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硝子の鎧は砕けない

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #機甲戦乙女ロスヴァイセ #アリスナイト

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 今日の『硝子の森』は様子がおかしかった。
 硝子で出来た動物達はいつも穏やかなのに、何だか妙にそわそわしている。
 小鳥さんの鳴き声は小さく、狼さんは尻尾を不安げに動かしていて。
 つられて私も不安になっていたけれど……その理由は、すぐに分かった。

「素敵なアリスナイトさん、貴方はもう自分の能力で苦しまなくて良いのですよ」
 不意に姿を現した、美しい女性。
 彼女は柔らかな笑みを私に向けると同時に――無数の羽根を散らして、硝子の森を壊していった。
 なんで、どうして。
 その言葉を吐くより早く、白い羽根が矢のように胸に突き刺さる。
 ああ、もしこんな時に。
 私が自分の力を使えていたなら。
 私がちゃんとしたアリスナイトなら……皆を助けられたのに。

 硝子の砕ける音が響く中、白い羽根に埋もれつつ――私の意識は遠のいていった。


「来てくれてありがとう。今回はアリスラビリンスにて、猟書家案件をお願いしようか」
 グリモアベースにて、笑顔で猟兵達を出迎えたのはレン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)だ。
「猟書家『機甲戦乙女ロスヴァイセ』の意志を継いだオブリビオンが、とあるアリスナイトを殺害しオウガとして復活させようとしているみたいなんだ。皆にはそのアリスナイトを守り、オブリビオンを討伐して来て欲しい」
 件のアリスナイトはとある問題を抱えており、そのせいで問題のオブリビオンと戦えば必ず命を落としてしまう。
 それを阻止するためにも、まずはアリスナイトの抱える問題を解決するところから話は始まりそうだ。

「アリスナイトの名前は『アーヤ』。彼女は『硝子の森』と呼ばれる不思議な国で、愉快な仲間たちに匿われながら暮らしているんだ」
 本来ならばアリスナイトは自らの力で能力を行使し、愉快な仲間たちを守るようなケースが多い。しかし、アーヤの場合は守る者と守られる者の立場が逆転しているのだという。
「アーヤさんは想像力が膨大すぎて、逆にうまく制御出来ていないみたいなんだ。だから『アリスナイト・イマジネイション』が上手く使えず、自分を守る鎧が形成できないんだよ」
 猟書家はそんなアーヤに目をつけて、彼女が鎧を作り上げる前に殺してしまおうとしているらしい。
 それを阻止するためには、アーヤが自分の能力を制御出来るようになるのが一番だ。
「皆には『硝子の森』でアーヤさん達と交流して、彼女が想像力を動かす取っ掛かりを作ってあげて欲しいんだ。この森は名前の通り硝子で出来ていて、芽吹いたばかりの硝子なら触っただけで好きな色や形に加工することが出来る。そこで実際に色んなものを作ってみせて、アーヤさんの想像力を刺激してあげて欲しいかな」
 この森では硝子は小さな花のような形で芽吹くのだという。それによって作れるものは手の平サイズの小物にはなるが、手本としては十分だろう。
 森に棲まう、硝子で出来た動物のような愉快な仲間たちも猟兵のことは歓迎してくれる。
 硝子ペンや小さなアクセサリー、ちょっとした小物など……様々なものを作り、アーヤと一緒に愉しめば彼女もきっと想像力を制御出来るはずだ。

「アーヤさんを狙うオブリビオンは、姿を現したのならずっと彼女に狙いを定める。アーヤさんが上手くユーベルコードで自分を守ることが出来れば、こちらが有利になるはずだよ。彼女を守るため、そして猟書家の企みを阻止するため……今回も気をつけて、よろしくお願いするね」
 そう話を締めくくり、レンは転移ゲートを開いていった。


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 硝子だろうと気持ちを籠めれば砕けないのです。

●プレイングボーナス
 アリスナイトを励まし、「アリスナイト・イマジネイション」の威力を増加する。

●一章「硝子の魔法」
 不思議の国『硝子の森』を舞台に、様々な硝子小物を作りましょう。
 小さな硝子の花を手に取れば、それは思うように色や形を変えるでしょう。
 作れるのは手の平サイズの小物が中心です(硝子ペンやアクセサリー、ちょっとした小物など)。
 実際に出来たものをアリスナイトのアーヤに見せてあげると、彼女が想像力を行使するためのヒントになるはずです。
 また、硝子で出来た生き物達も森には沢山住んでいます。彼らと交流するのもいいですね。

●二章「慈愛を与える者」
 猟書家の意志を継ぐオブリビオンです。
 彼女は白い羽根による狙撃で、アーヤを狙い続けます。
 アーヤが『アリスナイト・イマジネイション』を使い続ける限り、その攻撃は防ぐことが出来るでしょう。

●アリスナイト「アーヤ」
 10代半ば程のアリスナイトの少女です。
 眼鏡をかけており、典型的な委員長タイプの真面目・堅物な性格をしています。
 責任感の強い性格でもあり、上手く能力が使えないことに悩んでいるようです。
 力を貸してあげて下さい。


 どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
 進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
 締め切りの告知もそちらで行っているので確認していただけると幸いです。

 それでは今回もよろしくお願いします。
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第1章 日常 『硝子の魔法』

POW   :    大きく、鮮やかに!

SPD   :    時間をかけ、丁寧に

WIZ   :    儚く、繊細に

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 転移ゲートから出た猟兵達を出迎えたのは、きらきらとした美しい光景だった。
 訪れた『硝子の森』の植物や動物達はすべて硝子で出来ており、柔らかな光を帯びながら周囲を優しく照らしている。
 小鳥達が歌うような不思議な声をあげたのなら、森の奥から一人の少女が歩み寄ってきた。
「お客さんなんて珍しいわね。私はこの森に住んでいるアリス、アーヤと言うわ。よろしくお願いするわね」
 アーヤは猟兵達と簡単に挨拶を交わすと、森の奥へと導いていく。

 案内してもらったのは、硝子の花畑のような場所だった。
「ちょうど今朝、沢山の硝子が芽吹いたみたいで……。よかったら、硝子で色々作ってみたらいいんじゃないかしら」
 私は遠慮しておくけど、と付け加えアーヤは近くの木へと背中を預ける。
 周囲には小動物も集まってきており、どこか長閑な光景を作り上げていた。

 オブリビオンが来るまではまだ時間もある。
 暫くは芽吹いたばかりの硝子を使って、想像力を膨らませていくのがいいだろう。
 それがきっと、アーヤを救うための手立てにもなるのだから。
鍋島・小百合子
WIZ重視

ぎやまんで小物か…
想像力で生み出す鎧と合わせるなれば頭に着ける天冠などどうであろう?

「黄金の天冠を思い出せばこのような感じであったか?」
ぎやまんの花々を用いて鎧に合う小さき冠を作ってみる
何かを作る事は不慣れであるがUC「黄金勇霊装」で装着する天冠を元に独自に造詣を興してみる
この森にはぎやまんで作られた花々が芽吹いておるのじゃな…
一輪の華として挿してみようかえ?
出来上がったものはアーヤ殿にも見せてみようかの
お主が自らと仲間達を守れる鎧をその身に纏える手助けになれるよう、想像力を得物として戦に臨むわらわの経験も語るといたそう
アーヤ殿が守りたいのは誰ぞえ?




 淡く輝く硝子の花畑を眺め、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)は少しだけ目を伏せる。
 すぐ側には固い表情のアリスナイトの少女の姿。彼女の命を救うために、ここは想像力を巡らせる必要があるらしい。
「ぎやまんで小物か……」
 鎧に合わせるのなら、頭に着ける天冠などはどうであろう。
 己が纏う霊装の形を思い返しつつ、小百合子はそっと花畑の花に手を触れる。
「黄金の天冠を思い出せばこのような感じであったか?」
 記憶を辿れば、呼応するように硝子の花はふわりと解ける。
 そして少しずつ形を変え、色を変え――暫くすれば、勇ましい『黄金勇霊装』によく似合う、薄く輝く硝子の冠が出来上がっていた。
 その輝きは本物の黄金の天冠に比べれば控えめだが、その分見ていてどこか心が安らぐ。
 形もどこか丸みを帯びており、独特の愛らしさを宿しているようだ。
 出来上がった冠を手に、思わず小百合子の表情も綻んでいた。
「おお、このように形を変えるのか。それに沢山の花々が芽吹いておるのじゃな」
 更に一輪の花を手に取り、今度は冠へとそっと添えて。
 すると硝子の花からは小さく蔓のようなものが伸び、冠にしっかりと結びついたようだ。

 出来上がった輝く冠を片手に、小百合子はアーヤの元へとそっと歩み寄る。
「アーヤ殿、試しに一つ作ってみたぞえ」
「わぁ……格好いいのに綺麗というか、いいわね」
 煌めく硝子小物を見て、アーヤの表情も微かに綻ぶ。小百合子もその様子に安堵しつつ、共に木へと背中を預けた。
「これはわらわが纏う鎧と天冠を独自に造詣したものじゃ。わらわもアリスナイトだからの、アーヤ殿の気持ちは分かるのじゃ」
「あなたもアリスナイトだったのね。その……良ければ、お話聞かせてもらえないかしら」
「勿論。戦に臨むわらわの経験もきっとアーヤ殿にとって役立つはずじゃ」
 同じ想像力を武器にする者同士、共通の話題をきっかけに会話も弾む。
 普段はどんな思いで戦っているか、どういう敵と戦ってきたか、そして――どんな風に誰かを守ってきたか。
 小百合子はアーヤの目を見て、しっかりとした口調で言葉を投げかける。
「アーヤ殿が守りたいのは誰ぞえ?」
「私は……この森の皆を、守りたい」
 真っ直ぐな答えに対し、小百合子は明るく笑みを返す。
「その気持ちがアーヤ殿の一番になるはずじゃ。困った時はわらわも手を貸そう。きっと力になれるぞえ」
「……ありがとう」
 未熟なアリスナイトにとって、小百合子はとても頼もしい先輩になったはずだ。
 交わした言葉と成果は――きっと彼女の心を動かしただろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

(硝子の花が『黒くてよくある形の手裏剣』になったのを見て)なるほどー。こういうことですかー。
テーマは『私たちの武器』ですよ。私の手裏剣のはさっきのでいいでしょう。わかりやすいので(自分に関してなのでわりと雑)
弓二種類(白と灰色)、赤の入った黒槍、黒曜石っぽい盾、透明なクラゲ。

ええ、クラゲです。ミズクラゲ…別名をヨツメクラゲ。
ちょっと最近あった海での戦いでね、仲間になったんですよー。
クラゲもいろいろ種類いますよねー(タコクラゲとか作りつつ)
私たちの武器の名前、『風林火山陰雷』からとってますしねー。


陰海月「ぷきゅる」




 硝子の花畑から一輪手に取り、そのまま解けて形を作る様子を眺めれば、出来上がったのは見慣れたよくある手裏剣の形。
 そんな不思議な光景を目の当たりにし、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)を構成する悪霊の一人、『疾き者』はにこにこと笑みを浮かべていた。
「なるほどー。こういうことですかー」
 出来上がった手裏剣を周囲の光に透かしてみれば、微かな黒みと共にきらきら輝く。
 これなら他にも色々作ることが出来そうだ。義透は更に花を数輪手に取って、自分の内側へと意識を向ける。
「テーマは『私たちの武器』にしましょうかー。私の手裏剣のはさっきのでいいでしょう、わかりやすいので」
 自分に関しては適当でいいけれど、せっかく皆の物が作れるのならばそちらには拘りたい。
 時折青白く輝く『静かなる者』の弓に、雷の力を纏う灰の弓。
 『侵す者』の槍は無骨な黒に赤みを帯びて、『不動なる者』の盾は黒曜石の輝きを纏う。
 それらをイメージしながら花を手に取れば、それらは全て愛らしく手の平サイズで再現されていく。
 そして最後にもう一輪――手にとった瞬間、アーヤが義透の手元を覗き込んできた。

「わぁ、ミニチュアサイズの武器ね。可愛いわ」
「私の大切な仲間の武器なんですよー。大切な仲間といえばもう一人……」
 興味深そうに視線を投げかけてきたアーヤの頭を、ふわりと何かが撫でていく。
 思わず小さな悲鳴をあげたアーヤだが、自身に触れたものの正体を見ればすぐに安心したようだ。
 彼女の頭上に浮かんでいるのはふわふわとしたクラゲだ。見れば義透の手元にもクラゲを模した硝子細工が握られている。
「びっくりした……この子、あなたのお友達?」
「そうですよー。ミズクラゲ……別名をヨツメクラゲ。ちょっと最近あった海での戦いでね、仲間になったんですよー」
 言葉を紡ぎつつ、義透の頭の中では先日までに戦いが蘇っていく。
 その合間合間に思い出すのは、海の世界でのびのびと生きるクラゲ達。
 それらも手元に再現されていき、義透の手の中はちょっとしたクラゲ祭りになっていた。
「……色々いるのね?」
「ええ、これはタコクラゲと言いましてー。こっちのミズクラゲには名前もあるのですよー、陰海月と言うんですー」
 名前を呼ばれ、クラゲはぷきゅるを小さく鳴いた。
 自分達の武器から名前を取った新たな仲間は、アリスの少女とものんびり遊んでいるようだ。
「こんな風にリラックスするのも良い刺激になるかとー」
「そうね、ここじゃクラゲなんてあまり見る機会はないし……楽しいわね」
 こうした緩やかな時間も心の余裕には必要だろう。それはきっと義透にとっても、アーヤにとっても。

成功 🔵​🔵​🔴​

アン・カルド
夜刀神君(f28122)と。

きらきらと素敵な森だね、これならぬいぐるみ達にも喜んでもらえそうだ。
おいで、【縫包】。

想像のとっかかりは小さいところからの方が楽だ、アーヤ君も一緒にぬいぐるみのアクセサリーを作らないかい?

そうだな…僕は、睡蓮の花弁でも作ろうか。
ぬいぐるみには少し大きいかな…でもあまり小さいと睡蓮だとわからないしなぁ。
というわけで夜刀神君の真似をして桜の花弁も、ぬいぐるみにはこっちの方が似合うかも?
後は…羽根の形にくるくると、硝子をこねるのもなかなか面白いものだ。

…なんだかつい楽しんでしまったな、アーヤ君の役に立ってればいいのだけれども。


夜刀神・鏡介
アン(f25409)と

これはまた、随分と幻想的な光景だ……。アーヤを助ける事もそうだが、この光景は守りたいよな

アーヤと会話の取っ掛かりはアンにお願いして、硝子の花を手にとって小刀を数本作ってみる
最初は微妙な形だが、最後は自身の懐剣(影桜)に迫るものを作る。硝子でも紙くらいは切れる筈

アンが召喚したぬいぐるみに小刀を持たせた所で、ぬいぐるみに刃物はどうなんだろうと思い至り。桜の花弁を作って飾ってみる
俺は「よく切れるものを」と考えてこの短刀を作った。難しい事は考えなくとも、一つの事に集中すればどうにかなるものだろ。……ってのは少々説教っぽくなってしまったかな
今はもう少しこのぬいぐるみを飾ってみよう




 硝子の森はきらきらと煌めいて、暖かく猟兵達を出迎える。
 そんな光景を前にして、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)とアン・カルド(銀の魔術師、或いは銀枠の魔術師・f25409)は思わず息を零していた。
「これはまた、随分と幻想的な光景だ……」
「きらきらと素敵な森だね。絵本の中みたいだ」
 この森を訪れたのはアリスナイトを救い、オブリビオンを討つためだが――そうでなくても、この光景を守りたいと鏡介は強く思う。
 一方アンの方は、ひたすら幻想的な光景を楽しんでいるようだ。
「これならぬいぐるみ達にも喜んでもらえそうだ。おいで、縫包」
 小さく魔法陣を浮かび上がらせて、そこから呼ぶのは愛らしいぬいぐるみ達。
 熊に鳥、猫に犬。様々な動物の姿をしたふわふわ達は、次々に猟兵達の手に収まっていく。
 その光景をアーヤも興味深そうに見ているようだ。
 そんな彼女に向け、アンはちょいちょいと手を招く。
「想像のとっかかりは小さいところからの方が楽だ、アーヤ君も一緒にぬいぐるみのアクセサリーを作らないかい?」
「楽しそうね、それ。ご一緒させてもらおうかしら」
 二人が硝子の花畑へと進んでいくのを見遣り、鏡介もまた後ろに続く。
 話の取っ掛かりはアンにお願いして、自分も何か作ってみようか。そんなことを考えながら。

「最初はそうだな……睡蓮の花弁でも作ろうか」
 花畑に辿り着くと、アンは早速一輪の花を手にとった。
 すると花弁は繊維のように解け、不思議な輝きを纏いつつ別の形へと再構築されていく。
 あっという間に出来上がったのは――アンの髪に咲いているような、美しい睡蓮の花だ。
「わぁ、綺麗……!」
「こんな風になるんだね。でもぬいぐるみには少し大きいかな……」
 手にしたぬいぐるみへと花を飾ってみれば、確かに少し大ぶりだろうか。
 だからといって小さすぎても睡蓮だと分かりづらいかもしれない。
 悩むアンの瞳が捉えたのは、少し離れた場所で硝子の花を手に取る鏡介の姿だった。

「……なかなか難しいな」
 鏡介の手元には数本の硝子の小刀が握られていた。
 硝子の花はイメージ通りに形を取ってくれるらしいが、実際に試してみるとなかなか難しい。
 それじゃあ何か手本を、と思い、鏡介が懐から取り出したのは懐剣『影桜』だ。
 懐剣と花を見比べ、しっかりとイメージを浮かべつつ手に取れば――本物に迫るような、立派な硝子の小刀が出来上がった。
 刀身に触れてみれば確かに鋭い。紙くらいならば切ることも出来そうだ。
 成果に満足しつつ、鏡介はアンの元へと歩み寄る。
「俺も試しに一つ、作ってみたんだ」
「すごい、本物みたい……。早速持たせてみるかい?」
 アンに熊のぬいぐるみを差し出され、鏡介はそれをそっと抱き上げる。
 そして硝子の小刀をもたせてみれば、サイズはぴったりなのだけれど、どこか様相としては厳ついだろうか。
「……そうだな、こういうのも持たせてみよう」
 鏡介は別の花も手にとって、イメージをそっと脳裏に浮かべる。
 すると出来上がったのは――美しい桜の花弁だ。
 それをそっとぬいぐるみの耳元に飾ってみれば、髪飾りのようで愛らしい。
「これでどうかな?」
「ぬいぐるみにはそういうのの方が似合うかも……僕もやってみようかな?」
 アンも花を数輪手に取り、鏡介と同じように硝子の花を次々咲かせて。
 一緒に飾るのならば、と更に作り上げるのは美しい銀の羽根だ。
 桜の花と銀の羽根、二つをぬいぐるみに飾ってみれば――自然と笑みも溢れだす。

「色々考えるのも楽しいし……硝子をこねるのもなかなか面白いものだ」
「初めての体験だったけれど、やってみると楽しいよな」
 顔を見合わせ笑うアンと鏡介を見遣り、アーヤも楽しげに微笑んでいるようだ。
 そんな彼女に気付いたのか、アンがハッとした表情を浮かべた。
「………なんだかつい楽しんでしまったな。アーヤ君は大丈夫かい?」
「ええ。ぬいぐるみが飾られていくの、見ていて楽しいもの」
 緩く微笑む少女へ向け、今度は鏡介が真っ直ぐに視線を向ける。
 楽しいのは何よりだけれど、それだけが目的ではない。伝えるべきことはきちんと伝えた方がアリスのためにもなるはずだ。
「硝子の小刀があるだろう? これは『よく切れるものを』と考えて作ったんだ。そうしたら、刃は何かを切れそうなくらい鋭くなったんだ」
「本当ね……。硝子でこんなことが出来るなんて。びっくりしたわ」
「でも難しいことじゃないんだよ。一つの事に集中すればどうにかなるものだろ……ってのは、少々説教っぽいかな」
 鏡介の言葉を受け、アーヤは少しだけ目を伏せる。
 けれどその瞳に宿っているのは――強い決意だ。
「……そうよね、やりたいことに集中すれば道も拓けるかしら」
「アーヤ君ならきっと出来るよ。試しにほら、もっとぬいぐるみを飾ってみないかい?」
 アンも猫のぬいぐるみをずずいと差し出しアーヤの側へ。
 楽しいことでも、真剣なことでも。手を動かせば、自然と何かが起きるものだ。
 アーヤが頷いたのを見て、アンと鏡介も柔らかな笑みを返す。

 もう暫くは遊んでいよう。
 ぬいぐるみ達が可愛く彩られる頃には、きっと何か掴めているはずだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

茜崎・トヲル
【モノクロフレンズ】
(あーさん=スーさん=スキアファールさん。交互に呼ぶよ!)

わー、ほんとにガラスだあ。すげーね、あーさん!
(ひかりさんを見てにっこり!)コロちゃんやさしー!よーし、てだすけするぞー!

んーんー、なーにつくろ。白いウシ……は、なし。
あっそーだ!ラーさん(ラトナ・ラトリさん)つーくろ!それからデフォルメの女の子!コロちゃんイメージ!
女の子がラーさんだっこする形にしてー、でーきた!
スーさん、これプレゼント!ここにちっちゃいわっか作ったから、スマホのストラップとかに……え?
これ、くれるの?わああ!うれしいありがとう、本当にありがとう!
ふふははっ、この子、あーさんみたい!大事にするねえ!


スキアファール・イリャルギ
【モノクロフレンズ】

わぁ、これが硝子のお花
触ると想像した物になるなんて不思議ですねぇトーさん
(少し心配そうにアーヤさんを見つめているひかり)
……力を上手く扱えていないのが、自分に似てて心配?
うん、トーさんと一緒に手助けしてあげよう

ふむ、何を作りましょうか……そうだ
(ひかりとひそひそ話をしながら一緒に触れて
紅白のトンボ玉のリボンを付けた黒猫ブローチを制作)
トーさん、私とコローロからの贈り物です
ちょっとしたお守りになるといいのですが

わ、トーさんこれは……ラトナ(猫の使い魔)とコローロですか?
ふふ、とてもかわいらしい
ありがとう、とても嬉しいです
えぇ、帰ったら早速ストラップにして大事にしますね




 硝子の森へと踏み入れたスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)と茜崎・トヲル(白雉・f18631)を出迎えるのは、淡く光を宿す幻想的な光景だ。
 少し進んだ先には芽吹いたばかりの硝子の花畑もきらきらと輝いている。
「わぁ、これが硝子のお花。触ると想像した物になるなんて不思議ですねぇトーさん」
「わー、ほんとにガラスだあ。すげーね、あーさん!」
 二人で子供のように足取りを弾ませつつ、真っ直ぐに花畑へ。
 そのすぐ側にはアリスナイトの少女も佇んでいるようだ。彼女はどうやら、上手く自分の能力を扱えないのだという。
 そんな彼女を心配するように、スキアファールの傍らに浮かぶ存在――ひかりの少女・コローロはじぃとそちらを見つめている。
 コローロはスキアファールの肩をそっと叩き、彼へ向けて小さく思いを告げる。
「……力を上手く扱えていないのが、自分に似てて心配? うん、それならトーさんと一緒に手助けしてあげよう」
 二人の思いを確認し、トヲルもにっこりと表情を笑顔を咲かせていた。
「コロちゃんやさしー! よーし、てだすけするぞー!」
 えいえいおー、と手をあげて三人で一緒にアーヤの元へ。
 まずは楽しいことをして、そこから多くを学んでいこう。アーヤも誘いに乗って、共に花畑へと歩を進めた。

 しかし、実際に何でも作っていいとなれば迷ってしまうものだ。
 トヲルは花畑の側に座り込み、小さく唸り声をあげていた。
「んーんー、なーにつくろ」
 白いウシ……は、なし。せっかくだから今しか作れないものに挑戦したい。
 そんなトヲルの側では、スキアファールとコローロも頭を悩ませているようだ。
「ふむ、何を作りましょうか……」
 暫く考え込んだのち、トヲルとスキアファールは同時にあっと声を零す。
 イメージが湧いたのならば、あとは花に触れるだけ。猟兵達は花を数輪手に取ると、それぞれの思いを巡らせていく。

 トヲルの頭の中に浮かんでいたのは、スキアファールの影に潜む猫精霊『ラトナ・ラトリ』の姿だ。
 でもラーさんだけじゃちょっと寂しい。それならデフォルメの女の子も一緒にしよう。優しいコロちゃんのイメージだ。
 女の子がラーさんをだっこして、一緒に仲良くしている様子を浮かべれば――硝子の花も思った通りの形に変化していく。
 先端に小さなわっかもくっつければ、ちっちゃなストラップ飾りの出来上がりだ。

 スキアファールもコローロにこっそりと耳打ちしながら、二人でイメージを膨らませていく。
 ベースは黒い猫が可愛らしいだろうか。ブローチとしても扱えるように大きさはそこそこに。
 猫を飾るのは小さなリボンだ。色は紅に白、トンボ玉のような質感にすればきらきらしていて美しい。
 まるで自分達の象徴のような猫を手に取り、二人もくすくすと笑い合う。

「スーさん、できたよー!」
 完成した飾りを手に、トヲルはスキアファールの元へとぱたぱた駆け寄る。
「これプレゼント! ここにちっちゃいわっか作ったから、スマホのストラップとかに……え?」
 飾りを差し出そうとしたトヲルの眼前に、スキアファールもずずいとブローチを差し出して。
 目を丸くするトヲルへ向け、スキアファールは柔らかな笑みを返した。
「トーさん、私とコローロからの贈り物です。ちょっとしたお守りになるといいのですが」
「……これ、くれるの? わああ!うれしいありがとう、本当にありがとう!」
 互いにプレゼントを手渡して、光に透かしてみればその輝きが愛おしい。
 トヲルは花を踏まないようにだけ気をつけつつ、周囲をぴょんぴょんと跳ね回った。
「ふふははっ、この子、あーさんみたい! 大事にするねえ!」
「ええ、こちらこそ。トーさんこれは……ラトナとコローロですか?」
「そーだよ! 二人でねー、スーさんのそばにいてくれたらなーって!」
 可愛らしくデフォルメされた仲間達を見遣り、スキアファールは更に小さく笑みを零す。
「ふふ、とてもかわいらしい。ありがとう、とても嬉しいです」
「こちらこそ! ブローチ、どこにつけよっかなー」
「帰ったら早速ストラップにしないとですね。大事にしますよ」
 猟兵達もコローロも、そしてその様子を見守っていたアーヤも、皆花畑の側で表情を綻ばせる。

「……そうやって、誰かのためを思って何かを作るというのも、きっと良いきっかけになるんでしょうね」
 アリスの少女も二人の様子に、何か掴むものがあったようだ。
「うん! あーさんもコロちゃんもラーさんもだいすきだから、思い浮かべたらすっごく楽しい気分になるよー!」
「自分のやりやすいように、大切な人やものを思い浮かべて……そういうことが、イメージの軸になると思いますよ」
 二人の言葉に頷くアーヤを見遣り、コローロもどこか安心しているようだ。
 単純な想像力だけでなく、それを導く何かがあればきっと想いは通じるはず。猟兵達の行動は、アーヤに確かな道標を示すのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『慈愛を与える者』

POW   :    フェザー・スラッシュ
【指先】を向けた対象に、【飛ばした羽】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    フェザー・フィニッシュ
【飛ばした羽】が命中した対象に対し、高威力高命中の【流星】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    フェザー・ドーム
【翼より大量の羽】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠月夜・玲です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達は暫く硝子の花畑を楽しんでいたのだが――不意に、森の奥で何かがざわめく気配がした。
 硝子で出来た動物達は身体を震わせ、焦るようにアーヤの元へとやってくる。
「皆、一体どうしたの?」
 猟兵達の異変に気付いて周囲を見れば、木々の奥からは翼をもった女が姿を現していた。

「素敵なアリスナイトさん、貴方はもう自分の能力で苦しまなくて良いのですよ」
 女は柔らかく笑みを浮かべているが、猟兵達ならばすぐに気づくことが出来る。
 この女こそが猟書家の意志を継ぐオブリビオンだと。アーヤも猟兵達の顔から異変を察知し、すぐに警戒の姿勢を取った。
「あなた、オウガでしょう! この森を好きにはさせない……私が皆を守るわ!」
 アーヤが想像力を巡らせれば、彼女の身体は美しい硝子の鎧に覆われていく。
 猟兵達からインスピレーションを受け、そしてこの森を守りたいと願うきっかけを貰えたから――彼女は自分の力を制御出来るようになったのだ。

 オウガ『慈愛を与える者』はすぐに翼を飛ばしてアーヤの心臓を狙うが、その攻撃は硝子の鎧が見事に弾いた。
 それでもオウガはアーヤを狙うことを止めてはいないようだ。
「貴方がオウガになれば、とても強力な存在となるでしょう……それに、扱えるようになったばかりの力でいつまで保つのですか?」
 オウガの言葉を振り切りつつ、アーヤは猟兵達へと顔を向ける。
「あんなやつの言葉に惑わされないわ。攻撃は出来るだけ私が引きつける、だから……お願い、一緒に戦って!」
 アーヤの言う通り、オウガは基本的にアーヤのことを狙うだろう。
 しかし、猟兵達が邪魔だと判断すればそちらにも刃を向けるに違いない。
 オウガに勝つためには、皆で協力するのが最善だろう。

 美しい森と罪のない命を守り、猟書家の企みを挫くために――この戦いを無事に終わらせなければ。
馬県・義透
美しい場所、命。それらを守るために、私たちはいますからねー。
ああ、ここは彼の出番でしょう。

人格交代
『疾き者』→『侵す者』
一人称:わし 豪快古風な武の天才。最近は破壊神
武器:黒燭炎

はは、一緒に戦う。よいではないか!
…周り破壊しないようにせんと…。

黒燭炎での二回攻撃。一撃目は体勢崩しのなぎ払い、二撃目に指定UCよな。
…ああ、攻撃か。わしや彼女に気をとられるのはかまわんが、周り、よく見るとよい。

陰海月に撤退命令は出しとらんのよ?
賢いあやつなりに動くと信じとるからな。

※陰海月、ひっそりふよふよと背後から近づく所存。
近づいたら、ぺちぺちと鈍化呪詛+毒属性攻撃する気持ち。
賢いと言われると、ぷきゅぅと照れる




 立ち上がったアーヤの鎧は硝子の森の煌めきを受け取り、淡く輝く。
 そんな目の前の光景を見遣り馬県・義透の人格の一人『疾き者』はゆるりと笑う。
「美しい場所、命。それらを守るために、私たちはいますからねー」
 ここから始まるのは激しい戦いになるだろう。
 自分がこのまま出てもいいが、どうせならここは相応しい相手に任せたい。
「ああ、ここはあなたの出番でしょう。お願いしますよ」
 義透は一瞬だけ顔を伏せ、すぐに正面へと向き直る。
 激しい視線でオウガの姿を睨むのは――『侵す者』だ。
「はは、一緒に戦う。よいではないか! アーヤよ、よろしく頼むぞ!」
「あなた、雰囲気変わったわね……? でも一緒に戦ってくれるのは助かるわ。こちらこそよろしく!」
 アーヤと軽く挨拶を交わし、義透は確りと黒槍『黒燭炎』を構える。
 無骨な黒い輝きと硝子の煌めきが合わさって自分達を照らすのを見れば、周りを壊さないように気をつけようと決心しつつ。

「戦いは苦しいものです。大人しく眠った方が貴方達のためですよ」
 オウガは猟兵達が現れたのにも関わらず、アーヤを狙い続けるようだ。
 白い羽根が矢のように飛来しアーヤを撃つが、硝子の鎧がその身体を守り続けている。
「もう暫く耐えてくれ! すぐに終わらせよう」
 攻撃の合間を掻い潜り、義透が一気に敵へと迫る。
 流石にこれだけ動けば敵もこちらを認識するだろうか。オウガの瞳が義透を捉えた瞬間、羽根の矢は彼の方にも向かっていく。
「甘いぞ!」
 黒燭炎で矢を蹴散らし、更に一歩前へ。
 オウガもすかさず次の攻撃を放たんとするが――それより早く、彼女は小さく呻き声をあげる。
 見ればオウガの美しい羽根に紛れ、クラゲの『陰海月』が背後へと忍び寄っていたようだ。
 陰海月は呪いを帯びた触手でオウガの背を叩き、彼女の動きを阻害していたのだ。
「くっ……!」
「周り、よく見ていなかったようだな。陰海月は賢い、よく動いてくれた」
 主人に褒められぷきゅぅと照れる陰海月には優しい笑みを向け、次の踏み込みの瞬間には義透の表情は修羅と化す。
 そのままオウガに向けてまずは黒燭炎を一閃。その攻撃は急所こそ突かなかったものの、相手の体勢を崩すには十分だった。
「一つのところに力を込めると……そのまま崩れよ!」
 すかさず叩き込むのは埒外の力による一撃。
 黒燭炎の穂先はオウガの身体を確りと捉え、相手の胴に深々と刺さる。
 オウガは強引に槍を抜き距離を取るが、彼女の周囲には真っ赤な血と羽根が飛び散っていた。
 先手は制した。確かな手応えを感じ、『侵す者』はニヤリと笑みを浮かべるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
アン(f25409)と

こうも羽根が飛んでくると、接近するのも一苦労……だが、共に戦う仲間がいる。頼らせてもらうぞ

アンには「支援を頼む」と命令。動けなくなる彼女を守る為、飛んでくる羽根は鉄刀で『切断』して防御
流星が飛んできた場合はアーヤに任せる

アンの術で神刀の外見を誤魔化した所で、【無仭】の力を開放しつつ神刀に持ち替え
敵に警戒されないよう、封印は段階的に解除

ああ、これは充分以上だ。今なら一気に決められる
アンの支援が終わったら、最大まで『封印を解く』
『限界突破』して強化された神刀の一撃で『衝撃波』を放ち、流星を切断しつつ敵を攻撃。怯ませたところで一気に『切り込み』をかけてボスを攻撃


アン・カルド
夜刀神君(f28122)と。

無数に飛んでくる羽根、僕1人だとどうしようもないんだけれども…今は頼りになる仲間が2人もいるからね、任せたよ。

2人の後ろに隠れながらUCの準備を…よし、後は夜刀神君の命令だけだ。
…優しく頼むよ、【隷属】発動。
今の僕は命令を遂行するための傀儡、攻撃も防御も出来ない…たとえ僕の命に関わることがあってもね。
ただその分、命令遂行のために必要なだけの力は与えられる。

羽根を焼き切るため【属性攻撃】と【オーラ防御】を転用した炎のエンチャントを夜刀神君に、このままじゃ目立ちすぎるから【不意打ち】できるようただの鉄刀への偽装もつけとこうか。

さぁ夜刀神君…僕への命令を完遂させてくれ。




 傷を受けつつも、オウガは羽根を撒き散らし続けアーヤを狙っているようだ。
 森に飛び交う無数の羽根を見遣り、アン・カルドと夜刀神・鏡介は小さく息を呑む。
「無数に飛んでくる羽根、僕1人だとどうしようもないんだけれども……」
「ああ、こうも羽根が飛んでくると、接近するのも一苦労……だが、俺達には共に戦う仲間がいる」
 猟兵達の視線が向けられているのを感じ、アーヤもそちらへちらりと顔を向ける。
 皆で力を合わせれば、この戦いだってきっと乗り切れるはずだ。
「……猟兵さん達、力を貸して」
「勿論だ。頼らせてもらうし、俺も全力で戦おう」
「うん、今は頼りになる仲間が2人もいるからね、頑張ろう」
 三人は頷きあい、共に戦いへと向かっていく。

 迫るオウガの攻撃へ向け、まずは鏡介とアーヤが立ち塞がった。
 羽根の嵐は鏡介の鉄刀が斬り伏せて、飛来する流星はアーヤが鎧で受け止める。
 その後ろではアンが埒外の力を発動する準備を整えていた。
「……僕の準備は大丈夫。夜刀神君……優しく頼むよ」
「分かった。アン、『支援を頼む』」
 鏡介の言葉を受け入れた瞬間、アンの身体からふわりと力が抜けた。
 同時に出現した無数の手が彼女の身体を支え、凄まじい魔力を与えていく。
 アンが発動したのは『隷属』の力。他者からの命令を受け入れ、それを遂行するための傀儡と化す術式だ。
 この術が発現している間、アンは自らを守ることすら出来なくなるが――それでも、仲間がいるから大丈夫。
 無数の手に踊らされるようにアンは羽根ペンを取り出して、空中にさらさらと文字を描く。
 その一文字一文字に籠められた魔力は鏡介の身体へと浸透していき、彼にも不思議な力が与えられたようだ。
「今施したのは羽根を焼き切るための炎のエンチャントだ。それから……神刀も出してもらっていいかい?」
「大丈夫だが……何をするつもりだ?」
「その刃の輝きは、きっとオウガには眩しすぎる。だから、ちょっとしたおまじないをさ」
 鏡介が神刀『無仭』を差し出せば、その上にもアンは文字を描いていく。
 すると――無仭の姿はただの鉄刀へと変化したのだ。
「偽装の術だよ。これで不意打ちもやりやすくなるはずだ」
「ああ、これは充分以上だ。ありがとう、アン」
「こちらこそ。夜刀神君、後は任せたよ」
 その言葉に鏡介は頷き、偽装の術をかけた神刀を握る。
 動けないアンの防御はアーヤに任せ、そのまま戦いを終わらせるべく――鏡介は力強く前へと踏み出した。

 一歩一歩、鏡介が進む度に彼の握る刀に力が宿っていく。
 呪符が剥がれ、鎖が解け、鞘が抜け、剣気が刀身に迸る。
 神刀に施された封印は少しずつ解かれ、凄まじい力が解放されていくが――オウガがそれに気付くことはないだろう。
「ただの刀で切り伏せられると思うなんて……可哀想な猟兵さんですね」
「そう思うなら思えばいいさ。お前が思うよりも……俺達の刃は、ずっと強いからな」
 一瞬空気が張り詰めて、直後にオウガが無数の羽根の嵐を放つ。
 鏡介はその真っ只中を突っ切って、勢いよく無仭を振るった。
 アンの施したエンチャントにより、刃からは炎が迸る。炎に触れた羽根は次々と焼け落ちて、ただ鏡介が進む道が切り拓かれた。
 同時に封印も全て解除され、一層大きな煌めきが無仭を輝かせる。
 その光は硝子の森に包まれて、猟兵達を眩く照らす。
「……ただの刀ではないのですか?」
「今更気付いても遅いぞ、もうお前のことは捉えた」
 ようやく異変を察知し、オウガはすぐに羽根と流星を飛ばしてくるが、鏡介は既に敵との距離を十分に詰めていた。
 無仭で大きく目の前を一閃すれば、放たれた衝撃波は飛来する攻撃を全て撃ち落としていく。
 そのまま衝撃波はオウガも打ち据え、彼女の体勢を大きく崩す。
「さぁ夜刀神君……僕への命令を完遂させてくれ」
 後ろから聞こえたのはアンの声だ。彼女の支援を最大限に活かすべく、鏡介は確りと無仭を構えた。
「ああ、任せてくれ――この一刀で総てを断つ」
 勢いよく地を蹴って、一直線に目指すは敵の胴。
 至近距離への接近と同時に放つ、無仭の切り込みは――ただ静かに振るわれた。
 終の型【無仭】、森羅万象を断ち切る刃は見事にオウガを斬り伏せたのだ。

「夜刀神君、凄いよ……! ありがとう、見事だった」
「アンの支援があってこそだ。こちらこそ、ありがとう」
 猟兵達は笑顔を向け、互いの事を労い合う。
 しっかりと作戦を組み立て、そして何よりも仲間を信じて勇気ある行動を取る。
 猟兵達の選択は見事にオウガへと深い傷を与えていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
【モノクロフレンズ】
(あーさん=スーさん=スキアファールさん。交互呼び!)

ごめんだけど、アーヤさんはそっちに行かせないよ、オウガのひと。
おれはわるいひとの助け方をしらないんだ。だからあんたを助けられない。かなしいけど。
アーヤさんを助けよう、あーさん。コロちゃん。いま助けられるひとを!

めーっちゃ羽根とばしてくんじゃん。肉体改造(技能)ででっかくなってアーヤさんかばうよ。
そんでおれに刺さった羽根をとりこんで調べる!おれは痛くないし、しなねーかんね!
遺伝子とかさいぼーのデータをみれば、あんたのこーげきパターンだって弱点だってわかるんだ!
スーさん、あれ攻撃の前兆だよ!いまなら背中がわの防御よわめだ!


スキアファール・イリャルギ
【モノクロフレンズ】

残念ですが、もう彼女は力に悩み苦しむことはありませんよ
森を荒らし、芽生えた意志を摘み取ろうとするのは赦せません
えぇ……オウガは助けられない
でも、私たちは『アリス』を助けられます
(頷くようにひかりも瞬いた)(そっと笑みを返す)
行きましょうトーさん、アーヤさんを助ける為に

コローロはアーヤさんの傍へ
オーラの防壁でさらに護りを堅くしてあげて
私はUCの影手で自分を囲って羽を防御・呑み込みながら
トーさんの分析結果を待ちます
大丈夫、トーさんは強いですし頼りになる方ですから
(同意するようにひかりも瞬く!)

背中ですね、了解ですトーさん!
再び羽が襲う前に影手を一気に敵の背後へ向かわせ殴打!




 オウガの傷は更に深くなりつつも、彼女の瞳は未だにアーヤを捉えている。
 その視線を遮るように、スキアファール・イリャルギと茜崎・トヲルはアーヤの前に立ち塞がる。
「残念ですが、もう彼女は力に悩み苦しむことはありませんよ。森を荒らし、芽生えた意志を摘み取ろうとするのは赦せません」
「ごめんだけど、アーヤさんはそっちに行かせないよ、オウガのひと」
 しっかりとした意志を向ける猟兵達へ、オウガが向けたのは苦々しい表情だ。
 彼女はきっと最期までアリスナイトを諦めない。その有り様に何かを感じたのか、トヲルは少しだけ目を伏せた。
「おれはわるいひとの助け方をしらないんだ。だからあんたを助けられない」
 いい人はしあわせがいいけれど、わるい人には何をしてあげればいいのか分からないから。
 かなしいけど、と付け足すトヲルに向けて、スキアファールは優しくそっと言葉を紡ぐ。
「えぇ……オウガは助けられない。でも、私たちは『アリス』を助けられます」
 その言葉に頷くように、彼の後ろに佇むひかり『コローロ』もきらきらと瞬く。
 暖かな光に励まされたのか、猟兵達の表情もぱっと明るく華やいだ。
「うん、そーだね。アーヤさんを助けよう、あーさん。コロちゃん。いま助けられるひとを!」
「行きましょうトーさん、アーヤさんを助ける為に」
 二人の様子に鼓舞されるようにアーヤも一歩前へと進み、猟兵達へと笑顔を向ける。
「ありがとう、二人とも」
「だいじょうぶ! おれ達つよいしさ!」
「共に参りましょう。きっと勝てますから」
 頼もしく言葉を掛け合い、猟兵達とアリスナイトは結束を固めていく。
 その勇ましい有り様を叩き潰すように――オウガは翼を広げ、大量の羽根による嵐を放ち始めた。

「大丈夫? 攻撃は私が出来るだけ受け止め……」
「いいえ、アーヤさん一人には背負わせません。皆で受け止めましょう」
 攻撃を察知し、前へ飛び出そうとしたアーヤの背に何かが触れる。
 そこにいたのはコローロだ。彼女は暖かな光でアーヤを包み、硝子の鎧により強固な防壁を施していた。
 きらきらと瞬くコローロの様子はどこか嬉しそうにも見えている。きっと――アーヤが力を使いこなせるようになったのが嬉しいのだろう。
 そんな二人の隣では、スキアファールが埒外の力を発動していた。
 彼の周囲には痩せぎすの影手達が姿を現し、次々に飛来する羽根を呑み込んでいく。
「必ず反撃の時は来ます。今は少しばかり耐えましょう」
「スキアファールもコローロもありがとう。でも……トヲルは大丈夫?」
 アーヤが周囲を見遣れば、確かにトヲルは近くに立っていた。
 しかし、その様子は先程までと異なっている。身体は一回りも二回りも大きくなり、白い身体には次々と羽根が突き刺さっているようだ。
 その傷は深く、流れる鮮血は彼の白い身体や衣服を汚していく。
 けれど――トヲルの様子はどこかけろりとしたものだった。
「ふふはは、めーっちゃ羽根とばしてくんじゃん。でもおれは痛くないし、しなねーかんね!」
 無数の羽根を身体で受け止めつつ、トヲルはからからと笑っている。
 その様子にアーヤは驚き、すぐに駆け寄ろうとするが――今度はスキアファールが彼女を止めた。
「大丈夫、トーさんは強いですし頼りになる方ですから。もう暫くだけ待っていて下さい」
 こくり、共に頷くコローロも見ればアーヤも少し落ち着いたようだ。
 確かにトヲルはただ攻撃を受け止めているだけではない。身体に刺さった羽根は突き刺さっているのではなく、トヲルの身体へと吸収されているのだ。

「……よーし、ぶんせきかんりょー! これでだいじょーぶ!」
 攻撃が弱まる瞬間を見極め、トヲルはスキアファールの方へと向き直る。
「遺伝子とかさいぼーのデータは見れたよ! これでこーげきパターンだって弱点だってわかった!」
「ありがとうございます。それでは……改めて、行きましょう」
 トヲルには優しい笑顔を向けてから、スキアファールは影手達を自身の方へと引き寄せる。
 そのまま猟兵達はオウガを睨み、じぃっと何かの時を待つ。
「何を企んでいるのか分かりませんが……アリスナイトさんを救うのは私です。邪魔はさせません!」
 オウガは前かがみの姿勢になり、翼を大きく広げていく。
 美しい翼がぴくぴくと動いたのを確認し――トヲルが叫ぶ。
「……スーさん、あれ攻撃の前兆だよ! いまなら背中がわの防御よわめだ!」
「背中ですね、了解ですトーさん!」
 トヲルが取っていた行動は全てこの瞬間のため。相手を構成する羽根から生体としてのデータを読み取り、弱点を見極めるためだ。
 そして――スキアファールなら、自分とばっちり呼吸を合わせて決めてくれると信じていたから。
 スキアファールもまた、トヲルなら絶対に大丈夫だと、大変な役割も務めてくれると信じていたから。
 猟兵達の思いを重ねるように、影手は一気にオウガの元へと迫っていく。
 無防備になった背中へと降り注ぐのは影手による激しい殴打だ。思い切り背中を打ちのめされ、オウガの身体は大きく吹き飛ぶ。
 そして硝子の樹へと叩きつけられれば、大きな音が森の中へ響いた。

「これで……アーヤさん、助けられたかな」
「勿論ですよ。今助けられる人を助ける……俺達の目的は、きっと果たせました」
 二人の言葉を受け、コローロも同意の瞬きを返している。
 再び笑顔を向ける猟兵達とコローロを見遣り、アーヤも安堵するように微笑むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鍋島・小百合子
WIZ重視
真の姿解放!

アーヤ殿に灯せし他者を守らんとする勇気の心
易々と砕けさせぬぞ!

「応とも!攻めは我らに任されよ!勝って共に勝鬨を上げようぞ」
真の姿たる黒鋼甲冑に身を包めばUC「神鏡浄化光」発動に向け高速詠唱
敵より飛来する羽は薙刀を前方へ風車の如く回しての武器受けにて防御しつつ吹き飛ばし
攻め時では残像を纏い一気に接敵(ダッシュ、切り込み併用)
一撃離脱を意識して敵の翼を割かんとする我が薙刀の武技を披露(なぎ払い、乱れ撃ち、鎧砕き、部位破壊、咄嗟の一撃併用)
詠唱が終わり機を見ればUC「神鏡浄化光」発動
我が眼より聖気溢れ出る光をその身で受けてもらう!(属性攻撃、破魔、神罰、鎧無視攻撃併用)




「ああ、どうしても私の慈愛は受け取って頂けないのですね……ならば、猟兵諸共連れて行くだけです……!」
 かなりの深手を負い、オウガも後には退けないようだ。
 彼女は強引に翼を広げ、凄まじい勢いで翼の嵐を展開していく。
 鍋島・小百合子はアーヤを守るように勇ましく歩み出て、オウガへ向けて堂々と声をあげる。
「アーヤ殿に灯せし他者を守らんとする勇気の心、易々と砕けさせぬぞ!」
「小百合子……ありがとう。そう思えたのはあなた達のお陰で……だから、最後まで一緒に戦って!」
「応とも! 攻めは我らに任されよ! 勝って共に勝鬨を上げようぞ」
 二人は頼もしく笑顔を向け合い、そしてオウガを確りと見据える。
 アーヤが纏うは硝子の鎧、そして小百合子が纏うのは――真の姿である黒鋼甲冑だ。

「わらわは暫し詠唱を唱えなければならぬ。アーヤ殿、協力してくれるかえ?」
「勿論よ。まずはあの羽根をどうにかしないとね……!」
 アーヤは小百合子の側に立ち、砕けぬ硝子で飛び交う羽根から皆を守る。
 その後ろでは小百合子も薙刀『竜王御前』を構え、風車のように回すことで羽根をどんどん撃ち落としていた。
 二人で力を合わせれば、オウガの最後の一撃だって怖くはない。
 足取りはゆっくりと、だけど着実に。小百合子とアーヤは少しずつ歩を進め、オウガとの距離を詰めていく。
 そしてタイミングを見極め――小百合子は力強く地面を蹴飛ばし、竜王御前片手に一気に空を翔けていく!

「ッ……止まりなさい!」
 危険を察知したオウガはすぐに羽根を向けてくるが、その攻撃はアーヤが阻んだ。
 その瞬間を利用して、小百合子は力強い踏み込みと竜王御前による一閃を放つ。
 斬撃がオウガの身体を切り裂けば、血に濡れた羽根がふわりと舞い踊った。
「何故、何故あなた達はそんなにも頑丈なの……!?」
「貴様には分からぬか。想像力は何よりも強い武器なのじゃ――誰かを守るため、強い意志で生み出される力なら尚更のぅ!」
 驚愕するオウガを射抜くように、小百合子は強く敵を睨む。
 同時に彼女の瞳に眩い輝きが宿り、聖気と祝福の気配が皆を包み込んだ。
「我は放つ……輝く神鏡に当てられし聖なる光の柱……貫け!」
 黒い瞳から放たれる、血塗られた不浄すら滅する光は流星のように森を翔け――オウガの胸を撃ち抜いた。
 そして輝きが消える頃には、彼女の身体は骸の海へと沈んでくのであった。

 戦いの終わりを実感し、小百合子は安堵の息を吐く。
 少し離れた場所ではアーヤも脱力しているようだ。そんな彼女の様子を見て、小百合子は柔らかな微笑みを浮かべていた。
 同じアリスナイト同士、力になれてよかったと――心から思っているから。


 こうして猟兵達はオウガを倒し、アリスナイトの少女を救うことが出来た。
「皆に教えてもらった力で、これからも森を守っていくわ。そのうち自分の扉も探しに行くとは思うけれど……また会えたら、その時はよろしくね」
 彼女はまだまだ不思議の世界に滞在しなければならないだろが、きっともう大丈夫だ。

 猟書家の企みも一つ消え、世界の平和にまた一歩近付いた。
 その結果を齎したのは――間違いなく、猟兵達の力だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月09日


挿絵イラスト