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絶対絶望生配信！

作者：星野ユキヒロ

　禍々しいメリーゴーランドが狂った旋律を奏でながら回る、そこは絶望遊園地。この怪しき庭園に、こそこそと潜り込む配信者たちの姿があった。
「ねえ、本当に大丈夫なんでしょうね。なんか思ったよりサビとか汚くて怖くて嫌なんだけど……」
「うるさい、僕の計算に間違いはないと言ってるだろう。廃遊園地はエモと相場も決まっているしな。しかし、今日は明かりがついているし遊具も動いているな。貸し切りでもされてるのか？」
「取れ高取れ高。壊しまくって閲覧数めっちゃ稼ごうぜ！」
　配信者たちは気が付かない。背後にすでに、この絶望の庭園の主が佇んでいることに。
『お前たちも絶望のパレードに加わるがいい』
　彼らが振り向くと、そこにはスマホを手にした大勢の配信者だったと思われるものたち、それを率いる獣じみた男の姿があった。

●「キマイラフューチャーで猟書家が暗躍しているヨ」
　集まった猟兵達を見回したロバート・ウォン（東方妖怪の猟奇探偵・f30564）は語りだした。
「今回の敵はシュナイト・グリフォン。キング・ブレインの目論む『悪の組織連合による世界征服』を実現すべく、行動を始めているネ。悪の組織『絶対絶望パレード』の首領となって、配下を華やかに死をもたらす『パレード怪人』に改造し、スカイダンサーを狙っているようアル。街頭でパフォーマンスを行うスカイダンサー達の元に現れ、観衆や生配信を見ている視聴者の前で惨殺することで世界に絶望をもたらすと共に、新たな手駒を生み出そうとしているようヨ。やらせるわけにはいかないネ。申し訳ないけどウォンさんが転送できるのはスカイダンサーサンたちが攻撃される直前だカラ、すぐに助けてあげて欲しいヨ。猟兵は彼らにとってヒーローだからネ。それが拡散されれば絶望を広める抑止力になると思うし、頑張っチャイナ」
　そう言うと、ロバートは転移の準備を始める。
「キマイラフューチャーの人たちのコト、助けたらきっと応援してくれると思うヨ。戦力にはならないかもしれないケド、頼もしいと思わないカネ」

第1章 集団戦 『カゲキマイラーズ』

POW   :    狼少年「今日も過激なチャレンジを配信するぜ！ 自身の【スマホ画面】が輝く間、【迷惑行為や過激な行為による攻撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。 SPD   :    眼鏡狐「この僕を論破できると思っているのかい？ 対象への質問と共に、【自身のスマホ】から【相手が負けを認めるまで消えない炎の怪物】を召喚する。満足な答えを得るまで、相手が負けを認めるまで消えない炎の怪物は対象を【根も葉もない誹謗中傷や魂を焼く炎】で攻撃する。 WIZ   :    パンサー娘「今から私のイケない姿を配信するね❤ 【自分のイケない姿を記録した動画】を披露した指定の全対象に【この動画配信者の配下になりたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　スカイダンサーたちがパフォーマンスをしている大通りでは、いつものように複数の配信が行われていたが、今日は炎上気味だった。なりふり構わないカゲキマイラーズが無茶苦茶をやっているからだ。
『血が流れればそれが取れ高だぜー！！！』
「うわぁやめてくれ！！」
　ピカピカ光る男が釘バットを振りかざし、まさにそれがスカイダンサーの一人に振り下ろされようとしている。それ以外のところでも大ピンチが発生している。間に合ってくれ猟兵たち！




「スカイダンサーたちが襲われるのを止めればいいんだね」
「全身電飾だらけで絶望配信とかちょっと意味が分かんねえな。思い切りブチのめしたら目が醒めたりするのかね？」
　狂乱の電飾祭りに駆け付けたアリス・フォーサイス（好奇心豊かな情報妖精・f01022）とエルヴィン・シュミット（竜の聖騎士・f25530）は繰り広げられる眩しい混乱を止めようと動き出した。
『意味がわからない？　君たちのつまらない価値観からしたらそうなのかもしれないね。だが僕らは意味のない世の中に意味を見出すために配信をしているんだ。そんな僕を君たちが論破できるとでも思っているのか？』
　凸られた、と認識した眼鏡の狐が早口でまくし立てると、スマホから炎の怪物を呼び出す。怪物はガアガアと猟兵に関する誹謗中傷の炎を噴き出して攻撃してくる。
「猟兵の誹謗中傷だと？　害悪配信者だ！！」
　襲われていたスカイダンサーが怪物のあまりの口汚さに閉口した。
「まあいい、とりあえずこっちもド派手にヤらせてもらおうか！　あ？　俺に質問？　俺の弾幕と乱れうちを喰らってくれるなら構わないぜ！！」
「悪い配信は、ちびアリスたちを召喚して邪魔するよ！　いでよ！ぼくの分身！」
　次々と召喚されあふれ出すちびアリスが眼鏡の狐を担ぎ上げる。
『わっしょい！』
『わっしょい！』
『な、なにをする！　これだから低能はやることが原始的で！！　フガフガ！！』
「みんなで胴上げだね。さあ、みんなも一緒に！　わっしょい、わっしょい！」
　アリスに先導され、うるさい狐をウェーブのように運んでいくちびアリスたちを横目に、エルヴィンは銀の刃が光るインラインスケートを駆使して飛び回りながら、炎の怪物を二丁拳銃でハチの巣にした。
「みんなは安全なところで応援してね！　この狐くんは反省するまでこのフックにでもひっかけとこう」
　アリスに命じられ、ちびアリスたちは眼鏡の狐を高いところに引っ掛ける。狐はああだこうだとわめく姿をスカイダンサーたちに撮影されてしまっていた。
「質問の答え？　そんなの、鉛玉にくらべりゃチンケなもんさ！！　これぞ天より降り注ぐ流星雨の如し！　今こそ全てを焼き尽くさん！」
　エルヴィンが放ったカードから光線や魔法弾が解き放たれ、炎の怪物たちを貫く。
「ついでに情熱的な誘導弾もサービスするぜ。さて、お前に俺が捕まえられるかな？　ちゃんとついてこいよ！」
「すげー！　これが猟兵！」
「さすが猟兵！　さす猟～！！！！」
　あふれるちびアリスがちょこまかと走り回るド派手な戦場となった街に、スカイダンサーたちは大はしゃぎだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「集団戦ですか。良いでしょう、人手が要るのであれば、お任せください」
「情けは人の為ならず！　困ったときはお互い様だ！」
　少し高い所から騒動を見下ろしていたのはシャルロット・クリスティア（弾痕・f00330）と吾喜内・来世（サクラキメラ・f22572）だった。高い所から俯瞰すると状況がよく見える。
「戦いは試合じゃない。フェアプレイなどはする気はありません。極力一網打尽にできるような方法で行きたいです。正面切っての戦いはそこまで得意でもないので」
「なら僕の竜に乗って上からやっつけるかい？」
「いいですね。最小限の労力で済みそうなところが気に入りました。いたみいります。存分に敵陣を引っ掻き回してやりましょう」
「なになに。やつらの迷惑な行為で困る人がこれ以上増えないならお安い御用だ。祖なる桜が一柱。請いて願いて奉る。翔け給へ！」
　呼び出された樹木の竜は来世の身長の二倍の大きさを優に超える。ぴょんと飛び乗ってまたがり、来世はシャルロットに手を貸して引っ張り上げた。
　突如上空に現れた竜に、スカイダンサーたちは大騒ぎでスマホを向け、配信をフレキシブルに切り替える。迷惑行為を働いていた狐やパンサーが何か叫んでいる。自分たちの配信の注目度を奪われて怒っているのだ。小さな迷惑行為よりも、圧倒的な竜の存在のほうが確かに人の注目を集めるだろう。炎の怪物も、はるか上空には届かないようだった。そして、見上げる上空の空がにわかに黒く曇り始める。
「角笛は鳴り響いた。嵐と共に我ら来たれり」
　シャルロットが数多の死者の怨念が染みついた黒い雨を降らせたのだ。大通りが濃密な死の気配の漂う空間に変化する。市井の若者たちが戦場の空気に急に順応できるのは稀だ。シャルロットは静かに確実に、ターゲットだけを次々とスナイプしていった。
「こうなっちゃ配信どころじゃないよねえ」
　秘薬をぐびりと飲み干し、来世がそれを見下ろしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　一方地上では、グンヒルド・メリーン（たけのこ医者・f12254）とユノフェリア・ソーダライツ（アンサーヒューマンのオブリビオンマシン・f30068）がカゲキマイラーズの相手をしていた。二人は知らない人が見たらお祭り騒ぎに繰り出してきた姉妹かなにかのように見える。そんな二人に、狐とパンサーの二人組が因縁をつけていた。舌戦でいちゃもんをつけようとする狐にユノフェリアは秒単位で先回り思考し、「そう、そう、それで？　それは違う。そんなのは詭弁にすぎない。それは論点のすげ替え。そもそも論点を理解できていないのはそっち。論理武装して出直しが必要」とすげなくあしらっている。小さな女の子に逆に論破されて、狐は眦を吊り上げて喚いていた。
　グンヒルドの方はというと。
「今から私のイケない姿を……」
「えっ！！　パンサーの嬢、この寒空の下そんな恰好で？　撮影は結構時間がかかってるんだろう？　こんなに体を冷やして今はいいけど、年を取ったときに急に『来る』よ！？　これを使いなさい！」
　どん、とパンサー娘の前に、彼女と同じ服を着たレプリカを置くグンヒルド。同じ身長で同じ服を着ているが、なんかずどんとしてのぺっとして雑な作りの人形だった。
「わ、私こんななんかカカシみたいな身体してないし！」
「身体を冷やすんならカカシのほうがましだろう！！」
「意味わかんないし！」
「もう許さん！　炎上してしまえ！」
　ぎゃんぎゃんとわめいていた狐が炎の怪物を召喚した。怪物はユノフェリアとグンヒルドを燃やそうとするが――。
「痛い！　いたいいたいいたい！！」
　ユノフェリアが小さな体をすばやく狐に肉薄させると、あっという間に腕をひねり上げ体の自由を奪う。
「えっ、何この子つよっ！？　あっ！」
　目をぱちくりさせるパンサー娘の背後にいつの間にか回っていたグンヒルドも、パンサー娘に当て身して無力化させる。
「沈黙は金」
「養生してね」
　二人はぐったりした狐とパンサーをずるずると引きずって邪魔にならないところにポイした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

第2章 ボス戦 『シュナイト・グリフォン』

POW   :    こっちにおいで。この世界はお前に似合わない 【この世の絶望】を籠めた【巨大な鎌】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【前向きな心、大切な記憶、思い出の品】のみを攻撃する。 SPD   :    ○○はいないのに、何故のうのうと生きてる？ 対象への質問と共に、【対象の記憶】から【創造した大切な人の分身】を召喚する。満足な答えを得るまで、創造した大切な人の分身は対象を【精神的に追い詰めながら其々の方法】で攻撃する。 WIZ   :    さぁ、絶望しよう。俺と一緒に踊ろう 【ぬいぐるみ達を召喚し、共に絶望のパレード】を披露した指定の全対象に【一緒に踊りたい、そして自傷したいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　禍々しいメリーゴーランドの馬車は庭園の王を乗せ、陰鬱な旋律で静かに回っている。
「パレード怪人ではこんなものか……」
　ギギギ……と歯車を軋ませ、猟兵たちの前に止まるからくりの馬車。その荷台からずしゃりと重い足音をさせて、シュナイト・グリフォンは降り立った。


『猟兵か。――、はいないのに、何故のうのうと生きてる？』
　獣じみた男は鎖を引きずりながら近づいてくる。エルヴィン・シュミット（竜の聖騎士・f25530）が忘れられない名を口にしながら。
　名を呼ばれたことでよみがえったかのように"あの日の影"がゆらりと顕現し、立ちふさがった。
　かつて守れなかったアイツの影。その姿にエルヴィンは束の間瞳を揺らす。それはエルヴィンの記憶から創造した分身だが、あまりにも瓜二つで、彼のあの日の慙悔を激しく呼び起こすのだった。
『――、――――、―――』
『どうした？　何故お前だけがのうのうと生きているのかと聞いているぞ？』
　それは家を飛び出し猟兵になることを決意させた深い傷だ。しかし。
「これは過日の幻……拭い去ることは出来ずとも、今の俺を倒すには到底足らぬ！」
　うっすらと目を開いたエルヴィンの心は落ち着いていた。覚悟を決め、霊刀『菖蒲橋』の柄を握りしめた。
「これが俺の……答えだ！」
　他人の過去をほじくり返して来るような奴は真っ二つにしても足りねえよ。覚悟は出来てんだろうな！
　破魔の一太刀を持って、虚像を両断した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　シュナイト・グリフォンの手によって次に召喚された分身は、多岐にわたる姿の人物たちだった。その数、１０１体。
　様々な世界で物語のクライマックスに立ち会ってきたアリス。彼女の眼前に、そのクライマックスに到達するにあたって消えていった人物たちが立ちはだかる。それぞれ吐き気を催すような邪悪もいれば、誰からも愛され惜しまれて去って言った善良な人物もいた。そんな人たちが、なぜ自分たちは犠牲にならなければならなかったのかと口々に問い詰めるが。
「ごめん。覚えてないや。昔食べた情報の欠片なのかな」
　記憶が曖昧な状態のまま空腹のたびにあまりに多くの世界を渡ってきたため、アリスは彼らに覚えがない。だがこうして記憶として読みとれるということは今の彼女を構築している物語の残滓であることは確かなのだろう。
「当時のことはあまり覚えてないんだ。ぼくを恨んでるなら恨んでいいよ。でも、後悔はしてないから。こうして生きてられるのはたぶん、キミたちのおかげだからね。いでよ！　ぼくの分身！」
　アリスの呼びかけに、１０１体のちびアリスが現れ、敵の呼び出した分身たちに対峙する。
「ぼくの今の全力をもって相手するよ。敬意をこめてね」
　悪夢のようなネオンの中、絶望の遊園地で２０２体の分身が戦いを始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

『さぁ、絶望しよう。俺と一緒に踊ろう』
　獣じみた男は過去の幻影だけを武器にするわけではない。今度召喚されたのは陰鬱に歪んだぬいぐるみたちだった。ぬいぐるみたちは重たそうに憂鬱に踊る。それを見ていたものは一緒に絶望のパレードに加わりたくなるのだ。もちろん、引き続き過去の亡霊を見せるのもやめない。シュナイト・グリフォンはどこまでも絶望が欲しいのだ。
「景気の悪い顔ぶれだにゃー。女の子のいないパレードになんか加わる気にならないにゃー」
「あら、女の子なら此処に居ますわよ？　失礼なこと言ったらあきまへんで！」
　くあーとあくびするニーヤ・カト（猫の冒険家・f17782）をシーツにつつまれたおててでぽこぽこして抗議する納花・ピンチン（ブギーモンスターの勇者・f31878）ちいさいふたりもまたぬいぐるみのようでもあった。
「アタシたち、おイタする困ったちゃんをお仕置きに来たんですの！　だからパレードをしている暇はありませんの！　ぬいぐるみはんらも、邪魔するようならキャン！　いわしたりますわ！」
　ピンチンは知恵の布を脱ぎすてると、おぞましき異形の鹿に変身した。赤く長い武器でぬいぐるみたちをばしーんばしーんとお仕置きする。
「おお～、最近のおにゃごはおっかにゃーもんをスカートの中に隠しとること……おいらの前に現れたのは……ああ、見た顔にゃね……おいらが逃げるので精いっぱいでおみゃーまでは手が回らにゃかったが、世の中そういうもんにゃ。それにおみゃー、ただの幻影にゃ？　おみゃーが逃げてないとも限らないし、趣味がわるいにゃー。おいら趣味の悪い奴に捕まってたから、腹たつにゃ。火薬いっぱいくらえにゃ。ほいっとにゃ！」
　目の前に現れた過去の幻影に向かい、ニーヤはたくさんの猫の顔の形をした小型爆弾をほいほいと放つ。おびただしい火柱が上がる遊園地の中を異形の鹿が踊る。まるでこれこそ絶望のパレード。しかし、それはオブリビオンにとっての絶望のパレードに他ならないのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　燃え上がる遊園地。獣じみた男が手にする巨大な鎌がずしゃりと持ち上がった。
「こっちにおいで。この世界はお前たちに似合わない……」
　構えることで、初めてその顔がはっきりと見える。幼ささえ感じる端正な顔立ちに配置された両の瞳はしかし、どろりと絶望に濁っていた。空しい、虚しいという感情だけがシンと伝わってくる嫌な目だ。この世の絶望を籠めた鎌の一撃を大振りに放ってきた。

「この家光、悪は決して許せぬ！　この世に希望はあります！　希望を持って前に進む人たちまで絶望に引きずり込んで良いわけがない！！」
　ガキィン！！　と火花を散らして大鎌をはじき返したのは徳川・家光（江戸幕府将軍・f04430）の大天狗正宗。持ち主の覚悟に合わせて成長すると言われる刀。はじき返してすぐ、第二撃が襲った。
「身は空、心は虚にて、柳流鉄を穿つ」
　脱力状態で攻撃を受けると、家光はそれを左手に流し排出する。
『ほう受け流すか。それではこれでどうだ。こんなに救えなかったものがいて、なぜ生きている？』
　飛び退りながら見回すとそこには救えなかった民草の姿がちらほら。将軍として救えなかったものなど当然いるに決まっている。何を切り捨て何を救うか。その判断がより多くの人を絶望から救うのだから。
「余は将軍として未来を勝ち取るために生きている、今はそう思える！！　それが絶望などに屈することはありえない！！」

「こんなぶっ壊れた遊園地で一人でいるから暗いことばっか考えるようになるんだよな。面白いモンが世の中にはたくさんあるんだから自分で探せばいいんだよ」
　少女を肩車した少年が言い捨てる。引きこもりゲーマーにはブーメランなのだが。二人はキャンディ・スカイランド（＆井熊・アユム)(肩車 RUN RUN RUN・f21284）だ。キャンディは黙って無敵の戦闘鎧を想像から生み出し、アユムに装着した。
「おう、これで防御は気にしないで済むな」
　キャンディを肩車したままどっかとあぐらで座ったアユムはコントローラーを取り出し、操作可能の手足を展開する。
「アユムくん、やっちゃえ☆」
　無口な少女の一言で、少年の攻撃が始まった。鎌の刃を横合いからなぐりつけ、攻撃の照準を外させた。キャンディも、アリスランスで戦う。二人の攻撃はトリッキーにシュナイト・グリフォンを惑わせる。

「そちらが希望だけを斬ってくるならこちらは邪心を斬るのであります」
　軍服に身を包んだカミンスキー・テレサ（貫き通す意思・f23215）は無骨で大きな退魔の霊刀を持って大鎌の男と対峙する。武器ばかりが大きいが、しっかりと握りしめ、それを振るう。自分の大事な人の幻影が現れたら、ゾフィアだったらどうするだろうか？　そんなことを考えたが、自分はゾフィアとは別の人格なのでわかるわけもなかった。それにどうやらすでに三人の猟兵を鎌でさばくのに手いっぱいで出してこないようであるし。
　四人の猟兵は、ガキンガキンと火花を散らし、シュナイト・グリフォンの大鎌と打ち合う。
　めらめらと燃えるぬいぐるみと回転木馬。その中で、悪夢のように鎌を振る男はやがて追い詰められていく。そして、猟兵たちの希望の刃が絶望を切り伏せた。

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　猟兵たちの戦いを、スカイダンサーたちは遠くからずっと応援していた。やっぱり猟兵はかっこいいな！　そんなことを口々に言いながら、廃遊園地での戦いを目に焼き付けたスカイダンサーたちによって、また猟兵の強さが伝えられるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2021年03月16日 宿敵 『シュナイト・グリフォン』 を撃破！