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羅針盤戦争~将軍さんがイモ引いた

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #ピサロ将軍 #邪剣島

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「あああああ! 何で来るんだ! もうさっさと『王笏』ぶっ殺して終わらせろよ、時間ないんだろ!」
 無数の剣の生える島の中、喚き散らす女が一人。
「私はただ油断なく強くて界渡りが出来るだけのしがない七大海嘯だぞ! いやもうその称号もいらん! とにかくさっさと猟兵を追い払って逃げるのだ!」
 彼女には是非とも『しがない』の意味を辞書で調べて欲しい所だ。
「そうなれば迎撃準備と共に逃げる時持っていくものも考えんとな……黄金太陽神はもちろん連れて行くとしてだ……」
 女は背後に浮かぶ、無数の人の顔の浮かぶオブジェをちらりと見、そして足元に積まれた拳よりやや小さい物体……ジャガイモの山を見る。
「うむ、やはりこれは持っていこう。売れば金になるし何よりうまい! 畑は諦めねばならんが種芋があればまた増やせる! おい太陽神、これは照らすなよ! 光は芋に悪い!」
 女はその断面のやたらと黄色い芋を袋詰めにし、荷造りを始めるのであった。


「皆さん、羅針盤戦争も大詰めです。やっと依頼を出せました……私が船長なのに……!」
 ゴーグル型のヒーローマスクミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)を装備した花園・桃姫がそう告げる。そう言えば今月桃姫が依頼を出すのは初だ。
「時間もありませんが、皆さんには最後の追い込みとして、『邪剣』ピサロ将軍を討ってもらいます」
 最後に本拠地の発見された七大海嘯にして、『界渡り』の力を持つ侵略を旨とする女だ。
「彼女はどうやらもうこの世界に見切りをつけ、次なる主を探して旅立つつもりの様です。幸い最初の逃亡は阻止できましたが、ここで仕留め切れなければ同じこととなってしまうでしょう」
 世界を渡れるオブリビオンを逃してはどこで何をされるか分かったものではない。この世界の中で、必ず仕留める必要があるとミルケンは言う。
「彼女は光による二種の自己強化と、二つ名通りに邪剣を操る能力を持っています。もちろんこれは先制で放たれます……が、それに加えて自動発動版の能力もあります」
 それはどういうことか、と言う問いにミルケンは答える。
「島に満ちる眩い光を常に発し、『八艘飛び』という高速移動を常に繰り返し、足元からは剣が出現し続けます。彼女の用いるユーベルコードを弱化させたようなものが、常に皆さんを襲い続けるのです」
 先制と合わせ四つの技を同時に繰り出しているような状態だ。だがこちらはユーベルコードのような圧倒的な力はなく、工夫次第でいくらでも防げるという。
「対処すべきものが多い相手ですが、行動の優先順位をはっきり決め、敵を倒してください。彼女を倒せば最早邪剣島の陥落も目前。またそれとは別に、彼女がジャガイモの栽培に使っていた島を分捕れます」
 なぜここに来てジャガイモ? と首をかしげる猟兵の前で続けるミルケン。
「本業の侵略の他副業として行っていたそうで。断面がとても黄色いジャガイモで、粒は小さいながら糖度が高いそうです。収穫後冬を越させたものは特に甘くなるそうで、その在庫も貯蔵されているとか! ちなみにピサロ将軍は名前が気に入って育てていたそうですが、栽培が大変な種類らしく資金源に出来る程生産するまでいろいろ苦労があったとか……」
 ここで敵の苦労話をされても……と思うが、要するに倒すついでにその芋を分捕って来いということらしい。
「まあとにかく、これが我が船『黍団号』が向かう羅針盤戦争最後の一戦となるでしょう。皆様どうか、最後も勝利で飾ってきてください!」
 そう言いながらミルケンは黍団号の舳先に立つ。
「私だって……いつも肉の依頼ばっかり出してるわけじゃありません……!」
 多分芋のくだり辺りからは桃姫がメインで喋っていたのだろう。結局食べ物じゃんと言う声は、海風に消されて彼女の耳には届かなかった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。ダメ押しと行きましょう。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……敵の先制攻撃+八艘飛び+めくらましの光+地面から生える剣に対処する』

 おなじみ先制攻撃に加え、彼女の使うユーベルコード3つの劣化版のような技が常時発動状態となっています。これらは自動で発動し続け完全に止める手段がない一方威力は低く、技能やアイテムで容易に防ぐことができますのでいろいろ工夫してみてください。

 注意点としまして、本シナリオは28日夜~1日朝までの完結を目指します。その為プレイング受付期間が短く、全てのプレイングを採用できずリプレイも短めになる可能性もあります。ご了承のうえご参加ください。

 ちなみにこのピサロさんはある品種のジャガイモを育てています。文字数が余ったらいじってあげてください。

 それでは、羅針盤戦争最後を締めくくるプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍』

POW   :    太陽の征服者
全身を【黄金色のまばゆい光】で覆い、自身の【『八艘飛び』による加速度】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    八艘九連飛び
自身の【背後の黄金太陽神】が輝く間、【「八艘飛び」による超高速斬撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    三千邪剣世界
自身からレベルm半径内の無機物を【ピサロの意のままに宙を舞い、敵を襲う邪剣】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:もりのえるこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎

イグニシオンに【騎乗】
事前に【メカニック】で機体のメインカメラを切り
代わりにレーダーの情報をモニタに反映させるよう調整
【結界術】を展開し結界内の状況を把握し情報の精度を高める

島の上で【空中戦】
これで生えている剣は気にせず戦える
さらにその【地形の利用】
殺気を【第六感】で拾い敵の動きを【見切り】
ワイヤーを剣に引っ掛けてつかみばら撒く形の【範囲攻撃】で
八艘飛びで突っ込んでくる相手を【カウンター】で迎撃しつつ【残像】でかわし、避けきれないものを【オーラ防御】で耐える
初手を防いだらあとはUCで真っ向勝負
こちらも戦場を飛び回り超高速斬撃をぶつけ合うぜ


ニィエン・バハムート
・先制対策
常に【空中浮遊】し足元から出現し続ける剣に対処。【オーラ防御】で目を覆い遮光グラスのようにしつつ目を瞑り集中。【野生の勘】を最大限まで高め、敵が攻撃を仕掛けて来たと感じた瞬間に、首飾りとオーラで威力・射程が強化された電撃【属性・マヒ攻撃】を全周囲に【範囲攻撃】で放つ【カウンター】。こちらの反撃が後になっても電撃の方が流石に敵より速いはず。

先制対処後にUC発動。黄金太陽神を背後に連れている状態で背後の虚空から0.01秒以下の速さで放たれる電撃は流石に速さが売りのピサロと言えど…!

そろそろジャガイモも投げ捨てて逃げ出す段階に入ったのではありませんの!?
ま、逃がしはしませんけどね!ですわ!


ヴィクトル・サリヴァン
ほんとなんで逃して貰えると思ったのか。
禍根は根切りにしとかないとねー。
…しかしピサロを芋作に目覚めさせるなんてどんな味なんだろ。聞いてみたいかも。

サングラスをかけ目を閉じ音の魔法で周囲に音を放ち反響で周囲の地形や人の位置把握。
高速詠唱からの土魔法で周囲の地形を破壊、操作。地面の邪剣を刃の根元まで深く沈め生えてくるのも合わせ固定。
向こうの高速移動は足元の土を操り足を沈めるようにし妨害し続けるね。
攻撃対策は野生の勘と結界術、高速詠唱からの水魔法の水の弾丸ばら撒きでとにかく近づけず剣を振らせない。
UC使えるようになったら空シャチ召喚し水弾で体勢崩してから一気に突撃させてやろう。

※アドリブ絡み等お任せ



「なぜだ! なぜお前たちはここに来る! 私はただこいつを連れて芋を持って逃げたいだけなんだぞ!」
 それを阻止しに来た、というのが分からない様子の七大海嘯『邪剣』ことピサロ将軍に、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が呆れ気味に言う。
「ほんとなんで逃して貰えると思ったのか。禍根は根切りにしとかないとねー……しかしピサロを芋作に目覚めさせるなんてどんな味なんだろ。聞いてみたいかも」
「聞きたいか! これは通常の芋が糖度5のところ糖度6~8と甘くその色と合わせてサツマイモか栗にも例えられ……」
 嬉々として芋の解説を始めるピサロ。逃げるんじゃなかったのか。
 だが、それはそれとして猟兵が目の前に来たのだからやることは本来一つである。実際目の前に立つ久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)の搭乗する『イグニシオン』の威容を見て、ピサロは後ろの黄金太陽神を急かす。
「おい、さっさと島中を照らせ! あと私に八艘九連飛びの力もだ!」
 それに促されるように太陽神が輝き出し、それと同時にピサロの体が空中に舞った。その光は通常なら目を開けていられないほどに強くなるが、猟兵たちは各々に対処を取る。
 ヴィクトルはサングラスをかけたうえで目を閉じ、周囲に音波を放ってその反射を捉え、遥翔はイグニシオンのメインモニターを切り、レーダーによる敵感知に切り替える。そしてニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)はオーラを遮光用に貼りつつ、ふわりと空中に浮き上がった。その一瞬後、彼女のいた場所から鋭い刃が突き出す。
「ち、知っていたか!」
 『邪剣島』の名の通り、島の地表から突き出し続ける邪剣の群れ。イグニシオンも飛行状態に移ることでそれをかわし、一方ヴィクトルは土の魔法を地面にかけることで、自分の周囲からの剣の出現自体を抑え込んだ。土はかなり根深く出現させられ、剣を根元から抑え込んで
 準備はこれで万端。いつでも来いとばかりに構える猟兵に、ピサロは高速で動き襲い掛かった。
「まずはお前だ!」
 最初に狙うのはヴィクトル。土となった悪い足場を強引に飛び越え迫るが、結界の中に閉じこもった彼を狙うために過剰に高く飛ばなければならない。さらに飛び越えたところでそこら中にばらまかれる水の弾丸が彼を守る盾となり、剣を降らせる隙を彼女に与えなかった。
 高速で移動しては自ら弾丸に突っ込むことになる。そこで狙うのはニィエン。通常の八艘飛びよりさらに強化された高速攻撃がニィエンを襲うが、自身に攻撃が向く瞬間こそを彼女は待っていた。
「今ですの!」
 自身の体に埋め込んだメガリスを起動、オーラの雷を首飾りの力で増幅し、やはり触れたら感電するバリアとして自身の周囲を守った。
 そのバリアに触れてしまい体を痺れさせ、折角の鋭い動きを鈍らせるピサロ。残るは遥翔だ。
「流石にお前は……変なことしてこないだろ!」
 その圧巻の物理的存在感から彼が物理的な行動をとってくるだろうと踏んだピサロ。その予測自体は、確かに当たっていた。
「おっと、こっちだぜ!」
 殺気から襲撃を直感した遥翔はイグニシオンから多数のワイヤーを射出し、地面から突き出た剣に絡ませる。そのまま回転し強引にそれを引っこ抜いて、辺りにばらまく形で剣のバリアの様にし、他二人と同じように突っ込めばカウンターされる状況を作り上げた。
 確かに物理的だが、こうまで広範とは予想していなかったピサロは、そのまま剣に突っ込んでしまい自ら切り裂かれる形になる。
「お、おのれ……」
 自慢のスピードを何度も逆手に取られ一旦下がるピサロ。だが、その隙こそが彼女の命取りとなった。
「雷騰雲奔……バハムート・ライトニング!」
 逃げに転じたと見た瞬間、ニィエンが【デンキナマズのビリビリ電撃Ver2.0】を0.01秒以下の速さで狙い撃つ。背後から場所を越えて撃たれる電撃はピサロの虚を突いて射抜き、その逃げ足すらも止める。
「海ばかりと思ってたら痛い目見るよ」
 止まったピサロの頭上に、【空泳ぎたちの狂宴】でヴィクトルが大量の空のシャチを召喚した。シャチはピサロに降り注ぐ間に寄り合い、くっつき、101匹のシャチが全てくっつき超巨大シャチとなって彼女の体に食らいついた。
「あぐっ……!」
 いかな七大海嘯といえどこのサイズの牙を受けては深手は免れない。そこに満を持して切りかかるのは、いざ正面突破といくイグニシオン。
「行くぜ相棒! 今はただ全霊を以てこの空を翔ける――ラグナレク・キャリバーッ!!」
「うおぉぉぉっ!」
 超高速の斬撃に、ピサロもまた力を振り高速の八艘飛びで迎え撃った。空中で繰り広げられる超高速斬撃の応酬。その最後は。
「貰ったぁ!」
 太陽神を背負う女を、【太陽を灼く黄昏の剣】の一撃が焼き切ることで決着となった。
 飛ぶ力を失い地に落ちるピサロ。
「そろそろジャガイモも投げ捨てて逃げ出す段階に入ったのではありませんの!? ま、逃がしはしませんけどね! ですわ!」
 ニィエンのその言葉に応えることもできず、芋どころか自らの命すら持ち帰るのが困難な戦いが始まったことを否応なしに痛感するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

まぁ、美味しいお芋なら欲しくはなりますね。
(一緒に狙ってみましょうか)

(UC『万花変生』を使用。自身をどこまでも成長する巨木で包んで、それで攻撃を防ぎ、地面の剣は成長する過程で取り込み)

周りはあまり見えませんが相手が光っているなら好都合ですね♪

(光を感じて成長する植物の特性で光を逆に利用して八艘飛びが出来なくなるまで巨木の成長による領域拡大をして)

そういえば、就職先を探してるのなら私のものになりません?
待遇はその後の相談ですけどお芋を栽培する畑ライフは保証しましょう。

(逃げられなくなるまで追い詰めたら根を操って攻撃していき、さらに隷属させる植物を植え付けて、隷属させようと)



「まぁ、美味しいお芋なら欲しくはなりますね」
 一緒に狙ってみましょうか、と考えながらピサロの前に立つのは神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)。
 一緒に、ということは元々の別の狙いがあるということ。その狙いとは、ピサロ将軍本人であった。
 女性型オブリビオンを自身に隷属させることを好む七十は、ピサロもまた自身に隷従させんとこの場に立つ。
「何だ、芋が欲しいなら売ってやるぞ! 逃亡の資金にする!」
 あくまでまだ逃げるつもり満々のピサロの前で、七十はすっと自らの体に手を当てた。
「今日はそういう日で、今はそういう気分」
 それは屈服させた相手を取り込み隷従させる。【万花変生】の木。それに自らを取り込ませて全ての攻撃を防ぎピサロを捉えんとする七十。その樹木が下から彼女を包み、生え来る邪剣を遮っていく。
 だが。
「どうせ全部は持っていけないからな。今なら5キロ2シルバーの捨て値で売ってやるぞ!」
 木のまだ覆っていない上半身。そこに島から生えたものではない、ピサロの放った無数の邪剣が突き刺さっていた。
 万花変生はユーベルコード。即ち、敵の先制を上回って発動することは出来ない。それを初手で撃ってしまったが故、結果的に敵の先制を無防備に受けることとなってしまったのだ。
 さらに七十の不運はもう一つ。万花変生の発動トリガーは相手の敗北や屈服、つまりは不利を被ったことによる負の感情。通常の攻撃技ならダメージに耐え無理矢理撃つこともできようが、一度優位を取られてしまうとどんどん発動条件を満たしにくくなっていくこの技は初手を奪われた時からの巻き返しにはとことん向いていなかった。
 無論七十とて何も考えていなかったわけではない。植物で剣を遮り、光を逆利用して成長させ切って敵の動きを止めて相手を隷属させる。もし万花変生が成功していれば、感情に振り回されやすいピサロの事、容易に術中にはまってくれただろう。だがその策は、『敵はこちらより先にユーベルコードを撃つ』、そのたった一つの失念によって瓦解してしまったのだ。
 なれど、このまま諦めるつもりは七十にもない。
「そういえば、就職先を探してるのなら私のものになりません? 待遇はその後の相談ですけどお芋を栽培する畑ライフは保証しましょう」
 不利をおくびにも出さず自ら動く。あくまで自らへの隷属を迫りながら、漆黒の大剣を抜いてピサロに切りかかる。無論ピサロも剣の達人、正面切った切りあいでも引けをとることはないが、ここまで追い込んで態度を崩さない七十の姿勢に、覚悟や決意というものと無縁の彼女は気圧される。
「何だこいつは……少しは表情くらい変えろ!」
 その動揺に、植物が反応した。枝の一部が素早く飛んで突き刺さり、ピサロの体を侵食し始める。
「なんだこれは……く、相手にしてられん!」
 最後に乱雑に一太刀、七十に切りつけてピサロは撤退した。達人とはいえいい加減に放った一撃では命を奪うには程遠く、七十はいまだ同じ表情で立ち続ける。
 戦いで勝つも心で負けたピサロは、その心に棘を刺されたまま場所を移すのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

カタリナ・エスペランサ
…仮にも神を騙り、太陽を冠しながら。見るに堪えない醜態ね
最早オブリビオンの一部なら纏めて引導を渡してあげる

装備[驕傲]の《念動力+情報収集》力場をセンサーに知覚確保、《第六感+戦闘知識》も合わせ敵の速度を《見切り》
《空中戦》で地面の剣を回避
纏う《属性攻撃+オーラ防御》劫火は敵を焼き尽くし寄せ付けない《カウンター》であり、同時に空間自体を《ハッキング+焼却》して攻撃の軌道を歪め逸らす先制対策よ

【異聞降臨】で反撃
召喚する化身は炎天に君臨する光輝、砂漠を統べる紅き竜王
焔と砂嵐の《天候操作+地形破壊+神罰+蹂躙》で逃げ場を与えず戦場諸共に八艘飛びを叩き潰すわ
太陽の神を名乗る力なら、これ位は出来ないとね



 移動したピサロの先に待ち構えていたのはカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)。彼女は強烈な敵意を込めてピサロを睨みつけた。
「……仮にも神を騙り、太陽を冠しながら。見るに堪えない醜態ね。最早オブリビオンの一部なら纏めて引導を渡してあげる」
 否、彼女が睨むのはピサロではない。その背にある黄金太陽神だ。
 神という存在を蛇蝎の如く嫌うカタリナにとって、この場においてピサロなどはおまけに過ぎない。例え侵略を受け怨嗟の中無理矢理使役される被害者であろうと、そんなものは関係ない。神である以上、黄金太陽神はカタリナの敵であり、滅ぼし、踏みにじり、その全てを否定すべき相手に他ならなかった。
「いや別に神とか名乗った覚えはないぞ?」
 当然ながらピサロはそんなもの理解できず、自分に言われたと思い首をかしげる。
 だが、分からなくとも敵が来たのなら切るのみと、黄金太陽神を光らせ自らも八艘九連飛びに動くピサロ。その動きを、カタリナは手のひらの上にある『驕傲』、超高性能スマートフォン模した力場によって感知した。
 のめり込むほどに世界が狭まり、偽りの万能感に支配される携帯端末。この上なく皮肉のきいた名前を持つそれは、しかしそんな愚かさとは無縁のカタリナに正しく使われ高速の八艘飛びと地面から出でる剣、その双方を同時に回避する方向を彼女に教え空中へと逃れる道を示した。
「やるな、だが!」
 一度躱されてなお、ピサロの追撃は早い。瞬間的に地を蹴った彼女に追い縋り、超高速の九連撃を放った。カタリナはそれを劫火のオーラを展開して受け止める。
 達人の斬撃はオーラを越えて届くが、それは達人の名のもとに放たれたとは思えぬほど狙いが荒い。熱と陽炎が周囲の空間を侵食し、カタリナの姿を揺らがせていたのだ。さらには強力な炎に手を差し入れることで、ピサロ自身も焼かれ、少しずつダメージを返されていく。
「さぁて、鬼が出るか蛇が出るか! “――我は汝、汝は我! 交わらざるイフの時空より来たりて聖暁の威を示せ!!”」
 そのピサロに、カタリナはこことばかりに【異聞降臨】を発動。時空さえ超える呼びかけで炎天に君臨する光輝、砂漠を統べる紅き竜王を召喚しピサロに……否、黄金太陽神にけしかけた。
 竜王は一声上げると、その力によって剣と鋼の島に砂を呼び、それを暴風にて巻き上げ巨大な砂嵐でその場を包み込んだ。
 風は空中のピサロを煽り、宙を飛ぶ余裕さえ与えずに地面に叩き落とす。さらに砂嵐はそのまま天全てを閉ざし、ピサロの上に無数の刃の如き礫となって覆いかぶさった。そして砂がピサロを、そして黄金太陽神を埋め尽くす。
「太陽の神を名乗る力なら、これ位は出来ないとね」
 神ならばこの荒れ狂う天を鎮め、恵みを届けて見せろ。出来ないならば消え失せろ。浮かぶ怨嗟の顔すら埋め尽くされた黄金太陽神に、カタリナはそれ以上の怨嗟を込めて吐き捨てるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニクロム・チタノ
後一歩、ここでなんとしても討つ!
避けたら輝きに目をやられる、ここは一気に押し切る!
目を伏せて懐に斬り込む、周りの剣は重力波で吹き飛ばす!
危険でもやらなきゃいけない!
今こそ覚悟の時、妖刀を掲げよう。
さあこれより反抗を開始する、どうかチタノの加護と導きを



「後一歩、ここでなんとしても討つ!」
 完全制圧まであと少し。ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)はその一押しを入れるべく、ピサロの前へと立った。
 ピサロは相手を確認すると、早々に太陽神に輝きを放たせ自分は八艘飛びで宙を舞った。
「避けたら輝きに目をやられる、ここは一気に押し切る!」
 その輝きを直視するわけにはいかない。ニクロムは目を伏せ、一直線にピサロへと突っ込んでいった。
 その足元に、島から生える無数の邪剣が飛び出し、彼女を刺し貫かんとする。目を伏せている彼女はもちろんそれを視認することは出来ない。だが、策はある。それについては破壊の重力波で吹き飛ばせばいいと、そう考えていた。
「おい、どこいくつもりだ?」
 その力を発動せんとした瞬間、後ろから声がかかった。それは紛れもなく今自分が懐に切り込まんとしていた敵、ピサロの声。
 思わぬことに足を止め後ろを振り返ろうとしたニクロムを、無慈悲なる九連続の斬撃が襲った。
「ぐ、あ……!」
 直前まで目を伏せていたニクロムは避けることもできず、それをまともに食らってしまう。なぜ、さっきまで相手は跳んだとはいえ前にいて、自分はそこに向かって突っ込んでいったはず。
 当然である。相手は超高速で移動ができるのだ。目を伏せて突っ込んでくる相手を馬鹿正直に待つ必要などない。そのスピードを活かし、さっさと後ろへ回ってしまえばよいだけなのだ。
 目を焼く光を目を伏せて躱す、その判断自体は間違っていない。だが、代わりとなる感知手段をニクロムは一切用意していなかった。さらに敵の高速移動を捕捉し、そこから来る先制を躱す手段もまた。
 そして島から生える邪剣の対策も、ユーベルコードに頼もうとした故先制回避の後にすることになる。つまり、回避できなければその対策も遅れるということ。地表から生える剣は、ピサロの剣撃に崩れるニクロムに容赦なく追い打ちをかけていく。
 彼女の能力の中でも最も厄介と踏んだ目くらましの対策に気を取られ過ぎた結果、それ以外のもの、とりわけ真に強力な敵ユーベルコードへの対策をほとんどないがしろにしてしまい、彼女の覚悟を決めた突撃は無謀な特攻へと成り果ててしまったのだ。
 覚悟だけは十分にあった。だが、覚悟以外の全てが足りなかった。それでも、その気高き覚悟だけでも並の敵なら乗り越えられただろう。しかし敵は七大海嘯の一人。他のオブリビオンとは一線を画す強さを持つ超強敵なのだ。緻密に策を練り、ようやく勝負の舞台に立てる相手。決して勢いと決意だけで勝てるような敵ではなかった。
 その強敵が、とどめを刺さんと悠々とニクロムに迫る。
 だが、ニクロムは決してあきらめない。
「危険でもやらなきゃいけない!」
 確かに自分は今敗れた。だがそれがなんだ。負けたから全てを諦めて敵のいいようにされねばならないのか。
「今こそ覚悟の時、妖刀を掲げよう」
 真の覚悟は、窮地にこそその価値を問われる。
 ニクロムが高く掲げた妖刀は、勝利に油断しきっていたピサロの手元を切り裂いた。
「貴様……!」
 浅手ではあるが、勝敗は決したと思っていた相手に手傷を負わされたことにピサロは激昂する。
「さあこれより反抗を開始する、どうかチタノの加護と導きを」
 敗北に抗おう。結果に反抗しよう。チタノは抗うものに最後まで加護を与える。
 そしてピサロが勝利を放棄し彼女を捨て置くまで、ニクロムは反抗の剣を振るい続けたのであった。

失敗 🔴​🔴​🔴​

バルタン・ノーヴェ
逃がしマセーン!
その上等なジャガイモのついでに、首をいただきマース!

POW アドリブ連携OK

実戦証明済みのサングラスを装着して、太陽神を完封!
滑走靴で地表付近を滑空し、空中戦に対応して参りマース!

油断なく、八艘飛びから放たれる先制攻撃にファルシオンを合わせて、受け流しマース!
二度、三度を流していくうちに、タイミングを読んでカウンターを打ち込みマス!

「カモン、ビッグ・バルタン!」「BARU-!」
生える剣ごと、地面を割って登場、ビッグ・バルタン!
ワタシと合わせてピサロを前後に挟み撃ちにする攻撃デース!
もしアナタが、太陽神ともっと信頼関係を構築していれば、背中合わせに対処できたデショー!
アディオス!


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
お芋、良いですねぇ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行し『地形』の影響を、『サングラス』と[結界術]で二重に遮光し『陽光』を防ぎますぅ。
同時に『FMS』のバリアを『八面体型』に配置し私の全方位を包み、[結界術]を加えバリアを強化、更に高速旋回させ力を受け流し『八艘飛び』や『先制UC』で何処から攻撃されても或る程度防げる状態に。
更に『FSS』を『FMS』と連動、バリアが破られたら自動で受けられる様にしますぅ。

攻撃時は【崇卓】による『超重力波』を発動、ダメージと共に相手の『速度』を抑え[砲撃]で一気に狙いますねぇ。

お芋は『FTS』で出来る限り回収、後程桃姫さんをお誘いし頂きますぅ。



 場所を変えても、追い払っても、何度でも攻め来る猟兵。最早島の中に逃げ場などない。早々に界を渡らなければ、本当に命が危うい。渡るのに必要なものは黄金太陽神のみ。元より誇りなんてものは持ち合わせていないが、もっと形のあるものを捨てなければならないのがこの上なく口惜しい。
 苦渋の決断ですべてを捨てる覚悟を決めたピサロの前に、それすら許さぬとばかりにさらなる猟兵が現れた。
「逃がしマセーン! その上等なジャガイモのついでに、首をいただきマース!」
「お芋、良いですねぇ」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)と夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の二人は、ともにサングラスをかけての登場だ。
「私は芋のついでか! まあ私の芋はうまいからしかたないがな! とにかく芋強盗には帰ってもらうぞ! 手伝え黄金太陽神!」
 そのサングラス姿の相手に、ピサロは黄金太陽神の出力を最大にして光を自身の力とする。光に包まれた彼女の体が高く宙を舞うが、二人はその姿をしかと視認していた。
 バルタンの装備するサングラスはこの戦いの中、まさに邪剣島陥落の為に誂えた特注品であり効果のほどは実戦証明済み。るこるのものは市販品故太陽神相手には少々力不足だが、自身で結界を張ることで二重に光を遮断し、やはり視界を確保することに成功していた。
 さらに大地から生えてくる剣も、るこるは戦輪『FBS』を使って飛行し、バルタンは地表すれすれを滑空して高速で動き回ることでその射程から逃れた。
 残るは太陽神の力で強化された八艘飛びと、そこから来る強烈な一撃。それに対し、るこるは円盤『FMS』を自身の周りに正八面体型に配置して回転させることで防御態勢を取った。
「ならばそこで亀になっていろ、こちらをやってからゆっくり皮を剥いてやる!」
 そのるこるを一旦放置し、バルタンへと切りかかるピサロ。八艘飛びの超スピードによる加速を乗せ、邪剣の一撃がバルタンに見舞われる。
「くっ……!」
 凄まじく重いその一撃を、『ファルシオン』に当てて受け流すバルタン。滑らせるように流したことで崩されることは防いだが、真正面から受けていれば頑丈さが売りであるはずのこちらの剣が折れていたかもしれない。
 その斬撃が二度、三度と繰り返しバルタンに叩きつけられた。その都度腕が痺れ剣を取り落としそうになるが、同時に相手の動きも読めてくる。
「ここデース!」
 そして幾度目かの斬撃に合わせた切り返しが、ついにピサロを跳ね返した。
「おのれ……では芋の皮むきの時間だ!」
 その勢いでバルタンから離れ、るこるの展開するFMSに剣を突きこむピサロ。だが、そのバリアを貫いて内部に剣が付きこまれると同時に、もう一つのビームシールド『FSS』が内側の防御となって剣を止め、付属の砲台で刀身を砲撃した。
「カモン、ビッグ・バルタン!」
「BARU-!」
 そして一人にかまければもう一人が動く。初撃を躱したことで満を持して召喚された【機動兵器ビッグ・バルタン】が、邪剣諸共地面を割って表れた。
 そのまま大小二人のバルタンがピサロを挟む形を取る。そうしてバルタンが殴り掛かりピサロがそれを受け止めれば、その無防備な背中にビッグ・バルタンの拳が叩きつけられる。そしてそちらを切り払おうとピサロが振り向けば、ビッグ・バルタンがその剣を蹴りあげて止め同時にバルタンがピサロの尻を蹴りあげた。
「あ、あだっ、ずるいぞ二人がかりで!」
「そっちだって二人いるはずデショウ。もしアナタが、太陽神ともっと信頼関係を構築していれば、背中合わせに対処できたデショー!」
 ピサロにとって太陽神は単なる道具に過ぎないし、むしろ恨まれている方が力を引き出せて都合がいいくらいだ。そこに信頼など一かけらもなく、太陽神からしてもむしろピサロを倒してもらうのを望んでいるくらいだろう。
 そしてここにはまだ他にも、味方はいるのである。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その祭壇の理をここに」
 【豊乳女神の加護・崇卓】で超重力を作り出し、そこにピサロを捉えるるこる。半ばダウン仕掛けていたピサロは地面にへばりつく格好となり、そこに兵装からの容赦ない砲撃が降り注いだ。
 そしてその上に、ダブルバルタンからの容赦ないストンピングの嵐まで加えられる。上からの圧倒的な攻撃に、ピサロはまさに落日の如く……または地中に埋まる芋の如くその身を地面に埋めていくのであった。
 そのまま完全に沈黙するピサロ。
「アディオス!」
 別れの言葉と共に、早速袋詰めされていた芋を持っていくバルタン。
「あとで桃姫さんと一緒にいただきましょうかぁ」
 さらにるこるに至っては、収納運搬用の祭器『FTS』に目いっぱい芋を詰め込み、期間後にグリモア猟兵を誘って食べることまで考えている。
「やめろ……せめて……持っていくなら冷蔵しろ……! 保存するならリンゴを一緒に入れておけ……! あと、栽培するならウイルス病と寄生虫には特に弱いから気を付けろ……粒が小さいから収穫時の掘り残しにも注意だ……分かったな……ぐふっ!」
 断末魔代わりに栽培のため勉強したらしい芋知識を披露し、完全にこと切れるピサロ。そしてそのまま太陽神諸共、目覚めを迎えることなく彼女は消滅した。
 締まらない最期だが、ともあれこれで『邪剣』の脅威は去ったのだ。
 そして島から戻った猟兵たちを出迎えたもの。それは全ての七大海嘯本拠地の陥落と、羅針盤戦争完全勝利の知らせであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月28日


挿絵イラスト