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【猟書家】狂人、愛し合う二人を引き裂きて

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #『刀狩』 #妖剣士

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●血まみれの屋敷にて。
(止せ……っ!やめろ……っ!)
『いいえ、止めてはなりません。
 拙僧の願いの為にも此の娘を殺めなさい?』
 まあ、最初がヤドリガミと言うのはちと不満ですが、其処は今後に期待という所でしょう。
 そんな事を言いながら俺の身体を操る家伝の刀に憑りついた『ナニカ』は俺の様子を見て、どうにか止めようと動く少女を斬り殺そうと己の身体を動かしていく。
 少女は己が家に代々伝わる短刀のヤドリガミであった。
 戦国に名を轟かせた我等が祖と共に戦場を駆け共に戦い、平時にあっては我が家中を支えた。
 我等、一族、皆の母であり姉であった。
 父母を亡くした自分にとっては唯一の家族で……わが生涯、最愛の女性だった。
 止めろと、彼女を斬るなと心が叫ぶ。
 其れでも刃は止まらず、彼女の本体ごと彼女を断ち切った。
「重次様……泣かないで下さい。
 貴方の本意でないのは判ってます……私は私の死よりも貴方が、初めて愛した人が……苦しむ方が余程辛いのです……」
 そう言って彼女は柔らかい笑みを残し事切れた。
 後に残ったのは断ち折られた彼女の本体と絶望に嘆き己への怒りに震える自分。
 そして、今日この日に彼女に贈るつもりだった八咫烏の飾りの簪と……。
『やはり、ヤドリガミの本体を残して消えるタイプでしたか。
 ……ですがまあ、『素材』を集めるのは此れからでも問題なし。
 先ずは己が家中の者達を殺め、次に此の藩の者、貴殿の主を殺めましょうぞ。
 さすれば我が願いたる完全なる人の素材も集まりましょうしな』
 己が体を操る『ナニカ』の囁きだけ。
『そう、最高の人に拙僧は至るのだ!
 そうすれば、失敗作だった拙僧をあの方は見てくれる!
 拙僧はもう捨てられはしない!あの方の傍にずっとあるのだ』
 そんな狂いきった哄笑が屋敷に響き渡るのだった。

●グリモアベースにて。
「まあ、そんな事を言ってるけど、奴の言う『あの方』は既に大昔に亡くなってるし奴も其の事は知ってる筈なんだけどね。
 其れに噂によれば『あの方』と呼ばれる人は奴の事を想って眠りに就かせたらしいのに」
 まあ、狂って幾万の人々を殺めた奴がオブリビオンになったんだから道理なんて理解できる訳ないわよね。
 そう言って猟兵達を集めたヴァーリは怒りを抑えながら説明を開始する。
「先ず最初にだけど今回の被害者の鈴木重次(すずき・しげつぐ)。
 彼の想い人のヤドリガミの少女は救う事は出来ないわ。
 けど、その後の犠牲は防ぐ事は出来る」
 だから、先ずは彼を止めてほしいとヴァーリは集まった猟兵達に説明する。
「彼は家伝の太刀『八丁念仏』に憑依した黒幕によって鈴木重秀、世間では雑賀孫一で知られてる人物の一人の姿になってるわ」
 説得は不可能だが倒す事で解放する事は可能なので、全力でぶつかってほしいとの事。
「攻撃手段は三つ。
 妖刀『八丁念仏』による切断、拳銃による傷口への零距離射撃で体内に銃弾を放つ、狙撃銃による狙撃の三つになるわ」
 銃の扱いと文武に長けた鈴木家の当主の彼が変じた敵は中々の強敵。
 但し厄介ではあるが倒せない敵ではない。
 問題なのは彼を倒し解放してからの事。
 解放された彼と共に黒幕と戦う事となる。
「現れるのが術士西行。
 それが『刀狩』の代わりに今回の事件を起こした『ナニカ』、生前は自分の目的の為に幾万の人々を殺めた外道よ」
 何かを無理矢理抑えるような無表情でヴァーリは其の名を口にする。
「こいつは人々の肉体を素材に『最高の人』を創り出して自分の身体にしようとし、多くの人々を殺めた。
 そして、其れはオブリビオンになった今も変わらない」
 今回の件も重秀を鬼とする他に彼自身の願いを叶える為の素材集めの側面もあるだろう、との事。
 因みに西行と名乗っているが西行法師とは別人。
 噂によれば西行法師が造り出した生き人形がヤドリガミとなった存在だったとか。
「事実かどうかは判らないけど、何でも西行法師は奴が心を持たない事に嘆き、どうにか心を与えようと眠りに就かせたと聞いているけど……奴は其れを捨てられたと思ったようね」
 だから主が見てくれる完全な姿になる為に其の素材を集めようと人を殺めたのだろう、とヴァーリは説明する。
「けど原因が何であれ奴の所業は外道。
 討ち滅ぼすべきでしかないわ」
 なので、解放された重次と共に奴を倒して欲しいとヴァーリは言う。
「奴は犠牲者の遺骸を纏った異形の戦闘形態、奴の想像する心以外は美しい姿に変じ魅了する姿への変化、奴が外法に用いた裁縫道具が変じた怪異を操る力、この三つを使ってくるわ」
 強敵ではあるが、皆なら問題なく倒せる筈とヴァーリは言い戦場に猟兵達を送るのであった。


久渓洞
 はじめまして、或いはお久しぶりです、久渓洞です。
 今回の依頼は猟書家依頼、刀狩の代わりに鈴木重秀氏を鬼に堕とそうとする西行を倒すお話になります。
 それでは皆様のプレイング楽しみにお待ちしております。

●鈴木重秀。
 雑賀衆は鈴木家の若き当主。
 人間。
 数えで12の若輩だが両親が亡くなった事で当主となり代々家に仕えてきたヤドリガミの少女の支えで当主の務めを果たしていた。
 ヤドリガミの少女を愛しており彼女に家紋の八咫烏の装飾の簪を送り婚姻を申し出ようとしていた矢先に西行によって操られ彼女を殺す事となる。

●ヤドリガミの少女。
 鈴木家に代々伝わっていた來國次と言う刀工作の短刀がヤドリガミになった少女。
 ヤドリガミになった後も鈴木家に代々仕えており、重次の両親が亡くなった後は一人で重次を育ててきた。
 重次を憎からず想っていたが自身の立場を思い黙っているつもりだった。
 見た目年齢は12,3歳程。
 黒髪の少女。

●西行。
 死者の肉体を繋ぎ合わせ『最高の人』を生み出し自身の肉体にしようとした狂人のヤドリガミ。
 生前も幾万の民を殺めた外道。
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第1章 ボス戦 『鈴木『孫一』重秀』

POW   :    八丁念仏
【斬られた事に気付かせぬ切味の名刀八丁念仏】が命中した対象を切断する。
SPD   :    血華繚乱
【敵に肉薄した状態で拳銃】から【敵の傷口に銃弾を複数、霊距離】を放ち、【体内に銃弾を放たれた痛みと流血】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    八咫烏の加護ぞあらん
【拳銃が狙撃銃】に変形し、自身の【移動速度と近接戦闘能力】を代償に、自身の【命中率と射程距離】を強化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠水貝・雁之助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

牧杜・詞
愛する人を自らの手で、か。どこかで聞いたようなお話だし、
壊れてもしかたのないことではあるのだけどね。

でも、あなたはまだ壊れてはダメよ。
あなたにこんなことを強いた相手に一矢報いてからになさい。
そうしたら、その後、わたしが全力で、あなたの望むようにしてあげるわ。

【残像】と【見切り】を使って、ゆらり、と相手の攻撃を躱しながら、
【命根裁截】を発動させて、【鉄和泉】で【切り込】むわ。

黒幕がどんなやつかは知らないけれど、
憑依しているってことは生きているのよね。命があるなら、殺せるわ。
『八丁念仏』は天下の名刀。あなたには過ぎた代物よ、返してもらうわね。

黒幕の命だけ断ち切って、刀は無傷のままが理想かな。



●命のみを断ち切りて。
「愛する人を自らの手で、か。
 どこかで聞いた様なお話だし、壊れてもしかたのないことではあるのだけどね」
 牧杜・詞(身魂乖離・f25693)は自らの過去を思い返しながら涙を流しながら『八丁念仏』を構える少年を見据える。
 自分の時は一族が護り続けてきた森を護る為の戦いでの事であり、力を得る為の儀式で精神に変調をきたした結果による物であったが、其れでも森を護る事が出来た。
『見事な黒髪ですな。拙僧の求める素材として申し分ない!
 ハハハハハ!やはり猟兵は良い!
 実に美しい!!』
「―――――――!」
「だから、そのことに後悔はないけれど……あなたは違うわよね」
 黒幕に操られ斬り掛かってくる少年は自分で選んだ結果ですらない。
 己が意思は介在せず、護るべきものを護れたという結果すら掴めてない。
 だから……。
「あなたはまだ壊れてはダメよ。
 あなたにこんなことを強いた相手に一矢報いてからになさい」
「―――――」
『ははは!無駄な事をなさる!
 此の者は自由に等なれず、鬼として人を斬り続ける定めなのですぞ?』
 詞の真摯な言葉に対し黒幕は嘲笑するかのように言葉を返し、少年を詞に斬り掛からせる。
 だが、其の斬撃は操られているが故に単調な動きになっており、詞に見切れぬ筈もなく、ゆらり、と僅かな動きで詞は回避。
 其の侭、彼女は濡れた様な深い緑に輝く刀を抜き放つと……。
「そうしたら、その後、わたしが全力で、あなたの望む様にしてあげるわ。
 ……これで、終わり」
 其の刃、鉄和泉に思念を籠め、八丁念仏へと斬り込んでいく。
『ぐっ!な、此れは……!』
「どんなやつかは知らないけれど、憑依しているってことは生きているのよね。
 命があるなら殺せるわ」
 そう冷淡に詞は黒幕へと告げる。
 其れは肉体を傷つけず命の身を断ち切る刃。
 故に八丁念仏に宿る黒幕、西行の命のみを断ち切る事も可能である!
「……『八丁念仏』は天下の名刀。あなたには過ぎた代物よ。
 返してもらうわね」
『ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれええええええええええええええええええええええええええええ!!』
 詞の刃は八丁念仏に傷をつけずに黒幕、西行の命のみを断ち切り、西行は怒りの叫びを挙げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

子犬丸・陽菜
ひどい、許しちゃおけないね!

人を作る?
人は人であるために心を持つ、つぎはぎして出来たところでそれは人じゃないよ
まぁ、わからないんだろうけど
あたしもヤドリガミの主人として言えることだからね!

あなたはもう人というものは作れないしなれない、自分で手放したの
終わらせてあげる

宝珠を起動し内臓をかき回して力を得るよ
ぐちゃぐちゃした音がお腹から…うえ
ぐちゃって音が聞こえるかもね

黒い刃で迎え撃つよ
太刀相手にどこまでやれるか…
幾万の命を奪うくらいなら相当なはず

体内に銃弾、逆手に取れるかな
スキを見せてわざと受け
弾丸で内臓を引っ掻き回されれば流石に辛いけど

吐血…
おかげで枷は威力上昇
今まで奪った命の苦しみを味わえー!



●肉を切らせて。
(本当にひどい、赦しちゃおけないね!)
 そう怒りをあらわにしながら、少女、子犬丸・陽菜(倒錯の聖女・f24580)は鬼と化し操られた少年の姿を見据える。
『ぐ……いやはや先程は酷い目にあいましたな。
 しかし、先程の猟兵はダメでしたが此の猟兵の腰まで届く長さの髪も中々に美しく素材に良いでしょう。そう、最高の人を!』
「―――――」
 そんな陽菜の姿を観止め、黒幕は先程、詞に斬られ苦しんだ事すら忘れ、少年に銃を構えさせる。
「人を作る?
 ヒトは人であるために心を持つ、つぎはぎして出来たところでそれは人じゃないよ!」
(まぁ、わからないんだろうけど、あたしもヤドリガミの主人として言えることだからね!)
 そう陽菜は黒幕へと怒りと共に声をかける。
『ははは!貴殿と拙僧の斯様な事認識の相違に過ぎませんな!』
 だが、そんな陽菜の言葉にそう言うと黒幕は銃弾を撃ち放つ。
 それに対し陽菜は漆黒の拷問剣『逆恨みの刃』で受け流しつつ『依代の宝珠』を起動。
(……っ!)
「……あなたはもう人というものは作れないしなれない。
 自分で手放したの……終わらせてあげる!」
 そう黒幕に宣言している時にも宝珠は陽菜の臓腑をぐちゃりぐちゃりと音をたてながら激しく掻き回し、本来なら死に至っても可笑しくない痛みを彼女へと与えていく。
(ぐちゃぐちゃした音がお腹から…うぇ)
『むっ?銃は当たっておりませんのに妙な音が……?』
 其の音は黒幕にも聞こえていたのか黒幕は困惑するも戦いは其の侭続行する。
(痛……近接戦闘能力は下がってるとは聞いたけど
其れでも黒幕は幾万の命を奪う位なら相当な経験を積んでる筈……太刀相手に何処までやれるか……)
 それに対し陽菜は痛みに耐えつつ漆黒の拷問剣によって斬り払い受け流しながら耐え凌いでいく。
 だが、此の侭では敵を倒す事は不可能。
 ならばどうするか、そう考えた陽菜の脳裏に在る作戦が浮かぶ
(確か敵の攻撃の一つは……なら!)
「此れでも喰らえー!」
「――――――」
『……此れは咎力封じとか言う技……ですが避けてしまえばどうと言う事もない!
 さあ此の隙を逃さぬのです!』
 陽菜は『わざと』外す様に捨て身の一撃を装いながらユーベルコードを発動。
 其れを避けた少年は陽菜の狙い通り、拳銃の形状を変え肉薄した陽菜へ銃を突きつけ……彼女の体内へと銃弾を解き放つ!
「ぐっ……痛……!」
『ははははは!体内で銃弾が暴れ回ってるのです、地獄の痛みでありましょうに!』
「痛いし…弾丸で内臓を引っ掻き……回されるのは…流石に辛い、けど……狙い通り…だよ!」
 痛みに苦しむ陽菜を嘲笑う黒幕に対し陽菜は血を吐きながらも立ち上がり言葉を放つ。
 見据えるのは『八丁念仏』。
 其の中にいる黒幕へと届けと怒りの侭に観止める。
「おかげで枷は威力上昇……あたしの、苦痛の一旦……感じなよ!
 今迄奪った命の苦しみを味わえ――!」
 其れは痛みを共有する業、陽菜が宝珠を用いる際に生じる地獄の苦しみを観止めた者に移すもの。
 故に、彼女の体内を銃弾が暴れ狂う今、其の痛みは激増する!
『ぐっ、此れは!何だ……!ぐ、があああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!』
 その地獄の痛みに黒幕が耐えきれる訳もなく、辺りには黒幕の叫びが響くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
へー
雑賀衆鈴木氏っていやぁいっぱし名を知られた戦屋じゃん
主殿は年若いが初めから全力で行かねーとな

UCで全力強化
代償毒や被弾の痛みを【激痛耐性】で凌ぐ
【追跡】で敵背後や死角を取り
相手の接近戦持ち込みにも迎合
至近からクナイをふるい刀を持つ手をとくに狙い刺し斬る【串刺し/暗殺】
敵攻撃は【野生の勘】で避けたいが近距離の為【カウンター/武器受け】も使い弾き
動きを抑えられる前に手裏剣を【念動力で投擲】

雑賀の若当主さんよ
想い人を手に掛けた苦悩…オレにも解るよ?
納得して実行しても堪んないのにアンタは意思と裏腹に…
あんな外道な奴らの思惑通りになるな
こっちに戻って娘さんの仇討ちと当主のお務めを果たしなよ

アドリブ可



●嘗て同じ思いをした者として。
「へぇ、雑賀衆鈴木氏っていやぁいっぱし名を知られた戦屋じゃん。
 主殿は年若いが全力で行かねーとな」
『ぐっ、が……ま、又現れましたか…猟兵!』
「――――」
 齎された激しい痛みを堪えていた黒幕。
 其の前に現れたのは羅刹の青年、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)であった。
 敵が痛みに苦しんでいた事もあってか、其の身には既に彼の血筋に憑き代償を喰らう化生を降ろしており焼ける痛みの毒が全身を回っているが、其れをトーゴは強い意志で耐えきっており、未だに痛みに喚く黒幕と違って涼しい顔。
『ぐぅ……あの者を殺すのです!
 あれの筋肉も素材には悪くないでしょうからな!』
『――――』
 そんな彼の状態に気付きもしない黒幕は少年に銃を放たせるが、トーゴは其の優れた勘と強化された身体能力により回避。
『……避けきりますか。
 どうやら間合いが近い戦闘の方が得意な様子。
 ならば一旦距離を取りましょうぞ』
「――――――――」
 其の侭、トーゴが近接攻撃が主とみてか一旦距離を取ろうとする敵を追跡し敵の背後に回り込み、クナイを『八丁念仏』を振るう手を狙って刺し穿つ。
「―――――!」
『ぐっ!しかし、此の距離ならば!』
「オレに内臓をえぐられる趣味はないんでな!」
 それに対し、黒幕は少年にもう片方の手に持つ銃でトーゴの腹に銃弾を討ち放たんとするが、其れをトーゴは空いた手で払いのけ対処。
 結果、銃弾は足にかすりはしたが此の程度の痛みならばトーゴにとって支障はない。
「雑賀の若当主さんよ。
 想い人を手に掛けた苦悩……オレにも判るよ?
 納得して実行しても堪んないのにアンタは意思と裏腹にさ……」
「―――――――」
『ははは!何を言っても此れの身体は拙僧の思うままに動くもの!
 斯様な言葉など役にも立ちますまいに!』
 幾度となく放たれる銃弾をクナイを用い弾きながらもトーゴは静かに少年に声をかける。
 思い返されるは嘗て愛し訳あって殺めた幼馴染の事。
 自分の時は未だ仕方ないと言える状況だったし自分にも幼馴染にも責も咎も無かった。
 其れでもトーゴは苦しみ、傷心から出奔し旅に出る程だったのだ。
 まして自分の時は14歳の頃だったが目の前の少年は当時の自分よりも随分と幼い。
(赦す訳にはいかねえよな……)
 ……黒幕に対し強い怒りを覚えながらトーゴは尚も声をかける。
「あんな外道な奴等の思惑通りになるな!
 こっちに戻って娘さんの仇討ちと当主のお勤めを果たしなよ!」
『……っ!此れは!』
 其の言葉と共に放たれるはトーゴの意思に従い動く豪雨の如き無数の手裏剣。
 其れは少年と黒幕の宿る『八丁念仏』へと容赦なく降り注ぐのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラモート・レーパー
「なるほどね。じゃあその小娘の元に逝けること願いながら終わりなさい」
 お姉さんの姿で挑む。
角を折ってナイフにし、接近戦に持ち込む。並行してUCを発動し、存在をオブリビオンに書き換える。ゼロ距離ならナイフの方が早い。
主に血管が集中している手首、股下、首、右脇腹を中心に切りつけ失血を狙う



●鮮血の華
「なるほどね。
 じゃあその小娘の元に逝けること願いながら終わりなさい」
 そう言いながら顕れたのはラモート・レーパー(生きた概念・f03606)であった。
 彼女は17,8歳位だろうか本来の歳と異なるアース系列でならお姉さんと言われる位の年齢であった。
『……又、随分と歌舞いたのが顕れましたなあ。
 此の者は自分が他の者を害するならば死を選びましょうが、開放されたならば死を選ぶことはありませんぞ?
 貴殿ら猟兵は此の者を救い犠牲を防ぎに来たのでは?』
 そんなラモートの少しズレた発言に黒幕は戸惑いながら言葉をかけるが、ラモートは其れを無視しながら角を折る。
『は?自分の角を……?』
「この刻は我が領域にして狩の刻なり」
 其れと同時にラモートは己が存在を骸の海から蘇りし者、オブリビオンへと変換。
 敢えて接近戦へと持ち込んでいく。
「ゼロ距離ならナイフの方が早い」
『成程、容赦のない御仁の様で』
「―――――」
 他の猟兵達との闘いが長引いていた事もあって今は夜。
 空の星が輝く限り、彼女の攻撃の速度は素早さを増していき、手首を、股下を、右わき腹を……血管が集中している場所を斬りつけていき、その度に周囲は血が飛び散って赤く染まっていく。
『とはいえ、無傷とはいかない。違いますかな?』
「この位、別に問題ないけど?」
 黒幕が言う通り、接近戦を挑んだ以上、ラモートも無傷と言う訳にはいかず彼女の体内には銃弾がばれ廻っていた。
 だが、そんな普通ならば転げまわる様な痛みにもラモートは涼しい顔で戦い続ける。
「それじゃあ此れで終わりだよ!」
 そして、其の侭ラモートは重次の首に刃を振るうのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キャンディ・スカイランド(サポート)
猟兵の「キャンディ・スカイランド」と能力で召喚した「井熊・アユム」の2人組です

キャンディはアリスナイトの能力でアユムを強化したりアリスランスで攻撃したりします
バトルゲーマーの能力は基本使いません

アユムはコントローラーで攻撃する腕や足を召喚したり
キャンディからの強化で戦います

基本キャンディはアユムに肩車してもらってます

キャンディは普段は喋りません
人見知りとかではなくテンションが上がると普通に喋りだします
アユムで面白いことをする作戦が思いついた時、アユムが活躍している時はテンションが高いです
それ以外でもなんか突然に喋ります

アユムは引きこもりゲーマー(?)です
嫌がっても最終的にはキャンディに従います



●一心同体。
「……」
「いや、引きこもりに刀と銃持った奴と闘わせんな?!」
 己が召喚した”引きこもり天才バトルゲーマー”と言う『設定』のゲームキャラクター、井熊・アユムに肩車して貰い、ツッコミを喰らいながら少女、キャンディ・スカイランド(&井熊・アユム)(肩車 RUN RUN RUN・f21284)は無言で血だらけの重次を見据える。
『ふむ、んー……背負われてる方は喋らないですし、背負ってる方が猟兵ですかな?』
「ちげーよ!俺が召喚された方だっての!召喚した奴を肩車する様な奴いる訳ねーだろ?!
 ほら、お前が喋らないからさあ?!」
 傷つき気だるげにしながらもそう疑問の声をあげる黒幕の言葉にアユムはツッコミを返す。
 だが、そんなアユムに対しキャンディはマイペース。
「あっ、今から寝るから起きるまで守ってちょうだいね☆」
「はぁ!?何言ってんだよ……、って本当に俺に乗ったまま寝やがった!?」
 そうキャンディはアユムに告げると眠ってしまい、そのままぐーぐーと寝息を立てる。
 残ったのは微妙な表情の黒幕と操られた重次。
 それに仕方ねえなあ……という表情のアユムであった。
「たく……まあ、仕方ねえか」
『そうやって甘やかして最終的に従うから彼女も甘えるのでは?』
「ふん、アンタなんかに言われる筋合いはねえんだよ!
 人を傷付け苦しめるオブリビオンなんかにな!」
 其の言葉と共にアユムはコントローラーを取り出すと即座に操作。
 其れと同時に現れた腕が操られていた重次を打ち据えんと襲い掛かる。
「――――」
『ふむ、此れはばとるげーまーとやらですかな?
 接近戦は厳しそうですし距離を……「させるか!」……うおっと?!』
 そして、距離を取り狙撃銃による攻撃を行わんとした黒幕に対しアユムは即座に召喚した足で重次の足を足払い、其の侭、腕で掴み投げ、脚で踏みつけ、と重次を逃すまいと怒涛の攻めを行っていく。
 元々、アユムのゲーマーとしての実力はかなりの物、ではあるのだが今のアユムの実力は肩にいるキャンディのユーベルコードの力もあって其処から更に6倍に増加されており、其の動きは正に凄まじいとしか言えない物。
 ついでに言うと暫く経てば昏睡してしまうユーベルコードなのだが、既に寝てるし戦ってるのはアユムなのでデメリット迄消滅しているのである。
「本っ当に……!引きこもりに何やらせてるんだっての……!」
「――――!」
『……っ!此れは、刀を持つ手を……!』
 そして、怒りの叫びと共に彼に召喚された腕が刀を持つ方の手を銃弾を喰らいながらも殴りつけ、更に其れに合わせる様に二つの足が刀を蹴り上げる。
 其の侭、刀は重次の手から離れて宙を舞い、戦闘で半壊した屋敷の畳へと突き刺さったのであった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『異端なる術士西行』

POW   :    素材ともなれん端材共よ、我が身を守る栄誉をやろう
【幾万の犠牲者の遺骸を纏う異形の戦闘形態】に変身し、武器「【錫杖により放たれる雷霆】」の威力増強と、【犠牲者達の嘆きの念に包まれた血と骨の翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    我が願い、我が望み、我が目指す最高の人よ顕現せよ
無敵の【心を除き全てが美しく皆を魅了する最高の体】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ   :    我がしもべ、我が忠臣、黒百合よ我が敵を封じよ
【幾万の犠牲者達の遺骸の素材と成得なかった】【部分を用い作り上げし呪詛に塗れた裁縫道具】【此が変じた狂妖、黒百合が妖糸、糸巻、糸車】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ヴァーリ・マニャーキンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●そして、本当の敵との闘いが始まった。
『よくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!』
「よくも邪魔してくれましたな猟兵共!
 我が理想、我が望みたる究極の人を生み出す、其れを邪魔する等万死に値する行為ですぞ!」
 そう言って刀から漏れ出た継ぎ接ぎだらけの僧侶は手が鋏になった人形を従えながら、そう吠えた。
 おそらくは『撰集抄』にて記述された西行が友を恋しくなった故に生み出したと言われる者、自分を生み出した主の名を名乗り、死した主を慕い、自分が不完全でなくなれば主と又会えるとの思いから狂気に堕ちた其れは死して尚又狂気の行いに手を染める。
 主が心を与えられなかった事を嘆き、彼に心を与え自分に囚われず生きて欲しいと願い眠らせた事も、そして其れゆえに心を持つことが出来た事も知らず、主の想いを踏み躙り続けてる事も自覚せず生きる外道が其処に居た。
「万死に値するのは……貴様の方だ……!
 仇を討たせて貰う!!」
 そして、其の外道に対し猟兵達と共に抗わんとする者が一人いた。
 鈴木重次、彼は家伝の刀と銃を手に立ち向かう。
 少しでも目の前の外道を討ち果たす助けにならんとして―――。
牧杜・詞
そうね、万死に値するのはあなたのほうだし、
だいたい『完璧』なんて息が詰まるだけだわ。
ま、壊れすぎもいいとは言えないけど。

なにより、他人からの借り物をつなぎ合わせただけのまがい物が、
『完璧』になんてなれるわけがないと思うけどね。

そして鈴木重次、さすがは音に聞こえたもののふね。
『その意気や良し』ってところかな。

自らの無念は、その手で晴らしなさい。
助太刀は、相手も人外だし、古来よりの習わしだし、問題ないわよね。

【新月小鴨】を構えて【識の境界】を発動、
西行の攻撃を【武器で受け】て封じさせてもらうわ。
攻撃は【部位破壊】で手足の腱を狙って、行動不能にしていこうかな。

あなたと八丁念仏なら、斬れるはず。


子犬丸・陽菜
はぁ、はぁ、っく…んぅ!
けふ…超近距離射撃のせいで裂けた腹に手を突っ込んで自分で弾を取り出すとか
どこの自分で傷口を縫う海外筋肉俳優よ、まったく…
取り出した血まみれの弾が地面にいくつも、まだ残ってる
内臓もかなり傷ついてるのが手触りで…うっ、んうぅっっ!

怒っているみたいだけどそれは筋違いだよ
外道な行いでもし心を得たとしてそれは本物?
やり方はいくつもあったはず

声が届かないなら終わらせるしかない
あなたの手にかかった人たちのためにもね

宝珠を起動するけど、腹から出る出血とナニか
それを掴み抑えつつ剣を構え、激痛のせいでものすごくどす黒いオーラが出てる

終わらせられるなら、宝珠を全開
力と反動、同時に巻き起こる!



●仇討ちの作法。
「そうね、万死に値するのはあなたのほうだし、だいたい『完璧』なんて息が詰まるだけだわ」
(ま、壊れすぎも良いとは言えないけど)
「っ!来ましたか猟兵よ!我が大願を邪魔した報い、貴様に受けさせ、貴様の髪、素材にしてやりましょうぞ!」
 重次の声に同意しながら顕れた牧杜・詞(身魂乖離・f25693)。
 彼女を観止めた西行は戦闘へと移行。
 その理想とする姿へと変じていく。
『これこそが我が理想!数多の素材を元に生み出した究極の人!完璧なる姿!
 さあ、此の姿へ至る為に素材になって貰いますぞ!』
 其の姿は確かに美しく、詞や重次に殴りかかる速さは人を超え獣の如くしなやかなものであった。
 だが、詞の目には其れは余りにも歪に感じられた。
「他人からの借り物を繋ぎ合わせただけのまがい物が『完璧』になんてなれるわけがないと思うけどね」
『――――!負け惜しみを!!』
 そんな詞の言葉に心の奥底で想っていた図星を衝かれたのだろう。
 西行は詞に向かって錫杖を振るい幾度となく殴りかかるが、詞は涼しい顔で此れを受け流していき、重次の方を向く。
「そして鈴木重次、さすがは音に聞こえたもののふね」
「自分等、あの外道に操られてしまった未熟者。
 そう言ってもらえる資格等ありませんが……」
 西行の繰り出してくる攻撃を詞と共に往なしながら、重次は戸惑いの言葉を返す。
 アース系列の世界と違い、今の彼は未だ若いので其れも当然だろう。
 だが……。
「『彼女』の死を託してくれた想いを無駄にせぬ為に……そうあろうと誓いましょう。
 先ずは奴を……!」
 そう言った重次の姿に詞は満足そうな笑みを浮かべる。
「その意気や良しってところかな。
 自らの無念は、其の手で晴らしなさい。
 助太刀は、相手も人外だし、古来よりの習わしだし、問題ないわよね」
「……っ!ありがとうございます!」
 礼を言う重次に頷くと詞は構えていた打刀とは別の白鞘の短刀を取り出すと其れを抜き放つ。
「……根源を示せ」
『ぬぅ、此れは……?!それ以上はさせませぬぞ!』
 詞に其の侭させては何かが起こると判断したのだろう。
 西行は其の肉体の性能を限界まで出しきって錫杖を詞に向かい振り下ろすが……詞は此れを白鞘の短刀、新月小鴨で軽々と受け止める。
『我が一撃を、究極の人たる我が肉体が放つ一撃を斯様に容易く受け止めるだと……?!』
「言ったはずよ。『他人からの借り物を繋ぎ合わせただけのまがい物が『完璧』になんてなれるわけがない』と」
 己が衝動を開放し屠る者へと変じた詞は己が命が削れていくのを感じながらも表に出さず涼しい顔でそう告げる。
『……っ!認めぬ!認めぬぞ猟兵ぃぃぃっっ!!』
「認めなくても目の前にあるのが現実よ」
『ぐがぁ……っ!』
 そして其の増大したスピードと反応速度を以って西行の手足の腱を斬り裂き、其の動きを封じると銃弾を以って詞の動きを援護していた重次の方へと振り向く。
「あなたと八丁念仏なら、斬れるはず」
「……その想いありがたく!」
『ぐっ!嘘だ!猟兵ですらない者ごときに我が体がっ!
 嘘だっっっっっっ!!!!!』
 詞の言葉に応え重次は西行に肉薄。
 そして、詞によって翻弄され己が理想への僅かな疑念が生じ、其の力が減じた西行の肉体を斬りとばすのであった。

●因果応報
「おのれおのれおのれおのれおのれおのれ!!
 よりにもよって猟兵ですらない人間に!
 我が理想を斬り飛ばす等と!許せぬ許せぬぞ!」
 子犬丸・陽菜(倒錯の聖女・f24580)が戦場に再び立った時、其処に居たのは血に塗れながら激昂する西行と西行を切り捨てた時についた血に塗れた刃を持つ重次であった。
「はぁ…はぁ……っく……んぅ!」
 けふ……と血を吐きだしながら陽菜は己が裂けた腹に手を突っ込み、自分で弾を取り出しながら其の光景を見据える。
(全く、どこの自分で傷口を縫う海外筋肉俳優よ、まったく……)
 彼女の周囲には自分で取り出した血まみれの弾が幾つも散らばっており、内臓もかなりの損傷を負っていたのが手触りで感じ取ることができた。
 痛みは未だ未だ深い。
 だが、やるべき事の為に陽菜は一歩前に出る。
「今度は貴様か猟兵……っ!!」
「怒っているみたいだけど其れは筋違いだよ。
 外道な行いでもし理想を得たとしてもそれは本物?
 やり方は幾つもあったはず」
 この言葉は届かないだろう。
 そう頭の中では理解している。
 其れでも陽菜は声をかけた。
「どんな行いであれ得られるのなら拙僧は構いませぬ!
 黒百合よ!あれを断ち切り、素材と為すのです!」
 だが、そんな陽菜の言葉は振り払われ、西行は己が生み出した操り人形からヤドリガミへと転じ、そして主に従い続け妖に堕ちた者、黒百合を陽菜へと襲い掛からせる。
 其れは西行に付き従い幾万の命を奪い続けてきた手の鋏を陽菜へと振り下ろさんとする。
「……声が届かないなら終わらせるしかないね。
 あなたの手にかかった人達のためにも、ね」
 それに対し陽菜は真っ直ぐに黒百合と西行を見据え宝珠を起動。
 彼女の内臓は激しく掻き回され、弾を抉り出した傷痕からは血とナニかが噴き出していく。
 余りに激しい痛みなのだろう。
 彼女の痛みと連動し禍々しいオーラを纏う刃は凶悪そのもので、彼女は苦痛に表情が歪んでいる。
 そして、其れでも痛みを抑えながら手に持つ拷問剣を構え、黒百合の手である鋏を受け止める。
『――――――――――――――?!!!!!』
「なっ!黒百合が剣に触れただけで?!」
 其の余りの凶悪さ故に彼女の刃に触れた黒百合は跡形残さず消し飛んでいく。
 そして、陽菜は残った西行を見据え告げる。
「あたしの、苦痛の一端……感じてみますか?
 今回はさっきの比じゃない、ですよ?
 ……ん、ぐ、んぐぅっ!!」
「ぐ、が、があああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 其れは最早痛みを通り越した何かであった。
 何故このような痛みに人が耐えられるのか?そんな疑問すら生じない。
 地獄の責め苦ですら此れほどではないだろう痛みが罪人、西行を打ち据え苦しめていく。
「…因…果応……報……あなたが皆に与えてきた心の痛みは此れ処じゃ……ない…わ……」
 そして、陽菜は苦しむ西行に対しそう告げるのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
坊主のナリのわりに暑苦しい奴だな
他人の屍体つぎはぎして人を造るとか罰当たりな事ぬけぬけと
…外道め
おまえ敬愛する主に今の自分を誇れンのか?

鈴木どの
あんたは若いが雑賀の衆で腕利きだ
冷静に粘れば奴をやれる
仇討ち、加勢するよ
…オレも似たよーな事有ったし立ち直るのはそれなり難儀だけど…いや
泣いたり悔いたりすんのは
まずアレを倒してからだな

異形の姿には動じねーよ
【野生の勘/聞き耳/視力】で避け被弾は【カウンター/武器受け/激痛耐性】で弾き凌ぐ
クナイと手裏剣を複数【投擲】し【念動力/追跡】で敵の動きを追い確実に狙って
命中させUCへ繋げる【暗殺】
通常攻撃も【傷口をえぐる】等追撃し鈴木にも攻撃を促す


アドリブ可



●もう二度と繰り返さぬ為に。
「ぐ…ぅ……現状は危機に在り。
 ならば…猟兵共を殲滅して……!」
「……坊主のナリのわりに暑苦しい奴だな。
 他人の屍体つぎはぎして人を造るとか罰当たりな事ぬけぬけと……外道が」
 痛みを抑えながら立つ西行に鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は怒りを込めた目で西行を見据える。
「来たか猟兵……素材ともなれん端材共よ、我が身を守る栄誉をやろう……」
 そして西行の言葉と共に現れしは幾千、幾万の肉や骨。
 生前、そしてオブリビオンになってからの西行が殺めてきた命が其処に在った。
 優しい顔立ちをした老婆が、腕を奪われた赤子を抱く母親が、目をくりぬかれた幼子が……顕れ集い、西行の身体に纏わりつき、異形へと変じていく。
「……っ!何と傷ましい……」
「本当にな……西行と言ったな。
 おまえ敬愛する主に今の自分を誇れンのか?」
 犠牲者の嘆きの念が漂ってくる光景に思わず漏らした重次の言葉にトーゴも同意し、西行へと声をかける。
『あの方は我が身を捨ててしまわれた!
 我が身はあの方の求めに応えられなかったのだ!
 ならば誇れる筈がありますまい!故に拙僧は究極の人とならん事を求めるのだから!』
 だが、それに対しての西行の答えは錫杖から放たれる雷霆であった。
 それに対しトーゴは其の優れた勘によって軌道を見切り回避すると重次へと向き直る。
「鈴木どの。あんたは若いが雑賀の衆で腕利きだ。
 冷静に粘れば奴をやれる。
 仇討ち、加勢するよ」
「ありがとうございます!……彼女を弔う為にも奴を討ち果たさねばいけませんから……!」
 二人が言葉を交わしている間も西行は雷霆を振り下ろすが、トーゴは余裕の表情で此れを回避。
 それどころかクナイを投擲し雷を誘導し重次の回避を援護する余裕迄ある始末。
『貴様等ぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
 そして、そんな光景を西行が快く思う筈もなく、雷霆は更に激しさを増していく。
 だが……。
「感情の侭に動き過ぎている……こんな素人に言い様に操られていたとは……!
 あんな奴に彼女は……!」
「気持ちは判らねえでもないけど、今は抑えとけよ?」
 その雷霆は感情の侭に振るわれている為に余りにも動きが判り易く、素人の其れをトーゴも重次も余裕をもって回避していく。
 其の余りの状態には重次が悔し気に声を漏らす程。
「……オレも似たよーな事あったし立ち直るのはそれなり難儀だけど……いや泣いたり悔いたりすんのは、まずアレを倒してからだな」
「はい!彼女の為にも……此れ以上犠牲は……!」
 そして、二人は反撃を開始する。
 先ず動いたのはトーゴであった。
『むっ!手裏剣ですか。ですが、此の位避けれぬ筈がありますま「避けた程度で安心する辺り本当に素人だな。
 ……降りて隠形呼ぶ細声の糸を辿れや爪月の”……追って貫け隠形鬼!」ぐがぁぁぁぁぁぁっ?!』
 トーゴは幾つかのクナイと手裏剣を投擲。
 其れを西行は其の身体能力に任せて回避するが念によって操作された其れは攻撃を避けた事で嘲笑う表情を浮かべていた西行の背後に命中。
 禍言の込められていた其れは異形の鎧を貫いて西行本体を刺し貫いていく。
『ぐぅっ!何だ此れは……痛みが我が身を駆け巡って!!貴様、毒でももったのか!』
「ふん、教える訳ないだろうが!……鈴木どの!」
「はい!」
 そしてトーゴは毒による痛みにより動けず蹲る西行に容赦なくクナイや手裏剣の雨を降り注がせ傷口をえぐり続け、更に重次も純団によって其れに続いていく。
『おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれええええええええええええええええええ!!!』
 そして、西行の叫びが其の場に響き渡るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラモート・レーパー
「完璧ねぇ……」
 お姉さんの姿で挑む。
 正直なところ、『共有の姿』としての自分としては西行の目的などどうでもいい。自分を正義の味方だと思っていないし。それに完全なものなど出来るわけもない。例えできたとしてもそれで満足するわけもなく、その上を目指す人の性があるのだから。
けれど『サムライエンパイア(真の姿)』としての自分であれば話は変わってくる。この国を良くするのが願いであり役目である以上それを乱す者は許さない。それが死装束の剣士の役割なのだから。



●恨みは尽きぬ。
「完璧ねぇ……」
 そう17~18歳頃の先程と同じ姿で挑むのはラモート・レーパー(生きた概念・f03606)。
 彼女が言う所の『共有の姿』としての彼女は西行の目的に対してどうとも思っていなかった。
 その行いが悪逆非道である事も其れがどれだけの犠牲を出すかも理解しているが、彼女は自分を正義の味方と思っていないし、そもそも完全なもの等出来る訳がないと想っていた。
「たとえ出来たとしてもそれで満足するわけもなく、その上を目指すのが人の性だしね」
 ましてオブリビオンである以上、此れで十分等と満足する事等まず無いだろう、と言う事を彼女は知っていた。
「けれど……『サムライエンパイア』としての自分であれば話は変わってくる」
 其の言葉と共に彼女の姿は変貌。
 身に纏うは死に装束。
 編み笠らしきものを目深に被り、腰には二本の刀を差して尻尾らしきものが生やした状態。
 彼女曰く、死に装束の剣士の姿が其処に在った。
「この国を良くするのが願いであり役目で在る以上それを乱す者は赦さない。
 それが死装束の剣士の役割なのだから」
「……っ!この前の女ですか!」
 其の言葉と共にラモートは刀を振るい西行へと斬り掛かる。
 其れを西行は使役する己が配下、黒百合に受けさせるが其の膂力は凄まじく、受けきれずに吹き飛ばされていく。
「ちぃっ!ですが未だ未だ黒百合と其の姉妹は呼び出せますぞ!」
 其の言葉と共に別の人形を呼び出すがラモートは其れを冷徹な眼差しで一瞥。
 其の侭、刀を手に宣言する。
「死者の怨みは底を知らず、望みを果たせど鎮まること無し。
 汝の殺めた死者の怨み、存分に味わうと良い」
「ぐっ……!何だ、此れは!」
 其の言葉と共にラモートは西行を斬り裂き、其れと同時に西行の身に『ナニカ』が纏わりついていく。
 其れはラモートによって齎された怨み籠った呪いであり、其れを呼び水に顕れた犠牲者達の嘆きと怒りであった。
「ぐっ!此れは目を奪った娘か?!
 貴様の目は美しかったのだから只生きるよりも究極の人の素材となる方が善き事でありましょう!
 貴様が婚姻するという男は素材として不適格故殺さないでおいたのを恩にも思わず、纏わりつくか!!」
 そんな自分勝手な言葉を吐けば死者は更に怒りを増して其れに伴い力も増していく。
 そして、其れを繰り返し、時間が経っていけば経っていく程に死者は、彼等の怒りと嘆きと怨みと呪いは増えていくのであった。
「っ!貴様等に堕とされはせぬ!拙僧は究極の人を……!」
「本当によくも此処迄殺めたものだな……」
 死者に群がられ地獄に引きずり落とされそうな西行の姿にラモートは呆れたように一瞥するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シィエー・スミス(サポート)
 ブギーモンスターの魔女×ビーストマスター、68歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、嘘をつく時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
 鹿(エルク)の魔女。全身を白い布で隠しており、ブギー・ブギーフェイス時以外は極端に脱ぎたがらない。とある神の信者もしくは化身、そのもの。真実は不明

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●混沌の妻。
「未だだ……拙僧は……」
「……本当に哀れな子、ね」
 そう足掻く西行を一瞥し憐れみの言葉をこぼしたのは白き布に全身を包んだ女性、シィエー・スミス(エルクの魔女・f31366)であった。
 究極の人たらんと求めたのは心を得た直後に主に見捨てられたと思い込んでしまい、心あるが故にその想いに囚われ続けた。
 その行いは決して赦されぬ外道であるが、シィエーには西行の姿が親を探し求める迷い子の様にも見えたのだ。
 だが、其の憐れみこそが西行を最も追い詰めるものでもある。
「拙僧を憐れむな!……『拙僧は究極の人となり主に認められるのだ!!』」
 そして西行は己を理想とする究極の人の姿へと変貌する。
 だが、それは今までの戦いによって信じる思いが綻んだモノ。
 故に其の姿も不完全で究極とは言い切れぬ姿であった。
 それでも自分に向かってくる西行にシィエーは静かに言葉を紡ぎ続ける。
「アナタは最初から捨てられていないし、最初から大切に想われていた。
 だからこそ、アナタの主は眠りに就かせたのでしょう?
 ……それはアナタが望んでいない心を与える為の行為ではあったけれど」
『黙れ黙れ黙れ黙れだまれえええええええええええええええええええええええええええ!!!』
 心の奥底では理解していただろう、けれど理解したくない事を指摘された西行はシィエーへと錫杖を振り下ろす。
 だが……。
「――人を彼方へ」
『な、何だ!拙僧の錫杖に全く感触が!!?』
 シィエーの呼びかけと共に現れた其れは名状しがたい存在であった。
 顔のない円錐形の頭部をもち、触腕、鉤爪、手が其々己が意思を持つかの様に好き勝手に伸縮する。
 形の定まらない肉の塊であったかと思えば、炎を噴きだす三つの目を持ち黒い翼を有する闇にも見え、かと思えば貌のない頭にネメス飾りと蛇型印象、体は獅子で羽を生やした顔持たぬスフィンクスへと変貌する。
 そんな存在が西行の錫杖を受け止めたかと思うと其の侭、シィエーと混ざり合っていくのであった。
 其れは嘗てシィエー、彼女の嘗ての名、神性と思しき女神が彼の混沌に庇護された事の再現であったのだろうか。
 其の名が在る魔術師が彼女の神官達から魔術を以って逃げた星、彼女から存在を奪った蟾蜍が来た星の別名であるのは何かの皮肉か。
 何れにしても其れは彼女の中の何かを消費しながら、彼女を『ナニカ』へと変貌させていく。
『何なのだ!何なのだ貴様はっ?!』
「さあ?けれど、此の布の中に隠した真の姿を見た者は……私の事を『獣(エルク)の神』と呼んでいたわ」
 其の言葉と共に彼女は己の、そして一説によれば彼女の夫ともいわれる混沌の神性を西行へと振り下ろす。
『……ああああああああああああああああああ!!!!
 ―――――――――――――――』
 そして、其れは西行を絶望すら生ぬるい地獄へと堕とすのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クレア・フォースフェンサー
最高の身体を得んがために幾万もの命を殺めてきたというのじゃな
正直に言うが……お主、才能がないのう
その継ぎはぎだらけの身体を見て、美しいと思う者などおらぬであろうよ
そも、己が心の醜さに気付かず、外面の美しさだけを求めておるのがなんとも滑稽じゃな

などとオブリビオンのお主に言うても無駄であろうな
お主に殺められ、今尚お主の身体として貶められている者達を解放させてもらうぞ

UCの力を込めた光剣で雷霆を捌きつつ接近し、両断する
空へと逃げるようならば、光弓で仕留める

鈴木殿、まだ終わってはおらぬぞ
あやつはヤドリガミ、先程の僧侶の身体は仮初の物に過ぎぬ
――ほれ、あの人形こそがあやつの本体であろうよ



●そして刃を以って討ち倒されん。
「はぁ……はぁ……未だだ拙僧は……!」
「やれやれ、素直に倒されて居れば良いものを……」
 地獄へと叩き落とされ狂気の地獄に陥りかけた西行の前に最後に現れた猟兵、クレア・フォースフェンサー(UDCのエージェント・f09175)は西行の執念に呆れた様に声をかける。
 無論、決して油断する事無く光の刃を構えながら、であるが。
「そも最高の身体を得んがために幾万もの命を殺めてきたというが……正直に言うが、お主才能がないのう。
 その継ぎはぎだらけの身体を見て、美しいと思う者などおらぬであろうよ」
 そも己が心の醜さに気付かず、外面の美しさだけを求めておるのが何とも滑稽じゃな、等とクレアは西行に向かい言い放つ。
「……ああ、そうだろうとも!
 人の死体によって造られた我は人に姿は似ているが血色は悪く、声は出るも笛の様、心も持たぬ存在であった!
 故に我が身は、拙僧は主に、義清様に捨てられたのだと!」
 我が身が醜い事は判っていると、だから再び捨てられぬ為に究極の人を産み出すのだ、と西行は心の底からの叫びを言い放つ。
 素材ともなれん端材共よ、我が身を守り、目の前の敵を討ち倒せ!
 そう言って西行は犠牲者達の遺骸を其の身に纏い変貌。
 其の背には血と骨の翼を持ち、其の手に持つ錫杖は雷霆に包まれた異形が其処に在った。
『があああああああああああああああ!!!!』
 そして、叫びと共に西行は雷霆をクレアに向かい振り下ろしていく。
「ふむ、既に自身の身体に手を入れて居ったと思うていたが、幾万殺して未だに一体目の完成にも至っておらなんだとは、才能以前の問題であったか」
(此の言い草からして、あの体は自前の物、か。
 つまり、こやつホムンクルスの類いのヤドリガミじゃな)
 本来ならばヤドリガミになる筈もなかろうが、奴の作り手が何らかの細工を施したと見える。
 怒りの侭に振るわれる西行の雷霆を其の卓越した技量と光の刃を以って捌きながら、クレアはそう冷静に分析。
 其の侭、只静かに雷霆を刃で打ち払いながら西行へと向かっていく。
「……オブリビオンのお主に言うても無駄であろうが……お主に殺められ、今尚、究極の人とやらの素材とされ貶められている者達を開放させてもらうぞ?」
『殺ッ――――――!』
 そして、悠然と己に向かってくるクレアに西行は雷霆の嵐を降らせ対抗するが、クレアは余裕の表情で歩み寄っていく。
『ちぃっ!ならば距離を取って……っ!』
 それに対し西行は距離を取ろうと空へ逃げようとするが……。
「させ……るかっ!」
『ぐっ……貴様、未だ拙僧の邪魔を……っ!』
 西行の隙を伺っていた重次の銃弾が西行の翼の付け根を撃ち抜き、飛び立つ西行を妨害する。
「猟兵殿……っ!……今です!!」
「ああ、心得た……!」
 そして、其の隙を歴戦の戦士たるクレアが見逃す筈もなく、瞬時に西行に肉薄。
 光の刃によって西行を一刀両断で切り捨てる。
『未だ…だ……私は……あの方に……今度こそ、捨てられず……に……』
 真っ二つに斬り裂かれた西行は其れでも尚足掻かんとし……何も出来ずに消えていく。
「滅びた、か。
 ……すまぬな鈴木殿、其方に仇の首取らせてはやれなんだ」
「何を仰いますか!あなた達のお陰で自分は彼女の想いを踏み躙る事無く仇を取る事が出来たのです……!
 そう、仇を……!」
 クレアの言葉に重次はそう返すが、長く生きた彼女にとって彼が自身の感情を抑え込んでいるのは手に取る様に感じ取れた。
「……しかし、流石に戦闘が続いただけあって、聊か屋敷が破壊され過ぎておるな。
 帰る前に片付けもしておく故、鈴木殿はゆっくり休まれるが良い」
「いえ、恩人にそんな事を任せる訳には……!」
 クレアの言葉に重次は其れを止めようとするも、クレアは逆に其れを手で留め……。
「まあ、力は在れど武の道に邁進してきた粗忽者故、音も立とう。
 それこそ、人が泣いても誰にも聞こえぬ位に、の?
 ……当主として強く在るのは大事じゃが……時には泣く事も必要ぞ?」
 そう言ってクレアは重次に背を向ける。
 大切な者を喪った少年の慟哭に送られながら―――。

●幾十年、いや百年先に在るかもしれない未来……。
 その日、男は一人、嘗ての護れなかった過去を想い、一人静かに月を見上げていた。
 手には想い人であった鋼を鍛えなおした己が誓いたる守り刀。
 当主であった頃は忙しくも在ったが、既に養子にした従弟の子に当主の座を託し引退して幾十年。
 流石に自分の助力など必要ない様になった以上、彼が働く必要など全くない。
「……『 』……儂はお主に誇れる者であったじゃろうか」
『ええ……貴方は私の誇りですよ重次さま』
 そう零した言葉に聞こえる筈のない声が耳元へと囁かれる。
「……『  』?!」
『ただ、結局、結婚しなかった事は怒って良いのか喜んで良いのか判りませんけど。
 ……只今戻りました重次さま……』
 そう言って悪戯っぽく笑う想い人の姿が其処に在った。
 ヤドリガミは百年大切に扱われた物が成るという。
 そして、彼女が打ちなおされてから今日で百年経っていた。
「ああ、ああ……お帰り『  』……!」
 理屈など判らない。
 だが、目の前にいる少女と再び出会えた事に男は唯々涙を流すのであった……

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月22日


挿絵イラスト