羅針盤戦争〜決戦!三つ目の兄弟最後の日!
●切っても切り離せない兄弟の絆という名の身体。
「大変だ! オルチ兄!」
「なんだ! ハイレディン!」
「猟兵共にここの場所がばれちまった!!」
「んだとぉ!? だが、ハイレディン! 災い転じて福をなすって言葉ぁ知ってるか?」
「知らねぇよオルチ兄!」
「簡単に言えば、好機ってことだよ! わざわざ出向かずに猟兵達が向こうからやってくるんだ! こうも楽なことはねぇよ! そのままの勢いでグリモアも奪い取ってやる!!」
「流石オルチ兄は頭良いな!」
「お前の兄だからな! ハイレディン! 俺達兄弟と!」
「オルチ兄の生物を退化させる『オルキヌスの瞳』があれば!」
「「俺たちは無敵だ!!」」
かくして、七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟は猟兵達を迎え撃つべく、隠れることもなく堂々と島の断崖で猟兵達を待ち構えるのだった。
●三つ目を仕留めよ
「皆、集まってくれてありがとう。皆のお陰で続々と敵の本拠地を暴くことが出来たわ」
集まった猟兵達にドレスの裾を摘まみ礼儀正しく一礼するのはフローディア・クレセント(真紅の機工姫・f29912)だ。
長きにわたる戦争で全員が疲労を隠せない中、彼女もまたやや疲れの色を隠せない。だが、ついぞ敵の本拠地を暴くことが出来たのだ。これを潰せば戦争決着まで一歩近づく。
「皆に向かってもらいたいのは『三つ目島』。名前の通り、三つ目のバルバロス兄弟の本拠地よ。自意識過剰なのか、それとも何も考えてないのかわからないけど、断崖で堂々と待ち構えてるみたいね」
まるで物語のクライマックスシーンみたいね、とフローディアは呟く。
「頭は悪そうだけど、その実力は本物よ。断崖には鳥だったモノが変化させられた原初の魔物がバルバロイ兄弟の近くを飛んでいる。それに加え、先制でユーベルコードを仕掛けてくるわ。これら二つの対処できるすべを持たないと、キャバリアに乗っていたとしても瞬く間に潰されるわ。相手は幹部級。それにふさわしい力を持っているわよ。頭は悪そうだけど」
大事なことなので二回言ったのだろうか。多分そこまで大事なことではない。
「戦いも大詰め。ここは完全勝利を目指して、三つ目に引導を渡してあげましょう」
そういうと、フローディアは可憐で細い手を猟兵達へ差し出し、手を取った者たちを戦場へとエスコートしていくのだった。
暁月
はい、暁月です。タイトル通り三つ目決戦最後の日です。
OPで言った通り場所は断崖絶壁。気流は高高度は安定しておらず、崖の上から攻撃するのも難しいです。
バルバロイ兄弟の周囲には無数の原初の魔物に変えられた鳥がハゲタカのように猟兵達を狙ってきます。同時に先制でユーベルコードも仕掛けてくるので両方に対処してください。
プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードと、「原始の魔物」に対処する。
いつも通りキャバリア歓迎です。海上ではなく陸上での戦いとなりますが、皆さん頑張ってください。あと花粉は死んでしまえと思う。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』
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POW : フォーアームズ・ストーム
【四腕で振るった武器】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 「オルキヌスの瞳」
【弟ハイレディン(左頭部)の凝視】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【肉体、精神の両面に及ぶ「退化」】で攻撃する。
WIZ : バルバロス・パワー
敵より【身体が大きい】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
イラスト:ちーせん
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携OK!
堂々と待ち構えるとは豪胆デスネー!
OK、その意気に乗って、ワタシも堂々と戦いマース!
飛んでくる鳥には内蔵式火炎放射器を向けて散らしマショー。
原初に戻った獣だからこそ、より一層火に怯えるデショー?
怯えなかったら全部焼くだけデス。
一方で油断できないバルバロス兄弟。
まともに受け止めては武器が砕かれ、追撃で仕留められマスカラネー!
ファルシオンを構えたまま、慎重に距離を測り、先制攻撃の来るタイミングを見計らいマース……!
振るわれた武器を紙一重で避けて、それは残像デス! をして、懐へ入り込みマース!
大振りの隙を逃さず、お返しのUC《剣刃一閃》!
これにて、一刀両断であります!
片桐・公明
【POW】
人を射殺すほどの冷たい表情と視線で敵に相対する
相手の先制攻撃は正面から妖刀と[オーラ防御]で防御する
ただし正面から防ぐのではなく、斜めにすることで相手の力を逃がし受ける衝撃を最小限に抑える
「強い攻撃も、こうされてちゃ形無しね。」
「少し独りよがりが過ぎたのではなくって?」
原始の魔物に対しては拳銃で牽制する他に敵の攻撃を誘導して同士討ちを狙う
以降こちらのUCで攻撃する
攻撃は相手の死角から急所を狙い、無理に連撃は行わない
初撃以降、敵UCも通常攻撃も少々過剰気味に回避に徹する
「腕が多かろうと、頭が2つあろうと、人体が基礎にあるのであれば、殺せぬ通りは無いわ。」
(絡み、アドリブ歓迎です。)
黒影・兵庫
(「黒影。真正面から戦うのは避けた方がいいわ」と頭の中の教導虫が話しかける)
わかりました!せんせー!
(「良い返事ね。さてどう戦う?」)
『迷彩』効果を付与した『オーラ防御』のバリアで『目立たない』ようにして
『動物と話す』スキルで島中の虫から敵の位置を『情報収集』し
『念動力』で操作した{錨虫}で原始の魔物たちを奇襲します!
敵大将のオルキヌスの瞳は『衝撃波』を使った『ダッシュ』で視界の外に退避し
念動力で{皇糸虫}を操作して敵大将の『捕縛』を試みます!
捕縛したらUC【蟷螂の鋸】で召喚した伐採兵の皆さんの回転鋸で敵大将を切り裂いてやります!
(「よし!作戦開始よ!」)
おーっ!
●真っ向勝負!! いざ尋常に 始め!!
「来たよ! オルチ兄! 猟兵達だ!」
「おうよ! ハイレディン! 来たか!! 猟兵ども!!」
『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』は予知通り、隠れ潜むこともなく断崖絶壁に立ち猟兵達を待ち構えていた。
周囲には退化の瞳により、変化させられた原初の魔物が獲物を狙うハゲタカのように旋回している。今すぐ襲い掛からないのは、彼らが主バルバロス兄弟の指示がないからだ。もし、身勝手な行動をし動けば命を砕かれるのは自分自身だと獣たちは本能で理解していた。
「堂々と待ち構えるとは豪胆デスネー! OK、その意気に乗って、ワタシも堂々と戦いマース!」
バルバロス兄弟に対し、正々堂々と立ち向かう構えを取るのはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)だ。
傍には片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)が目で人を射殺すほどの絶対零度の冷たい表情と視線をバルバロス兄弟へ向けるが、彼らはそんな視線を受けてもどこ吹く風だ。それ以上の殺意も視線も受け続け、奪い虐殺してきたのがこのバルバロス兄弟だからだ。
「俺達相手に正々堂々だってよ! オルチ兄!」
「ガッハッハッハ!! そんなこという奴らは全員海の藻屑になるか、俺たちの身体になっていった! お前たちの身体も全部奪い尽くしてやる! そしてこれからもだ!!」
大気を震わせるほどの覇気が猟兵達に叩きつけられるのを合図に、上空を旋回していた原初の魔物たちが一斉に猟兵達へと襲い掛かる。
元は鳥だった原初の魔物たちの体格は2mを超える巨大な鳥となっている。鋭い爪や嘴は当たれば肉を抉り取るだろう。
原初の魔物たちに対し、バルタンは火炎放射器を持ち出し、片霧は拳銃を向け引き金を引こうとするが、それよりも速く森から何かが飛び出した。
それは虫の大軍だ。何かが森に現れた際、臆病な虫が我先にと逃げ出すのはそう珍しいことではないが、今回は逆に虫たちが一斉に原初の魔物へと向かっていく。
それは本来あり得ないこと。だが、それを為しえた者が森の中へと潜んでいた。
(「黒影。真正面から戦うのは避けた方がいいわ」)
頭の中の教導虫が話しかけるのは、隠れ潜み島全体の虫たちから情報収集していた黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)だ。
「わかりました!せんせー!」
(「良い返事ね。さてどう戦う?」)
黒影は必死に考え込み、森の中に住む虫達の手を借りることにたどり着く。だが、ただ虫の力を借りただけでは無意味に虫たちの命を散らしてしまうだろう。大量の虫をけしかけたとしてもバルバロス兄弟はおろか、原初の魔物一匹にすら勝てないだろう。そこで、黒影は自らの念動力で虫たちを強化させ強襲させる手を提案する。
その考えにせんせーと呼ばれた教導虫は満足そうに頷く。
「いい考えね。あの幹部には先制攻撃されるけど、原初の魔物は別。まずはそちらを片付けるのね」
「はい! せんせー!」
「なら、行きなさい。タイミングは一度切りよ」
「はい!!」
「よし!作戦開始よ!」
そうして森の中へ『迷彩』効果を付与した『オーラ防御』のバリアで目立たないように潜んでいた黒影は狙いを原初の魔物へ定め、機会をうかがい奇襲を仕掛けた。
当然、バルバロス兄弟も反応する。幹部級オブリビオンの超反応で迫る黒影へ向けてオルキヌスの瞳を向ける。
一瞬、視界に入ったものの視界には多くの虫たちが視界を塞ぎ、その中に紛れるように黒影は自らを衝撃波で勢いよく飛ばし視界から瞬く間に消えていく。
不幸にも巻き込まれた虫が退化し、微小の虫へと生じるが多くの虫たちが原初の魔物に突撃しその身を打つ。
「燃えなサーイ! ファイアー!!」
「チャンスねっ!」
そこへバルタンが火炎放射器の業火を浴びせ、片霧が引き金を引くと空を舞っていた原初の魔物たちは次々と堕ちていく。虫も巻き込まれはしたが、突撃した時点で殆ど致命傷を負っていたので長生きは出来なかっただろう。
「俺達兄弟を!」
「無視すると死ぬぞぉぉ!! ぶっつぶれろぉおお!!!」
一瞬、原初の魔物に意識を奪された隙を見計らいバルバロス兄弟はその巨体から繰り出されるとは思えぬほどの俊敏な動きで肉薄し、バルタンと片桐へと四腕で武器を振るう。それは破壊の意思が込められた四撃。掠りでもすれば如何なる強靭な武器でも破壊する純粋なる力。
バルタンは適度な距離を測り、紙一重で避けて片桐は武器で衝撃を受け流してしのいでいく。
ズガァアンっ!!!
四腕の衝撃波全てが大地へと向かい、断崖に巨大なクレーターが生まれ大地を震わせる。
「ヒュー! 当たっていたら危なかったデース!」
「強い攻撃も、こうされてちゃ形無しね。少し独りよがりが過ぎたのではなくって?」
軽口をたたく二人だが、バルタンの言う通り当たっていたら二人とも一撃で戦闘不能にまで持っていかれただろう。
そしてその直後に生まれる隙を見逃さず、バルタンと片桐はさらに懐へ同時に飛び込む。相手が二人分の力を発揮するのであれば、二人で同時に掛かってしまえば互角以上。
「一刀両断であります!」
「腕が多かろうと、頭が2つあろうと、人体が基礎にあるのであれば、殺せぬ通りは無いわ」
危機を察し、バルバロス兄弟は飛び跳ねようとするがその身が何かに縛られたかのように一瞬だけ動きが止まる。
そしてその三つ目の眼に移るのは視認するのは困難な程に細い糸。皇糸虫を念動力で強化した糸はコンマ一秒だけ動きを止め、ちぎれ飛ぶがそのコンマ一秒は十分すぎる時間だ。
バルタンの刃がバルバロス兄弟の身を大きく切り裂き、片桐の諸葛流舞闘術が死角から的確に急所を打ち抜く。
「「ぐおおおぉぉ!?!?」」
大きな巨体がたたらを踏み、そこへ両手の回転鋸をうならせながらカマキリの群れが飛翔する。
「伐採兵の皆さん!一切合切、刈り取っちゃってください!」
5mの巨体から血しぶきが舞い上がり、大地を赤く濡らすが、痛み程度で怯むようなバルバロス兄弟ではない。むしろその痛みすらを力として、殺意を増して猟兵達へ向けて腕を振るう。
カマキリたちは一瞬のうちに粉砕され、間合いにいたバルタンと片桐は衝撃波に巻き込まれて吹き飛ばされるも受け身を取り、体制を整える。
「「ガッハッハッハ!! いいぜぇ!! ぶっ殺すには良い相手だ!! もっとだ、もっとかかってこい!! そしてその力を奪ってやるよ!!」」
傷を負ってなお、あふれるほどの闘気を放つバルバロス兄弟。
だが、猟兵達に撤退の二文字はない。この強欲な簒奪者を打つべく、さらなる猛攻を駆けるべく猟兵達は挑むのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
中村・裕美
「……ナントカと煙は……高いところが好きって言うけど……インドア派に……この崖はキツい」
なので向こうから来てもらいたい
「……ハッキング開始……トラップ形成」
断崖という【地形を利用】し、相手の足元に【ハッキング】【罠使い】を仕掛け、落とし穴を形成。穴は斜め向きで、断崖の途中あたりからシュポーンと排出される感じの
怒ってこっちに向かってくるようなら周囲に落とし穴や地雷を作って迎撃。それでも攻撃されたらランスで【武器受け】
「……そろそろ……本腰入れるわ」
UCを使えるようになったら、魔竜になって暴れ回る
原初の魔物も【ブレス攻撃】で電子データ化。後で魔物になる前の状態にデータを修復してあげたいところ
●七大海嘯の四撃
「……ナントカと煙は……高いところが好きって言うけど……インドア派に……この崖はキツい」
一人、崖下で見上げるのは中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。崖へ上るのを諦めた彼女は、崖自体に仕掛けを施すことを考える。
それは古来より有効な落とし穴。遥か昔はマンモスでさえも落とし穴に落とし、仕留めたという逸話もある古来より伝わる伝統的な罠。
大地を侵食し、改変していく中村だが――相手はそう甘い相手ではない。
クエエエエエエ!!!
「っ……邪魔を……!」
高らかに叫びながら原初の魔物が崖をハッキングしている中村へ襲い掛かり、対処すべくブレスを放とうとするが――巨大な影が彼女を覆った。
「見つけた!! オルチ兄!!」
「足元でごちゃごちゃとしてたのはてめぇか!!」
断崖から飛び降りるなんてのはバルバロス兄弟にとってはどうということはなく、先ほどの原初の魔物の叫び声はバルバロス兄弟へと居場所を知らせるための合図だった。
そして意識は完全に原初の魔物へと向いていた中村は
「ぶっつぶれろおおぉぉ!!」
四撃の猛攻を直撃し、勢いよく海上へ向けて吹き飛ばされる。
「ぐっ……あっ……せ……めて……!! ……全てを1と0の世界へ……目覚めなさい……滅びの竜! いって!」
辛うじて無事だった腕をバルバロス兄弟と向けた中村は、ありとあらゆるものをデータ化し、破壊する魔竜へと変化し、消えゆく理性と意識の中ブレスを放ち、原初の魔物もバルバロス兄弟もブレスで飲み込み――ぷつりと中村の意識はそこで途絶えた。
崖を再び上ったバルバロス兄弟はブレスにより全身に傷を負い満身創痍だったが、今だ闘気は衰えることはない。だが、確実にその命の終焉は近づいていた。
苦戦
🔵🔴🔴
ナイ・デス
魔物さん達は、オブリビオンでないなら……死なせたくない、ですね
全身から【生命力吸収】する光を放って【範囲攻撃】
魔物は動けない程度にして
【念動力】で戦闘に巻き込まないよう遠くへ【吹き飛ばし】
【覚悟】そんな私は隙だらけ、ですよね
でも『いつか壊れるその日まで』私は、救うのです
【激痛耐性、継戦能力】本体(魂)が無事であるから、生きている
生きているから、再生して、戦う
例え、何度再生することとなっても、私は、諦めない!
【カウンター】を
再生の繰り返しで【リミッター解除】した、吸収する光
回避3倍でも逃がさない、周りを照らす光
本拠地でも、戦い方変わってない、ですが
グリモア手に入れる前に、もっと頭、使いましょう?
●三つ目、堕ちる
「はぁっはぁっ! オルチ兄!!」
「なんだ! ハイレディン!」
「猟兵ってのはつえええなぁ! オルチ兄!!」
「ああっ!! だからこそ、命がけで奪い甲斐がある!」
全身から傷を負い、血を流す満身創痍の身体でもバルバロス兄弟は根っからの簒奪者であった。
ひたすらに力を求めて、奪い、その力でさらに力を求めて奪う。その欲に果てはなく、空いた残りの目を埋めるまで――埋めてもまだ力を渇望していただろう。
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)へ向けて、残り僅かな原初の魔物が空から急降下で襲い掛かる。
「魔物さん達は、オブリビオンでないなら……死なせたくない、ですね」
ナイは生命力を奪う光を放ち、自らに殺到する原初の魔物たちの命を徐々に吸い取る。弱り切った原初の魔物は意識を失い、墜落するように落ちていくがナイは戦いに巻き込まれないようにと念動力で遠くに吹き飛ばす。
無論、そのような大きな隙を見逃すほどバルバロス兄弟は甘くはない――が、ナイも狙われる覚悟を持ってやっていた。
「お前の!!」
「力をよこせぇ!!」
力任せの一撃がナイへ振り下ろされ、直撃したナイは木の葉のように軽々と吹き飛ばされる。回避できないクリーンヒットだ。
意識を一撃で持っていかれかねない一撃だったが――ナイには覚悟があった。受ける覚悟が。
そして、覚悟さえあればどんな攻撃でも一度は耐えれる自信がナイにはあった。
ナイは耐えた。生きていれば、ナイはまだ戦える。
光がナイを包み込み、瞬時に元通りのナイの身体を構築する。
「私は、死なない。私は、死ねない」
【いつか壊れるその日まで】により生きているから、再生してナイは戦うことが出来る。
真正面からナイはバルバロス兄弟へと挑み、何度も何度も何度も叩き潰されようとも挑んでくるナイへ、バルバロス兄弟は笑みを浮かべながら四腕を振るう。
傷つきながらも、生命力を奪われながらも振るい、再生するナイ。
「ウァッハッハ!」
「ガッハッハッハ!」
高らかに笑いながら、単純に力を振るい殴り続けるバルバロス兄弟。カウンターで生命力奪う光を放ち続けるナイは拳を自分の目の前で突きつけ動きを止めたバルバロス兄弟を見やる。
その顔は愉快そうに笑みを浮かべ――そして瞳から光が消えたバルバロス兄弟がナイの瞳に移る。
仁王立ち。バルバロス兄弟は立ったまま拳を振るった状態でその命を枯らしていた。
ズンッと地面が大きく揺れ、崖に大きなヒビが入る。
ヒビは綺麗に猟兵達とバルバロス兄弟を分け、バルバロス兄弟はひび割れた崖と共に大海へと堕ちていく。
「グリモア手に入れる前に、もっと頭、使いましょう?」
折角、心より信頼できる兄弟がいるのだからとナイの呟きは大きな水飛沫の音にかき消された。
こうして『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』はその命を散らした。
一つ、オブリビオン幹部を潰した猟兵達は痛む身体を支えあいながら船へと戻っていく。これからは奪い合う海ではなく、支えあう海を体現するかのように。
成功
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