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怪異学園の都市伝説

#UDCアース

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#UDCアース


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 今宵も学園に悲鳴が響く。
 ──好奇の罪過。
 ──興味の代償。
 夜な夜な足を踏み入れた、無垢な若者達に災厄は降りかかる。
 鉄筋の迷路にそれは潜む。
 コンクリートの奥の奥から、その存在は彼らを見ている。

「都市伝説──だなんて、皆さんは聞かれたことはございますか?」
 それが流行っている学園での話です、と。
 静やかで優しい声が猟兵達の耳朶を打つ。
 千堂・レオン(ダンピールの竜騎士・f10428)。グリモアベースにて、集まった皆を見回していた。
 それはUDCアースで起きているという事件の話だった。
「名を神楽谷学園という、私立の高校があるのですが──ここの学生が行方不明になっているというのです」
 一人ではなく、数人。
 ごく最近の事件ということもあり、まだことは大きくなっていない。
 だが行方不明者は見つかっておらず、事件の深刻化も予想される。その裏にオブリビオンの存在を察知したのだとレオンは言った。
 怪しいのは学園の中だという。
「行方不明者は学園内で行方をくらませたらしいのです。けれど学園は何の情報も詳らかにしていません。それがオブリビオンの影響なのかどうかは、分かりません。内部に入って調査する必要があるでしょう」
 この学園ではいくつもの“都市伝説”が流行しているらしい。
 それがオブリビオンと密接に関わっている可能性が高いようだ。
「現場へ潜入し、調査。そして敵性のものを見つけ次第、撃破をお願いします」

 学園についてもう少し、とレオンは続ける。
「生徒数の多い学校のようです。敷地は広く……およそ学校と聞いて思いつく施設はありそうですね」
 教師を始めとする職員の数も多い、豊かな学園だろう。
「潜入の際は、教師や生徒、関係者の振りをするとやりやすいかも知れません。どこに敵が潜んでいるか分からないので、怪しまれる機会は極力減らす方が良さそうですから」
 必要な服装などがあれば、組織が用意してくれるでしょうと言った。
 事件が起きるのは夜が多いと判っている。
 だが情報収集は生徒達がいる朝や昼のほうがいいだろう。
「その方が都市伝説の話も聞き出しやすいと思いますから」
 調査によって何かが判明したらその対応にあたってください、とレオンは言った。
 何が出てくるか、何が起こるかは不明だ。
 夜を待たずに事件を解決できる可能性もあるので、敵が現れれば全力で討伐を、と付け加えた。
「これを放置しておけば、新たな行方不明者も出てしまうでしょう。そうなる前に──参りましょう、学園へ」
 レオンは言ってグリモアを煌めかせた。


崎田航輝
 ご覧頂きありがとうございます。
 UDCアースの世界での事件となります。

●現場状況
 私立の高等学校。学校にありそうな設備は殆ど揃っています。

●リプレイ
 一章は学園に潜入しての調査となります。
 生徒や職員になりすますか、またはそれ以外の方法で入り込んで情報を集めてください。
 現状、都市伝説が何らかの形でオブリビオンと関わりがあるということしか判明していません。
 生徒達は朝から普通に学園生活を送っています。
 昼夜で状況が変わりますが夜を待たずに次に進むこともあります。
 二章以降の詳細は不明です。

 プレイングはなるべく採用させていただきます。
 二章や三章からでもご参加頂ければ幸いです。
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第1章 冒険 『都市伝説の影に潜むUDCを調査せよ』

POW   :    実際に現場を調べてみる

SPD   :    近所で聞き込み調査

WIZ   :    噂の出どころから探ってみる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴォルガーレ・マリノ
都市伝説…正体がはっきりしないモノ程怖いものはないですよね
時既に遅し…とは思いたくありませんっ
真相解明に向けて皆さんと一緒に頑張りますっ

生徒さんに【変装】して学園へと潜入、調査しようと思います
休み時間を利用して生徒さん達に聞き込みをして
授業が始まりそうになったらトイレ等で一旦身を隠します
授業中には周囲に気を使いながらこっそり現場の調査です
職員の方に見つかってしまったら体調を崩してしまったと
嘘を言って(心苦しいですが…)やり過ごせたら…

聞き込みの切り出し方としては
「近しい者(友達や好きな人)が夜、学園に向かった日から
連絡が取れなくなっているので気になる」
という感じでどうでしょう?



 リノリウムの床。
 白と蒼を基調にした美しい内装。
 大きな面積を取って開放感を与える窓。
 私立神楽谷学園は、どちらかと言えば豪奢な造りをしていた。
 生徒数の多さも考えると経営は成功している部類のようだ。
 すた、すた、と。
 そんな校舎の中──靴音も反響する吹き抜けの廊下を、一人の女子生徒が歩んでいく。
 制服に身を包んでいても、清楚な令嬢の雰囲気をどこかに残す──ヴォルガーレ・マリノ(天真なるパッツォ・f03135)。
 紺色のブレザーを着込み、学園生として紛れ込んでいる。
「とても沢山の方がいらっしゃる学校なのですね……」
 時刻は丁度、一限後の休み時間。教室から出てきた生徒が多数行き交って、ヴォルガーレが目立つのを上手く隠してくれている状態だ。
 わいわいと建物の中は騒がしくなってくる。
 見た目には、何かの怪異が起こっているとは思われないほどだ。
(「でも……大変な目に遭っている方がいる」)
 都市伝説が、それとどう関わっているかはまだ判らない。
 正体がはっきりしないもの程怖いものはないと、ヴォルガーレも思うが──だけに、時既に遅しとは思いたくない。
 生徒達の中を歩んでいると、時々変装した猟兵の姿も見えて心強いから。
 紫の瞳にぐっと力強い光を宿して、ヴォルガーレは上靴で踏み出した。
 校舎の中には簡易のラウンジがある。ベンチに腰掛けてスマートフォンをいじっているものや談笑するものなど、暇を持て余した生徒が多くいる場所だ。
 ヴォルガーレは怪しまれぬようにそこで話を聞いて回ることにした。
「あの、ちょっといいですか……?」
「ん? 何?」
 本を読んでいたその眼鏡の男子は、疑問の表情だ。誰だったっけ、とでも言い出しそうな顔だったが──。
「ごめんね。話、ちょっと聞いてまわっていて……。友達がね、いなくなっちゃったことで」
 ヴォルガーレが言うと、彼は声を潜めた。
「行方不明の話?」
「うん。夜にね、学園に向かった日から連絡が取れなくなって……」
「もしかして橋本の知り合い? ……気になってるってやつ、多いよ」
 不審に思ってるやつもね、と、彼は言う。
 見た目には学園生は普通に過ごしている。けれど今、行方不明になった生徒のことが、学生の間では一番の話題でもあるらしかった。
 彼は行方不明の一人の同級生だという。
 ヴォルガーレは頷いて尋ねる。
「何か、知ってる……?」
「……“都市伝説”」
 彼は呟いた。それに関しては大真面目、という風合いでもない。
「僕はどっちかっていうと、俯瞰して見てる側だけど。でも橋本は“子喰い鳥”が気になってて調べたいって言ってたよ」
 いくつか流行っている伝説のうちの、一つらしい。
 学生に悪戯に殺された鳥が、復讐の為に人間を喰らっている。単純だが、一番話題に上る伝説でもあるらしかった。
 と、そこで鐘が鳴る。
 戻らなくちゃ、と彼は軽く挨拶して去っていった。
「“子食い鳥”……」
 呟くヴォルガーレは、しかし教室には行かない。一度トイレに身を潜めると……ひとけが無くなってから別棟に移った。
 図書室や理科実験室があるその近辺が、子食い鳥が出ると言われている一角なのだが──。
「……何も、ありませんね」
 そこは静けさが満ちるばかりだった。
「あら、あなた何してるの?」
「ひゃっ……」
 思わず驚いたのは、ヴォルガーレの姿を見咎めた教師がいたからだ。
 一瞬、少し慌ててしまったけれど、ヴォルガーレは体調を崩してしまったと弁明。
(「嘘を言うのは心苦しいですが……」)
 それでも何とか切り抜けると、調査を再開した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チガヤ・シフレット
都市伝説と行方不明事件!
何ともわくわくする……と言ったら不謹慎か?
ともあれ、学園に入り込んで事態を探ってみるとしようじゃないか。

【SPD】
教師にでも変装すれば行けるだろう?
本来なら学生でも問題はないが、ここは一応、な?
メガネとか掛けてスーツでも着ていけば立派な女教師風だな。

入り込めたら教室やらを巡って、聞き耳立てて噂話を拾い集めてみるとしよう。
学生はそういう話、好きだろう?
話好きな学生がいたらうまく【言いくるめ】て色々と探るものありだな。

あとは校内を歩き回って怪しい所がないか探してみるか。
地下とかそういうところがあったら気になるよな。
多少なら【鍵開け】もできる。慎重に、しかし大胆に行こう。



 こつりこつりと足音が鳴る。
 同時刻、颯爽と廊下を歩む教師の姿がある。眼鏡にスーツ。“女教師風”に扮したチガヤ・シフレット(バッドメタル・f04538)だった。
 学生役でも問題はないという自覚はあったが、念には念を入れてのこと。バインダーとダミーの書類を手にも抱えつつ、つぶさに視線を巡らせていた。
「さて、と」
 その瞳には少し、わくわくした気持ちも浮かんでいる。
「都市伝説と行方不明事件。不謹慎かも知れないが──」
 それでも真実を突き止めようとする心に、たがいはない。
 潜入までは問題なく出来ていた。あとは、噂話。
 チガヤはまず、生徒達の話に聞き耳を立てる策を取っていた。
 廊下を進み、教室の並ぶ一角を見つけると、奥の方の目立たぬ教室の前に陣取る。それから噂話をしている生徒を見つけては耳をそばだてるのだ。
 その中に、静かな声で話す生徒がいた。
「……ねえ、吉江君の話聞いた?」
「行方不明のやつでしょ?」
 女子二人は近くの席で、内緒話でもするようにしている。チガヤは壁により掛かって、微かに開いた扉の隙間からそれを聞いていた。
「もう何人目だっけ……?」
「わかんない。つい最近また、ひとりいなくなったって噂だから。三人か、四人……?」
「それって、まずいんじゃない?」
 話を聞くと、やはり生徒の間でも事件への不審さは持ち上がっているようだ。
 それから、女子の一人が特に声を小さくした。
「やっぱあれ、本当なのかな。都市伝説に襲われたとか……」
「まさか。信じてるの?」
 もうひとりは少しおどけたように言う。けれど、完全には小馬鹿にしきれないでいるという口ぶりだった。
「……話してたもんね。“刃男”と“殺人教師”を絵に描く、って」
「別の絵を描くの止めてまで調べてたんでしょ?」
 それは二つの都市伝説だった。聞いてみると、理科実験室で人を斬り刻む男の話と──文字通りに仕事の裏で殺人に興じる教師の話。
 それ以上の情報は得られなかったが、チガヤは一先ず満足して歩み出す。何より都市伝説という、欲していた情報を聞けたことには満足だった。
 だけでなく、チガヤは道中、校内に怪しいところがないかを探した。地下などがあれば──と思ってのことだったが。
「ふむ。別段、変わったところはないな」
 地下は実際にあった。けれどそこは用具室の階下で、物置と同じようなものだった。
 他にも鍵がかかっているところも調べてみたが、一見して異常はなし。
「一目で判るようなものではないということかな」
 ならば調べるべきはやはり都市伝説だろう、と。
 チガヤは噂収集を再開。大きな声で会話している、話好きという雰囲気の女子を見つけて声を掛けた。
「ずいぶん白熱しているじゃないか」
「そりゃ勿論、都市伝説がまた猛威を……って、何の教科の先生でしたっけ?」
「まあ、気にするな。聞いてやるから続けてみろ」
 チガヤが促すと、彼女は不思議そうな顔だった。
「珍しいですね。先生だったら聞き咎めそうなのに……。とにかく、また行方不明が出ましたね。先生はどう思います?」
「私は“刃男”と“殺人教師”の噂を聞いたよ」
「あ、お目が高い! 行方不明者の生徒は、その都市伝説に襲われちゃったって話もありますね」
「ほう。刃男も殺人教師も、どこかで会えるのかい?」
「それは、知りませんけど。でも話の中じゃ、夜の校舎に現れるらしいじゃないですか」
 彼女は少し勢いを弱めて言った。
 彼女にしても、何か詳しい情報を知っているわけではなさそうだった。
 それでも、チガヤには収穫はあった。
「どうやら都市伝説は夜の校舎が好きらしい。それに、“調べていた”か」
 仲間と情報を共有すれば、浮かび上がってくる共通項も徐々に見えてきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

明日知・理
アドリブ歓迎

【POW】
組織にその学校の制服を借りて、
学園生に扮して潜入。
「なあ、少しいいか」
適当な生徒を引き留めて、行方不明になった生徒について尋ねる。
数人分の行方不明者の話を訊けたら上々だ。
行方不明者らに何か共通点はないかを考えながら学園内を練り歩く。
普段は違う学校ではあるが、俺も高校生の身だ。
学園内に何か不自然、または不可思議な点がないか注意しながら探索する。



 同じ休み時間にて、聞き込みに入った猟兵がいた。
 黒髪の下に少々、無愛想気味な表情。目を惹く長身を制服で包んだ──明日知・理(花影・f13813)。
 平素はどこか威圧感も持っている理だが、仕事となればぶっきらぼうさも抑える。
 懇切丁寧な態度を取るつもりはないけれど──幾分気安い声音を作って、見つけた男子生徒に声を掛けていた。
「なあ、少しいいか」
「うん? 何だい?」
 栗毛の柔和な少年、という容貌のその生徒は振り返って立ち止まる。
 理の長身とその雰囲気に、少しだけ目を奪われたようにしつつも……彼もやはり、初めて見る生徒であることだけが気にかかっているようだ。
 理は不審に思われる前に、端的に聞いた。
「行方不明になった生徒について聞きたいんだ」
「……君、渡辺と同じクラスの人?」
 彼は少し興味を持ったように聞き返してきた。
 聞いてみると、友人が行方不明になった生徒の一人であるらしい。
 教師などからは慌てず様子を見るようにと言われているらしいが、彼自身は不安を隠せていない様相だった。
「だって、いなくなったのが一人じゃないらしいんだ。変だろ」
「かもな。いなくなったやつについて知ってるなら教えてくれないか」
 理が言うと、彼は頷いた。
 それが彼の友人だという渡辺という生徒。
「“ちょっと今面白いことやってるんだ”って言ってたよ。それからすぐだ。いなくなったのは」
「面白いこと、ね」
 理には勿論、心当たりが無いわけではない。
「──都市伝説」
「……うん。僕もそう思う」
 理の言葉に彼は頷いた。
 学園の中では、もっぱら色々な都市伝説が噂されている。写真部だった渡辺という生徒は、都市伝説をカメラに収めることに興味を抱いていたのだといった。
「“裏側学園”とか“子喰い鳥”とか、やろうとしてたのはそんなところだと思うけど」
 裏側学園というのは、謎の勢力が学園を支配しようとしているという噂話。
「勿論、都市伝説を調べていて行方不明……なんて、それこそ信じられないけど」
 彼は少し理性的に言った。
 それは彼にとっては当たり前の思考だったことだろう。
 だが猟兵たる理は違う。
「……それで夜にでも、学校に忍び込んだのかもな」
 呟くと礼を言って踵を返した。情報を知っていそうな人を彼に教えてもらい、聞き込みを続けようと思ったのだ。
 結果として、成果はどれも似たものだった。
 同じく調査している猟兵と連絡を取り合い、現時点でわかったことを頭の中で纏める。

 一人目:橋本陽太
 都市伝説“子喰い鳥”を調べていて行方不明。

 二人目:吉江浩司
 都市伝説“刃男”“殺人教師”を調べていて行方不明。

 三人目:渡辺健二郎
 都市伝説“裏側学園”“子喰い鳥”を調べていて行方不明。

 不確定な情報もあるが、共通点は明らかだった。
 生徒は皆、都市伝説を調査中に消息を絶っている。
「さて、足がかりとしては十分か」
 軽く見て回って、学園内に一見しておかしなところは無かった。
 だが、この学校には何かがある。
 だから理は足を止めずに──調査を続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シルファ・アルタミラ
>心情
都市伝説や噂って魅力的よね、でもその様な話には必ず何かしら原因があるものなの
不用意に触れれば火傷だけじゃ済まない、それだけは肝に命じなきゃいけないわね


>調査
「ここがガッコウ、という所なのね。キャラバンで育ってきた私には縁がなかったからとても新鮮だわ」

初めに生徒に変装して学校に潜入、新聞部の新人を装って都市伝説について聞き込みをするわよ。

事前準備で学校に潜入する猟兵達とスマホなどの通信機器のアドレスを交換しておくわね。

行方不明者が巻き込まれただろう都市伝説の内容と場所、誰から噂を聞いたかを聞き出すの。

そこから他の猟兵と情報交換をして情報をメモに纏めながら人伝いに噂の出処を探っていくつもりよ


リリーアン・ベル
【SPD】
学校内で行方不明っスか。UDCアースの学校にもダンジョンがあったりするっスかねー?
自分は生徒に扮して聞き込み調査してみるっス!支給された制服を着たっスけど、ちゃんとコーコーセーに見えるっスかね?(コンパクトミラーで確認しつつ)
こういう事は「オカルト研究会」の生徒が詳しいって聞いたっス!
質問する内容は主に、『都市伝説』と『都市伝説に関連した校内の心霊・肝試しスポット』、こんなとこっス!
「いやー、テレビでオカルト特集見たんスけど、ハマっちゃったっス!」
オカルト初心者な感じを装って色々教えてもらうっス!情報は見やすくメモにまとめておくっスよ!事件と関係ありそうな話が聞けるといいんスけどね!


ウィルトス・ユビキタス
学園での潜入か。数の多い生徒に扮するのが良いのだろうが、年が……。
だが教師の方はハードルが高い。可能な限り若々しさを意識して学生として潜入だ。
やることはまず聞き込み調査だな。噂好きの学生を装って話を聞こうか。
都市伝説が複数流行っているようだし、それを調べて他の猟兵と共有しよう。
朝の時間に聞き込み調査をして、授業時間中に共有という動きだな。



 猟兵達は次々に学園に潜入していく。
 ただ、変装して大勢に紛れるのも楽ではない。
 ウィルトス・ユビキタス(武闘派デスクワーカー・f01772)はふと立ち止まって、自身の姿を反射する窓を見遣っていた。
「まあ、大丈夫だとは思うが──」
 言いつつも、多少は心配げな声音だ。
 というのも、ウィルトスは長身にして精悍。元より齢二十を数える身ならば、学生服を着ても多少視線を集める容姿なのだ。
「とは言っても、教師はハードルが高いからな──」
「十分、学生さんに見えるから大丈夫と思うっスよー?」
 あっけらかんと朗らかな声で覗き込むのは、リリーアン・ベル(ドラゴニアンのスクラップビルダー・f10817)だった。
 青い瞳が闊達な元気少女。こちらもまたブレザーを纏って生徒として入り込んでいた。
 コンパクトミラーを斜めに掲げつつ、んーと自身を確認する。
「自分も、ちゃんとコーコーセーに見えるっスよね?」
「ええ。歩いている他の人達と大きく変わらないように見えるわ」
 周りと見比べて言うのはシルファ・アルタミラ(星詠みの獣・f12220)だ。
 自身も生徒に扮しながら太鼓判を押すのは、剣と魔法の世界で育った身だからこそ。
 二人や学生を客観的に見ることのできる目が、違和感が無いことをきっちりと確認していた。
 それにしても──と。
 銀髪をふわり揺らして、シルファは改めて見回す。
 鉄筋の校舎にそよぐ、独特のひんやりした空気を感じた。
「……ここがガッコウ、という所なのね。キャラバンで育ってきた私には縁がなかったからとても新鮮だわ」
「UDCアースの学校にもダンジョンがあったりするっスかねー?」
 リリーアンも視線を巡らす。
 そこに何が潜んでいるのか、それは未だ判らない。
 だからこそ一先ずは行動だと、歩み出した。
「調べるべくは、都市伝説だな」
 ウィルトスは呟く。
 仲間との情報共有によって、既に行方不明者が皆それを調べていたことは判っている。ならばやることは、それについて深く識ることだ。

 三人は三手に分かれ、調査を進めることにした。
「というわけで、やってきたっスオカルト研究会!」
 リリーアンはでん、と腰に手を当て仁王立ち。部室棟の一角を訪ねている。
 考えはシンプルで、詳しい生徒に聞けばいいというもの。オカルト研究会なら休み時間に部室にいると聞いて早速やってきたのだ。
 ブロンドがかった茶髪を靡かせて、こんこんノック。
 長い黒髪が特徴的な女子が出てきたので早速フレンドリーに話しかけた。
「たのもーっス! お話聞かせてほしいっス!」
「話?」
「そうなんっス。いやー、テレビでオカルト特集見たんスけど、ハマっちゃったっス!」
 というわけで色々聞きたいっス、と笑み交じりにリリーアンは説明していく。
 興味があると言われれば、彼女も嬉しいところがあるのだろう。入って、とリリーアンを招き入れて歓待した。
 お茶を頂きながら、リリーアンは部室を眺める。書籍やメモなど、色々なものが積み上げられていた。情報は多くあるだろう。
 彼女は近くに腰掛ける。
「それで、聞きたいのって?」
「もちろん、都市伝説のことっス!」
 それで彼女はなるほど、と得心したようだ。学園内で流行っている分、不思議には思わないようだった。
「一番流行っているのは“子喰い鳥”よね」
 それは他の猟兵からの情報でも聞いたものだった。
 異形の鳥が夜な夜な、若い人間をついばみにやってくるという。校舎の一角で襲われるというのが、一番ポピュラーな結末だといった。
「つまり、そこが肝試しスポットにもなってるっスか?」
「そうみたい。夜にそこへ忍びこんでしまう人もいるみたいだし」
「やっぱ夜に行くのが定番なんスね……。他に流行ってるのは?」
「いっぱいあるわよ」
 彼女は色々と教えてくれた。
 学校を操る“裏側学園”、人を斬り刻む“刃男”、教師の中に潜む“殺人教師”。学園の地下に広がるという“地面樹”に、音楽室に出るという“鳴き硝子”。
 基本的には危険な存在があって、それに生徒や一般人が被害に遭うという流れだ。
 陰惨な話もある。
 けれどそうであればあるほど、生徒達はそれに恐怖し、同時に興味を抱かないではいられないのだ。
 退屈な学園生活の、一服の刺激というところだろう。
「ずいぶん沢山あるんっスねぇ。それが見られるって言われてる場所はあるっスか?」
「刃男は理科実験室。殺人教師なんかは職員室って言われてるわ。尤も、昼間は普通に人がいるから、行くならやっぱり夜が定番だけど」
 ただ、夜に忍び込むのも簡単ではないから、それらがある別棟の周囲をうろつくのが、肝試しとしてはせいぜいだろうといった。
 情報は詳細というわけではない。 
 それでもリリーアンは、共通項に気づいていた。
「音楽室とか、あと子喰い鳥が出るのも別棟なんっスよね……」

 ウィルトスは聞き込みを継続していた。
 朝の時間から情報は仕入れていたが、知り得たことを共有していくうちに新たに調べることも出てくる。
 即ち、何か一つや二つの都市伝説が危険だとは言い切れないことだ。
「……伝説は多岐にわたる、か」
 朝に聞き込みをしたことを思い返してみると、確かに消えた生徒達はそれぞれに都市伝説を調べていた。けれど、それは同一のものではない。
「洗い出してみるか」
 時刻的にはまで昼前。
 沢山あるというのなら、調べてみるまでだ。
 生徒の一人をつかまえて、ウィルトスは噂好きを装った。
「実は都市伝説について知りたいんだ。流行っているものを全部教えてくれないか」
「流行ってるものかぁ。いっぱいあるけどな──」
 生徒はそれでも“子喰い鳥”や“刃男”を教えてくれる。詳しく聞き出すことで、さらに幾つか仕入れることが出来た。
 そのまま調べて回ると、実に二十以上の都市伝説が話題に上がっていると判る。
 無関係な情報が多いというわけではなく──行方不明者が、その中の沢山を調べているというケースもあった。
 リリーアンと連絡を取ると──多くの都市伝説で似た場所が目撃箇所、または肝試しスポットになっていることも判明する。
 これが何を意味するのか。
 仮に、全ての都市伝説が危険に繋がっているのだとすれば。
「……複数の都市伝説は、独立した噂話ってわけじゃないんだろうな」
 ウィルトスは少し静かな廊下に視線をやる。
 不思議なくらいに、空気が冷たかった。

 昼どきを迎え、学園は賑わう。
 シルファは麗しい容姿で少しばかり人目を惹きつつ──聞き込みに回っていた。
 耳に当てるスマートフォンからは、仲間の猟兵の声。
「……ええ。つまり、都市伝説同士で関わりがありそうってことね」
 頷き、メモを取る。
 つぶさに情報交換をすることで、調べるべきことの輪郭が少しずつ見えてきていた。
 注目すべきは都市伝説が複数種あるにもかかわらず、それを調べていた行方不明者の被害状況がどれも似通っていること。
 ばらばらに生まれた噂話から起こったこととは、考えにくい。
 もし、沢山の都市伝説が意図的に造られたのだとしたら?
「その出処を探る必要があるわね」
 シルファにとっては、やっぱり、という思いもあった。
 都市伝説や噂は魅力的なものだ。
 でもその様な話には必ず何かしら原因がある。
(「不用意に触れれば火傷だけじゃ済まない。……それだけは肝に銘じなきゃいけないわね」)
 徐々に見えてくる謎の不穏さに、シルファはそれを十分すぎるほど感じていた。
 だからこそ今は、その渦中に飛び込まなくてはいけない。
 シルファはまず食堂に赴いて、昼食をとっている生徒に聞くことにした。
「ちょっといいかしら。新聞部に新しく入った者なのだけれど。都市伝説について聞いて回っているの」
「へえ~。新聞部も都市伝説のことばっかりで大変だね」
 その女子達は、不審に思う様子もなく話してくれた。
 都市伝説の内容と場所は、既に知っている情報も多い。ただ、それを誰から聞いたかと尋ねられると彼女らは──。
「どこから聞いたんだっけ?」
「気づいたら噂になってたよね」
 そんなふうに笑う。
 何人かに聞いてみると、皆が同じような答えだった。
 一つの理由としては、都市伝説の流行自体はかなり前からあるということが挙げられるだろう。誰が流したかと、源流を手繰るのは楽な作業ではなさそうだった。
「……とはいえ、諦めるわけには行かないわね」
 それが噂である以上、他人に話した人間が存在する。それを人づてに聞いていけば、段々と過去に遡ることも可能だった。
 一体何人に聞きまわったか──最後まで特定の生徒の名は出なかったが、シルファはそれでも幾つかの答えを得ていた。
 一つは、インターネットで見た、という答え。
 一つは、教師に聞いた、という答え。
 どちらも不明な点はある。
 まずインターネットの方は、誰一人明確なサイト名を出さなかった。覚えていないという答えが大半で、それは自然なことかも知れないが──同時に不審でもある。
 二つ目の方は、教師が直接噂を流したということではない。
 以前、朝礼において『くだらない都市伝説が流れているようですが、興味を持たないように』と教師が言ったことがあったらしい。
 それによって、初めて都市伝説を知った生徒がいたという経緯があるようだった。
 勿論、シルファは直接教師に聞いてみた。けれど教師は皆「生徒が噂しているのを聞いただけ」という答えだった。
 いち生徒の装いではこれ以上の調査は難しくもあったが──成果は十二分だ。
 何しろ、不明瞭だった敵の正体に、一歩近づきつつあったのだから。
「この辺りのことについて、もっと掘り下げるとしましょう」
 呟くと、シルファは歩み出す。
 段々と、夕刻も近づいてきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

麻生・大地
【WIZ】
学内のデータが集まりそうな所…最近の学校ならパソコン室なりはあるでしょう。サーバールームのメンテナンス作業員を装って学内に入り込みます
作業服一式を借用して、入り込みます
【メカニック】は持ってますし、万が一本当に修理なりが必要になっても大丈夫だとは思います
サーバールームに首尾よく侵入出来たら、【ハッキング】で【情報収集】します。監視カメラの類があれば、そちらもうまいこと欺瞞しておきます。
必要な情報は後で精査するとして、ひとまず学内ネットワークを通じて引き出せる情報はすべて引き出しておきます
あ、メンテナンスもきちんとやっておきますね
「人の口に戸は立てられない。どんなに秘匿してもね」


花菱・真紀
おー、都市伝説大好きな俺にはもってこいの依頼だなー。
うん、とりあえず【情報収集】だな学園内での流行なら神楽谷学園の学校サイト。もちろん公式のじゃない。生徒の作った裏サイトだ。ある程度情報がたまったら伝搬ルートを見つける。その中の有力候補に【コミュ力】を使ってアタックいざとなったら【言いくるめ】だ。

「俺は都市伝説ってやつが大好きでね、学園のこともそいつで知ったんだ。あんたも都市伝説嫌いじゃないだろ?なぁ、面白い話、聞かせてくれよ。」


ボアネル・ゼブダイ
wiz
ふむ、人々の噂話から情報を得るのは異世界でも同じなのだな
これ以上犠牲者を出さんためにも情報を集めなければなるまい

私は教員を装い学園内部へと潜入しよう
万が一にも怪しまれないように目立たないように行動する
私の第六感で生徒達がそれらしい噂話をしている場所に赴き、零れ落ちる深淵で盗み聞きをしよう
場合によっては誘惑も使い情報を得る
少々不作法だが、仕方有るまい

動物が飼われていれば動物にエサをあげながら話しかけて、動物会話でも情報を集めるのもいいだろう
昼夜を問わず学園にいる彼らなら、何か目撃してる可能性もある
他の猟兵達とも情報をやりとりして敵の正体を探ろう

(他メンバーとの絡みやアドリブ大歓迎です)


ヘンペル・トリックボックス
ははぁ、古来から学び舎には怪が潜み易いものですが、実際に行方不明者が出ているとあればこれは良くない。みすみす若い芽を摘ませるわけにもいかないでしょう…えぇ、紳士的に考えて。

『摩利支天隠形符』で姿を消し、【忍び足】で学園内を闊歩しながら【情報収集】と洒落込みましょう。立ち聞き盗み聞きは紳士的ではありませんが、如何せん目立ちますもので、私。
他の方々が生徒間への情報収集中心に回るようでしたら、私は職員室や校長室等に潜入し、噂の出どころや大人たちの反応を探ります。実害が出ているにも関わらずノーリアクションというのは、どうにもキナ臭いので、えぇ。
得た情報は式神を使い、速やかに他の猟兵と共有します。


アンテロ・ヴィルスカ
所変われば…という奴か、化物が口を開けて待っていると分かれば、危険な好奇心も持ちはしないのだろうけど

それだけまだ、この世界が平和なのだろうね?

【WIZ】
鎧を脱いで変装、生徒に話をきいてみるか
柔和な笑みを浮かべて、餓鬼の好きそうな物分かりのいい教師を演じよう。

生徒達を観察、噂話に浮き盛り上がっているグループや
様子のおかしい子をさがしてみようか。

相手は男女どちらでも構わないが…
出来ればすぐに下校する子ではなく、遅くまで学校に残る部活動に熱心なタイプがいいな。

もし都市伝説の内容に怯えて話せない子がいれば、おまじないとばかりに祈りの一つでも…

ま、守りの効能など微塵もないが気休めだ。


アドリブ、絡み歓迎



 グラウンドを授業中の生徒が走っている。
 校舎脇からそれを眺めている影があった。
 鎧を脱いで、衣服は目立たぬ色のスーツ。
 傾き始めてきた太陽に照らされる藍髪も美しく、優しい教師という見目を作るのに成功している──アンテロ・ヴィルスカ(白に鎮める・f03396)。
 視線をそのままに、ふと呟いている。
「所変われば……という奴か。思った以上に、生徒達は普通の日常を過ごしているようだな」
 だけじゃなく、自ら噂話に首を突っ込むものさえまだまだ出てくるだろう。
 アンテロの口調は咎めるでもなく感嘆するでもなく。
 どこか飄々と、その現実を受け入れるようでもあった。
「化物が口を開けて待っていると分かれば、危険な好奇心も持ちはしないのだろうけど。それだけまだ、この世界が平和なのだろうね?」
「かもな。ただ、情報を知っている人間が多いのはいいことでもある」
 と、ボアネル・ゼブダイ(Livin' on a prayer・f07146)は言いつつ、銀髪を陽に輝かせて見回していた。
 こちらも濃色のスーツを着込み、教員として潜り込んでいる。場所を移動しながら調査を続けているため、未だ誰にも怪しまれてはいなかった。
 歩み出しながら──それにしても、と呟く。
 ふと思ったのは、自身の世界のこと。
「人々の噂話から情報を得るのは異世界でも同じなのだな」
「そうだね。手間なくオブリビオンにたどり着ければ、楽なのだろうけど」
 それでも今は噂話こそが、全ての鍵を握っている。だからアンテロは応えながらも真っ直ぐに踏み出していた。
 目的は、体育終わりに石段で休んでいる男子。
 アンテロは、周りに比して様子がおかしいと思える生徒を探していた。何かに怖がっている生徒──即ち周りに比して何かを知っていそうな存在を。
 運動部所属で、熱心で真面目な印象なら尚いい──そんな生徒を丁度見つけたのだ。
「少し、話いいかな」
 柔和な笑みを浮かべて、物分かりのいい教師という風体を取る。
 生徒は見上げて、それから落ち込んだ表情を見せた。
 何でも話してごらん、とアンテロが言うと彼はぽつぽつと話し出す。
「……都市伝説が怖くて。流行る前は、こんなにみんな興味持ってなかったですよね」
 流行る前、という言葉にアンテロは眉を動かした。
 他の猟兵達からの情報で“噂の出処が怪しい”ということは既に理解している。
 だから促すように呟いた。
「都市伝説か。何時頃から流行りだしたんだったかな」
「さあ、二ヶ月前か、三ヶ月前か……あのこともあるし……いや」
 と、そこで生徒は言葉を止めた。
「あのこと?」
 様子のおかしい原因がそこにある気がして、アンテロは目を向ける。
「それが気がかりかい?」
「先生に言えることじゃないです……でも」
 生徒に不安の色が垣間見えて、アンテロは柔らかい表情で祈りを捧げてみせた。
「おまじないだよ。別に言わなくてもいいけれど、恐怖があるなら取り除きたい」
「……不思議な先生ですね」
 すると、生徒は少し安らいだような表情でそれを口にした。
「……皆が面白半分になりすぎなのが怖いんです。特に──ネットに書き込んだりする人もいることが。あれが都市伝説が広まってる理由の一つでもあるでしょう?」
「ネット?」
 アンテロが言うと、生徒は少し気まずそうな顔をする。
 でも、アンテロを信頼し始めている心もあったのだろう。ぽつりと言った。
「知らないですか? 裏サイトですよ」

 裏サイト。
 表では交換されない生徒の“本音”が飛び交うネット空間。
 往々にして生徒が作成し、一部の人間だけで共有される小規模なサイトだ。
「やっぱり、ネットにも何かあると思ってたんだよなー」
 その情報に、興味深げに呟くのは花菱・真紀(都市伝説蒐集家・f06119)。黒縁眼鏡の奥の瞳に好奇心を宿して、気合を入れるためにヘアピンを留め直す。
 アンテロとボアネルの二人と合流した真紀は、校舎の一角で学園関連のサイトを検索しながら、情報を反芻していた。
 先刻の生徒の話では──その裏サイトで都市伝説の情報がよく話されているらしい。
 彼自身は裏サイトに行ったことはないという。だが友人が話しているのを聞いて、裏サイトから何か悪い影響を得ていると感じた、と語っていた。
 裏サイトは生徒や教師への陰口が頻発する。
 噂の出処を“インターネットだ”と答えながら、詳細について口を噤む生徒がいたのはこれが理由でもあったろうか。
「初対面の生徒に対して、裏サイトで噂を見ましたとは中々答えてくれないよな」
 真紀は言いながら、ネットサーフィンする手は踊るよう。
 元よりネットロアの収集を得意にする身だ。すぐに当の裏サイトを見つけていた。
 と、そこで手を止める。
「パスワードでロックされてるな。珍しい。とはいっても、裏サイトを知ってる生徒なら誰でも知ってるものだろうけど──」
「それを見るのに必要な情報か。ならば私が調べてくるとしよう」
 そう申し出たのは、話を聞いていたボアネルだ。
 やることが生徒からの情報収集であれば、迷うことはない。
 ──深淵を渡りし異相の精霊よ、盟約により我が名の元にその力を示せ。
 ぐにゃりと、一瞬空間が歪曲したように見えた。
 次の瞬間、ボアネルの足元に粘液状の蠢きが出現している。
 零れ落ちる深淵(サモン・ダークネス)。揺らめくそれは尋常の人間には不可視の状態へ変貌しながら──ボアネルと感覚を共有して動き出した。
 ボアネル自身も素早く校内を進み、噂話をしている生徒を探す。そうしてそれを見つけると粘液を飛ばし、盗み聞きする形を取った。
 そこは校舎でも目立たない階段の一角。
 二人ほどの男子生徒が、隠れて話をしている場所だった。
「今日、裏みた?」
「いんや、まだ」
「明らかにタケっぽいやついたぞ。言葉遣いまんまなの」
 彼らはスマートフォンの画面を見て話している。
 ボアネルは視覚の共有によって、彼らの手元の動きも何もかも、見て取って記憶した。
 ついでに話も少々聞いていく。
「都市伝説の書き込みがまたあるぜ」
「本当、流行ってんな」
「毎回“この目で見た”とか言ってるやついるけど、マジかな?」
「さあ……都市伝説の話始めるやつに限って、特定できねぇからな」
 彼らの声音は怪訝なようでも、若干の恐怖を抱いているようでもある。
(「……何者かが意図的に情報を流しているのか?」)
 きっちりと目的以上の収穫も得て、ボアネルは引き上げることにした。
 ボアネルが戻ると、真紀は礼を言う。
「ありがとうな。早速、見てみるか」
 真紀はパスワードを打ち込み、サイト内を見ていく。
 大抵は、特定されないハンドルネームによる愚痴や暴露話などがされている。
 しかし幾つかのスレッドは異様に伸びていて──それが都市伝説の話題だった。
 ここが発信源になっていると思しき都市伝説が多くあり、書き込み数自体も相当のものだ。
 なるほどね、と真紀は呟く。
「いくつかわかったことはあるぜ」
 言って情報を纏める。

 1.流行初期に話題になっていたのは“裏側学園”。
 2.流行前にも過去、何らかの都市伝説が話題になった時期があった。
 3.裏サイト内の都市伝説発信源は同一人物。

「最初の二つも重要そうだけど。何より発信源だね。ハンドルこそ完全匿名だけど、話題を始めた人間は同一人物っぽい」
 言葉遣いに、訪問時刻、かな変換の仕方、投稿の遣り方そのものの癖。
 一見では判らなくも、真紀にはそれが一人だと推測できた。
 それはボアネルの推測とも一致する。
「その者が噂を流した本人、ないしオブリビオン──かどうかはまだ言い切れないか」
「そうだな。でも、調べても良さそうだ」
 ボアネルに答え、真紀は別の猟兵へ連絡を取り始める。

 学園内には情報室もある。
 パソコンがずらりと並んでいる場所で、授業にも使われる部屋だ。
 ただし常に賑わっているわけでない。少なくともメンテナンス作業員に扮して入り込む余地のある程度には、人目の少ない時間もあった。
「サーバールームは、奥ですね」
 そんな時刻、麻生・大地(スチームハート・f05083)は情報室の奥を目指す。
 無人であることを確認し、作業服の帽子を軽く直して。扉を一枚抜けてサーバールームへ入った。
 文字通りのサーバーが並んでいて、学内のネットワークを管理する部屋でもある。
 ここまで首尾は順調。
「さて、始めましょう」
 扮装通り、きっちりメンテナンスもこなしてあげながら。
 管理用の端末を操作して大地が行うのは──ハッキング。
 上手く管理画面を手中に収めると、とりあえず学内のネットワークを睥睨。引き出せる情報は全て引き出そうと試みていた。
 無論、ローカルとは言えネットの情報は膨大に上る。それでもサイボーグの身には、負荷というにはあまりに少なすぎる情報量であったろう。
 成績表や進路指導の書類など何でも無いデータは流し見しつつ、違和感のあるものは精査した。
 その一つが、教員内にだけ配布される資料だ。
 その種の書類は沢山ある。けれどその中で、明らかに最近質が変わったものがあった。
 それが“指針表”というもので、教員がこなすべき仕事の目標が書かれたものだ。
 端的に言えば“校長のご命令”。
 その中でここ一、二ヶ月、『都市伝説に関する注意を喚起するように』という指針が激増していた。
「……なるほど、朝礼での注意は校長の発案でしたか。これだけ学園側が都市伝説について口にすれば、生徒達は寧ろ気になってしまうでしょうね」
 というより、わざと生徒が興味をもつように仕掛けているとしか思えない内容だった。
 その不審さは、どうやら教師の間でも感じられていたらしい。
 教師が行うメールのやり取りに、指針表や校長の遣り方を疑問視する声があったのだ。
「人の口に戸は立てられない、ということでしょうね」
 どんなに秘匿しようとも。
 と、そこで真紀から連絡が入る。
「……裏サイト、ですか。何かありそうですね」
 無論、裏サイトは生徒達が勝手に作ったもので、学園のネットワークとは関係ない。
 だからハッキングもまた別の仕事になる──かと思われたが。
「意外なところから証拠が出ましたね。……いえ、意外でもありませんか」
 大地が呟いたのは学園ネットワーク内の、校長専用のパソコンに残っているデータを見つけたからだ。
 それは、裏サイトへの書き込み履歴。
 サイト内にある情報発信源の投稿と、内容がぴったり一致したものだった。

 音もなく、姿もなく。
 透明になった人影が、学園へと入り込んでいた。
「何とも、これは豪奢な建物ではありませんか」
 呟く声は紳士的──と同時に、どこか飄然とした掴みどころのなさを感じさせる。
 見た目こそ消え去っているが、その中東系の顔立ちには、底の窺えない微笑が浮かんでいることだろう。
 ヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)。
 体に貼り付けた摩利支天隠形符(マリシテンオンギョウフ)の力によって、透明化した状態で潜入していた。
「立ち聞き盗み聞きは紳士的ではありませんが、如何せん目立ちますからね」
 自分で言ってみせるのは、透明化に隠された服装がシルクハットにタキシードという、およそ目立って仕方のないであろう格好だからだ。
 尤もそれも、誰にも見えなければいいだけのこと。
 忍び足で闊歩して、ヘンペルは悠々と進んでいた。
 通り過ぎる教室は、授業中。見た目には普通に授業を受けている生徒にも、事件に不安を抱いているものがいるだろう。
「古来から学び舎には怪が潜み易いものですが──実際に行方不明者が出ているとあればこれは良くないですね」
 ヘンペルは横目に通り過ぎながら、呟く。
「みすみす若い芽を摘ませるわけにもいかないでしょう……えぇ、紳士的に考えて」
 言って視線を向けたのは別棟だ。
 一般の教室ではなく、音楽室や実験室、図書室などが並ぶ建物。
 職員室や校長室もあるがために──ヘンペルは校舎を通り抜けてそこに入っていた。
「実害が出ているにも関わらずノーリアクションというのは、どうにもキナ臭いですからねぇ」
 怪しむべきは大人。
 早々に当たりを付けたヘンペルは、職員室に入って暫し教員の会話を聞いた。
「──校長の評判はあまり宜しくないようですね」
 得た結論はそれだった。
 教師達自体に違和感は覚えず……故にヘンペルはすぐに校長室に移動することにする。
 やはり何かがあるなら学園のトップだという気もしていた。
 だから校長室の鍵が開いているのを確認すると──微かにだけ扉を開ける。
 すると、中から何かの呟き声が聞こえた。
「私がこの学園の支配者なのだ。私こそが、私が、私が、私が──」
 それは壮年の男性の声。
 室内を覗き込むと、椅子に声の主が座っている。見た目は校長と言って違和感無かったが──繰り返す呟きは尋常のものではない。
(「……何かを引き当てましたかね」)
 ヘンペルは式神を使い、素早く情報を他の猟兵に知らせた。
 が、そこで校長ががたりと立ち上がり声を張った。
「何者だ! 私の支配を脅かすつもりだな!」
「おや……」
 目を向けるヘンペルは、気づかれたことが意外だった。透明な顔で、尚飄々とした表情のまま見据える。
「今ので私の存在に気づくなど──あなた、本当に人間ですか?」
「うるさい、学園は渡さんぞ!」
 校長は椅子を蹴るようにして歩み寄ってきた。
 ヘンペルはふぅむと息をつくと、一端室内に入って観察する。すると──校長が殴りかかってきた。
「おっと」
 真横に避けてステッキで一撃。まずは軽く打ち据えてみせる。
 校長はよろけたが、すぐに怒りを露わにして襲ってきた。決して強力な個体ではないが──間違いなくオブリビオンだ。
「こんなところで遭遇するとは、不運か幸運か……」
「──大丈夫か!」
「助太刀します」
 するとそこで、大地や真紀が合流してくる。校長を怪しいと見て向かっていたところ、ヘンペルから情報を受け取って急いできたのだ。
 複数の猟兵が集まれば、それは苦戦する敵ではなかった。

 皆は校長室にてそのオブリビオンを押さえつけ、拘束する。
 ヘンペルは見下ろして聞いた。
「何か知っているなら教えてほしいですね」
「……離せ。私がこの学園を支配するのだ。誰にも譲らんぞ」
 オブリビオンは先刻から同じ言葉ばかりを繰り返していた。
 ヘンペルは怪訝な様子でもあったが──真紀達はそれにふと勘付くものがあった。
「……“裏側学園”。こいつ、都市伝説の裏側学園だ」
 流行していたあらゆる都市伝説について深く調べてきた猟兵達は、そのオブリビオンの言動、振る舞い、全てがそれと一致することに気づいていた。
 アンテロはちらと目を向ける。
「学園を支配しようとしている存在、だったね。最初に流行った話の」
「つまり、その噂話がオブリビオンとして形を取ったと」
 ボアネルの言葉に、猟兵達も頷いていた。
 校長に成り代わり。都市伝説そのものとして学園を支配して。噂としての役割を全うしていた異質の存在。
 ただ、皆は全てを納得はしていない。
 大地は視線を降ろす。
「このオブリビオンが新たな都市伝説を流布していたことは事実でしょう。それならば、“裏側学園”自体は誰が──」
 と、呟いた時。声を上げて、裏側学園が捨て身の攻撃をしてきた。
 猟兵達は即時に物理攻撃で反撃。逆に裏側学園の全身を貫いていた。
 倒れ込んだ裏側学園は呻くように呟く。
「……様。……ぁ……少女、様っ……。我らの命が。都市伝説の命が脅かされて──」
 言葉の途中で、彼は絶命して消滅した。
 直後、広い校長室にばさりばさりと羽音が響き始める。
 猟兵達は警戒態勢をとった。
 校長の振りをしていたオブリビオン“裏側学園”は、行方不明者の情報を伏せ、都市伝説の流行を捏造していた。
 その存在がいなくなるとどうなるか。
 形はどうあれ事件は収束して、都市伝説の流行はなくなるだろう。
 結果、新たな都市伝説は生まれなくなる。
 それによって困るのは──都市伝説自身だ。
 だからそれは、猟兵を襲う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『嘲笑う翼怪』

POW   :    組みつく怪腕
【羽毛に覆われた手足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪神の加護
【邪神の呪い】【喰らった子供の怨念】【夜の闇】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    断末魔模倣
【不気味に笑う口】から【最後に喰らった子供の悲鳴】を放ち、【恐怖と狂気】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●子喰い鳥
 それは架空の存在だった。
 子喰い鳥は、人間に殺された鳥が人間に復讐するために現れたという話だが──そんな鳥も人間も、元々どこにも存在しない。
 全ては捏造された話。
 けれどそれは、作られた流行によって噂話となり、UDCの形を得た。
 生み出された目的は、人々に都市伝説が実在すると知らしめる役を果たすことだ。
 夜に現れると噂になれば、夜に学校にやって来る生徒が現れる。
 そんな生徒に目撃され、噂され、時に誘拐することで──“都市伝説は本当だった”という話が一層広まる。
 そうなれば、都市伝説は更に流行り、新しい伝説もどんどん生まれる。
 自分達の存在が盤石になる。
 子喰い鳥はその役を一番果たしてきた都市伝説だった。
『都市伝説……存在……守ル為……』
『オ前達……喰ウ……』
 濁った鳴き声と共に、鳥は飛び交う。噂のように、人を喰らう為に。
ヘンペル・トリックボックス
「真昼間からお出ましとは──噂以上にせっかちなようで。此方から探す手間が省けたと言うものです」
…なんて嘯きはしますが、これは思った以上に良くない状況ですねぇ…えぇ。あまり騒ぎを大きくすれば、最悪学校全体を巻き込んだパニックが起きかねない。迅速かつ静粛に、片を付けるといたしましょう。

式神の群れによる制圧を試みます。数の有利を活かし、常に一体多になるよう数を割り振りましょう。優先的に狙う部位は、断末魔を放つ喉笛と機動の要たる翼の付け根。仕留めることは出来ずとも、他の猟兵の攻撃の起点を作るように立ち回ります。チャンスがあれば、私も金行符による切断でトドメを刺しに入るとしましょう。


ヴォルガーレ・マリノ
これが”子喰い鳥”…
…!…『喰ウ』って…まさか行方不明の方々の事も…?
そんな…!

”子喰い鳥”…なんて禍々しい姿
こんな奇怪な存在に迫られたら
恐怖で震え上がってしまうでしょう
私もドキドキして…マス…
未知への恐怖と…言い表す事の出来ナイ…高揚感デ…!

【誘きよせ】て先ずは攻撃を【武器受け】
または【激痛耐性】で耐え防戦に徹しマス
相手が自身の優勢を感じ隙が出来たら
【ブラッド・ガイスト】で【騙し討ち】しマス
喰う事の高揚感はご存じでショウ?
なら喰われる事へのスリルも体験なサッテ?
フフ…とってもドキドキしまセンカ?
一方的な痛めつけではいけまセン
傷つキ、傷つケル事こそが闘争と生の象徴…根源なのだカラ!


リリーアン・ベル
おや、都市伝説の方から出てきてくれたっス!みんなの調査がそれだけ敵を追い詰めたってことっスね!フッフッフ!
これがオカ研の子が言ってた『子喰い鳥』っスね。え、まさか行方不明になった生徒はこいつに食べられちゃったっスか……?
キモ鳥、倒すっス!!
ガトリング・オーバードライブを発動させて鳥の群れに向け掃射するっス!(援護射撃・一斉発射)
うわー!もはや黒い煙が出てるっス!撃ち切るまでの数秒くらい壊れないで耐えろっス、このポンコツが~!(ガトリングガンをぶっ叩きつつ)
敵の攻撃はダッシュ、スライディングなど軽い身のこなしを生かして回避するっス!完全回避は無理でも、かすり傷程度なら気合いでなんとかなるっス!



 広い室内に無数の影が落ち始める。
 耳障りな羽音と共に、螺旋を描いて異形の群れが飛来していた。
 閉ざされた空間で“何処”から飛来してきたのかと、意識する暇もない時間でのこと。
 猟兵を囲むように高度を下げたそれは、ただの校内の一室を都市伝説の巣窟へと化していく。
「おやおや」
 ヘンペルは抜け目なく見回しながらも、尚鷹揚な声音を崩さなかった。
「真昼間からお出ましとは──噂以上にせっかちなようで」
「みんなの調査がそれだけ敵を追い詰めたってことっスね! フッフッフ!」
 リリーアンも胸を張って誇らしげな顔でもある。
 事実、夜になれば新たな被害者が出る可能性もあった。敵を早々に捕らえた状況は、予測以上の成果でもあったろう。
 無論、手放しで喜べる状況ではないともヘンペルは理解している。
「あまり騒ぎを大きくすれば、最悪学校全体を巻き込んだパニックが起きかねませんからねぇ──迅速かつ静粛に、片を付けるといたしましょう」
「ええ……!」
 こくりと頷くヴォルガーレは、声音は力強くも、清楚な瞳に不安の色を浮かべて見つめている。
「これが“子喰い鳥”、なんですね……なんて禍々しい姿」
「噂では確か人を食べるって話で──え、まさか行方不明になった生徒はこいつに食べられちゃったっスか……?」
 リリーアンはふと思い至る可能性に、呟いた。
 ヴォルガーレはさっと顔を青ざめさせる。
「そんな……!」
 それは確かに一瞬でも、清純な心に浮かんだ恐怖であったことだろう。
 この敵が行方不明者を殺したかは定かではない。それでも尋常の人間程度、楽に殺せる存在であることに違いはなかった。
 だからヴォルガーレは、刻一刻と迫り来る奇怪な存在に体の震えもあったのだろう。
 尤も、それは文字通りの一瞬だけだったけれど。
 淑やかな殻に包まれた少女の心が、同時に沸々と湧き上がっていた──眼前にある戦いへの欲求で。
「本当に……ドキドキして……しまいマス……。未知への恐怖と……言い表す事の出来ナイ……高揚感デ……!」
 怖気は期待感に、憂いは快楽に。
 本能が静かな水面を突き破るように、抑えられぬ戦意が精神を満たしていた。
 相手が戦うつもりなら、躊躇う心も介在しない。ヴォルガーレは床を蹴って、異形鳥の軍勢へ豪速で踏み込んでいた。
 ヘンペルとリリーアンも頷き合っている。
「では、私達も」
「うっス、あのキモ鳥を倒すっス!」
 がちゃりと機械の鳴る音がした。
 リリーアンがよいしょと構える、蒸気ガトリングガン【Salvage】。ボイラーのレバーを限界まで引き下ろされ、回転力が全開となっていた。
「さあ動けっス!」
 金属音を含んだ大きな振動を見せ、砲身が廻転を始める。同時、弾丸の供給と点火が開始されて──射撃の嵐が敵を襲った。
 ガトリング・オーバードライブ。滝が流れるような轟音を上げて、ばらまかれた弾丸が子喰い鳥達を撃ち落としていく。
 と、ぷしゅうと変な音を上げて弾丸が詰まった。
 元々ジャンクの山から見つけた品だからでもあろうか。明らかに動作不良を起こしている。
「うわー! もはや黒い煙が出てるっス!」
 リリーアンは慌ててレバーを触ろうとする。だがなぜか取っ手が死ぬほど熱くなっていて触れなかった。
「撃ち切るまでの数秒くらい壊れないで耐えろっス、このポンコツが~!」
 声を上げて砲座をごんごんぶっ叩く。
 と、唐突に詰まっていた弾丸が一斉に撃ち出され、まるで砲撃のように目の前の鳥達を吹っ飛ばしていた。
 結果的には、前方の敵を一時的に退けた形となる。
 一方で、ヴォルガーレも後方の敵と交戦していた。
 いきなり攻めはせず、敢えて無数の敵を誘き寄せ、戦斧で爪や腕での殴打を受け切る。自身の体に被弾しても、構わず短時間だけ防戦に徹した。
 それは全て攻撃の為の準備でもある。
 流れる血は腕を伝い、斧の刃へ染み渡る。その温度が、戦いを求める心の溶け込んだ紅が、斧を歪な殺戮捕食態へと変貌させていた。
「喰う事の高揚感はご存じでショウ? なら喰われる事へのスリルも体験なサッテ?」
 一方的な痛めつけだけでは、理想ではない。
 ──傷つキ、傷つケル事こそが闘争と生の象徴……根源なのだカラ!
 ヴォルガーレは艶美な笑みさえ見せながら、巨大化した刃で薙ぎ払った。それは力の塊となって剣線上の鳥を軽々と霧散させていく。
 中にはそれらの攻撃も躱して飛んでくる鳥も数体いた、が。
「この程度ならば、数で圧倒させて頂きましょうか」
 ヘンペルが符を指に挟むと、そっと呪を掛けていた。
 ──集いて唸れや獣の式。
 ──散れや羽ばたけ禽の式。
 ──囲め囲め、いついつ出遣る……。
 式群招来・獣聚鳥散陣(ジュウシュウチョウサンジン)。
 宙へふわりと降りて増殖したそれは、小型の式神へと変貌。優に百を超える軍勢となって子喰い鳥へ襲いかかっていく。
 敵の一体が断末魔を放とうとすれば、その一体へ群がって喉笛を咬み切る。別の一体が物理攻撃を仕掛けてこようとすれば、翼を噛み千切ってそれを許さなかった。
 とどめには、ヘンペル自身が金行太白符を構える。その力で切断の現象を引き起こすことで、瞬く間に異形を両断した。
「敵も無尽蔵ではないでしょうから。このまま攻めを継続しましょう」
「了解っス! せめて最後までは動くっスよ!」
 壊れた洗濯機のような音を上げているガトリングに活を入れつつ、リリーアンも頷く。
 未だ敵は多い。
 だからヴォルガーレは尚、気持ちを滾らせた。
「フフ……とってもドキドキしまセンカ?」
 敵へ問いかけてみせる。
 斬って、斬られる。命を感じる戦いが、まだまだできるのだから、と。
 上方から飛んでくる個体にも、ヴォルガーレは刃を振り上げて対応。爆発的な力でその一体を散り散りに消し飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ボアネル・ゼブダイ
流布された噂が形を成すとは、ずいぶんと珍しいものが見れたな
とはいえ、害意を持って人々を襲うというのならば我々の敵だが

まずは従順たる悪意を発動
相手を攪乱し、断末魔模倣などの攻撃対象を散らせる
その間隙を縫って、人工血液セットから吸血し血呪解放も発動
攻撃力を増加させ2回攻撃を交えつつ黒剣グルーラングで相手を蹴散らす
また、強化した相手には憎悪する薔薇も使い、遠距離からの足止めも交えつつ攻撃

自らが存在するためとは言え、貴様等の行為は到底容認は出来るものではない。噂は噂らしく早々に人々から忘れ去られ、消えていくがいい

他の猟兵とも積極的に連携を取り、アシストもしつつ確実に撃破していく

(アドリブ歓迎)


麻生・大地
【WIZ】
 数が多いうえに飛び回られては厄介です。まずはしっかり相手の出方を【情報収集】しましょう。
 初動で、【グラビティバインド】起動準備。【ブラスター・ビット】を念動力操作で狙い撃ちます。ただ、当たらなくともさほど問題はありません。狙いは、相手の情報を蓄積するための【時間稼ぎ】と、『相手を一か所にまとめる』ことです。
 囲まれてしまうと数で圧倒される恐れがあります。相手の動きをブラスター・ビットで誘導しながらこちらが集中砲火しやすい位置取りに追い込みます。頃合いになったら【グラビティバインド】で地に墜ちてもらいましょう。
「伝説はあくまで伝説です。あんまり出しゃばらないほうがいいですよ?」 


シルファ・アルタミラ
本物の都市伝説かもと少し期待していたのだけれど正体がUDCというのも少し残念ね
でも、これ以上被害を増やす訳にはいかないの
数々の命を喰らった代償、ここで支払って貰うわよ


【巫顕載霊の舞】で、和風の神主装束を纏った【神霊体】に変身して戦うわ

でも、寿命を削る以上、この状態も長くは持たない

持った薙刀で弱っている敵を優先して多くの敵を巻き込める様に一気に【なぎ払い】と【衝撃波】で蹂躙するわ

【野生の勘】で相手の行動を読み、出来るだけ相手の攻撃を回避する様にしたい所ね

「被害者を喰らった上に魂までも利用するとかどこまでも悪趣味ね」

「貴方達の邪悪な悪意では私達に太刀打ち出来ないという事をここで証明してあげるわ」



 前後の敵が抑えられている間、側面の子喰い鳥も黙していたわけではない。
 獰猛な唸りを上げて、確かに猟兵へと飛びかかろうとしていたのだが──。
 その鳥達の眼前に分離した小型機械が飛来。エネルギーを含んだ衝撃を与えつつも、敵の視線を誘引するように行く手を塞いでいた。
 それは大地の撃ち出したブラスター・ビット。念動力で複雑な機動を実現するそれが、敵の意識を確かに引き寄せていたのだ。
(「さて──」)
 と、この短い時間に、大地自身は素早く情報収集を行っている。
 機械の瞳が、敵と空間をくまなく走査する。体の奥にある回路が、膨大な情報を並列処理していく。
 子喰い鳥達の戦法が複雑でないことはすぐに分析できた。
 知能はあるにしろ、戦闘においては獣の類と大差ない。即ち高度な作戦を有してはいないということだ。
 或いはそれも都市伝説としての性質かもしれない。
 それに加えて、大地は別のものも発見していた。それは空間に奔っている僅かな切れ目だ。子喰い鳥はそこから飛来しているらしく──それもまた、何か別の都市伝説の気配がした。
 だが、今そこにたどり着くことは困難を極めそうだ。
「何にせよ、今は目の前の都市伝説ですね」
「ああ──しかし、流布された噂が形を成すとはな」
 ボアネルは床に淡い魔法円を描きながら、鳥の群れを見据えていた。
 実在しないはずの、形を持った伝聞。
 宝石のような紅の瞳に浮かぶのは、わずかばかりの興味でもあったろうか。
「ずいぶんと珍しいものが見れたものだ」
「ええ……だからこそ、本当に、本物の都市伝説であればよかったのだけれど」
 と、呟くのはシルファだ。
 霊力を高め、自身の体を淡く光らせながら──微かにだけ息をついている。
「正体がUDCというのは少し残念ね」
「……そうだな。何であれ、害意を持って人々を襲うというのならば我々の敵だ」
 ならばやることは変わらない、と。
 ボアネルは黒手袋の靭やかな指を伸ばし、喚びかけた。
 ──暗く深き闇に蠢く邪悪で矮小なる者共よ、我が元に集い、我が意に従え!
 輝いた円陣へ召喚されたのは、翼を持った無数の悪魔、インプ。
 従順たる悪意(オヴィディエント・マリス)。ボアネルの意思に従って敵へ飛びかかる軍勢は、子喰い鳥を次々に落とし、撹乱させていく。
 この間にボアネル自身は持参した人工血液を吸血していた。
「──」
 瞬間、体を巡る力に鼓動が高鳴る。
 血呪解放(ブラッディ・インセンス)。たとえ仮初のものでも、血の味と香りはそれを発動するには十分だった。
 黒剣を握りしめ、弾かれたように跳べばその速度は目に捉えることも容易ではない。振るった剣閃は霞でも払うかのように複数体を四散させていた。
 片側の敵の数が減ると、大地は反対側の側面に意識を集中させる。
「こちらも数を減らすとしましょうか」
「そうね」
 頷くシルファは、くるりと優美に体を廻転させていた。
 それは巫覡載霊の舞。
 霊的な力をそれによって静やかに、そして嫋やかに高めると──体に宿していた薄っすらとした光が強まり、全身を包む。
 神霊体となったシルファは、和風の神主装束を纏った神々しい姿へと変じていた。
「貴方達の邪悪な悪意では私達に太刀打ち出来ないという事を──ここで証明してあげるわ」
 裾を靡かせる仕草も雅やかに。光の粒子を零しながら飛んだシルファは、その手に輝きを纏った薙刀を携えていた。
 子喰い鳥達もシルファへ怪腕を振りかぶって来る。
 が、シルファは軌道を逸れない。
 寿命を削る秘技である以上、元より長く持つ状態ではない。だからこそ攻撃に転じるのであれば確実に仕留めたかった。
 柄を強く握り、十分に敵を射程に捉えて。霊力と腕力を籠めて大振りの一閃を放つと、四体ほどを切り裂きながら同時に衝撃波も放っていた。
 光の波の如く空気を伝搬するそれは、直線上に飛んでさらに五体を塵にしていく。
 横合いから別の個体が飛来してきても、シルファは野生の勘でそれを察知していた。
 弧状の動線を描いてそれを上手く回避し、逆に反撃。至近から袈裟に切り下ろすことで一体の命を絶っていく。
 剣撃と衝撃波の届かなかった敵は、大地がビットを操り誘導していた。
 敵自身が気づかぬ内に、集団は段々と一箇所へ集められていく。子喰い鳥もずっとそのままでいるほど鈍くはないだろう、が、一瞬でも纏まれば標的にはなりうる。
 ──動力機関【ティファレト】、重力コンバーター起動。
 ──拘束力場、展開!
 大地は高重力の力場を形成し、異形達の自由を奪っていた。
 グラビティバインド──抗えぬ引力に落下した鳥は、そのまま床に追突していく。
 まるで訴えるような、叫声の如き鳴き声。
 それにも大地が表情を変えることはない。
「伝説はあくまで伝説です。あんまり出しゃばらないほうがいいですよ?」
「ああ。自らが存在するためとは言え、貴様等の行為は到底容認は出来るものではない。──噂は噂らしく早々に人々から忘れ去られ、消えていくがいい」
 ふわりと宙へ飛ぶ鮮やかな花弁は、ボアネルの憎悪する薔薇(スピット・ローズ)。
 墜落した敵が身動きを取る暇もなく、それは頭上で爆破。鳥達の命を容赦なく奪っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花菱・真紀
この世界で都市伝説を生むと言うことはオブリオンを生むきっかけを作ると言うことになってしまうんだな。俺はただ純粋に都市伝説を楽しみたいだけなんだが…。
まぁ、いい、人が産んだ都市伝説だせっかくだ生み出した人間たちの悪意によって消えるいい【匿名の悪意】人は匿名になるとこんなにも簡単に悪意を吐き出すんだ。


逢坂・宵
言霊、というやつでしょうか
口にしたことには霊が宿り、力を持つという
噂の伝播などはそういうことを示しているのかもしれません

都市伝説とは、なるほど繰り返せばその伝説は真実となり現実となり、
また新たな都市伝説を生む結果となるでしょう
しかしそれは伝説であり、伝える人たちがいなければ
それはあまりにも脆弱な砂上の楼閣でしかありません
そういうことを、教えて差し上げましょう

『属性攻撃』『2回攻撃』『高速詠唱』『全力魔法』を用いて
『天撃アストロフィジックス』で攻撃します
猟兵の仲間とも連携や協力をおこなっていきましょう


チガヤ・シフレット
これはこれは!
都市伝説自ら生き残りをかけてお出ましとはな!
しかし、これはスマートじゃないな。
もっとしたたかにしっとりと、実しやかに囁かれ、人々に恐怖と誘惑をもたらすのが都市伝説だろう?

つまり……キサマはここで滅ぶべきだ、ということだな!

両腕両脚から内臓兵器を起動。銃火でもって鳥を撃ち落すとしよう。
最初は【クイックドロウ】【二回攻撃】などで、素早く連続攻撃で牽制、相手の出方を窺いつつ、味方の【援護射撃】もしていこう。

終盤は威力重視にして、【一斉射撃】で一気に削り、狙えるなら接敵して【零距離射撃】をお見舞いしてやろう。

派手に吹き飛ぶといい!



 風音のような羽ばたきも、奇怪な怨嗟の鳴き声も、確実に静まってきている。
 子喰い鳥の後続は変わらず現れ続けていた。だがその速度自体が落ちているのは、絶対数が減っていることの表れだ。
 それでも、鳥は啼く。
 自らの存在を世界に誇示するかのように。
 非現実であったはずの存在。概念の中だけであったはずの存在。それは今尚強い殺意を帯びている。
「これはこれは! ずいぶんと凶暴じゃないか」
 チガヤは怯むでもなく、見回して大仰に言ってすらみせていた。
「これもまた、人々の話す噂の内容の通りなのかな」
「……話が現実になる、ですか」
 宵も視線を巡らせて呟く。
「言霊、というやつでしょうか。口にしたことには霊が宿り、力を持つという。噂の伝播などはそういうことを示しているのかもしれませんね」
 少なくとも、子喰い鳥は人の噂という協力がなければ存在し得なかった。
 なれば確かに、噂や言葉は彼らの命の源だったのだろう。
「だからこそ、この世界で都市伝説を生むと言うことは、オブリオンを生むきっかけを作ると言うことになってしまうんだな」
 真紀はほんの少しだけため息を零すようでもあった。
(「俺はただ純粋に都市伝説を楽しみたいだけなんだが……」)
 けれど、骸の海があらゆる過去を飲み込む以上は、それが敵となることもある。
 それでも──と、チガヤは肩をすくめる。
「自ら生き残りをかけてお出ましとは、スマートじゃないな。もっとしたたかにしっとりと、実しやかに囁かれ、人々に恐怖と誘惑をもたらすのが都市伝説だろう?」
 がちりがちりと歯を鳴らす異形群れに、チガヤは言ってみせる。
「つまり……キサマらはここで滅ぶべきだ、ということだな!」
 声と同時、体から駆動音を響かせていた。
 両腕と両足から内蔵兵器を起動。まるで小さな要塞のごとく、複数の重火器を前面に向けていたのだ。
 瞬間、まずは二丁の銃に火を吹かせる。
 焔色の閃光が瞬くと、計四発の弾丸が最前の子喰い鳥を貫いていた。
 二体ほどが絶命すると、後続の個体は敵意を漲らせて迫りくる。だがチガヤは焦らず一歩後退。自身はまず援護に周り──攻撃を味方に繋げていた。
 そこへ膨大な魔力を向けるのは、宵。
「正面は、一気に仕留めてしまいましょうか」
 言いながら、空間に美しい煌めきを明滅させる。
 それは星の輝きだった。
 室内が限りのない空に見えたのは、無数の矢が光を纏って浮かび上がり、流星のように舞い踊るから。
 天撃アストロフィジックス(テンゲキ・アストロフィジックス)。降り注いだ光の雨は一体、また一体と異形を貫いて無に帰させていく。
 鳥達は暴れるようにその中を前進しようとする。 
 だが後方から狙いをつけるチガヤは、そこに弾丸を踊らせ、砲撃を撃ち込んでいた。間断のない射撃の奔流はまるで光の壁のようになって、鳥達を猟兵に到達させない。
 それでも敵は数にものを言わせて、攻撃の間を掘り進んでくる。
 自分達の存在を消させまいと、それは訴えるかのようでもあったろうか。
 宵はそれでも声音を淀ませない。
「都市伝説とは、なるほど繰り返せばその伝説は真実となり現実となり、また新たな都市伝説を生む結果となるでしょう──」
 ──けれど。
「それはあくまで、伝説です。伝える人たちがいなければ、それはあまりにも脆弱な砂上の楼閣でしかありません」
 作られた流行であるが故に、その存在は尚希薄なもの。
「そういうことを、教えて差し上げましょう」
 宵は一点に矢を集め、巨大な彗星を形作る。真っ直ぐにそれを放つことで、眼前にまで迫っていた鳥達を纏めて葬っていた。
 すると別方向にいた鳥達も、威嚇の声を上げて迫ってくる。
 が、真紀は焦っていなかった。
 ゴーグルから蒼い光を放ち、周囲に展開。まるで世界そのものをスクリーンとするように、電脳世界を広げていた。
 それが部屋を満たすと、電子が彩る空間と現実世界のレイヤーはぴったりと重なる。
「都市伝説を相手にするのは本意じゃないところもあるけどな──まぁ、いい」
 呟きながら、子喰い鳥達へ強い違和感を植え付ける。
 それが彼らの中で苦痛になり、懊悩になっていく。
 強く精神を苛む情報の塊を、一気に流し込んでいたのだ。
「人が産んだ都市伝説だ。せっかくなら人間たちの悪意によって消えるといい」
 滂沱の水流のように注がれたそれは、文字列の形を取っていた。
 匿名の悪意(マスカレード・ウイルス)。
 ネット上に蔓延る、人々の攻撃的な敵意。
 顔が隠れていれば、名が隠れていれば人は人を平然と攻撃する──現実として存在するその事象を形にして、悪意の槍として放っていた。
 鳥達は苦痛の鳴き声を上げて、内奥から朽ちるように消えていく。
「さて、一気呵成といこうじゃないか」
 敵が減り始めた方向へ、チガヤは一斉射撃。弾丸も砲弾も惜しみなく撃ち出していた。
 乱舞する弾が頭蓋を貫く。焔の塊が羽を灼いていく。
 敵が捨て身で急降下してくれば、チガヤもまたゼロ距離に迫ってみせるだけだった。
「そら、派手に吹き飛ぶといい!」
 機巧を動かすと、砲身を収束させて面前へ。全てのエネルギーを使って光線の塊を撃ち出し──前方の敵を一掃した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎 参戦遅れて申し訳ございません、であります。

都市伝説、ねぇ……私もただのオタク学生だった頃は興味半分でサイトとか見てたっけなあ……今となっては、ただの標的でありますが。
とにかく、怪物を放っておける訳もなし。討たせてもらうでありますよ。

右手の04-MVで【UC:支配者の弾丸】、左手のSirius[K's](鎧無視攻撃9)で【UC:連鎖する支配者の弾丸】による手数(2回攻撃3)で敵を殲滅します。不意打ち、伏兵は【UC:虚構の神脳】で予測済。何なら【UC:矛反転する見えぬ壁】(盾受け2)で防御、反撃するでありますよ。

「全発全中……【紅眼の射手】なんて呼ばれた所以であります」


アンテロ・ヴィルスカ
歪な物語が自ら姿を成したか…
何処にでもある与太話が、人を伝う事でこうも成長するものとは感慨深い。

戦闘が始まれば素早く鎧を纏わせ
ここは【SPD】ブラッド・アグリーメント

仲間が攻勢をかけている隙に、外套と白銀の鎖に迷彩を施してちょっとした仕掛けを…
双剣による攻撃で気を外らせ敵が地に足をつけば、外套を引き文字通り足元を掬う。

力強そうな翼だが、ロザリオの血を確実にかけられるまで拘束出来るなら短時間でも構わない。
辛うじて人の言語は話せそうかな?


だがどうにも君が少女様とやらには見えない。

答えるがいい、君のボスは何者だい?

アドリブ・絡み歓迎


明日知・理
アドリブ歓迎

人がお前を生み出したのなら、
お前を葬るのもまた人の役目だ。
――存分に恨め。
だが、お前の存在を看過するわけにはいかない。

周りに民間人がいる場合は『殺気』にて人払いを。
体力の低い者を優先的に『かばう』。敵の攻撃は出来る限り妖刀で受け流し、直撃を避ける。
ユーベルコードは「ブラッド・ガイスト」を。
『捨て身の一撃』と併せ、葬送の一助に。


斬断・彩萌
うわ、なんかグロ……まぁ元の話を辿ればこうもなるか。でもでも、実在なんてしたらコッチだって困るし!ざっくりいかせてもらうわよ。

【WIZ】
敵との距離があるうちにUC『Killing Salvation』で武器強化ね。
んでひとまず二丁拳銃で素早く【クイックドロウ】の【2回攻撃】、【スナイパー】の技術を活かし遠距離からの射撃で敵を後退させるわ。
相手からの攻撃はTraitorで【武器受け】、ひえー部品取れてない!?あとでチェックしなきゃ。
近づけたらOracleで、銃撃の【傷口をえぐる】。ぐりぐりと、穿るように。悪いけど、私敵には容赦ないんで。残念でーしたっ★

※アドリブ、絡み歓迎



 部屋に一瞬静寂が戻った気がした。
 それは短時間だけ、子喰い鳥がいなくなったからだろう。
 それでも、最後に二十程の敵影が出てきている。出処は彼方此方に出現しては消える、空間の裂け目。
 おそらくそれこそが首領の能力だ。
 学園内を捜索しても見た目におかしな所がなかったのは、それが潜伏能力として働いていたからなのかもしれない。
 その存在には確実に近づきつつある──だからこそ、まず排除すべきは鳥の残党だ。
「それにしてもこの鳥、グロ……。まぁ、元の話を辿ればこうもなるか」
 少々胡乱な瞳で仰ぐのは斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)。金髪を揺らして、眼鏡を直すその眼尻は少々下がっても居ただろうか。
 考えてみれば、噂の上では人を喰う為の存在。
 見目に悍ましいのも或る意味では当然であろうか。
「都市伝説、ねぇ……」
 紅葉・智華(紅眼の射手/妹捜索中・f07893)も呟きながら、しかしその異形に怯んだ様子はない。
 ふと思い出すのはまだ普通の人間であった頃のことだ。
(「ただのオタク学生だった頃は、興味半分でサイトとか見てたっけなあ……」)
 あの頃は、こうして都市伝説そのものと対峙するとは思っていなかったかも知れない。
 けれど今は機械の体となり、猟兵となった。
 そして目の前にいるそれが、オブリビオンであるならば。
「──ただの標的でありますね」
「ええ。実在なんてしたらコッチだって困るし! ざっくりいかせてもらいましょ」
 彩萌は二丁拳銃を構え、その手に超能力を巡らせていた。
 淡い光の靄が立ち昇り、銃身が一瞬だけ煌めく。
 Killing Salvation(キリング・サルヴェイション)。元より強力な力を誇る両銃は、それによって無二の凶器となった。
「じゃ、行くよ」
 乾いた銃声が連続する。それぞれに早撃ちで放った二連の弾丸が、飛来していた鳥を撃ち落としていた。
 強化の施された弾丸は、あまりの弾速に周囲に軽い衝撃波まで巻き起こす。彩萌はそのまま接近を許さず、間合いを保ったまま敵陣を穿っていった。
 啼き声を上げる鳥達は、旋回して正面を避けようとする。
「援護するであります」
 と、そこへ智華が二挺を構えていた。
 右手にはライフル状重火器の04-MV。左手にレーザーライフルSirius[K's]。遠近に優れた傑作とチューンドされた名銃が、僅かなブレもなくその銃口で敵を捉える。
 刹那、放たれたのは支配者の弾丸(ドミナント・バレット)──そして連鎖する支配者の弾丸(ドミナント・チェイン・バレット)。
 初弾は敵を抉る必中の一撃。次弾はそれに追随する熱線。痛烈な弾丸と青白く耀く熱の塊が同箇所を貫通し、子喰い鳥の命に風穴を開けていた。
 ここまで僅か一瞬。
 だが、智華の銃撃はそれでは止まない。
 二連、そして三連のフラッシュが輝き、敵の肉体が次々に弾けていく。智華自身もゆるく旋回するように銃身を動かすことで、相対速度を殺して狙いを外さなかった。
「全発全中……【紅眼の射手】なんて呼ばれた所以であります」
 異形達は逃れるように、統制もなく散り散りにばらけ始める。
「──ふむ」
 と、アンテロはそれを見やりながら冷静に迎撃の準備を整えていた。
 戦闘開始と共に素早く鎧を纏っており、その様相は既に黒騎士そのもの。同時に外套と白銀の鎖に迷彩を施した状態で、“ちょっとした”仕掛けを用意している。
 その上で双剣を構えると、敵と白兵戦を始めた。
 子喰い鳥は不気味な腕や牙を持ち、見目も力も通常の鳥からは大きく逸している。アンテロは惑わずその能力を観察して剣で受け、複数体の攻撃をいなしてみせた。
 そうなれば、敵も躍起になって攻めて来ざるを得ない。
 そうして鳥達が床に降り立った段階で──アンテロは床に伏せてあった外套を引き、文字通りに足元を掬った。
 複数体が一気に体勢を崩す。
 アンテロは同時に敵を拘束し──ブラッド・アグリーメント。ロザリオから染み出した血を放ち、鳥達の体へと触れさせていた。
 それは真実の言葉でしか解放されない、血の呪縛。
「さて、辛うじて言語は話せそうかな。どうにも君が“少女様”とやらには見えない──答えるがいい、君のボスは何者だい?」
『……』
 子喰い鳥達は始め黙した。
 彼らの知能でも、敵に素直に従うことを得策と判断しなかったためであろうか。
 だがそれが呪縛による苦痛を生む。
 血が熱を孕み、それが致命のダメージとなる。数体が耐えきれずに絶命していくと、残る数体が声を零した。
『隙間、少女、サマ……』
「隙間少女? ……それがボスの名前か」
 アンテロは呟きつつ、微かに眉を動かす。
「そんな都市伝説は流行していたかな」
「被害にあった者が調べていた中には、少なくとも無かった」
 応えたのは理だった。
 少し記憶を手繰るように瞳を細めて、それから思い至るように言う。
「流行していたもの以外にも都市伝説はあったんだろう」
「……ああ」
 アンテロは思い出す。
 裏サイトについて調べていた段階で、流行以前にも過去、学園で何らかの都市伝説が話題になっていたことが判っていた。
「もしかしてそれが、その少女とやらなのかな」
「実際に会ってみれば、判るんだろう」
 理の言葉はシンプルにして明快だ。
 アンテロも頷く。
「学園の管理担当だったらしい“裏側学園”が消え、尖兵たる“子喰い鳥”も消える。そうなれば元凶も出てこないわけにはいくまい」
 放っておけばきっと、都市伝説の流行は収束してしまうのだから。
「歪な物語が自ら姿を成す──何処にでもある与太話が、人を伝う事でこうも成長するものとは感慨深いものだが、な」
「ああ」
 理は鋭い眼光で敵を見据える。
「人がお前を生み出したのなら、お前を葬るのもまた人の役目だ」
 ──存分に恨め。
「だがどんな敵意を向けられようとも、お前の存在を看過するわけにはいかない」
 だから討つ。
 理は妖刀を抜くと、その刃に自身の血液を落としていた。
 あまりにも強すぎる力を持った血──それでもそれが刃を鋭くするのなら。
 闇色の光を纏った妖刀は殺戮捕食態に変貌。理はそれを携え床を蹴って敵へ肉迫していた。
 子喰い鳥は呪いのような叫声を上げ、抵抗の打撃を試みる。理はその声も、体も、全てを両断するように裂帛の斬撃を放ち、斬り捨てた。
 横方向から敵が攻めてきても退かない。体を静やかに旋転させ、流麗さと乱暴さを併せ持つ鋭い剣閃を奔らせた。
 守りには重きを置かない。暗色の靄を靡かせ、ただ攻めて、斬り込んで、それを非実在の鳥達の葬送とする。
 昏い光に消えていく異形達。
 彼らの残りもまた捨て身で猟兵達に飛びかかってくる、が──仲間へ接近させる前に、理が自らの体を盾にしてそれを庇っている。
「──やらせはしない」
 反撃の一刀。
 狙い違わぬ横一閃が、敵に断末魔を出させる暇もなくその躰を消滅させた。
 智華もまた虚構の神脳(イミテーション・ラプラス)を行使。敵の動きを計算することで挙動を先読みし、不意打ちを回避していた。
 そのまま銃撃を返す。
「敵の残りはもう多くないでありますね。一気に殲滅するであります」
「うん! 急ぐよ!」
 彩萌も銃を連射して残党を撃ち払っていく。
 がむしゃらに飛んでくる敵の攻撃は、しかと片方の銃、Traitorで受け止めていた。とはいえその銃、がしゃりと何だか不穏な音を立ててはいたけれど。
「ひえー部品取れてない!? あとでチェックしなきゃ──っと」
 それでも今は反撃へ。もう片方のOracleで至近から傷を抉った。ぐりぐりと、穿るように。
「悪いけど、私敵には容赦ないんで。残念でーしたっ★」
 最後の一体が霧散するまで弾丸を撃ち込む。
 反響する銃声も収まる頃には、場にはまた静けさが帰ってきていた。
 けれど、その静謐もすぐに消えて無くなる。
 空間に大きな裂け目が奔ったかと思うと──そこに人影が見えた。
 理は目を向ける。
「……都市伝説、か」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『都市伝説』隙間少女』

POW   :    領域
【蜘蛛の巣の様に空間の裂け目】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    恐怖
【周囲に作り出した多数の空間の裂け目】から【今まで異空間に捕われていた一般人】を放ち、【その感情を操り、猟兵達に抱き着かせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    移動
小さな【空間の裂け目を作り、その裂け目】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【異空間で、別の場所に裂け目を作る事】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●消え去った怪異
 “隙間女”という都市伝説がある。
 箪笥や棚といった家具と壁の間の隙間から、じっとこちらを除く女──古くから伝承されている怪異話だ。
 神楽谷学園にて、ふとそれが話題になった時期があった。
 それは学園に“隙間女”が潜んでいる──という単なるおふざけの話。流行という程のものではなくて、よくある世間話の一つだったのだろう。
 だがそれは確かに、皆々が話題に上らせた噂話と言ってよかった。
 だけに、過去へと過ぎ去るのも早かった。
 忘れ去られた怪異は、少女の形を取って骸の海から歩み出た。
「人間は、すぐに噂を忘れてしまう」
 少女は空間の裂け目から出てきて言った。
「だれかが噂を話題に上らせる時、確かにその怪異は生きている。私達はそこに息づいて現実のものとして存在している」
 けれど人の興味は流動的で、いっときは熱中したものでもすぐに過去に追いやってしまう。
「都市伝説というものに、一つの噂話に、興味を持って忘れないでいてくれる人は中々いない。そうなったとき、私達は消えてしまう」
 だから自分と同じように、それに形を与えるのだと少女は言った。
「都市伝説を広めて、いつまでもそれに人が興味をもつように。いつまでもそれに人が恐怖を抱くように」
 少女はまず、学園を思い通りに動かすため“裏側学園”を流行させた。
 その後に、“子喰い鳥”を形にして本格的に都市伝説そのものを蔓延させ始めたのだ。
「あと少しで、もっと沢山の都市伝説が形を持つはずだったわ。でも、まだ遅くない。──あなた達さえいなくなれば」
 少女は、空間の裂け目から異空間を垣間見せていた。
 そこには意識を失って倒れる学園生の姿がある。
 行方不明になっていた生徒達。
 話に聞いていたより数が多いのは、まだ気づかれていなかった不明者もいた為だろう。
「彼らを犠牲にすればまだ恐怖は続く。だからあなた達にも消えてもらうわ」
麻生・大地
【SPD】
 その名から想像するに、神出鬼没、不意打ちの類を得意とすると予想します。ので、まずは仲間が安全に戦えるように仕込みをします。
 【ビットコンダクター】起動。【ビームシールド・ビット】を広域展開します。全方位防御に集中しながら【情報収集】して、相手の手の内をできるだけ暴いていきます。
 前衛にはなるべく出ないで、仲間の援護防御とビット操作に専念し、後続が攻撃に転じやすいようにお膳立てをしておきましょう。
「都市伝説を根絶するなんてきっと無理なことでしょう。なら、僕たちは片っ端からあなた方の存在を否定して消し去るだけです。たとえイタチごっこだとしてもね。」


ヘンペル・トリックボックス
「──貴女のオリジナルは、なぜ隙間から人を見つめるのでしょうね?」
空間能力系は厄介です。【存在感】を増して、出来るだけ気を引くとしましょう。
「気が付いて。ここにいる。私を見つけて──そんな叫びにも似た情念を、貴女から感じます。」
敵のUCを相殺しながら、下らぬ演説を。
「忘れないで。見つけて。消えたくない──貴女の行動原理もまた、原型から大きく外れたものではない。都市伝説、巷説、口承文芸…いずれも短期間で消える定めの噂話。貴女方の悲哀も理解できようものですが──やりすぎです」
【優しさ】すら籠めて、手を差し伸べましょう。
「貴女のことは、私たちが覚えていましょう。だから安心してお逝きなさい、お嬢さん」


ボアネル・ゼブダイ
本来ならば人々を怖がらせるだけの無害な存在だったのであろうが、自らが消える恐怖に耐えかねてこのような暴挙に及んだか

彼方からの来訪者を発動
誤爆を防ぐために剣術による攻撃で隙間少女だけを狙うように指示して、生徒達への攻撃はしないように徹底する
私も黒剣グルーラングで連携を取って攻撃
相手が移動などで姿を消したり、生徒を盾に取ったりした場合は隙間少女だけを見切り攻撃をする
生徒達が傷ついた場合は手遅れになる前にUCで治療し、自分への被害はある程度は無視する

貴様を不憫に思う気持ちはある、己が消えるのは恐ろしいという感情も分かる
だがそのために人々を恐怖で支配すると言うなら、その凶行は我々が全力で止めてみせよう


ヴォルガーレ・マリノ
自分と、同族の存在を確立する為の行いだったと言うのですね
それをただ「悪」の一言で切り捨てて良いのでしょうか…
(首を左右に振り)
どんな理由があろうと罪の無い、無関係の人々を巻き込んだ
貴女達の所業を私達は見過ごす訳にはいきません…っ

普通の少女のような御姿
ワタシの悪い癖、少しは抑えられるかなって思ったケド
…ダメ、みたいデス…!
高威力の無差別攻撃には【激痛耐性】で耐えツツ
【ダッシュ】で相手の懐に潜り込み
【深紅の返礼】(命中率重視)を確実に当てマス

ワタシは戦ってきた相手のコト、憶えてマスよ
一戦、一戦、与えてくレル痛みも傷つける感触も高揚感も
全部全部違うんデスもの…!

だかラ、きっと貴女達の事も忘れまセンよ


アンテロ・ヴィルスカ
こんなに早くお会い出来るとは思わなかったよ、隙間少女様。
そんなご挨拶と同時【SPD】聖の檻を投擲

一般人を差し向けて来ればこちらのものだ
毒を施した短剣で、目立たない部分を切りつけて軽く麻痺攻撃
動きが鈍れば、少々手荒だが俺や仲間の背後へと放ろうか。

なに、死ぬよりはマシだろう?

戦闘中、敵が一般人を攻撃するそぶりを見せれば
仕方ない…
不本意だが彼らを庇いながら戦おう
例え見た目が少女であっても、手加減など…物である俺は存じ上げないね。

しかし君達は人に忘れ去られるのが、本当に嫌なのだなぁ…
一層のこと、隙間から見守る女にでもなれば多少は愛されそうなものを…

いや不気味には違いないな、忘れてくれ。

アドリブ歓迎


明日知・理
アドリブ歓迎

お前たちが"生きたい"と願うのは、恐らく当然のことで。お前たちは俺たちと、本質はきっと何にも変わらなくて。
だが互いに護るべきものが違う。それは相容れることがないから、戦うしかない。
…決着をつけよう。

▼戦闘
一般人を最優先に体力の低い者をかばう
捨て身の一撃、暗殺と併せ【buddy】を発動
この紫の眼が緋色に染まる
己の心臓が軋む。燃えるような熱が苛む
「――"Thys"」
融合しているUDC、闇纏い緋色の眼持つ巨大な犬の怪物の名を呼ぶ
咆哮の後、怪犬は敵を噛み砕かんと牙を剥く
――さあ。
喰らえ、砕け、奴の魂までも。


(お前たちの願いを奪ったこと。
お前たちが存在していたこと。
――俺は、忘れない。)


花菱・真紀
隙間女か…なかなか有名な怪異じゃないか。そんなあんたでも忘れられるのは怖いんだな…都市伝説は語られてこそ。結局はそういう人間依存の存在か。そういう関係は嫌いじゃ無いけどな都市伝説が牙を剥くなら俺は止めなきゃならない。それがあんたらを消すとしても…。

【バトルキャラクターズ】使用。2体くらいがいいかな。一体は【援護射撃】もう一体は接近戦だ【見切り】で回避しつつ【だまし討ち】をしつつ攻撃。

都市伝説は好きだけどUDCは好きじゃないんだすまないな。


紅葉・智華
※アドリブ、連携歓迎

凡ゆるモノはいずれ終わる。それを認められない駄々っ子には、キツイお仕置きが必要でありますね。

基本軸は、【UC:虚構の神脳】で不意打ちを事前に察知(見切り3)、回避する。あるいは友軍への進言で被害を最小限にします。
その際、敵の手数を減らす為に、右手の04MVで【UC:支配者の弾丸】、左手のSirius(鎧無視攻撃9)で【UC:連鎖する支配者の弾丸】の手数(2回攻撃4)で抑え込む。
仮に隙間少女が隙間に潜み不意打ちをするなら、本命の【UC:矛反転する見えぬ壁(WIZ)】で防ぎ(盾受け2)、壁からの高圧電流で敵の位置を特定、ないし反撃に驚いて姿を見せた敵を狙うでありますよ。


チガヤ・シフレット
忘れ去られていくというのは悲しいものだよなぁ。
しかし、ここは綺麗サッパリ過去の存在になってもらおうか。

生徒たちを巻き込まないように気を付けながら戦うとしようか。

可愛い少女の姿を撃つのは気が引けるが……まぁ、仕方ないよなぁ!?
最初は銃火器で牽制射撃と行こうか。【二回攻撃】で手数を増やしつつ、仲間への連携で【援護射撃】だ。
もし一般人を使ってきやがったら、悪いが殴って気絶でもさせてやるしかないな。それ以上は優しくできん。
隙を見て高速移動からのブレードでの一撃を喰らわせてやろう。
空間の裂け目ごとぶった切ってやるさ?

戦いが終わったら煙草で一服だ。
ふぅ……いつか過去になって消えるってのは私も変わらんかもな


シルファ・アルタミラ
(アドリブ歓迎)

恐れの中にある未知の物に対する確かな好奇心、それは都市伝説の様な話にしかない素敵な物、だからこそ人の心に寄り添ってこられたと思う。

でも実在する恐怖になれば都市伝説はもう二度と人の心に受け入れて貰えないでしょう。

その為に幾多の都市伝説の為にも必ず貴女を止めるわ。

【野生の勘】で相手の攻撃範囲とタイミングを出来るだけ見極めて回避しながら都市伝説に「巫顕戴霊の舞」で神主装束の神霊体になり攻撃

一般人を傷つけないように気をつけながら戦闘をするわ

誰からも忘れられるのは辛いものよね
私シャーマンなんだけど一緒に来ない?
貴女達の力を是非貸して欲しいの。
それに貴女達の事を伝える機会もあると思うしね。


ドゥルール・ブラッドティアーズ
忘れられたくない、消えたくない。それが貴女の本懐?
なら私が覚えていてあげる。私の死霊術は貴女のような子を救う為の力。
貴女は私と永遠になるの。この子のように!!

『愛の想起・妖狐烈刃乱舞』発動。
明日香の操る100本もの鋏を
小さな空間の裂け目で防ぎきれるとは思わないけど
跳ね返されると厄介だから【衝撃波】で
鋏を相手の目の前で爆発させるわ

爆発で相手が怯んだ隙に【ダッシュ】で接近し
隙間女を抱きしめ
頭や背中、お尻を撫でつつ【吸血】よ

抵抗など、ただの愛撫。【激痛耐性】【オーラ防御】
温もりと快楽に、身を委ねなさい。
貴女の亡骸(み)も 魂(こころ)も、私のモノ

明日香「ルル、大胆~。私と戦った時もそうだったね~♪」


リリーアン・ベル
生徒たち、とりあえず全員無事っスか!?
食べられたわけじゃなかったんスね、良かったっス

見た目は普通の人間っぽい女の子っスけど、やる気満々って感じっスね
こいつを倒して生徒たちと日常を取り戻すっスよ!

何はともあれ攻撃っス!ダッシュで一気に間合いを詰めてBSソードでスクラッパースラッシュを放ち大ダメージを狙うっス!
敵の攻撃を避けきるのはちょっと難しそうっスかね
部屋に落ちてる物とかキモ鳥の死体とかを盾にしてダメージを減らせないかやってみるっス
もし生徒が攻撃の巻き添えになりそうな時は身を呈して庇うっス

都市伝説が廃れてもすぐにみんな何か違う楽しみを見つけるっスよ
噂話はただの噂話として、大人しく消えるっス!!



「生徒たち、食べられたわけじゃなかったんスね……!」
 奇怪に広がる空間。
 現実の裂け目。
 “表”の世界には存在しない怪異。
 そこに閉じ込められた学生達の姿を見つめて、リリーアンはひとまず安堵していた。
「とりあえず全員無事、っスかね──?」
「……そうだな。でも、安全じゃない」
 理は油断のない口ぶりに、感情を含んだ声音を交ぜる。
 強い視線で見つめてしまうのは、生徒達の誰もが意識を失っているからでもあった。
 こちらから手が届かない以上、彼らは未だ敵の手中。閉じ込められている全員が、首筋に刃を突きつけられているのと同じなのだ。
 そしてそれを目の前の少女がやったのだと意識すると──単なる怒りだけではない心の波が生まれて、理は微かにだけ手に力が籠もる。
 隙間少女──消えた噂から生まれ落ちた一人の都市伝説。
 ボアネルは紅色の魔力を湛えながら、そのオブリビオンを見据えている。
「本来ならば人々を怖がらせるだけの無害な存在だったのであろうが……自らが消える恐怖に耐えかねてこのような暴挙に及んだか」
「でも……“隙間女”なんて、なかなか有名な怪異じゃないか」
 呟く真紀にとって、それは調べるまでもないことだ。
 都市伝説というよりも伝承と言っていいほど、元々の怪談は古来より語られている。
「そんなあんたでも忘れられるのは怖いんだな……」
「どんな噂も、どんな怪異も、語られなければ存在しない。人の口に上らなければ意味がない。……こうして実際に姿形を得ない限りは」
 隙間少女は言って一歩近づく。
 身振りもなく、空間に無数の裂け目を奔らせた。
 リリーアンは刃を構える。
「見た目は普通の人間っぽい女の子っスけど、やる気満々って感じっスね」
「何にしても、敵は敵ということだな」
 アンテロは泰然とした立ち居を崩さず、ロザリオを手にとっていた。
 白銀色に耀くそれは、空中に複数の像を映すように一瞬で複製されていく。きらりと煌めいたのはその全てが短剣状へと形を変えたからだ。
 そしてアンテロが紡いだのは、鷹揚な声音。
「──こんなに早くお会い出来るとは思わなかったよ、隙間少女様」
 仕草はどこか、挨拶をしてみせるように。
 瞬間、放ったのは聖の檻(ヒジリノオリ)。複数方向から刃を降り注がせ、隙間少女に襲いかからせていく。
 目を見開いた彼女は、瞬間的に裂け目を眼前に展開、刃の幾分かを虚空に消し去った。
 ただ、連撃をされれば脅威だと判断したのだろう。防戦には徹さず、男子生徒の一人を異空間から降り立たせていた。
「……う、ぅ……」
 呻く生徒は、朦朧とした意識に敵意を植え付けられ、アンテロに駆け寄ってくる。
 おそらく肉体は元の人間のまま。こちらが本気で迎え撃てば、その生命はたやすく散ってしまうだろう。
 敵にとって盾と刃を兼ねた、強力な存在。
 だが、アンテロはそれこそが狙いだった。
「では、おとなしくしてもらおう」
 手に握ったのは短剣の一本。それに毒を施して生徒の指を軽く切りつけた。
 神経に作用するそれは、ただの人間には抵抗することすらできない。生徒は苦悶を浮かべてふらつき、そのまま麻痺に見舞われていた。
 アンテロはその首根っこを掴んで、自分たちの背後へと放り投げる。少々手荒ではあるが──。
「なに、死ぬよりはマシだろう?」
 後ろへ倒れ込んだ生徒は、猟兵に守られる形となった。
 異空間から放つのは楽でも、再度異空間に捕まえるには敵自身が出向いてくる必要がある。彼女はそのためにわざわざこちらの渦中に飛び込んでは来ないだろう。
「……誘い水だったのね」
 隙間少女は、ほんの少し目を細めた。
 けれどそれで攻撃の手を緩めはしない。直後には裂け目を飛ばして攻撃しようとする。
 だがその直前、智華は短期の未来を読み取っていた。
「──攻撃、来るであります」
 電脳に電子が奔る。
 ナノ秒を上回る速度で積算が重ねられ、数秒先の像が紡がれる。
 虚構の神脳はそれを確かに、正確に弾き出していた。
「正面方向から、右方へ約十度。ボアネル殿への軌道であります」
「ああ」
 同時、ボアネルは横っ飛びに移動していた。
 その瞬間、未来予測と全く同じ攻撃が襲来する。ボアネルは銀の髪だけに微かに掠めさせ、飛来した裂け目を回避していた。
 少女は角度をずらして二撃目を試みている。
 が、それも予想の範囲内。智華は既に銃口を、少女に向けていた。
 眩い灯りが焚かれたかのような光がひらめく。Siriusの熱線が支配者の弾丸となって、狙い違わず足元を穿っていた。
 痛みに眉をひそめる少女は、しかし次の手を打てない。二挺目の04-MVが弾丸を連鎖させて、継ぎ目のない射撃を形作っていたからだ。
 熱で焼けた肌を弾丸が抉る。
 形を持った都市伝説にとって、それは未知の苦痛であったのかも知れない。
 一瞬少女がよろめけば、智華は視線は動かさぬまま声を投げる。
「今であります」
 それに頷きをボアネルは、光の円陣を輝かせていた。
 ──来たれ異界からの魂よ。闘争と流血を友とし、安寧と静謐を敵と呼び、戦場を自らの臥所とする戦士の魂よ。今一度蘇り、その力を我に示せ!
 発光した空中から、剣を携えた影が降り立つ。
 四本腕の戦士──彼方からの来訪者(サモン・プレデター)。一息で少女に迫ると四連の剣撃。嵐の如く刃を舞わせて、裂傷を刻みつけていった。
 隙間少女は防御するように一人の生徒を目の前に出す。
 だが戦士は生徒を傷つけず、眼前に迫ればその手を止めた。
 代わりに少女へ接近するのは、ボアネル自身。黒剣グルーラングを抜き放つと少女の横合いへと駆け、そのまま抜けるように一閃。確実な斬撃を叩き込んだ。
 一歩下がった少女は、戦士とボアネルに挟まれて一瞬だけ、惑う。
 ボアネルはその隙もまた逃さなかった。
「貴様を不憫に思う気持ちはある、己が消えるのは恐ろしいという感情も分かる。だがそのために人々を恐怖で支配すると言うなら、その凶行は我々が全力で止めてみせよう」
 淀まぬ意志を携えて。
 黒色の刺突が直撃し、その腕を貫いた。

 隙間少女は宙の裂け目へと退避していた。
 だがそのまま消え去りはしない。相手を逃せば困るのは、敵の方だからだ。
 故に、微かな苦痛を表情に見せ始めたまま、少女は呼吸だけを整えて降り立つ。
 零す声音は、こちらに反論するかのようなものだった。
「この恐怖は、私ばかりのものではないわ。都市伝説、伝承、怪異、皆の恐怖。だからこれは、皆を生かすための戦いなのよ」
「自分と、仲間……。始めから……全て、その為の行いだったのですね」
 隙間少女の切実な心を、ヴォルガーレは強く感じる気がする。
 不確かなものを確かにしたいと思う心。そこに少しだけでも、思うところは無いではなかったから。
(「それをただ「悪」の一言で切り捨てて良いのでしょうか……」)
 作られたものでも、そこには心があるだろうから。
 けれど、ヴォルガーレは唇をきゅっと結んで首を振る。
「それでも。どんな理由があろうと。罪の無い、無関係の人々を巻き込んだ貴女達の所業を……私達は見過ごす訳にはいきません……っ!」
「──ああ」
 小さく首肯する理も、刃を握って離さない。
 それが運命だと知っている。
「お前たちが“生きたい"と願うのは、恐らく当然のことで。お前たちは俺たちと、本質はきっと何にも変わらなくて。だが互いに護るべきものが違う」
 自分も相手も同じだから、それが同じくらい譲れないものだと判っている。
「それは相容れることがないから、戦うしかない」
 心の方向はずっと平行線なのだろうと、理は思う。
 交わるのは刃だけ──だからこそ。
「……決着をつけよう」
 少しだけ膝を落とす。瞬間、闇色が駆けた。
 暗色を抱いた刃を手に、理は一息に隙間少女の側面に接近している。敵の反応が一瞬遅れたときには、それを振るっていた。
 夜が形を持ったかのような昏き斬撃。肩口を切り裂いて、血潮のような靄を散らせた。
 敵はワンテンポ遅れて空間を裂こうとしてくる。
 が、理はそれにも構わない。刃を返す仕草は靭やかでありながら、裂帛の二撃目は力も重視して──裂け目を超える大振りの剣撃を用いて攻撃を当てていた。
 衝撃に煽られながらも、隙間少女は理の背後側に裂け目を生み出そうとする。
 が、その一撃は届かない。
「念動力誘導システム、リンク開始。ビームシールド・ビット広域展開」
 蒼いエネルギー光が瞬くと、それが緩い球状に拡張。まるで巨大な盾のように広がって裂け目を弾き飛ばしている。
 大地がビットコンダクターの能力で操る、ビットの群だ。
 念動力によって細かな機動を可能にするそれは、心に描いた通りに宙を舞い、広範囲の防御を可能にしていた。
 二手、三手と飛来する空間の切断面を、大地は全て防いでいく。
(「敵の能力そのものは、自由の利く力のようですが──」)
 そしてその一瞬の間隙に、大地は分析に入っていた。
 敵の挙動に、裂け目の動き。瞳に映した分だけでも、情報は十分にある。
 まず、裂け目自体の射程は部屋を網羅するほどにある。複数生み出すことも可能だ。だが一切の欠点がないかと言うとそうではない。
 裂け目は隙間少女の意思に従って生まれ、動く。だけに、隙間少女自身から距離が離れればその精度は落ちる。
 隙間少女自身は裂け目を利用して自由な機動が可能だが、屋内では完全にこちらの不意をつくことは難しいだろう。
 無論、敵が人質を持っていることは未だ脅威で、それこそがこちらの最大の不利だ。
「──だからこそ、守りが重要というところでしょうね」
 敵が放ってきた亀裂の嵐を、大地は光の壁で零さず防御する。
 同時に、放たれた二人目の生徒は攻撃せずにビット操作で受け止めていた。ビーム出力を抑えることで手足の延長となったそれは、生徒の体を敵から素早く簒奪していく。
 そんな仲間の戦いを眼前にしたヴォルガーレもまた、高揚していた。
 戦う決意によって躊躇いは消えている。
 残るのはただそれを求める本能だけ。
 鎮まったばかりの心が燃えて、闘争を欲して止まない。
 鉤爪を鈍く煌やかせて、敵の姿を見つめる。
(「普通の少女のような御姿……。ワタシの悪い癖、少しは抑えられるかなって思ったケド」)
 ──ダメ、みたいデス……!
 強者と斬り合いたい。未知の敵と戦いたい。疼く心が体を弾くように疾駆させていた。
 隙間少女は薙ぎ払うように大きな裂け目を奔らせてくる。が、ヴォルガーレはその痛みすら戦欲の糧にして止まらない。
「お返しいたしまショウ……その痛みを、ワタシの感じるこの熱デ──!」
 燃え盛る戦意をそのままぶつけ返すように、深紅の返礼(アイノオカエシ)──鉤爪を縦横に暴れさせて少女を切り裂いていく。
 呻くように倒れ込んだ隙間少女は、裂け目に入って姿を消した。
 無論、それは今の彼女にとって一時しのぎでしか無い。けれど同時に、緊急避難先としての役割は未だ果たしているのだろう。
 だがヘンペルは寧ろ悠々としていた。
 今この瞬間、隙間少女が部屋のどこに潜んでいるかは全く判らない。
 けれどそんな中ですら、演目を楽しむ観客のごとく。ヘンペルは飄然と視線を巡らせていた。
「──貴女のオリジナルは、なぜ隙間から人を見つめるのでしょうね?」
 否、この時はまさに、ヘンペル自身が舞台の中心だったのかも知れない。
 敵の視線を惹くように。
 自身の存在感を存分に知らしめてみせるように。
 諸手を広げて、ヘンペルは暫し演説をぶってみせている。
「気が付いて。ここにいる。私を見つけて──そんな叫びにも似た情念を、貴女から感じます」
『──』
 どこかから観ている。
 どこかから聞いている。
 それを確かに感じながら、ヘンペルは朗々と声を響かせた。
「忘れないで。見つけて。消えたくない──と。貴女の行動原理もまた、原型から大きく外れたものではないのでしょう」
 話は話。噂は噂。その性質からはどこまでも逃げられないと知らしめるように。
「何せ都市伝説、巷説、口承文芸……いずれも短期間で消える定めの噂話です。貴女方の悲哀も理解できようものです、が──」
 瞬間、ヘンペルは優しさすら籠めていた声音を止めた。
 それは自身へと迫り始めていた気配を感じ取ったからであるだろう。
「──少々、やりすぎです」
 攻撃をされる前に、ヘンペルは手を差し伸べていた。その声音が、その仕草が、敵の能力を相殺して少女を現実に引き下ろしていたのだ。
 無防備になったところへ、ヴォルガーレが連撃。爪で風を裂き、深々とその胸部を抉った。

「忘れられたくない、消えたくない……そう思い、抵抗するのは間違っている事?」
 膝をつきながら少女は声を零す。
 裂かれた胸からは靄が漂っている。
 それは裂け目でも塞ぐことの出来ない、確かな傷だ。
 それを手で押さえて、隙間少女は訴えるように視線を向けた。
「怪異、噂、伝承。人と共にあった存在が、形を求めるのは罪なの?」
「確かに、噂話も怪談も、ずっと人と一緒にあったものでしょう」
 シルファはそれを認めるように頷いた。
「恐れの中にある、未知の物に対する確かな好奇心。それは都市伝説の様な話にしかない素敵な物だから──」
 けれど、と。
 シルファは豊かな銀髪を揺らす。
「実在する恐怖になれば、都市伝説はもう二度と人の心に受け入れて貰えないでしょう」
 それはもはや伝説では無いのだから。
 真紀もああ、と頷いていた。
「だから、もし都市伝説が牙を剥くなら、俺は止めなきゃならない。それがあんたらを消す結果となったとしても……」
「ええ。人々の為に、幾多の都市伝説の為にも──貴女を止めるわ」
 光の粒子が渦巻いていく。
 目を閉じたシルファは艶やかに舞ってみせていた。いつしかその見目は神主装束へと変じ、揺蕩う霊力で袴を揺らめかるようになる。
 手には薙刀。
 美しくも鋭利な刃は、敵を討つ決意の表れだ。
 隙間少女は認めないというように首を振っている。
「忘れられれば、何も残らないのよ」
「わかるさ。それは悲しいものだよなぁ」
 チガヤは腕を組んで大きく頷いていた。
 だが、そこには戦いを譲るという意志はまったく介在しない。
「とは言え、ここではどちらかが勝ち、どちらからが負けねばならないんだ」
 硬質な響きは、腕先から銃身を伸ばした音。容赦も躊躇いもなく、そこには敵を穿つ為の弾丸が籠められる。
「ならば、そちらに綺麗サッパリ過去の存在になってもらおうか。可愛い少女の姿を撃つのは気が引けるが……まぁ、仕方ないよなぁ!?」
 耳が、足元が、体が震動するかのような発砲音。両腕からそれぞれ二連で銃撃し、隙間少女の腹部を貫いていた。
「……っ」
 少女は遅れて撃たれた事に気づき、裂け目による反撃を狙ってくる。
 だが、シルファが飛来するほうが疾い。一瞬で距離を翔けると薙刀で一撃、迅風の如き衝撃波を飛ばして体勢を崩させた。
「く──」
「遅いわ」
 彼女が後方に裂け目を生成して退避しようとすれば、すかさず地を蹴ってその真横へ。舞踏のように刺突を繰り出し、吹っ飛ばして異空間へ逃さなかった。
 鈍い音を立てて、隙間少女は壁に激突する。
 すぐに立ち上がり、無数の裂け目を降り注がせてきたが──その全てが炎と爆破に巻き込まれた。
 チガヤが火炎放射器の出力を最大にし、小型のナパームを交えて見舞っていたのだ。
 強烈な爆風と温度にさらされた空間の歪みは、裂け目が開ききる前に陽炎になって散っていく。
「援護はこのまま任せてもらおう」
「ならば、攻めておくわ」
 応えたシルファは止まらず飛翔している。
 低空を駆け抜ける形で爆風と裂け目の隙間を縫うと、敵の眼前へ。衝撃波を空圧の塊にして放ち、少女に触れさせると同時に炸裂させた。
 爆破に見舞われたように、少女は宙に煽られ倒れ込む。
 苦悶交じりに、生徒を操って前進させてきた。が、チガヤはそれも見逃さずに接近。受け止めも、説得もせず──その拳で直接殴って気絶させた。
「悪いが、これ以上は優しくできんのでな」
 それでも、生徒をこちらの手に戻すには十分だった。
 続くシルファの斬撃で敵に隙が生まれれば──チガヤは続けて縦横無尽の悪機(バッドランペイジ)。高速機動で奔り、エネルギーを纏わせたブレードを掲げていた。
 隙間少女は裂け目を盾のように展開する。
 が、チガヤは迷うことなく振り下ろす。
「その裂け目ごとぶった切ってやるさ」
 空間がひしゃげ、空気が薙ぎ払われる。裂け目を裂いた斬撃は、少女の半身に深いダメージを齎していった。
 隙間少女はよろめきながら、裂け目を連続で移動して距離を稼ぐ算段に出る。
 攻撃でも同じ轍を踏むまいと決めたか、直線上に裂け目を撃ってくるのを止め──足元や頭上からの奇襲に重きを置いてきた。
 が、その攻撃はことごとく、弾かれる。
 仲間を守るのは不可視の壁──智華の展開する、矛反転する見えぬ壁(ヴェンジェンス・ウォール)。
 電脳魔術に生み出されたそれは、ただ裂け目を受け止めるにとどまらない。その軌道を逆算し、辿るように高圧電流を放つ反撃能力でもあったのだ。
 追尾する雷光が隙間少女を襲い、全身に衝撃を与える。
 智華は冷静に見据えていた。
「凡ゆるモノはいずれ終わる。それを認められない駄々っ子には、キツイお仕置きが必要であります」
「うっス! こいつを倒して生徒たちと日常を取り戻すっスよ!」
 未だ火の粉が漂う中、リリーアンも駆け出していた。
 掲げるのはバラックスクラップソード。名の如く、スクラップを組み合わせた継ぎ接ぎな武器であったが──何よりの自信作。
 手に馴染むそれをしかと握り込むと、リリーアンは翼でも羽ばたいて全力疾走。余分な機動を取らず、一瞬のうちに敵に肉迫していた。
「これで──斬るっス!」
 力いっぱいに振り下ろす一刀は“スクラッパースラッシュ”。垂直に近い袈裟斬りで相手の片腕を寸断。透明色の靄へと散らしていく。
 隙間少女は歯噛みしながら、それでも空間ごとリリーアンを引き裂こうとしていた。
 けれど、その動作が一瞬前に阻害される。
「やらせねえさ」
 小さな呟きと共に、真紀がデバイスを翳していた。瞬間、電子の流れと符号が創り出していたシルエットが具現化され始める。
 それは二体のバトルキャラクターズ──真紀は一体を援護用として傍に控えさせると、もう一体を敵に接近させていた。
 ピクセルの動きがアニメーションを作る。眩いエフェクトと共に繰り出された剣戟が、隙間少女の背を切り裂いていた。
 敵が無方向、無差別に裂け目を降り注がせてくれば──真紀は援護役の一体に攻撃を打ち落とさせて事なきを得ている。
 同時に、接近戦役にさらなる剣撃を見舞わせていた。
 その手際に、一切の手加減はない。
「都市伝説は好きだけど、UDCは好きじゃないんだ。すまないな」
「……私達が世界にそぐわないのだとしても。私達の存在が満ちれば、きっと世界は変わるはず」
 隙間少女は唸りながら零す。
 それでもリリーアンは頷かなかった。
「世界にUDCを? それを許す自分達じゃないっスよ」
 横に投げ捨てるのは子喰い鳥の死骸。それを盾にして、リリーアンは裂け目の嵐を防ぎきっていたのだ。
 直後には再び剣を構える。
「都市伝説が消えて、廃れても問題ないっス。みんな、何か違う楽しみを見つけるっスから。だから噂話はただの噂話として、大人しく消えるっス!!」
 刹那、強烈な刺突。靄を飛散させながら、胸部を貫いた。

 倒れた隙間少女は、呟くように声を紡ぐ。
「私はただ、消えたくない──そして仲間と共にありたい……」
「……誰からも忘れられるのは辛いものよね」
 シルファは見下ろして、それから少し声を和らげて言った。
「私シャーマンなんだけど一緒に来ない? 貴女達の力を是非貸してほしいの」
「……。いいえ、駄目よ」
 少女は一度だけ見上げてから、首を振る。
「私達のような存在が、あなた達の仲間になるようなことも、時にはあるのでしょう。でも、仲間達で世界を満たして、人々に恐怖も危害も与える──私の目的はあなた達のものとは多分、合致しないわ」
 声音は静かなものだった。
 或いは、寂寞に満ちたものだったかも知れない。
「──それでも、忘れられたくない、消えたくない。それが貴女の本懐なのでしょう?」
 そう投げかけたのはドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。
 視線は妖艶で切実。
 一歩歩んで掛ける言葉は、愛情にも満ちたものだった。
「なら私が覚えていてあげる。私の死霊術は貴女のような子を救う為の力なのだから」
 ──貴女は私と永遠になるの。この子のように!!
 行使するのは愛の想起・妖狐烈刃乱舞(リザレクトオブリビオン・シザース・ダイアキュート)。妖狐『明日香』を召喚し、百もの燃ゆる鋏を放たせていた。
 火の雨、そして鋏を爆破させた衝撃波で隙間少女が怯んだ隙に、ドゥルールは床を蹴って彼女へ接近。抱きすくめ、吸血する。
「温もりと快楽に、身を委ねなさい」
 貴女の亡骸(み)も 魂(こころ)も、私のモノ、と。
「ルル、大胆~。私と戦った時もそうだったね~♪」
 明日香の声が響く中で、ドゥルールは隙間少女の生命の幾らかを吸い取る。
 少女には致命傷にはならず、至近から裂け目を放ってドゥルールを振り払った。が、瀕死に近いのは事実なのだろう、その仕草も弱々しいものだ。
 それでも、隙間少女は戦意を失くさずに裂け目を量産してくる。
「ここで絶えてしまうとしても……私は存在を少しでも、残したい……!」
「人に忘れ去られるのが、本当に嫌なのだなぁ……一層のこと、隙間から見守る女にでもなれば多少は愛されそうなものを──いや不気味には違いないな、忘れてくれ」
 アンテロは緩く首を振りながら、一切の油断はない。
 短剣を飛ばして自身に狙いを集め──敵が最後の生徒を放ってくれば、それをしかと受け止めて回収していた。
 ボアネルの剣撃も受けた隙間少女は一気に弱り始め、体を靄に溶かし始めていく。
「……私が消えたとしても、私に似た存在はまた生まれるはず」
「なら、僕たちは片っ端からあなた方の存在を否定して消し去るだけです。たとえイタチごっこだとしてもね」
 大地はただ事実を語るように言ってみせる。
 少女は僅かにだけ俯いた。
「……最後には、忘れられるだけだというの」
「ワタシは戦ってきた相手のコト、憶えてマスよ。──一戦、一戦、与えてくレル痛みも傷つける感触も高揚感も。全部全部違うんデスもの……!」
 ヴォルガーレは敵の放つ裂け目を縫い、爪を振るいながらも言ってみせる。
 それはきっと本心からの言葉だったろう。
「……だかラ、きっと貴女達の事も忘れまセンよ」
「ええ。貴女のことは、私たちが覚えていましょう。だから安心してお逝きなさい、お嬢さん」
 ヘンペルは静謐を満たすように、次々に裂け目を打ち消していた。
 それでも最期まで、隙間少女は抵抗した。
 それは都市伝説というよりも、オブリビオンとしての本能なのかも知れなかった。
 故に、理はためらわなかった。
 守りを捨てて奔る。
 フードの影の下で、紫の眼が緋色に染まった。
 己の心臓が軋む。燃えるような熱が苛む。それはbuddy(バディ)に喚びかける合図。
「──"Thys"」
 その名を口にすれば、理の体から立ち昇る黒い靄が形をとった。
 それは融合していたUDC。闇を纏い、緋色の瞳を持つ巨大な犬の怪物。瞬間、劈く咆哮を上げて獰猛に牙を剥いていた。
 ──さあ。
 喰らえ、砕け、奴の魂までも。
 理の意志と、全く同時。怪犬は少女に喰らいかかり、全てを噛み砕く。
 黒色に裂かれたその都市伝説は、まるで風のうわさが消えてしまうように。霧散して跡形も残らなかった。

 事後処理はUDC組織が受け持った。
 必要な連絡に、情報統制。元より生徒達が全員無事だったことで、事件は大事にはならずに収束の目を見ることになるだろう。
 “裏側学園”に拘束されていた学園の校長本人も見つかり、結果として死者は一人も出なかったことになる。
 ほどなく、学園は元の日常を取り戻すだろうということだ。
 そういった一連の情報を組織に聞いたあとで、猟兵達は帰路につくことになっていた。
 時刻はようやく最終下校時というところ。
 校舎から出た智華は、生徒達が下校していく姿を見つけた。
「これで仕事も終わり、というところでありますね」
「ええ……皆さんが無事に終わって、よかったですっ」
 ヴォルガーレも頷いて、その平和な時間を眺めている。
 チガヤは壁によりかかり一服。紫煙を空に昇らせていた。
「ふぅ……」
 生徒達を見やる。
 彼らは何の話をしているだろうか?
 都市伝説は、段々と忘れられていくのかも知れない。
 だからふと、呟いた。
「……いつか過去になって消えるってのは、私も変わらんかもな」
「……」
 仲間たちの声を背に、一度足を止めているのは理だった。
 ゆっくりと振り返る。
 夕日に照らされた校舎は眩しく、不思議と温かな印象を抱かせた。
 生徒達に恐怖を与える存在が消えてしまったからだろうか。
 多分、それは人々にとって良いことだったのだろう。
 ……それでも。
(「お前たちの願いを奪ったこと。お前たちが存在していたこと」)
 ──俺は、忘れない。
 理はそれだけを心に刻んで、踵を返して歩き出す。
 真紀も少しだけ、かつてそれが居た別棟を仰いだ。
「もう、人を襲う形で出るなよな」
 都市伝説は、語られてこそだから。
 世界に満ちなくても、全ての人間から忘れられることはない──自分のようにそれが大好きな人間だっているのだから、と。
 その言葉を聞く存在はもうないけれど。
 小さく呟きを残して、真紀も歩を踏み出した。
 学園にもう、怪異は無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月12日


挿絵イラスト