3
連続神隠しの怪~ヲロチ様の贄の末裔

#UDCアース

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース


0




 ―― U県警D警察署。
「お願いです、妹を見つけてください! あの子までいなくなっちゃったら、アタシ……」
 悲痛な声で、真新しい制服を着た女子高生が警官にすがり付いていた。それを遠目に、中年の刑事がため息をつく。
「……またか」
「『また』って?」
「例の神隠し事件だよ。あの娘はたしか、三か月くらい前にも『母親が消えた』って来てたっけか。はやく見つけてやりたいもんだ」
「そう、ね。……だけど、この事件は『特務案件』として処理することになったわ。後で上から正式に通達されると思うけど、あなたたちは捜査から外れてもらうから」
「ほう、そうかい……って、ダレだテメー!?」
 今更ながらに目を剥いて、刑事はバッと隣を見た。
 いつの間にか傍に立っていた少女は明らかに部外者でありながら、やけに堂々とした態度で肩をすくめる。
「誰だっていいでしょ。それじゃあ、ね」
 少女は一方的に告げると足早に去っていく。
「特務案件って……まさか、本当にでてくるとはな」
 噂は聞いたことがあった。どこからともなく捜査に介入しては、すべてを闇へと葬り去る謎の権力。今のいままで単なる都市伝説だと思っていた。
「……訳の分からない事件だと思ってたが、いよいよオカルトじみて来たぜ」
 刑事はぼやいて、気持ちを切り替えるために喫煙室へと歩いていく。


「ちょっと、手の空いてる人はいる?」
 グリモアベースに現れるなり、田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)はその場にいた猟兵たちに呼び掛けた。
「UDCアースの事件よ。場所は日本国U県D市。そこそこ大きな都市なんだけど、ここ一年ほど失踪事件が多発してるの。それが、今回の予知でオブリビオンの仕業だと分かってね。みんなには討伐をお願いするわ。失踪者の生死は問わない。……十中八九、死んでるだろうし」
 ギリと握った拳を軋ませながら、努めて無表情を作って、ユウナはUSBメモリを映写機に突き刺した。
「……オブリビオンの所在は不明。まずは失踪事件を捜査して、奴らの隠れ家を付き止めてちょうだい」
 と、壁に投影されたのは、地元警察からぶん取ってきたという捜査資料だ。
 最初の資料は、失踪者の一覧。
「人数は警察が把握してるだけで36……今朝、女子小学生が消えたから37人か。全員が市内で姿を消してるってのは確か。人によっては靴やらスマホやら遺留品が見つかってるんだけど、捜査は一向に進展してないようね」
 話を聞きながら一覧を見ていると、ほどなく気付く者が現れる。
 ……同じ苗字の人間が多い。
 良い着眼だ、とユウナはうなずいた。
「この事件にはひとつ妙な特徴があってね。失踪している人たちは結構な確率で近親者なのよ。おかげで最初は遺された家族が疑われたんだけど、全員がシロ。だけど、容疑者の代わりに面白い事実が分かったの」
 そう言ってリモコンを操作、資料画像を切り替える。
 『櫛稲』という二文字だ。
「これで『クシナ』と読むわ。土着の神を信仰していた古神道系の旧家らしいんだけど、失踪者は皆この家の血筋なのよ」
 櫛稲の本家は100年以上も前に断絶してることもあって、警察は完全に無視している。
 常識的に考えれば当然だろう。
 しかし、どんなに薄かろうと血の繋がりというものは超常の世界において大きな意味を持つ。いったいどんな家系なのか、調べてみる価値はあるだろう。
「それから、捜査資料のコピーを渡しておくわね。遺留品の内容や発見場所。失踪者の家族や知人、捜査官の連絡先など。よく調べてるけど、オブリビオン相手にはいささかお粗末。猟兵たちの手で洗い直せば、新しい発見があるかも」
 失踪場所を探ったり、関係者から話を聞いたりなんてことは警察も行っているが、オカルト的な知見に欠ける彼らではどうしても手落ちがある。取りこぼされている情報も多々あることだろう。
 示された選択肢からどんなアプローチを行うか、思案する猟兵たちを眺めながら、ユウナは彼らを送り出すためにグリモアの準備へと移った。


黒姫小旅
 どうも、黒姫小旅でございます。
 此度は怪奇物語。グロテスクな描写が予想されますのでご注意を。

●第一章について
 失踪者やオブリビオンに関して情報を集めてください。
 難易度は低めで、クリア自体は容易。選択肢を参考に行動して頂ければ、自然と次章へ進むはずです。
 ただし、行動によって手に入る情報が変化する可能性が有ります。

●サポート
 UDC組織が全面的にバックアップします。
 D市内の施設や交通、関係者との面会、その他諸々はおおむね希望通りになるでしょう。
62




第1章 冒険 『血脈の糸を追え』

POW   :    関係者に直接接触して調査する

SPD   :    当日の足取りを追い、現場を調べる

WIZ   :    家系の歴史や、術方面での調べを進める

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

伊敷・一馬
調査に必要なもの!それは足っ!そしてスマイルっ!!
という訳で、SPDより当日の足取りを追い現場を調べるとしよう。
時間が許す限り37人の全てを洗う。各現場へは我が愛しのゴーゴー☆ジャスティライザーで移動するが、足取りの調査は徒歩で行い見落としはしないようにするぞ。
怪しい人物を見かけたら即確保して質疑応答ジャスティスタイムを発動させるっ!

ユウナ君は生存の可能性に否定的だが、私は決して諦めない。
なぜならシュレッダーの猫的なアレの可能性があるからだ!
(シュレディンガーの猫?)
その通りだボディ君!故に私は諦めない。
それが一番星の如く煌めく美しき正義、即ち私のポリフェノールだからだ!
(あっ、はい……)


バーン・マーディ
この世界は我が世界とよく似ているが…神等が信じられていないのだな
それでも…神秘の持つ力の強さは…我が世界以上かもしれんな

(一応騎士達共々現代風のジャケットにカジュアル。ただ…でかい)

まずクシナという家と崇めていた神々について把握

その上で…デュランダル騎士(諜報部門)召喚

共に事件の起きた現場についての調査
重要視するのは争いの後はあったのか否か

後は関係者については特に信仰は残っていたのかどうか

この世界の神は信仰や祈りによって力を増す事があるという

ここの警察が見つけただろう指紋や痕跡についても確認しつつ
おのれでも魔力…霊的な物の残滓が無いかを確認する
我も…死したる者を従わせる事もある故な




「調査に必要なもの! それは足っ! そしてスマイルっ!!」
 高々と持論を掲げ、伊敷・一馬(燃える正義のひょっとこライダー・f15453)は愛しのジェットエンジン付きママチャリ〈ゴーゴー☆ジャスティライザー〉で町中を駆け回って、失踪した人々の足取りを調査していた。
「住宅街、繁華街、工事現場に河川敷、ショッピングモールまであるのか……存外、人目の多い場所でも消えているのだな」
 一馬は意外そうに呟く。
 失踪者が当日歩いたと思われる経路をなぞってみると、人通りが多かったり監視カメラが設置されたりしていることが何度もあった。中には、死角らしい死角がまったくないような場所さえあり、誰にも気付かれずに人間を消すなど到底不可能な所業に思えた。
「人々の目から逃れるような異能、たとえば透明化のユーベルコードでも使っているのだろうか……おや?」
 思考しながら次なる現場へと移動していた一馬は、とある一団を見咎めて愛車を停止させた。
 ずいぶんと大柄な男たちだ。野球チームを四つくらい作れそうな大人数で、ちょうど一馬が向かっていたのと同じ方向へと歩いていた。けっこう悪目立ちしそうな団体だが、道行く人々はまったく違和感を抱いていない様子で素通りしていく。
 彼らがただ者でないと見切って、一馬は即座に愛車のペダルを踏んだ。ママチャリをすっ飛ばして男たちの前に回り込み、行く手を塞ぐと高らかに宣言する。
「そこな者、止まれ! 質疑応答ジャスティスタイムだ!!」
「……ぬ?」
 男たちの先頭に立っていた巨漢、バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は鳩が豆鉄砲を食ったような顔で瞬きした。


「いやあ、申し訳ない。まさかご同輩だったとは!」
「別に構わないが……」
 暑苦しいくらいに明るい一馬にやや困惑しつつも、バーンは気を取り直して目の前に集中する。
 二人が訪れたのは、町内の一画にある廃ビルだ。一月ほど前、とある不良学生が仲間と肝試しに来て以来、姿を消したと言われている。
「……ここに来る前に、『クシナ』という家について軽く調べてきた」
 引き連れていた騎士の霊たちに周辺の調査を命じながら、バーンは口を開いた。
「いわく、『ヲロチさま』という神を崇めていたらしい」
「ヲロチ……蛇の神か?」
「外見は、とても蛇と呼べるものではないそうだがな」
 姿絵など探す時間まではなかったが、と肩をすくめてバーンは一馬を聞き役に話を続ける。
「かつての大戦と、その後の都市開発によって集落は大きく変貌し、信仰も失われて久しいという。事件の関係者にも、信者とみられる人間は一人もいないようだ」
 UDCアース世界における神々は、人間の祈りを力の糧にすることがある。ならば逆に、信心を得られなくなった神はどうなるのだろうか。
 思いを馳せていると、調査を行っていた英霊騎士の一体が何かを見つけたようだ。
 そこは廃ビルの中でも特に日光が届きにくい暗がり。手招きする騎士の元へと向かうと、バーンが持つ感覚のひとつ……死霊術士としての素養が鋭く反応した。
『死』の気配だ。それらしい痕跡は何もないが、間違いなくこの場で人間の命が絶たれた。それも、ごく最近だ。
「気配の薄さからして、おおよそ一か月前に一名といったところか。かの失踪者だと断定していいだろう」
「な、なんと!?」
 すでに失踪者は殺害されていたのか!? バーンの見立てに一馬は絶句するが、しかしすぐに顔を上げた。
「ここではダメだったとしても、他の全てを確かめるまで私はあきらめない。なぜならシュレッダーの猫的なアレの可能性があるからだ!」
「……『シュレーディンガーの猫』の間違いでは?」
「そうとも言う!」
 ビシッと明日を指差す一馬だが、果たして生存者がいる可能性はいかほどだろうか。保証しかねるバーンだったが、確実に言えることが一つある。
 ……これ以上の犠牲者を出すことは、防がねばならない。
「この場で邪悪を為した存在、その残滓を追うことができれば……」
 霊的感覚を研ぎ澄ませれば、ナメクジが這った跡のように邪悪な魔力が廃ビルの外へと伸びているのが見て取れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

テラ・ウィンディア
おれあんまり難しいの得意じゃないから取りあえず聞き込みするぞ!

行方不明になった人の家族とか友人知り合いを相手に聞き込みだ!

最近になって何か変わった行動はなかったとか
何か変な人に見られてるとかそういう不安とか相談とかなかったとかだな

居なくなった人達に共通点があるという事は何らかの前兆はあったんじゃないかと推測するぞ

後は最後に目撃された場所とかも地図とかで何か法則性が無いか一つ一つに印をつけてみてみる

後は関係者のクシナとヲロチについての情報を持ってないかも聞いてみるぞ

何らかの神降ろしについての儀式とかないかも聞くか詳しい情報を持ってる親戚が居ないかも調査だ

その上で伝承について情報共有だな!




「何か変わったこと、ですか……?」
「普段と違う行動とか、不安の相談とか。何でもいいから、覚えてることはないか?」
 失踪者たちが姿を消す際、何かしらの前兆があったはず。そう推測して関係者への聞き込みを行っていたテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)だったが、質問する声には疲労がにじんでいた。
 これまで何人にも会ってきたが、ヒントになりそうな回答は一つも得られていないのだ。目の前の女子高生も、特に思い当たる様子はなさそうで――
「……そういえば」
 何かに、当たったようだ。
「先週だったかな。妹が小学校から帰って来た時に、『変な子に会った』って」
「なんだって!?」
 手掛かりかもしれない。がぜん元気づいてテラは身を乗り出した。
「妹って、今朝いなくなったっていう小学生だよな?」
「は、はい」
 テラの勢いに戸惑いながらも、女子高生は頷いた。
「その『変な子』ってのは、どんなだったって?」
「えっと、何も言わずに走って行っちゃったとかで詳しくは分からないんですが……なんでも鎌を持ってたらしいんです。死神が持ってそうな、大きな鎌」
 大鎌を持った子供。猟兵界隈では珍しくもないが、一般人ましてやUDCアース世界の日本国において、そんな子供が町中にいるとは考えにくい。
「どうせ、ただのコスプレイヤーだと思うんですが……」
 そう言いながらも、女子高生は物憂げに目を伏せた。
「何か、気になることがあるんだな」
「ひいおばあちゃんが亡くなる前のことなんけど。『鎌を持った女童は、ヲロチ様を連れてくる』って言ってたことがあるんです。すごく怖い顔だったから、記憶に残ってて。……あの、これって関係あるんでしょうか?」
「それは……うん、どうかは分からないけど、すごく参考になった。ありがとうな」
 不安そうな女子高生に笑顔で礼を言って、テラはその場を後にする。
 最新の失踪者である小学生女児が会ったという『大鎌を持った子供』。どうして余所では聞かれなかったのか、というのも気になるが、より引っかかるのはもう一方の証言だ。
「『ヲロチ様を連れてくる』、か。……まるで、子供の方が飼い主みたいな言い方をするんだな」

成功 🔵​🔵​🔴​

波狼・拓哉
んじゃあ探偵として頑張りますかねー。
とと聞き込みと現場検証は終わってる感じかな。となると…櫛稲について詳しく調べますか。珍しい苗字だしこの地域の歴史資料館とか図書館になにか情報無いか探しに行ってみますかね。UDC組織の力も借りつつスムーズにお邪魔しますか。
ヲロチさまとやらがいるらしいしこいつも並行して調べておこう。この地域の昔話とかに出てたりしないかな…?
後は…本家の場所とか知れたらラッキーかな?どのような伝承か分からないから確かな事は言えないけど生贄してたとかなら祭壇が本家に、裏山にとか良くある話だしね。
(アドリブ絡み歓迎)




 U市立中央図書館。
 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は地下書庫へと足を踏み入れた。一般の立ち入りが禁じられているエリアだが、特務機関を通じて依頼すると即座に通してもらうことができた。
「何かあるとしたら……歴史か、民俗学関連かな」
 当たりをつけた本棚からそれらしいタイトルの書籍を片っ端から引き抜いては机に運んでを繰り返すと、あっという間に本の山が出来上がる。
 それから、しばしの静寂が続いた。
 ペラ、ペラ、ペラリ。聞こえるのはページをめくる音だけ。
 うず高く積まれていた書籍は次第に数を減らしていき、机の反対側に読み終えた本が新たな山を築いていく。
「――――……あっ!」
 あるページに差し掛かった時、拓哉は小さく声を上げた。
 大正時代の研究論文をまとめた雑誌だ。見つけた論文の表題は、『人身御供考』。その一節に、『櫛稲』の文字がある。
「何々……《櫛稲は『ヲロチ様』の贄なるべき一族なり。ゆえに、八岐大蛇の贄となりし櫛名田比売の末裔と云う者もあるが、これは誤りとすべきか。C山付近に伝わりし『ヲロチ様』は『くちなぜつつじ』の意にて、全く別の流れをくむ一族ならんや》、か」
 言葉遣いは難解だが、貴重な情報だった。
 つまり、櫛稲の家はヲロチ様に生贄を差し出す家系であるということ。ヲロチ様の正体は『くちなぜつつじ』と呼ばれる神であること。そして、信仰の中心となっていた場所はC山だったということ。
「たしかC山というと、この街の西にある山のことだったか。……それこそ、祭壇でもありそうだね」
 調べに行くべきだろう、と拓哉は雑誌を閉じかけて、ふと続きの一文に目を止めた。
「……《「幼き者は贄に適さぬ」と語る者あり》? 最新の失踪者は小学生だったはず……昔の基準では幼くないというだけなのか、それとも別の理由がある?」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『くちなぜつづち』

POW   :    秘神御業肉食回向
自身と自身の装備、【自身が捕食している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD   :    風蛞蝓
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    悉皆人間如是功徳
自身の身体部位ひとつを【これまでに捕食した犠牲者】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『……困りました。敵が近付いています』
 山奥にひっそりと佇む鳥居の下で、小さな影が呟いた。
 幼い少女だった。可憐な容姿に似合わぬ凶悪な大鎌を肩にかけて、少女は困り果てたようにため息をつく。
 その足元には、少女と同い年くらいの地元小学生らしい女児がスヤスヤと寝息を立てていた。
『まだ準備すら終わっていないというのに。……仕方ありません。私はこの子を見ていますから、あの者たちをお願い致します』
 少女が闇に向かって語り掛けると、何かがざわめいて猛スピードで駆けだした。

 入手した情報を元に、あるいは邪神の痕跡を追って、猟兵たちはU県D市の西方、C山へと集まってきた。
 彼らは気付いているだろうか。山中に生い茂る草木、あるいは転がっている岩の陰から、じっとりと猟兵たちを窺っているモノがいる。
 名称、『くちなぜつつじ』。太古の日本において『長い舌の蛇神』として恐れられていたUDCであり、この土地では『ヲロチ様』と呼ばれ崇められていたという邪神だ。
 草藪のような毛皮に包まれた体躯、鶏のような足、ナメクジのような舌。蛇神とはいうが、蛇とは似ても似つかない。
 その醜悪な容姿が猟兵たちの前に現れるまで、あと数秒……――――
波狼・拓哉
『贄に適さぬ』…つまり贄以外の用途かくちなつづちの贄ではないってことかね。…あれ、もしかしなくてもやばくね?と言うか間に合うのかこれ。
まあ、現状から最適解だすだけですけど。山登るかー。
取り敢えず祭壇見つけたら問答無用でミミックを投擲する気持ちで準備して登ろう。地形の利用をして目立たないように行こうか。
邪神が見えるか第六感でやばそうなの感じたらミミックを投擲。化け焦がせミミック。範囲内を焼き尽くせ―
自分はやばそうなので近づかないのと周りの延焼を死ぬ気で止めよう。山火事は隠蔽とか他の味方とかそういう観点で本当にやばい。破壊工作で木々を倒したり衝撃波で吹き飛ばしたりしておこう。
(アドリブ絡み歓迎)


テラ・ウィンディア
…なんだこいつら?
蛇…なのかな?

だが…敵でありヲロチ様とやらなら…粉砕させて貰おうか!

【戦闘知識】で動きと陣形と数の把握

可能な限り【見切り・第六感】で透明化してる敵の捕捉と攻撃の回避も行い

その上で…【属性攻撃】で炎を武器に付与

槍で【串刺し】にしたり地面に固定

【早業】で武器を剣と太刀に切り替え襲い掛かる

切り裂き【残像・空中戦】も交えて飛び上がり

グラビティブラストで一気に殲滅する

後…捕食した対象の頭部と行方不明者の写真等を精査…

……吐き気に襲われながらも
お前達の無念と悲しみは払ってやるぞ…!

グラビティブラストを乱射してそのヲロチ様とやらを殲滅に努める

…猟兵ってのも…やっぱり無力…なんだな…


バーン・マーディ
……これが恐らくはヲロチ様とやらだろう…だが…
寧ろ飼育されてるような存在だな


【戦闘知識】で動きと癖の分析を行いながら

【オーラ防御】展開

【武器受け】で攻撃を受け止め
【カウンター・怪力・吸血・生命力吸収】をもっての叛逆

貴様らも神か
…かつて我は貴様らの様な神へと叛逆をしていたよ

君臨し暴虐を続けていた存在

故に…死して尚過去より戻り暴虐を繰り返す神よ

我が悪にて…我が叛逆にて…貴様らを須らく粉砕しよう

射程範囲に多くを捕捉すれば…ユベコ発動

殲滅を繰り返す

滅びよ

神は人が為に存在する

唯人を殺す神は最早神に在らず

唯の…災害だ

……そう…災害を沈める為に贄を修めるという風習は確かに存在…したのだな

…こんな物の為に…




 傾斜の緩やかな山道を登りながら、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は己が焦燥に駆られているのを自覚した。
 ……どうにも嫌な予感がする。
「まあ、現状から最適解を出すだけですけど」
 言い聞かせるようにつぶやいて、拓哉は前を見据え……

 ベン!

 弦を弾くような音。

 ベン! ベン! ベベベベベベ!!

 奇妙な音が、急激に数を増やしながら近づいてくる。いったい何がどこから……?
「……――――上か!」
 気付いて見上げた時には、もうすぐそこだった。
『ジャアアアアア!!』
 空中を跳ねて襲来した『くちなぜつつじ』が、長い舌をうねらせて拓哉を頭から丸呑みにしようと……
「疾ッ!」
 炎を纏った槍が風を切って飛来。邪神の横腹をぶち抜いて近くの立木に縫い留めた。
「助かった!」
「礼は後で。まだいるぞ」
 竜牙槍を投擲したテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は、太刀と小剣の二刀流に切り替えて睨みを利かせる。
 いつの間にか、周囲のあちこちに邪悪な気配が現れていた。岩石の陰、木々の後ろ、わずかな暗がりから染み出すように、くちなぜつつじが顔を出す。
『『『ジャジャジャジャジャジャ!!』』』
 化物たちは神経を掻き乱すような鳴き声を上げて、土を蹴って猟兵たちへと突撃した。
「……これが『ヲロチ様』なる存在、この地の神か」
 テラや拓哉を背に庇うように、前に進み出たのはバーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)。
「かつて我は、貴様らの様な神へと叛逆していた。……君臨し、暴虐を続け、死して尚もそれを繰り返そうとする者どもよ。我が悪にて、我が反逆にて、貴様らを須らく粉砕しよう」
 淡々とした暗黒騎士の語りなどどこ吹く風と、くちなぜつつじが殺到した。勢いよく跳ね上がって、雪崩のごとくに降りかかる。
 対するバーンは仁王立ち。纏うオーラを剣に集中し、絶対不破の盾として真正面から受け止めた。
「ぐっ!? ……ぬう!」
 牛ほどもあろうかという巨体が、ざっと数えて三十以上。とんでもない重量が剣へとかかり、肘や肩が軋みを上げる。バーンの顔が苦悶に染まるが、しかし一歩も退くことなく歯を食いしばり、吠えた。
「滅びよ!!」
 怪力にあかせて押し返して、自身へと向けられる悪意を選別し、叛逆する。
 ――【Cross of Sort】!
 神罰の十字光が、一斉に放射された。敵の一体に付き十本近くの閃光が突き刺さり、次々と上空へ吹き飛ばしていく。
 全身に空いた十字穴から煙を噴きながら、くちなぜつつじ達は空中で姿勢を立て直そうと――
「ナイスポジション! さあ、化け焦がせミミック!!」
 拓哉が手首の黒水晶を煌めかせながら、彼に付き従う謎の箱型生命体をむんずと掴むと、空に向かってぶん投げた。
 炸裂。
 拓哉のミミックが、凄まじい熱波を放ったかと思うと、暴れ狂う陽炎へと変化した。陽炎は近くにあるもの手当たり次第に焼いて回り、周辺の邪神たちはたまらず悲鳴を上げる。
「範囲無差別の炎。周りに延焼しないよう気を付けるつもりだったけど、何もない空中に上がってくれたおかげで気兼ねなくぶっ放せる!」
 念のために陽炎が燃え移りそうな場所の高枝を衝撃波で吹き飛ばしながら、拓哉は会心の笑みを浮かべた。
 全てを焼き払い、役目を終えたミミックが主人の待つ地表へと戻っていくと、入れ違いに上空へ舞い上がる小さな影が一つ。
 テラだ。背に光輪を展開して飛翔する少女は、武器を手放した両手の平を燃え残った化け物たちへと向ける。
「――――我が手に集いて我が敵を滅せよ……【グラビティ・ブラスト】。……落ちろぉ!!」
 重力波砲の乱れ撃ち。時空を歪める力場の弾丸が、雨あられと撃ち込まれた。
 今まさに自身を地面へ引き戻そうとしている力と同質のものを真横から食らって、くちなぜつつじの体躯が捻じれて砕け、力なく落下していく。
「……どうだ、終わったか?」
 少し遅れて地面に降り立ったテラが辺りを見渡すと、拓哉が首を横に振る。
「いや、まだみたいだよ」
 まさしく。怒涛の連続攻撃を受けて半死半生といった有様ではあったが、くちなぜつつじは動いていた。
 ボロボロの体を必死に起こして体毛を震わせると、その内部からムクリと何かが生えてくる。
「……っ!?」
 テラは思わず口元を押さえた。込み上げてくる吐き気をどうにか飲み下し、視線を逸らすことなく真っ直ぐに見つめ返す。
 くちなぜつつじの体に生えてきたのは、人間の生首だった。
 何かを言いたげに、あるいは食べたそうに、虚ろな表情で口を動かしているのが全て失踪者のリストにあった顔だと気付いて、テラの胸に別の感情が込み上げてくる。
「……猟兵ってのも、やっぱり無力…………なんだ、な」
 彼らを救ってやることはできない。悲痛な面持ちでうつむくテラの後ろで、バーンもまた瞑目した。
 災いを鎮めるためだったり、超常の加護を得るためだったり、理由は様々だが生贄を捧げるという風習は多くの土地で存在した。……こんな、神とも呼べぬただの災害を満足させてやるために、散らされた命が存在したのだ。
「……待ってろ、お前達の無念と悲しみは払ってやるからな」
「せめて、殲滅でもって安らかなる眠りを与えよう」
 邪悪なる神々とそれらに冒涜された魂たちに引導を渡すべく、武器を構える二人。その後方で、拓哉は思案げに眉を顰めた。
 ……見る限り、生えてきた生首に小学生のものは見当たらない。
「となると……やはり贄以外の用途で連れ去ったってことかね?」
 どうやら、目の前の邪神を排したあとも解決すべきことは残されているらしい。
 果たして間に合うだろうか。はやる心を努めて落ち着かせ、拓哉は次なるミミック投擲の準備に取り掛かる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

伊敷・一馬
なんという醜い奴。それもこれも、悪の手先となってしまったからだ。
思い出せ諸君!その輝きし思い出の空、熱血した青春の日々!
それを私が君たちに思い出させてやる、それこそがジャスティス!

ユーベルコードを使用して捕らえた敵をぶん回し、悪の手先をまとめて粉砕する。
これぞ私と戦友(とも)のツープラトン!
その後はマイ☆バイシクルで駆け回り、熱血ヒーロー・ガジェットアーツ!で味方の援護だ。
我ら猟兵の美しきコンビネーションに戦慄するといい……ジャァアスティイーッ!!




 猟兵たちの猛攻によって致命的なダメージを負ってなお、くちなぜつつじは倒れない。
 重い足を引きずり、傷付いた体から人間の生首を生やして、血肉を喰わせろとばかりに迫り寄り……
「ジャァアスティイ――・パァァンチッ!!」
 ママチャリに乗って参上した伊敷・一馬(燃える正義のひょっとこライダー・f15453)が、横合いからぶん殴った。
「なんという醜い姿だ。悪の手先などになってしまったばかりに……この馬鹿者め!」
『ジャ? ジャジャジャジャジャ!?』
 倒れたくちなぜつつじにまたがると、胸ぐら――とおぼしき部分を掴んでガクガク揺さぶる。斜め上の角度から責められて流石の邪神もどこか困惑気味だが、一馬は自重するどころかさらにギアを上げていく。
「思い出せ諸君! あの輝きし思い出、熱血した青春の日々を!」
 捕らえた くちなぜつつじ をオーラで繋ぎ、渾身の力でもって振り回した。
 灼熱、もとい熱血の大旋風が、周辺の邪神を草木や岩ごと薙ぎ払う。もとより満身創痍だった くちなぜつつじ。避けることも耐えることもできず、次々に砕け散っては闇へ溶けるように消滅していった。
「これこそ、私とお前のツープラトンだぁぁぁっっ!!」
 最後のくちなぜつつじを空の彼方へと投げ捨てて、正義のヒーローは高らかに叫ぶ。
 暑苦しいことこの上ないが、彼の押しつけがましい友情は、邪神に喰われて身体の一部に取り込まれてしまった哀れな魂たちに、ある種の”熱”を与えてやることができたかもしれない。……たぶん。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『敬虔なる邪神官』

POW   :    不信神者に救いの一撃を
【手に持つ大鎌の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    出でよ私の信じる愛しき神よ
いま戦っている対象に有効な【信奉する邪神の肉片】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    神よ彼方の信徒に微笑みを
戦闘力のない【邪神の儀式像】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【邪神の加護】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天通・ジンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ヲロチ様と呼ばれた邪神、くちなぜつつじを撃破した猟兵たちがさらに進むと、山奥にひっそりと佇む鳥居が現れた。
 鳥居の向こうには、ポツンと立ち尽くす少女がひとり。さらに少し離れた所には小さな祠が建てられていて、地元小学生らしい女児が穏やかな寝顔でもたれかかっている。
『……悲しいです。あんなにいたヲロチ様がいなくなってしまいました』
 心から悲しむように、少女はうなだれて言った。
 見た目はごく普通の可憐な少女だったが、その肩に担いだ大鎌は見るからに凶悪。邪悪なオーラを立ち上らせて、触れただけで魂が汚されそうだ。
『しかし構いません。また贄を捧げれば増やすことができます。もう私は一人ではないのですし』
 少女は気を取り直すように微笑んで、後方の眠り姫に目を向ける。その女児が、つい今朝に失踪した小学生だと猟兵たちは気付いた。
『……? この子ですか? 贄には使えませんが、私の鎌を受け継ぐに値する器と見込んで連れてきたのです。いくらか「イジる」必要があるので、今から取り掛かろうとしていたのですが……邪魔するのですね』
 ならば仕方ありません、と少女は嘆息して、猟兵たちへと大鎌を向けた。
『先にあなた方のお相手をするとしましょう。クシナの人間でこそありませんが、見ればなかなかの逸材ぞろい。贄になり得るか試してみるのも、いいですね』
バーン・マーディ
随分と質の悪い「神」であった

贄が欲しいのか
ならば貴様が贄となれ


【オーラ防御】展開
【武器受け】で受け止め【カウンター怪力生命力吸収】で叛逆

ユベコ発動(召喚演出はMSに一任!

己の車輪剣を怪人に投げ渡し

…許せ
我が力ではお前の名も…嘗ての力全てを再生する事は叶わなかった

(ある意味あの時戦ったあの怪人の残滓とも言える怪人に)

名乗りたき名があるならば名乗るがいい

(それは嘗て己が戦ったスピード怪人と同じ姿だが色合いは黒基調に変化


基本武器受けと反撃で攻撃を此方に集中させ

怪人
超々高速機動により縦横無尽に暴風と共に翻弄すると共に【二回攻撃】にて車輪剣による連続攻撃&笑う竜巻による蹂躙!

(怪人の台詞はMSに一任)


テラ・ウィンディア
……お前は一体何がしたいんだ

あんなもんを増やして何になるってんだ

あんなもんの為に皆犠牲になったってのか

……おれだって分かるぞ
貴様は絶対に逃がしちゃいけないってな

【属性攻撃】で全身に炎を纏い

炎の槍で【串刺し】に

【見切り・第六感・残像】で回避しながらも【早業】で太刀と剣とに切り替えながらの猛攻

【戦闘知識】で可能な限り戦況と状況の把握に努め
【空中戦】で制空権を維持しながら邪神像などを捕捉すればそのまま容赦なく破壊にかかる

お前は此処で終わらせる
そんな鎌誰にも継がせはしない

もう…邪神なんぞ出させるかっ!

位置を見出せばメテオブラストで鎌ごと粉砕を試みる
【踏み付け】で破壊力増強させる!

躯の海に帰れ死神!!!




「……お前は一体何がしたいんだ」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は問わずにいられなかった。あんなモノを増やして何になるのか、と。しかし少女は不思議そうに瞬きする。
『何が、と言われましても……』
「っ!?」
 本気で困惑している様子にテラは絶句し、そして理解してしまった。
 彼女には、動機も目的もない。鳥が空を飛ぶように、魚が海を泳ぐように、それが自身の存在意義だからというだけで数々の悲劇を引き起こしたのである。
「ふ……っざけんなよ! 理由もなしに、皆あんなもんの犠牲になったってのか!?」
『ヲロチ様の御為でございます。それ以上の理由など、必要でしょうか』
 挑発や嘲弄ではなく、心からそう信じているという表情だった。
 まるで自明の理を説くように、とんでもない理不尽を口にする少女に、テラは互いが別の言語でしゃべっているかのような錯覚に陥る。
 根本からして相容れない破滅の使徒。これが『オブリビオン』という存在なのだと、再認識させられた。
「……全ては神のまにまに、か」
 バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)が、長いため息をつく。
 彼もかつては神に仕えていた身。少女の思考も理解できて、ゆえに一層の嫌悪を覚えた。
「神が神なら、神官も神官か。随分と質の悪いことだ」
『まあ、ひどい』
 少女はまったく邪気のない顔で、とびきり邪悪にクスリと笑う。
 そして、戦いの火蓋が切って落とされた。


『ヲロチ様ヲロチ様、おいでませ』
 少女が何やら唱えながら大鎌で手首を切ると、流れ落ちる鮮血が作り出した水たまりから、くちなぜつつじが召喚された――が、すぐにバラバラの肉片へと変わってしまう。
『私は贄たる素養がないので、こんなものしかお呼びできません。しかし、ヲロチ様のお力は健在です』
 言うやいなや、それぞれの肉片が元気な魚のように飛び跳ねて猟兵たちへと襲いかかった。
 すかさず前に出たバーンが剣でもって肉片を弾き返すと、懐から何かを取り出す。
 針の振り切れたスピードメーター。壊れたバイクの部品みたいだが……それを見たテラが眉を顰めた。
「あれって、どっかで見覚えが……?」
「――大いなる風よ、全てに負けぬ速さを求めし英霊よ。終わらぬ求道を今こそ示せ。今こそその力を示す時だ!」
 呪文が完成すると同時、スピードメーターから荒れ狂う風が巻き起こった。舞い上がった落ち葉や砂塵が視界を塞ぎ、唐突に収まるとそこには一人の怪人が立っていた。
 ロングコートにヘルメット。色こそ黒に変わっているが、その容姿はかつてのそれと寸分も違わない。
「なっ!? まさか、“あの”スピード怪人!?」
「完全な再生と言うには程遠いが、な」
 まだ記憶にも新しい姿が現れたことにテラは驚きを隠せないが、バーンは皮肉げな表情で肩をすくめて、取り出した車輪剣を怪人へと放った。
「我が力では、かつての名すら再現することは叶わなかったが……名乗りたき名があるならば名乗るがいい」
『……いえ、結構です』
 車輪剣を受け取った怪人は、握り心地を確かめるように素振りしながら答えた。
『まさか本当に私を従えてみせるとは。……よろしい。契りが成った以上は、これより全てを貴方に捧げましょう、マイロード』
 そして、怪人は風になる。
 黒き外套をたなびかせて疾走。トゲ車輪の付いた双剣を振り回し、邪神の肉片を粉微塵に斬り刻んだ。
 まさに“あの時”の戦場を彷彿とさせる光景に、テラは燃える槍を片手にしみじみと呟く。
「再会するどころか、肩を並べて戦うことになるなんてな」
『おや貴女は……まったく、とんだ風の吹き回しですね』
 苦笑をかわし、二人は戦場を駆け抜けた。
 怪人の放った嗤う竜巻が肉片を蹂躙し、空間が開けたところへ間髪入れずにテラが飛び込む。
「さあ、もう逃げ場はないぞ!」
『くっ……』
 テラと少女の視線が交わる。
 片や邪悪な大鎌を振りかぶり、もう片方は超重力をまといて踵落としの構え。三日月型の刃と、流星の蹴りがぶつかり合って――
 ――――ギャァァン!!
 耳をつんざく破砕音がして、大鎌の刀身が半ば辺りでへし折れた。
『ああ、なんてことを!?』
「そんな鎌も、邪神も、後に継がせはしない。骸の海に帰れ死神!!」
 飛び散る金属片を挟んで、テラの眼光が邪神官の少女を射抜いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
…よしまだセーフ!ぶっちゃけ精神に取り付いてとか人柱とか予想してたからマジでセーフ!
さあ、現状あんたを倒せばこれ以上の被害は出ないんだ。骸の海に還りな!
いつも通りお願いしますね、ミミックさんと。化け撃ちな…!あの邪神官撃つのもだけど召喚された何かも一緒に撃ち落として回ろうか。後は飛び回って牽制もしておこう。
自分は衝撃波込めた弾で撃ちまわってサポートに。武器落とし狙って鎌を撃ったり、残ってる召喚された何かに止め刺したりしておこうかな。
後、最後に女児に何かされたら困るし、その様な兆候が無いかはよく見ておこう。何かあればこの身を盾にでもする考えで居ておこう。
(アドリブ絡み歓迎)




『これは……』
 邪神官の少女は、刃の折れた大鎌と周囲の猟兵たちとを見比べて唇をかんだ。つぶらな瞳に諦めを宿してうつむいて……
『せめて、あの子だけでも!』
 唐突に身をひるがえすと、後方で眠っていた女児に向かって駆け出した。
 慌てて猟兵たちが追いすがるが、少女の方が出だしの早さで優る。止めきれない、誰もがそう思ったその時。
「よし、間に合った!」
 気配を消して戦場を回り込んでいた波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)が、立ち塞がった。
「……とくに異常はなし、と。マジでセーフ!」
 チラと背後の眠り姫を確認するが、怪我や邪法を受けている気配がないことに胸を撫で下ろす。幸いにも最後の悲劇を防ぐことはできたようだ。
『どきなさい!』
「そうはいかない!」
 振り下ろされる曲刃に、拓哉は相棒の箱型生命体を掴んで不敵に笑う。
「お願いしますねミミックさん、と」
 ひょいと投げれば空中で反転、上下さかさまの姿勢から閃光一つで宇宙戦艦へと変化して、あおりを食らった少女がよろめいた。
『きゃっ!?』
「――化け撃ちな!」
 マズルフラッシュ。照準から発射命中まで動体視力を軽く凌駕する神速の砲撃が少女を撃ち抜いて、土手腹に大穴を開けた。
『ぐっ――!? ……お、ヲロチ様』
 衝撃で数メートルも吹っ飛ばされて、それでも少女は鎌を杖代わりにして立ち上がる。腹の穴からあふれ出る血を供物として、再び邪神を呼び出そうと……
「させるか!」
 宇宙戦艦からの光線放射と、拓哉の放った衝撃波が炸裂し、召喚が完了するのも待たずに少女の足元に広がる血だまりを吹き飛ばした。
「後はあんたさえ倒せば終わりだ。骸の海に還りな!」
 これ以上は何一つさせないと決意をもって、拓哉はオブリビオンを睨みつける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクシア・アークライト
・UDCからの応援。

この地には人を餌にする生き物がいた。
それだけの話ってことね。
確かに鮪や鯖や鰯に「お前達は何がしたいんだ!?」なんて言われたら、私達も首をかしげるしかないわ。

ま、貴方達が何をしようが何もしまいが、私達は貴方達を殺して躯の海に還す。それだけよ。

・女の子は、UCでUDC組織に転移させておく。
・「鎌を受け継ぐ」という言葉からすると、鎌が本体の可能性もある。念動力で身体と鎌の両方の動きを制限し、雷撃等を放つ。
・遠隔攻撃だけでは倒せない場合は、UCで死角に転移し、収束した力場を叩きつける。

いつか私達も、貴方達(オブリビオン)に「何がしたいんだ!?」なんて言われる日がくるのかしらね。




 特別な理由などない。
 この地には人を喰う存在がいて、それに仕えながら使役する存在がいた、というだけの話だ。ただ本能に従って行動しているものに対して、動機や目的を問うてもせんないことかもしれない。
「何をしようが何もしまいが、私達はオブリビオンを殺して骸の海に還す。それだけよ」
 アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)は何てことないように肩をすくめて、ふと思いを馳せる。
 相手がオブリビオンだという理由だけで狩り殺す自分は、彼らと何が違うというのだろうか?
「……考えごとは、後回しね」
 よぎった感傷を振り払い、アレクシアは前を向く。
 視線の先にいるのは、可憐なる邪神官の少女。大鎌は折れ、腹部に穴を開けられながら、わずかにも戦意を失っている様子はなかった。
「さて、『鎌を受け継ぐ』なんて言っていたけれど、もしかして大鎌の方が本体なのかしら? ……そういうことなら」
 決めたら即行動。方針が固まるなり、アレクシアの姿が掻き消える――比喩でなく、文字通り、煙のように掻き消えた。
 ユーベルコード【瞬間移動】!
 その名が示す通り、距離も時間も飛び越えて邪神官の真後ろに出現したアレクシアに、先んじて戦っていた猟兵たちからも驚きの声が上がる。
『なっ、新手ですか!?』
「UDC組織から、応援よ」
 一拍遅れて少女が振り返ろうとして、
『……っ! う、動かない!?』
 まるで空間に縫い止められたように、身動きが取れないことに驚愕し、
「それじゃ、さようなら」

 ドドドドドドドドドドドドッッッ!!!!

 念動力による力場が、邪神官を真上から叩き潰した。
 おおよそ猟兵が武装として扱える許容限界まで重ねられた力場は、十二層にも及ぶ。その凄まじいエネルギーを惜しみなく使い、少女の全身と大鎌を縛り上げたうえで、両方とも討ち漏らさぬよう纏めて確実に圧殺したのである。
 逃げることも耐えることも、できようはずがなかった。
 衝撃により陥没したクレーターの中心でオブリビオンの少女が声もなく消滅していくのをしっかりと見届けると、アレクシアは踵を返す。
 ……これで、すべて終わった。
 猟兵たちは次々に緊張を解いていき、山中には元の静寂が戻ってきた。


 なお余談であるが、唯一の生存者であった小学生女児はアレクシアによってUDC組織の元へと送られた。
 精密検査によって健康状態や精神面、魔術的な異常がないか確かめたのち、無事に家族の元へと帰されたという。
【END】

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年06月21日


挿絵イラスト