ラビットは目の前の猟兵……ではなく、戦闘に紛れて昏睡の霧を出し続ける『災魔の卵』の破壊に向かおうとしている暗殺者へと向かってゆき、チェーンソー剣を振るう。
「俺の前では誰も傷つけさせない!」
「あ“あ!?」
 すんでのところで、鎧を纏った猟兵の飛ばした盾が間に割って入り、チェーンソー剣の一撃を受け止める。盛大に飛び散る火花。
「チッ、『竜神殺し』! ぶった斬るぞ!!」
 ジーク・ラビットの呼びかけに答え、チェーンソー剣が怪しく輝きを帯びると、今度は目の前の盾をバターのようにアッサリと切り裂く。だが、
「……遅かったか」
 その間にも、ユーベルコードで召喚された暗殺者は『災魔の卵』を叩き割っていた。それによって霧は止み、『災魔の卵』があった場所には、融合に使われていた宝飾品が転がっていた。
「これでアンタの企みは潰えたよ! さあ、ご主人様やみんなを解放しなさい!」
 その様子にミレナリィドール姉妹の姉、リチルが威勢よく声をかけるが、
「あ? 何か勘違いしてないか? 俺が『災魔の卵』を使っていたのは効率よく機械化の素体を集めると、騒がれてうるさい思いをしない為。別にアレがなくても目標の遂行自体に問題はねえ」
 そこまで言ってジーク・ラビットは両手に持ったチェーンソー剣を握り直し猟兵達へ向き直る。
「なあ? アンタら猟兵を素体に蒸気獣を造ったらどれだけの強さになる? 竜をどれだけ屠ることができる? 試させてくれよ」
 そう話す彼の目は狂気を孕んでいて、まともな会話は成り立たなそうだ。
「みなさん……」
 そんな時ミレナリィドールのメイド姉妹の妹、ステビアが猟兵達に声をかける。
「お願いです。どうかアイツを倒して……ご主人様を……街のみんなを助けてください。私達もできることはお手伝いいたしますので」
 ペコリと頭を下げる姉妹。この街を救う為、彼女達の願いの為、負けられない戦いが始まろうとしていた。
 
(※姉妹の協力を得ることによって得られるプレイングボーナスはこの章でも友好です。また、彼女達を守るプレイング等がなくても、それで彼女達に被害が及んだり、何かペナルティが起きることもありません
 それでは皆様のプレイングをお待ちしております)
ミラリア・レリクストゥラ(サポート)
やや戦いの不得手なクリスタリアンの旅人です。唄を得意とし、必要であれば口だけではなく全身を震動させ発声します。また、ユーベルコードとして唄う場合は様々なサポートをします。
性格としておっとりしている所はあるものの、尊厳を卑劣に踏みにじる行為を見ると許せないと憤怒します。
ビーストマスター適性はかなり限定的で、『地母の恵み』で活性化した大地の恩恵を求め集まったものと一時的な協力関係が築かれます。
食事も呼吸も不要で、大地の放射エネルギーを糧とします。このためスペースシップワールドには適性がありながら苦手意識が強く、近寄りたがりません。

『お祝いですね!一曲唄わせてください!』
『あら?お困りでしょうか…』


リーリア・ブラッドスノー(サポート)
 強化人間のアリスナイト×バロックメイカーの少女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、後輩の前では「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我は厭わず積極的に行動します。
依頼成功の為には己の身体も道具にします。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

負傷描写は重め、多めな傾向が好み、NGは無いので瀕死やグロテスクな描写も歓迎。

ほかはお任せいたします。
よろしくお願いいたします。


大神・零児(サポート)
人狼
妖剣士×黒騎士
30歳男
普段(俺、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
怒った時(俺、てめぇ、か、だろ、かよ、~か?)

探索や調査、追跡等は内容に即した使えそうなUCを選択し、技能やアイテムも駆使
またマルチギアイヤフォンという通信機を仲間に配って即時情報共有も可能

戦闘の際は敵のUCにメタ、カウンター、一方的に攻撃ができるようなUCを選択又は状況を技能やアイテムを駆使して作り出し、マルチグレネードの機能を選択して使ったり、妖刀「魂喰」や黒剣「黒鞘」を駆使しての剣士の動き等で戦う

基本戦闘型キャラ
ギャグシナリオはツッコミのような立ち位置
自身に触れられる危険がなければお色気も少々いける

アドリブ共闘等可



●蒸気仕掛けの獣達
「まずはテメェらの出番だ! さあ、猟兵どもを仕留めて俺の元へ持って来い番犬ども!」
 ジーク・ラビットは自身のユーベルコード【絶対ドラゴン殺す兵器】で作り上げた蒸気獣達を猟兵達へとけしかける。
「元々はこのお屋敷の住人なのですよね。人を機械に作り替えるなんて、命を何だと思っているのかしら? 到底許されるものではありません!」
 クリスタリアンのシンフォニア、ミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)の言葉には強い怒りが込められている。かつて自身の唄の力を私利私欲に使用された経験からか、相手の尊厳を踏み躙るジーク・ラビットの行いは彼女の怒りの引き金となっている。
「ハッ! 無為に生きてるだけの命を俺が有効活用してやってるんだ。とやかく言われる筋合いはねえ!」
 だが、その怒りに対してもジーク・ラビットは悪びれる様子もない。
「あたしは改造すること自体にはとやかく言わないけど、ユーベルコードで手軽に終わらせるのはいただけないわね。やるなら色々なところを切り開いて手術しないと」
 何だか物騒なことを言っているのは強化人間の少女、リーリア・ブラッドスノー(うつろなる幻想・f27329)。実験体として過ごしていた彼女の感覚はどこかズレている。
「何はともあれ、あいつらをどうにかしない事には、ボスを倒すのに邪魔だ」
 そして人狼の剣士、大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)はそう締め括ると妖刀『魂喰』を構え、蒸気獣に向き直る。
「支援は任せてください! 一曲いかせていただきます!」
 ミラリアのユーベルコード【彼方へと繋がる希望】による歌声が戦いの幕開けとなり、双方ともに動き出す。
「いのーちぃの 叫び 伝えられたなら! あしーたはっ きっと 輝くからぁ!」
 ミラリアの歌声で戦闘力が向上したリーリアと零児は蒸気獣達を圧倒する。
「素体が一般人や調度品じゃあ、これが限界か。まあ、そこまで期待はしてなかったがよ!」
 そう言って、蒸気獣の陰から飛び出してきたのはジーク・ラビット。リーリアに向けてチェーンソー剣『竜神殺し』を閃かせる。
「あぐっ!!」
 リーリアの腹部から鮮烈な赤が飛び散る。
「ギヒャヒャヒャ! よそ見してると痛い目見るぜ?」
 返り血を浴びて愉快そうに笑うジーク・ラビット。
「フン、不意打ちでそこまで勝ち誇れるとはな。大層なモノを手にしていて、その程度か」
 だが、零児はそんなジークラビットに冷ややかな目線を送り、挑発する。
「あ? ならテメェも受けてみるか? 俺の竜神殺しを」
「フッ、俺の魂喰には遠く及ばない。貴様など鞘の方で十分だ」
「あ“あ!? 言うじゃねえか! そこまで言うなら見せてみやがれ!」
 そう言ってジーク・ラビットは今度は零児目掛けて斬りかかる。それに対し、妖刀の鞘を構えて受けようとする零児だったが、
「ぶった斬るぞ竜神殺し!」
 ユーベルコード【竜頭落とし】でチェーンソー剣の絶対切断の封印を解くと、零児の構えた鞘を試し切りの野菜のようにスパッと切ってゆく。
「何が鞘の方で十分だ、だよ! 今度はそっちのナマクラ刀の方をぶった斬ってやろうか」
 そう言ってチェーンソー剣を振るうジーク・ラビット。振るう度に、零児が受けようと使っている鞘はスパスパと細切れになっている。
「これじゃあ、刀をしまえなくなるだろうから、刀の方も処分してやんよ」
「いや、小分けにしてくれて助かった。わざわざ自分で分けるのも手間だったからな」
「あ?」
 零児の言葉にジーク・ラビットが訝しんだのも束の間、
「喰らえ」
 細切れとなった鞘……鞘の形状を取らせていた黒剣『黒鞘』を複数の投擲ナイフに変形させて投げる零児。そのナイフはジーク・ラビット、ではなく蒸気獣達へと突き刺さる。
「オブリビオンの邪悪な思念を喰らい、正しき姿へと戻せ!」
 毒を以て毒を制する。突き刺さった対象の魂や思念を喰らうユーベルコード【悪夢魂喰『貪り喰らう呪剣』】で蒸気獣にされた犠牲者の体内にある竜神殺しの一部……その中に潜むジーク・ラビットの邪念を喰らうことで、ユーベルコードの効果を解こうとしたのだ。
 その目論見はうまくいったようで、蒸気獣達は動きを止めると、次々に元の姿に戻ってゆく。
「ご主人様!」
 その中の一人にミレナリィドール姉妹の姉、リチルが思わず声をあげる。どうやら元に戻った人々の中に姉妹達の主人も混ざっていたようだ。
「今のうちに避難させましょう」
 ミラリアが他の猟兵達にそう声をかけて、蒸気獣の姿から解放された人達を担ぎ上げ、戦場から離れようとする。
「そうはさせるかよ!」
 狙ってくださいと言わんばかりに見えたのか、ジーク・ラビットはミラリア目掛けて斬りかかろうとするが、
「それはこっちのセリフよ」
 その前に立ちはだかったのはリーリアだった。その腹部からは夥しく血が滴っている。
「テメェ、まだ動けたのか」
「ええ。この程度、麻酔なしで解剖された時の痛みに比べれば大したことないわ。そう、こんな感じの痛みに比べればね?」
 そう言ってリーリアはジーク・ラビットに見せつけるように解剖用メスを見せつける。
「あ? 何を言って……ぐががっ!!」
 ジーク・ラビットがその行為を訝しんだ瞬間、彼の体に耐え難い痛みが駆け巡る。
「何だこれは!? ドラゴンに食いちぎられそうになった時以来か!? この痛みは!」
「狂わないでくださいね?」
 リーリアのユーベルコード【生体解剖疑似体験】はかつて自身が受けた生体解剖された記憶を相手に擬似体験させるユーベルコードだ。
「っざけんな! このくらいの痛みで誰が狂うかっ……て……お?」
 痛みの苦しみから脱することができたジーク・ラビットだったが、その間に蒸気獣から元に戻った人々の避難は完全に終わっていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
執着心強いでござるなぁ竜に故郷でも燃やされたのかよ

姉妹には拙者に声援を送って欲しいですぞ!がんばれ♥がんばれ♥って感じで…何でそんな別の生き物見る目で拙者を見るんだ!拙者はな美少女の声援でもの凄く強くなるんでござるよ舐めるなよッ!
えい、えい、むんっ!殺る気がもりもり湧いてくるッ!

チェーンソー剣に当たんなきゃ良いんだよ!今なら負ける気がしねぇしフィジカルと格闘術で圧倒でござる
攻撃に振られるチェーンソーの側面を銃床打撃で叩き落とし!体勢を崩したスキを突いて顔面に床尾を叩きつけ!怯んだ所を背負投げでござる!
貴様はもう駄目だよ、その程度じゃ拙者には勝てねぇンだわ
それに…姉妹がもう狙い終えてるだろ?



●変態度ワンサイド
「執着心強いでござるなぁ竜に故郷でも燃やされたのかよ」
 ジーク・ラビットの竜に対する執着心にエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は半ば呆れ、半ば感心していた。生半可な覚悟ではこちらが痛い目を見る。
「そんな訳で、姉妹には拙者に声援を送って欲しいですぞ!」
「え、どんな訳?」
 いきなり話を振られて戸惑うミレナリィドール姉妹の姉、リチル。
「こう、がんばれ♪がんばれ♪って感じで…… 何でそんな別の生き物見る目で拙者を見るんだ!」
「話の文脈から考えても理解不能です。そのようなことを貴方なんぞにする理由がこれっぽちもありません」
 妹のステビアからも冷たい目線を浴びせられる。
「ぬふぅ! 相変わらずの切り捨てっぷり! ではなく、実は拙者はな美少女の声援でもの凄く強くなるんでござるよ舐めるなよッ! もしくはバブみ溢れる感じでいいこいいこ♪してくれたり、満更でもない感じでバカ!アホ!とかなじってくれる感じでもいいでござるから」
「ええ〜、本当にでござるか〜?」
「姉さん、口調が移ってるから」
 しつこく食い下がるエドゥアルト。だが、これにはちゃんとした理由がある。
「では、これで手を打とう。嫌な顔しながら拙者にスカートの中のものを……」
「ベラベラくっちゃべってウルセェんだよ!!」
 譲歩するように見えてとんでもない要求をしそうになっているエドゥアルト目掛けてジーク・ラビットが飛びかかってきてチェーンソー剣を叩きつける。
「こっちはせっかく作った蒸気獣がいなくなってイライラしてんだよ。だからテメェらで新しいのを作ってやる」
 どうやらユーベルコード【絶対ドラゴン殺す兵器】の力でエドゥアルト達を新しい蒸気獣にしようとしているようだ。
「あわわわ……おかしい人を亡くした」
「いえ、死んでいないですから」
 ステビアの指摘でよく確認してみると、エドゥアルトはすんでのところでチェーンソー剣の一撃を真剣白刃取りするような形で受け止めていた。
「えい、えい、むんっ! 殺る気がもりもり湧いてくるッ!」
 エドゥアルトが姉妹にしつこく絡んでいたのは単なる酔狂ではない。ユーベルコード【紳士(ヘンタイトイウナノ)】を発動させるため、変態的に竜への執着心を見せる相手よりも変態度が上であることを示す必要があったのだ。ユーベルコードの相性的には相性は悪い方ではあったが、そこは彼の変態性が見事打ち勝ってくれた。
「!? 何だそのパワーは!」
「蒸気獣に造り替える力があろうが、チェーンソー剣に当たんなきゃ良いんだよ! 今なら負ける気がしねぇしフィジカルと格闘術で圧倒でござる」
 そして、変態度で打ち勝った相手に対して、命中率・回避率・ダメージが3倍になるのだ。
「クソがっ!」
 ジーク・ラビットがもう片方の手にあるチェーンソー剣を振るうも、エドゥアルトが咄嗟に振るった『マークスマンライフル』の銃床がチェーンソー剣の側面に当たり、攻撃が逸らされる。
「ほっ」
「ぶっ!?」
 そして体制が崩れたところに顔面に床尾が突き入れられ、
「せいっ」
「ぐあっ!!」
 怯んだ所を背負投げが決まる。
「それにしても竜への執着も思ったほどではなかってござるなぁ。何か大事なもの骸に海に忘れてきちゃったんじゃないの?」
 相手を見下ろし、エドゥアルトは言葉を続ける。
「貴様はもう駄目だよ、その程度じゃ拙者には勝てねぇンだわ」
「ごほっ! 誰が……駄目だってぇ!?」
 エドゥアルトの言葉に反応し、声を荒げる。
「同じことは二度も言わないでござるよ。それに…… 姉妹がもう狙い終えてるだろ? 見えるでござるか?二人のスカートの下から出てきた大抵の男の子が大好きな、ア・レ⭐︎」
 そう言って、スッと離れるエドゥアルト。その後、ジーク・ラビットの視界に入ったのは、スカートの下からそれぞれ蒸気ライフルと蒸気ガトリングガンを取り出してしっかり狙いをつけているリチルとステビアの姿だった。
 そして絶え間ない銃撃の音があたりに響き渡ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジーク・エヴァン
ジーク・ラビット、お前は何のために竜を狩る?
俺はジーク・エヴァン
同じく竜を狩っている
だから聞いておきたい

…俺は、人々の命と平和な未来を守るために竜を狩る
だから俺にとって人々の命を弄ぶお前は竜と同じだ!
お前はここで倒す!

(話ながら結界術を多重詠唱し、姉妹や他の猟兵達を多層結界で刃による侵食から守る)
言っただろ、誰も傷付けさせないって

【灼竜勇装】を発動!
ここからは、俺達の物語だ!

光の盾達を猟兵達や姉妹の周りに展開、俺の側にも展開する
一枚で防げないなら何枚も重ねて奴の一撃を反らす!

この剣は俺の信念そのもの
お前の殺意の剣でも斬れない!
勝負だジーク!
灼き斬れ、灼竜剣!
(攻撃力重視で限界突破、焼却、切断)


アラン・スミシー(サポート)
基本突然現れて仕事を終えたら去っていく人物です。

基本的に【乱戦】か【銃撃戦】での援護がメインとなります。
他の猟兵の手の足りない所に現れては銃で攻撃し、気を引いたり足止めをしたり敵の頭数を減らしたりします。
また既存のPCでトドメを刺しにくい時は【最終局面】を使って下さい。逆転の隙を作ったり、心情的に殺せないタイプのPCがいた際にどうぞ。

説得や交渉等が必要ならなんか良い感じの言葉を言います。
例:君の正義は分かった。しかしその正義は君を救ったかい?

ユーベルコードのセリフを参照し、MSの言って欲しい都合の良い言葉をアレンジしてやってください。
大体無意味に格好いいこと言ってます、割と適当に。


クレア・フォースフェンサー(サポート)
なるほどのう。
おぬしが言わんとすることも分からぬではない。
じゃが、だからと言って、今を生きる者達を虐げてよいことにはなるまい。
過去の者がしでかしたことは過去の者がただすのが道理じゃ。
わしが骸の海に還してやるゆえ、覚悟するがよい。

――とかそんな感じで、相手の主張や立場を一旦は受け止めながらも受け入れはせず、最終的には斬ります。

遠間の際には《光弓》を、それ以外の場合は《光剣》を用います。
敵の攻撃を見切って躱し、また、UCの力を込めた《光剣》で捌きながら間合いを詰め、両断するのが基本的な戦い方です。
遥かに格上の敵と対峙する際には《光紋》を全開にし、完全戦闘形態に変身します。



●二人のジーク
「ジーク・ラビット、お前は何のために竜を狩る?」
「あ“?」
 猟兵達の攻撃によって手傷を負っているジーク・ラビットに問いかけるのはジーク・エヴァン(竜に故郷を滅ぼされた少年・f27128)だ。
「俺はジーク・エヴァン、同じく竜を狩っている。だから聞いておきたい」
 同じ名前、同じ竜殺しとして、ジーク・エヴァンは知っておきたかった。何が自分と同じで、何が違っていってしまったのか。
「俺ぁよお、穴ぐらで仲間と一緒に楽しく過ごしていられたらよかったんだよ」
 その言葉に、ジークラビットはポツポツと話し始める。
「それを、大魔王に与するものってことで、竜達は奪い、滅ぼしていった。だからよ、俺は少しでも竜を屠って仲間への手向へとしてやりてぇ……」
「……」
 故郷を竜の軍勢の手によって滅ぼされた少年は、彼の言葉に鎮痛な面持ちを見せる。
「とかでも言っとけば、テメェは満足するか? はなまるでもくれるか? 違ぇよバーカ!」
「!?」
 急に相手を小馬鹿にした態度を取るジークラ・ビットにジーク・エヴァンは顔を強張らせる。
「竜を狩るきっかけなんざ覚えちゃいねーよ。ただ、『竜殺しのジーク・ラビット』だから竜を狩る。この世界で強者ぶってるあいつらをぶっ殺した時の高揚感と爽快感。それらが俺を満たしてくれるからぶっ殺す。ただそれだけさ。ギヒャヒャヒャヒャ!!」
 高笑いするジーク・ラビット。
「そうか、それがお前の理由か」
 そう言うと、ジーク・エヴァンはそれぞれに手に『聖剣アスカロン』と『魔剣グラム』を握る。
「…俺は、人々の命と平和な未来を守るために竜を狩る。だから俺にとって人々の命を弄ぶお前は竜と同じだ! お前はここで倒す!」
「弄んじゃいねえよ、有効活用だ!」
 ジーク・エヴァンの言葉に応え、ジーク・ラビットが肉薄する。
「炎の理を秘めし宝珠よ! 黒き魔剣と白き聖剣を原初の炎の中で一つにし、我が信念に応え、竜を灼く炎を纏いし新たな竜殺しの剣となれ!」
 そしてユーベルコード【英雄覚醒・灼竜勇装】で聖剣と魔剣、そして宝玉を融合させて紅蓮の剣を作り、赤き鎧と炎の翼を身に纏う。
「言っただろ、誰も傷付けさせないって」
 会話の間にも結界術を形成していたジーク・エヴァンは多層結界を出現させ、攻撃を阻もうとする。だが、
「『竜神殺し』の前には無駄なんだよォ!!」
 ジーク・ラビットはユーベルコード【竜頭落とし】でチェーンソー剣の力を引き出すと、一度に多層結界を斬り裂く。
「この魔剣はよぉ、頭身なんかよりもでっけぇドラゴンすらバラバラにしちまうんだよ。どんな強固な結界もこの剣の絶対切断の力の前には無意味だぜ! ギヒャヒャヒャヒャ!」
「くっ」
 ジーク・エヴァンは白光の盾を召喚し、何十にも重ねるが、
「無駄だ!」
 ジーク・ラビットがチェーンソー剣を振るえば、振るった延長線上の盾が破壊され、ジーク・エヴァンの肩口にまで斬撃が届く。
「くっ!」
「絶対切断、絶対命中、射程無視のこの魔剣の力さえあれば、どんな防御も無意味なんだよ! 守るための力なんて無意味! 結局は殺す為の力ってのが強ぇんだよ!」
 そしてジーク・エヴァンへとどめを刺さんとチェーンソー剣が振るわれようとしたその時、

「君の言い分は分かった。なら、こんなのはどうだい?」
 そんな落ち着いた男性の声とともに銃弾の嵐がジーク・ラビットへと襲いかかる。
「チッ!」
 ジーク・ラビットは踵を返して銃弾を交わし、剣で叩き落とす。
「やれやれ、とりあえず一服とも思ったが、ゆっくりさせてくれないようだね」
 ポケットキャンディを口に咥えつつ、リボルバー銃を構えているのはアラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)だ。
「なるほどのう。おぬしが言わんとすることも分からぬではない。じゃが、だからと言って、今を生きる者達を虐げ流と言うなら、敵に回るまでよ。過去の者がしでかしたことは過去の者がただすのが道理じゃ。
わしが骸の海に還してやるゆえ、覚悟するがよい。」
 そして、ジーク・エヴァンの横に現れたのは、口調と見た目の年齢が合っていない妙齢の女性、クレア・フォースフェンサー(UDCのエージェント・f09175)だ。
「小僧、ここからはわしらも手伝うから、おぬしはまず盾で支援を頼む。攻撃を防げずとも目眩しになれば良い」
「は、はい!」
 クレアの言葉に白光の盾をさらに召喚するジーク・エヴァン。
「だから、そんな防御なんて無意味……」
「無意味かどうかは結果が証明してくれるんじゃないかい?」
 盾ごと敵をなぎ払おうとするジーク・ラビットだったが、盾から飛び出してきたアランの【銃撃戦】による銃弾の雨が動きを止めさせる。
「鬱陶しい!!」
「強力すぎる武器での力押しに慣れてしまうと、小手先の戦術にも対応できなくなってくるのが恐ろしいね。やあ、くわばらくわばら」
 狙いを定められないように身を隠しつつ、アランは飄々と銃撃を続ける。
「それに、攻撃してくるのは私だけじゃあないしね」
「なっ!?」
 アランの言葉とともに、盾を突き抜けて光の矢が飛んでくる。咄嗟にチェーンソー剣で払うが、剣に当たった瞬間に矢は消え、さらには剣に込められたユーベルコードの力が弱まるのを感じられる。
「おぬしの攻撃が『射程無視』であるなら、わしの攻撃は『遮蔽無視』じゃよ。物理的な壁は意味をなさず、ただただ力の根源を削る」
 クレアの【還送機能Ⅲ】が発動した光の矢は次々と盾越しに飛んでくる。
「ちょこまかと鬱陶しい!」
 遮蔽物を利用しながらジーク・ラビットを射撃攻撃で徐々に削ってゆく二人。
「しゃらくせぇんだよ!」
 ここでジーク・ラビットは勝負に出る。被弾覚悟で回避や防御を最小限にし、ぐるりと回るように動いてチェーンソー剣『竜人殺し』を横薙ぎに払う。目の前にある盾の群れを斬り裂き、屋敷の壁までも切断する。
「おっと、こいつはおっかない」
 アランは咄嗟に伏せて攻撃を回避し、
「ナノマシンの修復が間に合わなかったら胴が泣き別れになっていたのう」
 斬られたであろう腹部を押さえつつクレアは立っていた。
「じゃが、これで好きは十分じゃな。小僧、今じゃ!」
「ここからは、俺達の物語だ!」
 クレアの言葉に応えるようにジーク・エヴァンの気合の入った声が響く。だが、クレアのそばに彼はいない。
「野郎、どこに……上か!」
 見上げると、いつの間にかジーク・エヴァンが炎の翼で天井ギリギリまで飛翔していた。二人が射撃でジーク・ラビットを惹きつけている間に上へ飛び出していたのだ。
「勝負だジーク・ラビット!」
 そしてそのままジーク・ラビットへと突撃し、紅蓮の灼竜剣を振り下ろす。
「させるか!」
 絶対切断の力が込められたチェーンソー剣が灼竜剣の頭身を斬り飛ばす。だが、
「この剣は俺の信念そのもの。お前の殺意の剣でも斬れない!」
 斬られた剣から炎が吹き出し、新しい炎の刀身となる。
「灼き斬れ、灼竜剣!」
 そのままジーク・ラビットを袈裟懸けに斬り裂く。
「ぐあああああああああああ!」
 そしてそのまま炎に包まれ、断末魔の声をあげる。
「これで終わったと思うな! この世界に竜がいる限り俺は何度でも蘇ってやる! そして今度こそ、竜も猟兵も全部ぶった斬ってやるからな!」
 そう叫びながら炎の中で身を崩してゆき、オブリビオン、竜殺しのジーク・ラビットは骸の海へと還ってゆくのだった。

 オブリビオンが倒された後、猟兵達は街、そして屋敷の様子を確認する。建物などに被害は出ているが、幸いにもジークラビットに蒸気獣へと変えられた人々も、大事に至ることはなく猟兵達の治療によって元気を取り戻していった。
「皆様、この度は本当にありがとうございました。屋敷が少し壊れてしまってはいますが、本日は皆様を歓迎させていただきます」
「本当にありがとうね。みんなはご主人様を助けてくれた恩人だからね。めちゃくちゃ張り切るよ!」
 ミレナリィドールのメイド姉妹のお礼とともに、屋敷の被害もあるのでささやかではあるが、パーティが開かれ猟兵達はもてなされる。
 侵略者は大魔王から猟書家へと変わり、戦場も迷宮だけでなく様々な場所で行われるようになったアルダワで、真の平和が訪れるのはまだ先かもしれない。だが、街に訪れた平穏を祝い、猟兵達はしばしその時を楽しむのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年08月14日


挿絵イラスト