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享楽の皿、悪逆の贄(作者 吾妻くるる
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#ダークセイヴァー  #シナリオ50♡  #3章受付:9月23日(水)〜9月26日まで  #3章受付:9月23日(木)〜9月26日まで 


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#ダークセイヴァー
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#シナリオ50♡
#3章受付:9月23日(水)〜9月26日まで
#3章受付:9月23日(木)〜9月26日まで


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――まずは一皿目。
 美しく華やかなエディブルフラワーを、透明なコンソメゼリーに封じ込めた前菜。一点の曇りもない宝石のような輝きに微笑みながら、そっと上部をスプーンで抉るとなんとも甘美な悲鳴が響いた。

――次に二皿目。
 きのことチーズのポタージュ。オーソドックスだが、それ故に素材と技術が光る逸品。そしてクリーム色のスープにくるりと描かれた赤の彩りも美しい。程よく混ざったところを救い取れば、爪が割れる程に鳥かごを掻き毟る様が見て取れた。

――更にメインデッシュ。
 じっくりとローストされた鴨肉に、ブラッドオレンジのソース。皮目はこんがりと、肉は柔らかくジューシーに。芸術的なまでの焼き加減にうっとりとしながらナイフを入れると、もういやだやめておねがいおねがいゆるして、と泣き濡れた声が漏れた。

――そしてアントルメ。
 飾り置きたいほどに美しい仕上がりのミロワール・ショコラ。“鏡”と名されるに相応しい、艶めいたチョコレートでコーティングされた表面に罅を入れる瞬間はなんとも贅沢で、崩れ落ちて泡を吹く様を見ながら口に運べば、舌が蕩けそうなほどに甘かった。


 食事の皿が取り換えられるたびに、目の前に置かれた銀の鳥籠もまた変えられていく。中にいるのはどれも美しく着飾られた人間だ。だが浮かぶ表情は皆一様に暗く、恐怖と苦痛に歪んでいる。そしてその姿に伯爵がほくそ笑みながら料理にカトラリーをつぷりと差し込むと、誰もが苦悶に喘ぎ苦しみだす。

掬い取ったゼリーは、脇腹を抉り取られるかの如く。
赤の混ざるスープは、内臓を掻き回されるかの如く。
ソース滴る肉料理は、四肢をもぎ取られるかの如く。

「ああ、私はなんていい拾いものをしたんだ。これで永遠に――愉しんでいられる!」
禍々しい黒の短剣を弄びながら、伯爵が次の皿を待つ。

そう、この世は並べて――我が享楽の皿の上だとも。


「やぁ、初めましてみんな。今日は僕のお話に付き合ってくれるかい?」
 真白の兎耳を揺らし、人当たりのよさそうな笑みでザジ・クルーシュチャ(箱の底・f19818)がグリモアベースに集う猟兵へと声をかける。
「ああ、勿論依頼のお話だよ。ダークセイヴァーでね、潜んでいるヴァンパイアの居城を見つけたんだ。」
 表向きは由緒正しい伯爵家とその城下町、となっているが実際に君臨してるのはヴァンパイアだ。そこで夜な夜な贅を尽くした晩餐会が開かれるのだが、そこで供される食材というのは――。
「人間だよ。正確には“人間の血を混ぜた料理”なんだけど、これにはちょっと仕掛けがあってね」
 まず伯爵は晩餐会を開く前に、必ず街から人を募る。名目は“招待客”だが、実情は皿に乗せる“食材探し”に等しい。そして選ばれた人間はそのまま調理に回される――わけではなく、まずは黒いナイフで指先から血を取ってから正装へと着替えさせられ、豪奢な人間大の鳥籠へと籠めて伯爵の前に供される。
「この伯爵が持ってる黒いナイフは“呪殺の黒曜”って呼ばれててね。ちょっとした呪いと曰くのアイテムなんだ。」
 本来は傷つけた相手の血を人形に垂らし、その人形を痛めつけることによって血の主に同じ苦しみと死を与えるという、藁人形的な呪い道具だったそうだ。だが、伯爵のふとした思い付きでその血を料理に混ぜた所、食べることでも血の主が苦しむことを発見した。そして料理では人形より効力が弱く、1度食べ終えてた程度は死なない――つまり気に入った贄はある程度“リサイクル”が効く、ということも。それ以来、伯爵の館で催されるのは悪逆非道を煮詰めたような晩餐会だ。血を混ぜた皿を喰らい、その血の持ち主が鳥籠の中で苦しむのを眺め愉しむ。苦痛をソースに、悲鳴をスパイスに、許しを請う声をガルニチュールにしたフルコース。
「けど、幾ら呪いがちょっと弱まるって言ったって、毎夜全身を蝕む苦痛にさらされたら…どうなるかは、わかるんじゃないかな。」
 四肢をもがれ、内臓を掻きまわされ、眼球をえぐり取られるような痛みと苦痛が絶えず続けば、並の人間ならあっという間に廃人になるだろう。実際既に幾人もが悲鳴すら上げられなくなり、伯爵に飽きられ無残に“処分”されているのだ。
「伯爵を慕うヴァンパイアや人間なんかは、客として一緒にその様子を楽しんでるようだよ。だから今回はまずそこに潜り込んでほしいんだ」
 晩餐会の開かれる日は、朝から城門で部下立ち合いの元“納品”が行われる。伯爵はとかく気に入れば何でも呼び込むので、入り込む余地は大いにある。“食材役”、“持ち込み役”、“招待客”。選ぶ役は何でもいい。とにかく懐に入り込むのが重要だ。
「ああでも、晩餐会はね。滞りなく進めなくちゃいけないんだ。入ってすぐ暴れちゃうと――先にいる“食材”たちが、死んでしまうからね」
 食材役が食べられた後に振り分けられる部屋に、既に納入された人間が囚われている。なので晩餐会の最中に暴れてしまうと、まずもってその人たちが殺されるだろう。だからひそかに準備を進めながらも、晩餐会は見届ける必要がある。それがどれほど醜悪で、悪趣味極まるものでも、だ。
「僕が見えたのはここまで。あとは現地で情報を集めつつ、になると思うけど…頼めるかい?」
 そういってザジが腰に下げた鍵束から、銀色の1本を手にする。それを虚空に差し入れてかちゃり、と回せば――悪逆の領地へと誘う、列車の扉が開かれた。
 





第3章 ボス戦 『吸血鬼ディンドルフ』

POW ●ダンスタイム
自身が【敵対心】を感じると、レベル×1体の【吸血鬼の犠牲者】が召喚される。吸血鬼の犠牲者は敵対心を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD ●ミラータイム
【対象のユーベルコードを複製すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【対象と同じユーベルコード】で攻撃する。
WIZ ●ディナータイム
【「犠牲者の肉のスープ」】を給仕している間、戦場にいる「犠牲者の肉のスープ」を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアンネリーゼ・ディンドルフです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


――かくて宴は、緩やかに終わりへと向かっていく。

 数多いた食材たちも次々に下げられていき、残す一皿も今や空っぽになった。今日はずいぶんと奇妙な食材が多かった。珍しさも悲鳴も楽しめたが、その分妙に口答えを多く聞いた気もする。詰る言葉を思い出せば今も腹が煮えそうになるが、それももう過ぎたこと。無礼を働いた者たちは皆肉片と化してスープに混ぜられ、明日来る客の喉を潤すだろう。そして控えの間に下げさせたものはまた、明日も新鮮な恐怖と叫びを供するのだ。

そうして今日も、明日も、ずっとずっと永遠に。
死することなき体で、絶えることなき実りを。
――永久の享楽を貪り続けるのだ。

「会場の者たち、今宵も宴にご足労戴き感謝したい。明日もまた甘美な悲鳴を聞かせることを約束して、今日という日に幕を下ろすとしようか。」

ああ、今終わりの喝采を呼ぶ、最初の一音を伯爵が――吸血鬼ディンドルフが鳴らすべく、高々と手を上げる。

――それが果たして、何の終わりを告げるものか。
知らしめるべきは今、この瞬間だ――猟兵達よ。
 
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●補足情報
 場面としては宴の終わり、吸血鬼ディンドルフの閉幕宣言直後から始まります。今回の依頼成功条件は【ディンドルフの討伐】のみになります。一般人の生死は判定に含まれませんので、場合によっては死ぬ描写があります。立ち回りはお任せいたします。(何が何でも助けたい、別にどうでもいい、など皆様のお心に添った行動をぶつけてください)

◎!!Bonus!!◎
 『控えの間』『屠殺部屋』の割り振り人数が多かったことと、マッピングや仕込みが多数ありましたので、事前に提示した『移動による不利の発生・ユーベルコードの必要性』を【無くてOK】とします。各部屋での動きと会場での動きをそれぞれ書いて頂ければ、移動に関しては無記載で問題ありません。(初めは必ず【2章で提示された自身の居場所】からのスタートになります)

★戦場
『控えの間』
 館の2階。ヴァンパイアの侍女が入り口付近に5名、食材として体力を消耗した一般人が6名います。侍女はあまり強くはありませんが一般人を積極的に殺害及び盾に使うので、生かしたい場合は配慮が必要です。最低限の寝具が置かれただけの雑魚寝部屋ですが、広さはそれなりにあるので戦闘には困りません。なお追加戦力は来ないので、侍女を排除できた時点で一般人の生存と安全は保障されます。行動としては即時戦闘→会場へ移動で問題ありません。治癒等での部屋への残留はお任せします。

『屠殺部屋』
 城の半地下。処分・解体係のヴァンパイアが6名、意識がないレベルの一般人が5名ほどいます。こちらも戦力的にはあまり強くない代わりに、一般人の殺害や盾としての利用に躊躇がないので、生かしたい場合は工夫が必要です。石畳の広い部屋で戦闘に支障はなく、また追加戦力はないので敵を排除した時点で一般人の生存と安全は保障されます。行動としては即時戦闘→会場へ移動で問題ありません。治癒等での部屋への残留はお任せします。

『晩餐会ホール』
 此処に居るのはディンドルフを筆頭とした数多のヴァンパイアと猟兵のみです。ダンスホールも兼ねた広い舞台で、正装のまま、どうぞ心行くまで敵を狩り尽してくださいませ。奇襲と仕込みは十分に、後から来る追加戦力もたっぷりと。最早皆様の勝機は多大なもの。喰われるものがはたしてどちらか、存分に知らしめましょう。

★【呪殺の黒曜】
 ディンドルフが懐に隠しています。入手をご希望の方はプレイングに以下を記載いただきますようお願いします。多数いた場合は『参加した章の数だけダイスを振って、一番いい目が出た人』の手に渡ります。

黒曜を入手して持って帰りたい場合…🔪◎
黒曜をこの場で破壊したい場合  …🔪×

 なおこちらから提供できるのは『この依頼で呪殺の黒曜という曰くのアイテムを入手(or破壊)した描写』のみです。効果も『ナイフで傷つけ採取した血を依り代に垂らし、依り代を傷つけることで血の相手に苦しみを与える』以外のことは判明していません。実は宇宙の超技術だった、人によって呪いの質が変わる…等々は手に入れた方のお好きにどうぞ。

…他にも予想される状況、活用できる方策、宴を楽しむアイディアは積極的にお寄せください。
皆さまの思うままにどうぞ。

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