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激走☆白鳥の湖

#デビルキングワールド #スワンボートレース

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#デビルキングワールド
#スワンボートレース


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●白鳥の湖
 デビルキングワールド内でも有名な大きな湖――シュヴァーン湖。
 そこには沢山の白鳥が居る。
 ニュッと長い首は優雅に曲線を描き、麗しい姿で湖面を滑べるように泳いでいく。
 愛くるしい瞳は気高さを兼ね揃えながらも、愛嬌を振りまいて人々を魅了する。
 誰しもが優雅に泳ぐさまが見たいと思う美しき白鳥たち――

 ――まあ、全部スワンボートなのですが!

 おぉっと、追い上げる三番手コーナー回った!!!!
 迫るは黄色! いや、金だ! 金色だ! ゴールデンスワン!!
 早い早い早い早いはやーーーーい! 正に疾風迅雷!!
 このまま最後まで逃げ切ってしまうのか!?
 い、いや。まだだ、後方から薄氷色のスワンが……っ
 早い、早い! 素晴らしく早い追い上げだ!!
 早い、早いぞ、デビルクイーン号! ゴールデンスワン号逃げ切れるか!?
 ……――ゴォォォォォォォル!!!
 優勝を勝ち取ったのは『こおりのあくま』のデビルクイーン号か!?
 それとも、ゴールデンスワン号か!?
 ……どうでしょう、解説のワタナベさん。
『そうですねぇ。これはカメラ判定でないと難しいところですね』
 矢張りそうですか。……勝つのは誰だ!?
 デビルクイーン号か! ゴールデンスワン号か!
 あ、判定が出たようです。
 優勝は――こおりのあくまー!! おめでとう、こおりのあくま!
 会場の皆様! 熱い拍手をこおりのあくまへ!!

●星の導き
 物珍しげにグリモアベース内をキョロキョロと眺めていた白い娘が、ハッと気付いたように背筋を伸ばした。
「みなさん、はじめまして。そしてごきげんよう。わたくしはエステレラ・ピスカピスカ。いずれデビルキングとなりデビルキングワールドのすべてをしょうあくするまおうのなかのまおうです!」
 魔王たる者、何時如何なる時も優雅たれ。裾をちょんと摘んで綺麗にお辞儀をしてみせたエステレラ・ピスカピスカ(ぜったいくんしゅ・f31386)は、「おはなしをきいてくださるかたですよね?」と首を傾げた。
 そうして語るのは、デビルキングワールドの人気スポーツであるレースの話。
「スワンボートレースにでてほしいのです」
 出場ボートは全てスワンボートのレースだ。スワンボートとは、UDCアース等にある大きな池を有する公園で見られる、足漕ぎのアレである。
 『春風杯』と名付けられているこのボートレースは、この湖で一年に一度、湖の氷が溶ける頃に行われる。このレースはテレビ中継されており、涙あり、ドラマあり、小細工あり、裏切りありの、デビルキングワールド民待望の感動スペクタクルである。
 要は注目度がとても高い。
 これに優勝する、即ち知名度が高まり悪魔達の支持を得ることが出来る。イコール、デビルキングへの近道! なのである。
「『こおりのあくま』さんというかたがゆうしょうするのをそししてください」
 こおりのあくまはデビルキングワールドの住民ではなく、オブリビオンだ。他の人が優勝する分には良いが、オブリビオンに優勝させる訳には行かない。ノリノリでワルいことをこなせてしまうオブリビオンは既に支持率が高くファンがいっぱいいる。このまま知名度を上げさせては、デビルキングになってしまう。それだけは絶対に、阻止! せねばならないのだ。
「ルールはかんたんです。よーいどんでスワンボートをこいで、みずうみをまわっていただきます。ぼうがい、ユーベルコード、なんでもだいじょうぶです」
 こおりのあくま以外の参加者は一般人だが、デビルキングワールドの一般人こと悪魔たちはとーっても強い。ユーベルコードをぶつけられても死ぬような事故にはならないのだ。
「ほんとうはわたくしがさんかをしてちめいどをあげたいのですが……わたくしはボートをこぐのがにがてで……」
 シュンとしょげた顔で、エステレラは下半身を見る。良い子であればあるほど下半身が凶悪な姿をしているラスボスという種族の彼女は、ボートどころか……歩くのも走るのも飛ぶのも苦手だ。
「ですから、みなさんにはわたくしのかわりにそししてきてほしいのです。しょうらい、デビルキングになるのはわたくしです! オブリビオンにぎょくざはわたさないのです!」
 グッと力を篭めて王笏を握ったエステレラは、王笏を振り振り、ゲートを開く。
「あっ、そうでしたそうでした。みなさんをおおくりするのはレースのぜんじつになります。パーティみたいなのをひらいてくださっているようなので、ぜひたのしんできてくださいね!」
 前夜には会場前のホテルにて懇親会が開かれる。夜遅くまで皆でワイワイと楽しく過ごし、選手同士健闘を称え合ったり、喧嘩せずに仲良くレースをしようね、の会であるが――エステレラは気付いていないが、実は罠だ。レースは早朝から開会式が行われ、開会式に参加して最終エントリー受付を済まさねば失格となる。いつも早寝早起きの良い子生活を送っている悪魔たちは、寝る時間が遅くなると翌日寝坊する確率が高くなってしまうのだ。そのため、毎年何人もの選手がそうして密やかに脱落していっていた。
 つまり、レースは既に始まっているのだ……!
「それでは、よろしくおねがいするのです」
 キラキラと星を輝かせ、エステレラは綺麗に淑女の礼を取った。


壱花
 エステレラに初案内させるために、デビキン出張しにきました。
 白鳥の湖、良いですよね。スワンボートですが。

●シナリオについて
 グループでのご参加は【1章:4名まで】【2・3章:2名まで】
 変則的で申し訳ありませんが、ボートは二人乗りです。1章で【四葉】だったグループが分かれる際に2章のグループ名が【四葉A】【四葉B】等になって居た場合、余力次第で同時に描写する場合もあります。

 受付・締切・再送等、TwitterとMS頁、タグにお知らせが出ます。
 送信前に確認頂けますと幸いです。

●順位
 シナリオの最後にレースに参加された方全員の順位が発表されます。
 こちらの順位は、『皆さんの使用UCの命中率/わたしのダイス+工夫等のプレイングボーナス』で出そうと思っています。2章と3章の両方に参加された方は、良い方の数値を集計で使用します。
 使用しない場合でもUCの指定をお忘れなく。
(無かった場合、参加者の一番低い命中率に合わせます。)

●第1章:懇親会
 断章を参照ください。
 懇親会ではご馳走やお菓子、会話が楽しめます。少し顔を出して部屋に戻るも、眠気に抗い続けるも、徹夜も悪事もご自由に。
【プレイング受付は、3/9(火)朝8:31 ~ 3/11(木)23:59までです】

●第2・3章:ボートレース
 スワンボートの色と名前を教えて下さい。彩色・デコOK
  ※例:🦢 白【白銀に輝きし白鳥号】
 頭に🦢を付けてくだされば、ボートのことだなと察します。
 また、ボート名を連呼すると文字数がキツイ場合、都度🦢を入れて頂ければ同様に。

・2章
 朝6時くらいからボートレースが始まります。
 春風杯自体の流れとしましては、最終エントリー&開会式(6時)レース開始(8時)閉会式(14時)となります。
 レース開始からでも、開会式でねむねむからでも、ホテルで大慌てで起きるところからでも、ご自由にプレイングを仕掛けてください。

・3章
 レース終盤、こおりのあくまがずるい手段で途中乱入してきます。
 レースから脱落する事無く、オブリビオンを倒し、ゴールしましょう!

●迷子防止とお一人様希望の方
 同行者が居る場合は冒頭に、魔法の言葉【団体名】or【名前(ID)】の記載をお願いします。
 また、文字数軽減用のマークをMSページに用意してありますので、そちらを参照ください。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『夜更かしは罪の味』

POW   :    日付変更まで起きている

SPD   :    夜中までワイワイおしゃべり

WIZ   :    深夜のおやつ美味しいな

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●朝まで騒ご!
 美しく広大なシュヴァーン湖。
 その畔にいくつか建つ別荘やホテルたちはどれも白を基調としており、訪れた客たちを客室からの景色で魅了する。遠くに見えるホテル等もまた、景色の一部。どれも美しく溶け込めるように計算されたデザインだ。
 中でも一番大きく優美なホテル『ロイヤル・スワン』は、客席や開会式を行う会場のある大会本部から一番近いホテルだ。そして、参加者のための宿泊場でもある。

 レース前夜――。
 ロイヤル・スワンの大広間『白鳥の間』では、綺羅びやかなシャンデリアの下、大会参加者たちのために懇親会が開かれていた。
 贅を尽くした料理は摘みやすくされ、キラキラとした甘いプティフルールがビュッフェスタイルのテーブルを飾る。飲み物はジュースからお酒まで、好きなものをドリンクバー、もしくは給仕かバーテンダーに告げれば用意してもらえる。
 参加者は話題に花を咲かせ、時間を忘れてこのひとときを楽しむ。明日の大会への意気込みを語り合ったり、同じ趣味を持つ者たちと肩を組みながら、いつもなら寝ている時間に食事をしたり起きているという大罪の味に酔いしれている悪魔たちも多い。ああ、今すごく、ワルいことしている!
 懇親会会場担当者を含む最後の一人が眠ってしまうまで、大広間の灯りは落とされない。

 瞼が重くなってきたら、割り当てられた客室で休んでもいい。
 少しだけ顔を出して部屋を休むも、限界まで楽しんでから休むも、自由だ。
 そうして一人、また一人、大広間から姿を消していく。――しかし、向かう先は客室だけとは限らない。
 こっそりと大広間から抜け出して、向かうのは――。

 明日のレースの為に飾り付けられたレース会場、そのスタート地点付近。
 月明かりが優しく微笑む中に、密かに動き回る影が見える。
 ――大会参加者だ。
 スワンボートの前で何やらゴソゴソと作業をして、満足したら帰っていく。
 これはどうやら、他参加者のボートへ細工を仕込んだようだ。……違反? いいえ、ワルいことは正しいことなので、当大会のルール違反には当たりません。
 命を奪ったりしないような小細工や、相手の戦意を削ぐ悪戯を!
 繰り返すが、レースは既に始まっているのだ……!
真白・時政

カラスくん(f13124)と

見て見てゴチソウがたァ~っくさん!
こんな時間にお腹イッパイ食べちゃうのってとってもワルだよネ!

ウサギさんはやっぱりスイーツが食べたァい!
どれもオイシソーで目移りシちゃう!
カラスくんはステーキ?ローストビーフ?
アハハ、オイシソーでヨカッタ、ヨカッタ
アマくてカワイーモノはウサギさんに食べて貰うためにあるからネ!
お腹イッパイ食べれてマンゾク、マンゾク!

ワルくなきゃいけないカラ、イタズラシちゃお
ウサギさんはねェ~、粘着性の高い透明なスライム持って来たヨ
足元に見えないヨーニ置いといてェ~
乗ろうとシたら足がくっついて取れなくなっちゃうの!
どォやって席に座るンだろォねェ~んフフ


ヤニ・デミトリ

ウサギさん(f26711)と

仕事で豪華な飯も食えるのマジ最高ですね…
ローテーション組んで一通り食いたいっス、ワルなので
明日の体力の為には必要な事ですからッ

好き嫌いないスけど、やっぱ最初は肉からかな
贅沢な肉は贅沢な味がするっス…おいしい
ウサギさんはホント甘いもん好きっスねえ
向こうのやつもチェックしました?
そんだけ美味そうに食ってりゃスイーツも本望そうっス…

さて、ワルなのでちょっと寄り道して戻りましょう
フ、勿論ただ飯食いに来た訳じゃないっス。まあほぼただ飯食いに来たんスけど
召喚した屑鉄の犬を一匹自分達のボートに潜ませておきます
監視も兼ねるけどこいつの出番はまた明日
それまで良い子にしてるんスよ




 キラキラとシャンデリアの輝くその部屋には、キラキラと光りを反射するスイーツにオードブルたち。食べやすく、そしてお洒落にすまし顔で鎮座して、手に取られる時を大人しく待っている。
「見て見てゴチソウがたァ~っくさん!」
「仕事で豪華な飯も食えるのマジ最高ですね……」
 ビュッフェテーブルを見たふたりの視線は別々の場所にあるが、ふたりの気持ちはいっしょ。『美味しそう』だ。
 マッシュポテトが添えられた一口サイズのステーキ、クレソンがちょこんと乗ったローストビーフ、程よい焦げ目を付けたフォアグラ――美味しそうな肉料理に視線を向けるヤニ・デミトリ(笑う泥・f13124)の傍らで、真白・時政(マーチ・ヘア・f26711)の視線はその向こうにあるカルパッチョやマリネ、ジェノベーゼを飛び越えて、色鮮やかな甘味たちへと向けられている。
 遅い時間に美味しいものをたくさん食べてしまうのも、好きなものだけ選り好みして食べてしまうのも、全部ワルいこと! けれどこの世界ではワルいことはドンドンしましょうの精神だし、明日のレースのためにも体に栄養を与えるのは必要な事である。こんな時間に食べちゃうなんて……とソワソワしている悪魔もいるが、時政とヤニは食べたいものを食べるべく、流れるような動作で大皿を手に取った。
「どれもオイシソーで目移りシちゃう!」
 なんて口にしながらも、時政は真っ直ぐにスイーツゾーンへと向かっていく。
「ウサギさんはホント甘いもん好きっスねえ」
「アマくてカワイーモノはウサギさんに食べて貰うためにあるからネ!」
 白い生クリームの上にイチゴは可愛いし、くるんと丸まったチョコがついたケーキも可愛いし、キラキラゼリーの乗ったパンナコッタも可愛いし、チョコレートの悪魔羽を生やしたデビルロールケーキもとーーっても可愛い! あれもこれも、全部欲張って載せちゃうなんて、とってもワル!
「カラスくんはステーキ? ローストビーフ?」
「好き嫌いないスけど、やっぱ最初は肉からかな。……一通り食うッスけど」
「ウサギさんはアマいのばっかでイイかなぁ」
「偏食もワルですね」
「そそ、ワルだよネ!」
 大きなお皿にたくさんの美味しいものを乗せたなら、それだけでふたりは満足そうな顔をして。早速フォークを握りしめた。
「贅沢な肉は贅沢な味がするっス……おいしい」
「アハハ、オイシソーでヨカッタ、ヨカッタ」
 ウサギさんのスイーツもとってもおいしかったヨ!
 沢山の甘いものをパクパクパクっと食べて、今度は気に入ったスイーツだけで皿を埋め尽くして。それもパクパクと美味しそうに食べたなら、ウサギさんはマンゾク、マンゾク! とても美味しそうに食べたから、きっとスイーツたちも本望だっただろう。
「お腹イ~ッパイ!」
「さて、部屋に戻る……前に、ワルなのでちょっと寄り道して戻りましょう」
「サンセイ、サンセイ!」
 食後の悪事は食後の運動だ。
「フ、勿論ただ飯食いに来た訳じゃないっス」
 まあほぼただ飯食いに来たのだが。
 ちょっぴりワルっぽい顔で笑って、ふたりが向かう先は夜の湖。月光がキラキラと降り注ぐ湖は結構ロマンチックだからか、人影がいくつか見える。――何やらゴソゴソと細工をしているように見えなくもないが、きっと気の所為だ。
「ジャ~ン!」
「なんスか、それ」
「粘着性の高い透明なスライムだよ~。これをねェ、ここにこォしてェ……」
 誰かがボートに乗り込むであろう位置へ、こっそりとスライムを置いておく。こうしておけば、乗ろうとしたら足がくっついて取れなくなり、席に座ることは叶わない。
「ウサギさん、ワルっスねえ」
「んフフ!」
 なんて言いながらも、ヤニも召喚した屑鉄の犬を自分たちのボートへ潜ませる。この犬の出番はまた明日だが、他の人が自分たちみたいにワルさをしないようにの監視も兼ねて。
「明日が楽しみだネ!」
「良い子にしてるんスよ」
 ヤニに頭を撫でられた犬は大きく尾を振って、ホテルへ戻っていくふたりを見送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
【蒼空】


すごくおいしかったねえ
ちっちゃいからいっぱい食べれるっ
飲み物を手に外へ
よふかしだ、たのしい

でもリュカとはいつも星空を見てるから
いつもどおりって感じもしてうれしい

ここで明日レースをするんだね
スワンボートにのるの、はじめてっ
リュカは?
わ、いいね
ちょっとのっちゃおうっ

だいじょうぶ、しずまないよっ
しずんじゃってもほら、シャボン玉で飛べるし
得意げにガッツポーズ

デコデコしていいっていってたけど、どんなのにしよっか?
やっぱり星空?
リュカのすきな空みたいにね
黒だけじゃなくて、青とか、天の川とかつくるっ
あとくじらさんにー…
リュカのすきなものでせいざつくるからね
ふふ、まかせてっ

ん、あれ?
だれかいたような


リュカ・エンキアンサス
【蒼空】
ん、いろいろ頂きました
後はそうだね、騒がしいのは苦手だから……ボートでも眺めながら夜更かししてこう
つまめそうな料理と飲み物をいくつかいただいて外へ

俺もさすがにスワンボートは初めてかな…
折角だからちょっと乗り込んで見学でもしていこうか
これ、途中で穴空いたら沈みそう…
あ、そうか。じゃあいざというときは任せた

……
デコか
俺には、よくわからない
星空にするなら、まず黒く塗るところかなあ…
案外その方が目立つかもね
何。描きたいものある?
あるなら、任せます

なんておしゃべりをしつつ
不審者がいても自分の使用予定のボートに影響がなければ放置
や、まあ、大丈夫でしょう。たまにはゆっくりするのも悪いことってことで




 キラキラな空間でキラキラなご飯はなんだかとても胸がいっぱいで、心をふわふわとさせながらオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は飲み物を貰いに行こうとリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)を誘った。
「すごくおいしかったねえ」
「ん、いろいろ頂きました」
 言いながらもまだ摘めそうな料理をいくつか皿に乗せたリュカは、騒がしいのは苦手だからと前置いて。
「ボートでも眺めながら夜更かししてこう」
 夜更しのお誘いに、オズもふたつ返事で笑う。夜更しはワルいことで、ワルいことは楽しい。リュカとはいつも星空を見上げて夜更ししているけれど、いつもどおりなのも、楽しくてうれしいことだから。
 外に行くという会話を聞いたドリンク担当のスタッフが、プラスチックの容器にカップシーラーで蓋をしたドリンクを差し出してくれる。リュカには珈琲と、オズには黒真珠みたいなもちもちが沈んでいる甘い飲み物だ。
 湖の氷は溶けても、夜はまだひんやりと冷たい。外へ出れば頬を撫でる冷たさに、やっぱり夜は寒いねえなんて笑い合って、明日のレース会場へとブーツの先を向けた。
「ここで明日レースをするんだね」
 夜の湖は真っ暗で、黒くて大きい水がちゃぷちゃぷしていることしかわからない。けれどきっと日が差せばとても綺麗なのだろうと想像が出来て、オズは楽しげに笑ってリュカを見る。
「スワンボートにのるの、はじめてっ。リュカは?」
「俺もさすがにスワンボートは初めてかな……」
 黒い湖に、今は静かに羽を休めているスワンたち。お揃いの首が、ニュッニュッと綺麗に整列しているのを見るのはちょっと楽しくて。だからかな、ちょっとした悪戯を思いつく。
「折角だからちょっと乗り込んで見学でもしていこうか」
「わ、いいね。ちょっとのっちゃおうっ」
 夜の湖で、繋がれた無人のボートに乗り込む。それはとても、ワルっぽい。
 初めて乗り込んだスワンボートは、普通の船とはちょっと違う。何だかとても頼り無さそうに見えるし、底もちょっと薄そうじゃない? 途中で穴が空いたら沈みそうだと靴の踵でコツコツとスワンボードの船底を叩いてみたりした。
「しずんじゃってもシャボン玉でとべるし、だいじょうぶっ」
「あ、そうか。じゃあいざというときはお兄さんに任せた」
「まかせてっ」
 満面の笑顔とガッツポーズをしてみせれば、頼もしいねと返ってくる。
 夜の湖に浮かぶスワンボートの中に、ふたり。切り取られた世界が窓枠みたいで、ゆらゆら揺れる隠れ家みたい。ふたりの口から溢れる話題は、本日の隠れ家たるスワンのこと。
 どういいう風にデコろうか? 色は? 装飾もつけちゃう? シルクハットとかつけれるのかなぁ。楽しげに口にするオズと、そういうのは疎くてよくわからないリュカ。
「やっぱり星空?」
 星空は、リュカの好きな空だから。
「星空にするなら、まず黒く塗るところかなあ……」
「黒だけじゃなくて、青とか、天の川とかつくるっ。それからねせいざをかいて、あっ、あとくじらさんに――……」
 あれもこれもと描きたいものを思い浮かべるオズの指は、ふたりの思い出の数だけ折られていく。そんな彼を、リュカは静かに見つめる。
「そんなに?」
「うん。リュカのすきなものでせいざつくるからね」
 描くのは任せてとまたガッツポーズをしてみせるオズに任せますと口にして、リュカは持ってきたローストビーフを口へと運んだ。湖の上で何かを食べるなんてちょっと不思議で、やっぱり少しワルいことをしている気分だった。夜の気配は気持ちよくて、あまり表情には出ないけれどおしゃべりも楽しくて、瞳に浮かぶのは穏やかな感情の煌めき。
「ん、あれ?」
「どうしたの?」
「いま、だれかいたような」
「……気のせいじゃない?」
「そうかなぁ」
 リュカにも確かに人影は見えたけれど、ふたりの楽しい時間に水を注されるのは嫌だから、自分たちが明日使うボートに影響が無さそうならいいかとスルーを決め込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ファルファラ・ガーデンニア
♢♡
この間の依頼が成功したから今度はこの依頼?
まったく自分達の魔王様の事をなんだと思ってるんだ…そんなんだから四天王の1人もいないとかほんと冗談じゃない。

まぁ、スワンボートレースは配下の子にも好きな子は多いし物見遊佐的になら行くのも良いかもしれないけれど。
個人的には懇親会で食べられるご馳走は惹かれるところはあるしゴリゴリに勝ちに行かなければ面倒なことも無いだろう…

【誘惑】と【言いくるめ】で面倒な話題になってもスマートに回避。僕は自分の好きなものを好きなだけ食べるしお酒も好きなだけ飲む。

いい子な参加者達が寝静まった頃にこっそりとスワンボートに『種』を仕込む発芽するのはレースの時だ。


仇死原・アンナ
♢♡

でっかいホテルだなぁ…
甘い物とかジュースとかなんだか色んな物が沢山あるね…
美味しそう…だけど…ここは我慢して…あそこに向かおう…

【オキビ・ファイア】を用いて
休眠せずに徹夜してしまおう

レース会場、スワンボートの側で
[目立たぬように闇に紛れつ]隠れて寝ずの番をしよう
ボートに小細工を仕掛けるような不届き者が現れたら
拷問具を見せつけながら[殺気を放ち恐怖を与えて]追い詰めよう
手加減しながら痛めつけて気絶させようか
そうして寝坊により失格させてしまおう…
ライバルも減ってちょうどいい…ゆっくりお休み…

さてと…
周囲に不届き者がいないのを確認したら
他のボートの底にこっそり穴を開けて水浸しにしてやろう…フフ…


グウェンドリン・グレンジャー
♢♡
わーい。ごちそう。おなかすいた

(きょろきょろ)
凄い大きい、分厚いお肉……とかは、ない……よね
(オードブルのスモークサーモンやお刺身、ローストビーフをつまみつつ)

へい、バーテンさん。牛乳
……え、ふざけてるのか、って?えーと、ほら、私、未成年
UKなら飲酒、できるけど……UKって、どこだ?アッハイ、ごめんなさい
(悪魔印の特選牛乳をゴクッといく)

動物性食品、しか、食べられない……けど、なんとか、しっかり食べときたい、なー
明日……の、スワンボート、は、スタミナが、命
(チーズのオードブルをもぐもぐしつつ)

ふー、こんな、真夜中……に、おやつ食べてるの、罪の味
くせになりそ……なっちゃ、ダメ、だった




 キラキラと輝くシャンデリアに、キラキラと輝く料理たち。そのどれもが美味しそうで、グウェンドリン・グレンジャー(Blue Heaven・f00712)はキラキラと瞳を輝かせて会場を見た。
 キャビアがチョンと乗った乙女の染まる頬のような色のサーモン、湖で捕れた淡水魚の刺し身、クレソンがちょこんと乗ったローストビーフ……沢山のごちそうたちに、お腹がぐうと空腹を訴えるままに視線を送ってしまうけれど、これだけ色々あるとどれから食べようかと悩んでしまう。
「凄い大きい、分厚いお肉……とかは、ない……よね」
 きょろりと視線を巡らせてみれば、赤身の美しい分厚いステーキ肉を一口大に切っているスタッフを見つけ、切らずに頂戴とお願いしてみれば大きなお皿にドンと乗せてくれた。
 わーいと頂くグウェンドリンの横を通り、ファルファラ・ガーデンニア(花の悪魔の魔王・f31697)が手を伸ばすのは薔薇の形に飾り付けられたスモークサーモンとローストビーフ。花が好きなファルファラは、ついつい花の形をした料理に惹かれてしまう。サラダコーナーにもスイーツコーナーにも、可愛らしい飾り切りや花を模した料理が色々ある。
 夜は長い。順番に頂いていこうと手にしたオードブルを口に運びながらも、考えるのは自分のお城の事。
(――まったく、魔王使いが荒い。自分達の魔王様の事をなんだと思ってるんだ……)
 自領に引きこもってガーデニングをしていたいのに、いってらっしゃーいっと送り出したアルラウネの顔を思い浮かべ、口の中の肉を咀嚼する。ご飯は美味しいし、お酒だって申し分ない。きっとスワンボートレースも彼等は応援に来てくれるのだろうけれど……やっぱりどう考えたって魔王使いが荒い。
(ゴリゴリに勝ちに行かなければ面倒なことも無いだろうし……適当に楽しんでおこうかな)
 食事中に話しかけてくる悪魔たちにも適当に対応し、踏み込んだ話題になればお酒を貰いに行くからと興味を示してきていた悪魔たちの囲いからソッと離れた。
 バーカウンターへと向かえば、そこには先客の姿。
「へい、バーテンさん。牛乳。……え、ふざけてるのか、って? えーと、ほら、私、未成年。UKなら飲酒、できるけど……UKって、どこだ? アッハイ、ごめんなさい」
 素面なはずなのに酔っているのか? と言いたげな視線を送りながらも、バーテンは悪魔印の特選牛乳を出してくれる。今朝絞ったばかりの新鮮な牛乳ですよ、とのこと。
「僕にもお酒をくれない?」
 牛乳をゴクゴクいくグウェンドリンの隣から、バーテンへと声を掛ける。おまかせで作ってとお願いすれば、シャンパンベースのカクテル『ミモザ』がスッと差し出された。
 可愛いオレンジ色に口づけて、一口。程よい甘さと爽やかさに笑みを浮かべれば、良かったらとバーテンからふたりへチーズが差し出される。グウェンドリンは牛乳とチーズの乳製品コンボになるが。
 けれど明日のスワンボートはスタミナが命。動物性食品しか食べられないグウェンドリンは、食べれる時にしっかり食べる。
「ふー、こんな、真夜中……に、おやつ食べてるの、罪の味」
 癖になったらダメなのに。今日だけ、今日だけ。
 自分に言い訳をしながらもパクパク食べるグウェンドリンの姿に小さく笑い、ミモザを飲み干したファルファラはごちそうさまとバーテンに告げてその場を後にした。

「でっかいホテルだなぁ……」
 甘い物とかジュースとか、美味しそうなお肉とかの誘惑を振り切って、仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)は湖の畔からホテルを見上げていた。暗い湖と違い、白いホテルはライトアップされて美しい。
 今日はここで《オキビ・ファイア》を用いて徹夜をするつもりなのだが、一皿くらい貰ってきても良かったかな……なんて思わなくもない。
(いや、駄目だ)
 ふるり、かぶりを振る。腹が膨れては眠くなってしまうかもしれない。ここは我慢。我慢が肝要なのだ。
 使用すれば赤く煌々と灯ってしまう《オキビ・ファイア》を使うのも、もっと夜が更けてから。今はひそりと自身のボートの付近の闇に身を潜め、ボートに小細工を仕掛けるような不届き者が来ないか見張る。
 そうして待てば、いくつか人影を見る。それらは大抵アンナよりも離れたところでゴソゴソと何かをしているか、楽しげに会話を弾ませてからホテルへ戻っていく。誰も来ないのならばそれでいい――等と思った時のことだった。
(――!)
 怪しい人影が、辺りを気にするように周囲を覗いながらそろそろと近寄ってくる。
 一層気配を消して闇に同化し、そっと近付いたところでさっきを放って威嚇すれば、「ヒィ」と短い悲鳴が聞こえた。立ちすくんだ人影が、後ずさる。それを逃さず――一応手加減はして――みぞおち辺りに武器の柄を叩き込み、昏倒させた。
 そのまま放置しようかと考えかたが、いや待てよと待ったをかける。このまま此処に転がしておいては、この不届き者は起きてしまうだろう。朝になればボート周りは人が集まって賑やかになり、寝坊による失格は狙えない。
 畔に建つ滅多に使われてい無さそうな用具倉庫へとずりずりと引きずって連れて行くと、「……ゆっくりお休み……」と小さく笑って閉じ込めた。しずかで真っ暗で、よく眠れることだろう。
 そうして周囲が静かになったなら、アンナも悪事を働く。
(他のボートの底にこっそり穴を開けて水浸しにしてやろう……フフ……)
 ワルいことは、楽しい。

 そうして夜は更け、グウェンドリンが客室に戻って眠る頃。
 こっそりとボートに近寄る者が居た。炎が燃えるような赤――アンナが放つ灯りから離れた場所あるスワンボートへこっそりと。
 いい子な参加者たちが寝静まった頃に外へと出たファルファラは、スワンボートへと『種』を仕込む。
 発芽するのは、明日。
 レースの時まで、種は静かに眠っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユニ・バンディッド

よーし!先ずは下準備。軍資金(D)をあつめるぞー!。特に金色♪ゴールデンスワン号とはお近づきになりたいなっ♪
会場の悪魔達を対象に【デモン・フェイカー】。手品の様に宙に生やした、精巧なる贋作「D」を賄賂に山吹色のお菓子を贈るよ♪
ふふっお兄さんお姉さんお近づきの印にどう?ぱーっと使ってくれていいよ♪明日はよろしくねー♪(贋金の[存在感]で悪魔達を遊びへ[誘惑]。挨拶回りが終わったら自室に)
ふふっ本命はコッチ♪UCで贋作対象になった、悪魔達が持つ「本物のD」の操作権を[盗み]出してDを収納の魔術カードの中へ[詰め込み]、両替の魔術カードでみんな金貨に変えちゃお。
ワルいね?ボクはあくまで盗賊だもん♪




 シャンデリアがキラキラと輝く空間は、何とも言えぬセレブリティ。ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)が育った環境とはまるで違う環境だが、湧いてくるのは嫉妬なんていう一時的な感情ではない。
(よーし! 軍資金を集めるぞー!)
 お金――D(デビル)である。
 心の中で元気にえいえいおーっと腕を上げたユニは、会場の悪魔たちとお近づきになるべく、飲み物を片手に悪魔たちの間をウロウロとと動き回る。大本命はゴールデンスワン号の選手とお近づきになのだが、どの選手がどのボートに乗るかは解っては居ない。なので、会えればラッキーくらいの気持ちで悪魔たちと接触を測っていった。
「ふふっお兄さんお姉さんお近づきの印にどう? ぱーっと使ってくれていいよ♪」
 なんて言いながら、賄賂にDの贋作をチラつかせてみる。……が、正直反応はあまりよくはない。何故ならデビルキングワールドに住まう悪魔たちにとって、Dはワルさを測るバロメータぐらいにしか使われていないのだから、それも当然。良い子の悪魔たちは常に無償提供当たり前。このホテルだって、予約の順番待ちさえすればほぼ無償で利用出来る。
 それでも賄賂はワルいこと。袖の下というものを貰ってみたいなぁと思った悪魔たちは受け取ってくれる。
 楽しく話題を広げて、美味しくご飯を食べて、明日はよろしくねー♪ と悪魔たちへの挨拶回りを終えたら、ユニはルンルンと割り当てられた客室へと向かう。
 客室もまた、大広間と負けず劣らず豪華な部屋だ。ぽふんと倒れれば弾みでぽんと浮いてしまうふかふかのベッドへと身を投じ、思わずふふっと笑ってしまう。
 身を起こしてベッドの上に座って、会場の悪魔たちから失敬したDを取り出した。
 宿泊先でのホテルのパーティの場合、ほとんどの人は金銭は自室かクロークに預けてしまう。そのためパーティールームに金銭を持ち込む者はそうおらず、得た額は僅かなものだが……お金はお金。
 それに、交流した悪魔たちから良い話も聞けた。『こおりのあくま』はオブリビオンなだけあって、Dを沢山持っているのだとか。Dを狙うのなら、そこだろう。
「ああ、明日が楽しみー♪」
 くふふと悪魔的笑顔を浮かべ、ユニは楽しい夜を過ごすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

乱獅子・梓
【不死蝶】♢
ボートレースか、やるからには目指すはトップだな
俺のレッドデビルドラゴン号(仮)で勝利を掴む…!
その為には美味いもん食って英気を養わねば
…おぉ、このデビルカクテル気に入った
刺激的な味わいが癖になる
とはいえ飲みすぎて二日酔いになったら笑えない
適当な所で綾を引っ張って客室へ

おい!映画なんて見てたら明日起きられなくなるぞ!
綾からリモコンを奪って消そうとした…が
ド迫力なアクションとOPムービーに一気に引き込まれる
えっ、なんだこれめちゃくちゃ面白そう
キ、キリが良いところまで見てから寝るか

…そうして案の定最後まできっちり視聴して
気付けば深夜になっていたとかなんとか
もしやこれも罠だったのでは…!?


灰神楽・綾
【不死蝶】♢
梓ってば、もうボートの名前も決めちゃって気合十分だねぇ
俺は気にせずご馳走を堪能
うわぁ、このお肉めちゃくちゃ柔らかくて美味しい
メニューを制覇する勢いでどんどん食べまくる
あっ、最後のお楽しみにとっておいたプリンがまだ…っ
プリンが食べられないまま梓によって客室に強制連行。無念

何となく客室のテレビをポチッとつけてみたら…
見てみて梓、なんか面白そうな映画やってるよ
主人公なのか悪役なのか分からないくらい
めっちゃワルそうで格好いい俳優さんが
次々と現れる敵を千切っては投げしていくアクション映画
俺、これ見てから寝るね~

…途中までは梓と一緒に盛り上がりながら見てたんだけど
気付けば寝落ちしちゃってた




「うわぁ、このお肉めちゃくちゃ柔らかくて美味しい」
 一口大にカットされたステーキ肉は、肉というよりも既に飲み物だった。噛めばじゅわっと肉汁が溢れ、上質な脂が口の中で溶けていく。とても高価な肉というものは、今までの肉へのイメージを破壊する。高級なお肉はとてもすごいのだ。
「梓も食べてみな――」
「レッドデビルドラゴン号(仮)でどうだろうか」
「よ……って、何の話?」
「ボートの名だ」
「そんなの後でいいでしょ。ほらほら、梓も食べなよ」
 顎に指をかけ真剣な顔で悩んでいた乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)へ大きな皿を持たせて、これ美味しかったよこれも美味しかったよと灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)が勝手に盛ってやれば、梓も明日トップを獲るためにも英気を養わねばなと食事を始めた。
 ゆっくり味わって堪能していく梓と、パクパクと目指せ全制覇! な綾。何を食べても美味しくて、毎日食べてもいいかもという気持ちと、稀に食べるからこそいいのだという気持ちがせめぎ合う。どっちがいいのかなぁ、なんて。赤いジュレが美しいデビルゼリーを口にしながら綾は思った。
「……おぉ、このデビルカクテル気に入った」
 見た目は赤と黒という、何が入っているのかよくわからないカクテルは、意を決して飲めば舌先にぴりりしゅわりと悪戯を残し、爽やかさを伴って喉を滑り落ちていく。程よい酒精に騙されてもう一杯もう一杯と進めれば、明日は二日酔い……なんてこともあり得る。そうなったら笑えない。……綾は二日酔いになって苦しむ梓をもーっと呆れながらも笑ってからかってきそうだが。
「綾、部屋に帰るぞ」
「えっ、もう? あっ、最後のお楽しみにとっておいたプリンがまだ……っ」
 プリンへと手を伸ばすも、空しくもその手は届かない。プリンなんていつでも食べれるだろ、と梓は綾を連れて行く。――彼は解っていないのだ。プリンほど店ごとに味がや舌触りの違いが明確に分かれる甘味がないことを。そしてホテルのプリンは、ちょっとびっくりするくらい美味しいことを。
「あーあ、プリン食べたかったな~」
 しょんぼり気味にテレビのリモコンへ手を伸ばし、ポチッとつければ勇ましい音楽が客室内を満たす。
「見てみて梓、なんか面白そうな映画やってるよ」
「おい! 映画なんて見てたら明日起きられなくなるぞ!」
 耳に残るBGMとともに主人公とも悪役ともつかない俳優が、次々と現れる敵を千切っては投げ千切っては投げと大立ち回り。衣装も撮り方も凝っていて、OPムービーが流れただけだと言うのにふたりの視線はテレビへと釘付けだ。綾からリモコンを奪おうと手を伸ばした梓の手も、緩やかに落ちていく。
「俺、これ見てから寝るね~」
「キ、キリが良いところまで見てから寝るか」
 めちゃくちゃ面白そうなのだから仕方がない。気になるまま横になったとしてもきっと気になって眠れないし、そうなったら明日は寝坊か寝不足コースだ。そうだ、仕方がないのだと梓は己に言い聞かせ、綾の座るソファに並んで座った。

「……ふう」
 見終わった。素晴らしい映画だった。デビルキングワールドにも良い映画があるものだ。しかもどうやらこれはシリーズもののようだ。他の世界からでもレンタル可能なのだろうか。
「――っ! い、今何時だ!?」
 時計を見れば、既に深夜を回っている。
 肩へ綾の頭が預けられ、彼をベッドへ運んだ時はまだ日付は変更していなかったはずだ。だからもう少し……と思ったのがいけなかったのだろう。キリが良いところまでとは一体何だったのか。面白くてつい全部見てしまった。しかも、ローテーブルの上にはポテトチップスの空き袋と炭酸飲料の空き缶まで並んでいる。深夜の背徳を犯してしまっている……! ワルの中のワルになってしまった!
(もしやこれも罠だったのでは……!?)
 気持ちよさげに眠る綾の傍らで、頭を抱える梓だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩迎櫻3

競争というのは初めてだよ
サヨにリルはやったことがあるのかな?
そう、ならば同じだね

懇親会まであるなんて
今宵は楽しもう
パンケーキはないだろうかと探して
サヨが分けてくれたプチケーキを食む
リル、此方のクッキーも美味しいよ
深夜に食べるケーキは罪の味がする
果たして罰はあるのだろうか
…何を約さなければいい?サヨ
願いの代償は、何をくれるのかな…なんて

舟ガみたいな
寝る前に抜け出して見に行こう

これが
すわんぼーと、なるもの
初めて見るが、大きくて白く立派なアヒルだね
白鳥?素敵なアヒルだ

大丈夫だよリル
私は脚がちぎれようとも漕ぎ続けてみせるからね
おや…何者かが我らのアヒルに…
リル、歓迎の歌を歌ってあげたらどうかな


リル・ルリ
🐟迎櫻3

きらきら綺麗な、ぱてぃだね!
れぇす、僕もした事ないや
泳ぐの遅いから、僕はきっとビリだよ
でもカムイとサヨなら大丈夫!
ぼぉとれぇす……僕は漕げないから櫻とカムイを応援しているよ!

ふふー僕は悪い子だもんね
ヨルも悪ペンだから夜更かしするんだから
ほんとだよ!眠くないよ
欠伸したのはヨルだよ

すいつ、たくさん美味しいね!僕は小さいちぃずけぇきが気に入ったなぁ
くきー!ありがとう、カムイ
サクサクで美味しい
夜にお菓子は駄目なの?
…僕はカムイが何を望むのかのほうが気になるな

そうしよう!
たくさん泳ぐんだもの
けぇきを分けてあげなきゃ…あひるに

あ!ほんとだ
じゃあ、「魅惑の歌」を披露してあげる
ゆっくり蕩けてお休みよ


誘名・櫻宵
🌸迎櫻3

うふふ!パーティーと聞いて、オシャレしてきちゃったわ!
あら
リルはもうお眠かしら?
なんて欠伸する人魚を揶揄う

レース?私はした事がないわね
初めて同士、ベストを尽くしましょ
まずは腹ごしらえよ
スワンシュークリームに、シフォンケーキに…お酒……ひっ、リル!冗談よ!
レースに備えて大人しくしてるわ
カムイ、パンケーキはあった?
私のケーキわけてあげる
深夜に甘味をたらふく食べる…
なんて悪事なのかしら!
罰なんて知らないわ?
カムイに「約されていない」ってしてもらうもん

じゃーん!この子が私達のスワンボートよ
え?アヒル?
白鳥よ!麗しい白鳥なのよ!

不届き者が私達のアヒ…白鳥に手を出そうと
リルの子守唄でお眠りなさい




 キラキラな空間には、キラキラな装いで。
 気合を入れてお洒落をすれば、どう? なんて尋ねなくともふたつの手がエスコートに差し伸べられる。
 ――櫻、綺麗だよ。
 ――サヨ、美しいよ。
 上向けられたふたつの手に手を預け、誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)は颯爽とその空間へと乗り込んだ。エスコートは勿論、リル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)と朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)のふたりだ。
 キラキラとシャンデリアが輝く部屋に集う人々を見て、思っていたよりも人がいるねと神が僅かに目を丸くする。その姿を微笑ましく見つめてから反対側へと視線を向ければ、雨の雫みたいに瞳をキラキラと輝かせた人魚がキョロキョロと会場を見渡していた。ちょっと前まで欠伸をしていたはずなのに、今は興奮で眠気が飛んで居るのだろう。けれどきっとすぐに……。少し先の彼の姿を想像し、櫻宵はくすりと笑みをこぼした。
「競争というのは初めてだよ。サヨにリルはやったことがあるのかな?」
「レース? 私はした事がないわね」
「れぇす、僕もした事ないや」
 泳ぐの遅いから、きっとビリ。ぴるると尾鰭を震わせた人魚は、けれどと言葉を重ねる。
「でもカムイとサヨなら大丈夫! 僕は漕げないから櫻とカムイを応援しているよ!」
「私は脚がちぎれようとも漕ぎ続けてみせるからね」
「リルの応援があれば百人力ね」
 初心者らしくベストを尽くして、目一杯楽しみましょう。
 けれど今は、懇親会を目一杯楽しむのがベストだ。
 会話をしながらビュッフェテーブルへと向かい、早速お皿に食べたいものを載せていく。
「あら、これ可愛いわ」
 ニュッと首を生やしたスワンシュークリームを載せて、それから次は何にしよう。シフォンケーキはチョコに紅茶にバナナと色んな種類があり、どれが美味しそうかしらと悩んでしまう。
「生クリームもたっぷり載せて……あら、お酒も可愛……」
 カクテルグラスに赤と黒。デビルカクテルと書かれたお酒は、どことなくハロウィンみたいで。これも頂いちゃおうと手を伸ばしかけたが――。
「櫻宵?」
「ひっ」
 何に手を伸ばそうとしているのかな?
 普段は可愛い人魚の、笑顔の重圧がすごい。
「冗談よ、冗談。明日はレースだものね。大人しくしてるわ」
 目を光らせているリルの視線を感じながら、そそそと離れて。
 私の神は何を選んだのかしらと探してみれば、彼も何かを探しているのかスイーツコーナーでキョロキョロとしていた。あれは多分、彼の好物を探している。
「カムイ、パンケーキはあった?」
「サヨ」
 カムイの手元の皿にパンケーキがないことを確認し、櫻宵はこれはどう? とケーキを分けてあげる。お姫様のドレスのような桜色のモンブランだ。
「サヨ、ありがとう」
 サヨみたいなケーキだねとさっそく食んで、美味しいよと微笑めば、皿にケーキを沢山載せた人魚が泳いできた。
「櫻、カムイ。すいつ、たくさん美味しいね!」
「うふふ、リルも楽しんでいるみたいね」
「僕は小さいちぃずけぇきが気に入ったなぁ」
 ふたりの分も持ってきたよと分けてあげると、リルの皿の空いたスペースにお返しにとカムイがクッキーを載せる。これ美味しかったよ。こっちも美味しかったよ、と美味しいものを報告し合っての交換こ。
「くきー! サクサクで美味しいよ、カムイ」
「リル、此方のクッキーも美味しいよ」
 深夜に食べる甘味は罪の味がする。普段はやめておこうかなと思えることをするのは、そしてそれを皆でするのは、何だかとても楽しい。
「深夜に甘味をたらふく食べる……なんて悪事なのかしら!」
「夜にお菓子は駄目なの?」
「深夜の甘味が罪ならば、果たして罰はあるのだろうか」
「罰なんて知らないわ? カムイに『約されていない』ってしてもらうもん」
「……何を約さなければいい? サヨ。願いの代償は、何をくれるのかな」
 ……なんて。
 冗談にするように小さく零された声を聞き止め、リルはふたりの顔を交互に見る。神へ願うのなら、代償は付き物だ。櫻宵は何なら差し出していいと思い、そして神たるカムイは、
(――カムイは何を望むのかな)

 ――ふああ。
 少し前まで「僕は悪い子だもんね!」と夜更しする気満々だよとアピールしていた人魚の口から欠伸がこぼれた。
「リルはもうお眠かしら?」
「先に休んでいてもいいのだよ」
「眠くないよ、ほんとだよ! 欠伸したのはヨルだよ」
 いつもより夜更しした悪ペンだったヨルは、リルの腕の中で船を漕いでいる。
 舟が見たいなと言い出したカムイについて出てきたものの、リルも瞼が重たくなってきているのだが、行くったら行くもんと櫻宵にぺとりとくっついた。
 暗い湖へと足を伸ばせば、同じ様な姿がいくつも畔に停泊している。ニュッと伸ばした首と丸い船体を持つスワンボートたちだ。
「じゃーん! この子が私達のスワンボートよ」
「これが……すわんぼーと、なるもの」
 ジッとボートを見た神が、こくりと頷いた。
「大きくて白く立派なアヒルだね」
「え? アヒル?」
「ほんとだ、あひるだ。けぇき食べるかな」
「白鳥よ! 麗しい白鳥なのよ!」
 アヒル可愛いねぇと微笑み合うふたりに、櫻宵の訴えは届かない。
「もうふたりとも……って、あら?」
 三人のアヒ……白鳥へと近づく怪しい影。
 これは、もしかして?
 三人で顔を見合わせる。たぶんきっと、不届き者だ!
「(リル、歓迎の歌を歌ってあげたらどうかな)」
「(子守唄なんていいんじゃないかしら)」
「(そうだね、ゆっくり蕩ける夢を見させてあげる!)」
 目配ししあい、そっと声を潜めれば、悪戯の相談みたいに。
 それじゃあ聞いて、と人魚が歌う。
 優しい歌に聞き惚れている間に舞った桜が、不届き者の意識を奪っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

初めてのデビルキングワールド
まつりん、気合い入れてワルワルしようね(ぐ、と握り拳

懇談会は他の参加者の皆とご挨拶と歓談

む…、美味しいが山盛り
ステーキとハンバーグと焼き鳥に唐揚げ等、お肉etcを積み上げ
さ、皆もどうぞ?
食べられない量?そんな事はない(大食いは技能でなく本能な自分基準)
さあ、どんどん食べよう
お腹壊す?そんな事はないさぁどうぞ

たまこも沢山食べてご満悦
あ、近付くとつつかれ…(間に合わなかった

んむ、まつりん何してるの?
そ、それは花火…!まつりん、ワル(ごくり)
わたしも負けてられぬ
沢山のお菓子を誰かのボートの運転席に積み上げデコり、席に座れなくする

ん、ワルい♪


木元・祭莉
双子の妹、アンちゃん(f16565)とー♪

わーい、パーティパーティ♪ ワルワル♪
スゴイね、ご馳走がいっぱい!
お腹いっぱい、いただきます!

あれ、たまこドコ行ったんだろ。
(連れて来てた双子の家の飼いめんどり。とっても凶暴☆)
ワルいコトしてないといいんだケド。

悪魔の人たちと、いっぱいお話しして。
イイひとばっかだったね!
あー。おなかいっぱい。ちょっと散歩してこよ♪

あ。スワンボート。
(きゅぴん☆)
ネズミ花火セットしといたら、みんなびっくりするかな?
(自分のボートに小細工してる)

でしょでしょ、おいらもワルでしょ?
さ、帰ろっか!

そして、夜道に颯爽と現れる白い影。
わ、たまこ!?
(腰が抜けて)(次回に続く!)




 木元・杏(メイド大戦・f16565)はキリッと眉を上げ、ググッと拳を握った。
 彼女の目の前には、大きな扉。懇親会会場の入り口だ。
 今日の杏は気合充分。お腹もペコペコ。食べる気満々。
 ぐっと握った拳に力を込め、傍らでニパッと笑っている木元・祭莉(まつりんではない別の何か・f16554)を見た。
「まつりん、気合い入れてワルワルしようね」
「わーい、パーティパーティ♪ ワルワル♪」
 だって今日が、初めてのデビルキングワールドなのだから!
 ニパパッと笑った祭莉が早く行こうと杏の手を引いて、ご馳走と人の海へと飛び込んでいく。綺羅びやかな部屋に、沢山のご馳走。それから沢山の参加者と思われる悪魔たちがふたりを迎え入れてくれた。
 悪魔たちはとても良い子で優しい。だからか、子供のふたりが会場へ入れば、すぐに声を掛けてくれる。一人で来たの? とか、食べたいものに手が届かなかったら取ってあげるからね、とか。
 優しい悪魔たちに囲まれてビュッフェテーブルへと向かえば、そこには美味しいが山盛り。一口サイズだけれど大きめにカットされた分厚いステーキに、焦げ目が綺麗についたハンバーグ。なんと、ハンバーグにはいろいろな味があるようだ! チーズが入っていたり、大葉が入っていたり、パイナップルが入っているのまで。勿論全部、大きなお皿に載せていき、更には焼き鳥に唐揚げまで、お肉料理は全種類、もりもりモリッと積み上げた。
 お肉を積み上げれば、やはりそれだけ皿は重くなる。優しい悪魔たちが大丈夫かと手を貸してくれようとするが、杏はきょとんと「なんのこと?」と首かしげ。小さいけれどパワフルな杏は、ちょびっとたりとも揺らがなかった。
「さ、皆もどうぞ?」
「スゴイね、ご馳走がいっぱい!」
 悪魔たちと祭莉へとお肉いっぱいのお皿をズズイ!
「……ちょっと多すぎないかい?」
「そう? これくらい普通だよ」
「たくさん食べるとお腹を壊さないかい?」
「そんな事はないよ、さぁどうぞ」
 悪魔たちがお腹を心配する中、双子は元気にモリモリ食べていく。あまりの食べっぷりに見ているだけでもお腹が膨れたのか、飲み物取ってくるねと離れた悪魔もいた。
「あれ?
 お肉で山盛りだったお皿も、モリモリとその量を減らしていったところで、ふと祭莉が気付いて首を傾げた。先程まで一緒にモリモリ食べていた杏の飼い雌鳥『たまこ』が居なくなっていたのだ。
(ワルいコトしてないといいんだケド)
 なんて思ったけれれど、少し離れたところで「わあ!」と悲鳴が上がった。どうやら凶暴なたまこにつつかれる犠牲者が出たようだ。
「アンちゃん、たまこあっちにいるみたい」
「え。たまこったらはぐれちゃったの?」
 ちょうどお皿の上の山も無くなりそうだしと、ふたりは悪魔たちから離れてたまこを回収しに行く。
「あー。おなかいっぱい。ちょっと散歩してこよ♪」
 たまこを回収し終え、ふたりは食後の散歩と湖へと向かった。
 暗い湖にニュッと生える細い首は、たまことは違う鳥の形。
「あ。スワンボート」
 ――きゅぴん☆
 それを見た瞬間、ひらめいてしまった。
 割り当てられた自分のボートを見つけると乗り込んで、ゴソゴソ。
「んむ、まつりん何してるの?」
「ふふー、みんなびっくりするかな?」
「そ、それはネズミ花火……! まつりん、ワル」
「でしょでしょ、おいらもワルでしょ?」
 なんてワルワルなんだ! と思ったら、兄に負けてられぬと対抗心。
 知らない誰かのボートの運転席にお菓子を積み上げて、席に座れなくしちゃえ!
「ん、ワルい♪」
「アンちゃんもワルワル♪」
 腰に手を当てて悪戯に満足した杏の手を取って、ホテルへと帰っていく。
 道が昏くてもへっちゃらだ。隣には双子の片割れが居て、おつきさまだって見てくれている。
 けれど。
 突然白い影が現れればびっくり! もしかしておばけ!?
「わ、たまこ!?」
 腰を抜かしながらその白い影を見れば、ふたりがよく知っている雌鳥で。
 ふたりの気持ちも知らず、たまこは元気にコケーッと鳴くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『オムライスブギーモンスター』

POW   :    これでみんなもオムライス
戦場に、自分や仲間が取得した🔴と同数の【黄色い布 】を召喚し、その【黄色い布で敵を包み込む】によって敵全員の戦闘力を減らす。
SPD   :    きみのオムライスひとくちちょうだい
【スプーン 】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【オムライスっぽい知恵の布】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
WIZ   :    わーいみんなでオムライスつくろ!
レベル×1体の【仲間のオムライスブギーモンスター 】を召喚する。[仲間のオムライスブギーモンスター ]は【オムライス】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●春風杯開幕
 朝は早く、時刻は6時。
 ポンポンと白煙とともに空砲が放たれ開会式の始まりを告げる中、3m程ありそうな厳しい悪魔――の腕に抱えられた小さな玉子型の悪魔が壇上から開会の挨拶をする。
 どうやらこの湖を有する土地の魔王である彼は、長々と話す等という愚は犯さない。悪魔らしく素晴らしい気配りで参加者の体調を慮り、解りやすく簡潔に纏めた挨拶を述べ、「正々堂々――いえ、悪魔的にワルく盛り上げてくださることを望みます」と開会の挨拶を締めた。

 開会式と最終エントリーは合わせて30分もたたずに全員分終えるため、レース開始の合図までは自由時間となる。その間までにボートをデコるのも、会場内をブラつくのも、参加者の自由だ。
 レース開始時刻までにボートに乗り込み、湖に浮かべば良いのだが、この湖に浮かぶ順番――スタート位置は早くに並んだ者順である。良い子なので、綺麗な列を作って悪魔たちは待っている。が、アクを極めたゴクアクな悪魔は横入りしたりもするそうだ。これは別段咎められないし、横入りされた側の悪魔も「はいはい、入りたいんだね」と入れてくれる。良い子だから。
 そのため、ギリギリまで時間を使うのも、横入りするのも選手の自由である。
 しかし、開始30分前には開会式直後から並んでいる悪魔たちは湖の上へとボートを進め始める。湖上にボートが並び切るのには時間が掛かるため、他のボートが閊えてしまわないようにするためである。

●スタート!
 さて、今年もこの季節がやって参りました!
 シュバーン湖に春を告げる風、『春風杯』のシーズンです。
 いやぁ今年も盛況ですねぇ。参加者数もさることながら、会場も温まっているようです。今年は初参加の選手が多く見られるようで、正に春風めいていますね。新たに知ってもらえるというのも、参加したいと思ってもらえるのも嬉しいことですね。……っと、申し遅れました。本大会は、実況はわたくしコバヤシ――、
『解説はわたくワタナベ』
 ……で、お送りします!

 さあ、まもなく時間になります。
 選手たちも……おや、だいぶ個性豊かなスワンが多いようですが、うん、湖に揃っていますね。
 あの黄色に赤の……ケチャップでしょうか、ワタナベさん。
『あれはオムライスをイメージしたスワンのようですよ』
 ああ~、なるほどオムライス。たくさんのご兄弟で参加している『オムライスブギーモンスター』のみなさんですね。たしか、どなたかの熱いおっかけをしていると聞きました。
『昨夜の懇親会で「こおりのあくま」さんのファンだとおっしゃられていました』
 ああ、こおりのあくま。デビルキングならぬデビルクイーンになると宣言している可愛くてワルいあの子ですか! なるほど、今日はあの子も……あれ、姿がみえな……っと、時間になりました!!
 今、一斉に、スターーーーートです!!!!!!!!


======================
⚠ MSより ⚠
 春風杯ボートレースガイド!

 MSコメ通り、自由に行動してくださって大丈夫です。
 UCとボート名をお忘れなく。

 ・自由時間
 スワンをデコれます。前日やったよ、でもOK。
 塗料は速乾、デコ素材はたくさん用意されています。
 すごいスワンになるとコバヤシさんがはしゃぎます。

 ・他参加者
 他にも悪魔たちが居ますが、ほとんどの悪魔は善良です。良い子に並ぶし、レース楽しみだなーワクワク!ってしています。正々堂々優雅にスワンボートを漕ぎます。
 オムライススワンに乗った『オムライスブギーモンスター』たちは黄色い布で視界を塞いだり、スプーンを投げて何かを奪ったり、障害物を作って阻んできたりします。

 ・スワンボート(2章・3章通して)
 普通のスワンボートです。ペダルをふみふみキコキコ漕ぎます。力を篭めすぎるとペダルが壊れてしまうかもしれないので、優しくしてあげて下さい……。
 二人乗りなので、一人に漕ぐのを任せて一人は他選手の阻害等ができます。

 ・湖(2章・3章通して)
 とても広く、爆走しても数時間掛かります。
 あと今回のために障害物(機雷とか、漕ぐのを阻害する纏わりつく罠とか)も色々とプカプカしているので、避けるなりUCで排除するなりしてください。
 コチラも自由に。こんな障害あった!と言われれば、あまりにも無理では?ってもの以外はあります。あるのでしょう。

 ボートレースガイドをおわります。
======================
ユニ・バンディッド
♢♡
ワル連鎖日和♪一回整理しよう!
個人目標:
こおりのあくまのDを盗み溶かすこと
手段:3章用
転移門等の空間魔術を金貨代償UCで成立させてレース中にDを盗む
準備:
その為には盗賊魔術や両替の魔術カードを駆使して金貨を増やす

正々堂々ワルかー…ボクは贋作の悪魔。贋金作りもこの通りだよ!ところで贋金と知ってて使ったり所持するのはワルいことだよね♪みんなのDとボクの贋金交換しない?
(観客含めDを操作し投げさせると共に感謝を被せ、サクラ役に仕立て上げ自発的に騙し釣る)

🦢一角鳥【UCスワン号】
漕ぎ手は「空飛ぶ金貨達」によるペダル回転、金貨機関。必要に応じて漕ぎ易い様に武器改造。回避手段は視力の良さと贋金投擲。




 空は爽やかに晴れ渡り、実にワル連鎖日和。
 開会式後の会場を歩きながら、ユニは辺りの客へと抜け目なく視線を送っていた。
 そうしたところで、「ねえ、ワルいことしない?」とひとりの悪魔と接触する。
「ボクは贋作の悪魔。贋金作りもこの通りだよ!」
 精巧なる贋作を作るという自分の手札を見せて、自分の仲間に――サクラ役に仕立て上げようという魂胆だ。贋金を、贋金を知りながら使ったり所持することはワルいことだ。ワルくなりたいよね? なんて囁かれれば、悪魔は大きく頭を縦に振り、所持しているDと贋金を交換した。
 一度の額としては大した額にはならないが、渡した贋金は新たなDを引き寄せる。同じ手口で他の悪魔とDと贋金を交換した悪魔が再度ユニの元へと持ち込み……それは少しずつだが確実に膨らんでいく。

 ――一本の角を生やしたスワンが、角で向かい風を切り裂くように湖を行く!
 これはユニ選手の『UCスワン号』ですね。
 ユニ選手はひとりでの参戦ですが、何かの工夫をしているのかボートが自動で進んでいるようです。
 そこに並走する黄色に赤――『オムライスブギーモンスター』選手だ!
 オムライスブギーモンスターの何番目かは分からない兄弟が投げたスプーンをUCスワン号、何かで弾いて余裕の回避! 金色のようなものが飛びましたが、あれはなんだと思いますか、ワタナベさん!?
 ……なるほど、お金――金貨ではないか、と。
 おおっと、どうやら金貨の使い方はスプーンを弾くだけではないようだ!
 たくさんの金貨が、オムライスブギーモンスターへと襲いかかった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
♢♡

徹夜したけど眠くない…何故なら平気だし大人だから…
さてとレースだ…!私は処刑人…そしてレーサーだ!

🦢 鼠色【個性的なアヒルの子号】
醜いアヒルの子号って名付けようとしたら
ぽりてぃかるなんとか…?って奴で改名させられちゃった…
悪魔の世界は厳しい…まぁいいや…さぁゆくぞ!
個性的なアヒルの子号!

[継戦能力]で体力を維持しつつ船を漕いでゆこう

…なんだか黄色いスワンがいっぱいだ
ならば…ケチャップよりもっと赤く染め上げてやる…!

【鮮血の海】を個性的なアヒルの子号から垂れ流そう
後から追ってくる敵群の船を
超高温の血の海で焼き尽くして[蹂躙]しよう…
ライバルも減ってちょうどいいしね…ゆっくりお沈み……フフ…


グウェンドリン・グレンジャー
♢♡
🦢 黒【なたりーちゃん】
いっぱい食べて、ぐっすり寝れた
あと、朝ご飯、目玉焼き、ウインナー、アジ、美味しかった
よーし、がんばろー

(偏光パール入り黒ペンキを塗り、カラスの羽のようなバシバシつけまを飾る。虹彩はラメレッド。頭にしっかり接着するのはガンメタブラックのティアラ)
よし、なたりーちゃん、がんばろーね
(力一杯漕ぐ脳筋。たまに特選牛乳を飲んでパワーチャージ)

(無表情のまま、隣を走るおばさんのガワをガン見する。じゅるり)
お米、チキンのエキス、染みこんでたら、いけそう
(一般人を怖がらせるワル。もとい、悪食)

あっ
(怯えてパニックを起こしたおばさんに布を投げられた。UC発動)
みんなー、もってってー




 チュチュンチュン。
 鳥が鳴き、朝が来る。清々しい、レース日和な朝だ。
 徹夜して自分のボートの番をしていたアンナは、さてととのそりと立ち上がる。徹夜したけれど眠くはない。何故なら大人だから……! 眠そうに見えるって? 大丈夫、無理していない。大人だからね!
「私は処刑人……そしてレーサーだ!」
 凄みを効かせて受付で本登録。
「仇死原・アンナさん……職業はレーサーっと。ボート名は何にしますか?」
「醜いアヒルの……」
「申し訳ありません、そう言った名前は使用できないのです」
 本当に申し訳なさげに係の人が眉を下げる。ポリティカル・コレクトネスとやらに抵触するらしい。流石良い子な悪魔たちが集う世界。とても厳しい。
「どうしても?」
「はい」
「絶対に?」
「はい」
「では……『個性的なアヒルの子号』で」
 譲ってもらえないのならば仕方がない。鼠色のスワンの名前を登録し、アンナはその場を後にする。
 入れ替わるように、グウェンドリンが登録を澄ませに来る。いっぱい食べてぐっすり寝て、朝ごはんもいっぱい食べたからかアンナとは正反対なくらい顔色がいい。目玉焼き、ウインナー、アジ……それから食後のデザートまで。健康的にバランス良く食べたのだから、尚の事だ。
 スワン名を『なたりーちゃん』で受付を済ませたグウェンドリンは、相棒のなたりーちゃんをおめかしさせる。可愛い体は偏光パール入り黒ペンキを塗り、つぶらな瞳の上にはカラスの羽のようなバシバシ付けまつげを盛り盛り。虹彩はラメレッドに塗り、頭にしっかり接着するのはガンメタブラックのティアラ。うん、可愛い。
「よし、なたりーちゃん、がんばろーね」
 レース中でも飲めるように特選牛乳もなたりーちゃんに詰め込めば準備万端だ。

 ――湖上を滑べる――いや、踊る黒。
 オディールか? いいや、グウェンドリン選手のなたりーちゃんだ!!
 グウェンドリン選手が時折牛乳を飲んでいる姿が見えますね。牛乳がお好きなのでしょうか? 牛乳を飲んでいるからか、疲れ知らずに湖上を進んでいきます。
 ……おおっと? なたりーちゃん、少し逸れましたね。どうしたのでしょうか。
 向かう先には――なるほど、『オムライスブギーモンスター』選手のオムライススワンの姿が! これは、あれですね。妨害にいくのでしょう。
『……グウェンドリン選手、舌なめずりをしているように見えますが気の所為でしょうか?』
 え。……うーん。オムライススワンに乗っているオムライスブギーモンスター選手が明らかに動揺していますね。まあ、おいしそうですしね……。グウェンドリン選手ー! 食べれませんよー!?
 オムライススワンから飛ぶ黄色の布! 「来ないで!」と言ったところでしょうか!
 布をカラスたちが咥え、グウェンドリン選手回避!
 オムライススワンに迫るなたりーちゃん! どうなる、オムライスブギーモンスター! 逃げのびれるか!?
 ――そんな二隻の横を疾走していく鼠色のスワン!
 アンナ選手の個性的なアヒルの子号もまた、安定した走りを見せてくれていますね。最初から飛ばす訳ではなく、ペース配分をしっかりと考えた動きに見えます。
『そう言えば、アンナ選手の職業はレーサーだそうですよ』
 なるほど、レーサー。だから慣れているのかもしれませんね。
 しかし、アンナ選手の前にもオムライススワンが立ち塞がるようです。……彼等、一体何人いるのでしょうね。先程から結構居る……と言うよりも、ほぼ黄色いですよね。
 ……おや。
『あれは……』
 ええ……個性的なアヒルの子号から何やら血のようなものが……。負傷でしょうか。救助を出すべきでしょうか……。
『いや、待って下さい。コバヤシさん。どうやらアンナ選手が何かしたようですよ』
 何だか湯気が上がって……いや、赤い部分がグツグツとしていますね……。オムライススワンたちが、どろりと崩れて……これは……個性的なアヒルの子号は大丈夫なのでしょうか???
 ああ! アンナ選手ー! 個性的なアヒルの子号も崩れてしまいそうですよー!?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

乱獅子・梓
【不死蝶】♢
🦢赤青【レッドデビルドラゴン号】

クッ…深夜まで映画三昧してしまったせいで眠い…!
だが俺にはやらねばならないことがある
そう、ボートのデコだ!
レッドデビルドラゴン号の名に相応しい
焔のような紅きドラゴンをイメージしたスーパー格好良い装飾を…
ん?どうした零?焔だけズルいって?
分かった分かった!お前も入れてやるから!
綾に俺作の設計図を渡し
俺はこっち側をデコるから、お前はそっち側を任せた!

レースが始まったら、俺が漕ぐ担当
綾には他の奴らの動きを監視させボートを守ってもらう
更にUCで水属性のドラゴンたちを召喚
ボートを囲んで一緒に泳いでもらう
これで水中からの妨害にも、前方の障害物にも対応出来る!


灰神楽・綾
【不死蝶】♢
🦢赤青【レッドデビルドラゴン号】

梓から渡された設計図を見て
若干渋い顔をしつつも指示通りにデコっていく
完成したのは…右半分が赤色、左半分が青色、頭部には三本の角
ドラゴンっぽい何かのボート
焔と零の取り入れ方強引過ぎない??

ボートを守れとは言っても「他のボートを妨害しろ」とは
言わない辺りが真面目だよねぇ梓
この世界に向いていないような、ある意味向いているような

ドラゴンたちが水中を守ってくれるから
俺は空からの妨害に備えよう
Phantomをボートの周囲に飛ばせてオーラ防御で簡易ガード
更にUCで大量のナイフを生成
投げたり念動力で操ったりしながら妨害を迎撃
おいたする子には更にナイフあげちゃうよー




 空の青さも美しい、絶好のボートレース日和――なのだが、寝不足の目にはその青さが染みるようで、梓はクッと目頭を抑えた。昨夜、深夜遅くまで映画三昧さえしなければ! こんなはずでは! あれは本当に罠だった。
 しかし、梓にはやらねばならない事がある。そのために映画を見終わった後もうんうんと悩んで設計図を書き上げたのだ。本当ならばこの設計図は映画に使ってしまった時間に作るつもりだったのだが、映画を見たせいで予定がずれこんでしまった。全ては面白い映画のせいだ。
「綾、この設計図通りに頼む」
「はーい……って、え? 本当に?」
 手渡された設計図を見て、綾は渋い顔になる。本当にこれにと梓へと視線を向けてみるが、当人はどうやら大真面目に設計図を考えたらしく、自信満々に頷きを返してきた。あの顔は格好良いだろう? と誇らしく思っている顔だ。
「俺はこっち側をデコるから、お前はそっち側を任せた!」
「……ああ、まあ、うん」
 梓が楽しいのならいいけどね。
 そうして完成したのは、右半分が赤色、左半分が青色のスワンボート。頭には三本の角を生やしたスワン……いや、ドラゴンっぽいスワンボートだった。梓にコンセプトを聞いてみたところ(聞かなくても解るけど)焔のような紅きドラゴンをイメージしたスーパー格好良い装飾のボートを考えていたところ、零が『焔だけズルい』と抗議をしてきたのだそうだ。その時の零の可愛さときたらと語りだした梓をはいはいとあしらい、取り入れ方ちょっと強引すぎない? と思う綾だった。左右の片側から見れば良いかもしれないが、正面から見ると赤と青に分かれているし……。
「うん、いい出来だな」
 でもまあ当人は満足そうだしいいか。
 零と焔を呼び出して、ふたりと二匹揃ってボートの前で記念撮影をしたら、作戦会議。……これも、梓が昨夜考えた。
「俺がボートを漕ぐから、綾にはボートを守ってもらう」
「はいはーい」
 しっかり他の奴らを監視するんだぞと念を押してくる梓は、「他のボートを妨害しろ」とは言わない真面目さん。ある意味この世界に合っている『良い子』だ。そういうところも割と気に入っていたりするし、知る度に微笑ましいような気持ちになるのだった。

 ――鮮やかな赤と青の体に、三本角!
 ドラゴンたちを引き連れて進むのは綾選手と梓選手のスワン『レッドデビルドラゴン号』だ!!!
 いやぁいいですねぇ! 私は好きですよ、ああいうスワン。何故二色に分かれて居るのかはわかりませんが、左右両方から見ても楽しめると二倍楽しめる気がしますね!
 周りのドラゴンたちは……ああ、なるほど。障害物に当たらないように上手く誘導してくれていますね。レッドデビルドラゴン号の安定した走りに、梓選手、不敵な笑みを浮かべております!
 しかし一筋縄ではいかないのがレース! 並走した『オムライススワン』から美味しそうなオム……いや、黄色い布が投げつけられる!

「させないよ」
 しっかりと他の選手の動きを見ていた綾が赤いサングラスを向けると、黄色い布を宙に浮かんだナイフが切り裂いた。湧き上がる、観客と実況のコバヤシさん。
 おいたする子には更にナイフあげちゃうよーと沢山のナイフを展開する綾。しかし、『オムライスブギーモンスター』選手たちも諦めない。ナイフへとスプーンを投げつけ、ナイフをその場から消していく。
「おお、どちらの手数が多いか勝負?」
 火がついたと言わんばかりに好戦的に笑う綾に、梓は勝負はレースだろ!? とツッコミつつも真剣に漕ぎ続けていた。

 ――スプーンのオムライススワンに、ナイフのレッドデビルドラゴン号!
 両者、激しい接戦を繰り広げておりますね……!
 勝つのはどちらか! 遅れをとるのはどちらか!!
『僅かではありますが、レッドデビルドラゴン号が前へ……離しつつあるようですね』
 梓選手の素晴らしい脚力に、会場も沸き立っています!!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
【蒼空】
うわ、カッコよくなったね。やっぱり、お兄さんに任せておいてよかった(芸術方面は壊滅的
あ、うん…
名前は長い
好きか嫌いかで言われると嫌いじゃないけど、俺はスタフロって呼ぶね
後…勿論やるからには勝つ
あ……うん。えいえいおー…

と、いうわけでこぐのはお兄さんに任せてこっちは妨害及び罠の排除に専念
星鯨を水面に走らせて情報収集に努める
見つけた罠は、うたいの鼠を撃ち込んで壊せそうならそれで破壊
妨害してくる悪魔もそれで黙らせる
破壊できなさそうな罠ならなるべく遅れないコースを選んで回避する

ん、黄色い布は任せました
オムライスかー。まだ食べたことがなかった……ような気がする
多分
これが無事に終わったら食べようか


オズ・ケストナー
【蒼空】

きらきら星の装飾
星空を泳ぐ鯨の背にカエルと空色リボンのねずみ描いて
かっこういい?
ほめられてうれしい

名前はそうだなあ
スターライトホエール号とかっ
どう?
あ、でもカエルさんとねずみさんいないね
【スターライトホエールフロッシュマウス号】?
ながい?

略してスタフロ、いいねっ
うん、勝つぞー
えいえいおーっ

いろんなボートがあるねえ
索敵はリュカ任せで進路選択と漕ぐのに集中
迂回するときはリュカの星鯨を頼る
さっすがリュカ

たまご、じゃない
きいろい布はシュネーにおまかせだよっ
ふみふみしながら糸で操り
布を払って視界を守る

なんだかオムライスが食べたくなってきたねえ
わ、ほんと?
オムライスおいしいよ、勝って食べようねっ




 きらきら星海抱くスワンの中を、大きな鯨が泳いでいた。
 カエルと空色リボンのネズミを背に乗せて、楽しげにゆらゆら泳いで果てしない星海の旅をする、鯨。オズの力作だ。
「うわ、カッコよくなったね」
 どう? と絵筆を持ちながら振り返ったオズに思わず口を丸く開けて、芸術面が壊滅的なリュカは「やっぱり、お兄さんに任せておいてよかった」と、流石お兄さんだねと頷いた。
「名前はね、スターライトホエール号とかっ」
 褒められて嬉しげに笑ったオズがおひさまみたいに笑って、もう一度「どう?」と首を傾げる。先程と同じ仕草だけれど、リュカの反応は異なるもの。「あ、うん……」とスンとした雰囲気で。
「あ、でもカエルさんとねずみさんいないね。……それじゃあ、スターライトホエールフロッシュマウス号かな?」
「好きか嫌いかで言われると嫌いじゃないけど、俺はスタフロって呼ぶね」
 少しだけ言葉を選んで長いんじゃないかなと告げれば、オズはぱちりと空色を瞬かせた。
「略してスタフロ、いいねっ」
 語感も良い気がする。
 名前はスターライトホエールフロッシュマウス号。略してスタフロ。うん、いい名前だ。名前の決まったスワンは何処か誇らしげにも見えて、船体へとコツンと拳を当てたリュカはオズを見る。
「後……勿論やるからには勝つ」
「うん、勝つぞー。えいえいおーっ」
「あ……うん。えいえいおー……」
 元気にえいえいおーと青空へと突き出された拳に、そろりと控えめにリュカも拳を挙げる。その姿に、オズはまた笑みを咲かす。猫の手みたいだったけれど。
 その後は簡単に役割と作戦を決めて、皆が並んでいる列へと加わり時を待った。

 ――今日のシュバーン湖を泳ぐのはスワンだけではない! ドラゴンも泳いでいましたが、鯨だって気持ちよさげに泳いでいます!
 夜色のスワンは星を抱いた夜空なのでしょうか。鯨の描かれたスワン――『スターライトホエールフロッシュマウス号』です!!
『スターライトホエールフロッシュマウス号は、オズ選手とリュカ選手のスワンでしたね』
 そうです、ワタナベさん。こちらのペアは……オズ選手が漕ぐのに専念し、ハンドルはリュカ選手が握っているようですね。小さな鯨たちを引き連れ、リュカ選手が障害物へ銃を撃ったり……大きな岩場等はハンドル操作で避け、気持ち良さげに進めていっています。
『小さな鯨が誘導しているようですね。岩を迂回する時もその先の岩を見越して動いているようです』
 特別に速度が出ているわけではありませんが、順調といえる泳ぎでしょう。
 ――しかーーし! 良い子に泳ぎ切ることだけがレースではない! スターライトホエールフロッシュマウス号へ黄色いスワンが迫っていきます! オムライススワン、距離を見定めて黄色い布を投げる!
『オムライスの玉子布団のようですね。ふわりと宙に浮かびました』
 今! スターライトホエールフロッシュマウス号から何かが飛び出しました! あれは……人形、か!? 小さな人形のようです! 小さな人形が何やら動いて――黄色い布を払い除けましたーーー!!!!

 ふわりとおひさま色の花弁を風に乗せれば、オムライススワンがそれ以降黄色い布を飛ばしたりしなくなった。「正々堂々漕ごうね!」みたいな雰囲気を醸し出しながらキコキコ漕いで離れていくオムライスブギーモンスターたちに、オズは笑顔で手を振った。リュカは襲ってきておいて何だかなぁと言った表情で見ている。
「……なんだかオムライスが食べたくなってきたねえ」
 オムライスっぽい見た目がとてもおいしそうだった。お昼ごはん出るのかなぁなんて考えが過ってしまう。
「オムライスかー。まだ食べたことがなかった……ような気がする。多分」
「オムライスおいしいよ」
「これが無事に終わったら食べようか」
「うん、勝って食べようねっ」
 勝負するからには勝ちたい。目指すは優勝、一着。リュカはこう見えて、結構な負けず嫌いなのだ。
 再度拳を振り上げたオズに倣って、リュカは先程よりも大きく振り上げた。
 えいえい、おー!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

ついにこの時が来たね、サヨ
我らの🦢「しんでれら・アヒル号」の出番だよ
サヨ…それは些か長かった故に
応援してくれている同志たる人魚のためにも最善…此処では最悪なのだろうか…兎も角、頑張ろうね
煌びやかに飾られたアヒルに笑みを深くする
真珠色の光り輝く白に纏うドレスのような、あえかな桜がよく映えているよ
船首に小さな女神のような櫻宵像を飾ろうとしたらむしり取られたのが残念である
とても楽しみだよ

いい子に並んでいたらサヨがさっと場所をとってくれた
流石、私の巫女は詳しい

噫、任せてくれ
壊れないように愛でるように、必死に漕いでみるよ
わくわくしながらペダルに脚をかける
例え脚がもげたとしても…私の巫女の為に!!


誘名・櫻宵
🌸神櫻

とても眠いわ
気合を入れて美しい白鳥を仕立てあげ……え?!🦢「しんでれらアヒル号」?!
私の、グラスブロッサム・エリザベート・アガペー号は駄目になったの?!

カムイの楽しげな姿を見るとほっこりするの
キラキラの冠に赫と薄紅と秘色の桜をたくさん飾って、子ペンギンとカラスと桜の龍の絵を描いてデコったのよね!
三人の手型飾り付き…その像は怪しかったから却下よ!

配置につきましょ!
ポジショニングが大事なの

さぁ!カムイ!!
気合入れて漕いで!!
私は桜吹雪ぶわーってしたりして邪魔したり舟を守ったりするわ!
私の神様!かっこいいわ!頑張って!
私も頑張るわ!

あなた、邪魔
路をあけなさいってかぁいくぶっ飛ばしてやるわよ




 形良い花唇から零れそうになる欠伸を抑え、眠気と戦う。しょもしょもとしてしまう目を擦りたくはなるが、そうはしない。何故なら今日も朝から櫻宵のメイクはバッチリだから! 朝から私の巫女は美しいねと神も微笑んでいた。
「ついにこの時が来たね、サヨ。我らの『しんでれら・アヒル号』の出番だよ」
 ふたりがデコっているスワンボート、しんでれら・アヒル号ももう少しで完成だ。全体的な出来栄えを確認して、カムイはうんと満足げに微笑んだ。
 真珠色の光り輝く白の船体にあえかに桜を咲かせ、小さな頭にはキラキラの冠。赫と薄紅と秘色の桜を飾って可愛くしたら、子ペンギンとカラスと桜の龍の絵も描いた。ふたりで作業をするのが楽しくて、あっと言う間のひとときであった。
「……え?! しんでれら・アヒル号?! 私の、グラスブロッサム・エリザベート・アガペー号は駄目になったの?!」
「サヨ……それは些か長かった故に」
 しんでれら・アヒル号で、もう受付の登録も済ませてある。ショックを受けた顔の巫女を見れば眉の下がる心地だが、仕方がないのだ。名前を書く欄に、長すぎる名前は入らなかった。
 最後の仕上げにと、小さな何かを手にしたカムイが手を伸ばす。
「その像は怪しいから却下よ! ……と言うか、いつこんなものを用意したの?」
「こんな事もあろうかと思ってね」
「ええ……」
 カムイの手からむしり取った小さな女神のような櫻宵像を見る。いつこれを使う機会があるとこの神は思ったのだろう。その機会はカムイ曰く今な訳だが、それにしても……ねえ?
 けれど、楽しそうなカムイの姿を見るのは嬉しくて。後から返してあげましょうと櫻宵は櫻宵像を懐へしまった。それとも、この会場の何処かで応援してくれている人魚にあげるのが良いのだろうか。子ペンギン辺りはつついて喜びそうだ。しかしそれも、レースを終えてからの話だ。
「出るからには、目指すは優勝よ!」
「応援してくれている同志たる人魚のためにも最善……此処では最悪なのだろうか……兎も角、頑張ろうね」
 とても楽しみだよと幼く笑うカムイの手を取って、いきましょうと衣を揺らしていざなうは待機列。
 他の一般参加の悪魔を倣って良い子に並び、良い子に待って。良い子に皆の流れに続いていく。――けれどそこで、ささっと櫻宵がハンドルをきってくれる。曰く、ポジショニングが大事とのこと。
「私の巫女は可憐なだけではないね」
 彼の知識と機転に、憧れにも似た花が心に春を喚んだ。
 暫くふたり、湖上のスワンのなか。
 静かにやる気を高めながら待てば、その時は来る。
「さぁ! カムイ!! 気合入れて漕いで!!」
「噫、任せてくれ」
 邪魔をしたりしんでれら・アヒル号を守るのは櫻宵が担う。方向等も周りをよく見ながら櫻宵が指示を出してくれるはずだ。ふたりで可愛くしたしんでれら・アヒル号が壊れてしまわないように、カムイは愛おしさを篭めて漕ぐのみとワクワクと弾む気持ちを表情に滲ませ、ペダルへと足を掛けた。
「例え脚がもげたとしても……私の巫女の為に!!」
「私の神様! かっこいいわ! 頑張って!」
 巫女の声援に、頑張らない神はいない。

 煌めく水上に美しく泳ぐ白鳥――いいや、あれは桜を抱いたスワン『しんでれら・アヒル号』だ!
 このしんでれら・アヒル号に乗るのは、櫻宵選手とカムイ選手の二名! カムイ選手が漕ぎ、櫻宵選手は――、っ!? 桜が、桜が舞いました!! 春風杯に、美しい桜吹雪が! 会場の皆さん、ミニターを御覧ください! しんでれら・アヒル号から美しい桜が吹き出ております!!!!!
 どうやらオムライススワンが黄色い布を放り投げた瞬間、桜吹雪が生じたようです。
『コバヤシさん、コバヤシさん』
 はい、なんでしょう。ワタナベさん。
『映像をコマ送りにすると、黄色い布が飛んだ瞬間に何かが煌めいて、一瞬だけ蛇のようなものが出ていますね。……ここ、ここです。大きな蛇が出てスワンが転覆しそうな程に揺れています』
 本当ですね。これは……櫻宵選手が何かをしたのでしょうか。

 ――あなた、邪魔。路をあけなさい!
 そう口にした櫻宵が一瞬だけ大蛇となって桜を吹雪かせ、スワン――しんでれら・アヒル号は大いに揺れた。その大きな揺れさえカムイには楽しくて、しっかりとハンドルを握り漕いでゆく。
 大丈夫、幸運は味方についている。どんな桜の嵐が起きようと、この船は沈みはしない。なにせ、桜花ノ龍と桜ノ約神が乗っているのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真白・時政

カラスくん(f13124)と

ウサギさんまだねむーい
二度寝シたかったのにお布団取っちゃうんだモン!
代わりにエントリーシて来てェ

デコる前にスワンちゃんを確認
ワルイコをやっつけてくれてたの?
カラスくんのワンチャンはイイコだねってなでなで

目立つカワイースワンちゃんにシたいな!
黒とショキングピンクに塗ったら目立つコト間違いナシ!
ウサギさんのスワンちゃんだから(ナゼか)風力抵抗を受けないうさ耳も付けてェ~
カラスくんお帰りィ
カワイイデショ?

ホラホラレース始まっちゃう!塗り直してる時間ナイよ!
湖に漕ぎ出してウサギさんが座るのはモチロン助手席!

キャー!揺れるー!ケドタノシー!
ニコニコ笑顔でガンバレ♥ガンバレ♥


ヤニ・デミトリ

ウサギさん(f26711)と

出走時間はギリギリを攻めんで欲しいっス
しょーがないっスね…さくっと受付済ませてくるっス

あとはボートの確認と獣擬きから異常が無いかを…
ヒエッ 素朴な白鳥がオラついた黒ピンクのウサギに…この一瞬で!?
唐突にクリエイティブを爆発させてくるっスね…

ウウ、カワイくなったもんはしょうがない…
今日からお前はブラック😈デビルピンク号っス
水に潜った獣擬きを爆走サメエンジンに変異させボート下に合体
スワンにあるまじき機動力と回避性能をつけるっス
これで罠やブギモンの攻撃も鮮やかに回避して駆け抜けるっス
揺れますけど

まあある程度は漕がないとっスけどね
流れるように助手席に乗るんじゃない…!




「ウサギさんまだねむーい」
「ギリギリまで寝てたじゃないっスか」
 目をこしこしとこするのは、可愛い女の子ではなく同身長の男である。ほら早くキリキリと歩いてくださいと急かしたヤニの顔に浮かぶのは、呆れの色。昨夜寝る前に、起きる時間や明日の予定を話したはずだが、この男は華麗に二度寝を決め込もうとしたのだ。待てども起きようとする気配の見えない男に痺れを切らし、カーテンを全開にして無理やり布団を剥ぎ取り、身なりを整えさせた頃には予定していた時刻を大幅に過ぎていた。せめてさっさと歩くくらいしてくれと言わんばかりの態度を取ってしまうのも致し方ない話だ。
「代わりにエントリーシて来てェ」
「しょーがないっスね……さくっと受付済ませてくるっス」
 時間はほぼほぼギリギリ。待っていては出場も危ぶまれるため、時政にはスワンボートの元に居るようにと言いおいて、ヤニはひとりで受付を済ませに離れた。
「んフフ、カラスくんのワンちゃんイイコイイコ」
 昨夜も会ったスワンボートへと近付いた時政はボートを撫でて、良い子に待機しているヤニの屑鉄の犬も撫でる。夜の内に悪さをする悪魔を追い払った痕跡が伺えて、よくできましたと花丸印。
 ひとしきり犬を撫でたら、やることは――。
「目立つカワイースワンちゃんにシたいな!」
 そう、スワンボートのデコである。
 少し離れて全体を見て、左右に移動して違う角度の姿も見て、思案げに顎に指を掛けるも僅かな間。きーめたっと明るい声を発した時政は、塗料を手に取り塗り始める。
「ウサギさんのスワンちゃんだからァ、カワイくて目立つカンジがイイよネェ~」
 ここはこうしてこう。それからここは……。
 先程までの動きを知っているヤニが見たら目を向きそうな程テキパキと、時政はひとりで作業を進めていく。
「受付済ませて来たっスよ。異常はなかったス、か……」
「あ、カラスくんお帰りィ」
 戻ってきたヤニの語尾が消え、黒の中に煌めく銀が丸くなる。
 笑顔で手を振る時政よりも、スワンボートへその視線は注がれる。存在感が強すぎるのだ。昨夜見たボートと違い過ぎるのだから、仕方がない。ヤニの喉から、ヒエッと息とも声ともつかぬ音が漏れたのもまた、仕方がない話であった。
「素朴な白鳥がオラついた黒ピンクのウサギに……この一瞬で!?」
「カワイイデショ?」
 そうなのである。昨夜はキチンとした白鳥であった。夜闇の中でも月光でその白さを輝かせていた白鳥であった。それなのに今はその身を黒とショッキングピンクに染め、白さの片鱗すら無い。おまけに何故かうさ耳も生やしているし、つぶらな瞳には付けまつげがされているし、胸には可愛いハートが描かれているし、ボディの隅にはカラスとウサギの絵まで描かれている。
 これを、この短時間で!?
 唐突にクリエイティブを爆発されると、反応に困る。
「黒一色に留めて置いてくれればブラック・スワンを名乗れたんっスけど……今日からお前は『ブラック😈デビルピンク号』っス」
「黒いスワンちゃんは、王子様をゆーわくしちゃうワルイコデショ?」
「……そこは良い子なんスね」
「んフフ! ホラホラレース始まっちゃう!」
 塗り直している時間はない。今度はヤニが早く早くと急かされた。
 ため息ひとつで思考を切り替え、昨夜喚び出した《獣擬き(リビングフェイク)》を水に潜らしたなら、爆走サメエンジンへと変異させてボートへ取り付ける。これでスワンにあるまじき機動力と回避性能を確保出来るが、参加者が多いのと他のスワンの小回りの効かなさを考慮せねばならない。それだけ気をつけて……あとは揺れることにも目を瞑れば、快適な湖上の旅となるだろう。
「さ、行くっスよ……って、流れるように助手席に乗るんじゃない……!」
 当たり前のように助手席に座って「カラスくんガンバレ♥」と両手を握って応援のポーズの時政は、きっともうそこから動かないことだろう。説得は難しい。時間はない。ならば己が諦めるしか道はない。
「キャー! 揺れるー! ケドタノシー!」
 サメエンジンを稼働させるまで漕げば、傍らから楽しげな声が響き出す。
 船体を大きく揺らしながら、ブラック😈デビルピンク号が湖上を爆走した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と、ワル!
朝起きたらすぐに、朝食バイキングに突撃ー!

ボート命名! 🦢白【しろいあくま】号!
え、たまこ? 似てない!(ムキになる)

アンちゃん!
あーあ、ウサ耳は禁止なのに。母ちゃんに怒られても知らないよー?
じゃあ、おいらは執事服にちぇーんじ!
へへへ、カッコイイ?(てへ)

集団の真ん中あたりで。よーい、どん!(ネズミ花火)
(キコキコ)
おおー。進んだ!(にぱ♪)
(キコキコ)
うーん。もうちょっとスピード出したいなあ。

あ。そうだ♪
(舞扇呼び出し、前のボートに投げ付ける)
よっし、これで絆に引っ張ってもらお♪
あ、オムライスボートにも♪(爆発どっかん☆)

食べるのは、ゴールしてからね?


木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
🦢 白【しろいあくま】
白羽毛でデコってみるね
…少したまこ(飼い鶏)に似てる?
ん、うさみみも付けてみる

…わたしもうさみみ(のカチューシャ)を付けて
昔、付けたらおかあさんが怒ったから、きっと悪い子の象徴>うさみみ
そして服装は、UCを使いメイド服に変身!
ふふ、ワルの正装(満足気)

漕ぎ手はまつりん
わたしはしろいヤツを横に持ち、おらおらと周りのボートを進行妨害
んむ?何やら茨の罠…
それもしゅぱっと怪力でしろいヤツを振り薙ぎ倒す

!黄色い…オムライス!(じゅる)
……涎垂らしてない大丈夫
ん、増えた。オムライス増えた
美味しそうなのでしゅばっと確保

まつりん、食べれそう?だめ?




 朝から元気に朝食バイキングに突撃した杏と祭莉は、育ち盛りの胃を美味しいものでたっぷり満たしてから会場へと足を運んで開会式に参列した。
 良い子に話を聞いたら、ボートの元へ向かうふたり。
 名前はどうしようかなぁと悩む杏の傍らで、祭莉はもう決めていると指を立てた。
「ボート命名! 『しろいあくま号』!」
 杏からは別段反対の声も違う意見も上がらす、サクッと名前が決まった。
 祭莉が名前を告げる間もサクサクと白い羽毛でスワンボートのつるりとしたボディをふわふわに仕上げていっていた杏は、ふと顔を上げてスワンことしろいあくま号を見上げて。
「……少したまこに似てる?」
「え、たまこ? 似てない!」
 だってスワンにはトサカもない。
「ん、それじゃあ……」
 そっとうさみみを付けて、トサカの代わり。近くなったような、遠くなったような……けれど祭莉からの反対意見は出なかったので、ヨシ!
「ああ! アンちゃん!」
 ついでに自分の頭にもうさみみカチューシャを装着した杏を見て、祭莉が悲鳴のような声を上げた。二人の母が以前、うさみみを付けたことを怒ったことがある。何故かは解らないがうさみみ装着は禁止だし、うさみみは悪いこと。いけないんだーっと祭莉は言うが、今日はワルな日なのだから良いのだと杏は胸を張った。
 そして服装も、《どれすあっぷ・CBA(ドレスアップ・クールビューティーアン)》でメイド服に変身! うさみみメイドはワルの正装なのだ。
「アンちゃん、おいらも着替える!」
 おそろいがいい! ちょっと待ってて!
 持ってきた荷物をゴソゴソして執事服に着替えれば、ふたりで並んでひとそろい。
「へへへ、カッコイイ?」
「ふふ、ワル♪」
 ワルいメイドとワルい執事は満足そうに笑い、待機列へと並ぶのだった。

 今、一斉に、スタートです!
 っと、開始早々何かが炸裂しましたね。あれはなんでしょうか。
『木元選手たちのしろいあくま号から……くるくると回るなにか……ネズミ花火、みたいなのが出たようですね。くるくるパチパチと湖に落ちていきました』
 ああ、ネズミ花火。ビックリした選手も居たようで、スタートダッシュができなかったスワンの姿も見えますが、少しの差。すぐに追いつけそうですね。
 木元選手は双子の兄妹で、お兄さんが祭莉選手、妹さんが杏選手。漕ぎ手は祭莉選手が担い、杏選手は……何やら白い棒の様なものを持っているようですね。棒の両端に……ニワトリでしょうか? 何か飾りがついているのが見えます。 その棒を突き出し、他のボートの進行妨害! うーん、初っ端からワルですねぇ!
 祭莉選手は楽しげな笑顔を浮かべながら漕いで行っていますね。うん、実にいい笑顔です。
『コバヤシさんは頑張る子供を見るのが好きでしたよね』
 そうですね、つい応援したくなります。うちの子も…………っと、しろいあくま号の前方にはトゲトゲ――湖の中から出てきた茨が進行を妨げています! 当たれば痛そうですし、スワンに傷がついて浸水する可能性もあります。どうする、木元選手!?
 おおっと、白い棒にはそんな使い方も!? 杏選手、棒を振って薙ぎ払いました! 小さいのにパワフルですね!!
 そして前方に入り込んだ黄色のスワン、『オムライスブギーモンスター』選手のスワンへと何かが放たれた! あれは扇でしょうか。等と言っている間に、オムライススワーーーーン! 爆! 発!
『おや、爆発させたからでしょうか。オムライスブギーモンスターの兄弟たちに目をつけられてしまったようです』

 しろいあくま号を黄色いオムライススワンたちが取り囲む。
「黄色い……オムライス! 増えた!」
 普通だったらどうしよう!? となるようなシーンだと思うのだが、杏はキラキラと瞳を輝かせる。じゅわっと口内に溢れた涎が垂れていないかだけそっと確認した杏の思考は『おいしそう』で支配されている。
 そのおいしそうなオムライスブギーモンスターたちが、焼きたての玉子のいい香りをさせながら、黄色い布をしろいあくま号へと放った。おいしいものセンサーが働いた杏はしゅばっと確保。
「まつりん、食べれそう? だめ?」
「食べるのは、ゴールしてからね?」
 レース後に、ただの布だと絶望するかもしれないけれど。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『こおりのあくま』

POW   :    狙った相手は逃さない
【ステッキ】を向けた対象に、【氷の魔法】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    得意な地形に変えるのもお手の物
【雪】を降らせる事で、戦場全体が【雪原】と同じ環境に変化する。[雪原]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    形から入るのも大事
【理想とするデビルクイーンの姿】に変身し、武器「【ステッキ】」の威力増強と、【舞い散る雪の結晶】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミネルバ・レストーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

純・ハイト(サポート)
勝つ事を考えて、自身を含めて全てを駒として考えて手段を択ばずに、使える物全て使って任務に参加して戦う。
エレメンタル・ファンタジアはトラウマはあるが、トラウマよりも敵は全て殲滅と考えているために問題無しに使える。
主にユーベルコードの力で軍隊を操り戦闘を指揮して戦うが、他のユーベルコードが有利に動くならそっちを優先して使う。


セシリア・サヴェージ(サポート)
「私の力が必要なら喜んで手を貸しましょう」
「人々を傷つけるというのであれば、私が斬る」
「護る為ならば、この命惜しくはありません」

◆性質
『暗黒』と呼ばれる闇の力を操る黒騎士。闇を纏った冷たい風貌から誤解されがちですが、人々を護り抜くという強い信念を持っている隠れ熱血漢。味方には礼儀正しく優しく接しますが、敵には一切手加減せず非情です。無茶な行動や自己犠牲も必要と判断すれば躊躇しません。

◆戦闘
『暗黒剣ダークスレイヤー』と共に力任せに暴れます。ダメージや怪我を恐れず、代償を伴うユーベルコードの使用を躊躇しません。非戦闘員が戦場にいる場合は護衛・救出を優先します。


鞍馬田・珠沙子(サポート)
普段の口調は「~っしょ。~だべ?~じゃね?」といったギャル風
基本的に敵には強気に接します

性格も口調と同様その場のノリで生きる喧嘩っ早い性格ですが、元箱入り娘らしく分別と道徳心は割と持ち合わせています。

猟兵のスタンスとしては、自分の知り合いといった『自分の手の届く範囲の人』を守れれば十分と考えているため、態々依頼に参加する理由は何か戦いたくなったから、もしくは『映え』そうな場所だったからといったふわっとしたものが大半を占めます。

割と勝つために手段を選ばない性格で、素手による戦闘を身上としてはいますが陰陽術を使った相手への妨害や周囲のものを武器として利用することも積極的に行います。


リダン・ムグルエギ(サポート)
「餅は餅屋。後の戦いはお任せするわね
「お、今の映えるわね!ヒュー

キマフュ特有のノリの服飾師

見た人の五感を狂わす「催眠模様」の入り衣装を作って配る事で
仲間や一般人の防御底上げと敵の妨害を実施したり
依頼に即したなんらかのブームを生むことで敵に特定の行動を躊躇させたり
等を得意とする
「戦闘開始前に自分のやるべき仕事の準備を終えている」事が多い純支援キャラ

依頼本編では戦いの様子等を撮影・配信したり
キャーキャー逃げたり
合いの手を入れてたりしています
単独戦闘には不向き

ミシンや針、布等も所持
その場で他依頼参加者に合わせ衣装アレンジも

MSのセンスで自由に動かしてOK
エロだけは厳禁



●乱入者
 レースが開始し暫くするとスタート地点にある客席からは選手の姿は豆粒のようになってしまう為、観客たちの視線は巨大モニターに釘付けだ。3m程はありそうな大白鳥が湖上――選手たちの上空を旋回し、そこから実況が行われており、会場にいる観客たちはモニターの映像と彼等の音声で大いに盛り上がっている。
 湖上をいくスワンボートは脱落者がでているためスタート時よりも減っているが、それでも半数以上のスワンボートが残り、それぞれの手段で妨害や障害物への対処を行い進んでいく。

 ――現在の先頭は、アクシデントで船体が溶けて少し軽量化された鼠色のスワン『個性的なアヒルの子号』。かなりリードしています。離れて、『ブラック😈デビルピンク号』、『UCスワン号』も追いかける!!!
 その後を追うスワンボートたちも、僅差。まだまだレースの結果は解りません!
『終盤にドラマが起きたりしますしね』
 そうですね、ワタナベさん。毎年アッと思わせる出来事が起きるのがレース。今年の春風の女神は誰に微笑むのか!?
 ……おや?
『どうしましたか、コバヤシさん』
 あの薄氷色のスワンが岩陰から突然現れたような――いえ、おかしなことを言いましたね。今居るということは最初から居たのでしょう! まるで今まで全てを温存していたかのような、素晴らしい走りで追い上げていきます!!
『参加者一覧の資料にも載っているので、正規の手段で登録されていると思いますよ、コバヤシさん。そしてあれは、こおりのあくま選手のデビルクイーン号のようですね』
 こおりのあくま! では、あのスワンに搭乗している選手がオムライスブギーモンスター兄弟たちが応援しているという……! たしかに、赤と黄色のオムライススワンたちがデビルクイーン号を守るような位置を取っていますね。
 迫る迫る! デビルクイーン号! 鞍馬田・珠沙子(SUTEGORO☆ONMYOJI・f26157)選手とセシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)選手のスワン『ビューティフル・ナイツ号』へと迫り――と、飛んだ!?!?!!!!? デビルクイーン号、前方のビューティフル・ナイツ号を飛び越えました!!! ……これは、大会ルール的にはありなのでしょうか、ワタナベさん!?
『ボートレースなのであくまで船を漕いでいただきますが、他のボートを追い越すために一瞬飛ぶことは大会ルール的な違反には繋がりません。ですが、長距離でしたらボートレースとは言えなくなるので失格になるかと思います』
 なるほど、集団を飛び越えるのはアリ、と。デビルクイーン号、煌めきながら華麗に着水! キラキラと舞い散る飛沫が美しいですね。オムライスブギーモンスター兄弟たちが何やら叫んでいます! ……「可愛いよー、こおりのあくまちゃん!」「君を最後までサポートするからー!」といったところでしょうか? こおりのあくま選手、オムライスブギーモンスター兄弟へ投げキッス! オムライスブギーモンスター兄弟一名、湖に落ちました――が、これをセシリア選手、華麗なハンドルさばきで回避!! モニターに映し出された珠沙子選手、余裕のピースサインを見せてくれています!

 続いてデビルクイーン号の前方にみえるのは、黒地のスワンに『GOATia』と書かれた旗――純・ハイト(数の召喚と大魔法を使うフェアリー・f05649)選手とリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)選手の『湖上のファッション傭兵号』のようです!
 デビルクイーン号から何か細いものがでてきましたね。
『こおりのあくま選手の杖のようです』
 という事は、何か妨害を――おおおおおおおおおおお!?
 湖が! 雪!? いえ、雪原に!? こおりのあくま選手のデビルクイーン号を中心に雪原へと変化しました! 雪の上では、スワンは進めません!! 
 ハンドルを握るハイト選手、まるでその妨害を予知していたかのように回避!
 隣に座る動力担当のリダン選手は余裕の表情で自撮りをしています!
『リダン選手は今回のレースのライブ動画の配信をしながら参戦しているようですよ』
 なんと! 映像班、ワイプでモニターに出せますか? あ、でましたね。閲覧数も多く、リダン選手を応援するコメントが多く寄せられています!
 新しく出現した障害物――広範囲の雪原に引っかかってしまったオムライスブギーモンスター兄弟のスワンがいくつかはこれ以上前に進むことが出来ず、無念のリタイアです!
『雪原に変えられてしまうと難しいですね……炎で溶かすか、突然雪用タイヤが生えるか、予知でもしたかのように見切って素早く回避か……」
 オムライスブギーモンスターたちを率いて突如頭角を現したデビルクイーン号。疾風の如く素晴らしい追い上げを見せています!
 このまま彼女が勝利を攫ってしまうのか!?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​


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⚠ MSより ⚠
 春風杯ボートレースガイド!

 サポートさんが来ていたので、お借りしてSPDとWIZの説明をさせて頂きました。戦場変化・飛翔はこういう扱いになります。
 引き続きオムライススワンは居ますが、張り切って妨害することはしません。こおりのあくまのデビルクイーン号のサポート(肉壁)をしたりするくらいです。こおりのあくまを勝たせないように妨害しつつ、完走してください!

 ・再送について
 三章は最後にゴールシーンと順位発表ありますので、再送をご協力頂く可能性が高いです。お手元にプレイングが戻ってきた際は、内容を変更せずその日の23:59までに再送をお願いします。
 また、この際、ペアのお相手との時間は違っていて大丈夫です。都合の良いお時間に再送ください。ですが、迷子のお呼び出しをせねばならないケースも何度か発生しておりますので、お相手がスワンボートから落ちていないかの確認だけお願いします。

 ボートレースガイドをおわります。
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リュカ・エンキアンサス
【蒼空】
じゃあ、とりあえず操縦はこっちに任せてもらう
妨害は、絶望の福音で正確に回避していこう。特に雪原とかされると困るからね
と、いうわけで俺は回避専念します
後はこおりのあくまとやらの対処は、任せた
…俺がそっちに回ると、選択肢が死ぬまで撃つしかなくなって、楽しいレースが血に染まるのでお兄さんのなんかファンシーな力に期待したい
後割と結構寒いのでなんかあったかくしてくれると嬉しい。
手が空いたら、うたいの鼠で麻痺弾撃ってみるけど…

…うわ、変形した
スタフロが一気にカッコよくなったね
(そしてお兄さんの技が案外凶悪だ…
底知れぬ力を感じるね、うん
これなら、いい線行けるんじゃない
最短コースで突っ切ろう


オズ・ケストナー
【蒼空】


うん、リュカよろしくねっ
ぴっと敬礼
さっきまでリュカががんばってくれてたもの
ここからわたしがぜんりょくでこぐからねっ

なんかあったかくすればいいの?
おっけーっ

きこきこ踏み進めながらガジェットショータイム
ボートの両サイドにがしょんと翼
朝焼け色に輝く翼型のヒーター
薄型で軽量

わ、はねだっ
みてリュカ、スタフロにはねがはえたよっ

くちばしにもガスマスクみたいな何かが装着
見えないけど
なんだろこれ
下がった紐を引っ張る

ゴーッ
火をはいたっ
リュカどう、あったかい?
あれ、あつい?おみずのむ?

リュカが直撃を避けて
わたしが雪を溶かしながらぐんぐん進んでいくよ

前にボートがいたら
もえちゃうよ、あぶないよーっ
声かけながら




 オズとリュカのスターライトホエールフロッシュマウス号は、先頭のスワンボートたちからはかなり離れた真ん中の集団の中にいた。たくさんの参加者たちと一緒に、オズはキコキコと一定の速度でペダルを漕ぎ、スターライトホエールフロッシュマウス号はのんびりと、けれどもふたりは楽しげに湖上を進んでいく。
 操縦は任せてとギュッとハンドルを握ったリュカに、よろしくねとピッと敬礼と笑顔とで返したオズは、視線を戻して前を見る。先程までは春が近づいてきた長閑な湖だったはずなのに、今は少し寒々しい。ビュオォと雪や氷の礫を乗せた風がスターライトホエールフロッシュマウス号の嘴の先を濡らしていっていた。
 それは、前方に突如現れた一団。こおりのあくま率いるデビルクイーン号とその仲間たちのせいだ。一部始終を後方から見ていたふたりは、真っ直ぐにその影を見つめている。キコキコと漕ぎ続ければ、薄氷色のスワンボートにもそのうち追いつくことだろう。
「……少し寒いね」
 正直に言うと、割と結構寒い。
 お兄さんは平気? とリュカが問う。
「リュカ、寒い? わたしはへいきっ! あったかくしよっか?」
「できる?」
「うん、おっけー。まかせてっ」
 ――《ガジェットショータイム》!

 ――真ん中の集団で何かが起きたようです!
 星空を抱いたスワン――あれは、スターライトホエールフロッシュマウス号ですね。ぽわぽわと煙が上がり……おや、オズ選手がスワンから顔を出しました。湖の上に落ちた何かを、スワンへとくっつけているようですね。あれは、翼、かな。朝焼け色に輝く翼をスワンにくっつけ、反対側にもリュカ選手がくっつけているようですね。
『スワンボートは翼を折りたたんで泳ぐ白鳥の形をしているので、四つ羽のスワンになりましたね』
 ふたりが持てるくらい、翼は軽いようですね。飛ぶのでしょうか?
 どうやらもうひとつ何かがあるらしく、オズ選手が翼に乗って……嘴へ手を伸ばしていますね。危なく見えて、少しそわそわしてしまいます。
『わかります』
 あれは、ガスマスク……? なんでしょう? なんかこう、悪魔的な気配がします。消毒しそうなイメージですね。
 装着でまた少し前方と離されてしまいましたが、準備が完了したのかスターライトホエールフロッシュマウス号、再出発です。
『ああ、なるほど。あのガスマスクが火を吐き、翼はヒーターのようですね。オズ選手が紐を引っ張ったら火が出ました』
 スターライトホエールフロッシュマウス号、前方の雪や氷を溶かし、ぐんぐんと進んでいきます!
 後方からやってくるスターライトホエールフロッシュマウス号に気付いたのか!? オムライススワンが体当たりをするために近寄る! スターライトホエールフロッシュマウス号、回避!! デビルクイーン号からこおりのあくま選手がステッキを振って雪原を増やす! スターライトホエールフロッシュマウス号、火で溶かす!
『火を吹くスワンって、少しシュールですね』
 火で溶かされてしまって上手く妨害できないからでしょうか。違うオムライススワン、再度体当たりか? スターライトホエールフロッシュマウス号に近付く! 素晴らしいハンドル裁きでスターライトホエールフロッシュマウス号またも回避!!

 回避をし、暫くハンドル操作をオズへと任せたリュカは、窓から顔を出してパンッ! と空色に瞬いた銃を放つ。麻痺弾を篭めた一撃は、更に追ってこようとしたオムライスブギーモンスターに見事命中。これであのオムライススワンは暫くは追ってこられないだろう。
「わあ、まえにもいる! もえちゃうよ、あぶないよーっ」
 スワンは急には止まれない。回り込んで妨害しようとしたオムライススワンへ、スターライトホエールフロッシュマウス号はゴーッと火を吐きながら突き進んでいく。
 これは危険だと気付いたのだろう、オムライスブギーモンスターたちが水へ飛び込む音がした。
「だいじょうぶかなあ」
「……大丈夫じゃない?」
 元より妨害するほうが悪いのだし、自業自得だ。
 被った卵色の布がプカプカと浮かんでいるのだけ確認し、リュカはハンドルを握り直した。
 溶かして突き進んだお陰で、順位が上がっている。勝負はまだまだこれからだ。

 ※大会運営よりお知らせ
 水に落ちたオムライスブギーモンスターたちは、凍えてしまう前にスタッフがちゃんと回収しました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

誘名・櫻宵
🌸神櫻


カムイ!スピードが落ちて…な、なんですって?!
くっ、こんな時に私達のしんでれら・アヒル号の邪魔をする者が!

桜吹雪を舞わせようと、凍らされては全てが水に落ちてしまう……!

カムイ、選手交代よ
ここからは私が殺るわ!!

ええ漕いでやりますとも
あのね、私は泳げないの
こんな所で転覆したら、死よ
死活問題よ
死んでれら・アヒル号になんてさせない!

カムイ、妨害は任せたわ
こちとら命かかってんのよ!本気で漕ぐに決まってるでしょ!
必死こいて漕ぎながら、神の寵愛たる幸福を感じる
見守ってくれている人魚に想いを重ね、となう『焔華』
凍らされたなら溶かせばいいの!
カムイの力に重ねる神罰の桜吹雪

全部溶かして咲かせてやるわ!


朱赫七・カムイ
⛩神櫻


少々、足が棒になってきたよ

凍らされては我らの「しんでれらアヒル号」もひとたまりも……
噫!美しい私の巫女の桜が凍って
許されないな…

サヨ、そんな……そなたが漕ぐというのかい?!
そのか細い足で
わかったよ
きみが先に進むための露払いは任せてくれ
私とて神の端くれ
生後半年と甘く見られては困る

路は必ず切り拓く……!
巫女がか細い足で漕いでくれているのだ
『厄神ノ微笑』
だが全て、当たらなければいい
不運に見舞われオムライス達が凍りつき
更にそれがあくまの道を阻むよう
神罰を下そう
可能性を根こそぎ奪い、不運に転じる
厄を約してあげよう

全ての幸運は私の巫女へ
さぁいこう
最後まで、共に

私がきみを守るよ
これまでも、これからも




 先頭集団から大きく離れた中間あたりのスワンたちの塊。
 そこに居た櫻宵は、ハッとした。
 明らかに先程よりもスピードが落ちている。私の神は頑張っているはずなのに、どうして!?
「カムイ!」
 もしかして敵の攻撃!? なんて横を見てみたが、迎えたのは下げられた困り眉。
「サヨ……少々、足が棒になってきたよ。けれど大丈夫だよ。足がもげても漕ぎ続けるからね」
「噫……」
 そう言えば、そんなことを言っていた。けれどそれは冗談ではなかったのか。いやしかし、この神に冗談なんて言えるのだろうか。苦しみながらもキリリと眉を上げるカムイは全てが真面目で、天然だった。
 ただ漕いでいるだけでも苦しいのに、状況は次々と変化する。ビュオォと雪と氷を伴った冷たい風が吹いたのだ。何よ! と櫻宵が桜吹雪で対抗しようとも、桜は寒さに弱い。凍らされては全てが水に落ちてしまう。
 けれどそんなことは許されない。巫女を悲しませるものは全て悪である。
「カムイ、選手交代よ。ここからは私が殺るわ!!」
 誤字ではない。常に殺る気で本気だ。
 私が漕ぐから、あなたが妨害をして!
 櫻宵の言葉に、そんな……! とショックを受けたような表情となったカムイだが、櫻宵の押しは強かった。
 何故なら、櫻宵は泳げない。転覆したら死。……カムイが助けるだろうけれど、レースは中断せざるを得ないだろう。
「路は必ず切り拓く……!」
「死んでれら・アヒル号になんてさせない!」
 気持ちを新たに真剣な顔で前方を見つめるふたりを乗せ、しんでれら・アヒル号はすいーっと滑らかに湖上を泳いでいく。
 ――私がきみを守るよ。これまでも、これからも。
 そんな神の気持ちを乗せて。

 ――おや。
『どうしましたか、コバヤシさん』
 しんでれら・アヒル号は漕ぎ手を交代したようですね。
『本当ですね。窓からハンドルを握る櫻宵選手の姿が見えます』
 優雅に泳ぐように湖上をいくしんでれら・アヒル号にも、こおりのあくま選手率いる集団――オムライススワンたちが寄っていくようです。前方から――これは、通せんぼかな。
『いえ、どちらかというと囲い込みですね』
 しんでれら・アヒル号の前で大きく広がるオムライススワンたち。端の方から緩やかに囲むようにしんでれら・アヒル号へと寄っていきます。
 ――――!? どうやら、アクシデントが発生したようです。こおりのあくま選手の号令のもと、シンクロナイズドスイミングもびっくりな一糸乱れぬスワン捌きを見せていたオムライススワンたちが、次々と自分たちでぶつかって自滅していくようです。
 そ、そして! ちょうど上手いことしんでれら・アヒル号の進路に穴が空き、そこへ滑べるようにしんでれら・アヒル号が進んでいきます! これは一体……! どういうことでしょうか、ワタナベさん!
『見てください、あの自信満々な櫻宵選手の笑み。きっとカムイ選手が何かをしたのでしょう』
 そのようですね……。「あれはうちの子すごいでしょ!」の笑みに似ていますね。
 ここでこおりのあくま選手が動く! ステッキを振って、前方を塞ぐべく雪原を出現させるのでしょ――っとぉおおおお!? こおりのあくま選手、ステッキを落としそうになる! 慌てて握る! スワンから落ちそうになる! オムライスブギーモンスターが助ける! 涙目だ、涙目になっている!! どうするこおりのあくま選手!
 ――……ああ。
『前方に素早く逃げていってしまいましたね……』
 水を凍らせて滑れますからね……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と、しろいあくま号で爆走なう!

まだまだ勝負はこれから
まつりん、ボート漕ぐの慣れてきた?
わたしももっと何かお手伝い…
あ、たまこ(一緒に来た飼い鶏)
たまこも応援しよう!
(たまこはまつりんにきしゃー!!と威嚇(おうえん))

ん、まつりんの気合いも入った
迫るは…あれがこおりのあくま(ごくり)
あくまには…くーるびゅーてぃ、召還
ふふ、クールなメイドに氷などは何のその
手に持つ箒でこちらに向かう攻撃を全て掃き(撃ち)返してお掃除!

メイドさんに守りはお任せ
んむ、雪原?おっけーまかせて
雪原にボートが乗り上げたら、むん!と怪力使ってしろいヤツでかき分け進むね

ゴール!
ふふ、楽しかったね♪


木元・祭莉
アンちゃん(f16565)とー!

あれが、デビルクイーン号!(びしぃ)
女王様? たまこの親戚??

って、なんかちょっと寒気したけど……きっと気のせい!
見えない見えない、見えないものはいないんだよ!(顔を覆って爆走中)

むむ、アレがこおりのあくま!
……カワイイ?(あれ?って視線はアンちゃんの箒に遮られ)

だいぶ近付いてきた!
ではここに取り出しましたる、コケコッコーメダル!

オムライスさんたちの表面を水切りの要領で跳ねさせ!
あくまサンのフードに入るよう投げ込む!

ふー。たまこの気が逸れてるうちに!
全速前進、屋台引きの脚力を見せてやるー!!(人狼スワン橇、雪原を走る)

ゴール!
順位は?
まあ面白かったし、いっかー♪




「あれが、デビルクイーン号!」
 前方に広がった雪原近くに浮かぶ薄氷色のスワン。噂のオブリビオンが乗っているというスワンボートだ。王冠を乗せたスワンは気品のある顔立ちが女王様のようで、「たまこの親戚??」と祭莉は首を傾げた。
 ビュオォと冷たく風が吹けば、ぷるると身を震わせる。寒いような気がしたけれど、きっと気のせいだ。だって寒いということはおばけがいるってことだから……やっぱり気のせい! おばけ見えないし! 見えないものはいないんだから!
「まつりん、がんばれー!」
「が、がんばる!」
(見えない見えない、見えないものはいないんだよ!)
 顔を覆いながらもキコキコとペダルを踏む祭莉の心中に気付かず、杏はニワトリの『たまこ』と一緒に応援する。たまこが「きしゃー!!」と威嚇をして祭莉がビクリと少し肩を揺らしていたけれど、杏はニッコリ。たまこもたくさん応援できてえらいねーっと満足気に可愛いたまこをなでなでした。
「むむ、アレがこおりのあくま!」
「……あれがこおりのあくま」
 薄氷色のデビルクイーン号に乗るこおりのあくまの姿が見えるところまで来た。思わずごくりとツバを飲み込んだ杏は、キリッと視線をデビルクイーン号へと向けた。
 ここからが、杏の番だ!

 しろいあくま号のふたりも順調に進んでいるようですね。
『つい見守ってしまいますよね』
 おや? しろいあくま号が少し沈んで、窓から何か出てきましたね。窓から出て、スワンの上へと立つ人のような――あ、あれは!
『うさみみメイド!?』
 ワタナベさんにもそうみえますか!? ではわたしの幻覚という訳ではないようですね……。うさみみのメイドさんが、箒を手にしろいあくま号の上に立っています!!
 どうやらメイドさんはメイドさんらしくお掃除が得意なようですね。飛んでくる氷の礫を野球のように打っていっています。うーん、いい当たりだ。木元選手たちの保護者的な立ち位置なのでしょうか。
『うちのお嬢様・お坊ちゃまには手出しさせません! ってやつですね』
 それです、それ。
 ……おや? 今、何か跳ねるように飛んでいきましたね。なんでしょう。
『飛びましたか?』
 キラッと見えただけなので、解りませんが……少し氷の礫が収まっているので、何かを祭莉選手がしたのかもしれませんね。
 っと、そうしている間にも、雪原が迫る! どうする、しろいあくま号! 回避か!? それとも、何か策があるのか!?
『…………乗り上げましたね』
 乗り上げましたね。いや、でも、これは、策があるのではないでしょうか? あ、ほら、見てください。杏選手が窓から何か出しましたよ。あれは…………え? バール?
『バールっぽい棒に見えます』
 それを雪原に突き刺して……え? ええ?
『……ものすごい力技で進んでますね……』
 ……スワンボートの重量は70kg程……それにプラスして二人分の子供の体重に、ニワトリ、それからスワンの上のメイドさんを合わせ……そこに雪原の摩擦等を考えると……。
『かなりの怪力ですね……』
 あの細腕で……。

「まだまだ勝負はこれからだよ、まつりん!」
「おいらもまだまだがんばれるよ!」
 楽しく完走できたら、それが一番だ。
 実況と解説のふたりの困惑なんてしらないふたりは、元気にボートを漕ぎ進めていく。少しずつ確実に、ゴールを目指して。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユニ・バンディッド
♢♡
おさらい。🦢一角鳥【UCスワン号】
🦢のUCはユニコーン。漕ぎ手はボクのナイト「空飛ぶ金貨達」によるペダル回転。
個人目標:
こおりのあくまのDを盗む。でも経験的に盗れそうなら盗るぐらいかな
3章:
贋金交換、言い方を変えれば羽根募金ならぬ贋金募金♪
よいこのみんなから集めたDを溶かし盛り上げちゃえ♪(他人様のおカネ浪費ワル)

ということでボクが切るのは代償魔術【ゴーイング・マイウェイ】。D金貨を代償に盗り集めたDを溶かしてヒートアップ!金色に染まれ、突き進むのは金の道♪🦢オーバードライブ!(🦢を金色変身・強化行動)
Dが尽きる迄、陽光を乱射・目晦ましと共に熱を持つ🦢で雪を溶かし光の湖を進むよ♪


グウェンドリン・グレンジャー
♢♡
🦢 黒【なたりーちゃん】

む、なんと
凍っちゃった
(ラスト一本の牛乳を飲みつつ、体育座りでシンキングタイム。爪先が冷たい)

そうだ、私、これ、使えるんだった
(Glim of Animaを掲げ、魔力で青い炎を灯す。降霊、UC発動)
属性攻撃、で、炎属性、更に追加
ボート、燃えない程度、なたりーちゃん、も、近くの人達のも、氷、溶かす
ブリギッド、顕現させたまま、念動力で、加速させつつ、ボートを、こおりのあくま……の方に、向けて進む

ステッキ、こっち、向けてきたら
炎の属性攻撃、乗せた、念動力で、減衰しつつ、オーラ防御で、ガード
強化した、炎属性の、念動力、そのまま、ぶつける

頑張ったね、お疲れ様、なたりーちゃん




「な、なんと」
 思わず溢れた声とともに零れる息が白い。
 どうしよう、凍っちゃった。
 ひんやりとした空気の中で小さく呟いたグウェンドリンは両手の指をこすって温めてから、牛乳をグイッと煽った。これが最後の牛乳だが、大事にとっておくことはしない。とりあえず牛乳を飲んで冷静に状況を判断しなくてはいけないからだ。
 ――整理しよう。
 グウェンドリンのなたりーちゃんと、ユニのUCスワン号の側に、突然こおりのあくまのデビルクイーン号が現れた。何かを飛び越えてきたかのように、それはもうバッシャーンっと盛大に水飛沫をぶちまけて。そして広がった雪原。これが結構、いやかなり冷える。雪原なので。
(どうしよっかな)
 シートの上で膝を抱えてシンキングタイムに入ったグウェンドリンは、そっと周りを見渡してみる。グウェンドリンの他にも、いくつものスワン。みんな、困っていた。
「ええー、雪? 困るなあ」
 真っ白に染まった景色に、ユニも声を上げる。うーんっと頭を掻いて少し考えて、でもこれって逆に使えるのでは? と考える。きっと今、この姿は会場のモニターに映し出されている。ここで派手な行動を行えば会場の観客たちは盛り上がるだろうし、その盛り上がりはきっと、ユニの故郷にだって届くことだろう。故郷にいる悪魔たちも喜んでくれたら、それはユニにもうれしいことだ。
「パーッといっちゃお♪」
 お金は、使うべき時に使うもの。そうしてお金は世を廻る。
(――ま、他人様のおカネだけどね♪)
 どうせ使うなら、派手に。
 よいこのみんなから集めたDを溶かして、溶かし尽くして、盛り上げちゃえ♪

 グウェンドリン選手のなたりーちゃんとユニ選手のUCスワン号は――完全に雪原に嵌ってしまっていますね……。どうにかする手立ては……っと、なたりーちゃん、青く燃えだした!! UCスワン号は何やら金色に輝き出したー!? まぶ、わ、本当に眩しいです。……あ、ワタナベさん、サングラスありがとうございます。
 なたりーちゃんはわかりますが、UCスワン号も熱を発しているのでしょうか。周りの雪を溶かしながら、両スワンともデビルクイーン号へと進んでいきます!
 それにしても眩しいですね……! 金色に輝くUCスワンの色を白い雪が反射して、金色の大地が現れたようです。ユニ選手が溶かして進んだ後も湖面の反射で暫く眩しいですね……っと、会場のモニターでご覧の皆さんの目は大丈夫ですか? あ、彩度落としてある? カメラさん、ありがとうございます!
『グウェンドリン選手は近くのスワンの周りも溶かしてあげているようですね』
 優しいですね。
 デビルクイーン号もただ待っているなんてことはないので進んでいきますが、後方のスワンたちが動き出したことに気付いたのでしょう。氷の礫や鋭利な氷の結晶を降らせます! 炎を自在に操るグウェンドリン選手! 礫を小さくしつつも、デビルクイーン号へと炎を向かわせる! すかさず身を投げ出すオムライスブギーモンスター! なんだか少し、いい匂いがしそうだぞ!?
 デビルクイーン号、振り返らない! オムライスブギーモンスターたちの声援を受けながら、凍らせた湖上をスケートのようにすべっていきました!
 会場はユニ選手とこおりのあくま選手のパフォーマンスとグウェンドリン選手の機転に大いに盛り上がっています!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

乱獅子・梓
【不死蝶】♢
🦢赤青【レッドデビルドラゴン号】

クッ、足がキツイ…!!ゴールはまだか!
おい綾、漕ぎ役を交代する気は無いか?
なんか上手く乗せられたような…

UC発動、今回は水と炎のドラゴンを半数ずつ召喚
水のドラゴンには引き続きボートを囲んで一緒に泳がせ
炎のドラゴンには空からボートを守ってもらう
敵が氷の魔法を放ってきたら
炎属性のブレス攻撃で迎撃(命中率重視

ついでにオムライスたちの肉壁が邪魔だから
ブレスや体当たりで攻撃
水に落としたりボートを転覆させたりして数を減らす
本当はそんなあくどいことはしたくなかったが…
向こうが妨害してくるんだからこれは正当防衛だ
あと足が限界だからさっさとゴールしたい!(本音


灰神楽・綾
【不死蝶】♢
🦢赤青【レッドデビルドラゴン号】

もう少しだよ梓、がんばれがんばれ
特に意味は無いけど肩を揉み揉み
いやー俺はこのボートを守ることで手一杯だからねー
それにここまで来たら梓が格好良くゴールするところ見たいな~
(本音はしんどそうだからやりたくない

こおりのあくまに狙いを定めようにも
周りをオムライスたちががっちり固めていて邪魔だね
それならばと、UC発動
ナイフに「オムライススワン」を透過する性質を与えよう
これでオムライススワンの壁はほとんど意味を為さなくなる
こおりのあくま目掛けて次々とナイフを投げる(命中率重視
特に狙うのはステッキや右手
氷の魔法が放たれる前に無理やりステッキの向きを逸らしちゃおう




 勢いよく、そして弾むような気持ちでボートを漕げたのは、せいぜい半分辺りまでだった。普段と違う動きをするというのは、想像以上に普段使わない筋肉が使われる。
 勝ちたい。
 漕がねば進まない。
 辛い現実に、梓は汗を流しながらクッと歯を噛み締めた。おい綾、と傍らの涼しい顔へとサングラスを向ける。
「漕ぎ役を交代する気は無いか?」
「いやー俺はこのボートを守ることで手一杯だからねー」
 赤いサングラスの下で、ニコッと晴れやかな笑顔。その内心は「しんどそうだからやりたくない」なのだが、ナイフをちらりと見せれば梓は「確かに先程もスプーンと激しい打ち合いをしていたし……」と思わざるを得ない。
「それにここまで来たら梓が格好良くゴールするところ見たいな~」
 ニコニコっ。笑顔の追い打ちだ。
「本当に梓は頼りになるなぁ。こんな速度、俺には出せないよ。零と焔だって応援しているよ~」
 ギュッと握った両手でがんばれがんばれと応援され、可愛い仔ドラゴンたちにいいところを見せるためにも、梓は張り切って漕ぎ続けるのだった。

 遠くからでも目立つ二色の色を抱いたレッドデビルドラゴン号! そこへ迫るデビルクイーン号を中心としたオムライススワンたち!
 それに気付いたのでしょう、レッドデビルドラゴン号を囲むドラゴンたちにも変化が! 半数がボートの守備、半数が上空からサポートに回ったようです。属性も違うのかな――ハッ! ボートの二色にはこの意味が!?
 近づく! 近づく! オムライススワン、近付いて――体当たりだ!!
 負けじと体当たりで応じるレッドデビルドラゴン号のドラゴンたち! おおっと、上空のドラゴンも火を吹いたーーーー!
『いやー、大迫力ですね。わたし、こういうの好きですよ』
 私も大好きです! 心が踊りますよね!
 しかし、ドラゴンの吹く火はデビルクイーン号までは届いていないようですね。オムライススワンの献身とも言えますが、こおりのあくま選手の氷と威力を相殺しあっているようです。
 ここで、綾選手が動くようです。何かを投げ――え!? 見ましたか、ワタナベさん!
『オムライススワンを何かが通り過ぎましたね』
 カメラさん! 会場モニターへワイプで先程のスロー映像を出してください! 見えますか、皆さん! わかりますか、皆さん! 綾選手のナイフがオムライススワンの船体をすり抜けてこおりのあくま選手のステッキへと当たりました!
 これは危険だと察したのでしょう。デビルクイーン号一行、速度を落として一時退却を図るようです。

「これは正当防衛……これは正当防衛……」
 ボートが転覆してあっぷあっぷと水でジタバタしている黄色い布を見ると、少しだけ胸が痛むのか梓が視線を逸した。本当はこんな事したくはないのだが、これもレース。仕方がない。
 溺れているオムライスブギーモンスターたちを過去のものとするためにも、梓はペダルを踏む足に力を込めた。
 果たして、梓の足は保つのか!?
 ギュッとハンドルをしがみつくように握って必死に漕ぎ続ける梓の隣で、梓の筋肉痛は明日なのか明後日なのかが気になる綾だった。

 ※大会運営よりお知らせ
 溺れたオムライスブギーモンスターたちは、しっかりとスタッフが回収しました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真白・時政

カラスくん(f13124)と

タイミングみてひょっこり出て来るなんてワルイコだねェ
んフフ、ワルさでは一本取られちゃったカモ?

デモデモレースはこれからが本番!
チクチク小刻みにビームで進路妨害シて
コッチに何かが飛んで来そうならおっきめハートで撃ち落としちゃう♥
アハハ、湖が雪原になっちゃったァ~!
そしたらサメがウサちゃんで🦢もウサギさんと一緒だネ

オモカジイッパーイ!
スピードを落とさないまま凍ったせいでコブになっちゃったオムスワンの残骸を足場に
タイミングを合わせてジャーンプ!

ヤーンウサギさんお尻いたァ~い!
応援でセイイッパイだから漕ぐのもなんて無理ィ~!
ホラホラカラスくん!ゴールはすぐソコだよォ~!


ヤニ・デミトリ

ウサギさん(f26711)と

おー、派手にやるっスねえ件のあくま
🦢を差し置いてオブリビオンに優勝はやれないっス
飛ばしてきますよウサギさん

妨害は任せて、俺は引き続き漕ぎ手を担当
雪原が現れれば屑鉄のサメを再変形、ボートにスキー板を履いたウサギ脚を生やします
泳げないなら走ればいいっスよね、ウンウン
雪上を利用して滑り抜け、機動力を保ったまま障害を回避
🦢…お前は今雪原を駆け抜ける一陣の風になるっス
まあ相変わらず漕ぐのと揺れるのは変わんないスけども

ウサギさんもぼちぼち漕ぎたくなってこな…ん?なんスか急に…うおお高ッッ痛って!
頭ぶった…ヒヒ、全くやってくれるっスねえ
あと一息、駆け抜けるっス!




「おー、派手にやるっスねえ件のあくま」
 ひんやりとした空気に気付いて後方を見れば、広がる雪原と――そうして頭上に影が落ち、前方にこおりのあくまの薄氷色のスワン『デビルクイーン号』が現れた。
「タイミングみてひょっこり出て来るなんてワルイコだねェ。んフフ、ワルさでは一本取られちゃったカモ?」
「ブラック😈デビルピンク号を差し置いてオブリビオンに優勝はやれないっス」
 飛ばしてきますよウサギさん。しっかりと何処かに掴まっているんスよ。

 雪の結晶を纏って飛んだデビルクイーン号! 慌てたようにオムライススワンが追いかけていく! そして向かった先には――ブラック😈デビルピンク号の姿だ!!
 こおりのあくま選手、大きくステッキを振ってブラック😈デビルピンク号の前方へ雪原を出現させる! 乗り上げるブラック😈デビルピンク号! さあどうするブラック😈デビルピンク号!?
『……おや? ブラック😈デビルピンク号、浮いていませんか?』
 ……というより、スワンボートの下に何かあるのでしょうか? 上空から見ている我々にはわかりませんッッ!!
『トコトコと走っているように見えますね』
 まさか……スワンに足が!? 新しいですね……。スキーのように滑ったり、力技で漕いだ選手や溶かして進んだ選手はいましたが……。
 ともかく! ブラック😈デビルピンク号、雪原をものともせず進んでいきます。ですが、デビルクイーン号もただ見ているわけでは有りません! オムライススワンに乗るオムライスブギーモンスターたちへと命じ、妨害を試みます!
 あ! ハート? いや、ビーム? 何やら赤い光線が、オムライススワンの接近を防いでいます! なかなかブラック😈デビルピンク号へと近寄れません! それに焦れたのでしょうか? こおりのあくま選手、敵味方の区別なく、ステッキから氷を飛ばしていきます! ブラック😈デビルピンク号、ビームで撃ち落とす! ……ああ! オムライススワンが凍った!
 しかし、撃ち落とした氷が雪原のあちこちに……あ。
『あ、躓きました』
 ……そのまま滑っていきましたね。

「オモカジイッパーイ!」
「ウサギさんもぼちぼち漕ぎたくなってこな……ん? なんスか急に」
 明るく元気な掛け声とともに、唐突にハンドルを全力で右へめいっぱい回した隣の男へと胡乱気な視線を思わず向けてしまったヤニだが、その表情はすぐに崩れることとなる。
 右前方。そこには運悪く凍ってしまったオムライススワンのひとつへがあった。そこへツルンツルンと滑り行けば、ブラック😈デビルピンク号はスキー場のジャンプ台に乗ったように僅かの間、宙を舞う。
「……うおおッッ痛って!」
「ヤーンウサギさんお尻いたァ~い!」
 《三月兎の脚翼》は時政自身にしか効果がないため、スワンはただジャンプ台で飛んだだけで然程の高さも距離も得られた訳ではないが、飛ぶために出来ていないものが僅かでも飛んで、そして落ちれば衝撃はすごい。狭い船内で椅子から尻が浮き、頭を強かに天井へぶつけ、そして次に来るのは重量で落ちた自分の尻へのダメージ。バッシャーンと弾ける水温とともに、ドシーンと強かに打ち付けた。
「……ヒヒ、全くやってくれるっスねえ」
「ホラホラカラスくん! ゴールはすぐソコだよォ~!」
「あと一息、駆け抜けるっス!」
 漕ぎ手交代を華麗にスルーされているが、跳躍の衝撃ですっかり忘れたヤニは、ゴールまで漕ぎ続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
♢♡

🦢 鼠色【個性的なアヒルの子号】

すっかりボロボロだね個性的なアヒルの子号…
お前のおかげでなんとかゴール出来そうだ…
ありがとう…個性的なアヒルの子号…頑張れ…個性的なアヒルの…寒ッ!
寒いのは嫌いなんだよ糞が…殺すぞ…!
私はレーサーで…処刑人だッ!!!

相も変わらず[継戦能力]で船を漕ぎつつ
敵を睨みつけ中指立てて[殺気で威圧し恐怖を与え]よう
中指に地獄の炎灯すと同時に【天より降る滅びの火】を発動
[範囲攻撃]で湖上中に地獄の火炎球を降らせ
雪原を[地形破壊]で粉々にしてやろう

ついでに火炎球の[誘導弾]で敵を追尾し
その冷め切った根性を焼き…もといジュッっと[焼却]してやる…!

寒いのは嫌いなんだよ…!




「……寒ッ!」
 ビュオォォォォォ……。
 突然襲った冷気に身を震わせ、思わずアンナは自身を抱きしめた。
 はっきし言って、寒い。寒すぎる。氷が溶けたばかりの湖に、また氷が張ったらどうしてくれる。寒さが苦手なアンナは、恨みがこもった視線を冷気の発生源へと向けた。

 ――己が身を焦がし後方から大きく掛け離した個性的なアヒルの子号……でしたが、そろそろ限界なのでしょうか。フラフラと大きく蛇行しながらも前へと進んでおります。
 アンナ選手に迫る、デビルクイーン号とオムライススワンたち!
 ボロボロの個性的なアヒルの子号にオムライススワンが体当たりをしようと近付い……たところで、何やらひるんでいるようですね。カメラ、よれますか?
『おっと』
 ……すみません、ありがとうございます。カメラに映せない感じでしたね。
 ここでいくつもの火炎球が浮かび上がった! これはアンナ選手の妨害でしょうか!
 上がる悲鳴! 蒸発する水! あたたまる湖!
 個性的なアヒルの子号の船体も悲鳴を上げている!?

 既に個性的なアヒルの子号はボロボロだ。
 それでも先頭集団にいられるのは船体を犠牲にして距離を稼いだお陰だった。
 アンナと個性的なアヒルの子号の行く手の邪魔をする輩には全て火炎弾を誘導弾にして追い払ったが、それでもやはり、猟兵たちのボートに追い抜かされていく。
「すっかりボロボロだね個性的なアヒルの子号……」
 こんなになるまで頑張ってくれて……。
 けれどその頑張りも、もう少しで終わりだ。最後まで諦める事無く、一緒に走り抜けようとアンナは個性的なアヒルの子号の内側からそっと撫でる。
 ありがとう、個性的なアヒルの子号。頑張れ、個性的なアヒルの子号。
 あと少し、あと少し頑張れば――。


 そろそろ会場に居る皆さんにもスワンたちの姿が見えてきた頃でしょうか? 見えますか、皆さん。スワンボートたちがこちらへ向かってきています!
『おや? こおりのあくま選手のデビルクイーン号の姿が見えませんね……』
 本当ですね……っと、情報が入りました。激しい攻防の末、いつの間にかいなくなってしまっていたそうです。こおりのあくま選手がいなくなってしまったため、オムライスブギーモンスター兄弟たちの殆どが「こおりのあくまちゃんがいなかったら意味ない!」と棄権したようです。

 さあ、最後。直線の攻防。残り500をまもなく迎えます。
 先頭に見えるのは赤と青! レッドデビルドラゴン号です! 続いて、しろいあくま号。なたりーちゃん、個性的なアヒルの子号、スターライトホエールフロッシュマウス号、UCスワン号、湖上のファッション傭兵号、しんでれら・アヒル号、ブラック😈デビルピンク号、ビューティフル・ナイツ号、オムライススワン……と続いております。
『個性的なアヒルの子号、順位が落ちていますね……』
 やはり船体への負荷が大きかったようですね……。
 残り400、そろそろ全選手が勝負に出る頃でしょうか。
 最初に動いたのは――白い羽毛に桜舞う美しきスワン! しんでれら・アヒル号だ! 終盤まで後方集団から抜け出せずにいたしんでれら・アヒル号! 勝負に出るか!? 黒い何かがあたりに舞って……いったーーーー! しんでれら・アヒル号! 前に出る、しんでれら・アヒル号!!!
 しんでれら・アヒル号が動いた事により、スワンたちが一斉に動き出します!
 その後方のブラック😈デビルピンク号、快進撃を始めたしんでれら・アヒル号の後ろをぴったりキープ! しんでれら・アヒル号が切り開いていく後ろを悠々と進んでいく!!!
 ああああっと! スターライトホエールフロッシュマウス号が横転しそうに!? いや、持ちこたえた! しかし、大きく離される! 選手たちは……無事、のようですね。
 これにより失速したUCスワン号も後を追う!

 しんでれら・アヒル号、一気に四番手まで上がり、残り200を切りました。大きく離していた前方集団へと追い上げていきます!
 粘る先頭、レッドデビルドラゴン号! 梓選手、窓から顔を出し、後方を気にしている! その表情は苦しげだ!
『「もう少しでゴールなのに!」と言いたげですね。隣の綾選手はとても良い笑顔です』
 後方より追い上げてくるふたつのスワン! 黒いスワン――なたりーちゃん、それから白のスワン――しろいあくま号が抜かされた!

 さあ、レッドデビルドラゴン号! 外からしんでれら・アヒル号――と、後ろにくっついているブラック😈デビルピンク号! とらえに出るか!? 櫻宵選手、とてもいい笑顔をしております!
 ――しかぁぁぁぁし! ボートには! ドラマがある!!!
 不死鳥の如く! 今!! 個性的なアヒルの子号に再び火がついた!!!!
 残り100!! ゴール目前。持つのか、個性的なアヒルの子号!
 いけるのか、個性的なアヒルの子号!? お前の体はもうボロボロだ! 飛んでくれるか、個性的なアヒルの子号!!?!!!

 ――ゴォオオオオオォォォォォル!!!!!!!

 勝ったのは!!!!!!
 個性的なアヒルの子号!!!!!!!!!!!!
 ボロボロの船体で不死鳥の如く先頭へ舞い戻った強きスワン!
 個性的なアヒルの子号だ!!!!!!
 観客の皆さんが立ち上がっています! 皆さん、最後の頑張りを見せてくれた個性的なアヒルの子号に、熱い拍手を!!!!!
 ありがとう、個性的なアヒルの子号! おめでとう、個性的なアヒルの子号!





 ――ピンポンパンポーン♪
 全ての走行可能な選手がゴールしました。

 優勝:個性的なアヒルの子号
 2等:しんでれら・アヒル号
 3等:ブラック😈デビルピンク号
 4等:レッドデビルドラゴン号
 5等:しろいあくま号
 6等:なたりーちゃん
 7等:湖上のファッション傭兵号
 8等:UCスワン号
 9等:スターライトホエールフロッシュマウス号
 10等:ビューティフル・ナイツ号
 11等:オムライススワン
  ・
  ・
  ・

 見事1等に輝いた個性的なアヒルの子号のアンナ選手は、マイクを向けられた。
「アンナ選手、優勝の言葉をお願いします!」
 そのマイクにチラと視線を向けたアンナ選手は全ては個性的なアヒルの子号のおかげだと告げて、それからカメラへと強い視線を向けて言い放つ。
「私はレーサーで……処刑人だッ!!!」
 この言葉は、暫くの間、デビルキングワールド内で大いに流行した。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月31日
宿敵 『こおりのあくま』 を撃破!


挿絵イラスト