羅針盤戦争〜カルロスのコスプレコレクション・最終編
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「我が終の王笏島まで攻め込まれたのだ。最早何も言うことなどない」
宝に囲まれた部屋の中、見目麗しい男が衣装棚を開く。
「この島にあるのが我の全て。その全てを諸君らにお披露目しよう。それに相応しき装いなど、これ以外あるまい」
そこから外套を取り出し羽織り、頭には冠を乗せる。そして手に取るのは、青き地球儀と威厳を示すが如き笏。
「この世界はメガリスを用いた海賊たちが覇権を争っている。そしてそのメガリスを誰よりも持つ我こそがこの世界を統べる者、この世界の象徴よ」
己が世界に合わせるのではない、世界が己に合わせるのだ。傲慢にも程がある言葉だが、彼が言えばそれは決して妄言では済まされない。
「だが足りぬ。足りぬ故に我は船出する。この航海の向こうに、我を満たすものがきっとあろう! 『舵輪』よ、地図を塗り替えよ! 『鬼火』よ、我が船の行く先を照らせ! 『三つ目』よ、阻む獣を平らげよ! 『鮫牙』よ、我が膳に上るに値せぬものを喰らえ! 『邪剣』よ、浅ましき蛮人どもの文明を切り捨てよ! そして『桜花』よ、永遠に我の隣に咲きほこれ! 我は『王笏』、カルロス・グリード! 我こそがグリードオーシャンの王なり!」
王はここに、船出を高らかに宣言した。
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「皆さん、お疲れ様です……今日も、羅針盤戦争の、依頼です……」
アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)が集まった猟兵に頭を下げる。
「本日はオブリビオン・フォーミュラのカルロス・グリード、その本拠地の一つである終の王笏島へ向かっていただきます」
今まで何度も言ってきたこの案内も、恐らくこれが言い収めだ。
「ここはカルロスの拠点の中でも真の本拠地。彼の力の源であるメガリスが大量に貯蔵されています」
海賊たちの宝であり力の源であるメガリス。それを誰よりもかき集め所有しているのがカルロスだ。
「メガリスは一つでも規格外の力を持つ秘宝。彼は戦闘においてもこのメガリスをフル活用し、湯水のごとく消費しては攻撃してきます」
強欲であれど吝嗇ではない。失ったものはその倍を奪ってくればいい。それが海賊、カルロス・グリードの考え方なのだろう。
「鎖のメガリスでの拘束攻撃の他、召喚した幽霊全員にメガリスで武装させての攻撃。さらにはメガリスを破壊することで、それに応じたあらゆる行動を成功させることができます」
当然、猟兵一人を直接殺すには相当なメガリスが必要だろう。だが、彼自身もグリードオーシャン最強の男である。隙を一つ作る、攻撃を一度止める、その成功だけでも彼は自力でその機をこじ開け、戦局は彼に大いに傾くことになるだろう。
「もちろん、これらは先制で放たれます。ですが、それ以上のからくりはありません。とにかく、この先制を躱して反撃してください」
ほとんどの王笏島にあったその島固有の特徴はここにはない。あるいは、このカルロスの存在自体がこの終の王笏島最大の障害と言ってもいいのだろう。
「色々案内してきましたが、このメガリスフル装備形態が彼の一番のお気に入り衣装であり、本気モードです。どうか皆さん、お気をつけて……」
そう言ってアレクサンドラは、最後の航路へ船を進めるのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する』
何回紹介したか分からない先制攻撃。今回のギミックはそれだけです。いずれもメガリスを用いており強力な攻撃ですが、これを回避して初めて彼との戦闘に持ち込むことができます。
彼は今までのどのカルロスよりも強いですが、シナリオ自体の難易度は今まで同様『やや難』です。過剰に構えず、かといって油断なく、戦闘に注力してください。
彼はなんだかんだでこの格好が一番かっこいいと思っています。今までのコスプレは何だったんだとか言っちゃダメ。戦闘部分はガチにいきますが、服装にこだわりのある方は水を向けてみてもいいかもしれません。
それでは、王笏をへし折るプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『終の王笏』カルロス・グリード』
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POW : メガリス『鉄鎖ドローミ』
命中した【対象1体のユーベルコードを封じる鉄鎖】の【全長】が【対象を束縛するのに充分な長さ】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD : メガリス『オーシャンオーブ』
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【王宮にある大量のメガリス】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ : メガリス『さまよえる舵輪』
【様々なメガリス】で武装した【コンキスタドール】の幽霊をレベル×5体乗せた【空飛ぶ幽霊船】を召喚する。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
成程、確かに恐ろしい相手ですねぇ。
『FBS』を四肢に嵌め飛行、カルロスさんとの間に『FMS』により『板状のバリア』を複数形成、合間を不規則に飛び交う様『FSS』と『FRS』を配置しますぅ。
同時に『FTS』を離れた位置に配置し『王錫』のメガリスを『光線』で回収させましょう。
『鎖』で此方を狙うなら『F●S』の範囲を突破する必要が有り、貫くにせよ躱すにせよ『タイムラグ』が出来ますから、その間に[空中戦]で急旋回し躱しますぅ。
『回収』を嫌い『FTS』を狙ってくれれば更に時間は稼げますねぇ。
攻撃に回れたら【崇卓】を発動、『王錫』周辺に『恒星フレア』を発動し[範囲攻撃]しますぅ。
多数のメガリスを纏い立ちはだかる『終の王笏』カルロス・グリード。その前で、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は浮遊戦輪『FBS』を四肢にはめて浮遊しながら間合いをはかる。
「成程、確かに恐ろしい相手ですねぇ」
オブリビオン・フォーミュラであるカルロス、いわばその最終形態とも言える相手であり、その実力は折り紙付きだ。るこるはその攻撃を防ぐため、円盤『FMS』に板状にバリアを張らせて展開し、さらにその間を他の兵装を不規則に飛ばせることで前面の防御を固めた。
「防ごうと、躱そうと、どこまでもがこの鎖の届く範囲よ」
カルロスの手からメガリス『鉄鎖ドローミ』が伸びる。対象を拘束するに十分となるまでどこまでも伸びるその鎖は、瞬く間にるこるに届こうとした。
その先端をFMSのバリアが防ぐが、ユーベルコードの乗ったメガリスであるドローミの貫通力は強く、そのバリアは次々と貫かれていく。それに手を貸すかのように砲台『FRS』が砲撃を撃ちかけ、ビームシールド『FSS』がさらなるバリアを張って鎖の進行を阻もうとした。その間にるこるは鎖の射程から逃れようと空中で急速に展開を繰り返すが、兵装たちの抵抗を強引に潜り抜け、鎖はなおもるこるを追う。
「それでは……!」
さらにもう一つ、るこるは兵装をカルロスへ差し向けた。それは輸送を目的とする宝玉『FTS』。本来は物品の改修に使う非戦闘用の兵装だが、回収のための光線をカルロスに放ち、そのメガリスを奪い取ろうとする。
「愚かな。この程度で強奪を名乗るなどおこがましい」
手の王笏を振るい、その光線を打ち払うカルロス。光線に触れたことで笏がFTS側へ引かれるが、少し手に力を込めれば奪われずに済ませるのも容易い。とはいえ鬱陶しいことには変わりなく、カルロスは笏を力強く薙いでFTSを破壊せんとした。
笏が宝玉に当たり、それを地に叩き落とす。兵装たちの抵抗も、フォーミュラの力の前には全て無力ということか。
否、全てを完璧にこなすつもりなど最初からなかった。僅かな抵抗、僅かな手間、それの積み重ねが、るこるに鎖の射程から逃れるための時間を与えていた。ドローミはあくまで『拘束するに足る長さ』まで伸びるだけ。対象を捉えるまで伸びて追い続けるわけではなく、その長さ分を逃げ切るだけの時間を稼げればそれで十分なのだ。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その祭壇の理をここに」
その積み重ねられた時間の貯金を吐き出すかのように、【豊乳女神の加護・崇卓】を発動するるこる。様々な現象を作り出すその力で今回呼んだのは、恒星フレア……いわば太陽の炎。広範囲に放たれた業炎が、カルロスを取り巻きその身を炙った。
「く……急ぎ捉えよ、ドローミ!」
ユーベルコードさえ戒めるドローミに捕らえられてしまってはこの炎も消える。それだけはならぬと、まるで最後の力を振り絞るようにドローミを妨害する兵装たち。カルロスがダメージを受けたことで操作も鈍ったか、その勢いは最初より弱く、徐々に兵装たちに押し返され鎖の先端が下に向かって落とされていく。
「一つずつしか使えないのでは、いくらありましてもぉ」
多数の兵装を扱う者同士の戦いは、最後に自らが動いたるこるが制した。
終の王笏を終わらせる戦いは、こうして幕を開けたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…お前のような支配者は、この世界には不要よ
"影精霊装"を限界突破させて周囲を闇で覆い視界を閉ざし、
自身は"精霊石の耳飾り"で得た第六感を頼りに周囲の存在感を暗視、
闇を見通し攻撃を当てるように敵UCの発動内容を誘導し、
敵の攻撃を"怪力の呪詛"のオーラで防御して気合いで耐えUC発動
…一の王笏の真似事よ。お前も闇に沈むがいい
多少の負傷は吸血鬼の再生能力で治癒して、
"血の斬撃"を乱れ撃ち牽制しつつ超高速の早業で切り込み、
怪力任せに大鎌をなぎ払い敵を切断する2回攻撃を放つ
…っ、耐える事さえ出来れば此方のもの
もう一度、そのメガリスを使う隙は与えない
お前を討ち羅針盤戦争に終止符を打つ。消えなさい、終の王笏
カタリナ・エスペランサ
御機嫌よう終の王笏
その姿もこれで見納めかしら
絶対先制+確定成功、厄介ではあるけれど。破る為の手札は十分よ
《空中戦》の機動力、《見切り》からの《カウンター》、数多の《属性攻撃+弾幕》、《早業+怪力》のダガーと体術、ペンダントから光線を放つ《騙し討ち》、意識を《ハッキング》する《催眠術》の視線
敵UCに絶えず次の手で切り返し即座に体勢を立て直し続ける事で先制対策
《オーラ防御+気合い》で《継戦能力》維持
被弾も《封印を解く+ドーピング》の強化トリガーに利用
反撃は【虚実反証】、確定成功は確定失敗に反転する
計算を崩す初撃が一番の好機、最大火力を叩き込み流れを掴むわ
後は地力の勝負。最後まで油断無く叩き伏せる!
いくつもの分体、いくつもの衣装をもって猟兵の前に立ちはだかったカルロス・グリード。それらを悉く打ち破ってきた猟兵にとって、彼の顔は最早見慣れた……あるいは見飽きたものと言っていいだろう。
「御機嫌よう終の王笏。その姿もこれで見納めかしら」
それを見るのもこれでおしまいと、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)が鋭く言い放つ。
「そうだな。王たる我にここまで食い下がったのは賞賛に値するが、その命もこれまで……私のメガリスを見ながらあの世へ船出するといい」
見納めとなるのはそちらが死ぬから、傲慢にそういうカルロスは、しかしその言葉がただの虚言でないことが容易に分かるほどの力を滲ませそこに立つ。
「……お前のような支配者は、この世界には不要よ」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)がこの上なく静かに、そして冷たくそう言う。それは言葉だけではない。彼女もまた飽き果てる程にカルロスを殺し続け、その支配と存在を否定し続けてきた者。その支配を完全に断ち切るまであと一息。だが、カルロスが黙ってそれを許すはずもなかった。
「我からこの海を奪おうというか。その強欲、気に入った。褒美に我がメガリスをくれてやろう……砕け散った形でだがな」
そう言ってメガリス『オーシャンオーブ』を掲げるカルロス。そこに集まるのは、他のメガリスを代償としあらゆる願いをかなえる力。その規格外の力に、猟兵たちは各々の手段で耐えんとする。
リーヴァルディは『影精霊装』に限界以上に力を込め、その闇を周囲にまで伝播させた。その中に体を隠しつつ、自身は『精霊石の耳飾り』で第六感を強化し、視界が効かない不利を補う。相手が闇を見通す術を持っていないのは分かっているし、それでも先に攻撃を受けること自体は避けられないのも承知の上。闇の中、リーヴァルディはその時をじっと待ち受ける。
「絶対先制+確定成功、厄介ではあるけれど。破る為の手札は十分よ」
一方でカタリナは己の持つ力、技、そして道具をありったけ取り出し、それを全て放てるよう準備を整えた。地を這いくれば空を飛ぼう。組み伏せてくればダガーと体術で迎え撃とう。守りに入れば騙し討とう。相手の精神や思考を攻める術だって用意している。何をしてくるか分からないなら、何をされたって返せる準備をするまでと、カタリナは己の築き上げた者全てを惜しみなく敵の前に曝け出した。
「ふむ……どこからでも来い、と言いたげだな。では遠慮なく。オーシャンオーブよ、彼の者たちの守りを突き崩す力を!」
カルロスの宣言と共に、どこかで何かが砕ける音がした。そしてそれと同時にオーシャンオーブから強烈な光が迸り、それが二人へと一直線に走った。
リーヴァルディへ向かった光は闇を切り裂き、それを晴らさせる。影精霊装は切り裂かれ、その奥にあるリーヴァルディの体へと光の刃が突き刺さった。
だが、リーヴァルディはその光を、『怪力の呪詛』から放たれるオーラで強引に抑え込む。禍々しき闇が、王の放つ光を喰らいその届く量を大幅に軽減していた。それでも彼女の受けたダメージは浅くない。だが、これも全ては計算していたこと。来ると分かっている痛みなら、覚悟のしようはいくらでもある。
「……一の王笏の真似事よ。お前も闇に沈むがいい」
一の王笏がとった、闇に紛れ戦う作戦。ダークセイヴァーを故郷とし、一の王笏とも数え切れぬほど戦った彼女なればこそ、その模倣は完璧であった。
一方カタリナは、光に対し闇の属性攻撃を弾幕の如く放つことでその軽減を図った。別段彼女は闇の扱いを得手としているわけではない。ただ属性攻撃が来たら逆属性の弾幕で掻き消す、そう決めていたからそうしたまでの事だ。
闇の力は光を大きく削ぐが、多数の方策の準備をしていた故に切り替えが遅れたか、全てを消すことは出来ずやはりカタリナの体を切り裂いた。
しかしこれもやはり予想していたこと。どうせ喰らうのなら、耐えたうえで力にしてしまえばいい。追い込まれることで自らを追い込み、ギリギリの枷をはずす。
相手の行動を一点に絞らせる誘導と、何が来ても対処できるありったけの方策。二つの真逆の対策の上に、必ず成功する行動はただ『成功するだけ』に留められた。
そしてここからは猟兵の番。カルロスがその成功をこじ開けに来る前に、二人のユーベルコードが放たれる。
「……限定解放。忌まわしき血に狂え、血の寵児」
リーヴァルディは【限定解放・血の寵児】の仮面を纏い、吸血鬼の姿と力を得る。そのまま今自分が流した血と同じ色の魔力を圧縮し、攻め来ようとするカルロスに乱れ撃った。
「……っ、耐える事さえ出来れば此方のもの。もう一度、そのメガリスを使う隙は与えない」
もう一度、さらに別の願いを放たれたら今度は耐えきる手段はない。ならばその前に、あの王の命を削り切るのみと、深紅の刃をカルロスに差し向けるリーヴァルディ。
その斬撃の嵐を耐え、オーシャンオーブを掲げようとするカルロスの手に、カタリナの体が忍び寄った。
「絶対なんてものは“絶対に”存在し得ない――なんてね? 何事にも抜け道はあるものさ」
その体は、【虚実反証】にて伸ばした伸縮自在の身。その体を王笏で打ち払わんとしたカルロスだが、その腕はあらぬ歩行に向かって振り回された。
「……!?」
必ず当たるはずの攻撃が当たらない。そんなことがあるものか。あるのである。今のカタリナは『確定した因果を反転させ無効化する影法師』。確定成功の出涸らしを失敗に変えるなど容易い。
無論、さらにメガリスを捧げ願いを変えられればその限りではなかろう。リーヴァルディもカタリナも、敵に二撃目を許すことは絶対に出来なかった。
だからこそ、ここが最大にして最後の勝負所。
「お前を討ち羅針盤戦争に終止符を打つ。消えなさい、終の王笏」
「後は地力の勝負。最後まで油断無く叩き伏せる!」
寿命を削る鮮血の如き斬撃の嵐が、対処に使ったのと同等以上の全ての力が、守りを捨ててカルロスに叩きつけられた。
「メ、ガ……リス……ぐっ、オー、シャン……ぐあああっ!!」
再度の願いをかなえようとオーブを掲げようとするカルロスだったが、その腕は対に力なく落ち、体全体も崩れ落ちた。
確実な成功の先の勝利を、二人はここにもぎ取ったのであった。
大成功
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栗花落・澪
マリアさん(f15057)と
先制は【高速詠唱】で【破魔】を乗せた【オーラ防御】しつつ
幽霊船からの遠距離攻撃にも対応できるよう【聞き耳】で発砲音等を聞き取り回避優先
かつ足場にも破魔を乗せた★花園を広げる事で聖壁を生成
カルロスと幽霊船が近付いて来れないように
接近戦にさえ持ち込まれなければいくらでも対策出来るから
幽霊船はマリアさんに任せつつ
光魔法の【属性攻撃】でカルロスに攻撃兼目眩し
船突っ込ませられそうならこの間に一旦離れるけど…
成功失敗関わらず【指定UC】を発動
破魔を乗せた炎の鳥を大量召喚し
手数が足りないなら一部は幽霊船に送るけど
残りは全部合体させてカルロスさんにぶつけるよ
破魔は僕の十八番だからね
マリア・ルート
つゆりん(f03165)と一緒に。
強欲の名を名乗っちゃって、知らないわよ?
ちなみに『舵輪』はすでに死んでるわね、ふふ。
先制攻撃で幽霊船が出たのを確認したら【指定UC】発動。
幽霊船たちの船部分や可能ならメガリスを掌握して、相手が混乱している隙に幽霊船の舵輪を操作、乗組員ごとカルロスにぶつけたり同士討ちを狙うわ。(武器改造)
これで足止めを狙えれば重畳、あとはつゆりんに任せれば最悪幽霊船がうまく動かせなくても焼き払ってくれるでしょ。
カルロスや乗組員の攻撃は(戦闘知識)で回避。こちらは攻め込まず、銃で時折カルロスや乗組員に(フェイント)攻撃を放つくらいで。
やっぱ似合うわよその恰好。
あんたの死装束にね!
戦いはなおも続く。カルロスが何かを求め、それを奪わんと欲し続ける限り、彼の興す戦いは終わらないのだ。
「強欲の名を名乗っちゃって、知らないわよ? ちなみに『舵輪』はすでに死んでるわね、ふふ」
その欲深さを自らの名として掲げるカルロスに、マリア・ルート(千年の王国から堕ちのびた姫・f15057)がそう話しかける。
出陣前、既に死した『舵輪』を含め七大海嘯に呼びかけた王は、その時とは違う凄味を滲ませ彼女に答えた。
「我らは一定ではない。あの賞金稼ぎを召し上げるか『母』を下らせるか、空位となった席には新たな誰かが着こう。だが、決して他の者を着かせ得ぬ席を空けた……それだけは許せぬ!」
戦中彼の元に齎された急報。愛妻『桜花』の戦死を聞いたときから彼の表情には消えぬ怒りが刻まれていた。
だが、彼とて幾人もの人々を虐げ、その生活、感情を踏みにじってきたのだ。その因果を受けたとて文句を言える立場ではないはず。栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はその思いを込め、彼の先制に備える手を打った。
「とにかく止めるから、後は任せるよ!」
高速で呪文を唱え、破魔のオーラを展開する。その目の前で、カルロスはメガリス『さまよえる舵輪』を掲げ巨大な幽霊船を呼び出した。船の上には剣、弓矢、独鈷杵などで武装した数え切れないほどの幽霊が乗っている。事前の話が確かならば、あの装備は全てメガリスのはずだ。あれがカルロスが配下に下賜した者だと言うのなら、彼のメガリスの貯蔵量はどれほどあると言うのだろうか。
だがそれがどれだけであろうと、成すべきことは変わらない。澪は幽霊船の砲撃に備え耳を澄ませつつ、足元に聖痕から広がる花園を展開し、敵を払う領域をさらに広げた。
幽霊船が砲を一撃放ち、それを合図としたかのように幽霊海賊たちが一斉に船から飛び降り、二人へ殺到した。
「来た、とにかく……!」
オーラの障壁と花園の破魔。一体一体はさして強くない幽霊たちはそれに触れてほとんどが消滅していくが、中にはメガリスの効果で強靭な肉体を持った者や何がしかの代償を背負い強化された者、また飛び道具のメガリスを持ったものなどが破魔の守りを抜け、澪に攻撃を届かせた。
だが、澪は花園を広げ後退し、決して接近戦に持ち込まれぬようにしながら幽霊たちをいなしていく。飛び道具は致命的なもの以外はその身で受けることも視野に入れ、伸びて掴もうとしてくる腕や崩壊も厭わず掴みかかってくる狂戦士はオーラを強め打ち払う。その守りの果て、最初の攻勢はようやく一度止んだ。
「後は任せて、つゆりん! たまには搦め手もってね。空も海も何もかも、今や全てはあんたの敵よ」
先制の対処を澪に任せ力を蓄えていたマリアが、ここに来て動く。【環境掌握する創世の力】の赤い霧が辺りに広がり、戦場を包んだ。それと同時に、まだ乗組員の残る幽霊船がぐらりと傾く。
「何……?」
自身が直接操作しているわけではないが、メガリスの力で従える船がなぜこのようなことに、カルロスのその疑問をさらに深めるかの如く、幽霊船の舵輪が大きく回りその船首を思い切り回頭させた。
この赤い霧の力は無機物の操作を一時的に奪い取り、攻撃に使うこと。幽霊を操ることは出来ないが、船ならば別。そして船を使う最も効果的な攻撃と言えば。
「まさか……来るな、馬鹿者が!」
その巨体が幽霊を跳ね飛ばしながら、カルロスへと思い切り迫る。さらに一つ一つの効果が分からない故使いこなすことは出来ないが、幽霊の持つメガリスをも奪い取り、その武器に幽霊を引きずらせるような形で見た目通りの武器としてカルロスに攻撃させていくマリア。
それをかわそうとするカルロスに、澪が船の軌道から離れつつ光の塊をぶつけた。
「やめ……ぐおぉぉっ!?」
それは他愛ない目くらましでしかなかったが、眼前に迫る巨大な脅威を直視させられなくなれば十分。カルロスは幽霊船に跳ね飛ばされ、メガリスを凶器としていくつも叩きつけられた。
そうして止まったカルロスに、さらなる追撃が重ねられる。
「鳥たちよ、どうかあの人を導いてあげて」
【浄化と祝福】の、鳥の形をした破魔の炎が、一斉にカルロスへと襲い掛かった。先の防御のオーラに込めた者とは段違いの破魔の力が、幽霊船もろともカルロスを焼く。
澪はマリアのユーベルコードの為に一人先制を引き受けた。そしてそのユーベルコードは、澪が炎を全て差し向けるための足止めとして使われた。互いが互いの為に自らを捨てる戦いは、結果的に浄化の炎となってカルロスを燃え上がらせたのであった。
幽霊船やそこに乗る幽霊諸共に燃え上がるカルロスに、二人は告げる。
「やっぱ似合うわよその恰好。あんたの死装束にね!」
お気に入りの服で最期を迎えろと言うマリアに。
「破魔は僕の十八番だからね。奥さんによろしく」
愛する妻と同じ所へ払われて逝けと告げる澪。
欲を浄化され切れば強欲のみによって成り立つ男に何が残るのか……それはもしかしたらもうすぐわかるのかもしれない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
マリン・フィニス
『舵輪』は既に滅び、『鬼火』『桜花』も風前の灯火
『邪剣』、『鮫牙』、そして……
……
……あと一人も近く滅びる事になる
(名前をド忘れしたらしい)
……7大海嘯は、此処で滅びるのだ。『王笏』
相手の幽霊船召喚に対し空中戦もできるサメットに騎乗。
こちらもメガリス『蒼海の鎧』の《天候操作》の力で雨を呼ぶ。
そこに破裂で電撃をまき散らす《電撃属性》と、同じく破裂で冷気をまき散らす《氷結属性》のバブルをばら撒いて雨も利用しつつ迎撃。
バブルに紛れUCの準備を開始、
出来る限りひきつけ……【ウェーブ・ブラスター】!!
水を生み出すメガリスの力と合わせ、例え空中だろうとその全て、押し流して見せる……!
※アドリブ歓迎です
ヴィクトル・サリヴァン
ここまできて今更引くのもねー。
やっぱりこういうのはやりきらないと、徹底的に倒しつくそうか。
破魔の力乗せた結界術で柱を幾つか形成、幽霊船の周囲を囲うようにして動きを妨害する。
船員たちが仕掛けてきたら高速詠唱から破魔の力付与した全力の水魔法で聖水弾作り連続で発射、成仏は無理でも一時的に動きを封じるか封印できれば十分。
野生の勘を活かしてヤバそうな気配…メガリスの遠距離攻撃とか察知したら付近の地形を利用し隠れ射線を通さないようにする。
十分耐え準備できたらUC起動。浄化の聖属性と津波を合成、更に電撃属性も付与して聖なる津波を幽霊船と王笏に叩きつけて幽霊の浄化、王笏の感電を狙うよ。
※アドリブ連携等お任せ
カルロスは強く、残された時間は少ない。だが、それが完全な勝利を諦める理由にはならないことは誰もが分かっていることだ。
「ここまできて今更引くのもねー。やっぱりこういうのはやりきらないと、徹底的に倒しつくそうか」
ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は落ち着いて、しかし揺るがぬ意思を込めてカルロスにそう言った。
「『舵輪』は既に滅び、『鬼火』『桜花』も風前の灯火。『邪剣』、『鮫牙』、そして……」
戦前にカルロスの呼んだ名を改めて並べ、その全てが今や窮地にあることを彼に伝えるのはマリン・フィニス(蒼海の騎士・f26997)。絵図はそこからさらに更新され、倒れた者二人、力尽きかけている者三人。そして。
「……」
しばし無言。
「……あと一人も近く滅びる事になる……7大海嘯は、此処で滅びるのだ。『王笏』」
名前をド忘れしたらしいが、おくびにも出さずクールに決めるマリン。
「『三つ目』だな。気持ちは分かる。我もよく『森羅』と呼び間違え嫌な顔をされた」
比較的新参なのかもしれないその彼も、今や他よりまし程度の余力しか残っていない。今こそ七大海嘯を詰める時。
だが、今までのフォーミュラ軍と同じく、彼らもまたその王こそが最強の駒である。その力を示すが如く掲げられた舵輪に導かれ、再び巨大な幽霊船が姿を現した。
その幽霊船の出航を阻むため、ヴィクトルは破魔の力を柱状に固め、その前に配置する。柱と柱の間に結界が張られ、せき止められたかのように幽霊船は進行を停止した。
その船の上に、愛鮫『サメット』に跨ったマリンが飛び上がる。
「船よ、荒れ狂う天の前に沈むがいい!」
彼女の纏うメガリス『蒼海の鎧』の力で天に雲を呼び、雨を降らせるマリン。その豪雨の中をサメットはまるで水中のように飛び回り、雷神と化したかの如く電撃を放った。さらにマリン自身もバブルワンドを構え、そこから氷結の力を宿した泡を船上へとばらまく。
動けない船の上で雨に降られ、雷に撃たれ、寒さに凍える幽霊海賊たち。それはまるで死した瞬間を再度追体験させられているかの如き凄惨なる光景。
その幽霊たちに、前方からもう一つの津波が襲い掛かる。
「成仏は無理でも一時的に動きを封じるか封印できれば」
ヴィクトルが高速で作り上げた、破魔の力を込めた水、聖水の海嘯が船に叩きつけられ、幽霊船員たちを封じ、消していった。
恐るべき災害と、安らかなる恵み。それは水と海の持つ二面性であり、そのどちらともを知るのが海賊である。今、幽霊たちはその二つによって押し返された。ならば次はそれを作り、操った者の番。
「貴様らに沈むことは許されぬ! 何度でも這い上がり、公開を続けよ!」
舵輪を振りかざし、霊たちに安らぎを許さぬカルロス。その冒涜者に、海の怒りを教える番だ。
「……ただ、押し流すだけだ。ウェーブ・ブラスター!」
その浮き上がりかける船諸共、マリンの【ウェーブ・ブラスター】がカルロスを飲み込んだ。自らの力によって呼んだ雨と氷を乗せ、空中だろうと大津波を作り出し船とカルロスを押し流していく。だが、巨大な障害物と化した船を大波の中かろうじて避けるカルロスに、さらなる追撃がかかる。
「海と空と言うのは本当に制御のきかないものだ。呼んだ俺にさえね」
呼ぶのは津波、込めるのは聖属性。【エレメンタル・ファンタジア】の呼んだ聖なる津波が、安らぎの海底へと鎮めるが如く幽霊船を押し流し消していく。
一方で、安らぐに相応しくない邪悪な王への制裁として、津波の中に電撃が放り込まれた。その電撃は津波を巡り、カルロスの体を駆け抜ける。
さらに荒れ狂う津波はマリンの呼んだ極冷の津波と合体。冷たく凍え、雷落ちる死の津波となって王笏を容赦なく押し流した。
「我は沈まぬ。海の全ては我が物ぞ……!」
自らの所有物たる海が牙を剥くことなど。その傲慢な言葉は、どこまでも無慈悲な津波の中に消えゆくのであった。
大成功
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カシム・ディーン
機神搭乗
やはりフォーミュラは恐ろしいですね
「怖いのご主人サマ?メルシーがいるから安心だよ!」(鶏立体映像
そうですね…最悪お前を生贄にして逃げますか
「やーん!鬼畜!(でも最悪その手も必要かもね?)」
対pow
機神
【情報収集・視力・戦闘知識・属性攻撃・迷彩】
光属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠しその上で迷彩で存在の捕捉を妨害
強化された視力でその動きと癖
鉄鎖の性質と動きを見切り回避に努
それでも回避困難時は脱出口だけは確保
カシム脱出!
こういう手もありですよ
UC発動
攻撃力強化
【属性攻撃・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
バリアを纏ったまま各属性を強化
燃やし凍結させ毒も仕掛けた上で短剣による連続斬撃
鉄鎖強奪狙
御剣・刀也
さて、大将首との勝負
嫌がおうにも燃えてくるもんだ
さぁ、やろうか。俺かお前、どっちかが倒れるまで、存分に戦おうぜ
メガリス『鉄鎖ドローミ』は、刀と違い、鞭のようにしなり、直線的ではなく、思いもよらぬ動きで振るわれると思うので、第六感で鎖の溜めの一瞬を察知し、動きを感じとり、見切り、残像で避け、次の攻撃が来る前に勇気で恐れず、ダッシュで懐に飛び込んで捨て身の一撃で斬り捨てる。
「メガリスでもなんでもねぇが、こいつの切っ先に触れれば斬れるぞ?俺の一撃、受け止められるなら受け止めてみろ!」
幾度凌がれてもなお戦いを止めぬカルロス。羅針盤戦争最後の障害の名に相応しきその男の前に、今度は二人の猟兵が立った。
「さて、大将首との勝負。嫌がおうにも燃えてくるもんだ」
御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)はカルロスのその覇気、威容に一切怯むことなく、最後の敵との勝負にその身を滾らせる。
「さぁ、やろうか。俺かお前、どっちかが倒れるまで、存分に戦おうぜ」
この戦いに痛み分けはない。力尽きるまでの戦いを刀也は宣言し、カルロスもそれを承諾するかのようにメガリスを手に取った。
「やはりフォーミュラは恐ろしいですね」
その姿に、界導神機『メルクリウス』の中でカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は率直な感想を漏らす。
「怖いのご主人サマ? メルシーがいるから安心だよ!」
そのメルクリウスの人格であり、今は鶏の映像を投影しているメルシーが普段と変わらぬ調子で語り掛けた。それを聞き、カシムも普段から彼女と言い愛するときの調子に戻り答えた。
「そうですね…最悪お前を生贄にして逃げますか」
「やーん! 鬼畜!」
その言葉に、メルシーは明るい非難の言葉を返す。
(でも最悪その手も必要かもね?)
この強敵に勝利し主を守るためならばそれをも辞さない。その決意を秘めて。
その二人を戒めるべく、カルロスはドローミを伸ばし、差し向けた。対象を拘束するに十分な長さまで伸びるドローミは長身の刀也、そして巨大な機神さえ戒められる長さとなって二人へと襲い掛かった。
その鎖の前で巨大な機神が揺らぎ、消える。
「これで誤魔化されてくれれば……」
光属性を期待に付与し、屈折させた光学迷彩。これでは通常の目で視認するのは困難を極めるであろう。だが、相手はメガリスという不思議、理不尽の塊のような存在。一体何によって相手を捕捉しているのか、ほとんど動きを乱すこともなく機神の周囲を取り囲んでいく。
「やっぱりこれだけじゃダメか……なら!」
さらに機体に別の迷彩も施し、ドローミの拘束を惑わせていく。その甲斐あってかドローミの動きは鈍くなり、拘束に際して無駄な動きが増え始めた。
その動き方をじっくりと見て、特徴を観察するカシム。
「これなら……もう少しか……!」
全てを見極めるまで拘束され切らないことを祈りつつ、カシムは鎖の動きを注視し続けた。
「メガリス『鉄鎖ドローミ』は、刀と違い、鞭のようにしなり、直線的ではなく、思いもよらぬ動きで振るわれるだろう……となれば」
一方刀也は、ドローミを武器の一つとして捉え、その動きを見切ることに集中する。天武古砕流という剣術を継承する彼は、武術家として研ぎ澄まされた直感で迫りくる鎖に残像を残して避ける。
第一の拘束はそれで外すことができた。通常の鞭や鎖分銅ならそれで死に体。だが、これはメガリス。一度外れても再度拘束をかけんと、軌道を変え刀也を襲う。
刀也もそれは分かっていたこと。そしてこのあまりに不可解な曲線の動き、いつまでもかわし続けられるものでもない。だから、刀也はここを攻め処と断じた。
「長物共通の死角……ここだ!」
切り結ぶ太刀の下こそ地獄なり。勇気をもってその地獄に一歩踏み込めば、その先に何があるか刀也は良く知っていた。
一気に踏み込み、走った刀也が目指すは敵の懐。長く伸びる武器程間合いを詰められてしまえば弱い。無論カルロス自身の徒手とて達人級の力があることは想像に難くないが、それを恐れていては攻める手がなくなってしまう。
「メガリスでもなんでもねぇが、こいつの切っ先に触れれば斬れるぞ? 俺の一撃、受け止められるなら受け止めてみろ! この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」
全力の上段の一撃、【雲耀の太刀】がカルロスの肩口から深くその体を切り裂いた。
その頃、機神はついに鎖に囚われ戒められていたが、その一か所、搭乗口が開いていた。
「メルシー、宣言通りにさせてもらう。こういう手もありですよ!」
搭乗口から、メルクリウスを乗り捨てカシムが飛び出した。その体には、数多の属性で作られたバリアが多重に纏われている。ドローミを阻害し、完璧な拘束が成る前にカシムは離脱。機体を巨大な立てと囮とすることで自身は力を残したまま攻勢に出た。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……竜の中の竜……世界を蹂躙せしめた竜の王の力を示せ……!」
彼が纏うのは彼の帝竜ヴァルギリオスが纏った恐るべきバリア。【帝竜眼「ヴァルギリオス」】で作られたそれは本物には及ばずとも、防御と攻撃を同時に強化し、カシムの持つ短剣にいくつもの力を宿らせる。
「燃やし凍結させ毒も仕掛け……それを貰います!」
狙うはカルロスの手。そこに握られるドローミを奪わんと、多重の属性を乗せた短剣が何度となく振るわれた。
肩から切り裂かれていたカルロスの握力は弱り、ついにドローミを取り落とす。
「我から、奪うというのか……!」
「そういうことです!」
「最も、本当に欲しいのはこっちだ」
返す短剣の刃がカルロスの胸を突き、横薙ぎにされた一撃がその首を払った。とっさに笏と地球儀を上げ、それを防ぐカルロス。だが、一度防がれようと込める力は揺るがず、逆にカルロスの力はどんどん弱まっていく。
「我からメガリスを剥ぐか……この装いこそが我。我と宝は不可分よ……」
彼の命とも言える秘宝メガリス。そのメガリスに、ぴしりとひびが入る。
「数多の世界、数多の装い……願わくば、その世界の海にて装いたかったものよ!」
彼の多数の服装は、未だ本物を知らぬ世界と海への憧れからだったのか。その答えを聞けぬまま、二つのメガリスが砕け散り、二つの刃が心臓を抉り首を刎ねた。
メガリスの欠片を残し、カルロスの骸は消えていく。彼もまたオブリビオン。船出するのは骸の海が相応しいということか。
数多の海を目指し、数多の服に身を包んだ男カルロス・グリード。その最期に彼は自ら選んだ最高の装いを纏い、あるべき海へと旅立ったのであった。
大成功
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